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新端末の数では見えてこない
携帯電話“夏商戦”の舞台裏
 もしかしたら、今年の夏を起点にして、携帯電話の新商品発表会のスタイルが変わるかもしれない。
 なぜなら、いくつかの“勝負端末”を軸にして、残りは既存の端末に少し手を加えて仕立て直した新端末を足して全体の数を増やすことでインパクトを狙う、というパターンに限界が見えてきたからだ。順を追って、今年の夏商戦を振り返ってみよう。
 5月19日午前中。トップバッターとなったのは、ソフトバンクだった。発表会では、テレビCMでお馴染みの「白戸家」の芸能人を勢ぞろいさせて、孫正義社長が「今年の夏モデルは、過去最高の19機種61色を用意しました」とアピールした。
 目玉となった新端末は、「1000万画素の高画質デジタルカメラを搭載した携帯」、「電話を折りたたんだ状態でも使える女性向けの携帯(表面に大型の液晶サブディスプレイを装備)」、「太陽の光で充電できるソーラー携帯」の3機種だった。
 同じく19日午後。NTTドコモは、18機種59色だった。最大の目玉は、日本初となる「アンドロイド携帯(米グーグルのOSを搭載)」や、「約4.1インチの大画面タッチパネル携帯(米マイクロソフトのOSを搭載)」など2つのスマートフォン(多機能携帯電話)。もとより、若者向けから高齢者向けまで、幅広く取り揃えているドコモの山田隆持社長は「使う人のさまざまニーズに応えられるだけの商品が出揃った」と胸を張った。
 そして、25日午後。業界では最後の発表となったKDDIは、独自性を前面に打ち出した8機種に減らして、 “サービス特化型の用途別携帯”を訴求する作戦に出た。
 目玉は、「約5000冊の電子書籍を記憶できるブック携帯」、「健康計測器としても使える防水スポーツ携帯」、「ハイビジョン画質で動画を撮影できるムービー携帯」、「太陽の光で充電ができるソーラー携帯」など、どれも毛色が違う4機種だった。
 KDDIの小野寺正社長兼会長は、新しい生活スタイルを提案する「auらしさ」の復活を強調した。そして、各端末の新機能を説明した高橋誠取締役執行役員常務は、「発表の日時が前後したが、名実ともに日本で最初に“ソーラー携帯”をお届けするのはauだ」と力を込めた。
 これは、一足先にほとんど同一仕様のシャープ製のソーラー携帯を発表したソフトバンクを牽制した発言で、「夏が終わってから発売してもしようがない」とも皮肉った。なにしろ、発売の時期がKDDIは6月下旬なのに、先に発表したソフトバンクのほうが8月下旬という逆転現象が起きているからである。
孫社長が横取りした?
「ソーラー携帯」秘話
 それには、理由がある。もともと、ソーラー携帯とは、KDDIが2008年秋の段階で、モバイル機器の国際展示会においてコンセプトモデルを発表済みであり、近い将来の製品化に向けた開発を進めていた。しばらく低迷を続けていたKDDIにとっては、起死回生の一発でもあった。
 そして、KDDIで市場投入のメドが立った頃に、その情報をキャッチしたソフトバンクの孫社長が「なぜ、ウチではなく、KDDIから先に出させるのか?」とメーカーのシャープに強引にねじ込んだのである。
 シャープは、旧Jフォンの時代からソフトバンクとは縁が深く、「AQUOS携帯」の販売数を爆発的に伸ばしたことで、業界シェアトップに躍り出たという密接な関係にある。今回、孫社長が、なりふり構わぬ行動に出たのも、夏商戦用に準備していた自社のラインナップが“弱い”ということをよく理解していたからである。
 たとえば、今年の夏商戦でソフトバンクが目玉にしていた3機種から、ソーラー携帯を差し引くと、「1000万画素の高画質デジタルカメラを搭載した携帯」と「電話を折りたたんだ状態でも使える女性向けの携帯」が残る。だが、1000万画素の携帯についてはほぼ同一仕様の商品が数時間後にドコモからも発表された。そうなると、結局は1つしかない。それでは見劣りするし、とても戦えない。
 だからこそ、ソフトバンクは、自社の目玉が含まれる新商品群を準備していたドコモよりも、国内初のソーラー携帯を発表するつもりでいたKDDIよりも、発表会の日時を早める必要があったのだ。さらに、数だけはどこにも負けないように増やしておく。そうすれば、いちばん早く数で圧倒できるし、肝心の新端末の弱さをも覆い隠すことができる。
 
 これまで、ソフトバンクの発表会は、たいてい午後だった。それなのに、今回に限って午前中に繰り上げたのは、自社の発表が2社よりも遅れれば、3つの目玉のうち2つもが“後追い”と見られてしまう。これはさすがの孫社長でも、焦るはずだ。
 だが、ソフトバンクの新端末に目玉が揃わなくなったことは、孫社長の身から出たサビでもある。2008年の夏、ドコモに競り勝って米アップルのiPhoneを発売してから、「iPhoneで人生観が変わった」という発言を繰り返し、世話になった国内の端末メーカーから反発を買った。
 加えて、アップルと約束した販売数量を守るために、購入時は実質0円というiPhoneの投げ売りにも乗り出したことで、ソフトバンクではiPhoneが主軸商品になった。その影響から、端末メーカーに発注する数量を減らした。これで、苦境が続くメーカーにはソッポを向かれるようになってしまったのである。
ソフトバンクはわざとブツける
 数年前まで、ソフトバンクは、KDDIの新商品や新サービスの発表会などに自社の発表をブツけることで、翌日の新聞で記事の扱いが大きくなることを目論んでいた。結果的に、そのやり方が自社の発表を派手に見せることにつながっていた。この確信犯的な手法は、「孫社長からの指示」(幹部)でもあった。
 そして、昨年から、ソフトバンクが発表会を同日にブツける相手が、KDDIからドコモになっていく。最も露骨だったのは、08年6月の「ドコモの新社長会見」だった。ソフトバンクは、同じ日の午後に「孫社長自らがレクチャーする記者向けのiPhone説明会」をブツけたのだ。
 当時、ソフトバンクは、「まったくの偶然であり、悪気はない」と強弁していたが、発売を目前に控えて話題が沸騰していたiPhoneを武器にして、当日の昼になってからメディア各社に緊急連絡を入れていたのである。そうして、メインの担当記者をごっそり横取りしてしまったのだから、偶然ではあるまい。
 一方でドコモの会見には、サブの担当者ばかりが出席した。ドコモにとっては、iPhoneの獲得競争で敗れたばかりか、新社長のお披露目にまで泥を投げられた格好となった。この“事件”を契機にして、ドコモは本気でソフトバンクを攻めることを考え始めたのである。そんな一触即発の状態は、現在でも続いている。
 今回の夏商戦で、ドコモは業界の話題を独占した「アンドロイド携帯」を獲得したので、iPhoneでの雪辱を晴らせたと考えるのは早計である。ドコモは、今後も涼しい顔で着々と“ソフトバンク包囲網”を狭めていくと見られるからだ。夏商戦をきっかけに攻めに転じたKDDIも、態度を明確にした以上、ソフトバンクは見た目と裏腹の厳しい局面が続く。
 年々、派手さを増す携帯電話の新商品発表会だが、その裏側ではあまりにも生々しい“人間ドラマ”が繰り広げられているのである。



連結納税、活用しやすく 子会社の欠損金も翌年度黒字と相殺
 政府はグループ会社を1つの法人とみなして税金を課す連結納税制度を使いやすくすることを検討し始めた。制度の活用を始める際、子会社が前の年度から持ち越した欠損金もグループ全体の黒字から引き、法人税の支払いを減らせるようにすることが柱。連結納税の普及を後押しし、企業の経営基盤を強化するのが狙い。
 連結納税は税務上の赤字である欠損金と税務上の黒字をグループ全体で差し引きできる仕組み。事業再編など柔軟な経営体制を築きやすくなる。



世界経済、10年も1%成長止まり 内閣府報告書
 内閣府は5日、世界経済の動向を分析した「世界経済の潮流――世界金融・経済危機の現況」をまとめた。2009年の世界の経済成長率は戦後初のマイナスとなり、10年も米欧の回復が遅れて1%程度の成長にとどまると指摘した。1930年代の大恐慌時との情勢も比較し、「株価は大恐慌初期と同等の下落幅だが、実体経済の悪化の幅は大恐慌時の方がはるかに大きい」との見方を示した。
 報告書は02年から年2回公表している。主要な国際機関による世界の経済成長率の見通しをみると、国際通貨基金(IMF)は09年がマイナス1.3%、10年がプラス1.9%とみている。経済協力開発機構(OECD)は09年がマイナス2.7%、10年がプラス1.2%。内閣府の見通しはこれらよりもやや弱く、10年の成長率をプラス2%強と見込む民間調査機関の予測平均と比べても厳しい分析だ。



NTTドコモ:9万円の「エヴァケータイ」5時間で“完売” 2万台の予約終了
 6月公開予定の劇場版アニメ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」をモデルにした“エヴァケータイ”「SH-06A NERV」(9万円)が5日午前10時から、予約の受け付けを開始、午後3時までの5時間で予定の2万台に達し、予約を終了した。15日まで受け付けの予定だったが、NTTドコモは「予想を上回るペース」と驚いている。
 キャラクターデザインの貞本義行さんのイラストなどの待ち受け画面や、声優のとり下ろし着ボイス、映画の音源の一部を使った着信音なども用意されている。一般販売は1万台が6月下旬~7月上旬に行われる予定。



博士課程:「定員削減を」文科省 就職難受け
 大学院博士課程の修了者の就職難が問題化していることなどを受け、文部科学省は5日、全国の国立大学に対し、博士課程の定員削減を要請する通知を出した。少子化を踏まえて教員養成系学部の定員削減なども要請。各大学が6月中に素案をまとめる10年度からの中期目標(6年間分)に反映させることを求めている。
 国立大学大学院の博士課程の定員は1万4116人(09年度)。通知では「定員未充足状況や社会需要の観点などを総合的に勘案し、教育の質確保の観点から定員・組織などを見直すよう努めること」を求めた。文科省はこれまで、研究拠点を大学の学部から大学院に移す「大学院重点化政策」を進めてきた。しかし、就職難への不安などから地域や分野によっては定員割れが相次ぎ政策を転換した。
 また、教員養成系学部については、少子化による需要減や採用数の動向などを踏まえた定員見直しを要請。新司法試験合格率が低迷している法科大学院も見直し対象とし他の学部などについても「必要に応じて見直すよう努めること」とした。



GM、「サターン」を大手ディーラーに売却
 米ゼネラル・モーターズ(GM)は5日、小型乗用車を主体とする「サターン」ブランドについて、米大手ディーラーのペンスキー・オートモーティブ・グループに売却すると発表した。売却額は明らかにしていない。同社は製造設備を持たないため、当面はGMに生産を委託する。
 将来は他の完成車メーカーに生産を委託する見通し。米メディアは5日、仏ルノーと同社傘下の韓国ルノーサムスン自動車に委託する可能性を伝えた。ペンスキーには三井物産が出資している。
 GMは燃費に優れる日本車への対抗軸として、90年代に小型車主体のサターンブランドをつくった。値引きをしない販売手法など新機軸でGMの変革の先導役と期待されたが、品質問題などで販売が低迷。日本を含め海外から相次ぎ撤退し、現在は北米で年間約20万台を売る「ニッチブランド」となっていた。
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「PSP Go」は「iPhone」に勝てるのか? E3を読む(COLUMN)
 米ロサンゼルスで2~4日に開催されたゲーム見本市「E3」で、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は新型携帯ゲーム機「PSP Go」を発表した。その仕様はほぼ事前に予測された通りで、「UMDディスク」には対応せず、16ギガバイトのフラッシュメモリーを搭載してネットからゲームをダウンロードすることを前提としている。今回の発表から見えるSCEの戦略を考えてみたい。
■「iPod Touch」を強く意識したPSP Go
 PSP Goは、SCEのゲームビジネスのみならず、ソニーグループ全体の戦略商品になっていく。E3でプレゼンテーションを行ったSCEの平井一夫社長兼グループCEOは、PSP Goをゲームだけではない「デジタルライフスタイル」を実現するデバイスとして位置付けた。これはアップルの「iPhone」「iPod Touch」の戦略と直接的に競合する。
 今回の発表の内容も、アップルを強く意識しているように感じられた。日本での希望小売価格は2万6800円。現在の「PSP-3000」シリーズが同1万9800円であることを考えると多少高い印象があるが、iPod Touch8ギガバイト版の2万7800円、16ギガバイト版の3万5800円と比べると、割安感がある。
 PSP GoにはiPod Touchのようなタッチパネル機能がない分、低めに価格設定したとも考えられる。それでも16ギガバイトのフラッシュメモリーは3000円前後であり、PSP Go向けソフトの開発環境を整備するコストなども含めて、確実に利益が出る価格だろうと推測される。
 PSP Goの発売日は日本が11月1日なのに対して、北米は10月1日と1カ月早い。これも、アップルを意識しているように思われる。アップルは6月8日に米サンフランシスコで開催するカンファレンスで、iPhoneの新機種を発表すると噂されているが、そこから電話機能を削った新型iPod Touchのリリースは秋になると予想される。SCEとしてはその新型と発売日の日程を開けたくないというのが本音であろう。
 ソニーはPSP Goの発表に併せて、アップルの「iTunes」に相当するコンテンツマネジメントソフトウエア「Media Go」をリリースした。私も早速パソコンにダウンロードして利用してみた。実際に操作してみると使い勝手はもうひとつというところもあるが、iTunesに非常に似ているソフトという印象だ。ダウンロード販売システムの「PlayStationNetwork」に接続してみたが、こちらもiTunes StoreやApp Storeに使い勝手がよく似ていた。
 SCEにとっては、先行するアップルのiTunesに慣れたユーザーにこの新しいソフトを使ってもらえるようにすることが最初の照準になるだろう。「ウォークマン」など他のソニー製品のデータマネジメントもこのソフトウエアに統合されていくはずである。
 驚いたのは、ハードウエアのカタログスペックを見る限り、現在販売されているPSP-3000シリーズと処理性能にまったく変化がない点だ。実際、プレスカンファレンスの中でも、現行のPSPやUMD版ゲームの販売継続が強調されていた。そのせいもあり、PSP Goは携帯性を高めたPSPでしかないという印象も今のところは残る。
■ツール値下げで新規開発者を取り込み
 一方で、開発会社に向けては、重要な発表が行われている。開発ツールを大幅に値下げするとともに、PSPの開発環境のオープン化を進めるという内容だ。
 プレスリリースでは、開発ツール「DTP-T2000/ DTP-T2000A」の価格を日本では15万円に値下げすると発表している。さらに興味深いのが、以下のアナウンス部分だ。
 「SCEはダウンロード専用小容量ソフトウェアタイトルの拡充施策の一環として、本ソフトウェア制作におけるライセンス契約から販売までのプロセスを通常より簡素化、幅広い開発者の皆様がより自由な発想をもってコンテンツを制作できる環境を年内に構築し、世界中で加速度的に増加する PlayStationNetworkユーザーの皆様が手軽に遊べるPSP向けダウンロード専用タイトルを積極的に販売してまいります」
 つまり、小規模な開発会社にも参入のチャンスを広げ、開発されたタイトルを速やかにリリースする仕組みを整えると述べているのだ。それがダウンロード専用タイトルを増やすための施策であるとも明快に述べている。
 もちろんこれは、アップルが昨年iPhoneで開始したスキームに似ている。開発用の機材を購入しなければならないというハードルはあるが、価格引き下げにより、世界で5000万台という母数を抱えるPSPのダウンロードコンテンツに可能性を見いだす開発会社も当然出てくるだろうと考えられる。
 この発表からは、これまで“おまけ”的な存在として位置づけられがちであったダウンロードコンテンツを、一つの柱にしようとするSCEの意志がはっきりみてとれる。
■見えてこない「非ゲーム」分野の新戦略
 とはいえ、16ギガバイトというフラッシュメモリーを活かしたPSP Goならではのサービスがあるのではと思ったのだが、今回のプレスカンファレンスではよりつっこんだ情報は少なかった。
 平井氏が提示したデジタルライフスタイルとは、単に既存の映像や音楽に過ぎないのか、それとももう少し広い周辺まで含んでくるのかというところだ。
 平井氏は、昨年6月の中期経営方針説明会で、プレイステーションビジネスの「2つの重要な鍵」として、インタラクティブエンターテインメントを「ゲーム」と「非ゲーム(Non-game)」に分類した。しかし今回は、PSP Goにおける非ゲームの可能性を示していない。
 特に、インターネットで提供される各種サービスにどう対応するのかという点について、今回はヒントもなかった。例えば、メールや「YouTube」などの動画サイト、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)へのアクセスはどうするのか。現在のPSPにもウェブブラウザーは搭載されているが、日常的に使い続けるのは不可能と思えるほど使いにくい。
 その一つの要因は、PSPのゲーム機用の入力インターフェイスである十字キーが、情報端末として使うには向いていないという点にある。ブラウザーを操作するにしても、ゲーム中にテキストチャットをするにしても、タッチで文字を入力できる「ニンテンドーDSi」や、iPhoneの簡単さには敵わない。ハード性能がよくても周辺のサービス面が弱いというのが、最近のソニーグループの特徴になっている。
 平井氏の言うデジタルライフスタイルが、どこまでの範囲を目指したものなのかが見えない。PSP Goには、時計がバンドルされるが、時計機能をPSPに期待している人はいないだろう。新しいデジタルライフスタイルを提案するようなサプライズがまだ欠けている。ゲームと音楽と映像だけであれば、PSP Goには携帯性が増したという以外、他のハードと比較した独自性がない。
■東京ゲームショウで追加発表?
 「ユーザーの生活の場に常にある携帯情報端末」――。その座を争う戦いは、今回のPSP Go発表によって一段と激しくなるだろう。ソニーと任天堂とアップル、さらには新規参入をもくろむグーグルやマイクロソフトがしのぎを削る市場になるためだ。
 各社の立場はわかりやすい。先行して普及台数を多く抱える企業ほどクローズ性の強い戦略を採る。一方、後発で普及台数を増やしたい企業ほど、誰でも参入しやすいオープン性を強調する。
 SCEはこの競争の構図のなかで、「ニンテンドーDS」シリーズが全世界1億台を超える任天堂と、iPhoneとiPod Touchで合計3000万台のアップルの間に挟まれた位置にある。
 任天堂はハードを閉じることで独自性を築いている。任天堂は自らが関わらないオープン性を認めない。2日に行われたE3の基調講演で、任天堂はSNSの「Facebook」に触れて、「DSiで撮影された写真が毎日アップロードされており、コミュニティーを形成している」と述べていた。しかし、DSiには画像を直接アップロードする仕組みがない。いったんSDカードに書き込んで、それをパソコンに移してアップロードするしかないのである。
 一方のアップルは、開発環境の公開や審査の簡素化などで自らがコントロールする範囲を小さくし、既存のゲーム機以上のオープン性を前面に出すことにより短期間で急成長した。
 SCEも開発環境の値下げで戦略的にはアップルに近い位置に移動することを意図しているようだが、PSP向けソフトの開発はiPhone向けアプリケーションほど技術的に簡単ではなく、オープン化にも限界があるはずだ。
 PSP Goの課題は、そうした状況のなかでもなおかつ、開発者が多様なソフトウエアを生み出したい思えるほど魅力的なハードかどうかだろう。ユーザー側からみても、今回の発表だけではまだ、男女を問わず数多くの人が持ちたいと思えるような「パーツ」が足りていない。1つには、PSP Goの発売日までまだ4カ月と時間があり、他社に手の内を明かしたくないという理由もあるだろう。
 東京ゲームショウが近づく9月頃には、別の発表があるのではないだろうか。PSP Goは、ソニーグループが全体としてどのような「デジタルライフスタイル」を提案するかを測る試金石にもなるだろう。



5月の携帯純増数、順位変わらず ソフトバンク25カ月連続首位
 携帯電話・PHS各社が5日発表した5月の移動電話契約数によると、新規契約から解約を差し引いた純増数はソフトバンクモバイルが10万5000件となり、25カ月連続で首位だった。パソコン用のデータ通信端末が好調だったイー・モバイルが6万7700件となり、4月に引き続き2位に入った。
 このほかの順位にも変動はなく、3位のNTTドコモは6万1700件、4位のKDDI(au)は5万1900件だった。PHSのウィルコムは1万5100件の純増となり、1万600件の純減だった4月からプラスに転じた。
 各社が明らかにしたMNPの利用件数は、ソフトバンクがプラス1万7900件、KDDIがプラス2100件、ドコモがマイナス2万件となった。イー・モバイルは0件(100件以下)。



アップルCEO復帰へ 6月中に、米紙報道
 米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は4日、米電子機器大手アップル最高経営責任者(CEO)で病気療養中のスティーブ・ジョブズ氏が順調に回復、6月中に復帰できる見通しだと伝えた。
 新商品の発表会などにジョブズ氏が登場、社外に復帰を宣言する方向で調整しているという。
 アップルは1月、ジョブズ氏がホルモンバランスを崩したため病気療養入りすると発表。6月末まで休暇を取るとしていたが、その後は同氏の健康に関する情報を明らかにしていなかった。



ソニー、米の新音楽ビデオサイトに参加 ユニバーサルG、ユーチューブと
 ソニーの米音楽事業会社ソニー・ミュージックエンタテインメントは4日、米音楽大手ユニバーサル・ミュージック・グループが動画投稿サイト「ユーチューブ」と立ち上げる音楽ビデオサービス「VEVO」への参加を決めたと発表した。
 VEVOは、ソニー、ユニバーサル両傘下のミュージシャンのプロモーションビデオなどの動画コンテンツをユーチューブや専用サイトを通じ配信する。AP通信によると、年内にもサービスを開始するという。



“陵辱系ゲーム”発売禁止 業界団体が自主規制
 アダルトPCゲームソフトメーカー233社でつくる業界団体・コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)は6月4日、強姦(ごうかん)など性暴力を描写した、いわゆる「陵辱系ゲームソフト」の制作・販売を禁止すると発表した
 ソフ倫は、アダルトゲームの自主審査機関。商業ルートで販売されるアダルトゲームは、大半がソフ倫の審査を受けて流通に乗るため、ソフ倫の審査を受けなければ、商業作品の店頭販売はほぼできない。今回の措置で、即売会などで販売される同人作品などを除けば、陵辱系ゲームの新作は発売できないことになる。
診療報酬、75歳以上「別建て」廃止へ 厚労省、2年で方針転換
 医療費の膨張を抑えるため、2008年度に導入した後期高齢者医療制度の枠組みの一部がわずか2年で修正を迫られることになった。厚生労働省は75歳以上に限定して医療保険から病院などに支払う特別な診療報酬を10年度にも廃止する検討に入った。診察回数などに関係なく毎月一定額に抑える仕組みが柱だったが、医療機関の利用が増えなかった。廃止しても患者本人の負担は大きく変わらない。一方で、医療費の抑制策の練り直しが必要になりそうだ。
 10年4月の診療報酬改定を念頭に、中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で夏にも廃止に向けた議論に着手する。



「おサイフケータイ」だけで料金支払い ドコモが15日から
 NTTドコモは4日、携帯電話に請求書のデータを取り込んでコンビニ店頭で料金を支払うサービスを全国のセブン-イレブン・ジャパンの店舗で15日から始めると発表した。
 ドコモ携帯の決済機能「おサイフケータイ」を活用。利用者は、請求書のデータをダウンロードした携帯電話をコンビニ店頭の読み取り機にかざし、現金などで支払う。
 請求書を持ち歩く必要がなくなり、企業側も請求書を発行するコストを減らすことができるという。



コマツやデンソーなど、原価低減で調達先と一丸
 大手メーカーが一段のコスト削減を狙って、部品など調達先の支援体制を強化し始めた。コマツやデンソーは社内の業務改善ノウハウを集約し調達先に提供する組織を新設。クボタは原価低減活動を促進するため、協力企業に対策で生み出した利益の一部を供与する仕組みをつくった。需要の本格回復にはまだ時間がかかると判断、総力戦で収益改善を目指す。
 コマツは協力会社の原価改善や経営支援などを指導する「協力企業支援部」を発足させた。油圧ショベルなどの製造で金属加工、部品組み付けなどを委託する約160社が対象で、特に委託量が多い100社前後から支援を始める。



ソニー副社長、液晶TV事業「11年3月期黒字に」
 ソニーの吉岡浩副社長は4日、日本経済新聞などのインタビューに応じ、赤字基調が続く液晶テレビ事業について「2011年3月期の黒字化を目指す」と述べた。工場の統廃合や基本設計の共通化でコストを低減する一方、各地のニーズに応じた製品を投入して新興国市場の開拓を進める。
 09年3月期のテレビ事業の営業赤字は前の期よりも620億円拡大し1270億円だった。吉岡副社長は「為替などの条件が大きく変化しなければ今下期に収支均衡もしくは黒字化を達成し、11年3月期もその基調を維持したい」と述べた。
 収益改善に向けて工場閉鎖や設計人員の削減で固定費を下げると説明。ソフトや電源基板など基本設計の共通化は「半年前から取り組みを加速しており、計画を1年前倒しする」と話した。製品戦略については「中南米では大きなスピーカーを搭載するなど地域の事情に合わせる」という。



ユーロ圏の09年、マイナス4.6%成長へ 欧州中銀が下方修正
 【フランクフルト=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は4日の定例理事会後の記者会見で「(2009年上半期は)非常に成長率が低い」と述べ、景気判断を下方修正した。09年のユーロ圏の実質成長率をマイナス4.6%と見込み、3月時点の予想から2ポイント近い大幅な引き下げとした。4日の定例理事会では利下げを見送ったが、一段の景気下振れを避けるため、ECBは追加的な利下げの可能性を示唆。さらに7月からは金融債「カバードボンド」などを最大で600億ユーロ(約8兆2000億円)買い入れる「量的緩和策」の拡充で金融機関に潤沢に資金供給できる体制を整える。
 トリシェ総裁は記者会見で、欧州経済が不振に陥った理由を「外需が急激に冷え込んだため」と説明した。これが「明らかな下振れ効果」をもたらし、2年連続のマイナス成長が続くとした。
 景気の先行きに絡んでトリシェ総裁は「低水準だが、改善の動きがある」と述べ、10年半ばにはプラス成長が見込めるとした。米国では年内に景気が底入れするとの見方があり、欧州は一歩遅れることになる。



GM、国内の自動車部品に「大きく影響」 業界団体会長
 日本自動車部品工業会は4日、部品企業82社合計の2009年度の営業損益が調査開始以来初の赤字になる見通しだと発表した。同日記者会見した信元久隆会長(曙ブレーキ工業社長)は法的整理に入った米ゼネラル・モーターズ(GM)について「ディーラー整理や工場閉鎖によって消費市場が縮小する。これから大きく影響が出てくる」との見方を示した。
 GMの米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)適用の申請による資金繰りなどの影響については、「米政府やGM自身の支援策によって当面は限定的になる」と指摘。一方で「米市場の回復は緩やかなものになり、生産体制の再編はあってしかるべき」とした。会見に同席した志藤昭彦副会長(ヨロズ会長)も「しばらくの間は部品メーカーも(GM向けの)売り上げが5割ほど減る」との見方を示した。



輸入車販売、5月は20.6%減 13カ月連続で前年割れ
 日本自動車輸入組合(JAIA)が4日まとめた5月の輸入車販売台数(速報値)は、前年同月比20.6%減の1万2547台と13カ月連続で前年割れした。5月の販売台数としては1988年以来の低水準。4月から輸入車販社が積極的な値引きキャンペーンを展開したことなどを背景に、減少幅は前月から約10ポイント縮小した。ただ、JAIAは「需要の先取りとなった可能性もあり、先行きは依然不透明だ」としている。



東芝、リモコンに音声認識技術 テレビ番組が声で検索可能に
 東芝は4日、俳優の愛称やテレビ番組の略称を言うだけで自動的に見たいテレビ番組を検索し、表示する新たなシステムを開発したことを明らかにした。音声認識技術とインターネットを組み合わせて、利用者のさまざまな言い換えにも高い精度での音声認識が可能となった。
 電子データ化した8日間分のテレビ番組の情報を元に、自動的に音声辞書を作成するのが特徴。番組の略称や俳優の愛称からでも番組名を検索できるよう、正式名称から略称を生成し、検索精度を高めるため、辞書の言語を7000程度に絞り込んだ。



温暖化対策、企業の6割が非開示 投資家団体、世界100社調査
 世界の主要企業100社のうち、6割の企業が温暖化対策について投資家にほとんど説明していないことが米欧の機関投資家団体の調べで明らかになった。投資家団体は温暖化対策で出遅れた企業は株価が下落するリスクが高いと指摘。米証券取引委員会(SEC)に対し、温暖化に関連した情報開示を企業に義務付けるよう強く求めていく方針だ。
 電力、自動車、石油など温暖化関連の規制の影響を受けやすい100社を対象に、08年に公表された年次報告書の記載内容を調べた。このうち59社は温暖化ガスの排出量を開示していなかった。温暖化の影響について全く記載していない企業もあるという。



新聞業界最大のタブー? 週刊新潮が「押し紙」特集記事(COLUMN)
実際には配られない新聞が大量に販売店に押しつけられているとされる、いわゆる「押し紙問題」をめぐり、新たな波紋が広がっている。週刊新潮が、この問題を4ページにわたって特集したところ、新聞3社が、広告の表現などについて抗議文を送付したのだ。一方、記事を執筆したジャーナリストは、「問題が表沙汰になったことに意味がある。新聞社は紙面で反論なり裁判を起こすなりすればいい」と一歩も引かない構えだ。
新聞側は記事の訂正・謝罪などを要求
波紋を広げているのは、「週刊新潮」6月11日号(首都圏では2009年6月5日発売)に掲載された「『新聞業界』最大のタブー『押し紙』を斬る/ひた隠しにされた部数水増し」と題した記事。この問題を長く取材しているフリージャーナリストの黒薮哲哉さんが執筆している。記事では、滋賀県の読売新聞販売店の店主をしていた男性が、新聞紙の配達状況についての実態調査を行ったことを紹介。その結果から、新聞社から販売店に届けられるものの、実際に読者には配達されない「押し紙」の割合を推定した。記事では、
「『押し紙率』を見てみると、大手4紙については読売18%、朝日34%、毎日57%、産経57%だった。4紙の平均でも、公称部数の実に4割以上が『押し紙』だった」
と結論づけている。
また、6月5日の朝刊各紙に掲載された同誌の広告には、
「読売18%、朝日34%、毎日57%が配られずに棄てられていた―」
という見出しが躍った。
これを受けて、広告で名指しされた形の新聞3社は抗議文を週刊新潮編集部宛に送付。各社は
「(調査結果は)実態と異なり、まったく信用できない」(朝日)
「広告は、読売新聞の発行部数の18%が配達されずに棄てられていたとの印象を一般の読者に与えるが、事実と異なっており、看過できない」(読売)
「客観性に欠ける調査を根拠にしており、信ぴょう性がなく、毎日新聞の名誉を著しく棄損する」(毎日)
などと主張。特に毎日新聞については、損害賠償請求を含む法的措置を検討することも明らかになっている。
だが、週刊新潮側も、一歩も引かない構えだ。週刊新潮編集部では、
「『記事の訂正・謝罪』に応じるつもりはありません。今回の記事は、タイトルにもあるように『短期集中連載』です。『反論』という形になるかどうかは未定ですが、抗議があったことについては、今後、連載の中で触れる予定です」
とする一方、記事を書いた黒薮さんは、
「不思議なのは、抗議の主な対象が広告表現だということです。記事の内容そのものについて、どう考えているのか知りたいところです。むしろ、これを機会に、問題が表沙汰になったことに意味があると思っています。新聞社側も異論があるのであれば、紙面で反論を展開するなり、裁判を起こすなりすればいい。公の場で決着を付けるのが良いのでは」
と話す。
朝日、毎日、読売とも「『押し紙』はありません」
この問題で特徴的なのは、主に広告表現が問題視されたことだ。ところが、今回抗議文を送った3社の紙面には、問題の表現がそのまま掲載されている。各紙では広告の表現などについて審査を行っており、問題がある表現だと判断されれば、その部分が削除されたり、「黒塗り」にされることもある。今回のケースでも、「抗議するくらいならば、事前に『黒塗り』にする」という選択肢もあったはずだ。この点については、各社は
「『表現の自由』の観点もあって事前に広告掲載を制限することは適切な行為とは考えておらず、なるべくそうした措置はとらないようにしています」(朝日新聞社広報部)
「明らかに誤った記述だったため、社内で対応を検討しました。その結果、広告をそのまま掲載し、厳重抗議した事実をあわせて報道することにしました」(毎日新聞社社長室広報担当)
「広告については、表現や内容によって制限することもありますが、なるべく制限することなくそのまま掲載するようにしています」(読売新聞東京本社広報部)
と説明。「押し紙」については、
「『押し紙』はありません。弊社がお取引している新聞販売店は、必要な部数を注文し、弊社はそれに基づく部数を送付しています。弊社が注文部数を超えて送付したり、注文と関係のない部数を送付したりすることはありません」(朝日)
「本社は販売店からの注文部数に応じて新聞を送っており、ご質問にあるようなことは把握していません」(毎日)
「『押し紙』はありません」(読売)
と、従来どおり、その存在を否定している。
紙をなくすという意志 デジタルの手触り(COLUMN)  
 新聞社のサイトでこんなことを言うとしかられるかもしれないが、言う。「紙をなくそう」。紙、CD、DVDを日本は世界に先駆けてなくす。全コンテンツをデジタル機器+ネット流通で利用できるようにする。全番組をテレビ、PC、ネットでアクセスできるようにする。
 そして、世界の国々で日本の全コンテンツにアクセスできるようにする。買い物は全てケータイでできるようにする。大学、病院、役所の活動は全てオンラインで処理できるようにする。
 現在、全コンテンツの売り上げに占める紙やCD、DVDなどパッケージの比率は49%。施設サービス経由が12%。放送・通信による流通は39%だ。2015年にはこれを75%にまで高める。
 これがコンテンツ政策の目標だ、という議論を総務省「ICTビジョン懇談会」の場で戦わせている。どこまで政策として採択されるか、激論が続いていて見通せない。役所としても、踏み込むには危険すぎるのだろう。だが、2011年以降の政策として、踏み込んだビジョンが必要と考える。
 政府はコンテンツ市場15兆円を「5兆円増やします」などという。それはできない相談だ。国内市場の伸びは過去10年で7%程度。過去30年間で見てもGDPとの相関係数はほとんど1。コンテンツ市場が大きく伸びて、日本がエンターテインメント天国になる設計は、妄想に似た願望でしかない。
 むしろエンターテインメント産業が底割れすることを心配すべき。ローカルの新聞社やテレビ局は疲弊している。出版も苦しい。エンタメ産業の大もとがガタガタしている。一方、ネットビジネスはまだもうからない。広告費が海外流出する懸念もある。国内エンタメ需要が5兆円伸びるという願望はどうすれば青写真になるのか。
 伸びしろがないわけではない。2つある。海外と非エンターテインメントだ。まず海外マーケット。アニメ、ゲームなど輸出力のあるポップ・コンテンツをアジアなどに発信すること。そのために、海外のテレビチャンネルを確保したり、放送局を買収したりする。ファンドを形成してそれを後押しする。同時に、海賊版対策をしっかりやれ、日本文化規制を解け、と海外に対して政治交渉する。コワモテの政策をガチンコで進める。
 その際、競争力のないジャンルは捨てる。韓国政府がやっているように、日本も強みのあるマンガ、アニメ、ゲーム、ケータイ、ロボットといった分野に集中すべき。ビジョンとは何かを捨てることだ。手法としても、産業界に補助金をつけるような昭和な施策をとることもない。海外で人気の日本のオタクサイトを数カ国語に翻訳していくなど、少ない資金で大きな効果が得られる施策に力を入れればよい。
 現在、コンテンツの国内市場に対する海外収入比は2.5%。アメリカの17%は遠い目標としても、せめて10%には高めたい。
 もう1つは、非エンターテインメントの拡充。特に、教育、医療、行政といった公的な分野をオンライン化し、活動をコンテンツ化することだ。年間の教育コスト20兆円、医療コスト30兆円、中央政府コスト200兆円。それらの1%がコンテンツ化すれば、2.5兆円の市場が生まれる。行政の役割だ。これは、コンテンツ=エンターテインメント産業と定義してきた政策を転換して、政策のテリトリーを大きく広げることを意味する。
 同じく期待されているのが、個人の生産するコンテンツを産業化すること。CGM(消費者発信メディア)、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、メールといった通信メディアをコンテンツ産業としてとらえる。総務省が毎年実施している情報流通量の計測「情報流通センサス」に基づいて計算すると、過去10年間の日本の情報発信量は20倍。爆発的に情報量は増えているのだが、まだそれをビジネス化できてはいない。容易ではない。起爆剤や特効薬が見つかっているわけでもない。
 では政策はないのか? ある。メディアを開発することだ。規制緩和により、企業ユーザーや個人がコンテンツを使える「場」を形成することだ。
 日本史上最大(最善ではない)のコンテンツ政策は? ―――答え:「田中角栄郵政大臣の民放多局化」。免許をバンバン出して放送局を創ったことで、番組産業が拡大した。これに次ぐ政策はCS放送解禁だ。いまコンテンツにとって求められるのは、こうしたダイナミックで「手触り感」のある政策である。デジタルサイネージやモバイルIP放送といった新メディアを開発すること。モバイルのプラットフォームやコンテンツレイヤーをオープン化するといった新ビジネス領域を用意すること。テーマは多い。
 そこで大事なのは、従来のエンターテインメント産業政策から、「利用政策」に重心を移行することだ。メディアが多様化し、ユーザー主導の市場が形成されている。行政も提供者、供給者の望むことをすくい上げるより、企業・個人ユーザーが望むことを実現していくことに視点を変える。産業の拡大は、その結果でよい。
 公的分野のコンテンツ化や、個人コンテンツの市場化は、企業や個人が全メディアを容易に使いこせる環境を作ることで達成する。利用環境の整備だ。もう5年ほど前のことだが、内閣官房、総務省、経済産業省、文部科学省のコンテンツ担当課長が並ぶシンポで、「コンテンツの利用者を所管するのは誰か」と聞くと、「誰もいない、必要ない」という答えが堂々と返ってきてのけぞった。しかし、産業政策に手詰まり感が漂うなか、政策スタンスも変わることは必然だ。



ヱヴァ劇場版BD、発売5日で4万9000枚 BD史上最多
 オリコンは6月3日、アニメ映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」のBlu-ray Disc(BD)が、発売から5日間で4万9000枚売れ、発売1週目のBD売り上げ枚数の記録を更新したと発表した。
 5月27日に発売し、5月31日までに4万9000枚を売り上げた。発売1週目の売り上げ枚数でこれまで最も多かったのは、昨年12月に発売した映画「ダークナイト」で2万9000枚だった。
 BDの累計売上枚数でも2位にランクイン。1位は5万6000枚のダークナイトで、約7000千枚差に迫っている。
 昨年4月に発売したDVD版は、昨年末の時点で29万8000枚売れている。



「SH-06A NERV」5日より事前予約を開始
 NTTドコモは、全国のドコモショップにて、FOMA端末「SH-06A NERV」の事前予約を6月5日午前10時より開始する。ドコモショップでの受付期間は6月5日~15日で、予約限定台数の2万台に達し次第、受付が終了される。予約が2万台に達しなかった場合は、販売開始日より通常販売が行われる。販売開始は6~7月で、販売開始日は今後案内される。
 「SH-06A NERV」は、劇場用アニメーション作品「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」とのコラボレーションによる限定販売の携帯電話。
 ビックカメラ 有楽町店本館の1階では、6月5日より特設コーナーに実機が展示されるほか、特設コーナーで予約をしたユーザーには、6月27日、28日開催の記念イベントに参加するとオリジナル記念バッジがプレゼントされる。
 また、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」が公開される6月27日と、翌28日には、有楽町店本館1階で記念式典が開催される。27日の午後5時からは、“NERV 広報大使”として加藤夏希が登場し、広報大使の任命式とトークショーが開催される予定。



イーバンク銀行、名称を「楽天銀行」に
 インターネット専業銀行のイーバンク銀行は4日、楽天銀行に商号変更することを決めたと発表した。29日開催予定の定時株主総会で正式に決めたうえで、2010年6月の定時株主総会までに実施する。理由について「2月に楽天の連結子会社になったことを受け、楽天グループとしての位置付けを明確化し、楽天グループ各社との相乗効果を最大限に発揮するため」と説明している。
 同時に、本店を7月21日に現在の東京都千代田区から、楽天本社がある東京都品川区に移転することも発表した。



製造業、初の経常赤字 1~3月法人企業統計、足元持ち直し
 財務省が4日発表した2009年1~3月期の法人企業統計によると、企業の経常利益は前年同期比70.1%減の4兆1074億円となった。減少率は過去最大となり、製造業では経常損益が統計が始まった1954年以降で初めて赤字(2兆2462億円)だった。世界的な景気後退で需要が急激に落ち込んだことが背景だ。設備投資も大幅に減るなど企業の経営姿勢は慎重だが、4月以降は生産、輸出に持ち直しの兆しもある。
 売上高は前年同期比20.4%減の311兆円。減少率は過去最大だった。日本の企業部門は昨年1~3月期以降、5期連続の減収減益となった。1~3月の減益幅は第1次石油危機に見舞われた1974年10~12月期(64.5%)を超えた。



「金融危機は予測不能」グリーンスパン氏、規制万能論を疑問視
 【ワシントン=米山雄介】グリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長は3日、ワシントン市内で講演し、金融危機の再発防止に向けた金融規制改革について「次の金融危機がいつ起こるかを見極めるような仕事を当局に課してはならない」と述べた。規制強化が金融安定をもたらすという「規制万能論」に懐疑的な見解を示した。
 前議長は「危機の発生時期は予測可能だという概念には何の根拠もない」と主張。「過去にそうだったように、次の金融危機に関する予測もはずれるだろう」と述べた。
 米政府・議会は金融規制改革の柱として、金融機関の連鎖破綻(システミック)リスクを監視する枠組みづくりを検討している。銀行・保険など業態ごとに分かれている金融監督・規制体制を見直し、FRBに一元化する案などが浮上している。



【産経主張】財政健全化 「骨太」で出口戦略を示せ
 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の建議(意見書)が今後の財政に強い警鐘を鳴らした。改革の指針である「骨太方針2006」の重要性を強調した上、消費税を含む税制「中期プログラム」の実行を厳しく求めたのだ。
 一連の景気対策が景気の底割れを防ぐためとはいえ、財政負担はあまりに大きかった。基礎的財政収支は過去最大の「経済危機対策」を盛り込んだ今年度補正予算後で、赤字が実質的に31・1兆円に膨らむ。
 今後も税収減が続き赤字を国債発行でまかなうと、両者の歳入割合は逆転しよう。地方を含めた長期債務残高も国内総生産(GDP)の1・7倍に達し、まさに財政危機に直面したといえる。
 にもかかわらず、麻生政権は骨太06で掲げた2011年度の基礎的財政収支黒字化目標は達成不可能とするだけで、その後の道筋を示していない。欧米が一時的に財政規律を緩めても、同時に景気回復後の健全化に向けた出口戦略を明確にしたのとは対照的だ。
 例えばオバマ米政権は1期目末までに前政権からの赤字を半減するとし、義務的経費の増加には増税などの財源を伴う財政手法を復活させる。欧州各国も健全化の数値と財政規律を明示した。
 日本が出口戦略を描くには、まず骨太06が示した歳出改革の基本的考え方を踏まえ、消費税引き上げの道筋を示した「中期プログラム」を実行するしかない。それなしに総選挙をにらんだ与党内の歳出圧力を抑えるのは困難で、出口戦略どころではなくなる。
 その意味で、建議が社会保障歳出についても骨太06の基本的方向性の維持を求めたことに注目したい。すでにこの分野の削減目標は事実上崩れたが、分野ごとに歳出上限を設定して削減する手法は今なお有効だからである。
 建議も指摘したように、来年度が改定年の診療報酬の配分見直しはその好例だ。診療報酬全体を抑制しても、高すぎる開業医の報酬を大胆に削減して勤務医などに配分すれば、医師不足問題解消に大いに役立つことになろう。
 麻生政権は「骨太09」に向け基礎的財政収支や債務残高対GDP比で新たな目標を模索しているが、財政健全化は歳出・歳入一体改革で早期に実現せねばならない。それが将来の成長と社会保障制度を持続可能にするための不可欠な前提なのである。
新型PSPにゲームショップ店長が激怒
 毎年開催されている、アメリカ・ロサンゼルスで開催中の玩具イベント『エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ』(略してE3)。今年も6月2日から開催されており、次々と新作ゲームが発表されている今回の『E3』会場は、21世紀始まって以来の大盛況となっている。
 そんななかで注目を集めた発表が、ダウンロード専用ゲーム機となる『PSP go』だ。従来の『PSP』は光ディスクによるソフトウェアを必要としていたが、この『PSP go』は完全にダウンロード専用機となっており、インターネット経由で代金を支払い、ゲームソフトを入手するものと思われる。
 ダウンロード専用機と聞いて、黙っちゃいられないのがゲームショップだ。当然のことながら、ゲームショップはゲームソフトのパッケージを売って利益をあげ、お店を経営している。ダウンロード専用機である『PSP Go』は、ストレートに考えるのであればゲームソフトのパッケージは必要なく、すべて自宅のパソコン経由やPS3経由でゲームソフトをデータとして入手できるものと考えられる。
 実際に、ゲームショップからは怒りの声があがっており、東京都江戸川区にあるゲームショップ『GAMESマーヤ』の店長は自身のブログにて、「ダウンロード専用機『PSP go』だなんて、私達流通 “お店” はもういらないって事? 必要とされていないの?」と、怒り心頭のようす。
 『GAMESマーヤ』の店長はほかにも「ビジネスパートナーとしてもっと流通を上手く使うやり方はないのでしょうか? これでは専門店が少なくなっていく現状に益々歯止めがきかなくなります。このままではと不安ばかりが頭に浮かび 私自身のモチベーションも大きくダウン。将来を見据えるなら、そろそろ潮時! 前向きに “撤退” を考えなきゃならない時期なのでしょうか?」とコメントしており、お店の経営に関して非常に不安を抱える状態になったことを告白している。
 『PSP go』を発表したソニー・コンピューター・エンタテインメントからはまだ詳細な展開方法は発表されていないが、確かに流通という点でフォローする体制を考えていないとするならば、ゲームショップにとって酷な話である。逆にいえば、流通やゲームショップのことを考えているならば、ゲームショップで客がダウンロードサービスを利用できるなどの配慮を考えているかもしれない。
 かつて任天堂は、ファミリーコンピューター専用ディスクシステムのゲームソフトをゲームショップに持っていけば、500円で新しいゲームに書き換えしてくれるというサービスを行っていた(ディスクライター)。それに似たシステムで、家にインターネット環境がない人や、あまり詳しくない人たちなどがゲームショップに『PSP go』を持って行き、ゲームソフトのダウンロードを代行してやってくれるという販売方法も考えられる。
 『PSP go』は新たな可能性や時代に合わせ、ニーズに応えるべく登場した次世代ゲーム機だ。それにゲーム業界全体がついていけるかどうか。今後はその点もキーポイントとなってくるに違いない。



企業収益、アジア依存最高 09年3月期、営業利益の36%占める
 日本企業の収益のアジア依存が高まっている。上場企業が2009年3月期に稼いだ営業利益のうち、アジア地域の比率は36%と過去最高で、下期(08年10月~09年3月)に限れば日米欧がそろって赤字となる一方、アジアだけが黒字を確保した。世界同時不況の中でもアジアの需要は底堅かった。日本の国際企業にとり、アジアでの収益力が中長期的にも成長を左右するようになっている。経営資源を重点配分する動きもあり、10年3月期もアジアが収益を下支えしそうだ。
 日本経済新聞社が、3月期決算の上場企業(金融、新興3市場を除く)のうち、連結の所在地別売上高・営業利益を開示し、00年3月期から比較が可能な432社を対象に集計した。営業利益は本業で稼いだもうけを示し、事業や地域別の収益力の比較に使えることから注目度が高い。



KDDI、携帯回線を本格開放 相互接続方式で通信VBと合意
 KDDI(au)は携帯電話市場への参入を目指す「MVNO(仮想移動体通信事業者)」向けの回線貸し出しを本格化する。通信ベンチャーの日本通信と3日、「相互接続方式」による回線貸し出しで基本合意した。KDDIが従来提供してきた「卸方式」より料金が割安で、MVNO側がサービスを設計しやすくなるのが特徴。相互接続はNTTドコモも実施しており、KDDIが続くことで携帯市場の活性化にもつながりそうだ。
 KDDIと日本通信は基本合意に基づき、新方式による回線貸し出しの9月までの実現を目指す。料金は毎秒10メガ(メガは100万)ビットあたり月額約1250万円。同一条件でのドコモの料金(月額1441万円)を下回る水準に設定した。



太陽電池足踏み 世界市場の成長、09年急減速
 代表的なクリーンエネルギーとして急ピッチで拡大してきた太陽電池の世界市場が2009年は足踏みしそうだ。需要の8割を占める欧州は政府の普及策をテコに大きく成長してきたが、景気悪化で急減速しているためだ。生産の8割を輸出に依存する日本メーカーの戦略にも影響しそう。ただ、10年以降は米国や日本をけん引役に、世界市場は成長軌道に戻る見通し。
 08年に世界で設置された太陽電池は556万キロワット(発電能力ベース)と07年から倍増。需要が4.5倍に急伸したスペインをはじめ、欧州が原動力となった。シャープや京セラなど国内の太陽電池メーカーは08年、国内生産のうち6割が欧州向け輸出だった。



半導体出荷21.6%減、過去2番目のマイナス幅 09年予測
 世界半導体市場統計(WSTS、米カリフォルニア州)は3日、2009年の半導体出荷(金額ベース)が前年比21.6%減の1948億ドルとなるとの見通しを発表した。2年連続のマイナス成長で、下落幅の大きさはIT(情報技術)バブルが崩壊した01年の同32%に次ぎ、1984年の調査開始以降2番目。パソコンやデジタル家電、自動車向けなどが低迷している。ただ10年については各国の景気刺激策などの効果で09年比7.3%増に転じると予測している。
 WSTSには半導体関連の主要企業66社が加盟、市場予測を年2回まとめている。前回の08年秋時点では前年比2.2%の減少としていたが、大幅に下方修正した。08年の実績も前年比2.5%増と予想していたのが実際は2.8%減と、7年ぶりの前年割れとなった。
 09年の日本市場の出荷額は3兆2407億円と08年の5兆277億円から大きく後退、1998年(3兆3800億円)の水準に戻る見込み。電機メーカーなどの在庫調整が遅れたためとみられ、今年1~3月の出荷額実績も前年同期比47%減となった。



JCB、中国でクレジットカード発行拡大
 ジェーシービー(JCB)は中国でクレジットカードの発行を拡大する。中国の平安銀行と組んで1日から同社ブランドのカードの発行を始めたほか、航空大手の東方航空とも月内に提携カードを出す。国内は消費不況が続いているが、中国の個人消費は底堅いと判断。2010年末までに現在の2倍にあたる415万枚の発行を目指す。
 JCBは05年から中国でカードの発行を始め、すでに中国銀行や上海銀行など6行と提携している。中国をアジア戦略の柱と位置づけ、地元金融機関などとの提携を加速する。日本と同様、マイレージ特典が付く航空系カードもそろえて新規顧客を開拓する。



任天堂・ソニー・マイクロソフト、「体感ゲーム」そろって強化
 【ロサンゼルス=田中暁人】米ロサンゼルスで2日開幕したゲーム見本市「E3」で、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)と米マイクロソフト(MS)が、実際に体を動かしてゲームを楽しむ「体感ゲーム」に本格参入すると表明した。この分野で先行した任天堂も機能を強化する。携帯電話やパソコンなどとの競合が強まる中で、3社はゲーム機ならではの使い方を提案。新たなユーザーを開拓していく考えだ。
 専用コントローラーのわずかな動きをデジタルカメラで追い、高い画像処理能力を持つ「プレイステーション(PS)3」で瞬時に解析。ゲーム利用者の腕の振りと全く同じ動作で画面内のゲームキャラクターが剣を振り下ろして敵を倒す――。SCEが2日開催した発表会。数千の聴衆が一番わいたのは、PS3用の新しい操作機器「モーション・コントローラー」のデモだった。



ゲーム業界の大地殻変動 「Xbox360」が「Wii」を抜く日(COLUMN)
ソニーのゲーム機「プレイステーション(PS)」の看板ソフトが、マイクロソフトのゲーム機「Xbox360」に続々と参入している。世界最大のゲーム展示会「E3」では、全世界で3000万本近く売れている「メタルギアソリッド(MGS)」最新作が「Xbox360」用ゲームとして北米、欧州で発売すると発表された。ゲームソフトメーカーが戦略を変えたためと見られるが、こうしたゲーム業界の地殻変動により、家庭用ゲームは任天堂とマイクロソフトの時代になろうとしている。
「メタルギアソリッド」最新作は「Xbox360」
米国ロサンゼルスで開催されている「E3」の舞台で、コナミの大人気ゲーム「MGS」の小島秀夫監督が2009年6月2日、「MGS」の最新作「メタルギアソリッド ライジング」を「Xbox360」用ゲームとして北米、欧州で発売すると発表した。「MGS」はソニーの「PS」から生まれた大ヒットシリーズ。それだけに会場は驚きの渦に包まれた。
「PS」限定だったはずの大人気ゲームシリーズが「Xbox360」に流れる動きが急になっている。09年3月にはカプコンが全世界に4000万本出荷したシリーズ最新作「バイオハザード5」が、「PS3」用、「Xbox360」用に同時発売された。これまでは「Xbox360」用には発売されていなかった。
シリーズで8500万本以上売れているスクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジー(FF)」の最新作「FF13」は09年冬に発売予定だが、「PS3」用だけでなく、北米、欧州で初めて「Xbox360」用が発売される。また、2010年に発売されるオンラインゲーム「FF14」は「PS3」用のほか、マイクロソフトの「Windows」用も開発すると発表されていて、同じ会社だけに「Xbox360」と何らかの連携があるのではないかと囁かれている。
「PS」から生まれた人気シリーズが「Xbox360」に登場していることについてマイクロソフトは、
「ユーザーの方々に満足頂けるラインナップを揃えるのが自分達の使命、という考えでソフトの充実を進めてきた」
と今後のXbox360の展開について自信を深めている。一方のソニー・コンピュータエンタテインメントは、
「ソフトをどのゲーム機で出すかはメーカーさんの戦略ですので、メーカーさんにお聞きになってください」(同社広報)
としている。
売れているゲーム機にソフトが供給されていく
かつては任天堂の1社支配だった全世界の家庭用ゲーム市場だが、90年代後半から「PS」が台頭し、00年に発売された「PS2」でソニーは世界を席巻する。任天堂との世代交代とも言われたが、06年に発売した「PS3」の売上げが伸びなかった。ソニーの09年3月期決算では、ゲーム部門の売上高は18%減の1兆531億円。営業損益は585億円の赤字だった。最近発表されたゲーム機各社の全世界販売台数を比較してみると、任天堂「Wii」が約5000万台。「Xbox360」が約3000万台。「PS3」は2270万台と2社に大きく水を開けられている。
ゲームに詳しいジャーナリストは、「PS3」と「Xbox360」は高機能、ネット展開など戦略が共通しているだけに、より強いゲーム機の方に人気ゲームソフトが流れていくのは当然のことだ、と指摘する。また、日本はゲーム大国と言われているものの、実際は海外のゲームメーカーの力が強大になり、日本のゲームソフトが伸び悩んでいるのが実情だ。そうした中で、日本のゲームソフトメーカーも巻き返しを図るため、海外販売を強化している。それには、
「『PS3』よりも売れている『Xbox360』組んだ方が当然有利なわけです。有力ソフトが集まるため『Xbox360』はさらに強くなるでしょうし、いつかは『Wii』を抜くかもしれません」
と話している。
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