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日経社説 リーマン破綻一年、金融再生の道半ば(9/13)
米証券リーマン・ブラザーズの破綻から1年、金融危機は最悪期を脱し、景気も一応持ち直しつつある。震源地の米国をはじめ各国が真剣に危機に対処した結果だが、金融システムも実体経済も依然、政府の支援というつっかい棒に頼っている。
金融と経済が健康体に戻るにはなお時間を要するとみられ、もう大丈夫といった油断は禁物。各国が知恵を出し合い、バブルの膨張と崩壊から教訓をくみ取るべきだ。
疑心暗鬼が危機増幅
2008年9月12日から14日にかけ、ニューヨーク連銀本店は夜遅くまで明かりが消えなかった。リーマン問題に対処するためガイトナー総裁が米欧の大手金融機関のトップを招集。ポールソン財務長官も駆け付けて対応を協議した。13日には英バークレイズがリーマンを買収する話がまとまりかけたものの、米当局は公的資金の投入を拒み、交渉は妥結しなかった。15日、リーマンは連邦破産法11条の適用を申請した。
リーマンを破綻させた米当局には批判が集まった。確かに危機の引き金を引いた結果責任は免れないが、リーマンの経営問題は氷山の一角だったことが見逃せない。08年には米証券ベアー・スターンズや米住宅金融公社が経営危機に陥り、いずれも公的資金の投入で急場をしのいでいた。納税者の資金をリスクにさらす金融救済との批判が募るなか、米当局はどこかで一線を引かざるを得ないところに追い込まれていた。
リーマン破綻がもたらしたのは、金融機関同士の深刻な疑心暗鬼である。相手が信用できず資金放出を絞り合った結果、米国の銀行間市場では翌日物金利が10%を突破。米企業の短期資金の調達手段であるコマーシャルペーパー(CP)の発行がストップした。ウォール街で起きた金融津波はたちまち全世界をのみ込んだ。経済の血流である資金の流れが止まったことで、高速道路の玉突き事故のように企業活動は急減速し、景気はつるべ落としとなった。
あわや1930年代の大不況の再来かと誰もが身震いした。それから1年、世界の金融と経済は最悪の事態を免れた。何よりも、危機に臨んで各国が迅速な政策対応に動いた。震源地の米国は金融機関に公的資金を注入し、連邦準備理事会(FRB)がゼロ金利政策や広範な資産買い取りに踏み切った。オバマ政権は大規模な財政支出に乗り出した。日本や欧州、中国など世界規模の危機対応は、市場参加者の不安を和らげた。
もっとも、広範かつ大規模な非常時対応は経済全体にゆがみをもたらし、企業活動や金融市場に占める政府の役割も肥大化した。破綻した米大手自動車メーカーは政府管理下に入ったが、「GMはガバメント・モーターズか」といったジョークが交わされる事態はやはり異常だ。米銀最大手のシティグループやバンク・オブ・アメリカは公的資金返済のメドが立たない。
各国中央銀行がとことんマネーを供給した結果、昨年秋に急上昇した短期の市場金利も落ち着き、リーマン破綻前の水準に戻った。とはいえ、マネーは生産や設備投資など実体経済に資金は向かわず、商品などに流れ込んでいる。1トロイオンス1000ドルを突破した金価格など商品相場の上昇は、足元の経済実態から離れた新たなマネー膨張の産物でもある。
経済と金融が平常に戻るにつれ、非常時対応からの出口を探らなければならないが、その道は決してなだらかではない。
市場修復の改革こそ
例えば米住宅市場は底入れしつつあるものの、それはFRBが住宅ローン担保証券(RMBS)を50兆円規模で購入したおかげである。その下支えをなくすのは容易ではない。
住宅バブルを背景に借金を膨らませ個人消費を謳歌(おうか)してきた米家計には、過剰債務だけが残ってしまった。貸し手である金融機関や投資家に、それは不良資産問題となって跳ね返っている。住宅と証券化のバブルが巨大だった分、処理し終えるまでに時間を要すると覚悟せざるを得ない。米国の消費という主力エンジンに期待できないので、世界経済も低成長が続くだろう。
金融危機を起こした反省に立って、各国は金融規制の見直しに動いている。今月、米ピッツバーグで開く20カ国・地域(G20)首脳会議でも、銀行の自己資本比率規制を強化し、経営者の報酬に歯止めをかけることなどが話し合われる。
マネーの膨張が今回の危機を招いたとの指摘は多く、いわゆる市場原理主義批判も台頭している。金融取引のリスクを制御し、経営内容をもっと透明にし、危機再発を防ぐ規制監督体制を築くことは大切だが、これらは市場の機能を高めるための措置であるべきだ。グローバルに資源を有効に配分し、豊かな世界をひらくためにも、金融の役割は大きい。角を矯めて牛を殺してはならない。
ドル離れ、円高基調強く 「90円突破」の見方、市場関係者
外国為替市場で円高・ドル安が進み、1ドル=90円突破が目前に迫ってきた。市場関係者の間では米金融緩和の長期化観測などを背景に「ドル安の流れはしばらく続く」として、目先は円高基調が続き、90円を超えるとの予想が多い。年末にかけても円高が進むかどうかについては、見方が分かれている。
11日の東京外為市場では短期的な売買で利益をあげようとする海外ファンド勢などによる円買い・ドル売りが勢いづき2月中旬以来、7カ月ぶりに1ドル=90円台をつけた。同日のニューヨーク外為市場でも円買いの勢いは衰えず、円は一時1ドル=90円21銭まで上昇。80円台まであとわずかという水準まで上昇する場面があった。
米財政赤字、08会計年度の3倍125兆円に 11カ月累計
米財務省は11日、8月の財政収支が1114億300万ドル(約10兆1100億円)の赤字になったと発表した。この結果、2008年10月からの09年会計年度の赤字は11カ月間の累計で1兆3783億6100万ドル(約125兆300億円)に拡大。過去最悪だった08年会計年度(1年間)の約3倍に達した。
米国は総額7800億ドル規模の景気対策を実施中で、今後も高水準の歳出が続く見通しだ。米景気は最悪期を脱したとはいえ、依然として歳入が増えるような状況にはない。09年会計年度は11カ月連続で赤字。米行政管理予算局(OMB)は8月下旬に09年会計年度の財政赤字が1兆5800億ドルになるとの見通しを公表している。
8月単月でみると、財政赤字の金額は市場予測の平均(1395億ドル)を下回り、前年同月比では0.5%減少した。歳出が2569億4200万ドルで4.5%減った影響が大きいが、今年は8月初めが週末だったことから、7月末に支出された部分があるとみられる。歳入は前年同月比7.3%減となり、7月よりもマイナス幅が広がった。
医療無保険状態、半数経験の恐れ 米大統領が国民に訴え
【ワシントン=大隅隆】オバマ米大統領は12日、週末恒例のインターネットとラジオを通じた演説で「向こう10年で65歳以下の米国民の半数は(失業期間中などに)無保険状態を経験する可能性がある」と指摘。事実上の国民皆保険を目指す医療制度改革への理解を訴えた。
演説と同時に米財務省は最新の調査報告を発表。1997~2006年の米国民の保険加入状況などを基に「1日でも無保険状態を経験する米国民は48%、1年以上になる米国民は36%」との見通しを明らかにした。
米国は日本のような国民皆保険制度を取っておらず、無保険者は4630万人。高齢者と低所得者を除き民間保険に加入するのが一般的で、企業を通じ加入している場合、失業時に医療保険を失うことが多い。大統領は医療改革は「貧しい人だけの話でなく米中産階級の問題だ」と強調した。
上海証取の8月売買代金4875億ドル、東証の1.4倍
上海証券取引所の株式売買代金(ドルベース)が東京証券取引所の約1.4倍に膨らんでいる。上海証取の売買代金は今年2月に東証を抜き、世界3位の座を固めつつある。中国経済の急速な発展を背景に、上海証取の売買代金は今後も拡大傾向が続く見通し。世界の証取における東証の地盤沈下が問題になりそうだ。
国際取引所連盟(WFE)がまとめた8月のデータによると、上海証取の売買代金は前年同月の4.2倍にあたる4875億ドル。東証は前年同月比11%減の3485億ドルとなった。
ロシアGDP、10.9%減 4~6月、最大の下げ幅
【モスクワ=金子夏樹】ロシア国家統計局によると、2009年4~6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は前年同期比マイナス10.9%に落ち込んだ。製造業と建設業の落ち込みが響き、四半期ベースで最大の下げ幅を記録した。個人消費も減少し、インドや中国などに比べて経済回復の遅れが目立っている。
鉱工業生産がマイナス18.7%となり、全体のGDPを押し下げた。自動車最大手アフトワズなど自動車メーカーが減産に動いたほか、天然ガスや鉄鋼など資源関連の生産も落ち込んだ。オフィス需要の減少で、建設投資は2割減となった。
失業増や個人所得の減少が響き、個人消費も11%減と不振が続く。4~6月期の新車販売は前年同期比55%減の約37万台となった。個人消費が堅調なインドや中国、ブラジルなど他の新興国とは対照的だ。
【産経主張】日航の外資導入 自力再建の努力も怠るな
経営再建中の日本航空が、世界最大の航空会社である米デルタ航空と資本参加を前提とする提携交渉に入った。
デルタ側は経営参加で厳しい条件を付けてくる可能性があるが、合意が成立すれば今月中の取りまとめを迫られている同社の経営改善計画には、とりあえずのめどが立つことになる。
日本を代表する航空会社への外資参入には、安全保障上の懸念を指摘する声もある。とはいえ世界的な航空再編が進む中で、外資導入は避けて通れない選択ともいえる。国土交通省も今回の提携には前向きという。
日航は昭和62年の民営化を経て、長く業界トップの座に君臨してきた。しかし、相次ぐ運航トラブルや不況、テロなどによる世界的な航空需要の落ち込みで業績が急速に悪化し、平成21年4~6月期決算では、税引き後利益が990億円の赤字を計上するまでに追い込まれている。
日本政策投資銀行や民間銀行団が6月に計1000億円を融資、国も債務保証を付けるなど異例の支援体制が取られている。
日航は今月末をめどに、さらなる人員の大幅削減や不採算路線の廃止・減便、企業年金のカットを含めた抜本的リストラ案をまとめる方針だ。しかし、これらの策には労組などの抵抗も強く、思惑通りに進むか予断を許さないのが実情である。今回の外資導入は、自力の再建策だけでは不十分と判断した結果だともいえる。
デルタへの出資要請は数百億円規模とされ、実現した場合、日航の筆頭株主になる。厳しい経営方針で知られる外資の経営参画で人員削減、給与引き下げなどのリストラが急ピッチで進む可能性がある。日航はエールフランス-KLMにも出資を要請しており、共同運航の拡大で機材や人材の効率的運用も期待できそうだ。
ただ、デルタ自身も経営状態は決して盤石とはいいがたい。日本の航空会社には、外資が株の3分の1未満しか持てない規制があることも今後の交渉で足かせになる事態が予想される。
いずれにせよ、外資頼みの再建には限界がある。安全への配慮も忘れてはならない。経営危機の根本には民営化後も「親方日の丸」意識を払拭(ふっしょく)できないでいる日航自身の企業体質がある。自らがここに抜本的メスを入れない限り、再建の道は甘くないだろう。
米証券リーマン・ブラザーズの破綻から1年、金融危機は最悪期を脱し、景気も一応持ち直しつつある。震源地の米国をはじめ各国が真剣に危機に対処した結果だが、金融システムも実体経済も依然、政府の支援というつっかい棒に頼っている。
金融と経済が健康体に戻るにはなお時間を要するとみられ、もう大丈夫といった油断は禁物。各国が知恵を出し合い、バブルの膨張と崩壊から教訓をくみ取るべきだ。
疑心暗鬼が危機増幅
2008年9月12日から14日にかけ、ニューヨーク連銀本店は夜遅くまで明かりが消えなかった。リーマン問題に対処するためガイトナー総裁が米欧の大手金融機関のトップを招集。ポールソン財務長官も駆け付けて対応を協議した。13日には英バークレイズがリーマンを買収する話がまとまりかけたものの、米当局は公的資金の投入を拒み、交渉は妥結しなかった。15日、リーマンは連邦破産法11条の適用を申請した。
リーマンを破綻させた米当局には批判が集まった。確かに危機の引き金を引いた結果責任は免れないが、リーマンの経営問題は氷山の一角だったことが見逃せない。08年には米証券ベアー・スターンズや米住宅金融公社が経営危機に陥り、いずれも公的資金の投入で急場をしのいでいた。納税者の資金をリスクにさらす金融救済との批判が募るなか、米当局はどこかで一線を引かざるを得ないところに追い込まれていた。
リーマン破綻がもたらしたのは、金融機関同士の深刻な疑心暗鬼である。相手が信用できず資金放出を絞り合った結果、米国の銀行間市場では翌日物金利が10%を突破。米企業の短期資金の調達手段であるコマーシャルペーパー(CP)の発行がストップした。ウォール街で起きた金融津波はたちまち全世界をのみ込んだ。経済の血流である資金の流れが止まったことで、高速道路の玉突き事故のように企業活動は急減速し、景気はつるべ落としとなった。
あわや1930年代の大不況の再来かと誰もが身震いした。それから1年、世界の金融と経済は最悪の事態を免れた。何よりも、危機に臨んで各国が迅速な政策対応に動いた。震源地の米国は金融機関に公的資金を注入し、連邦準備理事会(FRB)がゼロ金利政策や広範な資産買い取りに踏み切った。オバマ政権は大規模な財政支出に乗り出した。日本や欧州、中国など世界規模の危機対応は、市場参加者の不安を和らげた。
もっとも、広範かつ大規模な非常時対応は経済全体にゆがみをもたらし、企業活動や金融市場に占める政府の役割も肥大化した。破綻した米大手自動車メーカーは政府管理下に入ったが、「GMはガバメント・モーターズか」といったジョークが交わされる事態はやはり異常だ。米銀最大手のシティグループやバンク・オブ・アメリカは公的資金返済のメドが立たない。
各国中央銀行がとことんマネーを供給した結果、昨年秋に急上昇した短期の市場金利も落ち着き、リーマン破綻前の水準に戻った。とはいえ、マネーは生産や設備投資など実体経済に資金は向かわず、商品などに流れ込んでいる。1トロイオンス1000ドルを突破した金価格など商品相場の上昇は、足元の経済実態から離れた新たなマネー膨張の産物でもある。
経済と金融が平常に戻るにつれ、非常時対応からの出口を探らなければならないが、その道は決してなだらかではない。
市場修復の改革こそ
例えば米住宅市場は底入れしつつあるものの、それはFRBが住宅ローン担保証券(RMBS)を50兆円規模で購入したおかげである。その下支えをなくすのは容易ではない。
住宅バブルを背景に借金を膨らませ個人消費を謳歌(おうか)してきた米家計には、過剰債務だけが残ってしまった。貸し手である金融機関や投資家に、それは不良資産問題となって跳ね返っている。住宅と証券化のバブルが巨大だった分、処理し終えるまでに時間を要すると覚悟せざるを得ない。米国の消費という主力エンジンに期待できないので、世界経済も低成長が続くだろう。
金融危機を起こした反省に立って、各国は金融規制の見直しに動いている。今月、米ピッツバーグで開く20カ国・地域(G20)首脳会議でも、銀行の自己資本比率規制を強化し、経営者の報酬に歯止めをかけることなどが話し合われる。
マネーの膨張が今回の危機を招いたとの指摘は多く、いわゆる市場原理主義批判も台頭している。金融取引のリスクを制御し、経営内容をもっと透明にし、危機再発を防ぐ規制監督体制を築くことは大切だが、これらは市場の機能を高めるための措置であるべきだ。グローバルに資源を有効に配分し、豊かな世界をひらくためにも、金融の役割は大きい。角を矯めて牛を殺してはならない。
ドル離れ、円高基調強く 「90円突破」の見方、市場関係者
外国為替市場で円高・ドル安が進み、1ドル=90円突破が目前に迫ってきた。市場関係者の間では米金融緩和の長期化観測などを背景に「ドル安の流れはしばらく続く」として、目先は円高基調が続き、90円を超えるとの予想が多い。年末にかけても円高が進むかどうかについては、見方が分かれている。
11日の東京外為市場では短期的な売買で利益をあげようとする海外ファンド勢などによる円買い・ドル売りが勢いづき2月中旬以来、7カ月ぶりに1ドル=90円台をつけた。同日のニューヨーク外為市場でも円買いの勢いは衰えず、円は一時1ドル=90円21銭まで上昇。80円台まであとわずかという水準まで上昇する場面があった。
米財政赤字、08会計年度の3倍125兆円に 11カ月累計
米財務省は11日、8月の財政収支が1114億300万ドル(約10兆1100億円)の赤字になったと発表した。この結果、2008年10月からの09年会計年度の赤字は11カ月間の累計で1兆3783億6100万ドル(約125兆300億円)に拡大。過去最悪だった08年会計年度(1年間)の約3倍に達した。
米国は総額7800億ドル規模の景気対策を実施中で、今後も高水準の歳出が続く見通しだ。米景気は最悪期を脱したとはいえ、依然として歳入が増えるような状況にはない。09年会計年度は11カ月連続で赤字。米行政管理予算局(OMB)は8月下旬に09年会計年度の財政赤字が1兆5800億ドルになるとの見通しを公表している。
8月単月でみると、財政赤字の金額は市場予測の平均(1395億ドル)を下回り、前年同月比では0.5%減少した。歳出が2569億4200万ドルで4.5%減った影響が大きいが、今年は8月初めが週末だったことから、7月末に支出された部分があるとみられる。歳入は前年同月比7.3%減となり、7月よりもマイナス幅が広がった。
医療無保険状態、半数経験の恐れ 米大統領が国民に訴え
【ワシントン=大隅隆】オバマ米大統領は12日、週末恒例のインターネットとラジオを通じた演説で「向こう10年で65歳以下の米国民の半数は(失業期間中などに)無保険状態を経験する可能性がある」と指摘。事実上の国民皆保険を目指す医療制度改革への理解を訴えた。
演説と同時に米財務省は最新の調査報告を発表。1997~2006年の米国民の保険加入状況などを基に「1日でも無保険状態を経験する米国民は48%、1年以上になる米国民は36%」との見通しを明らかにした。
米国は日本のような国民皆保険制度を取っておらず、無保険者は4630万人。高齢者と低所得者を除き民間保険に加入するのが一般的で、企業を通じ加入している場合、失業時に医療保険を失うことが多い。大統領は医療改革は「貧しい人だけの話でなく米中産階級の問題だ」と強調した。
上海証取の8月売買代金4875億ドル、東証の1.4倍
上海証券取引所の株式売買代金(ドルベース)が東京証券取引所の約1.4倍に膨らんでいる。上海証取の売買代金は今年2月に東証を抜き、世界3位の座を固めつつある。中国経済の急速な発展を背景に、上海証取の売買代金は今後も拡大傾向が続く見通し。世界の証取における東証の地盤沈下が問題になりそうだ。
国際取引所連盟(WFE)がまとめた8月のデータによると、上海証取の売買代金は前年同月の4.2倍にあたる4875億ドル。東証は前年同月比11%減の3485億ドルとなった。
ロシアGDP、10.9%減 4~6月、最大の下げ幅
【モスクワ=金子夏樹】ロシア国家統計局によると、2009年4~6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は前年同期比マイナス10.9%に落ち込んだ。製造業と建設業の落ち込みが響き、四半期ベースで最大の下げ幅を記録した。個人消費も減少し、インドや中国などに比べて経済回復の遅れが目立っている。
鉱工業生産がマイナス18.7%となり、全体のGDPを押し下げた。自動車最大手アフトワズなど自動車メーカーが減産に動いたほか、天然ガスや鉄鋼など資源関連の生産も落ち込んだ。オフィス需要の減少で、建設投資は2割減となった。
失業増や個人所得の減少が響き、個人消費も11%減と不振が続く。4~6月期の新車販売は前年同期比55%減の約37万台となった。個人消費が堅調なインドや中国、ブラジルなど他の新興国とは対照的だ。
【産経主張】日航の外資導入 自力再建の努力も怠るな
経営再建中の日本航空が、世界最大の航空会社である米デルタ航空と資本参加を前提とする提携交渉に入った。
デルタ側は経営参加で厳しい条件を付けてくる可能性があるが、合意が成立すれば今月中の取りまとめを迫られている同社の経営改善計画には、とりあえずのめどが立つことになる。
日本を代表する航空会社への外資参入には、安全保障上の懸念を指摘する声もある。とはいえ世界的な航空再編が進む中で、外資導入は避けて通れない選択ともいえる。国土交通省も今回の提携には前向きという。
日航は昭和62年の民営化を経て、長く業界トップの座に君臨してきた。しかし、相次ぐ運航トラブルや不況、テロなどによる世界的な航空需要の落ち込みで業績が急速に悪化し、平成21年4~6月期決算では、税引き後利益が990億円の赤字を計上するまでに追い込まれている。
日本政策投資銀行や民間銀行団が6月に計1000億円を融資、国も債務保証を付けるなど異例の支援体制が取られている。
日航は今月末をめどに、さらなる人員の大幅削減や不採算路線の廃止・減便、企業年金のカットを含めた抜本的リストラ案をまとめる方針だ。しかし、これらの策には労組などの抵抗も強く、思惑通りに進むか予断を許さないのが実情である。今回の外資導入は、自力の再建策だけでは不十分と判断した結果だともいえる。
デルタへの出資要請は数百億円規模とされ、実現した場合、日航の筆頭株主になる。厳しい経営方針で知られる外資の経営参画で人員削減、給与引き下げなどのリストラが急ピッチで進む可能性がある。日航はエールフランス-KLMにも出資を要請しており、共同運航の拡大で機材や人材の効率的運用も期待できそうだ。
ただ、デルタ自身も経営状態は決して盤石とはいいがたい。日本の航空会社には、外資が株の3分の1未満しか持てない規制があることも今後の交渉で足かせになる事態が予想される。
いずれにせよ、外資頼みの再建には限界がある。安全への配慮も忘れてはならない。経営危機の根本には民営化後も「親方日の丸」意識を払拭(ふっしょく)できないでいる日航自身の企業体質がある。自らがここに抜本的メスを入れない限り、再建の道は甘くないだろう。
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女性向けゲーム「ネオロマ」 ニッチならではの強み(COLUMN)
9月1~3日に横浜で開催されたゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2009」で、女性にターゲットを絞って確実に成果を上げているゲームを取り上げた講演があった。コーエーの「ネオロマンス」シリーズである。今回は、このシリーズを通じて、日本ローカルのニッチ市場が持つ強みを考えよう。
■女性ゲーマー独特の消費行動
女性向けのビデオゲームは、多くの企業が潜在的な市場性に着目しながらも、なかなか成功できずにいる。ゲームの消費スタイルが男性ゲーマーとは違い、独特な傾向があるためだ。
コアな男性ゲーマーの場合、新作ゲームが発表されると意欲的に情報を収集し、次々に新しいゲームを消費する。ところが、女性ゲーマーの場合は、お気に入りのゲームを1つ見つけると、それを遊び続けて何回でもゼロからやり直す。シリーズの続編が発売されても、必ずしも関心を示すわけではない。自分の気に入った旧作を何度でも遊ぶ。
それは女性ゲーマーがゲームに登場するキャラクターたちに強い思い入れを抱き、特定の世界を共有する楽しさを求めているからだ。続編に新しい要素が追加され、ゲームの世界が変化することを彼女たちは必要としていない。そのため、ゲーム会社の商品戦略も男性向けゲームとは大きく異なってくる。
■3シリーズを展開するコーエー
女性向けゲームで成功した日本企業として必ず名前が挙がるのがコーエーだ。1994年に「スーパーファミコン」用に発売した女性向け恋愛シミュレーションゲーム「アンジェリーク」は、その後もプラットフォームを変えながら徐々にユーザーを広げ、現在は定番的なソフトになっている。プレーヤーは主人公の女性として様々な美少年との恋愛関係で迷いつつ、ゲームで設定されたゴールを目指して遊んでいく。
コーエーは、女性向けの商品ラインアップを3つに広げて柱となるシリーズとして育てている。アンジェリークシリーズのほか、平安時代をテーマに切ない恋愛が展開される「遙かなる時空の中で」、学園を舞台にクラッシックの演奏家の現代的な目線で恋愛が展開される「金色のコルダ」。この3シリーズは、「ネオロマンスシリーズ(ネオロマ)」と呼ばれ、メディアミックスでゲーム以外の市場にも展開されている。
■ゲームの販売本数は多くないが・・・
ネオロマで興味深いのは、コーエーの代表的ブランドであるアクションゲーム「三國無双」シリーズなどと比べ、販売本数がさほど多くない点だ。少なくとも決算報告書などで具体的な販売実績が謳われるほどではない。一応シリーズだが続編が次々と出るわけでもなく、旧作の焼き直し的な内容も多い。ファンも、それを買い続けているわけではないようだ。
ところが、関連グッズなどを扱うメディア・ライツ事業に目を向けると存在感が変わってくる。コーエーの09年3月期決算によると、同事業は売上高31億円、営業利益6億円で、ネオロマがその中核だ。3シリーズのなかでも、03年から展開を始めてじわじわと人気を広げてきた「金色のコルダ」シリーズが稼ぎ頭になっており、昨年はテレビアニメとして放送され、熱狂的な女性ファンを生み出した。
特に人気なのが、ゲームに登場する声優を中心にしたコンサート的イベントで、5000人収容の横浜パシフィコが常に満員御礼となる。チケットを売り出すと即日完売で、08年度は全国50回カ所以上で13万人を動員している。
■熱烈なファンが「全曲ミサ」
女性ユーザーは気に入ったタイトルの世界観を楽しむためにはエネルギーを注ぐ。コーエーは、ゲームの声優陣がキャラクターソングなどを歌う音楽CDも出しているが、その数は90タイトルを超え、毎月1回程度は新作がリリースされるペースだ。シリーズ全体のキャラクター数は70人にも達し、すべての曲を合わせると300曲以上、10時間を超える。
ネオロマファンの熱意を示した興味深い活動がある。カラオケチェーンには、埋もれた人気曲を発掘するため来店客のリクエスト投票を受け付けるところがある。ネオロマの音楽CDは一般にはマイナーな曲ばかりでカラオケにも入っていなかったが、ネオロマファンたちがある時期、ネット上でコミュニティーに呼びかけてネオロマ全曲を登録させる運動を始めた。
投票のためだけに会社帰りに毎日カラオケボックスに行くという熱心なファンもいたようだ。それが全国規模の組織票となり、ネオロマ全曲が見事に登録されたという。イベントなどの際は、ファンが集まって全曲を一晩中マラソンのように歌い続ける。それは「全曲ミサ」と呼ばれたりしている。
■入社2年目で「遙かなる時間の中で」を担当
女性向けゲームはこうしたユーザーが人気を支えるわけだが、その土台を作り上げるためのゲーム開発の苦労は当然ある。それができなければ、コンテンツとして長持ちしない。
CEDECで講演したコーエーの塚口綾子氏は、巡り合わせでその担当になったという。現在はモバイルゲームを開発しているが、ネオロマシリーズのメーン企画を手がけた経験を持つ。
塚口氏は、明治大学で数学を学び大学院まで進んで教職資格も取得していたが、数学という分野をより多くの人に知ってもらいたいという、本人によれば「短絡的な発想」で、97年にコーエーに入社した。当時、コーエーは教育ソフトの開発に力を入れており、そうしたソフトに関わりたいと思っていたという。
ところが、コーエーはアンジェリークシリーズの成功で、ちょうど女性向けゲームの専門部署を本格的に立ち上げたばかりだった。塚口氏はその部署に配属され、入社わずか2年目で「遙かなる時間の中で」のプロジェクトを任されることになった。
右も左もわからず、ノウハウもゼロから蓄積するような状況だったが、一緒に働いた女性上司と目標だけははっきり掲げた。それは、ゲームショップに「女性向けの棚」をつくるということ。当時、女性向けゲームは存在が薄く、ゲームショップでは同社の「信長の野望」といった歴史ゲームの横に、女性向けのピンク色のパッケージが並ぶような状態だった。
■ゲームのすべては恋愛ために
ネオロマシリーズは、様々な男性キャラクターと「恋愛する体験」が最大の売りであり、ゲーム自体のシステムもどのような恋愛をユーザーに体験させるかが最も重要になる。そのため、他のジャンルより設定やシナリオの比重が大きく、ゲームのデザインはシナリオ担当者を中心に進むことになる。
特に、男性キャラクターについては練りに練っていく。キャラクターを特徴づける性格を設定していきながら、そのキャラクターがどのように主人公と関係性を持つかを決める。同時に、性格的な特徴が他のキャラクターと被らないように徹底して比較する。チャートにまとめて、少しでも性格が被るような部分があれば、それは取り除いて別の要素に置き換えていく。
「金色のコルダ」の主な男性キャラクターは9人だが、キャラクター設定だけで紙の資料が1人50枚にもなるのが普通という。
また、恋愛ゲームは、ゲーム内の世界が「すべては恋愛のため」に存在するという特徴があり、世界観も主人公が恋愛を楽しめるように構成していく。ゲームのシステムありきではなく、その逆なのだ。
それぞれのキャラクターには「過去」の背景があり、主人公に出会った時の「現在」の心境が、主人公との恋愛を通じてどう変化していくかという「未来」を描く。そのメーンのプロットに併せて様々なイベントを作り込んでいく。
■大型店に女性向け向けゲームの棚
塚口氏は、ゲーム開発は女性にとっては決して楽な仕事ではないという。ネオロマを担当した企画の責任者は、プロジェクトが終わると必ず退職するというジンクスまであるそうだ。塚口氏の上司が初めてそのジンクスを破り、そして、塚口氏が2人目という。
ただ、女性向けゲームの開発を目指す企画者も少しずつ増え始めている。もともとネオロマシリーズのファンだった人も少なくないようで、採用面接のときに突然、「愛しています」と言われて、返答に困ったりしたこともあったそうだ。
そして、ゲームショップに女性向けゲームの棚をつくるという塚口氏らの目標も、現在は一部の大型店舗で実現するまでになった。日本の女性だけを対象に作られたニッチゲームだが、今の市場環境ではニッチは逆に強みになる。グローバル化というゲーム業界の潮流とは別のところにあるが、ファンはネオロマを今後も愛し続け、市場は残り続けるだろう。
日用品や食品、新興国で稼ぐ 仏ダノンなど、成長市場シフト
【パリ=古谷茂久】欧米の日用品・食品大手がアジアや中南米など新興国市場での販売強化や投資拡大を進めている。仏ダノンは中南米などでミネラルウオーター事業を拡充し、同事業の売上高に占める新興国のシェアが50%を突破。米コカ・コーラは今後3年間にベトナムに2億ドル(約180億円)を投資する計画だ。地盤の欧米市場の成熟化が進むなか、高成長が見込める新興国の開拓を狙う。出遅れていた日本企業も花王などが新興国への進出を始めた。
乳製品などを扱う食品大手のダノンは、先進国では飽和状態にあるミネラルウオーター事業をメキシコやアルゼンチン、インドネシアで強化しており、同事業は新興国が売上高全体の52%を占めた。「ラックス」ブランドのシャンプーなどを扱う英蘭ユニリーバでもアジア・アフリカが販売のけん引役。新興国の売上高は全体の37%に膨らんでいる。重点投資先である中国では今月、上海に研究開発センターを正式開業。ロシアでは大規模なアイスクリーム工場の建設を始めた。
中国製タイヤ輸入制限 米、関税を3年間上乗せへ
【ワシントン=大隅隆】オバマ米大統領は11日、米国市場で急増する中国製タイヤに特別セーフガード(緊急輸入制限)として上乗せ関税を3年間かけると発表した。上乗せ幅は最大35%となる。米国内の雇用保護を優先させた結果といえるが、中国は事実に基づいておらず法的根拠もないと反発している。世界的に保護主義の懸念が強まるなか、米中間の通商摩擦が一段と激しくなっている。
対象となるのは乗用車や軽トラックなどに使う中国製タイヤ。現行の関税率4%に、1年目は35%、2年目は30%、3年目は25%をそれぞれ加える。オバマ政権にとっては初めてのセーフガードであり、月内に発動する見通し。6月末に米国際貿易委員会(ITC)が大統領に勧告した関税率(55~35%)よりは圧縮された。
オバマ大統領は「ITC調査のあらゆる側面を検討した結果、追加関税の実施が最も適切な行動と判断した」との公式声明を発表。米通商代表部(USTR)に追加関税の準備を指示した。
ネット画面乗っ取り増殖 広告ページ勝手に次々表示
インターネットのブラウザー(閲覧ソフト)を乗っ取る「ブラウザ・ハイジャッカー」と呼ばれるウイルスの被害が再び目立ち始めている。まだ月に数件程度の報告だが、広告ページがパソコンに次々と表示されるだけでなく、パスワードを盗まれる恐れもあるといい被害は小さくない。セキュリティー相談を行っている情報処理推進機構(IPA、東京・文京)は注意を呼びかけている。
「広告ウインドーが次々と開くようになってしまった」。IPAに寄せられたある相談のケースでは、アニメを見るために検索サイト上位に表示されたあるウェブサイトに接続。動画を再生しようとしたところ、セキュリティーの警告が表示され、無視をしてダウンロードを続けたらウイルスに感染した。
9月1~3日に横浜で開催されたゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2009」で、女性にターゲットを絞って確実に成果を上げているゲームを取り上げた講演があった。コーエーの「ネオロマンス」シリーズである。今回は、このシリーズを通じて、日本ローカルのニッチ市場が持つ強みを考えよう。
■女性ゲーマー独特の消費行動
女性向けのビデオゲームは、多くの企業が潜在的な市場性に着目しながらも、なかなか成功できずにいる。ゲームの消費スタイルが男性ゲーマーとは違い、独特な傾向があるためだ。
コアな男性ゲーマーの場合、新作ゲームが発表されると意欲的に情報を収集し、次々に新しいゲームを消費する。ところが、女性ゲーマーの場合は、お気に入りのゲームを1つ見つけると、それを遊び続けて何回でもゼロからやり直す。シリーズの続編が発売されても、必ずしも関心を示すわけではない。自分の気に入った旧作を何度でも遊ぶ。
それは女性ゲーマーがゲームに登場するキャラクターたちに強い思い入れを抱き、特定の世界を共有する楽しさを求めているからだ。続編に新しい要素が追加され、ゲームの世界が変化することを彼女たちは必要としていない。そのため、ゲーム会社の商品戦略も男性向けゲームとは大きく異なってくる。
■3シリーズを展開するコーエー
女性向けゲームで成功した日本企業として必ず名前が挙がるのがコーエーだ。1994年に「スーパーファミコン」用に発売した女性向け恋愛シミュレーションゲーム「アンジェリーク」は、その後もプラットフォームを変えながら徐々にユーザーを広げ、現在は定番的なソフトになっている。プレーヤーは主人公の女性として様々な美少年との恋愛関係で迷いつつ、ゲームで設定されたゴールを目指して遊んでいく。
コーエーは、女性向けの商品ラインアップを3つに広げて柱となるシリーズとして育てている。アンジェリークシリーズのほか、平安時代をテーマに切ない恋愛が展開される「遙かなる時空の中で」、学園を舞台にクラッシックの演奏家の現代的な目線で恋愛が展開される「金色のコルダ」。この3シリーズは、「ネオロマンスシリーズ(ネオロマ)」と呼ばれ、メディアミックスでゲーム以外の市場にも展開されている。
■ゲームの販売本数は多くないが・・・
ネオロマで興味深いのは、コーエーの代表的ブランドであるアクションゲーム「三國無双」シリーズなどと比べ、販売本数がさほど多くない点だ。少なくとも決算報告書などで具体的な販売実績が謳われるほどではない。一応シリーズだが続編が次々と出るわけでもなく、旧作の焼き直し的な内容も多い。ファンも、それを買い続けているわけではないようだ。
ところが、関連グッズなどを扱うメディア・ライツ事業に目を向けると存在感が変わってくる。コーエーの09年3月期決算によると、同事業は売上高31億円、営業利益6億円で、ネオロマがその中核だ。3シリーズのなかでも、03年から展開を始めてじわじわと人気を広げてきた「金色のコルダ」シリーズが稼ぎ頭になっており、昨年はテレビアニメとして放送され、熱狂的な女性ファンを生み出した。
特に人気なのが、ゲームに登場する声優を中心にしたコンサート的イベントで、5000人収容の横浜パシフィコが常に満員御礼となる。チケットを売り出すと即日完売で、08年度は全国50回カ所以上で13万人を動員している。
■熱烈なファンが「全曲ミサ」
女性ユーザーは気に入ったタイトルの世界観を楽しむためにはエネルギーを注ぐ。コーエーは、ゲームの声優陣がキャラクターソングなどを歌う音楽CDも出しているが、その数は90タイトルを超え、毎月1回程度は新作がリリースされるペースだ。シリーズ全体のキャラクター数は70人にも達し、すべての曲を合わせると300曲以上、10時間を超える。
ネオロマファンの熱意を示した興味深い活動がある。カラオケチェーンには、埋もれた人気曲を発掘するため来店客のリクエスト投票を受け付けるところがある。ネオロマの音楽CDは一般にはマイナーな曲ばかりでカラオケにも入っていなかったが、ネオロマファンたちがある時期、ネット上でコミュニティーに呼びかけてネオロマ全曲を登録させる運動を始めた。
投票のためだけに会社帰りに毎日カラオケボックスに行くという熱心なファンもいたようだ。それが全国規模の組織票となり、ネオロマ全曲が見事に登録されたという。イベントなどの際は、ファンが集まって全曲を一晩中マラソンのように歌い続ける。それは「全曲ミサ」と呼ばれたりしている。
■入社2年目で「遙かなる時間の中で」を担当
女性向けゲームはこうしたユーザーが人気を支えるわけだが、その土台を作り上げるためのゲーム開発の苦労は当然ある。それができなければ、コンテンツとして長持ちしない。
CEDECで講演したコーエーの塚口綾子氏は、巡り合わせでその担当になったという。現在はモバイルゲームを開発しているが、ネオロマシリーズのメーン企画を手がけた経験を持つ。
塚口氏は、明治大学で数学を学び大学院まで進んで教職資格も取得していたが、数学という分野をより多くの人に知ってもらいたいという、本人によれば「短絡的な発想」で、97年にコーエーに入社した。当時、コーエーは教育ソフトの開発に力を入れており、そうしたソフトに関わりたいと思っていたという。
ところが、コーエーはアンジェリークシリーズの成功で、ちょうど女性向けゲームの専門部署を本格的に立ち上げたばかりだった。塚口氏はその部署に配属され、入社わずか2年目で「遙かなる時間の中で」のプロジェクトを任されることになった。
右も左もわからず、ノウハウもゼロから蓄積するような状況だったが、一緒に働いた女性上司と目標だけははっきり掲げた。それは、ゲームショップに「女性向けの棚」をつくるということ。当時、女性向けゲームは存在が薄く、ゲームショップでは同社の「信長の野望」といった歴史ゲームの横に、女性向けのピンク色のパッケージが並ぶような状態だった。
■ゲームのすべては恋愛ために
ネオロマシリーズは、様々な男性キャラクターと「恋愛する体験」が最大の売りであり、ゲーム自体のシステムもどのような恋愛をユーザーに体験させるかが最も重要になる。そのため、他のジャンルより設定やシナリオの比重が大きく、ゲームのデザインはシナリオ担当者を中心に進むことになる。
特に、男性キャラクターについては練りに練っていく。キャラクターを特徴づける性格を設定していきながら、そのキャラクターがどのように主人公と関係性を持つかを決める。同時に、性格的な特徴が他のキャラクターと被らないように徹底して比較する。チャートにまとめて、少しでも性格が被るような部分があれば、それは取り除いて別の要素に置き換えていく。
「金色のコルダ」の主な男性キャラクターは9人だが、キャラクター設定だけで紙の資料が1人50枚にもなるのが普通という。
また、恋愛ゲームは、ゲーム内の世界が「すべては恋愛のため」に存在するという特徴があり、世界観も主人公が恋愛を楽しめるように構成していく。ゲームのシステムありきではなく、その逆なのだ。
それぞれのキャラクターには「過去」の背景があり、主人公に出会った時の「現在」の心境が、主人公との恋愛を通じてどう変化していくかという「未来」を描く。そのメーンのプロットに併せて様々なイベントを作り込んでいく。
■大型店に女性向け向けゲームの棚
塚口氏は、ゲーム開発は女性にとっては決して楽な仕事ではないという。ネオロマを担当した企画の責任者は、プロジェクトが終わると必ず退職するというジンクスまであるそうだ。塚口氏の上司が初めてそのジンクスを破り、そして、塚口氏が2人目という。
ただ、女性向けゲームの開発を目指す企画者も少しずつ増え始めている。もともとネオロマシリーズのファンだった人も少なくないようで、採用面接のときに突然、「愛しています」と言われて、返答に困ったりしたこともあったそうだ。
そして、ゲームショップに女性向けゲームの棚をつくるという塚口氏らの目標も、現在は一部の大型店舗で実現するまでになった。日本の女性だけを対象に作られたニッチゲームだが、今の市場環境ではニッチは逆に強みになる。グローバル化というゲーム業界の潮流とは別のところにあるが、ファンはネオロマを今後も愛し続け、市場は残り続けるだろう。
日用品や食品、新興国で稼ぐ 仏ダノンなど、成長市場シフト
【パリ=古谷茂久】欧米の日用品・食品大手がアジアや中南米など新興国市場での販売強化や投資拡大を進めている。仏ダノンは中南米などでミネラルウオーター事業を拡充し、同事業の売上高に占める新興国のシェアが50%を突破。米コカ・コーラは今後3年間にベトナムに2億ドル(約180億円)を投資する計画だ。地盤の欧米市場の成熟化が進むなか、高成長が見込める新興国の開拓を狙う。出遅れていた日本企業も花王などが新興国への進出を始めた。
乳製品などを扱う食品大手のダノンは、先進国では飽和状態にあるミネラルウオーター事業をメキシコやアルゼンチン、インドネシアで強化しており、同事業は新興国が売上高全体の52%を占めた。「ラックス」ブランドのシャンプーなどを扱う英蘭ユニリーバでもアジア・アフリカが販売のけん引役。新興国の売上高は全体の37%に膨らんでいる。重点投資先である中国では今月、上海に研究開発センターを正式開業。ロシアでは大規模なアイスクリーム工場の建設を始めた。
中国製タイヤ輸入制限 米、関税を3年間上乗せへ
【ワシントン=大隅隆】オバマ米大統領は11日、米国市場で急増する中国製タイヤに特別セーフガード(緊急輸入制限)として上乗せ関税を3年間かけると発表した。上乗せ幅は最大35%となる。米国内の雇用保護を優先させた結果といえるが、中国は事実に基づいておらず法的根拠もないと反発している。世界的に保護主義の懸念が強まるなか、米中間の通商摩擦が一段と激しくなっている。
対象となるのは乗用車や軽トラックなどに使う中国製タイヤ。現行の関税率4%に、1年目は35%、2年目は30%、3年目は25%をそれぞれ加える。オバマ政権にとっては初めてのセーフガードであり、月内に発動する見通し。6月末に米国際貿易委員会(ITC)が大統領に勧告した関税率(55~35%)よりは圧縮された。
オバマ大統領は「ITC調査のあらゆる側面を検討した結果、追加関税の実施が最も適切な行動と判断した」との公式声明を発表。米通商代表部(USTR)に追加関税の準備を指示した。
ネット画面乗っ取り増殖 広告ページ勝手に次々表示
インターネットのブラウザー(閲覧ソフト)を乗っ取る「ブラウザ・ハイジャッカー」と呼ばれるウイルスの被害が再び目立ち始めている。まだ月に数件程度の報告だが、広告ページがパソコンに次々と表示されるだけでなく、パスワードを盗まれる恐れもあるといい被害は小さくない。セキュリティー相談を行っている情報処理推進機構(IPA、東京・文京)は注意を呼びかけている。
「広告ウインドーが次々と開くようになってしまった」。IPAに寄せられたある相談のケースでは、アニメを見るために検索サイト上位に表示されたあるウェブサイトに接続。動画を再生しようとしたところ、セキュリティーの警告が表示され、無視をしてダウンロードを続けたらウイルスに感染した。
日航、デルタと提携検討 エールフランスにも協力打診
経営再建中の日本航空が、世界最大の航空会社、米デルタ航空との提携を検討していることが11日、分かった。同社の西松遥社長は「外部資本と提携しながら、できるだけ航空ネットワークを維持したい」との考えを示しており、早ければ今月中にもまとめる経営改善計画の柱に据え、国境を越えた航空再編による再建を軌道に乗せる。
また、日航は、提携関係にあるエールフランス-KLMにも協力拡大を打診している模様で、有力航空会社との提携で再生を目指す。
日航、デルタ提携 外圧でリストラ? 年金など残る課題
経営不振に陥っている日本航空が、デルタ航空などとの業務提携や協力関係の構築で再建を目指す。世界的な航空再編が続く中で、日本を代表する「ナショナル・フラッグ・キャリア」と呼ばれた日航も、外資の力を借りて経営を安定させる道を選んだが、それでも再建の行方は不透明だ。
世界の航空業界は、燃料価格の高騰や不況による乗客減などの影響で大規模な再編が続いている。
デルタは米アトランタに本拠を置く航空会社で、2005(平成17)年9月に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、07年4月に再建手続きを完了した。昨年10月には米ノースウエスト航空と合併し、旅客輸送能力で、世界最大の航空会社になった。世界に張り巡らされた航空ネットワークが同社の強みだ。
日航はこれまで、資本支援とリストラを中心に、再建策を模索してきた。ただ、日航を資本面から支援するメガバンク自身、金融危機の後遺症を抱え、支援には及び腰だった。
一方、関西国際空港を発着する国際路線や搭乗率の低い地方路線の整理、過去5年で6千人を超える人員削減なども行ってきたが、限界もあった。
再建を監督する国土交通省からは、「景気回復後に向けた明確な成長戦略が必要」との指摘も出され、海外航空との提携に踏み切ったとみられる。
日航はデルタとの提携やエールフランスとの協力関係によって、経営基盤の安定だけでなく、共同運行(コードシェア)による国際線の路線拡充を図る。今は飛ばしていない地域に就航でき、新興成長国の一角であるブラジルをはじめ、南米への中継拠点にすることができる。
また、外資が経営に参画することで、「不採算路線の廃止や人員削減、給与引き下げなどのリストラが急ピッチで進む」との見方も強い。
日航の経営危機はひとまず遠のいたともみえるが、航空業界は、国際再編の荒波が待ち構えている。
米シティグループの軍門に下った大手証券の旧日興コーディアルグループや、米小売り最大手のウォルマート・ストアーズに傘下入りした西友が、その後たどった道は、平たんではなかった。
ナショナル・フラッグの冠を手放した日航の行く手には、課題が山積しているといえる。
健保、7割が赤字 08年度3000億円、高齢者医療費重く
大企業の会社員らが入る健康保険組合の財政が悪化している。全国組織の健康保険組合連合会が11日まとめた全国1497組合の2008年度決算によると、経常収支は合計3060億円の赤字だった。赤字は6年ぶり。黒字を確保した組合は約3割にとどまった。高齢者医療の負担金が1年で約4200億円増えたことが主因。他の公的医療保険も財政悪化は深刻で、医療費増をどう賄うか新政権の課題が改めて鮮明になった。
健保連の集計によると、現役社員やその家族向けの医療費支出が3兆2869億円と3.1%増えたほか、高齢者の医療費を賄うための拠出金(2兆7461億円)が18.3%の大幅増となり、収支を圧迫した。一部の組合が保険料率を引き上げたことから、保険料収入は6兆1934億円と前年度比2.4%増となったものの、支出増を賄いきれず、全体の68.8%にあたる1030組合が赤字となった。赤字組合の割合は前年度に比べて22.7ポイント上昇した。
製造業、損益分岐点が急速に悪化 08年度89%、7年ぶり水準
上場製造業の収益力を示す損益分岐点比率が2008年度に89.2%と07年度比13.1ポイント高まり、7年ぶりの水準に悪化したことが分かった。世界景気の減速による売上高の急減に固定費など費用削減が追い付かなかったためだ。足元の企業業績は最悪期を脱しつつあるが、売上高を伸ばすことは難しいだけに、企業は一段の費用削減を迫られそうだ。
日本経済新聞社が連続比較可能な上場製造業1009社の単独データを集計した。損益分岐点比率が悪化した最大の理由は売上高の減少。08年度の売上高は07年度比で10.7%減った。
富士通マイクロ、中国で半導体設計拡大 家電・車用、現地開発7割に
半導体大手の富士通マイクロエレクトロニクスは中国でLSI(大規模集積回路)の設計業務を強化する。四川省成都市や上海市の拠点で技術者を積極採用し、現在約3割の現地設計比率を2年後をメドに7割まで引き上げる。家電に組み込むLSIを設計するほか、デジタル化が進む自動車向けの製品も扱い、中国の電機・自動車関連企業のニーズを吸い上げる体制を築く。高成長が見込まれる中国でのシェア拡大につなげる。
富士通マイクロが現地設計を強化するのは、主にエアコンや洗濯機、テレビなど家電製品の頭脳部となるマイコン。日本などから中国に進出した家電メーカーのほか、現地企業から受注した半導体製品が対象となる。
半導体日本勢、中国拠点を拡充 最重要市場に照準、現地設計進む
日本の半導体各社が中国を最重要市場として拠点の拡充を急いでいる。2009年に世界出荷が急収縮するなか、中国は政府の景気刺激策もあって一定の出荷量を確保。デジタル家電や自動車の普及も手伝い、「近い将来、世界最大の半導体市場となる」(関係者)と期待されるからだ。
NECエレクトロニクスは中国家電メーカーなど向け半導体の基本設計を現地採用の約200人の技術者に任せる。従来は日本で基本設計してから中国で調整する手法をとっていたが「コスト抑制のため現地設計は避けられない」(山口純史社長)。組み立て工程の現地化も今後検討する。
絶版本のネット配信 グーグル、他社にも開放
【シリコンバレー=田中暁人】インターネット検索最大手の米グーグルは10日、書籍の内容をネット検索できる「ブックサーチ」で、アマゾン・ドット・コムなどの他社もグーグルのシステムを使って絶版本のデータを販売できるようにすることを明らかにした。グーグルは、米出版界と合意した書籍検索を巡る和解案の承認を目指している。他社の参入を容易にして「独占」批判をかわす狙いがありそうだ。
米下院司法委員会が開いた公聴会でグーグル法務責任者のデビッド・ドラモンド氏が証言した。グーグルがデータベースに保管する絶版本の電子データをアマゾンや書店各社などが、あらゆるネット端末に自由に有料配信できるようにする。
公聴会では、アマゾンの担当者が「グーグルの独占につながる」などと証言して和解案を批判。米著作権局の責任者も「海外の作家や出版社からの懸念が挙がっている」などとし、反対する立場を示した。米連邦地方裁判所は、10月7日の公聴会を経て和解案を認めるかどうかを判断する。
中国、輸出減止まらず 8月10カ月連続減、内需で補いきれず
中国の輸出の落ち込みが止まらない。8月の輸出は前年同月比2割以上の減少で、10カ月連続のマイナス。中国経済は投資主導で緩やかな回復基調を強めているが、個人消費はなお力強さに欠け、内需が外需の落ち込みを完全に埋めるまでには至っていない。中国政府は景気を下支えするため、当面は金融緩和政策を堅持する構えだ。
VW、中国に3年で5400億円投資 年産能力を倍増
【フランクフルト=下田英一郎】欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)は11日、2011年までに中国に40億ユーロ(約5400億円)を投資すると発表した。中国内2工場の年産能力を現状の2倍の計70万台に拡大、同市場向けの新車開発も強化する。VWは18年に中国での販売台数を08年実績の2倍の200万台に拡大する計画。増産体制を整え前倒しの達成を狙う。
増産するのは南京市と成都市の2工場で、40億ユーロのうち13億ユーロを設備増強に投じる。12年までに両工場の年産能力をそれぞれ30万~35万台に高める。車体の生産から塗装、最終組み立てまで最新装備を導入し、12年には両工場で計5モデルの新車を生産する計画だ。
VWグループの中国での新車販売台数は09年1~6月期で前年同期比23%増の65万2000台で、同市場では首位。VWの国別販売台数でも中国はドイツの販売台数を追い抜きトップになった。
鳩山代表、閣僚確定は15日に 「戦略室」まず予算に専念
民主党は11日、新政権で新設する首相直属の「国家戦略室」(後に戦略局に格上げ)について、当面は年内の来年度予算編成に専念し、当初想定していた外交戦略の策定には携わらない方針を固めた。一方、16日召集の特別国会に向けて閣僚人事の調整を続ける鳩山由紀夫代表は、全閣僚の確定時期は15日になるとの見通しを示した。
国家戦略室は民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた政権構想で、「政治主導」を実現するための柱の一つ。新内閣発足後の初閣議で首相指示により立ち上げる方針だ。秋に予定する臨時国会以降、「局」に昇格させて強力な権限を与える設置法案を提出する。菅直人代表代行が副総理兼党政調会長で担当相に就くことが内定している。
【産経主張】「郵政」見直し 公社に逆戻りさせるのか
民主、社民、国民新3党の郵政民営化見直し合意が波紋を広げている。持ち株会社の日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株式売却を凍結し、日本郵政の下に4事業会社を置く分社化も見直す内容だ。
民主党の政権公約には「国営や公社には戻さない」とあるが、3党の説明からは公社化への逆戻りをめざすようにしか見えない。株式売却をやめるなら、「官から民へ」の郵政改革の原点をどう考えるか整理し説明してほしい。
3党はまず、「なぜ民営化構想が出てきたのか」を思いだすべきだ。問題視されたのは、国民からかき集め肥大した官業金融の資金が、不透明な財政投融資に流れていたことだ。その資金の入り口の改革が始まりだった。
小泉政権下での改革議論の中で、民営化は官業のどんぶり勘定を改めるため必要で、4分社化が各事業のリスクを分離して効率を上げるのに最善の策とされた。その後、2年前に民営化され、日本郵政は株式売却による完全民営化をめざしてきた。ただ、その民営化路線にはボタンの掛け違いがあった。本来は民業圧迫の批判を受けていた金融事業を縮小すべきだったが拡大路線を志向した。
民営化を見直すというなら、そうした経緯と現状を踏まえ、国民経済全体にとって望ましい経営形態でなければならない。高齢化が進む地方でも金融サービスを確保するため、郵便事業だけでなく、銀行と保険にも全国一律のサービスを義務づけるとしている点は、いかにも聞こえがいい。
しかし、全国津々浦々、公平にサービスを提供するコストを誰が負担するのかという議論が欠けている。株式売却を凍結したまま、新規事業を拡大していけば、民業圧迫との批判が強まる。最終的に郵政事業が赤字となり、公的資金で穴埋めするようなことになったら、元も子もない。
「かんぽの宿」のオリックスへの一括売却をめぐる騒動では、西川善文社長の続投に反対した鳩山邦夫前総務相が更迭された。民主党や国民新党はそれを批判し、西川氏の辞任を求めている。こんな状態で民営会社としての経営判断など、できるわけがない。
3党は今後、郵政改革基本法案を国会に提出するという。民営化を後戻りさせ、官業体質の無駄と非効率が復活するようなことを許してはならない。
経営再建中の日本航空が、世界最大の航空会社、米デルタ航空との提携を検討していることが11日、分かった。同社の西松遥社長は「外部資本と提携しながら、できるだけ航空ネットワークを維持したい」との考えを示しており、早ければ今月中にもまとめる経営改善計画の柱に据え、国境を越えた航空再編による再建を軌道に乗せる。
また、日航は、提携関係にあるエールフランス-KLMにも協力拡大を打診している模様で、有力航空会社との提携で再生を目指す。
日航、デルタ提携 外圧でリストラ? 年金など残る課題
経営不振に陥っている日本航空が、デルタ航空などとの業務提携や協力関係の構築で再建を目指す。世界的な航空再編が続く中で、日本を代表する「ナショナル・フラッグ・キャリア」と呼ばれた日航も、外資の力を借りて経営を安定させる道を選んだが、それでも再建の行方は不透明だ。
世界の航空業界は、燃料価格の高騰や不況による乗客減などの影響で大規模な再編が続いている。
デルタは米アトランタに本拠を置く航空会社で、2005(平成17)年9月に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、07年4月に再建手続きを完了した。昨年10月には米ノースウエスト航空と合併し、旅客輸送能力で、世界最大の航空会社になった。世界に張り巡らされた航空ネットワークが同社の強みだ。
日航はこれまで、資本支援とリストラを中心に、再建策を模索してきた。ただ、日航を資本面から支援するメガバンク自身、金融危機の後遺症を抱え、支援には及び腰だった。
一方、関西国際空港を発着する国際路線や搭乗率の低い地方路線の整理、過去5年で6千人を超える人員削減なども行ってきたが、限界もあった。
再建を監督する国土交通省からは、「景気回復後に向けた明確な成長戦略が必要」との指摘も出され、海外航空との提携に踏み切ったとみられる。
日航はデルタとの提携やエールフランスとの協力関係によって、経営基盤の安定だけでなく、共同運行(コードシェア)による国際線の路線拡充を図る。今は飛ばしていない地域に就航でき、新興成長国の一角であるブラジルをはじめ、南米への中継拠点にすることができる。
また、外資が経営に参画することで、「不採算路線の廃止や人員削減、給与引き下げなどのリストラが急ピッチで進む」との見方も強い。
日航の経営危機はひとまず遠のいたともみえるが、航空業界は、国際再編の荒波が待ち構えている。
米シティグループの軍門に下った大手証券の旧日興コーディアルグループや、米小売り最大手のウォルマート・ストアーズに傘下入りした西友が、その後たどった道は、平たんではなかった。
ナショナル・フラッグの冠を手放した日航の行く手には、課題が山積しているといえる。
健保、7割が赤字 08年度3000億円、高齢者医療費重く
大企業の会社員らが入る健康保険組合の財政が悪化している。全国組織の健康保険組合連合会が11日まとめた全国1497組合の2008年度決算によると、経常収支は合計3060億円の赤字だった。赤字は6年ぶり。黒字を確保した組合は約3割にとどまった。高齢者医療の負担金が1年で約4200億円増えたことが主因。他の公的医療保険も財政悪化は深刻で、医療費増をどう賄うか新政権の課題が改めて鮮明になった。
健保連の集計によると、現役社員やその家族向けの医療費支出が3兆2869億円と3.1%増えたほか、高齢者の医療費を賄うための拠出金(2兆7461億円)が18.3%の大幅増となり、収支を圧迫した。一部の組合が保険料率を引き上げたことから、保険料収入は6兆1934億円と前年度比2.4%増となったものの、支出増を賄いきれず、全体の68.8%にあたる1030組合が赤字となった。赤字組合の割合は前年度に比べて22.7ポイント上昇した。
製造業、損益分岐点が急速に悪化 08年度89%、7年ぶり水準
上場製造業の収益力を示す損益分岐点比率が2008年度に89.2%と07年度比13.1ポイント高まり、7年ぶりの水準に悪化したことが分かった。世界景気の減速による売上高の急減に固定費など費用削減が追い付かなかったためだ。足元の企業業績は最悪期を脱しつつあるが、売上高を伸ばすことは難しいだけに、企業は一段の費用削減を迫られそうだ。
日本経済新聞社が連続比較可能な上場製造業1009社の単独データを集計した。損益分岐点比率が悪化した最大の理由は売上高の減少。08年度の売上高は07年度比で10.7%減った。
富士通マイクロ、中国で半導体設計拡大 家電・車用、現地開発7割に
半導体大手の富士通マイクロエレクトロニクスは中国でLSI(大規模集積回路)の設計業務を強化する。四川省成都市や上海市の拠点で技術者を積極採用し、現在約3割の現地設計比率を2年後をメドに7割まで引き上げる。家電に組み込むLSIを設計するほか、デジタル化が進む自動車向けの製品も扱い、中国の電機・自動車関連企業のニーズを吸い上げる体制を築く。高成長が見込まれる中国でのシェア拡大につなげる。
富士通マイクロが現地設計を強化するのは、主にエアコンや洗濯機、テレビなど家電製品の頭脳部となるマイコン。日本などから中国に進出した家電メーカーのほか、現地企業から受注した半導体製品が対象となる。
半導体日本勢、中国拠点を拡充 最重要市場に照準、現地設計進む
日本の半導体各社が中国を最重要市場として拠点の拡充を急いでいる。2009年に世界出荷が急収縮するなか、中国は政府の景気刺激策もあって一定の出荷量を確保。デジタル家電や自動車の普及も手伝い、「近い将来、世界最大の半導体市場となる」(関係者)と期待されるからだ。
NECエレクトロニクスは中国家電メーカーなど向け半導体の基本設計を現地採用の約200人の技術者に任せる。従来は日本で基本設計してから中国で調整する手法をとっていたが「コスト抑制のため現地設計は避けられない」(山口純史社長)。組み立て工程の現地化も今後検討する。
絶版本のネット配信 グーグル、他社にも開放
【シリコンバレー=田中暁人】インターネット検索最大手の米グーグルは10日、書籍の内容をネット検索できる「ブックサーチ」で、アマゾン・ドット・コムなどの他社もグーグルのシステムを使って絶版本のデータを販売できるようにすることを明らかにした。グーグルは、米出版界と合意した書籍検索を巡る和解案の承認を目指している。他社の参入を容易にして「独占」批判をかわす狙いがありそうだ。
米下院司法委員会が開いた公聴会でグーグル法務責任者のデビッド・ドラモンド氏が証言した。グーグルがデータベースに保管する絶版本の電子データをアマゾンや書店各社などが、あらゆるネット端末に自由に有料配信できるようにする。
公聴会では、アマゾンの担当者が「グーグルの独占につながる」などと証言して和解案を批判。米著作権局の責任者も「海外の作家や出版社からの懸念が挙がっている」などとし、反対する立場を示した。米連邦地方裁判所は、10月7日の公聴会を経て和解案を認めるかどうかを判断する。
中国、輸出減止まらず 8月10カ月連続減、内需で補いきれず
中国の輸出の落ち込みが止まらない。8月の輸出は前年同月比2割以上の減少で、10カ月連続のマイナス。中国経済は投資主導で緩やかな回復基調を強めているが、個人消費はなお力強さに欠け、内需が外需の落ち込みを完全に埋めるまでには至っていない。中国政府は景気を下支えするため、当面は金融緩和政策を堅持する構えだ。
VW、中国に3年で5400億円投資 年産能力を倍増
【フランクフルト=下田英一郎】欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)は11日、2011年までに中国に40億ユーロ(約5400億円)を投資すると発表した。中国内2工場の年産能力を現状の2倍の計70万台に拡大、同市場向けの新車開発も強化する。VWは18年に中国での販売台数を08年実績の2倍の200万台に拡大する計画。増産体制を整え前倒しの達成を狙う。
増産するのは南京市と成都市の2工場で、40億ユーロのうち13億ユーロを設備増強に投じる。12年までに両工場の年産能力をそれぞれ30万~35万台に高める。車体の生産から塗装、最終組み立てまで最新装備を導入し、12年には両工場で計5モデルの新車を生産する計画だ。
VWグループの中国での新車販売台数は09年1~6月期で前年同期比23%増の65万2000台で、同市場では首位。VWの国別販売台数でも中国はドイツの販売台数を追い抜きトップになった。
鳩山代表、閣僚確定は15日に 「戦略室」まず予算に専念
民主党は11日、新政権で新設する首相直属の「国家戦略室」(後に戦略局に格上げ)について、当面は年内の来年度予算編成に専念し、当初想定していた外交戦略の策定には携わらない方針を固めた。一方、16日召集の特別国会に向けて閣僚人事の調整を続ける鳩山由紀夫代表は、全閣僚の確定時期は15日になるとの見通しを示した。
国家戦略室は民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた政権構想で、「政治主導」を実現するための柱の一つ。新内閣発足後の初閣議で首相指示により立ち上げる方針だ。秋に予定する臨時国会以降、「局」に昇格させて強力な権限を与える設置法案を提出する。菅直人代表代行が副総理兼党政調会長で担当相に就くことが内定している。
【産経主張】「郵政」見直し 公社に逆戻りさせるのか
民主、社民、国民新3党の郵政民営化見直し合意が波紋を広げている。持ち株会社の日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株式売却を凍結し、日本郵政の下に4事業会社を置く分社化も見直す内容だ。
民主党の政権公約には「国営や公社には戻さない」とあるが、3党の説明からは公社化への逆戻りをめざすようにしか見えない。株式売却をやめるなら、「官から民へ」の郵政改革の原点をどう考えるか整理し説明してほしい。
3党はまず、「なぜ民営化構想が出てきたのか」を思いだすべきだ。問題視されたのは、国民からかき集め肥大した官業金融の資金が、不透明な財政投融資に流れていたことだ。その資金の入り口の改革が始まりだった。
小泉政権下での改革議論の中で、民営化は官業のどんぶり勘定を改めるため必要で、4分社化が各事業のリスクを分離して効率を上げるのに最善の策とされた。その後、2年前に民営化され、日本郵政は株式売却による完全民営化をめざしてきた。ただ、その民営化路線にはボタンの掛け違いがあった。本来は民業圧迫の批判を受けていた金融事業を縮小すべきだったが拡大路線を志向した。
民営化を見直すというなら、そうした経緯と現状を踏まえ、国民経済全体にとって望ましい経営形態でなければならない。高齢化が進む地方でも金融サービスを確保するため、郵便事業だけでなく、銀行と保険にも全国一律のサービスを義務づけるとしている点は、いかにも聞こえがいい。
しかし、全国津々浦々、公平にサービスを提供するコストを誰が負担するのかという議論が欠けている。株式売却を凍結したまま、新規事業を拡大していけば、民業圧迫との批判が強まる。最終的に郵政事業が赤字となり、公的資金で穴埋めするようなことになったら、元も子もない。
「かんぽの宿」のオリックスへの一括売却をめぐる騒動では、西川善文社長の続投に反対した鳩山邦夫前総務相が更迭された。民主党や国民新党はそれを批判し、西川氏の辞任を求めている。こんな状態で民営会社としての経営判断など、できるわけがない。
3党は今後、郵政改革基本法案を国会に提出するという。民営化を後戻りさせ、官業体質の無駄と非効率が復活するようなことを許してはならない。
“老人国家”に未来はあるのか ~若年世代にのしかかる負の遺産(COLUMN)
先の衆議院選は、さしずめ“バラマキ合戦”の様相を呈した。そして大いなるバラマキ(民主党)と遠慮がちなバラマキ(自民党)の対決は、大が小を制した。国家財政における歳入と歳出のバランスが大きく崩れているにもかかわらず、有権者受けしやすい分配強化策のみが脚光を浴び、国民の負担や痛みを招く政策は脇に追いやられた。この調子で行くと、選挙のたびに“バラマキ“が上乗せされ、国家財政の赤字は際限なく拡大しかねない。
国および地方の長期債務残高は、すでに800兆円を超え、しかもその拡大ペースを速めている。これは、国民1人当たり650万円という途方もない金額である。日本の財政は、刻々と持続不可能な水準に近付いている。
国の借金は、国民の借金と同義である。なぜなら国民から徴収する税金以外に、有力な返済原資がないことは明白だからだ。ただし「誰が借金を返すのか」ということに関して、国民一人一人が平等であるとは限らない。おそらく現在の高齢者世代は“バラマキ”の恩恵に浴する一方、借金返済の負担の多くを免れるであろう。借金苦の負担にあえぐことになるのは、間違いなく現在の若年世代およびこれから生まれる子供たちだ。
若年世代は人口も少ないので、1人当たりの実質的な債務負担額は、650万円からさらに拡大するはずだ。これから生まれてくる子供たちは、生まれながらにして1000万円近い(もしかするとそれでは済まないかもしれない)借金を背負うことになると考えることもできる。
“バラマキ”は、現在の高齢世代や現役世代に甘い蜜を振る舞う。そしてその借金のつけは、若年世代に回されることになる。極言すれば、「バラマキは若年世代からの搾取である」と捉えることもできよう。
このような状況に対して、「私たちにつけを回すな!」という若年世代の抗議はあってしかるべきだ。しかしその声は、思いのほか小さい。その背景には、若年世代が社会の少数派に転落したという現実がある。
1980年時点で、30歳未満の若年世代は総人口の45%を占めていた。思い起こせば、1980年代およびそれ以前は、若者を中心に世の中が回っていたような気がする。ところが現在、総人口に対する若年世代の人口は30%程度にまで減少した。そして約10年後の2020年の若年世代人口は、総人口の25%程度にまで減少する見通しだ。
若年世代人口の減少と対照的に、高齢世代人口は急増している。1980年時点で、60歳以上の高齢世代の総人口に対する比率は13%に過ぎなかった。それが現在は若年世代を逆転し、約10年後の2020年には総人口の34%に達する見通しである。
社会的マイノリティーに転落した若年世代の声は、年々小さくなっている。特に政治力という点で、そのパワーの衰えは著しい。若年世代の有権者数、つまり20歳代の人口は約1400万であり、これは全有権者数の1割強にとどまる。これに対して60歳以上の高齢世代は有権者数の3分の1を占める。まさに多勢に無勢と言えよう。そしてこの力関係は、今後さらに高齢者世代に傾くことになるのである。
今回の選挙で“バラマキ”を支持したのは有権者だ。だが選挙権を持たない子供たちは、自世代の利益を主張することもできず、将来へのつけ払いを決められてしまった。これは、彼らにしてみれば“欠席裁判”であると言うこともできよう。
高齢化の進展とともに、政治的強者としての高齢世代と政治的弱者としての若年世代のコントラストは、年々顕著になりつつある。高齢世代は単に有権者数が多いだけではなく、様々な要因でその政治的パワーを発揮しやすい環境にある。たとえば若年層の多い都市部と高齢者の多い地方の間には「一票の格差」があり、より高齢者の声が国会に届きやすい仕組みになっている。また高齢世代の票は組織化されている傾向が強く、各種団体を通じて、政治的影響力を発揮しやすい。
それゆえ高齢者の既得権を損ねる政策は実施されにくいし、将来に向けた改革は先送りされやすくなっている。その裏で政治的弱者である若年層へのしわ寄せが、着実に積み上がっているのである。
若年世代は政治的弱者であるだけでなく、経済的弱者でもある。世帯主年齢別貯蓄残高のデータを見ると、60歳以上の高齢世代の貯蓄が1世帯平均2000万円以上となっているのに対し、30歳未満の若年世代の平均貯蓄額は200万円台に留まる。しかも、住宅ローンその他の負債を控除した純貯蓄はマイナスになっている。日本には約1500兆円もの家計金融資産があるが、その所在は高齢者世帯に偏在している。
もちろん現在の若年世代も、年齢を重ねることにより貯蓄を増やすことはできるかもしれない。しかし現在の高齢者と同等の資産を蓄積することができるかと言うと、そこに至るハードルは極めて高いと言わざるを得ない。現在の高齢者は右肩上がりの経済環境を生きてきた。そして軽い社会保障負担のもとで貯蓄を増やすことができたのである。これに対して現在の若年世代は右肩下がりの経済環境を生きている。そして重い社会保障負担のもとで、先行世代の借金を返済しながら老後資金を貯めざるを得ないのである。
このように考えると“バラマキ”による赤字国債の増発は、政治的弱者である若年世代から政治的強者である高齢世代への所得移転であるとともに、経済的弱者である若年世代から経済的強者である高齢世代への所得移転であると言わざるを得ない。
もちろん高齢世代の中にも経済的弱者は多数存在する。そして高齢世代の中での、資産の偏在も大きい。だからといって、世代間の負担と受益の不平等が正統化されるわけではなく、全体として若年層が“割を食っている”面は否めない。ただ財政支出の拡大がすべて将来のつけに回るわけではなく、経済環境の改善を通じて若年世代の将来所得を増加させる効果がないわけではない。しかしながら国の政策決定に対し実質的な決定権限を持つ現役世代と高齢世代は、国家財政のマネジメントに対して責任を持つべきであり、実質的に決定権限を持たない若年世代の利益にも十分配慮すべきであろう。
日本経済にとって1990年代以降の時代は、「失われた時代」である。政府も企業も後ろ向きの対応に追われ、新たな時代を切り開く気概と活力を失ってしまった。同様に1990年代の「就職氷河期」以降に社会に出た若年世代は、“ロストジェネレーション(失われた世代)”と呼ばれる。
“割を食った”世代であるロストジェネレーションは、消費に関しても消極的だ。彼らはかつての若者のように、先行世代のライフスタイルを覆すような「顕示的消費」や、将来の所得増をあてにした「背伸び消費」に走らない。彼らは消費に踊らず、新たな消費ムーブメントをつくりだすことも少ない。
若年世代の不活性化は、日本発の革新的商品やサービスが絶えて久しいことと無関係ではあるまい。高齢世代は概して保守的であり、イノベーションに対しては後ろ向きだ。若年世代がパワーを発揮しなければ、時代の歯車は前に回らないのである。
若年世代の存在感は、企業内でも希薄化している。多くの企業で新規採用を長期間抑制した結果、企業内の年齢構成は著しく高齢化した。フレッシュな人材がイニシアティブを取らなければ、過去を否定するようなイノベーションは生まれにくい。
われわれは国家や企業のあり方について、改めて考えるべき時期に来ているのではないだろうか。年長者が過度のヘゲモニーを持つ“老人国家”や“老人企業”では、未来を切り開くことはできないと認識すべきであろう。
ホンダ社長「国内生産100万台に抑制」 海外に重点
ホンダの伊東孝紳社長は10日、朝日新聞のインタビューに対し、国内の四輪車生産台数を年間100万台に抑える方針を明らかにした。ホンダはこれまで「国内150万台体制」を打ち出してきた。今後は新興国を中心に低価格車競争が激化するとみており、販売が本格回復した際に海外生産に重点を置いた方が、コスト面で有利と判断した。
ホンダは06年5月に「150万台」を目指すと表明。伊東社長は今後の中期的な国内生産台数について、「年100万台というのが一つの大きな台数。(1ドル=92円という円高水準の)現在の為替を見るとそれも多すぎるレベルだ」と話した。
現在の国内生産能力は年130万台。「100万台」は09年度の生産計画の90万台は上回るものの、07年度実績の129万台は大幅に下回る水準だ。07年度は国内生産のほぼ半分を輸出に回したが、伊東社長の発言は、海外での生産の比重を高める方針を示したものだ。
100歳以上、初の4万人 2年で1万人増
9月15日時点で100歳以上となる高齢者は4万399人で、初めて4万人を突破したことが、21日の「敬老の日」を前にした厚生労働省の調査で11日分かった。昨年より4123人増え、39年連続の増加。男女とも過去最多を更新した。今年度中に100歳になる人も1835人増え2万1603人となり、初めて2万人を超えた。
昨年までは9月末時点の高齢者数を集計していたが、今年から9月15日時点に変更、都道府県が1日現在で確認した高齢者数を集計した。
男女別では、女性が3万4952人(3739人増)、男性が5447人(384人増)で、女性が86.5%を占めた。女性が占める割合は14年連続で上昇、100歳以上の高齢者が1000人を超えた1981年以降では最高となっている。
ドコモ、独社にTOB 携帯電話プロバイダー事業
NTTドコモは11日、フランクフルト証券取引所に上場する独携帯電話向けプロバイダー大手、ネット・モバイル(デュッセルドルフ市)にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。9月下旬から買い付けを始め、4週間以内に発行済み株式の75%以上の取得を目指す。ネット・モバイルの事業基盤や技術を使って海外展開を強化する。
ドイツの現地法人を通してTOBを実施する。買い付け価格は1株6.35ユーロ(約842円)で、75%の株式を取得した場合、費用は3665万ユーロ(約48億6000万円)。ネット・モバイルの経営陣は賛同しており、友好的TOBになる見通しだという。
ネット・モバイルは携帯電話向けコンテンツ配信や課金システムのプラットフォームを運営している。ドコモはインドの携帯電話サービス会社に出資するなど、海外展開を進めている。
農地価格の下落鮮明に 3月、前年比3%低下
農地価格の下落が鮮明になっている。今年3月時点の水田の全国平均価格は前年比3%程度下がり、17年連続のマイナスとなった。バブル期のピークに比べると25%前後の落ち込み。農産物価格の低迷による採算悪化や農家の後継者不足が響いた。特に平野から山地にかけての中山間地域での買い手不在が目立つ。
財団法人日本不動産研究所(東京・港)のまとめによると、3月末の水田の全国平均価格は10アール当たり90万2000円。前年比で3万1500円程度下がった。直近の高値をつけた1992年比では24.3%の下落。畑は52万円で18年連続の下げとなり、直近高値の91年比で23.6%安い。
米モトローラ、「グーグル携帯」を年内発売
【シリコンバレー=岡田信行】携帯端末大手の米モトローラは10日、グーグルが開発した基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した高機能携帯電話を年内に米国で発売すると発表した。モトローラはヒット機種不在で販売不振に陥り、業績が悪化していた。世界的に価格下落が厳しいなか、需要が伸びている高機能機に注力し、業績の回復を急ぐ。
新製品「クリック」はキーボード部をスライドさせて使うほか、タッチパネルでも操作できる。価格は非公表。米国では携帯通信大手のTモバイルUSA向けに供給。欧州や中南米でも地元の通信事業会社と組んで販売する。
先の衆議院選は、さしずめ“バラマキ合戦”の様相を呈した。そして大いなるバラマキ(民主党)と遠慮がちなバラマキ(自民党)の対決は、大が小を制した。国家財政における歳入と歳出のバランスが大きく崩れているにもかかわらず、有権者受けしやすい分配強化策のみが脚光を浴び、国民の負担や痛みを招く政策は脇に追いやられた。この調子で行くと、選挙のたびに“バラマキ“が上乗せされ、国家財政の赤字は際限なく拡大しかねない。
国および地方の長期債務残高は、すでに800兆円を超え、しかもその拡大ペースを速めている。これは、国民1人当たり650万円という途方もない金額である。日本の財政は、刻々と持続不可能な水準に近付いている。
国の借金は、国民の借金と同義である。なぜなら国民から徴収する税金以外に、有力な返済原資がないことは明白だからだ。ただし「誰が借金を返すのか」ということに関して、国民一人一人が平等であるとは限らない。おそらく現在の高齢者世代は“バラマキ”の恩恵に浴する一方、借金返済の負担の多くを免れるであろう。借金苦の負担にあえぐことになるのは、間違いなく現在の若年世代およびこれから生まれる子供たちだ。
若年世代は人口も少ないので、1人当たりの実質的な債務負担額は、650万円からさらに拡大するはずだ。これから生まれてくる子供たちは、生まれながらにして1000万円近い(もしかするとそれでは済まないかもしれない)借金を背負うことになると考えることもできる。
“バラマキ”は、現在の高齢世代や現役世代に甘い蜜を振る舞う。そしてその借金のつけは、若年世代に回されることになる。極言すれば、「バラマキは若年世代からの搾取である」と捉えることもできよう。
このような状況に対して、「私たちにつけを回すな!」という若年世代の抗議はあってしかるべきだ。しかしその声は、思いのほか小さい。その背景には、若年世代が社会の少数派に転落したという現実がある。
1980年時点で、30歳未満の若年世代は総人口の45%を占めていた。思い起こせば、1980年代およびそれ以前は、若者を中心に世の中が回っていたような気がする。ところが現在、総人口に対する若年世代の人口は30%程度にまで減少した。そして約10年後の2020年の若年世代人口は、総人口の25%程度にまで減少する見通しだ。
若年世代人口の減少と対照的に、高齢世代人口は急増している。1980年時点で、60歳以上の高齢世代の総人口に対する比率は13%に過ぎなかった。それが現在は若年世代を逆転し、約10年後の2020年には総人口の34%に達する見通しである。
社会的マイノリティーに転落した若年世代の声は、年々小さくなっている。特に政治力という点で、そのパワーの衰えは著しい。若年世代の有権者数、つまり20歳代の人口は約1400万であり、これは全有権者数の1割強にとどまる。これに対して60歳以上の高齢世代は有権者数の3分の1を占める。まさに多勢に無勢と言えよう。そしてこの力関係は、今後さらに高齢者世代に傾くことになるのである。
今回の選挙で“バラマキ”を支持したのは有権者だ。だが選挙権を持たない子供たちは、自世代の利益を主張することもできず、将来へのつけ払いを決められてしまった。これは、彼らにしてみれば“欠席裁判”であると言うこともできよう。
高齢化の進展とともに、政治的強者としての高齢世代と政治的弱者としての若年世代のコントラストは、年々顕著になりつつある。高齢世代は単に有権者数が多いだけではなく、様々な要因でその政治的パワーを発揮しやすい環境にある。たとえば若年層の多い都市部と高齢者の多い地方の間には「一票の格差」があり、より高齢者の声が国会に届きやすい仕組みになっている。また高齢世代の票は組織化されている傾向が強く、各種団体を通じて、政治的影響力を発揮しやすい。
それゆえ高齢者の既得権を損ねる政策は実施されにくいし、将来に向けた改革は先送りされやすくなっている。その裏で政治的弱者である若年層へのしわ寄せが、着実に積み上がっているのである。
若年世代は政治的弱者であるだけでなく、経済的弱者でもある。世帯主年齢別貯蓄残高のデータを見ると、60歳以上の高齢世代の貯蓄が1世帯平均2000万円以上となっているのに対し、30歳未満の若年世代の平均貯蓄額は200万円台に留まる。しかも、住宅ローンその他の負債を控除した純貯蓄はマイナスになっている。日本には約1500兆円もの家計金融資産があるが、その所在は高齢者世帯に偏在している。
もちろん現在の若年世代も、年齢を重ねることにより貯蓄を増やすことはできるかもしれない。しかし現在の高齢者と同等の資産を蓄積することができるかと言うと、そこに至るハードルは極めて高いと言わざるを得ない。現在の高齢者は右肩上がりの経済環境を生きてきた。そして軽い社会保障負担のもとで貯蓄を増やすことができたのである。これに対して現在の若年世代は右肩下がりの経済環境を生きている。そして重い社会保障負担のもとで、先行世代の借金を返済しながら老後資金を貯めざるを得ないのである。
このように考えると“バラマキ”による赤字国債の増発は、政治的弱者である若年世代から政治的強者である高齢世代への所得移転であるとともに、経済的弱者である若年世代から経済的強者である高齢世代への所得移転であると言わざるを得ない。
もちろん高齢世代の中にも経済的弱者は多数存在する。そして高齢世代の中での、資産の偏在も大きい。だからといって、世代間の負担と受益の不平等が正統化されるわけではなく、全体として若年層が“割を食っている”面は否めない。ただ財政支出の拡大がすべて将来のつけに回るわけではなく、経済環境の改善を通じて若年世代の将来所得を増加させる効果がないわけではない。しかしながら国の政策決定に対し実質的な決定権限を持つ現役世代と高齢世代は、国家財政のマネジメントに対して責任を持つべきであり、実質的に決定権限を持たない若年世代の利益にも十分配慮すべきであろう。
日本経済にとって1990年代以降の時代は、「失われた時代」である。政府も企業も後ろ向きの対応に追われ、新たな時代を切り開く気概と活力を失ってしまった。同様に1990年代の「就職氷河期」以降に社会に出た若年世代は、“ロストジェネレーション(失われた世代)”と呼ばれる。
“割を食った”世代であるロストジェネレーションは、消費に関しても消極的だ。彼らはかつての若者のように、先行世代のライフスタイルを覆すような「顕示的消費」や、将来の所得増をあてにした「背伸び消費」に走らない。彼らは消費に踊らず、新たな消費ムーブメントをつくりだすことも少ない。
若年世代の不活性化は、日本発の革新的商品やサービスが絶えて久しいことと無関係ではあるまい。高齢世代は概して保守的であり、イノベーションに対しては後ろ向きだ。若年世代がパワーを発揮しなければ、時代の歯車は前に回らないのである。
若年世代の存在感は、企業内でも希薄化している。多くの企業で新規採用を長期間抑制した結果、企業内の年齢構成は著しく高齢化した。フレッシュな人材がイニシアティブを取らなければ、過去を否定するようなイノベーションは生まれにくい。
われわれは国家や企業のあり方について、改めて考えるべき時期に来ているのではないだろうか。年長者が過度のヘゲモニーを持つ“老人国家”や“老人企業”では、未来を切り開くことはできないと認識すべきであろう。
ホンダ社長「国内生産100万台に抑制」 海外に重点
ホンダの伊東孝紳社長は10日、朝日新聞のインタビューに対し、国内の四輪車生産台数を年間100万台に抑える方針を明らかにした。ホンダはこれまで「国内150万台体制」を打ち出してきた。今後は新興国を中心に低価格車競争が激化するとみており、販売が本格回復した際に海外生産に重点を置いた方が、コスト面で有利と判断した。
ホンダは06年5月に「150万台」を目指すと表明。伊東社長は今後の中期的な国内生産台数について、「年100万台というのが一つの大きな台数。(1ドル=92円という円高水準の)現在の為替を見るとそれも多すぎるレベルだ」と話した。
現在の国内生産能力は年130万台。「100万台」は09年度の生産計画の90万台は上回るものの、07年度実績の129万台は大幅に下回る水準だ。07年度は国内生産のほぼ半分を輸出に回したが、伊東社長の発言は、海外での生産の比重を高める方針を示したものだ。
100歳以上、初の4万人 2年で1万人増
9月15日時点で100歳以上となる高齢者は4万399人で、初めて4万人を突破したことが、21日の「敬老の日」を前にした厚生労働省の調査で11日分かった。昨年より4123人増え、39年連続の増加。男女とも過去最多を更新した。今年度中に100歳になる人も1835人増え2万1603人となり、初めて2万人を超えた。
昨年までは9月末時点の高齢者数を集計していたが、今年から9月15日時点に変更、都道府県が1日現在で確認した高齢者数を集計した。
男女別では、女性が3万4952人(3739人増)、男性が5447人(384人増)で、女性が86.5%を占めた。女性が占める割合は14年連続で上昇、100歳以上の高齢者が1000人を超えた1981年以降では最高となっている。
ドコモ、独社にTOB 携帯電話プロバイダー事業
NTTドコモは11日、フランクフルト証券取引所に上場する独携帯電話向けプロバイダー大手、ネット・モバイル(デュッセルドルフ市)にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。9月下旬から買い付けを始め、4週間以内に発行済み株式の75%以上の取得を目指す。ネット・モバイルの事業基盤や技術を使って海外展開を強化する。
ドイツの現地法人を通してTOBを実施する。買い付け価格は1株6.35ユーロ(約842円)で、75%の株式を取得した場合、費用は3665万ユーロ(約48億6000万円)。ネット・モバイルの経営陣は賛同しており、友好的TOBになる見通しだという。
ネット・モバイルは携帯電話向けコンテンツ配信や課金システムのプラットフォームを運営している。ドコモはインドの携帯電話サービス会社に出資するなど、海外展開を進めている。
農地価格の下落鮮明に 3月、前年比3%低下
農地価格の下落が鮮明になっている。今年3月時点の水田の全国平均価格は前年比3%程度下がり、17年連続のマイナスとなった。バブル期のピークに比べると25%前後の落ち込み。農産物価格の低迷による採算悪化や農家の後継者不足が響いた。特に平野から山地にかけての中山間地域での買い手不在が目立つ。
財団法人日本不動産研究所(東京・港)のまとめによると、3月末の水田の全国平均価格は10アール当たり90万2000円。前年比で3万1500円程度下がった。直近の高値をつけた1992年比では24.3%の下落。畑は52万円で18年連続の下げとなり、直近高値の91年比で23.6%安い。
米モトローラ、「グーグル携帯」を年内発売
【シリコンバレー=岡田信行】携帯端末大手の米モトローラは10日、グーグルが開発した基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した高機能携帯電話を年内に米国で発売すると発表した。モトローラはヒット機種不在で販売不振に陥り、業績が悪化していた。世界的に価格下落が厳しいなか、需要が伸びている高機能機に注力し、業績の回復を急ぐ。
新製品「クリック」はキーボード部をスライドさせて使うほか、タッチパネルでも操作できる。価格は非公表。米国では携帯通信大手のTモバイルUSA向けに供給。欧州や中南米でも地元の通信事業会社と組んで販売する。
米国では電子書籍がなぜ人気? オールスターで市場争奪戦(COLUMN)
米グーグルが進める絶版書などの書籍検索・閲覧サービス「ブックサーチ」を巡る訴訟の和解案に対し、米ネット通販最大手のアマゾン・ドット・コムは9月初め、ニューヨーク連邦地裁に異議を申し立てた。米国では「eBook(電子書籍)」の人気上昇を背景に、いよいよアマゾンやグーグル、ソニーなど大手を巻き込んだ覇権競争が始まった。
米国のeBook市場は、2006年にソニーが発売した電子書籍端末「PRS-500」あたりを皮切りに立ち上がり、07年11月のアマゾンの端末「Kindle」登場で本格的に成長し始めた。
市場規模の正確なデータは見あたらないが、出版物の電子版販売、端末、パソコン用アプリケーション、「iPhone」や「BlackBerry」などの携帯電話用アプリなどを合わせて年間7500万ドルから1億ドル程度と推計されている。端末の販売台数は、累計でソニーが40万台以上、アマゾンが50万台以上(Citigroup推計、09年初め)といわれている。
最近ではタイトルも充実してきた。アマゾンのKindleでは、約30万タイトルのeBookをそろえている。そのほか、ウォールストリート・ジャーナルなど、新聞や雑誌も購読できる。
■なぜ米国ではeBookが人気を集めたのか
では、eBookはどのようにして、米国市民の心を捉えたのだろうか。米国におけるeBookの利用を見ると「ペーパー版の代用」と単純に考えるだけでは市場の姿が見えてこないかもしれない。
私事で恐縮だが、たとえば我が家ではKindleを発売当初から愛用している。学校で子供が読書感想文の課題をもらってくると、以前は夜に本屋に駆け込むこともあった。Kindleではそうした手間がなく、自宅にいながら学校の課題リストをもとに検索をかけ、クリック1つで購入できる。狙った本が図書館や書店になく、困り果てることもなくなった。最近は書店に連れて行かなくても、子供が自分で好きなときに好きな作品を探して購入している。
また、自動車で移動することが多い米国では「オーディオブック」のファンが多い。朝の通勤時間やジョギングの合間に、オーディオブックで"本を聴く"という人は多い。こうした習慣も電子書籍端末の普及を促進させた。オーディオブックは多くのタイトルが出ており、我が家では「読書嫌いの子供に本を読む習慣をつけさせる」ため、Kindleのオーディオブックを活用した。
eBookのファンには主婦も多い。ちょっとした息抜きにロマンス小説などを読むわけだが、そうしたペーパーバックは一晩で読み終える。eBookなら書店より安く買えるので、主婦には人気がある。
■印刷物にないメリットに市場性
このように米国ではeBookに多彩な需要がある。そのメリットをまとめると次のようになるだろう。
(1)書店に足を運ばなくても、好きなときに書籍を購入できる
(2)大量の書籍を専用リーダーに収めて持ち運べる
(3)一般的にペーパー版よりも割安に書籍が買える
つまり、eBookはコンテンツ自体はペーパー版と同じだが、印刷物にないメリットを備えるところに市場性と成長性があるといえるだろう。
それはアマゾンのビジネスモデルをみてもわかる。同社は印刷物としての書籍販売と並行して、パソコンやKindle、iPhoneなどに向けて独自フォーマットのeBookを展開している。電子版を購入すると、Kindleで読めるだけでなく出先でパソコンを使って同じ書籍を読むこともできる。
アマゾンがKindleで実現した「パソコン・フリー」の無線通信機能もeBook市場を大きく広げるカギになった。それまでの電子書籍端末は、eBookをパソコンにダウンロードしてから取り込む必要があった。これに対しKindleは、携帯のデータ通信網を使う無線モデムが内蔵され、パソコンやインターネット契約なしでどこからでも書籍を検索・購入できる。
しかも、通信料金は書籍購入費に含まれているので、ユーザーは携帯通信網を使っていることさえ意識しない。これを通信業界ではM2M(マシン・ツー・マシン)通信と呼ぶが、これからの電子書籍端末には欠かせない機能となっている。
■大手書店チェーンB&Nなど続々参入へ
米国のeBook市場は現在、ソニーとアマゾンが2分している状況だが、10年には新たなプレーヤーが登場すると予想されている。その筆頭が大手書店チェーンのバーンズ・アンド・ノーブル(B&N)だ。
書籍のオンライン販売でアマゾンと競争を繰り広げてきたB&Nは、09年3月にオンライン書店のFrictionwiseを買収し、電子書籍端末のPlastic Logicとの提携も進めている。来年には70万タイトル以上をそろえて電子書籍端末の市場に本格参入する。Plastic Logicの端末には、AT&T対応の携帯データ通信機能を内蔵する予定だ。
ソニーも今年のクリスマス商戦をターゲットに、通信機能を内蔵した最新機種を投入する。また、噂の域を出ないが、ルパート・マードック会長率いる米メディア大手ニューズ・コーポレーションも、新聞読者向けに独自の端末を開発中といわれる。
さらにアップルが開発中の「タブレット」パソコンも電子書籍端末機能を重視していると噂されているほか、携帯電話最大手のベライゾン・コミュニケーションズも独自参入を検討しているようだ。韓国ではサムスンが電子書籍端末市場への参入を始めており、米国への進出も時間の問題といわれている。台湾のASUSも「Eee」ブランドの電子書籍端末を開発中だ。
◇ ◇ ◇
このように米国のeBook市場では本格的な競争が始まっているが、なかでも台風の目となるはグーグルだろう。同社が進めている書籍の電子アーカイブが実現すれば、近い将来eBook市場に100万タイトル以上の大量のコンテンツが流れ込むことになる。
グーグルは08年秋に、米国の権利者団体「the Authors Guild」「the Association of American Publishers」と和解し、ブックサーチの実現に向かって大きく前進した。また、ソニーと提携し部分的にタイトルの提供も始めている。この動きが本格化すれば、アマゾンやB&Nは戦略修正を余儀なくされるだろう。
アマゾンが「同和解は独占禁止法に抵触する」と異議を申し立てたのは、こうした懸念があるためだ。グーグルが端末市場に乗り出す気配は今のところないが、コンテンツ面から将来のeBook市場を押さえようとしていることは間違いない。マイクロソフト、ヤフーもアマゾンと歩調をそろえて和解反対の活動に加わっており、グーグルのブックサーチは著作権紛争から市場争奪を巡る覇権争いへと舞台を広げ始めた。
補正予算、未執行8.3兆円に 民主、回収可能額詰め
2009年度補正予算の執行状況の全容が10日分かった。不明だった内閣官房と内閣府の分を加え、国庫から交付していない未執行は54.5%の8兆3328億円、執行済みは6兆9599億円だった。民主党は連立政権発足後に一部予算の執行を停止し、新たな政策財源として活用する方針で、資金回収対象の予算や活用法を詰める。
新たに判明した内閣府は2兆4089億円の予算額のうち、2兆3932億円が未執行だった。民主党は執行済みに分類した予算の一部も使っていないとみており、回収可能な予算額の確定を急ぐ。回収した予算は新たな景気対策やマニフェスト(政権公約)に盛った政策の財源に充てる。
オンキヨー、PCブランドも「オンキヨー」に
オンキヨーは10月からパソコン製品のブランドを「ソーテック」から、オーディオ機器の「オンキヨー」ブランドに変更する。米マイクロソフトが基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」を発売する10月下旬に合わせて切り替える。携帯音楽プレーヤーの普及でパソコンで音楽を楽しむ消費者が増えるなか、音響技術で付加価値を高めシェア拡大を狙う。
オンキヨーは2007年にソーテックを子会社化しパソコン事業に本格進出、08年9月に合併した。国内パソコン市場で「ソーテック」のシェアは数%にとどまる。オーディオ機器で知名度の高い「オンキヨー」ブランドへの統合で、スピーカー性能や音楽の再生能力の高さを打ち出し、音質を重視する消費者を取り込む。
EU、温暖化対策で途上国に最大年2兆円支援 20年時点
【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)の欧州委員会は10日、途上国の地球温暖化対策を支援するための提案をまとめた。2020年時点で最大で年間約150億ユーロ(約2兆円)、先進国の負担分の約3割を拠出する。温暖化ガスの排出量を取引する国際的な「炭素市場」の創設も後押しし、民間資金が途上国に流入しやすくする。
EUが途上国向けの支援額を示したのは初めて。24日から米国で開く20カ国・地域(G20)首脳会議でも表明。「公平な負担」を日米にも迫る考えだ。途上国の協力を引き出し、12月に期限が迫る「ポスト京都議定書」の国際交渉に弾みをつける狙いもある。
EUは先進国全体で20年までの温暖化ガスの排出量を1990年比30%削減、途上国には対策をとらなかった場合と比べ15~30%削減するよう求めている。欧州委は途上国が温暖化対策として20年までに必要な資金が年約1000億ユーロに達すると試算。このうち約2~5割(年220億~500億ユーロ)を先進国が負担し、残りを国際的な炭素市場や途上国自らの資金で賄うよう提案している。
米同時テロ8年 アフガンをテロの巣に戻すな(9月11日付・読売社説)
米国が同盟国と始めたテロとの戦いの前途に暗雲が立ちこめている。
オバマ米大統領が「必要不可欠な戦争」と呼んだアフガニスタンでの軍事作戦に対し、「オバマのベトナム」になると、泥沼化を懸念する声も出始めたからだ。
しかし、国際テロの再発を防ぐためには、アフガンをテロ組織の温床となる「破綻(はたん)国家」に逆戻りさせてはならない。
8年前の米同時テロ以降、アフガンでは、テロを実行した国際テロ組織アル・カーイダの拠点が掃討され、同組織に聖域を与えたタリバン政権も打倒された。
さらに新憲法の制定や立法・行政制度の整備など、国家再建も形の上では進んだ。
だが、対テロ戦争は終わっていない。この夏以降、タリバンの反攻が強まり、治安回復を支援する国際治安支援部隊(ISAF)に犠牲者が急増している。
今年の死者は8月にすでに300人を超え、過去最高だった昨年の死者数を上回った。
カルザイ大統領率いる現政権の統治は全土に及ばず、政権の腐敗も指摘されている。先月20日の大統領選挙では、数々の不正行為が選管関係者から報告された。
懸念されるのは、こうした状況の下、支援部隊に兵を出している国々の世論が後ろ向きになり始めたことだ。
8月の米紙調査によると、米国では、アフガンで「戦う価値はない」とする回答が51%を占めた。英国では52%、ドイツでは69%が早期撤収を求めている。
イラクに投入した兵力をアフガンに振り向けると同時に、同盟国にアフガン支援増強を求めるオバマ政権にとっては、逆風だ。
だが、テロとの戦いは、どんなに長く困難であっても、国際社会がそれを放棄することは許されない。一致協力して、戦線を再構築する必要がある。
その鍵の一つが、オバマ大統領自身が唱える「イスラムとの対話」だ。過激派の主張に一定の共感を示した穏健派イスラム教徒を味方につけ、過激派を孤立させるのが狙いだろう。
民衆と過激派のつながりを断つには、失業率を減らすなど民生の向上も不可欠になる。
鳩山新政権は来年1月には、インド洋での海上自衛隊の給油活動から撤収する方針とされる。
しかし、テロとの戦いは日本の平和と安全にかかわる問題であり、国際協調行動の一翼を担い続けることが肝要だ。
米グーグルが進める絶版書などの書籍検索・閲覧サービス「ブックサーチ」を巡る訴訟の和解案に対し、米ネット通販最大手のアマゾン・ドット・コムは9月初め、ニューヨーク連邦地裁に異議を申し立てた。米国では「eBook(電子書籍)」の人気上昇を背景に、いよいよアマゾンやグーグル、ソニーなど大手を巻き込んだ覇権競争が始まった。
米国のeBook市場は、2006年にソニーが発売した電子書籍端末「PRS-500」あたりを皮切りに立ち上がり、07年11月のアマゾンの端末「Kindle」登場で本格的に成長し始めた。
市場規模の正確なデータは見あたらないが、出版物の電子版販売、端末、パソコン用アプリケーション、「iPhone」や「BlackBerry」などの携帯電話用アプリなどを合わせて年間7500万ドルから1億ドル程度と推計されている。端末の販売台数は、累計でソニーが40万台以上、アマゾンが50万台以上(Citigroup推計、09年初め)といわれている。
最近ではタイトルも充実してきた。アマゾンのKindleでは、約30万タイトルのeBookをそろえている。そのほか、ウォールストリート・ジャーナルなど、新聞や雑誌も購読できる。
■なぜ米国ではeBookが人気を集めたのか
では、eBookはどのようにして、米国市民の心を捉えたのだろうか。米国におけるeBookの利用を見ると「ペーパー版の代用」と単純に考えるだけでは市場の姿が見えてこないかもしれない。
私事で恐縮だが、たとえば我が家ではKindleを発売当初から愛用している。学校で子供が読書感想文の課題をもらってくると、以前は夜に本屋に駆け込むこともあった。Kindleではそうした手間がなく、自宅にいながら学校の課題リストをもとに検索をかけ、クリック1つで購入できる。狙った本が図書館や書店になく、困り果てることもなくなった。最近は書店に連れて行かなくても、子供が自分で好きなときに好きな作品を探して購入している。
また、自動車で移動することが多い米国では「オーディオブック」のファンが多い。朝の通勤時間やジョギングの合間に、オーディオブックで"本を聴く"という人は多い。こうした習慣も電子書籍端末の普及を促進させた。オーディオブックは多くのタイトルが出ており、我が家では「読書嫌いの子供に本を読む習慣をつけさせる」ため、Kindleのオーディオブックを活用した。
eBookのファンには主婦も多い。ちょっとした息抜きにロマンス小説などを読むわけだが、そうしたペーパーバックは一晩で読み終える。eBookなら書店より安く買えるので、主婦には人気がある。
■印刷物にないメリットに市場性
このように米国ではeBookに多彩な需要がある。そのメリットをまとめると次のようになるだろう。
(1)書店に足を運ばなくても、好きなときに書籍を購入できる
(2)大量の書籍を専用リーダーに収めて持ち運べる
(3)一般的にペーパー版よりも割安に書籍が買える
つまり、eBookはコンテンツ自体はペーパー版と同じだが、印刷物にないメリットを備えるところに市場性と成長性があるといえるだろう。
それはアマゾンのビジネスモデルをみてもわかる。同社は印刷物としての書籍販売と並行して、パソコンやKindle、iPhoneなどに向けて独自フォーマットのeBookを展開している。電子版を購入すると、Kindleで読めるだけでなく出先でパソコンを使って同じ書籍を読むこともできる。
アマゾンがKindleで実現した「パソコン・フリー」の無線通信機能もeBook市場を大きく広げるカギになった。それまでの電子書籍端末は、eBookをパソコンにダウンロードしてから取り込む必要があった。これに対しKindleは、携帯のデータ通信網を使う無線モデムが内蔵され、パソコンやインターネット契約なしでどこからでも書籍を検索・購入できる。
しかも、通信料金は書籍購入費に含まれているので、ユーザーは携帯通信網を使っていることさえ意識しない。これを通信業界ではM2M(マシン・ツー・マシン)通信と呼ぶが、これからの電子書籍端末には欠かせない機能となっている。
■大手書店チェーンB&Nなど続々参入へ
米国のeBook市場は現在、ソニーとアマゾンが2分している状況だが、10年には新たなプレーヤーが登場すると予想されている。その筆頭が大手書店チェーンのバーンズ・アンド・ノーブル(B&N)だ。
書籍のオンライン販売でアマゾンと競争を繰り広げてきたB&Nは、09年3月にオンライン書店のFrictionwiseを買収し、電子書籍端末のPlastic Logicとの提携も進めている。来年には70万タイトル以上をそろえて電子書籍端末の市場に本格参入する。Plastic Logicの端末には、AT&T対応の携帯データ通信機能を内蔵する予定だ。
ソニーも今年のクリスマス商戦をターゲットに、通信機能を内蔵した最新機種を投入する。また、噂の域を出ないが、ルパート・マードック会長率いる米メディア大手ニューズ・コーポレーションも、新聞読者向けに独自の端末を開発中といわれる。
さらにアップルが開発中の「タブレット」パソコンも電子書籍端末機能を重視していると噂されているほか、携帯電話最大手のベライゾン・コミュニケーションズも独自参入を検討しているようだ。韓国ではサムスンが電子書籍端末市場への参入を始めており、米国への進出も時間の問題といわれている。台湾のASUSも「Eee」ブランドの電子書籍端末を開発中だ。
◇ ◇ ◇
このように米国のeBook市場では本格的な競争が始まっているが、なかでも台風の目となるはグーグルだろう。同社が進めている書籍の電子アーカイブが実現すれば、近い将来eBook市場に100万タイトル以上の大量のコンテンツが流れ込むことになる。
グーグルは08年秋に、米国の権利者団体「the Authors Guild」「the Association of American Publishers」と和解し、ブックサーチの実現に向かって大きく前進した。また、ソニーと提携し部分的にタイトルの提供も始めている。この動きが本格化すれば、アマゾンやB&Nは戦略修正を余儀なくされるだろう。
アマゾンが「同和解は独占禁止法に抵触する」と異議を申し立てたのは、こうした懸念があるためだ。グーグルが端末市場に乗り出す気配は今のところないが、コンテンツ面から将来のeBook市場を押さえようとしていることは間違いない。マイクロソフト、ヤフーもアマゾンと歩調をそろえて和解反対の活動に加わっており、グーグルのブックサーチは著作権紛争から市場争奪を巡る覇権争いへと舞台を広げ始めた。
補正予算、未執行8.3兆円に 民主、回収可能額詰め
2009年度補正予算の執行状況の全容が10日分かった。不明だった内閣官房と内閣府の分を加え、国庫から交付していない未執行は54.5%の8兆3328億円、執行済みは6兆9599億円だった。民主党は連立政権発足後に一部予算の執行を停止し、新たな政策財源として活用する方針で、資金回収対象の予算や活用法を詰める。
新たに判明した内閣府は2兆4089億円の予算額のうち、2兆3932億円が未執行だった。民主党は執行済みに分類した予算の一部も使っていないとみており、回収可能な予算額の確定を急ぐ。回収した予算は新たな景気対策やマニフェスト(政権公約)に盛った政策の財源に充てる。
オンキヨー、PCブランドも「オンキヨー」に
オンキヨーは10月からパソコン製品のブランドを「ソーテック」から、オーディオ機器の「オンキヨー」ブランドに変更する。米マイクロソフトが基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」を発売する10月下旬に合わせて切り替える。携帯音楽プレーヤーの普及でパソコンで音楽を楽しむ消費者が増えるなか、音響技術で付加価値を高めシェア拡大を狙う。
オンキヨーは2007年にソーテックを子会社化しパソコン事業に本格進出、08年9月に合併した。国内パソコン市場で「ソーテック」のシェアは数%にとどまる。オーディオ機器で知名度の高い「オンキヨー」ブランドへの統合で、スピーカー性能や音楽の再生能力の高さを打ち出し、音質を重視する消費者を取り込む。
EU、温暖化対策で途上国に最大年2兆円支援 20年時点
【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)の欧州委員会は10日、途上国の地球温暖化対策を支援するための提案をまとめた。2020年時点で最大で年間約150億ユーロ(約2兆円)、先進国の負担分の約3割を拠出する。温暖化ガスの排出量を取引する国際的な「炭素市場」の創設も後押しし、民間資金が途上国に流入しやすくする。
EUが途上国向けの支援額を示したのは初めて。24日から米国で開く20カ国・地域(G20)首脳会議でも表明。「公平な負担」を日米にも迫る考えだ。途上国の協力を引き出し、12月に期限が迫る「ポスト京都議定書」の国際交渉に弾みをつける狙いもある。
EUは先進国全体で20年までの温暖化ガスの排出量を1990年比30%削減、途上国には対策をとらなかった場合と比べ15~30%削減するよう求めている。欧州委は途上国が温暖化対策として20年までに必要な資金が年約1000億ユーロに達すると試算。このうち約2~5割(年220億~500億ユーロ)を先進国が負担し、残りを国際的な炭素市場や途上国自らの資金で賄うよう提案している。
米同時テロ8年 アフガンをテロの巣に戻すな(9月11日付・読売社説)
米国が同盟国と始めたテロとの戦いの前途に暗雲が立ちこめている。
オバマ米大統領が「必要不可欠な戦争」と呼んだアフガニスタンでの軍事作戦に対し、「オバマのベトナム」になると、泥沼化を懸念する声も出始めたからだ。
しかし、国際テロの再発を防ぐためには、アフガンをテロ組織の温床となる「破綻(はたん)国家」に逆戻りさせてはならない。
8年前の米同時テロ以降、アフガンでは、テロを実行した国際テロ組織アル・カーイダの拠点が掃討され、同組織に聖域を与えたタリバン政権も打倒された。
さらに新憲法の制定や立法・行政制度の整備など、国家再建も形の上では進んだ。
だが、対テロ戦争は終わっていない。この夏以降、タリバンの反攻が強まり、治安回復を支援する国際治安支援部隊(ISAF)に犠牲者が急増している。
今年の死者は8月にすでに300人を超え、過去最高だった昨年の死者数を上回った。
カルザイ大統領率いる現政権の統治は全土に及ばず、政権の腐敗も指摘されている。先月20日の大統領選挙では、数々の不正行為が選管関係者から報告された。
懸念されるのは、こうした状況の下、支援部隊に兵を出している国々の世論が後ろ向きになり始めたことだ。
8月の米紙調査によると、米国では、アフガンで「戦う価値はない」とする回答が51%を占めた。英国では52%、ドイツでは69%が早期撤収を求めている。
イラクに投入した兵力をアフガンに振り向けると同時に、同盟国にアフガン支援増強を求めるオバマ政権にとっては、逆風だ。
だが、テロとの戦いは、どんなに長く困難であっても、国際社会がそれを放棄することは許されない。一致協力して、戦線を再構築する必要がある。
その鍵の一つが、オバマ大統領自身が唱える「イスラムとの対話」だ。過激派の主張に一定の共感を示した穏健派イスラム教徒を味方につけ、過激派を孤立させるのが狙いだろう。
民衆と過激派のつながりを断つには、失業率を減らすなど民生の向上も不可欠になる。
鳩山新政権は来年1月には、インド洋での海上自衛隊の給油活動から撤収する方針とされる。
しかし、テロとの戦いは日本の平和と安全にかかわる問題であり、国際協調行動の一翼を担い続けることが肝要だ。