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アップル VS グーグル - 歴史が与えた2度目のチャンス(ウォールストリートジャーナルCOLUMN)
 米アップルは14年前、経営破綻(はたん)寸前にまで陥っており、多くがその独創性を失敗の原因として非難していた。
 米ソフトウエア最大手マイクロソフトの創業者で会長のビル・ゲイツ氏はその当時、米スタンフォード大学の学生とおしゃべりをしながら、かつてアップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)に、アップル端末の互換機を作らせてほしいと請う手紙を書いたことを思い出していた。そのときジョブズCEOがその要請に応じていれば、アップルの基本ソフト(OS)が、あらゆるコンピュータープログラムの基盤となる、世界的な業界標準になっていたかもしれない。だが、代わりに、その役割はマイクロソフトのOS「Windows(ウィンドウズ)」が担うことになった。
 ジョブズ氏は、マイクロソフトが同社の株主にもたらした莫大な富を逃した。それを誤りと言うのなら、確かに、ジョブズ氏はミスを犯した。だがその後、ウェブの登場によって、OSをめぐる争いの痛みは和らげられ、アップルは、楽しさを重視する消費者層向けの魅力的なコンピューター端末のメーカーとして、見事復活を果たした。
 歴史上の類似性を引き合いに出す手法は、コラムニストの常とう手段の一つであり、わたしも通常であれば、やめるところだ。だが、今回はあえて言わせてもらう。スティーブ・ジョブズは、アップルをほぼ破綻に追い込んだ賭けに再び打って出ているのではないか。
アップルとグーグル、歴史の軍配はどちらに上がるか
 米インターネット検索大手グーグルは、マイクロソフトとは正確には立場が違う。1つは、グーグルは、スマートフォン(多機能携帯電話)向けのOS「Android(アンドロイド)」を無償で提供している。また、競争の結果、一人勝ちのような状況になることもないだろう。だが、それ以外の点については、マイクロソフトのときと同じような結果になる可能性がある。
 ジョブズCEOは、ソフトウエアとハードウエアを自社で厳格に管理することを主張しているため、複数の端末メーカーが競い合うことで優位を得ることができるのはグーグルのOSだ。価格が下がり、イノベーション(技術革新)が加速されるからだ。その証拠に、近い将来発売予定のタブレット端末をはじめ、ニッチ市場をターゲットにした(特にナビゲーションやテキスト機能に特化した)多様なアンドロイド端末が相次いで開発されている。
 また、ジョブズCEOは、アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」向けアプリケーションについても、同社のアプリケーション配信サイト「iTunes App Store(アイチューンズ・アップストア)」を介して厳密に管理することを主張しているため、ウェブに対するオープン性を最大限に活用するにはアンドロイド携帯が必要になる。そうなれば、アンドロイド携帯で利用可能なサービスやアプリケーションの数は、アップストア経由で利用可能なものの数をすぐに上回ることになるだろう。
 以前もそうであったが、現在、当事者でさえも、そうした利益をはっきりとは認識していない。以前の例で言えば、パソコンは最終的に不可欠な生産性向上ツールとして世界的に受け入れられるようになった。現在、「スマートフォン」という言葉からは、どこへ行くにも、何をするにも、全世界に広がる「クラウド」のリソースに、いつでも瞬時にアクセスできる未来を思い描くことは、ほとんどできない。
 もう一つグーグルがアップルに比べて有利な点は、時間の経過とともにおのずと明らかになってくるだろう。グーグルは、広告(と収集したデータを広告主に販売すること)から収入を得ており、同社の顧客はサービスを無償で欲することでグーグルに報いている。すなわち、広告支援型のビジネスモデルだ。
 一方、アップルは、ハードウエアの販売と、ユーザーの電話通信会社への加入料とサービスやアプリケーションの使用料の一部を徴収することで収入を得ている。これらはいずれ、クラウド上のダイナミックな携帯電話向け市場での競争において、淘汰(とうた)されることになりかねない。
 グーグルのやり方にもリスクはある。さまざまなアンドロイド携帯がはん濫し、ウェブに対する開放性も高いとなれば、セキュリティのぜい弱性やウイルスの感染、カスタマーサービスの質の低下といった問題が発生し、市場には細分化された質の悪い製品があふれる恐れがある。
 アップルにとっての差し迫ったリスクは、行き過ぎたアプローチによって、純粋に使うのが楽しい、極めて優れた操作性の製品を開発する同社の能力が損なわれかねないことだ。アップルは、広告戦略が必要だとの判断を既に下している。
 また、テレビ戦略も必要になるだろう。グーグルが先週、アンドロイドをテレビに応用し、大型・高画質のテレビ画面でクラウドサービスを利用できるようにする計画を発表したとなればなおさらだ。
 またアップルは、検索事業で競合するための戦略も必要だろう。アイチューンズストアを介して利用できるサービスやアプリケーションの価格や種類が、アンドロイドユーザーがブラウザー経由で利用可能なものに負けないようにする必要があるからだ。
 最近まで、ユーザーと電子機器との接点となるインターフェースの向上にほぼ全力を傾けてきたアップルにとっては、かなり多くの課題だ。だが、歴史はアップルに2度目のチャンスを与えた。先のマイクロソフトとの争いでは、歴史のいたずらによって、一人勝ちの結果になった。ウェブがもう少し早く登場し、マイクロソフトが言うところの「アプリケーション参入障壁」が撤廃されていたなら、事態は変わっていたかもしれない。
 アップルも、今度は、イチかバチかの大勝負に出るべきでないことを理解している(と、思う)。その代わりに今回は、尊敬するジョブズ様が厳格に管理する特別サービスを、たとえそれが多少の割り増し料金を払うことになり、一部のハードウエアとは非常に相性がいい代わりに、ほかのハードウエアとはうまく機能しない可能性のある多くのサービスやアプリケーションをウェブ経由で利用することになるとしても、利用したいと希望する顧客だけをターゲットにした、おいしい事業を展開できると考えているようだ。
 それでも、グーグルの方がやはり有利だ。なぜなら、グーグルは、検索サービスがわれわれのデジタルライフの中心にある限り、広告収入が途切れることはないからだ。そうなれば、ほかのどんな失敗も許される。



社民党、連立離脱を正式決定
 社民党は30日の全国幹事長会議での議論を経て、正式に連立政権から離脱することを決定した。



アルバムが調査開始以来もっとも低調な週間売上額を3週連続で更新
 アルバムの不調がとまらない。5月17日付週間市場規模が30.8億円となり、03年下期の市場規模調査開始以来もっとも低調な数字を記録していたのに続いて、5月24日付では同27.0億円と初めての30億円割れに。今週付週間市場規模は25.0億円で、これをさらに下回ってしまった。
 一方、シングルは嵐「Monster」が初動売上54.3万枚/7.3億円を記録したことなどから、週間市場規模も13.0億円に。対前週比126.0%と3盤種中唯一上向いているが、このところ好調続きだった音楽DVDの週間市場規模も前週比58.0%と足踏み状態となっており、これらを合計した音楽ソフト全体の週間市場規模は44.2億円に留まった。09年5月25日付の47.4億円を下回り、これも03年下期以降ではもっとも低調な数字だ。



【iPad革命】接客、プレゼン… 企業も活用
 「実際に身につけて歩くと、繊細に仕上げられたレースが揺れ動いて、より美しく見えます」
 米アップルの新型多機能情報端末「iPad(アイパッド)」の画面に、ウエディングドレスを着たモデルの写真や動画が映し出される。目の前の展示品とひと味違う華やかさに、結婚式のドレスの相談に訪れた女性は目を奪われた。
 婚礼関連の事業を全国展開するノバレーゼの旗艦店「NOVARESE(ノバレーゼ)銀座」。米国から入手したアイパッドに約500点の写真や動画をセットし、試験運用を行っている。映像が美しく、着用時の姿をイメージしやすいことから評判は良い。「映像を見ながら説明しやすいサイズ。話を進める上でも役立つ」(広報担当の野原和歌さん)。同社は傘下のドレスショップ8店舗への導入を決めた。
 持ち運びやすさと操作性を生かし、店頭の接客用にアイパッドを活用する動きが増えている。英ファッションブランド、フレッドペリーは東京・原宿店でデジタルカタログの表示用に採用。アパレルメーカー、ニューヨーカーの埼玉県内の店舗ではジャケットとパンツの画像を画面上で組み合わせて、コーディネートを楽しめる。
 IT(情報技術)調査会社、MM総研の中村成希アナリストは「5万円程度の価格にしては十分な機能がある。商談相手とのプレゼンテーションに使える」と指摘する。情報漏洩(ろうえい)対策として記憶装置のハードディスクのないパソコンの導入が進んでいることもあり、富士通の佐相秀幸副社長は「企業向けの(パソコン)需要の一部を奪われるかもしれない」と危機感を募らせる。
 日本最大の料理レシピサイトを展開するクックパッドの佐野陽光(あきみつ)社長は、米国で購入したアイパッドを毎日のように使う一人だ。会議の参加メンバー全員がアイパッドを手に議論するようにすれば「社内から大半の紙を追放できる」と話す。
 ユーザー向けには、買い物先ではスマートフォン(高機能携帯電話)を使って同社のレシピ情報を活用してもらい、自宅ではアイパッドで調理シーンの動画を見てもらうといった連動したサービスの提案も考えられるという。
■    ■
 アイパッドの登場を追い風に、500誌弱の雑誌の電子配信を手がけるウェイズジャパンは昨年8月に立ち上げた電子新聞の販売サイトを充実させる方針だ。紙の新聞のレイアウトのまま夕刊紙や専門紙を配信するサービスに、有力地方紙を加えようと調整を進めている。「ソファで画面を見たり読んだりできるアイパッドは、家の中に革新をもたらす端末。あらゆるコンテンツの購買意欲を押し上げる」。アラム・サルキシャン社長は期待を寄せる。
 3月に電子出版のアゴラブックスを設立し、社長を務める経済学者の池田信夫氏は「絶版や今では品切れの書籍、印刷部数の少ない学術書も手がけたい」と話し、ニッチなニーズを掘り起こす考えだ。
 もっとも、電子配信によってコンテンツの供給側と利用者が直結すれば、流通のあり方も変容を強いられる。変革に伴う痛みや失うものが生じることも避けられそうにない。電子書籍ビューワーを開発・販売する電子出版の老舗、ボイジャーの萩野正昭社長は警鐘を鳴らす。
 「紙の本を配送するセンターが不要になったり、通販大手の米アマゾン・ドット・コムが日本の書籍データを海外から日本に配信するような事態もあり得る。アイパッドの登場で必要なのは、今後の変化への対応ではないか」



メキシコ湾 原油流出封じ込め作戦は失敗
 【ワシントン=渡辺浩生】米南部メキシコ湾原油流出事故で、英メジャー(国際石油資本)BPは29日、流出を食い止めるため、26日に開始した封じ込め作戦が失敗したと発表した。BPは新たな方策を実施するが、流出のさらなる長期化は避けられそうになく、オバマ政権も、苦しい立場に立たされそうだ。
 BPが26日に開始したのは、水深1500メートルの油井に泥などを流し込み、セメントで「栓」をする「トップキル」作戦。しかし、BPは29日になって米エネルギー省とも協議のうえ、流出の阻止に至らなかったと判断した。「われわれは次の手段に移るときだと考えている」としている。
 作戦が失敗したことを受け、オバマ大統領は同日、声明を発表し「流出を止めるため、あらゆる責任ある手段を追求し続ける」と強調した。具体的には、深海ロボットを使い流出元のパイプを切り取り、原油を吸い上げる方法をPBに指示した。
 石油掘削施設が爆発した4月20日の事故以降、流出した原油は7000万リットル以上にのぼっている。これは、1989年のアラスカ沖原油流出事故における約4200万リットルを、大幅に上回っており、米史上最大の流出事故に発展した。
 環境汚染が深刻化する中、オバマ政権の後手に回る対処に対する国民の批判は、一段と高まりそうだ。



表現の自由に重大なインパクトもたらす都の青少年条例改正案
 東京都は、三月四日、児童ポルノに関わる性表現規制を拡大強化する青少年条例の改正案を都議会に上程したが、マンガ家などをはじめとする強力な反対などもあり、三月議会では採択が見送られ、改正案は継続審議となったことは読者もご存知と思う。改正案の審議は六月議会で改めて行なわれるが、当初の改正案がそのまま進められるのか、修正が施されるのか、またそれらに対してどういう形の決着が図られるのか、現段階では不透明で、予断を許さない。今回の改正提案は、この国の表現の自由のありようにきわめて重大なインパクトをもたらすことが危惧される。
 児童ポルノ法の改正をめぐっては、昨年六月に衆議院の法務委員会で参考人を呼び論議するなど国会でも審議され、そこでは自民、公明両党が単純所持罪を導入し、マンガ等の創作物規制も調査研究する規定を設ける法案を準備してきた一方、民主党は現行の児童ポルノの定義を狭め、限定化するとともに、有償ないし反復の取得罪を新設するなどの法案を提示してきた。修正協議の動きもあったが、その間に政権交代もあり、現時点では法改正に向けて直ちに進むという状況にはない。
 そういうなか、都が提出したのが、青少年条例を改正し、
(1)知事が、一八歳未満の「非実在青少年」による性交等を描写した創作物を新たに不健全図書に指定でき、販売業者等は、青少年への販売・頒布等をしてはならず、包装や区分陳列も義務付けられる、
(2)何人も児童ポルノを所持しない責務をもつ、などをはじめ、
(3)発行業者や販売業者は、関連の創作物については青少年の閲覧等に不適当である旨の表示、青少年への不販売等、包装や区分陳列などに努める、
(4)官民一体となって、児童ポルノの根絶や関連の創作物のまん延を抑止し、青少年の閲覧等がないように努める、
などを含む一連の措置だ。
 今回の提案は、早い話、国のレベルで自公が企図しようとしてなお実現できていない単純所持罪とマンガなどの創作物規制を中核とする児童ポルノ法改正の実質化であり、その恰好の呼び水であり、先駆けに他ならない。都条例がそのまま改正されれば、現行法でもあいまいで広範な青少年条例の規制枠組みに、創作物規制と単純所持規制が加わることにより、青少年の性をめぐる創作の自由や、自由なアクセスと闊達な議論は著しく狭められことになる。これを機に、他の自治体も追随し、ひいては児童ポルノ法の改正にも重大な影響をもたらしかねない。
 児童ポルノや性表現は表現の自由と無関係な問題ではまったくない。人々の道徳や内面にも深くかかわる事柄だ。言論表現の自由への抑圧や介入が、エログロ表現批難を口実に強められ、広げられた戦前の教訓を忘れるべきではない。それにしても、都条例や児童ポルノ規制を表現の自由の問題として正面から受け止めず、伝えられないメインストリームのメディアは本当にジャーナリズムの担い手たり得るのだろうか。



富山新聞社説
◎港湾の重点整備 海運力向上戦略と一体で
 国土交通省は成長戦略の一環として、港湾機能の強化を掲げている。来年度以降に集中 的に整備する「重点港湾」の選定に当たり、全国の重要港湾の需要予測と実態の隔たりを指摘し、自治体などに港湾計画の見直しを求めているが、政府としては日本の海運力、海事産業そのものを強化、発展させる戦略を忘れてはならない。特に日本人船員の減少は経済の安全保障の点でも問題であり、人材確保の取り組みにさらに力を入れてもらいたい。
 アジアなどの新興国の経済成長で世界的な物流の増大が見込まれており、外航海運業は 成長産業と目されている。貿易量のほとんどを海上輸送に依存する日本にとって、海運の強化は成長に欠かせぬ重要テーマであり、国交省は重点整備する拠点港を選んで機能強化を図ることにしている。
 「選択と集中」による港湾整備に並行して強化してほしいのは、海運の将来不安を取り 除く政策である。国交省によると、ピーク時の1974年で約5万7千人だった日本人船員は、2008年で約2600人に減り、日本の海運会社が運航する船舶(日本商船隊)の船員約5万人のうちのわずか5%という状態である。
 また、最多時で1580隻(1972年)に上った日本籍船も98隻(08年)に激減 し、日本商船隊の全船舶の4%に過ぎない。日本商船隊の数量は世界トップクラスだが、コスト削減のため賃金や税金の安い外国人船員、外国籍船に取って代わられたのである。
 これは経済のグローバル化に伴う合理的な変化ともいえる。しかし、日本経済の成長、 安定が海運の安定にかかっていることを考えれば、邦人船員と日本籍船の減少に歯止めをかける必要があり、そのための企業、個人の負担軽減策を考えたい。長期間、居住地を離れる船員の住民税を下げるべきという提案も検討に値しよう。
 船員をめざす若者が少ないことも大きな課題であり、船員という職業の意義を含めた海 洋教育や広報活動の拡充を求める日本船主協会などの要望にも政府はこたえてもらいたい。
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ディーエヌエーとグリー、敵は景気回復?
 利用者がうなぎ登りの携帯電話ゲーム。「モバゲー」や「GREE」の広告をテレビで見かけない日はない。基本的には無料で楽しめるが、ゲームでより良い成績をあげるための有料「アイテム」販売に誘導する仕組みで、釣りざおや武器などの販売から得る利用料収入を増やし、業績拡大を続けている。ただ、死角はないのか。
 14日に開いた日本テレビ放送網の決算説明会で印象的な場面があった。「ネットとテレビの共存は可能。テレビのコマーシャルの力が大きいと認識していただいた結果だ」。こう述べたのは営業担当の弘中喜通取締役。ネットサービスは従来、ネット上での広告や口コミで会員を広げてきたが、最近の交流サイトの会員増加はテレビ広告がけん引している。
 ゲームが中心の交流サイトは、ディー・エヌ・エーの運営する「モバゲータウン」とグリーの運営する「GREE」が双へき。3月の会員数はそれぞれ1813万人と1843万人。1年前から35%、87%伸ばした。1カ月の増加幅は50~80万人程度で推移する。
 テレビ広告費を大量につぎ込んでも、それ以上の成果があがり、業績を拡大している。ディーエヌエーの1~3月期連結純利益は前年同期の3.4倍の48億円、グリーの単独税引き利益は2.3倍の30億円だった。
 では実際、携帯ゲームにお金を使っている人は誰なのか。ディエヌエーの内部データによると、高校生や大学生といった若年層が主力に思われるが、意外に30歳代の利用が多い。
 モバゲーの会員で30代以上の比率は30%。3月に1人当たりサイト閲覧数は30代以上が最も多く、10代、20代を上回った。昨年9月を100として指数化したところ、30代以上は約7倍サイトを見た計算で、10代の2倍強、20代の4倍弱を大幅に上回った。ディーエヌエーの南場智子社長は「我々もびっくり」と話す。
 グリーの業績拡大を支えたのも30代以上だ。会員全体に占める比率は43%に達する。テレビ広告にお笑いコンビのナインティナインを起用したのも、「所得が高い30代の会員比率を上げたい」(青柳直樹取締役)と考えてのことだ。
 30代の会員は、休日や帰宅後だけでなく、仕事の合間、電車を待つ間、子育ての間といった時間をゲームに費やす。余暇やすき間の時間だ。
 企業業績の回復が鮮明になってきている足元では、こうした時間が減り始めている兆候もある。厚生労働省が発表している勤労統計調査で、1~3月の所定外労働時間は前年同期を10%上回った。四半期ベースで前年同期を上回るのは2年ぶりのことだ。
 リーマン・ショック後の経済停滞期では「外での娯楽や飲食にお金を費やすよりは、携帯ゲームが安価な暇つぶしとして選好された」(バークレイズ・キャピタル証券の米島慶一アナリスト)側面もある。
 UBS証券の武田純人アナリストは「景気や消費の回復で可処分時間が減ることは、将来的な成長の阻害要因になりかねない」と指摘する。
 「景気が良い時期にどうなるかはまだ経験ないので」。グリーの青柳取締役は成長持続に自信を示しつつもこう話す。高成長は暇つぶしに支えられたものだったのか、それともゲームの力ゆえか。いまひとつはっきりしなかったこの投資上の問いに、答えのようなものが出てくる局面が近いのかもしれない。



セブンイレブン、ぴあと共同で無料誌
 セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン―イレブン・ジャパンはチケット販売最大手のぴあと共同で無料誌「7ぴあ」を6月7日に発刊する。イベントや映像・音楽ソフト関連情報のほか、セブン&アイグループのネット通販情報などを掲載し、全国の約1万3千店で合計50万部(1部64ページ)を配布する。
 セブン&アイとぴあは昨年12月に資本・業務提携した。セブンイレブンは6月1日から、ぴあが扱うチケットの店頭受け取り・支払いサービスを始めるのに合わせて無料誌を発刊する。10月以降は毎月刊行する方針だ。
 内容を全国5地区に分けて発行。これまで北海道・東北や中国・九州向けの情報誌がなかったぴあにとっても、情報発信エリアが広がる。コンビニエンスストアを利用する幅広い世代を意識し、第1号は人気アイドルグループ「AKB48」のほか、歌手の矢沢永吉さんらのインタビュー記事を載せる。
 セブンイレブンが無料誌を配布するのは初めて。初回の発行費用として数千万円を投入した。来店客が店頭の端末を利用してぴあのチケットを注文し、その場で受け取れるサービスは10月から実施する予定だ。



設備投資3年ぶり増加 10年度11%、製造業けん引
本社調査、新興国需要で海外中心に
 日本経済新聞社がまとめた2010年度の設備投資動向調査によると、全産業の当初計画は09年度実績比11.0%増え、3年ぶりのプラスに転じた。自動車や電気機器が新興国の需要増を見込み、海外を中心に投資を増やす。一方で小売業など内需型産業は落ち込みが続き、全産業の総額は金融危機以前の07年度実績の約8割の水準にとどまった。回復に向かった企業の投資マインドは欧州財政不安や円高で再び冷え始めており、11年度はマイナスに転じる可能性もある。
 集計の対象は回答のあった1721社から連結関係にある企業を除いた1472社。
 10年度の設備投資の総額は23兆3547億円。1973年の調査開始以来、過去最大の落ち込みとなった09年度実績(21兆332億円)から2兆3215億円増えたが、直近の5年間では下から2番目の低水準だった。
 業種別では製造業が17.3%増の12兆7969億円。製造業は17業種中、鉄鋼と造船、紙・パルプを除く14業種で09年度比プラスとなった。
 09年度実績が08年度比55.5%減と大きく落ち込んだトヨタ自動車の10年度は27.8%の増額。自動車では設備投資の海外シフトが鮮明だ。トヨタは09年度に32%だった海外投資比率を41%に引き上げる。中国で大型工場の建設に踏み切るホンダも50%から67%に増やす。
 今回の調査で海外での設備投資額を回答した818社の合計額は2兆2271億円に達し、09年度実績に比べ44.0%増加した。
 一方、非製造業の設備投資額は10兆5578億円で、同4.3%増の小幅な伸びにとどまった。
 次世代送配電網(スマートグリッド)関連の投資などを予定する電力が同17.7%増と大幅に伸びたが、大型店への投資を抑制するイオンが4割近く減らすなど、デフレ/下での消耗戦が続く小売業が14.3%減と全体を押し下げた。
 11年度の設備投資計画を回答した603社の投資総額は、10年度の当初計画に比べ3.7%減少した。欧州財政不安などで景気の先行きを不安視する企業が増えている。



「ネット全履歴もとに広告」総務省容認 課題は流出対策
 インターネットでどんなサイトを閲覧したかがすべて記録される。初めて訪れたサイトなのに「あなたにはこんな商品がおすすめ」と宣伝される――。そんなことを可能にする技術の利用に、総務省がゴーサインを出した。ネット接続業者(プロバイダー)側で、情報を丸ごと読み取る技術を広告に使う手法だ。だが、個人の行動記録が丸裸にされて本人の思わぬ形で流出してしまう危険もある。業者は今後、流出を防ぐ指針作りに入る。
 この技術は「ディープ・パケット・インスペクション(DPI)」。プロバイダーのコンピューター(サーバー)に専用の機械を接続し、利用者がサーバーとの間でやりとりする情報を読み取る。どんなサイトを閲覧し、何を買ったか、どんな言葉で検索をかけたかといった情報を分析し、利用者の趣味や志向に応じた広告を配信する。




3D映画「アリス」、「アバター」より早い100億円突破 国内興行
 4月17日に日本で公開された米3次元(3D)映画「アリス・イン・ワンダーランド」の興行収入が100億円を突破したことが日本映画製作者連盟の調べで分かった。公開から37日間での突破で、約50日かかった3D大作「アバター」(昨年12月公開)より早く大台を超えた。今年の公開作品の5月下旬時点で興収では、トップ3を3D作品が占めている。
 同連盟が5月23日時点の興収(10億円以上の作品)を集計したところ、アリス・イン・ワンダーランドは約101億円。今年の公開作品の中で2位につけた。1位はアバターで約153億円。3位は「カールじいさんの空飛ぶ家」(47億円)と米3D映画がトップ3を独占した。4位には日本のアニメ映画「ワンピース フィルム ストロングワールド」(44億円)が入った。
 米3D映画の人気を背景に、洋画の興収は約405億円と邦画を約120億円上回っている。3Dが洋画巻き返しの原動力になっている。
 3D人気の広がりを受け、シネマコンプレックス(複合映画館)大手ではワーナー・マイカルが今夏までに全スクリーンの2割に当たる100スクリーンを3D対応にするなど、劇場側の3Dシフトも急速に進んでいる。
 興収シェアで洋画は2008年から2年連続で邦画を下回っている。しかし年末にかけて洋画を中心に3Dの話題作が控えており、洋画の巻き返しが続く可能性が高い。



フジテレビ、CMにQRコード表示 クーポン券など配信
 フジテレビジョンはテレビ画面上にQRコードを表示するCMを6月に始める。カメラ付き携帯電話で読み取ると、携帯のインターネット機能を通じてクーポン券などを入手できる仕組み。QRコードは主に雑誌やポスターで使われているが、テレビCMでも消費者の購入意欲を喚起する効果があると判断した。
 第1弾として6月4日からフォーシーズ(東京・港)の宅配ピザ店「ピザーラ」のCMに活用。QRコードを読み取ると、2500円分のチケットが当たる抽選に参加できる。テレビ番組がプレゼントの応募などにQRコードを使う例はあるが、CMに使うのは珍しい。CM前に予告映像を2回流し、携帯電話の用意を促す。
 関東地方7都県で特定の番組に付けて流す「タイム広告」に使い、広告収入をテコ入れする。放送業界は広告収入が低迷しており、広告主をひきつける効果的な手法を探っている。QRコード付きのCMを使えば、広告主がクーポン券や抽選券を配布するコストを削減できる効果もある。



ルノー、韓国・双竜自動車を買収の意向
 【シンガポール=実森出】仏ルノーグループが経営破綻(はたん)した韓国の双竜自動車を買収する意向を明らかにしたと、韓国の朝鮮日報などが伝えた。
 双竜の売却手続きの主幹事を務める証券会社に買収意向書を提出したという。双竜を巡っては韓国メーカーのほか、インドの商用車大手マヒンドラ&マヒンドラなど計7社が買収の意向を示しているといい、最大で5億ドル(約450億円)の争奪戦に発展する可能性が出てきた。
 ルノーは韓国市場で現代、起亜自動車に次ぐ3位のシェア(市場占有率)を持つルノーサムスンを傘下に収めており、生産能力の増強を目指す狙いがあるという。買収に成功すれば、韓国の自動車業界の勢力図に影響を与える。ルノー・日産自動車は4月に独ダイムラーと包括的な資本・業務提携を結んでおり、規模拡大を目指している。
 双竜は韓国5位の自動車メーカーだったが、2008年の金融危機で販売不振に陥り、資金繰りが悪化した。昨年1月に日本の会社更生法に相当する「法定管理」手続きに入っていたが、経営譲渡先が見つかっておらず、清算の危機に追い込まれている。



原油流出は「オバマのカトリーナ」? 鈍い対応、支持率低下…奇妙な符合
 【ワシントン=渡辺浩生】南部メキシコ湾の原油流出事故が「オバマ大統領のカトリーナとなるのではないか」との見方が浮上している。深刻化する環境被害への対応が鈍いという批判を浴びていることが、2005年の大型ハリケーンへの初動の遅れから支持を失ったブッシュ前大統領を思い起こさせるという。
 「私は最終的にこの危機を解決する責任を負う」。オバマ大統領は28日、2度目となるルイジアナ州の流出現場の視察をした。
 4月20日の石油掘削基地の爆発事故以来、責任は採掘権を持つ英メジャー(国際石油資本)BPにあると言い続けてきた大統領。5週間が過ぎ突然、流出阻止と被害修復の先頭に立つと宣言した背景には、国民の信頼が急低下していることへの危機感がある。
 メキシコ湾を直撃した05年夏の大型ハリケーン「カトリーナ」では、救援活動の遅れを厳しく批判され、当時のブッシュ大統領は支持率を大きく落とし政権失速の契機となった。
 当時、大統領次席補佐官だったカール・ローブ氏は27日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルで、事故が連邦水域で起きたにもかかわらず、ホワイトハウスは当初「大統領からこの問題を遠ざけようとした」と指摘。「オバマのカトリーナとなるか、よりひどくなる可能性もある」とした。
 28日付英紙フィナンシャル・タイムズも、「『オバマのカトリーナ』になりうるところまで着々とエスカレートしている」とする解説記事を掲載した。
 オバマ氏が最初に現場を視察したのは発生12日後だった。「ブッシュ氏はカトリーナの後ニューオーリンズに行くのに4日間待って、民主党から批判された」とローブ氏は皮肉る。



トヨタの国内生産体制、黒字化しても迫られる再編成
 トヨタ自動車が今後5~6年で内外の生産体制を抜本的に見直す方針を打ち出し、波紋を広げている。
 5月11日に発表した2010年3月期決算では、赤字を見込んでいた連結営業損益が、2000億円のリコール対策費用を計上したうえで1475億円の黒字に。全損益項目で2年ぶりに黒字化した。コストの削減が想定を大きく超えたことに加え、資金調達環境の正常化で金融事業の利益が大きく改善した。
 だが、その陰で円高の逆風をもろに受けたトヨタ本体の業績は大きく沈んでいた。前々期に1879億円だった本体の営業赤字は3280億円に拡大。今期も赤字拡大の見通しで、国内の生産体制リストラは待ったなしの課題だ。
 現在国内で抱える生産能力は年390万台。09年度の国内生産は321万台で今期も同水準の見通しと、稼働率は8割強にとどまる。
 生産管理を指揮する新美篤志副社長は、「年産320万台は、稼働日1日当たりの生産にすると1万3000台。関係企業がどうにか黒字を保てるレベルで、これを何とか維持したい」と話す。
低稼働のラインを統合
 そのためには、稼働率の低いラインを休止し、統合することで生産効率を引き上げる必要があった。真っ先に対象となるのは、年産60万台の能力がありながら、09年(暦年)の生産実績が32万台にとどまった田原工場。それぞれ年産22万台の能力を持つ第1ラインと第2ラインを11年末までに統合し、フレーム構造のSUV(多目的スポーツ車)と、モノコック構造の乗用車が混流生産できるラインに改装する。浮いた人員は、ハイブリッド車・プリウスの生産が好調な堤工場などに配転する方針だ。「工場閉鎖や設備廃棄は考えていない。統合するラインは減価償却も進んでおり、休止してもカネはかからない」(新美副社長)。
 次の標的は、この春から休止している高岡工場第2ライン(年産22万台)だ。11年後半の再開を見込んでいたが、それを13年まで延期。もともと乗用車用のラインだが、大型車種まで生産が可能になるように大改装する。ラインの汎用性を増すことで、生産能力を絞り込みながら市場の変化に対応する構えだ。
 「グループ全体であと2、3本のラインを止める可能性があり、調整が必要」と新美副社長は語る。好況時に増産できる余地を残してはいるが、輸出は現地生産に置き換えるのが基本方針だ。国内は最大でも現状維持を前提とし、量の拡大は新興国に求める。取引関係の裾野が広いトヨタの決断は、日本の製造業全体に大きなインパクトを与えそうだ。



【産経主張】郵政採決強行 暴挙と言わざるを得ない
 こんな暴挙を許してはならない。与党が衆院総務委員会で郵政法案の採決を強行したことだ。
 与党は野党の了解を得ずに審議日程を決定し、実質審議をわずか1日、約6時間で切り上げた。小泉純一郎内閣が提出した郵政民営化法案の衆院審議に約110時間を要したことを考えると今回はあまりに短く、不十分だ。
 採決を急ぐ理由について、民主党の山岡賢次国会対策委員長は「決められた期間の中で、国民生活に直接かかわるものから優先して実現を図らなければならない」と説明しているが、国民生活にかかわると認識しているのであれば慎重な審議が必要だ。
 郵政法案の成立は国民新党が強く求めてきた。これに呼応して民主党の小沢一郎幹事長は全国郵便局長会の総会で今国会での成立を約束した。日本郵政グループ労働組合(JP労組)の期待も大きい。与党内には、参院選でこれらの郵政票をあてにする声が強いが、党利党略で採決を急いだのであれば本末転倒だ。
 「6月16日の会期末まで時間がない」というなら、会期延長を図って審議時間を確保すればいい話だ。これだけの重要法案を、なぜもっと早く審議入りしなかったのかとの疑問も残る。
 国会運営もさることながら、この法案はそもそも成立させること自体に疑義がある。
 郵貯と簡保への政府の関与を残し、「暗黙の政府保証」の下で預金や保険の受け入れ限度額を約2倍に引き上げる。これでは巨大郵貯がさらに肥大化することにつながりかねず、民業を圧迫して金融システムを歪(ゆが)める懸念が強い。民営化を通じて郵貯・簡保を縮小し、資金の流れを「官から民に変える」という郵政改革の本来の目的から大きく逆行する中身だ。
 政権内では郵貯マネーを原資に「国家ファンド」をつくって橋や道路などインフラ整備の資金に充てる構想も閣僚らから示されている。かつて郵貯マネーが財政投融資計画を通じて特殊法人に流れ、無駄な事業の温床になったことを想起させる内容だ。こうした構想も出ている以上、十分な審議がないのはなおさら問題だ。
 与党は週明けにも衆院本会議を通過させる構えをみせている。問題点だらけの法案が疑問点をなにも解決されぬまま成立しては、将来に禍根を残す。野党・自民党は存在意義が問われている。
ソニー新情報端末発売へ 対iPad、携帯・ゲーム機能
 ソニーが、携帯電話やゲーム機などの機能を持つ新型情報端末を、日本を含む世界各地で今年度中に発売する方向で検討していることが分かった。タブレット(平板)型など複数の新製品を投入する見込みで、米アップルの多機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」や、タブレット型の「iPad(アイパッド)」に対抗する。
 ソニーは、携帯ゲーム機「プレイステーションポータブル」、多機能携帯電話「エクスペリア」、携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」など様々な機器を持つ。地域のニーズに応じて、これらの機能を組み合わせたさまざまな小型端末を投入する考えだ。
 基本ソフトには、20日に提携を発表した米グーグル製の「アンドロイド」を採用する方針。ソニーが4月から米国で展開するコンテンツ配信サービスを、新端末向けに来年から日本でも始める。映画やゲームなどが対象になりそうだ。



次世代 Apple TVは iPhone OSベース、予価99ドル
 先日の Google TV プラットフォーム発表では Atom + Android + Chromeでテレビに挑む Googleの計画が明らかになったが、そういえば3年前も前から「社名+TV」製品を売っていたアップルも着々と次の手を打っているようだ。複数の情報提供者から得た証言によると、新 Apple TV は少量のフラッシュメモリのみを内蔵しストリーミング再生を主とするクラウドストレージ製品となり、OS には iPhone OSを採用するとのこと。
 ハードウェアアーキテクチャは iPhone や iPod touch、iPad とほぼ共通しており、プロセッサには iPad や 次世代 iPhone と同じApple A4を採用します。携帯電話とおなじファミリのSoCながら、メディア再生は1080p HD動画にも対応。またハードディスクのかわりに16GBフラッシュメモリのみを採用すること、ポート類は電源とHDMI出力 (+ USB?) 程度しか備えないことから、本体は非常に小型になるとされる。情報提供者の表現では、新 Apple TVは「画面のない iPhone」。Time Capsuleを外部ストレージとして利用することもできるものの、基本はストリーミングの「クラウドストレージ」製品です。ソフトウェアについては iPhone OS ベースであるほか具体的な情報はありませんが、iPhone / iPad アプリを大画面と非タッチインターフェース (リモコン?) にカスタマイズしたアプリの App Store展開も容易に想像できる。
 もっとも注目なのは、新 Apple TV の予価が99ドルとされていること。現行のApple TV はインテルCPU + NVIDIA GPU + HDDというPCに近い構成をとっており、次世代 Apple TVが心臓部は1チップ+小容量フラッシュメモリの iPhone 構成 (からマルチタッチディスプレイやバッテリーを抜いたもの) であれば低コスト化は当然としても、99ドルはやはり驚くべき価格です。モバイル製品のOS をテレビ攻略に持ち込む点で共通するライバル Google TV との大画面争いがいまから期待される。またテレビ版 App Store に大量のサードパーティーアプリが供給されるようになれば、ある意味でアップルの据え置きゲーム機と捉えることもできるかもしれない。情報提供者によれば次世代 Apple TV はまだ開発段階にあり、新 iPhone が主役となるWWDC では発表の予定なし。



Xperiaにフリック入力対応アップデート、ただし誤配信
 28日の夕方ごろ、Xperia SO-01Bになぞのアップデートが配信されていた。自動配信ではなく、設定画面「ソフトウェア更新」を選択することでアップデートできるというもの。アップデートの適用によりPOBox Touchでフリック入力が可能になります。Simeji、OpenWnnフリック入力対応版など代替案があるとはいえ、Xperiaが誇る独自入力アプリの進化は大歓迎だ。動作も高速で、快適です。
 しかしITmediaの記事によれば、このアップデートはドコモの誤配信でした。アップデート配信後も同社からの正式発表がないためフライングの気配はありましたが、実際は「近日中に公開予定だったソフトウェアを誤って配信してしまった。ソフトウェアは最終版でない可能性がある」とのこと。現在、アップデートは配信されていません。ともあれ「近日中に」こんなかんじのアップデートが配信されることは確認されました。今後Android 2.1 / 2.2の早期誤配信を夢見て、定期的に「ソフトウェア更新」を押す人が増えそうだ。



iPadの競合製品発売 中国大手、アップルに対抗
 中国の電子書籍端末大手、漢王科技は29日までに、米電子機器大手アップルの新型マルチメディア端末「iPad(アイパッド)」に似た新製品「TouchPad(タッチパッド)」を発売した。
 中国では約10年前、中国企業がアイパッドの商標を国内で登録しており、アップルは商標権の買い取り交渉を続けている。今回、競合製品が登場したことで、中国市場へのiPad投入をめぐり、一段と難しい判断を迫られそうだ。
 漢王は漢字の手書き入力を得意とし、電子書籍端末メーカーとして中国で高いシェアを持つ。タッチパッドは米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」や米半導体大手インテルのCPU(中央演算処理装置)を搭載、画面に触れて操作する。
 漢王の劉迎建会長は「われわれの製品がビジネス用なら、iPadは玩具だ」と話している。



スペイン国債の長期格付け、1段階引き下げ
 【ニューヨーク=池松洋】欧米格付け会社フィッチ・レーティングスは28日、スペイン国債の長期格付けを「トリプルA」から「ダブルAプラス」に1段階引き下げると発表した。
 信用不安を回避するため、大幅な債務削減策を進めることで、経済成長が押し下げられる可能性があるとした。ただ、見通しは「安定的」とした。
 スペイン議会は27日に、公務員の給与削減を軸とする財政赤字の削減策を承認したが、こうした緊縮財政が中期的にスペインの経済成長を押し下げる可能性があると分析している。



グローバル・マーケット・サーベイ◇リスク回避一巡で反発、くすぶる資金調達不安(10/5/29)
 今週(24~28日)の世界の株式相場は、欧州経済への先行き不安は行き過ぎとの見方から主要20市場のうち17市場で株価指数が上昇した。欧州の債務悪化を背景としたユーロ安が一巡。「売り疲れ」感も出始め、投資家のリスク回避姿勢がやや後退した。ただ、28日にフィッチ・レーティングスがスペイン国債を格下げし、債務悪化問題の「伝染リスク」はくすぶる。先行き不安は晴れない。
 株価上昇率が高かったのは、ロシア、南アフリカ、豪州などの資源国。今週は原油先物相場が堅調に推移し、資源大手株に買い戻しが広がった。「豪政府が鉱山会社に対する資源超過利潤税を見直す可能性がある」との現地メディアの報道も好感された。豪英資源大手BHPビリトンが大きく上昇するなど、資源関連株が大きく上昇。資源株の影響を受けやすい英国の株価上昇率は先進国の中でも割と高かった。
 投資家のユーロ離れに対する警戒感がやわらいだのも上昇を後押しした。英紙フィナンシャル・タイムズは「中国が外貨準備の運用で欧州への投資を減らす」と報じたが、中国当局はこれを否定。ロシアやクウェートなども欧州圏への投資を継続するとの意向を表明し、欧州経済への過度な不安心理は薄らぎつつある。
 ただ、欧州の債務問題に関する懸念が消えた訳ではない。フィッチによるスペイン国債の格下げを受け、政府債務の信認危機がギリシャにとどまらなくなるリスクも出ている。スペイン中銀は貯蓄銀行のカハスールを公的管理とし、大手銀行のバンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)なども短期金融市場での資金調達に影響が出始めている。
 3カ月物のドルロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は28日にようやく上昇が一服。今後は「米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)などの米ドルスワップ協定が利用されるようになり、調達コストは上限に達しつつある」(米バンク・オブ・アメリカ―メリルリンチ)とみられるが、調達環境の緩和にはほど遠い。スペインIBEX35指数の戻りは鈍く、問題の根深さがうかがえる。ドイツでも中堅金融機関の調達コストが上昇する気配があり、先行きに予断を許さない。
 来週(5月31日~6月4日)は主要イベントが週末に集中する。4日発表の5月の米雇用統計や4~5日に韓国・釜山で開く20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議が注目だ。G20では、金融規制改革や欧州の債務危機問題が議題にのぼるとみられ、要人発言には注意が必要だ。FRBが利上げ時期を先送りするとの見方も増えており、金融緩和の長期化が株式相場を下支えするが、欧州の債務問題で悪材料が出れば再びユーロ安が進みかねず、投資家のリスク許容度は安定しそうにない。



グーグル、「第3のスクリーン」を狙う(COLUMN)
 米グーグルは5月20日、ソニーなどと提携し、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したテレビを開発すると発表した。ネット上の様々なサービスがテレビで利用できるというもので、グーグルはアンドロイドとウェブブラウザー「グーグルクローム(Google Chrome)」を統合したソフトウエア基盤「グーグルTV(Google TV)」を提供する。
パートナーはハードウエアから流通まで
 グーグルが選んだパートナー企業はソニーのほか、半導体大手の米インテル、周辺機器メーカーであるスイスのロジテック、衛星テレビの米ディッシュネットワーク、動画再生技術を持つ米アドビシステムズ、家電小売大手の米ベストバイ。
 ソニーが今秋にグーグルTVを組み込んだネットテレビとブルーレイディスクレコーダーを米国で発売するほか、ロジテックが既存のテレビでグーグルTVを利用できるようにするセットトップボックスを発売する。
 いずれの機器にもインテルが「アトム(Atom)」プロセッサーを供給する。またロジテックは、キーボードを備えるリモコンやグーグルTVを操作できるスマートフォン用アプリも開発する。
 これらの機器をベストバイが全米展開で販売するというわけだ。ユーザーは番組やウェブを検索して、好みのコンテンツを大画面で楽しめるようになる。
 また、写真のスライドショー、音楽再生、ゲームの利用も可能という。米アップルが「アイフォーン(iPhone)」や「アイパッド(iPad)」で提供しているアプリの仕組みも用意する。
 ハードウエア、ソフトウエア、コンテンツ、流通チャネルと多分野の企業と提携し、次世代テレビの市場に挑む。グーグルにとっては、パソコン、スマートフォンに次ぐ第3のスクリーンを狙うことになる。
 ソニーとは携帯端末の開発でも連携するとしており、アイパッドなどが好調なアップルに対抗する狙いもあると言われている。
失敗に終わった「ウェブTV」と「アップルTV」
 ただ、ネットとテレビをつなげるという試みは新しいものではない。しかもこれまで、ことごとく失敗に終わっている。
 米マイクロソフトが1990年代に「ウェブTV」という、テレビとネットの融合を図ったサービスを提供していたが成功しなかった。
 アップルは2007年に、映画やテレビ番組をダウンロード購入して家庭のテレビで視聴できる「アップルTV」を始めたが、これもあまり売れず、同社スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)の道楽事業だったと言われている。
 このほかにも映像コンテンツのストリーミングなど様々なものがあるが、いずれもテレビに接続するセットトップボックスを利用するという点で共通している。しかしセットトップボックスを使った新サービスは米国の消費者にはあまり受け入れられないと米ニューヨーク・タイムズの記事は指摘じている。
 米国ではケーブルテレビが普及しており、既に多くの家庭にセットトップボックスがある。消費者にはテレビにもう1台機器をつなぐ動機がないのだという。
 また本体だけでインターネットに接続できるテレビも普及しているが、その機能を利用している人はあまりいない。消費者がテレビを購入する際に重視するのは画面サイズとデザインだけで、ネット機能はテレビ選びのきっかけにはなっていないという。
アンドロイドの成功事例をテレビに生かす
 ただ、グーグルがマイクロソフトやアップルの失敗から何かを学んでおり、もしこの試みが成功すれば、ケーブルテレビ事業者の脅威になるとニューヨーク・タイムズの記事は伝えている。人々はウェブのコンテンツを楽しむようになり、ケーブルテレビのオンデマンドサービスから遠ざかることになるという。
 そうした状況をうまくつくり出せれば、グーグルはテレビ向けのネット広告市場を構築できるようになる。パソコンで成功した手法を踏襲できるというわけだ。
 またアンドロイドもグーグルの強みになっている。テレビメーカーでもある韓国のサムスン電子やLGエレクトロニクスがスマートフォンでアンドロイドを採用しており、グーグルにとってはこうしたメーカーへの働きかけが容易になると見られている。
 米ウォールストリート・ジャーナルは、テクノロジーが進歩したこと、消費者の好みが変化していることを考えると、今回のグーグルの試みはこれまでとは違った展開になるかもしれないと報じている。
 アンドロイドのさらなる普及を図るグーグル。しかし次に狙うのは、いまだ誰も成功していないテレビの領域。今度こそテレビとネットの融合は起こるのだろうか?



神戸新聞社説
米倉経団連/共感できる成長戦略描け 
 日本経団連はきのうの総会で、住友化学会長の米倉弘昌氏を新会長に選んだ。2期4年の任期を務めた御手洗(みたらい)冨士夫会長(キヤノン会長)の後任だ。
 景気は回復基調にあるとはいえ、デフレの谷は深い。雇用情勢は厳しく、家計は冷え込む。民主党を中心とする政権は迷走を続けている。日本経済を確かな成長路線に導くのは容易なことではない。
 課題山積の船出だが、米倉氏は「民間活力による日本経済の再生・復活に全力を挙げる」と述べた。その旗をしっかり掲げ、難局を乗り切ってもらいたい。
 御手洗経団連は、世界的な金融危機や政権交代という激動に翻弄(ほんろう)されてきた。
 世界同時不況のダメージは大きかったが、ピンチを逆手に日本経済の輸出依存構造を変える絶好の機会という見方もあった。手薄だった環境や医療、教育などで需要を生み出す。新機軸が経団連には期待されたが、そうした面で御手洗氏が十分な指導力を発揮できたとは言い難い。
 政治との関係では、御手洗氏は安倍内閣時代に経済財政諮問会議のメンバーとして政策づくりにかかわるなど、自公政権とのパイプが太かった。法人税減税や労働規制の緩和といった新自由主義路線の側面が強く、政権交代後、政治との関係はぎくしゃくしたものになった。
 だが、いくら民主党政権と政策面でずれがあったとしても、政治と経済の連携は欠かせない。
 今年3月、経団連は企業・団体献金への関与の取りやめを決めた。今後は資金力で政治に働き掛けるより、経済界ならではの政策を通じた「対話」が大切になる。
 新体制に期待したいのは温暖化対策である。温室効果ガス25%削減の国際公約に対して経済界はこれまで否定的な考えだった。しかし副会長に就いた坂根正弘氏(コマツ会長)は「すべての業界が省エネ効率世界一を宣言しよう」と前向きな提案を続けている。温暖化対策のような、時代の課題に正面から向き合う姿勢が求められる。
 米倉氏は「経済活性化が一番重要。攻めの経営に転じるべきだ。政治に依存しない形の民間だけの経済成長戦略を描きたい」と述べ、国民に理解しやすいメッセージを発信する考えだ。
 幅広い共感を得るという、新しい経団連を築くことができるか。経済も政治も先行きが不透明だからこそ、「財界総理」として存在感を示してもらいたい。
How should Japan boost competitiveness?
What can Japan do to find a way out of the stalling economy and boost its international competitiveness? The Economy, Trade and Industry Ministry has come up with a review of the nation's industrial policy.
The review refers to the ministry's "Industrial Structure Vision," which serves as a guideline for the nation's economic revitalization. The government hopes to make this a major pillar of the new growth strategy that it plans to decide on in June.
As such countries as China and South Korea are quickly catching up with Japan, Japan's international competitiveness is on the decline.
With the declining population at home, economic expansion will be limited if the nation relies too much on domestic demand. On the other hand, Japanese companies are accelerating their transfer of production abroad, raising the fear of a hollowing out of domestic industries. This sense of alarm underlies the ministry's vision.
The Yomiuri Shimbun made an emergency proposal in early May, calling on the government to advance bold policies for the nation's economic reconstruction. The ministry's vision contains many points that overlap with those contained in the proposal. Both are probably aiming at similar targets.
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5% tax cut in works
It is noteworthy that the administration of Prime Minister Yukio Hatoyama has for the first time made clear its intention to lower the effective corporate tax rate by about 5 percent in the next fiscal year and lower it further to a range of 25 percent to 30 percent in the future.
Compared with corporate tax rates of about 30 percent in European countries and 25 percent or less in other Asian countries, Japan's effective corporate tax rate of 40.69 percent is strikingly high.
Such heavy tax burdens deprive Japanese businesses of their corporate vitality, causing them to curb capital investment and reducing their international competitiveness.
Many foreign companies are apparently reluctant to advance into the Japanese market because of the high corporate tax rate, which might partly explain the sluggish foreign investment in Japan.
The Yomiuri Shimbun has proposed that the corporate tax rate be lowered to a range of between 20 and 30 percent. The government should accelerate internal discussion and slash the corporate tax at the earliest possible time.
The ministry's vision also points out the need to reinforce the framework of public-private cooperation in promoting the export of such infrastructure-related technologies as nuclear power generation systems and high-speed railways to other Asian countries or elsewhere.
We can expect great demand for social infrastructure abroad, involving a large sum of money. It is important for the government to adopt a strategy to pursue the benefits of expansion in both domestic and foreign demand.
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'All Japan' system needed
Nevertheless, the international competition with countries in Europe, the United States and such Asian rivals as South Korea is fierce. For Japan--which has lagged behind these rivals in the export of infrastructure-related systems--to win the market competition, it has to establish an "All Japan" system and promote comprehensive support for the projects. Such support should range from the provision of funds to after-sales services, with the prime minister and concerned ministers showing diplomatic leadership.
The ministry's vision also includes the reinforcement of five strategic areas such as the development of next-generation vehicles, as well as the expansion of the economic partnership accords with other countries.
The government needs to tackle all these measures expeditiously to boost Japan's competitiveness in the international market. Japanese businesses should not lose business projects despite having superior technological prowess.
Yet the mere presentation of the vision without its realization would be of no practical use.
Because the vision may conflict with similar growth strategies being advocated by other ministries including the Land, Infrastructure, Transport and Tourism Ministry, the government must coordinate these views and clearly prioritize policies.
The speed with which these policies are carried out will be a test for the political leadership in the days ahead.
アップル・MS 時価総額の逆転が映す構造変化
 米アップルが株式時価総額で米マイクロソフト(MS)を逆転し、世界で最も価値の高いIT(情報技術)会社の座についた。1990年代後半の瀕死(ひんし)の状態からの鮮やかな復活劇。IT需要のけん引役が企業から消費者に移り、技術そのものよりビジネスモデル全体で競うルールの台頭が主役交代を促した。
iPad発売に1200人の行列
 5月28日、朝8時前の東京・銀座。アップル直営店に1200人の行列ができた。発売される多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」をいち早く手に入れようという人たちだ。「アップルさん、歩道をあけてください。110番に苦情が入っています」。警視庁のワゴン車がスピーカーで怒鳴る。
 「10、9、8……3、2、1。ウオー」。開店を知らせるカウントダウンを合図に、店の入り口付近から拍手と歓声が沸く。行列の先頭の人たちから順番に店内に案内される。「iPad、いよいよ日本上陸です」。女性アナウンサーがテレビカメラに向かって宣言した。
 アップルの勢いを示す出来事は米国時間の26日に起きた。終値ベースの時価総額が2213億ドル(19兆9千億円)となり、2193億ドルのマイクロソフトを上回ったのだ。マイクロソフトは90年代後半からほぼ一貫してIT分野での時価総額トップを守ってきた。インターネット検索最大手グーグルの攻勢にさらされながらも明け渡さなかったナンバーワンの地位をアップルがもぎ取った。世界のメディアが速報した。
かみついたバルマー氏
 真っ先にかみついたのはマイクロソフトのスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)だ。出張先のインドで記者団に言い切った。「われわれほど収益性の高いIT会社はこの世に存在しない」
 その主張は間違っていない。2010年1~3月期の純利益は40億ドル。同じ期にアップルが稼いだ額より3割多い。手元資金も400億ドルとアップルの1.7倍だ。 とすれば時価総額の逆転はアップルの将来性が評価された結果となるが、ここでカギを握るのは、企業に代わって消費者がIT市場の拡大を引っ張るという構造変化だ。
 動画共有のユーチューブ、交流サイトのフェースブック、ミニブログのツイッター。2000年のITバブル崩壊後に生まれ、世界の注目を集める米シリコンバレーの企業群は、いずれも消費者がターゲットだ。収益基盤の確立は道半ばだが、IT人口のすそ野を広げ、IT利用の新たなトレンドを作り出しているのは間違いない。
世界で爆発するネット人口
 調査会社によると、世界のネット利用者は16億人を超し、全体の4分の1に及ぶ。中国など新興国の経済成長で今後もネット人口は爆発的に増える。IT市場での発言力を強める消費者の支持を得られるか。ブランドは魅力的か。こうした点をIT企業は無視できなくなる。
 そんな「消費者の時代」の先頭を走るのがアップルだ。パソコン市場でマイクロソフトに完敗、極度の経営不振に陥り同社の資金支援を受けたのは1997年。失うものはないとばかりにアップルは創業者のスティーブ・ジョブズCEOのもと、消費者に狙いを定めた戦略に着手する。2001年の携帯音楽プレーヤー「iPod」の発売以降、デジタル娯楽のビジネス基盤を着々と築いてきた。
 スマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」、iPadとヒット商品が続くが、偶然と片付けられない。デジタル娯楽という軸は全くぶれず、むしろ手堅い経営で事業を広げてきたといえる。アップル製品を使ってユーチューブやツイッターを利用する人も多い。IT消費者の急増で吹き始めた追い風を一身に受けているのが今のアップルの姿だ。
 では、マイクロソフトはどうか。
切れ味を欠いた娯楽部門
 iPad発売から2時間半後、東京・六本木。マイクロソフト日本法人はワープロや表計算に使う「オフィス2010」など業務用ソフトの説明会を開いた。オフィスはパソコン用基本ソフト「ウィンドウズ」と並ぶ看板商品。世界で5億人が利用する。「皆様の会社の競争力向上に必ず貢献できると思っている」。あいさつに立った樋口泰行社長はダークスーツにネクタイ姿で深々と頭を下げた。
 企業向けビジネスで大きな存在感を示す一方、ゲーム機やスマートフォン関連など娯楽部門は切れ味を欠く。1~3月期の部門の営業利益はウィンドウズの19分の1。25日には部門責任者が退任する体制見直しを発表した。
 かつてマイクロソフトはIT盟主の座を米IBMから奪った。大型汎用機からパソコンへとコンピューターの大きさは劇的に変わったが、主な顧客が企業という点では「ビジネスマシン」の域を出なかったといえる。ポスト・パソコンの時代を迎えてもアップルに対抗できるスマートフォンなどが十分にそろわない。消費者ビジネスでの巧拙が株式市場での評価に表れた。
消費者の心くすぐる仕組み
 企業向け製品では高機能や安さが重視されるのに対し、消費者向けではデザインや使いやすさが商品力を左右する。ハード、ソフト、サービスをすべて1社で手掛けるアップル方式は、分業が進んできたIT業界では一見、非効率。だが、消費者の心をくすぐる微妙な味付けや、仕組み作りで威力を発揮する。
 マイクロソフトのバルマー氏はことあるごとに世界最大規模の研究開発費を自慢する。1~3月期は22億ドルと売上高の15%を投じた。アップルは4億ドルと売り上げの3%にすぎない。しかしIT会社といえども、研究開発費として計上されるような従来型の技術力だけでは競争力は決まらなくなった。マイクロソフトの悩みは深いかもしれない。
 アップルに時価総額首位を奪われた現実をマイクロソフトはどう受けとめているのか。説明会の終了時に尋ねると、樋口氏はしばらく考えてから、こう答えた。
 「われわれは企業向け、消費者向けと幅広くビジネスをしている。両方でこれだけ成功している会社はあまりない。消費者向け一点に絞ったところとも戦い続ける。瞬間的に(アップルへの)期待が高まっていると思うが、われわれはやるべきことを粛々とやるだけだ」



2030年のGDP 中国が首位、日本の4倍に
世界の23%、米抜く 内閣府予想
 内閣府は28日公表した「世界経済の潮流」の中で、世界の国内総生産(GDP)の8.3%を占める中国のシェアが2030年には23.9%に拡大するとの試算を示した。労働力人口の減少が深刻な日本は8.8%から5.8%に低下、米国は24.9%から17.0%になる。中国は日本の4倍の経済国となり、米国を抜いて世界一の座を占める。
 試算は人口の増減や高齢化などを反映した将来の潜在成長率見通しをもとに、世界の中でのシェアを推計したもの。
 2000年代に平均10.0%だった中国の成長率は10年代は9.1%、20年代は7.9%になる。20年代に労働力人口が減少に転じることで鈍化するものの、他の主要国に比べて高い成長が続く。インドも成長率は現在の7.2%から20年代に5.7%に減速するが、GDPシェアは2.2%から4%に上がる。
 日本の成長率は2000年代の平均1.4%から20年代に0.4%に低下。米国も2.4%から1.6%に減速する。この結果、09年時点のGDPは大きい順に「米、日、中、独」だが、30年は「中、米、日、印」という並びになる。また世界経済に占めるアジアの割合は現在の4分の1から30年には4割まで高まる見通しだ。
 先進国の経済が伸び悩む中で、今後のアジアは「世界の工場」から「世界の市場」に生まれかわる必要があると報告書は指摘した。
 今までアジアの成長は先進国向けの輸出で伸びてきたが、今後は域内でモノを貿易しあう構造にしていく必要があるとしている。
 東アジア諸国でも比較的早く発展を遂げた国々は、人口減少で中印以上にブレーキがかかる見通し。台湾や韓国も成長減速そのものは免れられない。人口減少で先陣を切る日本は新時代のモデルづくりを迫られる。
 アジア各国にも、日本と同様の急速な高齢化が控えている。一方で年金や医療など社会保障の整備は遅れ気味。公的年金について経済協力開発機構(OECD)加盟各国は労働力人口の83.3%をカバーしているが、中国は20.5%、インドは9.1%しか対象となっていないという。



日本企業の税負担率突出 成長の足かせに
09年度49%、米英独の20~30%台を上回る
 国際的に見た日本企業の税負担の重さが改めて浮き彫りになっている。2009年度の日本の主要企業の税引き前利益に占める税負担額の割合は49%と、米国や英国、ドイツ企業の20~30%台を上回った。法人税などの法定実効税率が高いことが主因だ。世界では台湾が法人税率を25%から17%にするなど引き下げ競争が加速している。高負担は日本企業の成長の足かせとなりそうだ。
 日本経済新聞社が日経株価指数300の構成企業(銀行・証券・保険除く)を対象に、09年度連結決算を集計した。法人税、事業税、住民税などの企業の税負担額を、税引き前利益で割って会計上の税負担率をはじくと49.1%に達した。
 情報会社トムソン・ロイターの調べで、海外主要企業の09年度連結決算から同様の比率を求めると、米国(S&P500ベース)が29.9%、独(DAX30)が34.4%、英国(FTSE100)が36.0%。日本の比率はもっとも高かった。
 日本では国税、地方税を合わせて現在、世界最高水準の40.7%の法定実効税率がかかる。米国は約40%、英国は28%、ドイツは約29%で、日本企業の会計上の税負担比率が高止まりする原因になっている。
 有力企業の比較でも、ホンダの43.7%に対し独フォルクスワーゲンは27.7%にとどまるなど日本勢の高負担は鮮明。韓国勢は法定税率が24.2%と低く、サムスン電子が18.6%、鉄鋼大手ポスコが14.3%など税負担率も低い。
 世界の製薬大手などはシンガポールなどの低税率国の優遇税制を活用、税負担率を低く抑えている。こうした戦略でも米欧勢が先行、世界最大手の米ファイザーの税負担率は20.3%と武田薬品工業の27.8%をさらに下回る。米企業全体では税負担率は法定実効税率を10ポイント程度下回る。
 法定税率の差だけではない。新日本製鉄、JFEホールディングスの固定資産税の負担は200億~300億円に上った一方、「韓国の有力鉄鋼メーカーは固定資産税などがきわめて軽い」(日本鉄鋼連盟)という。「せめて競争条件は平等にしてほしい」(宗岡正二・新日鉄社長)との声も出ている。
 税負担は資金流出を招き、投資余力の差に直結する。ソニーの税負担率(過去5年平均)は46.5%と、サムスンの同16.2%を上回る。仮に韓国並みの法定税率なら、過去5年で約1800億円の余力が発生したと試算できる。サムスンは10年に約2兆円(約26兆ウォン)を設備投資と研究開発に投じる計画。ソニーの10年度はその3分の1の水準にとどまる。



性描写規制の改正案「否決」 都議会民主党が表明
 子どもを性行為の対象にした漫画やアニメを規制する東京都青少年健全育成条例の改正案について、都議会最大会派の民主党は28日、都が撤回しなければ6月の定例議会で否決するとの意向を表明した。
 石原慎太郎知事はこれまで、改正案で規制範囲とされる18歳未満の登場人物「非実在青少年」の概念が分かりにくいため修正すべきだと発言。しかし、28日の記者会見で「撤回する必要はない」と明言した。
 民主党と生活者ネットワークは同日、「提出者自らが不備を認める議案は撤回し、あらためて責任の持てる案を提出すべきだ」と石原知事に文書で求めた。
 独自の修正案を提出しても自民や公明の賛同が得られないと判断しており、都議会民主党の大沢昇幹事長は「いったん更地にして議会と議論した方が最善の条例をつくる近道だ」としている。



電書協、iPad向け電子書籍の閲覧ソフトを今秋公開
 出版社31社が参加する「日本電子書籍出版社協会」(代表・野間省伸講談社副社長)は28日、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」向けに電子書籍の閲覧ソフトを今秋に公開すると発表した。先行して、高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」向けを6月上旬に公開する。
 ソフト自体は無料で、協会が運営する販売サイト「電子文庫パブリ」で提供する1万点近い電子書籍を購入、閲覧できる。講談社が電子版を提供する京極夏彦氏の新作ミステリー小説「死ねばいいのに」も、同サイトから購入可能。



書店で電子書籍をダウンロード 東京都書店商業組合など
 東京都内の書店で構成する東京都書店商業組合(東京・千代田)と携帯電話向けソフト開発のACCESSは28日、書店店頭で来店客に電子書籍を提供するサービスを共同で始めた。非接触IC技術「FeliCa(フェリカ)」に対応したデジタルサイネージ(電子看板)を書店に設置。来店客が携帯電話で書籍の試し読みデータなどを取得できるようにした。
 第1弾として大手書店の有隣堂(横浜市)のアトレ恵比寿店(東京・渋谷)で開始した。書籍広告を表示したデジタルサイネージに来店者が携帯電話をかざすと、同組合の電子書籍販売サイトにアクセスでき、広告で表示された書籍の試し読みデータや有料コンテンツをダウンロードできる。
 今年7月までに新たに都内3カ所の書店でサービスを始める。紙の書籍に加え電子書籍を扱うことで、書店の魅力を高めたい考えだ。



アップルなどの生産委託企業、中国で基本給20%上げ
台湾・鴻海、従業員自殺で信頼回復狙う?
 EMS(電子製品の製造受託サービス)世界首位で、中国での従業員連続自殺問題で揺れる台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は28日、中国各地の工場で働く現場従業員の基本給を近く、平均20%引き上げることを明らかにした。信頼回復策の一環とみられるが、ソニーや任天堂、米アップルなど生産委託企業のコストが上昇する要因になる可能性もある。
 鴻海傘下の富士康科技(フォックスコン)は主力生産拠点である広東省深セン市で約45万人の従業員を抱えており、中国全土の従業員は80万人超に達する。
 連続自殺が問題になった深セン市の経済特区外にある主力工場での基本給は現在、最低賃金と同じ月900元(約1万2000円)。同社は近くこれを22%引き上げ月1100元にする。中国各地の工場でも同様に賃金を引き上げるとしている。
 富士康の深セン工場では今年、従業員の自殺が相次ぎ、中国メディアは労務管理などを問題視する報道を繰り返していた。鴻海の郭台銘董事長は26日、深セン工場を初めて内外のメディアに公開し記者会見したが、その夜に12件めの自殺が発生。27日にも従業員が手首を切って自殺を図ったことが明らかになった。



普天間日米合意 混乱の責任は鳩山首相にある(5月29日付・読売社説)
 日本政治と日米関係を混乱させた末、「国民との約束」を簡単に破る。一応謝罪はするが、責任はとらない。これが鳩山首相の本質だろう。
 日米両政府は、米軍普天間飛行場の移設先を沖縄県名護市辺野古周辺と明示した共同声明を発表した。日米合意に反対し、閣議での政府対処方針への署名を拒否した社民党党首の福島消費者相を、鳩山首相は罷免した。
 連立与党の一角を担う党首とはいえ、政府方針に同意しない以上、罷免は当然である。
 ◆福島氏罷免は当然だ◆
 鳩山政権が、展望のない県外移設を断念し、辺野古沿岸部に代替施設を建設する現行計画にほぼ回帰したのは、現実的判断だ。
 だが、方針転換がいかにも遅すぎた。昨年までは現行計画を容認していた地元が反対に転じており、実現のハードルは高い。辺野古移設は迷走の末、元に戻ったというより、政権発足前より悪い状況に陥ったにすぎない。
 政府は、日米合意の実現に向けて、沖縄県や名護市の説得に全力を挙げるべきである。
 共同声明は、沖縄の負担軽減策として、米軍訓練の分散移転や、自衛隊と米軍による米軍施設の共同使用など8項目を掲げた。
 ただ、その多くは、代替施設建設の進展に応じて「検討」するとされているだけだ。負担軽減がどの程度実現するかは不透明だ。
 政府は当初、県内移設に反対する社民党に配慮し、日米の共同声明にある移設先の「辺野古」を、対処方針には明示しない方向で調整していた。だが、福島党首の罷免に伴い、対処方針にも「辺野古」を明記した。
 「二重基準」をとらなかったのは当然のことだ。民主党には、社民党が政権を離脱し、参院選での選挙協力ができなくなる事態を避けたい思惑がある。だが、選挙目当てで、安全保障にかかわる問題をあいまいにすべきではない。
 社民党は、「日米安保条約は平和友好条約に転換させる」「自衛隊は違憲状態」との見解を維持している。そもそも、民主党が、基本政策の異なる政党と連立を組んだこと自体に無理があった。
 鳩山首相自身が、「常時駐留なき安保」を持論とし、“米国離れ”志向を見せていたことも、混乱を招く一因となった。
 ◆社民との連立解消を◆
 社民党は、県内移設に反対するばかりで、実現可能な対案を出さなかった。普天間問題の迷走への責任は免れない。
 社民党との連立が続く限り、外交・安保政策をめぐり、対立が繰り返されるだろう。首相は、この際、社民党との連立解消をためらうべきではあるまい。
 首相は、問題決着に「5月末」の期限を自ら設けた。それまでに沖縄県、移設先の自治体、米国、連立与党の同意を得ると「大風呂敷」を広げたうえ、最近まで「職を賭す」などと言い続けた。
 ところが、実際は、米国との合意を得ただけで、沖縄も移設先も社民党も反対している現状は、これらの発言を裏切るものだ。
 政府の最高責任者が「国民との約束」を反故(ほご)にすれば、政治への信頼は地に落ちる。
 鳩山首相は28日夜の記者会見で「誠に申し訳ない思いでいっぱいだ」と謝り、「今後も粘り強く基地問題に取り組むことが自分の使命だ」と強調したが、単なる謝罪で済まされるものではない。
 これは、鳩山政権が、普天間問題に詳しい官僚を外し、知識と経験、洞察力の乏しい首相と担当閣僚がバラバラで場当たり的に取り組んだ結果である。
 名ばかりの「政治主導」で、重大な失政を犯しながら、首相も担当閣僚も責任をとらず、民主党内から強い批判も出ないのは、あまりにお粗末だ。
 鳩山首相は、その資質に深刻な疑問符が付いている。首相発言は日替わりのように変わり、指導力も決断力も発揮できなかった。
 政治で問われるのは結果責任だ。努力したが、できなかったでは、誰も評価しない。
 首相に求められるのは、自己流の「思い」を語ったり、会談相手に迎合したりすることではない。着地点を見極めつつ、閣僚と官僚を使いこなし、最後は自ら決断して問題を解決する実行力だ。
 ◆同盟強化が緊急の課題◆
 鳩山首相の力量不足により、日本政府と米国や沖縄県、関連自治体との信頼関係は、大きく損なわれてしまった。
 北朝鮮の魚雷攻撃による韓国軍哨戒艦沈没事件で、朝鮮半島情勢は緊迫している。中国軍の増強や示威的活動の多発など、不透明な東アジア情勢を踏まえれば、日米同盟の強化は緊急の課題だ。
 政府は、その視点を忘れず、道半ばの普天間問題の解決に真剣に取り組まなければならない。
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