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PSP2がすでに多数のデベロッパーの手に渡っているとの報道
 ソニーが多くの開発スタジオにPSPの後継機を渡していると報道されている。
 Developが「業界の複数の情報元」として伝えている情報によれば、「PSP2」とされるものの開発キットが「ローンチ時に発売されるタイトル数獲得に向け」ソニー内部デベロッパーやサードパーディーデベロッパーの手に渡っているそうだ。
 先日は、ワーナー・ブラザーズ傘下の『モータル・コンバット』製作スタジオ、NetherRealmが、手に入れたPSP2とされるものについて「かなりパワフルなマシン」と話していたのも記憶に新しい。
 ソニーの次世代携帯ゲーム機に関しては確認がとれていない情報もたくさん入ってきている。背面にタッチパネルがつくというものや、Eブックリーダー機能付のスマートフォンなどなど。
 とはいえSCEWWSの吉田修平氏もPSP2に関しては、はっきりイエスとは言っていないものの、ソニーがPSP2を作っていることを示唆する発言をインタビューでしている。
 PSP2発売に向け、まずはローンチタイトルの準備を万全にしようとしているソニーだが、PSP2は果たして、6200万台を売り上げているとされるPSPを越すことができるものになるだろうか。



ドコモ、スマートフォン向け電子書籍の試行サービス開始 50コンテンツ提供
 NTTドコモは28日、高機能携帯電話(スマートフォン)「エクスペリア」など向けに雑誌や書籍など電子書籍を提供する試行サービスを10月下旬から12月下旬の期間限定で実施すると発表した。
 ドコモは平成23年から電子書籍サービスを本格的に開始する計画。今回の試行サービスを通じて、コンテンツの内容や使い勝手などについて利用者から意見を求め、本格サービスに役立てる考えだ。
 どれくらいの規模のユーザーに試行サービスを提供するかはこれから検討するが、ドコモが実施する利用調査などに協力することが前提となる。雑誌や一般書籍、写真集に加え、電子書籍の特徴を生かした動画や、地図などと組み合わせた雑誌など約50コンテンツを試行的に無料で提供する。
 対応端末は当初、エクスペリアのみだが、今秋にも発売予定の韓国サムスン電子製のスマートフォン「GALAXY(ギャラクシー) S」でも試行サービスを提供する予定。



KDDI、家庭用の小型基地局を全国で提供
 KDDIは28日、同社の携帯電話「au」の電波を、家庭内の光サービス「au光」回線に接続するための超小型基地局(フェムトセル)を10月1日申し込み分から全国で提供すると発表した。今年3月から関東の1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)で試験的に提供しており、つながりにくいとの不満も出ているauの電波環境を改善するため、全国で展開することにした。
 フェムトセルは、携帯電話の利用者が家庭やオフィスで端末を使うとき、無線をキャッチして光サービスなどブロードバンド回線にデータを流すための機器で、半径10メートル程度の範囲で利用することができる。総務省は平成20年10月に基地局免許届出の規制を緩和し、設置が可能になった。
 KDDIは電波状況調査費用、機器及び設置費用とも無料で提供。沖縄県を除く全国のau光利用者が対象だが、今後はNTT東西地域会社の「フレッツ光」やADSL(非対称デジタル加入者線)サービスなどへの接続も順次可能になるとしている。



RIM、7インチディスプレイのタブレット端末「PlayBook」
 カナダのResearch In Motion(RIM)は、7インチのディスプレイを備えるタブレット型端末「BlackBerry PlayBook」を発表した。米国では2011年の早い時期に発売され、他のエリアでは2011年第2四半期にも登場する見込み。
 「BlackBerry PlayBook」は、ソフトウェアプラットフォームとして新開発のBlackBerry Tablet OS(QNX Neutrinoを利用したもの)を採用したタブレット型端末。RIMでは、「本当のマルチタスク、ハイパフォーマンスなマルチメディア性能、より安全なセキュリティ機能の提供など、ユーザーが望むものが詰まっている」とアピールしている。
 ディスプレイは7インチ、1024×600ドットでジェスチャー機能に対応したマルチタッチ液晶ディスプレイ。1GHz駆動のデュアルコアCPUで駆動し、メモリ(RAM)は1GBとなる。前面に300万画素、背面に500万画素カメラを備え、HD(1080p)の動画撮影が可能となる。マルチメディア機能では、1080p動画の再生(H.264、MPEG、DivX、WMV)や音楽再生(MP、AAC、WMA)に対応するほか、アドビのFlash Player 10.1やMobile AIRも利用できる。ブラウザはWebKitベースでHTML5に対応し、Java、OpenGLなどをサポートする。
 通信機能として、3Gネットワークに対応し、既存のBlackBerry端末向けプランが利用できるという。将来的には「4G対応版も提供する」としている。



イー・モバイルがデータ通信向けメールオプション、光回線も提供
 イー・モバイルは、データ通信サービス「EMモバイルブロードバンド」のユーザーが専用メールアドレスを利用できるオプションサービス「メールサービス」を10月1日より提供する。利用料は月額210円。
 「メールサービス」は、EMモバイルブロードバンドユーザー向けのオプションサービス。データ通信サービスであるEMモバイルブロードバンドは、ノートパソコンなどがインターネットへ接続するための回線部分を提供するサービスだが、今回の「メールサービス」を利用することで、新規のメールアドレスとメールボックスが割り当てられ、任意のメーラーやWebメールで利用できる。
 1契約につき、1アドレスが発行され、メールボックスの容量は3GB。メール1通あたりの送受信容量上限は50MBで、受信したメールがメールボックスに保存されるのは最大180日間となる。ウイルスチェック、迷惑メールフィルタ、自動転送、自動返信機能が用意される。
 ユーザーには、「 ○○@bb.emobile.jp (○○部分は小文字英数字10桁のランダム文字列)」というメールアドレスが発行され、アカウント部分は、4文字~20文字(半角英数字・一部記号(先頭と末尾は記号不可))であれば、好みのものに変更できる。変更は専用サイト「メール設定サイト」で行える。



勤め人はつらい…過去最大23万円の下落 昨年の民間平均給与406万円に 国税庁まとめ
 民間企業に勤める人が平成21年の1年間に受け取った平均給与は406万円で、前年を23万7000円(5・5%)下回り、下落幅、下落率とも過去最大となったことが28日、国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。平均給与額は9年の467万3000円をピークに減少に転じ、今回は元年の402万円に次ぐ低水準となった。
 長引く景気低迷を背景に平均賞与が前年比13・2%の大幅減となったほか、勤続年数の長い高所得者層の減少が平均給与額を押し下げたとみられる。
 調査結果によると、1年間を通じて勤務した給与所得者は前年比82万人(1・8%)減の4506万人、給与総額は14兆1925億円(7・2%)減の182兆8745億円で、いずれも過去最大の減少幅となった。
 平均給与の内訳は、給料・手当が350万円(15万3000円減)、平均賞与は56万円(8万5000円減)。男女別の平均給与は男性が500万円、女性が263万円、平均賞与は男性71万円、女性33万円だった。
 業種別の平均給与は電気・ガス・熱供給・水道業が630万円でトップ。最下位は宿泊業・飲食サービス業の241万円だった。



トヨタ、軽自動車に参入 ダイハツから調達
国内販売テコ入れ
 トヨタ自動車は軽自動車市場に参入する。子会社のダイハツ工業から近くOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受け、トヨタの系列販売店で販売する。国内の新車販売は政府によるエコカー補助金制度の終了で大幅な落ち込みが予想される。国内市場の3割以上を占める軽自動車に進出して販売量を確保、ダイハツは生産を下支えする。内需が縮小する中、トヨタはグループの連携を深め経営基盤を強化する。
 28日午後に発表する。今回の軽自動車参入は05年に高級車ブランド「レクサス」を全国導入して以来の大規模な販売体制の見直しとなる。
 トヨタはダイハツからOEM調達した軽自動車を「トヨタ」ブランドで販売する。調達する車種や販売規模などは今後詰める。ダイハツは軽自動車の最大手で09年度のシェアは35.1%。ただ伸びが鈍化しており、販売網の拡充で安定的な生産を確保する狙いだ。
 国内の新車販売に占める軽自動車の比率は09年で約33%。エコカー補助金制度の導入で登録車の販売が伸びたために一時よりは割合が低下したが、今後は値ごろ感があり低燃費の軽自動車の需要が高まるとみられる。
 トヨタは1967年にダイハツと提携、98年には子会社化した。これまでも両社で小型車を共同開発したり、同じトヨタグループの富士重工業にダイハツが車両を供給したりするなど提携関係を深めてきた。国内市場の縮小を見込み、連携を一段と深める。



日テレがフラッシュマーケティングに参入 ソーシャルアプリも
 日本テレビ放送網株式会社は、フラッシュマーケティングサイトやソーシャルゲームなど3事業に乗り出すと発表した。広告以外の収入拡大などを目的に設置した「インキュベーション委員会」(委員長:細川知正社長)の応募アイデアから事業化を決めた。
 テレビ番組と連携したフラッシュマーケティング型クーポン共同購入サイト「日テレ ぐるチケ」をスタートするほか、ソーシャルゲーム事業として、ニュースバラエティ「スッキリ!!」と連携したゲームなど2種類をモバゲータウンで展開する。
 日テレグループが制作・販売するスマートフォン向けアプリポータル「日テレアプリ」も企画。社内外からアプリの企画を広く募り、収益獲得につなげる。テレビ番組と連動したレコメンドサイトの事業化も検討していく。
 インキュベーション委員会の応募750アイデアから3事業を「ビジネストライアル案件」として採用した。1~2年の期間を定め、企画提案者とビジネス推進部を中心に事業を展開。採算性を見極めていく。



佐世保―上海フェリー構想、HIS流割安運賃で
 長崎県佐世保市の大型リゾート施設・ハウステンボス(HTB)の沢田秀雄社長は27日、同市と中国・上海間でフェリーを運航する構想を明らかにした。
 700~1000人乗りの中古フェリー(1万~2万トン級)を導入し、経済成長に伴って富裕層が増えている中国からの観光客誘致に力を入れる考えだ。
 HTBによると、2009年度の入場者数(141万人)に占める外国人の割合は約1割で、韓国人と台湾人が中心だ。このため、アジアからの新たな入場者を確保する足がかりとして、中国との航路開設を目指すことにした。
 すでに船の購入準備も進めており、来夏までに割安運賃のフェリーを就航させたいとしている。運航は、親会社で旅行業大手のエイチ・アイ・エス(東京、HIS)などが設立する子会社が行う方向で検討している。



3Dテレビに期待かける  パナソニックがプラズマパネル増産
プラズマ方式の薄型テレビでは世界最大のメーカー、パナソニックが本格的な増産体制に入っている。近い将来、全てのテレビに3D機能が装備されるとにらみ、一気にシェアの拡大を狙っている。
パナソニックのプラズマパネルはパナソニックプラズマディスプレイ社の尼崎工場で生産されている。尼崎第3工場を2004年に着工して以来、第4、第5と建設し、総投資額は約5000億円。
消費電力が大きい欠点を克服しつつある
これに上海工場を合わせた生産能力は月産108万5000台(42型換算で計算)。第3、第4工場はすでにフル稼働しており、10年下期を目処に、第5工場が月産33万台のフル稼働の量産体制にシフトする計画だという。
プラズマテレビの出荷台数は、液晶テレビに年々差を広げられている。調査会社ディスプレイサーチに聞いたところ、全テレビブランドによる2009年の日本国内での出荷台数は、液晶テレビが1253万4000台なのに対して、プラズマテレビは116万9000台と大きく水をあけられている。生産量も液晶に遠く及ばない。電子情報技術産業協会が発表した2010年7月の日本の電子工業生産実績表を見ると、液晶テレビの生産台数が92万2854台、一方プラズマテレビを含む「その他カラーテレビ」は14万8257台となっている。
プラズマ方式のテレビは液晶方式に比べて消費電力が大きいなどの欠点が指摘されてきた。しかし、同社は最近、節電効果を高めたという。液晶との消費電力を比較する計測器を展示しており、それを見る限り、液晶の80から90%の消費電力である。
「プラズマ方式のほうがインパクトが強いので、3Dに向いている」
液晶が半導体技術であるのに対し、プラズマは焼き物の技術である。同工場では、パネルを9時間、オーブンのなかで焼く。内部を見ると、人間の姿がほとんど見えない。ロボットでパネルを移動させながら、焼いたり、切ったりしていくが、そこに人の手は使われていない。無人工場といってもおかしくない。工場の人員数は公表しない。
人間が働いているのは、製品を運び出す運搬の部分だった。ほかには、パネルの表示精度を点検するのは人間の目。資格を持つ工員が一枚ずつ目視で行う作業だが、「コンピューターより人間の目のほうが、現時点では能力が高い」という説明だった。
生産されたパネルは、同社の茨木工場でテレビセットに組み立てられる。このとき、3Dの機能が加えられる。パネル自体は普通のテレビと3Dは同じものである。
同社の長野寛之社長は、「プラズマ方式のほうがインパクトの強い画面なので、われわれは3Dに向いていると考えている。全てのテレビが3Dになる時代は間もなくやってくるので、そのときに備えて増産態勢に向かっている。ただ、円高は脅威だ。今のところ部品、素材は国内で調達しているので、海外で売る場合に不利だ。1ドル100円前後であってほしい」といっている。



【産経主張】日本版GPS衛星 安全保障も考えた運用を
 日本版GPS衛星といわれる準天頂衛星「みちびき」が高度約4万キロの宇宙空間で27日、ユニークな「8の字軌道」に乗った。
 みちびきは、11日にH2Aロケットで打ち上げられた。H2Aは今回で連続12回の成功である。日本の宇宙技術の確かさを世界に向けてアピールすることにもなった。
 来春からはロケットの通年打ち上げが可能になる。制度面でも本格的な打ち上げビジネス参入への展望が開けつつある状況だ。連続成功の意味は大きい。
 GPSは人工衛星からの電波を利用して地上の位置を正確に把握する衛星利用測位システムの略称である。すでに現代社会のインフラとなっていて、カーナビなどでもおなじみだ。携帯電話にも利用されている。
 米国によって運用されているGPSは、約30基の衛星で地球全体をカバーしている。みちびきはこのシステムを補完する。
 従来のGPSとは異なる発想の衛星で、南北に長い8の字の軌道を描きつつ日本列島からオーストラリア大陸の上空を移動する。
 ただし、日本のほぼ真上(準天頂)に位置していられるのは8時間だけだ。このため、1基だけでは不完全だが、これまでにないタイプの測位衛星であることを評価したい。
 終日、高精度の測位を維持するには、もう2基の打ち上げが必要だ。米国に頼らず、日本だけでGPSに相当するシステムを構築するには計7基の準天頂衛星が上がっていなければならない。
 みちびきの打ち上げに要した総額は735億円と高額だ。衛星の数を増やすかどうかについては、国の宇宙開発戦略本部が来年中に結論を出すことになっている。
 将来構想を固めないまま打ち上げられた感もあるのだが、これから、みちびきを使って行われる津波の検知向上など約60件の活用実験に注目したい。
 衛星測位システムは、国家の安全保障にも深く関係する。ロシアをはじめ欧州、中国も独自の仕組みを構築中だし、インドも意欲をみせている。その中で行われた、みちびきの打ち上げだった。
 宇宙予算にも限りがある。みちびきの2号以降を上げるべきか、見送るべきか。その判断には科学技術だけでなく国際政治などからの多面的な検討が必要だ。
日経電子版、スマートフォン向けアプリケーション投入
 日本経済新聞社はインターネットで情報提供する「日本経済新聞 電子版」を電子書籍端末やスマートフォン(高機能携帯電話)で簡便に読めるよう対応する。朝夕刊のほぼすべての記事を読み込み、横組みの文章形式で閲読できるほか、写真や関連図表などにも対応する。
 対応するのは、米アップルの携帯電話「iPhone(アイフォーン)」向けで、近く専用アプリケーションを提供する。シャープが12月に発売する高機能電子書籍端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」にも、定時に記事を自動配信する。
 いずれも、利用には電子版の有料登録が必要。



8月20.2% 携帯販売台数に占めるスマートフォンの割合 ゲームなどソフト充実
 全国の家電店2370店の販売動向を調査するBCN(東京・千代田)によると、8月の携帯電話販売台数のうち20.2%がスマートフォン(高機能携帯電話)だった。月次で初めて2割を超えた7月に続き、高水準を維持している。
 インターネットが快適に使え、ゲームなど専用ソフトも充実してきたことが追い風だ。ソフトバンクが売り出す米アップル製「iPhone(アイフォーン)」に対抗し、4月にドコモがソニー・エリクソン製の「エクスペリア」を投入して客層が拡大。6月末にはKDDIも参入し、消費者の選択肢も増えてきた。
 ただ、一般の携帯は縮小傾向にある。8月の携帯販売全体の台数は前年同月比で微減。全体のパイは変わらず、消費者が一般機種から移行しているともいえそうだ。



韓国勢、まず携帯で攻勢 知名度高め家電売り込み
 【ソウル=尾島島雄】韓国LG電子の再参入は日本の薄型テレビ市場の規模拡大が見込めることに加え、携帯電話の販売を通じて一定のブランド力と知名度を獲得できたと判断したためだ。
 LGエレクトロニクス・ジャパンは2006年からNTTドコモを通じて携帯電話を販売する。デザイン性の高い製品を投入、若年を中心に支持を集め累計販売台数は約400万台となった。
 携帯は持ち歩くため、販売の増加はブランドの広告・宣伝効果に直結する。若年層が使う数少ない高額商品で買い替え頻度も比較的高い。ブランドの浸透にも向くという。デザインを武器に「韓国製品は低価格一辺倒」との先入観も崩した。
 こうした手法で世界の電気製品市場を席巻したのが韓国サムスン電子だ。欧州などでマーケティング費用を携帯に集中投下。サムスンの携帯に親しんだ消費者がデジタルカメラや薄型テレビ、パソコンなどを購入する波及効果につながった。
 「まず携帯から」という韓国流のマーケティングは、携帯の世界市場で大きく出遅れている日本企業にとっては採用しにくい手法といえる。



KDDI脱皮 ブランド再興 12月新体制 「au」てこ入れ
 稼ぎ頭の携帯電話事業「au」がスマートフォン(高機能携帯電話)の出遅れで低迷するKDDIの次期社長に、田中孝司専務が12月1日付で就任する。デザイン性の高い端末や「着うた」など相次ぐヒットで、首位のNTTドコモを追撃したかつての勢いが完全に消えたKDDI。3位ソフトバンクの猛追に青息吐息の状況のなか、田中氏は「巻き返し」への道を探る。
 ◆ソフトバンクの影
 「従来型の携帯電話に固執してしまった」
 10月に設立10年の節目を迎えるKDDIで9年余りにわたりトップの座を維持した小野寺正社長兼会長は、今月10日の社長交代会見でそう反省の弁を述べた。新しい端末とサービスで常に若者の脚光を浴びた過去の成功体験を脱することができず、米アップル製の「iPhone(アイフォーン)」の大ヒットで市場が拡大するスマートフォンへの対応で後手に回った。
 2010年3月期決算では連結営業利益でもソフトバンクに追い抜かれ、11年3月期の予想も4450億円と、ソフトバンクの予想の5000億円を下回り、その差はさらに広がる見通しだ。
 8月の携帯電話の累計契約数シェアはKDDIの28%に対し、ソフトバンクは20.2%と初めて2割を超え、背中をとらえつつある。
 ◆「突破力」に期待
 田中氏は「競争の変化に対応できるよう新たなKDDIをつくっていきたい」と強調。中長期経営ビジョンの策定を急ぐが、端末メーカーもKDDIについて「姿が見えない」(大手電機メーカー)などと冷めた見方に変わり厳しい情勢だ。
 「ソフトバンクの猛追をかわすには新たなブランドイメージの確立が急務」(MM総研の横田英明アナリスト)だが、会長にとどまる小野寺氏の下で、スマートフォン戦略を立て直せるか、田中氏の手腕が試される。
 また、KDDIは電力系の光ファイバー事業の買収やケーブルテレビ(CATV)事業者に相次ぎ出資したが、その強みを生かし切れていない。JPモルガン証券の佐分博信シニアアナリストは「移動・固定通信と放送を融合させたサービスを、一般のユーザーが分かる形で早く具体化すべきだ」と注文する。
 争奪戦の末に住友商事とKDDIが大株主となったジュピターテレコム(JCOM)と、KDDIが07年に連結子会社化したジャパンケーブルネット(JCN)のCATV2社の経営統合も懸案。JCOMの森泉知行社長は「年内には方向性を出したい」とするが、決着に至るまでには曲折も予想される。
 田中氏が新社長に抜擢されたのは、高速無線通信「WiMAX(ワイマックス)」事業をゼロから立ち上げるなどした“突破力”を評価されたため。この突破力で経営を再び成長軌道に戻せるか、注目される。



【武富士破綻】“武井商店”私物化のツケ 独立路線で孤立、支援なく
 会社更生法適用を申請する見通しとなった武富士は、創業者の故武井保雄氏が一代で築き上げた。不祥事が相次ぎ、“武井商店”と揶(や)揄(ゆ)された創業家による私物化が厳しい批判を受けたが、影響力を保持するため、「独立路線」に固執。他の消費者金融大手が次々と大手銀行グループの傘下に入る中、手を差しのべる支援先はなく、ついに経営に行き詰まった。
 更生法申請の報道で、多数の報道陣が詰めかけた東京都新宿区の武富士本社。玄関フロアには、巨大な武井氏の肖像画が掲げられている。
 ある幹部は「私が幸運だったのは、生前の武井氏に接する機会があったことだ」と、自慢げに言ってはばからない。
 武井氏が平成15年に同社に批判的な記事を書いたフリージャーナリストの自宅盗聴を指示したとして逮捕され、16年に懲役3年(執行猶予4年)の有罪判決を受けた後も、社内には信奉者がいまなお多い。
 武富士は盗聴事件のほか、法令違反にあたる取り立てで金融庁から処分を受けるなど、不祥事が続出。社会的な批判を受け、平成16年6月に松井証券前専務の元久存氏を社長に招(しょう)聘(へい)し、創業家の保有株を売却するなど改革に取り組んだ時期もあった。
 しかし、元久社長はわずか9カ月で退任。20年6月には武井氏の次男の健晃氏が副社長に就き、実権を握るなど、脱創業家は見せかけに終わる。
 消費者金融を取り巻く経営環境が悪化する中、アコムは三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の傘下に、プロミスも三井住友FGに入り、リストラなどによる生き残りを目指している。
 武富士をめぐっても、みずほFGなどによる買収観測が何度も浮上したが、「不祥事体質に二の足を踏んだ」(メガバンク関係者)という。何よりも、「創業家が“よそ者”の干渉を拒んだ」(業界関係者)とされる。
 結局、メーンバンクの後ろ盾もなく、資金調達で頼っていた外資系金融機関にも見放された。創業家の呪(じゅ)縛(ばく)を明確に断ち切らない限り、再建に向けた支援スポンサーを探し出すのは難しそうだ。



ガリバー エコカー補助終了後を予測 新車10~20%減、中古車横ばい
 ガリバーインターナショナルの調査部門、ガリバー自動車研究所は27日までに、エコカー購入補助金が終了した影響で乗用車の新車販売が10月以降、前年比で10~20%落ち込む一方、中古車は前年並みを維持するとした市場予測を発表した。
 同研究所によると、8月の新車販売実績は補助金終了前の駆け込み需要で前年同月比40%増となったが、補助金が完全に終わった10月は10%減となるほか、11月から来年2月まで20%程度の減少が続くと予測。一方で中古車は9~11月まで2%減となるが、12月からは前年同月並みで推移すると予測している。
 参考としたのが補助金終了で新車販売が激減したドイツの例だ。ガリバーでは「集客効果があった補助金が終了したことで、新車販売は厳しい状況になる」と分析している。
 補助金終了後は中古車の割安感が見直されると予想されていたが、今回の予測で「前年並み」にとどまったのは、新車販売の落ち込みで下取りも減り、中古車市場に出回る車の量の減少につながることも影響しているようだ。



太陽誘電、DVDなど記録媒体の生産能力4割減
安価品に押され、4~9月は最終赤字28億円
 太陽誘電は27日、DVDやCDなど光記録メディア(光ディスク)の生産能力を4割削減すると発表した。光ディスク事業は世界需要の減速に加えアジア新興勢との競争が激しく、採算が悪化している。生産能力の削減に伴い、従業員の一部はほかの事業に配置転換する。光ディスク事業の構造改革で91億円の特別損失を計上し、2010年4~9月期の連結最終損益が28億円の赤字(前年同期は14億円の赤字)になる見通しだ。従来予想は45億円の黒字だった。
 同日記者会見した外丸隆取締役は「市場が縮小する中、台湾などの安価な製品に押されている」と説明。生産体制の見直しで12年3月期に同事業の黒字転換を目指す。
 全額出資の光ディスク製造子会社、ザッツ福島(福島県伊達市)の生産能力を月1億1000万枚から同6500万枚に引き下げる。在庫の大幅圧縮も進める。本社の開発部門とザッツ福島を加えると、光ディスク事業に携わる従業員は現在約500人。このうち約25%をコンデンサーなどの事業に配置転換する。光ディスク事業の従業員数のピークだった08年3月期に比べると約45%縮小することになる。
 太陽誘電は国内でDVD、CDを生産している唯一のメーカーで、10年3月期の光ディスク事業の売上高は268億円。ただ市場縮小や価格競争の激化、さらには他社からの受託生産の減少、急速な円高が加わり収益力が低下。同事業は2年連続の赤字だった。
 11年3月期通期の業績見通しについては「11月の4~9月期決算の発表時に公表する」(外丸取締役)としている。
 日本記録メディア工業会の予測によると、代表的な光ディスクである追記型DVD―Rの12年度の世界需要は43億7200万枚。09年度実績(推定)に比べ17%減少する。採算改善に向け、業界では自社生産から撤退・縮小し外部委託する動きが広がっている。



円高が奪う企業の体力 生産・雇用、海外に流れる
 「不況といってもいい」。エルピーダメモリの坂本幸雄社長は頭を抱える。汎用メモリー(DRAM)の9月前半の価格は、直近の高値をつけた5月から2割下落した。米欧のパソコン需要が弱く、値下がりに歯止めがかからない。
輸出・生産鈍る
 「需要回復のテンポが緩んでいる」。石油化学工業協会の高橋恭平会長(昭和電工社長)は警戒感を強める。8月は食品包装材などに使う低密度ポリエチレンの輸出量が、前年同月に比べて1割減った。中国の買い控えが響いたという。
 企業部門の改善にブレーキがかかり始めた。世界経済の減速が輸出や生産を鈍らせる。日本が景気回復局面に移行してから1年半。その重要なエンジンが変調をきたしつつある。
 「10月の国内販売台数が9月より2~3割落ちてもおかしくはない」。日産自動車の田川丈二執行役員はこう話す。7日のエコカー補助金終了前に膨らんだ駆け込み需要の反動減も、自動車メーカーには重い。
 深刻なのは円高の影響だ。製造業の2010年度下期の平均想定為替レートは1ドル=90円50銭。日本総合研究所の試算によると、85円で推移すれば営業利益を約1割押し下げる。
 液晶パネルで韓国サムスン電子と競合するシャープ。片山幹雄社長は「円高・アジア通貨安が問題だ」と訴える。韓国ウォンの対円相場は金融危機前の最高値から45%下落した。液晶パネルは年率2割のペースで値下がりするだけに、輸出価格の上昇が日本企業の致命傷になりかねない。
 8月の産業用大口電力需要は前年同月比12%増で、9カ月連続のプラスとなった。だが設備投資に連動する契約電力は減少が続く。東京電力は「円高もあって増産投資に動けない企業が多い」と分析する。
 10年度の平均円相場は現時点で90円。史上最高値(79円75銭)をつけた1995年度の96円よりも高い。企業の円高耐久力が増しているのは確かだが、今回の方が厳しい消耗戦を強いられるとの声も出ている。
 円高は中長期的にも日本経済に打撃を与える。経済産業省が8月に実施した緊急調査によると、85円の水準が続けば「生産工場や開発拠点を海外に移転する」と答えた製造業が4割に達した。行き着くところは生産と雇用の空洞化だ。
コスト削減限界
 「現地生産を進める」。スズキの鈴木修会長兼社長の視線はインドに向かう。ハリヤナ州マネサールの第2工場が稼働する12年には、インドの年産能力が日本を抜く。第3工場が動き出す13年には、最大170万台の生産体制が整う。
 不二サッシはビル用サッシの生産を海外に移管する。千葉工場(千葉県市原市)の規模を縮小し、マレーシア工場に受注の一部を回す計画だ。吉本直史社長は「国内ではコストの削減に限界がある」と語る。
 高い法人税、厳しい規制、動かぬ政策……。日本で事業を展開する企業のコストやリスクは高い。「ここに急速な円高が加われば、臨界点を超えた企業の海外移転が加速する」と野村証券の木内登英氏は言う。
 「個別テーマについても対話をお願いします」。21日、東京・大手町。日本経団連の中村芳夫副会長・事務総長は、就任のあいさつに訪れた民主党の岡田克也幹事長に頭を下げた。地球温暖化対策などで企業に余分な負担をかけないでほしい――。中村副会長の真意はそこにあった。
 6年半ぶりの為替介入で、円高の進行にはひとまず歯止めがかかった。しかしビジネス環境の劣化が止まったわけではない。企業は国の対応を待たず、自力で海外に向かい始めた。国内の生産や雇用を守る成長戦略を急がなければ、日本経済は立ち行かなくなる。



日本は成長促す政策を 日米財界人会議・米側議長に聞く 規制・高コストへの対応必要
 菅改造内閣が発足し民主党の新成長戦略が実施段階に入った。新戦略を米経済界はどう評価しているのか。日米財界人会議のジョン―ルック・ブテル米側議長に聞いた。
 ――日本市場での事業環境を高めるためにどんな改革を求めますか。
 「まず政治の安定だ。それなしに改革はできない。具体的には金融改革、規制改革、保健・医療改革、移民政策が課題だ。我々は日米政府に規制改革協議の再開を促している。米側にも改革すべき規制がある。経済規模で中国が日本を抜いたというが世界1、2位を占めるのはやはり日米だ」
 ――政策への注文は。
 「何と言っても成長を促す政策が重要。この20年間、日本経済はほとんど成長していない。これだけの経済大国は成長なしでは持続できない。財政や税制で具体策を言う立場にないが、成長なしにはうまくいかない」
 「長期の課題は先進国で最も早く高齢化が進んでいることだが、それに即した戦略がみえない。(財政支出で)高齢者を助けるだけでなく総合的な解決策がいる。人口動態の変化でどんな市場が生まれ、誰がその需要を満たすのか。日本が失ったのは新しいものを生み出す力だ。携帯電話の多機能さは断トツだが、そのほとんどが国内でしか通用しない。グローバルに何かを動かす力を発揮してほしい」
 ――両国企業がウイン―ウインの関係を強めるのに必要な工夫は。
 「米企業は日本市場のレベルの高さをじっくりと勉強すべきだ。参入のしやすさは中国やシンガポールの方が上だが、日本は高い技術水準を持つ。環境・エネルギー分野で日米企業が互いに補完する余地も大きい」
 ――医療分野の課題は何ですか。
 「国の規模を考えると日本は病院が最も多い国の一つ。それぞれが分断されているのでコストが高い。病院を閉鎖するのが政治的に難しいのは理解するが、政府はなぜ医療が高コスト構造なのかを考えてほしい」
 「(心臓ペースメーカーなどで)メドトロニックと競合する日本企業は8年前も今も1社だけ。中国企業は2社から12社に増えた。高齢化が加速し、高い品質を求める日本市場の成長力は大きいのに新規参入がない。理由は簡単だ。規制、高コスト構造、市場の分断に政府は対応すべきだ」
 「風土の問題もある。米国と違って若い医師が先輩教授に気兼ねせずに技術開発のアイデアを企業に持ち込んだり、ベンチャーキャピタルに資金提供を打診したりするのが難しい。医師と企業が協力して新技術を生み出すには、きちんとした報酬制度も必要だ」
 ――財界人会議の米側参加者は最高経営責任者(CEO)が減っている。
 「日本への関心の低下ではない。逆だ。通商摩擦が過去のものになり、米企業は日本を熟知する各社幹部に協議を委ねている。一時期は会議への参加を見合わせたボーイングやゼネラル・エレクトリック(GE)などは私が議長になり、再び知日幹部を参加させた。私も日本の政策当局と頻繁に折衝し、結果をワシントンに持ち帰ったりする。以前の議長はそこまでできなかったと思う」



金ジョンウン氏、大将昇進…朝鮮中央通信
 【ソウル=仲川高志】朝鮮中央通信は27日発の記事で、北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記が、将兵計40人を大将、上将、中将などに昇進させる命令を下した、と報じた。
 大将となった6人の中には、金総書記の後継者として有力視される三男の金ジョンウン氏(27)や、金総書記の実妹、金敬姫(キムギョンヒ)・党軽工業部長の名前が含まれている。
 北朝鮮メディアが、金ジョンウン氏について報じるのは、これが初めて。



低迷百貨店 復活の成否占う「銀座」の挑戦(9月28日付・読売社説)
 長期低迷にあえぐ百貨店業界が、再生に向けて動き出した。
 日本を代表する商業地の東京・銀座では、三越銀座店が今月、改装オープンし、競合店を巻き込んだ顧客争奪戦が幕を開け、大阪でも増床計画が本格化している。
 しかし、低価格志向を強める消費者にアピールできず、「構造不況」に陥った百貨店の復権は、容易ではない。消費を上向かせ、景気回復の足がかりとするためにも各社は、消費者を引きつける新たな店舗像を追究してほしい。
 三越銀座店は売り場面積を1・5倍に拡大し、高級感を前面に出しながら、30~40代の顧客の取り込みを目指す。注目したいのは、社員が独自に商品を仕入れる売り場を大幅に増やしたことだ。
 品ぞろえなどを有名ブランド任せにする手法が百貨店の個性を奪い、顧客離れにつながった。
 そんな反省を生かし、売れ残った時のリスクを覚悟しても自前の商品力を高めようという考えだ。2年前に統合した相手の伊勢丹が得意なやり方を取り入れた。
 三越の動きに対抗し、松屋銀座店は、近くの商業施設に若い女性を狙った衣料品、雑貨などの売り場を開設した。松坂屋銀座店も、若者向けブランドを集めた売り場を10月に設ける。
 H&Mやユニクロなど低価格ながら流行に敏感な若者向け衣料品店が銀座にも相次いで進出している。新興勢力に百貨店がどこまで対抗できるかも注目点だ。
 ただ、地方では大型ショッピングセンターなどに顧客を奪われ、百貨店の閉鎖も目立っている。全国の売上高は10兆円近かった1991年に比べ、今は7兆円を下回る水準まで落ち込んでいる。
 ここ数年、生き残りをかけた大手の合従連衡で「メガ百貨店」が次々に誕生した。高級志向の三越伊勢丹に対し、そごう・西武が生活密着を目指すなど戦略の違いが鮮明になってきたが、統合効果が上がっているとは言い難い。
 流通業界では、多様化する消費者の好みを反映し、専門店や量販店、通信販売などが勢いを増している。百貨店は、もはや立地の良さや広い売り場面積、老舗の看板などだけで、消費者の心をつかむことはできまい。
 重要なのは、単なる価格競争とは一線を画し、百貨店自らが新たな消費様式や文化を発信し、顧客が足を運びたくなるような刺激的な空間を作り上げることだ。「殿様商売」の意識を改革できるかどうかが改めて問われよう。
「目の付け所がガラパゴスだね」 シャープが電子書籍端末「GALAPAGOS」発表
 シャープは27日、クラウドメディア事業の第一弾として電子ブックストアサービスを12月に開始すると発表。ネットでは、その「ガラパゴス」というネーミングに多くのネットユーザーが衝撃を受けている。
 シャープは、新たなグラウド事業“GALAPAGOS”の第1弾として、電子ブックストアサービスを12月にスタートし、専用端末のメディアタブレット2機種も同時に発売する。このサービスでは、新聞、雑誌など、いつでも最新版のコンテンツが読める「自動定期配信サービス」や、おすすめの電子書籍コンテンツの体験版(無料)の自動配信サービスがある。
 ブックストアサービスのサービス開始当初のランナップは、新聞、雑誌、書籍など約3万冊。専用端末・メディアタブレット「GALAPAGOS」は、ディスプレイの大きさによって「モバイルタイプ」と「ホームタイプ」があり、本体カラーは、レッド、シルバー、ブラックの3系統。通信機能はワイヤレスLAN(IEEE802.11b/g)を備えている。
 しかし、今回の発表でネットユーザーを驚かせたのは、そのサービス名「GALAPAGOS(ガラパゴス)」だ。国内市場向けに特殊に進化したことによって、国外市場で苦戦している日本の携帯電話は「ガラパゴス携帯」と揶揄されてきた。今回、シャープがあえて、事業名、端末名として「ガラパゴス」の名を冠したことに、ツイッターで「目の付け所がガラパゴス」などとつぶやくユーザーもおり、そのネーミングに「やられた!」「その手があったか!」と感じている人も多いようだ。
 この名称についてシャープは、「常に新鮮なユーザー体験をもたらすサービスと端末の「進化」の象徴として、イギリスの地質学者・生物学者のチャールズ・ダーウィンの「進化論」で有名なガラパゴス諸島に由来」としている。



シャープ執行役員「電子書籍端末、来年に100万台を目指す」
 シャープの大畠昌巳執行役員は27日、同社が12月に発売する電子書籍専用端末について「2011年のできるだけ早い時期に100万台の契約に到達したい」と述べた。5.5型と10.8型の2機種で、基本ソフト(OS)は米グーグルの「アンドロイド」をベースにした。端末の価格は「世の中に出回っているものと同程度にする」という。
 同社は電子書籍配信サービス「GALAPAGOS(ガラパゴス)」について、日本だけでなく欧米でも早期に参入することを表明。電子教科書として利用することも検討する。岡田圭子オンリーワン商品・デザイン本部長は「日本ならではのきめ細やかなモノづくりノウハウと高いテクノロジーを組み合わせた。元気なガラパゴスを強くアピールしていきたい」と強調した。



ウィルコム、ソフトバンク網利用の通信サービス
 ウィルコムとウィルコム沖縄は、MVNO型のデータ通信サービス「WILLCOM CORE 3G」で、ソフトバンクモバイルのネットワークを借り受け、法人向けデータ通信プラン「3Gデータ定額ビジネス(S)」を10月1日より、スマートフォン用料金プラン「新ウィルコム定額プランGS」を10月8日より提供する。
 「WILLCOM CORE 3G」は、ウィルコムが提供するデータ通信サービス。これまでは、NTTドコモのネットワークを借り受けて提供されてきた。10月からは新たにソフトバンクモバイル網利用のサービスが用意される。通信速度やエリアは、ソフトバンクモバイルのエリアと同等。下り最大7.2Mbps、上り最大1.4Mbpsとなる。
 これまで提供されてきたドコモ網利用の3Gサービスについては、現在も店頭で取り扱われているものの、今後の新規契約は、基本的にソフトバンクモバイル網利用の新サービスを案内するとのこと。ドコモとは現在協議中とのことだが、既存のWILLCOM CORE 3Gユーザー向けサービスは、今後も継続して利用できる。
■ 新ウィルコム定額プランGS
 もう一方の「新ウィルコム定額プランGS」は、スマートフォン用の料金プランとして10月8日より提供される。こちらもソフトバンクモバイルのネットワークを利用するもので、月額利用料は1450円で、ウィルコム端末宛の通話料は無料(2時間45分以上で30秒21円課金、16時間以上の通話は切断あり)で、他社の携帯電話や固定電話あての通話料は30秒21円となる。データ通信料(Eメール/ウェブ利用料)は、PHS網利用時は無料だが、3G網利用時は1パケット0.105円、上限5250円となる。
 あわせて、ソフトバンク網対応のスマートフォン「HYBRID W-ZERO3」も10月8日より発売される。全体的な仕様、価格は従来版と同じ。



「ビューン」、ソフトバンク携帯電話向けサービスを開始
 ビューンは、定額制コンテンツ配信サービス「ビューン」で、ソフトバンクモバイルの携帯電話向けサービスの提供を10月1日より開始する。利用料は月額315円。
 「ビューン」は、新聞、雑誌、ニュースなどを配信する定額制サービス。6月1日からスタートしたサービスだが、アクセス過多を受けて同日でサービスを一旦停止。その後、iPad向けやiPhone向けサービスが順次再開され、今回、ソフトバンクモバイルの携帯電話向けサービスが提供されることになった。
 ソフトバンクモバイルの携帯電話取扱店で、端末購入と同時に「ビューン」の利用を申し込むと、利用料が1カ月分、無料になる。また11月30日までは申し込んだユーザー全員が1カ月無料で利用できる。3G端末で利用できるが、Flash Lite 2.0非対応機種や、Xシリーズ、プリモバイルでは利用できない。またS!ベーシックパックと、パケット定額サービスの契約が必須となっている。



ソニエリはAndroid携帯に注力 Symbian新製品の計画なし
 Sony Ericssonは、Symbianを捨ててAndroidに力を入れる方針だ。同社の広報担当者は「Symbianの新端末を開発する計画はさしあたりない」と語っている。今後Androidしか使わないわけではないが、Androidが「これからも重要なプラットフォームであることは確か」という。また同社のCTOは先日、「われわれはAndroidに集中しているが、Windows Phone 7はまだロードマップに載っている。新しいSymbian製品の計画は今はない」と語っていた。
 Sony EricssonはVivazなどの端末にSymbianを採用していたが、Androidにシフトしている。同社のAndroidスマートフォン「Xperia X10」は高い人気を博している。また同社がAndroid搭載のプレステ携帯を開発しているとのうわさもある。



グーグル、中小企業向けネット検索連動型広告の支援サービスを30日から
 インターネット検索大手、米グーグルの日本法人は27日、同社の検索連動型広告「アドワーズ」を、中小企業にとって利用しやすくするための新サービス「Googleオープンビジネスパートナー」を30日に始めると発表した。中小企業と接触機会の多いウェブ制作会社などにパートナーとしてアドワーズの利用支援を担当してもらい、その代わりにグーグルはパートナーを無料でサポートする。
 アドワーズは、検索されたキーワードに関連する広告が表示され、広告がクリックされたときに課金される。しかし、中小企業はこうした仕組みを自力で習得する余裕がないことなどから、パソコンで検索連動型広告を利用している中小企業は現状で12%にとどまる。「アドワーズを理解している第三者をサポーターとして育成する」(佐々木大輔マーケティングマネージャー)ことで、中小企業のアドワーズの利用拡大につなげる。
 国内でビジネスをしていれば、法人・個人を問わずパートナーとして参加可能。ウェブ制作会社やウェブデザイン会社、ネット広告代理店、中小企業診断士などを主に想定している。



<電子書籍>「eBookジャーナル」創刊 毎日コミュニケーションズ
 毎日コミュニケーションズは27日、電子出版をテーマにした雑誌「eBookジャーナル」(小木昌樹編集長、隔月刊)を11月中旬に創刊すると発表した。小木編集長は「電子出版はコンテンツをより幅広い読者に届けられる。電子出版ビジネスの案内役にしたい」と話した。紙の雑誌のほか、電子版(PDF形式)も配信する。また、実験誌として、ほかのデータ形式やアプリ形式などでの配信も試行し、結果について読者に情報を提供していくことを検討している。
 同社の滝口直樹取締役は「出版不況が続く中、出版社は電子書籍ビジネスに注目しているが、情報が錯綜(さくそう)している。6月に出版社を募って勉強会を始めたところ、47社が参加し、他業種からの関心も高いため、ニーズがあると判断した」と創刊の経緯を説明した。電子書籍ビジネスにかかわる人を対象に、制作ツールやデータ形式といった技術的な内容、マーケティング、権利関係、事例紹介などを取り上げる。発行部数は2万部で、紙の定価は2100円。電子版は1260円で、富士山マガジンサービス(東京都渋谷区)がストリーミング形式で配信する。



韓国LG電子 薄型テレビを11月、日本で発売
 薄型テレビで世界2位の出荷を誇る韓国LG電子は27日、3次元(3D)対応のなどの液晶テレビ10機種を11月に日本で発売し、日本市場に本格参入すると発表した。 
 日本市場はこれまで、国内メーカーでシェア争いが繰り広げられていたが、世界市場で台頭しているLGの登場で、業界図に変化する可能性がある。
 LGが今回投入するのは3Dを含み、全機種が発光ダイオード(LED)のバックライト搭載。今後5年以内に5%以上のシェアを目指すという。



パナソニック、割安家電を中国から逆輸入
 パナソニックは27日、中国や東南アジアなど新興市場国の経済成長とともに膨張している中間所得層(ボリュームゾーン)を狙い、一般的な日本向け商品より機能を絞って価格も抑えた白物家電を、日本でも販売する方針を明らかにした。
 年内に中国で生産・販売している洗濯機を投入する。
 パナソニックが逆輸入するのは、高度な機能のない縦型の全自動洗濯機。洗濯槽や外枠の材質や設計を世界市場で共通化し、汚れ落としや節水などの性能に特化した。
 中国では4月に1490元(約2万円)で発売し、東南アジアでも7月から売っている。日本では3万~4万円程度で販売する。エアコンや冷蔵庫、掃除機なども順次、日本市場に投入する方針だ。



景気映す電子部品出荷 TDK会長 沢部肇氏
「リーマン前」回復なお3年
 日本のエコカー補助金など世界各国の景気対策が次々に終了し、経済の見通しに不透明感が強まっている。景気の影響を受けやすい電子部品づくりの現場から見た経済の先行きはどうか。TDKの沢部肇会長に聞いた。
 ――電子部品の世界出荷が、リーマン・ショック直前の80%弱の水準で伸び悩んでいます。
 「年間を通じた全世界の部品メーカーの出荷額のピークは、2007年の22兆円。今年は16兆円程度に落ちるだろう。日本勢は健闘しており、09年1~3月に最盛時の60%程度まで低迷した後、10年4~6月は83%まで回復した」
 「足もとの伸びが鈍っているのは、仕方のないこととはいえ、世界経済が本格回復の軌道に乗る前に、景気対策が打ち切られているからだ。電子部品の総供給額がリーマン・ショック前の水準を回復するまでに、3年程度かかるとみている」
 ――どのような分野で伸びが鈍りそうですか。
 「薄型テレビと自動車だ。今年の完成品の伸びはテレビが前年比30%程度、自動車は約9%、パソコンは15%前後だろう。来年も新興国向けの需要が強いパソコンは2ケタ伸びると思うが、テレビと自動車は景気対策の効果が薄れるため、1ケタの成長にとどまる。ここまで完成品が伸び悩めば、部品の出荷も頭を押さえられてしまう」
 ――尖閣諸島を巡る摩擦に関連して、中国が電子部品に欠かせない希土類(レアアース)の輸出を大きく絞り込んでいるとの情報もあります。
 「例えばハードディスク駆動装置(HDD)のモーターに使うネオジムという素材は、昨年の3倍の値段だ。電子部品各社は前倒しで蓄えてきた在庫でしのいでいるが、それにも限界はある」
 「レアアースをできるだけ使わない製造法も研究しているが、実用化には時間がかかる。中国の採掘企業と組み、現地生産を拡大せざるをえないかもしれない。そうなれば、今は国内にとどめている部品づくりの中核ノウハウが、流出する恐れもある」
 ――もう一つの懸念材料である円高は、政府・日銀の介入で歯止めがかかったようです。
 「あくまで一時的な現象で、今後数年は円高が進むと思う。あってはならないと思うが、経営者として1ドル=75円くらいの円高になる可能性も頭の片隅に置いている。短期間にそこまで円高になれば、通り一遍の海外シフトや合理化では追いつかない。電子部品メーカーは海外生産の比率がすでに高いから、さらに生産を外に移しても効果は限られる」
中国から人材も
 ――日本の電子部品が国際競争力を保つのは難しいのでしょうか。
 「日本勢の世界シェアは00年まで約50%だったが、今は40%程度。近い将来、もう少し下がるだろう。構造が単純な量産品は中国や韓国の追い上げが激しい。そうした国が戦略的に技術者を育ててきたからだ。今は日本勢も中国の技術者をうまく使わなければ、世界展開が難しい。中国は人材の面でも供給源だ」
 「生き残りのカギは微細化の技術だ。HDDは情報を記録するディスクと、それを読み取るヘッドのすき間が4ナノ(ナノは10億分の1)メートル。ディスクを地面、ヘッドを飛行機に例えると、地上0.3ミリメートルで飛び続ける状態だ。このような微細加工は日本の部品メーカーが得意とする領域だ」
 「こうした精密部品が国の中で数多く使われるような環境がほしい。例えば介護ロボットの普及だ。人間並みのこまやかな動きをするロボットには、日本製の部品が不可欠だ」



ケータイでMANGA、31カ国にNTT西の子会社
 NTT西日本の子会社で、携帯電話端末に漫画(ケータイコミック)を配信するNTTソルマーレ(大阪市中央区)が、海外事業を加速させている。中国などアジアでの配信を積極的に進め、8月下旬にはベトナムでも配信を開始。海外では日本の漫画の人気は高く、ケータイコミックの潜在需要は大きい。同社は「人口増加が見込まれるアジア市場を、どんどん開拓する」と意欲的だ。
 ケータイコミックは携帯端末の画面に漫画が表示され、ボタン操作で画面が紙芝居のように切り替わる。
 同社は平成16年から国内でのケータイコミック配信を行い、ダウンロード数で国内1位とみられる。
 20年以降には韓国、台湾、中国、インドで配信事業を展開。昨年12月にシンガポール、今年7月にはマレーシアで始めた。ベトナムは東南アジアで6カ国目。現地の配信事業者と組み、同国最大手の携帯電話業者の端末に提供する。
 海外で人気の高い「イレブン」(原作・七三太朗、作画・高橋広)、「いつもそばにいる」(ソラルル作)など6作から配信を始め、順次増やしていく予定。
 高機能携帯電話(スマートフォン)の世界的な拡大も追い風。画面が大きく、インターネットから漫画を直接購入することも可能だからだ。NTTソルマーレは今年5月、米アップルの電子書籍端末「iPad(アイパッド)」、米アマゾン・ドット・コムの同「キンドル」へのコミック提供を開始した。
 「大容量の画像配信に対応し、日本では一般的な第3世代の携帯端末が、アジアでも急速に普及している。漫画を楽しむ余裕のある富裕層は経済成長によりもっと増える」と同社の大橋大樹社長は話す。
 一方、著作権の関係で、現地の消費者が求める漫画をすぐに提供できないことや翻訳などの課題もある。
 大橋社長は「携帯電話事業の仕組みも国によって違うので、早く現地に進出することで経験を積みたい。やってみないと分からないことが多く、とにかく行動することが大事」と話す。
 同社の海外での配信国はベトナムで31カ国目。欧州と北米での事業拡大も視野に入れている。「今年度内か来年度の早いうちに50カ国にするのが目標。将来的に海外事業を新たな収益源に育てたい」という。



【産経主張】中国の謝罪要求 譲歩ではなく対抗措置を
 中国外務省が尖閣諸島沖の漁船衝突事件で、日本側に謝罪と賠償を要求するなど強硬姿勢をエスカレートさせている。
 これに対し、菅直人首相は26日、あらためて、「中国側の要求は何ら根拠がなく、全く受け入れられない」と拒否した。当然の対応である。だが、日本側は領海侵犯し、海上保安庁の巡視船に意図的に衝突した中国人船長を処分保留のまま釈放したことで、事態が好転すると甘く見ていたのではないか。
 一度譲歩すると、さらなる譲歩を迫られるのが常である。日本として、どういう対抗措置を取るのか、菅政権は態勢の立て直しに総力を挙げねばならない。
 中国側が尖閣諸島の領有権を主張したのは、東シナ海大陸棚で石油資源の埋蔵の可能性が指摘された直後の1971年12月である。日本が1895年に領有を閣議決定した後の七十数年間、中国は異論を唱えていない。こうした事実を日本政府は国際社会に発信し、理解を求めなければなるまい。
 一方で中国は、トウ小平氏が1978年、領有権の棚上げを語り、日本側も、これを容認した経緯がある。ただ、中国は領海法を制定するなど尖閣を自国領とすることに着々と布石を打っており、今回の漁船の侵犯と体当たりは、その一環と見ることもできる。
 それだけに日本側は、尖閣に施政権があることを明確にしなければ、日米安保条約の対象地域に該当しなくなることも考えておく必要がある。
 問題は、領土や領海に対する国家主権を菅政権が守ろうとしているのか、はっきりしていないことだ。今回の釈放についても首相は「検察が事件の性質を総合的に考え、国内法に基づき粛々と判断した」と、釈放は検察の判断だとする見解を繰り返しただけだ。民主党の岡田克也幹事長も「政治的な介入はない」と強調している。
 釈放は今後の対中外交に重大な禍根を残し、日本の国際的信用も失われた。首相がその責任を免れることなどできない。国民に十分な説明ができないなら、最高指導者の資格はあるまい。
 自民党の谷垣禎一総裁が「直ちに国外退去させた方が良かった。最初の選択が間違いだった」と、船長の逮捕そのものを批判したのもおかしい。毅然(きぜん)と主権を守る姿勢を貫くこととは相いれない。発言を撤回すべきである。
ソニーテレビ事業黒字化へ向け 技術者にも及ぶリストラの波
 9月1日、ソニーは今期初めての早期退職者の募集を開始した。前回実施された2009年初頭以来、約1年半ぶりとなる。
 早期退職者の対象となっているのはテレビ事業部などを抱えるホームエンタテインメント事業本部と法人向けの製品を扱うプロフェッショナルソリューション事業本部、部品を扱うデバイスソリューション事業本部の合計3事業部。応募条件は勤続10年以上で、一般社員は35歳以上、管理職は40歳以上だ。募集は11月末で締め切り、10年12月末に退職予定だ。募集定員については「希望者を募集するかたちを取っているため人数は決めていない」(ソニー広報)という。
 ある30代前半の技術系社員は、電機メーカーの花形部門であるテレビ事業部の技術者にも早期退職の説明があったことに大きな衝撃を受けたという。「年収の4~5倍程度の退職金を提示されたと話していた。今期、会社はテレビ事業の黒字化が見えてきたと息巻いているが、正直、まったく喜べない」とため息を漏らす。
 テレビ事業部の技術者が早期退職の対象となったのは今回が初めてではない。だが、これまでは他の事業部の技術部門に配置転換するなどして、なるべく早期退職させることなく人員の調整を行っていたという。「今回の対応を見る限り、配置転換で凌ぐことが難しくなってきたのだろう。ついにリストラの波が技術者のところまで来たということだ」(同)と話す。
 ソニーは今期、750億円の構造改革費用を見込んでいる。今回の早期退職プログラムもその一環だ。同社のいう構造改革とは、主に垂直統合型から水平分業型への製造体制の転換を指す。この転換を迫られる最大の理由は、液晶テレビが日用品(コモディティ)化し、単価下落によって利益確保が難しい状況になっているからだ。実際、コスト削減が製品価格の下落スピードに追いつかず、ソニーのテレビ事業は6期連続赤字である。
 設計から製品の組み立てまでのすべての製造工程を自社で行う垂直統合型の製造体制では、コスト削減余地に限界がある。思い切ってEMS(製造受託会社)などの外部企業を活用した水平分業型へ移行しなければテレビ事業の黒字化は見えない。これまでメキシコとスロバキアのテレビ組み立て工場を台湾大手EMS、鴻海精密工業に売却し、9月にはスペインのテレビ工場を地元企業に売却するなど矢継ぎ早に手を打ってきた。「ソニーはようやく現実を直視して動き始めた」(大手EMS首脳)と評価する声もある。
 今期、テレビ事業の外部委託比率を約50%(前期は約20%)まで引き上げる。こうした移行の過程で余剰人員が出てくるのはやむをえないのかもしれない。だがソニーを支える社員の士気は下がる一方だ。



武富士、更生法申請へ 過払い金返還重く 負債4300億円、さらに拡大も
 経営再建中の消費者金融大手、武富士は26日、会社更生法の適用を東京地裁に近く申請する方向で最終調整に入った。顧客が過去に払い過ぎた利息の返還を求める「過払い金」問題の解消のメドが立たず、自力再建を断念した。帳簿上の負債は6月末時点で4300億円。まだ請求されていない潜在的な返還負担を含めると、負債総額はさらに膨らむとみられる。過払い金問題の早期収拾で再建を狙うが、利息の返還額カットを迫られる顧客の不満が強まる可能性もある。
 清川昭社長と創業家の武井健晃副社長は辞任する。裁判所が任命する外部の管財人が更生計画の策定にあたる。過払い金の返還額削減など債務を大幅に圧縮し、スポンサーとなる支援先を探す。人員削減や店舗網の縮小も進める。一部の取締役は経営陣に残り、実務を担当する見込みだ。
 顧客への利息返還額は、社債や銀行からの借入金などほかの債務と同じ比率でカットされる見通し。カット率は、武富士の資産・負債を確定したうえで決まる。
 武富士の有利子負債は3月末時点で、社債を中心に約2200億円。一方、顧客からの返還請求は直近までの未払い分で11万件、1700億円に上る。さらに、現段階まで未請求の顧客からの返還要求も、更生手続きの開始決定後、3、4カ月の期間を設け、受け付ける見通しだ。同社の潜在的な返還負担は1兆円を超えるとの見方もある。
 過払い金問題は、利息制限法が定める上限金利(15~20%)を超えて顧客が支払った利息部分について返還を請求できるとした2006年1月の最高裁判決が発端。武富士は顧客からの返還請求に対し、個別に減額や支払い期日の延期を求め、経営への影響を緩和しようとしてきた。
 だが、07年以降、過払い金の返還額は年1000億円前後に上り、07年3月期には、1998年の東証への株式上場以来初めての赤字に転落した。さらに、08年秋のリーマン・ショック後、社債発行など市場での資金調達を中心とする武富士の資金繰りは悪化。事実上の新規貸し出し停止に追い込まれ、スポンサーとなる支援先を探す必要に迫られていた。
 武富士が法的整理の枠組みを使うのは、返還負担を早期に確定しないとスポンサー候補との交渉など再建に向かえないとの判断もあるもようだ。



武富士過払い金、返還金のカット必至 顧客債権の保全課題に
 武富士の会社更生法の適用申請は、法的整理という手法を使うことで「過払い金」返還問題の早期収拾を狙う側面が強い。裁判所の管理下で顧客に支払う返還金負担を大幅に圧縮すれば、スポンサーが現れ、武富士が再生する可能性は増すが、返還請求権を持つ顧客は不利益を被りかねない。他の消費者金融会社も含め顧客の債権をどう保全するかが課題になりそうだ。
 過払い金問題は、武富士だけの問題ではない。2007年以降本格化した利息返還請求に対し、プロミス、アコム、アイフル、武富士の消費者金融大手4社の顧客への利息返還実績は今年6月までに1兆円を超えた。潜在的な返還負担は業界全体で「20兆円以上」(ムーディーズ・インベスターズ・サービス)との試算もある。
 今年6月に完全施行になった改正貸金業法によって貸金業者の経営は厳しさを増している。上限金利引き下げと、融資額の上限を顧客の年収の3分の1に制限する総量規制を柱とする改正法は、貸し過ぎと批判された融資姿勢を是正するため06年の国会で成立した。
 最高裁判決と改正貸金業法は、消費者金融のあり方に変革を迫っており、個人向け無担保ローン市場の規模はピーク比半減するとの見方もある。預金を取り扱っていない貸金業者の淘汰は、金融システムには直接的な影響は小さいとされる。ただ、個人金融の新たな担い手はまだ出てこない。個人ローン市場をどう育てていくのか、金融行政も問われる。



景気足踏み、回復力に不安
長引く円高、企業圧迫 鈍る外需、不透明感増す
 2009年4月から続く景気回復の勢いが鈍ってきた。世界経済の減速と国内の政策効果の息切れが重なり、輸出や生産の拡大にブレーキがかかる。円高・株安が企業や家計の心理を冷やし、設備投資と個人消費を下押しする恐れも出てきた。7~9月期の日本経済は猛暑やエコカーなどの特需で高めの成長率を維持するが、年末にかけて足踏みの状態に陥る公算が大きい。
 08年9月のリーマン・ショックから2年。日本経済の急速な回復をけん引してきた企業部門に不透明感が広がる。
 「10~12月期の国内粗鋼生産量は、7~9月期より数%減るかもしれない」。日本鉄鋼連盟の林田英治会長(JFEスチール社長)は危機感を隠さない。過剰生産の中国などで在庫が増え、アジア向けの輸出が減速しているという。
7~9月は実力超える
 「生産の状況に合わせて慎重に判断している」。キヤノンの田中稔三副社長の表情も険しい。10年12月期の設備投資は前期比7%減の2000億円。当初は2%増やす計画だったが、円高の進行も踏まえて減額した。
 家計部門も事情は同じだ。三越日本橋本店(東京・中央)が8月下旬に開いた「ワールドウォッチフェア」。ここでは高級時計の売上高が1年前より10%近く落ち込んだ。上向きだった高額品の消費に、株安が水を差したといえる。
 それでも7~9月期の実質経済成長率は前期比年率で2~3%に達するとの予測が多い。4~6月期の1.5%を上回るペースだ。猛暑やエコカーなどの特需が膨らみ、足元の成長率を実力以上にかさ上げする。
3つの逆風、日本に重く
 東芝のエアコン生産子会社、東芝キヤリアは8月に予定していた期間従業員の一部削減を見送った。猛暑とエコポイント制度の恩恵を受け、国内生産台数を当初計画より2割増やしたためだ。
 資生堂の制汗シート「エージープラス」。8月の出荷は前年同月に比べて5割伸びた。全身をふける大判タイプが女性の人気を集め、厳しい残暑に見舞われた9月も好調な売れ行きが続く。
 しかし10~12月期以降は「3つの逆風」が日本経済を確実にむしばむ。特需に隠れた地力の弱さが表面化しかねない。
 長引く円高がもたらす輸出競争力の低下と企業業績の悪化。第1の懸念はそこにある。「為替相場の違いだけで販売価格に2割以上のハンディがついてしまう」。三菱重工業の佃嘉章常務は、発電用ガスタービンの国際的な受注競争で劣勢に立たされていると嘆く。
 円高で日本企業の海外移転が加速し、国内の産業が空洞化するリスクも高まる。ホンダは国内で四輪車を生産する際に、海外製の部品を増やすことを決めた。インドから国内に二輪車を輸入することも視野に入れる。
 第2の懸念は米中経済の減速だ。「4月末に住宅減税が打ち切られ、売り上げのペースが鈍った」。米住宅大手レナーのスチュアート・ミラー最高経営責任者はこぼす。6~8月期の受注件数は前年同期比15%減。住宅市場にもろさを残す米国の悩みは深い。
 中国のテレビ大手TCLマルチメディア。8月の販売台数は前年同月より24%減った。政府が導入した家電購入支援策の効果は一巡しつつある。米国に続いて中国の停滞感が強まるようなら、外需頼みの日本経済にも黄信号がともる。
 第3の懸念は国内の政策効果の息切れだろう。トヨタ自動車は10月から国内生産を約2割減らす。愛知県の元町工場(豊田市)や田原工場(田原市)などが対象だ。7日のエコカー補助金終了前に膨らんだ駆け込み需要の反動減は大きい。
政府・日銀、遅れる対応
 10月にはたばこの大幅な増税が控える。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏によると、自動車とたばこの駆け込み需要は7~9月期の実質消費を0.6%押し上げる。10~12月期はその反動減が1.0%の押し下げ要因になるという。猛暑特需の反動減が加われば、消費はさらに落ち込む。
 尖閣諸島沖の漁船衝突事件で深まった日中の溝、根深い欧州の信用問題、不安定な国内の政局――。日本経済の回復力に影を落とす不安材料を数えればきりがない。
 景気の回復が途切れる確率はまだ低い。新興国の成長力は強く、輸出や生産の減速には一定の歯止めがかかる。だが10~12月期の実質成長率は0~1%にとどまるとの見方が多い。みずほ総合研究所の山本康雄氏は「景気の回復が一時的に足踏みする『踊り場』に入る可能性がある」と話す。
 政府・日銀は追加的な経済対策や金融緩和に動き、6年半ぶりの為替介入にも踏み切った。その対応は小出しでスピードを欠く。法人課税の軽減を含む成長戦略の核心には踏み込んでいない。
 「有言実行内閣」。菅直人首相は17日発足した改造内閣をこう呼んだ。10年越しのデフレを克服し、日本の成長基盤を固める政策論争を長引かせる余裕はない。為替介入で稼いだ時間を生かし、手つかずの「宿題」をやりとげる必要がある。



セブン&アイが仮想商店街 数年で1000店規模に
 大手小売業がインターネット上の「仮想商店街」事業に相次ぎ本格参入する。セブン&アイ・ホールディングスは食品や衣料品などの取引先メーカーに自社通販サイトを開放し、数年内に1000店規模が参加する商店街を築く。ヤマダ電機なども参入を計画している。これまで3万店超を抱える楽天など専業が先行してきたが、多数の実店舗を持つ大手小売業が事業を本格化させることで、消費者の選択の幅が広がりそうだ。
 セブン&アイはネット通販サイトの「セブンネットショッピング」を手掛けている。現在、サイト内に約50ある専門店を2011年末までに300店に増やす。09年度は300億円にとどまっているグループ全体のネット通販の売上高(ネットスーパー除く)を、12年度までに1000億円規模に引き上げる。
 従来は商品仕入れからサイトの製作まですべての業務を自社で手がけてきたため、事業拡大ペースに限界があった。今後は取引先が直接、サイトの一部を編集できるよう仕組みを刷新。新製品を素早く売り出したり、特売イベントなどを展開したりしやすいように改良し、新規出店を呼び掛ける。
 利用者は宅配便などに加えて、全国のコンビニ約1万3000店でも商品を受け取れる。仮想商店街の売れ筋情報を実際の店舗の品ぞろえに生かすなどして、効果的な販売促進につなげることも検討している。



仮想商店街、ヤマダ電機も11月参入 家電以外15万品目
現実の店舗と相乗効果狙う
 セブン&アイ・ホールディングスやヤマダ電機など大手小売業は仮想商店街事業の展開で、現実の店舗との相乗効果を最大限に引き出す。販売促進や出店企業の募集などで楽天やヤフーなど専業大手にはない特徴を打ち出し、シェアを奪う戦略だ。
 ヤマダ電機は11月から家電以外の15万品目の販売を開始する。全国の卸や小売店、中小メーカーから商品を仕入れて商店街を構成。まず500社前後の参加を見込み、初年度は100億円以上の販売をめざす。数年で1000億円規模の新事業に育てる。
 家電販売で発行しているポイントを仮想商店街での支払いに使えるようにし、約3000万人いるカード会員の買い物需要を取り込む。配送も家電店向けの物流網を使うことでコストを抑え競争力を高める。
 パルコも仮想商店街を本格展開する。2013年2月期までに数億円を投じて物流システムなどを再整備。現在約150店のテナントを1.5倍超に増やす。全国21カ所の専門店ビルに入居している有力店から選抜する計画だ。



コーエーテクモ、「GREE」向けにゲーム配信
 ゲームソフト制作のコーエーテクモゲームスは10月中旬にも、交流サイト(SNS)大手のグリーのサイト向けに人気ゲーム「100万人の三国志」を配信する。家庭用ゲームで人気のゲームをSNS向けに活用、新たな収益源に育成する。
 グリーのゲーム交流サイト「GREE」向けに提供する。100万人の三国志は利用者が領主となりサイト上の友人と協力したり対戦したりする内容。SNSの利点を生かし、多人数が参加できる内容にする。基本利用料は無料だが、ゲームを有利に進めるためのアイテムを有料とする。



サムスン電子、米メトロに「LTE携帯」供給
 【ソウル=山口真典】韓国サムスン電子はこのほど、米中堅携帯電話事業のメトロPCSコミュニケーションズに次世代高速通信サービス「LTE」の携帯端末とシステムを供給すると発表した。サムスンは周波数の利用効率を高める通信方式「OFDMA」を採用したLTE用携帯端末で米連邦通信委員会(FCC)からLTE商用サービスとして初の認証を獲得。メトロはこれをラスベガスで開始し、段階的に地域を拡大する計画という。



日銀総裁 追加緩和による経済の落ち込み回避に「大きな疑問」
 日銀の白川方明(まさあき)総裁は26日、神戸市の神戸大学で開かれた日本金融学会秋季大会で講演し、8月30日に実施した新型オペレーションによる市場への資金供給量を、20兆円から30兆円に増やした金融緩和に続く追加的緩和について「必要があれば適時適切に対応する」とする一方、金融緩和で経済の落ち込みを避けるとの政策に「大きな疑問が投げかけられている」と述べ、金融政策に過度な期待をすべきではないとの考えをにじませた。
 質疑応答でも白川総裁は日本企業の資金調達の良さなどを理由に、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)といった中央銀行に比べ「(日銀が)最も金融緩和している。控えめとは思っていない」と強調。円高株安に歯止めのかからないことを理由に、さらなる追加緩和を期待する金融市場を牽制(けんせい)した。



農業人口急減 バラマキでは止められない(9月27日付・読売社説)
 日本農業の担い手不足は危機的状況だ。放置すれば、「食」の基盤を危うくしかねない。
 農林水産省が5年に1度実施している農林業センサスの2010年版で、国内農業の衰退ぶりが鮮明になった。
 農業を本業とする人は、05年の前回調査より75万人減って260万人に落ち込んだ。減少率22・4%は過去最大で、この20年間で農業人口は半減したことになる。
 戦後の農業を支えてきた昭和ひとけた世代が80歳代に入るなど、引退が本格化したことが要因だ。平均年齢は65・8歳と初めて65歳を超え、高齢化が止まらない。
 農地の荒廃も心配される。耕作放棄地は初めて40万ヘクタールに達し、農地全体の10%近くを占める。
 産業構造が変化するにつれ、第1次産業の位置づけが低下するのはやむを得まい。農業者の減少や高齢化は、先進各国が抱える共通の悩みでもある。
 だが、食料自給率が40%に低下した日本農業の地盤沈下は、欧米と比べても突出している。
 長年にわたって手厚い保護で農家や農協を守り、農業を自立した産業に転換させられなかった農水省や、農業の再生を掲げながら、選挙時の農村票を目当てにバラマキ政策を容認してきた政治の責任は大きい。
 求められるのは、農家や企業など様々な参入者が創意工夫することで利益を上げ、将来を託せるビジネスとして農業を改革することである。
 担い手の減少を農業復活の好機ととらえることもできよう。引退する高齢者の農地を意欲のある若手農業者らに集め、経営規模を拡大すれば、コストが下がり、生産性を高めることも可能だ。
 農地を手放したい人と欲しい人をうまく結びつけ、農地の整備や権利の調整を一体で進められるような取り組みが重要になる。
 しかし、民主党政権が今年度から導入した農家の戸別所得補償制度は、規模拡大で体質強化を目指す方向に逆行している。
 経営規模や農産物の品質などを無視し、一律に所得を補償する政策を続ければ、小規模農家を中心とした非効率な農業構造を温存することになりかねない。
 来年度はコメ農家に加え、麦や大豆などを作る畑作農家も対象とする方針だ。
 必要な予算額も今年度の5600億円から1兆円近くまで膨らむ。巨額の税金を投入するのなら、将来を担う中核的な農家に支援を絞り込むべきだ。
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