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KDDI、スカイプと提携 スマートフォンで割安通話
KDDI(au)はインターネット電話ソフト大手のスカイプ・テクノロジーズ(ルクセンブルク)と提携する。11月からスマートフォン(高機能携帯電話)で、通話料が基本的に無料のソフト「スカイプ」を利用できるようにする。米アップル製「iPhone(アイフォーン)」など国内外のスマートフォンと無料か割安な料金で通話ができる。NTTドコモもスカイプを解禁する方針で、これまでパソコン中心だったネット電話が携帯電話にも広がりそうだ。
KDDIが11月下旬に発売する「IS03」など今秋冬の新型スマートフォン向けにスカイプが専用アプリを配信する。パソコンなどで利用するスカイプは利用者同士は通信料が無料で、割高な国際電話代わりに使う利用者が多い。ただ携帯電話会社にとってスカイプは通信料収入の減少につながり、「禁断のアプリ」(田中孝司専務)とされていた。
KDDIはネットではなく自社の携帯電話交換網を利用し、KDDI同士は電話並みの音声品質で通話できるようにする。携帯回線接続料に課金するかは現在検討中。ただ課金した場合も従来より割安になるとみられる。無料にしてもスマートフォンはデータ通信料の増加が見込め、収入への影響は限定的とみている。
スカイプはすでにソフトバンクモバイルが販売するiPhone、米通信大手のAT&Tやベライゾン・ワイヤレスがスマートフォンで解禁しており、これらの端末とKDDIのスマートフォンで無料か割安な料金で通話が可能になる。
スカイプは相手がアプリを起動していないと通話できないという課題があったが、KDDIは着信が分かるように設定し、使い勝手を高める。
NTTドコモも10月下旬に発売するスマートフォン「ギャラクシーS」向けに、スカイプがアプリを配信すれば規制しない方針。ドコモが対応すれば携帯3社のスマートフォンでスカイプが利用できるようになる。
PHS再建、いばらの道 ウィルコム更生計画案提出
会社更生手続き中のPHS会社ウィルコムは14日、東京地裁に更生計画案を提出した。金融機関やリース会社に対する約410億円の債務を今後6年間で均等弁済していく計画。全面支援を表明したソフトバンクが社長を派遣し、同社100%子会社として早期再建を目指す。だが技術的進歩の乏しいPHS事業の立て直しは不透明だ。
加入者同士の通話が24時間無料になるウィルコムのPHSは、中高生などの若者を中心に根強い人気がある。ソフトバンクが今回、全面支援に回ったことで財務面の不安が解消し、利用者は今後も継続してPHSを使えるようになった。
「グループ会社となる以上は初年度から黒字化を狙う」。ソフトバンク幹部はこう意気込むが、簡単ではない。PHSをソフトバンクショップで併売することも検討しているが、社内には「ソフトバンクの携帯電話とどうしても競合してしまうので扱いが難しい」との見方もある。ただ加入者の純減は16カ月間も続いており、対策は待ったなしの状況だ。
「頼むからこれだけは勘弁してほしい」。5月には、毎月定額料を支払えばウィルコムの加入者同士だけでなく、他社の携帯電話や固定電話とも通話し放題になる「だれとでも定額」を全国展開する案も浮上したが頓挫した。他社を含めた完全定額は世界初の画期的なサービスだが、一時的に加入者が増加しても採算割れが濃厚。ウィルコムから相談を受けたソフトバンク幹部は二次破綻を懸念して見送りを諭したという。
再建が難しい根本的な要因は、PHSの進化が止まっているため。次々と新しい技術が登場する携帯電話に対し、新技術の開発がほとんど進んでいないPHSが劣るのは明らか。低電磁波・低消費電力などの特長を生かした医療機関向けのサービスなどでニーズは残るが、いずれは縮小の道をたどることになる。ボーダフォン買収時のように得意のマーケティング力でどこまで立て直せるか、改めて実力を問われることになりそうだ。
一方でソフトバンクは高速データ通信を実現する次世代PHS(XGP)事業もウィルコムから譲り受ける。高速データ通信はソフトバンクが苦手とする分野で相乗効果を期待できる。PHS基地局の一部は携帯電話の基地局に置き換えて通話品質の向上に役立てる予定で、「狙いは(XGPの)周波数と基地局用地の獲得」(競合他社)とみる向きが多い。
「ドコモマーケット(iモード)」が12月上旬開始、アプリのレビュー機能も
NTTドコモは、iアプリのマーケットプレイスである「ドコモマーケット(iモード)」を2010年12月上旬に開始する。ドコモが2010年10月12日に公開した「【DRAFT】ドコモマーケット(iモード)サービスガイドライン ver0.9」で明らかにした。
ドコモマーケット(iモード)は、ドコモのiモード対応端末で動作するアプリケーションであるiアプリを販売するサイト。ドコモがアプリをホスティングするため、サーバーを持たないアプリ開発者もアプリを登録できる。企業だけでなく個人でもiモード課金によるアプリの販売が可能。無料のアプリも登録できる。
これまでサービス開始時期は11月末の予定とされていたが、「【DRAFT】ドコモマーケット(iモード)サービスガイドライン ver0.9」で12月上旬に変更された。コンテンツ提供者の登録申請受付開始は10月12日とされていたが、10月中旬の予定に変更された。
また、アプリ購入20円につき1ドコモポイントがユーザーに付与されること、ドコモマーケット(iモード)ではユーザーによるアプリのレビュー(評価)を投稿できることも明らかになっている。
エルピーダ、広島工場を携帯端末用に特化 生産を再編
エルピーダメモリは2011年中をめどに、国内拠点の広島工場(東広島市)を高機能携帯電話(スマートフォン)やタブレット端末など携帯情報端末向け半導体の専用工場にする。価格競争が激しいパソコン向けDRAMは、台湾子会社での生産や提携関係にある台湾各社への生産委託に切り替える。高機能品は国内、汎用品は海外と生産体制をすみ分け、生産効率を高める。
エルピーダはDRAMの世界シェア約2割で第3位だが、携帯情報端末向けは競合他社より早く事業強化に取り組んできたため、製品競争力が高い。世界シェア首位で約5割を握る。
携帯情報端末に搭載するDRAMは待ち受け時や動作時の低消費電力性能など、パソコン用に比べ高い機能が要求される。回路構成も複雑で製造が難しい。
13年には世界のスマートフォンは約2倍に、タブレット型端末市場は約5倍になるとの予測がある。DRAMの需要も急増すると予想され、増産対応するには、高度な製造能力がある広島工場がふさわしいと判断した。
広島工場では10月に入って最先端の回路線幅45ナノ(ナノは10億分の1)メートルを使って、携帯端末向けに記憶容量2ギガ(ギガは10億)ビットDRAMの量産出荷を開始した。チップ面積は世界最小で今後の同社の主力になる見通し。
今後、生産ラインの改造や新たな製造装置を導入。45ナノメートルDRAMを中心に携帯端末向けの増産を続け、11年中に大部分を携帯端末向けに切り替える。
現在、広島工場の月産生産能力は直径300ミリメートルのシリコンウエハー換算で約13万枚。パソコン用DRAMが主力で、携帯端末向けDRAMは約2~3割にとどまっており、需要増への対応が焦点となっていた。
一方で、供給メーカーが多く価格変動が激しいパソコン用DRAMはコスト競争力のある台湾からの調達に切り替える。半導体市況を見極めながら、子会社の瑞晶電子でパソコン用DRAMの生産能力増強を検討していく。日台連合として手を結ぶ力晶半導体、茂徳科技、華邦電子の3社への技術供与など連携を密にして、安定した生産委託関係を築く。
スカイプ、米フェースブックと業務提携 SNS機能の利用可能に
格安インターネット電話最大手のスカイプ・テクノロジーズ(ルクセンブルク)は14日、世界最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の米フェースブックと業務提携し、相互のサービス機能の一部を統合したと発表した。これに伴いスカイプは15日から新ソフトの配布をネット上で開始。同ソフトを取り込むことでスカイプの利用者はフェースブックの掲示板に直接、コメントを書き込むなどSNS機能を使えるようになる。
スカイプの新ソフトは「スカイプ5・0」ウィンドウズ版。画面上に専用のタブを設置することで、スカイプ利用者はフェースブック画面を共有し、SNS機能の一部を利用できるようになる。
例えばフェースブックには会員同士の電話番号を登録できる「電話帳」機能があるが、新ソフトにより利用者は画面上の電話番号をクリックするだけで、直接電話をかけることが可能になる。さらに相手がスカイプ利用者であれば、ネットを通じてビデオ電話も楽しめる。また、これまではできなかった3人以上でのビデオ電話による会話もできるようになる。
現在、スカイプは延べ登録会員が全世界で5億人を超え、そのうち日常的に使用している人は世界で1億2400万人に上る。スカイプは業務提携により、フェースブック会員の取り込みを図る考え。一方、フェースブックも会話できるスカイプ機能を付加することで、会員増加につなげる。
屋外広告料金が下落 ネットに需要移り1年で1~2割安
ビルの屋上などに設置する屋外広告の料金が下落している。都心の繁華街では1年前の1~2割安になった。景気回復の遅れに加え、企業が宣伝効果を測りにくい点を敬遠し、ネット広告などに需要が移っている。
東京・新宿駅周辺の年間掲載料金は代表的な100平方メートルの看板で400万~700万円程度が中心。1年前に比べ100万円前後安い。首都高速道路沿いのビルの屋上の場合、6メートル×8メートルのもので300万~500万円を付けている。
ある人材派遣会社が北関東の新幹線駅前に置く広告看板の年間料金は11月から従来の半額になる。撤去を申し出たところ看板主が大幅値下げを提示したという。
屋外広告が下落する背景にはインターネットの隆盛がある。不動産仲介の野村不動産アーバンネットは今年初め、都心の駅前の屋外広告を外した。広告費を減らす中で「顧客獲得の即効性がないものから削らざるを得なかった」からだ。住居探しはネット活用が一般的になりつつある。同社は2009年度に数カ所の屋外広告、テレビCMなどを削る一方、ネット広告の割合を大幅に高めた。
高機能携帯電話(スマートフォン)などの位置情報サービスが普及し、屋外広告を目印に使う企業が急減したのが一因との指摘もある。
携帯電話の地図機能やカーナビゲーションで道順を確認する人が増えたため「住宅展示場への誘導看板がほとんどなくなった」(広告会社のあどQ=東京・新宿)という。
09年の屋外広告費は前年比13.2%減(電通調べ)。広告費全体の11.5%減を上回る減少幅だった。マンション・住宅販売会社の減少が目立つ。
ここにきて企業は広告費を増やし始めたが、一度空いた屋外広告はなかなか埋まらない。特に一等地に大量の広告を出していた消費者金融の抜けた穴などが大きい。
屋外広告は知名度の向上やブランドイメージの構築に役立つとされる。ただ、企業が業績改善に向けて即効性の高い広告を選択する傾向は今後も強まりそう。屋外広告市場は厳しい状況が続く見通しだ。
カローラ輸出ゼロを検討=円高で海外生産拡大へ―トヨタ
トヨタ自動車が、数年後をめどに主力セダン「カローラ」の輸出分の生産をすべて海外に移管する検討を始めたことが14日、分かった。円高基調が長期化する可能性を踏まえ、現地生産を拡大し、輸出採算の悪化に歯止めを掛ける狙いだ。トヨタの看板車種の海外シフトは、国内産業の空洞化を加速させる恐れがある。
トヨタは1ドル=85~90円でも利益が出せる為替変動に強い企業体質の構築を目指してきた。しかし、足元では想定を超える円高が進行。生産体制の抜本的な再編が必要と判断した。
KDDI(au)はインターネット電話ソフト大手のスカイプ・テクノロジーズ(ルクセンブルク)と提携する。11月からスマートフォン(高機能携帯電話)で、通話料が基本的に無料のソフト「スカイプ」を利用できるようにする。米アップル製「iPhone(アイフォーン)」など国内外のスマートフォンと無料か割安な料金で通話ができる。NTTドコモもスカイプを解禁する方針で、これまでパソコン中心だったネット電話が携帯電話にも広がりそうだ。
KDDIが11月下旬に発売する「IS03」など今秋冬の新型スマートフォン向けにスカイプが専用アプリを配信する。パソコンなどで利用するスカイプは利用者同士は通信料が無料で、割高な国際電話代わりに使う利用者が多い。ただ携帯電話会社にとってスカイプは通信料収入の減少につながり、「禁断のアプリ」(田中孝司専務)とされていた。
KDDIはネットではなく自社の携帯電話交換網を利用し、KDDI同士は電話並みの音声品質で通話できるようにする。携帯回線接続料に課金するかは現在検討中。ただ課金した場合も従来より割安になるとみられる。無料にしてもスマートフォンはデータ通信料の増加が見込め、収入への影響は限定的とみている。
スカイプはすでにソフトバンクモバイルが販売するiPhone、米通信大手のAT&Tやベライゾン・ワイヤレスがスマートフォンで解禁しており、これらの端末とKDDIのスマートフォンで無料か割安な料金で通話が可能になる。
スカイプは相手がアプリを起動していないと通話できないという課題があったが、KDDIは着信が分かるように設定し、使い勝手を高める。
NTTドコモも10月下旬に発売するスマートフォン「ギャラクシーS」向けに、スカイプがアプリを配信すれば規制しない方針。ドコモが対応すれば携帯3社のスマートフォンでスカイプが利用できるようになる。
PHS再建、いばらの道 ウィルコム更生計画案提出
会社更生手続き中のPHS会社ウィルコムは14日、東京地裁に更生計画案を提出した。金融機関やリース会社に対する約410億円の債務を今後6年間で均等弁済していく計画。全面支援を表明したソフトバンクが社長を派遣し、同社100%子会社として早期再建を目指す。だが技術的進歩の乏しいPHS事業の立て直しは不透明だ。
加入者同士の通話が24時間無料になるウィルコムのPHSは、中高生などの若者を中心に根強い人気がある。ソフトバンクが今回、全面支援に回ったことで財務面の不安が解消し、利用者は今後も継続してPHSを使えるようになった。
「グループ会社となる以上は初年度から黒字化を狙う」。ソフトバンク幹部はこう意気込むが、簡単ではない。PHSをソフトバンクショップで併売することも検討しているが、社内には「ソフトバンクの携帯電話とどうしても競合してしまうので扱いが難しい」との見方もある。ただ加入者の純減は16カ月間も続いており、対策は待ったなしの状況だ。
「頼むからこれだけは勘弁してほしい」。5月には、毎月定額料を支払えばウィルコムの加入者同士だけでなく、他社の携帯電話や固定電話とも通話し放題になる「だれとでも定額」を全国展開する案も浮上したが頓挫した。他社を含めた完全定額は世界初の画期的なサービスだが、一時的に加入者が増加しても採算割れが濃厚。ウィルコムから相談を受けたソフトバンク幹部は二次破綻を懸念して見送りを諭したという。
再建が難しい根本的な要因は、PHSの進化が止まっているため。次々と新しい技術が登場する携帯電話に対し、新技術の開発がほとんど進んでいないPHSが劣るのは明らか。低電磁波・低消費電力などの特長を生かした医療機関向けのサービスなどでニーズは残るが、いずれは縮小の道をたどることになる。ボーダフォン買収時のように得意のマーケティング力でどこまで立て直せるか、改めて実力を問われることになりそうだ。
一方でソフトバンクは高速データ通信を実現する次世代PHS(XGP)事業もウィルコムから譲り受ける。高速データ通信はソフトバンクが苦手とする分野で相乗効果を期待できる。PHS基地局の一部は携帯電話の基地局に置き換えて通話品質の向上に役立てる予定で、「狙いは(XGPの)周波数と基地局用地の獲得」(競合他社)とみる向きが多い。
「ドコモマーケット(iモード)」が12月上旬開始、アプリのレビュー機能も
NTTドコモは、iアプリのマーケットプレイスである「ドコモマーケット(iモード)」を2010年12月上旬に開始する。ドコモが2010年10月12日に公開した「【DRAFT】ドコモマーケット(iモード)サービスガイドライン ver0.9」で明らかにした。
ドコモマーケット(iモード)は、ドコモのiモード対応端末で動作するアプリケーションであるiアプリを販売するサイト。ドコモがアプリをホスティングするため、サーバーを持たないアプリ開発者もアプリを登録できる。企業だけでなく個人でもiモード課金によるアプリの販売が可能。無料のアプリも登録できる。
これまでサービス開始時期は11月末の予定とされていたが、「【DRAFT】ドコモマーケット(iモード)サービスガイドライン ver0.9」で12月上旬に変更された。コンテンツ提供者の登録申請受付開始は10月12日とされていたが、10月中旬の予定に変更された。
また、アプリ購入20円につき1ドコモポイントがユーザーに付与されること、ドコモマーケット(iモード)ではユーザーによるアプリのレビュー(評価)を投稿できることも明らかになっている。
エルピーダ、広島工場を携帯端末用に特化 生産を再編
エルピーダメモリは2011年中をめどに、国内拠点の広島工場(東広島市)を高機能携帯電話(スマートフォン)やタブレット端末など携帯情報端末向け半導体の専用工場にする。価格競争が激しいパソコン向けDRAMは、台湾子会社での生産や提携関係にある台湾各社への生産委託に切り替える。高機能品は国内、汎用品は海外と生産体制をすみ分け、生産効率を高める。
エルピーダはDRAMの世界シェア約2割で第3位だが、携帯情報端末向けは競合他社より早く事業強化に取り組んできたため、製品競争力が高い。世界シェア首位で約5割を握る。
携帯情報端末に搭載するDRAMは待ち受け時や動作時の低消費電力性能など、パソコン用に比べ高い機能が要求される。回路構成も複雑で製造が難しい。
13年には世界のスマートフォンは約2倍に、タブレット型端末市場は約5倍になるとの予測がある。DRAMの需要も急増すると予想され、増産対応するには、高度な製造能力がある広島工場がふさわしいと判断した。
広島工場では10月に入って最先端の回路線幅45ナノ(ナノは10億分の1)メートルを使って、携帯端末向けに記憶容量2ギガ(ギガは10億)ビットDRAMの量産出荷を開始した。チップ面積は世界最小で今後の同社の主力になる見通し。
今後、生産ラインの改造や新たな製造装置を導入。45ナノメートルDRAMを中心に携帯端末向けの増産を続け、11年中に大部分を携帯端末向けに切り替える。
現在、広島工場の月産生産能力は直径300ミリメートルのシリコンウエハー換算で約13万枚。パソコン用DRAMが主力で、携帯端末向けDRAMは約2~3割にとどまっており、需要増への対応が焦点となっていた。
一方で、供給メーカーが多く価格変動が激しいパソコン用DRAMはコスト競争力のある台湾からの調達に切り替える。半導体市況を見極めながら、子会社の瑞晶電子でパソコン用DRAMの生産能力増強を検討していく。日台連合として手を結ぶ力晶半導体、茂徳科技、華邦電子の3社への技術供与など連携を密にして、安定した生産委託関係を築く。
スカイプ、米フェースブックと業務提携 SNS機能の利用可能に
格安インターネット電話最大手のスカイプ・テクノロジーズ(ルクセンブルク)は14日、世界最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の米フェースブックと業務提携し、相互のサービス機能の一部を統合したと発表した。これに伴いスカイプは15日から新ソフトの配布をネット上で開始。同ソフトを取り込むことでスカイプの利用者はフェースブックの掲示板に直接、コメントを書き込むなどSNS機能を使えるようになる。
スカイプの新ソフトは「スカイプ5・0」ウィンドウズ版。画面上に専用のタブを設置することで、スカイプ利用者はフェースブック画面を共有し、SNS機能の一部を利用できるようになる。
例えばフェースブックには会員同士の電話番号を登録できる「電話帳」機能があるが、新ソフトにより利用者は画面上の電話番号をクリックするだけで、直接電話をかけることが可能になる。さらに相手がスカイプ利用者であれば、ネットを通じてビデオ電話も楽しめる。また、これまではできなかった3人以上でのビデオ電話による会話もできるようになる。
現在、スカイプは延べ登録会員が全世界で5億人を超え、そのうち日常的に使用している人は世界で1億2400万人に上る。スカイプは業務提携により、フェースブック会員の取り込みを図る考え。一方、フェースブックも会話できるスカイプ機能を付加することで、会員増加につなげる。
屋外広告料金が下落 ネットに需要移り1年で1~2割安
ビルの屋上などに設置する屋外広告の料金が下落している。都心の繁華街では1年前の1~2割安になった。景気回復の遅れに加え、企業が宣伝効果を測りにくい点を敬遠し、ネット広告などに需要が移っている。
東京・新宿駅周辺の年間掲載料金は代表的な100平方メートルの看板で400万~700万円程度が中心。1年前に比べ100万円前後安い。首都高速道路沿いのビルの屋上の場合、6メートル×8メートルのもので300万~500万円を付けている。
ある人材派遣会社が北関東の新幹線駅前に置く広告看板の年間料金は11月から従来の半額になる。撤去を申し出たところ看板主が大幅値下げを提示したという。
屋外広告が下落する背景にはインターネットの隆盛がある。不動産仲介の野村不動産アーバンネットは今年初め、都心の駅前の屋外広告を外した。広告費を減らす中で「顧客獲得の即効性がないものから削らざるを得なかった」からだ。住居探しはネット活用が一般的になりつつある。同社は2009年度に数カ所の屋外広告、テレビCMなどを削る一方、ネット広告の割合を大幅に高めた。
高機能携帯電話(スマートフォン)などの位置情報サービスが普及し、屋外広告を目印に使う企業が急減したのが一因との指摘もある。
携帯電話の地図機能やカーナビゲーションで道順を確認する人が増えたため「住宅展示場への誘導看板がほとんどなくなった」(広告会社のあどQ=東京・新宿)という。
09年の屋外広告費は前年比13.2%減(電通調べ)。広告費全体の11.5%減を上回る減少幅だった。マンション・住宅販売会社の減少が目立つ。
ここにきて企業は広告費を増やし始めたが、一度空いた屋外広告はなかなか埋まらない。特に一等地に大量の広告を出していた消費者金融の抜けた穴などが大きい。
屋外広告は知名度の向上やブランドイメージの構築に役立つとされる。ただ、企業が業績改善に向けて即効性の高い広告を選択する傾向は今後も強まりそう。屋外広告市場は厳しい状況が続く見通しだ。
カローラ輸出ゼロを検討=円高で海外生産拡大へ―トヨタ
トヨタ自動車が、数年後をめどに主力セダン「カローラ」の輸出分の生産をすべて海外に移管する検討を始めたことが14日、分かった。円高基調が長期化する可能性を踏まえ、現地生産を拡大し、輸出採算の悪化に歯止めを掛ける狙いだ。トヨタの看板車種の海外シフトは、国内産業の空洞化を加速させる恐れがある。
トヨタは1ドル=85~90円でも利益が出せる為替変動に強い企業体質の構築を目指してきた。しかし、足元では想定を超える円高が進行。生産体制の抜本的な再編が必要と判断した。
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「ニンテンドー3DS」注目ソフトの完成度
任天堂が2011年2月26日に発売する新型携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」。普及のカギは当然ながら、販売を牽引する目玉タイトルの登場にある。3次元(3D)というゲームの表現は始まったばかりで、ゲーム開発者もまだ模索中という状況だ。9月29日開催の「任天堂カンファレンス2010」に出展されたタイトルで気になった点をまとめてみた。
3DSの画面解像度は「ニンテンドーDSi」から劇的に向上したわけではない。DSiの液晶が3.25型で256X192ドットなのに対して、3DSの上画面(3D表示用)は3.53型で800X240ドット。このうち800ドットを左右の目に割り当てるため実際は400X240ドットとなる。見た目は、DSをワイド画面にして一回り大きくした感じだ。
この解像度は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の480X272ドットやアップルのスマートフォン「iPhone4」の960X640ドットと比較すると数字上は低い。ただ、搭載されているグラフィックスチップが効いているのか、映像は滑らかで画質も悪くなかった。
奥行き感をどう生かすかがポイントに
この液晶を使った3Dゲームは、任天堂カンファレンス2010で試遊した範囲では「飛び出す3D」ではなく「奥行き感がある3D」になるようだ。3Dには画面の手前側に飛び出すように立体感を見せる方法と奥行き感を出す方法の2つがある。テーマパークのアトラクションなどでは、観客を驚かせるために飛び出す3Dを使うこともあるが、長時間の作品では目が疲労しやすい傾向がある。
3DS用のゲーム開発では、こうしたハードウエアの制約やユーザーの快適さを考慮して、ゲームのおもしろさを3Dでどう最大限に引き出すかがポイントになるだろう。
試遊したなかで、奥行き感の使い方が特に優れていると感じたのは、ファンタジー的な映像のシューティングゲーム「新・光神話 パルテナの鏡」(任天堂)だった。主人公は空を飛び、地上を走るが、基本的に画面の奥へ奥へと進んでいく。小さな敵が段々と手前に迫ってくる様子がわかりやすく伝わり、スピード感もある。
3Dですべてを表現するには限界があるため、遙か彼方の物体は2Dで表示しているようだが、それを敵の巨大さを演出したり、空気の流れを表現したりするのにうまく使っている。3Dならではの新しいジャンルのシューティングゲームになりそうな期待を覚えた。
リアルな表現は苦手?
一方、レースゲームの「リッジレーサー3D」(バンダイナムコゲームス)は、3DSにおける3D表現の難しさを感じた。処理性能の制約からそれほど多くのポリゴン数を表示できず、既存の高性能な家庭用ゲーム機のようなリアルさが出せない。立体ではあるが実在感に欠け、没入しにくい印象を受けた。
オートプレイのデモ版を公開した「マリオカート」(任天堂)は、同じレースゲームでもリッジレーサー3Dとは違い、車がジャンプしたり空を飛んだりすることで奥行き感を強調していた。リアルなレースゲームにはない動きだが、こうした演出のほうが逆に3Dの効果を引き出せるような気がする。
「スーパーモンキーボール3D」(セガ)も、3Dのメリットをわかりやすくみせていた。猿が入ったボールを立体空間の中で転がしてバナナを集めるパズルゲームだが、過去のシリーズでは明るくくっきりとした色調の画面を立体的に認識するのに慣れが必要だった。ところが、3DSでは立体空間が最初から3Dで表現されているため、複雑な構造のマップでも把握は容易だ。この没入感は大きい。
ただ、スーパーモンキーボール3Dの場合、3DSのジャイロセンサーをゲームに使う試みはうまくいっていなかった。ジャイロセンサーでゲーム機の傾きを検知して、その方向にボールが転がるようにしたのだが、ゲーム機を傾けると立体視できる角度から外れてしまう。3DSを立体視できるのは、一定の視野角の範囲に限られるためだ。セガの担当者は「パッドでも操作できるようにしており、そちらが中心に遊ばれるかもしれない」と話していた。ジャイロセンサーと3D液晶の相性はあまりよくないようだが、現状では「すべての機能を組み込んだうえでユーザーに選んでもらう」(セガ)という方針のようだ。
このほか、実在の野球選手を使った「プロ野球スピリッツシリーズ」(コナミ)も、ボールが目の前に向かって飛んでくるという意味で3Dをわかりやすく利用している。「バイオハザード:REVELATIONS」(カプコン)は色調と空間表現の工夫で解像度の低さをカバーし、リアル指向と3Dの両立を狙っている。
これらの開発中のゲームを見る限り、3Dならではのおもしろさをユーザーに感じさせる手法はまだ試行錯誤の段階のようだ。一ユーザーとしては、奥行き感を画面一杯で表現するゲームほど新しい体験を提供してくれるように感じた。ユーザーが操る対象が画面の上下左右を動き回るようなゲームが3DSには向いているかもしれない。
「体験しなければ実感できない」が課題
任天堂の岩田聡社長は3DSのプレゼンテーションで普及への課題を挙げ、「裸眼立体視は体験しなければ実感できない」と述べている。もちろん、専用めがねを必要とする3Dシステムよりは有利で、口コミも広がりやすいだろう。しかし、それぞれのゲームの3D表現を効果的にプロモーションしていくために、2D時代とは違った手法が必要となっていくはずだ。
今回の発表では、3DSのダウンロード販売を使いやすく改善するとの方針を示している。具体的な中身は明らかになっていないが、3Dゲームのデモ動画をダウンロード配信するといったことでも当面は認知度向上に役立つのではないか。
米アップル株、初の300ドル台 時価総額「米最高」射程に
【シリコンバレー=岡田信行】13日の米株式市場で米アップルの株価が初めて300ドルの大台に乗った。18日に発表する四半期決算が好調とみられるほか、20日にパソコン「マッキントッシュ(マック)」関連の発表を予定しており、投資家の期待感が高まった。時価総額は約2742億ドル(約22兆4200億円)。米市場トップの米資源大手エクソンモービル(約3311億ドル)が射程圏内に入ってきた。
アップルの株価は13日、寄りつきから300ドルを超え、一時301.96ドルを付けた後、前日終値比1.60ドル(0.5%)高い300.14ドルで通常取引を終えた。1年前の株価(2009年10月13日終値は190.02ドル)を58%上回る水準で、この1年で時価総額を約1000億ドル(約8兆円)高めた計算になる。
アップルは18日に10年7~9月期決算を発表する予定だ。今春導入した多機能情報端末「iPad(アイパッド)」がヒット。高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」やマックの販売も世界的に好調で好決算が見込まれている。
20日にはマック関連の記者発表会を予定している。単価が高く、同社の収益を下支えする陰の主役であるマックの拡充で、投資家の間には来年以降の収益拡大に期待感が高まっている。エクソンとの差は570億ドル(約4兆6600億円)。過去1年間のアップルの株価上昇を考えると追いつけない差ではなく、「米市場で最も価値ある企業」の座を奪えるかに注目が集まりそうだ。
AOL、ヤフー買収を検討…米紙報道
【ニューヨーク=小谷野太郎】米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は13日、米インターネットサービス大手AOLが複数の投資ファンドと組み、米ネット検索大手ヤフーの買収を検討していると報じた。
関係者によると、ヤフーとAOLの事業統合案などが検討されているという。
ヤフーを巡っては、2008年1月に米マイクロソフト(MS)が買収を提案したが、ヤフーの反対で交渉が決裂した。当時、ヤフーはMSの提案を拒否するため、AOLとの事業統合案を検討したことがある。
ウィルコム、ソフトバンクが社長派遣 更生計画案を提出
会社更生手続き中のウィルコムは14日、東京地裁に更生計画案を提出した。スポンサーのソフトバンクが、宮内謙ソフトバンクモバイル副社長を社長として派遣、再建を全面的に支援する。
ウィルコムは、次世代PHS事業を同社から切り離し、従来型のPHS事業に専念。契約者が減少している一般向けは基地局の削減などで経費を圧縮し、医療分野を中心とする法人向けを強化する。
計画案では、まず100%減資を行った上で投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)を引受先とする3億円の第三者割当増資を実施。その後、全株をソフトバンクが引き受ける。約410億円の債務は6年かけて分割返済する。
一方、高速大容量の次世代PHS事業はソフトバンクやAPなどが設立する「ワイヤレス・シティ・プランニング」が引き継ぐ。
ウィルコムは、携帯電話との競争激化で加入者の減少したうえ、次世代PHS事業への投資が重荷となり、経営破綻した。
百貨店の8割が減収、半分が赤字 節約志向で消費者離れ深刻
2009年度に全国主要百貨店92社のうち8割超が減収に見舞われ、半数が赤字だったことが、帝国データバンクが14日まとめた業況調査で分かった。
売上高が減収だった企業は前年度から19社増の76社で全体の82.6%を占めた。増収は5・4%の5社にとどまった。
減収76社のうち売上高規模別では、「100億円以上500億円未満」が48.7%と半数近くを占め、100億円未満も21.1%となり、中堅中小が苦戦している。
赤字の割合は前年度の36・7%から50・0%に急上昇した。節約志向による消費者の百貨店離れが改めて鮮明になった。
物価、来年度もマイナス…日銀がプラス予測修正
日本銀行が28日に開く金融政策決定会合で、2011年度の物価の上昇率見通しを、4月に示した「プラス0・1%」から、再びマイナスに下方修正する方向となったことが14日、わかった。
円高と景気の下ぶれが物価を押し下げるためだ。マイナスは3年連続となり、プラス転換は12年度に1年先送りされる。デフレ脱却も遠のくことになる。
日銀は毎年4月と10月に公表する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で消費者物価指数(生鮮食品を除く)の見通しを示している。4月の展望リポートでは、11年度の物価の上昇率見通しを、「マイナス0・2%」から「プラス0・1%」に修正し、3年ぶりのプラスに転じる見通しを示していた。
東京スタイルとサンエー・インターが経営統合
国内アパレル3位に
アパレル大手のサンエー・インターナショナルと東京スタイルは14日、来年6月に共同持ち株会社を設立し、経営統合すると発表した。両社の直近の連結売上高の単純合計は約1525億円で、国内アパレル3位グループに浮上する。
東京スタイルの普通株1に対し、持ち株会社の普通株を1、サンエー・インターナショナルの普通株1に対して同1.65を割り当てる。持ち株会社「TSIホールディングス」の社長には中島芳樹・東京スタイル社長、同会長には三宅正彦サンエー・インターナショナル会長が就く。サンエー・インターナショナルの三宅孝彦社長は持ち株会社の取締役となる予定だ。
サンエー・インターナショナルは「ナチュラルビューティーベーシック」などのブランドを展開し、駅ビルなどでの営業に強みがある。東京スタイルは「スタイルコム」など百貨店ブランドを持つほか、新興セレクトショップなどを買収で傘下に収めてきた。両社は統合により事業で相互補完が見込めると判断したようだ。今後、相互のインフラを活用し、さらなるM&A(合併・買収)や海外展開の加速を目指す。
任天堂が2011年2月26日に発売する新型携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」。普及のカギは当然ながら、販売を牽引する目玉タイトルの登場にある。3次元(3D)というゲームの表現は始まったばかりで、ゲーム開発者もまだ模索中という状況だ。9月29日開催の「任天堂カンファレンス2010」に出展されたタイトルで気になった点をまとめてみた。
3DSの画面解像度は「ニンテンドーDSi」から劇的に向上したわけではない。DSiの液晶が3.25型で256X192ドットなのに対して、3DSの上画面(3D表示用)は3.53型で800X240ドット。このうち800ドットを左右の目に割り当てるため実際は400X240ドットとなる。見た目は、DSをワイド画面にして一回り大きくした感じだ。
この解像度は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の480X272ドットやアップルのスマートフォン「iPhone4」の960X640ドットと比較すると数字上は低い。ただ、搭載されているグラフィックスチップが効いているのか、映像は滑らかで画質も悪くなかった。
奥行き感をどう生かすかがポイントに
この液晶を使った3Dゲームは、任天堂カンファレンス2010で試遊した範囲では「飛び出す3D」ではなく「奥行き感がある3D」になるようだ。3Dには画面の手前側に飛び出すように立体感を見せる方法と奥行き感を出す方法の2つがある。テーマパークのアトラクションなどでは、観客を驚かせるために飛び出す3Dを使うこともあるが、長時間の作品では目が疲労しやすい傾向がある。
3DS用のゲーム開発では、こうしたハードウエアの制約やユーザーの快適さを考慮して、ゲームのおもしろさを3Dでどう最大限に引き出すかがポイントになるだろう。
試遊したなかで、奥行き感の使い方が特に優れていると感じたのは、ファンタジー的な映像のシューティングゲーム「新・光神話 パルテナの鏡」(任天堂)だった。主人公は空を飛び、地上を走るが、基本的に画面の奥へ奥へと進んでいく。小さな敵が段々と手前に迫ってくる様子がわかりやすく伝わり、スピード感もある。
3Dですべてを表現するには限界があるため、遙か彼方の物体は2Dで表示しているようだが、それを敵の巨大さを演出したり、空気の流れを表現したりするのにうまく使っている。3Dならではの新しいジャンルのシューティングゲームになりそうな期待を覚えた。
リアルな表現は苦手?
一方、レースゲームの「リッジレーサー3D」(バンダイナムコゲームス)は、3DSにおける3D表現の難しさを感じた。処理性能の制約からそれほど多くのポリゴン数を表示できず、既存の高性能な家庭用ゲーム機のようなリアルさが出せない。立体ではあるが実在感に欠け、没入しにくい印象を受けた。
オートプレイのデモ版を公開した「マリオカート」(任天堂)は、同じレースゲームでもリッジレーサー3Dとは違い、車がジャンプしたり空を飛んだりすることで奥行き感を強調していた。リアルなレースゲームにはない動きだが、こうした演出のほうが逆に3Dの効果を引き出せるような気がする。
「スーパーモンキーボール3D」(セガ)も、3Dのメリットをわかりやすくみせていた。猿が入ったボールを立体空間の中で転がしてバナナを集めるパズルゲームだが、過去のシリーズでは明るくくっきりとした色調の画面を立体的に認識するのに慣れが必要だった。ところが、3DSでは立体空間が最初から3Dで表現されているため、複雑な構造のマップでも把握は容易だ。この没入感は大きい。
ただ、スーパーモンキーボール3Dの場合、3DSのジャイロセンサーをゲームに使う試みはうまくいっていなかった。ジャイロセンサーでゲーム機の傾きを検知して、その方向にボールが転がるようにしたのだが、ゲーム機を傾けると立体視できる角度から外れてしまう。3DSを立体視できるのは、一定の視野角の範囲に限られるためだ。セガの担当者は「パッドでも操作できるようにしており、そちらが中心に遊ばれるかもしれない」と話していた。ジャイロセンサーと3D液晶の相性はあまりよくないようだが、現状では「すべての機能を組み込んだうえでユーザーに選んでもらう」(セガ)という方針のようだ。
このほか、実在の野球選手を使った「プロ野球スピリッツシリーズ」(コナミ)も、ボールが目の前に向かって飛んでくるという意味で3Dをわかりやすく利用している。「バイオハザード:REVELATIONS」(カプコン)は色調と空間表現の工夫で解像度の低さをカバーし、リアル指向と3Dの両立を狙っている。
これらの開発中のゲームを見る限り、3Dならではのおもしろさをユーザーに感じさせる手法はまだ試行錯誤の段階のようだ。一ユーザーとしては、奥行き感を画面一杯で表現するゲームほど新しい体験を提供してくれるように感じた。ユーザーが操る対象が画面の上下左右を動き回るようなゲームが3DSには向いているかもしれない。
「体験しなければ実感できない」が課題
任天堂の岩田聡社長は3DSのプレゼンテーションで普及への課題を挙げ、「裸眼立体視は体験しなければ実感できない」と述べている。もちろん、専用めがねを必要とする3Dシステムよりは有利で、口コミも広がりやすいだろう。しかし、それぞれのゲームの3D表現を効果的にプロモーションしていくために、2D時代とは違った手法が必要となっていくはずだ。
今回の発表では、3DSのダウンロード販売を使いやすく改善するとの方針を示している。具体的な中身は明らかになっていないが、3Dゲームのデモ動画をダウンロード配信するといったことでも当面は認知度向上に役立つのではないか。
米アップル株、初の300ドル台 時価総額「米最高」射程に
【シリコンバレー=岡田信行】13日の米株式市場で米アップルの株価が初めて300ドルの大台に乗った。18日に発表する四半期決算が好調とみられるほか、20日にパソコン「マッキントッシュ(マック)」関連の発表を予定しており、投資家の期待感が高まった。時価総額は約2742億ドル(約22兆4200億円)。米市場トップの米資源大手エクソンモービル(約3311億ドル)が射程圏内に入ってきた。
アップルの株価は13日、寄りつきから300ドルを超え、一時301.96ドルを付けた後、前日終値比1.60ドル(0.5%)高い300.14ドルで通常取引を終えた。1年前の株価(2009年10月13日終値は190.02ドル)を58%上回る水準で、この1年で時価総額を約1000億ドル(約8兆円)高めた計算になる。
アップルは18日に10年7~9月期決算を発表する予定だ。今春導入した多機能情報端末「iPad(アイパッド)」がヒット。高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」やマックの販売も世界的に好調で好決算が見込まれている。
20日にはマック関連の記者発表会を予定している。単価が高く、同社の収益を下支えする陰の主役であるマックの拡充で、投資家の間には来年以降の収益拡大に期待感が高まっている。エクソンとの差は570億ドル(約4兆6600億円)。過去1年間のアップルの株価上昇を考えると追いつけない差ではなく、「米市場で最も価値ある企業」の座を奪えるかに注目が集まりそうだ。
AOL、ヤフー買収を検討…米紙報道
【ニューヨーク=小谷野太郎】米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)は13日、米インターネットサービス大手AOLが複数の投資ファンドと組み、米ネット検索大手ヤフーの買収を検討していると報じた。
関係者によると、ヤフーとAOLの事業統合案などが検討されているという。
ヤフーを巡っては、2008年1月に米マイクロソフト(MS)が買収を提案したが、ヤフーの反対で交渉が決裂した。当時、ヤフーはMSの提案を拒否するため、AOLとの事業統合案を検討したことがある。
ウィルコム、ソフトバンクが社長派遣 更生計画案を提出
会社更生手続き中のウィルコムは14日、東京地裁に更生計画案を提出した。スポンサーのソフトバンクが、宮内謙ソフトバンクモバイル副社長を社長として派遣、再建を全面的に支援する。
ウィルコムは、次世代PHS事業を同社から切り離し、従来型のPHS事業に専念。契約者が減少している一般向けは基地局の削減などで経費を圧縮し、医療分野を中心とする法人向けを強化する。
計画案では、まず100%減資を行った上で投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)を引受先とする3億円の第三者割当増資を実施。その後、全株をソフトバンクが引き受ける。約410億円の債務は6年かけて分割返済する。
一方、高速大容量の次世代PHS事業はソフトバンクやAPなどが設立する「ワイヤレス・シティ・プランニング」が引き継ぐ。
ウィルコムは、携帯電話との競争激化で加入者の減少したうえ、次世代PHS事業への投資が重荷となり、経営破綻した。
百貨店の8割が減収、半分が赤字 節約志向で消費者離れ深刻
2009年度に全国主要百貨店92社のうち8割超が減収に見舞われ、半数が赤字だったことが、帝国データバンクが14日まとめた業況調査で分かった。
売上高が減収だった企業は前年度から19社増の76社で全体の82.6%を占めた。増収は5・4%の5社にとどまった。
減収76社のうち売上高規模別では、「100億円以上500億円未満」が48.7%と半数近くを占め、100億円未満も21.1%となり、中堅中小が苦戦している。
赤字の割合は前年度の36・7%から50・0%に急上昇した。節約志向による消費者の百貨店離れが改めて鮮明になった。
物価、来年度もマイナス…日銀がプラス予測修正
日本銀行が28日に開く金融政策決定会合で、2011年度の物価の上昇率見通しを、4月に示した「プラス0・1%」から、再びマイナスに下方修正する方向となったことが14日、わかった。
円高と景気の下ぶれが物価を押し下げるためだ。マイナスは3年連続となり、プラス転換は12年度に1年先送りされる。デフレ脱却も遠のくことになる。
日銀は毎年4月と10月に公表する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で消費者物価指数(生鮮食品を除く)の見通しを示している。4月の展望リポートでは、11年度の物価の上昇率見通しを、「マイナス0・2%」から「プラス0・1%」に修正し、3年ぶりのプラスに転じる見通しを示していた。
東京スタイルとサンエー・インターが経営統合
国内アパレル3位に
アパレル大手のサンエー・インターナショナルと東京スタイルは14日、来年6月に共同持ち株会社を設立し、経営統合すると発表した。両社の直近の連結売上高の単純合計は約1525億円で、国内アパレル3位グループに浮上する。
東京スタイルの普通株1に対し、持ち株会社の普通株を1、サンエー・インターナショナルの普通株1に対して同1.65を割り当てる。持ち株会社「TSIホールディングス」の社長には中島芳樹・東京スタイル社長、同会長には三宅正彦サンエー・インターナショナル会長が就く。サンエー・インターナショナルの三宅孝彦社長は持ち株会社の取締役となる予定だ。
サンエー・インターナショナルは「ナチュラルビューティーベーシック」などのブランドを展開し、駅ビルなどでの営業に強みがある。東京スタイルは「スタイルコム」など百貨店ブランドを持つほか、新興セレクトショップなどを買収で傘下に収めてきた。両社は統合により事業で相互補完が見込めると判断したようだ。今後、相互のインフラを活用し、さらなるM&A(合併・買収)や海外展開の加速を目指す。
ソニー、ネットTVに活路 米で発売、新収益源狙う
ソニーは16日、米グーグルの基本ソフト(OS)をテレビとして初めて搭載した「ソニー・インターネットTV」を米国で発売する。高精細なテレビ放送と、パソコン並みのネット検索機能を同時に楽しめるのが特徴。ソニーは新製品発売を機に、テレビ向けのビデオ配信サービスも展開し新たな収益源に育てる。テレビの事業モデルが大きく変わるきっかけにもなりそうだ。
新製品は「テレビも視聴できるパソコン」のようだ。キーボードの付いたリモコンのボタンを押すと、グーグルでおなじみの検索ボックスが画面に表示される。キーワードを入力すれば、ネット上の動画や放送番組を分け隔てなく検索でき、クリック一つで目的の画面に切り替わる。
あらかじめ備わっているソフト「ツイッター」を起動すれば、番組を見ながら感想をつぶやくといった使い方もできる。
ソニーがネット対応テレビを投入する狙いは大きく3つある。
第1はサムスン電子など韓国勢との競争で激しさを増す値下げ合戦を脱することだ。ソニーのテレビ事業は2009年度まで6期連続の赤字。新製品は599ドル99セント(24型)~1399ドル99セント(46型)の4機種で、同社の通常のテレビより200ドルほど高く設定した。
第2はテレビを「売り切り型」から、販売後も利益に貢献する製品に転換すること。ネットテレビには動画共有サイト「ユーチューブ」など15種類のサービスを標準搭載した。ソニー自身も独自のビデオ配信サービス「キュリオシティ」を始める。米国ではすでに900タイトル以上の映像を配信しており、テレビ購入者が有料コンテンツを利用すれば、そのたびにソニーに収入が入る。
今後は音楽やゲーム、電子書籍などの配信も計画する。グループ内で映画や音楽の子会社を持つ強みを生かし、ソフトとハードの融合を収益に結びつける要にネットテレビを位置付ける。
第3はテレビを軸とした家電製品全般の競争力の底上げ。テレビがネットにつながれば、例えばカメラで撮影した写真や動画をテレビに送信したり、テレビ番組の続きを携帯電話で見たりするなど製品の利用方法が広がる。テレビ以外の製品でも互換性が高いソニー製を選んでもらえる可能性が出てくるとみる。
グーグルは半年後にはネットテレビの基本技術を一般公開する予定で、ソニー以外にも同様の製品を開発する企業が出てくる。ソニーは先行する優位性を生かし機能改良などで常に他社をリードしたい考え。日本や欧州、新興国にもいち早く販売地域を広げ、ネットテレビならソニーといったブランドを確立できるかが課題になる。
ネットTV、機能パソコン並みに 世界各社が競う
インターネットに接続可能なテレビにいかに付加価値をつけるか、電機各社は知恵を絞る。ソニーの新製品は、ネット検索最大手グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」と、米インテルのMPU(超小型演算処理装置)「アトム」を搭載。パソコンと同じ作業ができる点で、従来のネット対応テレビと一線を画す。テレビを進化させる競争が加速しそうだ。
テレビ世界首位の韓国サムスン電子は、ネット経由でゲームなどのソフトを取り込める「スマートテレビ」を今春発売した。パナソニックはヤフーと共同でネット競売サイトを利用できるテレビを、2011年春に発売する。東芝は番組をより楽しめる情報をテレビに提供する「クラウド」型サービスに注力する。
米ディスプレイサーチによると、ネット接続型テレビの世界出荷台数は14年に09年比8倍の1億1850万台と、市場の4割を占める見通しだ。
これまでも電機各社はネット接続型テレビを販売している。だが、利用できるのはテレビ向け専用に映画などを配信する「アクトビラ」のような一部のネットサービスに限られていた。米アップルの高機能携帯電話「アイフォーン」のように、ネットからソフトを取り込み、製品購入後に機能を加えていくような事業モデルを、テレビでだれが構築するかが焦点だ。
若年層収入、女性が上回る
製造業不振、介護など伸びる 09年、産業構造変化映す
単身世帯を対象にした総務省の2009年の調査によると、30歳未満の女性の可処分所得は月21万8100円と男性を2600円上回り、初めて逆転した。男性比率の高い製造業で雇用や賃金に調整圧力がかかる一方、女性が多く働く医療・介護などの分野は就業機会も給与水準も上向きという産業構造の変化が背景にある。諸外国に比べ大きいとされてきた日本の男女の賃金格差も転換点を迎えつつある。
総務省がまとめた09年の全国消費実態調査によると、勤労者世帯の収入から税金などを支払った後の手取り収入である可処分所得は、30歳未満の単身世帯の女性が21万8156円となった。この調査は5年ごとに実施しており、前回の04年に比べて11.4%増加した。同じ単身世帯の若年男性は21万5515円で、04年と比べ7.0%減少。調査を開始した1969年以降、初めて男女の可処分所得が逆転した。
背景にあるのは産業構造の変化だ。円高や中国をはじめとする新興国の経済成長に伴い、製造業では生産拠点などの海外移転が加速。就業者数は09年までの5年間で77万人減少した。
仕事を持つ男性の20%超は製造業で働いており、女性の10%と比べて比率が高い。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「ボーナスの削減や雇用形態の非正規化の影響を製造業で働く男性が大きく受けた」と分析する。男性の雇用者に占める非正規労働者の比率は07年時点で3割を超えた。女性は4割以上を占めるが、増加率は男性の方が大きくなっている。
リーマン・ショックで製造業が打撃を受ける一方、女性の比率が高い医療・介護などは高齢化の進展で労働力需要が高まり、医療・福祉分野は09年までの5年間で就業者数が90万人増加した。完全失業率もこのところ女性が男性を下回っている。
(ものづくり 逆風下の挑戦)人件費圧縮の限界 税制・横並び戦略 見直しを
「ここまで進んでいるのか」。米アップルが6月に発売したスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone4(アイフォーン4)」を分解した電機大手の技術者は息をのんだ。
彼が驚いたのはアップルの設計力ではなく、それを中国の工場で組み立てた台湾EMS(電子機器の受託製造サービス)の技術力だ。
均質化する工場
iPhone4の基板上に並ぶごま粒大の超小型電子部品。一つの部品の表面は0.4ミリ×0.2ミリメートルで、人間の手では扱えない。台湾EMSが日本製の先端実装機を使いこなしている証拠である。
「台湾EMSは日本製の先端工作機械を年に数百台も導入している」(台湾の業界アナリスト)。iPhone4は制服を着た女性工員が並ぶ昔ながらの「中国の工場」ではなく、自動化が進んだ静かな工場で作られる。
2010年3月期の日本の上場企業の製造原価に占める労務費の割合(単独ベース)は10.84%。10年前の13.39%から大きく減った。
さらに自動化が進めば、世界のどこで作ってもコストは同じになる。もはや「中国や台湾の工場が強いのは人件費が安いから」という常識は通じない。先端技術は世界の生産現場を均質にしていく。
では何が競争の優劣を決めるのか。一つは制度だ。
「台湾でも広島でも製造コストは同じ。だからこそ、ビジネスの条件を同じにしてもらわないと(日本への)投資意欲がなえる」。エルピーダメモリの坂本幸雄社長は7月、日本経団連のシンポジウムで訴えた。
日本の法人税率が高く補助金が少ないのは今に始まったことではないが、これまで日本企業は現場の生産性を高める「カイゼン」で不利を補ってきた。だがテクノロジーによる均質化はカイゼンの余地を奪う。
自動車用金型で国内2位の富士テクニカと同3位の宮津製作所(群馬県大泉町)が、企業再生支援機構の出資を受けて経営統合する。日本のお家芸とされた金型産業が衰退した一因は、コンピューターを使った設計が増え試作部品用の金型需要が減ったことにある。「匠(たくみ)の技」はデジタルに置き換わった。
均質化が進むにつれ、日本という国に本拠を持つこと自体が、抜き差しならぬハンディになってきた。だから日本の経営者が切実に「法人税減税」を訴える。日本の法人課税の法定実効税率は約40%。アジア諸国は20%台。この差はカイゼンでは埋まらない。
突然変異で進化
均質化した競争の勝敗を左右するもう一つの要因は「戦略」だ。
高機能携帯端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」を12月に発売するシャープ。日本製品が国内でしか売れないガラパゴス現象を逆手に取り「進化の象徴」との思いを込めた。町田勝彦会長は「世の中にないものを作って新しい需要を生み出す」ことが日本の突破口になると見る。
同じものを安く作る競争だけでは、いずれ新興国にのみ込まれる。「日本固有の技術をもっと打ち出していくべきだ」(町田会長)。誰もが同じものを作れる均質化の時代。一歩抜け出すには「突然変異」を生む経営戦略と、それを後押しする政策が必要だ。
法人税など制度面の不利、横並びの経営戦略、そして円高。日本の製造業は様々なハンディを、下請け企業を含めた現場のカイゼンで克服してきた。
だがこれからは、それだけでは勝ち抜けない。制度や戦略のほんのわずかな差が、圧倒的な収益の違いとなって表れる。世界のものづくりは今、そんな緊張感の中にある。
日経社説
企業の“倒産先延ばし”は長く続かない
景気実感が厳しさを増しているのに、企業倒産は低い水準にある。
民間調査会社の東京商工リサーチによれば、2010年度上半期(4~9月)の全国の倒産件数は6555件と前年同期に比べ15.2%減った。上半期の倒産件数が7000件を下回ったのは4年ぶりだ。同業の帝国データバンクの集計では、倒産件数が前月までに13カ月続けて前年同月を下回った。
6月から改正貸金業法が完全施行され、消費者金融がお金を貸しにくくなった。中小事業主の資金繰りが苦しくなると懸念されたが、倒産の増加にはまだ至っていないようだ。
倒産が少ない舞台裏には、からくりがあり、素直に喜べない。
1つは、亀井静香前金融担当相の肝いりでつくられた「中小企業金融円滑化法」だ。企業が借りているお金の期限が来て返済猶予を求めた場合、銀行はそれに応じる努力をせよと定めた。昨年12月の施行から今年6月末までに、同法に基づく猶予は累計で39万738件、13兆3959億円に達した。
自見庄三郎金融担当相は13日の衆院予算委員会で、円滑化法について来年3月の期限延長も視野に入れ取り扱いを検討する考えを述べた。
しかし、円滑化法を利用している企業の倒産は9月末までに30件発生した。地方の建設業や小売業を中心に返済猶予を2度、3度と繰りかえしてもなお、銀行との間で事業計画の練り直しが進まない例が増えた。
展望のない企業の経営破綻のリスクを銀行が過度に抱え込めば、金融システムが再び不安定になりかねない。円滑化法は延長しないのが筋。もし延長を議論するなら、借り手の実態をきちんと調べるべきだ。
倒産が少ないもう1つの理由は、信用保証協会の「景気対応緊急保証」だ。赤字の中小企業でも借り入れの保証を受けやすくしている。利用額は先週末現在で22兆円にのぼる。だが利用企業の倒産は1~9月に前年同期よりも2割近く増えた。
政府は補正予算案に信用保証の拡充を盛り込むが、保証供与の効果が薄れつつあるほか、財政負担を伴う。放置すれば倒産するような企業については、こうした政策でいつまでも延命させるのは無理だ。
倒産を抑えるには、第一に金融・財政政策で短期的な需要の落ち込みを最小限に抑えること。第二に内需分野での規制緩和など成長戦略を早く実行し、企業、特に海外展開をしにくいような中小企業が仕事を確保できるようにする必要がある。企業の業種転換を促す政策も大事だ。
ソニーは16日、米グーグルの基本ソフト(OS)をテレビとして初めて搭載した「ソニー・インターネットTV」を米国で発売する。高精細なテレビ放送と、パソコン並みのネット検索機能を同時に楽しめるのが特徴。ソニーは新製品発売を機に、テレビ向けのビデオ配信サービスも展開し新たな収益源に育てる。テレビの事業モデルが大きく変わるきっかけにもなりそうだ。
新製品は「テレビも視聴できるパソコン」のようだ。キーボードの付いたリモコンのボタンを押すと、グーグルでおなじみの検索ボックスが画面に表示される。キーワードを入力すれば、ネット上の動画や放送番組を分け隔てなく検索でき、クリック一つで目的の画面に切り替わる。
あらかじめ備わっているソフト「ツイッター」を起動すれば、番組を見ながら感想をつぶやくといった使い方もできる。
ソニーがネット対応テレビを投入する狙いは大きく3つある。
第1はサムスン電子など韓国勢との競争で激しさを増す値下げ合戦を脱することだ。ソニーのテレビ事業は2009年度まで6期連続の赤字。新製品は599ドル99セント(24型)~1399ドル99セント(46型)の4機種で、同社の通常のテレビより200ドルほど高く設定した。
第2はテレビを「売り切り型」から、販売後も利益に貢献する製品に転換すること。ネットテレビには動画共有サイト「ユーチューブ」など15種類のサービスを標準搭載した。ソニー自身も独自のビデオ配信サービス「キュリオシティ」を始める。米国ではすでに900タイトル以上の映像を配信しており、テレビ購入者が有料コンテンツを利用すれば、そのたびにソニーに収入が入る。
今後は音楽やゲーム、電子書籍などの配信も計画する。グループ内で映画や音楽の子会社を持つ強みを生かし、ソフトとハードの融合を収益に結びつける要にネットテレビを位置付ける。
第3はテレビを軸とした家電製品全般の競争力の底上げ。テレビがネットにつながれば、例えばカメラで撮影した写真や動画をテレビに送信したり、テレビ番組の続きを携帯電話で見たりするなど製品の利用方法が広がる。テレビ以外の製品でも互換性が高いソニー製を選んでもらえる可能性が出てくるとみる。
グーグルは半年後にはネットテレビの基本技術を一般公開する予定で、ソニー以外にも同様の製品を開発する企業が出てくる。ソニーは先行する優位性を生かし機能改良などで常に他社をリードしたい考え。日本や欧州、新興国にもいち早く販売地域を広げ、ネットテレビならソニーといったブランドを確立できるかが課題になる。
ネットTV、機能パソコン並みに 世界各社が競う
インターネットに接続可能なテレビにいかに付加価値をつけるか、電機各社は知恵を絞る。ソニーの新製品は、ネット検索最大手グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」と、米インテルのMPU(超小型演算処理装置)「アトム」を搭載。パソコンと同じ作業ができる点で、従来のネット対応テレビと一線を画す。テレビを進化させる競争が加速しそうだ。
テレビ世界首位の韓国サムスン電子は、ネット経由でゲームなどのソフトを取り込める「スマートテレビ」を今春発売した。パナソニックはヤフーと共同でネット競売サイトを利用できるテレビを、2011年春に発売する。東芝は番組をより楽しめる情報をテレビに提供する「クラウド」型サービスに注力する。
米ディスプレイサーチによると、ネット接続型テレビの世界出荷台数は14年に09年比8倍の1億1850万台と、市場の4割を占める見通しだ。
これまでも電機各社はネット接続型テレビを販売している。だが、利用できるのはテレビ向け専用に映画などを配信する「アクトビラ」のような一部のネットサービスに限られていた。米アップルの高機能携帯電話「アイフォーン」のように、ネットからソフトを取り込み、製品購入後に機能を加えていくような事業モデルを、テレビでだれが構築するかが焦点だ。
若年層収入、女性が上回る
製造業不振、介護など伸びる 09年、産業構造変化映す
単身世帯を対象にした総務省の2009年の調査によると、30歳未満の女性の可処分所得は月21万8100円と男性を2600円上回り、初めて逆転した。男性比率の高い製造業で雇用や賃金に調整圧力がかかる一方、女性が多く働く医療・介護などの分野は就業機会も給与水準も上向きという産業構造の変化が背景にある。諸外国に比べ大きいとされてきた日本の男女の賃金格差も転換点を迎えつつある。
総務省がまとめた09年の全国消費実態調査によると、勤労者世帯の収入から税金などを支払った後の手取り収入である可処分所得は、30歳未満の単身世帯の女性が21万8156円となった。この調査は5年ごとに実施しており、前回の04年に比べて11.4%増加した。同じ単身世帯の若年男性は21万5515円で、04年と比べ7.0%減少。調査を開始した1969年以降、初めて男女の可処分所得が逆転した。
背景にあるのは産業構造の変化だ。円高や中国をはじめとする新興国の経済成長に伴い、製造業では生産拠点などの海外移転が加速。就業者数は09年までの5年間で77万人減少した。
仕事を持つ男性の20%超は製造業で働いており、女性の10%と比べて比率が高い。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「ボーナスの削減や雇用形態の非正規化の影響を製造業で働く男性が大きく受けた」と分析する。男性の雇用者に占める非正規労働者の比率は07年時点で3割を超えた。女性は4割以上を占めるが、増加率は男性の方が大きくなっている。
リーマン・ショックで製造業が打撃を受ける一方、女性の比率が高い医療・介護などは高齢化の進展で労働力需要が高まり、医療・福祉分野は09年までの5年間で就業者数が90万人増加した。完全失業率もこのところ女性が男性を下回っている。
(ものづくり 逆風下の挑戦)人件費圧縮の限界 税制・横並び戦略 見直しを
「ここまで進んでいるのか」。米アップルが6月に発売したスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone4(アイフォーン4)」を分解した電機大手の技術者は息をのんだ。
彼が驚いたのはアップルの設計力ではなく、それを中国の工場で組み立てた台湾EMS(電子機器の受託製造サービス)の技術力だ。
均質化する工場
iPhone4の基板上に並ぶごま粒大の超小型電子部品。一つの部品の表面は0.4ミリ×0.2ミリメートルで、人間の手では扱えない。台湾EMSが日本製の先端実装機を使いこなしている証拠である。
「台湾EMSは日本製の先端工作機械を年に数百台も導入している」(台湾の業界アナリスト)。iPhone4は制服を着た女性工員が並ぶ昔ながらの「中国の工場」ではなく、自動化が進んだ静かな工場で作られる。
2010年3月期の日本の上場企業の製造原価に占める労務費の割合(単独ベース)は10.84%。10年前の13.39%から大きく減った。
さらに自動化が進めば、世界のどこで作ってもコストは同じになる。もはや「中国や台湾の工場が強いのは人件費が安いから」という常識は通じない。先端技術は世界の生産現場を均質にしていく。
では何が競争の優劣を決めるのか。一つは制度だ。
「台湾でも広島でも製造コストは同じ。だからこそ、ビジネスの条件を同じにしてもらわないと(日本への)投資意欲がなえる」。エルピーダメモリの坂本幸雄社長は7月、日本経団連のシンポジウムで訴えた。
日本の法人税率が高く補助金が少ないのは今に始まったことではないが、これまで日本企業は現場の生産性を高める「カイゼン」で不利を補ってきた。だがテクノロジーによる均質化はカイゼンの余地を奪う。
自動車用金型で国内2位の富士テクニカと同3位の宮津製作所(群馬県大泉町)が、企業再生支援機構の出資を受けて経営統合する。日本のお家芸とされた金型産業が衰退した一因は、コンピューターを使った設計が増え試作部品用の金型需要が減ったことにある。「匠(たくみ)の技」はデジタルに置き換わった。
均質化が進むにつれ、日本という国に本拠を持つこと自体が、抜き差しならぬハンディになってきた。だから日本の経営者が切実に「法人税減税」を訴える。日本の法人課税の法定実効税率は約40%。アジア諸国は20%台。この差はカイゼンでは埋まらない。
突然変異で進化
均質化した競争の勝敗を左右するもう一つの要因は「戦略」だ。
高機能携帯端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」を12月に発売するシャープ。日本製品が国内でしか売れないガラパゴス現象を逆手に取り「進化の象徴」との思いを込めた。町田勝彦会長は「世の中にないものを作って新しい需要を生み出す」ことが日本の突破口になると見る。
同じものを安く作る競争だけでは、いずれ新興国にのみ込まれる。「日本固有の技術をもっと打ち出していくべきだ」(町田会長)。誰もが同じものを作れる均質化の時代。一歩抜け出すには「突然変異」を生む経営戦略と、それを後押しする政策が必要だ。
法人税など制度面の不利、横並びの経営戦略、そして円高。日本の製造業は様々なハンディを、下請け企業を含めた現場のカイゼンで克服してきた。
だがこれからは、それだけでは勝ち抜けない。制度や戦略のほんのわずかな差が、圧倒的な収益の違いとなって表れる。世界のものづくりは今、そんな緊張感の中にある。
日経社説
企業の“倒産先延ばし”は長く続かない
景気実感が厳しさを増しているのに、企業倒産は低い水準にある。
民間調査会社の東京商工リサーチによれば、2010年度上半期(4~9月)の全国の倒産件数は6555件と前年同期に比べ15.2%減った。上半期の倒産件数が7000件を下回ったのは4年ぶりだ。同業の帝国データバンクの集計では、倒産件数が前月までに13カ月続けて前年同月を下回った。
6月から改正貸金業法が完全施行され、消費者金融がお金を貸しにくくなった。中小事業主の資金繰りが苦しくなると懸念されたが、倒産の増加にはまだ至っていないようだ。
倒産が少ない舞台裏には、からくりがあり、素直に喜べない。
1つは、亀井静香前金融担当相の肝いりでつくられた「中小企業金融円滑化法」だ。企業が借りているお金の期限が来て返済猶予を求めた場合、銀行はそれに応じる努力をせよと定めた。昨年12月の施行から今年6月末までに、同法に基づく猶予は累計で39万738件、13兆3959億円に達した。
自見庄三郎金融担当相は13日の衆院予算委員会で、円滑化法について来年3月の期限延長も視野に入れ取り扱いを検討する考えを述べた。
しかし、円滑化法を利用している企業の倒産は9月末までに30件発生した。地方の建設業や小売業を中心に返済猶予を2度、3度と繰りかえしてもなお、銀行との間で事業計画の練り直しが進まない例が増えた。
展望のない企業の経営破綻のリスクを銀行が過度に抱え込めば、金融システムが再び不安定になりかねない。円滑化法は延長しないのが筋。もし延長を議論するなら、借り手の実態をきちんと調べるべきだ。
倒産が少ないもう1つの理由は、信用保証協会の「景気対応緊急保証」だ。赤字の中小企業でも借り入れの保証を受けやすくしている。利用額は先週末現在で22兆円にのぼる。だが利用企業の倒産は1~9月に前年同期よりも2割近く増えた。
政府は補正予算案に信用保証の拡充を盛り込むが、保証供与の効果が薄れつつあるほか、財政負担を伴う。放置すれば倒産するような企業については、こうした政策でいつまでも延命させるのは無理だ。
倒産を抑えるには、第一に金融・財政政策で短期的な需要の落ち込みを最小限に抑えること。第二に内需分野での規制緩和など成長戦略を早く実行し、企業、特に海外展開をしにくいような中小企業が仕事を確保できるようにする必要がある。企業の業種転換を促す政策も大事だ。
Sony、「Google TV」採用のインターネットテレビを米国で発売
米Sonyは12日、Googleが提唱するテレビ向けのプラットフォーム「Google TV」を採用し、1台でテレビ視聴、アプリケーション、インターネットコンテンツを楽しめる「Sony Internet TV」を発表した。同日、米国市場で予約受け付けを開始し、16日に発売する。
「Google TV」は、テレビ視聴画面にオーバーレイ表示する形で検索ボックスを表示し、テレビ番組やウェブサイトを一括して検索することが可能。OSにはAndroidを採用し、Android向けアプリが動作するほか、スマートフォンとの連携機能などを備える。
Sony Internet TVは、「Google Chrome」およびIntelのAtomプロセッサーを搭載し、インターネットやテレビ番組を素早く検索し、簡単にエンターテインメントコンテンツや必要な情報へのアクセスが可能としている。
機能面では「Dual View」により、テレビの視聴をしながら、見ている番組についてツイートをしたり、スポーツの試合結果を確認したり、関連の動画をインターネットから検索できる。
Sonyのビデオ配信サービス「Video On Demand powered by Qriocity」を利用できるほか、CNBC、Napster、NBA、Netflix、Pandora、Twitter、YouTubeなどのアプリケーションがプリインストールされている。
また、コンテンツへのアクセスをより簡単にするためにブックマーク機能を搭載。2011年初めには、Androidマーケットからのアプリケーションのダウンロードが可能になる予定。
このほか、QWERTYキーボード付き「RFリモートコントローラー」により、マウス操作やコンテンツ検索、検索キーワードの入力、テレビ本体およびテレビに接続された機器の操作が可能。今秋にAndroidマーケットからダウンロードされる携帯端末専用アプリケーションにより、 Android携帯端末をリモコンとして使える。
Wi-Fiも内蔵し、家庭内ブロードバンドネットワークに接続できる。これに加えて、システムアップデートにより、将来的にも機器のファームウェアを更新し、新しい機能を追加するなど常にアップグレードした状態で使えるとしている。
「GoogleTV、日本での発売は難しい」ソニー関係者
ソニーは、米ニューヨークで現地時間12日に、世界で初めて“Google TV”プラットフォームを採用し、1台でテレビ視聴、アプリケーション・インターネットコンテンツをシームレスに楽しめるSony Internet TVを米国内で16日から発売すると発表した。気になるのは日本国内での発売だが、日本のあるソニー関係者は「日本にはネット上にテレビ番組がないので当面は難しい」と語っている。
米国では、ネット上にNetflixなどのように映画やテレビ番組を有料で視聴できるサービスが増えてきた。GoogleTVのコンセプトは、そうしたサービスをパソコンの画面ではなく、テレビ画面で見ようというもの。なので、そうしたサービスがまだ広く普及していない日本などの地域ではGoogleTVのよさが十分に活かせない、ということらしい。
「IS03」以外にも隠し球?KDDIがシャープ製スマートフォンをもう1機種発売する可能性
10月4日にiPhone 4に匹敵する解像度の液晶やワンセグ、おサイフケータイなどを備えたシャープ製スマートフォン「IS03」を発表したKDDIが、秋冬モデルとしてシャープ製スマートフォンをもう1機種発売する可能性があることが明らかになった。
「IS03」にも複数台のスマートフォンや「禁断のアプリケーション」を10月18日に正式発表することを予告しているKDDIであるだけに、少し気になる動きとなる。
9月末にシャープ製の「IS03」と東芝製の「IS04」、京セラ製の「IS05」、パンテック製の「IS06」がKDDIの秋冬モデルとして発売されると予告していた、池袋在住のauショップスタッフと名乗る人物のTwitterによると、発売される予定のスマートフォンが変更となったそうだ。
これが発売される予定のスマートフォン。シャープ製の「IS03」と東芝製の「IS04」、パンテック製の「IS06」は当初の予定通りで、「IS05」は京セラではなくシャープ製になるそうだ。
また、「IS03」については事前に購入宣言を行うと予備バッテリーがプレゼントされるとのこと。
Windows Phone 7はゲーマーを取り込めるか?
Microsoftは携帯電話事業で影響力を保とうとしているが、Xbox LIVEゲームサービスを新しいスマートフォンに組み込むという同社の計画は、熱心なゲーマーを引きつけるには不十分かもしれない。
Microsoftは10月11日にWindows Phone 7を発表し、同OSがXbox LIVEサービスとつながることを大きく宣伝した。同サービスは2500万人のXbox 360ユーザーが加入しており、年額およそ60ドルでオンラインでマルチプレイが可能だ。
一部のアナリストは、Xbox LIVEとの連動機能は、Windows Phone 7にゲーマーを引きつけるには十分ではないだろうと懐疑的な見方を示している。
「Windows Phone 7はXboxと連係しているが、人々はゲームのためにこれらの携帯電話を買うだろうか?」とJanco Partnersのアナリスト、マイク・ヒッキー氏は指摘する。
MicrosoftがAndroidやiPhone向けに多数提供されているゲームとの差別化を図るには、もっとWindows Phone 7限定タイトルが必要だとアナリストらは言う。
大手ゲームパブリッシャーElectronic Arts(EA)は、Windows Phone 7端末向けのモバイルゲーム開発を表明している。これら端末はユーザーのXbox LIVEアカウントに接続でき、プレイヤーはEAゲームをプレイすることでアカウントにポイントを貯められる。
EAのゲームは「The Sims」「Need for Speed: Undercover」などの人気シリーズから投入されるが、多くは既存の携帯電話プラットフォーム向けゲームと似ている。
Windows Phone 7端末で、ユーザーは自分のXbox LIVEアカウントにアクセスできるが、「Halo」のような据え置き型ゲーム機用のタイトルはプレイできない。
Microsoftが他社に対抗するには、携帯電話をXbox 360用ゲームにつないで強化する必要があると、Janney Montgomery Scottのアナリスト、ササ・ゾロビック氏は語る。
それでも同氏は、「Microsoftが2500万人の熱心なゲーマーに、新しい携帯電話に移行したいと思わせる魅力的なものを提供するのは賢明だ」としている。
Facebook、ワンタイムパスワードを導入
Facebookは10月12日、米国でワンタイムパスワードを導入した。ネットカフェや空港の共用コンピュータなどで、いつものパスワードを使いたくない場合に使えるとしている。
ワンタイムパスワードを取得するには、携帯電話で32665番に「otp」というメッセージを送信する(Facebookアカウントに自分の携帯電話番号を設定しておく必要がある)。1度だけ使えて20分間有効なパスワードが携帯電話に送られてくる。この機能は数週間かけて段階的に導入するという。
32型で3万9800円 西友がデジタル液晶テレビを発売
西友は13日、32型デジタル液晶テレビを3万9800円で発売すると発表した。発売は15日からで、1万2000台限定。12月のエコポイント半減措置を前にした駆け込み需要の取り込みを図る。
西友が発売するテレビは船井電機グループのDXアンテナ社製で、地上波のほか、BS、CSに対応するデジタルチューナーを搭載している。現行のエコポイント制度では1万2000ポイントが支給される。
このほか、22型を2万9800円、40型を6万9800円でいずれも数量限定なしで発売する。10~12月のテレビの売り上げで昨年の2倍を目指す。
サッカー日韓戦、瞬間最高視聴率36・6% 平均は26・8%
12日夜にフジテレビ系で生中継されたサッカー国際親善試合、日本対韓国戦の平均視聴率が、関東地区で26・8%、関西地区で19・6%だったことが13日、ビデオリサーチの調べで分かった。
瞬間最高視聴率は試合終了直後の午後9時53分で、関東地区で36・6%、関西地区で27・4%だった。
ザッケローニ新監督が指揮を執るサッカー日本代表が、初めて韓国代表と対戦したこの試合は、0-0の引き分けに終わった。
8日にTBSが放送したアルゼンチン戦の関東地区の平均世帯視聴率は19・6%だった。
利用者5億人のフェースブック 日本の会員数なぜか伸び悩み
世界で最も多くの利用者を抱えるSNS(会員制交流サイト)が、「フェースブック」(Facebook)だ。会員数は実に5億人で、欧米では圧倒的人気を誇る。
日本には2008年に参入したが、なぜか欧米と比べると会員数はいまひとつ伸び悩んだまま、「国内組SNS」のmixiなどの後塵を拝している。
「ネット上の治安は海外より悪い」
世界最大のSNSとなったフェースブック。米調査会社コムスコアによると、2010年8月には、インターネット利用時間でグーグルを抜いて首位に立った。ネット全体の利用時間のほぼ1割をフェースブックが占めたことになる。
7月には、利用者が5億人を突破した。欧米での人気は群を抜くが、日本では会員数が伸びない。国内ではmixi、GREE、モバゲータウンの「ビッグ3」が、それぞれ2000万人規模の会員数をもつ。これを猛追するのがツイッターだ。一方、08年に日本進出を果たしたフェースブックは、国内の会員数を公表していないが、一部報道では「100万人超」とされている。主にモバイルを「主戦場」に、ゲームを事業の軸に据えるGREEやモバゲー、短文の投稿がメインのツイッターと、フェースブックとはそれぞれ特徴は違うが、世界一の規模を誇るSNSのわりには寂しい数字だ。
かねてから指摘されているのは、基本的に実名登録となるフェースブックに対して、日本人がアレルギーを感じるのでは、という点だ。フェースブック日本支部代表の児玉太郎氏は9月、マスコミ会見の席で「日本市場で実名制を変えることはない」ことを断言したようだ。あくまで本家の方針を日本でも踏襲するようだが、ネットでは、「実名・顔出しはみんな萎縮しちゃうよ」「ネット上の治安は海外より悪いようなもの」など疑問を抱く声が多い。「悪意のある奴はどうせ偽名使うぞ」という意見もある。実名制のメリットをユーザーにアピールできないと、疑心暗鬼の利用者を簡単には引きつけられないかもしれない。
もうひとつポイントになりそうなのが、モバイル端末への対応だ。米コムスコアが2010年10月7日に発表した、日米欧を対象にしたモバイル利用調査の結果によると、モバイルによるウェブの利用やアプリケーションのダウンロードの利用割合は、日本が75.2%で、米国の43.7%、欧州の38.5%を大きく上回った。またモバイルからのSNSやブログへのアクセスも、米国には及ばないものの欧州5か国よりは多い。フェースブックも携帯サイトがあるが、つくりが貧弱なのは否めず、GREEやモバゲーと比べて見劣りしてしまう。一方で、米アップルの「アイフォーン」など高性能携帯電話(スマートフォン)用アプリも出している。今後、国内で普及が進むと見られるスマートフォン向けに注力し、アプリなどを充実させて会員増につなげる手はあるだろう。
米国発のSNSだけに、日本語対応が不十分で「インターフェイスが『訳した日本語設計』で非常に使いづらい」との「苦情」も出ている。ある程度「日本向け」を意識しないと、利用者にそっぽを向かれたままになる恐れはある。
英調査会社TNSによると、世界46か国のSNS利用実態調査で、SNSでの友だちの数が世界でも少ないのが日本だという。モバイルSNSでは、友人との交流よりもゲームを楽しむユーザーが多いとのデータも出た。「内向き」傾向にある日本人を会員に引き込むには、欧米とは違った独自のアプローチが必要かもしれない。
米Sonyは12日、Googleが提唱するテレビ向けのプラットフォーム「Google TV」を採用し、1台でテレビ視聴、アプリケーション、インターネットコンテンツを楽しめる「Sony Internet TV」を発表した。同日、米国市場で予約受け付けを開始し、16日に発売する。
「Google TV」は、テレビ視聴画面にオーバーレイ表示する形で検索ボックスを表示し、テレビ番組やウェブサイトを一括して検索することが可能。OSにはAndroidを採用し、Android向けアプリが動作するほか、スマートフォンとの連携機能などを備える。
Sony Internet TVは、「Google Chrome」およびIntelのAtomプロセッサーを搭載し、インターネットやテレビ番組を素早く検索し、簡単にエンターテインメントコンテンツや必要な情報へのアクセスが可能としている。
機能面では「Dual View」により、テレビの視聴をしながら、見ている番組についてツイートをしたり、スポーツの試合結果を確認したり、関連の動画をインターネットから検索できる。
Sonyのビデオ配信サービス「Video On Demand powered by Qriocity」を利用できるほか、CNBC、Napster、NBA、Netflix、Pandora、Twitter、YouTubeなどのアプリケーションがプリインストールされている。
また、コンテンツへのアクセスをより簡単にするためにブックマーク機能を搭載。2011年初めには、Androidマーケットからのアプリケーションのダウンロードが可能になる予定。
このほか、QWERTYキーボード付き「RFリモートコントローラー」により、マウス操作やコンテンツ検索、検索キーワードの入力、テレビ本体およびテレビに接続された機器の操作が可能。今秋にAndroidマーケットからダウンロードされる携帯端末専用アプリケーションにより、 Android携帯端末をリモコンとして使える。
Wi-Fiも内蔵し、家庭内ブロードバンドネットワークに接続できる。これに加えて、システムアップデートにより、将来的にも機器のファームウェアを更新し、新しい機能を追加するなど常にアップグレードした状態で使えるとしている。
「GoogleTV、日本での発売は難しい」ソニー関係者
ソニーは、米ニューヨークで現地時間12日に、世界で初めて“Google TV”プラットフォームを採用し、1台でテレビ視聴、アプリケーション・インターネットコンテンツをシームレスに楽しめるSony Internet TVを米国内で16日から発売すると発表した。気になるのは日本国内での発売だが、日本のあるソニー関係者は「日本にはネット上にテレビ番組がないので当面は難しい」と語っている。
米国では、ネット上にNetflixなどのように映画やテレビ番組を有料で視聴できるサービスが増えてきた。GoogleTVのコンセプトは、そうしたサービスをパソコンの画面ではなく、テレビ画面で見ようというもの。なので、そうしたサービスがまだ広く普及していない日本などの地域ではGoogleTVのよさが十分に活かせない、ということらしい。
「IS03」以外にも隠し球?KDDIがシャープ製スマートフォンをもう1機種発売する可能性
10月4日にiPhone 4に匹敵する解像度の液晶やワンセグ、おサイフケータイなどを備えたシャープ製スマートフォン「IS03」を発表したKDDIが、秋冬モデルとしてシャープ製スマートフォンをもう1機種発売する可能性があることが明らかになった。
「IS03」にも複数台のスマートフォンや「禁断のアプリケーション」を10月18日に正式発表することを予告しているKDDIであるだけに、少し気になる動きとなる。
9月末にシャープ製の「IS03」と東芝製の「IS04」、京セラ製の「IS05」、パンテック製の「IS06」がKDDIの秋冬モデルとして発売されると予告していた、池袋在住のauショップスタッフと名乗る人物のTwitterによると、発売される予定のスマートフォンが変更となったそうだ。
これが発売される予定のスマートフォン。シャープ製の「IS03」と東芝製の「IS04」、パンテック製の「IS06」は当初の予定通りで、「IS05」は京セラではなくシャープ製になるそうだ。
また、「IS03」については事前に購入宣言を行うと予備バッテリーがプレゼントされるとのこと。
Windows Phone 7はゲーマーを取り込めるか?
Microsoftは携帯電話事業で影響力を保とうとしているが、Xbox LIVEゲームサービスを新しいスマートフォンに組み込むという同社の計画は、熱心なゲーマーを引きつけるには不十分かもしれない。
Microsoftは10月11日にWindows Phone 7を発表し、同OSがXbox LIVEサービスとつながることを大きく宣伝した。同サービスは2500万人のXbox 360ユーザーが加入しており、年額およそ60ドルでオンラインでマルチプレイが可能だ。
一部のアナリストは、Xbox LIVEとの連動機能は、Windows Phone 7にゲーマーを引きつけるには十分ではないだろうと懐疑的な見方を示している。
「Windows Phone 7はXboxと連係しているが、人々はゲームのためにこれらの携帯電話を買うだろうか?」とJanco Partnersのアナリスト、マイク・ヒッキー氏は指摘する。
MicrosoftがAndroidやiPhone向けに多数提供されているゲームとの差別化を図るには、もっとWindows Phone 7限定タイトルが必要だとアナリストらは言う。
大手ゲームパブリッシャーElectronic Arts(EA)は、Windows Phone 7端末向けのモバイルゲーム開発を表明している。これら端末はユーザーのXbox LIVEアカウントに接続でき、プレイヤーはEAゲームをプレイすることでアカウントにポイントを貯められる。
EAのゲームは「The Sims」「Need for Speed: Undercover」などの人気シリーズから投入されるが、多くは既存の携帯電話プラットフォーム向けゲームと似ている。
Windows Phone 7端末で、ユーザーは自分のXbox LIVEアカウントにアクセスできるが、「Halo」のような据え置き型ゲーム機用のタイトルはプレイできない。
Microsoftが他社に対抗するには、携帯電話をXbox 360用ゲームにつないで強化する必要があると、Janney Montgomery Scottのアナリスト、ササ・ゾロビック氏は語る。
それでも同氏は、「Microsoftが2500万人の熱心なゲーマーに、新しい携帯電話に移行したいと思わせる魅力的なものを提供するのは賢明だ」としている。
Facebook、ワンタイムパスワードを導入
Facebookは10月12日、米国でワンタイムパスワードを導入した。ネットカフェや空港の共用コンピュータなどで、いつものパスワードを使いたくない場合に使えるとしている。
ワンタイムパスワードを取得するには、携帯電話で32665番に「otp」というメッセージを送信する(Facebookアカウントに自分の携帯電話番号を設定しておく必要がある)。1度だけ使えて20分間有効なパスワードが携帯電話に送られてくる。この機能は数週間かけて段階的に導入するという。
32型で3万9800円 西友がデジタル液晶テレビを発売
西友は13日、32型デジタル液晶テレビを3万9800円で発売すると発表した。発売は15日からで、1万2000台限定。12月のエコポイント半減措置を前にした駆け込み需要の取り込みを図る。
西友が発売するテレビは船井電機グループのDXアンテナ社製で、地上波のほか、BS、CSに対応するデジタルチューナーを搭載している。現行のエコポイント制度では1万2000ポイントが支給される。
このほか、22型を2万9800円、40型を6万9800円でいずれも数量限定なしで発売する。10~12月のテレビの売り上げで昨年の2倍を目指す。
サッカー日韓戦、瞬間最高視聴率36・6% 平均は26・8%
12日夜にフジテレビ系で生中継されたサッカー国際親善試合、日本対韓国戦の平均視聴率が、関東地区で26・8%、関西地区で19・6%だったことが13日、ビデオリサーチの調べで分かった。
瞬間最高視聴率は試合終了直後の午後9時53分で、関東地区で36・6%、関西地区で27・4%だった。
ザッケローニ新監督が指揮を執るサッカー日本代表が、初めて韓国代表と対戦したこの試合は、0-0の引き分けに終わった。
8日にTBSが放送したアルゼンチン戦の関東地区の平均世帯視聴率は19・6%だった。
利用者5億人のフェースブック 日本の会員数なぜか伸び悩み
世界で最も多くの利用者を抱えるSNS(会員制交流サイト)が、「フェースブック」(Facebook)だ。会員数は実に5億人で、欧米では圧倒的人気を誇る。
日本には2008年に参入したが、なぜか欧米と比べると会員数はいまひとつ伸び悩んだまま、「国内組SNS」のmixiなどの後塵を拝している。
「ネット上の治安は海外より悪い」
世界最大のSNSとなったフェースブック。米調査会社コムスコアによると、2010年8月には、インターネット利用時間でグーグルを抜いて首位に立った。ネット全体の利用時間のほぼ1割をフェースブックが占めたことになる。
7月には、利用者が5億人を突破した。欧米での人気は群を抜くが、日本では会員数が伸びない。国内ではmixi、GREE、モバゲータウンの「ビッグ3」が、それぞれ2000万人規模の会員数をもつ。これを猛追するのがツイッターだ。一方、08年に日本進出を果たしたフェースブックは、国内の会員数を公表していないが、一部報道では「100万人超」とされている。主にモバイルを「主戦場」に、ゲームを事業の軸に据えるGREEやモバゲー、短文の投稿がメインのツイッターと、フェースブックとはそれぞれ特徴は違うが、世界一の規模を誇るSNSのわりには寂しい数字だ。
かねてから指摘されているのは、基本的に実名登録となるフェースブックに対して、日本人がアレルギーを感じるのでは、という点だ。フェースブック日本支部代表の児玉太郎氏は9月、マスコミ会見の席で「日本市場で実名制を変えることはない」ことを断言したようだ。あくまで本家の方針を日本でも踏襲するようだが、ネットでは、「実名・顔出しはみんな萎縮しちゃうよ」「ネット上の治安は海外より悪いようなもの」など疑問を抱く声が多い。「悪意のある奴はどうせ偽名使うぞ」という意見もある。実名制のメリットをユーザーにアピールできないと、疑心暗鬼の利用者を簡単には引きつけられないかもしれない。
もうひとつポイントになりそうなのが、モバイル端末への対応だ。米コムスコアが2010年10月7日に発表した、日米欧を対象にしたモバイル利用調査の結果によると、モバイルによるウェブの利用やアプリケーションのダウンロードの利用割合は、日本が75.2%で、米国の43.7%、欧州の38.5%を大きく上回った。またモバイルからのSNSやブログへのアクセスも、米国には及ばないものの欧州5か国よりは多い。フェースブックも携帯サイトがあるが、つくりが貧弱なのは否めず、GREEやモバゲーと比べて見劣りしてしまう。一方で、米アップルの「アイフォーン」など高性能携帯電話(スマートフォン)用アプリも出している。今後、国内で普及が進むと見られるスマートフォン向けに注力し、アプリなどを充実させて会員増につなげる手はあるだろう。
米国発のSNSだけに、日本語対応が不十分で「インターフェイスが『訳した日本語設計』で非常に使いづらい」との「苦情」も出ている。ある程度「日本向け」を意識しないと、利用者にそっぽを向かれたままになる恐れはある。
英調査会社TNSによると、世界46か国のSNS利用実態調査で、SNSでの友だちの数が世界でも少ないのが日本だという。モバイルSNSでは、友人との交流よりもゲームを楽しむユーザーが多いとのデータも出た。「内向き」傾向にある日本人を会員に引き込むには、欧米とは違った独自のアプローチが必要かもしれない。
エルピーダとシャープ、次世代メモリー共同開発
エルピーダメモリとシャープは新型の半導体メモリーを共同開発する。新しいメモリーは携帯情報端末などに使うNAND型フラッシュメモリーを情報処理の速さや消費電力の少なさで上回る。2013年をめどに実用化し、端末の使い勝手を大幅に向上させる狙い。次世代メモリーは東芝や韓国サムスン電子なども開発している。今回新たに日本の大手電機が量産を視野に手を組むことで開発競争が本格化する。
携帯情報端末で高精細の動画など大容量データを扱う消費者が増加。メモリーには読み書き速度の向上や電力消費の低減が求められている。一方、NAND型フラッシュなど従来のメモリーは、性能を上げるための回路線幅の微細化が2010年台半ばで限界を迎えるといわれる。次世代メモリーの開発競争の行方は、半導体業界の勢力図を大きく変える可能性がある。
エルピーダとシャープが開発するのは抵抗変化式メモリー(ReRAM)。理論上はNAND型フラッシュの1万倍の速さで情報を書き込めるという。書き込み時の消費電力も減らせる。
シャープが持つ材料技術や製造方法に、エルピーダの微細加工技術を組み合わせる。独立行政法人の産業技術総合研究所、東京大学、半導体製造装置メーカーも開発に参加する。
近く産総研の研究拠点、つくばセンター(茨城県つくば市)で試作品開発を始める。回路線幅で現在の主要メモリーに匹敵する30ナノ(ナノは10億分の1)メートル台の微細化技術を使う。早ければ11年中に材料や主要な製造技術にめどをつけ、13年にはサンプル品を出荷して量産を始める計画だ。課題である製造コストの大幅な削減にも取り組む。
実用化できればエルピーダの生産拠点で量産に入るとみられる。シャープの携帯電話や多機能携帯端末への搭載を目指し、他の電機メーカーなどへの外販も検討する。
新型メモリーを使うと、家電メーカーは電力消費が少なく、データを高速でやり取りできる携帯情報端末の開発が可能になる。通信状況によってはフルハイビジョンの映画を数秒でダウンロードしたり、待機時の使用電力をほぼゼロにしたりするなどの効果が期待できる。
次世代メモリーでは、東芝が立体構造の新型フラッシュの開発を急ぐ。サムスンは事業規模の大きさを生かし、ReRAMのほか、読み書き速度が速いPRAM(相変化メモリー)、書き換え回数に制限がないMRAM(磁気記録式メモリー)などを幅広く開発している。半導体業界では開発競争を優位にするための合従連衡も進みそうだ。
次世代メモリー、開発競争激化
次世代メモリーの開発競争が激しさを増してきた。エルピーダメモリとシャープが抵抗変化式メモリー(ReRAM)の共同開発に乗り出すほか、東芝や韓国サムスン電子、米インテルなど国内外の半導体大手が複数の技術の実用化を急いでいる。現行メモリーの技術進化が限界を迎える2010年代半ばには、次世代メモリーを搭載した携帯情報端末が消費者の手に届く可能性がある。
開発競争の背景には、スマートフォンやタブレット型パソコンなど携帯情報端末の市場爆発がある。13年には米アップルのiPadやタブレット型パソコンなど世界の携帯情報端末市場が、10年に比べ約5倍の7000万台に膨らむとの予測がある。
携帯情報端末の普及は、映画や音楽などをネットから手軽にダウンロードし、大量に保存するための半導体メモリーの高性能化を要求する。
だが、現在の主流であるDRAMやNAND型フラッシュメモリーは半導体素子の構造上、微細化技術の進化の歩みが、あと数年もすれば止まってしまう。そのため各社は代替品の開発に躍起になっている。携帯情報端末の市場爆発に合わせようと、13年を次世代メモリーの市場投入のひとつのターゲットとして見据えている。
電源を落としてもデータを保存できる不揮発性、高速でのデータの読み書き、低消費電力――。微細化に耐えられるのに加えて、この3点が次世代メモリーの性能として挙げられる条件だ。
エルピーダとシャープが手を組み開発するReRAMは、不揮発性メモリーながら高速動作が可能で次世代メモリーとして有力候補。まずはパソコンや携帯情報端末で一時的に情報を保存する「キャッシュ」で活用。将来的にはNAND型フラッシュの置き換えを狙える潜在能力を持つ。
実はエルピーダが開発しているのは、ReRAMだけではない。DRAMの置き換えを想定して、PRAM(相変化メモリー)の研究にも注力する。構造上の問題から一時は断念したと伝えられたが、ReRAMと並行して開発を水面下で進めていることがこのほど分かった。
東芝は主力のNAND型フラッシュの技術限界を突き破る。「ポストNAND」計画として、3次元の新構造NAND型フラッシュの研究開発を進めている。平面状ではなく立体的に半導体を高集積化するという大胆な発想だ。四日市工場(三重県四日市市)で建設する予定の新製造棟の第2期で量産する検討をしている。
次世代メモリーでの覇者を狙うサムスンは、あらゆる有望技術の開発を並行して進める。すでにPRAMは携帯電話のプログラム格納用として量産を始めた。さらに磁気でデータを記憶するMRAMを開発し、高速動作が可能で大容量の記憶もできる製品の実用化を狙う。エルピーダが挑むReRAMも手掛け、東芝の3次元NANDと真っ向からぶつかる「VNAND」と呼ばれる次世代メモリーの開発にも着手している。
ソニー、非接触ICカード事業で米社と提携
ソニーは12日、電子マネーや個人認証などに使う非接触ICカード事業で、同事業の米大手であるHIDグローバル(本社カリフォルニア州)と提携したと発表した。両社のICカードを使えるパソコン用の読み取り装置を共同開発し、2011年中に世界で発売する。国内が中心だった非接触IC事業の海外展開を加速する。
非接触ICカードは専用の読み取り装置にかざすと、無線で情報をやりとりする。ソニーとHIDは複数の無線規格に対応するパソコン内蔵用の読み取り装置を開発し、パソコンメーカーに採用を呼びかける。
ソニーは独自開発の非接触技術「フェリカ」を使ったICチップを電子マネーや電子乗車券のカード、携帯電話向けに供給し、国内で業界標準を握っている。HIDとの提携で読み取り装置を普及させ、出遅れていた海外展開を急ぐ。HIDはソニーと別のIC技術を使ってサービスを提供しており、特に社員証向けに強みを持つという。
DeNA、米ゲーム開発会社を買収 最大342億円で
ゲームサイト運営のディー・エヌ・エー(DeNA)は12日、携帯電話向けゲーム開発の米エヌジーモコを買収すると発表した。買収額は最大4億300万ドル(1ドル=85円換算で約342億円)。スマートフォンの需要が世界的に拡大すると判断、同市場向けの開発ノウハウを持つ米社を買収して海外展開を加速する。
買収は子会社を通じて11月9日付で実施する予定。この時点でエヌジーモコの株式100%を3億300万ドル(約257億円)で取得する。その後、米社の2011年12月期の業績が想定を上回った場合に最大1億ドル(約85億円)を買収対価として追加で支払う。
買収には手元資金の109億円に加え、DeNAの普通株や新株予約権をあてる。エヌジーモコが米アップルのスマートフォン「iPhone」向けなどに展開するゲームサイトと、DeNAが日本で運営する携帯向けサイト「モバゲータウン」を連携させて、国内外のゲームコンテンツを相互に提供できるようにする。
CCC、中古本チェーンのテイツーと資本業務提携
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は12日、中古本チェーン大手のテイツーと資本業務提携すると発表した。テイツー創業者の資産管理会社などから発行済み株式の14.07%を取得し、第2位株主となる。CCCは運営するDVDレンタル・書店チェーン「TSUTAYA」で中古本販売を拡大する一環として、テイツーからノウハウを導入する。中古本を融通し合うなど商品調達でも協力する。
ジャスダック上場のテイツーは中古本チェーン「古本市場」を全国で116店舗展開。
CCCは9月からTSUTAYAの直営3店舗内で中古本販売を始めた。TSUTAYAは書店チェーン最大手で、中古本は集客面で新刊本と相乗効果が高いと判断、5年後をめどに中古本の取り扱いをフランチャイズチェーン(FC)を含む200店舗(全店舗の約14%に相当)まで広げる計画だ。
円高に脅えない日 痛み超え絶えざる革新
「過度の為替変動は望ましくない」。8日、7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁はこう確認した。だが12日の円相場は再び1ドル=81円台に突入。この水準では製造業の海外移転が止まらない。逆風下で雇用を支える「強いものづくり」を育てるために今何をすべきか。挑戦が始まった。
10年先の商品
パナソニックは2010年度の研究開発投資を前の年度から730億円積み増して5500億円にする。8月に日本経済新聞が主要企業約250社を対象に行った調査の中で、増額幅はトップ。現在主力のAV機器ではなく、太陽電池など環境エネルギー分野に集中投資する。
同社はインドなどでの生産・販売を急ピッチで拡大しており、白物家電などの国内生産縮小は避けられない。それでも日本でものづくりを続けるための条件を大坪文雄社長は「不連続の連続」と定義する。「技術革新」という不連続を連打し続ける。しかも「新しい土俵、新しいビジネスをつくる」ような革新をだ。
五感処理研究グループ――。パナソニックの先端技術研究所にある同グループは人間の五感が求める「10年先の商品」を探る。
真に革新的な製品が生み出せれば、業績は為替変動に左右されない。
国内生産の80%を輸出するマツダ。日本で最も輸出比率が高い自動車メーカーは、15年度までに輸出比率を85%に引き上げようとしている。国内に踏みとどまるカギは小型車から大型車まで主要部品を「相似形」にする「コモンアーキテクチャー(共通設計)」と呼ぶ革新。設計の簡素化で部品会社の負担を軽減した上で、各社に「新興国並みの価格」を求める。
実現すれば、為替の変動に左右されない収益体質にたどり着く。もう円高に脅(おび)える必要はない。
急激なユーロ高が進んだ07年。独フォルクスワーゲン(VW)は12月期決算で前期比50%増にあたる約41億ユーロ(約4600億円)の純利益を計上した。VWはなぜ為替変動に強いのか。
独国内で造るのは、ユーロ高で値上げしても海外で売れる「アウディ」など高級車。一方、低価格が生命線の小型車は東欧や中国で造る。このバランスが為替変動の衝撃を吸収する。
VWは1994年に週休3日制の導入で従業員の年収を15%減らし、06年には2万人を削減した。痛みを伴う改革を経て「為替フリー」の均衡点に到達した。
日本はまだこの均衡点に届いていない。国内の自動車生産が1000万台を突破した80年から30年。今も1100万台規模の生産能力を抱え、5割前後を輸出に頼る。値上げしても売れる高級ブランド車種はまだ少なく、ブラジル、中国など新興国での生産台数もVWに及ばない。だが均衡点を目指す動きはある。
「超国籍化」
「グローバルな規模で生産の最適化を進める」(トヨタ自動車の豊田章男社長)。トヨタはこれから5年以上をかけて体質転換に挑む。生産担当の新美篤志副社長は「新興国で供給力を拡大し、先進国では市場構造に合わせた生産体制にする」と話す。
日産自動車は主力車「マーチ」の国内生産を全量タイに移し、スズキはインド第3工場の建設を決めた。スズキのインド生産能力は13年に日本を超える。
為替フリーの均衡点に至る過程で余剰の設備や人員を削る痛みは避けられない。だがそれは単純な空洞化を意味しない。
「企業が海外投資を増やして超国籍化すれば、やがて国内経済も活性化する」(同志社大学の林敏彦教授)。一時の痛みを避けて、円高に脅え続けるのは得策ではない。
エルピーダメモリとシャープは新型の半導体メモリーを共同開発する。新しいメモリーは携帯情報端末などに使うNAND型フラッシュメモリーを情報処理の速さや消費電力の少なさで上回る。2013年をめどに実用化し、端末の使い勝手を大幅に向上させる狙い。次世代メモリーは東芝や韓国サムスン電子なども開発している。今回新たに日本の大手電機が量産を視野に手を組むことで開発競争が本格化する。
携帯情報端末で高精細の動画など大容量データを扱う消費者が増加。メモリーには読み書き速度の向上や電力消費の低減が求められている。一方、NAND型フラッシュなど従来のメモリーは、性能を上げるための回路線幅の微細化が2010年台半ばで限界を迎えるといわれる。次世代メモリーの開発競争の行方は、半導体業界の勢力図を大きく変える可能性がある。
エルピーダとシャープが開発するのは抵抗変化式メモリー(ReRAM)。理論上はNAND型フラッシュの1万倍の速さで情報を書き込めるという。書き込み時の消費電力も減らせる。
シャープが持つ材料技術や製造方法に、エルピーダの微細加工技術を組み合わせる。独立行政法人の産業技術総合研究所、東京大学、半導体製造装置メーカーも開発に参加する。
近く産総研の研究拠点、つくばセンター(茨城県つくば市)で試作品開発を始める。回路線幅で現在の主要メモリーに匹敵する30ナノ(ナノは10億分の1)メートル台の微細化技術を使う。早ければ11年中に材料や主要な製造技術にめどをつけ、13年にはサンプル品を出荷して量産を始める計画だ。課題である製造コストの大幅な削減にも取り組む。
実用化できればエルピーダの生産拠点で量産に入るとみられる。シャープの携帯電話や多機能携帯端末への搭載を目指し、他の電機メーカーなどへの外販も検討する。
新型メモリーを使うと、家電メーカーは電力消費が少なく、データを高速でやり取りできる携帯情報端末の開発が可能になる。通信状況によってはフルハイビジョンの映画を数秒でダウンロードしたり、待機時の使用電力をほぼゼロにしたりするなどの効果が期待できる。
次世代メモリーでは、東芝が立体構造の新型フラッシュの開発を急ぐ。サムスンは事業規模の大きさを生かし、ReRAMのほか、読み書き速度が速いPRAM(相変化メモリー)、書き換え回数に制限がないMRAM(磁気記録式メモリー)などを幅広く開発している。半導体業界では開発競争を優位にするための合従連衡も進みそうだ。
次世代メモリー、開発競争激化
次世代メモリーの開発競争が激しさを増してきた。エルピーダメモリとシャープが抵抗変化式メモリー(ReRAM)の共同開発に乗り出すほか、東芝や韓国サムスン電子、米インテルなど国内外の半導体大手が複数の技術の実用化を急いでいる。現行メモリーの技術進化が限界を迎える2010年代半ばには、次世代メモリーを搭載した携帯情報端末が消費者の手に届く可能性がある。
開発競争の背景には、スマートフォンやタブレット型パソコンなど携帯情報端末の市場爆発がある。13年には米アップルのiPadやタブレット型パソコンなど世界の携帯情報端末市場が、10年に比べ約5倍の7000万台に膨らむとの予測がある。
携帯情報端末の普及は、映画や音楽などをネットから手軽にダウンロードし、大量に保存するための半導体メモリーの高性能化を要求する。
だが、現在の主流であるDRAMやNAND型フラッシュメモリーは半導体素子の構造上、微細化技術の進化の歩みが、あと数年もすれば止まってしまう。そのため各社は代替品の開発に躍起になっている。携帯情報端末の市場爆発に合わせようと、13年を次世代メモリーの市場投入のひとつのターゲットとして見据えている。
電源を落としてもデータを保存できる不揮発性、高速でのデータの読み書き、低消費電力――。微細化に耐えられるのに加えて、この3点が次世代メモリーの性能として挙げられる条件だ。
エルピーダとシャープが手を組み開発するReRAMは、不揮発性メモリーながら高速動作が可能で次世代メモリーとして有力候補。まずはパソコンや携帯情報端末で一時的に情報を保存する「キャッシュ」で活用。将来的にはNAND型フラッシュの置き換えを狙える潜在能力を持つ。
実はエルピーダが開発しているのは、ReRAMだけではない。DRAMの置き換えを想定して、PRAM(相変化メモリー)の研究にも注力する。構造上の問題から一時は断念したと伝えられたが、ReRAMと並行して開発を水面下で進めていることがこのほど分かった。
東芝は主力のNAND型フラッシュの技術限界を突き破る。「ポストNAND」計画として、3次元の新構造NAND型フラッシュの研究開発を進めている。平面状ではなく立体的に半導体を高集積化するという大胆な発想だ。四日市工場(三重県四日市市)で建設する予定の新製造棟の第2期で量産する検討をしている。
次世代メモリーでの覇者を狙うサムスンは、あらゆる有望技術の開発を並行して進める。すでにPRAMは携帯電話のプログラム格納用として量産を始めた。さらに磁気でデータを記憶するMRAMを開発し、高速動作が可能で大容量の記憶もできる製品の実用化を狙う。エルピーダが挑むReRAMも手掛け、東芝の3次元NANDと真っ向からぶつかる「VNAND」と呼ばれる次世代メモリーの開発にも着手している。
ソニー、非接触ICカード事業で米社と提携
ソニーは12日、電子マネーや個人認証などに使う非接触ICカード事業で、同事業の米大手であるHIDグローバル(本社カリフォルニア州)と提携したと発表した。両社のICカードを使えるパソコン用の読み取り装置を共同開発し、2011年中に世界で発売する。国内が中心だった非接触IC事業の海外展開を加速する。
非接触ICカードは専用の読み取り装置にかざすと、無線で情報をやりとりする。ソニーとHIDは複数の無線規格に対応するパソコン内蔵用の読み取り装置を開発し、パソコンメーカーに採用を呼びかける。
ソニーは独自開発の非接触技術「フェリカ」を使ったICチップを電子マネーや電子乗車券のカード、携帯電話向けに供給し、国内で業界標準を握っている。HIDとの提携で読み取り装置を普及させ、出遅れていた海外展開を急ぐ。HIDはソニーと別のIC技術を使ってサービスを提供しており、特に社員証向けに強みを持つという。
DeNA、米ゲーム開発会社を買収 最大342億円で
ゲームサイト運営のディー・エヌ・エー(DeNA)は12日、携帯電話向けゲーム開発の米エヌジーモコを買収すると発表した。買収額は最大4億300万ドル(1ドル=85円換算で約342億円)。スマートフォンの需要が世界的に拡大すると判断、同市場向けの開発ノウハウを持つ米社を買収して海外展開を加速する。
買収は子会社を通じて11月9日付で実施する予定。この時点でエヌジーモコの株式100%を3億300万ドル(約257億円)で取得する。その後、米社の2011年12月期の業績が想定を上回った場合に最大1億ドル(約85億円)を買収対価として追加で支払う。
買収には手元資金の109億円に加え、DeNAの普通株や新株予約権をあてる。エヌジーモコが米アップルのスマートフォン「iPhone」向けなどに展開するゲームサイトと、DeNAが日本で運営する携帯向けサイト「モバゲータウン」を連携させて、国内外のゲームコンテンツを相互に提供できるようにする。
CCC、中古本チェーンのテイツーと資本業務提携
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は12日、中古本チェーン大手のテイツーと資本業務提携すると発表した。テイツー創業者の資産管理会社などから発行済み株式の14.07%を取得し、第2位株主となる。CCCは運営するDVDレンタル・書店チェーン「TSUTAYA」で中古本販売を拡大する一環として、テイツーからノウハウを導入する。中古本を融通し合うなど商品調達でも協力する。
ジャスダック上場のテイツーは中古本チェーン「古本市場」を全国で116店舗展開。
CCCは9月からTSUTAYAの直営3店舗内で中古本販売を始めた。TSUTAYAは書店チェーン最大手で、中古本は集客面で新刊本と相乗効果が高いと判断、5年後をめどに中古本の取り扱いをフランチャイズチェーン(FC)を含む200店舗(全店舗の約14%に相当)まで広げる計画だ。
円高に脅えない日 痛み超え絶えざる革新
「過度の為替変動は望ましくない」。8日、7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁はこう確認した。だが12日の円相場は再び1ドル=81円台に突入。この水準では製造業の海外移転が止まらない。逆風下で雇用を支える「強いものづくり」を育てるために今何をすべきか。挑戦が始まった。
10年先の商品
パナソニックは2010年度の研究開発投資を前の年度から730億円積み増して5500億円にする。8月に日本経済新聞が主要企業約250社を対象に行った調査の中で、増額幅はトップ。現在主力のAV機器ではなく、太陽電池など環境エネルギー分野に集中投資する。
同社はインドなどでの生産・販売を急ピッチで拡大しており、白物家電などの国内生産縮小は避けられない。それでも日本でものづくりを続けるための条件を大坪文雄社長は「不連続の連続」と定義する。「技術革新」という不連続を連打し続ける。しかも「新しい土俵、新しいビジネスをつくる」ような革新をだ。
五感処理研究グループ――。パナソニックの先端技術研究所にある同グループは人間の五感が求める「10年先の商品」を探る。
真に革新的な製品が生み出せれば、業績は為替変動に左右されない。
国内生産の80%を輸出するマツダ。日本で最も輸出比率が高い自動車メーカーは、15年度までに輸出比率を85%に引き上げようとしている。国内に踏みとどまるカギは小型車から大型車まで主要部品を「相似形」にする「コモンアーキテクチャー(共通設計)」と呼ぶ革新。設計の簡素化で部品会社の負担を軽減した上で、各社に「新興国並みの価格」を求める。
実現すれば、為替の変動に左右されない収益体質にたどり着く。もう円高に脅(おび)える必要はない。
急激なユーロ高が進んだ07年。独フォルクスワーゲン(VW)は12月期決算で前期比50%増にあたる約41億ユーロ(約4600億円)の純利益を計上した。VWはなぜ為替変動に強いのか。
独国内で造るのは、ユーロ高で値上げしても海外で売れる「アウディ」など高級車。一方、低価格が生命線の小型車は東欧や中国で造る。このバランスが為替変動の衝撃を吸収する。
VWは1994年に週休3日制の導入で従業員の年収を15%減らし、06年には2万人を削減した。痛みを伴う改革を経て「為替フリー」の均衡点に到達した。
日本はまだこの均衡点に届いていない。国内の自動車生産が1000万台を突破した80年から30年。今も1100万台規模の生産能力を抱え、5割前後を輸出に頼る。値上げしても売れる高級ブランド車種はまだ少なく、ブラジル、中国など新興国での生産台数もVWに及ばない。だが均衡点を目指す動きはある。
「超国籍化」
「グローバルな規模で生産の最適化を進める」(トヨタ自動車の豊田章男社長)。トヨタはこれから5年以上をかけて体質転換に挑む。生産担当の新美篤志副社長は「新興国で供給力を拡大し、先進国では市場構造に合わせた生産体制にする」と話す。
日産自動車は主力車「マーチ」の国内生産を全量タイに移し、スズキはインド第3工場の建設を決めた。スズキのインド生産能力は13年に日本を超える。
為替フリーの均衡点に至る過程で余剰の設備や人員を削る痛みは避けられない。だがそれは単純な空洞化を意味しない。
「企業が海外投資を増やして超国籍化すれば、やがて国内経済も活性化する」(同志社大学の林敏彦教授)。一時の痛みを避けて、円高に脅え続けるのは得策ではない。