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「iTV」がすべてを変える:Digg創設者K・ローズ氏、次期「Apple TV」を予測
Appleが次期「Apple TV」として発表するのではないかとうわさされている「iTV」について、Digg創設者であるKevin Rose氏が、「Why Apple's iTV Will Change Everything」(AppleのiTVがすべてを変える理由)というタイトルで、同デバイスに対する考えを自身のブログで明らかにした。
同氏は、iTVがすべてを変える理由として、挙げているのは次のような点だ。
iOS TVアプリケーション:テレビアプリケーション用マーケットプレイスの登場が期待される。ビデオ共有、ストリーミング、録画アプリケーション、インタラクティブなニュースアプリケーション、そしてゲームなどが考えられる。
アラカルトな(アプリケーション)放送局:ABCやNBCのようなコンテンツ製作側でAppleのiAdを使った直接的なコンテンツの収益化や配信が可能となる。このようなオンデマンド放送局へのアクセスに必要なのはインターネット接続だけなので、ケーブルおよび衛星放送局は最終的に打撃を受ける。月額のケーブル費用とお別れできる。
写真や動画の共有:(うわさ通りiTVの価格が)99ドルである場合、両親、祖父母、友達がiTVを持つようになるだろう。iPhoneからの写真およびビデオ共有がボタン一押しで可能となる。テレビをつけると、家族のビデオについての通知が届いているということが想像できる。
iPadがリモートコントロールになる:iPadがiTVの推奨入力デバイスとなる。ビデオ編集、ゲームコントロール、インタラクティブなテレビの視聴体験の拡張などが可能となる。月曜夜にアメリカンフットボールの試合をテレビで見ながら、別アングルの映像をiPadで見るということができる。
なお同氏が聞いたところでは、iTVのローンチ時期は9月になるという。
ピッツバーグ化が進む日の丸半導体
先日、半導体ビジネスに30年以上携わってきた業界のベテランと話していると、「ピッツバーグ化」という言葉が飛び出した。ピッツバーグは言わずとしれた北米製鉄業のかつての中心地だが、投資不足がたたって設備が老朽化し、競争力を失った。
「以前は世界トップを走っていた日本の半導体業界もピッツバーグの製鉄業と同じ道筋をたどりつつある」というのが、このベテランの見立てである。
確かに、言われてみればその通りかもしれない。7月29日付、30日付の日経新聞朝刊はルネサステクノロジとNECエレクトロニクスの統合で今春発足した半導体大手、ルネサスエレクトロニクスの事業計画を報じている。
それらによると、微細加工の必要な先端チップは台湾などのファウンドリー(半導体受託生産会社)に生産を委託するという。記事は淡々とした筆致で伝えているだけだが、これは相当に衝撃的な事態である。
「ローエンド(廉価)商品は海外にシフトしても、国内では高付加価値品の商品をつくり続ける」。日本の電機メーカーは過去20年こう繰り返してきたが、こうした役割分担はもはや幻想と言わざるをえない。
半導体の生産技術、台湾が日本を圧倒
微細加工のできる先端的な生産設備は巨額の投資が必要で、日本メーカーはそれを負担できない。一方で台湾勢はむしろ微細化をビジネス拡大のチャンスとみて投資に積極姿勢をみせている。こうした勢いの差が生産技術における日台逆転を現実のものにしつつある。
先のベテランによると、「財務や経営力だけでなく、設計、生産の技術力を含めて、日本の半導体業界は台湾に完全に負けてしまった」という。氏は実は日本で数少ない「ファブレス」と呼ばれる半導体の設計メーカーの経営者でもあるのだが、今後は製造委託先として日本メーカーでなく台湾企業に頼むことが増えそうだという。
日本の次のリーディング産業は?
マーケットに目をやれば、15年ぶりの円高が進行し、国内製造業の苦境に拍車をかけている。強いと言われた日本の製造業だが、いつまでもその強さが続くわけではない。ピッツバーグは製鉄業の衰退で荒廃した後に、医療や教育産業がけん引役になって復活したとされる。日本にとっての「医療」や「教育」、すなわち次のリーディング産業が何かはまだ見えていない。
ベクター、Android用有料アプリの募集を開始
ソフトウェアダウンロードサイト「Vector」を運営する株式会社ベクターは20日、Android用有料アプリの募集を開始すると発表した。
アプリ作者を対象としたAndroidアプリ情報公開サービスである「ベクター・スマートフォンサービス」において、Androidアプリマーケットを公開するのに先立ち募集するもの。販売手数料はアプリ販売額の30%。作者登録・アプリ登録は無料。
同サービスに登録した作者は、ベクターのAndroidアプリマーケットのほか、今後、提携先マーケットでのアプリ公開が可能になる。
iPhone 4をドコモ回線で「思いっきり快適に」 日本通信がmicroSIM発売 月額6260円
日本通信は8月23日、海外で販売されているSIMフリー版iPhone 4をNTTドコモ回線で使うためのmicroSIMカード「talking b-microSIMプラチナサービス」を発表した。月額基本料は6260円。まずは事前予約したユーザーを対象に、26日から順次、販売の案内を始める。
SIMフリー版iPhone 4にmicroSIMを挿入し、ドコモの800MHz帯と2GHz帯対応FOMAネットワークを利用できるサービス。「思いっきり快適にiPhone 4を使いたい」がコンセプトで、YouTubeやApp Storeの利用、Ustream配信も快適にできるという。
最大300kbps超のテザリングに対応し、iPhone 4の3G接続機能を使ってUSB/Bluetooth経由でPCなどをネット接続できる。
月額料金は、通話サービス基本料980円(無料通話分1050円含む)と、定額データ通信5280円を合わせた6260円。
データ通信専用のmicroSIMカード「b-microSIM U300」も発表。iPhone 4を含む、microSIM対応のSIMフリー端末で利用できる。価格は1カ月2980円、6カ月パッケージが1万4900円、1年パッケージが2万9800円。
それぞれまずは、8月6日から受け付けていた「優先予約」に登録したユーザーを対象に、26日から順次、販売の案内を始める。予約ユーザーへの対応が完了次第、同社の専用Webサイトで一般向けに販売する。
国内で販売されているiPhone 4はSIMロックがかかっており、ソフトバンクモバイル回線以外では使えないが、英国やカナダ、香港などで販売されているiPhone 4はSIMフリー。新サービスを使いたいユーザーは、海外からSIMフリー端末を調達する必要がある。
「グーグルプレイス」渋谷で9月末まで大規模キャンペーン
インターネット検索大手、米グーグルの日本法人は23日、東京・渋谷で、店舗や事務所の場所情報を無料で登録できるサービス「グーグルプレイス」の大規模なキャンペーンを始めた。
渋谷にある商店街や、飲食店・小売店など約500店の協力を取り付け、9月末まで実施する。サービスの知名度向上や利用促進が狙い。
グーグルプレイスでは、グーグルのトップページから場所名と店の種類を入力して検索すると、地図とともにその一帯の該当する店の一覧や連絡先、利用者の感想が表示される。写真を見たりクーポンを入手することも可能で、パソコンのほか携帯電話からでもアクセスできる。
キャンペーンは、センター街や道玄坂など、渋谷にある5つの商店街などとコラボ。これらの商店街にある約500店の店頭に、その店の情報にアクセスできるQRコードの付いたステッカーをはってもらう。商店街を訪れた利用者は、携帯電話を使って、これらの情報に接することができる。
こうした試みにより「より多くの人たちにグーグルプレイスを知ってもらい、利用促進につなげたい」(岩村水樹・マーケティング本部長)としている。
グーグルは昨年9月にこうしたサービスを全世界で開始。同社によると、今年4月時点では全世界で400万件以上の情報が登録されているとしている。
HP、2011年初めにwebOS搭載タブレット投入
米Hewlett-Packard(HP)は、2011年初めにPalmのOSを搭載したタブレットを投入する計画だ。8月19日の決算報告会見で明らかにした。
同社幹部はこの日、タブレット分野に参入するのかというアナリストの質問に答え、「Microsoft(のOS搭載の)製品を近い将来、(Palmの)webOSを搭載した製品を2011年初めにリリースする」と語った。Palm買収の大きな理由は、タブレットで後れを取っていたためであることも明らかにした。
HPは4月にPalm買収を発表し、PalmのwebOSを搭載したスマートフォンやタブレットを開発する意向を示していた。「PalmPad」という商標も登録申請している。
同社は1月にWindows 7タブレットを披露していたが、Palm買収に伴いWindowsタブレットの計画をやめたとうわさされていた。19日のコメントはこのうわさを否定するものだ。
ネットゲーム中毒はゲーム会社のせい――米男性が訴訟
ハワイに住むオンラインゲーム中毒の男性が、ゲームの中毒性を警告しなかったとしてゲーム会社NCsoftを訴えた。この男性は「リネージュII」にはまり、2004~2009年の間に2万時間以上プレイし、中毒の結果「精神的苦痛やトラウマに苦しみ、入院し、週に3回のセラピーが必要になった」という。訴状によると、NCsoftは「心理的に依存する危険性を警告しなかった」と原告男性は主張している。また男性はNCsoftのマーケティング手法も批判している。男性はRMT(リアルマネートレード)にかかわったとしてリネージュIIから締め出されたが、「RMTはしていない。締め出しは最新ゲームAionにアップグレードさせることが狙いだ」と主張している。判事は原告の申し立ての幾つかを退けたが、訴訟自体は棄却しなかった。
7月のスーパー売上高はマイナス 月前半の低迷カバーできず
日本チェーンストア協会が23日発表した7月の全国スーパー売上高は1兆503億円で、前年同月比1.2%減(店舗調整後)となった。マイナスは20カ月連続。月後半は猛暑で、夏物商品を中心に好調だったが、天候が不順だった月前半の低迷をカバーできなかった。
中国で死刑適用罪を13削減へ 経済犯罪が中心
新華社電などによると、中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は23日、死刑を適用できる犯罪数を経済犯罪中心に13削減する刑法改正案の審議に入った。
現在は68の犯罪が死刑の適用対象。中国に対しては死刑の執行が多すぎるとの国際的な批判があり、死刑適用罪を減らすことでこうした批判をかわす狙いがある。
死刑の対象から外す罪には、密輸や小切手の偽造、窃盗、文化財の盗掘などが含まれる。全人代常務委員会の法制担当者は「現在の死刑囚の一部に対しては、死刑は重すぎるという問題がある。一部の経済犯罪などでは死刑にしなくても社会の安定に悪影響を与えない」と話している。
【東京新聞社説】
高速無料化実験 功も罪も見えてきた
2010年8月23日
高速道路無料化の社会実験で、功罪が見えてきた。対象区間の沿線観光地はにぎわったが、渋滞の発生は物流効果を抑制した。地域の特性や交通全体を見据えた、入念な検証が必要である。
実験の対象は三十七路線五十区間で、全高速道路の約二割に当たる計千六百五十二キロ。来年三月まで続けられる。
国土交通省によると、実験開始の六月末から一カ月の交通量は、実験前と比べ平均約二倍に増えた。山形道や舞鶴若狭道など三~四倍に急増した区間もある。
その分、平日は一日当たり約三区間、休日は約十区間で渋滞が発生した。一般道との合流部が目立つ。同省は、並行する一般道の渋滞が解消された点を踏まえ「一定の効果は出ている」とする。
だが、内実はどうだろう。沿線への観光客は悪天候日を除けば約一割増で、「特需」をもたらした施設もあった。一方、並行一般道には客数が減った個所も出た。各地域で総合的な評価が必要だ。
民主党が「最大の効果」と見込んだ物流コストの引き下げも、期待外れの結果だった。同省の運輸業者アンケートによると、高速道路の利用回数、コスト面とも、実験前から「変化なし」が過半数を占めた。
時間との闘いが強いられる業界にとって、渋滞は命取りになりかねない。全日本トラック協会は「時期や地域によって影響は違う」と即断を避ける。しかし、行楽期などと重なるたびに、渋滞対策に迫られては困るはずだ。
このほか高速バスや並行する鉄道の旅客数が減少し、他の交通機関への影響も避けられなかった。
そもそも無料化実験の事業費は六千億円を予定していたが、一千億円に減額された。限られた区間での検証が、全体を想定し得るのかどうか疑問である。
なぜなら対象は交通量が少ない地方に多い。両端が有料道に接続する区間もあり、すべて無料化してこそ分かる効果があるからだ。
来年度も継続されるが、財政難から大幅増額は不可能だ。首都・阪神高速を除く原則無料化には年間一兆三千億円が必要とされ、政府が目標とした二〇一二年度の実施は、もはや困難である。
「上限二千円」案はどうなるのか。高速道建設に費やした三十兆円を超える債務をどうするのか。地球温暖化対策との整合性からも異論が多いだけに、無料化自体の見直しは避けられない。
Appleが次期「Apple TV」として発表するのではないかとうわさされている「iTV」について、Digg創設者であるKevin Rose氏が、「Why Apple's iTV Will Change Everything」(AppleのiTVがすべてを変える理由)というタイトルで、同デバイスに対する考えを自身のブログで明らかにした。
同氏は、iTVがすべてを変える理由として、挙げているのは次のような点だ。
iOS TVアプリケーション:テレビアプリケーション用マーケットプレイスの登場が期待される。ビデオ共有、ストリーミング、録画アプリケーション、インタラクティブなニュースアプリケーション、そしてゲームなどが考えられる。
アラカルトな(アプリケーション)放送局:ABCやNBCのようなコンテンツ製作側でAppleのiAdを使った直接的なコンテンツの収益化や配信が可能となる。このようなオンデマンド放送局へのアクセスに必要なのはインターネット接続だけなので、ケーブルおよび衛星放送局は最終的に打撃を受ける。月額のケーブル費用とお別れできる。
写真や動画の共有:(うわさ通りiTVの価格が)99ドルである場合、両親、祖父母、友達がiTVを持つようになるだろう。iPhoneからの写真およびビデオ共有がボタン一押しで可能となる。テレビをつけると、家族のビデオについての通知が届いているということが想像できる。
iPadがリモートコントロールになる:iPadがiTVの推奨入力デバイスとなる。ビデオ編集、ゲームコントロール、インタラクティブなテレビの視聴体験の拡張などが可能となる。月曜夜にアメリカンフットボールの試合をテレビで見ながら、別アングルの映像をiPadで見るということができる。
なお同氏が聞いたところでは、iTVのローンチ時期は9月になるという。
ピッツバーグ化が進む日の丸半導体
先日、半導体ビジネスに30年以上携わってきた業界のベテランと話していると、「ピッツバーグ化」という言葉が飛び出した。ピッツバーグは言わずとしれた北米製鉄業のかつての中心地だが、投資不足がたたって設備が老朽化し、競争力を失った。
「以前は世界トップを走っていた日本の半導体業界もピッツバーグの製鉄業と同じ道筋をたどりつつある」というのが、このベテランの見立てである。
確かに、言われてみればその通りかもしれない。7月29日付、30日付の日経新聞朝刊はルネサステクノロジとNECエレクトロニクスの統合で今春発足した半導体大手、ルネサスエレクトロニクスの事業計画を報じている。
それらによると、微細加工の必要な先端チップは台湾などのファウンドリー(半導体受託生産会社)に生産を委託するという。記事は淡々とした筆致で伝えているだけだが、これは相当に衝撃的な事態である。
「ローエンド(廉価)商品は海外にシフトしても、国内では高付加価値品の商品をつくり続ける」。日本の電機メーカーは過去20年こう繰り返してきたが、こうした役割分担はもはや幻想と言わざるをえない。
半導体の生産技術、台湾が日本を圧倒
微細加工のできる先端的な生産設備は巨額の投資が必要で、日本メーカーはそれを負担できない。一方で台湾勢はむしろ微細化をビジネス拡大のチャンスとみて投資に積極姿勢をみせている。こうした勢いの差が生産技術における日台逆転を現実のものにしつつある。
先のベテランによると、「財務や経営力だけでなく、設計、生産の技術力を含めて、日本の半導体業界は台湾に完全に負けてしまった」という。氏は実は日本で数少ない「ファブレス」と呼ばれる半導体の設計メーカーの経営者でもあるのだが、今後は製造委託先として日本メーカーでなく台湾企業に頼むことが増えそうだという。
日本の次のリーディング産業は?
マーケットに目をやれば、15年ぶりの円高が進行し、国内製造業の苦境に拍車をかけている。強いと言われた日本の製造業だが、いつまでもその強さが続くわけではない。ピッツバーグは製鉄業の衰退で荒廃した後に、医療や教育産業がけん引役になって復活したとされる。日本にとっての「医療」や「教育」、すなわち次のリーディング産業が何かはまだ見えていない。
ベクター、Android用有料アプリの募集を開始
ソフトウェアダウンロードサイト「Vector」を運営する株式会社ベクターは20日、Android用有料アプリの募集を開始すると発表した。
アプリ作者を対象としたAndroidアプリ情報公開サービスである「ベクター・スマートフォンサービス」において、Androidアプリマーケットを公開するのに先立ち募集するもの。販売手数料はアプリ販売額の30%。作者登録・アプリ登録は無料。
同サービスに登録した作者は、ベクターのAndroidアプリマーケットのほか、今後、提携先マーケットでのアプリ公開が可能になる。
iPhone 4をドコモ回線で「思いっきり快適に」 日本通信がmicroSIM発売 月額6260円
日本通信は8月23日、海外で販売されているSIMフリー版iPhone 4をNTTドコモ回線で使うためのmicroSIMカード「talking b-microSIMプラチナサービス」を発表した。月額基本料は6260円。まずは事前予約したユーザーを対象に、26日から順次、販売の案内を始める。
SIMフリー版iPhone 4にmicroSIMを挿入し、ドコモの800MHz帯と2GHz帯対応FOMAネットワークを利用できるサービス。「思いっきり快適にiPhone 4を使いたい」がコンセプトで、YouTubeやApp Storeの利用、Ustream配信も快適にできるという。
最大300kbps超のテザリングに対応し、iPhone 4の3G接続機能を使ってUSB/Bluetooth経由でPCなどをネット接続できる。
月額料金は、通話サービス基本料980円(無料通話分1050円含む)と、定額データ通信5280円を合わせた6260円。
データ通信専用のmicroSIMカード「b-microSIM U300」も発表。iPhone 4を含む、microSIM対応のSIMフリー端末で利用できる。価格は1カ月2980円、6カ月パッケージが1万4900円、1年パッケージが2万9800円。
それぞれまずは、8月6日から受け付けていた「優先予約」に登録したユーザーを対象に、26日から順次、販売の案内を始める。予約ユーザーへの対応が完了次第、同社の専用Webサイトで一般向けに販売する。
国内で販売されているiPhone 4はSIMロックがかかっており、ソフトバンクモバイル回線以外では使えないが、英国やカナダ、香港などで販売されているiPhone 4はSIMフリー。新サービスを使いたいユーザーは、海外からSIMフリー端末を調達する必要がある。
「グーグルプレイス」渋谷で9月末まで大規模キャンペーン
インターネット検索大手、米グーグルの日本法人は23日、東京・渋谷で、店舗や事務所の場所情報を無料で登録できるサービス「グーグルプレイス」の大規模なキャンペーンを始めた。
渋谷にある商店街や、飲食店・小売店など約500店の協力を取り付け、9月末まで実施する。サービスの知名度向上や利用促進が狙い。
グーグルプレイスでは、グーグルのトップページから場所名と店の種類を入力して検索すると、地図とともにその一帯の該当する店の一覧や連絡先、利用者の感想が表示される。写真を見たりクーポンを入手することも可能で、パソコンのほか携帯電話からでもアクセスできる。
キャンペーンは、センター街や道玄坂など、渋谷にある5つの商店街などとコラボ。これらの商店街にある約500店の店頭に、その店の情報にアクセスできるQRコードの付いたステッカーをはってもらう。商店街を訪れた利用者は、携帯電話を使って、これらの情報に接することができる。
こうした試みにより「より多くの人たちにグーグルプレイスを知ってもらい、利用促進につなげたい」(岩村水樹・マーケティング本部長)としている。
グーグルは昨年9月にこうしたサービスを全世界で開始。同社によると、今年4月時点では全世界で400万件以上の情報が登録されているとしている。
HP、2011年初めにwebOS搭載タブレット投入
米Hewlett-Packard(HP)は、2011年初めにPalmのOSを搭載したタブレットを投入する計画だ。8月19日の決算報告会見で明らかにした。
同社幹部はこの日、タブレット分野に参入するのかというアナリストの質問に答え、「Microsoft(のOS搭載の)製品を近い将来、(Palmの)webOSを搭載した製品を2011年初めにリリースする」と語った。Palm買収の大きな理由は、タブレットで後れを取っていたためであることも明らかにした。
HPは4月にPalm買収を発表し、PalmのwebOSを搭載したスマートフォンやタブレットを開発する意向を示していた。「PalmPad」という商標も登録申請している。
同社は1月にWindows 7タブレットを披露していたが、Palm買収に伴いWindowsタブレットの計画をやめたとうわさされていた。19日のコメントはこのうわさを否定するものだ。
ネットゲーム中毒はゲーム会社のせい――米男性が訴訟
ハワイに住むオンラインゲーム中毒の男性が、ゲームの中毒性を警告しなかったとしてゲーム会社NCsoftを訴えた。この男性は「リネージュII」にはまり、2004~2009年の間に2万時間以上プレイし、中毒の結果「精神的苦痛やトラウマに苦しみ、入院し、週に3回のセラピーが必要になった」という。訴状によると、NCsoftは「心理的に依存する危険性を警告しなかった」と原告男性は主張している。また男性はNCsoftのマーケティング手法も批判している。男性はRMT(リアルマネートレード)にかかわったとしてリネージュIIから締め出されたが、「RMTはしていない。締め出しは最新ゲームAionにアップグレードさせることが狙いだ」と主張している。判事は原告の申し立ての幾つかを退けたが、訴訟自体は棄却しなかった。
7月のスーパー売上高はマイナス 月前半の低迷カバーできず
日本チェーンストア協会が23日発表した7月の全国スーパー売上高は1兆503億円で、前年同月比1.2%減(店舗調整後)となった。マイナスは20カ月連続。月後半は猛暑で、夏物商品を中心に好調だったが、天候が不順だった月前半の低迷をカバーできなかった。
中国で死刑適用罪を13削減へ 経済犯罪が中心
新華社電などによると、中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は23日、死刑を適用できる犯罪数を経済犯罪中心に13削減する刑法改正案の審議に入った。
現在は68の犯罪が死刑の適用対象。中国に対しては死刑の執行が多すぎるとの国際的な批判があり、死刑適用罪を減らすことでこうした批判をかわす狙いがある。
死刑の対象から外す罪には、密輸や小切手の偽造、窃盗、文化財の盗掘などが含まれる。全人代常務委員会の法制担当者は「現在の死刑囚の一部に対しては、死刑は重すぎるという問題がある。一部の経済犯罪などでは死刑にしなくても社会の安定に悪影響を与えない」と話している。
【東京新聞社説】
高速無料化実験 功も罪も見えてきた
2010年8月23日
高速道路無料化の社会実験で、功罪が見えてきた。対象区間の沿線観光地はにぎわったが、渋滞の発生は物流効果を抑制した。地域の特性や交通全体を見据えた、入念な検証が必要である。
実験の対象は三十七路線五十区間で、全高速道路の約二割に当たる計千六百五十二キロ。来年三月まで続けられる。
国土交通省によると、実験開始の六月末から一カ月の交通量は、実験前と比べ平均約二倍に増えた。山形道や舞鶴若狭道など三~四倍に急増した区間もある。
その分、平日は一日当たり約三区間、休日は約十区間で渋滞が発生した。一般道との合流部が目立つ。同省は、並行する一般道の渋滞が解消された点を踏まえ「一定の効果は出ている」とする。
だが、内実はどうだろう。沿線への観光客は悪天候日を除けば約一割増で、「特需」をもたらした施設もあった。一方、並行一般道には客数が減った個所も出た。各地域で総合的な評価が必要だ。
民主党が「最大の効果」と見込んだ物流コストの引き下げも、期待外れの結果だった。同省の運輸業者アンケートによると、高速道路の利用回数、コスト面とも、実験前から「変化なし」が過半数を占めた。
時間との闘いが強いられる業界にとって、渋滞は命取りになりかねない。全日本トラック協会は「時期や地域によって影響は違う」と即断を避ける。しかし、行楽期などと重なるたびに、渋滞対策に迫られては困るはずだ。
このほか高速バスや並行する鉄道の旅客数が減少し、他の交通機関への影響も避けられなかった。
そもそも無料化実験の事業費は六千億円を予定していたが、一千億円に減額された。限られた区間での検証が、全体を想定し得るのかどうか疑問である。
なぜなら対象は交通量が少ない地方に多い。両端が有料道に接続する区間もあり、すべて無料化してこそ分かる効果があるからだ。
来年度も継続されるが、財政難から大幅増額は不可能だ。首都・阪神高速を除く原則無料化には年間一兆三千億円が必要とされ、政府が目標とした二〇一二年度の実施は、もはや困難である。
「上限二千円」案はどうなるのか。高速道建設に費やした三十兆円を超える債務をどうするのか。地球温暖化対策との整合性からも異論が多いだけに、無料化自体の見直しは避けられない。
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ソフトバンク、「つながりにくい」理由
米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や「iPad(アイパッド)」の販売で快走するソフトバンク。しかし、その裏で「ソフトバンクの携帯はつながりにくい」という評判との苦闘が続いている。なぜ「つながりにくい」のか。理由を追うと、すべての携帯事業者が直面する共通の課題が見えてくる。
ツイッターで孫社長に苦情殺到
いま、ソフトバンクでは社長の孫正義からの至上命令として、あるプロジェクトが進んでいる。基地局倍増プロジェクト――。2011年春までに携帯電話用の基地局を10年春時点の2倍となる12万局にまで増やすという計画だ。大半を今下期に新設する。
孫はこの春、一般利用者などを本社に招待したイベントで「電波改善宣言」を打ち出した。基地局倍増はその中核となる施策だ。
同社関係者によると、孫がミニブログ「ツイッター」を昨年末に始めて以来、「電波がつながりにくい」との苦情が一般利用者から殺到。「頭をガツンと殴られたような衝撃を受けたようだ。それまでの方針を変更して通信インフラを一気に増強することになった」(ある幹部)という。孫も同イベントで「真摯(しんし)に反省しました」と通信インフラの弱さをわびた。
2010年4-6月期に過去最高の営業利益を記録するなど携帯事業が好調なソフトバンク。直近でもiPadやiPhoneの新製品で快進撃を続ける。そんな同社のアキレス腱(けん)となっているのが通信インフラだ。
「つながりにくい」「ネット閲覧が遅い」といった不満の声が絶えないのは、「ある意味、当然」という指摘が業界内にはある。理由の一つに挙げられるのは独自のサービスだ。
同社は新規参入した携帯電話の目玉サービスとして07年1月に、午前1時から午後9時の加入者同士の通話が無料となる「ホワイトプラン」を開始した。対象時間帯では電波をどれだけ利用しても無料という思い切った「音声準定額制度」だ。導入しているのは携帯大手3社でソフトバンクだけ。使い放題という利用者へのインパクトは大きいが、一方で、利用の歯止めがきかず、通信インフラへの負荷が大きいためだ。NTTドコモ幹部は当時、「うちで導入したらすぐにインフラがパンクしてしまう。契約数が少ない3位の事業者だからこそ導入できる施策」としていた。
iPhoneが追い打ち
ソフトバンクが携帯参入のために06年に買収したボーダフォン日本法人はもともと、通信インフラが弱いとされていた。顧客の解約理由の上位には「ネットワークがつながらない」が常に挙がり、孫は買収直後に今回と同様、「基地局を倍増させる」と宣言した。当時の第3世代携帯電話(3G)の基地局数は2万2000局(06年6月末)。これを07年7月末には4万6000局に「公約通り」(孫)倍増させた(数字はともにソフトバンク公表値)。
それでも音声準定額の導入による通信量増加の影響は大きく、インフラの容量が逼迫(ひっぱく)。余裕がないため、パソコン向けデータ通信の定額サービスを自社網で提供できないほどだ。自社網で提供するドコモなどに対抗するため、苦肉の策でMVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ぶ仕組みを使い、競合のイー・モバイルから携帯電話回線を借りてサービスを提供している。
この苦しい状況に追い打ちをかけたのが、皮肉にも加入者増の原動力となっているiPhone。従来にない画像を駆使したサービスなどを利用できるために、既存の携帯に比べ、格段に通信量が多くなる。
「iPhoneの通信量は一般の携帯電話の10倍以上」――。発売当初はiPhoneの魅力を語るために、孫が誇らしげに語ったものだが、セールスポイントと裏腹の通信量の多さはインフラを圧迫していく。
調査会社などによる推測では、ソフトバンクによるiPhoneの累計販売台数は300万台前後。仮に通信量が10倍として一般携帯電話に換算すると、3000万人の利用者が増えたのに等しい負荷が通信インフラにかかっていることになる。これに一般携帯電話の契約数を加えると5000万人規模となり、約3200万契約で業界2位のKDDI(au)を抜いてドコモの約5600万契約に迫る。インフラの利用実態を見れば、もはや「契約数の少ない3位の事業者」とは言っていられない状況だ。
都心部は「限界に近い」
だが、ソフトバンクが使用している周波数はドコモと比べ大きな差がある。
周波数の幅が広いほど多くの通信量に対応できるが、これまで総務省からソフトバンクに割り当てられていた幅は送信と受信の合計で60MHz幅。これに対し、ドコモは130MHz幅。iPhoneによる通信量の増大を考えれば、ソフトバンクに割り当てられた周波数は物理的に少ないという見方ができる。
総務省の電波法関係審査基準では原則、割り当てる周波数の幅は、基地局当たりの端末収容台数で決めている。ソフトバンクが主に使用している2GHz帯の周波数は01年に音声通信による端末台数を基準に決めたもので、1台当たりのデータ通信量は考慮されていない。総務省は「事業者からデータ通信を基準にしてほしいとの要望を受けており、検討課題となっている」としているが、今のところ具体的な見直しの動きは出ていない。個別企業が販売する製品やサービスの都合で公共の電波の配分を簡単に変えるわけにもいかないだろう。
さらに、東京の渋谷や新宿、六本木などの都心部では基地局当たりの端末収容台数自体が上限を超えている。対応するには基地局を設置する密度を高めるしかない。しかし、都心部は設置スペースの新規確保が難しいうえ、すでに数百メートルおきに基地局を細かく設置しており、「もはや限界に近い」(幹部)という。
基地局数には「水増し」の指摘も
では、「電波改善宣言」でどの程度改善されるのか。
ソフトバンクは基地局数を6万局から12万局に倍増させるとしているが、基地局数については以前から「水増し」(競合他社)を指摘する声がつきまとう。
一口に「基地局」と言っても屋外に設置する大型基地局から屋内向けの小型基地局まで多岐にわたり、電波の出力強度に応じて1台の基地局でカバーする範囲の広さが変わる。さらに電波が届かないエリア向けに電波を増幅して中継するだけの「中継局」や「リピーター」もあり、これらの場合はエリアが広がっても収容能力拡大にはつながらない。ソフトバンクの基地局数には「この中継局が多分に含まれているはず」(競合他社幹部)というのだ。
「水増し」の指摘の背景には、ソフトバンクの設備投資額が他社に比べて極端に少ないことが挙げられる。
ソフトバンクの移動体通信事業の設備投資額は07年度以降、2000億円前後で推移、基地局を倍増させる10年度でも3148億円(計画)の水準だ。一方、ドコモは年間7000億円前後を確保、ソフトバンクを圧倒する。10年度に増設予定の基地局数はソフトバンクの6万に対し、ドコモは1万1500。「ドコモは基地局単価が高いとしても差が開き過ぎ」(業界関係者)との見方が多い。
基地局の増設がどれだけの通信品質の改善につながるかは見通しにくい。ソフトバンクは別の手段も講じているが、こちらも苦戦中だ。
改善策に他社から不満の声
「何も断りなく受け付けを始めたことに憤りを感じている」「インターネット接続事業者をなめているのか」――。通信容量の不足を補おうと打ち出した新たな施策にインターネット接続事業者から批判の声が噴出している。
標的となっているのは、「フェムトセル」と呼ぶ家庭用の超小型基地局。ソフトバンクの携帯電話から受け取った電波を家庭に引き込んだ固定のブロードバンド回線に流し、ソフトバンクの携帯通信網につなぐという仕組み。携帯電話の通信を固定回線に逃がすことで、携帯電話の通信インフラの負荷を軽減する効果を期待できる。
だが、ブロードバンド回線の提供主は各家庭が契約しているネット接続事業者。ソフトバンクの携帯インフラの代わりに使われてはたまらない。携帯の通信が大量に流れ込んでくれば、品質の低下につながるほか、障害発生時の切り分けやサポートも煩雑になる。
ソフトバンクは5月10日にフェムトセルの受け付けを開始すると、「回線のただ乗り」に当たるとの不満がネット接続事業者から続出した。事前に断りもせず勝手に受け付けを始めたことも怒りを買う原因となった。
ネット接続事業者や電力系通信会社などは6月から7月にかけて正式にソフトバンクに抗議し、協議が決着するまでの受け付け停止を要請。現在も協議を続けており、ソフトバンクが月額数十円程度を支払う方向で調整している。
ソフトバンクは基地局の増設、フェムトセルに続く第三の手段として、データ通信の利用については公衆無線LANの活用を利用者に促したい考えだ。以前から無線LAN基地局を設置するマクドナルドなどに加え、最近ではスターバックスコーヒーやミニストップ、昭和シェル石油などと相次ぎ提携し、各社店舗に基地局を設置し始めた。6月末で約4400ある基地局を1万8000局以上に増やす計画。iPadやiPhoneの普及による負荷を軽減する一定の効果は期待できそうだ。
通信量増大は全社共通の課題
「つながりにくい」という利用者の声に苦闘するソフトバンク。実は、iPhoneによる通信量の急増で苦しんでいるのは同社だけではない。
海外では米AT&Tが6月2日、高機能携帯電話(スマートフォン)の新規契約者に対し、データ通信の定額サービスの廃止を発表した。iPhoneなどが対象で、通信量に応じて段階的に上がる料金メニューに移行する。AT&Tは米国でiPhoneを独占的に販売するが、大都市の一部で「つながりにくい」「ウェブ表示が遅い」などの不満が出ていた。使い放題となる定額制サービスの廃止で通信インフラへの負担を軽減できる。英国でもスペインのテレフォニカ系の通信会社O2が6月10日に定額サービスの廃止を発表している。
今後はiPhoneやiPadに限らず、パソコン並みの使い勝手を売りにしたスマートフォンの利用者が増え、通信量は確実に増えていく。スマートフォン普及で先行するソフトバンクは過去5年で1日当たりの通信量が70倍に増えたとしており、孫は「今後10年で1000倍に増える」と指摘する。
最大手のドコモもスマートフォン拡大による通信量増加に対応するため、次世代携帯電話サービス「LTE」の設備投資を前倒しすることを決めた。携帯機器のサービスの広がりとともに、通信量の増大は今後、全社共通の課題に発展していくとみられる。携帯事業者として生き残るためには、設備投資競争に耐えられる体力が不可欠になる。
ソフトバンクはボーダフォン日本法人の買収に2兆円を費やし、10年3月末時点で1兆5010億円もの純有利子負債を抱える。2015年3月期までに純有利子負債をゼロにするという「最大の公約」(孫)があり、業績好調でも設備投資をふんだんに増やせる状況ではない。今期の設備投資増額もフリーキャッシュフロー(純現金収支)が「1年半で予想より約1800億円上回ったのでそれを原資にした」(同)という。
これからも、さらに拡大することが予想される設備投資の負担にどう対処するか。ソフトバンクの「つながりにくい」との苦闘は続きそうだ。
主要製造業、海外生産を拡大
増す円高耐久力 国内は空洞化も
政策怠れば雇用流出加速
円相場が15年ぶりの高値を付けるなど、日本経済が再び円高の風圧にさらされている。輸出で稼ぐ日本企業が円高で収益を圧迫される構図は変わらないが、1980年代以降、円高局面を何度もくぐり抜けてきた製造業の「耐久力」は高まっている。生産拠点の海外移転を迫られ、いや応なく体質が強化された。だが今後も政府が内需拡大に向けた構造改革を怠って円高を放置すれば、国内産業の空洞化が加速して日本経済に深刻な悪影響を及ぼしかねない。
「日本企業が円高で被る打撃は弱まった」。野村証券の木内登英氏はこう指摘する。同証券が主要製造業を分析したところ、対ドルで円高が1円進めば2010年度の経常利益が1.0%減る。99年度は1円の円高で2.1%減ると見込まれており、この10年間で製造業への打撃が小さくなったことが分かる。
製造業の円高耐久力が高まった最大の理由は海外生産の拡大だ。内閣府の調査では、製造業の生産に占める海外比率は95年度時点で8.1%だったが、09年度は17.8%に高まった。自動車など加工型の製造業は25%を超え、4分の1が海外生産になった形だ。
円建て決済増加
通貨戦略も製造業の円高耐久力につながっている。財務省の調査では、日本企業が輸出に使う決済通貨は10年上半期時点でドル48.6%、円41.0%。2000年下半期時点ではドル52.4%、円36.1%で、10年間で円建て決済が大幅に増えたことが分かる。
第一生命経済研究所の熊野英生氏は「企業内取引が国際化した影響が大きい」と分析する。海外進出でグループ内の取引が増えた。輸出の軸足が米国からアジアに移り、ドル決済の必要性が薄れてきた面もある。
成長力弱体化も
主要製造業が円高抵抗力を高める裏で、国内経済は地盤沈下が進んでいる。内需主導の成長を目指す構造改革は進まず、輸出依存経済は変わっていない。企業は円高のたびに海外生産を増やし、アジアなどでの投資や雇用は拡大が続く。
経済産業省によると、2008年度時点で日本企業の海外現地法人の雇用数は452万人。95年度の233万人から倍増した。製造業の海外現地法人の設備投資も95年度の1兆7000億円から08年度には3兆6000億円に拡大した。
円高が続けば、雇用や投資の海外移転が進んで国内が空洞化し、成長力が弱まる。世界経済の先行き不透明感から企業の手元資金はバブル期以来の高水準に膨らんでいるが、これが海外投資に向かえば、空洞化を一段と加速させかねない。
しかも海外に活路を見いだせるのは主要製造業だけだ。内需型産業や中小企業は厳しい対応を迫られる。総務省の調査では、海外に直接投資をしている企業の割合は従業員1000人超で36%だが、200人以下では10%未満にとどまり、企業の規模によって円高耐久力の差が鮮明だ。
日本企業、広告でも空洞化?
深刻な低迷が続いていた国内広告市場が最悪期を脱しつつある。広告最大手の電通が11日、2011年3月期通期の売上高と営業利益の見通しを上方修正した。07年3月期以来4期ぶりの増収増益を見込む。同社の4~6月の新聞広告関連収入は前年同期比2.4%増と、06年4~6月期以来実に4年ぶりに前年同期を上回った。テレビ広告関連収入も7.4%増で08年1~3月期以来、9四半期ぶりの増加だった。
民放最大手フジ・メディア・ホールディングスの4~6月期の放送収入は07年1~3月以来の前年同期比増加。スポット広告収入が9.5%増と健闘したうえ、落ち込みがひどかったタイム広告収入(番組スポンサーからの広告収入)の減収率も同2.1%と2けた減だった1~3月に比べ、大きく改善した。局によって強弱はあるものの、テレビ広告市場全般でいうと久しぶりに水面近くまで浮上し、息継ぎができる局面に来ているようだ。
ただ、別の統計を見ると不吉な現象が目につく。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、この4~6月の国内広告業の国内マス媒体向け広告からの売上高は前年同期比でほぼ横ばい。国内インターネット広告からの売り上げも同5%増と回復が鈍い。対照的に海外広告からの売り上げは同59%増と急激な回復をみせた。
この数字は、国内広告会社が取り扱う海外向け広告の動向を反映している。つまり、今回の景気回復局面で、日本企業は広告・宣伝費を成長機会がありそうな海外市場に優先的に振り向けている公算が大きいのである。外資系広告会社の幹部は「日本企業の広告出稿意欲は海外メディア向けにはむしろ旺盛」と証言。英フィナンシャル・タイムズ紙の幹部も「日本法人の広告営業は過去数年、一貫して好調」と表情が明るい。
デフレで経済収縮が続く日本ではなく、海外に経営資源を振り向ける空洞化現象が大企業を中心に加速している。広告も例外ではいられないのかもしれない。
企業の競争力 自信深める韓国
日韓双方で多くの回答者が指摘した「企業競争力の接近」。半導体や造船などの分野で目覚ましい韓国の躍進を投影した形だ。韓国ではなお産業全般でみた場合に日本の基礎技術などの優位を認める声もあるが、日本側は韓国が「追いついた」「追い越した」という回答も目立ち、自国の成長鈍化に“焦り”もにじむ。経済の距離が縮まる中、両国では民間交流や文化の相互理解の必要性も認識され始めた。
■なお「差」意識
「まだまだ日本企業から学ぶことは多いです」。4月上旬、サムスングループは日本経団連会長就任を控えて韓国を訪れた米倉弘昌・住友化学会長をソウル市内のグループ迎賓館に招いた。夕食会でサムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)会長は米倉氏に、日本語でこう語りかけた。
だが、これまで日本企業を目標にしてきたサムスンは今や、半導体メモリーや液晶パネルで世界一に上り詰め、薄型テレビや携帯電話も世界シェアで日本の電機大手を大きく引き離す。米倉氏訪韓の3カ月前、李氏は米ラスベガスで展示会を見学し、記者団に「(我が社は)日本より基礎技術やデザインで勝っている」と漏らした。
今回の調査でも、韓国側は競争力が「かなり近づいている」という回答が4割あった半面「まだ格差は大きい」の答えも4割に近いという結果が出た。韓国主要製造業の多くは日本の技術を移転してきた経緯があり、自国の発展を十分体感しながらも、日本企業の競争力を強く意識している様子がにじむ。一方、日本では韓国企業が「日本企業を追い越した」「日本企業に追いついた」とする見方が韓国側の2倍の3割を占めた。
■草の根の交流願う
経済協力への期待も鮮明になった。EPAは農水産物の扱いを巡って交渉が難航しているが、日本では農林水産業者の多くが支持し、地方在住者も6割超が「必要」と回答。韓国企業の競争力を評価する人にEPAへの期待が強いという傾向も出た。韓国は19~29歳の8割近くが「必要」とした。いったん日本の薄型テレビ市場から撤退した韓国LG電子が探る「再参入」が成功すれば、韓国製品の日本での販売に期待するEPA推進論もさらに広がりそうだ。
同時に、未来志向の両国関係を築くための課題を聞いた質問には「国民間の交流強化」「文化の相互理解」を挙げた人が日韓ともに4割前後を占めた。韓国ではこの2つの答えの合計が歴史認識に絡む日韓の懸案「共同歴史教科書の製作」を挙げた人の割合を超え、個人や民間レベルの草の根の交流を求める意識が高まってきていることをうかがわせた。
トヨタ、補助金終了後に1台5万円の販売奨励金
8月23日2時17分配信 産経新聞
トヨタ自動車が、政府のエコカー購入補助制度が終了する10月以降、全国の系列販売会社に対し、1台当たり新たに5万円の販売奨励金を支給することが22日、分かった。販売会社の判断で値引きに活用することを想定しており、補助金終了後の反動による急激な販売の落ち込みを食い止めたい考えだ。トヨタ以外にも同様の動きが広がる可能性がある。下請けも含めすそ野の広い自動車の販売減は、景気悪化の最大の懸念材料になっている。
自動車業界には、政府が検討中の追加経済対策の一環として補助金の延長を求める声が強いが、政府は予定通り終了する方針を変えていない。
このため、トヨタは奨励金によるてこ入れが必要と判断したとみられる。使い道は各販売会社に委ねる考えだが、独自の判断で、キャッシュバックや一律値引きのキャンペーンなどを展開することができる。
エコカー補助は、燃費など一定の環境性能を備えた車を購入すると10万円、登録から13年以上の車を廃車にして買い替える場合は25万円が支給される。昨年4月分から購入時の重量税などを減免するエコカー減税と合わせて導入された。
政府の買い替え支援が追い風となり、今年上期(1~6月)の国内新車販売台数(軽自動車含む)は前年同期比約21%増と、上期として5年ぶりのプラスに回復。特にハイブリッド車(HV)「プリウス」が好調なトヨタは、約44%増と大きく伸ばした。
足元でも9月末の終了を控え、駆け込み需要が急増。交付を担当する次世代自動車振興センターによると、「残額は約759億円(19日現在)で、期限前になくなり、打ち切りになる可能性もある」という。
終了後の大幅な反動減は避けられず、業界では「10~12月は3割程度落ち込む可能性がある」(大手首脳)との声も。トヨタでは、すでに10月の1日当たりの国内生産台数を7~9月に比べ2割減産する方針を固めている。
販売奨励金は収益の圧迫要因になるが、減産で工場の稼働率が低下すれば、それ以上に業績が悪化しかねない。一方、他社の追随で値引き競争が激化すれば、やはり業績は悪化する。円高などで景気悪化の懸念が強まる中、牽引(けんいん)役の自動車産業の失速は雇用や賃金に与える影響も大きく、政府内で補助金の延長が浮上する可能性もありそうだ。
地球の歩き方T&E、拡張現実技術で旅ガイドソフト
旅行業やデジタルコンテンツ制作を手がける地球の歩き方T&E(東京・新宿)は、携帯電話のカメラ画面上に建物など被写体の情報を表示する「拡張現実(AR)」技術を使った旅行ガイドソフトを販売する。月内に米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」向けにパリ版を発売。観光スポットとその情報を見つけやすくする。
パリ市内でソフトのAR機能を起動してアイフォーンのカメラを周囲に向けると、観光スポットやホテルの映像上に名称や写真のアイコンを表示する。アイコンをクリックすると詳しい説明を読める。ソフトの価格は350円。
アイフォーンの現在位置と方角を把握する機能を活用。パリ市内の観光スポットやホテルなど500カ所以上の緯度・経度情報と照らし合わせ、カメラの映像上にある施設などの情報を表示する。
対応機種はアイフォーンの「3GS」「4」と多機能携帯プレーヤー「iPodタッチ」の一部。ARのほかに最新の口コミ情報を入手したり、ミニブログ「ツイッター」を見たりする機能も備える。パリ版に続いて上海やソウル、ハワイのソフトも発売する。
地球の歩き方T&Eは旅行ガイド「地球の歩き方」を発行するダイヤモンド・ビッグ社(東京・港)の子会社。若者などへの新たな旅行情報の提供手法として、アイフォーンなど携帯端末向けソフトに力を入れる。
米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や「iPad(アイパッド)」の販売で快走するソフトバンク。しかし、その裏で「ソフトバンクの携帯はつながりにくい」という評判との苦闘が続いている。なぜ「つながりにくい」のか。理由を追うと、すべての携帯事業者が直面する共通の課題が見えてくる。
ツイッターで孫社長に苦情殺到
いま、ソフトバンクでは社長の孫正義からの至上命令として、あるプロジェクトが進んでいる。基地局倍増プロジェクト――。2011年春までに携帯電話用の基地局を10年春時点の2倍となる12万局にまで増やすという計画だ。大半を今下期に新設する。
孫はこの春、一般利用者などを本社に招待したイベントで「電波改善宣言」を打ち出した。基地局倍増はその中核となる施策だ。
同社関係者によると、孫がミニブログ「ツイッター」を昨年末に始めて以来、「電波がつながりにくい」との苦情が一般利用者から殺到。「頭をガツンと殴られたような衝撃を受けたようだ。それまでの方針を変更して通信インフラを一気に増強することになった」(ある幹部)という。孫も同イベントで「真摯(しんし)に反省しました」と通信インフラの弱さをわびた。
2010年4-6月期に過去最高の営業利益を記録するなど携帯事業が好調なソフトバンク。直近でもiPadやiPhoneの新製品で快進撃を続ける。そんな同社のアキレス腱(けん)となっているのが通信インフラだ。
「つながりにくい」「ネット閲覧が遅い」といった不満の声が絶えないのは、「ある意味、当然」という指摘が業界内にはある。理由の一つに挙げられるのは独自のサービスだ。
同社は新規参入した携帯電話の目玉サービスとして07年1月に、午前1時から午後9時の加入者同士の通話が無料となる「ホワイトプラン」を開始した。対象時間帯では電波をどれだけ利用しても無料という思い切った「音声準定額制度」だ。導入しているのは携帯大手3社でソフトバンクだけ。使い放題という利用者へのインパクトは大きいが、一方で、利用の歯止めがきかず、通信インフラへの負荷が大きいためだ。NTTドコモ幹部は当時、「うちで導入したらすぐにインフラがパンクしてしまう。契約数が少ない3位の事業者だからこそ導入できる施策」としていた。
iPhoneが追い打ち
ソフトバンクが携帯参入のために06年に買収したボーダフォン日本法人はもともと、通信インフラが弱いとされていた。顧客の解約理由の上位には「ネットワークがつながらない」が常に挙がり、孫は買収直後に今回と同様、「基地局を倍増させる」と宣言した。当時の第3世代携帯電話(3G)の基地局数は2万2000局(06年6月末)。これを07年7月末には4万6000局に「公約通り」(孫)倍増させた(数字はともにソフトバンク公表値)。
それでも音声準定額の導入による通信量増加の影響は大きく、インフラの容量が逼迫(ひっぱく)。余裕がないため、パソコン向けデータ通信の定額サービスを自社網で提供できないほどだ。自社網で提供するドコモなどに対抗するため、苦肉の策でMVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ぶ仕組みを使い、競合のイー・モバイルから携帯電話回線を借りてサービスを提供している。
この苦しい状況に追い打ちをかけたのが、皮肉にも加入者増の原動力となっているiPhone。従来にない画像を駆使したサービスなどを利用できるために、既存の携帯に比べ、格段に通信量が多くなる。
「iPhoneの通信量は一般の携帯電話の10倍以上」――。発売当初はiPhoneの魅力を語るために、孫が誇らしげに語ったものだが、セールスポイントと裏腹の通信量の多さはインフラを圧迫していく。
調査会社などによる推測では、ソフトバンクによるiPhoneの累計販売台数は300万台前後。仮に通信量が10倍として一般携帯電話に換算すると、3000万人の利用者が増えたのに等しい負荷が通信インフラにかかっていることになる。これに一般携帯電話の契約数を加えると5000万人規模となり、約3200万契約で業界2位のKDDI(au)を抜いてドコモの約5600万契約に迫る。インフラの利用実態を見れば、もはや「契約数の少ない3位の事業者」とは言っていられない状況だ。
都心部は「限界に近い」
だが、ソフトバンクが使用している周波数はドコモと比べ大きな差がある。
周波数の幅が広いほど多くの通信量に対応できるが、これまで総務省からソフトバンクに割り当てられていた幅は送信と受信の合計で60MHz幅。これに対し、ドコモは130MHz幅。iPhoneによる通信量の増大を考えれば、ソフトバンクに割り当てられた周波数は物理的に少ないという見方ができる。
総務省の電波法関係審査基準では原則、割り当てる周波数の幅は、基地局当たりの端末収容台数で決めている。ソフトバンクが主に使用している2GHz帯の周波数は01年に音声通信による端末台数を基準に決めたもので、1台当たりのデータ通信量は考慮されていない。総務省は「事業者からデータ通信を基準にしてほしいとの要望を受けており、検討課題となっている」としているが、今のところ具体的な見直しの動きは出ていない。個別企業が販売する製品やサービスの都合で公共の電波の配分を簡単に変えるわけにもいかないだろう。
さらに、東京の渋谷や新宿、六本木などの都心部では基地局当たりの端末収容台数自体が上限を超えている。対応するには基地局を設置する密度を高めるしかない。しかし、都心部は設置スペースの新規確保が難しいうえ、すでに数百メートルおきに基地局を細かく設置しており、「もはや限界に近い」(幹部)という。
基地局数には「水増し」の指摘も
では、「電波改善宣言」でどの程度改善されるのか。
ソフトバンクは基地局数を6万局から12万局に倍増させるとしているが、基地局数については以前から「水増し」(競合他社)を指摘する声がつきまとう。
一口に「基地局」と言っても屋外に設置する大型基地局から屋内向けの小型基地局まで多岐にわたり、電波の出力強度に応じて1台の基地局でカバーする範囲の広さが変わる。さらに電波が届かないエリア向けに電波を増幅して中継するだけの「中継局」や「リピーター」もあり、これらの場合はエリアが広がっても収容能力拡大にはつながらない。ソフトバンクの基地局数には「この中継局が多分に含まれているはず」(競合他社幹部)というのだ。
「水増し」の指摘の背景には、ソフトバンクの設備投資額が他社に比べて極端に少ないことが挙げられる。
ソフトバンクの移動体通信事業の設備投資額は07年度以降、2000億円前後で推移、基地局を倍増させる10年度でも3148億円(計画)の水準だ。一方、ドコモは年間7000億円前後を確保、ソフトバンクを圧倒する。10年度に増設予定の基地局数はソフトバンクの6万に対し、ドコモは1万1500。「ドコモは基地局単価が高いとしても差が開き過ぎ」(業界関係者)との見方が多い。
基地局の増設がどれだけの通信品質の改善につながるかは見通しにくい。ソフトバンクは別の手段も講じているが、こちらも苦戦中だ。
改善策に他社から不満の声
「何も断りなく受け付けを始めたことに憤りを感じている」「インターネット接続事業者をなめているのか」――。通信容量の不足を補おうと打ち出した新たな施策にインターネット接続事業者から批判の声が噴出している。
標的となっているのは、「フェムトセル」と呼ぶ家庭用の超小型基地局。ソフトバンクの携帯電話から受け取った電波を家庭に引き込んだ固定のブロードバンド回線に流し、ソフトバンクの携帯通信網につなぐという仕組み。携帯電話の通信を固定回線に逃がすことで、携帯電話の通信インフラの負荷を軽減する効果を期待できる。
だが、ブロードバンド回線の提供主は各家庭が契約しているネット接続事業者。ソフトバンクの携帯インフラの代わりに使われてはたまらない。携帯の通信が大量に流れ込んでくれば、品質の低下につながるほか、障害発生時の切り分けやサポートも煩雑になる。
ソフトバンクは5月10日にフェムトセルの受け付けを開始すると、「回線のただ乗り」に当たるとの不満がネット接続事業者から続出した。事前に断りもせず勝手に受け付けを始めたことも怒りを買う原因となった。
ネット接続事業者や電力系通信会社などは6月から7月にかけて正式にソフトバンクに抗議し、協議が決着するまでの受け付け停止を要請。現在も協議を続けており、ソフトバンクが月額数十円程度を支払う方向で調整している。
ソフトバンクは基地局の増設、フェムトセルに続く第三の手段として、データ通信の利用については公衆無線LANの活用を利用者に促したい考えだ。以前から無線LAN基地局を設置するマクドナルドなどに加え、最近ではスターバックスコーヒーやミニストップ、昭和シェル石油などと相次ぎ提携し、各社店舗に基地局を設置し始めた。6月末で約4400ある基地局を1万8000局以上に増やす計画。iPadやiPhoneの普及による負荷を軽減する一定の効果は期待できそうだ。
通信量増大は全社共通の課題
「つながりにくい」という利用者の声に苦闘するソフトバンク。実は、iPhoneによる通信量の急増で苦しんでいるのは同社だけではない。
海外では米AT&Tが6月2日、高機能携帯電話(スマートフォン)の新規契約者に対し、データ通信の定額サービスの廃止を発表した。iPhoneなどが対象で、通信量に応じて段階的に上がる料金メニューに移行する。AT&Tは米国でiPhoneを独占的に販売するが、大都市の一部で「つながりにくい」「ウェブ表示が遅い」などの不満が出ていた。使い放題となる定額制サービスの廃止で通信インフラへの負担を軽減できる。英国でもスペインのテレフォニカ系の通信会社O2が6月10日に定額サービスの廃止を発表している。
今後はiPhoneやiPadに限らず、パソコン並みの使い勝手を売りにしたスマートフォンの利用者が増え、通信量は確実に増えていく。スマートフォン普及で先行するソフトバンクは過去5年で1日当たりの通信量が70倍に増えたとしており、孫は「今後10年で1000倍に増える」と指摘する。
最大手のドコモもスマートフォン拡大による通信量増加に対応するため、次世代携帯電話サービス「LTE」の設備投資を前倒しすることを決めた。携帯機器のサービスの広がりとともに、通信量の増大は今後、全社共通の課題に発展していくとみられる。携帯事業者として生き残るためには、設備投資競争に耐えられる体力が不可欠になる。
ソフトバンクはボーダフォン日本法人の買収に2兆円を費やし、10年3月末時点で1兆5010億円もの純有利子負債を抱える。2015年3月期までに純有利子負債をゼロにするという「最大の公約」(孫)があり、業績好調でも設備投資をふんだんに増やせる状況ではない。今期の設備投資増額もフリーキャッシュフロー(純現金収支)が「1年半で予想より約1800億円上回ったのでそれを原資にした」(同)という。
これからも、さらに拡大することが予想される設備投資の負担にどう対処するか。ソフトバンクの「つながりにくい」との苦闘は続きそうだ。
主要製造業、海外生産を拡大
増す円高耐久力 国内は空洞化も
政策怠れば雇用流出加速
円相場が15年ぶりの高値を付けるなど、日本経済が再び円高の風圧にさらされている。輸出で稼ぐ日本企業が円高で収益を圧迫される構図は変わらないが、1980年代以降、円高局面を何度もくぐり抜けてきた製造業の「耐久力」は高まっている。生産拠点の海外移転を迫られ、いや応なく体質が強化された。だが今後も政府が内需拡大に向けた構造改革を怠って円高を放置すれば、国内産業の空洞化が加速して日本経済に深刻な悪影響を及ぼしかねない。
「日本企業が円高で被る打撃は弱まった」。野村証券の木内登英氏はこう指摘する。同証券が主要製造業を分析したところ、対ドルで円高が1円進めば2010年度の経常利益が1.0%減る。99年度は1円の円高で2.1%減ると見込まれており、この10年間で製造業への打撃が小さくなったことが分かる。
製造業の円高耐久力が高まった最大の理由は海外生産の拡大だ。内閣府の調査では、製造業の生産に占める海外比率は95年度時点で8.1%だったが、09年度は17.8%に高まった。自動車など加工型の製造業は25%を超え、4分の1が海外生産になった形だ。
円建て決済増加
通貨戦略も製造業の円高耐久力につながっている。財務省の調査では、日本企業が輸出に使う決済通貨は10年上半期時点でドル48.6%、円41.0%。2000年下半期時点ではドル52.4%、円36.1%で、10年間で円建て決済が大幅に増えたことが分かる。
第一生命経済研究所の熊野英生氏は「企業内取引が国際化した影響が大きい」と分析する。海外進出でグループ内の取引が増えた。輸出の軸足が米国からアジアに移り、ドル決済の必要性が薄れてきた面もある。
成長力弱体化も
主要製造業が円高抵抗力を高める裏で、国内経済は地盤沈下が進んでいる。内需主導の成長を目指す構造改革は進まず、輸出依存経済は変わっていない。企業は円高のたびに海外生産を増やし、アジアなどでの投資や雇用は拡大が続く。
経済産業省によると、2008年度時点で日本企業の海外現地法人の雇用数は452万人。95年度の233万人から倍増した。製造業の海外現地法人の設備投資も95年度の1兆7000億円から08年度には3兆6000億円に拡大した。
円高が続けば、雇用や投資の海外移転が進んで国内が空洞化し、成長力が弱まる。世界経済の先行き不透明感から企業の手元資金はバブル期以来の高水準に膨らんでいるが、これが海外投資に向かえば、空洞化を一段と加速させかねない。
しかも海外に活路を見いだせるのは主要製造業だけだ。内需型産業や中小企業は厳しい対応を迫られる。総務省の調査では、海外に直接投資をしている企業の割合は従業員1000人超で36%だが、200人以下では10%未満にとどまり、企業の規模によって円高耐久力の差が鮮明だ。
日本企業、広告でも空洞化?
深刻な低迷が続いていた国内広告市場が最悪期を脱しつつある。広告最大手の電通が11日、2011年3月期通期の売上高と営業利益の見通しを上方修正した。07年3月期以来4期ぶりの増収増益を見込む。同社の4~6月の新聞広告関連収入は前年同期比2.4%増と、06年4~6月期以来実に4年ぶりに前年同期を上回った。テレビ広告関連収入も7.4%増で08年1~3月期以来、9四半期ぶりの増加だった。
民放最大手フジ・メディア・ホールディングスの4~6月期の放送収入は07年1~3月以来の前年同期比増加。スポット広告収入が9.5%増と健闘したうえ、落ち込みがひどかったタイム広告収入(番組スポンサーからの広告収入)の減収率も同2.1%と2けた減だった1~3月に比べ、大きく改善した。局によって強弱はあるものの、テレビ広告市場全般でいうと久しぶりに水面近くまで浮上し、息継ぎができる局面に来ているようだ。
ただ、別の統計を見ると不吉な現象が目につく。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、この4~6月の国内広告業の国内マス媒体向け広告からの売上高は前年同期比でほぼ横ばい。国内インターネット広告からの売り上げも同5%増と回復が鈍い。対照的に海外広告からの売り上げは同59%増と急激な回復をみせた。
この数字は、国内広告会社が取り扱う海外向け広告の動向を反映している。つまり、今回の景気回復局面で、日本企業は広告・宣伝費を成長機会がありそうな海外市場に優先的に振り向けている公算が大きいのである。外資系広告会社の幹部は「日本企業の広告出稿意欲は海外メディア向けにはむしろ旺盛」と証言。英フィナンシャル・タイムズ紙の幹部も「日本法人の広告営業は過去数年、一貫して好調」と表情が明るい。
デフレで経済収縮が続く日本ではなく、海外に経営資源を振り向ける空洞化現象が大企業を中心に加速している。広告も例外ではいられないのかもしれない。
企業の競争力 自信深める韓国
日韓双方で多くの回答者が指摘した「企業競争力の接近」。半導体や造船などの分野で目覚ましい韓国の躍進を投影した形だ。韓国ではなお産業全般でみた場合に日本の基礎技術などの優位を認める声もあるが、日本側は韓国が「追いついた」「追い越した」という回答も目立ち、自国の成長鈍化に“焦り”もにじむ。経済の距離が縮まる中、両国では民間交流や文化の相互理解の必要性も認識され始めた。
■なお「差」意識
「まだまだ日本企業から学ぶことは多いです」。4月上旬、サムスングループは日本経団連会長就任を控えて韓国を訪れた米倉弘昌・住友化学会長をソウル市内のグループ迎賓館に招いた。夕食会でサムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)会長は米倉氏に、日本語でこう語りかけた。
だが、これまで日本企業を目標にしてきたサムスンは今や、半導体メモリーや液晶パネルで世界一に上り詰め、薄型テレビや携帯電話も世界シェアで日本の電機大手を大きく引き離す。米倉氏訪韓の3カ月前、李氏は米ラスベガスで展示会を見学し、記者団に「(我が社は)日本より基礎技術やデザインで勝っている」と漏らした。
今回の調査でも、韓国側は競争力が「かなり近づいている」という回答が4割あった半面「まだ格差は大きい」の答えも4割に近いという結果が出た。韓国主要製造業の多くは日本の技術を移転してきた経緯があり、自国の発展を十分体感しながらも、日本企業の競争力を強く意識している様子がにじむ。一方、日本では韓国企業が「日本企業を追い越した」「日本企業に追いついた」とする見方が韓国側の2倍の3割を占めた。
■草の根の交流願う
経済協力への期待も鮮明になった。EPAは農水産物の扱いを巡って交渉が難航しているが、日本では農林水産業者の多くが支持し、地方在住者も6割超が「必要」と回答。韓国企業の競争力を評価する人にEPAへの期待が強いという傾向も出た。韓国は19~29歳の8割近くが「必要」とした。いったん日本の薄型テレビ市場から撤退した韓国LG電子が探る「再参入」が成功すれば、韓国製品の日本での販売に期待するEPA推進論もさらに広がりそうだ。
同時に、未来志向の両国関係を築くための課題を聞いた質問には「国民間の交流強化」「文化の相互理解」を挙げた人が日韓ともに4割前後を占めた。韓国ではこの2つの答えの合計が歴史認識に絡む日韓の懸案「共同歴史教科書の製作」を挙げた人の割合を超え、個人や民間レベルの草の根の交流を求める意識が高まってきていることをうかがわせた。
トヨタ、補助金終了後に1台5万円の販売奨励金
8月23日2時17分配信 産経新聞
トヨタ自動車が、政府のエコカー購入補助制度が終了する10月以降、全国の系列販売会社に対し、1台当たり新たに5万円の販売奨励金を支給することが22日、分かった。販売会社の判断で値引きに活用することを想定しており、補助金終了後の反動による急激な販売の落ち込みを食い止めたい考えだ。トヨタ以外にも同様の動きが広がる可能性がある。下請けも含めすそ野の広い自動車の販売減は、景気悪化の最大の懸念材料になっている。
自動車業界には、政府が検討中の追加経済対策の一環として補助金の延長を求める声が強いが、政府は予定通り終了する方針を変えていない。
このため、トヨタは奨励金によるてこ入れが必要と判断したとみられる。使い道は各販売会社に委ねる考えだが、独自の判断で、キャッシュバックや一律値引きのキャンペーンなどを展開することができる。
エコカー補助は、燃費など一定の環境性能を備えた車を購入すると10万円、登録から13年以上の車を廃車にして買い替える場合は25万円が支給される。昨年4月分から購入時の重量税などを減免するエコカー減税と合わせて導入された。
政府の買い替え支援が追い風となり、今年上期(1~6月)の国内新車販売台数(軽自動車含む)は前年同期比約21%増と、上期として5年ぶりのプラスに回復。特にハイブリッド車(HV)「プリウス」が好調なトヨタは、約44%増と大きく伸ばした。
足元でも9月末の終了を控え、駆け込み需要が急増。交付を担当する次世代自動車振興センターによると、「残額は約759億円(19日現在)で、期限前になくなり、打ち切りになる可能性もある」という。
終了後の大幅な反動減は避けられず、業界では「10~12月は3割程度落ち込む可能性がある」(大手首脳)との声も。トヨタでは、すでに10月の1日当たりの国内生産台数を7~9月に比べ2割減産する方針を固めている。
販売奨励金は収益の圧迫要因になるが、減産で工場の稼働率が低下すれば、それ以上に業績が悪化しかねない。一方、他社の追随で値引き競争が激化すれば、やはり業績は悪化する。円高などで景気悪化の懸念が強まる中、牽引(けんいん)役の自動車産業の失速は雇用や賃金に与える影響も大きく、政府内で補助金の延長が浮上する可能性もありそうだ。
地球の歩き方T&E、拡張現実技術で旅ガイドソフト
旅行業やデジタルコンテンツ制作を手がける地球の歩き方T&E(東京・新宿)は、携帯電話のカメラ画面上に建物など被写体の情報を表示する「拡張現実(AR)」技術を使った旅行ガイドソフトを販売する。月内に米アップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」向けにパリ版を発売。観光スポットとその情報を見つけやすくする。
パリ市内でソフトのAR機能を起動してアイフォーンのカメラを周囲に向けると、観光スポットやホテルの映像上に名称や写真のアイコンを表示する。アイコンをクリックすると詳しい説明を読める。ソフトの価格は350円。
アイフォーンの現在位置と方角を把握する機能を活用。パリ市内の観光スポットやホテルなど500カ所以上の緯度・経度情報と照らし合わせ、カメラの映像上にある施設などの情報を表示する。
対応機種はアイフォーンの「3GS」「4」と多機能携帯プレーヤー「iPodタッチ」の一部。ARのほかに最新の口コミ情報を入手したり、ミニブログ「ツイッター」を見たりする機能も備える。パリ版に続いて上海やソウル、ハワイのソフトも発売する。
地球の歩き方T&Eは旅行ガイド「地球の歩き方」を発行するダイヤモンド・ビッグ社(東京・港)の子会社。若者などへの新たな旅行情報の提供手法として、アイフォーンなど携帯端末向けソフトに力を入れる。
あの米スカイプがついにIPOへ 無料サービスはいったいどうなる
次の成長戦略に疑問が大噴出
スカイプのIPO(新規株公開)計画が明らかになり、シリコンバレーで注目を集めている。
スカイプと言えば、コンピュータ・ユーザーなら、誰でも一度は使ったことがあるのではないだろうか。インターネットを経由して電話をかける。かけるのは、コンピュータに向かっている相手でもかまわないし、普通の固定線電話や携帯電話でもいい。いわゆるインターネット電話、あるいはVoIPと呼ばれるサービスで、2003年に設立されてから着々とユーザーを増やしてきた。
全体の93%にも達する無料サービスだけのユーザー
スカイプの魅力は、何と言ってもほとんどのサービスで、通話料が無料であることだ。今では、通話だけでなくビデオ会議もできるし、インスタント・メッセージを送ることもできる。ファイル送信や画面共有も可能だ。遠距離電話や国際電話会議など、普通なら目の飛び出るような通話料を請求されるところが、スカイプならタダ。こんなサービスがあっていいものかと疑いたくなるほど、ありがたいものなのだ。
ところが、今年中にIPOを行うと発表してから、人々がささやき合っているのは、まさにこのタダの点である。誰も通話料金を払わないところに、「いったいどうやって成長の物語を描くのだ?」と。IPO後に株価が伸びない悲惨な結末を予測する人々も少なくない。
現在、スカイプの収入源は、コンピュータから固定線電話や携帯電話にかけた場合の利用料金だけである。これもかなり安いのだが、その有料サービスを利用せずに、無料サービスしか利用しないユーザーが93%もいる。しかも、無料ユーザーは2007年の91%から増えているのだ。スカイプ側はそれでもユーザー・ベースは増え続け、今年前半だけでも8600万人を加えて、現在は5億6000万人に達したと強調している。
今年前半は1億1600万ドルの利益を出し(EBITDA=税引前利益に支払利息と減価償却費を加算した額)、黒字になったこと、今後企業向けのサービスを充実させれば、急速な成長が約束されるはずだとしている。
さらに、新しいビジネス・モデルも、数々考案中らしい。広告収入に加えて、固定電話あるいは携帯電話からコンピュータへの通話の有料化、Wi-Fiネットワークへのアクセスを、スカイプのクレジットから支払うことなどである。すでにあるSNS (ソーシャルネットワーク・サービス)への統合などの提携などもあろう。サブスクリプション制にするという案も出ているようだ。
イーベイに買収されさらに売られたスカイプの実力とは
夢はどんどん膨らむ一方で、障害も決して少なくない。たとえば、スカイプは創設2年後にイーベイに売却されている。当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったオークション・サイトのイーベイは、スカイプをサービスに組み入れて、売りたい人と買いたい人が直接話せるようにするつもりだった。
だが、目論み通りにことは運ばず、スカイプを何年も扱いあぐねたあげく、昨年には持ち株のほとんどを投資家グループに売り渡してしまった。スカイプは独立していてこそ成り立つビジネスであって、他のサービスとの相性が必ずしもよくないというのが、この時に出された結論だ。
競合も多い。スカイプと同じようなサービスには、今やグーグルやアップルも進出している。スカイプはiPhoneやアンドロイド携帯向けにアプリケーションを提供しているが、両社が何らかの妨害をしようとすれば、実に簡単にスカイプを排除することもできるだろう。時代がモバイルに移っていくにつれ、デバイスのプラットフォームを確保できないという弱みは大きい。
ただ、スカイプはAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を公開しており、これによって開発者と周辺アプリケーションのエコ・システムを構築していくことはできる。これがスカイプにユニークな成長のチャンスを与えていると見る専門家もいる。
いずれにしても、スカイプがIPOで目標としているのは1億ドルの新しい資金。これを上回る投資が得られれば、スカイプが成長するだけでなく、すっかりおとなしくなったシリコンバレーも、活気づくはずだという期待が集まっている。サービスとしてはすでに老舗格のスカイプが及ぼす影響力は大きいのだ。
収入のない数々のサービスがIPOで大化けしたドットコム・バブルから10数年がたった。現在のシリコンバレーは、企業の将来性に賭けるパワーがあるのか。スカイプのIPOは、シリコンバレー回生の試金石でもある。
弁護士も低所得時代に突入か 就職できない新人急増の背景
日本弁護士連合会が今年6~7月に実施したアンケートによると、新司法試験に合格して司法修習を受けている弁護士希望者のうち、約43%の就職先が未定であることが分かった。
12月に修習が終わる予定の2021人のうち1235人が回答し、532人が内定していなかった。同時期の未定率は、08年では約20%、09年は約30%で、2年前の2倍以上にのぼり、就職難が加速していることが浮き彫りとなった。
政府による司法制度改革の一環で、法曹人口の増加と専門性化を目指し、法曹養成制度の改革が行われた。専門職大学院である法科大学院が2004年に設置され、2006年度からは新司法試験が導入されている。この新司法試験を受験するためには、法科大学院課程(法学未習者課程3年、既習者2年)を修了することが必須条件となる。
2006年に行われた第1回の新司法試験では、合格者は1009人だった。合格率は48.35%で、3%程度の合格率であった旧司法試験よりも数字上は大幅に競争が緩和された。2009年の第4回新司法試験は、合格者数2043名と2006年の倍近くに上っている。
しかし、弁護士の仕事は必ずしも増えていないのが現状だ。このため就職先が見つからず、低所得に悩む若手の弁護士が増加しているという。
この法科大学院にかかる学費は、国立大学では初年度に入学金28万2000円、授業料80万4000円の計108万6000円。私立大学については、当該大学出身者なら入学金が免除・半額のところもあり、入学金が0~30万円程度、授業料は、60万円~170万円となっている。これらを少なく見積もっても、2~3年間の学費だけで200万円以上となる。
司法試験に合格すると司法修習生と呼ばれ、公務員に準じた身分で1年間の修習を受けることになる。アルバイトは禁止されており、司法修習生の半数以上が法科大学院在学時に貸与制の奨学金などを活用しているという。
これまで司法修習生には、月額約20万円程度の給与(給費制)国から支払われてきた。しかし、今年の11月からは、希望者に月18万~28万円の生活資金を無利子で貸し出す「貸与制」に変わる。これらの経済的な負担の大きさから、今後法曹界を志望する若者が減るのではないか、との懸念も生まれている。
追加経済対策「1.7兆円以上も選択肢」 玄葉政調会長、政府取りまとめは9月初旬
玄葉光一郎公務員制度改革担当相(民主党政調会長)は22日午前、フジテレビの「新報道2001」に出演し、政府が円高・株安や景気の悪化懸念への対応として検討している追加経済対策について「1.7兆円以上の規模ということも選択肢としてはあり得る」と述べた。
ただ、「1.7兆円以上になると、場合によっては赤字国債を発行してでもということになるので、党内の意見を聞いて判断しなければならない」とも述べ、慎重に検討すべきだとの考えを示した。政府が追加経済対策をとりまとめる時期については「9月の最初ぐらいではないか」との見通しを示した。
追加経済対策をめぐっては、政府は財源に平成22年度予算に計上した経済危機対応・地域活性化予備費の未使用分(約9千億円)と21年度決算の剰余金の一部(約8千億円)の計1兆7千億円を想定している。
アジア、アフリカ映画の放送なぜ少ない? 文化的なじみ薄く、関心も低い
「近年、韓国映画が日本で頻繁にテレビ放送されています。一方、内容的に面白い作品があるにもかかわらず、インドやトルコなどのアジア映画、またはアフリカ映画の放送が極めて少ないのはなぜでしょうか」=横浜市青葉区の自営業の男性(67)
外国映画といえばハリウッド
90年以上の歴史を持つ映画雑誌「キネマ旬報」を出版するキネマ旬報社(東京都港区)のデータによると昨年、日本で公開された日本映画と外国映画は合わせて762本にのぼる。うち外国映画は314本で約4割。その8割以上を米ハリウッド映画が占める。
興行収入別ランキングの外国映画トップは、7月に公開が始まったハリウッド映画「ハリー・ポッターと謎のプリンス」。全国844スクリーンで上映され、最終興収は約80億円。第2位には珍しくアジア映画がランクイン。中国を舞台に香港や日本などが製作に加わり、三国志演義前半のクライマックス、赤壁の戦いを描いた「レッドクリフPartII・未来へ最終決戦」の最終興収55億5千万円だった。
一方で東京都内の商業映画館で連続7日以上公開されたアジア映画(中国、韓国での製作を除く)をみると昨年はタイ映画の2本にとどまっている。アフリカ映画は皆無だ。映画評論家で日本映画学校校長を務める佐藤忠男さん(79)は「アメリカの映画はスターがいて、建物や車などをぶっ壊す。作品自体の良し悪しとは別に派手な演出が受けている」と語る。
20年以上にわたりアジア諸国製作の映画配給を続けるアジア映画社(神戸市灘区)の担当者は「インドやイラン、台湾の映画を配給したこともあるが、需要と供給の面からテレビ局にほとんど売れなかった。頑張ってはいるがやはりアジア映画に対する関心が低い…」と厳しい表情をのぞかせる。
隣国・韓国でみると、平成12年に日本で公開された映画「シュリ」や15年放送のドラマ「冬のソナタ」など、ここ10年で「韓流ブーム」と呼ばれるブームが起きた。「韓国や中国は日本人にとって自然とわき上がる親近感があり、なじみが深い」(佐藤さん)というように、家族の在り方や食事の際に箸(はし)を使う生活様式、男女間の恋愛スタイルなど、日本との文化的共通点が韓流ブームを後押ししたとされる。
中韓と比べほかのアジア・アフリカ地域は文化的にもなじみが薄いためか、日常的な映画公開について佐藤さんは「興行として難しい」と分析。ある在京民放局の担当者は、アジア地域の映画やドラマ作品の放送について「やったことがないので正直分からないし、世間で話題にならないようではテレビ放送は難しいだろう」と語る。
テレビ局は文化的使命感を
アジア・アフリカ地域の映画がこれまで日本で全くヒットしなかったわけではない。10年に公開されたインド映画「ムトゥ・踊るマハラジャ」は12万人を動員し、インドの娯楽映画としてNHK教育テレビや民放局でも放送された。
インドは年間1千本以上の製作を誇る映画大国。踊るマハラジャでは、古き良きインド社会を歌と踊りで描いたストーリー展開が好評となり、配給を手がけた映画評論家の江戸木純さんは「昔の日本映画やミュージカル映画のような感覚で楽しんでもらえた。しかし物珍しさからか1本でもう十分となり、ブームが続くことはなかった」と振り返る。
国内市場が小さいほかのアジア・アフリカ諸国では、世界的スターの育成や多額の資金を投じた映画製作はほぼ不可能であり、海外での大ヒットは非常に難しいが、佐藤さんは「マレーシアやベトナムなど、アート系の文化的な映画を探せば素晴らしい作品はたくさんある」と強調する。
韓国映画も、昭和から平成初期にかけては、一部ファンがミニシアターや映画祭で楽しむ程度にとどまっていた。それでも、「いつかは商業映画として公開しよう」という映画関係者の努力が、現在の韓国映画の人気を生み出した背景の一つとして挙げられる。
佐藤さんは「配給する人の熱意があればアジアやアフリカ映画もどんどん公開できる。テレビ局にしても深夜枠を使うなど、文化的使命感を持って放送しなければならない」と訴える。アジア・アフリカ映画が広く鑑賞できるようになるためには、映画文化の意義を業界関係者が見つめ直し、採算にとらわれない普及活動が必要といえる。
【東京新聞社説】
週のはじめに考える 伊藤博文とヨン様と
2010年8月22日
日韓併合条約の調印から二十二日で百年。不幸な時代はあったが「互いに引っ越しができない隣国」です。歴史を学びつつ未来を開きたいものです。
「日本人といったら、最初に誰を思い浮かべるか」「伊藤博文」
NHKと韓国の放送局KBSが六、七月に両国民を対象に意識調査をしたところ、韓国人の回答で一位が伊藤博文でした。
同じ趣旨の質問を日本人にしたら「ペ・ヨンジュン」が一位。テレビドラマ「冬のソナタ」に主演し、「ヨン様」の愛称で人気の韓流スターです。
三十五年に及んだ植民地支配の歴史を学ぶ韓国人と、大衆文化でしか韓国を知らない日本人。この落差には驚かされました。
◆歴史認識の深い溝
伊藤博文に対する見方も正反対です。
初代の首相で、帝国憲法の草案をつくり議会制度を整えた。アジア外交の基礎も築いた。これが多くの日本人の知識でしょう。
韓国人から見れば、伊藤は初代の韓国統監として植民地支配への道を開いた人物です。伊藤を暗殺した安重根(アンジュングン)は独立を目指した英雄だと尊敬されています。
八月半ば「日韓大学生共同歴史体験」という催しがあり、日韓の若者十人ずつが一週間、両国の史跡を巡り、語り合いました。韓国の東北亜歴史財団の企画です。
山口県光市にある「伊藤公資料館」を訪ね、伊藤の生涯をまとめた十五分ほどの映像を見ました。日本語のナレーションだけでしたが、韓国の学生は「韓国のことは何も触れていないようだ」とつぶやきました。
その後、下関にある日清戦争講和条約の会議場跡を見学。条約第一条は「清は朝鮮が独立自主の国であることを確認する」との内容ですが、日本の学生から「日本と中国の戦争なのに、何で朝鮮の話が出てくるんだろう」という声がありました。
◆若者の興味幅広く
歴史に対する知識には、日韓で大きな差があると実感しました。でも、ツアー参加者の感想はさまざまで率直でした。
韓国のある学生は「日本のアニメが好きで、日本語も勉強している。でも植民地のことを習うと、日本が恨めしく、嫌いになる」と話しました。別の学生は「建築を専攻し、日本の建築家に興味がある。日本という国には好感を持てないが、個人個人を見れば出会うたびに新しい魅力を感じる」という意見でした。
日本の女子大学生は「祖父が戦時中に朝鮮で鉄道学校に通った。母はいま韓流ドラマに夢中だ。自分の目で韓国という国を直接見たくなった」。ある大学院生は「韓国人の大半は反日だと思い、心配しながら旅行したら皆親切だった。歴史対話をする時は、互いに寛容さが必要では」と語ってくれました。
相手の国に興味はあるが、歴史問題が出てくると、韓国人は怒りや憎しみを抱く。日本人は気まずさを感じ、「謝罪せよ」と何度も言われると不快感を覚える。これが平均的な姿ではないか。
中学校の歴史教科書を比較したことがあります。韓国の教科書は植民地時代の記述が六十ページを超え、日本が何をしたか、韓国人はどんな扱いを受けたか、詳細に説明しています。一方、日本の教科書では朝鮮半島の近代史に関する記述はすべて合わせても二、三ページにすぎません。
教える内容が違いすぎるので、日本人は歴史をよく知らず、韓国側は繰り返し謝罪を要求するという悪循環になっています。
ただ、国と民族が異なる以上、同じ史実、解釈を教えることはできません。異なる歴史認識については双方が議論を重ねて溝を埋めていき、成果をそれぞれの教科書に反映させるのが望ましいと考えます。
併合から百年といっても、国交正常化以後の四十五年間は協力の時代です。日韓は共に民主主義と市場経済の発展を目指し、韓国の経済成長には日本の資金、技術協力も役立ったはずです。
日韓国民の意識には相手に対する好感と、その逆の嫌悪感が交錯しているようです。そろそろ「愛憎半ば」の感情を超えて、前に進む時ではないでしょうか。
◆共通の課題も多い
経済や文化、科学技術など、日韓が交流、協力できる分野はさまざまです。少子高齢化、若者の就職難、中国産品に押される国内市場など、社会構造でも共通の課題を抱えています。
両国の人の往来は今年約五百万人になる見通し。互いの歌や映画、ファッションや食文化への関心も高いようです。
文化や情緒を尊重し合いながら、日韓の新しい百年のスタートを切るべきです。
次の成長戦略に疑問が大噴出
スカイプのIPO(新規株公開)計画が明らかになり、シリコンバレーで注目を集めている。
スカイプと言えば、コンピュータ・ユーザーなら、誰でも一度は使ったことがあるのではないだろうか。インターネットを経由して電話をかける。かけるのは、コンピュータに向かっている相手でもかまわないし、普通の固定線電話や携帯電話でもいい。いわゆるインターネット電話、あるいはVoIPと呼ばれるサービスで、2003年に設立されてから着々とユーザーを増やしてきた。
全体の93%にも達する無料サービスだけのユーザー
スカイプの魅力は、何と言ってもほとんどのサービスで、通話料が無料であることだ。今では、通話だけでなくビデオ会議もできるし、インスタント・メッセージを送ることもできる。ファイル送信や画面共有も可能だ。遠距離電話や国際電話会議など、普通なら目の飛び出るような通話料を請求されるところが、スカイプならタダ。こんなサービスがあっていいものかと疑いたくなるほど、ありがたいものなのだ。
ところが、今年中にIPOを行うと発表してから、人々がささやき合っているのは、まさにこのタダの点である。誰も通話料金を払わないところに、「いったいどうやって成長の物語を描くのだ?」と。IPO後に株価が伸びない悲惨な結末を予測する人々も少なくない。
現在、スカイプの収入源は、コンピュータから固定線電話や携帯電話にかけた場合の利用料金だけである。これもかなり安いのだが、その有料サービスを利用せずに、無料サービスしか利用しないユーザーが93%もいる。しかも、無料ユーザーは2007年の91%から増えているのだ。スカイプ側はそれでもユーザー・ベースは増え続け、今年前半だけでも8600万人を加えて、現在は5億6000万人に達したと強調している。
今年前半は1億1600万ドルの利益を出し(EBITDA=税引前利益に支払利息と減価償却費を加算した額)、黒字になったこと、今後企業向けのサービスを充実させれば、急速な成長が約束されるはずだとしている。
さらに、新しいビジネス・モデルも、数々考案中らしい。広告収入に加えて、固定電話あるいは携帯電話からコンピュータへの通話の有料化、Wi-Fiネットワークへのアクセスを、スカイプのクレジットから支払うことなどである。すでにあるSNS (ソーシャルネットワーク・サービス)への統合などの提携などもあろう。サブスクリプション制にするという案も出ているようだ。
イーベイに買収されさらに売られたスカイプの実力とは
夢はどんどん膨らむ一方で、障害も決して少なくない。たとえば、スカイプは創設2年後にイーベイに売却されている。当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったオークション・サイトのイーベイは、スカイプをサービスに組み入れて、売りたい人と買いたい人が直接話せるようにするつもりだった。
だが、目論み通りにことは運ばず、スカイプを何年も扱いあぐねたあげく、昨年には持ち株のほとんどを投資家グループに売り渡してしまった。スカイプは独立していてこそ成り立つビジネスであって、他のサービスとの相性が必ずしもよくないというのが、この時に出された結論だ。
競合も多い。スカイプと同じようなサービスには、今やグーグルやアップルも進出している。スカイプはiPhoneやアンドロイド携帯向けにアプリケーションを提供しているが、両社が何らかの妨害をしようとすれば、実に簡単にスカイプを排除することもできるだろう。時代がモバイルに移っていくにつれ、デバイスのプラットフォームを確保できないという弱みは大きい。
ただ、スカイプはAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を公開しており、これによって開発者と周辺アプリケーションのエコ・システムを構築していくことはできる。これがスカイプにユニークな成長のチャンスを与えていると見る専門家もいる。
いずれにしても、スカイプがIPOで目標としているのは1億ドルの新しい資金。これを上回る投資が得られれば、スカイプが成長するだけでなく、すっかりおとなしくなったシリコンバレーも、活気づくはずだという期待が集まっている。サービスとしてはすでに老舗格のスカイプが及ぼす影響力は大きいのだ。
収入のない数々のサービスがIPOで大化けしたドットコム・バブルから10数年がたった。現在のシリコンバレーは、企業の将来性に賭けるパワーがあるのか。スカイプのIPOは、シリコンバレー回生の試金石でもある。
弁護士も低所得時代に突入か 就職できない新人急増の背景
日本弁護士連合会が今年6~7月に実施したアンケートによると、新司法試験に合格して司法修習を受けている弁護士希望者のうち、約43%の就職先が未定であることが分かった。
12月に修習が終わる予定の2021人のうち1235人が回答し、532人が内定していなかった。同時期の未定率は、08年では約20%、09年は約30%で、2年前の2倍以上にのぼり、就職難が加速していることが浮き彫りとなった。
政府による司法制度改革の一環で、法曹人口の増加と専門性化を目指し、法曹養成制度の改革が行われた。専門職大学院である法科大学院が2004年に設置され、2006年度からは新司法試験が導入されている。この新司法試験を受験するためには、法科大学院課程(法学未習者課程3年、既習者2年)を修了することが必須条件となる。
2006年に行われた第1回の新司法試験では、合格者は1009人だった。合格率は48.35%で、3%程度の合格率であった旧司法試験よりも数字上は大幅に競争が緩和された。2009年の第4回新司法試験は、合格者数2043名と2006年の倍近くに上っている。
しかし、弁護士の仕事は必ずしも増えていないのが現状だ。このため就職先が見つからず、低所得に悩む若手の弁護士が増加しているという。
この法科大学院にかかる学費は、国立大学では初年度に入学金28万2000円、授業料80万4000円の計108万6000円。私立大学については、当該大学出身者なら入学金が免除・半額のところもあり、入学金が0~30万円程度、授業料は、60万円~170万円となっている。これらを少なく見積もっても、2~3年間の学費だけで200万円以上となる。
司法試験に合格すると司法修習生と呼ばれ、公務員に準じた身分で1年間の修習を受けることになる。アルバイトは禁止されており、司法修習生の半数以上が法科大学院在学時に貸与制の奨学金などを活用しているという。
これまで司法修習生には、月額約20万円程度の給与(給費制)国から支払われてきた。しかし、今年の11月からは、希望者に月18万~28万円の生活資金を無利子で貸し出す「貸与制」に変わる。これらの経済的な負担の大きさから、今後法曹界を志望する若者が減るのではないか、との懸念も生まれている。
追加経済対策「1.7兆円以上も選択肢」 玄葉政調会長、政府取りまとめは9月初旬
玄葉光一郎公務員制度改革担当相(民主党政調会長)は22日午前、フジテレビの「新報道2001」に出演し、政府が円高・株安や景気の悪化懸念への対応として検討している追加経済対策について「1.7兆円以上の規模ということも選択肢としてはあり得る」と述べた。
ただ、「1.7兆円以上になると、場合によっては赤字国債を発行してでもということになるので、党内の意見を聞いて判断しなければならない」とも述べ、慎重に検討すべきだとの考えを示した。政府が追加経済対策をとりまとめる時期については「9月の最初ぐらいではないか」との見通しを示した。
追加経済対策をめぐっては、政府は財源に平成22年度予算に計上した経済危機対応・地域活性化予備費の未使用分(約9千億円)と21年度決算の剰余金の一部(約8千億円)の計1兆7千億円を想定している。
アジア、アフリカ映画の放送なぜ少ない? 文化的なじみ薄く、関心も低い
「近年、韓国映画が日本で頻繁にテレビ放送されています。一方、内容的に面白い作品があるにもかかわらず、インドやトルコなどのアジア映画、またはアフリカ映画の放送が極めて少ないのはなぜでしょうか」=横浜市青葉区の自営業の男性(67)
外国映画といえばハリウッド
90年以上の歴史を持つ映画雑誌「キネマ旬報」を出版するキネマ旬報社(東京都港区)のデータによると昨年、日本で公開された日本映画と外国映画は合わせて762本にのぼる。うち外国映画は314本で約4割。その8割以上を米ハリウッド映画が占める。
興行収入別ランキングの外国映画トップは、7月に公開が始まったハリウッド映画「ハリー・ポッターと謎のプリンス」。全国844スクリーンで上映され、最終興収は約80億円。第2位には珍しくアジア映画がランクイン。中国を舞台に香港や日本などが製作に加わり、三国志演義前半のクライマックス、赤壁の戦いを描いた「レッドクリフPartII・未来へ最終決戦」の最終興収55億5千万円だった。
一方で東京都内の商業映画館で連続7日以上公開されたアジア映画(中国、韓国での製作を除く)をみると昨年はタイ映画の2本にとどまっている。アフリカ映画は皆無だ。映画評論家で日本映画学校校長を務める佐藤忠男さん(79)は「アメリカの映画はスターがいて、建物や車などをぶっ壊す。作品自体の良し悪しとは別に派手な演出が受けている」と語る。
20年以上にわたりアジア諸国製作の映画配給を続けるアジア映画社(神戸市灘区)の担当者は「インドやイラン、台湾の映画を配給したこともあるが、需要と供給の面からテレビ局にほとんど売れなかった。頑張ってはいるがやはりアジア映画に対する関心が低い…」と厳しい表情をのぞかせる。
隣国・韓国でみると、平成12年に日本で公開された映画「シュリ」や15年放送のドラマ「冬のソナタ」など、ここ10年で「韓流ブーム」と呼ばれるブームが起きた。「韓国や中国は日本人にとって自然とわき上がる親近感があり、なじみが深い」(佐藤さん)というように、家族の在り方や食事の際に箸(はし)を使う生活様式、男女間の恋愛スタイルなど、日本との文化的共通点が韓流ブームを後押ししたとされる。
中韓と比べほかのアジア・アフリカ地域は文化的にもなじみが薄いためか、日常的な映画公開について佐藤さんは「興行として難しい」と分析。ある在京民放局の担当者は、アジア地域の映画やドラマ作品の放送について「やったことがないので正直分からないし、世間で話題にならないようではテレビ放送は難しいだろう」と語る。
テレビ局は文化的使命感を
アジア・アフリカ地域の映画がこれまで日本で全くヒットしなかったわけではない。10年に公開されたインド映画「ムトゥ・踊るマハラジャ」は12万人を動員し、インドの娯楽映画としてNHK教育テレビや民放局でも放送された。
インドは年間1千本以上の製作を誇る映画大国。踊るマハラジャでは、古き良きインド社会を歌と踊りで描いたストーリー展開が好評となり、配給を手がけた映画評論家の江戸木純さんは「昔の日本映画やミュージカル映画のような感覚で楽しんでもらえた。しかし物珍しさからか1本でもう十分となり、ブームが続くことはなかった」と振り返る。
国内市場が小さいほかのアジア・アフリカ諸国では、世界的スターの育成や多額の資金を投じた映画製作はほぼ不可能であり、海外での大ヒットは非常に難しいが、佐藤さんは「マレーシアやベトナムなど、アート系の文化的な映画を探せば素晴らしい作品はたくさんある」と強調する。
韓国映画も、昭和から平成初期にかけては、一部ファンがミニシアターや映画祭で楽しむ程度にとどまっていた。それでも、「いつかは商業映画として公開しよう」という映画関係者の努力が、現在の韓国映画の人気を生み出した背景の一つとして挙げられる。
佐藤さんは「配給する人の熱意があればアジアやアフリカ映画もどんどん公開できる。テレビ局にしても深夜枠を使うなど、文化的使命感を持って放送しなければならない」と訴える。アジア・アフリカ映画が広く鑑賞できるようになるためには、映画文化の意義を業界関係者が見つめ直し、採算にとらわれない普及活動が必要といえる。
【東京新聞社説】
週のはじめに考える 伊藤博文とヨン様と
2010年8月22日
日韓併合条約の調印から二十二日で百年。不幸な時代はあったが「互いに引っ越しができない隣国」です。歴史を学びつつ未来を開きたいものです。
「日本人といったら、最初に誰を思い浮かべるか」「伊藤博文」
NHKと韓国の放送局KBSが六、七月に両国民を対象に意識調査をしたところ、韓国人の回答で一位が伊藤博文でした。
同じ趣旨の質問を日本人にしたら「ペ・ヨンジュン」が一位。テレビドラマ「冬のソナタ」に主演し、「ヨン様」の愛称で人気の韓流スターです。
三十五年に及んだ植民地支配の歴史を学ぶ韓国人と、大衆文化でしか韓国を知らない日本人。この落差には驚かされました。
◆歴史認識の深い溝
伊藤博文に対する見方も正反対です。
初代の首相で、帝国憲法の草案をつくり議会制度を整えた。アジア外交の基礎も築いた。これが多くの日本人の知識でしょう。
韓国人から見れば、伊藤は初代の韓国統監として植民地支配への道を開いた人物です。伊藤を暗殺した安重根(アンジュングン)は独立を目指した英雄だと尊敬されています。
八月半ば「日韓大学生共同歴史体験」という催しがあり、日韓の若者十人ずつが一週間、両国の史跡を巡り、語り合いました。韓国の東北亜歴史財団の企画です。
山口県光市にある「伊藤公資料館」を訪ね、伊藤の生涯をまとめた十五分ほどの映像を見ました。日本語のナレーションだけでしたが、韓国の学生は「韓国のことは何も触れていないようだ」とつぶやきました。
その後、下関にある日清戦争講和条約の会議場跡を見学。条約第一条は「清は朝鮮が独立自主の国であることを確認する」との内容ですが、日本の学生から「日本と中国の戦争なのに、何で朝鮮の話が出てくるんだろう」という声がありました。
◆若者の興味幅広く
歴史に対する知識には、日韓で大きな差があると実感しました。でも、ツアー参加者の感想はさまざまで率直でした。
韓国のある学生は「日本のアニメが好きで、日本語も勉強している。でも植民地のことを習うと、日本が恨めしく、嫌いになる」と話しました。別の学生は「建築を専攻し、日本の建築家に興味がある。日本という国には好感を持てないが、個人個人を見れば出会うたびに新しい魅力を感じる」という意見でした。
日本の女子大学生は「祖父が戦時中に朝鮮で鉄道学校に通った。母はいま韓流ドラマに夢中だ。自分の目で韓国という国を直接見たくなった」。ある大学院生は「韓国人の大半は反日だと思い、心配しながら旅行したら皆親切だった。歴史対話をする時は、互いに寛容さが必要では」と語ってくれました。
相手の国に興味はあるが、歴史問題が出てくると、韓国人は怒りや憎しみを抱く。日本人は気まずさを感じ、「謝罪せよ」と何度も言われると不快感を覚える。これが平均的な姿ではないか。
中学校の歴史教科書を比較したことがあります。韓国の教科書は植民地時代の記述が六十ページを超え、日本が何をしたか、韓国人はどんな扱いを受けたか、詳細に説明しています。一方、日本の教科書では朝鮮半島の近代史に関する記述はすべて合わせても二、三ページにすぎません。
教える内容が違いすぎるので、日本人は歴史をよく知らず、韓国側は繰り返し謝罪を要求するという悪循環になっています。
ただ、国と民族が異なる以上、同じ史実、解釈を教えることはできません。異なる歴史認識については双方が議論を重ねて溝を埋めていき、成果をそれぞれの教科書に反映させるのが望ましいと考えます。
併合から百年といっても、国交正常化以後の四十五年間は協力の時代です。日韓は共に民主主義と市場経済の発展を目指し、韓国の経済成長には日本の資金、技術協力も役立ったはずです。
日韓国民の意識には相手に対する好感と、その逆の嫌悪感が交錯しているようです。そろそろ「愛憎半ば」の感情を超えて、前に進む時ではないでしょうか。
◆共通の課題も多い
経済や文化、科学技術など、日韓が交流、協力できる分野はさまざまです。少子高齢化、若者の就職難、中国産品に押される国内市場など、社会構造でも共通の課題を抱えています。
両国の人の往来は今年約五百万人になる見通し。互いの歌や映画、ファッションや食文化への関心も高いようです。
文化や情緒を尊重し合いながら、日韓の新しい百年のスタートを切るべきです。
日本の新興企業、アジア市場に上場 現地で事業加速
10社以上が準備
日本のベンチャー企業がアジアの証券取引所に相次ぎ上場する。新規株式公開(IPO)の低迷が続く日本ではなく、IPOが回復し株取引も活発な韓国や台湾で、来年度までに10社以上が上場申請する見通し。上場で知名度を高め、現地の事業展開にも生かす。有力企業の海外上場が増えれば、日本の新興株式市場の空洞化が加速する可能性がある。
アニメ制作のディー・エル・イー(東京・千代田)は2011年6月までに台湾証取に上場申請する。日本での上場を計画してきたが、日本のアニメは海外で評価が高いと判断し方針転換した。台湾の制作会社とも提携しており、上場を機に台湾での事業を拡大する。
インターネット決済代行のゼロ(東京・渋谷)は年末にもシンガポールの新興市場「カタリスト」に上場申請する。今後の成長に必要な資金を調達し、決済代行でアジア進出を狙う。
韓国の新興市場「KOSDAQ」には野菜ソムリエ講座などのフードディスカバリー(東京・渋谷)が10月に上場申請する予定。OA機器販売のオフィス24(東京・新宿)も11月をメドに申請する方針で、ピザチェーンのサルバトーレ・クオモ・ジャパン(東京・港)も上場を検討。韓国で資金を調達し、現地店舗網の整備などに生かす。
ネット通販や半導体関連などの企業もアジア上場を計画している。
アジアで上場している日本のベンチャーは現地合弁などを除き、KOSDAQに09年に上場した1社のみ。00年前後には米ナスダックへの上場が相次いだが、国内の新興株市場が整備され海外上場は下火になっていた。
だが日本のIPO社数は金融危機の影響などで09年に19社と直近ピークの06年の10分の1に減少。10年も20~30社との見方が多い。上場時の資金調達も低調で、09年の平均調達額は06年の半分以下の30億円だった。
アジアの株式市場には投資資金が集まり、IPO社数も回復している。国際取引所連盟(WFE)によると09年のIPO社数はKOSDAQが前年比47%増の56社、カタリストは14社に倍増。また台湾証取は外国企業の上場規制を撤廃し、KOSDAQも外国企業の誘致に力を入れている。
日本は上場審査に2年以上かかるが、KOSDAQは約1年、台湾は1年半で上場できる。上場の条件となる利益の基準もジャスダックが経常利益5億円以上なのに対し、KOSDAQは純利益で約1億5千万円、カタリストには規定がない。
一方、アジアで上場すると現地語での投資家向け広報や情報開示に伴う弁護士費用などの負担が生じる。現地の証券会社が上場の主幹事となり、カタリストの場合、保証人として上場審査の責任を負うスポンサー企業との連携も必要になる。
任天堂、ディズニー、ジッポー…“神サポ”“神対応”は本当か?
「任天堂DSを修理に出すと無償で新品に交換してくれた」「ジッポーライターはどんなに古くても無償で修理してくれる」-。インターネット上には、企業のカスタマーサポート態勢の素晴らしさについての“うわさ”が広がっている。「神サポ」「神対応」(神様のようなお客さま対応)とも呼ばれ、まことしやかに語り継がれているサポートは真実なのだろうか。
■神サポといえば任天堂?
「神サポート」とネットで検索すると、真っ先に出てくるのが、ゲーム会社「任天堂」(京都市)の対応だ。ネット上では任天堂のカスタマーサポートの良さはもはや定説になっている。
「交通事故にあった少年のゲームボーイが無償で修理された。そのゲームボーイには、ゲームボーイなどの開発に携わり後に交通事故死した●●氏(本文実名)からと思われる『○○君へ、車には気をつけてね。●●』と書かれた手紙が同封されていた」
「シールがペタペタと張られ、塗装もはげたニンテンドーDSを修理に出したところ、無償で新品交換されたにもかかわらず、シールが元の位置に張られていた」
このような事例は枚挙にいとまがなく、「任天堂の神サポまとめ」サイトが立ち上げられるほどだ。
■世界中から問い合わせ
しかし、任天堂広報にこうしたサポートは本当にあったのかを取材してみると、意外な反応が返ってきた。
「世界中からネットのうわさの真偽の問い合わせが1日に何十件と来るが、1つのうわさの真偽を答えてしまうと、『これは本当ですか』『これはどうですか』ときりがなくなるので、答えられない。世界中で『井戸端会議』をしているようなものだ。良い対応をしているということを広めてもらうのは喜ばしいが、こちらからは何も言うことはない」
良いうわさか悪いうわさかにかかわらず、一度コメントしてしまうと、すべてのうわさの真偽を答えてしまう必要が出てくるため、「ノーコメント」を貫いているようだ。
「無償修理」のうわさについても、「保証期間が切れていれば、基本的には無償ではない」と、紋切り型の回答が返ってきた。
■ディズニーランドのキャスト
「東京ディズニーランドで、ペットボトルの飲み口につけるストロー付きの人形の部品をなくしてしまった。ほんの小さな部品だが、ストローにふたをするものなのでないと使えなくて困るところだったが、遺失物センターで保管してくれていた」
「キャスト」と呼ばれるスタッフの来場者への対応に定評がある東京ディズニーランドとディズニーシー。運営会社のオリエンタルランド広報(千葉県浦安市)に、落とし物対応について確認してみたところ、「年間2500万人が来場するので1件1件の対応の確認は難しいが、そういう対応をしたこともあったかもしれない」とのこと。
同社によると、落とし物の対応はケース・バイ・ケースで、来場者から届けられる場合が多いのだという。
また、生まれてまもなく子供を失った夫婦へのサービスの話も有名だ。
「子供をディズニーランドに連れてくるのが夢だった夫婦は、ワールドバザールにあるイーストサイド・カフェへ。かわいいお子様ランチがあるが、8歳以下でないと注文することができない。スタッフに事情を話すと、こころよく注文を聞ききいれてくれた上に、『本日はよくきてくださいました。ご家族で楽しんでいってくださいね』と子供がそこにいるかのように対応した」
この涙を誘う神サポについては、「ほかのレストランでもサービス業をやっているところならば、お客さまの心を酌んで同じように対応していると思う」と“謙虚”な回答が返ってきた。
■車にひかれたライターも「永久保証」
「何年たっていても正規品のジッポーなら無償で修理してくれるらしい」
ネット上には、ジッポー(米国)のライターのキャップと本体のちょうつがいが壊れたため、修理に出したところ、無償で修理してもらった人の体験談が多くある。修理されて戻ってきたライターには、消耗品の着火石も添えられていたとも。
国内でジッポーの修理を行っている、ジッポーサーヴィス(愛知県一宮市)によると、ジッポー社では、1933年の創業以来、火をつけて、キャップをして火を消すという一連のライターの機能が故障した場合は、「永久保証」を行っており、「車にひかれて完全につぶれた場合でも代替品を送っている」という。ただ、火をつける機能以外、「本体のメッキがはがれた」「へこみができた」などについては保証外だという。
同社では「ライターはストラップもないし、片手で扱うため落としやすい。しかも毎日使うものなので故障しやすい。企業の責任として創業者の意向で無償修理するようにしている。また、古い家具などを重宝する欧米の国民性もあるのではないか」と話した。
■企業信仰という“究極のブランド”
同様に、1846年創業のボールペンなどの筆記具メーカー、クロス(米国)でも、機能保証を行っており、本体を回してもペン先が出てこないなど、筆記具として使えない場合は、永久保証を行っている。
マーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏は、神サポについて、「企業の対応の良さにつけこんで来る人が出てくると、神サポも企業のコスト要因になりかねない」としつつも、「誠実で迅速な対応をしてくれるということがブログなどで広まると、その企業への“信仰”や“信奉”ともいえる究極のブランドを得ることにつながる」と指摘した。
ウィキリークス創設者、指名手配取り下げ
【ロンドン=大内佐紀】スウェーデン検察当局は20日、アフガニスタン戦争に関する米軍機密文書を公開した民間サイト「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジ氏(39)を強姦(ごうかん)などの容疑で指名手配したが、21日に取り下げた。
検察の広報担当者は21日、同氏から暴行されたとする2人の女性の告発を元に20日夜に逮捕状を出したと述べた。ところが21日夕になり、首席検察官が「強姦があったと考える理由はない」とする声明を出し、撤回した。
オーストラリア人のアサンジ氏がストックホルムで先に行った記者会見で、ウィキリークスが入手済みの新たな米軍機密文書約1万5000点を近く公開すると発表した直後だけに、検察側の対応に、批判が上がりそうだ。
自転車事故:保険の認知度低く 損保各社、販売中止
自転車と歩行者の事故が10年間で3.7倍に増え、自転車側への高額賠償判決が相次ぐ一方、それに備える保険への関心が極端に低く、損害保険各社が3月までに「自転車総合保険」の販売を中止していたことが分かった。警察庁所管の日本交通管理技術協会が交付する「TSマーク」に伴う安価な自転車保険の加入率も現在2%。全日本交通安全協会が05年に約900人を対象としたアンケートでは「保険に加入」16.5%に対し「保険自体を知らない」が54.9%に上っていた。
自転車は、車やオートバイが強制的に加入させられる自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の対象外。自転車の車道走行のルールを厳格化するため道路交通法が改正された07年以降、歩行者をはねた自転車側に対する高額賠償判決が相次いでいるが、自転車が保険未加入のため被害者に賠償が及ばないケースも生じており、保険における安全網構築の重要性が改めて浮かんでいる。
損保各社は80年から自転車総合保険の販売を始めた。自転車に乗っていて自分が死傷した場合と、他人を死傷させたり物を壊した場合のいずれも補償。年3000円の保険料で、最高2000万円の対人事故補償が標準的だった。
しかし、05年以降の保険商品簡素化の中、自転車総合保険も整理対象になり、3月で販売を中止。現在は、自転車事故やそれ以外も含めて他人の身体などに危害を与えた際に賠償する「個人賠償責任保険」を、火災保険や傷害保険などに特約として付けるよう勧めている。
「自転車保険のニーズはあり、方法次第でビジネスになる」(朝日火災海上保険の営業担当幹部)と将来性に期待を寄せる声もあるが、ある損保関係者は「保険料が安い割に支払いが多く、販売実績も少ない。経費を考えると特約として販売した方が効率的」と指摘。日本損害保険協会も07~09年度、自転車の交通ルールや賠償について説明する冊子を12万5000部発行しPRに努めているが「『自転車に乗るなら保険に加入する』との認識は広まっていない」(損保関係者)という。
このため現在、自転車専用の保険は、学校や企業など団体向けの販売や、生活協同組合連合会の組合員向けなどにとどまる。他保険の特約については、どの程度普及しているかは不明だ。
一方、日本交通管理技術協会は、自転車店での購入時や点検・整備時に1000~2000円程度の手数料で「TSマーク」(有効期間1年)を自転車に張り、対人死傷で最高2000万円を補償する保険制度を展開している。だが、09年度のTSマーク交付枚数は約141万枚で、08年の全国自転車保有台数約6910万台のわずか約2%にとどまっている。
【産経主張】携帯ゲーム依存 実体験の豊かさ伝えたい
手のひらサイズの携帯型ゲーム機や携帯電話のゲームサイトに熱中する子供たちが急増している。外で遊ばずゲームに過度に依存することへの悪影響が心配される。子供たちには、読書や自然などもっと豊かな体験を積んでほしい。
日本PTA全国協議会が、小学5年と中学2年の児童生徒と保護者に昨年末聞いた調査で、携帯型のゲーム機を持っているのは小中学生とも約75%にのぼった。いずれも前年の調査より20ポイント以上も増えている。
1日に30分以上ゲームで遊ぶ子は半数以上で、「休日には3時間以上」という子も1割を超えた。ゲームの種類は豊富で、冒険や格闘ゲームのほか、大人向けの恋愛ゲームをする子もいる。
携帯型ゲームは親の目を離れてどこででも遊べるため、依存の実態は調査の結果以上に深刻ともいわれる。夏休みなのに、子供部屋にこもり、ゲームをしている子も少なくないという。
ゲームに熱中するあまり、勉強や読書の時間がそがれる。さらに家族との会話や友達と遊ぶ機会が減り、「対話能力や相手の気持ちを推し量る能力が低下する」といったコミュニケーション上の問題が専門家から指摘されている。
ゲームを買い与える場合は、ゲームの内容や使う時間をルール化するなど、子供との約束をしっかりしておくことも重要だ。
携帯電話の無料のゲームサイトの中には、「友達」を探すなどのメール機能がついているものもある。警察庁によると、電話番号など個人情報を安易に交換して誘い出され、性犯罪などに巻き込まれる児童生徒が増えている。
ゲームサイトは「出会い系サイト」などに比べ、子供たちの警戒心も薄くなるという。学校や家庭が実態をもっと把握し、子供たちの安全を守るための教育環境への取り組みも欠かせない。
情報機器の活用も大切だが、少なくとも幼少期からゲームに過度に依存する現状には歯止めが必要だ。自然体験が豊富なほど知的好奇心が刺激され学習意欲が向上するという調査もある。
夏休みに真っ黒になるまで遊び、ときにはけんかする。そんな機会が減っている。失敗したりほめられたりする体験も少ない。親や周囲の大人は、子供たちによい本を薦めたり、実体験のおもしろさを伝える責任がある。
10社以上が準備
日本のベンチャー企業がアジアの証券取引所に相次ぎ上場する。新規株式公開(IPO)の低迷が続く日本ではなく、IPOが回復し株取引も活発な韓国や台湾で、来年度までに10社以上が上場申請する見通し。上場で知名度を高め、現地の事業展開にも生かす。有力企業の海外上場が増えれば、日本の新興株式市場の空洞化が加速する可能性がある。
アニメ制作のディー・エル・イー(東京・千代田)は2011年6月までに台湾証取に上場申請する。日本での上場を計画してきたが、日本のアニメは海外で評価が高いと判断し方針転換した。台湾の制作会社とも提携しており、上場を機に台湾での事業を拡大する。
インターネット決済代行のゼロ(東京・渋谷)は年末にもシンガポールの新興市場「カタリスト」に上場申請する。今後の成長に必要な資金を調達し、決済代行でアジア進出を狙う。
韓国の新興市場「KOSDAQ」には野菜ソムリエ講座などのフードディスカバリー(東京・渋谷)が10月に上場申請する予定。OA機器販売のオフィス24(東京・新宿)も11月をメドに申請する方針で、ピザチェーンのサルバトーレ・クオモ・ジャパン(東京・港)も上場を検討。韓国で資金を調達し、現地店舗網の整備などに生かす。
ネット通販や半導体関連などの企業もアジア上場を計画している。
アジアで上場している日本のベンチャーは現地合弁などを除き、KOSDAQに09年に上場した1社のみ。00年前後には米ナスダックへの上場が相次いだが、国内の新興株市場が整備され海外上場は下火になっていた。
だが日本のIPO社数は金融危機の影響などで09年に19社と直近ピークの06年の10分の1に減少。10年も20~30社との見方が多い。上場時の資金調達も低調で、09年の平均調達額は06年の半分以下の30億円だった。
アジアの株式市場には投資資金が集まり、IPO社数も回復している。国際取引所連盟(WFE)によると09年のIPO社数はKOSDAQが前年比47%増の56社、カタリストは14社に倍増。また台湾証取は外国企業の上場規制を撤廃し、KOSDAQも外国企業の誘致に力を入れている。
日本は上場審査に2年以上かかるが、KOSDAQは約1年、台湾は1年半で上場できる。上場の条件となる利益の基準もジャスダックが経常利益5億円以上なのに対し、KOSDAQは純利益で約1億5千万円、カタリストには規定がない。
一方、アジアで上場すると現地語での投資家向け広報や情報開示に伴う弁護士費用などの負担が生じる。現地の証券会社が上場の主幹事となり、カタリストの場合、保証人として上場審査の責任を負うスポンサー企業との連携も必要になる。
任天堂、ディズニー、ジッポー…“神サポ”“神対応”は本当か?
「任天堂DSを修理に出すと無償で新品に交換してくれた」「ジッポーライターはどんなに古くても無償で修理してくれる」-。インターネット上には、企業のカスタマーサポート態勢の素晴らしさについての“うわさ”が広がっている。「神サポ」「神対応」(神様のようなお客さま対応)とも呼ばれ、まことしやかに語り継がれているサポートは真実なのだろうか。
■神サポといえば任天堂?
「神サポート」とネットで検索すると、真っ先に出てくるのが、ゲーム会社「任天堂」(京都市)の対応だ。ネット上では任天堂のカスタマーサポートの良さはもはや定説になっている。
「交通事故にあった少年のゲームボーイが無償で修理された。そのゲームボーイには、ゲームボーイなどの開発に携わり後に交通事故死した●●氏(本文実名)からと思われる『○○君へ、車には気をつけてね。●●』と書かれた手紙が同封されていた」
「シールがペタペタと張られ、塗装もはげたニンテンドーDSを修理に出したところ、無償で新品交換されたにもかかわらず、シールが元の位置に張られていた」
このような事例は枚挙にいとまがなく、「任天堂の神サポまとめ」サイトが立ち上げられるほどだ。
■世界中から問い合わせ
しかし、任天堂広報にこうしたサポートは本当にあったのかを取材してみると、意外な反応が返ってきた。
「世界中からネットのうわさの真偽の問い合わせが1日に何十件と来るが、1つのうわさの真偽を答えてしまうと、『これは本当ですか』『これはどうですか』ときりがなくなるので、答えられない。世界中で『井戸端会議』をしているようなものだ。良い対応をしているということを広めてもらうのは喜ばしいが、こちらからは何も言うことはない」
良いうわさか悪いうわさかにかかわらず、一度コメントしてしまうと、すべてのうわさの真偽を答えてしまう必要が出てくるため、「ノーコメント」を貫いているようだ。
「無償修理」のうわさについても、「保証期間が切れていれば、基本的には無償ではない」と、紋切り型の回答が返ってきた。
■ディズニーランドのキャスト
「東京ディズニーランドで、ペットボトルの飲み口につけるストロー付きの人形の部品をなくしてしまった。ほんの小さな部品だが、ストローにふたをするものなのでないと使えなくて困るところだったが、遺失物センターで保管してくれていた」
「キャスト」と呼ばれるスタッフの来場者への対応に定評がある東京ディズニーランドとディズニーシー。運営会社のオリエンタルランド広報(千葉県浦安市)に、落とし物対応について確認してみたところ、「年間2500万人が来場するので1件1件の対応の確認は難しいが、そういう対応をしたこともあったかもしれない」とのこと。
同社によると、落とし物の対応はケース・バイ・ケースで、来場者から届けられる場合が多いのだという。
また、生まれてまもなく子供を失った夫婦へのサービスの話も有名だ。
「子供をディズニーランドに連れてくるのが夢だった夫婦は、ワールドバザールにあるイーストサイド・カフェへ。かわいいお子様ランチがあるが、8歳以下でないと注文することができない。スタッフに事情を話すと、こころよく注文を聞ききいれてくれた上に、『本日はよくきてくださいました。ご家族で楽しんでいってくださいね』と子供がそこにいるかのように対応した」
この涙を誘う神サポについては、「ほかのレストランでもサービス業をやっているところならば、お客さまの心を酌んで同じように対応していると思う」と“謙虚”な回答が返ってきた。
■車にひかれたライターも「永久保証」
「何年たっていても正規品のジッポーなら無償で修理してくれるらしい」
ネット上には、ジッポー(米国)のライターのキャップと本体のちょうつがいが壊れたため、修理に出したところ、無償で修理してもらった人の体験談が多くある。修理されて戻ってきたライターには、消耗品の着火石も添えられていたとも。
国内でジッポーの修理を行っている、ジッポーサーヴィス(愛知県一宮市)によると、ジッポー社では、1933年の創業以来、火をつけて、キャップをして火を消すという一連のライターの機能が故障した場合は、「永久保証」を行っており、「車にひかれて完全につぶれた場合でも代替品を送っている」という。ただ、火をつける機能以外、「本体のメッキがはがれた」「へこみができた」などについては保証外だという。
同社では「ライターはストラップもないし、片手で扱うため落としやすい。しかも毎日使うものなので故障しやすい。企業の責任として創業者の意向で無償修理するようにしている。また、古い家具などを重宝する欧米の国民性もあるのではないか」と話した。
■企業信仰という“究極のブランド”
同様に、1846年創業のボールペンなどの筆記具メーカー、クロス(米国)でも、機能保証を行っており、本体を回してもペン先が出てこないなど、筆記具として使えない場合は、永久保証を行っている。
マーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏は、神サポについて、「企業の対応の良さにつけこんで来る人が出てくると、神サポも企業のコスト要因になりかねない」としつつも、「誠実で迅速な対応をしてくれるということがブログなどで広まると、その企業への“信仰”や“信奉”ともいえる究極のブランドを得ることにつながる」と指摘した。
ウィキリークス創設者、指名手配取り下げ
【ロンドン=大内佐紀】スウェーデン検察当局は20日、アフガニスタン戦争に関する米軍機密文書を公開した民間サイト「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジ氏(39)を強姦(ごうかん)などの容疑で指名手配したが、21日に取り下げた。
検察の広報担当者は21日、同氏から暴行されたとする2人の女性の告発を元に20日夜に逮捕状を出したと述べた。ところが21日夕になり、首席検察官が「強姦があったと考える理由はない」とする声明を出し、撤回した。
オーストラリア人のアサンジ氏がストックホルムで先に行った記者会見で、ウィキリークスが入手済みの新たな米軍機密文書約1万5000点を近く公開すると発表した直後だけに、検察側の対応に、批判が上がりそうだ。
自転車事故:保険の認知度低く 損保各社、販売中止
自転車と歩行者の事故が10年間で3.7倍に増え、自転車側への高額賠償判決が相次ぐ一方、それに備える保険への関心が極端に低く、損害保険各社が3月までに「自転車総合保険」の販売を中止していたことが分かった。警察庁所管の日本交通管理技術協会が交付する「TSマーク」に伴う安価な自転車保険の加入率も現在2%。全日本交通安全協会が05年に約900人を対象としたアンケートでは「保険に加入」16.5%に対し「保険自体を知らない」が54.9%に上っていた。
自転車は、車やオートバイが強制的に加入させられる自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の対象外。自転車の車道走行のルールを厳格化するため道路交通法が改正された07年以降、歩行者をはねた自転車側に対する高額賠償判決が相次いでいるが、自転車が保険未加入のため被害者に賠償が及ばないケースも生じており、保険における安全網構築の重要性が改めて浮かんでいる。
損保各社は80年から自転車総合保険の販売を始めた。自転車に乗っていて自分が死傷した場合と、他人を死傷させたり物を壊した場合のいずれも補償。年3000円の保険料で、最高2000万円の対人事故補償が標準的だった。
しかし、05年以降の保険商品簡素化の中、自転車総合保険も整理対象になり、3月で販売を中止。現在は、自転車事故やそれ以外も含めて他人の身体などに危害を与えた際に賠償する「個人賠償責任保険」を、火災保険や傷害保険などに特約として付けるよう勧めている。
「自転車保険のニーズはあり、方法次第でビジネスになる」(朝日火災海上保険の営業担当幹部)と将来性に期待を寄せる声もあるが、ある損保関係者は「保険料が安い割に支払いが多く、販売実績も少ない。経費を考えると特約として販売した方が効率的」と指摘。日本損害保険協会も07~09年度、自転車の交通ルールや賠償について説明する冊子を12万5000部発行しPRに努めているが「『自転車に乗るなら保険に加入する』との認識は広まっていない」(損保関係者)という。
このため現在、自転車専用の保険は、学校や企業など団体向けの販売や、生活協同組合連合会の組合員向けなどにとどまる。他保険の特約については、どの程度普及しているかは不明だ。
一方、日本交通管理技術協会は、自転車店での購入時や点検・整備時に1000~2000円程度の手数料で「TSマーク」(有効期間1年)を自転車に張り、対人死傷で最高2000万円を補償する保険制度を展開している。だが、09年度のTSマーク交付枚数は約141万枚で、08年の全国自転車保有台数約6910万台のわずか約2%にとどまっている。
【産経主張】携帯ゲーム依存 実体験の豊かさ伝えたい
手のひらサイズの携帯型ゲーム機や携帯電話のゲームサイトに熱中する子供たちが急増している。外で遊ばずゲームに過度に依存することへの悪影響が心配される。子供たちには、読書や自然などもっと豊かな体験を積んでほしい。
日本PTA全国協議会が、小学5年と中学2年の児童生徒と保護者に昨年末聞いた調査で、携帯型のゲーム機を持っているのは小中学生とも約75%にのぼった。いずれも前年の調査より20ポイント以上も増えている。
1日に30分以上ゲームで遊ぶ子は半数以上で、「休日には3時間以上」という子も1割を超えた。ゲームの種類は豊富で、冒険や格闘ゲームのほか、大人向けの恋愛ゲームをする子もいる。
携帯型ゲームは親の目を離れてどこででも遊べるため、依存の実態は調査の結果以上に深刻ともいわれる。夏休みなのに、子供部屋にこもり、ゲームをしている子も少なくないという。
ゲームに熱中するあまり、勉強や読書の時間がそがれる。さらに家族との会話や友達と遊ぶ機会が減り、「対話能力や相手の気持ちを推し量る能力が低下する」といったコミュニケーション上の問題が専門家から指摘されている。
ゲームを買い与える場合は、ゲームの内容や使う時間をルール化するなど、子供との約束をしっかりしておくことも重要だ。
携帯電話の無料のゲームサイトの中には、「友達」を探すなどのメール機能がついているものもある。警察庁によると、電話番号など個人情報を安易に交換して誘い出され、性犯罪などに巻き込まれる児童生徒が増えている。
ゲームサイトは「出会い系サイト」などに比べ、子供たちの警戒心も薄くなるという。学校や家庭が実態をもっと把握し、子供たちの安全を守るための教育環境への取り組みも欠かせない。
情報機器の活用も大切だが、少なくとも幼少期からゲームに過度に依存する現状には歯止めが必要だ。自然体験が豊富なほど知的好奇心が刺激され学習意欲が向上するという調査もある。
夏休みに真っ黒になるまで遊び、ときにはけんかする。そんな機会が減っている。失敗したりほめられたりする体験も少ない。親や周囲の大人は、子供たちによい本を薦めたり、実体験のおもしろさを伝える責任がある。
米グーグル、テレビ事業のパートナー探しに苦戦
米インターネット検索大手グーグルは、同社の新しいソフトウエア「Google TV(グーグルTV)」について、TVネットワーク各社から支持を集めようと積極的に動いている。。だが、ネットワーク局の多くは、自分たちの領域を侵害されることを恐れ、依然協業に消極的だ。
グーグルTVは、グーグルの専用ソフトウエアが搭載されたテレビやセットトップボックスを介して、ケーブルや衛星、ウェブのテレビ番組の視聴や検索を可能にするサービスだ。そのための専用機器が、ソニーとスイスのコンピューター周辺機器大手ロジテック・インターナショナルから、この秋発売される予定。
そうなれば、新たな情報コンテンツの獲得をもくろむIT(情報技術)企業と、コンテンツを奪われることを危惧(きぐ)するメディア企業との新たな勢力争いの勃発(ぼっぱつ)だ。
事情に詳しい関係筋によると、グーグル幹部はここ数週間相次いで、ABC、CBS、フォックス、NBCを含む米大手TVネットワークの経営幹部と会っている。だが、コンテンツ所有者のネットワーク側は、グーグルの新たなビジネスモデルは、既存の放送ビジネスの共食いを招く可能性があり、それを補って余りある利益を得られるかどうか懐疑的だ。
同関係筋によると、グーグルの経営幹部は、ネットワーク各社が、各社の動画配信サイトのデータをグーグルに提供してくれるよう説得を試みているという。テレビ番組とウェブコンテンツを融合した番組表で、それらコンテンツの検索や表示ができるようにするためだ。
例えば、テレビでABCのドラマ『デスパレートな妻たち』を検索すると、今後放映予定あるいは現在放映中のエピソードと共に、ストーリーなどのその他のウェブ上の関連情報が表示されるようになる。
グーグルにとっては、データが多ければ多いほど検索機能を向上できる。
米アップルやマイクロソフトをはじめ、従来のテレビに専用の機器を接続し、ウェブ経由でテレビ番組や映画などの一部コンテンツを視聴できるようにするサービスを提供している会社はほかにも多数ある。だが、グーグルTVはそのはるか先を行くものだ。
グーグルTVは、グーグルの動画配信サイト「YouTube(ユーチューブ)」に投稿されたビデオクリップから、テレビ局が自社のサイトで配信しているテレビ番組全編まで、ウェブ上のあらゆる動画をテレビで再生できるようにすることを目指すものだ。
関係筋によると、メディア企業は、流通経路の開放によって、自分たちのコンテンツが、海賊版を含め、さまざまなウェブコンテンツの中に埋もれてしまうことを懸念している。
グーグルがあまり強行姿勢に出ると、かえって逆効果になる可能性がある。メディア企業の中には、ウェブで配信している動画を一定の機器で再生できないようにすることを検討している会社もあるからだ。これは、技術的には可能な措置だ。
さらにグーグルがコンテンツ所有者に望んでいるのが、ウェブ配信されている動画を大画面向きにすることだ。グーグルとTVネットワーク局幹部との会談に詳しい筋によると、グーグルは、テレビ局が所有するウェブサイトの設計を見直し、動画の表示枠を拡大し、テキストを減らすことで、テレビの大画面で視聴しやすくしたいと考えている。
CBSのウェブ事業部門、CBSインタラクティブの責任者を務めるアンソニー・スーフー氏は、「われわれのコンテンツを高く評価してくれるパートナー」との協業には関心があるとし、「次のステップとしては、グーグルのウェブコンテンツを使用したビジネスモデルと、その利益がCBSなどのコンテンツ所有者にどのように還元されるかを理解することが必要だ」と述べた。
グーグルの広報担当者は、「パートナーと連携し、それら企業がウェブを通じてさらに多くの視聴者を獲得できるよう手助けできれば嬉しい」と述べた。
事情に詳しい関係筋によると、グーグルの経営幹部は、番組表にかかわる機能についてはまだ具体的なビジネスモデルを描けていない。まずは使用実績を重ねることが先だと考えているという。
関係筋によると、グーグルがアプローチしている企業には、MTVやニコロデオンを傘下に有するバイアコム、ABCやESPNなどのネットワークを有するウォルト・ディズニー、ゼネラル・エレクトリック(GE)傘下でNBCやUSAなどのネットワークを有するNBCユニバーサル、フォックスやFXなどのネットワークやウォール・ストリート・ジャーナルを傘下に有するニューズ・コープが含まれる。
アニメ制作会社、9割が都内 自治体、育成へ相次ぎ支援
帝国データバンクがまとめたアニメ制作会社の経営実態調査によると、全国の制作会社のうち都内に本社を置く企業が92%に達することが分かった。アニメ産業はアジアや欧米向けのコンテンツ輸出産業として注目が集まっているものの、売上高は減少傾向にある。競争力のある東京の地場産業として育成するため各自治体は支援に乗り出している。
調査結果によると、都内には160のアニメ制作会社がある。区別にみると、練馬が26社で杉並は25社、渋谷が19社。23区外も27社あり、都内西部に集中している特徴がある。
全国の主要118社の2009年度売上高は合計約1650億円で、前年比3.9%減。2年連続で減少しており同社は「不況でDVDやキャラクター商品の販売が低迷している」と背景を分析している。
アニメ産業を巡っては、練馬区は練馬駅北口に計画中の「産業振興会館」内にアニメ産業の支援拠点を開設する方針。杉並区はアニメ制作者の養成事業「杉並アニメ匠(たくみ)塾」を今年度も実施している。
携帯電話、9月から実名登録制に 中国
21日付の中国紙、新京報などによると、中国の携帯電話事業者は20日、携帯電話のすべての新規利用者を対象に、9月から実名登録制を実施するよう工業情報省が要求していることを明らかにした。既に携帯電話を使っている未登録者も、3年後には実名登録に切り替える方針という。
中国の携帯電話利用者は今年6月末時点で約8億人と世界最多。しかし、半数以上は名義登録が不要なプリペイド方式で、中国当局がインターネット利用者の実名登録制とともに、管理強化の方針を示していた。
当局側は、携帯電話を使った詐欺や迷惑メールの防止を実名登録制の狙いに挙げている。半面、プリペイド方式のSIMカードは街角の売店でも売られており、個人情報の流出を懸念する指摘も出ている。
キリン、トラックを半減 製缶3社に工場間輸送委託
キリンホールディングスなど缶メーカー大手3社と商品配送で提携する。主力商品であるビールの工場に製缶3社が缶を届けた後の空車トラックを今月から活用、ビールを載せて別のキリン工場に運んでもらう。物流で発生する二酸化炭素(CO2)排出量を減らし、コスト削減にもつなげる。国内市場が縮小する食品業界は負担の大きい物流費の削減を迫られており、キリンは取引先と組む新たな手法で効率化を加速する。
提携先は製缶首位の東洋製缶、2位の大和製缶、3位で三菱マテリアルNX子会社のユニバーサル製缶。近く関東で始める。
キリンの工場は顧客に商品を配送する物流基地の役割も担っており、同社は地域の需給状況に応じてビール工場間で商品を融通。工場によって生産品目も違うため、頻繁に拠点間をトラックで結んでいる。今回の提携によりキリンは、関東の工場間配送で使う自前のトラックの台数を5割減らす。コスト削減など関東での成果を踏まえ、対象地域を関西などに広げることを検討する。
一方、製缶会社側もビール工場に缶を届けたトラックのうち最大4割(台数ベース)は、積み荷がないまま戻っていた。キリンから配送受託料を受け取ってビールを運ぶことで、物流子会社の収益向上につながるため、利害が一致した。
食品大手はグループ企業や同業と協力した物流効率化を進めてきたが、取引先と組むのは極めて珍しい。キリンはビール系飲料に使う容器の約8割(販売量ベース)をアルミ缶が占め、全量を東洋製缶など3社から調達。購入額は年数百億円に達し、主な原料・資材別で麦芽や段ボールなどを上回る最大の調達分野だ。3社との取引関係をテコに、異業種企業との物流効率化のモデルにしたい考え。
韓国企業、環境投資を5割増 風力発電や車・LED
主要30グループ、11~13年で1.6兆円
【ソウル=島谷英明】韓国の主要企業は2011年からの3年間で自然エネルギーなどの環境産業分野に計22兆4000億ウォン(約1兆6000億円)を投資する計画だ。今年まで3年間の投資額より5割増やす。積極投資によって市場の急拡大が見込める環境産業を成長の原動力に育成する狙いで、日本や欧州などの企業との競争が熱を帯びそうだ。
韓国政府機関の「グリーン成長委員会」が韓国の主要な30企業グループの投資額を集計した。分野別では太陽光エネルギーや風力発電など自然エネルギーに8兆9000億ウォン、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などのエコカーに5兆3000億ウォン、発光ダイオード(LED)や燃料電池などの次世代電力装置に4兆3000億ウォンを投じる。特にエコカーへの投資額は過去3年間に比べ2倍強に増える。
同委員会は企業グループごとの投資額は明らかにしていない。ただサムスングループは20年までに、リチウムイオン電池やLEDなど環境を軸とする成長5分野の設備投資や研究開発に23兆3000億ウォンを投じる計画を明らかにしている。現代自動車やLG、ポスコなどのグループも新たな成長エンジンとして環境分野の強化を急いでいる。
一方、政府は民間企業の投資効果を高めるための支援策を拡充する方針だ。環境分野の研究開発(R&D)後押しを狙い、税制優遇措置などに関する予算措置を13年までに3兆5000億ウォンと08年比2.5倍に増額する。新しい技術を使った環境対応製品の政府調達も増やし、市場の創出を手助けする。
環境産業の育成を巡っては、中国政府が新エネルギーの産業振興に大規模投資を検討するなど世界的な規模での競争激化は必至。韓国政府は民間企業の要望が強い海外市場の開拓や専門家の育成に関する支援にも積極的に取り組む構えだ。
「電子教科書」巡りホットな論争 子どもの人格形成ゆがめるか
2010年が「電子書籍元年」と言われるなか、電子端末を小中学生に配って「電子教科書」として利用する構想が本格化しつつある。電子教科書で映像などを活用し、学習効果が上がるとする見方もある一方、「人格形成にゆがみが生じる」などとする慎重論も根強い。
電子教科書は、教員が「電子黒板」などの大型モニターに文字などを映す「指導用」と、生徒に1台ずつ配布する「学習者用」に分かれ、電子黒板については、すでにある程度普及している。今回議論になっているのは「学習者用」端末のあり方だ。
政府は、10年6月に策定した「新成長戦略」などで、全生徒・児童に学習者用の端末を配布する方針をすでに決めており、11年度には一部の小中学校で、電子教科書を活用した実証実験を始める方針だ。文科省では実証実験の結果を踏まえて、20年までに、端末を1人1台ずつ配布したい考えだ。だが、民間は、さらにペースアップを求めている。
7月27日には、マイクロソフト(MS)やソフトバンクなどのIT関連企業や出版社約70社でつくる電子教科書の推進団体「デジタル教科書教材協議会」が発足。協議会の会長を務める小宮山宏・三菱総合研究所理事長は、「世界の取り組みが進む中、ピッチを上げないと間に合わない」などとして15年までに全国の小中学校に普及させたい考えを強調した。
柳田邦男氏や田原総一朗氏が異論
だが、これに「待った」をかける声も根強い。例えば8月中旬には、ノンフィクション作家の柳田邦男氏が、
「学校教育のデジタル化 子どもの人格形成を阻害」
などと題した文章を地方紙各紙に寄稿。電子端末が配布されることを「教育の公共事業化とさえいえる」などと指摘した上で、ゲーム等の影響で親子や友達との接触が減っていることを念頭に、
「ついに学校でまで、かけがえのない人間形成期の子どもたちが多くの時間を電子機器とばかり向き合う時代になった時、ゲーム感覚そのままに、自己中心で勝ち抜くことばかりを考える人間を生み出すことにならないか、今こそ教育現場で議論すべきだ」
と主張。ソフトバンクの孫正義社長が「推進派」として影響力を持っていることについては、
「成功者の迫力と財力を基盤にした政官学巻き込みの活動だ」
と、強い調子で批判を展開している。
ジャーナリストの田原総一朗氏も、反対論者だ。田原氏はツイッター上で、ネットを通じたコミュニケーションが拡大し、既存メディアのシェアが下がることについては「大肯定」としながらも、現状の日本の教育は「正解のある問題を解くことしか教えません」と指摘。その上で、
「教育とはコミュニケーション能力や想像力を高めることです。電子教科書は検索で答えを引き出す事が出来、自己完結型になってしまいます。今の教育のまま電子教科書を導入すると教育の欠陥が助長される事になってしまいます」
と、今の状態で電子教科書を導入することの弊害を説いた。また、田原氏は、8月27日、「デジタル教育は日本を滅ぼす」(ポプラ社)と題する書籍を発売することになっている。
一方の孫社長だが、ここ数日のツイッター上での発言は、電子教科書に関連するものが大半だ。前出の柳田氏の文章については、
「紙の手触りや鉛筆の匂いへのノスタルジーは、その時代に子供時代を過ごした人の感情として理解は出来るが電子教科書が人間形成を阻害というのは…」
と違和感を表明し、電子教科書について懐疑的な声については、
「辞書をめくる過程に何の付加価値が有るのか理解出来ない。教えて下さい」
「ノートと鉛筆は否定しない。電子教科書でないと失う物多し。紙の教科書でないと失う物は何だろう」
「少なくとも電子教科書で利益を上げるつもりは、皆無」
「革新的技術が生まれた時、保守派は足りない点を見て嘆き、革新派は優れた点を見て夢描く」
などと反論を展開している。
高知新聞社説
【パキスタン水害】迅速で効果的な支援を
先月下旬からの大雨によるパキスタンの洪水被害は、予想を超える大規模なものになっている。
国連によると、多数の死者に加え洪水の被災者は1500万人を超す。既にパキスタン史上最悪の洪水被害になった。
国連は緊急支援として、加盟国に4億5970万ドル(約392億円)の拠出を要請した。当初、支援の動きは鈍かったが、先日の国連総会特別会合で米国などから追加拠出の表明が相次いだことで、なんとか目標に届く見通しになった。
洪水被害は北部から南部まで広範囲に及んでいる。パキスタンの雨期はあと半月以上続き、被害が拡大する可能性もある。支援を迅速に行わなければならない。
日本は緊急無償資金協力など、約1440万ドルの支援を行っている。それに加え北沢防衛相は、陸上自衛隊のヘリコプター部隊への派遣命令を出した。陸自ヘリ部隊は5年前のパキスタン地震でも派遣された。
今回の洪水では、日本人観光客8人が道路が遮断されて移動できなくなり、パキスタン軍のヘリで無事救出された一幕もあった。互いに助け合いの精神で、陸自ヘリには頑張ってもらいたい。
洪水被害では、衛生状態が急速に悪化し、コレラなどに感染しやすくなる。既に感染者や重症の下痢患者が確認されている。
陸路での支援活動が困難な現状では、ヘリが主な輸送手段となる。被災住民や救援物資の迅速な輸送で、一人でも多くの人命を救いたい。
当初、国連への資金があまり集まらなかった背景には、イスラム武装勢力によるテロへの批判に加え、パキスタンのザルダリ政権の汚職体質に対する不信があったようだ。
今回、ザルダリ政権は野党とも手を結び、資金援助の使途を透明化する措置を取った。国際社会の信頼を得るためには当然のことで、これを機に汚職体質を一掃すべきだ。
地球温暖化の影響からか、天候の荒れによる大規模な自然災害が世界各地で起きている。アジアでも中国甘粛省甘南チベット族自治州で土石流災害が起き、多数の死者が出た。
日本は積み重ねた被災地支援の経験を生かしながら、迅速で効果的な支援を続けていきたい。
米インターネット検索大手グーグルは、同社の新しいソフトウエア「Google TV(グーグルTV)」について、TVネットワーク各社から支持を集めようと積極的に動いている。。だが、ネットワーク局の多くは、自分たちの領域を侵害されることを恐れ、依然協業に消極的だ。
グーグルTVは、グーグルの専用ソフトウエアが搭載されたテレビやセットトップボックスを介して、ケーブルや衛星、ウェブのテレビ番組の視聴や検索を可能にするサービスだ。そのための専用機器が、ソニーとスイスのコンピューター周辺機器大手ロジテック・インターナショナルから、この秋発売される予定。
そうなれば、新たな情報コンテンツの獲得をもくろむIT(情報技術)企業と、コンテンツを奪われることを危惧(きぐ)するメディア企業との新たな勢力争いの勃発(ぼっぱつ)だ。
事情に詳しい関係筋によると、グーグル幹部はここ数週間相次いで、ABC、CBS、フォックス、NBCを含む米大手TVネットワークの経営幹部と会っている。だが、コンテンツ所有者のネットワーク側は、グーグルの新たなビジネスモデルは、既存の放送ビジネスの共食いを招く可能性があり、それを補って余りある利益を得られるかどうか懐疑的だ。
同関係筋によると、グーグルの経営幹部は、ネットワーク各社が、各社の動画配信サイトのデータをグーグルに提供してくれるよう説得を試みているという。テレビ番組とウェブコンテンツを融合した番組表で、それらコンテンツの検索や表示ができるようにするためだ。
例えば、テレビでABCのドラマ『デスパレートな妻たち』を検索すると、今後放映予定あるいは現在放映中のエピソードと共に、ストーリーなどのその他のウェブ上の関連情報が表示されるようになる。
グーグルにとっては、データが多ければ多いほど検索機能を向上できる。
米アップルやマイクロソフトをはじめ、従来のテレビに専用の機器を接続し、ウェブ経由でテレビ番組や映画などの一部コンテンツを視聴できるようにするサービスを提供している会社はほかにも多数ある。だが、グーグルTVはそのはるか先を行くものだ。
グーグルTVは、グーグルの動画配信サイト「YouTube(ユーチューブ)」に投稿されたビデオクリップから、テレビ局が自社のサイトで配信しているテレビ番組全編まで、ウェブ上のあらゆる動画をテレビで再生できるようにすることを目指すものだ。
関係筋によると、メディア企業は、流通経路の開放によって、自分たちのコンテンツが、海賊版を含め、さまざまなウェブコンテンツの中に埋もれてしまうことを懸念している。
グーグルがあまり強行姿勢に出ると、かえって逆効果になる可能性がある。メディア企業の中には、ウェブで配信している動画を一定の機器で再生できないようにすることを検討している会社もあるからだ。これは、技術的には可能な措置だ。
さらにグーグルがコンテンツ所有者に望んでいるのが、ウェブ配信されている動画を大画面向きにすることだ。グーグルとTVネットワーク局幹部との会談に詳しい筋によると、グーグルは、テレビ局が所有するウェブサイトの設計を見直し、動画の表示枠を拡大し、テキストを減らすことで、テレビの大画面で視聴しやすくしたいと考えている。
CBSのウェブ事業部門、CBSインタラクティブの責任者を務めるアンソニー・スーフー氏は、「われわれのコンテンツを高く評価してくれるパートナー」との協業には関心があるとし、「次のステップとしては、グーグルのウェブコンテンツを使用したビジネスモデルと、その利益がCBSなどのコンテンツ所有者にどのように還元されるかを理解することが必要だ」と述べた。
グーグルの広報担当者は、「パートナーと連携し、それら企業がウェブを通じてさらに多くの視聴者を獲得できるよう手助けできれば嬉しい」と述べた。
事情に詳しい関係筋によると、グーグルの経営幹部は、番組表にかかわる機能についてはまだ具体的なビジネスモデルを描けていない。まずは使用実績を重ねることが先だと考えているという。
関係筋によると、グーグルがアプローチしている企業には、MTVやニコロデオンを傘下に有するバイアコム、ABCやESPNなどのネットワークを有するウォルト・ディズニー、ゼネラル・エレクトリック(GE)傘下でNBCやUSAなどのネットワークを有するNBCユニバーサル、フォックスやFXなどのネットワークやウォール・ストリート・ジャーナルを傘下に有するニューズ・コープが含まれる。
アニメ制作会社、9割が都内 自治体、育成へ相次ぎ支援
帝国データバンクがまとめたアニメ制作会社の経営実態調査によると、全国の制作会社のうち都内に本社を置く企業が92%に達することが分かった。アニメ産業はアジアや欧米向けのコンテンツ輸出産業として注目が集まっているものの、売上高は減少傾向にある。競争力のある東京の地場産業として育成するため各自治体は支援に乗り出している。
調査結果によると、都内には160のアニメ制作会社がある。区別にみると、練馬が26社で杉並は25社、渋谷が19社。23区外も27社あり、都内西部に集中している特徴がある。
全国の主要118社の2009年度売上高は合計約1650億円で、前年比3.9%減。2年連続で減少しており同社は「不況でDVDやキャラクター商品の販売が低迷している」と背景を分析している。
アニメ産業を巡っては、練馬区は練馬駅北口に計画中の「産業振興会館」内にアニメ産業の支援拠点を開設する方針。杉並区はアニメ制作者の養成事業「杉並アニメ匠(たくみ)塾」を今年度も実施している。
携帯電話、9月から実名登録制に 中国
21日付の中国紙、新京報などによると、中国の携帯電話事業者は20日、携帯電話のすべての新規利用者を対象に、9月から実名登録制を実施するよう工業情報省が要求していることを明らかにした。既に携帯電話を使っている未登録者も、3年後には実名登録に切り替える方針という。
中国の携帯電話利用者は今年6月末時点で約8億人と世界最多。しかし、半数以上は名義登録が不要なプリペイド方式で、中国当局がインターネット利用者の実名登録制とともに、管理強化の方針を示していた。
当局側は、携帯電話を使った詐欺や迷惑メールの防止を実名登録制の狙いに挙げている。半面、プリペイド方式のSIMカードは街角の売店でも売られており、個人情報の流出を懸念する指摘も出ている。
キリン、トラックを半減 製缶3社に工場間輸送委託
キリンホールディングスなど缶メーカー大手3社と商品配送で提携する。主力商品であるビールの工場に製缶3社が缶を届けた後の空車トラックを今月から活用、ビールを載せて別のキリン工場に運んでもらう。物流で発生する二酸化炭素(CO2)排出量を減らし、コスト削減にもつなげる。国内市場が縮小する食品業界は負担の大きい物流費の削減を迫られており、キリンは取引先と組む新たな手法で効率化を加速する。
提携先は製缶首位の東洋製缶、2位の大和製缶、3位で三菱マテリアルNX子会社のユニバーサル製缶。近く関東で始める。
キリンの工場は顧客に商品を配送する物流基地の役割も担っており、同社は地域の需給状況に応じてビール工場間で商品を融通。工場によって生産品目も違うため、頻繁に拠点間をトラックで結んでいる。今回の提携によりキリンは、関東の工場間配送で使う自前のトラックの台数を5割減らす。コスト削減など関東での成果を踏まえ、対象地域を関西などに広げることを検討する。
一方、製缶会社側もビール工場に缶を届けたトラックのうち最大4割(台数ベース)は、積み荷がないまま戻っていた。キリンから配送受託料を受け取ってビールを運ぶことで、物流子会社の収益向上につながるため、利害が一致した。
食品大手はグループ企業や同業と協力した物流効率化を進めてきたが、取引先と組むのは極めて珍しい。キリンはビール系飲料に使う容器の約8割(販売量ベース)をアルミ缶が占め、全量を東洋製缶など3社から調達。購入額は年数百億円に達し、主な原料・資材別で麦芽や段ボールなどを上回る最大の調達分野だ。3社との取引関係をテコに、異業種企業との物流効率化のモデルにしたい考え。
韓国企業、環境投資を5割増 風力発電や車・LED
主要30グループ、11~13年で1.6兆円
【ソウル=島谷英明】韓国の主要企業は2011年からの3年間で自然エネルギーなどの環境産業分野に計22兆4000億ウォン(約1兆6000億円)を投資する計画だ。今年まで3年間の投資額より5割増やす。積極投資によって市場の急拡大が見込める環境産業を成長の原動力に育成する狙いで、日本や欧州などの企業との競争が熱を帯びそうだ。
韓国政府機関の「グリーン成長委員会」が韓国の主要な30企業グループの投資額を集計した。分野別では太陽光エネルギーや風力発電など自然エネルギーに8兆9000億ウォン、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などのエコカーに5兆3000億ウォン、発光ダイオード(LED)や燃料電池などの次世代電力装置に4兆3000億ウォンを投じる。特にエコカーへの投資額は過去3年間に比べ2倍強に増える。
同委員会は企業グループごとの投資額は明らかにしていない。ただサムスングループは20年までに、リチウムイオン電池やLEDなど環境を軸とする成長5分野の設備投資や研究開発に23兆3000億ウォンを投じる計画を明らかにしている。現代自動車やLG、ポスコなどのグループも新たな成長エンジンとして環境分野の強化を急いでいる。
一方、政府は民間企業の投資効果を高めるための支援策を拡充する方針だ。環境分野の研究開発(R&D)後押しを狙い、税制優遇措置などに関する予算措置を13年までに3兆5000億ウォンと08年比2.5倍に増額する。新しい技術を使った環境対応製品の政府調達も増やし、市場の創出を手助けする。
環境産業の育成を巡っては、中国政府が新エネルギーの産業振興に大規模投資を検討するなど世界的な規模での競争激化は必至。韓国政府は民間企業の要望が強い海外市場の開拓や専門家の育成に関する支援にも積極的に取り組む構えだ。
「電子教科書」巡りホットな論争 子どもの人格形成ゆがめるか
2010年が「電子書籍元年」と言われるなか、電子端末を小中学生に配って「電子教科書」として利用する構想が本格化しつつある。電子教科書で映像などを活用し、学習効果が上がるとする見方もある一方、「人格形成にゆがみが生じる」などとする慎重論も根強い。
電子教科書は、教員が「電子黒板」などの大型モニターに文字などを映す「指導用」と、生徒に1台ずつ配布する「学習者用」に分かれ、電子黒板については、すでにある程度普及している。今回議論になっているのは「学習者用」端末のあり方だ。
政府は、10年6月に策定した「新成長戦略」などで、全生徒・児童に学習者用の端末を配布する方針をすでに決めており、11年度には一部の小中学校で、電子教科書を活用した実証実験を始める方針だ。文科省では実証実験の結果を踏まえて、20年までに、端末を1人1台ずつ配布したい考えだ。だが、民間は、さらにペースアップを求めている。
7月27日には、マイクロソフト(MS)やソフトバンクなどのIT関連企業や出版社約70社でつくる電子教科書の推進団体「デジタル教科書教材協議会」が発足。協議会の会長を務める小宮山宏・三菱総合研究所理事長は、「世界の取り組みが進む中、ピッチを上げないと間に合わない」などとして15年までに全国の小中学校に普及させたい考えを強調した。
柳田邦男氏や田原総一朗氏が異論
だが、これに「待った」をかける声も根強い。例えば8月中旬には、ノンフィクション作家の柳田邦男氏が、
「学校教育のデジタル化 子どもの人格形成を阻害」
などと題した文章を地方紙各紙に寄稿。電子端末が配布されることを「教育の公共事業化とさえいえる」などと指摘した上で、ゲーム等の影響で親子や友達との接触が減っていることを念頭に、
「ついに学校でまで、かけがえのない人間形成期の子どもたちが多くの時間を電子機器とばかり向き合う時代になった時、ゲーム感覚そのままに、自己中心で勝ち抜くことばかりを考える人間を生み出すことにならないか、今こそ教育現場で議論すべきだ」
と主張。ソフトバンクの孫正義社長が「推進派」として影響力を持っていることについては、
「成功者の迫力と財力を基盤にした政官学巻き込みの活動だ」
と、強い調子で批判を展開している。
ジャーナリストの田原総一朗氏も、反対論者だ。田原氏はツイッター上で、ネットを通じたコミュニケーションが拡大し、既存メディアのシェアが下がることについては「大肯定」としながらも、現状の日本の教育は「正解のある問題を解くことしか教えません」と指摘。その上で、
「教育とはコミュニケーション能力や想像力を高めることです。電子教科書は検索で答えを引き出す事が出来、自己完結型になってしまいます。今の教育のまま電子教科書を導入すると教育の欠陥が助長される事になってしまいます」
と、今の状態で電子教科書を導入することの弊害を説いた。また、田原氏は、8月27日、「デジタル教育は日本を滅ぼす」(ポプラ社)と題する書籍を発売することになっている。
一方の孫社長だが、ここ数日のツイッター上での発言は、電子教科書に関連するものが大半だ。前出の柳田氏の文章については、
「紙の手触りや鉛筆の匂いへのノスタルジーは、その時代に子供時代を過ごした人の感情として理解は出来るが電子教科書が人間形成を阻害というのは…」
と違和感を表明し、電子教科書について懐疑的な声については、
「辞書をめくる過程に何の付加価値が有るのか理解出来ない。教えて下さい」
「ノートと鉛筆は否定しない。電子教科書でないと失う物多し。紙の教科書でないと失う物は何だろう」
「少なくとも電子教科書で利益を上げるつもりは、皆無」
「革新的技術が生まれた時、保守派は足りない点を見て嘆き、革新派は優れた点を見て夢描く」
などと反論を展開している。
高知新聞社説
【パキスタン水害】迅速で効果的な支援を
先月下旬からの大雨によるパキスタンの洪水被害は、予想を超える大規模なものになっている。
国連によると、多数の死者に加え洪水の被災者は1500万人を超す。既にパキスタン史上最悪の洪水被害になった。
国連は緊急支援として、加盟国に4億5970万ドル(約392億円)の拠出を要請した。当初、支援の動きは鈍かったが、先日の国連総会特別会合で米国などから追加拠出の表明が相次いだことで、なんとか目標に届く見通しになった。
洪水被害は北部から南部まで広範囲に及んでいる。パキスタンの雨期はあと半月以上続き、被害が拡大する可能性もある。支援を迅速に行わなければならない。
日本は緊急無償資金協力など、約1440万ドルの支援を行っている。それに加え北沢防衛相は、陸上自衛隊のヘリコプター部隊への派遣命令を出した。陸自ヘリ部隊は5年前のパキスタン地震でも派遣された。
今回の洪水では、日本人観光客8人が道路が遮断されて移動できなくなり、パキスタン軍のヘリで無事救出された一幕もあった。互いに助け合いの精神で、陸自ヘリには頑張ってもらいたい。
洪水被害では、衛生状態が急速に悪化し、コレラなどに感染しやすくなる。既に感染者や重症の下痢患者が確認されている。
陸路での支援活動が困難な現状では、ヘリが主な輸送手段となる。被災住民や救援物資の迅速な輸送で、一人でも多くの人命を救いたい。
当初、国連への資金があまり集まらなかった背景には、イスラム武装勢力によるテロへの批判に加え、パキスタンのザルダリ政権の汚職体質に対する不信があったようだ。
今回、ザルダリ政権は野党とも手を結び、資金援助の使途を透明化する措置を取った。国際社会の信頼を得るためには当然のことで、これを機に汚職体質を一掃すべきだ。
地球温暖化の影響からか、天候の荒れによる大規模な自然災害が世界各地で起きている。アジアでも中国甘粛省甘南チベット族自治州で土石流災害が起き、多数の死者が出た。
日本は積み重ねた被災地支援の経験を生かしながら、迅速で効果的な支援を続けていきたい。