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米IT、交流サイトで連合 グーグルとディズニーなど
 【シリコンバレー=奥平和行】インターネットの交流サイト(SNS)に絡み、米IT(情報技術)大手に活発な合従連衡の動きが出始めた。ネット検索最大手グーグルとメディア大手ウォルト・ディズニーはSNSを通じて遊ぶソーシャルゲームの開発会社を相次ぎ買収。ネット小売り最大手アマゾン・ドット・コムもSNS最大手と組んで新サービスを探る。SNSは利用者急増で広告媒体としての価値も増大。各社は事業規模を拡大し、収益力を強化する戦略だ。
 グーグルは6日、フェースブックやメディア大手ニューズ・コーポレーション傘下のマイスペースにゲームなどを提供するカリフォルニア州の企業スライドを買収したと発表した。買収額は1億8000万ドル(約150億円)程度とみられる。
 ソーシャルゲーム大手ジンガゲームネットワーク(同)にも1億ドル以上を出資したもよう。グーグルは独自にSNSを手掛けているがフェースブックなどに大きく引き離されており、ゲーム会社との提携でてこ入れを狙う。
 ディズニーはソーシャルゲーム大手プレーダム(同)を最大7億6320万ドルで買収することで合意。「ディズニー」「ABC」など傘下のブランドとゲームを組み合わせて収益を拡大する計画を進める見通しだ。
 一方、SNS事業そのもので他企業との連携を探る動きも相次ぐ。アマゾンはフェースブックと提携し、利用者が友人の好みの音楽や書籍を購入したり、友人の誕生日プレゼントを選んだりできるサービスを開始。マイクロソフトも出資先であるフェースブックと協力し、ネットを通じて友人と文書や表を共有できるサービスを始めた。
 SNSの利用者は世界各地で急増しており、最大手のフェースブックは7月に利用者が5億人を超えた。米調査会社ニールセンによると、米国のネット利用者はネット利用時間のうちSNSに費やす割合が最大。6月にこの比率は1年前より7ポイント高い23%になった。一方、電子メールやポータル(玄関)サイト閲覧の比率は下がっている。
 そうした中で、SNSは広告媒体としての存在感も増している。米フォレスター・リサーチは、米国におけるSNSなどソーシャルメディアを通じた広告の市場規模が2009年の約7億ドルから14年には30億ドル超に達すると予想する。年平均成長率は34%と他のネット広告を大きく上回っており、グーグルなど収益をネット広告に依存する企業は同分野への取り組みが急務になっている。



半導体装置主要6社、4~9月の受注高2倍に
ディスコは半期で最高、高機能携帯など需要増
 高機能携帯電話(スマートフォン)などデジタル家電に使う半導体需要の高まりを受け、半導体製造装置メーカーの受注が回復している。主要6社の2010年度上期(10年4~9月期)の受注高は約6500億円と前年同期の2倍に増えそうだ。台湾や韓国の半導体メーカーからの引き合いが強く、ディスコは半期ベースで過去最高に、東京エレクトロンは金融危機前の約9割の水準に達する見通し。ただ下期以降の受注環境には慎重論もくすぶる。
 研削装置大手のディスコの10年度上期の受注高は約550億円と前年同期の2.2倍に増えそうだ。半期ベースの過去最高だった07年度上期を上回る。
 半導体チップ切断装置を生産する桑畑工場(広島県呉市)の稼働率は1年前は5~6割だったが、ほぼフル生産に回復。「クリスマス商戦を控えて、製造装置の出荷は好調が続いている」(溝呂木斉会長)という。
 国内首位の東京エレクトロンや検査装置大手のアドバンテストなど大半の装置メーカーは過去最高には届かないが、リーマン・ショック前の水準に近づきつつある。東京エレクトロンの受注高は約3100億円と07年度下期の約9割の水準に達する見通し。
 4~6月期の受注実績をみると、回復のけん引役が台湾や韓国の半導体メーカーであることがわかる。東京エレクトロンの全体の受注に占める台湾・韓国の比率は5割となっているほか、アドバンテストも約5割と、1年前の3割から急上昇した。
 今のところ4~6月期の急回復が目立つが、「7~9月期の半導体・液晶製造装置の受注高は4~6月期比でさらに1~2割増える」(東京エレクトロンの竹中博司社長)との声もあり、足元は好調が持続しそうだ。
 受注回復で各社の業績も大きく改善している。シリコンウエハーの洗浄装置で世界シェアの約8割を握る大日本スクリーン製造は10日、10年度の連結業績予想を上方修正した。最終損益が165億円の黒字(前期は80億円の赤字)と従来予想から75億円黒字が増える見通し。
 日本半導体製造装置協会(SEAJ)によると、日本製の装置の販売高は10年が前年比88%増の1兆2277億円となり、11年も同16%増の1兆4222億円に拡大すると予想している。



商店街・自治体も「つぶやき」なう、ツイッター活用
 140字以内の短文によるインターネットのミニブログ「ツイッター」を、情報発信や交流に使う商店街や自治体が増えている。手軽さや即時性、双方向性が人気の秘密。短文のため「つぶやき」とも呼ばれる発言のやりとりを、集客や住民参加につなげようと各地で知恵を絞っている。
 福岡市の大名地区周辺の商店街は7月、映画のPRと連動しツイッターの情報などをヒントに、街に隠れるスパイ役を捜すイベントを開いた。発見者は景品がもらえるとあって、約200人が携帯電話を片手に街を歩き回った。
 同地区では2月、ツイッターによる情報発信の活動「大名なう」をスタート。約130の参加店は「ツイッター見た人は割引」「日替わりランチあり」など思い思いにつぶやき、3~4割の店で新規客が増えたという。企画した天神・大名WiFi化協議会の杉山隆志事務局長(43)は「つぶやきや交流を盛り上げる仕掛けが重要」と話す。
 若者に人気の衣料店やアクセサリー店などが集まる地域では、ツイッターを店と客とのコミュニケーションに使用する例が出ている。高円寺ルック商店街(東京・杉並)は昨年11月からツイッターを活用した商店街の情報発信を始めた。
 配信内容はイベントや新商品の情報にとどまらず、店の従業員の生活や客とのやりとりなどまで多岐にわたる。周辺の交通状況なども伝えて地元や近隣地区の読者を獲得。現在、利用者は20~30代を中心に約4500人にのぼる。
 自治体や住民も地域活性化などに向けツイッターを使う。千葉市は10日夜、市長と市民が財政健全化を議論した。ご当地キャラクター「ネギ太」がつぶやく鳥取県米子市は、PR効果で2009年度のふるさと納税件数が前年の6.5倍(額は1.7倍)に急増した。
 秋田県横手市の市民有志は昨年12月、つぶやきを街おこしに生かす企画「ヨコッター」を開始。公園で壊れた安全柵を発見した人が、状況を写真付きで投稿し、市の素早い修理につながった。観光客のつぶやきをもとにツアーも計画する。
 横の連携も生まれている。大名なうやヨコッターなどは広域組織「マチッター」を結成。6月、家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)で苦しむ宮崎県を支援しようと同県産肉のバーベキューを全国に呼びかけ、募金を集めた。
 ただ、一方的な発信に終始すればツイッターの魅力は生かせない。IT(情報技術)による地域活性化に詳しいNTTコミュニケーションズの林雅之さん(39)は「過度な商売っ気やPRは控え、地道で特徴ある発言と丁寧な返信を心がけることがカギ」と指摘する。ほかに、ブログなどとの連携や発信する住民を増やす工夫も大切で、なりすまし発言に注意することも必要だという。



消費者金融、借り入れ申し込み3割減 規制強化の6月
大手4社 融資できた顧客数4割減
 6月18日に改正貸金業法が完全施行されたことを受け、消費者金融への新たな借り入れの申し込みが急減している。アコム、プロミス、アイフル、武富士の大手4社への6月の申込数は前年同月に比べ約3割減った。実際に融資できた顧客数も約4割減り、単月では過去最低水準だった。
 改正貸金業法は個人の借入額を年収の3分の1以下に抑えるよう貸し手に求めている。こうした総量規制の影響で借りられない個人が出始めたようだ。総量規制を意識して借り入れを控える個人も多いとみられ、消費などへの影響が今後広がる可能性もある。
 6月の大手4社への借入申込数は7万8000件強。そのうち、審査を経て貸し出すことができたのは2万3000件弱にとどまった。単月ベースの貸し出し実績はアコム、プロミス、武富士が2000年以降でそろって過去最低。
 アイフルの実績は、正式には11日の決算発表で明らかになる。同社はすでに昨年末に事業再生ADR(裁判外紛争解決)が成立し、新規の貸し出しを絞っている。
 例えば年収900万円強の所得者が100万円弱を借りていた場合、計算上は借り入れを増やす余地がある。しかし、今後の資金需要に備え余力を残そうと考える個人がいるほか、総量規制の対象に住宅ローンも含まれると誤解する借り手もいるとみられる。
 「一部の顧客は銀行に移った」(アコム幹部)との指摘もある。今回の法改正の対象外となる銀行は、無担保カードローンの商品を相次いで拡充している。ただ三菱東京UFJ、三井住友、みずほの三大銀行は6月に新規カードローンの受付数が合計4万件弱と前月から微減。消費者金融の顧客が流れているかどうかは、まだ判然としない。
 消費者金融に実際に申し込んでも、総量規制の内容をよく理解していなかったため、断られる事例もあるようだ。新規の貸出件数が大幅に減ったのも、このためとみられる。申込件数に対して貸し出しに応じた件数の割合(成約率)は4社合計で29%と、10人のうち7人が断られた計算だ。
 こうした借り手がどこに流れるかにも注目が集まる。「顧客がヤミ金に流れるケースが増えた」(大手消費者金融幹部)との見方も浮上している。日本貸金業協会の調べでは、6月にヤミ金関連の相談は210件強と前月より50件強増えた。
 6月はボーナスの支給時期であり、消費者金融業界は「法改正の影響が出るのは夏休み明けの9月以降」とみていた。しかしカード・信販業界でも「6月の完全施行を境に借りられないと判断した顧客のキャッシング申し込みが急減した」との声がある。



外資系銀行や証券、日本で追加的な人員削減の可能性
 外資系銀行や証券会社が日本で追加的な人員削減を実施する可能性がある。一部の大手外国金融機関が、収益性の低い日本法人でリストラを検討しているほか、日本の人員枠を他のアジア地域に振り分ける動きなどが出ているためだ。
 国内外金融機関の人材紹介を手掛けるエグゼクティブ・サーチ・パートナーズの調査によれば、外国の銀行、証券、プライベート・エクイティ、ヘッジファンド、資産運用、不動産投資会社は6月末までの約2年間で既に約5000人を日本で削減。低収益の部門などでは、さらなる削減に踏み切る公算があるという。
  外資系金融機関は2008年秋のリーマン・ショック以降、日本で人員を削減してきたが、新規株式公開(IPO)やM&A(合併・買収)助言ビジネスの規模が他のアジア諸国に比べて小さいことなどから、この傾向はしばらく続きそうだ。一方で、外資勢は米国などでの採用を活発化させている。
  エグゼクティブ社の小溝勝信代表取締役はブルームバーグ・ニュースの取材に「外国銀行には採用凍結やさらなるリストラを検討しているところがある」と述べた。その上で、「私が懸念し警鐘を鳴らしたいのは、外国資本が日本をリスクを取るに値しないと素通りし香港や上海、シンガポールに投資しつつあることだ」と語った。
中国、世界最大のIPO市場に
  ニューヨークに拠点を持つ調査会社のフリーマンによると、世界の金融機関の投資銀行部門の2010年1-6月の総手数料収入は前年同期比7%増の371億ドル(約3兆2000億円)。このうち約半分が米国市場での取引から発生しており、日本は4%程度だという。中国、香港市場ではその間に倍増した。
  中国では7月に中国農業銀行が香港市場などで約208億米ドル(約1兆7880億円)の新規株式公開を実施するなど、世界最大のIPO市場になりつつある。同案件の引き受けには中国国際金融(CICC)とドイツ銀行、ゴールドマン・サックス、JPモルガン、豪マッコーリー・グループ、モルガン・スタンレーなどが携わっている。
  また、ブルームバーグ・データによれば、今年これまでの日本企業関連のM&Aは1283件と、中国・香港関連の2036件の半分程度、金額ベースでも日本は675億ドルと中国・香港の約半分にとどまる。株式の引き受け、M&A業務ともに中国・香港は外国銀行にとって魅力的な市場と言え、フィーや主幹事獲得をめぐる競争が激しくなっている。
  エグゼクティブ社によれば、外資系金融は08年3月末から10年6月末までに日本で4757人を削減し2万3724人となった。各社の報告書によると、ともに1000人超の従業員を抱えるバンク・オブ・アメリカ、JPモルガン、モルガンSは08年3月末からの2年間で数百人規模、率にして16-24%の人員を削減した。
  小溝代表は、「外国銀行の日本市場へのコミットメントが低下すれば『もの作り日本』に代表される日本企業へのリスクマネーの供給が減り競争力が低下する」と指摘する。その一方で「日本の金融機関が収益力や資本力を強化してグローバルに通用するノウハウを蓄積するなど、独自性を持った『日本版投資銀行』の確立が急務だ」と述べた。



研究開発、新興国が存在感 中印、特許出願が急増
 中国やインドなどの新興国企業が研究開発で存在感を高めている。生命科学やエネルギー分野などでの特許が急増。特に中国は環境分野で日米欧を上回る件数の特許を公開しており、中国企業も研究開発の実力を付けつつある。一方、日本は出願する技術を絞り込む傾向にあり、市場が拡大する新興国市場への出願も欧米に比べると出遅れ気味だ。
 世界知的所有権機関(WIPO)によると、中国企業が2008年に国内外で特許を出願した件数は20万3257件となり、10年間で14倍に増えた。トップの日本は50万34件、2位の米国は38万9073件で、中国がトップ3の一角を占めた。
 中国の個人や企業が同国内で出願した件数も00~08年で8倍近くに膨らんだ。水質汚染など高度成長に伴う問題に対応する技術だけでなく、LED(発光ダイオード)照明など先端技術での出願も増えているという。
 中国政府も特許の出願を後押しするのが中国政府による政策だ。企業に補助金を出したり減税したりする際、特許の保有件数を条件にするほか、大学への研究費助成でも特許につながるかどうかを目安にしている。
 文部科学省の科学技術政策研究所によると、世界の主な論文誌に載った中国人による科学論文は08年、10万4157本で米国に次ぐ2位。引用される回数も多いという。
 インド企業も08年の出願件数は国内外合わせて4537件となり、05年に比べて6割以上増やした。半数以上が米国への出願で、IT(情報技術)や医薬品などで先行しているとみられる。
 海外で特許を有効にするには国ごとに取得する必要がある。市場としての中国の重要性が増す中で、日米の企業も中国での出願を強化。日米合計で1998年の2万件弱から08年は5万8000件に増えた。日本から中国への出願数は欧州への出願を上回り、米国への8万件に次ぐ。
 日立製作所は09年に国内で53%、海外では47%だった特許出願実績の割合を、10年には海外を50%超に引き上げる考え。グループの研究開発を統括する高橋直也執行役副社長は「これまで海外の出願先は欧米が中心だったが、事業を拡大する新興国で知的財産権の確立を強化する」と話す。
 パナソニックは白物家電やAV(音響・映像)機器の研究開発を中国など海外で手掛けるケースが増えており、それに伴って海外での出願件数が急増。東芝もパソコンやデジタル家電、半導体・電子部品の分野で米国と中国での出願を強化している。
 ただインドやブラジルなど他の新興国への出願は出遅れ感もある。海外からインドへの出願数の国別シェアでは米国が36%を占める一方、日本は10%。ブラジルでも米国の41%に対し日本は6%にとどまっている。



日本、成長分野で出願停滞 「量より質」追う
 特許出願が急増している中国などとは対照的に環境や生命科学、エネルギーなど、日本が研究開発に力を入れる8つの分野での特許件数は停滞している。投資効果を高めようと、研究開発分野でも「量より質」を求める姿勢を企業が強めていることが背景にある。
 8分野での日本の特許公開件数は2009年が08年比0.5%増の14万9842件。件数ベースでは米国に抜かれ、12万件強となった中国の急追を受けている。日本は省エネ技術など、より高度な特許の出願が多いとみられるが、「件数だけをみれば、数年以内に中国が日本を追い抜いても不思議ではない」との指摘も聞かれる。
 日本経済新聞社がこのほど実施した「研究開発活動に関する調査」(有効回答283社)でも、09年度の国内の特許出願件数が08年度より「減少した」と答えた企業は全体の45%を占め、「増えた」(23%)とした企業の2倍近い比率だった。
 企業は特許関連の費用を抑えようと、出願する技術を慎重に選別。政府も競争環境に直接影響しそうな重要技術は場合によっては秘匿するよう勧めるケースもあるという。国内で出願せず、より製造や販売市場に近い海外の進出先で出願する企業も増えている。
 もっとも、科学技術立国を旗印に研究開発を強化してきた政策運営とのちぐはぐさは否めない。01~09年度の当初予算だけで合計16兆円強を8分野の研究開発に充ててきたが、優れた技術をバネに日本の産業技術の国際競争力が高まったとは言いにくい。
 量より質を掲げる企業の特許戦略についても、相沢英孝一橋大教授は「特許は技術の将来性と深く関係しており、出願減は将来有望な技術が減っていることを示す」と警鐘を鳴らしている。



トヨタ、イラン輸出停止
米制裁に配慮、日本勢追随も
 【ドバイ=松尾博文】トヨタ自動車が核開発問題を巡り国際社会と対立するイラン向けの自動車輸出を停止したことが10日、明らかになった。イランに対しては国連が追加制裁を決議したのに続き、米国も独自の制裁強化を決定している。輸出を継続すれば最大の市場である米国での事業に影響が出かねないと判断、自主的に輸出停止に踏み切った。日本を代表するトヨタの動きが他の日本企業に広がる可能性がある。
 トヨタ関係者によると、グループ商社の豊田通商が5月に輸出したのを最後にイラン向けを停止した。期間は無期限という。イランには四輪駆動車のランドクルーザーなどを2008年に約4000台、09年には250台輸出した。10年は5月末までに230台を出荷、現地代理店を通じて販売していた。
 国連決議を無視してウラン濃縮を続けるイランには国連安全保障理事会が6月に追加制裁決議を採択。米国や欧州連合(EU)も独自の制裁強化策を決めた。
 米国の制裁法に抵触すると判断された場合は、外国企業であっても米国市場での事業制限などの罰則を受ける。トヨタの場合は米制裁法に抵触しないが、米政府はイランとのビジネスを続ける外国企業に厳しい目を向けている。トヨタは少量であってもイラン向け輸出は「米国での信頼に悪影響を与える」(関係者)と判断した。
 トヨタにとって北米は重要市場で、地域別では日本を上回る最大規模。ただ、金融危機後、自動車販売台数は大きく落ち込んだ。品質問題とその対応で一部の世論や議会から反発を受けた経緯もある。今年4~6月期は前年同期に比べて4割近く増加していただけにイラン問題で米国での販売に水を差したくないとの思惑が働いたもようだ。
 他の日本企業もイランとの取引に慎重な姿勢を強めている。三菱重工業は米国の制裁対象リストに問題がない案件だけを輸出する体制を確立。新日本製鉄は安全保障上の問題がないか経済産業省と相談しているという。
 一方、欧州企業では英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルや仏トタル、独シーメンスなどがすでに撤退や事業凍結を表明した。自動車メーカーでも独ダイムラーがイラン向けの乗用車とトラックの輸出を止めた。



日経社説
円高進行に政府・日銀はにらみ利かせ
 最近の円高が日本経済に及ぼす影響を日本銀行はどうとらえているのか。米連邦準備理事会(FRB)の政策決定と併せて注目されるなか、日銀は政策据え置きを決めた。
 日銀は決定後の声明で、国際金融市場の動きを通じた「内外の経済に与える影響に注意していく必要がある」と表明。白川方明総裁は記者会見で「為替相場の日本経済への影響を注意深くみていく」と述べたが、政策判断のもとになる経済や物価の基本的な見通しは変えなかった。
 市場では円高圧力がくすぶっている。FRBは10日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開くが、米景気の減速とデフレの危険を視野に入れ、追加的な金融緩和の可否を議論するとの観測が強まっている。
 日銀が現状維持を決めた後、米国が緩和を検討するとなれば、日米の金利差が縮まって円高・ドル安が進みやすくなる。東京市場で円相場は1ドル=85円台と昨年秋以来の円高となっている。日本の景気に対する影響を懸念し10年物国債の利回りを映す長期金利も一時、1%を割った。
 白川総裁は10日の記者会見で円高進行の理由として、(1)グローバルな投資家がリスク回避姿勢を強めるなか安全資産として円が買われている(2)低金利の円を借りて高金利通貨などに投資する「円キャリー(借り)取引」の巻き戻しが出ている――などの点を指摘した。これでは説明のための説明で、経営者や投資家はもどかしさをぬぐえまい。
 気がかりなのは、米欧を中心に自国通貨安を容認する動きが目立っている点である。実際、自国の景気の弱さを映した通貨安に対し、米欧の政策当局や中央銀行は懸念を示さず放置している。財政赤字が膨らみ財政面からの景気刺激策をとりにくい米欧各国は、通貨安による輸出増が頼みの綱になっているからだ。
 最近の円高は、そうした環境のもとで進んでいる。政府や日銀は熾烈(しれつ)な通貨外交をもっと自覚すべきではないか。
 4~6月期の決算をみても、上場企業の業績は好転している。だが、現在の水準から一段と円高が進行するようだと、生産や設備投資の海外シフトがさらに加速し、国内雇用に下押し圧力となって冷や酒のように効いてくる。国内にとどまる中堅・中小企業への打撃も募るだろう。
 日米の金融政策のズレを突く形で一段の円高が進むような事態には、政府・日銀は円売り・ドル買いの為替介入も辞さない姿勢で市場ににらみを利かすべきだ。一段の金融緩和も弾力的に考えていいだろう。
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国内利用者数1000万人突破のツイッター 「こうなったら依存症だと思うこと」は?
 7月中旬に、日本の利用者数が1000万人を突破したと発表されたツイッター。ワールドカップ中の会話数を集計したところ、日本vsデンマーク戦後の日本語の会話は1秒あたり3283ツイートで、世界最多を記録したという。
  ネット上でのコミュニケーション。24時間いつでも発信できるだけに、一度始めると、何をしていてもついつい気になってしまう。NTTレゾナント(東京都港区)はインターネットアンケートサービスで「gooリサーチ」で「こうなったらツイッター依存症だと思うこと」を調査した。全国の10~60代の男女1137人が対象。
ツイッターアカウントの方が聞きやすい?
 1位から5位は以下の通り。(3位は同率)
1位:仕事の合間、トイレにケータイを持ちこんでつぶやいている
2位:お風呂に入りながらツイッターをしている
3位:初対面の人には、まずツイッターのアカウントを聞いてしまう
3位:ネタを拾うとつぶやかずにはいられない
5位:フォロワー数が減るたびにショックを受ける
  タイトル付けやカテゴリ設定が必要なく、思ったことをすぐにツイートすればいいだけという気軽さが魅力のツイッター。1位の「仕事の合間、……」は、仕事中であっても少しでもヒマがあればツイッターの画面を開いてしまうユーザーの心理。「まあ、休憩時間くらいは……」と思いたいところだが、しかし、時々明らかに仕事中につぶやいていると思われるツイートを見かけることもある。周囲に聞いてみると「仕事中、隣の人の画面をチラっと見たらツイッターをやっていた。その隣の人もだった」(20代女性)なんて話も。
  2位の「お風呂に入りながら……」も、風呂にケータイを持ちこんでまでツイッターをしてしまう状態で、確かに依存度は高そうだ。
3位の「初対面の人には……」。「ツイッターをやっていることが前提」の問いかけは、ツイッターの普及率を示しているようにも思える。実際に初対面の人にツイッターのアカウントを聞いてしまう人がいるのだろうか。20代の制作会社勤務の女性は、「携帯番号やメールアドレスよりも、ツイッターアカウントの方が気軽に聞けることがある」と話す。「まずツイッター上で交流して、さらに交流を持ちたいときはダイレクトメッセージを送る」のだとか。
「ツイッター依存症」になると
義務感と空しさに襲われることも…
  同率3位の「ネタを拾うと……」は、身に覚えのある人も多いのでは。興味のあることや面白いと思った「ネタ」をつぶやいたときに反響があるとうれしいもの。始めた当初は「単なるつぶやき」だったが、いつの間にか「反響を予測してのつぶやき」になっていたりするかもしれない。「フォロワー数を増やすことを念頭において日々つぶやいている」(20代女性)とまでなると、やや依存度が高いように思える。
  フォロワー数の多い著名人は、自分の出版した本の感想や良い評価をリツイートすることも多い。「つぶやき」という言葉から受けるイメージとは異なり、何らかの意図が含まれた情報も刻々と流れる。
  5位の「フォロワー数が減るたびに……」。ミクシイの「マイミク承認」などよりも気軽なフォローと、フォロー解除。ツイートする頻度が異常に多かったり、公共の場にふさわしくない言葉をつぶやいたりするとフォロー数が減ることがある。「○○のことばかりつぶやいていたらフォロワー数が減った……w」という書き込みは割と目にする。「周囲ではフォローを解除されたことを『リムられた』という人が多い。『夜中に暴走してつぶやきまくったらリムられたw』という感じで使います」とは20代男性のコメント。
  何事も依存し過ぎるのは危険なこと。ツイッターにハマる人たちは、ハマり過ぎて辛くなったことはないのだろうか。「情報を得ようと思って始めたが、結局、自分の身近な人のツイートしか気にならないことに気がついて空しくなった」(30代男性)、「いろんな情報が蔓延していて、『全部見なくちゃ』と義務感を持ってしまうと疲れる」(20代女性)。
アルコールや煙草など依存度の高いと言われているものと同じように、どれくらいの距離を持って付き合うか大人としての判断が問われるのがツイッターなのかもしれない。
 ちなみに、6位以下は次の通り。
6位:恋人といてもつぶやきに専念しすぎて喧嘩になった
7位:実生活での知り合いより、ツイッター上での知り合いの方が多い
8位:テレビを観ながらツイッターで実況してしまう
9位:朝起きてすぐ昨日のつぶやきへのリプライを確認してしまう
10位:フォロワー数で相手の価値を測ってしまう



スカイプ上場へ
ネット通話を「ビデオ」中心に強化、アップルなどと競争激化
 【シリコンバレー=岡田信行】インターネット通話ソフト大手のスカイプ(ルクセンブルク)は9日、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)を申請した。株式市場から資金を調達し、ビデオ通話を中心に事業を強化する。ネット通話は安く国際通話やデータ送受信ができるため、需要が急増中。既存の通信大手と対立する一方、アップルなど他のIT(情報技術)大手の参入で競争が激化している。
 上場日程や発行株式数、売り出し価格は未定。スカイプは今年6月末時点の登録会員が1年前に比べ41%増の5億6000万人。大半が無料利用者だが、有料利用者も23%増の810万人と順調に伸びている。スカイプは利用実績の4割以上が「ビデオチャット」と呼ばれるビデオ通話で、調達資金でソフト開発やサービス改善を進めて有料利用者を増やす。
 ビデオ通話を巡っては、米アップルが新型高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)4」同士を無線LAN(構内情報通信網)でつないで、世界中どこでも無料のビデオ通話ができる「フェースタイム」を開始。電話回線を使わない無料通話に参入した。ネットワーク機器大手のシスコシステムズなどもビデオ通話の需要取り込みを狙っている。
 マイクロソフト(MS)もパソコンやゲーム機を使ったビデオ通話のサービスを強化しており、スカイプは資金調達でこうしたIT大手の動きに対抗。
 すでに提携したパナソニックや米ベライゾン・ワイヤレスなどと協力し、テレビや携帯電話での使い勝手を高めて利用者獲得を進める。



グーグルとベライゾン、ネット競争の新ルール提案 通信会社による差別禁止
 インターネット検索最大手の米グーグルと通信大手の米ベライゾン・コミュニケーションズは9日、米国で議論が進む新たなネット競争ルールに関する共同提案を発表した。通信業界が反発してきた「ネットの中立性」の原則を認める一方、無線通信を適用除外とすることなどが骨子。両社は共同提案をルール策定に向けたたたき台としたい考えだ。
 ネットの中立性とは、通信会社が特定のコンテンツやサービスへのデータの流れを絞ったり、自社と競合するサービスが不利になるように通信速度を調整したりすることを禁じ、競争を促進する考え方。ネット事業者は賛同する一方、通信会社は過度の規制は投資意欲を減退させると反発していた。
 同日の共同提案では中立性の原則を確認する一方、「無線ブロードバンドは有線に比べてより競争が厳しく変化が速い」として対象から除外することを主張した。
 また両社は同日「両社が提携で合意」との一部報道を否定した。



Xperia X10、米国で発売 iPhoneと同じキャリアから
 Sony Ericssonは8月9日、Androidスマートフォン「Xperia X10」を米国で立ち上げた。iPhoneを扱っているキャリアAT&Tが販売する。
 AT&Tは8月15日にX10を149.99ドル(2年契約付き)で発売する予定で、現在予約を受け付けている。
 米国版X10は既に日本と欧州で発売されているモデルと同様に、4インチディスプレイと810万画素カメラ、TimescapeなどのオリジナルUIを搭載する。AndroidのバージョンはAT&Tのサイトでは明記されていないが、米報道では1.6と伝えられている。Androidはバージョン2.1からマルチタッチに対応しており、また現在の最新バージョンは2.2。
 Sony Ericssonは、7~9月期からX10をAndroid 2.1にアップグレードすると発表しているため、一部では、米国版は2.1を搭載して発売するのではないかとの予測もあった。



スクエニ、GREE向け「ナイツ オブ クリスタル」
 株式会社スクウェア・エニックスは、モバイル版 GREE向けファンタジーバトルRPG「ナイツ オブ クリスタル」のサービス提供を8月10日より開始した。料金は、基本プレイ無料のアイテム課金制。
 「ナイツ オブ クリスタル」は、クエストを繰り返しプレイして経験値やお金(ギル)を稼ぎ、ほかの冒険者と仲間になったり、バトルしながら主人公を成長させてトレジャー(お宝)のコンプリートを目指すゲーム。キャラクターデザインは、「ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウイング」などを手がけた伊藤龍馬氏が担当する。
 本作の最大の特徴は、冒険を進めることで習得できるさまざまなジョブ(職業)。ジョブは、特別な能力を秘めており、ジョブチェンジすることでその職業の持つ能力をクエストやバトルで利用することが可能となる。
 なお本作は、今後もさまざまな要素を追加するバージョンアップが実施される予定となっている。



国の借金900兆円突破、国民一人当たり700万円の大台超え
 財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券をあわせた国の債務残高(借金)が6月末時点で904兆772億円となり、大台を突破したと発表した。国民1人あたりの借金も過去最悪の約711万円となり、700万円の大台を超えた。
 国の借金残高は22年3月末より21兆1538億円増加。このうち国債全体の残高は13兆3194億円増の733兆8084億円で、国債以外でも政府短期証券が115兆2089円と9兆1808億円増えた。一方、借入金は55兆599億円で、1兆3465億円減少した。
 


下ぶれリスク警戒も政策金利据え置き 日銀決定会合 
 日銀は10日、金融政策決定会合の2日目の協議を開き、デフレからの脱却を促すよう緩和的な金融環境を維持するため、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を年0・1%前後に据え置くことを全員一致で決めた。
 会合後の声明文では、円高や欧州の信用不安などの懸念が高まる国際金融市場について「下ぶれリスクもある」と改めて指摘したものの、会合では、景気認識についても「(新興国など)海外経済を起点として、緩やかに回復しつつある」との判断を維持した。
 この日は、急速に進む円高や米国経済の失速懸念が日本経済に与える下ぶれリスクについて議論。ただ企業業績が順調に回復し、実体経済が強くなっていることもあり、追加的な緩和策は見送った。
 ただ、米国では10日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加金融緩和策が打ち出されるとの観測が高まっており、実施されれば円高が加速する恐れがある。このため、引き続き日銀への追加緩和圧力が高まる可能性もありそうだ。



世界のビール生産量「東京ドーム146杯分」 1位中国、日本は7位
 キリンホールディングス(HD)は10日、2009(平成21)年の世界のビール生産量のレポート結果を発表し、前年比0・4%増の約1億8100万キロリットルとした。東京ドーム約146杯分に相当し、1985(昭和60)年から25年連続で生産量が増えている。また、アジアのビール生産量が同5・5%増で、欧州(同5・1%減)を抜いて世界最大のビール生産地域になったことも分かった。
 ビール生産量の09年の伸び率は74年の調査開始以来、84年、83年に続き3番目に低い。08年秋のリーマンショックによる世界的な不況が「ビール市場にも影響している」(キリンHD)と分析している。
 国別の順位に大きな変動はなく、1位が8年連続首位の中国で、前年比7%増の約4236万キロリットル。2位以下は(2)米国(同0・2%減)(3)ロシア(4・8%減)(4)ブラジル(4・4%増)(5)ドイツ(2・8%減)-の順だった。
 日本は前年比2・2%減で約599万キロリットル。順位は7位で、前年と変わらなかった。このほか、経済発展が著しいベトナムが同24・3%増と世界各国で最大の伸び率を示し、順位を前年21位から15位へ押し上げたのが目立った。



【オリコン】嵐、1週で年間売上トップに 自己最高のオリジナルアルバム初週73.1万枚
 人気グループ・嵐の9thオリジナルアルバム『僕の見ている風景』(4日発売)が、初週73.1万枚を売り上げ、8/16付週間アルバムランキングで8作連続、通算9作目の首位を獲得。発売1週で年間アルバムランキング首位に躍り出た。
 嵐のアルバム初週売上50万枚突破は、2009年8月発売のベスト盤『All the BEST! 1999-2009』(初週75.3万枚、累積172.9万枚)に続き2作連続、オリジナルでは1999年のデビュー以来初。これまで自身のオリジナル初週売上記録だった1stアルバム『ARASHI No.1-嵐は嵐を呼ぶ-』(2001年1月発売)の26.7万枚を大幅に更新した。
 今作『僕の見ている風景』は、2010年上半期シングルランキング1、2位を独占した「Troublemaker」「Monster」やメンバー5人のソロ曲など、2枚組CDに全20曲を収録。



電気料金「市場連動型」1万戸で NTT系、来年度にも 時間帯で割安に
 マンション住戸向けに電力供給サービスをするNTTファシリティーズは2011年度にも、家庭向け電気料金が市場価格に連動する変動料金システムを採用する。電力需要が減り事業者間の電力取引価格が安い時間帯に、家庭向け料金を割安にする。約1万戸が対象。時間帯ごとの電力使用量を把握できるスマートメーターの機能を本格活用する家庭向けサービスとしては国内初になる。
 電力使用量は天候や気温などの要因で大きく変わる。このため事業者間で電気を売買する日本卸電力取引所の取引価格は時間帯別に変動している。ただ、家庭向けの電気料金は固定されており、市場の価格変動が反映されていなかった。
 NTTファシリティーズは首都圏を中心とした大型マンション48棟、約1万戸に電力を供給、管理業務を手掛けている。供給電力は同社が出資する新規電力事業者のエネット(東京・港)から変動料金で電気を調達しており、消費者向けにも変動料金を反映することにした。
 変動料金は取引所の相場などを参考にして決める。利用者には前日までに割安な時間帯を携帯電話のメールやホームページなどで伝える。引き下げ幅などは今後詰める。



【産経主張】日韓併合100年 禍根残す菅談話に反対だ
 日韓併合100年に向けた菅直人首相談話が、10日に閣議決定される。民主党の玄葉光一郎政調会長も9日、福山哲郎官房副長官との会談で了承した。戦後50年の平成7年8月に出された村山富市首相談話を踏襲し、日本による「植民地支配と侵略」を謝罪する内容だとされる。
 菅談話をめぐっては、これまで与野党から異論が続出していた。民主党国会対策委員会の笠浩史筆頭副委員長と松原仁副委員長らは「与党の政策調査会できちんと議論すべきだ」と仙谷由人官房長官に申し入れた。民主党国対でも首相談話への反対論が相次いだ。玄葉政調会長も「補償の話が蒸し返されてはならない」と慎重論を唱えていたのに残念だ。
 一方、自民党の谷垣禎一総裁は「(首相談話を)出す必要があるのかどうか、大きな疑問だ」と述べた。超党派議連「創生『日本』」(会長・安倍晋三元首相)も「(首相談話は)国民や歴史に対する重大な背信で、容認できない」とする声明をまとめた。
 菅首相や仙谷官房長官が、これらの反対、慎重論に謙虚に耳を傾けたかは疑問である。
 菅首相が出そうとしている談話は、国の名誉と歴史認識にかかわるものだ。今後の内閣の言動をも縛りかねない。そんな重大な問題をはらむ首相談話を、十分な論議を尽くさずに発表するやり方は許されない。
 菅談話のもととなる村山談話の作成過程も、極めて不透明なものだった。当時の自民・社会・さきがけ連立政権の首相で旧社会党委員長だった村山氏の思想・信条を色濃く反映し、史実の検証を経たものではなかった。事前に閣僚や与党幹部への詳しい説明は行われず、唐突に閣議決定された。
 菅談話が出されれば、韓国で日本への新たな賠償要求が高まることも予想される。
 仙谷長官は昭和40年の日韓基本条約について、「(日韓関係の)改善に向けて政治的な方針を作り、判断しなければいけない案件もあるのではないか」と新たな個人補償を検討する考えを示している。元慰安婦への新たな賠償を目的にしているとの指摘もある。
 韓国との賠償問題は個人補償も含め、日韓基本条約ですべて決着済みである。それをあえて蒸し返すような首相談話は、日本の将来に重大な禍根を残す。
mixi「新プラットフォーム」、9月10日のイベントで発表 80年代生まれを優待
 ミクシィは8月9日、9月10日に開催するカンファレンス「mixi meetup 2010 -Social Leaders Conference-」の参加申し込み受け付けをWebサイトで始めた。mixiの機能を、外部のWebサイトや端末などで利用できる「新プラットフォーム」の概要と今後の展開について、笠原健治社長などが詳細を発表する。
 ソーシャルアプリ関連のセッションも実施。グリーやディー・エヌ・エー(DeNA)のエンジニアを招き、プラットフォームの現状や今後を議論したり、ライブドアやニフティ、グーグルの担当者がインフラについて紹介する――といったプログラムを用意した。
 1980年代生まれはソーシャルメディアの理解が深い“ソーシャルネイティブ”とし、特別招待枠を設けた。エンジニアの特別招待枠もある。



GREE、アプリ開発パートナー向けホスティングサービスを拡充
 グリー株式会社は9日、SNS「GREE」内アプリの開発パートナー向けホスティングサービスを拡充すると発表した。
 グリーでは、6月から独自のホスティングサービスをGREEパートナー向けに提供してきたが、需要が拡大していることから、ホスティング事業者との提携によりサービスを拡充する。
 提携するホスティングサービスは、KLab株式会社の「DSAS Hosting for GREE」、GMOインターネット株式会社の「GMOアプリクラウド」、株式会社ビットアイルの「エントリーパッケージ for Social」。これにより、GREEパートナーはアプリケーションのトラフィック量や必要な運用サポートなど、個々のニーズに最適なホスティングサービスが利用できるとしている。



3D映画ソフト今秋一斉投入 ディズニーなど大手
 洋画メジャーが今秋から3次元(3D)の映像ソフトを一斉投入する。9~11月にウォルト・ディズニー・ジャパンなど3社がブルーレイ・ディスク(BD)規格で発売する。減速するDVD市場と対照的に高画質なBD市場は伸びており、3Dをテコに一段の拡販を狙う。映像ソフトの3D対応が進み、3Dテレビなど関連機器の普及にも弾みが付きそうだ。
 ディズニーは昨年秋に公開したファンタジー映画「クリスマス・キャロル」の3D版を11月17日に発売する。ディズニーにとって第1弾となる3Dソフトで、2D版のソフトとセットにして5985円で販売する。
 興収118億円を上げたファンタジー3D映画「アリス・イン・ワンダーランド」や3Dアニメ「カールじいさんの空飛ぶ家」など、他の大型作品も3D版を投入する見通しだ。
 ワーナーエンターテイメントジャパンは4月公開の「タイタンの戦い」の3D版を10月6日から売り出す。2D版BDとの2枚組で価格は4980円。シャープの3Dテレビの購入者に対し、ソフトをプレゼントするキャンペーンも実施する。
 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPEJ)は3Dアニメ「くもりときどきミートボール」など2作品を9月17日に3480円で発売。これを手始めに新旧の映画作品を積極投入する。20世紀フォックスは来年、3D映画の大作「アバター」の3Dソフトを投入する予定だ。
 2009年の映像ソフト出荷額は前年比4.2%減の約2739億円で、5年連続の前年割れとなった。ただ、そのなかでもBDは同2.4倍の241億円に増え、10年1~6月(速報値)も前年同期のほぼ2倍の約176億円と拡大基調を維持している。
 映像ソフトの販売は映画会社にとって場合によって興行収入を上回る大きな収益源。3Dソフトで新たな需要を掘り起こし、映像ソフト市場の縮小に歯止めをかけたい考えだ。
 各社が投入する3D版のBDソフトを見るには、3Dテレビと3Dに対応したBD再生機が必要。旧作を含めた人気タイトルの3D化が進めば、ハードの普及を促す可能性が高い。



ホンダ、埼玉で1割減産 補助金切れで10月から
 ホンダは主力の埼玉製作所(埼玉県狭山市)の生産量を10月から約1割減らす。9月末のエコカー補助金切れ後に予想される販売減に対応するためで、国内全体では4%の減産となる。同製作所の減産は世界同時不況後の09年2~3月以来。トヨタ自動車も10月に2割程度の減産を計画しており、回復基調だった自動車大手の国内生産に陰りが出てきた。
 埼玉製作所では小型ミニバン「フリード」やミニバン「ステップワゴン」を生産している。7~9月の1日当たりの生産台数は1950台の計画で、10月はこれより150台少ない1800台に減らす。
 9月末のエコカー補助金切れで、ホンダは10月以降の国内販売が最大3~4割程度落ち込むとみている。まず10月に約1割の減産を行い、11月以降はその後の販売状況を見極めてから判断する。
 ただ、もうひとつの主力工場である鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)は10月発売のフィットハイブリッドなどを生産するため、10月も7~9月と同じ生産量を維持する。
 自動車各社の国内生産は国内販売の好調に加え、米国向けなどの輸出回復も寄与し、6月まで8カ月連続で前年同月実績を上回った。今後も輸出が下支えし、「10月の国内生産は国内販売が落ち込むほどには減らない」(国内大手メーカー)との見方はある。
 ただ、国内販売が予想以上に落ち込み、ホンダやトヨタが11月以降もさらなる減産に踏み切るようなことがあれば、急回復してきた各社の業績にも影響しそうだ。



ツイッターで市民と対話 千葉市長
 全国最年少市長の熊谷俊人・千葉市長(32)が10日、インターネットのツイッターで市民と直接対話し意見交換する「ツイッター版対話会」を開く。対象は「市政に興味がある人」で、参加条件は特になし。
 ツイッターは140字以内で「つぶやき」を投稿する簡易型ブログ。若い世代に市政に関心を持ってもらおうと企画した。対話会は午後9時から1時間。テーマは「市の財政と健全化への取り組み」。
 キーワード「#chiba0810」で検索できる。市によると、ツイッターによる市長の市民対話会は日本初。本番を前に、熊谷市長は「今までなかなか聞けなかった世代の声を聞きたい」とつぶやき。



米ニューズ、中国のテレビ3局 上海政府系に売却
 【ニューヨーク=小高航】米メディア大手のニューズ・コーポレーションは中国のテレビ3局などの経営権を売却する。複数の米メディアが9日報じた。売却先は上海市政府系メディア大手、上海東方伝媒集団(SMG)系の投資ファンド。ニューズは中国での放送事業強化を図ったが、当局の厳しい規制から、一層の拡大は難しいと判断したとみられる。
 ニューズは「星空衛視」や「チャネルV中国大陸」などテレビ3局と、映画放映権の保有会社の株式を、SMG傘下のファンド「華人文化産業投資基金」に売却する。売却額など詳細は不明。ニューズは北京に同ファンドとの合弁会社を設立、中国での足場は残す。
 ニューズは1990年代に中国での放送事業に参入。ただ、事業地域が一部に限定されるなど政府の規制が強く、事業拡大に手間取っていた。



新車販売1~7月1千万台 中国、2年連続世界一へ
 中国自動車工業協会は9日、国内新車販売台数が今年1~7月の累計で前年同期比42.7%増の1026万200台になったと発表した。景気拡大による収入増加でマイカーの普及が進んだ。今年も新車販売は、これまでのところ米国を大きく上回っており、中国が2年連続で世界最大の自動車市場(通年ベース)となるのは確実な情勢だ。
 通年では1500万台を上回る可能性が高く、業界関係者の間では1600万台を突破するとの見方もある。昨年、中国の累計の新車販売台数が1000万台を超えたのは10月で、通年では1364万台だった。
 月間ベースでは7月は前年同月比14.4%増の124万4000台と、増加率は6月(23.5%増)に比べ鈍化した。同協会は「増加ペースは合理的な水準に落ち着いてきている」と分析。日系自動車メーカーの幹部は「在庫をさばくために値引き競争が激化している」と指摘している。



ドコモ、丸の内にスマートフォン専用の展示施設
 NTTドコモはスマートフォン(高機能携帯電話)を展示する「ドコモスマートフォンラウンジ」を東京・丸の内に開設した。発売前の新商品も先行して展示し、ブラックベリー、ウィンドウズモバイルなど基本ソフト(OS)ごとに端末の操作を試すことができる。アプリケーションソフトも紹介し、スマートフォンの普及につなげる。
 新有楽町ビル1階の携帯電話販売店「ドコモショップ丸の内店」の中に設置した。営業時間は午前11時~午後8時で年中無休。



電気自動車用の電池、充電速く大容量・長寿命
三菱化やGSユアサ、性能高め世界一守る
 三菱化学やジーエス・ユアサコーポレーションなど電池・材料各社が電気自動車(EV)用電池の性能を大幅に高める技術を相次ぎ開発した。リチウムイオン電池に関する材料技術で、「短時間充電」「大容量」「長寿命」の次世代電池の実現につなげ2~3年内の車両搭載を目指す。EV用電池は日本勢が主導権を握っており、低コストな高性能電池を早期に開発し海外企業の猛追に対抗する。
 リチウムイオン電池はEVの中核装置。日本勢は電極材や絶縁材など同電池の材料では世界市場(8000億円)で8割のシェアを握っている。ただ、技術的課題が多いほか、韓国や中国の電池メーカーの追い上げが激しい。
 日本各社は一段の性能向上とコスト低減に注力。電極材や絶縁材などの構造や素材を改良し、既存の電池を上回る性能を実験などで確認した。現在、約15時間かかる充電を1晩(約10時間)に短縮することや、数年程度の寿命を10年以上に延ばすことにメドをつけた。
 三菱化学はこれまで難しかった電池の短時間充電を可能にする新技術を開発した。絶縁材の穴を工夫したほか、負極材に安価な天然の黒鉛を使うなど改良を加え、1.5倍の速さで充電できるようになった。家庭用の100ボルトの電源でも1晩(約10時間)で充電でき、30分の充電なら100キロメートル近く走れるようになる。
 戸田工業は米アルゴンヌ国立研究所と、電池の容量を従来に比べ1.5倍に増やす技術を開発した。3元系という材料を正極材に使った。同じ車を同一条件で走らせた場合、1回の充電でこれまでの1.5倍の距離を走れるようになる。
 日本ゼオンは負極材原料に使うゴム素材で電池の性能低下を抑えるタイプを開発した。零下10度でも充電容量を従来より3割高められ、寒冷地でのEV普及に対応する。



日米欧企業の「待機資金」470兆円 3月末 先行き不安、政策見極め 有効活用が成長のカギ
 日米欧の企業の手元資金が積み上がり、2010年3月末の合計残高が過去最大の470兆円(前年同月末比12%増)に膨らんだ。業績の回復に伴って現金収支は改善しているものの、設備投資やM&A(合併・買収)に慎重になっているためだ。企業は国の政策も見極めながら、有効な使い道を探ろうとしている。「待機資金」を生かす成長戦略を描けるかどうかが、先進国共通の課題になりつつある。
■バブル以来の水準
 日米欧の公式統計から試算した。日本では国内企業(金融・保険を除く全産業)の3月末の現預金残高が144兆2400億円となり、前年同月末比9%増えた。3月末時点で140兆円を超えたのは、バブル期の1990年以来だ。
 米欧の企業が同じ時点で抱える待機資金も過去最大級の水準にある。米企業(金融機関を除く)の現預金残高は1年前の1.2倍にあたる1兆7335億ドル(約150兆円)にのぼり、ユーロ圏企業の預金残高は1兆5763億ユーロ(約180兆円)に達した。
 日米欧はなお大幅な需要不足を抱え、企業が予想する将来の成長率も低い。業績の改善で設備投資やM&A、雇用・賃金、株主への配当を増やす動きもみられるが、経済の先行き不安は根強く、本格的な能力増強や事業拡張には慎重にならざるを得ない。金融危機の再発に備え、厚めの手元資金を確保しておきたいという事情もある。
 日本では上場企業の4~6月期の経常利益が前年同期の4倍に拡大した。だが法人企業統計でみた1~3月期の設備投資(ソフトウエアを除く)は14%減った。キャッシュフローのうち設備増強にどれだけ回したかを示す比率は51%にとどまり、85年の統計開始以降で最低となった。
 米国でも主要500社の4~6月期の最終利益が前年同期より3~4割増えたもよう。設備投資は5%増にすぎず、水準自体もピーク時の8割程度にとどまる。企業のM&Aも低調だ。民間調査会社によると、09年度の世界の企業買収額は2兆4500億ドルで、前年度より16%減った。
■海外投資は伸びる
 現預金の増加は財務体質の改善につながる面もある。米欧では過剰債務の返済に充てているケースも多いようだ。野村証券の木内登英氏は「日本では借入金の返済が進んでおり、投資のリスクをとって収益を求める企業活動そのものが鈍っている」とみている。
 ただ企業が設備投資やM&Aを一様に絞っているわけではない。事業に有利な国やコストの低い国を選び、資金を重点的に投じようとしている。日本政策投資銀行の10年度の設備投資調査によると、大企業の海外投資は前年度比35%増。新興国向けがけん引役となり、国内投資の7%増を上回る伸びを示す。
 BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「企業の成長期待と投資意欲を高めるには、規制緩和や法人減税といった成長戦略が欠かせない」と話す。企業の待機資金を国内に還流させるような政策対応が、世界経済活性化のカギも握りそうだ。



日経社説
「リーマン前」うかがう企業の次の一手
 リーマン・ショックから、そろそろ2年。この間にいち早く経費を削り、新興国の需要を取り込んだ大企業の業績が急回復している。
 9日までの本紙集計では、金融を除く上場企業の2010年4~6月期の経常利益は前年同期の4倍に膨らみ、リーマン・ショック前の08年4~6月期の9割弱まで戻った。回復の主役は自動車と電機だ。
 自動車大手7社は、利息などの受け払いを除いた営業損益が前年同期の2285億円の赤字から6704億円の黒字になった。在庫調整を進めたところへ、中国などの需要増と国内のエコカー補助金による押し上げ効果も加わり、円高で生じた収益の目減りを補うことができた。
 電機大手9社の営業損益も著しく改善し、2356億円の赤字から3436億円の黒字になった。生産体制の見直しや研究開発費の削減で全般のコストを落としたうえ、エコポイント制度の後押しで家電の販売も好調だった。
 利益水準で「リーマン前」が視野に入った企業は、国際競争に勝ち抜くための一手に動く。例えば事業再編。パナソニック電工と三洋電機の完全子会社化を決めたパナソニックは「事業再編で(韓国勢と)戦っていける」と意気込みを示した。
 ただ、経営の視界は晴れない。新日本製鉄は鋼材価格などの先行きが不透明なため「下期業績を合理的に予想できない」とした。デフレの懸念も指摘される米国も「個人消費の回復はまだ遅い」(ホンダ)。
 何より悩ましいのは為替だ。足もとの円・ドル相場は1ドル=85円台と、多くの企業が事業の前提とする1ドル=87~90円よりも円高の水準が定着する兆しもある。
 そうした事態を想定して、大企業は競争力をつけるため生産や販売の拠点を、アジアを中心に海外に一段と移し始めた。日本政策投資銀行によれば、大手製造業の今年度の設備投資計画は、国内は研究開発に関連する施設を中心に5.9%増、海外は増産投資など43.9%増だ。
 しかし海外シフトの加速は国内の雇用増にはつながらない。政府として取り組むべき宿題は(1)高付加価値の事業などが国内にとどまれるよう、円高の行き過ぎを是正し、法人税を軽くする(2)規制緩和などにより国内での雇用を創出し、労働力の流動化を促す――などだ。
 企業業績の回復は、雇用など国内の景気回復には直結しない。10年4~6月期決算でより鮮明になった日本経済の構造の変化を、政府は直視すべきだ。
グリー、アイフォーン向けサービス開始 アンドロイド携帯にも
 SNSのグリーは9日、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」向けにソーシャルゲームサービスの提供を始めたと発表した。試験版からスタートし、正式版ではアイフォーンに加え、米グーグルの基本ソフト(OS)「Android(アンドロイド)」を搭載したスマートフォンでも利用できるようにする。
 iPhone向けは、従来の携帯電話版で登録をしているユーザーがネットのブラウザ上で利用できる。試験版は、日記やメール、コミュニティー機能などに限定されており、正式版でゲームも利用できるようにする。
 グリーでは「普及期を迎えつつあるスマートフォンでも、より多くのユーザーが便利にサービスを利用できるように開発した。タッチパネル端末向けに、デザインや画面構成も工夫した」(広報担当)としている。



夏野さんと私DeNA社長 南場智子氏 事業の「すごみ」教わった
 携帯電話によるインターネット接続サービス「iモード」の生みの親、夏野剛・慶応大学大学院特別招聘(しょうへい)教授は、IT(情報技術)分野を中心に幅広い人脈を築いてきた。ビジネスやプライベートで付き合いのある人たちにとって夏野氏とはどんな存在なのか。まずは携帯向け総合サイト「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子社長から。
 ――ドコモ時代の夏野氏に出会った。
南場智子(なんば・ともこ) 1962年生まれ。86年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。90年米ハーバード大で経営学修士(MBA)取得。99年ディー・エヌ・エー設立、社長。
 「初めはそれほどの存在感でもなかったが、仕事ぶりを見ていてだんだん夏野さんのすごさが分かった。ビジネスの形式美を求めたり、議論が非現実的になったりせず、極めて現実主義だった。実際に事業をする『すごみ』とはこういうことかと思った」
 「例えば他社との提携。ドコモほどの大会社なら多くの企業を一気に集めて華々しく派手にやることもできる。ところが夏野さんはiモードの運営上どういう順番で誰を味方につければいいのか考え、1社ずつ組んでいった。相手の会社の立場や競合関係にも気を配っていた」
 ――DeNAを設立するとき、夏野氏に助言を求めた。
 「親身になって相談に乗ってくれた。リップサービスはなし。だめなものはだめと言う。私に欠けているものを持っていて勉強になる。夏野さんは安易な事業のやり方で大きくなる会社があることを危惧していた。iモードという基盤を使ってコンテンツ事業を手がければ簡単にもうけることができるが、それでは企業として必要な実行力、判断力が身につかず怖いと。人生の大事な局面で夏野さんに相談に行っている人は多いと思う」
 「技術トレンドの理解も的確だ。世の中は今後こうなる、こうすべきと言い切るには勇気がいるが、夏野さんはちゃんと言い切っていた。 自分のスタンスを持っている。 歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで、人や組織を攻撃するようにみえるところがあり、敵をつくりがち。だが言っていることが間違っているかというと、本質的な部分ででたらめは全くない。夏野さんの部下は彼を信頼していた」
 ――夏野氏は日本の現状に危機感が強い。
 「米シリコンバレーやアジアの企業に比べ、日本の企業は目線の高い攻めの姿勢が弱い。これは経営者の責任が大きい。いろんな国の人たちとチームを組んで仕事をするのも苦手だ。日本企業は日本人がマジョリティー(多数派)で発想がドメスチック。ビジネスの国境は必ずなくなるのに準備ができていない」
 「意思決定も遅い。例えばサブプライムショックが起きたら、その日のうちに取締役が集まり、情報収集、方針決定の作業を始めなければならない。遅くとも1週間後には方針が明確になっている必要がある。ちんたらと情報収集し半年たっても『検討中』ではどうにもならない」
 ――DeNAはどうか。
 「組織のマジョリティーはまだ日本人だ。日本でのベストな人材を集めているとの自負はあるが、海外の同業他社はグローバルな組織になっている。米国に本拠があってもアジアの見方、ラテンの見方、イスラムの見方、それら全部が入ったチームになっている。世界の市場や拠点を見渡してベストな意思決定をしようとしている。DeNAも世界のトップ人材を集めたチームにしなければならない」
 ――日本は世界のIT業界で先頭に立てるのか。
 「iモードは重要な一時代を築いたが、われわれは次の時代に向かっている。問われるのはグローバル競争で戦える目線と勇気、体制を持つ会社がどのくらいあるかだ」
 「モバイル端末を持った人間は何をしたくなるのか。iモードのおかげで日本は世界に先駆けてそれを知ることができた。例えば人は親指で携帯小説を書く。そこまでしてでも創造性を発揮したい、反応を知りたいということだ。それをいち早く学んだ日本の企業にはアドバンテージがある。人間の欲求は世界共通の普遍的なものが多い。人間の行動を洞察する力を武器にすれば世界に打って出られる。それしかない」



米電子書籍各社、閲覧ソフト拡充
 専用端末以外を開拓
米電子書籍各社が高機能携帯電話(スマートフォン)など多様なIT(情報技術)機器でコンテンツを閲覧するためのソフトを拡充する。書籍販売大手のバーンズ・アンド・ノーブル(B&N)は、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載機器に対応。アマゾン・ドット・コムも、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」向けソフトを改良した。専用端末以外にも対応して利便性を高め、コンテンツ販売を拡大する。
 B&Nはアンドロイドを搭載したスマートフォンなどでコンテンツを閲覧するソフトを無料配布する。同社は既にアイフォーンなどに対応しており、利用者はB&Nで購入したコンテンツを同社の専用端末「ヌック」に加え、主要なスマートフォンで楽しめるようになった。
 電子書籍最大手のアマゾンは、アイフォーンや多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」向けのソフトを改良した。新たに辞書機能を搭載し、コンテンツの中にある単語の意味を手軽に調べられるようにした。
 米電子書籍業界では、アマゾンが8月に最低価格が139ドル(約1万2000円)の「キンドル」を発売するなど、自社で販売したコンテンツのみを閲覧できる専用端末の価格や機能を競い合っているほか、他社のスマートフォンなどに対応するソフトも相次いで強化して利用者の囲い込みを目指している。



アップル上級副社長が退社 iPhone4技術責任者
 【ニューヨーク共同】米電子機器大手アップルの新型携帯電話「iPhone(アイフォーン)4」の技術責任者だったペーパーマスター上級副社長が退社していたことが8日、分かった。米メディアが伝えた。理由は明らかでないが、受信障害をめぐる引責辞任との見方も出ている。
 今年6月から販売されているiPhone4については、持ち方によって受信感度が悪化するとして、米消費者専門誌が購入を推奨しない方針を表明。アップルはジョブズ最高経営責任者(CEO)が会見で謝罪し、対策としてケースの無料提供に踏み切っていた。



中国、2000余りの企業に9月末までの旧式設備閉鎖を指示=新聞
 [上海 9日 ロイター] 上海証券報など中国の政府系新聞は9日、セメント、コークス、製鉄、製紙、染色など18の製造業セクターの2000以上の企業について、9月末までに旧式の生産設備を閉鎖するよう指示したと報じた。
中国、エコカー産業に今後10年で1兆円超を投資
 各紙によると、工業情報省は8日付の指令で、閉鎖対象の工場について、環境汚染が深刻、エネルギー消費の無駄が多い、あるいは安全基準を満たしていない、のいずれかの理由に当てはまると説明した。
 この指令に従わなかった企業には、一部事業に関する免許の取り消し、融資制限、あるいは工場自体の営業許可取り消しなどの罰則が科される可能性があるという。
 今回の指令の影響を受ける企業には、柳州鋼鉄<601003.SS>の親会社や吉林亜泰(集団)<600881.SS>のセメント生産部門などが含まれる。
 中国は深刻な環境問題や資源のひっ迫に直面しており、エネルギー効率と環境汚染基準の厳格化や無駄な設備の閉鎖などを通じ、製造業のアップグレードを図っている。



吉野家、7月は10%減 17カ月連続前年割れ、真夏の安値決戦も惨敗
 吉野家が9日発表した7月の既存店売上高は前年同月比10・8%減となり、17カ月連続で前年を割り込んだ。減少幅は6月の15・1%減から縮小したが、8カ月連続の2けた減だった。7月は28日から牛丼並盛を380円から270円に値引きするキャンペーンを実施したが、すき家と松屋が同時期に250円に値引きし大幅な集客アップにはつながらなった。
 これに対し、すき家は30%増、松屋も5・3%増とプラスを確保。牛丼3社による“真夏の安値決戦”の序盤戦も、吉野家は苦戦を強いられた。
 客数は6・4%減で、キャンペーン効果で6月の16・1%からは回復したが、17カ月連続のマイナス。値引きで客単価が4・8%減となり、前月の1・2%増から2カ月ぶりに再びマイナスに転落した。
 これに対し、吉野家より1日早い27日から牛丼並盛を280円を250円に値引きするキャンペーンを開始したすき家の売上高は6カ月連続のプラスで、伸び率は昨年1月以降で最大を記録。松屋は29日から320円を250円に下げるキャンペーンを実施し、4カ月連続のプラスを確保した。
 7月下旬の3社による値引き合戦は、各メデイアで大きく報じられ、注目を集めたが、業界最安値の看板を掲げることができない吉野家は、プラスへの浮上を果たせなかった。吉野家は、8月3日までキャンペーンを実施したが、その後の反動減が懸念され、8月もプラスは難しそう。
 吉野家では、キャンペーンによる集客効果や採算ラインなどを精査し、今後の価格戦略などに生かす考え。ただ、割高な米国産牛肉を使用していることによる価格差を埋めるのは容易ではなく、苦戦が続くのは避けられない。



書籍を店頭で印刷・製本・手渡し 「三省堂書店オンデマンド」今秋から
 三省堂書店は8月9日、海外の学術書や長期品切れの書籍などを店頭で印刷・製本して販売するサービス「三省堂書店オンデマンド」を、神保町本店(東京都千代田区)で今秋に始めると発表した。「電子書籍時代の書籍流通のあり方への新しい提案」としており、日本の書籍の海外流通にもつなげる。
 店頭でメニューリストから書籍を選び、1冊から注文できる。10分ほどで印刷・製本し、その場で客に手渡すのが特徴。長期品切れの書籍や、洋書・大活字本などの流通量の少ない書籍を手に入れやすくする。
 まずは、海外の学術書など100万点と、「Googleブックス」の洋書200万点をラインナップ。詳細は今後発表する。出版社と協力し、電子化済みの日本語書籍もリストに加える予定。客からのリクエストにも応える。
 自費出版や、学校・図書館・企業で利用するテキストの製本にも対応。実施店舗も順次拡大するとしている。
 オンデマンド印刷サービスはこれまでにもあったが、印刷所内の大型印刷機などで制作するものが主流で、印刷に時間がかかったり、最小ロットの注文数が多くなってしまうといった問題があった。
 新サービスでは、オンデマンド出版サービスを手掛ける米On Demand Booksの製本機Espresso Book Machineを活用。書店の店頭で、「コーヒータイムほどの短い時間」で印刷・裁断し、その場で手渡しできるという。
 On Demand Booksのサービスと連携することで、三省堂の新サービスを、海外にあるEspresso Book Machineでも利用できるようにする予定。「古今の日本語書籍を日本市場はもちろん海外市場にもより手軽に流通させたい」としており、国内の出版社の協力を広く求めていく。



中国の日本国債買い1・7兆円 10年上期、欧米資産から避難
 財務省が9日発表した2010年上期(1~6月)の対内証券投資速報によると、中国による債権投資が、1兆7327億円の買い越しとなった。ほとんど国債とみられる。年間買い越し額が過去最高だった2005年の2557億円をすでに7倍弱上回っている。
 中国政府が巨額の外貨運用で米国債やユーロ建て債券から日本国債にシフトしていることが改めて鮮明になった。
 6月単月の買い越し額は4564億円で、過去最高だった今年5月の7352億円は下回ったが、依然として高水準。中国の買い越しは6カ月連続となる。
 中国は、人民元相場の安値維持のため、元売りドル買い介入を続けてきた結果、今年3月末で2兆4471億円もの巨額の外貨準備を保有。その大半を米国債で運用してきた。
 その後、ドル安への不満と米国への牽制からユーロ建て債券を増やしてきたが、ギリシャ財政危機でリスクが顕在化。今年に入り、相対比較で安全と認識されている日本国債への切り替えを活発化させている。
 日本国債の購入は短期債が中心で、現段階で「緊急避難」との見方が強い。ただ、日興コーディアル証券の末沢豪謙(ひでのり)金融市場調査部長は、「短期的な為替リスク回避と長期的な分散投資から、中国の日本国債購入は今後も続く」とみている。



円高と構造変化が促すデフレ懸念、政策対応求める声強まる
 [東京 9日 ロイター] 米雇用統計が予想以上に弱い結果となり、米景気の減速懸念から中期的な円高進行への懸念が高まっている。
 短期的な企業収益への影響に加えて、為替の不安定化がデフレを助長、中長期的な日本経済の再生を妨げるとの懸念が専門家の間でも強まっている。日本経済が価格調整や雇用調整メカニズムを喪失し、政策面でも金利変更余地が乏しい状況では、円高など外生ショックによる影響は緩和しにくい。政府・日銀はデフレ圧力を緩和するためにも、一段の円高には手を打つべきとの声が高まりつつある。
  <米雇用・消費の弱さ確認、日本はデフレへの懸念高まる>
 米雇用統計の結果を受けて、国内のエコノミストの間では「民間部門の雇用が事前予想を下回ったことや、小売統計が弱めだったことから、雇用や消費の弱さがあらためて確認された」(第一生命経済研究所・主席エコノミスト・熊野英生氏)との見方が大勢だ。このため、米債券が買われて長期金利が一段と低下し、日米金利差から当面、円高・ドル安が進みやすくなったとの見方で一致している。
 円高による日本経済への影響は、短期的には企業収益の圧迫が考えられるが、今のところアジアの成長取り込みに成功している企業では数量効果でこれを相殺している先も目立つ。対ドルだけでなく、実質実効レートでみれば「過去最高を記録した1995年4月時点よりも32%低い水準にある」(野村証券金融経済研究所・チーフエコノミスト・木内登英氏)など、過去との比較でさほどの円高水準でないことも企業の危機感が強くない要因となっている。
 一方で、伊藤忠商事・主任研究員・丸山義正氏は「むしろ問題は円高の継続によるデフレの助長」と指摘する。輸入価格の低下は国内物価の下押し圧力となるほか、為替相場の不安定化は企業の生産や設備投資の海外流出を招く。設備や雇用の余剰はいつまでも解消せず、デフレ圧力は強まる方向だ。日本経済が本格回復するためには内需型企業も収益を伸ばす必要がある。
  丸山氏は「デフレ圧力の原因となる円高を阻止するために、政府・日銀は手を打つべき」とし、金利変更余地が小さいことから、政府が介入する際に市場に出回った円資金を非不胎化するなどの方法で緩和姿勢を示す方法をあげる。熊野氏も「円高の思惑が強くなれば企業の海外進出に拍車がかかるだろう。せめて法人税率の引き下げを急ぐべき」として、デフレが長引くことへの懸念を示す。
  <価格メカニズム失った経済構造がデフレを助長>
 「円高がデフレ圧力を助長するのは、価格調整メカニズムが弱いことも1つの原因」──と熊野は指摘する。グローバル競争下で輸出価格引き上げはままらなず、かといって日本経済は海外と比べて賃金や雇用の調整も極めて遅い。その結果、企業収益を圧迫し、デフレ圧力が強まるというわけだ。
  バークレイズキャピタル証券・チーフエコノミスト・森田京平氏も「価格改定や賃金・雇用調整が極めて遅いことがこれだけ日本のデフレを長期化させた大きな原因」と指摘する。円高などの外生ショックが生じた場合でも、価格の頻繁な改定や大胆な雇用調整が実施できれば、デフレがここまで長引くことはなかったとみている。
 また金融取引の価格たる金利についても、10年以上にわたりゼロ近辺に張り付いた状態で、海外との金利差への対応余地は限定的だ。
 今のところ、実質実効レートでもさほどの円高とはなっていないことから「対ドル相場が示すほどの円高にはなっておらず、国内のデフレが深まるような状況ではない」(森田氏)と見られているが、日米の政策次第で今後の状況に予断は持てない。
 野村証券・木内氏の試算によれば、1ドル83円で推移すれば、輸出抑制効果と企業収益への悪影響を通じた株価下落による消費抑制効果を合計すると、成長率は1年間で0.3%強押し下げられ、80円程度の水準が定着すると、成長率は0.6%程度押し下げられるという。
  経済全体がフレキシリビリティを失い、政策対応余地も限られる状況のもと、円高とデフレ圧力を回避するための当局の知恵が求められる。 



パナソニック、三洋と電工完全子会社化 韓国企業躍進で「配慮」を放棄
パナソニックが、上場している子会社の三洋電機とパナソニック電工(旧松下電工)を完全子会社化する。2010年7月29日に発表した。大阪府内の京阪電鉄「守口市」駅界隈に本社を置く3社は、いずれも松下幸之助氏が源流と言える、いわば「同根企業」。
しかしそれが故に、近親憎悪のような長年のライバル関係もあり、グループの一体化が進みづらかった。そんなことに拘っていられないという判断を後押ししたのは、韓国のサムスン電子など海外新興勢力の伸長という「外圧」だ。
「統合」はせず、軟着陸を目指していた
パナソニックによる三洋の子会社化は、発表から1年かけて09年末にした実現した。実は、その際、在阪メディアの記事には「経営統合」の4文字は使われなかった。子会社化しても三洋の生え抜き社長は留任、三洋のブランドと上場は維持ということなどが強調された。
「三洋の独立性を保つ」ことをアピールするため、体感として「統合」という単語に違和感を持ったからだ。パナソニックは「三洋の従業員の士気を維持するためにも細心の注意を払う」(幹部)ことで軟着陸を目指した。
2004年に子会社化した電工についても、パナソニックは神経を使った。「ナイス」という電工独自のブランドは廃止したうえ、重複事業を整理し役割分担を明確化したが、常勤取締役を1人も送り込まないことなど、その後も電工は独立した会社のようだった。電工幹部からは「(パナソニックが)進駐軍になれば提携はうまくいかない」との声も聞かれた。
三洋はもっと独立心が強い。佐野精一郎社長は09年末の記者懇談会で、重複する白物家電などの取り扱いについて「整理を想定しているものはない。逆に強化しなければならない」と発言。パナソニックの大坪文雄社長が「やめるべきものはやめる」とするのに逆らうかのような姿勢だった。
海外売上比率5割以下の現状に焦る
ただ、組織の融和を優先する日本的手法は、世界市場で生き残るためのスピード感に欠ける。大坪社長は2010年春、インドを訪問した際、サムスン、LGという韓国勢が家電市場の過半を押さえ、ソニーが何とか食らいつこうとする一方、パナソニックがシェア拡大に苦しむ実態を目の当たりにし、焦りの色を濃くしたようだ。韓国勢は今や米国など先進国でも圧倒的なブランド力を誇り、アフリカ、南米などでも強い。海外売上比率が5割に届かないパナソニックが世界で生き残るために与えられた時間は少ない。
それなのに、例えばエコカー向けなどの蓄電池として成長が見込めるリチウムイオン電池は、パナソニック、三洋のライバル意識が抜けずに今も競合し、共同開発計画も公表できていない。09年度の世界シェアは両社合計では35%とトップではあるものの、抜本策を打たなければ子会社化した意味がなくなってしまう状況だった。
三洋、電工側もリーマンショック後のサムスンの急回復ぶりを見るにつけ、「無血開城やむなし」と判断したようだ。
パナソニック本社近くの「松下幸之助歴史館」では、展示ゾーン入ってすぐの場所にパナソニックの創業メンバーの写真が大きく掲げられ、真ん中に幸之助氏の義弟で三洋創業者、井植歳男氏の姿がある。旧松下電器産業の一部部門をルーツとするパナソニック電工を含め、日本の高度成長期には「近親企業」が競い合うことも有効だったが、人口減少期を迎えた今、原点に帰って出直す、ということだろうか。
auの取り組みに見る、キャリアの通話・通信品質向上策とは?
 主要キャリア各社は最近、顧客満足度向上を目的に、携帯電話の通話・通信品質向上に向けた取り組みを積極的に進めている。とはいうものの、単に基地局を増やすということだけが品質向上につながるわけではないようだ。そこでauの取り組みから、実際の品質向上にはどのような要素が求められているのかを見ていこう。
通話・通信品質は携帯電話サービスの“要”
 とかくハードウエアやサービスに注目が集まる昨今だが、携帯電話を利用する上でもっとも重要なことは、確実に、安定して、快適に通話・通信ができることである。どんなに立派な端末や優れたサービスを導入したとしても、回線状態が不安定であったり、通信が遅かったり、そもそもつながらなかったりすれば、その利便性は大きく損なわれてしまう。
 そうしたことから、キャリア各社は近年、通話・通信品質の向上に力を入れている。最近では、ソフトバンクモバイルが通信品質改善のため、「基地局倍増計画」を打ち出したり、フェムトセルを無料で提供したりしている。
 通話・通信品質は一見、基地局を増やしさえすれば解決するように思われる。だが、基地局を増やすには多くの時間とコストがかかる上、電波の干渉などの問題も発生するため、それだけでは限界がある。また、利用状況によっては、電波の入りではなく、別の理由で不満を感じるというケースもある。
 では、実際、キャリア各社はユーザーのさまざまな利用状況に応じて環境を改善しているのだろうか。2010年7月28日に開催された、auが開催した、通話・通信品質向上の取り組みに関する説明会から、キャリアが実際、どのような品質向上策を実施しているのかを見ていこう。
ユーザーの利用傾向を見極めた上で施策を実施
 携帯電話は近年、通話よりもメールやWebなどデータ通信の利用が多くなってきており、データ通信のトラフィックが大幅に増加している。
 auのデータ通信トラフィック状況を見ると、メールの利用が7割に達するなど頻繁に利用されている。しかしその一方で、通信データ量の9割はEZwebによるWebの利用になっているという。さらに最近、トラフィックの伸びを牽引しているのは、YouTubeなどの動画やモバゲータウンなどのSNSだ。
 また、サービスエリアの改善要望などを受け付けている「みんなでつくろう!auエリア」の状況を見ると、要望の8割が屋外ではなく自宅に関するものであったという。
 こうしたユーザーの利用状況から、auではユーザーの利用するサービスや場所などに応じて、インフラ、エリア、移動機など総合的に対策を施し、品質向上につなげているという。
利用の多いコンテンツや場所に向けた施策
 インフラに関する施策では、先のSNSへの対応などが挙げられている。最近はSNS上で遊べるソーシャルゲームが利用を牽引しているのだが、ソーシャルゲームのトラフィック数は頻度こそ多いものの、上りのデータ量自体は多くない。従来は基地局が上りデータの混雑を検出すると、端末側にデータをゆっくり送らせるよう、スループットを下げる指示をしていたのだが、データ量が少ないため、混雑時もスループットを下げないよう基地局の設定を変更したことで、利用が快適になったという。
 また、東京の地下鉄の場合、電車走行中に電波が入らないことから、駅に着いた瞬間に一斉に通信が実施されるため、瞬間的な混雑が発生して、通信品質が劣化しやすい。そこで、基地局の設定も、そうした瞬間的な混雑に対応できる設計基準を設けて基地局のチャネルを増強、品質の劣化を防いでいるとのことだ。
 端末に関する施策では、高速CPUの「Snapdragon」に対応したKCP3.0が挙げられる。端末の処理速度を向上させたことで、メールやWeb利用時における通信速度面以外での動作速度が大幅に改善され、満足度を高めているとのことだ。
 また、画像や動画を添付したメールを送信する際、現在の処理状況が分かるようプログレスバーを用意してほしいという声が多く寄せられていたため、これにも対応。速度向上だけでないインターフェースの変化も、ユーザーの満足度向上につながる要素になっているのだという。
基地局増強だけがパフォーマンス向上策ではない
 エリアに関する施策では、申し込みから48時間以内に電波状況に関する訪問調査の連絡を行う「au電波調査サービス」を実施。電波を増幅するレピータや、補助アンテナを設置するなどの施策により、自宅での電波環境の改善を実現している。電波の干渉などでレピータによる改善が困難なビルの高層階やビルの谷間の建物などにおいては、auフェムトセルの設置によって電波環境を改善するという施策をとっているとのこと。
 さらに今後は、EV-DOのマルチキャリア化による通信速度の高速化、そして将来的にはLTEの導入などインフラ面の高性能化によって改善を図っていくとの方針も示している。
 先にも触れた通り、通話・通信品質の改善というと、基地局を増やすなどインフラの増強に関する施策にどうしても目が行きがちだ。だが、auの事例を見ても理解できるように、既存のインフラを利用動向に合わせて改善したり、端末側の動作を工夫したりすることで、従来よりパフォーマンスが改善するケースも多くある。
 増え続けるデータ通信量にどう対応するか、基地局でのカバーが不足している地域をどう対策するかなどの課題はもちろんある。だがこうした改善施策が高い効果を発揮し、不満を解消するケースも多いということは覚えておくべきだろう。



大きな変化をもたらす可能性を秘めた「らくらくホン7」
 2010年7月21日、NTTドコモの中高年向け携帯電話「らくらくホン」の新機種、「らくらくホン7」が発表された。らくらくホン7が従来と大きく変化したところはどのような点か。そして、その変化がもたらす影響はどのようなものなのだろうか。
使い勝手の向上や健康管理機能を強化
 NTTドコモのらくらくホンシリーズは、中高年向けの携帯電話として長く人気を博している。従来は「シンプル」「ベーシック」「スタンダード」「プレミアム」と4つのシリーズが存在したが、スタンダードモデルが高機能化したことでプレミアムが統合され、現在は3つのシリーズで展開している。
 今回新たに発表されたらくらくホン7は、スタンダード・モデルに位置付けられる端末で、昨年発売された「らくらくホン6」の後継モデルというべき存在となっている。それゆえ「らくらくホン6」最大の特徴である防水・防塵性能を備えているのはもちろんのこと、ディスプレイが2.8インチから3.0インチにアップ。文字を見やすくするなど使い勝手も強化されている。
 また、大きな特徴として、元マラソン選手の高橋尚子氏を起用し、ウォーキングフォームを診断してくれる「高橋尚子のウォーキングクリニック」を搭載しているほか健康管理サービス「iBodymo」に対応するなど、健康支援に関する機能が充実しているという点も挙げられる。
 だがそうした特徴以上に、らくらくホン7には、非常に大きな変化を遂げている部分がある。それは端末としての進化ではなく“ユーザーを進化させる”ということだ。
携帯インターネットの利用に踏み切らせる取り組み
 らくらくホンは従来の音声通話からメール、カメラといったように、ユーザーの携帯電話利用スキルが向上するに従って、徐々に端末自体の機能も強化してきている。そして今回のらくらくホン7では、ついに“ネット”の利用促進に大きく踏み切っているのだ。
 らくらくホン7には、数字キー下部に「らくらくサイトボタン」が搭載されており、これを押すと、らくらくホン専用のiメニュー「らくらくiメニュー」にアクセスできるようになっている。これだけでは、従来のiモードボタンとメニューの位置付けが変わったに過ぎないのだが、らくらくiメニューには、ニュースや天気、株価などさまざまな情報が無料で提供されているほか、専用のコンテンツ「らくらくニッポン探訪」が用意されており、シニア層に向けた旅行やグルメなどの情報が無料で提供されているのである。
 ここで大きなポイントは“情報料が無料”ということだ。筆者は、シニア層が携帯電話でインターネットを利用する上で最大の障壁となっているのは、「必要かどうか分からないものにお金がかかる」という心理的影響だと感じている。特に携帯電話のコンテンツは有料のものが多いことから、強い抵抗を感じている人は少なくない。
 だが、らくらくiメニューでは、利用しやすい位置にあるコンテンツの全部、あるいは一部を無料で提供している。これによって金銭面の心理的抵抗を抑え、コンテンツ、ひいては携帯サイトの利用を習慣付けるという流れを作り上げているのだ。
 ちなみにらくらくホン7では、従来自由にできなかったデコメールの作成が可能になったほか、「iコンシェル」「iチャネル」などの情報サービスにも対応している。こうしたサービスがあらかじめ用意されているというのも、ネット利用の強化同様、大きなポイントといえるだろう。
シニア層がネットを利用すると何が変わるのか?
 らくらくホン7が携帯電話のインターネット利用促進に踏み切ったのには、らくらくホンユーザーの利用スキルが向上しているというだけでなく、別の側面もあるように感じている。
 携帯電話の有料公式コンテンツは、若年層が牽引しているといわれて久しい。だが若年層への普及が一巡したことに加え、SNSなど無料で利用できるコンテンツも大幅に増えている。それゆえ、有料コンテンツの利用の伸びを支えている層が、若年層から可処分所得の高い40代以上の層へと移行しつつあるようなのだ。
 こと高齢化が進む日本の現状を見れば、より高い年齢層に携帯コンテンツの利用を広めることで、コンテンツ料、通信料収入の増加につなげることができる。だが、年齢層が上がれば上がるほど、携帯電話でインターネットを使う人自体が少なくなることから、そもそも利用が広がらないという問題を抱えている。例えば、携帯電話での利用が多いSNSの1つ「mixi」の、2010年3月31日時点における利用者年齢層分布を見ると、50代以上のユーザーは全体のたった2.4%でしかない。
 らくらくホン7が携帯インターネットの利用に大きく踏み切ったのは、これまで携帯電話でのインターネット利用を避けていた高年齢層に利用のきっかけを与え、利用者層の幅を広げようという戦略であると思われる。さらにいえば、将来的にネット利用が一般化していけば、シニア向け有料コンテンツという大きな市場の開拓にも結びつくといえよう。
 無論、インターネットの利用を推進していくには、パケット定額制サービスの利用をいかに進めていくかなど、端末以外の課題もいくつかあるだろう。だが、らくらくホン7が今回もたらした「シニア層にネットを利用させる」という新たな戦略は、今後大きな変化をもたらす可能性を秘めていることに間違いないだろう。



航空機民間転用 防衛基盤維持へ着実に進めよ(8月8日付・読売社説)
 日本に欠かせない防衛技術と関連企業を維持していくうえで有効な手法と言えよう。
 防衛省が、自ら開発した自衛隊機の民間転用を検討している。海上自衛隊の救難飛行艇US2は消防飛行艇などに、航空自衛隊が開発中の次期輸送機XC2は大型貨物機にそれぞれ転用する構想だ。
 民間転用は前例がないが、救難機や輸送機はそもそも武器ではない。民間機に転用しても、日本が大切にする「平和国家」の理念には何の影響もあるまい。
 政府は、企業から利用料を受け取り、開発費の一部を回収できる。量産効果によって自衛隊機の調達費も縮減できる。世界的に消防飛行艇や貨物機の需要は大きく、企業も一定の収益を期待できる。
 民間転用は、官民双方にメリットがある。もっと早く取り組めば良かったのではないか。
 近年、防衛予算の減少傾向が続く中、この分野から撤退する企業が増えている。装備の開発・生産・整備に不可欠な専門企業や高度な技術者がいなくなることは、国の安全保障の根幹にかかわる。
 日本の安全保障環境は逆に、厳しさを増している。中長期的な視点で、防衛技術基盤の維持と、防衛予算の一層の効率化を両立させていく必要がある。
 年内に予定される「防衛計画の大綱」の改定作業に合わせて、武器輸出3原則の見直しにも本格的に取り組むことが重要だ。
 次期戦闘機(FX)の候補F35のように巨額の開発費を要する装備品は、複数の国による共同開発が国際的潮流だが、日本は参加できない。米国以外の国との共同開発が認められていないからだ。
 現在は、米国以外のほとんどの国に及ぶ武器の禁輸を、紛争当事国やテロ支援国などに限定することを検討すべきだ。最低でも、一般の国との武器の共同開発を認め、武器輸出を個別に審査する方式を導入してはどうか。
 地雷探知機、防弾チョッキなど防御的武器を禁輸の対象外としても、日本の「平和国家」のイメージが損なわれることはない。
 民主、自民両党はそろって参院選公約に防衛装備品の民間転用を掲げた。武器輸出3原則の見直しでも、与野党の枠を超えて協調する余地があるのではないか。
 鳩山前内閣では、北沢防衛相が3原則見直しに前向きな考えを示したが、与党の社民党などが反対し、具体化しなかった。社民党の連立離脱で、政治的なハードルはかなり低くなったはずだ。
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