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ドコモ、携帯下取り 7月から、ポイント5000円分 半導体など再利用
NTTドコモは7月から、全国約2400店の「ドコモショップ」で携帯電話の下取りを始める。機種変更の際に使用済み端末を回収、部品を再利用する。利用者には新端末の購入や通信料金の支払いに使える5000円相当のポイントを付与する。通信事業者が携帯電話を下取りするのは初めて。買い替え促進や顧客の囲い込みにつなげる。
2007年末以降に発売されたドコモの機種が対象となる見込み。回収した端末は分解し、半導体などの部品をリサイクルする。ドコモは保険料を払う加入者に、故障した端末を有償(5250円)で同一機種と交換するサービスを実施している。景気低迷に伴う新端末の買い控えで同サービスの利用者は年100万人に上っているもよう。不足気味の交換用端末にリサイクル部品を活用する。
これまで通信事業者が販売した端末を有償で回収することはなかった。だが販売方式の変更で出荷台数は大幅に減り、事業者間の競争は激化。実質値引きとなる下取りで買い替えを促し、顧客をつなぎ留める。
米アップルなどから生産受託の中国の工場、転落死相次ぐ
米アップルやソニーのコンピューター製品などを受託生産する台湾・鴻海グループの中国子会社、富士康(フォックスコン)グループで従業員の転落死が相次いでいる。広東省深セン市の工場の女性従業員(24)が10日に社員寮の9階から落下して死亡したことで、寮などから転落して死亡した人数は今年に入り6人となった。警察は飛び降り自殺との見方を強めているが、業務との関連についても調べている。
転落死したのはいずれも18~23歳の従業員で、中国メディアは仕事上のストレスなどで自殺したと伝えている。ただ、昨年7月に転落死した従業員は試作品の遺失を巡って社内調査を受けたとされ、警察は業務との関連についても捜査を進めている。
米ユーストリームが日本法人設立へ ソフトバンク出資し全国にスタジオ
ソフトバンクと動画中継配信サービス大手の米ユーストリーム(カリフォルニア州)が5月末をめどに、日本法人「ユーストリーム(仮称)」を設立し、国内で本格的に事業展開することが13日分かった。原口一博総務相が政務三役会議の中継に活用するなど国内でもユーストリームの認知度は急上昇しており、日本法人設立を機に本格的な営業活動を始める。
日本法人にはソフトバンクが60%、ユーストリームが30%強、投資ファンドが数%を出資する見通し。来週にもユーストリームのジョン・ハム最高経営責任者(CEO)が来日し、孫正義ソフトバンク社長と共同発表する。
ユーストリームは2007年3月に設立。動画の生中継をパソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)を使ってインターネットで無料配信するサービスを提供している。動画を記録して随時見る形式が主体のユーチューブと異なり、ライブ映像が主体。ツイッターにも接続できるなど使い勝手の良さが特徴で、個人のほかビジネス分野でも利用者が急増している。
ソフトバンクは1月29日に米ユーストリームに13・7%出資(18億円)し、同社との協力関係を強化。孫氏主導で日本語化や本社内に映像編集スタジオを開設するなど、日本市場での本格事業展開に向けて準備を進めてきた。
日本法人はスタジオの全国展開や初心者向けキットの販売などを推め、利用者層の拡大に取り組む。個人のほか官庁や企業にも売り込みをかける。
「Ustreamの機能、ニコ生で網羅したい」と夏野氏
Ustreamがここ最近、脚光を浴びている。Ustreamと同様、動画のライブ配信プラットフォーム「ニコニコ生放送」を運営するドワンゴ取締役の夏野剛氏は、「ニコ生はUstreamの機能をすべて網羅した上で、その上を行く戦略をとる」と語る。
特にUstreamの配信の手軽さは「見習っていきたい」という。その上で、「ニコ生は、配信する人がより楽しく使えるようにしていきたい。Ustream対抗ということではなく、良い点は見習っていきたい」。
Ustreamにはないニコ生の強みは、一般ユーザーが配信した番組を、見知らぬ人に見てもらえる可能性が高い点だという。「Ustreamは集客をTwitterなど外部のメディアに頼っており、(有名人ではない)一般の人は知り合いに対して配信することになるが、ニコ生はそれ自体が1つのメディアとして機能しており、一般の人が配信しても、見知らぬユーザーが見に来る」
ニコ動黒字化伝える「特別版」新聞、日刊スポーツが配布 アキバなどで3000部
ニコニコ動画が四半期ベースで黒字化したことが明らかになった5月13日夕、日刊スポーツが、ニコ動黒字化を伝える「特別版」の新聞を発行し、都内で配った。
表面のみ印刷されたカラー刷りで、「ニコ動ついに黒字化」と黄色字で大きく書かれ、記者会見で話す夏野剛取締役の写真が解説テキストとともにでかでかと載っている。日刊スポーツによると、秋葉原、渋谷、新橋、新宿で計3000部配布したという。
「ニコ動の黒字化は世間に注目されている」(日刊スポーツの担当者)ため特別版を発行したという。特別版は、6大学野球や「東京ゲームショウ」といったイベントの際に発行することが多く、ネットサービス関連は珍しいという。
特別版発行にはドワンゴのニコ動担当者やIR担当者も驚いた様子。同社は発行を聞きつけ、ニコニコ生放送のスタッフを秋葉原に派遣して配布の様子をライブ配信。「ニコニコニュース」でも伝えている。
ソニーもタブレット端末を開発か 「いずれ紹介できる」
ソニーの大根田伸行CFOは5月13日の決算説明会でiPadについて触れ、ソニーのサービスや技術を組み合わせた対抗製品を検討していることを明らかにし、「いずれ紹介できると思う」と話した。
大根田CFOは米Appleへの対抗策について、ソニーは携帯電話、PC、携帯プレーヤーといった「ベースになる機器は十分持っている」ことを挙げ、こうした機器とサービスを組み合わせて対抗していく考えを示した。
ソニー決算「PS3の逆ざやは解消した」
ソニーが13日発表した2010年3月期連結決算(米国会計基準)は、最終損益が408億円の赤字(前の期は989億円の赤字)だった。主なやり取りは以下の通り。
――10年3月期は317億円の営業黒字に転換しました。
「今年2月時点の(300億円の営業赤字の)予想から、社内目標だった黒字を達成した理由の1つは商品の価格を想定ほど下げずに済んだことにある。イベントや販売促進にかかる費用も抑えられた。株価の上昇でソニー生命など金融分野の損益が改善したこともある」
「費用の削減は3300億円を目標としていたが、それ以上の削減に成功した。調達コストも前の期に比べて20%(金額ベースで500億円)削減する計画をほぼ達成した。さらにサプライヤーの数を11年3月期末までに1200社程度にする予定だが、今年の3月末時点で1300社まで集約する話がまとまっており、計画を達成できそうだ」
――11年3月期の営業利益は前期比5倍の1600億円の見通しだが、市場予想の平均(約2500億円)を下回っています。
「為替の影響が400億円の減益、金融分野が480億円の減益要因になるのが大きい。実際にはテレビやゲームなどで損益が大きく改善する計画だ」
――具体的にはどれくらい改善しますか。
「前期に700億円程度の赤字だったテレビ事業は、1000億円弱くらいは改善し黒字になると見ている。価格の下落傾向は緩やかになったが、それでも10数%は下がるだろう。それを販売数でカバーし、経費削減で黒字にもっていく」
「今期は前期比約1000万台増の2500万台の販売を予定している。市場全体は3000万台多い1億8000万台で、当社はシェアを09年3月期と同じ14%に戻す計画だ。また、前期は販売数の20%程度が(組み立てなどの)外部生産だったが、今期は半分ほどが外部生産になるだろう。販売台数のうち10%程度は3D(3次元)対応のテレビになると見ている」
「ゲームも前期は500億円強の赤字だったが、少なくとも2ケタのレベルの黒字にはもっていけるのではないか。プレイステーション3(PS3)の逆ざやは解消した。PS3のコスト削減は続けており、ここが一番大きく利益に貢献する。プレイステーション2(PS2)やプレイステーション・ポータブル(PSP)の販売数は若干減るだろう」
――米アップル社の多機能携帯端末「iPad」(アイパッド)の販売が好調です。
「iPadがよく売れているのは知っているが、当社のリーダー(電子書籍端末)は軽い、読みやすい、電池の持ちがよいなどの理由で買いたいという顧客は多い。300万~400万の市場が今期は2~3倍に伸びるだろう。当社のリーダーも伸びると見ている」
――足元の部品の調達環境をどのように見ていますか。
「液晶パネルの供給は確かにタイトになっている。前期の第4四半期の影響をひきずっている。ただ、期を通してはさまざまなところから供給を受けることで、2500万台分の調達は可能だと見ている」
――欧州の財政問題の影響をどう見ていますか。
「当社の売り上げの約4分の1が欧州だ。ギリシャ危機が欧州全体に波及して経済が停滞すると大きな影響を受けるだろう。欧州の景況だけでなくユーロ安も減益要因(1円の円高で年間70億円の営業減益)になる。また、もし信用不安が再燃し世界的に株価が下落するような事態になれば、ソニー生命が持つ株にも悪影響がでる」
「ただ、第1四半期は1ユーロ=125円で9割ほどを為替予約しているほか、7月分も6割ほどは1ユーロ=122円50銭で予約している。このため7月までは為替の悪影響は避けられる。市場の見方も118~123円ほどが多く、今のところは小康状態を保っている」
コンテンツ産業20兆円規模に 新規雇用5万人 経産省が成長戦略案
経済産業省は13日、国際的に人気が高いアニメやマンガなどのコンテンツ産業で、10年後の平成32年までに5万人の新規雇用を生み出す目標を掲げた成長戦略案をまとめた。14日に発表する。ネットを活用して海外市場でも日本のコンテンツを積極的に広げ、産業規模を現在の15兆円から20兆円に引き上げることで雇用を創出するシナリオ。政府が6月にまとめる新成長戦略に反映させたい考えだ。
戦略案では、CG映像や3D(3次元)アニメに精通した専門技術者などの人材育成の取り組みを強化して競争力を底上げする。また、これまで日本企業が苦手としていたアジアなど海外市場への売り込みを支援する政策も柱としている。
具体的には、アニメなどは海外で放映しやすいよう国際共同製作を進め、制作費の一部を助成するなどの支援制度も検討。海外での日本のコンテンツ産業の売上高を現在の7千億円から32年までに2兆3千億円まで拡大し、自動車や半導体など主要産業の輸出額に次ぐ規模に育てる考えだ。
このほか、ネット配信を念頭に置いて、書籍やマンガの電子化に関する著作権などの国内ルールを整備することも盛り込んだ。
エルピーダ、世界最小のDRAM量産
半導体大手のエルピーダメモリは、世界最小のモバイル機器向けDRAMを開発した。回路設計を見直して、チップ面積が従来品より約5割減の50平方ミリメートル以下に縮小した。2ギガ(ギガは10億)ビットの大容量、低消費電力が特徴で携帯情報端末の性能向上に貢献する。スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット型端末の市場急拡大をにらみ、7月にも主力の広島工場(東広島市)で量産を開始する。
半導体の回路線幅はDRAM業界で最先端の40ナノ(ナノは10億分の1)メートルの微細化技術を使う。データを記憶するメモリーセル以外の周辺回路の面積を減らし、面積は小さく、さらに低消費電力と大容量化を達成した。
チップ面積は、DRAM世界シェア首位の韓国サムスン電子の電源電圧が低いタイプより約15~20%小さい。
面積の縮小によって半導体材料のシリコンウエハー1枚から取るチップ個数が増えるため、コスト競争力で業界他社に先行できる。
6月にサンプル出荷を始め、年度内に40ナノを使ったモバイル用DRAMの生産能力を、広島工場全体の2割強にあたる月3万枚に引き上げる。
NTT光回線分離、検討明記へ 総務省作業部会
光回線などブロードバンド(高速大容量)通信の全国普及策を検討する総務省のタスクフォース(作業部会)は13日、NTT東西地域会社から光回線のアクセス網(電話局と家庭を結ぶ設備)分離について、「検討を深める必要がある」として、14日の会合でまとめる報告書の原案に盛り込む方針を固めた。報告書を受け、同省は1年程度かけて具体策を検討する方針だ。
「分離」については、作業部会の有識者が「議論の時間が短すぎる」として先送りを求める一方、総務省は分離方針の明記を求めて調整が難航。「分離」を検討課題として明記することで、NTTの組織再編に含みを残す形とする。
NTTは光サービスで7割超のシェアを握る。原口一博総務相はNTTの光アクセス回線事業を分社化することで、他社への光回線の貸し出しを促進するよう求めていた。
どうする「光の道」孫社長と佐々木氏が論戦
ソフトバンクの孫正義社長と、ITジャーナリストの佐々木俊尚さんが13日、光ファイバー回線によるインフラ整備について論戦を繰り広げた。「光の道の実現に向けて」と題して東京都港区のソフトバンク本社に設けた特設スタジオで対談は行われ、ネット中継サービスのユーストリームで生中継された。
総務省は超高速のブロードバンド環境を整備する「光の道」構想を検討中で、孫社長は同省の作業部会で「光100%を税金ゼロで実現できる」と述べている。これに対し、佐々木さんが自身のブログで「全面反論する」と書いたことからネット上で論議が始まり、ツイッターで両者が直接やり取りしたうえで、「公開の場での論議」を佐々木さんが求めたことから対談が実現した。
孫社長は、ADSL(非対称デジタル加入者線)より安い価格で光ファイバーによるブロードバンドを全国民が利用できるようにして、「電子カルテや電子教科書が全国どこでも使える環境にすべきだ」と持論を展開。必要な資金は民間調達で可能で、NTTを分割し、光ファイバーによるアクセス網を整備する会社をつくればできるとした。
構想実現を裏付けるコスト構造など数値を含めた資料を、孫社長は今回初めて公開した。傘下のソフトバンクテレコムなど通信事業者が実際に光ファイバーを敷設した際にかかった費用や、NTTが公開している資料をもとに積算したという。
一方、佐々木さんは、日本のブロードバンド環境は既に世界最高水準にあり、光ブロードバンドの利用が30%の世帯にとどまって伸びないのは、「生活に密着した使いやすいサービスがないから」と話した。電子カルテが普及しないのは光ブロードバンドが整備されていないからでなく、カルテの規格がばらばらだったり、現場の医師の抵抗感に加えて、日本医師会や厚生労働省が積極的に進めないから、と指摘。「選択と集中が必要。光ブロードバンド整備より優先すべきなのは、使い勝手のいい魅力的サービスを提供できる仕組み作り」と強調した。
孫社長は「メタル回線を全部やめて光に置き換えると腹をくくれば達成できる。国費はいらない。光が100%になればパラダイムシフトが起き、(ブロードバンドの)利活用のレベルが上がる」と力説した。しかし、佐々木さんは「今回公開されたデータをよく検証すべきだ。ネットはテキスト文化であり、ブロードバンドによるリッチなコンテンツはネットの一部に過ぎない」などと反論。論戦は深夜まで続いた。
消費税増税でどうなる モデル世帯で16・5万円の負担増
消費税の引き上げで暮らしや経済にどんな影響が出るか-。税率10%の場合は平均的世帯で年間16・5万円の負担増となることが第一生命経済研究所の試算で明らかになった。消費の冷え込みで景気が下押しされれば、目標の財政再建自体が遠のく恐れも指摘されており、消費税論議でも家計負担と財政再建のバランスが焦点となりそうだ。
■低所得者層ほど負担増
消費税は税率1%の引き上げで約2兆5千億円の税収増が見込まれるが、試算では、1%引き上げで平均的な4人家族世帯で年間3万4千円の負担増となる。
現行5%の税率を10%とすれば16万5千円の負担増で、年間の消費税支払総額は34万6千円まで膨らむ。
低所得層ほど相対的な負担は大きく、年収250万円以下世帯の消費税支払額が年収に占める割合は8・1%。年収1500万円以上世帯の4・2%の約2倍となる見込みだ。
■GDP30兆円消失?
試算した永浜利広主席エコノミストは「住宅や自動車など大きな買い物は(増税前の)駆け込み需要が起こるが、その後は家計の負担増で消費が冷え込む」と予測。1%のアップで初年度の消費が0・16%減り、実質国内総生産(GDP)が0・11%下がるとみる。
一方、財政健全化の指標で、借金に頼らず政策的経費をまかなえるかどうかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するには、消費税率を27・3%まで引き上げる必要がある。ここまで税率が跳ね上がれば、増税初年度は実質GDPを2・45%、消費抑制が企業業績にも波及する次年度は6・02%も押し下げる。GDPが500兆円とすると、約30兆円もの国富が吹き飛ぶ計算だ。
菅直人副総理・財務相は「増税しても使い道を間違えなければ景気は良くなる」と語る。増税で集めたお金を環境や介護などに振り向け、雇用増を通じて消費を活性化。経済成長で税収が伸びるという図式だ。
ただ、永浜氏は「(シナリオ通りに)増税で集めたお金を効率的に使うのは難しい」と疑問視。景気悪化を招けば税収は伸びず、財政再建が遠のく“もろ刃の剣”となる可能性もある。
日本支局を開設 北朝鮮情報のデイリーNK
韓国の北朝鮮専門インターネット新聞「デイリーNK」は13日、都内で記者会見し、4月1日付で日本支局を開設したことを発表した。日本語サイトは既に2006年12月から始めているが、正式に支局を置くことで、セミナー開催など日本での情報発信を強化するのが狙い。
デイリーNKは04年12月にスタート。昨年11月末のデノミネーション(通貨呼称単位の変更)を実施当日に速報したことで知られる。高英起日本支局長は「北朝鮮で何が起きているか、有意義な情報をスピーディーに提供していきたい」と話している。
法人タクシー最大2割減 減車促す新法施行で
全国のタクシー台数の約8割を占める法人タクシーが2012年秋までに最大2割減る可能性があることが分かった。供給過剰が慢性化しているタクシーの減車を求める新法が昨年10月に施行されたことを受け、自治体やタクシー会社が計画をまとめた。
供給過剰の解消を目的とした「特別措置法」では、地域ごとで行政やタクシー会社などに12年9月までの減車計画をまとめるよう求めた。個人を含めた全国のタクシーは約26万台(3月末時点)で、うち法人は約21万4000台。日本経済新聞社が国土交通省や地方運輸局を通じて各地の減車計画を調べたところ、最大4万台強が減る見通し。
東京地区(23区、武蔵野市、三鷹市)は昨年末に約3万2000台のうち2~3割減らす計画をつくり、今春から本格的な減車が始まった。大手の日本交通が約1640台のうち約220台を11月末までに削減するなど、東京地区で年内に1割強減る見通し。特別措置法は個人タクシーの新規参入も規制している。
【産経主張】「5月末決着」断念 約束守れぬ首相は辞めよ 現行案の決断が残された道
鳩山由紀夫首相が国民との約束を反故(ほご)にしようとしている。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題の「5月末決着」を先送りする意向を表明したからだ。
これは国民に対する背信行為である。政治は「信なくば立たず」(論語)だ。国民の信頼がなくなったら政治は成り立たない。首相としての信を失っている。退陣もやむを得ない。
ただ、一方的に辞任しても普天間問題は片づかない。
5月末までは、まだ2週間以上ある。決着を唯一可能にするのは日米両政府が2年前にまとめた現行計画である米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)だけである。
≪地元自治体に謝罪を≫
首相の迷走で沖縄県も名護市も現行計画に難色ないし反対を示している。だが、日本の平和と安全を確保し、沖縄の負担を軽減するために、首相は地元の関係自治体に謝罪して現行計画の同意を求めるしか方策は残されていない。
そのために辞任するという責任の取り方がある。普天間問題を決着させ、日米同盟を維持することで国益を確保することこそ最高指導者の責務である。
首相は13日、「6月以降も詰めるところがあれば当然、努力する」と述べ、期限内決着の断念を表明した。
5月末までに沖縄と米国、移設先自治体の3者と連立与党の合意を得て決着させる、と4月21日の党首討論で明言してから、まだ1カ月もたっていない。首相は「命がけで行動する」「5月末までの政府方針づくりは約束」とまで語っていた。
首相はこの数日、「合意が得られるような状況をつくる」「できる限り努力する」と発言を徐々に後退させてきたが、6月以降も作業を続けるという考えを示すことによって、自ら掲げた目標を放棄した形だ。
首相は一時、3月中の政府案とりまとめも目指していたが、それができなくなった段階で「別に法的に決まっているわけじゃない」といとも簡単に約束を翻した。
問題は言葉の軽さにとどまらない。昨年11月の日米首脳会談で、オバマ大統領に「私を信じて」と早期決着を約束したのに、その舌の根も乾かぬうちに、今年5月末までの先送りを決めたことが、無責任さを浮き彫りにした。
米側の失望は、4月の訪米時に正式な首脳会談を設定できない異常事態を招いた。首脳同士の個人的信頼関係が築けないほど、日米関係を冷え込ませている。
日米安保改定50周年で同盟深化の協議を加速させなければならない時期に、首相や日本政府への不信感が協議の支障となっている。もはや、普天間問題は、これ以上放置できない状態である。
≪米軍の抑止力は必須≫
4日の沖縄訪問で、県外移設では解決が困難なことを認めた首相は、「海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思っていなかった」と釈明した。
指導者の言葉とも思えないが、抑止力の意義を学んだのであれば早急に日米間の合意を取り付け、同盟の空洞化を回避する以外に答えはないだろう。
最近の中国海軍の艦載ヘリコプターによる海自艦への異常接近行為は、日本の安全保障環境の悪化を示すことにほかならない。
米国は攻撃型原潜や空母建造など中国の軍拡の意図を疑い、警戒感を強めている。同盟の維持・強化には、日本がその認識を共有することが欠かせないのである。普天間問題の混乱は、日本の安全保障を危うくしている。
連立与党内には、社民党を中心に決着を遅らせることで県内移設を困難にしたいという政治的思惑が存在する。
米側は当初から「現行案が最善」との姿勢を崩しておらず、実現可能な解決策はそこに見いだすしかない。
首相は今年1月の名護市長選前の決着を見送り、移設容認派が敗れた。首相が掲げた「連立与党の合意」にこだわる限り、現政権の下での解決は困難である。
仲井真弘多知事は、鳩山政権が目指した県外移設論に対し、その実現可能性に懐疑的だった。首相が早い段階で現行案を決断し、知事の協力を求めていれば異なった展開が予想されただろう。
首相が県外移設に固執したことが、沖縄の期待をふくらませてきた以上、その構図を断ち切るしかないのである。首相の勇気ある決断を強く求める。
NTTドコモは7月から、全国約2400店の「ドコモショップ」で携帯電話の下取りを始める。機種変更の際に使用済み端末を回収、部品を再利用する。利用者には新端末の購入や通信料金の支払いに使える5000円相当のポイントを付与する。通信事業者が携帯電話を下取りするのは初めて。買い替え促進や顧客の囲い込みにつなげる。
2007年末以降に発売されたドコモの機種が対象となる見込み。回収した端末は分解し、半導体などの部品をリサイクルする。ドコモは保険料を払う加入者に、故障した端末を有償(5250円)で同一機種と交換するサービスを実施している。景気低迷に伴う新端末の買い控えで同サービスの利用者は年100万人に上っているもよう。不足気味の交換用端末にリサイクル部品を活用する。
これまで通信事業者が販売した端末を有償で回収することはなかった。だが販売方式の変更で出荷台数は大幅に減り、事業者間の競争は激化。実質値引きとなる下取りで買い替えを促し、顧客をつなぎ留める。
米アップルなどから生産受託の中国の工場、転落死相次ぐ
米アップルやソニーのコンピューター製品などを受託生産する台湾・鴻海グループの中国子会社、富士康(フォックスコン)グループで従業員の転落死が相次いでいる。広東省深セン市の工場の女性従業員(24)が10日に社員寮の9階から落下して死亡したことで、寮などから転落して死亡した人数は今年に入り6人となった。警察は飛び降り自殺との見方を強めているが、業務との関連についても調べている。
転落死したのはいずれも18~23歳の従業員で、中国メディアは仕事上のストレスなどで自殺したと伝えている。ただ、昨年7月に転落死した従業員は試作品の遺失を巡って社内調査を受けたとされ、警察は業務との関連についても捜査を進めている。
米ユーストリームが日本法人設立へ ソフトバンク出資し全国にスタジオ
ソフトバンクと動画中継配信サービス大手の米ユーストリーム(カリフォルニア州)が5月末をめどに、日本法人「ユーストリーム(仮称)」を設立し、国内で本格的に事業展開することが13日分かった。原口一博総務相が政務三役会議の中継に活用するなど国内でもユーストリームの認知度は急上昇しており、日本法人設立を機に本格的な営業活動を始める。
日本法人にはソフトバンクが60%、ユーストリームが30%強、投資ファンドが数%を出資する見通し。来週にもユーストリームのジョン・ハム最高経営責任者(CEO)が来日し、孫正義ソフトバンク社長と共同発表する。
ユーストリームは2007年3月に設立。動画の生中継をパソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)を使ってインターネットで無料配信するサービスを提供している。動画を記録して随時見る形式が主体のユーチューブと異なり、ライブ映像が主体。ツイッターにも接続できるなど使い勝手の良さが特徴で、個人のほかビジネス分野でも利用者が急増している。
ソフトバンクは1月29日に米ユーストリームに13・7%出資(18億円)し、同社との協力関係を強化。孫氏主導で日本語化や本社内に映像編集スタジオを開設するなど、日本市場での本格事業展開に向けて準備を進めてきた。
日本法人はスタジオの全国展開や初心者向けキットの販売などを推め、利用者層の拡大に取り組む。個人のほか官庁や企業にも売り込みをかける。
「Ustreamの機能、ニコ生で網羅したい」と夏野氏
Ustreamがここ最近、脚光を浴びている。Ustreamと同様、動画のライブ配信プラットフォーム「ニコニコ生放送」を運営するドワンゴ取締役の夏野剛氏は、「ニコ生はUstreamの機能をすべて網羅した上で、その上を行く戦略をとる」と語る。
特にUstreamの配信の手軽さは「見習っていきたい」という。その上で、「ニコ生は、配信する人がより楽しく使えるようにしていきたい。Ustream対抗ということではなく、良い点は見習っていきたい」。
Ustreamにはないニコ生の強みは、一般ユーザーが配信した番組を、見知らぬ人に見てもらえる可能性が高い点だという。「Ustreamは集客をTwitterなど外部のメディアに頼っており、(有名人ではない)一般の人は知り合いに対して配信することになるが、ニコ生はそれ自体が1つのメディアとして機能しており、一般の人が配信しても、見知らぬユーザーが見に来る」
ニコ動黒字化伝える「特別版」新聞、日刊スポーツが配布 アキバなどで3000部
ニコニコ動画が四半期ベースで黒字化したことが明らかになった5月13日夕、日刊スポーツが、ニコ動黒字化を伝える「特別版」の新聞を発行し、都内で配った。
表面のみ印刷されたカラー刷りで、「ニコ動ついに黒字化」と黄色字で大きく書かれ、記者会見で話す夏野剛取締役の写真が解説テキストとともにでかでかと載っている。日刊スポーツによると、秋葉原、渋谷、新橋、新宿で計3000部配布したという。
「ニコ動の黒字化は世間に注目されている」(日刊スポーツの担当者)ため特別版を発行したという。特別版は、6大学野球や「東京ゲームショウ」といったイベントの際に発行することが多く、ネットサービス関連は珍しいという。
特別版発行にはドワンゴのニコ動担当者やIR担当者も驚いた様子。同社は発行を聞きつけ、ニコニコ生放送のスタッフを秋葉原に派遣して配布の様子をライブ配信。「ニコニコニュース」でも伝えている。
ソニーもタブレット端末を開発か 「いずれ紹介できる」
ソニーの大根田伸行CFOは5月13日の決算説明会でiPadについて触れ、ソニーのサービスや技術を組み合わせた対抗製品を検討していることを明らかにし、「いずれ紹介できると思う」と話した。
大根田CFOは米Appleへの対抗策について、ソニーは携帯電話、PC、携帯プレーヤーといった「ベースになる機器は十分持っている」ことを挙げ、こうした機器とサービスを組み合わせて対抗していく考えを示した。
ソニー決算「PS3の逆ざやは解消した」
ソニーが13日発表した2010年3月期連結決算(米国会計基準)は、最終損益が408億円の赤字(前の期は989億円の赤字)だった。主なやり取りは以下の通り。
――10年3月期は317億円の営業黒字に転換しました。
「今年2月時点の(300億円の営業赤字の)予想から、社内目標だった黒字を達成した理由の1つは商品の価格を想定ほど下げずに済んだことにある。イベントや販売促進にかかる費用も抑えられた。株価の上昇でソニー生命など金融分野の損益が改善したこともある」
「費用の削減は3300億円を目標としていたが、それ以上の削減に成功した。調達コストも前の期に比べて20%(金額ベースで500億円)削減する計画をほぼ達成した。さらにサプライヤーの数を11年3月期末までに1200社程度にする予定だが、今年の3月末時点で1300社まで集約する話がまとまっており、計画を達成できそうだ」
――11年3月期の営業利益は前期比5倍の1600億円の見通しだが、市場予想の平均(約2500億円)を下回っています。
「為替の影響が400億円の減益、金融分野が480億円の減益要因になるのが大きい。実際にはテレビやゲームなどで損益が大きく改善する計画だ」
――具体的にはどれくらい改善しますか。
「前期に700億円程度の赤字だったテレビ事業は、1000億円弱くらいは改善し黒字になると見ている。価格の下落傾向は緩やかになったが、それでも10数%は下がるだろう。それを販売数でカバーし、経費削減で黒字にもっていく」
「今期は前期比約1000万台増の2500万台の販売を予定している。市場全体は3000万台多い1億8000万台で、当社はシェアを09年3月期と同じ14%に戻す計画だ。また、前期は販売数の20%程度が(組み立てなどの)外部生産だったが、今期は半分ほどが外部生産になるだろう。販売台数のうち10%程度は3D(3次元)対応のテレビになると見ている」
「ゲームも前期は500億円強の赤字だったが、少なくとも2ケタのレベルの黒字にはもっていけるのではないか。プレイステーション3(PS3)の逆ざやは解消した。PS3のコスト削減は続けており、ここが一番大きく利益に貢献する。プレイステーション2(PS2)やプレイステーション・ポータブル(PSP)の販売数は若干減るだろう」
――米アップル社の多機能携帯端末「iPad」(アイパッド)の販売が好調です。
「iPadがよく売れているのは知っているが、当社のリーダー(電子書籍端末)は軽い、読みやすい、電池の持ちがよいなどの理由で買いたいという顧客は多い。300万~400万の市場が今期は2~3倍に伸びるだろう。当社のリーダーも伸びると見ている」
――足元の部品の調達環境をどのように見ていますか。
「液晶パネルの供給は確かにタイトになっている。前期の第4四半期の影響をひきずっている。ただ、期を通してはさまざまなところから供給を受けることで、2500万台分の調達は可能だと見ている」
――欧州の財政問題の影響をどう見ていますか。
「当社の売り上げの約4分の1が欧州だ。ギリシャ危機が欧州全体に波及して経済が停滞すると大きな影響を受けるだろう。欧州の景況だけでなくユーロ安も減益要因(1円の円高で年間70億円の営業減益)になる。また、もし信用不安が再燃し世界的に株価が下落するような事態になれば、ソニー生命が持つ株にも悪影響がでる」
「ただ、第1四半期は1ユーロ=125円で9割ほどを為替予約しているほか、7月分も6割ほどは1ユーロ=122円50銭で予約している。このため7月までは為替の悪影響は避けられる。市場の見方も118~123円ほどが多く、今のところは小康状態を保っている」
コンテンツ産業20兆円規模に 新規雇用5万人 経産省が成長戦略案
経済産業省は13日、国際的に人気が高いアニメやマンガなどのコンテンツ産業で、10年後の平成32年までに5万人の新規雇用を生み出す目標を掲げた成長戦略案をまとめた。14日に発表する。ネットを活用して海外市場でも日本のコンテンツを積極的に広げ、産業規模を現在の15兆円から20兆円に引き上げることで雇用を創出するシナリオ。政府が6月にまとめる新成長戦略に反映させたい考えだ。
戦略案では、CG映像や3D(3次元)アニメに精通した専門技術者などの人材育成の取り組みを強化して競争力を底上げする。また、これまで日本企業が苦手としていたアジアなど海外市場への売り込みを支援する政策も柱としている。
具体的には、アニメなどは海外で放映しやすいよう国際共同製作を進め、制作費の一部を助成するなどの支援制度も検討。海外での日本のコンテンツ産業の売上高を現在の7千億円から32年までに2兆3千億円まで拡大し、自動車や半導体など主要産業の輸出額に次ぐ規模に育てる考えだ。
このほか、ネット配信を念頭に置いて、書籍やマンガの電子化に関する著作権などの国内ルールを整備することも盛り込んだ。
エルピーダ、世界最小のDRAM量産
半導体大手のエルピーダメモリは、世界最小のモバイル機器向けDRAMを開発した。回路設計を見直して、チップ面積が従来品より約5割減の50平方ミリメートル以下に縮小した。2ギガ(ギガは10億)ビットの大容量、低消費電力が特徴で携帯情報端末の性能向上に貢献する。スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット型端末の市場急拡大をにらみ、7月にも主力の広島工場(東広島市)で量産を開始する。
半導体の回路線幅はDRAM業界で最先端の40ナノ(ナノは10億分の1)メートルの微細化技術を使う。データを記憶するメモリーセル以外の周辺回路の面積を減らし、面積は小さく、さらに低消費電力と大容量化を達成した。
チップ面積は、DRAM世界シェア首位の韓国サムスン電子の電源電圧が低いタイプより約15~20%小さい。
面積の縮小によって半導体材料のシリコンウエハー1枚から取るチップ個数が増えるため、コスト競争力で業界他社に先行できる。
6月にサンプル出荷を始め、年度内に40ナノを使ったモバイル用DRAMの生産能力を、広島工場全体の2割強にあたる月3万枚に引き上げる。
NTT光回線分離、検討明記へ 総務省作業部会
光回線などブロードバンド(高速大容量)通信の全国普及策を検討する総務省のタスクフォース(作業部会)は13日、NTT東西地域会社から光回線のアクセス網(電話局と家庭を結ぶ設備)分離について、「検討を深める必要がある」として、14日の会合でまとめる報告書の原案に盛り込む方針を固めた。報告書を受け、同省は1年程度かけて具体策を検討する方針だ。
「分離」については、作業部会の有識者が「議論の時間が短すぎる」として先送りを求める一方、総務省は分離方針の明記を求めて調整が難航。「分離」を検討課題として明記することで、NTTの組織再編に含みを残す形とする。
NTTは光サービスで7割超のシェアを握る。原口一博総務相はNTTの光アクセス回線事業を分社化することで、他社への光回線の貸し出しを促進するよう求めていた。
どうする「光の道」孫社長と佐々木氏が論戦
ソフトバンクの孫正義社長と、ITジャーナリストの佐々木俊尚さんが13日、光ファイバー回線によるインフラ整備について論戦を繰り広げた。「光の道の実現に向けて」と題して東京都港区のソフトバンク本社に設けた特設スタジオで対談は行われ、ネット中継サービスのユーストリームで生中継された。
総務省は超高速のブロードバンド環境を整備する「光の道」構想を検討中で、孫社長は同省の作業部会で「光100%を税金ゼロで実現できる」と述べている。これに対し、佐々木さんが自身のブログで「全面反論する」と書いたことからネット上で論議が始まり、ツイッターで両者が直接やり取りしたうえで、「公開の場での論議」を佐々木さんが求めたことから対談が実現した。
孫社長は、ADSL(非対称デジタル加入者線)より安い価格で光ファイバーによるブロードバンドを全国民が利用できるようにして、「電子カルテや電子教科書が全国どこでも使える環境にすべきだ」と持論を展開。必要な資金は民間調達で可能で、NTTを分割し、光ファイバーによるアクセス網を整備する会社をつくればできるとした。
構想実現を裏付けるコスト構造など数値を含めた資料を、孫社長は今回初めて公開した。傘下のソフトバンクテレコムなど通信事業者が実際に光ファイバーを敷設した際にかかった費用や、NTTが公開している資料をもとに積算したという。
一方、佐々木さんは、日本のブロードバンド環境は既に世界最高水準にあり、光ブロードバンドの利用が30%の世帯にとどまって伸びないのは、「生活に密着した使いやすいサービスがないから」と話した。電子カルテが普及しないのは光ブロードバンドが整備されていないからでなく、カルテの規格がばらばらだったり、現場の医師の抵抗感に加えて、日本医師会や厚生労働省が積極的に進めないから、と指摘。「選択と集中が必要。光ブロードバンド整備より優先すべきなのは、使い勝手のいい魅力的サービスを提供できる仕組み作り」と強調した。
孫社長は「メタル回線を全部やめて光に置き換えると腹をくくれば達成できる。国費はいらない。光が100%になればパラダイムシフトが起き、(ブロードバンドの)利活用のレベルが上がる」と力説した。しかし、佐々木さんは「今回公開されたデータをよく検証すべきだ。ネットはテキスト文化であり、ブロードバンドによるリッチなコンテンツはネットの一部に過ぎない」などと反論。論戦は深夜まで続いた。
消費税増税でどうなる モデル世帯で16・5万円の負担増
消費税の引き上げで暮らしや経済にどんな影響が出るか-。税率10%の場合は平均的世帯で年間16・5万円の負担増となることが第一生命経済研究所の試算で明らかになった。消費の冷え込みで景気が下押しされれば、目標の財政再建自体が遠のく恐れも指摘されており、消費税論議でも家計負担と財政再建のバランスが焦点となりそうだ。
■低所得者層ほど負担増
消費税は税率1%の引き上げで約2兆5千億円の税収増が見込まれるが、試算では、1%引き上げで平均的な4人家族世帯で年間3万4千円の負担増となる。
現行5%の税率を10%とすれば16万5千円の負担増で、年間の消費税支払総額は34万6千円まで膨らむ。
低所得層ほど相対的な負担は大きく、年収250万円以下世帯の消費税支払額が年収に占める割合は8・1%。年収1500万円以上世帯の4・2%の約2倍となる見込みだ。
■GDP30兆円消失?
試算した永浜利広主席エコノミストは「住宅や自動車など大きな買い物は(増税前の)駆け込み需要が起こるが、その後は家計の負担増で消費が冷え込む」と予測。1%のアップで初年度の消費が0・16%減り、実質国内総生産(GDP)が0・11%下がるとみる。
一方、財政健全化の指標で、借金に頼らず政策的経費をまかなえるかどうかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するには、消費税率を27・3%まで引き上げる必要がある。ここまで税率が跳ね上がれば、増税初年度は実質GDPを2・45%、消費抑制が企業業績にも波及する次年度は6・02%も押し下げる。GDPが500兆円とすると、約30兆円もの国富が吹き飛ぶ計算だ。
菅直人副総理・財務相は「増税しても使い道を間違えなければ景気は良くなる」と語る。増税で集めたお金を環境や介護などに振り向け、雇用増を通じて消費を活性化。経済成長で税収が伸びるという図式だ。
ただ、永浜氏は「(シナリオ通りに)増税で集めたお金を効率的に使うのは難しい」と疑問視。景気悪化を招けば税収は伸びず、財政再建が遠のく“もろ刃の剣”となる可能性もある。
日本支局を開設 北朝鮮情報のデイリーNK
韓国の北朝鮮専門インターネット新聞「デイリーNK」は13日、都内で記者会見し、4月1日付で日本支局を開設したことを発表した。日本語サイトは既に2006年12月から始めているが、正式に支局を置くことで、セミナー開催など日本での情報発信を強化するのが狙い。
デイリーNKは04年12月にスタート。昨年11月末のデノミネーション(通貨呼称単位の変更)を実施当日に速報したことで知られる。高英起日本支局長は「北朝鮮で何が起きているか、有意義な情報をスピーディーに提供していきたい」と話している。
法人タクシー最大2割減 減車促す新法施行で
全国のタクシー台数の約8割を占める法人タクシーが2012年秋までに最大2割減る可能性があることが分かった。供給過剰が慢性化しているタクシーの減車を求める新法が昨年10月に施行されたことを受け、自治体やタクシー会社が計画をまとめた。
供給過剰の解消を目的とした「特別措置法」では、地域ごとで行政やタクシー会社などに12年9月までの減車計画をまとめるよう求めた。個人を含めた全国のタクシーは約26万台(3月末時点)で、うち法人は約21万4000台。日本経済新聞社が国土交通省や地方運輸局を通じて各地の減車計画を調べたところ、最大4万台強が減る見通し。
東京地区(23区、武蔵野市、三鷹市)は昨年末に約3万2000台のうち2~3割減らす計画をつくり、今春から本格的な減車が始まった。大手の日本交通が約1640台のうち約220台を11月末までに削減するなど、東京地区で年内に1割強減る見通し。特別措置法は個人タクシーの新規参入も規制している。
【産経主張】「5月末決着」断念 約束守れぬ首相は辞めよ 現行案の決断が残された道
鳩山由紀夫首相が国民との約束を反故(ほご)にしようとしている。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題の「5月末決着」を先送りする意向を表明したからだ。
これは国民に対する背信行為である。政治は「信なくば立たず」(論語)だ。国民の信頼がなくなったら政治は成り立たない。首相としての信を失っている。退陣もやむを得ない。
ただ、一方的に辞任しても普天間問題は片づかない。
5月末までは、まだ2週間以上ある。決着を唯一可能にするのは日米両政府が2年前にまとめた現行計画である米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)だけである。
≪地元自治体に謝罪を≫
首相の迷走で沖縄県も名護市も現行計画に難色ないし反対を示している。だが、日本の平和と安全を確保し、沖縄の負担を軽減するために、首相は地元の関係自治体に謝罪して現行計画の同意を求めるしか方策は残されていない。
そのために辞任するという責任の取り方がある。普天間問題を決着させ、日米同盟を維持することで国益を確保することこそ最高指導者の責務である。
首相は13日、「6月以降も詰めるところがあれば当然、努力する」と述べ、期限内決着の断念を表明した。
5月末までに沖縄と米国、移設先自治体の3者と連立与党の合意を得て決着させる、と4月21日の党首討論で明言してから、まだ1カ月もたっていない。首相は「命がけで行動する」「5月末までの政府方針づくりは約束」とまで語っていた。
首相はこの数日、「合意が得られるような状況をつくる」「できる限り努力する」と発言を徐々に後退させてきたが、6月以降も作業を続けるという考えを示すことによって、自ら掲げた目標を放棄した形だ。
首相は一時、3月中の政府案とりまとめも目指していたが、それができなくなった段階で「別に法的に決まっているわけじゃない」といとも簡単に約束を翻した。
問題は言葉の軽さにとどまらない。昨年11月の日米首脳会談で、オバマ大統領に「私を信じて」と早期決着を約束したのに、その舌の根も乾かぬうちに、今年5月末までの先送りを決めたことが、無責任さを浮き彫りにした。
米側の失望は、4月の訪米時に正式な首脳会談を設定できない異常事態を招いた。首脳同士の個人的信頼関係が築けないほど、日米関係を冷え込ませている。
日米安保改定50周年で同盟深化の協議を加速させなければならない時期に、首相や日本政府への不信感が協議の支障となっている。もはや、普天間問題は、これ以上放置できない状態である。
≪米軍の抑止力は必須≫
4日の沖縄訪問で、県外移設では解決が困難なことを認めた首相は、「海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思っていなかった」と釈明した。
指導者の言葉とも思えないが、抑止力の意義を学んだのであれば早急に日米間の合意を取り付け、同盟の空洞化を回避する以外に答えはないだろう。
最近の中国海軍の艦載ヘリコプターによる海自艦への異常接近行為は、日本の安全保障環境の悪化を示すことにほかならない。
米国は攻撃型原潜や空母建造など中国の軍拡の意図を疑い、警戒感を強めている。同盟の維持・強化には、日本がその認識を共有することが欠かせないのである。普天間問題の混乱は、日本の安全保障を危うくしている。
連立与党内には、社民党を中心に決着を遅らせることで県内移設を困難にしたいという政治的思惑が存在する。
米側は当初から「現行案が最善」との姿勢を崩しておらず、実現可能な解決策はそこに見いだすしかない。
首相は今年1月の名護市長選前の決着を見送り、移設容認派が敗れた。首相が掲げた「連立与党の合意」にこだわる限り、現政権の下での解決は困難である。
仲井真弘多知事は、鳩山政権が目指した県外移設論に対し、その実現可能性に懐疑的だった。首相が早い段階で現行案を決断し、知事の協力を求めていれば異なった展開が予想されただろう。
首相が県外移設に固執したことが、沖縄の期待をふくらませてきた以上、その構図を断ち切るしかないのである。首相の勇気ある決断を強く求める。
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「iPad」で落胆したもう一つの会社(COLUMN)
アップルの多機能携帯端末「iPad」の予約受け付けが開始された5月10日、直営店のアップルストアや家電量販店には早朝から行列ができた。あまりの人気ぶりに、3日後の12日には予約受け付けが早々と打ち切られる状態となった。
今回のiPadは、スマートフォン「iPhone」と同様にソフトバンクモバイルが独占的に販売することとなり、ネットを中心に大きな反響が巻き起こった。iPadが発表された今年1月27日の段階では、アップルのスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)が「iPadはSIMロックフリーで販売する」と表明していたからだ。
その発表を受けてすぐさま反応したのがNTTドコモ。1月29日の決算説明会で山田隆持社長は「iPadがSIMロックフリーで販売されるならば、NTTドコモとしてはSIMカードを用意する」と宣言した。iPhone獲得競争でソフトバンクモバイルに負けたNTTドコモが、今回は起死回生とばかりにiPad対応に乗り出すように見えた。
直前まで知らなかった?
ただ、実際のところは、NTTドコモがアップルとどこまで水面下で交渉していたのかは疑わしい。ドコモ社内には、SIMロックフリー端末に対応するための部署というのが存在しており、交渉していてもおかしくない。しかし、iPadの日本モデルがSIMロックであることをNTTドコモが知ったのは「(ソフトバンクモバイルが取り扱いの発表をした)5月8日から9日にかけて」(NTTドコモ関係者)という。つまり、消費者と同じタイミングで知った可能性が高い。
そもそも、4月28日に行われた2010年3月期決算発表の説明会でも、iPad対応について聞かれた山田社長は「アップルが1月に発表した時には、iPadはSIMロックフリーであると話している。iPadの購入者でドコモの回線を使いたいという人がいれば、回線を提供することを考えている」という言い方をしている。
もし、予約開始2週間前の段階で、ソフトバンクモバイルによる独占販売であること、SIMロックがかかっていることを知っていたならば、ユーザーに期待を持たせるこんな発言にはならなかったはずだ。
NTTドコモは、iPadにソフトバンクモバイルのSIMロックがかかっていることを受けて、iPadに対応するmicroSIMカードの供給を断念した。
新製品を発売した矢先に
もう1社、iPadのSIMロック販売に落胆した会社がある。MVNO(仮想移動体通信事業者)大手の日本通信だ。
同社は、日本において通信と端末、サービスレイヤーを分離させた新たな競争環境の創出や通信網の開放に孤軍奮闘している会社だ。販売奨励金の見直しやSIMロック解除の議論において積極的な活動を見せている。
そんな日本通信が4月5日に発売したのがデータ通信専用のSIMカードである「b-mobileSIM U300」だ。
これは、NTTドコモの第3世代(3G)通信網に対応したSIMカードで、NTTドコモが提供するUSBデータ通信端末や、富士通、NEC、パナソニックなどが販売する通信モジュール内蔵ノートパソコン、ソニー・エリクソンの「Xperia」や東芝の「T-01A」といったスマートフォンで利用可能だ。
利用期間が1年、6カ月、1カ月の3タイプを用意し、1年パッケージは2万9800円。月額換算すれば2483円で、NTTドコモの3G通信が使い放題になる。NTTドコモなどのパソコン向けデータ通信サービスが月額6000円程度であることを考えれば、かなり割安といえる。
ただし、通信速度は上り下りとも300kbps超と制限がかかっている。「今回の商品は3000円を切るという価格で訴求することを考えた商品。今後はネットワーク改善によって高速化した商品も出していく。SIM単体の商品が市場に出たことで、海外メーカーも積極的にSIMロックフリーの端末を投入できるようになるだろう。今後は端末メーカーと組んで、いろいろなSIMを展開することも視野に入れていく」と福田尚久COO(最高執行責任者)は語る。
300kbpsという速度は、スマートフォンで利用する限りはそれほど遅さは気にならない。高速規格のHSDPAはカタログ値では7.2Mbpsと言われているが、実際にそんな速度は出ていない。「ケータイ白書2010」(インプレスR&D)によると、NTTドコモの携帯電話の平均ダウンロード速度は356.1kbps(2009年8月)となっており、スマートフォンで使う限りは日本通信とNTTドコモの使い勝手の差はほとんどないに等しい。
その日本通信は当然、iPadが上陸した際にb-mobileSIMのシリーズとして、iPad用のmicroSIMを出すことを検討していた。一部ユーザーも日本通信であれば3000円弱でiPadが使えると期待していた。それだけに、今回のソフトバンクモバイルによるSIMロックは、日本通信にしてみれば出鼻をくじかれる出来事だったはずだ。
SIMロック論争に一役買ったはずが・・・
アップルも、iPhoneで良好な関係を築いてきたソフトバンクモバイルだからこそ、SIMロックでの販売を了承したのだろう。しかし、日本でもようやく端末と通信を自由に選べる環境が開けそうだっただけに、少し残念な気がしてならない。理想を言えば、ソフトバンクモバイルで扱うのはSIMロックがかかっているが安価なiPad、一方でアップルストアが直販するiPadは米国と同等額だがSIMロックフリーで自由に通信事業者を選べるという売り方が望ましかった。
SIMロック解除を巡っては、「本当にユーザーのためになるのか」が議論の的となった。しかし、SIMロック解除を推進しようとした総務省に対し、通信事業者が反発し、論争は尻すぼみになろうとしている。iPadをSIMロックありとなしの2バージョンで販売すれば、日本のユーザーがどちらを求めているかが一目瞭然となり、議論も大いに前進したはずなのだが。
「ニコニコ動画」が初の黒字化 会員・広告増で1~3月期
ドワンゴは13日、傘下のニワンゴが運営する動画サイト「ニコニコ動画」が、2010年1~3月期に黒字化したと発表した。2006年12月のサービス開始以来初めて。黒字額は、2900万円としている。。
ニコニコ動画は会員制で、無料会員と優先的に画質の良い動画を見ることができる有料のプレミアム会員がある。ネット業界で、ユーザー課金制の事業が利益を出すのは難しいとされている中で、ニコニコ動画の業績に注目が集まっていた。
黒字化は、ニコニコ動画のプレミアム会員数が順調に増えたことに加え、広告収入が「ほぼ計画通り」に推移したため。
今年4月時点で、ニコニコ動画のプレミアム(有料)会員数は77万人、ユーザーID登録者数は1670万人に達している。
同時に発表したドワンゴの2010年3月中間連結決算は、売上高が前年同期比21・8%増の160億円、最終利益が約4倍の8億6700万円の増収増益だった。
10年9月期の通期業績予想は、売上高が前期比11・7%増の297億円、最終損益が11億円の黒字(前期は7億8200万円の赤字)を見込んでいる。
ソフトバンクモバイル、ホワイトプランの初回契約更新月を1カ月延長
ソフトバンクモバイルは、5月28日から「ホワイトプラン」に加入する場合、2年契約の初回契約更新月を1カ月延長し、25、26カ月目にすると発表した。合わせて5月28日から「新スーパーボーナス」に加入する場合、携帯電話の割賦代金の請求と「月月割」の適用開始を、これまでの3カ月目から2カ月目に変更する。
この変更は、4月27日からのホワイトプランの改定に伴う施策。発表時の改訂では、ホワイトプランの更新月に月月割や割賦の支払いが残っている状態になってしまうことから、「利便性を考慮し、ホワイトプランの2年契約の更新月が割賦代金の支払い終了時に来るようにした」(ソフトバンクモバイル)という。
なお、4月27日から5月27日までにホワイトプランに加入したユーザーについては、初回契約更新月を25~27カ月目とし、5月27日までに「新スーパーボーナス」に加入した場合は、分割支払金の請求と月月割の適用開始を3カ月目からとする。
参院公約に消費税増税を明記へ、次期衆院選後 民主党
今夏の参院選のマニフェスト(政権公約)を検討している民主党の「マニフェスト企画委員会」(委員長=仙谷国家戦略相、高嶋良充党筆頭副幹事長)が13日開かれ、次期衆院選後に消費税増税を実施することを公約に盛り込むことで一致した。
鳩山政権は3年後の衆院選までは増税を行わない方針を掲げているが、財政状況の悪化に対応するため、衆院選後には速やかに、増税に踏み切る考えを明確にする。
この日は党と政府の関係者が出席し、主に財政問題を議論。「財政再建のためには(消費税を含めた)抜本的な税制改正が欠かせないということで一致した」(細野豪志副幹事長)という。消費税の引き上げ時期や税率については今後議論する方針だ。
表現の自由を侵害するのは、政府ではなく民間企業である ITは固定費用の比率が高いので、あらゆるサービスが自然独占になる傾向がある。検索エンジンではGoogle、オークションではYahoo!、OSではMicrosoft、ネットショッピングではAmazonが圧倒的な地位を占めている。
今年中に日本で始まるであろう電子書籍サービスにおいては、AppleとAmazonが二強となる。他のサービスはマイナーなものに留まらざるをえない。
ある分野のサービスを独占した企業は、その分野における独裁者として振舞う。
すでに、検索エンジンの世界では、Google八分という状況が出現している。Googleから無視されたWebは目に見えなくなるので、存在しないのと同じことになる。Googleは、検閲を駆使する支那政府と実質的に変わらない権力を持つ。
幸い、Googleは、利益よりも自由を選ぶという稀有な社風を持つため、Google八分は支那政府ほど大きな問題にはなっていない。
しかし、電子書籍において、ヘゲモニーを握るであろうAppleやAmazonには、Googleほどの公正さを望むことは難しい。
今年の2月、App Storeは大量にアプリの削除を行った。ただ、単に、水着グラビアを用いたというだけで、アプリが削除された。
日本の漫画をiPhoneで配信しようとしたボイジャーは、3割がリジェクトされたと報告している。日本よりも格段に厳しい米国のコミックコードを、Appleは世界中に適用する。
Appleが認めないのは、性表現や暴力表現だけではない。大谷和利著「iPhoneをつくった会社」がApp Storeへの登録を拒否された事例は有名だ。反社会的どころか、反Apple的な言論すらAppleは認めない。
Amazonもまた大量に書籍やDVDを自社のWebから削除している。取次会社系の通販サイト「本やタウン」なら、数日で買える本が、Amazonでは検索すらできない。在庫がないのではなく、存在すら抹消されてしまっている。
法律や条例による書籍やDVDやゲームソフトの規制は、せいぜいゾーニング(年齢制限)だけであるが、AppleやAmazonは、流通そのものを認めない。
店先に何を並べるかは店主の勝手だと考えることもできるが、それは多くの店が存在し、流通チャネルを生産者や消費者が選べる場合である。すべての店が同一のチェーンストアになってしまったら、何を売るかは店主の勝手ではなくなる。
池田信夫氏が再三指摘している電波利権問題が新聞や地上波テレビでは一切流されないように、電子出版における言論も、自然独占の結果として、サービス提供者への批判や、ちょっと過激な表現すら許さない、不自由なものになる可能性は高い。
自由な言論、自由な表現は公共の利益である。それは自由競争の結果、失われてしまうかもしれない。ある種の規制や公共事業が、今後は必要になるのかもしれない。政府の役割は、「有害情報」をブロックすることではなくて、AppleやAmazonによってブロックされた「有害情報」を、強制的に流すことになるのだ。
記者の目◇トヨタ、焦点は「利益1兆円」復活
トヨタ自動車が11日発表した2010年3月期の連結決算(米国会計基準)は、営業損益が1475億円の黒字(09年3月期は4610億円の赤字)に転じた。今期の営業利益は2800億円と前期比90%増を見込むが、金融危機以前の08年3月期に過去最高益(2兆2703億円)をたたき出した時期とは隔世の感がある。「営業利益1兆円超」の復活を望むことはできないのだろうか。
必ずしも不可能ではない。疑問を解く最大のカギは、前期業績の期初予想と実績の乖離(かいり)にある。1年前を振り返ると、前期の営業損益は8500億円の赤字を予想していた。世界的な景気悪化による需要低迷に加え、米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁解消、自動車最高峰レース「F1」からの撤退などを織り込んでいた。だが、5200億円の原価改善と4700億円の固定費削減と、この2項目だけで合計9900億円に上る合理化効果を実現。期初予想との比較で約1兆円の営業損益改善を達成した。
米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは4月、トヨタの格付けを「Aa1」から「Aa2」に引き下げ、見通しを「ネガティブ」とした。見通しを「安定的」とする条件の1つとして、「営業利益率が持続的に5%以上に回復すること」をあげた。臼井規シニアアナリストは「トヨタがAa1に戻るには数年かかるのではないか」としている。
今期の予想売上高は19兆2000億円。ムーディーズの要求通り「売上高営業利益率5%以上」を達成すれば、営業利益は9600億円以上となり、1兆円復活が視野に入る。そして、それが必ずしも不可能なシナリオでないという推定が、いくつかの数字から導かれる。
第1に、前期計上した「一時的費用」というのりしろの存在だ。11日の記者会見後に開かれた投資家向け説明会。アナリストら出席者を前に、伊地知隆彦専務は「品質問題に関連する費用、米合弁解消、F1撤退などの一時的費用は合計で2500億円」と説明した。この金額を今期予想営業利益に単純に加えるだけでも、5300億円という水準がはじき出せる。
第2に合理化効果の見積もり。前期は9900億円に上った合理化効果について、今期は原価改善1300億円、諸経費減少1600億円の合計2900億円にとどまるとしている。だが会社側も「原価改善は伸びしろはある」(伊地知専務)と見積もりが慎重であることを認めている。仮に前期の約半分に緩めたとしても、ざっと5000億円。第1の要素と合わせれば、試算上の営業利益は優に1兆円を超す水準になる。
豊田章男社長は11日の記者会見で「営業利益が1兆円に戻るのはいつになるのか」という問いに対して、「大変難しい質問。昨年度から全社をあげて収益改善活動をして、体質改善を進めており、改善は着実に進んでいる」と述べるにとどめた。
トヨタの株価は11日終値で3495円と、1月21日に付けた年初来高値(4235円)を2割近く下回っている。だが市場関係者の間でも「今期は少なくとも営業利益で5000億~6000億円を出せる実力はある」(ゴールドマン・サックス証券の湯沢康太アナリスト)という見方が少なくない。「利益1兆円」のシナリオが現実味を帯びるにつれて、株価は水準訂正が進む公算が大きい。
京都新聞社説
タレント擁立 知名度頼みでいいのか
今夏の参院選に向け、民主党が女子柔道の五輪金メダリスト谷亮子氏の擁立を決めるなど、与野党とも著名人の「擁立合戦」の様相を呈している。
スポーツ選手や芸能人らタレント候補は、知名度に加え、政界人とは違う清新さもあって即戦力として期待できる。「広告塔」としての役割も大きく、選挙戦術上、有効に違いない。
とはいえ知名度に頼って無党派層を取り込みたいとの思惑が与野党を問わず透けて見える。著名人に頼らざるを得ない現状が、有為な人材の不足に起因しているならば情けない。
民主党は「超ど級の有望株」とする谷氏のほか、タレントの岡部まり、落語家桂きん枝、歌手庄野真代の各氏ら各界から候補をそろえた。連合など従来の支持団体を固めた上で、勝敗の鍵を握る浮動票を獲得する作戦だ。
谷氏は、子育てをしながら柔道も現役を続行する意向という。民主党は「子育て政策を訴えるにはうってつけ」と期待するが、議員活動は競技や育児と両立しながら全力投球できるほど甘くはあるまい。
自民党は、プロ野球界から堀内恒夫や石井浩郎、女優の三原じゅん子の各氏らを出馬させる方針。かねて著名人擁立に熱心だったが、支持団体の組織内候補が減ったマイナスを補い、「新生自民」を強調して無党派層を取り込みたいとみえる。でも党内からは「中途半端なタレント候補は、組織候補にとって迷惑」との批判も出ている。
たちあがれ日本は元プロ野球選手の中畑清氏、みんなの党も元民放キャスター真山勇一氏らを擁立する。
参院選は、2001年から個人名でも投票できる非拘束名簿式比例代表制が導入された。政党が知名度による集票力を見込んで、タレント候補を重用する傾向が目立つようになった。
タレントであっても、非凡な才能を開花させ、併せて政治に深い関心を持つ人は多い。これまでも政界へ転身して活躍している人たちもいる。
ところが、著名人でも出れば当選というわけではない。かつて作家から歌手、スポーツ選手まで多様な顔触れをそろえながら、1議席も取れなかった政党もあった。安易な著名人の擁立に対して、有権者の目が厳しくなっているのは間違いない。
与野党とも今、参院選のマニフェスト(政権公約)づくりに躍起だ。やはり政策を競い合ってこその選挙である。昨夏の衆院選で、投票によって政権交代が実現した。有権者は1票の重みをあらためて認識したはずだ。
知名度に惑わされることなく、政策や、どれほどの経験や見識を持ち合わせているのかを見極めたい。とりわけ参院は「良識の府」とされる。その役割や責任は重く、議員の資質や政策力が何より問われよう。
アップルの多機能携帯端末「iPad」の予約受け付けが開始された5月10日、直営店のアップルストアや家電量販店には早朝から行列ができた。あまりの人気ぶりに、3日後の12日には予約受け付けが早々と打ち切られる状態となった。
今回のiPadは、スマートフォン「iPhone」と同様にソフトバンクモバイルが独占的に販売することとなり、ネットを中心に大きな反響が巻き起こった。iPadが発表された今年1月27日の段階では、アップルのスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)が「iPadはSIMロックフリーで販売する」と表明していたからだ。
その発表を受けてすぐさま反応したのがNTTドコモ。1月29日の決算説明会で山田隆持社長は「iPadがSIMロックフリーで販売されるならば、NTTドコモとしてはSIMカードを用意する」と宣言した。iPhone獲得競争でソフトバンクモバイルに負けたNTTドコモが、今回は起死回生とばかりにiPad対応に乗り出すように見えた。
直前まで知らなかった?
ただ、実際のところは、NTTドコモがアップルとどこまで水面下で交渉していたのかは疑わしい。ドコモ社内には、SIMロックフリー端末に対応するための部署というのが存在しており、交渉していてもおかしくない。しかし、iPadの日本モデルがSIMロックであることをNTTドコモが知ったのは「(ソフトバンクモバイルが取り扱いの発表をした)5月8日から9日にかけて」(NTTドコモ関係者)という。つまり、消費者と同じタイミングで知った可能性が高い。
そもそも、4月28日に行われた2010年3月期決算発表の説明会でも、iPad対応について聞かれた山田社長は「アップルが1月に発表した時には、iPadはSIMロックフリーであると話している。iPadの購入者でドコモの回線を使いたいという人がいれば、回線を提供することを考えている」という言い方をしている。
もし、予約開始2週間前の段階で、ソフトバンクモバイルによる独占販売であること、SIMロックがかかっていることを知っていたならば、ユーザーに期待を持たせるこんな発言にはならなかったはずだ。
NTTドコモは、iPadにソフトバンクモバイルのSIMロックがかかっていることを受けて、iPadに対応するmicroSIMカードの供給を断念した。
新製品を発売した矢先に
もう1社、iPadのSIMロック販売に落胆した会社がある。MVNO(仮想移動体通信事業者)大手の日本通信だ。
同社は、日本において通信と端末、サービスレイヤーを分離させた新たな競争環境の創出や通信網の開放に孤軍奮闘している会社だ。販売奨励金の見直しやSIMロック解除の議論において積極的な活動を見せている。
そんな日本通信が4月5日に発売したのがデータ通信専用のSIMカードである「b-mobileSIM U300」だ。
これは、NTTドコモの第3世代(3G)通信網に対応したSIMカードで、NTTドコモが提供するUSBデータ通信端末や、富士通、NEC、パナソニックなどが販売する通信モジュール内蔵ノートパソコン、ソニー・エリクソンの「Xperia」や東芝の「T-01A」といったスマートフォンで利用可能だ。
利用期間が1年、6カ月、1カ月の3タイプを用意し、1年パッケージは2万9800円。月額換算すれば2483円で、NTTドコモの3G通信が使い放題になる。NTTドコモなどのパソコン向けデータ通信サービスが月額6000円程度であることを考えれば、かなり割安といえる。
ただし、通信速度は上り下りとも300kbps超と制限がかかっている。「今回の商品は3000円を切るという価格で訴求することを考えた商品。今後はネットワーク改善によって高速化した商品も出していく。SIM単体の商品が市場に出たことで、海外メーカーも積極的にSIMロックフリーの端末を投入できるようになるだろう。今後は端末メーカーと組んで、いろいろなSIMを展開することも視野に入れていく」と福田尚久COO(最高執行責任者)は語る。
300kbpsという速度は、スマートフォンで利用する限りはそれほど遅さは気にならない。高速規格のHSDPAはカタログ値では7.2Mbpsと言われているが、実際にそんな速度は出ていない。「ケータイ白書2010」(インプレスR&D)によると、NTTドコモの携帯電話の平均ダウンロード速度は356.1kbps(2009年8月)となっており、スマートフォンで使う限りは日本通信とNTTドコモの使い勝手の差はほとんどないに等しい。
その日本通信は当然、iPadが上陸した際にb-mobileSIMのシリーズとして、iPad用のmicroSIMを出すことを検討していた。一部ユーザーも日本通信であれば3000円弱でiPadが使えると期待していた。それだけに、今回のソフトバンクモバイルによるSIMロックは、日本通信にしてみれば出鼻をくじかれる出来事だったはずだ。
SIMロック論争に一役買ったはずが・・・
アップルも、iPhoneで良好な関係を築いてきたソフトバンクモバイルだからこそ、SIMロックでの販売を了承したのだろう。しかし、日本でもようやく端末と通信を自由に選べる環境が開けそうだっただけに、少し残念な気がしてならない。理想を言えば、ソフトバンクモバイルで扱うのはSIMロックがかかっているが安価なiPad、一方でアップルストアが直販するiPadは米国と同等額だがSIMロックフリーで自由に通信事業者を選べるという売り方が望ましかった。
SIMロック解除を巡っては、「本当にユーザーのためになるのか」が議論の的となった。しかし、SIMロック解除を推進しようとした総務省に対し、通信事業者が反発し、論争は尻すぼみになろうとしている。iPadをSIMロックありとなしの2バージョンで販売すれば、日本のユーザーがどちらを求めているかが一目瞭然となり、議論も大いに前進したはずなのだが。
「ニコニコ動画」が初の黒字化 会員・広告増で1~3月期
ドワンゴは13日、傘下のニワンゴが運営する動画サイト「ニコニコ動画」が、2010年1~3月期に黒字化したと発表した。2006年12月のサービス開始以来初めて。黒字額は、2900万円としている。。
ニコニコ動画は会員制で、無料会員と優先的に画質の良い動画を見ることができる有料のプレミアム会員がある。ネット業界で、ユーザー課金制の事業が利益を出すのは難しいとされている中で、ニコニコ動画の業績に注目が集まっていた。
黒字化は、ニコニコ動画のプレミアム会員数が順調に増えたことに加え、広告収入が「ほぼ計画通り」に推移したため。
今年4月時点で、ニコニコ動画のプレミアム(有料)会員数は77万人、ユーザーID登録者数は1670万人に達している。
同時に発表したドワンゴの2010年3月中間連結決算は、売上高が前年同期比21・8%増の160億円、最終利益が約4倍の8億6700万円の増収増益だった。
10年9月期の通期業績予想は、売上高が前期比11・7%増の297億円、最終損益が11億円の黒字(前期は7億8200万円の赤字)を見込んでいる。
ソフトバンクモバイル、ホワイトプランの初回契約更新月を1カ月延長
ソフトバンクモバイルは、5月28日から「ホワイトプラン」に加入する場合、2年契約の初回契約更新月を1カ月延長し、25、26カ月目にすると発表した。合わせて5月28日から「新スーパーボーナス」に加入する場合、携帯電話の割賦代金の請求と「月月割」の適用開始を、これまでの3カ月目から2カ月目に変更する。
この変更は、4月27日からのホワイトプランの改定に伴う施策。発表時の改訂では、ホワイトプランの更新月に月月割や割賦の支払いが残っている状態になってしまうことから、「利便性を考慮し、ホワイトプランの2年契約の更新月が割賦代金の支払い終了時に来るようにした」(ソフトバンクモバイル)という。
なお、4月27日から5月27日までにホワイトプランに加入したユーザーについては、初回契約更新月を25~27カ月目とし、5月27日までに「新スーパーボーナス」に加入した場合は、分割支払金の請求と月月割の適用開始を3カ月目からとする。
参院公約に消費税増税を明記へ、次期衆院選後 民主党
今夏の参院選のマニフェスト(政権公約)を検討している民主党の「マニフェスト企画委員会」(委員長=仙谷国家戦略相、高嶋良充党筆頭副幹事長)が13日開かれ、次期衆院選後に消費税増税を実施することを公約に盛り込むことで一致した。
鳩山政権は3年後の衆院選までは増税を行わない方針を掲げているが、財政状況の悪化に対応するため、衆院選後には速やかに、増税に踏み切る考えを明確にする。
この日は党と政府の関係者が出席し、主に財政問題を議論。「財政再建のためには(消費税を含めた)抜本的な税制改正が欠かせないということで一致した」(細野豪志副幹事長)という。消費税の引き上げ時期や税率については今後議論する方針だ。
表現の自由を侵害するのは、政府ではなく民間企業である ITは固定費用の比率が高いので、あらゆるサービスが自然独占になる傾向がある。検索エンジンではGoogle、オークションではYahoo!、OSではMicrosoft、ネットショッピングではAmazonが圧倒的な地位を占めている。
今年中に日本で始まるであろう電子書籍サービスにおいては、AppleとAmazonが二強となる。他のサービスはマイナーなものに留まらざるをえない。
ある分野のサービスを独占した企業は、その分野における独裁者として振舞う。
すでに、検索エンジンの世界では、Google八分という状況が出現している。Googleから無視されたWebは目に見えなくなるので、存在しないのと同じことになる。Googleは、検閲を駆使する支那政府と実質的に変わらない権力を持つ。
幸い、Googleは、利益よりも自由を選ぶという稀有な社風を持つため、Google八分は支那政府ほど大きな問題にはなっていない。
しかし、電子書籍において、ヘゲモニーを握るであろうAppleやAmazonには、Googleほどの公正さを望むことは難しい。
今年の2月、App Storeは大量にアプリの削除を行った。ただ、単に、水着グラビアを用いたというだけで、アプリが削除された。
日本の漫画をiPhoneで配信しようとしたボイジャーは、3割がリジェクトされたと報告している。日本よりも格段に厳しい米国のコミックコードを、Appleは世界中に適用する。
Appleが認めないのは、性表現や暴力表現だけではない。大谷和利著「iPhoneをつくった会社」がApp Storeへの登録を拒否された事例は有名だ。反社会的どころか、反Apple的な言論すらAppleは認めない。
Amazonもまた大量に書籍やDVDを自社のWebから削除している。取次会社系の通販サイト「本やタウン」なら、数日で買える本が、Amazonでは検索すらできない。在庫がないのではなく、存在すら抹消されてしまっている。
法律や条例による書籍やDVDやゲームソフトの規制は、せいぜいゾーニング(年齢制限)だけであるが、AppleやAmazonは、流通そのものを認めない。
店先に何を並べるかは店主の勝手だと考えることもできるが、それは多くの店が存在し、流通チャネルを生産者や消費者が選べる場合である。すべての店が同一のチェーンストアになってしまったら、何を売るかは店主の勝手ではなくなる。
池田信夫氏が再三指摘している電波利権問題が新聞や地上波テレビでは一切流されないように、電子出版における言論も、自然独占の結果として、サービス提供者への批判や、ちょっと過激な表現すら許さない、不自由なものになる可能性は高い。
自由な言論、自由な表現は公共の利益である。それは自由競争の結果、失われてしまうかもしれない。ある種の規制や公共事業が、今後は必要になるのかもしれない。政府の役割は、「有害情報」をブロックすることではなくて、AppleやAmazonによってブロックされた「有害情報」を、強制的に流すことになるのだ。
記者の目◇トヨタ、焦点は「利益1兆円」復活
トヨタ自動車が11日発表した2010年3月期の連結決算(米国会計基準)は、営業損益が1475億円の黒字(09年3月期は4610億円の赤字)に転じた。今期の営業利益は2800億円と前期比90%増を見込むが、金融危機以前の08年3月期に過去最高益(2兆2703億円)をたたき出した時期とは隔世の感がある。「営業利益1兆円超」の復活を望むことはできないのだろうか。
必ずしも不可能ではない。疑問を解く最大のカギは、前期業績の期初予想と実績の乖離(かいり)にある。1年前を振り返ると、前期の営業損益は8500億円の赤字を予想していた。世界的な景気悪化による需要低迷に加え、米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁解消、自動車最高峰レース「F1」からの撤退などを織り込んでいた。だが、5200億円の原価改善と4700億円の固定費削減と、この2項目だけで合計9900億円に上る合理化効果を実現。期初予想との比較で約1兆円の営業損益改善を達成した。
米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは4月、トヨタの格付けを「Aa1」から「Aa2」に引き下げ、見通しを「ネガティブ」とした。見通しを「安定的」とする条件の1つとして、「営業利益率が持続的に5%以上に回復すること」をあげた。臼井規シニアアナリストは「トヨタがAa1に戻るには数年かかるのではないか」としている。
今期の予想売上高は19兆2000億円。ムーディーズの要求通り「売上高営業利益率5%以上」を達成すれば、営業利益は9600億円以上となり、1兆円復活が視野に入る。そして、それが必ずしも不可能なシナリオでないという推定が、いくつかの数字から導かれる。
第1に、前期計上した「一時的費用」というのりしろの存在だ。11日の記者会見後に開かれた投資家向け説明会。アナリストら出席者を前に、伊地知隆彦専務は「品質問題に関連する費用、米合弁解消、F1撤退などの一時的費用は合計で2500億円」と説明した。この金額を今期予想営業利益に単純に加えるだけでも、5300億円という水準がはじき出せる。
第2に合理化効果の見積もり。前期は9900億円に上った合理化効果について、今期は原価改善1300億円、諸経費減少1600億円の合計2900億円にとどまるとしている。だが会社側も「原価改善は伸びしろはある」(伊地知専務)と見積もりが慎重であることを認めている。仮に前期の約半分に緩めたとしても、ざっと5000億円。第1の要素と合わせれば、試算上の営業利益は優に1兆円を超す水準になる。
豊田章男社長は11日の記者会見で「営業利益が1兆円に戻るのはいつになるのか」という問いに対して、「大変難しい質問。昨年度から全社をあげて収益改善活動をして、体質改善を進めており、改善は着実に進んでいる」と述べるにとどめた。
トヨタの株価は11日終値で3495円と、1月21日に付けた年初来高値(4235円)を2割近く下回っている。だが市場関係者の間でも「今期は少なくとも営業利益で5000億~6000億円を出せる実力はある」(ゴールドマン・サックス証券の湯沢康太アナリスト)という見方が少なくない。「利益1兆円」のシナリオが現実味を帯びるにつれて、株価は水準訂正が進む公算が大きい。
京都新聞社説
タレント擁立 知名度頼みでいいのか
今夏の参院選に向け、民主党が女子柔道の五輪金メダリスト谷亮子氏の擁立を決めるなど、与野党とも著名人の「擁立合戦」の様相を呈している。
スポーツ選手や芸能人らタレント候補は、知名度に加え、政界人とは違う清新さもあって即戦力として期待できる。「広告塔」としての役割も大きく、選挙戦術上、有効に違いない。
とはいえ知名度に頼って無党派層を取り込みたいとの思惑が与野党を問わず透けて見える。著名人に頼らざるを得ない現状が、有為な人材の不足に起因しているならば情けない。
民主党は「超ど級の有望株」とする谷氏のほか、タレントの岡部まり、落語家桂きん枝、歌手庄野真代の各氏ら各界から候補をそろえた。連合など従来の支持団体を固めた上で、勝敗の鍵を握る浮動票を獲得する作戦だ。
谷氏は、子育てをしながら柔道も現役を続行する意向という。民主党は「子育て政策を訴えるにはうってつけ」と期待するが、議員活動は競技や育児と両立しながら全力投球できるほど甘くはあるまい。
自民党は、プロ野球界から堀内恒夫や石井浩郎、女優の三原じゅん子の各氏らを出馬させる方針。かねて著名人擁立に熱心だったが、支持団体の組織内候補が減ったマイナスを補い、「新生自民」を強調して無党派層を取り込みたいとみえる。でも党内からは「中途半端なタレント候補は、組織候補にとって迷惑」との批判も出ている。
たちあがれ日本は元プロ野球選手の中畑清氏、みんなの党も元民放キャスター真山勇一氏らを擁立する。
参院選は、2001年から個人名でも投票できる非拘束名簿式比例代表制が導入された。政党が知名度による集票力を見込んで、タレント候補を重用する傾向が目立つようになった。
タレントであっても、非凡な才能を開花させ、併せて政治に深い関心を持つ人は多い。これまでも政界へ転身して活躍している人たちもいる。
ところが、著名人でも出れば当選というわけではない。かつて作家から歌手、スポーツ選手まで多様な顔触れをそろえながら、1議席も取れなかった政党もあった。安易な著名人の擁立に対して、有権者の目が厳しくなっているのは間違いない。
与野党とも今、参院選のマニフェスト(政権公約)づくりに躍起だ。やはり政策を競い合ってこその選挙である。昨夏の衆院選で、投票によって政権交代が実現した。有権者は1票の重みをあらためて認識したはずだ。
知名度に惑わされることなく、政策や、どれほどの経験や見識を持ち合わせているのかを見極めたい。とりわけ参院は「良識の府」とされる。その役割や責任は重く、議員の資質や政策力が何より問われよう。
アップル、iPad販売店を選別 店頭販売ゼロの県も
米アップルが日本で28日に発売する多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」の販売店を絞り込んでいることが分かった。家電量販大手5社の直営店のうち、販売できるのは1割弱で、消費者の間で混乱が生じる可能性もある。アップルは、量販店が運営するインターネット通販サイトで携帯音楽プレーヤーなどの販売を停止したばかり。発売前から人気が出ている新端末の販路の選別は波紋を広げそうだ。
日本経済新聞が量販各社に聞き取り調査したところ、ヤマダ電機など上位5社のアイパッド扱い店舗数は計136で、全直営店の9.5%にとどまる。上位10社では7%台に低下。予約もこれらの店舗でしか受けていない。関係者によると、アップル側が販売を認める店舗を具体的に絞り込んだという。アップル日本法人は「コメントできない」としている。
全国に約2500店を展開する携帯販売店のソフトバンクショップでも、アイパッドを扱う店はソフトバンク直営の16店のみだ。この結果、青森や鳥取など一部の県では、大手量販店とソフトバンクショップを合わせて、アイパッドを扱う店がゼロになっている。
アイパッドには2種類あり、アップルが運営するネット通販で購入できるのは、無線LAN(構内情報通信網)だけで通信する機種。携帯電話回線を使える機種は店頭でしか買うことができない。
多機能携帯電話(スマートフォン)の「iPhone(アイフォーン)」などを持つアップルは、商品力とブランド力で独自の地位を固めつつある。量販店幹部は「ほかのメーカーならこんな話はのめないが、アップルとは対立したくないので仕方がない」と話す。
アイパッドは先行発売した米国でも人気が高い。世界的に製品供給が追いつかず、販路の絞り込みに踏み切った可能性もある。家電量販がアップルに従うのは、今春スタートした量販店の「評価制度」の影響もありそうだ。関係者によると、アップルの意向に沿った量販店は販売台数に応じて奨励金が増える仕組みだという。
アップルは同時にパソコンの取扱店舗も選んでいる。独占禁止法に詳しい村上政博・一橋大学教授は「独禁法に触れるかどうかは(メーカーが)店を選ぶ基準に合理性があるかなどによって変わってくる」と指摘する。
アップルは今春から家電量販店にアップル製品のネット販売の中止を迫り、ネット通販業者への商品提供を禁じる手も打っており、商品の流通経路の管理を厳格にする姿勢を強めていた。欧米の有力ブランドの間では販路を絞って商品価値を高める戦略をとるケースも少なくない。アップルも「ブランドイメージを守るのが目的」とみられるが、消費者に対する利便性とどう折り合いをつけるかを問う声も出てきそうだ。
アップルは12日午後、家電量販店や直営店のアップルストアなど店頭でのアイパッドの予約受け付けを停止した。アップル日本法人は「予定以上の予約があったため」としている。
上場企業10年3月期、経常益25%増 本社集計
11年3月期は38%増 回復ペース速まる
上場企業の業績回復が一段と鮮明になってきた。2010年3月期の連結経常利益はコスト削減を支えに前の期より25%増え、2期ぶりの増益に転じた。電機と自動車で損益が3兆7000億円改善したのが大きい。11年3月期は前期比38%増益と回復ペースがさらに速まる見通しだ。今期は新興国需要の拡大を背景に3期ぶりの増収が見込まれ、リストラ主導から需要拡大型へ回復局面が移る。ただ円高や資源高など懸念材料も多い。
12日までに決算を発表した3月期決算企業(金融、新興3市場を除く)767社を対象に日本経済新聞社が集計した。社数で全体の5割、利益額で8割程度を占める。経常利益は一時的な損益を加味する前の利益で本業の好不調を反映する。
10年3月期は売上高が前の期比12%減ったが、08年秋のリーマン・ショック後に各社が強力にコスト削減を推し進めて増益に転じた。中国やインドなど世界不況からいち早く脱した新興国の景気回復も追い風になった。増益率は2月時点の予想集計値13%を上回った。想定以上の速度で業績が改善したことを示す。
業種別では全32業種中、19業種で業績が改善した。経常損益の改善額は電機が2兆円、自動車が1兆7000億円に達した。この2業種が鉄鋼や海運、商社などの減益を補い、全体で2兆4000億円近い利益改善につながった。
最大の原動力は原価低減や固定費削減などのリストラ効果だ。ホンダは販売管理費を4200億円以上減らし、14%減収にもかかわらず利益が倍増した。同社の近藤広一副社長は収益回復のけん引役について「企業努力が一番大きい。経費を相当切り詰めた」と振り返る。コスト削減はトヨタ自動車で1兆円規模、パナソニックも8800億円強にのぼった。
11年3月期は売上高が前期比7%の増加に転じそうで、利益拡大に弾みがつく。業績の改善も25業種へすそ野が広がる。アジアからの受注回復で機械や精密機器も増益に転じそうだ。
ただ不安材料もある。円高は輸出企業の業績下振れ要因となり、資源高は幅広い産業のコスト増につながる。新日本製鉄は鉄鉱石などの調達価格が4~6月期並みで高止まりし、これを全く価格転嫁できないと年4500億円の利益を失う。
デジタル家電や自動車の販売を促す各国の需要刺激策が期限を迎える影響も出そうだ。エコポイント制度が年末で終わる国内家電業界には「今期の市場規模が2%縮小する」(ヤマダ電機の岡本潤執行役員専務)との見方もある。ギリシャ危機が世界景気の足を引っ張る懸念もくすぶる。
今期見通しの利益はピークの08年3月期に比べると6割程度の水準。企業業績の改善効果が家計部門や設備投資に波及していけば、さらなる好循環を生みそうだ。
交流サイト3社の1~3月、ゲーム利用料で明暗 会員数は合計5641万人と1年で4割強増加
携帯電話やパソコン向けに交流サイトを運営する大手3社の1~3月期業績が12日出そろった。ゲームを楽しむ会員からの利用料収入が堅調だったディー・エヌ・エーとグリーの最終利益は前年同期に比べて2倍以上に拡大。一方ミクシィは、サイトにソフトを提供する外部企業に支払う実質的な「開発支援費用」が重荷で大幅減益だった。
いずれも増収を確保した。3社が運営する交流サイトの会員数は合計5641万人と、1年で4割強増加。テレビCMを積極化させて地方会員を増やした。サイト閲覧数も伸びた。
ゲームなどで会員から得る利用料収入の多寡が収益を分けた。「モバゲータウン」のディーエヌエは、前年同期にはほとんどなかった「アイテム」販売収入が伸び、連結純利益は3.4倍の48億円。「GREE」のグリーの単独税引き利益は2.3倍の30億円だった。両社とも利益率が高い自社ソフトがけん引した。
一方で、ミクシィはゲームよりも、友人評価など会員間の交流を重視するサイトを運営するため、利用料収入が低調。ソフトは外部から提供を受けるため、「開発支援費用」を支払うのが重荷となった。連結純利益は88%減の4900万円。
2011年3月期の連結純利益は前期比6%増の13億円を見込む。開発支援費用や広告宣伝費を増やすなど、「より強いサービスを作るために、損益的には我慢の時期が続く」(笠原健治社長)見通しだ。
東芝、アジアでソフト開発要員1000人体制に 15年メド
東芝はアジアに置くソフトウエア開発3拠点の人員を2015年をめどに現状の1.7倍の1000人体制に拡充する。成長分野と位置付ける社会インフラ事業で海外市場を攻略するには、現地仕様への対応などで、ソフト開発体制の強化が必要と判断した。グループの開発資源を有効活用し、機動的な事業展開につなげる。
東芝は中国、ベトナム、インドの3カ所にソフト研究開発拠点を構える。現在、3拠点を合計した人員数は600人規模だが、15年をめどに1000人規模に拡大する計画。
増員する人員には主に、社会インフラ事業関連のソフト開発を担当させる考え。東芝は交通システムや原子力発電、次世代送電網(スマートグリッド)向けのシステムなどで海外市場攻略を加速している。現地仕様や規格に素早く対応し、顧客満足度の高いサービスを提供するため、現地のソフト開発力を強化する。
今後は東芝グループ全体でソフト開発の分担体制を整備する。例えば、派生品の開発を任せたり、工程の一部を移したり、グローバルで最適なソフト開発体制に編成できるようにする。
外注による技術ノウハウの流出を防ぎつつ、人件費の安いアジアの人材を活用してコスト競争力も高める。
エルピーダ、フラッシュ生産への参入検討
DRAM製造大手エルピーダメモリの坂本幸雄社長は12日の決算説明会で、フラッシュメモリー生産への参入を検討する考えを示した。「広島工場で作るか、どこか工場を買うか、ファウンドリー(外部委託)をやるか。今年中に決めればいい」と述べた。
また、DRAM事業についても、「何らかの形で中国に工場をつくる必要がある」と指摘した。2012~13年の生産開始を念頭に、提携先の台湾メーカーと協力して中国進出をめざすという。
なぜツイッターはダメなのか? ネット選挙運動解禁でツイッター除外に批判の声
インターネットを利用した選挙運動の解禁を検討している与野党の実務者協議会が12日、今夏の参院選から候補者と政党のホームページ(HP)とブログの更新を認める一方で、ミニブログ「ツイッター」を除外する方向で合意したことがネット内で波紋を広げている。鳩山由紀夫首相をはじめ、多くの国会議員が利用しているツイッターを更新できないことに対し、ツイッターユーザーの間で批判の声が広がり、「ツイッター議員」たちは対応に追われた。
ツイッター解禁見送りのニュースがネットに流れると、メディアジャーナリストの津田大介さんは即座に、「ネット選挙解禁、ツイッターは除外か。意味ねーーーー!」と投稿。ビデオジャーナリストの神保哲生さんは「これまじ?」、ジャーナリストの神田敏晶さんも「twitter(ツイッター)を解禁しないでどうするんだ!」など、ツイッターで活躍するジャーナリストたちから批判が相次いだ。
一般ユーザーからも、「ブログがよくて、ツイッターではダメな理由があまり思い浮かばない」、「ブログ等のサービスでも誹謗中傷はある。ツイッターを使わないのは、もったいない」、「ツイッターを外した本当の理由は、自分から端末を操作して呟けないお年寄り議員対策では?などと疑ってしまう」などと、疑問の声が多く投稿された。
政治とネットに詳しい国際大学GLOCOM講師、庄司昌彦さんは、「民主党案がツイッター禁止、有権者を制限だとしたら、インターネットの双方向性を全く生かさないことになる。そんなのはネット選挙じゃない」と指摘。「ネット選挙ってのは、双方向でみんなが自由に論じるということだ。混乱はあるだろうけど、その中からみんなでルールを作っていこうということだ」と書きこんだ。
こうした意見を受け、ネット選挙運動解禁に動いてきたツイッター議員たちは対応に終始した。
民主党の藤末健三参院議員は「何をやってたの?」というユーザーの声に、「さきほど、輿石参院議員会長に直談判しました。民主党が消極的との憶測が飛び交っていますが、ここは必ず、民主党が主導権を持って、ネット解禁に道を拓くべしと!」と答え、ツイッター解禁に向けての意思を表明。
自民党の世耕弘成参院議員も、「いま、民主党のネットに理解のある議員に電話をかけまくって、党内を説得してネット選挙運動解禁進めるように要請してます」と報告、ユーザーから支援の書き込みが寄せられた。
DeNA、モバゲーで人気のゲームをFacebookアプリに
ディー・エヌ・エー(DeNA)の100%子会社で、海外向けサービスを手掛けるミニネーション(東京都渋谷区)は5月12日、モバゲータウンで人気のソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」の英語版「Bandit Nation」β版を、Facebook上で提供開始した。
ユーザ自身が怪盗となり、ミッションをこなしながら世界中の宝を集めるゲーム。モバゲー版と同様、基本料金無料のアイテム課金制。ゲーム用の仮想通貨を5ドルから販売する。同社が自社制作のソーシャルゲームをPC展開するのは初。
「mixi Connect」加速 API整理、多くのパートナーと協力へ
ミクシィの笠原健治社長は5月11日の決算発表の席で、mixiの機能を外部のWebサービスや端末などで使える「mixi Connect」の展開を加速することを明らかにした。APIを整理し、より多くのパートナーが参加できるようにするという。
mixi Connectは、「mixiアプリ」と並ぶmixiのオープンプラットフォームで、2008年にスタート。「Yahoo!ツールバー」でmixiの更新情報をチェックしたり、デジタルカメラ「サイバーショット DSC-G3」で撮影した写真をmixiに直接投稿するなど、すでにさまざまなサービスや端末との連携に使われている。
今期はAPIを整理し、さらに多くのパートナーと連携していく考え。笠原社長は「mixiアプリ以上の大きな挑戦になる」と話しており、詳細は改めて発表する。
ソーシャルグラフ(マイミクシィ同士の人間関係)を利用して効果を高める広告「ソーシャルアド」も今期中に始める予定。海外展開も本格化する。海外展開第1弾として、2008年から中国に現地法人を設置してサービスを始めているが「地域の選定を含め、戦略を練り直している」という。
「カロリーハーフ」って何? 消費者庁「明確に表示を」
消費者庁は12日、「カロリーハーフ」「カルシウム2倍」といった食品表示をする時は、どの食品と比べての「ハーフ」なのかをはっきりと示したうえで、エネルギーや脂質などの栄養成分値も表示するよう食品表示を明確化することを決めた。同日、都道府県に食品メーカーを指導する通知を出した。
「40%カット」「10グラム減」など、グラム数やパーセンテージを添えて、他の食品と比べて多いか少ないかを相対的に表示する場合は、これまで健康増進法の「栄養表示基準」で、商品の包装に比較対象商品を示して、エネルギーやたんぱく質、脂質、炭水化物などの値を表示することが決められていた。
米MS、「オフィス」新製品発売 クラウド対応
【シリコンバレー=岡田信行】米マイクロソフト(MS)は12日、主力の業務用ソフトを刷新した「オフィス2010」を正式発売した。従来の売り切り型のパッケージソフトに加え、インターネット経由で機能やソフトを提供する「クラウドコンピューティング」に対応。同様の企業向けビジネスを拡充する検索最大手グーグルに対抗する。
「オフィス2010」は文書作成の「ワード」や表計算の「エクセル」などの機能を含むMSの主力の業務用ソフト。今回は各機能の刷新に加え、ネット経由で機能を利用できるように変更した。世界的に普及したSNS(交流サイト)と連携する機能を追加。社外にいたとしても、動画や静止画の資料を、オフィスで作成した資料と組み合わせて共有できるようにした。
金の切れ目? 英ロックバンド「クイーン」もEMIと決別へ
ヒット曲「ボヘミアン・ラプソディー」で知られる英ロックバンドのクイーンは、40年近くにわたり所属したEMIミュージックから移籍する。
事情に詳しい関係者が10日明らかにしたところによると、クイーンはガイ・ハンズ氏率いるEMIとの契約切れに伴い、来年には仏ビベンディ傘下のユニバーサル・ミュージック・グループに移籍する。関係者の一人は、交渉が非公開であることを理由に匿名を条件に発言した。クイーンの米国での契約は、米娯楽大手ウォルト・ディズニー傘下のハリウッド・レコーズが保有している。
EMIの元幹部で、ロンドンの音楽・娯楽調査会社エンダース・アナリシスの責任者であるクレア・エンダース氏は「ユニバーサルの財務力に対抗するのは難しい。とくにアーティストが巨額の前払い金を要求しているような場合はなおさらだ。EMIにそんな余裕はない」と説明した。
EMIを傘下に置くテラ・ファーマ・キャピタル・パートナーズの投資家らは、ライバル会社との合併を模索する債権者シティグループを退けようと、EMIに追加資金を注入するかどうかを協議。エンダース氏はこうした動きについて「EMIの事業再建に対してというよりも、ハンズ氏に金もうけさせてもらった人々の忠誠心が原動力となる公算が大きい」と述べた。
EMI会長のチャールズ・アレン氏がまとめた再建案は先月、投資家に送付された。ピンク・フロイドやビートルズ、ノーラ・ジョーンズなどのアーティストを抱えるEMIは北米での楽曲カタログのライセンス供与についても協議している。
テラ・ファーマが先月27日に投資家に送付したプレゼンテーション文書によると、EMIは日本の事業部門と米子会社、EMIクリスチャン・ミュージック・グループを売却する可能性がある。
テラ・ファーマはEMIが受けている32億ポンド(約4420億円)の融資を再編して債務契約を適正化するため、社外を含めた投資家を対象に3億6000万ポンドを募っている。文書によると、同社は今月14日までに経営権維持の支援を75%の株主らから取り付け、EMIに融資しているシティグループに通知する必要がある。EMIは同業大手との間で楽曲のライセンスや外部受託契約などを通した資金調達の道を探っているが、実現には至っていない。
クイーンは1970年代初頭にEMIと契約した。EMIに所属していたアーティストではローリング・ストーンズが数年前に脱退したのに続き、ポール・マッカートニーが先月、独立系レーベルのコンコード・ミュージックと契約。ピンク・フロイドも他社と協議している。
【産経主張】英連立政権 新たな保守に期待したい
英国総選挙で第一党となった保守党のキャメロン党首が首相に就任し、第三党の自由民主党との連立政権が発足した。
3期続いた労働党政権が終幕し、13年ぶりの政権交代となった。しかも二大政党政治を伝統としてきた英国では、極めて異例の連立政権だ。43歳7カ月と、1812年以来では最年少の英宰相となったキャメロン氏がつくる新たな保守の潮流に期待したい。
保守党と中道左派の自民党とでは政策の違いが少なくない。それでもキャメロン氏が連立政権を選んだのは、どの政党も下院の過半数を有しない状況下の少数与党では政権運営の行き詰まりが目に見えているからだ。
キャメロン氏は連立交渉で副首相を含む5つの閣僚ポストを提示し、比例代表制を強く求めた自民党の意向をくんで小選挙区優先順位投票制導入を問う国民投票の実施を約束した。
しかし、ふくれあがった財政赤字の削減や移民の制限、戦略核ミサイルの更新といった保守党の根幹政策では譲歩しなかった。
英国政治の殻を破る連立の試みの背景には、従来の二大政党に満足しない中間層が拡大しているとの認識がある。党勢が一時大きく落ち込んだ保守党は、弱者への目配りや環境保護にも力点を置くようになった。
キャメロン氏は「保守、自民両党が違いを乗り越え、共に働くことが強く、安定した政府をつくる」と強調した。
連立政権で実績を積めば、次は単独政権の可能性も大きくなってくる。連立による政策の制約を克服し、「思いやりのある保守」という理念をいかに肉付けするかを注視していきたい。
オバマ米大統領がキャメロン新首相にいち早く電話し、米英の「特別な関係」を維持したいとじかに伝えたことは重要である。
労働党のブラウン政権下では、イラク戦争に対する英国内の一部の批判を反映し、下院外交委員会が「対米関係は重要だが、特別との言葉は避けるべきだ」との報告書をつくった。オバマ大統領は「強固な米英関係が世界の安全と繁栄には不可欠」との認識から新首相に絆(きずな)の確認を求めたのだ。
米英と価値観を共有する日本は、キャメロン政権の発足を機に世界の平和と安全を守る観点から、日米同盟の重要性を再認識しておきたい。
米アップルが日本で28日に発売する多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」の販売店を絞り込んでいることが分かった。家電量販大手5社の直営店のうち、販売できるのは1割弱で、消費者の間で混乱が生じる可能性もある。アップルは、量販店が運営するインターネット通販サイトで携帯音楽プレーヤーなどの販売を停止したばかり。発売前から人気が出ている新端末の販路の選別は波紋を広げそうだ。
日本経済新聞が量販各社に聞き取り調査したところ、ヤマダ電機など上位5社のアイパッド扱い店舗数は計136で、全直営店の9.5%にとどまる。上位10社では7%台に低下。予約もこれらの店舗でしか受けていない。関係者によると、アップル側が販売を認める店舗を具体的に絞り込んだという。アップル日本法人は「コメントできない」としている。
全国に約2500店を展開する携帯販売店のソフトバンクショップでも、アイパッドを扱う店はソフトバンク直営の16店のみだ。この結果、青森や鳥取など一部の県では、大手量販店とソフトバンクショップを合わせて、アイパッドを扱う店がゼロになっている。
アイパッドには2種類あり、アップルが運営するネット通販で購入できるのは、無線LAN(構内情報通信網)だけで通信する機種。携帯電話回線を使える機種は店頭でしか買うことができない。
多機能携帯電話(スマートフォン)の「iPhone(アイフォーン)」などを持つアップルは、商品力とブランド力で独自の地位を固めつつある。量販店幹部は「ほかのメーカーならこんな話はのめないが、アップルとは対立したくないので仕方がない」と話す。
アイパッドは先行発売した米国でも人気が高い。世界的に製品供給が追いつかず、販路の絞り込みに踏み切った可能性もある。家電量販がアップルに従うのは、今春スタートした量販店の「評価制度」の影響もありそうだ。関係者によると、アップルの意向に沿った量販店は販売台数に応じて奨励金が増える仕組みだという。
アップルは同時にパソコンの取扱店舗も選んでいる。独占禁止法に詳しい村上政博・一橋大学教授は「独禁法に触れるかどうかは(メーカーが)店を選ぶ基準に合理性があるかなどによって変わってくる」と指摘する。
アップルは今春から家電量販店にアップル製品のネット販売の中止を迫り、ネット通販業者への商品提供を禁じる手も打っており、商品の流通経路の管理を厳格にする姿勢を強めていた。欧米の有力ブランドの間では販路を絞って商品価値を高める戦略をとるケースも少なくない。アップルも「ブランドイメージを守るのが目的」とみられるが、消費者に対する利便性とどう折り合いをつけるかを問う声も出てきそうだ。
アップルは12日午後、家電量販店や直営店のアップルストアなど店頭でのアイパッドの予約受け付けを停止した。アップル日本法人は「予定以上の予約があったため」としている。
上場企業10年3月期、経常益25%増 本社集計
11年3月期は38%増 回復ペース速まる
上場企業の業績回復が一段と鮮明になってきた。2010年3月期の連結経常利益はコスト削減を支えに前の期より25%増え、2期ぶりの増益に転じた。電機と自動車で損益が3兆7000億円改善したのが大きい。11年3月期は前期比38%増益と回復ペースがさらに速まる見通しだ。今期は新興国需要の拡大を背景に3期ぶりの増収が見込まれ、リストラ主導から需要拡大型へ回復局面が移る。ただ円高や資源高など懸念材料も多い。
12日までに決算を発表した3月期決算企業(金融、新興3市場を除く)767社を対象に日本経済新聞社が集計した。社数で全体の5割、利益額で8割程度を占める。経常利益は一時的な損益を加味する前の利益で本業の好不調を反映する。
10年3月期は売上高が前の期比12%減ったが、08年秋のリーマン・ショック後に各社が強力にコスト削減を推し進めて増益に転じた。中国やインドなど世界不況からいち早く脱した新興国の景気回復も追い風になった。増益率は2月時点の予想集計値13%を上回った。想定以上の速度で業績が改善したことを示す。
業種別では全32業種中、19業種で業績が改善した。経常損益の改善額は電機が2兆円、自動車が1兆7000億円に達した。この2業種が鉄鋼や海運、商社などの減益を補い、全体で2兆4000億円近い利益改善につながった。
最大の原動力は原価低減や固定費削減などのリストラ効果だ。ホンダは販売管理費を4200億円以上減らし、14%減収にもかかわらず利益が倍増した。同社の近藤広一副社長は収益回復のけん引役について「企業努力が一番大きい。経費を相当切り詰めた」と振り返る。コスト削減はトヨタ自動車で1兆円規模、パナソニックも8800億円強にのぼった。
11年3月期は売上高が前期比7%の増加に転じそうで、利益拡大に弾みがつく。業績の改善も25業種へすそ野が広がる。アジアからの受注回復で機械や精密機器も増益に転じそうだ。
ただ不安材料もある。円高は輸出企業の業績下振れ要因となり、資源高は幅広い産業のコスト増につながる。新日本製鉄は鉄鉱石などの調達価格が4~6月期並みで高止まりし、これを全く価格転嫁できないと年4500億円の利益を失う。
デジタル家電や自動車の販売を促す各国の需要刺激策が期限を迎える影響も出そうだ。エコポイント制度が年末で終わる国内家電業界には「今期の市場規模が2%縮小する」(ヤマダ電機の岡本潤執行役員専務)との見方もある。ギリシャ危機が世界景気の足を引っ張る懸念もくすぶる。
今期見通しの利益はピークの08年3月期に比べると6割程度の水準。企業業績の改善効果が家計部門や設備投資に波及していけば、さらなる好循環を生みそうだ。
交流サイト3社の1~3月、ゲーム利用料で明暗 会員数は合計5641万人と1年で4割強増加
携帯電話やパソコン向けに交流サイトを運営する大手3社の1~3月期業績が12日出そろった。ゲームを楽しむ会員からの利用料収入が堅調だったディー・エヌ・エーとグリーの最終利益は前年同期に比べて2倍以上に拡大。一方ミクシィは、サイトにソフトを提供する外部企業に支払う実質的な「開発支援費用」が重荷で大幅減益だった。
いずれも増収を確保した。3社が運営する交流サイトの会員数は合計5641万人と、1年で4割強増加。テレビCMを積極化させて地方会員を増やした。サイト閲覧数も伸びた。
ゲームなどで会員から得る利用料収入の多寡が収益を分けた。「モバゲータウン」のディーエヌエは、前年同期にはほとんどなかった「アイテム」販売収入が伸び、連結純利益は3.4倍の48億円。「GREE」のグリーの単独税引き利益は2.3倍の30億円だった。両社とも利益率が高い自社ソフトがけん引した。
一方で、ミクシィはゲームよりも、友人評価など会員間の交流を重視するサイトを運営するため、利用料収入が低調。ソフトは外部から提供を受けるため、「開発支援費用」を支払うのが重荷となった。連結純利益は88%減の4900万円。
2011年3月期の連結純利益は前期比6%増の13億円を見込む。開発支援費用や広告宣伝費を増やすなど、「より強いサービスを作るために、損益的には我慢の時期が続く」(笠原健治社長)見通しだ。
東芝、アジアでソフト開発要員1000人体制に 15年メド
東芝はアジアに置くソフトウエア開発3拠点の人員を2015年をめどに現状の1.7倍の1000人体制に拡充する。成長分野と位置付ける社会インフラ事業で海外市場を攻略するには、現地仕様への対応などで、ソフト開発体制の強化が必要と判断した。グループの開発資源を有効活用し、機動的な事業展開につなげる。
東芝は中国、ベトナム、インドの3カ所にソフト研究開発拠点を構える。現在、3拠点を合計した人員数は600人規模だが、15年をめどに1000人規模に拡大する計画。
増員する人員には主に、社会インフラ事業関連のソフト開発を担当させる考え。東芝は交通システムや原子力発電、次世代送電網(スマートグリッド)向けのシステムなどで海外市場攻略を加速している。現地仕様や規格に素早く対応し、顧客満足度の高いサービスを提供するため、現地のソフト開発力を強化する。
今後は東芝グループ全体でソフト開発の分担体制を整備する。例えば、派生品の開発を任せたり、工程の一部を移したり、グローバルで最適なソフト開発体制に編成できるようにする。
外注による技術ノウハウの流出を防ぎつつ、人件費の安いアジアの人材を活用してコスト競争力も高める。
エルピーダ、フラッシュ生産への参入検討
DRAM製造大手エルピーダメモリの坂本幸雄社長は12日の決算説明会で、フラッシュメモリー生産への参入を検討する考えを示した。「広島工場で作るか、どこか工場を買うか、ファウンドリー(外部委託)をやるか。今年中に決めればいい」と述べた。
また、DRAM事業についても、「何らかの形で中国に工場をつくる必要がある」と指摘した。2012~13年の生産開始を念頭に、提携先の台湾メーカーと協力して中国進出をめざすという。
なぜツイッターはダメなのか? ネット選挙運動解禁でツイッター除外に批判の声
インターネットを利用した選挙運動の解禁を検討している与野党の実務者協議会が12日、今夏の参院選から候補者と政党のホームページ(HP)とブログの更新を認める一方で、ミニブログ「ツイッター」を除外する方向で合意したことがネット内で波紋を広げている。鳩山由紀夫首相をはじめ、多くの国会議員が利用しているツイッターを更新できないことに対し、ツイッターユーザーの間で批判の声が広がり、「ツイッター議員」たちは対応に追われた。
ツイッター解禁見送りのニュースがネットに流れると、メディアジャーナリストの津田大介さんは即座に、「ネット選挙解禁、ツイッターは除外か。意味ねーーーー!」と投稿。ビデオジャーナリストの神保哲生さんは「これまじ?」、ジャーナリストの神田敏晶さんも「twitter(ツイッター)を解禁しないでどうするんだ!」など、ツイッターで活躍するジャーナリストたちから批判が相次いだ。
一般ユーザーからも、「ブログがよくて、ツイッターではダメな理由があまり思い浮かばない」、「ブログ等のサービスでも誹謗中傷はある。ツイッターを使わないのは、もったいない」、「ツイッターを外した本当の理由は、自分から端末を操作して呟けないお年寄り議員対策では?などと疑ってしまう」などと、疑問の声が多く投稿された。
政治とネットに詳しい国際大学GLOCOM講師、庄司昌彦さんは、「民主党案がツイッター禁止、有権者を制限だとしたら、インターネットの双方向性を全く生かさないことになる。そんなのはネット選挙じゃない」と指摘。「ネット選挙ってのは、双方向でみんなが自由に論じるということだ。混乱はあるだろうけど、その中からみんなでルールを作っていこうということだ」と書きこんだ。
こうした意見を受け、ネット選挙運動解禁に動いてきたツイッター議員たちは対応に終始した。
民主党の藤末健三参院議員は「何をやってたの?」というユーザーの声に、「さきほど、輿石参院議員会長に直談判しました。民主党が消極的との憶測が飛び交っていますが、ここは必ず、民主党が主導権を持って、ネット解禁に道を拓くべしと!」と答え、ツイッター解禁に向けての意思を表明。
自民党の世耕弘成参院議員も、「いま、民主党のネットに理解のある議員に電話をかけまくって、党内を説得してネット選挙運動解禁進めるように要請してます」と報告、ユーザーから支援の書き込みが寄せられた。
DeNA、モバゲーで人気のゲームをFacebookアプリに
ディー・エヌ・エー(DeNA)の100%子会社で、海外向けサービスを手掛けるミニネーション(東京都渋谷区)は5月12日、モバゲータウンで人気のソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」の英語版「Bandit Nation」β版を、Facebook上で提供開始した。
ユーザ自身が怪盗となり、ミッションをこなしながら世界中の宝を集めるゲーム。モバゲー版と同様、基本料金無料のアイテム課金制。ゲーム用の仮想通貨を5ドルから販売する。同社が自社制作のソーシャルゲームをPC展開するのは初。
「mixi Connect」加速 API整理、多くのパートナーと協力へ
ミクシィの笠原健治社長は5月11日の決算発表の席で、mixiの機能を外部のWebサービスや端末などで使える「mixi Connect」の展開を加速することを明らかにした。APIを整理し、より多くのパートナーが参加できるようにするという。
mixi Connectは、「mixiアプリ」と並ぶmixiのオープンプラットフォームで、2008年にスタート。「Yahoo!ツールバー」でmixiの更新情報をチェックしたり、デジタルカメラ「サイバーショット DSC-G3」で撮影した写真をmixiに直接投稿するなど、すでにさまざまなサービスや端末との連携に使われている。
今期はAPIを整理し、さらに多くのパートナーと連携していく考え。笠原社長は「mixiアプリ以上の大きな挑戦になる」と話しており、詳細は改めて発表する。
ソーシャルグラフ(マイミクシィ同士の人間関係)を利用して効果を高める広告「ソーシャルアド」も今期中に始める予定。海外展開も本格化する。海外展開第1弾として、2008年から中国に現地法人を設置してサービスを始めているが「地域の選定を含め、戦略を練り直している」という。
「カロリーハーフ」って何? 消費者庁「明確に表示を」
消費者庁は12日、「カロリーハーフ」「カルシウム2倍」といった食品表示をする時は、どの食品と比べての「ハーフ」なのかをはっきりと示したうえで、エネルギーや脂質などの栄養成分値も表示するよう食品表示を明確化することを決めた。同日、都道府県に食品メーカーを指導する通知を出した。
「40%カット」「10グラム減」など、グラム数やパーセンテージを添えて、他の食品と比べて多いか少ないかを相対的に表示する場合は、これまで健康増進法の「栄養表示基準」で、商品の包装に比較対象商品を示して、エネルギーやたんぱく質、脂質、炭水化物などの値を表示することが決められていた。
米MS、「オフィス」新製品発売 クラウド対応
【シリコンバレー=岡田信行】米マイクロソフト(MS)は12日、主力の業務用ソフトを刷新した「オフィス2010」を正式発売した。従来の売り切り型のパッケージソフトに加え、インターネット経由で機能やソフトを提供する「クラウドコンピューティング」に対応。同様の企業向けビジネスを拡充する検索最大手グーグルに対抗する。
「オフィス2010」は文書作成の「ワード」や表計算の「エクセル」などの機能を含むMSの主力の業務用ソフト。今回は各機能の刷新に加え、ネット経由で機能を利用できるように変更した。世界的に普及したSNS(交流サイト)と連携する機能を追加。社外にいたとしても、動画や静止画の資料を、オフィスで作成した資料と組み合わせて共有できるようにした。
金の切れ目? 英ロックバンド「クイーン」もEMIと決別へ
ヒット曲「ボヘミアン・ラプソディー」で知られる英ロックバンドのクイーンは、40年近くにわたり所属したEMIミュージックから移籍する。
事情に詳しい関係者が10日明らかにしたところによると、クイーンはガイ・ハンズ氏率いるEMIとの契約切れに伴い、来年には仏ビベンディ傘下のユニバーサル・ミュージック・グループに移籍する。関係者の一人は、交渉が非公開であることを理由に匿名を条件に発言した。クイーンの米国での契約は、米娯楽大手ウォルト・ディズニー傘下のハリウッド・レコーズが保有している。
EMIの元幹部で、ロンドンの音楽・娯楽調査会社エンダース・アナリシスの責任者であるクレア・エンダース氏は「ユニバーサルの財務力に対抗するのは難しい。とくにアーティストが巨額の前払い金を要求しているような場合はなおさらだ。EMIにそんな余裕はない」と説明した。
EMIを傘下に置くテラ・ファーマ・キャピタル・パートナーズの投資家らは、ライバル会社との合併を模索する債権者シティグループを退けようと、EMIに追加資金を注入するかどうかを協議。エンダース氏はこうした動きについて「EMIの事業再建に対してというよりも、ハンズ氏に金もうけさせてもらった人々の忠誠心が原動力となる公算が大きい」と述べた。
EMI会長のチャールズ・アレン氏がまとめた再建案は先月、投資家に送付された。ピンク・フロイドやビートルズ、ノーラ・ジョーンズなどのアーティストを抱えるEMIは北米での楽曲カタログのライセンス供与についても協議している。
テラ・ファーマが先月27日に投資家に送付したプレゼンテーション文書によると、EMIは日本の事業部門と米子会社、EMIクリスチャン・ミュージック・グループを売却する可能性がある。
テラ・ファーマはEMIが受けている32億ポンド(約4420億円)の融資を再編して債務契約を適正化するため、社外を含めた投資家を対象に3億6000万ポンドを募っている。文書によると、同社は今月14日までに経営権維持の支援を75%の株主らから取り付け、EMIに融資しているシティグループに通知する必要がある。EMIは同業大手との間で楽曲のライセンスや外部受託契約などを通した資金調達の道を探っているが、実現には至っていない。
クイーンは1970年代初頭にEMIと契約した。EMIに所属していたアーティストではローリング・ストーンズが数年前に脱退したのに続き、ポール・マッカートニーが先月、独立系レーベルのコンコード・ミュージックと契約。ピンク・フロイドも他社と協議している。
【産経主張】英連立政権 新たな保守に期待したい
英国総選挙で第一党となった保守党のキャメロン党首が首相に就任し、第三党の自由民主党との連立政権が発足した。
3期続いた労働党政権が終幕し、13年ぶりの政権交代となった。しかも二大政党政治を伝統としてきた英国では、極めて異例の連立政権だ。43歳7カ月と、1812年以来では最年少の英宰相となったキャメロン氏がつくる新たな保守の潮流に期待したい。
保守党と中道左派の自民党とでは政策の違いが少なくない。それでもキャメロン氏が連立政権を選んだのは、どの政党も下院の過半数を有しない状況下の少数与党では政権運営の行き詰まりが目に見えているからだ。
キャメロン氏は連立交渉で副首相を含む5つの閣僚ポストを提示し、比例代表制を強く求めた自民党の意向をくんで小選挙区優先順位投票制導入を問う国民投票の実施を約束した。
しかし、ふくれあがった財政赤字の削減や移民の制限、戦略核ミサイルの更新といった保守党の根幹政策では譲歩しなかった。
英国政治の殻を破る連立の試みの背景には、従来の二大政党に満足しない中間層が拡大しているとの認識がある。党勢が一時大きく落ち込んだ保守党は、弱者への目配りや環境保護にも力点を置くようになった。
キャメロン氏は「保守、自民両党が違いを乗り越え、共に働くことが強く、安定した政府をつくる」と強調した。
連立政権で実績を積めば、次は単独政権の可能性も大きくなってくる。連立による政策の制約を克服し、「思いやりのある保守」という理念をいかに肉付けするかを注視していきたい。
オバマ米大統領がキャメロン新首相にいち早く電話し、米英の「特別な関係」を維持したいとじかに伝えたことは重要である。
労働党のブラウン政権下では、イラク戦争に対する英国内の一部の批判を反映し、下院外交委員会が「対米関係は重要だが、特別との言葉は避けるべきだ」との報告書をつくった。オバマ大統領は「強固な米英関係が世界の安全と繁栄には不可欠」との認識から新首相に絆(きずな)の確認を求めたのだ。
米英と価値観を共有する日本は、キャメロン政権の発足を機に世界の平和と安全を守る観点から、日米同盟の重要性を再認識しておきたい。
米グーグル、iPad対抗機開発へ
検索大手グーグルが米電子機器大手アップルの新型マルチメディア端末「iPad(アイパッド)」に対抗する新端末の開発に本格的に乗り出したことが11日、分かった。米メディアが伝えた。
グーグルが高機能携帯電話「スマートフォン」向けに開発した基本ソフト(OS)「アンドロイド」を活用し、成長が期待できるスマートフォンとパソコンの中間に位置づけられるような端末を開発する。東芝や米コンピューター大手デル、米携帯大手ベライゾン・ワイヤレスなどと提携、開発に取り組んでいる。
ソフトウエア最大手、米マイクロソフトは既に米コンピューター大手ヒューレット・パッカード(HP)と組んで新端末を投入する方針を表明している。
4月の携帯・PHS契約数、ソフトバンクが純増首位に
電機通信事業者協会(TCA)は、2010年4月末時点の携帯電話・PHS契約数を発表した。
2010年4月の携帯電話契約数は各事業者ともに純増を記録し、ソフトバンクが21万6000件、NTTドコモが発表ドコモが15万4500件、KDDI(au)が10万3100件、イー・モバイルが5万8200件となった。
2010年3月に2Gサービスの停波を迎え、3月実績において純減を記録したソフトバンクだったが、4月は純増トップを記録した。ソフトバンクの広報部によれば、好調の要因について、前年同月よりもiPhoneの契約数が伸び、月末に発売したHTC Desireが好調に推移しているためとコメントしている。
なお、MNPの利用件数(転出/転入の差し引き)は、ソフトバンクが3万6000件の転入超(プラス)を記録する中、ドコモが2万3200件、auが1万1700件、イー・モバイルが600件の転出超(マイナス)となっている。
BWAの契約数としては、UQコミュニケーションズが2万3400件の純増を記録した。UQは2009年3月の実績までは四半期毎に契約数を開示していたが、2010年4月より他社と同様に毎月契約数が開始される。
このほかウィルコムのPHS契約数は7万4900件の純減となった。ウィルコムがドコモの3G網を使ってサービス提供している「WILLCOM CORE 3G」については4200件の純増を記録。TCAの集計上、この契約数はドコモの契約数として計上される。ウィルコムの総契約数は403万7600件となり、このペースで純減すると5月末には400万契約を割ることになる。
iPadの予約受付が一時停止に
5月10日より予約受付を開始したアップルの「iPad」だが、12日15時半頃をもって各所の受付窓口が一時停止したことがわかった。
現在、全国のソフトバンクショップでiPadの受付が停止されたほか、アップルの直営店でも受付が停止されている。また、家電量販大手のヨドバシカメラも「初回入荷数の上限に達し納期未定」として、15時半に予約の一時終了をアナウンスしている。
アップルストア銀座では、予想を上回る注文があったと受付停止の理由を説明、今後の納期は未定という。アップルストア銀座の担当者は、「5月28日の発売当日に予約数量を上回る入荷があれば、当日販売の可能性もある」とする一方、「どうなるかわからないのでチャレンジだ」と話している。
なお、アップルの直販サイトでは、WiFi版のiPadについては予約を受け付けている。ただし、こちらは出荷予定が「6月7日まで」となっている。
ミクシィが初の配当、「海外展開を本格化」と笠原社長
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)国内最大手のミクシィが12日発表した2010年3月期連結決算は、広告収入が堅調に推移し、売上高は前期比12・8%増の136億円だった。
ただ、最終利益が同32・7%減の13億円で増収減益。SNSサイト「mixi(ミクシィ)」の会員数やアクセス数が伸びたためサーバー拡張など先行投資が増えたことや、広告宣伝費が増えたことが減益要因となった。
期末配当を1株当たり500円。同社にとっては初の配当で、創業から10年を超える中、「長期保有の株主への利益還元に配慮した」としている。
11年3月期の業績見通しは売上高が前期比27・6%増の173億円、最終利益が同6・2%増の13億円で増収増益。10年度中に中国など「海外事業の本格化を進める」(笠原健治社長)といい、収益拡大を狙う。
シャープ、携帯機器向け3Dカメラモジュール開発
シャープは、ハイビジョンの3D映像が撮影できるモバイル機器向け3Dカメラモジュールを開発した。
3D映像は2つのカメラで同時に撮影し、それを1つの映像に合成、調整を加えることで作成される。シャープが開発した3Dカメラモジュールは、カメラ2つ(5メガCMOS×2)を搭載し、左右のカメラが出力した映像に対して、色や明るさを調整する「カラーシンクロ処理」、映像信号のタイミングを同期化する「タイミングシンクロ処理」、位置ずれを調整する「光軸調整処理」機能などが搭載される。イメージセンサーの高速化と画像エンジンの高速処理を実現したことで、ハイビジョン(720P、1280×720ドット)の立体映像撮影が可能となっている。
シャープでは、デジタルカメラや携帯電話、スマートフォンといったモバイル機器への実装を想定している。7月にサンプルを出荷し、2010年中にも量産が開始される予定。サンプル品の大きさは43×13×8mm。
「3DSの発表タイミングはサードパーティに配慮したもの」岩田社長
任天堂の岩田聡社長は、3月23日に唐突に発表された「ニンテンドー3DS」の発表タイミングについて、ソフトを開発するサードパーティにも配慮した結果だったと明らかにした。
岩田氏によれば3月末というタイミングは「3DS用に新しいソフトを作るサードパーティには早めの情報共有が必要なこと、新ハードの発表があるならぱE3に行こうと決断できること」を考慮したものだったということ。
「E3で3DSをお見せしたいと考えましたが、その時に、任天堂しかソフトを作っていないというのは、いかがなものかと考えました。そうすると、ハードの肝になる機能については社外の方々ともお話ししないといけないわけです。しかし、私たちの経験では、情報の共有範囲を広げていくと、どうしてもうわさも広まってしまうのです。すると、私たちのコントロールできない形で情報が広がっていきやすくなります。」
このコメントから推測するにE3の段階ではサードパーティからもタイトルの発表がありそうだ。ニンテンドーDSが発表された2004年5月のE3ではセガ、コナミ、ナムコ、ハドソン、EA、THQ、アクティビジョン、ユービーアイソフトなどがタイトルを開発中というアナウンスがあり、実際に『ソニック』や『パックマン』のデモを会場で触ることが出来た。ただし、DSの場合には早期に開発機材が提供されていたという事情があり、今回はどのようになるか不明。
ともあれ、3DSがどのような展示になるのか、今から楽しみだ。E3は6月15日~17日の開催。
NTTドコモはiPadを断念したのか、対抗機種に回線を提供するのかを電話で聞いてみた
4月28日に行われた決算会見において、NTTドコモの山田隆持社長がAppleのiPad向けに通信サービスを提供する意向であることを表明したが、日本国内向けモデルはソフトバンクモバイルのSIMロックが施されていることが判明したため、事実上NTTドコモはiPadに通信サービスを提供できなくなった。
そこでNTTドコモは本当にiPadへの通信サービス提供を断念したのか、今後iPadの対抗端末などへ通信サービスを提供する予定はあるのか、iPadの登場で話題になった「MicroSIMカード」はスマートフォンや音声端末にも提供される見通しなのかを電話で問い合わせてみた。
詳細は以下から。
今回NTTドコモの広報部に電話で問い合わせた内容と、その回答は以下のようになっています。
1.iPadへの通信サービス提供を断念したのでしょうか?
NTTドコモ:
諦めたというより、そもそも決算発表会などでは「iPadがSIMフリーであるならば」という前提付きでお話をさせていただいておりまして、その前提のもとで回線の提供を準備しておりました。今のところNTTドコモからiPadを発売する予定はありません。
2.今後iPadのようなタブレット端末などが他社から発売される場合、通信サービスを提供していく方針なのでしょうか?
NTTドコモ:
電子書籍などをはじめとした端末が今後発売されると思われますが、SIMフリーモデルなどで我々が回線を提供できるのであれば、前向きに提供していきたいと考えております。
3.MicroSIMカード自体はスマートフォンや携帯電話にも今後提供される見通しなのでしょうか
NTTドコモ:
あくまで今後どのような端末が登場するのかによるものなので、なんとも言えませんが、MicroSIMカードを採用した端末が出るのであれば、準備していく可能性はあります。
つまりNTTドコモとしてはSIMフリー端末に対しては積極的に通信サービスを提供していくということのようですが、総務省が6月に策定する予定のSIMロック解除の指針次第では、同社になんらかの追い風が吹くことになるのかもしれません。
iPadでは日本の漫画が楽しめない可能性が高い? 講談社の漫画の30%がリジェクト(拒否)
ようやく発売日も価格も決まり熱が高まってきたiPadですが、電子書籍リーダーとしてはあまり楽しめないかもしれません。日本の漫画文化に「ノー」が突きつけられているのです。
なぜなら『週刊少年マガジン』や『なかよし』、そして『モーニング』などの漫画雑誌を出版している講談社がAppleのiTunesに対して電子書籍の申請をしたところ、なんと30%もの書籍がリジェクト(掲載拒否)されてしまったからです。
講談社によればリジェクトされた理由は暴力シーンや手術シーンでの血の描写、お風呂に入るシーンやぽろりシーンなどでのおっぱいの描写がジョブズセンサーにひっかかるのでダメだということです。
まずエロ描写にNGが出された時点でかなりの漫画がアウトになります。イマドキの少女漫画は全滅かもしれません。さらに血の描写もダメ。これも厳しいです。子供たちに人気の『ワンピース』や『NARUTO』はもちろん、大人に人気の『JIN-仁-』もひっかかってしまいます。
正直なところ子供だろうが大人だろうがポルノと暴力を取り除いたら何も残らないと思うんですよ。思春期の男の子はとくに。でもAppleはそれをやっちゃうんです。
仮にiPadが日本の電子書籍業界を支配することになったとすると、漫画ユーザーにとって電子書籍の未来はかなり厳しいことになりそうです。Appleはその国ごとに合った基準を設けて欲しいものですね。
国際会計基準審議会、負債の時価評価見直し提案
【ロンドン=石井一乗】国際会計基準をつくる国際会計基準審議会(IASB)は11日、金融機関などの負債を時価評価する方法の見直しを提案した。金融危機を受けてIASBが段階的に取り組んでいる会計基準見直しの一環。提案では、信用力の悪化などで企業の負債の時価評価額が目減りした時に利益を計上できる仕組みを認めないようにする。提案通りに決定すれば、市況が悪化した際に銀行などの利益底上げ手段を減らすことになる。
国際会計基準は欧州を中心とする企業が採用している。現行基準では、時価評価対象になる社債など金融負債の価値が格下げなどを通じて目減りした場合、債権者への支払い義務が減ったと見なして、その分を利益計上することが認められていた。2008年から09年の決算でも、実際に複数の欧州銀行がこうした利益を計上したもようだ。
しかし「信用力が悪化した企業がその分の利益を計上できるようでは有益な情報を提供しているとはいえない」(IASBのトウィーディー議長)と判断、こうした処理を認めない方向で基準を見直す考えだ。
IASBでは7月16日まで市場関係者などから意見を募り、その後に最終的な基準にまとめる。
一方、米国の会計基準でも負債価値の目減りに応じて利益計上できる処理を認めている。とりわけ昨年春に相場環境が悪化した際、「負債評価益」と称する巨額の利益を計上した米銀が続出、投資家などから批判も相次いだ。日本の会計基準ではこうした処理は認めていない。
国際会計基準と米国基準の間では基準の統一化に向けた作業が進んでいるほか、日本も15年にも国際会計基準が強制適用となる見通し。そうした中で今後、各基準の差をどう解消していくかが課題となる。
IASBでは「会計基準の複雑さが金融危機の企業決算への影響を助長した」との批判を受け、基準の複雑さを解消する見直し策を段階的に進めている。昨年には金融資産の時価評価に絡む見直しを実施済み。ただ負債も資産と同様にすべて時価評価すべきかどうかについては議論の対象になっていた。
コロムビアミュージック、社名を「日本コロムビア」に戻す
音楽ソフト大手のコロムビアミュージックエンタテインメントは12日、以前の社名「日本コロムビア」に変更すると発表した。創業100周年を迎える10月1日に改める。消費不況に加え、音楽配信の普及で「CD離れ」が急速に進むなか、日本最古のレコード会社として市場をけん引したかつての社名に戻って苦境脱出を目指す。
同社は米投資会社、旧リップルウッド・ホールディングスの傘下で経営再建に取り組んでいた2002年、イメージを刷新して再出発するために社名を変更していた。
同日発表した10年3月期連結決算では3期ぶりに最終黒字に転換。業績回復にメドを付け、今年に入って携帯向けコンテンツ配信のフェイスの傘下に入っている。
記者の目◇日立、気が付けば成長株、復活は本物か
日立製作所の業績が回復している。11日発表した2010年3月期の連結決算は最終損益が1069億円の赤字と前の期比6800億円強改善。11年3月期は1300億円の黒字と、5年ぶりの最終黒字を見込む。金融危機の余波を受けた世界的な需要減少に見舞われ、ほんの1年前に日立は存亡の危機に立たされていた。それがリストラの効果に加え、新興国の経済成長という追い風を受けて、気が付けば株式市場での位置づけは成長株だ。これまで何度も市場の期待を裏切ってきた日立だが、今回の復活劇は本物だろうか。
「構造改革は一巡した。これからは研究開発費を増やし攻めに転じる」。同日の記者会見で三好崇司副社長は、こんな手応えを口にした。2011年3月期は、営業利益で68%増の3400億円を見込む。電力で32%増、高機能材料で85%増など、民間設備投資の影響を受ける社会・産業システムを除き、すべての事業区分で利益が増える見込みだ。
回復の最大の要因は合理化だ。前期は人件費や減価償却費など固定費で3300億円、部材調達費の圧縮など原価低減で3100億円の効果があった。その影響で業績悪化の最大の要因だった薄型テレビなど民生機器は昨年7~9月期から黒字基調に回復。モーターや制御部品などの自動車用機器も昨年10~12月期以降は黒字で推移する。この2事業の回復で目立った赤字部門は無くなった。
そこに新興国の経済成長という追い風が吹く。中国やインド、中東などで電力設備や交通といった社会インフラ関連の案件は急増している。原子力や石炭火力発電所に強みを持ち、さらに鉄道やビルの昇降機などを手掛ける日立の得意分野だ。ある幹部は「10年前は重厚長大産業として成熟部門と見られていた。それが成長部門に様変わりした」と振り返る。
「東芝と日立のどちらを注目銘柄にするべきだろうか」。中堅証券のアナリストこんな悩みを打ち明ける。半導体の市況回復が業績をけん引する東芝に対し、日立は新興国景気を追い風とする。どちらも株式市場では現在、成長株としての位置付けだ。実際に日立の株価は400円前後と、1月に付けた年初来安値と比べ約4割高い水準にある。中長期の成長力を期待して、目標株価を500円超にするアナリストも少なくない。
ただ、日立は巨額の赤字を計上するたびにリストラ策を策定し復活を期していた。それでも09年3月期まで過去10年間の最終赤字計上額を計算すると1兆1000億円強にのぼる。今回はシナリオ通りに復活できるのだろうか。
海外で需要が増えていることと受注を獲得することは別問題だ。例えばアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国での原発案件では韓国企業に受注をさらわれた。官民一体となった売り込みで韓国に敗れたとの見方が多いが、関係者の一人は「そもそも価格で及ばなかった」と打ち明ける。新興国で受注を獲得するには、コスト競争力に磨きを掛ける努力が不可欠だ。
グループ再編も道半ばだ。昨年、日立マクセルなど上場5子会社をTOB(株式公開買い付け)で完全子会社とした。情報と社会インフラを融合する「社会イノベーション事業」に経営資源を集中する動きだが、グループ内に有望な上場企業は数多く残る。「御三家」と呼ばれる日立化成工業、日立金属、日立電線や、新興国に強い日立建機などだ。5社TOBを経ても少数株主持ち分として外部に流出する利益は依然として多い。非中核事業の切り出しという仕事も残っており、選択と集中は相変わらずグループの課題だ。
2010年は日立にとって創業100年の大きな節目だ。川村隆会長は今期の黒字化を、半ば公約のように繰り返し話してきた。その言葉通り今期は黒字転換の計画を打ち出したが、欧州の信用不安と、それに伴う為替相場の混乱など経営環境は再び不透明になっている。08年のリーマン・ショックでは経済混乱の直撃を受けて7873億円の最終赤字を余儀なくされた。
今年4月に就任した中西宏明社長は経営目標の一つに「真のグローバル企業への脱皮」を掲げる。世界を相手に戦うからには、経営環境の変化に動じにくい収益力が必要だ。新興国経済という追い風を受けて日立は強さを取り戻せるか。復活を確かなものにするために今年はまたとない好機になるはずだ。
日経社説
アジアの大旅行時代への備えを急ごう
政府が中国人向け個人観光ビザ(査証)の発行要件を7月から大幅に緩和する見通しになった。これまで富裕層に限定してきた個人ビザの発給対象を中間層にも拡大する。中国からの旅行者を呼び込むため、世界で誘致合戦が盛んになっている。日本も立ち遅れてはならない。
2009年に日本を訪れた外国人は678万人。景気後退と新型インフルエンザで、前年比で18%減少した。こうしたなかでも来日者数が増えたのが中国人だ。10万人以上の観光客が来た国・地域の中で前年比プラスは中国(本土)だけ。ビジネス客などを加えると、昨年来日した中国人は100万人を超す。
100万人というと多いようだが海外旅行をする中国人は、すでに年間4000万人を超えている。日本のシェアをもっと高めたい。
観光は消費や雇用への波及効果が大きい。政府は外国人旅行者を2016年までに2000万人、将来は3000万人に増やすとしている。経済力を増し、自国の通貨の力が強くなった国では、海外への旅行者が必ず増える。これから大旅行時代を迎えるのが中国を中心とするアジアの人々。その取り込みは不可欠だ。
ビザの申請方法や日本での免税品の手続きに、簡略化や時間短縮の余地はないか。駅などの表示も英語に加え中国語の併記を増やしたい。英語も中国語も通じにくい日本は欧米やシンガポールなどに比べ「言葉の壁」が厚い。同じ壁がある韓国では、24時間、中国語で受け付ける観光相談の電話サービスがある。
団体旅行は、大都市や有名観光地が中心になりやすい。個人旅行では2度目、3度目の旅という人も増え、小規模な店や地方都市にもビジネスチャンスが広がる。これまで距離を置いてきた自治体や企業、個人事業主も、本気で外国からの観光客への対応を整えるべきときだ。
実際に旅の手配や販売を担当する中国の旅行会社の声を集めた報告書を、ある財団法人がまとめている。
食事の量が少ないなど旅行客の不満に並び、観光客誘致に中国を訪れた日本の自治体への不満も目立つ。「資料は多いが、内容は紋切り型」「料金を答えられない」「祭りのPRをしたのでそのツアーを検討したら、宿泊施設が満室なので別の時期にしてくれと言われた」などだ。
検索大手グーグルが米電子機器大手アップルの新型マルチメディア端末「iPad(アイパッド)」に対抗する新端末の開発に本格的に乗り出したことが11日、分かった。米メディアが伝えた。
グーグルが高機能携帯電話「スマートフォン」向けに開発した基本ソフト(OS)「アンドロイド」を活用し、成長が期待できるスマートフォンとパソコンの中間に位置づけられるような端末を開発する。東芝や米コンピューター大手デル、米携帯大手ベライゾン・ワイヤレスなどと提携、開発に取り組んでいる。
ソフトウエア最大手、米マイクロソフトは既に米コンピューター大手ヒューレット・パッカード(HP)と組んで新端末を投入する方針を表明している。
4月の携帯・PHS契約数、ソフトバンクが純増首位に
電機通信事業者協会(TCA)は、2010年4月末時点の携帯電話・PHS契約数を発表した。
2010年4月の携帯電話契約数は各事業者ともに純増を記録し、ソフトバンクが21万6000件、NTTドコモが発表ドコモが15万4500件、KDDI(au)が10万3100件、イー・モバイルが5万8200件となった。
2010年3月に2Gサービスの停波を迎え、3月実績において純減を記録したソフトバンクだったが、4月は純増トップを記録した。ソフトバンクの広報部によれば、好調の要因について、前年同月よりもiPhoneの契約数が伸び、月末に発売したHTC Desireが好調に推移しているためとコメントしている。
なお、MNPの利用件数(転出/転入の差し引き)は、ソフトバンクが3万6000件の転入超(プラス)を記録する中、ドコモが2万3200件、auが1万1700件、イー・モバイルが600件の転出超(マイナス)となっている。
BWAの契約数としては、UQコミュニケーションズが2万3400件の純増を記録した。UQは2009年3月の実績までは四半期毎に契約数を開示していたが、2010年4月より他社と同様に毎月契約数が開始される。
このほかウィルコムのPHS契約数は7万4900件の純減となった。ウィルコムがドコモの3G網を使ってサービス提供している「WILLCOM CORE 3G」については4200件の純増を記録。TCAの集計上、この契約数はドコモの契約数として計上される。ウィルコムの総契約数は403万7600件となり、このペースで純減すると5月末には400万契約を割ることになる。
iPadの予約受付が一時停止に
5月10日より予約受付を開始したアップルの「iPad」だが、12日15時半頃をもって各所の受付窓口が一時停止したことがわかった。
現在、全国のソフトバンクショップでiPadの受付が停止されたほか、アップルの直営店でも受付が停止されている。また、家電量販大手のヨドバシカメラも「初回入荷数の上限に達し納期未定」として、15時半に予約の一時終了をアナウンスしている。
アップルストア銀座では、予想を上回る注文があったと受付停止の理由を説明、今後の納期は未定という。アップルストア銀座の担当者は、「5月28日の発売当日に予約数量を上回る入荷があれば、当日販売の可能性もある」とする一方、「どうなるかわからないのでチャレンジだ」と話している。
なお、アップルの直販サイトでは、WiFi版のiPadについては予約を受け付けている。ただし、こちらは出荷予定が「6月7日まで」となっている。
ミクシィが初の配当、「海外展開を本格化」と笠原社長
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)国内最大手のミクシィが12日発表した2010年3月期連結決算は、広告収入が堅調に推移し、売上高は前期比12・8%増の136億円だった。
ただ、最終利益が同32・7%減の13億円で増収減益。SNSサイト「mixi(ミクシィ)」の会員数やアクセス数が伸びたためサーバー拡張など先行投資が増えたことや、広告宣伝費が増えたことが減益要因となった。
期末配当を1株当たり500円。同社にとっては初の配当で、創業から10年を超える中、「長期保有の株主への利益還元に配慮した」としている。
11年3月期の業績見通しは売上高が前期比27・6%増の173億円、最終利益が同6・2%増の13億円で増収増益。10年度中に中国など「海外事業の本格化を進める」(笠原健治社長)といい、収益拡大を狙う。
シャープ、携帯機器向け3Dカメラモジュール開発
シャープは、ハイビジョンの3D映像が撮影できるモバイル機器向け3Dカメラモジュールを開発した。
3D映像は2つのカメラで同時に撮影し、それを1つの映像に合成、調整を加えることで作成される。シャープが開発した3Dカメラモジュールは、カメラ2つ(5メガCMOS×2)を搭載し、左右のカメラが出力した映像に対して、色や明るさを調整する「カラーシンクロ処理」、映像信号のタイミングを同期化する「タイミングシンクロ処理」、位置ずれを調整する「光軸調整処理」機能などが搭載される。イメージセンサーの高速化と画像エンジンの高速処理を実現したことで、ハイビジョン(720P、1280×720ドット)の立体映像撮影が可能となっている。
シャープでは、デジタルカメラや携帯電話、スマートフォンといったモバイル機器への実装を想定している。7月にサンプルを出荷し、2010年中にも量産が開始される予定。サンプル品の大きさは43×13×8mm。
「3DSの発表タイミングはサードパーティに配慮したもの」岩田社長
任天堂の岩田聡社長は、3月23日に唐突に発表された「ニンテンドー3DS」の発表タイミングについて、ソフトを開発するサードパーティにも配慮した結果だったと明らかにした。
岩田氏によれば3月末というタイミングは「3DS用に新しいソフトを作るサードパーティには早めの情報共有が必要なこと、新ハードの発表があるならぱE3に行こうと決断できること」を考慮したものだったということ。
「E3で3DSをお見せしたいと考えましたが、その時に、任天堂しかソフトを作っていないというのは、いかがなものかと考えました。そうすると、ハードの肝になる機能については社外の方々ともお話ししないといけないわけです。しかし、私たちの経験では、情報の共有範囲を広げていくと、どうしてもうわさも広まってしまうのです。すると、私たちのコントロールできない形で情報が広がっていきやすくなります。」
このコメントから推測するにE3の段階ではサードパーティからもタイトルの発表がありそうだ。ニンテンドーDSが発表された2004年5月のE3ではセガ、コナミ、ナムコ、ハドソン、EA、THQ、アクティビジョン、ユービーアイソフトなどがタイトルを開発中というアナウンスがあり、実際に『ソニック』や『パックマン』のデモを会場で触ることが出来た。ただし、DSの場合には早期に開発機材が提供されていたという事情があり、今回はどのようになるか不明。
ともあれ、3DSがどのような展示になるのか、今から楽しみだ。E3は6月15日~17日の開催。
NTTドコモはiPadを断念したのか、対抗機種に回線を提供するのかを電話で聞いてみた
4月28日に行われた決算会見において、NTTドコモの山田隆持社長がAppleのiPad向けに通信サービスを提供する意向であることを表明したが、日本国内向けモデルはソフトバンクモバイルのSIMロックが施されていることが判明したため、事実上NTTドコモはiPadに通信サービスを提供できなくなった。
そこでNTTドコモは本当にiPadへの通信サービス提供を断念したのか、今後iPadの対抗端末などへ通信サービスを提供する予定はあるのか、iPadの登場で話題になった「MicroSIMカード」はスマートフォンや音声端末にも提供される見通しなのかを電話で問い合わせてみた。
詳細は以下から。
今回NTTドコモの広報部に電話で問い合わせた内容と、その回答は以下のようになっています。
1.iPadへの通信サービス提供を断念したのでしょうか?
NTTドコモ:
諦めたというより、そもそも決算発表会などでは「iPadがSIMフリーであるならば」という前提付きでお話をさせていただいておりまして、その前提のもとで回線の提供を準備しておりました。今のところNTTドコモからiPadを発売する予定はありません。
2.今後iPadのようなタブレット端末などが他社から発売される場合、通信サービスを提供していく方針なのでしょうか?
NTTドコモ:
電子書籍などをはじめとした端末が今後発売されると思われますが、SIMフリーモデルなどで我々が回線を提供できるのであれば、前向きに提供していきたいと考えております。
3.MicroSIMカード自体はスマートフォンや携帯電話にも今後提供される見通しなのでしょうか
NTTドコモ:
あくまで今後どのような端末が登場するのかによるものなので、なんとも言えませんが、MicroSIMカードを採用した端末が出るのであれば、準備していく可能性はあります。
つまりNTTドコモとしてはSIMフリー端末に対しては積極的に通信サービスを提供していくということのようですが、総務省が6月に策定する予定のSIMロック解除の指針次第では、同社になんらかの追い風が吹くことになるのかもしれません。
iPadでは日本の漫画が楽しめない可能性が高い? 講談社の漫画の30%がリジェクト(拒否)
ようやく発売日も価格も決まり熱が高まってきたiPadですが、電子書籍リーダーとしてはあまり楽しめないかもしれません。日本の漫画文化に「ノー」が突きつけられているのです。
なぜなら『週刊少年マガジン』や『なかよし』、そして『モーニング』などの漫画雑誌を出版している講談社がAppleのiTunesに対して電子書籍の申請をしたところ、なんと30%もの書籍がリジェクト(掲載拒否)されてしまったからです。
講談社によればリジェクトされた理由は暴力シーンや手術シーンでの血の描写、お風呂に入るシーンやぽろりシーンなどでのおっぱいの描写がジョブズセンサーにひっかかるのでダメだということです。
まずエロ描写にNGが出された時点でかなりの漫画がアウトになります。イマドキの少女漫画は全滅かもしれません。さらに血の描写もダメ。これも厳しいです。子供たちに人気の『ワンピース』や『NARUTO』はもちろん、大人に人気の『JIN-仁-』もひっかかってしまいます。
正直なところ子供だろうが大人だろうがポルノと暴力を取り除いたら何も残らないと思うんですよ。思春期の男の子はとくに。でもAppleはそれをやっちゃうんです。
仮にiPadが日本の電子書籍業界を支配することになったとすると、漫画ユーザーにとって電子書籍の未来はかなり厳しいことになりそうです。Appleはその国ごとに合った基準を設けて欲しいものですね。
国際会計基準審議会、負債の時価評価見直し提案
【ロンドン=石井一乗】国際会計基準をつくる国際会計基準審議会(IASB)は11日、金融機関などの負債を時価評価する方法の見直しを提案した。金融危機を受けてIASBが段階的に取り組んでいる会計基準見直しの一環。提案では、信用力の悪化などで企業の負債の時価評価額が目減りした時に利益を計上できる仕組みを認めないようにする。提案通りに決定すれば、市況が悪化した際に銀行などの利益底上げ手段を減らすことになる。
国際会計基準は欧州を中心とする企業が採用している。現行基準では、時価評価対象になる社債など金融負債の価値が格下げなどを通じて目減りした場合、債権者への支払い義務が減ったと見なして、その分を利益計上することが認められていた。2008年から09年の決算でも、実際に複数の欧州銀行がこうした利益を計上したもようだ。
しかし「信用力が悪化した企業がその分の利益を計上できるようでは有益な情報を提供しているとはいえない」(IASBのトウィーディー議長)と判断、こうした処理を認めない方向で基準を見直す考えだ。
IASBでは7月16日まで市場関係者などから意見を募り、その後に最終的な基準にまとめる。
一方、米国の会計基準でも負債価値の目減りに応じて利益計上できる処理を認めている。とりわけ昨年春に相場環境が悪化した際、「負債評価益」と称する巨額の利益を計上した米銀が続出、投資家などから批判も相次いだ。日本の会計基準ではこうした処理は認めていない。
国際会計基準と米国基準の間では基準の統一化に向けた作業が進んでいるほか、日本も15年にも国際会計基準が強制適用となる見通し。そうした中で今後、各基準の差をどう解消していくかが課題となる。
IASBでは「会計基準の複雑さが金融危機の企業決算への影響を助長した」との批判を受け、基準の複雑さを解消する見直し策を段階的に進めている。昨年には金融資産の時価評価に絡む見直しを実施済み。ただ負債も資産と同様にすべて時価評価すべきかどうかについては議論の対象になっていた。
コロムビアミュージック、社名を「日本コロムビア」に戻す
音楽ソフト大手のコロムビアミュージックエンタテインメントは12日、以前の社名「日本コロムビア」に変更すると発表した。創業100周年を迎える10月1日に改める。消費不況に加え、音楽配信の普及で「CD離れ」が急速に進むなか、日本最古のレコード会社として市場をけん引したかつての社名に戻って苦境脱出を目指す。
同社は米投資会社、旧リップルウッド・ホールディングスの傘下で経営再建に取り組んでいた2002年、イメージを刷新して再出発するために社名を変更していた。
同日発表した10年3月期連結決算では3期ぶりに最終黒字に転換。業績回復にメドを付け、今年に入って携帯向けコンテンツ配信のフェイスの傘下に入っている。
記者の目◇日立、気が付けば成長株、復活は本物か
日立製作所の業績が回復している。11日発表した2010年3月期の連結決算は最終損益が1069億円の赤字と前の期比6800億円強改善。11年3月期は1300億円の黒字と、5年ぶりの最終黒字を見込む。金融危機の余波を受けた世界的な需要減少に見舞われ、ほんの1年前に日立は存亡の危機に立たされていた。それがリストラの効果に加え、新興国の経済成長という追い風を受けて、気が付けば株式市場での位置づけは成長株だ。これまで何度も市場の期待を裏切ってきた日立だが、今回の復活劇は本物だろうか。
「構造改革は一巡した。これからは研究開発費を増やし攻めに転じる」。同日の記者会見で三好崇司副社長は、こんな手応えを口にした。2011年3月期は、営業利益で68%増の3400億円を見込む。電力で32%増、高機能材料で85%増など、民間設備投資の影響を受ける社会・産業システムを除き、すべての事業区分で利益が増える見込みだ。
回復の最大の要因は合理化だ。前期は人件費や減価償却費など固定費で3300億円、部材調達費の圧縮など原価低減で3100億円の効果があった。その影響で業績悪化の最大の要因だった薄型テレビなど民生機器は昨年7~9月期から黒字基調に回復。モーターや制御部品などの自動車用機器も昨年10~12月期以降は黒字で推移する。この2事業の回復で目立った赤字部門は無くなった。
そこに新興国の経済成長という追い風が吹く。中国やインド、中東などで電力設備や交通といった社会インフラ関連の案件は急増している。原子力や石炭火力発電所に強みを持ち、さらに鉄道やビルの昇降機などを手掛ける日立の得意分野だ。ある幹部は「10年前は重厚長大産業として成熟部門と見られていた。それが成長部門に様変わりした」と振り返る。
「東芝と日立のどちらを注目銘柄にするべきだろうか」。中堅証券のアナリストこんな悩みを打ち明ける。半導体の市況回復が業績をけん引する東芝に対し、日立は新興国景気を追い風とする。どちらも株式市場では現在、成長株としての位置付けだ。実際に日立の株価は400円前後と、1月に付けた年初来安値と比べ約4割高い水準にある。中長期の成長力を期待して、目標株価を500円超にするアナリストも少なくない。
ただ、日立は巨額の赤字を計上するたびにリストラ策を策定し復活を期していた。それでも09年3月期まで過去10年間の最終赤字計上額を計算すると1兆1000億円強にのぼる。今回はシナリオ通りに復活できるのだろうか。
海外で需要が増えていることと受注を獲得することは別問題だ。例えばアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国での原発案件では韓国企業に受注をさらわれた。官民一体となった売り込みで韓国に敗れたとの見方が多いが、関係者の一人は「そもそも価格で及ばなかった」と打ち明ける。新興国で受注を獲得するには、コスト競争力に磨きを掛ける努力が不可欠だ。
グループ再編も道半ばだ。昨年、日立マクセルなど上場5子会社をTOB(株式公開買い付け)で完全子会社とした。情報と社会インフラを融合する「社会イノベーション事業」に経営資源を集中する動きだが、グループ内に有望な上場企業は数多く残る。「御三家」と呼ばれる日立化成工業、日立金属、日立電線や、新興国に強い日立建機などだ。5社TOBを経ても少数株主持ち分として外部に流出する利益は依然として多い。非中核事業の切り出しという仕事も残っており、選択と集中は相変わらずグループの課題だ。
2010年は日立にとって創業100年の大きな節目だ。川村隆会長は今期の黒字化を、半ば公約のように繰り返し話してきた。その言葉通り今期は黒字転換の計画を打ち出したが、欧州の信用不安と、それに伴う為替相場の混乱など経営環境は再び不透明になっている。08年のリーマン・ショックでは経済混乱の直撃を受けて7873億円の最終赤字を余儀なくされた。
今年4月に就任した中西宏明社長は経営目標の一つに「真のグローバル企業への脱皮」を掲げる。世界を相手に戦うからには、経営環境の変化に動じにくい収益力が必要だ。新興国経済という追い風を受けて日立は強さを取り戻せるか。復活を確かなものにするために今年はまたとない好機になるはずだ。
日経社説
アジアの大旅行時代への備えを急ごう
政府が中国人向け個人観光ビザ(査証)の発行要件を7月から大幅に緩和する見通しになった。これまで富裕層に限定してきた個人ビザの発給対象を中間層にも拡大する。中国からの旅行者を呼び込むため、世界で誘致合戦が盛んになっている。日本も立ち遅れてはならない。
2009年に日本を訪れた外国人は678万人。景気後退と新型インフルエンザで、前年比で18%減少した。こうしたなかでも来日者数が増えたのが中国人だ。10万人以上の観光客が来た国・地域の中で前年比プラスは中国(本土)だけ。ビジネス客などを加えると、昨年来日した中国人は100万人を超す。
100万人というと多いようだが海外旅行をする中国人は、すでに年間4000万人を超えている。日本のシェアをもっと高めたい。
観光は消費や雇用への波及効果が大きい。政府は外国人旅行者を2016年までに2000万人、将来は3000万人に増やすとしている。経済力を増し、自国の通貨の力が強くなった国では、海外への旅行者が必ず増える。これから大旅行時代を迎えるのが中国を中心とするアジアの人々。その取り込みは不可欠だ。
ビザの申請方法や日本での免税品の手続きに、簡略化や時間短縮の余地はないか。駅などの表示も英語に加え中国語の併記を増やしたい。英語も中国語も通じにくい日本は欧米やシンガポールなどに比べ「言葉の壁」が厚い。同じ壁がある韓国では、24時間、中国語で受け付ける観光相談の電話サービスがある。
団体旅行は、大都市や有名観光地が中心になりやすい。個人旅行では2度目、3度目の旅という人も増え、小規模な店や地方都市にもビジネスチャンスが広がる。これまで距離を置いてきた自治体や企業、個人事業主も、本気で外国からの観光客への対応を整えるべきときだ。
実際に旅の手配や販売を担当する中国の旅行会社の声を集めた報告書を、ある財団法人がまとめている。
食事の量が少ないなど旅行客の不満に並び、観光客誘致に中国を訪れた日本の自治体への不満も目立つ。「資料は多いが、内容は紋切り型」「料金を答えられない」「祭りのPRをしたのでそのツアーを検討したら、宿泊施設が満室なので別の時期にしてくれと言われた」などだ。
カプコン社長:ソーシャルゲーム参入検討、収益源開拓で
5月11日、カプコンは交流サイトから携帯電話などに提供され手軽に遊べる「ソーシャルゲーム」事業への参入を検討している。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)世界最大手で約4億人が登録している米フェイスブックなどに、今期(2011年3月期)中にも提供したい意向だ。新たな収益源開拓が狙い。
辻本春弘カプコン社長が11日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで明らかにした。同社は10日、携帯端末向けを含めたオンラインのゲーム事業に軸足を置く成長戦略を公表していた。
辻本氏はソーシャルゲームが「無視できない存在」となっており、今後は、店頭で販売される既存型の「パッケージビジネス」に影響するはずだと指摘。日本でもこうしたゲームの提供元であるSNS大手グリーや、電子商取引大手ディー・エヌ・エー(DeNA)など新興企業が収益を急拡大させていると強調した。
同社長はその上で、既存のソフト大手カプコンとしても「こうした流れを意識しビジネスを変えないと、孤立する」として、「米国ではフェイスブック中心に」ソーシャルゲームの開発と提供を検討中だと語った。事業参入に当たっては、継続的にSNSの会員に受け入れられ、ヒット作が続く仕掛けが必要だと述べた。
辻本氏は、ネット上からゲームを気軽にダウンロードできる米アップルの携帯電話「iPhone(アイフォーン)」の浸透が、従来型のパッケージビジネスへの不安材料になるとの懸念を「去年の夏ぐらいから」持ち始めたことも提供検討の理由だと述べた。
JPモルガン証券の前田栄二アナリストはソーシャルゲームについて「以前は単価が安いこともあり、大手ソフトメーカーにとって収益規模が小さいと見られていた」が、登場人物の道具や衣装を追加購入する「アイテム課金」や会員制を生かして「いいソフトであればボリュームが増えるめどが立ってきている」と説明。「実際にグリーやDeNAはパッケージ主体のメーカーをしのぐような利益を出しつつある」と指摘している。
米調査会社シンクエクイティによると、米国でのソーシャルゲーム市場はフェイスブックのほか、ニュース社のサービス「マイスペース」などに支えられ12年までに現状の3倍の20億ドル(1850億円)に達する見込み。米NPDグループの統計による昨年の同国のゲーム市場が同8%減の196億6000万ドル(1兆8000億円)とは対照的だ。
マイミクとスケジュール共有できる「mixiカレンダー」
ミクシィは5月11日、SNS「mixi」で、友人・知人(マイミクシィ)とスケジュールを共有できる「mixiカレンダー」をスタートした。日記やアルバムに並ぶメイン機能の1つとして提供する。
カレンダー上に予定やイベントを登録し、マイミクに知らせたり、候補日を挙げてマイミクとスケジュール調整できる。特定のマイミクにだけ予定を公開することも可能だ。
日中韓の国立図書館、電子化で連携 ネット横断検索
日本、中国、韓国の3国の国立図書館は6月下旬にも協定を結び、各館が電子化した書籍をインターネットで検索し、読めるようにする共通の仕組みを作る方針を固めた。自宅のパソコンなどから自国語で検索しても、翻訳機能などにより、他国の蔵書を簡単に見つけられるようにする。
提携するのは日本の国立国会図書館と中国国家図書館、韓国国立中央図書館。1、2年以内のサービス開始を目指す。公開する数は未定だが、各館が電子化した書籍から選ぶ。使い方は、言葉を入力すると、他国語に変換して横断的に検索できるようにし、いずれは本文も自動翻訳して各国語で読めるようにしたいという。
パナソニック、クラウド使い生産管理
システム費4割削減、迅速な海外展開が可能に
パナソニックは2011年度から、ネットワーク経由でソフトウエアの機能を利用する「クラウドコンピューティングを工場の生産管理に導入する。まず子会社で活用してシステム運用費の4割を削減するとともに、迅速な海外展開を後押しする。自前のコンピューターを持たないクラウドを活用する目的は、日本企業ではメールなどの情報共有が中心だった。生産の基幹部分への導入が広がれば、コストの軽減などで国内外の工場の競争力を底上げする動きにつながりそうだ。
パナソニックグループが進める事業戦略の柱は、家電から蓄電池、住設機器を含めた住宅全体の省エネ化。社内分社や子会社にまたがる製品群を一元管理し、新興国へ迅速に進出することが課題になっている。グループ全体でクラウドを活用すれば、システムコストの削減とともに、柔軟な海外展開につながると判断した。
電子雑誌:iPad向けに販売 6月から東京の書店組合
約650の書店が加盟する東京都書店商業組合(理事長、大橋信夫・東京堂書店社長)は11日、米アップル社の新型携帯端末「iPad(アイパッド)」向けに6月から、電子雑誌を販売することを発表した。現在運営している携帯電話向け電子書籍販売サイト「ブッカーズ」を通じて、6タイトルで始めるという。
同組合は2年前にソフト開発会社アクセスと販売サイトをスタートさせ、出版物の電子化に取り組んでいる。アップルの「アイフォーン」など多機能携帯電話をはじめ、今後登場する読書端末にも対応していく予定。
11日の事業説明会では、大橋理事長が「今まで紙の本を商う書店としてデジタル情報は排除してきたが、きょうを境に電子書籍にも取り組んでいきたい」とあいさつ。組合特任理事を務める大手書店・丸善の小城武彦社長は「都内だけでも昨年度、約50店舗が休廃業し、危機感を抱いている。書店の生き残りに協力してほしい」と、集まった300近い出版社に雑誌コンテンツの提供を呼び掛けた。
五木寛之「親鸞」上巻をネットで無料公開
講談社は11日、五木寛之さんの長編小説「親鸞」上巻を、ネットで無料公開すると発表した。12日午前0時から1カ月間限定で、プリントアウトはできない。
同社によると、五木さんが「若い世代が書店に足を運ぶきっかけに」と発案し、実現したという。
「親鸞」は昨年12月から上下巻で約65万部を発行しており、講談社は「現在もベストセラー上位の作品を無料公開するのは例がない」としている。
講談社漫画賞にツジトモさんら
第34回講談社漫画賞は11日、ツジトモさん(原案・綱本将也さん)の「GIANT KILLING」(一般部門)など4作品に決まった。賞金は各100万円。
そのほかの受賞作は、児童部門が「イナズマイレブン」(やぶのてんやさん)、少年部門が「ダイヤのA」(寺嶋裕二さん)、少女部門が「海月姫~くらげひめ~」(東村アキコさん)。贈呈式は6月21日、東京・赤坂のグランドプリンスホテル赤坂で行われる。
ヤマトの代引き、電子マネー決済に対応
ヤマト運輸とヤマトファイナンシャルは5月11日、通信販売などで購入した商品の代金を配送時に支払える代引きサービス「宅急便コレクト」で6月28日から、決済に電子マネーを使えるようにする。
「nanaco」「Edy」「WAON」に対応。商品受け取り時、電子マネーカードや電子マネー機能付き携帯電話を宅配ドライバーの端末にかざして決済する。
電子マネーの決済額は受け取り手の希望に合わせて設定でき、「小銭分だけ電子マネー決済にする」といったことも可能。代引き手数料に加え、決済額の5%の手数料がかかる。
選挙期間中のHP更新一部解禁へ…民主方針
民主党の「インターネットを利用した選挙運動の解禁検討チーム」(主査・桜井充参院政策審議会長)は11日の会合で、現在は選挙期間中の更新が禁止されているホームページとブログについて、夏の参院選から、候補者を擁立している政党と候補者本人に限定して使用を解禁する方針を決めた。
同党は12日の各党協議会にこの案を提示し、各党の了承が得られれば、今国会で公職選挙法を改正する。
メールと簡易投稿サイト「ツイッター」の解禁も検討したが、「他人が候補者の名をかたることも可能で、解禁は時期尚早だ」との意見もあったため、見送ることとした。
米セールスフォース、東京に「クラウド」用施設
米IT(情報技術)企業の米セールスフォース・ドットコムは、情報システムをネットワーク経由で利用できる「クラウドコンピューティング」型サービスを提供するための施設を2011年に東京都内に設置することを明らかにした。会長兼最高経営責任者(CEO)のマーク・ベニオフ氏が「近日中に場所を決定できる見込み」と語った。
セールスフォースはクラウドコンピューティングの技術を主導する米企業で、世界で7万2500社の顧客を持つ。同社は多数の高性能コンピューターを集めた「データセンター」と呼ばれる施設を都内に設置、11年からサービスを提供する。国内の拠点からサービスを利用できる安心感をテコに営業活動を拡大。現時点で年間100億円弱という日本での売上高を、将来は1000億円規模にまで引き上げる考えだ。
これまで同社は国内にデータセンターを持たなかったため、米国やシンガポールに設置したデータセンターを通じて国内企業にサービスを提供していた。だが、社内データを海外に置くことに懸念を示し利用をためらう企業が多かったという。既にセールスフォースを利用している損害保険ジャパンなどの顧客企業も、将来の利用拡大をにらみデータセンターの国内設置を求めていた。
セールスフォースは東京にデータセンターを設置後、希望する企業のシステムを米国やシンガポールから東京に移せるようにする。
トヨタ、生産体制を再構築 田原工場でライン削減
トヨタ自動車は11日、国内外の生産体制を再構築すると発表した。中国やインドなど新興国では現地生産を拡大する。余剰設備を抱える国内では生産ラインの一部を統合するなど、抜本的な見直しに着手する。カローラなど輸出している量産車は段階的に現地生産へシフトし、円高など為替変動の影響を受けにくい収益構造をつくる。
国内では高級車「レクサス」や多目的スポーツ車(SUV)を組み立てている田原工場(愛知県田原市)の生産ラインを、2011年末までに3本から2本に減らす。乗用車とSUVのどちらでも生産できる「混流ライン」に切り替える。
トヨタは08年秋のリーマン・ショック以降の世界的な販売急減に伴い、国内の生産能力を縮小している。すでに高岡工場(愛知県豊田市)でも生産ラインの一部を休止した。ピーク時に400万台弱だった国内生産能力は、11年末までに350万台弱になるもようだ。
11年3月期の国内生産は320万台を計画している。この水準を維持しつつ、完成車の輸出拠点となってきた国内工場については「新技術、新工法などに取り組む拠点に見直す」(新美篤志副社長)としている。
またハイブリッド車「プリウス」など特定の車種に人気が偏り、工場間の繁閑の差も大きくなっている。各工場で車種を入れ替えるなど、需要変動を吸収できる柔軟な生産体制に改める。
先進国では英国工場(ダービー州)でも、8月から生産能力の一部を縮小することを表明済み。北米については開発から生産までの一貫体制を早期につくり、ハイブリッド車や小型車などの現地生産をにらんで準備を進める。
今後の生産能力増強は新興国に軸足を移す。中国では吉林省長春市に約500億円を投じて新工場を建設し、12年前半の稼働を目指す。インドでは小型車の新工場を建設中で、年内に生産を始める計画だ。
ユニクロ、世界で出店加速 新卒の半数を外国人に
ファーストリテイリングは主力のカジュアル衣料品店「ユニクロ」の出店を世界規模で加速する。海外は既存の7カ国に加えドイツやスペインなどにも進出。現在の年約130店の世界の出店数を大幅に増やし、3年後にも新規の9割を海外とする計画だ。人材面でも来春から新卒社員を大量採用し、半分は外国人を予定する。好調な国内事業も少子高齢化で大きな伸びは期待できないため、ユニクロを世界ブランドに育て国際競争力を高める。
柳井正ファストリ会長兼社長が日本経済新聞に明らかにした。ユニクロの店舗数は2010年8月期末見込みで国内809、海外144。今期の出店計画は過去最高となる前期比39%増の132店で、うち6割を国内が占める。
3~5年後の年間の出店数は「500店を目指す」(柳井会長)。その9割程度を海外とする計画だ。中国、韓国、米英仏など既存地域で店舗を増やすほか、3年以内にドイツのベルリン、スペインのマドリードやバルセロナ、10年以内にはブラジル、メキシコ、アルゼンチンへ進出する。新店物件は従来と同様に賃借で確保、大半は広さを標準店の2倍超(1650平方メートル以上)とする。
ユニクロより低価格の店舗で、格安ジーンズなどが好調な衣料店「ジーユー」も近く海外出店に乗り出す考え。柳井会長は「ユニクロとジーユーが共同出店すれば、3300平方メートル以上の大型店開発も可能」と言う。
自民が経済成長戦略
自民党の成長戦略特命委員会は11日、夏の参院選に向けた党としての経済成長戦略をまとめた。3年後の名目経済成長率4%や、現行5%前後の完全失業率の3.5%への引き下げなどを目標に掲げた。
具体的な産業育成策は(1)法人税率の引き下げ(2)政府系ファンドの創設(3)成長産業への2兆円規模の集中投資(4)東大や京大の民営化――などが柱。
チャベス氏のツイッター大反響 返信に200人雇用
【サンパウロ=平山亜理】南米ベネズエラのチャベス大統領が、手を染めたばかりのミニブログ「ツイッター」で、固定読者が南米一になり、自身の「つぶやき」の反響も大きいため、返信のために200人のスタッフを雇うことになった。
ロイター通信などによると、開始後2週間余りで、24万3千人がチャベス氏をフォローし、それまで南米で一番人気があった同じベネズエラの反チャベス派テレビ局「グロボビジョン」を超えた。これまで約5万通のメッセージがチャベス氏あてに寄せられたという。
困の撲滅が課題に(5月12日付・読売社説)
フィリピンで9年ぶりに政権交代が実現する。任期満了に伴う大統領選で、野党・自由党のベニグノ・アキノ上院議員の当選が確実になった。
アロヨ現政権下での汚職のまん延と貧富の差拡大により、フィリピン社会には政治不信と閉塞(へいそく)感が広がっていた。
こうした現状の変革を求める有権者の声が、清廉なイメージを持つアキノ氏の勝利につながったと言えよう。次期大統領にとって、汚職撲滅や貧困対策への取り組みが、最大の課題となる。
アキノ氏の父親は1983年、民主化運動のために、当時のマルコス独裁政権下の母国に帰国し、暗殺されたベニグノ・ニノイ・アキノ元上院議員だ。
その後、大統領になったコラソン・アキノ氏は母親で、親子2代での大統領が誕生する。
フィリピンでは、都市のスラムで生活したり、ゴミ投棄場付近に住み込んだりする人々に象徴される貧困層が、アロヨ政権時代に拡大した、と指摘されている。
状況が悪化したのは、汚職の続発や縁故主義の跋扈(ばっこ)で、貧困層が顧みられなかったからだ。
「汚職がなくなれば、貧困もなくなる」とアキノ氏が訴えたのも、そうした背景がある。
アキノ氏が改革を公約した、一部の富裕家族が農地の大部分を所有している大農園制度も、富の再配分を困難にしている。
大地主であるコファンコ家の出身だった母親も、大統領時代に実現させると言いながら、できなかった農地改革は、次期大統領にとって大きな試練となろう。
改革を断行する上で、重要なのが国軍の存在だ。アロヨ政権下では軍人のクーデター未遂が3回も発生し、社会不安が増大した。
軍最高司令官を兼務するアキノ氏にとって、軍部をしっかり掌握することが肝要だ。政権が安定してはじめて、貧困対策などに取り組めるからだ。
東南アジア全体の安全保障にとり、フィリピンは重要な位置を占めている。
民主化が高揚していた90年代、国内に駐留していた米軍を追い出した結果、支配していた南沙諸島のミスチーフ礁を中国軍に占拠された苦い経験がある。
フィリピンは、9・11同時テロの発生後は、米軍の駐留を認めている。良好な米比関係の維持は、南シナ海に勢力を拡大する中国を牽制(けんせい)する上からも意味がある。
次期大統領は、そうした現実を忘れてはならない。
5月11日、カプコンは交流サイトから携帯電話などに提供され手軽に遊べる「ソーシャルゲーム」事業への参入を検討している。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)世界最大手で約4億人が登録している米フェイスブックなどに、今期(2011年3月期)中にも提供したい意向だ。新たな収益源開拓が狙い。
辻本春弘カプコン社長が11日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで明らかにした。同社は10日、携帯端末向けを含めたオンラインのゲーム事業に軸足を置く成長戦略を公表していた。
辻本氏はソーシャルゲームが「無視できない存在」となっており、今後は、店頭で販売される既存型の「パッケージビジネス」に影響するはずだと指摘。日本でもこうしたゲームの提供元であるSNS大手グリーや、電子商取引大手ディー・エヌ・エー(DeNA)など新興企業が収益を急拡大させていると強調した。
同社長はその上で、既存のソフト大手カプコンとしても「こうした流れを意識しビジネスを変えないと、孤立する」として、「米国ではフェイスブック中心に」ソーシャルゲームの開発と提供を検討中だと語った。事業参入に当たっては、継続的にSNSの会員に受け入れられ、ヒット作が続く仕掛けが必要だと述べた。
辻本氏は、ネット上からゲームを気軽にダウンロードできる米アップルの携帯電話「iPhone(アイフォーン)」の浸透が、従来型のパッケージビジネスへの不安材料になるとの懸念を「去年の夏ぐらいから」持ち始めたことも提供検討の理由だと述べた。
JPモルガン証券の前田栄二アナリストはソーシャルゲームについて「以前は単価が安いこともあり、大手ソフトメーカーにとって収益規模が小さいと見られていた」が、登場人物の道具や衣装を追加購入する「アイテム課金」や会員制を生かして「いいソフトであればボリュームが増えるめどが立ってきている」と説明。「実際にグリーやDeNAはパッケージ主体のメーカーをしのぐような利益を出しつつある」と指摘している。
米調査会社シンクエクイティによると、米国でのソーシャルゲーム市場はフェイスブックのほか、ニュース社のサービス「マイスペース」などに支えられ12年までに現状の3倍の20億ドル(1850億円)に達する見込み。米NPDグループの統計による昨年の同国のゲーム市場が同8%減の196億6000万ドル(1兆8000億円)とは対照的だ。
マイミクとスケジュール共有できる「mixiカレンダー」
ミクシィは5月11日、SNS「mixi」で、友人・知人(マイミクシィ)とスケジュールを共有できる「mixiカレンダー」をスタートした。日記やアルバムに並ぶメイン機能の1つとして提供する。
カレンダー上に予定やイベントを登録し、マイミクに知らせたり、候補日を挙げてマイミクとスケジュール調整できる。特定のマイミクにだけ予定を公開することも可能だ。
日中韓の国立図書館、電子化で連携 ネット横断検索
日本、中国、韓国の3国の国立図書館は6月下旬にも協定を結び、各館が電子化した書籍をインターネットで検索し、読めるようにする共通の仕組みを作る方針を固めた。自宅のパソコンなどから自国語で検索しても、翻訳機能などにより、他国の蔵書を簡単に見つけられるようにする。
提携するのは日本の国立国会図書館と中国国家図書館、韓国国立中央図書館。1、2年以内のサービス開始を目指す。公開する数は未定だが、各館が電子化した書籍から選ぶ。使い方は、言葉を入力すると、他国語に変換して横断的に検索できるようにし、いずれは本文も自動翻訳して各国語で読めるようにしたいという。
パナソニック、クラウド使い生産管理
システム費4割削減、迅速な海外展開が可能に
パナソニックは2011年度から、ネットワーク経由でソフトウエアの機能を利用する「クラウドコンピューティングを工場の生産管理に導入する。まず子会社で活用してシステム運用費の4割を削減するとともに、迅速な海外展開を後押しする。自前のコンピューターを持たないクラウドを活用する目的は、日本企業ではメールなどの情報共有が中心だった。生産の基幹部分への導入が広がれば、コストの軽減などで国内外の工場の競争力を底上げする動きにつながりそうだ。
パナソニックグループが進める事業戦略の柱は、家電から蓄電池、住設機器を含めた住宅全体の省エネ化。社内分社や子会社にまたがる製品群を一元管理し、新興国へ迅速に進出することが課題になっている。グループ全体でクラウドを活用すれば、システムコストの削減とともに、柔軟な海外展開につながると判断した。
電子雑誌:iPad向けに販売 6月から東京の書店組合
約650の書店が加盟する東京都書店商業組合(理事長、大橋信夫・東京堂書店社長)は11日、米アップル社の新型携帯端末「iPad(アイパッド)」向けに6月から、電子雑誌を販売することを発表した。現在運営している携帯電話向け電子書籍販売サイト「ブッカーズ」を通じて、6タイトルで始めるという。
同組合は2年前にソフト開発会社アクセスと販売サイトをスタートさせ、出版物の電子化に取り組んでいる。アップルの「アイフォーン」など多機能携帯電話をはじめ、今後登場する読書端末にも対応していく予定。
11日の事業説明会では、大橋理事長が「今まで紙の本を商う書店としてデジタル情報は排除してきたが、きょうを境に電子書籍にも取り組んでいきたい」とあいさつ。組合特任理事を務める大手書店・丸善の小城武彦社長は「都内だけでも昨年度、約50店舗が休廃業し、危機感を抱いている。書店の生き残りに協力してほしい」と、集まった300近い出版社に雑誌コンテンツの提供を呼び掛けた。
五木寛之「親鸞」上巻をネットで無料公開
講談社は11日、五木寛之さんの長編小説「親鸞」上巻を、ネットで無料公開すると発表した。12日午前0時から1カ月間限定で、プリントアウトはできない。
同社によると、五木さんが「若い世代が書店に足を運ぶきっかけに」と発案し、実現したという。
「親鸞」は昨年12月から上下巻で約65万部を発行しており、講談社は「現在もベストセラー上位の作品を無料公開するのは例がない」としている。
講談社漫画賞にツジトモさんら
第34回講談社漫画賞は11日、ツジトモさん(原案・綱本将也さん)の「GIANT KILLING」(一般部門)など4作品に決まった。賞金は各100万円。
そのほかの受賞作は、児童部門が「イナズマイレブン」(やぶのてんやさん)、少年部門が「ダイヤのA」(寺嶋裕二さん)、少女部門が「海月姫~くらげひめ~」(東村アキコさん)。贈呈式は6月21日、東京・赤坂のグランドプリンスホテル赤坂で行われる。
ヤマトの代引き、電子マネー決済に対応
ヤマト運輸とヤマトファイナンシャルは5月11日、通信販売などで購入した商品の代金を配送時に支払える代引きサービス「宅急便コレクト」で6月28日から、決済に電子マネーを使えるようにする。
「nanaco」「Edy」「WAON」に対応。商品受け取り時、電子マネーカードや電子マネー機能付き携帯電話を宅配ドライバーの端末にかざして決済する。
電子マネーの決済額は受け取り手の希望に合わせて設定でき、「小銭分だけ電子マネー決済にする」といったことも可能。代引き手数料に加え、決済額の5%の手数料がかかる。
選挙期間中のHP更新一部解禁へ…民主方針
民主党の「インターネットを利用した選挙運動の解禁検討チーム」(主査・桜井充参院政策審議会長)は11日の会合で、現在は選挙期間中の更新が禁止されているホームページとブログについて、夏の参院選から、候補者を擁立している政党と候補者本人に限定して使用を解禁する方針を決めた。
同党は12日の各党協議会にこの案を提示し、各党の了承が得られれば、今国会で公職選挙法を改正する。
メールと簡易投稿サイト「ツイッター」の解禁も検討したが、「他人が候補者の名をかたることも可能で、解禁は時期尚早だ」との意見もあったため、見送ることとした。
米セールスフォース、東京に「クラウド」用施設
米IT(情報技術)企業の米セールスフォース・ドットコムは、情報システムをネットワーク経由で利用できる「クラウドコンピューティング」型サービスを提供するための施設を2011年に東京都内に設置することを明らかにした。会長兼最高経営責任者(CEO)のマーク・ベニオフ氏が「近日中に場所を決定できる見込み」と語った。
セールスフォースはクラウドコンピューティングの技術を主導する米企業で、世界で7万2500社の顧客を持つ。同社は多数の高性能コンピューターを集めた「データセンター」と呼ばれる施設を都内に設置、11年からサービスを提供する。国内の拠点からサービスを利用できる安心感をテコに営業活動を拡大。現時点で年間100億円弱という日本での売上高を、将来は1000億円規模にまで引き上げる考えだ。
これまで同社は国内にデータセンターを持たなかったため、米国やシンガポールに設置したデータセンターを通じて国内企業にサービスを提供していた。だが、社内データを海外に置くことに懸念を示し利用をためらう企業が多かったという。既にセールスフォースを利用している損害保険ジャパンなどの顧客企業も、将来の利用拡大をにらみデータセンターの国内設置を求めていた。
セールスフォースは東京にデータセンターを設置後、希望する企業のシステムを米国やシンガポールから東京に移せるようにする。
トヨタ、生産体制を再構築 田原工場でライン削減
トヨタ自動車は11日、国内外の生産体制を再構築すると発表した。中国やインドなど新興国では現地生産を拡大する。余剰設備を抱える国内では生産ラインの一部を統合するなど、抜本的な見直しに着手する。カローラなど輸出している量産車は段階的に現地生産へシフトし、円高など為替変動の影響を受けにくい収益構造をつくる。
国内では高級車「レクサス」や多目的スポーツ車(SUV)を組み立てている田原工場(愛知県田原市)の生産ラインを、2011年末までに3本から2本に減らす。乗用車とSUVのどちらでも生産できる「混流ライン」に切り替える。
トヨタは08年秋のリーマン・ショック以降の世界的な販売急減に伴い、国内の生産能力を縮小している。すでに高岡工場(愛知県豊田市)でも生産ラインの一部を休止した。ピーク時に400万台弱だった国内生産能力は、11年末までに350万台弱になるもようだ。
11年3月期の国内生産は320万台を計画している。この水準を維持しつつ、完成車の輸出拠点となってきた国内工場については「新技術、新工法などに取り組む拠点に見直す」(新美篤志副社長)としている。
またハイブリッド車「プリウス」など特定の車種に人気が偏り、工場間の繁閑の差も大きくなっている。各工場で車種を入れ替えるなど、需要変動を吸収できる柔軟な生産体制に改める。
先進国では英国工場(ダービー州)でも、8月から生産能力の一部を縮小することを表明済み。北米については開発から生産までの一貫体制を早期につくり、ハイブリッド車や小型車などの現地生産をにらんで準備を進める。
今後の生産能力増強は新興国に軸足を移す。中国では吉林省長春市に約500億円を投じて新工場を建設し、12年前半の稼働を目指す。インドでは小型車の新工場を建設中で、年内に生産を始める計画だ。
ユニクロ、世界で出店加速 新卒の半数を外国人に
ファーストリテイリングは主力のカジュアル衣料品店「ユニクロ」の出店を世界規模で加速する。海外は既存の7カ国に加えドイツやスペインなどにも進出。現在の年約130店の世界の出店数を大幅に増やし、3年後にも新規の9割を海外とする計画だ。人材面でも来春から新卒社員を大量採用し、半分は外国人を予定する。好調な国内事業も少子高齢化で大きな伸びは期待できないため、ユニクロを世界ブランドに育て国際競争力を高める。
柳井正ファストリ会長兼社長が日本経済新聞に明らかにした。ユニクロの店舗数は2010年8月期末見込みで国内809、海外144。今期の出店計画は過去最高となる前期比39%増の132店で、うち6割を国内が占める。
3~5年後の年間の出店数は「500店を目指す」(柳井会長)。その9割程度を海外とする計画だ。中国、韓国、米英仏など既存地域で店舗を増やすほか、3年以内にドイツのベルリン、スペインのマドリードやバルセロナ、10年以内にはブラジル、メキシコ、アルゼンチンへ進出する。新店物件は従来と同様に賃借で確保、大半は広さを標準店の2倍超(1650平方メートル以上)とする。
ユニクロより低価格の店舗で、格安ジーンズなどが好調な衣料店「ジーユー」も近く海外出店に乗り出す考え。柳井会長は「ユニクロとジーユーが共同出店すれば、3300平方メートル以上の大型店開発も可能」と言う。
自民が経済成長戦略
自民党の成長戦略特命委員会は11日、夏の参院選に向けた党としての経済成長戦略をまとめた。3年後の名目経済成長率4%や、現行5%前後の完全失業率の3.5%への引き下げなどを目標に掲げた。
具体的な産業育成策は(1)法人税率の引き下げ(2)政府系ファンドの創設(3)成長産業への2兆円規模の集中投資(4)東大や京大の民営化――などが柱。
チャベス氏のツイッター大反響 返信に200人雇用
【サンパウロ=平山亜理】南米ベネズエラのチャベス大統領が、手を染めたばかりのミニブログ「ツイッター」で、固定読者が南米一になり、自身の「つぶやき」の反響も大きいため、返信のために200人のスタッフを雇うことになった。
ロイター通信などによると、開始後2週間余りで、24万3千人がチャベス氏をフォローし、それまで南米で一番人気があった同じベネズエラの反チャベス派テレビ局「グロボビジョン」を超えた。これまで約5万通のメッセージがチャベス氏あてに寄せられたという。
困の撲滅が課題に(5月12日付・読売社説)
フィリピンで9年ぶりに政権交代が実現する。任期満了に伴う大統領選で、野党・自由党のベニグノ・アキノ上院議員の当選が確実になった。
アロヨ現政権下での汚職のまん延と貧富の差拡大により、フィリピン社会には政治不信と閉塞(へいそく)感が広がっていた。
こうした現状の変革を求める有権者の声が、清廉なイメージを持つアキノ氏の勝利につながったと言えよう。次期大統領にとって、汚職撲滅や貧困対策への取り組みが、最大の課題となる。
アキノ氏の父親は1983年、民主化運動のために、当時のマルコス独裁政権下の母国に帰国し、暗殺されたベニグノ・ニノイ・アキノ元上院議員だ。
その後、大統領になったコラソン・アキノ氏は母親で、親子2代での大統領が誕生する。
フィリピンでは、都市のスラムで生活したり、ゴミ投棄場付近に住み込んだりする人々に象徴される貧困層が、アロヨ政権時代に拡大した、と指摘されている。
状況が悪化したのは、汚職の続発や縁故主義の跋扈(ばっこ)で、貧困層が顧みられなかったからだ。
「汚職がなくなれば、貧困もなくなる」とアキノ氏が訴えたのも、そうした背景がある。
アキノ氏が改革を公約した、一部の富裕家族が農地の大部分を所有している大農園制度も、富の再配分を困難にしている。
大地主であるコファンコ家の出身だった母親も、大統領時代に実現させると言いながら、できなかった農地改革は、次期大統領にとって大きな試練となろう。
改革を断行する上で、重要なのが国軍の存在だ。アロヨ政権下では軍人のクーデター未遂が3回も発生し、社会不安が増大した。
軍最高司令官を兼務するアキノ氏にとって、軍部をしっかり掌握することが肝要だ。政権が安定してはじめて、貧困対策などに取り組めるからだ。
東南アジア全体の安全保障にとり、フィリピンは重要な位置を占めている。
民主化が高揚していた90年代、国内に駐留していた米軍を追い出した結果、支配していた南沙諸島のミスチーフ礁を中国軍に占拠された苦い経験がある。
フィリピンは、9・11同時テロの発生後は、米軍の駐留を認めている。良好な米比関係の維持は、南シナ海に勢力を拡大する中国を牽制(けんせい)する上からも意味がある。
次期大統領は、そうした現実を忘れてはならない。