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「電子書籍リーダーは多機能でなくていい」ソニーのストリンガーCEO
 ソニーのCEOであるハワード・ストリンガー氏の考えによれば、たとえ電子書籍リーダーをマルチメディア端末へと進化させることは可能であっても、同社の電子書籍リーダーはあくまで印刷物を読む機能にフォーカスし、いかに快適な読書体験を提供できるかに重点をおくべきだという。
 また同氏はライバルである米Amazon.comのKindle端末について、「かなりの勢いが感じられる」と認めている。Kindleは目下急成長中の携帯型読書端末市場においてリーダー的な存在の端末だ。
 ちまたではAppleが電子書籍リーダーとしても利用できるタブレット型端末を発売するとの憶測も広がっており、ソニーも自社のポケットサイズの電子書籍リーダーにより強力なチップやディスプレイ、メディア機能を追加することで差別化を図ることは可能だ。
 だがストリンガー氏によると、この市場はまだ発生期にあるため、現在の形態の端末がユーザーにどの程度受け入れられるかを様子見するほうが賢明という。
 「こうした形態の端末が快適で使いやすく便利かどうかについては、いずれ消費者が教えてくれるだろう。各種のアプリケーションの開発に取り掛かったり、VAIO Readerを開発したりするのはその後でいい」とストリンガー氏は12月17日にニューヨークでの記者会見の際に語っていた。
 ソニーとAmazon.comとBarnes & Nobleは目下、電子書籍リーダーのベストセラーの座をめぐりしのぎを削っており、各社とも独占的コンテンツの提供やハイテク機能の追加で端末の魅力を高めようと努めている。
 ソニーは17日に、自社の電子書籍リーダーでWall Street Journal、MarketWatch、New York Post各紙の記事を配信するという内容の提携をNews Corp.との間で交わしたと発表、Amazon.comの人気端末Kindleとの激しい競争で新たな一撃を放った。
 ソニーによると、記事の配信は同社の電子書籍リーダーのWebサイトで行う。月額の利用料金はWall Street Journalが14ドル99セントで、MarketWatchが10ドル99セント、New York Postが9ドル99セント。ソニーはこのサービスを新聞各社と共同で販売していく方針という。
 この提携を発表したイベントにおいて、ソニーは電子書籍リーダーの売れ行きを「驚くほど好調」と語ったが、具体的な数字は明らかにしなかった。また同社幹部によると、Kindleの売れ行きと比べてどの程度かは分からないという。Kindleは電子書籍リーダー市場でトップシェアを誇る製品の1つだ。
 ストリンガー氏はこの競争を「競馬のようだ」と評す一方、「電子書籍リーダーは幅広いユーザー層に売れるだろうから、ウォークマンや携帯ビデオ端末としても機能するような製品にする必要はない」と指摘している。
 「多くのユーザーが電子書籍リーダーを利用することになるだろう。当社の端末が皆に選ばれる電子書籍リーダーとなるかどうかは興味深い点だ。とりわけ、雑多なアプリケーションを必要としない年配ユーザーにどう受け入れられるかは興味深い。この端末を気に入ってくれる世代が存在するはずだ。そうしたユーザー層にぜひ利用してもらいたい」と同氏は続けている。



ジャニーズ所属タレントの「紅白」出演動画、NHKネット配信
 NHKと大手芸能プロダクション、ジャニーズ事務所(東京・港)は同事務所所属タレントが出演する「紅白歌合戦」の動画配信で合意した。著作権法により放送局が番組をネットで配信するには出演者側の許諾が必要。同事務所は動画のネット配信を原則拒否してきたが方針転換した。今後、許諾に慎重な他の事務所やネット配信市場にも影響を与えそうだ。
 NHKが24日、動画配信サービス「NHKオンデマンド」で紅白歌合戦をネット配信すると発表。ジャニーズ事務所は「メディアの多様化や著作権保護技術の向上などを考慮し、開放に踏み切った」と表明した。人気タレントを多く抱える同事務所の動向は注目を集めていた。
 NHKは同日、NHKオンデマンドの今年度の売上高が11月末時点で約1億6千万円と当初計画の年23億円を大幅に下回っていることを明らかにした。



国民の生の声、首相が「ツイッター」開始へ
 鳩山首相は来年1月にも、ネット利用者が140字以内でやりとりする投稿・閲覧サイト「ツイッター」を始めることを決めた。
 双方向性を生かし、国民の生の声を聞くのが狙いだ。



三洋電機社長「重複事業の整理考えず」 ブランドに固執せず
 21日にパナソニック子会社となった三洋電機の佐野精一郎社長は24日、日本経済新聞などの取材に応じ、パナソニックと重複する事業や不採算事業の整理・縮小について「三洋の枠の中で想定しているものはない」と述べ、三洋側の事業リストラに否定的な姿勢を示した。両社で設立した「コラボレーション委員会」が2010年3月末までに各事業の方向性を具体的に詰めるという。
 佐野社長は「子会社化でリストラが加速すると世間は思っているようだが、逆に事業の強化を考えている」との考えを強調した。両社は白物家電など多くの商品で競合関係にある。資材の共同調達や物流の効率化を通じ、コスト削減を進める。



三菱UFJ銀、中国本土で元建て債 外資初、資金を安定供給
 【上海=下原口徹】中国政府は外資系銀行に中国本土で人民元建て金融債券の発行を解禁する。24日、三菱東京UFJ銀行の中国法人が第1号の認可を取得、年明けから起債の準備に入る。直接資本市場から中長期資金の調達ができるようになることで、中国に進出した日系企業などに対する人民元の安定的な融資につながりそうだ。
 中国銀行業監督管理委員会が三菱東京UFJ銀の中国法人に対し、これまで国内銀行に限定していた中国本土での銀行間(インターバンク)債券市場における人民元建て金融債券の発行を認可した。同行は年明けから金額や期間などの条件を詰めるなど具体的な起債準備に入り、中国人民銀行(中央銀行)に申請する。



10年度予算案、財源の持続性に不安 一般歳出、半分が社会保障
 政府は25日、一般会計総額が過去最大の92兆円前後となる2010年度予算案を閣議決定する。鳩山政権発足からほぼ100日で編成した初めての予算案は事業仕分けなどの新機軸を打ち出したものの、歳出増の圧力を前に具体案作りが難航。子ども手当を含む社会保障関係費は初めて一般歳出の5割を突破する。無駄の排除で新規財源をひねり出す試みも中途半端で、国債増発や「埋蔵金」への依存が鮮明。来年度予算は将来の政策実現のための財源に不安を残してスタートする。
 政府は国民新党と社民党との最終調整を経て、25日夕にも開く臨時閣議で予算案を決定したい考え。麻生前政権による09年度当初予算と比べると、一般会計は3兆5000億円程度、比率にして4%程度の増加となる。一般会計総額から、国債の元利払いに充てる「国債費」と地方に回る地方交付税を除いた政策経費を示す一般歳出も過去最大の53兆円前後に膨らむ。09年度当初比で3%程度増える計算だ。



離職率、6年ぶりに就職上回る 1~6月雇用動向
 厚生労働省が24日発表した2009年上半期(1~6月)の雇用動向調査によると、労働者全体における離職者の割合(離職率)は9.6%で、転職も含め新たに仕事に就いた就職者の割合(入職率、9.3%)を0.3ポイント上回った。離職率が入職率を上回るのは6年ぶり。厚労省は「下期も離職が上回る可能性が高く、雇用の不安定化が進む」とみている。
 調査は今年7月、全国1万5198事業所を対象に行い、有効回答数は1万482事業所(有効回答率69%)。母数となる全体の労働者数は1月1日時点の4415万人。
 調査によると、09年上半期の就職者数は410万人(前年同期390万人)で離職者数は423万人(同371万人)となり、人数でも離職者が就職者を上回った。



総量規制対象の21%破産申請へ 改正貸金業法巡り調査
 NTTデータ経営研究所は24日、改正貸金業法の影響に関する実態調査の結果を発表した。借入額が年収の3分の1に抑えられる総量規制の対象者のうち21%が、新規の借り入れができなくなった場合に、「自己破産か債務整理を申請する」と回答した。総量規制は来年6月に完全施行される改正貸金業法に盛り込まれている。
 調査は今夏にインターネットを通じて実施した。消費者金融会社から借り入れがあり、総量規制に該当している239人から複数回答で集計した。



国連予算、新興国の負担上げ決定 中国やインド
 【ニューヨーク=杉本晶子】国連総会は24日未明に本会議を開き、通常予算について中国やインドなど新興国の分担率を引き上げる決議案を正式に採択した。分担率引き上げは経済規模の拡大を反映させており、国連で新興国の発言力がさらに高まる可能性がある。日本の分担率は12.530%で現行16.624%から大幅に低下する。
 分担率は2010年から3年間にわたって適用される。ブラジル、ロシア、インド、中国のBRICsの分担率はそろって上昇。とくに中国の分担率は3.189%(現行比で0.522ポイント上昇)、ブラジルは1.611%(0.735ポイント上昇)となる。
 米国の分担率は22.0%で維持されたが、日本や欧州の主要国は軽減された。日本の分担率は米国に次ぐ2位だが、低下幅は主要国で最大となった。国連平和維持活動(PKO)予算でも日本の分担率は低下する。




毎日社説:首相の元秘書起訴 説得力欠いた鳩山会見
 予想されていたとはいえ、現職首相の元秘書が起訴されるのは極めて異例で深刻な事態だ。折しも発足以来100日を迎えた鳩山政権にとってやはり大きな打撃である。
 鳩山由紀夫首相の資金管理団体をめぐる偽装献金事件で、首相の元公設第1秘書が24日、政治資金規正法違反(虚偽記載など)で在宅起訴された。首相は同夜、記者会見して謝罪する一方、辞任の考えはないと表明したが、事件に関しては「秘書にすべてを任せ、実態をまったく知らなかった」「私腹を肥やしたわけではない」の繰り返しだった。
 首相も認めた通り、これでは国民は納得できない。野党は年明けの通常国会で厳しく追及する方針だ。これで一件落着とは到底いかない。
 東京地検特捜部はこのほか元政策秘書を略式起訴し、鳩山首相本人は容疑不十分として不起訴となった。それにしても改めて驚くのはでたらめな献金処理だ。
 元公設秘書は04~08年分の収支報告書などに記載した収入のうち故人らの名を使うなどして計約4億円分を虚偽記載(一部は不記載)したとされる。なぜ、そんな処理をしたかといえば「個人献金額を増やし国民から支持されている政治家に見せたかった」と供述しているという。
 一方、首相は実母からの巨額な資金提供も再度「知らなかった」と釈明したが、「カネの話をすることがなかった」という裕福な家庭だったからというだけでは、「首相に国民生活の苦しさが分かるだろうか」と疑問を感じる人の方が多いだろう。
 巨額資金を何に使っていたかも疑問が残る。会見では政治活動だけでなく、プライベートな支出までもすべて秘書任せだったと認めたが、そこには相当な公私混同があったのではないか。また、首相は実母からの資金提供を贈与と認め、修正申告して贈与税を支払う考えも示したが、事件が発覚しなければ、結果的に税金逃れになっていた可能性がある。納税者意識の低さを指摘されても仕方がない。
 首相は野党時代「秘書が犯した罪は政治家が受けるべきだ」と語っていた。この発言も今後野党の追及材料となろう。
 毎日新聞が先に実施した世論調査では、この問題で首相は辞任する必要がないと答えた人は54%で、辞任すべきだと答えた40%を上回った。政治を変えてほしいとの期待の方が大きいということだろう。だが、この会見を受け、世論が変わる可能性がある。今後、仮に従来の首相説明と矛盾が出てくるようなことがあれば状況はさらに一変するはずだ。その際には首相の進退につながることになると指摘しておく。
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次世代iPhoneは「6月28日発表で500万画素カメラ付き」?
 第4世代iPhoneは6月28日にデビューし、500万画素のカメラを搭載するとうわさされている。「iPhone 4.0」がテスト稼働していることを示すブラウザログが発見されているほか、iPhone 3GS用カメラのサプライヤーが500万画素カメラ4000万~4500万台をAppleから受注したという業界筋の話が伝えられている。また、Appleが2009年に開発者向けイベントWWDCを行った会場の予定表には、2010年6月28日から7月2日に「企業イベント」が実施されると書かれている。日数などからこのイベントがWWDCと思われること、iPhone 3GSが前回のWWDCで発表されたことから、6月28日にスティーブ・ジョブズ氏の基調講演が行われ、次世代iPhoneが発表されるのではないかと憶測されている。



日本における「Facebook」訪問者、1年間で3.9倍に--ネットレイティングス調べ
 ネットレイティングスは12月24日、ニールセン・ネットレイティングスが提供するインターネット利用動向調査「NetView」の11月データをまとめたレポートを発表した。レポートによると、米国最大のSNS「Facebook」の日本における訪問者数が139万人に達し、2008年11月の36万人から、1年で3.9倍に増加しているという。
 日本のFacebook、米国のFacebook、日本のmixiの利用状況を比較すると、日本のFacebookは、1人あたりの平均訪問頻度や平均利用時間といったロイヤリティに関する指標がほかの2サイトに比べて低く、日常的に利用しているユーザーはまだ少ないとみられる。訪問者の男女構成比でも、日本のFacebookのみ女性の割合が低い。
 また、Facebookとmixiはともにサイト内でゲームやツールをアプリケーションとして提供しているが、日本のFacebookは、日本人向けのアプリが少ないためか、アプリの利用率が低くなっているという。
 ネットレイティングスのシニアアナリストの鈴木成典氏は、「2008年5月の日本語版リリース以降、日本のFacebookは着実に訪問者数を伸ばしている。訪問者増加の要因は、ユーザーが新たなユーザーを呼び寄せた結果と考えられるが、今後も訪問者が増えることでSNSとして活性化し、さらに訪問者が増えていくといった好循環が生まれれば、mixiを脅かす存在になるだろう」と述べている。



ニコ生、ユーザー生放送などでもタイムシフト機能が利用可能に
 ニワンゴは23日、「ニコニコ動画(9)」のライブ配信サービス「ニコニコ生放送」で、タイムシフト機能の対象番組を拡大するなどの機能強化を実施した。
 「タイムシフト機能」は、配信開始30分前までに配信番組を視聴ユーザーが事前予約することで、ライブ配信中に書き込まれたコメントやアンケート結果などを再現した状態で番組を再生できる機能。視聴可能期間は、配信終了翌日から7日以内。また、月額525円の「プレミアム会員」であれば、番組の事前予約の必要なく、同機能を利用できる。
 今回の機能強化では、タイムシフト機能を利用できる番組を、ニコニコ生放送の公式番組に加えて、ユーザーが配信する「ユーザー生放送」、ニコニコチャンネル参加企業が配信する「チャンネル生放送」に拡大。加えて、過去7日間の配信番組を検索できる「過去検索機能」やタイムシフト予約数のランキング機能を追加した。
 合わせて、モバイルサービス向けの機能強化も実施。NTTドコモの携帯電話では、ニコニコ動画の未入会ユーザーを含めて、最長5分間の動画を「iモーション」で視聴できる機能を追加した。ソフトバンクモバイルの無線LAN機能「ケータイWi-Fi」に対応する携帯電話では、「ニコ生モバイル」で「ユーザー生放送」の視聴にも対応した。
 このほか、画像を投稿してスライドショー再生できる「ニコニコ静画」で、モバイル版サービスを開始。NTTドコモ/au/ソフトバンクモバイルの携帯電話から利用が可能で、今後は携帯電話からのお題作成や画像投稿機能の実装も予定する。



サイバーエージェント、mixiアプリの企画・制作サービス開始、「どん兵衛くん除夜の鐘」は1週間で14万人が利用
 サイバーエージェントは、企業向けにmixiアプリの企画・制作サービスをスタート。第一弾として、日清食品のカップ麺のキャラクターと除夜の鐘をつくゲームを公開した。
 SNS「mixi」のユーザーどうしで楽しむ「mixiアプリ」は、PCでもモバイルでも利用することが可能で、新たな企業の商品プロモーションツールとして注目を集めている。サーバーエージェントは、mixiアプリ企画・制作サービスの第一弾として、日清食品の「どん兵衛くん除夜の鐘」を制作。カップ麺のキャラクター「どん兵衛」が除夜の鐘をつき、マイミクへつないでいくことで108人リレーを目指すゲームを公開した。
 このアプリは、年越しそばとしての「どん兵衛」商品訴求促進のため12月14日に公開して以来、1週間で利用者が14万人を突破。サイバーエージェントはこのゲームを皮切りとして、企業向けに「mixiアプリ」の企画・制作サービスを提供する。



米アップル、新製品の発表イベントを来月予定=報道
 英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、米アップルが1月26日に新製品の発表イベントを行う、と報じた。アップルは既に、発表会場を予約したという。
 関係筋の話としてブログで報じた。アップルはコメントを拒否、発表会場とされるイェルバ・ブエナ・センターのコメントも取れていない。
 アップルをめぐっては、タブレット型コンピューターを発表するとのうわさが流れているが、アップルは、この機器の存在を認めていない。
 FTの報道は、アップルが1月のイベントでタブレットを発表するのかどうかについては、言及していない。一部のアナリストは、アップルは来年の春、おそらく3月にタブレットを公開する、と予想している。
 アップルは、この9月に「iPod(アイポッド)」関連のイベントを開催した際にも、イェルバ・ブエナ・センターを使っているという。



グーグルの携帯電話「Nexus One」、米国時間1月5日に招待制で発売か--米報道
 Engadgetは米国時間12月23日、Googleの携帯端末「Nexus One」の発売予定日が早ければ2010年1月5日になることを情報提供者の話として報じた。ただし、販売は招待制になるという。Engadgetによると、Googleが招待状を配布する予定だが、同社がどうやって配布対象者を決定するか、また、同端末の価格がいくらになるかついては、情報提供者も情報を持っていないという。



ビール5社、来秋からテレビCM自粛強化
 ビール大手5社で構成するビール酒造組合は24日、2010年秋以降、各社のビールなど酒類のテレビコマーシャル(CM)の自粛時間を延長すると発表した。
 未成年者飲酒を防ぐ社会的な要請に応えることが目的だ。
 現在のCM自粛時間は、平日の午前5時~午後6時、土日、祝日と1月2~3日は、午前5時~正午となっている。10年秋以降は、土日、祝日なども、自粛時間を、平日と同じ午後6時まで延長する。
 世界保健機関(WHO)は来年5月、有害なアルコール使用を低減するための戦略を採択する見通しで、世界各国では、未成年者などによる不適正なアルコール摂取規制を強化する流れにある。このため、未成年者がテレビを視聴する割合が高い時間帯の酒類CMの自粛を強化する。



「リニア、14~15年に着工」JR東海社長
 JR東海の松本正之社長は24日、2025年に首都圏―名古屋市間の開業を目指すリニア中央新幹線について、2014~15年に着工する考えを明らかにした。
 JR東海が着工時期に言及したのは初めて。今後、ルート選定や中間駅の設置場所などについて沿線自治体との調整を急ぐ構えだ。
 松本社長は同日、リニア中央新幹線の需要予測、建設費用などを盛り込んだ調査報告書を前原国土交通相に提出した。報告書では建設ルートを特定せず、実現可能な3ルートの建設費などの試算結果を列挙している。



アイフル、事業再生ADRが成立 270店閉鎖
 消費者金融大手アイフルが進める私的整理の一種「事業再生ADR(裁判外紛争解決)」が成立した。24日午後開かれた債権者集会で、65取引金融機関が再建案に同意した。アイフルは2010年9月まで約2800億円の債務の返済を猶予してもらう代わりに、社員数を半分に減らし店舗も270店閉めるリストラを実施して経営再建を目指す。
 アイフルは過去に取りすぎた利息を利用者に返す「過払い金返還コスト」に備えた貸倒引当金を大幅に積み増し、09年9月中間期に2823億円の最終赤字へ転落。社債償還などを控え資金繰り不足に陥ることが確実となっていた。



11月のPC国内出荷、デスクトップ17カ月ぶり増 「セブン」効果で
 電子情報技術産業協会(JEITA)が24日発表した11月のパソコン国内出荷台数は、前年同月比4.8%増の67万3000台だった。前年実績を上回るのは3カ月連続。10月下旬に発売された新基本ソフト「ウィンドウズ7(セブン)」を搭載した機種が個人向けを中心に好調。デスクトップ型も法人向けなどを中心に買い替え需要などが増え、17カ月ぶりに前年実績を上回った。
 デスクトップ型は9.1%増の20万2000台だった。ノート型は3.0%増の47万台。「ネットブック」など小型の機種(モバイルノート)が微減したが、A4型やその他の機種が増えて全体を押し上げた。一方、出荷金額は9.0%減の657億円だった。JEITAによると「メーカーはネットブックの上位機種を発表し、単価の下落による出荷額の減少に歯止めをかけようとしている」という。



【産経主張】地方へのバラマキ 選挙目当てが露骨すぎる
 政府はコメ農家を対象に来年度から実施する戸別所得補償について水田10アール当たり1万5000円を一律支給する方針を決めた。
 来年夏の参院選対策を重視する民主党が来年度予算での満額確保を強く求めていた。だが農家だけを優遇する政策だ。批判は強い。
 民主党は高速道路建設を要望する地方に配慮し、旧日本道路公団の復活につながりかねない制度変更も主張している。地方への配慮ということだが、あまりにも選挙目当てが露骨すぎないか。
 これまで自民党政権下で実施された有用な改革まで台無しにしてしまっては元も子もない。
 戸別補償はコメの生産目標数量を設定し、過去数年間の販売価格と生産費を比べて価格が生産費を下回った場合、差額分を補償する制度だ。1万5000円はそうして計算された差額分にあたる。対象は生産目標を守った農家で事実上の「減反選択制」といえる。
 しかし、問題は消費者にとって二重の負担になることだ。減反が継続されるため、高いコメを買うという状況は変わらず、所得補償で税負担が増える。少子高齢化などで消費量は今後も減少が予想されるのに、価格は高いまま維持される矛盾が温存されてしまう。
 その結果、零細兼業農家がそのままで専業農家が育たない状態が続くことになる。これでは大規模化を目指して生産効率を高めてきた従来の農政から逆行する。食糧安全保障の面からも問題だ。
 日本は輸出が可能なくらいまで農業の競争力を高める必要がある。所得補償するなら、減反の廃止が前提のはずだ。
 高速道路の問題は、国が高速道路会社に財政支援する仕組みをつくるよう民主党が求めている点だ。政府に提出した来年度予算の重点要望に盛り込んだ。
 民営化前の旧日本道路公団は国からの財政支援を受け不採算な道路をつくり続け、膨大な借金を残した。民営化後は採算があう道路だけをつくり、必要だが採算をとるのが難しい道路は国がつくることになったはずだ。それを無視する制度変更要求に政府内からも「先祖返り」との批判がある。後戻りは郵政改革と同じだ。
 前原誠司国土交通相はこれに反対の意向だが、鳩山由紀夫首相の判断に従うという。政策の中身の前に「票田」を優先するようでは到底国民の理解は得られまい。
ネットショッピング市場、26年度に倍増へ 高機能携帯の普及で
 野村総合研究所は、ネットショッピングやオークション、オンラインゲーム、音楽配信など平成26年度までの国内のネットビジネス市場の成長予測をまとめた。携帯電話でのネット利用の拡大などを背景に、各分野とも堅調な伸びを予想。中でもネットショッピング市場は21年度の6兆5744億円から、26年度には11兆9573億円と、ほぼ倍増するとしている。
 ネットショッピングはこれまでも、商品の割安感や自宅で買い物ができる手軽さなどが受け、市場が拡大してきた。今後は、スマートフォン(高機能携帯電話)の普及などを背景に、携帯電話上での商取引が急増すると予想している。
 また、ネットオークションはパソコンや携帯での操作に不慣れだった女性や高齢者の利用拡大が予想され、26年度の市場規模は21年度と比べ約30%増加する。オークションは中古品を廉価に購入できるだけでなく、家庭の不要品を販売して副次的な収入につなげられる点も人気だ。
 一方、オンラインゲーム(携帯電話向けを除く)は、ブロードバンド回線の普及や家庭用ゲーム機の高機能化などを背景に、約44%拡大する見込み。



キリンとサントリー、11年春統合で大筋合意
 経営統合交渉を進めている食品最大手のキリンホールディングスと2位のサントリーホールディングスは2011年春をメドに統合することで大筋合意する見通しとなった。両社の持ち株会社を合併して新会社を設立、統合比率はキリン1に対してサントリー0.7前後で最終調整中。新会社はサントリーの発行済み株式の約90%を持つ創業一族の資産管理会社「寿不動産」が筆頭株主となり、33.4%超を握る公算が大きい。公正取引委員会の承認が得られれば、世界で最大級の酒類・飲料メーカーが誕生する。
 キリンの加藤壹康社長とサントリーの佐治信忠社長が近く会談し、統合実現のカギである株式の交換比率で大筋歩み寄る見通し。統合について来年1月末までに発表する予定。両社は7月に統合交渉入りを公表し、副社長らをトップにした専門チームで互いの資産査定など準備を進めてきた。



松坂屋、名古屋駅店を来夏にも閉鎖へ
 J・フロントリテイリング傘下の松坂屋は名古屋駅店(名古屋市)を閉鎖する方向で検討に入った。同店が入るビルは再開発で建て替えるが、販売不振から新ビル完成後に再び出店するのは困難と判断し、2010年夏にも営業を中止する見通し。高額品が中心の百貨店は市場縮小が続きそうで店舗を閉鎖・縮小する動きが加速している。
 同店はJR名古屋駅前に立地し、売り場面積は約1万6000平方メートル。08年度の売上高は116億円で、09年は前年に比べ約10%の販売減が続く。松坂屋は同市の中心繁華街にある名古屋店(約8万6000平方メートル)など現在8店舗を運営している。



DeNAなど、携帯ネット広告の業界団体設立
 携帯電話向けインターネット広告を手がけるディー・エヌ・エー(DeNA)など3社は24日、成果報酬型(アフィリエイト)広告で広告主企業から不正に手数料を取る悪質なサイト運営者を排除するため、業界団体の「モバイルアフィリエイト協議会」(MAC)を設立する。不正サイトの情報を共有したり、サイトの審査基準を統一したりして健全性を高める。
 DeNAのほか、東証マザーズ上場のアドウェイズとインタースペースの3社で発足。3社合計のシェア(売上高ベース)は5割強。



サイバー、mixi用コンテンツ企画・制作
 サイバーエージェントは、交流サイト(SNS)の「mixi」で楽しめるコンテンツの企画・制作サービスを企業向けに始めたと発表した。
 約1800万人の会員がいるmixi向けのコンテンツは、商品の広告や販促の一環として、企業から注目を集めている。サイバーはこれまでのネット広告とは異なる手法で広告・販促を展開したい企業の需要を見込む。



JVCケンウッド、3D映像の制作を支援 米最大手と提携
 JVC・ケンウッド・ホールディングスは立体的な3D映像の制作を支援する企業向け事業を拡大する。3D映画の上映機器で最大手の米リアルディー(カリフォルニア州)と技術提携し、第1弾として映画など既存の映像を3Dに変換できる業界初の業務用機器を2010年春に発売する。
 JVCケンウッドは3D表示技術などリアルディーの特許やノウハウを利用し、映像を3Dに瞬時に転換できる製品を開発。約300万円で映画会社や放送局などに売り込む。映画会社などは1秒間当たり数百万円をかけて既存の映像を3Dに手作業で変換しており、これを効率化できる。



10年度実質1.4%成長、3年ぶり増へ 政府見通し
 政府は2010年度の国内総生産(GDP)成長率の見通しを、物価変動の影響を除いた実質ベースで1.4%増とする方向で最終調整に入った。米欧の金融危機に伴う急激な経済の落ち込みから脱し、3年ぶりのプラス成長を見込む。物価の変動を加味した名目成長率も実質成長率を上回る1%台半ばとする方向で検討している。10年度予算の政府案が決まる25日にも閣議了解する。
 政府経済見通しは毎年12月に翌年度の経済成長率を試算している。税収見通しや、経済政策の運営の基礎的な資料になる。政府としての経済成長の目標という意味合いもある。



ボルボ、吉利に売却 フォードが基本合意、中国勢の存在感一段と
 【ニューヨーク=小高航】米フォード・モーターは23日、傘下の高級車ブランド「ボルボ」(スウェーデン)を中国の民営自動車大手、浙江吉利控股集団に売却することで基本合意したと発表した。2010年6月までに売却手続き完了を目指し、経営再建を急ぐ。中国の新車市場は09年に米国を抜いて世界最大となる見通しで、中国メーカーの存在感が一段と高まりそうだ。
 フォードと吉利は10年1~3月に契約の詳細を詰める。政府などの承認を得て4~6月に売却手続きを終える計画。フォード側は「売却後もボルボと協力するが、株式を保有する意図はない」としており、完全売却を目指す構えだ。売却額は公表していないが、約20億ドル(約1800億円)との観測も出ている。
 ボルボの08年の世界販売台数は前年比25.5%減の35万9000台。今年7~9月期に1億3500万ドルの税引き前赤字を計上するなど業績不振が続く。フォードは昨年末にボルボの売却方針を示した。技術やブランド力の向上を目指して買収に名乗りを上げた吉利は今年10月に優先交渉権を得ていた。



中国、10年の成長率目標は8%前後 工業情報化相が表明
 【北京=品田卓】中国の李毅中・工業情報化相は今週前半に開いた全国工業情報化工作会議で、来年の中国の経済成長率目標を今年と同様、8%前後に設定したことを明らかにした。「中央が経済成長率8%前後という目標を設定したことに基づいて、工業生産の成長率目標を11%前後に設定した」と述べた。
 中国政府・共産党は12月上旬の中央経済工作会議で、来年の経済運営の基本方針とともに、実質国内総生産(GDP)伸び率(成長率)目標を決めた。来年3月の全国人民代表大会(国会に相当)まで公表しない見通し。日米欧の成長率が弱い中、中国が何%の成長率に設定するかは市場の関心を集めていた。



日経社説 自ら信頼を傷つけた鳩山首相の100日(12/24)
 鳩山内閣が24日で発足から100日目を迎えた。政権交代への大きな期待を背負っての出発だったが、現実は鳩山由紀夫首相の指導力不足による迷走ぶりが目立っている。行政の効率化などに向けた取り組みはなお不十分であり、とても合格点はつけられない。
 8月末の衆院選での民主党圧勝の原動力は政治と官僚のもたれ合いを断ち切り、政治システムを時代に合った形に作り替えてほしいという有権者の意識だったのではないか。
司令塔不在が迷走生む
 戦後の日本政治を率いてきた自民党は、2006年以降に首相が3年連続で交代するなど統治能力の低下をさらけ出した。民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)の筆頭に掲げた「税金のムダ削減」や「天下りの根絶」は政権交代の必要性を訴える上での旗印となった。
 しかし鳩山内閣が初めて取り組んだ来年度の予算編成や税制改正で、十分な成果があがっているとは言い難い。予算の使途を公開の場で吟味する「事業仕分け」を導入したものの、削減規模は衆院選で掲げた約7兆円に遠く及ばなかった。
 景気の一段の落ち込みを防ぐためには予算の精査と並行し、メリハリをつけた経済対策が必要となった。だが首相や菅直人副総理・国家戦略相が予算編成や税制改正で先頭に立って指示をとばすような場面は見られず、経済財政政策の司令塔が誰なのかはいまだにはっきりしない。
 一方で民主党は16日に小沢一郎幹事長の主導でまとめた予算や税制に関する重点要望を提出した。ガソリン税の暫定税率分の税収確保などに道筋をつけたが、「政策決定の内閣一元化」という原則は有名無実化した。小沢氏の影響力の大きさを改めて印象づける結果となった。
 政府の重要人事でも首をかしげるような対応が目立った。鳩山内閣は日本郵政の新社長に斎藤次郎元大蔵次官、人事院総裁に江利川毅前厚生労働次官を充てた。
 首相は能力本位の適材適所であれば次官OBの起用は問題はないと説明した。だが「脱官僚依存」を強調してきた従来の主張とは相いれず、「天下りや渡りの省庁あっせんを全面的に禁止する」との方針が崩れる懸念が出ている。
 政権交代があれば、国政にある程度の混乱が生じるのはやむを得ない面もある。しかし重要な政策判断で迷走や議論の停滞が目立つのは、詰まるところ首相が十分に指導力を発揮していないからではないか。
 なかでも深刻なのは、外交や安全保障をめぐる基軸が定まっていない点である。
 鳩山内閣はインド洋での給油活動を来年1月の期限切れで中止する。アフガニスタン復興への資金援助は大幅に上積みする方針だが、海外の評価が高い人的貢献策の打ち切りは国際的なテロ掃討作戦からの離脱と受け取られかねない。
 沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)の移設問題をめぐる政府内の対応ぶりは危機的でさえある。名護市辺野古地区への移設という日米合意の見直しで揺れ続けた揚げ句、結論を来年に先送りした。
 首相は11月に来日したオバマ米大統領との会談で「トラスト・ミー(私を信じて)」と発言した。だが翌日には「日米合意が前提ではない」と語って周囲を驚かせた。
 12月17日にはコペンハーゲンでクリントン国務長官に新たな移設先を検討する考えを伝え、記者団に「十分に理解していただいた」と説明した。クリントン長官は帰国後に藤崎一郎駐米大使を呼び、現行案の履行を改めて促す異例の展開となった。
日米同盟を揺さぶる
 国際情勢を踏まえた政策の見直しは主体的に取り組めばよい。しかし総合的な安全保障の戦略もないまま日米合意の撤回に動けば、長年培ってきた同盟関係を危険にさらすことになる。
 民主党は対中関係の強化に動き、ここでも小沢幹事長の存在感は大きい。だが外交は二者択一ではなく、強固な日米関係がアジア・太平洋地域の安定の基盤となるはずだ。
 鳩山内閣の歩みを振り返ると、連立を組む社民、国民新両党の主張に振り回される場面が目立った。与党の緊密な連携は大事だが、民主党の基本政策をゆがめてしまっては本末転倒である。
 政権運営には首相の偽装献金問題や小沢氏の西松建設からの巨額献金事件も影を落としている。新体制になって党首討論が実現していない原因の一つは、野党から疑惑を追及されたくないとの意識が働いているためとみられている。
 来年夏の参院選をにらんで与野党の駆け引きが強まるのは避けられないが、疑惑の解明や政策論争から逃げていては政治の停滞につながるだけだ。それでは鳩山内閣への期待も失望に変わってしまう。
ソニー・エリクソン「Xperia X10」開発者インタビュー
 ソニー・エリクソンがグローバルモデルとして海外で発表した「Xperia X10」は、日本を含む世界での発売が予定されているフルタッチ操作のAndroid端末だ。4インチのフルワイドVGA液晶や1GHz駆動のCPU、810万画素カメラなどスペック面で注目を集めるが、ソニー・エリクソン独自のユーザーインターフェイスを搭載しているのも特徴となっている。
 ソニー・エリクソンのグローバル部門でXperia X10を開発している担当者に、インタビュー取材を行う機会を得た。Xperia X10をコンセプト段階から担当しているマーカス・加藤氏と、プロダクトの企画を担当した安達氏の2名に、開発の背景や特徴的なユーザーインターフェイスを中心に、話を伺った。
 なお、Xperia X10は日本ではドコモからの発売が明らかにされているものの、詳細は現在未定。インタビューでお答えいただいた内容は、海外市場向け端末の仕様が基本になっていることに注意していただきたい。
――ソニー・エリクソンとして初めてOSにAndroidを採用した端末です。どのような理由でAndroidを選んだのでしょうか。
マーカス氏
 Androidの立ち上げに際してグーグルから連絡があり、一緒にプラットフォームを育てていかないかと誘われました。XperiaというブランドはOSなどのプラットフォームに依存するものではありませんし、Androidのポテンシャルは高いと感じました。
安達氏
 Androidはコンシューマー市場向きという趣きでしたし、開発しやすいツールが揃っていました。これらを利用すれば、ソニー・エリクソンとしての独自色を出しやすく、我々の意思を伝えやすいと考えました。
――初めてのAndroid端末ということで、実験的な意味合いが強いのでしょうか。
マーカス氏
 ソニー・エリクソンとして大きなプロジェクトですし、Xperia X10は2010年上半期のラインナップでフラッグシップモデルに位置づけています。
安達氏
 Android搭載端末に関しては、X10だけでなく順次展開していく方針です。
――グローバルのソニー・エリクソンとして、既存のシリーズとの棲み分けはどうなるのでしょうか。
マーカス氏
 ポートフォリオでは、Xperia X10はずば抜けたトップエンドのモデルです。既存のシリーズであるWalkman Phone、Cyber-shot Phoneの要素といったものを取り込んだ内容になっています。
安達氏
 ソニー・エリクソンの新しいプラットフォームを打ち出す最初の機種ということになります。
――訴求ポイントはグローバルで共通ということでしょうか。
安達氏
 訴求ポイントも基本的に各国で同じですね。
■ 「人とのつながり」を軸に、端末内のデータをシームレスに扱う
――Xperia X10の特徴を教えてもらえますか?
マーカス氏
 OSとしてのAndroidの機能を壊すことなく、ソニー・エリクソンのUIを載せたものです。Androidの特徴的なアップトレイ(待受画面下部のアプリ一覧を表示するトレイ)や画面上部の通知エリア、グーグルのサービスを利用するアプリなど、標準的なAndroid端末の機能はすべて搭載しています。
 ベーシックなAndroidの上に、我々が「UXプラットフォーム」と呼ぶものを搭載しています。洗練されたグラフィックが特徴のひとつで、ダイヤル画面からメッセージングアプリ、文字入力まで幅広くカバーしています。
 「UXプラットフォーム」では大きな特徴として、ユニークなアプリ「タイムスケープ(Timescape)」「メディアスケープ(Mediascape)」を用意しています。
 「タイムスケープ」は、さまざまな人のステータスやメッセージを、時間軸で整理して表示するものです。見た目も楽しく、新しい情報は画面の上から降ってくるイメージです。すべてを表示するメインスプライン画面のほかに、メールだけ、メッセージングサービスだけなど、画面下部のタブで内容をフィルタリングして表示することも可能です。
 タイムスケープで非常にこだわったのは、「インフィニットボタン(infinite button)」の機能です。例えば何かの情報が更新され、ある人がメインスプラインに表示されたとします。そこに表示されるインフィニットボタンを押せば、その人に関連したメールのやりとりの履歴、メッセージングサービスのやり取り、通話履歴、顔写真など、端末の中のその人に関連する情報がすべてシームレスに見られ、扱えるようになっているのです。人とのコミュニケーションを軸に考えたアプリですね。
安達氏
 これまでなら、複数のサービスを使う場合、アプリを立ち上げて使い、一度アプリを閉じて、また別のアプリを立ち上げて……という風に流れが分断されていました。タイムスケープとインフィニットボタンでは、ユーザーが何を知りたいのか、ということに対し、その「人」に関わる“つながり”を横断的に見せるのです。
マーカス氏
 タイムスケープでは常に新鮮な情報を表示できますし、無限につながっていく様子からインフィニットボタンと名付けました。タイムスケープは待受画面に設定することも可能で、ウィジェットも用意しています。
■ コミュニケーション自体をエンターテイメントに
――話を伺っていると、思想や発想の軸が違うと感じました。携帯電話というより、新しい時代のための道具という印象です。
安達氏
 発想の根源から違うという部分はあると思います。実は、開発には多くの日本人が関わっていますが、スウェーデンやカリフォルニアのオフィスとも相互に緊密に連携し、発想やアイデア、コンセプト段階からグローバルな体制で開発しています。そういった新しさもウリの部分かもしれません。
 音楽やビデオなどは重要なエンターテイメントであり続けると思います。しかし、私たちが携帯電話を通して楽しいと感じるのは、思いがけず久しぶりにメールをもらったり、新しい情報に出会えたり、メッセージをやり取りする際の“間”であったりするのではないでしょうか。Xperia X10は、そういった人とのコミュニケーション自体をエンターテイメントにしようというものなのです。
――機能からアクションを起こすのではなく、コミュニケーションからアクションを起こすという発想だと思うのですが、いつ頃から出ていた考えなのでしょうか。
マーカス氏
 社内でキーワード自体は昔からありましが、とてもよく表現できたのがこの端末ということになると思います。Androidというプラットフォームが登場したタイミングも最適でした。
 社内では、ケータイの進化を語る上で、音声、(音楽・動画などの)メディア機能ときて、次はWebコミュニケーションが来ると考えていました。それがうまく形になったのがXperia X10ではないでしょうか。
――TwitterやFacebookなど世界的に広がっているサービスに対応していますが、各国それぞれで人気のローカルサービスには対応するのでしょうか。
マーカス氏
 端末の発売時期にはTwitterやFacebookのほか、ロシアや中国などではローカルサービスへの対応を進める予定です。タイムスケープなどは、閉じたアプリではないので、キーとなるパートナーと協力してプラグイン形式で機能を追加できるようにします。
――日本では絵文字への対応が課題とされることもありますが、そういったことに象徴されるように、各国の市場にはそれぞれ流行のサービスや土着の文化があると思います。Xperia X10はこの中でどのユーザー層をターゲットにしているのでしょうか?
安達氏
 あらゆるユーザーに届くわけでないかもしれませんが、ターゲットとしたユーザーには国境を越えて端末の良さを訴求していけると思います。
 また、ローカルな文化としてのコミュニケーションの形態には、時期やタイミングをみて対応していきたいですね。
 一方で、Androidのプラットフォームとしての進化もあるので、あまり手を加えすぎると、進化のスピードに追いつけなくなる可能性があります。ローカルに特化してプラットフォームの進化に追いつけなくなれば、我々の表現したいメッセージが伝わりにくくなりますし、そうなれば本末転倒です。
――OSを含め、タイムスケープ、メディアスケープといった機能も必要に応じてアップデートされ、提供されるのでしょうか?
マーカス氏
 基本的には、キャリアを通じてアップデートを随時提供していく予定です。
――日本の携帯電話市場、とりわけ端末の進化をどのように捉えていますか? 特殊な進化のように揶揄されることも増えていますが、個々の内容は間違っていないと感じています。
安達氏
 日本の市場は、ハードウェア、ソフトウェア、サービスの対応など、さまざまな観点から品質に対して非常に厳しいですね。ソニー・エリクソンは日本に開発拠点を持っていますから、そういったさまざまな品質の高さを、日本からグローバルの担当者にフィードバックできています。
マーカス氏
 Xperia X10はグローバル市場をターゲットにした端末ですが、日本人のメンバーが大きく関わっています。安達はハードウェアをの中心に商品企画を担当しましたし、端末デザインも日本主導で行なったプロジェクトですよ。
 ソニー・エリクソンが日本に開発拠点を構えているからこそ培うことができたものがあり、それをグローバルに持ち込み、各国のメンバーが良いところを持ち寄ってできたのがXperia X10なのです。



たばこ税引き上げ、JT「影響大きい」 税制大綱で産業界反応
 政府が22日、暫定税率の実質維持などを盛り込んだ税制改正大綱を閣議決定したことを受け、たばこ税増税に直面する日本たばこ産業(JT)や、負担軽減を見込んでいた自動車・石油業界からは落胆の声が上がった。一方、免税継続や特例非課税枠の拡大が決まった化学や住宅業界からは歓迎する声も出た。
 JTはたばこ税が1本あたり3.5円引き上げられることについて「経験のない大幅増税が愛煙家や業界に及ぼす影響は計り知れない。今後、市場動向や経済環境をみながら、増税幅を上回る価格改定を実施する」とのコメントを発表した。同社は「マイルドセブン」「セブンスター」など銘柄別に値上げ幅を変えることも検討している。



「消費税引き上げ」明記、自民運動方針原案
 自民党の2010年運動方針の原案が22日、明らかになった。
 消費税を全額年金や医療、介護など社会保障分野に充てる目的税とした上で、税率を引き上げることを明記した。また、来年夏の参院選を政権奪還に向けた、反転攻勢のチャンスとして党の一致団結を呼びかけている。
 原案では、先の衆院選の敗因について「長年政権与党であったおごりや新陳代謝がない候補者選定などの結果、国民の信頼を失った」と分析。「私たちは必ず政権を奪還する。今は我が党にとって厳しい時代だ。しかし、立党の精神を堅持しつつ時代が必要とする新たな政策を掲げ続ける」と党再生への決意を示した。



米マイクロソフト、「ワード」特許でカナダ社に敗訴
 【シリコンバレー=岡田信行】米連邦巡回控訴裁判所は22日、米マイクロソフト(MS)の文書作成ソフト「ワード」の機能の一部が特許権を侵害しているとカナダのi4i社(アイ・フォー・アイ)がMSを訴えていた訴訟で、i4i側の主張を認め、損害賠償など総額2億9000万ドルの支払いを命じた。MSは来年1月11日以降の販売分から問題の機能を除く対応をとると発表した。
 カナダのトロントに本拠を置くi4i社は07年、MSの文書作成ソフト「ワード2007」に搭載されている文書管理機能の一部が、自社の特許を侵害しているとしてMS社を提訴。今年8月、テキサス州の連邦地裁が訴えを認め、販売差し止めを命令。MSが控訴していた。MSは声明で「今回の判決は来年1月11日以降に米国で販売する分が対象で、すでにソフト修正の準備を進めている。再審理請求や上訴を求めるかどうか検討する」と発表した。
pixiv月間10億PV突破 海外からのアクセス増加
 ピクシブは12月22日付けで、SNS「pixiv」の月間ページ―ビュー(PV)が10億を突破したと発表した。2007年9月の開設から約2年3カ月で達成した。会員数は140万人、イラスト累計投稿数は770万に達している。
 1アクセス当たりの平均サイト滞在時間は13分55秒。月間6億PVを突破した今年3月より約1分伸びた。1日当たりの過去最多PVは、今年12月13日に記録した3713万。
 海外からのアクセスは全体の約8%で、今年3月より約2ポイント増えた。海外185カ国からアクセスがあり、台湾、中国、アメリカの順で多かった。



京セラ、北米に高機能携帯 海外用第2世代機も開発
 京セラは海外の携帯電話市場の開拓を強化する。需要が拡大している高機能携帯電話「スマートフォン」を2010年春に北米市場で発売。海外で主流の第2世代規格「GSM」に対応した端末も開発する。中国の工場を閉鎖するなど収益改善策を進める一方で、今後の事業拡大に備える。
 スマートフォンは大きめの画面とキーボードを搭載し、パソコンのように使える。北米では従来型端末から需要がシフトしている。京セラは来春モデルでスマートフォンを投入。通信大手のスプリント・ネクステル向けで、08年に携帯電話事業を買収した三洋電機のブランドとなる見通し。



「実行力あるCEO」、サムスンの尹鍾龍氏が2位 米誌選定
 米ハーバードビジネスレビュー誌が選んだ「世界で最も実行力のある最高経営責任者(CEO)」で韓国・サムスン電子の尹鍾龍(ユン・ジョンヨン)氏が2位となった。5位はインドの財閥系石油大手リライアンス・インダストリーズのムケシュ・アンバニ氏で、アジアの企業からトップ5に2人が入った。1位は米アップルのスティーブ・ジョブズ氏。
 1995年から2007年までの間に就任したCEOを対象に経営実績を調査した。サムスン元CEOの尹氏は半導体メモリーに偏っていた事業構造をデジタル家電の総合メーカーへ脱皮させた手腕が評価された。



トヨタ:「RAV4」カナダへ生産移管、増産・円高対応
 16日付の日刊自動車新聞は、トヨタ自動車が田原工場(愛知県田原市)で生産している北米市場向け「RAV4」の生産をトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・カナダ(TMMC)へ2010年3月に移管すると報じた。増産とともに円高に対応するため、生産現地により利益水準の向上を図ると伝えている。



トヨタ、フォルクスワーゲンの販売代理店契約を10年末で終了
 トヨタ自動車は22日、国内のフォルクスワーゲン車の販売代理店契約を2010年12月末に終了することでフォルクスワーゲングループと合意したと発表した。
 フォルクスワーゲンの販売体制見直しの一環。これまで販売を手掛けていたトヨタ系のフォルクスワーゲン正規ディーラー「DUO(デュオ)」はフォルクスワーゲングループと直接契約を結ぶことになる。



ブロードバンド、20年に全世帯で利用 総務相が経済成長戦略
 原口一博総務相は22日、情報通信技術(ICT)や新エネルギーの活用などを柱とする独自の経済成長戦略を公表した。約4900万の全世帯が2020年にブロードバンドサービスを利用できるようにするといった目標を掲げた。政府が年内に骨格を固める成長戦略に反映させたい考えだ。
 総務相の成長戦略は「ICT維新ビジョン」と「緑の分権改革推進プラン」で構成する。ICT分野への投資を現在の2倍に増やし、生産性を3倍に引き上げるとした。20年までに温暖化ガスの排出量を1990年比で25%削減するという政府の目標にも触れ、このうちの10%以上をICTの活用で実現する方針を示した。



診療報酬、小幅増額へ 来春から10年ぶり
 財務省と厚生労働省は22日、患者や公的保険が医療機関に支払う診療報酬について、2010年度改定では、診療報酬全体をどれだけ増減させるかを示す改定率を小幅のプラスにする方針を固めた。救急医療などの立て直しに報酬を手厚く配分する必要があると判断した。全体のプラス改定は10年ぶり。ただ財政難に配慮し0.05~0.36%の小幅のプラス幅で調整し、来年4月から実施する。
 診療報酬は国が定める医療行為ごとの単価。税金や保険料などを財源に医療機関に支払う仕組みだ。厚労省は不足する病院勤務医の確保や救急・産科などの医療の提供体制を強化するため、全体で0.36%のプラス改定を主張。財務省は収入の多い開業医の報酬を削り勤務医に回すなどして対応すべきだと指摘。全体では1%程度のマイナス改定を求めていた。



整備新幹線、10年度新規着工も 国交省、方針を修正
 国土交通省は22日、整備新幹線の未着工区間について従来の方針を修正し、2010年度中に新規着工するかどうか検討する方針を固めた。来年夏までに採算性などを検証し、着工条件が整ったと判断した場合は、既着工区間に充てる予定の事業費2600億円の一部を未着工区間に回す考えだ。
 前原誠司国土交通相は「新たな整備新幹線はじっくり議論していきたい」などとして10年度予算案での事業認可・新規着工は認めない方針を示していた。しかし、未着工区間を抱える与党議員から「来年度の新規着工の可能性を否定したら来年の参院選は戦えない」などの声が上がっていた。



米、成長分野へ支援強化 環境・省エネやITなど
 【ワシントン=大隅隆】米オバマ政権は雇用創出と産業競争力の向上を目指して、環境・省エネやIT(情報技術)など成長分野への支援策を一段と強化し始めた。ブロードバンド(高速大容量)通信網の全国整備へ総額72億ドル(約6500億円)の助成を開始。電気自動車や太陽電池などの開発支援も現行の3倍強の73億ドルに枠を広げる意向を表明した。金融危機対応が一段落したのを受け、中長期をにらんだ成長戦略にも踏み出しつつある。
 IT分野では、ジョージア、アリゾナなど17州でのブロードバンド網の整備計画18事業に1億8200万ドルの助成を決めた。米全世帯にブロードバンド網を普及させるという政権公約を実現するため、主に地方での通信網整備に充てる。今年2月の景気対策法で決まった通信インフラ支援枠72億ドルの初の活用例で、来年3月までに20億ドル分の助成先も選ぶ方針。今回の決定について、ロック商務長官は「ブロードバンド網の拡大は米競争力にとって決定的に重要だ」と強調した。



日経社説 活力と規律の展望見えぬ鳩山税制大綱(12/23)
 鳩山内閣が政権交代後で初めての2010年度税制改正大綱を決めた。既得権益の一掃を旗印に、政治主導の税制を目指したが、結果的には「枝葉」の制度改正にとどまった。日本経済の活力を高め、財政を安定させるような税制改革の全体像を描き直すべきだ。
 税制は国の骨格を左右する。民主党は自民党税制調査会のような特定業界との結びつきを排し、新しい政府税制調査会で政治主導の透明な意思決定を目指した。基本的な方向は正しく、評価できる内容もあるが、骨太な税制改革とは言い難い。
財源確保の思惑が優先
 10年度改正に盛り込んだ措置は国・地方の合計で差し引き約1兆円の増税(平年度ベース)となる。
 民主党が衆院選で公約した給付策の財源を確保する思惑が目立つ。所得税などの控除の見直しでは子ども手当導入と引き換えに、11年分の所得税と12年度分の住民税から、15歳以下の子がいる世帯への扶養控除を廃止する。高校無償化に伴い16~18歳分の特定扶養控除も圧縮する。
 控除が減れば課税対象の所得が増えるので税負担は増すが、より高い税率を適用する高所得層ほど重い負担になる。給付する手当は同額なので、低所得層に手厚い措置となる。格差是正の面では有効だが、配偶者控除の議論を先送りするなど、課題を積み残した。
 民主党が廃止を公約していたガソリン税の暫定税率は新たな制度に衣替えして現行の税率を維持する。
 09年度の国税収入は予算額より9兆円も下振れして37兆円弱にとどまり、10年度も不振が続く。国・地方で2.5兆円の減収につながる暫定税率の廃止は財政と地球温暖化防止の両面から不適切で、判断は妥当だ。一方で、大綱は地球温暖化対策税の11年度実施を目指すと明記した。着実な温暖化防止の財源確保へ、有効で公平な制度を詰めてほしい。
 企業向け税制では期間を区切った政策減税である租税特別措置の一部を整理した。中小企業向けの法人税率引き下げも見返りの財源がないとの理由で見送った。一方で研究開発減税や中小企業向けの投資促進税制は維持した。
 不透明な税制の整理は大切だが、景気への配慮も必要だ。中小企業の税率引き下げも投資を促す措置として有効だったのではないか。
 住宅資金に対する贈与税の非課税枠を拡大する措置や、少額株式投資に対する配当や譲渡所得への非課税措置も盛り込んだ。住宅投資や株式市場の活性化へ効果が見込める。
 健康維持の観点で、欧米に比べて低水準だったたばこ税を上げるのは評価できる。たばこ価格は来年10月から1本当たり5円程度上がり、標準的な20本入り1箱は400円程度になる。たばこ事業法の見直しや葉タバコ農家対策なども念頭に、なお適正な課税を探るべきだ。
 個々の項目の詰めは進んだが、大綱は枝葉を整えただけである。太い幹となる中長期の税制改革では、説得力のある理念を示せていない。
 日本経済を支える企業の活動をどう後押しし、活力をどう高めるか。財政規律を取り戻し、膨らむ社会保障費をどうまかなっていくか。こうした点に留意して、新たな税制の青写真を示すことが、企業や個人の投資や消費を促す上で重要である。
 税制大綱は中長期の税制改革について一応の姿を示したが、目指すべきは、スピード感のある一貫した税制の再設計だ。その点で、大綱の内容はまだまだ力不足である。
番号制の導入を早めよ
 まず、税制の抜本改革に不可欠な納税者番号の導入を急ぐべきだ。1年以内に、社会保障と税の共通の番号制度導入に関する結論を出すというが、実現はかなり先となる。個人情報保護の問題など数多くの懸案はあるが、実現の時期を極力早めるよう努力してほしい。
 個人の納税情報をつかむ番号制は減税と低所得者への給付を組み合わせた「給付つき税額控除」の導入に不可欠だ。給付と負担を個人ごとに明示する社会保障勘定や、年金制度を一元化する際の前提にもなる。
 中国やインドの台頭で激化する国際競争力への目配りも重要だ。日本は国・地方合計の法人実効税率が約40%と突出して高い。日本企業に国内で投資や事業を進めてもらうには、法人税率の引き下げが急務だ。
 消費税率の引き上げについて「4年間は凍結する」という与党方針を単に追認したのも疑問がある。
 少子高齢化で社会保障費の膨張は止まらず、税収不振で財政赤字が一段と深刻になっている。増税の先送りだけでは将来に対して無責任だ。財政規律をどう確保するのか、金融市場も疑念を深めかねない。
 今回の税制改正作業はわずか2カ月余りの短期決戦だった。政府税調は日本の将来を見据え、税制の全体像を改めて入念に詰めてほしい。
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