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新機能を増やし続ける「PS3」の苦悩
 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の家庭用ゲーム機「プレイステーション3(PS3)」には、今年の年末商戦に向けた目玉が2つある。3次元(3D)対応とモーションコントローラー「PlayStationMove」だ。2006年の発売以来、新機能や周辺機器を次々に追加してきたPS3の「オプション」がまた増えることになる。
 PS3は09年9月に発売した小型の新機種が好調で、09年度は世界で1300万台を販売した。北米市場ではマイクロソフトの「Xbox360」に及ばないものの、欧州では接戦を続けている。日本は約500万台で、約100万台のXbox360に大差を付けている。
 欧米圏では、SCEの傘下にあるゲーム会社が開発した「アンチャーテッド2」や「ゴッド・オブ・ウォー3」といったタイトルの評価が高い。ハードの価格が手頃になってきたことで、北米ではPS3とXbox360を両方所有するユーザーも増えているようだ。この勢いを3DとPlayStationMoveでさらに増し、10年度は1500万台の販売を狙っている。
「即戦力」はモーションコントローラー
 SCEが3Dに力を注ぐのは、ソニーグループの一員として家庭用3Dテレビを成功させる必要があるからでもある。テレビとともに3D映画ソフトの販売が伸びれば、映画事業にも貢献する。自社タイトルのゲームも含め、PS3を核に3D市場を囲い込む戦略だ。
 ただ、3Dテレビはまだ価格が高く、今年の年末商戦で一気に普及するとは考えにくい。特に、PS3ユーザーの中核である10~30代は可処分所得に限りがあり、今はまだ先行投資の意味合いが強いだろう。
 一方、モーションコントローラーのPlayStationMoveは即戦力だ。任天堂「Wii」の二番煎じとはいえ、性能ははるかに高い。日本では5980円という戦略的な価格に設定した「スターターパック」も用意した。
 日本での発売日を欧米圏の9月中旬より遅い10月21日に設定したのも、9月16~19日に開催される「東京ゲームショウ」で話題を盛り上げるためだろう。ゲームショウでどんなタイトルを前面に出してくるかが注目される。
 ただ、こうしてPS3に新たな周辺機器やオプション機能が次々と追加されていくと、ユーザーとしては戸惑う面もある。あらゆる用途に拡張していき、ゲーム機としてどんな方向を目指そうとしているのかが逆にわかりにくくなってしまうからだ。しかも、それらのオプション機能は大半が有料で、一つひとつにそれなりの支払いが生じる。
 例えば映像プレーヤーとして見ただけでも、DVDやブルーレイ・ディスク(BD)パッケージの再生はもちろん、ダウンロード購入やネットレンタルもできる。周辺機器の地上デジタル放送レコーダー「torne」を購入すれば、地デジの視聴・ハードディスク録画もできる。今後はさらに3Dソフトも増えていくだろうが、これをすべて使いこなす人はどれだけいるだろうか。
 例えは悪いが、マイクロソフトのオフィスソフトのようだ。バージョンアップで多くの新機能を追加しても、大半のユーザーはほとんど使わない。むしろ、機能が増えたせいでかえって複雑になり、使いにくくなったという指摘もある。
 選択肢を増やせば、利用も増えるとは限らない。ユーザーに対して、何にいくら支払えばどんな便益が得られるかをわかりやすく伝える工夫が必要なのだが、PS3はその点が以前から弱い。
 ハードとソフトとブロードバンド回線、そこに周辺機器を組み合わせることで、PS3がユーザーに提供できる機能は爆発的に増加した。しかし、PS3の周辺機器で大成功したものが少ないことでもわかるように、一つひとつのインパクトは薄まり、いわば「オプション機能のインフレ化」が起きている。
戦う敵が多いPS3の「宿命」
 対照的なのは、任天堂の今年の目玉である「ニンテンドー3DS」だ。商品コンセプトは「裸眼で3Dゲームが楽しめる」とシンプル。しかも、基本機能の3Dカメラは新たにソフトを買わなくても使うことができる。購入すれば、どんな満足が得られるかをイメージしやすいのだ。
 PS3に様々なオプション機能が追加されすぎて、かえって「顔」が見えないようになったのは、「宿命」でもある。PS3のライバルはXbox360とWiiだけではない。BDプレーヤーなどの家電メーカーはもちろん、アップルやグーグル、さらにはFacebookなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)企業まで相手にしなくてはならない。
 SCEは今年の年末商戦でPS3をどうアピールするのだろうか。PlayStationMoveを前面に出すのはもちろんだが、それだけでは十分でない。BDレコーダーとしての魅力、3D対応、独占タイトル、インターネットへの接続機能など……。高性能ゆえに多くの敵と戦わなければならないPS3の難しい立場が見えてくる。



与党過半数割れなら、連立参加呼びかけ…首相
 【トロント=五十嵐文】菅首相は26日夜(日本時間27日午前)、トロント市内のホテルで同行記者団と懇談し、参院選で民主、国民新両党の与党で過半数に達しない場合、選挙後ただちに他党に連立参加に向けた協議を呼びかける方針を表明した。
 首相は、参院での与党過半数割れによる「ねじれ」について「政権運営上、なかなか難しい状況だ。そうした場合には他党のみなさんともいろんな形で話し合いをすることが必要になる」と述べた。参院選の目標議席については「54議席以上」とする考えを改めて示した。
 消費税率の「10%」引き上げに言及したことに関しては、「私が公約したのは(超党派の)議論を呼び掛けるところまでだ」と述べた。当地で開催された主要8か国(G8)首脳会議で消費税について直接触れなかったことについては「特に意図はない。マクロ的な議論の中で、マクロ的な表現で申し上げている」と語った。



金総書記の三男、要職起用か…後継確立急ぐ
 【ソウル=前田泰広】朝鮮労働党が44年ぶりに党代表者会を開くのは、北朝鮮が金正日(キムジョンイル)総書記の後継者と目される三男の金ジョンウン氏への権力移行を急ピッチで進めていることの表れとみられる。
 金総書記の健康不安で次期体制の確立が急務となっており、党内の後継体制確立に向けた節目となりそうだ。
 9月上旬に開催される党代表者会は「党最高指導機関の選挙」を目的としており、韓国国防研究院の白承周(ペクスンジュ)安保戦略研究センター長は、代表者会で「ジョンウン氏が政治局員などに選出される可能性がある」と分析する。北朝鮮問題専門家は、ジョンウン氏が党要職に起用されるとの見方でほぼ一致する。北朝鮮は2012年に軍事力と経済力を兼ね備えた「強盛大国」を建設する目標を掲げており、それまでに後継体制を確立するための布石とみられる。
 代表者会は、北朝鮮の建国記念日である9月9日と前後して開かれることになり、祝賀ムードを盛り上げるには絶好の時期だ。10月には党創設65年の節目を控えており、代表者会で30年ぶりの党大会開催に向けた準備を行う可能性がある。党大会は1980年10月に開かれたのが最後。この時に金総書記は政治局常務委員などの肩書で初めて公式に報道され、後継者としての立場を内外に示した。
 ジョンウン氏は金総書記の地方視察に同行し、後継者として活動している模様だが、正式な党の役職には就任していない。ジョンウン氏の後見役とされる張成沢(チャンソンテク)党行政部長は、6月7日の最高人民会議(国会に相当)で国防委員会の副委員長に任命されており、ジョンウン氏を支える勢力は軍で影響力を伸ばしている。代表者会でジョンウン氏の側近が党幹部に起用されれば、後継体制作りは党内でも進むことになる。
 ただ、ジョンウン氏の権力継承に向けた準備期間は、金総書記が権力移行にかけた時間に比べると短く、権力基盤を万全に固められると言い切れない。金総書記は74年、党政治委員に選ばれ、金日成(キムイルソン)主席の後継者に内定。98年9月の最高人民会議で、国家の最高ポストに格上げされた国防委員長に再任され、名実ともに最高指導者となった。
 ◆朝鮮労働党代表者会=朝鮮労働党の規約では、党大会の閉会中に必要に応じて招集され、党中央委員の人事や緊急問題の討議などを行うとされる。ラヂオプレス(RP)などによると、過去に58年3月と66年10月の計2回開催され、58年には金日成首相(後の主席)の政敵追放、66年には総書記ポストの新設などをそれぞれ決定した。朝鮮労働党は、国会に当たる最高人民会議や内閣よりも上位にあるが、「先軍政治」を掲げる金正日総書記が軍への傾斜を強めるなか、相対的な弱体化も指摘されてきた。



日欧「輸出に依存しすぎ」米長官、中国は称賛
 ガイトナー米財務長官は26日、20カ国・地域(G20)首脳会合を前に記者会見し「日本と欧州の成長はやや遅く(ペースも)ゆっくりだと予想する」と述べた上で「他の地域と比べ成長がまだ過度に輸出に依存している」と批判、持続可能な成長に向け内需拡大策の実行を要求した。
 一方で中国には「市場の力で人民元の切り上げが始まった」とし、中国にも貿易相手国にも「重要な一歩だ」と評価。「中国の成長は以前より国内消費と内需が主導している」とし中国の経済改革を手放しで称賛した。
 長官は「経済危機の不安はまだある」と景気腰折れの危険性を指摘。「G20のすべての国は成長強化へ行動が必要」と、財政危機の一部の国を除いて景気刺激策を当面は続ける必要性を訴えた。



BPの補償責任で一致 原油流出で米英首脳
 オバマ米大統領は26日、訪問先のカナダ・トロントで、キャメロン英首相と初めて会談し、メキシコ湾の原油流出事故を起こした英石油大手BPには流出を止め、被害補償を行う責任があるとの認識で一致した。ローズ米大統領副補佐官が明らかにした。
 一方、ロイター通信が英政府当局者の発言として伝えたところによると、両首脳はBPに損害を与えても「何ら得るものはない」ことも確認した。BPを経営不振に追い込むようなことは得策ではないとの見方を示したとみられる。
 アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官を23日に解任したオバマ氏は会談後、記者団に対し、米英がアフガン情勢について「正しい戦略を共有している」と強調し、緊密な連携を続けると表明。キャメロン氏は英国にとってアフガンが「外交、安全保障の最優先事項」だと述べ、今後1年間が極めて重要だと語った。



米韓FTA推進に意欲 オバマ氏、11月までに
 オバマ米大統領は26日、韓国の李明博大統領との会談で、米韓自由貿易協定(FTA)に関する双方の対立点をオバマ氏が訪韓する11月までに解消し、その後数カ月中に米議会に批准を求める考えを示した。
 米韓両政府は2007年にFTA締結で合意したが、米議会の反発などがあり双方とも批准に至っていない。オバマ氏は、カーク米通商代表に韓国側との協議を進めさせる意向を表明。フロマン米大統領副補佐官は、今回のFTA交渉推進が、雇用創出のため5年間で輸出を倍増する計画の一環だと説明し、米政府の真剣さを強調した。
 フロマン氏によると、牛肉と自動車をめぐる非関税障壁などが具体的な対立点。米側は議会との協議も優先的に進める。
 フロマン氏によると、米国は韓国に年間約500億ドル(約4兆4600億円)相当のモノとサービスを輸出しており、FTAが締結されればモノだけで年間100億ドルの輸出増が見込めるという。



アフリカ17カ国に普及促す 地デジ規格でブラジル
 地上デジタル放送の規格をめぐり、ブラジルのルラ大統領は7月上旬のアフリカ歴訪に際し、南アフリカやタンザニアなど17カ国に日本方式の採用を働き掛ける意向を決めた。国営ブラジル通信が大統領顧問の話として26日報じた。
 大統領顧問によると、アフリカ南部の経済的統合を目指す南部アフリカ開発共同体(SADC)=15カ国で構成=の技術担当者は日本方式の採用に前向きといい「欧州方式は競争力を失いつつあるのを欧州自身が分かっている」などと述べた。
 ブラジルは2006年に日本方式の採用を決定。中南米での普及を進め、これまでに中南米諸国とフィリピンの計9カ国が日本方式を採用した。



公務員採用枠 「あまりに唐突」4割減
 二〇一一年度の国家公務員の採用者数が採用試験直前の五月下旬に四割の大幅カットとなり、公務員を目指す大学生らに大きなショックを与えている。採用者数はこれまで通りなら〇九年度中に決まったはずだが、今回は民主党政権の公務員削減方針を受けて異例の遅れとなった。就職活動中の大学生らの前に突然現れた“狭き門”。学生らの間では「あまりにも唐突。民間企業を併願するには遅すぎる」と怒りや困惑が広がっている。
 「決定が遅い。一年前とか半年前なら、民間にシフトできたんですが…」。二十日、大卒程度の人が対象の国家公務員2種試験が行われた東京大教養学部(目黒区)。試験を終えた国立大四年の男性(22)が不満を漏らした。
 民主党は昨年衆院選のマニフェストで、国家公務員の総人件費二割削減を掲げており、いわゆるキャリア官僚を選ぶ1種試験五日前の四月二十七日、鳩山前首相が採用枠半減の方針を表明。最終的に採用者数の上限が四千七百八十三人(〇九年度比39%減)と決まったのは、2種試験一カ月前の五月二十一日だった。
 雇用の低迷で、申込者は1種、2種とも昨年度より約二割増加しており、競争率アップとの“ダブルパンチ”に、志望者は大きなショックを受けた。入学時から準備を進めてきた私大四年の女性(22)は「いきなり採用を減らされて涙目。民間の採用は大方終わっている」と落ち込んだ。
 原口総務相は「厳しい財政状況の下、総人件費を抑制するため」と説明するが、女性は「民主党は支持母体の公務員労組との関係で現役公務員の給与削減ができず、しわ寄せが私たちの世代に来たのではと感じる。公務員批判という人気取り政策を、選挙前にあわてて打ったとしか思えない」と批判する。
 資格試験予備校「東京リーガルマインド」の大野純一専任講師は「学生からは『一生懸命勉強してきたのに、だまされたようなもの』という声があり、親からの問い合わせも多い。政治主導なのかもしれないが、唐突だ」と話す。
 削減幅は国家1種が二割減なのに対し、地方の出先機関は八割減となり、地方大学出身者が多い2種や高卒程度の人が対象の3種が大きな影響を受ける。
 立命館大の佐藤智之エクステンション事業課長は「出身地への貢献を考えて公務員を希望する学生は多い。民間は受け皿がなく、学生は非常に動揺している」と話す。
 総務省は「採用枠の縮小は人件費削減のためだけでなく、いろいろな政策の中で取り組んでいる。現役公務員の給与抑制も速やかに検討する」と説明。唐突との批判には「来年の試験からでは『先送り』と批判される。それではタイミング的に遅いと(政治家が)判断したのでは」としている。



【東京新聞社説】
週のはじめに考える 『核の春』とヒロシマ
2010年6月27日
 核兵器削減に向けた、先月までの一連の国際会議は期待されたほどの「核の春」とはなりませんでした。世界はいま一度、核の恐怖を思い出すべきです。
 「核の春」と胸を張ったのは、ニューヨークで開催の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に臨んだ米代表の冒頭演説でした。米ロの核軍縮更新、初の核安保サミットも開いて米国外交は勢いづいていた。しかし、結果は前進への具体策を欠くものでした。
◆核保有国の問題先送り
 核保有国フランスの代表はいみじくも述べました。「核軍縮はすべての国の同意なくして前進はない」。その通りです。でもそう言って核保有国はこれまで解決を先送りしてきたのです。自国の優位だけを守って、君は核を持つな、は通る議論ではありません。では一体何を基準に考えたらいいか。
 先日、広島の平和記念資料館を訪ねました。入館するとすぐ、広島がなぜ原爆投下地点に選ばれたか、の展示があります。米国の資料を使った説明です。外国の老夫婦、若いバックパッカーたちが食い入るように見ている。見学の列が進まないほどです。
 展示は言います。「…米空軍や科学者で構成する投下目標選定委員会は、一九四五(昭和二十)年四月、直径三マイル(四・八キロ)以上の市街地をもつ戦略的価値のある研究対象として、東京湾、川崎、横浜、名古屋、大阪、神戸、京都、広島、呉、八幡、小倉、下関、山口、熊本、福岡、長崎、佐世保を選んだ」。わがふるさとも対象だったのか、と少なからぬ人々が想像するところです。
 そこから投下地点は絞られてゆくのですが、その内幕を米国の歴史学者バートン・J・バーンスタイン氏の論文を参考に追ってみます(一九九五年「フォーリン・アフェアーズ」所収)。
◆「市民は避難させよ」
 …投下を検討する科学部会でノーベル賞物理学者コンプトンが発言。「原爆は先例のない大量殺戮(さつりく)をなし、放射性物質を散布し、毒ガス以上の深刻な問題となる」
 …マーシャル陸軍参謀総長(後に戦後欧州を復興させるマーシャル・プランで知られる軍人政治家)は「軍事基地に投下し、それを警告として市民は避難させよ」。
 …長老政治家スティムソン陸軍長官。「日本人に事前警告を与えてはならない。市街地を集中攻撃しないが、最大多数の日本人に衝撃を与えるため住宅地の囲む大規模兵器生産工場への投下に合意」
 …スティムソンの七月二十四日の日記。「もし京都の文化遺産を破壊すれば日本人は米国を永遠に恨む。それはロシアの満州侵攻で日本を米国寄りにするはずの米国の政策を台無しにする」。トルーマン大統領ら同意。
 …トルーマンの七月二十五日の日記。「史上最も恐ろしい兵器が完成。世界終末の火なのか」
 論文が示すのは、政治家や軍人が原爆の威力におののきつつも、民間人を巻き込む大量殺戮へとのめり込んでゆく姿です。米国は原爆開発に二十億ドルの巨費をつぎ込んでいたうえ、対ソ優位の確保には原爆の開発と使用が不可欠と考えていました。原爆開発は日本もドイツも目指したことでした。
 第二次大戦で人類は道徳観を自らまひさせ、戦後はそれを忘れて原爆製造競争に進んだのです。
 人類は常に危うい綱渡りをしているようなものです。南米のブラジルとアルゼンチンは一度は核兵器開発を決めたものの後に中南米核兵器禁止条約を成し、逆に南アジアのインドとパキスタンは核を持ち合うに至ります。持たないのか、持つのか、安全保障と地政学上の理由もありますが、最後は国民の動きかもしれません。南米の二大国はともに民主国家になり、核放棄を決めました。
 世界は対人地雷の廃絶を決め、クラスター(集束)爆弾もなくそうと動きだしました。無数の“子爆弾”をばらまくクラスター爆弾による被害者の約98%が市民だという主張もあります。農民や子供らが命も手足も次々失う惨状を市民団体が訴え、やがて世界的世論になったのです。大きな安全保障ではありませんが、人間的な皮膚感覚、道徳観の回復例です。
◆肉声に耳を傾けるとき
 今や核兵器はその極端な非人道性と相互破壊性から最強だが最も使いにくい兵器と考えられています。先制不使用宣言国もある。しかし人類が愚行を繰り返してきたことは歴史の物語るところです。
 先のバーンスタイン氏の論文は原爆投下の正当性に異を唱えたものですが、同時に人類の過ちへの警告でもあります。そこに核廃絶へ向かう原点はやはりあり、それを身をもって知る被爆者はもう高齢です。「核なき世界」の唱道者は今こそ広島、長崎へ来てその肉声に耳を傾けるべきでしょう。

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会員数4倍増への秘策は? UQ WiMAXの次の一手
 UQコミュニケーションズは正式サービス開始から1年を迎えた6月7日、1周年記念の記者発表を開催した。
 会場で同社代表取締役社長の田中孝司氏は、2009年2月に試験サービスを開始して以降、この1年のUQ WiMAXへの取り組みについて振り返った。それと共に、同氏が取締役会長に退き、新たな代表取締役社長に、同社顧問の野坂章雄氏が就任するとの発表がなされた。
 この社長交代は、同社の大株主であるKDDIの組織改変が影響していると考えられる。田中氏は4月にKDDIの代表取締役へ昇進すると共に、同社のコンシューマー事業本部を担当することとなった。実際、すでに5月に開催されたauの夏モデル発表会においても、田中氏が登壇してauの戦略説明をしている。
 一方、新社長となる野坂氏は、これまでKDDIの国内だけでなく、米国や中国の事業に携わった経験を持ち、2010年4月にUQコミュニケーションの顧問に就任。そして今回、社長へ就任する形となった。
 社長に就任した野坂氏は、新たな成長のUQ WiMAXの価値を向上させ、5月末時点で約20万の会員数を、年度末には80万に増やすという目標を掲げている。
弱みの“エリア”と強みの“高速通信”を強化
 では、どのような戦略をもって、現在の会員数を4倍にまで増やそうというのだろうか?
 1つはエリアである。UQ WiMAXは2009年度末までに7013基地局を設置し、47都道府県での利用を可能としている。しかし都市部のエリアは確かに充実してきているものの、主要都市を除く多くの県では極めてごく一部でしか利用できないのが現状だ。
 そこで2010年度は新たに8000基地局を追加、合計で1万5000へと基地局を倍増するという。これにより地方での利用エリアを増やすほか、首都圏の通勤路線での利用を整備したり、スポットの“穴”を埋めたりしていくことで、都市部の満足度も高めていくようだ。
 次は速度だ。UQ WiMAXは他社と比べ通信速度の高速さで支持を集めている部分も大きいが、他のキャリア各社が今後より高速な通信方式を導入してくることから、さらなる速度の向上を進めていくという。
 まずはシステムや端末のチューニングを進めることで、下り30Mbpsの実行速度の実現を目指す。さらに年末には64QAMの適用でこれを40Mbpsにまで高速化するほか、将来的には“次世代WiMAX”となるより高速なIEEE802.16mを導入することで、下り最大330Mbpsの実現を目指すとしている。
注目を集めるモバイルルーターにも力を入れる
 もう1つは端末だ。発表会開催時点で9メーカー37機種のパソコンがモバイルWiMAXを標準搭載しており、その後、発表された各メーカーの夏商戦モデルにおいても、いくつかの機種がモバイルWiMAXを標準搭載しているなどWiMAX内蔵パソコンは増加傾向にある。
 さらに今後、力を入れていく分野として挙げられたのが、ノンPCの通信需要の獲得、つまりモバイルルーターである。ゲーム機やiPadなど無線LANによる通信機能を搭載した機種が増えてきていることから、外出先などでもこれらの機器で通信できるよう、ここ最近多くのキャリアがモバイルルーターの提供に力を入れてきている。
 UQコミュニケーションズもこの流れにのり、UQ WiMAXを使用したモバイルルーターを「WiMAX Speed Wi-Fi」として訴求していくことを発表。これに合わせる形で、新たにシンセイコーポレーションやNECアクセステクニカなどから、モバイルタイプ2機種、据え置きタイプ2機種と、計4機種の端末が発表されている。
通信方式の選択よりトラフィックの増大が大きな問題に?
 さらに今後の成長戦略として、同社は「携帯電話モデルとの差別化」「オープンモデルの加速」「グローバル展開」の3つを掲げている。WiMAXがデータ通信専用として誕生していることを生かした高速性、パソコンだけでなく多くの機器に導入しやすいオープン性、そしてアジアを中心に世界148カ国で展開されているというグローバル性が、今後の成長につながるというわけだ。
 だが一方で懸念されているのが、世界的に見てモバイルWiMAX自体が優位性を失いつつあるということだ。というのも現在、ロシアのyotaや米国のClearWireといった、UQコミュニケーションズと同じUQ WiMAXの事業を進めてきたキャリアが、LTEを採用、もしくは採用を検討しているという状況なのだ。さらに大手主要通信事業者の多くはLTEの採用を表明していることから、モバイルWiMAXが不利な状況に立たされつつある。
 だが会見の質疑応答でこの問題について触れられた際、田中氏は「WiMAXかLTEかという規格の問題より、もっと大きな問題がある」としている。それはワイヤレスネットワークにおけるデータトラフィックの増大で、2015年には現在のネットワークがオーバーフローするのではないかと話している。それゆえモバイルWiMAXやLTEだけでなく、既存の3Gや、無線LANなどあらゆるワイヤレスネットワークを活用して、溢れるトラフィックをカバーする必要があるというのだ。
 最近でも米国のAT&Tや英国のO2などがトラフィック増大の懸念からiPhoneでのデータ通信定額プラン廃止という施策を打ち出すなど、トラフィック増大によるワイヤレスネットワークへの影響が顕在化しつつある。ユーザーの使い勝手という問題は残るものの、データ通信需要の増加で急速に増加するトラフィックに対処するためには、所有している周波数帯や技術など“使えるものをとにかく使う”という考えが求められてきているようだ。



「ユーチューブ」5月の視聴146億回 過去最高
 インターネット検索最大手の米グーグルが運営する動画共有サイト「ユーチューブ」の利用が拡大している。米調査会社のコムスコアによると、米国における5月の視聴回数が146億回となり、過去最高を記録した。圧倒的なシェアにより有力コンテンツを集め、さらに視聴回数の増加につなげるという好循環を生み出している。
 ユーチューブの米国における視聴回数はサービス開始から約4年たった2009年8月に100億回になったが、それから9カ月でさらに5割近く増えた。5月の利用者は1億4400万人に達し、1人あたり平均101.2回視聴した計算。月間平均視聴回数は初めて100回を超えた。
 5月の米動画サイト市場におけるシェアは43.1%となり、メディア大手が共同運営する「フル」(シェア3.5%)などを大きく上回った。当初、既存メディアは著作権を無視した違法動画などを問題視してユーチューブと距離を置いたが、現在は新たな視聴者の獲得や作品の宣伝などに利用。ホワイトハウスもオバマ大統領の演説の中継に使うなど利用場面が拡大している。



携帯各社の用語統一を、業界団体が取り組み
 テレコムサービス協会など四つの業界団体が、携帯各社の通信サービスなどの名称を統一し、利用者の理解を助ける取り組みに動き出した。
 4団体は、「パケ・ホーダイダブル」、「EZナビウォーク」など通信、インターネット関連のサービス名や専門用語など、約350語について統一用語集をまとめた。近くホームページなどで公表し、各社が8月以降に作る商品広告やカタログで、統一用語を使ったり、サービス名に併記したりするように要請する。



【サミット】首脳宣言採択 北朝鮮「平和と安全への重大な脅威」
 【トロント=船津寛、柿内公輔】主要国(G8)首脳会議(ムスコカ・サミット)は26日昼(日本時間27日未明)に閉幕した。議長国カナダのハーパー首相が記者会見。2日間の討議を踏まえた首脳宣言では、46人が犠牲になった韓国哨戒艦撃沈事件について北朝鮮の名を明記し、攻撃を非難した。
 哨戒艦撃沈事件についてロシアは、韓国が問題提起した国連安保理の議論を見守るべきだとし、北朝鮮の犯行と断定することに難色を示したが、最終的に日米両国の求めに応じた。
 北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射については「国際社会の安全に対する脅威」として放棄を要請。拉致問題を含む北朝鮮の人道問題にも改善のための措置をとるよう求めた。
 このほか、ウラン濃縮活動を続けるイランを強く非難。国際社会にも国連安保理の追加制裁決議の「完全な履行」を呼び掛けた。
 一方、世界経済について「予想以上に改善しているが、短期的には景気への配慮を怠るべきではない」との認識を共有。欧州の財政危機を受け、「財政健全化はタイミングを誤らなければ持続可能な成長に資する」と確認した。



オバマ大統領、8兆円規模「金融危機責任税」
 【トロント(カナダ)=岡田章裕】オバマ米大統領は26日、週末のラジオとインターネットによる定例演説で、大手金融機関から10年間で900億ドル(約8兆円)規模を徴収する「金融危機責任税」の実現に意欲を示した。
 上下両院が法案の一本化で合意した金融監督・規制の改革法案に関連して、オバマ大統領は「まだ残された仕事がある。金融危機で公的資金の恩恵を受けた巨大な金融機関に、負担金を課さなければならない」と述べた。
 上下両院が一本化で合意した改革法案は7月4日までに成立する見通しだが、オバマ大統領が一連の金融危機への対応で、金融機関に注入した公的資金を回収するために、今年1月に導入を表明した金融危機責任税は含まれていない。オバマ大統領は改革法案について「ウォール街(金融街)との戦いに私が立ち上がった時の提案内容の90%が反映された」と評価すると同時に、金融危機責任税の導入で「納税者のお金は、すべて取り戻せる」と強調した。



G8サミット、亀裂回避優先で日本の“第三の道”に乗る?
 【トロント=渡辺浩生】25日行われた主要国(G8)サミットの経済討議は、経済成長と財政再建のどちら優先すべきかという米国と欧州の対立は、日本が示した両立という“第三の道”に乗る形で亀裂を回避した。新興国が加わる20カ国・地域(G20)サミットを前に、先進国間の溝を露呈させたくないという思惑から、結論の出ない“神学論争”をひとまず封印したが、両立はこれまでどの国も成し遂げたことのない難題だ。
 もともと欧州は統一通貨ユーロの信認を守るため、“財政規律派”だったが、ギリシャの財政危機に端を発する信用不安を受け、サミット前に相次いで財政再建計画を打ち出した。特にドイツは4年間で約800億ユーロという過去最大の緊縮策を発表。メルケル首相は「健全な財政が最良の危機防止策だ」と訴えた。
 これに対し、米政府は景気刺激を継続し回復を優先すべきという“成長重視派”だ。サマーズ国家経済会議委員長とガイトナー財務長官は23日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルへの寄稿で、「成長がなければ、財政赤字はさらに増え続ける」と、牽制(けんせい)した。
 その間を取り持つようにサミットデビューしたのが、「増税しても、使い道を間違わなければ成長できる」と説く菅直人首相。
 経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長は25日、「両方を追うべきで、どちらか一つを選ぶ問題ではない」と主張。日本の第3の道に「簡単ではないが重要な道筋だ」と関心を示した。
 討議でも経済問題に長時間を裂き、一致点を模索。ロイター通信によると、オバマ米大統領は欧州の財政再建策は性急すぎると懸念を示しながらも、「成長戦略には中期的な財政再建が含まれる」と歩み寄った。メルケル首相も25日の討議後、「対立はなかった」と語った。
 G8はひとまず財政再建の必要性で一致したが、菅首相の第3の道に対しては、日本でも「増税は着実に家計を圧迫し、景気を悪化させ、デフレ圧力を強める」(民間エコノミスト)との懐疑的な声が多い。
 各国とも両立の実現に自信があるわけではなく、対立表面化の回避を優先しただけ。G20議長国のカナダは、財政赤字削減の目標設定で合意を目指しているとされ、火種はくすぶる。G20を強く意識せざるを得ない状況は、G8の地盤沈下も象徴している。



【産経主張】消費税を問う 「第三の道」真贋見極めよ
 ■大きな政府と成長阻害は困る
 消費税問題が参院選最大の焦点になっている。自民党に続き、民主党の菅直人首相がこれまでの税率引き上げ反対方針を転換したからだ。昨年の衆院選のマニフェスト(政権公約)を反故(ほご)にした説明責任を果たさねばならないが、方針転換自体は間違っていない。
 日本の長期債務残高は国、地方合わせて860兆円を超し、国内総生産(GDP)の1・8倍と、先進国に例のない破綻(はたん)寸前の水準まで悪化した。これは国民が享受する行政サービスという「受益」と「負担」のギャップが積み重なった結果である。
 しかも、高齢化社会の急進展で年金、医療、介護といった社会保障の必要財源は急増し、このままでは受益と負担の不均衡拡大で社会保障制度の維持が困難になる。国民の将来不安はここに根差しており、社会保障財源を確保しつつ財政健全化を図るしかない。
 安心を提供する社会保障には安定的、かつ国民全体で負担できるような財源がふさわしい。それは税収が景気に左右されにくく、若年層から老人まで負担する消費税以外にあるまい。
 その税率は5%と、北欧諸国の25%はもちろん、欧州連合(EU)主要国の20%前後より格段に低い。これが「中福祉・低負担」と指摘されるゆえんであり、税率引き上げの必要性に議論の余地はないだろう。
 ≪あるべき社会保障像を≫
 問題は菅首相の消費税引き上げ論が生煮えで、その使途の方向性もおかしいことだ。
 菅氏は税率について「10%が参考になる」とし、引き上げ時期については「2~3年後かその先」と述べている。しかし、この発言は「当面10%」という自民党への対抗上なされたもので、給付と負担のバランスなど社会保障制度のあるべき姿を考えて導いたわけではない。
 もっと理解に苦しむのは、増税の理論的根拠となっている「第三の道」と称する「増税による成長」論だ。確かに1990年代の欧州では増税が成長政策になった。とくに、イタリアでは市場が増税などで財政健全化が進展すると判断、2ケタだった長期金利が半分に低下して成長を支えた。
 ただ、これはあくまで増税が財政健全化に結びつく場合で、日本でも金利上昇の抑制や株価上昇に効果を発揮しよう。だが、「第三の道」はまったく違う。
 消費税など増税による収入を医療や介護、環境の分野に投入する。それで雇用と消費を増加させ成長と税の自然増収を図るという。先進国に例のない実験だが、果たして説得力を持つのか。
 そもそも、こうした需要サイドへの財政出動は波及効果が小さい。貯蓄に回れば効果が減殺されるからで、成長政策というより社会政策に近い。となると、税収増もあまり期待できないから、残るのは大きな政府と財政健全化の停滞ということになりかねない。
 ただ、重荷であるはずの医療や介護は貴重な成長分野になり得る。需要は必然的に拡大するからで、問題はこれをどう産業化するかだ。そのカギは混合診療の解禁をはじめとした規制改革だろう。こうした具体的手順のない机上の「第三の道」の真贋(しんがん)を見極めることが重要である。
 ≪時期は景気回復が前提≫
 貴重な消費税の増税収入はどう効率的に使い、どう財政健全化に役立てるかに尽きる。自民党は社会保障目的税化を打ち出しているが、民主党と同様に診療報酬を大幅に引き上げるという。歳出は抑制すべきは抑制しないと増税に歯止めがかからなくなる。
 消費税引き上げのタイミングも極めて重要である。不況の中で引き上げれば経済活動に負荷がかかるからで、景気回復を前提にするのが妥当だろう。それには麻生太郎政権時代にまとめた税制「中期プログラム」が参考になる。
 財政健全化工程に合わせて2011年度引き上げを目指したが、前提には「景気回復」を置いた。その認定条件は潜在成長率の達成を意味していた。税率もいきなり10%でいいのか、それとも「たちあがれ日本」がいうように8%程度から始めるべきなのか。
 菅氏は確たる案を示していないが、「野党と協議して今年度内に抜本改革案をまとめる」としたうえで、引き上げる際は「国民に信を問う」と述べた。ならば、改革案がまとまり次第、解散総選挙を実施することを明言すべきだ。
 消費税引き上げが本気なら、その覚悟を国民に示してほしい。
SNS最大手米フェースブック、アジアでの事業拡大へ
 米SNS(交流サイト)最大手のフェースブックはさらなる事業拡大を狙い東アジアに照準を絞っている。同社はSNS初となるユーザーの10億人突破に向け、中国やロシア、日本で既存各社との競争に挑む。
 創始者でもあるマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、フェースブックはこれまで人やメディアを介した自然成長でユーザーを5億人近くにまで増やしてきたが、これら地域への本格参入に向けて近々、新戦略を打ち出すことを明らかにした。
日本、ロシア、中国、韓国で新戦略
 ザッカーバーグ氏はカンヌ国際広告祭で行われた講演で「当社のSNSが最大手ではない4カ国を対象に絞った」として日本、ロシア、中国、韓国の名前をあげ、「我々は初めて特定の国で特定の戦略に取り組む」と意欲を示した。
 同氏はフェースブックをその国の仕様に合わせて参入するのか、地元企業を買収するのかについては明確にしなかったが、「もし成功を収めれば、当社のユーザーは10億人に達する可能性が高い」と述べた。
 フェースブックは、日本のミクシィ、中国の騰訊(テンセント)QQや、ロシアのVkontakteなどそれぞれの国で多くのユーザーを抱える強豪相手に戦いを挑むことになる。
 さらに、外国のメディアやインターネット関連企業に強い不信感を抱いている中国政府にも立ち向かわなくてはならない。
 インターネット検索最大手の米グーグルは最近、検閲を巡る対立により中国事業から撤退した。
携帯電話向けサービス、インドでパソコン向け抜く
 ザッカーバーグ氏によると、フェースブックはこれまで世界中でほぼ同じ仕様で利用されてきたが、広告と基本のアプリケーションソフトは国により異なるという。
 同氏はまた、携帯電話でのインターネット利用によってSNSは世界的に成長するとの展望を示した。
 同氏はインドを例にあげ「当社は携帯でのインターネット利用がパソコンでの利用を上回る国で初めて成果を上げつつある」としたうえで、「多くの人は、これが世界的に起こるのは時間の問題だと思っているはずだ」と述べた。
 一方、ザッカーバーグ氏は携帯電話の基本ソフト(OS)が統一されていないことに不満を漏らした。米アップル、カナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)の高機能携帯電話(スマートフォン)「ブラックベリー」、グーグルとフィンランドの携帯電話機大手ノキアは携帯の顧客や開発者にアピールするためしのぎを削っている。
 同氏はフェースブックは「世界中どこでもユーザーを中心としたアプリケーション」を構築していくと強調した。



ポルノ・ドメイン承認へ方針転換 国際調整機関
 【ブリュッセル共同】インターネットの住所「ドメイン名」を管理する国際調整機関ICANN(アイキャン)は25日、ブリュッセルで理事会を開き、ポルノ関連サイトを示す「.xxx」の新設について、これまでの反対方針を転換、承認することで基本合意した。
 ICANN報道官は「今後、新たなドメイン名『.xxx』の設定に向け準備を急ぐ」と述べた。設定されれば「.com」や非営利組織向けの「.org」などと同様に用いられる。
 理事会では「個人的には不快」との意見も出たが、手続き的な問題はないとの判断で一致した。
 「.xxx」の承認を求めていた米国のインターネット関連会社ICMレジストリは、2011年からの新ドメイン開始を見込んでいる。
 この問題をめぐっては、米国などの保守派団体が「ポルノサイトの認知につながる」などと強硬に反対。賛成派は「サイトの識別を容易にする」などと主張していた。
 AP通信によると、ICMレジストリが00年に申請して以来、ICANNはこれまで3度却下した。



軍人のネット利用規制 中国、情報流出防止
 26日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国人民解放軍はこのほど、所属する二百数十万人の軍人にブログやホームページ閲覧などのインターネット利用を休日を含めて規制する内部規定をつくり、今月15日から施行した。
 内部情報の流出を防ぐためで、同様の規制はこれまでもあったが、平日だけの規制にとどまっていた。初の国産空母建設の準備を進める一方で、多くの軍人が軍情報をネットの専門サイトに投稿するなどの実態があり、軍が危機感を抱いていたという。



自由の投下…ニクソン政権が北朝鮮核攻撃を検討
 【ワシントン=本間圭一】日本海上で1969年4月、米軍偵察機が北朝鮮の戦闘機に撃墜された事件の後、ニクソン米政権が戦術核による北朝鮮攻撃計画を検討していたことが24日、明らかになった。米ジョージ・ワシントン大の「国家安全保障公文書館」が、入手・分析した公文書の内容を公表した。
 作戦名は「フリーダム・ドロップ(自由の投下)」。ニクソン大統領、レアード国防長官、キッシンジャー国家安全保障問題担当大統領補佐官らが検討した。北朝鮮の空軍力を弱める狙いで、攻撃対象は、同国の司令部、飛行場、海軍基地だった。攻撃による民間人の死者を「約100人から数千人」と見積もった。
 最終的に作戦が実行されなかったのは、この攻撃が朝鮮半島でさらに大きな戦火を引き起こしかねないとの国防総省の警告があったためだという。



「21世紀に居場所ない」母国がスターリン像撤去
 【モスクワ=貞広貴志】グルジア当局は25日未明、ソ連の独裁者スターリンの出身地ゴリの目抜き通りにあった銅像を事前通告なく撤去した。
 現地からの報道によると、サアカシビリ大統領は、「21世紀のグルジアに、スターリンの居場所はない」と決定を正当化したが、地元住民の間には「世界で最も有名なグルジア人であることは間違いないのに」といった異論も出ている。



総書記後継を準備?北朝鮮が党代表者会招集へ
 【ソウル=前田泰広】朝鮮中央通信は26日、北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会政治局が9月上旬に党代表者会を招集することを決めたと報じた。
 「党最高指導機関の選挙のため」としている。選出されるポストなどは具体的に触れられていないが、金正日(キムジョンイル)総書記の後継として有力視される三男、金ジョンウン氏が権力継承への布石として党中央委員など重要ポストに選出される可能性もある。
 政治局の決定は23日付。「党と革命発展の新たな要求を反映」し、「党代表者会招集を決定する」としている。
 党代表者会は、党規約で、党大会と党大会の間に開き、党の路線と政策など緊急問題を討議、決定すると定められているが、党中央委員長を廃止して総書記ポストを新設する組織改編を行った1966年以後開かれていない。
 党大会も金総書記が党政治局常務委員などの肩書で公式報道に初めて登場した80年を最後に開かれておらず、韓国の専門家の間で今度の党代表者会は「臨時党大会」に相当し、「後継問題で意味ある決定が行われる」との見方が広がっている。



金正日総書記が「記憶力低下・非論理的な言動」
 【ソウル=前田泰広】韓国紙・朝鮮日報は26日、韓国の情報機関・国家情報院の元世勲(ウォンセフン)院長が北朝鮮の金正日総書記について「記憶力が低下し、現地視察などで論理的に合わない話をする」と述べたと報じた。
 院長が24日に開かれた非公開の国会情報委員会で明らかにしたという。事実ならば、北朝鮮が後継体制構築を急ぐ理由になるとみられる。



グローバル・マーケット・サーベイ◇欧州財政問題など懸念、軟調な展開(10/6/26)
 21~25日の世界の株式市場では、主要20指数のうち14が下落する軟調な展開だった。欧州財政問題の深刻さが改めて意識されたうえ、欧州主要国での緊縮財政が景気失速につながるとの懸念が拡大。米景気の先行きへの警戒感もあり、投資家がリスク資産である株式から資金を引き揚げる動きが強まった。先週末には中国金融当局が人民元相場の弾力化方針を発表したが、影響はアジアの一部市場にとどまった。
 欧州財政問題が再び世界の株式相場の重荷となってきた。24日にクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場でギリシャ国債の保証料率が過去最高を更新したことなどを受け、週後半の世界の株式相場はほぼ全面安となった。特に下げがきつかったのはスペインやイタリアなど南欧市場。スペイン大手のサンタンデール銀行が1週間で約5%下落するなど、金融株を中心に大幅安となった。
 欧州主要国での緊縮財政策も投資心理を冷え込ませている。英国政府は22日に付加価値税(消費税に相当)の基本税率を2011年1月に引き上げると発表。ドイツは既に大規模な歳出削減策を打ち出しており、緊縮財政で欧州景気が失速するとの警戒感が広がった。「米国が景気てこ入れに軸足を置いているだけに、欧州財政問題に対する主要国の足並みの乱れが嫌気されている」(日興コーディアル証券の河田剛シニアストラテジスト)との見方もある。
 米国のダウ工業株30種平均も2.9%下落した。22日発表の5月の中古住宅販売件数が市場予想を下回ったことなどが嫌気されたためだ。23日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも米連邦準備理事会(FRB)が景気判断を引き下げた。住宅補助金など景気対策の効果が切れつつあるなか、これまで世界景気のけん引役の一つとして期待されてきた米国でも、回復に不透明感が漂ってきている。
 比較的好調だったのは中国などアジアの株式相場。上海は1.6%、香港は2%それぞれ上昇した。19日に中国人民銀行(中央銀行に相当)が発表した人民元の弾力化方針で、人民元の先高期待が広がったためだ。「人民元高による中国人の購買力向上が期待できる」(第一生命経済研究所の西浜徹副主任エコノミスト)という。中国への輸出比率が高い韓国などの株価も上昇した。もっとも、欧米の株安を受け、上昇幅は小さかった。週初は高かった日本株も週間ベースでは下落、弾力化方針の効果は一時的だった。
 28日~7月2日は、主要国での重要イベントをにらんだ動きとなりそうだ。まずは今週末の主要8カ国(G8)と20カ国・地域(G20)首脳会議で、各国が欧州財政問題についてどのような姿勢を示すのかが注目される。6月の米国の雇用統計や中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)など、今後の景気動向を占ううえで重要な経済指標の発表もある。投資家は様子見姿勢を強めており、神経質な値動きとなる市場が多そうだ。



スクランブル
BP問題で消えた28兆円=ロンドン
 米メキシコ湾で起きた原油流出事故は発生からおよそ2カ月を経ても流出が止まらず、油田権益を持つ英石油大手BPの株価低迷が続いている。資源開発の先行きへの不透明感から株価下落はBPのみならず世界の石油大手に拡大。事故発生以来、米欧アジアの石油大手各社の時価総額は、上位10社の合計だけでおよそ3100億ドル(約28兆円)減少した。石油業界には年金基金などが多くの資金を投じるだけに、世界の年金基金などにも影響が広がる懸念が出てきた。
 事故発生の4月20日を起点として、世界の石油・石油化学の時価総額上位10社の23日終値までの株価騰落率を調べたところ、BPの49%安を筆頭に全社が下落、うち8社が2ケタの下落となった。石油各社は各国の株式市場で時価総額の上位に名を連ねるところが多く、株価指数全体の足を引っ張る要因になっている。この間の株価下落で失われた時価総額はBPが約8兆6000億円でエクソンモービルは約3兆円。中国石油天然気(ペトロチャイナ)やペトロブラスなどでも軒並み2兆~3兆円前後の時価総額が減少した。
 BPのみならず米国やアジアの石油各社で株価急落が広がっているのは、米国での海底油田の新規許可の一時停止措置が長期化して業界の成長が足踏みする懸念に加え、BPが米政府と200億ドルに上る資金拠出で合意したことで、他社でも万一の際に負担額が際限なく膨らみかねないとの警戒感が広がりだしたためだ。これらに世界景気の低迷によるエネルギー需要の伸び悩みへの懸念も加わり、世界の主要石油株は反発の機会をうかがえないでいる。
 BPの場合、巨額の資金拠出の原資の一部として、四半期配当を少なくとも3四半期間停止すると発表したことも株価低迷の一因だ。1企業の配当とはいえ、BPの配当金だけで英国の上場企業の全配当金の1割強を占めるうえ、英国の大部分の年金基金が運用先としてBP株を組み込むだけに、英国では心配の種は尽きない。いまのところ、年金の業界団体側は「年金は超長期投資であり、投資先はあらゆる資産に分散されているため、(BPの配当停止の)影響は少ない」(英国年金基金協会=NAPF)として平静を保っている。NAPFの推計では、平均的な年金基金でBP株への資産配分比率はおよそ1.5%にとどまるという。
 ところが、現実的に株価下落はBPに限らず、石油業界全体に広がりつつある。1社による影響は小規模であっても、業界全体を足した影響を考えると、決して楽観できる状況でもなさそうだ。BPの株主の4割は米国人で、米国でもBP株を組み込む年金基金が多い。さらにグローバル投資の一環として世界中の資源株などに分散投資しているとみられるため、世界的な資源株の下落は、世界中の年金基金の運用成績に冷水を浴びせかねない。
 欧米メディアによると、ニューヨーク州の年金基金が、原油事故をきっかけとする株価下落を巡ってBPを提訴する方向だ。「BPが投資家をミスリードした」という基金側の主張が通るか否かは定かではないが、同様の動きが世界中で相次ぐようなら、リスクを回避したい投資家が石油株から手を引き、石油株全体の下落に拍車がかかる公算もある。そうなると、石油株の反発力は当面、限定的といえそうだ。
 ちなみに、欧米の大型年金基金のうち、BP株の大幅下落の影響から免れた数少ない例外がある。BP自身の年金基金だ。同年金基金ではコーポレート・ガバナンス(企業統治)などの観点から、BP株を投資対象から外している。2008年度の報告書によるとBP年金基金の投資先のうち、株式で投資配分比率が最も高いのはライバルのロイヤル・ダッチ・シェル株。これにHSBC、ボーダフォン、グラクソ・スミスクラインといった英国の時価総額上位各社の株式が並ぶ。原油流出事故で非難の的となったBP自身の年金への影響が最も軽いという現状は皮肉な事実といえそうだ。もっとも、今後同社に起こりうる大規模なリストラなどの可能性を考えると、BPの年金加入者も安穏とはしていられなさそうだ。



【中日社説】
株主総会 報酬開示だけじゃない
2010年6月26日
 三月期決算企業の株主総会がピークを迎えた。今年から上場企業は年間一億円以上の報酬を受け取る役員名を開示するなど情報公開の範囲が広がった。成長戦略を含め説明責任をしっかり果たせ。
 日産自動車のカルロス・ゴーン社長八億九千万円、ソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長は自社株購入権を除き四億一千万円。一方、リコール(無料の回収・修理)問題を陳謝したトヨタ自動車の豊田章男社長は一億円未満-。こんな報酬実態が初めて明らかになった。
 役員報酬の開示はこの三月、金融庁が内閣府令を改正して急きょ決めた。一億円以上の報酬を受け取る役員名と報酬額、決め方を有価証券報告書に記載することを義務付けた。これまでは役員全員の報酬総額だけの開示だったから企業側から「プライバシーの侵害だ」と反発する声もあった。
 だが、報酬開示は米国の金融会社のように経営が破綻(はたん)しても巨額な報酬を受け取るケースを防ぐことが狙いだ。英国やドイツ、フランスなどでも実施されているから日本の導入は遅すぎた。
 すでに開催された大手企業の総会では「役員はもらいすぎ」との厳しい意見が出ている。株主の不満には株価や配当の低さ、勤労者の所得水準などもある。経営者には今後も自制が求められよう。
 また今年の総会から合併や提携、役員選任など個々の議案の賛否結果も、臨時報告書に記載することが義務付けられた。これまでのように「賛成多数で承認された」では済まなくなった。
 役員選任で反対票が多く出た役員は、株主の厳しい視線と圧力を背に受けながら業務を執行することになる。役員報酬の開示と議案の賛否結果の公表は、経営者全員に覚悟を求めるものだ。
 数年前に導入した敵対的買収への企業防衛策を継続するかの議論や、導入が間近に迫る新たな国際会計基準への対応なども総会で諮るべきテーマだ。
 企業の将来像をどう描きどのように推進するのか。また事業再構築や不祥事があればその対処策など、経営者はすべての課題にはっきりと説明しなければならない。社外取締役の設置義務化などについても姿勢を示すべきだ。
 株主総会で求められる企業情報の開示は一部の利害関係者のために行うのではない。法令順守とともに社会的責任を果たす一環だ。経営者は責務の重さをかみしめて仕事に全力投球してほしい。

相手が誰でも通話が無料に、ウィルコムが「だれとでも定額」を全国で開始予定
 ユーザー同士の通話が1~21時まで無料になるソフトバンクモバイルの「ホワイトプラン」や、指定したユーザー3人への通話を24時間いつでも無料にするauの「ガンガントーク」など、通話定額プランを各社が導入しているが、これらのサービスのネックとなっているのが「違う会社のユーザーに電話をかけると通話料が発生する」という点だ。
 しかしユーザー同士の通話が24時間いつでも無料になる「ウィルコム定額プラン」をいち早く導入したウィルコムが、相手が誰でも通話が無料になる夢のような定額プラン「だれとでも定額」を全国で開始する予定であることが明らかになりった。
 ウィルコム沖縄は現在、業界初となる他社ケータイへの通話も無料になるオプションサービス「だれとでも定額」を実施している。
 「だれとでも定額」は「新ウィルコム定額プランS」「新ウィルコム定額プラン」を利用しているユーザーを対象としたもので、月額980円のオプション料金を支払うことで、携帯電話や固定電話、IP電話といった相手先を問わず、10分以内の通話が無料になるというもの。
 これが「だれとでも定額」の詳細。なお、10分を超えた部分については、契約しているプランに応じた通話料が発生するほか、10分以内の通話が無料になるのは1ヶ月あたり1000回となっています。つまり「10分ごとに電話を切る」という方法を使えば、1ヶ月あたり1万分(約166時間強)の無料通話が可能となるということ。
 ちなみに上記の「だれとでも定額」は現在、ウィルコム沖縄で契約した個人のユーザー限定のオプションサービスとなっているが、読者から「全国サービスが開始されることを告知している」というタレコミを受けて、埼玉県で展開している家電量販店でんきちの「さいたま中央店」に電話で問い合わせたところ、ウィルコムから公式発表は行われていないものの、「だれとでも定額」が8月から全国でサービス開始となる予定という回答だ。
 なお、加入の条件となっている「新ウィルコム定額プラン」および「新ウィルコム定額プランS」は相手先や添付ファイルの有無に関係無くメールの送受信が無料になるため、「だれとでも定額」と組み合わせることで、相手を問わず通話とメールが無料になるということになる。



「GREE Platform」戦略 「初期投入数を絞り、ホームラン狙う」
 「Infinity Ventures Summit 2010 Spring」の2日目では、前日のミクシィに続き、グリーの田中良和社長と青柳直樹CFOが「GREE Platformの展望」と題して講演した。青柳氏は、「自社でソーシャルゲームを開発・運営してきた経験を生かしてパートナーのマネタイズを支援する」「月商1000万円のゲームを100本作るより、数本の特大ホームランを狙う」とし、6月下旬の先行リリース時には初期タイトルを40~50タイトルに限定する方針も明かした。
 青柳氏はまず、オープン化に踏み切る理由と狙いとして、「会員数が6月末で1000万人という規模になってきた。これから、次のステージとして3000万~4000万人を目指していくために、パートナーのみなさんの力をお借りしたい」と話した。「携帯型ゲーム機の出荷台数は3000万台を超えており、これをソーシャルゲームに置き換えていくには、それなりの質のコンテンツが必要になる」と期待していた。
 mixiやモバゲーに比べて出遅れたとの見方に対しては、「(むしろ)いいタイミングだ。われわれが始める段階で多くのプレイヤーさんがそろっているのは非常にいいことだ」と語った。国内のゲーム大手や海外のプレイヤーらがこれから参入してくる際の受け皿になることを表明した。
 パートナー選定の方針については、「運営体制を重視する」という。ここで言う「運営」とは、出したサービスをちゃんと育てられるかどうか、つまり開発を継続できる体制かということだ。もちろん、「ほかのプラットフォームでリリースされていない、新規タイトルやグリー独占タイトルを積極的に売り込む」という。
 ソーシャルアプリプロバイダー(SAP)やタイトルを厳選し、6月下旬の1次先行リリースでは40~50タイトル、8月の2次先行リリースでは約30タイトル、9月(予定)の3次先行リリースでは約30タイトルにとどめる。1社当たりのタイトルも絞る。「mixiさんやモバゲーさんは90~100で始められたと認識している。GREEは、狭き門だが入ると非常にうまくいく。そういう姿を目指している」と話した。
 さらに「SAPのみなさんにとって、何より重要なのはマネタイズ。そのために準備を進めてきた」と説明した。「ローンチ時から携帯3キャリアの公式サービスに対応する。課金の幅が広がることが重要であり、月額課金も最初から導入できる。課金の柔軟性は高い。魅力的なプラットフォームになると思う」
 また、GREEのユーザーの特徴として、「30代以上が43%を超えており、mixiさんやモバゲーさんより高い。30代以上の方々の課金利用額は10代の皆さんに比べて著しく高いということもお伝えしたい」と儲かるプラットフォームであることを強調していた。
 出資については「積極的に出資する」としたうえで、「プロモーションやノウハウ共有などの点で、(出資していたほうが)目線を合わせられる」とその理由を明かした。「もちろん、出資先がほかのプラットフォームで展開することは一切制約しない。これは明言しておきたい。われわれがトラフィックの多いマネタイズできるプラットフォームであれば、おのずと選ばれる」と自信を見せた。
 質問のトップバッターは、司会を務めたインフィニティ・ベンチャーズの小林雅氏から本日も指名されたディー・エヌ・エーの守安功氏。「グリーさんがプラットフォーム構想を発表したのを今年初めに記事で目にしたときには、GREE Connectであるとか、GREEはWebのOSになるとか、モバゲーとはだいぶ方向性が違うなあと楽しみにしていたんですが、その後具体的になってきたら、だいぶわれわれと似ているなあと。(会場が爆笑)そのあたり、当初考えていたものと今実現しようというものはどう違うんでしょうか」。
 このきわどい質問に対して、いったん答えるかに見えた田中氏だが、「僕がその記事でお話しした後に、青柳が細かいことやっていますから」と青柳氏に丸投げ。そのため、会場はさらなる爆笑に包まれた。青柳氏は「今後乞うご期待ということで」とかわしていた。
 小林氏が、「守安さんの質問は、モバゲーに似ているということですよね」と交通整理すると、守安氏は「デベロッパーサイトとか、マニュアルも似ていますよね」と改めて追及した。しかし、青柳氏は「そこは似ていないと思いますが」とやり過ごした。「SAPさんから、『GREEさん、やるんだったらこうして欲しい』というのに対応したら結果的にこうなった」と説明していた。
 続いて質問を求められたミクシィの原田明典氏は「正直な感想を申しあげると、すばらしい。ぜひ、どんどんこの方向で進んでいただきたい」とまずほめ殺し。その上で「一生懸命考えたプラットフォームをまねるのだけはやめてほしい。あれは非常にへこみました」と強烈なパンチを浴びせていた。
「日本に誇りを取り戻せ」と繰り返した田中氏
 田中氏は講演の中で、やや異質なテーマを持ち出した。田中氏は「中長期的な根本的な問題、哲学を話したい」と話し始め、「メッセージ」と題したパワーポイントに書き込んだのは、ゲームやベンチャーという枠を超えた「日本に誇りを取り戻せ!」という考え方だ。「今日はこのキーワードを覚えていただければ」と述べるほどこだわっていた。一部の参加者は、けげんな表情を浮かべていたが、田中氏はヒートアップする。
 「『世界一のゲーム会社を目指しているんですか』とよく聞かれる。そんなことはまったくない。インターネットを通じて世の中をよく変えていきたいんです。ゲームやSNSは一部でしかない」と強調した。「(楽天勤務時代を含め、)僕が作ったサービスを使って利便性を感じている人は多い。一つ一つのインターネットビジネスで少しずつ変化を生む。その総体が世界を変えるということだ」と経営ビジョンを打ち出していた。そうすることで、日本経済を活性化し、結果として誇りを取り戻せると言いたかったようだ。



「裸眼」にこだわり 任天堂3DS投入は3度目の正直だった
 映画やテレビの世界で3Dがブームになるなか、満を持して発表された任天堂の新型携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」。裸眼で3D映像を楽しめる画期的なシステムは、早くも「大ヒット間違いなし」(専門誌ライター)とゲーム業界の話題をさらっている。ブームに乗って登場したかに見える3DSだが、実は同社は過去に2度も3D戦略で大コケした苦い経験を持つ。関係者は「過去の失敗を踏まえて成功に結びつけたのだろう」と指摘している。(夕刊フジ)
 3DSは来春までに発売される予定。外見は従来のDSとほぼ同じだが、3Dの飛び出すゲームが裸眼のまま楽しめ、強弱を調整できるスイッチが側面に付いている。
 テレビゲームの歴史を作ってきた任天堂ならではの画期的なシステムだが、実は同社の3D戦略はファミコン時代から存在していたのだという。
 ゲーム評論家の府元晶氏は「初期の3D作品で思い出すのは、スクウェア(現スクウェア・エニックス)の『とびだせ大作戦』(1987年)。簡易的な3Dメガネをかけてプレーした。高度な技術を用いた3Dメガネをかけて対応ソフトで遊ぶ『ファミリーコンピュータ3Dシステム』も同年に出たが、ソフト1本分ぐらいの価格で、それだけの金額を周辺機器に払うユーザーは少なかった」と語る。
 その後も任天堂の3Dへの挑戦は続く。95年7月にはファミコンや「ゲームボーイ」の開発に携わった伝説のゲームクリエーター、故・横井軍平氏が、特殊メガネをかけなくても3Dゲームが楽しめる「バーチャルボーイ」を開発、1万5000円で発売された。
 スコープ型の本体に顔を密着させ、のぞき込むようにプレーする。画面は赤の単色だったが、別売りのカセットを入れてマリオを動かし、立体的にテニスなどが楽しめた。発売当初、任天堂は年間300万台の出荷を見込んだが、フタを開けてみれば全然売れず、翌年には製造を事実上停止した。
 府元氏は「当時はプレイステーションとセガサターンがシェア争いをしていた。両機ともグラフィック性能を競い合っており、色が赤のみのバーチャルボーイは見栄えがしなかった。発売時期が悪かった」と振り返る。しかも、当時のゲームは友達同士でワイワイやるのが定番だった。「プレー状況がほかの人に見えないのも、ユーザーに受け入れられなかった」と府元氏は言う。
 「3DSは(バーチャルボーイの)失敗を踏まえて、裸眼にこだわった感じがする。私はメガネをかけているが、メガネの上に3Dメガネをかけると焦点が合いづらくて疲れる。裸眼3Dは期待できそうだ」(府元氏)。20年以上に及ぶ任天堂の挑戦は、ついに実を結びそうだ。



携帯向け次世代放送 ドコモとKDDI免許で火花
 総務省は25日、2011年度にも始まる携帯端末向けの次世代放送免許の事業者認定について、参入申請があったNTTドコモとKDDIの両陣営から事業計画の説明を聞いた。同省は1社にだけ放送免許を与える方針で、両陣営は設備投資計画や技術内容で激論を繰り広げた。
 ドコモ、フジテレビジョンなどが出資するマルチメディア放送(東京・千代田)はサービス開始5年目で対応端末を累計5000万台出荷する計画を発表。携帯電話でのシェアの高さをアピールした。
 基地局については「東京スカイツリー」のほか、既存の放送局の大型設備を活用して125局を整備するという。
 一方、KDDIと米クアルコムが出資するメディアフロージャパン企画(同)は、同じ技術規格が米国の大手通信会社2社によって米国で実用化されている実績を強調した。基地局は中小型を中心に865局を整備する。
 マルチメディア放送の二木治成社長は「既存の放送局設備などを活用する」と主張し、KDDIの小野寺正社長は「大型設備でエリアをカバーするドコモ側の基地局計画には不透明感が強い」と反発した。
 携帯端末向け次世代放送は11年7月にアナログ放送終了で空く周波数を使い、携帯端末で映画やスポーツ番組などを視聴できるようにする。



アップルとAT&Tに集団訴訟、無制限データ通信プラン廃止でiPad購入者が憤慨
 米国消費者が米Appleと米AT&Tを相手取り、Appleのタブレット型コンピュータ「iPad」とデータ通信プランに関して集団訴訟を起こした。原告側の弁護を担当する米Lieff Cabraser Heimann & Bernsteinが米国時間2010年6月24日に明らかにしたもので、修正訴状を6月23日に申請したという。
 原告は、AppleとAT&Tが第3世代(3G)通信機能を搭載したiPadを購入する消費者に対して正確な情報を与えなかったと主張している。
 原告によれば、AppleとAT&Tは、3G搭載iPadでは定額の無制限データ通信プランを選択し、月単位で無制限と制限付きのプラン切り替えができると説明していた。ところが、iPad発売から約1カ月後に、AT&Tが新たなデータ通信プランの導入を発表し、無制限プランの廃止を決めてしまった。
 「無制限データ通信プランを使えることが、余分な金額を払って3G搭載iPadを購入した理由の一つだ。月ごとに切り替えられる点も重要な判断材料だった」と、原告側弁護士Michael W. Sobol氏は説明する。
 原告の一人は、当初3Gなしモデルを購入したが、無制限データ通信プランの説明を受け、130ドルの追加支払いで3G付きモデルにアップグレードしたという。「無制限データ通信プランが突然終了すると知っていたら、3G搭載iPadは購入していなかった」とこの原告の男性は述べている。



漫画の“スキャンレーション”サイトに法的措置も、日米出版社が連携
 出版社が参加するデジタルコミック協議会は25日、株式会社スクウェア・エニックスなど5社と連携し、漫画を違法配信するサイトの摘発に乗り出した。まずは米国において、警告に応じない違法サイトに法的措置を講じる。差し止め請求や損害賠償請求だけでなく、刑事告訴も視野に入れる。なお、法的措置を検討している違法サイトは少なくとも30以上存在し、同協議会では順次対応していく考え。
 デジタルコミック協議会によれば、欧米では海賊版の一形態として、著作権者や出版社の承諾を得ずにマンガをスキャンし、吹き出しなどのテキストを翻訳する侵害行為「Scanlation(スキャンレーション)」が広まっている。スキャンレーションを集積したサイトでは何千点もの海賊版コンテンツが掲載されているだけでなく、専用のアプリケーションをダウンロードすれば、iPhoneなどのスマートフォンでも閲覧できる状態だという。
 デジタルコミック協議会に参加する出版社は、秋田書店やアスキー・メディアワークス、エンターブレイン、学習研究社、角川書店、講談社、集英社、小学館、徳間書店、扶桑社、フランス書院、ぶんか社、マガジンハウスなど37社。同協議会と連携するのはスクウェア・エニックスのほか、Viz Media、Tokyopop、Vertical Inc、Yen Press、タトル・モリエイジェンシーの5社。



パイオニア総会、6期連続赤字を陳謝 ブランド毀損に不満の声
 パイオニアは25日、都内で株主総会を開いた。小谷進社長は冒頭、2010年3月期に6期連続で最終赤字となり、無配が続いていることについて、「このような結果となり、おわび申し上げます。今後は新たに策定した中期経営計画に沿って事業を展開し、再建に全力で取り組む」と陳謝した。
 株主からは「私の若い時はステレオといえばパイオニアだった。最近、若い人の間ではそうではない」と、ブランド価値の低下などをただす質問が出た。
 小谷社長は「そういうことはあると認識している。ただ、これに対して色々な手は打っており、第1弾として(携帯音楽プレーヤーなども含め)すべてのメディアに対応する音響製品を出した。これから若い人に向けた製品をどんどん出していく」と理解を求めた。
 総会は午前10時に始まり、所要時間は123分と前年より7分短かった。出席者数は前年より103人少ない292人だった。



ソフトバンク孫社長、報酬1億800万円 計5人が1億円超 
 ソフトバンクは25日に提出した有価証券報告書で、孫正義社長の10年3月期の役員報酬が1億800万円だったことを明らかにした。ソフトバンク分が8400万円、子会社で社長を務めるソフトバンクモバイル分が2400万円だった。
 ソフトバンクでは、孫社長のほかに、宮内謙取締役(1億800万円)、笠井和彦取締役(同)ら4人も1億円を超えた。同日開かれた定時株主総会では、出席株主から役員報酬についての質問はなく、自らは報告しなかった。



「事実でない報道多い」 宮内庁が日本雑誌協会に是正要請
 宮内庁東宮職は25日、皇太子ご一家に関する「事実でない報道」が最近週刊誌で相次いでいるとして、「日本雑誌協会」(東京)に対し、客観的事実に基づいた記事を掲載することなどを書面で要請したと発表した。
 東宮職では、皇太子ご夫妻の長女、敬宮愛子さまのご登校問題に関連した記事の内容が正しくないなどとして、5月下旬以降に3つの週刊誌に抗議していた。



【産経主張】菅首相G8出席 日本の国益実現優先せよ

 菅直人首相が主要国(G8)首脳会議と20カ国・地域(G20)首脳会合に出席するためカナダ入りした。両サミットの合間に、米中韓露など6カ国首脳とも集中的に2国間会談を行う。
 首相就任後初の国際舞台デビューである。G8では、北朝鮮の韓国哨戒艦撃沈事件やイランの核開発に加え、欧州による対中武器禁輸問題も焦点となる。日米間では前政権下で失われた同盟の信頼回復も欠かせない。日本が果たすべき国際貢献も踏まえて世界に通用する政策や考え方を明示し、国益を実現する外交を展開してもらいたい。
 G8政治協議では北朝鮮、イランの核問題と哨戒艦事件が議題の筆頭に上っている。しかし、哨戒艦事件に対する国連安保理協議は中露の消極的対応のため暗礁に乗り上げたままだ。
 菅首相は国会の所信表明で「哨戒艦事件は許し難い」とし、韓国政府の全面支持を明言してきた。韓国はG8メンバーでないため、李明博大統領の分も含めて日本が強く説得する必要がある。北の軍事行動は核、ミサイルとともに、日本を含むアジアと世界にとって重大な脅威であることをしっかりと訴えなければならない。
 中国の台頭にどう対応するかも重要だ。中国海軍の挑発的行動の拡大や透明性を欠いた軍備近代化が日米、東南アジアの懸念を高めているが、そうした危機感は必ずしも欧州などに届いていない。
 欧州連合(EU)内では、天安門事件以来の対中武器禁輸措置の早期解除を求める声もある。しかし、中国は北、イランの核問題やミャンマー情勢などにも深くかかわり、責任ある行動が求められている。解除は時期尚早だ。
 米欧が経済的利害に目を奪われがちな中で、2国間会談も活用しつつ、日本の立場をはっきりと伝えることが求められる。
 G8ではアフガニスタン復興やアフリカ支援も討議される見通しだ。菅首相と民主党は、参院選の選挙公約の中で、アフガンを含めた「自衛隊や文民の平和構築活動のあり方」を検討し、海上輸送の安全のための海賊対処も継続することを約束している。
 こうした国際貢献の面でも、具体的な日本の活動を提示するのによい機会だ。国際社会に要求するだけでなく、積極的に責務を果たす上で、首相の掲げる「責任ある外交」を実行に移してほしい。
孫社長「株式の時価総額も世界で上位10位以内を目指す」
 25日、ソフトバンクは株主総会を開催した。代表取締役社長の孫正義氏が議長となってスタート。議決権のある株主数は30万9585名、議決件総数は1081万5404個で、このうち今回の総会で議決権を行使した株主数は7万1784名、議決権行使数が752万8617個となる。
 議案は「余剰金の処分について」というものだけで、質疑応答を経て、賛成多数で可決された。総会冒頭には2009年度の業績や実績を紹介するビデオを上映され、実績を株主にアピールした。
 質疑応答では、「孫さんと一緒に仕事がしたい」「女性取締役を」「Twitterで誹謗中傷が寄せられていると思うが、孫さんの健康は大丈夫か」「(ソフトバンク取締役の1人がファーストリテイリング会長兼社長の柳井氏ということを受け)ユニクロとの共同事業はないか」「今年の冬季五輪後に(フィギュアスケートの)キム・ヨナ選手をCMキャラに起用するよう電話したが、孫社長まで伝わっているのか」といった質問が寄せられた。
 これに対して、柳井氏が「将来的には共同事業の可能性はあるだろうが、事業領域が大きく異なり、ソフトバンクは当面本業に徹されたほうがいいと思う」と回答したほか、孫氏が「Twitterで寄せられる意見に、低俗なものはないと考えている。全て重要な指摘。夜はしっかり寝ている」「(キム・ヨナ選手のCM起用)参考にさせていただきたい……キム・ヨナ、かわいいですよね(笑)」などと回答した。
 また移動体通信事業についても株主から多くの質問が寄せられた。海外でiPhoneを扱う事業者がパケット定額制を撤廃したことに関する質問に対し、孫氏は「米英で定額制が見直され、議論されているが、ソフトバンクモバイルでも常にそういう議論は、何年も前から行っている。1%のユーザーがネットワーク帯域の25%を占有しており、他のユーザーにとって良いことかどうか議論を繰り返しているが、まだ結論は得ていない。今後も引き続き議論したい」と述べた。
  フェムトセルの配布に関して、LTEへの対応を尋ねられると、「新たな周波数が割り当てられるだろうから、万全の体制を採りたい。しかし、最も高価なのは基地局を設置する鉄塔。ネットワーク機器はこれまでと比べれば安くなる。これからも設備投資は継続する一方で、キャッシュフローの増加、有利子負債の削減は実現できる」とした。このほか、iPhone/iPadのセット割引のような施策を実施する考えがないかという質問には、iPadの有用性をあらためて説明したものの、データ通信量が多大になることから、「悩ましい。まだ悩み中」と語り、割安な料金施策の実施には課題があるとした。また自宅付近でソフトバンクの携帯電話が圏外になるという株主に対しては、電波改善宣言を紹介し、基地局増加施策などが展開されていることを説明した。
■ 「30年に一度の大法螺(おおぼら)」、300年先の世界や後継者育成を語る
 株主総会の後には、1年前の株主総会で予告していた「新30年ビジョン」が孫氏の口から語られた。
 創業30周年を迎えたソフトバンクが、今後30年間、どう展開していくのか。Twitterなどで意見を募り、社内でもさまざまな議論を行った上での発表となった今回、孫氏は「為したいことは、『情報革命で人々を幸せに』ということ」と述べてプレゼンをスタート。最初に「人生で最も悲しいこと」「人生で最も幸せなこと」という話題に触れた後、「30年ビジョンを発表すると案内したが、30年では足りない。ついでに300年くらい言っておこう。30年は単なる一里塚」と語り、300年前の歴史上の流れを振り返りつつ、今後もコンピューターが爆発的に発展し、「脳型コンピューター」の実現を語る。またコンピューターにおけるデータとアルゴリズムは、脳にとって“知識”と“知恵”と語る孫氏は人工臓器による長寿命化、微細な機器を使った人体間通信や“テレパシー通信”を紹介する。
 「私はSFの監督や小説家ではなく事業家」という孫氏は、ここで話を30年先の世界に切り替え、「自動翻訳眼鏡(外国語の音声を字幕で表示する眼鏡)」「健康管理する靴」などクラウド化の進展を予言する一方、これらの新サービス/新デバイスは「最も優れたビジネスモデルやテクノロジーは世界中から生まれてくる。彼らと一緒に同志としてやっていきたい」と語り、資本的には20~40%程度の関係にとどめ、理念を共有できる事業者とのパートナーシップを積極的に構築すると説明。株式の時価総額も世界で上位10位以内(200兆円、現在の同社株価70~80倍)を目指すと宣言した。
情報革命を掲げる300年後の世界を描くことからスタート脳とコンピューターの類似性を指摘ク 事業領域は、あくまでも「情報革命」と述べる孫氏は、現在のコンピューターやインターネットに代表される情報関連産業へ今後も注力する方針を示し、300年間ソフトバンクが存続する組織作りを目標の1つにし、現在800社あるというグループ会社を30年後には5000社にするという。
 ただし、孫氏は30年後には80歳を超える。そこで「次世代の経営陣を事前に準備したい。後継者はソフトバンクにとって、ある意味、最大の危機かもしれない」と孫氏は述べ、「ソフトバンクアカデミア」という名称の後継者養成機関の設立を明らかにした。7月より稼働するという「ソフトバンクアカデミア」は、グループ内から270名、グループ外から30名の後継者候補を参加させ、「孫正義2.0をつくる」(孫氏)ために“帝王学”をたたき込まれる場となる。
 プレゼンテーションの最後、孫氏は自らの祖母の写真を示し、苦労の連続だったという生い立ちを語る。祖父母の出自や「絶対、他人様を恨んではいかんばい」という祖母の言葉、あるいは父母の姿や、孫氏自身が若年時に決意した渡米の背景などを涙混じりに述べ、「たった一人の子供にも喜んでもらえたら」という言葉で社会貢献の意欲を示し、プレゼンを終えた。



初日で100万台突破? 「iPhone4」日本皮切り欧米でも発売
 米電子機器大手アップルは24日、新型携帯電話「iPhone(アイフォーン)4」を日本を皮切りに、米国、英国、フランス、ドイツの計5カ国で発売し、各国とも店舗前に長蛇の列ができる大人気となった。「初日だけで販売が100万台を突破した」(米メディア)との推計もある。
 iPhone4は先代より画面の解像度を4倍に引き上げ、テレビ電話が簡単に楽しめるなど性能を向上させており、旧機種からの買い替え需要を見込む。
 昨年6月に売り出した先代iPhoneは発売直後の3日間で100万台に達した。米ITアナリストは「少なくとも新型の販売台数が3日間で150万台に達するのは間違いない」と話した。



朝の4時58分で41%…W杯日本戦視聴率
 25日早朝に日本テレビ系で生中継されたサッカー・ワールドカップ南アフリカ大会「日本対デンマーク戦」の後半途中までの平均視聴率(関東地区)が、30・5%だったことが同日、ビデオリサーチの調べで分かった。
 調査時間は午前3時から同5時までで、1995年以降、同時間帯の平均視聴率としては過去最高を記録した。瞬間最高視聴率は同4時58分の41・3%だった。



米、ロシアのWTO加盟を全面支持
首脳会談、9月妥結へ交渉加速
 【ワシントン=弟子丸幸子】オバマ米大統領とロシアのメドベージェフ大統領は24日に会談し、終了後の共同記者会見で、オバマ氏はロシアの世界貿易機関(WTO)加盟を全面支持する方針を示した。メドベージェフ氏は米ロ間で残る知的財産権などの問題で9月末までの交渉妥結を目標とし、国内法整備も急ぐと表明した。両首脳が今年4月に署名した新戦略核軍縮条約の早期批准を目指すことでも一致した。
 米ロはオバマ氏が掲げる「核兵器なき世界」の実現に向けた新核軍縮条約の締結合意で進んだ協調路線を、今回の首脳会談で一段と加速。協力分野を経済にも拡大していく流れを印象づける形となった。
 オバマ氏は「ロシアのWTO加盟はロシアのみならず、米国や世界経済への利益だ」と語り、米ロ2国間だけでなく多国間の交渉も後押しする姿勢を示した。会談でロシア側が米国産鶏肉の輸入再開で合意したことを明らかにした。
 米ロは2006年秋にロシアのWTO加盟に関する2国間の合意文書に署名し、主な交渉を終えた。だが、知的財産権を巡る問題などは先送りしており「難問解決に向けた作業」(オバマ氏)が必要という。両首脳は残る懸案の交渉加速を担当者に指示したと説明。メドベージェフ氏は会見で、ロシア国内の法整備についても「可能な限り早急に取り組むよう指示している」と語った。



たばこ増税でコンビニ窮地
 10月からたばこの価格が増税を機に大幅に値上げされる。タスポ導入以降、たばこ頼みだったコンビニ業界。駆け込み特需に備えつつも、到来する冬の時代に戦々恐々だ。
 10月に実施されるたばこ税増税。これに伴い、たばこメーカー各社は増税分を上回る大幅値上げを実施する予定だ。日本たばこ産業(JT)は全105銘柄のうち103銘柄を10月から一斉に値上げすることに決めた。1箱(20本入り)当たりの値上げ幅は増税分70円を上回る平均115円で、過去最大。これによって代表的な銘柄、「マイルドセブン」は現在の1箱300円から410円に、「セブンスター」が300円から440円となる。
 JT以外のたばこメーカーは現段階では価格を発表していないが、この動きに追随し、大幅値上げを検討していると見られている。過去最大の値上げは、発売を3カ月後に控えた現段階で、既にコンビニエンスストア各社に波紋を広げている。というのも、たばこはこれまで“孝行商品”としての役割を担っていたからだ。
売り場を変えて、特需に備える
タスポ導入時は、コンビニエンスストア業界は潤っていたが・・・
 一般的にコンビニは売り上げの約3割をたばこに依存する。たばこを購入するために来店したお客によるついで買いも少なくない。2008年から導入された顔写真付きの成人識別カード「taspo(タスポ)」によって、たばこの集客力は改めて実証された。タスポがなければ自動販売機でたばこが買えないため、作製を面倒がる愛煙家がコンビニへと流れ、売り上げを底上げした。
 そんな孝行商品の大幅値上げに、各社とも指をくわえて見ているわけではない。想定しているのが、消費者による大量買いだめだ。値上げの前にたばこを購入しようという消費者心理が働く。この特需に合わせて売り場を見直す動きも出ている。
 コンビニ大手のローソンでは、対象店舗全店に新しい陳列棚を用意する。たばこの棚を増設し、カートン買いに対応する。さらに予約販売も受け付けるという。やはり陳列棚を見直すのはサークルKサンクス。通常、たばこは店員が手渡しして販売しているが、レジ前に陳列棚を置き、セルフ販売に対応する。手軽にカートンが購入できるように促す。一方、たばこメーカーもこうした動きを当て込み、増産体制に入っている。「流通各社からの受注を見込んで、既に工場では増産している」とブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンの広報担当者は言う。
 こうした特需は予想できるものの、やはり10月以降の落ち込みは厳しい。JTはこの増税によって、年間25%、販売数量が減ると予測している。大幅値上げをきっかけに禁煙しようとする人も増えそうだ。
 ジョンソン・エンド・ジョンソンの調査では、禁煙・節煙意向のある喫煙者の62.2%が「この機会にたばこをやめたいと思う」と回答した。日本には、将来、禁煙・節煙を考えている喫煙者の数は約1800万人いるという。つまりその62.2%に当たる1100万人が増税を機に禁煙や節煙に動くことが予想される。実際に「禁煙補助剤の売り上げが伸びている」とジョンソン・エンド・ジョンソンのマーケティング本部の太田卓也氏は言う。
 「たばこの販売が伸び悩むと予想できる10月以降が怖い」。大手コンビニ関係者はこう嘆息する。タスポ導入以降、たばこ頼みとなっていたコンビニ業界。その神通力はまもなく消え去ろうとしている。真の商品力が問われる審判の日は近い。



参院選突入ツイッター戦線 議員たちの「つぶやき」は続く
参議院選挙が2010年6月24日、公示された。インターネットの選挙利用解禁は、実現まであと一歩と迫りながら先送りとなる中、ミニブログ、ツイッター(Twitter)では、選挙戦突入後も多くの国会議員たちが「つぶやき」を続けている。
「●●(注:本文は実名等)神社なう」「出陣式です」――ある野党衆院議員は、6月24日朝、ツイッターでこうつぶやいた。
「●時から●駅で街頭演説会」
政治家によるツイッターの更新は、選挙運動に直接触れていなくても、選挙との関係の有無があいまいな部分もある、として総務省選挙課は「即違法とはならないが、水際防止の観点からも更新はしないように」と、問い合わせがあった陣営などには回答している。選挙運動に関する更新が禁じられるのは、候補者だけでなく一般人も対象で、当然候補者以外の国会議員も規制対象だ。
しかし、公示日の24日、実際には多くの国会議員たちが朝からツイッターでの「つぶやき」を始めた。
24日早朝には、ある新党の衆院議員は、ツイッターなどでの「発言」について、「過剰な自主規制に繋がりそうな感じがある」「規制にかかるのは、選挙運動にあたる文言の記載があった場合」と、総務省の「水際」の発想とは異なる主張を展開した。
その後も時間が経つにつれ、様々なツイッター議員・候補らが「つぶやき」続けた。
中にはサッカー・ワールドカップの話題や天気など、参院選に全く関係ない内容を書き込んだ議員もいたが、
「菅総理の第一声は●の●前です」「●時から●駅で街頭演説会」「今日から、参議院選挙です。●時から出陣式」(注:●は本文では実名や数字等)
などと、はっきり参院選関連と分かる書き込みも相当数ある。「暑い中、●人以上の皆さんが駆けつけてくれました。ありがとうございます」と「お礼」の文言も書き込んだ衆院議員もいる。
音声データ更新の候補も
もっとも、候補者本人はおとなしいようだ。前日の23日から24日未明の段階で、「明日が公示日だ」「しばらく休ませて頂きます」などと、選挙期間中のお休み宣言をしている候補が与野党を問わず多い。もっとも、与党候補の中には、音声ツイッターを利用した更新を続けている現職議員がいる。音声を聞いてみると、「今から●で街頭演説をします。応援下さい」などと話している。音声データなら、法が禁じる「(法定外の)文書図画の頒布」には当たらない、という解釈だ。
候補者以外の国会議員による、ツイッターでの演説会告知や「お礼」は問題ないのだろうか。公示日の24日は、総務省選挙課職員は全員各所を飛び回っていて連絡がつかなかった。応援組の総務省職員に質問すると、個別のケースには回答できないので一般論、とした上で、ツイッターでの演説会告知などは「かなり微妙な点を含んでいる、とは言えるでしょう」と歯切れは悪いながら、「問題あり」をにじませる回答だった。
選挙戦2日目以降のツイッター戦線はどう展開するのだろうか。ネットの選挙活動利用を可能にする法改正を待たずに、現実は少しずつネット選挙へ向かって舵を切っているようにも見える。



神戸新聞社説
舌戦スタート/じっくり政策見比べよう 
 参院選が公示され、選挙区と比例代表合わせて全国で438人が立候補した。兵庫選挙区では6党派の7人が2議席を争う。
 昨年夏の衆院選で「政権交代」を選択した有権者にとって、自らの選択の結果を見つめ直す最初の機会がやってきた。
 本来なら審判を受けるべき鳩山由紀夫前首相は退陣し、最大の争点となる消費税増税では民主、自民の二大政党が足並みをそろえる。何を選択の基準にしたらいいのか、迷う人も多いだろう。
 それでも、政権の枠組みを左右し、政策の質を大きく変える可能性を持つ1票である。その重みを自覚し、政策本位で各党の主張を見きわめることが何より大切だ。
 有権者が民主党中心の与党に参院過半数を与えれば、菅直人首相による政策実行を強力に後押しすることになる。
 野党を躍進させ与党の過半数を阻止すれば、ねじれ国会が生じて政策実行は難しさを増す。それを打開するために連立の組み替えや政界再編が起これば、政策の中身も変わらざるを得ない。
 2005年衆院選の「郵政民営化」、09年衆院選の「政権交代」と、一つのキーワードが全体を覆い尽くす選挙が続いた。ムード先行の「劇場型」では、地道な政策論争は置き去りにされがちだ。年金、医療、介護などの社会保障をどう立て直すかといった切実なテーマが正面から論じられる場面は、ほとんどなかったといっていい。
 消費税論議が浮上した今回の選挙戦は、こうした課題について、各党の姿勢を問う絶好の機会になる。
 消費税増税の方針を打ち出す民主、自民などは、社会保障制度改革の全体像を明確に示しているか。無駄の削減にどう取り組むのかも忘れてはならない。
 消費税増税に反対の政党は、破綻(はたん)寸前の社会保障をどうやって維持するのか。増税に頼らない財政再建の方策を明らかにしているかどうかがポイントだ。
 そもそも、二大政党の政策が接近し、選択の幅が狭まる状況に疑問を感じる人もいるだろう。別の突破口を「第三極」に求めるのも選択肢の一つだ。どの政党にも政権参加の可能性があり、小政党でも政策実現の可能性はゼロではない。
 だからこそ、マニフェストを見比べ、街頭での訴えに耳を傾け、立候補者の資質をじっくり見定めなければならない。もし正面切って政策を語らない立候補者がいれば、まず×印を付けた方がいい。
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