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経営者のコメントでみる 携帯3社の4-6月期決算(COLUMN1)
 先週、携帯電話大手3社の2009年4-6月期決算が出そろった。記者会見でのトップの表情やコメントは必ずしも業績に一致しないこともあり興味深い。
 意外なほど表情が明るかったのはNTTドコモの山田隆持社長だ。減収減益決算だったが「前年同期が特殊要因でよすぎた。2010年3月期通期の計画に対しての進捗率は順調」と余裕だった。6月の契約純増数で首位のソフトバンクに迫るなど夏モデルの販売に手ごたえを感じていたようだ。
 逆にKDDIの小野寺正社長は増益を確保したが、慎重な姿勢が目立った。携帯電話の端末販売台数が前年同期に比べ2割減り、全体でも減収になったことが影響しているようだ。夏モデルについては「評価いただいている」と語ったが、契約純増シェアで苦戦していることに話が及ぶと「それなりに戦っている」と述べるにとどまり、今後の巻き返しに向けての強気のコメントはなかった。
 ソフトバンクの孫正義社長は好決算そのままの勢いを見せた。「携帯3社で増収増益だったのは1社だけ」と図で示し「CMでブランド力が向上している」と胸を張った。「iPhone」の普及にも自信を深めたようで「ホワイトカラーならiPhoneを使うべき」と言い切り、出席者に新しいテレビCMを公開するなど従来路線の継続をアピールした。
 4-6月期は年間計画からみればまだ序盤戦で、これからも激しいつばぜり合いが続く。2010年3月期が終わったときに一番の笑顔を見せているのは誰だろう。



ニコ動モバイル版“自立”への道 ニコ生、ドコモ携帯に本格対応
 ドワンゴが、「ニコニコ動画モバイル」の機能拡充を進めている。8月3日からNTTドコモ端末向けに、ライブ配信「ニコニコ生放送」(ニコ生)で、コメントを入力できる機能などを追加した。ニコニコ動画(ニコ動)が広く一般層にも浸透するためには、モバイル版の機能を充実させ、“自立”させることがキーになると、同社の齋藤光二 ニコニコ事業本部副本部長は話す。
 ニコニコ動画モバイルは、PC向けニコ動サービスの一部を携帯電話からでも使えるサービスとして2007年5月にスタート。当初は「PC版の“シャドウ”で補助的な位置付け。開発もPC版が優先で、モバイル版は後回しになっていた」という。だがPC版がネットユーザーに知れ渡った今、モバイル版のユーザー数拡大が急務になっている。
 「『ニコニコ動画』という名を知っていても、PCを持っていない人も少なくないだろう」――携帯電話でしかネットを使わないような層の取り込みは、ニコ動の一般化に不可欠。「学生なら、部活の合間やバスの待ち時間などに、友人に動画を見せるといったふうにして、口コミが広がる」ため、口コミでニコ動を広げていくためにも重要だ。
 7月末のモバイル版会員(携帯電話のメールアドレスでニコ動の利用登録をしている人)は約389万人で、ニコ動総会員数(約1340万人)の3分の1以上を占めているが、今後モバイル版の機能を拡充。モバイル版単体でも利用できるサービスに進化させ、会員数をさらに増やしていく計画だ。
 モバイル版“自立”に向けた地固めも行ってきた。昨年10月から、モバイル版の企画・開発チームを増員し、約20人の体制に。NTTドコモに続き、ソフトバンクモバイルとau(KDDI)でも公式サイト化し、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)の認定を受けた。
 機能拡充も急ピッチで進めている。3キャリアの中でデータの転送量制限が最も緩いドコモ端末で先行して、6月から「ニコ生」配信を、プレミアム会員限定でスタート。8月3日からはニコ生にコメントを入れられるようにしたほか、無料会員がニコ生を1日当たり3分だけ“チラ見”できる機能も付けた。「マイメニュー課金」にも対応し、プレミアム会費(月額525円)を携帯利用料と一緒に支払えるようにした。
 モバイル版は今後、PCから機能を移植するだけでなく、独自の機能も増やしていく計画だ。「モバイル版単体の力を付け、動画を元にコミュニケーションするサービスとして拡大・自立させ、単体でもプレミアムに加入してもらえる魅力を付けていきたい」と、齋藤副本部長は意気込む。モバイルサービスは一般的に、PCより小口支払いへのハードルが低いため、プレミアム料金の支払いインフラとしても期待しているようだ。



アメブロ、PC&モバイルのアクセスが月100億PV突破
 サイバーエージェントは、ブログサービス「Ameba」の7月の月間アクセス数がPCとモバイルの総計で100億PVを突破したと発表した。
 100億PVを超えたのは、ameblo.jpとameba.jpドメインの重複を除いた合算値。2008年7月時点では月間50.6億PVだったが、1年間で月間PVが倍増した。
 「Ameba」は、5000名を越える著名人ブログを中心に人気を集めており、会員数は589万人、パソコンからの月間利用者数は1,989万人。7月後半からは若年層の夏休み期間突入もあり、1日あたりのPV数は伸び続けているという。



J-CASTニュース3周年 会員サービス開始
インターネットのニュースメディア「J-CASTニュース」は2009年8月3日、サイト開設3周年を記念して、オンラインショップの割引クーポンやプレゼント商品を提供する会員向けサービスを始めた。無料登録の会員になると、新設コーナー「もっと!J-CAST」にアクセスして会員限定のサービスが利用できるほか、ニュース情報が掲載されたメールマガジンを、パソコンや携帯電話で購読できる。
J-CASTニュースは06年7月26日、独立系のニュースサイトとしてスタートした。従来のマスメディアとは違う独自の視点で、ビジネスやメディア、芸能などさまざまな話題について記事を掲載し、ヤフーを始めとする大手ポータルサイトや夕刊フジ、東京FMといった既存メディアにニュースを配信している。自社サイトの月間ページビューは約4000万で、月間ユニークユーザー(訪問者数)は約500万人。



EZ着うたフルの累計ダウンロード数が3億突破、9割が有料課金
 KDDI、沖縄セルラーは、au携帯電話およびパソコン向け音楽配信サイト「LISMO Music Store」における着うたフルの累計ダウンロード数が8月1日付けで3億曲を突破したことを明らかにした。
 着うたフルは、楽曲を1曲丸ごとダウンロードできる音楽サービス。曲の一部は着信音にも設定できる。2004年11月に提供が開始され、EZweb向け着うたフルの対応サイトは205サイト(7月31日時点)、約300万曲に規模を拡大している。
 auでは、2007年2月に1億ダウンロード、2008年5月に2億ダウンロードを突破、今回3億ダウンロードを超えた。3億ダウンロードのうち、有料ダウンロードは約90%となる。



ブルーレイの25倍!次世代ディスク開発へ
 日立製作所、三菱化学などが、高画質DVD規格「ブルーレイディスク(BD)」の25倍以上の記憶容量を持つ次世代光ディスクを開発し、2012年の実用化を目指すことが3日、明らかになった。
 記憶容量は1テラ・バイト(1テラは1000ギガ)を上回る。企業などが大量の情報を集中管理する「クラウド・コンピューティング」を支える技術として期待され、消費電力も抑えることができるという。
 次世代光ディスクは、特殊なレーザー光線で立体画像を記録・再生する「ホログラム技術」を応用する。ディスクの表面だけでなく全体にデータを記録するので容量を大幅に増やすことができる。
 共同開発には、日立と三菱化学の各グループ会社のほか、東京理科大なども加わる。7月末に税制面での優遇が受けられる技術研究組合を共同設立しており、実用化までの約3年間で、計約100億円を投資する。



エディオン、傘下2社を統合 10月 デオデオとミドリ電化
 家電量販2位のエディオンは3日、傘下の事業子会社2社を統合する方針を決めた。10月に中・四国が地盤のデオデオ(広島県廿日市市)と関西地盤のミドリ電化(兵庫県尼崎市)が合併する。消費不振と競争激化が続いていることから、子会社を集約して管理コストを削減、営業面でも一体的な販促策を講じて収益力を高める。
 エディオンは持ち株会社としてデオデオと中部地盤のエイデン(名古屋市)を母体に、ミドリ電化や北陸地盤のサンキュー(福井市)を傘下に収めてきた。2005年4月に買収したミドリ電化は不採算店の閉鎖などにメドがついたため、デオデオと統合する。約80あるミドリ電化の店舗は従来通りの店名で運営する。



会計基準委、高リスク資産に開示義務 来期にも
 上場企業の会計基準作りを手掛ける企業会計基準委員会は、金融機関などが保有する高リスク金融商品の開示を強化する。実勢価格の把握しやすさに応じて金融商品を3段階に分類するのが柱で、決算書に内訳や残高の掲載を義務付ける。財務の透明性を向上し、金融危機で時価評価が困難な証券化商品を抱えた金融機関などの信頼性向上につなげる考え。2011年3月期の適用を目指す。
 市場で売却しにくく価格下落リスクのある金融商品を金融機関や事業会社がどの程度抱えているかを、投資家や預金者、取引関係者らが把握しやすくする。現在は「売買目的」「満期保有」など保有目的に応じて財務諸表に計上しているが、これとは別に財務諸表の補足情報として掲載する。



「フロッピー」は退場目前 FDD主要メーカー「撤退」へ(COLUMN2)
フロッピーディスクドライブ(FDD)の主要メーカーが、生産撤退に向けて動き始めた。大容量のUSBメモリなどに押されて、市場規模が30分の1に縮小しているからだ。ディスクについてもメーカー各社が販売をやめ、「フロッピー」は退場目前だ。ただ、財務関係など古いデータをフロッピーに保存している会社もあり、波紋が広がっている。
FDD生産のピークは2000年度
ティアックの2008年度FDD出荷台数は245万台。近年は前年比20%減のペースで減っていて、生産をやめる方向でPCメーカーなど法人顧客と協議している。時期については、一部で「2010年4月に生産を終了する」と報じられているが、ティアック広報担当者は「顧客のニーズと市場の動きをみて、これから決める」と答えている。
ワイ・イー・データも供給先と協議に入った。時期は未定。ソニーも2010年3月まで生産が決まっているが、それ以降は未定だ。
調査会社によると、FDD生産のピークは2000年度で、台数ベースの市場規模は1億5616万8000台だった。しかし09年度の出荷見込み台数は541万台とおよそ30分の1に激減している。
FDDはPCに搭載されることが少なくなり、外付けタイプがほとんどだ。サプライヤーから製造を請け負っていることが多い。
主に法人向けに販売しているIOデータの広報担当者は、
「USBメモリは使わず、財務関係のデータなどはフロッピーディスクで保存している会社もあります。FDDがなくなればデータが見られなくなるので、可能な限りお客さまに提供できるよう、現在調整を進めています」
と、やや困惑している。
ここ数年は法人客に安定して売れていた
大手量販店で販売しているバッファローではピーク時より激減したが、ここ数年は法人客に安定して売れていて出荷台数は年間10万台だ。
「3社で国内外のシェアのほとんどを占めていますので、撤退後は販売できなくなります。当社では2010年春の出荷分で最後になる予定で、取り扱い店舗に順次お知らせしてきます」
といっている。
フロッピーディスクそのものも、すでにほとんどのメーカーが販売をやめている。三菱化学メディアは、原料である磁気ディスクの生産終了を理由に09年3月末で終了。日立マクセルも同月で終えている。
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ソニー、サムスン、そしてアップル(朝鮮日報COLUMN)
 1990年、香港特派員として赴任したときのことだ。現地で用意しなければならない家電製品のリストがあるが、香港に住む韓国人たちはこれを「族譜」(一族の系譜)と呼んでいた。「族譜」にはソニーのテレビ「トリニトロン」、ナショナル(現パナソニック)のビデオ、ソニーのビデオカメラ、ニコンのカメラ、米ワールプールの冷蔵庫といった家電製品が載っていたのを覚えている。中でもソニーのテレビの評価が高かった。普通の家庭の居間にはたいてい、ソニーのテレビがあった。一方、サムスンやLGのテレビは、香港の店では隅の方に置かれ、探すのが大変だった。
 あれから20年もたたないうちに、「族譜」は大きく変わった。デジタルテレビはサムスンとLGが1、2位を占め、携帯電話もサムスン電子のAnycallなど、韓国製品が多く掲載されている。技術革新の象徴だった「ソニー王国」が韓国製品に押されたことは、大きな衝撃を与えた。
 ソニーの技術革新には、常に「世界初」「日本初」という修飾語が付いて回った。第2次大戦直後の1946年、「東京通信工業」として発足したソニーは、日本で初めてテープレコーダーやトランジスタラジオを開発した。79年には携帯型ステレオカセットプレーヤー「ウォークマン」を発売し、世界的にブームを巻き起こした。また、世界で初めてCDプレーヤーを開発し、さらに94年には新たな概念の家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)」を世に送り出した。
 だが、天下無敵のように思えたソニーが、2008年会計年度(08年4月-09年3月)には2900億円の赤字を計上し、今年初めには約1万6000人もの人員を削減する大掛かりな構造調整を断行せざるを得ないほどの苦境に立たされた。一方、ソニーがライバルという意識も持っていなかったサムスンは、今年第2四半期(4-6月)には32兆ウォン(約2兆4300億円)の売り上げを記録し、営業利益は2兆5000億ウォン(約1900億円)にも達した。
 ソニーがこれほどまでに落ちぶれてしまった原因は、一言で言えば「自信過剰」だ。ソニーは技術に関しては、ほかのどのメーカーよりも自信があった。そして消費者たちは、最も優れたソニーの技術で作られた製品を必ず買うものと判断した。その代表的な例として、家庭用ビデオ市場で「ベータマックス」という独自の規格にこだわり、のけ者にされてしまったことが挙げられる。ライバルのメーカーは「ベータ」に見向きもせず、VHS方式のビデオデッキを発売した。消費者もコンテンツが豊富なVHSを選ぶようになり、ソニーはビデオ市場から撤退するという憂き目を見た。
 世界初の携帯型ステレオカセットプレーヤー「ウォークマン」の市場でも、似たような道をたどった。カセットプレーヤー、CDプレーヤーの成功で自信をつけたソニーは、「ミニディスク(MD)」プレーヤーをカセットテープに代わる記録媒体として発売した。世界一のCD技術を持つソニーは、MDもCDと同じように世界を席巻すると考え、総力を傾けた。だが、ソニー以外のメーカーは、半導体を利用して音声を圧縮する「MP3」に力を入れた。結局、携帯用音楽機器の市場も、米アップル社が発売した「iPod」に取って代わられた。
 アップル社はソニーとは違う手段を選んだ。ソニーは技術がいかに優れているかを強調し、CDに数十万もの曲を保存できることをアピールしたが、アップル社はインターネット上で提供される音楽を簡単にダウンロードできる「iPod」の互換性を強調した。また、アップル社は「iPod」や次世代型携帯電話「iPhone」を自社で生産するのではなく、台湾のメーカーに委託して生産するという方式を選んだ。
 デジタル家電製品の進化のスピードは、ソニーの予想よりも早いものだった。ソニーだけが作ることができた製品は今や消滅した。誰かが新しいアイデアを生み出し、それを誰かが模倣することによって、急速に世界へ広がるようになった。一人で何もかも開発できるという閉鎖的な考え方も崩れ去っている。
 最近、サムスン電子とLG電子は、世界的な不況の中にあって好成績を挙げているというニュースがあった。業績が好調なときには、さらに精進し向上を目指さねばならない。1位に返り咲くまでに数十年かかったとしても、3-4位に転落するのは一瞬の出来事だ。



世界のネット人口、13年に22億人へ 米民間予測
 【ニューヨーク=清水石珠実】2013年には世界のインターネット人口は22億人に――。米調査会社フォレスター・リサーチは、08年で約15億人のネット人口が5年間で1.5倍に増える見通しを明らかにした。成長をけん引するのは中国やインドなどアジアの新興国で、年率10~20%のペースでネット利用者が増加しそうだ。
 一方、米国や日本、西欧諸国の成長率は1~3%にとどまる。昨年までネット人口の首位は米国だったが、今年中には中国に交代する見通しだ。13年の中国のネット人口は3億7710万人で、世界のネット人口の17%を占める存在に成長する。



宝くじ売上高、3年連続で減少 08年度、1兆419億円
 全国の地方自治体が発行する宝くじの販売が低迷している。2008年度の売上高は前年度比0.2%減の1兆419億円となり、3年連続で減少した。宝くじの販売は景気動向に左右されにくいといわれてきたが、購買層の高齢化などが押し下げ要因になっているようだ。
 宝くじは都道府県と政令指定都市が総務省の許可を得て発売する。売上高の5割弱が当選金、1割強が販売費用となり、これらを差し引いた約4割が自治体の収入となる。



中国「エネルギー効率が改善」 1~6月、消費量3.35%減少
 【北京=品田卓】中国政府は2日、エネルギー効率が今年上期(1~6月期)に大幅に改善したと発表した。国内総生産(GDP)を一定額産み出すのに使うエネルギー消費量が前年同期比で3.35%減少した。昨年上期は2.88%減だった。中国政府は省エネ政策をさらに強め、新興国としても地球温暖化対策を推進する姿勢を示す考えだ。
 国家発展改革委員会が公表した。エネルギー効率と同時に、酸性雨を引き起こすとされる二酸化硫黄ガスの排出量は、今年上期に5%減ったもようだと公表した。
 中国政府は2006年にエネルギー効率を10年までに06年比で20%改善する目標を立てている。13年以降の温暖化対策の国際枠組み(ポスト京都議定書)交渉をにらみ、10年以上の期間を想定した長期の改善目標を打ち出す検討に入っている。中国政府は、今回公表した単位当たりのエネルギー消費量の変化を今後も重視する考えだ。



新興国の株価、急回復 中東・東南アも上昇基調、BRICs先導
 新興国・地域の株価が昨年9月のリーマン・ショック前の水準を相次いで回復している。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に続き、中東や東南アジアなどの比較的規模が小さい市場の株価も上昇基調を強めている。新興国経済の回復への期待が背景にあり、米欧の機関投資家や中東資金などが投資に動いているようだ。ただ企業業績の裏付けは乏しく、相場過熱への警戒感も強まっている。
 新興国・地域の株高を先導したのはBRICs。昨年11月に底入れした上海総合指数は今年2月に米リーマン・ブラザーズ破綻前の水準を超え5月にはインドやブラジルが続いた。ロシアではMICEX指数が6月初めに一時的に超えた。



アフリカ経済、2010年は4.5%成長見通し 回復軌道に
 【ロンドン=岐部秀光】アフリカ開発銀行が発表した「アフリカ経済見通し」によると、アフリカ47カ国の2009年の国内総生産(GDP)伸び率は過去10年の平均のおよそ半分の2.8%に落ち込むが、10年には4.5%まで回復する見込みとなった。金融危機のアフリカ経済への打撃は先進国に比べれば軽いとみている。
 報告は「携帯電話など情報技術の浸透は先進国に比べ各国でなお遅れているが、コスト削減などビジネス環境の大幅な改善につながっている」と指摘。アフリカが成長センターとしてなお有望であるとの見方を示した。
 金融市場の整備が遅れているアフリカは国際的な信用収縮の直接の打撃を免れたが、農産品などの輸出先である先進国の需要減退や商品価格の下落が響いた。ただ中国、インドなど新興国向けの輸出が有望なうえ、過去10年の経済改革の効果で危機への対応力も高まっているという。



米、経済政策に明暗 新車購入支援は応募殺到で拡充検討
 発足から6カ月が経過したオバマ米政権で個別の経済政策の成否に明暗が出てきた。新車販売増を狙った自動車の買い替え支援制度は申し込みが殺到。支援枠を3倍に拡充する方向だ。一方、住宅ローンの返済条件の緩和などを支援する制度は利用が低調。経済政策の焦点は、制度の改廃などに移りつつある。
 7月開始の新車購入支援制度では、古い低燃費車を処分し燃費の良い新車を購入すると最大4500ドルの補助金を受給できる。政府は11月までに25万台程度の買い替えを支援する見通しだったが応募殺到で財源の10億ドルをほぼ使い切った。



【産経主張】少子化公約 財源と公平性に説得力を

 深刻化する少子化に歯止めをかけられるのか。衆院選マニフェスト(政権公約)では、自民、民主両党ともに子育て支援を中心施策に掲げた。
 日本は世界で最も少子高齢化が進んだ国だ。このままでは国家の基盤が揺らぎかねない。少子化対策は短期間には政策効果が測りづらく、後回しにされがちだった。両党が子供や若者向け施策に重点を置いたことは評価したい。
 両党とも大盤振る舞いの政策が並んだ。自民党は幼児教育の無償化や高校・大学生向け給付型奨学金を打ち出した。一方、民主党は「子ども手当」の創設や出産一時金の55万円への増額、高校授業料の実質無償化も盛り込んだ。
 中でも「子ども手当」は、中学生まで一律に月額2万6000円を支給するという内容だ。子供が3人なら年額90万円を超す。国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査(平成17年)では、夫婦が理想の子供数を持たない理由は「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が65・9%で断トツに多い。子育て世帯にとっては魅力的に映る政策であろう。
 働き方の見直しや保育所整備などを中心に行ってきた政府の対策は効果がなかなか上がらず、「ツーリトル・ツーレイト(少なすぎ遅すぎ)」と批判されることが多かった。出生率が1・3台と極めて低い水準まで落ち込んだ現状も考え合わせると、これら現金給付政策を頭ごなしに「バラマキ」と批判するわけにはいくまい。
 だが、問題は財源だ。「子ども手当」は年に5・3兆円をも要する。高齢化で社会保障費が伸び続ける中で、永続的に捻出(ねんしゅつ)できるのかは疑問だ。民主党は予算のムダの見直しや所得税の配偶者控除の廃止などで財源を確保するとしているが、支給対象の子供がいない65歳未満の専業主婦がいる納税世帯にとっては負担増となる。
 「社会全体で子育て支援すると理解していただきたい」との説明も、所得制限なしに高所得者も手当を受け取るのでは理解は得られまい。「社会全体」というのなら消費税のほうが公平だろう。
 少子化対策は個々にニーズも違い、特効薬はない。各施策のバランスも重要だ。各党には、少子化の原因を表面的にとらえただけの弥縫(びほう)策を提示するのではなく、本格的な人口減少時代にどう対応するのか、国家像を示しての論戦を期待したい。
マイクロソフトとヤフー、提携成功に酔えないこの先の試練<COLUMN>
 米国時間7月29日、マイクロソフトとヤフーは検索エンジンおよび検索広告における提携を発表した。ヤフーにとっては、テリー・セメル元CEOに始まり、現在のキャロル・バーツCEOまで3代に及ぶマイクロソフトとの買収交渉劇が、検索エンジン分野の提携という形で決着を見たことになる。果たして今回の提携は両社に成功をもたらすのか。■2社の弱点を補強する提携
 まず、提携の骨子を簡単にまとめておこう。
・契約期間は10年間
・マイクロソフトの検索エンジン「Bing」はヤフーが提供する検索サービスの主要アルゴリズムとして採用され、ヤフーに有料で提供される。また、既存のヤフー検索エンジン技術をマイクロソフトはBingに採用することができる
・広告主が検索広告の出稿に利用するプラットフォームにはマイクロソフトの「AdCenter」を採用する。ヤフーは全世界で両社のプレミアムサーチ広告の独占的営業権を得る
・ディスプレー広告については今回の契約に含めず、両社は独自にビジネスを進める
・マイクロソフトの技術を使う検索サービスも含め、ヤフーはユーザーに提供するサービスの所有権を保持する
・ヤフーとマイクロソフトはレベニューシェアをおこない、ヤフーのサイトで配信した広告に関して最初の5年間はヤフーが88%を得る
・ヤフーは「サーチ・アフィリエーション・パートナーシップ」を継続する。
・ヤフーとマイクロソフトは、2010年早々と見込んでいる政府機関による提携承認後、全世界で統合作業が完了するまでに最長24カ月かかると予想している。ヤフーは提携により2億ドルの設備投資費を削減でき、年間の営業利益を5億ドル押し上げると期待している
・提携では個人情報の保護を行い、両社による個人情報の共有は最小限にとどめる(マイクロソフト、ヤフーのプレスリリースより)
 この発表を見ればわかる通り、提携はマイクロソフトとヤフーが両社の弱点を補強する内容になっている。米国のメディアやアナリストの多くは、提携内容について好意的な論調を示しており、両社にとって大きなメリットが期待できるだろう。
■ヤフーに配慮したマイクロソフト
 とはいえ過去の経緯を考えると、ヤフーに対してマイクロソフトがやや多めに譲歩したとの見方もできる。マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOは、約2年に渡ってヤフーを買収しようと追い続けた。長期低迷に悩むヤフーがこの買収交渉によって疲弊し、投資家からの信頼を失っていったことは承知のとおりだ。マイクロソフトのおかげで、ヤフーの将来は不透明感を増す一方、検索広告でグーグルの独走を招いた。
 発表文にある「提携は検索エンジン分野だけに限定し、レベニューシェアでは大半をヤフーが受け取る」「ヤフーの資産や既存事業については、その独自性を確保する」といった文面は、過去の経緯から見るとヤフーへ悪影響を最小限に抑えようとする配慮がにじんでいる。
 一方、マイクロソフトも「検索エンジン広告を軌道に乗せることだけを狙う」というほど、追い詰められた状況だ。グーグルは米国の広告検索市場約100億ドル(推定)の約7割を押さえる。この巨大な広告収入を背景に、次々と無料のネットアプリケーションを投入し、マイクロソフトの「ウィンドウズ・オフィス王国」を侵食してきた。
 マイクロソフトにとっても「広告アルゴリズム、広告営業プラットフォームをマイクロソフト側で確保する」一方で、苦手の「広告営業でヤフーの力を得る」という今回の協力関係は大きな利点となるだろう。また、売り上げの大半をヤフーに渡す代わりに、アップフロント・フィー(前払い保証金)を避けたことも賢い。
 両社にメリットがある提携内容だが、発表後マイクロソフトの株価は上昇し、ヤフーは若干下落した。この皮肉な結果を受け、マイクロソフトのバルマーCEOは投資家向け説明会でヤフー擁護の発言を繰り返している。
■評価が高まったヤフーのバーツCEO
 今回の提携にこぎ着けたことで、ヤフーのバーツCEOの評価は高まった。オートデスク元CEOだった彼女は、09年1月にヤフーのCEOに就任するとすぐにマイクロソフトとの提携交渉を開始する一方、各事業の見直しに入った。同社の現状を鋭く直視し、過去のしがらみに振り回されることなく、不採算部門の整理による財務体質の強化と基本戦略の練り直しを進めた。
 その間、バーツ氏とCEOの座を争ったスーザン・デッカー氏(元社長)マルコ・ボーリス氏(モバイル部門上席副社長)、ブラック・ジョージェンセン氏(元CFO)など、これまでヤフーを支えてきた経営幹部が次々と辞め、バーツ氏の激しい社内改革はネット業界でも注目を浴びた。
 従来、経営戦略の軸となっていたモバイル事業やオンラインコンテンツ事業に容赦ないメスを入れたその豪腕ぶりは、混乱も招いた。たとえば、経費がかかる携帯コンテンツ開発ツールの開発を棚上げにしたため、モバイル関連のデベロッパーに混乱が広がった。
 オンラインコンテンツでは、08年に1億6000万ドルで買収したオンライン・ビデオ・サービスのMaven Networksを閉鎖することを7月始めに明らかにした。同社はCBSやCBS Sportsなど30以上のメディア大手のオンラインコンテンツを管理していたが、閉鎖後は契約を終了する。この決定は、バーツCEOが「ビデオサービスは重要な分野」と発言してから1カ月も経たずに行われ、周辺に驚きが広がった。
■従来路線に回帰するヤフー
 こうした一連の改革を見ると、バーツCEOはヤフーを伝統的な戦略に回帰させているようだ。変化の激しいネット業界において、ヤフーは先端技術開発の内製化には力を入れず、新しいサービスや技術を買収や提携によって常に補強してきた。
 検索エンジンはその典型的な例だ。たとえば1998年、ヤフーはインクトミと検索エンジンの提携契約を結んだ。当時、アルタビスタとインクトミの激しい契約獲得競争はメディアで大きく取り上げられた。その2年後にヤフーはインクトミを捨て、急速に力をつけたグーグルを検索エンジンに採用する。その後、検索広告でグーグルと対立したヤフーはオーバーチュアを買収し、グーグルとの提携契約を解消した。それまで、検索エンジンの内製化には関心がなかった。マイクロソフトとの提携は、その従来路線に戻ったことになる。
 また、携帯コンテンツ開発ツール戦略の見直しも、技術内製化に距離を置く従来の方針から見ると納得できる。「iPhone」が切り開いたモバイルアプリケーション分野で、アップルと正面から競争してもヤフーが勝利するのは容易ではない。
 このようにバーツCEOは基本戦略に立ち戻り、ヤフー最大の資産であるウェブ事業の立て直しを進めようとしている。今回の提携はその意味で大きな重みを持つ。
 ただ、事業立て直しのためにマイクロソフトと提携するという選択は、この業界では珍しくない。たとえば、アップルに返り咲いた後、スティーブ・ジョブスCEOはマイクロソフトと提携し、アップル向けのオフィスソフトを確保した。また、独占禁止法裁判でマイクロソフトを激しく攻撃したサン・マイクロシステムズも、事業再建のため提携契約を結んでいる。
 こうして一時的に手を取りあっても、各社は最終的にはマイクロソフトと袂を分かち、独自路線を歩んでいる。ヤフーも10年の長期契約とはいえ、マイクロソフトと友好関係を続けるかどうかはわからない。
■マイクロソフトの反撃が始まるか
 「Windows Vista(ビスタ)」の不振や「Windows Mobile」の迷走など、ここ数年マイクロソフト社内には閉塞感が漂っていた。ビル・ゲイツ氏が引退し、重責を担うバルマーCEOにとって、今回の提携は大きな朗報だ。株式市場も提携に好感を示した。
 次世代のアプリケーション業界、特にマイクロソフトが得意とする個人生産性ツールの分野では、ネットアプリケーションへの移行が欠かせない。グーグルが広告による無料化を進める以上、マイクロソフトも広告依存モデルに切り替える必要がある。今回の提携は個人生産性ツールの分野でマイクロソフトが反撃するきっかけとなるかもしれない。
 ただ、マイクロソフトの全社戦略から見ると、ヤフーとの提携は建て直しへの「最初の一歩」に過ぎないだろう。同社にとって競争相手はグーグルだけではない。企業向けの基幹システム分野ではIBMやヒューレット・パッカード(HP)、オラクルなどと戦わなければならない。バルマーCEOが提携成功に酔っている暇はない。
 なお、マイクロソフトに有利と評価した証券市場とは対照的に、広告業界ではヤフーへの支持が広がっている。グーグルの独占による広告価格の上昇やサービスの停滞などが懸念されていたためだ。
◇ ◇ ◇
 今回、両社はあからさまにグーグルへの対抗姿勢を表明した。グーグルとマイクロソフトの間で揺れ動いていたヤフーは、ようやく旗幟を鮮明にした。とはいえ、提携によってマイクロソフト・ヤフー陣営がグーグルを楽にキャッチアップできるわけではない。今回の提携はグーグルに負けている部分を埋め合わせる内容で、グーグルを超えるサービスやツールをマイクロソフト・ヤフー陣営がすぐに生み出してくるとは思えない。
 残念ながら、シリコンバレーを見渡しても、グーグルほど次世代のネットについてはっきりしたビジョンを持つ企業はない。提携発表後も、マイクロソフトやヤフーに対する厳しい視線は続いている。



IMF債発行 ドルの代替にはほど遠い(8月2日付・読売社説)
 国際通貨基金(IMF)が初めて債券を発行し、資金調達する。加盟国の融資に頼ってきたIMFには新たな一歩だ。
 この債券は、IMFが40年前にドルや金に準ずる通貨を目指して創設したSDR(特別引き出し権)建てである。
 SDRはドル、円などの加重平均で算出される合成通貨だが、ほとんど普及せず、計算単位にとどまっている。SDR金利は約0・3%で、IMF債の利息もこれに基づく低利となる見込みだ。
 そうした事情にもかかわらず、中国が500億ドル、ロシアとブラジルが各100億ドル購入する予定で、インドも検討中だ。
 BRICsがそろって大量購入するのは、SDRの基軸通貨化を期待してのことだろう。
 とくに熱心なのが中国だ。中国人民銀行の総裁は3月発表した論文で、SDRをドルに代わる通貨に育てる構想を表明した。
 外貨準備高が2兆ドルを超え、米国債の最大の保有国である中国にとって、ドルが急落すれば、資産が目減りしてしまう。資産運用の多様化は急務となっている。
 中国は米中戦略・経済対話で、ドル下落に対する懸念を表明した。SDR建てのIMF債購入は、ドルへの依存を減らしたい中国の意向に合致するといえよう。
 ロシア、ブラジルが同調した背景にも、新興国が結束してドルを牽制(けんせい)し、IMFなどでの発言力を高める狙いがうかがえる。
 しかし、SDRがただちに、ドルに代わる基軸通貨になると考えるのは非現実的だ。ユーロもまだ力不足で、ドルに代わる基軸通貨は見当たらない。ドル体制は当面、揺るがないとみられる。
 基軸通貨になる条件は、国際的な流動性があり、貿易などで幅広く利用されることだ。
 だが、IMF債の取引は、加盟国の政府や中央銀行などの公的部門に限定され、民間市場には流通しない。まず、SDRの用途の拡大や、SDR債の市場を育成することが課題となる。
 一方、SDR債の発行は、IMFの資金基盤の充実と、調達の手法を多様化する効果がある。
 IMFの機能を強化する一環として、融資枠を3倍に拡充する方針を盛り込んだ4月の金融サミットの合意にも沿う。
 昨秋以来の金融危機では、ウクライナなどがIMFの支援で救済された。危機は最悪期を脱したとされるが、迅速に対応するIMFの役割は重要だ。資金基盤の強化をさらに急ぐ必要があろう。
グーグル共同創業者が語るOS開発の狙い、独占批判への回答
 米グーグル共同創業者のラリー・ペイジ氏がこのほど東京で日本経済新聞などと会見し、開発中の新パソコンOSについて「ブラウザーとOSの固定的な境目をなくす。オープンソース型のネットブック向けプラットフォームにしていく」と説明した。「ほとんどのことがブラウザー内でできる時代には、従来より小さくて単純なOSが適している」と語り、ウェブ時代に最適化されたOSの必要性を強調した。
 パソコン市場は、「ネットブック」と呼ばれる低価格ミニノートがシェアを伸ばしている。その多くは米マイクロソフトの1世代前のOS「Windows XP」を搭載しており、マイクロソフトは09年4-6月期決算で初めてOS事業が大幅な減収に陥った。ネット閲覧が主機能のネットブックが普及する背景には、グーグルなどのネット企業によるウェブ側の高機能化がある。追い打ちをかけるようにグーグルは、端末側からもパソコンの軽装化を進めることになる。
 ラリー・ペイジ氏との主な会見内容は以下の通り。
■「エリックはなかなかOS参入に賛成しなかった」
――パソコン用新OS「Google Chrome(グーグル・クローム)OS」を開発している。ウェブの世界から端末側の世界に事業領域を広げたわけは。
 数年前に(共同創業者の)セルゲイ・ブリン、(最高経営責任者の)エリック・シュミットと私を含む幹部の会議でいろいろ議論していたとき、出席者が持っていたパソコンの大半でパソコン内ソフトのうちブラウザーしか起動していないことに気づいた。それ以来、セルゲイと私は、パソコンのあり方を一から考え直すべきだと強く感じるようになった。
 ネット以前に設計されたパソコンOSにとらわれず、ブラウザーでネットを使うことが主な用途になった現状を前提にしたパソコンを改めて作るべきだと感じた。ただ、OS開発には人材をはじめ多大な経営資源が必要なため、エリックはなかなかOS参入に賛成しなかった。社員が2万人前後になった最近になってようやく、エリックが同意した。OS開発というのはそれぐらい大規模なプロジェクトになるものだ。
――クロームOSは昨年公開したブラウザーの「Google Chrome(グーグル・クローム)」と一体になるのか。
 ブラウザーとOSの固定的な境目はなくなると考えている。ブラウザーを介してウェブ上で大部分のことをできるようにするにはブラウザーの能力をもっと進化させなければならない。一方で、オフラインで操作する場合もブラウザーの中でできるようにしていく。たとえば従来はパソコンにインストールするタイプのソフトが担ってきた3次元グラフィックスの描画もブラウザーの一機能にできるようになった。
 このようなブラウザーの進化はグーグル・クロームで推し進める。ほとんどのことがブラウザー内でできるようになれば、OSのうちブラウザーの外側を担う部分は小さくできるはずだ。ブラウザーでほとんどのことをやるなら、パソコンにソフトをインストールする必要がないし、ソフトのバージョン更新といった面倒もなくなる。パソコンは利用者にとってはるかに簡単で単純な道具になる。
■ソースコードはオープンであるべき
――新OSはオープンソースで開発・配布していく。
 そもそもクロームOSの核は、携帯向けOSの「Android(アンドロイド)」と同様、Linux(リナックス)でオープンソース。学生のころからコンピューター科学者として、インターネットの発展はオープンな環境や標準で実現したと感じていた。ネットの世界ではソースコードはオープンであるべきと思っている。その方が機能や使い勝手はよくなる。
 たとえばブラウザーの世界では、「ファイヤーフォックス」「サファリ」、そしてグーグル・クロームといったオープンソース型がどんどん機能や性能を充実させており、一企業が独自開発する「インターネット・エクスプローラー(IE)」に対する優位を広げている。
――無償OSが普及すれば、利用者は高いライセンス料から解放される。
 いい話だが、我々は(マイクロソフト対抗のような)企業間競争の観点でOS開発を始めたのではない。周囲を見渡して、既存OSはネットとブラウザー主体の今の用途によく機能していないと感じ、よりよく動くOSが必要だと思ったというのが正直な考え方だ。
 ネットブックという低価格で簡易なパソコンが出てきて、パソコンの概念が変わってきた。従来の高価なパソコンと違いキッチンかどこかで気軽に使える。新OSでネットブックがさらに安価になり、ソフトのインストールもメンテナンスも要らない扱いやすいものになれば、利用者にとってパソコンの位置づけを変える大きなインパクトになるだろう。
■企業イメージと理念の一致に苦労
――独占批判などが出るが、「悪にならない」という企業理念が揺らいでいないか。
 コンピューター科学を研究していた学生時代、ソースコードやファイル形式を秘密にして、IT全体の技術進歩の足を引っ張るIT企業を見て、ああいう風にはなりたくないと思ったのが、「悪」にならないという理念の始まりだった。グーグルはいくら大きくなっても、オープンソース、オープンな標準を後押しする。一方で、顧客のデータを人質に取ったりファイル形式を秘密で複雑なものにして使いにくくしたりするようなことをしないという方針を、愚直に貫いていくしかない。
 それでも独禁当局による調査が取りざたされるなど、外から見たイメージを理念と一致させるのに苦労するようになったのは事実だ。これは市場や産業の中での存在が大きくなったのに比べて、社員数の点でグーグルがまだ中堅規模だというギャップに根ざすところが大きい。
 たとえばブリュッセルでも東京でも、グーグルの広報や対政府担当はとても人数が少ない。巨大企業は広報や政府担当に多数の人員を配置して、誤解や不要な問題の発生を最大限回避している。我々も政府や市民に対してきちんとコミュニケーションできるよう人員拡充を進めているが、まだニーズに追い付いていない。
――学生時代になりたくないと思っていた「悪」の存在をどの程度IT市場のなかで縮小させたと思うか。
 我々は非常によく頑張っていると思う。だがまだこれも初期段階だ。
■ミッションをアップデートする時期
――書籍検索の図書館プロジェクトも、関係者はすべて便益を受けるはずなのに、独占ではないかとの批判が出ている。
 どこかの図書館の隅に眠っている本にアクセスできるサービスが実現しようとしているのは素晴らしいことだ。ただ、著者、出版社、図書館がお互いに反目していることが必要以上に疑念を呼んでいる。それに批判している人々も、よりよい代案は出していない。よりよい代案があるなら、そちらに協力したい。
 米国以外にも同様のサービスを広げたいが、多くの国で著作権制度の修正など立法的な措置が必要だろう。人類の共有財産である「知」にすべての人がアクセスできるようにするために、各国政府は行動を起こすべきだ。政府自らがサービス提供をする場合でも、我々は喜んで協力する。
――「世界中の情報を整理する」という企業目標はどの程度達成できたか。
 まだまだ初期段階だと思っている。本当に人々が望む情報を探し出し整理して提示するには、“スーパーマン司書”のような存在がいて、あなたの質問や要望の意味を深く理解して最適な情報を探して提示できなければならないが、今の技術レベルでは遠く及ばない。
 ただ、進歩はしている。情報の構造、言葉のより深い意味などについての理解も進んでいる。他方で、恐らくそろそろこのミッション自体をアップデートする必要がある。OSなどの新分野を包含できていないためで、そろそろアップデートに取り組まなければならない。
■「工学」に人材や資金を投入すべき
――日本や日本人の技術についてどう思うか。
 世界各地にそれぞれ独自の技術的な価値観や得意分野がある。日本人は特に広い意味での工学的な技術に高い価値を見いだし、技術の完成度の高さに熱意を注いできた。様々なガジェットが典型だし、進化したトイレも日本的な工学の追究の成果だ。グーグルは日本製トイレを米本社に導入している。
 そもそも歴史的に人類の生活を変えてきたのは、基本的な工学だ。農業・工業という生産活動、日常生活の両面を、工学が変えてきた。農機具、水道、輸送手段などあらゆる革命を工学が実現してきた。
 ところがこのような基本的な工学が世界的に過小評価されている。日本に来るたびに日本の工学への価値の置き方を称賛したくなる。代替エネルギーも、基本的な工学によって実現していく。風力でも地熱でも同じことだ。だが、世界的に見て人材も資金も投入量が少なすぎると思う。



日経社説 自民と民主は成長戦略の具体策で競え(8/2)
 自民党も民主党も衆院選のマニフェスト(政権公約)では、年金・医療の安心や雇用の安定などを掲げている。その実現には、必要な制度改革に加えて経済成長が欠かせない。増税や失業給付の拡大だけでは、財政再建や国民生活の安定は得られない。各党は衆院選では成長戦略の具体論で競うべきだ。
 自民党の政権公約では「経済成長政策」という項目を設けて「2010年度後半に年率2%の経済成長を実現」「今後10年で1人当たり国民所得を世界トップクラスに」などの数値目標を掲げた。
 だが、目標の実現に向けた具体策は踏み込み不足だ。研究開発の強化や技術革新の推進で、生産性を向上し、産業の高付加価値化を進めるとしているが、どうやってそれを実現するかはっきりしない。
 成長戦略に必要な規制改革についても「消費者行政とのバランスをとりつつ、各種規制のあり方を見直し、発展的経済活動を側面支援する」とあるだけで、どの分野に重点を置くのかなどは示していない。
 成長は大事と言いながら、そのために何をするのかよくわからない。これでは有権者は判断しにくい。
 民主党の政権公約には、成長戦略の項目すらない。同党は「国民の生活が第一。」というキャッチフレーズを掲げ、子ども手当の創設など子育て支援、高速道路無料化、農家への戸別所得補償など、家計への給付などが見えやすい政策を並べた。だが、政権をとったら、日本経済の成長の道筋を全体としてどう描くのかの問いに十分には答えていない。
 国と地方の借金残高が800兆円を超え、主要国では最悪水準の財政赤字をどう減らしていくかは次期政権にとっても重要課題だ。財政健全化は増税や政府の無駄減らしだけでは達成できない。経済が成長して税収が増えなければ、財政の本格的な改善にはつながらない。財政再建にも成長戦略は欠かせない。
 雇用対策も、失業給付など安全網を張るだけでは不十分だ。企業が利益をあげ、新規採用を増やせるような経済成長の環境をどう整えるかという政策が重要になる。
 日本経済を中長期の成長軌道に乗せるには、掛け声や一時的な財政支出による下支えだけでは難しい。民間主導の持続成長を進めるには、産業構造の転換を促す農業や医療分野の規制改革、経済活性化に視点を置いた税制改革などの政策を打ち出す必要がある。
プロとユーザーで分かれた「ドラクエ9」の評価 <COLUMN>
 7月11日に発売されたスクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストIX 星空の守り人(ドラクエ9)」は、すでに300万本以上を販売する大ヒットを記録したが、その一方でゲームの評価についてネット上で激しい議論が巻き起こっている。この現象をゲーム会社はどう理解するべきなのか。
■「ファミ通」のレビューが突出する日本
 日本と欧米のゲームメディアを比べると、機能面で決定的に違っている点がある。日本のメディアはレビュー機能が弱く、特にユーザーによるレビューの場が欠けている。
 日本のゲーム業界関係者が最も重視しているのは、エンターブレインの「週刊ファミ通」で発表される「クロスレビュー」だ。これは、編集部に属する4人のレビュアーが、各10点満点で得点を付ける。その合計点の評価が小売店やユーザーに対して一定の影響力を持つと考えられているため、意識せざるを得ない。
 しかし、このクロスレビューの仕組みがうまく働いているかについては、開発者にもユーザーにも賛否両論がある。もっとも大きな問題は、レビューをしてスコアを出す機能が日本ではファミ通に集中してしまっている点だろう。
 ゲームメディアは、力関係でどうしてもゲーム会社に負ける。日本のゲーム会社はスコアを付けられることを嫌う傾向があり、メディア側でも配慮せざるを得ない。ゲーム会社から「新しい情報を出さない」と言われてしえばそれまでで、あるゲームメディアの編集長が「(スコア)機能の追加は企業として難しい」というのを聞いたこともある。
 一方、欧米圏のゲームメディアでは、このスコアによるレビュー機能がとても充実している。さらに、それぞれのゲームメディアのレビュアーが付けたスコアを集計して平均点を算出する「メタスコア」という機能まである。
 プロのレビューだけではない。ウェブ上のゲームメディアでは、ユーザーが自分で書いたレビューとスコアを投稿できる機能を持つのが普通だ。プロであれユーザーであれ、付けたスコアは互いに比較・検証されるため、レビュー内容の公平性や妥当性に慎重になるという力が働く。
 その結果、多くの広告費を投じた大作ゲームでも、スコアは低いというケースがしばしば起きる。反対にレビューのスコアが高いゲームはユーザーからも評価され、ハズレが少なくロングヒットになる傾向がある。
■アマゾンでの低評価は妥当だったのか
 ドラクエ9の話に戻ると、発売週のファミ通のクロスレビューでは「40点満点で40点」という最高の評価を獲得した。ところがドラクエ9が実際に発売された後のネット上の評価は真っ二つに分かれてしまった。
 話題になったのが「Amazon.co.jp(アマゾン)」のレビューだ。アマゾンには、商品に最高5つの星を付けられる評価の仕組みがあり、感想もテキストで投稿できるようになっている。ドラクエ9には7月31日現在で940件と多数の投稿が集まった。
 問題は、その評価があまりに低かったことだ。星1つが253(全体の26.9%)、星2つが203(全体の21.6%)で、計算するとアマゾンのユーザーレビューの平均は5点満点で2.72点になる。
 この評価をめぐって、ドラクエ9のユーザーが書き込みをする掲示板「クチコミ」では、ユーザー間の論争が過熱し、いわゆる「炎上」が起きた。点数の妥当性が争われたのだが、「投稿者がドラクエ9を貶めるために意図的に低い評価を付けたのではないか」という指摘が出て、一部ユーザーの中傷合戦にも発展した。
 ただ、アマゾンのスコアは別のサイトのレビューと比較することができる。たとえば、「カカクコム」のユーザーレビューのページでは、アマゾンと同じく満足度を最高5つの星で評価できるようになっている。その平均はアマゾンとまったく同じ2.72点という結果だ。
 個人ユーザーが運営する「mk2グループ」というユーザーレビューのための専門コミュニティーサイトでは、100点満点で評価するシステムになっている。ここでの平均は57点。5点満点換算だと2.85点ということになる。
 この3つのサイトのユーザー評価の結果は驚くほど近い。つまりアマゾンでの評価だけが突出して低かったわけではないのだ。
 ではなぜ、3つのサイトのユーザーレビューとファミ通のプロによるレビュアーの結果がこれほど乖離しているのだろうか。これをインターネットによる“集団的知性”が働いた典型的なケースと考えると、3サイトの点数が近い説明は付く。
■多様な集団の意見は意外に正しい
 カリフォルニア工科大学のスコット・E・ペイジ教授は「『多様な意見』はなぜ正しいのか」(日経BP社)で、まだ正体がわからない集団的知性の研究において、「多様性は能力に勝る」という定理の数学的基礎を作りだした。「問題解決のために無作為に選ばれた人びとの集団は、能力の高い個人の集団よりも優秀な成績を収める」という定理である。
 これには前提条件がある。作業は的確なサイズに分業でき、きちんと定義されていること。その活動に参加するユーザーの集団は母数を多く抱え、年齢、性別、生活背景などがバラバラで多様性があるほどよい、などだ。
 ペイジ氏は、プロの集団はどうしても似たような考え方をする傾向があるという。一方、多様性のある母数の大きい集団は様々な視点を提供する。その視点が集まると、的確な集団的知性が生み出される。インターネットの登場は、こうした集団を形成しやすい環境をもたらした。
 欧米のゲームサイトによるユーザーレビューと実際の販売結果をみると、この法則が示すような効果が実際に出ているように思える。アマゾンなど3つのサイトで同じような結果が出たことも不思議はない。もう一度、十分な母数を集めてレビューをしても、評価は2点台後半に落ち着く可能性が高いだろう。そしてユーザー全体の実感はその数値に近いと考えられる。
■ドラクエ9の今後の販売動向に注目
 ゲーム会社は今後、こうした“集団的知性”に対してどのような態度を取ればよいのだろうか。
 最も重要なのは、「ユーザーの評価には平等に価値がある」と認める姿勢だ。レビューのスコアシステムは、「声が大きな人」の声を拾うためのものではない。投稿した誰もが対等と捉える平等主義が前提である。まずは、評価を行うユーザーを信頼することから始めなければならないだろう。
 同時に、ユーザーの声は重要な情報源である。自社タイトルの様々なデータとつき合わせて、マーケティング戦略の中に取り込むべきだろう。プロだけでなく、アマチュアの評価も検討材料とするべきなのだ。
 日本ではゲームメディアによるユーザーの評価システムが育たなかったが、通販サイトや価格サイトの口コミ機能がその代わりとして影響力を持ち始めている。その影響力は今後さらに増していくと考えられる。
 そして、ドラクエ9のネット上の評価が今後の販売にどんな効果をもたらすかは興味深い。「ポケモン」や「モンスターハンターポータブル2ndG」のように1年以上も売れ続ける長寿商品になるのかどうかは、注視していく必要があるだろう。



『モンハン3』発売で秋葉原に400人の行列
 人気ハンティングアクションゲームの最新作であるWiiソフト『モンスターハンター3(トライ)』(カプコン)が8月1日に発売され、カウントダウンイベントの行われた東京・秋葉原のヨドバシカメラマルチメディアAkibaには、発売を楽しみにしていたファン400人が早朝から行列を作った。一番乗りのファンは前日の23時から並び始めたという。
 同日午前9時より開催されたイベントには、“芸能界一のハンター”として知られるお笑いコンビ・次長課長の井上聡をはじめ、ハローバイバイ・金成公信、コンマニセンチ・堀内貴司ら3人がゲストで登場し、待ちに待った発売をファンとともに喜んだ。



欧州主要企業、2割減益 09年見通し、米に見劣り
 【ロンドン=石井一乗】欧州企業の収益低迷が鮮明になってきた。市場予想によると、2009年の欧州主要企業の純利益は前年実績比で2割減り、減益率は米国企業の2倍に達する見通しだ。「欧州の金融業の立て直しや雇用調整が米国より遅れた」(銀行系アナリスト)ためとみられ、企業収益の回復も遅れそうとの見方が根強い。コスト削減へ雇用調整が長期化する可能性もある。
 調査会社トムソン・ロイターが、欧州主要600社についてアナリスト予想値を集計した。09年通期の純利益合計額は前年比21.9%減る見通し。米主要500社は同11.4%減を見込んでおり、欧州企業との格差が鮮明になった。



米国で新車購入を支援、上乗せへ 米下院可決
 【ニューヨーク共同】米下院は31日、新車販売のてこ入れを狙った総額10億ドル(約950億円)の低燃費車の購入支援制度に、20億ドルを上乗せする法案を可決した。燃費効率の良い新車に買い替える消費者に最大4500ドル(約42万6千円)を支援する制度が好評で、開始から約1週間で資金が枯渇する恐れが強まったため。
 制度の利用者が販売店に殺到。政府が30日に今後の対応を検討する方針を示したため、一部のディーラーが受け付けを見合わせるなど混乱が生じたという。



毎日社説:バンキシャ 構造上の問題は深刻だ
 あらかじめ想定した企画に沿った告発者をネットで募集し、裏付け取材はせず、もっともらしく脚色して放送した。日本テレビの「真相報道バンキシャ!」による岐阜県庁の裏金誤報問題とはそのようなものだった。NHKと民放各局で組織する放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は「スタッフ一人一人の自覚の問題などと考えてはいけない。そうした仕事の仕方を生み出している組織構造上の問題だ」と指摘し、同社に検証番組を制作し全国放送するよう勧告した。
 ウソを見破る材料はたくさんあった。情報提供者が「証拠」として示した資料の中に県側の裏金口座の届け出住所があり、それを調べたらなんと情報提供者の自宅だった。自作自演を疑わせる証拠なのに、的外れな釈明をうのみにした。また、裏金作りに使われたというキャッシュカードを提供されると、番組の中で「スクープです。ある自治体の裏金が入っている口座のキャッシュカードの実物です」と見せた。裏金はネットで振り込まれるのでキャッシュカードは関係なく、なぜ情報提供者が裏金口座のカードを持っているのかも不明なのに、信ぴょう性を高める演出に使ったのだ。
 スタッフは正社員10人と制作会社からの派遣26人で、2班に分かれて制作に当たる。毎週水曜日夜の企画会議でテーマを決め、取材期間は2~3日。現場で取材する人のほとんどが「バンキシャ」で初めて報道に携わることになった派遣スタッフで、幹部の正社員らは指示は出すが現場には行かず、「幹部だけで行った種々の検討はおよそ見当はずれの中身だった」と検証委は指摘する。誤報の判明後、番組で訂正した内容についても「情報提供者の悪質性を言うばかり。(自らを)迷惑を被った被害者だったと釈明しているようにも見える」と批判した。
 政治による番組への介入、週刊誌などの名誉棄損訴訟で高額賠償判決も相次いでいる。報道の自由を守るためには、報道機関が自浄作用を十分に働かせ、視聴者や読者から支持されなければならないだろう。日本テレビの細川知正社長は「視聴者の支持があり、クオリティーに一定の評価を受けているという自負がある」と番組存続の意向を明らかにしたが、視聴率の高さだけで報道の信頼を確保できると言えるのだろうか。
 検証委は勧告の最後にこう述べる。「バンキシャ関係者のヒアリングの中で、BPOや放送倫理検証委員会のことを聞いたことがない、これまでの報告書や意見書も読んだことがないという話が時々出てきて、いささか悲しくなった」。事態は想像以上に深刻ではないのか。
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