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PS3で一度は遊んでおきたいゲーム「アンチャーテッド2」(COLUMN)
 「プレイステーション3(PS3)」を持っているなら、必ず一度は遊んでおいた方がいいと誰もが口を揃えるゲームがある。昨年10月に発売されたアクションゲーム「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団(アンチャーテッド2)」(ソニー・コンピュータエンタテインメント)である。発売から約半年経過しているが、ゲームと映画の融合という意味では、いまだ他の追随を許さない。ゴールデンウイーク(GW)のおすすめの1本として、このゲームの持つ魅力を紹介しよう。
 アンチャーテッド2は全世界で400万本以上セールスした大ヒットタイトルで、欧米圏ではゲームメディアの賞を総なめにした。日本での販売はなぜか10万本前後にとどまるが、財宝ハンターの主人公ネイト・ドレイクが神秘の王国「シャングリラ」の秘宝を探して世界を冒険するというストーリーは、アクション映画ファンやコアなゲーマーにとどまらず、親しむことができる。
 3Dのコンピューターグラフィックスを駆使したアクションアドベンチャーゲームは数多くあるが、アンチャーテッド2は「アクティブなシネマ体験を作り上げる」という目的を高い完成度で実現したのが最大の特徴だ。映画的要素とゲームがここまで自然に一体化したタイトルは初めてといっていいが、そこにはユーザーを引き込んで飽きさせない数多くの工夫がある。
冒頭シーンでひき付ける仕掛け
 ゲームスタート直後、主人公のドレイクは列車の中で、お腹から血を流し苦しそうな顔で座っている。その列車は崖から宙ぶらりんの状態で、外は雪山。プレーヤーには何の手がかりもないまま、ドレイクを列車から脱出させるためのアクションがいきなり始まる。
 その動きはかなりアクロバティックで、車両のパイプにぶら下がったり飛び移ったりするが、途中でつかんだパイプは突然折れ曲がり、頭の上からは岩も落ちてくる。やっとの
 難しそうなアクションに感じられるが、このスタート部分はチュートリアル(操作説明)をかねている。どのタイミングで岩が落下するかはあらかじめコントロールされており、プレーヤーが失敗することはほとんどない。にもかかわらず、冒頭突然の宙ぶらりん映像にドキドキさせられ、見事にキャラクターとの一体感が増す。
 この雪山になぜドレイクが来なければならなかったのかは明かされることなく、ゲームはかなり前の時間に戻る。この雪山シーンには再び出会うことになるのだが、中盤のクライマックスを最初にぶつけることで、ユーザーに強烈な「引き」を提供している。
高低感を強調した映像もインパクト
 ゲームのクライマックスを冒頭に見せるという構成は、長い時間遊べるシングルプレー用のゲームでは、冒頭の引きを作るテクニックとして一般化しつつある。例えば、マンハッタン島で起きた人為的な細菌感染によりスーパーパワーをもったダークヒーローが登場する「PROTOTYPE」(Activision、Xbox360、PS3、日本語版未発売)では、ゲーム開始直後にいきなり最終シーンをみせる。その最初のゲームを終えると、3週間前に戻って各章が進むという展開だが、ユーザーに主人公のパワーが最高レベルに達した状態を最初に知らせて、それを目標にゲームを進めてもらうという狙いもある。
 ホラー小説家のディーン・R・クーンツは「ベストセラー小説の書き方」(朝日文庫)で、「最初の3ページが勝負だ」と書いている。出だしで読者の心をつかまなければ、その先まで読んでもらえないという往年のベストセラー作家らしい小説作法で、そのために冒頭から主人公を過酷な困難に放り込むべきとも強調している。
 この手法は小説では確かに適切かもしれないが、ゲームのクライマックスはボス戦など難易度の高いプレーであることが多く、バランスを取るのが難しい。その点、アンチャーテッド2は意外性のある映像と危機的なシーンを組み合わせることで、ボスキャラのような敵を出すことなくユーザーの関心を引き寄せることに成功している。このゲームは全編に渡って、遠景の描写が美しい。冒頭の雪山シーンは、高低感を強調した演出で見たこともないようなアングルの映像を作り出し、その効果をさらに高めている。
シナリオ段階で徹底したこと
 冒頭の工夫は一例だ。このゲームはストーリー展開がパターン化しないように徹底しており、10時間あまりの全体のプレー時間を通じて同じようなシーンが一度もない。壁登りアクション、銃撃戦、パズルなどを組み合わせているようだが、舞台がジャングル、謎の地下寺院、弾丸列車、戦車との戦闘などと変わるごとに、新しい映像とアクションを用意しているため、最後まで退屈することがない。
 実際、このゲームの開発では、試作段階で大量のアイデアを準備し、シナリオで各シーンの構成要素が重ならないように検証したうえで開発に入っている。今年3月に米サンフランシスコで開かれた「ゲーム開発者会議(GDC)2010」では、ソニー・コンピュータエンタテインメント傘下の開発会社Naughty Dogのリチャード・レマルチャンド氏が、アイデアを書き込んだカードをボードに留めた写真などを交えながら、その開発過程を解説している。
リチャード・レマルチャンド氏
シナリオやアクションのアイデアを張り出したボード
開発中の検証作業が重要な役割
 こうした数多くのアイデアにインタラクティブ性を与えつつ、ストーリー全体として成功させるのには、同社の作り上げた品質保証(QA)プロセスが重要な役割を担った。開発プロジェクトの終了まで残り10カ月という段階で、社内専用ルームでプレーテスター15人による検証作業を実施したという。
 この作業では、ゲームを遊んだことがないテスターに何の情報もない状態でプレーしてもらう。遊んでいるすべての様子やデータは録画・保存され、ゲームデザイナーが意図したアイデアや難易度がプレーヤーにとって適切か、インタラクションが成功しているかなどを検証する。シリーズ前作のテスターは7人だったとのことで、今回は人数を倍にしてテストにより力を入れたことがうかがえる。
 ゲームと映画の融合は、ビデオゲームの開発者にとっては長年の夢の一つであったが、現在それに最も近づいたタイトルがアンチャーテッド2であるのは間違いない。高性能なゲーム機だからこそ実現できるおもしろさがあることを改めて教えてくれる。



日本企業、「上海」窓口に販路拡大やPR戦略
 1日に開幕した上海万博に合わせ、日本企業が現地でのブランドイメージの向上や、販路拡大に力を注いでいる。
 上海一の繁華街・南京東路に面する薬局「上海第一医薬商店」には、資生堂が3月から中国に初めて投入した、乾燥やニキビなどに悩む女性向け化粧品「DQ」が並ぶ。
 「3月の売り上げ目標を10%上回った」。販売員の載冬芝さん(26)の表情は明るい。中国のホワイトカラーの月給の約4分の1に当たる1000元(1万4000円)分を一度に買う客もおり、載さんはDQの集客効果に期待を寄せる。資生堂は、「日本と中国の化粧品市場の規模は数年以内に逆転する」(前田新造社長)と予想。百貨店と4500超の専門店に加えて、中国の繁華街にある薬局を第3の販売網に育てようとしている。
 また、急成長する個人消費を取り込もうと、中国に約50店を持つイオンは、今年度中に6店を出し、セブン&アイ・ホールディングスも、傘下のスーパーやコンビニの出店を急ぎ、ファミリーレストランを2~3年で30店程度に拡大する。トステムは4月8日に上海にショールームを開き、中国専用のドアやサッシなどの展示を始めた。
          ◇
 日本企業は、万博でのPRにも懸命だ。22企業と2地方自治体が参加する「日本産業館」では、ユニ・チャームが、中国で増産する紙おむつの便利さを体感してもらうイベントを開く。帝人は、再生可能な合成繊維の制服を日本産業館の各社に提供して、知名度アップを狙っている。
 食品業界では、キッコーマンが、繊細な味が特徴の日本のしょうゆを現地に広めるため、日本産業館に高級懐石料理店を出店した。
 万博では日本産業館のほか、政府と企業が共同出資する「日本館」があり、トヨタ自動車の一人乗り電気自動車、パナソニックが開発した壁とテレビの一体型ディスプレーなどが紹介されていた。
 上海万博事務局が予想する万博の来場者数は7000万人。上海財経大学の推計では、入場料や宿泊・飲食費など消費経済効果は795億元(約1兆1100億円)で、北京五輪の約3・5倍にのぼる。「上海の先進的な生活を目の当たりにした地方の人が感動して消費市場が拡大する」(三井住友銀行中国の薗田直孝企業調査部長)との指摘もある。



NYで不審車から煙、中に爆発物…劇場街封鎖
 【ニューヨーク=吉形祐司】米ニューヨークの繁華街タイムズ・スクエアで1日夕(日本時間2日朝)、不審な車両から煙が出ているのが見つかり、警察当局は観光客や周辺の住民らを避難させた。
 米メディアが警察、消防当局の情報として伝えたところでは、中から爆発物が見つかった。
 ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、米連邦当局は、テロとはみなしていないというが、同紙は車の中から爆発物とともにガソリンやプロパン、焼けこげたワイヤなどが発見されたと報じた。
 車両はコネティカット州のナンバープレートを付けたスポーツ用多目的車(SUV)で、閃光が目撃されている。
 現場は劇場街のある観光客に人気のスポットで、周辺は数ブロックにわたり閉鎖された。



国家公務員採用半減の方針 若者にしわ寄せに怒りの声
国家公務員の採用を2011年度分から半減させるという政府方針が、受験者らの怒りを買っている。あまりに拙速で、就職難に苦しむ若い世代のことを考えていないというのだ。現職世代の給料を減らすなどしなければ不公平だ、という声も大きくなっている。
2万人もが参加するミクシィの公務員試験対策コミュニティ。国家公務員一般職の採用半減方針が2010年4月27日に報じられると、強い不満の声が渦巻いた。
「あとは中国に出稼ぎでもしろというのか?」
本当に実行できるのか
「いきなり半減は鬼畜すぎ」「せめて半年ぐらい前に言えよ」「心が折れそうだ…」「政府まで採用削減…」「民間もだめ、公務もだめ、あとは中国に出稼ぎでもしろというのか?」…
もし半減すると、約4500人の枠が消えてしまうことになる。それも、現在準備している受験者が直接対象になるだけに、ショックが大きいわけだ。
鳩山政権は、天下りあっせんの全面禁止を打ち出しており、それだと中高年の肩たたきが減って人件費が膨れあがってしまう。民主党は09年の総選挙で国家公務員の総人件費2割削減をマニフェストに掲げており、それを達成するには結局、若者の採用を絞らざるをえなくなる。
深刻な不況で、民間企業が採用を極端に絞っているときだ。それにもかかわらず、政府が若者にしわ寄せを求めることに、反発も強いようだ。
「この時期にそんなの決めるって 若年層の雇用問題考えてなさすぎ」
「正直…議員定員及び給与削減をまずしてからにしてほしい」
「政治の場がジジイだけだから、ジジイ有利の国づくり」
ミクシィのコミュニティでは、こんな怒りの声が見られた。公務員労組からもバックアップを受ける民主党政権が、抜本的な公務員改革に踏み込もうとしないことに、もどかしい思いだけが残るようだ。採用半減を打ち出した原口一博総務相の27日の会見でも、給与引き下げなどはまったく言及されないままだった。
「現職世代の給料を減らせ」との声が多い
キャリアと言われる幹部候補を選ぶ国家Ⅰ種試験は、この不況下での公務員人気もあって、2010年度は申込者数が前年度より2割も増えた。それだけに、募集人数が減ればさらに難関になることも考えられるが、どうなのか。
LEC東京リーガルマインドで公務員講座を持っている大野純一講師は、「Ⅰ種は、ある程度採用する方向だと聞いています。ですから、そんなに大きな変動はないでしょう」とみる。原口総務相は4月27日の会見で、マニフェストに掲げた地方の出先機関原則廃止を進めるため、出先機関の採用を2割以内に抑制する考えを示しており、ここにはキャリアは出向者ぐらいしかいないからだ。
ただ、大野講師は、Ⅱ・Ⅲ種の試験には、影響が出る可能性があると言う。
「Ⅱ種は、政府が力を入れれば、減るでしょう。国家と地方との併願が多いので、その場合は地方に流れることになります。都市部の自治体では、団塊世代の大量退職で人員が不足していますが、それ以外の地方では、競争率がかなり高くなるでしょうね。一番影響が出そうなのが、Ⅲ種です。現業の民間委託が進んで募集が減っていますので、人員削減が加速してかなり厳しくなるでしょう」
同校でも、受験者らからの問い合わせが来ており、不安な様子だという。
また、別の公務員予備校の講座担当者も、受験者が地方に流れて競争が厳しくなると分析。「ネット上を見てみると、『若者の雇用を縮小してどうする』『現職世代の給料を減らせ』との声が多いようですね。行く先が減って、若者が職を探すエネルギーがなくなっているように感じます。ニートやフリーターを選んでいかざるをえないのか、といった不満を持っているようです」。
もっとも、政府幹部の発言がコロコロ変わり、10年夏の参院選で政界再編がささやかれるだけに、本当に採用を半減できるのか疑問も多いようだ。ある予備校関係者は、こう漏らす。
「受験者は、大ナタを振るえるほどの政治力があるのか、と半信半疑になっています。だから、『今後どうなるか分からないので、よく見ていく必要がある』と励ましているんですよ」



毎日社説:NPT運用会議 もう失敗は許されない
 5年前の失敗を繰り返したくない。というより、失敗は許されないのではないか。核の脅威は確実に高まっている。その半面、オバマ米大統領が主唱する「核兵器なき世界」への弾みも生まれた。3日から28日までニューヨークの国連本部で開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、世界が安定へ向かうか、さらに混迷を深めるかの重大な分かれ道と言ってもよかろう。
 1970年の発効から40年がたつNPTには190カ国が加盟し、5年ごとに運用状況を見直している。核兵器保有を容認された5カ国(米英仏露中)は核軍縮に努め、その他の国は原子力平和利用の権利を有するものの核兵器の開発・保有は許されない。それが条約の骨子だ。
 05年の前回会議は、米同時多発テロ(01年)やイラク戦争(03年開始)の影響もあって米ブッシュ政権は武断的な強硬姿勢に終始した。核実験全面禁止条約(CTBT)に反対し、新型核兵器開発も断念しない米国に対してイランなどの不満が爆発した。その結果、会議の最終文書を採択できず決裂状態で終わったのは、残念なことである。
 今回は心強いことに米国自身がNPT体制の強化をめざしている。オバマ大統領は4月に米露の新たな核軍縮条約に調印し、ワシントンで核安全保障サミットを開いた。それに先立って米国の「核態勢見直し」(NPR)報告を公表し、新型核の開発をしないことや、NPTを順守する国には原則的に核攻撃をしないことを明らかにした。
 再検討会議に照準を合わせて、核兵器を持たない国を広く味方につける作戦だろう。米国の力点は対イラン包囲網を築くことにありそうだが、前回会議後、2度も核実験を行った北朝鮮の核開発はイランより進んでいるはずだ。イランやシリアとの核技術協力も取りざたされる。そんな北朝鮮の脅威を十分に検討し、有効な対応策を打ち出してほしい。
 イスラエルへの対応も大切だ。中東では同国のみがNPTに加盟せず、しかも大量の核兵器を持つといわれる。イスラエルの同盟国である米国は95年の会議で、NPTの無期限延長の見返りとして「中東決議」の採択を容認した。だが、決議がめざす中東非核地帯構想などはまったく前進していない。
 アラブ諸国などの不満はもっともだ。米国は中東決議の実現に努力すべきである。だが、前回同様の紛糾や決裂は避けたい。イランはこの問題でも米国と対立しそうだが、まずは不透明な核開発をやめるのが筋だ。核の脅威は中東だけでなく東アジアにも他の地域にも存在する。より大きな視野で核を論じてほしい。
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前期純利益、3社に1社が危機前を上回る リストラが押し上げ、電力・製紙など回復
 上場企業の3社に1社で、2010年3月期の純利益がリーマン・ショック前の08年3月期を上回ったことが明らかになった。人件費などのコスト削減や原材料価格の下落が寄与し、電力・ガスや製紙、通信などを中心に業績水準が回復してきた。ただ、自動車や電機では、なお金融危機前を下回る企業が多い。全般に売上高の回復は遅れており、本格的な収益の拡大には時間がかかりそうだ。
 日本経済新聞社が3月期決算企業1765社(新興・金融除く)を集計した。4月末までに決算を発表したのは全体の約2割の357社。このうち、純利益が08年3月期を上回ったのは101社(28%)だった。今後の発表予定を含めると最終的には約580社(33%)に上る見込みだ。
 特に目立ったのがコスト削減型の業績改善だ。東京電力は修繕費や研究開発費などで約500億円を圧縮。地震による原子力発電所停止の影響を乗り越え、前期は1337億円の黒字に転換した。日本製紙グループ本社は原燃料価格の下落などが寄与。NTTドコモは携帯電話端末の販売手数料や通信設備費用を減らした。
 上場企業は08年3月期に過去最高の純利益を稼いだが、09年3月期は金融危機による世界的な景気悪化で急減した。前期の利益が「リーマン前」を上回った企業の6割強は売上高が減っており、リストラによる利益捻出(ねんしゅつ)が鮮明だ。
 一部には製品やサービス需要の開拓が業績を押し上げた企業もある。ユニ・チャームは大人用紙おむつやペットケア用品の国内販売が好調。ヤフーは電子商取引事業などが伸び、両社そろって増収、過去最高益となった。
 一方、自動車など主な製造業の回復度は08年3月期に比べるとなお鈍い。ホンダは6000億円近くコストを削減した結果、1年前に比べ利益が約2倍に伸びたが、水準はリーマン前の半分に届かず、売上高も約7割にとどまった。「利益水準が戻るにはかなりの時間がかかる」(ホンダ首脳)という。JFEホールディングスやコマツも利益は2割弱だ。
 米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)500種株価指数の採用企業をみると、09年の純利益が07年を上回ったのは約4割に上る。回復が遅れている日本企業の業績は今期、さらに改善する見通しだが、新興国の金融引き締め姿勢や、南欧諸国の財政問題を抱える欧州の信用不安など先行きに不透明要因も残っている。



米4州で非常事態宣言
メキシコ湾原油流出、英BP株価急落
 【ロンドン=石井一乗】米南部ルイジアナ州沖のメキシコ湾上で4月20日に爆発炎上した石油掘削基地からの原油流出の影響が深刻化してきた。事故現場に近いルイジアナなど南部4州は非常事態宣言を出した。深海での流出阻止作業は難航しており、油田権益を持っている英BPは株価が急落し、10日間で時価総額約2兆円を失った。
 この状況が長期化すれば、1989年に米アラスカ沖で起きたタンカーの原油流出事故に並ぶ過去最悪の事故になる恐れもある。AP通信は原油が流失した海域が東京都の面積の5倍近くにあたる9900平方キロメートルに達したとの見方を紹介。4月30日までに、大規模な汚染被害が懸念されるルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ、フロリダの各州は非常事態を宣言した。
 英紙フィナンシャル・タイムズによるとルイジアナ州のエビやカキなどの漁業は24億ドル(約2200億円)規模の産業で、原油流出が打撃を与える可能性もある。オバマ米大統領は2日、ルイジアナ州などメキシコ湾沿岸地域を訪問する。
 原油価格も上昇し、ニューヨーク原油先物相場は4月30日、86ドル台に上昇し、一時約3週間ぶりの高値をつけた。米経済指標の回復が主要因だが、事故を受けて米石油在庫が減るとの見方から投機資金の流入を招いたとの指摘もある。
 BPによると原油流出量は当初見込んでいた日量1000バレルの5倍に膨らんでいる。この勢いが続けば、50日強で過去最悪の流出事故とされるアラスカ沖事故の流出量(約26万バレル)に並ぶ。1日当たりの流出量は2万5000バレルに上るとの報道もある。
 BPなどは多数の船舶や人員を動員して油の流失防止などに当たっているが、水深1500メートルの深海油田からの流失のため、「空前の難作業」(油田専門家)との指摘もある。タンカー事故と異なり油田そのものからの流出のため、短期間で漏出を食い止めることが急務になっている。
 BPのヘイワード最高経営責任者(CEO)も「漏出防止や環境への影響を食い止めるためできることは何でもやる」と話す。ただ海底油田に無人ロボットを送り込み流出元の遮断を試みているものの、成功していない。
 BPの株価は事故発生の4月20日から10日間で12%下落。時価総額がほぼ2兆円吹き飛んだ。BPによると現在の作業だけで1日に600万ドル(6億円弱)の費用が発生、今後は大きく膨らむ見通しだ。市場関係者からは「総費用は最大35億ドル程度になる可能性がある」(モルガン・スタンレー)との指摘もある。100億ドル以上に膨らむとの見方もある。
 メキシコ湾では水深1000メートルを超す海底での「超深海油田」と呼ばれる油田開発が相次いでおり、BPは同地域で最大の油田権益を有する。最大手のエクソンモービルや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなども同湾地域の油田開発を進行中。米政府も海底油田の新規採掘などを認める計画を発表したばかりだが、事故を受け計画が見直される事態になれば、欧米メジャーの経営戦略が修正を迫られる可能性もある。



アジア、マネー流入加速
成長期待・元切り上げ観測で通貨高 過熱抑制、加減難しく
 金融危機後、高い経済成長が続くアジア地域に投資マネーが流入している。中国の人民元の切り上げ観測が強まっていることもあり、韓国ウォンやインドルピーなどのアジア通貨は対ドル、対円で約1年半ぶりの高値に上昇。通貨を対ドルで事実上固定している中国への資本流入も膨らんでいる。アジア各国・地域は金融引き締めで景気過熱を抑えようと躍起だが、利上げ観測が通貨高を招き、マネーの流入をさらに加速させる悪循環も起こりつつある。
 韓国ウォンは4月に対ドルで2008年9月以来、対円でも08年10月以来の高値を記録。インドルピーやインドネシアルピアなども対円、対ドルで08年秋以来の高値を付けている。
 アジア通貨上昇の背景には、日米欧に比べて経済成長率が高いことがある。国際通貨基金(IMFによると、アジアの実質成長率は10年、11年ともに7.1%。3%前後の米国や1%台のユーロ圏に比べて高い。「高成長→利上げ→通貨高」という連想が資金流入を勢いづかせている。
日米欧には不安
 米国は景気が持ち直しているが、高い失業率と低いインフレ率で「利上げは遠い」との観測が根強い。欧州はギリシャ発の財政不安が南欧にも波及する懸念が出ているうえ、不良債権問題が景気の重荷になっている。日本もデフレが続き、日米欧に収益機会を見いだせない投資マネーが成長著しいアジアに押し寄せる構図になっている。
 アジアでは高成長期待に加え、元の切り上げ観測もヘッジファンドなどの投機資金を呼び寄せている。インフレ懸念が強い中国は「早晩、切り上げに動かざるを得ない」(国際金融筋)との見方が強い。市場では為替介入で自国通貨高を抑えてきた各国・地域も「中国が元を切り上げれば、通貨高を容認せざるを得ない」(国内銀行)との指摘が増えている。
不動産投資にも
 実際、通貨をドルと事実上固定している中国には、元切り上げを見越した投資マネーの流入が活発になっている。日銀の調べでは、09年の海外から中国への民間資本の流入額は1200億ドル超。リーマン・ショックが起きた08年下期に流出した資本(1300億ドル超)をほぼ取り戻した。一部は不動産投資にも流れ、住宅市場が過熱する原因になっている。
 アジア各国・地域は景気過熱を抑えようと金融引き締めに動き始めた。インド、マレーシアが利上げを実施したほか、中国は預金準備率を2度引き上げ、不動産価格の抑制策も打ち出した。シンガポールは自国通貨高の容認姿勢に転じた。ただ「引き締め観測が投資マネーをさらに呼び込むため、景気過熱の抑制は難しい」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)。
 引き締めを強めすぎれば、経済成長自体を抑え込んでしまう危険性もある。実際、中国の不動産価格の抑制策は上海株式相場の急落を招いた。日米欧の超低金利政策の長期化が投資マネーをアジアに向かわせている面も大きく、「世界経済の構造変化」(日銀の白川方明総裁)が進むなか、各国とも危機後の政策運営について難しいかじ取りを迫られている。



政府・民主、陳情の返答をネット公開の方針
 政府・民主党は党幹事長室が全国の自治体や業界団体などから一括して集めている陳情の返答を、政府側がインターネット上などで原則、全面公開する仕組みに改める方針を固めた。公共事業の配分方針(個所づけ)を党幹事長室が地方組織に直接伝え、批判された問題への改善策とする。小沢一郎幹事長主導の党運営のイメージを薄める思惑もありそうだ。
 民主党が昨年11月に策定した陳情ルールでは、選挙区で陳情を受けた議員や都道府県連が党幹事長室に報告。省庁別に分担を決めた副幹事長が各省の政務三役に伝え、党幹事長室を通して議員らに返答するのが原則だ。
 新ルールは公共事業の個所づけなど、陳情に対する返答を、関係省庁のホームページなどで公開する仕組みを想定する。



活字離れで都が対策チーム 作家の知事、副知事が主導
 現代人の活字離れを食い止めようと、東京都が石原慎太郎知事、猪瀬直樹副知事の主導で庁内に対策を検討するチームを設置した。本や新聞を読まない都庁職員も多く、作家の知事、副知事が抱く危機感は深刻。チームは猪瀬副知事をリーダーに今後、言語教育の専門家などから意見を聞いて有効な対策を探る。
 都は「東京がリードして活字離れの問題解決に取り組むことで、全国への波及効果も期待できる」としている。
 猪瀬副知事はチームが設置された4月、経済協力開発機構の学習到達度調査で好成績を収めるフィンランドの教育に詳しい元外交官、北川達夫さんらを都庁に招き、まずは職員を対象に活字離れについての勉強会を開いた。
 参加した職員にアンケート(有効回答254人)を行ったところ、約12%がこの1カ月に本を1冊も読まず、25%が新聞を購読していないことが判明。くしくも足元から活字離れが露呈した格好となった。
 石原知事は「人間は書籍を読むことを通じて自分で考える力を養ってきたが、メディアの多様化で読書をめぐる環境が大きく変わってきた。実効性のある対策を検討してほしい」と話している。



安心3D映像へ基準作り…国際標準目指す
 経済産業省は1日、3D(3次元)の立体映像を普及させるため、安全に視聴できるように、映像制作の国際的なガイドライン作りに乗り出す方針を明らかにした。
 3Dは、臨場感があふれる映像が楽しめる反面、目が疲れたり、気分が悪くなることがある。経産省は、制作者側に立体感を強調しすぎない作品づくりを促すための基準作りに取り組み、国際標準化機構(ISO)に提案、日本基準を世界に普及させることを目指す。3D映像を安心して楽しめる環境を作らなければ、日本のテレビや映像ソフトなど関連する産業の育成が進まない恐れがあるためだ。
 さらに、経産省は、メーカーによる3D映像制作の技術開発を支援するほか、若手人材の育成講座も開設する方針だ。
 こうした施策を通じて、経産省は、コンテンツ市場の規模を現在の15兆円(2008年)から20年には20兆円に押し上げ、雇用も31万人(同)から36万人に増やすことを目指す。政府が6月にまとめる新成長戦略にも盛り込む。
 3D映像はこれまで映画が中心だったが、今年は電機メーカー各社が相次いで3D対応の薄型テレビを発売しており、「3D元年」と言われている。



「クール・ジャパン」世界戦略拠点第1号は北京 政府、6月にも開設
 「クール・ジャパン」と呼ばれ国際的に評価されている日本のアニメやマンガなどコンテンツの輸出を促進するため、経済産業省は関連企業の海外活動を支援する拠点づくりに乗り出す。経産省の委託を受けた日本映像国際振興協会が6月にも北京に第1号拠点を開設し、現地の政府関連機関や企業とのパイプ作りや販路開拓の支援を始める。コンテンツ輸出を専門とする官民一体の企業支援拠点の設置は初めて。
 政府は6月にまとめる新成長戦略にコンテンツ輸出の拡大を重要政策のひとつに掲げる予定で、支援拠点の設置はその方針に沿ったもの。これをモデルに欧米やアジアの主要都市にも順次、拠点を展開する。
 膨大な人口を抱える中国は市場規模の魅力が大きい半面、欧米に比べ知的財産管理に関する政府の政策動向や市場情報が入手しにくく、個別企業では市場参入が難しい。このため、経産省では進出企業への支援が必要と判断し、第1号拠点に北京を選んだ。現地の流通経路の仕組みや市場ニーズ、映像や著作物の流通に絡む現地政府関連機関による規制の動きなどを収集し、日本企業に提供する。
 また、作品の共同制作や販路開拓のための商談の仲介も手がけるほか、コンテンツビジネスに精通した専門弁護士と連携し、中国企業との契約に関するトラブル防止の法律相談なども提供する準備を進めている。
 経産省によると、日本のコンテンツ産業の売上高のうち輸出が占める割合は平成16年時点で1.9%にととどまり、米国(17.8%)のわずか10分の1の規模。優れた制作力を持ちながら海外市場に売り込むノウハウがなく、欧米の大手企業の手を借りて限定的な権利収入を得るなどにとどまっているのが現状だ。
 例えば、鈴木光司原作のホラー映画「リング」は内外で高い評価を得ていたが、海外での市場展開は、米映画制作会社ドリームワークスが平成14年にリメーク作品の「ザ・リング」として公開する形となった。このためドリームワークス側が同作品の興行やビデオ販売などで約316億円を売り上げたのに、日本側が手にできたのはリメーク権料の約1億円にすぎなかったという。
 経産省では、支援拠点を足がかりに日本企業が主導権を持って海外に日本のコンテンツを売り込む態勢を整え、輸出規模の拡大を目指す考えだ。



財政赤字削減策反対デモ、アテネで10人逮捕
 【アテネ支局】財政危機に陥ったギリシャで1日、メーデーに合わせ、公務員給与凍結や増税を含む政府の財政赤字削減策に反対する抗議集会が開かれた。
 首都アテネでは火炎瓶や石を投げるデモ隊に、警官隊が催涙ガスを発射する事態に発展。政府は2日に削減策を発表予定だが、官民労組は5日にもゼネストを予定しており、抗議行動が激化する恐れが出てきた。
 アテネでは1日の衝突でデモ隊10人が逮捕された。北部テッサロニキでも市民と警官隊が衝突した。
 政府は、ユーロ圏と国際通貨基金(IMF)からの支援の前提として、公務員給与の3年間凍結、日本の消費税に相当する付加価値税(VAT)の税率引き上げ、公的年金の支給開始年齢の引き上げを柱とする240億ユーロ(約3兆円)規模の削減策を検討しているが、最新世論調査によると、回答者の51・3%がこれに反発している。
 一方、AFP通信によると、サルコジ仏大統領とメルケル独首相は1日、電話会談し、迅速にギリシャ支援を行うことを確認した。



【産経主張】遷都1300年 国づくりの苦労学びたい
 平城遷都から1300年を迎えた奈良市で、記念事業が相次いで開催中だ。連休もあって多くの人が訪れ、「天平のロマン」を楽しんでいる。
 10年がかりで復元された正殿の大極(だいごく)殿は壮大で優美だし、遣唐使船は今にも海原にこぎ出しそうだ。「平成の大修理」が終わった唐招提寺金堂の屋根には、真新しい鴟尾(しび)が輝いている。
 史跡をめぐり、遠い昔に思いを馳(は)せることによって得られる効果は小さくない。日常の忙しさの中で失われた豊かな心を取り戻し、新たな挑戦を可能にさせる「心身の栄養分」になる。
 大極殿や先に完成した朱雀(すざく)門は戦後、地道に続けられてきた発掘調査によって建物の規模が判明し、復元することができた。遺構がほとんど失われている平安京に対し、平城京は廃都となったのが幸いし、かなりの部分が地下に埋まっているのである。
 このような平城京跡の特徴は、文化財としての保護や観光施策を立てるうえでも重要である。
 「咲く花のにほふがごとく」(小野老(おゆ))とたたえられた平城京だが、80年近い期間中、春の空のような明るさにあふれていたわけではない。むしろ、苦しみと不安に満ちた困難な時代だった。
 対外的には唐や新羅の軍事力におびえ、国内でも謀反や陰謀が渦巻いた。天変地異や飢饉(ききん)、天然痘との闘いも続いた。聖武天皇らときの政権は国民に呼びかけ、「仏教を基本とした平穏な国土」を実現すべく努力を重ねた。
 遣唐使を派遣して進んだ文化を取り入れ、鑑真ら多くの異国の僧や商人、工人を招いた。こんにち「シルクロードの終着駅」といわれる天平文化の国際性も、こうした中で生まれたのである。
 遷都1300年を祝うことは意味があるが、それでも単なる物見遊山に終わらせてはならない。古代国家を建設し、それを育てていった先人の必死さに学ぶことも大切である。
 京都をしばしば訪ねるという人も、奈良は敬遠する例が少なくない。交通の便や宿泊施設などは少しずつではあるが改善、整備されてきている。
 何より、平城京や藤原京、飛鳥の里を含め、奈良には「日本の心の原風景」ともいえる景観が残っている。平城遷都1300年という機会に、ゆっくりとその地を歩いてみたい。
1円玉製造、ピークの2700分の1 電子マネー普及で
 財務省は2010年度に一円玉の製造枚数を前年度比で40分の1に当たる100万枚にとどめる方針を決めた。ピーク時の1990年の約2700分の1にあたる。五百円玉や十円玉など貨幣全体でも、約7億9000万枚と1割弱減らす。電子マネーの普及で、コンビニエンスストアやスーパーなどのおつりが減ったことなどが背景にある。
 国は通常、流通量が増えて足りなくなったり、摩耗して使えなくなったりした分の硬貨を製造する。だが、あまり使われなくなったお金は、日銀の在庫にたまっていき、新たに造らなくてもよくなる。日銀にある在庫だけで、市場で必要とされる貨幣の量を満たすことができるためだ。
 一円玉の製造枚数が減っているのは、個人がエディ、ナナコといった電子マネーを使うことが増えたからだ。特にこの2~3年はコンビニエンスストアやスーパーに加え、地域の商店街や中小店などでも電子マネーを使える店が増えたことで、一円玉の製造枚数が急減したとみられる。
 同省によると、10年度は五円玉と五十円玉の製造もそれぞれ100万枚にとどまる。一円玉も含め、需要が見込みよりも少なければ製造枚数はさらに減る。同省は「一円玉などの少額硬貨の製造は今後も低迷する可能性がある」とみている。



アドビのフラッシュ「信頼できない」 アップルCEO
 米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は29日、ソフト大手の米アドビシステムズを批判する書簡を公開した。アドビは全世界のウェブサイトで普及しているコンテンツ(情報の内容)制作・再生ソフト「フラッシュ」を手がけるが、アップルは「信頼性に欠ける」などとして高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」では非対応。両社の対立がさらに深まりそうだ。
 ジョブズCEOは自社サイトへの投稿で、非対応の理由として、「オープン性」「信頼性」「電池寿命」「タッチ操作への対応」など6項目を列挙。「アドビはフラッシュをオープンだと言うが実際は逆」とした。
 アップルは最新の多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」でもフラッシュに対応せず、ユーザーがネット閲覧してもフラッシュで作られた動画や広告を見ることができない。そのため、アドビに加え、一部のソフト開発者からも「アップルの目的はコンテンツ配信技術での主導権」と批判の声があがっていた。
 アドビは、高機能携帯電話でアップルと競合するネット検索最大手グーグルと協力する考えで、フラッシュを巡るアップルとアドビの溝は当面埋まりそうにない。



大手百貨店4社売上高、4月は2.0~13.5%減
 大手百貨店4社が1日発表した4月の売上高(速報値)は、既存店で前年同月比2.0~13.5%減だった。雨天や気温の低い日が続いたため、ワンピースや薄手のジャケットなどの春物の衣料品が振るわなかった。株価の安定を背景に宝飾品や美術品は堅調だった。
 各社の売上高は、三越伊勢丹ホールディングス傘下の伊勢丹が4.2%減、三越が13.5%減。高島屋が3.0%減。大丸と松坂屋が合併した大丸松坂屋百貨店は2.0%減だった。



音楽不況ここに極まる......あゆ、テルマ、大塚――人気者のCDがまったく売れない!
 CDの売り上げ不振が指摘される中、実際にはどのアーティストのCDが、どれほど売れなくなっているのか? 今回は数人の女性歌手を例に挙げて、最新のCD売り上げの動向をリポートしたい。
 まずはシンガーソングライターの大塚愛。デビュー2作目のシングル「さくらんぼ」(エイベックス・トラックス)で約58万枚、その後もアルバム『LOVE COOK』(同)で約84万枚のセールスを記録するなど、ヒット作を量産してきた大塚だが、ここ数年はCDの売り上げが低迷している。極めつけは、今年4月にリリースされた両A面シングル「ゾッ婚ディション/LUCKY☆STAR」(同)。バンクーバーオリンピックと、本人出演のアルコール飲料のCMのテーマソングのダブルタイアップとあって、大量露出で再起をかけていたにも関わらず、彼女史上ワースト記録の約1万4,000枚と振るわなかった。かねてから激太り説がささやかれ、最近は体調不良で仕事をキャンセルしたという大塚。売り上げ不振による心労が原因だったのかもしれない。
 続いては青山テルマ。青山は08年のシングル「そばにいるねfeat.Soulja」(ユニバーサルミュージック)で約43万枚を売り上げて一躍シンデレラガールとなったが、そのあとはさしたるヒットもなくいまに至っている。今年3月にリリースのシングル「帰る場所」(同)では、映画『ドラえもんのび太の人魚大海戦』の大型タイアップまで付けていたのに、初動セールスは約1,000枚でオリコン初登場63位と痛々しい結果に。「そばにいるね」のヒットの際には着うた850万ダウンロードという驚異的な記録を叩き出し、「着うたの女王」と騒がれたテルマだが、最新曲「帰る場所」では「ダウンロード数が激減している」と、音楽配信関係者も落胆気味に証言する。
 最後は日本の歌姫・浜崎あゆみ。オリコン調べではCDセールスで00年~03年まで男女総合トップに輝き、01年にはCDセールス243.7億円を記録した。しかし、昨年の同売り上げは34.3億円と、絶頂期には遠く及ばない。また、4月14日にリリースされたばかりアルバム『Rock'n Roll Circus』(エイベックス・トラックス)は10曲にタイアップを付けた"売れ線"狙いの作品。発売一週目で20.5万枚を売上げたが、実は前作『NEXTLEVEL』(同)の初動24.1万枚に続き、本人史上ワースト1の初動セールス記録を更新してしまった。
 このように、アーティストごとで比較してみても、CDセールスの落ち込みは明らか。CDに代わるコンテンツ販路として期待されたダウンロード配信も伸び悩む中、レコード会社は新たなビジネスモデルを見出せずにいるようだ。



インタビュー「消費崩壊 若者はなぜモノを買わないのか」/松田久一氏に「嫌消費」を聞く
本来、消費が好きなはずな若者がモノを買わない。収入があっても消費しない。「嫌消費」現象と呼ばれ、25~29歳に多く見られるそうだ。なぜそうなのか。松田久一氏に話を聞いた。
ヴィトン持っているのは笑えるよね
――20歳代後半の若者はモノに興味がなくなっている?
松田 興味はあるのです。でも、これまでとは大きく違っています。従来はモノを欲しいという欲望があって、それを満足させたいと当たり前に思っていました。今の若者は欲望を抑制することに慣れていて、その方が自分らしいとさえ感じています。
人からどう見られるかに「超敏感」で、「バカにされたくない」「背伸びするのはかっこ悪い」と思っている。だから、たくさん買ったりしませんし、ブランド品は敬遠します。で、「高校時代にはやったヴィトンの財布やプラダ(を今持っているの)は笑えるよね」、なんて言い出す若い女性が出てきちゃうんですね。
――もう若者はブランド品に魅力を感じないのでしょうか。
松田 ブランドがまったくダメかというとそうではない。アイテムが豊富で少し手ごろな価格の「コーチ」は人気がありますし、宝島社の女性誌『スウィート』の付録にもなっているファッションブランド「シェル」のトートバッグを持っている若い女性もよく見かけます。「みんなが持っている」という安心感もあるようです。
いろんな分野で「ぶなん」「普通」がいいみたいです。例えば、結婚式。かつてのように数百万円をかける豪勢なものは「ありえない」というわけです。
――男の憧れの象徴だった車はどうですか。
松田 車が必要な地方は仕方がないとしても、交通の便のいい都心で、ローンを組み駐車代を払って車を持つ、なんてかっこ悪いこと。安くて燃費がいい「K4(軽自動車)」でいい。こうした意識は相当浸透しているようで、東京・六本木の交差点で若者がK4に乗っているのをよく見かけます。しかも女の子を乗せていました。昔じゃ考えられない。背伸びして車を買うのが当たり前だった世代からすると驚愕の光景です。もっとも、六本木で今もお金持ちはベンツやBMW、ポルシェといった外車に乗っています。収入に見合っているのだから、それはそれでいいと若者は考えるのです。
――今後、こうした消費行動は広がる?
松田 実は世界的な傾向なんです。米ニューヨークの記者から取材を受けた時の話です。豪華な家や車にこだわる、欲望むき出しといってもいいアメリカでさえ消費行動に変化が起きているといいます。今は日本のバブル後の消費行動がかっこいいと思っていて、日本に学べ、ともてはやされていると聞きました。
アメリカやヨーロッパでは「日本式」が共感を持たれていますが、中国や韓国はかつての日本のように「ブランド大好き」。ここを除けば日本の若者が世界の消費傾向をリードしているんじゃないでしょうか。液晶テレビを若者が買わない理由
――この世代にモノを買ってもらうにはどうしたらいいのでしょうか。
松田 最近、若者に売れたといえば、日本コカ・コーラのミネラルウォーター「い・ろ・は・す」やサントリーのウイスキー「角瓶」。液晶テレビはどんどん値下がりしていますが、若者のうけはイマイチだそうです。若者が好きなのは、お笑い番組。高画質で大きな画面は必要ない。ワンセグで見ればいいと思っているからです。
「自分たちの気持ちを代弁してくれるもの」「他人にスマートだと思われるもの」を買いたいので、ただ「安い」というだけでは選んでいません。若者がモノを買わない理由をどう解釈し、分析するかで、売れるモノ、売れないモノの明暗が分かれる。
――とはいえ、大手のメーカーや流通企業が路線を変更するのは至難の業です。
松田 そうですね。でも大手も従来のようなモノづくりや売り方ではだめになることはわかっているはずです。例えば車です。ハイブリッド車にどこも力を入れていますが、この世代はついていかないでしょう。最近売り出されたホンダのスポーツタイプのハイブリッド車「CR-Z」は超人気らしいですが、主な客は30歳代の車好き世代だと聞きます。若者を捕まえるには、安くてエコで下駄ばきのような車。仮に、50万円台のソーラーカーが開発されれば、爆発的に売れるのは確実です。そうなれば世界の自動車メーカーに大革命が起きます。
20歳代後半はあきらめ、もっと若い10~20歳代前半をターゲットにした店づくりに力を入れている百貨店もあります。モノづくり産業にとって、嫌消費世代は面倒な存在かもしれません。しかし、貯金もあり、小金持ちなのです。チャンスはあります。この世代をどう消費に引っ張り出すか。日本経済の課題です。



京都新聞社説
脱「GDP神話」  真の豊かさ見いだす転期に
 GDP(国内総生産)世界第2位の地位を、お隣の中国に今年中に奪われるのは間違いない。
 あす開幕する上海万博に、日本の高度成長期に開催された40年前の大阪万博が重なって映る。当時の西独を追い抜き、日本のGNP(国民総生産)が西側世界で第2位となった2年後だった。
 あのころからGNP、GDPという経済指標が、豊かさのモノサシとして特別なまなざしてで見られるようになったのではないか。
 ところが、GNPの豊かさは必ずしも幸せにつながっていない。
 内閣府が今月27日発表した調査によると、日本人の幸福度は10点満点で平均6・5点にとどまっている。2年前の欧州調査では最高のデンマークが8・4点、各国平均が6・9点となっているのに比べて、日本は低い。
 別の内閣府調査をみると、2005年までのデータで1人当たりの実質GDPは上昇傾向で推移しているのに、生活満足度は1990年から下がり続けている。
 先進国で見られる「幸福のパラドックス」と呼ばれる現象だ。貧困状態から脱して一定の所得水準に達すると、幸福度との相関がなくなるという。
「幸福度」求める潮流
 鳩山政権は6月に打ち出す成長戦略に「幸福度」指標を盛り込むとしている。経済界だけでなく冷ややかな反応が聞こえてくるが、実は世界の潮流をみれば決して的はずれではない。
 昨年9月にはフランスのサルコジ大統領がGDPを見直し、「幸福度」や「持続可能性」などを重視した新たな指標を提案している。ノーベル賞経済学者らに依頼した報告書に基づいており、経済協力開発機構(OECD)も歓迎したという。
 英国でも同3月に報告書「成長なき繁栄?」を公表、持続可能な経済に向けた方策を示している。
 GDPは不幸な交通事故や災害、環境汚染があっても、カネが動けば増大する。GDPの限界は70年代から指摘され、先進国の指標としては時代遅れという批判もあるくらいだ。
 GDPを超える新たな指標も提案されている。有名なのはブータンの「国民総幸福(GNH)」だ。精神的な豊かさや文化、環境などを大切に守る国づくりを実践している。経済的には貧しい農業国だが、英レスター大の幸福度調査では世界8位と北欧に並ぶ。ちなみに日本は90位だ。
 米国の民間団体が90年代に発展させたGPI(真の進歩指標)は、GDPでは考慮されない犯罪や家庭崩壊、環境破壊などのコストを控除する一方で、ボランティア活動や家事労働などの価値を加算する手法だ。
 日本でも滋賀大の中野桂教授らの研究グループが独自にGPI計測を手がけ、滋賀県でも5年前に都道府県別GPIを試算するなど、GPIの可能性を探る動きが出ている。
 実感に近い指標こそ
 中野教授らによる研究では、1955~2000年の間の日本のGPIは緩やかな成長だったのが、90年代から減少傾向に変わり、右肩上がりのGDPとの隔たりが大きくなった。
 論文で、GDPは「体重」のようなもの、と中野教授は書いている。子どもの時には順調に増えれば健康だが、成人になればそうはいかない。体重以外に皮下脂肪や血圧などを含めなければ健康を測れない。GPIは大人の「健康」を測る指標というわけだ。
 金融危機前の長期好況の陰で進んだ格差拡大、3万人を超える自殺、リストラといった現実は、GDPの数値からはうかがえない。
 「GPIの方が生活実感に近い」と中野教授は話し、さらにGPIの可能性を指摘する。
 ボランティア活動など市場を経ない価値に対する「主観的」な評価がGPIの弱点といわれるが、むしろ強みとしてとらえたいという。
 行動経済学のごみ拾い実験で、5ドルで雇われた者よりボランティアの方が熱心に活動した例がある。ボランティアはGDPに寄与していないが、社会に貢献したことでGPIはアップすることになる。
 新しい生き方に向け
 給料は減っても労働時間を短くすれば、多くの人が仕事を分かち合うワークシェアが可能になる。地域や家族とふれ合う時間が長くなり、文化活動にもいそしむことができる。
 GDPが多少下がっても、そんな社会の方が豊かに見えないだろうか。現実に欧州で広がりつつあり、日本の地域でも芽生えようとしている。
 綾部市にUターンした塩見直紀さん(45)は、「半農半X」という生き方を提唱し、実践している。農業で自分が食べる分を確保しながら、自身の使命をXとして公益に生かす。塩見さんの「X」は地域や人の交流をサポートして、生き生きとした持続可能社会を実現していくことだ。
 塩見さんの働きかけで、都市から移住した人たちが地元の高齢者とともに新しいコミュニティーをつくっている。GDPへの貢献は小さいだろうが、豊かさを実感する。
 GDPで中国に抜かれることを、塩見さんは「チャンスかもしれないですね」話した。競争から肩の荷を下ろし、日本の良さを見つめ直せるからだ。
 本当の豊かさとは何か。新しい指標を見いだす転期ではないだろうか。
通信業界の改革を押し戻す SIMロック守旧派の弱点(COLUMN)
 米グーグルのアンドロイド端末、米アップルのiPadなどは、最初から消費者が自由に通信事業者を選ぶことを前提に設計されている。日本では、数年前から総務省の主導により、そのような流れを見越した準備が進められてきた。だが、通信事業者の思惑により、議論の中身が矮小化されて足止めを余儀なくされている。
 急ごしらえの3枚だった。
 4月2日の午後5時少し前に、日本通信の福田尚久・代表取締役専務兼COOは、総務省の事務方から緊急電話を受けた。
 その日の午後6時から開かれる「携帯電話端末のSIMロックの在り方に関する公開ヒヤリング」(公聴会)への出席要請だった。急きょ、福田専務は夜の予定をキャンセルして、主張の骨子を3枚の図にまとめて総務省に送り、霞が関へ向かった。
 SIM(Subscriber Identity Module)とは、現在使われている第3世代携帯電話(3G)の端末内部に埋め込まれた「個人情報を記録した小型ICチップ」のこと。日本では、通信事業者が消費者を囲い込むための“手段”として、端末と小型チップをセットにして販売している。このチップは、別の通信事業者の端末に差し込んでも使えないようにロック(制限)がかけられている。これをSIMロックと呼び、総務省が主導する公聴会は、SIMロックを解除する方向性について、関係事業者の話を聞くという場だった。
 現時点では、技術上の問題などが残るが、SIMロックが解除されれば、欧米のようにさまざまな価格帯の端末が増え、消費者は自分のSIMを好きな端末に差して使うことができるようになる。
 公聴会の当日、日本通信の社名は、見学者に配られた議事次第にも入っておらず、当の福田専務も「ぶっつけ本番で臨んだのはあれが初めてだった」と振り返る。
 今回、日本通信に常識はずれともいえる急な出席要請がかかったのには、理由があったのである。
 当初、総務省が予定していた米グーグルの日本法人が公聴会への出席を断ったからだ。内藤正光・総務副大臣の意向で公聴会を組織した総務省は、本音ではSIMロックの解除を積極的に望まない既存の通信事業者を向こうに回して、「SIMロックを解除すべきだ」と強く主張する立場の新規参入事業者が必要だったのである。
SIMロック問題は“積み残し”の案件
 結局、この日の公聴会は、すでにSIMロックの解除が既定路線であることを公の場で再確認するための“儀式”にすぎず、最後まで各事業者の主張は一致することがなかった。にもかかわらず、翌朝の新聞各紙には、「合意」と摩訶不思議な見出しが躍り、NTT労組出身議員の内藤副大臣が意図した方向でまとめられた。
 じつは、このSIMロック解除問題は、昨日今日出てきた話ではない。過去に、総務省内の改革派官僚たちが中心になって組織した「モバイルビジネス研究会」の場において、公式・非公式のヒヤリングを重ねて議論が続けられてきたもので、その成果は2007年9月に『モバイルビジネス研究会報告書──オープン型モバイルビジネス環境の実現に向けて』にまとめられた。
 とかく、通信事業者から「役所が余計な口を出すな」と酷評された報告書だが、改革の方向性としては間違っていなかった。
 この報告書には、通信事業者間の競争を活性化させる施策として、(1)MVNO(新規参入の仮想通信事業者)へのネットワーク網の開放、(2)端末代金と通信料金の切り分け(分離プラン)、(3)SIMロックの解除が挙げられていた。
 すでに、最初の二つは実現しており、SIMロックだけが残った。それでも、「SIMロック解除については、2010年の時点で(次世代携帯電話の通信規格である)3.9Gや4Gを中心に法制的に担保することについて最終的に結論を得るという上記の方針を念頭に置きつつ、関係各方面において戦略的取組が開始されることが期待される」と明文化された。
 しかしながら、いったんは端末代金と通信料金を切り分けたことで、店頭価格が上がった携帯電話だが、現在は「0円」が復活している。SIMロック解除問題は、このグレーゾーンにもメスを入れるものなので、通信事業者は乗り気でないのである。
携帯市場を拡大できる最大最後のチャンス
 とりわけ、このSIMロック解除問題で守旧派の急先鋒になっているのが、ソフトバンクモバイル(SBM)の松本徹三副社長だ。
 公聴会、講演会、勉強会、ブログ、ツイッターとありとあらゆる舞台で、精力的に「今、SIMロックを解除すれば、消費者のデメリットのほうが多い」という趣旨の発言を繰り返している。
 だがこれは、裏を返せば、SBMは、今、SIMロックを解除されると、会社の屋台骨を揺るがしかねない大きな“難題”を二つ抱えているからにほかならない。
 第1に、SIMロックが解除されて通信事業者を選べるようになったら、SBMが獲得した累計300万人といわれるiPhoneユーザーが、NTTドコモへと逃げてしまう可能性がある。
 SBM最大の弱点は「ネットワークの脆弱性」なので、通信回線の質で競争すれば負けてしまう。約2兆円の借金も返済中なので、大型の設備投資は不可能だ。質の面で、ドコモは圧倒的に有利なのである。内藤副大臣がこの問題に熱心な理由も、そこにあると目されている。
 第2に、SIMロックが解除されて海外製の安価な端末が出回ると、日本製の高機能端末は売りにくくなる。SBMが0円販売を復活させた「新スーパーボーナス」(特別値引きプラン)で、見かけ上は端末代金と通信料金を分けて販売したあと、販売奨励金などを含めて通信料金で回収する独自のスキームが破綻する。割賦の債権を証券化して運転資金にしているので、右肩上がりで新規契約者を獲得しないと、資金がショートするのである。
 SBMが反対する本当の理由は、消費者のデメリットよりも、自身のデメリットが大きいからとも思える。もっとも、消費者にとっても、現在のところはSIMロックを解除しても、音声通話とSMS(海外で主流の電話番号付きのショートメッセージ)などに限定されるか、日本で主流の携帯メールアドレスが互換できないなどの課題が残る。
 通信事業者としては、今からオープン化を進めて互換性の問題解決に乗り出しておけば、市場のパイを拡大できる可能性があるし、日本製のスマートフォンで海外に打って出れば将来に禍根を残すこともなくなる。
 総務省は、6月にSIMロック解除のガイドラインを出す意向を示した。当初の「義務化」は見送られて、スマートフォンと割賦の支払いがすんだ端末については、希望する消費者のロックを解除して選択肢を増やす方向に落ち着く見込みである。



サンリオ、国内40店を閉鎖 海外ライセンス強化
 サンリオは主力事業である国内の物販事業を見直す。売上高の落ち込みが大きい百貨店内の店舗を中心に、3年間で全国260店の15%にあたる40店を閉鎖する。雑貨などの売上高が伸び悩んでおり、海外でのキャラクターライセンス事業に成長の軸足を移す。少子高齢化の影響を受けている玩具などの他企業も海外シフトを急いでいる。
 サンリオは全国の百貨店やショッピングセンター内の「サンリオショップ」で、自社キャラクターをあしらった文具や雑貨、ギフト用品などを販売。国内物販事業の売上高は2010年3月期(推定)で約250億円と総売上高の約3割を占める。ただ直近のピークである04年3月期の335億円から大幅に減少し、本部の関係人件費なども含めると営業赤字に陥っている。
 このため特に販売状況が悪い地方百貨店内の店舗を中心に店舗網を見直す。120店ある百貨店内店舗は4分の1にあたる30店を閉鎖。採算性の高い店舗に集約して運営コストを抑え、事業を黒字転換させる。店舗閉鎖に伴い、約700人いる同事業の人員も約1割を配置転換で削減する。
 今後は経営資源を成長の見込める海外事業などへ重点的に配分する。具体的には欧米やアジアで主要キャラクター「ハローキティ」の人気が上昇しているのを受け、同キャラクターの使用ライセンスを現地企業へ販売する事業を強化する。



電子部品、業績が急回復 大手5社前期 新興国需要が追い風
 薄型テレビやパソコンなどデジタル機器の需要拡大を背景に、電子部品大手各社の業績が急ピッチで回復している。30日までに発表した大手5社の2010年3月期連結決算は、最終損益が軒並み改善した。11年3月期もサッカーのワールドカップ(W杯)の開催に伴う薄型テレビ特需などを追い風に電子部品業界の活況が続く見通しで、全社が最終増益を見込む。
 「中国など新興国の需要拡大に支えられた」。村田製作所の村田恒夫社長は30日の決算会見の席上、純利益が前の期の6.9倍になった前期業績の背景についてこう述べた。携帯電話やAV(音響・映像)機器などの需要増を受け、主力のコンデンサーが好調に推移。リーマン・ショック後に大きく落ち込んだ稼働率も急回復した。
 エコポイント制度の後押しによる国内での薄型テレビ市場の拡大も電子部品各社の業績の追い風になった。日東電工ではテレビなどに使う液晶パネル用偏光フィルムを中心に、液晶表示用材料の売上高が18%伸び、業績をけん引した。
 TDKが同日発表した前期決算は、最終損益が135億円の黒字(前の期は631億円の赤字)に転換した。主力のハードディスク駆動装置(HDD)用ヘッドが高水準の出荷が続いたうえ「生産拠点集約など構造改革の効果も多大に寄与した」(上釜健宏社長)。
 今期もデジタル機器の市場拡大を背景に、大手5社がそろって最終増益を予想している。日本電産は2期連続の最高益を見込む。新興国のパソコン需要拡大でHDD用モーターが伸びる。業績回復を受けて増産投資に動く企業も多い。京セラは半導体に使われるセラミックパッケージの増産などで今期の設備投資を前期比6割増の600億円に引き上げる。
 もっとも、先行きには不透明感もくすぶる。日東電は上期に通期の純利益の55%を稼ぐ計画で、下期は「W杯などイベントの反動が読み切れない。リーマン・ショックから完全に立ち直っているとは思わない」(柳楽幸雄社長)と慎重な姿勢だ。



「ソーシャルゲーム大成功」 DeNA、四半期利益倍増
 「ソーシャルゲームが大成功した」――ディー・エヌ・エー(DeNA)が4月30日に発表した2010年1~3月期連結決算は、売上高が前年同期比81%増の190億円、営業利益が2.4倍の98億円と急成長した。ソーシャルゲームの急拡大が、売り上げ・利益とも押し上げた。
 主力の「モバゲータウン」で09年10月に内製ソーシャルゲームを投入。今年1月からゲームプラットフォームをオープン化し、他社製ゲームも導入した。10年3月末現在、オープンゲーム提供パートナーは59社、タイトル数は148。内製ゲームのmixiアプリへの提供も行っている。
 10~12月期のソーシャルゲーム売上高(mixiアプリ提供ゲームからの売り上げ含む)は35億円だったが、1~3月期はその3倍・100億円(mixiアプリからの7億円含む)に急成長。モバゲーの総売上高(10年1~3月期:139億円)に占めるゲームの割合は約7割まで上昇し、「ソーシャルゲームが売り上げの中心になってきた」
 ソーシャルゲーム投入をきっかけに月間ページビュー(PV)も急拡大。09年9月は175億PVだったが、12月は380億PV、10年3月は616億PVと「日本最大級のPVを短期間で実現した」。PV急拡大を支えた技術者のスキルの高さも同社の自慢だと南場社長は話す。
 低迷していたアバター販売も復調の兆しを見せている。09年10~12月期のアバター売上高は14億円だったが、10年1~3月期は18億円に。ソーシャルゲームの成功でアバター利用も活性化し、動きを付けられる新アバター「3Dアバター」の人気に火がつき始めているという。
「ソーシャルゲームを中心に、積極的に攻める」
 今期(11年3月期)は「ソーシャルゲームを中心に、積極的に攻める年」。既存ゲームをブラッシュアップする一方、新規ゲームも投入していく。ソーシャルゲームメーカーなどをインキュベートするファンドへの25億円の出資も発表した。
 「mixiモバイル」へのゲーム提供も強化。Facebookなどほかのプラットフォームへのゲーム提供も行う予定だ。英語圏と中国を中心に、ソーシャルゲームプラットフォームの構築も目指す。
 ヤフーと提携して構築するPCサイト「Yahoo!モバゲー」や、NTTドコモとの合弁新会社でスタートするモバイルECサイト「E★エブリスタ」など新規事業にも力を入れる。



ANAセールス、2年で人員2割削減
 全日本空輸の旅行子会社で国内旅行4位のANAセールス(東京・港)は、今後2年でグループ全体の従業員数を現在の1850人から1450人へ約2割削減する。3月に30人の正社員が希望退職に応じて退職したのに続き、2011年春の新卒採用を凍結する。従業員の25%を占める派遣社員なども減らし、必要業務を正社員がこなすようにする。
 10月をメドに販売子会社のANAセールス北海道(札幌市)、同九州(福岡市)、同沖縄(那覇市)の3社を吸収合併して間接業務の要員を抑える。3月末まで5カ所あった予約受付のコールセンターは今月に沖縄県の拠点を閉鎖、さらにもう1カ所を11年3月期中に閉める予定だ。
 同社は景気低迷による客単価の大幅な低下などが響き10年3月期の営業損益が1億円の赤字となった。



韓台半導体大手、設備投資上積み 業績回復受け攻勢
 【ソウル=尾島島雄】韓国と台湾の半導体大手の業績が急速に回復している。メモリーで世界首位の韓国・サムスン電子の1~3月期の半導体部門の営業利益率が前四半期比で7ポイント高い24%に上昇するなど、各社とも1~3月期としては過去最高水準の利益をあげた。半導体市況は4~6月期以降も強含みだと判断し、2010年の設備投資を上積みする方向だ。
 韓台の半導体メーカーはメモリーや、システムLSI(大規模集積回路)のファウンドリー(受託生産)で日本勢より市場シェアが高い。08年後半以降の半導体景気の低迷からいち早く脱却して攻めの経営に転じ、日本の競合メーカーを引き離す構えだ。
 30日発表したサムスンの1~3月期の連結業績は半導体に引っ張られる構図が鮮明で、同部門の営業利益は前四半期比46%増の1兆9600億ウォン(約1666億円)。売上高は全社の23%にすぎないが、営業利益では44%分を稼いだ。パソコンなどに搭載するメモリーであるDRAMの販売が好調だった。
 韓国のハイニックス半導体の1~3月期は連結営業利益が前四半期比13%増の7990億ウォン。DRAMの平均販売価格は前四半期比3%上昇し、出荷量も6%増えた。
 市況回復を受け、サムスンは30日、メモリーで10年に5兆5000億ウォンとしていた従来の設備投資計画を見直す方針を示した。ハイニックスも2兆3000億ウォンからの増額を検討している。
 一方、ファウンドリーで世界首位の台湾積体電路製造(TSMC)は、例年はクリスマス商戦の反動で需要が落ちる1~3月期も売上高が前四半期比で0.1%増の921億台湾ドル(約2763億円)に達した。張忠謀(モリス・チャン)董事長は4~6月期の売上高が1000億~1020億台湾ドルに増えるとの強気の予想を示した。
 TSMCは10年の設備投資を前年比で8割多い過去最高の48億米ドルとする計画。ファウンドリーで世界2位の聯華電子(UMC)も、1~3月の半導体出荷量が材料であるシリコンウエハー換算で四半期ベースの過去最高を記録した。
 台湾のメモリー大手では、南亜科技がDRAM需要の拡大が続くと判断し、10年の設備投資額を当初計画から16%上積みし220億台湾ドル(約660億円)にする。南亜は1~3月期は赤字に転落したが、今後の需要見通しには強気だ。



ソニー、2年ぶり営業黒字に 前期、液晶TVが堅調
 ソニーの2010年3月期(米国会計基準)業績は、本業のもうけを示す連結営業損益が2期ぶりに黒字(前の期は2277億円の赤字)に転換したもようだ。黒字幅は数百億円となる可能性が高い。従来、300億円の赤字を予想していたが、液晶テレビの販売が堅調に推移した。人員削減などのコスト削減も損益の改善に貢献した。
 中国市場に投入した低価格液晶テレビが好調。国内市場ではエコポイントの恩恵も受け、液晶テレビの販売台数は1600万台弱(計画は1500万台)に達したようだ。価格下落の影響も限定的で、テレビの損益が想定以上に改善した。
 コスト削減も進んだ。部材などの調達コストは年間約5000億円規模で削減。また、不振だった携帯電話の英ソニー・エリクソンは10年1~3月期、7四半期ぶりに最終黒字に浮上した。
 ソニーの黒字化により、東芝やシャープなど売上高が1兆円を超える日本の主要電機メーカーの営業損益は前3月期、全社が黒字を確保したとみられる。ただ一時的なリストラ費用の計上などで、最終損益では赤字が続く企業が残る。



日経社説
新産業の発掘・育成に乗り出す日銀
 長引くデフレの背景は、経済の生産性が下がり将来への期待も低下したことである。そんな認識に基づいて、日銀が新産業の発掘や育成の支援を始める。物価、景気や金融を安定させる本来の仕事から、一歩も二歩も踏み出すものだ。
 新興国や資源国の経済拡大に引っ張られ、日本経済が持続的な成長に戻るメドが立ちだした。消費者物価も2011年度には、小幅ながら上昇に転じる見通しとなってきた。
 日銀が30日発表した経済・物価の「展望リポート」は、こんな見取り図を描いた。日本はリーマン・ショック後の危機を脱しつつあるといえるが、その先にある経済の姿を民間も政府・日銀もつかみかねている。
 バブルが崩壊してから20年にわたる長期低迷で、経済が無理なく伸びられる潜在成長率は0.5%程度まで低下してしまった。
 日本経済の成長基盤を取り戻すために、民間金融機関を資金面から支援したい。30日の金融政策決定会合で、日銀はそんな方針を決めた。生産性を高めるための研究開発への支援や、環境・エネルギー分野の後押しが想定される。
 日銀はいま金融市場に年0.1%の低利で3カ月物の資金を供給している。新分野への融資を増やした金融機関にはその期間をもっと長くして、腰を据えて新規案件を発掘できるようにすることが考えられる。
 発足直後のベンチャー企業の資金調達支援も大きなテーマだけに、証券化の手法を活用し、返済の優先順位の高い部分に日銀がカネを出すことも、将来の課題になるだろう。
 中央銀行がリスクマネーの出し手を支援する劇薬なので、副作用も心すべきだ。日銀自身に融資の目利きの能力がないことを忘れてはならない。民間の融資規律が緩み、後押しした日銀が信用リスクを抱え込むような事態は防ぐ必要がある。
 今回の措置は民間金融機関を支援するものなので、郵便貯金を元手にした融資で民間を圧迫する日本郵政とは違うと、日銀はいうだろう。だが、中央銀行が民間金融に手を染めることで、もうひとつの政府系金融が誕生するようでは困る。あくまでも民間の金融機関の仕事を後押しし、新しい産業や技術に資金を流す呼び水の役割に徹してほしい。
 30日の決定には、望ましい物価上昇率を目指し金融政策を運営するインフレ目標を受け入れたくないばかりに、日銀が奇策をろうしたとの批判もある。デフレ脱却と経済再生に向け政府と足並みをそろえることが大切なのは、いうまでもない。
NTTドコモ、iPhone追撃で「和洋折衷」の勝算は(COLUMN)
 「300万台のうち、100万台を取りたい」。28日の決算発表会見の席上、NTTドコモの山田隆持社長はスマートフォン(高機能携帯電話)で米アップルの「iPhone」(アイフォーン)追撃に並々ならぬ決意を表した。300万台というのはドコモが見込む2010年度のスマートフォン市場全体の売り上げ台数。プレゼンテーション資料には、やや小さめの活字ながら、「2012年度スマートフォン市場 販売シェア50%」という意欲的な文言まで踊る。
 現状、iPhoneはシェアが「7割を超えている」(ソフトバンクの孫正義社長)という絶対的存在。ドコモの目標には、今夏にも登場する次世代iPhoneの販売権をソフトバンクから奪うというシナリオは織り込んでいないとみられることから、山田社長の言葉はiPhoneに対する真っ向勝負の宣戦布告とみていい。
 勝算がないわけではない。4月1日に投入したばかりの新製品「Xperia(エクスペリア)」は「20日を待たずに10万台以上売れた」(山田社長)という異例の売れ行きをみせている。ドコモの加入者は5600万人強。「スマートフォンは使ってみたいが、ソフトバンクに乗り換えるのは気が進まない」という潜在需要を掘り起こせば、伸びしろは大きい。
 iPhone追撃の成否は、営業利益を8400億円と前期比で約60億円上積みする増益見通しにとってもカギになる。
 端末価格を高く設定する代わりに通信料金を割安にする「バリュープラン」の浸透もあり、音声の通信料収入は今期も2000億円減る見込み。ドコモが描くのは、この落ち込みの半分強をデータ通信収入の増加1100億円で跳ね返し、コストダウンとの合わせ技で増益に持って行くというシナリオだ。それにはデータ通信のARPU(契約当たり月間収入)の向上が前提になる。今期はデータARPUを2560円と110円上乗せし、初めて音声(2550円)と逆転させるという思い切った目標を打ち出した。「そのうち20~30円をスマートフォンで持ち上げたい」(坪内和人取締役常務執行役員)という。
 問題は右肩上がりで売れ続ける怪物、iPhoneにどうキャッチアップするかだ。ドコモの描く戦略はどうやら「ガラパゴス」との融合のようだ。今後、iモードメールへの対応や「おサイフ」機能の搭載など、日本独特の「ガラパゴス・ケータイ」の機能を兼ねそろえた商品・サービスに力を入れる。使い慣れた機能を引き継げるなら、買い替えのタイミングでスマートフォンに手を伸ばすユーザーは増えるだろう。
 無論、独自サービスの付加には「囲い込み」の狙いもある。ドコモの解約率は前期実績でわずか0.46%。直接開かれたインターネットにつながり、iモードなど通信各社の独自サービスに縛られないのがスマートフォンの特徴。コンテンツ・サービスの供給者のすそ野が広がるのは魅力だが、契約者の流動性が高まるというネックがある。“和洋折衷”ともいえるドコモの路線は、トップ企業ゆえの守りと攻めのバランスを取ったアプローチと言える。
 山田社長は会見で、アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」が通信会社の縛りの効かない「SIMフリー」で発売された場合、iPad用の「ミニSIM」を発売してドコモの回線利用を促す方針も示した。SIMとは契約者識別モジュールのことで、iPadユーザーにドコモの回線を利用してもらうことを狙う。「アップル=ソフトバンク」のタッグにくさびを入れ、iPhoneの勢いに多少なりともブレーキをかけてスマートフォン商戦を側面支援する効果が期待できるかもしれない。
 ドコモ自身が12年3月期とみていた「ARPUの音声とデータの逆転」の時期を1年前倒しに修正したように、スマートフォンやパソコン用データカード、電子書籍などモバイル(移動体通信)ビジネスの環境変化は予想以上に早い。ドコモが誇る「速くてつながりやすい」という通信インフラの優位性は、スマートフォン時代にこそ生きるはず。通信の「質」と和洋折衷作戦でiPhoneの牙城を崩せるかが、今後数年のドコモの「伸びしろ」を決めるだろう。



[FT]インドと中国、ケータイ貿易に摩擦
(2010年04月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
 インドが安全保障上の理由から中国製通信機器に対する輸入規制を強めており、アジアで急成長を続ける両国間の貿易摩擦が激化の様相を示している。
携帯電話業者は混乱
 この措置は中国政府の反発を招くとともに、1カ月に2000万人の割合で増える携帯電話の新規加入者に対応するため大量の機器を必要とするインドの携帯電話業者に混乱をもたらしている。
 フィナンシャル・タイムズ紙が確認したインド通信・情報技術省から首相府にあてた今週の書簡によると、「中国の業者から携帯電話機器を調達する計画は安保上の観点から好ましくなく、国内事業者のそのような購入計画は却下する」という内容となっている。
 インドの携帯電話市場は中国企業の主要な収益源となっており、通信機器の世界的大手で広東省深センに拠点がある華為技術では2008年の売上高の11%を占めた。
 一方、中国の対インド貿易黒字は昨年度、160億ドルに達し、インド市場には安価な中国製携帯電話があふれかえっているとの国内業者からの訴えが貿易摩擦に発展しつつある。
 インド政府に対しては、これまでも、中国政府によるスパイ装置の通信ネットワークへの組み込みを警戒して、一部の中国製携帯機器の輸入を阻止しているとの指摘が長期にわたり寄せられていた。
 以前はこうした規制は、主に領土紛争を抱えるパキスタンや中国との国境地帯に限定されていると見られたが、昨年12月、通信・情報技術省は携帯電話事業者への免許交付条件を変更し、「安全保障上の観点から」審査を行うため、外国業者からの携帯機器調達計画はすべて提出するよう求めるようになった。
 12月の改正措置は中国を名指しするものではなかったが、治安当局は中国が関係する業者からの免許交付申請を却下してきた。同省は29日夜、この件についてコメントを拒否した。
困惑する中国メーカー
 中国当局もコメントを拒否しているが、フィナンシャル・タイムズ紙が確認したインド通信・情報技術省の書簡には、在ニューデリーの中国大使館がインド政府に制度改正の情報提供を求めたことが記されている。
 インド市場で7億5000万ドルを売り上げる中国2位、世界5位の中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)は29日、状況を調査中とし、「明らかに通常の商行為ではなく、政治的要因が絡んだものだ。コメントは適切ではない」と述べた。
 5億8400万人の携帯電話加入者を抱えるインドは、中国に次ぐ世界第二の携帯電話大国だ。



【プロ野球】天候不順で低調? セ・リーグ観客動員数7%減
 セ・リーグは30日、ホームとビジターの対戦が一回りした29日までの観客動員数を発表し、前年比で1試合平均7・3%減の2万7240人だった。
 球団別では巨人と阪神が昨年を上回る4万人を集めるなど好調だったが、前年と違い、集客の多いゴールデンウイーク中の試合が含まれていないこともあり、全体的には低調だった。マツダスタジアムが開場した昨年は大幅増だった広島は25・6%減。横浜は天候不順の影響もあり16・2%減。中日は8%減だった。
 平均試合時間は3時間13分で前年比で5分長くなった。九回終了試合も3時間10分と6分長くなっており、12球団が目標としている3時間以内に届いていない。



危機根絶 最後の手段選ぶ時 ユーロ圏、費用最大74兆円の試算
 ゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン・チェースおよびロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループのエコノミストによると、ユーロ圏に広がる財政危機を根絶するには、欧州当局者は最大6000億ユーロ(約74兆円)の資金拠出あるいは国債購入を迫られる可能性がある。
 ギリシャ債務危機がイタリアやアイルランドに広がるなか、エコノミストは、ドイツのメルケル首相やトリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁ら当局者は前例のない手段を講じるべきだと主張している。こうした手段として、政府による債務保証やECBによる担保ルール撤廃、 銀行への無制限の融資再開などを挙げた。
 ドイツ政権のギリシャ支援合意が遅れるなか、過去1週間に欧州全域で債券相場および株価が急落。経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長はギリシャの債務危機を「エボラ熱」に例えた。欧州は、リーマン破たん後に米政府が講じた7000億ドルの金融安定化プログラムと同規模の策を強いられる可能性がある。
 JPモルガン・チェースの欧州担当チーフエコノミスト、デービッド・マッキー氏(ロンドン在勤)は「現在のソブリン危機を解決するために、最後の手段を選択すべき時が来たようだ」と指摘。「ユーロ圏では、リセッション(景気後退)再発を引き起こすような金融危機を防ぐために、これまでよりはるかに劇的な手段を講じるべき時期が来たのかもしれない」と続けた。
 同氏はスペイン、ポルトガル、アイルランド、ギリシャを支援するという最悪の波及シナリオが現実化した場合、これら以外のユーロ圏諸国の国内総生産(GDPの8%に値する支援が必要になると試算しており、それが約6000億ユーロに相当する。



サムスン電子、主力部門いずれも堅調 1~3月営業益前期比28%増 半導体がけん引
 【ソウル=尾島島雄】韓国のサムスン電子は30日、2010年1~3月期の連結営業利益が09年10~12月期に比べ28%増の4兆4100億ウォン(約3750億円)だったと発表した。半導体が高水準の利益をあげて全体をけん引し、液晶パネルと薄型テレビ、携帯電話の主力部門は堅調に推移。業績が回復し始めた日本の電機大手を引き離す勢いを持続している。
 1~3月期から国際会計基準(IFRS)を適用し、過去の実績は09年1~3月期までさかのぼって公表した。それ以前との正確な比較はできないが営業利益は過去最高水準となった。
 連結売上高は10~12月期比12%減の34兆6400億ウォン。デジタル家電のクリスマス商戦が明けた後の下げ幅を最小限に抑えた。金融危機の影響が残った前年同期に比べると売上高で同21%増、営業利益は同7.4倍の大幅増となった。売上高は減少したものの、マーケティング費用が減少し増益につなげた。純利益は前四半期比31%増の3兆9900億ウォンだった。
 利益に最も貢献したのは半導体。堅調なメモリー市況でパソコンなどに使うDRAMの販売が大幅に拡大した。新型の「DDR3」に加え、大手メーカーの生産設備のシフトで品薄となった「DDR2」も取引価格が上昇した。半導体部門の営業利益は前四半期比46%増の1兆9600億ウォンにのぼり、スマートフォン(高機能携帯電話)などに搭載するNAND型フラッシュメモリーでも収益増につなげた。



DeNA、「モバゲー」で過去最高の売り上げと利益を計上 
 携帯電話向けのポータル(玄関)サイト「モバゲータウン」を展開するDeNA(ディー・エヌ・エー)が30日発表した2010年3月期連結決算によると、売上高は前期比27.9%増の481億円、最終利益は同42.9%増の113億円でそれぞれ過去最高の業績だった。「モバゲー」の会員数増加に加え、ソーシャルゲームにヒット作が出たことで、事業が好調に推移した。
 続く11年3月期の業績見通しは、新規事業の分野が多いため「信頼性の高い通期の業績予想値を算出するのが困難」として、公表していない。ただ、今期からNTTドコモやヤフー・ジャパンとの提携策などの新たな取り組みから増収増益が見込まれている。



日経社説
上海万博が映す中国近代化の光と影
 上海国際博覧会が5月1日に開幕する。40代半ば以上の日本人なら、何時間も行列して月の石を見た1970年の大阪万博を思い出すかもしれない。確かに、当時の日本と今の中国はよく似ている。
 日本から3つのパビリオンが出展する。人々がありのままの日本の姿に親しみ、環境などの技術力を知ってもらう場になると期待したい。
 今の中国は10%前後の高い経済成長が続き、世界で2番目の経済大国になろうとしている。米ドルに固定した為替相場の下で膨らんだ貿易黒字が国際的な摩擦を招いている。
 五輪に続く万博の開催、豊かな生活を目指す人々の熱気、上海など都市部でのビルの林立、高まる公害問題への国民の関心。いずれもかつての日本をほうふつさせる。
 中国にとって万博は近代化の成果と未来の展望を示す場だ。上海万博の開催は、1911年の辛亥革命を出発点とする近代化のひとつの大きな成果といえる。共産党政権には49年に建国して以来の、特に78年に改革・開放政策を打ち出してからの実績を誇示する好機だろう。
 共産党政権が追い求めてきたのは工業、農業、国防、科学技術の「4つの近代化」だ。改革・開放が始まる際に民主活動家の魏京生氏が唱えた「5番目の近代化」、つまり政治の民主化は置いてきぼりである。
 共産党による一党独裁の下で、国民は自分の意見を政治に反映する手立てを制約されている。法の下の平等や法の支配が徹底せず、言論の自由への制限はなお厳しい。
 その影響は経済にも及ぶ。高度成長期の日本では「一億総中流」といわれるほど格差が縮小したが、今の中国では格差は広がる一方だ。住民を無視して開発を進め、都市と農村を別に扱っている結果である。
 急速な発展の陰には、わずかな補償で住居の立ち退きを余儀なくされる市民も多い。約5平方キロと東京ドーム100個分以上の万博会場も、半ば強制的な住民移転で造られた。万博のPRソングの盗作問題は、法の支配、知的財産権の保護が徹底していないことを改めて示した。
 中国では暴動ないしそれに近いデモが9万件を超える年もある。国内の民族紛争も絶えない。国民の声が政治に反映されないことが、社会の不安定要因となっている。
 来年は辛亥革命から100年。中国の近代化はどこへ向かうべきか、共産党の指導者を含め中国の人々は問い直すときだろう。民主化が経済発展に伴う姿こそ、日本や世界が中国に望むものである。
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