忍者ブログ
00430000s@merumo.ne.jp に空メールすると、ブログと同じ内容のメルマガをが配信されます。twitterはhttps://twitter.com/wataru4 です。
[290]  [291]  [292]  [293]  [294]  [295]  [296]  [297]  [298]  [299]  [300
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

次世代携帯、参入希望の4社に開放 総務省方針
 2010年以降に商用化される次世代携帯電話について、総務省が策定した利用周波数の割り当て方針案が21日、明らかになった。2―3社に限るとしてきた当初計画を修正。4社の参入を認め、NTTドコモやソフトバンクモバイルなどサービス開始を計画する携帯電話会社すべてに割り当てる。参入枠の拡大で、事業者間の技術開発や販売競争を促し、高速・大容量の移動通信環境を世界に先駆けて整える。
 次世代携帯電話は、現在の主力であるドコモの「FOMA(フォーマ)」などの進化型で「3.9世代」とも呼ぶ。ドコモ、ソフトバンク、KDDI、イー・モバイルの4社が参入意向を表明しており、早ければ10年からのサービス開始を目指している。



ソニー、国内TV生産を1工場に集約 正社員2000人超削減
 ソニーは不振のエレクトロニクス部門の再建に向け、国内事業のリストラに乗り出す。国内に2カ所あるテレビ工場を1カ所に集約するほか、希望退職募集などで国内の正社員の約3%にあたる2000人以上を削減する見込み。円高や販売不振により2009年3月期は14年ぶりの連結営業赤字に陥る見通しになっており、約3年ぶりの工場再編などでコスト構造を抜本的に見直す。
 ソニーは昨年12月、世界で1万6000人以上(うち正社員8000人)を削減することを軸としたリストラを発表し、中身を詰めていた。具体策として国内エレクトロニクス部門の構造改革策をまとめた。22日にハワード・ストリンガー会長兼CEO(最高経営責任者)が記者会見、09年3月期の業績見通しの下方修正と併せて発表する。



富士通、海外の携帯インフラ事業強化へ組織改革
 富士通は海外での携帯インフラ事業を本格化するため組織を改革した。携帯電話の基地局などを開発・生産する通信機器事業部門から国内営業部隊を切り離し、通信機器部門が海外子会社などと連携しやすい体制にした。北米を中心に海外で次世代の携帯サービスが始まるのをにらみ、今春から海外で受注活動を活発にする。
 通信機事業部門は主に光伝送装置と携帯基地局を手掛け、製品の開発・製造と国内営業が一体になっていた。国内営業を分離し、通信機器部門が海外の顧客に合わせて柔軟に製品を開発・生産できるようにした。



派遣業界、曲がり角 減産などで需要減、規制強化の動き
 人材派遣業界が転換点を迎えている。労働者派遣法で人材派遣業が産声を上げて20余年。最大400万人近くの雇用を支える存在になったが、自動車などの減産ラッシュで製造業を中心に派遣社員の削減が広がり、成長を続けてきた派遣各社はリストラを余儀なくされている。規制強化の動きも表面化し、業績の先行き懸念が強まっている。
 「業界始まって以来の苦境だ」。日本人材派遣協会の鎌田和彦会長(インテリジェンス相談役)は20日の会見で危機感をあらわにした。労働者派遣法は1986年に施行。人件費の低減・流動費化を目指す企業と、多様な働き方を求める労働者の動きが合致。規制緩和が後押しし、2007年度の派遣労働者は384万人に達した。



マイスペース、登録アーティスト自身がチケット販売
 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)世界大手マイスペースの日本法人(東京・渋谷、大蘿淳司社長)は21日、登録アーティスト自身が公演のチケットを販売できるサービスを始めた。プレイガイド「e+(イープラス)」を運営するエンタテインメントプラス(東京・品川、橋本行秀社長)のチケット販売システムを活用。アマチュアアーティストに活動の場を提供できる。
 各アーティストは自宅のパソコンからイベントの詳細情報・料金などを入力するだけで、簡単に自分のイベントのチケットを販売する窓口を設けられる。一般プレイガイドで販売していない小規模な公演でも、プロ同様にチケットを流通させられる。



中堅AV各社、管理職報酬を削減 パイオニア、10%削減
 中堅AV(音響・映像)各社が管理職や役員の報酬を削減する。パイオニアが2月から管理職の報酬を10%削減し、ティアックも今月から役員や管理職の報酬削減幅を拡大する方針だ。世界的な景気悪化でAV機器の販売が鈍化しており、経費節減を急いで収益改善を進める。
 パイオニアは管理職の報酬を2011年3月まで10%削減する。組合員についても4月から賃金をカットする方向で労働組合に協議を申し入れた。



トレジャー・ファクトリー、携帯買い取り・販売に参入
 リサイクル店のトレジャー・ファクトリーは携帯電話の買い取り・販売を始めた。消費者から中古の電話機を買い取り、再利用できるようにして店頭販売する。販売価格は機種や状態で異なるが、数千円から新モデルでは3万円前後になる見通し。携帯電話会社の販売奨励金削減で新製品価格が上昇しており、一定の中古需要があると判断した。
 対象はNTTドコモ、ソフトバンク、ウィルコムの携帯電話。持ち込まれた電話機の状態や付属品の有無などを確認して査定。買い取った電話機はデータ消去やクリーニングをして販売する。購入後1週間以内に不具合があった場合、返金に応じる。1店あたり月30台前後の買い取りを見込む。



GMの08年世界販売835万台 トヨタの首位が確定
 【ニューヨーク=小高航】米ゼネラル・モーターズ(GM)は21日、2008年通年の全世界の新車販売台数が前年比10.8%減の835万台だったと発表した。08年に897万台を販売したトヨタ自動車の世界首位が確定、GMは77年ぶりに2位に陥落する。
 経営再建中のGMは北米で21%、欧州で7%それぞれ販売が減少した。一方、トヨタも市場低迷を背景に4%減少したが、総販売ではGMを62万台上回った。トヨタは創業から70年強で世界首位の座を手に入れたが、09年3月期に戦後初の営業赤字を見込むなど苦境下にある。



09年世界経済、マイナス成長の可能性 国連貿易開発会議が予測
 国連貿易開発会議(UNCTAD)は、2009年の世界の実質成長率がマイナス0.4%に落ち込む可能性があるとの予測をまとめた。金融危機が実体経済に本格的に波及し「先進国が深刻な景気後退に陥る恐れがある」と指摘。生産活動の低迷や個人消費の減退などによる影響が途上国にも及び、貧困問題が一段と深刻になって、社会や政治の安定を損なうリスクが高まると警告している。
 予測は悲観シナリオ、基本シナリオ、楽観シナリオの3つに分かれている。成長率は「悲観」がマイナス0.4%、「基本」がプラス1.0%、「楽観」がプラス1.6%。楽観シナリオでも、08年の実績見込み(プラス2.5%)に比べ成長率は大幅に鈍る。
 悲観シナリオを国・地域別に見ると、米国がマイナス1.9%、欧州圏がマイナス1.5%、日本がマイナス0.6%と、日米欧が軒並みマイナス成長に陥る。一方、中国は悲観シナリオでもプラス7.0%の成長を維持する見込みだ。



米アップル、10―12月純利益1.5%増 成長ペース鈍化
 【シリコンバレー=村山恵一】米アップルが21日発表した2008年10―12月期決算は、売上高が前年同期比5.8%増の101億6700万ドル、純利益が1.5%増の16億500万ドルだった。増収増益は確保したが、世界景気悪化による個人消費の冷え込みを反映し、高成長路線には急ブレーキがかかった。
 主力のパソコンは前年同期比9%増の252万4000台を販売。携帯電話「iPhone(アイフォーン)」の販売台数は88%増の436万3000台だった。



日経社説 オバマ氏は広い視野で米国経済再建を(1/22)
 米国のオバマ新大統領は20日の就任演説で、寒空の中集まった200万人もの聴衆に向かって「我々は今日から立ち上がり、米国を再生する作業を始めなければならない」と訴えた。
 これほどの熱狂と期待で迎えられた大統領は最近では珍しい。大恐慌以来とも言われる経済危機で、米国民の不安感はかつてないほど高まっている。人々はそうした不安の解消を若いオバマ大統領に託した。
カギ握る金融安定化策
 米国経済がどんな形で再建されるかは米国のみならず、世界にとっても極めて重要な意味を持つ。米国の経済的地位は中国やインドの台頭で相対的に低下したものの、なお世界経済に対して大きな影響力を保っているからだ。
 深刻な経済の悪化に対応して、オバマ大統領は「米国の回復と再投資計画」と名付けた再建策を打ち出した。2年で総額8000億ドルに及ぶ大胆な財政政策により、300万―400万人の雇用を創出・維持できるとしている。
 財政刺激策としては、道路や高速インターネット回線の整備などのインフラ投資に加え、太陽光や風力発電をはじめとした再生エネルギー開発支援、低中所得層を中心にした減税などを実施する方針だ。
 評価できるのは、需要刺激策を代替エネルギーの利用促進、教育の充実、医療の近代化など経済の構造調整や生産性向上に結びつけている点だ。就任演説で新大統領は「雇用創造だけでなく、成長の新しい基盤を敷くために行動する」と強調した。
 ただ、将来的な効果が見込める事業よりも、政治家が求める地元利益誘導型の事業が優先される懸念もある。そうならないようオバマ大統領や民主党の議会指導部がどこまで指導力を発揮できるかが問われる。
 米国の経済復活にはこうした需要刺激策だけでは不十分だ。機能不全に陥っている金融システムを立て直さない限り、本格回復は難しい。
 米国の金融安定化策は満足できる結果を出していない。昨年秋に総額7000億ドルの公的資金活用を認める金融安定化法が成立し、大手金融機関から地方金融機関まで幅広く公的資金が注入された。バンク・オブ・アメリカによるメリルリンチ買収など問題金融機関の統合も進んだ。
 だが、景気の悪化も響いて銀行が抱える不良債権はなかなか減らず、米国の金融機関に対する信認は戻っていない。シティグループやバンク・オブ・アメリカは公的資金の再注入など追加支援に追い込まれた。
 民間金融機関による金融仲介機能は低迷したままで、米連邦準備理事会(FRB)による資金供給などでどうにかおカネが回っているのが実情だ。
 不良資産を購入するバッドバンクの設立や政府による不良債権損失の保証拡大などが検討されているが、いずれにしても金融機関の資産内容の健全化を急ぐことが肝要だ。不良債権問題の先送りで経済低迷が長引いた日本のてつは踏まないようにしてほしい。
 経済の早期再建に加えて望みたいのは、経済立て直しにあたって自己本位の政策に走らないようにすることだ。
 オバマ大統領は経済のグローバル化という現実を見据えた対応の必要性を強調しており、基本的には自由貿易を重視している。ただ、経済が悪化する中で、自国産業や企業の保護につながる政策を求める圧力は強まりつつある。
 すでに実施し始めている米自動車の3大メーカーに対する金融支援は、市場の競争条件をゆがめ、日本車メーカーに不利益をもたらしつつある。米議会や一部業界からは、米国製品購入(バイアメリカン)を促す政策を求める声も出ている。
日米連携で問題解決を
 米国が自国産業保護に傾斜すれば、これに追随する動きが世界に広がり、世界経済の足を引っ張る恐れもある。オバマ大統領は保護主義の誘惑を断ち切らなければならない。
 それにとどまらず、停滞する多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の進展へ指導力を発揮することも求められる。米国が強い指導力を示さなければ、新ラウンドは失敗に終わる可能性がある。
 米国発の金融危機を教訓にどう世界の金融監督体制や規制を改めるか、先進7カ国(G7)に代わる経済政策の調整・協調体制をどう構築するかについても、効果的で前向きな提案を期待したいところだ。
 開かれた世界市場を維持し、再び危機を起こさないような仕組みを作っていくうえで、日本も主導的な役割を果たさなければならない。オバマ政権の出方をうかがうのではなく具体的な提言も含め積極的な議論を働きかけていくべきだ。同盟関係にある日米が手を携えてこそ、世界的課題の解決に道筋が見えてくる。
PR
日本人は「日本のケータイ」の価値を理解しているのか?(COLUMN)
 内需中心、かつ生活必需品であることから、比較的不況に強いとされている携帯電話。その携帯電話市場が今、あらゆる方面から大きな暗雲に包まれているのはご存じの通りだが、暗雲をもたらしているのは日本のケータイの価値を理解していない“日本人自身”であるように思えてならない。
 本題に入る前に、今回のテーマを象徴する2つの出来事を紹介しよう。
 まず1つは、携帯電話の大量盗難事件である。昨年の秋頃から、携帯電話ショップを狙って、数十~数百台もの携帯電話端末が大量に盗み出されるという事件が相次いでる。
 これら一連の犯罪で特徴的なのは、盗難対象となる端末の傾向が決まっているということだ。主にソフトバンクモバイルや、NTTドコモの携帯電話が被害に遭うケースがほとんどで、auの携帯電話が盗まれることはほとんどないという。その理由は、auの端末はUSIMカードと端末を紐付ける手続きを、店頭で行わないと利用できないのに対し、他の2社の端末はUSIMカードを差し替えるだけで利用できるというところにあると考えられている。
 では、盗難された携帯電話はどうなるのかというと、主に2つのルートで資金化されていると考えられる。1つは国内のネットオークションなどでの転売、そしてもう1つは、中国など海外への横流しだ。だが前者については、ソフトバンクモバイルが昨年3月にオークションサイトへ最新携帯電話の出品規制を要請するなど、監視の目が厳しくなっている。それゆえ、後者の輸出に回される可能性が高くなってきているといえよう。
 中国の携帯電話は、ようやく3Gのライセンスが発給されるという段階であることから、現在でもGSMやCDMAなどの2Gが中心で、これまで日本の携帯電話は利用することができなかった。だが現在では、日本の携帯電話でも「海外で使える」ことを売りにGSMを搭載したものが増えていることから、何らかの手段でSIMロックの解除を行い、現地で販売されている模様だ。
Googleが絵文字の標準化を提案
 もう1つは“絵文字”に関する出来事である。昨年11月、Googleが日本の携帯電話の絵文字を、ユニコードの文字として標準化することを提案するという取り組みを示した。
 絵文字は日本において、携帯電話のコミュニケーションに欠かすことができない存在となっている。だが元々はキャリアによって異なる、日本ローカル、いやキャリアローカルともいうべき存在であった。なぜそのような状況になっていたのかというと、かつては絵文字の数やデザイン自体がサービスの差別化要因となっていたため、各社がこぞって絵文字の数・表現力向上を行い、その優劣を競っていたからである。実際、主要3キャリアにおける絵文字の数や形状、アニメーションの有無など見ても、その数や形は(ある程度近づけてきているとはいえ)全くバラバラであり、かつては異なるキャリアに絵文字付きのメールを送ると、文字化けしてしまうというのも日常茶飯事であった。
 だが絵文字が日本の携帯電話利用者に定着したことで、その存在の重要性が認められるようになった。結果、番号ポータビリティ制度(MNP)の導入を境に、異なるキャリア間のメールでも変換を行うことで、絵文字のやりとりが可能となっている。また最近ではブログやSNSなど多くのWebサービスで絵文字が利用できる機能を導入しているほか、グローバルモデルをそのまま導入したiPhoneまでもが、ソフトウェアの改変で公式に絵文字対応するようになった。
 Googleの取り組みは、これをさらに進めて、日本のローカル規格である絵文字をユニコードとして国際標準化してしまおうというものである。これが実現すれば、絵文字が“外字”ではなく“普通の文字”として扱えるため、事業者が違っても変換不要で絵文字を送り合えるようになる。加えてWebサービスで絵文字がそのまま扱える、絵文字をキーワード検索の対象として利用できるようになるなど、多くのメリットが生まれることとなる。
 さらに言うなら国際標準化されることで、これまで日本でしか利用できなかった絵文字が、海外の携帯電話でも利用できるようになる可能性がある。日本発の絵文字文化が、海外にも大きく広まるかもしれない、という訳だ。
外国人が気付いている、日本のケータイの魅力
 これら2つの事例で言えることは2つある。1つは、いずれも日本の携帯電話が生み出しているものの魅力が、海外で注目を集めているということだ。
 携帯電話の窃盗事件で言うならば、窃盗犯はわざわざ犯罪を行ってまで、世界的に人気が高いとはいえない日本の携帯電話を海外に横流ししているのである。これが激安で販売されているというのであれば話は分かるが、中国などではこうした携帯電話が高額で販売されており、購入する人がいるのだという。豊富な機能と高い性能を備えた日本の携帯電話に魅力がなければ、こうした現象が起きることはないはずだ。
 絵文字の件も同様である。元々絵文字は若い女性が積極的に利用することで広まったものであり、特にPC中心のネット文化圏においては、“イレギュラーな文字”としてどちらかというと軽んじられてきたものだ。だが海外企業であるGoogleは、逆に多くの人に利用されている絵文字の持つ魅力に着目し、ローカル規格の国際標準化という行動を起こすに至っているのである。このニュースが流れた時、ネットではGoogleの行動を賞賛する意見よりも、むしろ「どうして日本からこうした動きが出なかったのか」という声が多く上がった程だ。
 そしてもう1つ言えることは、こうした日本の携帯電話が持つ魅力に、日本人自身が気付いていないということである。
 絵文字については先に書いた通りだが、音声端末についても同様だ。日本の携帯電話端末が国際的な競争力が弱いことから、それを「ガラパゴス」と批判し、世界的なシェアや勢いを持つ海外企業の端末を賞賛する声は多い。だが日本人以外が日本の携帯電話を高く評価しており、窃盗事件という形で「日本のケータイには魅力がある」ということが証明されているというのは何とも皮肉な話である。
日本のケータイの価値を日本人自身が認識し直すべき
 一方、日本国内での携帯電話に対する評価と取り組みを見るとどうだろうか。端末販売の落ち込みに大きな影響を与えたとされる総務省のモバイルビジネス研究会においても、海外メーカーの端末やビジネスモデルが高く評価され、日本の携帯電話に対しては厳しい評価が下されていたように感じる。さらに総務省要請による未成年フィルタリング自動適用や青少年ネット規制法、政府の教育再生懇談会の「小中学生に携帯電話を持たせない」提言など、一連の未成年の携帯電話利用に対する規制強化によって、携帯コンテンツ市場や若者が生み出すケータイ文化にも停滞感がもたらされつつある。
 こうした一連の取り組みを見ていると、日本の携帯電話の価値を理解しない人達が、日本の携帯電話の「悪いところ探し」に熱中することで次々と愚策を生み出し、ただただやみくもに市場・文化を崩壊に導こうとしているのではないかと勘ぐりたくなってくる。
 真に日本の携帯電話の価値を高め、国際競争力を強めて経済・文化的に影響を与えるようになるには、日本人自身が日本の携帯電話の価値を理解し、それを最大限に発揮する必要があると思う。だがその日本人自身が、日本のケータイを「ガラパゴス携帯」「ギャルのおもちゃ」「いじめ・犯罪の温床」などとやみくもな批判を繰り返している限り、その価値を正しく認識することはできないだろう。
 日本のケータイに対する批判を止め、それが生み出す良い部分を見直し、価値を最大限に発揮する。日本の携帯電話の存在を本当の意味で良い方向に発展させていくためには、そうした取り組みが最も必要とされているのではないだろうか。



エルピーダメモリ、台湾の同業3社と経営統合へ
 半導体メモリーのDRAMを生産する国内唯一のメーカーで、世界シェア(市場占有率)3位のエルピーダメモリ(本社・東京)が、台湾の同業3社と経営統合する方向で最終調整していることが21日、明らかになった。
 半導体の需要は、世界的な景気悪化で急速に落ち込んでおり、日台のDRAMメーカーが連携して、経営基盤を強化する狙いだ。台湾当局は、公的資金による地場半導体メーカーの支援策を検討しており、エルピーダなどは統合に合意すれば、活用を申請する。
 エルピーダが最終調整しているのは、世界6位の「力晶半導体(パワーチップ)」、同8位の「茂徳科技(プロモス)」、エルピーダと力晶が合弁で設立した「瑞晶電子(レックスチップ)」の3社。エルピーダが持つデジタル家電向けなどの高付加価値技術と、台湾メーカーのコスト競争力を結びつける狙いがある。
 持ち株会社方式による統合などを検討しており、統合会社の研究拠点は台湾内に置く可能性もある。4社連合が実現すれば、世界シェアは約23%に拡大し、約30%で首位の韓国・サムスン電子を追撃する態勢が整う。



「ジュエリーマキ」民事再生法を申請
 全国で「ジュエリーマキ」などの宝飾店を約190店展開する三貴(東京)は21日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約117億円。
 民間調査会社の東京商工リサーチによると、三貴はピークだった1990年代に全国で1200店を展開し、年間売上高は1853億円まで成長した。
 その後、販売不振に陥り、経営再建を進めていたが、最近の急速な景気悪化で08年8月期の売上高は205億円に落ち込み、経営が行き詰まったという。店舗の営業は続ける。



米グーグル、新聞向け広告仲介を中止 既存媒体への拡大修正
 【シリコンバレー=田中暁人】インターネット検索最大手の米グーグルは20日、新聞向け広告仲介サービスを中止すると発表した。ネット広告で培ったシステムを活用する狙いだったが、想定通りの結果を得られなかった。同社は景気低迷を背景に経営の効率化を進めており、ネットから新聞など既存媒体に事業基盤を広げる戦略の修正を迫られた。
 一部広告主向けを除き、2月末でサービスを中止する。同サービスは2006年11月にニューヨーク・タイムズなど米有力紙と組んで開始。グーグルがネットを使って広告主を募集し、新聞社に広告を仲介する事業の確立を狙った。米国の800紙以上に協力先を広げたが、「グーグルや協力先が求めた結果が出なかった」という。
 グーグルは新聞以外にテレビやラジオ向け広告事業にも進出し、収益源の多角化を目指してきた。新聞向けには「今後も新サービス開発を目指す」方針だが、すでに仮想空間サービスなど複数のネットサービスの廃止を決定。採用部門の人員削減も表明するなど、経営効率化を進めている。



大口電力需要13%減 12月、過去最大のマイナス幅
 電気事業連合会が21日にまとめた12月の電力需要実績(速報、10社合計)によると、景気の指標となる産業用大口電力需要は前年同月比13.0%減の215億4700万キロワット時と過去最大のマイナス幅を記録した。これまでは石油危機時の1975年5月のマイナス幅(9.3%減)が最大だった。自動車や鉄鋼などの減産の影響が拡大した。
 主要7業種でマイナス幅が大きかったのが鉄鋼(24.8%減)、自動車を含む機械(18.1%減)、非鉄金属(18.1%減)。主要七業種のすべてがマイナスだった。
 地域別でマイナス幅が大きかったのが中部(17.2%減)、中国(17.8%減)など自動車産業への依存度が比較的高い地域。世界的な自動車販売不振が電力需要に反映した格好だ。東京は10.2%減だった。家庭用などを含む電力需要全体は5.9%減の708億キロワット時だった。
「新たな平和の時代に世界を導く」 オバマ米新大統領が就任演説
 【ワシントン=弟子丸幸子】米国の第44代大統領に就任したバラク・オバマ氏は20日、首都ワシントンの連邦議会議事堂前で就任演説し、「米国は新たな平和の時代に世界を導く役割を果たさなければならない」と語り、世界の国々と協力していく姿勢を明確に打ち出した。
 新大統領は「旧友や旧敵と手を携え、核の脅威の削減、地球温暖化問題にも取り組んでいきたい」と強調。「イスラム世界に対して、我々はお互いの利益と理解に基づいて前進する用意がある」と語った。
 ブッシュ前政権が開始したイラク戦争についても「我々は責任を持ってイラクを同国民に返す」と述べた。そのうえで「アフガニスタンの平和のために努力する」と語り、対テロ政策の最前線と位置付けるアフガンの戦線強化に取り組む決意を示した。



オバマ新政権 日米、経済協調探る 環境・貿易、密接に対話
 オバマ新政権の発足に伴い、経済課題を巡る日米両国政府の政策協調も新たな局面を迎える。日米2国間にはかつての経済摩擦のような深刻なあつれきは見当たらない。むしろ問われるのは世界の経済構造が大きく変わる中での新たな連携のあり方だ。各国の景気悪化や環境問題、中国をはじめとする新興国の台頭など、日本は従来とは違った対米協調路線を模索するよう迫られている。
 「私のカウンターパートが決まれば早急にお会いするか電話したい」。中川昭一財務・金融担当相は20日こう語った。減税や公共投資を中心とするオバマ政権の景気対策への期待は大きい。オバマ新大統領は経済危機克服へ総額7750億ドル(約70兆円)に上る景気対策を打ち出す方針。米経済回復に道筋がつけば対米輸出増などで日本経済にも恩恵が及ぶ。一方で日本は内需拡大や成長戦略など一段の自助努力を迫られよう。



伊フィアット、米クライスラーに35%出資 提携合意
 【フランクフルト=後藤未知夫】イタリアの自動車大手フィアットと米クライスラーは20日、資本・業務提携で合意したと発表した。フィアットはクライスラーに35%出資。米政府の支援下で再建中のクライスラーは環境技術の供与や販売支援を受けて事業を立て直す。世界的な販売不振が引き金となった両社の提携で、日本メーカーを含めた国際的な業界再編が加速しそうだ。
 両社とクライスラーの筆頭株主である米投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメントは「世界規模で戦略的に提携する」との合意文書に調印した。財務面の精査や米政府の承認を経て、4月にも出資などを実施する意向だ。
 2008年のフィアットの世界販売台数は約200万台強を確保したもよう。クライスラーの08年の販売実績は200万7000台で、両社のグループ化が実現すれば400万台を超え、世界6位の規模となる。



東京海上、NTTと自動車保険など直販 春にも専門会社
 東京海上ホールディングスとNTTグループは携帯電話やインターネットを使って自動車保険などを販売する事業で提携する。近く共同出資で専門の損保会社を設立、今春の開業を目指す。国内市場が頭打ちの中で、契約者に直接販売する損保は保険料の安さなどを武器に拡大している。両社は家庭のテレビや携帯ゲーム機から保険加入できる新しい仕組みの開発も視野に入れる。
 新会社には東京海上と、NTTグループで金融関連事業を手掛けるNTTファイナンスが出資する。資本金は未定だが、東京海上が8割以上を出す見通し。月内にも準備会社を設立し、今春にも保険業の免許を取得したうえで開業する。



大日本印刷、太陽電池部材の新工場 世界シェア15%へ
 大日本印刷は50億円を投じてバックシートと呼ぶ太陽電池の主要部材の専用工場を福島県内に建設し、生産能力を3倍に拡大する。今月末に稼働する計画で、2010年度に世界シェア15%を狙う。収益源としてきた半導体・液晶向け素材は景気後退で成長が鈍っており、今後は環境分野に積極投資する。
 包装資材の生産拠点である福島県泉崎村の工場敷地内に、バックシートの専用工場を建設した。延べ床面積1万4000平方メートルの平屋建て。生産能力は太陽電池の発電能力ベースで、年100万キロワット分と現在の3倍に高まる。



巨人主催62試合、BS日テレが中継…好カードは地上波で
 日本テレビの久保伸太郎社長は20日、今季の巨人戦中継で、巨人主催72試合のうち、日本テレビに放送権がある62試合すべてをBS日テレで放送することを明らかにした。
 昨年のBSでの放送は20試合だったが、久保社長は「BSは準基幹メディアになりつつある」と語った。
 地上波の中継についてはまだ調整中とした上で、「開幕3連戦を含め、巨人―阪神戦など好ゲームを中心に編成する」と話した。



スク・エニ、「FF7」のBD作品 PS3新機種とセットも
 スクウェア・エニックス(東京・渋谷、和田洋一社長)はブルーレイ・ディスクを使ったCG(コンピューターグラフィックス)映像作品「ファイナルファンタジー(FF)7 アドベントチルドレンコンプリート」を4月16日に発売する。今年発売の大作ゲーム「FF13」の体験版と、日本未発売の記憶容量が160ギガ(ギガは10億)バイトの家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)3」のセット品も発売する。
 ゲームソフトの体験版と国内未発売のゲーム機をセット販売するのは異例。FF13は国内ではPS3向け独占タイトルとして販売するソフトで、PS3国内拡販のけん引役として期待がかかっている。



12月の造船受注量、9割減 08年通年も20.7%減
 造船の受注環境が一段と冷え込んでいる。日本船舶輸出組合(東京・港)によると、2008年12月の日本の造船受注量は前年同月比9割減の12万7400CGT(標準貨物船換算トン数)。昨年秋に金融危機が表面化してから3カ月連続の前年割れだ。08年通年の受注量は前年比20.7%減の881万5500CGTで、3年ぶりに1000万CGTを割り込んだ。
 世界的な信用収縮の影響や景気後退による海上輸送量の減少で、海運会社など船舶の発注主の投資意欲は減退。単月の受注量は10月に8割減と急下降して以降、月を追うごとに悪化している。昨年12月の受注量は02年2月(10万8600CGT)以来の低水準だった。
 03年からの造船活況を受けて向こう3年前後の仕事量を確保している造船各社は、当面は生産効率を高めながら利益を上げることに専念する。



ソニー、上海でブルーレイソフトの生産開始
 【上海=渡辺園子】ソニーは中国・上海で新世代DVD「ブルーレイ・ディスク(BD)」に対応したパッケージソフトの生産を始めた。これまで中国で販売されているBDソフトは輸入に頼り、種類もごくわずかだった。現地生産の開始により今年は100種類以上のソフトが発売される見込み。ソフトの供給体制が整うことで、ハードの普及にも弾みがつきそうだ。
 合弁会社の上海新索音楽(上海エピック・ミュージック・エンタテインメント)が中国では初のBD対応ソフト生産ラインを設置した。7000万元(約9億2000万円)を投資し、生産能力は月50万枚。基本的に中国国内向けに供給する。
 中国ではソニーや現地メーカーがBDプレーヤーを発売しているが、対応ソフトは約20種類にとどまる。価格も1枚175―230元(約2300―3000円)と、正規版でも30―50元で購入できる通常のDVDソフトに比べ高額だ。



人材派遣協会、規制強化に反対 セーフティーネット求める
 日本人材派遣協会は20日、年頭の記者会見を開き、製造業派遣の禁止など人材派遣への規制を強化すべきとする動きに反対の姿勢を示した。鎌田和彦会長は「(派遣労働者の失業問題は)労働者派遣法の枠組みではなく、セーフティーネットの導入など国全体で解決すべき」と話した。
 同協会は製造業派遣に関して、企業が国際競争に対応するには人件費の流動化は避けられないうえ、派遣を積極的に選択する人も増えており、多様な働き方を認めるべきと指摘。規制強化は企業の競争力を弱め、結果的に雇用状況が悪化するとして、雇用問題解決には社会保障や職業訓練などのセーフティーネットが必要との考えを示した。
 雇用の確保に関しては各社が個別に派遣先企業に中途解約をしないよう要請を続けるほか、新たな派遣の求人獲得のため「景気の影響を受けにくい介護、食品、外食など内需型の領域を積極的に開拓していく」(本原仁志理事長)方針という。



08年のマンション発売戸数、28%減 ピーク時の半分以下
 不動産経済研究所(東京・新宿)が20日発表した2008年の首都圏のマンション発売戸数は07年に比べて28.3%減の4万3733戸となり、ピークだった2000年(9万5635戸)の半分以下の水準に落ち込んだ。過去の地価上昇に伴う販売価格の上昇で購入を控える顧客が増えたうえ、景気後退で消費者心理が冷え込んだことから発売戸数が大幅に減少した。金融機関が開発業者への融資姿勢を厳しくしていることも影響しているもようだ。
 発売した最初の月に契約を結んだ初月契約率は、08年は月間平均で62.7%となり前年を7.0ポイント下回った。販売の好不調の目安となる70%も大きく下回った。
 同時に発表した08年12月の発売戸数は前年同月比18.2%減の6696戸となり、16カ月連続の前年割れとなった。契約率は61.9%だった。みずほ証券の石沢卓志チーフ不動産アナリストは「昨年9月の『リーマン・ショック』以降、金融機関が融資にかなり慎重になっている。金融市場の混乱が収まり、不動産市況が回復するまであと2年はかかるだろう」とみている。



株式会社大学 教育充実と経営安定を図れ(1月21日付・読売社説)
 株式会社が開設した大学の弊害が、目立ってきた。大学には、教育内容の充実と安定的な経営が欠かせない。
 経営のエキスパート養成を掲げた大阪市のLCA大学院大学が、2009年度から学生募集を停止する。大幅な定員割れと親会社の経営難が理由だ。教育面で一定の評価を得ていただけに、教育関係者の衝撃は大きい。
 学校教育法では、学校を開設できるのは、国と自治体、学校法人だけだ。だが、03年に規制緩和で、自治体が申請して認定された構造改革特区に限り、株式会社にも学校設立が認められた。学校経営への新規参入による経済活性化と教育の質向上が狙いだった。
 株式会社立大学をめぐっては、これまでにも経営母体の予備校と混然一体になった授業を行っていたLEC東京リーガルマインド大学など2大学が、文部科学省の改善勧告や指導を受けてきた。
 これらは教育の質の問題だったが、株式会社立の学校は、当初から教育面とともに経営の継続性・安定性が危惧(きぐ)されていた。
 構造改革特区法では、経営破綻(はたん)の恐れがあれば自治体が転学あっせんなどに責任を持つよう義務づけられており、自治体の責任は重い。常に経営情報の収集・分析に努めておかねばならない。
 株式会社立学校は、大学が6校、高校が21校、小中学校が各1校ある。赤字のところが多い。
 株式会社立学校は、学校法人と異なり、私学助成や税制上の優遇措置が受けられず、約3分の1は学校法人への移行を望んでいる。すでに運営主体を株式会社から学校法人に変えた大学もある。
 特区で規制緩和の対象となった事業は、軌道に乗れば全国展開されるが、政府の構造改革特区推進本部の評価・調査委員会は今年度も、株式会社立学校については結論を先送りする見通しだ。
 学生の満足度が高く、黒字の学校もある。だが、弊害の目立つ現状では全国展開は困難だろう。株式会社立学校という仕組み自体に改める点はないのかどうか、評価委や文科省は、利点と弊害を見極める必要があろう。
 LEC大の問題を受け、文科省の大学設置・学校法人審議会は07年、同省に大学設置基準の見直しなどを求めた。大学の質を担保するため、規制緩和によって要件が緩められた大学設置基準の再検討作業が、現在進められている。
 基準の改正を急ぐと同時に、ずさんな申請には厳正に対処していく姿勢が大切だ。
医薬品のネット販売禁止、フェアな議論の場で再考を(COLUMN) 
 今年6月からネットで多くの薬が買えなくなる見通しとなった。2006年の薬事法改正を受けて薬事法施行規則が改正され、ネットを含む通販での薬の販売が大幅に制限されるからだ。薬のネット販売を巡っては、薬局・薬店業界や薬剤師、薬害被害者団体、消費者団体などが規制強化へ向けて運動してきた一方で、ネット業界や利用者団体からは反対の声が上がり、内閣府の規制改革会議でも取り上げられたが、厚生労働省は今年6月1日の施行を決定したと報じられている。
■6割を超える薬が通販禁止に
 2006年の薬事法改正は、大衆薬を危険度や副作用に応じて分類し、副作用の小さな薬は薬剤師だけでなく新設される登録販売員による販売や、コンビニ店頭での販売を解禁する。一方、副作用の大きな薬はカウンター越しの薬剤師による対面販売を義務づける。これまで買えなかった風邪薬がコンビニで買えるようになるなど、消費者の視点に立った規制緩和も含まれる。
 新薬事法では市販薬を第一類、第二類、第三類の3つに分類している。第一類は処方薬に匹敵する強い薬で、もともと処方薬だったが後に市販も解禁された強い風邪薬や、育毛剤などが該当する。今後は薬局・薬店で、薬剤師によるカウンター越しでの販売が義務づけられる。第二類は風邪薬、胃薬、妊娠検査薬などで、ネット販売は禁止されて登録販売員によるコンビニでの販売が解禁される。第三類となるドリンク剤などは引き続きネットでの販売も認められる。
 これまでネットで自由に販売されてきた薬の多くがネットで販売できなくなり、ネット展開で業容を拡大してきた地方の薬局などが打撃を受ける公算が大きい。ネットで薬を販売する事業者数十社で構成し、規制強化に反対している日本オンラインドラッグ協会によると、第二類として通販を禁止される薬の売り上げ比率は6割を超えるという。
■薬害問題と自殺の事例は分けて議論すべき
 規制改革会議はネットでの医薬品販売事業を年約300億円超で成長基調にあり、規制は望ましくないと懸念する。昨年12月の会合ではネット販売で副作用の被害があったかが大きな論点となった。ネットで大量の鎮痛剤を買って自殺未遂を図り、重い後遺症の残った少年の父親が昨年12月に厚生労働省で会見するなど、規制推進派はネット販売が危険であることをアピールしている。しかし件の少年はネット通販だけでなく薬店でも鎮痛剤を購入しており、ネット通販を禁止したからといって必ずしも自殺を防げる訳ではない。
 ひとことに消費者の安全といっても、消費者が薬を買おうとして副作用や薬害被害に遭うことと、最初から自殺などを目的に服用することとは分けて対策を考えるべきだ。前者は書面交付による説明の徹底が、後者はクレジットカードなどを使った本人確認・年齢確認の徹底や、1回に販売する量の規制などが効果的と考えられる。
 件の自殺未遂では、製薬会社が販売を1人1箱に限ること、18歳未満への販売を禁止することなどを求めていたが、薬を販売した北九州市内の薬店は年齢確認せず、24箱も1度に販売していたという。厚生労働省から連絡を受けた福岡県が行政指導し薬局は閉店、ネット販売もやめた。そもそも薬店として安全対策を軽視した販売が悲劇を招いたのであって、ネット販売だから危険というわけではない。
■規制推進派の主導で持ち上がった省令案
 そもそも2006年の薬事法改正は、薬店の出店攻勢に薬剤師の確保が追いつかず、テレビ電話での問診など様々な販売形態が出てくるという状況のなかで論議されたものだった。副作用の大きな薬については対面販売を徹底する一方で、副作用の小さな薬については薬剤師資格を持たない登録販売員やコンビニでの販売を認めることで薬剤師の逼迫を緩和することが目的である。そもそもネット通販を規制するための法改正ではなかった。
 ところが昨年7月に公表された「医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会報告書」では「第一類医薬品については、書面を用いた販売時の情報提供が求められていることなどから、情報通信技術を活用した情報提供による販売は適当ではない」とされた。これを受けて9月にパブリックコメントに付された「薬事法施行規則等の一部を改正する省令案」は、通信販売では第三類医薬品以外は販売できないとした。この検討会には薬局・薬店や薬剤師、薬害被害者の団体が名を連ねる一方で、ネット業界やネット薬局の代表は誰ひとり名を連ねていない。
 薬科大学・薬学部が雨後の竹の子のように増えており、新設薬学部の卒業生が国家試験を通る2012年以降は一気に薬剤師過剰になるといわれており、規制によって薬剤師の雇用を守ろうとしているのではないかとの指摘もある。
■違法サイト取り締まりも含めた総合ルールの検討を
 ネット通販に関しては、大衆薬の販売以上に、未認可の漢方薬や処方薬が販売され薬害で死者を出すことの問題が深刻だ。こうした悪質な事案にさえ対処できていない現状にあって、コンビニで売ることのできる薬までネットでの販売を禁止することは、かえって真面目な事業者を市場から退出させ、成長の続く医薬品のネット通販市場を、規制の届かない海外や違法サイトに潜らせてしまう懸念が大きい。
 確かに現行の薬事法は医薬品のネット販売を想定していない。しかし、これまで現に行われてきた医薬品のネット販売を、施行規則の書きぶりひとつで潰すことは、あまりに弊害が大きく消費者の利便性を損ねる。厚生労働省は第二類医薬品の販売をコンビニに認めることで薬局空白地帯などの問題にも配慮したと主張するが、そもそも外出の難しい高齢者や障害者、乳幼児を抱えた家庭に対する配慮が欠けているのではないか。
 ネット薬局数十社が加盟する日本オンラインドラッグ協会やヤフーは、医薬品のネット販売に当たって安全性を担保するためのルール作りに取り組み始めている。こういった動きも踏まえ、規制派だけでなくネット薬局を含む利害関係者の揃ったフェアな議論の場を設定すべきではないか。そこで国内海外の違法医薬品販売サイトの取り締まりなどを含めた、総合的なネット上での医薬品販売のルールを検討し、小手先の省令改正ではなく薬事法改正案として、民主主義の手続きを踏むことが望ましいと考える。



1月の月例経済報告、「急速に悪化」へ下方修正 4カ月連続で
 与謝野馨経済財政担当相は20夕、1月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。景気の基調判断は「急速に悪化している」と、前月の表現に「急速に」の文言を加えた。内閣府は景気の落ち込みについて「これまでにない速さ」と分析し、4カ月連続で判断を引き下げた。
 景気の基調判断を下すうえで重視する生産は「極めて大幅に減少している」と、「極めて」の表現を追加。鉱工業生産指数などの急速な悪化を考慮し、2カ月連続で下方修正した。米国を中心とした海外市場の不振が重しの輸出も「極めて大幅に減少している」に変更。「極めて大幅に」を加え、2カ月ぶりに判断を下方修正した。
 内需の柱の1つである個人消費も「このところ弱含んでいる」へ下方修正した。これまで堅調だった個人消費も年末商戦は盛り上がりに欠け、3カ月ぶりに判断を引き下げた。



韓国、通信大手と携帯2位が合併 21日にも合併認可申請
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国通信大手のKTと同国携帯電話2位のKTFが合併する。両社は20日午後に取締役会を開いて合併を決議。21日にも韓国政府に合併の認可を申請する。もともと国有で独占だった固定通信事業者とその子会社の携帯電話事業者の合併が隣国の韓国で実現すれば、2010年の再開を控えたNTTの経営形態見直し論議にも影響を及ぼす可能性がある。
 KTF株の10.7%を保有するNTTドコモは合併会社への出資比率を2%台に下げるもよう。合併に伴って低下する分に加え、保有するKTF株のうち半分以下をKTの転換社債として受け取る見通し。KTは外資の出資比率が40%強と高く、合併後に外資の出資上限規制(最大49%)をクリアするためだ。



クライスラー、フィアットが出資交渉 欧米メディア報道
 【フランクフルト=後藤未知夫】イタリアの自動車大手フィアットが、米大手クライスラーと資本・業務提携交渉していることが19日、明らかになった。フィアットがクライスラーに資本参加し、米国で現地生産に乗り出す。クライスラーは小型車の技術供与を受けて事業の再構築を加速する。昨年から続く世界的な新車販売の低迷と米ビッグスリー(自動車大手3社)の経営危機が、米欧大手の合従連衡に発展する可能性が出てきた。
 英フィナンシャル・タイムズ(電子版)やウォールストリート・ジャーナル(同)によると、両社は、フィアットがクライスラーに35%資本参加する方向で交渉。将来は過半数に達する可能性もある。ウォール紙は早ければ20日にも発表されるとしている。



08年の全国コンビニ売上高、6.7%増 百貨店抜く
 日本フランチャイズチェーン協会が20日発表した2008年の全国コンビニエンスストアの売上高(全店ベース)は前の年に比べ6.7%増の7兆8566億円となった。店舗数が1.9%増えたことに加えて、たばこ自動販売機用成人識別ICカード「タスポ」の導入に伴い、コンビニでたばこを買い求める人が増えたことが寄与した。
 全国コンビニ売上高の公表を始めた1998年以降、10年連続で前年比プラスとなり、全国百貨店売上高(7兆3813億円)を初めて上回った。



ユーロ圏、仏伊など7カ国「財政協定」違反に 新たなリスク
 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)の欧州委員会は19日、今年中にユーロ圏16カ国中7カ国が財政規律を定めた安定・成長協定(財政協定)違反になるとの判断を明らかにした。景気対策に伴う財政出動や減税のためで、ユーロ圏各国は同日の財務相会合で過度の赤字拡大を避ける方針を確認した。財政基盤の弱い加盟国は長期国債の格下げに直面しており、財政悪化がユーロ圏の新たなリスクとなる恐れがある。
 欧州委はユーロ圏のフランスやイタリア、スペインなど7カ国で赤字が急拡大し、財政協定で定めた国内総生産(GDP)比で3%の基準を超えるとみている。特に深刻な金融危機に見舞われたアイルランドは財政赤字が11%に達する見込み。仏やスペインも5―6%台の赤字となる。
 欧州委は景気対策の実行のために今後2年間は協定違反を容認する考えだが、財政赤字の急拡大で将来的にユーロ圏が財政規律を維持できなくなる恐れが出てきた。



中国国防白書、海軍力増強に重点 宇宙・サイバー戦、対応強化
 【北京=佐藤賢】中国政府は20日、2年ぶりの国防白書「2008年中国の国防」を発表した。「強大な海軍の建設に努力する」と明記し、遠洋での作戦能力向上など海軍力の増強を目指す姿勢を鮮明にした。海洋のほか「宇宙、電磁空間の安全を守る能力を高める」とも指摘し、宇宙・サイバー戦への対応に重点を置く方針も示した。
 日本について前回は集団的自衛権行使などへの警戒を示したが、今回は艦艇の相互訪問などで「日中の防衛関係は進展した」と指摘した。
 国防政策では、脅威の多様化に対応して任務の幅も広げる必要性を強調。テロ対策や国連平和維持活動(PKO)も重要課題に据えた。中国は昨年12月に東アフリカのソマリア沖で海賊対策を担うため、軍艦3隻を海南省から派遣した。
楽天、PHS事業に参入 ネット通販と連携
 楽天は4月、PHS専業のウィルコムから回線を借りて、通信事業者としてPHSサービスに参入する。契約者同士や、楽天グループで手掛ける固定電話との通話を無料とする。利用に応じてネット通販のポイントを付与するなど既存事業とも連携して契約者を獲得、通信事業をネットに続く収益源に育てる。米ウォルト・ディズニーも日本で通信サービスを始めるなど異業種から携帯・PHSに参入する動きが広がってきた。
 既存通信会社の回線を借りる「MVNO(仮想移動体通信事業者)」として、音声通信やメール、携帯サイトへの接続サービスなどを提供する。端末はウィルコム製品の機能を一部変更して提供、将来は自社ブランド製品を扱うことも検討している。



08年の音楽ソフト生産額、10年前の半分に
 日本レコード協会(東京・港)は19日、2008年の音楽ソフト生産実績を発表した。CD・DVDなどを合わせた総生産額は前年比8%減の3617億円となり、10年連続で前年実績を下回った。洋楽不振が続いているのに加えてネット配信へのシフトが進み、主力の音楽CDの生産額が落ち込んだ。ピーク時の1998年に比べると金額ベースでは52%減、枚数ベースでは56%減となる。
 音楽CDは前年比11%減の2912億円だった。主力の邦楽は08年に前年実績の3枚を上回る計7枚のミリオンセラーが出たが、中堅クラスのヒットが乏しく10%減となった。洋楽は世界的なヒット不足が響き15%減だった。シングルは携帯電話向けなど音楽配信への置き換わりが進み、15%減となった。
 DVDなど音楽ビデオは13%増の656億円となった。レコード各社が単価の高い映像作品に力を入れたことで生産額を伸ばした。



アルミ事業、古河電・昭電が統合交渉 シェア2割超に
 アルミニウム圧延品国内最大手の古河電気工業と同6位の昭和電工はアルミ事業を統合する方向で最終調整に入った。今夏の合意を目指しており、統合後の国内シェアは2割を超えて2位の住友軽金属工業を引き離す。アルミ業界は昨秋以降に需要が急減しており、設備の統廃合などで生き残りを目指す。アルミ業界の大型再編は約7年ぶり。自動車向けなどの需要減で素材産業の業績は悪化しており、今回の統合は素材再編の先駆けになりそうだ。
 古河電工の吉田政雄社長、昭電の高橋恭平社長らが19日までに会談し、統合交渉に入ることで一致した。今夏の合意、来年初めの統合を目指して条件を詰める。



ノキアの高級携帯「ヴァーチュ」、銀座に開業 直営店もリッチ
 携帯電話機で世界最大手のノキア(フィンランド)の高級携帯部門「ヴァーチュ」は19日、東京・銀座に2月開業する日本1号店舗の概要を発表した。4階建てのビルを賃借する。店舗の延べ床面積は329平方メートルと、直営店では世界最大となる。
 店舗は銀座の中心部に近い5丁目で、修理センターを併設。2階のラウンジには赤いカーペットを敷き詰めるなど高級感を強調した。



合併審査、「大型」に限定 迅速化へ届け出基準緩和、公取委方針
 公正取引委員会は合併・経営統合前の企業に公取委への報告を課す「届け出基準」を見直す方針を固めた。合併される企業の基準となる売上高を大幅に引き上げ、独占禁止法に抵触する恐れの低い小中規模の合併案件の届け出を免除する。国内外での大型のM&A(合併・買収)の急増を受け、大型の企業合併審査を重視する方針に転換する。審査期間の短縮も見込まれ、企業再編を通じた構造改革を後押しすることにもなりそうだ。
 現在は総資産の合計が100億円以上の会社が総資産10億円以上の会社や事業部門を合併・吸収する場合、公取委に届け出て承認を受ける必要がある。欧州連合(EU)などに比べ小規模な案件まで対象にしており、独禁法に違反する恐れが低いものも多く含まれる。公取委の事務負担も過重などとの指摘があった。



ユーロ圏の成長率、09年マイナス1.9%に 欧州委が予測
 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)の欧州委員会は19日、今年のユーロ圏の実質経済成長率がマイナス1.9%にまで落ち込むという経済予測をまとめた。昨年11月の前回予測(実質0.1%成長)から大幅に下方修正。世界銀行や経済協力開発機構(OECD)などの見通しを大きく上回る厳しい先行き判断を示した。欧州委は金融危機が実体経済に深刻な影響を与え始めたうえ、世界経済の減速から新興国向けの輸出なども鈍化するとみて、警戒を強めている。
 ユーロ圏経済がマイナス成長に陥るのは1999年の通貨統合以来初めて。アルムニア欧州委員は記者会見で「金融危機に伴う信用不安の影響が顕在化し始めた」と語った。ユーロ圏経済のけん引役であるドイツは2.3%、フランスは1.8%のマイナス成長となる見通し。非ユーロ圏の英国はマイナス2.8%が見込まれ、EU27カ国の実質成長率もマイナス1.8%に落ち込むとみられる。
 政策当局である欧州委はユーロ圏の投資や個人消費が今後は急速に冷え込むうえ、雇用情勢の大幅な悪化も見込まれると判断。



ロシアで資源メジャー計画が浮上 政府主導で5社統合
 金融危機を受け、ロシア政府主導で鉱山資源メジャーを創設する計画が浮上した。ニッケル世界最大手、大手鉄鉱石など民間5社が統合するという内容。実現すれば売上高は約590億ドル(約5兆3000億円)と最大手の英豪系BHPビリトンに並ぶ規模となる。資金繰りが悪化する中、政府が財政支援する代わりに5社を統合、事実上管理下に入れることで調整に入る。
 ロシアの有力経済紙ベドモスチによると、統合を計画しているのはニッケル最大手のノリリスクニッケル、鉄鋼最大手エブラスグループ、鉄鉱石大手のメタルインベスト、鉄鉱石・石炭大手メチェル、カリウム大手ウラルカリー。



租税特別措置、再び焦点 09年度予算案、政府が国会提出
 政府は19日、2009年度予算案を衆院に提出した。与野党の対決機運の高まりで審議の難航が予想されるなか、3月末に失効する関税の軽減措置や税制の特例措置の扱いも焦点となる。期限が切れるといずれも増税となるためで、ガソリン税の暫定税率が争点になった昨年に続き、政局の混乱による国民生活への影響も懸念される。政府・与党は特例を一時的に延長するための「つなぎ法案」を出すかどうかの判断も迫られそうだ。
 租税特別措置法は期間を限定して増減税を定める。延長する場合、他の税制改正法案と併せて改正案を出し、年度末までに処理している。昨年はガソリン税率を上乗せする暫定税率の延長を巡り与野党が衝突。3月末で失効し、1カ月間ガソリン税が1リットル当たり約25円下がった。



トヨタ自動車、今夏にも期間従業員をゼロに
 トヨタ自動車が、非正規雇用である国内12工場の期間従業員を今夏にもゼロにする方向で調整に入ったことが19日、明らかになった。
 トヨタは2008年末時点で4500人いた期間従業員を09年3月末までに3000人に減らす計画を打ち出しているが、世界的な新車販売不振に歯止めがかからないため、もう一段の削減で生産現場の余剰人員の解消を目指す。
 自動車業界では、ホンダが期間従業員をゼロにする方針を示しており、国内の雇用情勢に大きな影響を及ぼすのは必至とみられる。



富士通が自社PC購入、社員10万人に訴え
 自社製のパソコンや携帯電話の販売を支えようと、富士通がグループを含め国内約10万人の社員に自社製品の購入を呼び掛けている。
 景気悪化で消費が落ち込む中、2008年度の製品出荷が前年度を下回ることが確実となったための苦肉の策だ。
 野副州旦(のぞえくにあき)社長が最近、「自分たちの会社を自分たちで守ろう。グループ全員が集まれば大きな力になる」、「Buy FUJITSU(富士通製品を買おう)」と呼び掛けるメールを社員に送った。
 携帯電話とパソコンの購入の検討を“お願い”しているが、同社では「強制的に購入を求めるものではない」と説明している。



宝鋼とブラジルのヴァーレ、合弁中止 景気後退で需要急減
 【上海=渡辺園子】中国の鉄鋼大手、宝鋼集団とブラジルの資源大手、ヴァーレは、ブラジル中部に建設予定だった合弁製鉄所計画の中止を決めた。世界的な景気後退で鉄鋼需要が急速に減退したため。宝鋼にとって海外初の製鉄所計画だったが、生産設備の過剰感が世界的に強まるなか断念を余儀なくされた。
 ヴァーレ側が計画中止を発表した。両社は2007年に合弁覚書に調印。宝鋼が8割、ヴァーレが2割出資し、ブラジル中部のエスピリトサント州で「スラブ」と呼ばれる鉄鋼半製品を生産する計画だった。生産能力は当初年500万トン。中国紙によれば今年着工、11年の稼働予定だった。



日経社説 「停戦」を中東和平交渉の復活につなげよ(1/20)
 イスラエルがパレスチナ自治区のガザに対する攻撃を停止し、ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスも戦闘停止を発表した。「停戦」は双方の合意によるものではなく、ともに一方的決定だが、とりあえず戦闘は終息に向かっている。
 12月27日のイスラエル軍による攻撃開始以来、パレスチナ側の死者は1300人を超え、その3分の2は子供を含む一般住民だ。負傷者も5300人に達し、多くの人が家を失った。イスラエルはガザからのロケット弾攻撃には反撃するとし、ハマスは1週間以内のイスラエル軍撤退とガザ封鎖の解除を要求している。火種は残るが、双方とも自制し、戦闘停止を停戦継続に結びつけることが、まず重要である。
 イスラエルは「ハマスの軍事能力と統治基盤に重大な打撃を与えた」と成果を誇示。ハマスはイスラエル軍の撤退開始はパレスチナ人民の勝利と宣言した。だが、多数の一般住民が犠牲になった現実を、双方とも政治的勝利と呼ぶべきではない。
 ガザでは失業率が40%に達し、住民の大半が貧困に苦しむ。その窮状はイスラエルが経済封鎖を続けてきたせいであり、ハマスなどの武力闘争は抑圧された民族の抵抗だと多くのアラブの人は言う。一方、イスラエルでは国民の9割がガザ攻撃を自衛行動として支持し、国際社会は周辺からの脅威を受けているイスラエルの状況に無理解だと主張する。
 こうした政治環境が続き、今回さらに憎悪の連鎖が広がったこと自体が、中東の政治の悲劇である。
 イスラエルとパレスチナ自治政府の直接交渉や、トルコを仲介者とするイスラエル・シリアの間接交渉などは昨年末から凍結状態に陥った。国際社会はガザでの停戦を持続させると同時に、さまざまな道筋での中東和平プロセスの復活を全力をあげて進めなければならない。
 パレスチナは内部分裂し、自治政府はガザを掌握していない。ガザの封鎖解除の前提となる境界の国際監視体制構築にも難題が多い。だが、そうした問題を克服して和平交渉を軌道に乗せ、将来の平和共存に向けた前向きの機運を早急に醸成することが国際社会の急務だ。
 和平交渉での譲歩に消極的な右派野党の優勢が伝えられるイスラエル総選挙も3週間後に迫っている。きょうの就任式を前に、米国のオバマ新大統領は「すぐに和平に向けた取り組みができるよう最善のチームを結成している」と語った。米新政権は中東和平外交に取り組む熱意を、政権発足の初日から問われる。
<< 前のページ 次のページ >>
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
wa-wa-
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
P R
アクセス解析
アクセス解析
アクセス解析

Designed by IORI
Photo by 有毒ユートピアン

忍者ブログ [PR]