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漫画家を参考人招致へ 泥沼化する「2次元児童ポルノ規制」で都議会
 子供の過激な性行為を描いた漫画やアニメなど「2次元児童ポルノ」を規制する東京都の青少年健全育成条例改正案で、都議会は今月中に著名な漫画家の参考人招致を実施する。条例案は「健全育成」と「表現の自由」をめぐり、賛成派の自民と修正派の民主が激しく対立。規制に反対する漫画家の招致で、泥沼化する議論の“落としどころ”を探るのが狙いだ。規制対象外となる「小説」との性表現の描写の違いでも意見が交錯し、議論はゴールデンウイーク(GW)明けから再び白熱化しそうだ。
見えぬ着地点
 「(利害関係がはっきりせず)築地市場の移転問題より難しい」。ある民主都議は、条例案の6月議会への先送りが決まった後、そうつぶやき、厳しい表情を見せた。
 全国初の試みとなる条例案で規制するのは、教室での少女強姦(ごうかん)や恋愛と称した近親相姦など社会規範に著しく反した内容の漫画やゲームなど。成人コーナーを設けるなどして、18歳未満の子供への販売抑止を図る狙いだが、「創作活動が萎縮(いしゅく)する」などの考えから反対論も根強い。
 自民側は「作品を見ればこの程度の規制は当たり前」とする。しかし、民主幹部は「(規制対象となる18歳未満と想定できるキャラクター)『非実在青少年』の定義をはじめ、条文のあいまいさを修正する必要がある。場合によっては9月議会で審議してもいい」とし、都側が修正をしない場合には、条例案の再度の先送りも示唆した。
入浴シーンは?
 民主の指摘する「あいまいさ」とはなんなのだろうか。都は先月26日、規制基準を明確にするため、都民から寄せられた疑問点に対する「回答」をホームページに掲出した。
 それによると、藤子・F・不二雄の人気漫画「ドラえもん」に登場する「しずかちゃん」の入浴シーン▽長谷川町子の「サザエさん」のワカメちゃんのパンチラ▽永井豪の「キューティーハニー」の変身シーン-など、裸体や下着姿を描くこと自体は規制の対象外とした。
 また、一般に広く流通しない同人誌は対象とならないとしたほか、「みだりに」や「性的対象として」など、条例案に出てくる抽象的な文言の解説も行った。
 自民側は「作品を見ればこの程度の規制は当たり前」とする。しかし、民主幹部は「(規制対象となる18歳未満と想定できるキャラクター)『非実在青少年』の定義をはじめ、条文のあいまいさを修正する必要がある。場合によっては9月議会で審議してもいい」とし、都側が修正をしない場合には、条例案の再度の先送りも示唆した。
入浴シーンは?
 民主の指摘する「あいまいさ」とはなんなのだろうか。都は先月26日、規制基準を明確にするため、都民から寄せられた疑問点に対する「回答」をホームページに掲出した。
 それによると、藤子・F・不二雄の人気漫画「ドラえもん」に登場する「しずかちゃん」の入浴シーン▽長谷川町子の「サザエさん」のワカメちゃんのパンチラ▽永井豪の「キューティーハニー」の変身シーン-など、裸体や下着姿を描くこと自体は規制の対象外とした。
 また、一般に広く流通しない同人誌は対象とならないとしたほか、「みだりに」や「性的対象として」など、条例案に出てくる抽象的な文言の解説も行った。
 だが、実際に規制対象となるとみられる作品についての具体的な言及はない。都の担当者は「著作権が壁となり、作品名を示すことができなかった。支持を得るには現物を見せるのが一番なのだが…」と弁明に終始する。
小説との違いは?
 規制の対象外となる小説との“格差”を指摘する声もある。
 「コミック表現の自由を守る会」の世話人を務める漫画家、里中満智子さんは、「18歳未満の性体験で言えば『源氏物語』も規制の対象。原作の文学はよくて、漫画化したものは子供に見せられないのか」と疑問を呈する。
 都は小説について、「絵の方が視覚的にインパクトがある。性交や性器を表す言葉は多岐にわたり、どんな子供でもすぐにその意味が理解できるものではない」と説明するが、民主幹部は「文章では絵を上回る表現ができないということか。漫画家はもちろん小説家にも失礼だ」と話すなど異論が噴出した。
 条例成立に向けて課題は山積するが、修正を主張する民主側も具体的なアイデアを持ち合わせていないのが実情。自民側からは「なぜ自分たちで修正案を出さないのか」との批判もある。都議会では漫画家らの参考人招致に向けた準備を急いでいるが、先行きは不透明なままだ。



米グーグルの電子書籍
6月末にも配信開始
 【シリコンバレー=岡田信行】インターネット検索大手の米グーグルは4日、パソコンなどで書籍を1冊丸ごと読めるようにする有料配信サービス「グーグル・エディション」を6月末か7月に始める方針を明らかにした。他社の電子書籍と異なり、閲覧可能な端末を選ばず、料金は各出版社が独自に設定する仕組み。当面は米英など英語圏で始めるとみられる。
 グーグルは書籍の一部を検索するサービス「ブック検索」を展開する計画で、すでに絶版本を含めて1200万冊をスキャナーで読み取って電子データ化済み。この中から出版社の同意を得て1冊丸ごとの有料配信に乗り出す。2010年春に開始したいとして、出版社側と交渉を進めていた。利用者はネットを自由に閲覧できる機器であれば、パソコンでも、パソコン以外の端末でも読むことができる。
 米国を中心に急速に拡大している電子書籍市場では、最大手の米アマゾン・ドット・コムが専用端末「キンドル」に加え、パソコンや携帯電話でも読める専用ソフトを無料配布して配信対象を増やしている。米アップルは4月に多機能端末「iPadを発売し、電子書籍配信サービス「iブックストア」を開始。大手出版社も独自配信を始めるなど競争が激しくなっている。



キヤノン会長「米に開発拠点検討」 日欧と3極に
 キヤノンの御手洗冨士夫会長は3日、米国に基礎研究などを含む技術開発拠点を開設する方針を明らかにした。研究開発は日本国内が中心だったが、日米欧の3極体制づくりを目指す。「日本の研究開発は今まで通り続けるが、米国は世界の『頭脳』が集まる国。そこで新たな技術を開発し、事業の多角展開につなげたい」と強調した。
 ニューヨーク州メルビルに建設する米州本社新社屋の地鎮祭に出席、日本経済新聞の取材に答えた。米国では「当社が手がけていない事業分野の研究開発を進める。候補地は選定中。数年内に開設したい」と述べた。キヤノンは今春、欧州プリンター最大手のオセ(オランダ)を傘下に収め、高速・大型プリンターの技術を獲得している。
 新社屋は2013年に完成する予定。米国は製造業の空洞化が長く指摘されているが、御手洗会長は「技術力は最先端。オバマ政権の輸出拡大方針もあり、製造業は復権する」と指摘した。
 米国は新興国に比べて労務費が高い難点もあるが、「単一国としては世界最大の市場。(労務費を吸収できる)付加価値の高い商品が売れる」と話し、生産体制の拡充にも意欲を示した。



ユニバーサルが企業向け販促サイト 楽曲利用促す
 音楽レコード大手のユニバーサルミュージックは企業向けの販促支援サイトを10日に立ち上げる。楽曲や所属アーティストを活用した商品の開発やサービスの利用を促す。専用サイトを通じて販促支援事業を広くアピールして受注拡大につなげる。音楽市場が低迷するなか、企業間取引を主力事業に育成する。
 サイトには音楽やアーティストの活用案を書き込んでもらうページを用意する。書き込みを踏まえ、ユニバーサルは相手先と企画の内容や予算などを詰める。今後5年以内に、CD販売や楽曲のインターネット配信を除いた企業間取引などの売上高を全体の3割程度に引き上げる考えだ。
 ユニバーサルは1月に企業間取引を担当する専門部署を新設。これまでに飲食店の販促企画用にCDを制作したほか、コンサートチケットを提供した実績がある。新サイトにはこうした事例や事業概要も掲載する。
 レコード会社の企業間取引事業では、ビクターエンタテインメントが伊勢丹の販促企画向けに楽曲を制作した例がある。CDと楽曲のネット配信を合わせた音楽市場は2009年、2年連続の前年実績割れとなる約4075億円にとどまった。今後も新規事業で企業間取引に取り組むレコード会社が相次ぎそうだ。



記者の目◇シャープ、どう生かす「読み間違い」の教訓
 シャープが27日発表した2010年3月期連結決算は、最終損益が43億円の黒字(前の期は1258億円の赤字)となった。主力の液晶テレビや太陽電池の採算が改善。記者会見では片山幹雄社長が「世界的に液晶テレビやパソコン市場の拡大で、来年度まで液晶パネルの足りない状況が続く」との強気な見通しを披露した。ただ記者会見で片山社長が「非常に残念。読み間違えた」と素直に反省の弁を口にした点がひとつある。それは、エコポイント制度の追い風が吹いた3月の国内液晶テレビ需要の急増だ。
 調査会社BCN(東京・千代田)によると、3月に国内量販店で販売された薄型テレビのメーカー別シェア(台数ベース)はシャープが33.4%で首位を守ったが、2月に比べ6.4ポイントもシェアを落とした。3月末を境にエコポイント制度の対象機種が変更されるのに伴う駆け込み需要を背景に薄型テレビ市場が急拡大するなか、ソニーや人気歌手で俳優の福山雅治さんを広告に起用する東芝など、液晶テレビのライバル勢の猛追を受けた格好だ。
 片山社長はシェア急落の原因について「3月の国内市場がここまで膨らむとは思わなかった」と説明する。BCNによると、3月の国内全体の販売台数は前年同月の約2.5倍になったが、これだけの市場拡大に見合う数のテレビをシャープが準備しておらず、量販店の店頭でシャープ製品が“枯渇”状態に陥ったのが真相という。
 もっとも通期でみれば前期の国内液晶テレビ販売台数は前の期比4割増の約550万台に達し、欧米市場での不振を補い世界全体でも2%の販売台数増を確保。特に国内では、利幅の大きい大画面モデルや発光ダイオード(LED)バックライト搭載モデルが好調で、最終黒字確保の立役者となった。
 昨年10月に稼働した液晶パネル主力製造拠点の堺工場(堺市)は、当初計画より3カ月早い今年7月からフル稼働体制に入る。生産能力の増強をバックに、今期の液晶テレビ販売は前期の約1.5倍の1500万台に伸ばす計画だ。
 記者会見では「適材適所で、求めている市場に素早く液晶テレビを送り込むことがシェア確保には重要」と強調した片山社長。今期は国内向けの供給増に加え、これまでコスト削減を目的に抑制していた欧米での販促活動も積極化するという。今回の教訓をバネにシェア奪回を実現できるか、その手腕に株式市場関係者からも熱い視線が注がれることになりそうだ。



金正日訪中 中国は北朝鮮に核放棄を迫れ(5月5日付・読売社説)
 北朝鮮の金正日総書記が、約4年ぶりに中国を訪問している。中朝両国から一切の発表がないままに進行する、いつもながらの異常な北朝鮮の対中首脳外交である。
 金総書記は、北京で中国の胡錦濤国家主席と会談するとみられている。2年前に脳卒中で倒れた総書記が万全ではない体調をおして訪中した狙いは、経済と安全保障の両面で、中国からの支援、支持を取り付けることにあろう。
 胡主席は、首脳会談で、何よりも6か国協議の議長国の首脳として、金総書記に核放棄を強く求めるべきである。
 肝心の6か国協議は、再開のめどすら立っていない。
 いったんは「不参加」を表明した北朝鮮は、その後やや軟化し、経済制裁の解除など条件付き復帰の姿勢に転じた。だが、核兵器保有を含め自らの立場を正当化する姿勢には何らの変化もない。
 胡主席が6か国協議の再開をめぐり、金総書記からいかなる言質をとれるか、が一つの焦点だ。
 北朝鮮は国際社会の警告を無視して、2006年10月と09年5月に核実験を強行した。核拡散防止条約(NPT)からの脱退を宣言し、国連安全保障理事会の制裁決議に背反して核兵器開発を公然と継続している。
 国際社会は、北朝鮮によるこうした危険な核拡散活動を断じて容認することはできない。
 中国には、NPT体制の中核メンバー国として、また安保理常任理事国として、核不拡散体制を強化すべき格別の責任がある。世界の安全を脅かす北朝鮮に、毅然(きぜん)と対処してもらいたい。
 韓国は、海軍哨戒艦の沈没事件に北朝鮮の関与が明白になれば、安保理に提訴する方針だ。金総書記には、事件との関与を否定し、中国の理解を得て、さらなる制裁を回避したい狙いもあろう。
 長年の失政によって、じり貧に陥った北朝鮮の経済は、度重なる核実験や弾道ミサイル発射で、国際社会の経済制裁強化を自ら招いた結果、さらに悪化している。
 北朝鮮にとって、最大の支援国・中国との関係強化は、破綻(はたん)した経済の立て直しに不可欠だ。
 金総書記は、胡主席との直談判で、支援や投資の拡大を要請する可能性がある。北京入りに先立って、中朝貿易の盛んな中国東北部の港湾拠点、大連市を視察したのも、将来への布石とみられる。
 胡主席は金総書記に、核武装と経済発展は両立しないことを、はっきり告げなければならない。
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iPhoneは違反? アップルを調査か 米独禁法当局
 世界中で大ヒットした米電子機器大手アップルの携帯電話iPhoneをめぐって米独禁法当局が調査を検討していると米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が3日伝えた。
 関係者によると、アップルが競争を制限する行為をしているかどうかを米司法省と米連邦取引委員会(FTC)が協議しているという。ただ、実際に調査が進み、なんらかの法的手段につながるかどうかは不明だとしている。
 アイフォーン向けソフトウエアの開発に関し、同社が指定した開発ソフト以外の使用を禁じたり、技術的なデータの第三者への提供を禁止したりしたことが問題視されているという。米情報技術(IT)業界では最近、インターネット上で動画を表示する際に広く使われている米ソフトウエア大手アドビ・システムズのソフトの使用をアップルが認めていないことが話題となっており、調査の対象となる可能性もありそうだ。



アドビCEOに聞く、アップルと不仲のワケ
「当社のビジョン、他社と衝突も」
 米ソフト大手のアドビシステムズは、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」向けに動画などのコンテンツを作れるツールの開発を断念した。アイフォーンや多機能端末「iPad(アイパッド)」では、同社の再生ソフト「フラッシュ」機能を利用することができない。なぜ、アドビはアップルとの関係がこじれたのか。アドビのシャンタヌ・ナラヤン社長兼最高経営責任者(CEO)に聞いた。
――アドビは創業時からアップルと緊密に連携し、互いに利益を得てきたはずだ。だがアイフォーンの発売以降、関係は悪化し、アップルはフラッシュやフラッシュ技術を利用したソフトの搭載を拒んでいる。ここまで不仲になったのはなぜか。
 「アドビは長い歴史のなかで、技術系の企業とときに協業し、ときに対立したこともある。アップルもそうだし、米マイクロソフトもそうだ」
 「我々技術系企業は、『ビジョン』という名のレンズを通じ、顧客にイノベーション(革新)を提供したいと考えている。その上で、株主にも価値を還元する必要がある」
 「我々のビジョンは、機器、基本ソフトOS、画面の違いを超えて、顧客がコンテンツを配信できるようにすることだ。このビジョンが他社のビジョンと衝突することは当然あり得る」
 ――アップルはアドビ以外のソフトを使って動画再生ができるようにしている。アドビ側にも対応ソフトを開発するなどの対策があったはずだ。もうアップルを説得することはあきらめたのか。
 「(アップルとアドビが)互いに衝突し合う時期は終わったと考えている。今は、我々と協業したいというパートナー企業と手を取り合い、顧客にイノベーションをもたらすことに集中したい」
――グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を載せたスマートフォンなど、アップル以外の端末に向けたフラッシュの開発状況はどうか。
 「スマートフォン向けフラッシュの最新版『フラッシュ10.1』は今年前半までに完成させ、我々のパートナー企業、つまり『アンドロイド』を擁するグーグル、『ブラックベリー』を開発するカナダのリサーチ・イン・モーション、『ウェブOS』を持つ米パーム(米ヒューレット・パッカードが買収を発表済み)などに提供する」
 「最新版のフラッシュを搭載した機器が登場するのは2010年下半期だろう。この12カ月のうちに、タブレット端末などを含めて25~50機種のフラッシュ搭載機器が登場する」
 「フラッシュ対応のコンテンツは、開発企業がウェブサイトを通じて直接提供したり、スマートフォン企業や携帯電話事業者が用意する『アプリケーションストア』のような配信基盤を通じて販売したりできる」
――日本では既に、携帯電話向けにフラッシュ対応アプリが盛んに開発されている。フラッシュが海外のスマートフォンに広く搭載されることは、国内IT企業にとってチャンスになりうるか。
 「そのとおり、大きなチャンスになるだろう。顧客からは『複数のスマートフォンにフラッシュ対応ソフトを配信したい』との強い要望が寄せられている。日本のネットワーク帯域の広さを考えれば、フラッシュを使った映像配信サービスも普及しそうだ。大変興奮する12カ月になるだろう」
――最新のウェブ標準技術「HTML5」などを使えば、フラッシュを使わなくても動画などを再生できるようになるとの意見がある。
 「HTMLはこれまでフラッシュが実現していた機能を新たに搭載しようとしている。我々はこのHTML5の進化を歓迎している。実際にアドビは、HTMLの標準策定団体の一員として活動している」
 「我々の事業の中心は、クリエーターに最高のコンテンツ制作ソフトを提供することだ。フラッシュの制作にも対応するし、進化を続けるHTMLでもコンテンツ制作にも対応する。ただし、まだHTML5は仕様が完全に確定してない。我々の制作ソフトがどこまでHTML5に対応するか、コメントするのは時期尚早だ」



【オリコン】「けいおん!」が史上初アニメキャラ首位、聖子以来26年ぶり1、2位独占も記録
 今月から第2期シリーズが放送されている深夜TVアニメ『けいおん!!』(TBS系)の劇中に登場する5人組ガールズバンド「放課後ティータイム」が28 日に2作同時で発表した同アニメのオープニングテーマ「GO!GO!MANIAC」とエンディングテーマ「Listen!!」が、5/10付シングルランキングで初登場1、2位を獲得した。女性歌手によるシングル1、2位独占は、1970年に「圭子の夢は夜ひらく」と「女のブル-ス」で達成の藤圭子、 1983年に「瞳はダイアモンド/蒼いフォトグラフ」と「ガラスの林檎/SWEETMEMORIES」で達成の松田聖子に続く、26年6か月ぶり史上3組目。また、アニメのキャラクター名義でのシングル首位は、オリコン史上初の記録となった。
 これまでテーマソング、イメージソングなどシングルだけで10作もの作品をTOP10に送り込んできたアニメ『けいおん!』シリーズ。2009年7月発売の2枚組ミニアルバム『放課後ティータイム』では、マイケル・ジャクソンのベストアルバム『キング・オブ・ポップ-ジャパン・エディション』をおさえ、アニメキャラクター初の1位を飾っていたが、ついに今回、シングルでも1968年1月のランキング発表開始以来、43年目にして初の快挙を成し遂げ、その人気を改めて実証した。




平和公園でワンセグ放送開始 被爆直後の映像や証言 広島
 広島市中区にある世界遺産「原爆ドーム」や平和記念公園を訪れる観光客らに、原爆被害や平和への理解を深めてもらおうと、公園内限定の地上デジタル放送(ワンセグ)サービス「広島P2ウォーカー」が始まった。
 ワンセグ対応の携帯電話やカーナビなどで、ワンセグの受信エリアを「広島」に設定、チャンネル「44」で視聴できる。
 広島市が国の交付金で専用アンテナを設置し、公募で選ばれた地元の中国放送が番組を制作。被爆2カ月後の市街地の記録映像や被爆者の証言、公園内の記念碑・慰霊碑の紹介など6番組が24時間繰り返し流れ、一部は英語字幕も付く。
 携帯電話やパソコン向けの同名サイトで、ワンセグ用の一部番組や公園がある旧中島地区の被爆前の街並みを再現したコンピューターグラフィックスも見られる。



消防庁、ツイッターで災害情報発信へ
 【ワシントン=古川肇】総務省消防庁が今月中旬をメドに、簡易投稿サイト「ツイッター」を活用して災害情報の発信を始めることになった。
 訪米中の原口総務相が同行記者団に明らかにした。同庁になりすました偽情報の発信を防ぐため、サイトを運営する米ツイッター社から認証を取得する。日本の行政機関としては初の取得になる見通しだ。
 同庁は災害時に、把握している情報をツイッターに書き込んで発信。ツイッターへの登録者(フォロワー)から人命にかかわるような重要な情報提供があれば、現地自治体に連絡して必要な対応を促す。フォロワーの「つぶやき」(書き込み)に対する返信は原則行わない。平常時は同庁の発表資料などを発信する。



原口総務相、サイバー攻撃対策で米と協力
 【ワシントン=御調昌邦】原口一博総務相は3日、ワシントンで米連邦通信委員会(FCC)のゲナコウスキー委員長と会談し、増加傾向にあるサイバー攻撃対策や、ネットワーク経由でソフトウエアを利用できる「クラウドコンピューティング」などで協力することで一致した。原口総務相は9月下旬にもFCC委員長とワシントンで会談しており、日米で情報通信について自由・公正・公平などの面で緊密に協力していく姿勢を改めて示した。
 原口総務相はワシントン訪問の前に、米西海岸のシリコンバレーでネット検索最大手のグーグル、ソフト大手のオラクルなどの幹部とも意見交換した。



首相「沖縄にも徳之島にも」移転検討伝える
 鳩山首相は4日朝、就任後初めて沖縄県入りし、県庁で仲井真弘多(ひろかず)知事と会談した。
 首相は米軍普天間飛行場の移設について、「すべて県外に、というのは現実問題として難しい。沖縄の皆さんにご負担をお願いしなければならないという思いで来た」と述べ、沖縄県内での移設を進めたいとの政府方針を正式に伝えた。
 仲井真知事は「県民の間では県外移設の実現を期待する声が高まっている」と述べ、県外移設の実現に政府が努力するよう求めた。
 政府は、日米が2006年に合意した同県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる現行計画を修正し、杭打ち桟橋方式で滑走路を建設する案と、ヘリコプター部隊を鹿児島県・徳之島に移転する案を組み合わせる政府案を固めている。
 首相は知事にはこうした方針を具体的に説明しなかったが、その後の高嶺善伸(ぜんしん)議長らとの会談で「沖縄にも徳之島にも率直に普天間の基地移設の協力を願えないかとの思いで来た」「埋め立て(方式)は極力、避けるべきだという議論が政府の中も出ている」と語り、現行計画の修正案と徳之島への移転を検討していると伝えた。
 首相は一連の会談後、県議会内で記者団に対し、「(知事には)『抑止力を維持する必要性から、国外、県外にすべての普天間の機能を移設するのは難しい』と言った。誠に申し訳ない思いで来た。具体的な地域は知事にはお話していない」と述べた。徳之島への移転については「近々、3町長にお目にかかる機会を頂いた。それをスタートにしたい」と述べた。



記者の目◇新日鉄、近づかないポスコの背中、横たわる3つのハンディ
 新日本製鉄の収益力がライバルの韓国ポスコに見劣りする状況が続いている。28日に発表した2010年1~3月期の連結決算は343億円の最終黒字となったが、ポスコは3倍以上の約1200億円を稼いだ。「ポスコのコスト競争力が優れているのは間違いない」(国内大手証券)。対ポスコで3つの大きなハンディを抱える新日鉄がハンディを乗り越えるのは容易ではない。
 新日鉄の四半期業績は着実に改善が続いている。09年1~3月に570億円の最終赤字を計上したのを底に、その後は3カ月ごとに422億円の赤字、295億円の赤字と改善。09年10~12月期には259億円の最終黒字に転換した。
 業績建て直しで地力を示した形の新日鉄だが、ポスコの業績は、はるかにその先を行く。ポスコはリーマン・ショック後の世界的な鋼材需要減退を受けても1度も四半期赤字に転落しなかった。新日鉄がようやく水面上に浮上した09年10~12月期も既に1000億円程度の純利益をたたき出している。その背景には、新日鉄が抱える「為替」「税制」「顧客」という3つのハンディがある。
 まずは為替。新日鉄は建設不況で内需がふるわないこともあり、中国や東南アジアなど新興国への輸出を増やしている。国際通貨基金(IMF)の10年の経済成長率見通しによると日本が2%弱なのに対し中国が10%、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要5カ国が約5%。インフラ投資や製造業が伸びているため「年1割膨張する高度成長市場」(宗岡正二社長)だ。
 当然、ポスコもこの市場を狙っている。ただ為替は足元で是正傾向にあるとは言え、円高・ウォン安が続く。東アジアの鋼材価格はドルベースで取引されており、ドルで比較した場合の鋼材価格は新日鉄製品にとって不利。ポスコが鋼材を新日鉄と同じ価格(ドルベース)で売ったら、「彼らの方が利益は大きい」(新日鉄幹部)。
 次に「税制」。韓国には日本で言う固定資産税がない。ちなみに新日鉄が払う固定資産税はおおよそ年250億円。法人税も国際的に高いと言われる日本より韓国の方が低い。
 3番目は「顧客」の勢いの差だ。輸出が増えているとは言え、新日鉄もポスコも当然ながら主要顧客は自国の製造業。製造業全般でみても、日韓の勢いの差は明らかだ。日本勢はリコール問題などでトヨタ自動車が苦戦、北米市場などでは現代自動車が存在感を増している。電機業界でも「パナソニックやソニーが海外でサムスングループに売り負けている」(鉄鋼商社首脳)という。
 鉄鋼メーカーにとって顧客の元気度の差は自身の収益力に直結する。その意味で、円高は新日鉄にとって直接的な収益の重荷となるだけでなく「間接的にもマイナス」(宗岡社長)だ。
 為替・税制・顧客は言ってみれば新日鉄にとって外部要因。「収益力格差は現経営陣の責任ではない」(外資系証券)という同情の声も漏れる。とはいえ、いつまでも後じんを拝することは新日鉄のプライドが許さないだろう。
 挽回(ばんかい)のチャンスがないわけではない。ポスコは新日鉄よりも「資源権益保有比率が低い」(新日鉄首脳)。言い換えれば、資源高の局面でよりダメージが大きいのはポスコの方だ。足元の資源高騰が新日鉄とポスコの収益格差を縮める可能性がある。
 また、これまで韓国国内で唯一の高炉メーカーとして君臨してきたポスコだが、電炉方式だった現代製鉄が年初に初の高炉を稼働させるなど、国内ライバルも台頭してきた。価格競争が激しくなり今後は今までのような利益を取るのは難しくなるという見方も出てきている。
 とはいえ3つのハンディは足元に大きく横たわったまま。為替や税制は国の戦略にかかわる問題でもあり、企業努力だけで収益力格差を縮めるのは容易ではない。ポスコの背中がなかなか近づかない状況で、「せめて対等な競争条件を」という宗岡社長の訴えは切実だ。



神戸新聞社説
港の再生へ/真のハブへ戦略の練り直しを 
 日本の港の国際競争力低下が指摘されて久しい。中でも、世界トップクラスだった神戸港の地盤沈下が目立つ。この苦境を打開するため、国土交通省は予算を重点配分し機能を強化する「国際コンテナ戦略港湾」の整備を打ち出した。港を抱える自治体は選定を目指し、PRに奔走する。
 再生に必要なのは、日本各地の港から韓国などに向く荷物の流れを取り戻すことだ。振り返れば、政府は5年ほど前に「スーパー中枢港湾」などとして主要港の重点整備を本格化した。まずはその成果や課題を整理することが先決だ。港湾整備の「集中と選択」は大切だが、日本が追い込まれた原因を明らかにすることで、再生への戦略を練り直したい。
         ◇
 神戸・ポートアイランドのコンテナターミナル。到着した欧州航路の大型船に巨大なガントリークレーンが張り付き、コンテナの積み降ろし作業にかかる。
 阪神・淡路大震災をきっかけに、神戸港に寄港する便数は落ち込んだ。1995年は週42便だったが、2010年は16便。「もっと基幹航路の寄港を増やしたい」というのは、港湾関係者の共通の願いだ。
 日本の港は1980年代前半までは世界でも有数の地位を誇ったが、アジア諸国の経済成長に反比例して地位が下がった。77年にコンテナ取扱量が世界2位だった神戸港は、2007年は44位。世界のトップ20から日本の港湾は姿を消した。
港湾行政に問題点
 一方で、アジア各国の主要港の伸びはすさまじい。シンガポール、上海、香港、釜山…。最新鋭の設備、国挙げてのバックアップで、世界を代表するハブ(拠点)に成長している。
 「荷物を釜山に取られたのは、日本の港湾行政の失敗に原因がある…」。港をまわると、こんな声が聞こえる。窮状を打開するには、まずは従来の政策の問題点を見つめ直す必要がある。
 ここ20年ほど、「地域振興」や「企業誘致」の名目で、日本全国に立派なコンテナ港が次々に整備された。その数は60を超える。ところが肝心の荷物の流れは国内の主要港に向かわず、安い港湾使用料にひかれて釜山や上海にいったん集められ、欧米航路に乗るようになった。
 「国内の荷物はまず阪神港(神戸、大阪)や京浜港(東京、川崎、横浜)から」。国がいくらそう呼び掛けても、コストや利便性を考え、多くの海運業者が敬遠する。自治体の中には地方港振興の観点から釜山などへの荷物輸送に補助金を出すところもあり、西日本の地方港から年間100万個のコンテナが韓国に流れているとされる。
 これでは阪神や京浜など主要港の競争力が落ちるのも当然だ。前原誠司国交相が批判するように、自民党政権時のばらまき的な港湾整備のツケが顕在化したといえる。各地に空港を整備したが韓国の仁川空港などに乗客を奪われた空の現状と重なる。
「国際拠点」の条件
 国交省が打ち出した国際コンテナ戦略港湾は、スーパー中枢港湾からさらに対象を絞り込み、「ウルトラ港湾」として日本を代表する交易港に育てる事業である。候補に名乗りを上げたのは阪神、京浜、伊勢湾(名古屋、四日市)、北部九州港湾(博多、北九州)の四つ。そこから最大で二つが選ばれる。そのうち、確実視されているのはコンテナ取扱数で国内の過半数を扱う京浜港だ。残る1枠は、国内2位の阪神港が有力とみられている。釜山港などに対抗するには、地理的にみて西日本にもハブを置く戦略が不可欠だからだ。
 阪神港の中核である神戸港ではコンテナ船用岸壁の水深を掘り下げる工事などハード機能を強化してきた。さらに、神戸、大阪両市は埠頭(ふとう)公社を民営化し、15年をめどに経営統合する。効率性を高めるためだ。
 しかし、大きく水をあけられたアジア諸港に追いつくのは並大抵ではない。海外への荷物流出を食い止めるには、国内各地を結ぶ内航フィーダーや鉄道などで、主要港に荷物が集まる仕組みを官民挙げて強化しなければならない。主要港周辺に工場や物流施設を集積させることは基本中の基本だ。外国への荷物輸送に対する補助金の廃止を求める働き掛けも要るだろう。
 主要港を明確なハブにするには、釜山などアジア各港の吸引力に対抗するパワーが要る。「荷物が集まれば港湾関連コストはおのずと下がる」といわれる。東西の2カ所で日本の物流をけん引する、明確な将来像を打ち出すときにきている。
米アップル、iPad販売100万台を突破  【シリコンバレー=岡田信行】米アップルは3日、4月3日に米国で発売した多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」の販売台数が100万台を突破したと発表した。アプリケーションのダウンロード(取り込み)は1200万件、電子書籍配信は150万件に達したという。
 スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は、100万台突破に74日かかった高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」を引き合いに、「発売後28日間で100万台に達した。需要が供給を上回る状況が続いている」とする声明を出した。



児童ポルノ閲覧遮断、接続業者に自主規制要請へ
 【ワシントン=古川肇】インターネット上に氾濫(はんらん)する児童ポルノ対策として、政府はプロバイダー(ネット接続業者)など関連業者に対し、有害サイトの閲覧を強制的に遮断する「ブロッキング」の実施などの自主規制を求める方針を固めた。
 ワシントンを訪問中の原口総務相が2日夜(日本時間3日午前)、同行記者団に明らかにした。
 全閣僚による犯罪対策閣僚会議(主宰・鳩山首相)を来月中に開いて、ブロッキングを含む包括的な児童ポルノ対策を策定し、今年度中にブロッキングを実施することを目指す。
 総務省は今月中旬にもブロッキングの法的課題を整理し、警察庁が違法性などを考慮して関連業者からのヒアリングも踏まえてブロッキングの対象とすべき有害サイトの基準とリストをまとめる。政府はこうした取り組みを踏まえ、業者側に自主規制の実施指針の策定を求める考えだ。
 政府はこれまで、ブロッキングのあり方について、「児童ポルノ排除対策ワーキングチーム」(議長・大島敦内閣府副大臣)で検討してきた。警察庁が「業者の社会的責任」を理由に幅広くブロッキングを行うべきだとの立場なのに対し、総務省は「通信の秘密を侵しかねない」との理由から、「緊急避難措置」として例外的に行うべきだと主張するなど見解が分かれていた。



EUが京都議定書「延長」打診、日本は拒否
 【ボン=尾関航也】欧州連合(EU)のヘデゴー気候変動担当欧州委員は3日、独ボンで小沢環境相と会談し、2012年で期限切れとなる温室効果ガス排出削減の枠組み「京都議定書」の期限延長にEUと日本が同意することを提案した。
 EUが議定書延長支持を公式に表明したのは初めて。
 京都議定書では、米国のほか中国やインドなど排出増加が見込まれる新興国も削減義務を負っていない。期限が延長されると、日本は、排出削減のための設備投資など負担を強いられながら、こうした国との市場競争にさらされることになる。小沢環境相は会談後、記者団に対し、EU提案を拒否する意向を伝えたことを明らかにした。
 EUは、議定書の基準年の1990年以前に省エネ対策が進んでいなかったため、日本より削減の余地が大きい。このため、日本の産業界では以前から、EUが延長支持に転じるとの警戒感があった。中印など途上国側は、先進国が13年以降も引き続き削減義務を負う枠組みとして、京都議定書延長を強く求めている。



米、核保有数は5113発
94年以降8748発を解体、米国務省発表
 【ワシントン共同】米国防総省は3日、米国が1994年から昨年にかけて8748発の核弾頭を解体、昨年9月末現在で保有核兵器数は5113発となり、最多だった67年度から84%削減されたと発表した。



食品大手、国内外で「定番品」増産
ヤクルト、カルピス、赤いきつね…
 食品大手が国内外で主力の定番品を増産する。国内では明治製菓の板チョコなどで生産増強の動きが相次ぐ。市場縮小が続き節約志向も強い国内市場では、消費者が慣れ親しみ、スーパーなどが大量販売しやすい定番品に経営資源を集中する。一方、ヤクルト本社は2011年末までにアジアで「ヤクルト」の生産能力を2割増やす。成長する新興国市場ではブランド浸透へ攻勢をかける。
 明治製菓は主力の大阪工場(大阪府高槻市)に11年4月にも新たな工場棟を設け、生産能力を4割増やす。板チョコ「ミルクチョコレート」などの増産を見込んでおり、投資額は50億円。新鋭設備で競争力を高める。
 日清食品は今後3年で国内工場を中心に200億円強を投じ、即席めん「どん兵衛」などをストレートめんに切り替える設備増強などを実施。江崎グリコは10年3月期に冷菓の定番品「アイスの実」の生産量を前の期比2倍に増やし、11年3月期には同じく定番の「パナップ」の生産量を前期比2~3割増やす。
 国内の食品市場は少子高齢化などに伴い縮小。07年度の国内食品産業の生産額は81兆円と10年で約1割縮んだ。菓子市場も09年は0.4%減の3兆2500億円と5年ぶりの前年割れだった。



電気自動車で超高速充電 JFEエンジ、給油並みに
設置費用4割安く
 JFEエンジニアリングは今年度中に電気自動車(EV)用の超高速充電システムを発売する。電池容量の50%を充電するのにかかる時間は3分と現行の約5分の1で、ガソリンの給油時間並みに短くできる。ガソリンスタンドなどへの設置費用も4割安い600万円に抑える。作業時間の短縮と充電場所の拡充で消費者の利便性が高まれば、EV普及に弾みがつきそうだ。
 ガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどへの設置を想定し、2015年度に年150億円の受注を目指す。新システムは料金が昼間の3分の1程度の夜間電力をいったん大容量の蓄電池に蓄え、特殊なリチウムイオン電池を経由して電気自動車に電力を補充する。
 従来よりも5倍強い電流を放出できる特殊電池を電池の試験会社の協力で開発し、充電時間の短縮を可能にした。既存の充電器は放出できる電流の強さが限られていた。大きさは通常のガソリン給油機と同程度にする。



W杯招致、日本は2022年に専念
 【チューリヒ(スイス)=近藤雄二】日本が招致に乗り出している2018、22年のサッカー・ワールドカップ(W杯)に絡み、日本の招致委員会が、今後は22年大会の招致に絞って活動していく方針を固めたことが3日、分かった。
 招致委の犬飼基昭委員長(日本サッカー協会会長)と、特別顧問を務める川端達夫文部科学相が同日、チューリヒの国際サッカー連盟(FIFA)本部を訪れ、ゼップ・ブラッター会長に対して明らかにした。
 18、22年の両大会の開催地は、今年12月のFIFA理事会で理事の投票によって一括決定される。18年には日本のほか、イングランド、豪州など7候補(共催含む)が、22年には韓国、カタールを加えた9候補が招致に乗り出している。
 犬飼委員長は、「18年は、どうしても欧州に戻したいという意識が(FIFA内に)ある。その中で、どんな戦いが出来るか検討して決めた」と語った。一本化の方針は、11日の招致委員会で正式決定する。
 川端文科相「18年は欧州の激戦、22年はアジアの激戦となるが、ブラッター会長からは『賢明な選択だ』と評価いただいた」



「世界最高齢」 沖縄の114歳女性死去
 厚生労働省は3日、国内最高齢の沖縄県の114歳の女性が死去したと発表した。厚労省は女性の名前や住所、生年月日などは家族の意向で非公表としている。沖縄県内の施設に入所していたが、容体が急変、搬送先の病院で2日午後2時40分に死去した。この女性の死去により、国内最高齢者は佐賀県の113歳、長谷川チヨノさんになった。
 米団体「老人学研究グループ」によると、死去した女性は「チネン・カマ」さんで、今月1日時点で114歳11カ月で世界最高齢だった。AP通信も昨年9月、115歳だった米国人女性が死去した際、「知念カマ」さんが長寿世界一になったと報じていた。



航空再編加速へ、顧客メリットは不透明
 【ワシントン=渡辺浩生】3日に合併が決まった米ユナイテッド航空の親会社UALとコンチネンタル航空は今後、重複路線の整理やコスト削減で厳しい経営環境の克服を図る。世界の航空業界は金融危機が峠を越した後も燃料費高騰などに悩まされており、今後も大規模提携や経営統合が活発化することは必至だ。
 両社はシカゴ、ロサンゼルスなど国内ハブ(拠点)を8カ所に広げる。海外路線は、ユナイテッドが太平洋路線、コンチネンタルが欧州、中南米に強みを持っており、合併による相乗効果に期待している。両社は全日本空輸が加盟する「スターアライアンス」の構成メンバーでもあり、日本航空が所属する「ワンワールド」など他の国際的な航空連合との競争も一段と激しくなる見通しだ。
 米航空業界は、2001年の同時中枢テロを契機にした航空不況で一時は大手4社が連邦破産法適用となる事態になった。経営再建後の各社は再編に活路を求め、08年にはデルタ航空とノースウエスト航空が大型統合。ユナイテッドとコンチネンタルも、2年前の交渉決裂を乗り越えて合併決定に至った。
 米国では、ジェット・ブルーなど格安航空会社との競争も激化しており、現在2位のアメリカン航空と5位のUSエアウェイズの統合に向けた動きも注目されている。しかし、相次ぐ大型再編は市場の寡占状態を招き、「効率化を口実とした路線削減や値上げがしやすくなる」(業界アナリスト)可能性がある。
 すでに航空連合内で一定の提携効果は進んでいるという見方があり、統合過程におけるサービス低下や苦情の増加はデルタ・ノースウエストの合併でも指摘されている。消費者にも大規模再編のメリットが及ぶかどうかは不透明で、結果的に顧客の減少を招く恐れも捨てきれない。



南米で進む地デジの日本方式採用 官民一体での売り込み奏功
 地上デジタルテレビ放送で日本方式の採用が南米で相次ぎ、明るい話題となっている。日本の中で独自進化を遂げ、結果的に世界市場から取り残される「ガラパゴス化」が指摘されて久しい中で、今回の成功体験は、日本が世界市場で伍(ご)していくための糸口になり得るのか。3月に放送を開始したばかりのペルーの現場をみた。
官民一体
 「(NTTドコモが開発した携帯電話上でのメールなどのサービス)iモードが出てきたころから、すでに“ガラパゴス化”は懸念されていたんですよ」
 ペルーの首都リマの日本大使館。地デジ売り込みを担当する藤原慎哉2等書記官がいった。「これからは海外に出ていかないと、日本は立ちゆかない。けれども、民間だけにそれを要求してすむ話ではない」
 日本政府が打ち出したのが、「官民一体」という方法論だった。
 「大使をはじめ、官の人間がこぞって“営業マン”としての気構えをもって地デジ日本方式を売り込んだ。技術的な優位はあったが、人的な営業努力なしでは間違いなく、採用には至っていなかっただろう」と藤原書記官は振り返る。
 南米で日本方式を採用したのは、ペルーがブラジルに続いて2カ国目。昨年4月の日本方式採用決定からわずか1年で予定通り試験放送開始にこぎ着けた。
やる気出した「官」
 NHKから国際協力機構(JICA)に出向してペルーに赴任し、同国で地デジのアドバイザーを務める阪口安司さんとともに、リマ市内のペルー国営放送を訪ねた。局内には、日本の技術援助による放送機材がずらりと並んでいる。
 「日本の技術や人には、信頼感がある。売りっぱなしではなく、アフターケアもしっかりしている」。東京・お台場のフジテレビで研修したこともあるホセ・アギラール技術局長は、すっかり日本ファンだ。
 阪口さんが、備え付けられている地デジ用カメラを指さした。「この機材は、地デジ開始式典に出席する総務省の若手が『ついでだから』といって自分の手荷物として日本から運んできてくれたんですよ」。送料の節約という以上に、その「やる気」に驚いた、と阪口さんはいう。「かれら官僚はもともと極めて優秀。使わない手はない」。
 南米は旧宗主国であるスペイン、ポルトガルの影響力が極めて強い地域。地デジでも欧州方式の採用が当然視されていた。一方日本は、海外に打って出るという戦略を打ち出した手前、地デジ空白地帯だった南米に目を付けたものの、最初は手探りだったという。
 だが、ていねいな勉強会を繰り返し、技術の優位性を根気よくアピールするとともに、総務省幹部が足しげく現地を訪れるという熱意をみせたことで、次第に状況は好転していった。
 総務省がこれほどの熱意を見せた裏側には、きれいごとだけではない事情もある。通信、放送の自由化が進む中で、「許認可官庁」といわれた旧郵政省は急速に存在意義を失いつつある。「海外へ打って出るための官民一体戦略」は、自らの生き残りをかけた新規事業の創出でもあった。
鈍い「民」の出足
 現在のところ、大成功を収めつつある南米での地デジ売り込みだが、すべてがうまくいっているわけではない。そもそも、システムの売り込みだけでは、ビジネスとしては1銭ももうからない。
 そこからどうやって日本が利益を得ていくか。まず考えられるのは、放送機材の納入と、受信機材(地デジ対応テレビ)の売り込みだが、いずれも日本企業の出足は鈍い。
 「家電売り場で主力を占めるのは韓国勢。日本勢は高級品のイメージこそあるものの、高いと敬遠されている」(地元住民)。そんな中で、韓国企業ははやばやと地デジ対応商品を売り出した。
 「もともと、韓国勢はシステムがどの方式になろうと、それに迅速に対応して商品を開発していく手法。新興国市場への目配りもすばやい」(藤原書記官)。
 その勢いに押されたままでは、せっかくの地デジ売り込みも「単なる税金の無駄遣い」だったといわれかねない。「官民一体」のかけ声の真価が問われるのはこれからといえそうだ。
               ◇
【用語解説】南米の地上デジタル放送
 2006年6月にブラジルが日本方式採用を決定したのを最初に、ペルー、アルゼンチン、チリ、ベネズエラ、エクアドルの6カ国がこれまでに日本方式を採用。南米では人口比で約80%のシェアを占める。ほかには世界でもっとも普及が進んでいる欧州方式、大市場の米国のほか中米などでも採用が進む米国方式があるが、日本方式は携帯電話などでデジタル放送を視聴できる「ワンセグ」など機能面でもっとも優れているとされる。



【産経主張】公務員採用半減 安易すぎる数合わせ対応
 政府が、一般職国家公務員の新規採用を来年度は半減する方針を打ち出した。実数で約4500人もの抑制で、5月中旬にも閣議決定する。
 官僚組織の肥大化は、税金の無駄遣いに直結する。合理的な範囲の人員削減なら大いに進めてほしい。しかし、景気回復の現状を見れば、国自らが今、大規模な新規採用の見送りを決める影響は大きく、あまりにも対応が安易すぎる。
 直嶋正行経済産業相が「民間企業にも雇用面の配慮をお願いしている。景気にもマイナス要因とならぬよう対応すべきだ」と語るなど、閣僚からも雇用や景気への影響を懸念する声が聞かれる。
 半減の具体策は、国の出先機関の採用を原則「2割以内」に抑えることが中心となる。出先機関は大幅な統廃合を目指すとした政府方針にも合致しているが、一時的措置にせよ組織の年齢構成がいびつになれば、当面の行政サービスにも影響が出かねない。
 異例の手段に訴えざるを得なくなった理由は明らかだ。鳩山政権が掲げる「官僚の天下り斡旋(あっせん)の全面禁止」が、具体的な受け皿整備もないままに進められてきたからだ。民主党は、国家公務員の総人件費2割削減も、昨年の衆院選で政権公約に掲げた。夏の参院選を前に、目に見える形で人員の抑制策を示しておきたい事情も政府にはあるようだ。
 しかし、完全年功序列のピラミッド型組織や給与体系にメスを入れず、天下り禁止を叫ぶだけでは中高年のベテラン官僚が退職しなくなるのは当然の成り行きだ。
 本来なら、天下りしなくとも能力に応じて定年まで働ける環境を整備するのが先である。今回の方針は、それを怠ったツケを新規採用に回しただけともいえる。
 新規採用者の半減と合わせて、政府は定年前退職者などへの処遇を定めた「退職管理基本方針」も閣議決定する方向だ。ところが、その中身もまた、一般常識とかけ離れた規定が少なくない。
 早期退職者への割増手当は当然としても、出世レースを外れた幹部職員を高給で処遇する「高位の専門スタッフ職」新設や、現役時代から独立行政法人の役員に出向させるというのは、形を変えた天下りにほかならない。
 抜本改革を抜きにした小手先の数合わせは、公務員制度の歪(ゆが)みを拡大するだけであり、改革の本質を見失わせかねない。
ドコモの開放戦略 勝算は 「軒先貸し」に潜む危うさ(COLUMN)
 NTTドコモがシャープやパナソニックなど日本の家電・半導体メーカー5社と携帯電話の基幹ソフトの統一に乗り出した。動画や音楽の再生機能を共通化し、次世代端末に搭載する。米アップルに対抗し、オープンな技術基盤を広める狙いだが、「ガラパゴス」と呼ばれる閉そく状況を果たして打ち破れるのか。
 「各社が共同することが大切。日本メーカーの国際競争力もつけられる」。ドコモの山田隆持社長は先週、2009年度決算の発表で基幹ソフトを統一する意義をこう強調した。各社バラバラな開発体制では技術基盤が広がらず、コスト的にも海外メーカーに負けてしまうというわけだ。
 実は同じせりふを10年前にも当時の立川敬二社長が言っていた。第3世代携帯電話や「iモード」の技術規格をまとめ、海外の通信会社にも出資し、採用を働きかけた。だが、結果は大幅な投資損。海外戦略の失敗はかえってガラパゴス化を促す結果となった。
 一方、勝ち組のアップルはどうか。携帯分野は新参者だが、ネット音楽配信を武器に「アイフォーン(iPhone)」で参入。iモードに代わる事業モデルを見事に世界へ広めた。
 ドコモもアップルも唯我独尊的な会社だが、ドコモがメーカーやコンテンツ会社を囲い込んだのに対し、アップルは世界の通信会社と組み、情報配信基盤も開放して成功した。山田社長がことあるごとに「今度は皆さんと手を携えていく」と言うのはそのためだ。
 特にドコモは今年末、世界に先駆け「LTE」と呼ばれる次世代高速データ通信端末を投入する。第3世代携帯やiモードと同じ過ちを繰り返さぬようにという思いがある。
 しかし、今回集まったメーカーの顔ぶれには不安もある。ドコモに端末を納める国内メーカーで、かつての「電電ファミリー」ならぬ「ドコモファミリー」といえる企業ばかりだ。半導体メーカーもルネサスエレクトロニクスと、「オールジャパン」で固めている。
 アップルが奪ったのはドコモのiモードだけではない。ソニーも「ウォークマン」の携帯音楽プレーヤー事業を「iPod」に奪われた。ソニーエリクソンは主にKDDI(au)に端末を供給するが、もしドコモが本当にアップルに対抗するなら、ソニーもメンバーに加わるべきである。
 もっともドコモが新しい基幹ソフトに社運をかけているかといえば、それにも疑問符が付く。先月発売したスマートフォンの「エクスペリア」(ソニーエリクソン製)は米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」を使用。5月発売予定のアップルの新端末「iPad(アイパッド)」にも通信回線を提供する計画だ。
 世界の各社と協調するドコモの戦略はオープンには違いないが、一歩間違えば、同社に追従してきた国内メーカーの居場所を奪いかねない。山田社長は「次はiモードメールをスマートフォンに対応させる」というが、軒先を貸して母屋を取られぬよう、周到なかじ取りが求められる。



米航空2社が合併承認 世界最大手が誕生へ
 米航空3位のユナイテッド航空の親会社UALと同4位のコンチネンタル航空がそれぞれ2日、取締役会を開き、両社の合併を承認した。米メディアが報じた。3日にも正式発表する。当局の承認が得られれば、最大手のデルタ航空を抜き、世界最大級の航空会社が誕生する。合併後の社名はユナイテッドとする。
 米航空会社は競争激化や燃料費高騰で苦戦しており、両社は合併で経営効率化を進め、勝ち残りを目指す。今後、世界規模で航空再編が加速する可能性がある。
 米航空大手は新ユナイテッド、デルタ航空、アメリカン航空、USエアウェイズの4社体制となる。
 合併後の本社は、現在ユナイテッドが本拠を置くシカゴとし、会長に同社の最高経営責任者(CEO)のティルトン氏が、CEOにはコンチネンタルCEOのスマイゼック氏が就く。



社債保証の基金創設へ…ASEANプラス3
 【タシケント=五十棲忠史】東南アジア諸国連合・日中韓(ASEANプラス3)財務相会議が2日、ウズベキスタンの首都タシケントで開かれ、「東アジア経済は、世界で最初に健全な回復を見せ、世界経済の牽引(けんいん)役を担っている」とする共同声明を採択し閉幕した。
 会議では、社債市場を活性化させて中長期の投資資金を呼び込むため、7億ドル(約660億円)の基金を創設することが決まった。民間企業がアジア諸国で発行する現地通貨建ての社債に保証を付ける。投資家が社債を購入しやすい環境を整え、企業の新興国への投資を促進させる。7億ドルのうち、日本は2億ドル(約190億円)を国際協力銀行が出資する。また、2011年5月までに、域内の経済状況を監視・分析するための調査機関をシンガポールに設置する方針も確認した。



露とノルウェー40年の争いに幕…海域境界
 【モスクワ=山口香子】ロシアとノルウェーは約40年前から争ってきた、石油や天然ガスが豊富なバレンツ海の境界を画定することで基本合意した。
 メドベージェフ露大統領が4月27日、訪問先のオスロでストルテンベルグ・ノルウェー首相と会談した際、同海域を両国がほぼ同じ面積で分割する境界線を引くことで一致した。
 ロシアとノルウェーは同海の約17万5000平方キロ・メートルの海域について、1970年ごろから自国の権益を主張し対立してきた。この歴史的な合意は、北極圏のエネルギー開発という戦略的な利益を重視し、両国が歩み寄ったものだ。
 露紙コメルサントによると、バレンツ海の係争海域には、推計で地球上の原油埋蔵量の1%があるとされる。この開発についてメドベージェフ大統領は「(ノルウェーとの)合弁事業による開発が最善だ」と述べた。
 北極圏では近年、開発技術の発達や温暖化の影響で氷が解けたことにより、周辺国が資源開発の動きを活発化させている。海域の分割をめぐる争いに終止符を打つことで、ロシアとノルウェーの資源の共同開発に弾みがつく可能性がある。
 ロシアは旧ソ連時代から自国に有利な境界を求めていた。海域をほぼ二等分する今回の合意はロシア側が妥協したことを示し「ロシアの新しい柔軟路線の一環」(英紙フィナンシャル・タイムズ)との指摘もある。
 ロシアは最近、ポーランドやウクライナなど近隣諸国との友好関係を強化する動きを見せている。



ギリシャ、財政再建の前途多難
 ユーロ圏と国際通貨基金(IMF)がギリシャ支援で最終合意し、欧州経済を揺るがしたギリシャ問題は大きな節目を迎えた。
 ただ、放漫財政を放置し続けたギリシャに対するユーロ圏各国の姿勢は厳しい。一方で、支援と引き換えに大規模な財政赤字削減という痛みを強いられるギリシャ国民の怒りも激しく、財政再建の前途は多難だ。
 ギリシャのパパンドレウ首相は2日の臨時閣議で、「年間600億ユーロ(約7・4兆円)を借り入れる必要がある。ギリシャにとって犠牲は大きいが、破産は避けなければいけない」と国民に理解を求めた。
 独仏などユーロ圏各国にとって、今回の金融支援は国内世論向けに支援を正当化する必要があり、苦渋の決断でもあった。厳しい財政再建を迫ったのもこうした背景がある。
 ギリシャのメディアが「ナイフと贈り物」と称した今回の支援策と引き換えに、ギリシャでは付加価値税(VAT、日本の消費税に相当)の税率引き上げや80万人にのぼる公務員の年収の最大約3割削減が行われ、年金の受給額も最大30%カットされる見通しだ。
 欧州連合(EU)は当初、ギリシャの2010年の経済成長率をマイナス0・3%と見込んでいた。しかし、消費の落ち込みでマイナス4%に悪化する見込みだ。
 EUの執行機関・欧州委員会のバローゾ委員長は2日、「財政再建策に合意したことを歓迎する。信頼できる中身であり、ユーロ圏の安定に資するものだ」との声明を発表した。
 だが、首都アテネでは、「IMFは出て行け」などの横断幕を手に激しいデモが連日繰り広げられている。5日には官民の労働組合による24時間ストライキが予定され、国民の抵抗は激しい。
 これに対し、最大の負担国となるドイツでも、国会議員から「ギリシャをユーロ圏から追放しろ」と過激な声が上がるなど、支援への批判は強い。国内世論に配慮し、民間にも10億~20億ユーロを負担してもらう方向で調整しているほどだ。
 今回の支援には、「通貨ユーロを守る」(メルケル独首相)という重要な狙いがあるが、ポルトガルなど財政が悪化するユーロ圏の他国に影響が波及する懸念が残り、ユーロが安定するかは不透明だ。
 泥縄式に支援を続けていけば、金額は5000億ユーロ(約62兆円)規模に達するとの見方もあり、ギリシャ支援の成否は、ユーロ圏の信認維持に向けた試金石となりそうだ。



記者の目◇富士通、ガバナンスと業績は別物か
 富士通の業績が急回復している。4月30日に発表した2010年3月期の連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前の期比37%増の943億円。最終損益は930億円の黒字と、前の期から2000億円超の改善だ。IT(情報技術)システムで約1300億円の営業利益を稼ぎ出したうえ、携帯電話やパソコンも黒字を確保した。何よりも半導体など電子部品の赤字が631億円縮小した。野副州旦元社長との辞任を巡る争いが混迷しているが、ガバナンスと業績は別物なのだろうか。
 「構造改革の効果もあり、業績はかなり改善してきた」。同日の決算会見で、加藤和彦最高財務責任者(CFO)はこう総括した。製造業や金融はIT投資を手控えているが、官公需や医療などの顧客を手堅く取り込み、本業は高水準の利益を維持する。さらに富士通の業績を不安定にしてきた電子デバイスは87億円の赤字と大きく改善。「改革効果に加え、下期以降は需要が戻ってきた」(加藤CFO)ためだ。
 11年3月期も回復は急ピッチだ。営業利益はほぼ2倍の1850億円を計画。前期に計上したファナック株などの売却益(約900億円)が無くなっても、純利益は2%増の950億円を見込む。電子デバイスは黒字化し、システム事業は増益の予想だ。
 同日、会見した山本正已社長は野副元社長の問題に関し「大変ご迷惑をおかけした」と陳謝したうえで、「業績への懸念をもたれるかもしれないが、本業については全く問題ない」と話した。その言葉通りの業績回復だ。社長辞任を巡る混乱と、その後の開示情報の訂正を考えれば、富士通のガバナンスに及第点は出せない。前期の利益だけを見ればガバナンスに多少の問題があっても、業績とは関係ないということになる。
 前期の決算を詳細に見ると興味深い点がある。1つはキャッシュフローの改善だ。純現金収支は3000億円弱の黒字と、一年前より2700億円改善した。半導体の最先端製品を台湾企業に委託生産する方針を決め、1000億円単位の投資が必要な半導体のリスクと決別した。東芝などに売却したハードディスク駆動装置も同様だ。絶え間ない投資競争が必要な電子部品事業の抜本改革で、本業で稼いだ資金が手元に残るようになった。
 これによって財務が改善した。余剰資金を借金返済に回した結果、有利子負債は5774億円と1年間で3060億円減少した。手元資金と差し引いたネットの有利子負債は1572億円にまで減少。財務体質は極めて良好となった。
 「だいぶ分かりやすい会社になっただろう」。辞任前の野副元社長は富士通の現状をこう説明していた。電子部品からITシステムに経営の軸足を移すというシンプルな改革を実行したのは野副元社長だ。通信機器メーカーとして出発した富士通は伝統的に生産現場の力が強いといわれる。これまでは社内の反発を懸念してか改革は遅れがちだった。それを野副元社長が次々と実行に移した。10年3月期に業績が回復し、財務体質が改善した理由の多くは野副時代の改革に求めることができる。
 山本社長は「改革のスピードは緩めない」として改革路線を継続する考えを示し、ネット経由でサービスなどを提供する「クラウドコンピューティング」で世界市場の開拓を進める方針だ。しかし、辞任問題の真相が何であれ、野副時代のスピード経営は過去の富士通に足りなかったのは事実だ。ガバナンスが業績にどの程度、影響するのかは現時点では分からない。野副元社長以上に改革のスピードを上げ成長を加速させることを、株式市場は富士通に求めている。



中国新聞社説
憲法と国民投票 暮らしを通し考えたい'10/5/3
 政治や経済を動かす「大きな人間」は、時として戦争をやろうとする。だが、それを実際にやらされるのは「小さな人間」だ―。
 先日、作家の沢地久枝さんが広島市での講演で紹介した故小田実さんの言葉である。同じ昭和一けた生まれで、憲法を守る「9条の会」を一緒に立ち上げた。
 「大きな人間」たちのつくった国民投票法が18日に施行される。衆議院なら100人以上、参議院では50人以上の議員がそろえば憲法改正案を発議できる。両院それぞれで3分の2以上の賛成を得られれば国民投票にかけられ、過半数の賛否で決まる。
 もとより憲法は不磨の大典ではない。改正要件を定めた96条を置いているように、時代に合わせた見直しが必要なこともあろう。
 その具体的な手続きを盛り込んでいるのが国民投票法である。ただあいまいな点も目立ち、未完成の感は免れない。
 最大の問題が「投票総数の過半数が賛成なら国民の承認とする」としていることだ。最低投票率の定めがないので、投票率が40%にとどまれば全有権者の20%余りの賛成でも改憲が可能になる。
 有権者の年齢を「18歳以上」とした点も、合意が得られているとはいえない。一般の選挙や民法の成年年齢である「20歳以上」との整合性を問う声もあるからだ。
 さらに、政党などが行う有料の意見広告については期間を除いて規制を設けていない。広告量によって国民の判断が左右されかねない事態も想定されそうだ。
 これらは法成立時に「法施行までに必要な検討を加える」と付帯決議された。だがほとんど議論は進まず今日に至っている。日本弁護士会連合会が施行延期を求める会長声明を出したのも、こうした事情を受けてのことだろう。
 国民の側も、いま直ちに憲法を改正すべきだという差し迫った事態ではない。ならば、ここは立ち止まって問題点を一つ一つ整理していくべきではないか。
 もちろん、それは憲法を考える必要がないということではない。
 3年前、国民投票法を成立させたのは戦後体制からの脱却をうたう安倍政権だった。しかし同じ年の参院選では惨敗。争点に掲げようとした改憲論議もいまひとつ深まらなかった。
 昨年の政権交代で発足した鳩山政権はどうだろう。護憲の立場の社民党が与党に入り、憲法論議が活発化するムードはない。衆参両院の憲法審査会も休眠状態が続くなど事実上の棚上げだ。
 保守色を強める自民党は参院選をにらみ、民主党との違いを鮮明にしようとしている。旗揚げした二つの新党も憲法改正を基本政策に挙げる。この先、憲法論議が浮上する可能性もあろう。
 「小さな人間がみんなで嫌だと言えば、大きな人間は何もできない」と小田さんの言葉は続く。憲法は遠い存在でなく、日々の暮らしの中に生きている。それを変えるかどうかの鍵を握るのは私たちにほかならない。


アジア家電、日本に攻勢 国内メーカーに再編圧力
ハイアールが洗濯機2割安、LGも専用機種
 アジアの電機大手が日本市場に攻勢をかける。白物家電で世界最大手の中国・海爾集団(ハイアール)は日本で一般的な中・大型の洗濯機や冷蔵庫を日本メーカーより1~2割安い価格で発売する。韓国・LG電子も2011年度に日本専用の洗濯機を投入する。価格競争力のあるアジア勢は、品質でも日本勢に急接近しており、日本の消費者が低価格志向を強める今が好機と見ている。アジア勢の攻勢は大手5社以上がひしめく国内電機市場の再編を加速する可能性がある。
 ハイアールは5月末に容量9キログラムの全自動洗濯機を日本で発売する。日本メーカーの同クラス製品と比べ1万円程度安い6万円台とする予定。秋には日本向けにデザインした中型冷蔵庫を1、2機種を投入。価格は日本メーカーより1~2割安くする。
 大手の家電量販店やホームセンターで販売し、メーカー保証期間は日本メーカーと同じ1年とする。故障対応などのアフターサービスは提携している三洋電機の子会社が担当する。
 同社は今シーズンからプロ野球、埼玉西武ライオンズのスポンサーになるなど、2010年度は広告宣伝費を前年度比3割増やした。10年度の日本での売上高は前年度比3割増の100億円を目指し、13年度には200億円以上に引き上げる。
 ハイアールの世界売上高は09年が約182億ドル(約1兆7100億円)。冷蔵庫、洗濯機はともに生産台数で世界首位。家庭用エアコンも3位につけている。
 韓国のLG電子は日本専用機種の開発に着手した。日本で人気の斜めドラム式の大型洗濯機を投入する。11年度上期中の発売に向け販売チャネルも拡大する。現在取引している大手家電量販店3社以外の数社と交渉に入った。
 携帯電話では台湾のHTCが4月末、ソフトバンク向けに有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を搭載した最新型の高機能機「Desire」を発売した。同社はNTTドコモにも高機能機を供給しており、09年度は国内高機能携帯市場で11%のシェアを獲得、米アップルに次ぐ2位につけている。
 日本の白物家電の09年度の国内出荷額は前年度比3.5%減の約1兆9800億円の見通し。エ今後も人口減で市場縮小が続く見通しだ。09年度4~12月期、日本メーカーの白物家電部門の営業損益は5社中2社が赤字とみられ、成長市場の新興国でもアジア電機大手に出遅れている。
 08年には三菱電機が洗濯機事業から撤退。09年には東芝グループが、冷蔵庫など主要製品の国内での生産をやめたが、まだ再編は不十分との見方が強い。
 新興国市場で力をつけたアジア電機大手が日本の家電市場に攻勢をかけることで販売競争は一段と激化し、国内家電メーカーの再編が進む可能性もある。



DeNA、SNS向けゲーム開発者の中途採用140人
 携帯電話向け交流サイト(SNS)運営のディー・エヌ・エー(DeNA)は、SNS向けのゲーム開発者を中心に採用を増やす。中途採用で140人程度を採用する。ゲームの企画・デザインや、サーバーやネットワークシステムの開発力を強化する。2010年度採用はすでに入社した新卒社員が約60人。これに加え140人規模を中途採用し、年度全体で200人とする。09年度の採用は約50人だった。



三洋、電池分野に2000億円投資 12年度までに量産
 三洋電機が2012年度までの3年間に充電池と太陽電池分野で2000億円前後の設備投資を計画していることが明らかになった。経営資源を成長分野の環境エネルギーに集中する。親会社のパナソニックとの重複事業を段階的に解消し、事業効率を改善。12年度の連結営業利益(米国会計基準)を09年度推定の約2.8倍の900億円まで引き上げる計画だ。
 11日に発表する10~12年度の中期計画に盛り込む。3年間の設備投資は総額で2900億円程度とする予定で、約7割を充電池と太陽電池の生産能力拡大などに充てる。10年度までの3カ年計画では両分野に約1900億円の投資を見込んでいた。
 環境対応車用の充電池では現在主力のハイブリッド車向けに加え、プラグインハイブリッド車や電気自動車向けのリチウムイオン電池も12年度までに量産を始める方針だ。
 兵庫県加西市の生産拠点などを増強し、環境車用の充電池で20年度に世界シェア40%を目指す。携帯電話やパソコンなど民生用リチウムイオン電池は高容量商品を開発する。
 大阪府貝塚市や島根県雲南市で製造している太陽電池も生産能力を拡大し、住宅向けを中心に販売を増やす。主力の「HIT太陽電池」では光を電力に変える効率を現在の20%から10年度中に21%に改善する。
 充電池や太陽電池を組み合わせてクリーンエネルギーの効率的な活用策を提供するソリューション事業も拡大する。米国など海外展開も検討中で、15年度に1000億円規模の事業に育てる。




自衛隊機の民生転用検討、量産で調達費圧縮
 防衛省は、自衛隊航空機を民間転用する検討に本格的に着手した。
 量産効果による調達費の縮減と、近年の防衛費削減で苦境に立たされた国内の防衛産業を活性化する狙いだ。企業、関係省庁、有識者らによる検討会の報告書を8月までにまとめる予定だが、課題も山積している。
 ◆防衛産業「保護」◆
 北沢防衛相は4月23日の検討会の初会合で、「民間転用が進めば、生産基盤や技術基盤の維持・強化、装備品の価格低減に相当寄与する。武器輸出3原則をしっかり守りながらも、新しい道は十分模索できる」と期待感を表明した。
 民間転用を目指す航空機としては、国外での需要も見込み、武器輸出3原則に抵触しないものに限る。具体的には、航空自衛隊の次期輸送機XC2、海上自衛隊の次期哨戒機XP1、救難飛行艇US2などが候補だ。XC2は貨物機、XP1は旅客機など、US2は消防飛行艇や多目的飛行艇への転用を想定していて、フィリピンなど島嶼(とうしょ)国での活用も見込まれる。
 自民党政権当時からの課題だった防衛装備品の民間転用の検討が進んでいる背景には、防衛予算縮減が続き、防衛産業からの撤退を余儀なくされる企業が増えていることがある。民主党としても、防衛予算を増やせる財政状況にないことから、民間転用の可能性を探りたい事情がある。



経済閣僚、新幹線・原発の海外売り込みに汗
 鳩山内閣の経済閣僚が大型連休中に相次ぎ外遊し、日本企業が得意とする新幹線などの高速鉄道や原子力発電などを各国政府に売り込んでいる。
 JR東海など関連業界も同行し、官民一体の受注活動で、先行するフランス、韓国などライバル勢を巻き返す狙いがある。
 ◆新幹線◆
 経済産業省によると、世界の鉄道などの社会基盤(インフラ)整備の投資額は、2030年までに推定41兆ドル(約3850兆円)に達する。温室効果ガスを排出しない原発や、輸送効率が高く、景気対策にもなる高速鉄道の建設計画が増えているためだ。
 日本のリニアモーターカーや新幹線の輸出を目指して訪米した前原国土交通相は30日の記者会見で「政府と業界が一体で取り組まなければ、優れた技術でも採用されない」と力説した。
 米国は、高速鉄道11路線、総延長1万3700キロ・メートルを130億ドル(約1兆2200億円)かけて整備する計画だ。このため、日本政府は4月、米国を念頭に、国際協力銀行が先進国の高速鉄道に融資できるように政令改正をした。さらに、今月9~12日にはラフード米運輸長官を日本に招いてリニアモーターカーや新幹線に試乗してもらう。
 しかし、前原国交相の会見に同席したJR東海の葛西敬之会長は「日本の取り組みは、他の国に比べて相当遅れている」と指摘。JR関係者も「日本勢は米国で1路線も落札できないかも」と危惧(きぐ)する。
 例えばフロリダの高速鉄道計画には22社が名乗りを上げているが、前原国交相は「5~6か国ぐらいと思っていた。高速鉄道ビジネスの熾烈(しれつ)さを垣間見た」と述べた。フランス、ドイツが官民一体の売り込みで先行し、中国も低価格の高速鉄道の輸出を目指している。
 ◆原発◆
 上海万博の開幕式に出席した仙谷国家戦略相は2日にベトナムへ移動、4日まで同国の閣僚らに原発や高速鉄道などを売り込む。原発4基の建設計画のうち2基は潜水艦の配備とセットで売り込むロシアの受注が確実で、残りを日仏韓の3か国が争うとみられる。日本は、鳩山首相がズン首相に親書を送ったが受注できるかどうかは分からない。
 一方、成功例は、インドの次世代電力網「スマートグリッド」を活用した都市開発(総事業費約1200億円)だ。直嶋経産相は30日、日本企業連合と地元州政府の覚書調印式に同席し、「成功モデルをアジア全体に広げたい」と訴えた。
 だが、受注を増やすには、政府支援ばかりでなく、フランスのような、原発建設から運転、燃料の供給と再処理まで一括して手掛ける体制作りが必要だ。日本もインフラを整備するメーカーと、運営、管理する鉄道会社や電力会社などの連携強化が求められる。



パチンコ攻略法商法、求人広告偽装型が増加 相談は5年前の11倍
 「絶対にもうかる」と称してパチンコの攻略法を売りつける悪質商法をめぐり、求人広告と思って申し込んだら保証金などを支払わされたという被害相談が5年前の11倍に急増していることが2日、国民生活センターの調べで分かった。これまでパチンコ攻略法商法の主な標的はパチンコ愛好家だったが、近年は簡単に稼げる副業として、初心者を誘うケースが目立つという。業者が返金に応じない例もあり、センターは注意を呼びかけている。
 全国の消費生活センターに寄せられたパチンコ攻略法商法をめぐる被害相談は平成21年度、過去最高の3909件(暫定値)にのぼった。うち求人を装った手口は1298件(同)で、16年度の113件から5年間で11倍に増えている。
 この手口は、店や機種をPRするスタッフなどの募集名目で、一般の求人情報を掲載する広告やメールマガジンなどを利用。応募者に対し、指定する台を打てば必ず大当たりするなどと勧誘するが、その際、登録料や保証金として数十万円を支払わせる業者もあるという。



生保契約高、個人向け1000兆円割れ 20年ぶり
 生命保険46社が保有する個人向け保険の契約高が2月末時点で前年同月末比2.6%減の999兆2426億円となり、約20年ぶりに1000兆円を割り込んだ。少子高齢化などが響き、主力の死亡保険の販売が低迷しているためだ。
 生命保険協会によると、個人保険と個人年金保険の保有契約高(46社合計)は1月末時点で1000兆4686億円だった。2月末も死亡保険を含む個人保険の減少に歯止めがかからず、1989年12月末以来の1000兆円割れとなった。
 2月末の契約高の内訳をみると、個人保険は前年同月末比4.1%減の905兆9370億円。変額年金保険などの個人年金保険は4.8%増の93兆3056億円となった。公的年金への不安から個人年金保険の販売は伸びているが、個人保険の落ち込みを補いきれていない。
 ただ個人保険の契約件数は3.4%増えた。契約高が小さい医療保険やがん保険などの販売が増えていることが影響しているようだ。



電機業績、回復は本物か 中国の成長持続カギ 日立製作所会長 川村隆氏
 電機や自動車など国内企業の業績回復が鮮明だ。中国をはじめとするアジアの内需がけん引役になっている。今後はどうなるか。日立製作所の川村隆会長に展望と課題を聞いた。
 ――2010年度も製造業の業績は伸びるとの見方が多いようです。
 「中国や東南アジア向けの需要が好調だ。日立でいえば、エレベーターや建設機械などインフラ関連の製品に引き合いがなお強い」
 「ただ、注意してみているのが中国だ。沿海部だけでなく内陸部でもマンションの空きが目立ち始めたというし、元の切り上げの問題も気になる。東南アジアでは政情不安に揺れるタイの経済が元通りになるのに何年もかかるかもしれない」
元の上昇に備え
 ――中国の通貨切り上げを日本企業はどの程度意識していますか。
 「業績予想の中に厳密に落とし込んでいることはない。だが、どの企業も今後起きる可能性のあることに対し、備えはあるはずだ。日本は1964年の東京五輪からプラザ合意まで約20年かかったが、中国は08年の北京五輪から通貨切り上げまでそんなにはかからないと思っている」
 「仮に、切り上げがあっても、中国で生産して売る分には影響ない。内需は強い。全体でマイナスになる企業もあるだろうが、インフラ関連や半導体のハイテク部品、高付加価値の素材などは日本からの輸出が増える可能性もある」
 ――鉄鉱石など資源高も深刻です。
 「中国や新興国の成長が止まらない限り、鋼材価格などの値上がりにつながるような資源高は続く。製品のつくり方を抜本的に見直すとか、他の企業と協力して大量に資材調達するとかしか今は方法がない」
 ――アジアは長期的に魅力がある。経営の現地化は進んでいますか。
 「いろいろな面で見直しが進んでおり、例えば成長力のある市場で意思決定をしていく動きが強まるだろう。先進国企業は中国にみな注目している。少しでも早く市場に投入したり、消費者の要求を把握したりするためだ」
 「日立の場合、ハードディスク駆動装置事業の本社機能や工場をすべてシンガポールなどに移した。今後も様々な事業で同じようなことが起きる。アジアの人材を広く登用することも増える」
 ――日本企業は金融危機から2年間、投資を控えがちでした。
 「企業の設備投資や研究開発費は少なくとも金融危機前の水準に戻ると思う。ただ、中身は変わっていく。全体の比重は日本より、アジア諸国・地域にかかる。インドやその先にある中東市場の拡大を考えたら、東南アジアか中国で営業拠点などの整備が必要だ。日本はファーイースト(極東)すぎる」
日本は新産業で
 ――となると、日本はどうなりますか。
 「中長期的に新しい需要や産業をつくる必要がある。省エネや環境、高度医療が有望な分野だ」
 「例えば日立は今後、社会イノベーションと呼ばれる分野に力を入れていく。IT(情報技術)と社会インフラを融合した事業ということだ。具体的にはスマートグリッド、医療機器、高速鉄道がそれだ」
 「特に医療に期待している。最先端の治療機器の開発にめどがついた。それを起点に日本に長期滞在型の医療設備をどこかに整備し、航空やホテル、娯楽産業などと協力してアジアや中東などから富裕層を日本に呼び込む。そうすれば1つの産業ができる。多くの業種を巻き込むだけに、政府のリーダーシップも求めていきたい」



日経社説
投資の拡大に動き始めた米欧日の企業
 金融危機後にリストラを優先してきた先進国の大企業が息を吹き返している。各国の景気刺激策に助けられたほか、中国など新興国の需要取り込みにも成功している。
 調査会社トムソン・ロイターによれば、米主要企業500社の2010年1~3月期の純利益が前年同期に比べ50%強増え、リーマン・ショック前に最も利益が多かった07年4~6月期の4分の3の水準まで回復したもようだ。
 インターネットや携帯電話を使った消費の伸びに支えられた米IT(情報技術)企業は、現金などの金融資産も潤沢だ。インテルをはじめとするIT大手8社の手元資金は、今年3月末に1200億ドル強(11兆円)と1年間で約3割増えた。
 企業は蓄えたお金を、企業買収や設備投資など成長戦略に使い始めた。米国ではヒューレット・パッカード(HP)が携帯電話製造パームの買収を決めた。欧州でも1~3月期に前年同期比61%増益だった独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が、中国で総額60億ユーロ(7500億円)の投資に踏み切る。
 大型連休のさなかの日本は、休日返上で工場を稼働させる企業が出始めた。合理化一辺倒だった1年前とは様子がかなり違う。設備の稼働率が着実に上がっていけば投資や雇用の増加に結びつき、本格的な景気の回復も視野に入る。
 京セラが10年3月期に絞った設備投資を今期は6割近く増やす。日本企業のあいだにも投資が拡大に転じる兆しはある。対照的に雇用は「国内を今以上に増やすつもりはない」(TDK)など、多くの企業の声はまだ慎重だ。
 日本経済は緩やかな回復を示してはいるものの、エコポイント制度などによる需要の押し上げ効果は一巡してきた。鉄鋼大手が鉄鉱石の価格上昇を理由に業績予想を公表しなかったように、資源価格の高騰も経営者を慎重にさせる一因だ。
 11年3月期に16%の増収を計画するコマツは、売上高に占めるアジアやアフリカなどの比率が7割に迫る。こうした新興国は日本企業が収益をあげる市場として一段と重みを増すが、競争相手は一足早く投資を拡大させている。
 新興国に強い韓国サムスン電子の1~3月期の純利益は、前年同期の7倍弱の3兆9900億ウォン(3300億円)。シャープの今期1年間の純利益予想の6.5倍強だ。日本企業が成長戦略を定め、競争相手との差を縮めるためにすばやく動くことが景気回復のうえでも欠かせない。
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