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ウィルコム、他社通話も定額 1回10分内で月500回 月980円、国内初のサービス
会社更生手続き中で、ソフトバンクが年内にも完全子会社するPHS会社のウィルコムは、毎月の基本料と別に980円の追加料金を支払えば同社の加入者同士だけでなく、他社の携帯電話や固定電話への国内通話も無料となるサービスを始める。他社への通話を対象とした定額サービスは国内初で、世界的にも珍しい。通話料の安さを武器に加入者を伸ばし、早期再建を目指す。
「だれとでも定額」の名称で3日から始める。他社通話が無料となるのは1回当たり10分以内の通話が対象で、通話回数は月500回まで。10分超過の場合は契約プランに応じた通話料、501回目以降は一律30秒21円の通話料を適用する。
他社通話を対象とした定額サービスはこれまで通信各社が導入を避けてきた。他社通話の場合は通話時間に応じた接続料を通話相手の通信会社に支払わなければならないためだ。顧客が大量に通話した場合は採算割れの恐れがある。そこでウィルコムは無料対象とする他社通話の時間や回数に一定の条件を設けることにした。
ウィルコムの加入者数は現在約374万人。携帯電話との競争激化で契約数の純減が17カ月続いている。同社はだれとでも定額を沖縄県で4月から試験導入しており、沖縄県では5月から純増に転じた。全国展開を契機に3カ月以内で純増に転換させたい考え。
大学生などに限定して提供してきた割安の料金プラン「新ウィルコム定額プランS」(月額1450円)も3日から対象を一般利用者に広げて販促を強化する。
GREE、ソーシャルゲームの月額課金に対応
グリーは11月30日、GREE内でソーシャルアプリを提供しているパートナー企業向けに、月額課金が可能な「アプリコース」の提供を始めた。NTTドコモとKDDI(au)の端末に対応する。
まずは芸者東京エンターテインメントが提供する「おみせやさんfor GREE」(約100万ユーザー)で対応。月額300、500、1000、2000コイン(1コイン=1円)のコースを用意した。ユーザーは、ゲーム内で作った商品を置けるスペースが増えるなどの特典を受けられる。
アプリコースを活用することでソーシャルゲームメーカーは、個別アイテムごとの課金に加え、毎月安定した収入を定期的に得られ、ユーザーは、毎月自動的にアイテムがもらえるなど、新たな楽しみ方ができるとしている。今後は占い、芸能、音楽などでアプリコースの導入を進めていくとしている。
テレビ販売最高の600万台 11月、年間の6割相当
エコポイント駆け込み特需
11月の薄型テレビの販売台数が、単月として過去最高の約600万台に達したもようだ。例年なら約1千万台とされる年間販売台数の6割を、1カ月で売った。1日から家電エコポイントの付与額が半減するため、駆け込み特需で販売が急伸。2010年通年は前年比8割増の2500万台以上に膨らむ見込みだが、今後は反動減も予測される。
全国約4000店の家電量販店の販売動向を調査するGfKジャパン(東京・中野)によると、11月1~28日の販売台数は前年同期比5.4倍。地域の家電店やインターネット通販などの販路も加味した推計では、11月の販売台数は約600万台に上る。過去最高だった10月の300万台強から倍増したようだ。
各メーカーは増産を続けており、9月は前年同月比1.9倍の218万台、10月は同2.4倍の283万台を出荷した。11月もソニーや三菱電機が一部工場を休日返上してフル稼働するなどの対応をしたが、特需に追いついていない。店頭は品薄状態で「11月に売ったテレビは少なくとも半数が家庭に届いていない」(大手家電量販店)という。
12月以降は特需の反動減が生じる。特にボーナス商戦が終わった後の1月以降はエコポイントの対象商品が減ることもあり、「1~2月が当面の販売の谷になる」(GfK)。制度が終了する3月には、再び駆け込みが起きる可能性もある。
ソニー、有利子負債が3年ぶり減少 3月末1割未満
ソニーは2011年3月期末の連結有利子負債(金融部門を除く)を1兆100億円程度と前期末に比べて約1割減らす。減少は3年ぶり。金融危機後の需要急減を受けて借入金が増えていたが、液晶テレビやデジタルカメラなどの販売が回復。キャッシュフロー(現金収支)が改善していることから、負債削減に踏み切る。
今期中に返済期限を迎える長期借入金について借り換えを実施しない。3月末時点で手元流動性が9882億円あり、一部を返済に振り向ける。有利子負債は08年3月期末で9904億円だったが、08年末に十数年ぶりに邦銀から借り入れたほか、コマーシャルペーパー(CP)の発行などで増加していた。
フリーキャッシュフロー(純現金収支)は09年3月期に3747億円のマイナスと落ち込んだが、10年3月期に3223億円のプラスに転換。今期も2期連続でプラスとなる見通しだ。液晶テレビなど主要製品の売り上げが回復。設備投資もピークの半分程度に抑制する。
運転資金の効率化も寄与する。金融危機後、事業部門ごとに在庫管理の目標を設定して改善活動を推進。取引先に働き掛けて売掛金の回収早期化や買掛金の支払い延長にも取り組んでいる。
顔写真の立体感・つや自然に NECが補正技術
NECは顔写真の肌の色をこれまでよりもきれいに補正できる画像処理技術を開発した。処理過程で失われがちだった肌のつやや立体感を自然に保ったまま、明るさを出せるのが特徴。携帯電話やデジタルカメラなどへの搭載を目指す。
従来の補正は肌の色を明るく白くする補正が中心だった。全体的に“のっぺり”した印象の不自然な顔写真になる場合が多かったという。
新技術は専用ソフトウエアで撮影済みの顔写真の画像データを分析。陰影や光の反射具合をもとに本来の顔のつやや立体感の情報を取り出す。肌の色を補正後、これらの情報を使って仕上げる。
携帯機器でも使えるように処理方法を工夫、計算量を少なくした。携帯電話などに使われるCPU(中央演算処理装置)で、メールで写真をやりとりする際の画素数に相当する1メガ(メガは100万)ピクセルの画像を0.4秒で処理できる。
ソフトをパソコンに入れ、顔写真がよく使われるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などに応用する方法も検討している。
マイクロソフトと米ITベンチャー、パソコンの起動速く ソフトを無料配布
米IT(情報技術)ベンチャーのスプラッシュトップ(カリフォルニア州)は30日、米マイクロソフト(MS)と組み、高速で起動できるOS(基本ソフト)の無料ダウンロード(取り込み)を始めたと発表した。MSは「ウィンドウズOSの起動が遅い」と利用者から指摘されており、ITベンチャーと連携しパソコンの高速起動を実現する。
新OSはMSの検索エンジン「ビング」を搭載。ウィンドウズを代替するのではなく共存し、ウィンドウズ用ソフトを使う際はそのための環境に切り替えるという。
利用者はスプラッシュ社のサイトで新OSを無料で取り込んで使う。パソコンの電源ボタンを押して数秒で起動。検索画面が登場し、閲覧ソフトを開かずにウェブサイトを検索したり、メールを送受信したりできる。
MSは高速起動を売り物に、近く搭載パソコンが登場するとみられるグーグルのパソコン用OS「クロームOS」の機先を制する。検索事業でグーグルに差をつけられており、検索事業での巻き返しも狙う。
欧州委、独禁法違反で米グーグルの正式調査開始
【ブリュッセル=工藤武人】欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は30日、インターネット検索最大手の米グーグルが、その支配的な地位を利用し、EU競争法(独占禁止法)に抵触する可能性があるとして正式な調査開始を決めたと発表した。
欧州委はグーグルが、検索結果を操作したり、広告主に対し競合他社への広告掲載を制限したりして、競合他社の締め出しを図っていないかどうかを調べる。
欧州委は今年2月、英国などの検索サイト3社から苦情申し立てを受理、予備調査に着手していた。
富士電機、ハードディスク国内生産をマレーシア移管
富士電機ホールディングスは30日、ハードディスク(HD)事業を再編すると発表した。2011年度中に国内拠点のHDの開発・生産機能をマレーシアの拠点に集約。拠点を一つにまとめることで、赤字が続く同事業の立て直しを目指す。
HD事業子会社の富士電機デバイステクノロジーの山梨事業所(山梨県南アルプス市)から順次、マレーシア富士電機に機能を移管。HDの生産能力は維持する。山梨事業所はパワー半導体の拠点としての活用を探る。
【産経主張】政府のTPP対応 入り口論ならもう沢山だ
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などの貿易自由化をにらみ、菅直人首相を本部長に全閣僚が参加する政府の「食と農林漁業の再生推進本部」の初会合が30日、開かれた。
TPPは既に交渉が始まっている。政府は来年6月を正式参加の表明期限としているが、残された時間は少ない。会合は本来、参加を前提に具体的な対処方針を決める場でなければならない。その前提すら確認できなかったというのでは、何のための全閣僚協議なのか。菅首相の指導力は無きに等しいといえる。
民主主義国を主体に米国が事実上主導するTPPは、関税の原則撤廃などを目指す高いレベルの自由貿易圏構想である。日本にとって参加の見送りは、貿易立国としての基本を放棄するものだ。安全保障への影響も大きい。
それが、いまだ参加の是非をめぐる入り口論で、政府の議論が終始している。信じがたい。
国内に農業への打撃を懸念する反対や慎重論が、党派を超えて存在するのは確かだ。会合では、そうした不安の払拭に向け、国内農業の生産性向上や、国際競争力を高める知恵を政府として示すことも期待されている。
そのためには、一定の戸別所得補償も必要だが、単なるバラマキでは意味がない。生産規模の拡大や品質向上に取り組む農家の優遇に振り向けることが重要だ。
TPP参加の判断時期をめぐっては、本来なら率先推進の立場であるはずの大畠章宏経済産業相ですら、11月26日の衆院経済産業委員会で「来年の秋ごろ」と早くも見通しを後退させている。
初会合後の記者会見で鹿野道彦農水相は「TPP参加を前提に本部を設置したわけではない。6月に判断する理由はない」と述べ、玄葉光一郎国家戦略担当相も同趣旨の発言をしている。鹿野、玄葉両氏とも再生本部の副本部長だ。いずれも耳を疑う発言だ。
首相は初会合で全閣僚に、「今度こそ日本の農業が世界に誇れる力を持って再生できるよう奮闘をお願いしたい」と訴えたが、TPP参加をめぐる菅政権の姿勢は、明らかに後退を続けている。
先のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の議長を務め、日本のTPP参加は「新たな開国」とうたい上げたのは、菅首相その人ではなかったか。
会社更生手続き中で、ソフトバンクが年内にも完全子会社するPHS会社のウィルコムは、毎月の基本料と別に980円の追加料金を支払えば同社の加入者同士だけでなく、他社の携帯電話や固定電話への国内通話も無料となるサービスを始める。他社への通話を対象とした定額サービスは国内初で、世界的にも珍しい。通話料の安さを武器に加入者を伸ばし、早期再建を目指す。
「だれとでも定額」の名称で3日から始める。他社通話が無料となるのは1回当たり10分以内の通話が対象で、通話回数は月500回まで。10分超過の場合は契約プランに応じた通話料、501回目以降は一律30秒21円の通話料を適用する。
他社通話を対象とした定額サービスはこれまで通信各社が導入を避けてきた。他社通話の場合は通話時間に応じた接続料を通話相手の通信会社に支払わなければならないためだ。顧客が大量に通話した場合は採算割れの恐れがある。そこでウィルコムは無料対象とする他社通話の時間や回数に一定の条件を設けることにした。
ウィルコムの加入者数は現在約374万人。携帯電話との競争激化で契約数の純減が17カ月続いている。同社はだれとでも定額を沖縄県で4月から試験導入しており、沖縄県では5月から純増に転じた。全国展開を契機に3カ月以内で純増に転換させたい考え。
大学生などに限定して提供してきた割安の料金プラン「新ウィルコム定額プランS」(月額1450円)も3日から対象を一般利用者に広げて販促を強化する。
GREE、ソーシャルゲームの月額課金に対応
グリーは11月30日、GREE内でソーシャルアプリを提供しているパートナー企業向けに、月額課金が可能な「アプリコース」の提供を始めた。NTTドコモとKDDI(au)の端末に対応する。
まずは芸者東京エンターテインメントが提供する「おみせやさんfor GREE」(約100万ユーザー)で対応。月額300、500、1000、2000コイン(1コイン=1円)のコースを用意した。ユーザーは、ゲーム内で作った商品を置けるスペースが増えるなどの特典を受けられる。
アプリコースを活用することでソーシャルゲームメーカーは、個別アイテムごとの課金に加え、毎月安定した収入を定期的に得られ、ユーザーは、毎月自動的にアイテムがもらえるなど、新たな楽しみ方ができるとしている。今後は占い、芸能、音楽などでアプリコースの導入を進めていくとしている。
テレビ販売最高の600万台 11月、年間の6割相当
エコポイント駆け込み特需
11月の薄型テレビの販売台数が、単月として過去最高の約600万台に達したもようだ。例年なら約1千万台とされる年間販売台数の6割を、1カ月で売った。1日から家電エコポイントの付与額が半減するため、駆け込み特需で販売が急伸。2010年通年は前年比8割増の2500万台以上に膨らむ見込みだが、今後は反動減も予測される。
全国約4000店の家電量販店の販売動向を調査するGfKジャパン(東京・中野)によると、11月1~28日の販売台数は前年同期比5.4倍。地域の家電店やインターネット通販などの販路も加味した推計では、11月の販売台数は約600万台に上る。過去最高だった10月の300万台強から倍増したようだ。
各メーカーは増産を続けており、9月は前年同月比1.9倍の218万台、10月は同2.4倍の283万台を出荷した。11月もソニーや三菱電機が一部工場を休日返上してフル稼働するなどの対応をしたが、特需に追いついていない。店頭は品薄状態で「11月に売ったテレビは少なくとも半数が家庭に届いていない」(大手家電量販店)という。
12月以降は特需の反動減が生じる。特にボーナス商戦が終わった後の1月以降はエコポイントの対象商品が減ることもあり、「1~2月が当面の販売の谷になる」(GfK)。制度が終了する3月には、再び駆け込みが起きる可能性もある。
ソニー、有利子負債が3年ぶり減少 3月末1割未満
ソニーは2011年3月期末の連結有利子負債(金融部門を除く)を1兆100億円程度と前期末に比べて約1割減らす。減少は3年ぶり。金融危機後の需要急減を受けて借入金が増えていたが、液晶テレビやデジタルカメラなどの販売が回復。キャッシュフロー(現金収支)が改善していることから、負債削減に踏み切る。
今期中に返済期限を迎える長期借入金について借り換えを実施しない。3月末時点で手元流動性が9882億円あり、一部を返済に振り向ける。有利子負債は08年3月期末で9904億円だったが、08年末に十数年ぶりに邦銀から借り入れたほか、コマーシャルペーパー(CP)の発行などで増加していた。
フリーキャッシュフロー(純現金収支)は09年3月期に3747億円のマイナスと落ち込んだが、10年3月期に3223億円のプラスに転換。今期も2期連続でプラスとなる見通しだ。液晶テレビなど主要製品の売り上げが回復。設備投資もピークの半分程度に抑制する。
運転資金の効率化も寄与する。金融危機後、事業部門ごとに在庫管理の目標を設定して改善活動を推進。取引先に働き掛けて売掛金の回収早期化や買掛金の支払い延長にも取り組んでいる。
顔写真の立体感・つや自然に NECが補正技術
NECは顔写真の肌の色をこれまでよりもきれいに補正できる画像処理技術を開発した。処理過程で失われがちだった肌のつやや立体感を自然に保ったまま、明るさを出せるのが特徴。携帯電話やデジタルカメラなどへの搭載を目指す。
従来の補正は肌の色を明るく白くする補正が中心だった。全体的に“のっぺり”した印象の不自然な顔写真になる場合が多かったという。
新技術は専用ソフトウエアで撮影済みの顔写真の画像データを分析。陰影や光の反射具合をもとに本来の顔のつやや立体感の情報を取り出す。肌の色を補正後、これらの情報を使って仕上げる。
携帯機器でも使えるように処理方法を工夫、計算量を少なくした。携帯電話などに使われるCPU(中央演算処理装置)で、メールで写真をやりとりする際の画素数に相当する1メガ(メガは100万)ピクセルの画像を0.4秒で処理できる。
ソフトをパソコンに入れ、顔写真がよく使われるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などに応用する方法も検討している。
マイクロソフトと米ITベンチャー、パソコンの起動速く ソフトを無料配布
米IT(情報技術)ベンチャーのスプラッシュトップ(カリフォルニア州)は30日、米マイクロソフト(MS)と組み、高速で起動できるOS(基本ソフト)の無料ダウンロード(取り込み)を始めたと発表した。MSは「ウィンドウズOSの起動が遅い」と利用者から指摘されており、ITベンチャーと連携しパソコンの高速起動を実現する。
新OSはMSの検索エンジン「ビング」を搭載。ウィンドウズを代替するのではなく共存し、ウィンドウズ用ソフトを使う際はそのための環境に切り替えるという。
利用者はスプラッシュ社のサイトで新OSを無料で取り込んで使う。パソコンの電源ボタンを押して数秒で起動。検索画面が登場し、閲覧ソフトを開かずにウェブサイトを検索したり、メールを送受信したりできる。
MSは高速起動を売り物に、近く搭載パソコンが登場するとみられるグーグルのパソコン用OS「クロームOS」の機先を制する。検索事業でグーグルに差をつけられており、検索事業での巻き返しも狙う。
欧州委、独禁法違反で米グーグルの正式調査開始
【ブリュッセル=工藤武人】欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は30日、インターネット検索最大手の米グーグルが、その支配的な地位を利用し、EU競争法(独占禁止法)に抵触する可能性があるとして正式な調査開始を決めたと発表した。
欧州委はグーグルが、検索結果を操作したり、広告主に対し競合他社への広告掲載を制限したりして、競合他社の締め出しを図っていないかどうかを調べる。
欧州委は今年2月、英国などの検索サイト3社から苦情申し立てを受理、予備調査に着手していた。
富士電機、ハードディスク国内生産をマレーシア移管
富士電機ホールディングスは30日、ハードディスク(HD)事業を再編すると発表した。2011年度中に国内拠点のHDの開発・生産機能をマレーシアの拠点に集約。拠点を一つにまとめることで、赤字が続く同事業の立て直しを目指す。
HD事業子会社の富士電機デバイステクノロジーの山梨事業所(山梨県南アルプス市)から順次、マレーシア富士電機に機能を移管。HDの生産能力は維持する。山梨事業所はパワー半導体の拠点としての活用を探る。
【産経主張】政府のTPP対応 入り口論ならもう沢山だ
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などの貿易自由化をにらみ、菅直人首相を本部長に全閣僚が参加する政府の「食と農林漁業の再生推進本部」の初会合が30日、開かれた。
TPPは既に交渉が始まっている。政府は来年6月を正式参加の表明期限としているが、残された時間は少ない。会合は本来、参加を前提に具体的な対処方針を決める場でなければならない。その前提すら確認できなかったというのでは、何のための全閣僚協議なのか。菅首相の指導力は無きに等しいといえる。
民主主義国を主体に米国が事実上主導するTPPは、関税の原則撤廃などを目指す高いレベルの自由貿易圏構想である。日本にとって参加の見送りは、貿易立国としての基本を放棄するものだ。安全保障への影響も大きい。
それが、いまだ参加の是非をめぐる入り口論で、政府の議論が終始している。信じがたい。
国内に農業への打撃を懸念する反対や慎重論が、党派を超えて存在するのは確かだ。会合では、そうした不安の払拭に向け、国内農業の生産性向上や、国際競争力を高める知恵を政府として示すことも期待されている。
そのためには、一定の戸別所得補償も必要だが、単なるバラマキでは意味がない。生産規模の拡大や品質向上に取り組む農家の優遇に振り向けることが重要だ。
TPP参加の判断時期をめぐっては、本来なら率先推進の立場であるはずの大畠章宏経済産業相ですら、11月26日の衆院経済産業委員会で「来年の秋ごろ」と早くも見通しを後退させている。
初会合後の記者会見で鹿野道彦農水相は「TPP参加を前提に本部を設置したわけではない。6月に判断する理由はない」と述べ、玄葉光一郎国家戦略担当相も同趣旨の発言をしている。鹿野、玄葉両氏とも再生本部の副本部長だ。いずれも耳を疑う発言だ。
首相は初会合で全閣僚に、「今度こそ日本の農業が世界に誇れる力を持って再生できるよう奮闘をお願いしたい」と訴えたが、TPP参加をめぐる菅政権の姿勢は、明らかに後退を続けている。
先のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の議長を務め、日本のTPP参加は「新たな開国」とうたい上げたのは、菅首相その人ではなかったか。
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ソニーのクラウド音楽サービス Music Unlimited by Qriocity、PSP向けに提供
先日提供されたPSP v6.35アップデートは国内向けに x-RADAR Portable アプリ (のアイコン) を追加したが、米国リージョンのPSPでは [Music] 以下に " Music Unlimited powered by Qriocity " が加わった。Music Unlimited は、ソニーのオンラインサービス Qriocity に含まれるクラウド音楽サービスの名称。かつて SOS ( Sony Online Service) というすごい略称で発表された Qriocity はテレビやPC、携帯電話、ゲーム機など機器を問わずに使えることを目指した「ネットワークサービスのプラットフォーム」で、その一部として音楽の Music Unlimited や、すでに海外向けのテレビで導入されているビデオサービス Video On Demand が提供されるという関係だ。
Music Unlimited のサービス内容は、「クラウド上で管理される膨大な音楽ライブラリーから、お好みにあわせてカスタマイズされた音楽チャンネルを、ご自身でファイル管理をすることなく、様々な機器上でお楽しみいただくことが可能です。」(Qriocity 発表文) 。またQriocity.comの解説では、パーソナルライブラリをクラウドにアップロードしていつでもアクセスできる、また自動おすすめ機能で新しい音楽の発見 (と購入) もできるなどと説明されている。
Music Unlimited のサービス開始は年内予定。PSPでも SensMe Channels の上にアイコンが追加されたものの、開いてもウェブの Coming Soon ページに飛ばされる。9月の発表ではサービス開始時にBRAVIA、VAIO、XPERIA、BDプレーヤやホームシアター、PS3で、準備が整いしだいポータブル機器にも、と表現されており、Connect のトラウマを乗り越え今度こそアップル iTunes に真っ向勝負を挑む構えです。国内PSPには提供されるのかどうかも今のところ不明。
ソニー、ニコン、サンディスクが次世代メモリカード仕様開発
ソニーとニコン、米半導体メーカーのサンディスクの3社は30日、デジタルカメラやデジタルビデオカメラに使う次世代のメモリーカードの仕様を共同で開発したと発表した。カメラからパソコンにデータを転送する時の速度や容量を高めた。3社はコンパクトフラッシュの業界団体に標準規格として認定するように提案した。
写真や動画映像を扱うメディア業界からは大容量データを迅速に処理する記憶媒体が求められていた。コンパクトフラッシュの既存品は1秒当たり最大167メガバイトの転送速度だったが、3社で開発した次世代品は同500メガバイトと約3倍に高めた。保存容量は2テラバイト超まで可能という。今後は今回の仕様に基づいて各メーカーが商品化に向けて開発する。
規格の標準化を認定する業界団体はコンパクトフラッシュ・アソシエーション(米カリフォルニア州)で1995年に設立している。
グーグル、Groupon買収交渉で53億ドルを提示か--All Things Digital報道
All Things Digitalは米国時間11月29日、Googleがクーポン共同購入サイトGrouponの買収に向けた交渉で53億ドルを提示しており、買収が成立した場合には同社最大の買収になることを情報筋の話として報じた。
All Things Digitalは、今回の買収について、最終段階で失敗に終わる可能性が当然あるものの、早ければ30日朝にも成立する様子を見せていたと情報筋が語ったことを伝えている。
身振りでゲーム操作するMicrosoftの「Kinect」、25日で250万台販売
Microsoftは11月29日、Xbox 360用モーションコントローラ「Kinect」が、発売から25日で250万台以上売れたと発表した。
Kinectは11月4日に発売され、最初の10日で100万台が売れた。11月末には年末商戦が本格的に始まり、最初の週末にはかなりの需要があったという。Microsoftは年内の販売台数を500万台と見込んでいる。「供給不足にならないよう、できるだけ速く店舗にKinectを補充するため、小売店および製造パートナーと協力して生産と出荷の迅速化に尽力している」と同社は述べている。
Kinectはカメラとセンサーでプレイヤーの動きをとらえ、それをゲームの中で再現するため、身振り手振りでゲームを操作できる。現在、世界の18の地域で販売されており、日本では20日に発売された。
ウィルコム、会社更生計画が認可決定
会社更生法による法的整理に入り、更生計画案を裁判所に提出していたウィルコムは、更生計画が認可されたと発表した。
同社は、昨年9月に事業再生ADR(産業活力再生特別措置法所定の特定認証解決手続き)を申請し、債権者に対して借入金残金の返済期限延長を求め、債務の私的整理を目指した。しかし、今年2月に私的整理を断念して会社更生法を申請、法的整理に向け取り組んでいた。
10月、更生計画案の付議決定を受け、計画案が決議されることが決定した。今回、その書面投票の結果、債権者の賛同を受けて更生計画が認可された。
なお、ウィルコムとスポンサー契約を結ぶソフトバンクの代表取締役社長の孫正義氏は、10月28日の2010年第2四半期決算発表会において、ウィルコムの基地局設置場所にソフトバンクの基地局を建設する計画を示した。また、ウィルコムの約373万ユーザーに対して、「急激に減っては経営的に良くない。なんとかこれを良い方向に持って行けるような目安をつけている最中」などと話している。
ソニー、シャープ液晶工場の投資断念報道にコメント
-「当社が発表したものでは無い」
ソニーは29日、シャープとの液晶パネル生産合弁会社・シャープディスプレイプロダクト(SDP)への経営参加を断念するとの報道に対し、「当社が発表したものでは無く、これ以上のコメントは控える」と発表した。
ソニーとシャープは2009年7月に、液晶テレビに使う大型液晶パネル、およびモジュールの生産/販売事業における合弁契約を締結した。大阪府堺市に工場を持つSDPに、ソニーが100億円を出資して合弁会社化。同年10月から生産を開始している。2009年12月29日時点での出資比率はソニー7.04%、シャープ92.96%。
ソニーはその後も段階的な追加投資を実施し、持株比率を最大34%まで高め、経営に本格参加するとしていた。
しかし、読売新聞は27・28日に、「ソニーは追加投資をとりやめ、経営参加を見送る方針を固めた。パネル調達計画は見直され、台湾製品の比率を高めることになる」などと報じており、それを受けて、今回ソニーが「当社が発表したものでは無い」とコメントを発表した。
家電エコポイント、あすから半減 販売ピーク拡散、混乱回避狙う 経産相「冷静な理解を」
政府は家電エコポイント制度について、12月1日からすべての対象商品のポイントを半減する。現行制度のままだと来年3月の制度終了までに予算を使い切る可能性が出てきたため。さらに来年1月からは、省エネ基準の達成度を示す「統一省エネラベル」で「5つ星」の商品買い替え時に限定してポイントを付与。販売ピークを拡散し、混乱を避ける狙いがある。
制度変更直前の30日も、各地の家電量販店では駆け込み需要が続いている。大畠章宏経済産業相は同日の閣議後の記者会見で「いずれやめないといけない政策。反動減が予想されるが、冷静に受け止めてほしい」と制度変更に理解を求めた。
Microsoftが「ネットテレビ」再挑戦へ Google、Appleと競合か
米Microsoftがテレビ分野に再び力を入れようとしている。ただし今回に関しては、同社が狙いを定めているのは、ケーブルテレビ(CATV)、衛星放送、そして電話会社のようだ。
Reutersの取材に応じ、情報筋が語ったところによれば、Microsoftは自社のゲーム機Xboxで月額定額制の新しいテレビサービスを提供する計画をめぐり、テレビ局各社と話し合いを行っているという。実現すれば、GoogleやAppleのほか、オンラインDVDレンタル大手Netflixなどの取り組みと競合することになるサービスだ。
過去にもMSNBCやWebTVに投資してきたMicrosoftだが、今回の計画は、リビングルームのエンターテインメントを再定義しようという動きが加速するなかで進められているものだ。ここ1年ほど、テクノロジー各社の間では、価格の高いペイTV(有料テレビ)への加入に代わる、より安価な代替選択肢の提供を目指す動きが広がっている。
Microsoftが検討中のシナリオの1つは、Xboxで提供する新しいテレビサービスを開発し、「仮想CATV事業者」としての役割を果たすというものだ。同社の計画に詳しい2人の情報筋によれば、このサービスではABC、NBC、Fox、CBS、ESPN、CNNなどのテレビ局の番組を月額料金制でXboxから視聴できるようになるという。
そのほかの選択肢としては、CATV加入者がXboxを使って、よりインタラクティブな方法で番組を視聴できるようにするというものもあるという。例えば、お気に入りのテレビ番組を視聴しながら、友人とメッセージもやり取りできるといった具合だ。
情報筋によれば、さらにMicrosoftは顧客向けに番組パッケージを編成し、例えば、スポーツ番組や子供向け番組などをパッケージで提供する可能性についても検討中という。
【産経主張】日航の更生計画 スト実施で認可は問題だ
経営再建中の日本航空の会社更生計画案について、銀行など債権者の大半が同意した。これを受け、30日にも計画案は東京地裁の認可を受ける見通しだという。
しかし、日航の現状を見る限り、計画案がこのまま認可されることは許されまい。一部労組が人員整理に断固反対の立場を崩さず、ストライキを実施する方針を決めたため、更生計画自体が瓦解(がかい)しかねないからだ。
人員の削減は更生計画の柱である。5200億円の借金棒引きと出資による3500億円の公的資金を投入する前提だ。
日航は労組のゴネ得を許す労使なれ合いの体質もあって、何度も再建が頓挫し、今年1月に破綻した。このままでは同じ轍(てつ)を踏む懸念が残る。「甘え」の企業風土を温存したままでの公的資金投入は国民の理解を得られない。
日航は来年3月までにグループ全体で1万6千人を削減する目標を掲げ、希望退職を募ってきた。しかし、パイロットと客室乗務員については目標に達せず、計250人の整理解雇を決めざるを得なかった。これに対して客室乗務員の一部の労組はスト権を確立した上、整理解雇の撤回だけでなく、人員整理そのものにも反対し、来月24日、25日にストを強行する方針を決めた。
整理解雇は雇用契約を一方的に取り消すことになるため、実施にあたって法律で厳しい条件が課せられている。だが、日航はそもそも破綻企業であり、その条件に該当する。再建を成功させるには、整理解雇もやむを得ない。
支援機構は当初、「スト権を確立すれば出資しない」と労組を牽制していた。ところが、労組側がスト実施を決めたにもかかわらず、「客室乗務員の多くは別の労組に所属しており運航に大きな支障はない」などとして、公的資金を出資する方向に傾いている。
経営側も、整理解雇の規模縮小や、地上職への転籍を促す妥協案を示して話し合いを継続する方針だという。これでは、支援機構も経営側も腰砕けである。すでに希望退職に応じた地上職社員に対しても、説明はつかない。
更生計画の認可が、日航の再建を保証するわけではない。再度失敗すれば、国民負担の公的資金が水泡に帰すことになる。支援機構と日航の労使はそのことを改めて肝に銘じるべきだ。
先日提供されたPSP v6.35アップデートは国内向けに x-RADAR Portable アプリ (のアイコン) を追加したが、米国リージョンのPSPでは [Music] 以下に " Music Unlimited powered by Qriocity " が加わった。Music Unlimited は、ソニーのオンラインサービス Qriocity に含まれるクラウド音楽サービスの名称。かつて SOS ( Sony Online Service) というすごい略称で発表された Qriocity はテレビやPC、携帯電話、ゲーム機など機器を問わずに使えることを目指した「ネットワークサービスのプラットフォーム」で、その一部として音楽の Music Unlimited や、すでに海外向けのテレビで導入されているビデオサービス Video On Demand が提供されるという関係だ。
Music Unlimited のサービス内容は、「クラウド上で管理される膨大な音楽ライブラリーから、お好みにあわせてカスタマイズされた音楽チャンネルを、ご自身でファイル管理をすることなく、様々な機器上でお楽しみいただくことが可能です。」(Qriocity 発表文) 。またQriocity.comの解説では、パーソナルライブラリをクラウドにアップロードしていつでもアクセスできる、また自動おすすめ機能で新しい音楽の発見 (と購入) もできるなどと説明されている。
Music Unlimited のサービス開始は年内予定。PSPでも SensMe Channels の上にアイコンが追加されたものの、開いてもウェブの Coming Soon ページに飛ばされる。9月の発表ではサービス開始時にBRAVIA、VAIO、XPERIA、BDプレーヤやホームシアター、PS3で、準備が整いしだいポータブル機器にも、と表現されており、Connect のトラウマを乗り越え今度こそアップル iTunes に真っ向勝負を挑む構えです。国内PSPには提供されるのかどうかも今のところ不明。
ソニー、ニコン、サンディスクが次世代メモリカード仕様開発
ソニーとニコン、米半導体メーカーのサンディスクの3社は30日、デジタルカメラやデジタルビデオカメラに使う次世代のメモリーカードの仕様を共同で開発したと発表した。カメラからパソコンにデータを転送する時の速度や容量を高めた。3社はコンパクトフラッシュの業界団体に標準規格として認定するように提案した。
写真や動画映像を扱うメディア業界からは大容量データを迅速に処理する記憶媒体が求められていた。コンパクトフラッシュの既存品は1秒当たり最大167メガバイトの転送速度だったが、3社で開発した次世代品は同500メガバイトと約3倍に高めた。保存容量は2テラバイト超まで可能という。今後は今回の仕様に基づいて各メーカーが商品化に向けて開発する。
規格の標準化を認定する業界団体はコンパクトフラッシュ・アソシエーション(米カリフォルニア州)で1995年に設立している。
グーグル、Groupon買収交渉で53億ドルを提示か--All Things Digital報道
All Things Digitalは米国時間11月29日、Googleがクーポン共同購入サイトGrouponの買収に向けた交渉で53億ドルを提示しており、買収が成立した場合には同社最大の買収になることを情報筋の話として報じた。
All Things Digitalは、今回の買収について、最終段階で失敗に終わる可能性が当然あるものの、早ければ30日朝にも成立する様子を見せていたと情報筋が語ったことを伝えている。
身振りでゲーム操作するMicrosoftの「Kinect」、25日で250万台販売
Microsoftは11月29日、Xbox 360用モーションコントローラ「Kinect」が、発売から25日で250万台以上売れたと発表した。
Kinectは11月4日に発売され、最初の10日で100万台が売れた。11月末には年末商戦が本格的に始まり、最初の週末にはかなりの需要があったという。Microsoftは年内の販売台数を500万台と見込んでいる。「供給不足にならないよう、できるだけ速く店舗にKinectを補充するため、小売店および製造パートナーと協力して生産と出荷の迅速化に尽力している」と同社は述べている。
Kinectはカメラとセンサーでプレイヤーの動きをとらえ、それをゲームの中で再現するため、身振り手振りでゲームを操作できる。現在、世界の18の地域で販売されており、日本では20日に発売された。
ウィルコム、会社更生計画が認可決定
会社更生法による法的整理に入り、更生計画案を裁判所に提出していたウィルコムは、更生計画が認可されたと発表した。
同社は、昨年9月に事業再生ADR(産業活力再生特別措置法所定の特定認証解決手続き)を申請し、債権者に対して借入金残金の返済期限延長を求め、債務の私的整理を目指した。しかし、今年2月に私的整理を断念して会社更生法を申請、法的整理に向け取り組んでいた。
10月、更生計画案の付議決定を受け、計画案が決議されることが決定した。今回、その書面投票の結果、債権者の賛同を受けて更生計画が認可された。
なお、ウィルコムとスポンサー契約を結ぶソフトバンクの代表取締役社長の孫正義氏は、10月28日の2010年第2四半期決算発表会において、ウィルコムの基地局設置場所にソフトバンクの基地局を建設する計画を示した。また、ウィルコムの約373万ユーザーに対して、「急激に減っては経営的に良くない。なんとかこれを良い方向に持って行けるような目安をつけている最中」などと話している。
ソニー、シャープ液晶工場の投資断念報道にコメント
-「当社が発表したものでは無い」
ソニーは29日、シャープとの液晶パネル生産合弁会社・シャープディスプレイプロダクト(SDP)への経営参加を断念するとの報道に対し、「当社が発表したものでは無く、これ以上のコメントは控える」と発表した。
ソニーとシャープは2009年7月に、液晶テレビに使う大型液晶パネル、およびモジュールの生産/販売事業における合弁契約を締結した。大阪府堺市に工場を持つSDPに、ソニーが100億円を出資して合弁会社化。同年10月から生産を開始している。2009年12月29日時点での出資比率はソニー7.04%、シャープ92.96%。
ソニーはその後も段階的な追加投資を実施し、持株比率を最大34%まで高め、経営に本格参加するとしていた。
しかし、読売新聞は27・28日に、「ソニーは追加投資をとりやめ、経営参加を見送る方針を固めた。パネル調達計画は見直され、台湾製品の比率を高めることになる」などと報じており、それを受けて、今回ソニーが「当社が発表したものでは無い」とコメントを発表した。
家電エコポイント、あすから半減 販売ピーク拡散、混乱回避狙う 経産相「冷静な理解を」
政府は家電エコポイント制度について、12月1日からすべての対象商品のポイントを半減する。現行制度のままだと来年3月の制度終了までに予算を使い切る可能性が出てきたため。さらに来年1月からは、省エネ基準の達成度を示す「統一省エネラベル」で「5つ星」の商品買い替え時に限定してポイントを付与。販売ピークを拡散し、混乱を避ける狙いがある。
制度変更直前の30日も、各地の家電量販店では駆け込み需要が続いている。大畠章宏経済産業相は同日の閣議後の記者会見で「いずれやめないといけない政策。反動減が予想されるが、冷静に受け止めてほしい」と制度変更に理解を求めた。
Microsoftが「ネットテレビ」再挑戦へ Google、Appleと競合か
米Microsoftがテレビ分野に再び力を入れようとしている。ただし今回に関しては、同社が狙いを定めているのは、ケーブルテレビ(CATV)、衛星放送、そして電話会社のようだ。
Reutersの取材に応じ、情報筋が語ったところによれば、Microsoftは自社のゲーム機Xboxで月額定額制の新しいテレビサービスを提供する計画をめぐり、テレビ局各社と話し合いを行っているという。実現すれば、GoogleやAppleのほか、オンラインDVDレンタル大手Netflixなどの取り組みと競合することになるサービスだ。
過去にもMSNBCやWebTVに投資してきたMicrosoftだが、今回の計画は、リビングルームのエンターテインメントを再定義しようという動きが加速するなかで進められているものだ。ここ1年ほど、テクノロジー各社の間では、価格の高いペイTV(有料テレビ)への加入に代わる、より安価な代替選択肢の提供を目指す動きが広がっている。
Microsoftが検討中のシナリオの1つは、Xboxで提供する新しいテレビサービスを開発し、「仮想CATV事業者」としての役割を果たすというものだ。同社の計画に詳しい2人の情報筋によれば、このサービスではABC、NBC、Fox、CBS、ESPN、CNNなどのテレビ局の番組を月額料金制でXboxから視聴できるようになるという。
そのほかの選択肢としては、CATV加入者がXboxを使って、よりインタラクティブな方法で番組を視聴できるようにするというものもあるという。例えば、お気に入りのテレビ番組を視聴しながら、友人とメッセージもやり取りできるといった具合だ。
情報筋によれば、さらにMicrosoftは顧客向けに番組パッケージを編成し、例えば、スポーツ番組や子供向け番組などをパッケージで提供する可能性についても検討中という。
【産経主張】日航の更生計画 スト実施で認可は問題だ
経営再建中の日本航空の会社更生計画案について、銀行など債権者の大半が同意した。これを受け、30日にも計画案は東京地裁の認可を受ける見通しだという。
しかし、日航の現状を見る限り、計画案がこのまま認可されることは許されまい。一部労組が人員整理に断固反対の立場を崩さず、ストライキを実施する方針を決めたため、更生計画自体が瓦解(がかい)しかねないからだ。
人員の削減は更生計画の柱である。5200億円の借金棒引きと出資による3500億円の公的資金を投入する前提だ。
日航は労組のゴネ得を許す労使なれ合いの体質もあって、何度も再建が頓挫し、今年1月に破綻した。このままでは同じ轍(てつ)を踏む懸念が残る。「甘え」の企業風土を温存したままでの公的資金投入は国民の理解を得られない。
日航は来年3月までにグループ全体で1万6千人を削減する目標を掲げ、希望退職を募ってきた。しかし、パイロットと客室乗務員については目標に達せず、計250人の整理解雇を決めざるを得なかった。これに対して客室乗務員の一部の労組はスト権を確立した上、整理解雇の撤回だけでなく、人員整理そのものにも反対し、来月24日、25日にストを強行する方針を決めた。
整理解雇は雇用契約を一方的に取り消すことになるため、実施にあたって法律で厳しい条件が課せられている。だが、日航はそもそも破綻企業であり、その条件に該当する。再建を成功させるには、整理解雇もやむを得ない。
支援機構は当初、「スト権を確立すれば出資しない」と労組を牽制していた。ところが、労組側がスト実施を決めたにもかかわらず、「客室乗務員の多くは別の労組に所属しており運航に大きな支障はない」などとして、公的資金を出資する方向に傾いている。
経営側も、整理解雇の規模縮小や、地上職への転籍を促す妥協案を示して話し合いを継続する方針だという。これでは、支援機構も経営側も腰砕けである。すでに希望退職に応じた地上職社員に対しても、説明はつかない。
更生計画の認可が、日航の再建を保証するわけではない。再度失敗すれば、国民負担の公的資金が水泡に帰すことになる。支援機構と日航の労使はそのことを改めて肝に銘じるべきだ。
決済機能付きで最小のマイコン ルネサスエレ
ルネサスエレクトロニクスは、スマートフォン(高機能携帯電話)向けに世界最小の決済機能付きマイコンを開発した。国内で初めて非接触型決済の国際規格「NFC」に対応する。11月下旬に米IT(情報技術)大手グーグルが携帯電子決済への対応を表明し、海外市場でも決済機能付きスマートフォンが急速に普及する見通し。2011年3月からサンプル出荷を始め、海外携帯端末メーカーへ拡販を急ぐ。
開発したマイコンは、スマートフォンと決済用機器との間で電波をやり取りする無線通信制御機能と、決済情報を暗号化して偽造を防ぐセキュリティー機能を持つ。非接触型部品で強みがある大日本印刷がコンデンサーや抵抗部品と一緒に基板に組み込んで製品化する。
スマートフォンを機器にかざし、電車やバスの乗り降りや商品の購入、オフィスの入退室管理システムなどに使う。
海外の競合他社は機能ごとに半導体チップが別々。同社は無駄な回路を省き、面積や厚みを減らす組み立て加工技術を導入して、1個の半導体チップに必要な機能をすべて盛り込んだ。
国内携帯市場では電子マネー「おサイフケータイ」による決済機能が普及。採用規格はソニーが開発した「フェリカ」だが、欧州や米国の主流規格とは互換性がない。
一方、NFCはフェリカ、欧米規格とも互換性があり、事実上の世界標準規格。グーグルは携帯電話用の基本ソフト(OS)をNFCに対応する予定で、スマートフォンの世界市場で12年にはNFC対応端末が現在の10倍の3億台に増加するとの試算もある。ルネサスは世界標準規格に対応した最小チップを市場投入して、海外半導体メーカーに対抗する。
JCOMが高速無線通信 来月から「WiMAX」
CATV最大手のジュピターテレコム(JCOM)は大株主のKDDIと通信サービスに乗り出す。第1弾としてKDDIグループのUQコミュニケーションズの高速無線通信「WiMAX(ワイマックス)」をJCOMのネット接続サービス加入者に提供する。UQコムの同種サービスよりも料金を安く設定して加入者の拡大につなげる。
12月15日から札幌、仙台、関東、九州でサービスを始める。2011年2月には関西にも対象を広げる。契約期間は1年間。加入者はワイマックス内蔵パソコンか、ルーターなどの対応機器を用意する必要がある。
月額利用料は3600円と、UQコムのサービスに比べ300円ほど安い。対応ルーターがあれば多機能携帯端末や高機能携帯電話(スマートフォン)を使い外出先でも利用できる。
JCOMのネット接続サービスは加入世帯数が10月末時点で約167万世帯で、1年前より約7%増えた。無線通信の導入で加入者獲得に弾みを付ける。KDDIは2月にJCOMに出資。両社はCATV回線を活用した固定電話サービスも11年4月に始める計画で、事業連携を加速する。
電子書籍、端末の競争激しく 年末商戦へ各社新機種
コンテンツ配信も拡充
年末商戦に向け、電機メーカーなどが電子書籍に適した情報端末を相次ぎ投入している。シャープは29日、タブレット型の多機能携帯端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」を12月10日に発売すると発表した。日本経済新聞など新聞各紙のほか、雑誌や書籍など約2万冊の電子書籍の配信も端末発売と同じ12月10日に始める。
無線LAN(構内情報通信網)を経由してインターネットに接続すれば、ウェブサイトの閲覧をはじめとする幅広い使い方が可能。新聞や雑誌といった定期刊行物は自動配信にも対応している。2011年春には動画や音楽、ゲームなどのコンテンツを拡充して端末の普及につなげる。
コンテンツの配信サービスは、シャープがKDDI(au)やソフトバンク、NTTドコモの携帯電話各社に今秋から順次供給する高機能携帯電話(スマートフォン)でも利用できる。ガラパゴスと新型スマートフォンの合計で早期に100万台の販売を目指す。
ソニーが同じく12月10日に発売する「リーダー」は読書のしやすさで特色を出す。白黒の微粒子を制御して文字を表示する電子ペーパー方式を採用。動画・カラー表示はできないが、画面が発光しないため目に優しい。
消費電力も低く、1回の充電で1万ページを表示でき、通常利用だと2週間はもつ。画面が5型で重量155グラムの端末は長時間の読書でも持ち疲れしない。初年度の販売目標は30万台に設定した。
凸版印刷やKDDI、朝日新聞社と共同で設立したブックリスタを通じて12月10日に配信サービスを始める。書籍を中心に2万冊を用意する。
携帯電話各社も年末商戦ではスマートフォンをはじめ電子書籍に適した多機能端末をそろって拡充する。端末と配信サービスの組み合わせにより市場開拓で先行している米アップル「iPad(アイパッド)」との競争が激しくなりそうだ。
KDDI、クラウド機能拡充へ 企業の運用コスト、4割削減
KDDIは29日、企業向けクラウドサービスの機能を拡充し、来年1月4日から提供すると発表した。顧客企業の社員が自分で管理しているパソコンのソフトやデータをネットワーク上に設置するサーバーで一元的に管理して運用コスト削減につなげるほか、高精細なハイビジョン画質でのテレビ会議を外出先でも手軽に利用できるようにするのが柱だ。
社員が各自で管理しているパソコンに保存されたアプリケーションソフトやデータを、KDDIのサーバー上で集中管理することで企業の情報システム部門の負担を軽減し、運用コストを従来に比べ約4割削減できるという。
テレビ会議では、KDDIのサーバーに通信回線を経由して接続することで、外出先でもハイビジョン画質のテレビ会議に参加できる。主に従業員数500人以上の企業を対象とする。
東京都内で記者会見したKDDIの山田靖久・データ商品企画部長は「今後の本格的なクラウド需要に対応していきたい」と話した。
シャープ、液晶TV“宴の後”に待つもの
26日昼の東京・有楽町。液晶テレビやプラズマテレビが並ぶ大手家電量販店の1階フロアは、薄型テレビを買い求める人々で埋め尽くされた。普段なら比較的人出の少ない午後3時だが、この日の商談受付の列は約1時間半待ち。消費者を駆り立てるのは、12月からエコポイント制度が縮小されるのをにらんだ“駆け込み”需要だ。
電機大手銘柄の中でシャープの株価がさえない。
26日終値は815円で、日経平均株価が年初来安値を付けた8月31日からの上昇率は1.4%。同時期にライバルのソニーが22%高、パナソニックが13.1%高と大きく反発しており、シャープ株の上値の重さが際立つ。
背景にあるのが、同社の液晶パネル・テレビ事業の先行きに対する株式市場の厳しい視線だ。
2011年3月期はエコポイント制度が需要を強力に押し上げているため、液晶テレビの販売台数が前期の約1.5倍の1500万台に急拡大する見通しだが、連結純利益は300億円と過去最高だった08年3月期の約3割にとどまる見込み。低価格攻勢を得意とする韓国サムスン電子などの台頭で価格競争が激しさを増しており、シャープの利幅の小ささを「もはやビジネスモデルの限界」(外資系証券アナリスト)と指摘する厳しい声もある。
さらに問題なのは来期の国内商戦だ。来年3月末でエコポイント制度は終了、7月下旬には地上デジタル放送に完全移行し、一気にテレビ関連の政策特需が消滅する。シャープのある役員は「2010年度の薄型テレビ市場は国内全体で1800万台超に膨らむだろうが、政策の恩恵を除いた実力ベースは900万台程度。追い風がやむ来期以降の国内販売減は避けられない」と漏らす。
経済産業省の集計によると、個人による薄型テレビのエコポイント申請件数は、制度が始まった昨年7月~今年10月末までの16カ月間で約1620万件。全世帯のおよそ3分の1が同制度を活用して薄型テレビを購入した計算だ。今後は「家庭の2台目、3台目需要を本格的に開拓しないと販売台数が伸びない」(シャープ役員)時代が到来することになる。
夏場以降の世界的な液晶市況悪化を受け、シャープは下期(10年10月~11年3月期)に「液晶パネル全体で1割程度の減産を想定している」(安達俊雄副社長)というが、来期以降も恒常的に液晶パネルの生産量を引き下げる事態に陥れば、総額4300億円を投じた堺工場(堺市)の液晶パネル製造ラインの巨額減損リスクを意識せざるを得ない。
今月19日、シャープが中国で最新鋭の「第10世代」液晶パネル工場の建設に向けた調査を始めていることが明らかになった。南京市がホームページに環境影響調査を実施する旨の公告を掲載したためだ。
シャープ側は「そういう計画はない」(広報室)と否定しているが、計画が具現化すれば同社が経営戦略の柱に位置付ける「地産地消」の推進に弾みがつく。シャープに“変革”を促している株式市場は今、同社の決断をかたずをのんで見守っている。
銀行業績回復 融資の拡大でこそ利益を(11月30日付・読売社説)
大手銀行の利益は大きく回復したが、内容は及第点とはいえない。
経済の血流となる貸し出しを増やし、経済成長に貢献しながら利益を積み上げていく、銀行業務の“原点”に戻るべきであろう。
大手銀行6グループの2010年9月中間連結決算は、税引き後利益の合計が1・3兆円となり、前年同期の約3倍に膨らんだ。
業績はV字回復だが、中身には問題が多い。貸出残高の減少が止まらず、銀行の本業である融資業務は低迷しているからだ。
代わりに稼ぎ頭になったのが、債券の売買業務である。
この中間期は市場金利が下がって、銀行が保有する国債などの価格が上昇した。銀行は値上がりした債券を売って差益を稼いだ。
3メガ銀行の債券売却益は、みずほフィナンシャルグループと三菱UFJフィナンシャル・グループが、それぞれ前年同期の約8倍に、三井住友フィナンシャルグループも約4倍に達した。
債券売買は、相場次第で利益が大きい反面、一転して大損する恐れもある。銀行が不安定な収益に頼るのは、金融システムの安定という面から望ましくない。
融資の減少は大手だけでなく、地方銀行なども同じ傾向にある。原因について銀行は、設備投資などが振るわず、借り入れする企業が少ないことなどを挙げる。
しかし、借り手の企業側には、銀行が貸し倒れなどのリスクを過剰に恐れ、融資を絞っているとの批判が根強い。
現時点では、民間融資の焦げ付きを信用保証協会が全額肩代わりする「緊急保証制度」が、中小企業への貸し出しを下支えしているが、この制度は今年度で打ち切られる予定という。
そうなると、融資は一段と絞り込まれる恐れがある。
融資先を育てるという視点を忘れず、安易に貸し渋りなどしないよう、銀行側には求めたい。
一方、大手銀行が海外に活路を見いだそうとする動きも加速してきた。アジアなど新興市場での金融ビジネス拡大は、政府の成長戦略にも沿う。
日本企業が海外で、鉄道や電力などの社会基盤(インフラ)投資や市場開拓に取り組む際、良質な金融サービスを提供できる体制作りが急がれる。
円高メリットを生かし、海外の金融機関との提携や買収を積極化するのも一策である。
金融の国際競争に勝てるよう、業務の質を高めてもらいたい。
ルネサスエレクトロニクスは、スマートフォン(高機能携帯電話)向けに世界最小の決済機能付きマイコンを開発した。国内で初めて非接触型決済の国際規格「NFC」に対応する。11月下旬に米IT(情報技術)大手グーグルが携帯電子決済への対応を表明し、海外市場でも決済機能付きスマートフォンが急速に普及する見通し。2011年3月からサンプル出荷を始め、海外携帯端末メーカーへ拡販を急ぐ。
開発したマイコンは、スマートフォンと決済用機器との間で電波をやり取りする無線通信制御機能と、決済情報を暗号化して偽造を防ぐセキュリティー機能を持つ。非接触型部品で強みがある大日本印刷がコンデンサーや抵抗部品と一緒に基板に組み込んで製品化する。
スマートフォンを機器にかざし、電車やバスの乗り降りや商品の購入、オフィスの入退室管理システムなどに使う。
海外の競合他社は機能ごとに半導体チップが別々。同社は無駄な回路を省き、面積や厚みを減らす組み立て加工技術を導入して、1個の半導体チップに必要な機能をすべて盛り込んだ。
国内携帯市場では電子マネー「おサイフケータイ」による決済機能が普及。採用規格はソニーが開発した「フェリカ」だが、欧州や米国の主流規格とは互換性がない。
一方、NFCはフェリカ、欧米規格とも互換性があり、事実上の世界標準規格。グーグルは携帯電話用の基本ソフト(OS)をNFCに対応する予定で、スマートフォンの世界市場で12年にはNFC対応端末が現在の10倍の3億台に増加するとの試算もある。ルネサスは世界標準規格に対応した最小チップを市場投入して、海外半導体メーカーに対抗する。
JCOMが高速無線通信 来月から「WiMAX」
CATV最大手のジュピターテレコム(JCOM)は大株主のKDDIと通信サービスに乗り出す。第1弾としてKDDIグループのUQコミュニケーションズの高速無線通信「WiMAX(ワイマックス)」をJCOMのネット接続サービス加入者に提供する。UQコムの同種サービスよりも料金を安く設定して加入者の拡大につなげる。
12月15日から札幌、仙台、関東、九州でサービスを始める。2011年2月には関西にも対象を広げる。契約期間は1年間。加入者はワイマックス内蔵パソコンか、ルーターなどの対応機器を用意する必要がある。
月額利用料は3600円と、UQコムのサービスに比べ300円ほど安い。対応ルーターがあれば多機能携帯端末や高機能携帯電話(スマートフォン)を使い外出先でも利用できる。
JCOMのネット接続サービスは加入世帯数が10月末時点で約167万世帯で、1年前より約7%増えた。無線通信の導入で加入者獲得に弾みを付ける。KDDIは2月にJCOMに出資。両社はCATV回線を活用した固定電話サービスも11年4月に始める計画で、事業連携を加速する。
電子書籍、端末の競争激しく 年末商戦へ各社新機種
コンテンツ配信も拡充
年末商戦に向け、電機メーカーなどが電子書籍に適した情報端末を相次ぎ投入している。シャープは29日、タブレット型の多機能携帯端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」を12月10日に発売すると発表した。日本経済新聞など新聞各紙のほか、雑誌や書籍など約2万冊の電子書籍の配信も端末発売と同じ12月10日に始める。
無線LAN(構内情報通信網)を経由してインターネットに接続すれば、ウェブサイトの閲覧をはじめとする幅広い使い方が可能。新聞や雑誌といった定期刊行物は自動配信にも対応している。2011年春には動画や音楽、ゲームなどのコンテンツを拡充して端末の普及につなげる。
コンテンツの配信サービスは、シャープがKDDI(au)やソフトバンク、NTTドコモの携帯電話各社に今秋から順次供給する高機能携帯電話(スマートフォン)でも利用できる。ガラパゴスと新型スマートフォンの合計で早期に100万台の販売を目指す。
ソニーが同じく12月10日に発売する「リーダー」は読書のしやすさで特色を出す。白黒の微粒子を制御して文字を表示する電子ペーパー方式を採用。動画・カラー表示はできないが、画面が発光しないため目に優しい。
消費電力も低く、1回の充電で1万ページを表示でき、通常利用だと2週間はもつ。画面が5型で重量155グラムの端末は長時間の読書でも持ち疲れしない。初年度の販売目標は30万台に設定した。
凸版印刷やKDDI、朝日新聞社と共同で設立したブックリスタを通じて12月10日に配信サービスを始める。書籍を中心に2万冊を用意する。
携帯電話各社も年末商戦ではスマートフォンをはじめ電子書籍に適した多機能端末をそろって拡充する。端末と配信サービスの組み合わせにより市場開拓で先行している米アップル「iPad(アイパッド)」との競争が激しくなりそうだ。
KDDI、クラウド機能拡充へ 企業の運用コスト、4割削減
KDDIは29日、企業向けクラウドサービスの機能を拡充し、来年1月4日から提供すると発表した。顧客企業の社員が自分で管理しているパソコンのソフトやデータをネットワーク上に設置するサーバーで一元的に管理して運用コスト削減につなげるほか、高精細なハイビジョン画質でのテレビ会議を外出先でも手軽に利用できるようにするのが柱だ。
社員が各自で管理しているパソコンに保存されたアプリケーションソフトやデータを、KDDIのサーバー上で集中管理することで企業の情報システム部門の負担を軽減し、運用コストを従来に比べ約4割削減できるという。
テレビ会議では、KDDIのサーバーに通信回線を経由して接続することで、外出先でもハイビジョン画質のテレビ会議に参加できる。主に従業員数500人以上の企業を対象とする。
東京都内で記者会見したKDDIの山田靖久・データ商品企画部長は「今後の本格的なクラウド需要に対応していきたい」と話した。
シャープ、液晶TV“宴の後”に待つもの
26日昼の東京・有楽町。液晶テレビやプラズマテレビが並ぶ大手家電量販店の1階フロアは、薄型テレビを買い求める人々で埋め尽くされた。普段なら比較的人出の少ない午後3時だが、この日の商談受付の列は約1時間半待ち。消費者を駆り立てるのは、12月からエコポイント制度が縮小されるのをにらんだ“駆け込み”需要だ。
電機大手銘柄の中でシャープの株価がさえない。
26日終値は815円で、日経平均株価が年初来安値を付けた8月31日からの上昇率は1.4%。同時期にライバルのソニーが22%高、パナソニックが13.1%高と大きく反発しており、シャープ株の上値の重さが際立つ。
背景にあるのが、同社の液晶パネル・テレビ事業の先行きに対する株式市場の厳しい視線だ。
2011年3月期はエコポイント制度が需要を強力に押し上げているため、液晶テレビの販売台数が前期の約1.5倍の1500万台に急拡大する見通しだが、連結純利益は300億円と過去最高だった08年3月期の約3割にとどまる見込み。低価格攻勢を得意とする韓国サムスン電子などの台頭で価格競争が激しさを増しており、シャープの利幅の小ささを「もはやビジネスモデルの限界」(外資系証券アナリスト)と指摘する厳しい声もある。
さらに問題なのは来期の国内商戦だ。来年3月末でエコポイント制度は終了、7月下旬には地上デジタル放送に完全移行し、一気にテレビ関連の政策特需が消滅する。シャープのある役員は「2010年度の薄型テレビ市場は国内全体で1800万台超に膨らむだろうが、政策の恩恵を除いた実力ベースは900万台程度。追い風がやむ来期以降の国内販売減は避けられない」と漏らす。
経済産業省の集計によると、個人による薄型テレビのエコポイント申請件数は、制度が始まった昨年7月~今年10月末までの16カ月間で約1620万件。全世帯のおよそ3分の1が同制度を活用して薄型テレビを購入した計算だ。今後は「家庭の2台目、3台目需要を本格的に開拓しないと販売台数が伸びない」(シャープ役員)時代が到来することになる。
夏場以降の世界的な液晶市況悪化を受け、シャープは下期(10年10月~11年3月期)に「液晶パネル全体で1割程度の減産を想定している」(安達俊雄副社長)というが、来期以降も恒常的に液晶パネルの生産量を引き下げる事態に陥れば、総額4300億円を投じた堺工場(堺市)の液晶パネル製造ラインの巨額減損リスクを意識せざるを得ない。
今月19日、シャープが中国で最新鋭の「第10世代」液晶パネル工場の建設に向けた調査を始めていることが明らかになった。南京市がホームページに環境影響調査を実施する旨の公告を掲載したためだ。
シャープ側は「そういう計画はない」(広報室)と否定しているが、計画が具現化すれば同社が経営戦略の柱に位置付ける「地産地消」の推進に弾みがつく。シャープに“変革”を促している株式市場は今、同社の決断をかたずをのんで見守っている。
銀行業績回復 融資の拡大でこそ利益を(11月30日付・読売社説)
大手銀行の利益は大きく回復したが、内容は及第点とはいえない。
経済の血流となる貸し出しを増やし、経済成長に貢献しながら利益を積み上げていく、銀行業務の“原点”に戻るべきであろう。
大手銀行6グループの2010年9月中間連結決算は、税引き後利益の合計が1・3兆円となり、前年同期の約3倍に膨らんだ。
業績はV字回復だが、中身には問題が多い。貸出残高の減少が止まらず、銀行の本業である融資業務は低迷しているからだ。
代わりに稼ぎ頭になったのが、債券の売買業務である。
この中間期は市場金利が下がって、銀行が保有する国債などの価格が上昇した。銀行は値上がりした債券を売って差益を稼いだ。
3メガ銀行の債券売却益は、みずほフィナンシャルグループと三菱UFJフィナンシャル・グループが、それぞれ前年同期の約8倍に、三井住友フィナンシャルグループも約4倍に達した。
債券売買は、相場次第で利益が大きい反面、一転して大損する恐れもある。銀行が不安定な収益に頼るのは、金融システムの安定という面から望ましくない。
融資の減少は大手だけでなく、地方銀行なども同じ傾向にある。原因について銀行は、設備投資などが振るわず、借り入れする企業が少ないことなどを挙げる。
しかし、借り手の企業側には、銀行が貸し倒れなどのリスクを過剰に恐れ、融資を絞っているとの批判が根強い。
現時点では、民間融資の焦げ付きを信用保証協会が全額肩代わりする「緊急保証制度」が、中小企業への貸し出しを下支えしているが、この制度は今年度で打ち切られる予定という。
そうなると、融資は一段と絞り込まれる恐れがある。
融資先を育てるという視点を忘れず、安易に貸し渋りなどしないよう、銀行側には求めたい。
一方、大手銀行が海外に活路を見いだそうとする動きも加速してきた。アジアなど新興市場での金融ビジネス拡大は、政府の成長戦略にも沿う。
日本企業が海外で、鉄道や電力などの社会基盤(インフラ)投資や市場開拓に取り組む際、良質な金融サービスを提供できる体制作りが急がれる。
円高メリットを生かし、海外の金融機関との提携や買収を積極化するのも一策である。
金融の国際競争に勝てるよう、業務の質を高めてもらいたい。
「Xperia(SO-01B)」がマルチタッチ対応に加えてAndroid 2.2へアップデート決定
先日ソニーグループの携帯電話メーカー、ソニー・エリクソンが公式ブログで「Xperia(SO-01B)」をマルチタッチに対応させる予定であると明かしたことをお伝えしたが、マルチタッチ対応に続いてAndroid 2.2へのアップデートを行うことが明かされた。
11月10日にAndroid 2.1へのアップデートが行われてから、ほとんど間を空けずに2.2へとアップデートされることになるが、レスポンスが大きく向上することになるため、ユーザーにとっては非常に喜ばしいことだ。
詳細は以下から。
ソニー・エリクソンのCEO(最高経営責任者)、Bert Nordberg氏の公式Twitterによると、現在発売中の「Xperia X10(日本ではSO-01B)」について、2011年早期にAndroid 2.2へのアップデートとマルチタッチへの対応を実現する予定であるそうだ。
ちなみにXperia X10に搭載されているディスプレイは、ディジタイザー(コンピューターに位置を指示するための装置)と呼ばれる部品の制約から、今までマルチタッチのサポートが見送られてきたが、技術者たちがディジタイザーのドライバおよびファームウェアのアップデートを新たに開発したことで、完全ではないもののマルチタッチがサポートされることになる予定だ。
力技のマルチタッチサポートに加えて、短期間でAndroid OSのバージョンアップに踏み切るなど、アップデートに対する執念のようなものまで感じられるソニー・エリクソンだが、昨今の携帯電話業界では2年契約が前提となっていることを考えると、末永く利用できるようになるため、ユーザーにとってこの姿勢は非常にうれしいのではないか。
「アンドロイド」の功罪 スマートフォンに潜むワナ
KDDI(au)が先週、スマートフォン(高機能携帯電話)の新機種を発売した。ワンセグ放送など日本独自の機能を搭載、事前予約が同社最高の27万台に達した。好調な米アップルの「iPhone(アイフォーン)」に一矢報いたが、新機種の発売を複雑な思いで見守る消費者もいた。
「基本ソフト(OS)の更新を検討した結果、ハードの仕様上、難しいとの結論に至りました」。今月半ば、KDDIの発表がインターネットを駆け巡った。
内容は6月に発売したばかりのスマートフォンに関する発表だ。スマートフォンはソフトを自由に更新できるのが特徴なのに、それが難しいという。OSを更新すれば映像の視聴機能が高まるはずだったが、利用者の期待は裏切られた。
製造したのはどちらの機種も国内携帯最大手のシャープ。スマートフォンの実績もある同社がなぜ更新を断念せざるを得なかったのか。理由は米検索最大手のグーグルが提供する無償OS「アンドロイド」を使っていたからだった。
無償OSの「リナックス」をベースにしたアンドロイドは無償で使えるため、アップルに対抗する世界の端末メーカーがこぞって採用した。シャープもその一社だったが、OSの機能更新のスピードが速く、商品企画が追いつかなかったというのが実態だ。
「アンドロイドには良い面と悪い面と両方ある」。今年春までグーグル日本法人社長を務めた辻野晃一郎氏は指摘する。自前主義の日本メーカーはOSまで自社開発した結果、開発投資がかさみ、「ガラパゴス化」を招く要因となった。OSを外部に委託できれば、開発投資を大幅に軽減できるというのが利点だ。
一方、中枢機能のOSを外部に依存すれば商品開発の自由度は奪われる。シャープの新機種も独自機能を盛り込むため、OSは1つ前の世代を使った。NTTドコモに端末を提供した韓国のサムスン電子が、独自機能よりも最新版の採用を優先したのと対照的だ。
実は似た現象はパソコン時代にもあった。マイクロソフトがアップルに対抗して「ウィンドウズ」を提唱。メーカーはOS開発の手間が省け、ソフト会社はOSに関係なく開発に専念できた。アンドロイドが注目される理由もウィンドウズと同じ立場にあるからだ。
しかし「グーグルと我々の戦略は違う」とマイクロソフトのクレイグ・マンディ最高研究戦略責任者は言う。アンドロイドは同氏が推した家電向けOS「ウィンドウズCE」の再来ともいえる。当時はマイクロソフトと組んだ日本企業が技術的に先行できたが、アンドロイドはグーグルのサービスのための受け皿であり、メーカーの取り分は少ないというわけだ。
ソニーもアンドロイドを使った「グーグルTV」を発売した。だが、ソニー出身の辻野氏は「先行できるのは半年」とみる。では再びOSから開発すべきかといえば、日本企業にその力はないという。だとすれば、グーグルに対し日本の技術の採用を働き掛けていくしか手立てはない。ガラパゴスを脱するには国際標準に乗るのが賢明だが、乗り方を間違えれば、せっかくの優位性も失いかねない。
量販店店頭では購入できない!? 「GALAPAGOS」の思い切った販売 いよいよ12月10日から、シャープのメディアタブレット「GALAPAGOS(ガラパゴス)」が発売される。価格は、5.5型カラーTFTを搭載したモバイルモデルが39,800円、10.8型カラーTFT液晶を搭載したホームモデルが54,800円。シャープでは否定するが、この価格設定は、当然のことながら、iPadを意識したものといえるだろう。
GALAPAGOSの詳細なスペックについては別稿に譲るが、その一方で注目しておきたいのが、GALAPAGOSの販売戦略である。
実は、GALAPAGOSは、量販店店頭では直接購入できない仕組みを採用しているのだ。12月3日からの予約開始にあわせて、全国の主要量販店には、GALAPAGOSが展示されることにはなる。年内には全国約1,000店舗の量販店にGALAPAGOSが展示される見込みであり、首都圏であれば、ほぼ主要な量販店で、GALAPAGOSを手にとって見ることができる。
しかし、その場で購入して、持ち帰ることはできない。購入者は、GALAPAGOSの売り場に設置されている購入申し込み用紙に必要事項を記入。そこにクレジットカードでの支払い条件を指定して、シャープに郵送する。シャープから受注完了のメールにより受注が完了。その後、基本的には2日間程度での発送が可能になると見ている。
購入者は、GALAPAGOSの初期設定、無線LAN設定を行ない、送られたきたユーザーIDとパスワードを入力して、端末を登録する。さらに、ストアを利用するためのクレジットカード登録を行なう。これによって、GALAPAGOSが初めて利用できるようになる。
一方で、インターネットでの購入も可能だ。郵送よりも、むしろこちらの購入の方が多いかもしれない。
同社の「シャープメディアタブレットストア」サイトから、購入申し込み手続きをし、そこで同様にクレジットカードによる支払いを設定すれば、あとの流れは購入申込書の郵送パターンと同じだ。
このように、シャープからの直販に限定したのが、GALAPAGOSの販売モデルということになる。
品薄の際に、量販店店頭の「在庫あります」の表示につられて、衝動買いをしてしまったという経験を持つ読者もいるだろう。ニンテンドーDSやiPadなどのモバイル型の製品では、特にそうした傾向が強かった。
だが、GALAPAGOSでは、こうした店頭での衝動買いといったケースは無くなり、さらに、量販店店頭を訪れた人にとっては、一度自宅に帰ってから、量販店でもらった購入申込書に記入するか、インターネットに接続して購入するということになるため、余計に一手間かかる。
●なぜ、シャープは直販限定としたのか?
では、なぜ、シャープは販売モデルを、直販限定としたのか。
シャープのネットワークサービス事業推進本部・新井優司副本部長は、「GALAPAGOSは、単に端末を売るという販売モデルではなく、サービスを含めて提供する製品。これまでの端末以上に、ユーザーオリエンテッドな端末として提供したいと考えている。シャープとお客様がより密接な関係を構築し、シャープ側からもさまざまな情報を発信し、利用を支援し、活用面での利点を提供していきたい。新たな端末を提供するために用意した、新たな販売モデルである」と位置づける。
ユーザーとの緊密な関係を構築するには、当然、メーカー直販の方が優位である。日本のPCメーカーにも、販売方法をメーカー直販に限定して、ユーザーサポートの充実ぶりを前面に打ち出す仕組みを構築している例がある。GALAPAGOSが目指す日本のユーザーが求める手厚いサポートを実現する上では、最も適した販売モデルといえるかもしれない。
そのほかに、直販モデルの一般的なメリットとして、在庫管理がしやすく、店頭における不良在庫が発生しにくい、量販店同士の価格競争などを背景として発生する価格下落が起きにくいという点がある。また、流通関連コストも削減できる。
シャープにとって初めてのサービス融合型端末であり、結果として販売台数を予測しにくいこと、また戦略的な価格設定を行なったことなどを含めると、こうした点も直販モデルに限定した理由の1つと言えそうだ。
そして、ネットウォーカーでの経験も、今回の販売モデル構築に活かされていることになるだろう。
量販店では、配布した購入申し込み書からその配布店舗が特定でき、取り次ぎ手数料が量販店に支払われる仕組みだ。また、アプリケーションランチャーの最下部に用意された表示エリアには、取り次いだ店舗のアイコンが用意され、店舗のお得情報などが配信されることから、これを活用した集客メリットも期待できる。
シャープでは、当面、この仕組みを維持する計画で、量販店を通じた具体的な販売計画はないとする。
量販店が力を注ぐのは、利益率が高い製品、手離れのいい製品というのがセオリーだ。GALAPAGOSのこの仕組みが、量販店からどう評価されるかが、量販店がGALAPAGOSに本気になるのかどうかのバロメータにもなる。
なお、今後も見込まれる米国における販売については、直販モデルに限定するかどうかは未定だという。
●さまざまな観点で進化するGALAPAGOS
GALAPAGOSのブランドの前には、「進化する」という文字を付け、広告展開などでも、当面は「進化する GALAPAGOS」という表記を行なう。
例えば、GALAPAGOSでは当面、電子書籍端末という切り口で展開し、TSUTAYA GALAPAGOSで提供されるサービス開始時2万冊、年内3万冊という書籍をラインナップすることを訴求する。だが、その後の方向性として、映像、ショッピング、教育、ヘルスケアなど、生活に深く関わる各種サービスをプッシュ型で提供する考えを示している。
また、シャープのGALAPAGOSにはウェブ閲覧端末としての機能も搭載。さらに、ソフトバンクから発売されるGALAPAGOS「003SH」のように、電話、メール、ワンセグ、おサイフケータイ機能を搭載したように、GALAPAGOS端末の広がりといった進化もある。
「端末とサービスが融合した点がGALAPAGOSの特徴。これまでは製品開発が完了し、発売日を迎えると、商品企画の担当者は、それで仕事が終わったという感覚を持つが、GALAPAGOSに関しては、むしろこれからが勝負という意識が強い。いつも発売日直前に感じる、仕事が終わったという感覚は一切ない」と、松本チーフが語るのも、進化を標榜するGALAPAGOSならではのものだろう。
コンテンツの配信内容や仕組みが今後進化するというのは、まさにGALAPAGOSが実現する「進化」である。そしてマーケティングや販売方法についても、今後は進化が検討されることにはなるだろう。
発売日の完成状態だけでなく、今後、どんな「進化」を遂げるのかが、GALAPAGOSの注目点だといえる。
先日ソニーグループの携帯電話メーカー、ソニー・エリクソンが公式ブログで「Xperia(SO-01B)」をマルチタッチに対応させる予定であると明かしたことをお伝えしたが、マルチタッチ対応に続いてAndroid 2.2へのアップデートを行うことが明かされた。
11月10日にAndroid 2.1へのアップデートが行われてから、ほとんど間を空けずに2.2へとアップデートされることになるが、レスポンスが大きく向上することになるため、ユーザーにとっては非常に喜ばしいことだ。
詳細は以下から。
ソニー・エリクソンのCEO(最高経営責任者)、Bert Nordberg氏の公式Twitterによると、現在発売中の「Xperia X10(日本ではSO-01B)」について、2011年早期にAndroid 2.2へのアップデートとマルチタッチへの対応を実現する予定であるそうだ。
ちなみにXperia X10に搭載されているディスプレイは、ディジタイザー(コンピューターに位置を指示するための装置)と呼ばれる部品の制約から、今までマルチタッチのサポートが見送られてきたが、技術者たちがディジタイザーのドライバおよびファームウェアのアップデートを新たに開発したことで、完全ではないもののマルチタッチがサポートされることになる予定だ。
力技のマルチタッチサポートに加えて、短期間でAndroid OSのバージョンアップに踏み切るなど、アップデートに対する執念のようなものまで感じられるソニー・エリクソンだが、昨今の携帯電話業界では2年契約が前提となっていることを考えると、末永く利用できるようになるため、ユーザーにとってこの姿勢は非常にうれしいのではないか。
「アンドロイド」の功罪 スマートフォンに潜むワナ
KDDI(au)が先週、スマートフォン(高機能携帯電話)の新機種を発売した。ワンセグ放送など日本独自の機能を搭載、事前予約が同社最高の27万台に達した。好調な米アップルの「iPhone(アイフォーン)」に一矢報いたが、新機種の発売を複雑な思いで見守る消費者もいた。
「基本ソフト(OS)の更新を検討した結果、ハードの仕様上、難しいとの結論に至りました」。今月半ば、KDDIの発表がインターネットを駆け巡った。
内容は6月に発売したばかりのスマートフォンに関する発表だ。スマートフォンはソフトを自由に更新できるのが特徴なのに、それが難しいという。OSを更新すれば映像の視聴機能が高まるはずだったが、利用者の期待は裏切られた。
製造したのはどちらの機種も国内携帯最大手のシャープ。スマートフォンの実績もある同社がなぜ更新を断念せざるを得なかったのか。理由は米検索最大手のグーグルが提供する無償OS「アンドロイド」を使っていたからだった。
無償OSの「リナックス」をベースにしたアンドロイドは無償で使えるため、アップルに対抗する世界の端末メーカーがこぞって採用した。シャープもその一社だったが、OSの機能更新のスピードが速く、商品企画が追いつかなかったというのが実態だ。
「アンドロイドには良い面と悪い面と両方ある」。今年春までグーグル日本法人社長を務めた辻野晃一郎氏は指摘する。自前主義の日本メーカーはOSまで自社開発した結果、開発投資がかさみ、「ガラパゴス化」を招く要因となった。OSを外部に委託できれば、開発投資を大幅に軽減できるというのが利点だ。
一方、中枢機能のOSを外部に依存すれば商品開発の自由度は奪われる。シャープの新機種も独自機能を盛り込むため、OSは1つ前の世代を使った。NTTドコモに端末を提供した韓国のサムスン電子が、独自機能よりも最新版の採用を優先したのと対照的だ。
実は似た現象はパソコン時代にもあった。マイクロソフトがアップルに対抗して「ウィンドウズ」を提唱。メーカーはOS開発の手間が省け、ソフト会社はOSに関係なく開発に専念できた。アンドロイドが注目される理由もウィンドウズと同じ立場にあるからだ。
しかし「グーグルと我々の戦略は違う」とマイクロソフトのクレイグ・マンディ最高研究戦略責任者は言う。アンドロイドは同氏が推した家電向けOS「ウィンドウズCE」の再来ともいえる。当時はマイクロソフトと組んだ日本企業が技術的に先行できたが、アンドロイドはグーグルのサービスのための受け皿であり、メーカーの取り分は少ないというわけだ。
ソニーもアンドロイドを使った「グーグルTV」を発売した。だが、ソニー出身の辻野氏は「先行できるのは半年」とみる。では再びOSから開発すべきかといえば、日本企業にその力はないという。だとすれば、グーグルに対し日本の技術の採用を働き掛けていくしか手立てはない。ガラパゴスを脱するには国際標準に乗るのが賢明だが、乗り方を間違えれば、せっかくの優位性も失いかねない。
量販店店頭では購入できない!? 「GALAPAGOS」の思い切った販売 いよいよ12月10日から、シャープのメディアタブレット「GALAPAGOS(ガラパゴス)」が発売される。価格は、5.5型カラーTFTを搭載したモバイルモデルが39,800円、10.8型カラーTFT液晶を搭載したホームモデルが54,800円。シャープでは否定するが、この価格設定は、当然のことながら、iPadを意識したものといえるだろう。
GALAPAGOSの詳細なスペックについては別稿に譲るが、その一方で注目しておきたいのが、GALAPAGOSの販売戦略である。
実は、GALAPAGOSは、量販店店頭では直接購入できない仕組みを採用しているのだ。12月3日からの予約開始にあわせて、全国の主要量販店には、GALAPAGOSが展示されることにはなる。年内には全国約1,000店舗の量販店にGALAPAGOSが展示される見込みであり、首都圏であれば、ほぼ主要な量販店で、GALAPAGOSを手にとって見ることができる。
しかし、その場で購入して、持ち帰ることはできない。購入者は、GALAPAGOSの売り場に設置されている購入申し込み用紙に必要事項を記入。そこにクレジットカードでの支払い条件を指定して、シャープに郵送する。シャープから受注完了のメールにより受注が完了。その後、基本的には2日間程度での発送が可能になると見ている。
購入者は、GALAPAGOSの初期設定、無線LAN設定を行ない、送られたきたユーザーIDとパスワードを入力して、端末を登録する。さらに、ストアを利用するためのクレジットカード登録を行なう。これによって、GALAPAGOSが初めて利用できるようになる。
一方で、インターネットでの購入も可能だ。郵送よりも、むしろこちらの購入の方が多いかもしれない。
同社の「シャープメディアタブレットストア」サイトから、購入申し込み手続きをし、そこで同様にクレジットカードによる支払いを設定すれば、あとの流れは購入申込書の郵送パターンと同じだ。
このように、シャープからの直販に限定したのが、GALAPAGOSの販売モデルということになる。
品薄の際に、量販店店頭の「在庫あります」の表示につられて、衝動買いをしてしまったという経験を持つ読者もいるだろう。ニンテンドーDSやiPadなどのモバイル型の製品では、特にそうした傾向が強かった。
だが、GALAPAGOSでは、こうした店頭での衝動買いといったケースは無くなり、さらに、量販店店頭を訪れた人にとっては、一度自宅に帰ってから、量販店でもらった購入申込書に記入するか、インターネットに接続して購入するということになるため、余計に一手間かかる。
●なぜ、シャープは直販限定としたのか?
では、なぜ、シャープは販売モデルを、直販限定としたのか。
シャープのネットワークサービス事業推進本部・新井優司副本部長は、「GALAPAGOSは、単に端末を売るという販売モデルではなく、サービスを含めて提供する製品。これまでの端末以上に、ユーザーオリエンテッドな端末として提供したいと考えている。シャープとお客様がより密接な関係を構築し、シャープ側からもさまざまな情報を発信し、利用を支援し、活用面での利点を提供していきたい。新たな端末を提供するために用意した、新たな販売モデルである」と位置づける。
ユーザーとの緊密な関係を構築するには、当然、メーカー直販の方が優位である。日本のPCメーカーにも、販売方法をメーカー直販に限定して、ユーザーサポートの充実ぶりを前面に打ち出す仕組みを構築している例がある。GALAPAGOSが目指す日本のユーザーが求める手厚いサポートを実現する上では、最も適した販売モデルといえるかもしれない。
そのほかに、直販モデルの一般的なメリットとして、在庫管理がしやすく、店頭における不良在庫が発生しにくい、量販店同士の価格競争などを背景として発生する価格下落が起きにくいという点がある。また、流通関連コストも削減できる。
シャープにとって初めてのサービス融合型端末であり、結果として販売台数を予測しにくいこと、また戦略的な価格設定を行なったことなどを含めると、こうした点も直販モデルに限定した理由の1つと言えそうだ。
そして、ネットウォーカーでの経験も、今回の販売モデル構築に活かされていることになるだろう。
量販店では、配布した購入申し込み書からその配布店舗が特定でき、取り次ぎ手数料が量販店に支払われる仕組みだ。また、アプリケーションランチャーの最下部に用意された表示エリアには、取り次いだ店舗のアイコンが用意され、店舗のお得情報などが配信されることから、これを活用した集客メリットも期待できる。
シャープでは、当面、この仕組みを維持する計画で、量販店を通じた具体的な販売計画はないとする。
量販店が力を注ぐのは、利益率が高い製品、手離れのいい製品というのがセオリーだ。GALAPAGOSのこの仕組みが、量販店からどう評価されるかが、量販店がGALAPAGOSに本気になるのかどうかのバロメータにもなる。
なお、今後も見込まれる米国における販売については、直販モデルに限定するかどうかは未定だという。
●さまざまな観点で進化するGALAPAGOS
GALAPAGOSのブランドの前には、「進化する」という文字を付け、広告展開などでも、当面は「進化する GALAPAGOS」という表記を行なう。
例えば、GALAPAGOSでは当面、電子書籍端末という切り口で展開し、TSUTAYA GALAPAGOSで提供されるサービス開始時2万冊、年内3万冊という書籍をラインナップすることを訴求する。だが、その後の方向性として、映像、ショッピング、教育、ヘルスケアなど、生活に深く関わる各種サービスをプッシュ型で提供する考えを示している。
また、シャープのGALAPAGOSにはウェブ閲覧端末としての機能も搭載。さらに、ソフトバンクから発売されるGALAPAGOS「003SH」のように、電話、メール、ワンセグ、おサイフケータイ機能を搭載したように、GALAPAGOS端末の広がりといった進化もある。
「端末とサービスが融合した点がGALAPAGOSの特徴。これまでは製品開発が完了し、発売日を迎えると、商品企画の担当者は、それで仕事が終わったという感覚を持つが、GALAPAGOSに関しては、むしろこれからが勝負という意識が強い。いつも発売日直前に感じる、仕事が終わったという感覚は一切ない」と、松本チーフが語るのも、進化を標榜するGALAPAGOSならではのものだろう。
コンテンツの配信内容や仕組みが今後進化するというのは、まさにGALAPAGOSが実現する「進化」である。そしてマーケティングや販売方法についても、今後は進化が検討されることにはなるだろう。
発売日の完成状態だけでなく、今後、どんな「進化」を遂げるのかが、GALAPAGOSの注目点だといえる。
携帯向け周波数帯を競売 総務省、11年から スマートフォン通信量増に対応
総務省は2011年から、携帯電話向けの周波数帯を電波オークション(競売)方式で割り当てる制度を導入する。ビル陰や山間部でも電波が途切れにくい「プラチナバンド」と呼ばれる700メガヘルツと900メガヘルツの周波数帯が対象。15年までに最大100メガヘルツ分の周波数帯を携帯通信会社に割り当てる。多機能携帯電話(スマートフォン)や次世代携帯電話サービス(LTE)の利用に伴う通信量の大幅な増加に対応できるようにする。
プラチナバンドは現在はテレビ中継やタクシー無線などに使われているが、割り当てが非効率であるために十分に利用されていない。競売制度を通じて既存の周波数帯を再編したうえで、携帯通信会社に一定量をまとめて割り当てる。
携帯通信会社ではNTTドコモとKDDI(au)はすでにプラチナバンドである800メガヘルツ帯を利用している。このため、現在は携帯電話がつながりにくい問題を抱えるソフトバンクと、イー・モバイルが競売でプラチナバンドの取得に動くとみられる。
総務省は11年の通常国会に、電波法の改正案を提出。まず900メガヘルツ帯について、通信会社が申請した事業計画や負担額などを審査し、割り当てを決める。欧米のオークションと異なり、通信会社は政府ではなく、既存の周波数帯の利用者に対して移行費用などを支払う必要がある。
苦難の就活、遠のく結婚 就職者も年収落ち込む
若年層、将来不安が少子化拍車も
若年層の雇用改善が遅れている。15~24歳の失業率は8%と、全世代の5%を大幅に上回る水準。学校を卒業した後も就職できない人が約12万人にのぼり、若年失業者の約4分の1を占める。就職できた若年層も2009年以降は年収が大幅に落ち込んでいる。将来への不安が広がるなか、10年は年間の結婚数が23年ぶりに70万組の大台を割り込む公算が大きい。(松尾洋平)
「卒業後も就職できず」12万人
「まだ内定が決まらないのですが……」。9月下旬に厚生労働省が全国に設置した「新卒応援ハローワーク」。1カ月間で約3万人もの学生が職探しに訪れた。
15~24歳の若年失業者は約49万人。このうち学校を卒業後、一度も就職できないままに失業者になっている人は約12万人にのぼる。この年齢層の失業率は8.0%(9月)と高く、25~34歳でみても5.9%と全世代の平均を上回る。若年層に雇用低迷のしわ寄せが出ているとみられ、厚労省は「予想以上に若年雇用は厳しい」という。
新興国の成長や政策の下支えで景気は最悪期を脱したが、本格的な雇用改善にはつながっていない。人口に占める働く人の割合を示す就業率をみると、20~30歳代は74.7%(9月、12カ月後方移動平均)。ここ数カ月はやや持ち直したが、リーマン・ショック前のピーク(08年2月)である75.4%と比べるとなお開きがある。駒沢大学の飯田泰之准教授は「正社員は解雇が難しいため、先行き不安を抱える企業は人材の受け入れをためらっている」と語る。
15~34歳で仕事に就いている人のうち、非正規社員の割合は3割近くで高止まり。パート・アルバイトで働く「フリーター」も09年は178万人と6年ぶりに増えた。
日本経済新聞社の11年度の採用状況調査(10月)では、とくに非製造業の内定人数は前年度比で10.4%減った。東急ストアやベスト電器は内定数をゼロと回答。ローソンも来春入社の大卒内定者を3割減らした。
就職できた若年層も手取り収入の減少に直面する。賃金構造基本統計調査をもとに20~30歳代の平均年収(大卒・院卒の男性)を推計すると、09年は前年比4.2%減の478万円となった。3年連続のマイナスで、10年前に比べると34万円も減っている。業績の低迷でボーナスが減ったり、賃金の低い非正規の仕事に就かざるをえない人が多いためとみられる。
非正規の男性、既婚は17%止まり
若年層の雇用低迷の悪影響は結婚活動にも及んでいる。厚労省の資料をもとに試算すると、今年9月までの12カ月の累計結婚数は69万組台。この傾向が続けば、10年は通年で23年ぶりに70万組の大台を割り込みそうだ。景気が回復しても雇用の改善が遅れており、将来不安から、特に09年半ば以降は結婚を手控える動きが出ている。
人口動態統計から試算すると、結婚数は9月までの過去12カ月の累計で69万917組となり、3カ月連続で70万組を割った。累計の結婚数の伸びをみると、14カ月連続で前年同月を下回った。とくに4月以降はマイナス幅が3%を超える。
10年通年で結婚数が70万組を割り込むとすれば、1987年以来、23年ぶりとなる。
結婚数の減少傾向について、厚労省は「30歳代が伸び悩んでいるのに加え、20歳代が減っている」と説明する。女性の社会進出などで晩婚化傾向が強まっており、09年の平均初婚年齢は男性が30.4歳と、10年前に比べ1.7歳上昇している。
最近の特徴は若年層の雇用・所得環境の低迷と、結婚数の大幅減のタイミングがほぼ重なっていることだ。就業構造基本調査によると、20~39歳の男性で正社員は51%が結婚しているが、非正規では17%。厚労省の調査では05~08年の4年間に結婚した40歳までの男性を結婚時点の所得階層別にみると、年収100万円未満は8.9%しか結婚していなかったが、400万~500万円は26.0%が結婚した。
仕事や収入が安定している若年層は結婚・独立が容易だが、非正規雇用や低収入の若年層は親元から離れることができない構図が浮かぶ。
若年層の結婚数が減れば出生率は低迷する。収入が安定しなければ子育ての費用を負担するのも難しく、少子化が一段と加速する恐れがある。国立社会保障・人口問題研究所の試算では、出生率が低下する要因のほとんどは、結婚活動の低迷で説明できるという。
映画や音楽などコンテンツ、官民でアジア域内開拓
韓国の成功が刺激
【台北=新居耕治】アジアの娯楽コンテンツ企業がアジア域内の市場開拓に動き出した。アジア各地でアジア製のテレビドラマや映画、音楽の人気が高まっているためだ。韓国をモデルに官民一体で産業振興を模索する事例も増えている。コンテンツ関連企業が資本市場で資金調達する手段も整いつつあり、競いながら産業として飛躍する時期を迎えている。
シンガポールは比ドラマ人気
シンガポールではいま、フィリピンドラマが人気を呼んでいる。双子の男性兄弟が1人の女性を対象に恋に落ちる物語「タヨン・ダラワ」の英語版。フィリピンドラマが同国の地上波テレビに登場するのは初めてだが、放送枠は火曜日から木曜日まで週3回、午後7時から1時間のゴールデンタイムに陣取る。
同ドラマを制作したフィリピンの有力テレビ局ABS―CBNは海外市場開拓に力を入れており、すでに20本以上をアジアを中心とする新興国に輸出した実績を持つ。
シンガポールも負けていない。国営テレビ局のメディアコープが2009年に放送した大河悲恋ドラマ「リトル・ニョニャ」は爆発的な人気を呼び、マレーシアやタイ、ベトナムで放映されたほか、中国では上海東方伝媒集団がリメークした。
メディアコープにとって同ドラマの海外収入は過去最高を記録し、最近は「制作段階から海外市場を意識するようになった」。今後はインターネットやスマートフォン向けでもコンテンツ輸出を強化する構えだ。
アジア発アジア向けのコンテンツ市場はここへきて急拡大しており、台湾のテレビではタイのホラー映画が急増。音楽界では、フィリピンの女性歌手、シャリース(18)が韓国、タイでプロモーション活動を始めた。
台湾のトップ歌手、周杰倫(ジェイ・チョウ、31)は中国の鄭州(河南省)や西安(陝西省)、合肥(安徽省)、成都(四川省)など内陸部でコンサートツアーを続け、ファン層の掘り起こしを続けている。
中国・大連はアニメ産業区
プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の調査によると、日本を除くアジア太平洋地域の09年のコンテンツ市場規模は05年比50%増の約1838億ドル(約15兆円)で、14年には2860億ドルに拡大する見通し。アジア市場に早くから目をつけ、官民一体で開拓してきたのが韓国だ。
韓国は97年のアジア通貨危機後、金大中政権が新たな輸出産業としてコンテンツの輸出を奨励。「韓国ドラマを買い付けると買い付け額以上の補助金がもらえたときもあった」(台湾のテレビ番組の輸出入大手、恒星多媒体の林錫輝・総経理)という。韓国政府はさらに13年までに3100億ウォン(約230億円)を投じ、映画・ドラマなどコンテンツの輸出額を78億ドルに増やす戦略だ。
韓国の成功に刺激され、他のアジア地域でも官民一体でのコンテンツ産業の輸出支援に乗り出している。シンガポール政府メディア開発庁は今年4月、国際アニメ基金を設立した。シンガポール企業との国際共同制作案件に最大500万シンガポールドル(約3億1千万円)を補助し、国内アニメ会社の海外進出を促す。
中国でも大連市(遼寧省)が2千万元(2億4千万円)を投じ、アニメ産業区を設立。大連交通大学と遼寧師範大学がアニメ制作の専門コースを設置し、3次元(3D)画像の制作を指導している。
事業拡充へ相次ぎ上場 日本のアニメ企業も検討
アジアのコンテンツ企業がアジア域内の株式市場に上場し、資金調達するケースも増えてきた。拡大する市場規模をにらみ、投資家が資金を娯楽産業にも振り向けるようになったからだ。
中国では昨年10月に開設された「創業板(中国版ナスダック)」に映画制作会社大手、華誼兄弟伝媒が上場した。華誼兄弟は中国で北海道ブームを巻き起こした恋愛映画「非誠勿擾」も手掛けた馮小剛監督の作品を主力とする映画制作会社。今夏に公開した「唐山大地震」のチケット収入は6億5千万元(80億円弱)に達し中国映画の過去最高を更新した。
上場資金をもとに映画館の運営事業にも乗り出しており、3年以内に10億元を投じて中国全土に50カ所を新設する計画だ。
韓国でも10月中旬、傘下にケーブルテレビ向けコンテンツ提供会社を持つオーメディアホールディングスが新興市場のコスダックに上場。芸能プロダクションの上場計画も相次いでいる。
潤沢なアジアマネーを狙い、アジアの株式市場での上場を検討する日本企業も出てきた。アニメ制作のディー・エル・イー(東京・千代田)は市況低迷が続く日本市場を避け、2011年中をめどに台湾での上場を目指している。同社は今春から台湾のテレビ会社にアニメコンテンツの提供を始めており、個人投資家の多い台湾での上場で知名度向上も狙う。「将来は台湾を通じ中国市場に参入する」のが目標だ。
アリババ、1万社登録へ仲介サービス強化
中国のインターネット商取引最大手アリババグループとソフトバンクの合弁会社、アリババ(東京都中央区)の香山誠社長は28日までにフジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、アリババグループの商取引サイトへの出店仲介サービス「アリババワールドパスポート」を強化する方針を明らかにした。登録企業向けの支援活動を拡充し、早期に1万社の登録獲得を目指す。
アリババグループの取引サイト「アリババドットコム」は世界最大級のネット市場で、仲介サービスは、同サイトへの商品登録や出店の手続き支援業務を月額約5万円で提供する。これにより、国内の中小企業などは低コストで海外販路を開拓することができる。開始から約1年半となる今年末には利用登録企業が1000社の大台を突破する見通しだが、さらに登録を加速させるため、海外市場の動向などを紹介するイベント「サプライヤーデー」を展開。来月からは同サイトを利用する世界のバイヤー企業の情報などを登録企業のトップに毎月郵送するサービスなども開始し、顧客満足度の向上を図る考えだ。
総務省は2011年から、携帯電話向けの周波数帯を電波オークション(競売)方式で割り当てる制度を導入する。ビル陰や山間部でも電波が途切れにくい「プラチナバンド」と呼ばれる700メガヘルツと900メガヘルツの周波数帯が対象。15年までに最大100メガヘルツ分の周波数帯を携帯通信会社に割り当てる。多機能携帯電話(スマートフォン)や次世代携帯電話サービス(LTE)の利用に伴う通信量の大幅な増加に対応できるようにする。
プラチナバンドは現在はテレビ中継やタクシー無線などに使われているが、割り当てが非効率であるために十分に利用されていない。競売制度を通じて既存の周波数帯を再編したうえで、携帯通信会社に一定量をまとめて割り当てる。
携帯通信会社ではNTTドコモとKDDI(au)はすでにプラチナバンドである800メガヘルツ帯を利用している。このため、現在は携帯電話がつながりにくい問題を抱えるソフトバンクと、イー・モバイルが競売でプラチナバンドの取得に動くとみられる。
総務省は11年の通常国会に、電波法の改正案を提出。まず900メガヘルツ帯について、通信会社が申請した事業計画や負担額などを審査し、割り当てを決める。欧米のオークションと異なり、通信会社は政府ではなく、既存の周波数帯の利用者に対して移行費用などを支払う必要がある。
苦難の就活、遠のく結婚 就職者も年収落ち込む
若年層、将来不安が少子化拍車も
若年層の雇用改善が遅れている。15~24歳の失業率は8%と、全世代の5%を大幅に上回る水準。学校を卒業した後も就職できない人が約12万人にのぼり、若年失業者の約4分の1を占める。就職できた若年層も2009年以降は年収が大幅に落ち込んでいる。将来への不安が広がるなか、10年は年間の結婚数が23年ぶりに70万組の大台を割り込む公算が大きい。(松尾洋平)
「卒業後も就職できず」12万人
「まだ内定が決まらないのですが……」。9月下旬に厚生労働省が全国に設置した「新卒応援ハローワーク」。1カ月間で約3万人もの学生が職探しに訪れた。
15~24歳の若年失業者は約49万人。このうち学校を卒業後、一度も就職できないままに失業者になっている人は約12万人にのぼる。この年齢層の失業率は8.0%(9月)と高く、25~34歳でみても5.9%と全世代の平均を上回る。若年層に雇用低迷のしわ寄せが出ているとみられ、厚労省は「予想以上に若年雇用は厳しい」という。
新興国の成長や政策の下支えで景気は最悪期を脱したが、本格的な雇用改善にはつながっていない。人口に占める働く人の割合を示す就業率をみると、20~30歳代は74.7%(9月、12カ月後方移動平均)。ここ数カ月はやや持ち直したが、リーマン・ショック前のピーク(08年2月)である75.4%と比べるとなお開きがある。駒沢大学の飯田泰之准教授は「正社員は解雇が難しいため、先行き不安を抱える企業は人材の受け入れをためらっている」と語る。
15~34歳で仕事に就いている人のうち、非正規社員の割合は3割近くで高止まり。パート・アルバイトで働く「フリーター」も09年は178万人と6年ぶりに増えた。
日本経済新聞社の11年度の採用状況調査(10月)では、とくに非製造業の内定人数は前年度比で10.4%減った。東急ストアやベスト電器は内定数をゼロと回答。ローソンも来春入社の大卒内定者を3割減らした。
就職できた若年層も手取り収入の減少に直面する。賃金構造基本統計調査をもとに20~30歳代の平均年収(大卒・院卒の男性)を推計すると、09年は前年比4.2%減の478万円となった。3年連続のマイナスで、10年前に比べると34万円も減っている。業績の低迷でボーナスが減ったり、賃金の低い非正規の仕事に就かざるをえない人が多いためとみられる。
非正規の男性、既婚は17%止まり
若年層の雇用低迷の悪影響は結婚活動にも及んでいる。厚労省の資料をもとに試算すると、今年9月までの12カ月の累計結婚数は69万組台。この傾向が続けば、10年は通年で23年ぶりに70万組の大台を割り込みそうだ。景気が回復しても雇用の改善が遅れており、将来不安から、特に09年半ば以降は結婚を手控える動きが出ている。
人口動態統計から試算すると、結婚数は9月までの過去12カ月の累計で69万917組となり、3カ月連続で70万組を割った。累計の結婚数の伸びをみると、14カ月連続で前年同月を下回った。とくに4月以降はマイナス幅が3%を超える。
10年通年で結婚数が70万組を割り込むとすれば、1987年以来、23年ぶりとなる。
結婚数の減少傾向について、厚労省は「30歳代が伸び悩んでいるのに加え、20歳代が減っている」と説明する。女性の社会進出などで晩婚化傾向が強まっており、09年の平均初婚年齢は男性が30.4歳と、10年前に比べ1.7歳上昇している。
最近の特徴は若年層の雇用・所得環境の低迷と、結婚数の大幅減のタイミングがほぼ重なっていることだ。就業構造基本調査によると、20~39歳の男性で正社員は51%が結婚しているが、非正規では17%。厚労省の調査では05~08年の4年間に結婚した40歳までの男性を結婚時点の所得階層別にみると、年収100万円未満は8.9%しか結婚していなかったが、400万~500万円は26.0%が結婚した。
仕事や収入が安定している若年層は結婚・独立が容易だが、非正規雇用や低収入の若年層は親元から離れることができない構図が浮かぶ。
若年層の結婚数が減れば出生率は低迷する。収入が安定しなければ子育ての費用を負担するのも難しく、少子化が一段と加速する恐れがある。国立社会保障・人口問題研究所の試算では、出生率が低下する要因のほとんどは、結婚活動の低迷で説明できるという。
映画や音楽などコンテンツ、官民でアジア域内開拓
韓国の成功が刺激
【台北=新居耕治】アジアの娯楽コンテンツ企業がアジア域内の市場開拓に動き出した。アジア各地でアジア製のテレビドラマや映画、音楽の人気が高まっているためだ。韓国をモデルに官民一体で産業振興を模索する事例も増えている。コンテンツ関連企業が資本市場で資金調達する手段も整いつつあり、競いながら産業として飛躍する時期を迎えている。
シンガポールは比ドラマ人気
シンガポールではいま、フィリピンドラマが人気を呼んでいる。双子の男性兄弟が1人の女性を対象に恋に落ちる物語「タヨン・ダラワ」の英語版。フィリピンドラマが同国の地上波テレビに登場するのは初めてだが、放送枠は火曜日から木曜日まで週3回、午後7時から1時間のゴールデンタイムに陣取る。
同ドラマを制作したフィリピンの有力テレビ局ABS―CBNは海外市場開拓に力を入れており、すでに20本以上をアジアを中心とする新興国に輸出した実績を持つ。
シンガポールも負けていない。国営テレビ局のメディアコープが2009年に放送した大河悲恋ドラマ「リトル・ニョニャ」は爆発的な人気を呼び、マレーシアやタイ、ベトナムで放映されたほか、中国では上海東方伝媒集団がリメークした。
メディアコープにとって同ドラマの海外収入は過去最高を記録し、最近は「制作段階から海外市場を意識するようになった」。今後はインターネットやスマートフォン向けでもコンテンツ輸出を強化する構えだ。
アジア発アジア向けのコンテンツ市場はここへきて急拡大しており、台湾のテレビではタイのホラー映画が急増。音楽界では、フィリピンの女性歌手、シャリース(18)が韓国、タイでプロモーション活動を始めた。
台湾のトップ歌手、周杰倫(ジェイ・チョウ、31)は中国の鄭州(河南省)や西安(陝西省)、合肥(安徽省)、成都(四川省)など内陸部でコンサートツアーを続け、ファン層の掘り起こしを続けている。
中国・大連はアニメ産業区
プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の調査によると、日本を除くアジア太平洋地域の09年のコンテンツ市場規模は05年比50%増の約1838億ドル(約15兆円)で、14年には2860億ドルに拡大する見通し。アジア市場に早くから目をつけ、官民一体で開拓してきたのが韓国だ。
韓国は97年のアジア通貨危機後、金大中政権が新たな輸出産業としてコンテンツの輸出を奨励。「韓国ドラマを買い付けると買い付け額以上の補助金がもらえたときもあった」(台湾のテレビ番組の輸出入大手、恒星多媒体の林錫輝・総経理)という。韓国政府はさらに13年までに3100億ウォン(約230億円)を投じ、映画・ドラマなどコンテンツの輸出額を78億ドルに増やす戦略だ。
韓国の成功に刺激され、他のアジア地域でも官民一体でのコンテンツ産業の輸出支援に乗り出している。シンガポール政府メディア開発庁は今年4月、国際アニメ基金を設立した。シンガポール企業との国際共同制作案件に最大500万シンガポールドル(約3億1千万円)を補助し、国内アニメ会社の海外進出を促す。
中国でも大連市(遼寧省)が2千万元(2億4千万円)を投じ、アニメ産業区を設立。大連交通大学と遼寧師範大学がアニメ制作の専門コースを設置し、3次元(3D)画像の制作を指導している。
事業拡充へ相次ぎ上場 日本のアニメ企業も検討
アジアのコンテンツ企業がアジア域内の株式市場に上場し、資金調達するケースも増えてきた。拡大する市場規模をにらみ、投資家が資金を娯楽産業にも振り向けるようになったからだ。
中国では昨年10月に開設された「創業板(中国版ナスダック)」に映画制作会社大手、華誼兄弟伝媒が上場した。華誼兄弟は中国で北海道ブームを巻き起こした恋愛映画「非誠勿擾」も手掛けた馮小剛監督の作品を主力とする映画制作会社。今夏に公開した「唐山大地震」のチケット収入は6億5千万元(80億円弱)に達し中国映画の過去最高を更新した。
上場資金をもとに映画館の運営事業にも乗り出しており、3年以内に10億元を投じて中国全土に50カ所を新設する計画だ。
韓国でも10月中旬、傘下にケーブルテレビ向けコンテンツ提供会社を持つオーメディアホールディングスが新興市場のコスダックに上場。芸能プロダクションの上場計画も相次いでいる。
潤沢なアジアマネーを狙い、アジアの株式市場での上場を検討する日本企業も出てきた。アニメ制作のディー・エル・イー(東京・千代田)は市況低迷が続く日本市場を避け、2011年中をめどに台湾での上場を目指している。同社は今春から台湾のテレビ会社にアニメコンテンツの提供を始めており、個人投資家の多い台湾での上場で知名度向上も狙う。「将来は台湾を通じ中国市場に参入する」のが目標だ。
アリババ、1万社登録へ仲介サービス強化
中国のインターネット商取引最大手アリババグループとソフトバンクの合弁会社、アリババ(東京都中央区)の香山誠社長は28日までにフジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、アリババグループの商取引サイトへの出店仲介サービス「アリババワールドパスポート」を強化する方針を明らかにした。登録企業向けの支援活動を拡充し、早期に1万社の登録獲得を目指す。
アリババグループの取引サイト「アリババドットコム」は世界最大級のネット市場で、仲介サービスは、同サイトへの商品登録や出店の手続き支援業務を月額約5万円で提供する。これにより、国内の中小企業などは低コストで海外販路を開拓することができる。開始から約1年半となる今年末には利用登録企業が1000社の大台を突破する見通しだが、さらに登録を加速させるため、海外市場の動向などを紹介するイベント「サプライヤーデー」を展開。来月からは同サイトを利用する世界のバイヤー企業の情報などを登録企業のトップに毎月郵送するサービスなども開始し、顧客満足度の向上を図る考えだ。