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ネットバブルから10年、成長のカギはモバイル・ソーシャル・リアルタイムへ(COLUMN1)
1月3日の「日経ヴェリタス」紙によれば、2010年の投資のカギは4つの「E」とのことである。「Emerging(新興国)」、「Eco・Energy(環境)」、「Elderly people(高齢者市場)」、「E-commerce(電子商取引)」――こうしたキーワードに関連した事業が成長するとの見通しが示されていた。インターネットバブルからちょうど10年が経過しようとしているが、当時もE-commerceは大いに投資家に期待されていたことを思い出した。
E-commerce企業の代表とも言える楽天の2000年度の売上高(連結)は32億円。これが直近の決算年度である08年度には2,498億円と、80倍近くになっている。このことを考えると、株価はともかく、当時のインターネットビジネスに対する期待は必ずしもバブルだったとばかりも言えない。そして現在、更なる期待が集まっているのは、今度こそインターネットビジネス全体が成長するための基盤が整ったと考えられているためだろう。
これまで、次々と生まれる新たな技術やサービスにうまく対処し、厳しい競争を生き残ってきたインターネット企業は確かな果実を手にしてきた。こうした技術やサービスの革新の速い世界で成長を続けるために、当面重要になるコンセプトや課題は何なのだろうか。昨年10月に参加した「Web2.0 Summit」から感じたことを中心に考えてみたい。
■未来のビジネスは「Webの2乗」?
Web2.0 Summitは04年に米技術系出版社、オライリー・メディアを率いるティム・オライリー氏が「Web2.0」という言葉を産み出して以降、毎年開催されており、最先端のインターネットビジネスを議論する場として定着した感がある。今回もチケットは完売し、注目度の高さを改めて示した。
■ネットビジネスのキーワード
現在、シリコンバレーのベンチャーキャピタルは「モバイル」「ソーシャル」「リアルタイム」の3つのキーワードをゴールデントライアングルと呼ぶ。
「モバイル」とは、世界が本格的なモバイルインターネットの時代に突入することを指すものである。「iPhone」の爆発的な普及をきっかけにモバイルインターネットユーザーが増加したことで、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のようなプラットフォームやECサイトはモバイル端末からのアクセスを主眼に置いて構築する必要を迫られつつある。
モルガン・スタンレーのアナリストであり、毎年この会議でインターネットビジネスのトレンドに関する報告を行っているメアリー・ミーカー氏が、こうしたことを説明する際に、ミクシィや楽天のユーザーに占めるモバイル端末からのアクセス割合が増加していることを挙げたのは印象的だった。私は06年以降毎年このサミットに出席しているが、日本企業の事例が紹介されたのは初めてだと思う。
日本の携帯電話業界は「ガラパゴス」ともいわれるが、モバイル先進国であることは全世界で認めるところである。日本で培った技術やサービスのノウハウを日本企業は世界市場で大いに生かす機会が広がりつつあるのだ。
「ソーシャル」とはユーザー参加型のインターネット世界の圧倒的な広がりを指す。Web2.0以降、順調に拡大を続けているソーシャルウェブの世界は依然としてその勢いを増しており、米SNS大手フェースブックのような企業はインフラ拡張に余念がない。コミュニケーション要素の高い「ソーシャルゲーム」を手がける米Zingaのように、短期間で爆発的にユーザー数を獲得する企業も生まれている。
「リアルタイム」は、主に「リアルタイム検索」を指すキーワードである。今回のサミットではマイクロソフトとグーグルが相次いで「Twitter(ツイッター)」との提携を発表し、それぞれの検索結果に最新のツイッター上の書き込みが含まれるようになったことを報告している。ツイッターというプラットフォームを実験台として、リアルタイム検索技術は進化しつつあるのだ。特にグーグルがすでにリアルタイム検索でも高い精度を維持するための技術開発を行いつつあることは、最近複数のメディアで報じられている。
■3つのキーワードの交差点に成長のカギ
今回のサミットで面白かったセッションの1つに“Humans As Sensors”と名づけられたものがあった。全世界で携帯電話は年間10億台以上販売される。これらの携帯電話は音声入力装置(マイク)、画像入力装置(カメラ)と共に、GPS(全地球測位システム)やインターネット接続機能を標準的に備えているため、理論的には人間自体が世界中に散らばった「センサー」として機能するというものである。このセッションでは携帯端末を活用したAR(Augmented Reality:拡張現実。現実世界の映像に、各種の情報を重ね合わせて見せるような技術)関連のビジネスなどが紹介されたが、こうしたものも徐々に一般ユーザーに使われ始めている。
ARのビジネスはモバイル、ソーシャル、リアルタイムの3つのキーワードとの関係が深い。モバイル端末を使うのはいうまでもないが、ユーザー参加型の機能は当然のように実装されるケースが多く、ウェブ上の情報とリアルタイムに連動するようになるのも時間の問題だろう。
ARに限ったことではないが、これら3つのコンセプトは相互に密接に関連しており、今後こうしたコンセプトの重なる領域に新しいインターネットビジネスの世界が広がると考えられる。 昨年、あるインターネット企業の代表と会談した際、「インターネットビジネスはまだまだこれから。今はやっと夜が明けて朝食を食べたところで、この先には豪華なディナーも待っている」と話しておられた。
確かに、ITビジネスの成長領域は完全にインターネット上でのサービスに移行したと考えていいだろう。例えば、昨今の流行語である「クラウドコンピューティング」は完全にインターネットビジネスであり、この言葉には真実味がこもっている。わが国のインターネット企業がここで挙げたようなコンセプトに対応できるビジネスを確立できれば、今度こそ経済のけん引役となると期待していいのではないだろうか。
「喜羊羊と灰太狼」大ヒットで中国アニメ産業は浮上するか(COLUMN2)
2009年の中国流行語大賞を選ぶとすれば、「嫁人要嫁灰太狼、作人要作喜羊羊」は間違いなくその1つだろう。意味は「嫁に行くなら灰太郎のような旦那に、人としては喜羊羊のようになれ」。「灰太狼」も「喜羊羊」も09年に大ヒットした中国アニメ映画「喜羊羊と灰太狼」のキャラクターだ。久々に登場した国産アニメ大作は中国では社会現象にまでなった。
■配給収入15億円の大ヒット作
09年の春節(旧正月)に公開された「喜羊羊と灰太狼」は最初の3日間だけで3000万元(約4億5000万円)を稼ぎ出し、最終的な配給収入は1億元(約15億円)を突破した。08年に公開された米アニメ映画「カンフー・パンダ」に迫るヒットで、外国作品が圧倒的に強い中国アニメ業界では「奇跡」といってもいい。
関連商品もあっという間にスーパーやコンビニの棚を占領し、「喜羊羊と灰太狼」旋風を巻き起こした。コンテンツ業界だけでなく政府までがこの作品に注目し、制作会社が本拠を置く広東省では政府年度総括リポートでも取り上げたほどだ。10年の春節にはシリーズの新作が公開される予定で、中国の子供たちは首を長くして待っている。これは長らく成長軌道に乗れずに苦しんでいた中国アニメ産業にとって突破口となるのだろうか。
■テレビ放映とライセンスで浸透
「喜羊羊と灰太狼」は一夜にして成功したわけではない。オリジナルアニメがテレビ局で初めて放送されたのは05年。制作会社はキャラクターの浸透を図るため安い放送権料でテレビ局と契約し、関連グッズのライセンス供与で制作費用の回収を狙った。作品の質がよかったのは当然だが、こうした積み重ねでようやく国営放送の中国中央電視台(CCTV)をはじめ全国の50局以上で600話も続くシリーズとなった。
映画化にあたっては、中国メディア大手のSMGグループ、子供向けコンテンツのプロモーションに定評のある北京優揚グループと組んだのが大きい。企画からコンテンツ制作やプロモーションまでを三者一体で行い、映画のヒットに続いてライセンスビジネスで弾みをつける好循環になった。
09年はじめに39社だったライセンス供与先は年末には174社まで増え、ブランド力の上昇ぶりを物語っている。コンテンツの制作・流通から関連商品に至るバリューチェーンを構築し、時間をかけてブランドを育成するスタイルはまさにアニメビジネスの王道だ。
■アニメ産業育成の機運
ここにきてソフトパワーを重視するようになった中国政府は文化産業を「10大重点産業」の1つと位置付けている。特に産業基盤が脆弱なアニメ産業にはかなりの力を入れ、ゴールデンアワーの外国製アニメ放送禁止など、保護主義と批判されても仕方がないてこ入れ策まで講じている。
これに呼応して、中国全土で50以上のアニメ産業基地が産声を上げ、産業としてのインフラも整い始めた。アキレス腱となっていた資金調達でも、セコイア・キャピタルやCineGroupeといった外資系ファンドなどが参入し、一時期よりマネーが流入し始めている。
CineGroupeは10億元(約150億円)を投じた制作センター建設で注目を浴び、セコイアは零細企業の多い中国アニメ産業に業界再編を仕掛けて新しい流れをつくろうとしている。「喜羊羊と灰太狼」だけでなく中日共同制作アニメの「三国演義」も一定の成功を収め、内外投資家の意欲を刺激した。これらが中国アニメ産業の追い風であるのは間違いないだろう。
■海賊版問題などの解決が課題に
ただ、このまま国産アニメが急成長を続けるとみるのは早計だ。中国アニメ関連市場の9割は依然として海外コンテンツが握っており、流通チャンネルの未整備や人材不足、海賊版やコピー商品の横行といった問題も横たわる。
中国は日本ほど漫画の普及度が高くなく、まずはテレビ局の放送に頼らざるを得ない。しかし、中国ではテレビ局からの放送権収入が低く、放送だけで投資を回収するのが難しい。ある程度の資金力がなければ、制作を維持できない業界構造になっている。
海賊版やコピー商品の横行もアニメ産業の成長を阻む大きな壁だ。ライセンス管理が比較的しっかりしているといわれる「喜羊羊と灰太狼」でさえ、今市場に流通している関連商品の8割以上がコピー商品だという。特に地方都市では管理が行き届きにくい。
中国のアニメ産業は関連商品だけでも1000億元(1兆5000億円)の潜在規模といわれる。しかし、これらの問題を解決しない限り「喜羊羊と灰太狼」のようなヒットは一過性に終わり、産業全体の底上げにはつながらないだろう。
1月3日の「日経ヴェリタス」紙によれば、2010年の投資のカギは4つの「E」とのことである。「Emerging(新興国)」、「Eco・Energy(環境)」、「Elderly people(高齢者市場)」、「E-commerce(電子商取引)」――こうしたキーワードに関連した事業が成長するとの見通しが示されていた。インターネットバブルからちょうど10年が経過しようとしているが、当時もE-commerceは大いに投資家に期待されていたことを思い出した。
E-commerce企業の代表とも言える楽天の2000年度の売上高(連結)は32億円。これが直近の決算年度である08年度には2,498億円と、80倍近くになっている。このことを考えると、株価はともかく、当時のインターネットビジネスに対する期待は必ずしもバブルだったとばかりも言えない。そして現在、更なる期待が集まっているのは、今度こそインターネットビジネス全体が成長するための基盤が整ったと考えられているためだろう。
これまで、次々と生まれる新たな技術やサービスにうまく対処し、厳しい競争を生き残ってきたインターネット企業は確かな果実を手にしてきた。こうした技術やサービスの革新の速い世界で成長を続けるために、当面重要になるコンセプトや課題は何なのだろうか。昨年10月に参加した「Web2.0 Summit」から感じたことを中心に考えてみたい。
■未来のビジネスは「Webの2乗」?
Web2.0 Summitは04年に米技術系出版社、オライリー・メディアを率いるティム・オライリー氏が「Web2.0」という言葉を産み出して以降、毎年開催されており、最先端のインターネットビジネスを議論する場として定着した感がある。今回もチケットは完売し、注目度の高さを改めて示した。
■ネットビジネスのキーワード
現在、シリコンバレーのベンチャーキャピタルは「モバイル」「ソーシャル」「リアルタイム」の3つのキーワードをゴールデントライアングルと呼ぶ。
「モバイル」とは、世界が本格的なモバイルインターネットの時代に突入することを指すものである。「iPhone」の爆発的な普及をきっかけにモバイルインターネットユーザーが増加したことで、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のようなプラットフォームやECサイトはモバイル端末からのアクセスを主眼に置いて構築する必要を迫られつつある。
モルガン・スタンレーのアナリストであり、毎年この会議でインターネットビジネスのトレンドに関する報告を行っているメアリー・ミーカー氏が、こうしたことを説明する際に、ミクシィや楽天のユーザーに占めるモバイル端末からのアクセス割合が増加していることを挙げたのは印象的だった。私は06年以降毎年このサミットに出席しているが、日本企業の事例が紹介されたのは初めてだと思う。
日本の携帯電話業界は「ガラパゴス」ともいわれるが、モバイル先進国であることは全世界で認めるところである。日本で培った技術やサービスのノウハウを日本企業は世界市場で大いに生かす機会が広がりつつあるのだ。
「ソーシャル」とはユーザー参加型のインターネット世界の圧倒的な広がりを指す。Web2.0以降、順調に拡大を続けているソーシャルウェブの世界は依然としてその勢いを増しており、米SNS大手フェースブックのような企業はインフラ拡張に余念がない。コミュニケーション要素の高い「ソーシャルゲーム」を手がける米Zingaのように、短期間で爆発的にユーザー数を獲得する企業も生まれている。
「リアルタイム」は、主に「リアルタイム検索」を指すキーワードである。今回のサミットではマイクロソフトとグーグルが相次いで「Twitter(ツイッター)」との提携を発表し、それぞれの検索結果に最新のツイッター上の書き込みが含まれるようになったことを報告している。ツイッターというプラットフォームを実験台として、リアルタイム検索技術は進化しつつあるのだ。特にグーグルがすでにリアルタイム検索でも高い精度を維持するための技術開発を行いつつあることは、最近複数のメディアで報じられている。
■3つのキーワードの交差点に成長のカギ
今回のサミットで面白かったセッションの1つに“Humans As Sensors”と名づけられたものがあった。全世界で携帯電話は年間10億台以上販売される。これらの携帯電話は音声入力装置(マイク)、画像入力装置(カメラ)と共に、GPS(全地球測位システム)やインターネット接続機能を標準的に備えているため、理論的には人間自体が世界中に散らばった「センサー」として機能するというものである。このセッションでは携帯端末を活用したAR(Augmented Reality:拡張現実。現実世界の映像に、各種の情報を重ね合わせて見せるような技術)関連のビジネスなどが紹介されたが、こうしたものも徐々に一般ユーザーに使われ始めている。
ARのビジネスはモバイル、ソーシャル、リアルタイムの3つのキーワードとの関係が深い。モバイル端末を使うのはいうまでもないが、ユーザー参加型の機能は当然のように実装されるケースが多く、ウェブ上の情報とリアルタイムに連動するようになるのも時間の問題だろう。
ARに限ったことではないが、これら3つのコンセプトは相互に密接に関連しており、今後こうしたコンセプトの重なる領域に新しいインターネットビジネスの世界が広がると考えられる。 昨年、あるインターネット企業の代表と会談した際、「インターネットビジネスはまだまだこれから。今はやっと夜が明けて朝食を食べたところで、この先には豪華なディナーも待っている」と話しておられた。
確かに、ITビジネスの成長領域は完全にインターネット上でのサービスに移行したと考えていいだろう。例えば、昨今の流行語である「クラウドコンピューティング」は完全にインターネットビジネスであり、この言葉には真実味がこもっている。わが国のインターネット企業がここで挙げたようなコンセプトに対応できるビジネスを確立できれば、今度こそ経済のけん引役となると期待していいのではないだろうか。
「喜羊羊と灰太狼」大ヒットで中国アニメ産業は浮上するか(COLUMN2)
2009年の中国流行語大賞を選ぶとすれば、「嫁人要嫁灰太狼、作人要作喜羊羊」は間違いなくその1つだろう。意味は「嫁に行くなら灰太郎のような旦那に、人としては喜羊羊のようになれ」。「灰太狼」も「喜羊羊」も09年に大ヒットした中国アニメ映画「喜羊羊と灰太狼」のキャラクターだ。久々に登場した国産アニメ大作は中国では社会現象にまでなった。
■配給収入15億円の大ヒット作
09年の春節(旧正月)に公開された「喜羊羊と灰太狼」は最初の3日間だけで3000万元(約4億5000万円)を稼ぎ出し、最終的な配給収入は1億元(約15億円)を突破した。08年に公開された米アニメ映画「カンフー・パンダ」に迫るヒットで、外国作品が圧倒的に強い中国アニメ業界では「奇跡」といってもいい。
関連商品もあっという間にスーパーやコンビニの棚を占領し、「喜羊羊と灰太狼」旋風を巻き起こした。コンテンツ業界だけでなく政府までがこの作品に注目し、制作会社が本拠を置く広東省では政府年度総括リポートでも取り上げたほどだ。10年の春節にはシリーズの新作が公開される予定で、中国の子供たちは首を長くして待っている。これは長らく成長軌道に乗れずに苦しんでいた中国アニメ産業にとって突破口となるのだろうか。
■テレビ放映とライセンスで浸透
「喜羊羊と灰太狼」は一夜にして成功したわけではない。オリジナルアニメがテレビ局で初めて放送されたのは05年。制作会社はキャラクターの浸透を図るため安い放送権料でテレビ局と契約し、関連グッズのライセンス供与で制作費用の回収を狙った。作品の質がよかったのは当然だが、こうした積み重ねでようやく国営放送の中国中央電視台(CCTV)をはじめ全国の50局以上で600話も続くシリーズとなった。
映画化にあたっては、中国メディア大手のSMGグループ、子供向けコンテンツのプロモーションに定評のある北京優揚グループと組んだのが大きい。企画からコンテンツ制作やプロモーションまでを三者一体で行い、映画のヒットに続いてライセンスビジネスで弾みをつける好循環になった。
09年はじめに39社だったライセンス供与先は年末には174社まで増え、ブランド力の上昇ぶりを物語っている。コンテンツの制作・流通から関連商品に至るバリューチェーンを構築し、時間をかけてブランドを育成するスタイルはまさにアニメビジネスの王道だ。
■アニメ産業育成の機運
ここにきてソフトパワーを重視するようになった中国政府は文化産業を「10大重点産業」の1つと位置付けている。特に産業基盤が脆弱なアニメ産業にはかなりの力を入れ、ゴールデンアワーの外国製アニメ放送禁止など、保護主義と批判されても仕方がないてこ入れ策まで講じている。
これに呼応して、中国全土で50以上のアニメ産業基地が産声を上げ、産業としてのインフラも整い始めた。アキレス腱となっていた資金調達でも、セコイア・キャピタルやCineGroupeといった外資系ファンドなどが参入し、一時期よりマネーが流入し始めている。
CineGroupeは10億元(約150億円)を投じた制作センター建設で注目を浴び、セコイアは零細企業の多い中国アニメ産業に業界再編を仕掛けて新しい流れをつくろうとしている。「喜羊羊と灰太狼」だけでなく中日共同制作アニメの「三国演義」も一定の成功を収め、内外投資家の意欲を刺激した。これらが中国アニメ産業の追い風であるのは間違いないだろう。
■海賊版問題などの解決が課題に
ただ、このまま国産アニメが急成長を続けるとみるのは早計だ。中国アニメ関連市場の9割は依然として海外コンテンツが握っており、流通チャンネルの未整備や人材不足、海賊版やコピー商品の横行といった問題も横たわる。
中国は日本ほど漫画の普及度が高くなく、まずはテレビ局の放送に頼らざるを得ない。しかし、中国ではテレビ局からの放送権収入が低く、放送だけで投資を回収するのが難しい。ある程度の資金力がなければ、制作を維持できない業界構造になっている。
海賊版やコピー商品の横行もアニメ産業の成長を阻む大きな壁だ。ライセンス管理が比較的しっかりしているといわれる「喜羊羊と灰太狼」でさえ、今市場に流通している関連商品の8割以上がコピー商品だという。特に地方都市では管理が行き届きにくい。
中国のアニメ産業は関連商品だけでも1000億元(1兆5000億円)の潜在規模といわれる。しかし、これらの問題を解決しない限り「喜羊羊と灰太狼」のようなヒットは一過性に終わり、産業全体の底上げにはつながらないだろう。
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「AQUOSケータイ」が人気 シャープは中国でも成功できるか(COLUMN)
契約者数が7億人を突破し、年間2億台以上の端末が売れる中国の携帯電話市場。日本メーカーではかつてNECやパナソニックが撤退した経緯があるが、09年秋には第3世代(3G)サービスが出そろい、今後も年間10%以上の成長が見込まれている。今回は2008年6月に本格進出して成果を出し始めたシャープの中国事業にスポットを当ててみた。
シャープはこれまでに中国市場で13機種を投入している。なかでも人気なのは「AQUOSケータイ」だ。09年は中国のハイエンドゾーン(4000~5000元、日本円では5万2000~6万5000円程度)で、17週連続でシェア1位を獲得する実績を上げた。
日本のワンセグにあたる携帯端末向けのデジタルテレビ放送は、中国ではまだ北京周辺で試験的に始まった段階にとどまり、AQUOSケータイではこれも視聴できない。つまり、中国ではテレビ放送を見るためにAQUOSケータイを購入しているユーザーは皆無なのだ。では、なぜ人気なのか。
「やはり日本で売られているというブランド力が購入動機にあるようだ。上海などの沿岸部の消費者はネットなどで世界中の情報を熱心に収集していて、日本の電化製品に関する情報にも詳しい。日本のハイエンドケータイへのあこがれで、AQUOSケータイが選ばれている」(シャープパーソナルソリューション事業推進本部の今矢明彦本部長)
■独自デバイス搭載モデルも発売
当初はハイエンドゾーンに主軸を置いたが、最近は2000~3000元台の中位機種、さらには1000元台の低価格商品にも広げている。日本でソフトバンクモバイル向けに供給していた多色展開モデルなども発売した。
今年2月には、ソーラーパネルを搭載したモデル(3400元)とメモリー液晶搭載モデル(3300元)を追加する予定。日本でシャープが得意としてきた内製のデバイスで独自性を出す戦略を中国でも展開し、シェア拡大を狙う。
中国市場をながめると、およそ7割は1000元以下の安価なモデルで、シャープが狙う市場は全体の3割程度しかない。しかし、富裕層のさらなる拡大を見込んで品ぞろえを増やし、製品数を08年度の6機種、09年度の10機種から、10年度は20機種近くにまで拡大する計画だ。
■中国規格TD-SCDMA向けも準備
海外で日本メーカーが成功するには、いくつかの重要な条件があるといわれる。まず、当然のことながら高い技術力が求められる。
シャープは、09年秋に3G対応機種として中国携帯電話2位のチャイナユニコム向けにW-CDMA版、3位のチャイナテレコム向けにCDMA2000版を発売済み。3Gでは中国独自規格TD-SCDMAを採用する最大手チャイナモバイルに関しても「商談を進めており、近々投入できる」(シャープの今矢氏)という。
チャイナモバイルはグーグルの携帯向けOS「Android」をベースとしたスマートフォンを「OPhone」というシリーズで展開しようとしている。今矢氏は「世界の流れをみても中国にAndroidの市場は形成されるだろうし、興味はある」と述べており、海外向けのAndroidベースのスマートフォンはいまのところ様子を見ている段階のようだ。
しかし、日本で1月28日発売のウィルコム向け端末「HYBRID W-ZERO3」は、中国での展開もあり得そうだ。中国市場に特に向くとみられるのが2枚のSIMカードを入れられる点だ。「中国は3Gが始まったばかりでユーザーはまだ4~5%程度と、2G、2.5G、3Gが混在している状態。過渡期の穴を埋めるのに2枚のSIMは有効」と今矢氏は語る。
既存の2Gネットワークを使いつつ、高速通信の3Gを併用するには、SIMカードが2枚刺さるHYBRID W-ZERO3は最適だろう。
■EMSは選んで活用
海外事業のもう1つのポイントは価格競争力で、中国では特に重要になる。コストダウンのためには現地のEMS(電子機器の受託製造サービス)企業といかに付き合っていくかが課題となる。
シャープも中国展開モデルでは一部の機種をEMSで製造している。「ものづくりをするうえで、価格競争力を突き詰める必要がある。いまは日本メーカーよりもEMSのほうが調達を含めて部材の知識は豊富に持っている。だからといって、EMSを使えば安くていいものができるというものでもなく、幅広い選択肢のなかからEMSを選んでいく必要がある」(今矢氏)
シャープは単にEMSに製品を作らせるだけでなく、品質を保つために自社の技術者を派遣し、製造の指導をすることもあるという。EMSと組んで価格競争力を確保する一方、自社デバイスとの連携やAQUOSブランドの活用で日本メーカーの強みを生かしていく戦略だ。
■販売網を1万店規模に サービスも強化
中国では販路を自ら切り開いていくことも欠かせない。日本では、メーカーはあくまでキャリアの下請けであり、キャリアに納入すればそれなりの利益を上げられる(実際はメーカーの営業などもあるが)。しかし、海外市場ではメーカー自身が販売網を持たなければならない。
過去に中国で失敗したNECやパナソニックの場合も「販路が弱点だった」(かつて中国事業を担当したメーカー関係者)といわれる。いかに自社で端末を販売していくかはシャープにとっても正否を分ける課題となる。
シャープの中国での販売網は、08年6月当時は専売店を中心にわずか約300店だったが、09年9月には量販店も含めて約3500店に拡大した。さらに10年3月にはキャリアの店舗を含めて約1万店規模に増やし、上海などの沿岸部から内陸方面に販路を拡大していくという。
だが、「他の大きなメーカーは4万~5万店規模で販売しているという話も聞く」(今矢氏)といい、これでもまだ十分ではない。中国で成功した日本企業は顧客対応のよさが評価されたケースが多い。資生堂が日本と同じ対面販売で中国市場に受け入れられたように、日本企業として店頭でのサービスを強化するのも1つの手だろう。
「顧客サービスには力を入れていく。店頭販売に派遣しているヘルパーから情報を吸い上げるためにIT機器を使うといったこともしている。販売網は急に大きくはならないし、しっかりと地道に広げていきたい」(今矢氏)。09年度は100万台だった出荷台数を将来的には500万台まで増やすのが、シャープの中国事業における当面の目標という。
職場の禁煙義務付けへ 厚労省、飲食店・交通機関も規制
他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」から労働者を守るため、厚生労働省が職場の原則禁煙化に乗り出す。事業者に受動喫煙を防ぐよう義務づける労働安全衛生法の改正案を、早ければ来年の通常国会にも出す方針だ。
法改正が実現すれば、通常の事務所や工場では、仕事をする空間での喫煙はできなくなる。ただ、男性の喫煙率が3割を超える中で、建物をすべて禁煙にするのは非現実的だという意見も多く、当面は喫煙室の設置を認めることになりそうだ。
ビートルズやクイーン、英EMIが経営危機
【ロンドン=是枝智】ビートルズやクイーンなど多くの有名アーティストのアルバムを出してきた老舗の英音楽大手EMIグループの経営危機が表面化している。
2009年3月末時点で負債が資産を4億800万ポンド(約570億円)上回る債務超過に陥っていることが明らかになり、監査法人が、事業継続について「重大な疑義がある」と指摘したからだ。
EMIは07年に欧州の投資ファンド、テラ・ファーマに買収されたが、金融危機の影響もあって音楽出版事業などが振るわず、経営が悪化。09年3月期の純利益は15億6700万ポンドの大幅赤字を記録した。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、テラ・ファーマが他のファンドなどに資金提供を求めているが、米シティグループからの32億ポンドの借入金が大きな負担になっており、自力再建できるか微妙な情勢だ。
上場企業、経常益2期ぶり増加へ 日経集計
上場企業の2010年3月期の経常利益は前期比8%増と、2期ぶりに増える見通しだ。デフレに直面する非製造業は14%減益だが、自動車や電機をけん引役に74%増益の製造業が底上げする。コスト削減で利益が出やすい収益構造に転換したところに新興国などの需要が伸び、昨年11月時点の予想(1%増)より増益幅が拡大する。ただ、足元の円高などで1~3月期は直前四半期の09年10~12月期に比べ減益で、収益回復の勢いには不透明感が残る。
日本経済新聞社が3月期決算企業(金融・新興を除く)のうち、4~12月期決算発表を終えた926社を集計した。株式時価総額ベースでは8割強に相当する。
金融機関も責任コスト負担を G7会議が閉幕、議長総括を発表
【イカルイト(カナダ北東部)=木原雄士】7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は6日午後(日本時間7日未明)、2日間の討議を終えて閉幕した。共同声明の採択は見送り、カナダのフレアティ財務相が共同記者会見の冒頭で議長総括を発表した。総括では「金融機関も責任のコストを負担する必要がある」と指摘。金融システム安定に投じた公的資金の損失を穴埋めする方策を検討する考えを示した。
フレアティ財務相は「世界の経済状況は改善しつつあるが、確固とした回復の基調は敷かれていない」と指摘。景気刺激策を続ける必要性を強調した。為替については「イスタンブールの路線を踏襲する」と語り、昨年10月のイスタンブールG7で確認した為替安定をめざす方針を表明した。
日経社説 民営化を止め郵貯を膨らませるのか(2/7)
郵政民営化を実質的に棚上げした政府・与党が1人当たり合計1千万円となっている郵便貯金の預入限度額を緩和しようと動いている。政府の信用を背負う公的金融を再び膨らませるのは筋違いだ。限度額の引き上げや撤廃はすべきでない。
ゆうちょ銀行はかんぽ生命保険とともに2007年10月に政府100%出資の株式会社となったが、他の金融機関との競争条件などに配慮して、郵貯の限度額は政令で従来と同じ1千万円と定められている。
鳩山政権は日本郵政やゆうちょ銀などの政府保有株の売却を凍結し、今国会に「郵政改革法案(仮称)」を提出する方針だ。民主党と連立を組む国民新、社民の2党は郵貯限度額を当面3千万円に引き上げる案で一致し、実現を求めている。
「利用者が不便を感じている」「全国一律の金融サービスを展開する財源が必要だ」というのが、緩和を求める与党や日本郵政の説明だ。郵政の収益力強化という観点では一理あるように聞こえ、多額の金融資産を持つ人の便利さも増すだろう。
だが、ここで郵貯の制限を緩和すれば数多くの問題が生じる。まず「政府の信用」を背負った公的金融が資金を吸い上げる懸念である。
預金保険で保護される預金の範囲は残高1千万円までの元本とその利子に限られる。政府が経営支配を続けたまま、ゆうちょ銀の預入限度を広げれば、預金者は1千万円を超す部分にも「暗黙の政府保証」があるとの期待を抱きがちになる。
平時でも民間銀から「より安心」な郵貯に資金が向かう可能性があり、金融システムに不安が生じれば、大口資金が一気に移動しかねない。
本来、ゆうちょ銀とかんぽ生命は完全に民営化し、民間と対等に競争し合うべきだ。経済活動を活発にするには、効率の低い官業から民間へと資金の流れを変え、より自由にお金が使われるようにした方がいい。民間に流しきれないなら郵貯の規模を縮小するしかない。
だが、鳩山政権はむしろ官業の拡大で民業を圧迫しつつあるようだ。
郵貯残高はピーク時より減ったが、なお180兆円弱とメガバンクを上回る。政府は巨額発行が続く国債の引き受けを求めていくだろう。金利上昇時には、郵政は定額貯金の途中解約の増加と国債の含み損という二重の困難に直面しかねない。
民主党は05年の衆院選で郵貯の預入限度額を下げ、残高の規模を半減させると公約していた。郵貯の肥大化を容認するのなら、百八十度の路線転換ではないか。
契約者数が7億人を突破し、年間2億台以上の端末が売れる中国の携帯電話市場。日本メーカーではかつてNECやパナソニックが撤退した経緯があるが、09年秋には第3世代(3G)サービスが出そろい、今後も年間10%以上の成長が見込まれている。今回は2008年6月に本格進出して成果を出し始めたシャープの中国事業にスポットを当ててみた。
シャープはこれまでに中国市場で13機種を投入している。なかでも人気なのは「AQUOSケータイ」だ。09年は中国のハイエンドゾーン(4000~5000元、日本円では5万2000~6万5000円程度)で、17週連続でシェア1位を獲得する実績を上げた。
日本のワンセグにあたる携帯端末向けのデジタルテレビ放送は、中国ではまだ北京周辺で試験的に始まった段階にとどまり、AQUOSケータイではこれも視聴できない。つまり、中国ではテレビ放送を見るためにAQUOSケータイを購入しているユーザーは皆無なのだ。では、なぜ人気なのか。
「やはり日本で売られているというブランド力が購入動機にあるようだ。上海などの沿岸部の消費者はネットなどで世界中の情報を熱心に収集していて、日本の電化製品に関する情報にも詳しい。日本のハイエンドケータイへのあこがれで、AQUOSケータイが選ばれている」(シャープパーソナルソリューション事業推進本部の今矢明彦本部長)
■独自デバイス搭載モデルも発売
当初はハイエンドゾーンに主軸を置いたが、最近は2000~3000元台の中位機種、さらには1000元台の低価格商品にも広げている。日本でソフトバンクモバイル向けに供給していた多色展開モデルなども発売した。
今年2月には、ソーラーパネルを搭載したモデル(3400元)とメモリー液晶搭載モデル(3300元)を追加する予定。日本でシャープが得意としてきた内製のデバイスで独自性を出す戦略を中国でも展開し、シェア拡大を狙う。
中国市場をながめると、およそ7割は1000元以下の安価なモデルで、シャープが狙う市場は全体の3割程度しかない。しかし、富裕層のさらなる拡大を見込んで品ぞろえを増やし、製品数を08年度の6機種、09年度の10機種から、10年度は20機種近くにまで拡大する計画だ。
■中国規格TD-SCDMA向けも準備
海外で日本メーカーが成功するには、いくつかの重要な条件があるといわれる。まず、当然のことながら高い技術力が求められる。
シャープは、09年秋に3G対応機種として中国携帯電話2位のチャイナユニコム向けにW-CDMA版、3位のチャイナテレコム向けにCDMA2000版を発売済み。3Gでは中国独自規格TD-SCDMAを採用する最大手チャイナモバイルに関しても「商談を進めており、近々投入できる」(シャープの今矢氏)という。
チャイナモバイルはグーグルの携帯向けOS「Android」をベースとしたスマートフォンを「OPhone」というシリーズで展開しようとしている。今矢氏は「世界の流れをみても中国にAndroidの市場は形成されるだろうし、興味はある」と述べており、海外向けのAndroidベースのスマートフォンはいまのところ様子を見ている段階のようだ。
しかし、日本で1月28日発売のウィルコム向け端末「HYBRID W-ZERO3」は、中国での展開もあり得そうだ。中国市場に特に向くとみられるのが2枚のSIMカードを入れられる点だ。「中国は3Gが始まったばかりでユーザーはまだ4~5%程度と、2G、2.5G、3Gが混在している状態。過渡期の穴を埋めるのに2枚のSIMは有効」と今矢氏は語る。
既存の2Gネットワークを使いつつ、高速通信の3Gを併用するには、SIMカードが2枚刺さるHYBRID W-ZERO3は最適だろう。
■EMSは選んで活用
海外事業のもう1つのポイントは価格競争力で、中国では特に重要になる。コストダウンのためには現地のEMS(電子機器の受託製造サービス)企業といかに付き合っていくかが課題となる。
シャープも中国展開モデルでは一部の機種をEMSで製造している。「ものづくりをするうえで、価格競争力を突き詰める必要がある。いまは日本メーカーよりもEMSのほうが調達を含めて部材の知識は豊富に持っている。だからといって、EMSを使えば安くていいものができるというものでもなく、幅広い選択肢のなかからEMSを選んでいく必要がある」(今矢氏)
シャープは単にEMSに製品を作らせるだけでなく、品質を保つために自社の技術者を派遣し、製造の指導をすることもあるという。EMSと組んで価格競争力を確保する一方、自社デバイスとの連携やAQUOSブランドの活用で日本メーカーの強みを生かしていく戦略だ。
■販売網を1万店規模に サービスも強化
中国では販路を自ら切り開いていくことも欠かせない。日本では、メーカーはあくまでキャリアの下請けであり、キャリアに納入すればそれなりの利益を上げられる(実際はメーカーの営業などもあるが)。しかし、海外市場ではメーカー自身が販売網を持たなければならない。
過去に中国で失敗したNECやパナソニックの場合も「販路が弱点だった」(かつて中国事業を担当したメーカー関係者)といわれる。いかに自社で端末を販売していくかはシャープにとっても正否を分ける課題となる。
シャープの中国での販売網は、08年6月当時は専売店を中心にわずか約300店だったが、09年9月には量販店も含めて約3500店に拡大した。さらに10年3月にはキャリアの店舗を含めて約1万店規模に増やし、上海などの沿岸部から内陸方面に販路を拡大していくという。
だが、「他の大きなメーカーは4万~5万店規模で販売しているという話も聞く」(今矢氏)といい、これでもまだ十分ではない。中国で成功した日本企業は顧客対応のよさが評価されたケースが多い。資生堂が日本と同じ対面販売で中国市場に受け入れられたように、日本企業として店頭でのサービスを強化するのも1つの手だろう。
「顧客サービスには力を入れていく。店頭販売に派遣しているヘルパーから情報を吸い上げるためにIT機器を使うといったこともしている。販売網は急に大きくはならないし、しっかりと地道に広げていきたい」(今矢氏)。09年度は100万台だった出荷台数を将来的には500万台まで増やすのが、シャープの中国事業における当面の目標という。
職場の禁煙義務付けへ 厚労省、飲食店・交通機関も規制
他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」から労働者を守るため、厚生労働省が職場の原則禁煙化に乗り出す。事業者に受動喫煙を防ぐよう義務づける労働安全衛生法の改正案を、早ければ来年の通常国会にも出す方針だ。
法改正が実現すれば、通常の事務所や工場では、仕事をする空間での喫煙はできなくなる。ただ、男性の喫煙率が3割を超える中で、建物をすべて禁煙にするのは非現実的だという意見も多く、当面は喫煙室の設置を認めることになりそうだ。
ビートルズやクイーン、英EMIが経営危機
【ロンドン=是枝智】ビートルズやクイーンなど多くの有名アーティストのアルバムを出してきた老舗の英音楽大手EMIグループの経営危機が表面化している。
2009年3月末時点で負債が資産を4億800万ポンド(約570億円)上回る債務超過に陥っていることが明らかになり、監査法人が、事業継続について「重大な疑義がある」と指摘したからだ。
EMIは07年に欧州の投資ファンド、テラ・ファーマに買収されたが、金融危機の影響もあって音楽出版事業などが振るわず、経営が悪化。09年3月期の純利益は15億6700万ポンドの大幅赤字を記録した。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、テラ・ファーマが他のファンドなどに資金提供を求めているが、米シティグループからの32億ポンドの借入金が大きな負担になっており、自力再建できるか微妙な情勢だ。
上場企業、経常益2期ぶり増加へ 日経集計
上場企業の2010年3月期の経常利益は前期比8%増と、2期ぶりに増える見通しだ。デフレに直面する非製造業は14%減益だが、自動車や電機をけん引役に74%増益の製造業が底上げする。コスト削減で利益が出やすい収益構造に転換したところに新興国などの需要が伸び、昨年11月時点の予想(1%増)より増益幅が拡大する。ただ、足元の円高などで1~3月期は直前四半期の09年10~12月期に比べ減益で、収益回復の勢いには不透明感が残る。
日本経済新聞社が3月期決算企業(金融・新興を除く)のうち、4~12月期決算発表を終えた926社を集計した。株式時価総額ベースでは8割強に相当する。
金融機関も責任コスト負担を G7会議が閉幕、議長総括を発表
【イカルイト(カナダ北東部)=木原雄士】7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は6日午後(日本時間7日未明)、2日間の討議を終えて閉幕した。共同声明の採択は見送り、カナダのフレアティ財務相が共同記者会見の冒頭で議長総括を発表した。総括では「金融機関も責任のコストを負担する必要がある」と指摘。金融システム安定に投じた公的資金の損失を穴埋めする方策を検討する考えを示した。
フレアティ財務相は「世界の経済状況は改善しつつあるが、確固とした回復の基調は敷かれていない」と指摘。景気刺激策を続ける必要性を強調した。為替については「イスタンブールの路線を踏襲する」と語り、昨年10月のイスタンブールG7で確認した為替安定をめざす方針を表明した。
日経社説 民営化を止め郵貯を膨らませるのか(2/7)
郵政民営化を実質的に棚上げした政府・与党が1人当たり合計1千万円となっている郵便貯金の預入限度額を緩和しようと動いている。政府の信用を背負う公的金融を再び膨らませるのは筋違いだ。限度額の引き上げや撤廃はすべきでない。
ゆうちょ銀行はかんぽ生命保険とともに2007年10月に政府100%出資の株式会社となったが、他の金融機関との競争条件などに配慮して、郵貯の限度額は政令で従来と同じ1千万円と定められている。
鳩山政権は日本郵政やゆうちょ銀などの政府保有株の売却を凍結し、今国会に「郵政改革法案(仮称)」を提出する方針だ。民主党と連立を組む国民新、社民の2党は郵貯限度額を当面3千万円に引き上げる案で一致し、実現を求めている。
「利用者が不便を感じている」「全国一律の金融サービスを展開する財源が必要だ」というのが、緩和を求める与党や日本郵政の説明だ。郵政の収益力強化という観点では一理あるように聞こえ、多額の金融資産を持つ人の便利さも増すだろう。
だが、ここで郵貯の制限を緩和すれば数多くの問題が生じる。まず「政府の信用」を背負った公的金融が資金を吸い上げる懸念である。
預金保険で保護される預金の範囲は残高1千万円までの元本とその利子に限られる。政府が経営支配を続けたまま、ゆうちょ銀の預入限度を広げれば、預金者は1千万円を超す部分にも「暗黙の政府保証」があるとの期待を抱きがちになる。
平時でも民間銀から「より安心」な郵貯に資金が向かう可能性があり、金融システムに不安が生じれば、大口資金が一気に移動しかねない。
本来、ゆうちょ銀とかんぽ生命は完全に民営化し、民間と対等に競争し合うべきだ。経済活動を活発にするには、効率の低い官業から民間へと資金の流れを変え、より自由にお金が使われるようにした方がいい。民間に流しきれないなら郵貯の規模を縮小するしかない。
だが、鳩山政権はむしろ官業の拡大で民業を圧迫しつつあるようだ。
郵貯残高はピーク時より減ったが、なお180兆円弱とメガバンクを上回る。政府は巨額発行が続く国債の引き受けを求めていくだろう。金利上昇時には、郵政は定額貯金の途中解約の増加と国債の含み損という二重の困難に直面しかねない。
民主党は05年の衆院選で郵貯の預入限度額を下げ、残高の規模を半減させると公約していた。郵貯の肥大化を容認するのなら、百八十度の路線転換ではないか。
ミキシィアプリまもなく1億ユーザー突破 家庭用ゲーム機バブルの崩壊(COLUMN)
3月9~13日に米サンフランシスコで開催される「ゲーム開発者会議(GDC)2010」。後半3日間は、家庭用ゲーム機向けで高い評価を受けたゲームタイトルの開発ストーリーなど花形といえる講演が続くのが通例である。最先端のゲーム技術が次々に披露され、ゲームの発展を実感できる講演も多い。しかし、今年は事情が違うようだ。 ゲーム業界にとって2009年は「イノベーションが不足した年」だった。多くの企業が「続編もの」に頼り、有望な新規タイトルが登場することはなかった。それもそのはずで、世界的な不況により多くの開発プロジェクトが凍結され、開発スタジオの閉鎖や解雇の動きが広がった。
■バンダイナムコゲームスも希望退職募集
日本でも2月2日、バンダイナムコゲームスが業績悪化に伴い社員の10%にあたる200人の希望退職を募集すると発表した。同じようなことが、市場拡大の続いていた欧米でも起きている。
エンターテインメント分野の調査会社米M2 Researchが1月5日に発表したリポートによると、08年後半の金融危機以降にレイオフされたゲーム開発者は世界で1万1488人に上るという。米エレクトロニックアーツ、THQ、アクティビジョン、ソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカ(SCEA)など、主要ゲーム会社のほぼすべてがレイオフを実施している。開発スタジオの閉鎖も95以上のゲーム会社で行われたようだ。
この動きは今年に入っても収まっていない。英MCV誌は2月4日、「グランド・セプト・オート」シリーズを持つ米大手のテイクツーが全スタッフの2割にあたる400人規模の解雇を決定したと伝えている。テイクツーは否定しているものの、会社を再構築中であることは認めている。
■家庭用ゲーム機市場のバブルがはじけた?
最大の問題はゲーム開発費の高騰による投資利益率の低下にある。M2 Researchは、「プレイステーション2(PS2)」世代のソフト開発費は300万~500万ドルに収まっていたが、現行世代では1つのプラットフォーム向けで1000万ドル、複数のプラットフォームに対応しようとすると、1800万~2800万ドルかかると試算している。
ところが、今人気を集めているカジュアルゲームやミキシィアプリなどのソーシャルゲームの開発費は3万~30万ドル、しかも開発期間は6カ月程度が一般的である。そのうえオンラインで展開できるため、パッケージや販促部材などのコストもかからない。
米調査会社NPOによると、北米市場の09年の家庭用ゲーム機販売は前年比8%減少した。とはいえ、日本市場の落ち込みよりはましだ。最近会ったある北米ゲーム会社の関係者は、ソーシャルゲームなど小売店販売データに含まれないダウンロード型のゲームまで織り込めば「逆に市場は10%伸びており、悲観する必要はない」と述べていた。
今の状況を「00年代に入ってから右肩上がりだった欧米市場のバブルがはじけた」と表現する日本の開発者もいる。しかし、正確には「家庭用ゲーム機市場のバブルがはじけた」というべきだ。
■最新技術を競うゲーム開発が曲がり角に
こうした状況を映し、今年のGDC後半3日間の講演は、例年にも増して続編ものが多い。例えば、09年の「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」(SCEA)もそうだ。このタイトルは、映画とゲームの融合というゲーム業界が長年目指してきた夢の完成型を示したと評価され、開発過程を紹介する「メイキングセッション」が複数予定されている。問題はだれが聴こうとするか。多くの企業にとって、講演で語られるだろう高度な技術や複雑な開発プロセスを応用するだけの人も予算もなくなっている。
実際のところ、実写と見まごうばかりの美しいゲームグラフィックスの多くの部分は、欧米のゲーム開発現場でも人海戦術に依存している。これを一気に解決するような根本的な技術革新が起きない限り、開発面での進歩もしばらく足踏みをすることになるかもしれない。
それはゲーム開発の土台となるゲームエンジンにもあてはまる。「Unreal Engine」で知られる米Epic Gamesは、最新技術を盛り込んだ環境を提供することで自社の優位性をアピールしてきた。過去には、任天堂「Wii」のハードウエア仕様の低さを理由に、Wii版のUnreal Engineは開発しないといわれたこともある。
ところが、Epic Gamesは昨年12月、アップル「iPhone 3GS」向けのデモ用のプレー動画を発表。1月7日には、他のスマートフォンなどにも対応するため、3Dコンピューターグラフィックスのオープン規格を策定する組織「Khronos Group」に参加すると発表した。同社が戦略を見直して、これまでより性能を引き下げたバージョンの開発に力を入れざるを得ないという現実は、今のゲーム市場を象徴するといえるだろう。
GDCのブースでは毎年、各社が先端技術をふんだんに使ったデモを競ってきた。しかし、今年は事情が変わるかもしれない。
■PS3、Xbox360の次世代機は2013年ごろに
ハードウエアにも“異変”が起きそうだ。家庭用ゲーム機はこれまでほぼ5年サイクルで世代交代してきた。しかし、現行世代のSCE「プレイステーション3(PS3)」とマイクロソフト「Xbox360」については、このパターンが崩れることがほぼ確実になってきた。
Xbox360は05年発売、PS3は06年発売であり、時期的にはそろそろ次世代機の情報が伝わりはじめても不思議ではないが、今はまったく聞こえてこない。ゲームソフト会社はまだこの2機種のハード性能を完全に使い切る段階にまで達しておらず、より根本的な問題として、十分な収穫期にたどり着いていない。
SCEはPS3用の体感型コントローラー「モーションコントローラー」を10年春に発売すると表明していたが、今秋発売に先送りした。マイクロソフトがXbox360用に開発した「Project Natal」も今秋発売の予定で、モーションセンサーを使った競争は年末商戦にまで持ち越されることになった。
Xbox360の累計販売が2100万台以上に達する米国では特に、Project Natalが市場を再活性化する要因になるのではないかと期待を集めている。一方のPS3は、ブルーレイ・ディスク(BD)版の映画ソフトが普及しつつあり、安価なBDプレーヤーとしての需要が見込める。地上デジタル放送を視聴・録画できる周辺機器「torne(トルネ)」を発売するなど、家電的な色彩を強めることで市場を広げようとしている。
これらの機能追加やマイナーバージョンアップは当面続くだろう。すでに北米のゲーム会社は次世代機の投入時期は13年以降にまでずれ込むという予測のうえに、戦略を見直し始めている。
■サードパーティーがWiiを見限る理由
一方、任天堂の動きも多くの企業が注目している。Wiiをフルハイビジョン画質に対応させる「Wii HD」の噂は繰り返し出ているが、任天堂の岩田聡社長は1月29日の決算時説明会の質疑応答でも、「私は言ったことがない」と具体的な言及を避けた。
任天堂は今、サードパーティーがWiiでは儲からないと見切りを付け始めたという大きな問題に直面している。特にコアゲーマーを対象としたタイトルは、他のゲーム機向けではよく売れても、Wii版では売れないことが昨年顕著になった。カプコンの目玉タイトル「モンスターハンター3」の国内販売は結局100万本前後にとどまった。しかも、これは値崩れが相当起きた結果の数字であり、大成功とは言い難い。
海外はもっと厳しい。セガは昨年、欧米でWii向けのコアゲーマー向けタイトルを強化したが、6月に発売した一人称シューティングゲーム「The Conduit」は欧米合計で27万本と振るわなかった。アクティビジョンが11月に発売した「Call of Duty: Modern Warfare: Reflex Edition」でさえ約80万本である。北米市場は1本あたりの利益率が低く、どちらのタイトルも赤字である可能性が高い。
つまり、多くのゲーム会社は昨年の経験で「Wii市場にコアゲーマーはいない」との認識に至った。任天堂は昨年のGDCで「Wii Ware」などコンテンツのオンライン販売システムを強くアピールしたが、これも大きく成功しているとはいえない。
■共存共栄か単独主義か
もちろん、任天堂は自社タイトルだけで市場を作れるほどの力を持っている。1月上旬に発売した「NewスーパーマリオブラザーズWii」の世界販売は約8週間で1000万本に達した。この成功の要因は、任天堂が難しいテクニックをあまり必要としないジャンルの市場を「マリオ」「ゼルダ」「ポケモン」などで独占し、他の類似のゲームが入り込む余地をなくしたことにもある。
しかし、サードパーティー離れは結局、任天堂プラットフォームの競争力を中長期的には削いでいくことになるだろう。任天堂がサードパーティーとの共存共栄に配慮するなら、PS3やXbox360向けに開発したタイトルや開発環境を移植しやすいWii HDを投入する必要性に迫られるだろう。一方、自社単独で市場を牽引できるという自信を持ち続けるのであれば、急ぐことはない。
昨年のGDCでは、スタジオを解雇されてコンサルタントという肩書きで職探しをするキャリアを積んだ優秀な開発者にずいぶんと出会った。M2 Researchは10年の展望として、新興のソーシャルゲーム企業がカナダやアイルランド、米ボルチモアなどに作りつつある新しいスタジオが新たな雇用の受け皿になるなど、ゲーム市場の明るい側面も指摘している。
ただ、短期的には、既存の家庭用ゲーム機向けの開発者が引き続き厳しい雇用環境に置かれることは避けられない。情報交流を通じて欧米市場の成長を支えてきたGDCというカンファレンスも潮目が変わる時を迎えるのだろう。
グーグル携帯が苦戦、1カ月でわずか8万台
【ニューヨーク=共同】米インターネット検索大手、グーグルが独自に開発、1月5日に発売して話題となった携帯電話「ネクサスワン」が苦戦していることが5日分かった。米調査会社フラリーによると、発売後1カ月の販売実績は約8万台にとどまった。
グーグルが切り崩しを狙った米電子機器大手アップルの携帯「iPhone(アイフォーン)」は2007年6月の発売後、2日間で27万台を販売した。フラリーによると、発売1カ月の販売台数では、アイフォーンが約60万台。グーグルが開発した携帯向け基本ソフト(OS)を搭載し、昨年11月に米通信機器大手モトローラが発売した携帯「ドロイド」は57万5千台だった。
ネクサスワンはネット接続機能を充実させたため使い勝手の面では評判が良かった。しかし、グーグルの自社サイトのみで販売し携帯電話会社の販売店網を避けたため、一般消費者へのアピール不足が不振の主因とされる。問い合わせ窓口を当初、電子メール中心とするなど顧客対応のまずさも指摘されている。
薄型TV、値下がり続く 1月平均単価、初の8万円台に
薄型テレビの店頭価格の下落が止まらない。民間調べによると1月の平均単価(税抜き)は過去最安値となる8万8400円で、年末商戦で価格競争が激しかった昨年12月からさらに1万700円下がった。販売台数は前年同月比74%増と引き続き好調。それでも販売競争の激化に加え、大手メーカーの2月の新製品発売を前に、販売店が在庫がはけるよう価格を下げたことも影響したようだ。
全国約2300店の販売データをもとに調査会社BCN(東京・文京)が集計した。店頭で売れた商品全体の1月の平均単価は前年同月に比べ15%下がり、初めて9万円を下回った。
3月9~13日に米サンフランシスコで開催される「ゲーム開発者会議(GDC)2010」。後半3日間は、家庭用ゲーム機向けで高い評価を受けたゲームタイトルの開発ストーリーなど花形といえる講演が続くのが通例である。最先端のゲーム技術が次々に披露され、ゲームの発展を実感できる講演も多い。しかし、今年は事情が違うようだ。 ゲーム業界にとって2009年は「イノベーションが不足した年」だった。多くの企業が「続編もの」に頼り、有望な新規タイトルが登場することはなかった。それもそのはずで、世界的な不況により多くの開発プロジェクトが凍結され、開発スタジオの閉鎖や解雇の動きが広がった。
■バンダイナムコゲームスも希望退職募集
日本でも2月2日、バンダイナムコゲームスが業績悪化に伴い社員の10%にあたる200人の希望退職を募集すると発表した。同じようなことが、市場拡大の続いていた欧米でも起きている。
エンターテインメント分野の調査会社米M2 Researchが1月5日に発表したリポートによると、08年後半の金融危機以降にレイオフされたゲーム開発者は世界で1万1488人に上るという。米エレクトロニックアーツ、THQ、アクティビジョン、ソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカ(SCEA)など、主要ゲーム会社のほぼすべてがレイオフを実施している。開発スタジオの閉鎖も95以上のゲーム会社で行われたようだ。
この動きは今年に入っても収まっていない。英MCV誌は2月4日、「グランド・セプト・オート」シリーズを持つ米大手のテイクツーが全スタッフの2割にあたる400人規模の解雇を決定したと伝えている。テイクツーは否定しているものの、会社を再構築中であることは認めている。
■家庭用ゲーム機市場のバブルがはじけた?
最大の問題はゲーム開発費の高騰による投資利益率の低下にある。M2 Researchは、「プレイステーション2(PS2)」世代のソフト開発費は300万~500万ドルに収まっていたが、現行世代では1つのプラットフォーム向けで1000万ドル、複数のプラットフォームに対応しようとすると、1800万~2800万ドルかかると試算している。
ところが、今人気を集めているカジュアルゲームやミキシィアプリなどのソーシャルゲームの開発費は3万~30万ドル、しかも開発期間は6カ月程度が一般的である。そのうえオンラインで展開できるため、パッケージや販促部材などのコストもかからない。
米調査会社NPOによると、北米市場の09年の家庭用ゲーム機販売は前年比8%減少した。とはいえ、日本市場の落ち込みよりはましだ。最近会ったある北米ゲーム会社の関係者は、ソーシャルゲームなど小売店販売データに含まれないダウンロード型のゲームまで織り込めば「逆に市場は10%伸びており、悲観する必要はない」と述べていた。
今の状況を「00年代に入ってから右肩上がりだった欧米市場のバブルがはじけた」と表現する日本の開発者もいる。しかし、正確には「家庭用ゲーム機市場のバブルがはじけた」というべきだ。
■最新技術を競うゲーム開発が曲がり角に
こうした状況を映し、今年のGDC後半3日間の講演は、例年にも増して続編ものが多い。例えば、09年の「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」(SCEA)もそうだ。このタイトルは、映画とゲームの融合というゲーム業界が長年目指してきた夢の完成型を示したと評価され、開発過程を紹介する「メイキングセッション」が複数予定されている。問題はだれが聴こうとするか。多くの企業にとって、講演で語られるだろう高度な技術や複雑な開発プロセスを応用するだけの人も予算もなくなっている。
実際のところ、実写と見まごうばかりの美しいゲームグラフィックスの多くの部分は、欧米のゲーム開発現場でも人海戦術に依存している。これを一気に解決するような根本的な技術革新が起きない限り、開発面での進歩もしばらく足踏みをすることになるかもしれない。
それはゲーム開発の土台となるゲームエンジンにもあてはまる。「Unreal Engine」で知られる米Epic Gamesは、最新技術を盛り込んだ環境を提供することで自社の優位性をアピールしてきた。過去には、任天堂「Wii」のハードウエア仕様の低さを理由に、Wii版のUnreal Engineは開発しないといわれたこともある。
ところが、Epic Gamesは昨年12月、アップル「iPhone 3GS」向けのデモ用のプレー動画を発表。1月7日には、他のスマートフォンなどにも対応するため、3Dコンピューターグラフィックスのオープン規格を策定する組織「Khronos Group」に参加すると発表した。同社が戦略を見直して、これまでより性能を引き下げたバージョンの開発に力を入れざるを得ないという現実は、今のゲーム市場を象徴するといえるだろう。
GDCのブースでは毎年、各社が先端技術をふんだんに使ったデモを競ってきた。しかし、今年は事情が変わるかもしれない。
■PS3、Xbox360の次世代機は2013年ごろに
ハードウエアにも“異変”が起きそうだ。家庭用ゲーム機はこれまでほぼ5年サイクルで世代交代してきた。しかし、現行世代のSCE「プレイステーション3(PS3)」とマイクロソフト「Xbox360」については、このパターンが崩れることがほぼ確実になってきた。
Xbox360は05年発売、PS3は06年発売であり、時期的にはそろそろ次世代機の情報が伝わりはじめても不思議ではないが、今はまったく聞こえてこない。ゲームソフト会社はまだこの2機種のハード性能を完全に使い切る段階にまで達しておらず、より根本的な問題として、十分な収穫期にたどり着いていない。
SCEはPS3用の体感型コントローラー「モーションコントローラー」を10年春に発売すると表明していたが、今秋発売に先送りした。マイクロソフトがXbox360用に開発した「Project Natal」も今秋発売の予定で、モーションセンサーを使った競争は年末商戦にまで持ち越されることになった。
Xbox360の累計販売が2100万台以上に達する米国では特に、Project Natalが市場を再活性化する要因になるのではないかと期待を集めている。一方のPS3は、ブルーレイ・ディスク(BD)版の映画ソフトが普及しつつあり、安価なBDプレーヤーとしての需要が見込める。地上デジタル放送を視聴・録画できる周辺機器「torne(トルネ)」を発売するなど、家電的な色彩を強めることで市場を広げようとしている。
これらの機能追加やマイナーバージョンアップは当面続くだろう。すでに北米のゲーム会社は次世代機の投入時期は13年以降にまでずれ込むという予測のうえに、戦略を見直し始めている。
■サードパーティーがWiiを見限る理由
一方、任天堂の動きも多くの企業が注目している。Wiiをフルハイビジョン画質に対応させる「Wii HD」の噂は繰り返し出ているが、任天堂の岩田聡社長は1月29日の決算時説明会の質疑応答でも、「私は言ったことがない」と具体的な言及を避けた。
任天堂は今、サードパーティーがWiiでは儲からないと見切りを付け始めたという大きな問題に直面している。特にコアゲーマーを対象としたタイトルは、他のゲーム機向けではよく売れても、Wii版では売れないことが昨年顕著になった。カプコンの目玉タイトル「モンスターハンター3」の国内販売は結局100万本前後にとどまった。しかも、これは値崩れが相当起きた結果の数字であり、大成功とは言い難い。
海外はもっと厳しい。セガは昨年、欧米でWii向けのコアゲーマー向けタイトルを強化したが、6月に発売した一人称シューティングゲーム「The Conduit」は欧米合計で27万本と振るわなかった。アクティビジョンが11月に発売した「Call of Duty: Modern Warfare: Reflex Edition」でさえ約80万本である。北米市場は1本あたりの利益率が低く、どちらのタイトルも赤字である可能性が高い。
つまり、多くのゲーム会社は昨年の経験で「Wii市場にコアゲーマーはいない」との認識に至った。任天堂は昨年のGDCで「Wii Ware」などコンテンツのオンライン販売システムを強くアピールしたが、これも大きく成功しているとはいえない。
■共存共栄か単独主義か
もちろん、任天堂は自社タイトルだけで市場を作れるほどの力を持っている。1月上旬に発売した「NewスーパーマリオブラザーズWii」の世界販売は約8週間で1000万本に達した。この成功の要因は、任天堂が難しいテクニックをあまり必要としないジャンルの市場を「マリオ」「ゼルダ」「ポケモン」などで独占し、他の類似のゲームが入り込む余地をなくしたことにもある。
しかし、サードパーティー離れは結局、任天堂プラットフォームの競争力を中長期的には削いでいくことになるだろう。任天堂がサードパーティーとの共存共栄に配慮するなら、PS3やXbox360向けに開発したタイトルや開発環境を移植しやすいWii HDを投入する必要性に迫られるだろう。一方、自社単独で市場を牽引できるという自信を持ち続けるのであれば、急ぐことはない。
昨年のGDCでは、スタジオを解雇されてコンサルタントという肩書きで職探しをするキャリアを積んだ優秀な開発者にずいぶんと出会った。M2 Researchは10年の展望として、新興のソーシャルゲーム企業がカナダやアイルランド、米ボルチモアなどに作りつつある新しいスタジオが新たな雇用の受け皿になるなど、ゲーム市場の明るい側面も指摘している。
ただ、短期的には、既存の家庭用ゲーム機向けの開発者が引き続き厳しい雇用環境に置かれることは避けられない。情報交流を通じて欧米市場の成長を支えてきたGDCというカンファレンスも潮目が変わる時を迎えるのだろう。
グーグル携帯が苦戦、1カ月でわずか8万台
【ニューヨーク=共同】米インターネット検索大手、グーグルが独自に開発、1月5日に発売して話題となった携帯電話「ネクサスワン」が苦戦していることが5日分かった。米調査会社フラリーによると、発売後1カ月の販売実績は約8万台にとどまった。
グーグルが切り崩しを狙った米電子機器大手アップルの携帯「iPhone(アイフォーン)」は2007年6月の発売後、2日間で27万台を販売した。フラリーによると、発売1カ月の販売台数では、アイフォーンが約60万台。グーグルが開発した携帯向け基本ソフト(OS)を搭載し、昨年11月に米通信機器大手モトローラが発売した携帯「ドロイド」は57万5千台だった。
ネクサスワンはネット接続機能を充実させたため使い勝手の面では評判が良かった。しかし、グーグルの自社サイトのみで販売し携帯電話会社の販売店網を避けたため、一般消費者へのアピール不足が不振の主因とされる。問い合わせ窓口を当初、電子メール中心とするなど顧客対応のまずさも指摘されている。
薄型TV、値下がり続く 1月平均単価、初の8万円台に
薄型テレビの店頭価格の下落が止まらない。民間調べによると1月の平均単価(税抜き)は過去最安値となる8万8400円で、年末商戦で価格競争が激しかった昨年12月からさらに1万700円下がった。販売台数は前年同月比74%増と引き続き好調。それでも販売競争の激化に加え、大手メーカーの2月の新製品発売を前に、販売店が在庫がはけるよう価格を下げたことも影響したようだ。
全国約2300店の販売データをもとに調査会社BCN(東京・文京)が集計した。店頭で売れた商品全体の1月の平均単価は前年同月に比べ15%下がり、初めて9万円を下回った。
Toyota must face up to Prius problem
Mounting concern about the quality of Toyota Motor Corp. cars--initially sparked in the United States and then spreading to many other parts of the world--is finally beginning to be felt in this country, too.
It has been found that the latest version of Toyota's Prius hybrid, which hit the market in May, has a brake design flaw.
The Prius, a model built on Toyota's state-of-the-art environmental technology, is the automaker's flagship model. The Prius was the nation's top-selling vehicle in Japan last year. Given this, the latest affair is a severe blow to the world's largest car manufacturer.
During a press conference, Toyota President Akio Toyoda apologized for the problem and emphasized the automaker was determined to reexamine its quality control system in its entirety. His resolve apparently reflects Toyota's sense of urgency about the problem.
It has also surfaced that there are accelerator pedal flaws in other Toyota models, forcing the carmaker to recall and repair an estimated 4.45 million units in North America and some other areas. Swift measures must be taken to clear up the Prius glitch.
The recently revealed flaw in the Prius can cause its brakes to fail temporarily while driving on icy roads or in other treacherous conditions. Toyota has said the problem lies with a mechanism for controlling the hybrid car's antilock braking system (ABS), a device for preventing skidding.
===
Brakes in spotlight
The Prius is outfitted with both a hydraulic brake--the kind used in ordinary cars--and a regenerative brake that functions during deceleration. According to Toyota, the two braking systems can fail to smoothly function in tandem with the ABS system under certain running conditions, causing a Prius driver to feel as though the brakes were not working for a moment. Toyota has said this period can last "less than one second," adding the Prius will halt if the driver pumps the brake a second time. It has openly concluded this problem is not a defect in the Prius.
However, the apparent flaw in the Prius is an issue that must be examined from the standpoint of the model's basic performance. It is not merely a matter of how a Prius driver feels if his or her car does not properly function for a split second.
Toyota has improved the ABS computer program installed on Prius cars built and shipped since January. The car manufacturer is also set to repair previously sold vehicles without charge.
Toyota's response can be regarded as reasonable. However, the move comes too late, given that Toyota became aware of the problem in autumn.
===
Safety must come first
There is no denying Toyota was overconfident about its models' high-tech equipment, and lightly treated complaints from users. The carmaker should reexamine its customer relations section.
Contemporary cars, including the Prius, are equipped with numerous computerized control systems that improve their fuel efficiency and driving safety. Quick steps must be taken to thoroughly examine other models over whether their complicated electronics can work with each other without a hitch.
More than 120 complaints have been received about the Prius braking system in the United States. The U.S. Transportation Department has set out to investigate the problem. Toyota has come under a barrage of criticism in the United States.
Failure to properly deal with the current fiasco could deal a blow to the international trust in Japan's manufacturing technology. We hope Toyota humbly accepts the criticism leveled against it and will do all it can to ensure the safety and high quality of its vehicles.
Mounting concern about the quality of Toyota Motor Corp. cars--initially sparked in the United States and then spreading to many other parts of the world--is finally beginning to be felt in this country, too.
It has been found that the latest version of Toyota's Prius hybrid, which hit the market in May, has a brake design flaw.
The Prius, a model built on Toyota's state-of-the-art environmental technology, is the automaker's flagship model. The Prius was the nation's top-selling vehicle in Japan last year. Given this, the latest affair is a severe blow to the world's largest car manufacturer.
During a press conference, Toyota President Akio Toyoda apologized for the problem and emphasized the automaker was determined to reexamine its quality control system in its entirety. His resolve apparently reflects Toyota's sense of urgency about the problem.
It has also surfaced that there are accelerator pedal flaws in other Toyota models, forcing the carmaker to recall and repair an estimated 4.45 million units in North America and some other areas. Swift measures must be taken to clear up the Prius glitch.
The recently revealed flaw in the Prius can cause its brakes to fail temporarily while driving on icy roads or in other treacherous conditions. Toyota has said the problem lies with a mechanism for controlling the hybrid car's antilock braking system (ABS), a device for preventing skidding.
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Brakes in spotlight
The Prius is outfitted with both a hydraulic brake--the kind used in ordinary cars--and a regenerative brake that functions during deceleration. According to Toyota, the two braking systems can fail to smoothly function in tandem with the ABS system under certain running conditions, causing a Prius driver to feel as though the brakes were not working for a moment. Toyota has said this period can last "less than one second," adding the Prius will halt if the driver pumps the brake a second time. It has openly concluded this problem is not a defect in the Prius.
However, the apparent flaw in the Prius is an issue that must be examined from the standpoint of the model's basic performance. It is not merely a matter of how a Prius driver feels if his or her car does not properly function for a split second.
Toyota has improved the ABS computer program installed on Prius cars built and shipped since January. The car manufacturer is also set to repair previously sold vehicles without charge.
Toyota's response can be regarded as reasonable. However, the move comes too late, given that Toyota became aware of the problem in autumn.
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Safety must come first
There is no denying Toyota was overconfident about its models' high-tech equipment, and lightly treated complaints from users. The carmaker should reexamine its customer relations section.
Contemporary cars, including the Prius, are equipped with numerous computerized control systems that improve their fuel efficiency and driving safety. Quick steps must be taken to thoroughly examine other models over whether their complicated electronics can work with each other without a hitch.
More than 120 complaints have been received about the Prius braking system in the United States. The U.S. Transportation Department has set out to investigate the problem. Toyota has come under a barrage of criticism in the United States.
Failure to properly deal with the current fiasco could deal a blow to the international trust in Japan's manufacturing technology. We hope Toyota humbly accepts the criticism leveled against it and will do all it can to ensure the safety and high quality of its vehicles.
待つのは音楽産業以上の悲惨な未来か? 出版業界を駆け巡る電子ブック狂騒の罠(COLUMN)
電子出版がブームです。アマゾンのキンドルとアップルのiPadの全面対決という様相を呈しているのに加え、様々な企業が新たな電子ブックリーダーを市場に投入しようとしており、新たなネット・バブルの感もあります。電子出版で本の世界が変わると喧伝され、出版業界の救世主のように言われることもありますが、本当なのでしょうか。簡単に検証したいと思います。
果たして普及するか?
まず、電子出版は今度どの程度普及するのでしょうか。アマゾンのキンドルは確かによく出来ています。3月に発売されるアップルのiPadもきっと素晴らしい完成度だと思います。しかし、電子ブックリーダーが紙(書籍や雑誌)に取って代わる程に普及するのでしょうか。
キンドルやiPadの動きが大きく報道されていますが、電子ブックリーダーの世界での販売量は2008年が100万台、2009年が500万台、そして今年は1200万台と推測されています。急速に伸びてはいますが、携帯端末の普及の度合いやペースと比べると、そんなに凄いとは言えません。
ついでに言えば、米国では、5年後に大人の1/3が電子ブックリーダーを使うようになると予測されています。この数字をどう評価するかは、人によって分かれると思いますが、将来推計の多くは大きめの希望値であることを考えると、普及のペースはメディアが騒ぐほどには早くないと考えるべきではないでしょうか。
逆に言えば、書籍や新聞といった紙が消滅することも、考え得る近い将来には起き得ないのです。音楽の世界でCDと配信が併存するのと同じ状況になるのではないでしょうか。
出版業界の救世主となるのか?
次に気になるのは、電子出版が不況に喘ぐ出版業界の救世主になるかのように言われていることです。本当にそうでしょうか。
出版業界のみならず、マスメディア全体が継続的な収益悪化に見舞われています。ネット普及の必然的結果、古い産業の宿命などと抽象的・情緒的に説明されることが多いのですが、その本質的な原因は、コンテンツの流通独占をネット企業に奪われたからに他なりません。
マスメディアは、基本的にコンテンツの制作から流通までを自社(及び関係の深い企業)が担うという垂直統合型のビジネスモデルを採っています。その下で紙や電波といった媒体別に少数の企業がコンテンツ流通を独占してきたので、独占がもたらす超過利潤を享受することができました。良いコンテンツを作ることもさることながら、流通独占がマスメディアの利益の源泉だったのです。
ところが、今やユーザのコンテンツ消費の中心は紙や電波からネットへとシフトしました。そして、ネット上でコンテンツ流通の中核はネット企業です。即ち、コンテンツの流通独占がマスメディアからネット企業へとシフトしてしまったのです。だからこそ、マスメディアの収益悪化と反比例してネット企業の利益は増加しているのです。
そう考えると、電子出版が普及しても、出版業界の苦境は変わらないだろうと予測せざるを得ません。電子出版でのコンテンツ流通はアマゾンなどのネット企業が独占しており、状況は何も変わらないからです。価格や収益配分の決定権は基本的にネット企業の側にあり、広告展開に不可欠な購入者データ(雑誌ビジネスでは最重要)もネット企業に帰属するのです。ネットか紙・電波かといった媒体に関係なく、コンテンツ関連のビジネスでは流通を牛耳る者が勝つのです。
出版社のネット上でのビジネス展開はこれまで十分ではなかったので、電子出版を活用することで出版社はある程度の追加収入を得られます。しかし、音楽や新聞といった産業の経験から証明されているように、ネットからの収入増はアナログの収入源を補えるレベルには到底ならないでしょう。
出版社の衰退=活字文化の衰退
もちろん、電子出版の普及はユーザに様々なメリットをもたらしますので、出版社は電子出版を避けるべきなどと言うつもりは毛頭ありません。ただ、出版社が自らの将来的なビジネスモデルについて明確な方向性と戦略を持たずに電子出版に巻き込まれてしまうと、出版業界は音楽産業以上に悲惨な運命を辿ることにもなりかねません。
そして、その場合には日本の活字文化も衰退しかねないことに留意すべきです。出版社は活字文化という重要な文化の担い手です。活字文化というと権利者である作者ばかりがクローズアップされがちですが、出版社の果たして来た役割(編集者の貢献、流通独占から得た利益のコンテンツ制作への還元など)を軽視すべきではありません。
そうした出版社が担ってきた役割を誰が代わりに果たせるのかも不明な中で、出版業界の崩壊を“旧産業の宿命”のようなステレオタイプな議論で片付けてはいけないのではないでしょうか。
Tシャツとかジーンズなら、価格低下が進んで国内生産が困難になっても中国などが生産を代替すれば問題ありません。でも、自国の文化を他国に代替してもらうことは不可能です。
だからこそ出版社は、電子出版の普及という環境変化の中でも生き残らないといけないのであり、そのためには、正しいアプローチで電子出版に向き合うことが不可欠です。音楽産業とネットの関わりなどの前例から、何が正しいかは実は明らかなので、既得権益に拘泥せず正しい対応をしてくれることを期待したいものです。
一方で、これだけコンテンツのネット流通が増える中で、私たちユーザの側も認識を改める時期に来ているのではないでしょうか。デフレ下でモノの価格が下がるのは嬉しいものですが、それが社会的に許容できるのは、労働コストが安い他国で生産が可能なものだけです。自国の文化やジャーナリズムといった他国で代替し得ないものにまでデフレが及ぶと、結果的には社会的コストが増大するのであり、電子出版を利用する際もそうした意識を頭の片隅に持つことが大事ではないでしょうか。
KDDI、JCOMの経営権取得を断念
KDDIは5日、ケーブルテレビ(CATV)最大手ジュピターテレコム(JCOM)の発行済み株式の3分の1超を取得して経営権を握る計画を断念する方向で最終調整に入った。
JCOM株の3分の1超を保有する米系企業の子会社を一括買収する予定だったが、金融庁から金融商品取引法の株式公開買い付け(TOB)ルールに抵触するとの指摘を受け、計画の実現は困難と判断した。
KDDIは1月、米メディア複合企業「リバティー・グローバル」からJCOM株を保有する三つの子会社を2月中旬に3617億円で一括買収すると発表した。だが、金融庁は、上場企業の経営権を事実上、握ることができる3分の1超の株式取得と同じであるため、TOBを義務づけた金商法のルールに抵触し、800億円を超す課徴金が課される可能性が高いとして、TOBなど他の手法への変更を促していた。
KDDIは当初、今回の取引は「法律上、問題ない」との姿勢だったが、最終的に実現は難しいと判断した。TOBに切り替えることも困難なため、米系企業との契約通り3子会社を一括買収するが、株式の一部は所有権を外部に移し、実質的に持ち株比率を3分の1未満に抑える手法などを軸に調整している。
KDDIはJCOMを傘下に収めてケーブルテレビの通信・放送設備や顧客基盤を拡大し、最大手のNTTグループに対抗する構想だった。
ミクシィ下方修正 「mixiアプリ」急成長もコスト重く
ミクシィは2月5日、2010年3月期通期の連結利益予想を下方修正した。営業利益は当初予想より6億円減(-18.8%)の26億円に。「mixiアプリ」が想定以上にヒットした結果、アプリケーションプロバイダーに支払う費用がかさんだことが主な要因だ。
経常利益は6億5000万円減(-20.3%)の25億5000万円、純利益は4億3000万円減(-25.3%)の12億7000万円に修正した。売上高は130億円に据え置く。
mixiアプリは昨年8月下旬にPC版を、10月下旬に携帯電話版を正式スタート。100万ユーザーを超えるアプリが次々に登場するなど予想を上回るスピードで成長し、mixiのページビュー(PV)や訪問頻度拡大に貢献した。
12月のmixiアプリのPV(PC・携帯含む)は109億。横ばいか下降トレンドにあったPC版のPVを拡大基調に乗せ、携帯版のPVを急成長させるドライブとなった。
mixiアプリはアクティブユーザーの拡大にも貢献している。mixiへの月間ログインユーザー数は、8月は1199万、10月は1222万、12月は1257万と順調に拡大している。
だが想定を上回る急拡大が収益の重荷に。mixiアプリは「アドプログラム」として、1PV当たり0.01~0.05円をアプリケーションプロバイダーに支払っているが、この費用が通期で想定を約6億5000万円上回り、8億円となるほか、サーバ・回線コストも想定を約1億5000万円上回った。
今後は広告販売を本格化するほか、昨年12月に公開した課金API「mixiペイメントAPI」(1月末時点で24アプリが利用)を通じた課金アプリも広がっていく見通しで、ゆるやかに収益化させていく計画だ。2月5日現在の登録アプリ数はPCが約780、携帯が約330。
「GREEやモバゲーとは違う」
ディー・エヌ・エー(DeNA)の「モバゲータウン」やグリーの「GREE」が課金型ゲームで利益を急拡大させる中、mixiアプリの立ち上がりは地味だが、笠原健治社長は「GREEやモバゲーとは明らかに別の市場を狙ったものだ」と強調。長期的な視野で収益化していくと話す。
「GREEやモバゲーは、見知らぬ人と一緒にゲームをプレイし、ARPU(1人当たりの売上高)を拡大するかたちで、既存のゲームコミュニティーやオンラインゲーム市場を狙ったサービス。mixiアプリは、友人(マイミクシィ)と一緒にコミュニケーションを楽しむためのもので、ARPUではなく課金ユーザーのすそ野を拡大する取り組みだ。これまでにない新しい市場で開拓には時間がかかると思うが、しっかり立ち上げていきたい」
mixi登録制、3月に延期
ミクシィの笠原健治社長は2月5日、SNS「mixi」を招待なしで利用できる登録制を3月にスタートすることを明らかにした。
当初は昨年春からの予定だったが、今年2月に延期。さらに1カ月延期した。招待状なしで参加したユーザーでも友人を見つけられる仕組みの整備や、「mixiアプリ」の順調な立ち上げを優先したため。
登録制スタートに合わせてマス広告も展開し、ユーザーを拡大する計画だ。
雑誌アプリ「MAGASTORE」、iモード版が登場
電通とヤッパは、電子雑誌配信サービス「MAGASTORE」のiモード版を2月8日より提供する。サイトで雑誌を購入し、専用アプリで閲覧する。
「MAGASTORE」は、雑誌を携帯端末上で楽しめるサービス。昨年9月からiPhone版、同年11月からソフトバンクモバイルのケータイWi-Fi版が提供されてきたが、今回、iモード向けサービスとして提供されることになった。雑誌代は、通常のiモードコンテンツと同じ形で支払う。
提供される雑誌は、SPA!、週刊ダイヤモンド、AERA、GQ JAPAN、オズマガジン、ニューズウィーク日本版、Goo、じゃらん関東版など。
基礎的財政収支、赤字2.5倍の40兆円 09年度、財政再建険しく
内閣府は5日、国と地方の財政がどれだけ健全かを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、2009年度の赤字幅が過去最悪の40兆6千億円になるとの推計値を発表した。赤字幅は08年度の16兆1千億円から2.5倍に膨らんだ。政府は財政健全化への道筋を早急に示す必要があるが、子ども手当の満額支給など歳出増加政策は目白押し。財政のやりくりは厳しさを増す一方だ。
基礎的財政収支は毎年の政策に必要な経費を借金に頼らずに、その年の税収などで賄えているかをみる指標。借金に依存すると赤字となる。
09年度の赤字幅が膨らんだのは金融危機に対応するための景気対策で歳出が膨らんだのに加え、税収が急減したのが主因だ。名目国内総生産(GDP)に対する赤字の比率も8.6%となり、1999年度の6.0%を上回って過去最悪を記録した。
電子出版がブームです。アマゾンのキンドルとアップルのiPadの全面対決という様相を呈しているのに加え、様々な企業が新たな電子ブックリーダーを市場に投入しようとしており、新たなネット・バブルの感もあります。電子出版で本の世界が変わると喧伝され、出版業界の救世主のように言われることもありますが、本当なのでしょうか。簡単に検証したいと思います。
果たして普及するか?
まず、電子出版は今度どの程度普及するのでしょうか。アマゾンのキンドルは確かによく出来ています。3月に発売されるアップルのiPadもきっと素晴らしい完成度だと思います。しかし、電子ブックリーダーが紙(書籍や雑誌)に取って代わる程に普及するのでしょうか。
キンドルやiPadの動きが大きく報道されていますが、電子ブックリーダーの世界での販売量は2008年が100万台、2009年が500万台、そして今年は1200万台と推測されています。急速に伸びてはいますが、携帯端末の普及の度合いやペースと比べると、そんなに凄いとは言えません。
ついでに言えば、米国では、5年後に大人の1/3が電子ブックリーダーを使うようになると予測されています。この数字をどう評価するかは、人によって分かれると思いますが、将来推計の多くは大きめの希望値であることを考えると、普及のペースはメディアが騒ぐほどには早くないと考えるべきではないでしょうか。
逆に言えば、書籍や新聞といった紙が消滅することも、考え得る近い将来には起き得ないのです。音楽の世界でCDと配信が併存するのと同じ状況になるのではないでしょうか。
出版業界の救世主となるのか?
次に気になるのは、電子出版が不況に喘ぐ出版業界の救世主になるかのように言われていることです。本当にそうでしょうか。
出版業界のみならず、マスメディア全体が継続的な収益悪化に見舞われています。ネット普及の必然的結果、古い産業の宿命などと抽象的・情緒的に説明されることが多いのですが、その本質的な原因は、コンテンツの流通独占をネット企業に奪われたからに他なりません。
マスメディアは、基本的にコンテンツの制作から流通までを自社(及び関係の深い企業)が担うという垂直統合型のビジネスモデルを採っています。その下で紙や電波といった媒体別に少数の企業がコンテンツ流通を独占してきたので、独占がもたらす超過利潤を享受することができました。良いコンテンツを作ることもさることながら、流通独占がマスメディアの利益の源泉だったのです。
ところが、今やユーザのコンテンツ消費の中心は紙や電波からネットへとシフトしました。そして、ネット上でコンテンツ流通の中核はネット企業です。即ち、コンテンツの流通独占がマスメディアからネット企業へとシフトしてしまったのです。だからこそ、マスメディアの収益悪化と反比例してネット企業の利益は増加しているのです。
そう考えると、電子出版が普及しても、出版業界の苦境は変わらないだろうと予測せざるを得ません。電子出版でのコンテンツ流通はアマゾンなどのネット企業が独占しており、状況は何も変わらないからです。価格や収益配分の決定権は基本的にネット企業の側にあり、広告展開に不可欠な購入者データ(雑誌ビジネスでは最重要)もネット企業に帰属するのです。ネットか紙・電波かといった媒体に関係なく、コンテンツ関連のビジネスでは流通を牛耳る者が勝つのです。
出版社のネット上でのビジネス展開はこれまで十分ではなかったので、電子出版を活用することで出版社はある程度の追加収入を得られます。しかし、音楽や新聞といった産業の経験から証明されているように、ネットからの収入増はアナログの収入源を補えるレベルには到底ならないでしょう。
出版社の衰退=活字文化の衰退
もちろん、電子出版の普及はユーザに様々なメリットをもたらしますので、出版社は電子出版を避けるべきなどと言うつもりは毛頭ありません。ただ、出版社が自らの将来的なビジネスモデルについて明確な方向性と戦略を持たずに電子出版に巻き込まれてしまうと、出版業界は音楽産業以上に悲惨な運命を辿ることにもなりかねません。
そして、その場合には日本の活字文化も衰退しかねないことに留意すべきです。出版社は活字文化という重要な文化の担い手です。活字文化というと権利者である作者ばかりがクローズアップされがちですが、出版社の果たして来た役割(編集者の貢献、流通独占から得た利益のコンテンツ制作への還元など)を軽視すべきではありません。
そうした出版社が担ってきた役割を誰が代わりに果たせるのかも不明な中で、出版業界の崩壊を“旧産業の宿命”のようなステレオタイプな議論で片付けてはいけないのではないでしょうか。
Tシャツとかジーンズなら、価格低下が進んで国内生産が困難になっても中国などが生産を代替すれば問題ありません。でも、自国の文化を他国に代替してもらうことは不可能です。
だからこそ出版社は、電子出版の普及という環境変化の中でも生き残らないといけないのであり、そのためには、正しいアプローチで電子出版に向き合うことが不可欠です。音楽産業とネットの関わりなどの前例から、何が正しいかは実は明らかなので、既得権益に拘泥せず正しい対応をしてくれることを期待したいものです。
一方で、これだけコンテンツのネット流通が増える中で、私たちユーザの側も認識を改める時期に来ているのではないでしょうか。デフレ下でモノの価格が下がるのは嬉しいものですが、それが社会的に許容できるのは、労働コストが安い他国で生産が可能なものだけです。自国の文化やジャーナリズムといった他国で代替し得ないものにまでデフレが及ぶと、結果的には社会的コストが増大するのであり、電子出版を利用する際もそうした意識を頭の片隅に持つことが大事ではないでしょうか。
KDDI、JCOMの経営権取得を断念
KDDIは5日、ケーブルテレビ(CATV)最大手ジュピターテレコム(JCOM)の発行済み株式の3分の1超を取得して経営権を握る計画を断念する方向で最終調整に入った。
JCOM株の3分の1超を保有する米系企業の子会社を一括買収する予定だったが、金融庁から金融商品取引法の株式公開買い付け(TOB)ルールに抵触するとの指摘を受け、計画の実現は困難と判断した。
KDDIは1月、米メディア複合企業「リバティー・グローバル」からJCOM株を保有する三つの子会社を2月中旬に3617億円で一括買収すると発表した。だが、金融庁は、上場企業の経営権を事実上、握ることができる3分の1超の株式取得と同じであるため、TOBを義務づけた金商法のルールに抵触し、800億円を超す課徴金が課される可能性が高いとして、TOBなど他の手法への変更を促していた。
KDDIは当初、今回の取引は「法律上、問題ない」との姿勢だったが、最終的に実現は難しいと判断した。TOBに切り替えることも困難なため、米系企業との契約通り3子会社を一括買収するが、株式の一部は所有権を外部に移し、実質的に持ち株比率を3分の1未満に抑える手法などを軸に調整している。
KDDIはJCOMを傘下に収めてケーブルテレビの通信・放送設備や顧客基盤を拡大し、最大手のNTTグループに対抗する構想だった。
ミクシィ下方修正 「mixiアプリ」急成長もコスト重く
ミクシィは2月5日、2010年3月期通期の連結利益予想を下方修正した。営業利益は当初予想より6億円減(-18.8%)の26億円に。「mixiアプリ」が想定以上にヒットした結果、アプリケーションプロバイダーに支払う費用がかさんだことが主な要因だ。
経常利益は6億5000万円減(-20.3%)の25億5000万円、純利益は4億3000万円減(-25.3%)の12億7000万円に修正した。売上高は130億円に据え置く。
mixiアプリは昨年8月下旬にPC版を、10月下旬に携帯電話版を正式スタート。100万ユーザーを超えるアプリが次々に登場するなど予想を上回るスピードで成長し、mixiのページビュー(PV)や訪問頻度拡大に貢献した。
12月のmixiアプリのPV(PC・携帯含む)は109億。横ばいか下降トレンドにあったPC版のPVを拡大基調に乗せ、携帯版のPVを急成長させるドライブとなった。
mixiアプリはアクティブユーザーの拡大にも貢献している。mixiへの月間ログインユーザー数は、8月は1199万、10月は1222万、12月は1257万と順調に拡大している。
だが想定を上回る急拡大が収益の重荷に。mixiアプリは「アドプログラム」として、1PV当たり0.01~0.05円をアプリケーションプロバイダーに支払っているが、この費用が通期で想定を約6億5000万円上回り、8億円となるほか、サーバ・回線コストも想定を約1億5000万円上回った。
今後は広告販売を本格化するほか、昨年12月に公開した課金API「mixiペイメントAPI」(1月末時点で24アプリが利用)を通じた課金アプリも広がっていく見通しで、ゆるやかに収益化させていく計画だ。2月5日現在の登録アプリ数はPCが約780、携帯が約330。
「GREEやモバゲーとは違う」
ディー・エヌ・エー(DeNA)の「モバゲータウン」やグリーの「GREE」が課金型ゲームで利益を急拡大させる中、mixiアプリの立ち上がりは地味だが、笠原健治社長は「GREEやモバゲーとは明らかに別の市場を狙ったものだ」と強調。長期的な視野で収益化していくと話す。
「GREEやモバゲーは、見知らぬ人と一緒にゲームをプレイし、ARPU(1人当たりの売上高)を拡大するかたちで、既存のゲームコミュニティーやオンラインゲーム市場を狙ったサービス。mixiアプリは、友人(マイミクシィ)と一緒にコミュニケーションを楽しむためのもので、ARPUではなく課金ユーザーのすそ野を拡大する取り組みだ。これまでにない新しい市場で開拓には時間がかかると思うが、しっかり立ち上げていきたい」
mixi登録制、3月に延期
ミクシィの笠原健治社長は2月5日、SNS「mixi」を招待なしで利用できる登録制を3月にスタートすることを明らかにした。
当初は昨年春からの予定だったが、今年2月に延期。さらに1カ月延期した。招待状なしで参加したユーザーでも友人を見つけられる仕組みの整備や、「mixiアプリ」の順調な立ち上げを優先したため。
登録制スタートに合わせてマス広告も展開し、ユーザーを拡大する計画だ。
雑誌アプリ「MAGASTORE」、iモード版が登場
電通とヤッパは、電子雑誌配信サービス「MAGASTORE」のiモード版を2月8日より提供する。サイトで雑誌を購入し、専用アプリで閲覧する。
「MAGASTORE」は、雑誌を携帯端末上で楽しめるサービス。昨年9月からiPhone版、同年11月からソフトバンクモバイルのケータイWi-Fi版が提供されてきたが、今回、iモード向けサービスとして提供されることになった。雑誌代は、通常のiモードコンテンツと同じ形で支払う。
提供される雑誌は、SPA!、週刊ダイヤモンド、AERA、GQ JAPAN、オズマガジン、ニューズウィーク日本版、Goo、じゃらん関東版など。
基礎的財政収支、赤字2.5倍の40兆円 09年度、財政再建険しく
内閣府は5日、国と地方の財政がどれだけ健全かを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、2009年度の赤字幅が過去最悪の40兆6千億円になるとの推計値を発表した。赤字幅は08年度の16兆1千億円から2.5倍に膨らんだ。政府は財政健全化への道筋を早急に示す必要があるが、子ども手当の満額支給など歳出増加政策は目白押し。財政のやりくりは厳しさを増す一方だ。
基礎的財政収支は毎年の政策に必要な経費を借金に頼らずに、その年の税収などで賄えているかをみる指標。借金に依存すると赤字となる。
09年度の赤字幅が膨らんだのは金融危機に対応するための景気対策で歳出が膨らんだのに加え、税収が急減したのが主因だ。名目国内総生産(GDP)に対する赤字の比率も8.6%となり、1999年度の6.0%を上回って過去最悪を記録した。