00430000s@merumo.ne.jp に空メールすると、ブログと同じ内容のメルマガをが配信されます。twitterはhttps://twitter.com/wataru4 です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
儲からないiPhone向けゲーム市場で勝つ方法
アップルのスマートフォン「iPhone」向けのゲームアプリ市場は、3万5000ものタイトルがひしめく超激戦区だ。有料アプリの平均販売価格(米国)は1.27ドルにとどまり、収益を上げるのは容易でない。ところが、携帯電話向けゲーム会社の仏ゲームロフトは、iPhoneの普及とともに着実に収益を伸ばしている。同社の戦略から、儲(もう)からないスマートフォン市場での一つの勝ち方が見えてくる。
ゲームロフトが7月28日に発表した2010年第2四半期の売上高は、前年同期比15%増の3360万ユーロ(約37億円)。特に好調なのがiPhoneや多機能携帯端末「iPad」向けゲームで、売上高は2.1倍に伸びたという。同社は、米国、カナダ、ルーマニア、フランス、中国、日本の6つのスタジオに2400人を超える開発スタッフを抱え、世界同時開発体制でiPhone市場に攻勢をかけている。
115円セールでランキング上位に
最近、筆者が熱中したiPhone向けゲームは同社の「ブロックス」だ。元々00年にフランスで発売された4人用のボードゲームで、様々な形のピースを盤上に並べていくだけの単純なルールながら奥が深く、世界中で遊ばれる定番ボードゲームの一つとなっている。日本でも発売されたが、人数がそろわないと遊べないため、一部の愛好家に知られるにとどまっていた。
ゲームロフトは今春このゲームのiPhone版をリリースした。現在の販売価格は350円だが、筆者が購入した7月上旬はセール期間中で115円で販売していた。コンピューター相手なので、いつでもいくらでも遊べる。通信対戦もサポートしており、iPhoneとiPadの両方にインストールして家族でチームを組んで楽しむこともできる。購入後、ゲームロフトの値下げセールに注意を払うようになり、同社のゲームをずいぶんと買った。
ゲームロフトは、アップルのアプリ販売サービス「App Store」の仕組みを巧みに利用して、ユーザーの関心を自社ゲームに集め購入を促す戦略を採っている。特に、アプリの価格を自由に変えられるルールの使い方がうまい。
同社は60タイトル以上のiPhone向けゲームを持つが、常に何らかのタイトルをセール価格の115円(0.99ドル)で販売している。派手なのは、5タイトルあまりを一斉に115円に値下げする期間限定セールで、販売ランキングの上位が同社のタイトルで埋まる。
App Storeでは、アップルが独自集計するランキングで50位以内に入らないとユーザーの目に触れる機会がなく、存在していないに等しくなる。ゲームロフトはそれを逆手に取り、セール販売で本数を稼ぎ、戦略的に順位を上げている。通常価格の600円前後に戻せば、圏外に落ちてしまうが、それまでにランキングを参考に購入するユーザーが現れる。しかも、セールを切れ目なく打つため、ゲームロフトのアプリは常にどれかがランキング内に入っていることになる。
この手法を世界各国の市場に同時展開している。例えば、昨年11月から月に1度配信している約10分の広告用ビデオポッドキャストは、英語版に字幕をつける形でイタリア、フランス、ドイツ、スペイン、ブラジル、日本などに対応している。
どこかで見たようなゲームばかり?
アプリの種類も多様だ。チェスやソリティアといった伝統的なボードゲームやパズルゲーム、脳トレのようなゲームもそろえている。他社からライセンスを受けることにも積極的で「ジェームズ・キャメロン アバター」「アイアンマン2」といった映画のタイアップものや、カードゲームの「UNO」といったものがある。
さらに、仏UBIの創業メンバーが設立した会社であることから、UBIの持つブランドも積極利用している。「アサシン クリード」「ザ・セトラーズ」などだ。過去のタイトルを移植したものもあれば、家庭用ゲーム機版のリリースに合わせてオリジナルで開発したものもある。自社開発したゲームはレース、サッカー、ゴルフ、フィッシング、3Dアクション、一人称シューティングなど豊富で、家庭用ゲーム機で人気のジャンルはほぼ網羅していると言っていいほどの品ぞろえを誇る。
ただ、同社のゲームアプリはどこかで見たような印象があるものが多い。
例えば、115円でセール中(8月16日現在)の「ギャングスター:West Coast Hustle」は、家庭用ゲーム機向けのクライムアクションゲームとして人気がある「グランド・セフト・オート」にゲームシステムからインターフェースまで似ている。昨年8月に800円でリリースして、何度か値下げした後の現在のセールである。
ボリュームはiPhone向けゲームとしてはたっぷりで、クリアまで何時間も遊べる。もちろん、ゲームの質は最新の「グランド・セフト・オート」に遠く及ばないが、それほどのレベルを求めない人には十分すぎる内容だ。この質と量を115円で販売されたら、とても対抗しようがないというのが他社の本音であろう。このゲームは、今年9月に続編のリリースを予定しており、セールは発売前にユーザーの関心を引きつける狙いがあるのだろう。
追随できる企業はわずか
ネット流通の強みは、中古市場がなく、製品が費用を超える売り上げを上げた後はほとんどが利益となる点にある。発売当初は価格を高めに設定し、タイミングを見計らって値下げしていく。高い値段でも、低い値段でも、買ってもらわなければ同じことだ。
ゲームロフトは今年4月に配信したビデオポッドキャストの中で、ユーザーからの「携帯ゲームの人気が高まっているのはなぜ?」という質問に答える形で、以下のように表明している。
「iPhoneのように大画面で処理速度が高い端末の出現でグラフィックの質が上がりゲームプレイの幅が広がったということです。今はどんなゲームも携帯で遊べますし、携帯ならどこにでも持ち歩けます。しかも、昔懐かしのゲームや最新ゲームのダウンロードがとっても簡単! iPhoneに数回タッチするだけです。どのゲームもApp Storeで簡単にダウンロードできます。最新テクノロジーが、ゲームとその操作性に革命を起こしたのです」
ありふれた回答ともいえるが、ゲームロフトがスマートフォンを古いゲームと最新ゲームの両方のニーズを集めることができるプラットフォームととらえ、収益機会を最大化しようと考えていることがうかがえる。
ゲームロフトは一定以上の質のタイトルを大量に世界展開し、セールなどの価格コントロールでユーザーの関心を常に集めてブランド力を高める戦略を採っている。これがiPhone市場で勝つための一つの解であるのは確かだが、同じことができる企業は世界でも限られる。それがiPhone市場で苦戦する多くの企業を悩ませている問題でもある。
デュアルコア・1.5GHz版 Snapdragonプロセッサ、年内にも出荷へ
QualcommのSnapdragonといえば、QSD8250という1GHzのプロセッサがXperiaやHTC Desire、Nexus Oneなどの高性能スマートフォンをはじめ、Dell Streakなどのタブレット端末にも採用されて一躍名前を広めました。同社の次なる策は、もちろん高速化Snapdragonの投入です。QualcommのCDMA技術プロダクトマネジメント担当VPであるMark Frankel氏が、Computerworldの取材に答えて、年内にもデュアルコア・1.5GHz版Snapdragonを出荷する予定であることを明らかにしています。
ふりかえれば同社は7月頭にデュアルコアで1.2GHz動作というSnapdragon MSM8260 / MSM8660のサンプル出荷を始めており、デュアルコア・1.5GHz動作のQSD8672も予告済み。今回の取材では、このQSD8672が年内にも出荷され、年明け早々にも、あるいは(Frankel氏の弁を借りれば)「積極的なベンダーはクリスマスにも」製品に搭載されるかもという道筋が見えたことになります。
45nm設計になる見込みのQSD8672では、高速化のほかにも各コアの動作速度を個別に設定することで省電力化する機能、1080p動画再生対応、HDMI対応、DDR2/DDR3メモリインタフェース搭載などの特長を備える予定。スマートフォン / タブレット向けのデュアルコアプロセッサはTIも年内の出荷を予定しており、スマートフォン人気拡大の裏ではチップを作る側も採用する側もしのぎを削る戦いとなっています。
キヤノン、SED子会社を解散
キヤノンは18日、次世代薄型テレビ「SED(表面電界ディスプレー)」の開発子会社、SED社(平塚市)を9月30日付で解散すると発表した。液晶、プラズマなど薄型テレビの価格が下落する中、SEDテレビは開発コストを抑え切れず、市場で競争力が保てないと判断した。SEDパネルの研究開発はキヤノンが引き続き行う。
SEDはブラウン管テレビの技術を応用した高画質と、液晶、プラズマテレビ並みの薄さを兼ね備えた「次世代テレビ」として期待を集めていた。
キヤノンは2004年、東芝と合弁でSED社を設立。当初は08年の北京五輪まで発売を目指していたが、関連技術をめぐる米国企業との訴訟の長期化や、東芝との合弁解消などで製品化が難航。数度にわたり発売を延期していた。
SED社の解散について、キヤノン広報部は「色調、品質などで従来の方式を超えるパネルの試作に成功したが、適正な採算性を確保して事業化するのは困難」と説明している。
「グランツーリスモ5」11月3日発売 ブルーカラーのPS3同梱版も
ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンは8月18日、プレイステーション 3(PS3)用ソフト「グランツーリスモ5」(GT5)を11月3日に発売すると発表した。7980円。
自動車シミュレーターの最新版。車種は1000以上、コースは20ロケーション・70バリエーション以上の収録を予定し、3D立体視やオンラインにも対応、PSP版で収集した車データの引き継ぎも可能だ。
初回限定版には308ページの特製ブックレットが付属するほか、NSXやMcLaren F1など5車種のプレゼントカーをダウンロードできるプロダクトコードが封入されている。
同梱版の青いPS3
同時にPS3本体とソフトのセット「PlayStation 3 GRAN TURISMO 5 RACING PACK」も数量限定で発売。本体カラーは「タイタニウム・ブルー」。マフラーが熱で焼けた状態をイメージしたというオリジナルカラーだ。
GT5は待望され続けてきたPS3ソフト。今年3月に発売予定だったが延期となり、その影響で昨年度のソニーのゲーム事業が業績の下方修正を迫られたほどの大型タイトルだ。
悪質商法封じ、学生に余波…低利教育ローン中止
りそなホールディングス(HD)傘下の3銀行が、大学などと提携して、通常の教育ローンより低い金利で入学金や学費などの資金を貸す「提携教育ローン」の新規取り扱いをやめたことが18日、明らかになった。
昨年12月に施行された改正割賦販売法が、銀行の提携ローンも規制対象としたことで、新たなシステム投資などの負担を迫られたためだ。悪質商法の抜け道を防ぐための規制強化が、思わぬ形で、大学生らに影響を及ぼしている。
大手行による提携ローンからの撤退が明らかになるのは初めて。
提携ローンは、学校が利子補給や債務保証などをするため、金利を低く抑えることができる仕組みだ。大学側も、入学時などに経済的な不安についての相談があれば、奨学金などのほか、金利が低い提携ローンを紹介するケースが多い。
りそなHD傘下のりそな銀行は、早稲田大、慶応大など約80の大学や、専門学校などと提携し、年3・5%程度と通常より1~1・5%低い金利を設定していた。これまでは年数百人程度のペースで学生側に融資しており、残高がある人は現在約5000人いるという。しかし、6月以降は新規融資を中止した。りそな銀行は代替措置として、入学シーズンなど期間を限定して、通常の教育ローン金利を提携型並みに引き下げて対応すると説明している。
地方銀行にも撤退の動きが広がっている。京都銀行が昨年末に提携教育ローンから撤退し、金利がやや高めの教育ローンに切り替えた。静岡、北洋、群馬銀行なども提携ローンの取り扱いをやめている。一方、三菱東京UFJ銀行などの3メガバンクは提携ローンを継続する方針だが、一部の大学を対象に見直しの動きも出ている。
撤退の動きが広がったのは、改正割販法で銀行の提携ローンも規制対象になったことが背景にある。
銀行は所管の経済産業省に業者として登録し、立ち入り検査も受ける。また、カード・信販会社が加盟する信用情報機関に、融資先のローン残高などを定期的に報告しなければならず、新たなシステム構築に数千万~数億円の費用がかかる場合もある。こうした手続きや負担を避けるため提携ローンをやめたケースが多いとみられる。
◆改正割賦販売法=高額の健康食品などを売りつける悪質商法が社会問題化したことで、信販会社と加盟店との関係などを想定して規制強化された。消費者保護のため規制対象を拡大する条文にした結果、銀行とローンで提携した業者との関係も含まれると解釈されることになった。
ソニーが持ち運び中継システム発売 ドコモの「フォーマ」にも対応
ソニーは18日、小型で持ち運びができる放送用の中継システム「ロケーションポーター」の新機種を10月12日から発売すると発表した。システムは、12カ所からの映像を同時に受信して表示ができる仕組みで、災害現場などでの中継が必要な警察など官公庁や放送局を対象に販売を伸ばしたい考えだ。
システムは、ビデオなどで撮影した映像を送信する「トランスミッター」が約1・5キロの軽さを実現。NTTドコモの携帯電話高速回線「フォーマ」のほか、衛星回線や無線LANにも対応しており、通信環境に応じて送信回線を選択することができる。
一方、受信機側は最大で12カ所からの映像を同時表示することが可能。タッチパネルに対応したソフトを用いており、画面を触るだけで使用する映像を選ぶことができる。受信機側から送信機側にマイクを通して指示を出すこともできる。
ソニーによると、持ち運びできる簡易型の中継システムの購入は、防災や災害対策で現場を訪れる警察などの官公庁が7~8割。テレビなど放送局からの引き合いも多く、今後も需要が伸びるとみており、世界展開も視野に入れる。
自見郵政改革相、郵政事業見直しを米側に説明
【ワシントン=岡田章裕】ワシントンを訪れている自見金融・郵政改革相は17日、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長、ブレイナード財務次官(国際担当)と会談した。
バーナンキ議長とは、銀行に対する自己資本比率規制の在り方や金融規制改革、日米の景気認識などを巡って意見を交わした。
会談後の記者会見で、自見郵政改革相は、ブレイナード財務次官から郵政事業の見直しについて懸念表明があったと述べた。これに対し、自見郵政改革相は、「経営の自主性、競争条件の公平性に力点を置いて制度設計した」などと丁寧に説明したという。
米政府は郵政事業の見直しにより、米国企業など外国の企業が不公平な競争を強いられないか懸念を強めており、ブレイナード次官もこうした米国の立場を改めて強調したとみられる。
新規住宅ローン2割減 4~6月、14年ぶり下げ幅
所得伸び悩み、新築住宅の低迷響く
銀行の住宅ローンが落ち込んでいる。国内銀行の4~6月の新規貸出額は2兆7415億円にとどまり、前年同期比で約20%減った。減少率はおよそ14年ぶりの大きさで、四半期ベースで3兆円を割ったのも10年ぶり。給与所得が伸び悩んでいることや、リーマン・ショック後にマンション建設がストップして物件が少なくなっていることが背景にある。
日銀によると、今年4~6月の新規貸出額の減少率(前年同期比)は1996年10~12月期の41.8%以来の大きさだった。2009年度は前年度比4.6%減の14兆1595億円と9年ぶりの低水準で、4月以降も新規の貸し出しは前年を大きく割り込む水準で推移している。
住宅ローンが低迷している理由の一つが個人所得の伸び悩みだ。厚生労働省の毎月勤労統計調査では、6月の現金給与総額は前年同月比1.8%増えたが、基本給を示す所定内給与は0.2%減で23カ月連続マイナスとなった。サラリーマンの所得が本格回復している状況にはない。
「フラット35」は好調
新築住宅の件数そのものも減っている。国土交通省によると、今年1~6月の新設住宅着工戸数は前年同期比3.8%減の38万1653戸で、65年の集計開始以来、最低だった。4~6月期の住宅投資も前期比1.3%減と2期ぶりに減少している。
2年前のリーマン・ショック前後に住宅関連業者の倒産が相次ぐなど住宅建設がストップしており、その影響で「いま市場に出回っている物件数自体が少ない」(大手銀行)との指摘もある。
都心部を中心に、ごく一部でマンション販売が盛り上がっているところもある。また落ち込む住宅ローンの中でも、住宅金融支援機構との提携による長期固定金利型の「フラット35」は4~6月の申込件数が前年同期比2.7倍の約3万7000件と3四半期連続で最高を更新、全体を下支えしている。
「フラット35」は政府の経済対策の一環で、耐久性や省エネなど一定の条件を満たした優良住宅向けに、今年末までの申し込みを対象に当初10年間の金利を1%下げている。民間金融機関の独自ローンに比べ大幅に低く、大手銀行からは「フラットが伸びた分、自前のローンが苦戦している」との声も聞かれる。
金利競争激しく
景気の減速懸念と設備の過剰感が解消されていないことから、企業の設備投資意欲は乏しく、各金融機関は住宅ローンを新たな収益源とみて新規顧客の獲得に力を入れている。金利競争も激しさを増しており、変動型で年1%前後の金利水準が主流となりつつある。
ただ、実際に住宅ローンは落ち込んでいるため、銀行はだぶついた資金を国債の購入に振り向けているのが実態だ。
高級ブランド品、アジアで稼ぐ 中国シェア5%に迫る
バッグや時計、ジュエリーなど世界の高級品市場でアジア(日本を除く)の重要性が高まっている。米コンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニーによると、世界全体の売上高に占めるアジアの比率は2000年に8.6%だったが、今年は16%に拡大する見通しだ。
なかでも伸びが目立つのが中国で、00年の0.2%から今年は4.8%にまで上昇しそう。中間層の拡大に伴い、都市部だけでなく地方都市でも高級ブランドの人気が高まるなど、購買層のすそ野が広がっているようだ。エルメスやグッチ、ルイ・ヴィトンなど欧州高級品大手は相次ぎ中国での販売体制を強化。海外旅行先で中国人が購入した分を含めれば、さらに中国の比重が増すとみられる。
新興国市場の成長を背景に、今年の世界全体の高級品売上高は前年比4%増の1580億ユーロ(約17兆7000億円)に達する見込み。一方、デフレが続く日本は3%減の予想。バブル期には若い女性らがこぞって高級ブランド品を買い求めるブームが起こったが、主戦場は中国をはじめとする新興国に移りつつある。
【産経主張】中国の軍事力 看過できない異様な増強
米国防総省が公表した中国の軍事動向に関する年次報告の特徴は、急速な軍拡とその意図に対し、「東アジアの軍事均衡を変える主な要因」と強い警戒感を示し、同盟国と連携した対応を呼びかけたことだ。
とりわけ東シナ海、南シナ海の接近阻止能力や小笠原諸島とグアムを結ぶ「第2列島線」に至る海軍力拡大は日本の安全に直結する。到底看過できない。アジア太平洋の安定と秩序を守る観点から、菅直人政権も対中認識を共有し、同盟深化協議などを通じて実効ある行動に踏み出すべきだ。
オバマ政権で初めての昨年(2009年)版報告は、中国の空母建造計画などを踏まえて透明性の欠如に疑問を示していた。
今回はこうした懸念をさらに強め、原潜や空母などへの投資、宇宙・サイバー戦能力、弾道ミサイル増産など、すさまじいともいえる軍拡ぶりを列挙している。
日米が警戒すべきは、台湾海峡を大幅に越えた海軍活動の拡大にあるのはいうまでもない。「中台軍事均衡はすでに中国に有利に展開」しつつあり、米空母を狙える対艦ミサイル配備などに警戒を強めているのは当然だろう。
「南シナ海」の項目を新設したのも特筆される。南沙、西沙諸島などの資源や領有権をめぐる近隣諸国との対立を分析し、空・海軍の遠距離作戦能力確保を通じて「中国は外交的優位の確保や紛争解決の選択肢を増やせる」と警告している点は重要である。
南シナ海に臨む海南島の戦略基地化は、日韓などへの原油の8割が通過する「死活的に重要な国際シーレーン」に対する介入能力を意味することになる。同海域を含む航行の自由は、日米や他の地域諸国にとって絶対に譲れない。この原則を改めて強調したい。
報告は従来「中国の軍事力」と題されていたが、今回から「中国を含む軍事・安全保障動向」と改題された。対中戦略に本腰を入れて取り組む姿勢ならば評価できるが、中国に配慮したのなら問題を残す。報告の公表が半年近く遅れた理由も説明してほしい。
だが最大の問題は、けたはずれの軍拡の意図や目的を中国自身が説明しようとしないことにある。透明性を欠いた軍拡は地域の懸念を高め、誤解や誤算を招きかねない。中国はそうした責任について強く自覚すべきだ。
アップルのスマートフォン「iPhone」向けのゲームアプリ市場は、3万5000ものタイトルがひしめく超激戦区だ。有料アプリの平均販売価格(米国)は1.27ドルにとどまり、収益を上げるのは容易でない。ところが、携帯電話向けゲーム会社の仏ゲームロフトは、iPhoneの普及とともに着実に収益を伸ばしている。同社の戦略から、儲(もう)からないスマートフォン市場での一つの勝ち方が見えてくる。
ゲームロフトが7月28日に発表した2010年第2四半期の売上高は、前年同期比15%増の3360万ユーロ(約37億円)。特に好調なのがiPhoneや多機能携帯端末「iPad」向けゲームで、売上高は2.1倍に伸びたという。同社は、米国、カナダ、ルーマニア、フランス、中国、日本の6つのスタジオに2400人を超える開発スタッフを抱え、世界同時開発体制でiPhone市場に攻勢をかけている。
115円セールでランキング上位に
最近、筆者が熱中したiPhone向けゲームは同社の「ブロックス」だ。元々00年にフランスで発売された4人用のボードゲームで、様々な形のピースを盤上に並べていくだけの単純なルールながら奥が深く、世界中で遊ばれる定番ボードゲームの一つとなっている。日本でも発売されたが、人数がそろわないと遊べないため、一部の愛好家に知られるにとどまっていた。
ゲームロフトは今春このゲームのiPhone版をリリースした。現在の販売価格は350円だが、筆者が購入した7月上旬はセール期間中で115円で販売していた。コンピューター相手なので、いつでもいくらでも遊べる。通信対戦もサポートしており、iPhoneとiPadの両方にインストールして家族でチームを組んで楽しむこともできる。購入後、ゲームロフトの値下げセールに注意を払うようになり、同社のゲームをずいぶんと買った。
ゲームロフトは、アップルのアプリ販売サービス「App Store」の仕組みを巧みに利用して、ユーザーの関心を自社ゲームに集め購入を促す戦略を採っている。特に、アプリの価格を自由に変えられるルールの使い方がうまい。
同社は60タイトル以上のiPhone向けゲームを持つが、常に何らかのタイトルをセール価格の115円(0.99ドル)で販売している。派手なのは、5タイトルあまりを一斉に115円に値下げする期間限定セールで、販売ランキングの上位が同社のタイトルで埋まる。
App Storeでは、アップルが独自集計するランキングで50位以内に入らないとユーザーの目に触れる機会がなく、存在していないに等しくなる。ゲームロフトはそれを逆手に取り、セール販売で本数を稼ぎ、戦略的に順位を上げている。通常価格の600円前後に戻せば、圏外に落ちてしまうが、それまでにランキングを参考に購入するユーザーが現れる。しかも、セールを切れ目なく打つため、ゲームロフトのアプリは常にどれかがランキング内に入っていることになる。
この手法を世界各国の市場に同時展開している。例えば、昨年11月から月に1度配信している約10分の広告用ビデオポッドキャストは、英語版に字幕をつける形でイタリア、フランス、ドイツ、スペイン、ブラジル、日本などに対応している。
どこかで見たようなゲームばかり?
アプリの種類も多様だ。チェスやソリティアといった伝統的なボードゲームやパズルゲーム、脳トレのようなゲームもそろえている。他社からライセンスを受けることにも積極的で「ジェームズ・キャメロン アバター」「アイアンマン2」といった映画のタイアップものや、カードゲームの「UNO」といったものがある。
さらに、仏UBIの創業メンバーが設立した会社であることから、UBIの持つブランドも積極利用している。「アサシン クリード」「ザ・セトラーズ」などだ。過去のタイトルを移植したものもあれば、家庭用ゲーム機版のリリースに合わせてオリジナルで開発したものもある。自社開発したゲームはレース、サッカー、ゴルフ、フィッシング、3Dアクション、一人称シューティングなど豊富で、家庭用ゲーム機で人気のジャンルはほぼ網羅していると言っていいほどの品ぞろえを誇る。
ただ、同社のゲームアプリはどこかで見たような印象があるものが多い。
例えば、115円でセール中(8月16日現在)の「ギャングスター:West Coast Hustle」は、家庭用ゲーム機向けのクライムアクションゲームとして人気がある「グランド・セフト・オート」にゲームシステムからインターフェースまで似ている。昨年8月に800円でリリースして、何度か値下げした後の現在のセールである。
ボリュームはiPhone向けゲームとしてはたっぷりで、クリアまで何時間も遊べる。もちろん、ゲームの質は最新の「グランド・セフト・オート」に遠く及ばないが、それほどのレベルを求めない人には十分すぎる内容だ。この質と量を115円で販売されたら、とても対抗しようがないというのが他社の本音であろう。このゲームは、今年9月に続編のリリースを予定しており、セールは発売前にユーザーの関心を引きつける狙いがあるのだろう。
追随できる企業はわずか
ネット流通の強みは、中古市場がなく、製品が費用を超える売り上げを上げた後はほとんどが利益となる点にある。発売当初は価格を高めに設定し、タイミングを見計らって値下げしていく。高い値段でも、低い値段でも、買ってもらわなければ同じことだ。
ゲームロフトは今年4月に配信したビデオポッドキャストの中で、ユーザーからの「携帯ゲームの人気が高まっているのはなぜ?」という質問に答える形で、以下のように表明している。
「iPhoneのように大画面で処理速度が高い端末の出現でグラフィックの質が上がりゲームプレイの幅が広がったということです。今はどんなゲームも携帯で遊べますし、携帯ならどこにでも持ち歩けます。しかも、昔懐かしのゲームや最新ゲームのダウンロードがとっても簡単! iPhoneに数回タッチするだけです。どのゲームもApp Storeで簡単にダウンロードできます。最新テクノロジーが、ゲームとその操作性に革命を起こしたのです」
ありふれた回答ともいえるが、ゲームロフトがスマートフォンを古いゲームと最新ゲームの両方のニーズを集めることができるプラットフォームととらえ、収益機会を最大化しようと考えていることがうかがえる。
ゲームロフトは一定以上の質のタイトルを大量に世界展開し、セールなどの価格コントロールでユーザーの関心を常に集めてブランド力を高める戦略を採っている。これがiPhone市場で勝つための一つの解であるのは確かだが、同じことができる企業は世界でも限られる。それがiPhone市場で苦戦する多くの企業を悩ませている問題でもある。
デュアルコア・1.5GHz版 Snapdragonプロセッサ、年内にも出荷へ
QualcommのSnapdragonといえば、QSD8250という1GHzのプロセッサがXperiaやHTC Desire、Nexus Oneなどの高性能スマートフォンをはじめ、Dell Streakなどのタブレット端末にも採用されて一躍名前を広めました。同社の次なる策は、もちろん高速化Snapdragonの投入です。QualcommのCDMA技術プロダクトマネジメント担当VPであるMark Frankel氏が、Computerworldの取材に答えて、年内にもデュアルコア・1.5GHz版Snapdragonを出荷する予定であることを明らかにしています。
ふりかえれば同社は7月頭にデュアルコアで1.2GHz動作というSnapdragon MSM8260 / MSM8660のサンプル出荷を始めており、デュアルコア・1.5GHz動作のQSD8672も予告済み。今回の取材では、このQSD8672が年内にも出荷され、年明け早々にも、あるいは(Frankel氏の弁を借りれば)「積極的なベンダーはクリスマスにも」製品に搭載されるかもという道筋が見えたことになります。
45nm設計になる見込みのQSD8672では、高速化のほかにも各コアの動作速度を個別に設定することで省電力化する機能、1080p動画再生対応、HDMI対応、DDR2/DDR3メモリインタフェース搭載などの特長を備える予定。スマートフォン / タブレット向けのデュアルコアプロセッサはTIも年内の出荷を予定しており、スマートフォン人気拡大の裏ではチップを作る側も採用する側もしのぎを削る戦いとなっています。
キヤノン、SED子会社を解散
キヤノンは18日、次世代薄型テレビ「SED(表面電界ディスプレー)」の開発子会社、SED社(平塚市)を9月30日付で解散すると発表した。液晶、プラズマなど薄型テレビの価格が下落する中、SEDテレビは開発コストを抑え切れず、市場で競争力が保てないと判断した。SEDパネルの研究開発はキヤノンが引き続き行う。
SEDはブラウン管テレビの技術を応用した高画質と、液晶、プラズマテレビ並みの薄さを兼ね備えた「次世代テレビ」として期待を集めていた。
キヤノンは2004年、東芝と合弁でSED社を設立。当初は08年の北京五輪まで発売を目指していたが、関連技術をめぐる米国企業との訴訟の長期化や、東芝との合弁解消などで製品化が難航。数度にわたり発売を延期していた。
SED社の解散について、キヤノン広報部は「色調、品質などで従来の方式を超えるパネルの試作に成功したが、適正な採算性を確保して事業化するのは困難」と説明している。
「グランツーリスモ5」11月3日発売 ブルーカラーのPS3同梱版も
ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンは8月18日、プレイステーション 3(PS3)用ソフト「グランツーリスモ5」(GT5)を11月3日に発売すると発表した。7980円。
自動車シミュレーターの最新版。車種は1000以上、コースは20ロケーション・70バリエーション以上の収録を予定し、3D立体視やオンラインにも対応、PSP版で収集した車データの引き継ぎも可能だ。
初回限定版には308ページの特製ブックレットが付属するほか、NSXやMcLaren F1など5車種のプレゼントカーをダウンロードできるプロダクトコードが封入されている。
同梱版の青いPS3
同時にPS3本体とソフトのセット「PlayStation 3 GRAN TURISMO 5 RACING PACK」も数量限定で発売。本体カラーは「タイタニウム・ブルー」。マフラーが熱で焼けた状態をイメージしたというオリジナルカラーだ。
GT5は待望され続けてきたPS3ソフト。今年3月に発売予定だったが延期となり、その影響で昨年度のソニーのゲーム事業が業績の下方修正を迫られたほどの大型タイトルだ。
悪質商法封じ、学生に余波…低利教育ローン中止
りそなホールディングス(HD)傘下の3銀行が、大学などと提携して、通常の教育ローンより低い金利で入学金や学費などの資金を貸す「提携教育ローン」の新規取り扱いをやめたことが18日、明らかになった。
昨年12月に施行された改正割賦販売法が、銀行の提携ローンも規制対象としたことで、新たなシステム投資などの負担を迫られたためだ。悪質商法の抜け道を防ぐための規制強化が、思わぬ形で、大学生らに影響を及ぼしている。
大手行による提携ローンからの撤退が明らかになるのは初めて。
提携ローンは、学校が利子補給や債務保証などをするため、金利を低く抑えることができる仕組みだ。大学側も、入学時などに経済的な不安についての相談があれば、奨学金などのほか、金利が低い提携ローンを紹介するケースが多い。
りそなHD傘下のりそな銀行は、早稲田大、慶応大など約80の大学や、専門学校などと提携し、年3・5%程度と通常より1~1・5%低い金利を設定していた。これまでは年数百人程度のペースで学生側に融資しており、残高がある人は現在約5000人いるという。しかし、6月以降は新規融資を中止した。りそな銀行は代替措置として、入学シーズンなど期間を限定して、通常の教育ローン金利を提携型並みに引き下げて対応すると説明している。
地方銀行にも撤退の動きが広がっている。京都銀行が昨年末に提携教育ローンから撤退し、金利がやや高めの教育ローンに切り替えた。静岡、北洋、群馬銀行なども提携ローンの取り扱いをやめている。一方、三菱東京UFJ銀行などの3メガバンクは提携ローンを継続する方針だが、一部の大学を対象に見直しの動きも出ている。
撤退の動きが広がったのは、改正割販法で銀行の提携ローンも規制対象になったことが背景にある。
銀行は所管の経済産業省に業者として登録し、立ち入り検査も受ける。また、カード・信販会社が加盟する信用情報機関に、融資先のローン残高などを定期的に報告しなければならず、新たなシステム構築に数千万~数億円の費用がかかる場合もある。こうした手続きや負担を避けるため提携ローンをやめたケースが多いとみられる。
◆改正割賦販売法=高額の健康食品などを売りつける悪質商法が社会問題化したことで、信販会社と加盟店との関係などを想定して規制強化された。消費者保護のため規制対象を拡大する条文にした結果、銀行とローンで提携した業者との関係も含まれると解釈されることになった。
ソニーが持ち運び中継システム発売 ドコモの「フォーマ」にも対応
ソニーは18日、小型で持ち運びができる放送用の中継システム「ロケーションポーター」の新機種を10月12日から発売すると発表した。システムは、12カ所からの映像を同時に受信して表示ができる仕組みで、災害現場などでの中継が必要な警察など官公庁や放送局を対象に販売を伸ばしたい考えだ。
システムは、ビデオなどで撮影した映像を送信する「トランスミッター」が約1・5キロの軽さを実現。NTTドコモの携帯電話高速回線「フォーマ」のほか、衛星回線や無線LANにも対応しており、通信環境に応じて送信回線を選択することができる。
一方、受信機側は最大で12カ所からの映像を同時表示することが可能。タッチパネルに対応したソフトを用いており、画面を触るだけで使用する映像を選ぶことができる。受信機側から送信機側にマイクを通して指示を出すこともできる。
ソニーによると、持ち運びできる簡易型の中継システムの購入は、防災や災害対策で現場を訪れる警察などの官公庁が7~8割。テレビなど放送局からの引き合いも多く、今後も需要が伸びるとみており、世界展開も視野に入れる。
自見郵政改革相、郵政事業見直しを米側に説明
【ワシントン=岡田章裕】ワシントンを訪れている自見金融・郵政改革相は17日、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長、ブレイナード財務次官(国際担当)と会談した。
バーナンキ議長とは、銀行に対する自己資本比率規制の在り方や金融規制改革、日米の景気認識などを巡って意見を交わした。
会談後の記者会見で、自見郵政改革相は、ブレイナード財務次官から郵政事業の見直しについて懸念表明があったと述べた。これに対し、自見郵政改革相は、「経営の自主性、競争条件の公平性に力点を置いて制度設計した」などと丁寧に説明したという。
米政府は郵政事業の見直しにより、米国企業など外国の企業が不公平な競争を強いられないか懸念を強めており、ブレイナード次官もこうした米国の立場を改めて強調したとみられる。
新規住宅ローン2割減 4~6月、14年ぶり下げ幅
所得伸び悩み、新築住宅の低迷響く
銀行の住宅ローンが落ち込んでいる。国内銀行の4~6月の新規貸出額は2兆7415億円にとどまり、前年同期比で約20%減った。減少率はおよそ14年ぶりの大きさで、四半期ベースで3兆円を割ったのも10年ぶり。給与所得が伸び悩んでいることや、リーマン・ショック後にマンション建設がストップして物件が少なくなっていることが背景にある。
日銀によると、今年4~6月の新規貸出額の減少率(前年同期比)は1996年10~12月期の41.8%以来の大きさだった。2009年度は前年度比4.6%減の14兆1595億円と9年ぶりの低水準で、4月以降も新規の貸し出しは前年を大きく割り込む水準で推移している。
住宅ローンが低迷している理由の一つが個人所得の伸び悩みだ。厚生労働省の毎月勤労統計調査では、6月の現金給与総額は前年同月比1.8%増えたが、基本給を示す所定内給与は0.2%減で23カ月連続マイナスとなった。サラリーマンの所得が本格回復している状況にはない。
「フラット35」は好調
新築住宅の件数そのものも減っている。国土交通省によると、今年1~6月の新設住宅着工戸数は前年同期比3.8%減の38万1653戸で、65年の集計開始以来、最低だった。4~6月期の住宅投資も前期比1.3%減と2期ぶりに減少している。
2年前のリーマン・ショック前後に住宅関連業者の倒産が相次ぐなど住宅建設がストップしており、その影響で「いま市場に出回っている物件数自体が少ない」(大手銀行)との指摘もある。
都心部を中心に、ごく一部でマンション販売が盛り上がっているところもある。また落ち込む住宅ローンの中でも、住宅金融支援機構との提携による長期固定金利型の「フラット35」は4~6月の申込件数が前年同期比2.7倍の約3万7000件と3四半期連続で最高を更新、全体を下支えしている。
「フラット35」は政府の経済対策の一環で、耐久性や省エネなど一定の条件を満たした優良住宅向けに、今年末までの申し込みを対象に当初10年間の金利を1%下げている。民間金融機関の独自ローンに比べ大幅に低く、大手銀行からは「フラットが伸びた分、自前のローンが苦戦している」との声も聞かれる。
金利競争激しく
景気の減速懸念と設備の過剰感が解消されていないことから、企業の設備投資意欲は乏しく、各金融機関は住宅ローンを新たな収益源とみて新規顧客の獲得に力を入れている。金利競争も激しさを増しており、変動型で年1%前後の金利水準が主流となりつつある。
ただ、実際に住宅ローンは落ち込んでいるため、銀行はだぶついた資金を国債の購入に振り向けているのが実態だ。
高級ブランド品、アジアで稼ぐ 中国シェア5%に迫る
バッグや時計、ジュエリーなど世界の高級品市場でアジア(日本を除く)の重要性が高まっている。米コンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニーによると、世界全体の売上高に占めるアジアの比率は2000年に8.6%だったが、今年は16%に拡大する見通しだ。
なかでも伸びが目立つのが中国で、00年の0.2%から今年は4.8%にまで上昇しそう。中間層の拡大に伴い、都市部だけでなく地方都市でも高級ブランドの人気が高まるなど、購買層のすそ野が広がっているようだ。エルメスやグッチ、ルイ・ヴィトンなど欧州高級品大手は相次ぎ中国での販売体制を強化。海外旅行先で中国人が購入した分を含めれば、さらに中国の比重が増すとみられる。
新興国市場の成長を背景に、今年の世界全体の高級品売上高は前年比4%増の1580億ユーロ(約17兆7000億円)に達する見込み。一方、デフレが続く日本は3%減の予想。バブル期には若い女性らがこぞって高級ブランド品を買い求めるブームが起こったが、主戦場は中国をはじめとする新興国に移りつつある。
【産経主張】中国の軍事力 看過できない異様な増強
米国防総省が公表した中国の軍事動向に関する年次報告の特徴は、急速な軍拡とその意図に対し、「東アジアの軍事均衡を変える主な要因」と強い警戒感を示し、同盟国と連携した対応を呼びかけたことだ。
とりわけ東シナ海、南シナ海の接近阻止能力や小笠原諸島とグアムを結ぶ「第2列島線」に至る海軍力拡大は日本の安全に直結する。到底看過できない。アジア太平洋の安定と秩序を守る観点から、菅直人政権も対中認識を共有し、同盟深化協議などを通じて実効ある行動に踏み出すべきだ。
オバマ政権で初めての昨年(2009年)版報告は、中国の空母建造計画などを踏まえて透明性の欠如に疑問を示していた。
今回はこうした懸念をさらに強め、原潜や空母などへの投資、宇宙・サイバー戦能力、弾道ミサイル増産など、すさまじいともいえる軍拡ぶりを列挙している。
日米が警戒すべきは、台湾海峡を大幅に越えた海軍活動の拡大にあるのはいうまでもない。「中台軍事均衡はすでに中国に有利に展開」しつつあり、米空母を狙える対艦ミサイル配備などに警戒を強めているのは当然だろう。
「南シナ海」の項目を新設したのも特筆される。南沙、西沙諸島などの資源や領有権をめぐる近隣諸国との対立を分析し、空・海軍の遠距離作戦能力確保を通じて「中国は外交的優位の確保や紛争解決の選択肢を増やせる」と警告している点は重要である。
南シナ海に臨む海南島の戦略基地化は、日韓などへの原油の8割が通過する「死活的に重要な国際シーレーン」に対する介入能力を意味することになる。同海域を含む航行の自由は、日米や他の地域諸国にとって絶対に譲れない。この原則を改めて強調したい。
報告は従来「中国の軍事力」と題されていたが、今回から「中国を含む軍事・安全保障動向」と改題された。対中戦略に本腰を入れて取り組む姿勢ならば評価できるが、中国に配慮したのなら問題を残す。報告の公表が半年近く遅れた理由も説明してほしい。
だが最大の問題は、けたはずれの軍拡の意図や目的を中国自身が説明しようとしないことにある。透明性を欠いた軍拡は地域の懸念を高め、誤解や誤算を招きかねない。中国はそうした責任について強く自覚すべきだ。
PR
キヤノン、最先端の生産技術を海外に 円高で見直し
キヤノンは全世界の工場を対象に、競争力を底上げする取り組みを加速する。国内で培った最先端の生産技術を海外工場にも広げるとともに、品目ごとに各工場の生産効率を厳しく点検。国内外のどの工場で生産すれば全体の効率を最も高められるかを探る。円高でも採算悪化を最小限にとどめる収益基盤を確立する。
キヤノンの御手洗冨士夫会長が17日、日本経済新聞記者と会い、明らかにした。「今後も円高が長期間続くと見ており、それを前提に国内外の生産体制を最適化する」との考えを示した。
11月上旬に国内外の生産・販売拠点のトップや幹部を日本に集め、生産体制や品目見直しの協議を開始。年内に具体策を固め、2011年以降、順次実施に移す。
まず各工場で製造原価に占める労務費の比率を品目ごとに算出。御手洗会長は「労務費比率が高い製品に関しては、その工場での生産を打ち切ることも検討する」と強調。おおむね労務費比率10%を境目にし、これを上回る品目の生産をより低コストの工場に移管したり、効率向上への取り組みを強めたりする。
海外工場に広げるのは、キヤノンが磨いてきた少人数で多品種を生産する最先端の生産技術。「(中国など)人海戦術で生産してきた海外拠点に日本の生産方式を展開し、合理化を進める」と表明。世界規模で柔軟に生産品種を切り替えられる体制作りを目指す。国内工場は維持し、最先端の生産技術を生むマザー工場の役割も強める。
具体策は明らかにしなかったが、国内の主力拠点である大分キヤノン(大分県国東市)の生産方式を中国のキヤノン珠海(広東省)に移植し、大分のビデオカメラの一部を生産移管する方向で検討しているもようだ。
キヤノンの生産拠点は関連会社を含め内外で50カ所を超える。輸出比率が比較的高く、10年7~12月期でドルとユーロに対し円が1円高くなるとそれぞれ47億円、27億円の営業減益要因になる。
キヤノン生産体制見直し「多能工、世界で育成」
日立ディスプレイズの子会社化を撤回
キヤノンの御手洗冨士夫会長が世界規模で生産体制を見直す方針を明らかにした。これに関連して、1人の作業員が複数工程をこなす国内の最先端の生産方式を世界に広げるために「海外での多能工育成を加速する」との考えを表明した。また、日立製作所子会社で中小型液晶を手がける日立ディスプレイズを将来的に子会社化する方針を撤回し、ディスプレー事業の戦略を再構築していることも明らかにした。
御手洗会長は5月に日本経団連会長を退いてから、国内14工場と中国の工場を視察し、「生産技術が進歩していることを確認した」と強調した。
キヤノンは作業員1人で複数の工程をこなし、複数の品種を組み立てる「セル生産方式」を強みとしてきた。従来は人手に頼っていたが、自動化機器を組み合わせて、作業人員を半分に減らせる「マシンセル」を開発。デジタルカメラの主力拠点である大分キヤノン(大分県国東市)に導入、ビデオカメラも混流生産できる体制を整えた。
しかし、御手洗会長はマシンセルの競争力については「まだ完成されていない」と指摘。「検査工程の合理化も進めたい」と述べ、国内工場の生産技術を高めながら、海外に順次移管し、世界規模で柔軟な生産体制を築く考えを示した。ただ「国内工場を維持することが前提」とも強調した。
国内方式を海外で展開するためには、複数の品種、複数の工程をこなす多能工の育成が必要。短期間で労働者が会社を移ることが多い中国での人材育成が課題となる。
キヤノンは中国やベトナムなどアジア地域で生産拠点を拡充してきたが、労務費の上昇が課題になっている。単純な作業を低賃金の労働者がこなす大量生産型のラインは、品目ごとに需要が激しく変動する状況では柔軟性を欠き、今後競争力が低下する懸念がある。
一方、日立ディスプレイズは現在、日立製作所が75.1%、キヤノンが24.9%を出資する。2007年12月に資本参加を決めた際に、将来は50%超を出資して子会社化する方針を示していたが、御手洗会長は「当面、出資比率を引き上げる考えはない」として、子会社化の検討を中止したことを明らかにした。
ただ、自社のデジタルカメラに使う液晶ディスプレーの調達先として、「現在の出資比率は維持する」と強調。ディスプレーの共同開発など従来の協力関係は続ける考えを示した。子会社化の方針を撤回した背景には、中小型液晶の価格下落が激しく、連結対象とするリスクが高まったことが背景にあるとみられる。
また、採算が悪化していた半導体製造装置事業に関しては「人員や組織を見直して、収益構造は改善している」と述べた。最先端の製造装置開発についてはオランダのASMLやニコンに先行されているが「次世代機の開発は続ける」と強調。当面は旧世代装置の生産コストの低減と販売拡大で利益を確保し、装置開発に回す考えだ。
定額制聴き放題・カラオケ、音楽配信各社が携帯向け強化
音楽配信各社が携帯電話向けサービスを拡充する。「着うた」サイトなどを運営するエムティーアイ(MTI)は高機能携帯電話(スマートフォン)向けに定額制聴き放題を導入する。ユニバーサルミュージックはカラオケが楽しめる配信曲数を約2倍に増やす。音楽配信市場は昨年から成長が鈍化しており、テコ入れを急ぐ。
現行の音楽配信サービスはスマートフォンを含め購入型が中心。MTIは今冬にも月額定額制のストリーミング(逐次再生)方式の提供を始める。利用者が聴きたい楽曲のリストを作り、好きな時に再生できる。スマートフォンでは初のサービスとなり、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したNTTドコモの端末で利用できる。数百曲以上を配信し、価格は月額1000円前後とみられる。
8月下旬には曲の再生中に歌詞を表示するサービスも提供する。歌詞配信サービスのシンクパワー(東京・千代田)からデータを受け取る。通常の携帯向けにも同種のサービスを9月末に導入する予定だ。ストリーミング方式の導入は、携帯向け音楽配信最大手のレコチョク(東京・渋谷)も検討している。
ユニバーサルは今春から始めたカラオケ配信サービス「カラ・フル」の曲数をほぼ倍増させる。通常の携帯端末に対応したサービスで、年内に60曲から100曲以上を配信する。歌手の歌声がなく簡易に作られた着メロと異なり、マスター音源を使ってカラオケ用を作成。邦楽・洋楽の定番から新作まで1曲丸ごと歌える。30~40代のカラオケファンの購入を促す。
2008年まで年率2ケタ増で伸びてきた音楽配信市場は減速傾向にある。09年の販売額は前年比横ばいの約909億円にとどまった。10年1~3月の販売額は前年同期比2%減、4~6月も前年同期並みとなった見通しだ。
携帯3社、4~6月データ通信収入 ソフトバンク20%増
携帯大手3社のデータ通信収入の成長力に格差が出てきた。スマートフォン(高機能携帯電話)の戦略の違いが背景にあり、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」を擁するソフトバンクが好調な半面、商品投入で出遅れたKDDIの苦戦が目立つ。NTTドコモには巻き返しの兆しがあり、足元で株価が堅調に推移する。成長分野であるデータ通信の好不調が株価や業績を左右する構図が続きそうだ。
データ通信の指標となる契約当たり月間収入(ARPU)は4~6月(2011年3月期第1四半期、ひと月あたり平均)、ソフトバンクが前年同期に比べ20%増となった。一方、NTTドコモは3%、KDDIは2%の伸びにとどまった。
これが音声も含めた全体の通信料収入の動向も左右。ソフトバンクは4~6月期、通信料収入が3075億円と前年同期比14%増加した一方、NTTドコモは2%減の8642億円、KDDIは5%減の4867億円だった。営業利益もソフトバンクが増益、他の2社は減益となった。
ただ、ドコモには復調の兆しも出ている。矢継ぎ早にスマートフォンの機種を拡充していることに加え、従来型の「iモード」でも、中高年層の需要を掘り起こしているためだ。同社は11年3月期通期にデータ通信で2560円のARPUを目標にしているが、4~6月期の時点で2510円まで上昇。また、4~6月期は6月末にかけ、尻上がりにARPUが上昇したもようだ。
KDDIは苦戦が続きそうだ。4~7月の契約件数の純増数は27万件とソフトバンクの3分の1弱で、ドコモとの比較でも半分弱にとどまっている。スマートフォンの品ぞろえで出遅れたことで、従来型方式のデータ通信のヘビーユーザー層も、他社のスマートフォンに一部流出している影響もあるとみられる。
株価もこうしたデータ通信の攻防を反映。年初来の株価騰落率ではソフトバンクとドコモが11%の上昇となる半面、KDDIは14%安と低迷している。なかでもドコモはデータ通信の底上げ期待を背景に、7月29日の4~6月期決算発表以降、5%上昇した。
弱点克服 ドコモ冬商戦 打倒iPhone、メール機能改善
携帯電話最大手のNTTドコモが、急成長するスマートフォン(高機能携帯電話)市場でのソフトバンクモバイルの独走に歯止めをかけようと、本格的に市場攻略のカードを切り始めた。今月4日に東京・有楽町にスマートフォン専用のショールームを開設したのを手始めに、9月には既存のドコモユーザーのスマートフォン需要を取り込む“切り札”も用意し、下期の「冬モデル商戦」で新機種の大量攻勢をかける。アップル製の「iPhone(アイフォーン)」で市場を席巻するソフトバンクの牙城に、ドコモがどこまで迫れるか。勝負の行方は携帯電話市場全体の勢力図にも大きく影響しそうだ。
◆7機種一挙投入
「最大の懸念はもう消えた」。下期の市場攻勢に向けた準備に忙しいNTTドコモのスマートフォン事業推進室では、木戸博也事業企画担当部長がこう話し、冬モデル商戦に自信をみせる。木戸氏の強気の理由は、スマートフォン向けに9月から提供が始まる新ネット接続サービス「spモード」の存在だ。spモードはドコモ独自の「iモード」の携帯メールアドレスをスマートフォンでもそのまま継続利用できるようにするサービスで、ドコモの携帯電話ユーザーにとってスマートフォンへの機種変更のハードルが大きく下がる。
ドコモは4月に、アイフォーンの対抗製品として英ソニー・エリクソン製の「エクスペリア」を鳴り物入りで発売。3週間で10万台を販売し、ソフトバンクの独走にストップをかけたかにみえた。だが7月末までのエクスペリアの累計販売台数は約35万台とみられ、当初の勢いは失速している。アイフォーンでも従来契約の携帯メールアドレスを利用できるソフトバンクに対し、アドレス変更を迫られるドコモのスマートフォンを携帯ユーザーが敬遠したためだ。しかし、その弱点がspモードの導入で解消する。
ドコモはこの切り札に続き、10月以降に投入する「冬モデル」の携帯新商品で、携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」が視聴できるタイプや、タブレット型などスマートフォン7機種を一挙にラインアップし、既存契約者の買い替えニーズを含めたスマートフォン需要の一網打尽を狙っている。
◆出荷台数300万台
調査会社のMM総研によると、2010年度のスマートフォン出荷台数は前年度比28%増の300万台に拡大する見通し。アイフォーンが好調なソフトバンクは、スマートフォンのデータ通信収入の拡大で、4~6月期の契約当たりの月間平均収入(ARPU)が携帯大手3社の中で唯一、前年同期比プラスになるなど成長市場の果実を独り占めしている。しかもソフトバンクは7月の携帯契約純増数でも、番号継続制度でドコモとKDDIの転出分の7万件超を丸ごと獲得。その中身は「アイフォーン4への乗り換えが多かった」(広報室)と、スマートフォンの成功効果は携帯電話市場全体の競争優位に及んでいる。
ただ「12年度にスマートフォン市場でシェア50%」(山田隆持社長)を狙うドコモの攻勢の成否によっては、携帯市場の勢力図は塗り変わるかもしれない。
総務省、インフラ事業者内定見送り 携帯向け新放送
総務省は17日、2012年春にも始まる携帯端末向け新放送の基地局をつくるインフラ事業者の内定を見送り、電波監理審議会(総務相の諮問機関)に決定を求めた。同事業者を巡っては、NTTドコモ陣営とKDDI陣営が1枠を競っている。民主党などから選定過程について異論が出るなど審議が難航していたため、電監審に判断を委ねることにした。
総務省が事前に案を固めずに、電監審に決定そのものを求めるのは初めて。08年の電波法改正で事前に事業者を決めずに諮問することが可能になった。電監審の原島博会長(東大名誉教授)は17日夕の記者会見で「非常に重要な諮問。国民の目から見て、公明正大に結論を出していく」と語った。必要なら事業者から改めて説明を聞き、慎重に審議する方針だ。
原口一博総務相は8月半ばに事業者を選ぶ意向を示していた。総務省はこの間に公開ヒアリングを開くなど、通常より念入りに審査を実施してきた。ただ、両陣営がそれぞれの優位性を主張しあい、決定が難航。8月上旬には民主党から「事業者を2社にできないか」といった意見が出るなど、大詰めで混迷の様相をみせていた。
原島会長は1社を選ぶことが原則だと強調したうえで、「できるだけ早く決めたい」と語った。両陣営が採用する技術方式が違うため、決定が遅れれば、サービス開始や端末の開発に影響しかねない。通信機器メーカーからは「投資計画が策定できない」といった不満も上がっている。
携帯端末向け新放送は2011年7月に終了するテレビのアナログ放送の周波数帯を使って提供する。携帯電話のワンセグ放送より大量の情報を流すことができ、放送と通信を融合したサービスが想定されている。
セブン-イレブンが来春めどにスイカなど交通系電子マネー導入
セブン&アイ・ホールディングスとJR四国・JR貨物を除くJR5社、京急電鉄は17日、スイカやイコカ、パスモといった各鉄道会社の電子マネーサービスを、各地区のセブン-イレブンの店舗に来春をめどに導入することで合意したと発表した。セブン-イレブンの電子マネー導入は他のコンビニに比べ、遅れていたが、来春以降は全国の約1万3000店舗で交通系電子マネーでの支払いやチャージ(入金)ができるようになり、顧客の利便性のアップや決済時間の短縮といった効果が期待できる。
ベスト電器子会社、台湾の家電量販店と提携
家電量販大手のベスト電器(福岡市)は17日、同社の子会社で、台湾の現地企業との合弁会社「台湾ベスト社」が、台湾南部の高雄市にある家電量販店の株式を約7割取得し、業務・資本提携することで合意したと発表した。
株式は今年中に取得する予定だが、詳しい時期や購入株式数は今後の協議で決める予定。
台湾ベスト社はすでに、台湾北部を中心に13店舗展開している。南部を中心に展開する現地企業と提携することで、台湾での新規出店を強化し、仕入れの一本化などでコスト削減を図るのが狙い。
日中貿易総額、過去最高…2010年上半期
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、2010年上半期(1~6月)の日本と中国の輸出入を合わせた貿易総額(ドルベース)が前年同期比34・5%増の1383億7395万ドル(約11兆8000億円)と、半期ベースで過去最高となった。
日本からの輸出は、47・1%増の684億2967万ドルと過去最高、中国からの輸入は24・2%増の699億4428万ドルだった。
中国政府による大型の景気対策によって、建設用・鉱山用機械や部品、自動車が大幅に伸びた。上海万博の影響でデジタルカメラやビデオカメラなどの輸出も好調だった。
一方、中国からは、液晶テレビなどの家電製品や、原材料であるアルミニウムやマグネシウムなど非鉄金属などが伸びた。
ジェトロの真家陽一・中国北アジア課長は、「下半期も貿易額は増加基調にあり、2010年の日中貿易額は、過去最高の08年を更新する可能性が高い」と分析している。
カード・信販会社、ネット事業者向け決済代行を拡充
クレジットカード・信販各社がインターネット事業者向けの決済代行事業を強化する。セディナはネット上で口座振替手続きを完了させるサービスを拡充。アプラスは紙の請求書を使わずに、消費者に即時に支払いを請求できるサービスを始めた。キャッシングなど既存事業の環境が厳しい中、成長分野であるネット決済を取り込み新たな収益源に育てる考えだ。
セディナは今秋、紙の申込書を郵送せずに、専用サイトに口座番号などの情報を入力すれば口座振込を申し込めるサービスを拡充する。これまで2行だった取扱金融機関をみずほ銀行など8行に拡大したうえで、契約したネット事業者が受け付け状況などをリアルタイムで把握できる管理システムを導入する。
口座振替の需要が多いネットスーパーやネット経由での保険販売などの利用を見込み、来年3月末までに30社との契約を目指す。ジャックスもサイト上で口座振替を申し込むサービスを始めた。
アプラスは8月に代金の振り込みやコンビニでの支払いを希望する消費者に対して請求書の代わりに「支払キー」と呼ぶ番号を通知するサービスを始めた。消費者がネット銀行のサイトやコンビニの端末に番号を入力すれば、請求金額などの情報が表示されて振り込みができる。請求書を発送する必要がなくなるため、早期回収や経費削減につながるとして売り込む。
カード・信販業界では今年6月に完全施行された改正貸金業法の影響を受け、キャッシング事業の縮小を余儀なくされている。消費が低調なため本業の信用販売なども低迷しており、新たな収益源を模索している。
【ウォールストリートジャーナル社説】ジャパン・アズ・ナンバースリー
若い読者にとっては信じ難いことかもしれない。ほんの20年前、米国の政界と学界は、日本を躍進する経済大国とみなしていた。ハーバード大学の学者、エズラ・ボーゲル氏の著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は広く読まれ、メディアは、日本は戦争で米国に敗北を喫したが経済では米国に勝利を収めた、と報じた。
中国の国内総生産(GDP)が日本を上回り、世界2位の経済大国となったとのニュースは、こうした見方を皮肉に変えた。この出来事は一世代前には想像すらできなかった。それでも、日本の1人当たりGDPと生活水準は中国を大きく引き離す。
しかし、チャートが示しているように、両国の成長トレンドに開きがあるのは否定できない。1990年から2009年までの中国の年間成長率はほぼ10%だ。これに対し、日本は高度経済成長の後、成長率が2%を大きく下回る水準まで著しく低下した。一方は貧困から急速に抜け出した。もう一方が陥ったのは、よく言って繁栄を維持しながらのスタグネーションだ。
アジアにおける形勢逆転の理由と、これが持つ意味合いを考えたい。明らかな教訓は、国家の豊かさは生得権ではないということだ。国民の才能を解き放つ健全な経済政策を通じて国家は毎年、繁栄を重ねていく。
中国にとっての突破口は、小平氏による1978年の改革開放経済政策の導入だった。当初は農業、後にそのほかの産業が開かれ、中国は格段に企業家精神に富んだ国になった。08年の本紙のリポートにあるように、GDPに政府が占める割合は78年の31%から2000年代初めに約11%に縮小した。中国は一方的に関税を引き下げ、世界貿易機関(WTO)に加盟し、国有企業を改革して競争にさらした。そして、こうした政策がもたらす成長モメンタムの影響を引き続き享受している。
一方、日本は反対の方向に動いている。本紙は84年、「ジャパン・アズ・ナンバー・トゥエンティワン」との見出しの社説を掲載した。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、日本は政府歳入のGDP比が27%と加盟23カ国中、21番目で、歳出のGDP比は26%と最下位だった。しかし、もはやそうではない。日本は消費税を導入し、歳出のGDP比は40%に近い。
不動産と株式バブルが崩壊した90年、世界的に最も長期にわたり、最も高コストのケインズ主義政策に日本は乗り出した。この政策は、日本の債務をGDPのほぼ200%に押し上げたが、成長にほとんど貢献していない。また、日本は自国の政府支援企業である郵政改革にも失敗した。
訪問客にとって日本は依然として裕福な国に見えるだろう。しかし、相対的な凋落は著しい。ヘリテージ財団のデレク・シザーズ氏によると、日本の個人所得は今では世界の40位付近だ。日本人の平均所得は(米国で最も貧しい)ミシシッピ州の住民よりも少ない。失われた世代が事態を悪化させている。
単なる政策のみならず、国家の意思にも開きがある。日本人は第二次世界大戦での敗北の後、躍起になって復興に取り組んだ。日本の社会的一体性と企業の内部統制は、世界でも最も優れた企業を作り出した。こうした日本企業は現在でも世界の健全性に一役買っている。
現在、日本の人口は高齢化している。老齢人口が多くなれば、リスクを回避する傾向が強まる。米国やオーストラリアと異なり、若年労働者の供給源である移民を日本は歓迎していない。日本の政治システムは、持続的な成長を目指す経済政策に回帰する能力がないようだ。
中国は今日、より力強く自信に満ちた国家だ。国民は失われた数世紀を取り戻そうと努力し、地域大国として再び主張を始めた。中国は(一人っ子政策のせいで)高齢化の問題に直面しているが、農村部から都市部に向かう数千万人の出稼ぎ労働者が若い労働力を提供している。
問題は、中国が一党独裁の限界に突き当たるなか、素晴らしい成長を維持することが可能であるかどうかだ。金融危機が米国型経済モデルを傷つけるなか、中国は「国家主導型」の世界企業を追求している。
中国通で知られるコンサルタント会社APCOワールドワイドのジェームズ・マグレガー氏は米商工会議所の最近のリポートで、中国は主要7地域において国内企業を競争から保護する政策を打ち出し、市場経済からの離脱を図っている、と指摘。これにより、国内で効率性と革新性が後退するとともに、世界各国で反感が芽生える可能性がある、との見方を示した。政治主導の資本は一時は花を咲かせるが、市場規律の欠落により衰退を余儀なくされることは目に見えている。
それでも、中国の経済面での躍進は世界の繁栄に寄与している。日本の戦後の復興時と同様だ。対照的に、日本の20年間のスタグネーションは日本人のみならず世界にとっても悲劇だった。世界の繁栄はゼロサムゲームでない。各国が貢献することが大切だ。
米国民にとっての朗報は、他国の順位に変動があっても、少なくとも08年までは米国のGDPの順位は不動であったことだ。中国は躍進しているが、米国の経済規模はこれを凌駕する。日本と同じ政策の過ちを犯し、日本の運命をたどることを米国は避けねばならない。
キヤノンは全世界の工場を対象に、競争力を底上げする取り組みを加速する。国内で培った最先端の生産技術を海外工場にも広げるとともに、品目ごとに各工場の生産効率を厳しく点検。国内外のどの工場で生産すれば全体の効率を最も高められるかを探る。円高でも採算悪化を最小限にとどめる収益基盤を確立する。
キヤノンの御手洗冨士夫会長が17日、日本経済新聞記者と会い、明らかにした。「今後も円高が長期間続くと見ており、それを前提に国内外の生産体制を最適化する」との考えを示した。
11月上旬に国内外の生産・販売拠点のトップや幹部を日本に集め、生産体制や品目見直しの協議を開始。年内に具体策を固め、2011年以降、順次実施に移す。
まず各工場で製造原価に占める労務費の比率を品目ごとに算出。御手洗会長は「労務費比率が高い製品に関しては、その工場での生産を打ち切ることも検討する」と強調。おおむね労務費比率10%を境目にし、これを上回る品目の生産をより低コストの工場に移管したり、効率向上への取り組みを強めたりする。
海外工場に広げるのは、キヤノンが磨いてきた少人数で多品種を生産する最先端の生産技術。「(中国など)人海戦術で生産してきた海外拠点に日本の生産方式を展開し、合理化を進める」と表明。世界規模で柔軟に生産品種を切り替えられる体制作りを目指す。国内工場は維持し、最先端の生産技術を生むマザー工場の役割も強める。
具体策は明らかにしなかったが、国内の主力拠点である大分キヤノン(大分県国東市)の生産方式を中国のキヤノン珠海(広東省)に移植し、大分のビデオカメラの一部を生産移管する方向で検討しているもようだ。
キヤノンの生産拠点は関連会社を含め内外で50カ所を超える。輸出比率が比較的高く、10年7~12月期でドルとユーロに対し円が1円高くなるとそれぞれ47億円、27億円の営業減益要因になる。
キヤノン生産体制見直し「多能工、世界で育成」
日立ディスプレイズの子会社化を撤回
キヤノンの御手洗冨士夫会長が世界規模で生産体制を見直す方針を明らかにした。これに関連して、1人の作業員が複数工程をこなす国内の最先端の生産方式を世界に広げるために「海外での多能工育成を加速する」との考えを表明した。また、日立製作所子会社で中小型液晶を手がける日立ディスプレイズを将来的に子会社化する方針を撤回し、ディスプレー事業の戦略を再構築していることも明らかにした。
御手洗会長は5月に日本経団連会長を退いてから、国内14工場と中国の工場を視察し、「生産技術が進歩していることを確認した」と強調した。
キヤノンは作業員1人で複数の工程をこなし、複数の品種を組み立てる「セル生産方式」を強みとしてきた。従来は人手に頼っていたが、自動化機器を組み合わせて、作業人員を半分に減らせる「マシンセル」を開発。デジタルカメラの主力拠点である大分キヤノン(大分県国東市)に導入、ビデオカメラも混流生産できる体制を整えた。
しかし、御手洗会長はマシンセルの競争力については「まだ完成されていない」と指摘。「検査工程の合理化も進めたい」と述べ、国内工場の生産技術を高めながら、海外に順次移管し、世界規模で柔軟な生産体制を築く考えを示した。ただ「国内工場を維持することが前提」とも強調した。
国内方式を海外で展開するためには、複数の品種、複数の工程をこなす多能工の育成が必要。短期間で労働者が会社を移ることが多い中国での人材育成が課題となる。
キヤノンは中国やベトナムなどアジア地域で生産拠点を拡充してきたが、労務費の上昇が課題になっている。単純な作業を低賃金の労働者がこなす大量生産型のラインは、品目ごとに需要が激しく変動する状況では柔軟性を欠き、今後競争力が低下する懸念がある。
一方、日立ディスプレイズは現在、日立製作所が75.1%、キヤノンが24.9%を出資する。2007年12月に資本参加を決めた際に、将来は50%超を出資して子会社化する方針を示していたが、御手洗会長は「当面、出資比率を引き上げる考えはない」として、子会社化の検討を中止したことを明らかにした。
ただ、自社のデジタルカメラに使う液晶ディスプレーの調達先として、「現在の出資比率は維持する」と強調。ディスプレーの共同開発など従来の協力関係は続ける考えを示した。子会社化の方針を撤回した背景には、中小型液晶の価格下落が激しく、連結対象とするリスクが高まったことが背景にあるとみられる。
また、採算が悪化していた半導体製造装置事業に関しては「人員や組織を見直して、収益構造は改善している」と述べた。最先端の製造装置開発についてはオランダのASMLやニコンに先行されているが「次世代機の開発は続ける」と強調。当面は旧世代装置の生産コストの低減と販売拡大で利益を確保し、装置開発に回す考えだ。
定額制聴き放題・カラオケ、音楽配信各社が携帯向け強化
音楽配信各社が携帯電話向けサービスを拡充する。「着うた」サイトなどを運営するエムティーアイ(MTI)は高機能携帯電話(スマートフォン)向けに定額制聴き放題を導入する。ユニバーサルミュージックはカラオケが楽しめる配信曲数を約2倍に増やす。音楽配信市場は昨年から成長が鈍化しており、テコ入れを急ぐ。
現行の音楽配信サービスはスマートフォンを含め購入型が中心。MTIは今冬にも月額定額制のストリーミング(逐次再生)方式の提供を始める。利用者が聴きたい楽曲のリストを作り、好きな時に再生できる。スマートフォンでは初のサービスとなり、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したNTTドコモの端末で利用できる。数百曲以上を配信し、価格は月額1000円前後とみられる。
8月下旬には曲の再生中に歌詞を表示するサービスも提供する。歌詞配信サービスのシンクパワー(東京・千代田)からデータを受け取る。通常の携帯向けにも同種のサービスを9月末に導入する予定だ。ストリーミング方式の導入は、携帯向け音楽配信最大手のレコチョク(東京・渋谷)も検討している。
ユニバーサルは今春から始めたカラオケ配信サービス「カラ・フル」の曲数をほぼ倍増させる。通常の携帯端末に対応したサービスで、年内に60曲から100曲以上を配信する。歌手の歌声がなく簡易に作られた着メロと異なり、マスター音源を使ってカラオケ用を作成。邦楽・洋楽の定番から新作まで1曲丸ごと歌える。30~40代のカラオケファンの購入を促す。
2008年まで年率2ケタ増で伸びてきた音楽配信市場は減速傾向にある。09年の販売額は前年比横ばいの約909億円にとどまった。10年1~3月の販売額は前年同期比2%減、4~6月も前年同期並みとなった見通しだ。
携帯3社、4~6月データ通信収入 ソフトバンク20%増
携帯大手3社のデータ通信収入の成長力に格差が出てきた。スマートフォン(高機能携帯電話)の戦略の違いが背景にあり、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」を擁するソフトバンクが好調な半面、商品投入で出遅れたKDDIの苦戦が目立つ。NTTドコモには巻き返しの兆しがあり、足元で株価が堅調に推移する。成長分野であるデータ通信の好不調が株価や業績を左右する構図が続きそうだ。
データ通信の指標となる契約当たり月間収入(ARPU)は4~6月(2011年3月期第1四半期、ひと月あたり平均)、ソフトバンクが前年同期に比べ20%増となった。一方、NTTドコモは3%、KDDIは2%の伸びにとどまった。
これが音声も含めた全体の通信料収入の動向も左右。ソフトバンクは4~6月期、通信料収入が3075億円と前年同期比14%増加した一方、NTTドコモは2%減の8642億円、KDDIは5%減の4867億円だった。営業利益もソフトバンクが増益、他の2社は減益となった。
ただ、ドコモには復調の兆しも出ている。矢継ぎ早にスマートフォンの機種を拡充していることに加え、従来型の「iモード」でも、中高年層の需要を掘り起こしているためだ。同社は11年3月期通期にデータ通信で2560円のARPUを目標にしているが、4~6月期の時点で2510円まで上昇。また、4~6月期は6月末にかけ、尻上がりにARPUが上昇したもようだ。
KDDIは苦戦が続きそうだ。4~7月の契約件数の純増数は27万件とソフトバンクの3分の1弱で、ドコモとの比較でも半分弱にとどまっている。スマートフォンの品ぞろえで出遅れたことで、従来型方式のデータ通信のヘビーユーザー層も、他社のスマートフォンに一部流出している影響もあるとみられる。
株価もこうしたデータ通信の攻防を反映。年初来の株価騰落率ではソフトバンクとドコモが11%の上昇となる半面、KDDIは14%安と低迷している。なかでもドコモはデータ通信の底上げ期待を背景に、7月29日の4~6月期決算発表以降、5%上昇した。
弱点克服 ドコモ冬商戦 打倒iPhone、メール機能改善
携帯電話最大手のNTTドコモが、急成長するスマートフォン(高機能携帯電話)市場でのソフトバンクモバイルの独走に歯止めをかけようと、本格的に市場攻略のカードを切り始めた。今月4日に東京・有楽町にスマートフォン専用のショールームを開設したのを手始めに、9月には既存のドコモユーザーのスマートフォン需要を取り込む“切り札”も用意し、下期の「冬モデル商戦」で新機種の大量攻勢をかける。アップル製の「iPhone(アイフォーン)」で市場を席巻するソフトバンクの牙城に、ドコモがどこまで迫れるか。勝負の行方は携帯電話市場全体の勢力図にも大きく影響しそうだ。
◆7機種一挙投入
「最大の懸念はもう消えた」。下期の市場攻勢に向けた準備に忙しいNTTドコモのスマートフォン事業推進室では、木戸博也事業企画担当部長がこう話し、冬モデル商戦に自信をみせる。木戸氏の強気の理由は、スマートフォン向けに9月から提供が始まる新ネット接続サービス「spモード」の存在だ。spモードはドコモ独自の「iモード」の携帯メールアドレスをスマートフォンでもそのまま継続利用できるようにするサービスで、ドコモの携帯電話ユーザーにとってスマートフォンへの機種変更のハードルが大きく下がる。
ドコモは4月に、アイフォーンの対抗製品として英ソニー・エリクソン製の「エクスペリア」を鳴り物入りで発売。3週間で10万台を販売し、ソフトバンクの独走にストップをかけたかにみえた。だが7月末までのエクスペリアの累計販売台数は約35万台とみられ、当初の勢いは失速している。アイフォーンでも従来契約の携帯メールアドレスを利用できるソフトバンクに対し、アドレス変更を迫られるドコモのスマートフォンを携帯ユーザーが敬遠したためだ。しかし、その弱点がspモードの導入で解消する。
ドコモはこの切り札に続き、10月以降に投入する「冬モデル」の携帯新商品で、携帯端末向け地上デジタル放送「ワンセグ」が視聴できるタイプや、タブレット型などスマートフォン7機種を一挙にラインアップし、既存契約者の買い替えニーズを含めたスマートフォン需要の一網打尽を狙っている。
◆出荷台数300万台
調査会社のMM総研によると、2010年度のスマートフォン出荷台数は前年度比28%増の300万台に拡大する見通し。アイフォーンが好調なソフトバンクは、スマートフォンのデータ通信収入の拡大で、4~6月期の契約当たりの月間平均収入(ARPU)が携帯大手3社の中で唯一、前年同期比プラスになるなど成長市場の果実を独り占めしている。しかもソフトバンクは7月の携帯契約純増数でも、番号継続制度でドコモとKDDIの転出分の7万件超を丸ごと獲得。その中身は「アイフォーン4への乗り換えが多かった」(広報室)と、スマートフォンの成功効果は携帯電話市場全体の競争優位に及んでいる。
ただ「12年度にスマートフォン市場でシェア50%」(山田隆持社長)を狙うドコモの攻勢の成否によっては、携帯市場の勢力図は塗り変わるかもしれない。
総務省、インフラ事業者内定見送り 携帯向け新放送
総務省は17日、2012年春にも始まる携帯端末向け新放送の基地局をつくるインフラ事業者の内定を見送り、電波監理審議会(総務相の諮問機関)に決定を求めた。同事業者を巡っては、NTTドコモ陣営とKDDI陣営が1枠を競っている。民主党などから選定過程について異論が出るなど審議が難航していたため、電監審に判断を委ねることにした。
総務省が事前に案を固めずに、電監審に決定そのものを求めるのは初めて。08年の電波法改正で事前に事業者を決めずに諮問することが可能になった。電監審の原島博会長(東大名誉教授)は17日夕の記者会見で「非常に重要な諮問。国民の目から見て、公明正大に結論を出していく」と語った。必要なら事業者から改めて説明を聞き、慎重に審議する方針だ。
原口一博総務相は8月半ばに事業者を選ぶ意向を示していた。総務省はこの間に公開ヒアリングを開くなど、通常より念入りに審査を実施してきた。ただ、両陣営がそれぞれの優位性を主張しあい、決定が難航。8月上旬には民主党から「事業者を2社にできないか」といった意見が出るなど、大詰めで混迷の様相をみせていた。
原島会長は1社を選ぶことが原則だと強調したうえで、「できるだけ早く決めたい」と語った。両陣営が採用する技術方式が違うため、決定が遅れれば、サービス開始や端末の開発に影響しかねない。通信機器メーカーからは「投資計画が策定できない」といった不満も上がっている。
携帯端末向け新放送は2011年7月に終了するテレビのアナログ放送の周波数帯を使って提供する。携帯電話のワンセグ放送より大量の情報を流すことができ、放送と通信を融合したサービスが想定されている。
セブン-イレブンが来春めどにスイカなど交通系電子マネー導入
セブン&アイ・ホールディングスとJR四国・JR貨物を除くJR5社、京急電鉄は17日、スイカやイコカ、パスモといった各鉄道会社の電子マネーサービスを、各地区のセブン-イレブンの店舗に来春をめどに導入することで合意したと発表した。セブン-イレブンの電子マネー導入は他のコンビニに比べ、遅れていたが、来春以降は全国の約1万3000店舗で交通系電子マネーでの支払いやチャージ(入金)ができるようになり、顧客の利便性のアップや決済時間の短縮といった効果が期待できる。
ベスト電器子会社、台湾の家電量販店と提携
家電量販大手のベスト電器(福岡市)は17日、同社の子会社で、台湾の現地企業との合弁会社「台湾ベスト社」が、台湾南部の高雄市にある家電量販店の株式を約7割取得し、業務・資本提携することで合意したと発表した。
株式は今年中に取得する予定だが、詳しい時期や購入株式数は今後の協議で決める予定。
台湾ベスト社はすでに、台湾北部を中心に13店舗展開している。南部を中心に展開する現地企業と提携することで、台湾での新規出店を強化し、仕入れの一本化などでコスト削減を図るのが狙い。
日中貿易総額、過去最高…2010年上半期
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、2010年上半期(1~6月)の日本と中国の輸出入を合わせた貿易総額(ドルベース)が前年同期比34・5%増の1383億7395万ドル(約11兆8000億円)と、半期ベースで過去最高となった。
日本からの輸出は、47・1%増の684億2967万ドルと過去最高、中国からの輸入は24・2%増の699億4428万ドルだった。
中国政府による大型の景気対策によって、建設用・鉱山用機械や部品、自動車が大幅に伸びた。上海万博の影響でデジタルカメラやビデオカメラなどの輸出も好調だった。
一方、中国からは、液晶テレビなどの家電製品や、原材料であるアルミニウムやマグネシウムなど非鉄金属などが伸びた。
ジェトロの真家陽一・中国北アジア課長は、「下半期も貿易額は増加基調にあり、2010年の日中貿易額は、過去最高の08年を更新する可能性が高い」と分析している。
カード・信販会社、ネット事業者向け決済代行を拡充
クレジットカード・信販各社がインターネット事業者向けの決済代行事業を強化する。セディナはネット上で口座振替手続きを完了させるサービスを拡充。アプラスは紙の請求書を使わずに、消費者に即時に支払いを請求できるサービスを始めた。キャッシングなど既存事業の環境が厳しい中、成長分野であるネット決済を取り込み新たな収益源に育てる考えだ。
セディナは今秋、紙の申込書を郵送せずに、専用サイトに口座番号などの情報を入力すれば口座振込を申し込めるサービスを拡充する。これまで2行だった取扱金融機関をみずほ銀行など8行に拡大したうえで、契約したネット事業者が受け付け状況などをリアルタイムで把握できる管理システムを導入する。
口座振替の需要が多いネットスーパーやネット経由での保険販売などの利用を見込み、来年3月末までに30社との契約を目指す。ジャックスもサイト上で口座振替を申し込むサービスを始めた。
アプラスは8月に代金の振り込みやコンビニでの支払いを希望する消費者に対して請求書の代わりに「支払キー」と呼ぶ番号を通知するサービスを始めた。消費者がネット銀行のサイトやコンビニの端末に番号を入力すれば、請求金額などの情報が表示されて振り込みができる。請求書を発送する必要がなくなるため、早期回収や経費削減につながるとして売り込む。
カード・信販業界では今年6月に完全施行された改正貸金業法の影響を受け、キャッシング事業の縮小を余儀なくされている。消費が低調なため本業の信用販売なども低迷しており、新たな収益源を模索している。
【ウォールストリートジャーナル社説】ジャパン・アズ・ナンバースリー
若い読者にとっては信じ難いことかもしれない。ほんの20年前、米国の政界と学界は、日本を躍進する経済大国とみなしていた。ハーバード大学の学者、エズラ・ボーゲル氏の著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は広く読まれ、メディアは、日本は戦争で米国に敗北を喫したが経済では米国に勝利を収めた、と報じた。
中国の国内総生産(GDP)が日本を上回り、世界2位の経済大国となったとのニュースは、こうした見方を皮肉に変えた。この出来事は一世代前には想像すらできなかった。それでも、日本の1人当たりGDPと生活水準は中国を大きく引き離す。
しかし、チャートが示しているように、両国の成長トレンドに開きがあるのは否定できない。1990年から2009年までの中国の年間成長率はほぼ10%だ。これに対し、日本は高度経済成長の後、成長率が2%を大きく下回る水準まで著しく低下した。一方は貧困から急速に抜け出した。もう一方が陥ったのは、よく言って繁栄を維持しながらのスタグネーションだ。
アジアにおける形勢逆転の理由と、これが持つ意味合いを考えたい。明らかな教訓は、国家の豊かさは生得権ではないということだ。国民の才能を解き放つ健全な経済政策を通じて国家は毎年、繁栄を重ねていく。
中国にとっての突破口は、小平氏による1978年の改革開放経済政策の導入だった。当初は農業、後にそのほかの産業が開かれ、中国は格段に企業家精神に富んだ国になった。08年の本紙のリポートにあるように、GDPに政府が占める割合は78年の31%から2000年代初めに約11%に縮小した。中国は一方的に関税を引き下げ、世界貿易機関(WTO)に加盟し、国有企業を改革して競争にさらした。そして、こうした政策がもたらす成長モメンタムの影響を引き続き享受している。
一方、日本は反対の方向に動いている。本紙は84年、「ジャパン・アズ・ナンバー・トゥエンティワン」との見出しの社説を掲載した。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、日本は政府歳入のGDP比が27%と加盟23カ国中、21番目で、歳出のGDP比は26%と最下位だった。しかし、もはやそうではない。日本は消費税を導入し、歳出のGDP比は40%に近い。
不動産と株式バブルが崩壊した90年、世界的に最も長期にわたり、最も高コストのケインズ主義政策に日本は乗り出した。この政策は、日本の債務をGDPのほぼ200%に押し上げたが、成長にほとんど貢献していない。また、日本は自国の政府支援企業である郵政改革にも失敗した。
訪問客にとって日本は依然として裕福な国に見えるだろう。しかし、相対的な凋落は著しい。ヘリテージ財団のデレク・シザーズ氏によると、日本の個人所得は今では世界の40位付近だ。日本人の平均所得は(米国で最も貧しい)ミシシッピ州の住民よりも少ない。失われた世代が事態を悪化させている。
単なる政策のみならず、国家の意思にも開きがある。日本人は第二次世界大戦での敗北の後、躍起になって復興に取り組んだ。日本の社会的一体性と企業の内部統制は、世界でも最も優れた企業を作り出した。こうした日本企業は現在でも世界の健全性に一役買っている。
現在、日本の人口は高齢化している。老齢人口が多くなれば、リスクを回避する傾向が強まる。米国やオーストラリアと異なり、若年労働者の供給源である移民を日本は歓迎していない。日本の政治システムは、持続的な成長を目指す経済政策に回帰する能力がないようだ。
中国は今日、より力強く自信に満ちた国家だ。国民は失われた数世紀を取り戻そうと努力し、地域大国として再び主張を始めた。中国は(一人っ子政策のせいで)高齢化の問題に直面しているが、農村部から都市部に向かう数千万人の出稼ぎ労働者が若い労働力を提供している。
問題は、中国が一党独裁の限界に突き当たるなか、素晴らしい成長を維持することが可能であるかどうかだ。金融危機が米国型経済モデルを傷つけるなか、中国は「国家主導型」の世界企業を追求している。
中国通で知られるコンサルタント会社APCOワールドワイドのジェームズ・マグレガー氏は米商工会議所の最近のリポートで、中国は主要7地域において国内企業を競争から保護する政策を打ち出し、市場経済からの離脱を図っている、と指摘。これにより、国内で効率性と革新性が後退するとともに、世界各国で反感が芽生える可能性がある、との見方を示した。政治主導の資本は一時は花を咲かせるが、市場規律の欠落により衰退を余儀なくされることは目に見えている。
それでも、中国の経済面での躍進は世界の繁栄に寄与している。日本の戦後の復興時と同様だ。対照的に、日本の20年間のスタグネーションは日本人のみならず世界にとっても悲劇だった。世界の繁栄はゼロサムゲームでない。各国が貢献することが大切だ。
米国民にとっての朗報は、他国の順位に変動があっても、少なくとも08年までは米国のGDPの順位は不動であったことだ。中国は躍進しているが、米国の経済規模はこれを凌駕する。日本と同じ政策の過ちを犯し、日本の運命をたどることを米国は避けねばならない。
Windows Phone 7 Xbox LIVEと連携発表、ロンチタイトル60本以上
マイクロソフトが Windows Phone 7 の Xbox LIVE タイトルを発表した。Windows Phone 7 はマイクロソフトの完全新規 モバイルプラットフォームとして、Xbox 360 や PCですでに膨大なユーザーを抱える Xbox LIVEへの完全対応を売りのひとつとしている。米国で今年11月の Windows Phone 7 発売にあわせて用意されるゲームは 60本以上。
自社のMGS ( Microsoft Game Studios )からは Halo Waypoint や Crackdown 2:Project Sunburst などXbox 360 で確立したフランチャイズの作品、自社がパブリッシュする ilomilo などが登場するのに加えて、コナミ (Castlevania / 悪魔城シリーズ) や ナムコバンダイ、THQなど大手、Gameloft や PopCap ほかモバイルゲームで躍進する企業を含め多数のパブリッシャーからのタイトルが 携帯のXbox LIVE マーケットプレースから購入できるようになる。Xbox 360 の Xbox LIVE アーケードとおなじく、すべてのゲームにお試し版が用意されるのも特徴。ゲームを進行させることで手に入る「実績」も共通のゲーマータグに加算され、フレンドと比較することができる。
ソーシャルゲームプラットフォームとしてのXbox LIVE機能にもXbox 360と同様にフル対応しており、ステータスや「現在どのゲームでなにをしているか」が一覧できるフレンドリスト、メッセージング、実績やプレイしたゲームの比較、全世界やフレンド限定などでフィルタできるランキングなどが提供されている。対戦はロンチ時点ではターン制の非同期ゲームのみ。ローカル無線やネットを通じたリアルタイムマルチプレイは今後提供される予定。アバターはXbox 360上とおなじく3Dでリアルタイムレンダリングされており、Windows Phone 7から着せ替えやアバターマーケットプレースでのアイテム購入といったカスタマイズが可能だ。
グリー、我慢の4~6月で勝ち取った国内首位
グリーが13日発表した2010年6月期の単独税引き利益は115億円と、前の期の2.6倍に増えた。交流サイト「GREE」の会員数は2000万人の大台を突破。国内企業が提供する交流サイトの中で、会員数首位に躍り出た。会員数増加が収益の源泉となっているが、首位の地位は順当に勝ち取った訳ではない。ライバルとのつばぜり合いに勝ち抜くために自らに課した、4~6月期(第4四半期)の「我慢」が利用者拡大につながっている。
前期決算は売上高、営業利益とも過去最高を更新、順調そのものだった。ただし、直近の第4四半期に限れば営業利益は52億円と第3四半期比横ばい。新ゲーム立ち上げのためのサーバーの増築費用や広告宣伝費がかさんだためだ。第4四半期の販管費は第3四半期より40%多い45億円と、売上高の42%にも達した。
グリーの業績拡大をけん引してきたのは07年5月に始めた釣りゲーム「釣り★スタ」。もっとも、競合のディー・エヌ・エーが宝物を奪い合う「怪盗ロワイヤル」を始めた09年10月からは押され気味だった。それだけに市場の注目は、6月7日にグリーが投入した新しい自社製ゲーム「モンスタープラネット」の効果に集まっていた。モンスターを育成して、サイト上の知人と戦ったりするゲームだ。
結果は吉と出た。第4四半期の1カ月平均の会員純増数は72万人と、第3四半期から29%伸ばした。「モンプラ」の効果が表れた6月のページ閲覧数は353億回と5月より26%多い。「7月は6月実績を上回り、8月も高水準に推移している」(コーポレート本部)という。「加入者とページ閲覧数の増加ペースがポジティブ」。ネットサービス分野のアナリストも口をそろえる。
一方、ライバルのディー・エヌ・エー。4~6月期決算は、連結純利益が前年同期の3.7倍の65億円。前の四半期比でも34%伸ばした。ただし1カ月平均純増数は60万人と、直前四半期(77万人)からペースダウンした。6月のページ閲覧数も716億回と5月より3%減っている。
最近まで交流サイトで最多の会員数だったミクシィの4~6月期連結純利益は前年同期比3%増の4億7500万円にとどまった。サイトの使い勝手をよくするための先行投資がかさんでおり、収益力では2社と差ができている。平均純増数も30万人程度にとどまる。
市場では「我慢の3カ月を乗り越えていま1番勢いがあるのはグリー」(外資系証券のアナリスト)との声もあがる。7月時点の会員数でGREEは2125万人と、mixiの2102万人をしのいで国内の交流サイトで首位となった。グリーの田中良和社長は4日、ミニブログのツイッターで「1億人が使うサービスになるべく、地道かつ大胆に、引き続き頑張りたい」とさらなる会員拡大に意欲を示した。
グリーの躍進に、ライバルも黙ってはいない。10月にはヤフーと組んでパソコンを使った交流型ゲームサイト「yahoo!モバゲー」を始める。ミクシィは家電や店頭端末などをmixiの機能とつなぐプラットフォームを今秋以降に計画している。ナンバーワンサイトの座は決して安泰ではない。交流サイトのつばぜり合いは当分続きそうだ。
iPhone 5におサイフ機能? Appleがモバイル決済技術者採用
Appleが最近、非接触IC技術「NFC(Near Field Communication)」を使ったモバイル決済の専門家ベンジャミン・ビジエ氏を採用したと報じられており、次期版iPhoneに「おサイフケータイ」のような機能が搭載されるのではないかという期待が高まっている。ビジエ氏はPayPal Mobileや、Starbucks専用のiPhone決済アプリ「Starbucks Card Mobile」などのモバイル決済技術に携わった経験がある人物。現在同氏のLinkedInのプロフィールでは、肩書きはAppleの「モバイルコマース担当プロダクトマネジャー」となっている。情報筋によると、AppleはほかにもNFCや同様の技術の経験・知識があるエンジニアを雇っているという。また同社は2009年に非接触ICに関連する特許を出願している
「mixi同級生」利用者500万人突破
ミクシィは8月16日、同じ学校の同級生や先輩・後輩を探せる「mixi同級生」の利用者が500万人を超えたと発表した。
母校や在籍校を登録すると、同じ学校の同級生や先輩・後輩を一覧表示する仕組み。昨年11月に始め、約9カ月半で500万人を突破した。
mixiの登録ユーザー数は2102万人(7月31日時点)。
男性は「自然癒され派」、女性は「食事重視派」が多数~mixiフォト投稿状況
株式会社ミクシィは16日、同社が運営するSNS「mixi」に写真を投稿しているユーザーを対象にしたアンケート調査の結果を公表した。調査は7月23日から7月26日まで実施し、15歳から39歳の男女1653人から有効回答を集めた。
それによれば、mixiに投稿されている写真は、男性では「自然、花や道端の写真」が63%、女性では「食べ物」が54%で最も多く、男女で写真の内容が異なっていた。ミクシィでは、男性は「自然癒され派」、女性は「食事重視派」が多かったと指摘している。
写真を投稿する理由では、67%が「自分の近況を友人に報告するため」と回答。友人との思い出を共有する目的だけでなく、日記の代わりなど「写真で伝える気軽なコミュニケーションのツールとして主に利用している実態がうかがえる」(ミクシィ)。
また、「自分が投稿した写真に友人からコメントが欲しい」という人は68%。年代別では10代が73%、20代が69%、30代が62%と年齢が若いほど多く、ミクシィでは、ゆとり世代と言われている10代は「誉められたい、繋がっていたい」願望が強いと分析している。
このほか、写真を「現像したことが無い」もしくは「現像しない方が多い」と答えた人は83%に上り、ミクシィでは「写真現像離れ」の実態が明らかになったとしている。
ツイッターで販売増「効果あり」大企業の7割
インターネットの簡易投稿サイト「ツイッター」を宣伝や広報などに活用したことで、自社の通信販売サイトの「売上高などが向上した」と回答した大企業(従業員1000人以上)が7割超にのぼったことが、NTTレゾナントの調査で分かった。
調査は7月9~12日、ツイッターを活用している企業の担当者を対象にネット上で行い、315社から回答を得た。このうち大企業は約2割の60社だった。
ツイッターの活用効果(複数回答)では、自社通販サイトの売上高などが増えたと答えた企業が全体の49・6%にのぼり、特に大企業では72・7%に達した。
このほか、「自社サイトの閲覧数が増加した」(全体の58・7%)、「自社ブログなどで問い合わせ件数が増加した」(56・5%)、「新規顧客が増加した」(47・6%)、「顧客単価が増加した」(40・0%)などが多かった。いずれも大企業の方が、活用効果を強く感じていた。NTTレゾナントは「企業規模が大きくなるほど、具体的な指標を設けて効果の把握に取り組む傾向が強いため」と分析している。
航空機燃料税半分に、国内各社の負担軽減へ
国土交通省は17日、国内線の航空機の燃料にかかる「航空機燃料税」の現行税率を2分の1に引き下げる方針を固めた。
会社更生手続き中の日本航空や全日本空輸など国内の航空会社の負担を軽減し、運賃の値下げにつながる可能性もある。2011年度の税制改正で減税を要望する。
現在、航空会社に課している1キロ・リットル当たり2万6000円の燃料税を1万3000円に引き下げる方針だ。実現すれば1972年の導入以来、初の減税となる。前原国交相は就任後、採算のとれない空港建設につながったとして、空港整備勘定(旧・空港整備特別会計)の見直しを表明しており、同勘定の収入源である燃料税の引き下げに踏み切ることにした。空港着陸料についても引き下げを検討している。
同勘定の10年度予算では、歳入総額4593億円のうち、燃料税による収入を716億円と見込んでいる。11年度も同量程度の燃料が使われた場合、航空会社全体の税負担は350億円程度軽減されることになる。
同勘定の歳入が減る分は、地方空港整備費などの歳出削減などで対応し、11年度予算の概算要求に盛り込む方針だ。具体的には、滑走路や誘導路の改修、航空灯などの保安施設の改良といった項目が削減対象になりそうだ。
航空機燃料税を課さない国も多く、燃料税の軽減は日本の航空会社の競争力を高める狙いもある。今年1月に経営破綻(はたん)した日航は、08年度に455億円の燃料税を納めており、着陸料などを含めた「公租公課」の負担額は売上高の1割に達していた。日航と全日空は「燃料税は世界的にもまれな制度で、大幅に軽減されれば、運賃の値下げも検討する」としている。
IT企業や外資系、六本木ヒルズに帰ってきた
東京・港区の六本木ヒルズにIT(情報技術)企業や外資系企業が再び集まりつつある。
携帯電話での無料ゲームが人気を集めるグリーが7月に移転したのに続き、米グーグルの日本法人も今月2日に渋谷区内から入居した。
グリーは2007年5月に始めた携帯電話向けのゲーム配信が好評で、今年3月末時点で会員1843万人を抱えるまでに急成長した。米経済誌フォーブスによると、田中良和社長は資産額14億ドル(約1200億円)にのぼり、10年版の長者番付に入った。
六本木ヒルズは、インターネット大手のヤフーや、楽天、ライブドアなどが入居していた。しかし、ライブドアの旧経営陣による粉飾決算事件を境に、手狭なことなどを理由に転出するケースが目立って「脱ヒルズ」とも言われた。管理運営する森ビルによると、金融危機の影響もあって09年3月末には、入居率が85%まで落ち込んだが、現在は90%超に回復したという。
世界のモバイルデータ通信、1年でトラフィックが約3倍に
Ericssonは8月12日、世界のモバイルデータ通信量が、昨年1年でほぼ3倍に成長したことを発表した。
同社が世界各国で実施した実トラフィックデータの測定結果によると、モバイルデータ量は音声の10倍の速さで増加しており、モバイルデータトラフィックが初めて音声を上回った2009年12月以降も飛躍的に伸び続けているという。2010年第2四半期時点の全世界のモバイルデータトラフィックは、毎月約22万5000テラバイトに達した。
同社によれば、HSPA+やHSUPAなどの高速ネットワークの展開に伴ってモバイルブロードバンドの利用が加速しており、これが通信キャリア間の競争上の差別化に貢献しているという。
日経平均終値、今年最安値更新の9161円
17日の東京株式市場は、外国為替市場での円高を嫌気した売りが優勢となり、日経平均株価(225種)の終値は、前日比34円99銭安の9161円68銭と2日連続で下落し、7月1日につけた終値の今年最安値(9191円60銭)を更新した。
東証1部全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は1・85ポイント低い826・78。東証1部の出来高は約12億9000万株だった。
Microsoft幹部、「Windows Phone 7」の魅力語る
MicrosoftのIR担当ジェネラルマネジャー、ビル・コーフォード氏は、Windows Phone 7とタブレットPCについて、8月10日にボストンで開催されたOppenheimer Annual Technology, Media & Telecommunications Conferenceで語った。スマートフォンとタブレットは、Microsoftが短中期的に市場シェア獲得を――次第に声高に――唱えている2つの分野だ。
同氏はまた、Windows 7が2009年10月の発売以来、約1億5700万本売れたことも聴衆に語った。
だが同氏はすぐにMicrosoftのモバイル戦略をクローズアップし、Windows Phone 7が「今年後半」に立ち上げられるだろうと語ったと、Microsoftが公開した講演記録には記されている。同氏は、Windows Phone 7はユーザーにビジネス向けの機能とコンシューマー向けの機能をバランス良く提供することで市場シェアを獲得すると示唆した。同OSは「Office」「Games」などテーマごとのハブにアプリケーションとWebコンテンツをまとめている。
特にビジネス向け機能は、Windows Phone 7の魅力に不可欠とMicrosoftはとらえている。
「みなさんがExchangeを使っているのかどうか、Officeツールを使っているのかどうか知らないが、率直に言ってこれら機能の統合は類がない」とコーフォード氏は言う。「わたしはAndroid携帯を使っていないので、Androidにそういう機能があるか分からない。たぶんないと思う」
しかし、コンシューマー向け機能も重要な要素となるだろう。
「皆が使っている、そして皆がこれまでWindows Mobileプラットフォームで使ってきたエンタープライズ向けのツールと機能をたくさん盛り込み、コンシューマー向け機能を加えた」と同氏は言う。コンシューマー向けには、Facebook、Xbox LIVE、Zune機能などを統合したという。
その後講演の内容はコンシューマー向けタブレットに移った。AppleのiPadが大成功して以来、多数のメーカーがこの分野への参入計画を発表している。だがHewlett-Packard(HP)がPalmとタブレットに適した同社のwebOSを買収し、ほかの企業がGoogle AndroidをタブレットOSの候補として検討していると公に表明していることから、Windows 7がタブレット向けOSになれるかどうかをめぐってMicrosoftはやや守勢に立たされている。
Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは7月のWorldwide Partner Conferenceの基調講演で、タブレットは「当社にとってきわめて重要な分野」であり、「各種のWindows 7スレート」を推進すると語った。その数週間後の金融アナリスト向け説明会で、同氏はWindows 7タブレットに、2011年登場予定のIntelのOak Trailプロセッサが搭載されると示唆したが、発売日については明言しなかった。
コーフォード氏はボストンでの講演で、バルマー氏の主張をあらためて強調した。
「われわれは新たなカテゴリーとしてタブレットに集中している」と同氏は言う。「IntelはOak Trailを年の初めに投入する。多数の新しい機能を提供するだろう。バッテリー駆動時間をよりよく活用できるようになるかどうかといったことが、このカテゴリーを前進させる一助となる」
同氏は、タブレット向けの「優れたOS」があるとほのめかしたが、同社のパートナーのデバイスにWindows 7の改変版が搭載されるかどうかには触れなかった。
iPhoneでケータイサイトを見たい!ケータイブラウザアプリ3つを試す
iPhoneでどうしてもケータイサイトが見たい時に試してみよう
iPhoneが国内で発売されて2年以上が経過し、iPhoneに最適化されたページを用意しているWebサイトもずいぶん増えた印象です。しかし、PCと携帯向けのページしか用意されていないサイトではどうすればいいでしょうか。
iPhoneのSafariブラウザでPC向けサイトを閲覧することもできますが、ページの読み込みに時間がかかってイライラすることもあるでしょう。そんな悩みに答えるべく、iPhoneでケータイサイトを見ることができるアプリが複数リリースされています。続きではケータイブラウザアプリ3種を紹介し、その特徴を比較します。
無料で使える「Keitai Site Touch」
まずは無料で使える「Keitai Site Touch」を紹介します。無料ながら、URL入力や検索ワードによるWebアクセス、ブックマークや履歴の管理など、必要な機能は一通りそろっています。
QRコードの読み取り機能もあるようですが、一度写真を撮ってから解析する仕組みのため、読み取りに失敗することが多いです。QRコードを頻繁に読むような用途には後述の「携帯ブラウザ - QRコードスキャン機能付き」をおすすめしたいです。
カスタマイズ機能が充実した「SBrowser」
次に紹介する「SBrowser」は、ケータイサイトの環境にあわせたカスタマイズ機能が充実しています。
さまざまなケータイサイトに適合させられるように、文字コードや模擬する携帯機種、画面の大きさ、リクエストヘッダーなどを細かく調整することが出来ます。設定項目が多い分ハードルは高いですが、その分見られるケータイサイトの幅を拡げることが出来るでしょう。
QRコード連携に秀でた「携帯ブラウザ - QRコードスキャン機能付き」
最後に紹介するのは「携帯ブラウザ - QRコードスキャン機能付き」。その名が示すとおり、実用的に使えるQRコードスキャナを内蔵しています。
QRコードスキャナを起動してiPhoneのカメラをQRコードに向けると、自動的に読み取りを開始。読み取れた時点でその内容を表示します。読み取れるまでカメラが起動し続けるので、確実にQRコードを読み取ることが出来ます。
ケータイブラウザアプリを3種類紹介しました。無料で使える「Keitai Site Touch」、カスタマイズ機能が充実した「SBrowser」、QRコード連携に秀でた「携帯ブラウザ - QRコードスキャン機能付き」と三者三様の個性を持っています。ぜひお好きなアプリを試してみてください。
なお、これらのケータイブラウザアプリでも、見ることができるケータイサイトと出来ないサイトが存在します。具体的には、各キャリアの公式サイトや、IPアドレスで携帯電話を判定しているサイト(mixi、GREEなど)は表示できませんのでご注意ください。
平城遷都1300年 国の成り立ちを考える機会に(8月17日付・読売社説)
「あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり」――。
奈良時代に詠まれた万葉集のこの歌からは、活気あふれる平城京の様子が想像される。
奈良県で開かれている平城遷都1300年祭は、夏休み中、多くの観光客でにぎわっている。
奈良市の中心部の一角に原野のように広がる約120ヘクタールの平城宮跡が主会場だ。重要な儀式の場であった第1次大極殿が今年春に復元された。実物大の遣唐使船や歴史体験館なども設けられた。
広大な宮跡に立つと、日本の礎を築いていった当時の人々の心意気が伝わってくるようだ。
古代国家の成り立ちや、当時の国際関係などを改めて考えてみるよい機会でもあろう。
奈良時代と言えば、東大寺の大仏や正倉院の宝物などが思い起こされる。平穏な時代と受け止めている人も多いだろうが、全盛期を迎えていた隣の大帝国・唐を意識しながら、緊張感を持って国家建設が進められた時代だった。
遣唐使を派遣し、唐の政治制度や文化を取捨選択し、日本の風土に合うものを効率的に取り入れていった。急速な改革は明治維新とも比較される。
「日本」という国号が定まり、元号制度も確立される中で、飛鳥の藤原京から平城京への遷都が実行された。奈良時代に制定された養老律令は、明治初期まで公家社会の基本法となった。日本の国の骨格は奈良時代に作られたと指摘する歴史家もいる。
奈良国立博物館では、国宝の東大寺法華堂金剛力士像などが特別展示されている。ここで、秋には正倉院展も開催される。こうした文化財に触れることで、歴史への理解はより一層深まるだろう。
1300年祭の会場となっている平城宮跡は、明治時代まで田畑の下に埋もれていた。保存の機運が高まったのは、100年前の遷都1200年の時からだ。
2年前から国営歴史公園になっているが、これほど大きな規模で保存されている古代都市の遺跡は日本では他に例を見ない。
新しい史跡保存のモデルケースとも言えるだろう。
平城宮跡は、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産「古都奈良の文化財」の一つとしても登録されている。
1300年祭の終了後は、古代建造物の復元が進められる見通しだ。静かに史跡散策を楽しみながら、歴史を学べる場として整備を進めていくべきだろう。
マイクロソフトが Windows Phone 7 の Xbox LIVE タイトルを発表した。Windows Phone 7 はマイクロソフトの完全新規 モバイルプラットフォームとして、Xbox 360 や PCですでに膨大なユーザーを抱える Xbox LIVEへの完全対応を売りのひとつとしている。米国で今年11月の Windows Phone 7 発売にあわせて用意されるゲームは 60本以上。
自社のMGS ( Microsoft Game Studios )からは Halo Waypoint や Crackdown 2:Project Sunburst などXbox 360 で確立したフランチャイズの作品、自社がパブリッシュする ilomilo などが登場するのに加えて、コナミ (Castlevania / 悪魔城シリーズ) や ナムコバンダイ、THQなど大手、Gameloft や PopCap ほかモバイルゲームで躍進する企業を含め多数のパブリッシャーからのタイトルが 携帯のXbox LIVE マーケットプレースから購入できるようになる。Xbox 360 の Xbox LIVE アーケードとおなじく、すべてのゲームにお試し版が用意されるのも特徴。ゲームを進行させることで手に入る「実績」も共通のゲーマータグに加算され、フレンドと比較することができる。
ソーシャルゲームプラットフォームとしてのXbox LIVE機能にもXbox 360と同様にフル対応しており、ステータスや「現在どのゲームでなにをしているか」が一覧できるフレンドリスト、メッセージング、実績やプレイしたゲームの比較、全世界やフレンド限定などでフィルタできるランキングなどが提供されている。対戦はロンチ時点ではターン制の非同期ゲームのみ。ローカル無線やネットを通じたリアルタイムマルチプレイは今後提供される予定。アバターはXbox 360上とおなじく3Dでリアルタイムレンダリングされており、Windows Phone 7から着せ替えやアバターマーケットプレースでのアイテム購入といったカスタマイズが可能だ。
グリー、我慢の4~6月で勝ち取った国内首位
グリーが13日発表した2010年6月期の単独税引き利益は115億円と、前の期の2.6倍に増えた。交流サイト「GREE」の会員数は2000万人の大台を突破。国内企業が提供する交流サイトの中で、会員数首位に躍り出た。会員数増加が収益の源泉となっているが、首位の地位は順当に勝ち取った訳ではない。ライバルとのつばぜり合いに勝ち抜くために自らに課した、4~6月期(第4四半期)の「我慢」が利用者拡大につながっている。
前期決算は売上高、営業利益とも過去最高を更新、順調そのものだった。ただし、直近の第4四半期に限れば営業利益は52億円と第3四半期比横ばい。新ゲーム立ち上げのためのサーバーの増築費用や広告宣伝費がかさんだためだ。第4四半期の販管費は第3四半期より40%多い45億円と、売上高の42%にも達した。
グリーの業績拡大をけん引してきたのは07年5月に始めた釣りゲーム「釣り★スタ」。もっとも、競合のディー・エヌ・エーが宝物を奪い合う「怪盗ロワイヤル」を始めた09年10月からは押され気味だった。それだけに市場の注目は、6月7日にグリーが投入した新しい自社製ゲーム「モンスタープラネット」の効果に集まっていた。モンスターを育成して、サイト上の知人と戦ったりするゲームだ。
結果は吉と出た。第4四半期の1カ月平均の会員純増数は72万人と、第3四半期から29%伸ばした。「モンプラ」の効果が表れた6月のページ閲覧数は353億回と5月より26%多い。「7月は6月実績を上回り、8月も高水準に推移している」(コーポレート本部)という。「加入者とページ閲覧数の増加ペースがポジティブ」。ネットサービス分野のアナリストも口をそろえる。
一方、ライバルのディー・エヌ・エー。4~6月期決算は、連結純利益が前年同期の3.7倍の65億円。前の四半期比でも34%伸ばした。ただし1カ月平均純増数は60万人と、直前四半期(77万人)からペースダウンした。6月のページ閲覧数も716億回と5月より3%減っている。
最近まで交流サイトで最多の会員数だったミクシィの4~6月期連結純利益は前年同期比3%増の4億7500万円にとどまった。サイトの使い勝手をよくするための先行投資がかさんでおり、収益力では2社と差ができている。平均純増数も30万人程度にとどまる。
市場では「我慢の3カ月を乗り越えていま1番勢いがあるのはグリー」(外資系証券のアナリスト)との声もあがる。7月時点の会員数でGREEは2125万人と、mixiの2102万人をしのいで国内の交流サイトで首位となった。グリーの田中良和社長は4日、ミニブログのツイッターで「1億人が使うサービスになるべく、地道かつ大胆に、引き続き頑張りたい」とさらなる会員拡大に意欲を示した。
グリーの躍進に、ライバルも黙ってはいない。10月にはヤフーと組んでパソコンを使った交流型ゲームサイト「yahoo!モバゲー」を始める。ミクシィは家電や店頭端末などをmixiの機能とつなぐプラットフォームを今秋以降に計画している。ナンバーワンサイトの座は決して安泰ではない。交流サイトのつばぜり合いは当分続きそうだ。
iPhone 5におサイフ機能? Appleがモバイル決済技術者採用
Appleが最近、非接触IC技術「NFC(Near Field Communication)」を使ったモバイル決済の専門家ベンジャミン・ビジエ氏を採用したと報じられており、次期版iPhoneに「おサイフケータイ」のような機能が搭載されるのではないかという期待が高まっている。ビジエ氏はPayPal Mobileや、Starbucks専用のiPhone決済アプリ「Starbucks Card Mobile」などのモバイル決済技術に携わった経験がある人物。現在同氏のLinkedInのプロフィールでは、肩書きはAppleの「モバイルコマース担当プロダクトマネジャー」となっている。情報筋によると、AppleはほかにもNFCや同様の技術の経験・知識があるエンジニアを雇っているという。また同社は2009年に非接触ICに関連する特許を出願している
「mixi同級生」利用者500万人突破
ミクシィは8月16日、同じ学校の同級生や先輩・後輩を探せる「mixi同級生」の利用者が500万人を超えたと発表した。
母校や在籍校を登録すると、同じ学校の同級生や先輩・後輩を一覧表示する仕組み。昨年11月に始め、約9カ月半で500万人を突破した。
mixiの登録ユーザー数は2102万人(7月31日時点)。
男性は「自然癒され派」、女性は「食事重視派」が多数~mixiフォト投稿状況
株式会社ミクシィは16日、同社が運営するSNS「mixi」に写真を投稿しているユーザーを対象にしたアンケート調査の結果を公表した。調査は7月23日から7月26日まで実施し、15歳から39歳の男女1653人から有効回答を集めた。
それによれば、mixiに投稿されている写真は、男性では「自然、花や道端の写真」が63%、女性では「食べ物」が54%で最も多く、男女で写真の内容が異なっていた。ミクシィでは、男性は「自然癒され派」、女性は「食事重視派」が多かったと指摘している。
写真を投稿する理由では、67%が「自分の近況を友人に報告するため」と回答。友人との思い出を共有する目的だけでなく、日記の代わりなど「写真で伝える気軽なコミュニケーションのツールとして主に利用している実態がうかがえる」(ミクシィ)。
また、「自分が投稿した写真に友人からコメントが欲しい」という人は68%。年代別では10代が73%、20代が69%、30代が62%と年齢が若いほど多く、ミクシィでは、ゆとり世代と言われている10代は「誉められたい、繋がっていたい」願望が強いと分析している。
このほか、写真を「現像したことが無い」もしくは「現像しない方が多い」と答えた人は83%に上り、ミクシィでは「写真現像離れ」の実態が明らかになったとしている。
ツイッターで販売増「効果あり」大企業の7割
インターネットの簡易投稿サイト「ツイッター」を宣伝や広報などに活用したことで、自社の通信販売サイトの「売上高などが向上した」と回答した大企業(従業員1000人以上)が7割超にのぼったことが、NTTレゾナントの調査で分かった。
調査は7月9~12日、ツイッターを活用している企業の担当者を対象にネット上で行い、315社から回答を得た。このうち大企業は約2割の60社だった。
ツイッターの活用効果(複数回答)では、自社通販サイトの売上高などが増えたと答えた企業が全体の49・6%にのぼり、特に大企業では72・7%に達した。
このほか、「自社サイトの閲覧数が増加した」(全体の58・7%)、「自社ブログなどで問い合わせ件数が増加した」(56・5%)、「新規顧客が増加した」(47・6%)、「顧客単価が増加した」(40・0%)などが多かった。いずれも大企業の方が、活用効果を強く感じていた。NTTレゾナントは「企業規模が大きくなるほど、具体的な指標を設けて効果の把握に取り組む傾向が強いため」と分析している。
航空機燃料税半分に、国内各社の負担軽減へ
国土交通省は17日、国内線の航空機の燃料にかかる「航空機燃料税」の現行税率を2分の1に引き下げる方針を固めた。
会社更生手続き中の日本航空や全日本空輸など国内の航空会社の負担を軽減し、運賃の値下げにつながる可能性もある。2011年度の税制改正で減税を要望する。
現在、航空会社に課している1キロ・リットル当たり2万6000円の燃料税を1万3000円に引き下げる方針だ。実現すれば1972年の導入以来、初の減税となる。前原国交相は就任後、採算のとれない空港建設につながったとして、空港整備勘定(旧・空港整備特別会計)の見直しを表明しており、同勘定の収入源である燃料税の引き下げに踏み切ることにした。空港着陸料についても引き下げを検討している。
同勘定の10年度予算では、歳入総額4593億円のうち、燃料税による収入を716億円と見込んでいる。11年度も同量程度の燃料が使われた場合、航空会社全体の税負担は350億円程度軽減されることになる。
同勘定の歳入が減る分は、地方空港整備費などの歳出削減などで対応し、11年度予算の概算要求に盛り込む方針だ。具体的には、滑走路や誘導路の改修、航空灯などの保安施設の改良といった項目が削減対象になりそうだ。
航空機燃料税を課さない国も多く、燃料税の軽減は日本の航空会社の競争力を高める狙いもある。今年1月に経営破綻(はたん)した日航は、08年度に455億円の燃料税を納めており、着陸料などを含めた「公租公課」の負担額は売上高の1割に達していた。日航と全日空は「燃料税は世界的にもまれな制度で、大幅に軽減されれば、運賃の値下げも検討する」としている。
IT企業や外資系、六本木ヒルズに帰ってきた
東京・港区の六本木ヒルズにIT(情報技術)企業や外資系企業が再び集まりつつある。
携帯電話での無料ゲームが人気を集めるグリーが7月に移転したのに続き、米グーグルの日本法人も今月2日に渋谷区内から入居した。
グリーは2007年5月に始めた携帯電話向けのゲーム配信が好評で、今年3月末時点で会員1843万人を抱えるまでに急成長した。米経済誌フォーブスによると、田中良和社長は資産額14億ドル(約1200億円)にのぼり、10年版の長者番付に入った。
六本木ヒルズは、インターネット大手のヤフーや、楽天、ライブドアなどが入居していた。しかし、ライブドアの旧経営陣による粉飾決算事件を境に、手狭なことなどを理由に転出するケースが目立って「脱ヒルズ」とも言われた。管理運営する森ビルによると、金融危機の影響もあって09年3月末には、入居率が85%まで落ち込んだが、現在は90%超に回復したという。
世界のモバイルデータ通信、1年でトラフィックが約3倍に
Ericssonは8月12日、世界のモバイルデータ通信量が、昨年1年でほぼ3倍に成長したことを発表した。
同社が世界各国で実施した実トラフィックデータの測定結果によると、モバイルデータ量は音声の10倍の速さで増加しており、モバイルデータトラフィックが初めて音声を上回った2009年12月以降も飛躍的に伸び続けているという。2010年第2四半期時点の全世界のモバイルデータトラフィックは、毎月約22万5000テラバイトに達した。
同社によれば、HSPA+やHSUPAなどの高速ネットワークの展開に伴ってモバイルブロードバンドの利用が加速しており、これが通信キャリア間の競争上の差別化に貢献しているという。
日経平均終値、今年最安値更新の9161円
17日の東京株式市場は、外国為替市場での円高を嫌気した売りが優勢となり、日経平均株価(225種)の終値は、前日比34円99銭安の9161円68銭と2日連続で下落し、7月1日につけた終値の今年最安値(9191円60銭)を更新した。
東証1部全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は1・85ポイント低い826・78。東証1部の出来高は約12億9000万株だった。
Microsoft幹部、「Windows Phone 7」の魅力語る
MicrosoftのIR担当ジェネラルマネジャー、ビル・コーフォード氏は、Windows Phone 7とタブレットPCについて、8月10日にボストンで開催されたOppenheimer Annual Technology, Media & Telecommunications Conferenceで語った。スマートフォンとタブレットは、Microsoftが短中期的に市場シェア獲得を――次第に声高に――唱えている2つの分野だ。
同氏はまた、Windows 7が2009年10月の発売以来、約1億5700万本売れたことも聴衆に語った。
だが同氏はすぐにMicrosoftのモバイル戦略をクローズアップし、Windows Phone 7が「今年後半」に立ち上げられるだろうと語ったと、Microsoftが公開した講演記録には記されている。同氏は、Windows Phone 7はユーザーにビジネス向けの機能とコンシューマー向けの機能をバランス良く提供することで市場シェアを獲得すると示唆した。同OSは「Office」「Games」などテーマごとのハブにアプリケーションとWebコンテンツをまとめている。
特にビジネス向け機能は、Windows Phone 7の魅力に不可欠とMicrosoftはとらえている。
「みなさんがExchangeを使っているのかどうか、Officeツールを使っているのかどうか知らないが、率直に言ってこれら機能の統合は類がない」とコーフォード氏は言う。「わたしはAndroid携帯を使っていないので、Androidにそういう機能があるか分からない。たぶんないと思う」
しかし、コンシューマー向け機能も重要な要素となるだろう。
「皆が使っている、そして皆がこれまでWindows Mobileプラットフォームで使ってきたエンタープライズ向けのツールと機能をたくさん盛り込み、コンシューマー向け機能を加えた」と同氏は言う。コンシューマー向けには、Facebook、Xbox LIVE、Zune機能などを統合したという。
その後講演の内容はコンシューマー向けタブレットに移った。AppleのiPadが大成功して以来、多数のメーカーがこの分野への参入計画を発表している。だがHewlett-Packard(HP)がPalmとタブレットに適した同社のwebOSを買収し、ほかの企業がGoogle AndroidをタブレットOSの候補として検討していると公に表明していることから、Windows 7がタブレット向けOSになれるかどうかをめぐってMicrosoftはやや守勢に立たされている。
Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは7月のWorldwide Partner Conferenceの基調講演で、タブレットは「当社にとってきわめて重要な分野」であり、「各種のWindows 7スレート」を推進すると語った。その数週間後の金融アナリスト向け説明会で、同氏はWindows 7タブレットに、2011年登場予定のIntelのOak Trailプロセッサが搭載されると示唆したが、発売日については明言しなかった。
コーフォード氏はボストンでの講演で、バルマー氏の主張をあらためて強調した。
「われわれは新たなカテゴリーとしてタブレットに集中している」と同氏は言う。「IntelはOak Trailを年の初めに投入する。多数の新しい機能を提供するだろう。バッテリー駆動時間をよりよく活用できるようになるかどうかといったことが、このカテゴリーを前進させる一助となる」
同氏は、タブレット向けの「優れたOS」があるとほのめかしたが、同社のパートナーのデバイスにWindows 7の改変版が搭載されるかどうかには触れなかった。
iPhoneでケータイサイトを見たい!ケータイブラウザアプリ3つを試す
iPhoneでどうしてもケータイサイトが見たい時に試してみよう
iPhoneが国内で発売されて2年以上が経過し、iPhoneに最適化されたページを用意しているWebサイトもずいぶん増えた印象です。しかし、PCと携帯向けのページしか用意されていないサイトではどうすればいいでしょうか。
iPhoneのSafariブラウザでPC向けサイトを閲覧することもできますが、ページの読み込みに時間がかかってイライラすることもあるでしょう。そんな悩みに答えるべく、iPhoneでケータイサイトを見ることができるアプリが複数リリースされています。続きではケータイブラウザアプリ3種を紹介し、その特徴を比較します。
無料で使える「Keitai Site Touch」
まずは無料で使える「Keitai Site Touch」を紹介します。無料ながら、URL入力や検索ワードによるWebアクセス、ブックマークや履歴の管理など、必要な機能は一通りそろっています。
QRコードの読み取り機能もあるようですが、一度写真を撮ってから解析する仕組みのため、読み取りに失敗することが多いです。QRコードを頻繁に読むような用途には後述の「携帯ブラウザ - QRコードスキャン機能付き」をおすすめしたいです。
カスタマイズ機能が充実した「SBrowser」
次に紹介する「SBrowser」は、ケータイサイトの環境にあわせたカスタマイズ機能が充実しています。
さまざまなケータイサイトに適合させられるように、文字コードや模擬する携帯機種、画面の大きさ、リクエストヘッダーなどを細かく調整することが出来ます。設定項目が多い分ハードルは高いですが、その分見られるケータイサイトの幅を拡げることが出来るでしょう。
QRコード連携に秀でた「携帯ブラウザ - QRコードスキャン機能付き」
最後に紹介するのは「携帯ブラウザ - QRコードスキャン機能付き」。その名が示すとおり、実用的に使えるQRコードスキャナを内蔵しています。
QRコードスキャナを起動してiPhoneのカメラをQRコードに向けると、自動的に読み取りを開始。読み取れた時点でその内容を表示します。読み取れるまでカメラが起動し続けるので、確実にQRコードを読み取ることが出来ます。
ケータイブラウザアプリを3種類紹介しました。無料で使える「Keitai Site Touch」、カスタマイズ機能が充実した「SBrowser」、QRコード連携に秀でた「携帯ブラウザ - QRコードスキャン機能付き」と三者三様の個性を持っています。ぜひお好きなアプリを試してみてください。
なお、これらのケータイブラウザアプリでも、見ることができるケータイサイトと出来ないサイトが存在します。具体的には、各キャリアの公式サイトや、IPアドレスで携帯電話を判定しているサイト(mixi、GREEなど)は表示できませんのでご注意ください。
平城遷都1300年 国の成り立ちを考える機会に(8月17日付・読売社説)
「あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり」――。
奈良時代に詠まれた万葉集のこの歌からは、活気あふれる平城京の様子が想像される。
奈良県で開かれている平城遷都1300年祭は、夏休み中、多くの観光客でにぎわっている。
奈良市の中心部の一角に原野のように広がる約120ヘクタールの平城宮跡が主会場だ。重要な儀式の場であった第1次大極殿が今年春に復元された。実物大の遣唐使船や歴史体験館なども設けられた。
広大な宮跡に立つと、日本の礎を築いていった当時の人々の心意気が伝わってくるようだ。
古代国家の成り立ちや、当時の国際関係などを改めて考えてみるよい機会でもあろう。
奈良時代と言えば、東大寺の大仏や正倉院の宝物などが思い起こされる。平穏な時代と受け止めている人も多いだろうが、全盛期を迎えていた隣の大帝国・唐を意識しながら、緊張感を持って国家建設が進められた時代だった。
遣唐使を派遣し、唐の政治制度や文化を取捨選択し、日本の風土に合うものを効率的に取り入れていった。急速な改革は明治維新とも比較される。
「日本」という国号が定まり、元号制度も確立される中で、飛鳥の藤原京から平城京への遷都が実行された。奈良時代に制定された養老律令は、明治初期まで公家社会の基本法となった。日本の国の骨格は奈良時代に作られたと指摘する歴史家もいる。
奈良国立博物館では、国宝の東大寺法華堂金剛力士像などが特別展示されている。ここで、秋には正倉院展も開催される。こうした文化財に触れることで、歴史への理解はより一層深まるだろう。
1300年祭の会場となっている平城宮跡は、明治時代まで田畑の下に埋もれていた。保存の機運が高まったのは、100年前の遷都1200年の時からだ。
2年前から国営歴史公園になっているが、これほど大きな規模で保存されている古代都市の遺跡は日本では他に例を見ない。
新しい史跡保存のモデルケースとも言えるだろう。
平城宮跡は、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産「古都奈良の文化財」の一つとしても登録されている。
1300年祭の終了後は、古代建造物の復元が進められる見通しだ。静かに史跡散策を楽しみながら、歴史を学べる場として整備を進めていくべきだろう。
カプコン、交流サイト通じたゲームに欧米で参入
フェースブック会員網を活用、iPhone向け配信
ゲームソフト大手のカプコンは欧米で交流サイト(SNS)を通じたソーシャルゲーム事業に参入する。米フェースブックが抱える5億人超の会員網を活用し、米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」向けに9月からゲームの配信を始める。日本で従来型家庭用ゲームの市場が縮小するなか、新たな成長分野を開拓して収益源の多角化を目指す。
米子会社カプコン・インタラクティブ(カリフォルニア州)を通じ、3本の新作ソーシャルゲームをアイフォーン向けに配信する。欧米ではこれまで家庭用ゲーム機向けのソフト販売が中心だったが、フェースブックを通じて新たなゲームユーザーを開拓する。
ソーシャルゲームは交流サイトに登録した利用者同士が競ったり協力したりして一緒に楽しむ内容。基本料金は無料で、ゲームを有利に進めるための「アイテム」を取得する際に課金する手法が主流だ。
カプコンも欧米でまず100万人規模の無料会員を獲得し、アイテムへの課金などで収益を確保していく。
カプコンは日本でSNS大手のディー・エヌ・エーと組み、8月に「モンスターハンター」シリーズの派生作品の配信を始めたばかり。国内外のソーシャルゲーム市場で攻勢をかける。
ゲーム専門誌発行のエンターブレイン(東京・千代田)によると、日本の家庭用ゲーム市場(ハードとソフトの合計、携帯電話などを通じたオンラインゲームは除く)は2009年に前年比6.9%減の5426億円と2年連続で縮小した。
このため、ゲームソフト各社は新たな収益モデルの構築が急務となっている。バンダイナムコゲームスも年内をめどにフェースブック向けに2~3本のゲーム配信を始める。国内を中心にソーシャルゲームの配信に取り組んでいるが、海外でも本格展開に乗り出す。
インターネットN広告大手のサイバーエージェントも子会社を通じてソーシャルゲーム配信を強化するなど、業態の垣根を越えた新規市場参入が広がりつつある。
世界初 3D対応スマートフォン シャープ、本格仕様で攻勢
シャープは16日、裸眼で3D(3次元)映像を楽しめる多機能携帯電話(スマートフォン)を今年度中に国内外で発売する方針を明らかにした。同社によると、3D対応のスマートフォンは世界で初めて。スマートフォンは年々増加し、2010年中に世界出荷が1億7500万台に達するとの試算もある。市場では米アップルの「iPhone(アイフォーン)」など海外勢が先行しており、シャープは3D技術で攻勢に出る。
今回の商品は、3D対応カメラを搭載し、撮影した静止画や動画が裸眼で立体的に見える。画面には4月にシャープが発表した3D対応の小型液晶パネルを採用予定。操作はタッチパネル式が有力で、撮影した映像は3Dテレビ「アクオス」でも鑑賞できる見通し。
シャープは02年にも携帯電話に3D機能を付けて発売したが、通常の画像をソフトで加工する仕組みで、あまり鮮明でなかったことなどからヒットしなかった。
今回は、対象を2つのカメラで別角度から撮影して立体的に見せる本格的な仕組みで、液晶の明るさも格段に向上。スマートフォンなので、対応する3D動画をインターネット上から手軽に取り込み楽しむこともできる。
3D関連商品は増えているが各社の3Dテレビは専用眼鏡をかける必要があり、裸眼で楽しめるのは富士フイルムのデジタルカメラなどに限られている。
世界の携帯大手、明暗 スマートフォンが業績左右、4~6月
【シリコンバレー=奥平和行】世界の携帯電話端末業界で高機能携帯電話(スマートフォン)の販売がメーカーの業績を左右する傾向が強まっている。この分野が好調だった英ソニー・エリクソンと米モトローラは4~6月期の営業損益が黒字転換する一方、従来型の端末が主力のフィンランドのノキアなどは減益だった。スマートフォンは単価が高いため収益への貢献も大きく、競争が一段と激化しそうだ。
米調査会社ガートナーによると、世界の携帯電話端末市場に占めるスマートフォンの比率は2010年4~6月期で19%。前年同期比で5ポイント上昇した。スマートフォンのシェアは08年には11~12%台で推移。09年からじわじわと上昇し、10年1~3月期には17%となっていた。
ソニー・エリクソンは米グーグルの携帯向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した「エクスペリア」の販売が増加。モトローラもアンドロイド端末が米国などで好調だった。ガートナーによると4~6月期に世界のスマートフォン市場でアンドロイド端末のシェアは前年同期より15.4ポイント高い17.2%に急拡大。両社などアンドロイド陣営の好調を裏付けた。
スマートフォンを主軸に据えたソニー・エリクソンの4~6月期の端末平均販売価格が前年同期より約3割高い160ユーロ(約1万7600円)になるなど、この分野は収益貢献が大きい。
「ブラックベリー」を手掛けるカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)は3~5月期の営業利益が前年同期比53%増加。米アップルは携帯電話部門の業績を開示していないが、「iPhone(アイフォーン)」などが好調で4~6月期の純利益は会社全体で78%増となった。
一方、従来型の端末を主力とするメーカーは苦戦している。4~6月期は端末世界最大手のノキアに加え同2位の韓国サムスン電子も営業減益。3位のLG電子(韓国)は営業赤字に転落した。各社は新興国市場などで手ごろな価格の端末を大量販売することで事業を拡大してきたが、価格競争の激化により苦戦を強いられた。ノキアが主導するOS「シンビアン」はスマートフォンで最大のシェアを握るが、使い勝手などで「アンドロイド」陣営に押されている。
ただ、ノキアはシンビアンの改良に取り組んでいるほか、サムスンも米マイクロソフトの新OSを搭載した端末を年内にも発売するなど巻き返しに余念がない。
各社が収益性が高いスマートフォンに注力することで市場の活性化が見込まれる一方、この分野でも従来型と同様に価格下落が進む可能性がある。
Google、仮想通貨の新興企業Jamboolを買収
仮想通貨プラットフォームを手掛ける米Jamboolは現地時間2010年8月13日、米Googleが同社を買収したと発表した。Jamboolの創業者で最高経営責任者(CEO)のVikas Gupta氏と最高技術責任者(CTO)のReza Hussein氏が同日付の公開書簡で明らかにした。
Jamboolは米カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置く新興企業。CEOのGupta氏とCTOのHussein氏は米Amazon.comで決済システムや受注ワークフローシステムを手掛けた人物。
2006年にJamboolを設立した当初は、ソーシャルネットワーク向けのアプリケーションなどを手掛けていたが、2008年に「Social Gold」と呼ぶ仮想通貨プラットフォームを開発。ソーシャルゲームやソーシャルアプリケーションに導入できる決済システムとして利用されている。
創業者の両氏は、Googleの傘下に入ることについて、「我々のビジョンを実行するためには逃せない機会と判断した。Social Goldを世界中のGoogleユーザーに提供できることを喜んでいる」と述べている。
Googleは8月6日に、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の米Facebookにソーシャルゲームを提供している米Slideを買収したと発表した。また米Zynga Game Networkに大規模な出資を行ったとも報じられている。同社のこうした最近の動向から、うわさされているFacebook対抗のSNS「Google Me」の開発を着々と進めているのではないかと英Financial Timesなどの海外メディアは報じている。
首相、円高・景気減速で経済対策を検討 エコポイントの延長浮上
菅直人首相は16日、経済閣僚に対して円高の影響など景気の現状分析を指示するとともに、閣僚の報告を踏まえて円高・経済対策の検討に入る考えを明らかにした。政府・与党内では(1)12月末に終える予定のエコポイント制度の延長など消費刺激(2)新卒者の就職支援(3)円高に苦しむ中小企業の資金繰り支援――などが柱に浮上している。(関連記事総合・政治面に)
首相は同日、荒井聡経済財政相、野田佳彦財務相、直嶋正行経済産業相の3閣僚に「近々それぞれの立場でいまの日本の経済の状態をしっかりみたうえで報告してほしい」と指示。「そういう中から今後のことは考えたい」と対応策の検討を示唆した。
内閣府が同日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値が前期比年率で実質0.4%増に鈍ったことや最近の円高・株安を念頭に「為替の問題を含めて注意深くみておく必要がある」とも強調。円相場とともに景気の動向を注視する考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
民主党の政策調査会幹部も同日、「需要喚起や雇用対策を中心とした追加経済対策が必要だ」と指摘した。財源としては2010年度予算に計上した経済危機対応・地域活性化予備費の未使用分から約9000億円、09年度決算の剰余金から8000億円程度の合計1兆7000億円が使える見通し。政府内では国債の増発に慎重な声が多い。
9月末に期限を迎えるエコカー補助金も焦点となるが、直嶋正行経済産業相は7月30日の記者会見で延長を明確に否定している。
米動画サイト大手「フル」上場検討 米メディア報道
ニューズ、NBCU、ディズニーなど出資
【ニューヨーク=武類雅典】米メディア大手のニューズ・コーポレーションやNBCユニバーサル(NBCU)などが出資するネット動画サービスの「Hulu(フル)」が株式公開を検討していることが16日、明らかになった。複数の米メディアが報じた。フルは大手メディアが米グーグル傘下のネット動画「ユーチューブ」に対抗して立ち上げた合弁事業。収益基盤が整いつつあると判断したと見られる。
フルは大株主がニューズ、NBCU、米ウォルト・ディズニーなどで、2007年の設立。人気テレビ番組や映画を無料で視聴できるサービスを提供している。これまで広告収入で収益を上げてきたが、6月にはパソコンやテレビ、携帯電話などでハイビジョン画質の動画を視聴できる月9.99ドルの有料サービスに乗り出した。早ければ今秋にも上場すると見られ、上場後の時価総額は約20億ドル(約1700億円)と推定されている。
米調査会社コムスコアが16日発表した7月のネット動画サービスのランキングによると、視聴者数ではユーチューブなどグーグル系サイトが約1億4300万で首位。フルは2800万超にすぎない。一方、動画広告視聴数の1位はフルの約7億8300万で、グーグル系の約3.6倍に達している。
米メディアによると、フルはすでに黒字を達成しているという。視聴無料の素人投稿ビデオでネット動画サービスの草分けとなったユーチューブは赤字続きと指摘されているが、近く黒字転換するとも見られている。
出力3割増の新型原発開発 既存設備更新にらみ
30年運転開始 経産省方針
経済産業省は2030年の運転開始を目指す新型原子力発電所の基本仕様を固め、民間企業と本格的な開発に着手する。発電出力は従来の3割増となる世界最大級の180万キロワットに設定。稼働率も最高水準の97%を可能にする。国の原子力立国計画に基づき、国内30基弱の建て替えに生かすほか、中国やインドなどアジア各国にも売り込む。
経産省は17日開く政府の原子力委員会で新型原子炉の基本仕様を説明する。新型炉は経済性向上、安全性強化、環境負荷の低減の3つの目標を掲げる。15年度に詳細設計を終え、16年度以降は三菱重工業、東芝、日立製作所など重電各社が開発実験や安全審査などに入る。開発費は官民で約550億円を拠出する予定だ。
新型炉は冷却水に普通の水を使う軽水炉。発電出力180万キロワット級は国内で現在稼働する最大規模の130万キロワットを上回り、米国などで計画中の150万キロワットより大きい。炉心の配置を変えたり、燃焼効率のよい燃料を投入できるような構造にしたりして出力を高める。この結果、使用済み核燃料が通常より3割減り、再処理や保管にかかるコストも削減できる。
稼働率も高水準をめざす。現在国内原発の稼働率は約60%。柏崎刈羽原発(新潟県)の事故の影響で下がったが、もともと現在の技術では9割が限界。新型炉は燃料の燃焼効率を向上するとともに、機器の補修や改修にかかる期間を短縮することで稼働率を上げる。米国や韓国も90%台前半で推移しており、達成すれば世界最高水準になる。
現在国内では54基の原発が稼働しており、総発電能力は約4800万キロワット。現時点では54基のうち最大30基が建て替え対象になる見通しで、仮にすべてが180万キロワットの新型炉に切り替わっただけで5400万キロワットの発電能力を持てる。これらの稼働率が6割台から97%に達すれば、計算上、最低でも1.8倍の能力増強が期待できる。
経産省は「最新の安全技術を備え、将来の世界市場の獲得もめざす」(直嶋正行経済産業相)としており、中印や東南アジアなどへの売り込みも急ぐ。新型炉は工期を従来の50カ月から30カ月に短縮できる見込みで、海外市場開拓の有力な手段と位置付ける。電源規模が小さい国向けに発電出力が80万キロワット程度の中型機を作って売り込むことも検討中だ。
日本では新しい立地に原発をつくるのは地元の反対が大きく、難しい。経産省は地球温暖化対策の一環で原子力の電源全体に占める割合を現行の3割強から4割程度で安定させたい考えで、既存原発の出力を大幅に向上させることが欠かせないとみている。50年には高速増殖炉の運転開始も計画しており、新型炉の運転とあわせ電力の安定供給につなげる。
イオン、PB160品目10~15%値下げ 原料一括調達でコスト減
イオンは2010年度中に、食品や飲料などプライベートブランド(PB=自主企画)の3%にあたる約160品目を10~15%値下げする。原材料や包装材をまとめて調達し、生産委託先のメーカーに供給するなどしてコストを下げる。09年度に約2000品目を値下げしたが、今年に入ってメーカー品の値下がりが進んだため、PBの価格優位性を維持する。
従来は商品の仕様についてイオンが決めていたが、原材料の調達はメーカー任せのケースが多かった。小麦粉など一部については先行してイオンが一括で仕入れ供給してきたが、これを鶏、豚、牛の肉や食用油にも広げた。調達量はそれぞれ年間で数十万トン単位。容器や包装も素材や規格をそろえてコストを削る。
生産委託先の工場集約などもあわせて実施し、10年度に入りまず約80品目を値下げ。368円のウインナーが348円、キャノーラ油が278円から248円になった。素材や仕様の変更のため単純に比較できないが、値下げ幅は平均で10~15%となる。今後は売れ筋商品のペットボトル入りお茶など食品・飲料類を中心に値下げする。
(成長鈍化 いま何が必要か) 法人税まず5%下げを 東大教授 伊藤元重氏
日本経済の先行きに不透明感が広がってきた。4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率が大幅に鈍化し、最近の円高・株安が景気の足を引っ張る恐れも出てきた。いまの日本に必要な政策を識者に聞いた。
1ドル80円突破も
――国内景気の減速懸念が広がってきました。
「米国も欧州もドルやユーロの下落を容認している。結果的に円が買われる構図だ。物価水準を加味した実質レートでみると、円は15年前よりまだ3割程度安く、円買いには安心感もある。市場が乱暴に動けば、1ドル=80円を突破しかねない」
「最近の相場変動で最も打撃を受けそうなのが日本だ。回復に向かっていた日本経済の先行きに黄信号がともっている」
――円高は企業の海外進出も加速させます。
「自動車も家電も日本国内では十分な収益を上げられない。成長市場の中国でも、収益の拡大が追いついていない企業が少なくない。アジアの市場で勝ち抜くには、グローバル化をもう一歩進める必要がある。雇用維持との兼ね合いで海外進出にためらいがあっても、為替が企業の決断に影響を及ぼす可能性がある」
「日本の生産年齢人口は今後10年間で700万人以上も減少する。中長期的には海外の労働力を活用せざるを得ない。日本に本社機能などを残して海外に出るのは、決して悪いことではない」
――中国や韓国との競争も激化するでしょう。
「日本の大手企業の話を聞くと、韓国のサムスン電子との違いは賃金コストだという。1人あたりの国内総生産(GDP)が日本より小さい国が技術力を高めてきた。それがグローバル化の怖いところだ」
「今後20年もすれば、インドや東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済規模も日本より大きくなる。日本のGDPに対する輸出の比率は16~17%程度で、40%以上のドイツに比べて小さい。楽観的な見方をすれば、日本の輸出には増加の余地がある。産業の集約化も重要だが、日本企業のM&A(合併・買収)のスピードは遅い」
根深い需要不足
――政府は何をすべきでしょうか。
「日本経済が抱える最大の問題は需要不足だ。根雪のようなデフレに特効薬はない。時間がかかっても成長戦略を着実に進めるしかない」
「主要国の中でも高い法人課税の実効税率(現行40%程度)を見直し、来年度にまず5%引き下げるべきだ。その後も政府が引き下げの意思を示す必要がある。企業は高い税率に悩んでおり、3~5年も待ってはいられない。財政再建を進めるため、消費税率引き上げなどの見通しも示さなければならない」
「世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)が頓挫しているため、主要国は2国間の自由貿易協定(FTA)締結に動いている。しかし日本のFTA戦略は出遅れが鮮明だ。農業の一層の自由化が避けられない」
――政府の危機意識が感じられません。
「何を考えているのかというメッセージが伝わってこない。民主党の代表選を9月14日に控えていることも政治空白の一因になっているのではないか。経済のサイクルと政治のサイクルがかみ合っていない。本来なら政治的な手腕を発揮するチャンスでもあるはずだ」
日経社説
景気減速への危機感足りぬ政府・日銀
世界経済は再び悪化する恐れが強まってきた。円高に見舞われている日本では、それを先取りして株価が大幅に下落した。
2年前のリーマン・ショックで明確に表面化した世界的な経済・金融危機はいったん遠のいたかに見えた。だが問題の根は深く、米国でも欧州でも癒えたとはいえない。
この世界的な成長減速の懸念に対し、民主党政権も日本銀行も危機感が足りない。
回復のリード役に陰り
内閣府が16日に発表した4~6月期の経済成長率は、物価変動の影響を除いた実質で年率0.4%となった。1~3月期の4.4%からの大幅な成長減速で、名目では同マイナスの3.7%である。
そのわずか6日前、日銀は金融政策決定会合で足元の景気について「海外経済の改善を起点として、緩やかに回復しつつある」というそれまでの判断を据え置いた。
同じ日に政府が発表した月例経済報告は海外経済の回復テンポが緩やかになるとしながらも、日本の景気は「着実に持ち直してきており、自律的回復への基盤が整いつつある」と、基調判断を踏襲した。
この1年半ほど日本経済の回復を支えてきたのは財政による景気刺激策と輸出である。ともに、これまでのようには頼りにならなくなった。エコポイント制度やエコカー補助の効果がほぼ一巡したことは4~6月の個人消費からも読み取れる。
輸出は中国などアジア地域向けが伸び悩み、景気減速の兆しが強まる米国向けもあやしくなってきた。米欧中とも自国通貨の下落を黙認しているうえに、南欧諸国の金融・財政リスクが高い。このため日本円が実力以上に買われて円高となり、輸出企業を苦しめている。
景気回復のリード役に確実に陰りが広がっている。政府・日銀の景気判断は極めて甘いのではないか。
米国では「現状は(19世紀後半と1930年代に次ぐ)史上3番目の恐慌の初期段階にあるのではないか」(ノーベル経済学賞のクルーグマン・プリンストン大教授)という見方もある。その当否はともかく、10年ほど前から世界各国で急膨張した債務を今、調整中である事実も考えれば二番底、三番底もありうるとみておいたほうがよい。
現実の日本の政策運営はといえば景気判断が甘いだけでなく、危機に備える気構えも体制も著しく弱いように思える。先週、円相場が15年来の高値をつけたときも、菅直人首相をはじめ政府関係者は「懸念の表明」という口先介入で時間稼ぎをするのにとどまった。
民主党政権は子ども手当や高速道路無料化など公約した内政を優先する。それに集中するあまり、円高や海外経済の減速という外的な衝撃への感度が鈍いのではないか。
強まる景気二番底の懸念に備えて政府・日銀がまず手をつけるべきは円高に歯止めをかけることだ。円高は輸出関連企業の収益を圧迫するだけでなく、放置すれば製造業が生産拠点を海外に移すのを助長し、雇用などに取り返しのつかない悪影響を及ぼす。
「同じものを買うのにいくらかかるか」という発想から算出する円の理論的な価値、いわゆる購買力平価は1ドル=115円程度(経済協力開発機構)。競争力が強い輸出企業に単純には当てはめられないが、85円台はすでに実力以上だろう。
したたかな通貨外交を
日銀は円高の阻止へ金融緩和策をとる余地がまだあるとみられる。財務省は外国為替市場への介入をためらうべきではない。介入の際は市場に散布した円資金を日銀が吸い上げず介入効果を高めるのが望ましい。自国通貨安を黙認する米欧や中国に対し、自らを防衛するのは当然だ。
財務省は2003年から04年にかけ35兆円の円売り・ドル買い介入をした。今はオバマ政権が5年で輸出倍増の方針を掲げており、為替介入に米国の理解を得にくいのは想像に難くない。しかし日米は経済の面で幅広く結びついており、米国と何らかの取引をする材料はあるはず。
そのために政府は通貨外交の戦略を持つ必要がある。それは6月につくった成長戦略の実行にも欠かせない。外国との過酷な競争に生き残るため、したたかな計算と行動で国民をしっかり守ってほしい。
もし景気が深い二番底に陥る場合は、長期的な財政健全化の目標を変えず、短期的に国債発行を基に「いずれ必要な事業」を繰り上げ実施するのもやむをえない。病院や学校の耐震化や、東京外郭環状道の整備などだ。その際は日銀が債券市場からの国債購入を増やすなど政府と足並みをそろえることも大切だ。
成長を促す改革や無駄な歳出の削減など構造政策とともに、景気の変動に機動的に対応する柔軟な政策運営が政府・日銀に求められる。
フェースブック会員網を活用、iPhone向け配信
ゲームソフト大手のカプコンは欧米で交流サイト(SNS)を通じたソーシャルゲーム事業に参入する。米フェースブックが抱える5億人超の会員網を活用し、米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」向けに9月からゲームの配信を始める。日本で従来型家庭用ゲームの市場が縮小するなか、新たな成長分野を開拓して収益源の多角化を目指す。
米子会社カプコン・インタラクティブ(カリフォルニア州)を通じ、3本の新作ソーシャルゲームをアイフォーン向けに配信する。欧米ではこれまで家庭用ゲーム機向けのソフト販売が中心だったが、フェースブックを通じて新たなゲームユーザーを開拓する。
ソーシャルゲームは交流サイトに登録した利用者同士が競ったり協力したりして一緒に楽しむ内容。基本料金は無料で、ゲームを有利に進めるための「アイテム」を取得する際に課金する手法が主流だ。
カプコンも欧米でまず100万人規模の無料会員を獲得し、アイテムへの課金などで収益を確保していく。
カプコンは日本でSNS大手のディー・エヌ・エーと組み、8月に「モンスターハンター」シリーズの派生作品の配信を始めたばかり。国内外のソーシャルゲーム市場で攻勢をかける。
ゲーム専門誌発行のエンターブレイン(東京・千代田)によると、日本の家庭用ゲーム市場(ハードとソフトの合計、携帯電話などを通じたオンラインゲームは除く)は2009年に前年比6.9%減の5426億円と2年連続で縮小した。
このため、ゲームソフト各社は新たな収益モデルの構築が急務となっている。バンダイナムコゲームスも年内をめどにフェースブック向けに2~3本のゲーム配信を始める。国内を中心にソーシャルゲームの配信に取り組んでいるが、海外でも本格展開に乗り出す。
インターネットN広告大手のサイバーエージェントも子会社を通じてソーシャルゲーム配信を強化するなど、業態の垣根を越えた新規市場参入が広がりつつある。
世界初 3D対応スマートフォン シャープ、本格仕様で攻勢
シャープは16日、裸眼で3D(3次元)映像を楽しめる多機能携帯電話(スマートフォン)を今年度中に国内外で発売する方針を明らかにした。同社によると、3D対応のスマートフォンは世界で初めて。スマートフォンは年々増加し、2010年中に世界出荷が1億7500万台に達するとの試算もある。市場では米アップルの「iPhone(アイフォーン)」など海外勢が先行しており、シャープは3D技術で攻勢に出る。
今回の商品は、3D対応カメラを搭載し、撮影した静止画や動画が裸眼で立体的に見える。画面には4月にシャープが発表した3D対応の小型液晶パネルを採用予定。操作はタッチパネル式が有力で、撮影した映像は3Dテレビ「アクオス」でも鑑賞できる見通し。
シャープは02年にも携帯電話に3D機能を付けて発売したが、通常の画像をソフトで加工する仕組みで、あまり鮮明でなかったことなどからヒットしなかった。
今回は、対象を2つのカメラで別角度から撮影して立体的に見せる本格的な仕組みで、液晶の明るさも格段に向上。スマートフォンなので、対応する3D動画をインターネット上から手軽に取り込み楽しむこともできる。
3D関連商品は増えているが各社の3Dテレビは専用眼鏡をかける必要があり、裸眼で楽しめるのは富士フイルムのデジタルカメラなどに限られている。
世界の携帯大手、明暗 スマートフォンが業績左右、4~6月
【シリコンバレー=奥平和行】世界の携帯電話端末業界で高機能携帯電話(スマートフォン)の販売がメーカーの業績を左右する傾向が強まっている。この分野が好調だった英ソニー・エリクソンと米モトローラは4~6月期の営業損益が黒字転換する一方、従来型の端末が主力のフィンランドのノキアなどは減益だった。スマートフォンは単価が高いため収益への貢献も大きく、競争が一段と激化しそうだ。
米調査会社ガートナーによると、世界の携帯電話端末市場に占めるスマートフォンの比率は2010年4~6月期で19%。前年同期比で5ポイント上昇した。スマートフォンのシェアは08年には11~12%台で推移。09年からじわじわと上昇し、10年1~3月期には17%となっていた。
ソニー・エリクソンは米グーグルの携帯向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した「エクスペリア」の販売が増加。モトローラもアンドロイド端末が米国などで好調だった。ガートナーによると4~6月期に世界のスマートフォン市場でアンドロイド端末のシェアは前年同期より15.4ポイント高い17.2%に急拡大。両社などアンドロイド陣営の好調を裏付けた。
スマートフォンを主軸に据えたソニー・エリクソンの4~6月期の端末平均販売価格が前年同期より約3割高い160ユーロ(約1万7600円)になるなど、この分野は収益貢献が大きい。
「ブラックベリー」を手掛けるカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)は3~5月期の営業利益が前年同期比53%増加。米アップルは携帯電話部門の業績を開示していないが、「iPhone(アイフォーン)」などが好調で4~6月期の純利益は会社全体で78%増となった。
一方、従来型の端末を主力とするメーカーは苦戦している。4~6月期は端末世界最大手のノキアに加え同2位の韓国サムスン電子も営業減益。3位のLG電子(韓国)は営業赤字に転落した。各社は新興国市場などで手ごろな価格の端末を大量販売することで事業を拡大してきたが、価格競争の激化により苦戦を強いられた。ノキアが主導するOS「シンビアン」はスマートフォンで最大のシェアを握るが、使い勝手などで「アンドロイド」陣営に押されている。
ただ、ノキアはシンビアンの改良に取り組んでいるほか、サムスンも米マイクロソフトの新OSを搭載した端末を年内にも発売するなど巻き返しに余念がない。
各社が収益性が高いスマートフォンに注力することで市場の活性化が見込まれる一方、この分野でも従来型と同様に価格下落が進む可能性がある。
Google、仮想通貨の新興企業Jamboolを買収
仮想通貨プラットフォームを手掛ける米Jamboolは現地時間2010年8月13日、米Googleが同社を買収したと発表した。Jamboolの創業者で最高経営責任者(CEO)のVikas Gupta氏と最高技術責任者(CTO)のReza Hussein氏が同日付の公開書簡で明らかにした。
Jamboolは米カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置く新興企業。CEOのGupta氏とCTOのHussein氏は米Amazon.comで決済システムや受注ワークフローシステムを手掛けた人物。
2006年にJamboolを設立した当初は、ソーシャルネットワーク向けのアプリケーションなどを手掛けていたが、2008年に「Social Gold」と呼ぶ仮想通貨プラットフォームを開発。ソーシャルゲームやソーシャルアプリケーションに導入できる決済システムとして利用されている。
創業者の両氏は、Googleの傘下に入ることについて、「我々のビジョンを実行するためには逃せない機会と判断した。Social Goldを世界中のGoogleユーザーに提供できることを喜んでいる」と述べている。
Googleは8月6日に、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の米Facebookにソーシャルゲームを提供している米Slideを買収したと発表した。また米Zynga Game Networkに大規模な出資を行ったとも報じられている。同社のこうした最近の動向から、うわさされているFacebook対抗のSNS「Google Me」の開発を着々と進めているのではないかと英Financial Timesなどの海外メディアは報じている。
首相、円高・景気減速で経済対策を検討 エコポイントの延長浮上
菅直人首相は16日、経済閣僚に対して円高の影響など景気の現状分析を指示するとともに、閣僚の報告を踏まえて円高・経済対策の検討に入る考えを明らかにした。政府・与党内では(1)12月末に終える予定のエコポイント制度の延長など消費刺激(2)新卒者の就職支援(3)円高に苦しむ中小企業の資金繰り支援――などが柱に浮上している。(関連記事総合・政治面に)
首相は同日、荒井聡経済財政相、野田佳彦財務相、直嶋正行経済産業相の3閣僚に「近々それぞれの立場でいまの日本の経済の状態をしっかりみたうえで報告してほしい」と指示。「そういう中から今後のことは考えたい」と対応策の検討を示唆した。
内閣府が同日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値が前期比年率で実質0.4%増に鈍ったことや最近の円高・株安を念頭に「為替の問題を含めて注意深くみておく必要がある」とも強調。円相場とともに景気の動向を注視する考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
民主党の政策調査会幹部も同日、「需要喚起や雇用対策を中心とした追加経済対策が必要だ」と指摘した。財源としては2010年度予算に計上した経済危機対応・地域活性化予備費の未使用分から約9000億円、09年度決算の剰余金から8000億円程度の合計1兆7000億円が使える見通し。政府内では国債の増発に慎重な声が多い。
9月末に期限を迎えるエコカー補助金も焦点となるが、直嶋正行経済産業相は7月30日の記者会見で延長を明確に否定している。
米動画サイト大手「フル」上場検討 米メディア報道
ニューズ、NBCU、ディズニーなど出資
【ニューヨーク=武類雅典】米メディア大手のニューズ・コーポレーションやNBCユニバーサル(NBCU)などが出資するネット動画サービスの「Hulu(フル)」が株式公開を検討していることが16日、明らかになった。複数の米メディアが報じた。フルは大手メディアが米グーグル傘下のネット動画「ユーチューブ」に対抗して立ち上げた合弁事業。収益基盤が整いつつあると判断したと見られる。
フルは大株主がニューズ、NBCU、米ウォルト・ディズニーなどで、2007年の設立。人気テレビ番組や映画を無料で視聴できるサービスを提供している。これまで広告収入で収益を上げてきたが、6月にはパソコンやテレビ、携帯電話などでハイビジョン画質の動画を視聴できる月9.99ドルの有料サービスに乗り出した。早ければ今秋にも上場すると見られ、上場後の時価総額は約20億ドル(約1700億円)と推定されている。
米調査会社コムスコアが16日発表した7月のネット動画サービスのランキングによると、視聴者数ではユーチューブなどグーグル系サイトが約1億4300万で首位。フルは2800万超にすぎない。一方、動画広告視聴数の1位はフルの約7億8300万で、グーグル系の約3.6倍に達している。
米メディアによると、フルはすでに黒字を達成しているという。視聴無料の素人投稿ビデオでネット動画サービスの草分けとなったユーチューブは赤字続きと指摘されているが、近く黒字転換するとも見られている。
出力3割増の新型原発開発 既存設備更新にらみ
30年運転開始 経産省方針
経済産業省は2030年の運転開始を目指す新型原子力発電所の基本仕様を固め、民間企業と本格的な開発に着手する。発電出力は従来の3割増となる世界最大級の180万キロワットに設定。稼働率も最高水準の97%を可能にする。国の原子力立国計画に基づき、国内30基弱の建て替えに生かすほか、中国やインドなどアジア各国にも売り込む。
経産省は17日開く政府の原子力委員会で新型原子炉の基本仕様を説明する。新型炉は経済性向上、安全性強化、環境負荷の低減の3つの目標を掲げる。15年度に詳細設計を終え、16年度以降は三菱重工業、東芝、日立製作所など重電各社が開発実験や安全審査などに入る。開発費は官民で約550億円を拠出する予定だ。
新型炉は冷却水に普通の水を使う軽水炉。発電出力180万キロワット級は国内で現在稼働する最大規模の130万キロワットを上回り、米国などで計画中の150万キロワットより大きい。炉心の配置を変えたり、燃焼効率のよい燃料を投入できるような構造にしたりして出力を高める。この結果、使用済み核燃料が通常より3割減り、再処理や保管にかかるコストも削減できる。
稼働率も高水準をめざす。現在国内原発の稼働率は約60%。柏崎刈羽原発(新潟県)の事故の影響で下がったが、もともと現在の技術では9割が限界。新型炉は燃料の燃焼効率を向上するとともに、機器の補修や改修にかかる期間を短縮することで稼働率を上げる。米国や韓国も90%台前半で推移しており、達成すれば世界最高水準になる。
現在国内では54基の原発が稼働しており、総発電能力は約4800万キロワット。現時点では54基のうち最大30基が建て替え対象になる見通しで、仮にすべてが180万キロワットの新型炉に切り替わっただけで5400万キロワットの発電能力を持てる。これらの稼働率が6割台から97%に達すれば、計算上、最低でも1.8倍の能力増強が期待できる。
経産省は「最新の安全技術を備え、将来の世界市場の獲得もめざす」(直嶋正行経済産業相)としており、中印や東南アジアなどへの売り込みも急ぐ。新型炉は工期を従来の50カ月から30カ月に短縮できる見込みで、海外市場開拓の有力な手段と位置付ける。電源規模が小さい国向けに発電出力が80万キロワット程度の中型機を作って売り込むことも検討中だ。
日本では新しい立地に原発をつくるのは地元の反対が大きく、難しい。経産省は地球温暖化対策の一環で原子力の電源全体に占める割合を現行の3割強から4割程度で安定させたい考えで、既存原発の出力を大幅に向上させることが欠かせないとみている。50年には高速増殖炉の運転開始も計画しており、新型炉の運転とあわせ電力の安定供給につなげる。
イオン、PB160品目10~15%値下げ 原料一括調達でコスト減
イオンは2010年度中に、食品や飲料などプライベートブランド(PB=自主企画)の3%にあたる約160品目を10~15%値下げする。原材料や包装材をまとめて調達し、生産委託先のメーカーに供給するなどしてコストを下げる。09年度に約2000品目を値下げしたが、今年に入ってメーカー品の値下がりが進んだため、PBの価格優位性を維持する。
従来は商品の仕様についてイオンが決めていたが、原材料の調達はメーカー任せのケースが多かった。小麦粉など一部については先行してイオンが一括で仕入れ供給してきたが、これを鶏、豚、牛の肉や食用油にも広げた。調達量はそれぞれ年間で数十万トン単位。容器や包装も素材や規格をそろえてコストを削る。
生産委託先の工場集約などもあわせて実施し、10年度に入りまず約80品目を値下げ。368円のウインナーが348円、キャノーラ油が278円から248円になった。素材や仕様の変更のため単純に比較できないが、値下げ幅は平均で10~15%となる。今後は売れ筋商品のペットボトル入りお茶など食品・飲料類を中心に値下げする。
(成長鈍化 いま何が必要か) 法人税まず5%下げを 東大教授 伊藤元重氏
日本経済の先行きに不透明感が広がってきた。4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率が大幅に鈍化し、最近の円高・株安が景気の足を引っ張る恐れも出てきた。いまの日本に必要な政策を識者に聞いた。
1ドル80円突破も
――国内景気の減速懸念が広がってきました。
「米国も欧州もドルやユーロの下落を容認している。結果的に円が買われる構図だ。物価水準を加味した実質レートでみると、円は15年前よりまだ3割程度安く、円買いには安心感もある。市場が乱暴に動けば、1ドル=80円を突破しかねない」
「最近の相場変動で最も打撃を受けそうなのが日本だ。回復に向かっていた日本経済の先行きに黄信号がともっている」
――円高は企業の海外進出も加速させます。
「自動車も家電も日本国内では十分な収益を上げられない。成長市場の中国でも、収益の拡大が追いついていない企業が少なくない。アジアの市場で勝ち抜くには、グローバル化をもう一歩進める必要がある。雇用維持との兼ね合いで海外進出にためらいがあっても、為替が企業の決断に影響を及ぼす可能性がある」
「日本の生産年齢人口は今後10年間で700万人以上も減少する。中長期的には海外の労働力を活用せざるを得ない。日本に本社機能などを残して海外に出るのは、決して悪いことではない」
――中国や韓国との競争も激化するでしょう。
「日本の大手企業の話を聞くと、韓国のサムスン電子との違いは賃金コストだという。1人あたりの国内総生産(GDP)が日本より小さい国が技術力を高めてきた。それがグローバル化の怖いところだ」
「今後20年もすれば、インドや東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済規模も日本より大きくなる。日本のGDPに対する輸出の比率は16~17%程度で、40%以上のドイツに比べて小さい。楽観的な見方をすれば、日本の輸出には増加の余地がある。産業の集約化も重要だが、日本企業のM&A(合併・買収)のスピードは遅い」
根深い需要不足
――政府は何をすべきでしょうか。
「日本経済が抱える最大の問題は需要不足だ。根雪のようなデフレに特効薬はない。時間がかかっても成長戦略を着実に進めるしかない」
「主要国の中でも高い法人課税の実効税率(現行40%程度)を見直し、来年度にまず5%引き下げるべきだ。その後も政府が引き下げの意思を示す必要がある。企業は高い税率に悩んでおり、3~5年も待ってはいられない。財政再建を進めるため、消費税率引き上げなどの見通しも示さなければならない」
「世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)が頓挫しているため、主要国は2国間の自由貿易協定(FTA)締結に動いている。しかし日本のFTA戦略は出遅れが鮮明だ。農業の一層の自由化が避けられない」
――政府の危機意識が感じられません。
「何を考えているのかというメッセージが伝わってこない。民主党の代表選を9月14日に控えていることも政治空白の一因になっているのではないか。経済のサイクルと政治のサイクルがかみ合っていない。本来なら政治的な手腕を発揮するチャンスでもあるはずだ」
日経社説
景気減速への危機感足りぬ政府・日銀
世界経済は再び悪化する恐れが強まってきた。円高に見舞われている日本では、それを先取りして株価が大幅に下落した。
2年前のリーマン・ショックで明確に表面化した世界的な経済・金融危機はいったん遠のいたかに見えた。だが問題の根は深く、米国でも欧州でも癒えたとはいえない。
この世界的な成長減速の懸念に対し、民主党政権も日本銀行も危機感が足りない。
回復のリード役に陰り
内閣府が16日に発表した4~6月期の経済成長率は、物価変動の影響を除いた実質で年率0.4%となった。1~3月期の4.4%からの大幅な成長減速で、名目では同マイナスの3.7%である。
そのわずか6日前、日銀は金融政策決定会合で足元の景気について「海外経済の改善を起点として、緩やかに回復しつつある」というそれまでの判断を据え置いた。
同じ日に政府が発表した月例経済報告は海外経済の回復テンポが緩やかになるとしながらも、日本の景気は「着実に持ち直してきており、自律的回復への基盤が整いつつある」と、基調判断を踏襲した。
この1年半ほど日本経済の回復を支えてきたのは財政による景気刺激策と輸出である。ともに、これまでのようには頼りにならなくなった。エコポイント制度やエコカー補助の効果がほぼ一巡したことは4~6月の個人消費からも読み取れる。
輸出は中国などアジア地域向けが伸び悩み、景気減速の兆しが強まる米国向けもあやしくなってきた。米欧中とも自国通貨の下落を黙認しているうえに、南欧諸国の金融・財政リスクが高い。このため日本円が実力以上に買われて円高となり、輸出企業を苦しめている。
景気回復のリード役に確実に陰りが広がっている。政府・日銀の景気判断は極めて甘いのではないか。
米国では「現状は(19世紀後半と1930年代に次ぐ)史上3番目の恐慌の初期段階にあるのではないか」(ノーベル経済学賞のクルーグマン・プリンストン大教授)という見方もある。その当否はともかく、10年ほど前から世界各国で急膨張した債務を今、調整中である事実も考えれば二番底、三番底もありうるとみておいたほうがよい。
現実の日本の政策運営はといえば景気判断が甘いだけでなく、危機に備える気構えも体制も著しく弱いように思える。先週、円相場が15年来の高値をつけたときも、菅直人首相をはじめ政府関係者は「懸念の表明」という口先介入で時間稼ぎをするのにとどまった。
民主党政権は子ども手当や高速道路無料化など公約した内政を優先する。それに集中するあまり、円高や海外経済の減速という外的な衝撃への感度が鈍いのではないか。
強まる景気二番底の懸念に備えて政府・日銀がまず手をつけるべきは円高に歯止めをかけることだ。円高は輸出関連企業の収益を圧迫するだけでなく、放置すれば製造業が生産拠点を海外に移すのを助長し、雇用などに取り返しのつかない悪影響を及ぼす。
「同じものを買うのにいくらかかるか」という発想から算出する円の理論的な価値、いわゆる購買力平価は1ドル=115円程度(経済協力開発機構)。競争力が強い輸出企業に単純には当てはめられないが、85円台はすでに実力以上だろう。
したたかな通貨外交を
日銀は円高の阻止へ金融緩和策をとる余地がまだあるとみられる。財務省は外国為替市場への介入をためらうべきではない。介入の際は市場に散布した円資金を日銀が吸い上げず介入効果を高めるのが望ましい。自国通貨安を黙認する米欧や中国に対し、自らを防衛するのは当然だ。
財務省は2003年から04年にかけ35兆円の円売り・ドル買い介入をした。今はオバマ政権が5年で輸出倍増の方針を掲げており、為替介入に米国の理解を得にくいのは想像に難くない。しかし日米は経済の面で幅広く結びついており、米国と何らかの取引をする材料はあるはず。
そのために政府は通貨外交の戦略を持つ必要がある。それは6月につくった成長戦略の実行にも欠かせない。外国との過酷な競争に生き残るため、したたかな計算と行動で国民をしっかり守ってほしい。
もし景気が深い二番底に陥る場合は、長期的な財政健全化の目標を変えず、短期的に国債発行を基に「いずれ必要な事業」を繰り上げ実施するのもやむをえない。病院や学校の耐震化や、東京外郭環状道の整備などだ。その際は日銀が債券市場からの国債購入を増やすなど政府と足並みをそろえることも大切だ。
成長を促す改革や無駄な歳出の削減など構造政策とともに、景気の変動に機動的に対応する柔軟な政策運営が政府・日銀に求められる。
4~6月GDP、日中が逆転
景気回復の足踏み感が一段と鮮明になってきた。内閣府が16日発表した4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、速報値で前期比年率0.4%と民間予測の平均(2.4%)を大きく下回った。未発表のカナダを除く主要国で最低の成長率。4~6月期の名目GDPはドルベースで中国に抜かれた。
低成長の主因は自動車、家電製品など国内の耐久消費財需要が前期比1.0%減とマイナスに転じたこと。1~3月期にエコポイントなど政策要因により盛り上がっていた需要の反動がでた。
内需がきわめて鈍いことは今後の景気動向を占ううえで、大きな懸念材料だ。これまでの景気回復の牽引役だった輸出の伸びが鈍るなか、内需に点火するかどうかが焦点だったからだ。4~6月期でみるかぎり、日本経済は持続的な景気回復を続けていけると判断できる材料には乏しい。
エコカー補助金の9月末の廃止など政策的な下支え策が打ち切られた後は、成長力が一段と鈍る可能性が濃厚だ。
GDP統計で公共投資を示す公的資本形成が極めて弱いことも気がかりだ。4四半期連続での前期比マイナスだったばかりでなく、1~3月期まではプラスだった前年同期比でも大きなマイナスに転じた。昨年9月に発足した民主党政権が2010年度予算で公共投資支出を大きく削り込んだ影響がはっきりとでた。
足元の円高進行で、7~9月期以降の成長力も危うい。輸出に響くほか、今後の企業収益の減速で賃金の抑制などが景気にマイナスに働く可能性が高い。期待できる材料は6月から支給がはじまった子ども手当だが、これまでの消費統計などにはあまりプラスには表れていない。設備投資も落ち込む感じはないが、牽引役になるだけの力強さはみえない。
やはり、政策対応を続けるかどうかが、景気の先行きのカギを握る。財政状況が先進国で最悪とも言われるなか、どうバランスしながら景気のかじ取りを続けるか。難しい政策判断が求められそうだ。
4~6月期のGDP、原系列ベースで日中逆転
日中の経済規模が逆転した公算が大きくなっている。内閣府によると4~6月期の名目国内総生産(GDP)をドル換算すると1兆2883億ドル。一方で中国の名目GDPは1兆3369億ドルで、日本のGDPを486億ドル上回る。季節性がある原系列ベースのため単純な比較は難しいが、足元で中国の経済規模は世界第3位から2位に浮上した可能性が高い。
季節性を取り除いても同じ傾向が出ている。大和総研の熊谷亮丸氏が試算した季節調整値によると、中国の年上半期(1~6月)の名目GDPは年率で5兆6673億ドル。一方で日本の名目GDPは同5兆2473億ドル。年上半期で中国の経済規模が日本を上回った模様だ。
国際通貨基金(IMF)によると2010年に日中のGDPが逆転する見通しだが、好調な中国の経済成長を背景に、すでに年前半の時点で経済規模は追い抜かれた可能性が高い。
日中GDP逆転、米メディア速報
内閣府が日本の4~6月期の名目GDPが同期の中国を下回ったと発表したことについて米メディアは電子版でいち早く速報し、今後は中国の存在感が一段と増すことなどを指摘した。16日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは今年通年でも日本のGDPが中国を下回る可能性があると分析。ニューヨーク・タイムズは「世界は新しい経済大国を考慮しなければならない」と強調した。
ウォール紙は四半期ベースとはいえ、日中のGDP逆転が「通年でも中国が日本を超えそうであることを示唆している」として「世界経済の転換点」だと位置付けた。そのうえで「中国の台頭は魅力的だが、脅威にもなりかねない」と予測し、経済だけでなく安全保障の分野などでも周辺国との摩擦を強めることがないよう、中国側の配慮も求めた。
ニューヨーク・タイムズは日本の状況について「(経済成長の不振は)経済と政治の両面での衰退を反映している」と説明し「中国の優位が現実になった」と報じた。ただ中国経済の問題点も紹介。「都市化に伴う弊害が生じており(発展具合は)先進国とはほど遠い」「輸出に過度に依存している」などとして、構造転換の必要があるとも論評した。
緊急特集
GDP減速、市場関係者に聞く(10/8/16)
内閣府が16日発表した2010年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質成長率が前期比プラス0.1%、年率換算でプラス0.4%と市場予想平均(年率プラス2.4%)を大きく下回り、景気の減速感が強まった。市場関係者に注目点や相場への影響などを聞いた。
「10~12月期マイナス成長も」
大和証券キャピタル・マーケッツの高橋和宏投資戦略部部長
特に民間在庫の寄与度がマイナスだったことが目を引く。経営者が先行きの需要をかなり慎重に見て、在庫積み増しを控えたのだろう。
個人消費や設備投資、住宅投資も弱かった。設備投資は民間在庫同様、経営者が外部環境の動きを見て、投資意欲が鈍ったのではないか。また個人消費は3月末のエコポイント改定による駆け込み需要の反動が出たとみている。
7~9月期はエコカー減税終了などによる駆け込み需要の動きが期待できるが、10~12月期は何らかの政策対応がないとマイナス成長も考えられる。民間在庫などは今後数値改定の可能性も考えられるが、全体的な減速基調は変わらないだろう。
今回のGDPは海外投資家に日本経済回復に対する警戒感を与えるだろう。海外投資家はアジアの需要を取り込む一部企業などには投資するだろうが、これだけ内需が弱い日本株全体に投資しようという動きは限られてくるだろう。今後は政策面で、円高対策や社会インフラ整備の前倒しなどが必要となってくるのではないか。
「二番底リスク低く」
JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミスト
世界経済の減速を受けて当社では7~9月期以降に日本経済が減速すると見ていたが、予想より1四半期早まったという印象だ。不振だった内需を補うだけ輸出が伸びなかった。
ただ今回のGDPはテクニカルな要因で数字が低めに出ており、実際の実質成長率は年率換算でプラス1%程度と見ている。季節調整に伴う要因が0.6%程度数値を押し下げているためだ。
個人消費は弱かったが、製造業の時間外手当増加などで雇用者報酬は順調に伸びており、それほど心配はしていない。設備投資も弱かったが、やや不可解な数字で、実際は1%台ではないか。円高で設備投資が落ち込むことは心配だが、外需が伸びれば円高であっても設備投資はせざるを得ない。そういう意味でも外需が今後どうなるかがもっとも重要だ。
今後の見通しだが、マイナス成長に陥るような二番底リスクは引き続き小さいとみている。米国の景気指標も下振れしているが、民間雇用はまだマイナスにはなっていない。
ただ米国は政策面で手詰まり感があり、今後のポイントは中国になるだろう。中国が不動産規制と金融引き締め政策を解除すれば、中国経済は再び浮上する。中国を代表とする新興国が世界経済をけん引するなかで、日本も外需主導の回復が可能だと考えている。
ソニエリ、Android搭載のプレステ携帯開発か?
Sony Ericssonが、Androidを基盤としたゲームプラットフォームを開発しているという。同社は8月15日に米国でAT&Tから発売されたAndroid携帯「Xperia X10」の開発元だ。
Sony Ericssonにコメントを求めたが回答はなかった。だが初めにこのニュースを伝えたEngadgetは、このプラットフォームはGoogleのAndroid 3.0(コードネーム:Gingerbread)を搭載したデバイスだとしている。
Gartnerのアナリスト、ケン・デュレイニー氏は、携帯電話とゲームにAndroidを採用することについて、ソニーはAppleに倣っているのかもしれないと話す。ゲーム機にもなるiPod touchとiPhoneが同じOSを使っているのと同じように。
ソニーのデバイスは早ければ10月に登場する可能性があるが、それを信じるのは無理があるとeWEEKは考えている。10月まで2カ月しかなく、このデバイスについて分からないことが多いからだ。実際、Engadgetが報じたことのほとんどは不確定あるいは推測のように見える。
Androidは消費者向けのコミュニケーションや娯楽のためのモバイルプラットフォームとして評価を得てきている。同ソフトは約70種の端末に搭載され、2010年秋にはバージョン2.1がGoogle TVの基盤として組み込まれる。
Google自身、オンラインゲームへの関与を深めていると言われており、Sony EricssonとGoogleがゲーム携帯で協力しているというEngadgetの記事を補強する大きな要因となっている。
Googleはネットでのゲーム人気の高まりを認識している。同社が何らかの形で人々をAndroid向けのゲームに引き込むことができれば、ユーザーに広告を提示する機会がさらに開けるだろう。
実際、Googleはソーシャルネットワークの一部としてGoogle Gamesを開発するために、ソーシャルゲーム大手Zyngaに1億ドルを出資したという。最近ではソーシャルウィジェットメーカーSlideを2億2800万ドルで買収している。
NTT系、携帯向け電子コミック 時間内なら読み放題
NTT西日本子会社で携帯電話向け漫画配信大手のNTTソルマーレ(大阪市)は16日、一定の時間内なら漫画が読み放題となる携帯電話向けサイトを開設したと発表した。30分(105円)、購入日の翌日まで(525円)、月末まで(1029円)など利用時間を自由に選べるのが特徴。同社は「気軽に読めるサービスを提供して電子書籍利用のすそ野を広げたい」としている。
「サラリーマン金太郎」など5000タイトル、3万話の漫画を楽しめる。年内にタイトル数を2倍に増やすという。現在の利用はNTTドコモの携帯に限られるが、今後は他社の携帯やスマートフォン(高機能携帯電話)などにも対応させることを検討中。2011年3月までに会員数10万人を目指す。
クラウドの新サービス 2020年までに世界で40兆円超へ 経産省が報告書
経済産業省は16日、インターネット経由で情報やソフトウエアを共同利用する「クラウドコンピューティング」をめぐり、2020年までに累計40兆円超の新サービス市場が世界で創出されるとの予測を盛り込んだ研究会の報告書を発表した。情報処理による二酸化炭素(CO2)排出量も1990年比で約7%削減できるとした試算も公表した。
経産省は、クラウドコンピューティングの市場創出に向け、来年度予算でプラットホーム実証事業などを要求する方針だ。
報告書は普及促進に向けて①データの外部保存やサービスの外部委託の障害となる諸規制の緩和②デジタル教科書など著作物の2次利用を可能とする制度整備③データセンターの国内立地の促進④クラウドサービスを通じた国際展開-などを打ち出した。
研究会は慶応大学環境情報学部の村井純教授を委員長に、IT(情報技術)企業らで構成。昨年7月から議論を続けてきた。
韓国のサイト、一時接続困難に 日本からの攻撃?
【ソウル=水沼啓子】韓国の聯合ニュースによると、韓国の一部のコミュニティーサイトやゲームサイトなどが15日、一時接続困難な状況になった。
特定のサイトに一斉に大容量の情報を送信し、サーバーやネットワークに大きな負荷を与えて機能をまひさせる分散サービス妨害(DDoS)攻撃が原因とみられる。
聯合ニュースによると、韓国のインターネット愛好家らの間では日本からの攻撃の可能性を指摘する声も出たが、一方で「第三者あるいは韓国人の可能性もあるので、日本のサイトへの攻撃は慎もう」と自制を促す声もあったという。
日韓のネット愛好家らは、それぞれ相手国のサーバーをダウンさせる目的で、同時集中的にアクセスをする「サイバー攻撃」を15日に実施することを呼びかける動きも見せていたが、大きな混乱はなかったもようだ。
中国で3Dポルノ AV女優の原紗央莉ら出演 撮影快調の一部始終
香港で3Dによるポルノ映画が製作されている。日本のAV女優、原紗央莉(さおり)(22)や香港で活躍している男優、葉山豪(ひろ)(35)が出演するポルノ映画「3D SEX&禅(英語題名)」で、古代中国を舞台にした官能的な時代劇。3D効果で観客を興奮させヒットさせようという、ポルノ映画の新たな試みとして期待されている。
“ネコ系”女優といわれる原は、今年1月、屋外でヌード写真集を撮影したとして公然わいせつ罪で警視庁に写真家の篠山紀信と書類送検された。国境を越えた“艶技”でアジア映画のミューズ(女神)となるか。
神戸新聞社説
労働経済白書/若者の雇用確保が最優先
日本の雇用情勢が厳しい。景気の先行きは不透明だが、主要先進国で日本だけがデフレに沈んでいるのも、雇用回復の道筋が見えないからだろう。
2010年版の労働経済白書は、こうした実情に迫っている。注目すべきは、労働者派遣制度の規制緩和が非正規雇用を増やし、結果として所得格差を広げた‐と明確に指摘している点だ。
白書が過去の政策の問題点に言及するのは異例である。それほど深刻化しているということだ。雇用増や格差是正につながる総合的な政策を打ち出す必要がある。
いまや働く人の3分の1が非正規雇用で、そのほとんどが年収300万円以下だ。年収の分布を1997年と07年で比較すると、非正規雇用の増加によって、100万~200万円台半ばの低所得者層の割合が高まっている。
派遣法の施行は20年ほど前のことだ。最初は専門性の高い13業務に限っていたが、小泉政権の下で対象業務が製造業まで広がった。これによって大企業を中心に非正規雇用の比率が高まった。
その結果として、平均賃金は下がった。06年11月には景気は「いざなぎ超え」を達成したが、生活実感に乏しかった。内需関連業種は長期低迷し、商店街や路線バスなど地域経済の苦境は深まるばかりだ。
非正規雇用の増加は、コスト削減を求める企業に恩恵をもたらした。一方で、今に続く雇用不安の要因にもなった。08年9月のリーマン・ショック以降の経済危機による大量失業が、構造的な問題をはっきり示している。
憂慮すべきは、35歳未満の層で非正規雇用の比率が高まり、格差が広がっていることだ。いったん非正規になると、なかなか正社員になれない。就職氷河期の今、大学を卒業しても16%が就職できないという。希望に燃えて社会人となる若者が、門前ではじかれ、格差に苦しむ。社会にとって大きな損失だといわざるを得ない。
長期安定雇用の中で、技術や技能の蓄積を通じて、人々の所得を底上げしていく。雇用の安定と適切な所得分配を一体的に進め、内需を力強くしていく。白書が促す道筋はどれももっともだ。
政府の新成長戦略が挙げる環境、医療、福祉などの分野で新内需を創造するには、担い手の人材育成が課題となる。そのためには雇用の確保、とりわけ若者の雇用を最優先に考えなければならない。
景気回復の足踏み感が一段と鮮明になってきた。内閣府が16日発表した4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、速報値で前期比年率0.4%と民間予測の平均(2.4%)を大きく下回った。未発表のカナダを除く主要国で最低の成長率。4~6月期の名目GDPはドルベースで中国に抜かれた。
低成長の主因は自動車、家電製品など国内の耐久消費財需要が前期比1.0%減とマイナスに転じたこと。1~3月期にエコポイントなど政策要因により盛り上がっていた需要の反動がでた。
内需がきわめて鈍いことは今後の景気動向を占ううえで、大きな懸念材料だ。これまでの景気回復の牽引役だった輸出の伸びが鈍るなか、内需に点火するかどうかが焦点だったからだ。4~6月期でみるかぎり、日本経済は持続的な景気回復を続けていけると判断できる材料には乏しい。
エコカー補助金の9月末の廃止など政策的な下支え策が打ち切られた後は、成長力が一段と鈍る可能性が濃厚だ。
GDP統計で公共投資を示す公的資本形成が極めて弱いことも気がかりだ。4四半期連続での前期比マイナスだったばかりでなく、1~3月期まではプラスだった前年同期比でも大きなマイナスに転じた。昨年9月に発足した民主党政権が2010年度予算で公共投資支出を大きく削り込んだ影響がはっきりとでた。
足元の円高進行で、7~9月期以降の成長力も危うい。輸出に響くほか、今後の企業収益の減速で賃金の抑制などが景気にマイナスに働く可能性が高い。期待できる材料は6月から支給がはじまった子ども手当だが、これまでの消費統計などにはあまりプラスには表れていない。設備投資も落ち込む感じはないが、牽引役になるだけの力強さはみえない。
やはり、政策対応を続けるかどうかが、景気の先行きのカギを握る。財政状況が先進国で最悪とも言われるなか、どうバランスしながら景気のかじ取りを続けるか。難しい政策判断が求められそうだ。
4~6月期のGDP、原系列ベースで日中逆転
日中の経済規模が逆転した公算が大きくなっている。内閣府によると4~6月期の名目国内総生産(GDP)をドル換算すると1兆2883億ドル。一方で中国の名目GDPは1兆3369億ドルで、日本のGDPを486億ドル上回る。季節性がある原系列ベースのため単純な比較は難しいが、足元で中国の経済規模は世界第3位から2位に浮上した可能性が高い。
季節性を取り除いても同じ傾向が出ている。大和総研の熊谷亮丸氏が試算した季節調整値によると、中国の年上半期(1~6月)の名目GDPは年率で5兆6673億ドル。一方で日本の名目GDPは同5兆2473億ドル。年上半期で中国の経済規模が日本を上回った模様だ。
国際通貨基金(IMF)によると2010年に日中のGDPが逆転する見通しだが、好調な中国の経済成長を背景に、すでに年前半の時点で経済規模は追い抜かれた可能性が高い。
日中GDP逆転、米メディア速報
内閣府が日本の4~6月期の名目GDPが同期の中国を下回ったと発表したことについて米メディアは電子版でいち早く速報し、今後は中国の存在感が一段と増すことなどを指摘した。16日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは今年通年でも日本のGDPが中国を下回る可能性があると分析。ニューヨーク・タイムズは「世界は新しい経済大国を考慮しなければならない」と強調した。
ウォール紙は四半期ベースとはいえ、日中のGDP逆転が「通年でも中国が日本を超えそうであることを示唆している」として「世界経済の転換点」だと位置付けた。そのうえで「中国の台頭は魅力的だが、脅威にもなりかねない」と予測し、経済だけでなく安全保障の分野などでも周辺国との摩擦を強めることがないよう、中国側の配慮も求めた。
ニューヨーク・タイムズは日本の状況について「(経済成長の不振は)経済と政治の両面での衰退を反映している」と説明し「中国の優位が現実になった」と報じた。ただ中国経済の問題点も紹介。「都市化に伴う弊害が生じており(発展具合は)先進国とはほど遠い」「輸出に過度に依存している」などとして、構造転換の必要があるとも論評した。
緊急特集
GDP減速、市場関係者に聞く(10/8/16)
内閣府が16日発表した2010年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質成長率が前期比プラス0.1%、年率換算でプラス0.4%と市場予想平均(年率プラス2.4%)を大きく下回り、景気の減速感が強まった。市場関係者に注目点や相場への影響などを聞いた。
「10~12月期マイナス成長も」
大和証券キャピタル・マーケッツの高橋和宏投資戦略部部長
特に民間在庫の寄与度がマイナスだったことが目を引く。経営者が先行きの需要をかなり慎重に見て、在庫積み増しを控えたのだろう。
個人消費や設備投資、住宅投資も弱かった。設備投資は民間在庫同様、経営者が外部環境の動きを見て、投資意欲が鈍ったのではないか。また個人消費は3月末のエコポイント改定による駆け込み需要の反動が出たとみている。
7~9月期はエコカー減税終了などによる駆け込み需要の動きが期待できるが、10~12月期は何らかの政策対応がないとマイナス成長も考えられる。民間在庫などは今後数値改定の可能性も考えられるが、全体的な減速基調は変わらないだろう。
今回のGDPは海外投資家に日本経済回復に対する警戒感を与えるだろう。海外投資家はアジアの需要を取り込む一部企業などには投資するだろうが、これだけ内需が弱い日本株全体に投資しようという動きは限られてくるだろう。今後は政策面で、円高対策や社会インフラ整備の前倒しなどが必要となってくるのではないか。
「二番底リスク低く」
JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミスト
世界経済の減速を受けて当社では7~9月期以降に日本経済が減速すると見ていたが、予想より1四半期早まったという印象だ。不振だった内需を補うだけ輸出が伸びなかった。
ただ今回のGDPはテクニカルな要因で数字が低めに出ており、実際の実質成長率は年率換算でプラス1%程度と見ている。季節調整に伴う要因が0.6%程度数値を押し下げているためだ。
個人消費は弱かったが、製造業の時間外手当増加などで雇用者報酬は順調に伸びており、それほど心配はしていない。設備投資も弱かったが、やや不可解な数字で、実際は1%台ではないか。円高で設備投資が落ち込むことは心配だが、外需が伸びれば円高であっても設備投資はせざるを得ない。そういう意味でも外需が今後どうなるかがもっとも重要だ。
今後の見通しだが、マイナス成長に陥るような二番底リスクは引き続き小さいとみている。米国の景気指標も下振れしているが、民間雇用はまだマイナスにはなっていない。
ただ米国は政策面で手詰まり感があり、今後のポイントは中国になるだろう。中国が不動産規制と金融引き締め政策を解除すれば、中国経済は再び浮上する。中国を代表とする新興国が世界経済をけん引するなかで、日本も外需主導の回復が可能だと考えている。
ソニエリ、Android搭載のプレステ携帯開発か?
Sony Ericssonが、Androidを基盤としたゲームプラットフォームを開発しているという。同社は8月15日に米国でAT&Tから発売されたAndroid携帯「Xperia X10」の開発元だ。
Sony Ericssonにコメントを求めたが回答はなかった。だが初めにこのニュースを伝えたEngadgetは、このプラットフォームはGoogleのAndroid 3.0(コードネーム:Gingerbread)を搭載したデバイスだとしている。
Gartnerのアナリスト、ケン・デュレイニー氏は、携帯電話とゲームにAndroidを採用することについて、ソニーはAppleに倣っているのかもしれないと話す。ゲーム機にもなるiPod touchとiPhoneが同じOSを使っているのと同じように。
ソニーのデバイスは早ければ10月に登場する可能性があるが、それを信じるのは無理があるとeWEEKは考えている。10月まで2カ月しかなく、このデバイスについて分からないことが多いからだ。実際、Engadgetが報じたことのほとんどは不確定あるいは推測のように見える。
Androidは消費者向けのコミュニケーションや娯楽のためのモバイルプラットフォームとして評価を得てきている。同ソフトは約70種の端末に搭載され、2010年秋にはバージョン2.1がGoogle TVの基盤として組み込まれる。
Google自身、オンラインゲームへの関与を深めていると言われており、Sony EricssonとGoogleがゲーム携帯で協力しているというEngadgetの記事を補強する大きな要因となっている。
Googleはネットでのゲーム人気の高まりを認識している。同社が何らかの形で人々をAndroid向けのゲームに引き込むことができれば、ユーザーに広告を提示する機会がさらに開けるだろう。
実際、Googleはソーシャルネットワークの一部としてGoogle Gamesを開発するために、ソーシャルゲーム大手Zyngaに1億ドルを出資したという。最近ではソーシャルウィジェットメーカーSlideを2億2800万ドルで買収している。
NTT系、携帯向け電子コミック 時間内なら読み放題
NTT西日本子会社で携帯電話向け漫画配信大手のNTTソルマーレ(大阪市)は16日、一定の時間内なら漫画が読み放題となる携帯電話向けサイトを開設したと発表した。30分(105円)、購入日の翌日まで(525円)、月末まで(1029円)など利用時間を自由に選べるのが特徴。同社は「気軽に読めるサービスを提供して電子書籍利用のすそ野を広げたい」としている。
「サラリーマン金太郎」など5000タイトル、3万話の漫画を楽しめる。年内にタイトル数を2倍に増やすという。現在の利用はNTTドコモの携帯に限られるが、今後は他社の携帯やスマートフォン(高機能携帯電話)などにも対応させることを検討中。2011年3月までに会員数10万人を目指す。
クラウドの新サービス 2020年までに世界で40兆円超へ 経産省が報告書
経済産業省は16日、インターネット経由で情報やソフトウエアを共同利用する「クラウドコンピューティング」をめぐり、2020年までに累計40兆円超の新サービス市場が世界で創出されるとの予測を盛り込んだ研究会の報告書を発表した。情報処理による二酸化炭素(CO2)排出量も1990年比で約7%削減できるとした試算も公表した。
経産省は、クラウドコンピューティングの市場創出に向け、来年度予算でプラットホーム実証事業などを要求する方針だ。
報告書は普及促進に向けて①データの外部保存やサービスの外部委託の障害となる諸規制の緩和②デジタル教科書など著作物の2次利用を可能とする制度整備③データセンターの国内立地の促進④クラウドサービスを通じた国際展開-などを打ち出した。
研究会は慶応大学環境情報学部の村井純教授を委員長に、IT(情報技術)企業らで構成。昨年7月から議論を続けてきた。
韓国のサイト、一時接続困難に 日本からの攻撃?
【ソウル=水沼啓子】韓国の聯合ニュースによると、韓国の一部のコミュニティーサイトやゲームサイトなどが15日、一時接続困難な状況になった。
特定のサイトに一斉に大容量の情報を送信し、サーバーやネットワークに大きな負荷を与えて機能をまひさせる分散サービス妨害(DDoS)攻撃が原因とみられる。
聯合ニュースによると、韓国のインターネット愛好家らの間では日本からの攻撃の可能性を指摘する声も出たが、一方で「第三者あるいは韓国人の可能性もあるので、日本のサイトへの攻撃は慎もう」と自制を促す声もあったという。
日韓のネット愛好家らは、それぞれ相手国のサーバーをダウンさせる目的で、同時集中的にアクセスをする「サイバー攻撃」を15日に実施することを呼びかける動きも見せていたが、大きな混乱はなかったもようだ。
中国で3Dポルノ AV女優の原紗央莉ら出演 撮影快調の一部始終
香港で3Dによるポルノ映画が製作されている。日本のAV女優、原紗央莉(さおり)(22)や香港で活躍している男優、葉山豪(ひろ)(35)が出演するポルノ映画「3D SEX&禅(英語題名)」で、古代中国を舞台にした官能的な時代劇。3D効果で観客を興奮させヒットさせようという、ポルノ映画の新たな試みとして期待されている。
“ネコ系”女優といわれる原は、今年1月、屋外でヌード写真集を撮影したとして公然わいせつ罪で警視庁に写真家の篠山紀信と書類送検された。国境を越えた“艶技”でアジア映画のミューズ(女神)となるか。
神戸新聞社説
労働経済白書/若者の雇用確保が最優先
日本の雇用情勢が厳しい。景気の先行きは不透明だが、主要先進国で日本だけがデフレに沈んでいるのも、雇用回復の道筋が見えないからだろう。
2010年版の労働経済白書は、こうした実情に迫っている。注目すべきは、労働者派遣制度の規制緩和が非正規雇用を増やし、結果として所得格差を広げた‐と明確に指摘している点だ。
白書が過去の政策の問題点に言及するのは異例である。それほど深刻化しているということだ。雇用増や格差是正につながる総合的な政策を打ち出す必要がある。
いまや働く人の3分の1が非正規雇用で、そのほとんどが年収300万円以下だ。年収の分布を1997年と07年で比較すると、非正規雇用の増加によって、100万~200万円台半ばの低所得者層の割合が高まっている。
派遣法の施行は20年ほど前のことだ。最初は専門性の高い13業務に限っていたが、小泉政権の下で対象業務が製造業まで広がった。これによって大企業を中心に非正規雇用の比率が高まった。
その結果として、平均賃金は下がった。06年11月には景気は「いざなぎ超え」を達成したが、生活実感に乏しかった。内需関連業種は長期低迷し、商店街や路線バスなど地域経済の苦境は深まるばかりだ。
非正規雇用の増加は、コスト削減を求める企業に恩恵をもたらした。一方で、今に続く雇用不安の要因にもなった。08年9月のリーマン・ショック以降の経済危機による大量失業が、構造的な問題をはっきり示している。
憂慮すべきは、35歳未満の層で非正規雇用の比率が高まり、格差が広がっていることだ。いったん非正規になると、なかなか正社員になれない。就職氷河期の今、大学を卒業しても16%が就職できないという。希望に燃えて社会人となる若者が、門前ではじかれ、格差に苦しむ。社会にとって大きな損失だといわざるを得ない。
長期安定雇用の中で、技術や技能の蓄積を通じて、人々の所得を底上げしていく。雇用の安定と適切な所得分配を一体的に進め、内需を力強くしていく。白書が促す道筋はどれももっともだ。
政府の新成長戦略が挙げる環境、医療、福祉などの分野で新内需を創造するには、担い手の人材育成が課題となる。そのためには雇用の確保、とりわけ若者の雇用を最優先に考えなければならない。