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ドコモ、9月1日より「海外パケ・ホーダイ」開始
 NTTドコモは、海外渡航時の通信料が1日あたりの定額料金で利用できる「海外パケ・ホーダイ」を9月1日より提供する。国内でパケット定額サービス/データ定額サービスを利用するユーザー向けとなるが、11月30日までは全てのユーザーが利用できる。
 「海外パケ・ホーダイ」は、海外へ渡航した際、国際ローミング中の通信料を定額で利用できるサービス。事前の申込は必要ない。国内のパケット通信料定額サービスは月額制だが、「海外パケ・ホーダイ」は日額制となる。対象となる通信は、iモードだけでなく、iモードフルブラウザ、スマートフォンでの通信、モデム代わりの通信など全てとなる。ただし、米国ではAT&T/Cingular、台湾ではFETなど、特定の現地事業者に接続した通信のみ定額対象となり、その他の現地事業者に接続すると定額対象外となる。端末側の設定で「自動接続」といった設定にしていると、渡航先で最も強い電波の事業者へ自動的に接続されるため、注意が必要だ。なお、渡航時にはユーザーには、「海外パケ・ホーダイ」に関する案内が通知されるが、対象外事業者へ接続した場合、特に案内はないという。
 利用料は、2011年3月31日まで、1日あたり(日本時間0時~23時59分)1480円となる。2011年4月1日以降の利用料は、通信量によって異なり、20万パケット(約24.4MB)までは1日あたり最大1980円、20万パケット以降は1日あたり最大2980円となる。パケット単価は、iモードであれば1通信ごとに50パケットまで50円、50パケット以上は1パケット0.2円で、スマートフォンやデータ通信などは1パケット0.2円となる。



ドコモと大日本印刷、電子書籍事業で提携 各陣営の競争激化
 NTTドコモと大日本印刷が提携し、電子書籍事業に参入する。年内にも雑誌、書籍、コミックなどのコンテンツを集め、電子書籍端末や高機能携帯電話(スマートフォン)に配信するサービスの開始を目指す。電子書籍については、KDDIが凸版印刷などと共同出資会社の設立で合意。米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」を扱うソフトバンクモバイルも事業進出に意欲を示している。出版社などコンテンツ提供者を巻き込み各陣営の競争が激しくなりそうだ。
 ドコモと大日本印刷は配信から課金まで一貫して手がける事業会社の設立も検討する。アイパッド人気もあって消費者の関心が電子書籍に集まっており、市場の拡大が見込めると判断した。
 ドコモは自社の携帯電話回線が使え、無線機能も備えた電子書籍型端末を年内にも発売する方針だ。新サービスを自社の端末で利用できるようにする。端末については、国内外の端末メーカーに広く賛同を求める。
 大日本印刷は10月をめどに電子書籍の販売事業を始める方針を打ち出している。出版社とのパイプを生かし、コンテンツの調達や卸売事業で協力する。今後、大手出版社などにコンテンツの提供を広く呼びかける。
 電子書籍事業には端末、通信回線、コンテンツ制作、配信・課金といった機能が必要になる。出版社、印刷会社、通信会社、端末メーカーが垂直統合型で連携するビジネスモデルの模索も始まった。KDDI、ソニー、凸版印刷、朝日新聞社は4社連合で電子書籍事業参入を決めている。
 ドコモは大日本印刷と2社間の提携にとどめ、利用できるコンテンツの提供者や端末については限定しない考えだ。ソフトバンクも広くパートナーを募る意向。米アマゾン・ドット・コムも米国で展開している電子書籍端末「キンドル」を使い、消費者が通信回線を自由に選べるようにして日本市場に参入するとみられている。
 電子書籍用端末を巡っては端末開発が先行しているが、通信会社などとの連携による商用化の動きも加速してきた。コンテンツ保有者や端末メーカーは提供先を広げることを目指しており、各陣営の競争と並行して合従連衡も進みそうだ。



ドコモと大日本印刷、電子書籍事業で4日に共同会見
 NTTドコモと大日本印刷は3日、電子書籍事業に関する共同記者会見を4日の午後3時30分から都内で開くと発表した。電子書籍のコンテンツ配信から課金まで手掛ける事業会社の設立などを発表するとみられる。
 会見にはドコモの辻村清行副社長と大日本印刷の高波光一副社長が出席する。



ウィルコムのPHS事業縮小へ 
 ソフトバンクは、会社更生手続き中のPHS事業者ウィルコム本体の支援にも参加すると発表した。成長が見込める次世代の高速PHS事業だけを支援する方針だったが、顧客離れが深刻な既存のPHS事業の軟着陸 にも手を貸し、全面支援する。既存PHSは、約400万の顧客に迷惑がかからないよう、携帯電話や次世代技術への転換を促しながら順次縮小する。
 約400万人の顧客へのサービスが途切れないよう、ソフトバンク携帯の利用を働きかけるほか、ソフトバンクがウィルコムから引き継ぐ次世代高速PHS事業(XGP)への移行を促しながら、徐々に既存のPHSの事業を縮小する ことを検討する。
 通話料の低価格化が進む携帯電話に顧客を奪われたウィルコムは、XGPで巻き返しを図ろうとしたが、そのための設備投資が重くのしかかり、今年2月に会社更生手続きを申請した。
 当初は、事業をPHSとXGPで「新旧分離」し、PHS事業は、APの全額出資で再建し、XGP事業は基地局と共に
ソフトバンクやAPなどが出資する新会社が引き継ぐ計画だった。
 しかし、その後、PHSの解約が予想以上に進み、2月に417万人だった契約者数は6月末には388万人に減った。
7月下旬に予定していた裁判所への再建計画提出も、「環境が変わった」として10月に延期していた。
 管財人らは、顧客を守るためにも、再建には通信会社の協力が必要と判断。XGPを引き受けるソフトバンクに、PHS事業への支援に加わるよう求めていた。
 ソフトバンクは当初、PHSの将来性に疑問を持って支援に消極的だったが、ウィルコム再建が暗礁に乗り上げれば
XGP事業の継続も不透明になることから、支援への参加を決めた。



ニコ動プレミアム会員90万人突破 年内100万人に
 ニワンゴは、ニコニコ動画の有料会員「プレミアム会員」(月額525円)数が8月3日に90万人を突破したと発表した。年内に100万人達成を見込んでいるという。
 プレミアム会員制は2007年6月にスタート。今年3月5日に70万人を突破、5月17日に80万人を突破し、約2カ月半でさらに10万人増えた。
 プレミアム会員は「ニコニコ生放送」が混雑している際に優先的に視聴できたり、「ユーザー生放送」の配信ができるなどの特典があり、「公式生放送」やユーザー生放送の人気が会員増をけん引した。
 5月の公式生放送は156番組、6月は219番組、7月は179番組。ユーザー生放送の7月の配信数は、240万番組あったという。
 8月3日現在、ニコニコ動画のID登録者数は1788万人、携帯電話向け「ニコニコ動画モバイル」登録者数は538万人。



ソーシャルアプリ開発支援「アプリやろうぜ!by GMO」から2本のアプリが公開
 GMOインターネットグループが推進するソーシャルアプリの開発支援プロジェクト「アプリやろうぜ!by GMO」はソーシャルアプリゲーム2本を公開し、8月中にさらに21本の公開を予定していると発表した。
 「アプリやろうぜ! by GMO」は、GMOインターネットグループがソーシャルアプリの開発を支援するため、3月より開始した総額3億円のプロジェクト。現在、プロジェクトの支援により27チームがソーシャルアプリの開発・運営を行っており、6月29日に公開した「凸凹宇宙★トレジャーズ by GMO」(プラットフォーム:GREE)に続き、7月30日に「ガドラン★マスター! by GMO」(プラットフォーム:モバゲータウン)、「ミラクルフィッシング by GMO」(プラットフォーム:mixiモバイル)の2本を公開した。
 プロジェクトでは、27チームすべてからソーシャルアプリが公開できるよう、引き続き開発および運営支援を行っていくとしている。



不振のニューズウィーク誌、米慈善家に売却へ
 【ワシントン=黒瀬悦成】米メディア大手のワシントン・ポスト社は2日、経営不振が続く傘下のニューズウィーク誌を米大手音響機器メーカー創業者で慈善家のシドニー・ハーマン氏(91)に売却すると発表した。
 金額などの買収条件は公表されていない。ポスト社は5月に同誌の売却検討を発表していた。
 1933年創刊の同誌は、61年にポスト社が買収。タイム誌と並ぶ米国を代表するニュース専門週刊誌として知られ、日本語版も発売されている。最盛期の発行部数は320万部に達したが、インターネットの普及などに伴い、現在は150万部にまで半減。同誌を主体とするポスト社の雑誌部門は2009年、4750万ドルの赤字を記録していた。



アマゾン、アップルを調査 電子書籍の価格協定で
 米コネティカット州のブルメンタール司法長官は2日、電子書籍市場で、米インターネット小売り大手のアマゾン・コムや米電子機器大手アップルが出版社と価格協定を結び、公正な競争が行われていない疑いがあるとして予備的な調査を開始し、両社に対して面会を求める書簡を送ったと発表した。
 アマゾンの電子書籍端末「キンドル」とアップルの新型マルチメディア端末「iPad(アイパッド)」が同市場で大きなシェアを持っていることを背景に、両社は書籍の出版元の有力出版社5社と、いつでも「最優遇」の価格で書籍を仕入れることができる価格協定を結んでいると指摘した。
 価格調査では、いくつかのベストセラー本の電子書籍の価格は両社で同じだったという。



世界の携帯シェア、日本8社で3.5% 存在感かすむ
進む統合、海外市場に再挑戦
 携帯電話端末の世界シェアで日本メーカーの苦戦が続いている。英ソニー・エリクソンを除く日本企業8社の合計は2009年実績で3.5%。世界5位のモトローラ1社分にも満たない。
 携帯電話市場は日本が世界に先駆け立ち上がり、1990年代後半には「国内出荷台数が世界出荷台数の5分の1を占めたこともあった」(大手幹部)。2000年代初頭にはメーカー各社が海外進出を図ったが、ノキアなどの低価格機種に押され、NECやパナソニックなどは05~06年に撤退を余儀なくされた。
 日本市場は徐々に飽和しつつあり、07~08年に携帯各社が導入した新販売方式を契機に出荷台数が激減。電子情報技術産業協会によると08年度の出荷台数は約3割減の3585万台、09年度には3143万台まで減っている。
 市場縮小に伴い三菱電機が08年に撤退。今年6月にNEC、カシオ計算機、日立製作所の3社が携帯電話事業を統合した。10月には富士通と東芝も同事業を統合する。各社は再び海外展開に活路を見いだすが、ブランドや販売網の構築など課題も多く、巻き返しは簡単ではない。



日本型雇用は有効・非正規増を批判…労働経済白書
 厚生労働省は3日、2010年版の「労働経済の分析」(労働経済白書)を発表した。
 今後の日本の産業社会では、長期雇用や年功賃金などを前提とする「日本型雇用が有効」と分析したのが特徴だ。00年代に企業が「雇用の調整弁」として派遣労働者ら非正規雇用を増やして人件費を抑え、所得格差が広がったことについても批判している。
 白書では、産業社会の変化や、雇用と賃金の動向を長期的に分析。今後、日本では、保健医療や教養娯楽などの分野が成長すると予測した上で、労働者に高度な職業能力、サービスが求められるとした。能力形成のためには、長期的な人材育成がしやすい日本型雇用が有効だとしている。
 白書は、約2万社の企業の意識を探った10年の調査(回答約3000社、回収率15%)も掲載。「今後、長期安定雇用のメリットの方が大きくなる」との回答が全体の49・7%を占め、企業の人事方針も「『即戦力志向』から『じっくり育成型』に」と分析した。
 背景には、00年代に大企業を中心に非正規雇用を増やしたことへの批判や反省がある。1997年から07年にかけて、年間収入が100万~200万円台半ばの非正規雇用は増えており、所得格差拡大だけでなく、賃金低下による消費の伸びの抑制につながった。
 一方、企業側としては、派遣労働者らの増大により人件費コストを抑えて、安易に事業拡張を行えた面があったと指摘。「すそ野の広い技術・技能の向上と所得の底上げを目指す必要がある」と結論づけた。



「雇用は厳しい」首相が追加経済対策を検討 
 菅直人首相は3日午前の衆院予算委員会で、経済情勢について「景気は一定の改善がみられるが、雇用状況は厳しい。何らかの対応が必要か検討をしなければならない時期だ。十分検討したい」と述べ、追加経済対策の検討を始める考えを示した。
 税制の抜本改革については「消費税引き上げを含め、税制全般について超党派でご議論いただきたい」と述べ、各党間の協議に重ねて期待感を示した。
 民主党の目玉政策である子ども手当の支給が1万3千円と政権公約(マニフェスト)の半額にとどまっていることには「上積み分は保育所拡充に充てることもある。最初に申し上げたことを百パーセント実行しているとはいえないが、基本的方向性は変わっていない」と説明した。
 参院選で大敗したにもかかわらず政権運営を続けていることについては「大きく議席を減らした責任は私に一番ある。しかし比例票は(民主党が)第一党だ。この形で責任を持って運営させていただきたい」と反論した。自民党の田村憲久、公明党の井上義久両氏らの質問に答えた。



戸別所得補償 農相、1兆円規模目指す
 山田正彦農相は3日の閣議後の記者会見で、農家への戸別所得補償制度について「民主党でも1兆円で議論しており、1兆円規模を目指す」と述べ、来年度からの本格実施に必要な予算を要求していく考えを明言した。
 対象品目を麦や大豆など畑作に拡大することに関し、農相は「今まさに検討中」と説明。果実、野菜は「今回は考えていない」と話した。



京都新聞社説
人口減少社会  制度や政策、見直さねば
 「日本は本格的な人口減少社会に入った可能性がある」。総務省は、このほど発表した今年3月末時点の住民基本台帳に基づく人口動態調査をこう分析した。
 人口は出生・死亡者数の差(自然増減)と、国内外の転入・転出者数の差(社会増減)によって増減する。このうち自然増減で、少子高齢化による減少傾向が顕著になっているためだ。
 人口減少は、経済や社会保障をはじめ、さまざまな分野に影響を及ぼす。年金制度のような従来の諸制度だけでなく、まちづくりの将来計画なども見直す必要がありそうだ。
 出生数を死亡者数が上回る逆転現象は、2006年調査で初めて起きた。翌年は出生が上回ったが08年以降、再び自然減が進み、今回は過去最多の約7万3千人の差となった。社会増減を合わせた総人口数も約1億2705万人と3年ぶりに減少した。
 人口の中身を見ると、地域的な差が目立つ。三大都市圏(東京圏、名古屋圏、関西圏)の人口が過去最高を記録し、昨年に引き続き全国人口の半数を上回った。逆に東北や山陰、中四国などの各県は人口減少が続き、国内人口の偏在が進んでいる。京都府も前年比で人口が約4千人減った。
 こんな中で、滋賀県は人口が継続的に増えるという特異な動きを示す。今回も人口増加は4千人を上回り、全国で九番目の増加となった。14歳以下の年少人口の割合も15%と全国で二番目に高く、バランスのよい人口増加の道をたどっている。
 大阪や京都の通勤圏でありながら地価が割安な点や、道路網の充実、自然環境の豊かさ、企業進出などが人口増に結びついているようだ。
 総務省のいうように、本格的な人口減少社会が視野に入ったとすれば、どうすべきだろう。
 従来の少子化対策を拡充し、子育て世代を応援するのは当然だが、一方で発想の転換を迫られる制度や施策が多そうだ。
 中でも生産年齢人口(15~64歳)の減少傾向は深刻だ。国内非正規労働者の待遇改善にも目配りしつつ、外国人労働者の受け入れについても、本格的に議論する時期だろう。
 まずは海外研修生制度や介護職員の受け入れなど、課題が噴出している問題を見直すべきではないか。
 まちづくりも、人口増加を前提にした計画を見直す必要に迫られよう。郊外展開型のまちから、高齢者も住みやすいコンパクトなまちづくりへの転換が問われそうだ。
 人口減少に悲観ばかりすることもあるまい。住宅や都市インフラの充実など過去の蓄積も考えれば、豊かに暮らせる道はあるはずだ。良い面も見ながら地域ぐるみで解決の道を探りたい。
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孫正義社長の新参謀が激白!
ソフトバンクモバイル 松本徹三副社長インタビュー
─来春より、NTTドコモは、新しく発売される携帯の全端末を対象に、「SIMカード」(利用者を識別するためのモジュール)のロックをはずす準備を進めるとの意向を明かしました。これがはずせると、利用者は自分の意思で通信会社を選べるようになります。
 最近まで、ドコモは「消費者からの要請があれば考えますよ」という消極的なスタンスでした。
 常識的に考えれば、まず2~3機種を「SIMロック・フリー端末」にして様子を見ながら、消費者の反応に合わせて、少しずつ端末を増やしていくものでしょう。
 あまり他社のことを言うべきではないですが、なぜ突然、全機種を対象にSIMロックをはずす意思決定に至ったのかについては意味がわかりません。「なんらかの思惑で、ドコモは初めからはずすつもりだったのでは?」などと邪推してしまいます。じつは、今回の一件については、当のドコモが仕掛け人で、「裏で総務省を動かした」と見る人もいるでしょうね。
 ドコモにすれば、強力な商材のiPhoneやiPadの販売権は獲得できなかったけれど、通信料金は欲しいということだと思います。
─しかし、ソフトバンクは、日頃からNTTに対して「開放」を求めていながら、一方でiPhoneやiPadに限って「ロックは当然」と開き直っています。その姿は、世間の支持を得られないのでは?
 確かに、言葉で聞くと、開放=善、ロック=悪という響きになります。でも、一つひとつを“別個の問題”として考えてほしい。
 それでソフトバンクモバイル(SBM)に対して悪いイメージが付くのはいやなのですが、現時点ではロックをはずしても(消費者には)大きなメリットがなく、むしろデメリットのほうが大きいと主張しています。
 たとえば、今、SIMロックをはずしたら、それまで使っていた端末に固有の機能(たとえば、ドコモのiモードなど)は使えなくなりますし、反対に乗り換えた先の端末に固有の機能も一部が使えなくなります。本当に、電話に毛の生えたような限定的な使い方しかできなくなってしまいます。
 SBMのスタンスとしては、「今はSIMロックをはずしません」になります。ただし、すでにデータ通信の国際ローミング(転送)用の料金メニューは発表していますし、海外出張などでSIMカードが必要な人には2~3種のSIMロック・フリー端末を出せるように準備を始めています。
─松本さんは、もともとは伊藤忠商事の情報・通信畑出身で、チップ・メーカーの米クアルコム社では本社の上級副社長まで務めました。そもそも、孫正義社長とは、どのような経緯で意気投合することになったのですか?
 6年前のある日、久しぶりに孫さんから「お会いできませんか?」と連絡をいただきました。
 当時は、私はクアルコムの幹部でしたから、携帯電話事業に乗り出す前の孫さんは“見込み顧客”でもありました(笑)。
 以来、何度か顔を出すうちに、社内会議にも参加するようになりました。まだ、私は部外者だったのですが、そこに集まる社員と同じように「どう思うか?」と意見を求められるのです。
 あるとき、孫さんが、海外製の安価な端末を高く掲げて「これをタダで配るぞ」と熱っぽく語りました。まだ、携帯電話事業に参入する前です。私は、「孫さん、それは無理です。日本では、高機能の端末に慣れた人が多いので、いまさら機能限定の安価な端末はタダでも欲しがらない。子どもにも相手にされない」と意見を述べました。
 すると、孫さんは少し残念な顔をしましたが、5秒でその理屈を納得し、一瞬で方針を切り替えてしまったのです。私も、元商社マンですから数多くの実業家に会いましたが、あんな人は初めてでした。なにしろ、人から聞いたばかりの話でも、10分後には自分のものにして話すのですから。
─当時、松本さんは、生活の拠点を米国に移そうとしていた時期ですよね。孫さんの口説き文句は、どんな感じだったのですか?
 それが、かなりむちゃくちゃでした。英ボーダフォンの日本法人を買収した後で、孫さんから連絡がありました。米国に半移住するつもりの私が顔を出すと「オレは命を賭けてやる。だから、アンタも手伝うのが当然だ」と。今度は理屈もなにもないんです(笑)。
 3日間、それまでの人生を振り返って考えました。商社マンの頃は、NTT関連の仕事で汗を流しました。クアルコムに転じてからは、KDDIを成長させようと頑張りました。ようやく、「この男(孫さん)なら、通信の世界をガラリと変えられるかもしれない」と意気に感じて、決めました。
─現在、松本さんのミッションは、どのようなものなのですか?
 私の肩書きは、副社長となっていますが、実質的には“アドバイザー”のような立場です。
 ラインの事業を担当していませんので、割と自由に動けます。というのも、SBMの前身はボーダフォンでしたが、なにからなにまで英国本社が決めていたので、海外に独自のパイプを持っている人がいなかったのです。
 そこで、もともとは商社マンで、海外に人脈もある私が、海外通信事業者の動向や情報を取ってくる役割を買って出たということなのです。海外出張は、月に2回程度ですが、SBMは「GSMA」という世界の携帯電話事業者の業界団体のボードメンバーでもあるので、孫さんも私も積極的に発言するようにしています。
 おもしろいのは、この団体に加入する事業者は、すべて世界各国を代表する既存の通信事業者ばかりです。そのなかで、ボーダフォンの推薦で入れてもらったSBMだけが、インターネット系のモバイル事業者であるところです。
 世界の通信事業者たちは、米国のグーグルやアップルを恐れていますし、自らの動きが遅いことも自覚しています。このまま行くと彼らにおいしいところを持っていかれて、自分たちの事業は“土管”(通信回線を貸し出すだけの存在)に成り下がってしまうと心配しています。
 ですから、契約者数ではとうてい仲間に入れてもらえないはずのSBMでも、「なにかやりそうな存在」ということで、入れてもらえました。すでに4年目で、日本のモバイルは注目されていることを肌で感じています。
─松本さんには、「若い世代に語り継ぎたいことがある」そうですが、どのようなことでしょうか?
 日本が、なぜ世界から孤立するのかと言えば、理由は簡単です。
 まず、国内の市場を固めてから海外へ出ようとするのでタイミングが遅れる。次に、国内で固めてしまうので“日本仕様”になる。最後にオールジャパン(企業連合)で出て行こうとする──。
 その調子では、最初から負けが見えています。若い人たちには、世界で戦うということは、むしろ敵地の会社と組んだほうがよいという判断もあるのだという発想を身につけてほしいですね。



ソフトバンク、ウィルコム全面支援 管財人も派遣
 ソフトバンクは2日、会社更生手続き中のPHS大手ウィルコムを全面支援すると発表した。ウィルコムは契約数の減少などで経営悪化が進んでおり、再建計画の策定が難航している。ソフトバンクは当初、高速通信が可能な次世代PHS事業への出資だけにとどめる予定だったが、事業家管財人も派遣して全面支援する。
 企業再生支援機構などが当初まとめた再生計画では、ソフトバンクの支援は次世代PHS事業が中心。現行PHSに対してはネットワークやコールセンターの効率化など一部の支援だけだった。
 しかし当初の想定より事業の棄損が激しく、再建自体が難しくなってきたため、ウィルコムの管財人がソフトバンクに全面的な支援を要請していた。
 ソフトバンクはウィルコムに事業家管財人を送り込み、10月14日までに裁判所へ提出する予定となっている更生計画案の策定にとりかかる。ウィルコムの弁済総額は取引金融機関などによる債権カットにより約410億円となる見込み。ウィルコムはソフトバンクの支援を受けながら6年かけて弁済していく計画。
 PHS事業には投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)が3億円を出資して単独で支援する予定だったが、ソフトバンクが最終的に譲り受ける予定。



ヤフー井上社長がMSに反論 提携後も「グーグルとは競争し続ける」
 インターネット検索で世界最大手の米グーグルと国内最大手の日本のヤフーが提携を決めたことに対し、米マイクロソフト(MS)が反対姿勢を強めていることを受けて、ヤフーの井上雅博社長は2日、都内で記者会見し、「検索サービスでグーグルのシェアが90%を超えるということはない」などと述べ、両社の提携が「競争を阻害する」としているMS側の主張に反論した。
 井上社長は、ヤフーとグーグルは「営業部隊も広告マーケットもまったく別」とした上で、「グーグルとはこれからも競争をし続ける」と強調した。
 日本のヤフーの第2位株主である米国のヤフーとMSは、世界規模で検索事業を事実上統合し、グーグルを追う計画を進めている。井上社長は、MSではなくグーグルの検索エンジンの採用を決めた理由について「インターネットの世界は変化が激しい。(日本のヤフーが)成長するために何が正しいのかという点から、グーグルがいいと総合的に判断した」と説明した。
 ヤフーは7月27日、グーグルと提携し、グーグルの検索エンジンと検索連動型広告配信システムを採用すると発表。実質的に国内で9割超のシェアをグーグルが掌握するとの見方から、MSは両社の提携に異議を唱えていた。



セブン&アイ、電子雑誌の掲載商品をネット通販
出版社と連携、コンビニで受け渡し
 セブン&アイ・ホールディングスは電子書籍市場に参入する。電子版の雑誌に掲載された商品をインターネット通販で簡単に購入できるサービスを年内にも始める。消費者は多機能携帯端末などを使って雑誌を眺めながら、気に入った商品を注文し、コンビニエンスストアの店頭などで受け取る。電子書籍を活用して、ネットと店舗を融合したサービスを展開する。
 3日に出版社や音楽ソフト関連企業など約750社を集め、新サービスへの参加を求める。事業を担うのは、グループでネット通販を手掛けるセブンネットショッピング(東京・千代田)。セブン&アイの通販サイトを通じて、電子化した雑誌の内容の一部や商品情報を提供する。まず800誌前後の雑誌の電子版を導入したい考えだ。
 雑誌に掲載された商品のネット通販では、衣料品やアクセサリーなどの需要を見込んでいる。セブン&アイは、ネット通販経由の販売額の一定割合を出版社などに還元していく。
 2011年度には電子書籍のダウンロード販売も始める。セブン&アイのネット通販事業は現在300億円超だが、電子雑誌を使ったネット通販をテコに、12年度に3倍の1000億円規模に引き上げる。
 高機能携帯電話(スマートフォン)や多機能携帯端末で雑誌を閲覧する。米アップルの製品だけでなく、シャープやソニーなど幅広いメーカーの端末に対応できるようにする。
 出版社やネット通販会社も雑誌と連動した通販サービスを手掛けているが、大手流通小売りでは初めて。セブンイレブンの書籍販売は雑誌を中心に年間約1300億円に達しており、国内の雑誌販売としては最大手。コンビニで送料無料で商品を手渡すだけでなく、店頭に並べていない雑誌を無線LAN(構内情報通信網)を通じて店内で配信することも検討。通販で人気の高い商品を店頭の品ぞろえに生かすなどネットと店舗の相乗効果を狙う。



<エコカー補助>新たな支援を…トヨタ副社長
 トヨタ自動車の布野幸利副社長(渉外担当)は2日、日本のエコカー補助金制度が9月末で終了することについて「円高の影響もあり、配慮いただきたい」と述べ、政府の新たな支援策が必要との認識を示した。名古屋市内で記者団の質問に答えた。
 布野副社長は各国政府の支援策が終わりつつあり、世界の新車市場は踊り場局面を迎えていると指摘。ドイツメーカーなどはユーロ安の恩恵で、国内販売の冷え込みを輸出採算の改善で補っているが、日本勢は円高に直面しており「他国メーカー以上にしんどい」と述べた。自動車はすそ野の広い産業であるため「業界のエゴではなく、一つの景気浮揚策として考えてもらいたい」と語った。



アサヒ、韓国で飲料再編
首位ロッテと提携へ 商品を共同開発、3位子会社は売却
 アサヒビールは韓国ロッテグループと同国の清涼飲料事業で提携する方針を固め、近く交渉に入る。清涼飲料の最大手メーカーであるロッテと現地向け商品を開発、同社の販路活用も検討しているもよう。一方、子会社で同国3位のヘテ飲料(ソウル市)は他社に売却し、ロッテとの提携戦略に切り替えて成長市場開拓を急ぐ。キリンホールディングスもこのほどシンガポールの飲料大手に資本参加しており、国内飲料大手のアジア事業強化に向けた合従連衡が加速してきた。
 ロッテは韓国の清涼飲料市場でシェア(出荷ベース)50%近くを握る。アサヒはロッテと、自社が得意とする健康志向に配慮した高付加価値分野で韓国向け商品を開発。量販店などロッテの営業網に乗せて売る方向で交渉する見通し。
 アサヒは2004年にロッテとビール販売の合弁会社を韓国に設立し、05年から「スーパードライ」を売っている。清涼飲料で提携すれば、物流・販売面でビール事業との相乗効果も見込めると判断した。
 09年の韓国の清涼飲料市場は小売りベースで約4700億円。日本の1割弱の規模だが、数量で前年比10%近く伸びた。アサヒは00年にヘテ飲料に20%出資して同市場に参入。04年に連結子会社化し、現在は発行済み株式の58%を保有する。
 ヘテはシェア約10%と同25%の韓国コカ・コーラに次ぐメーカーだが、主力の果汁飲料を中心に苦戦。03年12月期に350億円あった売上高は今期に200億円まで減り、営業損益も24億円の赤字となる見込み。アサヒはロッテとの提携に軸足を移す考えを固め、ヘテ売却へ向けて他社と交渉に入る方針などを2日までにヘテ側に伝えた。
 国内飲料大手はビール市場がピーク時から2割減るなど内需縮小に直面する中、特に成長するアジアでの収益基盤強化が課題。キリンはサントリーホールディングスとの経営統合が破談したが、7月末に約850億円を投じてシンガポールのフレイザー・アンド・ニーヴに15%弱を出資、国際展開を加速している。
 アサヒの10年12月期見込みの海外売上高比率は7%と、キリン(25%)やサントリー(22%)に比べて出遅れている。このため、15年12月期までに連結売上高を2兆~2兆5000億円(前期は1兆4724億円)、海外比率を20~30%にそれぞれ引き上げる計画だ。
 アサヒはビール事業では09年に中国2位の青島ビールに出資し、今年に世界4位のカールスバーグ(デンマーク)と香港やマレーシアの販売で提携した。実現しなかったものの、韓国でロッテとビール大手の共同買収を検討した経緯がある。清涼飲料でも台湾の大手商社、三商行股●(にんべんに分)グループに生産を委託するなど、巻き返しを急いでいる。
 これまでキリンを含めて国内飲料大手のアジア戦略は、海外企業の買収や国内商品の輸出が主軸だった。今回、アサヒがロッテとの提携を実現すれば、海外でのパートナーを乗り換えたうえで商品開発から着手するという事業再編のモデルケースになる可能性がある。



【産経主張】菅首相 腰引けて日本を担えるか

 菅直人首相が就任以来、初の予算委員会審議に臨んだ。日本をどうするのかを明確に語ってもらいたかったが、参院選で大敗した釈明の範囲にとどまっている印象が否めない。
 内政外交の懸案解決に腰が引けているようにみえる。それでどうして日本丸を担えるのか。
 とりわけ問題なのは、消費税増税について、平成22年度中に改革案をとりまとめるとの方針を自ら撤回しようとしていることだ。
 首相はこの日、「消費税自体が否定されたのではなく、取り上げ方がまずかった。その面も反省している」などと改めて釈明した。今後の消費税への対応については、民主党内での議論が必要なことや、低所得者対策など多くの課題があることを挙げ、「いつまでにと期限を切ることは改めたい」と述べた。首相は先月30日の国会召集日の記者会見でも「代表選で約束にすることは考えていない」と、消費税の争点化は避けたい考えを示している。
 参院選に際し、首相は自民党が掲げた「10%」を参考にし、与野党協議を呼びかけ、今年度中の改革案とりまとめを提起した。予算委では「財政再建はだれが首相でも、だれが政権を担当しても避けられない」と改めて与野党協議を呼びかけ、予算編成に野党の意見を反映させる意向も示した。
 だが、民主党内の強い反発を受け、消費税について首相はまたもぶれている。これでは野党側も協議に乗れないだろう。消費税増税の必要性を認めながら具体的な論議は避けようとする姿勢はわかりにくい。引き続き政権を担いたいのなら、懸案解決の処方箋(せん)を示すしかあるまい。
 首相への提言機関に格下げされた「国家戦略室」の扱いでも混乱がある。枝野幸男幹事長が一転して「局」への格上げを目指す姿勢を示し、首相も「格下げとは全く違う」と釈明した。だが、首相は「予算編成そのものをやるなら、主計局350人の部隊を官邸に持ってくることになる。そこまでは考えていない」と、戦略局を予算編成の司令塔とする当初構想に否定的だ。このことも昨夏の総選挙で約束したのではないか。
 予算委では与党議員からも「どういう国家像を目指すのか」と質問された。首相の発言が同僚議員の心からも離れているとしかいいようがない。
ウィルコム、ソフトバンクとスポンサー契約締結
 ウィルコムは8月2日、ソフトバンクとの間で会社更生手続きに伴うスポンサー契約を締結したことを発表した。
 ウィルコムは、2月18日に会社更生手続きの申立てを実施し、3月12日には会社更生手続きを開始したことを発表した。同日、ウィルコム、ソフトバンク、アドバンテッジパートナーズの3社は、ウィルコムの再生支援に向けて基本合意書を交わしている。
 基本合意書では、ウィルコムのPHS事業を継続し、アドバンテッジパートナーズのファンドがウィルコムに出資すること、ファンドとソフトバンク等がウィルコムのXGP事業および基地局ロケーションを譲り受けることなどが盛り込まれた。
 今回、契約締結によって、ウィルコムは更正計画認可後にソフトバンクから支援を受けることになる。スポンサー契約では、同社がウィルコムに事業家管財人を派遣することなどが盛り込まれている。なお、ソフトバンクでは、更正債権および更正担保権にかかる支払い総額を410億円(6年間の均等分割)としている。
 ウィルコムによれば、現時点でソフトバンク以外のスポンサーは検討していないという。ソフトバンクの支援内定は、更生計画案の提出期限に影響がないため、従来通り、10月14日までに計画案が提出されることになる。



米ツイッターへの「つぶやき」、200億件突破
 【シリコンバレー=奥平和行】ミニブログ大手の米ツイッター(カリフォルニア州)のサービスへの書き込みが200億件を突破したことが1日、明らかになった。同社は2006年7月にサービスを始め書き込みが100億件に達するまでは約4年を要したが、その後5カ月弱でさらに倍増した。ミニブログの人気を裏付けた。
 米メディアが1日までに報じた。200億件目の書き込みは1日午前0時44分(日本時間)に日本人が書き込んだものという。ツイッターの会員数は今年4月時点で1億人超にのぼり、さらに毎日30万人のペースで増加。日本からの書き込みは毎日800万件程度に達し、全体の約12%に相当する。
 ミニブログや交流サイト(SNS)など個人がインターネットを通じて情報発信するソーシャルメディアの人気が高まり、企業がマーケティングに使うなど活用の場面も増加している。



中国聯通、携帯向け応用ソフトで販売サイト
 【大連=進藤英樹】中国携帯電話大手、中国聯合網絡通信集団(チャイナユニコム)は19日、携帯電話用アプリケーションソフト(応用ソフト)の販売サイト「WoStore」を立ち上げる。第3世代携帯電話(3G)の普及とともに需要拡大が見込まれるソフト販売を巡り、これで中国携帯大手3社のサイトが出そろうことになる。
 WoStoreは、445本のゲームソフトを中心に1100本強のソフトを販売する。同様のサイトを中国移動通信集団(チャイナモバイル)は2009年8月に、中国電信集団(チャイナテレコム)は今年3月にスタートした。それぞれ2万4千本強、1400本強のソフトを扱う。中国聯通はWoStoreにより、応用ソフト販売で先行2社を追い上げる。



台湾、SCEなど日本5社と覚書 中国市場開拓へ協力
 台湾への投資誘致のため来日した尹啓銘・行政院政務委員(無任所相・経済担当)は日本経済新聞社記者と会い、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)や楽天など日本の5社と協力の覚書を締結したことを明らかにした。台湾は中国との各種関税を撤廃する経済協力枠組み協定(ECFA)を6月末に締結しており、日台が協力して中国市場を開拓するビジネスモデルを日本企業に呼びかけていく。
 台湾側の協力の窓口となるのは経済部(経済産業省に相当)の外郭団体、資訊工業策進会(III)。台湾のIT企業を束ねる振興団体で、日台の企業、人材の橋渡し役となる。
 SCEは家庭用テレビゲーム機「プレイステーション」の中国版ソフト開発を視野に人材育成で協力する。巨大な中国市場を取り込むには、中国の言語、文化、流行を理解する台湾の人材を有効活用できると判断した。尹氏は「台湾でゲーム開発者を育ててもらう。台湾にもSCEにも寄与する」と語る。
 楽天は台湾のインターネット通販サイトで売られている台湾のお茶や食料品を日本の消費者が買いやすくする。台湾と日本で展開する通販サイト同士を連結する。今年後半に「楽酷天」の名で中国進出も予定しており、台湾との取り組みを将来、中国にも応用するとみられる。



pixivに小説機能 投稿イラストが挿し絵に
 イラストSNS「pixiv」に、テキストを投稿できる「小説機能」が加わった。pixivに投稿されたイラストを挿し絵として使える。
 3万字までのテキストを投稿用フォームに直接入力して投稿する。専用タグで、改ページやリンク、目次などを設定できる。本文中で小説内の別のページにリンクさせれば、選択肢によってストーリーが変化するゲームブックのように作れる。
 挿し絵も専用タグで設定する仕組み。pixivに投稿されているイラストのIDをタグで指定すると貼り付け完了だ。各ページにイラストを貼り付け、作品アルバムとして使う――といった応用もできる。
 読者は、作品をキーワード検索して読むことができる。「しおり」機能も用意した。「あとで読む」というボタンをクリックしておけば、次回同じ作品を読もうとしたとき、続きのページにワンクリックでアクセスできる。



紀伊国屋や三省堂、ポイント拡充 電子書籍に危機感
 紀伊国屋書店、三省堂書店などの書店各社が買い物ポイントを拡充している。一部にとどまっていた対象店を全店に広げたり、ポイントがたまる比率を高めたりする。書店は通常の小売店に比べて利益率が低いため、これまでポイントサービスに消極的だった。電子書籍の登場で売り上げが一段と減る恐れがあるとみて、顧客の囲い込みを急ぐ。

 紀伊国屋は「Kinokuniya Point(キノクニヤ ポイント)」が使える店を現在の50店超から週内に全65店に増やす。購入金額100円で1円分のポイントがつき次回の買い物から使える仕組み。顧客の来店を促し、3%程度の増収を見込む。

 三省堂書店は100円=1ポイント(1円)のポイント付与率を文具の購入に限って5倍の5ポイントに引き上げる。たまったポイントは書籍、文具の両方で使える。1日に岡山駅店(岡山市)と札幌店(札幌市)で開始。文具売り場を併設している同社のほかの6店にも広げることを検討する。

 大日本印刷(DNP)傘下の丸善は来年にも、同じDNP傘下の図書館流通センターが手掛ける書籍のインターネット通販サイト「bk1」とポイントを連動させる。顧客はネット購入でためたポイントを店舗でも使えるようになる。



国内初、カラオケAndroidアプリ「MySoundカラオケ」
 ヤマハミュージックメディアは8月2日、カラオケを楽しめるAndroidアプリ「MySoundカラオケ」を公開した。歌い放題で月額630円。アプリのダウンロードは無料。
 最新Jポップを中心に、6000件のカラオケ動画をストリーミング配信するアプリ。動画に表示される歌詞を見ながら歌える。ガイド音声付きの動画や、メロディの楽譜を伴奏に合わせて表示する動画もある。
 楽曲検索やランキング機能、Twitter投稿機能も備えた。アプリで月額会員登録すると、PCサイト「パソカラホーダイ」も利用できる。
 コンセプトは「いつでもどこでも手軽にカラオケ練習」で、ターゲットは20代の女性。「Android向けの本格的カラオケサービスは国内初」としている。



ソーシャルゲーム競争の過熱--大企業による買収の背景
 10年前なら、あるいは5年前でも、シリコンバレーやハリウッドの大企業数社が、ピンク色のバーチャルなトラクターを買うよう勧める企業を買収したいと考えて、向こう見ずなレースに近々参加しようとしていると聞いても、ほとんどの人は信じなかっただろう。
 しかし、それはソーシャルゲーミングの世界で実際に起こっていることだ。「Sorority Life」「FarmVille」「Pet Society」などのゲームを制作している企業は、デジタルメディア業界で最も人気の存在になっており、最近は大企業がその味方になってきている。ソーシャルゲーミングに多額の金が支払われていることは既にわかっているが、それよりもはるかに多くの金が絡んでいるのは明らかだ。数十億ドル規模の可能性もある。
 最近のニュースをまとめると次のようになる。The Walt Disney Companyは米国時間7月27日、ソーシャルゲーム最大手の1社であるPlaydomを買収することを発表した。買収額としては、5億6320万ドルに加えて、業績ベースで最大2億ドルを支払う。Playdomの買収は、Disneyが過去数年間に行った主なカジュアルゲーミング企業の買収では、Club Penguin(約3億ドル)、モバイルゲームメーカーのTapulousに続いて3社目になる。これに先だって、Electronic Arts(EA)が2009年冬にPlayfishを買収している。また、より小規模ながら市場シェアで重要な地位を占めるKongregateをGameStopが7月に買収している。バーチャル商品は、サブカルチャーの中では既に大きな存在になっており、仮想世界の「Second Life」や、ロールプレイングゲームの「World of Warcraft」はカルト的な現象としてずっと人気であることに留意してほしい。
 このような中で、7月28日付のThe Wall Street Journal(WSJ)の記事は、Googleが、Playfish、Playdom、Zyngaなど大手のソーシャルゲーミング企業のすべてと交渉中であり、Facebookと互角に渡り合うことができ、どちらかといえばゲームが中心になった、一種の「より幅広いソーシャルネットワーキングサービス」の開発を目指していると伝えた。WSJの記事は、これがソーシャルメディア分野におけるGoogleの一大攻勢になる可能性を示している。
 おそらくそうだろう。Googleはここ数年、「ソーシャルネットワーキングサービス」に次から次へと進出している。それは、ブラジルではFacebookの成長を妨げるほどの人気がある「Orkut」から、プライバシー問題によって発表時に非難を浴びた、Twitter似の悩み多きサービスである「Google Buzz」、さらには近々登場するとされている「Google.Me」などがある。Google.Meは、今でも急速に伸びるFacebookの市場シェアを奪おうという、カリフォルニア州マウンテンビューを本拠とするこの巨大企業の試みとしては最も新しいものだ。
 この「Google Games」的なものは、数カ月前にGoogleが1億ドル以上をZyngaに投資したという話が出て以来、何度かうわさされてきた。
 しかし、GoogleがFacebookに大きな打撃を与えようとするなら、ソーシャルゲーミングはちょうどいいターゲットだ(そしてGoogleがソーシャルメディアのほかの分野で中途半端な実績しか上げていないことを考えると、最高のターゲットかもしれない)。Facebookがソーシャルゲームからどの程度のトラフィックと売り上げを得てきたかについて、具体的な数字はわかっていないが、それは明らかにかなり大きな数字だ。Facebookの広告収入が過去数年間で大幅に増加した理由の1つは、ソーシャルゲーミング企業が、新規プレーヤーを獲得すると同時に、既存プレーヤーを新しいゲームへ呼び込むことに非常に意欲的であり、Facebook上の広告に多額の費用を支払いはじめたことだ。FarmVilleのようなゲームは病みつきになるため、Facebookの5億人のユーザーの中には、ほとんどゲームのためだけにFacebookにログインしている人もいる。そうした人々は、ゲームに本物のお金を支払ってもいる。
 しかし、Facebookとゲームデベロッパー、特にZyngaとの関係は、時に冷え込むこともあった。仮想通貨「Facebook Credits」は、大幅な遅れとテストの末にようやくスタートしており、Facebookのトランザクションを30%減少させている。また、Facebook Creditsに急激に移行するよう指示されていることを、すべてのデベロッパーが良く思っているわけではない。
 ソーシャルゲーミング企業は、自社が「プラットフォームにとらわれず」、ウェブ全体に柔軟に展開できると宣伝したがっている(時には、懐疑的な人々が考えるほど、自社はFacebookには依存していないと主張するための、やや防御的な発言として)が、いずれかの企業の側についているのは明らかだ。Zyngaは現在、Googleと財政的な結びつきがある。Playdomは間もなくDisneyの資産となる。Disneyの取締役会には、Appleの最高経営責任者(CEO)のSteve Jobs氏とFacebookの最高執行責任者(COO)のSheryl Sandberg氏が名を連ねている(Jobs氏は、2006年にDisneyがPixar Animation Studiosを74億ドルで買収したことにより、Disneyの最大の個人株主でもある)。巨大な業界の力が存在することだけでなく、ヒット志向のやり方でゲームタイトルが出されることに、一部の独立系のデベロッパーは不安を感じたり、強い不満を感じたりしている。
 それでも、注目すべき興味深い部分は、どの大企業がチームを選定済みかということだけでなく、むしろどの企業がまだ判断していないかということでもある。独立系のソーシャルゲーミング企業OMGPOPのCEOであるDan Porter氏は、7月28日午前のブログ記事の中で、ソーシャルゲームの流行に十分乗っていない大手メディアやテクノロジ企業、ゲーム企業(特にアジアの企業)を数え上げている。
 「Viacom、Fox、IACなどの競合するメディア企業と同時に、大手のパブリックゲームデベロッパーやアジアの大手ゲームメーカーが対応を進めるようになれば、より多くの取引が期待できるだろう」(Porter氏)
 Viacom傘下のMTV Networksは、人気のリアリティ番組「Jersey Shore」の新しい関連ゲームを公開したばかりだ。このゲームでは、「Snooki」や「The Situation」といったニックネームを持つ、自称「グイード」(イタリア系米国人)の登場人物たちのアニメーションに、バーチャルのピクルスを投げ付けることができる。これは本当だ。



数字で見る「Android対Apple」
 米Google社は先週、『Android』搭載携帯電話は40カ国の40キャリアで扱われていると報告した。そして同社は、6月に最初に発表された驚きの数字を繰り返した。1日あたり16万台のAndroid搭載スマートフォンがアクティベーションされているというものだ。計算すると1ヵ月あたり480万台となる。これは、Apple社の『iPhone 4』の驚くような販売数を、さらに約20%上回っている。
 Android版のアプリストアは、現在7万5000種類を超える品揃えだ。Apple社のAppストアと比べると4分の1ほどしかないとはいえ、新アプリとアクティベーション数の増加はこの数ヵ月すさまじいことになっている。3月の時点では、Google社によるAndroid携帯のアクティベーション数は月に180万台ほどしかなく、アプリも3万種類ほどしかなかった。
 7月22日~24日(米国時間)に開催された『Fortune』誌の技術カンファレンス『Fortune Brainstorm TECH』では、「今後5年でどこが支配的なスマートフォンを手にするか」という質問の簡易投票が行なわれた。その結果、57%がAndroidを選び、37%がiPhoneを選択した。
 Brainstorm TECHでは、米Motorola社の最高経営責任者(CEO)であるSanJay Jha氏による、次のような発言もあった。「iPhone 4のボイスメッセージでいちばん人気なのは、『すみません、電話を手に持っているため通話に出られません』というものらしい。『DROID X』ではそのような問題は起こらないだろう」というものだ。
 ただし、AndroidとiPhoneを比較しても意味がないと私は思う。真に比較されるべきはAndroidと、Apple社のモバイルOSである『iOS』だ。
 Androidのアクティベーション数はデバイスが基本ではないし、Apple社の場合も違うはずだ。この2つのOSを本当に比較するには、『iPad』と『iPod touch』の販売数を追加する必要がある。両者を加えたデータは、Androidが追い上げてはいるものの、また近づいてはいないことを示している。
 計算してみよう。Apple社がiPhoneを月に約400万台の割合で販売している点には、全員が同意できると思う。加えて同社は、iPadを月に約100万台販売しており、これは推定だがiPod touchは月に185万台売れている。足し合わせると、iOS搭載デバイスは月に685万台売れていることになる。これはAndroid搭載デバイスを42%「上回っている」。
 iPod touch販売数の推測について説明しよう。これまで明らかにされているデータによると、iPod touchは控えめに見てiPhoneの3分の2は売れている。これを当てはめれば、Apple社が前四半期にiPhoneを840万台販売したとなると、iPod touchは同期に550万台、つまり月に約185万台売れたことになる。
 AndroidのAppleへの挑戦を小さく見ているわけではない。この闘いは、次の5年間で最も重要なビジネス上の闘いになるだろう。
 Google社とApple社の争いは、電話機をめぐるものではない。ソフトウェア・プラットフォームの戦争だ。開発者、ユーザー、および携帯デバイスの最も強力なエコシステムをどこが作り上げるかという戦いだ。
 さらに言うと、この争いがこれほどまで険悪になっている理由は、こうした戦いではたいてい1つのプラットフォームが市場を支配することを、歴史が教えているからだ(米Microsoft社に対するApple社や米IBM社、『eBay』に対する『Yahoo Auctions』や『Auction Universe』、Google社に対する米Yahoo!社やMicrosoft社の戦いを考えればわかるだろう)。
 この闘いは、25年前にApple社がMicrosoft社と闘った闘いの再現になるのだろうか。携帯デバイスは、パソコンやテレビの代替になるのだろうか。シリコンバレーはメディアの一大センターとなって、ニューヨークやハリウッドの代替になるのだろうか。
ドコモ、米動画ソフト買収へ 次世代携帯で活用
 NTTドコモは携帯電話向けに動画や音楽の再生ソフトを開発する米パケットビデオ(カリフォルニア州)を買収する。昨年7月に約35%を出資しているが、新たに約100億円を投じて年内に完全子会社化する。ドコモは12月に次世代の高速携帯電話サービスを始める計画。米社のソフト技術を取り込み大容量の動画サービスを拡充する。
 パケットビデオの親会社である米ネクストウェーブ・ワイヤレスから株式を取得することで、このほど合意した。パケットビデオは携帯電話向けの音楽・動画再生ソフト「CORE(pvプレーヤー)」などの開発を手がけている。
 ドコモはパケットビデオ製のソフトを自社の携帯電話に搭載している。完全子会社化により、次世代携帯電話の動画再生ソフト開発などにつなげる。よりなめらかな動画表示が可能な再生ソフトをスマートフォン(高機能携帯電話)や既存の携帯電話など自社の端末に組み込み、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」などの人気製品に対抗する。
 ドコモは音声収入の減少を背景にデータ通信収入の拡大を急いでおり、動画配信サービス「ドコモ動画」のほか、2009年にはエイベックス・グループ・ホールディングスと「BeeTV」を始めるなど、動画配信事業に力を入れている。
 携帯電話業界ではソフトバンクも米動画中継配信サービス大手、ユーストリーム(カリフォルニア州)に出資するなど、動画関連事業の強化が相次いでいる。



グーグルがフェイスブック対抗のSNSを開発中?
 成功のカギはソーシャルゲーム
米グーグルが米フェイスブックに対抗できるようなソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を立ち上げるべく準備を進めていると、米ウォールストリート・ジャーナルが報じている。
 ソーシャルゲームと呼ばれるSNS用のゲームを提供しているオンラインゲームメーカーと提携交渉をしているというのだ。
サービス名は「グーグル・ミー」?
 交渉相手は、米プレイダム、英プレイフィッシュ、米ジンガゲームネットワークの3社。グーグルのサービスの名称は「グーグル・ミー(Google Me)」などとうわさされている。
 サービス開始時期などの詳細については明らかにされていないが、事情に詳しい関係者によると、ソーシャルゲームがこのSNSの1つの要素になるのだという。
 フェイスブック内のゲーム人口は多い。例えば、ジンガゲームネットワークの「ファームヴィル」と呼ぶ牧場運営ゲームを日常的に楽しんでいる人は6000万人に及ぶ。
 今、消費者のソーシャルゲーム需要が急拡大しており、SNSの集客数や滞在時間の伸びに大きく貢献しているという。
 グーグルのエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)はウォールストリート・ジャーナルのインタビューに対して明言は避けたというが、「開発中の新サービスはフェイスブックと似たものになるのか」という問い対して「世界は同じものを2つ必要としていない」と答えたという。
 またジンガゲームネットワークとの提携については「将来的には考えられる」と述べている。
米国のソーシャルゲーム市場、2012年に2倍に拡大
 投資銀行の米シンクエクイティーの予測によれば、米国のソーシャルゲーム市場は、数十億ドルという日本や中国の規模には及ばないものの、昨年の9億ドルが2012年には2倍の18億ドルにまで拡大するという。
 こうした急成長を背景に、オンラインゲーム業界の動きは激しいようだ。例えばグーグルが交渉していると伝えられた3社を見てみると、プレイフィッシュは昨年11月にゲーム開発大手の米エレクトロニック・アーツ(EA)が買収している。
 ジンガゲームネットワークにはグーグルが大規模な出資を行ったと先日伝えられた。7月29日にはソフトバンクが同社との資本業務提携を発表している。
 プレイダムはエンターテインメント大手の米ウォルト・ディズニーが買収を発表している。ウォルト・ディズニーはアイフォーン(iPhone)向けのゲームアプリを開発している米タピュラスも買収した。
ユーザーや広告予算はSNSに
 グーグルには「オーカット(Orkut)」と呼ぶSNSがあるが、これは一部の国でしか活況を呈していないとウォールストリート・ジャーナルの記事は伝えている。
 また同社が今年2月に始めたコミュニケーションサービスの「バズ(Buzz)」は、個人情報の取り扱い方に問題があるとして物議を醸した。事情に詳しい関係者の話によると、グーグルが計画している新しいSNSには後者のサービスが取り込まれることになるという。
 ユーザー数が5億人を超えるまでに巨大化したフェイスブックがグーグルに及ぼす影響が懸念されている。これがハイテク企業の幹部や投資家が今、最も関心を寄せている話題なのだという。
 多くのユーザーが、ネットのコンテンツやショッピングに関するアドバイスをフェイスブックの友人からもらっている。そうした情報の多くは、グーグルの検索エンジンでは入手できない。
 こうしてユーザーや広告予算は、フェイスブックやツイッターといったSNSにどんどん流れ込んでいると記事は指摘している。
 もっとも、シュミットCEOはこうした意見に反対のようだ。消費者をインターネットの世界に運んでくれるフェイスブックは、グーグルの利益になっているという。
 「フェイスブックのユーザーは、ほかのどのユーザーよりもグーグルのサービスを使ってくれる」と同氏は話している。



エコカー補助終了後、トヨタ1台5万円販売奨励金
 トヨタ自動車が、今年9月末のエコカー補助金終了に伴い、10月から系列販売店に対して1台販売するごとに5万円の販売奨励金を支給することが31日、分かった。
 トヨタは補助金の終了で国内販売が大きく落ち込むと想定しており、販売店に対する経営支援が必要だと判断した。



電気自動車・電池に重点投資
今年度本社調査、研究開発費5%増
 日本企業が太陽電池など新エネ技術や電力消費を減らす省エネ技術、電気自動車など環境分野の研究開発投資を加速している。中国などの研究開発拠点も増強する。日本経済新聞社の調査によると、主要246社の2010年度の研究開発費は前年度比5%増の10兆7千億円で、74%の企業が09年度より増やす。トヨタ自動車はエコカー、パナソニックが太陽電池などの性能向上を急ぎ、国際競争力を強化する。 日本経済新聞社の「研究開発活動に関する調査」によると、10年度の研究開発費は業績の改善を反映し、10年ぶりに減少した09年度から増加に転じた。売上高比率は前年度並みの約4%。約3割の企業が5年後に研究開発費を「10%以上増やす」とし、積極投資に前向きな姿勢を見せた。
 海外の大学、研究機関などとの連携にも積極的だ。ほぼ4社に1社が予定し、前年度実績の2倍超になる。また59社が拠点新設、増強、拡充を予定。立地(複数回答)は海外では中国を挙げた企業が約4割と最多で、日本は約5割だった。



「部品大国」危うし?
日本の輸出競争力に陰り 海外生産進む・中韓が台頭
 日本が優位を保ってきた部品や部材の輸出競争力に陰りが出ている。輸出がどれだけ輸入を上回っているかを示す指標は2000年代に入って急速に低下した。日本企業の海外進出に伴い部品などの生産拠点がアジアに移ったことに加え、技術力を高めた韓国企業などの追い上げが背景にある。最終製品の輸出で中国が攻勢をかけるなか、日本が輸出で稼ぎ続けるには、部品などの付加価値向上が欠かせない。
 「円高もあって日本から輸出する中間財の競争力が落ちている」。シティグループ証券の村嶋帰一氏はこう指摘する。中間財とは原材料を加工した部品などを指し、消費者などが購入する最終財の製造に使われる。日本企業が最終製品の生産を海外に移すのに伴い、日本の輸出は海外拠点などに供給したり、海外メーカーに売り込んだりする中間財が中核を担う。
逆転迫る品目も
 だが、輸出競争力をみる「黒字比率」は、00年以降に劣勢となった日本の中間財輸出の姿を浮き彫りにする。
 経済産業省のデータを基にした試算では、日本の中間財の黒字比率は08年に20%と、00年を8ポイント下回った。1990年代には約10ポイント高まったが、00年代にこの上昇分をほぼ帳消しにした。
 代わって台頭するのは中国や韓国だ。中国は00年にはマイナス圏内にあったが、08年には10%とプラスに転換。90年には大幅なマイナスだった韓国も08年にかけて着実に比率を高めた。中間財の供給力で日本と中韓の差は急速に縮まった。
 中間財を最終的な用途別に分類すると、中韓との逆転が視野に入る品目もある。90年には日本が圧倒的に優位だった電気機械向けは、08年になると韓国が日本と肩を並べるまでに競争力を高めた。自動車などの輸送用機械も韓国は00年代にプラスに転じ、日本を猛追する。中国も08年には輸送用機械向けの部品の輸出が輸入を上回った。
 00年の時点で既に中国が強さを発揮していた家電は、その後も日本との格差が急速に拡大。内閣府はこうした品目で「日本の比較優位は一貫して低下している」という。
「現地化」が要因
 中間財の輸出で日本の優位が揺らぐ主な要因は、日本企業の現地化だ。
 経産省の調査では、アジアの現地法人の技術水準が日本と同等と考える企業は08年度に71%に達し、95年度に比べ17ポイント高まった。現法の実力が上がり、部品も現地で作る動きが活発。ホンダは13年3月期までにインドでの部品の現地調達比率を現在の70%台後半から90%台半ばに引き上げるといった方針を打ち出す。
 一方、韓国企業などの技術水準の高まりも急だ。半導体や液晶関連部材など電子機器の一部では日本製よりも韓国製の部品が優位とされる。
 第一生命経済研究所の永浜利広氏は「資源が乏しい日本は他国が作れない製品を輸出して稼ぐしかない」と指摘する。自動車向けの高級鋼板など日本企業が得意とする分野で競争力を保ちつつ、さらに付加価値を追求できるかがカギだ。



アリババ・グループ創業者
馬 雲(ジャック・マー)特別インタビュー
「技術革新が進めば、将来的に
インターネットを捨てる可能性もある」
 設立10年で、世界最大級の電子商取引サイトに急成長したアリババ・グループ。2007年にB2B専業の子会社が香港市場に上場した際には、時価総額が2兆円を超えた。米グーグルに次ぐインターネット企業の上場と注目されたグループの総裁は、今、何を考えているのか。
─2009年の秋、創業10周年を迎えて、発足時のメンバーは、揃って第一線を退いた。なぜ、そのような決断に至ったのか?
 中国には、「五十にして天命を知る」という格言(『論語』)がある。
 これは、天(神様)から与えられた“自分の命の使い方”(使命)を知るという意味である。これからは、若い世代の経営者を育てるために時間を割くことにした。
 過去10年で、アリババ・グループは、社員が1万7000人を超える大企業に成長した。会社の急成長と同時に、私も多くの経験を積んできた。
 まだ45歳なので、少し早いかもしれないが、自分の体力や気力が充実しているうちに、次の時代を担う若者たちの育成に取り組みたいと考えるようになった。
─日本では、70歳以上の大企業経営者は珍しくない。また、80歳を過ぎて、代表権を手放さない経営者もいる。なぜ、あなたは、そう考えるようになったのか?
 それは、日本社会の活力を奪っているという意味で、日本の人たちにとって不幸なことだ。80歳になったら、仕事などでがんばるのではなく、“人生のCEO”として生活をエンジョイすることに注力したほうがよいのではないか。
 今後は、若い世代にはどんどんチャンスを与えて伸ばすことが重要になる。若者を育てることで、“人間が持つ能力”を発揮してもらうことが、“社会全体の幸せ”や“個人の心のゆとり”につながり、最終的には人類の発展に貢献できるようになるからだ。
 たとえば、20年後、インターネットや電子商取引というものが、現在と同じように重要なツールのままだったら、それは私たちの世代の“経営の失敗”である。すべての企業活動の目的は、人びとを取り巻く諸問題を解決し、生活をよりよくするものであるべきだ。
 技術の革新で、インターネットよりも便利なツールが開発されれば、新しいツールで人類の発展に貢献する。20年後は、現在とは異なる世界になっているはずだ。将来的に、インターネットを捨てることもありうると思う。
―あなたに会ったことのある人は、「眼光の鋭さ」、いわゆる目の力を指摘する人が多い。自分ではどのように考えているか?
 アリババ・グループは、中国に限らず、数千万単位の中小企業や、その先にいる数億人の消費者たちの期待を背負ってきた。彼らのビジネスを支援することで、アリババは成長してきた。そのことが大きいと思う。
 たとえば、B2B(企業間取引サイト)のアリババ・ドットコムや、C2C(消費者間取引サイト)のタオバオなどは、世界最大級の電子商取引サイトになった。それが自信につながっているし、私も彼らのビジネスが成功することで、“力”をもらっている。
 私の目の力が強いと感じる人が多いのだとすると、それが原因になっているのではないか。
―昨年の秋には、創業10周年の節目として、「次の10年の目標」を発表した。それらに込めた思いは、どのようなものだったか?
 3つある。順番に挙げると、「1000万社におよぶ中小企業のために、新しい電子商取引のプラットフォームを創設する」「ネットビジネスの拡大により、世界中で1億人の雇用を創出する」「ネットショッピングのプラットフォームを通じて、世界の10億の人びとに生活必需品を提供する」だ。
 現在、私はこれらの大きな目標の実現に向けて、全力を尽くしている。アリババ・グループの目標は、無謀なものに聞こえるかもしれない。だが、アリババが、世界の人びとの生活を改善して、社会的なインフラを整備していくことには、大きな意義がある。
 そのためには、困難なこともたくさんあるだろう。だが、私たちは、信念を持って取り組んでいるし、アリババに集まってきた仲間たちとは、夢や気持ちを分かち合えていると思う。
─では、設立間もない創業期に出資を受けたソフトバンクの孫正義社長から、「後継者になってくれ」と頼まれたら、どうするか?
 ははは。仮に、アリババの顧客の日本企業から要請があれば、考えるかもしれない。でも、孫さんとは、「インターネットを通じて社会を豊かにする」という夢を共有する間柄なので、その話はない。
 本当にない(笑)。
 孫さんとのパートナーシップは、投資した企業(ソフトバンク)と投資された企業(アリババ)の資本関係というより、一緒に大きな目標を達成しようと協力しているところに意味がある。
 日本と中国は、経済的に密接な関係にあり、それぞれの中小企業のニーズも似ている。彼らに多くのビジネスチャンスを提供しようとすると、アリババだけではできないこともある。大きな目標を達成するためには、パートナー企業と力を合わせる必要がある。
 いずれは、ソフトバンクと一緒に国境や文化を超えてグローバルに事業を展開できれば、最高だと思う。だが、今は、若い人材を育成するほうが急務だ。人類の最も重要なプロダクトは、インターネットという技術ではなく、それを使いこなす人間のほうだ。
 だからこそ、私は、これからの21世紀を担う若者たちを育てていきたいと考えている。この先、アリババ・ドットコムやタオバオは、これまで以上に成功することが目に見えている。
 だが、万が一、失敗したら、私たちの責任になる。そうなっては、「人類の発展に貢献する」というどころの話ではなくなってしまう。だから、常に気持ちは引き締めていかなければならない。



西日本新聞社説
ポト派初判決 大虐殺の闇、解明これから
 かつて国全体を覆った巨大な闇に、一筋の光が当たった。
 カンボジアのポル・ポト政権による国民大虐殺を裁く特別法廷の判決公判が26日、プノンペンで開かれ、政治犯収容所の所長だったカン・ケ・イウ被告(67)に対し、禁固35年を言い渡した。
 カンボジア大虐殺は、現代史の大きな謎の一つである。
 ポル・ポト派は1975年に政権を握ると、極端な共産主義政策を展開した。政治犯や知識人を粛清し、都市住民を強制移住・労働させ、多くを餓死させた。貨幣制度や宗教、家族制度まで否定し、全土で密告による処刑が行われた。政権は79年崩壊したが、ポト派は国境地帯で内戦を続け、最高権力者だったポル・ポト元首相は内戦末期の98年に死亡した。
 ポル・ポト政権下の殺害や強制労働、飢餓による栄養失調などで、当時のカンボジア国民のほぼ4分の1にあたる170万―200万人が死亡したと推定される。自国民をこれほど短期間で大量に死へと追いやった政権はほかに例を見ない。しかも、政権が何を意図し、どういう意思決定の仕組みで大量殺害が行われていったのか、明らかにされていない。
 この狂気の歴史を解明しようと、国連が支援するカンボジア国内法廷として、2004年に特別法廷の設置が決まった。人道に関する罪や戦争犯罪などで元ポト派幹部を裁くものだ。日本は法廷予算のほぼ半額を支援している。
 今回判決を言い渡された被告は、プノンペンにあった政治犯収容所の所長だった。この収容所には、女性や子どもも含む約1万5千人の一般国民がいわれのない罪で連行され、拷問で死亡したり郊外の処刑場に運ばれて殺されたりした。生き残ったのはわずか数人とされる。
 公判で元所長は収容所での虐殺について詳細に供述し、犠牲者への謝罪を口にした。最高刑が終身刑で求刑は禁固40年、判決でさらに減じられたのは、裁判への協力姿勢が考慮されたとみられる。
 カンボジアの大虐殺については、これまで公正な法の裁きがなかった。特別法廷には、虐殺の責任者を罰し正義を実現することで、同じ国民が虐殺の被害者、加害者として深く傷ついた社会の再生を図る目的もあった。カンボジア人が自ら歴史の区切りをつけるという意味で、今回の判決には大きな意味がある。
 しかし、元所長は全土で繰り広げられた虐殺に関しては証言できなかった。政権の意思決定に関与する最高幹部の立場になかったからだ。
 特別法廷は、今回の元所長のほか、当時の最高幹部のうちヌオン・チア元人民代表議会議長ら生存する4人を拘束しているが、まだ起訴もしていない。大虐殺の本質を解き明かすには、これら元幹部の審理が不可欠である。だが、元幹部らはいずれも70歳代後半から80歳代の高齢だ。今後、どれだけ歴史の闇に迫れるのかは、時間との闘いになる。
(世界を語る)経済成長、だれが担う 米中心、秩序変わらず  マサチューセッツ工科大名誉教授 レスター・サロー氏
 2008年に起きた金融危機の後の世界経済では、米国や日本の景気回復が力強さを欠く一方、中国がいち早く高い成長軌道に回帰している。この現象は世界の成長のけん引役が日米から中国に交代する兆しとの見方も出てきた。資本主義論で知られるレスター・サロー米マサチューセッツ工科大学(MIT名誉教授に見解を聞いた。
 ――金融危機の震源地となった米国の景気はいつごろ力強さを回復するでしょうか。
 「景気回復にはV字型とU字型がある。今回はU字型だ。2~3年間底をはってから回復する」
 「ただ、資本主義には景気後退がつきものだ。第2次世界大戦以降、景気後退は何回あったか。答えは12回。今回の不況は不動産取引が引き金だったが、何が次の不況を引き起こすかは不明だ。危機の主役となった金融機関にタガをはめる米国の金融規制改革法が成立した。だが、これで次の不況を防げるわけではない。(00年の)IT(情報技術)バブル崩壊後に生まれたITの様々な規制では、今回の不況は防げなかった」
 ――世界の当局者やエコノミストの間で「景気刺激策を続けるか、財政再建が先か」と議論が分かれています。
 「大恐慌の克服法は20世紀最高のエコノミストの一人、ジョン・メイナード・ケインズが教えてくれている。狂ったように紙幣を印刷し、狂ったように景気刺激策を打ち出すことだ。財政赤字を気にする必要はない。需要を創出しすぎることはあり得ない」
 「米造幣局に行くと10万ドル(約870万円)札が飾ってある。米地区連銀間でしか使えないから、盗む人はおらず、誰も警備しない。印刷代は10セント。たった10セントで何年も持つ。紙幣とはそういうものだ。デフレ局面だからインフレの心配は必要もない」
 「ケインズは米上院に『大恐慌を治すなら、国民の半分を雇ってケンタッキー州の陸軍基地の倉庫にある金塊を全土に埋めろ』と助言したことがある。彼らに時給5ドルを支払う。次に残る半分の国民も時給5ドルで雇い、その金を掘り起こさせる。見つけた人は金を自分のものにしていいなら、家には置いておかずにすべて使う。給与の5ドルも消費に回るという理屈だ」
 ――中国は元気です。いずれ米国を抜き、世界一の経済大国になるといわれます。
 「中国の経済成長は今年は年率10%だと言われている。これは怪しい。10%成長は都市部に限った話で、地方に住む9億人はゼロ成長だ。中国全土が10%成長するには、都市部の4億人が33%成長しなければけん引できない。地方を含めれば中国の成長率は3%程度だろう」
 「そのうえで米中経済を比較しよう。08年の中国の1人当たり国内総生産(GDP)は3400ドルだ。米国は4万7千ドル。中国の過去20年の平均成長率が続いても、追いつくには100年かかる。22世紀の話だから、72歳の私には関係ない。21世紀はおおむね今のままの秩序で推移する」
 「米国の成長率が英国を上回り始めたのは1830年。経済規模が英国を上回ったのは第1次大戦後の1919年のことだ。日本は明治維新以降、米国に追いつこうとしているが、いまだに成功していない。世界の経済秩序が変わるには時間がかかる」
 ――インドも急速に経済成長しています。
 「インドは90年代は年率3%、2000年代は年率8%で成長したという。私は信じない。3%が8%に上昇したなら、何かが飛躍的に改善しているはずだ。教育は改善していないし、海外からの直接投資は増えていない。規制緩和は進まず、インフラも良くなっていない。インドが中国に追いつくには2つの方法がある。一生懸命に成長するか、統計数字を変えるかだ」
 「私は米国のGDPの数字は信じる。数字を集計する人間に、大統領によって更迭されない独立性が担保されているからだ。彼をクビにできるのは議会だけ。GDPを集計する人間が大統領や首相に更迭される可能性がある国の統計数字を信じてはならない」
 ――日本の景気対策をどう見ていますか。
 「景気対策が世界で最も下手な国という賞があれば、日本は間違いなく受賞する。日本政府は『輸出が上向いている』というが、輸出依存が続くようなら失われた20年が失われた30年になるだけだ。経済は内需がけん引せねばならない。『失われた30年などあり得ない』という考え方は大きな間違いだ。エジプト経済は4000年間にわたり世界トップだったが、その後の2000年間は成長が止まっている」
 ――なぜ内需が広がらないのでしょうか。
 「イノベーション(技術革新)がないからだ。日本の消費者は米アップルの多機能情報端末『iPad(アイパッド)』のために徹夜で行列するが、ソニー製品のためには並ばない。わくわくするような楽しさがない。日本はまねが得意でここまで追い付いた。追い抜くにはイノベーションが欠かせない。全く新しい発想で未知の分野を切り開くアップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)のような人材が必要だ」
 「イノベーションを生むのは政府ではなく教育だ。大学で教授の言うことを黙って聞いているような学生は使い物にならない。教授の言葉に疑問を呈し、教授が知らないことを発見するような学生がイノベーションを生む」
 ――日本企業は人材を有効に生かしていますか。
 「無駄なことをしている社員が多すぎる。例えば、朝に銀座のデパートに行くと、社員全員が並んでお辞儀をしている。極めて非生産的ではないか。日本に必要なのは新しい企業だ。日本のほとんどの新興企業は、米占領下の第2次大戦直後に生まれた。2000年以降に誕生した企業をいくつ挙げられるか。米国では00年以降に誕生した企業が経済を下支えしている」
 ――お辞儀は日本文化のひとつです。
 「もちろん、どちらの文化が優れていると言っているわけではない。だが、米国文化の方が経済成長に適している。我々は産業主体の経済から知識主体の経済に移っている。ジョブズCEOや(マイクロソフト創業者の)ビル・ゲイツ氏、(ディズニー創業者の)ウォルト・ディズニー氏がつくり出すような知識だ。人々は楽しいものには金を払う。今の日本にあまり楽しいことがない」



証券業界、ツイッターの口コミ効果に期待
 身の回りで起きたことをつぶやきのような140字以内の短文で投稿するインターネットの簡易投稿サイト「ツイッター」に、証券会社が注目している。「つぶやく」内容は、投資セミナーなどのイベント情報や難解なアナリスト分析を分かりやすくした情報が中心だ。
 最初にツイッターに注目したのは、ネット証券のカブドットコム証券。昨年9月から始め、その日のニュースに関連付けた株の銘柄を紹介することもある。狙いについて同社営業推進室の藤本誠之氏は「株を購入する上で“気づき”につながる情報を示したい」と説明する。ネット証券最大手のSBI証券も、ツイッターを「広告」と位置づけ、債券募集の告知やプレスリリースを提供。マネックス証券は7月26日、ツイッターを開設した。
 大手証券も負けていない。大和証券は4月から、東京、ニューヨーク、香港に駐在するアナリストが株式市場や経済動向の最新情報を紹介しており、閲覧者(フォローワー)は6千人を突破している。同社の田中稔介ダイレクト企画部長は「海外に拠点のある大和の特徴を生かした」と明かす。日興コーディアル証券も昨年9月からツイッターを開設した。
 各社が注目するのは、フォローワーが証券各社のツイッターで知った金融商品やイベント情報を、他のツイッターでつぶやくことによる口コミ効果だ。日本証券業協会によると、ツイッターなどインターネットを通じた情報提供は金融商品取引法上の「広告」に当たり、社内に審査担当者を置くなど自主ルールを定めている。
 ただ、ツイッターは普及が始まったばかりで、証券関係者は「複数のフォローワーを介在することで情報が誇大になりかねない」と指摘する。ツイッターは閲覧者との「情報をやりとりする場」であることがメリットだが、返信をしない会社も多い。「日常業務に支障がある」というのが理由だが、ツイッター本来のメリットをどう活用するのも課題となりそうだ。



<エコカー補助>9月終了 景気回復に影響も メーカー各社減産検討
 政府は30日、新車購入時の「エコカー補助金」制度を、予定通り9月末に終了することを明らかにした。経済危機後の日本の景気回復はこれらの政策に支えられており、打ち切りを見越した大手自動車メーカーが減産の方針を決めるなど、少なからず景気に影響を及ぼす恐れがある。最近では好調だったアジア向けの輸出の伸びも鈍化する中で、政策に頼らない自律的な回復軌道に向けた試練の時を迎えている。
 「9月から更に何らかの対策が必要な状況ではない」。直嶋正行経済産業相は30日の会見で、エコカー補助金の打ち切りを明らかにした。閣内には景気への配慮から延長を求める声も出ていたが、経産省幹部は「自動車工場の稼働率が5割を切った異常事態を受けた制度」と、経済危機への緊急対応だったことを強調する。
 制度は08年秋のリーマン・ショック後の急激な景気の落ち込みを受けて、当時の麻生政権が昨年4月に策定した経済対策に需要喚起策として盛り込まれた。一定の燃費基準を満たした新車の購入者に最大で25万円を支給。今年3月末に期限を迎えたが、9月末まで延長された。1年半の補助金交付の予算額は5837億円に上り「財政が厳しい中、いつまでも税金を投入するわけにはいかない」(経産省幹部)というのが打ち切りの理由だ。
 国内の新車販売台数は、昨年2月に前年同月比で7割を切る水準まで落ち込んだが、4月からの補助金に加え、エコカー減税の効果もあって同年夏以降は前年を上回る水準に戻った。外需の回復にも後押しされ、30日に発表された10年上半期(1~6月)の国内生産台数は前年同期比45・8%増と、上半期としては過去最大の伸び率を記録した。
 しかし、今回の制度打ち切りを見越して自動車メーカーは秋以降の販売減を予測。トヨタ自動車は10月の1日当たりの生産台数を、9月の計画より2割減らす方針だ。日産自動車も状況次第で減産を検討する方向で「(制度を打ち切った)各国の状況を見ると大きなインパクトがある」(田川丈二執行役員)とみている。
 同じく需要喚起策として効果を発揮してきたエコカー減税や、家電のエコポイント制度は今後も続くが「既に1年以上たって効果が一巡している」(証券アナリスト)と指摘される。欧州の財政危機の影響などで、景気回復をけん引してきたアジア向け輸出の伸びが鈍化した影響もあり、6月の鉱工業生産指数は4カ月ぶりに低下した。失業率は高止まりを続け、デフレも長期化の様相を示す中で、政策頼みからの脱却を図れるか、日本経済の実力が問われそうだ。
 ◇終了前に補助使うには? 9月30日までに車両登録必要
 補助金は乗用車の場合、一定の燃費基準を満たした新車を購入すれば5万~25万円が支給される。
 例えば、登録から13年以上使用した車を廃車にしてトヨタ自動車のハイブリッド車(HV)「プリウス」の最廉価モデルを購入する場合、車両価格(205万円)に諸費用などを加えた金額から25万円の補助金を差し引いた188万円程度で購入できる。補助金が打ち切られると約213万円になる。自動車購入の際に上乗せされる自動車重量税と自動車取得税計約11万円は、12年春まで継続するエコカー減税により全額免除される。
 エコカー補助金を受け取るには、申請手続きが必要。申請には新車の車検証のコピーなどが求められるため、補助金の終了期限である9月30日までに車両登録を済ませなければならない。登録した上で申請書を日本自動車販売協会連合会(自販連)などに10月29日までに届ける。
 現在でも2カ月半程度の納車待ちが続くプリウスは、今から購入しても登録の前提となる納車が9月末までに「間に合わない」(東京都内の販売店)ため、補助金を受けるのは困難だ。
 また、申請期限までに乗用車向けの政府の予算額約5837億円を超えることが明らかになれば期間内でも申請の受け付けを終える。7月28日時点での申請受付金額は約8割の4721億円に達している。



「ヤフーでググる」新時代へ 検索どう変わる
 「日本のヤフー、グーグルの検索採用」というニュースに「え、どういうこと?」と首をひねった人も多いのではないか。ミニブログ「ツイッター」上では「これからは『ヤフーでググる』って言っていいの?」という困惑気味の書き込みも見られた。そもそも検索エンジンの切り替えとは、ユーザーから見てどういう意味があるのだろうか。
 検索サービスの仕組みは大きく分けて、ウェブサイトを巡回して情報を整理・蓄積するデータベースの部分、大量のデータの中から意味のある検索結果を抽出するための辞書やフィルタリングといった中間処理の部分、そして結果をどのようにユーザーに届けるかというサービス部分の3つから構成される。日本のヤフーが7月27日、米ヤフーのエンジンから乗り換えると発表したのは、この基盤のデータベース部分だ。
 日々増え続ける情報量に対応できる巨大データベースの構築・維持には膨大なコストがかかる。ヤフーはこの部分をグーグルにアウトソーシング(外部委託)し、自らはユーザーに近いサービス部分に専念するというわけだ。
 同じ検索エンジンを使っても、ユーザーから見た検索結果はその中間処理の方法によってずいぶん違ってくる。ヤフーはもともと米ヤフーのエンジンの上に、日本のユーザー向けに検索結果にニュースや画像、地図なども含めて表示するといった中間部分の処理プログラムを作り込んでいる。「goo」や「BIGLOBE」などのポータルサイトもグーグルのエンジンを採用しているが、同じキーワードで検索しても出てくるサイトの種類や順位は微妙に異なっている。
同じエンジンでも「乗り心地」は異なる
 ヤフーがエンジン部分をグーグルに切り替えても「使い勝手は基本的に変わらない」と強調しているのは、この中間部分の多くを移植する方針だからだ。検索結果の順位も「グーグルと同じになるとは限らない」(ヤフー広報)という。これは、同じエンジンの供給を受けた自動車でもメーカーによって乗り心地や品質が異なることと似ているかもしれない。
 しかし、いくらサービスの見せ方を工夫できるとはいえ、データベース部分を自社で持たないことのリスクは残る。
 グーグルは独自の基準で検索結果から排除するサイトを決めているが、グーグルのデータベースで遮断されたページにはヤフーのユーザーも実質的にアクセスできなくなる。また、開発者の間には「検索技術を他人任せにすれば、日本が強みを持っていた情報家電や携帯電話向けなどのサービス開発がさらに停滞しかねない」との危機感も漂う。
 実際、日本の検索技術が足踏みするなかで、グーグルはテレビ番組まで検索結果として表示する「グーグルTV」構想を発表して、ソニーをパートナー企業に引き込んだ。携帯電話の世界では今年、NTTドコモの携帯サイト検索がグーグルからgooに切り替わるという逆転劇があったが、スマートフォンの台頭で携帯サイトそのものの影が薄くなりつつある。
 ただ一方で、グーグルやヤフーの検索を使わずに、必要な情報を入手する手段も増えている。最近では、関心あるテーマの最新情報をチェックするツールとしてツイッターが人気だ。飲食店情報サイトの「ぐるなび」や価格比較サイトの「価格.com」のように特定分野に強いサービスを、目的に応じて使い分けるといったスタイルも定着しつつある。
 データベース工学の専門家で検索エンジン関連の技術に詳しい東京大学生産技術研究所の喜連川優教授は、「日本のヤフーとグーグルの提携はある意味で自然な流れ。競争の舞台はすでに次世代の検索技術に移っている」と語る。
大切なのは次世代検索 日本の独自技術に期待
 喜連川優・東京大学生産技術研究所教授の話 パソコンのブラウザーを対象とした従来型の検索技術の進化は行き着くところまで行き着いた。むしろ今後はソーシャルメディアやツイッターのようなリアルタイム情報をどう整理して見せるかといった新たな領域での競争が重要になっている。ヤフーが検索エンジン部分を外部に任せてオークションや知恵袋といった特徴あるサービスに注力すると判断したことは自然なことだろう。
 検索市場を一社が独占してしまうことはリスクがあるが、それほど問題視すべきものでもない。次世代の検索技術は「答えが知りたい」というユーザーの欲求に応えるものになるはずで、いまの検索とはずいぶん違ったかたちになるからだ。日本でも、現実空間でのユーザーの行動を予測して最適な情報を送り届ける技術や、日本語の特性に合わせた意味解析など独自の技術が育っており、実用化に期待している。



神戸社説
「サンヨー」廃止/挑戦の遺伝子は失わずに 
 「私は大きい名前がええと思う。太平洋、大西洋、インド洋に売りまくろう。“三洋”はどうや」。三洋電機の創業者、故井植歳男氏は戦後間もない大阪で、こんなふうに新社名を決めたという。
 家庭電化時代を切り開いた伝統あるブランド「SANYO(サンヨー)」が廃止されることになった。パナソニックがグループ会社の三洋電機とパナソニック電工を、2011年4月までに100%の株を持つ完全子会社にすることを決めたためだ。
 12年1月には3社間で事業を部門別に組み替える。「サンヨー」ブランドを廃止し、原則として「パナソニック」のブランドに一本化する方針だ。
 サンヨーといえば、家電ブームを巻き起こした国内初の噴流式洗濯機をはじめ、伝説となった製品がたくさんある。兵庫との関係も深い。井植氏は淡路出身で、最初の生産拠点を置いたのは加西市だ。生産や研究の拠点、関連施設も県内にそろう。
 それだけに、親しんだブランドの消滅を寂しく受け止める人は多い。しかし、グローバル競争は熾(し)烈(れつ)だ。中でも韓国勢の市場への食い込みは激しい。
 3社とも日本経済をけん引する電機企業である。とりわけ成長する太陽電池などエネルギー分野で競争を勝ち抜くには、ブランド統一で一体感を強め、選択と集中を進めることが不可欠と判断したのだろう。
 「世界の同業他社は、目標を定めると100メートル競走のスピードでチャレンジする。われわれは中距離競走の感覚だ」。パナソニックの大坪文雄社長の言葉には、経営のスピードを速めなければ敗れ去ってしまうという危機感がにじむ。
 今後、グループ内でリストラが進むのは間違いない。これまでは三洋に配慮して再編をゆっくり進める印象だったが、これからはそうはいかない。白物家電など重複する分野で、事業の統廃合は避けられない。完全子会社化によって、意思決定のスピードは格段に速まるだろう。
 ただ、いずれの企業も独自の歴史と文化を持ってやってきた。留意してほしいのは、子会社の社員の士気を下げないことだ。事業再編を進める際には、雇用の維持に最大限、配慮すべきである。
 三洋の伝統は、創業者仕込みの独創性と技術力にある。同じ関西の松下(パナソニック)には負けないという気概もあったという。そのDNAを受け継ぎ、日本のものづくりの優位性を示してもらいたい。
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