00430000s@merumo.ne.jp に空メールすると、ブログと同じ内容のメルマガをが配信されます。twitterはhttps://twitter.com/wataru4 です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ソニー幹部、販売不振の「PSP Go」が重要な役割を果たしていることを明らかに
昨年11月に発売されたものの、従来モデルの20分の1程度の販売台数にとどまる(2010年5月24日~5月30日の週において)など、販売不振が続くソニーの「PSP Go」について、同社幹部が将来につながる大きな役割を果たしていることを明らかにした。
従来のPSPシリーズに採用されていた記録メディア「UMD」を廃して、ゲームソフトをダウンロード販売のみに限定するという試みを行った「PSP Go」だが、同社の携帯ゲーム機事業にとって、将来に繋がる重要な存在であったようだ。
ソニー・コンピュータエンタテイメント ヨーロッパのCEO(最高経営責任者)のAndrew House氏が「PSP Go」は成功したのかという問いに対して、「PSP Goは製品のライフサイクル自体が成熟した時に消費者の動向を知るために投入したもので、我々は非常に多くのことを学んだ」と回答した。
また、必ずしも製品の成功が販売の成功によってのみ判断されるべきものとは考えないとした上で、確かにPSP Goのような機器に対するニーズはあったものの、その反面、ダウンロードだけではなく、従来のようなパッケージメディアに対する需要があることを認めなければならないと述べた。
すでに今年の2月にソニーグループの携帯電話メーカーであるソニー・エリクソンCEOのBert Nordberg氏が、PSPと携帯電話を合体させた新たな携帯電話を開発中であることを認めており、今年度中に発売されるという話もあるが、PSP Goから得られた教訓がどれだけ生かされているのかが気になるところだ。
ソフトバンクモバイル、「データ定額ボーナスパック」の割引キャンペーンを実施
ソフトバンクモバイルは6月9日、「データ定額ボーナスパック」を新規で申し込んだユーザーを対象に、月額料金を1年間割り引くキャンペーンを実施する。キャンペーン受付期間は6月21日~9月30日。
データ定額ボーナスパックは、ソフトバンクのモバイルルータ(Pocket WiFi C01HW)やデータ端末向けの、定額制と従量制をセットにしたプラン。キャンペーンに申し込むと、データ定額プランが月額700円~4679円から、月額700円~4109円に割り引かれる。したがって、データ従量プランの月額300円と合わせ、キャンペーン申し込み後は月額1000円~4410円でデータ通信を利用できる。割引期間は、新規加入月を含む最大13カ月間。
メガネ不要の3D電子看板 サムスン、国内見本市でお披露目
電子看板も3D時代へ。韓国のサムスン電子が9日、千葉市美浜区の幕張メッセで開幕した国内唯一の電子看板見本市「デジタルサイネージ ジャパン2010」に、専用メガネが不要の電子看板用3次元(3D))液晶ディスプレーを初公開した。
電子看板は、コンビニや駅構内など設置場所が拡大し急成長。国内勢でも、シャープや三菱電機が、複数のディスプレーを組み合わせた際につなぎ目を目立たないようにした大型ディスプレーを出展するなど、メーカーの製品開発競争も激しさを増している。
サムスンは、国内販売代理店と共同で昨年に続き見本市に参加。共同出展ブース2つ増やすなど力を入れている。
初公開した3Dディスプレーは画面サイズが52型で、年内にも販売を開始したい意向だ。「3Dコンテンツ(情報の内容)を保有する映画館や大学など教育機関をターゲットにする」という。
省エネ性能の優れたLED(発光ダイオード)を背面ライトに搭載し、幅が39.9ミリと世界最薄の46型のディスプレーも披露した。
これに対し、国内電機メーカーでは、三菱電機がディスプレーのフレームを6分の1程度縮めた46型のディスプレーを4台組み合わせた一体型電子看板を出品。シャープも8月から発売するLEDを搭載したフレーム幅が狭い60型のディスプレーを54台(410型相当)組み合わせた大画面ディスプレーを紹介した。
電子看板の国内市場は2009年度は、景気低迷で前年度比0.8%増の557億円と微増だったが、10年度は景気の持ち直しに加え、コンビニ店頭用など用途が広がり、14.2%増の635億円となる見込み。14年度には1000億円の大台を突破する見通しだ。国内外の電機メーカーのほか、異業種からの参入も相次いでおり、市場が活気付いている。見本市は11日まで。
法人税、来年度5%下げに意欲 エコポイント延長は慎重、直嶋経産相
直嶋正行経済産業相は9日の会見で、同省の成長戦略に盛り込んだ法人税の実効税率引き下げについて、「来年度から5%引き下げたい」と述べ、改めて強い意欲を表明した。
直嶋氏は再任に当たり、「鳩山内閣の8カ月間で取り組んだことは、いずれも道半ば。成長戦略を具体化して実行段階に入りたい」と豊富を表明。日本の法人税の実効税率が40・7%と国際的に高いと改めて指摘した。
ただ、政府が月内にまとめる成長戦略に盛り込むかは、「どういう書きぶりになるかはこれから決める。(5%という)数字通りいくかは別」とも述べ、調整の難航をうかがわせた。
一方、今年9月が期限のエコカー補助と、12月で終了するエコポイントについて、直嶋経産相は「長く続ける制度ではない」として、再延長に否定的な見方を示した。
一方で、次世代自動車やLED(発光ダイオード)電球などの普及促進は必要と指摘し、「国としてどういうサポートをするか考えたい」と、新たな支援策を検討する考えも示した。
次期衆院選まで消費税上げず 論議は主導、野田財務相が表明
野田佳彦財務相が9日、産経新聞などとのインタビューに応じ、消費税率の引き上げについて「政権担当期間中は上げないという(鳩山政権の)方針は重要な判断だった」と述べ、最長で3年後となる次期衆院選までは引上げない考えを表明した。
一方で、「上げないことと議論しないことはイコールではない」と述べ、自ら務める政府税制調査会の会長として、税制改革論議をリードしていく考えを強調した。
また、日本経済の大きな課題となっているデフレ克服へ向けた物価上昇率については、「(菅直人首相が財務相時代に示した)1%より上という認識はだいたい私も同じだ」との認識を示した。
首相ぶら下がり1日1回 フリー記者に月1回会見開放案
菅内閣は9日、内閣記者会に対し、鳩山前政権まで原則1日2回行ってきた首相の「ぶら下がり取材」と官房長官の記者会見をそれぞれ1回ずつに減らす方針を伝えた。あわせて月に1回程度、フリー記者らも参加する首相会見を開く案を示した。今後、記者会側と協議する。
首相が1日2回立ち止まって記者団とやりとりする「ぶら下がり取材」は、小泉内閣で始まった。それまでは歩いている首相に声をかける方式だったが、警備上の理由などから官邸側と記者会側がいまの形で合意。鳩山由紀夫前首相も踏襲した。
米政府、各省庁に予算削減計画策定を指示
【ワシントン=岡田章裕】米政府は8日、各省庁に対し、2012会計年度(11年10月~12年9月)の安全保障関連以外の予算案で、前年比5%の予算削減計画をまとめるよう指示した。
米財政赤字は10会計年度に1兆5000億ドル(約140兆円)を超える過去最悪となる見通しで、財政再建が急務となっているためだ。
8日に各省庁に配布した12会計年度の予算指針は、政策効果の乏しい5%の事業のリスト作成と、予算削減の具体策の提示を求めている。
オバマ大統領は2月に発表した予算教書で政策的判断で規模を決められる公共事業などの裁量的経費(国防費など除く)の規模を11会計年度から3年間、凍結する方針を打ち出している。
アジアBiz
株、「所得倍増」中国に揺れる市場 消費地としての魅力向上も
9日午前の日経平均株価は反落し、5月25日に付けた年初来安値(9459円89銭)を下回った。くすぶり続ける欧州の国家財政問題への警戒感に加え、9日付の日本経済新聞朝刊が「中国共産党・政府が2011年から始まる次の5カ年計画に労働者の賃金を現在の2倍に増やす『所得倍増計画』を盛り込む検討に入った」と報道。中国が不確定要素として改めて台頭した。
9日午前は中国を「生産拠点」と位置付ける銘柄の苦戦ぶりが目立った。その1つであるファストリが運営するカジュアル衣料品店「ユニクロ」で扱う「中国製」は「販売額ベースで約85%」(広報プレスチーム)に達する。人件費倍増となれば製品競争力の低下につながりかねないとの懸念が広がり、ファストリ株は一時3%超下落。前引けで前日比93円下げた日経平均を1銘柄で14円押し下げた。
「強烈だ」――。ある国内証券の情報担当者は、強硬に賃上げを求めるホンダの現地工場の従業員の姿勢に衝撃を受けた。日本では賃上げストは過去の話となりつつあるが、系列企業の現地従業員のストの影響でホンダは中国工場を再度停止した。世界の工場として順風満帆だった中国に生じた変調に市場は動揺し、「中国生産によるコスト削減を採算改善につなげる、日本企業に共通するシナリオに疑念が生じかねない事態」(同)という。
もっとも、労働環境の改善は「消費地」としての魅力を増す効果もある、日本総合研究所の藤井英彦調査部長は「所得増を通じた購買力の向上による日系企業への貢献は大きい」と指摘。生産拠点とする企業のマイナス効果を上回る好影響が期待できるとみる。
消費地としての恩恵を受けるのが資生堂だ。同社の中国事業の売上高は年率で約3割の増加を続けているが、全体に占める割合はまだ1割程度と国内(6割強)には及ばない。資生堂の試算では、中国での潜在購買層は2015年に2億人と10年から倍増する見込みだ。子どもまで含めても約6000万人に過ぎない日本市場とはケタ違いの大きさで、伸びしろは大きい。
資生堂は「所得倍増となれば、さらなる潜在購買層の拡大が期待できる」(広報部)と鼻息は荒い。資生堂株は前引けでは下落したものの、上昇する場面も目立った。「所得倍増」は生産拠点としての魅力を奪いかねないが、中国の所得水準の向上は日本経済にとって必ずしも悪い話ではない。定量的な所得倍増への考察はこれからの段階とはいえ、大国中国の存在感が増していることは間違いない。
(フィナンシャルタイムズ社説)メルケル独首相の苦悩 緊縮財政の自縛を避けよ
ドイツは欧州で唯一、(勤勉、倹約などを旨とする)清教徒主義の追求が人気取りの手段となり得る国だ。欧州のほかの国々は債券市場の混乱から緊縮財政政策を進めることを余儀なくされているが、メルケル首相率いるドイツ政府は、選挙での票目当てに歳出削減と増税を国民に提案する道を選んだ。今年のドイツの財政赤字は国内総生産(GDP)比で約5%と予想されているが、2013年には3%以下に収まるはずだ。
独国債は究極の安全資産
今回の歳出削減策は戦後ドイツ最大の緊縮財政政策という触れ込みで提案されている。しかし、事実とは異なる。これまで比較的堅実な財政政策を採用してきたドイツにおけるさらなるささやかな引き締めと言ったところだ。メルケル首相は、「この数カ月で堅固な財政を持つことがいかに重要かが明らかになった」と語った。それ自体は正しい。しかしドイツの財政はすでに強固だ。
ドイツ政府が発行する10年物国債の利回りは現在2.52%にとどまる(同期間の米国債の利回りは3.18%だ)。ドイツ国債は究極の安全資産だ。最近の利回りの動きからユーロ圏全体には疑いの目が向けられても、ドイツは安全な投資先と考えられていることが分かる。
今回の緊縮政策が実施されても欧州の経済回復が損なわれることにはならない。しかし、財政赤字は道義的に悪という意識を促すだろう。これが危険である。ドイツの経済運営は今は堅調だが、他国が歳出削減を進める中でその好調さは持続しないかもしれない。ドイツ政府は財政刺激策をとり、欧州大陸の経済を引っ張ることこそ望まれる。メルケル政権の主張は、積極財政政策の採用を政治的に不可能にする危険性をはらんでいる。
内向き政策のリスクも
メルケル政権の緊縮政策には別の弱点もある。包括的な金融取引税の導入提案の内容はいまだあいまいで、メルケル政権が一方的に実施すればドイツの経済活動を損なう恐れがある。軍備削減も誤った判断だ。ドイツがより内向きとなり、アフガニスタンへの関与を縮小していく可能性を持っている。しかしこの軍縮部分は今回の緊縮政策の真の目的をはしなくも示している。メルケル政権の政治目標を達成するために、緊縮政策が利用されている。
ドイツ国民は自国の財政赤字と、危機に陥ったギリシャの救済に困惑している。アフガン派兵にも不満を抱いている。ケーラー大統領が先月、「貿易取引を守るために(海外派兵が)必要だった」と発言した責任を取り突然辞任して以来、アフガン派兵は最重要の政策課題に浮上した。今回の緊縮政策には、堅実な財政運営と海外派兵に対する拒否反応という、現代ドイツを特徴付ける2つの国是に忠実なメルケル首相の評価を再確認しようという意図がある。しかしこの政策にはドイツが将来、自国経済と欧州の安全保障のために適切な手を打つことを困難にするリスクがある。
「ツイッター」広告はお邪魔虫か(COLUMN)
“つぶやき”で銭が稼げるか。
小鳥のさえずりを意味する「ツイッター」――いまもっとも旬なネットのソーシャルメディアが4月13日、ついに広告配信を始めた。米国で始まった「Promoted Tweets」で、ツイッターのサイト上で検索すると関連広告が表示される。最初の広告主にはスターバックスや家電量販店のベスト・バイなどが名を連ねた。
2006年7月のスタート以来、4年足らずでユーザー数が1億500万人を超え、今も増殖中のツイッターは、「ミニブログ」「ブログとチャットの中間的サービス」などと説明されている。書き込みに最大で140文字の上限があり、短文をさえずるように発信するメディアなのだ。
流れるのはテキストだけだから、グーグルやユーチューブなどより設備投資負担が軽くて済み、運営主体のツイッター・インクは広告による収益化(マネタイズ)を急いではいなかった。一方的に独り言をつぶやくばかりか、他ユーザーのつぶやきにリプライ(返信)したり、リツイート(RT、再送信の意)する機能で1対1、1対多、多対多といった多元的な双方向性を実現し、ユーザー主導で伸びてきたサービスだけに、ユーザーに嫌われる押しつけ広告はしにくいという事情もあった。
■スパム的広告には猛反発
しかしその人気は誰しも垂涎の的。当初はシリコンバレーあたりのギーク(オタク)が熱狂するサービスにとどまっていたが、昨年の夏ごろから日本でもブレーク。鳩山由紀夫首相(@hatoyamayukio 編集部注=@のあとはツイッターのユーザー名)ら政治家や企業トップまでもが、意見や考えをつぶやきだしている。
自民党の谷垣禎一総裁も当初「つぶやきは好きではない。ものを言う時は論旨明快に言いたい」と首相に噛みついたが、「『なまごえ』をうかがう有効なツールとの熱心な勧めがあり」と翻意、4月20日にツイッターデビュー(@Tanigaki_S)した。
ただ、ツイッターには有益な発言よりも「接するだけ時間のムダ」とも思える身辺雑記的な私語が溢れている。「せっかくつぶやいても誰も反応してくれない。虚空に向かって話すみたい」と失望する人や「アカウントはつくったけれど放置したまま」の冬眠ユーザーも多い。
とはいえ、指をくわえて見ている手はないと、宣伝媒体に利用しようとする企業も出てきた。企業の広報部などがツイッター上にアカウントを設け、情報をつぶやいて流すのだが、「続きはツイッターで」というキャッチコピーを挿入するテレビCMまで登場している。
ただ、ツイッターの場合、これまでのウェブやブログと同じ感覚で利用しようとすると、とんだ大失敗をすることになる。1対多の情報伝達は可能でも、従来とはまったく性格が異なるためだ。
今年2月5日、UCC上島珈琲がこの特性を理解しないままツイッターを利用して躓いた。特定のキーワードが入った他ユーザーのつぶやきを BOT(ボット)と呼ばれるプログラムで自動収集し、それに自動で宣伝メッセージをリプライしたのだ。しかも複数のアカウントを使い分けて同一のつぶやきを送信したため、スパムメールみたいになって「利用規約に反している」などとツイッター上で批判の嵐となった。ことの重大性に気づいた同社は、開始から2 時間程度で送信を停止、同日付でウェブに「お詫び」を出してようやく事態を収拾している。
実はこういうスパム型のメッセージ送信は、ツイッター族が最も嫌うところ。ツイッターでは、原則として自分のフォロワー(閲覧登録者)のつぶやきだけが閲覧できる仕組みなので、自分の発言にリプライされる形で宣伝めいたスパムが紛れ込んでくると、たちまち目についてしまう。それが興味のない広告情報なら、拒絶反応はいっそう強まる。
実際、宣伝目的で他のユーザーをフォロー(閲覧登録)するアカウントも見受けられるが、フォローされてもフォローし返さなければ、そのユーザーは宣伝を目にすることはない。それでもうるさければ、特定のアカウントをブロックして一切のコミュニケーションを遮断することもできる。つまり、ツイッターには雑音を排除できる仕組みが備わっており、あくまでも「メッセージの受け手が主役」(ツイッターのウェブページより)のメディアなのだ。このあたりが、しばしば「炎上」が話題になるブログとは異なる部分だろう。
このようにマスメディア型の方法論が通用しないメディアだけに、企業や広告代理店は利用方法を考えあぐねているふしがある。そのため、ツイッターのビジネス利用事例の多くは、「顧客の意見を吸い上げる」「顧客との信頼を築く場」といった、コミュニティーを構築したうえでの販促利用の提案に終始している。
マスコミもツイッターとどのように向き合っていいのかわからない様子だ。そんななかで、毎日新聞が「MAINICHI RT」(RTはリツイートの意味)という日刊タブロイド紙を6月1日に創刊する。新聞離れした若者を狙い、ツイッターなどを利用して読者の声を反映するという触れ込み。だが、ツイッター上には「やっぱり紙かよ」などと嘲笑するつぶやきも流れており、スタート前から先行きが危ぶまれる。
取材現場の報道記者にも少なからず影響を与えている。本来なら政治家や企業のトップクラスと個人的な関係を築き上げたうえで、夜討ち朝駆けや携帯電話などで直に聞き出してきた核心的裏コメントを、取材先の本人がツイッター上でつぶやくような例も出てきたからだ。「ブログは構えて書く感じなので公式コメントっぽくなるが、瞬間的な思考を文字にするツイッターのつぶやきは本音が出やすい」と語る識者もいる。
■「ユーチューブ」の二の舞も
しかし、当のツイッターも広告による収益化をどうするか考えあぐねていた。運営費用はベンチャーキャピタルから調達した約1億6千万ドルの資金でまかなわれている。これまではグーグルやヤフーなど検索エンジンへのデータ提供や企業向けアカウント程度で、目立った形で収益化を図ってこなかったが、ここまで巨大化すると、広告収入を柱にしない限り持続可能性(サステナビリティー)を保てなくなる。
4月に発表した広告モデルは、検索キーワードに連動するもので、グーグル・アドなどに似ている。プロモーテッドには「広告」と「昇格」の二つの意味があり、よく考えた命名だが、広告もテキストだけで字数も140字以下。十分な収益を上げられるかどうかは未知数だ。そもそもウェブのように、ツイッター上を検索して情報を探す能動的なユーザーがどの程度いるだろうか。自分でつぶやく以外は、フォローしている他ユーザーの発言の閲覧に終始している場合が多い。ツイッターはリアルタイム性の高い受動的なメディアだけに、グーグルほど媒体価値があるかどうかは疑問が残る。
かつて急成長した動画サイトの「ユーチューブ」がそうだった。ユーザー数は急激に増えたが、広告収入だけでは運営を続けることができず結局はグーグル傘下に。そのグーグルの力をもってしても、ユーチューブは黒字化していない。ツイッターがユーチューブ同様、豊作貧乏に終わらないことを祈るばかりだ。
昨年11月に発売されたものの、従来モデルの20分の1程度の販売台数にとどまる(2010年5月24日~5月30日の週において)など、販売不振が続くソニーの「PSP Go」について、同社幹部が将来につながる大きな役割を果たしていることを明らかにした。
従来のPSPシリーズに採用されていた記録メディア「UMD」を廃して、ゲームソフトをダウンロード販売のみに限定するという試みを行った「PSP Go」だが、同社の携帯ゲーム機事業にとって、将来に繋がる重要な存在であったようだ。
ソニー・コンピュータエンタテイメント ヨーロッパのCEO(最高経営責任者)のAndrew House氏が「PSP Go」は成功したのかという問いに対して、「PSP Goは製品のライフサイクル自体が成熟した時に消費者の動向を知るために投入したもので、我々は非常に多くのことを学んだ」と回答した。
また、必ずしも製品の成功が販売の成功によってのみ判断されるべきものとは考えないとした上で、確かにPSP Goのような機器に対するニーズはあったものの、その反面、ダウンロードだけではなく、従来のようなパッケージメディアに対する需要があることを認めなければならないと述べた。
すでに今年の2月にソニーグループの携帯電話メーカーであるソニー・エリクソンCEOのBert Nordberg氏が、PSPと携帯電話を合体させた新たな携帯電話を開発中であることを認めており、今年度中に発売されるという話もあるが、PSP Goから得られた教訓がどれだけ生かされているのかが気になるところだ。
ソフトバンクモバイル、「データ定額ボーナスパック」の割引キャンペーンを実施
ソフトバンクモバイルは6月9日、「データ定額ボーナスパック」を新規で申し込んだユーザーを対象に、月額料金を1年間割り引くキャンペーンを実施する。キャンペーン受付期間は6月21日~9月30日。
データ定額ボーナスパックは、ソフトバンクのモバイルルータ(Pocket WiFi C01HW)やデータ端末向けの、定額制と従量制をセットにしたプラン。キャンペーンに申し込むと、データ定額プランが月額700円~4679円から、月額700円~4109円に割り引かれる。したがって、データ従量プランの月額300円と合わせ、キャンペーン申し込み後は月額1000円~4410円でデータ通信を利用できる。割引期間は、新規加入月を含む最大13カ月間。
メガネ不要の3D電子看板 サムスン、国内見本市でお披露目
電子看板も3D時代へ。韓国のサムスン電子が9日、千葉市美浜区の幕張メッセで開幕した国内唯一の電子看板見本市「デジタルサイネージ ジャパン2010」に、専用メガネが不要の電子看板用3次元(3D))液晶ディスプレーを初公開した。
電子看板は、コンビニや駅構内など設置場所が拡大し急成長。国内勢でも、シャープや三菱電機が、複数のディスプレーを組み合わせた際につなぎ目を目立たないようにした大型ディスプレーを出展するなど、メーカーの製品開発競争も激しさを増している。
サムスンは、国内販売代理店と共同で昨年に続き見本市に参加。共同出展ブース2つ増やすなど力を入れている。
初公開した3Dディスプレーは画面サイズが52型で、年内にも販売を開始したい意向だ。「3Dコンテンツ(情報の内容)を保有する映画館や大学など教育機関をターゲットにする」という。
省エネ性能の優れたLED(発光ダイオード)を背面ライトに搭載し、幅が39.9ミリと世界最薄の46型のディスプレーも披露した。
これに対し、国内電機メーカーでは、三菱電機がディスプレーのフレームを6分の1程度縮めた46型のディスプレーを4台組み合わせた一体型電子看板を出品。シャープも8月から発売するLEDを搭載したフレーム幅が狭い60型のディスプレーを54台(410型相当)組み合わせた大画面ディスプレーを紹介した。
電子看板の国内市場は2009年度は、景気低迷で前年度比0.8%増の557億円と微増だったが、10年度は景気の持ち直しに加え、コンビニ店頭用など用途が広がり、14.2%増の635億円となる見込み。14年度には1000億円の大台を突破する見通しだ。国内外の電機メーカーのほか、異業種からの参入も相次いでおり、市場が活気付いている。見本市は11日まで。
法人税、来年度5%下げに意欲 エコポイント延長は慎重、直嶋経産相
直嶋正行経済産業相は9日の会見で、同省の成長戦略に盛り込んだ法人税の実効税率引き下げについて、「来年度から5%引き下げたい」と述べ、改めて強い意欲を表明した。
直嶋氏は再任に当たり、「鳩山内閣の8カ月間で取り組んだことは、いずれも道半ば。成長戦略を具体化して実行段階に入りたい」と豊富を表明。日本の法人税の実効税率が40・7%と国際的に高いと改めて指摘した。
ただ、政府が月内にまとめる成長戦略に盛り込むかは、「どういう書きぶりになるかはこれから決める。(5%という)数字通りいくかは別」とも述べ、調整の難航をうかがわせた。
一方、今年9月が期限のエコカー補助と、12月で終了するエコポイントについて、直嶋経産相は「長く続ける制度ではない」として、再延長に否定的な見方を示した。
一方で、次世代自動車やLED(発光ダイオード)電球などの普及促進は必要と指摘し、「国としてどういうサポートをするか考えたい」と、新たな支援策を検討する考えも示した。
次期衆院選まで消費税上げず 論議は主導、野田財務相が表明
野田佳彦財務相が9日、産経新聞などとのインタビューに応じ、消費税率の引き上げについて「政権担当期間中は上げないという(鳩山政権の)方針は重要な判断だった」と述べ、最長で3年後となる次期衆院選までは引上げない考えを表明した。
一方で、「上げないことと議論しないことはイコールではない」と述べ、自ら務める政府税制調査会の会長として、税制改革論議をリードしていく考えを強調した。
また、日本経済の大きな課題となっているデフレ克服へ向けた物価上昇率については、「(菅直人首相が財務相時代に示した)1%より上という認識はだいたい私も同じだ」との認識を示した。
首相ぶら下がり1日1回 フリー記者に月1回会見開放案
菅内閣は9日、内閣記者会に対し、鳩山前政権まで原則1日2回行ってきた首相の「ぶら下がり取材」と官房長官の記者会見をそれぞれ1回ずつに減らす方針を伝えた。あわせて月に1回程度、フリー記者らも参加する首相会見を開く案を示した。今後、記者会側と協議する。
首相が1日2回立ち止まって記者団とやりとりする「ぶら下がり取材」は、小泉内閣で始まった。それまでは歩いている首相に声をかける方式だったが、警備上の理由などから官邸側と記者会側がいまの形で合意。鳩山由紀夫前首相も踏襲した。
米政府、各省庁に予算削減計画策定を指示
【ワシントン=岡田章裕】米政府は8日、各省庁に対し、2012会計年度(11年10月~12年9月)の安全保障関連以外の予算案で、前年比5%の予算削減計画をまとめるよう指示した。
米財政赤字は10会計年度に1兆5000億ドル(約140兆円)を超える過去最悪となる見通しで、財政再建が急務となっているためだ。
8日に各省庁に配布した12会計年度の予算指針は、政策効果の乏しい5%の事業のリスト作成と、予算削減の具体策の提示を求めている。
オバマ大統領は2月に発表した予算教書で政策的判断で規模を決められる公共事業などの裁量的経費(国防費など除く)の規模を11会計年度から3年間、凍結する方針を打ち出している。
アジアBiz
株、「所得倍増」中国に揺れる市場 消費地としての魅力向上も
9日午前の日経平均株価は反落し、5月25日に付けた年初来安値(9459円89銭)を下回った。くすぶり続ける欧州の国家財政問題への警戒感に加え、9日付の日本経済新聞朝刊が「中国共産党・政府が2011年から始まる次の5カ年計画に労働者の賃金を現在の2倍に増やす『所得倍増計画』を盛り込む検討に入った」と報道。中国が不確定要素として改めて台頭した。
9日午前は中国を「生産拠点」と位置付ける銘柄の苦戦ぶりが目立った。その1つであるファストリが運営するカジュアル衣料品店「ユニクロ」で扱う「中国製」は「販売額ベースで約85%」(広報プレスチーム)に達する。人件費倍増となれば製品競争力の低下につながりかねないとの懸念が広がり、ファストリ株は一時3%超下落。前引けで前日比93円下げた日経平均を1銘柄で14円押し下げた。
「強烈だ」――。ある国内証券の情報担当者は、強硬に賃上げを求めるホンダの現地工場の従業員の姿勢に衝撃を受けた。日本では賃上げストは過去の話となりつつあるが、系列企業の現地従業員のストの影響でホンダは中国工場を再度停止した。世界の工場として順風満帆だった中国に生じた変調に市場は動揺し、「中国生産によるコスト削減を採算改善につなげる、日本企業に共通するシナリオに疑念が生じかねない事態」(同)という。
もっとも、労働環境の改善は「消費地」としての魅力を増す効果もある、日本総合研究所の藤井英彦調査部長は「所得増を通じた購買力の向上による日系企業への貢献は大きい」と指摘。生産拠点とする企業のマイナス効果を上回る好影響が期待できるとみる。
消費地としての恩恵を受けるのが資生堂だ。同社の中国事業の売上高は年率で約3割の増加を続けているが、全体に占める割合はまだ1割程度と国内(6割強)には及ばない。資生堂の試算では、中国での潜在購買層は2015年に2億人と10年から倍増する見込みだ。子どもまで含めても約6000万人に過ぎない日本市場とはケタ違いの大きさで、伸びしろは大きい。
資生堂は「所得倍増となれば、さらなる潜在購買層の拡大が期待できる」(広報部)と鼻息は荒い。資生堂株は前引けでは下落したものの、上昇する場面も目立った。「所得倍増」は生産拠点としての魅力を奪いかねないが、中国の所得水準の向上は日本経済にとって必ずしも悪い話ではない。定量的な所得倍増への考察はこれからの段階とはいえ、大国中国の存在感が増していることは間違いない。
(フィナンシャルタイムズ社説)メルケル独首相の苦悩 緊縮財政の自縛を避けよ
ドイツは欧州で唯一、(勤勉、倹約などを旨とする)清教徒主義の追求が人気取りの手段となり得る国だ。欧州のほかの国々は債券市場の混乱から緊縮財政政策を進めることを余儀なくされているが、メルケル首相率いるドイツ政府は、選挙での票目当てに歳出削減と増税を国民に提案する道を選んだ。今年のドイツの財政赤字は国内総生産(GDP)比で約5%と予想されているが、2013年には3%以下に収まるはずだ。
独国債は究極の安全資産
今回の歳出削減策は戦後ドイツ最大の緊縮財政政策という触れ込みで提案されている。しかし、事実とは異なる。これまで比較的堅実な財政政策を採用してきたドイツにおけるさらなるささやかな引き締めと言ったところだ。メルケル首相は、「この数カ月で堅固な財政を持つことがいかに重要かが明らかになった」と語った。それ自体は正しい。しかしドイツの財政はすでに強固だ。
ドイツ政府が発行する10年物国債の利回りは現在2.52%にとどまる(同期間の米国債の利回りは3.18%だ)。ドイツ国債は究極の安全資産だ。最近の利回りの動きからユーロ圏全体には疑いの目が向けられても、ドイツは安全な投資先と考えられていることが分かる。
今回の緊縮政策が実施されても欧州の経済回復が損なわれることにはならない。しかし、財政赤字は道義的に悪という意識を促すだろう。これが危険である。ドイツの経済運営は今は堅調だが、他国が歳出削減を進める中でその好調さは持続しないかもしれない。ドイツ政府は財政刺激策をとり、欧州大陸の経済を引っ張ることこそ望まれる。メルケル政権の主張は、積極財政政策の採用を政治的に不可能にする危険性をはらんでいる。
内向き政策のリスクも
メルケル政権の緊縮政策には別の弱点もある。包括的な金融取引税の導入提案の内容はいまだあいまいで、メルケル政権が一方的に実施すればドイツの経済活動を損なう恐れがある。軍備削減も誤った判断だ。ドイツがより内向きとなり、アフガニスタンへの関与を縮小していく可能性を持っている。しかしこの軍縮部分は今回の緊縮政策の真の目的をはしなくも示している。メルケル政権の政治目標を達成するために、緊縮政策が利用されている。
ドイツ国民は自国の財政赤字と、危機に陥ったギリシャの救済に困惑している。アフガン派兵にも不満を抱いている。ケーラー大統領が先月、「貿易取引を守るために(海外派兵が)必要だった」と発言した責任を取り突然辞任して以来、アフガン派兵は最重要の政策課題に浮上した。今回の緊縮政策には、堅実な財政運営と海外派兵に対する拒否反応という、現代ドイツを特徴付ける2つの国是に忠実なメルケル首相の評価を再確認しようという意図がある。しかしこの政策にはドイツが将来、自国経済と欧州の安全保障のために適切な手を打つことを困難にするリスクがある。
「ツイッター」広告はお邪魔虫か(COLUMN)
“つぶやき”で銭が稼げるか。
小鳥のさえずりを意味する「ツイッター」――いまもっとも旬なネットのソーシャルメディアが4月13日、ついに広告配信を始めた。米国で始まった「Promoted Tweets」で、ツイッターのサイト上で検索すると関連広告が表示される。最初の広告主にはスターバックスや家電量販店のベスト・バイなどが名を連ねた。
2006年7月のスタート以来、4年足らずでユーザー数が1億500万人を超え、今も増殖中のツイッターは、「ミニブログ」「ブログとチャットの中間的サービス」などと説明されている。書き込みに最大で140文字の上限があり、短文をさえずるように発信するメディアなのだ。
流れるのはテキストだけだから、グーグルやユーチューブなどより設備投資負担が軽くて済み、運営主体のツイッター・インクは広告による収益化(マネタイズ)を急いではいなかった。一方的に独り言をつぶやくばかりか、他ユーザーのつぶやきにリプライ(返信)したり、リツイート(RT、再送信の意)する機能で1対1、1対多、多対多といった多元的な双方向性を実現し、ユーザー主導で伸びてきたサービスだけに、ユーザーに嫌われる押しつけ広告はしにくいという事情もあった。
■スパム的広告には猛反発
しかしその人気は誰しも垂涎の的。当初はシリコンバレーあたりのギーク(オタク)が熱狂するサービスにとどまっていたが、昨年の夏ごろから日本でもブレーク。鳩山由紀夫首相(@hatoyamayukio 編集部注=@のあとはツイッターのユーザー名)ら政治家や企業トップまでもが、意見や考えをつぶやきだしている。
自民党の谷垣禎一総裁も当初「つぶやきは好きではない。ものを言う時は論旨明快に言いたい」と首相に噛みついたが、「『なまごえ』をうかがう有効なツールとの熱心な勧めがあり」と翻意、4月20日にツイッターデビュー(@Tanigaki_S)した。
ただ、ツイッターには有益な発言よりも「接するだけ時間のムダ」とも思える身辺雑記的な私語が溢れている。「せっかくつぶやいても誰も反応してくれない。虚空に向かって話すみたい」と失望する人や「アカウントはつくったけれど放置したまま」の冬眠ユーザーも多い。
とはいえ、指をくわえて見ている手はないと、宣伝媒体に利用しようとする企業も出てきた。企業の広報部などがツイッター上にアカウントを設け、情報をつぶやいて流すのだが、「続きはツイッターで」というキャッチコピーを挿入するテレビCMまで登場している。
ただ、ツイッターの場合、これまでのウェブやブログと同じ感覚で利用しようとすると、とんだ大失敗をすることになる。1対多の情報伝達は可能でも、従来とはまったく性格が異なるためだ。
今年2月5日、UCC上島珈琲がこの特性を理解しないままツイッターを利用して躓いた。特定のキーワードが入った他ユーザーのつぶやきを BOT(ボット)と呼ばれるプログラムで自動収集し、それに自動で宣伝メッセージをリプライしたのだ。しかも複数のアカウントを使い分けて同一のつぶやきを送信したため、スパムメールみたいになって「利用規約に反している」などとツイッター上で批判の嵐となった。ことの重大性に気づいた同社は、開始から2 時間程度で送信を停止、同日付でウェブに「お詫び」を出してようやく事態を収拾している。
実はこういうスパム型のメッセージ送信は、ツイッター族が最も嫌うところ。ツイッターでは、原則として自分のフォロワー(閲覧登録者)のつぶやきだけが閲覧できる仕組みなので、自分の発言にリプライされる形で宣伝めいたスパムが紛れ込んでくると、たちまち目についてしまう。それが興味のない広告情報なら、拒絶反応はいっそう強まる。
実際、宣伝目的で他のユーザーをフォロー(閲覧登録)するアカウントも見受けられるが、フォローされてもフォローし返さなければ、そのユーザーは宣伝を目にすることはない。それでもうるさければ、特定のアカウントをブロックして一切のコミュニケーションを遮断することもできる。つまり、ツイッターには雑音を排除できる仕組みが備わっており、あくまでも「メッセージの受け手が主役」(ツイッターのウェブページより)のメディアなのだ。このあたりが、しばしば「炎上」が話題になるブログとは異なる部分だろう。
このようにマスメディア型の方法論が通用しないメディアだけに、企業や広告代理店は利用方法を考えあぐねているふしがある。そのため、ツイッターのビジネス利用事例の多くは、「顧客の意見を吸い上げる」「顧客との信頼を築く場」といった、コミュニティーを構築したうえでの販促利用の提案に終始している。
マスコミもツイッターとどのように向き合っていいのかわからない様子だ。そんななかで、毎日新聞が「MAINICHI RT」(RTはリツイートの意味)という日刊タブロイド紙を6月1日に創刊する。新聞離れした若者を狙い、ツイッターなどを利用して読者の声を反映するという触れ込み。だが、ツイッター上には「やっぱり紙かよ」などと嘲笑するつぶやきも流れており、スタート前から先行きが危ぶまれる。
取材現場の報道記者にも少なからず影響を与えている。本来なら政治家や企業のトップクラスと個人的な関係を築き上げたうえで、夜討ち朝駆けや携帯電話などで直に聞き出してきた核心的裏コメントを、取材先の本人がツイッター上でつぶやくような例も出てきたからだ。「ブログは構えて書く感じなので公式コメントっぽくなるが、瞬間的な思考を文字にするツイッターのつぶやきは本音が出やすい」と語る識者もいる。
■「ユーチューブ」の二の舞も
しかし、当のツイッターも広告による収益化をどうするか考えあぐねていた。運営費用はベンチャーキャピタルから調達した約1億6千万ドルの資金でまかなわれている。これまではグーグルやヤフーなど検索エンジンへのデータ提供や企業向けアカウント程度で、目立った形で収益化を図ってこなかったが、ここまで巨大化すると、広告収入を柱にしない限り持続可能性(サステナビリティー)を保てなくなる。
4月に発表した広告モデルは、検索キーワードに連動するもので、グーグル・アドなどに似ている。プロモーテッドには「広告」と「昇格」の二つの意味があり、よく考えた命名だが、広告もテキストだけで字数も140字以下。十分な収益を上げられるかどうかは未知数だ。そもそもウェブのように、ツイッター上を検索して情報を探す能動的なユーザーがどの程度いるだろうか。自分でつぶやく以外は、フォローしている他ユーザーの発言の閲覧に終始している場合が多い。ツイッターはリアルタイム性の高い受動的なメディアだけに、グーグルほど媒体価値があるかどうかは疑問が残る。
かつて急成長した動画サイトの「ユーチューブ」がそうだった。ユーザー数は急激に増えたが、広告収入だけでは運営を続けることができず結局はグーグル傘下に。そのグーグルの力をもってしても、ユーチューブは黒字化していない。ツイッターがユーチューブ同様、豊作貧乏に終わらないことを祈るばかりだ。
PR
米グーグル技術幹部 「開放型」が将来有利に
インターネット検索最大手、米グーグルで研究開発を統括するアラン・ユースタス上級副社長は8日、都内で日本経済新聞の取材に応じた。スマートフォンについて、「将来的には『開かれた』システムが栄える」とし、自社が無償提供する基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載端末の普及に自信をみせた。
ユースタス氏は、携帯向けのOSから中核半導体まで自社で囲い込む米アップルのiPhone(アイフォーン)のような「垂直統合型モデル」について、「省電力性能の向上などに取り組みやすいメリットがある」と指摘。ただ、端末メーカーが自由に搭載できるアンドロイドのように、「多くのメーカーが端末開発で技術革新を競い合う構図にはならない」と見通しを語った。
その上で、歴史的に見ると、アップルのような閉ざされたシステムより、開かれたシステムのほうが優位だったとの見方を示した。
「世界の工場」中国の苦境
「世界の工場」が大揺れに揺れている。台湾系EMS(電子機器の製造受託サービス)最大手、鴻海精密工業の中国子会社、富士康科技集団(フォックスコン)が従業員の連続自殺で厳しい批判を受け、大幅賃上げに動き始めたからだ。「人件費の安い」という枕ことばはすでに6、7年前に中国から外れてはいたが、今後は「人件費の割高な」というフレーズが中国に冠せられかねない。
ことの発端は5月中旬、富士康の深セン工場で連続飛び降り自殺が起きていることが露見したことだ。その時点で自殺者は8人だったが、その後も自殺や自殺未遂が相次ぎ、6月7日時点で12人に達した。このニュースは中国国内はもちろん台湾、香港でも大きく報道され、香港のフェニックステレビは元従業員や評論家、富士康関係者などを集めた討論番組まで放送した。
批判に一気に火が付き社会問題化した大きな理由は、富士康が「低賃金長時間の過酷な労働を強いる企業」とのイメージをもたれ、この数年、批判がくすぶっていたからだ。
もともと台湾に工場を置いていた鴻海は低コストの受託組み立てビジネスの成功には賃金の安い中国本土に工場を置くしかないと判断、1990年代末から広東省、江蘇省を手始めに中国各地に工場を展開した。今では中国全土で82万人を雇用し、輸出額では中国最大の企業となっている。ソニーの「プレイステーション」や任天堂の「ゲームボーイ」「Wii」などゲーム機や携帯電話を得意とし、アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」も受託生産している。最近では世界の関心を集める多機能携帯端末「iPad」の生産を受託していることが話題になっている。
EMSの最大の競争力は低コストにあるだけに工場の現場管理は厳しく、ミスの多い従業員の解雇はもちろん、納期に間に合わせるための長時間残業が常態化し、従業員には強いストレスがかかっている、といわれる。iPhoneなど話題性のある製品を組み立てていることで秘密保持や品質面でのプレッシャーも強い。自殺者が続出した原因もそこにあると多くの人はみる。
会社側は批判を受け、待遇改善に動き出した。その柱が給与引き上げで、6月1日から深セン工場で基本給を33%引き上げたほか、深セン以外の中国全土の工場でも30%以上の賃上げを実施。深セン工場では一定以上の評価を得た従業員には10月1日からさらに67%の賃金増額に踏み切り、10月には従業員の平均月給は2000元(約2万7000円)になる見通し。これに残業手当などがつけばさほど熟練度を必要としない工場作業員でも3000元近い月給をもらえることになる。
これは先進国はもちろん中進国に比べてもまだ低い水準だが、ベトナムやインド、インドネシアなど中国より賃金が安くインフラもある程度整った国は周辺にも少なくない。カンボジア、バングラデシュなど賃金が中国の数分の一といった国もアジアにはある。低賃金を競えば、中国は今や完全に負け組だ。
繊維や雑貨などの労働集約型産業の工場はすでに中国から逃げ出してはいるが、電機・電子分野の組み立て工場の脱出も始まれば中国にとっては脅威だろう。中国はより付加価値の高い産業で勝負できる分野をさほど持っていないからだ。一方鴻海など台湾系EMSも中国本土でこそ同胞としての強みを労務管理、部品調達、物流などで発揮できるが、インドやインドネシアでは難しい。
富士康の賃金大幅引き上げは「世界の工場」としての中国の幕引きになりかねない。19世紀以来、同じ冠を得た英国、米国は大量生産の拠点としては衰退、日本も弱体化の瀬戸際にある。中国が同じ道をたどるのか、賃下げで「世界の工場」を死守しようとするのか、中国指導部の悩みは深いだろう。
NEC、多機能携帯端末10月に発売
NECは10月にタブレット型の多機能携帯端末を法人向けに発売する。インターネット経由でソフトウエアやデータを利用するクラウドコンピューティング事業の一環として、自社のサーバーと組み合わせて使える。システムとして提供できる強みを生かし、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」に対抗する。
発売する「LifeTouch(ライフタッチ)」は、画面サイズが7型で指やペンで触れて操作できるタッチパネル方式の液晶を搭載、重さは約400グラムと持ち運びしやすい大きさとした。基本ソフト(OS)には米グーグル「アンドロイド」を採用する。
提供先の企業が電子書籍配信サービスや、動画配信・コンテンツ販売などの自社サービスの端末として利用することを想定。量販店などでの直接販売は予定していない。
iPadの発売を機に、端末各社は相次いで板状の多機能携帯端末への参入を表明している。具体的な製品の詳細が明らかになったのは国内勢ではNECが初めて。
スマートフォン商戦拡大 米アップルなど新製品を発表
【シリコンバレー=岡田信行、ソウル=尾島島雄】多機能携帯電話(スマートフォン)商戦が熱を帯びてきた。米アップルはハイビジョン動画の撮影など機能を充実させた新製品「iPhone(アイフォーン)4」を24日、日米など5カ国で発売する。韓国サムスン電子は8日、米グーグルの基本ソフト(OS)を搭載した新製品を発表した。スマートフォン市場はアップルとグーグルが対決の構図を強めており、新たな競争が市場拡大に弾みをつけそうだ。
「初代機以来、最も大きな飛躍」――アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は7日、サンフランシスコで「iPhone4」をこう紹介した。
高精細な動画が楽しめる液晶パネルや、ビデオ通話ができる機能を搭載。タブレット型の新型情報端末「iPad(アイパッド)」と連携し、電子書籍などのソフトも共有できる。日本ではソフトバンクが24日に発売する。価格は未定。
アップルは新製品発売に合わせ、携帯向けのインターネット広告「iAd(iアド)」の配信を7月1日から始める。ネット広告分野でも最大手のグーグルとの競争が本格化する。
一方、サムスン電子が8日発表したスマートフォン「GALAXY S」は4型の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)のタッチパネルを採用。グーグルのOS「アンドロイド」を搭載した。今月中にまず韓国で発売する。すでに世界で100万台の予約を受けており、日本にもNTTドコモを通じて今秋投入する。
サムスンは半導体や有機ELパネルなど基幹部品を内製できるのが強み。ソウル市内で記者会見した申宗均(シン・チョンギュン)無線事業部長は「スマートフォンの新標準を提示する」と巻き返しを誓った。
米調査会社IDCによると2009年の世界のスマートフォン市場は前年比15%増の1億7420万台。最大手はノキア(シェア38.9%)で、2位はカナダのリサーチ・イン・モーション(同19.8%)。3位のアップル(同14.4%)は09年6月に発売した「iPhone3GS」の大ヒットで勢いがある。
アップルとグーグルは、昨年までグーグルのエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)がアップルの社外取締役を務めるなど親密だった。だがグーグルがスマートフォン向けに独自のOSを開発。「我々が対抗しているのではなく、彼ら(グーグル)が挑んできた」(ジョブスCEO)と対決姿勢を強めている。
グーグルのOSを採用する端末メーカーは徐々に増えている。米モトローラは昨年11月に「ドロイド」、英ソニー・エリクソンは4月に「エクスペリア」の名称でそれぞれアンドロイド端末を投入。グーグル自らも1月から「ネクサスワン」(台湾HTC製)の名称で端末の販売に乗り出している。シャープやNECもアンドロイド搭載端末の出荷を予定している。
NTT東、光回線技術でインドネシア最大手と提携
NTT東日本はインドネシアの通信最大手、テレコムと技術提携する。現地で光ファイバー回線を使った企業向けのブロードバンド(高速大容量)サービスの提供を目指し、技術開発や人材育成で協力する。固定電話など国内需要が伸び悩むなか、新興国市場の開拓を本格化する。
10日に提携の覚書を締結し、発表する。光回線の敷設や保守運用に関する技術開発、サービス開発、マーケティング、技術者育成など広範な分野で協力する。NTT東が海外の通信会社と提携するのはベトナムに次いで2カ国目。ベトナムでは日系企業向けに光回線を提供している。
早ければ年内に、現地で光回線の導入試験に向けた調査を始める。将来はテレコムと共同で、企業向けに高速インターネット接続やデータ通信網など、先進国に近い通信インフラサービスの提供を検討する。
日航、手当大幅削減へ 乗務保障やタクシー代
会社更生手続き中の日本航空は、勤務時間の保障や手当の大幅縮小を柱とする賃金制度改定案をまとめ、労働組合との交渉に入った。経営再建に向け人件費を抑制。限られた原資を能力のある人や成果を出した人に手厚く配分するため、年功的な要素を排除する。8月末までに労使協議を終え、更生計画案に盛り込む。
日航の賃金体系は、基本給より各種手当の比重が高かった。パイロット、客室乗務員、整備士など職種別に様々な賃金保障制度を設けた結果、それが各分野で既得権益化。結果として人件費抑制が進まなかったとの反省から、賃金制度全体を抜本的に作り直す。
実際の勤務の有無に関係なく一定時間勤務したものとみなす、パイロットや客室乗務員向けの「搭乗時間保障」や「乗務手当保障」は、大幅縮小か廃止。ハイヤーやタクシーによる自宅への送迎は、公共交通機関が利用できない時間帯に限る方向で調整する。
全端末対応の電子書籍を 政府懇談会が規格統一会議を提案
総務省や文部科学省、経済産業省の関係3省は8日、東京都内で開いた有識者懇談会で、電子書籍データの規格統一化などを盛り込んだ第一次報告を提案した。早ければ今夏にもまとめる最終報告に向け、具体策を詰める方針だ。
提案は、あらゆる情報端末で読めるようにするため、日本語が表示できる電子書籍データの規格統一を図る「電子出版日本語フォーマット統一規格会議(仮称)」を関係者間で発足させることを要請。日本語文化を世界へ発信する意味で、統一規格の国際標準化も目指す。
また、誰でも電子書籍を読めるように図書館や友人間で貸し借りをする際のルール作りなどが解決すべき課題として挙げられた。
政府は「日本の電子書籍のあり方を官民一体で議論する必要がある」(総務省)とし、今年3月に関係3省の懇談会を発足させ、議論を重ねてきた。
子ども手当満額支給「非常に難しい」 長妻厚労相
長妻昭厚生労働相は8日の初閣議後の記者会見で、2011年度以降に予定する子ども手当の満額支給について「財政上の制約もあり、非常に難しい」と述べ、衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた月額2万6000円の支給方針を修正する考えを示した。
子ども手当は6月から半額の月額1万3000円の支給が始まった。厚労相は11年度以降の上乗せについて「現金で支給するか、保育サービスにするかは今後検討する」と説明。現行の1万3000円を減額することは否定したものの「現金、(保育サービスなどの)現物を問わず、2万6000円の水準確保は難しい」と述べた。
若年者扶養控除の廃止で増税になる世帯があることも踏まえ「一定の年収以上の方々のプラスマイナスがどう変わるかをみる必要がある」と指摘し、税制見直しの影響も考慮して上乗せ水準を検討する考えを示した。
「第三の道」は増税路線? 菅政権の経済政策にエコノミストらが警戒感
「強い経済、財政、社会保障を一体として実現する」。菅直人首相が8日の会見でこう述べた新内閣の経済・財政運営は、予算を家計や社会保障の充実、環境分野などの市場に振り向け、内需を拡大する「第三の道」を選ぶ。「日本で誰もやったことがない」(大手証券)といわれる未知の成長シナリオだけに、その効果は読み切れない。増税論だけが先走ることへの警戒感がエコノミストらからあがっている。
「第三の道」は、国の公共事業支出をてこにした自民党歴代政権の景気浮揚策を「第一の道」、規制緩和に活路を見いだそうとした小泉改革を「第二の道」と位置付け、それらと一線を画することで政策運営の違いを鮮明化させることを狙った菅政権の造語だ。
しかし、マーケットからは「概念先行。本来両立しない財政健全化と景気回復をしなくてならない事情から出てきた考え方だろう」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)と冷ややかな声がきこえてくる。
予算の重点を家計に波及しやすい分野に置くことで将来不安が緩和すれば、家計の財布が緩み、内需を底上げする-。そんな論理を押し出す「第三の道」は、その前提になる財源確保につまずけば、単なる大増税路線へと化けかねない。
だからこそ、エコノミストには「菅首相の経済運営の焦点は消費税にある」(第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト)との見方がすでに定着している。その消費税率の引き上げを念頭に置いた上で、菅政権の政策のかじ取りに対する注文は多い。
「経済のパイが大きくならないと、成長の持続性はない。増税が先行すれば、家計は所得を貯蓄に回すので逆に景気を冷やす」。日本総研の山田久主席研究員はこう警告し、「まずは1、2年は新興国の需要を取り込んで日本の所得を増やす政策をとらなくてはならない」と成長戦略の重要性を訴える。
大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミストも「規制緩和などを並行して進めなければ、いずれは行き詰まってしまう」と「第二の道」との融和を求めている。
また、「第三の道」の議論につきまとう市場メカニズムへの嫌悪と増税路線は、日本経済の競争力をむしばむ「大きな政府」に流れていく恐れを常に内在している。このため、「官がコントロールするなら、かつての護送船団時代と同じ。結局、『第一の道』に逆戻りしてしまうのではないか」(上野氏)と危ぶむ見方もでている。
【産経主張】菅内閣発足 まず国家の基軸を示せ 言葉よりも具体的な成果を
菅直人首相が国民新党との連立政権を発足させた。
首相は内閣や民主党の人事を通じて小沢一郎前幹事長の影響力排除を印象づけ、党の政策調査会を復活させるなど、党運営や政策決定を変える姿勢を示した。言葉だけでなく具体的な中身を明らかにし、成果を出すことが求められる。たとえば、政治とカネの問題で小沢氏の証人喚問などが実現できなければ、クリーンな政治も口先だけとみなされよう。
首相は会見で、政治の役割を「最小不幸の社会をつくること」と述べた。そのためにばらまき政策を続けようというのだろうか。米軍普天間飛行場移設問題で日米関係を危うくすることが国民や国全体の利益を損ない、不幸をもたらすことを忘れてはなるまい。
◆増税時期を明らかに
鳩山前政権が国政を迷走させ、国民の信を失ったのは、日本の安全や繁栄に向けて国家の基軸が欠落していたことが大きい。首相は日本丸の舵(かじ)取りを誤りなく行うため大きな国家戦略を描き、国民に提示することを最優先すべきである。
菅内閣がまず取り組まねばならないのは、月内に策定する財政健全化目標を説得力あるものにすることだろう。破綻(はたん)寸前に陥った財政に明確な中長期の目標ができれば、国民の将来不安が和らぎ市場も歓迎するからで、経済成長にもつながる。
ついに国債発行が税収を上回った財政はあまりに異常だ。財務省の試算だと、政権公約の今年度実施分を継続した場合、来年度の歳出と税収の差額は51・3兆円に上る。このままでは首相のいうように国債を今年度並みの44・3兆円に抑えるのは困難だし、将来はさらに発行規模が膨らもう。
破綻の道を回避するには、どうしても説得力ある健全化目標が必要なのだ。そのためには中期と長期の数値を示すと同時に、それを裏付ける歳出と歳入の具体的道筋を示さねばならない。つまり、ばらまき政権公約の撤回と消費税を中心とした増税の時期、規模の明示である。
問題は参院選を前に、こうした痛みを伴う政策を、首相と党内きっての財政規律派の野田佳彦財務相がどこまで示せるかだ。それは財政健全化に向けた菅内閣の本気度を占う試金石となるだろう。
首相が掲げる「第三の道」と称する手法にも疑問符が付く。増税による収入を医療・介護・環境分野に投入し、成長と税収増を同時に実現するというものだが、下手をすると大きな政府と膨大な債務だけを残しかねないからだ。
成長戦略は規制改革を中心に据え、増税分は財政健全化に直接的に役立てるべきだ。新政権には、こうした真っ当で責任ある経済財政運営を求めたい。
◆労組との癒着を正せ
菅内閣では玄葉光一郎政調会長が閣僚を兼務し、政府と党の政策決定一元化を図る。党側の政策部門をどこまで細分化するかなどが課題だ。利権を求める新たな「族議員」を生んではならない。
「政治主導」について、首相は「官僚排除ではない」と指摘し、「政と官の力強い関係性をつくっていきたい」と語った。ごく少数の政治家が十分な知識を持たないまま、迷走と混乱をもたらした。政策決定システムに官僚をどう位置付けるかを再考すべきだ。
小沢氏への権力集中で、独裁的な党運営をもたらしていた執行部体制の交代は「選挙至上主義」や露骨な利益誘導の政治を見直す機会となろう。だが、民主党の主要な支持団体は労働組合であり、選挙で支援を求める関係は続く。
北海道教組からの違法献金で小林千代美衆院議員の陣営幹部が起訴された事件は、教職員団体による丸抱え選挙などの実態を浮き彫りにした。特定団体との癒着をなくし、公正な政治を進めていくことができるのか。党運営の透明化を具体的な形にすべきだ。
普天間問題に関係した岡田克也外相や北沢俊美防衛相らは再任された。日米合意に基づき、8月末までに「辺野古」移設案の位置や工法を決着させる作業が残っている。首相は普天間問題に取り組む枠組みを仙谷由人官房長官を中心に考えるとしているが、自ら指導力を発揮すべきである。
郵政法案について、首相は亀井静香金融・郵政改革担当相と早期成立を重ねて確認した。菅内閣でも、民営化に逆行する問題の多い法案への対応が変わらないのは極めて残念だ。徹底的に審議して廃案にすることが、内閣の清新さをアピールすることになる。
インターネット検索最大手、米グーグルで研究開発を統括するアラン・ユースタス上級副社長は8日、都内で日本経済新聞の取材に応じた。スマートフォンについて、「将来的には『開かれた』システムが栄える」とし、自社が無償提供する基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載端末の普及に自信をみせた。
ユースタス氏は、携帯向けのOSから中核半導体まで自社で囲い込む米アップルのiPhone(アイフォーン)のような「垂直統合型モデル」について、「省電力性能の向上などに取り組みやすいメリットがある」と指摘。ただ、端末メーカーが自由に搭載できるアンドロイドのように、「多くのメーカーが端末開発で技術革新を競い合う構図にはならない」と見通しを語った。
その上で、歴史的に見ると、アップルのような閉ざされたシステムより、開かれたシステムのほうが優位だったとの見方を示した。
「世界の工場」中国の苦境
「世界の工場」が大揺れに揺れている。台湾系EMS(電子機器の製造受託サービス)最大手、鴻海精密工業の中国子会社、富士康科技集団(フォックスコン)が従業員の連続自殺で厳しい批判を受け、大幅賃上げに動き始めたからだ。「人件費の安い」という枕ことばはすでに6、7年前に中国から外れてはいたが、今後は「人件費の割高な」というフレーズが中国に冠せられかねない。
ことの発端は5月中旬、富士康の深セン工場で連続飛び降り自殺が起きていることが露見したことだ。その時点で自殺者は8人だったが、その後も自殺や自殺未遂が相次ぎ、6月7日時点で12人に達した。このニュースは中国国内はもちろん台湾、香港でも大きく報道され、香港のフェニックステレビは元従業員や評論家、富士康関係者などを集めた討論番組まで放送した。
批判に一気に火が付き社会問題化した大きな理由は、富士康が「低賃金長時間の過酷な労働を強いる企業」とのイメージをもたれ、この数年、批判がくすぶっていたからだ。
もともと台湾に工場を置いていた鴻海は低コストの受託組み立てビジネスの成功には賃金の安い中国本土に工場を置くしかないと判断、1990年代末から広東省、江蘇省を手始めに中国各地に工場を展開した。今では中国全土で82万人を雇用し、輸出額では中国最大の企業となっている。ソニーの「プレイステーション」や任天堂の「ゲームボーイ」「Wii」などゲーム機や携帯電話を得意とし、アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」も受託生産している。最近では世界の関心を集める多機能携帯端末「iPad」の生産を受託していることが話題になっている。
EMSの最大の競争力は低コストにあるだけに工場の現場管理は厳しく、ミスの多い従業員の解雇はもちろん、納期に間に合わせるための長時間残業が常態化し、従業員には強いストレスがかかっている、といわれる。iPhoneなど話題性のある製品を組み立てていることで秘密保持や品質面でのプレッシャーも強い。自殺者が続出した原因もそこにあると多くの人はみる。
会社側は批判を受け、待遇改善に動き出した。その柱が給与引き上げで、6月1日から深セン工場で基本給を33%引き上げたほか、深セン以外の中国全土の工場でも30%以上の賃上げを実施。深セン工場では一定以上の評価を得た従業員には10月1日からさらに67%の賃金増額に踏み切り、10月には従業員の平均月給は2000元(約2万7000円)になる見通し。これに残業手当などがつけばさほど熟練度を必要としない工場作業員でも3000元近い月給をもらえることになる。
これは先進国はもちろん中進国に比べてもまだ低い水準だが、ベトナムやインド、インドネシアなど中国より賃金が安くインフラもある程度整った国は周辺にも少なくない。カンボジア、バングラデシュなど賃金が中国の数分の一といった国もアジアにはある。低賃金を競えば、中国は今や完全に負け組だ。
繊維や雑貨などの労働集約型産業の工場はすでに中国から逃げ出してはいるが、電機・電子分野の組み立て工場の脱出も始まれば中国にとっては脅威だろう。中国はより付加価値の高い産業で勝負できる分野をさほど持っていないからだ。一方鴻海など台湾系EMSも中国本土でこそ同胞としての強みを労務管理、部品調達、物流などで発揮できるが、インドやインドネシアでは難しい。
富士康の賃金大幅引き上げは「世界の工場」としての中国の幕引きになりかねない。19世紀以来、同じ冠を得た英国、米国は大量生産の拠点としては衰退、日本も弱体化の瀬戸際にある。中国が同じ道をたどるのか、賃下げで「世界の工場」を死守しようとするのか、中国指導部の悩みは深いだろう。
NEC、多機能携帯端末10月に発売
NECは10月にタブレット型の多機能携帯端末を法人向けに発売する。インターネット経由でソフトウエアやデータを利用するクラウドコンピューティング事業の一環として、自社のサーバーと組み合わせて使える。システムとして提供できる強みを生かし、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」に対抗する。
発売する「LifeTouch(ライフタッチ)」は、画面サイズが7型で指やペンで触れて操作できるタッチパネル方式の液晶を搭載、重さは約400グラムと持ち運びしやすい大きさとした。基本ソフト(OS)には米グーグル「アンドロイド」を採用する。
提供先の企業が電子書籍配信サービスや、動画配信・コンテンツ販売などの自社サービスの端末として利用することを想定。量販店などでの直接販売は予定していない。
iPadの発売を機に、端末各社は相次いで板状の多機能携帯端末への参入を表明している。具体的な製品の詳細が明らかになったのは国内勢ではNECが初めて。
スマートフォン商戦拡大 米アップルなど新製品を発表
【シリコンバレー=岡田信行、ソウル=尾島島雄】多機能携帯電話(スマートフォン)商戦が熱を帯びてきた。米アップルはハイビジョン動画の撮影など機能を充実させた新製品「iPhone(アイフォーン)4」を24日、日米など5カ国で発売する。韓国サムスン電子は8日、米グーグルの基本ソフト(OS)を搭載した新製品を発表した。スマートフォン市場はアップルとグーグルが対決の構図を強めており、新たな競争が市場拡大に弾みをつけそうだ。
「初代機以来、最も大きな飛躍」――アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は7日、サンフランシスコで「iPhone4」をこう紹介した。
高精細な動画が楽しめる液晶パネルや、ビデオ通話ができる機能を搭載。タブレット型の新型情報端末「iPad(アイパッド)」と連携し、電子書籍などのソフトも共有できる。日本ではソフトバンクが24日に発売する。価格は未定。
アップルは新製品発売に合わせ、携帯向けのインターネット広告「iAd(iアド)」の配信を7月1日から始める。ネット広告分野でも最大手のグーグルとの競争が本格化する。
一方、サムスン電子が8日発表したスマートフォン「GALAXY S」は4型の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)のタッチパネルを採用。グーグルのOS「アンドロイド」を搭載した。今月中にまず韓国で発売する。すでに世界で100万台の予約を受けており、日本にもNTTドコモを通じて今秋投入する。
サムスンは半導体や有機ELパネルなど基幹部品を内製できるのが強み。ソウル市内で記者会見した申宗均(シン・チョンギュン)無線事業部長は「スマートフォンの新標準を提示する」と巻き返しを誓った。
米調査会社IDCによると2009年の世界のスマートフォン市場は前年比15%増の1億7420万台。最大手はノキア(シェア38.9%)で、2位はカナダのリサーチ・イン・モーション(同19.8%)。3位のアップル(同14.4%)は09年6月に発売した「iPhone3GS」の大ヒットで勢いがある。
アップルとグーグルは、昨年までグーグルのエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)がアップルの社外取締役を務めるなど親密だった。だがグーグルがスマートフォン向けに独自のOSを開発。「我々が対抗しているのではなく、彼ら(グーグル)が挑んできた」(ジョブスCEO)と対決姿勢を強めている。
グーグルのOSを採用する端末メーカーは徐々に増えている。米モトローラは昨年11月に「ドロイド」、英ソニー・エリクソンは4月に「エクスペリア」の名称でそれぞれアンドロイド端末を投入。グーグル自らも1月から「ネクサスワン」(台湾HTC製)の名称で端末の販売に乗り出している。シャープやNECもアンドロイド搭載端末の出荷を予定している。
NTT東、光回線技術でインドネシア最大手と提携
NTT東日本はインドネシアの通信最大手、テレコムと技術提携する。現地で光ファイバー回線を使った企業向けのブロードバンド(高速大容量)サービスの提供を目指し、技術開発や人材育成で協力する。固定電話など国内需要が伸び悩むなか、新興国市場の開拓を本格化する。
10日に提携の覚書を締結し、発表する。光回線の敷設や保守運用に関する技術開発、サービス開発、マーケティング、技術者育成など広範な分野で協力する。NTT東が海外の通信会社と提携するのはベトナムに次いで2カ国目。ベトナムでは日系企業向けに光回線を提供している。
早ければ年内に、現地で光回線の導入試験に向けた調査を始める。将来はテレコムと共同で、企業向けに高速インターネット接続やデータ通信網など、先進国に近い通信インフラサービスの提供を検討する。
日航、手当大幅削減へ 乗務保障やタクシー代
会社更生手続き中の日本航空は、勤務時間の保障や手当の大幅縮小を柱とする賃金制度改定案をまとめ、労働組合との交渉に入った。経営再建に向け人件費を抑制。限られた原資を能力のある人や成果を出した人に手厚く配分するため、年功的な要素を排除する。8月末までに労使協議を終え、更生計画案に盛り込む。
日航の賃金体系は、基本給より各種手当の比重が高かった。パイロット、客室乗務員、整備士など職種別に様々な賃金保障制度を設けた結果、それが各分野で既得権益化。結果として人件費抑制が進まなかったとの反省から、賃金制度全体を抜本的に作り直す。
実際の勤務の有無に関係なく一定時間勤務したものとみなす、パイロットや客室乗務員向けの「搭乗時間保障」や「乗務手当保障」は、大幅縮小か廃止。ハイヤーやタクシーによる自宅への送迎は、公共交通機関が利用できない時間帯に限る方向で調整する。
全端末対応の電子書籍を 政府懇談会が規格統一会議を提案
総務省や文部科学省、経済産業省の関係3省は8日、東京都内で開いた有識者懇談会で、電子書籍データの規格統一化などを盛り込んだ第一次報告を提案した。早ければ今夏にもまとめる最終報告に向け、具体策を詰める方針だ。
提案は、あらゆる情報端末で読めるようにするため、日本語が表示できる電子書籍データの規格統一を図る「電子出版日本語フォーマット統一規格会議(仮称)」を関係者間で発足させることを要請。日本語文化を世界へ発信する意味で、統一規格の国際標準化も目指す。
また、誰でも電子書籍を読めるように図書館や友人間で貸し借りをする際のルール作りなどが解決すべき課題として挙げられた。
政府は「日本の電子書籍のあり方を官民一体で議論する必要がある」(総務省)とし、今年3月に関係3省の懇談会を発足させ、議論を重ねてきた。
子ども手当満額支給「非常に難しい」 長妻厚労相
長妻昭厚生労働相は8日の初閣議後の記者会見で、2011年度以降に予定する子ども手当の満額支給について「財政上の制約もあり、非常に難しい」と述べ、衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた月額2万6000円の支給方針を修正する考えを示した。
子ども手当は6月から半額の月額1万3000円の支給が始まった。厚労相は11年度以降の上乗せについて「現金で支給するか、保育サービスにするかは今後検討する」と説明。現行の1万3000円を減額することは否定したものの「現金、(保育サービスなどの)現物を問わず、2万6000円の水準確保は難しい」と述べた。
若年者扶養控除の廃止で増税になる世帯があることも踏まえ「一定の年収以上の方々のプラスマイナスがどう変わるかをみる必要がある」と指摘し、税制見直しの影響も考慮して上乗せ水準を検討する考えを示した。
「第三の道」は増税路線? 菅政権の経済政策にエコノミストらが警戒感
「強い経済、財政、社会保障を一体として実現する」。菅直人首相が8日の会見でこう述べた新内閣の経済・財政運営は、予算を家計や社会保障の充実、環境分野などの市場に振り向け、内需を拡大する「第三の道」を選ぶ。「日本で誰もやったことがない」(大手証券)といわれる未知の成長シナリオだけに、その効果は読み切れない。増税論だけが先走ることへの警戒感がエコノミストらからあがっている。
「第三の道」は、国の公共事業支出をてこにした自民党歴代政権の景気浮揚策を「第一の道」、規制緩和に活路を見いだそうとした小泉改革を「第二の道」と位置付け、それらと一線を画することで政策運営の違いを鮮明化させることを狙った菅政権の造語だ。
しかし、マーケットからは「概念先行。本来両立しない財政健全化と景気回復をしなくてならない事情から出てきた考え方だろう」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)と冷ややかな声がきこえてくる。
予算の重点を家計に波及しやすい分野に置くことで将来不安が緩和すれば、家計の財布が緩み、内需を底上げする-。そんな論理を押し出す「第三の道」は、その前提になる財源確保につまずけば、単なる大増税路線へと化けかねない。
だからこそ、エコノミストには「菅首相の経済運営の焦点は消費税にある」(第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト)との見方がすでに定着している。その消費税率の引き上げを念頭に置いた上で、菅政権の政策のかじ取りに対する注文は多い。
「経済のパイが大きくならないと、成長の持続性はない。増税が先行すれば、家計は所得を貯蓄に回すので逆に景気を冷やす」。日本総研の山田久主席研究員はこう警告し、「まずは1、2年は新興国の需要を取り込んで日本の所得を増やす政策をとらなくてはならない」と成長戦略の重要性を訴える。
大和総研の熊谷亮丸シニアエコノミストも「規制緩和などを並行して進めなければ、いずれは行き詰まってしまう」と「第二の道」との融和を求めている。
また、「第三の道」の議論につきまとう市場メカニズムへの嫌悪と増税路線は、日本経済の競争力をむしばむ「大きな政府」に流れていく恐れを常に内在している。このため、「官がコントロールするなら、かつての護送船団時代と同じ。結局、『第一の道』に逆戻りしてしまうのではないか」(上野氏)と危ぶむ見方もでている。
【産経主張】菅内閣発足 まず国家の基軸を示せ 言葉よりも具体的な成果を
菅直人首相が国民新党との連立政権を発足させた。
首相は内閣や民主党の人事を通じて小沢一郎前幹事長の影響力排除を印象づけ、党の政策調査会を復活させるなど、党運営や政策決定を変える姿勢を示した。言葉だけでなく具体的な中身を明らかにし、成果を出すことが求められる。たとえば、政治とカネの問題で小沢氏の証人喚問などが実現できなければ、クリーンな政治も口先だけとみなされよう。
首相は会見で、政治の役割を「最小不幸の社会をつくること」と述べた。そのためにばらまき政策を続けようというのだろうか。米軍普天間飛行場移設問題で日米関係を危うくすることが国民や国全体の利益を損ない、不幸をもたらすことを忘れてはなるまい。
◆増税時期を明らかに
鳩山前政権が国政を迷走させ、国民の信を失ったのは、日本の安全や繁栄に向けて国家の基軸が欠落していたことが大きい。首相は日本丸の舵(かじ)取りを誤りなく行うため大きな国家戦略を描き、国民に提示することを最優先すべきである。
菅内閣がまず取り組まねばならないのは、月内に策定する財政健全化目標を説得力あるものにすることだろう。破綻(はたん)寸前に陥った財政に明確な中長期の目標ができれば、国民の将来不安が和らぎ市場も歓迎するからで、経済成長にもつながる。
ついに国債発行が税収を上回った財政はあまりに異常だ。財務省の試算だと、政権公約の今年度実施分を継続した場合、来年度の歳出と税収の差額は51・3兆円に上る。このままでは首相のいうように国債を今年度並みの44・3兆円に抑えるのは困難だし、将来はさらに発行規模が膨らもう。
破綻の道を回避するには、どうしても説得力ある健全化目標が必要なのだ。そのためには中期と長期の数値を示すと同時に、それを裏付ける歳出と歳入の具体的道筋を示さねばならない。つまり、ばらまき政権公約の撤回と消費税を中心とした増税の時期、規模の明示である。
問題は参院選を前に、こうした痛みを伴う政策を、首相と党内きっての財政規律派の野田佳彦財務相がどこまで示せるかだ。それは財政健全化に向けた菅内閣の本気度を占う試金石となるだろう。
首相が掲げる「第三の道」と称する手法にも疑問符が付く。増税による収入を医療・介護・環境分野に投入し、成長と税収増を同時に実現するというものだが、下手をすると大きな政府と膨大な債務だけを残しかねないからだ。
成長戦略は規制改革を中心に据え、増税分は財政健全化に直接的に役立てるべきだ。新政権には、こうした真っ当で責任ある経済財政運営を求めたい。
◆労組との癒着を正せ
菅内閣では玄葉光一郎政調会長が閣僚を兼務し、政府と党の政策決定一元化を図る。党側の政策部門をどこまで細分化するかなどが課題だ。利権を求める新たな「族議員」を生んではならない。
「政治主導」について、首相は「官僚排除ではない」と指摘し、「政と官の力強い関係性をつくっていきたい」と語った。ごく少数の政治家が十分な知識を持たないまま、迷走と混乱をもたらした。政策決定システムに官僚をどう位置付けるかを再考すべきだ。
小沢氏への権力集中で、独裁的な党運営をもたらしていた執行部体制の交代は「選挙至上主義」や露骨な利益誘導の政治を見直す機会となろう。だが、民主党の主要な支持団体は労働組合であり、選挙で支援を求める関係は続く。
北海道教組からの違法献金で小林千代美衆院議員の陣営幹部が起訴された事件は、教職員団体による丸抱え選挙などの実態を浮き彫りにした。特定団体との癒着をなくし、公正な政治を進めていくことができるのか。党運営の透明化を具体的な形にすべきだ。
普天間問題に関係した岡田克也外相や北沢俊美防衛相らは再任された。日米合意に基づき、8月末までに「辺野古」移設案の位置や工法を決着させる作業が残っている。首相は普天間問題に取り組む枠組みを仙谷由人官房長官を中心に考えるとしているが、自ら指導力を発揮すべきである。
郵政法案について、首相は亀井静香金融・郵政改革担当相と早期成立を重ねて確認した。菅内閣でも、民営化に逆行する問題の多い法案への対応が変わらないのは極めて残念だ。徹底的に審議して廃案にすることが、内閣の清新さをアピールすることになる。
アップル「iPhone4」 孫氏もご満悦の高性能(COLUMN)
米アップルの開発者向けイベント「Worldwide Developers Conference(WWDC)2010」が6月8日(米国時間6月7日)、サンフランシスコで開幕した。基調講演ではスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)がスマートフォン「iPhone」の新機種「iPhone4」を発表した。日本でも6月24日に発売される。
WWDCはアップルが主催する開発者向けのイベント。今年は15万円程度するチケットが発売8日で完売するという盛況ぶりで、57カ国から5200人が参加している。人気の理由はやはりiPhoneで、世界のソフトウエア開発者がiPhone向けアプリの最新情報を得ようとサンフランシスコに集結した。
基調講演ではまず、多機能携帯端末「iPad」の好調ぶりが披露された。米国で4月3日に発売されたのを皮切りに日本でも販売が始まっているが、すでに累計販売は200万台を超え、世界で3秒に1台のペースで売れているという。専用アプリも8500本に増え、ダウンロード数は3500万件を突破した。
だが、今回の基調講演の主役はやはりiPhoneだ。基調講演の大半の時間をiPhone4の紹介に割いたほどで、アップルとジョブズ氏の力の入れようが伝わってくる。4代目となるiPhone新機種は「iPhone 4G」や「iPhone HD」といった製品名も噂されていたが、シンプルな名称で落ち着いたようだ。
「見たことはあると思うが……」
ジョブズ氏はiPhone4を8つの切り口で紹介していった。
1つめが「デザイン」だ。iPhone4のデザインはすでに一部ニュースサイトが「バーに新しいiPhoneが落ちていた」と画像付きで掲載したり、ベトナムからの流出映像がネットで公開されたりして、事前に知れ渡っていた。発表されたiPhone4はまさにそのデザイン。ジョブズ氏も聴衆に「見たことはあると思うが……」とぼやいていた。
しかし、基調講演後に実際にiPhone4に触ってみると高級感があり、これが199ドルからで買えるものとは思えない質感に仕上がっている。今回の筐体は前面だけでなく背面にもガラスを用い、側面のフレームにはステンレススチールを採用している。こうした素材の使い方が高級感につながっているようだ。ちなみに、側面のステンレススチールは、全地球測位システム(GPS)や無線LAN、第3世代(3G)携帯電話などのアンテナの機能も持たせているという。
本体サイズは厚さ9.3ミリで、前機種の「iPhone 3GS」から24%も薄くなった。これまでの丸みを帯びたデザインから角張った形状になったことで最初は違和感を覚えたが、それはすぐに払拭され「格好いい」と思えるようになった。
孫社長が絶賛したディスプレー
2つめは「ディスプレー」だ。iPhone4は「Retina(網膜)ディスプレー」と呼ぶ高精細な液晶を搭載する。画素の密度を示す値は326dpiで、ジョブズ氏によれば「人間が識別できる解像度を超えている」。実際、画面サイズは3.5インチでiPhone 3GSと変わらないが、画素数は4倍の960×640ドットに高まった。
このディスプレーにすっかりほれ込んだ様子なのが、ソフトバンクモバイルの孫正義社長だ。基調講演後にジョブズ氏から直接製品の説明を受けた際、孫社長がまずほめたのはこのディスプレーだった。
「画面がめちゃくちゃ綺麗。美しさがたまらない。毎日、iPhoneでTwitter(ツイッター)をやっているけど、最近急に老眼がひどくなって、大量のつぶやきを見るとフォントがギザギザしていて目が疲れてしまう。このiPhoneは文字が綺麗で目を疲れさせない。メガネなしで読めてしまう」と大絶賛だ。
実際、この解像度と表現力は目を見張るものがある。最近は台湾HTCの「HTC Desire」など画面サイズや画質で優れるスマートフォンが増えているが、iPhone4はこれで他を大きく引き離したように感じる。
A4チップ、反応サクサクで省電力
3つめのポイントは「A4チップ」だ。すでにiPadで採用されている高性能チップで、予想通りiPhone4でも搭載されることになった。応答の速さはiPadで実証ずみだが、iPhone4に触ってみると、高解像度化され画像表示の負荷が上がっているにもかかわらず、反応がよくサクサクと動く。iPhoneのようなモバイル端末がますますコンピューター並みの処理速度に近づいていくがわかる。しかも、バッテリー駆動時間も延び、3G通話が7時間、3Gでのブラウジングが6時間、無線LAN環境が10時間、待機時間が300時間と大幅に省電力化された。
4つめは角速度を検出する「ジャイロスコープ」だ。ジャイロスコープと加速度センサーを組み合わせることにより、6軸のモーションコントロールが可能になる。本体の傾きだけでなく向きなども検知して操作できるゲームなどのアプリが登場するはずだ。
従来の300万画素から500万画素に高画質化した「カメラ」は5つめのポイントとして紹介された。5倍のデジタルズームを備え、動画もハイビジョン(HD)録画が可能になった。
iPhone用動画編集アプリ「iMovie for iPhone」も有料で販売する。撮影した動画の編集だけでなく、iTunesの音楽を加えたり、メールなどで共有したりもできるという。アップルはこれまでパソコン「MacBook」向けの動画編集ソフト「iMovie」を熱心にアピールしていたが、これがiPhoneでできるようになるわけだ。動画編集は高性能なマシンで時間をかけてやるものというイメージがあるが、指一本で簡単に編集し送れるようになれば、手軽な楽しみとして若い世代にも広がっていく可能性がありそうだ。
マルチタスクの最新版OS
iPhone4は、最新版OS「iOS4」を採用している。従来は「iPhone OS」と呼んでいたが、同じOSがiPadや音楽プレーヤー「iPod touch」にも搭載されていることから、今回から「iOS」という名称に変えた。これが6つめのポイントとなる。
iOS4で便利そうだと感じたのがマルチタスク機能だ。従来のiPhoneはシングルタスクでの処理しかできず、1つのアプリから別のアプリに移るには一度アプリを閉じる必要があった。マルチタスク対応のiOS4は複数の処理を同時に行うことができ、あるアプリを使いながらホームボタンを2回押すとアイコン一覧が登場して、別のアプリを起動できる。これまで以上に複数のアプリを行き来しやすくなり、利便性が高まりそうだ。
アプリをフォルダで管理できるようになったのも変更点の一つだ。これまではアプリをダウンロードしすぎると、画面がアイコンだらけになってしまい、必要なアプリを探しにくかった。新OSでは、例えば「スポーツ」「音楽」といったフォルダでアプリを一まとめに管理できるようになる。
7つめに紹介したのは電子書籍アプリの「iBooks」。iPad用に提供を始めたiBooksをiPhoneでも使えるようにした。電子書籍を読んでいる途中に「しおり」をつけたりマーカーで印をつけたりする機能があるが、これらをネット経由で共有できるようにもした。これによりiPhoneで読みかけた電子書籍の続きをiPadで読むといったこともスムーズになる。このあたりの仕様は先行する米アマゾン・ドット・コムの「Kindle(キンドル)」を追いかけたものと思われる。
8つめは「広告」。アプリに広告を入れる「iAd」を始める。広告付きの無料アプリが増えれば、ユーザーにとってメリットがある。開発者も広告付きの無料アプリでユーザーを増やして収入は広告料でまかなうなど事業モデルの幅が広がる。
「One more Thing!!」
8つのポイントを紹介した後、ジョブズ氏の口から飛び出したのは、最近の基調講演ではあまり聴かれることのなかった「One more Thing」の宣言。会場のボルテージを一気に高めた後、ビデオ通話機能「FaceTime」を披露した。
iPhone4は本体前面にカメラを搭載し、無線LAN経由で特別な設定をせずビデオ通話をすることができる。これはiOS4のみの機能で、当初はユーザーが限られるが、「今年、数千万台のFaceTimeデバイスを出荷する」(ジョブズ氏)というように、一気にユーザーを増やして「使われるテレビ通話サービス」を目指そうとしている。
もっとも、FaceTimeの説明を聞いてまず感じたのは「実際に使う人がいるのか」という疑問だ。海外ではモバイル環境のテレビ電話は珍しいかもしれないが、日本ではすでにNTTドコモがFOMA開始時の主力サービスとして「テレビ電話」をさかんに売り込んで、鳴かず飛ばずに終わった経緯がある。
最近のNTTドコモの新製品にはテレビ電話に使う本体前面のカメラを省いた機種もある。ただ、アップルによるFaceTimeのプロモーションビデオは、妊婦が胎内のエコー動画を遠方にいる夫に見せるシーンや手話で会話をするカップルなど、気持ちが温かくなるようなシチュエーションを盛り込み、「ちょっと使ってみたい」と思わせる演出にうまさを感じた。美しい映像で無料で使えるのであれば、ユーザーが拡がることも考えられる。
日本におけるテレビ電話の可能性について、ソフトバンクモバイルの孫社長は「ビデオ通話は日本のケータイにあったが、誰も使っていない。(画質が)汚いし、面倒くさいし、通信費が高いのがその理由。FaceTimeがあれば(従来の)テレビ会議はいらなくなる。最高だよね」と語った。FaceTimeはいまのところ、無線LAN環境でしか使えない。折しも、ソフトバンクモバイルは3G回線の逼迫を緩和するため、ネットワーク強化や公衆無線LANの活用を進めている。孫社長は自社の無線LAN戦略について「(FaceTimeと)とても相性がいい」と語っていたが、次善の策として強化してきた無線LANが結果的にアップルの新機能を後押しすることになりそうだ。
ジョブズ氏と孫氏の友好関係
iPhone4は6月24日、まず米国、フランス、ドイツ、イギリス、日本の5カ国で販売がスタートする。7月には18カ国、8月には24カ国、9月には88カ国へと販売国が広がる。iPadの品薄状態がまだ続くなか、1カ月もせずに今度はiPhone4が日本に上陸することになる。
今回の基調講演で、ジョブズ氏は「完全復活」を強く印象付けた。ここ数年のWWDCや09年で最後となった「Mac World Expo」の基調講演は、ジョブズ氏が病気療養で欠席したり、あるいは2時間近い長丁場をジョブズ氏と副社長たち分担したりすることが多かった。
今年の基調講演は、アプリなどについてのプレゼンテーション以外はすべてジョブズ氏が担当して、延々と語り続けた。時にジョークを交えて、観客を引き込むプレゼン術はまさに圧巻。iPhone4はその完成度の高さからもわかるようにジョブズ氏の渾身のプロダクトであり、自身の口で思いの丈を語りたかったのだろう。その気迫がひしひしと伝わってくるようだった。
もう1つ、目についたのは、ジョブズ氏と孫社長との友好関係だ。基調講演終了後、ジョブズ氏は孫社長にiPhone4の使い方を自らレクチャーしたりしていた。基調講演後にジョブズ氏と話すことができるVIPは本当に数少ないのだが、そのなかに当たり前のように孫社長が入っている。
iPadの販売交渉でも、孫社長とジョブズ氏は一発で商談を決めたらしい。2人の関係があったからこそ、世界で唯一iPadにSIMロックがかかったのかもしれない。
iPhone4が最初に発売される5カ国に日本が入っている理由を聞かれた孫社長は「iPadを頑張って売っているから」と語っていた。ソフトバンクモバイルの相当な営業努力がアップルにも認められているということなのだろう。
ジョブズの自信作といえるiPhone4。性能が大幅に向上しマルチタスクも可能になるなど、他のスマートフォンにリードされかけていた部分はしっかり埋めている。これでまた当分はアップルの一人勝ちが続く可能性が高そうだ。
あゆも欲しい「iPhone 4」 「ケータイ開発の好循環に入ってきた」と夏野剛氏
6月8日早朝(日本時間)に発表された「iPhone 4」の話題がTwitterで盛り上がっている。薄くなった新デザインやカメラまわりの新機能などに注目が集まっており、元NTTドコモの夏野剛さんはTwitterで、「携帯電話開発の好循環に入ってきた」と評価。浜崎あゆみさんは「間違いなくげっとんしたい!」と購入の意思を固めた様子だ。
夏野さんはTwitterで、「Webで見る限りの評価」と断った上で、iPhone 4について「日本のケータイと比べて遅れていたカメラや動画機能を盛り込み、かつ薄くという携帯電話開発の好循環に入ってきた」と評価。「問題は手をこまねいているニッポンのメーカー。またチャンスが一段小さくなったが、頑張って欲しい。今年が本当のラストチャンスか」とコメントしている。
iPhone 4を日本で独占販売するとみられるソフトバンクモバイルの孫正義社長は、発表イベント「WWDC10」の会場からツイート。浜崎あゆみさんの「iPhone4の情報、激しく求む!!でも、あいふぉんふぉーって言おうとすると、カミカミになる件」という書き込みに対して、「ノイズキャンセルマイク。ジャイロセンサー。その他全てがたまらなく最高ーっ!!スティーブは、神から人類への贈り物」など興奮した様子で返信した。
浜崎さんにはフォロワーからiPhone 4に関するさまざまな情報が寄せらようで「カミカミでいいから間違いなくげっとんしたいーーーーーーーー!!!!!!!魅力的すぎる件」と書いており、購入の意思を固めた様子だ。
3DSの性能はPS3やXbox360に匹敵する?
E3が来週頭に迫っています。今年は数年ぶりの新ハードラッシュの様相を呈していて、その中でも任天堂のニンテンドー3DSには大きな注目が集まっています。
現在のところは裸眼で立体視が可能という以外の情報は公式には明らかにされていませんが、米国のIGN.comは興味深い記事を掲載しています。
「Everything We Know About the 3DS」(3DSについて私たちが知ってる全て)と題された記事の中で、そのスペックについて、「3DSを触った複数のデベロッパーによれば、プロセシング性能はWiiを遙かに上回り、HD機のPS3やXbox360に匹敵する」と伝えています。
昨年にはNVIDIAのTegraを採用するのではないかとの噂が流れた3DS。立体視を可能とするためには、2画面分を同時にレンダリングする必要があり、少なくともDSの倍以上の性能を持っているのは間違いないと思われますが、PS3やXbox360に匹敵するものとなると驚きです。
新しい時代に任天堂が投入する新ハード。どのような設計思想を秘めたものなのかも注目です。
仏の独立系紙売却へ サルコジ政権親密企業が買収か
【パリ=国末憲人】フランスを代表する大衆紙パリジャンが売却されると、仏経済誌レクスパンシオン(電子版)が7日報じた。仏一般紙のほとんどがサルコジ政権に近い企業に支配される中、これまで独立を保った同紙だが、売却先として政権と緊密な2社が取りざたされている。
同誌によると、パリジャン紙の社主マリーオディル・アモリ氏は同紙の譲渡を銀行に委託。買収に関心を持つ企業として、運輸産業大手ボロレ・グループと防衛産業大手ラガルデール・グループの名が挙がっているという。両グループの総帥ボロレ氏とラガルデール氏はともに、サルコジ大統領と非常に親しい仲で知られる。
電子書籍500万冊を突破 iPadでダウンロード
米電子機器大手アップルは7日、日本や米国で販売している新型マルチメディア端末「iPad(アイパッド)」を通じてダウンロードされた電子書籍が500万冊を突破したことを明らかにした。
iPadの出荷台数は世界で200万台を突破した。ゲームなどのソフトのダウンロード数は3500万回を超えており、iPad向けに同社外の開発者なども約8500本のソフトを提供している。
「iPhone(アイフォーン)」向けも含めるとアップルの端末を通じて提供するソフトは22万5千本を超える。先週までにダウンロードが50億回を突破した。
都の漫画児童ポルノ規制条例で自公が修正案を提出へ
子供を性的対象にした漫画などの規制を目指す東京都青少年健全育成条例の改正案で、都議会自民党と公明党が改正案の修正案を都議会に提出する方針を固めたことが8日、分かった。改正案をめぐっては、都議会最大会派の民主党が都に改正案の撤回を求め、撤回されない場合は否決する意志を示しており、6月議会で反対多数で否決される公算が大きくなっていた。
自公は修正案を提示することで、民主や改正案に反対する漫画家らの批判の根拠をなくしたい考えで、改正案をめぐる議論が白熱しそうだ。
自公の修正案は、改正案の文言が曖昧との批判を受け、改正案で規制対象となる漫画などの18歳未満と想定されるキャラクター「非実在青少年」を「描写された青少年」に、また「青少年性的視覚描写物」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類」に変更するなどした。
さらに、漫画家や出版業界などから改正案が表現の自由を侵害すると懸念を表明していることには、附則で「条例施行3年経過後に検討の上、必要な措置を講じる」ことを規定した。
両会派は11日の都議会総務委員会で修正案を提出する方針。
自民幹部は「改正案の可決を求める署名がすでに5万人近く集まっている。議会で議論することが議員としての責務」としている。
Xbox 360用動画配信「Zune ビデオ」が今秋スタート
マイクロソフトは、Xbox 360のオンラインサービス「Xbox LIVE」における動画配信サービス「Zune(ズーン)ビデオ」を2010年秋より開始する。
Xbox 360向けの動画配信サービスは、2006年11月に北米でスタート、2009年年末には「Zune ビデオ」に改め、機能強化を行なっていた。今秋に日本とメキシコでサービスを開始することで、世界20カ国でZune ビデオをXbox LIVEで利用可能になるという。
Zune ビデオでは、1080pのHD動画と5.1chサラウンド音声によるストリーミング動画配信を採用。ストリーミング配信時のバッファリング時間を短縮するために、低解像度データで映像再生を開始し、徐々に高解像度映像に移行する。
ネット規制を継続、中国初の白書 グーグル撤退問題で正統性強調
中国国務院(政府)は8日、中国のインターネットを取り巻く現状や将来の展望を記した初の白書「中国インターネット状況」を発表、「中国政府は法律に従ってインターネットを管理するという基本原則を堅持する」として、検閲などのネット規制を継続する方針を強調した。
米インターネット検索大手グーグルの撤退問題を契機に中国のネット規制に国際的な批判が高まる中、あらためて規制の正当性を訴える狙いがあるとみられる。
白書は、66%を超える中国のネット利用者が日常的にネット上で意見表明をしているとの調査結果を紹介。政府もネット上の庶民の意見を重視しているほか、ネットには汚職の告発など政府を監視する機能があると指摘した。
「電子書籍を考える出版社の会」専門・実用書14社が発足
インプレスジャパン、技術評論社、秀和システムなど専門書・実用書出版14社は6月8日、電子書籍・雑誌の研究と情報交換を進める団体「電子書籍を考える出版社の会」を設立した。電子書籍と紙の書籍双方の市場拡大を目指す。
専門書・実用書には文芸書やビジネス書とは異なる特性があることを前提に、プラットフォーム提供者と著作権者、出版社間での取り引きモデルを検討。電子書籍の編集・販売上の問題点について意見交換し、指針を提案する。
3社のほかオーム社、翔泳社、ソーテック社、ソシム、ソフトバンククリエイティブ、東京地図出版、日刊工業新聞社、ビー・エヌ・エヌ新社、ボーンデジタル、毎日コミュニケーションズ、ワークスコーポレーションが参加。賛同企業も募っている。
ドコモ、LTE商用ネットワークの試験運用を開始
NTTドコモは、2010年12月から開始する予定となっているLTE(Long Term Evolution)サービスの商用ネットワークを、6月8日より試験的に運用する。
現在NTTドコモでは、W-CDMA方式(高度化したHSPA含む)でFOMAサービスを展開している。W-CDMA方式の進化版とされるLTEについては2010年12月から商用サービスを開始する予定としていたが、6月8日から東京都内で試験運用を実施する。伝送速度や遅延、ハンドオーバー(基地局間移動)の安定性などについて検証する。
米アップルの開発者向けイベント「Worldwide Developers Conference(WWDC)2010」が6月8日(米国時間6月7日)、サンフランシスコで開幕した。基調講演ではスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)がスマートフォン「iPhone」の新機種「iPhone4」を発表した。日本でも6月24日に発売される。
WWDCはアップルが主催する開発者向けのイベント。今年は15万円程度するチケットが発売8日で完売するという盛況ぶりで、57カ国から5200人が参加している。人気の理由はやはりiPhoneで、世界のソフトウエア開発者がiPhone向けアプリの最新情報を得ようとサンフランシスコに集結した。
基調講演ではまず、多機能携帯端末「iPad」の好調ぶりが披露された。米国で4月3日に発売されたのを皮切りに日本でも販売が始まっているが、すでに累計販売は200万台を超え、世界で3秒に1台のペースで売れているという。専用アプリも8500本に増え、ダウンロード数は3500万件を突破した。
だが、今回の基調講演の主役はやはりiPhoneだ。基調講演の大半の時間をiPhone4の紹介に割いたほどで、アップルとジョブズ氏の力の入れようが伝わってくる。4代目となるiPhone新機種は「iPhone 4G」や「iPhone HD」といった製品名も噂されていたが、シンプルな名称で落ち着いたようだ。
「見たことはあると思うが……」
ジョブズ氏はiPhone4を8つの切り口で紹介していった。
1つめが「デザイン」だ。iPhone4のデザインはすでに一部ニュースサイトが「バーに新しいiPhoneが落ちていた」と画像付きで掲載したり、ベトナムからの流出映像がネットで公開されたりして、事前に知れ渡っていた。発表されたiPhone4はまさにそのデザイン。ジョブズ氏も聴衆に「見たことはあると思うが……」とぼやいていた。
しかし、基調講演後に実際にiPhone4に触ってみると高級感があり、これが199ドルからで買えるものとは思えない質感に仕上がっている。今回の筐体は前面だけでなく背面にもガラスを用い、側面のフレームにはステンレススチールを採用している。こうした素材の使い方が高級感につながっているようだ。ちなみに、側面のステンレススチールは、全地球測位システム(GPS)や無線LAN、第3世代(3G)携帯電話などのアンテナの機能も持たせているという。
本体サイズは厚さ9.3ミリで、前機種の「iPhone 3GS」から24%も薄くなった。これまでの丸みを帯びたデザインから角張った形状になったことで最初は違和感を覚えたが、それはすぐに払拭され「格好いい」と思えるようになった。
孫社長が絶賛したディスプレー
2つめは「ディスプレー」だ。iPhone4は「Retina(網膜)ディスプレー」と呼ぶ高精細な液晶を搭載する。画素の密度を示す値は326dpiで、ジョブズ氏によれば「人間が識別できる解像度を超えている」。実際、画面サイズは3.5インチでiPhone 3GSと変わらないが、画素数は4倍の960×640ドットに高まった。
このディスプレーにすっかりほれ込んだ様子なのが、ソフトバンクモバイルの孫正義社長だ。基調講演後にジョブズ氏から直接製品の説明を受けた際、孫社長がまずほめたのはこのディスプレーだった。
「画面がめちゃくちゃ綺麗。美しさがたまらない。毎日、iPhoneでTwitter(ツイッター)をやっているけど、最近急に老眼がひどくなって、大量のつぶやきを見るとフォントがギザギザしていて目が疲れてしまう。このiPhoneは文字が綺麗で目を疲れさせない。メガネなしで読めてしまう」と大絶賛だ。
実際、この解像度と表現力は目を見張るものがある。最近は台湾HTCの「HTC Desire」など画面サイズや画質で優れるスマートフォンが増えているが、iPhone4はこれで他を大きく引き離したように感じる。
A4チップ、反応サクサクで省電力
3つめのポイントは「A4チップ」だ。すでにiPadで採用されている高性能チップで、予想通りiPhone4でも搭載されることになった。応答の速さはiPadで実証ずみだが、iPhone4に触ってみると、高解像度化され画像表示の負荷が上がっているにもかかわらず、反応がよくサクサクと動く。iPhoneのようなモバイル端末がますますコンピューター並みの処理速度に近づいていくがわかる。しかも、バッテリー駆動時間も延び、3G通話が7時間、3Gでのブラウジングが6時間、無線LAN環境が10時間、待機時間が300時間と大幅に省電力化された。
4つめは角速度を検出する「ジャイロスコープ」だ。ジャイロスコープと加速度センサーを組み合わせることにより、6軸のモーションコントロールが可能になる。本体の傾きだけでなく向きなども検知して操作できるゲームなどのアプリが登場するはずだ。
従来の300万画素から500万画素に高画質化した「カメラ」は5つめのポイントとして紹介された。5倍のデジタルズームを備え、動画もハイビジョン(HD)録画が可能になった。
iPhone用動画編集アプリ「iMovie for iPhone」も有料で販売する。撮影した動画の編集だけでなく、iTunesの音楽を加えたり、メールなどで共有したりもできるという。アップルはこれまでパソコン「MacBook」向けの動画編集ソフト「iMovie」を熱心にアピールしていたが、これがiPhoneでできるようになるわけだ。動画編集は高性能なマシンで時間をかけてやるものというイメージがあるが、指一本で簡単に編集し送れるようになれば、手軽な楽しみとして若い世代にも広がっていく可能性がありそうだ。
マルチタスクの最新版OS
iPhone4は、最新版OS「iOS4」を採用している。従来は「iPhone OS」と呼んでいたが、同じOSがiPadや音楽プレーヤー「iPod touch」にも搭載されていることから、今回から「iOS」という名称に変えた。これが6つめのポイントとなる。
iOS4で便利そうだと感じたのがマルチタスク機能だ。従来のiPhoneはシングルタスクでの処理しかできず、1つのアプリから別のアプリに移るには一度アプリを閉じる必要があった。マルチタスク対応のiOS4は複数の処理を同時に行うことができ、あるアプリを使いながらホームボタンを2回押すとアイコン一覧が登場して、別のアプリを起動できる。これまで以上に複数のアプリを行き来しやすくなり、利便性が高まりそうだ。
アプリをフォルダで管理できるようになったのも変更点の一つだ。これまではアプリをダウンロードしすぎると、画面がアイコンだらけになってしまい、必要なアプリを探しにくかった。新OSでは、例えば「スポーツ」「音楽」といったフォルダでアプリを一まとめに管理できるようになる。
7つめに紹介したのは電子書籍アプリの「iBooks」。iPad用に提供を始めたiBooksをiPhoneでも使えるようにした。電子書籍を読んでいる途中に「しおり」をつけたりマーカーで印をつけたりする機能があるが、これらをネット経由で共有できるようにもした。これによりiPhoneで読みかけた電子書籍の続きをiPadで読むといったこともスムーズになる。このあたりの仕様は先行する米アマゾン・ドット・コムの「Kindle(キンドル)」を追いかけたものと思われる。
8つめは「広告」。アプリに広告を入れる「iAd」を始める。広告付きの無料アプリが増えれば、ユーザーにとってメリットがある。開発者も広告付きの無料アプリでユーザーを増やして収入は広告料でまかなうなど事業モデルの幅が広がる。
「One more Thing!!」
8つのポイントを紹介した後、ジョブズ氏の口から飛び出したのは、最近の基調講演ではあまり聴かれることのなかった「One more Thing」の宣言。会場のボルテージを一気に高めた後、ビデオ通話機能「FaceTime」を披露した。
iPhone4は本体前面にカメラを搭載し、無線LAN経由で特別な設定をせずビデオ通話をすることができる。これはiOS4のみの機能で、当初はユーザーが限られるが、「今年、数千万台のFaceTimeデバイスを出荷する」(ジョブズ氏)というように、一気にユーザーを増やして「使われるテレビ通話サービス」を目指そうとしている。
もっとも、FaceTimeの説明を聞いてまず感じたのは「実際に使う人がいるのか」という疑問だ。海外ではモバイル環境のテレビ電話は珍しいかもしれないが、日本ではすでにNTTドコモがFOMA開始時の主力サービスとして「テレビ電話」をさかんに売り込んで、鳴かず飛ばずに終わった経緯がある。
最近のNTTドコモの新製品にはテレビ電話に使う本体前面のカメラを省いた機種もある。ただ、アップルによるFaceTimeのプロモーションビデオは、妊婦が胎内のエコー動画を遠方にいる夫に見せるシーンや手話で会話をするカップルなど、気持ちが温かくなるようなシチュエーションを盛り込み、「ちょっと使ってみたい」と思わせる演出にうまさを感じた。美しい映像で無料で使えるのであれば、ユーザーが拡がることも考えられる。
日本におけるテレビ電話の可能性について、ソフトバンクモバイルの孫社長は「ビデオ通話は日本のケータイにあったが、誰も使っていない。(画質が)汚いし、面倒くさいし、通信費が高いのがその理由。FaceTimeがあれば(従来の)テレビ会議はいらなくなる。最高だよね」と語った。FaceTimeはいまのところ、無線LAN環境でしか使えない。折しも、ソフトバンクモバイルは3G回線の逼迫を緩和するため、ネットワーク強化や公衆無線LANの活用を進めている。孫社長は自社の無線LAN戦略について「(FaceTimeと)とても相性がいい」と語っていたが、次善の策として強化してきた無線LANが結果的にアップルの新機能を後押しすることになりそうだ。
ジョブズ氏と孫氏の友好関係
iPhone4は6月24日、まず米国、フランス、ドイツ、イギリス、日本の5カ国で販売がスタートする。7月には18カ国、8月には24カ国、9月には88カ国へと販売国が広がる。iPadの品薄状態がまだ続くなか、1カ月もせずに今度はiPhone4が日本に上陸することになる。
今回の基調講演で、ジョブズ氏は「完全復活」を強く印象付けた。ここ数年のWWDCや09年で最後となった「Mac World Expo」の基調講演は、ジョブズ氏が病気療養で欠席したり、あるいは2時間近い長丁場をジョブズ氏と副社長たち分担したりすることが多かった。
今年の基調講演は、アプリなどについてのプレゼンテーション以外はすべてジョブズ氏が担当して、延々と語り続けた。時にジョークを交えて、観客を引き込むプレゼン術はまさに圧巻。iPhone4はその完成度の高さからもわかるようにジョブズ氏の渾身のプロダクトであり、自身の口で思いの丈を語りたかったのだろう。その気迫がひしひしと伝わってくるようだった。
もう1つ、目についたのは、ジョブズ氏と孫社長との友好関係だ。基調講演終了後、ジョブズ氏は孫社長にiPhone4の使い方を自らレクチャーしたりしていた。基調講演後にジョブズ氏と話すことができるVIPは本当に数少ないのだが、そのなかに当たり前のように孫社長が入っている。
iPadの販売交渉でも、孫社長とジョブズ氏は一発で商談を決めたらしい。2人の関係があったからこそ、世界で唯一iPadにSIMロックがかかったのかもしれない。
iPhone4が最初に発売される5カ国に日本が入っている理由を聞かれた孫社長は「iPadを頑張って売っているから」と語っていた。ソフトバンクモバイルの相当な営業努力がアップルにも認められているということなのだろう。
ジョブズの自信作といえるiPhone4。性能が大幅に向上しマルチタスクも可能になるなど、他のスマートフォンにリードされかけていた部分はしっかり埋めている。これでまた当分はアップルの一人勝ちが続く可能性が高そうだ。
あゆも欲しい「iPhone 4」 「ケータイ開発の好循環に入ってきた」と夏野剛氏
6月8日早朝(日本時間)に発表された「iPhone 4」の話題がTwitterで盛り上がっている。薄くなった新デザインやカメラまわりの新機能などに注目が集まっており、元NTTドコモの夏野剛さんはTwitterで、「携帯電話開発の好循環に入ってきた」と評価。浜崎あゆみさんは「間違いなくげっとんしたい!」と購入の意思を固めた様子だ。
夏野さんはTwitterで、「Webで見る限りの評価」と断った上で、iPhone 4について「日本のケータイと比べて遅れていたカメラや動画機能を盛り込み、かつ薄くという携帯電話開発の好循環に入ってきた」と評価。「問題は手をこまねいているニッポンのメーカー。またチャンスが一段小さくなったが、頑張って欲しい。今年が本当のラストチャンスか」とコメントしている。
iPhone 4を日本で独占販売するとみられるソフトバンクモバイルの孫正義社長は、発表イベント「WWDC10」の会場からツイート。浜崎あゆみさんの「iPhone4の情報、激しく求む!!でも、あいふぉんふぉーって言おうとすると、カミカミになる件」という書き込みに対して、「ノイズキャンセルマイク。ジャイロセンサー。その他全てがたまらなく最高ーっ!!スティーブは、神から人類への贈り物」など興奮した様子で返信した。
浜崎さんにはフォロワーからiPhone 4に関するさまざまな情報が寄せらようで「カミカミでいいから間違いなくげっとんしたいーーーーーーーー!!!!!!!魅力的すぎる件」と書いており、購入の意思を固めた様子だ。
3DSの性能はPS3やXbox360に匹敵する?
E3が来週頭に迫っています。今年は数年ぶりの新ハードラッシュの様相を呈していて、その中でも任天堂のニンテンドー3DSには大きな注目が集まっています。
現在のところは裸眼で立体視が可能という以外の情報は公式には明らかにされていませんが、米国のIGN.comは興味深い記事を掲載しています。
「Everything We Know About the 3DS」(3DSについて私たちが知ってる全て)と題された記事の中で、そのスペックについて、「3DSを触った複数のデベロッパーによれば、プロセシング性能はWiiを遙かに上回り、HD機のPS3やXbox360に匹敵する」と伝えています。
昨年にはNVIDIAのTegraを採用するのではないかとの噂が流れた3DS。立体視を可能とするためには、2画面分を同時にレンダリングする必要があり、少なくともDSの倍以上の性能を持っているのは間違いないと思われますが、PS3やXbox360に匹敵するものとなると驚きです。
新しい時代に任天堂が投入する新ハード。どのような設計思想を秘めたものなのかも注目です。
仏の独立系紙売却へ サルコジ政権親密企業が買収か
【パリ=国末憲人】フランスを代表する大衆紙パリジャンが売却されると、仏経済誌レクスパンシオン(電子版)が7日報じた。仏一般紙のほとんどがサルコジ政権に近い企業に支配される中、これまで独立を保った同紙だが、売却先として政権と緊密な2社が取りざたされている。
同誌によると、パリジャン紙の社主マリーオディル・アモリ氏は同紙の譲渡を銀行に委託。買収に関心を持つ企業として、運輸産業大手ボロレ・グループと防衛産業大手ラガルデール・グループの名が挙がっているという。両グループの総帥ボロレ氏とラガルデール氏はともに、サルコジ大統領と非常に親しい仲で知られる。
電子書籍500万冊を突破 iPadでダウンロード
米電子機器大手アップルは7日、日本や米国で販売している新型マルチメディア端末「iPad(アイパッド)」を通じてダウンロードされた電子書籍が500万冊を突破したことを明らかにした。
iPadの出荷台数は世界で200万台を突破した。ゲームなどのソフトのダウンロード数は3500万回を超えており、iPad向けに同社外の開発者なども約8500本のソフトを提供している。
「iPhone(アイフォーン)」向けも含めるとアップルの端末を通じて提供するソフトは22万5千本を超える。先週までにダウンロードが50億回を突破した。
都の漫画児童ポルノ規制条例で自公が修正案を提出へ
子供を性的対象にした漫画などの規制を目指す東京都青少年健全育成条例の改正案で、都議会自民党と公明党が改正案の修正案を都議会に提出する方針を固めたことが8日、分かった。改正案をめぐっては、都議会最大会派の民主党が都に改正案の撤回を求め、撤回されない場合は否決する意志を示しており、6月議会で反対多数で否決される公算が大きくなっていた。
自公は修正案を提示することで、民主や改正案に反対する漫画家らの批判の根拠をなくしたい考えで、改正案をめぐる議論が白熱しそうだ。
自公の修正案は、改正案の文言が曖昧との批判を受け、改正案で規制対象となる漫画などの18歳未満と想定されるキャラクター「非実在青少年」を「描写された青少年」に、また「青少年性的視覚描写物」を「青少年をみだりに性欲の対象として扱う図書類」に変更するなどした。
さらに、漫画家や出版業界などから改正案が表現の自由を侵害すると懸念を表明していることには、附則で「条例施行3年経過後に検討の上、必要な措置を講じる」ことを規定した。
両会派は11日の都議会総務委員会で修正案を提出する方針。
自民幹部は「改正案の可決を求める署名がすでに5万人近く集まっている。議会で議論することが議員としての責務」としている。
Xbox 360用動画配信「Zune ビデオ」が今秋スタート
マイクロソフトは、Xbox 360のオンラインサービス「Xbox LIVE」における動画配信サービス「Zune(ズーン)ビデオ」を2010年秋より開始する。
Xbox 360向けの動画配信サービスは、2006年11月に北米でスタート、2009年年末には「Zune ビデオ」に改め、機能強化を行なっていた。今秋に日本とメキシコでサービスを開始することで、世界20カ国でZune ビデオをXbox LIVEで利用可能になるという。
Zune ビデオでは、1080pのHD動画と5.1chサラウンド音声によるストリーミング動画配信を採用。ストリーミング配信時のバッファリング時間を短縮するために、低解像度データで映像再生を開始し、徐々に高解像度映像に移行する。
ネット規制を継続、中国初の白書 グーグル撤退問題で正統性強調
中国国務院(政府)は8日、中国のインターネットを取り巻く現状や将来の展望を記した初の白書「中国インターネット状況」を発表、「中国政府は法律に従ってインターネットを管理するという基本原則を堅持する」として、検閲などのネット規制を継続する方針を強調した。
米インターネット検索大手グーグルの撤退問題を契機に中国のネット規制に国際的な批判が高まる中、あらためて規制の正当性を訴える狙いがあるとみられる。
白書は、66%を超える中国のネット利用者が日常的にネット上で意見表明をしているとの調査結果を紹介。政府もネット上の庶民の意見を重視しているほか、ネットには汚職の告発など政府を監視する機能があると指摘した。
「電子書籍を考える出版社の会」専門・実用書14社が発足
インプレスジャパン、技術評論社、秀和システムなど専門書・実用書出版14社は6月8日、電子書籍・雑誌の研究と情報交換を進める団体「電子書籍を考える出版社の会」を設立した。電子書籍と紙の書籍双方の市場拡大を目指す。
専門書・実用書には文芸書やビジネス書とは異なる特性があることを前提に、プラットフォーム提供者と著作権者、出版社間での取り引きモデルを検討。電子書籍の編集・販売上の問題点について意見交換し、指針を提案する。
3社のほかオーム社、翔泳社、ソーテック社、ソシム、ソフトバンククリエイティブ、東京地図出版、日刊工業新聞社、ビー・エヌ・エヌ新社、ボーンデジタル、毎日コミュニケーションズ、ワークスコーポレーションが参加。賛同企業も募っている。
ドコモ、LTE商用ネットワークの試験運用を開始
NTTドコモは、2010年12月から開始する予定となっているLTE(Long Term Evolution)サービスの商用ネットワークを、6月8日より試験的に運用する。
現在NTTドコモでは、W-CDMA方式(高度化したHSPA含む)でFOMAサービスを展開している。W-CDMA方式の進化版とされるLTEについては2010年12月から商用サービスを開始する予定としていたが、6月8日から東京都内で試験運用を実施する。伝送速度や遅延、ハンドオーバー(基地局間移動)の安定性などについて検証する。
新型iPhone、24日に発売 米アップル
無線LAN経由の無料ビデオ通話も可能に
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルは7日、高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」の新型機「iPhone4」を今月24日に日米など5カ国で発売すると発表した。本体デザインを刷新したほか、フラッシュ撮影やハイビジョン動画撮影が可能なカメラを本体の前後両面に装備。無線LAN(構内通信網)経由の無料ビデオ通話「フェースタイム」の導入も発表した。
サンフランシスコ市内で同日開いた開発者会議の基調講演でスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。米国での価格は、2年契約を前提に記憶容量16ギガ(ギガは10億)バイトの機種が199ドル、32ギガバイトが299ドル。
新型iPhoneは現行機より角張った、厚さ9.3ミリメートルの薄い本体に、現行機の4倍の精細さとなる960×640画素の3.5型IPS液晶、500万画素のカメラや発光ダイオード(LED)のフラッシュライトなどを搭載。現行機ではできなかったズームやハイビジョン動画撮影ができるほか、新型機同士で無線LAN接続すると、設定なしで無料ビデオ通話可能な「フェースタイム」機能を導入した。
多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」と同様に、独自開発の消費電力を抑えた高性能半導体「A4」を搭載したほか、電子書籍配信ソフト「iブック」にも対応。電話やネット接続、音楽や動画の再生に加えて、iPad用に購入した電子書籍も機器の壁を超えて読める。
ジョブズCEOは7日、今回のiPhone刷新について、「初代機を発売して以来、最も大きな飛躍」と強調。24日に日本、米、英、仏、独の5カ国で発売するのを皮切りに、今年9月末までに88カ国・地域で売り出し、「今年後半だけで『フェースタイム』可能な機器を数千万台普及させる」とした。
米アップル、広告「iAd(iアド)」7月1日から配信
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルは7日、高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」や多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」向けのアプリ内広告「iAd(iアド)」を7月1日から配信すると発表した。第1弾として日産自動車が電気自動車「リーフ」の広告などを配信する。1億台に上る配信対象を武器に、高機能携帯を使った新しいインターネット広告の市場を開拓する。
iアドはiPhoneやiPad、ネット接続機能の付いた携帯音楽プレーヤー「iPodタッチ」などを対象に、ユーザーがニュースや娯楽コンテンツ(情報の内容)などを視聴している間に広告を配信して挿入する仕組み。ユーザーがiアドをクリックすれば、動画やアニメなどの形で広告が再生され、終了したら、再び元のコンテンツに戻ることができる。
7月1日から配信するiアド第1弾には、日産のほか、シャネル、米ゼネラル・エレクトリック(GE)、ユニリーバなどが名を連ね、2010年後半だけで6000万ドル(約55億円)分の広告出稿が決定。「今年後半の米国の携帯ネット市場シェアで50%に相当する」(スティーブ・ジョブズ最高経営責任者=CEO)という。
配信は新型iPhoneやiPadに順次搭載される新型基本ソフト(OS)「iOS4」を搭載した端末が対象で、新型iPhoneやiPadに標準搭載されていくほか、現行機でも載せかえ可能。潜在的な配信対象台数は月内に1億台を突破する見通しだ。
従来のネット広告は、広告再生時に広告主のサイトに移動してしまい、ユーザーが視聴していたサイトに戻れなくなることもあった。iアドはOSに組み込むため、そうした問題を解消。ユーザーの使い勝手や安心感を高めた。また、収入の60%はアプリ開発者に配分し、求心力を高めてハード、コンテンツの販売を増やす考えだ。
三菱化学やシャープ、LEDなどデジタル部材大幅増産
化学、電子部品メーカーが供給不足が深刻になっている発光ダイオード(LED)など、デジタル家電向け部材の大幅増産に乗り出す。三菱化学は液晶テレビ向けに需要が急増しているLEDの生産に必要な素材の生産能力を2015年度までに6倍に増強。シャープは年内、東芝は11年からLED素子の量産を始める。新型デジタル家電の売れ行き拡大に伴い、関連部材は世界的に需給が逼迫(ひっぱく)しており、生産体制を強化する。
現在、液晶テレビのバックライトや照明器具に使うLEDとその関連部材の供給不足が最も深刻になっている。デジタル機器に使われるハードディスク駆動装置(HDD)や半導体メモリーの品薄も続いている。ソニー、パナソニックはこれらデジタル部材の調達難により、LED搭載液晶テレビの新製品を一部、発売を延期した。
デジタル家電向けの部材のなかでもLEDや半導体関連は日本メーカーが世界的に高いシェアを占めており、内外の最終組み立てメーカーから供給増を求める声が強まっている。
三菱化学は小田原工場(神奈川県小田原市)に70億円を投じ、LEDに使う蛍光体の生産ラインを拡張する。電気化学工業も大牟田工場(福岡県大牟田市)に20億円強を投じ、10月までに蛍光体の生産量を約10倍に増やす。両社合計の液晶テレビ向けのLED用蛍光体の世界シェアは主要な品種で5割を上回るもようだ。
LEDメーカーの豊田合成も大幅増産を計画する。12年度までに年産能力を現在の2倍の約100億個に引き上げる。
液晶テレビや照明メーカーではLED素子を内製する動きも相次ぐ。シャープは年内に広島県の工場などでテレビ用などに、東芝は11年から北九州市の工場で照明用の量産に踏み切る。日亜化学工業(徳島県阿南市)などLED素子メーカーからの調達とあわせ、LEDを安定的に確保する。
LED搭載テレビや、米マイクロソフトの新基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」を搭載したパソコン、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」やスマートフォンの売れ行きは不需要期に当たる1~3月以降も伸びている。これらのデジタル家電は半導体やHDDを大量に消費する。
これに伴うDRAMやNAND型フラッシュメモリーの需要回復で関連材料増産も相次ぐ。住友ベークライトは世界シェア4割の半導体の封止材料を11年4月までに15%増産する。
HDD関連では磁気ディスク材料のガラス基板について、世界シェア6~7割を握るHOYAが今秋にフィリピンで新工場を稼働、全社の月産能力を約4000万枚(2.5インチ換算)と現在より3割増やす計画だ。
日本経済新聞社の2010年度の設備投資動向調査では、10年度の製造業の投資額は3年ぶりの増加となる見通しだが、水準は07年度実績の約7割にとどまっている。業種別で見ても、化学、電気機器はそれぞれ76%、68%の水準だ。デジタル家電向け部材の供給不足は08年秋の金融危機以降、関連部材メーカーが投資を絞り込んだことが背景にある。
KDDI・住商・JCOM、高速無線通信などで提携へ
大筋合意、10日発表へ
住友商事、KDDI、ジュピターテレコム(JCOM)の3社は7日、放送・通信事業で広範に提携することで大筋合意した。10日にJCOMの森泉知行社長、住商の大沢善雄常務執行役員、KDDIの両角寛文執行役員専務がそろって会見し、概要を発表する。
JCOMがKDDIグループのUQコミュニケーションズのインフラを活用した高速無線通信サービスを展開するほか、KDDIがCATV局向けに提供している電話サービスを、JCOMの加入者向けサービスに組み込むことなどが柱。
KDDI子会社で国内CATV2位のジャパンケーブルネット(JCN)とJCOMの経営統合についても検討する。JCOMの大株主である住商とKDDIが協力することで、NTT対抗勢力としてのJCOMの企業価値向上を目指す。
KDDIは今年2月にJCOM株を大量取得。JCOMの設立当初からの大株主だった住商は4月、TOBによりJCOM株の40%強を保有する筆頭株主になった。株主2社は4月下旬、JCOMの企業価値向上で協力すると発表。KDDIとJCOMは作業部会を設置して、提携内容について協議を重ねてきた。
KDDI、「固定通信」が7期ぶり黒字化 11年3月期
KDDIの固定通信事業が2011年3月期に7期ぶりに黒字転換しそうだ。前期まで営業損益で400億~600億円規模の赤字が続いてきたが、100億円程度の黒字に浮上する。投資負担がピークを過ぎ、光ファイバーを使った通信サービスの成長などで立て直しの見通しがついた。主力の携帯電話事業が振るわないだけに、向こう2~3年は固定通信の収益をどこまで上積みできるかが焦点になりそうだ。
10年3月期は固定通信事業が442億円の営業赤字を計上。ソフトバンクに連結営業利益で初の逆転を許す一因になった。同事業の05年3月期から前期までの赤字は総額2761億円に達する。
KDDIは今期、前期比微増の4450億円の営業利益を見込む。携帯電話事業は約540億円の減益となるが、固定通信の改善で補う計画だ。
固定通信の黒字化は、従来型の音声通話サービスに代わり、光ファイバー通信やケーブルテレビなどデータ通信が主力に育ってきたため。
KDDI単体でみると、音声通話の売上高が前期比横ばいとなるなか、データ通信は3%の増収となる見込み。収入に占めるデータ通信の割合は09年3月期には49%だったが、今期は52%まで上昇。成長分野のデータ通信の比率が高まり、赤字の状態をようやく脱却する。
子会社の収益も伸びる。中部地区で光ファイバー通信サービスを展開する中部テレコミュニケーションの営業利益は4倍強の70億円、ケーブルテレビのジャパンケーブルネットも90億円と3割強増える見込み。海外も合わせると、固定通信関連子会社全体で120億円程度の利益押し上げ効果が出る。
設備投資が峠を越えて償却負担も軽くなる。光ファイバー通信網の整備などで、固定通信事業の設備投資はピークの09年3月期には1400億円強まで膨らんだ。今期は1270億円まで縮小する見通し。前期に稼働率の低い設備の統廃合や撤去などに取り組んだ効果もあり、通信ネットワーク関連のコストは前期比200億円弱減少する。
ただ、最悪期は脱したものの、固定通信の利益貢献はなお低水準。今後、顧客基盤拡大で見通し以上に収益を上積みできるかは、資本参加したジュピターテレコム(JCOM)との連携を早期に実現できるかが鍵を握りそうだ。
HMV、日本1号店の渋谷店閉鎖へ CD不振響く
CD販売大手のHMVジャパン(東京・港)は7日、HMV渋谷店(東京・渋谷)を8月中に閉鎖すると明らかにした。同店はHMVが日本進出の第1号店として1990年に開業。売り場面積は全国に55カ所ある同社の店舗で最大だった。閉鎖理由は明らかにしていないが、音楽配信の普及などでCD販売額の減少が予想を上回るペースで進んだことなどが影響したもようだ。
HMVを巡っては、カルチュア・コンビニエンス・クラブが買収の方向で検討を進めているが、渋谷店閉鎖については「独自の経営判断だ」(HMVジャパン)としている。HMVジャパンはピーク時の2008年11月末に国内で67店を展開していたが、店舗リストラを加速している。
日本レコード協会によると2009年の音楽CD生産額は08年比15.5%減の2460億円。11年連続で前年実績を割り込み、市場規模縮小が続いている。
主要企業、アフリカ開拓急ぐ ソニーは専売店増
電機などの大手企業が11日開幕のサッカー・ワールドカップ(W杯)の開催地域として世界の注目を集めるアフリカ市場の開拓を急いでいる。日立製作所は南アフリカ共和国で業務用エアコンに本格進出し、ソニーも専売店網を拡充しテレビなどの販売体制を強化する。9億人の人口を抱えるアフリカをアジアに次ぐ成長市場と位置付け、新興国への攻勢を強める世界のライバルに対抗する。
日立子会社の日立アプライアンスは南アでオフィスビルや商業施設向け業務用エアコンの販売をこのほど始めた。昨年末に整備した現地販売代理店網を活用する。従来は家庭向けと複数の施設を冷暖房できる大規模冷熱装置だけだった。家庭用エアコンの販売地域もケニアなどを加えて8カ国に増やした。
W杯公式スポンサーのソニーは大会の競技場近くにパビリオンを開設。最新のテレビを使った試合の3D(3次元)映像などでブランド認知度の向上を狙う。アフリカ全体ではエジプトなど計14カ所ある専売店数を10年度中にモロッコなど10カ所増やし、テレビや音響機器を拡販する。パナソニックは今年2月、ナイジェリアに販売・マーケティング担当の駐在員事務所を開設した。
自動車ではトヨタ自動車が昨年、アフリカ担当の役員を配置して現地販売を強化。同社の南アでの自動車販売台数は1~4月で3万2千台と前年同期比1割伸びた。アフリカの他国への輸出も拡大しており、同国での生産台数は1~4月で2割増の4万1千台だった。
豊富な資源やインフラ整備を商機ととらえ、商社や建機メーカーも相次ぎ参入。住友商事はマダガスカルで総事業費37億ドル(約3300億円)のニッケル鉱山開発を進め、2010年末にも生産を始める。コマツは10年度中に南ア、セネガルに続きケニアにもサービス研修拠点を設置する。日立建機は近くザンビアで20億円を投じ部品改修工場の建設に着手する。
スポーツ用品ではミズノが年内にもボールにカーブをかけやすいサッカースパイクなどを南アで売り出す。アシックスも北アフリカでランニングシューズなどの販売を始めた。日本円で1万円前後の商品が中心で、市民マラソンのスポンサーになるなどして知名度を高め、アフリカでの売上高を2年後に10億円以上と倍増させる計画だ。
欧米や韓国の企業も攻勢をかけている。独BMWは主力車種を生産する南ア工場に2億ユーロを投じ能力を45%拡大。すでに一定の販売基盤を持つ韓国の現代自動車は小型車を中心にシェア拡大を図る。新興国開拓で先行する韓国サムスン電子も現地駐在員を増やして販売力を強化している。
後退→回復の転換点「景気の谷」は09年3月
内閣府は7日、有識者で構成する「景気動向指数研究会」(座長=吉川洋・東大教授)を開き、2007年11月に始まった景気後退局面から、回復局面に入った転換点である直近の「景気の谷」が、2009年3月だったと判定した。
景気後退期間は17か月で、過去の平均(約16か月)と同程度となった。また、02年2月から07年10月までの景気拡大期間(69か月)を含めた景気循環は86か月で、戦後最長だった。
今回の景気後退は、08年9月のリーマン・ショック以降の落ち込みが急激だったのが特徴だ。景気の現状を示す一致指数(CI、2005年=100)の1か月あたりの下落率は、比較可能な1980年以降で最大の1・2%で、90年代のバブル崩壊や、00年代のITバブル崩壊のペースを上回った。一方で、「景気の谷」から1年間の回復ペースも早く、一致指数の上昇率は21・4%となり80年以降で最大だった。
独戦後最大の歳出削減、8兆8000億円
【ベルリン=三好範英】ドイツ政府は7日、2014年までに総額約800億ユーロ(約8兆8000億円)の歳出を削減する財政削減策を発表した。
地元メディアによると、西ドイツ時代も含め、戦後ドイツでは最大の歳出削減となる。
6、7の両日、連立与党間で行われた協議の結果決まったもので、欧州単一通貨ユーロの安定に向け、欧州最大の経済大国であるドイツが自ら財政規律の模範を示す意味もある。
計画では連邦政府職員を最大で1万5000人、連邦軍兵士を最大で4万人削減するほか、失業手当削減など社会保障分野にも切り込む。
2011年度の111億ユーロ削減を手始めに、12年171億ユーロ、13年257億ユーロ、14年324億ユーロをそれぞれ削減する。ドイツの財政赤字は今年、国内総生産(GDP)比で5%を突破する見込み。
米ダウ・ジョーンズCEO「新聞記事有料化、iPadで加速」 ネット広告単価、一部で上昇
米ダウ・ジョーンズ最高経営責任者(CEO)でウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)発行人のレスリー・ヒントン氏が7日東京で日本経済新聞の取材に応じ、インターネット上での新聞記事の有料化がアップルの「iPad(アイパッドで)」など新型携帯端末の登場で世界的に加速するとの見方を示した。また一部のネット媒体では広告単価が上がるとの自信を示した。
同氏は「コストがかかる高品質のジャーナリズムを無料でバラまいたのは大きな過ち。多くの新聞社がそのツケを払っている」と持論を述べた。米国では多くの新聞社が一律的なコスト削減を進めた結果、取材・編集力が弱体化したとも指摘。「読者を落胆させ、部数が減る悪循環に陥った」と分析した。
そのうえで「世界中の新聞社が過ちに気づき有料化の実験に乗り出しつつある。特にアップルのiPadなど新種の携帯端末の登場は、有料化加速の大きな契機になる」と話した。WSJのiPad版はすでに1万人超の有料読者を獲得したという。
ネット広告のクリックの8割は読者のうちのわずか8%によってなされており、クリックした読者は年齢や購買力の点で広告主の求める消費者層といえない点も指摘した。「ネット広告の中でもクリック率など既存の尺度で単価が決まらない、より高単価なブランド広告に広告主の関心が高まっている。それを表現する媒体としてiPadなど大画面携帯端末は適している」と述べた。WSJでは紙、電子版とも広告収入が09年10~12月期から前年同期比大幅増の回復期に入っているという。
日経社説
市場が問う為政者の言葉
世界の金融市場が混乱を増している。7日の東京でもユーロが急落し、日経平均株価が400円近い下げを演じた。菅直人新政権は米欧と協調し事態収拾に努めるとともに、危機のよって来るところをよく見極め政策運営の糧にすべきだ。
ギリシャだけでなくハンガリーの財政赤字がさらに深刻になる見通しから、欧州の金融・株式市場が動揺した。そこへ5月の米雇用統計が民間就業者数の伸び鈍化を示したことで、米国株も急落した。
日本には直接の原因はないというかもしれないが、グローバル化した市場に向かい合わなければならない政治指導者にとって、とりわけ欧州の混乱は人ごとではない。
「前政権が統計を改ざんした」。4日、ハンガリーの首相報道官がこう述べたことが危機の引き金を引いた。ハンガリーは欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)から金融支援を仰いでいる。その際、今年の財政赤字を国内総生産(GDP)の3.8%に抑えると約束してきたが、政府関係者はこの比率が7%を上回るともいう。
ハンガリーは5月に政権が交代しており、悪いのは社会党前政権だというのだろう。その振る舞いはギリシャのパパンドレウ政権とうり二つだ。パパンドレウ氏は昨年10月に政権に就くや、前政権の統計改ざんを告発したが、肝心の財政立て直し策は用意していなかったからだ。
ギリシャに1100億ユーロ、ユーロ圏諸国には7500億ユーロの金融支援が用意されているが、問題は火消しのための資金の量ばかりではない。欧州の指導者が経済運営に責任を持っているのかが試されている。
財務相就任直後に望ましい円相場の水準に言及し、市場を驚かせたことのある菅新首相は、今回の市場混乱は他山の石にしたいところだ。ギリシャ問題を機に日本の財政危機の深刻さを自覚したとされるのは良いことだが、自身が宣言したデフレの解消のメドが立たないなか、財政を立て直すのは至難の業だ。
新政権には成長と財政の両面にバランスの取れた政策をどう発信するかが問われている。まかり間違っても軽率な言動で市場混乱の種をまくことだけは避けてほしい。
無線LAN経由の無料ビデオ通話も可能に
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルは7日、高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」の新型機「iPhone4」を今月24日に日米など5カ国で発売すると発表した。本体デザインを刷新したほか、フラッシュ撮影やハイビジョン動画撮影が可能なカメラを本体の前後両面に装備。無線LAN(構内通信網)経由の無料ビデオ通話「フェースタイム」の導入も発表した。
サンフランシスコ市内で同日開いた開発者会議の基調講演でスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。米国での価格は、2年契約を前提に記憶容量16ギガ(ギガは10億)バイトの機種が199ドル、32ギガバイトが299ドル。
新型iPhoneは現行機より角張った、厚さ9.3ミリメートルの薄い本体に、現行機の4倍の精細さとなる960×640画素の3.5型IPS液晶、500万画素のカメラや発光ダイオード(LED)のフラッシュライトなどを搭載。現行機ではできなかったズームやハイビジョン動画撮影ができるほか、新型機同士で無線LAN接続すると、設定なしで無料ビデオ通話可能な「フェースタイム」機能を導入した。
多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」と同様に、独自開発の消費電力を抑えた高性能半導体「A4」を搭載したほか、電子書籍配信ソフト「iブック」にも対応。電話やネット接続、音楽や動画の再生に加えて、iPad用に購入した電子書籍も機器の壁を超えて読める。
ジョブズCEOは7日、今回のiPhone刷新について、「初代機を発売して以来、最も大きな飛躍」と強調。24日に日本、米、英、仏、独の5カ国で発売するのを皮切りに、今年9月末までに88カ国・地域で売り出し、「今年後半だけで『フェースタイム』可能な機器を数千万台普及させる」とした。
米アップル、広告「iAd(iアド)」7月1日から配信
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルは7日、高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」や多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」向けのアプリ内広告「iAd(iアド)」を7月1日から配信すると発表した。第1弾として日産自動車が電気自動車「リーフ」の広告などを配信する。1億台に上る配信対象を武器に、高機能携帯を使った新しいインターネット広告の市場を開拓する。
iアドはiPhoneやiPad、ネット接続機能の付いた携帯音楽プレーヤー「iPodタッチ」などを対象に、ユーザーがニュースや娯楽コンテンツ(情報の内容)などを視聴している間に広告を配信して挿入する仕組み。ユーザーがiアドをクリックすれば、動画やアニメなどの形で広告が再生され、終了したら、再び元のコンテンツに戻ることができる。
7月1日から配信するiアド第1弾には、日産のほか、シャネル、米ゼネラル・エレクトリック(GE)、ユニリーバなどが名を連ね、2010年後半だけで6000万ドル(約55億円)分の広告出稿が決定。「今年後半の米国の携帯ネット市場シェアで50%に相当する」(スティーブ・ジョブズ最高経営責任者=CEO)という。
配信は新型iPhoneやiPadに順次搭載される新型基本ソフト(OS)「iOS4」を搭載した端末が対象で、新型iPhoneやiPadに標準搭載されていくほか、現行機でも載せかえ可能。潜在的な配信対象台数は月内に1億台を突破する見通しだ。
従来のネット広告は、広告再生時に広告主のサイトに移動してしまい、ユーザーが視聴していたサイトに戻れなくなることもあった。iアドはOSに組み込むため、そうした問題を解消。ユーザーの使い勝手や安心感を高めた。また、収入の60%はアプリ開発者に配分し、求心力を高めてハード、コンテンツの販売を増やす考えだ。
三菱化学やシャープ、LEDなどデジタル部材大幅増産
化学、電子部品メーカーが供給不足が深刻になっている発光ダイオード(LED)など、デジタル家電向け部材の大幅増産に乗り出す。三菱化学は液晶テレビ向けに需要が急増しているLEDの生産に必要な素材の生産能力を2015年度までに6倍に増強。シャープは年内、東芝は11年からLED素子の量産を始める。新型デジタル家電の売れ行き拡大に伴い、関連部材は世界的に需給が逼迫(ひっぱく)しており、生産体制を強化する。
現在、液晶テレビのバックライトや照明器具に使うLEDとその関連部材の供給不足が最も深刻になっている。デジタル機器に使われるハードディスク駆動装置(HDD)や半導体メモリーの品薄も続いている。ソニー、パナソニックはこれらデジタル部材の調達難により、LED搭載液晶テレビの新製品を一部、発売を延期した。
デジタル家電向けの部材のなかでもLEDや半導体関連は日本メーカーが世界的に高いシェアを占めており、内外の最終組み立てメーカーから供給増を求める声が強まっている。
三菱化学は小田原工場(神奈川県小田原市)に70億円を投じ、LEDに使う蛍光体の生産ラインを拡張する。電気化学工業も大牟田工場(福岡県大牟田市)に20億円強を投じ、10月までに蛍光体の生産量を約10倍に増やす。両社合計の液晶テレビ向けのLED用蛍光体の世界シェアは主要な品種で5割を上回るもようだ。
LEDメーカーの豊田合成も大幅増産を計画する。12年度までに年産能力を現在の2倍の約100億個に引き上げる。
液晶テレビや照明メーカーではLED素子を内製する動きも相次ぐ。シャープは年内に広島県の工場などでテレビ用などに、東芝は11年から北九州市の工場で照明用の量産に踏み切る。日亜化学工業(徳島県阿南市)などLED素子メーカーからの調達とあわせ、LEDを安定的に確保する。
LED搭載テレビや、米マイクロソフトの新基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」を搭載したパソコン、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」やスマートフォンの売れ行きは不需要期に当たる1~3月以降も伸びている。これらのデジタル家電は半導体やHDDを大量に消費する。
これに伴うDRAMやNAND型フラッシュメモリーの需要回復で関連材料増産も相次ぐ。住友ベークライトは世界シェア4割の半導体の封止材料を11年4月までに15%増産する。
HDD関連では磁気ディスク材料のガラス基板について、世界シェア6~7割を握るHOYAが今秋にフィリピンで新工場を稼働、全社の月産能力を約4000万枚(2.5インチ換算)と現在より3割増やす計画だ。
日本経済新聞社の2010年度の設備投資動向調査では、10年度の製造業の投資額は3年ぶりの増加となる見通しだが、水準は07年度実績の約7割にとどまっている。業種別で見ても、化学、電気機器はそれぞれ76%、68%の水準だ。デジタル家電向け部材の供給不足は08年秋の金融危機以降、関連部材メーカーが投資を絞り込んだことが背景にある。
KDDI・住商・JCOM、高速無線通信などで提携へ
大筋合意、10日発表へ
住友商事、KDDI、ジュピターテレコム(JCOM)の3社は7日、放送・通信事業で広範に提携することで大筋合意した。10日にJCOMの森泉知行社長、住商の大沢善雄常務執行役員、KDDIの両角寛文執行役員専務がそろって会見し、概要を発表する。
JCOMがKDDIグループのUQコミュニケーションズのインフラを活用した高速無線通信サービスを展開するほか、KDDIがCATV局向けに提供している電話サービスを、JCOMの加入者向けサービスに組み込むことなどが柱。
KDDI子会社で国内CATV2位のジャパンケーブルネット(JCN)とJCOMの経営統合についても検討する。JCOMの大株主である住商とKDDIが協力することで、NTT対抗勢力としてのJCOMの企業価値向上を目指す。
KDDIは今年2月にJCOM株を大量取得。JCOMの設立当初からの大株主だった住商は4月、TOBによりJCOM株の40%強を保有する筆頭株主になった。株主2社は4月下旬、JCOMの企業価値向上で協力すると発表。KDDIとJCOMは作業部会を設置して、提携内容について協議を重ねてきた。
KDDI、「固定通信」が7期ぶり黒字化 11年3月期
KDDIの固定通信事業が2011年3月期に7期ぶりに黒字転換しそうだ。前期まで営業損益で400億~600億円規模の赤字が続いてきたが、100億円程度の黒字に浮上する。投資負担がピークを過ぎ、光ファイバーを使った通信サービスの成長などで立て直しの見通しがついた。主力の携帯電話事業が振るわないだけに、向こう2~3年は固定通信の収益をどこまで上積みできるかが焦点になりそうだ。
10年3月期は固定通信事業が442億円の営業赤字を計上。ソフトバンクに連結営業利益で初の逆転を許す一因になった。同事業の05年3月期から前期までの赤字は総額2761億円に達する。
KDDIは今期、前期比微増の4450億円の営業利益を見込む。携帯電話事業は約540億円の減益となるが、固定通信の改善で補う計画だ。
固定通信の黒字化は、従来型の音声通話サービスに代わり、光ファイバー通信やケーブルテレビなどデータ通信が主力に育ってきたため。
KDDI単体でみると、音声通話の売上高が前期比横ばいとなるなか、データ通信は3%の増収となる見込み。収入に占めるデータ通信の割合は09年3月期には49%だったが、今期は52%まで上昇。成長分野のデータ通信の比率が高まり、赤字の状態をようやく脱却する。
子会社の収益も伸びる。中部地区で光ファイバー通信サービスを展開する中部テレコミュニケーションの営業利益は4倍強の70億円、ケーブルテレビのジャパンケーブルネットも90億円と3割強増える見込み。海外も合わせると、固定通信関連子会社全体で120億円程度の利益押し上げ効果が出る。
設備投資が峠を越えて償却負担も軽くなる。光ファイバー通信網の整備などで、固定通信事業の設備投資はピークの09年3月期には1400億円強まで膨らんだ。今期は1270億円まで縮小する見通し。前期に稼働率の低い設備の統廃合や撤去などに取り組んだ効果もあり、通信ネットワーク関連のコストは前期比200億円弱減少する。
ただ、最悪期は脱したものの、固定通信の利益貢献はなお低水準。今後、顧客基盤拡大で見通し以上に収益を上積みできるかは、資本参加したジュピターテレコム(JCOM)との連携を早期に実現できるかが鍵を握りそうだ。
HMV、日本1号店の渋谷店閉鎖へ CD不振響く
CD販売大手のHMVジャパン(東京・港)は7日、HMV渋谷店(東京・渋谷)を8月中に閉鎖すると明らかにした。同店はHMVが日本進出の第1号店として1990年に開業。売り場面積は全国に55カ所ある同社の店舗で最大だった。閉鎖理由は明らかにしていないが、音楽配信の普及などでCD販売額の減少が予想を上回るペースで進んだことなどが影響したもようだ。
HMVを巡っては、カルチュア・コンビニエンス・クラブが買収の方向で検討を進めているが、渋谷店閉鎖については「独自の経営判断だ」(HMVジャパン)としている。HMVジャパンはピーク時の2008年11月末に国内で67店を展開していたが、店舗リストラを加速している。
日本レコード協会によると2009年の音楽CD生産額は08年比15.5%減の2460億円。11年連続で前年実績を割り込み、市場規模縮小が続いている。
主要企業、アフリカ開拓急ぐ ソニーは専売店増
電機などの大手企業が11日開幕のサッカー・ワールドカップ(W杯)の開催地域として世界の注目を集めるアフリカ市場の開拓を急いでいる。日立製作所は南アフリカ共和国で業務用エアコンに本格進出し、ソニーも専売店網を拡充しテレビなどの販売体制を強化する。9億人の人口を抱えるアフリカをアジアに次ぐ成長市場と位置付け、新興国への攻勢を強める世界のライバルに対抗する。
日立子会社の日立アプライアンスは南アでオフィスビルや商業施設向け業務用エアコンの販売をこのほど始めた。昨年末に整備した現地販売代理店網を活用する。従来は家庭向けと複数の施設を冷暖房できる大規模冷熱装置だけだった。家庭用エアコンの販売地域もケニアなどを加えて8カ国に増やした。
W杯公式スポンサーのソニーは大会の競技場近くにパビリオンを開設。最新のテレビを使った試合の3D(3次元)映像などでブランド認知度の向上を狙う。アフリカ全体ではエジプトなど計14カ所ある専売店数を10年度中にモロッコなど10カ所増やし、テレビや音響機器を拡販する。パナソニックは今年2月、ナイジェリアに販売・マーケティング担当の駐在員事務所を開設した。
自動車ではトヨタ自動車が昨年、アフリカ担当の役員を配置して現地販売を強化。同社の南アでの自動車販売台数は1~4月で3万2千台と前年同期比1割伸びた。アフリカの他国への輸出も拡大しており、同国での生産台数は1~4月で2割増の4万1千台だった。
豊富な資源やインフラ整備を商機ととらえ、商社や建機メーカーも相次ぎ参入。住友商事はマダガスカルで総事業費37億ドル(約3300億円)のニッケル鉱山開発を進め、2010年末にも生産を始める。コマツは10年度中に南ア、セネガルに続きケニアにもサービス研修拠点を設置する。日立建機は近くザンビアで20億円を投じ部品改修工場の建設に着手する。
スポーツ用品ではミズノが年内にもボールにカーブをかけやすいサッカースパイクなどを南アで売り出す。アシックスも北アフリカでランニングシューズなどの販売を始めた。日本円で1万円前後の商品が中心で、市民マラソンのスポンサーになるなどして知名度を高め、アフリカでの売上高を2年後に10億円以上と倍増させる計画だ。
欧米や韓国の企業も攻勢をかけている。独BMWは主力車種を生産する南ア工場に2億ユーロを投じ能力を45%拡大。すでに一定の販売基盤を持つ韓国の現代自動車は小型車を中心にシェア拡大を図る。新興国開拓で先行する韓国サムスン電子も現地駐在員を増やして販売力を強化している。
後退→回復の転換点「景気の谷」は09年3月
内閣府は7日、有識者で構成する「景気動向指数研究会」(座長=吉川洋・東大教授)を開き、2007年11月に始まった景気後退局面から、回復局面に入った転換点である直近の「景気の谷」が、2009年3月だったと判定した。
景気後退期間は17か月で、過去の平均(約16か月)と同程度となった。また、02年2月から07年10月までの景気拡大期間(69か月)を含めた景気循環は86か月で、戦後最長だった。
今回の景気後退は、08年9月のリーマン・ショック以降の落ち込みが急激だったのが特徴だ。景気の現状を示す一致指数(CI、2005年=100)の1か月あたりの下落率は、比較可能な1980年以降で最大の1・2%で、90年代のバブル崩壊や、00年代のITバブル崩壊のペースを上回った。一方で、「景気の谷」から1年間の回復ペースも早く、一致指数の上昇率は21・4%となり80年以降で最大だった。
独戦後最大の歳出削減、8兆8000億円
【ベルリン=三好範英】ドイツ政府は7日、2014年までに総額約800億ユーロ(約8兆8000億円)の歳出を削減する財政削減策を発表した。
地元メディアによると、西ドイツ時代も含め、戦後ドイツでは最大の歳出削減となる。
6、7の両日、連立与党間で行われた協議の結果決まったもので、欧州単一通貨ユーロの安定に向け、欧州最大の経済大国であるドイツが自ら財政規律の模範を示す意味もある。
計画では連邦政府職員を最大で1万5000人、連邦軍兵士を最大で4万人削減するほか、失業手当削減など社会保障分野にも切り込む。
2011年度の111億ユーロ削減を手始めに、12年171億ユーロ、13年257億ユーロ、14年324億ユーロをそれぞれ削減する。ドイツの財政赤字は今年、国内総生産(GDP)比で5%を突破する見込み。
米ダウ・ジョーンズCEO「新聞記事有料化、iPadで加速」 ネット広告単価、一部で上昇
米ダウ・ジョーンズ最高経営責任者(CEO)でウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)発行人のレスリー・ヒントン氏が7日東京で日本経済新聞の取材に応じ、インターネット上での新聞記事の有料化がアップルの「iPad(アイパッドで)」など新型携帯端末の登場で世界的に加速するとの見方を示した。また一部のネット媒体では広告単価が上がるとの自信を示した。
同氏は「コストがかかる高品質のジャーナリズムを無料でバラまいたのは大きな過ち。多くの新聞社がそのツケを払っている」と持論を述べた。米国では多くの新聞社が一律的なコスト削減を進めた結果、取材・編集力が弱体化したとも指摘。「読者を落胆させ、部数が減る悪循環に陥った」と分析した。
そのうえで「世界中の新聞社が過ちに気づき有料化の実験に乗り出しつつある。特にアップルのiPadなど新種の携帯端末の登場は、有料化加速の大きな契機になる」と話した。WSJのiPad版はすでに1万人超の有料読者を獲得したという。
ネット広告のクリックの8割は読者のうちのわずか8%によってなされており、クリックした読者は年齢や購買力の点で広告主の求める消費者層といえない点も指摘した。「ネット広告の中でもクリック率など既存の尺度で単価が決まらない、より高単価なブランド広告に広告主の関心が高まっている。それを表現する媒体としてiPadなど大画面携帯端末は適している」と述べた。WSJでは紙、電子版とも広告収入が09年10~12月期から前年同期比大幅増の回復期に入っているという。
日経社説
市場が問う為政者の言葉
世界の金融市場が混乱を増している。7日の東京でもユーロが急落し、日経平均株価が400円近い下げを演じた。菅直人新政権は米欧と協調し事態収拾に努めるとともに、危機のよって来るところをよく見極め政策運営の糧にすべきだ。
ギリシャだけでなくハンガリーの財政赤字がさらに深刻になる見通しから、欧州の金融・株式市場が動揺した。そこへ5月の米雇用統計が民間就業者数の伸び鈍化を示したことで、米国株も急落した。
日本には直接の原因はないというかもしれないが、グローバル化した市場に向かい合わなければならない政治指導者にとって、とりわけ欧州の混乱は人ごとではない。
「前政権が統計を改ざんした」。4日、ハンガリーの首相報道官がこう述べたことが危機の引き金を引いた。ハンガリーは欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)から金融支援を仰いでいる。その際、今年の財政赤字を国内総生産(GDP)の3.8%に抑えると約束してきたが、政府関係者はこの比率が7%を上回るともいう。
ハンガリーは5月に政権が交代しており、悪いのは社会党前政権だというのだろう。その振る舞いはギリシャのパパンドレウ政権とうり二つだ。パパンドレウ氏は昨年10月に政権に就くや、前政権の統計改ざんを告発したが、肝心の財政立て直し策は用意していなかったからだ。
ギリシャに1100億ユーロ、ユーロ圏諸国には7500億ユーロの金融支援が用意されているが、問題は火消しのための資金の量ばかりではない。欧州の指導者が経済運営に責任を持っているのかが試されている。
財務相就任直後に望ましい円相場の水準に言及し、市場を驚かせたことのある菅新首相は、今回の市場混乱は他山の石にしたいところだ。ギリシャ問題を機に日本の財政危機の深刻さを自覚したとされるのは良いことだが、自身が宣言したデフレの解消のメドが立たないなか、財政を立て直すのは至難の業だ。
新政権には成長と財政の両面にバランスの取れた政策をどう発信するかが問われている。まかり間違っても軽率な言動で市場混乱の種をまくことだけは避けてほしい。
新型iPhone明日未明発表?見どころは孫氏の対応
米Appleの一大イベントWWDC(Worldwide Developers Conference=世界開発者会議)が米サンフランシスコでいよいよ開催される。注目のスティーブ・ジョブズ氏の基調講演は日本時間の8日午前2時から。次期iPhoneの試作品の流出騒ぎまであったくらいなので、今回のWWDCでは新型iPhoneがほぼ間違いなく発表されるだろう。そのほかにも気になるポイントは幾つもあるが、わたし自身の最大の関心は、新型iPhoneに孫正義氏率いるソフトバンクがどう対応するのかにある。
なぜなら新型iPhoneは本体の前面に小型カメラが設置されるといわれている。ビデオコール(テレビ電話)が可能になるわけだ。テレビ電話の際のパケット通信料はどうなるのだろうか。現行のパケット定額サービスの範囲内で利用が認められるのだろうか。
米通信会社大手AT&Tがこのタイミングで、iPhoneなどのスマートフォン向けに提供している定額制料金プランを急に廃止したのは、新型iPhoneでテレビ電話ができるようになるからではないだろうか。
ソフトバンクはどうでるのか。孫氏はTwitterを通じてユーザーの質問に対し「悩ましい問題。世界中の携帯事業会社の経営者の悩みです」と回答している。
現行のiPhone3Gには、パソコンなど他のデジタル機器とインターネットのデータ通信を仲介できるテザリングという機能が搭載されているが、ソフトバンクではこの機能を利用できないように設定してある。ところがテザリングを希望するのは一部のパワーユーザーに限定されているためか、利用不可設定に対してそれほど苦情の声が上がらなかった。しかし前面カメラがついたのにテレビ電話ができないのであれば、多くのユーザーが反発するのは火を見るより明らか。ハード面の機能制御は無理なので、ソフトバンクとしては通信料金プランを調整することでユーザー行動を制御するしかない。
ソフトバンクは、AT&Tのように定額制を廃止するのだろうか。
根拠のない予測をさせていただければ、一般的なパケットし放題とは別に、パワーユーザー向けにテザリング、ビデオカンファレンスすべて可能な料金プランを作るのではないだろうか。一般的なパケットし放題は5000円、すべて込みだと1万円というような感じで。そんな新しい料金プランが出るのではないかと考えている。まったく根拠はないけれど。
さて発表が楽しみだ。
iPad効果でソフトバンクが首位キープ
携帯電話通信各社が7日発表した2010年5月の携帯電話契約の純増数によると、ソフトバンクモバイルが25万1100件となり、4月に続き2カ月連続で首位を保った。ソフトバンクとしては、21万6000件だった4月を上回る高水準。5月28日に国内で発売した新型情報端末「iPad(アイパッド)」など、米アップルの製品が契約数を押し上げる格好になった。
2位は前月に続いてNTTドコモで、11万3200件。ソフトバンクが取り扱うスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の対抗機種として、4月に発売した「Xperia(エクスペリア)」は引き続き好調だった。
3位はイー・モバイルの5万5800件で、前月より順位を1つ上げた。
4位は5万4700件のKDDI(au)で、1月以来、4カ月ぶりの最下位に甘んじた。ただ、高速無線通信サービス「WiMAX(ワイマックス)」を展開するKDDI系のUQコミュニケーションズを加えると、グループ全体の純増数は7万3600件だった。
事業再建を目指すウィルコムのPHSは、9万4200の純減となり、契約数が400万を割り込むなど、依然厳しい状況が続いている。
高速無線通信「ワイマックス」 加入者を5倍超へ
高速無線通信「WiMAX(ワイマックス)」によるインターネット接続サービスを展開するKDDI系のUQコミュニケーションズ(UQコム、東京都港区)は7日、2010年度末の加入者数を80万人とする計画を発表した。09年度末の約15万人を5倍超に引き上げる強気の目標の実現に向け、基地局の数を倍増させる方針。
ワイマックスは、アクセスポイントを探す必要のある無線LAN(構内情報通信網)とは異なり、データ通信カードをノートパソコンに差し込み、簡単な設定をするだけで、屋内外でネットに接続できる。
7日、東京都内で記者会見した野坂章雄・次期社長(現顧問)は、政令指定都市や県庁所在地など約7000局だった09年度の基地局数を、首都圏の通勤路線などを中心に増強して、10年度には約1万5000局に倍増させる方針を表明。当初計画を1年以上前倒しして、課題だったエリア展開の拡充を急ぎ、利便性を高めることで新規加入者の獲得につなげる考えだ。
07年8月設立のUQコムには、筆頭株主のKDDIのほかインテルや京セラなどが出資。09年7月に本格的な商用サービスを開始した。
UQコム、無線LANルーターを拡充 iPad需要狙う
KDDI系のUQコミュニケーションズ(東京・港)は7日、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」などで高速無線通信「WiMAX(ワイマックス)」が利用できる無線LANルーターを増やすと発表した。電機メーカーと協力して今夏をめどに現在の3機種から全7機種にする。14日付で社長に就く、KDDIの前中国総代表の野坂章雄氏が記者発表会で語った。
iPadはソフトバンクが携帯電話回線対応型を発売するが、同商品を利用すればUQコムの通信網を通じてインターネットを楽しめるという。
UQコムはKDDIや東日本旅客鉄道などが出資し、2009年7月に商用サービスを開始。3月末の加入者数は約20万人。
事業拡大で3本部新設、ミクシィが組織変更
ミクシィは7月1日付で組織変更に踏み切る。事業の拡大に伴い、主力事業を統括する「mixi事業本部」を廃止し、3本部を新設する。事業ごとに独立した部門を設けることで、事業規模の拡大にあわせて迅速な意思決定などをできるようにするのが狙い。
新設するのはミクシィの企画・開発を担当する「サービス本部」と外部企業との連携を強化する「パートナービジネス本部」、サービス運用の「システム本部」。
あわせて同日付で、NTTドコモで「iモード」のポータル(玄関)戦略を担当していたこともある原田明典取締役が代表取締役副社長サービス本部長兼最高執行責任者(COO)に就任する。
アクセスの4割が日本から カナダ製Twitterクライアント「Hoot 人気のTwitterクライアント「HootSuite」の日本語版が、7月ごろに公開される。英語のみのサービスにも関わらず、全トラフィックの38%が日本から。このほど日本語サポートサイトも公開した。
「日本語版もなく、日本で一切プロモーションしていないにも関わらず、日本人にたくさん使ってもらい、驚いている」――5月下旬に初来日したカナダHootSuiteのライアン・ホルムズCEO(35)は驚いた様子でこう話す。
HootSuiteは、TwitterやFacebook、MySpace、LinkedInといったSNSのアカウントを登録し、更新情報をチェックしたり、まとめて書き込んだりできるWebクライアント。iPhoneアプリ、Androidアプリもあり、世界の登録ユーザーは約100万人という。iPad版も開発中で、近く公開する予定だ。
Twitterのリプライやリストなどを別々のタイムラインに分け、一画面に並べて表示したり、複数のTwitterアカウントを登録してタブで切り替えたり、ツイート投稿時にURLを短縮したり――といったことも可能で、日本ではTwitterクライアントとして使う人が多い。
日本語版もなく、日本で一切宣伝していないにも関わらず、日本からのトラフィックは全体の38%と、米国(40%)に次ぐ2位。「@kazuyo_kというアカウントのユーザー(勝間和代さん)など、日本の有名Twitterユーザーが広めてくれた」とホルムズCEOは話す。
携帯電話にも対応したい考えで、今回、ソフトバンクモバイルの孫正義社長に呼ばれて来日した。「日本のケータイについては調査中。日本のモバイルを理解するには、まずケータイを理解しないと」
ウィルコムとフォーク、PHSと白衣の販売で連携
PHS最大手のウィルコムは7日、ユニホーム販売のフォーク(埼玉県加須市)と商材の販売で連携すると発表した。フォークがウィルコム製PHSの収納に適した看護師用の白衣を開発。営業先でウィルコム製PHSとセット販売してもらう。ウィルコムも営業先の医療機関でフォーク製の白衣の導入を提案する。
フォークはウィルコムが聞き取った医療現場の声を反映させ、新白衣「7003SC」を開発した。PHS用のポケットを右胸上部に設置。収納口を斜め向きにして端末の重みを分散させるつくりにしたほか、端末落下防止用にストラップ留めも付けた。
PHSは携帯電話に比べて電磁波が弱く機器や人体への影響が少ないのが特徴。ウィルコムによれば、同社のPHSは全国4000以上の医療・介護機関で連絡手段として活用されている。
【W杯】コートジボワール戦は14・5% TBS系で放送の視聴率
TBS系で4日に放送された「サッカー2010FIFAワールドカップ最終強化試合・日本×コートジボワール」(午後7時16分~同9時20分)の平均視聴率が関東地区で14・5%だったことが7日、ビデオリサーチの調べで分かった。関西地区では10・8%だった。
米AT&T、インド携帯2位に出資検討 米紙報道
【ニューヨーク=武類雅典】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は6日、米AT&Tがインドの携帯電話サービス2位リライアンス・コミュニケーションズへの出資を検討していると報じた。インドにはNTTドコモなど日欧の携帯大手も進出しており、AT&Tの参入は競争を一段と激しくさせる。
リライアンスの契約者数は約1億人。AT&Tとの交渉は初期段階とされ、出資比率などが今後の協議で焦点になるとみられている。
リライアンスは負債削減や通信網整備に必要な資金を調達するため、AT&Tを含む海外通信大手などからの出資受け入れを検討中という。AT&Tは新興国戦略に出遅れていたが、リライアンスの経営に参画できれば、中国に並ぶ巨大な成長市場への足がかりができる。
記者の目◇セブン&アイとイオンに見る日本経済の苦境
2008年以降、消費不振に悩まされた続けたセブン&アイ・ホールディングスとイオンにとって、11年2月期も楽な一年にはならないかもしれない。個人消費は底入れ感が出てきたが、本格回復には遠く、トップライン(売上高)の伸びは力強さを欠く。輸出企業に比べて業績改善ペースが鈍い。消費は輸出に遅行するとされるが、かつてと回復のパターンが変わっている可能性がある。
4日、セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂が東京・江東に大型ショッピングセンター(SC)「アリオ北砂」を開業した。約5万6000平方メートルの広大な敷地にヨーカ堂や119の専門店が集結。「アカチャンホンポ」や「ロフト」などグループの専門店も入る。ヨーカ堂が旗艦店と位置付ける「アリオ」としては8店目で、約2年ぶりの出店となる。
もっとも、SCの国内出店は今後減っていきそうだ。日本ショッピングセンター協会(東京・中央)によると、2009年のSC開業数は57カ所と前年より35%減少。郊外出店を規制する「改正まちづくり3法」の影響だけではない。「高齢化で地方も自動車中心の社会から変わってきている」(イオン幹部)。首都圏も低コストでまとまった用地を確保するのが難しい。専門店や小型店など他業態との競争も激しい。
様々な要因があるが、最も影響が大きいとみられるのが、日本の勤労者の賃金が伸び悩んでいることだ。JPモルガン証券の北野一氏によると、日本の企業の人件費と小売業の売上高には相関関係があるという。企業の人件費が2割以上伸びた1960年代には、小売業の売上高も25%近く増えた。2000年代に企業の人件費が0.7%減り、小売業の売上高の伸びも0.2%増に鈍化した。
北野氏は小売業の売り上げは1995年が分水嶺(ぶんすいれい)だったとみる。当時、日本経済団体連合会が「新時代の日本的経営」と題した提言を発表。労働者を「長期蓄積能力活用型グループ」(正規社員)、「高度専門能力活用型グループ」(専門職)、「雇用柔軟型グループ」(非正規社員)の3つに分けた。「労働力の流動化を進め、人件費の削減を促すきっかけになった」と指摘する。
国内の小売業がゼロ成長に入ったとすれば、小売株全体の時価総額は増えない。他社からシェアを奪うか、海外事業を拡大するしかない。セブン&アイの前期の海外事業の営業利益は290億円で全体の13%、イオンは153億円で12%。アジアを中心に積極的に打って出ようとしているが、小売業は商慣行や消費者ニーズなど地域性が強く、簡単に伸ばしにくい。となれば、国内で他社からシェアを奪うしかない。求められるのは、米ウォルマート式の規模を生かした経営に、改めて挑戦することだ。
セブン&アイ傘下のセブン―イレブン・ジャパンは今期、商品の売上高総利益率を上げる取り組みを始めた。バイイングパワーを生かし、商品の仕入れ条件を改善する。実際、飲料などで条件が改善したもよう。同社の食品の取扱高は国内トップ。規模のメリットを生かせば、売上高総利益率を上げる余地は十分ある。
規模のメリットを生かすには、経営効率を高める工夫も必要だ。イオンは苦戦する総合スーパーの従業員を、グループで堅調な靴専門店やドラッグストアなどへ出向させる取り組みを積極的に進めている。グループ内の従業員配置を最適化する。岡田元也社長は「小売業は倹約が第一。1円、1円を大切にする風土を根付かせなければいけない」と指摘する。
株価はセブン&アイ、イオンとも年初以降、消費の底入れが期待されて日経平均株価を上回って推移していた。だが、足元では市場全体の動きと同様、一服している。両社の攻めの一手が見たいところだ。
緊急特集
日経平均今年最大の下げ、ハンガリー問題は過剰な受け止め?(10/6/7)
週明け7日の東京株式市場は幅広い銘柄が売られ、日経平均株価は一時9502円まで下落した。中国の上海総合指数も大幅に反落するなど、アジア株相場もほぼ全面安の様相。前週末に発表された5月の米雇用統計が予想を下回る内容だったうえ、ハンガリーを巡る財政不安が浮上したことも響いた。欧州を発端とする政府財政の問題はまだ長引きそうなテーマだが、ハンガリーの財政問題に限って言えば、やや過剰に受け止められている面もありそうだ。
ハンガリーでは5月下旬に政権交代があったばかり。新政権のオルバン首相の報道官が、前政権が財政関連の統計数値を「操作していた」ため、ハンガリー国債が債務不履行に陥りかねないとの観測は「誇張ではない」と述べたと報じられた。このため、やはり政権交代を機に財政状況を巡る粉飾問題が発覚したギリシャと同じ状況に陥るのではないかと受け止められた。この結果、ハンガリーのブダペスト証券取引所指数(BUX)は4日、一時8%超下落し、欧州株相場は軒並み安となった。
ただ、週末の間に、ハンガリー問題を巡る市場の受け止めは変化している。別の政府関係者や格付け会社から債務不履行などを巡る発言は「誇張されている」などの発言が相次いだ。ハンガリーは2008年に国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)から200億ユーロの金融支援枠の供与を受け、財政再建を進めている。こうしたなか、オルバン政権は減税や景気てこ入れを訴えて政権を奪取した経緯があり、財政状況をことさらに悪く言ったのは、公約修正への地ならしを狙った「ポジショントーク」だったのではとの見方が浮上している。不吉な発言が多く「破滅博士」との異名を取るニューヨーク大学のルービニ教授までもが、「(ハンガリーの)新政権は新たな緊縮財政を国民に覚悟させようとしている」と発言しているほどだ。
もっとも、政権交代後もハンガリーが緊縮財政を余儀なくされるという事実は、財政悪化に苦しむ欧州圏は今後も景気の低迷リスクを抱え続ける可能性を示唆する。そうなれば、税収減に伴って財政がさらに悪化したり、金融機関が不良債権に苦しんだりする「悪いシナリオ」が否定できなくなる。実際、先週末4日の欧州市場ではフランス系の大手金融機関の株価がデリバティブ業務に関する憶測で急落する一幕があった。「ハンガリー」を巡る市場の理解はややずれていたかもしれないが、日経平均が380円安と急落した東京市場の反応そのものは、さほど的外れではなかったのかもしれない。
ロシア版シリコンバレー誕生へ(海外とっておき)
まるでロシアの新しい呪文(じゅもん)のようだ。「モデルニザーツィヤ」。メドベージェフ大統領は「近代化」を意味するこの言葉を国家目標に掲げ、就任から二年間ほぼ毎日欠かさず唱えてきた。政府系マスコミも日々引用し国民の関心を喚起する。だが実際のところ何を意味するのか?研究開発機関を集積するロシア版シリコンバレー計画の始動で、ようやくその実体が見えてきた。
「モデルニザーツィヤ(近代化)」を唱えるロシアのメドベージェフ大統領=ロイター
ロシア版シリコンバレーとなるイノベーションセンター『スコルコボ』の整備予定地はモスクワ中心部から西へ20キロ離れた約300ヘクタールの土地。5月末に明らかになった関連法案によると、主要な課題として省エネルギーと医薬品、原子力、宇宙技術、IT(情報技術)の戦略的5分野での研究開発と製品化を挙げた。
税優遇措置を導入し、外資も含め進出から10年間は法人税や資産税を免除する。企業が支払う年金基金や医療・社会保険の納入負担も大幅に軽減する。
国家の近代化をもたらす経済イノベーションの起爆剤に――。ロシア版シリコンバレーを創設する政権の意図は明らかだ。冷戦期の軍事力強化に偏重した予算配分や1991年のソ連崩壊で、ロシアの民生技術は欧米諸国や日本に大きく立ち遅れた。「屈辱的な資源依存から脱却できなかった」(メドベージェフ大統領)との反省に立ち、内外から研究開発と製造拠点を幅広く誘致する考えだ。
欧州連合(EU)や米国もロシアの近代化方針へ支持を打ち出した。1日まで開いたEUロシア首脳会議では「近代化のためのパートナーシップ」の着手で合意。ノキアや米マサチューセッツ工科大(MIT)がスコルコボに進出を検討する。
技術大国の日本はどうか。ロシアは協力を切望するが、日本企業の間では「進出を検討するところはほとんどないだろう」などと冷ややかな反応が多い。日ロ平和条約締結に熱意を燃やした鳩山政権が退陣し、日本政府も当面は動きづらいようだ。こうした欧米と日本の温度差がロシアの日本に対する失望感を招かないか懸念は残る。
米Appleの一大イベントWWDC(Worldwide Developers Conference=世界開発者会議)が米サンフランシスコでいよいよ開催される。注目のスティーブ・ジョブズ氏の基調講演は日本時間の8日午前2時から。次期iPhoneの試作品の流出騒ぎまであったくらいなので、今回のWWDCでは新型iPhoneがほぼ間違いなく発表されるだろう。そのほかにも気になるポイントは幾つもあるが、わたし自身の最大の関心は、新型iPhoneに孫正義氏率いるソフトバンクがどう対応するのかにある。
なぜなら新型iPhoneは本体の前面に小型カメラが設置されるといわれている。ビデオコール(テレビ電話)が可能になるわけだ。テレビ電話の際のパケット通信料はどうなるのだろうか。現行のパケット定額サービスの範囲内で利用が認められるのだろうか。
米通信会社大手AT&Tがこのタイミングで、iPhoneなどのスマートフォン向けに提供している定額制料金プランを急に廃止したのは、新型iPhoneでテレビ電話ができるようになるからではないだろうか。
ソフトバンクはどうでるのか。孫氏はTwitterを通じてユーザーの質問に対し「悩ましい問題。世界中の携帯事業会社の経営者の悩みです」と回答している。
現行のiPhone3Gには、パソコンなど他のデジタル機器とインターネットのデータ通信を仲介できるテザリングという機能が搭載されているが、ソフトバンクではこの機能を利用できないように設定してある。ところがテザリングを希望するのは一部のパワーユーザーに限定されているためか、利用不可設定に対してそれほど苦情の声が上がらなかった。しかし前面カメラがついたのにテレビ電話ができないのであれば、多くのユーザーが反発するのは火を見るより明らか。ハード面の機能制御は無理なので、ソフトバンクとしては通信料金プランを調整することでユーザー行動を制御するしかない。
ソフトバンクは、AT&Tのように定額制を廃止するのだろうか。
根拠のない予測をさせていただければ、一般的なパケットし放題とは別に、パワーユーザー向けにテザリング、ビデオカンファレンスすべて可能な料金プランを作るのではないだろうか。一般的なパケットし放題は5000円、すべて込みだと1万円というような感じで。そんな新しい料金プランが出るのではないかと考えている。まったく根拠はないけれど。
さて発表が楽しみだ。
iPad効果でソフトバンクが首位キープ
携帯電話通信各社が7日発表した2010年5月の携帯電話契約の純増数によると、ソフトバンクモバイルが25万1100件となり、4月に続き2カ月連続で首位を保った。ソフトバンクとしては、21万6000件だった4月を上回る高水準。5月28日に国内で発売した新型情報端末「iPad(アイパッド)」など、米アップルの製品が契約数を押し上げる格好になった。
2位は前月に続いてNTTドコモで、11万3200件。ソフトバンクが取り扱うスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の対抗機種として、4月に発売した「Xperia(エクスペリア)」は引き続き好調だった。
3位はイー・モバイルの5万5800件で、前月より順位を1つ上げた。
4位は5万4700件のKDDI(au)で、1月以来、4カ月ぶりの最下位に甘んじた。ただ、高速無線通信サービス「WiMAX(ワイマックス)」を展開するKDDI系のUQコミュニケーションズを加えると、グループ全体の純増数は7万3600件だった。
事業再建を目指すウィルコムのPHSは、9万4200の純減となり、契約数が400万を割り込むなど、依然厳しい状況が続いている。
高速無線通信「ワイマックス」 加入者を5倍超へ
高速無線通信「WiMAX(ワイマックス)」によるインターネット接続サービスを展開するKDDI系のUQコミュニケーションズ(UQコム、東京都港区)は7日、2010年度末の加入者数を80万人とする計画を発表した。09年度末の約15万人を5倍超に引き上げる強気の目標の実現に向け、基地局の数を倍増させる方針。
ワイマックスは、アクセスポイントを探す必要のある無線LAN(構内情報通信網)とは異なり、データ通信カードをノートパソコンに差し込み、簡単な設定をするだけで、屋内外でネットに接続できる。
7日、東京都内で記者会見した野坂章雄・次期社長(現顧問)は、政令指定都市や県庁所在地など約7000局だった09年度の基地局数を、首都圏の通勤路線などを中心に増強して、10年度には約1万5000局に倍増させる方針を表明。当初計画を1年以上前倒しして、課題だったエリア展開の拡充を急ぎ、利便性を高めることで新規加入者の獲得につなげる考えだ。
07年8月設立のUQコムには、筆頭株主のKDDIのほかインテルや京セラなどが出資。09年7月に本格的な商用サービスを開始した。
UQコム、無線LANルーターを拡充 iPad需要狙う
KDDI系のUQコミュニケーションズ(東京・港)は7日、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」などで高速無線通信「WiMAX(ワイマックス)」が利用できる無線LANルーターを増やすと発表した。電機メーカーと協力して今夏をめどに現在の3機種から全7機種にする。14日付で社長に就く、KDDIの前中国総代表の野坂章雄氏が記者発表会で語った。
iPadはソフトバンクが携帯電話回線対応型を発売するが、同商品を利用すればUQコムの通信網を通じてインターネットを楽しめるという。
UQコムはKDDIや東日本旅客鉄道などが出資し、2009年7月に商用サービスを開始。3月末の加入者数は約20万人。
事業拡大で3本部新設、ミクシィが組織変更
ミクシィは7月1日付で組織変更に踏み切る。事業の拡大に伴い、主力事業を統括する「mixi事業本部」を廃止し、3本部を新設する。事業ごとに独立した部門を設けることで、事業規模の拡大にあわせて迅速な意思決定などをできるようにするのが狙い。
新設するのはミクシィの企画・開発を担当する「サービス本部」と外部企業との連携を強化する「パートナービジネス本部」、サービス運用の「システム本部」。
あわせて同日付で、NTTドコモで「iモード」のポータル(玄関)戦略を担当していたこともある原田明典取締役が代表取締役副社長サービス本部長兼最高執行責任者(COO)に就任する。
アクセスの4割が日本から カナダ製Twitterクライアント「Hoot 人気のTwitterクライアント「HootSuite」の日本語版が、7月ごろに公開される。英語のみのサービスにも関わらず、全トラフィックの38%が日本から。このほど日本語サポートサイトも公開した。
「日本語版もなく、日本で一切プロモーションしていないにも関わらず、日本人にたくさん使ってもらい、驚いている」――5月下旬に初来日したカナダHootSuiteのライアン・ホルムズCEO(35)は驚いた様子でこう話す。
HootSuiteは、TwitterやFacebook、MySpace、LinkedInといったSNSのアカウントを登録し、更新情報をチェックしたり、まとめて書き込んだりできるWebクライアント。iPhoneアプリ、Androidアプリもあり、世界の登録ユーザーは約100万人という。iPad版も開発中で、近く公開する予定だ。
Twitterのリプライやリストなどを別々のタイムラインに分け、一画面に並べて表示したり、複数のTwitterアカウントを登録してタブで切り替えたり、ツイート投稿時にURLを短縮したり――といったことも可能で、日本ではTwitterクライアントとして使う人が多い。
日本語版もなく、日本で一切宣伝していないにも関わらず、日本からのトラフィックは全体の38%と、米国(40%)に次ぐ2位。「@kazuyo_kというアカウントのユーザー(勝間和代さん)など、日本の有名Twitterユーザーが広めてくれた」とホルムズCEOは話す。
携帯電話にも対応したい考えで、今回、ソフトバンクモバイルの孫正義社長に呼ばれて来日した。「日本のケータイについては調査中。日本のモバイルを理解するには、まずケータイを理解しないと」
ウィルコムとフォーク、PHSと白衣の販売で連携
PHS最大手のウィルコムは7日、ユニホーム販売のフォーク(埼玉県加須市)と商材の販売で連携すると発表した。フォークがウィルコム製PHSの収納に適した看護師用の白衣を開発。営業先でウィルコム製PHSとセット販売してもらう。ウィルコムも営業先の医療機関でフォーク製の白衣の導入を提案する。
フォークはウィルコムが聞き取った医療現場の声を反映させ、新白衣「7003SC」を開発した。PHS用のポケットを右胸上部に設置。収納口を斜め向きにして端末の重みを分散させるつくりにしたほか、端末落下防止用にストラップ留めも付けた。
PHSは携帯電話に比べて電磁波が弱く機器や人体への影響が少ないのが特徴。ウィルコムによれば、同社のPHSは全国4000以上の医療・介護機関で連絡手段として活用されている。
【W杯】コートジボワール戦は14・5% TBS系で放送の視聴率
TBS系で4日に放送された「サッカー2010FIFAワールドカップ最終強化試合・日本×コートジボワール」(午後7時16分~同9時20分)の平均視聴率が関東地区で14・5%だったことが7日、ビデオリサーチの調べで分かった。関西地区では10・8%だった。
米AT&T、インド携帯2位に出資検討 米紙報道
【ニューヨーク=武類雅典】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は6日、米AT&Tがインドの携帯電話サービス2位リライアンス・コミュニケーションズへの出資を検討していると報じた。インドにはNTTドコモなど日欧の携帯大手も進出しており、AT&Tの参入は競争を一段と激しくさせる。
リライアンスの契約者数は約1億人。AT&Tとの交渉は初期段階とされ、出資比率などが今後の協議で焦点になるとみられている。
リライアンスは負債削減や通信網整備に必要な資金を調達するため、AT&Tを含む海外通信大手などからの出資受け入れを検討中という。AT&Tは新興国戦略に出遅れていたが、リライアンスの経営に参画できれば、中国に並ぶ巨大な成長市場への足がかりができる。
記者の目◇セブン&アイとイオンに見る日本経済の苦境
2008年以降、消費不振に悩まされた続けたセブン&アイ・ホールディングスとイオンにとって、11年2月期も楽な一年にはならないかもしれない。個人消費は底入れ感が出てきたが、本格回復には遠く、トップライン(売上高)の伸びは力強さを欠く。輸出企業に比べて業績改善ペースが鈍い。消費は輸出に遅行するとされるが、かつてと回復のパターンが変わっている可能性がある。
4日、セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂が東京・江東に大型ショッピングセンター(SC)「アリオ北砂」を開業した。約5万6000平方メートルの広大な敷地にヨーカ堂や119の専門店が集結。「アカチャンホンポ」や「ロフト」などグループの専門店も入る。ヨーカ堂が旗艦店と位置付ける「アリオ」としては8店目で、約2年ぶりの出店となる。
もっとも、SCの国内出店は今後減っていきそうだ。日本ショッピングセンター協会(東京・中央)によると、2009年のSC開業数は57カ所と前年より35%減少。郊外出店を規制する「改正まちづくり3法」の影響だけではない。「高齢化で地方も自動車中心の社会から変わってきている」(イオン幹部)。首都圏も低コストでまとまった用地を確保するのが難しい。専門店や小型店など他業態との競争も激しい。
様々な要因があるが、最も影響が大きいとみられるのが、日本の勤労者の賃金が伸び悩んでいることだ。JPモルガン証券の北野一氏によると、日本の企業の人件費と小売業の売上高には相関関係があるという。企業の人件費が2割以上伸びた1960年代には、小売業の売上高も25%近く増えた。2000年代に企業の人件費が0.7%減り、小売業の売上高の伸びも0.2%増に鈍化した。
北野氏は小売業の売り上げは1995年が分水嶺(ぶんすいれい)だったとみる。当時、日本経済団体連合会が「新時代の日本的経営」と題した提言を発表。労働者を「長期蓄積能力活用型グループ」(正規社員)、「高度専門能力活用型グループ」(専門職)、「雇用柔軟型グループ」(非正規社員)の3つに分けた。「労働力の流動化を進め、人件費の削減を促すきっかけになった」と指摘する。
国内の小売業がゼロ成長に入ったとすれば、小売株全体の時価総額は増えない。他社からシェアを奪うか、海外事業を拡大するしかない。セブン&アイの前期の海外事業の営業利益は290億円で全体の13%、イオンは153億円で12%。アジアを中心に積極的に打って出ようとしているが、小売業は商慣行や消費者ニーズなど地域性が強く、簡単に伸ばしにくい。となれば、国内で他社からシェアを奪うしかない。求められるのは、米ウォルマート式の規模を生かした経営に、改めて挑戦することだ。
セブン&アイ傘下のセブン―イレブン・ジャパンは今期、商品の売上高総利益率を上げる取り組みを始めた。バイイングパワーを生かし、商品の仕入れ条件を改善する。実際、飲料などで条件が改善したもよう。同社の食品の取扱高は国内トップ。規模のメリットを生かせば、売上高総利益率を上げる余地は十分ある。
規模のメリットを生かすには、経営効率を高める工夫も必要だ。イオンは苦戦する総合スーパーの従業員を、グループで堅調な靴専門店やドラッグストアなどへ出向させる取り組みを積極的に進めている。グループ内の従業員配置を最適化する。岡田元也社長は「小売業は倹約が第一。1円、1円を大切にする風土を根付かせなければいけない」と指摘する。
株価はセブン&アイ、イオンとも年初以降、消費の底入れが期待されて日経平均株価を上回って推移していた。だが、足元では市場全体の動きと同様、一服している。両社の攻めの一手が見たいところだ。
緊急特集
日経平均今年最大の下げ、ハンガリー問題は過剰な受け止め?(10/6/7)
週明け7日の東京株式市場は幅広い銘柄が売られ、日経平均株価は一時9502円まで下落した。中国の上海総合指数も大幅に反落するなど、アジア株相場もほぼ全面安の様相。前週末に発表された5月の米雇用統計が予想を下回る内容だったうえ、ハンガリーを巡る財政不安が浮上したことも響いた。欧州を発端とする政府財政の問題はまだ長引きそうなテーマだが、ハンガリーの財政問題に限って言えば、やや過剰に受け止められている面もありそうだ。
ハンガリーでは5月下旬に政権交代があったばかり。新政権のオルバン首相の報道官が、前政権が財政関連の統計数値を「操作していた」ため、ハンガリー国債が債務不履行に陥りかねないとの観測は「誇張ではない」と述べたと報じられた。このため、やはり政権交代を機に財政状況を巡る粉飾問題が発覚したギリシャと同じ状況に陥るのではないかと受け止められた。この結果、ハンガリーのブダペスト証券取引所指数(BUX)は4日、一時8%超下落し、欧州株相場は軒並み安となった。
ただ、週末の間に、ハンガリー問題を巡る市場の受け止めは変化している。別の政府関係者や格付け会社から債務不履行などを巡る発言は「誇張されている」などの発言が相次いだ。ハンガリーは2008年に国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)から200億ユーロの金融支援枠の供与を受け、財政再建を進めている。こうしたなか、オルバン政権は減税や景気てこ入れを訴えて政権を奪取した経緯があり、財政状況をことさらに悪く言ったのは、公約修正への地ならしを狙った「ポジショントーク」だったのではとの見方が浮上している。不吉な発言が多く「破滅博士」との異名を取るニューヨーク大学のルービニ教授までもが、「(ハンガリーの)新政権は新たな緊縮財政を国民に覚悟させようとしている」と発言しているほどだ。
もっとも、政権交代後もハンガリーが緊縮財政を余儀なくされるという事実は、財政悪化に苦しむ欧州圏は今後も景気の低迷リスクを抱え続ける可能性を示唆する。そうなれば、税収減に伴って財政がさらに悪化したり、金融機関が不良債権に苦しんだりする「悪いシナリオ」が否定できなくなる。実際、先週末4日の欧州市場ではフランス系の大手金融機関の株価がデリバティブ業務に関する憶測で急落する一幕があった。「ハンガリー」を巡る市場の理解はややずれていたかもしれないが、日経平均が380円安と急落した東京市場の反応そのものは、さほど的外れではなかったのかもしれない。
ロシア版シリコンバレー誕生へ(海外とっておき)
まるでロシアの新しい呪文(じゅもん)のようだ。「モデルニザーツィヤ」。メドベージェフ大統領は「近代化」を意味するこの言葉を国家目標に掲げ、就任から二年間ほぼ毎日欠かさず唱えてきた。政府系マスコミも日々引用し国民の関心を喚起する。だが実際のところ何を意味するのか?研究開発機関を集積するロシア版シリコンバレー計画の始動で、ようやくその実体が見えてきた。
「モデルニザーツィヤ(近代化)」を唱えるロシアのメドベージェフ大統領=ロイター
ロシア版シリコンバレーとなるイノベーションセンター『スコルコボ』の整備予定地はモスクワ中心部から西へ20キロ離れた約300ヘクタールの土地。5月末に明らかになった関連法案によると、主要な課題として省エネルギーと医薬品、原子力、宇宙技術、IT(情報技術)の戦略的5分野での研究開発と製品化を挙げた。
税優遇措置を導入し、外資も含め進出から10年間は法人税や資産税を免除する。企業が支払う年金基金や医療・社会保険の納入負担も大幅に軽減する。
国家の近代化をもたらす経済イノベーションの起爆剤に――。ロシア版シリコンバレーを創設する政権の意図は明らかだ。冷戦期の軍事力強化に偏重した予算配分や1991年のソ連崩壊で、ロシアの民生技術は欧米諸国や日本に大きく立ち遅れた。「屈辱的な資源依存から脱却できなかった」(メドベージェフ大統領)との反省に立ち、内外から研究開発と製造拠点を幅広く誘致する考えだ。
欧州連合(EU)や米国もロシアの近代化方針へ支持を打ち出した。1日まで開いたEUロシア首脳会議では「近代化のためのパートナーシップ」の着手で合意。ノキアや米マサチューセッツ工科大(MIT)がスコルコボに進出を検討する。
技術大国の日本はどうか。ロシアは協力を切望するが、日本企業の間では「進出を検討するところはほとんどないだろう」などと冷ややかな反応が多い。日ロ平和条約締結に熱意を燃やした鳩山政権が退陣し、日本政府も当面は動きづらいようだ。こうした欧米と日本の温度差がロシアの日本に対する失望感を招かないか懸念は残る。