00430000s@merumo.ne.jp に空メールすると、ブログと同じ内容のメルマガをが配信されます。twitterはhttps://twitter.com/wataru4 です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「朝起きたら真っ先にTwitter」──孫社長
「決算発表もUstreamで生中継をする時代。それを見ながら一般の人々がTwitterでコメントできる。多くの人々がコミュニケーションに参加し、意見を言い、質問できる時代が来た」──ソフトバンクの孫正義社長は、4月27日開いた決算説明会で、新メディアを経営に積極的に取り入れていく考えを説明した。説明会は「Ustream」で生中継し、最大で5300人が視聴した。
ソフトバンクは今年1月、米Ustreamに2000万ドル(約18億円)を出資し、筆頭株主になった。決算発表の当日には、日本語化したUstreamを公開。孫社長がTwitterでつぶやいた「5月までにUstreamを日本語化する」という公約を守った形だ。
現在、Ustreamの月間ユニークユーザー(UU)数は1億超。「全世界のテレビ局を合計しても2万8000社。Ustreamを使って全スマートフォンユーザーが生中継を配信する時代が来る」(孫社長)。先進的な取り組みとして3月に1号店をオープンしたUstreamスタジオも紹介した。
「朝起きたら真っ先にTwitterのツイートを見る。寝る直前にもTwitterを見ていろいろ確認するようになった。本当に時代は変わったなと感じる」と自身のライフスタイルの変化についても触れる。「ソフトバンクでもこの変化を前向きに捉え、経営に役立てている」という。
Ustreamの日本語化や、ホワイトプランの障害者割引は、Twitterでユーザーから受け付けた要望がきっかけ。Twitterを利用することで「進化の速度、意思決定が早まった。末端のソフトバンクユーザーが声を直接届け、それを拾えるリレーションが生まれている」という。
「Twitterのアカウント数は1億を突破、Ustreamと合わせると利用者はのべ2億人。国の人口でいえば世界で5番目に匹敵する数」だという。「まさに今も多くの人がUstreamを見て、Twitterを使って感動を共有している」と、ソーシャルネットワーキングを使って知識や感動を共有する時代が来ると予言した。
電波状況の改善に向けた4000億の設備投資計画も発表。「Twitterユーザーの声を真正面から受け止め、ネットワーク環境を改善したいと思い、設備投資の増額を決めた」という。
iPhone用Skypeの3G回線での利用を認める可能性についての質問に対し、孫社長は、Skypeを使う場合に料金が高いデータプランに契約する必要がある欧米の例に触れ、「データプランによってはSkypeの利用を認めるケースはあり得る。(Skypeの品質向上という意味での)テクノロジーの進化と、タイミング次第」と答えた。
果てなき孫氏の野望 ソフトバンク、営業利益でKDDI抜く
5年連続で連結営業利益の最高益を更新したソフトバンク。中核事業となったソフトバンクモバイルは、価格破壊を武器に携帯電話ビジネスをモデル転換し、自社に有利な制度を導き、成長を続けてきた。現在もSIMロック解除や光回線事業をめぐる摩擦を繰り返しながら、孫正義社長は次なる狙いをモバイルインターネットの爆発的普及と見据えた成長戦略を描く。
■挑戦と軋轢
「創業以来30年で、この5~6年がいかに業績を上げることができたか」。27日夕刻から行われた決算説明会の席上、孫氏は過去最高益を更新した業績のグラフを見ながら胸を張った。
孫氏が携帯電話事業への参入を宣言したのは16年6月の株主総会に遡る。「世界一高い日本の携帯電話料金を引き下げる」と宣言しての殴り込みだった。
総務省や他の携帯電話事業者などとの軋(あつ)轢(れき)を数え上げればきりがない。電波を広く飛ばせる800メガヘルツの周波数帯が、NTTドコモとKDDIだけに割り当てられたことについて「密室的で不公平な行政判断だ」と、16年10月に総務省を相手取り行政訴訟を起こしたほどだ。こうした姿勢は、かつては国営企業だったNTTという「体制派」に立ち向かう挑戦者という構図を生み出し、世論を味方につけてきた感もある。
■成功と波紋
ソフトバンクは、13年から3年で400万人超の利用者を集めたADSLサービスのヤフーBBで「低価格戦略」を成功させた体験から、携帯電話事業でも月額基本料を1000円以下とする戦略で、多くの顧客を獲得した。シェアは当初の16%から今年3月末時点で19%まで伸ばしている。 経営の重荷となってきた有利子負債も英ボーダフォン日本法人買収後の18年6月末の約2・4兆円から、今年3月末時点で1・5兆円にまで削減された。
だが、付帯条件の分かりにくかった「通話、メール0円」の広告で公正取引委員会の警告を受けるなどの波紋も起こしてきた。業界関係者は、「最近も賞金1億円で話題になった『S-1バトル』関連メールのパケット代など、お金を取られることが分かりにくい仕組みはまだある」と話す。
ある通信業界のアナリストは「この料金制度は絶妙だが巧妙ともいえる」と指摘。「こうしたビジネスモデルが利用者に見透かされると、リスクを抱えることにつながる」と解説する。
他社に先駆けて端末の割賦販売制度を導入し、「通信料金と端末料金の分離」に着手するなど利用者にもたらした恩恵は大きいが、その30年の歴史には常に功罪両面がつきまとってきた。
■対立と弱み
ソフトバンクの前に、新たに立ちはだかる難関がSIMロックの解除問題と次世代通信網を支える光回線の整備と使用料をめぐるNTTなどとの意見対立だ。
JPモルガン証券の佐分博信アナリストは「SIMロックが解除されると、端末やサービスが差別化できず、ネットワークの品質と料金で差別化が進む。ソフトバンクはネットワークではNTTの蓄積にかなわない」と指摘する。
SIMロック問題の行方次第では、モバイルインターネットの象徴で成長戦略に不可欠な米アップル社のアイフォーンの利用者が、ネットワークの品質がいいNTTドコモへ流出する可能性もでてくる。
このため孫社長は基地局やWi-Fi網への設備投資を強調する一方、SIMロックの解除には「強制はおかしい。だが、決まれば機種の2割強を対応させたい」と述べ、アイフォーンを解除の対象に含めるかどうか明言を避けた。
一方、光回線事業では、膨大なコスト負担を前に設備投資をあきらめたソフトバンクはNTTに回線使用料を支払う立場だ。孫社長は会見で「NTTは先行投資が重荷なら事業を分社化すればいい」と改めて主張したが、「事業分離はブロードバンド普及をかえって阻害する」というNTT側と真っ向から対立している。議論の決着次第では、この分野でもソフトバンクは「持たざる者」の弱みを露呈することにもなりかねない。
JASRAC、ニコニコ動画に海外楽曲の使用許諾へ 投稿サイトに初
日本音楽著作権協会(JASRAC)は、ドワンゴ子会社で動画投稿サイト「ニコニコ動画」を運営するニワンゴ(東京・中央)に海外楽曲の使用を許諾する方針を固めた。料率など詰めの協議に入っており、5月にも最終合意したい考えだ。
同協会が動画投稿サイトに海外楽曲の利用を認めるのは今回が初めて。個人が投稿する動画はBGMに海外楽曲を使用している例も多い。今後は徴収した楽曲使用料の一部が海外権利者にも分配されるようになる。
日本の楽曲は2008年4月に使用を許諾しており、ニワンゴは動画サイトの売り上げの1.875%を楽曲使用料として支払っている。
同協会は自らが管理する日本国内の楽曲の使用許諾について、「ユーチューブ」など約30の動画投稿サイト運営者と契約している。
アップル、ネット通販停止の波紋 iPad発売へ直販強化
米アップルが日本で流通ルートの見直しを加速している。家電量販店のインターネット通販サイト経由の販売を停止したほか、製品を量販店に卸す中間流通業者の絞り込みも始めたようだ。多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」の国内発売を5月末に控え、直販体制の強化に動いているとの見方もある。
アップルの人気パソコン「MacBook2260」は、アップル自前の通販サイトでは9万8800円。これが低価格の通販サイトでは8万2000円弱になる。ある通販業者は「安売りサイトに商品が流れているのがアップルは我慢ならなかったようだ」とみる。
安売りサイトの仕入れ元の1つが家電量販。通販業者は量販店で特売品などを買い集め、ネットで売る。今回、アップルは家電量販にネット販売の中止を迫るとともに、ネット通販業者への商品提供も禁じた。
今回の流通見直しは年初には始まっていたが、アップルジャパンの代表取締役が3月に販売営業も統括するダグ・ベック氏に交代し、加速したもよう。3月には家電量販店との交渉が本格化。量販各社は4月に入りアップル製品のネット通販を順次やめた。
中間流通業者についてもアップルは特定の数社に絞り込んでいるとみられる。複数の業者がアップル製品の取り扱いを段階的に縮小し始めた。
一連の動きに関しアップル日本法人は「現時点では特にコメントはない」としているが、背景には流通コストを削減する狙いも見え隠れする。
世界的に直営の販売網の拡充を図るアップルにとって、直営店の運営コスト捻出(ねんしゅつ)が目下の課題。MM総研(東京・港)の中村成希アナリストは「削減したコストを直営店運営に回すのでは」とみる。
また、ある量販の幹部は「Macを置くなら大型店だけにして小さな古い店は扱いをやめてほしいと言われた」と明かす。絞り込みでブランドイメージを守る目的もあるとみられる。5月下旬に米国を除く世界で「iPad」が発売されるのを前に、販売戦略がそれを見据えたステージに移行したといえそうだ。
もっともアップルの販売体制を巡っては1989年、99年にそれぞれ独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会の立ち入り検査が実施されている。今回の見直しがどんな波紋を呼ぶかは読めないが、アップルの動向に注目度が高まっている。
マイルドセブン410円 JT、10月値上げへ
日本たばこ産業(JT)は10月のたばこ税増税に伴い、代表的な銘柄である「マイルドセブン」などの価格を現在の1箱300円から410円前後に引き上げる方向で調整に入った。増税幅は1箱あたり70円だが、増税分を上回る値上げとなる。国内最大手のJTの大幅値上げは、ほかのメーカーのたばこ価格にも影響を与えそうだ。
10月のたばこ税の増税幅は1本あたり3.5円で、平均的なたばこ1箱(20本入り)は70円の引き上げになる。同社は増税後にたばこの需要が20%以上落ち込むとみており、収益確保のためには一段の価格上乗せが必要と判断したもようだ。
過去の増税時はブランドごとの値上げ幅はほぼ同じだった。ただ今回は大幅増税になることから、JTはブランド力に応じて値上げ幅を変える方向で調整している。例えば「セブンスター」はマイルドセブンの価格を上回る可能性が高い。
東京都内人口1300万人突破 自治体、保育所や交通の整備急ぐ
東京都内の4月1日現在の総人口(推計)が1300万人の大台を突破し、東京への人口集中が続いていることが浮き彫りになった。都内の自治体は保育所や交通インフラの整備を急いでいる。ただ、都内の総人口は5年後をピークに減少に転じる見通しで、東京の人口構造は大きな転換点を迎えつつある。
総人口は2000年に1200万人に達した後、10年間で100万人増えた。1100万人から1200万人に達するのに約30年かかっており、足元の人口増加のペースは速い。
人口増加の中心は転入数が転出数を上回る社会増だ。この1年間での人口の増加数が最も多かった江東区では、増加数の約6割が都外や都内の別の自治体からの転入者。足立区でも増加数の約9割を転入者が占めた。
「スヌーピー」ライセンス権、米新聞・出版大手が売却
【ニューヨーク=河内真帆】日本でも人気のあるキャラクター「スヌーピー」を含むコミックのライセンス権が米新聞・出版大手E・W・スクリプスから、ファッションブランドの運営や消費財のライセンス管理を事業とするアイコニックス・ブランド・グループに総額1億7500万ドル(約162億円)で売却される。両社が27日発表した。
E・W・スクリプスは傘下のライセンス管理事業ユナイテッド・メディア・ライセンシングをアイコニックスに売却。同事業が手掛けるライセンス資産にはスヌーピーのほか、オフィスの人間関係を皮肉に描いて人気の「ディルバート」などが含まれる。
アイコニックスは今後、スヌーピーの生みの親で2000年に物故した漫画家チャールズ・シュルツ氏の遺族と契約。新規事業として、スヌーピーがメーンキャラクターの漫画シリーズ「ピーナツ」を様々な商品に仕立て、利益を家族と配分する計画だ。
スヌーピーなど「ピーナツ」関連商品は世界40カ国以上で販売され、小売りベースでの売上高は推定20億ドルにのぼるとされる。アイコニックスは主にディスカウントストアなどで扱う価格帯の衣料品、靴、下着、アクセサリー類のブランドのライセンスを管理、運営する。
シュルツ氏は1950年10月にE・W・スクリプス傘下の新聞に「ピーナツ」の連載を開始。この時点で漫画の著作権は同社が買い取った格好となっていた。その後、漫画家本人や家族は出版社に対し、漫画にかかわるすべての権利の返還を求めて提訴するなど、のんびりしたキャラクター漫画とは裏腹に、金銭がらみの攻防が繰り広げられていた。
【産経主張】小沢氏「起訴相当」 やはり議員辞職すべきだ
■再捜査で問われる検察の責任
天網恢々(てんもうかいかい)疎にして漏らさず、と形容した方がよいのだろう。
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、東京第5検察審査会が小沢氏の「起訴相当」を議決した意味合いである。
土地購入をめぐり、21億円余の巨額の虚偽記載で側近議員や秘書らが起訴されたこの事件は、「秘書の犯罪」で済まされる事件ではなく、小沢氏の関与が焦点だった。だが、小沢氏は東京地検特捜部に事情聴取されたものの嫌疑不十分で不起訴となった。
これに対し、審査会は「共謀共同正犯が成立するとの認定が可能」と断じた。国民から選ばれた11人の検察審査員全員が一致して小沢氏の刑事責任を認めたきわめて重い判断である。
議決を受けて東京地検は再捜査を行い、3カ月以内に起訴か不起訴の処分を決めなければならないが、小沢氏は「潔白」を主張する根拠を失ったといえよう。刑事責任の問題に加え、政治的さらに道義的責任は明白だ。
やはり議員辞職を決断すべきときである。
陸山会の規正法違反事件では、現職衆院議員の石川知裕被告と小沢氏の元公設第1秘書の大久保隆規被告らが起訴された。
≪「共謀の認定」は重い≫
地検特捜部は小沢氏の事情聴取に踏み切ったが、虚偽記載への関与が立証できず、元秘書らの責任を問うにとどまった。その捜査結果が国民の政治不信を募らせる一因になった。
検察審査会は、法律で定められた国の機関で、以前は議決に法的拘束力がなく参考意見にとどまった。だが司法改革の一環で、裁判員制度導入とともに検察審査会法が改正され、2度の「起訴相当」議決で強制起訴を可能にするなど、民意を反映するために権限が強化された。
政治資金規正法違反は、政治家が扱う資金の透明性を損ない、国民を欺く重大な犯罪だ。しかも虚偽記載額がきわめて多額で、複雑な資金操作で土地購入の原資を隠そうとした意図がみえる。秘書の独断で行えるものとは考えにくく、東京地検特捜部による捜査結果は到底、納得できるものとはいえない。
一方、検察審査会の議決内容は明快だ。石川被告らの供述内容や土地購入原資を隠すために行われた銀行融資の申込書などに小沢氏の署名・押印があるなどの状況証拠を踏まえ、小沢氏の共謀が認められるとした。
小沢氏の説明を「きわめて不合理・不自然で信用できない」と退け、「絶対権力者である小沢氏に(秘書らが)無断で資金の流れの隠蔽(いんぺい)工作などをする必要も理由もない」との疑問も呈した。
再捜査にあたる検察当局は検察審査会の議決を真摯(しんし)に受け止め、その存在意義をかけて国民が納得できる結果を出す責任がある。未解明であるゼネコンの裏金疑惑なども解明すべきだ。
≪辞任せずと開き直り≫
小沢氏は不起訴処分を潔白のお墨付きのように強調して開き直り、事件の詳細について説明責任を果たさず、野党の証人喚問要求にも応じなかった。
そうした姿勢に、国民はきわめて厳しい視線を向けてきた。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、小沢氏が説明責任を果たしていないと思う人がほぼ9割に達しているほか、7割の人が幹事長辞任を求めた。
鳩山由紀夫首相の政治資金問題でも説明責任が不十分との見方が8割を超えている。だが2人とも、政治的、道義的責任をとろうとしていない。
小沢氏は27日夜、幹事長職を辞任しない意向を示したが、状況は一変した。2度目の「起訴相当」議決を経て強制起訴される可能性も出てきた。
小沢氏が出処進退を決断しないかぎり、参院選に向かう時期に与党幹事長の起訴の有無が最大の焦点になる。まともな党運営などできる状態ではなかろう。
民主党内では、小沢氏に近い議員らが押し切る動きをみせている。岐阜県連や連合静岡など地方組織や支持団体から小沢氏の辞職論などが出されても、執行部は封じてきた。
異論を認めず、体制維持を押し通そうとする発想が、政党の自浄作用さえ働かないことに結び付いている。執行部体制とともに、党の体質を転換することが求められている。
「決算発表もUstreamで生中継をする時代。それを見ながら一般の人々がTwitterでコメントできる。多くの人々がコミュニケーションに参加し、意見を言い、質問できる時代が来た」──ソフトバンクの孫正義社長は、4月27日開いた決算説明会で、新メディアを経営に積極的に取り入れていく考えを説明した。説明会は「Ustream」で生中継し、最大で5300人が視聴した。
ソフトバンクは今年1月、米Ustreamに2000万ドル(約18億円)を出資し、筆頭株主になった。決算発表の当日には、日本語化したUstreamを公開。孫社長がTwitterでつぶやいた「5月までにUstreamを日本語化する」という公約を守った形だ。
現在、Ustreamの月間ユニークユーザー(UU)数は1億超。「全世界のテレビ局を合計しても2万8000社。Ustreamを使って全スマートフォンユーザーが生中継を配信する時代が来る」(孫社長)。先進的な取り組みとして3月に1号店をオープンしたUstreamスタジオも紹介した。
「朝起きたら真っ先にTwitterのツイートを見る。寝る直前にもTwitterを見ていろいろ確認するようになった。本当に時代は変わったなと感じる」と自身のライフスタイルの変化についても触れる。「ソフトバンクでもこの変化を前向きに捉え、経営に役立てている」という。
Ustreamの日本語化や、ホワイトプランの障害者割引は、Twitterでユーザーから受け付けた要望がきっかけ。Twitterを利用することで「進化の速度、意思決定が早まった。末端のソフトバンクユーザーが声を直接届け、それを拾えるリレーションが生まれている」という。
「Twitterのアカウント数は1億を突破、Ustreamと合わせると利用者はのべ2億人。国の人口でいえば世界で5番目に匹敵する数」だという。「まさに今も多くの人がUstreamを見て、Twitterを使って感動を共有している」と、ソーシャルネットワーキングを使って知識や感動を共有する時代が来ると予言した。
電波状況の改善に向けた4000億の設備投資計画も発表。「Twitterユーザーの声を真正面から受け止め、ネットワーク環境を改善したいと思い、設備投資の増額を決めた」という。
iPhone用Skypeの3G回線での利用を認める可能性についての質問に対し、孫社長は、Skypeを使う場合に料金が高いデータプランに契約する必要がある欧米の例に触れ、「データプランによってはSkypeの利用を認めるケースはあり得る。(Skypeの品質向上という意味での)テクノロジーの進化と、タイミング次第」と答えた。
果てなき孫氏の野望 ソフトバンク、営業利益でKDDI抜く
5年連続で連結営業利益の最高益を更新したソフトバンク。中核事業となったソフトバンクモバイルは、価格破壊を武器に携帯電話ビジネスをモデル転換し、自社に有利な制度を導き、成長を続けてきた。現在もSIMロック解除や光回線事業をめぐる摩擦を繰り返しながら、孫正義社長は次なる狙いをモバイルインターネットの爆発的普及と見据えた成長戦略を描く。
■挑戦と軋轢
「創業以来30年で、この5~6年がいかに業績を上げることができたか」。27日夕刻から行われた決算説明会の席上、孫氏は過去最高益を更新した業績のグラフを見ながら胸を張った。
孫氏が携帯電話事業への参入を宣言したのは16年6月の株主総会に遡る。「世界一高い日本の携帯電話料金を引き下げる」と宣言しての殴り込みだった。
総務省や他の携帯電話事業者などとの軋(あつ)轢(れき)を数え上げればきりがない。電波を広く飛ばせる800メガヘルツの周波数帯が、NTTドコモとKDDIだけに割り当てられたことについて「密室的で不公平な行政判断だ」と、16年10月に総務省を相手取り行政訴訟を起こしたほどだ。こうした姿勢は、かつては国営企業だったNTTという「体制派」に立ち向かう挑戦者という構図を生み出し、世論を味方につけてきた感もある。
■成功と波紋
ソフトバンクは、13年から3年で400万人超の利用者を集めたADSLサービスのヤフーBBで「低価格戦略」を成功させた体験から、携帯電話事業でも月額基本料を1000円以下とする戦略で、多くの顧客を獲得した。シェアは当初の16%から今年3月末時点で19%まで伸ばしている。 経営の重荷となってきた有利子負債も英ボーダフォン日本法人買収後の18年6月末の約2・4兆円から、今年3月末時点で1・5兆円にまで削減された。
だが、付帯条件の分かりにくかった「通話、メール0円」の広告で公正取引委員会の警告を受けるなどの波紋も起こしてきた。業界関係者は、「最近も賞金1億円で話題になった『S-1バトル』関連メールのパケット代など、お金を取られることが分かりにくい仕組みはまだある」と話す。
ある通信業界のアナリストは「この料金制度は絶妙だが巧妙ともいえる」と指摘。「こうしたビジネスモデルが利用者に見透かされると、リスクを抱えることにつながる」と解説する。
他社に先駆けて端末の割賦販売制度を導入し、「通信料金と端末料金の分離」に着手するなど利用者にもたらした恩恵は大きいが、その30年の歴史には常に功罪両面がつきまとってきた。
■対立と弱み
ソフトバンクの前に、新たに立ちはだかる難関がSIMロックの解除問題と次世代通信網を支える光回線の整備と使用料をめぐるNTTなどとの意見対立だ。
JPモルガン証券の佐分博信アナリストは「SIMロックが解除されると、端末やサービスが差別化できず、ネットワークの品質と料金で差別化が進む。ソフトバンクはネットワークではNTTの蓄積にかなわない」と指摘する。
SIMロック問題の行方次第では、モバイルインターネットの象徴で成長戦略に不可欠な米アップル社のアイフォーンの利用者が、ネットワークの品質がいいNTTドコモへ流出する可能性もでてくる。
このため孫社長は基地局やWi-Fi網への設備投資を強調する一方、SIMロックの解除には「強制はおかしい。だが、決まれば機種の2割強を対応させたい」と述べ、アイフォーンを解除の対象に含めるかどうか明言を避けた。
一方、光回線事業では、膨大なコスト負担を前に設備投資をあきらめたソフトバンクはNTTに回線使用料を支払う立場だ。孫社長は会見で「NTTは先行投資が重荷なら事業を分社化すればいい」と改めて主張したが、「事業分離はブロードバンド普及をかえって阻害する」というNTT側と真っ向から対立している。議論の決着次第では、この分野でもソフトバンクは「持たざる者」の弱みを露呈することにもなりかねない。
JASRAC、ニコニコ動画に海外楽曲の使用許諾へ 投稿サイトに初
日本音楽著作権協会(JASRAC)は、ドワンゴ子会社で動画投稿サイト「ニコニコ動画」を運営するニワンゴ(東京・中央)に海外楽曲の使用を許諾する方針を固めた。料率など詰めの協議に入っており、5月にも最終合意したい考えだ。
同協会が動画投稿サイトに海外楽曲の利用を認めるのは今回が初めて。個人が投稿する動画はBGMに海外楽曲を使用している例も多い。今後は徴収した楽曲使用料の一部が海外権利者にも分配されるようになる。
日本の楽曲は2008年4月に使用を許諾しており、ニワンゴは動画サイトの売り上げの1.875%を楽曲使用料として支払っている。
同協会は自らが管理する日本国内の楽曲の使用許諾について、「ユーチューブ」など約30の動画投稿サイト運営者と契約している。
アップル、ネット通販停止の波紋 iPad発売へ直販強化
米アップルが日本で流通ルートの見直しを加速している。家電量販店のインターネット通販サイト経由の販売を停止したほか、製品を量販店に卸す中間流通業者の絞り込みも始めたようだ。多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」の国内発売を5月末に控え、直販体制の強化に動いているとの見方もある。
アップルの人気パソコン「MacBook2260」は、アップル自前の通販サイトでは9万8800円。これが低価格の通販サイトでは8万2000円弱になる。ある通販業者は「安売りサイトに商品が流れているのがアップルは我慢ならなかったようだ」とみる。
安売りサイトの仕入れ元の1つが家電量販。通販業者は量販店で特売品などを買い集め、ネットで売る。今回、アップルは家電量販にネット販売の中止を迫るとともに、ネット通販業者への商品提供も禁じた。
今回の流通見直しは年初には始まっていたが、アップルジャパンの代表取締役が3月に販売営業も統括するダグ・ベック氏に交代し、加速したもよう。3月には家電量販店との交渉が本格化。量販各社は4月に入りアップル製品のネット通販を順次やめた。
中間流通業者についてもアップルは特定の数社に絞り込んでいるとみられる。複数の業者がアップル製品の取り扱いを段階的に縮小し始めた。
一連の動きに関しアップル日本法人は「現時点では特にコメントはない」としているが、背景には流通コストを削減する狙いも見え隠れする。
世界的に直営の販売網の拡充を図るアップルにとって、直営店の運営コスト捻出(ねんしゅつ)が目下の課題。MM総研(東京・港)の中村成希アナリストは「削減したコストを直営店運営に回すのでは」とみる。
また、ある量販の幹部は「Macを置くなら大型店だけにして小さな古い店は扱いをやめてほしいと言われた」と明かす。絞り込みでブランドイメージを守る目的もあるとみられる。5月下旬に米国を除く世界で「iPad」が発売されるのを前に、販売戦略がそれを見据えたステージに移行したといえそうだ。
もっともアップルの販売体制を巡っては1989年、99年にそれぞれ独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会の立ち入り検査が実施されている。今回の見直しがどんな波紋を呼ぶかは読めないが、アップルの動向に注目度が高まっている。
マイルドセブン410円 JT、10月値上げへ
日本たばこ産業(JT)は10月のたばこ税増税に伴い、代表的な銘柄である「マイルドセブン」などの価格を現在の1箱300円から410円前後に引き上げる方向で調整に入った。増税幅は1箱あたり70円だが、増税分を上回る値上げとなる。国内最大手のJTの大幅値上げは、ほかのメーカーのたばこ価格にも影響を与えそうだ。
10月のたばこ税の増税幅は1本あたり3.5円で、平均的なたばこ1箱(20本入り)は70円の引き上げになる。同社は増税後にたばこの需要が20%以上落ち込むとみており、収益確保のためには一段の価格上乗せが必要と判断したもようだ。
過去の増税時はブランドごとの値上げ幅はほぼ同じだった。ただ今回は大幅増税になることから、JTはブランド力に応じて値上げ幅を変える方向で調整している。例えば「セブンスター」はマイルドセブンの価格を上回る可能性が高い。
東京都内人口1300万人突破 自治体、保育所や交通の整備急ぐ
東京都内の4月1日現在の総人口(推計)が1300万人の大台を突破し、東京への人口集中が続いていることが浮き彫りになった。都内の自治体は保育所や交通インフラの整備を急いでいる。ただ、都内の総人口は5年後をピークに減少に転じる見通しで、東京の人口構造は大きな転換点を迎えつつある。
総人口は2000年に1200万人に達した後、10年間で100万人増えた。1100万人から1200万人に達するのに約30年かかっており、足元の人口増加のペースは速い。
人口増加の中心は転入数が転出数を上回る社会増だ。この1年間での人口の増加数が最も多かった江東区では、増加数の約6割が都外や都内の別の自治体からの転入者。足立区でも増加数の約9割を転入者が占めた。
「スヌーピー」ライセンス権、米新聞・出版大手が売却
【ニューヨーク=河内真帆】日本でも人気のあるキャラクター「スヌーピー」を含むコミックのライセンス権が米新聞・出版大手E・W・スクリプスから、ファッションブランドの運営や消費財のライセンス管理を事業とするアイコニックス・ブランド・グループに総額1億7500万ドル(約162億円)で売却される。両社が27日発表した。
E・W・スクリプスは傘下のライセンス管理事業ユナイテッド・メディア・ライセンシングをアイコニックスに売却。同事業が手掛けるライセンス資産にはスヌーピーのほか、オフィスの人間関係を皮肉に描いて人気の「ディルバート」などが含まれる。
アイコニックスは今後、スヌーピーの生みの親で2000年に物故した漫画家チャールズ・シュルツ氏の遺族と契約。新規事業として、スヌーピーがメーンキャラクターの漫画シリーズ「ピーナツ」を様々な商品に仕立て、利益を家族と配分する計画だ。
スヌーピーなど「ピーナツ」関連商品は世界40カ国以上で販売され、小売りベースでの売上高は推定20億ドルにのぼるとされる。アイコニックスは主にディスカウントストアなどで扱う価格帯の衣料品、靴、下着、アクセサリー類のブランドのライセンスを管理、運営する。
シュルツ氏は1950年10月にE・W・スクリプス傘下の新聞に「ピーナツ」の連載を開始。この時点で漫画の著作権は同社が買い取った格好となっていた。その後、漫画家本人や家族は出版社に対し、漫画にかかわるすべての権利の返還を求めて提訴するなど、のんびりしたキャラクター漫画とは裏腹に、金銭がらみの攻防が繰り広げられていた。
【産経主張】小沢氏「起訴相当」 やはり議員辞職すべきだ
■再捜査で問われる検察の責任
天網恢々(てんもうかいかい)疎にして漏らさず、と形容した方がよいのだろう。
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、東京第5検察審査会が小沢氏の「起訴相当」を議決した意味合いである。
土地購入をめぐり、21億円余の巨額の虚偽記載で側近議員や秘書らが起訴されたこの事件は、「秘書の犯罪」で済まされる事件ではなく、小沢氏の関与が焦点だった。だが、小沢氏は東京地検特捜部に事情聴取されたものの嫌疑不十分で不起訴となった。
これに対し、審査会は「共謀共同正犯が成立するとの認定が可能」と断じた。国民から選ばれた11人の検察審査員全員が一致して小沢氏の刑事責任を認めたきわめて重い判断である。
議決を受けて東京地検は再捜査を行い、3カ月以内に起訴か不起訴の処分を決めなければならないが、小沢氏は「潔白」を主張する根拠を失ったといえよう。刑事責任の問題に加え、政治的さらに道義的責任は明白だ。
やはり議員辞職を決断すべきときである。
陸山会の規正法違反事件では、現職衆院議員の石川知裕被告と小沢氏の元公設第1秘書の大久保隆規被告らが起訴された。
≪「共謀の認定」は重い≫
地検特捜部は小沢氏の事情聴取に踏み切ったが、虚偽記載への関与が立証できず、元秘書らの責任を問うにとどまった。その捜査結果が国民の政治不信を募らせる一因になった。
検察審査会は、法律で定められた国の機関で、以前は議決に法的拘束力がなく参考意見にとどまった。だが司法改革の一環で、裁判員制度導入とともに検察審査会法が改正され、2度の「起訴相当」議決で強制起訴を可能にするなど、民意を反映するために権限が強化された。
政治資金規正法違反は、政治家が扱う資金の透明性を損ない、国民を欺く重大な犯罪だ。しかも虚偽記載額がきわめて多額で、複雑な資金操作で土地購入の原資を隠そうとした意図がみえる。秘書の独断で行えるものとは考えにくく、東京地検特捜部による捜査結果は到底、納得できるものとはいえない。
一方、検察審査会の議決内容は明快だ。石川被告らの供述内容や土地購入原資を隠すために行われた銀行融資の申込書などに小沢氏の署名・押印があるなどの状況証拠を踏まえ、小沢氏の共謀が認められるとした。
小沢氏の説明を「きわめて不合理・不自然で信用できない」と退け、「絶対権力者である小沢氏に(秘書らが)無断で資金の流れの隠蔽(いんぺい)工作などをする必要も理由もない」との疑問も呈した。
再捜査にあたる検察当局は検察審査会の議決を真摯(しんし)に受け止め、その存在意義をかけて国民が納得できる結果を出す責任がある。未解明であるゼネコンの裏金疑惑なども解明すべきだ。
≪辞任せずと開き直り≫
小沢氏は不起訴処分を潔白のお墨付きのように強調して開き直り、事件の詳細について説明責任を果たさず、野党の証人喚問要求にも応じなかった。
そうした姿勢に、国民はきわめて厳しい視線を向けてきた。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、小沢氏が説明責任を果たしていないと思う人がほぼ9割に達しているほか、7割の人が幹事長辞任を求めた。
鳩山由紀夫首相の政治資金問題でも説明責任が不十分との見方が8割を超えている。だが2人とも、政治的、道義的責任をとろうとしていない。
小沢氏は27日夜、幹事長職を辞任しない意向を示したが、状況は一変した。2度目の「起訴相当」議決を経て強制起訴される可能性も出てきた。
小沢氏が出処進退を決断しないかぎり、参院選に向かう時期に与党幹事長の起訴の有無が最大の焦点になる。まともな党運営などできる状態ではなかろう。
民主党内では、小沢氏に近い議員らが押し切る動きをみせている。岐阜県連や連合静岡など地方組織や支持団体から小沢氏の辞職論などが出されても、執行部は封じてきた。
異論を認めず、体制維持を押し通そうとする発想が、政党の自浄作用さえ働かないことに結び付いている。執行部体制とともに、党の体質を転換することが求められている。
PR
ヤフーとDeNAが提携、PC向けに「Yahoo!モバゲー」提供へ
ヤフーとディー・エヌ・エー(DeNA)は、ユーザー同士のコミュニケーションを重視した、いわゆる“ソーシャルゲーム”に関して業務提携することで合意した。
ソーシャルゲームは、ユーザー同士が競い合ったり、協力したりしながら一緒に遊べるゲームの総称。国内では携帯電話向けに多くのコンテンツが提供されているが、今回両社ではパソコン向けコンテンツでも潜在的なニーズがあると判断。2010年晩夏にも、パソコン向けソーシャルゲームプラットフォーム「Yahoo!モバゲー(仮称)」を提供する。Yahoo!JAPANの2400万を超えるアクティブユーザー基盤、モバゲータウンの1800万人を超えるユーザー基盤を融合させて、相乗効果を得られるよう事業展開する。
「モバゲーAPI」を利用したゲーム開発と提供で、市場規模の拡大に期待するほか、「Yahoo!モバゲー(仮称)」ではユーザーがパソコンとモバイルの双方から、同じゲームをプレイできる仕組みを取り入れていく考え。ヤフー提供の決済サービス「Yahoo!ウォレット」も利用できるようにする。また「Yahoo!モバゲー(仮称)」の立ち上げに先立ち、2010年初夏にはゲーム開発者へ開発環境の提供を開始する。
mixi、月間UUが1000万突破 登録制とテレビCM追い風に
ネットレイティングスの調査によると、「mixi」PC版の3月のユニークユーザー(UU)が1000万人を突破した。登録制への移行やテレビCMがUU増につながったようだ。
3月のUU数は、2月から150万増の1084万7000。mixiが3月1日にスタートした、招待状がなくても、ユーザー登録すれば参加できる登録制がユーザー増につながったようだ。
mixiアプリでは、日本コカ・コーラの会員制サイト「コカ・コーラパーク」と連携したタイアップキャンペーンも実施。「コカ・コーラパークからの流入が増えていたこともUU増加の要因」(ネットレイティングスの鈴木成典シニアアナリスト)だという。
3月にはTwitterも750万UUを突破。ネットユーザー全体における利用率(リーチ)はmixiが18%で、Twitterが12%だった。「TwitterのUUは、増加の一途をたどっており、mixiを追い抜く日が近いかもしれない」(鈴木シニアアナリスト)としている。
世界最大のSNS、Facebookの米国内のリーチは59%と圧倒的で、mixiとは大きな差がある。一方、Twitterの米国内のリーチは10%で、日本はこれを上回る。鈴木シニアアナリストは「大変興味深い。SNSよりもTwitterのようなコミュニケーションのほうが日本人には好まれるのだろうか」とコメントしている。
米グーグル、携帯電話「ネクサス・ワン」の計画を縮小
グーグルは、米最大の携帯電話会社ベライゾン・ワイヤレスの顧客が、同社が開発・販売するスマートフォン(多機能携帯電話)「Nexus One(ネクサス・ワン)」を使えるようにする計画を取り下げた。携帯電話市場を再構築するという同社の計画は後退することになった。
米グーグルはこれまで、今年の春にベライゾンの顧客がネクサス・ワンを利用できるようになるだろうと述べていた。同社は26日、ブログへの投稿で、ベライゾン向けのネクサス・ワンを待っている顧客に対し、代わりに台湾の宏達國際電子(HTC)が製造する「いとこ」モデルの「Droid Incredible(ドロイド・インクレディブル)」を購入するべきだと伝えた。
ベライゾンの9000万人を超える契約者がネクサス・ワンを使えないことになるため、この発表はグーグルブランドの唯一の携帯電話であるネクサス・ワンにとって打撃となった。米4位の携帯電話会社であるドイツ・テレコム傘下のTモバイルUSAが、現在米国でネクサス・ワン向けのプランを提供している唯一の携帯電話会社だ。
ベライゾン・ワイヤレスは通信大手の米ベライゾン・コミュニケーションズと英ボーダフォン・グループの合弁会社。ボーダフォンは26日、同社の携帯プランに契約した英国の顧客に無償でネクサス・ワンの提供を始める予定だと発表した。
BGCパートナーズのコリン・ギリス氏は「ネクサス・ワンが失敗であることは今や誰もが知っている」と述べた。
グーグルのパトリック・ピチェット最高財務責任者(CFO)は約2週間前に行われたダウ・ジョーンズ通信とのインタビューで、2010年春までにネクサス・ワンをベライゾンの顧客が利用できるようにする計画が順調に進んでいると述べていた。26日時点の同社のコメントは得られていない。
グーグルはネクサス・ワンの目標として、アップルの人気携帯電話機iPhone(アイフォーン)に対抗して同社が開発した携帯電話向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」の採用を後押しすることを挙げていた。ネクサス・ワンは失敗だったようだが、アンドロイドはHTCや米モトローラなどの携帯電話機メーカーに幅広く採用されており、スマートフォン市場でのシェアを拡大し続けている。
グーグルは1月にネクサス・ワンを発売した際、これまでの携帯電話の販売モデルを捨て、端末をネット経由で消費者に直接販売し、携帯電話会社との契約の必要をなくすと述べていた。同社は携帯電話の価格、販売、それに流通の面で新たなシステムを構築したいとしていた。
ネクサス・ワンの価格は携帯電話会社との契約無しでは529ドルだが、米国ではTモバイルUSAと2年契約を結べば179ドルで購入可能。
関係筋はネクサス・ワンの発売当初、ベライゾンが提携候補だとされていたが、提携の正確な内容は消費者のネクサス・ワンへの反応と、グーグルの顧客サポートの提供能力にかかっていると述べていた。
グーグル幹部はネクサス・ワンが同社の発売する最初の携帯電話であり、長期にわたる携帯電話戦略の一部にすぎないとして、ネクサス・ワン事業が失敗だったとの見方を否定した。
ボーイズラブ雑誌、R18に 大阪府が「有害図書」指定
大阪府は、少年同士の恋愛を題材にした「ボーイズラブ(BL)」を扱った漫画が掲載された8雑誌を「有害図書」に指定し、18歳未満への販売や閲覧を禁止することを決めた。一般図書と区分した陳列も義務づける。
BLは主に女性読者らの人気を集め、近年、専門の棚を設ける書店もある。府は書店の売り場などを調査し、少年少女の手に取りやすい場所にあることなどを確認したという。学識経験者らでつくる府青少年健全育成審議会が取り扱いを協議していた。
府青少年健全育成条例では、漫画雑誌について「性行為などを掲載するページ数が 総ページ数の10分の1、または10ページ以上を占める」ものなどを有害図書に指定している。
BLは同性愛という性的少数派を扱っており、「誰もが性的感情を刺激されるものではない」などの理由でこれまで対象外だった。
有害図書をめぐっては、東京都で、18歳未満と判断される登場人物の性描写を掲載した漫画やアニメを規制する条例改正案が3月、継続審議になった。大阪府の橋下徹知事はこの種の漫画などについても「規制する必要性があるか実態を把握する」と話している。
パフォーマンス禁止!アキバホコ天再開で協定
2008年6月の無差別殺傷事件を受け、安全な街づくりを進めてきた東京・秋葉原地区で、住民側と電気街、商店街が、地域や街を訪れる人々が守るべきルール「秋葉原協定」を策定、協定順守で合意したことがわかった。
千代田区や警察なども参加する27日の「検討会」で報告される予定で、事件後、中止された歩行者天国再開に向けた議論が本格化する。
協定は、「安全で安心して歩け、買い物ができるまちにする」ことを目的とし、地元の万世橋地区町会連合会と秋葉原電気街振興会、3商店街振興組合が合意した。路上で違法な販売やパフォーマンスをしないなど道路使用に関する規定や犯罪防止、清掃活動などにより街の美観維持に努めることなどを定めた。5月1日から実施する。地元の住民や商業者だけでなく、買い物などで訪れる人々にも順守を求めていく。
ホコ天の再開を巡っては、集客のため必要とする電気街などと、慎重な住民側とで意見が相違。事件後、防犯カメラの設置などの取り組みが進んだが、かつての歩行者天国で見られた過激なパフォーマンスや不法占拠などへの懸念が根強くあり、住民側が、道路使用の適正化や犯罪防止への取り組みを盛り込んだ今回の協定策定を求めていた。
検討会関係者は「歩行者天国再開に向け、大きな一歩になるはず」としている。
米主要紙の部数8・7%減 ネット普及と景気低迷が直撃
出版物の発行部数調査機関である米ABCが26日に発表した米主要紙の昨年10月から3月までの平日の1日当たり平均発行部数は、前年同期比8・7%減の大幅マイナスになった。インターネットのニュース媒体の普及に加え、景気低迷で法人や個人が新聞購読を中止する動きが加速したことが理由。
新聞各社はネットでの記事提供に課金する動きなどを広げているが、事業モデルが確立できていないケースも多く、購読者増加や収益に結び付くかは不透明だ。部数のトップはウォールストリート・ジャーナルで前年同期比0・5%増の209万2523部。大手紙の中で唯一プラスとなった。2位はUSAトゥデーで13・6%減の約183万部、3位は8・5%減のニューヨーク・タイムズで約95万部。4位はロサンゼルス・タイムズで14・7%減の約62万部、5位はワシントン・ポストで13・1%減の約58万部だった。
情報通信技術で年3%超成長 「原口ビジョンII」発表
原口一博総務相は27日の閣議後会見で、新たな成長戦略「原口ビジョンII(ツー)」を発表した。ICT(情報通信技術)の活用や地域主権型社会の構築などを推進することで、2020年以降に3%超の持続的な成長率を実現するとした。政府が5~6月にまとめる新成長戦略に盛り込む方針。
具体的な政策目標として、総務省の有識者会議のICTタスクフォースで議論されている「光の道」構想に基づき、15年をめどにブロードバンド通信網を全国約4900万世帯に100%普及させるほか、電波の有効利用で20年時点で新たに50兆円規模の関連市場を創出するなどとした。
今回発表した「原口ビジョンII」は、昨年末に発表した「原口ビジョン」の第2弾。原口総務相は会見で「日本は日出ずる国というが、まさに新たな成長、ライジングサン(昇る太陽)をつくりたい」と述べた。
DVD販売でも新記録 3D映画「アバター」
興行収入の世界記録を塗り替えた3D(3次元立体)映画「アバター」のDVDとブルーレイディスクの北米での売上総額が、リリースされた22日から25日までに1億3千万ドル(約122億円)に達し、発売開始4日間の記録を更新した。ロイター通信が26日までに報じた。
これまでの記録は「バットマン」シリーズの最新作「ダークナイト」(2008年)。配給会社の20世紀フォックスによると、アバターはDVDが400万枚、ブルーレイディスクが270万枚売れたという。(共同)
日航、47路線廃止の更生計画案を28日発表へ 地元は猛反発
会社更生手続き中の日本航空が、国内線と国際線の計47路線の廃止と、2010年度中のグループ社員約1万6千人の削減を柱とする更生計画案の骨子をまとめ、大西賢社長が28日の記者会見で正式に発表することが27日、分かった。前原誠司国土交通相が明らかにした。
前原国交相はこの日の会見で、「日航が正式に発表してから、改めて国交省としての対応を検討したい」と述べた。
路線廃止をめぐっては、地元自治体は強く反発。26日には愛知県など16同県が同社や国交省に路線存続を要請した。一方、銀行団は廃止路線数のさらなる上積みを求めるなど、関係者の調整は難航しており、更生計画案の東京地裁への提出は予定していた6月末から2カ月程度遅れる見通しだ。
計画では廃止は今年10月以降に国内線31路線、国際線16路線を廃止する方針。このほか、ジャンボ機や中型機などの老朽機を10年度中に退役させることや、10年度の営業損益の黒字化を目指すことなど盛り込む。
全日空も国内5路線の廃止検討 伊丹-佐賀など1日1便路線
全日本空輸が大阪(伊丹)-大館能代(秋田県)、大阪-佐賀、中部-米子(鳥取県)、中部-徳島、大阪-石見(島根県)の5路線について、年内にも廃止する方向で検討していることが27日、分かった。
5路線はいずれも1日1便運航。利用客数の低迷が続いている不採算路線を削減し、経営健全化につなげる。
同社は現在、地元自治体などと協議中で、5月中をメドに、廃止するかどうか正式に決定する。
会社更生手続き中の日本航空も国内31路線の廃止を計画しており、地方の反発が一段と強まるのは必至だ。航空会社の採算と交通インフラの維持の板挟みで、国交省は難しい判断を迫られそうだ。
三洋、半導体とモーター事業売却を検討
三洋電機が半導体とモーターの2事業の売却を検討していることが26日、分かった。パナソニックによる子会社化に伴う合理化の一環。収益の厳しい事業を再編し、パナソニックグループとしての経営体質強化を狙う。
三洋の半導体事業は赤字体質が続き、経営再建を進めていた平成19年、売却方針を決めたが、失敗した経緯がある。その後、リストラで、業績は改善傾向にあるが、パナソニックが手がける最先端のシステムLSI(高密度集積回路)とは相乗効果が見込みにくい。
また、モーター事業は、携帯電話の振動用で一時は世界シェア約4割を誇ったが、製品の汎用化による価格下落で成長が期待できなくなっている。
売却を検討する2事業は、子会社の三洋半導体(群馬県大泉町)と三洋精密(長野県上田市)が担当。売却による地域の雇用への影響は大きく、雇用に配慮しながら慎重に検討を進めるとみられる。
Ustreamが日本語化
動画のライブ配信サービス「Ustream」が4月27日、日本語化された。ユーザーインタフェースや利用規約、ライブ配信方法の説明ページなどが日本語訳されている。
ページ最下部の言語タブで「英語」「日本語」が選べ、英語にすることもできる。ヘルプセンターなど一部のページは英語のままとなっている。
米Ustreamに出資しているソフトバンクの孫正義社長が今年2月にTwitterで、「5月までにUstreamを日本語化する」と明言していた。
「1Q84」BOOK3が100万部に
新潮社は27日、村上春樹さんのベストセラー小説「1Q84」BOOK3(第3巻)を10万部増刷し、累計100万部となると発表した。
3巻合計の累計部数は366万部で、BOOK1(145万部)、BOOK2(121万部)とともに“トリプル・ミリオン”を達成。発売日から12日目で100万部発行が決まるのは同社刊行物で過去最速。
出版科学研究所は「日本人の小説として異例のスピードで売れている」と話している。
京都新聞社説
今を生きる考える ネット時代に問われる責任匿名ゆえの危険性も
インターネット全盛の昨今、誰もがネットから簡単に情報を入手できる。逆に、誰もが手軽に情報発信できるようにもなった。ネット上には玉石混交のさまざまな情報があふれている。
ネットの普及は目覚ましい。総務省通信利用動向調査で、国内のネット利用者は昨年1月に9千万人を超え、普及率は75・3%に達した。つまり4人のうち3人が利用しているという。
優れた報道などに贈られる米ピュリツァー賞は最も権威ある賞の一つだ。94回目の今年、調査報道部門で初めてネットメディアがハリケーン被災地の医療活動に焦点を当てて受賞した。ネット情報が信頼性や影響力で新聞報道などと肩を並べたといえようか。
ネットには多様な人たちが自由に議論し合える利点もある。今や首相や大臣らが日記風にブログをつづり、交流サイトのツイッターでつぶやく。それに国民もすぐさま意見を書き込む。実に便利な時代になった。そのこと自体は大いに歓迎したい。
ところが、誰もがネットを適切に使いこなしているわけではない。中傷や誤った情報で人を傷つける危険をはらんでいることを忘れてはなるまい。
最高裁は先月、自分のホームページに飲食店の経営会社を「カルト集団」などと書き込んで中傷したとして名誉棄損罪に問われた会社員に対し、罰金刑を確定させる決定を下した。
ネット情報について最高裁は、閲覧する側が「信頼性が低い」と受け取るとは限らないとして、他人の名誉にかかわる情報を流す場合、新聞報道などと同様に確実な資料や根拠が必要-という初の判断を示した。
ネット上に匿名で、個人の名誉やプライバシーを損なう中傷や誤情報が横行している現状を踏まえれば、妥当な結論といってよい。
「仮想空間」ではない
ネットをめぐるトラブルは年を追って増えている。法務省によると、ネット上の人権侵犯事件として救済手続きに入った件数は昨年、前年比52・6%増の786件に上った。うちプライバシー侵害391件、名誉棄損295件が全体の9割近くを占めた。
お笑いタレントのブログに、「殺人犯」などと中傷する書き込みを繰り返したとして、警視庁が昨年3月、男女6人を名誉棄損容疑で書類送検した事件は記憶に新しい。当人たちに「犯罪」の意識はなく、情報を発信する責任と自覚を欠いていたという。
京都の大学でも昨年、集団暴行事件の被害に遭った女子学生をめぐるネットへの不適切な書き込みが問題化、大学から処分を受ける学生が相次いだ。
不特定多数が瞬時に閲覧する点で被害は深刻だ。いったん誤解が拡散すれば名誉回復は難しい。ネット上の中傷やいじめが原因で、中高生らが自殺に追い込まれるケースも起きている。
ネットは決して「仮想空間」ではない。もちろん実社会の法律やルールが適用される。無責任で行き過ぎた発言や記述は許されない。
匿名性の甘えに警告
背景にはネットの匿名性がある。
ただ、匿名でも本人を特定できないわけではない。ネット上の住所であるIPアドレスをたどれば、ほぼ突き止められる。2002年にプロバイダー(接続業者)責任制限法が施行され、被害者らが掲示板の管理人らに、書き込みの削除や発信者の情報開示を求めることも可能になった。
応じるかどうかは業者に委ねられ、実効性という点では限界がある。拒まれて訴訟に発展するケースも多いが、最高裁は今月、発信者の情報開示を求めた訴訟で、プロバイダーの開示責任を初めて認めた。影響力を増すネット世界の匿名性に警鐘を鳴らしたと受け止めたい。
ネットの手軽さと匿名性に甘えた情報発信は、表現の自由とはまったく次元が異なる。ネット利用者は、相応の責任とモラルを求められていることを肝に銘じたい。
とりわけ子どもたちがネット犯罪に巻き込まれず加担しないためには、情報を正しく理解し、発信する力が欠かせない。学校や家庭で利用ルールなどを丁寧に教えることが肝要だ。
ネットの特性を心得つつ、ネット社会と上手に付き合っていきたい。
ヤフーとディー・エヌ・エー(DeNA)は、ユーザー同士のコミュニケーションを重視した、いわゆる“ソーシャルゲーム”に関して業務提携することで合意した。
ソーシャルゲームは、ユーザー同士が競い合ったり、協力したりしながら一緒に遊べるゲームの総称。国内では携帯電話向けに多くのコンテンツが提供されているが、今回両社ではパソコン向けコンテンツでも潜在的なニーズがあると判断。2010年晩夏にも、パソコン向けソーシャルゲームプラットフォーム「Yahoo!モバゲー(仮称)」を提供する。Yahoo!JAPANの2400万を超えるアクティブユーザー基盤、モバゲータウンの1800万人を超えるユーザー基盤を融合させて、相乗効果を得られるよう事業展開する。
「モバゲーAPI」を利用したゲーム開発と提供で、市場規模の拡大に期待するほか、「Yahoo!モバゲー(仮称)」ではユーザーがパソコンとモバイルの双方から、同じゲームをプレイできる仕組みを取り入れていく考え。ヤフー提供の決済サービス「Yahoo!ウォレット」も利用できるようにする。また「Yahoo!モバゲー(仮称)」の立ち上げに先立ち、2010年初夏にはゲーム開発者へ開発環境の提供を開始する。
mixi、月間UUが1000万突破 登録制とテレビCM追い風に
ネットレイティングスの調査によると、「mixi」PC版の3月のユニークユーザー(UU)が1000万人を突破した。登録制への移行やテレビCMがUU増につながったようだ。
3月のUU数は、2月から150万増の1084万7000。mixiが3月1日にスタートした、招待状がなくても、ユーザー登録すれば参加できる登録制がユーザー増につながったようだ。
mixiアプリでは、日本コカ・コーラの会員制サイト「コカ・コーラパーク」と連携したタイアップキャンペーンも実施。「コカ・コーラパークからの流入が増えていたこともUU増加の要因」(ネットレイティングスの鈴木成典シニアアナリスト)だという。
3月にはTwitterも750万UUを突破。ネットユーザー全体における利用率(リーチ)はmixiが18%で、Twitterが12%だった。「TwitterのUUは、増加の一途をたどっており、mixiを追い抜く日が近いかもしれない」(鈴木シニアアナリスト)としている。
世界最大のSNS、Facebookの米国内のリーチは59%と圧倒的で、mixiとは大きな差がある。一方、Twitterの米国内のリーチは10%で、日本はこれを上回る。鈴木シニアアナリストは「大変興味深い。SNSよりもTwitterのようなコミュニケーションのほうが日本人には好まれるのだろうか」とコメントしている。
米グーグル、携帯電話「ネクサス・ワン」の計画を縮小
グーグルは、米最大の携帯電話会社ベライゾン・ワイヤレスの顧客が、同社が開発・販売するスマートフォン(多機能携帯電話)「Nexus One(ネクサス・ワン)」を使えるようにする計画を取り下げた。携帯電話市場を再構築するという同社の計画は後退することになった。
米グーグルはこれまで、今年の春にベライゾンの顧客がネクサス・ワンを利用できるようになるだろうと述べていた。同社は26日、ブログへの投稿で、ベライゾン向けのネクサス・ワンを待っている顧客に対し、代わりに台湾の宏達國際電子(HTC)が製造する「いとこ」モデルの「Droid Incredible(ドロイド・インクレディブル)」を購入するべきだと伝えた。
ベライゾンの9000万人を超える契約者がネクサス・ワンを使えないことになるため、この発表はグーグルブランドの唯一の携帯電話であるネクサス・ワンにとって打撃となった。米4位の携帯電話会社であるドイツ・テレコム傘下のTモバイルUSAが、現在米国でネクサス・ワン向けのプランを提供している唯一の携帯電話会社だ。
ベライゾン・ワイヤレスは通信大手の米ベライゾン・コミュニケーションズと英ボーダフォン・グループの合弁会社。ボーダフォンは26日、同社の携帯プランに契約した英国の顧客に無償でネクサス・ワンの提供を始める予定だと発表した。
BGCパートナーズのコリン・ギリス氏は「ネクサス・ワンが失敗であることは今や誰もが知っている」と述べた。
グーグルのパトリック・ピチェット最高財務責任者(CFO)は約2週間前に行われたダウ・ジョーンズ通信とのインタビューで、2010年春までにネクサス・ワンをベライゾンの顧客が利用できるようにする計画が順調に進んでいると述べていた。26日時点の同社のコメントは得られていない。
グーグルはネクサス・ワンの目標として、アップルの人気携帯電話機iPhone(アイフォーン)に対抗して同社が開発した携帯電話向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」の採用を後押しすることを挙げていた。ネクサス・ワンは失敗だったようだが、アンドロイドはHTCや米モトローラなどの携帯電話機メーカーに幅広く採用されており、スマートフォン市場でのシェアを拡大し続けている。
グーグルは1月にネクサス・ワンを発売した際、これまでの携帯電話の販売モデルを捨て、端末をネット経由で消費者に直接販売し、携帯電話会社との契約の必要をなくすと述べていた。同社は携帯電話の価格、販売、それに流通の面で新たなシステムを構築したいとしていた。
ネクサス・ワンの価格は携帯電話会社との契約無しでは529ドルだが、米国ではTモバイルUSAと2年契約を結べば179ドルで購入可能。
関係筋はネクサス・ワンの発売当初、ベライゾンが提携候補だとされていたが、提携の正確な内容は消費者のネクサス・ワンへの反応と、グーグルの顧客サポートの提供能力にかかっていると述べていた。
グーグル幹部はネクサス・ワンが同社の発売する最初の携帯電話であり、長期にわたる携帯電話戦略の一部にすぎないとして、ネクサス・ワン事業が失敗だったとの見方を否定した。
ボーイズラブ雑誌、R18に 大阪府が「有害図書」指定
大阪府は、少年同士の恋愛を題材にした「ボーイズラブ(BL)」を扱った漫画が掲載された8雑誌を「有害図書」に指定し、18歳未満への販売や閲覧を禁止することを決めた。一般図書と区分した陳列も義務づける。
BLは主に女性読者らの人気を集め、近年、専門の棚を設ける書店もある。府は書店の売り場などを調査し、少年少女の手に取りやすい場所にあることなどを確認したという。学識経験者らでつくる府青少年健全育成審議会が取り扱いを協議していた。
府青少年健全育成条例では、漫画雑誌について「性行為などを掲載するページ数が 総ページ数の10分の1、または10ページ以上を占める」ものなどを有害図書に指定している。
BLは同性愛という性的少数派を扱っており、「誰もが性的感情を刺激されるものではない」などの理由でこれまで対象外だった。
有害図書をめぐっては、東京都で、18歳未満と判断される登場人物の性描写を掲載した漫画やアニメを規制する条例改正案が3月、継続審議になった。大阪府の橋下徹知事はこの種の漫画などについても「規制する必要性があるか実態を把握する」と話している。
パフォーマンス禁止!アキバホコ天再開で協定
2008年6月の無差別殺傷事件を受け、安全な街づくりを進めてきた東京・秋葉原地区で、住民側と電気街、商店街が、地域や街を訪れる人々が守るべきルール「秋葉原協定」を策定、協定順守で合意したことがわかった。
千代田区や警察なども参加する27日の「検討会」で報告される予定で、事件後、中止された歩行者天国再開に向けた議論が本格化する。
協定は、「安全で安心して歩け、買い物ができるまちにする」ことを目的とし、地元の万世橋地区町会連合会と秋葉原電気街振興会、3商店街振興組合が合意した。路上で違法な販売やパフォーマンスをしないなど道路使用に関する規定や犯罪防止、清掃活動などにより街の美観維持に努めることなどを定めた。5月1日から実施する。地元の住民や商業者だけでなく、買い物などで訪れる人々にも順守を求めていく。
ホコ天の再開を巡っては、集客のため必要とする電気街などと、慎重な住民側とで意見が相違。事件後、防犯カメラの設置などの取り組みが進んだが、かつての歩行者天国で見られた過激なパフォーマンスや不法占拠などへの懸念が根強くあり、住民側が、道路使用の適正化や犯罪防止への取り組みを盛り込んだ今回の協定策定を求めていた。
検討会関係者は「歩行者天国再開に向け、大きな一歩になるはず」としている。
米主要紙の部数8・7%減 ネット普及と景気低迷が直撃
出版物の発行部数調査機関である米ABCが26日に発表した米主要紙の昨年10月から3月までの平日の1日当たり平均発行部数は、前年同期比8・7%減の大幅マイナスになった。インターネットのニュース媒体の普及に加え、景気低迷で法人や個人が新聞購読を中止する動きが加速したことが理由。
新聞各社はネットでの記事提供に課金する動きなどを広げているが、事業モデルが確立できていないケースも多く、購読者増加や収益に結び付くかは不透明だ。部数のトップはウォールストリート・ジャーナルで前年同期比0・5%増の209万2523部。大手紙の中で唯一プラスとなった。2位はUSAトゥデーで13・6%減の約183万部、3位は8・5%減のニューヨーク・タイムズで約95万部。4位はロサンゼルス・タイムズで14・7%減の約62万部、5位はワシントン・ポストで13・1%減の約58万部だった。
情報通信技術で年3%超成長 「原口ビジョンII」発表
原口一博総務相は27日の閣議後会見で、新たな成長戦略「原口ビジョンII(ツー)」を発表した。ICT(情報通信技術)の活用や地域主権型社会の構築などを推進することで、2020年以降に3%超の持続的な成長率を実現するとした。政府が5~6月にまとめる新成長戦略に盛り込む方針。
具体的な政策目標として、総務省の有識者会議のICTタスクフォースで議論されている「光の道」構想に基づき、15年をめどにブロードバンド通信網を全国約4900万世帯に100%普及させるほか、電波の有効利用で20年時点で新たに50兆円規模の関連市場を創出するなどとした。
今回発表した「原口ビジョンII」は、昨年末に発表した「原口ビジョン」の第2弾。原口総務相は会見で「日本は日出ずる国というが、まさに新たな成長、ライジングサン(昇る太陽)をつくりたい」と述べた。
DVD販売でも新記録 3D映画「アバター」
興行収入の世界記録を塗り替えた3D(3次元立体)映画「アバター」のDVDとブルーレイディスクの北米での売上総額が、リリースされた22日から25日までに1億3千万ドル(約122億円)に達し、発売開始4日間の記録を更新した。ロイター通信が26日までに報じた。
これまでの記録は「バットマン」シリーズの最新作「ダークナイト」(2008年)。配給会社の20世紀フォックスによると、アバターはDVDが400万枚、ブルーレイディスクが270万枚売れたという。(共同)
日航、47路線廃止の更生計画案を28日発表へ 地元は猛反発
会社更生手続き中の日本航空が、国内線と国際線の計47路線の廃止と、2010年度中のグループ社員約1万6千人の削減を柱とする更生計画案の骨子をまとめ、大西賢社長が28日の記者会見で正式に発表することが27日、分かった。前原誠司国土交通相が明らかにした。
前原国交相はこの日の会見で、「日航が正式に発表してから、改めて国交省としての対応を検討したい」と述べた。
路線廃止をめぐっては、地元自治体は強く反発。26日には愛知県など16同県が同社や国交省に路線存続を要請した。一方、銀行団は廃止路線数のさらなる上積みを求めるなど、関係者の調整は難航しており、更生計画案の東京地裁への提出は予定していた6月末から2カ月程度遅れる見通しだ。
計画では廃止は今年10月以降に国内線31路線、国際線16路線を廃止する方針。このほか、ジャンボ機や中型機などの老朽機を10年度中に退役させることや、10年度の営業損益の黒字化を目指すことなど盛り込む。
全日空も国内5路線の廃止検討 伊丹-佐賀など1日1便路線
全日本空輸が大阪(伊丹)-大館能代(秋田県)、大阪-佐賀、中部-米子(鳥取県)、中部-徳島、大阪-石見(島根県)の5路線について、年内にも廃止する方向で検討していることが27日、分かった。
5路線はいずれも1日1便運航。利用客数の低迷が続いている不採算路線を削減し、経営健全化につなげる。
同社は現在、地元自治体などと協議中で、5月中をメドに、廃止するかどうか正式に決定する。
会社更生手続き中の日本航空も国内31路線の廃止を計画しており、地方の反発が一段と強まるのは必至だ。航空会社の採算と交通インフラの維持の板挟みで、国交省は難しい判断を迫られそうだ。
三洋、半導体とモーター事業売却を検討
三洋電機が半導体とモーターの2事業の売却を検討していることが26日、分かった。パナソニックによる子会社化に伴う合理化の一環。収益の厳しい事業を再編し、パナソニックグループとしての経営体質強化を狙う。
三洋の半導体事業は赤字体質が続き、経営再建を進めていた平成19年、売却方針を決めたが、失敗した経緯がある。その後、リストラで、業績は改善傾向にあるが、パナソニックが手がける最先端のシステムLSI(高密度集積回路)とは相乗効果が見込みにくい。
また、モーター事業は、携帯電話の振動用で一時は世界シェア約4割を誇ったが、製品の汎用化による価格下落で成長が期待できなくなっている。
売却を検討する2事業は、子会社の三洋半導体(群馬県大泉町)と三洋精密(長野県上田市)が担当。売却による地域の雇用への影響は大きく、雇用に配慮しながら慎重に検討を進めるとみられる。
Ustreamが日本語化
動画のライブ配信サービス「Ustream」が4月27日、日本語化された。ユーザーインタフェースや利用規約、ライブ配信方法の説明ページなどが日本語訳されている。
ページ最下部の言語タブで「英語」「日本語」が選べ、英語にすることもできる。ヘルプセンターなど一部のページは英語のままとなっている。
米Ustreamに出資しているソフトバンクの孫正義社長が今年2月にTwitterで、「5月までにUstreamを日本語化する」と明言していた。
「1Q84」BOOK3が100万部に
新潮社は27日、村上春樹さんのベストセラー小説「1Q84」BOOK3(第3巻)を10万部増刷し、累計100万部となると発表した。
3巻合計の累計部数は366万部で、BOOK1(145万部)、BOOK2(121万部)とともに“トリプル・ミリオン”を達成。発売日から12日目で100万部発行が決まるのは同社刊行物で過去最速。
出版科学研究所は「日本人の小説として異例のスピードで売れている」と話している。
京都新聞社説
今を生きる考える ネット時代に問われる責任匿名ゆえの危険性も
インターネット全盛の昨今、誰もがネットから簡単に情報を入手できる。逆に、誰もが手軽に情報発信できるようにもなった。ネット上には玉石混交のさまざまな情報があふれている。
ネットの普及は目覚ましい。総務省通信利用動向調査で、国内のネット利用者は昨年1月に9千万人を超え、普及率は75・3%に達した。つまり4人のうち3人が利用しているという。
優れた報道などに贈られる米ピュリツァー賞は最も権威ある賞の一つだ。94回目の今年、調査報道部門で初めてネットメディアがハリケーン被災地の医療活動に焦点を当てて受賞した。ネット情報が信頼性や影響力で新聞報道などと肩を並べたといえようか。
ネットには多様な人たちが自由に議論し合える利点もある。今や首相や大臣らが日記風にブログをつづり、交流サイトのツイッターでつぶやく。それに国民もすぐさま意見を書き込む。実に便利な時代になった。そのこと自体は大いに歓迎したい。
ところが、誰もがネットを適切に使いこなしているわけではない。中傷や誤った情報で人を傷つける危険をはらんでいることを忘れてはなるまい。
最高裁は先月、自分のホームページに飲食店の経営会社を「カルト集団」などと書き込んで中傷したとして名誉棄損罪に問われた会社員に対し、罰金刑を確定させる決定を下した。
ネット情報について最高裁は、閲覧する側が「信頼性が低い」と受け取るとは限らないとして、他人の名誉にかかわる情報を流す場合、新聞報道などと同様に確実な資料や根拠が必要-という初の判断を示した。
ネット上に匿名で、個人の名誉やプライバシーを損なう中傷や誤情報が横行している現状を踏まえれば、妥当な結論といってよい。
「仮想空間」ではない
ネットをめぐるトラブルは年を追って増えている。法務省によると、ネット上の人権侵犯事件として救済手続きに入った件数は昨年、前年比52・6%増の786件に上った。うちプライバシー侵害391件、名誉棄損295件が全体の9割近くを占めた。
お笑いタレントのブログに、「殺人犯」などと中傷する書き込みを繰り返したとして、警視庁が昨年3月、男女6人を名誉棄損容疑で書類送検した事件は記憶に新しい。当人たちに「犯罪」の意識はなく、情報を発信する責任と自覚を欠いていたという。
京都の大学でも昨年、集団暴行事件の被害に遭った女子学生をめぐるネットへの不適切な書き込みが問題化、大学から処分を受ける学生が相次いだ。
不特定多数が瞬時に閲覧する点で被害は深刻だ。いったん誤解が拡散すれば名誉回復は難しい。ネット上の中傷やいじめが原因で、中高生らが自殺に追い込まれるケースも起きている。
ネットは決して「仮想空間」ではない。もちろん実社会の法律やルールが適用される。無責任で行き過ぎた発言や記述は許されない。
匿名性の甘えに警告
背景にはネットの匿名性がある。
ただ、匿名でも本人を特定できないわけではない。ネット上の住所であるIPアドレスをたどれば、ほぼ突き止められる。2002年にプロバイダー(接続業者)責任制限法が施行され、被害者らが掲示板の管理人らに、書き込みの削除や発信者の情報開示を求めることも可能になった。
応じるかどうかは業者に委ねられ、実効性という点では限界がある。拒まれて訴訟に発展するケースも多いが、最高裁は今月、発信者の情報開示を求めた訴訟で、プロバイダーの開示責任を初めて認めた。影響力を増すネット世界の匿名性に警鐘を鳴らしたと受け止めたい。
ネットの手軽さと匿名性に甘えた情報発信は、表現の自由とはまったく次元が異なる。ネット利用者は、相応の責任とモラルを求められていることを肝に銘じたい。
とりわけ子どもたちがネット犯罪に巻き込まれず加担しないためには、情報を正しく理解し、発信する力が欠かせない。学校や家庭で利用ルールなどを丁寧に教えることが肝要だ。
ネットの特性を心得つつ、ネット社会と上手に付き合っていきたい。
ソフトバンク、次世代PHS通信に中国方式 世界最大手と組む
携帯電話の世界最大手、中国移動通信集団(チャイナモバイル)が普及を進める通信方式を、ソフトバンクが次世代のPHSサービスで導入することが26日、明らかになった。機器や基地局の調達コスト軽減で端末や通信料金の引き下げにつながるとともに、日本と中国の契約者は1つの端末を両国で使えるようになる。勢力を拡大する中国方式が初めて日本に入ることで、国内に閉じてきた携帯関連市場は国際競争の波にさらされる。
ソフトバンクは会社更生手続きを進めているPHS大手ウィルコムを支援中。今夏にも同社から引き継ぐ次世代PHSの通信規格で、中国移動の方式を導入する。
次世代PHS規格で端末を開発するメーカーは京セラなど一部に限られ、商用サービスを展開するのもウィルコムだけ。基地局や端末の調達コストが高く付いていた。
中国移動が2011年以降に導入する次世代通信方式は携帯電話の規格だが、ウィルコムの次世代PHS規格と要素技術が同じで、規格の改良を通じて共通化できる。ソフトバンクは免許条件に抵触しないように総務省などと調整して進める。
中国移動は加入者が5億人を超す携帯サービスの世界最大手。ソフトバンクは中国移動向けに開発された端末や基地局などを大幅な手直しなしに利用することで投資負担を抑えられる。通信をつながりやすくする対応にも資金を充てられる。
エリクソン(スウェーデン)など世界の通信機器大手も中国市場を狙い、中国移動の次世代方式に対応した基地局や端末を開発中。これが進めば、ウィルコムの契約者は端末や通信料金の低廉化がさらに期待できる。ウィルコムと中国移動の契約者は同じ端末のまま中国と日本でデータ通信を利用できるようになる。
ウィルコムは日本でデータ通信を開拓してきたが、音声でも携帯電話に対抗したため、経営が悪化。NTTドコモやイー・モバイルもデータ通信で存在感を高めている。
中国、ハイテク規格を主導
中国移動が次世代の携帯電話サービスを巡る合従連衡で注目されてきたのは、13億人の市場を抱える中国がハイテク分野の規格で存在感を増してきた象徴といえそうだ。
中国移動の次世代通信規格は、インドでも導入を検討する通信会社がある。同方式が広がれば、NTTドコモがサービスを始める予定の次世代規格への対抗勢力として育つ可能性もある。
電気自動車の充電方式でも、日本勢は中国などとの連携を視野に入れている。東京電力など5社は3月に協議会を設け、方式の国際標準化で協力を進める。各社は米国企業とも連携を探るが、アジア諸国の政府機関とも協力して規格の世界標準化に乗る構え。ハイテク分野では日米欧で規格を統一するか、互いに争う構図が続いてきたが、今後は中国などが軸となって競争が激化しそうだ。
au、通信速度を下り最大9.3Mbpsに高速化へ
KDDIは2010年度中にau携帯電話の通信速度を下り最大9.3Mbpsにまで高速化する計画であることを明らかにした。複数の周波数帯を束ねて使う「マルチキャリア化」という技術を使う。
現在はEV-DO Rev.Aという技術を使い、下り最大3.1Mbpsの速度を実現している。マルチキャリア化により、これを3倍に高速化する考えだ。
「マルチキャリア化は(基地局の)ソフトウェアの変更で対応できる。周波数の効率的な利用が可能になるほか、LTE導入までの競争力維持にも有効に働く」と小野寺氏は狙いを語った。
このほか、増加するデータ通信量に対応するため、無線LAN対応機種を増やす。「携帯電話は夜、自宅での利用が多い」(小野寺氏)といい、無線LAN経由でモバイルインターネットを利用してもらうことで、回線の負荷を下げたいとした。
また、フェムトセルと呼ばれる小型基地局も今夏に提供開始する。基地局を設置するには固定の通信回線も必要になることから、KDDIにとって固定、移動体事業両方での収益が見込めるという。
「モバイルブロードバンドが進むほど、固定ブロードバンドはビジネスに欠かせないものになる。もともと移動体通信の収入は落ち込むと見込んでおり、固定通信の増収が必要だと考えてきた。これまで採ってきた戦略は間違っていない」(小野寺氏)。なお、フェムトセルについてはNTTドコモ、ソフトバンクモバイルも取り組んでおり、ソフトバンクモバイルは5月10日から無料フェムトセルの申し込みを受け付ける予定だ。
「しずかちゃんの入浴」「ワカメちゃんパンチラ」はOK 2次元児童ポルノ規制条例で東京都
「しずかちゃんの裸はOK-」。子供の性行為を描く漫画など「2次元児童ポルノ」規制に向け、東京都が可決を目指す青少年健全育成条例の改正案で、都は26日、都民らから多数寄せられた質問25問と都側の見解をまとめ、都HPに掲載した。
規制対象“外”の一例として、「ドラえもん しずかちゃんの入浴」「サザエさん ワカメちゃんのパンチラ」「新世紀エヴァンゲリオン レイやアスカのヌード」といった具体例を列挙するなど踏み込んだ内容となった。
「改正案質問回答集」によると、「『表現の自由』の侵害ではないか」との懸念には「(規制対象となる作品を)創(つく)ることや出版すること、18歳以上が買ったり見たりすることはこれまで通り自由だ」とし、定義が曖昧(あいまい)と批判された「非実在青少年」について「年齢、学年の明確な描写やセリフ、ナレーションで明らかに18歳未満に設定されているキャラクター」と規定した。
一方、規制対象は「いわゆる『エロ漫画』のうち、子供との性行為がメーンとなっているもの」。「(非実在青少年の)悪質な性行為シーンを『売り』にしたものに限られ、(近親相姦や婦女暴行といった)通常の子供が経験する性交と明らかに別物」とし、性交や類似行為の種類についても「性交はセックス。類似行為はフェラチオ、手淫、アナルセックスなど」と明記した上で「裸の2人が折り重なる」などの性交を示唆する描写は対象外となるとした。
このほか、小説を規制対象としない理由を「小説はその表現に用いられる言葉がさまざまであり、それを読んだ人の年齢、性別、経験、読解力などにより、とらえ方や感じ方が千差万別で、絵のように一律・具体的・客観的な印象を与えるものとはいえない」と説明。また、コミックマーケットでの販売には「個人の趣味の範囲でのやり取りで、同人誌ショップとは違い『青少年に販売しないよう自主的に取り組む』対象とはならない」とする一方、「販売会の主催者には条例の趣旨を理解し、子供への販売には適切に対応するよう協力を願う」とした。
都は「あまりにも問い合わせが多く、継続審議となり都民への周知が不十分だったとの指摘もあった。条例の文言にこだわらず、分かりやすい表現に努めた」としている。
質問回答集の詳細は、都青少年・治安対策本部HP(http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/)。
「TSUTAYA」に中古本スペース CCC、6月から
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、6月から独自に中古本事業を始める。これまで中古本最大手のブックオフコーポレーションと協力して同事業を手がけてきたが、同社がCCCのポイントサービスを離脱することを受け、自社での買い取り・販売に切り替える。来年度から年間50店ペースで売り場を開設する。
CD・DVDレンタル店「TSUTAYA(ツタヤ)」に中古本を取り扱うスペースを開設する。まず6月に都内の直営店で買い取り・販売を始め、今秋以降にフランチャイズチェーン店舗にも広げる。ツタヤは全店の4割にあたる約600店で書籍を扱っており、中古本も品ぞろえして集客力を高める。
CCCはこのほどインターネット上で中古本事業を手がけるネットオフ(愛知県大府市)に30%出資した。出資額は明らかにしていないが、自社展開を控えて、中古本の仕入れなどに関するノウハウを吸収することが目的だ。
ブックオフとツタヤは併設する形で約10店舗を出店してきたが、ブックオフがCCCのポイントサービス「Tポイント」を「売り上げに寄与しない」として9月末に扱いを停止する方針。CCCも新刊本との相乗効果が期待できる中古本事業を拡大するのに、ブックオフの出店計画に縛られることは不都合な面があった。
三洋、家庭用エアコン開発・生産撤退へ
三洋電機が家庭用エアコンの開発・生産から撤退する方針を固めたことが26日、分かった。親会社のパナソニックとの重複分野を解消する一環で、中国での自社生産を中止し、同社を含む他社からの調達に切り替える見通し。販売は継続する。一方、炊飯器などでは「コラボ商品」という名称で両社の強みを結集した白物家電を共同開発し、早期に相乗効果を高める。
三洋は昨年末に親会社となったパナソニックとの間で、今年初めから重複分野解消に向けた協議を本格化。類似商品の多い白物家電は、三洋が売却方針を決めている半導体とともに焦点の一つだった。三洋は物流子会社やモーター事業も売却する方針。
三洋の家庭用エアコンは国内向けの全量を他社から調達。海外は中国・瀋陽工場で自社生産し、同国や欧米市場に供給している。今年度中にも開発・生産から撤退し、全量を他社調達に切り替える。業務用空調機器の開発・生産は続ける。
一方、炊飯器やホームベーカリーなど三洋の強みを生かせる白物家電では、パナソニックとの共同開発品を2012年度までに商品化する計画だ。炊飯器の場合、釜内をまんべんなく加熱できる機能など三洋の独自技術とパナソニックの高い生産効率を生かして相乗効果につなげる。
繊維輸出1兆円目標 経産省研究会、アジアに照準
ファッション業界の将来について議論する経済産業省の「今後の繊維・ファッション産業のあり方に関する研究会」が26日、最終報告書をとりまとめた。今後の市場拡大が見込めるアジア地域にターゲットを絞り、テストマーケティング事業や中小企業の支援策などを強化する方針を盛り込んだ。
強くて軽い炭素繊維といった、日本が高い技術力を持つ商品の展開も進める。2009年は約6800億円だった繊維・ファッション関連品の輸出額を今後3年間で8000億円以上に高め、将来的に1兆円を目指す。
アジアの研究者 ビザ免除
政府検討、先端分野で交流支援
政府はアジアからの外国人研究者がビザ(査証)なしで日本に入国できる制度の導入を検討する。国際的な共同研究や学術交流を促進するためで、環境や医療など先端分野では数十億円規模の新ファンドを通じた支援も進める。アジア地域とのヒト・モノ・カネの交流を通じて科学技術分野の活性化を目指す。
内閣府が文部科学省など関係省庁と調整に入った。6月中にまとめる新成長戦略で「アジア科学技術エリア構想」として示す。ビザ免除はアジア地域から入国する、90日以内の短期滞在の研究者らが対象。現状では学会出席などでビザなし入国が認められるのは欧米や韓国などの研究者に限られ、中国や東南アジアの研究者らはビザの取得に原則5日程度が必要になる。
先端分野の共同研究を活発化するため、日本を中心に「アジア研究ファンド」を創設する。まず数十億円規模で運用を始め、中国や韓国などの幅広い国・地域にも出資を呼びかけて多国間研究の枠組みを整える。
温暖化対策や食料・水資源の確保を重点分野と位置付けるほか、感染症や自然災害への対策にも資金を拠出する。日本の研究施設をアジア地域に移して共同研究を進める計画もある。このほか、人材交流を加速するため、日本での留学生の受け入れを増やすほか、大学間の連携協定も広げていく方針だ。
NPOバンクは適用除外 改正貸金業法の総量規制
金融庁は26日、6月18日に完全施行される改正貸金業法の運用改善策として、非営利金融の「NPOバンク」は、借入残高が年収の3分の1を超える貸し付けを禁じる「総量規制」の適用除外とすることなどを盛り込んだ内閣府令の改正案を発表した。5月25日まで意見を公募し、決定する。
NPOバンクは、総量規制の前提となる指定信用情報機関の利用義務付けについて、費用負担が重いことや、NPOバンクの融資が消費者金融からの借金と同一視され、融資先の不利益となると主張していた。
適用除外を認めるNPOバンクは、貸付金利が年7・5%以下で、貸付残高が過剰とならないことが条件。「生活困窮者向け」だけでなく、環境や福祉分野など公益性のある活動をするNPOバンクを幅広く認めた。
改正案ではこのほか、多重債務問題の解決を促すため、月々の返済額が減るローンへの借り換えは総量規制の例外とした。個人事業者の事業所得の一部も総量規制の基準となる年収として認め、融資を受けられやすくする。
日経社説
統合だけでは片づかぬ関空
前原誠司国土交通相と大阪府の橋下徹知事が関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港を経営統合することで大筋合意した。2つの空港の運営を一体化したうえで、民間に売却したいとしている。
関西にはこの両空港と神戸空港の3空港があり、空港の過剰が指摘されてきた。経営状態が比較的良い伊丹の運営を国が手放し、空港間の初の再編が進むことは歓迎していい。全国に98もある空港を再編・効率化する先駆けにもなる。
だが、単に両空港の経営を統合するだけでは意味がない。
国交省はかつて、関空救済のため成田、中部、関西の3空港の土地や施設を統合する「上下分離」の再編を試みた。3空港の収支をごちゃまぜにし、実質的に成田の利益を関空に回そうとして批判を浴び、撤回した経緯がある。今回も、伊丹の利益を関空の赤字の一部穴埋めに回すだけなら問題解決にならない。
現実的な問題として、リニア中央新幹線が大阪まで開通したら、東京との空の便の利用客減少に伴い伊丹は廃港になる予定だ。いずれなくなる伊丹と関空の統合会社に、民間から出資を募ることは可能だろうか。
1兆円を超す負債を抱える関空の経営が、統合で改善に向かうかも疑問だ。会社更生中の日本航空は関空発着の路線や便を大幅に減らす方向で検討している。利用率がさらに低下するのでは、新会社もすぐに壁にぶつかる。関空自体の立て直しの青写真を早く示す必要がある。
関空は2本の4000メートル級滑走路を持ち、海上空港なので国内では唯一、離着陸を24時間認められているが、空港へのアクセスが悪い。国交相と知事の合意は、期限を設けて空港へのアクセスをどれだけ改善するかなどの具体策に触れていない。リニアと関空の接続を期待する向きもあるが、それは20年も先だ。
関空の利用を増やすには、海外から「LCC」と呼ばれる低コストの運航会社を積極的に誘致するなどの戦略も必要だ。思い切って、アジア・太平洋地域の低コスト運航会社用ハブ空港にするような、新しい発想があってもいい。そのためには、着陸料引き下げなど空港政策全般の見直しも求められる。
携帯電話の世界最大手、中国移動通信集団(チャイナモバイル)が普及を進める通信方式を、ソフトバンクが次世代のPHSサービスで導入することが26日、明らかになった。機器や基地局の調達コスト軽減で端末や通信料金の引き下げにつながるとともに、日本と中国の契約者は1つの端末を両国で使えるようになる。勢力を拡大する中国方式が初めて日本に入ることで、国内に閉じてきた携帯関連市場は国際競争の波にさらされる。
ソフトバンクは会社更生手続きを進めているPHS大手ウィルコムを支援中。今夏にも同社から引き継ぐ次世代PHSの通信規格で、中国移動の方式を導入する。
次世代PHS規格で端末を開発するメーカーは京セラなど一部に限られ、商用サービスを展開するのもウィルコムだけ。基地局や端末の調達コストが高く付いていた。
中国移動が2011年以降に導入する次世代通信方式は携帯電話の規格だが、ウィルコムの次世代PHS規格と要素技術が同じで、規格の改良を通じて共通化できる。ソフトバンクは免許条件に抵触しないように総務省などと調整して進める。
中国移動は加入者が5億人を超す携帯サービスの世界最大手。ソフトバンクは中国移動向けに開発された端末や基地局などを大幅な手直しなしに利用することで投資負担を抑えられる。通信をつながりやすくする対応にも資金を充てられる。
エリクソン(スウェーデン)など世界の通信機器大手も中国市場を狙い、中国移動の次世代方式に対応した基地局や端末を開発中。これが進めば、ウィルコムの契約者は端末や通信料金の低廉化がさらに期待できる。ウィルコムと中国移動の契約者は同じ端末のまま中国と日本でデータ通信を利用できるようになる。
ウィルコムは日本でデータ通信を開拓してきたが、音声でも携帯電話に対抗したため、経営が悪化。NTTドコモやイー・モバイルもデータ通信で存在感を高めている。
中国、ハイテク規格を主導
中国移動が次世代の携帯電話サービスを巡る合従連衡で注目されてきたのは、13億人の市場を抱える中国がハイテク分野の規格で存在感を増してきた象徴といえそうだ。
中国移動の次世代通信規格は、インドでも導入を検討する通信会社がある。同方式が広がれば、NTTドコモがサービスを始める予定の次世代規格への対抗勢力として育つ可能性もある。
電気自動車の充電方式でも、日本勢は中国などとの連携を視野に入れている。東京電力など5社は3月に協議会を設け、方式の国際標準化で協力を進める。各社は米国企業とも連携を探るが、アジア諸国の政府機関とも協力して規格の世界標準化に乗る構え。ハイテク分野では日米欧で規格を統一するか、互いに争う構図が続いてきたが、今後は中国などが軸となって競争が激化しそうだ。
au、通信速度を下り最大9.3Mbpsに高速化へ
KDDIは2010年度中にau携帯電話の通信速度を下り最大9.3Mbpsにまで高速化する計画であることを明らかにした。複数の周波数帯を束ねて使う「マルチキャリア化」という技術を使う。
現在はEV-DO Rev.Aという技術を使い、下り最大3.1Mbpsの速度を実現している。マルチキャリア化により、これを3倍に高速化する考えだ。
「マルチキャリア化は(基地局の)ソフトウェアの変更で対応できる。周波数の効率的な利用が可能になるほか、LTE導入までの競争力維持にも有効に働く」と小野寺氏は狙いを語った。
このほか、増加するデータ通信量に対応するため、無線LAN対応機種を増やす。「携帯電話は夜、自宅での利用が多い」(小野寺氏)といい、無線LAN経由でモバイルインターネットを利用してもらうことで、回線の負荷を下げたいとした。
また、フェムトセルと呼ばれる小型基地局も今夏に提供開始する。基地局を設置するには固定の通信回線も必要になることから、KDDIにとって固定、移動体事業両方での収益が見込めるという。
「モバイルブロードバンドが進むほど、固定ブロードバンドはビジネスに欠かせないものになる。もともと移動体通信の収入は落ち込むと見込んでおり、固定通信の増収が必要だと考えてきた。これまで採ってきた戦略は間違っていない」(小野寺氏)。なお、フェムトセルについてはNTTドコモ、ソフトバンクモバイルも取り組んでおり、ソフトバンクモバイルは5月10日から無料フェムトセルの申し込みを受け付ける予定だ。
「しずかちゃんの入浴」「ワカメちゃんパンチラ」はOK 2次元児童ポルノ規制条例で東京都
「しずかちゃんの裸はOK-」。子供の性行為を描く漫画など「2次元児童ポルノ」規制に向け、東京都が可決を目指す青少年健全育成条例の改正案で、都は26日、都民らから多数寄せられた質問25問と都側の見解をまとめ、都HPに掲載した。
規制対象“外”の一例として、「ドラえもん しずかちゃんの入浴」「サザエさん ワカメちゃんのパンチラ」「新世紀エヴァンゲリオン レイやアスカのヌード」といった具体例を列挙するなど踏み込んだ内容となった。
「改正案質問回答集」によると、「『表現の自由』の侵害ではないか」との懸念には「(規制対象となる作品を)創(つく)ることや出版すること、18歳以上が買ったり見たりすることはこれまで通り自由だ」とし、定義が曖昧(あいまい)と批判された「非実在青少年」について「年齢、学年の明確な描写やセリフ、ナレーションで明らかに18歳未満に設定されているキャラクター」と規定した。
一方、規制対象は「いわゆる『エロ漫画』のうち、子供との性行為がメーンとなっているもの」。「(非実在青少年の)悪質な性行為シーンを『売り』にしたものに限られ、(近親相姦や婦女暴行といった)通常の子供が経験する性交と明らかに別物」とし、性交や類似行為の種類についても「性交はセックス。類似行為はフェラチオ、手淫、アナルセックスなど」と明記した上で「裸の2人が折り重なる」などの性交を示唆する描写は対象外となるとした。
このほか、小説を規制対象としない理由を「小説はその表現に用いられる言葉がさまざまであり、それを読んだ人の年齢、性別、経験、読解力などにより、とらえ方や感じ方が千差万別で、絵のように一律・具体的・客観的な印象を与えるものとはいえない」と説明。また、コミックマーケットでの販売には「個人の趣味の範囲でのやり取りで、同人誌ショップとは違い『青少年に販売しないよう自主的に取り組む』対象とはならない」とする一方、「販売会の主催者には条例の趣旨を理解し、子供への販売には適切に対応するよう協力を願う」とした。
都は「あまりにも問い合わせが多く、継続審議となり都民への周知が不十分だったとの指摘もあった。条例の文言にこだわらず、分かりやすい表現に努めた」としている。
質問回答集の詳細は、都青少年・治安対策本部HP(http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/)。
「TSUTAYA」に中古本スペース CCC、6月から
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、6月から独自に中古本事業を始める。これまで中古本最大手のブックオフコーポレーションと協力して同事業を手がけてきたが、同社がCCCのポイントサービスを離脱することを受け、自社での買い取り・販売に切り替える。来年度から年間50店ペースで売り場を開設する。
CD・DVDレンタル店「TSUTAYA(ツタヤ)」に中古本を取り扱うスペースを開設する。まず6月に都内の直営店で買い取り・販売を始め、今秋以降にフランチャイズチェーン店舗にも広げる。ツタヤは全店の4割にあたる約600店で書籍を扱っており、中古本も品ぞろえして集客力を高める。
CCCはこのほどインターネット上で中古本事業を手がけるネットオフ(愛知県大府市)に30%出資した。出資額は明らかにしていないが、自社展開を控えて、中古本の仕入れなどに関するノウハウを吸収することが目的だ。
ブックオフとツタヤは併設する形で約10店舗を出店してきたが、ブックオフがCCCのポイントサービス「Tポイント」を「売り上げに寄与しない」として9月末に扱いを停止する方針。CCCも新刊本との相乗効果が期待できる中古本事業を拡大するのに、ブックオフの出店計画に縛られることは不都合な面があった。
三洋、家庭用エアコン開発・生産撤退へ
三洋電機が家庭用エアコンの開発・生産から撤退する方針を固めたことが26日、分かった。親会社のパナソニックとの重複分野を解消する一環で、中国での自社生産を中止し、同社を含む他社からの調達に切り替える見通し。販売は継続する。一方、炊飯器などでは「コラボ商品」という名称で両社の強みを結集した白物家電を共同開発し、早期に相乗効果を高める。
三洋は昨年末に親会社となったパナソニックとの間で、今年初めから重複分野解消に向けた協議を本格化。類似商品の多い白物家電は、三洋が売却方針を決めている半導体とともに焦点の一つだった。三洋は物流子会社やモーター事業も売却する方針。
三洋の家庭用エアコンは国内向けの全量を他社から調達。海外は中国・瀋陽工場で自社生産し、同国や欧米市場に供給している。今年度中にも開発・生産から撤退し、全量を他社調達に切り替える。業務用空調機器の開発・生産は続ける。
一方、炊飯器やホームベーカリーなど三洋の強みを生かせる白物家電では、パナソニックとの共同開発品を2012年度までに商品化する計画だ。炊飯器の場合、釜内をまんべんなく加熱できる機能など三洋の独自技術とパナソニックの高い生産効率を生かして相乗効果につなげる。
繊維輸出1兆円目標 経産省研究会、アジアに照準
ファッション業界の将来について議論する経済産業省の「今後の繊維・ファッション産業のあり方に関する研究会」が26日、最終報告書をとりまとめた。今後の市場拡大が見込めるアジア地域にターゲットを絞り、テストマーケティング事業や中小企業の支援策などを強化する方針を盛り込んだ。
強くて軽い炭素繊維といった、日本が高い技術力を持つ商品の展開も進める。2009年は約6800億円だった繊維・ファッション関連品の輸出額を今後3年間で8000億円以上に高め、将来的に1兆円を目指す。
アジアの研究者 ビザ免除
政府検討、先端分野で交流支援
政府はアジアからの外国人研究者がビザ(査証)なしで日本に入国できる制度の導入を検討する。国際的な共同研究や学術交流を促進するためで、環境や医療など先端分野では数十億円規模の新ファンドを通じた支援も進める。アジア地域とのヒト・モノ・カネの交流を通じて科学技術分野の活性化を目指す。
内閣府が文部科学省など関係省庁と調整に入った。6月中にまとめる新成長戦略で「アジア科学技術エリア構想」として示す。ビザ免除はアジア地域から入国する、90日以内の短期滞在の研究者らが対象。現状では学会出席などでビザなし入国が認められるのは欧米や韓国などの研究者に限られ、中国や東南アジアの研究者らはビザの取得に原則5日程度が必要になる。
先端分野の共同研究を活発化するため、日本を中心に「アジア研究ファンド」を創設する。まず数十億円規模で運用を始め、中国や韓国などの幅広い国・地域にも出資を呼びかけて多国間研究の枠組みを整える。
温暖化対策や食料・水資源の確保を重点分野と位置付けるほか、感染症や自然災害への対策にも資金を拠出する。日本の研究施設をアジア地域に移して共同研究を進める計画もある。このほか、人材交流を加速するため、日本での留学生の受け入れを増やすほか、大学間の連携協定も広げていく方針だ。
NPOバンクは適用除外 改正貸金業法の総量規制
金融庁は26日、6月18日に完全施行される改正貸金業法の運用改善策として、非営利金融の「NPOバンク」は、借入残高が年収の3分の1を超える貸し付けを禁じる「総量規制」の適用除外とすることなどを盛り込んだ内閣府令の改正案を発表した。5月25日まで意見を公募し、決定する。
NPOバンクは、総量規制の前提となる指定信用情報機関の利用義務付けについて、費用負担が重いことや、NPOバンクの融資が消費者金融からの借金と同一視され、融資先の不利益となると主張していた。
適用除外を認めるNPOバンクは、貸付金利が年7・5%以下で、貸付残高が過剰とならないことが条件。「生活困窮者向け」だけでなく、環境や福祉分野など公益性のある活動をするNPOバンクを幅広く認めた。
改正案ではこのほか、多重債務問題の解決を促すため、月々の返済額が減るローンへの借り換えは総量規制の例外とした。個人事業者の事業所得の一部も総量規制の基準となる年収として認め、融資を受けられやすくする。
日経社説
統合だけでは片づかぬ関空
前原誠司国土交通相と大阪府の橋下徹知事が関西国際空港と大阪国際(伊丹)空港を経営統合することで大筋合意した。2つの空港の運営を一体化したうえで、民間に売却したいとしている。
関西にはこの両空港と神戸空港の3空港があり、空港の過剰が指摘されてきた。経営状態が比較的良い伊丹の運営を国が手放し、空港間の初の再編が進むことは歓迎していい。全国に98もある空港を再編・効率化する先駆けにもなる。
だが、単に両空港の経営を統合するだけでは意味がない。
国交省はかつて、関空救済のため成田、中部、関西の3空港の土地や施設を統合する「上下分離」の再編を試みた。3空港の収支をごちゃまぜにし、実質的に成田の利益を関空に回そうとして批判を浴び、撤回した経緯がある。今回も、伊丹の利益を関空の赤字の一部穴埋めに回すだけなら問題解決にならない。
現実的な問題として、リニア中央新幹線が大阪まで開通したら、東京との空の便の利用客減少に伴い伊丹は廃港になる予定だ。いずれなくなる伊丹と関空の統合会社に、民間から出資を募ることは可能だろうか。
1兆円を超す負債を抱える関空の経営が、統合で改善に向かうかも疑問だ。会社更生中の日本航空は関空発着の路線や便を大幅に減らす方向で検討している。利用率がさらに低下するのでは、新会社もすぐに壁にぶつかる。関空自体の立て直しの青写真を早く示す必要がある。
関空は2本の4000メートル級滑走路を持ち、海上空港なので国内では唯一、離着陸を24時間認められているが、空港へのアクセスが悪い。国交相と知事の合意は、期限を設けて空港へのアクセスをどれだけ改善するかなどの具体策に触れていない。リニアと関空の接続を期待する向きもあるが、それは20年も先だ。
関空の利用を増やすには、海外から「LCC」と呼ばれる低コストの運航会社を積極的に誘致するなどの戦略も必要だ。思い切って、アジア・太平洋地域の低コスト運航会社用ハブ空港にするような、新しい発想があってもいい。そのためには、着陸料引き下げなど空港政策全般の見直しも求められる。
KDDI、決算に3つの「がっかり」(COLUMN)
2011年3月期の連結純利益は13%増の2400億円と過去最高を更新する見通しで、8期連続の増配、配当利回りは3%弱と十分魅力的。それでも投資家からそっぽを向かれ、株価は昨年末比で7%下げて年初来安値圏をさまよい、連結株価収益率(PER)は8倍程度にとどまる――。
KDDIはなぜ、「万年割安株」という不名誉な定位置にはまりこんでしまったのだろうか。23日の決算発表からは、3つの「がっかり」が浮かび上がる。
1つ目は主力の携帯電話ビジネスの苦戦。移動体通信事業の営業利益は537億円減る見通し。契約当たり月間収入(ARPU)が5010円と前期比400円減るほか、2012年の周波数再編に向けた旧世代機の移行の負担が重くのしかかる。契約者を新型端末に誘導するという「守りのコスト」に、今期だけで800億円程度の費用がかかるという。
魅力的なスマートフォンの投入でソフトバンク、ドコモに出遅れているのも気がかりだ。販売店の店頭を見ても、iPhone(アイフォーン)の根強い人気やNTTドコモのXperia(エクスペリア)の盛り上がりと比べて落差は否めない。KDDI傘下の沖縄セルラー電話の北川洋社長は23日に都内で開いた決算説明会で「(通信機能付き)デジタルフォトフレームやスマートフォン、データ専用端末など新分野で競争力を高めないと、ドコモやソフトバンクにやられてしまう」と危機感を表した。
2つ目の「がっかり」は固定通信事業の回復の鈍さだ。営業損益は442億円の赤字から100億円の黒字へと転換する見込みで、ようやく「お荷物」ではなくなる。だが、損益改善幅はなんとか移動体通信の落ち込みを補える程度。両輪となって業績を支えるところまではなお距離がある。
そして3つ目がジュピター・テレコム(JCOM)への資本参加が収穫期を迎えるのに時間がかかりそうなこと。住友商事を巻き込んだ株式取得を巡る混乱こそ一応収束したものの、今期のJCOMの持ち分法投資損益への影響は30億円のマイナスの見込み。80億円の持ち分利益が見込める半面、のれん償却相当額が110億円とそれを上回ってしまう。「JCOMとのシナジー効果を示せれば、株価反転のきっかけになる」と期待していた向きが肩すかしを食らった感が否めないだろう。
無論、展望がないわけではない。小野寺正社長は23日の会見でJCOMや住友商事との連携について「かなりの相乗効果が出る」と自信をのぞかせた。KDDIが掲げる携帯と固定通信、放送を一体化で提供する路線に向けて、ワーキンググループを作ってシナジー効果の早期実現を目指して動き始めている。固定通信でも光ファイバー通信事業を手掛ける中部テレコミュニケーションが単年度黒字になるなど徐々に成果は出ている。
だが、いずれも実際に数字として結果が出るまでには時間がかかるのは必至。いわば漢方薬が効いてくるのを待つしかない状態。スマートフォンで目玉商品がほしいところだが、今夏にも発売される見込みの次世代iPhoneに対抗するのは容易ではないだろう。すっかり定着した感のある低PERは、変化を尊ぶ市場の目に「KDDIからは当面、ポジティブ・サプライズは出てこない」と映っているのを如実に示している。
国家公務員の来春採用4割減へ
総務相方針 09年度比、地方の出先中心に
原口一博総務相は26日、国家公務員の2011年度新規採用について、09年度実績に比べ4割減とする方向で関係閣僚と調整に入る方針を固めた。採用を抑制する人数は約3600人にのぼり、大半は地方の出先機関で対応する。天下りあっせんの禁止で中高年層の雇用を政府内で維持せざるを得なくなったのが主因。総務省は「これだけ大規模な採用抑制は過去に例がない」としている。
鳩山政権は昨年9月の発足直後に天下りあっせんの禁止を宣言。「肩たたき」といわれる早期勧奨退職が減る一方「退職候補」が省内にとどまる分の定員を増やすわけにもいかず、新規採用の余裕がなくなった。天下り根絶には給与体系の見直しなど抜本的な公務員制度改革が必要なことが改めて浮き彫りになった。
各府省の定員管理を担当する総務相は27日の閣僚懇談会で新規採用に関する原案を提示する。全国規模の採用情報が整っている09年度と比べ25%減、40%減、50%減の3案を示すが、これまでの調整で40%減が最有力となっている。早ければ同日中に政府方針として決定する考えだ。
自衛官を除く国家公務員(一般職)は約28万人で、09年度の新規採用者数は9112人。このうち国土交通省の地方整備局や、農林水産省の地方農政局など地方の出先機関による採用が8割を占める。約3600人の採用抑制も8割は出先機関で対応する見通しだ。
ただ、刑務官など治安分野に関する採用数は維持するなどメリハリをきかせる考え。キャリアと呼ばれる幹部候補生を採用する国家公務員1種試験の採用者も例年と同じ600人前後とする方向で検討する。
11年度の新規採用を巡っては前原誠司国土交通相が3月に「天下りをなくすのはいいが、新たな人材登用に問題が起きるのではないか」と問題提起。総務相、仙谷由人国家戦略相、枝野幸男行政刷新相、平野博文官房長官の4閣僚で協議を続けてきた。
活力奪わぬ組織改革急務
鳩山内閣が国家公務員の新規採用の大幅抑制を強いられるのは、人事制度や官民交流のあり方の見直しをしないまま「天下りあっせん禁止」を先行させた結果だ。公務員制度全体を見据えた改革を急がないと、行政組織の活力をそぐ副作用ばかりが進行しかねない。
民主党は先の衆院選マニフェスト(政権公約)で「定年まで働ける環境をつくり、国家公務員の天下りのあっせんは全面的に禁止する」とした。総人件費の2割削減も掲げている。
定年まで雇用を保証する一方、総人件費を削減するには、給与水準を引き下げる仕組みや年功序列の人事ルールの見直しが不可欠だ。しかし、具体論や、改革の前提となる公務員の労働基本権問題などの議論は停滞気味。今国会で審議中の国家公務員法改正案は、中央省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局の創設が柱で、給与面の見直しには踏み込んでいない。
このままでは2012年度以降、新規採用が「正常化」するかどうかも見通せない。自民党政権時代からの「肩たたき抑制」の影響もあって、正規職員の部下が一人もいない係長や主任が急増するなど、組織のゆがみも目立ってきた。
不透明な天下りの根絶を「効率的で活力のある行政組織」につなげる改革の青写真を描けるか――。のんびりしている時間はない。
漫画「NARUTO」第51巻で1億部突破
集英社は、岸本斉史さんの漫画「NARUTO」の単行本累計発行部数が、30日発売の第51巻で1億40万部に達すると発表した。
同社のコミックスでは、尾田栄一郎「ONE PIECE」(1億8900万部)、鳥山明「DRAGON BALL」(1億5200万部)などに次ぐ5番目の1億部突破。
Palmの身売り先、最有力候補はLenovoか
米Palmが身売りを模索中と報じられているが、現時点では売却先の最有力候補は中国のLenovo Groupという。当初は台湾のHTCの名前も挙がっていたが、HTCはPalmの財務状況を見て買収を断ったと報じられている。Lenovoは世界第4位のPCメーカーだが、売却した携帯電話部門を買い戻したり、中国向けにAndroidスマートフォン「LePhone」を立ち上げるなど、携帯電話に力を入れている。
「Appleの意向で」ヨドバシ通販、Apple製品の扱い中止 Amazon、ジョーシンは継続
ヨドバシカメラはこのほど、通販サイト「ヨドバシ・ドット・コム」で、MacやiPodなどApple製品の取り扱いを中止した。ビックカメラなどほか大手量販のECサイトもApple製品の取り扱いを中止。4月26日現在、Apple製品の購入が可能と編集部が確認したECサイトは、Apple StoreとAmazon.co.jp、上新電機(ジョーシン)。
ヨドバシの告知ページによると、「Appleの意向で、すべてのApple製品の販売を終了しなければならない状況となった」という。
ビックカメラとソフマップの通販サイトでは、Apple製品は「店頭での受け渡し専用」となっており、宅配による通販では購入できなくなっている。ヤマダ電機のサイトでも、Apple製品を検索すると軒並み「売り切れ」と表示される。
通販を中止した各社とも、店頭での販売は継続している。
Amazon.co.jpでは「Mac&iPodストア」という専門ストアでApple商品の購入が可能。ストアには「Authorized Reseller」(アップル正規取扱店)のロゴが入っている。上新電機のECサイトでも、iPodなどオーディオ関連製品を販売中。「Appleとの契約を継続し、販売を続けている」(上新電機広報担当者)という。ジョーシンのサイトでは、Macは取り扱っていない。
この件についてアップルジャパンに問い合わせたが「担当者が外出中」で回答は得られなかった。
ニコニコ生放送、“事業仕分け”中継を会員以外にも開放
ニワンゴは26日、「ニコニコ生放送」で実施している内閣行政刷新会議の“事業仕分け第2弾”の生中継を、ユーザー登録を行っていないユーザーにも視聴できるようにした。
ニワンゴでは、4月23日に開始された“事業仕分け第2弾”の模様を、内閣行政刷新会議の公認のもと、生中継を実施している。通常、「ニコニコ生放送」の視聴にはニコニコ動画のユーザー登録・ログインが必要となるが、4月26日~28日に行われる事業仕分けの生中継に限り、ログイン無しで視聴を可能とした。
事業仕分けの生中継は、ニコニコ動画のトップページのリンクから視聴可能。ログインしていないユーザーは、中継は視聴できるが、コメントの閲覧・投稿は行えない。
世銀862億ドル増資へ、中国議決権3位に浮上
【ワシントン=安江邦彦】世界銀行・国際通貨基金(IMF)合同開発委員会が25日、米ワシントンで開かれ、世銀が862億ドルを増資するとももに、新興国・途上国の議決権を3・13%増やすことで合意した。
金融危機以降、途上国などへの融資が急増している世銀の財務基盤を拡充し、新興国の経済的影響力拡大を議決権に反映するのが目的だ。6月に開かれる世銀の総務会での投票を通して正式に決定する。
調整後の議決権比率は、先進国が全体で52・81%に低下する一方、新興国・途上国が47・19%に上昇する。
増資による日本の負担は計275億円程度になる見通しだ。日本の議決権は、現在の2位から変動はないが、比率は7・62%から6・84%に低下する。2・77%で6位だった中国は、4・42%に増え、米日に次ぐ3位に浮上する。
議決権は新規加盟の承認や資本政策の決定などに影響し、比率が多いほど世銀運営での発言力が強まる。
世銀の増資は加盟国が出資比率に応じて引き受ける「一般増資」と、議決権比率を調整するための「選択増資」とがある。選択増資は不定期に実施しているが、一般増資は1988年以来、22年ぶりとなる。
【中日社説】
鉄鉱石寡占化 国際協調が欠かせない
2010年4月26日
公正取引委員会が豪州の資源大手二社の統合審査の準備に入った。日本の鉄鉱石は過半を二社に頼り、一段の寡占化は消費者にも影響が及ぶ。公正競争を保つにはEUなどとの協調が不可欠だ。
統合を予定しているのは、豪州で鉄鉱石などを採掘している英豪系資源メジャーのBHPビリトンとリオ・ティントの二社。鉄鉱石の世界貿易量は、ブラジルのバーレを加えたわずか三社で八割前後を占める。
統合すると鉄鉱石の大半が豪州とブラジルの二社に牛耳られるほか、世界の主要な採掘権も二社が握ることになる。産出量の調整などで市場原理によらない不合理な値上げが起きかねない。
資源メジャーは同業他社の買収を繰り返しながら鉄鉱石を囲い込み、急速に価格決定力を強めてきた。今や価格競争は起きにくく、買い手が資源メジャーの言い値で押しきられてしまう異様な価格交渉が常態化しているという。
中国の粗鋼生産量は毎年、日本の総生産量、年間一億トンに匹敵するペースで増え続けている。鉄鉱石の価格は新興国の旺盛な需要を背景に、四~六月は前年度に比べ二倍の大幅値上げとなった。鉄鋼原料用の石炭も急騰している。
日本の鉄鋼業界が神経をとがらせているのは資源メジャーによる人為的な価格操作だ。価格は今世紀に入って一トン=三十ドルから百三十ドルに四倍値上がりし、世界金融危機後は需要が激減したにもかかわらず値下がりは上昇幅の半分にとどまった。既に寡占化の弊害が生じている-との指摘もある。
欧州連合(EU)や韓国なども二社の統合には警戒を強めており、公正な競争を阻害しないかなどの審査を一斉に始めた。
それに引き換え、一九九九年の独占禁止法改正で海外の企業同士の統合も審査できるようになった日本の公取委は今回が初の審査となる。公取委は国際カルテルの摘発事例も決して多くはない。
EUなどと協調しなければ、価格支配力を強める資源メジャーを押し返せないだろう。
値上がりが自動車向け鋼板などに転嫁されれば影響は消費者に及び、関係業界の収益も圧迫して日本経済の回復にも水を差す。
公正な競争を損なうと判断すれば毅然(きぜん)として統合を排除せねばならない。公取委は迅速かつ実効性ある判断を下すため、各国との連携を密にし、寡占化がもたらす弊害を封じるべきだ。
2011年3月期の連結純利益は13%増の2400億円と過去最高を更新する見通しで、8期連続の増配、配当利回りは3%弱と十分魅力的。それでも投資家からそっぽを向かれ、株価は昨年末比で7%下げて年初来安値圏をさまよい、連結株価収益率(PER)は8倍程度にとどまる――。
KDDIはなぜ、「万年割安株」という不名誉な定位置にはまりこんでしまったのだろうか。23日の決算発表からは、3つの「がっかり」が浮かび上がる。
1つ目は主力の携帯電話ビジネスの苦戦。移動体通信事業の営業利益は537億円減る見通し。契約当たり月間収入(ARPU)が5010円と前期比400円減るほか、2012年の周波数再編に向けた旧世代機の移行の負担が重くのしかかる。契約者を新型端末に誘導するという「守りのコスト」に、今期だけで800億円程度の費用がかかるという。
魅力的なスマートフォンの投入でソフトバンク、ドコモに出遅れているのも気がかりだ。販売店の店頭を見ても、iPhone(アイフォーン)の根強い人気やNTTドコモのXperia(エクスペリア)の盛り上がりと比べて落差は否めない。KDDI傘下の沖縄セルラー電話の北川洋社長は23日に都内で開いた決算説明会で「(通信機能付き)デジタルフォトフレームやスマートフォン、データ専用端末など新分野で競争力を高めないと、ドコモやソフトバンクにやられてしまう」と危機感を表した。
2つ目の「がっかり」は固定通信事業の回復の鈍さだ。営業損益は442億円の赤字から100億円の黒字へと転換する見込みで、ようやく「お荷物」ではなくなる。だが、損益改善幅はなんとか移動体通信の落ち込みを補える程度。両輪となって業績を支えるところまではなお距離がある。
そして3つ目がジュピター・テレコム(JCOM)への資本参加が収穫期を迎えるのに時間がかかりそうなこと。住友商事を巻き込んだ株式取得を巡る混乱こそ一応収束したものの、今期のJCOMの持ち分法投資損益への影響は30億円のマイナスの見込み。80億円の持ち分利益が見込める半面、のれん償却相当額が110億円とそれを上回ってしまう。「JCOMとのシナジー効果を示せれば、株価反転のきっかけになる」と期待していた向きが肩すかしを食らった感が否めないだろう。
無論、展望がないわけではない。小野寺正社長は23日の会見でJCOMや住友商事との連携について「かなりの相乗効果が出る」と自信をのぞかせた。KDDIが掲げる携帯と固定通信、放送を一体化で提供する路線に向けて、ワーキンググループを作ってシナジー効果の早期実現を目指して動き始めている。固定通信でも光ファイバー通信事業を手掛ける中部テレコミュニケーションが単年度黒字になるなど徐々に成果は出ている。
だが、いずれも実際に数字として結果が出るまでには時間がかかるのは必至。いわば漢方薬が効いてくるのを待つしかない状態。スマートフォンで目玉商品がほしいところだが、今夏にも発売される見込みの次世代iPhoneに対抗するのは容易ではないだろう。すっかり定着した感のある低PERは、変化を尊ぶ市場の目に「KDDIからは当面、ポジティブ・サプライズは出てこない」と映っているのを如実に示している。
国家公務員の来春採用4割減へ
総務相方針 09年度比、地方の出先中心に
原口一博総務相は26日、国家公務員の2011年度新規採用について、09年度実績に比べ4割減とする方向で関係閣僚と調整に入る方針を固めた。採用を抑制する人数は約3600人にのぼり、大半は地方の出先機関で対応する。天下りあっせんの禁止で中高年層の雇用を政府内で維持せざるを得なくなったのが主因。総務省は「これだけ大規模な採用抑制は過去に例がない」としている。
鳩山政権は昨年9月の発足直後に天下りあっせんの禁止を宣言。「肩たたき」といわれる早期勧奨退職が減る一方「退職候補」が省内にとどまる分の定員を増やすわけにもいかず、新規採用の余裕がなくなった。天下り根絶には給与体系の見直しなど抜本的な公務員制度改革が必要なことが改めて浮き彫りになった。
各府省の定員管理を担当する総務相は27日の閣僚懇談会で新規採用に関する原案を提示する。全国規模の採用情報が整っている09年度と比べ25%減、40%減、50%減の3案を示すが、これまでの調整で40%減が最有力となっている。早ければ同日中に政府方針として決定する考えだ。
自衛官を除く国家公務員(一般職)は約28万人で、09年度の新規採用者数は9112人。このうち国土交通省の地方整備局や、農林水産省の地方農政局など地方の出先機関による採用が8割を占める。約3600人の採用抑制も8割は出先機関で対応する見通しだ。
ただ、刑務官など治安分野に関する採用数は維持するなどメリハリをきかせる考え。キャリアと呼ばれる幹部候補生を採用する国家公務員1種試験の採用者も例年と同じ600人前後とする方向で検討する。
11年度の新規採用を巡っては前原誠司国土交通相が3月に「天下りをなくすのはいいが、新たな人材登用に問題が起きるのではないか」と問題提起。総務相、仙谷由人国家戦略相、枝野幸男行政刷新相、平野博文官房長官の4閣僚で協議を続けてきた。
活力奪わぬ組織改革急務
鳩山内閣が国家公務員の新規採用の大幅抑制を強いられるのは、人事制度や官民交流のあり方の見直しをしないまま「天下りあっせん禁止」を先行させた結果だ。公務員制度全体を見据えた改革を急がないと、行政組織の活力をそぐ副作用ばかりが進行しかねない。
民主党は先の衆院選マニフェスト(政権公約)で「定年まで働ける環境をつくり、国家公務員の天下りのあっせんは全面的に禁止する」とした。総人件費の2割削減も掲げている。
定年まで雇用を保証する一方、総人件費を削減するには、給与水準を引き下げる仕組みや年功序列の人事ルールの見直しが不可欠だ。しかし、具体論や、改革の前提となる公務員の労働基本権問題などの議論は停滞気味。今国会で審議中の国家公務員法改正案は、中央省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局の創設が柱で、給与面の見直しには踏み込んでいない。
このままでは2012年度以降、新規採用が「正常化」するかどうかも見通せない。自民党政権時代からの「肩たたき抑制」の影響もあって、正規職員の部下が一人もいない係長や主任が急増するなど、組織のゆがみも目立ってきた。
不透明な天下りの根絶を「効率的で活力のある行政組織」につなげる改革の青写真を描けるか――。のんびりしている時間はない。
漫画「NARUTO」第51巻で1億部突破
集英社は、岸本斉史さんの漫画「NARUTO」の単行本累計発行部数が、30日発売の第51巻で1億40万部に達すると発表した。
同社のコミックスでは、尾田栄一郎「ONE PIECE」(1億8900万部)、鳥山明「DRAGON BALL」(1億5200万部)などに次ぐ5番目の1億部突破。
Palmの身売り先、最有力候補はLenovoか
米Palmが身売りを模索中と報じられているが、現時点では売却先の最有力候補は中国のLenovo Groupという。当初は台湾のHTCの名前も挙がっていたが、HTCはPalmの財務状況を見て買収を断ったと報じられている。Lenovoは世界第4位のPCメーカーだが、売却した携帯電話部門を買い戻したり、中国向けにAndroidスマートフォン「LePhone」を立ち上げるなど、携帯電話に力を入れている。
「Appleの意向で」ヨドバシ通販、Apple製品の扱い中止 Amazon、ジョーシンは継続
ヨドバシカメラはこのほど、通販サイト「ヨドバシ・ドット・コム」で、MacやiPodなどApple製品の取り扱いを中止した。ビックカメラなどほか大手量販のECサイトもApple製品の取り扱いを中止。4月26日現在、Apple製品の購入が可能と編集部が確認したECサイトは、Apple StoreとAmazon.co.jp、上新電機(ジョーシン)。
ヨドバシの告知ページによると、「Appleの意向で、すべてのApple製品の販売を終了しなければならない状況となった」という。
ビックカメラとソフマップの通販サイトでは、Apple製品は「店頭での受け渡し専用」となっており、宅配による通販では購入できなくなっている。ヤマダ電機のサイトでも、Apple製品を検索すると軒並み「売り切れ」と表示される。
通販を中止した各社とも、店頭での販売は継続している。
Amazon.co.jpでは「Mac&iPodストア」という専門ストアでApple商品の購入が可能。ストアには「Authorized Reseller」(アップル正規取扱店)のロゴが入っている。上新電機のECサイトでも、iPodなどオーディオ関連製品を販売中。「Appleとの契約を継続し、販売を続けている」(上新電機広報担当者)という。ジョーシンのサイトでは、Macは取り扱っていない。
この件についてアップルジャパンに問い合わせたが「担当者が外出中」で回答は得られなかった。
ニコニコ生放送、“事業仕分け”中継を会員以外にも開放
ニワンゴは26日、「ニコニコ生放送」で実施している内閣行政刷新会議の“事業仕分け第2弾”の生中継を、ユーザー登録を行っていないユーザーにも視聴できるようにした。
ニワンゴでは、4月23日に開始された“事業仕分け第2弾”の模様を、内閣行政刷新会議の公認のもと、生中継を実施している。通常、「ニコニコ生放送」の視聴にはニコニコ動画のユーザー登録・ログインが必要となるが、4月26日~28日に行われる事業仕分けの生中継に限り、ログイン無しで視聴を可能とした。
事業仕分けの生中継は、ニコニコ動画のトップページのリンクから視聴可能。ログインしていないユーザーは、中継は視聴できるが、コメントの閲覧・投稿は行えない。
世銀862億ドル増資へ、中国議決権3位に浮上
【ワシントン=安江邦彦】世界銀行・国際通貨基金(IMF)合同開発委員会が25日、米ワシントンで開かれ、世銀が862億ドルを増資するとももに、新興国・途上国の議決権を3・13%増やすことで合意した。
金融危機以降、途上国などへの融資が急増している世銀の財務基盤を拡充し、新興国の経済的影響力拡大を議決権に反映するのが目的だ。6月に開かれる世銀の総務会での投票を通して正式に決定する。
調整後の議決権比率は、先進国が全体で52・81%に低下する一方、新興国・途上国が47・19%に上昇する。
増資による日本の負担は計275億円程度になる見通しだ。日本の議決権は、現在の2位から変動はないが、比率は7・62%から6・84%に低下する。2・77%で6位だった中国は、4・42%に増え、米日に次ぐ3位に浮上する。
議決権は新規加盟の承認や資本政策の決定などに影響し、比率が多いほど世銀運営での発言力が強まる。
世銀の増資は加盟国が出資比率に応じて引き受ける「一般増資」と、議決権比率を調整するための「選択増資」とがある。選択増資は不定期に実施しているが、一般増資は1988年以来、22年ぶりとなる。
【中日社説】
鉄鉱石寡占化 国際協調が欠かせない
2010年4月26日
公正取引委員会が豪州の資源大手二社の統合審査の準備に入った。日本の鉄鉱石は過半を二社に頼り、一段の寡占化は消費者にも影響が及ぶ。公正競争を保つにはEUなどとの協調が不可欠だ。
統合を予定しているのは、豪州で鉄鉱石などを採掘している英豪系資源メジャーのBHPビリトンとリオ・ティントの二社。鉄鉱石の世界貿易量は、ブラジルのバーレを加えたわずか三社で八割前後を占める。
統合すると鉄鉱石の大半が豪州とブラジルの二社に牛耳られるほか、世界の主要な採掘権も二社が握ることになる。産出量の調整などで市場原理によらない不合理な値上げが起きかねない。
資源メジャーは同業他社の買収を繰り返しながら鉄鉱石を囲い込み、急速に価格決定力を強めてきた。今や価格競争は起きにくく、買い手が資源メジャーの言い値で押しきられてしまう異様な価格交渉が常態化しているという。
中国の粗鋼生産量は毎年、日本の総生産量、年間一億トンに匹敵するペースで増え続けている。鉄鉱石の価格は新興国の旺盛な需要を背景に、四~六月は前年度に比べ二倍の大幅値上げとなった。鉄鋼原料用の石炭も急騰している。
日本の鉄鋼業界が神経をとがらせているのは資源メジャーによる人為的な価格操作だ。価格は今世紀に入って一トン=三十ドルから百三十ドルに四倍値上がりし、世界金融危機後は需要が激減したにもかかわらず値下がりは上昇幅の半分にとどまった。既に寡占化の弊害が生じている-との指摘もある。
欧州連合(EU)や韓国なども二社の統合には警戒を強めており、公正な競争を阻害しないかなどの審査を一斉に始めた。
それに引き換え、一九九九年の独占禁止法改正で海外の企業同士の統合も審査できるようになった日本の公取委は今回が初の審査となる。公取委は国際カルテルの摘発事例も決して多くはない。
EUなどと協調しなければ、価格支配力を強める資源メジャーを押し返せないだろう。
値上がりが自動車向け鋼板などに転嫁されれば影響は消費者に及び、関係業界の収益も圧迫して日本経済の回復にも水を差す。
公正な競争を損なうと判断すれば毅然(きぜん)として統合を排除せねばならない。公取委は迅速かつ実効性ある判断を下すため、各国との連携を密にし、寡占化がもたらす弊害を封じるべきだ。
JVCケンウッド、「縮小すれども均衡せず」(COLUMN)
JVC・ケンウッド・ホールディングスの構造改革に終わりが見えない。2008年10月の統合以来、ほぼ毎四半期ごとに人員削減や拠点統廃合などのコスト削減策を打ち出しているが、損益の赤字基調から抜け出せない。「事業の選択と集中」「資産のスリム化」を急いでいるが、リストラに打ち止め感が出てこない。明らかなのはリストラだけでは不十分だということだ。事業部門の現金創出力が伴わない限り、損益の均衡点は見えてこない。
統合時、約2万3000人いた従業員は約4300人減の約1万8700人(09年12月末)。4074億円あった総資産は1158億円減の2916億円(同)。液晶テレビなど不採算事業の縮小で、10年3月期の連結売上高は統合前の約半分の4300億円にまで縮小したもようだ。発足以来、猛烈な人員削減と資産のスリム化を実施し、コスト改善効果は前期末までに累計350億円を超える。
にもかかわらず、前期は285億円の最終赤字(前の期は307億円の最終赤字)になったもよう。社員の約2割を削減してまで出したコストメリットはどこに消えたのか。苛烈(かれつ)なまでのリストラを進めているが、リストラのスピード以上に事業の悪化も進み、株主資本の毀損(きそん)に歯止めがかからない。
深刻なのは本来キャッシュを稼ぐべき事業が振るわないことだ。具体的にはビデオカメラ、業務用無線、カーエレクトロニクスだ。
ビデオカメラはコア事業として収益をけん引するどころか、逆に業績の足をひっぱっている。需要不振と価格下落のダブルパンチで赤字基調が続いているもよう。ライバルのソニーがビデオカメラで高収益を維持しているが、ブランド力の弱いビクターは劣勢を強いられている。高機能品にシフトしたが、低価格志向に流れた市場動向を読み誤った。その結果、在庫増で新製品投入が遅れ損失が拡大した。
かつて2ケタの利益率を誇っていた業務用無線の収益も低下している。主要市場の米国で公共事業向けが低迷。市場の回復やデジタル化需要などに期待をかけるが、どの程度利益率改善に寄与するか不透明だ。統合の象徴とされたカーエレは09年7~9月期に営業黒字に転換したが、その後の利益の積み上げに弾みがつかない。09年10~12月期まで営業利益は1ケタ億円台にとどまっている。
その他の不採算事業では一段と止血の緊急性が高い。セキュリティシステムなどを手掛ける業務用プロシステムも改善への道筋が見えない。大幅に事業を縮小したとはいえディスプレイ事業も不安要因として残る。
しかし、リストラ優先の縮小策だけでは展望が開けないのは統合後、1年半で明らかになった。手をつけるべきリストラ余地はあるものの、同時に研究開発を強化するなどコア事業のテコ入れを図らなければ、競争力があるはずのコア事業が不採算化し、新たなリストラ対象が生まれる悪循環になりかねない。
JVCケンウは新たな資産売却策として、子会社のビクターエンタテインメントの売却に動いているもよう。売却で得る資金も現状ではリストラの原資になりそうだ。
JVCケンウは自社のどの「技術」を生かして「利益」を稼ぎ、「ブランド構築」をどう進めようとしているのか。来月には新たな中期経営計画も発表される予定。リストラだけでなく売上高を拡大する戦略も同時に進めなければ、縮小路線という悪循環の輪は断ち切れない。
内閣支持24%、12ポイント下落 普天間問題「未決着なら退陣」57%
日本経済新聞社とテレビ東京が23~25日に共同で実施した世論調査で、鳩山内閣の支持率は24%となり、3月の前回調査から12ポイント下落した。不支持率は11ポイント上昇の68%だった。民主党の支持率は27%で6ポイント、自民党は21%で2ポイントそれぞれ低下した。沖縄の米軍普天間基地の移設問題を5月末までに決着できなかった場合、鳩山由紀夫首相は「退陣すべきだ」が57%に達した。
鳩山内閣の内閣支持率が2割台に落ち込むのは初めて。夏の参院選を前に、政権維持の「危険水準」に近づいたといえそうだ。
政党支持率では、みんなの党が前回から1ポイント上昇し9%になった。4月に発足した新党のうち、舛添要一代表の新党改革は2%、平沼赳夫代表のたちあがれ日本は1%。
内閣を支持しない理由(複数回答)では「指導力がない」が7ポイント上昇の64%で、引き続き最も多かった。「政府や党の運営の仕方が悪い」が41%、「安定感がない」が40%と続いた。普天間問題や高速道路の新料金制度の見直しを巡る混乱などが影響しているようだ。支持する理由(同)は「民主党中心の内閣だから」が37%、「人柄が信頼できる」が26%だった。
「第三極」参院選の焦点に
「みんな」など投票先3党で計20%、自民抜く
民主、自民両党と一線を画す「第三極」政党の動向が夏の参院選のカギを握る可能性が高くなってきた。日本経済新聞社の世論調査で参院選の投票先を聞くと、みんなの党、新党改革、たちあがれ日本の3党の合計は20%で、自民党を抜き、民主党に迫る勢いだ。そのまま獲得議席になるわけではないが、既成政党への不信感の高まりを鮮明に映し出している。
参院選の投票先は民主が4ポイント低下の20%、自民は6ポイント低下の14%だった。一方、みんなの党は初めて2ケタの11%を確保。23日に結党を正式発表した舛添要一代表の新党改革は7%、平沼赳夫代表・与謝野馨共同代表のたちあがれ日本は2%だった。民主、自民両党から「流出」した10ポイント分を3党が分け合った。
政党支持率も民主は6ポイント低下の27%、自民は2ポイント低下の21%。無党派層が5ポイント上昇の24%で、政党支持の流動化が浮き彫りになった。無党派層が2割を超えるのは、2007年6月の安倍内閣の21%以来だ。
東芝とIHI、原発機器を共同生産
今秋に新会社 海外受注拡大狙う
東芝とIHIは原子力発電機器を共同生産する。今秋に共同出資で新会社を設立し、まず主要機器である蒸気タービンの大型部品を手掛ける。対象品目を順次増やし、機器製造事業の実質的な統合を目指す。両社は1960年代から原子力事業で連携してきたが、生産が2社にまたがることで高コスト体質になっていた。共同生産でコスト競争力を高め、世界の原発市場での受注拡大を目指す。(世界の原発市場は経済面「きょうのことば」参照)=関連記事企業面に
新会社はIHIの横浜事業所(横浜市)内に設立する。出資比率は今後詰めるが、IHIが過半を握り連結子会社とする。生産も同事業所内で手掛ける。当初の人員は100人前後とみられ、両社から出向させる。
新会社は現在、東芝の京浜事業所(横浜市)で生産している蒸気タービンのケースやノズルなどの大型部品を生産する。IHIが得意とする機械加工や溶接などの技術を活用し、コストを下げる。
ゴールドマンの疑惑なお 米SECの提訴、波紋広がる
【ニューヨーク=財満大介】米証券取引委員会が米金融大手ゴールドマン・サックスを提訴した波紋が広がっている。英国では別の顧客に対する利益相反の疑惑をメディアが報道。SECの調査通告を受け取った後に、幹部が株式を売却していたことも報じられた。同社と金融界にそそがれる視線は厳しさを増している。
米上院の国土安全保障・政府活動委員会は、27日に開く公聴会に、ブランクファイン最高経営責任者(CEO)やSECが提訴した取引の当事者とされる社員を呼び、事情を聴く。公聴会のテーマは「ウォール街と金融危機/投資銀行の役割」だが、呼ばれたのはゴールドマン関係者だけ。同社の取引のあり方に絞って、厳しい追及が集中する見通しだ。
ゴールドマンをめぐっては英紙フィナンシャル・タイムズが23日、昨年11月にゴールドマンが英金融機関ロイズ・バンキング・グループの資金調達を担当した際、自らも投資家として債券を購入していたと報じた。発行会社側と投資家では利益が相反するが、ゴールドマンは支払金利を引き上げるよう助言。ロイズの資金調達コストが増す一方、投資家には有利な条件になったという。
同紙は「引受部門と投資部門の情報交換を防止する社内管理体制がある」とする同社のコメントを伝えた。
米紙ウォールストリート・ジャーナルも同日、SECがゴールドマンに調査を通告した2009年7月以降、同社がその事実を公開していない期間中に、幹部らが保有株を売却していたとする記事を掲載した。幹部らが通告の事実を知っていたかどうかには触れていない。
SECの通告をすぐに公開しなかったことについて、同社のパーム法律顧問は20日の電話会見で「当時はそれが重要なものとは考えていなかったため」と説明している。
アジア輸出 稼ぎにくく
汎用品中心、低い単価
日本の輸出品の低付加価値化が進んでいる。財務省と日銀の統計を使って試算したところ、輸出品の平均単価はこの3年間で13%低下していることがわかった。2008年9月からの金融危機で輸出先のシフトに拍車がかかり、アジア向けの汎用品や中間財などの比重が高まったためだ。新興国市場の重要性が増す一方で、日本経済を引っ張る輸出の採算が悪化するとの見方も出ている。
中国で複写機の販売を拡大するコニカミノルタホールディングス。主力製品は1台50万円以下の白黒機だ。複写機本体を現地で生産し、トナーなどの消耗品を日本から輸出する。1台150万円前後のカラー機が多い米欧とは事情が異なる。
米欧からシフト
日本企業が照準を合わせる市場は米欧からアジアにシフトした。自動車や家電の現地生産も加速している。こうした流れが日本の輸出構造も変えるのは見逃せない。主要な輸出品が高級品から汎用品、最終財から中間財に移りつつあるのだ。
財務省の輸出価格指数と日銀の輸出物価指数をもとに、輸出の「高付加価値化指数」(05年1月=100)を計算してみた。経済産業省などが使う指標で、この数字が大きいほど輸出品の付加価値や平均単価が高い。
00年以降の指数は着実に上昇し、ピークの07年2月には121をつけた。その後は低下傾向をたどり、10年2月には105まで落ち込んでいる。過去3年間で13%下がった計算になる。
07年度と09年度の貿易統計をみても、主要な輸出品の1台あたりの平均単価は確かに低下している。自動車は174万円から158万円、電算機類(周辺機器を含む)は4万5500円から3万2000円に落ちた。
現地生産加速も
輸出総額に占めるアジア向けの比率は07年度から09年度にかけて、48%から55%に高まった。米国向けは20%から16%、欧州連合(EU)向けは15%から12%に後退している。そうした重心の移動が平均単価を押し下げたといえる。
「先進国の輸出に関する限り、金融危機の入り口と出口は違っている」。内閣府は昨年末にまとめたリポートでこう指摘した。米欧発の危機が促した輸出先の主役交代。日本もその変化に順応しなければならない。
企業はどう動くのか。日本経済研究センターの竹内淳一郎氏は「新興国に生産拠点を移す動きがさらに広がる」と話す。各国が戦略市場と位置づけるアジアでの価格競争は厳しい。企業が収益を確保するためには、現地の安い労働力や原材料を活用せざるを得ない。
野村証券の木内登英氏は「一部の最優良企業は無国籍化に向かう。日本は中間財の生産拠点という性格を強めていくことになる」と語る。輸出立国ニッポンの次の戦略が問われそうだ。
日経社説
米金融の好決算は本物か
米金融機関の経営危機は昔話になったのだろうか。2010年1~3月期の決算が軒並み好調だ。
リーマン・ショック後に経営が傾き米政府から公的資金の注入を受けているシティグループの最終利益は前年同期の2.8倍に膨らんだ。米金融の雄ゴールドマン・サックスは前年同期比9割の増益だった。
大手行は融資先企業の持ち直しで、貸倒引当金の負担が減った。預貸金の利ザヤも厚い。投資銀行は債券売買が好調で、収益を押し上げた。
金融危機に際し、米政府は金融機関に公的資金を注入した。連邦準備理事会(FRBはゼロ金利政策をとり、様々な資産を買い取った。景気が回復し始めたことで、これらの支援策がフルに効果を発揮した。
非常時対応の策は徐々に出口に向かいつつある。FRBは住宅ローン担保証券の買い取りを3月末で終えた。追い風参考記録というべき好環境は変化しつつある。経営の真価が問われるのはこれからだ。
視野を地域金融機関に広げれば、風景はなお厳しい。米連邦預金保険公社によれば、今年に入りすでに50行余りが破綻した。地方の景気回復は遅く、ショッピングモール向け融資などの焦げ付きが増えている。
大手金融機関については、政治からの風当たりが強まっている。
米金融業は従業員への09年分の報酬総額を200億ドル強と、前の年に比べ17%増やした。10年1~3月期も、今年分の支払いに備える積立額は高水準。当局から手厚い支援を受けながら、高額報酬を得ている点が世論の批判を集めている。
ゴールドマンは米証券取引委員会(SECに提訴された。オバマ大統領が演説で金融規制強化の方針を示したのも、そんな世論を意識したものだ。複雑な証券化商品で利益を上げてきた金融機関は、簡素でリスクを抑えた業務へ軸足を移すよう圧力を受けているのかもしれない。
日本の金融機関は証券化の出遅れがケガの功名となり、今回の金融危機で大規模な公的資金注入を受けていない。ただ、低金利政策のつっかい棒に頼る度合いは日本の方が大きい。銀行や証券会社が直面する経営課題という点で、米国の現状に目を凝らしておく必要があろう。
中国経済の行方 2ケタ成長 抑制狙う 清華大学国情研究センター主任 胡鞍鋼氏
中国経済は1~3月期も2けた成長を実現し、順調に回復軌道を進んでいる。半面、住宅価格の高騰など一部では過熱感も強まってきた。中国はバブルを防いで世界経済をけん引できるのか。政府の政策決定に影響力がある清華大学国情研究センターの胡鞍鋼主任に聞いた。
――中国経済の好調が続いています。
「景気を引っ張っているのが2009~10年の2年間で4兆元(約54兆円)を投資する景気刺激策であるのは明らかだ。しかも、この4兆元が投資をさらに誘発している。私の試算では2年間の社会的な投資は中国全体で50兆元前後に膨らむ。ドル換算では7.3兆~7.4兆ドルだ」
「これだけの投資は世界最大規模で、米国を大きく上回る。10年の成長率が09年の8.7%を超えるのは確実で、10%に達する可能性すらある。中国経済がいったん二番底を迎える『W型』の回復軌道を予想する声も少なくないが、私はそうなる心配はほとんどないと判断している」
――むしろ景気過熱の方が心配ですか。
「その通りだ。警戒しなければならないのは10%を超える高成長だ。中国は2けた成長を望んでおらず、8%成長を続けるのがふさわしいと考えている。なぜなら、成長率が10%を超えるとエネルギー、特に石炭の消費量が大幅に拡大し、二酸化炭素(CO2)の排出量が爆発的に増えるからだ。これでは持続可能な成長を実現できない」
――景気過熱を防ぐため、金融を引き締める必要はありませんか。
「引き締めを排除すべきではないだろう。消費者物価指数(CPI)が2%台半ばで推移する一方、不動産価格は高騰している。中国人民銀行(中央銀行)の金融政策に変化が生じる可能性は十分にある。ただ、資産バブルはいまのところ局地的な問題で、中国経済全体に影響を及ぼすほど深刻とはみていない」
――消費底上げに向け国民への所得配分を増やすべきだとの議論が盛んです。
「中国では1978年以降、一貫して1人当たり収入の増加率が1人当たり国内総生産(GDP)の増加率を下回ってきた。それが昨年初めて逆転した。この傾向が定着すれば、国民収入全体に占める個人への分配率は高まる。中国の市場経済がこれまで、政府と企業という2つの利益集団に有利な仕組みだったことは否定できない」
「貧富の格差は広がっており、これを解消する方法はなかなか見つからない。ただ、中国では経済のパイが膨らむ中で格差が拡大している。貧しい人たちも教育を受けて一生懸命に仕事をすれば、いつかはよりよい生活を送れると信じている。一方、日本の格差拡大は収入が増えない中で起きている。悪性の格差拡大であり、解決方法がないようにみえる」
人民元は上昇へ
――現在の人民元相場は適切な水準ですか。
「購買力平価でみて、長期的に元相場が上昇するのは間違いない。清華大の中で散髪をすれば料金は8元(約110円)だ。しかし、早稲田大では4800円、ワシントンでは15ドル(約1400円)もした。どれも中身は変わらないのにだ」
「重要なのは元相場をどのくらいのペースで切り上げていくかだろう。私は年3~5%が適切だと思う。中国のすべての人が持つ財産の価値が、その分だけ世界の市場で増えていくことになる。それは決して悪いことではない。日本の円が上昇したときと同じだ。元相場の上昇は、中国の富が増えるのと同義であるという視点が必要だ」
JVC・ケンウッド・ホールディングスの構造改革に終わりが見えない。2008年10月の統合以来、ほぼ毎四半期ごとに人員削減や拠点統廃合などのコスト削減策を打ち出しているが、損益の赤字基調から抜け出せない。「事業の選択と集中」「資産のスリム化」を急いでいるが、リストラに打ち止め感が出てこない。明らかなのはリストラだけでは不十分だということだ。事業部門の現金創出力が伴わない限り、損益の均衡点は見えてこない。
統合時、約2万3000人いた従業員は約4300人減の約1万8700人(09年12月末)。4074億円あった総資産は1158億円減の2916億円(同)。液晶テレビなど不採算事業の縮小で、10年3月期の連結売上高は統合前の約半分の4300億円にまで縮小したもようだ。発足以来、猛烈な人員削減と資産のスリム化を実施し、コスト改善効果は前期末までに累計350億円を超える。
にもかかわらず、前期は285億円の最終赤字(前の期は307億円の最終赤字)になったもよう。社員の約2割を削減してまで出したコストメリットはどこに消えたのか。苛烈(かれつ)なまでのリストラを進めているが、リストラのスピード以上に事業の悪化も進み、株主資本の毀損(きそん)に歯止めがかからない。
深刻なのは本来キャッシュを稼ぐべき事業が振るわないことだ。具体的にはビデオカメラ、業務用無線、カーエレクトロニクスだ。
ビデオカメラはコア事業として収益をけん引するどころか、逆に業績の足をひっぱっている。需要不振と価格下落のダブルパンチで赤字基調が続いているもよう。ライバルのソニーがビデオカメラで高収益を維持しているが、ブランド力の弱いビクターは劣勢を強いられている。高機能品にシフトしたが、低価格志向に流れた市場動向を読み誤った。その結果、在庫増で新製品投入が遅れ損失が拡大した。
かつて2ケタの利益率を誇っていた業務用無線の収益も低下している。主要市場の米国で公共事業向けが低迷。市場の回復やデジタル化需要などに期待をかけるが、どの程度利益率改善に寄与するか不透明だ。統合の象徴とされたカーエレは09年7~9月期に営業黒字に転換したが、その後の利益の積み上げに弾みがつかない。09年10~12月期まで営業利益は1ケタ億円台にとどまっている。
その他の不採算事業では一段と止血の緊急性が高い。セキュリティシステムなどを手掛ける業務用プロシステムも改善への道筋が見えない。大幅に事業を縮小したとはいえディスプレイ事業も不安要因として残る。
しかし、リストラ優先の縮小策だけでは展望が開けないのは統合後、1年半で明らかになった。手をつけるべきリストラ余地はあるものの、同時に研究開発を強化するなどコア事業のテコ入れを図らなければ、競争力があるはずのコア事業が不採算化し、新たなリストラ対象が生まれる悪循環になりかねない。
JVCケンウは新たな資産売却策として、子会社のビクターエンタテインメントの売却に動いているもよう。売却で得る資金も現状ではリストラの原資になりそうだ。
JVCケンウは自社のどの「技術」を生かして「利益」を稼ぎ、「ブランド構築」をどう進めようとしているのか。来月には新たな中期経営計画も発表される予定。リストラだけでなく売上高を拡大する戦略も同時に進めなければ、縮小路線という悪循環の輪は断ち切れない。
内閣支持24%、12ポイント下落 普天間問題「未決着なら退陣」57%
日本経済新聞社とテレビ東京が23~25日に共同で実施した世論調査で、鳩山内閣の支持率は24%となり、3月の前回調査から12ポイント下落した。不支持率は11ポイント上昇の68%だった。民主党の支持率は27%で6ポイント、自民党は21%で2ポイントそれぞれ低下した。沖縄の米軍普天間基地の移設問題を5月末までに決着できなかった場合、鳩山由紀夫首相は「退陣すべきだ」が57%に達した。
鳩山内閣の内閣支持率が2割台に落ち込むのは初めて。夏の参院選を前に、政権維持の「危険水準」に近づいたといえそうだ。
政党支持率では、みんなの党が前回から1ポイント上昇し9%になった。4月に発足した新党のうち、舛添要一代表の新党改革は2%、平沼赳夫代表のたちあがれ日本は1%。
内閣を支持しない理由(複数回答)では「指導力がない」が7ポイント上昇の64%で、引き続き最も多かった。「政府や党の運営の仕方が悪い」が41%、「安定感がない」が40%と続いた。普天間問題や高速道路の新料金制度の見直しを巡る混乱などが影響しているようだ。支持する理由(同)は「民主党中心の内閣だから」が37%、「人柄が信頼できる」が26%だった。
「第三極」参院選の焦点に
「みんな」など投票先3党で計20%、自民抜く
民主、自民両党と一線を画す「第三極」政党の動向が夏の参院選のカギを握る可能性が高くなってきた。日本経済新聞社の世論調査で参院選の投票先を聞くと、みんなの党、新党改革、たちあがれ日本の3党の合計は20%で、自民党を抜き、民主党に迫る勢いだ。そのまま獲得議席になるわけではないが、既成政党への不信感の高まりを鮮明に映し出している。
参院選の投票先は民主が4ポイント低下の20%、自民は6ポイント低下の14%だった。一方、みんなの党は初めて2ケタの11%を確保。23日に結党を正式発表した舛添要一代表の新党改革は7%、平沼赳夫代表・与謝野馨共同代表のたちあがれ日本は2%だった。民主、自民両党から「流出」した10ポイント分を3党が分け合った。
政党支持率も民主は6ポイント低下の27%、自民は2ポイント低下の21%。無党派層が5ポイント上昇の24%で、政党支持の流動化が浮き彫りになった。無党派層が2割を超えるのは、2007年6月の安倍内閣の21%以来だ。
東芝とIHI、原発機器を共同生産
今秋に新会社 海外受注拡大狙う
東芝とIHIは原子力発電機器を共同生産する。今秋に共同出資で新会社を設立し、まず主要機器である蒸気タービンの大型部品を手掛ける。対象品目を順次増やし、機器製造事業の実質的な統合を目指す。両社は1960年代から原子力事業で連携してきたが、生産が2社にまたがることで高コスト体質になっていた。共同生産でコスト競争力を高め、世界の原発市場での受注拡大を目指す。(世界の原発市場は経済面「きょうのことば」参照)=関連記事企業面に
新会社はIHIの横浜事業所(横浜市)内に設立する。出資比率は今後詰めるが、IHIが過半を握り連結子会社とする。生産も同事業所内で手掛ける。当初の人員は100人前後とみられ、両社から出向させる。
新会社は現在、東芝の京浜事業所(横浜市)で生産している蒸気タービンのケースやノズルなどの大型部品を生産する。IHIが得意とする機械加工や溶接などの技術を活用し、コストを下げる。
ゴールドマンの疑惑なお 米SECの提訴、波紋広がる
【ニューヨーク=財満大介】米証券取引委員会が米金融大手ゴールドマン・サックスを提訴した波紋が広がっている。英国では別の顧客に対する利益相反の疑惑をメディアが報道。SECの調査通告を受け取った後に、幹部が株式を売却していたことも報じられた。同社と金融界にそそがれる視線は厳しさを増している。
米上院の国土安全保障・政府活動委員会は、27日に開く公聴会に、ブランクファイン最高経営責任者(CEO)やSECが提訴した取引の当事者とされる社員を呼び、事情を聴く。公聴会のテーマは「ウォール街と金融危機/投資銀行の役割」だが、呼ばれたのはゴールドマン関係者だけ。同社の取引のあり方に絞って、厳しい追及が集中する見通しだ。
ゴールドマンをめぐっては英紙フィナンシャル・タイムズが23日、昨年11月にゴールドマンが英金融機関ロイズ・バンキング・グループの資金調達を担当した際、自らも投資家として債券を購入していたと報じた。発行会社側と投資家では利益が相反するが、ゴールドマンは支払金利を引き上げるよう助言。ロイズの資金調達コストが増す一方、投資家には有利な条件になったという。
同紙は「引受部門と投資部門の情報交換を防止する社内管理体制がある」とする同社のコメントを伝えた。
米紙ウォールストリート・ジャーナルも同日、SECがゴールドマンに調査を通告した2009年7月以降、同社がその事実を公開していない期間中に、幹部らが保有株を売却していたとする記事を掲載した。幹部らが通告の事実を知っていたかどうかには触れていない。
SECの通告をすぐに公開しなかったことについて、同社のパーム法律顧問は20日の電話会見で「当時はそれが重要なものとは考えていなかったため」と説明している。
アジア輸出 稼ぎにくく
汎用品中心、低い単価
日本の輸出品の低付加価値化が進んでいる。財務省と日銀の統計を使って試算したところ、輸出品の平均単価はこの3年間で13%低下していることがわかった。2008年9月からの金融危機で輸出先のシフトに拍車がかかり、アジア向けの汎用品や中間財などの比重が高まったためだ。新興国市場の重要性が増す一方で、日本経済を引っ張る輸出の採算が悪化するとの見方も出ている。
中国で複写機の販売を拡大するコニカミノルタホールディングス。主力製品は1台50万円以下の白黒機だ。複写機本体を現地で生産し、トナーなどの消耗品を日本から輸出する。1台150万円前後のカラー機が多い米欧とは事情が異なる。
米欧からシフト
日本企業が照準を合わせる市場は米欧からアジアにシフトした。自動車や家電の現地生産も加速している。こうした流れが日本の輸出構造も変えるのは見逃せない。主要な輸出品が高級品から汎用品、最終財から中間財に移りつつあるのだ。
財務省の輸出価格指数と日銀の輸出物価指数をもとに、輸出の「高付加価値化指数」(05年1月=100)を計算してみた。経済産業省などが使う指標で、この数字が大きいほど輸出品の付加価値や平均単価が高い。
00年以降の指数は着実に上昇し、ピークの07年2月には121をつけた。その後は低下傾向をたどり、10年2月には105まで落ち込んでいる。過去3年間で13%下がった計算になる。
07年度と09年度の貿易統計をみても、主要な輸出品の1台あたりの平均単価は確かに低下している。自動車は174万円から158万円、電算機類(周辺機器を含む)は4万5500円から3万2000円に落ちた。
現地生産加速も
輸出総額に占めるアジア向けの比率は07年度から09年度にかけて、48%から55%に高まった。米国向けは20%から16%、欧州連合(EU)向けは15%から12%に後退している。そうした重心の移動が平均単価を押し下げたといえる。
「先進国の輸出に関する限り、金融危機の入り口と出口は違っている」。内閣府は昨年末にまとめたリポートでこう指摘した。米欧発の危機が促した輸出先の主役交代。日本もその変化に順応しなければならない。
企業はどう動くのか。日本経済研究センターの竹内淳一郎氏は「新興国に生産拠点を移す動きがさらに広がる」と話す。各国が戦略市場と位置づけるアジアでの価格競争は厳しい。企業が収益を確保するためには、現地の安い労働力や原材料を活用せざるを得ない。
野村証券の木内登英氏は「一部の最優良企業は無国籍化に向かう。日本は中間財の生産拠点という性格を強めていくことになる」と語る。輸出立国ニッポンの次の戦略が問われそうだ。
日経社説
米金融の好決算は本物か
米金融機関の経営危機は昔話になったのだろうか。2010年1~3月期の決算が軒並み好調だ。
リーマン・ショック後に経営が傾き米政府から公的資金の注入を受けているシティグループの最終利益は前年同期の2.8倍に膨らんだ。米金融の雄ゴールドマン・サックスは前年同期比9割の増益だった。
大手行は融資先企業の持ち直しで、貸倒引当金の負担が減った。預貸金の利ザヤも厚い。投資銀行は債券売買が好調で、収益を押し上げた。
金融危機に際し、米政府は金融機関に公的資金を注入した。連邦準備理事会(FRBはゼロ金利政策をとり、様々な資産を買い取った。景気が回復し始めたことで、これらの支援策がフルに効果を発揮した。
非常時対応の策は徐々に出口に向かいつつある。FRBは住宅ローン担保証券の買い取りを3月末で終えた。追い風参考記録というべき好環境は変化しつつある。経営の真価が問われるのはこれからだ。
視野を地域金融機関に広げれば、風景はなお厳しい。米連邦預金保険公社によれば、今年に入りすでに50行余りが破綻した。地方の景気回復は遅く、ショッピングモール向け融資などの焦げ付きが増えている。
大手金融機関については、政治からの風当たりが強まっている。
米金融業は従業員への09年分の報酬総額を200億ドル強と、前の年に比べ17%増やした。10年1~3月期も、今年分の支払いに備える積立額は高水準。当局から手厚い支援を受けながら、高額報酬を得ている点が世論の批判を集めている。
ゴールドマンは米証券取引委員会(SECに提訴された。オバマ大統領が演説で金融規制強化の方針を示したのも、そんな世論を意識したものだ。複雑な証券化商品で利益を上げてきた金融機関は、簡素でリスクを抑えた業務へ軸足を移すよう圧力を受けているのかもしれない。
日本の金融機関は証券化の出遅れがケガの功名となり、今回の金融危機で大規模な公的資金注入を受けていない。ただ、低金利政策のつっかい棒に頼る度合いは日本の方が大きい。銀行や証券会社が直面する経営課題という点で、米国の現状に目を凝らしておく必要があろう。
中国経済の行方 2ケタ成長 抑制狙う 清華大学国情研究センター主任 胡鞍鋼氏
中国経済は1~3月期も2けた成長を実現し、順調に回復軌道を進んでいる。半面、住宅価格の高騰など一部では過熱感も強まってきた。中国はバブルを防いで世界経済をけん引できるのか。政府の政策決定に影響力がある清華大学国情研究センターの胡鞍鋼主任に聞いた。
――中国経済の好調が続いています。
「景気を引っ張っているのが2009~10年の2年間で4兆元(約54兆円)を投資する景気刺激策であるのは明らかだ。しかも、この4兆元が投資をさらに誘発している。私の試算では2年間の社会的な投資は中国全体で50兆元前後に膨らむ。ドル換算では7.3兆~7.4兆ドルだ」
「これだけの投資は世界最大規模で、米国を大きく上回る。10年の成長率が09年の8.7%を超えるのは確実で、10%に達する可能性すらある。中国経済がいったん二番底を迎える『W型』の回復軌道を予想する声も少なくないが、私はそうなる心配はほとんどないと判断している」
――むしろ景気過熱の方が心配ですか。
「その通りだ。警戒しなければならないのは10%を超える高成長だ。中国は2けた成長を望んでおらず、8%成長を続けるのがふさわしいと考えている。なぜなら、成長率が10%を超えるとエネルギー、特に石炭の消費量が大幅に拡大し、二酸化炭素(CO2)の排出量が爆発的に増えるからだ。これでは持続可能な成長を実現できない」
――景気過熱を防ぐため、金融を引き締める必要はありませんか。
「引き締めを排除すべきではないだろう。消費者物価指数(CPI)が2%台半ばで推移する一方、不動産価格は高騰している。中国人民銀行(中央銀行)の金融政策に変化が生じる可能性は十分にある。ただ、資産バブルはいまのところ局地的な問題で、中国経済全体に影響を及ぼすほど深刻とはみていない」
――消費底上げに向け国民への所得配分を増やすべきだとの議論が盛んです。
「中国では1978年以降、一貫して1人当たり収入の増加率が1人当たり国内総生産(GDP)の増加率を下回ってきた。それが昨年初めて逆転した。この傾向が定着すれば、国民収入全体に占める個人への分配率は高まる。中国の市場経済がこれまで、政府と企業という2つの利益集団に有利な仕組みだったことは否定できない」
「貧富の格差は広がっており、これを解消する方法はなかなか見つからない。ただ、中国では経済のパイが膨らむ中で格差が拡大している。貧しい人たちも教育を受けて一生懸命に仕事をすれば、いつかはよりよい生活を送れると信じている。一方、日本の格差拡大は収入が増えない中で起きている。悪性の格差拡大であり、解決方法がないようにみえる」
人民元は上昇へ
――現在の人民元相場は適切な水準ですか。
「購買力平価でみて、長期的に元相場が上昇するのは間違いない。清華大の中で散髪をすれば料金は8元(約110円)だ。しかし、早稲田大では4800円、ワシントンでは15ドル(約1400円)もした。どれも中身は変わらないのにだ」
「重要なのは元相場をどのくらいのペースで切り上げていくかだろう。私は年3~5%が適切だと思う。中国のすべての人が持つ財産の価値が、その分だけ世界の市場で増えていくことになる。それは決して悪いことではない。日本の円が上昇したときと同じだ。元相場の上昇は、中国の富が増えるのと同義であるという視点が必要だ」