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「ドコモにできないことを」 KDDI高橋氏に聞く「auらしさ」
2009年春モデルの発表会で「今年はauらしさを回復する」と宣言したKDDI。若手が中心となってデザイン重視の新ブランド「iida(イーダ)」を立ち上げるなど、かつての勢いを取り戻す努力が形となりはじめた。これからの「auらしさ」とは何なのか、KDDI取締役執行役員常務の高橋誠氏に聞いた。
高橋氏はコンテンツ・メディア本部長として04年に「着うたフル」を始め、「音楽に強いau」というブランドイメージを築いた。現在はコンシューマ商品統括本部長として端末からコンテンツ・サービスまでを統括し、「ユーザーのライフスタイルを大事にするのがauの強み」と語る。
■夏モデルは操作感を大きく改善
――2008年度の契約純増数は4キャリア中4位。苦戦が続いています。
この2年間は、独自開発したプラットフォーム「KCP+(プラス)」に苦しみました。開発の遅れもありましたし、端末がこなれるまでにだいぶ時間がかかりました。
ボタンの反応速度が遅いなど、操作にはまだ「もっさり感」が残っています。これはもうちょっとで取り除けます。春モデルではだいぶ改善しましたが、夏モデルはもう一段速くなります。
これは生命線だと思っているので、1、2週間に1回のペースで端末のパフォーマンス評価会議を開いてきました。NTTドコモの端末などと比較しながら、どこまでできるかをチェックしています。
――米グーグルが無償公開した「Android(アンドロイド)」をはじめ、新しい携帯プラットフォームが登場しています。
日本の携帯電話はいい悪いはともかく、だれもが使いこなせるようなインターネット環境を作ってきました。そこにアンドロイド端末が入ってくると、セキュリティーはどうなのかといった懸念がいろいろ出てくる。携帯電話ではなくインターネットの人が作ったOSだというところが懸念材料です。ただ、アンドロイドのようにオープン性を持った開発環境が今後は当たり前になっていくだろうとは思っています。
――インターネットサービス「EZweb」が4月14日に10周年を迎えました。
(端末を見せながら)これは1号機なんですよ。「cdmaOne」にEZwebを載せた1号機。僕の机の中にこの1台だけ残しているんです。日立製作所が作ってくれたのですが、今からみても格好いい。
4月14日はKDDIにとって歴史的な日です。まだKDDとDDI、IDOの合併前でしたが、この日にcdmaOneの全国一斉サービスが始まりました。同時にEZweb(IDOは当時「EZaccess」という名称で展開)を導入しました。
■携帯電話にインターネット?
――EZwebはどのような経緯で開発を始めたのですか。
スタートの2年ほど前、米アンワイヤード・プラネットが日本に来て小野寺正社長(当時は副社長)にモバイルインターネットの事業提案をしました。そこで、小野寺社長から「検討してみろ」と言われたんです。
僕からすると、その頃はインターネットなんて興味なかった。DDIで用地取得や他の電話会社との相互接続の協議をやってきた人だし、サービスといっても留守番電話を一生懸命やっていましたからね。ちょうどDDIポケットの“20文字”を送信できる「Pメール」が流行っていたころです。携帯電話にインターネットが載るということも、最初は意味が分かりませんでした。
一方、同じタイミングでNTTドコモの「iモード」を立ち上げた夏野剛さんはネットベンチャーだったハイパーネット出身のインターネットのスペシャリストでしょう。振り返ってみると、大変な状況でしたね。
■最初のEZwebはオープン化を目指していた
――携帯向けサイトを記述するための規格として「HTML」を採用したiモードに対し、EZwebは世界標準化を目指していた「WAP」を選択しました。
夏野さんからは散々、HTML陣営、WAP陣営と言われ続けてきたけれど、当時はWAPが世界標準になると思っていましたからね。実際、僕みたいな人がやっているから、ほかによい選択ができたわけではない。
考えてみると、EZwebはいま「オープン化」と言われることをやろうとしていました。アンワイヤード・プラネットの提案は、ウェブメールとブラウザーを積んで、そのオープンなインターネットの中で好き勝手にコンテンツを作れる“ザ・インターネット”だったんです。
当初はサービスを我々が提供するのではなく、ISPであるDIONのサービスにすることを考えていました。モバイルインターネットを使うユーザーは必ずDIONに加入し、「@dion」のアドレスを使うということです。今のインターネットと同じように、ISPがサービスを提供するものなのかなと思っていました。
ただ、ISPとなるDIONが、モバイルインターネットがこれだけ発展するとは思わなかったのでしょう。モバイルはあくまで付加サービスという位置付けで検討し始めたので、それなら自分たちでやろうとauのサービスに切り替えました。
――スタートしてみると、iモードは約1年半で1000万契約を達成しました。
向こうのビジネスモデルはよくできていましたよね。課金の仕組みが1年以上、先行していた。EZwebは、コンテンツプロバイダーの課金代行ができなかったですから。
僕もさすがにiモードのやり方はいいなあと思ったし、コンテンツプロバイダーを一生懸命回っている若手からも「課金の仕組みを作らないと無理です」と言われていました。焦りが強かったですね。2000年7月の3社合併の直後には、契約数が純減になったこともありました。
WAPをHTML対応にしたのが2001年。GPSや動画配信を取り入れて立ち上げました。
■「EZフラット」と音楽を武器に巻き返し
――手ごたえを感じ始めたのはいつからですか。
auが巻き返したのは、2003年11月にパケット通信料の定額サービス「EZフラット」を出してからです。パソコンでは定額制のサービスがありましたが、携帯電話では初めて。これまでやってきた会見の中で、皆さんに一番驚かれた発表だったと思います。
僕は、どうしても携帯電話で音楽配信をやりたいと思っていた。モバイルインターネットがどんどん成長して、表現できる素材が単音の着メロから3和音、16和音と拡大して、着うたになった。着うたは当社が先行していたし、NTTドコモにキャッチアップできた部分でした。これを深堀りしていくと、1曲まるごと配信する「着うたフル」に行き着く。
ところが、業界ではすでに携帯電話の音楽配信サービスは無理だと烙印を押されていました。パケットでダウンロードすると、1パケット0.3円換算で1曲5000円くらいかかるからです。着うたフルの実現にはどうしても定額制が必要でした。
もちろん社内からは定額制では設備がもたないと強い反対が出ました。ものすごい議論と技術陣のサポートを経て、何とかEZフラットを実現した。着うたフルも、データ圧縮技術を開発して1曲のダウンロード時間を30秒くらいに抑えた。この音楽と定額を我々の武器にして、ドコモのモバイルインターネットに対抗していきました。
■ビット単価の安さはドコモにはマネできない
――NTTドコモはどういう存在ですか。
むちゃくちゃ大きいですね。NTTドコモにはできないことを常に考えてきたような気がします。
我々にはデータに特化した通信規格「EV―DO(CDMA2000 1xEV-DO)」があり、当時でいえば、ビット単価の安さはNTTドコモには絶対にマネができなかった。だから「ダブル定額」もいち早く実現した。NTTドコモが導入したのは昨年秋でしょう。ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が「着うた」の提案を我々のところに持ち込んだのも、EV―DOがあったからです。着うたから「リスモ」まで、音楽では常に先を越してきました。
ライフスタイルを言い続けてきたのも我々です。NTTドコモはiモード以上の世界観を作ろうとはしていませんが、auは音楽やスポーツの「におい」がするものでありたい。例えば、マイクロソフトとアップルであればアップルに音楽のにおいがするでしょう。
■携帯がすべてのパスポートに
――携帯電話向けインターネットの将来像をどのように描いていますか。着うたのような革命はこの先もあるのでしょうか。
これから革命を起こすのは難しいことだとは感じています。もう台数が売れていた時代ではない。ワンセグが1年で普及したような技術革新は厳しいかもしれないなあとは思っています。
プラットフォームのオープン化がどのような方向に行くかは分かりませんが、テレビ、カメラ、カーナビなど、どんなデバイスも必ず通信機能を持つようになると思っています。WiMAXがいい例ですよね。チップセットがパソコンに入る。パソコンでは当たり前に感じるかもしれませんが、カーナビなどは近いうちに通信機能が行き渡るでしょう。
そうなると10年後くらいには、どこからでも同じIDとパスワードでアクセスし、同じ環境でなんでも実現できる時代になると思う。今は「au one net」にログインすると、携帯電話でもパソコンでも同じものが見られますよね。このように、どこに行ってもパッと開けばそこに自分用の環境がある世界を想定して、何ができるかを考えていけばいいと思っています。
ただし、媒体が多様になっても、自分とネットをつなぐパスポートが携帯電話であることは変わりません。勝手な想像をすれば、ビジネスホテルで部屋の鍵を挿すと電気がつくように、携帯電話をかざすとテレビがつき、そこで僕のEメールが見られるような世界をイメージしています。携帯電話がすべてのパスポートになるということです。
■iコンシェルは機械的、ライフスタイルからの提案を
――NTTドコモが利用者の住所や趣味に応じた情報を配信する「iコンシェル」を2008年11月に始めました。KDDIも09年3月にキャラクターが対話をする「ケータイパートナー(β版)」をスタートしています。
ケータイパートナーは愛着あるキャラクターを前面に出してますが、僕らにはこんなノリの方が合っているでしょう。いずれiコンシェルのように発展していくのですが、僕からすると、iコンシェルはやや“機械くさい”と感じています。
相手に合わせて情報を自動配信するエージェントの歴史はずいぶん古い。僕らもJavaアプリケーション「ezplus」を始めたころに、オムロンと一緒に手がけていました。キャラクターが出てきて、自分の代わりにニュースや天気予報を持ってくる。これが、なかなか流行らなかったんですね。
やはり、ある次元を超えるとウザい。天気予報や渋滞情報ならまだしも、サザンオールスターズが好きなのに、48歳だからといって古い曲を薦められたら怒るでしょう。
小野寺社長が最近、「アンビエント社会」「いまだけ、ここだけ、あなただけ」というキーワードで携帯の未来像を提起していますが、これはエージェントの仕組みそのものをストレートに目指すことではないと思っています。
これまでどんなユーザーがどんなコンテンツを買っているかというデータをかなり丁寧にとってきましたが、やはり音楽やスポーツといった、ユーザーが大事にしているライフスタイルがあって、その中から提案をしていくことが本当のアンビエントだと僕は定義しています。
2009年春モデルの発表会で「今年はauらしさを回復する」と宣言したKDDI。若手が中心となってデザイン重視の新ブランド「iida(イーダ)」を立ち上げるなど、かつての勢いを取り戻す努力が形となりはじめた。これからの「auらしさ」とは何なのか、KDDI取締役執行役員常務の高橋誠氏に聞いた。
高橋氏はコンテンツ・メディア本部長として04年に「着うたフル」を始め、「音楽に強いau」というブランドイメージを築いた。現在はコンシューマ商品統括本部長として端末からコンテンツ・サービスまでを統括し、「ユーザーのライフスタイルを大事にするのがauの強み」と語る。
■夏モデルは操作感を大きく改善
――2008年度の契約純増数は4キャリア中4位。苦戦が続いています。
この2年間は、独自開発したプラットフォーム「KCP+(プラス)」に苦しみました。開発の遅れもありましたし、端末がこなれるまでにだいぶ時間がかかりました。
ボタンの反応速度が遅いなど、操作にはまだ「もっさり感」が残っています。これはもうちょっとで取り除けます。春モデルではだいぶ改善しましたが、夏モデルはもう一段速くなります。
これは生命線だと思っているので、1、2週間に1回のペースで端末のパフォーマンス評価会議を開いてきました。NTTドコモの端末などと比較しながら、どこまでできるかをチェックしています。
――米グーグルが無償公開した「Android(アンドロイド)」をはじめ、新しい携帯プラットフォームが登場しています。
日本の携帯電話はいい悪いはともかく、だれもが使いこなせるようなインターネット環境を作ってきました。そこにアンドロイド端末が入ってくると、セキュリティーはどうなのかといった懸念がいろいろ出てくる。携帯電話ではなくインターネットの人が作ったOSだというところが懸念材料です。ただ、アンドロイドのようにオープン性を持った開発環境が今後は当たり前になっていくだろうとは思っています。
――インターネットサービス「EZweb」が4月14日に10周年を迎えました。
(端末を見せながら)これは1号機なんですよ。「cdmaOne」にEZwebを載せた1号機。僕の机の中にこの1台だけ残しているんです。日立製作所が作ってくれたのですが、今からみても格好いい。
4月14日はKDDIにとって歴史的な日です。まだKDDとDDI、IDOの合併前でしたが、この日にcdmaOneの全国一斉サービスが始まりました。同時にEZweb(IDOは当時「EZaccess」という名称で展開)を導入しました。
■携帯電話にインターネット?
――EZwebはどのような経緯で開発を始めたのですか。
スタートの2年ほど前、米アンワイヤード・プラネットが日本に来て小野寺正社長(当時は副社長)にモバイルインターネットの事業提案をしました。そこで、小野寺社長から「検討してみろ」と言われたんです。
僕からすると、その頃はインターネットなんて興味なかった。DDIで用地取得や他の電話会社との相互接続の協議をやってきた人だし、サービスといっても留守番電話を一生懸命やっていましたからね。ちょうどDDIポケットの“20文字”を送信できる「Pメール」が流行っていたころです。携帯電話にインターネットが載るということも、最初は意味が分かりませんでした。
一方、同じタイミングでNTTドコモの「iモード」を立ち上げた夏野剛さんはネットベンチャーだったハイパーネット出身のインターネットのスペシャリストでしょう。振り返ってみると、大変な状況でしたね。
■最初のEZwebはオープン化を目指していた
――携帯向けサイトを記述するための規格として「HTML」を採用したiモードに対し、EZwebは世界標準化を目指していた「WAP」を選択しました。
夏野さんからは散々、HTML陣営、WAP陣営と言われ続けてきたけれど、当時はWAPが世界標準になると思っていましたからね。実際、僕みたいな人がやっているから、ほかによい選択ができたわけではない。
考えてみると、EZwebはいま「オープン化」と言われることをやろうとしていました。アンワイヤード・プラネットの提案は、ウェブメールとブラウザーを積んで、そのオープンなインターネットの中で好き勝手にコンテンツを作れる“ザ・インターネット”だったんです。
当初はサービスを我々が提供するのではなく、ISPであるDIONのサービスにすることを考えていました。モバイルインターネットを使うユーザーは必ずDIONに加入し、「@dion」のアドレスを使うということです。今のインターネットと同じように、ISPがサービスを提供するものなのかなと思っていました。
ただ、ISPとなるDIONが、モバイルインターネットがこれだけ発展するとは思わなかったのでしょう。モバイルはあくまで付加サービスという位置付けで検討し始めたので、それなら自分たちでやろうとauのサービスに切り替えました。
――スタートしてみると、iモードは約1年半で1000万契約を達成しました。
向こうのビジネスモデルはよくできていましたよね。課金の仕組みが1年以上、先行していた。EZwebは、コンテンツプロバイダーの課金代行ができなかったですから。
僕もさすがにiモードのやり方はいいなあと思ったし、コンテンツプロバイダーを一生懸命回っている若手からも「課金の仕組みを作らないと無理です」と言われていました。焦りが強かったですね。2000年7月の3社合併の直後には、契約数が純減になったこともありました。
WAPをHTML対応にしたのが2001年。GPSや動画配信を取り入れて立ち上げました。
■「EZフラット」と音楽を武器に巻き返し
――手ごたえを感じ始めたのはいつからですか。
auが巻き返したのは、2003年11月にパケット通信料の定額サービス「EZフラット」を出してからです。パソコンでは定額制のサービスがありましたが、携帯電話では初めて。これまでやってきた会見の中で、皆さんに一番驚かれた発表だったと思います。
僕は、どうしても携帯電話で音楽配信をやりたいと思っていた。モバイルインターネットがどんどん成長して、表現できる素材が単音の着メロから3和音、16和音と拡大して、着うたになった。着うたは当社が先行していたし、NTTドコモにキャッチアップできた部分でした。これを深堀りしていくと、1曲まるごと配信する「着うたフル」に行き着く。
ところが、業界ではすでに携帯電話の音楽配信サービスは無理だと烙印を押されていました。パケットでダウンロードすると、1パケット0.3円換算で1曲5000円くらいかかるからです。着うたフルの実現にはどうしても定額制が必要でした。
もちろん社内からは定額制では設備がもたないと強い反対が出ました。ものすごい議論と技術陣のサポートを経て、何とかEZフラットを実現した。着うたフルも、データ圧縮技術を開発して1曲のダウンロード時間を30秒くらいに抑えた。この音楽と定額を我々の武器にして、ドコモのモバイルインターネットに対抗していきました。
■ビット単価の安さはドコモにはマネできない
――NTTドコモはどういう存在ですか。
むちゃくちゃ大きいですね。NTTドコモにはできないことを常に考えてきたような気がします。
我々にはデータに特化した通信規格「EV―DO(CDMA2000 1xEV-DO)」があり、当時でいえば、ビット単価の安さはNTTドコモには絶対にマネができなかった。だから「ダブル定額」もいち早く実現した。NTTドコモが導入したのは昨年秋でしょう。ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が「着うた」の提案を我々のところに持ち込んだのも、EV―DOがあったからです。着うたから「リスモ」まで、音楽では常に先を越してきました。
ライフスタイルを言い続けてきたのも我々です。NTTドコモはiモード以上の世界観を作ろうとはしていませんが、auは音楽やスポーツの「におい」がするものでありたい。例えば、マイクロソフトとアップルであればアップルに音楽のにおいがするでしょう。
■携帯がすべてのパスポートに
――携帯電話向けインターネットの将来像をどのように描いていますか。着うたのような革命はこの先もあるのでしょうか。
これから革命を起こすのは難しいことだとは感じています。もう台数が売れていた時代ではない。ワンセグが1年で普及したような技術革新は厳しいかもしれないなあとは思っています。
プラットフォームのオープン化がどのような方向に行くかは分かりませんが、テレビ、カメラ、カーナビなど、どんなデバイスも必ず通信機能を持つようになると思っています。WiMAXがいい例ですよね。チップセットがパソコンに入る。パソコンでは当たり前に感じるかもしれませんが、カーナビなどは近いうちに通信機能が行き渡るでしょう。
そうなると10年後くらいには、どこからでも同じIDとパスワードでアクセスし、同じ環境でなんでも実現できる時代になると思う。今は「au one net」にログインすると、携帯電話でもパソコンでも同じものが見られますよね。このように、どこに行ってもパッと開けばそこに自分用の環境がある世界を想定して、何ができるかを考えていけばいいと思っています。
ただし、媒体が多様になっても、自分とネットをつなぐパスポートが携帯電話であることは変わりません。勝手な想像をすれば、ビジネスホテルで部屋の鍵を挿すと電気がつくように、携帯電話をかざすとテレビがつき、そこで僕のEメールが見られるような世界をイメージしています。携帯電話がすべてのパスポートになるということです。
■iコンシェルは機械的、ライフスタイルからの提案を
――NTTドコモが利用者の住所や趣味に応じた情報を配信する「iコンシェル」を2008年11月に始めました。KDDIも09年3月にキャラクターが対話をする「ケータイパートナー(β版)」をスタートしています。
ケータイパートナーは愛着あるキャラクターを前面に出してますが、僕らにはこんなノリの方が合っているでしょう。いずれiコンシェルのように発展していくのですが、僕からすると、iコンシェルはやや“機械くさい”と感じています。
相手に合わせて情報を自動配信するエージェントの歴史はずいぶん古い。僕らもJavaアプリケーション「ezplus」を始めたころに、オムロンと一緒に手がけていました。キャラクターが出てきて、自分の代わりにニュースや天気予報を持ってくる。これが、なかなか流行らなかったんですね。
やはり、ある次元を超えるとウザい。天気予報や渋滞情報ならまだしも、サザンオールスターズが好きなのに、48歳だからといって古い曲を薦められたら怒るでしょう。
小野寺社長が最近、「アンビエント社会」「いまだけ、ここだけ、あなただけ」というキーワードで携帯の未来像を提起していますが、これはエージェントの仕組みそのものをストレートに目指すことではないと思っています。
これまでどんなユーザーがどんなコンテンツを買っているかというデータをかなり丁寧にとってきましたが、やはり音楽やスポーツといった、ユーザーが大事にしているライフスタイルがあって、その中から提案をしていくことが本当のアンビエントだと僕は定義しています。
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