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麻生内閣の支持率半減21%…読売世論調査
読売新聞社が5~7日に実施した全国世論調査(電話方式)で、麻生内閣の支持率は20・9%となり、11月初めの前回調査(40・5%)からほぼ半減した。
不支持率は66・7%で約25ポイント跳ね上がった。
麻生首相と民主党の小沢代表のどちらが首相にふさわしいかでも、麻生氏は前回比21ポイント減の29%に落ち込み、14ポイント増やした小沢氏の36%を初めて下回った。
国民的人気の高さを背景に自民党総裁選で圧勝して誕生した麻生政権だが、わずか2か月余で“刷新効果”は消え去った。与党は強い衝撃を受けており、今後、自民党内で首相交代を求めたり、新党含みの動きが表面化したりする可能性もある。
麻生内閣の支持率は「危険水域」とされる3割を割り込み、8月の本社面接調査で28・3%だった福田内閣末期より低い水準に落ち込んだ。
内閣支持率急落、首相の求心力は一層低下
河村官房長官は7日、内閣支持率急落について、「厳しい数字だ。景気対策をしっかりやれという叱咤(しった)激励の声と受け止め、2008年度第2次補正予算案、09年度予算案で経済対策を打ち出すことで応えたい」と述べた。
自民党の細田幹事長は同日、記者団に「残念な結果になっている。雇用対策や景気対策が理解されれば、(支持率は)回復するのではないか」と語った。
大島理森・国会対策委員長は「自民党内から、(首相批判など)ざわついた発言が相次いでいることが、支持率低下の原因になっている」と指摘した。
また、公明党の太田代表は7日、「首相はリーダーシップを発揮し、自分が何をやりたいかを明確に打ち出すことが大事だ」と、首相に注文を付けた。
支持率低下は、漢字の読み間違えなど「首相の資質の問題」との受け止めも多い。首相周辺は7日、「支持率を上げる妙案はない。地道に頑張る姿を国民に見せていくしかない」と語った。
ただ、首相の求心力が一層低下するのは避けられない。
安倍元首相、福田前首相が、約1年で退陣しており、「もう一度、自民党総裁選をやって首相交代で乗り切ろうとしても、世論の支持は得られない」(自民党若手衆院議員)との指摘がある。一方で、「ここまで支持率が下がると、『交代も仕方ない』となる可能性もある」(閣僚経験者)との声も出ている。
自民党の中川秀直・元幹事長は7日、フジテレビの報道番組で今後の政界再編や新党への取り組みについて、「今言う段階ではない。話し合いながら判断していく」と、含みを残した。
政府・与党は今国会を会期末の25日に閉会し、来年1月5日にも通常国会を召集する方針だ。まず、第2次補正予算案と関連法案を早期に成立させ、続けて、09年度予算案の年度内成立を図りたい考えだ。しかし、民主党は補正予算案に反対する方針で、国会は激しい攻防が予想される。
「DSi」販売、1カ月で53万台 エンターブレイン調べ
ゲーム専門誌発行のエンターブレイン(東京・千代田、浜村弘一社長)は、2008年11月(10月27日―11月30日)の国内ゲーム市場の動向をまとめた。任天堂が11月1日に発売した携帯型ゲーム機の新製品「ニンテンドーDSi」の国内販売台数は、1カ月で53万5379台だった。発売1カ月の実績としては、06年3月に発売されて大ヒットした「ニンテンドーDSライト」と同水準という。
10月30日に新モデルを発売したソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のプレイステーション3の販売台数は13万8343台だった。「グランド・セフト・オート4」(カプコン)や「ワールドサッカー ウイニングイレブン2009」(コナミ)など有力ソフトの充実が本体販売を後押しした。
エイサー、低価格PCに「オフィス」 5万9800円で発売
台湾エイサーは5日、8月に発売した低価格パソコン「アスパイア・ワン」にマイクロソフトの統合ソフト「オフィス」を搭載した製品を今月下旬に5万9800円前後で発売すると発表した。2009年1月末までの期間限定。従来モデルの価格も10日から5000円引き下げ、4万9800円前後にする。
低価格パソコンは、4万円以上するオフィスを搭載しないことで5万円前後の価格を実現してきた。ただ、オフィスを搭載していないことで顧客を取り逃がしているケースもあり、試験的に発売することを決めた。5万円台のオフィス搭載モデル登場は他社の戦略にも影響を与えそうだ。
中川秀氏、世論は自と民から改革派の結集期待 政界再編で
自民党の中川秀直元幹事長は7日のフジテレビ番組で、政界再編の見通しについて「世論が期待しているのは単なる昨年あった大連立なのか、改革派同士が(自民、民主)両党から出てきてやるものか、もう少し調べてほしい」と語った。自民、民主両党の改革派議員の結集が再編の軸になるとの見方を示した発言だ。
中川氏は「新党がぽこぽこできることは期待されていない」と指摘。「民意は政界全体がひっくり返るようなものを望んでいる」と述べ、来年に政界再編が起きるとの見方を示した。自身の行動は次期衆院選の直後に決める考えを示した。
渡辺喜美元行政改革担当相は都内で記者団に「今国会中に解散してもいい。1月中に危機管理内閣ができるので、そのほうがいい」と述べ、年内解散が望ましいとの認識を示した。次期衆院選後は「政界再編がいや応なしに起きる」との見方を示した。
麻生首相、公共事業費「考え直してもいい」 別枠での確保示唆
麻生太郎首相は7日、熊本県天草市で演説し、公共事業関係費について「改めて自分の生活を考えて、公共事業の大きさを考え直してもいいのではないか」と述べた。首相は公共事業関係費の3%削減を定めた来年度当初予算の概算要求基準(シーリング)「維持」を約束済み。同日の発言は必要な公共事業を「別枠」で確保する意向を示したとみられる。
「別枠」について、来年度当初予算でどこまで対応するかは政府・与党内の意見が対立している。首相発言は論争に拍車をかけそうだ。
首相は演説で「公共事業は(ピーク時の)半分になったが、道路は要る。補修もしなきゃなんない。いろんな形で仕事がなくなって地域は疲弊してきている」などと問題点を指摘した。
金融システムのもろさ、誰も予見できず クルーグマン氏会見
「金融システムがどれほどのもろさを抱えているのかをほとんど誰も予見できなかった」。今年のノーベル経済学賞を受賞するポール・クルーグマン米プリンストン大教授は7日、ストックホルムでの記者会見で米国発の金融危機について語った。
教授は「伝統的な銀行システムが、(規制対象からはずれた)パラレル(並行した)銀行システムにどれほどの深度で取って代わられたかが見過ごされていた」と指摘。金融自由化を背景とする市場システムの複雑化に政府当局の規制や監視が追いつけなかったことがリスクを膨らませていたとの認識を示した。
各国の景気後退への対応については「1929年の大恐慌の経験が、それを繰り返さないために生きるだろう」と指摘した。さらに「1990年代にゼロ金利下で激しいデフレ圧力にさらされた経済に対応した経験を持つ日本にわれわれは感謝すべきだ」と述べた。
印政府、最大3800億円の経済対策 同時テロで景気下振れ懸念
【ニューデリー=小谷洋司】インド政府は7日、最大2000億ルピー(約3800億円)の追加支出や付加価値減税を柱とする経済対策を発表した。金融危機による成長減速を受け、政策の基本方針をインフレ対策から景気刺激に転換する。先に商都ムンバイで起きた同時テロを機に景気の下振れ懸念が一段と強まっているため下支えを急ぐ。
追加支出は2009年3月末までの今年度の補正予算案として公表した。具体的な支出項目は示していない。政府は声明で「大幅な歳出増による景気刺激は09年度も必要になる」と指摘した。
消費刺激策として、標準税率が14%の中央付加価値税(CENVAT)を今年度末まで一律4%引き下げる。低所得層などの住宅取得を促進するため、国営銀行で上限200万ルピーの住宅ローンの貸し出しを増やす。
農業関税削減、例外品目数は最大6% WTO最終案
【ジュネーブ=藤田剛】世界貿易機関(WTO)は6日夜(日本時間7日未明)、多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の年内大枠合意に向け、農業と鉱工業品議長がまとめた貿易自由化ルールの最終案を発表した。今週中にも始まる閣僚会合での議論のたたき台となる。農業では関税削減の例外扱いとなる重要品目数は全体の4%が原則と明記。これに2%は上乗せできるものの、計8%を主張していた日本の要求は認められない形になった。
厚生年金、若者の不利改善 日経研究会2次報告
日本経済新聞社の年金制度改革研究会は公的年金改革の第2次報告をまとめた。基礎年金の全額を消費税で賄い未納者や無年金の人をなくすとした第1次報告の案に加えて、厚生年金や共済年金の2階部分(報酬比例部分)の保険料を一部、加入者のために積み立てて必ず本人へ戻るようにする。若い世代が高齢世代に比べ給付面で不利な状況を改めるのが狙いだ。また基礎年金は現制度にある給付抑制策をやめ、物価や賃金の変動を完全に反映させて月6万6000円の実質的な価値を守る。世代間格差を緩和し、高齢期の安心感を高めることを目指している。
タクシー再規制 適正化に業界は自ら汗をかけ(12月8日付・読売社説)
規制緩和でタクシーが増えすぎ、様々な問題を生じさせているが、過度の規制復活は利用者のためにならない。そう考えた末の結論だろう。
国土交通省がタクシーの再規制策をまとめた。台数増で業界が共倒れしそうな地域では、地元の意向を踏まえ、共同で車を減らせる新たな仕組みを作る。
次期通常国会に新法を提出し、2010年に実施する方針だ。
景気後退でタクシーの客足はさらに遠のき、完全歩合制の運転手の収入は減る一方だ。1人でも多くの客を乗せようと焦った末の事故も多く、このままでは利用者の安全確保も危ぶまれる。再規制で台数を絞るのはやむを得まい。
新たな減車の仕組みは、繊維産業などが共同で過剰設備を廃棄した仕組みを参考にしている。
まず、問題が生じている地域を国が「特定地域」に指定する。
指定地域では、業界の労使代表や自治体などでつくる協議会が、タクシーの需要回復策や、運転手の待遇改善策などを盛り込んだ総合計画を作る。
協議会が必要と判断すれば、域内のタクシー会社が国に一斉に減車を申請する。国交省は公正取引委員会の意見も聞き、競争を妨げない範囲で減車を進める。
これまで、増えた車を減らす仕組みはなかった。共同減車の制度ができることは、業界の正常化に役立つだろう。
業界は当初、国が減車を強制する仕組みなどを求めていた。だが、国への依存を高めることは、規制緩和の流れに逆行しよう。
供給過剰の責任は、不毛な増車合戦で客の奪い合いを続けた業界にもある。業界が地域や利用者の声を聞き、公取委の監視下で適正化に汗をかくのは当然だ。
今回の仕組みは、あくまで一時的な措置だ。台数が適正化されて弊害が消えれば、特定地域の指定も外される。そうなれば増車競争が復活しかねず、再び増車規制をかけざるを得なくなる。
そうならないよう、恒久的な対策も考えておくべきだ。
地域内で営業するタクシーの台数を、定期的な入札制で決めるなど、増車を制限しながら、競争させる手立てはあるはずだ。入札で得た収入は乗り場の整備などに充てれば、業界の活性化にもつながるのではないか。
地域主導で適正化を図るなら、運賃などの許認可権を国から地方に移してはどうか。タクシー行政が「規制緩和の象徴」から「地方分権の象徴」になる。
読売新聞社が5~7日に実施した全国世論調査(電話方式)で、麻生内閣の支持率は20・9%となり、11月初めの前回調査(40・5%)からほぼ半減した。
不支持率は66・7%で約25ポイント跳ね上がった。
麻生首相と民主党の小沢代表のどちらが首相にふさわしいかでも、麻生氏は前回比21ポイント減の29%に落ち込み、14ポイント増やした小沢氏の36%を初めて下回った。
国民的人気の高さを背景に自民党総裁選で圧勝して誕生した麻生政権だが、わずか2か月余で“刷新効果”は消え去った。与党は強い衝撃を受けており、今後、自民党内で首相交代を求めたり、新党含みの動きが表面化したりする可能性もある。
麻生内閣の支持率は「危険水域」とされる3割を割り込み、8月の本社面接調査で28・3%だった福田内閣末期より低い水準に落ち込んだ。
内閣支持率急落、首相の求心力は一層低下
河村官房長官は7日、内閣支持率急落について、「厳しい数字だ。景気対策をしっかりやれという叱咤(しった)激励の声と受け止め、2008年度第2次補正予算案、09年度予算案で経済対策を打ち出すことで応えたい」と述べた。
自民党の細田幹事長は同日、記者団に「残念な結果になっている。雇用対策や景気対策が理解されれば、(支持率は)回復するのではないか」と語った。
大島理森・国会対策委員長は「自民党内から、(首相批判など)ざわついた発言が相次いでいることが、支持率低下の原因になっている」と指摘した。
また、公明党の太田代表は7日、「首相はリーダーシップを発揮し、自分が何をやりたいかを明確に打ち出すことが大事だ」と、首相に注文を付けた。
支持率低下は、漢字の読み間違えなど「首相の資質の問題」との受け止めも多い。首相周辺は7日、「支持率を上げる妙案はない。地道に頑張る姿を国民に見せていくしかない」と語った。
ただ、首相の求心力が一層低下するのは避けられない。
安倍元首相、福田前首相が、約1年で退陣しており、「もう一度、自民党総裁選をやって首相交代で乗り切ろうとしても、世論の支持は得られない」(自民党若手衆院議員)との指摘がある。一方で、「ここまで支持率が下がると、『交代も仕方ない』となる可能性もある」(閣僚経験者)との声も出ている。
自民党の中川秀直・元幹事長は7日、フジテレビの報道番組で今後の政界再編や新党への取り組みについて、「今言う段階ではない。話し合いながら判断していく」と、含みを残した。
政府・与党は今国会を会期末の25日に閉会し、来年1月5日にも通常国会を召集する方針だ。まず、第2次補正予算案と関連法案を早期に成立させ、続けて、09年度予算案の年度内成立を図りたい考えだ。しかし、民主党は補正予算案に反対する方針で、国会は激しい攻防が予想される。
「DSi」販売、1カ月で53万台 エンターブレイン調べ
ゲーム専門誌発行のエンターブレイン(東京・千代田、浜村弘一社長)は、2008年11月(10月27日―11月30日)の国内ゲーム市場の動向をまとめた。任天堂が11月1日に発売した携帯型ゲーム機の新製品「ニンテンドーDSi」の国内販売台数は、1カ月で53万5379台だった。発売1カ月の実績としては、06年3月に発売されて大ヒットした「ニンテンドーDSライト」と同水準という。
10月30日に新モデルを発売したソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のプレイステーション3の販売台数は13万8343台だった。「グランド・セフト・オート4」(カプコン)や「ワールドサッカー ウイニングイレブン2009」(コナミ)など有力ソフトの充実が本体販売を後押しした。
エイサー、低価格PCに「オフィス」 5万9800円で発売
台湾エイサーは5日、8月に発売した低価格パソコン「アスパイア・ワン」にマイクロソフトの統合ソフト「オフィス」を搭載した製品を今月下旬に5万9800円前後で発売すると発表した。2009年1月末までの期間限定。従来モデルの価格も10日から5000円引き下げ、4万9800円前後にする。
低価格パソコンは、4万円以上するオフィスを搭載しないことで5万円前後の価格を実現してきた。ただ、オフィスを搭載していないことで顧客を取り逃がしているケースもあり、試験的に発売することを決めた。5万円台のオフィス搭載モデル登場は他社の戦略にも影響を与えそうだ。
中川秀氏、世論は自と民から改革派の結集期待 政界再編で
自民党の中川秀直元幹事長は7日のフジテレビ番組で、政界再編の見通しについて「世論が期待しているのは単なる昨年あった大連立なのか、改革派同士が(自民、民主)両党から出てきてやるものか、もう少し調べてほしい」と語った。自民、民主両党の改革派議員の結集が再編の軸になるとの見方を示した発言だ。
中川氏は「新党がぽこぽこできることは期待されていない」と指摘。「民意は政界全体がひっくり返るようなものを望んでいる」と述べ、来年に政界再編が起きるとの見方を示した。自身の行動は次期衆院選の直後に決める考えを示した。
渡辺喜美元行政改革担当相は都内で記者団に「今国会中に解散してもいい。1月中に危機管理内閣ができるので、そのほうがいい」と述べ、年内解散が望ましいとの認識を示した。次期衆院選後は「政界再編がいや応なしに起きる」との見方を示した。
麻生首相、公共事業費「考え直してもいい」 別枠での確保示唆
麻生太郎首相は7日、熊本県天草市で演説し、公共事業関係費について「改めて自分の生活を考えて、公共事業の大きさを考え直してもいいのではないか」と述べた。首相は公共事業関係費の3%削減を定めた来年度当初予算の概算要求基準(シーリング)「維持」を約束済み。同日の発言は必要な公共事業を「別枠」で確保する意向を示したとみられる。
「別枠」について、来年度当初予算でどこまで対応するかは政府・与党内の意見が対立している。首相発言は論争に拍車をかけそうだ。
首相は演説で「公共事業は(ピーク時の)半分になったが、道路は要る。補修もしなきゃなんない。いろんな形で仕事がなくなって地域は疲弊してきている」などと問題点を指摘した。
金融システムのもろさ、誰も予見できず クルーグマン氏会見
「金融システムがどれほどのもろさを抱えているのかをほとんど誰も予見できなかった」。今年のノーベル経済学賞を受賞するポール・クルーグマン米プリンストン大教授は7日、ストックホルムでの記者会見で米国発の金融危機について語った。
教授は「伝統的な銀行システムが、(規制対象からはずれた)パラレル(並行した)銀行システムにどれほどの深度で取って代わられたかが見過ごされていた」と指摘。金融自由化を背景とする市場システムの複雑化に政府当局の規制や監視が追いつけなかったことがリスクを膨らませていたとの認識を示した。
各国の景気後退への対応については「1929年の大恐慌の経験が、それを繰り返さないために生きるだろう」と指摘した。さらに「1990年代にゼロ金利下で激しいデフレ圧力にさらされた経済に対応した経験を持つ日本にわれわれは感謝すべきだ」と述べた。
印政府、最大3800億円の経済対策 同時テロで景気下振れ懸念
【ニューデリー=小谷洋司】インド政府は7日、最大2000億ルピー(約3800億円)の追加支出や付加価値減税を柱とする経済対策を発表した。金融危機による成長減速を受け、政策の基本方針をインフレ対策から景気刺激に転換する。先に商都ムンバイで起きた同時テロを機に景気の下振れ懸念が一段と強まっているため下支えを急ぐ。
追加支出は2009年3月末までの今年度の補正予算案として公表した。具体的な支出項目は示していない。政府は声明で「大幅な歳出増による景気刺激は09年度も必要になる」と指摘した。
消費刺激策として、標準税率が14%の中央付加価値税(CENVAT)を今年度末まで一律4%引き下げる。低所得層などの住宅取得を促進するため、国営銀行で上限200万ルピーの住宅ローンの貸し出しを増やす。
農業関税削減、例外品目数は最大6% WTO最終案
【ジュネーブ=藤田剛】世界貿易機関(WTO)は6日夜(日本時間7日未明)、多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の年内大枠合意に向け、農業と鉱工業品議長がまとめた貿易自由化ルールの最終案を発表した。今週中にも始まる閣僚会合での議論のたたき台となる。農業では関税削減の例外扱いとなる重要品目数は全体の4%が原則と明記。これに2%は上乗せできるものの、計8%を主張していた日本の要求は認められない形になった。
厚生年金、若者の不利改善 日経研究会2次報告
日本経済新聞社の年金制度改革研究会は公的年金改革の第2次報告をまとめた。基礎年金の全額を消費税で賄い未納者や無年金の人をなくすとした第1次報告の案に加えて、厚生年金や共済年金の2階部分(報酬比例部分)の保険料を一部、加入者のために積み立てて必ず本人へ戻るようにする。若い世代が高齢世代に比べ給付面で不利な状況を改めるのが狙いだ。また基礎年金は現制度にある給付抑制策をやめ、物価や賃金の変動を完全に反映させて月6万6000円の実質的な価値を守る。世代間格差を緩和し、高齢期の安心感を高めることを目指している。
タクシー再規制 適正化に業界は自ら汗をかけ(12月8日付・読売社説)
規制緩和でタクシーが増えすぎ、様々な問題を生じさせているが、過度の規制復活は利用者のためにならない。そう考えた末の結論だろう。
国土交通省がタクシーの再規制策をまとめた。台数増で業界が共倒れしそうな地域では、地元の意向を踏まえ、共同で車を減らせる新たな仕組みを作る。
次期通常国会に新法を提出し、2010年に実施する方針だ。
景気後退でタクシーの客足はさらに遠のき、完全歩合制の運転手の収入は減る一方だ。1人でも多くの客を乗せようと焦った末の事故も多く、このままでは利用者の安全確保も危ぶまれる。再規制で台数を絞るのはやむを得まい。
新たな減車の仕組みは、繊維産業などが共同で過剰設備を廃棄した仕組みを参考にしている。
まず、問題が生じている地域を国が「特定地域」に指定する。
指定地域では、業界の労使代表や自治体などでつくる協議会が、タクシーの需要回復策や、運転手の待遇改善策などを盛り込んだ総合計画を作る。
協議会が必要と判断すれば、域内のタクシー会社が国に一斉に減車を申請する。国交省は公正取引委員会の意見も聞き、競争を妨げない範囲で減車を進める。
これまで、増えた車を減らす仕組みはなかった。共同減車の制度ができることは、業界の正常化に役立つだろう。
業界は当初、国が減車を強制する仕組みなどを求めていた。だが、国への依存を高めることは、規制緩和の流れに逆行しよう。
供給過剰の責任は、不毛な増車合戦で客の奪い合いを続けた業界にもある。業界が地域や利用者の声を聞き、公取委の監視下で適正化に汗をかくのは当然だ。
今回の仕組みは、あくまで一時的な措置だ。台数が適正化されて弊害が消えれば、特定地域の指定も外される。そうなれば増車競争が復活しかねず、再び増車規制をかけざるを得なくなる。
そうならないよう、恒久的な対策も考えておくべきだ。
地域内で営業するタクシーの台数を、定期的な入札制で決めるなど、増車を制限しながら、競争させる手立てはあるはずだ。入札で得た収入は乗り場の整備などに充てれば、業界の活性化にもつながるのではないか。
地域主導で適正化を図るなら、運賃などの許認可権を国から地方に移してはどうか。タクシー行政が「規制緩和の象徴」から「地方分権の象徴」になる。
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「VIERAケータイ」で勢いに乗るパナソニックの強みと弱み 秋冬商戦メーカー編 <COLUMN1>
携帯電話の新機種が相次いで店頭に並び出し、いよいよ冬商戦が本格化してきた。パナソニックモバイルコミュニケーションズは昨年ヒットした「VIERAケータイ」を軸にシンプルなモデルも揃え、幅広いラインアップで勝負を挑む。
パナソニックモバイルといえば、昨年投入した「P905i」の大ヒットが記憶に新しい。画面部分が横開きになるワンセグが見やすい機構を採用しただけでなく、「VIERAケータイ」というブランド効果もあって、長い期間、品薄状態に陥ってしまった。
P905iはいまでは珍しい100万台を超える販売台数を記録した。そして、VIERAケータイシリーズは、P905iから9カ月で5機種が発売され、累計でも300万台を突破している。
国内におけるメーカー別シェアも18%に近づく状況にある。VIERAケータイの効果により、平均単価も上昇した。出荷台数予想は微減であるが、金額ベースでは前年を超えると見られている。まさにいまはVIERAケータイあってのパナソニックモバイルなのだ。
■簡単な仕掛けで使い勝手が一気に向上した「P-01A」
今回の冬モデルで注目はやはりNTTドコモの「P-01A」になるだろう。これまでの“弱点”を克服し、完成度の高いVIERAケータイに仕上がっているのが魅力だ。
P905iでは、画面を横開きにしてワンセグを見やすくしたのが使い勝手のよいポイントだったが、一方でテンキーが横を向いてしまうため、操作がしにくいという難点があった。夏モデルの「P906i」では横開きでワンセグ以外の機能を使えるようにしたが、かなりテンキーが横向きとなるため操作性に難があった。
しかし、P-01Aではテンキー部分の表示が切り替わり、横画面にした際に数字の表記などが手前に向くように改良されている。横画面にしても文字入力などが俄然しやすくなったのだ。
実はこの手品のような仕掛けは、テンキー部分の下に縦書きと横書きに数字を印字したシートを埋め込んで、ヒンジを開く際の力を利用してシートを数ミリ動かして表示を切り替えているだけに過ぎない。原理としては「なんだ。そういうことか」とあっけにとられるほど簡単なのだが、ちょっとした仕組みで使い勝手が一気に向上するのには驚いた。
■廉価版のVIERAケータイも用意
最近のパナソニックモバイルといえば、積極的に横展開をしてきたのが目につく。例えば、NTTドコモ向けに冬に投入したP905iは、ほぼ同じデザイン、仕様のままで春にソフトバンクモバイル向けに「920P」として供給した。夏も同じように、P906iを921Pとして供給している。
この冬商戦からは、新たに縦にも展開を広げることになった。それがドコモの「P-03A」だ。
ぱっとした見た目はまさに横開きするVIERAケータイ。しかし、フルワイドVGA液晶を搭載するハイスペックなP-01Aとは異なり、ディスプレーはフルワイドQVGAに抑えられている。薄さを重視して、テンキー部分の向きが変わるギミックは施されていない。スペックを落とすことで、P-01Aよりも安く価格を設定することができるという。
従来の「90X」と「70X」というシリーズの関係に近いが、あえてスペックを落として価格を下げることで、昨今、割賦販売制度の導入によって「ケータイが高い」と感じているユーザーに訴求していくようだ。
もうひとつ、今回のパナソニックモバイルの取り組みとして斬新だったが、同じくドコモの「P-02A」だ。
■三菱電機の「スピードセレクター」を借用
P-02Aはスライド端末なのだが、名称が「スピードセレクター」という三菱電機が持っていた機構をそのまま採用している。これは今年春に携帯電話事業から撤退した三菱電機から許諾を受けたものとなっている。
三菱電機といえば、コンパクトなスライド端末で若い女性を中心に人気のあったメーカーだ。同社が撤退したことで、次の機種の購入に迷う三菱ユーザーをどのメーカーが獲得していくかに注目が集まったが、まさかパナソニックモバイルが同じスライドでしかもまったく同じスピードセレクターを搭載してくるとは思わなかった。
実際、メニュー画面はパナソニックモバイルのままなので操作性はまったく同じではないが、スピードセレクターの感触などは三菱電機製とほぼ同等となっている。本体カラーなどもかつての三菱電機を彷彿とさせるものに仕上がっているといえるだろう。
■NTTドコモ注力、他キャリア向けは力不足?
VIERAケータイやスライド端末など、NTTドコモ向けには気合いの入ったモデルを投入するパナソニックモバイルだが、他キャリア向けとなるとやや個性に乏しいといった印象を抱いてしまう。
au向けの「W62P」は過去のモデルのマイナーチェンジのような感じを受けるし、ソフトバンクモバイル向け「830P」はワンタッチ機能を充実させてはいるが、個性や尖った印象は感じない。
au向けに関しては現在、他社のプラットフォームを利用しており、本格的にVIERAケータイを作ろうと思えば、共通プラットフォームである「KCP+」を採用する必要がある。しかし、KCP+を使ってVIERAケータイを作ろうと思えば、ワンセグ部分を独自に開発しなくてはならないなど、かなりコスト増を余儀なくされるはずだ。
一方、ソフトバンクモバイル向けの830Pは、地味ではあるが販売数をかなり稼ぐモデルとして期待されているようだ。今回、ソフトバンクモバイルから発表された冬モデルのラインアップのなかでも、相当数の調達量を見込まれているらしい。
「実質負担金無料」といった売り方で、契約数を獲得するためのモデルになるようだ。
■ラインアップに欠けているモデル
パナソニックモバイルは現在、まず国内でトップシェアを獲得していくことを最優先課題に置いている。そのため、パナソニックグループのテレビやカーナビ、ノートパソコンといったハードだけでなく、他のインターネット企業のサービスとも連携していくと説明する。国内で新しい市場を創造していくことにまずは力を注ぎ、その後、海外への展開を模索していくようだ。
冬モデルではVIERAケータイを中心に、830Pなど数を稼げるモデルを揃えてきたパナソニックモバイル。だが、順調そうに見える一方で、この商戦でシャープやNEC、富士通が投入してきたタッチパネルケータイを用意できなかったのは気になるところでもある。
シリコンバレーのレイオフ事情 グーグル、非正規社員を大量解雇(COLUMN2)
クリスマスを前に、ここシリコンバレーもすっかりホリデー気分に包まれている。しかし、家族へのプレゼントに頭を悩ませてばかりいるわけにもいかない。多くの企業がホリデー休暇を境にレイオフ(一時解雇)を実施するからだ。クリスマスが終わったら、帰るべき会社がなかった──そんな状況が、ここにも押し寄せてきた。
米メディアは12月に入っても「世界大恐慌に並ぶ不況」と連日大騒ぎを続けている。しかし、国土が広いアメリカは地域による差も大きい。今回の不況はニューヨークを中心とする東部経済圏を直撃した。ニューヨークの知人などに聞くと「街がすっかり元気をなくした」という。
■直撃を免れたシリコンバレーだが
一方、ここシリコンバレーは、直接の被害を免れている。正直なところ、2000年春にやってきたネット不況に比べれば「遙かに軽い」というのがサンフランシスコ湾岸地域の現状だろう。とはいえ、市民の買い控えや企業のIT投資削減が始まり、ハイテク業界でも不況対策が強まっている。
コストカットはもちろんだが、ホリデーシーズンを迎え、人々の心配はレイオフに集まっている。ただ、シリコンバレー企業の人員削減は急に始まったわけでもない。10月には、イーベイが1000人のレイオフを発表したほか、ゼロックスが3000人、エレクトロニックアーツ(EA)が600人、ヤフーは10%削減(約1430人)といった具合だ。最近システムインテグレーター大手のEDSを買収したヒューレット・パッカード(HP)は向こう3年間で2万4600人の削減を狙っている。
こうしたレイオフの動きは11月に裾野をひろげた。サン・マイクロシステムズが発表した6000人の大型レイオフは別格として、付加価値ネットワーク事業者のアカマイが7%、ブログサービスのシックス・アパートが8%、パームが10%、SNSのリンクド・インが240人など、人員削減の波は中堅から中小事業者へと広がっている。
来年はより厳しい状況に入ると各社は判断しており、年明け最初の決算報告が出るころには「レイオフ第2波」がシリコンバレーを襲うと言われている。
■注目のグーグルも減量経営へ
寒風が吹き始めたシリコンバレーで、注目を集めているのがグーグルの動向だ。インターネット広告業界でトップを走る同社は、2000年のネット不況でも「成長が止まる」ことはなかった。しかし、現在は携帯電話用OSやネット・アプリケーションなどに事業多角化を進めており、当時に比べて高コスト構造になっていることは否めない。グーグルは強気の姿勢を崩していないが、もし広告市場が落ち込めば、今回は同社でさえも「成長維持が難しい」との意見もある。
全体として、広告市場の冷え込みは急速に進んでいる。テレビ広告の業界団体TBA(Television Bureau of Advertising)は11月、2009年のTVスポット広告市場見通しをマイナス7~11%程度と修正した。9月の同予想はマイナス2~5%であり、2カ月足らずで大幅下方修正を強いられた格好だ。
ただ、オンライン広告は伸び続けるとの意見もある。調査会社イーマーケターが12月1日に発表した2009年のオンライン広告予想は、前年比約8.9%増の257億ドルとなっている。検索連動型広告の成長率をみても、2008年の前年比21.4%増には及ばないが、14.9%の成長が続くとしている。
そうしたなか、話題を呼んだのがグーグルの雇用削減に関するニュースだ。シリコンバレーの情報サイト「WebGuild Silicon Valley」は11月24日付で、グーグルが「密かに」レイオフをおこなっていると報じた。米国では、レイオフなどの重要経営案件については、証券取引所に提出する業績報告書に記載する義務がある。グーグルの決算報告にはレイオフの記載はないにもかかわらず、人員削減をしている──と同誌は厳しい。しかも、雇用削減の対象は1万人にも上るという。
■非正規社員をカット
このからくりは、グーグルが大量の非正規社員を抱えているためだ。彼らはインターンやコントラクト・ワーカーなどと呼ばれ、正規社員のような健康保険やストックオプション、長期雇用契約などが与えられていない。しかし、社内での仕事は正規社員と変わらず、サラリーなどは会社の帳簿上で経費(operational expenses)に分類されている。グーグルは、非正規社員の数を公表していないが、もし1万人が正しい数字とすれば、同社社員の3人に1人は非正規社員となる。
グーグルは最近、多数の非正規社員を抱えていることを認め、また非正規社員約3000人を解雇したと発表している。同時に、300人の正規社員も退職した。グーグルが従業員数について社員に厳しく口止めしていることはシリコンバレーで広く知られているが、今回のニュースでその一端が明らかになった。
急成長を続けてきたグーグルは、大量の社員を採用してきた。ここ1~2年、証券市場は、その急激な人員増加を懸念し、鋭い目を向けていた。そうした背景から、同社は公表する必要がない非正規社員で人員を補充してきたのではないかと業界関係者は見ている。いずれにせよ、グーグルもまた、シリコンバレー不況に備えて減量経営に入ったことは間違いない。
◇ ◇ ◇
2000年のネット不況から立ち直るまで、シリコンバレーは3年の月日が必要だった。東部のような直撃を免れたのは幸いだが、今回の経済危機は遙かに深刻でより長期化の様相を示している。どうやら、ホリデーのたびにレイオフにおびえる憂鬱が、当分続くことになりそうだ。
携帯電話の新機種が相次いで店頭に並び出し、いよいよ冬商戦が本格化してきた。パナソニックモバイルコミュニケーションズは昨年ヒットした「VIERAケータイ」を軸にシンプルなモデルも揃え、幅広いラインアップで勝負を挑む。
パナソニックモバイルといえば、昨年投入した「P905i」の大ヒットが記憶に新しい。画面部分が横開きになるワンセグが見やすい機構を採用しただけでなく、「VIERAケータイ」というブランド効果もあって、長い期間、品薄状態に陥ってしまった。
P905iはいまでは珍しい100万台を超える販売台数を記録した。そして、VIERAケータイシリーズは、P905iから9カ月で5機種が発売され、累計でも300万台を突破している。
国内におけるメーカー別シェアも18%に近づく状況にある。VIERAケータイの効果により、平均単価も上昇した。出荷台数予想は微減であるが、金額ベースでは前年を超えると見られている。まさにいまはVIERAケータイあってのパナソニックモバイルなのだ。
■簡単な仕掛けで使い勝手が一気に向上した「P-01A」
今回の冬モデルで注目はやはりNTTドコモの「P-01A」になるだろう。これまでの“弱点”を克服し、完成度の高いVIERAケータイに仕上がっているのが魅力だ。
P905iでは、画面を横開きにしてワンセグを見やすくしたのが使い勝手のよいポイントだったが、一方でテンキーが横を向いてしまうため、操作がしにくいという難点があった。夏モデルの「P906i」では横開きでワンセグ以外の機能を使えるようにしたが、かなりテンキーが横向きとなるため操作性に難があった。
しかし、P-01Aではテンキー部分の表示が切り替わり、横画面にした際に数字の表記などが手前に向くように改良されている。横画面にしても文字入力などが俄然しやすくなったのだ。
実はこの手品のような仕掛けは、テンキー部分の下に縦書きと横書きに数字を印字したシートを埋め込んで、ヒンジを開く際の力を利用してシートを数ミリ動かして表示を切り替えているだけに過ぎない。原理としては「なんだ。そういうことか」とあっけにとられるほど簡単なのだが、ちょっとした仕組みで使い勝手が一気に向上するのには驚いた。
■廉価版のVIERAケータイも用意
最近のパナソニックモバイルといえば、積極的に横展開をしてきたのが目につく。例えば、NTTドコモ向けに冬に投入したP905iは、ほぼ同じデザイン、仕様のままで春にソフトバンクモバイル向けに「920P」として供給した。夏も同じように、P906iを921Pとして供給している。
この冬商戦からは、新たに縦にも展開を広げることになった。それがドコモの「P-03A」だ。
ぱっとした見た目はまさに横開きするVIERAケータイ。しかし、フルワイドVGA液晶を搭載するハイスペックなP-01Aとは異なり、ディスプレーはフルワイドQVGAに抑えられている。薄さを重視して、テンキー部分の向きが変わるギミックは施されていない。スペックを落とすことで、P-01Aよりも安く価格を設定することができるという。
従来の「90X」と「70X」というシリーズの関係に近いが、あえてスペックを落として価格を下げることで、昨今、割賦販売制度の導入によって「ケータイが高い」と感じているユーザーに訴求していくようだ。
もうひとつ、今回のパナソニックモバイルの取り組みとして斬新だったが、同じくドコモの「P-02A」だ。
■三菱電機の「スピードセレクター」を借用
P-02Aはスライド端末なのだが、名称が「スピードセレクター」という三菱電機が持っていた機構をそのまま採用している。これは今年春に携帯電話事業から撤退した三菱電機から許諾を受けたものとなっている。
三菱電機といえば、コンパクトなスライド端末で若い女性を中心に人気のあったメーカーだ。同社が撤退したことで、次の機種の購入に迷う三菱ユーザーをどのメーカーが獲得していくかに注目が集まったが、まさかパナソニックモバイルが同じスライドでしかもまったく同じスピードセレクターを搭載してくるとは思わなかった。
実際、メニュー画面はパナソニックモバイルのままなので操作性はまったく同じではないが、スピードセレクターの感触などは三菱電機製とほぼ同等となっている。本体カラーなどもかつての三菱電機を彷彿とさせるものに仕上がっているといえるだろう。
■NTTドコモ注力、他キャリア向けは力不足?
VIERAケータイやスライド端末など、NTTドコモ向けには気合いの入ったモデルを投入するパナソニックモバイルだが、他キャリア向けとなるとやや個性に乏しいといった印象を抱いてしまう。
au向けの「W62P」は過去のモデルのマイナーチェンジのような感じを受けるし、ソフトバンクモバイル向け「830P」はワンタッチ機能を充実させてはいるが、個性や尖った印象は感じない。
au向けに関しては現在、他社のプラットフォームを利用しており、本格的にVIERAケータイを作ろうと思えば、共通プラットフォームである「KCP+」を採用する必要がある。しかし、KCP+を使ってVIERAケータイを作ろうと思えば、ワンセグ部分を独自に開発しなくてはならないなど、かなりコスト増を余儀なくされるはずだ。
一方、ソフトバンクモバイル向けの830Pは、地味ではあるが販売数をかなり稼ぐモデルとして期待されているようだ。今回、ソフトバンクモバイルから発表された冬モデルのラインアップのなかでも、相当数の調達量を見込まれているらしい。
「実質負担金無料」といった売り方で、契約数を獲得するためのモデルになるようだ。
■ラインアップに欠けているモデル
パナソニックモバイルは現在、まず国内でトップシェアを獲得していくことを最優先課題に置いている。そのため、パナソニックグループのテレビやカーナビ、ノートパソコンといったハードだけでなく、他のインターネット企業のサービスとも連携していくと説明する。国内で新しい市場を創造していくことにまずは力を注ぎ、その後、海外への展開を模索していくようだ。
冬モデルではVIERAケータイを中心に、830Pなど数を稼げるモデルを揃えてきたパナソニックモバイル。だが、順調そうに見える一方で、この商戦でシャープやNEC、富士通が投入してきたタッチパネルケータイを用意できなかったのは気になるところでもある。
シリコンバレーのレイオフ事情 グーグル、非正規社員を大量解雇(COLUMN2)
クリスマスを前に、ここシリコンバレーもすっかりホリデー気分に包まれている。しかし、家族へのプレゼントに頭を悩ませてばかりいるわけにもいかない。多くの企業がホリデー休暇を境にレイオフ(一時解雇)を実施するからだ。クリスマスが終わったら、帰るべき会社がなかった──そんな状況が、ここにも押し寄せてきた。
米メディアは12月に入っても「世界大恐慌に並ぶ不況」と連日大騒ぎを続けている。しかし、国土が広いアメリカは地域による差も大きい。今回の不況はニューヨークを中心とする東部経済圏を直撃した。ニューヨークの知人などに聞くと「街がすっかり元気をなくした」という。
■直撃を免れたシリコンバレーだが
一方、ここシリコンバレーは、直接の被害を免れている。正直なところ、2000年春にやってきたネット不況に比べれば「遙かに軽い」というのがサンフランシスコ湾岸地域の現状だろう。とはいえ、市民の買い控えや企業のIT投資削減が始まり、ハイテク業界でも不況対策が強まっている。
コストカットはもちろんだが、ホリデーシーズンを迎え、人々の心配はレイオフに集まっている。ただ、シリコンバレー企業の人員削減は急に始まったわけでもない。10月には、イーベイが1000人のレイオフを発表したほか、ゼロックスが3000人、エレクトロニックアーツ(EA)が600人、ヤフーは10%削減(約1430人)といった具合だ。最近システムインテグレーター大手のEDSを買収したヒューレット・パッカード(HP)は向こう3年間で2万4600人の削減を狙っている。
こうしたレイオフの動きは11月に裾野をひろげた。サン・マイクロシステムズが発表した6000人の大型レイオフは別格として、付加価値ネットワーク事業者のアカマイが7%、ブログサービスのシックス・アパートが8%、パームが10%、SNSのリンクド・インが240人など、人員削減の波は中堅から中小事業者へと広がっている。
来年はより厳しい状況に入ると各社は判断しており、年明け最初の決算報告が出るころには「レイオフ第2波」がシリコンバレーを襲うと言われている。
■注目のグーグルも減量経営へ
寒風が吹き始めたシリコンバレーで、注目を集めているのがグーグルの動向だ。インターネット広告業界でトップを走る同社は、2000年のネット不況でも「成長が止まる」ことはなかった。しかし、現在は携帯電話用OSやネット・アプリケーションなどに事業多角化を進めており、当時に比べて高コスト構造になっていることは否めない。グーグルは強気の姿勢を崩していないが、もし広告市場が落ち込めば、今回は同社でさえも「成長維持が難しい」との意見もある。
全体として、広告市場の冷え込みは急速に進んでいる。テレビ広告の業界団体TBA(Television Bureau of Advertising)は11月、2009年のTVスポット広告市場見通しをマイナス7~11%程度と修正した。9月の同予想はマイナス2~5%であり、2カ月足らずで大幅下方修正を強いられた格好だ。
ただ、オンライン広告は伸び続けるとの意見もある。調査会社イーマーケターが12月1日に発表した2009年のオンライン広告予想は、前年比約8.9%増の257億ドルとなっている。検索連動型広告の成長率をみても、2008年の前年比21.4%増には及ばないが、14.9%の成長が続くとしている。
そうしたなか、話題を呼んだのがグーグルの雇用削減に関するニュースだ。シリコンバレーの情報サイト「WebGuild Silicon Valley」は11月24日付で、グーグルが「密かに」レイオフをおこなっていると報じた。米国では、レイオフなどの重要経営案件については、証券取引所に提出する業績報告書に記載する義務がある。グーグルの決算報告にはレイオフの記載はないにもかかわらず、人員削減をしている──と同誌は厳しい。しかも、雇用削減の対象は1万人にも上るという。
■非正規社員をカット
このからくりは、グーグルが大量の非正規社員を抱えているためだ。彼らはインターンやコントラクト・ワーカーなどと呼ばれ、正規社員のような健康保険やストックオプション、長期雇用契約などが与えられていない。しかし、社内での仕事は正規社員と変わらず、サラリーなどは会社の帳簿上で経費(operational expenses)に分類されている。グーグルは、非正規社員の数を公表していないが、もし1万人が正しい数字とすれば、同社社員の3人に1人は非正規社員となる。
グーグルは最近、多数の非正規社員を抱えていることを認め、また非正規社員約3000人を解雇したと発表している。同時に、300人の正規社員も退職した。グーグルが従業員数について社員に厳しく口止めしていることはシリコンバレーで広く知られているが、今回のニュースでその一端が明らかになった。
急成長を続けてきたグーグルは、大量の社員を採用してきた。ここ1~2年、証券市場は、その急激な人員増加を懸念し、鋭い目を向けていた。そうした背景から、同社は公表する必要がない非正規社員で人員を補充してきたのではないかと業界関係者は見ている。いずれにせよ、グーグルもまた、シリコンバレー不況に備えて減量経営に入ったことは間違いない。
◇ ◇ ◇
2000年のネット不況から立ち直るまで、シリコンバレーは3年の月日が必要だった。東部のような直撃を免れたのは幸いだが、今回の経済危機は遙かに深刻でより長期化の様相を示している。どうやら、ホリデーのたびにレイオフにおびえる憂鬱が、当分続くことになりそうだ。
上場企業の海外売上高、初の減少 4―9月、米州で営業利益半減
日本の主要上場企業の海外売上高が初めて減少に転じた。2008年4―9月期(上期)の海外売上高は67兆400億円と前年同期に比べ1%減った。米州では自動車を中心に売上高が1割近く落ち込み、営業利益は半減した。欧州でも営業利益が3割弱減少。世界景気後退の影響が海外売上高比率の高い日本企業の業績を直撃している。中国などアジア諸国の景気も急減速しており、下期も海外部門が企業収益をさらに押し下げる公算が大きい。
3月期決算企業(金融、新興3市場を除く)のうち連結の所在地別収益を00年9月中間期から比較できる396社を対象に、日本経済新聞社が集計した。連結中間決算の開示が義務づけられた00年9月中間期以降、海外売上高が前年同期を下回るのは初めて。米州の売上高が21兆8000億円と、同9%減ったのが大きい。
オバマ次期大統領が経済再生計画 半世紀ぶりの大型投資表明
【ワシントン=米山雄介】オバマ次期米大統領は6日、週末恒例のインターネットとラジオを通じた演説で、自らの政権の経済再生計画の概要を明らかにした。「高速道路網を整備した1950年代以来、最大の公共投資を実施する」と述べ、約半世紀ぶりの大型投資を表明。公共建物のエネルギー効率の改善や学校、医療システムの近代化、高速・大容量のネット環境整備にも取り組む考えを示した。
オバマ氏は「今回の景気後退ですでに200万人近い雇用が失われた」と指摘。経済の困難の克服に向け「今、行動が必要だ」と述べ、経済チームに250万人の雇用を生む経済再生計画の策定を指示したことを改めて強調した。
同日公表した計画の概要は具体的な財政出動の金額などについては触れていない。ただオバマ氏は「1月に再開する議会と協働して、計画を迅速に成立させる」と力説。景気対策を早急に実行に移す考えを示した。
政府、大企業にも低利融資 09年度末まで6000億円超
政府は企業の資金繰り支援を拡充する。資金調達が厳しさを増していることから、週明けにも日本政策金融公庫による危機対応円滑化業務の発動を認定。中小企業だけでなく大企業、中堅企業も通常より低い金利で政策金融による貸し渋り対応の融資が受けられるようにする。2009年度末まで6000億―1兆円規模の低利融資枠を設ける方針だ。
融資の対象は今回の金融危機で、急激に資金繰りが厳しくなった企業。政策公庫が大規模災害や金融環境の混乱などの対応のために設けている「危機対応円滑化業務」を活用し、年内に融資が受けられるようにする。10月に民営化した日本政策投資銀行を通じ、6000億―1兆円規模の大・中堅企業向け低利融資のための枠を確保する。
第三者増資、総会決議を義務化 法務省、会社法改正で検討
法務省は、買収防衛などに活用される第三者割当増資により利益が縮小しかねない既存の少数株主の保護に向け、会社法改正の検討に入った。現行法では事実上、取締役会の判断で新株を発行できるが、株主総会の決議を義務付ける方向。来年秋にも法制審議会(法相の諮問機関)で始める会社法の次期改正論議で論点の1つとし、2011年の通常国会への改正案提出をめざす。
第三者割当増資は取引先や提携先の企業など特定の第三者に新株を割り当てる資金調達方法。1株当たり利益の縮小や投資ファンドなどへの経営権の移動も考えられるため、少数株主や外国人投資家らから規制強化を求める声が強まっていた。
日立のパネル子会社、派遣社員250人を削減
日立製作所の子会社でプラズマテレビ用のパネルを製造する日立プラズマディスプレイ(宮崎県国富町)は、派遣社員250人全員を来年1月に削減する。パネルのガラス部材の生産を中止し、来年度以降、パナソニック(旧松下電器産業)からの調達に切り替えるためだ。約1000人の正社員についても余剰感があることから、最大で約400人を宮崎県外にある日立グループの工場などに配置転換する。
予算編成3つの難題、調整はヤマ場に 特別枠予算など
政府は2009年度予算編成の懸案の1つだった基礎年金の国庫負担割合の引き上げを、当初予定通り来年の4月から実施する方針を固めた。予算編成を巡る政府・与党内の調整は今週ヤマ場を迎えるが、地方交付税の増額や、社会保障費の抑制方針を巡る攻防などの難題は着地点が見えない。選挙を控えた与党内の予算増圧力はきわめて強く、与党でくすぶる「特別枠予算」構想が再び勢いを増す可能性もある。
決着が最後までもつれこみそうな課題が、地方交付税の増額だ。麻生太郎首相は当初、「道路特定財源の一般財源化に際し、1兆円を地方に移す」と表明。政府・与党内では1兆円を地方交付税にするか、交付金にするかの論争に発展した。
ダイムラーとBMW、新車販売前年割れの公算 08年
【フランクフルト=後藤未知夫】欧州の新車販売の悪化が続いている。高級車が強みのドイツのダイムラーとBMWは、11月の世界販売がそれぞれ前年同月比25%減少。両社とも今年の世界販売が前年実績を割り込む公算が大きい。
ダイムラーのメルセデス・ベンツ乗用車部門は、11月に8万4500台を販売。1―11月の累計販売台数は前年同期比1%減の115万8200台にとどまった。12月も2割強の減少となれば、過去最多だった昨年の129万台を上回るのは厳しい。
BMWの1―11月の累計は1.8%減の132万3600台。同社は通年で過去最多だった昨年の150万台の販売記録更新を断念した。
北米で追加減産、トヨタが意向 4工場対象
【ニューヨーク=小高航】トヨタ自動車は5日、北米4工場で追加減産に踏み切る意向を明らかにした。米新車市場の急減速に合わせ、減産の対象を従来の大型車から「カローラ」など乗用車に拡大。来年1月にかけ、最大10日ほどの休業日を設け生産台数を減らす。
「カムリ」を生産するケンタッキー工場で9日間、米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁工場でカローラを生産する「NUMMI」(カリフォルニア州)で10日間の休業日を追加する。
このほか、カナダ工場(オンタリオ州)とインディアナ工場が対象となる。
ドイツ取引所、NYSEと合併構想浮上 独メディア報道
【ロンドン=石井一乗】フランクフルト証券取引所を運営するドイツ取引所と、ニューヨーク証券取引所などを運営するNYSEユーロネクストの経営統合構想が浮上していることが6日明らかになった。独週刊誌シュピーゲル(電子版)が報じた。ドイツ取引所のトップが、持ち株会社方式による経営統合を盛り込んだ提案書を提示したという。ドイツ取引所はコメントを控えた。
ドイツ取引所はかつてロンドン証券取引所や欧州取引所連合ユーロネクストの買収を試みたがいずれも失敗。その後NYSEグループがユーロネクストと統合した経緯がある。
郵政見直し、揺れる自民 4分社体制に異論
自民党内で郵政民営化策の見直し論が浮上してきた。郵便事業会社と郵便局会社の統合など4分社体制の修正や郵便貯金の預入限度額(1000万円)の引き上げなどが主な論点。次期衆院選を前に組織票を持つ全国郵便局長会(全特)との関係を修復したい思惑もちらつく。ただ、小泉改革の象徴ともいえる郵政民営化の見直しには反対論も根強く、麻生内閣の新たな火種になりかねない。
「一体経営でないと全国一律サービスは担保できない」。5日の自民党の郵政事業に関する検討・検証プロジェクトチーム(PT、中谷元座長)の会合。全特の浦野修会長は現行の4分社体制の見直しを強く求めた。中谷座長も来年1月の取りまとめに向けて「全特の意見に沿って中身を詰める」と断言した。
タイ野党「連立樹立めざす」 タクシン派は再結束探る
【バンコク=三河正久】タイ野党・民主党は6日、憲法裁判所の判決で2日に崩壊したソムチャイ政権で連立与党に参加していた中小政党と連立政権を樹立すると表明した。憲法裁判所判決で解党されたタクシン元首相派の旧最大与党「国民の力党」内の最大会派もこれに合流を決定。下院(定数480)の現職議員の過半数に当たる少なくとも250人以上を集めたとし、民主党主導の連立政権実現に自信を示した。
ただ、旧国民の力党の解党後、タクシン派議員が移籍した「タイ貢献党」も同日、「我々は過半数の228議席を維持している」と主張し連立維持を表明。5日にはタクシン氏と離婚したポチャマン元夫人も帰国しており、タクシン派が再結束に向け巻き返しに出るのは必至だ。
中国、石油製品の消費税引き上げへ
【上海=渡辺園子】中国国家発展改革委員会は来年1月1日からガソリンや軽油の消費税を引き上げる方針を発表した。道路整備費として徴収している「養路費」など6項目の費用の廃止に伴うものだが、長期的には省エネルギーなどにつなげたい考え。ガソリンの価格決定メカニズムも国際市場価格との連動を強めるという。
改革案を5日に発表、一般からの意見を募る。ガソリンの消費税は現在の1リットル当たり0.2元(1元は約14円)を5倍の同1元に、軽油は同0.1元を8倍の同0.8元にそれぞれ引き上げる。発展改革委では「今回の税引き上げで石油製品価格は変わらない」としている。
中国政府はかねて養路費など自動車諸費用の見直しと「燃料税」導入を検討。最近の原油価格の下落や国内の物価上昇の一段落で導入の機運が高まっていた。
常用漢字 IT時代踏まえ議論深めよ(12月7日付・読売社説)
情報技術(IT)の進展と共に、日本語をめぐる環境は急速に変化している。そうした時代の変化に応じて、漢字政策も見直していかなければならないだろう。
常用漢字の見直し作業が、文化審議会国語分科会の漢字小委員会で進められている。
一般の社会生活での「漢字使用の目安」として1981年に制定された常用漢字表には、1945字が掲載されている。
しかし最近は、正確に覚えていない難しい漢字でもパソコンの変換キーさえ押せば、難なく表示できる。常用漢字以外の漢字も広く使われるようになった。
最新のパソコンには、JIS漢字コード表が規定する約1万字が搭載されている。手書きを前提に制定された常用漢字表とのギャップが広がっている。
小委員会では、書籍や新聞、インターネットなどから使用頻度の高い漢字を選んで、新しい常用漢字について検討を進めてきた。
「俺(おれ)」「串(くし)」「鬱(うつ)」「彙(い)」など191字を追加候補とし、現在の常用漢字表から「錘」など5文字を削除する案が内定した。
今後、一般から意見を求めてさらに吟味し、2010年に答申をまとめる方針だ。
「鬱」や「彙」などは、読むことは出来るが書けないという人が多いのではないか。
現実に国民が漢字の読み書きをどの程度できるのか、早急に実態調査を行う必要もある。
学習指導要領は、高校卒業までに「常用漢字の読みに慣れ、主な常用漢字が書けるように」なることを求めている。
学校の漢字教育のあり方も含めて、国民的な議論を深めていく必要がある。
字体も、重要な焦点となっている。常用漢字以外の主な漢字の印刷標準字体について、国語審議会が答申した表外漢字字体表は、伝統的な字体を基本としている。
例えば、新常用漢字の候補となっている「謙遜(けんそん)」の「遜」は、表外漢字字体表では、点二つの「●」が用いられている。(●は点二つのシンニュウに「孫」)
04年に改正された新しいJIS漢字コード表も、表外漢字字体表の字体を例示している。
しかし、点二つの「しんにゅう」で常用漢字表に掲載されれば、「遠」などと字体の整合性がとれなくなる。
IT時代の漢字政策を決定づける重要な見直し作業である。混乱が生じることのないよう、慎重に検討を進めるべきだろう。
日本の主要上場企業の海外売上高が初めて減少に転じた。2008年4―9月期(上期)の海外売上高は67兆400億円と前年同期に比べ1%減った。米州では自動車を中心に売上高が1割近く落ち込み、営業利益は半減した。欧州でも営業利益が3割弱減少。世界景気後退の影響が海外売上高比率の高い日本企業の業績を直撃している。中国などアジア諸国の景気も急減速しており、下期も海外部門が企業収益をさらに押し下げる公算が大きい。
3月期決算企業(金融、新興3市場を除く)のうち連結の所在地別収益を00年9月中間期から比較できる396社を対象に、日本経済新聞社が集計した。連結中間決算の開示が義務づけられた00年9月中間期以降、海外売上高が前年同期を下回るのは初めて。米州の売上高が21兆8000億円と、同9%減ったのが大きい。
オバマ次期大統領が経済再生計画 半世紀ぶりの大型投資表明
【ワシントン=米山雄介】オバマ次期米大統領は6日、週末恒例のインターネットとラジオを通じた演説で、自らの政権の経済再生計画の概要を明らかにした。「高速道路網を整備した1950年代以来、最大の公共投資を実施する」と述べ、約半世紀ぶりの大型投資を表明。公共建物のエネルギー効率の改善や学校、医療システムの近代化、高速・大容量のネット環境整備にも取り組む考えを示した。
オバマ氏は「今回の景気後退ですでに200万人近い雇用が失われた」と指摘。経済の困難の克服に向け「今、行動が必要だ」と述べ、経済チームに250万人の雇用を生む経済再生計画の策定を指示したことを改めて強調した。
同日公表した計画の概要は具体的な財政出動の金額などについては触れていない。ただオバマ氏は「1月に再開する議会と協働して、計画を迅速に成立させる」と力説。景気対策を早急に実行に移す考えを示した。
政府、大企業にも低利融資 09年度末まで6000億円超
政府は企業の資金繰り支援を拡充する。資金調達が厳しさを増していることから、週明けにも日本政策金融公庫による危機対応円滑化業務の発動を認定。中小企業だけでなく大企業、中堅企業も通常より低い金利で政策金融による貸し渋り対応の融資が受けられるようにする。2009年度末まで6000億―1兆円規模の低利融資枠を設ける方針だ。
融資の対象は今回の金融危機で、急激に資金繰りが厳しくなった企業。政策公庫が大規模災害や金融環境の混乱などの対応のために設けている「危機対応円滑化業務」を活用し、年内に融資が受けられるようにする。10月に民営化した日本政策投資銀行を通じ、6000億―1兆円規模の大・中堅企業向け低利融資のための枠を確保する。
第三者増資、総会決議を義務化 法務省、会社法改正で検討
法務省は、買収防衛などに活用される第三者割当増資により利益が縮小しかねない既存の少数株主の保護に向け、会社法改正の検討に入った。現行法では事実上、取締役会の判断で新株を発行できるが、株主総会の決議を義務付ける方向。来年秋にも法制審議会(法相の諮問機関)で始める会社法の次期改正論議で論点の1つとし、2011年の通常国会への改正案提出をめざす。
第三者割当増資は取引先や提携先の企業など特定の第三者に新株を割り当てる資金調達方法。1株当たり利益の縮小や投資ファンドなどへの経営権の移動も考えられるため、少数株主や外国人投資家らから規制強化を求める声が強まっていた。
日立のパネル子会社、派遣社員250人を削減
日立製作所の子会社でプラズマテレビ用のパネルを製造する日立プラズマディスプレイ(宮崎県国富町)は、派遣社員250人全員を来年1月に削減する。パネルのガラス部材の生産を中止し、来年度以降、パナソニック(旧松下電器産業)からの調達に切り替えるためだ。約1000人の正社員についても余剰感があることから、最大で約400人を宮崎県外にある日立グループの工場などに配置転換する。
予算編成3つの難題、調整はヤマ場に 特別枠予算など
政府は2009年度予算編成の懸案の1つだった基礎年金の国庫負担割合の引き上げを、当初予定通り来年の4月から実施する方針を固めた。予算編成を巡る政府・与党内の調整は今週ヤマ場を迎えるが、地方交付税の増額や、社会保障費の抑制方針を巡る攻防などの難題は着地点が見えない。選挙を控えた与党内の予算増圧力はきわめて強く、与党でくすぶる「特別枠予算」構想が再び勢いを増す可能性もある。
決着が最後までもつれこみそうな課題が、地方交付税の増額だ。麻生太郎首相は当初、「道路特定財源の一般財源化に際し、1兆円を地方に移す」と表明。政府・与党内では1兆円を地方交付税にするか、交付金にするかの論争に発展した。
ダイムラーとBMW、新車販売前年割れの公算 08年
【フランクフルト=後藤未知夫】欧州の新車販売の悪化が続いている。高級車が強みのドイツのダイムラーとBMWは、11月の世界販売がそれぞれ前年同月比25%減少。両社とも今年の世界販売が前年実績を割り込む公算が大きい。
ダイムラーのメルセデス・ベンツ乗用車部門は、11月に8万4500台を販売。1―11月の累計販売台数は前年同期比1%減の115万8200台にとどまった。12月も2割強の減少となれば、過去最多だった昨年の129万台を上回るのは厳しい。
BMWの1―11月の累計は1.8%減の132万3600台。同社は通年で過去最多だった昨年の150万台の販売記録更新を断念した。
北米で追加減産、トヨタが意向 4工場対象
【ニューヨーク=小高航】トヨタ自動車は5日、北米4工場で追加減産に踏み切る意向を明らかにした。米新車市場の急減速に合わせ、減産の対象を従来の大型車から「カローラ」など乗用車に拡大。来年1月にかけ、最大10日ほどの休業日を設け生産台数を減らす。
「カムリ」を生産するケンタッキー工場で9日間、米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁工場でカローラを生産する「NUMMI」(カリフォルニア州)で10日間の休業日を追加する。
このほか、カナダ工場(オンタリオ州)とインディアナ工場が対象となる。
ドイツ取引所、NYSEと合併構想浮上 独メディア報道
【ロンドン=石井一乗】フランクフルト証券取引所を運営するドイツ取引所と、ニューヨーク証券取引所などを運営するNYSEユーロネクストの経営統合構想が浮上していることが6日明らかになった。独週刊誌シュピーゲル(電子版)が報じた。ドイツ取引所のトップが、持ち株会社方式による経営統合を盛り込んだ提案書を提示したという。ドイツ取引所はコメントを控えた。
ドイツ取引所はかつてロンドン証券取引所や欧州取引所連合ユーロネクストの買収を試みたがいずれも失敗。その後NYSEグループがユーロネクストと統合した経緯がある。
郵政見直し、揺れる自民 4分社体制に異論
自民党内で郵政民営化策の見直し論が浮上してきた。郵便事業会社と郵便局会社の統合など4分社体制の修正や郵便貯金の預入限度額(1000万円)の引き上げなどが主な論点。次期衆院選を前に組織票を持つ全国郵便局長会(全特)との関係を修復したい思惑もちらつく。ただ、小泉改革の象徴ともいえる郵政民営化の見直しには反対論も根強く、麻生内閣の新たな火種になりかねない。
「一体経営でないと全国一律サービスは担保できない」。5日の自民党の郵政事業に関する検討・検証プロジェクトチーム(PT、中谷元座長)の会合。全特の浦野修会長は現行の4分社体制の見直しを強く求めた。中谷座長も来年1月の取りまとめに向けて「全特の意見に沿って中身を詰める」と断言した。
タイ野党「連立樹立めざす」 タクシン派は再結束探る
【バンコク=三河正久】タイ野党・民主党は6日、憲法裁判所の判決で2日に崩壊したソムチャイ政権で連立与党に参加していた中小政党と連立政権を樹立すると表明した。憲法裁判所判決で解党されたタクシン元首相派の旧最大与党「国民の力党」内の最大会派もこれに合流を決定。下院(定数480)の現職議員の過半数に当たる少なくとも250人以上を集めたとし、民主党主導の連立政権実現に自信を示した。
ただ、旧国民の力党の解党後、タクシン派議員が移籍した「タイ貢献党」も同日、「我々は過半数の228議席を維持している」と主張し連立維持を表明。5日にはタクシン氏と離婚したポチャマン元夫人も帰国しており、タクシン派が再結束に向け巻き返しに出るのは必至だ。
中国、石油製品の消費税引き上げへ
【上海=渡辺園子】中国国家発展改革委員会は来年1月1日からガソリンや軽油の消費税を引き上げる方針を発表した。道路整備費として徴収している「養路費」など6項目の費用の廃止に伴うものだが、長期的には省エネルギーなどにつなげたい考え。ガソリンの価格決定メカニズムも国際市場価格との連動を強めるという。
改革案を5日に発表、一般からの意見を募る。ガソリンの消費税は現在の1リットル当たり0.2元(1元は約14円)を5倍の同1元に、軽油は同0.1元を8倍の同0.8元にそれぞれ引き上げる。発展改革委では「今回の税引き上げで石油製品価格は変わらない」としている。
中国政府はかねて養路費など自動車諸費用の見直しと「燃料税」導入を検討。最近の原油価格の下落や国内の物価上昇の一段落で導入の機運が高まっていた。
常用漢字 IT時代踏まえ議論深めよ(12月7日付・読売社説)
情報技術(IT)の進展と共に、日本語をめぐる環境は急速に変化している。そうした時代の変化に応じて、漢字政策も見直していかなければならないだろう。
常用漢字の見直し作業が、文化審議会国語分科会の漢字小委員会で進められている。
一般の社会生活での「漢字使用の目安」として1981年に制定された常用漢字表には、1945字が掲載されている。
しかし最近は、正確に覚えていない難しい漢字でもパソコンの変換キーさえ押せば、難なく表示できる。常用漢字以外の漢字も広く使われるようになった。
最新のパソコンには、JIS漢字コード表が規定する約1万字が搭載されている。手書きを前提に制定された常用漢字表とのギャップが広がっている。
小委員会では、書籍や新聞、インターネットなどから使用頻度の高い漢字を選んで、新しい常用漢字について検討を進めてきた。
「俺(おれ)」「串(くし)」「鬱(うつ)」「彙(い)」など191字を追加候補とし、現在の常用漢字表から「錘」など5文字を削除する案が内定した。
今後、一般から意見を求めてさらに吟味し、2010年に答申をまとめる方針だ。
「鬱」や「彙」などは、読むことは出来るが書けないという人が多いのではないか。
現実に国民が漢字の読み書きをどの程度できるのか、早急に実態調査を行う必要もある。
学習指導要領は、高校卒業までに「常用漢字の読みに慣れ、主な常用漢字が書けるように」なることを求めている。
学校の漢字教育のあり方も含めて、国民的な議論を深めていく必要がある。
字体も、重要な焦点となっている。常用漢字以外の主な漢字の印刷標準字体について、国語審議会が答申した表外漢字字体表は、伝統的な字体を基本としている。
例えば、新常用漢字の候補となっている「謙遜(けんそん)」の「遜」は、表外漢字字体表では、点二つの「●」が用いられている。(●は点二つのシンニュウに「孫」)
04年に改正された新しいJIS漢字コード表も、表外漢字字体表の字体を例示している。
しかし、点二つの「しんにゅう」で常用漢字表に掲載されれば、「遠」などと字体の整合性がとれなくなる。
IT時代の漢字政策を決定づける重要な見直し作業である。混乱が生じることのないよう、慎重に検討を進めるべきだろう。
創業者の再登板はなぜあまり成功しないのか <COLUMN>
インターネット企業の先駆けである米ヤフーは11月17日、2007年6月からCEOに復帰していた創業者、ジェリー・ヤン氏の辞任を発表した。ヤフーに限らず、先進モデルを築いたIT企業が成長過程で他社に追い上げられ、あるいは成長期に創業者から交代した次のCEOが活躍できず、創業者が再登板するケースは数多くある。しかし、再登板はあまりうまくいかない。その理由を考えてみたい。
ヤフーのヤン氏は、検索分野でグーグルにシェアを奪われていくなか、戦略再建を期待されてCEOに就任していたが、利益の改善は見られず、レイオフまで行うこととなった。さらに、マイクロソフトの買収提案に対して独立性を堅持しようとしたことで、株価も結果的には大きく下落した。このような一連の責任を取って交代となったのだろう。
■インデックスとサイバード
日本では例えば、インデックス・ホールディングス(以下、インデックス)やサイバードにおいて創業者が再登板した。両社とも、いったん創業者が会長に退き、コンサルティング会社出身の社長に一時期成長を託している。しかし、業績や株価の低迷で、それぞれの創業者の落合正美会長、堀主知ロバート会長が会長兼社長となり、再び現場に復帰している。
しかし残念なことに、ヤフーと同じようにインデックス、サイバードともに、業績がめざましく回復したとは言い難い。
インデックスは07年に落合会長が復帰したものの、08年8月期の最終赤字は301億円と従来予想の112億円の赤字を大きく上回り、前の期の158億円の赤字に続く2期連続の赤字となった。配当も無配となった。結果、11月28日現在の株価は6390円、株価純資産倍率(PBR)も0.49倍と落ち込んでいる。ピーク時の06年1月に30万円を超えていたので、30分の1以下に下落している。
サイバードは08年3月に経営陣による企業買収(MBO)により上場廃止した。ピーク時には40万円だった株価も、TOBの買い取り価格は6万円となっていた。また、上場廃止の理由は、先行投資がかさむため、株価に左右されない経営をめざすためとしている。先行投資が花開くかどうかは今後の動向を見守る必要があるが、これまでのところ華々しい立ち直りとはなっていない。
■創業者の才能とは別の才能が必要
まず、創業者の再登板の前に、なぜいったん創業者が会長に退くのかその理由を見ていこう。順調に成長してきたベンチャーが、成長期に曲がり角を迎えることは多い。その場合は高い株価や豊富な資金力を背景に、さまざまな業態を買収していくという手段があるが、経営の難易度が上がってくるため、株主や取締役会のプレッシャーなどもあり、経営コンサルティング会社や投資会社出身の社長を経営のプロとして招くことになる。
しかし、残念ながら、もともと成長の曲がり角を迎えているのである。多角化しても成長できない場合、あるいは多角化以前の本業の収益性が落ちてきてしまう場合がよくある。そうなると、大株主でもある創業者は雇われ社長を解雇し、自身が再登板するのである。雇われにやらせているからうまくいかないのであって、自分ならうまくいくと考えてしまうのである。
創業者は会社を立ち上げるだけの先見性があり、社内の求心力も強く、かつ取引先との関係性も強い。うまくいきそうなこの創業者の再登板だが、ヤフー、インデックス、サイバードとこれまで見てきたように、意外と苦戦している。いったいなぜか?
この解答に対する私の仮説はとても単純である。それは、「創業者として成功する才能と、業績立て直し者として成功する才能は明確に異なる」からだ。
創業者として成功するためには、リスクを果敢に取りながら、スピードを重視していくことが求められる。とにかく、チャンスに対して早くそれをつかむ行動力が重要である。躊躇はいらず、余計な報告システムや会議などは、無用の長物だろう。
■過去の成功体験を忘れられず
そして、インデックスもサイバードもNTTドコモがiモードを開発し、携帯ネットでの着メロや占いゲームがブームになるなか、運良く、あるいは実力がその時点では抜きん出ていたため、携帯電話コンテンツ勝ち残りトーナメントで勝ち上がってきた。
ところが、携帯電話のコンテンツブームはいつまでも続くわけではない。ブームが去っても成長を保てるよう、インデックスもサイバードもさまざまな会社を買収しながら業容を拡大した。
このような複雑化した業態で必要になってくるのは、スピードや勘よりも人事や計数管理能力、マーケティング能力だ。多数の業態において、中間管理者に対してきっちりと目標を作らせ、コミットさせ、市場調査を行い、優先順位を付け、そこに向かって業績を上げていく仕組みを作らなければならないのである。
多くの創業者はそういう仕組み作りを中心とした管理はあまり得意ではない。したがって、多くの創業者は経営のプロを外部から招聘する。しかし、たとえ経営のプロであっても、雇われ社長が成長力の落ちてきた業界で、創業者の厳しい監視の下で業績を上げ続けることは至難の業である。結局、雇われ社長も業績を上げられず2~3年でバーンアウトしていく。
そこで業を煮やした創業者が再び社長として再登板するが、すでに創業時とは競争環境も業界もすっかり変わっている。それでも創業者は過去の成功体験が忘れられず、同じやり方を繰り返しがちになるため、うまくいかないのである。
■スティーブ・ジョブズ氏のどこがすごいのか
一方、創業者の復帰で業績が回復したケースもある。例えば筆頭はアップルだろう。創業者であるスティーブ・ジョブズ氏は、85年に自ら招聘したジョン・スカリー氏によって会長職以外の権限を剥奪される。その後、ジョブズ氏はNeXTやピクサーといった会社の立ち上げに関わる一方、アップルへの復帰をアプローチし、とうとう97年にNeXTがアップルに買収されるのに伴いアップルに復帰。00年にはCEOに就任するのである。
そして、「iMac」や「iPod」などによるアップルの復活劇は私たちもよく知るところである。しかし、ここで注意してほしいのは、ジョブズ氏は創業者が単純に復帰したのではなく、一度は追い出された創業者が実力で返り咲き、再び第二の創業といえる活動を行ったということである。
ジョブズ氏が他の創業者よりも高い評価を受けるのは、この二度の成功があるからだろう。一度成功することよりも、もう一度成功することのほうが実ははるかに難しいのである。
ビッグ3救済、つなぎ融資へ妥協案 来週にも法案採決
【ワシントン=大隅隆】ビッグスリー(米自動車大手3社)救済を巡り、米政府・議会内で5日、年明けまでに必要な運転資金をつなぎ融資の形で実施する妥協案が浮上してきた。すでに成立している環境技術開発向けの政府融資枠(250億ドル)の一部を活用できるように関連法を改正する案で、ブッシュ政権の意向に沿った内容だ。米民主党も同意する方向に傾いているもよう。来週にも議会で採決する公算が大きい。
AP通信など複数のメディアはつなぎ融資の規模を150億ドル(約1兆4000億円)と報道している。ビッグスリーが要請している340億ドルの支援をはるかに下回る規模だが、数カ月の運転資金に充てることを想定した規模で調整しているためとみられる。ビッグスリーの救済は当面のヤマ場を迎えた。
米クライスラー、企業破綻で著名な法律事務所と契約
【ニューヨーク=小高航】経営危機に陥っている米クライスラーは5日、企業の経営破綻などの分野で著名な法律事務所と契約を結んだことを明らかにした。「先月、米議会から破綻の影響を調べるよう求められ、第三者に依頼した」としている。同社は米政府に70億ドル(約6500億円)の支援を求めているが、再建の実現性を巡り議会で厳しく追及されている。
クライスラーは11月中旬に法律事務所「ジョーンズ・デイ」など複数の第三者機関と契約を結んだ。クライスラーは調査により「破綻に至れば米自動車業界に及ぼす影響は甚大との結果を得た」とし、契約はあくまで米議会向け調査のためと強調した。
ただ、米紙ウォールストリート・ジャーナルは今回、ジョーンズ・デイから派遣された責任者が、自動車部品メーカーの破綻処理や全米自動車労組(UAW)との交渉で実績がある人物だと指摘。消息筋の話として「米破産法の適用申請の可能性を視野に入れたもの」との見方があることを報じた。
延滞・差し押さえ最悪 米住宅ローン、10件に1件 7―9月
【ニューヨーク=山下茂行】米抵当銀行協会(MBA)は5日、7―9月期の住宅ローンの延滞率と差し押さえ率がそれぞれ過去最高を更新したと発表した。両比率を合計すると9.96%にのぼり、10件に1件で返済が困難になっている。住宅ローン問題を発端とした景気低迷の影響で雇用環境が悪化、一段と住宅ローン問題が深刻になる悪循環が続いている。
住宅ローンの延滞率(季節調整値)は6.99%と4―6月期に比べて0.58ポイント上昇。前年同期比では1.40ポイントと大幅上昇した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の延滞率は20.03%。信用力の高い個人向けのプライムローンの延滞率も4.34%にのぼった。
欧州利下げ ユーロ圏の景気悪化は深刻だ(12月6日付・読売社説)
欧州が大幅な追加利下げに踏み切り、急激な景気悪化の阻止に懸命に動いている。
欧州中央銀行(ECB)が、政策金利を0・75%引き下げ、年2・5%とした。英国中央銀行も1%利下げし、57年ぶりの低金利である年2%にした。いずれも、3か月連続の金融緩和だ。
金融危機で実体経済が冷え込んだ欧州では、独仏伊などユーロ圏がマイナス成長となり、1999年の通貨統合後、初めて、景気後退に陥った。英国もマイナス成長で、ユーロ圏以上に深刻だ。
市場予想を上回る大幅な下げ幅は、ECBと英中銀の危機感の強さを示す。
原油価格の下落などでインフレ懸念が後退し、金融政策を発動する余地が広がったことも理由だ。景気重視の姿勢をより鮮明にしたといえよう。
米国でも景気後退が確認され、米連邦準備制度理事会(FRB)も、今月半ばに追加利下げするとみられる。
それでもなお、世界や欧州の景気が下振れするリスクがあり、来年にかけ、欧州は、追加利下げに迫られる可能性が高い。
欧州では、財政出動による景気刺激策も本格化している。財政と金融の両面で政策を総動員することが、ますます重要となろう。
欧州連合(EU)の欧州委員会は、総額2000億ユーロ(約25兆円)規模の大型の経済対策を加盟国に提案した。各国に共通する企業支援や優遇税制などが柱で、来週開かれる首脳会議で、その具体案を審議する。
すでに独仏などが独自の景気対策を決めている。英国は、今月から付加価値税を一時的に引き下げる措置も実施した。
財政赤字を国内総生産(GDP)比で3%以内に抑えることをユーロ導入国に義務付けた協定については、2年間棚上げし、財政赤字の拡大が容認される方向だ。政策の幅が広がることになる。
追加対策の具体化を巡っては、各国の思惑に違いもある。どこまで足並みをそろえることができるかが焦点になろう。
日本にとって気がかりなのは、欧州の景気悪化が嫌気され、対主要通貨で急落しているユーロ相場の先行きだ。
すでに大幅な円高・ユーロ安が進んでいる。さらに円が急騰すれば、日本の輸出企業にとって、大きな打撃となる。
欧州の景気動向から目を離すわけにいかない。
インターネット企業の先駆けである米ヤフーは11月17日、2007年6月からCEOに復帰していた創業者、ジェリー・ヤン氏の辞任を発表した。ヤフーに限らず、先進モデルを築いたIT企業が成長過程で他社に追い上げられ、あるいは成長期に創業者から交代した次のCEOが活躍できず、創業者が再登板するケースは数多くある。しかし、再登板はあまりうまくいかない。その理由を考えてみたい。
ヤフーのヤン氏は、検索分野でグーグルにシェアを奪われていくなか、戦略再建を期待されてCEOに就任していたが、利益の改善は見られず、レイオフまで行うこととなった。さらに、マイクロソフトの買収提案に対して独立性を堅持しようとしたことで、株価も結果的には大きく下落した。このような一連の責任を取って交代となったのだろう。
■インデックスとサイバード
日本では例えば、インデックス・ホールディングス(以下、インデックス)やサイバードにおいて創業者が再登板した。両社とも、いったん創業者が会長に退き、コンサルティング会社出身の社長に一時期成長を託している。しかし、業績や株価の低迷で、それぞれの創業者の落合正美会長、堀主知ロバート会長が会長兼社長となり、再び現場に復帰している。
しかし残念なことに、ヤフーと同じようにインデックス、サイバードともに、業績がめざましく回復したとは言い難い。
インデックスは07年に落合会長が復帰したものの、08年8月期の最終赤字は301億円と従来予想の112億円の赤字を大きく上回り、前の期の158億円の赤字に続く2期連続の赤字となった。配当も無配となった。結果、11月28日現在の株価は6390円、株価純資産倍率(PBR)も0.49倍と落ち込んでいる。ピーク時の06年1月に30万円を超えていたので、30分の1以下に下落している。
サイバードは08年3月に経営陣による企業買収(MBO)により上場廃止した。ピーク時には40万円だった株価も、TOBの買い取り価格は6万円となっていた。また、上場廃止の理由は、先行投資がかさむため、株価に左右されない経営をめざすためとしている。先行投資が花開くかどうかは今後の動向を見守る必要があるが、これまでのところ華々しい立ち直りとはなっていない。
■創業者の才能とは別の才能が必要
まず、創業者の再登板の前に、なぜいったん創業者が会長に退くのかその理由を見ていこう。順調に成長してきたベンチャーが、成長期に曲がり角を迎えることは多い。その場合は高い株価や豊富な資金力を背景に、さまざまな業態を買収していくという手段があるが、経営の難易度が上がってくるため、株主や取締役会のプレッシャーなどもあり、経営コンサルティング会社や投資会社出身の社長を経営のプロとして招くことになる。
しかし、残念ながら、もともと成長の曲がり角を迎えているのである。多角化しても成長できない場合、あるいは多角化以前の本業の収益性が落ちてきてしまう場合がよくある。そうなると、大株主でもある創業者は雇われ社長を解雇し、自身が再登板するのである。雇われにやらせているからうまくいかないのであって、自分ならうまくいくと考えてしまうのである。
創業者は会社を立ち上げるだけの先見性があり、社内の求心力も強く、かつ取引先との関係性も強い。うまくいきそうなこの創業者の再登板だが、ヤフー、インデックス、サイバードとこれまで見てきたように、意外と苦戦している。いったいなぜか?
この解答に対する私の仮説はとても単純である。それは、「創業者として成功する才能と、業績立て直し者として成功する才能は明確に異なる」からだ。
創業者として成功するためには、リスクを果敢に取りながら、スピードを重視していくことが求められる。とにかく、チャンスに対して早くそれをつかむ行動力が重要である。躊躇はいらず、余計な報告システムや会議などは、無用の長物だろう。
■過去の成功体験を忘れられず
そして、インデックスもサイバードもNTTドコモがiモードを開発し、携帯ネットでの着メロや占いゲームがブームになるなか、運良く、あるいは実力がその時点では抜きん出ていたため、携帯電話コンテンツ勝ち残りトーナメントで勝ち上がってきた。
ところが、携帯電話のコンテンツブームはいつまでも続くわけではない。ブームが去っても成長を保てるよう、インデックスもサイバードもさまざまな会社を買収しながら業容を拡大した。
このような複雑化した業態で必要になってくるのは、スピードや勘よりも人事や計数管理能力、マーケティング能力だ。多数の業態において、中間管理者に対してきっちりと目標を作らせ、コミットさせ、市場調査を行い、優先順位を付け、そこに向かって業績を上げていく仕組みを作らなければならないのである。
多くの創業者はそういう仕組み作りを中心とした管理はあまり得意ではない。したがって、多くの創業者は経営のプロを外部から招聘する。しかし、たとえ経営のプロであっても、雇われ社長が成長力の落ちてきた業界で、創業者の厳しい監視の下で業績を上げ続けることは至難の業である。結局、雇われ社長も業績を上げられず2~3年でバーンアウトしていく。
そこで業を煮やした創業者が再び社長として再登板するが、すでに創業時とは競争環境も業界もすっかり変わっている。それでも創業者は過去の成功体験が忘れられず、同じやり方を繰り返しがちになるため、うまくいかないのである。
■スティーブ・ジョブズ氏のどこがすごいのか
一方、創業者の復帰で業績が回復したケースもある。例えば筆頭はアップルだろう。創業者であるスティーブ・ジョブズ氏は、85年に自ら招聘したジョン・スカリー氏によって会長職以外の権限を剥奪される。その後、ジョブズ氏はNeXTやピクサーといった会社の立ち上げに関わる一方、アップルへの復帰をアプローチし、とうとう97年にNeXTがアップルに買収されるのに伴いアップルに復帰。00年にはCEOに就任するのである。
そして、「iMac」や「iPod」などによるアップルの復活劇は私たちもよく知るところである。しかし、ここで注意してほしいのは、ジョブズ氏は創業者が単純に復帰したのではなく、一度は追い出された創業者が実力で返り咲き、再び第二の創業といえる活動を行ったということである。
ジョブズ氏が他の創業者よりも高い評価を受けるのは、この二度の成功があるからだろう。一度成功することよりも、もう一度成功することのほうが実ははるかに難しいのである。
ビッグ3救済、つなぎ融資へ妥協案 来週にも法案採決
【ワシントン=大隅隆】ビッグスリー(米自動車大手3社)救済を巡り、米政府・議会内で5日、年明けまでに必要な運転資金をつなぎ融資の形で実施する妥協案が浮上してきた。すでに成立している環境技術開発向けの政府融資枠(250億ドル)の一部を活用できるように関連法を改正する案で、ブッシュ政権の意向に沿った内容だ。米民主党も同意する方向に傾いているもよう。来週にも議会で採決する公算が大きい。
AP通信など複数のメディアはつなぎ融資の規模を150億ドル(約1兆4000億円)と報道している。ビッグスリーが要請している340億ドルの支援をはるかに下回る規模だが、数カ月の運転資金に充てることを想定した規模で調整しているためとみられる。ビッグスリーの救済は当面のヤマ場を迎えた。
米クライスラー、企業破綻で著名な法律事務所と契約
【ニューヨーク=小高航】経営危機に陥っている米クライスラーは5日、企業の経営破綻などの分野で著名な法律事務所と契約を結んだことを明らかにした。「先月、米議会から破綻の影響を調べるよう求められ、第三者に依頼した」としている。同社は米政府に70億ドル(約6500億円)の支援を求めているが、再建の実現性を巡り議会で厳しく追及されている。
クライスラーは11月中旬に法律事務所「ジョーンズ・デイ」など複数の第三者機関と契約を結んだ。クライスラーは調査により「破綻に至れば米自動車業界に及ぼす影響は甚大との結果を得た」とし、契約はあくまで米議会向け調査のためと強調した。
ただ、米紙ウォールストリート・ジャーナルは今回、ジョーンズ・デイから派遣された責任者が、自動車部品メーカーの破綻処理や全米自動車労組(UAW)との交渉で実績がある人物だと指摘。消息筋の話として「米破産法の適用申請の可能性を視野に入れたもの」との見方があることを報じた。
延滞・差し押さえ最悪 米住宅ローン、10件に1件 7―9月
【ニューヨーク=山下茂行】米抵当銀行協会(MBA)は5日、7―9月期の住宅ローンの延滞率と差し押さえ率がそれぞれ過去最高を更新したと発表した。両比率を合計すると9.96%にのぼり、10件に1件で返済が困難になっている。住宅ローン問題を発端とした景気低迷の影響で雇用環境が悪化、一段と住宅ローン問題が深刻になる悪循環が続いている。
住宅ローンの延滞率(季節調整値)は6.99%と4―6月期に比べて0.58ポイント上昇。前年同期比では1.40ポイントと大幅上昇した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の延滞率は20.03%。信用力の高い個人向けのプライムローンの延滞率も4.34%にのぼった。
欧州利下げ ユーロ圏の景気悪化は深刻だ(12月6日付・読売社説)
欧州が大幅な追加利下げに踏み切り、急激な景気悪化の阻止に懸命に動いている。
欧州中央銀行(ECB)が、政策金利を0・75%引き下げ、年2・5%とした。英国中央銀行も1%利下げし、57年ぶりの低金利である年2%にした。いずれも、3か月連続の金融緩和だ。
金融危機で実体経済が冷え込んだ欧州では、独仏伊などユーロ圏がマイナス成長となり、1999年の通貨統合後、初めて、景気後退に陥った。英国もマイナス成長で、ユーロ圏以上に深刻だ。
市場予想を上回る大幅な下げ幅は、ECBと英中銀の危機感の強さを示す。
原油価格の下落などでインフレ懸念が後退し、金融政策を発動する余地が広がったことも理由だ。景気重視の姿勢をより鮮明にしたといえよう。
米国でも景気後退が確認され、米連邦準備制度理事会(FRB)も、今月半ばに追加利下げするとみられる。
それでもなお、世界や欧州の景気が下振れするリスクがあり、来年にかけ、欧州は、追加利下げに迫られる可能性が高い。
欧州では、財政出動による景気刺激策も本格化している。財政と金融の両面で政策を総動員することが、ますます重要となろう。
欧州連合(EU)の欧州委員会は、総額2000億ユーロ(約25兆円)規模の大型の経済対策を加盟国に提案した。各国に共通する企業支援や優遇税制などが柱で、来週開かれる首脳会議で、その具体案を審議する。
すでに独仏などが独自の景気対策を決めている。英国は、今月から付加価値税を一時的に引き下げる措置も実施した。
財政赤字を国内総生産(GDP)比で3%以内に抑えることをユーロ導入国に義務付けた協定については、2年間棚上げし、財政赤字の拡大が容認される方向だ。政策の幅が広がることになる。
追加対策の具体化を巡っては、各国の思惑に違いもある。どこまで足並みをそろえることができるかが焦点になろう。
日本にとって気がかりなのは、欧州の景気悪化が嫌気され、対主要通貨で急落しているユーロ相場の先行きだ。
すでに大幅な円高・ユーロ安が進んでいる。さらに円が急騰すれば、日本の輸出企業にとって、大きな打撃となる。
欧州の景気動向から目を離すわけにいかない。
三菱商事、イオンの筆頭株主に 300億円、出資5%
三菱商事はイオンの発行済み株式の5%程度を取得し、筆頭株主になる。取得額は300億円を超す見通しで、商品調達や海外事業など業務面でも包括提携する。三菱商事は売上高5兆円超の巨大流通グループと連合を組んで国内外で幅広い事業を共同展開。消費低迷で収益力が低下しているイオンは、三菱商事の国際調達網などを活用して経営効率を高める。総合商社首位の三菱商事と小売り2位のイオンの連合誕生は、少子高齢化や景気後退で市場縮小に直面する小売業の再編の引き金になりそうだ。
三菱商事は株式市場で5%をめどにイオン株を買い進めており、近く資本・業務提携を発表する。実質筆頭株主だったみずほコーポレート銀行(出資比率3%)を抜き、筆頭株主となる。三菱商事とイオンは2006年まで共同出資で商業施設開発会社を運営したほか、今年9月には三菱商事がイオンの物流子会社に出資するなど部分的に協業してきた。今回は本体同士での資本・業務提携に踏み込む。
番号継続制、ドコモ転出超過に歯止め 11月、1100件で最少
携帯電話各社が5日発表した11月の番号継続制の利用状況によると、NTTドコモから他社に移る「転出」から「転入」を差し引いた件数が1100件と2006年10月の制度開始以来最少となった。新製品を相次ぎ投入し、通信状況の改善などを進めた。これまでの転出超過件数は累計183万件を超えるが、ようやく歯止めがかかってきた。
番号継続制は電話番号を変えずに携帯会社を変更できる制度。11月はソフトバンクは1万3800件、イー・モバイルは500件の転入超過。KDDI(au)は1万3200件の転出超過だった。KDDIが2カ月連続で転出超になるのは初めて。
ドコモの転出超過が最も多かったのは、06年11月の16万3900件。これまでで最も少なかったのは今年10月の1万3300件。11月は前月の10分の1以下まで転出超過が減った。ドコモの新製品発売などに加え、番号継続制度の利用件数自体が減少していることも影響したとみられる。
たばこ増税、政府・与党内で対立 党税調から反対噴出
2009年度税制改正を巡り、政府・与党内でたばこ税に関する対立が表面化してきた。財務・厚生労働両省は来年度の社会保障費の抑制額を圧縮する財源を確保するため、たばこ税を増税したい考え。これに対して5日の自民党税制調査会(津島雄二会長)では、幹部から異論が相次いだ。与党の税制改正大綱を決定する12日に向け、ぎりぎりの調整が続きそうだ。
政府は来年度の社会保障費の伸びを2200億円抑制する方針を巡り、たばこ増税を原資に抑制額を圧縮する検討に入った。4日には中川昭一財務・金融担当相と舛添要一厚労相が会談し、抑制額の圧縮をたばこ増税で賄う方針を確認した。
ただ柳沢伯夫小委員長は5日午後、記者団に「たばこ税は(厚労省の)特定財源ではない。党税調はほかのものと関係して上げることはしない」と語った。この日の税調幹部会合でも、柳沢氏を含む幹部からたばこ増税への反対論が噴出。一方、同日午後の小委員会では元厚労相の尾辻秀久参院議員会長ら厚労関係議員が増税要求を繰り広げ、収拾しないまま結論を先送りした。
自民幹部が首相批判 「がけっ縁」「党の主張もある」
自民党の石原伸晃幹事長代理は5日午後、都内での講演で、麻生太郎首相の政権運営に関して「党内でも国会議員の7―8割は麻生政権で選挙をして与党でいられるのか疑問を持っている。政治的にも経済的にも私たちはがけっ縁にいる」と述べ、次期衆院選への危機感をあらわにした。
笹川尭総務会長も同日の記者会見で、道路特定財源の一般財源化などを巡る調整混乱を念頭に「民主主義だから、首相が言って全部ピシッとできるわけではない。党の主張もある」と語った。党執行部の一員が相次いで首相の求心力低下を指摘した格好で、党内外に波紋を広げそうだ。
石原氏は講演で、世論の動向について「国民は6―7割が民主党に1度やらせてみてもいいと思っているのではないか」と懸念を表明。検討中の消費税増税を含む税制改革についても「ぼろぼろになった財政再建の旗を1回クリーニング屋か裁縫工場に出すべきだ。無駄を省いて初めて国民に増税をお願いできる環境になる」と語った。
海外高級ブランド、円高値下げに活路
歳末商戦が6日から本格化するのを前に、海外高級ブランドの日本国内での値下げラッシュが起きている。円高差益を原資に、低迷する販売をテコ入れする狙い。ブランド各社にとって日本は有力市場だが、景気後退による消費者の高額品離れは深刻なため、一部では異例の前倒し値下げを実施。それでも客足が回復しないと、拡大を続けてきた各社の戦略は見直しを迫られそうだ。
「高級ブランドはセールをしないから、いまが買い時」――。東京・銀座にある仏ルイ・ヴィトンの主力店舗。20代の女性会社員はバッグ類の品定めに余念がない。人気の「モノグラム」の肩掛けバッグも8万7150円から8万1900円に下がった。
米雇用、53万人減 11月、34年ぶり減少幅
【ワシントン=米山雄介】米労働省が5日発表した11月の雇用統計(季節調整済み)によると、非農業部門の雇用者数は前月に比べ53万3000人減少し、第一次石油危機の影響で景気が急激に悪化した1974年12月(60万2000人減)以来、約34年ぶりの大幅な落ち込みとなった。失業率(軍人を除く)も6.7%と前月から0.2ポイント上昇。金融危機が実体経済に波及し、米雇用情勢は急激に厳しさを増している。
雇用者数の減少は11カ月連続。同時に発表した改定値によると、9、10月の雇用者数の減少もそれぞれ40万3000人、32万人に修正され、これまでの28万4000人、24万人から大幅に拡大した。
米大統領、ビッグスリー支援 議会に来週の対応促す
【ワシントン支局】ブッシュ米大統領は5日、公的支援を要請しているビッグスリー(米自動車大手3社)の再建の可能性に引き続き懸念を示し、「生き残らないかもしれない会社に税金を投入する事態を心配している」と述べた。
米政権はビッグスリー支援について、すでに承認されている環境対応車の開発・生産用の融資250億ドルを前倒しして実施することを支持しており、議会に対し「来週中に何らかの対応を取ることが重要だ」と述べた。
NY原油6日続落、1月物は40.81ドル 04年12月以来の安値
【NQNニューヨーク=海老原真弓】5日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は6営業日続落。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の1月物は前日比2.86ドル安の1バレル40.81ドルで終えた。一時40.50ドルまで下落し、期近物として2004年12月以来の安値を付けた。米雇用の落ち込みを背景とした景気悪化観測の強まりで売りが優勢となった。
朝方発表の11月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が市場予想以上に減少した。米景気の悪化により原油需要が減少するとの見方が売り要因となった。
法科大学院の9割が定員削減へ 19校が10年度から、49校検討中
定員割れや新司法試験の合格率低迷が問題となっている法科大学院の質向上など改善策について、文部科学省が国公私立の全74校から意見聴取したところ、19校が2010年度から入学定員を削減すると回答したことが5日、分かった。
削減を「検討中」としたのも49校で、法科大学院の約9割が定員を見直す意向であることが判明した。ただ各校とも具体的な減員数などは明らかにせず「横にらみ状態」(文科省幹部)といい、削減規模などの具体化が焦点となる。
法科大学院をめぐっては、中教審大学分科会の特別委員会が9月、自主的な定員削減や統廃合を推奨し、入学枠の縮小を目指すとした改革案を提言。これを受け10月から11月にかけて各大学院から意見聴取した。
定員削減を考えていないとした回答は6校あった。統廃合を検討しているとしたところは1校もなかった。
【ホンダF1撤退】自動車各社、迫られる「選択と集中」
ホンダが5日、F1レースからの撤退は決めたのは、世界的な景気悪化で新車販売に急ブレーキがかかり、米ビッグスリーが破綻(はたん)の瀬戸際に追い込まれるなど、自動車メーカーを取り巻く環境が激変していることに対する強い危機感の表れといえそうだ。生き残るには何をすればいいのか。各社は、研究開発を含めた投資の「選択と集中」を迫られている。
「100年にわたり繁栄を謳歌(おうか)してきた自動車産業が新しい時代に突入した」
ホンダの福井威夫社長は5日の記者会見で、危機感をあらわにした。
11月の国内の新車販売は、消費マインドの急速な冷え込みで前年同月比27%減となり、11月としては39年ぶりの低水準に低迷した。米欧に加え、好調だった新興国向けの輸出の低迷で、国内工場では減産と人員削減の嵐が吹き荒れる。
華やかなモータースポーツに資金を振り向ける余裕はない。次世代エコカーなど、「次の100年」を左右する分野に経営資源を集中することが急務だ。
福井社長は「ファンには申し訳ないが、5年後を評価してほしい」と理解を求めた。F1参戦を通じて蓄積した技術や人的資源を市販車に生かすことで、投資回収を図りたい考えだ。
ホンダの撤退で唯一の日本勢となるトヨタ自動車は「初優勝に向かって活動しており、現時点では撤退する予定はない」と話す。
しかし、トヨタも業績が急速に悪化しており、モータースポーツ活動に、お家芸であるコスト削減のメスを入れる可能性は否定できない。
日経社説 この際、定額給付より雇用対策の充実を(12/6)
派遣や期間社員の契約打ち切りが相次いでいる。与党は3年間で2兆円をつぎ込む「新たな雇用対策」をまとめたが、労働保険特別会計の1兆円を除いて財源のメドは立っていない。雇用対策こそ最優先すべき政策である。評判の悪い定額給付金も2兆円規模だ。この際、5兆円にのぼる雇用保険の積立金を取り崩し、さらに定額給付金を回してでも雇用の悪化に対応しなければならない。
雇用情勢は深刻だ。日本経済新聞社が集計した主要製造業38社の派遣・期間社員の削減は2万1000人に達した。厚生労働省は、10月から来年3月までに職を失う非正規労働者は3万67人と予測している。今後の景気次第では正規労働者を含めさらに大きな影響が出かねない。
与党の対策には「悪質な内定取り消しの場合、企業名を公表する」などの措置も盛り込まれたが、首をかしげるものもある。例えば派遣労働者を正社員として雇う派遣先企業に最大1人当たり100万円を助成するというが、契約を打ち切る企業は雇用を維持する体力がない。助成金につられて正社員にするとは思えない。
もちろん安易な契約打ち切りや解雇は許されない。企業は雇用維持の努力をぎりぎりまでしてもらいたい。だが経済が厳しくなると、雇用に手をつけざるをえない企業も出てくるだろう。その際に必要なのは社会のセーフティーネットだ。
製造業の派遣社員などは寮に住み込む例が多い。失業と同時に住居も失う。敷金・礼金など初期費用の貸し付けや住宅のあっせんなどは有用だ。当座の住まいと生活費を保証し、再就職の支援をすべきだろう。
失業給付の条件緩和や就職先が見つかりにくい高齢者への支給日数の延長も期間を限って大胆に実施すればいい。非正規労働者は雇用保険に未加入のケースも少なくない。
政府の審議会では雇用保険の加入要件である「1年以上の雇用見込み」を「半年程度」に緩和することも検討されている。安全網から漏れる人を少なくする対策も、将来的には重要だ。労働者の勤労意欲をそがないように注意しつつ、あらゆる対策を打たねばならない。
与党は都道府県への交付金を財源に「緊急雇用創出事業」を提言しているが、雇用対策を錦の御旗に公共事業を増やすというのでは困る。環境や少子高齢化など社会のニーズを踏まえ、働く人の安定的な就業につながる支援が求められる。そのためには教育訓練も欠かせない。雇用対策が定額給付金より優先度が高いのは明らかではないか。
三菱商事はイオンの発行済み株式の5%程度を取得し、筆頭株主になる。取得額は300億円を超す見通しで、商品調達や海外事業など業務面でも包括提携する。三菱商事は売上高5兆円超の巨大流通グループと連合を組んで国内外で幅広い事業を共同展開。消費低迷で収益力が低下しているイオンは、三菱商事の国際調達網などを活用して経営効率を高める。総合商社首位の三菱商事と小売り2位のイオンの連合誕生は、少子高齢化や景気後退で市場縮小に直面する小売業の再編の引き金になりそうだ。
三菱商事は株式市場で5%をめどにイオン株を買い進めており、近く資本・業務提携を発表する。実質筆頭株主だったみずほコーポレート銀行(出資比率3%)を抜き、筆頭株主となる。三菱商事とイオンは2006年まで共同出資で商業施設開発会社を運営したほか、今年9月には三菱商事がイオンの物流子会社に出資するなど部分的に協業してきた。今回は本体同士での資本・業務提携に踏み込む。
番号継続制、ドコモ転出超過に歯止め 11月、1100件で最少
携帯電話各社が5日発表した11月の番号継続制の利用状況によると、NTTドコモから他社に移る「転出」から「転入」を差し引いた件数が1100件と2006年10月の制度開始以来最少となった。新製品を相次ぎ投入し、通信状況の改善などを進めた。これまでの転出超過件数は累計183万件を超えるが、ようやく歯止めがかかってきた。
番号継続制は電話番号を変えずに携帯会社を変更できる制度。11月はソフトバンクは1万3800件、イー・モバイルは500件の転入超過。KDDI(au)は1万3200件の転出超過だった。KDDIが2カ月連続で転出超になるのは初めて。
ドコモの転出超過が最も多かったのは、06年11月の16万3900件。これまでで最も少なかったのは今年10月の1万3300件。11月は前月の10分の1以下まで転出超過が減った。ドコモの新製品発売などに加え、番号継続制度の利用件数自体が減少していることも影響したとみられる。
たばこ増税、政府・与党内で対立 党税調から反対噴出
2009年度税制改正を巡り、政府・与党内でたばこ税に関する対立が表面化してきた。財務・厚生労働両省は来年度の社会保障費の抑制額を圧縮する財源を確保するため、たばこ税を増税したい考え。これに対して5日の自民党税制調査会(津島雄二会長)では、幹部から異論が相次いだ。与党の税制改正大綱を決定する12日に向け、ぎりぎりの調整が続きそうだ。
政府は来年度の社会保障費の伸びを2200億円抑制する方針を巡り、たばこ増税を原資に抑制額を圧縮する検討に入った。4日には中川昭一財務・金融担当相と舛添要一厚労相が会談し、抑制額の圧縮をたばこ増税で賄う方針を確認した。
ただ柳沢伯夫小委員長は5日午後、記者団に「たばこ税は(厚労省の)特定財源ではない。党税調はほかのものと関係して上げることはしない」と語った。この日の税調幹部会合でも、柳沢氏を含む幹部からたばこ増税への反対論が噴出。一方、同日午後の小委員会では元厚労相の尾辻秀久参院議員会長ら厚労関係議員が増税要求を繰り広げ、収拾しないまま結論を先送りした。
自民幹部が首相批判 「がけっ縁」「党の主張もある」
自民党の石原伸晃幹事長代理は5日午後、都内での講演で、麻生太郎首相の政権運営に関して「党内でも国会議員の7―8割は麻生政権で選挙をして与党でいられるのか疑問を持っている。政治的にも経済的にも私たちはがけっ縁にいる」と述べ、次期衆院選への危機感をあらわにした。
笹川尭総務会長も同日の記者会見で、道路特定財源の一般財源化などを巡る調整混乱を念頭に「民主主義だから、首相が言って全部ピシッとできるわけではない。党の主張もある」と語った。党執行部の一員が相次いで首相の求心力低下を指摘した格好で、党内外に波紋を広げそうだ。
石原氏は講演で、世論の動向について「国民は6―7割が民主党に1度やらせてみてもいいと思っているのではないか」と懸念を表明。検討中の消費税増税を含む税制改革についても「ぼろぼろになった財政再建の旗を1回クリーニング屋か裁縫工場に出すべきだ。無駄を省いて初めて国民に増税をお願いできる環境になる」と語った。
海外高級ブランド、円高値下げに活路
歳末商戦が6日から本格化するのを前に、海外高級ブランドの日本国内での値下げラッシュが起きている。円高差益を原資に、低迷する販売をテコ入れする狙い。ブランド各社にとって日本は有力市場だが、景気後退による消費者の高額品離れは深刻なため、一部では異例の前倒し値下げを実施。それでも客足が回復しないと、拡大を続けてきた各社の戦略は見直しを迫られそうだ。
「高級ブランドはセールをしないから、いまが買い時」――。東京・銀座にある仏ルイ・ヴィトンの主力店舗。20代の女性会社員はバッグ類の品定めに余念がない。人気の「モノグラム」の肩掛けバッグも8万7150円から8万1900円に下がった。
米雇用、53万人減 11月、34年ぶり減少幅
【ワシントン=米山雄介】米労働省が5日発表した11月の雇用統計(季節調整済み)によると、非農業部門の雇用者数は前月に比べ53万3000人減少し、第一次石油危機の影響で景気が急激に悪化した1974年12月(60万2000人減)以来、約34年ぶりの大幅な落ち込みとなった。失業率(軍人を除く)も6.7%と前月から0.2ポイント上昇。金融危機が実体経済に波及し、米雇用情勢は急激に厳しさを増している。
雇用者数の減少は11カ月連続。同時に発表した改定値によると、9、10月の雇用者数の減少もそれぞれ40万3000人、32万人に修正され、これまでの28万4000人、24万人から大幅に拡大した。
米大統領、ビッグスリー支援 議会に来週の対応促す
【ワシントン支局】ブッシュ米大統領は5日、公的支援を要請しているビッグスリー(米自動車大手3社)の再建の可能性に引き続き懸念を示し、「生き残らないかもしれない会社に税金を投入する事態を心配している」と述べた。
米政権はビッグスリー支援について、すでに承認されている環境対応車の開発・生産用の融資250億ドルを前倒しして実施することを支持しており、議会に対し「来週中に何らかの対応を取ることが重要だ」と述べた。
NY原油6日続落、1月物は40.81ドル 04年12月以来の安値
【NQNニューヨーク=海老原真弓】5日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は6営業日続落。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の1月物は前日比2.86ドル安の1バレル40.81ドルで終えた。一時40.50ドルまで下落し、期近物として2004年12月以来の安値を付けた。米雇用の落ち込みを背景とした景気悪化観測の強まりで売りが優勢となった。
朝方発表の11月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が市場予想以上に減少した。米景気の悪化により原油需要が減少するとの見方が売り要因となった。
法科大学院の9割が定員削減へ 19校が10年度から、49校検討中
定員割れや新司法試験の合格率低迷が問題となっている法科大学院の質向上など改善策について、文部科学省が国公私立の全74校から意見聴取したところ、19校が2010年度から入学定員を削減すると回答したことが5日、分かった。
削減を「検討中」としたのも49校で、法科大学院の約9割が定員を見直す意向であることが判明した。ただ各校とも具体的な減員数などは明らかにせず「横にらみ状態」(文科省幹部)といい、削減規模などの具体化が焦点となる。
法科大学院をめぐっては、中教審大学分科会の特別委員会が9月、自主的な定員削減や統廃合を推奨し、入学枠の縮小を目指すとした改革案を提言。これを受け10月から11月にかけて各大学院から意見聴取した。
定員削減を考えていないとした回答は6校あった。統廃合を検討しているとしたところは1校もなかった。
【ホンダF1撤退】自動車各社、迫られる「選択と集中」
ホンダが5日、F1レースからの撤退は決めたのは、世界的な景気悪化で新車販売に急ブレーキがかかり、米ビッグスリーが破綻(はたん)の瀬戸際に追い込まれるなど、自動車メーカーを取り巻く環境が激変していることに対する強い危機感の表れといえそうだ。生き残るには何をすればいいのか。各社は、研究開発を含めた投資の「選択と集中」を迫られている。
「100年にわたり繁栄を謳歌(おうか)してきた自動車産業が新しい時代に突入した」
ホンダの福井威夫社長は5日の記者会見で、危機感をあらわにした。
11月の国内の新車販売は、消費マインドの急速な冷え込みで前年同月比27%減となり、11月としては39年ぶりの低水準に低迷した。米欧に加え、好調だった新興国向けの輸出の低迷で、国内工場では減産と人員削減の嵐が吹き荒れる。
華やかなモータースポーツに資金を振り向ける余裕はない。次世代エコカーなど、「次の100年」を左右する分野に経営資源を集中することが急務だ。
福井社長は「ファンには申し訳ないが、5年後を評価してほしい」と理解を求めた。F1参戦を通じて蓄積した技術や人的資源を市販車に生かすことで、投資回収を図りたい考えだ。
ホンダの撤退で唯一の日本勢となるトヨタ自動車は「初優勝に向かって活動しており、現時点では撤退する予定はない」と話す。
しかし、トヨタも業績が急速に悪化しており、モータースポーツ活動に、お家芸であるコスト削減のメスを入れる可能性は否定できない。
日経社説 この際、定額給付より雇用対策の充実を(12/6)
派遣や期間社員の契約打ち切りが相次いでいる。与党は3年間で2兆円をつぎ込む「新たな雇用対策」をまとめたが、労働保険特別会計の1兆円を除いて財源のメドは立っていない。雇用対策こそ最優先すべき政策である。評判の悪い定額給付金も2兆円規模だ。この際、5兆円にのぼる雇用保険の積立金を取り崩し、さらに定額給付金を回してでも雇用の悪化に対応しなければならない。
雇用情勢は深刻だ。日本経済新聞社が集計した主要製造業38社の派遣・期間社員の削減は2万1000人に達した。厚生労働省は、10月から来年3月までに職を失う非正規労働者は3万67人と予測している。今後の景気次第では正規労働者を含めさらに大きな影響が出かねない。
与党の対策には「悪質な内定取り消しの場合、企業名を公表する」などの措置も盛り込まれたが、首をかしげるものもある。例えば派遣労働者を正社員として雇う派遣先企業に最大1人当たり100万円を助成するというが、契約を打ち切る企業は雇用を維持する体力がない。助成金につられて正社員にするとは思えない。
もちろん安易な契約打ち切りや解雇は許されない。企業は雇用維持の努力をぎりぎりまでしてもらいたい。だが経済が厳しくなると、雇用に手をつけざるをえない企業も出てくるだろう。その際に必要なのは社会のセーフティーネットだ。
製造業の派遣社員などは寮に住み込む例が多い。失業と同時に住居も失う。敷金・礼金など初期費用の貸し付けや住宅のあっせんなどは有用だ。当座の住まいと生活費を保証し、再就職の支援をすべきだろう。
失業給付の条件緩和や就職先が見つかりにくい高齢者への支給日数の延長も期間を限って大胆に実施すればいい。非正規労働者は雇用保険に未加入のケースも少なくない。
政府の審議会では雇用保険の加入要件である「1年以上の雇用見込み」を「半年程度」に緩和することも検討されている。安全網から漏れる人を少なくする対策も、将来的には重要だ。労働者の勤労意欲をそがないように注意しつつ、あらゆる対策を打たねばならない。
与党は都道府県への交付金を財源に「緊急雇用創出事業」を提言しているが、雇用対策を錦の御旗に公共事業を増やすというのでは困る。環境や少子高齢化など社会のニーズを踏まえ、働く人の安定的な就業につながる支援が求められる。そのためには教育訓練も欠かせない。雇用対策が定額給付金より優先度が高いのは明らかではないか。