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主要素材、値下げに転換 車向け樹脂5%、鋼材も下げ圧力
合成樹脂や鋼材など値上げを続けてきた主要素材メーカーが価格戦略を見直し、値下げに転じる動きが出てきた。車などに使う高機能樹脂の最大手が来年1月にも価格を5%程度下げるほか、食品容器などに使う樹脂各社も値下げの方針。鋼材価格も下げに転じる可能性が高まっている。化学各社は今夏に樹脂価格の改定で値上げを打ち出したばかり。資源価格の急落でにわかに対応を迫られている。
素材値上げの流れは2002年ごろから続いてきた。資源高を転嫁する形での値上げは個人消費を冷え込ませる要因となっていたため、ここにきて一転の値下げは一時的には景気や企業業績を下支えする側面がある。ただ、欧米でもデフレ懸念が強まっており、価格低下と足元の需要減が長期化すれば、景気に悪影響を及ぼす恐れがある。
オバマ氏、雇用創出「2年で250万人」 デフレ連鎖に懸念
【ワシントン=大隅隆】オバマ次期米大統領は22日、ラジオ放送での演説で「我々は今、デフレスパイラルに落ち込む危機に直面している」と言明した。物価の下落と経済の縮小が相乗的に進みかねないとの認識から、金融危機に伴う景気失速に強い危機感を示した異例の発言だ。2011年1月までに250万人の雇用を創出する経済再生計画を策定することも明らかにした。
米国では雇用情勢が急速に悪化する一方、10月の消費者物価指数が前月比で過去最大の下げ幅となり、デフレ懸念が強まっている。オバマ氏は「経済情勢は一段と悪化するだろう」とし、日本がかつて経験したようなデフレ不況に陥りかねないとの認識を示した。
そのうえで「来年1月の就任直後から事態に対応するため、対策の具体化に着手した」と言明。1月に大規模な景気対策に署名し、就任直後から公共事業や研究開発などを含む大規模な景気対策による需要下支えに取り組む考えを強調した。
新興国の資源企業、株式時価総額が急減
金融危機が株式時価総額でみた世界の企業の勢力図を塗り替えている。ピーク時の3分の1に沈む原油などの資源価格や自国通貨の下落が響き、ロシアやブラジルなど、台頭する新興国の象徴だったエネルギー会社が上位から姿を消した。大きく時価総額を減らす企業が相次ぐなかで、景気悪化への抵抗力がある日用品メーカーなどの順位が相対的に浮上。マネーが内向きにリスク回避する傾向が浮き彫りとなった。
野村証券が集計した10月末時点の時価総額を、原油など資源価格が最高値圏にあった6月末と比較した。ロシアの天然ガス会社ガスプロムとブラジルの国営石油会社ペトロブラスが、ともに時価総額を6割以上減らし、20位以下に順位を落とした。
ブッシュ大統領「経済発展に自由市場重要」 APECで演説
【リマ=米山雄介】ブッシュ米大統領は22日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の最高経営責任者(CEO)サミットで演説し「自由市場が繁栄をもたらす」と述べ、アジア太平洋地域の成長・発展へ貿易や市場の自由化が重要だと指摘した。世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)では年内の大枠合意を改めて呼びかけた。
大統領は日本や韓国を引き合いに「自由市場が経済を発展させた」と強調。アジア太平洋地域で貿易、市場、人の3つの自由化を引き続き推進する必要があるとの考えを力説した。
WTO交渉については「世界的な保護主義が世界的な破滅を招いたことが大恐慌の教訓だ」と指摘。ドーハ・ラウンドの年内大枠合意に向けた努力を各国に呼びかけた。
ファミレス「すかいらーく」全店廃止 低価格店に転換
経営再建中のすかいらーくは2009年12月期中に、ファミリーレストラン「すかいらーく」全店を廃止し、低価格店「ガスト」や「ジョナサン」に転換する。少子化による家族連れの減少で苦戦、比較的好調な低価格店に変えて再建を急ぐ。1970年にファミレスの先駆けとして登場した店が、最近の消費不振で姿を消すことになる。
「すかいらーく」はピークの92年に700超の店があったが、10月末には154店まで減少。グループ全店に占める比率は4%に下がっていた。
米財務長官ガイトナー氏有力 次期政権、市場にも配慮
【ワシントン=大隅隆】金融危機に直面する米国の次期財務長官に、ニューヨーク連銀のガイトナー総裁の起用が有力になった。グローバル化と自由貿易を重視するルービン元財務長官に連なる人脈のエースでもあり、オバマ次期政権の経済政策は、市場にも配慮した現実路線を視野に入れ始めた。
ガイトナー氏は、オバマ次期米大統領と同じ1961年8月生まれの47歳。若くして頭角を現す転機となったのは、クリントン政権の経済政策を仕切ったルービン、サマーズの両元財務長官に認められたことだ。
自動車各社、「家庭充電型」ハイブリッド車の開発急ぐ
自動車各社が家庭で充電できるプラグインハイブリッド車を相次ぎ開発する。三菱自動車は2015年までに電気自動車の技術を応用した新型車を日本などに投入、ホンダも米国向けの開発に着手した。すでにトヨタ自動車や日産自動車も開発を表明している。景気変調を受け、自動車需要は世界的に急減速している。各社は環境対応が今後の生き残りに不可欠とみており、環境車として有望なプラグイン型の開発を急ぐ。
三菱自は「シリーズ式」と呼ぶ新型ハイブリッド技術を開発する。ガソリンエンジンは電力不足時の発電専用に使い、電気モーターのみで走行する仕組み。電池容量に限りがある電気自動車に比べ走行距離を大幅に延ばせるほか、車両サイズを大きくできる利点がある。多目的スポーツ車(SUV)「アウトランダー」「パジェロ」など中大型車に搭載する。
ソニー、放送局用機器4機種投入 デジタル家電と連携強化
ソニーは2009年3月末までに放送局の映像確認用モニターなど放送用機器4モデルを発売する。放送の現場でフルハイビジョン画質での撮影や編集、コンテンツ(情報の内容)の多重活用が加速していることに対応する。新製品ではデジタルカメラなどデジタル家電の担当部門との連携を強化。社内の技術を共有してエレクトロニクス部門全体の業績回復を目指す。
今回発売する新製品は業務用ビデオカメラ、小型ビデオカメラ、映像の確認に使う17型と23型液晶マスターモニターの4モデル。
船井電機の液晶TV販売、今期計画比1割減の見通し
船井電機の2009年3月期の液晶テレビ販売は全世界で350万台前後と、期初計画の400万台を1割強下回る見通しとなった。前期実績の260万台は上回るが、売り上げの約7割を占める北米市場での消費不振が響く。北米では液晶テレビの価格下落が進んでいることもあり、販売台数目標の達成よりも事業の黒字化を優先させる。
船井は今期にオランダのフィリップスから北米の液晶テレビ事業を買収、同社の持つ会員制量販店などの販路を獲得したことで販売台数は前期比3割増となる見通し。前期の目標も400万台だったが、液晶パネルに利用する主要部材の不足で製品が供給できず、事業部門が赤字に陥った経緯がある。
地銀27行、9月中間最終赤字に 不良債権が重荷
株式を上場する地方銀行87行・グループの2008年9月中間期決算は、連結純利益の合計が約1200億円にとどまり、前年同期から71.6%減った。約3分の1にあたる27行が最終赤字となった。不動産・建設業向けを中心に不良債権処理損失が増加したほか、金融市場の混乱を受けて株式など保有有価証券にからむ損失も膨らんだ。
本業のもうけを示す実質業務純益は約6600億円と前年同期比24.5%減少した。上場地銀全体で500億円以上保有していた米リーマン・ブラザーズ債や投資信託の減損損失が大きく響いた。地銀が新たな収益源と位置づけるリテール業務も不振で、株式市場の低迷を背景に金融商品の販売が低迷したため、手数料収入などによる役務取引等利益も約2割減と落ち込んだ。
GM、生産調整を追加 工場休止の前倒しなど
【ニューヨーク=武類雅典】経営不振が続く米ゼネラル・モーターズ(GM)は21日、カナダのトラック組み立て工場(オンタリオ州オシャワ)の休止前倒しなど、生産調整の追加策を明らかにした。同工場は来年7月に休止する予定だったが、来年5月に早める。来年1月にはオハイオ州、カンザス州などにある一部の完成車工場で休業期間を追加する。
GMは販売不振で資金繰りが悪化し、政府支援も求めている。生産調整で少しでもコスト削減につなげたい考えだ。
日経社説 人材開国を考える 50年後を見据えて「外国人政策」を(11/23)
外国人労働者受け入れが加速したのは1990年代初めだった。途上国の人材育成に貢献することを目指した研修・技能実習制度が本格的に動きだし、一方でブラジルなどの日系人についてはほぼ無制限で受け入れる制度が始まった。
その結果、増え続けていた不法就労・不法滞在は徐々に下火になってきた。だが、これまでも繰り返し指摘してきたように、現行の制度も様々な問題をはらんでいる。
ほぼ20年ぶりの大改革
1つは研修・技能実習制度が単純労働力を低賃金で受け入れる裏道として利用されていることだ。「途上国の人材育成」という制度の理念と実際に制度を利用する企業などのニーズがかけ離れているのである。
結果として、多くの研修・技能実習生が実態は労働者なのに労働者として当然の法的な保護を受けられない状況に陥っている。最低賃金を下回る給与しか払わなかったり、パスポートを押収したりする人権侵害や法令違反が各地で頻発している。
政府は、2009年に出入国管理法などの改正案を提出することを目指して改革案の検討を進めている。ほぼ20年ぶりの大改革となる。ただ、厚生労働省や経済産業省がたたき台として示してきた案をみる限り、雇用者への監督強化や違反に対する罰則強化など、小手先の改革案にとどまっている印象が強い。
厚労省や経産省の案のように「単純労働力は受け入れない」という建前を前提にして考えると抜本改革の展望は開けない。「人手不足を外国人労働者で補う必要がある」と正直に認めたうえで、新たな受け入れ制度を考えるべきだ。多くの国が採用しているような、期間3年程度の就労ビサ(入国査証)を発給する短期就労制度は参考になるはずだ。
日系人の増加で問題となっているのは外国人を受け入れる環境・基盤の不備である。たとえば、日本語教育のシステムやカリキュラムを国として整える努力を怠ってきた。また、転居する際に市町村へ転出・転入届を出すことを外国人には義務づけていないため、自治体は外国人の居住実態を把握するのが難しい。
こうしたインフラの不備は、帰国した中国残留孤児などにとっても大問題だ。総合的・体系的に取り組むことが不可欠で、省庁縦割り的な対応では限界がある。
日本経済団体連合会は10月に発表した提言の中で、外国からの人材受け入れを担当する閣僚の設置と関係省庁が一体となって取り組む体制の整備を訴えている。
経団連の提言は長期的な観点から「日本型移民政策」の検討も求めている。根底にあるのは、今後50年間で人口が4000万人近く減り特に生産年齢人口はほぼ半減する見通しであることへの強い危機感だ。
さらに、消費や住宅投資などの内需の縮小も加わって経済は活力を失い、膨大な負債を抱えた財政や年金は維持しにくくなる。医療・介護や教育、治安・防災といった経済社会インフラが揺らぐ……。
提言が展望する50年後の日本の姿はかなり悲惨であり、日本の経済社会の活力を維持するため相当規模の移民を受け入れるべきだとの議論にはそれなりに説得力がある。
自民党の外国人材交流議員連盟が6月にまとめた提言はさらに踏み込んで「今後50年で1000万人の移民を受け入れよう」と訴えた。
足元の課題を踏まえて
一方、日本経済調査協議会が9月に出した提言は、外国人労働力を大量に受け入れた欧州諸国で社会問題が発生しているのを踏まえ、移民の受け入れには慎重だ。工場労働者など高度ではない働き手は単身赴任とし、能力開発の程度に応じて1―5年で帰国してもらうのを基本とする。そのなかで特に能力を高めた人は「高度人材」と認定して定住を前提にした就労を認める――といったアイデアを示している。
言うまでもなく、人口減・労働人口減対策としてまず必要なのは少子化を食い止め出産を増やすための努力や女性の社会進出の応援である。現状程度の外国人の受け入れでさえ問題が頻発しているのが実情で、大規模な外国人の受け入れや定住を前提とした移民の本格的な受け入れは社会に深刻な摩擦をもたらしかねない。慎重な議論が求められる。
とはいえ、日本語教育などの体制整備や外国人向けの住民台帳制度の創設など、足元の課題に対応していくことは今後、多くの外国人材に頼らざるを得なくなったときのためのインフラを整えることにもなる。
どの程度の規模の外国人労働者をどのような形で受け入れるのか。50年後を見据えた「外国人政策」を包括的に検討するときである。
合成樹脂や鋼材など値上げを続けてきた主要素材メーカーが価格戦略を見直し、値下げに転じる動きが出てきた。車などに使う高機能樹脂の最大手が来年1月にも価格を5%程度下げるほか、食品容器などに使う樹脂各社も値下げの方針。鋼材価格も下げに転じる可能性が高まっている。化学各社は今夏に樹脂価格の改定で値上げを打ち出したばかり。資源価格の急落でにわかに対応を迫られている。
素材値上げの流れは2002年ごろから続いてきた。資源高を転嫁する形での値上げは個人消費を冷え込ませる要因となっていたため、ここにきて一転の値下げは一時的には景気や企業業績を下支えする側面がある。ただ、欧米でもデフレ懸念が強まっており、価格低下と足元の需要減が長期化すれば、景気に悪影響を及ぼす恐れがある。
オバマ氏、雇用創出「2年で250万人」 デフレ連鎖に懸念
【ワシントン=大隅隆】オバマ次期米大統領は22日、ラジオ放送での演説で「我々は今、デフレスパイラルに落ち込む危機に直面している」と言明した。物価の下落と経済の縮小が相乗的に進みかねないとの認識から、金融危機に伴う景気失速に強い危機感を示した異例の発言だ。2011年1月までに250万人の雇用を創出する経済再生計画を策定することも明らかにした。
米国では雇用情勢が急速に悪化する一方、10月の消費者物価指数が前月比で過去最大の下げ幅となり、デフレ懸念が強まっている。オバマ氏は「経済情勢は一段と悪化するだろう」とし、日本がかつて経験したようなデフレ不況に陥りかねないとの認識を示した。
そのうえで「来年1月の就任直後から事態に対応するため、対策の具体化に着手した」と言明。1月に大規模な景気対策に署名し、就任直後から公共事業や研究開発などを含む大規模な景気対策による需要下支えに取り組む考えを強調した。
新興国の資源企業、株式時価総額が急減
金融危機が株式時価総額でみた世界の企業の勢力図を塗り替えている。ピーク時の3分の1に沈む原油などの資源価格や自国通貨の下落が響き、ロシアやブラジルなど、台頭する新興国の象徴だったエネルギー会社が上位から姿を消した。大きく時価総額を減らす企業が相次ぐなかで、景気悪化への抵抗力がある日用品メーカーなどの順位が相対的に浮上。マネーが内向きにリスク回避する傾向が浮き彫りとなった。
野村証券が集計した10月末時点の時価総額を、原油など資源価格が最高値圏にあった6月末と比較した。ロシアの天然ガス会社ガスプロムとブラジルの国営石油会社ペトロブラスが、ともに時価総額を6割以上減らし、20位以下に順位を落とした。
ブッシュ大統領「経済発展に自由市場重要」 APECで演説
【リマ=米山雄介】ブッシュ米大統領は22日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の最高経営責任者(CEO)サミットで演説し「自由市場が繁栄をもたらす」と述べ、アジア太平洋地域の成長・発展へ貿易や市場の自由化が重要だと指摘した。世界貿易機関(WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)では年内の大枠合意を改めて呼びかけた。
大統領は日本や韓国を引き合いに「自由市場が経済を発展させた」と強調。アジア太平洋地域で貿易、市場、人の3つの自由化を引き続き推進する必要があるとの考えを力説した。
WTO交渉については「世界的な保護主義が世界的な破滅を招いたことが大恐慌の教訓だ」と指摘。ドーハ・ラウンドの年内大枠合意に向けた努力を各国に呼びかけた。
ファミレス「すかいらーく」全店廃止 低価格店に転換
経営再建中のすかいらーくは2009年12月期中に、ファミリーレストラン「すかいらーく」全店を廃止し、低価格店「ガスト」や「ジョナサン」に転換する。少子化による家族連れの減少で苦戦、比較的好調な低価格店に変えて再建を急ぐ。1970年にファミレスの先駆けとして登場した店が、最近の消費不振で姿を消すことになる。
「すかいらーく」はピークの92年に700超の店があったが、10月末には154店まで減少。グループ全店に占める比率は4%に下がっていた。
米財務長官ガイトナー氏有力 次期政権、市場にも配慮
【ワシントン=大隅隆】金融危機に直面する米国の次期財務長官に、ニューヨーク連銀のガイトナー総裁の起用が有力になった。グローバル化と自由貿易を重視するルービン元財務長官に連なる人脈のエースでもあり、オバマ次期政権の経済政策は、市場にも配慮した現実路線を視野に入れ始めた。
ガイトナー氏は、オバマ次期米大統領と同じ1961年8月生まれの47歳。若くして頭角を現す転機となったのは、クリントン政権の経済政策を仕切ったルービン、サマーズの両元財務長官に認められたことだ。
自動車各社、「家庭充電型」ハイブリッド車の開発急ぐ
自動車各社が家庭で充電できるプラグインハイブリッド車を相次ぎ開発する。三菱自動車は2015年までに電気自動車の技術を応用した新型車を日本などに投入、ホンダも米国向けの開発に着手した。すでにトヨタ自動車や日産自動車も開発を表明している。景気変調を受け、自動車需要は世界的に急減速している。各社は環境対応が今後の生き残りに不可欠とみており、環境車として有望なプラグイン型の開発を急ぐ。
三菱自は「シリーズ式」と呼ぶ新型ハイブリッド技術を開発する。ガソリンエンジンは電力不足時の発電専用に使い、電気モーターのみで走行する仕組み。電池容量に限りがある電気自動車に比べ走行距離を大幅に延ばせるほか、車両サイズを大きくできる利点がある。多目的スポーツ車(SUV)「アウトランダー」「パジェロ」など中大型車に搭載する。
ソニー、放送局用機器4機種投入 デジタル家電と連携強化
ソニーは2009年3月末までに放送局の映像確認用モニターなど放送用機器4モデルを発売する。放送の現場でフルハイビジョン画質での撮影や編集、コンテンツ(情報の内容)の多重活用が加速していることに対応する。新製品ではデジタルカメラなどデジタル家電の担当部門との連携を強化。社内の技術を共有してエレクトロニクス部門全体の業績回復を目指す。
今回発売する新製品は業務用ビデオカメラ、小型ビデオカメラ、映像の確認に使う17型と23型液晶マスターモニターの4モデル。
船井電機の液晶TV販売、今期計画比1割減の見通し
船井電機の2009年3月期の液晶テレビ販売は全世界で350万台前後と、期初計画の400万台を1割強下回る見通しとなった。前期実績の260万台は上回るが、売り上げの約7割を占める北米市場での消費不振が響く。北米では液晶テレビの価格下落が進んでいることもあり、販売台数目標の達成よりも事業の黒字化を優先させる。
船井は今期にオランダのフィリップスから北米の液晶テレビ事業を買収、同社の持つ会員制量販店などの販路を獲得したことで販売台数は前期比3割増となる見通し。前期の目標も400万台だったが、液晶パネルに利用する主要部材の不足で製品が供給できず、事業部門が赤字に陥った経緯がある。
地銀27行、9月中間最終赤字に 不良債権が重荷
株式を上場する地方銀行87行・グループの2008年9月中間期決算は、連結純利益の合計が約1200億円にとどまり、前年同期から71.6%減った。約3分の1にあたる27行が最終赤字となった。不動産・建設業向けを中心に不良債権処理損失が増加したほか、金融市場の混乱を受けて株式など保有有価証券にからむ損失も膨らんだ。
本業のもうけを示す実質業務純益は約6600億円と前年同期比24.5%減少した。上場地銀全体で500億円以上保有していた米リーマン・ブラザーズ債や投資信託の減損損失が大きく響いた。地銀が新たな収益源と位置づけるリテール業務も不振で、株式市場の低迷を背景に金融商品の販売が低迷したため、手数料収入などによる役務取引等利益も約2割減と落ち込んだ。
GM、生産調整を追加 工場休止の前倒しなど
【ニューヨーク=武類雅典】経営不振が続く米ゼネラル・モーターズ(GM)は21日、カナダのトラック組み立て工場(オンタリオ州オシャワ)の休止前倒しなど、生産調整の追加策を明らかにした。同工場は来年7月に休止する予定だったが、来年5月に早める。来年1月にはオハイオ州、カンザス州などにある一部の完成車工場で休業期間を追加する。
GMは販売不振で資金繰りが悪化し、政府支援も求めている。生産調整で少しでもコスト削減につなげたい考えだ。
日経社説 人材開国を考える 50年後を見据えて「外国人政策」を(11/23)
外国人労働者受け入れが加速したのは1990年代初めだった。途上国の人材育成に貢献することを目指した研修・技能実習制度が本格的に動きだし、一方でブラジルなどの日系人についてはほぼ無制限で受け入れる制度が始まった。
その結果、増え続けていた不法就労・不法滞在は徐々に下火になってきた。だが、これまでも繰り返し指摘してきたように、現行の制度も様々な問題をはらんでいる。
ほぼ20年ぶりの大改革
1つは研修・技能実習制度が単純労働力を低賃金で受け入れる裏道として利用されていることだ。「途上国の人材育成」という制度の理念と実際に制度を利用する企業などのニーズがかけ離れているのである。
結果として、多くの研修・技能実習生が実態は労働者なのに労働者として当然の法的な保護を受けられない状況に陥っている。最低賃金を下回る給与しか払わなかったり、パスポートを押収したりする人権侵害や法令違反が各地で頻発している。
政府は、2009年に出入国管理法などの改正案を提出することを目指して改革案の検討を進めている。ほぼ20年ぶりの大改革となる。ただ、厚生労働省や経済産業省がたたき台として示してきた案をみる限り、雇用者への監督強化や違反に対する罰則強化など、小手先の改革案にとどまっている印象が強い。
厚労省や経産省の案のように「単純労働力は受け入れない」という建前を前提にして考えると抜本改革の展望は開けない。「人手不足を外国人労働者で補う必要がある」と正直に認めたうえで、新たな受け入れ制度を考えるべきだ。多くの国が採用しているような、期間3年程度の就労ビサ(入国査証)を発給する短期就労制度は参考になるはずだ。
日系人の増加で問題となっているのは外国人を受け入れる環境・基盤の不備である。たとえば、日本語教育のシステムやカリキュラムを国として整える努力を怠ってきた。また、転居する際に市町村へ転出・転入届を出すことを外国人には義務づけていないため、自治体は外国人の居住実態を把握するのが難しい。
こうしたインフラの不備は、帰国した中国残留孤児などにとっても大問題だ。総合的・体系的に取り組むことが不可欠で、省庁縦割り的な対応では限界がある。
日本経済団体連合会は10月に発表した提言の中で、外国からの人材受け入れを担当する閣僚の設置と関係省庁が一体となって取り組む体制の整備を訴えている。
経団連の提言は長期的な観点から「日本型移民政策」の検討も求めている。根底にあるのは、今後50年間で人口が4000万人近く減り特に生産年齢人口はほぼ半減する見通しであることへの強い危機感だ。
さらに、消費や住宅投資などの内需の縮小も加わって経済は活力を失い、膨大な負債を抱えた財政や年金は維持しにくくなる。医療・介護や教育、治安・防災といった経済社会インフラが揺らぐ……。
提言が展望する50年後の日本の姿はかなり悲惨であり、日本の経済社会の活力を維持するため相当規模の移民を受け入れるべきだとの議論にはそれなりに説得力がある。
自民党の外国人材交流議員連盟が6月にまとめた提言はさらに踏み込んで「今後50年で1000万人の移民を受け入れよう」と訴えた。
足元の課題を踏まえて
一方、日本経済調査協議会が9月に出した提言は、外国人労働力を大量に受け入れた欧州諸国で社会問題が発生しているのを踏まえ、移民の受け入れには慎重だ。工場労働者など高度ではない働き手は単身赴任とし、能力開発の程度に応じて1―5年で帰国してもらうのを基本とする。そのなかで特に能力を高めた人は「高度人材」と認定して定住を前提にした就労を認める――といったアイデアを示している。
言うまでもなく、人口減・労働人口減対策としてまず必要なのは少子化を食い止め出産を増やすための努力や女性の社会進出の応援である。現状程度の外国人の受け入れでさえ問題が頻発しているのが実情で、大規模な外国人の受け入れや定住を前提とした移民の本格的な受け入れは社会に深刻な摩擦をもたらしかねない。慎重な議論が求められる。
とはいえ、日本語教育などの体制整備や外国人向けの住民台帳制度の創設など、足元の課題に対応していくことは今後、多くの外国人材に頼らざるを得なくなったときのためのインフラを整えることにもなる。
どの程度の規模の外国人労働者をどのような形で受け入れるのか。50年後を見据えた「外国人政策」を包括的に検討するときである。
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ヤンCEO辞任でも止まらないヤフーの転落 <COLUMN>
ヤフーの共同設立者、ジェリー・ヤン氏がCEO(最高経営責任者)を辞任──米国時間11月17日夕方、このニュースは米国のネットを駆け回った。しかし、一夜明けた火曜日、ウォールストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズなど主要紙は、淡々とした事実を報道したにとどまり、意外なほどにニュースの波紋は広がらなかった。もはやヤン氏の進退はニュース価値がなくなったのだろうか。今後、ヤフーにはどのような運命が待ち構えているのか。
■迷走を続けてきたヤフー
「明日は私かもしれない……」
最近、シリコンバレーでは、ヤフー従業員の憂鬱話を聞くことが多い。インターネット広告分野で凋落が続くヤフーは、従業員の解雇を繰り返している。同僚がつぎつぎと姿を消していくのを目の当たりにして「明日は我が身か」と従業員は落ち着かない。その様子には、ここ数年迷走を続けてきたヤフーの姿が如実に表れている。
前CEOのテリー・セメル氏は大手映画スタジオから転身して、ヤフーをタイム・ワーナーのような本格メディア企業に変身させようとした。社内にはセメル流「ネット軽視、コンテンツ重視」経営に戸惑う雰囲気が強かった。そして昨年6月、株価低迷の責任をとってセメル氏が辞任、共同設立者のヤン氏がCEOに復帰した。これでようやくネット企業に戻る──ヤン氏復帰は社員に歓迎を持って受け止められ、安堵の雰囲気が広がった。
しかし、その後もネット広告で先行するグーグルとの差は開くばかり。主力のウェブ広告では勝てないと、ヤン氏はモバイル系広告事業に全力を注いだ。しかし、米国のモバイルビジネスでは、大ヒットを続けるアップルのiPhoneがリードする。携帯広告よりも、多彩なアプリケーションやコンテンツに人々は新鮮さを感じ、グーグルも携帯プラットフォーム「アンドロイド」を投入して対抗する。ヤン氏の思惑とは違い、ネット大手はヤフーのモバイル戦略に関心さえ示さない。
こうして株価低迷に悩むヤフーは、2008年1月に1000名の人員削減を発表、厳しい減量経営へと向かった。以来、ヤフー社内では従業員が解雇におびえる雰囲気が広がっていった。
■不満を募らせる株主
同社をますます窮地に追いやったのが、マイクロソフトとの買収交渉だった。当初は友好的な買収を狙ったマイクロソフトだが、ヤン氏の強固な反対にあう。その後、敵対的買収へと変更したが、そこでも買収防止策を駆使してヤン氏は抵抗した。一連の攻防では、公開企業のCEOとしての役割を忘れ、ひたすらマイクロソフトを忌み嫌うヤン氏の姿がさらけ出されたが、取締役会は株主からの批判に耳をふさいだ。
その間隙を縫おうとしたのがグーグルだ。ヤフーとネット広告で業務提携を図り、マイクロソフト対グーグル/ヤフーという対立構図も生まれかかった。しかし、成立すればネット広告の9割を押さえるグーグルとヤフーの提携にネット業界全体が懸念を表明、議会も連邦政府機関も首を縦に振らなかった。結局、グーグルは交渉難航に恐れをなして、提携合意を解消した。
こうした一連の経緯でもっとも不満を募らせたのは、ヤフーに投資している株主だった。もし、ヤン氏がいなければ、ヤフーは現在の3倍以上の株価でマイクロソフトに買収されていただろう。特に、大株主のカール・アイカーン氏は、マイクロソフトと手を取り合って、なんとかヤフー・マイクロソフト陣営を構築し株価を回復させようと狙っていただけに、強い不満を表明した。
■ヤン氏への厳しい風当たり
17日夕方、ヤン氏は従業員にCEO辞任を知らせるメールを送った。それはすぐさま、ネット系ニュース「All-D(All Things Digital)」に転載された。手紙は、大文字をまったく使わないヤン氏流の文体で「CEOを辞任する」「次のCEO探しに、自分も参加する」「候補は社内・社外から探す(社内登用には投資家が反発している)」といった内容が淡々と綴られている。また「取締役会から頼まれたので自分はCEOに復帰した」「18カ月前より現在のヤフーは良くなっている」といった責任逃れや苦しまぎれの表現も散見された。 何度か読み返したが、従業員へのねぎらいの言葉はほとんどなく、もちろん株主への謝罪もなかった。逆に「自分は取締役に残る」とともに、「チーフ・ヤフーのタイトルに復帰」して同社の戦略面を今後も指導すると、経営への積極的な意欲を示している。
このメールが掲載されたAll-Dには、読者からの様々なコメントがついている。あるコメントは「ヤン氏の個人的エゴ(マイクロソフト嫌い)によって株主に多大な被害を与えた」と非難していた。また「ヤフーをまだ支配するのか。さっさと経営から遠ざかってもらいたい」という指摘もあった。コメントを最後まで読み進めても、ヤン氏を支援する内容には1件も出会わなかった。
こうした反応は、同社を取り巻く状況をよく反映している。筆頭株主であるヤン氏には「ヤフーは自分の会社」という意識がある。これは以前から様々な専門家が指摘してきたことだ。そのためヤフーは経営トップの育成に苦しんできた。読者のコメントが示すとおり、株式を公開している企業のCEOとしてのヤン氏の経営手腕に対し、株主は失望と今後の懸念をあらわにしている。
■ヤフー復活には「ビジョン」が必要
サーチエンジンや広告システムの世代交代、技術革新に余念がないグーグルに比べると、ヤフーの技術開発力、サービス開発力は目を覆いたくなるほど弱体化している。すべての経営資源をモバイルに集中させ、その他のサービスがなおざりになっていることは、私のような一般ユーザーでさえ感じている。
グーグルやアップル、IBMやHPなどは、2010年以降の戦略を懸命に模索している。それはポスト・インターネット、ポスト・ウェブの世界でもある。しかし、いまのヤフーにはそうしたビジョンは感じられない。いや、かたくなに情報を提供するためのホームページ(携帯ブラウザーを含む)に閉じこもっている。
しかし、ヤフーのホームページ情報に匹敵するネットサービスは、ちょっとしたマッシュアップサイトを探せば容易に見つけ出せるのも事実だ。ヤフーの情報サービスは、昔ほどの競争力を持っていない。今後も情報提供型のホームページ・ビジネスに固執すれば──いや、もしジェリー・ヤン氏のビジョンがそうあれば「時代の変化に遅れを取っている」と言えるだろう。
ヤン氏が経営の一線から退くタイミングは、遅すぎたかもしれない。ヤフーが復活するには、新たなビジョンを提供できる経営トップが欠かせない。しかし、強い経営意欲を示すヤン氏の下に、ビジョンをもった敏腕経営者が来たがらないのも事実だろう。以前、シリコンバレーで開催される展示会にはヤフーのブースが必ずあった。常に同社は優秀な人材を捜し求めていた。しかし、最近は展示会から姿を消し、人材が流出することはあっても、優秀な人材がヤフーにいくことはない。
◇ ◇ ◇
ヤン氏がCEOを退けば、再びマイクロソフトとの買収交渉が始まると指摘するメディアは多い。一方、マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOは、サーチエンジン部門の部分買収なら応じるだろうとの観測もある。いずれにせよ、マイクロソフトにとって、今のヤフーは以前ほどの魅力を放っていない。ヤフーは自力再生を主張するが、専門家はそうした時期は過ぎ去ったと見ている。
現在のヤフーを見ると、つい思い出すのはネットスケープ・コミュニケーションズのことだ。ブラウザーのネットスケープ・ナビゲーターを開発した同社は、インターネットの黎明期をリードした。マイクロソフトとのブラウザー戦争という不幸があったとはいえ、同社の経営はやがて迷走し、1999年にAOLとサン・マイクロシステムズの三者買収によって姿を消した。
大恐慌以来と言われる厳しい経済環境に突入しようとしている現在、シリコンバレーは大量解雇の嵐におののいている。状況が悪化すればするほど、ヤフー、いやジェリー・ヤン氏に残された選択肢は少なくなっていくだろう。
GMの一部取締役、破産法含め検討の声も 米紙報道
経営難から政府支援を要請中の米ゼネラル・モーターズ(GM)で、複数の取締役が米連邦破産法の申請も含めた抜本策の検討に前向きになっていることが明らかになった。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が22日報じた。GMは破産法による再建について「選択肢にはない」と説明し続けているが、政府支援は月内に決まる見通しがたっていない。資金繰り懸念が高まる中、政府支援の行方とともに経営陣の判断が焦点になってきた。
同紙は消息筋の話として、複数の取締役が破産法の適用申請も含めた「すべての選択肢」を検討する意思があると伝えた。GMは経営不安が再燃した今夏以降、リチャード・ワゴナー会長らが破産法申請について「選択肢にない」と強調。今週の米上下両院の公聴会でもワゴナー会長が破産法申請の可能性を改めて否定していた。
米ジョージア州のコミュニティ銀が破綻 08年で20行目
米連邦預金保険公社は21日、ジョージア州のコミュニティバンク(ローガンヴィル)の業務停止を発表した。米銀の破綻は今年20行目。同行の預金は別の地銀が引き継ぐ。(ワシントン支局)
高級食材の需要に陰り 国産牛やフグの卸値下落
高級食材の需要に陰りが出てきた。国産高級牛肉やフグは軒並み値下がりしている。マスクメロンの売り上げも振るわない。金融危機が実体経済に波及して景況感が悪化するなか、消費者の節約志向が強まっている。
百貨店などで売られる国産高級牛肉の卸値は東京市場で現在、1キロ1800―2000円台と前年同期に比べて約1割安い水準だ。都内の百貨店でもすき焼きなどに使う和牛肩ロースが100グラム1200―1800円程度と、前年同期を5―10%下回る。
AIG資産売却、各地で交渉始動 中国系、アリコに食指
経営難に陥った米アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の資産売却交渉が世界各地で動き出した。日本で生保事業を展開する米アリコについては中国の政府系ファンド、中国投資有限責任公司(CIC)に最大49%の株式を売却する方向で交渉に入った。日本の生保子会社やアジア各地の子会社でも売却準備が具体化している。AIGを軸に世界の業界地図が塗り替わる可能性が出てきた。
アリコは日本をはじめ欧米、中東など世界55カ国以上で生保事業を展開している。CICは中国の保険会社と投資連合を組んで出資する方向。交渉がまとまれば世界各地に足がかりを築くことができ、生保の世界での存在感が、一気に高まる可能性もある。
元次官宅襲撃 宅配各社「影響が心配」
元厚生事務次官ら連続殺傷事件で、犯人が宅配便業者を装って犯行に及んだことを巡り、宅配各社が業務への影響を懸念している。事件の解決が長引けば受取人が業者が本物かどうかを警戒し、家のドアを開けないなど配達に支障が出る恐れがある。大手各社は全国の営業所に通達を出すなどして、利用者の不安解消に取り組んでいる。
「宅配便と聞いてドアを開けるのが怖くなる」。元次官の山口剛彦さん(66)と妻の美知子さん(61)が殺害されたさいたま市南区の自宅近くに住む主婦(61)は不安を口にする。帽子と作業着姿で荷物を抱えていれば、正規の宅配業者と配達を装った者との見分けはつきにくい。事件は日常生活の慣れにつけ込んだ犯罪の怖さを、結果的に際立たせた。
【東京新聞社説】
APEC 保護主義と戦う決意を
2008年11月22日
アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が二十二日から、ペルーのリマで開かれる。金融危機が世界的な景気後退を招く中、各国はあらためて保護主義の誘惑と戦う姿勢が不可欠だ。
今回の景気後退がいかに深刻か。地域的な広がりと急激な落ち込み幅が物語っている。国際通貨基金(IMF)は今月初め、ひと月前に発表したばかりの経済見通しを緊急に大幅下方修正した。
それによると、日米欧の先進国は二〇〇九年、そろってマイナス成長に転落する。これは戦後初めての事態だ。新興・途上国も軒並み減速し、世界全体では2・2%成長にとどまる。今後の展開次第で、この数字さえも実現できるかどうか怪しい。
保護主義は経済が危機的状況に陥ったときに、台頭する。輸出を拡大し輸入を抑えるために、関税引き上げとまではいかなくても、引き下げに抵抗する、為替を自国通貨安に誘導する。景気後退の打撃を和らげようと、他国を犠牲にしても、自国利益を最優先する誘惑にかられるのである。
経営危機に陥ったビッグスリーと呼ばれる自動車三社を米国政府が支援するかどうか、ヤマ場を迎えているが、一歩間違えると、これも世界貿易機関(WTO)協定違反という形で保護主義への傾斜を促しかねない。
保護主義はいったん芽生えると、相乗作用を生んで、坂道を転落するように勢いがつく。各国は苦しいときこそ、足並みをそろえて危機と景気後退に対処する姿勢をしっかりと確認すべきだ。
アジア太平洋地域の国と地域からなるAPECは日本、中国、韓国など金融危機の打撃が比較的少なく、世界の成長センターとしても期待が高まっている。今回はAPECが世界経済を支える役割をアピールする機会でもある。
交渉が難航している新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)についても、APECの役割は重要だ。世界の国内総生産(GDP)の約六割を占める加盟国が互いに譲るべきは譲って、協調姿勢を強めれば、交渉を前進させるきっかけになる。
先進国は新興・途上国の声に耳を傾け、食料生産力やエネルギー利用効率の向上など、互いに協力、支援できる分野で連携を強めていく必要がある。
先進国であると同時に、アジアの一員でもある日本は、新興・途上国との橋渡し役を積極的に果たしていかねばならない。
ヤフーの共同設立者、ジェリー・ヤン氏がCEO(最高経営責任者)を辞任──米国時間11月17日夕方、このニュースは米国のネットを駆け回った。しかし、一夜明けた火曜日、ウォールストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズなど主要紙は、淡々とした事実を報道したにとどまり、意外なほどにニュースの波紋は広がらなかった。もはやヤン氏の進退はニュース価値がなくなったのだろうか。今後、ヤフーにはどのような運命が待ち構えているのか。
■迷走を続けてきたヤフー
「明日は私かもしれない……」
最近、シリコンバレーでは、ヤフー従業員の憂鬱話を聞くことが多い。インターネット広告分野で凋落が続くヤフーは、従業員の解雇を繰り返している。同僚がつぎつぎと姿を消していくのを目の当たりにして「明日は我が身か」と従業員は落ち着かない。その様子には、ここ数年迷走を続けてきたヤフーの姿が如実に表れている。
前CEOのテリー・セメル氏は大手映画スタジオから転身して、ヤフーをタイム・ワーナーのような本格メディア企業に変身させようとした。社内にはセメル流「ネット軽視、コンテンツ重視」経営に戸惑う雰囲気が強かった。そして昨年6月、株価低迷の責任をとってセメル氏が辞任、共同設立者のヤン氏がCEOに復帰した。これでようやくネット企業に戻る──ヤン氏復帰は社員に歓迎を持って受け止められ、安堵の雰囲気が広がった。
しかし、その後もネット広告で先行するグーグルとの差は開くばかり。主力のウェブ広告では勝てないと、ヤン氏はモバイル系広告事業に全力を注いだ。しかし、米国のモバイルビジネスでは、大ヒットを続けるアップルのiPhoneがリードする。携帯広告よりも、多彩なアプリケーションやコンテンツに人々は新鮮さを感じ、グーグルも携帯プラットフォーム「アンドロイド」を投入して対抗する。ヤン氏の思惑とは違い、ネット大手はヤフーのモバイル戦略に関心さえ示さない。
こうして株価低迷に悩むヤフーは、2008年1月に1000名の人員削減を発表、厳しい減量経営へと向かった。以来、ヤフー社内では従業員が解雇におびえる雰囲気が広がっていった。
■不満を募らせる株主
同社をますます窮地に追いやったのが、マイクロソフトとの買収交渉だった。当初は友好的な買収を狙ったマイクロソフトだが、ヤン氏の強固な反対にあう。その後、敵対的買収へと変更したが、そこでも買収防止策を駆使してヤン氏は抵抗した。一連の攻防では、公開企業のCEOとしての役割を忘れ、ひたすらマイクロソフトを忌み嫌うヤン氏の姿がさらけ出されたが、取締役会は株主からの批判に耳をふさいだ。
その間隙を縫おうとしたのがグーグルだ。ヤフーとネット広告で業務提携を図り、マイクロソフト対グーグル/ヤフーという対立構図も生まれかかった。しかし、成立すればネット広告の9割を押さえるグーグルとヤフーの提携にネット業界全体が懸念を表明、議会も連邦政府機関も首を縦に振らなかった。結局、グーグルは交渉難航に恐れをなして、提携合意を解消した。
こうした一連の経緯でもっとも不満を募らせたのは、ヤフーに投資している株主だった。もし、ヤン氏がいなければ、ヤフーは現在の3倍以上の株価でマイクロソフトに買収されていただろう。特に、大株主のカール・アイカーン氏は、マイクロソフトと手を取り合って、なんとかヤフー・マイクロソフト陣営を構築し株価を回復させようと狙っていただけに、強い不満を表明した。
■ヤン氏への厳しい風当たり
17日夕方、ヤン氏は従業員にCEO辞任を知らせるメールを送った。それはすぐさま、ネット系ニュース「All-D(All Things Digital)」に転載された。手紙は、大文字をまったく使わないヤン氏流の文体で「CEOを辞任する」「次のCEO探しに、自分も参加する」「候補は社内・社外から探す(社内登用には投資家が反発している)」といった内容が淡々と綴られている。また「取締役会から頼まれたので自分はCEOに復帰した」「18カ月前より現在のヤフーは良くなっている」といった責任逃れや苦しまぎれの表現も散見された。 何度か読み返したが、従業員へのねぎらいの言葉はほとんどなく、もちろん株主への謝罪もなかった。逆に「自分は取締役に残る」とともに、「チーフ・ヤフーのタイトルに復帰」して同社の戦略面を今後も指導すると、経営への積極的な意欲を示している。
このメールが掲載されたAll-Dには、読者からの様々なコメントがついている。あるコメントは「ヤン氏の個人的エゴ(マイクロソフト嫌い)によって株主に多大な被害を与えた」と非難していた。また「ヤフーをまだ支配するのか。さっさと経営から遠ざかってもらいたい」という指摘もあった。コメントを最後まで読み進めても、ヤン氏を支援する内容には1件も出会わなかった。
こうした反応は、同社を取り巻く状況をよく反映している。筆頭株主であるヤン氏には「ヤフーは自分の会社」という意識がある。これは以前から様々な専門家が指摘してきたことだ。そのためヤフーは経営トップの育成に苦しんできた。読者のコメントが示すとおり、株式を公開している企業のCEOとしてのヤン氏の経営手腕に対し、株主は失望と今後の懸念をあらわにしている。
■ヤフー復活には「ビジョン」が必要
サーチエンジンや広告システムの世代交代、技術革新に余念がないグーグルに比べると、ヤフーの技術開発力、サービス開発力は目を覆いたくなるほど弱体化している。すべての経営資源をモバイルに集中させ、その他のサービスがなおざりになっていることは、私のような一般ユーザーでさえ感じている。
グーグルやアップル、IBMやHPなどは、2010年以降の戦略を懸命に模索している。それはポスト・インターネット、ポスト・ウェブの世界でもある。しかし、いまのヤフーにはそうしたビジョンは感じられない。いや、かたくなに情報を提供するためのホームページ(携帯ブラウザーを含む)に閉じこもっている。
しかし、ヤフーのホームページ情報に匹敵するネットサービスは、ちょっとしたマッシュアップサイトを探せば容易に見つけ出せるのも事実だ。ヤフーの情報サービスは、昔ほどの競争力を持っていない。今後も情報提供型のホームページ・ビジネスに固執すれば──いや、もしジェリー・ヤン氏のビジョンがそうあれば「時代の変化に遅れを取っている」と言えるだろう。
ヤン氏が経営の一線から退くタイミングは、遅すぎたかもしれない。ヤフーが復活するには、新たなビジョンを提供できる経営トップが欠かせない。しかし、強い経営意欲を示すヤン氏の下に、ビジョンをもった敏腕経営者が来たがらないのも事実だろう。以前、シリコンバレーで開催される展示会にはヤフーのブースが必ずあった。常に同社は優秀な人材を捜し求めていた。しかし、最近は展示会から姿を消し、人材が流出することはあっても、優秀な人材がヤフーにいくことはない。
◇ ◇ ◇
ヤン氏がCEOを退けば、再びマイクロソフトとの買収交渉が始まると指摘するメディアは多い。一方、マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOは、サーチエンジン部門の部分買収なら応じるだろうとの観測もある。いずれにせよ、マイクロソフトにとって、今のヤフーは以前ほどの魅力を放っていない。ヤフーは自力再生を主張するが、専門家はそうした時期は過ぎ去ったと見ている。
現在のヤフーを見ると、つい思い出すのはネットスケープ・コミュニケーションズのことだ。ブラウザーのネットスケープ・ナビゲーターを開発した同社は、インターネットの黎明期をリードした。マイクロソフトとのブラウザー戦争という不幸があったとはいえ、同社の経営はやがて迷走し、1999年にAOLとサン・マイクロシステムズの三者買収によって姿を消した。
大恐慌以来と言われる厳しい経済環境に突入しようとしている現在、シリコンバレーは大量解雇の嵐におののいている。状況が悪化すればするほど、ヤフー、いやジェリー・ヤン氏に残された選択肢は少なくなっていくだろう。
GMの一部取締役、破産法含め検討の声も 米紙報道
経営難から政府支援を要請中の米ゼネラル・モーターズ(GM)で、複数の取締役が米連邦破産法の申請も含めた抜本策の検討に前向きになっていることが明らかになった。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が22日報じた。GMは破産法による再建について「選択肢にはない」と説明し続けているが、政府支援は月内に決まる見通しがたっていない。資金繰り懸念が高まる中、政府支援の行方とともに経営陣の判断が焦点になってきた。
同紙は消息筋の話として、複数の取締役が破産法の適用申請も含めた「すべての選択肢」を検討する意思があると伝えた。GMは経営不安が再燃した今夏以降、リチャード・ワゴナー会長らが破産法申請について「選択肢にない」と強調。今週の米上下両院の公聴会でもワゴナー会長が破産法申請の可能性を改めて否定していた。
米ジョージア州のコミュニティ銀が破綻 08年で20行目
米連邦預金保険公社は21日、ジョージア州のコミュニティバンク(ローガンヴィル)の業務停止を発表した。米銀の破綻は今年20行目。同行の預金は別の地銀が引き継ぐ。(ワシントン支局)
高級食材の需要に陰り 国産牛やフグの卸値下落
高級食材の需要に陰りが出てきた。国産高級牛肉やフグは軒並み値下がりしている。マスクメロンの売り上げも振るわない。金融危機が実体経済に波及して景況感が悪化するなか、消費者の節約志向が強まっている。
百貨店などで売られる国産高級牛肉の卸値は東京市場で現在、1キロ1800―2000円台と前年同期に比べて約1割安い水準だ。都内の百貨店でもすき焼きなどに使う和牛肩ロースが100グラム1200―1800円程度と、前年同期を5―10%下回る。
AIG資産売却、各地で交渉始動 中国系、アリコに食指
経営難に陥った米アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の資産売却交渉が世界各地で動き出した。日本で生保事業を展開する米アリコについては中国の政府系ファンド、中国投資有限責任公司(CIC)に最大49%の株式を売却する方向で交渉に入った。日本の生保子会社やアジア各地の子会社でも売却準備が具体化している。AIGを軸に世界の業界地図が塗り替わる可能性が出てきた。
アリコは日本をはじめ欧米、中東など世界55カ国以上で生保事業を展開している。CICは中国の保険会社と投資連合を組んで出資する方向。交渉がまとまれば世界各地に足がかりを築くことができ、生保の世界での存在感が、一気に高まる可能性もある。
元次官宅襲撃 宅配各社「影響が心配」
元厚生事務次官ら連続殺傷事件で、犯人が宅配便業者を装って犯行に及んだことを巡り、宅配各社が業務への影響を懸念している。事件の解決が長引けば受取人が業者が本物かどうかを警戒し、家のドアを開けないなど配達に支障が出る恐れがある。大手各社は全国の営業所に通達を出すなどして、利用者の不安解消に取り組んでいる。
「宅配便と聞いてドアを開けるのが怖くなる」。元次官の山口剛彦さん(66)と妻の美知子さん(61)が殺害されたさいたま市南区の自宅近くに住む主婦(61)は不安を口にする。帽子と作業着姿で荷物を抱えていれば、正規の宅配業者と配達を装った者との見分けはつきにくい。事件は日常生活の慣れにつけ込んだ犯罪の怖さを、結果的に際立たせた。
【東京新聞社説】
APEC 保護主義と戦う決意を
2008年11月22日
アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が二十二日から、ペルーのリマで開かれる。金融危機が世界的な景気後退を招く中、各国はあらためて保護主義の誘惑と戦う姿勢が不可欠だ。
今回の景気後退がいかに深刻か。地域的な広がりと急激な落ち込み幅が物語っている。国際通貨基金(IMF)は今月初め、ひと月前に発表したばかりの経済見通しを緊急に大幅下方修正した。
それによると、日米欧の先進国は二〇〇九年、そろってマイナス成長に転落する。これは戦後初めての事態だ。新興・途上国も軒並み減速し、世界全体では2・2%成長にとどまる。今後の展開次第で、この数字さえも実現できるかどうか怪しい。
保護主義は経済が危機的状況に陥ったときに、台頭する。輸出を拡大し輸入を抑えるために、関税引き上げとまではいかなくても、引き下げに抵抗する、為替を自国通貨安に誘導する。景気後退の打撃を和らげようと、他国を犠牲にしても、自国利益を最優先する誘惑にかられるのである。
経営危機に陥ったビッグスリーと呼ばれる自動車三社を米国政府が支援するかどうか、ヤマ場を迎えているが、一歩間違えると、これも世界貿易機関(WTO)協定違反という形で保護主義への傾斜を促しかねない。
保護主義はいったん芽生えると、相乗作用を生んで、坂道を転落するように勢いがつく。各国は苦しいときこそ、足並みをそろえて危機と景気後退に対処する姿勢をしっかりと確認すべきだ。
アジア太平洋地域の国と地域からなるAPECは日本、中国、韓国など金融危機の打撃が比較的少なく、世界の成長センターとしても期待が高まっている。今回はAPECが世界経済を支える役割をアピールする機会でもある。
交渉が難航している新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)についても、APECの役割は重要だ。世界の国内総生産(GDP)の約六割を占める加盟国が互いに譲るべきは譲って、協調姿勢を強めれば、交渉を前進させるきっかけになる。
先進国は新興・途上国の声に耳を傾け、食料生産力やエネルギー利用効率の向上など、互いに協力、支援できる分野で連携を強めていく必要がある。
先進国であると同時に、アジアの一員でもある日本は、新興・途上国との橋渡し役を積極的に果たしていかねばならない。
ノキアが日本で携帯電話事業参入、3月からサービス開始
携帯端末メーカー世界最大手のノキア(本社・フィンランド)が来年2月にも国内の携帯電話事業に参入することが21日、明らかになった。
携帯端末メーカー自体が通信事業に乗り出すのは国内初のケースだ。当初は超高級端末のみの投入だが、自前の端末で独自の通信サービス事業を展開することで、既存の国内通信事業者にない強みを発揮する。ノキアの通信事業参入は、NTTドコモなど国内大手3社が中心の携帯電話ビジネスに風穴を開けるきっかけとなりそうだ。
ノキアは、ドコモから通信回線を借りてサービスを提供する「MVNO(仮想移動体通信事業者)」として参入する。来年2月に端末の販売を開始し、3月からサービスを開始する方向でドコモと最終調整している。月内にも発表する。
ノキアは第1弾として高級ブランド「ヴァーチュ」の端末を販売し、富裕層を対象にした高級携帯サービスを展開する。今回の参入でブランドイメージを高めたうえで、将来は価格の安い量産モデルを投入する。携帯端末をドコモなどに提供する分も含め、日本市場でのシェア(占有率)を2けたまで伸ばすことを目指すとみられる。
ヴァーチュはチタンや金などの貴金属、高級ガラスなどを使った高級仕様で、世界約50か国で販売されている。日本に当初投入する携帯端末の価格は160万~500万円の見込みだ。ボタンを押すと専門の担当者につながり、飛行機やホテルやレストランの予約などの要望に24時間応える「コンシェルジュ」サービスのほか、音楽やニュースなどの独自配信も計画している。
通信料金もノキア側が独自に設定する。独自に販売網を構築し、来年初めに東京・銀座に第1号店を出店後、順次、大阪や名古屋など全国に広げていく計画だ。
ただ、ドコモのインターネット接続サービス「iモード」や、携帯向け地上デジタル放送「ワンセグ」などのサービスはない。
日本の携帯電話ビジネスは、端末の仕様から販売、アフターサービスまで細かくドコモやKDDIなどの通信事業者が決めているため、どの事業者の端末でも機能や料金、サービスが似通っている。
ノキアが通信事業者として新サービスを展開すれば、国内携帯市場は新たな競争時代に突入する可能性がある。
2025年「米の圧倒的優位弱まる」 CIAなど展望
【ワシントン=弟子丸幸子】米中央情報局(CIA)などで組織する国家情報会議(NIC)は20日、2025年の世界情勢を展望する報告書を発表した。米国について「圧倒的優位が弱まる」とし、超大国ではなくなることを自ら認めた。中国が世界第二の経済大国に成長するなど、「富は西洋から東洋に移り、多極化した世界になる」と分析した。
「変貌(へんぼう)した世界」と題した120ページの報告書は、2025年までに世界は新興国の台頭と経済のグローバル化により、「第2次世界大戦後に生まれた国際体制は、ほぼ跡形もなくなる」と予見した。通貨ドルに関して「ドルの国際的な役割は衰え、複数の基軸通貨が並立するなかでの筆頭格となる可能性が高い」と指摘した。
「世界に最も影響を与える国」は中国になると展望。「世界最大の資源輸入国、そして最大の汚染国になるかもしれない」と指摘した。日本は「米中の経済力や戦略の影響を大きく受ける」とし、外交戦略の見直しを迫られるという厳しい見方を示している。
米シティが日本でも人員削減 日興コーデ、40歳以上で希望退職
株価の急落に直面する米シティグループが日本でも追加的な人員削減に乗り出すことが明らかになった。傘下の個人向け証券大手、日興コーディアル証券が40歳以上の幹部を含む従業員を対象に、希望退職の募集を始めた。米国の大手金融機関の経営不安が、日本の雇用に直接波及してきた。
日興コーディアルの従業員は約7000人。来年3月末時点で40歳以上となる人が対象となる。応募期間は12月上旬までで、人数の目標は定めない。年収の2倍程度の割増退職金を支払う方針。法人向け証券大手の日興シティグループ証券も今年に入って従業員数の1割に当たる人員を段階的に減らしたが、ここにきて投資銀行部門などで追加的な削減を進めている。
米シティは世界的な金融不安に直撃され、全世界で約5万人の従業員の削減に乗り出している。シティは今年1月に日興グループを完全子会社化し、日本での金融ビジネスの強化に乗り出したばかり。世界的な金融不安に直撃され、短期間で日本での規模縮小を迫られた。
朝日新聞社が初の赤字決算、新聞事業が不振
朝日新聞社が21日発表した2008年9月中間連結決算は、広告収入の落ち込みや販売部数の減少など新聞事業の不振で、売上高が前年同期比4・4%減の2698億円、営業利益が5億円の赤字(前年同期は74億円の黒字)となった。
税引き後利益は、保有するテレビ朝日株の売却損などで44億円を計上した結果、103億円の赤字(前年同期は47億円の黒字)となった。
売上高は中間決算としては4期連続の減収で、営業赤字、税引き後赤字は中間決算の作成を始めた2000年9月以降、初めて。
ホンダ、日米欧で8万9000台の追加減産
ホンダは21日、日米欧で今月から来年3月末までに計8万9000台を追加減産すると発表した。すでに欧米で6万台減産することを公表しており、今年度の減産規模は期初計画の5%に当たる約15万台となる。世界的な金融不安の影響で自動車販売の不振が長引いていることに対応する。
追加減産のうち国内は4万台。埼玉製作所で製造する欧米向けセダン「アコード」などが対象車種で、休日稼働の取りやめや稼働速度の調整などで生産量を引き下げる。
英国工場では、小型車「シビック」とSUV(スポーツ用多目的車)「CR-V」の生産を来年2月から3月にかけて2カ月休止し、3万1000台減産。この結果、今期の欧州生産台数は当初計画比約2割減の17万5000台と大幅に落ち込む。北米3工場についても、1万8000台の減産に踏み切る。
東京のタクシー、14年ぶり減少へ 08年度 利用不振など響く
規制緩和で増え続けてきた東京都内のタクシー台数が14年ぶりに減ることが確実になった。関東運輸局調べの9月末の台数は5万5141台と、半年前より743台減少。利用不振からタクシー会社が減車に乗り出した上、政府が7月から増車審査を厳しくしたためで、2008年度末に前年水準を上回るのは厳しい状況だ。
政府は09年度に新規参入などの規制を一段と強化する方針で、タクシー会社の競争意識が薄れ、サービスが低下する恐れがある。
伊藤忠食品、食品在庫をネット通販 35社と組みサイト
伊藤忠食品はメーカーが抱える食品の在庫をネット通販会社に卸売りする事業を始める。大手製めん会社や大手飲料メーカーなど35社が参加してスタート。消費者はネット通販サイトなどを通じ、大手メーカーの商品を通常価格より2―3割安く手に入れることができる。景気後退でかさみがちな在庫を処理すると同時に、消費者の低価格志向に応える。
25日に企業間取引用サイト「Eco―モッタイナイ.com」を立ち上げる。サイト運営などでオークネットと協力する。食品各社が商品の改廃や販売不振であまった商品を出品。サイトを訪問したネット通販業者が商品を買い取って販売。一般消費者はディスカウント店などに出かけずに、多様な割安商品をネット上で購入できる。
バイオ後発薬、参入相次ぐ 日本ケミカル、国内初の承認申請
中堅製薬各社は、特許が切れたバイオ医薬品と似た製法で作った「バイオ後発薬」の事業化に乗り出す。バイオ医薬品を手掛ける日本ケミカルリサーチ(JCR)は21日、国内初のバイオ後発薬の製造販売承認を厚生労働省に申請した。富士製薬工業も2013年をめどに発売する。既存薬に比べ割高なバイオ医薬品の価格が1―2割安くなるとみられる。既存の医薬品市場の伸びが頭打ちとなる中、成長が見込めるバイオ後発薬に参入することで生き残りを模索する。
武田薬品工業など大手製薬会社は抗体医薬などバイオ医薬品の創薬技術を獲得するため、数千億円を投じて海外のバイオベンチャー買収に動いている。資金力で劣る中堅製薬各社は、大手のバイオ医薬品の後発薬を低価格販売することで対抗する戦略だ。
東アジアの金融安定、監視強化へ常設機関
日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)は各国のマクロ経済や為替政策、金融監督体制を調査・監視するための常設機関を創設する検討に入る。経済運営の問題点を早期に発見して是正を促す政策で協調し、金融危機の再発を防ぐのが狙い。緊急時に各国が外貨を融通し合う通貨交換(スワップ)協定「チェンマイ・イニシアチブ」の事務局的な機能を持たせることも検討し、東アジアの経済安定につなげる。
12月中旬に日中韓とASEANがタイで開く首脳会議で政策監視機関を具体的に検討することで大筋合意する見通し。機関にはマクロ経済や金融の専門家を集める。アジア開発銀行などの国際機関内に設ける案や、独立の機関として設立する案が浮上している。
アブダビ発電事業、丸紅と大ガスが出資へ 欧州勢は資金難
【アブダビ=松尾博文】アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの発電造水事業に、丸紅と大阪ガスが出資する方向で交渉していることが明らかになった。当初予定していた欧州企業の資金調達が金融危機で難しくなったため、アブダビ側から要請を受け日本政策金融公庫の国際金融部門である国際協力銀行が中心となって2000億円超を融資する。中東産油国の大型事業を巡り、主導権が欧米勢から日本企業に切り替わる動きが出てきた。
対象は2011年をめどにアブダビ西方のシュワイハットに出力150万キロワットの発電設備と日量1億ガロンの海水淡水化設備を建設、20年以上運営する事業。アブダビの発電能力の15%を占める。
日米株安連鎖 GM救済の迷走が落とす影(11月22日付・読売社説)
経営危機に陥った米自動車大手3社(ビッグスリー)の救済策が迷走し、日米などの株価が乱高下する深刻な事態を招いている。
米国議会は、政府による救済を要請していたゼネラル・モーターズ(GM)などビッグスリーへの支援法案採決を先送りした。
一方、オバマ次期大統領は、自動車業界に対する支援の必要性を強調しているが、新政権の発足まで2か月もある。
ビッグスリーの再建は、時間との戦いになってきた。
支援法案を議会に提出したのは民主党である。年末にも手元資金が枯渇しかねないGMなどに運転資金を融資する内容だ。民主党はすぐにも採決したい意向だったが、共和党が抵抗した。
公的資金でビッグスリーを当座救済しても、自動車の売れ行き自体が不振で、経営再建の道筋を描き切れない――。共和党はこう指摘し、安易な救済を批判した。
両党の主張は平行線をたどり、結局、法案採決は12月に再び開催される公聴会後とされた。
ビッグスリーの経営危機は、低燃費の小型車開発の遅れなど、経営戦略の失敗にある。高コスト構造の改革も不十分だった。
ビッグスリーが来月、議会に提出する再建計画は、こうした点を反省し、思い切った追加リストラ策や魅力ある車作りなど、説得力のある戦略をどこまで打ち出せるかが焦点となる。
再建計画が不十分とされた場合は、公的資金による救済が見送られ、日本の民事再生法に相当する連邦破産法11章の適用が視野に入る恐れがある。
そうなれば、ニューヨーク株式市場の株価はさらなる下落が必至だ。ビッグスリーの動向を市場は固唾(かたず)をのんで見守っている。
米経済の不透明感が一段と強まる中で、日本の株式市場も不安定さを増している。
東京市場の平均株価は、10月下旬にバブル後の最安値を更新した後、日米の利下げなどを好感して9000円台を回復した。
ところが、今週は3日続落して7000円台に落ち込み、4日ぶりに反発した21日も、8000円台を回復できなかった。
割安感を手がかりに、個人などの買いは入っているが、相場の本格回復にはまだまだ力不足だ。
海外要因が多く、対応は難しいが、政府・日銀は、株価の底割れを防ぐため、景気下支え策の早期実施と金融システムの安定に、手を尽くさねばならない。
携帯端末メーカー世界最大手のノキア(本社・フィンランド)が来年2月にも国内の携帯電話事業に参入することが21日、明らかになった。
携帯端末メーカー自体が通信事業に乗り出すのは国内初のケースだ。当初は超高級端末のみの投入だが、自前の端末で独自の通信サービス事業を展開することで、既存の国内通信事業者にない強みを発揮する。ノキアの通信事業参入は、NTTドコモなど国内大手3社が中心の携帯電話ビジネスに風穴を開けるきっかけとなりそうだ。
ノキアは、ドコモから通信回線を借りてサービスを提供する「MVNO(仮想移動体通信事業者)」として参入する。来年2月に端末の販売を開始し、3月からサービスを開始する方向でドコモと最終調整している。月内にも発表する。
ノキアは第1弾として高級ブランド「ヴァーチュ」の端末を販売し、富裕層を対象にした高級携帯サービスを展開する。今回の参入でブランドイメージを高めたうえで、将来は価格の安い量産モデルを投入する。携帯端末をドコモなどに提供する分も含め、日本市場でのシェア(占有率)を2けたまで伸ばすことを目指すとみられる。
ヴァーチュはチタンや金などの貴金属、高級ガラスなどを使った高級仕様で、世界約50か国で販売されている。日本に当初投入する携帯端末の価格は160万~500万円の見込みだ。ボタンを押すと専門の担当者につながり、飛行機やホテルやレストランの予約などの要望に24時間応える「コンシェルジュ」サービスのほか、音楽やニュースなどの独自配信も計画している。
通信料金もノキア側が独自に設定する。独自に販売網を構築し、来年初めに東京・銀座に第1号店を出店後、順次、大阪や名古屋など全国に広げていく計画だ。
ただ、ドコモのインターネット接続サービス「iモード」や、携帯向け地上デジタル放送「ワンセグ」などのサービスはない。
日本の携帯電話ビジネスは、端末の仕様から販売、アフターサービスまで細かくドコモやKDDIなどの通信事業者が決めているため、どの事業者の端末でも機能や料金、サービスが似通っている。
ノキアが通信事業者として新サービスを展開すれば、国内携帯市場は新たな競争時代に突入する可能性がある。
2025年「米の圧倒的優位弱まる」 CIAなど展望
【ワシントン=弟子丸幸子】米中央情報局(CIA)などで組織する国家情報会議(NIC)は20日、2025年の世界情勢を展望する報告書を発表した。米国について「圧倒的優位が弱まる」とし、超大国ではなくなることを自ら認めた。中国が世界第二の経済大国に成長するなど、「富は西洋から東洋に移り、多極化した世界になる」と分析した。
「変貌(へんぼう)した世界」と題した120ページの報告書は、2025年までに世界は新興国の台頭と経済のグローバル化により、「第2次世界大戦後に生まれた国際体制は、ほぼ跡形もなくなる」と予見した。通貨ドルに関して「ドルの国際的な役割は衰え、複数の基軸通貨が並立するなかでの筆頭格となる可能性が高い」と指摘した。
「世界に最も影響を与える国」は中国になると展望。「世界最大の資源輸入国、そして最大の汚染国になるかもしれない」と指摘した。日本は「米中の経済力や戦略の影響を大きく受ける」とし、外交戦略の見直しを迫られるという厳しい見方を示している。
米シティが日本でも人員削減 日興コーデ、40歳以上で希望退職
株価の急落に直面する米シティグループが日本でも追加的な人員削減に乗り出すことが明らかになった。傘下の個人向け証券大手、日興コーディアル証券が40歳以上の幹部を含む従業員を対象に、希望退職の募集を始めた。米国の大手金融機関の経営不安が、日本の雇用に直接波及してきた。
日興コーディアルの従業員は約7000人。来年3月末時点で40歳以上となる人が対象となる。応募期間は12月上旬までで、人数の目標は定めない。年収の2倍程度の割増退職金を支払う方針。法人向け証券大手の日興シティグループ証券も今年に入って従業員数の1割に当たる人員を段階的に減らしたが、ここにきて投資銀行部門などで追加的な削減を進めている。
米シティは世界的な金融不安に直撃され、全世界で約5万人の従業員の削減に乗り出している。シティは今年1月に日興グループを完全子会社化し、日本での金融ビジネスの強化に乗り出したばかり。世界的な金融不安に直撃され、短期間で日本での規模縮小を迫られた。
朝日新聞社が初の赤字決算、新聞事業が不振
朝日新聞社が21日発表した2008年9月中間連結決算は、広告収入の落ち込みや販売部数の減少など新聞事業の不振で、売上高が前年同期比4・4%減の2698億円、営業利益が5億円の赤字(前年同期は74億円の黒字)となった。
税引き後利益は、保有するテレビ朝日株の売却損などで44億円を計上した結果、103億円の赤字(前年同期は47億円の黒字)となった。
売上高は中間決算としては4期連続の減収で、営業赤字、税引き後赤字は中間決算の作成を始めた2000年9月以降、初めて。
ホンダ、日米欧で8万9000台の追加減産
ホンダは21日、日米欧で今月から来年3月末までに計8万9000台を追加減産すると発表した。すでに欧米で6万台減産することを公表しており、今年度の減産規模は期初計画の5%に当たる約15万台となる。世界的な金融不安の影響で自動車販売の不振が長引いていることに対応する。
追加減産のうち国内は4万台。埼玉製作所で製造する欧米向けセダン「アコード」などが対象車種で、休日稼働の取りやめや稼働速度の調整などで生産量を引き下げる。
英国工場では、小型車「シビック」とSUV(スポーツ用多目的車)「CR-V」の生産を来年2月から3月にかけて2カ月休止し、3万1000台減産。この結果、今期の欧州生産台数は当初計画比約2割減の17万5000台と大幅に落ち込む。北米3工場についても、1万8000台の減産に踏み切る。
東京のタクシー、14年ぶり減少へ 08年度 利用不振など響く
規制緩和で増え続けてきた東京都内のタクシー台数が14年ぶりに減ることが確実になった。関東運輸局調べの9月末の台数は5万5141台と、半年前より743台減少。利用不振からタクシー会社が減車に乗り出した上、政府が7月から増車審査を厳しくしたためで、2008年度末に前年水準を上回るのは厳しい状況だ。
政府は09年度に新規参入などの規制を一段と強化する方針で、タクシー会社の競争意識が薄れ、サービスが低下する恐れがある。
伊藤忠食品、食品在庫をネット通販 35社と組みサイト
伊藤忠食品はメーカーが抱える食品の在庫をネット通販会社に卸売りする事業を始める。大手製めん会社や大手飲料メーカーなど35社が参加してスタート。消費者はネット通販サイトなどを通じ、大手メーカーの商品を通常価格より2―3割安く手に入れることができる。景気後退でかさみがちな在庫を処理すると同時に、消費者の低価格志向に応える。
25日に企業間取引用サイト「Eco―モッタイナイ.com」を立ち上げる。サイト運営などでオークネットと協力する。食品各社が商品の改廃や販売不振であまった商品を出品。サイトを訪問したネット通販業者が商品を買い取って販売。一般消費者はディスカウント店などに出かけずに、多様な割安商品をネット上で購入できる。
バイオ後発薬、参入相次ぐ 日本ケミカル、国内初の承認申請
中堅製薬各社は、特許が切れたバイオ医薬品と似た製法で作った「バイオ後発薬」の事業化に乗り出す。バイオ医薬品を手掛ける日本ケミカルリサーチ(JCR)は21日、国内初のバイオ後発薬の製造販売承認を厚生労働省に申請した。富士製薬工業も2013年をめどに発売する。既存薬に比べ割高なバイオ医薬品の価格が1―2割安くなるとみられる。既存の医薬品市場の伸びが頭打ちとなる中、成長が見込めるバイオ後発薬に参入することで生き残りを模索する。
武田薬品工業など大手製薬会社は抗体医薬などバイオ医薬品の創薬技術を獲得するため、数千億円を投じて海外のバイオベンチャー買収に動いている。資金力で劣る中堅製薬各社は、大手のバイオ医薬品の後発薬を低価格販売することで対抗する戦略だ。
東アジアの金融安定、監視強化へ常設機関
日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)は各国のマクロ経済や為替政策、金融監督体制を調査・監視するための常設機関を創設する検討に入る。経済運営の問題点を早期に発見して是正を促す政策で協調し、金融危機の再発を防ぐのが狙い。緊急時に各国が外貨を融通し合う通貨交換(スワップ)協定「チェンマイ・イニシアチブ」の事務局的な機能を持たせることも検討し、東アジアの経済安定につなげる。
12月中旬に日中韓とASEANがタイで開く首脳会議で政策監視機関を具体的に検討することで大筋合意する見通し。機関にはマクロ経済や金融の専門家を集める。アジア開発銀行などの国際機関内に設ける案や、独立の機関として設立する案が浮上している。
アブダビ発電事業、丸紅と大ガスが出資へ 欧州勢は資金難
【アブダビ=松尾博文】アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの発電造水事業に、丸紅と大阪ガスが出資する方向で交渉していることが明らかになった。当初予定していた欧州企業の資金調達が金融危機で難しくなったため、アブダビ側から要請を受け日本政策金融公庫の国際金融部門である国際協力銀行が中心となって2000億円超を融資する。中東産油国の大型事業を巡り、主導権が欧米勢から日本企業に切り替わる動きが出てきた。
対象は2011年をめどにアブダビ西方のシュワイハットに出力150万キロワットの発電設備と日量1億ガロンの海水淡水化設備を建設、20年以上運営する事業。アブダビの発電能力の15%を占める。
日米株安連鎖 GM救済の迷走が落とす影(11月22日付・読売社説)
経営危機に陥った米自動車大手3社(ビッグスリー)の救済策が迷走し、日米などの株価が乱高下する深刻な事態を招いている。
米国議会は、政府による救済を要請していたゼネラル・モーターズ(GM)などビッグスリーへの支援法案採決を先送りした。
一方、オバマ次期大統領は、自動車業界に対する支援の必要性を強調しているが、新政権の発足まで2か月もある。
ビッグスリーの再建は、時間との戦いになってきた。
支援法案を議会に提出したのは民主党である。年末にも手元資金が枯渇しかねないGMなどに運転資金を融資する内容だ。民主党はすぐにも採決したい意向だったが、共和党が抵抗した。
公的資金でビッグスリーを当座救済しても、自動車の売れ行き自体が不振で、経営再建の道筋を描き切れない――。共和党はこう指摘し、安易な救済を批判した。
両党の主張は平行線をたどり、結局、法案採決は12月に再び開催される公聴会後とされた。
ビッグスリーの経営危機は、低燃費の小型車開発の遅れなど、経営戦略の失敗にある。高コスト構造の改革も不十分だった。
ビッグスリーが来月、議会に提出する再建計画は、こうした点を反省し、思い切った追加リストラ策や魅力ある車作りなど、説得力のある戦略をどこまで打ち出せるかが焦点となる。
再建計画が不十分とされた場合は、公的資金による救済が見送られ、日本の民事再生法に相当する連邦破産法11章の適用が視野に入る恐れがある。
そうなれば、ニューヨーク株式市場の株価はさらなる下落が必至だ。ビッグスリーの動向を市場は固唾(かたず)をのんで見守っている。
米経済の不透明感が一段と強まる中で、日本の株式市場も不安定さを増している。
東京市場の平均株価は、10月下旬にバブル後の最安値を更新した後、日米の利下げなどを好感して9000円台を回復した。
ところが、今週は3日続落して7000円台に落ち込み、4日ぶりに反発した21日も、8000円台を回復できなかった。
割安感を手がかりに、個人などの買いは入っているが、相場の本格回復にはまだまだ力不足だ。
海外要因が多く、対応は難しいが、政府・日銀は、株価の底割れを防ぐため、景気下支え策の早期実施と金融システムの安定に、手を尽くさねばならない。
「折りたたみのNEC」からチェンジ 秋冬商戦メーカー編(COLUMN)
携帯電話の秋冬商戦モデルが出そろったなか、メーカー別に見て最も「変化」を感じたのがNECの端末だ。これまでの折りたたみ一辺倒から脱却し、ハイスペックモデル「N-01A」ではフルタッチパネル、テンキーと横画面の併用、従来からの縦画面という3つのスタイルを使い分けられる機構を採用した。
NECが折りたたみ機構を構想してから20年。NTTドコモから4機種を出す今秋冬商戦は再起をかけるNECにとって大きな節目となりそうだ。
■首位奪還を狙う「クリエイティブスタジオ」
NECが頂点を極めたのは「iモード」全盛時代と重なる。「メールやiモードコンテンツを大画面で見たい」というユーザーの要求に折りたたみケータイがマッチした。同社初のカラー液晶搭載「N502it」、iアプリ対応「N503i」などは空前の大ヒットとなった。
これにより業界では「折りたたみでないと売れない」が定説となり、他メーカーとも一斉に追随した。ケータイ売場は折りたたみ機種ばかりになり、先駆者であるNECはトップシェアを獲得した。
だが、首位となったNECは保守的な端末開発にシフトしていく。目新しい機種を出すことなく、いつしか、シャープにその座を奪われることとなる。結果、いまではシャープの牙城が築かれ、NECは下位に沈んでしまった。
そこで2006年7月、トップシェア奪還に向け、NEC社内に設立されたのが「クリエイティブスタジオ」だった。ライバル会社からデザイナーを引き抜き、これまでとは違った組織体制でケータイを開発するプロジェクトが発足したのだった。
■伊デザイナーと共同開発した「N904i」
だが、新たな組織を作っても、すぐに成果が表れるわけではない。端末開発は発売の2年近く前から行われていることもあり、新製品に対してやれることは限られるからだ。
実際にクリエイティブスタジオの成果が出たのは2007年5月発売の「N904i」からとなる。イタリアの大物デザイナー、ステファノ・ジョバンノーニ氏とのコラボレーションモデルとして投入し、クリエイティブスタジオは主に本体カラーの調整やプロモーション計画に従事した。
クリエイティブスタジオが本格的に端末開発にタッチしたのは「N905i」からとなる。折りたたみ式は通常、上と下で同じかたちのものを重ねて折りたたむという設計が一般的だが、N905iでは違う形状にするという取り組みを行った。
当時、ワンセグの人気によって「AQUOS」や「BRAVIA」といった家電メーカーブランドケータイが相次いで登場してきていたが、NECはやはりパソコンメーカーというイメージが強い。そこで、テンキー部分にパソコンのキーボードのようにしっかりとした感覚のあるキーを採用し、パソコンのような横画面を意識したデザインに仕上げた。
■2年かけ、折りたたみを脱却
そして、クリエイティブスタジオ設立から2年余りが経過し、彼らが満を持して投入するのが、今回のN-01Aだ。
佐藤敏明チーフクリエイティブディレクターは「ユーザーがメディアと対話するスタイルが変わりつつある。これまでは限られた相手へのアクセスが中心だったが、いまでは常に情報に接している状態にある」と開発の背景を語る。
これまでの折りたたみケータイはまさに限られた相手へのアクセスに適した形状だったという。折りたたみを開くのは、本やラブレターを開く感覚とよく似ている。必要なときに人から見られないようにこっそりと開いて情報を見るという世界だ。
しかし、いまではユーザーは常に情報に接し、自らも情報を発信する時代となっている。ウェブやSNSはパソコンで閲覧するが、他人が横からパソコンの画面をのぞき見してもあまり気にしない世界だ。
N-01Aが折りたたみではなく、ディスプレーが表に出ているのは、こっそり情報をやりとりするのではなく、いつでも情報を受け取り、すぐに自らも発信できる環境を実現するためである。
またN-01Aは片手の手のひらで使うことに徹底的にこだわり抜いた。タッチパネルを採用するが、iPhoneのように両手を使うことを前提にしては、日本市場では受け入れられない。片手はつり革、片手はケータイというような通勤スタイルでも快適に使えるためには片手ですべての操作が完結しなくてはならないのだ。
折りたたみは構想20年、製品化されて17年目のNECの定番であり、「画面を表に出すのに2年かかった」(佐藤氏)という。それだけ、NECにとって、N-01Aは社内的にも大きな変化であるのだ。
■「N-02A」は“究極”の折りたたみ
だが、NECは折りたたみを捨てたわけではない。もう一方で、“究極”の折りたたみケータイとして仕上げたのが、「N-02A」となる。
「こちらは17年目の集大成。『ザ・クラムシェル』を目指し、質感にもこだわった」(佐藤氏)。
NECはこれまで、アークラインと呼ばれる緩やかな曲線を描くモデルや、薄型折りたたみで人気を博してきた。それらをバージョンアップさせることで、究極の折りたたみケータイを実現したという。実際、触ってみると、本体は薄いながらもテンキーはかなり押しやすくなっている。従来機種と比べても差は歴然としている。
■衣食住の「食」を開拓
NECではこれまで数多くのコラボレーションモデルを手がけてきているが、今回の商戦ではフランスを代表するスイーツブランド「ピエール・エルメ・パリ」をテーマにした「N-03A」を用意した。
これまでのNECのコラボレーションモデルを分析すると、実は「衣食住」に分けることができる。「衣」はサマンサタバサモデルがあり、ファッション性として佐藤可士和モデルもここに位置づけられる。「住」はamadanaやフランフランモデルがある。今回のピエール・エルメは「食」の世界として、NECが先鞭をつけようとしている新しいカテゴリーなのだ。
「食は生活に一番近く、また気分転換のツールとして最適」(佐藤氏)という。スイーツという日常生活でちょっと幸せな気分になれる世界観をケータイに持ち込んだというわけだ。
ピエール・エルメは都内に5店舗しかないが、佐藤氏がパリで見つけて、自ら交渉して製品化した。キャリア主導ではなく、メーカーが責任を持ってキャリアに提案し採用に至ったとのことである。
4機種目の「N-04A」は、今年2月に発売されたamadanaモデルの後継機種となる。今回はNECでは初となるスライド機構を採用した。
N-04Aに対応したUSB接続のスピーカーもamadanaから発売される予定だ。「USBスピーカーはドコモショップでの販売になる予定」(佐藤氏)。つまり、ドコモショップがamadanaブランドの製品を扱うようになる。ケータイとブランドだけでなく、販売店もコラボレーションの一つに加わる形だ。
■Nケータイの「変革」が復活につながるか
昨今、新販売制度の悪影響によって、ケータイが売れない時代になりつつある。NECの山崎耕司執行役員は「端末価格が上がっているように見えるが、だからこそユーザーはこれまで以上に慎重にケータイ選びをするようになる。その時に、本当に製品の良さで選んでもらえるのがNであるはず」と新製品に自信を見せる。
大きく変革したNケータイをユーザーはどう受け止めるのか。N-01Aをはじめとする4つのラインアップがNEC復活のカギを握っている。
米シティに再編観測、部門売却や統合検討 米メディア報道
【ニューヨーク=松浦肇】米大手銀シティグループが証券大手ゴールドマン・サックスなどとの経営統合や部門売却を検討していると、複数の米メディアが20日報じた。金融危機で財務悪化懸念が強まり、再編を含む経営改革を迫られている。同日の米国市場ではシティなど金融株主導で株価が大幅に続落。金融危機の影響は個人消費など実体経済に波及したが、危機の根源である大手金融機関の経営不安が再び台頭、金融市場の混迷が一段と深まってきた。
シティは21日に取締役会を開き、経営統合や部門売却を含めた抜本的なリストラを検討するという。米メディアによると、ゴールドマンやモルガン・スタンレーなど大手金融機関との合併や資本提携のほか、クレジットカード事業や証券部門スミス・バーニーなどの部門売却も検討されるもよう。シティは一連の報道について「コメントしない」と答えた。
シティ株は過去1年間で84%下落。20日は前日比26%の急落で、5ドルを割り込んだ。米メディアによると、5ドル割れは米景気が低迷し金融機関が不動産融資の損失処理を迫られた後の1994年以来。
米ビッグ3支援、12月に結論先送り 再建計画踏まえ再審議
【ワシントン=大隅隆】リード米上院院内総務ら民主党幹部は20日の記者会見で、金融安定化法に基づく米自動車大手3社(ビッグスリー)向け支援の審議を凍結すると発表した。特定産業向け支援の拡大を懸念するブッシュ大統領、共和党の支持を得られず、法案成立が難しいと判断したため。12月初旬までに3社が提出する再建計画をふまえ再審議する。
民主党はビッグスリーの破綻を回避する方針を維持しているが、リード総務は「公聴会で経営トップは救済の必要性を説得できなかった」と説明。12月2日までにビッグスリーが再建計画を提出し「計画が適切であれば同8日の週から審議を始める」(ペロシ下院議長)とした。
民主・共和両党の超党派の妥協案も20日、ほぼ固まったが、支持は広がっていない。
ビッグスリー再建、「時間との勝負」に
【ワシントン=武類雅典】経営難のビッグスリー(米自動車大手3社)への政府支援策が固まらなかったことを受け、3社の経営は綱渡りの状況が続く見通しだ。当面の最優先課題は議会と政府を納得させるだけの事業計画を12月2日までに練ることだが、本業の不振は深刻で、手元資金は急減している。米政界を巻き込んだビッグスリーの再建は「時間との勝負」になった。
ゼネラル・モーターズ(GM)は20日夕に出した声明で、「米議会に提出する事業計画で『存続能力のあるGM』をお見せしたい。米国の納税者への説明責任を果たす」と強調した。フォード・モーターやクライスラーも同日、事業計画を提出する考えを示した。
18日と19日に開かれた上下両院の公聴会で、出席議員から経営姿勢への批判や再建への不安が続出しており、従来計画の焼き直しでは支持を集めることは難しい。GMなどは米議会に提出する事業計画の中に資産売却や人員削減などの追加リストラ策を盛り込む可能性もある。
11月の月例経済報告、基調判断2カ月連続で下方修正
与謝野馨経済財政担当相は21日夕、11月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。景気の基調については「弱まっている」としたうえで「世界経済が一段と減速するなかで、下押し圧力が急速に高まっている」と判断。足元の景気が急速に悪化していることを反映し、2カ月連続で下方修正した。
ただ、主要個別項目で下方修正したのは「輸出」だけで、先月の「緩やかに減少している」から「緩やかに」の文言を削除した。内閣府の内規では直近発表の経済指標は分析対象としないが、財務省が20日発表した10月の貿易統計で輸出額が減少したことを特別に反映し、2カ月連続で判断を引き下げた。
主要個別項目の引き下げが実質的にない中での総括判断の下方修正は極めて異例。内閣府は「非常時モード。データだけで見ると判断を間違える恐れがある」と説明し、急速に悪化する景気を注視する必要性を強調した。
iPhone 3Gが絵文字、ストリートビューに対応
アップルは、iPhone 3Gで絵文字が利用できるようになる最新ソフトウェアの提供を開始した。最新の本体ソフトウェアのバージョンは2.2。
iPhoneの絵文字対応は、10月30日に開催されたソフトバンクの発表会で予告されていたもの。SMSと、ソフトバンクが提供するiPhone専用のメールサービス「Eメール(i)」( ○○○@i.softbank.jp )で絵文字がサポートされ、これによりiPhoneとほかのソフトバンクユーザーとの間で、絵文字を含んだSMS・Eメールが送受信できるようになる。ほかのキャリアとの絵文字メールのやりとりは、今後順次対応される見込み。
最新バージョンのソフトウェアではこのほか、Google マップにおける「ストリートビュー」の表示に対応し、Safariの安定性が向上する。また、無線LANおよび3G回線によるポッドキャストのダウンロード機能が追加され、文字入力における自動修正機能のオン/オフが設定できるようになるなど、細かな修正・改善が含まれる。
トラック4社減産 人員削減2000人超に
国内トラック大手4社が減産に入る。最大手の日野自動車は小型トラックを中心に工場操業体制を見直して12月に減産に入るほか、三菱ふそうトラック・バス(川崎市)といすゞ自動車も近く実施する。減産幅(台数ベース)はいずれも当初計画比3割前後の見込み。減産に伴う非正規従業員の削減規模は全体で2000人超になるもようだ。
日野自は12月から小型トラックを生産する羽村工場(東京都羽村市)の操業時間を半分強に短縮する。大中型を生産する日野工場(東京都日野市)では12月中に5日間操業を停止。うち4日間は2009年1―3月期内に休日を稼働日に変更して調整する計画で「12月の減産は緊急対応」(同社)としている。
米デルの8―10月期、純利益5%減 IT需要の冷え込み響く
【シリコンバレー=村山恵一】米デルが20日発表した8―10月期の純利益は、前年同期比5%減の7億2700万ドル(約680億円)と2四半期連続の減益となった。人員削減など合理化に取り組んだが、デスクトップ型パソコンが14%の減収となるなど主力品の販売が鈍った。景気減速による世界的なIT(情報技術)需要の冷え込みを示した。
売上高は3%減の151億6200万ドルだった。10月末の従業員は8万800人と1年で9%を削減。投資を重点分野に絞り込むなどコストを抑制したが、収益力の大幅改善には至らなかった。自社株買いで株数が減り1株利益は0.37ドル(前年同期は0.34ドル)となった。
マイケル・デル最高経営責任者(CEO)は「品ぞろえの見直しで収益性は増した」と述べた。しかし当面IT需要は伸び悩むとみて合理化を続ける方針だ。
携帯電話の秋冬商戦モデルが出そろったなか、メーカー別に見て最も「変化」を感じたのがNECの端末だ。これまでの折りたたみ一辺倒から脱却し、ハイスペックモデル「N-01A」ではフルタッチパネル、テンキーと横画面の併用、従来からの縦画面という3つのスタイルを使い分けられる機構を採用した。
NECが折りたたみ機構を構想してから20年。NTTドコモから4機種を出す今秋冬商戦は再起をかけるNECにとって大きな節目となりそうだ。
■首位奪還を狙う「クリエイティブスタジオ」
NECが頂点を極めたのは「iモード」全盛時代と重なる。「メールやiモードコンテンツを大画面で見たい」というユーザーの要求に折りたたみケータイがマッチした。同社初のカラー液晶搭載「N502it」、iアプリ対応「N503i」などは空前の大ヒットとなった。
これにより業界では「折りたたみでないと売れない」が定説となり、他メーカーとも一斉に追随した。ケータイ売場は折りたたみ機種ばかりになり、先駆者であるNECはトップシェアを獲得した。
だが、首位となったNECは保守的な端末開発にシフトしていく。目新しい機種を出すことなく、いつしか、シャープにその座を奪われることとなる。結果、いまではシャープの牙城が築かれ、NECは下位に沈んでしまった。
そこで2006年7月、トップシェア奪還に向け、NEC社内に設立されたのが「クリエイティブスタジオ」だった。ライバル会社からデザイナーを引き抜き、これまでとは違った組織体制でケータイを開発するプロジェクトが発足したのだった。
■伊デザイナーと共同開発した「N904i」
だが、新たな組織を作っても、すぐに成果が表れるわけではない。端末開発は発売の2年近く前から行われていることもあり、新製品に対してやれることは限られるからだ。
実際にクリエイティブスタジオの成果が出たのは2007年5月発売の「N904i」からとなる。イタリアの大物デザイナー、ステファノ・ジョバンノーニ氏とのコラボレーションモデルとして投入し、クリエイティブスタジオは主に本体カラーの調整やプロモーション計画に従事した。
クリエイティブスタジオが本格的に端末開発にタッチしたのは「N905i」からとなる。折りたたみ式は通常、上と下で同じかたちのものを重ねて折りたたむという設計が一般的だが、N905iでは違う形状にするという取り組みを行った。
当時、ワンセグの人気によって「AQUOS」や「BRAVIA」といった家電メーカーブランドケータイが相次いで登場してきていたが、NECはやはりパソコンメーカーというイメージが強い。そこで、テンキー部分にパソコンのキーボードのようにしっかりとした感覚のあるキーを採用し、パソコンのような横画面を意識したデザインに仕上げた。
■2年かけ、折りたたみを脱却
そして、クリエイティブスタジオ設立から2年余りが経過し、彼らが満を持して投入するのが、今回のN-01Aだ。
佐藤敏明チーフクリエイティブディレクターは「ユーザーがメディアと対話するスタイルが変わりつつある。これまでは限られた相手へのアクセスが中心だったが、いまでは常に情報に接している状態にある」と開発の背景を語る。
これまでの折りたたみケータイはまさに限られた相手へのアクセスに適した形状だったという。折りたたみを開くのは、本やラブレターを開く感覚とよく似ている。必要なときに人から見られないようにこっそりと開いて情報を見るという世界だ。
しかし、いまではユーザーは常に情報に接し、自らも情報を発信する時代となっている。ウェブやSNSはパソコンで閲覧するが、他人が横からパソコンの画面をのぞき見してもあまり気にしない世界だ。
N-01Aが折りたたみではなく、ディスプレーが表に出ているのは、こっそり情報をやりとりするのではなく、いつでも情報を受け取り、すぐに自らも発信できる環境を実現するためである。
またN-01Aは片手の手のひらで使うことに徹底的にこだわり抜いた。タッチパネルを採用するが、iPhoneのように両手を使うことを前提にしては、日本市場では受け入れられない。片手はつり革、片手はケータイというような通勤スタイルでも快適に使えるためには片手ですべての操作が完結しなくてはならないのだ。
折りたたみは構想20年、製品化されて17年目のNECの定番であり、「画面を表に出すのに2年かかった」(佐藤氏)という。それだけ、NECにとって、N-01Aは社内的にも大きな変化であるのだ。
■「N-02A」は“究極”の折りたたみ
だが、NECは折りたたみを捨てたわけではない。もう一方で、“究極”の折りたたみケータイとして仕上げたのが、「N-02A」となる。
「こちらは17年目の集大成。『ザ・クラムシェル』を目指し、質感にもこだわった」(佐藤氏)。
NECはこれまで、アークラインと呼ばれる緩やかな曲線を描くモデルや、薄型折りたたみで人気を博してきた。それらをバージョンアップさせることで、究極の折りたたみケータイを実現したという。実際、触ってみると、本体は薄いながらもテンキーはかなり押しやすくなっている。従来機種と比べても差は歴然としている。
■衣食住の「食」を開拓
NECではこれまで数多くのコラボレーションモデルを手がけてきているが、今回の商戦ではフランスを代表するスイーツブランド「ピエール・エルメ・パリ」をテーマにした「N-03A」を用意した。
これまでのNECのコラボレーションモデルを分析すると、実は「衣食住」に分けることができる。「衣」はサマンサタバサモデルがあり、ファッション性として佐藤可士和モデルもここに位置づけられる。「住」はamadanaやフランフランモデルがある。今回のピエール・エルメは「食」の世界として、NECが先鞭をつけようとしている新しいカテゴリーなのだ。
「食は生活に一番近く、また気分転換のツールとして最適」(佐藤氏)という。スイーツという日常生活でちょっと幸せな気分になれる世界観をケータイに持ち込んだというわけだ。
ピエール・エルメは都内に5店舗しかないが、佐藤氏がパリで見つけて、自ら交渉して製品化した。キャリア主導ではなく、メーカーが責任を持ってキャリアに提案し採用に至ったとのことである。
4機種目の「N-04A」は、今年2月に発売されたamadanaモデルの後継機種となる。今回はNECでは初となるスライド機構を採用した。
N-04Aに対応したUSB接続のスピーカーもamadanaから発売される予定だ。「USBスピーカーはドコモショップでの販売になる予定」(佐藤氏)。つまり、ドコモショップがamadanaブランドの製品を扱うようになる。ケータイとブランドだけでなく、販売店もコラボレーションの一つに加わる形だ。
■Nケータイの「変革」が復活につながるか
昨今、新販売制度の悪影響によって、ケータイが売れない時代になりつつある。NECの山崎耕司執行役員は「端末価格が上がっているように見えるが、だからこそユーザーはこれまで以上に慎重にケータイ選びをするようになる。その時に、本当に製品の良さで選んでもらえるのがNであるはず」と新製品に自信を見せる。
大きく変革したNケータイをユーザーはどう受け止めるのか。N-01Aをはじめとする4つのラインアップがNEC復活のカギを握っている。
米シティに再編観測、部門売却や統合検討 米メディア報道
【ニューヨーク=松浦肇】米大手銀シティグループが証券大手ゴールドマン・サックスなどとの経営統合や部門売却を検討していると、複数の米メディアが20日報じた。金融危機で財務悪化懸念が強まり、再編を含む経営改革を迫られている。同日の米国市場ではシティなど金融株主導で株価が大幅に続落。金融危機の影響は個人消費など実体経済に波及したが、危機の根源である大手金融機関の経営不安が再び台頭、金融市場の混迷が一段と深まってきた。
シティは21日に取締役会を開き、経営統合や部門売却を含めた抜本的なリストラを検討するという。米メディアによると、ゴールドマンやモルガン・スタンレーなど大手金融機関との合併や資本提携のほか、クレジットカード事業や証券部門スミス・バーニーなどの部門売却も検討されるもよう。シティは一連の報道について「コメントしない」と答えた。
シティ株は過去1年間で84%下落。20日は前日比26%の急落で、5ドルを割り込んだ。米メディアによると、5ドル割れは米景気が低迷し金融機関が不動産融資の損失処理を迫られた後の1994年以来。
米ビッグ3支援、12月に結論先送り 再建計画踏まえ再審議
【ワシントン=大隅隆】リード米上院院内総務ら民主党幹部は20日の記者会見で、金融安定化法に基づく米自動車大手3社(ビッグスリー)向け支援の審議を凍結すると発表した。特定産業向け支援の拡大を懸念するブッシュ大統領、共和党の支持を得られず、法案成立が難しいと判断したため。12月初旬までに3社が提出する再建計画をふまえ再審議する。
民主党はビッグスリーの破綻を回避する方針を維持しているが、リード総務は「公聴会で経営トップは救済の必要性を説得できなかった」と説明。12月2日までにビッグスリーが再建計画を提出し「計画が適切であれば同8日の週から審議を始める」(ペロシ下院議長)とした。
民主・共和両党の超党派の妥協案も20日、ほぼ固まったが、支持は広がっていない。
ビッグスリー再建、「時間との勝負」に
【ワシントン=武類雅典】経営難のビッグスリー(米自動車大手3社)への政府支援策が固まらなかったことを受け、3社の経営は綱渡りの状況が続く見通しだ。当面の最優先課題は議会と政府を納得させるだけの事業計画を12月2日までに練ることだが、本業の不振は深刻で、手元資金は急減している。米政界を巻き込んだビッグスリーの再建は「時間との勝負」になった。
ゼネラル・モーターズ(GM)は20日夕に出した声明で、「米議会に提出する事業計画で『存続能力のあるGM』をお見せしたい。米国の納税者への説明責任を果たす」と強調した。フォード・モーターやクライスラーも同日、事業計画を提出する考えを示した。
18日と19日に開かれた上下両院の公聴会で、出席議員から経営姿勢への批判や再建への不安が続出しており、従来計画の焼き直しでは支持を集めることは難しい。GMなどは米議会に提出する事業計画の中に資産売却や人員削減などの追加リストラ策を盛り込む可能性もある。
11月の月例経済報告、基調判断2カ月連続で下方修正
与謝野馨経済財政担当相は21日夕、11月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。景気の基調については「弱まっている」としたうえで「世界経済が一段と減速するなかで、下押し圧力が急速に高まっている」と判断。足元の景気が急速に悪化していることを反映し、2カ月連続で下方修正した。
ただ、主要個別項目で下方修正したのは「輸出」だけで、先月の「緩やかに減少している」から「緩やかに」の文言を削除した。内閣府の内規では直近発表の経済指標は分析対象としないが、財務省が20日発表した10月の貿易統計で輸出額が減少したことを特別に反映し、2カ月連続で判断を引き下げた。
主要個別項目の引き下げが実質的にない中での総括判断の下方修正は極めて異例。内閣府は「非常時モード。データだけで見ると判断を間違える恐れがある」と説明し、急速に悪化する景気を注視する必要性を強調した。
iPhone 3Gが絵文字、ストリートビューに対応
アップルは、iPhone 3Gで絵文字が利用できるようになる最新ソフトウェアの提供を開始した。最新の本体ソフトウェアのバージョンは2.2。
iPhoneの絵文字対応は、10月30日に開催されたソフトバンクの発表会で予告されていたもの。SMSと、ソフトバンクが提供するiPhone専用のメールサービス「Eメール(i)」( ○○○@i.softbank.jp )で絵文字がサポートされ、これによりiPhoneとほかのソフトバンクユーザーとの間で、絵文字を含んだSMS・Eメールが送受信できるようになる。ほかのキャリアとの絵文字メールのやりとりは、今後順次対応される見込み。
最新バージョンのソフトウェアではこのほか、Google マップにおける「ストリートビュー」の表示に対応し、Safariの安定性が向上する。また、無線LANおよび3G回線によるポッドキャストのダウンロード機能が追加され、文字入力における自動修正機能のオン/オフが設定できるようになるなど、細かな修正・改善が含まれる。
トラック4社減産 人員削減2000人超に
国内トラック大手4社が減産に入る。最大手の日野自動車は小型トラックを中心に工場操業体制を見直して12月に減産に入るほか、三菱ふそうトラック・バス(川崎市)といすゞ自動車も近く実施する。減産幅(台数ベース)はいずれも当初計画比3割前後の見込み。減産に伴う非正規従業員の削減規模は全体で2000人超になるもようだ。
日野自は12月から小型トラックを生産する羽村工場(東京都羽村市)の操業時間を半分強に短縮する。大中型を生産する日野工場(東京都日野市)では12月中に5日間操業を停止。うち4日間は2009年1―3月期内に休日を稼働日に変更して調整する計画で「12月の減産は緊急対応」(同社)としている。
米デルの8―10月期、純利益5%減 IT需要の冷え込み響く
【シリコンバレー=村山恵一】米デルが20日発表した8―10月期の純利益は、前年同期比5%減の7億2700万ドル(約680億円)と2四半期連続の減益となった。人員削減など合理化に取り組んだが、デスクトップ型パソコンが14%の減収となるなど主力品の販売が鈍った。景気減速による世界的なIT(情報技術)需要の冷え込みを示した。
売上高は3%減の151億6200万ドルだった。10月末の従業員は8万800人と1年で9%を削減。投資を重点分野に絞り込むなどコストを抑制したが、収益力の大幅改善には至らなかった。自社株買いで株数が減り1株利益は0.37ドル(前年同期は0.34ドル)となった。
マイケル・デル最高経営責任者(CEO)は「品ぞろえの見直しで収益性は増した」と述べた。しかし当面IT需要は伸び悩むとみて合理化を続ける方針だ。
中国、アリコ出資へ交渉 49%上限にAIGから取得
中国の政府系ファンドである中国投資有限責任公司(CIC)が経営難に陥っている米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)傘下の生命保険会社、アリコに出資する方向で交渉を始めたことが20日、明らかになった。最大でアリコ株の49%を取得することを軸に、年内の合意を目指している。アリコは日本を含む50カ国以上で生保事業を展開。金融危機を好機とみた中国が、国際的な保険会社の再編の主役に躍り出た形だ。
関係者によると、AIGは保有するアリコ株について、CICと中国の保険会社の投資連合を相手に、交渉期限を年内に区切って優先的に交渉を進めているという。買収額は明らかにしていないが、アリコの時価総額を勘案すれば、49%の買収額で5000億―1兆円程度に上るとみられる。
NY株、大幅続落 終値444ドル安の7552ドル、シティ株急落
【NQNニューヨーク=荒木朋】20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落。前日比444ドル99セント安の7552ドル29セント(速報値)で終えた。週間の新規失業保険申請件数が市場予想以上に急増したほか、11月のフィラデルフィア連銀景気指数が予想以上に悪化。景気悪化が一段と進むとの懸念が強まり、売りが膨らんだ。シティグループやJPモルガン・チェースなど大手金融株が急落したほか、原油先物相場の急落を受けてエネルギー関連株も売りが膨らみ、株価指数を押し下げた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は前日比70.30ポイント安の1316.12(同)で終えた。
NY原油、続落 終値も50ドル割れ、3年半ぶり安値
【NQNニューヨーク=川内資子】20日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は5日続落。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で、期近の12月物は前日比4ドル安の1バレル49.62ドルで取引を終えた。世界景気の悪化観測を背景とした売りが続いた。一時48.64ドルまで下落し、期近物として2005年5月23日以来の安値を付けた。
週間の米新規失業保険申請件数が市場予想を大幅に上回り、米景気悪化が一段と進んでいると受け止められた。世界的に株式相場が下落し、米国外の景気懸念が強まったことも重しとなった。高値は53.30ドル。
新興国通貨が急落、韓国ウォンは10年ぶりに安値
【ソウル=島谷英明】外国為替市場では、韓国ウォンやブラジルレアルなど新興国通貨が急落している。世界同時不況が長引けば、輸出依存度の高い新興国経済の成長落ち込みも避けられないとの見方から、米国の投資資金などが引き揚げる動きが続いているからだ。
20日のソウル外為市場のウォン相場の終値は前日比50.5ウォンのウォン安・ドル高となる1ドル=1497ウォン。通貨危機に揺れた1998年3月以来、10年8カ月ぶりの安値水準となった。海外マネーの流出が続いており、取引時間中には一時1ドル=1517ウォンまで下げた。
金融危機に伴う米欧の株安や景気後退で、外国人投資家のリスク許容度が縮小している。このため韓国に投融資していた資金を本国に戻す動きに拍車がかかり、ドル資金の不足感からウォン安に振れやすい流れが強まっている。
世界の主要産業、市場縮小へ 金融危機で急ブレーキ
自動車、鉄鋼、半導体など主要産業の世界市場が今年から来年にかけて軒並み縮小に転じる見通しとなった。米欧発の金融危機を契機に需要に急ブレーキがかかっており、自動車の世界販売は2008―09年の2年連続で前年比マイナスとなるとみられる。世界の粗鋼生産は早ければ08年にも1998年以来の減少に転じる可能性がある。国内各社も一斉に減産に動いており、今後、雇用などに影響が広がりそうだ。
世界鉄鋼協会(ワールドスチール=旧国際鉄鋼協会)が20日発表した10月の世界粗鋼生産(速報値)は前年同月比12.4%減。3.2%減と6年9カ月ぶりにマイナスに転じた9月から減少幅が拡大した。世界の約3分の一を占める中国が17%の大幅減になったほか、日米欧なども軒並みマイナスになった。
民放連会長「テレビも節度が必要」、奥田氏の批判発言で
日本民間放送連盟の広瀬道貞会長(テレビ朝日相談役)は20日の記者会見で、奥田碩・トヨタ自動車相談役がテレビ番組の厚生労働省批判に不快感を示して「スポンサーを降りてやろうか」と発言したことに関連して、「出演者の中に感情にだけ訴える過激な発言もある。テレビの影響力の大きさから言えばある種の節度が必要かなという気もした」と述べた。
奥田氏は座長を務める「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の会合で12日、「テレビで朝から晩まで年金や保険のことで厚生労働省たたきをやる。あれだけたたかれるのは異常だ。正直言って、(番組の)スポンサーでも降りてやろうかな」と述べた。
9月の世界景気天気図、日本は「雨」 世界は5カ月連続で「嵐」
日本経済研究センターは20日、世界の主要国・地域の景況感を示す9月の「世界景気天気図(インデックス)」を公表した。世界の景気は5カ月連続で最低評価の「嵐」。金融危機の震源地である米国と欧州で生産の停滞が続き、ともに「嵐」から抜け出せない状態にいるのが響いている。日本は「嵐」の一歩手前の「雨」に3カ月連続で踏みとどまった。
景気天気図は各国・地域の輸入と生産、小売販売額の前年比増減率をもとに指数を算出。直近3カ月分の平均値をとり、5段階の天気図で景況感を表す。世界は「嵐」が続いているが、指数が7カ月連続で低下するなど、悪化の度合いを一段と深めている。
日本は前月に大きく減った生産の反動増でほぼ横ばいの状態を維持した。ただ、10月以降は米欧発の金融危機の影響が各国の実体経済を下押しし、日本も輸出の減少に見舞われる。すでに10月の速報値が出ている米国と中国は一段と悪化する見込み。同時不況の様相を強めている世界経済の調整が深く、長くなる可能性を示唆しそうだ。
紙・板紙の国内出荷量、20年間で最大の落ち込み
日本製紙連合会が20日発表した10月の紙・板紙の国内出荷量は前年同月比8.1%減の242万3000トンとなり、同連合会が現在の形で統計を取り始めた20年間で最大の落ち込みとなった。景気減速に加え値上げの影響もあり需要が減退した。
印刷情報用紙の減少率が11.8%と大きく、中でもカタログなどに使われる塗工紙が15%減った。量販店などが販促費を削減しており、チラシ向けの出荷が減少している。
ドコモ、子供の居場所を連絡する新サービス 小学校や塾向け
NTTドコモは20日、小学校や学習塾向けに、携帯電話で子供の居場所を保護者や教師らに連絡する新サービス「こどモニタ」を2009年春から始めると発表した。登下校時などで子供の安全を確保したいという需要に応える。
子供が登下校の際などに、専用ソフトを載せた携帯電話を操作すると、登下校時間や現在の居場所などを保護者へメールで通知する仕組み。教師は子供1人ひとりの登下校時刻をパソコン上で一覧できる。学校から保護者や子供に連絡事項をメール配信する機能も付いている。
ドコモが販売する「キッズケータイ」2機種のいずれかを子供に持ってもらう。対応機種は、他の携帯電話会社の機種を含め、順次拡大していく予定だ。
日産ディーゼル、インド市場参入 生産委託、ボルボ系で連携
日産ディーゼル工業は親会社であるスウェーデン・ボルボのグループ会社と連携しアジア市場を開拓する。第一弾として、2009年中をめどにインド商用車大手でボルボ子会社のアイシャーに生産委託するかたちでインド市場に参入する。金融危機の影響で需要が低迷するなか、グループ企業と経営資源を共有しリスクを軽減することで中長期で成長が見込める新興国市場を開拓する。
インド進出は同国中部マディヤ・プラデーシュ州にあるアイシャーの工場に、日産ディーゼルがエンジンなど主要部品を搬送して車両を組み立てる案が有力。日産ディーゼルが現地に技術者を派遣し生産ノウハウなどを移植する。生産規模などは今後詰める。
シャープ、年内に派遣社員300人を削減 福山工場
シャープは年内に携帯電話用半導体などを製造する福山工場(広島県福山市)の派遣社員約300人を削減する。契約を更新しないなどして、同工場で働く非正規従業員の大半を削減するかたち。携帯電話の需要減を受け、生産体制を見直す。
福山工場では携帯電話用カメラの目にあたるCCD(電荷結合素子)、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーなどの半導体を製造している。シャープは自社製の携帯電話のほか、国内外の携帯メーカーに納入しているが、国内市場が大幅に縮小していた。
中国失業率、5年ぶり上昇へ 08年4.2%程度に
【北京=高橋哲史】中国の尹蔚民・人事社会保障相らは20日、北京で記者会見し、金融危機を受けた中国の雇用情勢について「10月以降、国際経済情勢の変化で非常に厳しくなっている」と語った。中国の失業率は2007年まで4年連続で低下していたが、08年は5年ぶりに上昇し、4.2%程度になるとの見通しを示した。
同相は「中国では毎年2400万人の新規労働力が生まれているが、実際は約1200万人分の雇用しか用意できていない」と指摘。経済情勢が厳しさを増せば、失業問題が深刻になりかねないとの認識を示した。中国政府は9日に総投資額4兆元(約57兆円)の景気刺激策を発表。雇用確保に全力を挙げる構えをみせている。
同相は農村からの出稼ぎ労働者である「農民工」が現在、2億3000万人に達していることも明らかにした。農民工の多くは沿海部の輸出企業で働いているが、世界経済の急減速で職を失い、大量に故郷に戻り始めている。同相は再就職支援など農民工対策を強化する方針を示した。
ドバイ政府、金融危機対応で委員会 資金逃避の阻止ねらう
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国政府は、金融危機がドバイ経済に与える影響を調べ、対応策を立案する委員会を設置した。ドバイでは不動産部門を中心に景気減速への懸念が急速に広がっている。委員会は政府系デベロッパーや証券取引所のトップなど政府・経済界の要人6人で構成。包括的な対策を打ち出すことで資金逃避を食い止め、信用を回復する狙いがあるとみられる。
ドバイ財務局幹部が講演で明らかにした。地元紙によると、委員会は不動産や金融部門が抱える借り入れの状況を調べ、ドバイの政府機関や政府系企業の債務への対応をまとめる。一連の対策をムハンマド首長に提出したうえで公表するという。
日経社説 反改革を勢いづかせた首相の郵政発言(11/21)
麻生太郎首相が昨年10月に民営化した日本郵政グループの政府保有株の売却を凍結すべきだと発言した。傘下の金融2社であるゆうちょ銀行やかんぽ生命保険は2010年度の株式上場が目標だが「株が下がっている時にしゃにむに売らなきゃいけないって、そんなあほな話はない」と語り、先延ばしを容認した。
民主党と国民新党は郵政民営化の見直しとして日本郵政と金融2社の株式売却を凍結する法案を国会に提出し、衆院で継続審議となっている。民営化に反対する自民党内の勢力でも売却凍結を求める声が強まっている。首相発言でこうした「反改革派」が勢いづくのは間違いない。
衆院選を控え、集票力のある全国郵便局長会(全特)との関係を直したいとの思惑もうかがえる。全特の政治組織、郵政政策研究会は郵政改革に反対する国民新党を支持し、選挙協力で民主党候補も支持する構えだからだ。与党には野党に同調して売却凍結法案を国会で議決しようとする動きもある。
首相が民営化の流れにブレーキをかける発言をするのは、3年前の民意を軽んじる態度ではないか。自民党が05年の衆院選で単独過半数を大きく上回る議席を得たのは、小泉純一郎元首相が問うた郵政民営化に有権者が賛意を示したためだ。路線の転換なら、その意図を公然と説明し、改めて信を問う必要がある。
私たちは郵政民営化は景気動向にとらわれず着実に進めるべきだと考える。政府の信用を盾に巨額の資金を国民から吸い上げた郵政事業は、資金の出口となる財政投融資も肥大化させた。この仕組みを解消し、国民の金融資産を民間が有効に活用することは経済活性化に必要だ。行革徹底を主張する民主党が民営化見直しを支持するのも筋違いである。
もちろん、政府保有株の売却は株式相場や民営化企業の経営状況を見極めて決めるべきだ。相場が低迷する時に無理して株式を売っても政府に入る売却収入は低水準にとどまり、民営化で生まれた果実を十分に国民に還元できない。新たな売り圧力として市況に悪影響も及ぶ。
だが、1年以上も先の10年度の株式市況が予測できるはずもない。いま首相が売却目標の先送りに言及するのは、選挙目当ての軌道修正と受け取られても仕方がない。日本郵政が株式の早期上場を念頭にした中期経営計画の発表を遅らせるなど、現場も混乱している。これに限らず首相発言の軽さは最近とみに目に付く。郵政改革を進めるのか、止めるのか。態度を明確にしてほしい。
中国の政府系ファンドである中国投資有限責任公司(CIC)が経営難に陥っている米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)傘下の生命保険会社、アリコに出資する方向で交渉を始めたことが20日、明らかになった。最大でアリコ株の49%を取得することを軸に、年内の合意を目指している。アリコは日本を含む50カ国以上で生保事業を展開。金融危機を好機とみた中国が、国際的な保険会社の再編の主役に躍り出た形だ。
関係者によると、AIGは保有するアリコ株について、CICと中国の保険会社の投資連合を相手に、交渉期限を年内に区切って優先的に交渉を進めているという。買収額は明らかにしていないが、アリコの時価総額を勘案すれば、49%の買収額で5000億―1兆円程度に上るとみられる。
NY株、大幅続落 終値444ドル安の7552ドル、シティ株急落
【NQNニューヨーク=荒木朋】20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落。前日比444ドル99セント安の7552ドル29セント(速報値)で終えた。週間の新規失業保険申請件数が市場予想以上に急増したほか、11月のフィラデルフィア連銀景気指数が予想以上に悪化。景気悪化が一段と進むとの懸念が強まり、売りが膨らんだ。シティグループやJPモルガン・チェースなど大手金融株が急落したほか、原油先物相場の急落を受けてエネルギー関連株も売りが膨らみ、株価指数を押し下げた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は前日比70.30ポイント安の1316.12(同)で終えた。
NY原油、続落 終値も50ドル割れ、3年半ぶり安値
【NQNニューヨーク=川内資子】20日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は5日続落。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で、期近の12月物は前日比4ドル安の1バレル49.62ドルで取引を終えた。世界景気の悪化観測を背景とした売りが続いた。一時48.64ドルまで下落し、期近物として2005年5月23日以来の安値を付けた。
週間の米新規失業保険申請件数が市場予想を大幅に上回り、米景気悪化が一段と進んでいると受け止められた。世界的に株式相場が下落し、米国外の景気懸念が強まったことも重しとなった。高値は53.30ドル。
新興国通貨が急落、韓国ウォンは10年ぶりに安値
【ソウル=島谷英明】外国為替市場では、韓国ウォンやブラジルレアルなど新興国通貨が急落している。世界同時不況が長引けば、輸出依存度の高い新興国経済の成長落ち込みも避けられないとの見方から、米国の投資資金などが引き揚げる動きが続いているからだ。
20日のソウル外為市場のウォン相場の終値は前日比50.5ウォンのウォン安・ドル高となる1ドル=1497ウォン。通貨危機に揺れた1998年3月以来、10年8カ月ぶりの安値水準となった。海外マネーの流出が続いており、取引時間中には一時1ドル=1517ウォンまで下げた。
金融危機に伴う米欧の株安や景気後退で、外国人投資家のリスク許容度が縮小している。このため韓国に投融資していた資金を本国に戻す動きに拍車がかかり、ドル資金の不足感からウォン安に振れやすい流れが強まっている。
世界の主要産業、市場縮小へ 金融危機で急ブレーキ
自動車、鉄鋼、半導体など主要産業の世界市場が今年から来年にかけて軒並み縮小に転じる見通しとなった。米欧発の金融危機を契機に需要に急ブレーキがかかっており、自動車の世界販売は2008―09年の2年連続で前年比マイナスとなるとみられる。世界の粗鋼生産は早ければ08年にも1998年以来の減少に転じる可能性がある。国内各社も一斉に減産に動いており、今後、雇用などに影響が広がりそうだ。
世界鉄鋼協会(ワールドスチール=旧国際鉄鋼協会)が20日発表した10月の世界粗鋼生産(速報値)は前年同月比12.4%減。3.2%減と6年9カ月ぶりにマイナスに転じた9月から減少幅が拡大した。世界の約3分の一を占める中国が17%の大幅減になったほか、日米欧なども軒並みマイナスになった。
民放連会長「テレビも節度が必要」、奥田氏の批判発言で
日本民間放送連盟の広瀬道貞会長(テレビ朝日相談役)は20日の記者会見で、奥田碩・トヨタ自動車相談役がテレビ番組の厚生労働省批判に不快感を示して「スポンサーを降りてやろうか」と発言したことに関連して、「出演者の中に感情にだけ訴える過激な発言もある。テレビの影響力の大きさから言えばある種の節度が必要かなという気もした」と述べた。
奥田氏は座長を務める「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の会合で12日、「テレビで朝から晩まで年金や保険のことで厚生労働省たたきをやる。あれだけたたかれるのは異常だ。正直言って、(番組の)スポンサーでも降りてやろうかな」と述べた。
9月の世界景気天気図、日本は「雨」 世界は5カ月連続で「嵐」
日本経済研究センターは20日、世界の主要国・地域の景況感を示す9月の「世界景気天気図(インデックス)」を公表した。世界の景気は5カ月連続で最低評価の「嵐」。金融危機の震源地である米国と欧州で生産の停滞が続き、ともに「嵐」から抜け出せない状態にいるのが響いている。日本は「嵐」の一歩手前の「雨」に3カ月連続で踏みとどまった。
景気天気図は各国・地域の輸入と生産、小売販売額の前年比増減率をもとに指数を算出。直近3カ月分の平均値をとり、5段階の天気図で景況感を表す。世界は「嵐」が続いているが、指数が7カ月連続で低下するなど、悪化の度合いを一段と深めている。
日本は前月に大きく減った生産の反動増でほぼ横ばいの状態を維持した。ただ、10月以降は米欧発の金融危機の影響が各国の実体経済を下押しし、日本も輸出の減少に見舞われる。すでに10月の速報値が出ている米国と中国は一段と悪化する見込み。同時不況の様相を強めている世界経済の調整が深く、長くなる可能性を示唆しそうだ。
紙・板紙の国内出荷量、20年間で最大の落ち込み
日本製紙連合会が20日発表した10月の紙・板紙の国内出荷量は前年同月比8.1%減の242万3000トンとなり、同連合会が現在の形で統計を取り始めた20年間で最大の落ち込みとなった。景気減速に加え値上げの影響もあり需要が減退した。
印刷情報用紙の減少率が11.8%と大きく、中でもカタログなどに使われる塗工紙が15%減った。量販店などが販促費を削減しており、チラシ向けの出荷が減少している。
ドコモ、子供の居場所を連絡する新サービス 小学校や塾向け
NTTドコモは20日、小学校や学習塾向けに、携帯電話で子供の居場所を保護者や教師らに連絡する新サービス「こどモニタ」を2009年春から始めると発表した。登下校時などで子供の安全を確保したいという需要に応える。
子供が登下校の際などに、専用ソフトを載せた携帯電話を操作すると、登下校時間や現在の居場所などを保護者へメールで通知する仕組み。教師は子供1人ひとりの登下校時刻をパソコン上で一覧できる。学校から保護者や子供に連絡事項をメール配信する機能も付いている。
ドコモが販売する「キッズケータイ」2機種のいずれかを子供に持ってもらう。対応機種は、他の携帯電話会社の機種を含め、順次拡大していく予定だ。
日産ディーゼル、インド市場参入 生産委託、ボルボ系で連携
日産ディーゼル工業は親会社であるスウェーデン・ボルボのグループ会社と連携しアジア市場を開拓する。第一弾として、2009年中をめどにインド商用車大手でボルボ子会社のアイシャーに生産委託するかたちでインド市場に参入する。金融危機の影響で需要が低迷するなか、グループ企業と経営資源を共有しリスクを軽減することで中長期で成長が見込める新興国市場を開拓する。
インド進出は同国中部マディヤ・プラデーシュ州にあるアイシャーの工場に、日産ディーゼルがエンジンなど主要部品を搬送して車両を組み立てる案が有力。日産ディーゼルが現地に技術者を派遣し生産ノウハウなどを移植する。生産規模などは今後詰める。
シャープ、年内に派遣社員300人を削減 福山工場
シャープは年内に携帯電話用半導体などを製造する福山工場(広島県福山市)の派遣社員約300人を削減する。契約を更新しないなどして、同工場で働く非正規従業員の大半を削減するかたち。携帯電話の需要減を受け、生産体制を見直す。
福山工場では携帯電話用カメラの目にあたるCCD(電荷結合素子)、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーなどの半導体を製造している。シャープは自社製の携帯電話のほか、国内外の携帯メーカーに納入しているが、国内市場が大幅に縮小していた。
中国失業率、5年ぶり上昇へ 08年4.2%程度に
【北京=高橋哲史】中国の尹蔚民・人事社会保障相らは20日、北京で記者会見し、金融危機を受けた中国の雇用情勢について「10月以降、国際経済情勢の変化で非常に厳しくなっている」と語った。中国の失業率は2007年まで4年連続で低下していたが、08年は5年ぶりに上昇し、4.2%程度になるとの見通しを示した。
同相は「中国では毎年2400万人の新規労働力が生まれているが、実際は約1200万人分の雇用しか用意できていない」と指摘。経済情勢が厳しさを増せば、失業問題が深刻になりかねないとの認識を示した。中国政府は9日に総投資額4兆元(約57兆円)の景気刺激策を発表。雇用確保に全力を挙げる構えをみせている。
同相は農村からの出稼ぎ労働者である「農民工」が現在、2億3000万人に達していることも明らかにした。農民工の多くは沿海部の輸出企業で働いているが、世界経済の急減速で職を失い、大量に故郷に戻り始めている。同相は再就職支援など農民工対策を強化する方針を示した。
ドバイ政府、金融危機対応で委員会 資金逃避の阻止ねらう
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国政府は、金融危機がドバイ経済に与える影響を調べ、対応策を立案する委員会を設置した。ドバイでは不動産部門を中心に景気減速への懸念が急速に広がっている。委員会は政府系デベロッパーや証券取引所のトップなど政府・経済界の要人6人で構成。包括的な対策を打ち出すことで資金逃避を食い止め、信用を回復する狙いがあるとみられる。
ドバイ財務局幹部が講演で明らかにした。地元紙によると、委員会は不動産や金融部門が抱える借り入れの状況を調べ、ドバイの政府機関や政府系企業の債務への対応をまとめる。一連の対策をムハンマド首長に提出したうえで公表するという。
日経社説 反改革を勢いづかせた首相の郵政発言(11/21)
麻生太郎首相が昨年10月に民営化した日本郵政グループの政府保有株の売却を凍結すべきだと発言した。傘下の金融2社であるゆうちょ銀行やかんぽ生命保険は2010年度の株式上場が目標だが「株が下がっている時にしゃにむに売らなきゃいけないって、そんなあほな話はない」と語り、先延ばしを容認した。
民主党と国民新党は郵政民営化の見直しとして日本郵政と金融2社の株式売却を凍結する法案を国会に提出し、衆院で継続審議となっている。民営化に反対する自民党内の勢力でも売却凍結を求める声が強まっている。首相発言でこうした「反改革派」が勢いづくのは間違いない。
衆院選を控え、集票力のある全国郵便局長会(全特)との関係を直したいとの思惑もうかがえる。全特の政治組織、郵政政策研究会は郵政改革に反対する国民新党を支持し、選挙協力で民主党候補も支持する構えだからだ。与党には野党に同調して売却凍結法案を国会で議決しようとする動きもある。
首相が民営化の流れにブレーキをかける発言をするのは、3年前の民意を軽んじる態度ではないか。自民党が05年の衆院選で単独過半数を大きく上回る議席を得たのは、小泉純一郎元首相が問うた郵政民営化に有権者が賛意を示したためだ。路線の転換なら、その意図を公然と説明し、改めて信を問う必要がある。
私たちは郵政民営化は景気動向にとらわれず着実に進めるべきだと考える。政府の信用を盾に巨額の資金を国民から吸い上げた郵政事業は、資金の出口となる財政投融資も肥大化させた。この仕組みを解消し、国民の金融資産を民間が有効に活用することは経済活性化に必要だ。行革徹底を主張する民主党が民営化見直しを支持するのも筋違いである。
もちろん、政府保有株の売却は株式相場や民営化企業の経営状況を見極めて決めるべきだ。相場が低迷する時に無理して株式を売っても政府に入る売却収入は低水準にとどまり、民営化で生まれた果実を十分に国民に還元できない。新たな売り圧力として市況に悪影響も及ぶ。
だが、1年以上も先の10年度の株式市況が予測できるはずもない。いま首相が売却目標の先送りに言及するのは、選挙目当ての軌道修正と受け取られても仕方がない。日本郵政が株式の早期上場を念頭にした中期経営計画の発表を遅らせるなど、現場も混乱している。これに限らず首相発言の軽さは最近とみに目に付く。郵政改革を進めるのか、止めるのか。態度を明確にしてほしい。