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番組のネット配信、フジが本格化 KDDIなど10社と提携
フジテレビジョンは月内にも、KDDIやNTTぷらら、ジュピターテレコム(JCOM)など10社と提携し、テレビ番組をインターネット経由で携帯電話や薄型テレビなど多様な機器に有料配信するサービスを始める。視聴者の居場所や時間に応じて、様々な手段で番組を楽しめる仕組みを整える。番組のネット配信はNHKも始めているが、携帯電話などを含む配信体制を整える放送局はフジが初めて。広告収入が低迷するなか、収益源の多様化を急ぐ。
KDDIなどのほか、NTTコミュニケーションズ、NECビッグローブ、ビー・ビー・ケーブルなど10社程度と提携する。提携先を通じて、主要な携帯会社の電話端末やCATV、ネットにつながった薄型テレビでも視聴できるようにする。従来はパソコンや一部の携帯電話に限り配信していた。
ルネサスと富士通マイクロ、製造ライン統廃合 半導体市場回復見えず
半導体大手のルネサステクノロジと富士通マイクロエレクトロニクスは30日、不採算の製造ラインの統廃合などを軸とする収益改善策を発表した。ルネサスは2010年度までに小口径ウエハーの前工程生産能力を現在の3分の2に縮減、富士通マイクロも前工程9ラインを6ラインに集約する。収益性の高い先端設備に資本を集中、経営体質の改善を図る。
同日発表した両社の今期の営業損益は、ルネサスが1100億円の赤字、富士通マイクロが600億円弱の赤字に達する見通し。半導体市場は09年も回復の見通しが立っていないため、両社はラインの統廃合などを通して生産効率の向上効果を見込む。
医療や環境、研究開発に成功報酬 政府09年度導入
政府は成功報酬型の研究開発支援制度を2009年度に導入する。医療や地球温暖化対策など政策として欠かせない分野で具体的な研究開発課題を設定。目標を達成した研究者に対して総額で約2億5000万円の賞金を用意する。成功した場合にのみ報酬を支払うため効率的な支援ができる。研究者間の競争により、技術革新のスピードを速める効果も期待している。
経済産業省は4月にも、有識者を交えた専門委員会を設け、具体的な研究開発テーマについて議論を始める。参加者の募集や審査、賞金の授与などの実務は独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が手掛ける。
対パキスタン、日本主催で支援会議 3月末にも米欧中などと
政府は国内情勢が不安定なパキスタンの支援に向けた国際会議を早ければ3月末にも日本で主催する方針を固めた。米国や欧州連合(EU)、中国を含む十数カ国・機関に呼びかけ、数十億ドル規模の支援策を閣僚級で協議する。米オバマ政権はパキスタンや隣国アフガニスタンでのテロ掃討作戦を最重要課題の1つに掲げており、日本は関係国と連携し支援の枠組みづくりを主導したい考えだ。
米政府はヒラリー・クリントン国務長官の初の外遊先としてアジアを検討している。日本は支援国会議を3月末か4月上旬に東京で開催し、クリントン長官の出席の可能性を探る方向だ。来日が実現すれば中国、韓国も併せて歴訪する可能性がある。
製薬準大手、米開拓へ専門薬投入
国内製薬の準大手各社が相次ぎ米国市場に参入する。大日本住友製薬は2012年をメドに統合失調症の治療薬を発売、1000人規模の営業体制を整える。田辺三菱製薬は腎臓疾患の治療薬の承認取得を目指す。各社とも武田薬品工業など大手に比べて海外進出が遅れていた。薬価引き下げで国内市場の成長が望みにくいため、専門性が高く競合の少ない製品で海外市場の開拓を目指す。
大日本住友は米国で開発中の新薬候補「ルラシドン」で米国市場に参入する。12年をめどに統合失調症の治療薬として発売し、早ければ同年中にも双極性障害(そううつ病)の薬としても承認を得る計画。発売から数年後に年間500億円超を目指す。
米新聞大手、赤字転落や減配相次ぐ 不況で広告収入1―2割減
【ニューヨーク=杉本晶子】米新聞大手が資産売却や人員削減、減配に乗り出した。不況のあおりで広告収入が前年より1―2割減少。グループ会社の業績悪化などで資産価値が目減りし、財務状況が悪化している。各社は縮小均衡により、生き残りを目指す。
「USAトゥデー」など85の日刊紙や23のテレビ局を傘下に持つ新聞最大手ガネットは、4月に支払う四半期ベースの配当の減配または見送りを検討している。1998年から10年間にわたって増配を続けてきたが、一転して手元資金の確保を優先する。
グーグルに一時不具合、サイトにアクセスできず 人為ミスが原因
【シリコンバレー=田中暁人】米グーグルは1月31日、世界シェア最大手のインターネット検索サービスに一時的な不具合が生じたと発表した。問題は同日朝(日本時間同日深夜)に発生。すべての検索結果に「このサイトはコンピューターに損害を与える可能性がある」との警告が誤って表示され、利用者が各サイトにアクセスできない状態が続いた。問題は一時間弱で復旧した。同社は同日、不具合は「人為ミス」が原因だったことを明らかにした。
問題は世界レベルで発生した。グーグルは同日、公式ブログで経緯などを説明。同社は、ウイルス感染などのおそれがある有害サイトの表示を警告するサービスを利用者に提供するが、同サイトのリストを更新する際の不手際が今回の不具合を引き起こしたという。
検索担当のマリッサ・メイヤー副社長は同日、「利用者とサイト運営者におわびする」との声明をブログで発表。再発防止のため、より強固なチェック体制を構築するとした。
自民、国会改革論議を加速 議員定数や歳費に削減目標
自民党は週内に国会改革を巡る議論を本格化する。国会議員の定数や歳費に削減目標を設けて次期衆院選のマニフェスト(政権公約)に掲げる案が有力だが、議員の身分や報酬にかかわる話だけに具体論を巡る調整は難航が必至だ。消費税増税への逆風を和らげる思惑も見え隠れしており、実現性には多くの疑問符がついている。
国会改革は麻生太郎首相が1月中旬の自民党大会で「日本は衆参両院の権限や構成が似ている。国会の制度やあり方を見直さなければならない」と突然呼びかけたのがきっかけだ。
持ち運べる無線LAN「どこでもWi-Fi」で、モバイル通信“変革”の予感!(COLUMN)
ウィルコムから「どこでもWi-Fi」という商品が登場した。一般的にはまださほど話題になっていないのだが、実はこれ、モバイル通信の“変革”を予感させる新しいジャンルの製品なのだ。
これまで、PCでモバイル通信するには、PCカードなどのデータ通信カードか、USBでつなぐ通信アダプターを使うのが一般的だった。もしくは、携帯電話などをパソコンにUSBケーブルでつないでいた人もいるだろう。
カードなどの通信のための機器のドライバーをインストールし、各キャリアへの接続を設定していくのが一般的な使い方だった。
それに対して、今回登場した「どこでもWi-Fi」は、“無線LANのアクセスポイント”だと考えるとわかりやすい。家庭やカフェなどにある無線LANのアクセスポイントと同じように、パスワードを入力すれば、そのまま通信ができるのだ。
これだけ聞くと特に目新しくはないのだが、注目すべきはここからである。
この「どこでもWi-Fi」は、インターネットとの接続にウィルコムの回線を利用しているのだ。細かな話はさておき、これまでに使われてきた家庭や会社の無線LAN親機は、ADSLやFTTHなどのインターネット回線にLANケーブルなどで接続し、親機とパソコンなどの間を無線化しているわけだ。
ところが、「どこでもWi-Fi」は、インターネットとつながる回線がウィルコムのネットワークに変わることで、親機自体がワイヤレスになっているのだ! つまり、「無線LANの親機をカバンに入れて持ち歩ける」ことになる。
ちょっとややこしい話なのだが、無線LAN親機が利用する回線自体が「一種の無線」なのである。最近では、イー・モバイルのデータ通信カードを内蔵し、同様に無線LAN親機として機能する製品も登場している。
これらの「モバイル無線LAN親機」を利用すると、ユーザーにとって利便性が格段に向上する可能性がある。モバイル通信用のアダプターと違って物理的に接続する必要がないのだから、利用する機器がつなぎ方によって限定されることがなくなる。
PCを接続できるのはもちろん、各種ゲーム機、iPhone、デジタルカメラなどの電子機器もつなげるのだ。対応するカードスロットの種類やUSBポートなどの数を心配する必要もない。また、設定が簡単で無線LANを利用できる機器なら、ほぼパスワードを入力するだけでOKだ。
しかも、「線」を持ち歩く必要がなくなり、電波状況さえ許すなら、カバンの中にしまっておいてもかまわないわけだ。
さらに、複数の機器で同時に利用できるようになることも、大きなメリットだろう。たとえばビジネスの現場では、出張先で2~3名のスタッフが同時に利用できたり、家庭なら、旅行先で父親がパソコンで接続し、同時に子どもがゲーム機でつないだりすることもできるようになる。
もちろん、気になる“料金”でも有利となる。たとえば出張先で3名がそれぞれのPCで同時にモバイル通信するケースを想定すると、これまでは3つの通信カードが必要となり、当然契約も3回線分必要になっていた。ところが、本機があれば今後は1台で済んでしまうことになるからだ。
「WiMAX」の登場でさらに利便性が向上!
「どこでもWi-Fi」が秘めた無限の可能性
とはいえ、複数の機器を同時に使うには、親機側の“通信速度”がボトルネックになる可能性がある。誰かがヘビーなデータをやりとりしていたら、全員のレスポンスが低下するわけだ。
だが、近々登場すると言われる「WiMAX」により、モバイルデータ通信がさらに高速化することは間違いない。そうなると、複数名でのスムーズな利用も現実的になってくる。家庭では、有線のインターネット環境が不要になるかもしれない。
この製品、今は携帯電話2つ分くらいの大きさで、重量も「電池込みで約260グラム」とちょっと重いのがネックではあるが、今後あっという間に小型化することは間違いないだろう。
最終的に、この機能が携帯電話やスマートフォンに入ってくると、データ通信の世界が大きく変わる可能性がある。
モバイルノートやゲーム機、スマートフォンなどにかかわらず、高速なデータ通信回線を1本持っていれば、それですべてがこと足りてしまうからだ。そうなれば、もう接続や設定の面倒さを気にする必要もなくなるのである。
それに合わせて、キャリアやメーカー側のビジネスモデルも変化してくるだろう。たとえば、スマートフォンが電話回線の契約をせずに使えてしまうようになるかもしれない。もちろん、通話はできないが、スカイプなどの高速な通信回線なら、IP電話が普通に使えるようになるわけだ。
そうなれば、キャリアに関係のないスマートフォンも数多く登場するだろう。数年後には、デジカメやビデオカメラにも無線LANを内蔵するのが当たり前になるかもしれない。
フジテレビジョンは月内にも、KDDIやNTTぷらら、ジュピターテレコム(JCOM)など10社と提携し、テレビ番組をインターネット経由で携帯電話や薄型テレビなど多様な機器に有料配信するサービスを始める。視聴者の居場所や時間に応じて、様々な手段で番組を楽しめる仕組みを整える。番組のネット配信はNHKも始めているが、携帯電話などを含む配信体制を整える放送局はフジが初めて。広告収入が低迷するなか、収益源の多様化を急ぐ。
KDDIなどのほか、NTTコミュニケーションズ、NECビッグローブ、ビー・ビー・ケーブルなど10社程度と提携する。提携先を通じて、主要な携帯会社の電話端末やCATV、ネットにつながった薄型テレビでも視聴できるようにする。従来はパソコンや一部の携帯電話に限り配信していた。
ルネサスと富士通マイクロ、製造ライン統廃合 半導体市場回復見えず
半導体大手のルネサステクノロジと富士通マイクロエレクトロニクスは30日、不採算の製造ラインの統廃合などを軸とする収益改善策を発表した。ルネサスは2010年度までに小口径ウエハーの前工程生産能力を現在の3分の2に縮減、富士通マイクロも前工程9ラインを6ラインに集約する。収益性の高い先端設備に資本を集中、経営体質の改善を図る。
同日発表した両社の今期の営業損益は、ルネサスが1100億円の赤字、富士通マイクロが600億円弱の赤字に達する見通し。半導体市場は09年も回復の見通しが立っていないため、両社はラインの統廃合などを通して生産効率の向上効果を見込む。
医療や環境、研究開発に成功報酬 政府09年度導入
政府は成功報酬型の研究開発支援制度を2009年度に導入する。医療や地球温暖化対策など政策として欠かせない分野で具体的な研究開発課題を設定。目標を達成した研究者に対して総額で約2億5000万円の賞金を用意する。成功した場合にのみ報酬を支払うため効率的な支援ができる。研究者間の競争により、技術革新のスピードを速める効果も期待している。
経済産業省は4月にも、有識者を交えた専門委員会を設け、具体的な研究開発テーマについて議論を始める。参加者の募集や審査、賞金の授与などの実務は独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が手掛ける。
対パキスタン、日本主催で支援会議 3月末にも米欧中などと
政府は国内情勢が不安定なパキスタンの支援に向けた国際会議を早ければ3月末にも日本で主催する方針を固めた。米国や欧州連合(EU)、中国を含む十数カ国・機関に呼びかけ、数十億ドル規模の支援策を閣僚級で協議する。米オバマ政権はパキスタンや隣国アフガニスタンでのテロ掃討作戦を最重要課題の1つに掲げており、日本は関係国と連携し支援の枠組みづくりを主導したい考えだ。
米政府はヒラリー・クリントン国務長官の初の外遊先としてアジアを検討している。日本は支援国会議を3月末か4月上旬に東京で開催し、クリントン長官の出席の可能性を探る方向だ。来日が実現すれば中国、韓国も併せて歴訪する可能性がある。
製薬準大手、米開拓へ専門薬投入
国内製薬の準大手各社が相次ぎ米国市場に参入する。大日本住友製薬は2012年をメドに統合失調症の治療薬を発売、1000人規模の営業体制を整える。田辺三菱製薬は腎臓疾患の治療薬の承認取得を目指す。各社とも武田薬品工業など大手に比べて海外進出が遅れていた。薬価引き下げで国内市場の成長が望みにくいため、専門性が高く競合の少ない製品で海外市場の開拓を目指す。
大日本住友は米国で開発中の新薬候補「ルラシドン」で米国市場に参入する。12年をめどに統合失調症の治療薬として発売し、早ければ同年中にも双極性障害(そううつ病)の薬としても承認を得る計画。発売から数年後に年間500億円超を目指す。
米新聞大手、赤字転落や減配相次ぐ 不況で広告収入1―2割減
【ニューヨーク=杉本晶子】米新聞大手が資産売却や人員削減、減配に乗り出した。不況のあおりで広告収入が前年より1―2割減少。グループ会社の業績悪化などで資産価値が目減りし、財務状況が悪化している。各社は縮小均衡により、生き残りを目指す。
「USAトゥデー」など85の日刊紙や23のテレビ局を傘下に持つ新聞最大手ガネットは、4月に支払う四半期ベースの配当の減配または見送りを検討している。1998年から10年間にわたって増配を続けてきたが、一転して手元資金の確保を優先する。
グーグルに一時不具合、サイトにアクセスできず 人為ミスが原因
【シリコンバレー=田中暁人】米グーグルは1月31日、世界シェア最大手のインターネット検索サービスに一時的な不具合が生じたと発表した。問題は同日朝(日本時間同日深夜)に発生。すべての検索結果に「このサイトはコンピューターに損害を与える可能性がある」との警告が誤って表示され、利用者が各サイトにアクセスできない状態が続いた。問題は一時間弱で復旧した。同社は同日、不具合は「人為ミス」が原因だったことを明らかにした。
問題は世界レベルで発生した。グーグルは同日、公式ブログで経緯などを説明。同社は、ウイルス感染などのおそれがある有害サイトの表示を警告するサービスを利用者に提供するが、同サイトのリストを更新する際の不手際が今回の不具合を引き起こしたという。
検索担当のマリッサ・メイヤー副社長は同日、「利用者とサイト運営者におわびする」との声明をブログで発表。再発防止のため、より強固なチェック体制を構築するとした。
自民、国会改革論議を加速 議員定数や歳費に削減目標
自民党は週内に国会改革を巡る議論を本格化する。国会議員の定数や歳費に削減目標を設けて次期衆院選のマニフェスト(政権公約)に掲げる案が有力だが、議員の身分や報酬にかかわる話だけに具体論を巡る調整は難航が必至だ。消費税増税への逆風を和らげる思惑も見え隠れしており、実現性には多くの疑問符がついている。
国会改革は麻生太郎首相が1月中旬の自民党大会で「日本は衆参両院の権限や構成が似ている。国会の制度やあり方を見直さなければならない」と突然呼びかけたのがきっかけだ。
持ち運べる無線LAN「どこでもWi-Fi」で、モバイル通信“変革”の予感!(COLUMN)
ウィルコムから「どこでもWi-Fi」という商品が登場した。一般的にはまださほど話題になっていないのだが、実はこれ、モバイル通信の“変革”を予感させる新しいジャンルの製品なのだ。
これまで、PCでモバイル通信するには、PCカードなどのデータ通信カードか、USBでつなぐ通信アダプターを使うのが一般的だった。もしくは、携帯電話などをパソコンにUSBケーブルでつないでいた人もいるだろう。
カードなどの通信のための機器のドライバーをインストールし、各キャリアへの接続を設定していくのが一般的な使い方だった。
それに対して、今回登場した「どこでもWi-Fi」は、“無線LANのアクセスポイント”だと考えるとわかりやすい。家庭やカフェなどにある無線LANのアクセスポイントと同じように、パスワードを入力すれば、そのまま通信ができるのだ。
これだけ聞くと特に目新しくはないのだが、注目すべきはここからである。
この「どこでもWi-Fi」は、インターネットとの接続にウィルコムの回線を利用しているのだ。細かな話はさておき、これまでに使われてきた家庭や会社の無線LAN親機は、ADSLやFTTHなどのインターネット回線にLANケーブルなどで接続し、親機とパソコンなどの間を無線化しているわけだ。
ところが、「どこでもWi-Fi」は、インターネットとつながる回線がウィルコムのネットワークに変わることで、親機自体がワイヤレスになっているのだ! つまり、「無線LANの親機をカバンに入れて持ち歩ける」ことになる。
ちょっとややこしい話なのだが、無線LAN親機が利用する回線自体が「一種の無線」なのである。最近では、イー・モバイルのデータ通信カードを内蔵し、同様に無線LAN親機として機能する製品も登場している。
これらの「モバイル無線LAN親機」を利用すると、ユーザーにとって利便性が格段に向上する可能性がある。モバイル通信用のアダプターと違って物理的に接続する必要がないのだから、利用する機器がつなぎ方によって限定されることがなくなる。
PCを接続できるのはもちろん、各種ゲーム機、iPhone、デジタルカメラなどの電子機器もつなげるのだ。対応するカードスロットの種類やUSBポートなどの数を心配する必要もない。また、設定が簡単で無線LANを利用できる機器なら、ほぼパスワードを入力するだけでOKだ。
しかも、「線」を持ち歩く必要がなくなり、電波状況さえ許すなら、カバンの中にしまっておいてもかまわないわけだ。
さらに、複数の機器で同時に利用できるようになることも、大きなメリットだろう。たとえばビジネスの現場では、出張先で2~3名のスタッフが同時に利用できたり、家庭なら、旅行先で父親がパソコンで接続し、同時に子どもがゲーム機でつないだりすることもできるようになる。
もちろん、気になる“料金”でも有利となる。たとえば出張先で3名がそれぞれのPCで同時にモバイル通信するケースを想定すると、これまでは3つの通信カードが必要となり、当然契約も3回線分必要になっていた。ところが、本機があれば今後は1台で済んでしまうことになるからだ。
「WiMAX」の登場でさらに利便性が向上!
「どこでもWi-Fi」が秘めた無限の可能性
とはいえ、複数の機器を同時に使うには、親機側の“通信速度”がボトルネックになる可能性がある。誰かがヘビーなデータをやりとりしていたら、全員のレスポンスが低下するわけだ。
だが、近々登場すると言われる「WiMAX」により、モバイルデータ通信がさらに高速化することは間違いない。そうなると、複数名でのスムーズな利用も現実的になってくる。家庭では、有線のインターネット環境が不要になるかもしれない。
この製品、今は携帯電話2つ分くらいの大きさで、重量も「電池込みで約260グラム」とちょっと重いのがネックではあるが、今後あっという間に小型化することは間違いないだろう。
最終的に、この機能が携帯電話やスマートフォンに入ってくると、データ通信の世界が大きく変わる可能性がある。
モバイルノートやゲーム機、スマートフォンなどにかかわらず、高速なデータ通信回線を1本持っていれば、それですべてがこと足りてしまうからだ。そうなれば、もう接続や設定の面倒さを気にする必要もなくなるのである。
それに合わせて、キャリアやメーカー側のビジネスモデルも変化してくるだろう。たとえば、スマートフォンが電話回線の契約をせずに使えてしまうようになるかもしれない。もちろん、通話はできないが、スカイプなどの高速な通信回線なら、IP電話が普通に使えるようになるわけだ。
そうなれば、キャリアに関係のないスマートフォンも数多く登場するだろう。数年後には、デジカメやビデオカメラにも無線LANを内蔵するのが当たり前になるかもしれない。
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開発者は本当に足りないか 日本のゲーム産業の課題(COLUMN)
日本のゲーム産業が抱える課題として、これまで「少子化」「日本的な流通慣習」の2つを取り上げてきたが、最後に開発者不足の問題を考える。今の日本のゲーム産業は人材が足りない。少子化は市場だけの問題ではなく、産業を支える開発者の基礎人口が今後長期に渡って不足する事態に直面している。
ゲームの先端技術分野では、高等数学など専門性の高い知識がますます要求されるようになっている。その一方で、そうした知識を習得できる情報系の学科に進みたいと考える学生は少なくなっていて、大学などの高等教育機関からの人材供給は十分でない。
ただ、私の理解では、ゲーム産業に進みたいと希望する人自体が減っているわけではない。その熱意をうまく産業側が受けとめることができないことが問題なのだ。さらにこの問題は、(1)長期的で構造的な人口減少による不足、(2)短期的な学習機会の少なさからくる不足――の2つに分けて理解すべきだと思っている。
どちらも、「水が半分入ったコップ」と同じで、受け止め方次第である。つまり、「半分しか満たされてない」と考えるか、「まだ半分も空いている」と考えるか。後者は現状をチャンスとして捉える見方で、大事なのは残りの半分に入る水が「どこにあるか」を探すことである。
■日本で働きたい人材は世界中に余っている
まず、(1)の構造的な人口減少による不足について、空の部分を埋めるにはどうすればいいか。それには人口の多いところから獲得するという方法がある。
昨年2月の米サンフランシスコの「ゲーム開発者会議(GDC)」に、日本貿易振興機構(ジェトロ)が初めて日本ブースを出展し、海外での商談を希望する企業7社を集めて、ビジネスミーティングの機会を設定した。その際、面白いことが起きた。企業人でない人が、山ほどやってきたのである。
GDCは、欧米圏での学生を中心とした就職活動の場でもある。米国の学生たちが、日本企業にインターンをすることができないか、もしくは就職することができないかと、ひっきりなしに問い合わせに来たのである。
これには対応に困ってしまった。そもそも、こうした人が来るということはまったく予想していなかった。また、ジェトロの機能は、日本製品を輸出することを目的としており、海外から日本に来たいという人を受け入れる仕組み自体がない。
ジェトロの中澤義晴氏は、押しかけてくるその人たちの熱意に驚かされたという。「他の産業では見たことがない現象」だという。名刺の山や連絡先のメモだけが残ったが、使う道がなくそのままになっている。
これは、日本の「ゲーム」が持つ強力なソフトパワーを証明している。一時的に滞在する「観光」の場としては注目されつつあるが、海外の知識労働者を受けとめる場として、ゲーム産業が捉えられたことは過去一度もない。
日本のゲーム会社は、チーム全体の整合性をとるために開発メンバーが日本語でコミュニケーションすることを前提としているケースが多い。日本において英語で人材募集をしているようなところはほとんどない。海外現地法人がある場合には、そちらから入社するようにと指示するのが一般的だ。
■「機械」から「人」への時代
米経営学者のピーター・ドラッカーは「イノベーションと企業家精神」(ダイヤモンド社)で、日本がロボット先進国になった要因を「労働力ニーズ」にあるとした。また、日本は米国で先に開発された技術を持ち込んだだけとしたうえで、ロボット技術が進歩した要因を次のように分析している。「日本はアメリカより、4、5年早く、ドイツより10年早く最初の少子化に襲われた」(P.64)。労働力不足が認識されるには10年かかるが、「日本ではその10年がアメリカよりも先に始まっていた」
少子化がロボットの導入を促し、結果的に技術を発展させたというわけだ。今、日本は二度目の少子化の時期にぶつかっている。ただ、ソフトウエア産業は製造業とは考え方を変えなければならないだろう。相手が「機械」ではなく、コミュニケーションを必要とする「人」だからだ。
しかし、「人」相手では大変かもしれないと率直に思う。それは日本が持つ伝統にも関わるという思いもあるからだ。
司馬遼太郎が1987年に行った講演で、中国語を漢文という独特な読み方にしたり、夏目漱石がイギリス留学後も英語を話すのを苦手にしたことを引用しながら「日本は数千年来、現実の外国人に出会うことなく、海の向こうから舶載されてくる書物によってのみ、その文明を理解してきました」(「司馬遼太郎全講演3」P.246)と述べている。そして、直接的な交流が始まった日本の今後の苦労を予感させながらその講演を締めくくっている。
この文章には、私自身もはっとした気分になった。インターネットの登場とその一般化は、少なくとも情報というレベルでの地政的な意味を失わせてしまった。実際、情報は英語圏から大量に取ることができるようになった。日本も日本だけで閉じられない。同時にそれは、いち早く情報を取ることだけが競争力の源泉となる時代が終わりつつあることも意味している。
そこから踏み込んで、他の国の人と深いコミュニケーションを取りながら仕事できるレベルにまで、たどり着けるかどうかがポイントだと思えるのだ。これを日本のゲーム会社がやろうとすれば、確実に苦労するのは間違いない。しかし、その多大な苦労を乗り越えられた企業が今後、優位に立つだろうという予感がある。
困難なことは確かだが、コミュニケーション能力を世界レベルにまで引き上げれば、人材のコップの残り半分に入る水はまだ十分存在していることは知っておいていい。
■日本人開発者によるゲームプログラミングの大著の登場
先に挙げた(2)学習機会の不足の問題は、日本人で日本語しか話せず、ゲーム産業に行きたいけれど学習手段を手に入れられていないという人たちを巻き込む方法を考える必要がある。この点で、日本の産業側の努力が足りているとはとても思えない。
ただ、大きな変化が起きそうな兆しを感じている。昨年、日本人の現役開発者によるゲームの教科書が2冊出た。私自身、日本では現役の開発者が書く「ゲームの教科書」が成り立たないと思っていたこともあり、いい意味での驚きだった。
昨年10月に出版されたセガの平山尚氏の「ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術」(秀和システム)は850ページもの大著で、4500円という高い価格設定にもかかわらず版を重ね6000部を売り切った。今なお人気で売り切れが続いており、ゲームの技術書としては異例のヒットになっている。好評を受けて、さっそく続編の執筆が検討されているという。
平山氏は、技術的に思い切った割り切りで効果を出す開発戦略をとることで知られる現役のプログラマーだ。夢も希望もないかと思わせるようなその文体には、幻想を抱くことなく現実を真っ向から見つめる強烈な個性がにじみ出ている。そのために、単なる技術書とは思えない、人を引きつける小気味よさがある。この感じは翻訳書では出ない。
この本の27章に、執筆の動機が書かれている。適当な教科書がないので、自分で書いてしまったということらしい。
「この本を書こうと思ったのは、新人研修の教官をやった時に大変困ったからである。これを読んでおけ、と言える本がないのだ。この分野はこれ、あの分野はあれ、と列挙することはできるが、5冊も10冊も積まれても新人が困ってしまうだろうし、そもそも、部分の総和は全体にはならない」
そして、学習についての現在の日本企業の問題点も指摘している。
「ゲーム会社でベテランになっている人々というのは、ゲームの地位が低かった時代から気合と執念で学んだ人達である。だから、放置しておけば本人の情熱によって勝手に使えるようになる、と信じているところがある。あまりまじめに教育のことを考えてくれない。そもそも、ゲーム会社に入るなんていうのは人生を棒に振る覚悟が必要な選択だったわけで、単なる職業の一種でしかない今となっては、来る人の質が変わってしまうのも無理からぬことである」
本の内容について言えば、プログラム一つ取ってみても多様化が進み、ゲームに絞り込んだプログラミング技術でさえ学習するにはかなりやっかいな幅の広がりを見せていることがよくわかる。そして、未だに技術のすそ野は広がり続けている。平山氏自身も、言及し切れていないことが多いと述べ、さらに本格的な書籍の登場の必要性も訴えている。
平山氏が流れに立ち向かって懸命に進もうとする労苦が伝わってくる。
■日本のゲーム産業に出現した突破口
もう1冊は12月に出版されたセガの馬場保仁氏と元コーエーの山本貴光氏が書いた「ゲームの教科書」(ちくまプリマー新書)だ。こちらはゲーム開発者の仕事内容などを紹介しており、ゲーム開発者を目指す人向けの導入書となっている。
これらの本は、外からはブラックボックス化していると言われ、関心があってもどのように近づいていけばいいのかわからない多くの潜在的な将来のゲーム開発者に、さまざまなヒントを与えるものと思われる。
現役開発者が書籍を出版することは、欧米企業では当たり前であり、欧米ゲーム産業隆盛の要因の一つになっている。重要なのは、ようやく最近になって日本でも実現し、突破口を切り開いたという点だ。これは日本の産業側の変化の兆しを示すものであり、空いたコップに水を注ぐ方法は、こうした形でも存在することを示している。これらの本でゲームを学び、産業に進んでくる人は少なくないだろうと希望を持っている。
日本のゲーム産業が抱える課題として、これまで「少子化」「日本的な流通慣習」の2つを取り上げてきたが、最後に開発者不足の問題を考える。今の日本のゲーム産業は人材が足りない。少子化は市場だけの問題ではなく、産業を支える開発者の基礎人口が今後長期に渡って不足する事態に直面している。
ゲームの先端技術分野では、高等数学など専門性の高い知識がますます要求されるようになっている。その一方で、そうした知識を習得できる情報系の学科に進みたいと考える学生は少なくなっていて、大学などの高等教育機関からの人材供給は十分でない。
ただ、私の理解では、ゲーム産業に進みたいと希望する人自体が減っているわけではない。その熱意をうまく産業側が受けとめることができないことが問題なのだ。さらにこの問題は、(1)長期的で構造的な人口減少による不足、(2)短期的な学習機会の少なさからくる不足――の2つに分けて理解すべきだと思っている。
どちらも、「水が半分入ったコップ」と同じで、受け止め方次第である。つまり、「半分しか満たされてない」と考えるか、「まだ半分も空いている」と考えるか。後者は現状をチャンスとして捉える見方で、大事なのは残りの半分に入る水が「どこにあるか」を探すことである。
■日本で働きたい人材は世界中に余っている
まず、(1)の構造的な人口減少による不足について、空の部分を埋めるにはどうすればいいか。それには人口の多いところから獲得するという方法がある。
昨年2月の米サンフランシスコの「ゲーム開発者会議(GDC)」に、日本貿易振興機構(ジェトロ)が初めて日本ブースを出展し、海外での商談を希望する企業7社を集めて、ビジネスミーティングの機会を設定した。その際、面白いことが起きた。企業人でない人が、山ほどやってきたのである。
GDCは、欧米圏での学生を中心とした就職活動の場でもある。米国の学生たちが、日本企業にインターンをすることができないか、もしくは就職することができないかと、ひっきりなしに問い合わせに来たのである。
これには対応に困ってしまった。そもそも、こうした人が来るということはまったく予想していなかった。また、ジェトロの機能は、日本製品を輸出することを目的としており、海外から日本に来たいという人を受け入れる仕組み自体がない。
ジェトロの中澤義晴氏は、押しかけてくるその人たちの熱意に驚かされたという。「他の産業では見たことがない現象」だという。名刺の山や連絡先のメモだけが残ったが、使う道がなくそのままになっている。
これは、日本の「ゲーム」が持つ強力なソフトパワーを証明している。一時的に滞在する「観光」の場としては注目されつつあるが、海外の知識労働者を受けとめる場として、ゲーム産業が捉えられたことは過去一度もない。
日本のゲーム会社は、チーム全体の整合性をとるために開発メンバーが日本語でコミュニケーションすることを前提としているケースが多い。日本において英語で人材募集をしているようなところはほとんどない。海外現地法人がある場合には、そちらから入社するようにと指示するのが一般的だ。
■「機械」から「人」への時代
米経営学者のピーター・ドラッカーは「イノベーションと企業家精神」(ダイヤモンド社)で、日本がロボット先進国になった要因を「労働力ニーズ」にあるとした。また、日本は米国で先に開発された技術を持ち込んだだけとしたうえで、ロボット技術が進歩した要因を次のように分析している。「日本はアメリカより、4、5年早く、ドイツより10年早く最初の少子化に襲われた」(P.64)。労働力不足が認識されるには10年かかるが、「日本ではその10年がアメリカよりも先に始まっていた」
少子化がロボットの導入を促し、結果的に技術を発展させたというわけだ。今、日本は二度目の少子化の時期にぶつかっている。ただ、ソフトウエア産業は製造業とは考え方を変えなければならないだろう。相手が「機械」ではなく、コミュニケーションを必要とする「人」だからだ。
しかし、「人」相手では大変かもしれないと率直に思う。それは日本が持つ伝統にも関わるという思いもあるからだ。
司馬遼太郎が1987年に行った講演で、中国語を漢文という独特な読み方にしたり、夏目漱石がイギリス留学後も英語を話すのを苦手にしたことを引用しながら「日本は数千年来、現実の外国人に出会うことなく、海の向こうから舶載されてくる書物によってのみ、その文明を理解してきました」(「司馬遼太郎全講演3」P.246)と述べている。そして、直接的な交流が始まった日本の今後の苦労を予感させながらその講演を締めくくっている。
この文章には、私自身もはっとした気分になった。インターネットの登場とその一般化は、少なくとも情報というレベルでの地政的な意味を失わせてしまった。実際、情報は英語圏から大量に取ることができるようになった。日本も日本だけで閉じられない。同時にそれは、いち早く情報を取ることだけが競争力の源泉となる時代が終わりつつあることも意味している。
そこから踏み込んで、他の国の人と深いコミュニケーションを取りながら仕事できるレベルにまで、たどり着けるかどうかがポイントだと思えるのだ。これを日本のゲーム会社がやろうとすれば、確実に苦労するのは間違いない。しかし、その多大な苦労を乗り越えられた企業が今後、優位に立つだろうという予感がある。
困難なことは確かだが、コミュニケーション能力を世界レベルにまで引き上げれば、人材のコップの残り半分に入る水はまだ十分存在していることは知っておいていい。
■日本人開発者によるゲームプログラミングの大著の登場
先に挙げた(2)学習機会の不足の問題は、日本人で日本語しか話せず、ゲーム産業に行きたいけれど学習手段を手に入れられていないという人たちを巻き込む方法を考える必要がある。この点で、日本の産業側の努力が足りているとはとても思えない。
ただ、大きな変化が起きそうな兆しを感じている。昨年、日本人の現役開発者によるゲームの教科書が2冊出た。私自身、日本では現役の開発者が書く「ゲームの教科書」が成り立たないと思っていたこともあり、いい意味での驚きだった。
昨年10月に出版されたセガの平山尚氏の「ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術」(秀和システム)は850ページもの大著で、4500円という高い価格設定にもかかわらず版を重ね6000部を売り切った。今なお人気で売り切れが続いており、ゲームの技術書としては異例のヒットになっている。好評を受けて、さっそく続編の執筆が検討されているという。
平山氏は、技術的に思い切った割り切りで効果を出す開発戦略をとることで知られる現役のプログラマーだ。夢も希望もないかと思わせるようなその文体には、幻想を抱くことなく現実を真っ向から見つめる強烈な個性がにじみ出ている。そのために、単なる技術書とは思えない、人を引きつける小気味よさがある。この感じは翻訳書では出ない。
この本の27章に、執筆の動機が書かれている。適当な教科書がないので、自分で書いてしまったということらしい。
「この本を書こうと思ったのは、新人研修の教官をやった時に大変困ったからである。これを読んでおけ、と言える本がないのだ。この分野はこれ、あの分野はあれ、と列挙することはできるが、5冊も10冊も積まれても新人が困ってしまうだろうし、そもそも、部分の総和は全体にはならない」
そして、学習についての現在の日本企業の問題点も指摘している。
「ゲーム会社でベテランになっている人々というのは、ゲームの地位が低かった時代から気合と執念で学んだ人達である。だから、放置しておけば本人の情熱によって勝手に使えるようになる、と信じているところがある。あまりまじめに教育のことを考えてくれない。そもそも、ゲーム会社に入るなんていうのは人生を棒に振る覚悟が必要な選択だったわけで、単なる職業の一種でしかない今となっては、来る人の質が変わってしまうのも無理からぬことである」
本の内容について言えば、プログラム一つ取ってみても多様化が進み、ゲームに絞り込んだプログラミング技術でさえ学習するにはかなりやっかいな幅の広がりを見せていることがよくわかる。そして、未だに技術のすそ野は広がり続けている。平山氏自身も、言及し切れていないことが多いと述べ、さらに本格的な書籍の登場の必要性も訴えている。
平山氏が流れに立ち向かって懸命に進もうとする労苦が伝わってくる。
■日本のゲーム産業に出現した突破口
もう1冊は12月に出版されたセガの馬場保仁氏と元コーエーの山本貴光氏が書いた「ゲームの教科書」(ちくまプリマー新書)だ。こちらはゲーム開発者の仕事内容などを紹介しており、ゲーム開発者を目指す人向けの導入書となっている。
これらの本は、外からはブラックボックス化していると言われ、関心があってもどのように近づいていけばいいのかわからない多くの潜在的な将来のゲーム開発者に、さまざまなヒントを与えるものと思われる。
現役開発者が書籍を出版することは、欧米企業では当たり前であり、欧米ゲーム産業隆盛の要因の一つになっている。重要なのは、ようやく最近になって日本でも実現し、突破口を切り開いたという点だ。これは日本の産業側の変化の兆しを示すものであり、空いたコップに水を注ぐ方法は、こうした形でも存在することを示している。これらの本でゲームを学び、産業に進んでくる人は少なくないだろうと希望を持っている。
イー・モバイル、大胆値下げの真の理由 <COLUMN>
イー・モバイルが大胆な値下げ攻勢に打って出た。月額780円だけで自社網内の通話が24時間無料になる「がっちりコース ケータイ定額プラン」を発表したのだ。
これまでも24時間定額制だったが、月額980円とデータ基本料1000円の合計1980円が必要だった。今回、データ定額契約を不要とし、基本料金も約2割下げた。2年間の契約が必須となるが、音声通話のみを使えば月額780円でしゃべり放題となるのだ。
■様々なコスト計算ではじき出した「780円」
現在、自社網内の通話定額は最後発のイー・モバイルを含む3社で提供している。先陣を切ったのはウィルコム。2005年5月に月額2900円で網内24時間無料通話を実現した。2900円には他社へのメールの通信料も含まれている。
2007年1月にはソフトバンクモバイルが、月額980円で網内通話無料となる「ホワイトプラン」を導入。しかし、24時間ではなく、深夜1時から夜9時までの20時間が対象となっている。
昨年3月に音声サービスを始めたイー・モバイルは月額1980円からの24時間定額サービスを投入した。しかし、実際は、計画通りにユーザーが集まらなかったようだ。
「今年度末までにデータと音声通話合わせて140万契約を計画し、そのうち30万ぐらいが音声ユーザーだと見込んでいたが、実際はもうちょっと低い。予想外だったのがモバイル通信ユーザーの需要だ」(エリック・ガン社長)。
イー・モバイルは2008年11月末に100万契約の大台を突破した。原動力となったのが、5万円程度のネットブックにイー・モバイルの通信契約を結びつけることで「100円PC」を実現した販売方式だ。「ネットブックとのセット販売により、イー・モバイルの知名度が上がっている。その知名度を(月額780円のプランで)効果的に利用したい」と、エリック・ガン社長は意気込みを語る。
今回の月額780円という金額の根拠について、阿部基成副社長は「いままではデータのネットワークをブロードバンドで使ってもらうことに注力してきた。そのベースがあったおかげで、音声通話に(ネットワークが)どこまで耐えられるかがわかった。そのうえで様々なコスト計算を行い、はじき出した数字が780円だ」と説明する。イー・モバイルとしては、しっかりとした勝算があるようだ。
■狙うは接続料収入? それとも…
携帯電話では、他キャリアをまたぐ音声通話の場合、「アクセスチャージ」と言われる接続料が発生する。具体的な金額は表だっては明らかにされておらず、各社でまちまちだが、3分で35円程度が発話側から着話側に支払われているという(実際はその逆もあるために、支払いは相殺されて多い側の差分が支払われる)。
ソフトバンクモバイルがホワイトプランを導入した際、孫正義社長は「うちの契約者数はドコモと比べると少ない。だから、接続料収入もかなり見込める」と話していたことがある。
つまり、網内を無料にしても、ドコモやKDDIからソフトバンクモバイルへの発話が多ければ、それだけ接続料収入が見込めるというわけだ。NTTドコモが5400万、KDDIが3000万、ソフトバンクモバイルが2000万という契約者数であれば、その差は歴然。ソフトバンクモバイルにはかなりの接続料収入が入っているはずだ。
イー・モバイルの現在の音声通話ユーザーは「全体の2割程度」(エリック・ガン社長)という。しかし、この2割というのは実際は音声が話せる電話機を持っているユーザー数なのだという。
イー・モバイルはこれまでスマートフォンを数多く投入してきた。スマートフォンをデータ通信のみに使い、音声通話はほとんどしないというユーザーも多い。すなわち、イー・モバイルで実際に音声通話を使っているユーザーは、まだ少ないと推測される。
では、今回の月額780円の料金プランは他社からの接続料収入を見込んでのものなのだろうか。
千本倖生会長は「接続料は消費者から見えないが、個人的見解では、日本は接続料が世界で最も高いはず。接続料問題は今年の携帯業界にとって、消費者に関わる最も大きな課題だと思う」と語る。
今年、総務省ではキャリア間の接続料金を下げようという気運を高めようとしているが、イー・モバイルはこの流れを歓迎しており、接続料が下がれば、いずれは基本料金だけでなく30秒あたりの通話料も引き下げようと考えているようだ。
再度、エリック・ガン社長に「他社からの接続料収入をあてにしているのか」という質問をぶつけたところ、次のような答えが返ってきた。
「うちは新規キャリアなので、他キャリアからの着話よりも、自社ユーザーからの発話のほうが多い。なぜなら、イー・モバイルのユーザーは新しい電話番号を持ったばかりなので、発話して相手に電話番号を教えなくてはならないから。イー・モバイルユーザーの番号が認知されていないので、他キャリアのユーザーからかかってくることが圧倒的に少ない」
要するに、この料金プランは他キャリアからの接続料を狙ったものではないということだ。
■周波数の追加割り当てに必要な250万契約
イー・モバイルがここまでの価格破壊に踏み切れたのは、やはりデータ通信市場での好調さが背景にある。
USB接続のデータ端末の調達価格は「40ドル程度」(キャリア関係者)と言われており、かなり安価で調達できる。しかも、携帯電話と違って、データ端末は陳腐化しない。1年経過してもあまり古さを感じず、ユーザーが長期間使い続けてくれるのはキャリアにとって魅力だ。
ユーザーの平均データトラフィック量は「月間でおおよそ1.9GB」(エリック・ガン社長)という。最も使うユーザーは月間で300GBにもなるらしいが、いずれにしろ多くのユーザーがそれなりにデータ端末を使い、定額の上限に近い料金を支払っていると推察できる。
データ通信端末を安価で調達し、ネットブックと組み合わせてユーザーを獲得し、上限いっぱいまで使ってもらって収益を稼ぐ。これがいまのイー・モバイルの儲かる仕組みなのだ。ここに数十kbps程度の音声通話のトラフィックが急激に流れ込んだとしても、大容量トラフィック用に構築されたネットワークならばびくともしないというわけだ。
では、ここまで大安売りして音声ユーザーを増やしたい背景には何があるのか。
イー・モバイルが新規事業者として参入した当初に割り当てられた1.7GHzの周波数帯は5MHz幅しかない。現在、この5MHzでやりくりしている状態だが、総務省からさらに周波数を割り当ててもらうには、250万契約を突破しなくてはならないとされている。
エリック・ガン社長は「今年度末までに累計140万件、その後は年間100万件ペースで新規ユーザーを獲得していきたい。いまは周波数のキャパシティーがタイト。音声ユーザーが入れば、早く周波数がもらえる」と本音を語る。
イー・モバイルとしては今、音声通話で多少の無茶をしても、ユーザーを増やして250万契約を達成し、早期に5MHzを追加で獲得したいという意図が根底にあるようなのだ。
■次の課題は端末ラインアップ
データ通信端末、さらに月額780円の料金プランで勢いづくイー・モバイル。しかし、相変わらず他社よりも大きく見劣りするのが「携帯端末の調達力」だ。
スマートフォンは台湾HTC製を数多く投入し、一部の高機能志向のユーザーには受けがいいが、一般ユーザーに普及させるにはまだ努力不足と言わざるを得ない。
音声端末を見渡すと、日本メーカーはサービス初期に投入した東芝製のみ。あとは中国Huawei(ファーウェイ)などの海外メーカーばかりだ。2月に発売になる「H12HW」はメールなどは使えるものの、ブラウザなどはかなり非力だ。
2台目として割り切って使うユーザーにはこれでいいのかもしれないが、携帯電話単体ではデータARPUはなかなか稼げない。2台目として購入してもらっても、パソコンにつないでモデムとして使ってもらわないことには、ARPUの上昇は期待できないのだ。
28日の記者会見では、春商戦に向けた新製品の発表はなかった。イー・モバイル関係者からは「今年は端末のラインアップはあまり期待しないでほしい」という声も聞かれた。 ソフトバンクモバイルがシャープの高機能端末を次々と投入し、ウィルコムも春商戦向けに「BAUM」や「WX340K」を用意したのとは対照的だ。
2台目とはいえ、ユーザーの目はかなり肥えている。ユーザーは「月額780円だから」と割り切って、使い勝手が必ずしもいいとは言えない端末で満足できるのか。
ネットワークと料金で勝負に出たイー・モバイルだが、次はいかに「端末調達力」を上げていくかが、課題である。
上場企業71%減益、10-12月日経集計 需要低迷・円高響く
上場企業の業績が正念場を迎えている。日本経済新聞社が1月30日発表分までの2008年10―12月期連結決算を集計したところ、経常利益は前年同期に比べ71%減った。世界景気の減速で製品需要が低迷、為替の想定レートを上回る円高も響き、輸出の多い製造業を中心に打撃を受けた。企業は減産により在庫調整を急ピッチで進め、コスト削減も急いでいる。日本企業の財務体質は欧米に比べ安定している面もあり、不況下で収益構造の改革を進めれば将来、競争力が強まる可能性もある。
集計対象は3月期決算の上場企業(金融、新興3市場除く)の453社。社数は全体の約3割、経常利益の総額では約4割を占める。米国会計基準の企業は税引き前利益を経常利益とみなした。10―12月期に減益もしくは赤字だった企業は352社。一方、集計対象企業のうち09年3月期通期の増益を予想している企業も4社に1社あった。
新車販売、1月も2割超減 車不振、歯止め利かず
国内新車販売が下げ止まらない。1月の販売台数(軽自動車を除く)は1月29日現在で13万台前後となり昨年の同時点に比べ約3割減少した。月末までの累計では18万台前後と、前年同月比で25%前後落ち込む見通しだ。2割を超える減少は昨年11月から3カ月連続で、不振の長期化が鮮明になってきた。自動車の減産拡大は同分野を成長事業と位置づけてきた電機各社の業績にも大きな打撃となっている。
新車登録の最終日は手続きが集中するが、30日に昨年と同程度(5万台弱)の上積みがあったとしても1月の販売台数は18万台前後になる公算が大きい。この水準にとどまれば、1月の販売台数として76年(17万7000台)以来33年ぶりの低さとなる。
パナソニック赤字3500億円、工場統廃合の損失上積み
パナソニックが2009年3月期連結決算で、税引き後利益が3500億円規模の赤字となることが31日、明らかになった。
税引き後赤字は6期ぶりで、02年3月期(約4300億円)に次ぐ大きさ。電機大手は日立製作所が7000億円、東芝が2800億円、ソニーが1500億円など軒並み赤字決算となる見通しで、世界的な不況による輸出不振が電機業界を直撃している。
フォルクスワーゲン、8000人の削減検討 独週刊誌
【フランクフルト=後藤未知夫】欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)が、大規模な人員削減を検討していることが31日、分かった。独週刊誌シュピーゲルの最新号は、VWの非正規従業員の半数にあたる8000人強が対象になると報じた。
同誌によると、VWの非正規従業員は昨年末時点で1万6500人。人員削減は、独国内のほか、東欧やブラジルの拠点が対象になる。正規従業員の雇用は確保される見通し。VWのペッチュ最高財務責任者(CFO)は独経済紙で「新車市場の低迷が続けば、非正規従業員の大半を削減しなければならない」と指摘していた。
VWは今年の世界販売台数が過去最多だった昨年比で1割減少すると予想。2月以降も減産を予定している。
イー・モバイルが大胆な値下げ攻勢に打って出た。月額780円だけで自社網内の通話が24時間無料になる「がっちりコース ケータイ定額プラン」を発表したのだ。
これまでも24時間定額制だったが、月額980円とデータ基本料1000円の合計1980円が必要だった。今回、データ定額契約を不要とし、基本料金も約2割下げた。2年間の契約が必須となるが、音声通話のみを使えば月額780円でしゃべり放題となるのだ。
■様々なコスト計算ではじき出した「780円」
現在、自社網内の通話定額は最後発のイー・モバイルを含む3社で提供している。先陣を切ったのはウィルコム。2005年5月に月額2900円で網内24時間無料通話を実現した。2900円には他社へのメールの通信料も含まれている。
2007年1月にはソフトバンクモバイルが、月額980円で網内通話無料となる「ホワイトプラン」を導入。しかし、24時間ではなく、深夜1時から夜9時までの20時間が対象となっている。
昨年3月に音声サービスを始めたイー・モバイルは月額1980円からの24時間定額サービスを投入した。しかし、実際は、計画通りにユーザーが集まらなかったようだ。
「今年度末までにデータと音声通話合わせて140万契約を計画し、そのうち30万ぐらいが音声ユーザーだと見込んでいたが、実際はもうちょっと低い。予想外だったのがモバイル通信ユーザーの需要だ」(エリック・ガン社長)。
イー・モバイルは2008年11月末に100万契約の大台を突破した。原動力となったのが、5万円程度のネットブックにイー・モバイルの通信契約を結びつけることで「100円PC」を実現した販売方式だ。「ネットブックとのセット販売により、イー・モバイルの知名度が上がっている。その知名度を(月額780円のプランで)効果的に利用したい」と、エリック・ガン社長は意気込みを語る。
今回の月額780円という金額の根拠について、阿部基成副社長は「いままではデータのネットワークをブロードバンドで使ってもらうことに注力してきた。そのベースがあったおかげで、音声通話に(ネットワークが)どこまで耐えられるかがわかった。そのうえで様々なコスト計算を行い、はじき出した数字が780円だ」と説明する。イー・モバイルとしては、しっかりとした勝算があるようだ。
■狙うは接続料収入? それとも…
携帯電話では、他キャリアをまたぐ音声通話の場合、「アクセスチャージ」と言われる接続料が発生する。具体的な金額は表だっては明らかにされておらず、各社でまちまちだが、3分で35円程度が発話側から着話側に支払われているという(実際はその逆もあるために、支払いは相殺されて多い側の差分が支払われる)。
ソフトバンクモバイルがホワイトプランを導入した際、孫正義社長は「うちの契約者数はドコモと比べると少ない。だから、接続料収入もかなり見込める」と話していたことがある。
つまり、網内を無料にしても、ドコモやKDDIからソフトバンクモバイルへの発話が多ければ、それだけ接続料収入が見込めるというわけだ。NTTドコモが5400万、KDDIが3000万、ソフトバンクモバイルが2000万という契約者数であれば、その差は歴然。ソフトバンクモバイルにはかなりの接続料収入が入っているはずだ。
イー・モバイルの現在の音声通話ユーザーは「全体の2割程度」(エリック・ガン社長)という。しかし、この2割というのは実際は音声が話せる電話機を持っているユーザー数なのだという。
イー・モバイルはこれまでスマートフォンを数多く投入してきた。スマートフォンをデータ通信のみに使い、音声通話はほとんどしないというユーザーも多い。すなわち、イー・モバイルで実際に音声通話を使っているユーザーは、まだ少ないと推測される。
では、今回の月額780円の料金プランは他社からの接続料収入を見込んでのものなのだろうか。
千本倖生会長は「接続料は消費者から見えないが、個人的見解では、日本は接続料が世界で最も高いはず。接続料問題は今年の携帯業界にとって、消費者に関わる最も大きな課題だと思う」と語る。
今年、総務省ではキャリア間の接続料金を下げようという気運を高めようとしているが、イー・モバイルはこの流れを歓迎しており、接続料が下がれば、いずれは基本料金だけでなく30秒あたりの通話料も引き下げようと考えているようだ。
再度、エリック・ガン社長に「他社からの接続料収入をあてにしているのか」という質問をぶつけたところ、次のような答えが返ってきた。
「うちは新規キャリアなので、他キャリアからの着話よりも、自社ユーザーからの発話のほうが多い。なぜなら、イー・モバイルのユーザーは新しい電話番号を持ったばかりなので、発話して相手に電話番号を教えなくてはならないから。イー・モバイルユーザーの番号が認知されていないので、他キャリアのユーザーからかかってくることが圧倒的に少ない」
要するに、この料金プランは他キャリアからの接続料を狙ったものではないということだ。
■周波数の追加割り当てに必要な250万契約
イー・モバイルがここまでの価格破壊に踏み切れたのは、やはりデータ通信市場での好調さが背景にある。
USB接続のデータ端末の調達価格は「40ドル程度」(キャリア関係者)と言われており、かなり安価で調達できる。しかも、携帯電話と違って、データ端末は陳腐化しない。1年経過してもあまり古さを感じず、ユーザーが長期間使い続けてくれるのはキャリアにとって魅力だ。
ユーザーの平均データトラフィック量は「月間でおおよそ1.9GB」(エリック・ガン社長)という。最も使うユーザーは月間で300GBにもなるらしいが、いずれにしろ多くのユーザーがそれなりにデータ端末を使い、定額の上限に近い料金を支払っていると推察できる。
データ通信端末を安価で調達し、ネットブックと組み合わせてユーザーを獲得し、上限いっぱいまで使ってもらって収益を稼ぐ。これがいまのイー・モバイルの儲かる仕組みなのだ。ここに数十kbps程度の音声通話のトラフィックが急激に流れ込んだとしても、大容量トラフィック用に構築されたネットワークならばびくともしないというわけだ。
では、ここまで大安売りして音声ユーザーを増やしたい背景には何があるのか。
イー・モバイルが新規事業者として参入した当初に割り当てられた1.7GHzの周波数帯は5MHz幅しかない。現在、この5MHzでやりくりしている状態だが、総務省からさらに周波数を割り当ててもらうには、250万契約を突破しなくてはならないとされている。
エリック・ガン社長は「今年度末までに累計140万件、その後は年間100万件ペースで新規ユーザーを獲得していきたい。いまは周波数のキャパシティーがタイト。音声ユーザーが入れば、早く周波数がもらえる」と本音を語る。
イー・モバイルとしては今、音声通話で多少の無茶をしても、ユーザーを増やして250万契約を達成し、早期に5MHzを追加で獲得したいという意図が根底にあるようなのだ。
■次の課題は端末ラインアップ
データ通信端末、さらに月額780円の料金プランで勢いづくイー・モバイル。しかし、相変わらず他社よりも大きく見劣りするのが「携帯端末の調達力」だ。
スマートフォンは台湾HTC製を数多く投入し、一部の高機能志向のユーザーには受けがいいが、一般ユーザーに普及させるにはまだ努力不足と言わざるを得ない。
音声端末を見渡すと、日本メーカーはサービス初期に投入した東芝製のみ。あとは中国Huawei(ファーウェイ)などの海外メーカーばかりだ。2月に発売になる「H12HW」はメールなどは使えるものの、ブラウザなどはかなり非力だ。
2台目として割り切って使うユーザーにはこれでいいのかもしれないが、携帯電話単体ではデータARPUはなかなか稼げない。2台目として購入してもらっても、パソコンにつないでモデムとして使ってもらわないことには、ARPUの上昇は期待できないのだ。
28日の記者会見では、春商戦に向けた新製品の発表はなかった。イー・モバイル関係者からは「今年は端末のラインアップはあまり期待しないでほしい」という声も聞かれた。 ソフトバンクモバイルがシャープの高機能端末を次々と投入し、ウィルコムも春商戦向けに「BAUM」や「WX340K」を用意したのとは対照的だ。
2台目とはいえ、ユーザーの目はかなり肥えている。ユーザーは「月額780円だから」と割り切って、使い勝手が必ずしもいいとは言えない端末で満足できるのか。
ネットワークと料金で勝負に出たイー・モバイルだが、次はいかに「端末調達力」を上げていくかが、課題である。
上場企業71%減益、10-12月日経集計 需要低迷・円高響く
上場企業の業績が正念場を迎えている。日本経済新聞社が1月30日発表分までの2008年10―12月期連結決算を集計したところ、経常利益は前年同期に比べ71%減った。世界景気の減速で製品需要が低迷、為替の想定レートを上回る円高も響き、輸出の多い製造業を中心に打撃を受けた。企業は減産により在庫調整を急ピッチで進め、コスト削減も急いでいる。日本企業の財務体質は欧米に比べ安定している面もあり、不況下で収益構造の改革を進めれば将来、競争力が強まる可能性もある。
集計対象は3月期決算の上場企業(金融、新興3市場除く)の453社。社数は全体の約3割、経常利益の総額では約4割を占める。米国会計基準の企業は税引き前利益を経常利益とみなした。10―12月期に減益もしくは赤字だった企業は352社。一方、集計対象企業のうち09年3月期通期の増益を予想している企業も4社に1社あった。
新車販売、1月も2割超減 車不振、歯止め利かず
国内新車販売が下げ止まらない。1月の販売台数(軽自動車を除く)は1月29日現在で13万台前後となり昨年の同時点に比べ約3割減少した。月末までの累計では18万台前後と、前年同月比で25%前後落ち込む見通しだ。2割を超える減少は昨年11月から3カ月連続で、不振の長期化が鮮明になってきた。自動車の減産拡大は同分野を成長事業と位置づけてきた電機各社の業績にも大きな打撃となっている。
新車登録の最終日は手続きが集中するが、30日に昨年と同程度(5万台弱)の上積みがあったとしても1月の販売台数は18万台前後になる公算が大きい。この水準にとどまれば、1月の販売台数として76年(17万7000台)以来33年ぶりの低さとなる。
パナソニック赤字3500億円、工場統廃合の損失上積み
パナソニックが2009年3月期連結決算で、税引き後利益が3500億円規模の赤字となることが31日、明らかになった。
税引き後赤字は6期ぶりで、02年3月期(約4300億円)に次ぐ大きさ。電機大手は日立製作所が7000億円、東芝が2800億円、ソニーが1500億円など軒並み赤字決算となる見通しで、世界的な不況による輸出不振が電機業界を直撃している。
フォルクスワーゲン、8000人の削減検討 独週刊誌
【フランクフルト=後藤未知夫】欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)が、大規模な人員削減を検討していることが31日、分かった。独週刊誌シュピーゲルの最新号は、VWの非正規従業員の半数にあたる8000人強が対象になると報じた。
同誌によると、VWの非正規従業員は昨年末時点で1万6500人。人員削減は、独国内のほか、東欧やブラジルの拠点が対象になる。正規従業員の雇用は確保される見通し。VWのペッチュ最高財務責任者(CFO)は独経済紙で「新車市場の低迷が続けば、非正規従業員の大半を削減しなければならない」と指摘していた。
VWは今年の世界販売台数が過去最多だった昨年比で1割減少すると予想。2月以降も減産を予定している。
日本のアニメが世界に「売れない」 生き残りの道は (COLUMN1)
日本のアニメが世界で熱狂的に受け入れられる――そんな時代が、過去の物になりつつあるようだ。
「2010年以降、日本アニメの世界市場は縮小する」と、テレ東アニメ事業部長の経験もある岩田圭介さんは予測する。日本アニメは世界市場ですでに「飽和状態」で、成長の余地が見えないという。
世界同時不況やネットの違法配信の影響などで、北米市場は「ぼろぼろ」、欧州市場も厳しく、中東やアジアなど新市場も期待薄。「このままでは、日本のアニメを日本の市場だけで売る一昔前に戻るかもしれない」ほど事態は深刻だ。
逆風下での生き残りをかけてテレ東は、米国の動画投稿サイトでアニメを配信するなど、新たな取り組みを進めている。
「こんなものでも買うんだ、という作品も売れていた」が……
日本アニメの海外進出は、「新世紀エヴァンゲリオン」(1996~97年)を機に急拡大したという。それまでは「金髪のジェニー」や「ムーミン」といった、海外を舞台にした“無国籍アニメ”が受け入れられていたが、エヴァは日本のアニメとして歓迎され、市場を一気に広げた。
97年ごろから「ポケットモンスター」が海外でメジャー作品化。02年には「遊戯王」がさらに市場を拡大し、日本のアニメは売り手市場に。「こんなものでも買うんだ、と思うようなアニメがセットで売れていった」。02年以降、「NARUTO」も世界的にヒットし、海外のティーンエイジャーや「OTAKU」層の心をとらえた。
その後は「ケロロ軍曹」「ブルードラゴン」といったタイトルが海外展開を開始・準備しており、09年までは、NARUTOまでの作品が広げてきた海外ファンからのニーズを、複数のタイトルで支えている状況が続くと岩田さんはみる。
だが市場はすでに飽和状態。「10年以降、世界市場が縮小するというシナリオが、容易に想像できる」
市場の飽和に加え、世界同時不況や各国の事情、動画共有サイトの違法配信が、日本アニメ輸出に暗い影を落としている。
アニメ輸出、米国も欧州もアジアも厳しい
アニメ業界も、世界同時不況の波をかぶっている。輸出産業として円高の影響を受けている上、最大の輸出市場だった米国や欧州も不況のまっただ中だ。
市場環境の厳しさに加え、米国では、地上波放送で日本アニメの視聴率が低迷。地上波放送局は、日本アニメの暴力的な内容や、グッズ販売を前提にした構成を嫌い始め、アニメへのニーズ自体が低下しているという。
日本のアニメ配給を手掛けてきた米国の「4Kids TV」は、FOXテレビのアニメ枠から撤退。アニメ専門チャンネル「Cartoon Network」も一時日本アニメから全面撤退した。Cartoon Networkは、「オタク向けの『Adult Swim』(14歳以上限定)で一部復活した」が、ポケモンやNARUTOレベルのヒットは望めない状況だ。DVD市場も厳しく、「全米で400本しか売れないタイトルもあった」という。
欧州も状況は厳しい。もともと自国文化の育成に力を入れている国が多く、海外アニメを放送できる枠が少ない中で、「買ったものの放送できず、手つかずのタイトルが山のように残っている。新しい物がいらない状況」。言語や文化のギャップも大きいという。
さらに、違法配信サイトや動画共有サイトの台頭が、地上波テレビを中心としたアニメのビジネスモデルを破壊。「日本でアニメを放送された翌日には、現地語の字幕を付けてネットにアップされてしまう」ため、日本で放送終了した作品を海外に販売するころには、海外ファンはすでにそのアニメを見ており、視聴率が取れなくなる。「成功の方程式――テレビメディアのビジネスモデルが崩れた」
国内でも、アニメが置かれた状況は厳しい。日本動画協会の発表によると、国内アニメ産業の総売上高(海外販売も含む)は06年がピークで、07年には前年を割った。
「アニメ業界にはマイナス要素の方あまりにも多すぎる」と岩田さんは指摘する。マイナス要素とは、(1)地上波テレビが不況に入った(日本民間放送連盟加盟127社のうち、約4割の55社が08年9月期経常赤字に)、(2)アニメは視聴率が取れないため「キー局でゴールデンタイムに放送するのは不可能」、(3)アニメ単体でヒットする作品がない――など。アニメの制作本数も激減している。
プラス要素として唯一挙げたのは、アニメを流すメディアが多様化していることだ。BSやCS、地上波デジタルなどで多チャンネル化が進んでいるほか、ネット配信や携帯電話向け配信も盛ん。「ニンテンドーDS」や「Wii」「プレイステーション 3」などゲーム機向けにもネット配信できる環境が整っている。
「危機はチャンス」――テレビ東京は今後もアニメを積極展開する方針で、ネットを活用した新たなビジネスにチャレンジしている。
1月から、米国のアニメ専門動画共有サイト「Crunchyroll」で、「NARUTO」「銀魂」など「テレビ東京の最強コンテンツ」を、日本での放送の1時間後に有料配信。月額7ドルで、会員数は1万人を超えたという。日本のアニメチャンネル「AT-X」(月額1575円、4月から1890円に値上げ)の会員数は「10年かけて10万人になった」というから、1カ月弱で1万人を達成した意味は大きい。
日本では、地上波テレビのビジネスモデルがまだある程度健在とみており、国内でのアニメのネット配信には慎重だ。それでも「需給バランスは崩れ、枠が余っている。タカビーで敷居が高いテレビではやっていけない」。状況を悲観するのではなくチャンスととらえ、ほかの媒体と連携しながら新しいビジネスモデルを築いていく考えだ。
「テクニカルアーティスト」というゲーム開発の新職種 GDCを読む(COLUMN2)
米サンフランシスコで3月23~27日に開催される「ゲーム開発者会議(GDC)」関連の発表が増えてきた。昨年のGDCの参加者数は1万8000人を超え、5日間で400あまりの講演やパネルディスカッションが開かれた。世界のゲーム産業の情報が集まる場として、その影響力は年々増している。今回は、予定されている講演概要を通じて見えてくる欧米のゲーム開発のトレンドを紹介しよう。
■グラフィック職ではない「アーティスト」?
日本人開発者の間で、「テクニカルアーティスト(technical artist)」という職種の定義について混乱が起きている。この職種名は、英語で書かれた開発関連の文書でこのところよく見かけるようになり、今年のGDCでも関連するセッションが10あまり予定されている。しかし、日本では職種が確立されていないため、一見して技術に通じたグラフィック職(アーティスト)と思ってしまう人もいるようだ。
テクノロジーを駆使した「メディアアーティスト」のことを指すような響きもあるが、まったく違う。現状、的確な日本語訳はない。
テクニカルアーティストとは、ここ数年で重要度を増してきたプログラマーの新しい職種のことだ。明確な定義は英語でも存在していないのだが、グラフィック職を支援するためのプログラム職で、ゲームを開発するうえでどの技術を採用するかを考え、グラフィックスについての開発のパイプライン(データの流れ)を設計し、それにあわせてグラフィック職の仕事のワークフロー(手順)を作り上げるという職種であるようだ。
そのため、先端技術に通じている必要があり、また現在のハードウエア性能でそれらの技術がどの程度実現できるのか、そして複雑化するツール類の何を使って生産性を上げるのかという具体的な判断ができる高度なスキルや知識が求められる。
「プレイステーション3(PS3)」や「Xbox360」のような最新ハードウエアは、グラフィック処理性能が高い。とはいっても、その性能が無限に引き上がったというわけでもない。
そこで、ゲーム表現を効果的に見せるためには、アーティストが表現したいこととそれに必要な要素を考え、そこから何を選んで何を捨て、どのような設計に基づいて開発を進めるかを選択することがますます重要になる。
さらに、テクニカルアーティストは、PS3とXbox360の2つのプラットフォームで展開するために、どの技術を採用すればいいかといった知識も求められる。グラフィック職は、ハードウエアの能力を活用してできるだけ美しい画像を描き出せるようにしたいと思っているものの、プログラム的な知識を持っていない。それを技術面で助けるという立場になる。
■急激に広がるテクニカルアーティスト職
この職種のルーツは、映画業界の「テクニカルディレクター」にあるようだ。ピクサーなどCG映画を制作する会社では、その時代のコンピューター性能やグラフィックス技術の範囲内で、何を採用して映画を作るかを判断するテクニカルディレクターという職種がある。
ただし、映画は完成した動画をそのまま再生する非リアルタイム処理であり、ユーザーの入力にしたがってリアルタイム処理で動画を生成するゲーム業界とは技術的に求められるものが異なる。ゲーム産業では、単にテクニカルディレクターという名称に収めることができなくなった。
そこで、数ある技術要素のなかでもグラフィックだけに集中するテクニカルアーティストという職種が発生してきたというのが歴史的な経緯であるようだ。しかし、その職種の責任者は「テクニカルアートディレクター」と呼ぶようなので、ややこしい。
■5年前に会社を説得することから始まった職種
この職種が生まれる過程を理解するうえで、興味深い発言がある。アクションゲーム「セインツロウ(Saints Row)」の開発会社として知られる米Volitionが、同社のテクニカルアーティストであるジュフ・ウォーカー氏のインタビューを昨年12月に同社サイトに掲載している。
そこでは、「最大の挑戦だったのが、テクニカルアーティストの必要性を会社に説得することだった。5年前でさえ、会社はテクニカルアーティストの必要性について納得していなかったので、説得し続けた」と述べられている。その後、会社は劇的に考えを変えてくれたという。
セインツロウは、「グランドセフトオート」と同じように、仮想の都市でプレーヤーが自由にインタラクティブを楽しむといったスタイルのゲームだ。「オープンワールド型」と呼んだりもする。
このタイプのゲームは、データを動的に読み込みながら広い空間を表示するため、初期段階でかなり厳密にグラフィックの仕様を設計する必要性がある。その設計が悪いと、ゲーム中にフレームレート(1秒間あたりの画像枚数)が低下するなど、グラフィッククオリティーの劣化が表面化する。
ウォーカー氏が、テクニカルアーティストという職種の必要性を会社側に訴えた背景には、テクニカルアーティストの働きがそういったゲームのクオリティーに直結するという事情があったためと思われる。
■今後、日本でも認知が広がる
テクニカルアーティストは、欧米圏ではグラフィック職を支援するための専門職として確立しつつある。特に大規模化するプロジェクトでは、この職種次第でゲームのクオリティーが決まるほどになろうとしている。
昨年8月に米Gamasutra誌に掲載された記事「コードとアートの分断:どのようにテクニカルアーティストはギャップに橋をかけるか」では、大雑把に言って80-90人の開発チームには「3人から4人のテクニカルアーティストが必要であることがわかった」と書かれている。
もちろん日本でも、似たような職種は、テクニカルアーティストという呼称ではないにしても、大規模プロジェクトの大半ですでに存在している。ただ、グラフィック職への協力に力点が置かれたプログラム職の必要性は、それほど強く認識されているとまでは聞かない。Volitionのウォーカー氏が5年前に置かれた状況に近い企業も多いと思われる。
ただ、欧米企業でもここ数年急速に広がったように、メリットが見えやすい職種ではある。概念が一度理解できれば、日本の開発現場でもテクニカルアーティストとしてのノウハウの吸収と定着が早く進むかもしれないと思っている。
日本のアニメが世界で熱狂的に受け入れられる――そんな時代が、過去の物になりつつあるようだ。
「2010年以降、日本アニメの世界市場は縮小する」と、テレ東アニメ事業部長の経験もある岩田圭介さんは予測する。日本アニメは世界市場ですでに「飽和状態」で、成長の余地が見えないという。
世界同時不況やネットの違法配信の影響などで、北米市場は「ぼろぼろ」、欧州市場も厳しく、中東やアジアなど新市場も期待薄。「このままでは、日本のアニメを日本の市場だけで売る一昔前に戻るかもしれない」ほど事態は深刻だ。
逆風下での生き残りをかけてテレ東は、米国の動画投稿サイトでアニメを配信するなど、新たな取り組みを進めている。
「こんなものでも買うんだ、という作品も売れていた」が……
日本アニメの海外進出は、「新世紀エヴァンゲリオン」(1996~97年)を機に急拡大したという。それまでは「金髪のジェニー」や「ムーミン」といった、海外を舞台にした“無国籍アニメ”が受け入れられていたが、エヴァは日本のアニメとして歓迎され、市場を一気に広げた。
97年ごろから「ポケットモンスター」が海外でメジャー作品化。02年には「遊戯王」がさらに市場を拡大し、日本のアニメは売り手市場に。「こんなものでも買うんだ、と思うようなアニメがセットで売れていった」。02年以降、「NARUTO」も世界的にヒットし、海外のティーンエイジャーや「OTAKU」層の心をとらえた。
その後は「ケロロ軍曹」「ブルードラゴン」といったタイトルが海外展開を開始・準備しており、09年までは、NARUTOまでの作品が広げてきた海外ファンからのニーズを、複数のタイトルで支えている状況が続くと岩田さんはみる。
だが市場はすでに飽和状態。「10年以降、世界市場が縮小するというシナリオが、容易に想像できる」
市場の飽和に加え、世界同時不況や各国の事情、動画共有サイトの違法配信が、日本アニメ輸出に暗い影を落としている。
アニメ輸出、米国も欧州もアジアも厳しい
アニメ業界も、世界同時不況の波をかぶっている。輸出産業として円高の影響を受けている上、最大の輸出市場だった米国や欧州も不況のまっただ中だ。
市場環境の厳しさに加え、米国では、地上波放送で日本アニメの視聴率が低迷。地上波放送局は、日本アニメの暴力的な内容や、グッズ販売を前提にした構成を嫌い始め、アニメへのニーズ自体が低下しているという。
日本のアニメ配給を手掛けてきた米国の「4Kids TV」は、FOXテレビのアニメ枠から撤退。アニメ専門チャンネル「Cartoon Network」も一時日本アニメから全面撤退した。Cartoon Networkは、「オタク向けの『Adult Swim』(14歳以上限定)で一部復活した」が、ポケモンやNARUTOレベルのヒットは望めない状況だ。DVD市場も厳しく、「全米で400本しか売れないタイトルもあった」という。
欧州も状況は厳しい。もともと自国文化の育成に力を入れている国が多く、海外アニメを放送できる枠が少ない中で、「買ったものの放送できず、手つかずのタイトルが山のように残っている。新しい物がいらない状況」。言語や文化のギャップも大きいという。
さらに、違法配信サイトや動画共有サイトの台頭が、地上波テレビを中心としたアニメのビジネスモデルを破壊。「日本でアニメを放送された翌日には、現地語の字幕を付けてネットにアップされてしまう」ため、日本で放送終了した作品を海外に販売するころには、海外ファンはすでにそのアニメを見ており、視聴率が取れなくなる。「成功の方程式――テレビメディアのビジネスモデルが崩れた」
国内でも、アニメが置かれた状況は厳しい。日本動画協会の発表によると、国内アニメ産業の総売上高(海外販売も含む)は06年がピークで、07年には前年を割った。
「アニメ業界にはマイナス要素の方あまりにも多すぎる」と岩田さんは指摘する。マイナス要素とは、(1)地上波テレビが不況に入った(日本民間放送連盟加盟127社のうち、約4割の55社が08年9月期経常赤字に)、(2)アニメは視聴率が取れないため「キー局でゴールデンタイムに放送するのは不可能」、(3)アニメ単体でヒットする作品がない――など。アニメの制作本数も激減している。
プラス要素として唯一挙げたのは、アニメを流すメディアが多様化していることだ。BSやCS、地上波デジタルなどで多チャンネル化が進んでいるほか、ネット配信や携帯電話向け配信も盛ん。「ニンテンドーDS」や「Wii」「プレイステーション 3」などゲーム機向けにもネット配信できる環境が整っている。
「危機はチャンス」――テレビ東京は今後もアニメを積極展開する方針で、ネットを活用した新たなビジネスにチャレンジしている。
1月から、米国のアニメ専門動画共有サイト「Crunchyroll」で、「NARUTO」「銀魂」など「テレビ東京の最強コンテンツ」を、日本での放送の1時間後に有料配信。月額7ドルで、会員数は1万人を超えたという。日本のアニメチャンネル「AT-X」(月額1575円、4月から1890円に値上げ)の会員数は「10年かけて10万人になった」というから、1カ月弱で1万人を達成した意味は大きい。
日本では、地上波テレビのビジネスモデルがまだある程度健在とみており、国内でのアニメのネット配信には慎重だ。それでも「需給バランスは崩れ、枠が余っている。タカビーで敷居が高いテレビではやっていけない」。状況を悲観するのではなくチャンスととらえ、ほかの媒体と連携しながら新しいビジネスモデルを築いていく考えだ。
「テクニカルアーティスト」というゲーム開発の新職種 GDCを読む(COLUMN2)
米サンフランシスコで3月23~27日に開催される「ゲーム開発者会議(GDC)」関連の発表が増えてきた。昨年のGDCの参加者数は1万8000人を超え、5日間で400あまりの講演やパネルディスカッションが開かれた。世界のゲーム産業の情報が集まる場として、その影響力は年々増している。今回は、予定されている講演概要を通じて見えてくる欧米のゲーム開発のトレンドを紹介しよう。
■グラフィック職ではない「アーティスト」?
日本人開発者の間で、「テクニカルアーティスト(technical artist)」という職種の定義について混乱が起きている。この職種名は、英語で書かれた開発関連の文書でこのところよく見かけるようになり、今年のGDCでも関連するセッションが10あまり予定されている。しかし、日本では職種が確立されていないため、一見して技術に通じたグラフィック職(アーティスト)と思ってしまう人もいるようだ。
テクノロジーを駆使した「メディアアーティスト」のことを指すような響きもあるが、まったく違う。現状、的確な日本語訳はない。
テクニカルアーティストとは、ここ数年で重要度を増してきたプログラマーの新しい職種のことだ。明確な定義は英語でも存在していないのだが、グラフィック職を支援するためのプログラム職で、ゲームを開発するうえでどの技術を採用するかを考え、グラフィックスについての開発のパイプライン(データの流れ)を設計し、それにあわせてグラフィック職の仕事のワークフロー(手順)を作り上げるという職種であるようだ。
そのため、先端技術に通じている必要があり、また現在のハードウエア性能でそれらの技術がどの程度実現できるのか、そして複雑化するツール類の何を使って生産性を上げるのかという具体的な判断ができる高度なスキルや知識が求められる。
「プレイステーション3(PS3)」や「Xbox360」のような最新ハードウエアは、グラフィック処理性能が高い。とはいっても、その性能が無限に引き上がったというわけでもない。
そこで、ゲーム表現を効果的に見せるためには、アーティストが表現したいこととそれに必要な要素を考え、そこから何を選んで何を捨て、どのような設計に基づいて開発を進めるかを選択することがますます重要になる。
さらに、テクニカルアーティストは、PS3とXbox360の2つのプラットフォームで展開するために、どの技術を採用すればいいかといった知識も求められる。グラフィック職は、ハードウエアの能力を活用してできるだけ美しい画像を描き出せるようにしたいと思っているものの、プログラム的な知識を持っていない。それを技術面で助けるという立場になる。
■急激に広がるテクニカルアーティスト職
この職種のルーツは、映画業界の「テクニカルディレクター」にあるようだ。ピクサーなどCG映画を制作する会社では、その時代のコンピューター性能やグラフィックス技術の範囲内で、何を採用して映画を作るかを判断するテクニカルディレクターという職種がある。
ただし、映画は完成した動画をそのまま再生する非リアルタイム処理であり、ユーザーの入力にしたがってリアルタイム処理で動画を生成するゲーム業界とは技術的に求められるものが異なる。ゲーム産業では、単にテクニカルディレクターという名称に収めることができなくなった。
そこで、数ある技術要素のなかでもグラフィックだけに集中するテクニカルアーティストという職種が発生してきたというのが歴史的な経緯であるようだ。しかし、その職種の責任者は「テクニカルアートディレクター」と呼ぶようなので、ややこしい。
■5年前に会社を説得することから始まった職種
この職種が生まれる過程を理解するうえで、興味深い発言がある。アクションゲーム「セインツロウ(Saints Row)」の開発会社として知られる米Volitionが、同社のテクニカルアーティストであるジュフ・ウォーカー氏のインタビューを昨年12月に同社サイトに掲載している。
そこでは、「最大の挑戦だったのが、テクニカルアーティストの必要性を会社に説得することだった。5年前でさえ、会社はテクニカルアーティストの必要性について納得していなかったので、説得し続けた」と述べられている。その後、会社は劇的に考えを変えてくれたという。
セインツロウは、「グランドセフトオート」と同じように、仮想の都市でプレーヤーが自由にインタラクティブを楽しむといったスタイルのゲームだ。「オープンワールド型」と呼んだりもする。
このタイプのゲームは、データを動的に読み込みながら広い空間を表示するため、初期段階でかなり厳密にグラフィックの仕様を設計する必要性がある。その設計が悪いと、ゲーム中にフレームレート(1秒間あたりの画像枚数)が低下するなど、グラフィッククオリティーの劣化が表面化する。
ウォーカー氏が、テクニカルアーティストという職種の必要性を会社側に訴えた背景には、テクニカルアーティストの働きがそういったゲームのクオリティーに直結するという事情があったためと思われる。
■今後、日本でも認知が広がる
テクニカルアーティストは、欧米圏ではグラフィック職を支援するための専門職として確立しつつある。特に大規模化するプロジェクトでは、この職種次第でゲームのクオリティーが決まるほどになろうとしている。
昨年8月に米Gamasutra誌に掲載された記事「コードとアートの分断:どのようにテクニカルアーティストはギャップに橋をかけるか」では、大雑把に言って80-90人の開発チームには「3人から4人のテクニカルアーティストが必要であることがわかった」と書かれている。
もちろん日本でも、似たような職種は、テクニカルアーティストという呼称ではないにしても、大規模プロジェクトの大半ですでに存在している。ただ、グラフィック職への協力に力点が置かれたプログラム職の必要性は、それほど強く認識されているとまでは聞かない。Volitionのウォーカー氏が5年前に置かれた状況に近い企業も多いと思われる。
ただ、欧米企業でもここ数年急速に広がったように、メリットが見えやすい職種ではある。概念が一度理解できれば、日本の開発現場でもテクニカルアーティストとしてのノウハウの吸収と定着が早く進むかもしれないと思っている。
動画共有サイトで広がる「実況プレイ」の波(COLUMN)
ある人が「ニコニコ動画」のカテゴリ別動画数をカウントしてみたところ、なんと「ゲーム」カテゴリがもっとも多く、全動画の実に4割以上を「ゲーム」関連の動画が占めたとのこと。果たして、ゲーム動画の人気の理由は?
他人のプレイを見る、という遊び「~を実況プレイ」といったタイトルの動画であふれかえるゲームカテゴリ。正直ちょっと増えすぎな気がしなくもない
公式コラム「ニコニコラム」でも触れられていたが、動画投稿サイト「ニコニコ動画」のカテゴリ別動画数を調べた人がおり、その結果に注目が集まっている。
今回調査を行ったのは、ブログ「longlowの日記」管理人のlonglowさん。こちらの調査結果によると、2009年1月8日時点におけるトップは「ゲーム」カテゴリで、その数実に約74.9万本、全動画の43.7%を占めるに至ったとのこと。以下、2位の「音楽」が約26.4万本、3位の「アニメ」が約12.6万本と続くが、2位、3位と比較しても「ゲーム」カテゴリの多さが際立つ結果となった。ちなみに2007年9月にも運営側により同様の調査が行われたことがあったが、この時はゲームが約11.3万本、音楽が約5.5万本、アニメが約6.8万本という結果に。ゲームが1位という点では今と変わっていないものの、2位以下との差は今ほど大きくなかったことが見て取れる。
こうした躍進の背景として考えられるのが「実況プレイ」系動画の増加だ。単にゲームのプレイ映像を録画するのではなく、同時にその様子をマイクで録音&実況する――というものなのだが、試しに「ゲーム」カテゴリをクリックしてみたところ、トップに表示された動画30本(コメントが新しい順)のうち、22本を「実況プレイ」系動画が占めるという結果となった。現在では「ニコニコ動画」内だけでも200人以上の「実況プレイヤー」が存在しているとされ、一昔前に比べると明らかにその数は増えてきていることがうかがえる。
そもそもゲームという遊びは、誰かがプレイすることではじめて完成するもの。同じゲームでも、自分がプレイするのと他人がプレイするのとではまったく違った印象になることがあるが、そんな驚きや楽しさ、感覚のズレを味わえるのが「実況プレイ」動画の醍醐味だろう。思えばファミコンの時代から「誰かが遊んでいるのを後ろから見ている方が好き」という人はけっこう多かったが、YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サイトが現れたことで、「他人のプレイを見る」というスタイルが、ゲームの楽しみ方のひとつとして広く定着したと言えなくもない。
ただ一点注意していただきたいのは、ゲームのプレイ動画を録画してアップロードする行為も、アニメやテレビ番組をアップロードするのと同様、著作権にひっかかる可能性があるという点。これについては上記「ニコニコラム」内でも、「これはコラムで、ふ、触れられないことかな~。権利者、あ、なんでもないです」などと言葉を濁しており、運営側としてもこのあたりはなかなか触れにくい話題となっている模様。
ただ現時点では、表立って推奨はしていないものの「黙認」しているメーカーが多いのも事実で、longlowさんもコメント内で、ゲーム動画の「消されにくさ」も動画数のアップに影響しているのではと言及している。また、最近では「まいにちいっしょ」のように、ソフト自体にYouTubeへの動画アップロード機能を備えるものなども出てきており、メーカー側にも少しずつ「他人のプレイを見る」という遊びを取り入れる動きは広がってきている様子。グレーな側面も残っているとは言え、新たなゲームの楽しみ方のひとつとして、注目してみてはいかがだろうか。
政府、「環境関連」関税軽減促す WTOに提案へ
政府は次世代自動車や燃料電池など環境対策に関連する物品の貿易自由化に向け、世界貿易機関(WTO)多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)に独自案を提出する方針を固めた。31日にスイスのダボスで開くWTO非公式閣僚会合で、二階俊博経済産業相が近日中に提出する意向を表明する。2月中旬をめどに日本として関税の撤廃・削減が重要とみている環境物品の品目リストをまとめる。
ドーハ・ラウンドは農産品や鉱工業品、環境などの分野ごとに議論を進めている。環境物品交渉は昨年10月、具体的品目を提示する際の手続きの形式が加盟国に示されたが、作業日程などは決まっていない状態だ。
ロシア、ルーブル安止まらず 1998年危機以来の苦境
【モスクワ=古川英治】ロシアの通貨ルーブルの下げが止まらない。大規模なルーブル買い介入にもかかわらず対ドル相場は1998年のデノミ以降の最安値を連日更新し、中央銀行が維持するとした「防衛ライン」(1ドル=約36ルーブル)割れが確実な情勢だ。原油安の影響で2009年は財政赤字とマイナス成長が濃厚となっており、債務不履行と通貨切り下げに追い込まれた98年の経済危機以来の苦境に陥っている。
ルーブルの対ドル相場は30日、1ドル=35ルーブル台と、昨年7月の高値から50%超下落した。中銀は連日数十億ドル規模のドル売り介入を繰り返しており、外貨準備高も急減している。ある国内銀行の幹部は「政府からはルーブル売りを控えるよう指示がきているが、誰もが外貨確保に走っている」と話す。
不良債権、大手銀に重し 4―12月期決算、保有株下落も響く
金融危機下の大手銀行の業績悪化が鮮明になってきた。みずほフィナンシャルグループなど大手4行が30日発表した2008年4―12月期決算は、りそなホールディングスの連結最終利益が前年同期比41%減、中央三井トラスト・ホールディングスが85%減など軒並み大幅減益となり、みずほは505億円の最終赤字(前年同期は3930億円の黒字)に転落した。景気の急減速に伴う不良債権処理損失の増加と、保有株式の価格下落が業績を直撃した。
取引先企業の業績悪化や倒産で不良債権処理損失は各行で急増。みずほは傘下銀行合算で2191億円の損失を計上した。
米GDP、10―12月3.8%減 オバマ大統領「景気後退は深刻」
【ワシントン=大隅隆】米商務省が30日発表した昨年10―12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期の昨年7―9月期(0.5%減)に比べ年率換算(季節調整済み)で3.8%減少した。2期連続のマイナス成長。個人消費など内需が総崩れとなったうえ世界経済の失速で輸出もマイナスに転じた。経済情勢悪化は年明け以降も続いており、米国の景気後退は戦後最長になる可能性が高まってきた。
オバマ大統領は30日の演説で「景気後退は深刻になっている」と発言、議会で審議中の景気対策の早期成立を訴えた。また、バイデン副大統領をトップとする中間層支援のための特別チームの設置を正式発表した。
主要証券、14社が最終赤字 4―12月、金融商品に多額損失
主要証券20社の2008年4―12月期決算が出そろった。金融危機が深まり、市場が極端な信用収縮に陥った10月以降、野村ホールディングスなど大手を中心に保有する金融商品などに多額の損失が発生。株安・円高の進行で個人向けの投資信託の販売も苦戦し、14社が最終赤字、6社が減益となる厳しい決算だった。1月以降も状況は変わらず、09年3月期通期も最終赤字が避けられない証券会社が相次ぎそうだ。
米リーマン・ブラザーズの破綻を機に広がった金融危機は世界同時株安に波及。昨年10月下旬に日経平均株価は一時7000円台を割り込み、バブル後最安値を更新。新興国の株式相場も急落し、投信販売にも急ブレーキがかかった。大手6社の最終赤字の合計は6000億円を超えた。大半の損失は10―12月期に発生しており、「歴史に残るひどい四半期」(椛嶋文雄・新光証券副社長)となった。
3大都市圏への人口流出入、12月は東京・愛知で転出超
総務省が30日に発表した住民基本台帳に基づく2008年の人口移動報告によると、都市部への人口集中に歯止めがかかった。12月の単月では東京都は9年ぶり、愛知県も5年2カ月ぶりに転出超過となり、急速な景気減速を映した格好だ。通年では3大都市圏への転入超過が続いているものの、増加数は15万4078人と前年比で約3000人の減少。5年ぶりに伸びが鈍化した。
08年の東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の転入超過は15万1696人で、前年より増加幅が約3500人減少した。名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)の転入超過は1万3525人。自動車、電機など製造業の不振を反映し、増加幅が前年比約4000人減となった。
一方、大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)は1万1143人の転出超過。依然として人口流出が続いているが、前年より減少幅は縮んだ。
NECがグループで2万人超削減 09年度中に
NECは30日、ソフトウエアの開発などで業務を委託している企業を含め、グループで2009年度中に2万人超を削減すると発表した。世界的な景気後退の影響で、2009年3月期の連結最終損益(米国会計基準)は2900億円の赤字(前期は227億円の黒字)になる見通し。業績悪化に対応して、経営体質の改善を加速する。
2万人のうち国内で8000人、海外で1万2000人を削減する。正社員は、すでに国内外で9450人の削減を発表している電子部品子会社のNECトーキンを含め、グループ全体で1万人減らす。
派遣と業務委託先の社員など正社員以外は1万人を削減する計画。このうち、半導体子会社のNECエレクトロニクスはすでに1200人の派遣社員削減を打ち出しており、このほかソフト開発などで業務委託していた約9000人分の仕事を自社に切り替える形で、人員を減らす。
経済急降下 「最長景気」後の厳しい試練(1月31日付・読売社説)
景気がこれほど急角度に落ち込むとは、誰が予想しただろうか。
30日に発表された生産、雇用、消費などの経済統計が、軒並み大幅な悪化を示した。落ち込みは今後しばらく続くと見ねばなるまい。
景気の底割れを食い止められるかどうかの正念場にある。政府・日銀は、政策を総動員し、切れ目なく対策を打つべきだ。
昨年12月の鉱工業生産は、前月比10%近く減少し、過去最大の下げ幅を2か月連続で更新した。
自動車や電機など輸出産業を中心に、今も減産が拡大している。海外景気が冷え込み、輸出の早期回復が望めない以上、さらなる生産の縮小は避けられまい。
さらに、減産で労働者の仕事が奪われている。12月の失業率は前月から一気に0・5ポイントも跳ね上がり、4・4%になった。しかも、リストラや倒産など「会社都合」の失業が急増している。
3月末までに失職見込みの非正規労働者も、これまでの8・5万人から12・5万人に急増した。
雇用悪化の影響で、家計の消費支出は10か月連続で前年を下回るなど、「負の連鎖」が一段と加速している。
内閣府は、2002年2月に始まった景気拡大が、07年10月で終わっていたと認定した。
5年9か月に及んだ「戦後最長景気」の実質成長率は年平均2%で、「いざなぎ景気」の5分の1にすぎない。
国全体の経済がそう大きく膨らまなかった割に、リストラの強化で企業は大幅な利益をあげた。しかし、利益の多くが株主配当や内部留保に回り、労働者の収入は増えなかった。
これも内需の柱である消費が弱まり、外需依存を強めた一因だろう。成長の果実が企業から家計に渡り、さらに企業に還元するサイクルを取り戻さねばならない。
景気は後退期に入ってからすでに1年を超えており、日本経済は「長く深い」不況のトンネルに迷い込みつつある。
政府・日銀は、総額75兆円の景気対策を打ち出している。中小企業の資金繰り支援や雇用対策など、悪化のショックを和らげる重要な政策だが、応急処置だけで長期不況から脱するのは難しい。
景気浮揚を目指し、財政出動による追加策の検討が必要だ。
ただし、省エネ・環境や医療・介護分野、学校耐震化など、将来の成長や安心・安全につながる事業に配分し、ばらまきは避けねばならない。
ある人が「ニコニコ動画」のカテゴリ別動画数をカウントしてみたところ、なんと「ゲーム」カテゴリがもっとも多く、全動画の実に4割以上を「ゲーム」関連の動画が占めたとのこと。果たして、ゲーム動画の人気の理由は?
他人のプレイを見る、という遊び「~を実況プレイ」といったタイトルの動画であふれかえるゲームカテゴリ。正直ちょっと増えすぎな気がしなくもない
公式コラム「ニコニコラム」でも触れられていたが、動画投稿サイト「ニコニコ動画」のカテゴリ別動画数を調べた人がおり、その結果に注目が集まっている。
今回調査を行ったのは、ブログ「longlowの日記」管理人のlonglowさん。こちらの調査結果によると、2009年1月8日時点におけるトップは「ゲーム」カテゴリで、その数実に約74.9万本、全動画の43.7%を占めるに至ったとのこと。以下、2位の「音楽」が約26.4万本、3位の「アニメ」が約12.6万本と続くが、2位、3位と比較しても「ゲーム」カテゴリの多さが際立つ結果となった。ちなみに2007年9月にも運営側により同様の調査が行われたことがあったが、この時はゲームが約11.3万本、音楽が約5.5万本、アニメが約6.8万本という結果に。ゲームが1位という点では今と変わっていないものの、2位以下との差は今ほど大きくなかったことが見て取れる。
こうした躍進の背景として考えられるのが「実況プレイ」系動画の増加だ。単にゲームのプレイ映像を録画するのではなく、同時にその様子をマイクで録音&実況する――というものなのだが、試しに「ゲーム」カテゴリをクリックしてみたところ、トップに表示された動画30本(コメントが新しい順)のうち、22本を「実況プレイ」系動画が占めるという結果となった。現在では「ニコニコ動画」内だけでも200人以上の「実況プレイヤー」が存在しているとされ、一昔前に比べると明らかにその数は増えてきていることがうかがえる。
そもそもゲームという遊びは、誰かがプレイすることではじめて完成するもの。同じゲームでも、自分がプレイするのと他人がプレイするのとではまったく違った印象になることがあるが、そんな驚きや楽しさ、感覚のズレを味わえるのが「実況プレイ」動画の醍醐味だろう。思えばファミコンの時代から「誰かが遊んでいるのを後ろから見ている方が好き」という人はけっこう多かったが、YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サイトが現れたことで、「他人のプレイを見る」というスタイルが、ゲームの楽しみ方のひとつとして広く定着したと言えなくもない。
ただ一点注意していただきたいのは、ゲームのプレイ動画を録画してアップロードする行為も、アニメやテレビ番組をアップロードするのと同様、著作権にひっかかる可能性があるという点。これについては上記「ニコニコラム」内でも、「これはコラムで、ふ、触れられないことかな~。権利者、あ、なんでもないです」などと言葉を濁しており、運営側としてもこのあたりはなかなか触れにくい話題となっている模様。
ただ現時点では、表立って推奨はしていないものの「黙認」しているメーカーが多いのも事実で、longlowさんもコメント内で、ゲーム動画の「消されにくさ」も動画数のアップに影響しているのではと言及している。また、最近では「まいにちいっしょ」のように、ソフト自体にYouTubeへの動画アップロード機能を備えるものなども出てきており、メーカー側にも少しずつ「他人のプレイを見る」という遊びを取り入れる動きは広がってきている様子。グレーな側面も残っているとは言え、新たなゲームの楽しみ方のひとつとして、注目してみてはいかがだろうか。
政府、「環境関連」関税軽減促す WTOに提案へ
政府は次世代自動車や燃料電池など環境対策に関連する物品の貿易自由化に向け、世界貿易機関(WTO)多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)に独自案を提出する方針を固めた。31日にスイスのダボスで開くWTO非公式閣僚会合で、二階俊博経済産業相が近日中に提出する意向を表明する。2月中旬をめどに日本として関税の撤廃・削減が重要とみている環境物品の品目リストをまとめる。
ドーハ・ラウンドは農産品や鉱工業品、環境などの分野ごとに議論を進めている。環境物品交渉は昨年10月、具体的品目を提示する際の手続きの形式が加盟国に示されたが、作業日程などは決まっていない状態だ。
ロシア、ルーブル安止まらず 1998年危機以来の苦境
【モスクワ=古川英治】ロシアの通貨ルーブルの下げが止まらない。大規模なルーブル買い介入にもかかわらず対ドル相場は1998年のデノミ以降の最安値を連日更新し、中央銀行が維持するとした「防衛ライン」(1ドル=約36ルーブル)割れが確実な情勢だ。原油安の影響で2009年は財政赤字とマイナス成長が濃厚となっており、債務不履行と通貨切り下げに追い込まれた98年の経済危機以来の苦境に陥っている。
ルーブルの対ドル相場は30日、1ドル=35ルーブル台と、昨年7月の高値から50%超下落した。中銀は連日数十億ドル規模のドル売り介入を繰り返しており、外貨準備高も急減している。ある国内銀行の幹部は「政府からはルーブル売りを控えるよう指示がきているが、誰もが外貨確保に走っている」と話す。
不良債権、大手銀に重し 4―12月期決算、保有株下落も響く
金融危機下の大手銀行の業績悪化が鮮明になってきた。みずほフィナンシャルグループなど大手4行が30日発表した2008年4―12月期決算は、りそなホールディングスの連結最終利益が前年同期比41%減、中央三井トラスト・ホールディングスが85%減など軒並み大幅減益となり、みずほは505億円の最終赤字(前年同期は3930億円の黒字)に転落した。景気の急減速に伴う不良債権処理損失の増加と、保有株式の価格下落が業績を直撃した。
取引先企業の業績悪化や倒産で不良債権処理損失は各行で急増。みずほは傘下銀行合算で2191億円の損失を計上した。
米GDP、10―12月3.8%減 オバマ大統領「景気後退は深刻」
【ワシントン=大隅隆】米商務省が30日発表した昨年10―12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期の昨年7―9月期(0.5%減)に比べ年率換算(季節調整済み)で3.8%減少した。2期連続のマイナス成長。個人消費など内需が総崩れとなったうえ世界経済の失速で輸出もマイナスに転じた。経済情勢悪化は年明け以降も続いており、米国の景気後退は戦後最長になる可能性が高まってきた。
オバマ大統領は30日の演説で「景気後退は深刻になっている」と発言、議会で審議中の景気対策の早期成立を訴えた。また、バイデン副大統領をトップとする中間層支援のための特別チームの設置を正式発表した。
主要証券、14社が最終赤字 4―12月、金融商品に多額損失
主要証券20社の2008年4―12月期決算が出そろった。金融危機が深まり、市場が極端な信用収縮に陥った10月以降、野村ホールディングスなど大手を中心に保有する金融商品などに多額の損失が発生。株安・円高の進行で個人向けの投資信託の販売も苦戦し、14社が最終赤字、6社が減益となる厳しい決算だった。1月以降も状況は変わらず、09年3月期通期も最終赤字が避けられない証券会社が相次ぎそうだ。
米リーマン・ブラザーズの破綻を機に広がった金融危機は世界同時株安に波及。昨年10月下旬に日経平均株価は一時7000円台を割り込み、バブル後最安値を更新。新興国の株式相場も急落し、投信販売にも急ブレーキがかかった。大手6社の最終赤字の合計は6000億円を超えた。大半の損失は10―12月期に発生しており、「歴史に残るひどい四半期」(椛嶋文雄・新光証券副社長)となった。
3大都市圏への人口流出入、12月は東京・愛知で転出超
総務省が30日に発表した住民基本台帳に基づく2008年の人口移動報告によると、都市部への人口集中に歯止めがかかった。12月の単月では東京都は9年ぶり、愛知県も5年2カ月ぶりに転出超過となり、急速な景気減速を映した格好だ。通年では3大都市圏への転入超過が続いているものの、増加数は15万4078人と前年比で約3000人の減少。5年ぶりに伸びが鈍化した。
08年の東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の転入超過は15万1696人で、前年より増加幅が約3500人減少した。名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)の転入超過は1万3525人。自動車、電機など製造業の不振を反映し、増加幅が前年比約4000人減となった。
一方、大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)は1万1143人の転出超過。依然として人口流出が続いているが、前年より減少幅は縮んだ。
NECがグループで2万人超削減 09年度中に
NECは30日、ソフトウエアの開発などで業務を委託している企業を含め、グループで2009年度中に2万人超を削減すると発表した。世界的な景気後退の影響で、2009年3月期の連結最終損益(米国会計基準)は2900億円の赤字(前期は227億円の黒字)になる見通し。業績悪化に対応して、経営体質の改善を加速する。
2万人のうち国内で8000人、海外で1万2000人を削減する。正社員は、すでに国内外で9450人の削減を発表している電子部品子会社のNECトーキンを含め、グループ全体で1万人減らす。
派遣と業務委託先の社員など正社員以外は1万人を削減する計画。このうち、半導体子会社のNECエレクトロニクスはすでに1200人の派遣社員削減を打ち出しており、このほかソフト開発などで業務委託していた約9000人分の仕事を自社に切り替える形で、人員を減らす。
経済急降下 「最長景気」後の厳しい試練(1月31日付・読売社説)
景気がこれほど急角度に落ち込むとは、誰が予想しただろうか。
30日に発表された生産、雇用、消費などの経済統計が、軒並み大幅な悪化を示した。落ち込みは今後しばらく続くと見ねばなるまい。
景気の底割れを食い止められるかどうかの正念場にある。政府・日銀は、政策を総動員し、切れ目なく対策を打つべきだ。
昨年12月の鉱工業生産は、前月比10%近く減少し、過去最大の下げ幅を2か月連続で更新した。
自動車や電機など輸出産業を中心に、今も減産が拡大している。海外景気が冷え込み、輸出の早期回復が望めない以上、さらなる生産の縮小は避けられまい。
さらに、減産で労働者の仕事が奪われている。12月の失業率は前月から一気に0・5ポイントも跳ね上がり、4・4%になった。しかも、リストラや倒産など「会社都合」の失業が急増している。
3月末までに失職見込みの非正規労働者も、これまでの8・5万人から12・5万人に急増した。
雇用悪化の影響で、家計の消費支出は10か月連続で前年を下回るなど、「負の連鎖」が一段と加速している。
内閣府は、2002年2月に始まった景気拡大が、07年10月で終わっていたと認定した。
5年9か月に及んだ「戦後最長景気」の実質成長率は年平均2%で、「いざなぎ景気」の5分の1にすぎない。
国全体の経済がそう大きく膨らまなかった割に、リストラの強化で企業は大幅な利益をあげた。しかし、利益の多くが株主配当や内部留保に回り、労働者の収入は増えなかった。
これも内需の柱である消費が弱まり、外需依存を強めた一因だろう。成長の果実が企業から家計に渡り、さらに企業に還元するサイクルを取り戻さねばならない。
景気は後退期に入ってからすでに1年を超えており、日本経済は「長く深い」不況のトンネルに迷い込みつつある。
政府・日銀は、総額75兆円の景気対策を打ち出している。中小企業の資金繰り支援や雇用対策など、悪化のショックを和らげる重要な政策だが、応急処置だけで長期不況から脱するのは難しい。
景気浮揚を目指し、財政出動による追加策の検討が必要だ。
ただし、省エネ・環境や医療・介護分野、学校耐震化など、将来の成長や安心・安全につながる事業に配分し、ばらまきは避けねばならない。