00430000s@merumo.ne.jp に空メールすると、ブログと同じ内容のメルマガをが配信されます。twitterはhttps://twitter.com/wataru4 です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
不況にあえぐ韓国、輸出の頼みはオンラインゲーム産業?(COLUMN)
厳しい不況に突入した韓国では今年の冬、ミニスカートと赤い口紅が売れているという。ほかにも、街の宝くじ売り場や競馬、韓国人の出入りが唯一許されている江原道のカジノの売り上げが10~13%ほど伸び、不況の象徴として語られている。職を失った人たちが一攫千金を狙って最後の賭けに出ているようだ。
米国発の金融危機の影響は韓国も避けて通れない。日本では派遣社員や契約社員の突然の解雇や内定取り消しが問題になっているが、韓国では大量解雇なんてもうニュースにもならないほど頻繁に行われている。企業経営者は「この不況こそは首切りをせず、みんなで苦痛を分かち合って乗り切りたい」などと話しているが、家計はどんどん苦しくなるばかりだ。
■無職世帯が16%に ハイテク輸出も急減
韓国統計庁のデータによると、2008年4~6月の30代共働き夫婦の月間所得は246万9000ウォン、日本円で約18万円に過ぎない。しかし韓国人の生活水準は日本と変わらない。物価も円高で安く見えるだけで実はそれほど変わらないのに、所得がこれしかないとは驚いてしまう。さらに、同期間中、世帯主が無職であることを意味する無職世帯率は前期比0.56ポイント上昇し、史上最悪の16.13%に達したそうだ。このままでは貧富の差が開きすぎてしまう。雇用をなんとか維持する方法はないのだろうか。
どんな不況下でもサムスンやLGといった韓国の大手企業はそこそこ利益を保っている。サムスン電子は年間輸出534億9500万米ドルを突破し、12月2日の「貿易の日」記念式典で、韓国企業の中では初めて「500億ドル輸出塔」を授与された。「輸出塔」は1973年から始まった政府が企業へ贈る功労賞のようなもので、サムスン電子はほぼ毎年記録を塗り替えてきた。しかし2009年は見通しがつかない状況だという。
韓国のIT輸出を支える3大品目である半導体、パネル、携帯電話の合計輸出額は、9月までは携帯電話の好調で成長が続き、10月も何とか現状維持を保ったものの、11月からは頼みの綱だった携帯電話までが落ち込み、前年同月比32.3%も減少してしまった。輸出に頼っている韓国企業としては、ウォンが安い間に何とかシェアを伸ばして利益につなげたい。しかし世界中が不況では売りようがない。
■輸出目標を前倒し達成したオンラインゲーム業界
こんな暗い悩みが韓国中を覆っているなか、オンラインゲーム業界からは明るいニュースが聞こえてきた。オンラインゲーム業界は不況下でも採用と投資を増やし、待望の新作も続々と登場している。
韓国ゲーム産業振興院は、韓国ゲーム企業の輸出額と海外での売上高合計を元に、2008年のオンラインゲーム輸出額を推計10億6000万ドルと発表した。2001年が1億3000万ドル、2005年が5億6400万ドル、2007年が7億8000万ドルと順調に拡大を続け、ついに10億ドルを突破する。韓国でオンラインゲームがブームになってから10年で到達した数字である。10億ドル突破を当初目標より2年も早く達成したため、韓国政府は次の目標を「2012年に36億ドル輸出」と大幅に引き上げ、ゲーム産業を支援すると発表している。
オンラインゲーム輸出は東南アジア、欧米、中国に続いて新興国の南米、ロシア、アフリカにも広がっており、2009年も伸び続けると予想されている。また、(1)不況になればなるほど旅行や外出が減り、端末やソフトを買わなければならないゲーム専用機よりお金をあまりかけずに楽しめるオンラインゲームに需要がシフトする(2)ユーザーの年齢層が幅広くなっている――などの追い風もあり、2009年の韓国オンラインゲーム産業は20%台の成長を成し遂げるとも予測されている。
オンラインゲーム業界は2003~2004年に韓国国内市場の売り上げが鈍化し、海外市場開拓を余儀なくされた。しかし、早い時期からの海外進出が逆に市場先占効果を生み出し、オンラインゲームといえば韓国というように国家イメージの一つにまでなっている。
オンラインゲームの利益率は平均40%ほどで、自動車や携帯電話といった韓国の主力製造業より断然高い。部品や材料を輸入する必要もなく、韓国のアイデアと人材で作り上げるデジタル商品であるからだ。そのため政府もオンラインゲーム産業に関連する支援策を次々に発表している。
■ゲームのおかげでIT大国になれた韓国
韓国がここ10年IT大国といわれるようになったのも、1998年に韓国でブロードバンドブームが巻き起こったのも、元をたどればオンラインゲームが始まりだった。「スタークラフト」という米ブリザードの対戦型ネットワークゲームが大ヒットし、PCバンが大流行した。
その勢いは、ネットワークゲームをしないと学校でも会社でも話題に入れないといわれるほどだった。子供たちは「ゲーム」とはいわずに「インターネットをしないと学校の宿題もできない」と泣いておねだりし、一般家庭でもハイエンドのパソコンを購入して超高速インターネットを申し込み始めた。もちろん、この背景には1997年のIMF経済危機から立ち直るため政府が国策としてIT産業支援を決めたことがある。「先投資後精算」というインフラ投資政策も効果的だった。
韓国ゲーム産業振興院によると、韓国でオンラインゲーム産業が成長できた要因は、インフラが整っており開発環境に恵まれたこと、早い時期から海外進出して市場を広げたこと、などが挙げられるが、もう一つ、韓国人特有の「盛り上がるのが大好き」という文化も影響したのではないかという。
2002年サッカー・ワールドカップの街角応援や2008年の反政府ろうそく集会もそうだが、何ごとも積極的に参加して楽しみたい、新しいことは誰よりも早くキャッチしたいという気質がある。それがオンラインゲームの参加者を増やし、アイデアが集まり、新しい開発技術を生み出し、新しい産業を成長させたのではないかという分析である。
■プロリーグ戦のテレビ中継も
韓国のオンラインゲームの成長にはプロゲーム団、プロゲーマー、オンラインゲーム中継番組の存在も大きな役割を果たした。野球やサッカーの試合を中継するのと同じく、プロゲーマーの試合をアナウンサーと解説者が実況中継する。24時間オンラインゲームのリーグ戦だけを中継するケーブルテレビのチャンネルもあるほどだ。
韓国ではほぼ1年中オンラインゲームのプロリーグ戦が行われている。ネットワーク対戦機能があるゲームはみんなリーグ戦を持っているほど盛んだ。なかでも真夏に釜山で開催されるリーグ戦には3万人を超える観衆が集まる。サムスンやSKなどIT産業に関連のある大手企業はプロゲーム団を保有している。芸能人並みに人気を集めるプロゲーマーも続々登場し、彼らの徴兵に合わせて軍の中にもゲーム団ができたほどである。
日本でもHangameのブランドでゲームポータルを運営しているNHN、「リネージュ」で有名なNCSOFT、メイプルストーリーでモバイルゲームにも進出したNEXONは、11月に開催された韓国のゲームショーで2009年向けの新作を公開し、さらなる成長を予告していた。新規採用が細るなか、ゲーム関連企業だけは新卒の採用を増やしている。
モバイルゲームもiPhone向けの輸出が増え、日本のキャリアの公式サイトとして提供されるゲームも増えてきた。2008年11月から韓国で地上波放送のリアルタイム再送信を含むIPTVが商用化されてからは、リモコンで楽しめるオンラインゲームの需要も増えている。
■ゲーム大国と胸を張るためにすべきこと
しかし、油断は禁物だ。ゲーム専用機向けで世界的に強い米国や日本の企業は人気ゲームソフトをどんどんオンラインゲーム化している。中国も追いついてきているため、2010年以降の競争は厳しくなると韓国企業は身構えている。
文化体育観光部は「The Second Revolution ゲーム産業振興中長期計画2008~2012」で、2012年までに3500億ウォンを支援するとしている。「娯楽」「遊び」で終わってしまうオンラインゲームではなく、「ニンテンドーDS」が脳トレでヒットしたように、子供からお年寄りまで楽しめて教育にもつながるゲーム、他のデジタルコンテンツと融合したゲーム開発を支援するという。「世界3大ゲーム大国になる」とか「市場規模を10兆ウォンにする」といった目標が挙がっている。
しかし、韓国が強みを持っているのはオンラインゲームであって、「ゲーム全般」ではない。これを自覚しないと税金がまた無駄遣いされてしまう。
社会的に意味のある政策として、オンラインゲーム中毒を予防するための教育を小学校高学年から実施することなども盛り込まれたが、ぜんぜん足りない。
例えば、オンラインゲームの残虐で生々しい暴力表現やチャットの問題がある。数カ月前も、小学生の女の子と30代の男がゲームの中でキャラクター同士を結婚させ、サイバー上の夫からチャットで誘われた女の子が家出をして男の家にいたという事件が起き、大騒ぎになった
ほかにもサイバーマネーやゲームの中で獲得したアイテムを現金取引するリアル・マネー・トレード(RMT)など、オンラインゲームを巡る様々な問題から子供をどう守るか。政府はそうした政策により積極的に取り組む必要がある。
オンラインゲームという新しい産業の登場がもたらした経済・社会・文化的な変化に対し、制度が追いつかない状態だからだ。これは他の国も同じように直面している問題であるに違いない。そういう制度や対策までも先導的に輸出できてこそ、オンラインゲーム大国と胸を張れるのではないだろうか。
【産経主張】ビッグ3救済 再生プランの早期策定を
米政府は米自動車大手3社(ビッグスリー)救済のため、総額174億ドルのつなぎ融資を実施すると発表した。金融危機対策のために設定した公的資金枠7000億ドルを活用するという。
この融資枠は本来、金融機関の資本増強が目的である。だが部品メーカーなどを含む約300万人の雇用を支えるビッグスリーが破綻(はたん)すれば金融不安が深刻化するとの理由で、米政府は資金枠の転用が可能と判断した。
先の連邦議会上院で総額140億ドルの融資を行う救済法案が共和党議員らの反対により廃案となった。それだけに米政府の土壇場の緊急支援の決断で3社の破綻はとりあえず回避された格好だ。
しかし、これは年末の資金繰りを手当てする一時しのぎの策にすぎない。ビッグスリーの経営悪化は深刻だ。政府以外に融資に応じる民間金融機関はなく、今回の緊急融資でも経営の現状は何ら改善されるわけではないからだ。
米国内には根強い救済反対の世論がある。米政府が緊急融資の見返りとして、複数の厳しい条件を付けたのは当然だろう。
まず、各社に対しては大規模なリストラを行うとともに、抜本的な再建計画をまとめて2009年3月末までに存続可能な状態にするよう求めた。さらに、経営陣の報酬制限や配当の禁止を要求し、政府が各社から株式を取得できる権利(ワラント)を得て、経営を監視するとした。
もし再建がうまく進まないならば、今回の融資は回収され、法的破綻が選択肢になる。
これまで何度も3社の再建策が失敗してきた背景には、経営の怠慢やコスト削減を拒む労組のかたくなな姿勢がある。ブッシュ大統領も会見で「改革に必要な厳しい決断を下さなければならない」と注文を付けている。
今後の抜本的な再建支援策はオバマ次期政権に委ねられる。再建が失敗すれば、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条の適用が再び視野に入ってくるだろう。だが、この時期の3社の破綻は世界経済全体にとっても大きな打撃となる。
ビッグスリーの経営危機はいまや悪化する米国経済の象徴だ。再建の行方は世界の金融市場が注目している。米政府と3社は、米経済への信認を再び取り戻すうえでも、再生プランの早期策定に全力を挙げてもらいたい。
厳しい不況に突入した韓国では今年の冬、ミニスカートと赤い口紅が売れているという。ほかにも、街の宝くじ売り場や競馬、韓国人の出入りが唯一許されている江原道のカジノの売り上げが10~13%ほど伸び、不況の象徴として語られている。職を失った人たちが一攫千金を狙って最後の賭けに出ているようだ。
米国発の金融危機の影響は韓国も避けて通れない。日本では派遣社員や契約社員の突然の解雇や内定取り消しが問題になっているが、韓国では大量解雇なんてもうニュースにもならないほど頻繁に行われている。企業経営者は「この不況こそは首切りをせず、みんなで苦痛を分かち合って乗り切りたい」などと話しているが、家計はどんどん苦しくなるばかりだ。
■無職世帯が16%に ハイテク輸出も急減
韓国統計庁のデータによると、2008年4~6月の30代共働き夫婦の月間所得は246万9000ウォン、日本円で約18万円に過ぎない。しかし韓国人の生活水準は日本と変わらない。物価も円高で安く見えるだけで実はそれほど変わらないのに、所得がこれしかないとは驚いてしまう。さらに、同期間中、世帯主が無職であることを意味する無職世帯率は前期比0.56ポイント上昇し、史上最悪の16.13%に達したそうだ。このままでは貧富の差が開きすぎてしまう。雇用をなんとか維持する方法はないのだろうか。
どんな不況下でもサムスンやLGといった韓国の大手企業はそこそこ利益を保っている。サムスン電子は年間輸出534億9500万米ドルを突破し、12月2日の「貿易の日」記念式典で、韓国企業の中では初めて「500億ドル輸出塔」を授与された。「輸出塔」は1973年から始まった政府が企業へ贈る功労賞のようなもので、サムスン電子はほぼ毎年記録を塗り替えてきた。しかし2009年は見通しがつかない状況だという。
韓国のIT輸出を支える3大品目である半導体、パネル、携帯電話の合計輸出額は、9月までは携帯電話の好調で成長が続き、10月も何とか現状維持を保ったものの、11月からは頼みの綱だった携帯電話までが落ち込み、前年同月比32.3%も減少してしまった。輸出に頼っている韓国企業としては、ウォンが安い間に何とかシェアを伸ばして利益につなげたい。しかし世界中が不況では売りようがない。
■輸出目標を前倒し達成したオンラインゲーム業界
こんな暗い悩みが韓国中を覆っているなか、オンラインゲーム業界からは明るいニュースが聞こえてきた。オンラインゲーム業界は不況下でも採用と投資を増やし、待望の新作も続々と登場している。
韓国ゲーム産業振興院は、韓国ゲーム企業の輸出額と海外での売上高合計を元に、2008年のオンラインゲーム輸出額を推計10億6000万ドルと発表した。2001年が1億3000万ドル、2005年が5億6400万ドル、2007年が7億8000万ドルと順調に拡大を続け、ついに10億ドルを突破する。韓国でオンラインゲームがブームになってから10年で到達した数字である。10億ドル突破を当初目標より2年も早く達成したため、韓国政府は次の目標を「2012年に36億ドル輸出」と大幅に引き上げ、ゲーム産業を支援すると発表している。
オンラインゲーム輸出は東南アジア、欧米、中国に続いて新興国の南米、ロシア、アフリカにも広がっており、2009年も伸び続けると予想されている。また、(1)不況になればなるほど旅行や外出が減り、端末やソフトを買わなければならないゲーム専用機よりお金をあまりかけずに楽しめるオンラインゲームに需要がシフトする(2)ユーザーの年齢層が幅広くなっている――などの追い風もあり、2009年の韓国オンラインゲーム産業は20%台の成長を成し遂げるとも予測されている。
オンラインゲーム業界は2003~2004年に韓国国内市場の売り上げが鈍化し、海外市場開拓を余儀なくされた。しかし、早い時期からの海外進出が逆に市場先占効果を生み出し、オンラインゲームといえば韓国というように国家イメージの一つにまでなっている。
オンラインゲームの利益率は平均40%ほどで、自動車や携帯電話といった韓国の主力製造業より断然高い。部品や材料を輸入する必要もなく、韓国のアイデアと人材で作り上げるデジタル商品であるからだ。そのため政府もオンラインゲーム産業に関連する支援策を次々に発表している。
■ゲームのおかげでIT大国になれた韓国
韓国がここ10年IT大国といわれるようになったのも、1998年に韓国でブロードバンドブームが巻き起こったのも、元をたどればオンラインゲームが始まりだった。「スタークラフト」という米ブリザードの対戦型ネットワークゲームが大ヒットし、PCバンが大流行した。
その勢いは、ネットワークゲームをしないと学校でも会社でも話題に入れないといわれるほどだった。子供たちは「ゲーム」とはいわずに「インターネットをしないと学校の宿題もできない」と泣いておねだりし、一般家庭でもハイエンドのパソコンを購入して超高速インターネットを申し込み始めた。もちろん、この背景には1997年のIMF経済危機から立ち直るため政府が国策としてIT産業支援を決めたことがある。「先投資後精算」というインフラ投資政策も効果的だった。
韓国ゲーム産業振興院によると、韓国でオンラインゲーム産業が成長できた要因は、インフラが整っており開発環境に恵まれたこと、早い時期から海外進出して市場を広げたこと、などが挙げられるが、もう一つ、韓国人特有の「盛り上がるのが大好き」という文化も影響したのではないかという。
2002年サッカー・ワールドカップの街角応援や2008年の反政府ろうそく集会もそうだが、何ごとも積極的に参加して楽しみたい、新しいことは誰よりも早くキャッチしたいという気質がある。それがオンラインゲームの参加者を増やし、アイデアが集まり、新しい開発技術を生み出し、新しい産業を成長させたのではないかという分析である。
■プロリーグ戦のテレビ中継も
韓国のオンラインゲームの成長にはプロゲーム団、プロゲーマー、オンラインゲーム中継番組の存在も大きな役割を果たした。野球やサッカーの試合を中継するのと同じく、プロゲーマーの試合をアナウンサーと解説者が実況中継する。24時間オンラインゲームのリーグ戦だけを中継するケーブルテレビのチャンネルもあるほどだ。
韓国ではほぼ1年中オンラインゲームのプロリーグ戦が行われている。ネットワーク対戦機能があるゲームはみんなリーグ戦を持っているほど盛んだ。なかでも真夏に釜山で開催されるリーグ戦には3万人を超える観衆が集まる。サムスンやSKなどIT産業に関連のある大手企業はプロゲーム団を保有している。芸能人並みに人気を集めるプロゲーマーも続々登場し、彼らの徴兵に合わせて軍の中にもゲーム団ができたほどである。
日本でもHangameのブランドでゲームポータルを運営しているNHN、「リネージュ」で有名なNCSOFT、メイプルストーリーでモバイルゲームにも進出したNEXONは、11月に開催された韓国のゲームショーで2009年向けの新作を公開し、さらなる成長を予告していた。新規採用が細るなか、ゲーム関連企業だけは新卒の採用を増やしている。
モバイルゲームもiPhone向けの輸出が増え、日本のキャリアの公式サイトとして提供されるゲームも増えてきた。2008年11月から韓国で地上波放送のリアルタイム再送信を含むIPTVが商用化されてからは、リモコンで楽しめるオンラインゲームの需要も増えている。
■ゲーム大国と胸を張るためにすべきこと
しかし、油断は禁物だ。ゲーム専用機向けで世界的に強い米国や日本の企業は人気ゲームソフトをどんどんオンラインゲーム化している。中国も追いついてきているため、2010年以降の競争は厳しくなると韓国企業は身構えている。
文化体育観光部は「The Second Revolution ゲーム産業振興中長期計画2008~2012」で、2012年までに3500億ウォンを支援するとしている。「娯楽」「遊び」で終わってしまうオンラインゲームではなく、「ニンテンドーDS」が脳トレでヒットしたように、子供からお年寄りまで楽しめて教育にもつながるゲーム、他のデジタルコンテンツと融合したゲーム開発を支援するという。「世界3大ゲーム大国になる」とか「市場規模を10兆ウォンにする」といった目標が挙がっている。
しかし、韓国が強みを持っているのはオンラインゲームであって、「ゲーム全般」ではない。これを自覚しないと税金がまた無駄遣いされてしまう。
社会的に意味のある政策として、オンラインゲーム中毒を予防するための教育を小学校高学年から実施することなども盛り込まれたが、ぜんぜん足りない。
例えば、オンラインゲームの残虐で生々しい暴力表現やチャットの問題がある。数カ月前も、小学生の女の子と30代の男がゲームの中でキャラクター同士を結婚させ、サイバー上の夫からチャットで誘われた女の子が家出をして男の家にいたという事件が起き、大騒ぎになった
ほかにもサイバーマネーやゲームの中で獲得したアイテムを現金取引するリアル・マネー・トレード(RMT)など、オンラインゲームを巡る様々な問題から子供をどう守るか。政府はそうした政策により積極的に取り組む必要がある。
オンラインゲームという新しい産業の登場がもたらした経済・社会・文化的な変化に対し、制度が追いつかない状態だからだ。これは他の国も同じように直面している問題であるに違いない。そういう制度や対策までも先導的に輸出できてこそ、オンラインゲーム大国と胸を張れるのではないだろうか。
【産経主張】ビッグ3救済 再生プランの早期策定を
米政府は米自動車大手3社(ビッグスリー)救済のため、総額174億ドルのつなぎ融資を実施すると発表した。金融危機対策のために設定した公的資金枠7000億ドルを活用するという。
この融資枠は本来、金融機関の資本増強が目的である。だが部品メーカーなどを含む約300万人の雇用を支えるビッグスリーが破綻(はたん)すれば金融不安が深刻化するとの理由で、米政府は資金枠の転用が可能と判断した。
先の連邦議会上院で総額140億ドルの融資を行う救済法案が共和党議員らの反対により廃案となった。それだけに米政府の土壇場の緊急支援の決断で3社の破綻はとりあえず回避された格好だ。
しかし、これは年末の資金繰りを手当てする一時しのぎの策にすぎない。ビッグスリーの経営悪化は深刻だ。政府以外に融資に応じる民間金融機関はなく、今回の緊急融資でも経営の現状は何ら改善されるわけではないからだ。
米国内には根強い救済反対の世論がある。米政府が緊急融資の見返りとして、複数の厳しい条件を付けたのは当然だろう。
まず、各社に対しては大規模なリストラを行うとともに、抜本的な再建計画をまとめて2009年3月末までに存続可能な状態にするよう求めた。さらに、経営陣の報酬制限や配当の禁止を要求し、政府が各社から株式を取得できる権利(ワラント)を得て、経営を監視するとした。
もし再建がうまく進まないならば、今回の融資は回収され、法的破綻が選択肢になる。
これまで何度も3社の再建策が失敗してきた背景には、経営の怠慢やコスト削減を拒む労組のかたくなな姿勢がある。ブッシュ大統領も会見で「改革に必要な厳しい決断を下さなければならない」と注文を付けている。
今後の抜本的な再建支援策はオバマ次期政権に委ねられる。再建が失敗すれば、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条の適用が再び視野に入ってくるだろう。だが、この時期の3社の破綻は世界経済全体にとっても大きな打撃となる。
ビッグスリーの経営危機はいまや悪化する米国経済の象徴だ。再建の行方は世界の金融市場が注目している。米政府と3社は、米経済への信認を再び取り戻すうえでも、再生プランの早期策定に全力を挙げてもらいたい。
PR
日経社説 不況脱出への戦略見えぬ麻生予算(12/21)
2009年度予算の財務省原案は一般会計規模が過去最大に膨れあがる一方、税収でその半分しか賄えない深刻な姿となった。金融危機による急速な景気悪化に配慮するのは当然だが、予算案からは不況脱出への中長期的な戦略が見えてこない。財政の悪化も著しく、将来への不安も募る予算案といわざるを得ない。
麻生太郎首相のもとで初の予算案は、9月の米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻に端を発した経済環境の激変で景気配慮に軸足を移した。08年度第2次補正予算も生活や雇用、金融の安定策を盛り込んだ。
社会保障抑制を繕う
09年度一般会計予算の規模は88兆円台、政策の実行に充てる一般歳出も51兆円台と、いずれも過去最大だ。基礎年金の国庫負担割合を2分の1に高めた影響もあるが、予算編成の終盤で1兆円の緊急予備費を上積みしたり、地方自治体の減収に対する国の穴埋めを広げたりしたことが効いた。
企業や消費者の心理が一気に冷え込む今回の不況のもとで、財政による景気の下支えは急務だ。欠かせないのはそれをいかに有効に使い、非効率な制度を改革して予算の効果を高めるかという視点である。
予算案全体を眺めると、次期衆院選をにらんで、経済効果よりも選挙民の受けを優先したものが目立つ。2次補正に盛り込んだ2兆円の定額給付金がその典型だ。いま大切なのは、短期で劇的に悪化する雇用への手当てなどを集中的に実施し、中長期で成長力につながる投資も並行して進めることだ。耐震化や温暖化対応などいずれ必要な支出の前倒しや、経済の体質を強める新産業の基盤づくりが考えられる。
今回から分野別配分は首相主導で割り振る3300億円の「重要課題推進枠」が決まるまで不明になった。正確な論評は難しいものの、予算案からは明確な戦略と工夫が伝わってこない。物流の競争力を左右する羽田空港の発着枠拡大や中枢港湾の整備費は3―4%増だが、重要度からみてもっとメリハリを効かせるべきではないか。
制度改革も物足りない。社会保障費は5年間で増加額を1兆1000億円抑える06年の「骨太の方針」に沿うペースを保ったが、年金の特別会計にあった基金の清算などで新たな財源をひねり出し、辛うじて数字を達成したのが実情だ。
基礎年金の国庫負担率を高める財源は09、10年度の2年間、財政投融資特別会計の準備金で生じた余裕の財源、いわゆる「埋蔵金」を流用する。本来は消費税増税など安定財源で賄うのが筋である。景気悪化の中で当面は困難としても、安定性が乏しく、財政悪化の責任もあいまいな埋蔵金頼みは感心できない。
政府・与党には社会保障抑制が限界にきたとの声も出ているが、医療や介護で患者や利用者の立場に立った制度改革を実施し、歳出を効率化するのが本来の姿である。そうした努力の跡はほとんどみられない。
来年度予算編成の焦点だった道路特定財源の一般財源化もあいまいな結果に終わった。環境対策など「生活者財源」にするという触れ込みだったが、道路関係議員の強い抵抗を受けて8割を道路に使う地方向け交付金を設けるなど、既得権益の岩盤は崩せなかった。この1兆円の交付金から社会保障財源としてわずか600億円を振り向けただけである。
09年度の税収は、法人税の急激な落ち込みを主因に今年度当初を7兆円以上も下回る46兆円台に低迷する。一般会計総額に対する税収の割合は52%と過去最低で、文字通りの自転車操業だ。
借金財政は最悪水準に
税収見積もりの前提となる09年度政府経済見通しは経済成長率を実質で0.0%、名目で0.1%と見込んだが、民間予測はマイナス1%程度ともっと厳しい。
収入の穴を埋める借金も増える。09年度に新たに発行する国債は8兆円増の約33兆3000億円と4年ぶりに30兆円の大台を上回る。さらに特別会計の「埋蔵金」でひねり出した4兆2000億円も国債で賄ったと仮定すれば、国債発行額は99年度の37兆5000億円を超し、過去最悪の規模になる計算だ。
当然、財政状況の物差しとなる基礎的財政収支(プライマリーバランス)は大幅に悪化する。国債の償還や利払いの経費である国債費を新規の国債発行額が13兆円上回り、基礎収支の赤字幅は今年度当初の2.5倍に拡大する。11年度までに赤字をゼロにする政府目標の達成は極めて厳しいが、財政の節度を維持するためにも、財政目標の旗を現時点で下ろすべきではないだろう。
中長期で日本経済が成長しないと財政の健全化も遠のく。目先の不況対策とともに将来への種まきが重要だ。予算案が両面で力不足な内容に終わりそうなことは残念だ。
米金融の損失81兆円超 民間推計、金融危機で
金融危機に伴って米国の金融機関が処理を必要とする損失額は全体で9000億ドル(約81兆円)を超す見通しが強まってきた。金融大手のクレディ・スイスが11月、資産別に推計した。同社によると民間の自主的な増資額は2150億ドルにとどまり、損失を埋め合わせるには米政府が用意する7000億ドルの公的資金を全額注入しても足りない恐れがある。
推計は金融機関が保有するローンなどの資産を大まかに分類し、直近の市場価格を基に、それぞれの貸し倒れの規模を見積もった。最も多いのは信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の関連で3975億ドル。住宅ローン担保証券(MBS)や債務担保証券(CDO)と呼ばれる証券化商品の値下がりを反映した。これらの金融商品は裏付けとなるサブプライムローンの焦げ付きで価値が急落。金融機関は多額の評価損の計上を迫られている。
18私大、有価証券含み損688億円…読売新聞調べ
駒沢大など金融取引で多額の損失を出す私立大が相次いでいるが、全国の主な私大18大学が今年3月の決算時に有価証券の含み損を抱えており、その合計額は計688億円に上ることが読売新聞の調べでわかった。
株価は今年9月中旬の米証券大手「リーマン・ブラザーズ」の経営破綻(はたん)を引き金に急落しており、多くの大学で含み損はいっそう膨らんでいるとみられる。
デリバティブ(金融派生商品)取引で154億円の損失を出した駒大では、清算のために東京・世田谷のキャンパスやグラウンドを担保に入れ、金融機関から110億円の融資を受けた。リスクの高い取引で巨額の損失を被った責任を問われ、宮本延雄理事長が18日に開かれた理事会で解任された。南山大などを運営する南山学園と愛知大もそれぞれ34億円、28億円の損失を確定させている。
米ポラロイドが経営破綻、親会社の不正疑惑で財政悪化
【ニューヨーク=池松洋】インスタントカメラで一時代を築いた米ポラロイドが米連邦破産法11章(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻(はたん)していたことが20日、わかった。
親会社である投資会社の不正疑惑で財政状況が悪化したことが理由という。今後は裁判所の監督下で経営再建を目指しながら、日常業務は継続する見通しだ。
ポラロイドは、撮影した写真がすぐに見られるインスタントカメラで世界の写真業界をリードした。デジタルカメラの普及などを受け、今夏にはインスタントフィルムの生産を終了、現在はデジタルカメラや液晶テレビを生産している。
ポラロイドは、2001年にも同11章の適用を申請して破綻。05年に米投資会社ペターズ・グループ・ワールドワイドに買収されていた。
米ゲーム大手のEA、人員1000人削減 年末商戦振るわず
【シリコンバレー=田中暁人】ゲームソフト大手の米エレクトロニック・アーツ(EA)は19日、従業員の約10%に当たる1000人程度の削減を柱とする経営効率化策を発表した。年末商戦が予想を下回るなど苦戦が続いており、コスト削減で収益体質の強化を急ぐ。
10月には人員6%を削減する計画を表明していたが、環境悪化で積み増しを余儀なくされた。ゲーム開発施設など世界9拠点の統廃合も決定。今後は高採算が見込める人気ソフトに開発を絞る。人員削減の大半は2009年3月末までに実施する。リストラ策で年間1億2000万ドルのコスト削減を見込む。
米国ではゲーム市場の拡大が続くが、景気低迷を背景に成長率は鈍化。大手間での競争が激しさを増しており、EAは最終赤字が続いている。
金融庁、貸し渋り監視強化 中小向け融資、抜き打ち検査検討
金融庁は中小企業の資金需要が高まる年末や年度末を控え、金融機関の融資体制に対する監督や検査を一段と強化する。信用保証協会が返済を保証する「緊急保証制度」を使おうとする企業に金融機関が適切に対応しているかを調査。支店への抜き打ち検査も検討していく。資金を円滑に供給する金融機関の取り組みをチェックし、「貸し渋り」が起こらないようにする。
週明け以降、金融庁は全国の財務局と連携し、中小企業向け融資について金融機関が融資の相談に適切に応じているかなどを聞き取り調査する。支店の判断で決裁できる小口融資を早く実行する体制を整えているかも重点的に調べる。
米ユニシスのサーバー上位機、NECが全量供給
NECは米ユニシスからメーンフレーム(大型汎用機)などサーバー上位機種の開発・生産を全面的に受託する。2009年以降にユニシスが発売する新製品についてはすべてOEM(相手先ブランドによる生産)供給する。NECが生産する同クラスのサーバーの台数はユニシス向けが加わるとほぼ倍増する。生産量の拡大で、1台あたりの開発費用を抑制し、競争力を高める。
企業の重要な情報システムの中枢に使うサーバーの開発、生産を請け負う。専用の基本ソフト(OS)を使うメーンフレームのほか、OS「ウィンドウズ」などを使うサーバーで、いずれも日本国内の価格は500万円以上する製品が対象だ。
公共事業費、500億円を上乗せ 09年度予算の重点枠から
2009年度予算の財務省原案が各省庁に内示され、政府・与党は20日、3300億円の重要課題推進枠(重点枠)の配分を巡る調整を始めた。原案段階で今年度当初予算比6%削減した公共事業費(6兆3384億円)は、政府案で500億円規模の予算を上乗せ。出産一時金の引き上げや医師確保策など社会保障費にも数百億円を追加計上する方向だ。
3300億円は各省庁の政策経費を2%余分に削ることで捻出(ねんしゅつ)した。自民、公明両党の要望を踏まえ、麻生太郎首相が配分を指示。重点枠以外でも配分が決まっていない200億円の調整財源を含め、22日に財務省が各省庁に復活額を内示する。
玩具12社トップ、サンタ姿でPR Xマス商戦
高須武男バンダイナムコホールディングス社長や富山幹太郎タカラトミー社長ら玩具12社のトップが20日、サンタクロース姿で都内の玩具店に登場、親子連れにおもちゃ購入を呼びかけた。年末は最大のかき入れ時だが、12月の玩具販売額は前年を2―3割下回っているもよう。冷たい不景気風を吹き飛ばそうと、ライバル各社が消費喚起に足並みをそろえた。
主催した日本玩具協会(東京・墨田)の高須武男会長(バンダイナムコホールディングス社長)は「大人の世界は100年に1度の不景気だが、子供には関係ない。クリスマスを夢のある1日にしてほしい」とプレゼント購入を訴えた。
2009年度予算の財務省原案は一般会計規模が過去最大に膨れあがる一方、税収でその半分しか賄えない深刻な姿となった。金融危機による急速な景気悪化に配慮するのは当然だが、予算案からは不況脱出への中長期的な戦略が見えてこない。財政の悪化も著しく、将来への不安も募る予算案といわざるを得ない。
麻生太郎首相のもとで初の予算案は、9月の米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻に端を発した経済環境の激変で景気配慮に軸足を移した。08年度第2次補正予算も生活や雇用、金融の安定策を盛り込んだ。
社会保障抑制を繕う
09年度一般会計予算の規模は88兆円台、政策の実行に充てる一般歳出も51兆円台と、いずれも過去最大だ。基礎年金の国庫負担割合を2分の1に高めた影響もあるが、予算編成の終盤で1兆円の緊急予備費を上積みしたり、地方自治体の減収に対する国の穴埋めを広げたりしたことが効いた。
企業や消費者の心理が一気に冷え込む今回の不況のもとで、財政による景気の下支えは急務だ。欠かせないのはそれをいかに有効に使い、非効率な制度を改革して予算の効果を高めるかという視点である。
予算案全体を眺めると、次期衆院選をにらんで、経済効果よりも選挙民の受けを優先したものが目立つ。2次補正に盛り込んだ2兆円の定額給付金がその典型だ。いま大切なのは、短期で劇的に悪化する雇用への手当てなどを集中的に実施し、中長期で成長力につながる投資も並行して進めることだ。耐震化や温暖化対応などいずれ必要な支出の前倒しや、経済の体質を強める新産業の基盤づくりが考えられる。
今回から分野別配分は首相主導で割り振る3300億円の「重要課題推進枠」が決まるまで不明になった。正確な論評は難しいものの、予算案からは明確な戦略と工夫が伝わってこない。物流の競争力を左右する羽田空港の発着枠拡大や中枢港湾の整備費は3―4%増だが、重要度からみてもっとメリハリを効かせるべきではないか。
制度改革も物足りない。社会保障費は5年間で増加額を1兆1000億円抑える06年の「骨太の方針」に沿うペースを保ったが、年金の特別会計にあった基金の清算などで新たな財源をひねり出し、辛うじて数字を達成したのが実情だ。
基礎年金の国庫負担率を高める財源は09、10年度の2年間、財政投融資特別会計の準備金で生じた余裕の財源、いわゆる「埋蔵金」を流用する。本来は消費税増税など安定財源で賄うのが筋である。景気悪化の中で当面は困難としても、安定性が乏しく、財政悪化の責任もあいまいな埋蔵金頼みは感心できない。
政府・与党には社会保障抑制が限界にきたとの声も出ているが、医療や介護で患者や利用者の立場に立った制度改革を実施し、歳出を効率化するのが本来の姿である。そうした努力の跡はほとんどみられない。
来年度予算編成の焦点だった道路特定財源の一般財源化もあいまいな結果に終わった。環境対策など「生活者財源」にするという触れ込みだったが、道路関係議員の強い抵抗を受けて8割を道路に使う地方向け交付金を設けるなど、既得権益の岩盤は崩せなかった。この1兆円の交付金から社会保障財源としてわずか600億円を振り向けただけである。
09年度の税収は、法人税の急激な落ち込みを主因に今年度当初を7兆円以上も下回る46兆円台に低迷する。一般会計総額に対する税収の割合は52%と過去最低で、文字通りの自転車操業だ。
借金財政は最悪水準に
税収見積もりの前提となる09年度政府経済見通しは経済成長率を実質で0.0%、名目で0.1%と見込んだが、民間予測はマイナス1%程度ともっと厳しい。
収入の穴を埋める借金も増える。09年度に新たに発行する国債は8兆円増の約33兆3000億円と4年ぶりに30兆円の大台を上回る。さらに特別会計の「埋蔵金」でひねり出した4兆2000億円も国債で賄ったと仮定すれば、国債発行額は99年度の37兆5000億円を超し、過去最悪の規模になる計算だ。
当然、財政状況の物差しとなる基礎的財政収支(プライマリーバランス)は大幅に悪化する。国債の償還や利払いの経費である国債費を新規の国債発行額が13兆円上回り、基礎収支の赤字幅は今年度当初の2.5倍に拡大する。11年度までに赤字をゼロにする政府目標の達成は極めて厳しいが、財政の節度を維持するためにも、財政目標の旗を現時点で下ろすべきではないだろう。
中長期で日本経済が成長しないと財政の健全化も遠のく。目先の不況対策とともに将来への種まきが重要だ。予算案が両面で力不足な内容に終わりそうなことは残念だ。
米金融の損失81兆円超 民間推計、金融危機で
金融危機に伴って米国の金融機関が処理を必要とする損失額は全体で9000億ドル(約81兆円)を超す見通しが強まってきた。金融大手のクレディ・スイスが11月、資産別に推計した。同社によると民間の自主的な増資額は2150億ドルにとどまり、損失を埋め合わせるには米政府が用意する7000億ドルの公的資金を全額注入しても足りない恐れがある。
推計は金融機関が保有するローンなどの資産を大まかに分類し、直近の市場価格を基に、それぞれの貸し倒れの規模を見積もった。最も多いのは信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の関連で3975億ドル。住宅ローン担保証券(MBS)や債務担保証券(CDO)と呼ばれる証券化商品の値下がりを反映した。これらの金融商品は裏付けとなるサブプライムローンの焦げ付きで価値が急落。金融機関は多額の評価損の計上を迫られている。
18私大、有価証券含み損688億円…読売新聞調べ
駒沢大など金融取引で多額の損失を出す私立大が相次いでいるが、全国の主な私大18大学が今年3月の決算時に有価証券の含み損を抱えており、その合計額は計688億円に上ることが読売新聞の調べでわかった。
株価は今年9月中旬の米証券大手「リーマン・ブラザーズ」の経営破綻(はたん)を引き金に急落しており、多くの大学で含み損はいっそう膨らんでいるとみられる。
デリバティブ(金融派生商品)取引で154億円の損失を出した駒大では、清算のために東京・世田谷のキャンパスやグラウンドを担保に入れ、金融機関から110億円の融資を受けた。リスクの高い取引で巨額の損失を被った責任を問われ、宮本延雄理事長が18日に開かれた理事会で解任された。南山大などを運営する南山学園と愛知大もそれぞれ34億円、28億円の損失を確定させている。
米ポラロイドが経営破綻、親会社の不正疑惑で財政悪化
【ニューヨーク=池松洋】インスタントカメラで一時代を築いた米ポラロイドが米連邦破産法11章(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻(はたん)していたことが20日、わかった。
親会社である投資会社の不正疑惑で財政状況が悪化したことが理由という。今後は裁判所の監督下で経営再建を目指しながら、日常業務は継続する見通しだ。
ポラロイドは、撮影した写真がすぐに見られるインスタントカメラで世界の写真業界をリードした。デジタルカメラの普及などを受け、今夏にはインスタントフィルムの生産を終了、現在はデジタルカメラや液晶テレビを生産している。
ポラロイドは、2001年にも同11章の適用を申請して破綻。05年に米投資会社ペターズ・グループ・ワールドワイドに買収されていた。
米ゲーム大手のEA、人員1000人削減 年末商戦振るわず
【シリコンバレー=田中暁人】ゲームソフト大手の米エレクトロニック・アーツ(EA)は19日、従業員の約10%に当たる1000人程度の削減を柱とする経営効率化策を発表した。年末商戦が予想を下回るなど苦戦が続いており、コスト削減で収益体質の強化を急ぐ。
10月には人員6%を削減する計画を表明していたが、環境悪化で積み増しを余儀なくされた。ゲーム開発施設など世界9拠点の統廃合も決定。今後は高採算が見込める人気ソフトに開発を絞る。人員削減の大半は2009年3月末までに実施する。リストラ策で年間1億2000万ドルのコスト削減を見込む。
米国ではゲーム市場の拡大が続くが、景気低迷を背景に成長率は鈍化。大手間での競争が激しさを増しており、EAは最終赤字が続いている。
金融庁、貸し渋り監視強化 中小向け融資、抜き打ち検査検討
金融庁は中小企業の資金需要が高まる年末や年度末を控え、金融機関の融資体制に対する監督や検査を一段と強化する。信用保証協会が返済を保証する「緊急保証制度」を使おうとする企業に金融機関が適切に対応しているかを調査。支店への抜き打ち検査も検討していく。資金を円滑に供給する金融機関の取り組みをチェックし、「貸し渋り」が起こらないようにする。
週明け以降、金融庁は全国の財務局と連携し、中小企業向け融資について金融機関が融資の相談に適切に応じているかなどを聞き取り調査する。支店の判断で決裁できる小口融資を早く実行する体制を整えているかも重点的に調べる。
米ユニシスのサーバー上位機、NECが全量供給
NECは米ユニシスからメーンフレーム(大型汎用機)などサーバー上位機種の開発・生産を全面的に受託する。2009年以降にユニシスが発売する新製品についてはすべてOEM(相手先ブランドによる生産)供給する。NECが生産する同クラスのサーバーの台数はユニシス向けが加わるとほぼ倍増する。生産量の拡大で、1台あたりの開発費用を抑制し、競争力を高める。
企業の重要な情報システムの中枢に使うサーバーの開発、生産を請け負う。専用の基本ソフト(OS)を使うメーンフレームのほか、OS「ウィンドウズ」などを使うサーバーで、いずれも日本国内の価格は500万円以上する製品が対象だ。
公共事業費、500億円を上乗せ 09年度予算の重点枠から
2009年度予算の財務省原案が各省庁に内示され、政府・与党は20日、3300億円の重要課題推進枠(重点枠)の配分を巡る調整を始めた。原案段階で今年度当初予算比6%削減した公共事業費(6兆3384億円)は、政府案で500億円規模の予算を上乗せ。出産一時金の引き上げや医師確保策など社会保障費にも数百億円を追加計上する方向だ。
3300億円は各省庁の政策経費を2%余分に削ることで捻出(ねんしゅつ)した。自民、公明両党の要望を踏まえ、麻生太郎首相が配分を指示。重点枠以外でも配分が決まっていない200億円の調整財源を含め、22日に財務省が各省庁に復活額を内示する。
玩具12社トップ、サンタ姿でPR Xマス商戦
高須武男バンダイナムコホールディングス社長や富山幹太郎タカラトミー社長ら玩具12社のトップが20日、サンタクロース姿で都内の玩具店に登場、親子連れにおもちゃ購入を呼びかけた。年末は最大のかき入れ時だが、12月の玩具販売額は前年を2―3割下回っているもよう。冷たい不景気風を吹き飛ばそうと、ライバル各社が消費喚起に足並みをそろえた。
主催した日本玩具協会(東京・墨田)の高須武男会長(バンダイナムコホールディングス社長)は「大人の世界は100年に1度の不景気だが、子供には関係ない。クリスマスを夢のある1日にしてほしい」とプレゼント購入を訴えた。
BOJ policy back in emergency mode
The global financial crisis and the fast-deteriorating domestic economy have put Japan's monetary policy back in emergency mode.
The Bank of Japan decided at its monetary policy meeting Friday to lower its key interest rate by 0.2 percentage point to 0.1 percent.
This is apparently the de facto resumption of the zero-interest-rate policy that the central bank adopted during the financial doldrums that followed the collapse of the bubble economy.
The central bank also announced what is effectively a quantitative-easing policy, including additional purchases of long-term Japanese government bonds and new measures to facilitate lending to companies.
The U.S. Federal Reserve Board on Tuesday introduced an effective zero-interest-rate policy and a quantitative-easing policy. The Bank of Japan responded quickly to the Fed's decision, even though it meant cutting the key interest rate for the second time in less than two months.
The Bank of Japan confirmed in its latest quarterly survey of business sentiment released Monday that the nation's economy is rapidly losing steam. At the same time, market pressure appreciating the yen's value against the dollar has been increasing since the Fed's decision pushed U.S. interest rates lower than those in Japan. The Bank of Japan's quick decision to take additional quantitative-easing measures makes sense.
===
Deflation threat looms again
Meanwhile, the government on Friday downgraded its forecast of Japan's real economic growth rate for fiscal 2008 to minus 0.8 percent. The government aims to achieve zero growth in real gross domestic product in fiscal 2009, but in reality, the Japanese economy is likely to register negative growth in two straight years for the first time in 10 years.
Consumer prices, meanwhile, are expected to fall in fiscal 2009, rising fears of the return of deflation.
In addition to fiscal and tax measures to stimulate the economy, stabilizing the nation's financial markets by supplying ample liquidity is essential to stop deflation from taking hold.
The Bank of Japan decided this time to increase its purchases of long-term JGBs from financial institutions to 1.4 trillion yen a month from the current 1.2 trillion yen to secure sufficient liquidity.
In the quantitative-easing policy implemented for five years from 2001, the central bank accumulated funds up to a little over 30 trillion yen in its current account to calm anxieties in financial markets. However, the policy is said to have had only limited effects because most of the funds remained in financial institutions and did not facilitate corporate financing.
===
Companies short of cash
Since it has become difficult to raise operating capital with commercial paper and corporate bonds under the current financial crisis, even major corporations are experiencing cash-flow problems.
To ameliorate this situation, the Bank of Japan announced a new method of purchasing CP under which it will buy the short-term corporate debt outright to facilitate corporate financing. It also will study the possibility of widening the range of securities it purchases.
It is extremely unusual for the central bank to assume the risk of its debt assets becoming unrecoverable due to corporate bankruptcies and other contingencies. This shows the central bank's strong determination to normalize the financial system.
We hope the Bank of Japan will improve the effectiveness of its easy-money policy by every possible means, while taking care not to compromise its financial strength.
The global financial crisis and the fast-deteriorating domestic economy have put Japan's monetary policy back in emergency mode.
The Bank of Japan decided at its monetary policy meeting Friday to lower its key interest rate by 0.2 percentage point to 0.1 percent.
This is apparently the de facto resumption of the zero-interest-rate policy that the central bank adopted during the financial doldrums that followed the collapse of the bubble economy.
The central bank also announced what is effectively a quantitative-easing policy, including additional purchases of long-term Japanese government bonds and new measures to facilitate lending to companies.
The U.S. Federal Reserve Board on Tuesday introduced an effective zero-interest-rate policy and a quantitative-easing policy. The Bank of Japan responded quickly to the Fed's decision, even though it meant cutting the key interest rate for the second time in less than two months.
The Bank of Japan confirmed in its latest quarterly survey of business sentiment released Monday that the nation's economy is rapidly losing steam. At the same time, market pressure appreciating the yen's value against the dollar has been increasing since the Fed's decision pushed U.S. interest rates lower than those in Japan. The Bank of Japan's quick decision to take additional quantitative-easing measures makes sense.
===
Deflation threat looms again
Meanwhile, the government on Friday downgraded its forecast of Japan's real economic growth rate for fiscal 2008 to minus 0.8 percent. The government aims to achieve zero growth in real gross domestic product in fiscal 2009, but in reality, the Japanese economy is likely to register negative growth in two straight years for the first time in 10 years.
Consumer prices, meanwhile, are expected to fall in fiscal 2009, rising fears of the return of deflation.
In addition to fiscal and tax measures to stimulate the economy, stabilizing the nation's financial markets by supplying ample liquidity is essential to stop deflation from taking hold.
The Bank of Japan decided this time to increase its purchases of long-term JGBs from financial institutions to 1.4 trillion yen a month from the current 1.2 trillion yen to secure sufficient liquidity.
In the quantitative-easing policy implemented for five years from 2001, the central bank accumulated funds up to a little over 30 trillion yen in its current account to calm anxieties in financial markets. However, the policy is said to have had only limited effects because most of the funds remained in financial institutions and did not facilitate corporate financing.
===
Companies short of cash
Since it has become difficult to raise operating capital with commercial paper and corporate bonds under the current financial crisis, even major corporations are experiencing cash-flow problems.
To ameliorate this situation, the Bank of Japan announced a new method of purchasing CP under which it will buy the short-term corporate debt outright to facilitate corporate financing. It also will study the possibility of widening the range of securities it purchases.
It is extremely unusual for the central bank to assume the risk of its debt assets becoming unrecoverable due to corporate bankruptcies and other contingencies. This shows the central bank's strong determination to normalize the financial system.
We hope the Bank of Japan will improve the effectiveness of its easy-money policy by every possible means, while taking care not to compromise its financial strength.
キャリアとテレビ局の深まる関係 メディア化進む携帯電話(COLUMN)
KDDIは15日、朝日新聞社、テレビ朝日と提携して新しい情報配信ビジネスを展開すると発表した。第1弾として、2009年夏に携帯電話向けのコンテンツ配信を始めるという。
来夏に3社が計画しているのは、携帯電話向けのニュース配信ビジネスだ。朝日新聞社とテレビ朝日の取材力、コンテンツ調達力を生かし、24時間体制で最新ニュースや番組関連コンテンツを携帯電話に向けて一斉同時配信する。ユーザーの居住地域や関心などに応じて配信内容をカスタマイズできる機能も持たせるという。
目標とするユーザー数は1000万件で、月額課金による収益を見込む。既存のサービスではNTTドコモの「iチャネル」が月額150円で提供しており、それに近い価格設定になりそうだ。収入は「汗をかいた人が、汗をかいた分だけもらう」(KDDIの高橋誠コンシューマ事業統括本部長)といい、3社で見合った分をシェアする形になるとみられる。
■24時間体制で情報発信できるセンターを設置
配信の仕組みには、現在「EZニュースフラッシュ」で用いている「マルチキャスト」という技術と、「緊急地震速報」のサービスで使っている「B-SMS」という技術を組み合わせる。動画などはマルチキャスト配信、即時性の求められるテキスト情報はB-SMSというように使い分けて配信する。
現在、販売されている端末ではB-SMSは緊急地震速報にしか対応しておらず、新しいサービスをすべて受信するには、来夏以降に発売されるモデルが必要になる。
新しい情報配信サービスを始めるにあたって、3社では24時間体制で情報を発信するために共同で編集配信センターのようなものを設置する予定だという。現在、新聞社などは朝刊と夕刊の締め切り時間に合わせて取材活動を行い、記事を執筆する場合がほとんどだ。それも24時間体制で配信できるような組織に変えていくという。
KDDIの高橋氏は「本来なら、サービス開始直前に発表したかった案件。しかし、オープンなプラットフォームにしていきたいため、早い段階で発表することにした」という。今回のビジネスモデルは3社だけのものではなく、他の企業もこのシステムを使ってコンテンツを配信できるようになるようだ。すでにグーグルなども参加する予定があるという。
■ワンセグ開始時にこだわった「ダブルウィンドウ」
KDDIとテレビ朝日との関係は、2006年3月のワンセグ共同事業検証にまでさかのぼる。同年4月から始まるワンセグ本放送において、携帯電話とテレビ放送をどのように連携させてビジネスに発展していくかを共同で検証していた。
テレビ局としては、本当にしっかりと見てもらいたいのは自宅の据え置き型テレビであってワンセグではない。自宅のテレビを見つつ、手元にワンセグ対応携帯電話を置き、何かあればテレビ局から発信されるデータ放送やウェブサイトにアクセスするという世界を描いていた。
テレビ局のサイトにアクセスする際、ケータイのEZウェブやiモードのトップページから辿っていくのはかなり面倒だ。その点、ワンセグを立ち上げさえすれば、自宅のテレビとほぼ同じ映像を見つつ、簡単にテレビ局のサイトにアクセスできる。
テレビとケータイ。この2つの窓をもって「ダブルウィンドウ」というわけだ。KDDIとテレビ朝日では、番組が始まる直前に情報をメールで配信したり、番組のダイジェスト動画を配信したりするなどの試みを行っていた。
■ほとんどのテレビ局がキャリアと関係
KDDIは今回、それまでの関係もあってテレビ朝日と連携したのだが、すでに周りを見ると、ほとんどのテレビ局が何らかのキャリアと関係を持っている状態にある。
NTTドコモは、2006年1月にフジテレビジョンに207億円(出資比率3.26%)、さらに2006年12月には日本テレビ放送網に133億円(出資比率3%)を出資して業務提携している。日本テレビとは、本体への出資とは別に有限責任事業組合D.N.ドリームパートナーズを設立。共同で映像コンテンツへの投資を行い、「DEATH NOTE」などを成功させている。
一方、TBSは、2005年8月にイー・モバイルに対して100億円を出資している。こちらはテレビ局がキャリアに出資するというNTTドコモとは逆のパターンだ。
■ドコモ「iチャネル」はテレビ局と組み成功
NTTドコモはこのところ、「ドコモ動画」と名づけてケータイで視聴できる様々なコンテンツをアピールしている。テレビ局との関係も、動画コンテンツを充実させる一環として位置づけられている。特に「iチャネル」は、テレビ局が関与して動画対応がうまくいった典型例ともいえる。
iチャネルは、待ち受け画面にニュースや天気予報を配信するサービスで、すでに2008年1月現在で1500万件以上のユーザーを抱えている。
サービス開始当初は、ニュース記事は新聞社が提供していた。しかし、2008年8月からは配信元が日本テレビに変更となった。これにより、iチャネルでテキストベースの記事を読み、さらに気になるニュースは続きを映像で見る、ということが可能になった。
NTTドコモにとってみれば、動画が視聴されれば、さらにパケット通信料金を稼げるというメリットがある。新聞社は映像コンテンツをほとんど持っていない。そこで白羽の矢が立ったのが日本テレビということになる。
iチャネルは、iモードをあまり使わないライトユーザーがターゲットだ。情報を自動的に配信することでネットへのアクセスを促すことを狙っている。ニュースを動画対応にしたことでパケット通信量が増えるので、定額制の上限いっぱいまで使わせることも可能になる。
■ケータイのメディア化が進む
一方、KDDIがテレビ朝日、朝日新聞社と始めようとしているサービスは月額課金のみでパケット通信料は不要なので、NTTドコモの狙いとは異なる。
新たな収益源を確保したいキャリアと、コンテンツを有効活用したいテレビ局の思惑は合致しており、ビジネスモデルも一つとは限らない。2009年は両者の関係が深まることで、よりいっそうケータイのメディア化が進んでいきそうだ。
国と地方の借金総額は800兆円に、先進国で最悪
2009年度末に、国と地方が抱える借金の総額が800兆円の大台を突破することが確実になった。
財務省が20日発表した09年度の国債発行計画によると、過去に発行した国債の借り換えを含む国債発行総額が132兆2854億円で、08年度当初予算と比べて5兆9954億円増えた。
国債の発行総額が前年度を上回るのは4年ぶりだ。09年度末の国債発行残高は約581兆円で、08年度末と比べて約18兆円増える見通し。この結果、国と地方を合わせた借金の総額である長期債務残高は09年度末で804兆円を超える。国内総生産(GDP=約510兆円)の1・6倍に上る巨額の借金で、国民1人当たりに換算すると約455万円に達し、日本の財政は先進国で最悪だ。
発行総額の内訳は、借り換え分が1兆5506億円減の90兆9914億円、新たな借金となる新規国債の発行額が約8兆円増えて、33兆2940億円と、当初段階で30兆円を上回るのは4年ぶりだ。このほか、財投債を4000億円減の8兆円発行する。
選挙控え、緩む財政規律 予算財務省原案
麻生太郎政権が初めて編成する2009年度予算の財務省原案は、小泉政権以来の財政健全化路線を棚上げし、景気刺激策に軸足を移す姿勢を鮮明に映した。衆院解散・総選挙を目前に控えた与党の強い歳出増圧力に歯止めを掛けられず、財政規律は緩んだ。「景気対策」と「選挙対策」が混在し、社会保障など重要施策の議論を素通りした予算案から日本の将来像は見えてこない。
衆院解散・総選挙を来年に控えた与党の歳出増圧力はかつてなく強かった。7月に決めた概算要求基準(シーリング)は「骨太方針2006」の歳出削減計画に沿って、公共事業費の3%減や社会保障費の伸びを2200億円抑える目標を設定。しかし与党内から撤回要求が噴き出し、2200億円の抑制は「埋蔵金」で帳尻を合わせた。骨太方針の目標達成は一段と厳しくなった。
歳入面では世界同時の景気悪化による税収の落ち込みが鮮明。2009年度の税収見積もりは46兆1030億円となり、08年度当初予算(53兆5540億円)に比べた減収は7兆4510億円に上った。新規国債の発行額は33兆2940億円と5年ぶりに増額(当初予算ベース)となる。
ビッグ3救済をGM会長ら歓迎、労組は人件費削減に反発
【ニューヨーク=小谷野太郎】米自動車大手3社(ビッグスリー)は19日、米政府による自動車業界救済を歓迎するコメントを相次いで発表した。
ゼネラル・モーターズ(GM)のリチャード・ワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)はデトロイトの本社で記者会見し、米政府が来年3月末までに再建計画の提出を求めていることについて「不可能だと思わない」と自信を示した。経営危機を招いた責任については「(辞任の意思は)まったくない」と強調した。
クライスラーのロバート・ナルデリ会長兼CEOも「(米政府が求めた)融資条件を満たすことを約束する」とのコメントを発表、クライスラーの親会社である米投資会社サーベラスは、クライスラーに20億ドルの資金支援を行う意向も表明した。
ただ、全米自動車労働組合(UAW)のロン・ゲテルフィンガー委員長は、「労働者だけに不公平な譲歩を求めた」と米政府が人件費削減を求めていることに反発した。
UAWの譲歩が引き出せなければ、再建計画をまとめられず、政府から融資資金の返済を求められて、経営破綻(はたん)する恐れもあるため、今後の交渉は難航も予想される。
トヨタ自動車九州、派遣社員の追加削減を検討
トヨタ自動車の生産子会社であるトヨタ自動車九州(福岡県宮若市)が、派遣社員の追加削減を検討していることが20日、明らかになった。
自動車販売の低迷で、追加の減産が予想されるためで、最終的な削減幅は製造現場を中心に1000人規模になる可能性もある。
同社には事務系を含め1400人の派遣社員がいるが、多くが2009年度中に派遣期限の3年間が満了する。このため、契約を更新しない「雇い止め」による削減を検討している。だが、従業員が仕事を分け合うワークシェアリングや、フレックスタイム(時差勤務)などの導入も検討しており、削減時期や人数は未定だ。
同社は今夏、減産に伴って派遣社員800人を削減した。しかし、今春時点で44万台としていた今年度の生産見込み台数は3割減の約29万台にまで下落し、今年度は100億円程度の営業赤字が見込まれている。このため、人員の追加削減は避けられない状況となっている。
北部九州では、日産自動車九州工場(福岡県苅田町)も、10月時点で700人いた派遣社員を来年3月末までにゼロにすることを決めている。
「ストリートビュー」 学者らがグーグルに中止要請
インターネット検索大手、グーグル社の地図と写真を組み合わせたサービス「ストリートビュー」について、上智大の田島泰彦教授(メディア法)やジャーナリストの斎藤貴男さんら13人が19日、「市民の同意なく住宅地などを撮影、公表するのはプライバシー権を侵害する」として中止を求める要請書を同社に送付した。
同サービスはグーグルサイトの地図上を示すと、付近の風景が映し出される。要請書は「インターネットを通すことによりプライバシー情報を広範に流布し、深刻な権利侵害をもたらす」と指摘。サービス提供の中止と画像の削除などを求めている。
KDDIは15日、朝日新聞社、テレビ朝日と提携して新しい情報配信ビジネスを展開すると発表した。第1弾として、2009年夏に携帯電話向けのコンテンツ配信を始めるという。
来夏に3社が計画しているのは、携帯電話向けのニュース配信ビジネスだ。朝日新聞社とテレビ朝日の取材力、コンテンツ調達力を生かし、24時間体制で最新ニュースや番組関連コンテンツを携帯電話に向けて一斉同時配信する。ユーザーの居住地域や関心などに応じて配信内容をカスタマイズできる機能も持たせるという。
目標とするユーザー数は1000万件で、月額課金による収益を見込む。既存のサービスではNTTドコモの「iチャネル」が月額150円で提供しており、それに近い価格設定になりそうだ。収入は「汗をかいた人が、汗をかいた分だけもらう」(KDDIの高橋誠コンシューマ事業統括本部長)といい、3社で見合った分をシェアする形になるとみられる。
■24時間体制で情報発信できるセンターを設置
配信の仕組みには、現在「EZニュースフラッシュ」で用いている「マルチキャスト」という技術と、「緊急地震速報」のサービスで使っている「B-SMS」という技術を組み合わせる。動画などはマルチキャスト配信、即時性の求められるテキスト情報はB-SMSというように使い分けて配信する。
現在、販売されている端末ではB-SMSは緊急地震速報にしか対応しておらず、新しいサービスをすべて受信するには、来夏以降に発売されるモデルが必要になる。
新しい情報配信サービスを始めるにあたって、3社では24時間体制で情報を発信するために共同で編集配信センターのようなものを設置する予定だという。現在、新聞社などは朝刊と夕刊の締め切り時間に合わせて取材活動を行い、記事を執筆する場合がほとんどだ。それも24時間体制で配信できるような組織に変えていくという。
KDDIの高橋氏は「本来なら、サービス開始直前に発表したかった案件。しかし、オープンなプラットフォームにしていきたいため、早い段階で発表することにした」という。今回のビジネスモデルは3社だけのものではなく、他の企業もこのシステムを使ってコンテンツを配信できるようになるようだ。すでにグーグルなども参加する予定があるという。
■ワンセグ開始時にこだわった「ダブルウィンドウ」
KDDIとテレビ朝日との関係は、2006年3月のワンセグ共同事業検証にまでさかのぼる。同年4月から始まるワンセグ本放送において、携帯電話とテレビ放送をどのように連携させてビジネスに発展していくかを共同で検証していた。
テレビ局としては、本当にしっかりと見てもらいたいのは自宅の据え置き型テレビであってワンセグではない。自宅のテレビを見つつ、手元にワンセグ対応携帯電話を置き、何かあればテレビ局から発信されるデータ放送やウェブサイトにアクセスするという世界を描いていた。
テレビ局のサイトにアクセスする際、ケータイのEZウェブやiモードのトップページから辿っていくのはかなり面倒だ。その点、ワンセグを立ち上げさえすれば、自宅のテレビとほぼ同じ映像を見つつ、簡単にテレビ局のサイトにアクセスできる。
テレビとケータイ。この2つの窓をもって「ダブルウィンドウ」というわけだ。KDDIとテレビ朝日では、番組が始まる直前に情報をメールで配信したり、番組のダイジェスト動画を配信したりするなどの試みを行っていた。
■ほとんどのテレビ局がキャリアと関係
KDDIは今回、それまでの関係もあってテレビ朝日と連携したのだが、すでに周りを見ると、ほとんどのテレビ局が何らかのキャリアと関係を持っている状態にある。
NTTドコモは、2006年1月にフジテレビジョンに207億円(出資比率3.26%)、さらに2006年12月には日本テレビ放送網に133億円(出資比率3%)を出資して業務提携している。日本テレビとは、本体への出資とは別に有限責任事業組合D.N.ドリームパートナーズを設立。共同で映像コンテンツへの投資を行い、「DEATH NOTE」などを成功させている。
一方、TBSは、2005年8月にイー・モバイルに対して100億円を出資している。こちらはテレビ局がキャリアに出資するというNTTドコモとは逆のパターンだ。
■ドコモ「iチャネル」はテレビ局と組み成功
NTTドコモはこのところ、「ドコモ動画」と名づけてケータイで視聴できる様々なコンテンツをアピールしている。テレビ局との関係も、動画コンテンツを充実させる一環として位置づけられている。特に「iチャネル」は、テレビ局が関与して動画対応がうまくいった典型例ともいえる。
iチャネルは、待ち受け画面にニュースや天気予報を配信するサービスで、すでに2008年1月現在で1500万件以上のユーザーを抱えている。
サービス開始当初は、ニュース記事は新聞社が提供していた。しかし、2008年8月からは配信元が日本テレビに変更となった。これにより、iチャネルでテキストベースの記事を読み、さらに気になるニュースは続きを映像で見る、ということが可能になった。
NTTドコモにとってみれば、動画が視聴されれば、さらにパケット通信料金を稼げるというメリットがある。新聞社は映像コンテンツをほとんど持っていない。そこで白羽の矢が立ったのが日本テレビということになる。
iチャネルは、iモードをあまり使わないライトユーザーがターゲットだ。情報を自動的に配信することでネットへのアクセスを促すことを狙っている。ニュースを動画対応にしたことでパケット通信量が増えるので、定額制の上限いっぱいまで使わせることも可能になる。
■ケータイのメディア化が進む
一方、KDDIがテレビ朝日、朝日新聞社と始めようとしているサービスは月額課金のみでパケット通信料は不要なので、NTTドコモの狙いとは異なる。
新たな収益源を確保したいキャリアと、コンテンツを有効活用したいテレビ局の思惑は合致しており、ビジネスモデルも一つとは限らない。2009年は両者の関係が深まることで、よりいっそうケータイのメディア化が進んでいきそうだ。
国と地方の借金総額は800兆円に、先進国で最悪
2009年度末に、国と地方が抱える借金の総額が800兆円の大台を突破することが確実になった。
財務省が20日発表した09年度の国債発行計画によると、過去に発行した国債の借り換えを含む国債発行総額が132兆2854億円で、08年度当初予算と比べて5兆9954億円増えた。
国債の発行総額が前年度を上回るのは4年ぶりだ。09年度末の国債発行残高は約581兆円で、08年度末と比べて約18兆円増える見通し。この結果、国と地方を合わせた借金の総額である長期債務残高は09年度末で804兆円を超える。国内総生産(GDP=約510兆円)の1・6倍に上る巨額の借金で、国民1人当たりに換算すると約455万円に達し、日本の財政は先進国で最悪だ。
発行総額の内訳は、借り換え分が1兆5506億円減の90兆9914億円、新たな借金となる新規国債の発行額が約8兆円増えて、33兆2940億円と、当初段階で30兆円を上回るのは4年ぶりだ。このほか、財投債を4000億円減の8兆円発行する。
選挙控え、緩む財政規律 予算財務省原案
麻生太郎政権が初めて編成する2009年度予算の財務省原案は、小泉政権以来の財政健全化路線を棚上げし、景気刺激策に軸足を移す姿勢を鮮明に映した。衆院解散・総選挙を目前に控えた与党の強い歳出増圧力に歯止めを掛けられず、財政規律は緩んだ。「景気対策」と「選挙対策」が混在し、社会保障など重要施策の議論を素通りした予算案から日本の将来像は見えてこない。
衆院解散・総選挙を来年に控えた与党の歳出増圧力はかつてなく強かった。7月に決めた概算要求基準(シーリング)は「骨太方針2006」の歳出削減計画に沿って、公共事業費の3%減や社会保障費の伸びを2200億円抑える目標を設定。しかし与党内から撤回要求が噴き出し、2200億円の抑制は「埋蔵金」で帳尻を合わせた。骨太方針の目標達成は一段と厳しくなった。
歳入面では世界同時の景気悪化による税収の落ち込みが鮮明。2009年度の税収見積もりは46兆1030億円となり、08年度当初予算(53兆5540億円)に比べた減収は7兆4510億円に上った。新規国債の発行額は33兆2940億円と5年ぶりに増額(当初予算ベース)となる。
ビッグ3救済をGM会長ら歓迎、労組は人件費削減に反発
【ニューヨーク=小谷野太郎】米自動車大手3社(ビッグスリー)は19日、米政府による自動車業界救済を歓迎するコメントを相次いで発表した。
ゼネラル・モーターズ(GM)のリチャード・ワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)はデトロイトの本社で記者会見し、米政府が来年3月末までに再建計画の提出を求めていることについて「不可能だと思わない」と自信を示した。経営危機を招いた責任については「(辞任の意思は)まったくない」と強調した。
クライスラーのロバート・ナルデリ会長兼CEOも「(米政府が求めた)融資条件を満たすことを約束する」とのコメントを発表、クライスラーの親会社である米投資会社サーベラスは、クライスラーに20億ドルの資金支援を行う意向も表明した。
ただ、全米自動車労働組合(UAW)のロン・ゲテルフィンガー委員長は、「労働者だけに不公平な譲歩を求めた」と米政府が人件費削減を求めていることに反発した。
UAWの譲歩が引き出せなければ、再建計画をまとめられず、政府から融資資金の返済を求められて、経営破綻(はたん)する恐れもあるため、今後の交渉は難航も予想される。
トヨタ自動車九州、派遣社員の追加削減を検討
トヨタ自動車の生産子会社であるトヨタ自動車九州(福岡県宮若市)が、派遣社員の追加削減を検討していることが20日、明らかになった。
自動車販売の低迷で、追加の減産が予想されるためで、最終的な削減幅は製造現場を中心に1000人規模になる可能性もある。
同社には事務系を含め1400人の派遣社員がいるが、多くが2009年度中に派遣期限の3年間が満了する。このため、契約を更新しない「雇い止め」による削減を検討している。だが、従業員が仕事を分け合うワークシェアリングや、フレックスタイム(時差勤務)などの導入も検討しており、削減時期や人数は未定だ。
同社は今夏、減産に伴って派遣社員800人を削減した。しかし、今春時点で44万台としていた今年度の生産見込み台数は3割減の約29万台にまで下落し、今年度は100億円程度の営業赤字が見込まれている。このため、人員の追加削減は避けられない状況となっている。
北部九州では、日産自動車九州工場(福岡県苅田町)も、10月時点で700人いた派遣社員を来年3月末までにゼロにすることを決めている。
「ストリートビュー」 学者らがグーグルに中止要請
インターネット検索大手、グーグル社の地図と写真を組み合わせたサービス「ストリートビュー」について、上智大の田島泰彦教授(メディア法)やジャーナリストの斎藤貴男さんら13人が19日、「市民の同意なく住宅地などを撮影、公表するのはプライバシー権を侵害する」として中止を求める要請書を同社に送付した。
同サービスはグーグルサイトの地図上を示すと、付近の風景が映し出される。要請書は「インターネットを通すことによりプライバシー情報を広範に流布し、深刻な権利侵害をもたらす」と指摘。サービス提供の中止と画像の削除などを求めている。
自動車大手救済で米政府、1.5兆円融資 破綻を当面回避
【ワシントン=大隅隆】ブッシュ米大統領は19日、経営危機に陥っているゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーにつなぎ融資を実施すると発表した。最大174億ドル(約1兆5000億円)で金融安定化法に基づく公的資金を活用する。2社は、来年3月末までに債務や人件費の削減など抜本的な再建計画を策定する。金融危機で深刻化した米自動車大手の経営危機は、政府支援による破綻回避でひとまず決着。本格再建の行方はオバマ次期米政権に持ち越された。
ホワイトハウスで声明を発表したブッシュ大統領は「自動車大手の経営破綻は深刻な景気後退を招く」と指摘。「通常なら破産法を適用すべきだが(異常な経済情勢の)現時点ではうまくいかない」と語った。
つなぎ融資はGM134億ドル、クライスラーが40億ドル。12月29日から来年2月まで順次実施する。このうち40億ドルは2月に議会の追加承認を経て実施する。
ホンダ社長「円高続くと正社員削減も」 国内生産、縮小検討
ホンダの福井威夫社長は19日、日本経済新聞社の記者らの取材に応じ「現在の円高水準が続くと来期(2010年3月期)には正社員の削減もありうる」と述べ、為替相場が1ドル=90円前後で推移し続けると一段のリストラに踏み込む意向を示した。海外にさらに生産をシフトすることも検討する。来期の赤字転落を防ぐため「聖域を設けずリストラに取り組む」という。
ホンダは世界的な自動車販売減と急速な円高の進行で業績が悪化。2008年度下期(08年10―09年3月)の連結営業損益が1900億円の赤字に転落する見通し。業績悪化に歯止めをかけるため新工場や研究所の稼働時期を延期するなど事業戦略の大幅見直しに着手している。
福井社長は同日の取材で「1ドル=80円台は異常な水準で、100円台に戻ると思う」と述べた上で、仮に来期以降も現在の円高水準が定着すると、11月末時点で約4500人いる期間従業員が「限りなくゼロに近づく」との考えを示した。雇用確保で最重要視していた既存正社員についても「削減がありうる」と語った。
電子情報産業の08年世界生産額、横ばいの237兆円に下方修正 JEITA
電子情報技術産業協会(JEITA)は19日、世界の電子情報産業の生産額見通しを発表した。2008年の生産額は昨年12月時点の07年比7%増をプラスマイナス0%となる237兆円に下方修正する。09年については08年比2%増と予測したが、会見した庄山悦彦会長(日立製作所会長)は「伸ばしたいという期待も込めた数字」と述べた。
庄山会長は「このような時期に予測を出すのは非常に困難」と前置きしたうえで、08年の下方修正の理由を「北京五輪による購買機運が期待ほど盛り上がらなかった」「新興国についても世界的な経済不振の影響を受けた」と述べた。ITソリューション分野はほぼ予測通りに伸びたものの、全体のマイナスを補うほどではなかったという。
日系企業の世界生産についても、当初予測の07年比6%増から3%減にマイナス9ポイント下方修正した。ITソリューションサービスは予測通り3%増となった一方、電子機器は3%減、電子部品・デバイスは5%減と落ち込んだ。
09年の分野別の世界予測では、08年に5%増の伸びを見せたテレビが1%増と減速する一方、HDDレコーダーなどの映像記録再生機器は22%増と高い伸びを見込む。携帯電話は08年の0%に続き、1%増とほぼ横ばいにとどまる。パソコンも2%増の微増。日系企業の09年世界生産はプラスマイナス0%で、世界全体の伸び率を下回ると予測している。
ダイア建設、民事再生法の適用を申請 負債総額300億円
中堅マンション分譲会社のダイア建設は19日、東京地裁に民事再生法の適用を申請、同日受理されたと発表した。負債総額は300億円。同社は2003年8月に産業再生機構が支援を決め、レオパレス21が支援企業となり経営再建を進めてきた。しかし、不動産市況の低迷で主力の分譲マンション販売が苦戦し、年末の資金繰りに行き詰まった。
ダイア建設は「ダイアパレス」ブランドでマンション分譲事業を展開、08年3月期は1740戸を供給した。ただ、市況の低迷などで売れ行きは振るわず、完成在庫が500戸を突破した。
レノボ、「超小型パソコン」を値下げ 発売後2週間で
レノボ・ジャパンは19日、6日に発売した超小型パソコン「IdeaPad S10e」を20日に値下げすると発表した。希望小売価格を5万4800円から4万9980円にし、直販サイトでも同日から新価格を適用する。発売後に競合メーカーが同程度のスペックの機種を値下げしたため、発売後わずか2週間での値下げで対抗する。
価格が5万円程度で持ち運びしやすいノートパソコンは人気が高まっており、メーカー間の競争が激化している。
トヨタ、富士重との新型スポーツ車投入を先送り 2012年以降に
トヨタ自動車は富士重工業と共同開発を進めている新型の小型スポーツ車の生産、商品化を先送りする方針を固めた。当初は2011年末に生産を開始して国内で投入する計画だった。延期期間は未定だが、12年以降で市場動向を見て判断する。両社は4月に提携を拡大、スポーツ車事業は協業の柱だったが国内市場の低迷が深刻化。十分な販売を確保するのが難しいと判断した。
両社は4月、トヨタが富士重工への出資比率を8.7%から16.5%に引き上げることを決めたのを受け、共同で小型のFR(後輪駆動)式スポーツ車の開発に着手した。富士重が群馬県大泉町に専用の新工場を建設し2011年末に生産を開始、一部をトヨタに供給して両社ブランドで販売する計画だった。生産台数は年間10万―15万台を想定していた。
アジア企業、続々賃下げ 個人消費低迷に拍車
【シンガポール=野間潔】アジア企業が賃金引き下げで人件費を削減する動きを本格化している。給与削減の対象は役員・管理職から一般従業員にまで広がってきた。大幅な人員削減は世論や労働組合の反発もあり困難なため、雇用を確保しながら総人件費抑制を図る。米国発の金融危機で輸出依存度の高いアジアの景気は減速しており、賃金カットの動きは域内の個人消費までも冷え込ませかねない。
韓国の中堅鉄鋼メーカー、東部製鉄は来年1月から課長級以上の給与を30%削減する。資金不足に直面しており、役員だけではなく、幅広く管理職の人件費削減に踏み切る。ハイニックス半導体も年明けから最高経営責任者(CEO)の報酬を30%、他の役員は10―20%削減する。
パナソニック、三洋買収を発表 戦略分野に1000億円投資
パナソニック(旧松下電器産業)と三洋電機は19日、パナソニックが三洋を買収することで最終合意したと発表した。来年2月にも三洋の全株式を対象に1株131円でTOB(株式公開買い付け)を実施、3月末の子会社化を目指す。パナソニックの大坪文雄社長は同日の記者会見で「(充電池など)戦略分野で1000億円規模の投資を実施する」と表明、世界景気減速下でも成長戦略を加速する。
パナソニックは同日、三洋株の過半取得を目指しTOB実施を決議した。既に米ゴールドマン・サックスグループや大和証券SMBCグループ、三井住友銀行の大株主3社は保有する三洋優先株の売却で合意しており、TOBは成立する見通し。三洋も同日、TOBへの賛同を決めた。
経済界、日銀利下げを歓迎 「経済下支えに」
日本経団連の御手洗冨士夫会長は19日、日銀の利下げについて「国際金融情勢、日本経済を取り巻く状況から適切な措置だ。企業金融の円滑化に向けた追加措置導入も評価する」とのコメントを発表した。日本商工会議所の岡村正会頭も「需要の激減に加えて円高が進行している現在、金融面から経済を下支えする必要があり、歓迎する」との談話を出した。
政府、生活防衛対策で金融安全網を大幅拡充
政府は19日、金融安定化策や雇用対策など総額で43兆円規模の生活防衛対策を決めた。このうち金融安定化策は33兆円に上る。銀行や事業会社の保有株式の受け皿となる「銀行等保有株式取得機構」の買い取りを再開したうえで、買い取り枠を過去の2兆円から20兆円に大幅に増額する。金融機関に公的資金を予防注入する新たな金融機能強化法の公的資金枠も10兆円増やして合計12兆円にする。金融安全網を拡充することで金融システムが動揺することを防ぐ。
政府の対策で目立つのが銀行等保有株式取得機構による株式買い取り枠の増額だ。過去の枠から一気に10倍の20兆円に増やす。その根拠は今年3月末で銀行が持つ株式が17兆円、事業会社が持つ銀行株が5兆円と合計で22兆円に上ること。理屈の上ではこれら株式をほぼすべて買い取ることができるようにする。機構が買い取り原資を調達する際の政府保証枠として今年度第2次補正予算案に盛り込む。
「中川氏に新党構想も」 森元首相が見通し
自民党の森喜朗元首相は19日のTBS番組の収録で、中川秀直元幹事長が政界再編に踏み切る可能性について「結構におわせている。そういうことはかなり前から聞く」と強調した。さらに「次期衆院選後に自民・民主両党が半数を超えないこともあり得る。ひょっとしたら中川氏を大将に1党つくろうとなるかもしれない」と述べた。
森氏は中川氏による新党結成について「そういう考えがあるかもしれない。そこは僕らのように自民党でずっと来た人とちょっと違う」と語った。中川氏が麻生太郎首相が表明した3年後の消費税増税を批判していることには「今はみんなで心を1つにして政策を提起していくときだ」と苦言を呈した。
金利0・1% 危機モードに戻った金融政策(12月20日付・読売社説)
世界的な金融危機と国内景気の急速な悪化を受け、金融政策が再び危機対応モードに戻った。
日本銀行は19日の金融政策決定会合で、政策金利を0・2%引き下げ、0・1%とした。
バブル崩壊後の金融不況期に採用された「ゼロ金利政策」が事実上、復活したと見てよかろう。
長期国債の買い取り額の上積みや、企業への新たな資金供給策も打ち出し、実質的な金融の量的緩和政策に踏み込んだ。
ゼロ金利と量的緩和は、米連邦準備制度理事会(FRB)が16日に導入した。日銀は前回の利下げから2か月足らずでこれに呼応した形だ。
12月の企業短期経済観測調査(短観)では急速な景気の落ち込みが確認された。米国が日本より低金利になり、円高圧力も強まっていた。迅速に追加緩和を決断したのは妥当だったと言えよう。
政府は2008年度の実質成長率の見込みをマイナス0・8%に下方修正した。09年度は0%成長の「目標」を掲げたが、実際には約10年ぶりに2年度連続のマイナス成長となりそうだ。
物価上昇率も、09年度はマイナスとなる見通しで、デフレ再来の恐れは一段と強まってきた。
財政・税制による景気対策に加えて、潤沢な資金供給による金融市場の安定が、デフレの深刻化を防ぐために欠かせない。
日銀が今回、金融機関から買い入れる長期国債の規模を、月額1・2兆円から1・4兆円に増額したのも、市場への十分な資金供給を確保するためだ。
01年から5年間続いた量的緩和政策では、日銀当座預金に最大30兆円超の資金を積み上げ、金融市場の不安を和らげた。しかし資金の多くは金融機関に滞留して企業などに届かず、景気改善の効果は限られたとされる。
今回の金融危機では、コマーシャルペーパー(CP)や社債での資金調達が困難になり、大企業も資金繰りに苦しんでいる。
このため日銀は、CPを買い取る新制度を打ち出した。自ら「最後の買い手」となり、企業に資金を流すのが狙いだ。買い取る債券などの対象拡大も検討する。
倒産などで資金が回収できなくなるリスクを日銀自身が負うのは異例だ。金融正常化に向けた強い決意がうかがえる。
日銀は、財務の健全性を大きく損なわない範囲でさまざまな工夫を凝らし、金融緩和の実効性を高めてほしい。
【ワシントン=大隅隆】ブッシュ米大統領は19日、経営危機に陥っているゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーにつなぎ融資を実施すると発表した。最大174億ドル(約1兆5000億円)で金融安定化法に基づく公的資金を活用する。2社は、来年3月末までに債務や人件費の削減など抜本的な再建計画を策定する。金融危機で深刻化した米自動車大手の経営危機は、政府支援による破綻回避でひとまず決着。本格再建の行方はオバマ次期米政権に持ち越された。
ホワイトハウスで声明を発表したブッシュ大統領は「自動車大手の経営破綻は深刻な景気後退を招く」と指摘。「通常なら破産法を適用すべきだが(異常な経済情勢の)現時点ではうまくいかない」と語った。
つなぎ融資はGM134億ドル、クライスラーが40億ドル。12月29日から来年2月まで順次実施する。このうち40億ドルは2月に議会の追加承認を経て実施する。
ホンダ社長「円高続くと正社員削減も」 国内生産、縮小検討
ホンダの福井威夫社長は19日、日本経済新聞社の記者らの取材に応じ「現在の円高水準が続くと来期(2010年3月期)には正社員の削減もありうる」と述べ、為替相場が1ドル=90円前後で推移し続けると一段のリストラに踏み込む意向を示した。海外にさらに生産をシフトすることも検討する。来期の赤字転落を防ぐため「聖域を設けずリストラに取り組む」という。
ホンダは世界的な自動車販売減と急速な円高の進行で業績が悪化。2008年度下期(08年10―09年3月)の連結営業損益が1900億円の赤字に転落する見通し。業績悪化に歯止めをかけるため新工場や研究所の稼働時期を延期するなど事業戦略の大幅見直しに着手している。
福井社長は同日の取材で「1ドル=80円台は異常な水準で、100円台に戻ると思う」と述べた上で、仮に来期以降も現在の円高水準が定着すると、11月末時点で約4500人いる期間従業員が「限りなくゼロに近づく」との考えを示した。雇用確保で最重要視していた既存正社員についても「削減がありうる」と語った。
電子情報産業の08年世界生産額、横ばいの237兆円に下方修正 JEITA
電子情報技術産業協会(JEITA)は19日、世界の電子情報産業の生産額見通しを発表した。2008年の生産額は昨年12月時点の07年比7%増をプラスマイナス0%となる237兆円に下方修正する。09年については08年比2%増と予測したが、会見した庄山悦彦会長(日立製作所会長)は「伸ばしたいという期待も込めた数字」と述べた。
庄山会長は「このような時期に予測を出すのは非常に困難」と前置きしたうえで、08年の下方修正の理由を「北京五輪による購買機運が期待ほど盛り上がらなかった」「新興国についても世界的な経済不振の影響を受けた」と述べた。ITソリューション分野はほぼ予測通りに伸びたものの、全体のマイナスを補うほどではなかったという。
日系企業の世界生産についても、当初予測の07年比6%増から3%減にマイナス9ポイント下方修正した。ITソリューションサービスは予測通り3%増となった一方、電子機器は3%減、電子部品・デバイスは5%減と落ち込んだ。
09年の分野別の世界予測では、08年に5%増の伸びを見せたテレビが1%増と減速する一方、HDDレコーダーなどの映像記録再生機器は22%増と高い伸びを見込む。携帯電話は08年の0%に続き、1%増とほぼ横ばいにとどまる。パソコンも2%増の微増。日系企業の09年世界生産はプラスマイナス0%で、世界全体の伸び率を下回ると予測している。
ダイア建設、民事再生法の適用を申請 負債総額300億円
中堅マンション分譲会社のダイア建設は19日、東京地裁に民事再生法の適用を申請、同日受理されたと発表した。負債総額は300億円。同社は2003年8月に産業再生機構が支援を決め、レオパレス21が支援企業となり経営再建を進めてきた。しかし、不動産市況の低迷で主力の分譲マンション販売が苦戦し、年末の資金繰りに行き詰まった。
ダイア建設は「ダイアパレス」ブランドでマンション分譲事業を展開、08年3月期は1740戸を供給した。ただ、市況の低迷などで売れ行きは振るわず、完成在庫が500戸を突破した。
レノボ、「超小型パソコン」を値下げ 発売後2週間で
レノボ・ジャパンは19日、6日に発売した超小型パソコン「IdeaPad S10e」を20日に値下げすると発表した。希望小売価格を5万4800円から4万9980円にし、直販サイトでも同日から新価格を適用する。発売後に競合メーカーが同程度のスペックの機種を値下げしたため、発売後わずか2週間での値下げで対抗する。
価格が5万円程度で持ち運びしやすいノートパソコンは人気が高まっており、メーカー間の競争が激化している。
トヨタ、富士重との新型スポーツ車投入を先送り 2012年以降に
トヨタ自動車は富士重工業と共同開発を進めている新型の小型スポーツ車の生産、商品化を先送りする方針を固めた。当初は2011年末に生産を開始して国内で投入する計画だった。延期期間は未定だが、12年以降で市場動向を見て判断する。両社は4月に提携を拡大、スポーツ車事業は協業の柱だったが国内市場の低迷が深刻化。十分な販売を確保するのが難しいと判断した。
両社は4月、トヨタが富士重工への出資比率を8.7%から16.5%に引き上げることを決めたのを受け、共同で小型のFR(後輪駆動)式スポーツ車の開発に着手した。富士重が群馬県大泉町に専用の新工場を建設し2011年末に生産を開始、一部をトヨタに供給して両社ブランドで販売する計画だった。生産台数は年間10万―15万台を想定していた。
アジア企業、続々賃下げ 個人消費低迷に拍車
【シンガポール=野間潔】アジア企業が賃金引き下げで人件費を削減する動きを本格化している。給与削減の対象は役員・管理職から一般従業員にまで広がってきた。大幅な人員削減は世論や労働組合の反発もあり困難なため、雇用を確保しながら総人件費抑制を図る。米国発の金融危機で輸出依存度の高いアジアの景気は減速しており、賃金カットの動きは域内の個人消費までも冷え込ませかねない。
韓国の中堅鉄鋼メーカー、東部製鉄は来年1月から課長級以上の給与を30%削減する。資金不足に直面しており、役員だけではなく、幅広く管理職の人件費削減に踏み切る。ハイニックス半導体も年明けから最高経営責任者(CEO)の報酬を30%、他の役員は10―20%削減する。
パナソニック、三洋買収を発表 戦略分野に1000億円投資
パナソニック(旧松下電器産業)と三洋電機は19日、パナソニックが三洋を買収することで最終合意したと発表した。来年2月にも三洋の全株式を対象に1株131円でTOB(株式公開買い付け)を実施、3月末の子会社化を目指す。パナソニックの大坪文雄社長は同日の記者会見で「(充電池など)戦略分野で1000億円規模の投資を実施する」と表明、世界景気減速下でも成長戦略を加速する。
パナソニックは同日、三洋株の過半取得を目指しTOB実施を決議した。既に米ゴールドマン・サックスグループや大和証券SMBCグループ、三井住友銀行の大株主3社は保有する三洋優先株の売却で合意しており、TOBは成立する見通し。三洋も同日、TOBへの賛同を決めた。
経済界、日銀利下げを歓迎 「経済下支えに」
日本経団連の御手洗冨士夫会長は19日、日銀の利下げについて「国際金融情勢、日本経済を取り巻く状況から適切な措置だ。企業金融の円滑化に向けた追加措置導入も評価する」とのコメントを発表した。日本商工会議所の岡村正会頭も「需要の激減に加えて円高が進行している現在、金融面から経済を下支えする必要があり、歓迎する」との談話を出した。
政府、生活防衛対策で金融安全網を大幅拡充
政府は19日、金融安定化策や雇用対策など総額で43兆円規模の生活防衛対策を決めた。このうち金融安定化策は33兆円に上る。銀行や事業会社の保有株式の受け皿となる「銀行等保有株式取得機構」の買い取りを再開したうえで、買い取り枠を過去の2兆円から20兆円に大幅に増額する。金融機関に公的資金を予防注入する新たな金融機能強化法の公的資金枠も10兆円増やして合計12兆円にする。金融安全網を拡充することで金融システムが動揺することを防ぐ。
政府の対策で目立つのが銀行等保有株式取得機構による株式買い取り枠の増額だ。過去の枠から一気に10倍の20兆円に増やす。その根拠は今年3月末で銀行が持つ株式が17兆円、事業会社が持つ銀行株が5兆円と合計で22兆円に上ること。理屈の上ではこれら株式をほぼすべて買い取ることができるようにする。機構が買い取り原資を調達する際の政府保証枠として今年度第2次補正予算案に盛り込む。
「中川氏に新党構想も」 森元首相が見通し
自民党の森喜朗元首相は19日のTBS番組の収録で、中川秀直元幹事長が政界再編に踏み切る可能性について「結構におわせている。そういうことはかなり前から聞く」と強調した。さらに「次期衆院選後に自民・民主両党が半数を超えないこともあり得る。ひょっとしたら中川氏を大将に1党つくろうとなるかもしれない」と述べた。
森氏は中川氏による新党結成について「そういう考えがあるかもしれない。そこは僕らのように自民党でずっと来た人とちょっと違う」と語った。中川氏が麻生太郎首相が表明した3年後の消費税増税を批判していることには「今はみんなで心を1つにして政策を提起していくときだ」と苦言を呈した。
金利0・1% 危機モードに戻った金融政策(12月20日付・読売社説)
世界的な金融危機と国内景気の急速な悪化を受け、金融政策が再び危機対応モードに戻った。
日本銀行は19日の金融政策決定会合で、政策金利を0・2%引き下げ、0・1%とした。
バブル崩壊後の金融不況期に採用された「ゼロ金利政策」が事実上、復活したと見てよかろう。
長期国債の買い取り額の上積みや、企業への新たな資金供給策も打ち出し、実質的な金融の量的緩和政策に踏み込んだ。
ゼロ金利と量的緩和は、米連邦準備制度理事会(FRB)が16日に導入した。日銀は前回の利下げから2か月足らずでこれに呼応した形だ。
12月の企業短期経済観測調査(短観)では急速な景気の落ち込みが確認された。米国が日本より低金利になり、円高圧力も強まっていた。迅速に追加緩和を決断したのは妥当だったと言えよう。
政府は2008年度の実質成長率の見込みをマイナス0・8%に下方修正した。09年度は0%成長の「目標」を掲げたが、実際には約10年ぶりに2年度連続のマイナス成長となりそうだ。
物価上昇率も、09年度はマイナスとなる見通しで、デフレ再来の恐れは一段と強まってきた。
財政・税制による景気対策に加えて、潤沢な資金供給による金融市場の安定が、デフレの深刻化を防ぐために欠かせない。
日銀が今回、金融機関から買い入れる長期国債の規模を、月額1・2兆円から1・4兆円に増額したのも、市場への十分な資金供給を確保するためだ。
01年から5年間続いた量的緩和政策では、日銀当座預金に最大30兆円超の資金を積み上げ、金融市場の不安を和らげた。しかし資金の多くは金融機関に滞留して企業などに届かず、景気改善の効果は限られたとされる。
今回の金融危機では、コマーシャルペーパー(CP)や社債での資金調達が困難になり、大企業も資金繰りに苦しんでいる。
このため日銀は、CPを買い取る新制度を打ち出した。自ら「最後の買い手」となり、企業に資金を流すのが狙いだ。買い取る債券などの対象拡大も検討する。
倒産などで資金が回収できなくなるリスクを日銀自身が負うのは異例だ。金融正常化に向けた強い決意がうかがえる。
日銀は、財務の健全性を大きく損なわない範囲でさまざまな工夫を凝らし、金融緩和の実効性を高めてほしい。