00430000s@merumo.ne.jp に空メールすると、ブログと同じ内容のメルマガをが配信されます。twitterはhttps://twitter.com/wataru4 です。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
パチンコホールが日本から消える日 不動産より深刻、店舗数激減の裏側(COLUMN1)
ある経営コンサルタントが集計・推計したデータが手元にある。昨今の世界的な金融危機のあおりを受け、新興の不動産開発会社(デベロッパー)を中心に不動産関連企業が大量に淘汰されているのはご存知の通り。しかし、不況のどん底にある不動産よりも一層深刻な業界がある。
この業界こそ、駅前商店街や郊外商業地に必ず1軒や2軒は存在する庶民の娯楽、パチンコホールなのだ。ホールの経営破綻が主要メディアをにぎわす機会は極端に少ない。ただ、店舗数の多さ、利用者の裾野の広さは無視できないものがある。まして、これが地銀を中心とした中堅中小の金融機関の足かせになっているとしたら、なおさらだ。
逆風と大津波、負のスパイラルが直撃
2007年から2008年にかけてパチンコホールの数が激減した背景には、主に2つの要因がある。
1つは、射幸性が高く、莫大な利益を業界にもたらしたパチスロ機(通称「4号機」)への規制が全国各地の公安委員会の下で強化されたこと。俗に言う「4号機バブル」が弾けたことで、業界は震撼した。
もう1つは、貸金業法改正に伴い、消費者金融業界のホール利用者向け貸し出し姿勢が厳格化したことがある。
4号機バブル崩壊後、パチンコホールは射幸性を抑えた5号機を導入せざるを得なくなり、「総入れ替えによる設備費急増が経営を圧迫した」(コンサルタント筋)という。5号機への移行で客足が遠のいたことも売り上げ急減につながり、「業界全体への逆風となった」(同)という構図だ。
もう1つは、「ギャンブル中毒の主婦層や若者層の急増が社会問題化し、貸金業法が改正されたことが響いた。換言すれば、今まで借金してまでパチンコホールに足を運んでくれた客がいなくなった」(別のコンサルタント)というのだ。「4号機バブル崩壊という逆風に加えて、貸金業法改正という大津波が業界を襲った」(同)。2つのネガティブな要素が、過去に例を見ないほどの店舗数激減に直結したのだ。
また2007年4月、業界6位の福島県の大手ホールが民事再生法の適用を申請して事実上倒産。「この1件が銀行のパチンコホール不信につながった」(大手銀行筋)とされ、業界を取り巻く負のスパイラルが短期間のうちに顕在化した恰好だ。
パチンコ業界は今や中小金融機関の頭痛の種
今春以降、都内で常時満員となる経営セミナーがある。テーマはずばり、「パチンコ業界の再編・再生」。
セミナー会場には、全国各地から参加者が集まる。出席者の約9割は地銀、第二地銀、信金、信組の中堅中小金融機関の融資担当者、あるいは企画担当者が占める。
セミナーに来場した関係者に話を聞くと、「各種の業界リポートでパチンコ人口の減少が伝えられているうえに、扱いの業者がバタバタと倒れたので今後の方策を練りにきた」(地銀筋)という向きが大半。パチンコホールは、全国津々浦々に店を構えている。娯楽の少ない地方では、存在自体が必要不可欠と言える地域も少なくない。
金融機関側にとっても、地方経済が年々疲弊する中にあってパチンコ業界は数少ない安定的な貸出先だったのは明白。
が、昨年から状況は一変した。「射幸性の高い機種で高い利益率を稼ぎ出していた優良顧客」 (信組筋)だったパチンコ業界。それが「現在は不良債権予備軍、あるいは不良債権に化け、経営上頭痛の種になっている」(同)というわけだ。
まして、現在は首都圏や大都市圏の不動産バブルが弾けたばかり。にわかバブルに便乗した地方ゼネコンのいくつかが倒れ、それぞれの地元経済界に暗い影を投げかけている最中だ。今後、地方経済の冷え込みが一段と厳しくなることが確実視される中、「パチンコホールの客足が落ちるのは確実」(同)。そのため、セミナー受講者の表情は真剣そのもの。言い換えれば、冒頭に記したコンサルタント筋の「2009年 ・・・8000店」という予測数値が、今後さらに低下する公算があるわけだ。
パチンコ業界のメーンバンクである中堅中小金融機関の経営体力、すなわち貸し出し余力が日増しに低下しているのは明白。かつて庶民の娯楽の王様とも言われたパチンコ。業界全体の浮沈は、今後1~2年で決しようとしている。
危機から復活を遂げたカプコンは世界企業に変われるか(COLUMN2)
日本のゲームソフト大手6社の2009年3月期決算が出そろった。増収増益を達成したカプコンは、売上高が前の期比10.6%増の918億円、営業利益が同11.4%増の146億円だった。世界的にソフト会社の業績が悪化するなかで、ひとり気を吐いている。
■かつて直面した危機
大きく業績を伸ばしている企業は、必ずその要因が何年か前に仕込まれているものである。カプコンの場合、経営悪化に直面した03年3月期がそれだった。
03年3月期決算でカプコンは、195億円の最終赤字を計上した。開発中だった18タイトルを中止して50億円の特別損失を出し、株価も大きく下落した。市場には米エレクトロニック・アーツよる買収交渉が行われているという情報が流れ、結局カプコン側がアーケード部門を残すことにこだわり決裂したといわれている。
当時のカプコンは「マルチプラットフォーム戦略」を採っていた。ただそれは、1つのタイトルをゲーム機やパソコンなど様々なハードに展開していくという意味ではない。プラットフォームごとに独占タイトルとして提供し、プラットフォームホルダーから特別の配慮を得ようというもので、ユーザー本位とは決して言えない戦略だった。
特に大きな失敗は「プレイステーション2(PS2)」が普及期に向かう最中の01年に、「バイオハザード」シリーズを任天堂の「ゲームキューブ」の完全独占タイトルにすると宣言したことだ。
これが有力ブランドタイトルに傷を付ける結果になった。このころはまだPS2向けのゲーム開発が技術的に困難で、現場の反発が大きな理由だった。しかし、ゲームキューブはPS2とのハード競争に敗れ、カプコンは看板タイトルでの収益機会をみすみす逃すことになる。
しかもゲームキューブ向け第一弾となる「バイオハザード4」は発売が05年1月と大きく遅れ、その直前になってカプコンはPS2への移植版もリリースすると突然発表した。これがユーザーの不興を買い、経営の混乱という印象も与えた。
当時の様子から、今のような好業績企業の姿を想像するのは難しい。危機を乗り切ったことで、カプコンは強いソフト会社へと生まれ変わった。
■「対義語の組み合わせが成功を生む」という思考法
では、カプコン内部でどのような変化が起きたのだろうか。最も大きいのは、経営と開発が協力しあう体制が築かれたことだろう。開発と営業との関係も強くなった。
その象徴的な存在が、開発トップを務める稲船敬二氏だ。
稲船氏は「ゲーム開発者会議2007」で講演した際、カプコンの経営陣を「ゾンビ」と呼んで話題になった。開発部門の考えを理解しようとせず、ただ売れるかどうかしか考えない経営者の姿を皮肉ったのだ。
しかし、昨年9月の「CESA」では逆に、経営を理解しようとしない開発者を「甘えている」と言い切った。「いいものを作るために制作期間を延ばして何が悪い。ユーザーが喜べばいいじゃないか」という姿勢はダメだという。作り手側も収益や株価を無視せず、市場でどう評価されるかを考えなければ「ヒットが出せない」と稲船氏は述べている。
ゲーム業界に限らず、「経営」と「開発」は水と油ほどの対立関係にある。この対立を解くことで企業が成長するように、対義語をうまく組み合わせることで成功のチャンスは生まれるという。
■ハイエンド機と海外市場へのシフトに成功
カプコンはこの3年あまりの間、欧米市場へのシフトとハイエンド市場へのシフトという2つの移行を同時にやってのけた。前世代のプラットフォームでは移行に失敗して苦しんだが、現行世代の「Xbox360」と「プレイステーション3(PS3)」では最も移行に成功した日本企業となっている。
マイクロソフトの初代「Xbox」は日本でまったく販売結果を残せず、多くの日本企業は04年当時、「Xbox360のゲーム市場には可能性がない」と判断していた。また、海外市場向けタイトルの開発も、「嗜好が異なる日本人には難しい」という考え方が業界内では支配的で、本腰を入れる企業は少なかった。
ところが、稲船氏はこれを対義語と捉えて、あえて取り組んだ。無謀な挑戦にも見えるが、それをどのように戦略的に解決するかという方法論がカプコンの新しい強みを作り出すと考えた。
その結果としてカプコンは、マルチプラットフォーム対応の自社製ゲームエンジンである「MTフレームワーク」を05年後半に開発した。そして、それを使って開発した「デッドライジング」や「ロストプラネット」が欧米地域でヒットし、日本のゲーム会社のなかではハイエンドゲーム機市場で最も成功した1社となっている。
■苦しいなかで進めた北米でのマーケティング
欧米市場では、販売チャネルやマーケティング手法もゼロから作り直した。
カプコンが苦境にあったときに手を打って成功したのが、04年1月に米ラスベガスで開いたプレス向けのカンファレンスである。主要な欧米のゲームメディアを自社負担でラスベガスに集め、新作タイトルを発表した。そもそも「バイオハザード4」の発表のために企画したものだったが、現在では毎年定例になっている。
当時、ゲーム展示会「E3」の会期に合わせたプレスカンファレンスは各社が行っていたものの、ソフト会社が単独で開催するという習慣は欧米企業にもあまりなかった。
今年は4月29日に米モンテカルロで「Captive09」という名称で開催し、「デッドライジング2」「ロストプラネット2」といった今年の目玉タイトルの最新ムービーを発表している。E3は6月に開催されるが、それを約1カ月先行するかたちでプロモーションし、効果を高めようとしている。最近は、欧米企業もカプコンに追随して似たようなプレスカンファレンスを開くようになってきた。
「ストリートファイター4」の250万本(日本25万本、北米140万本、欧州85万本)、「バイオハザード5」の440万本(日本75万本、北米195万本、欧州170万本)という大ヒットは、これらの積み重ねによって成り立っている。
■海外企業との提携タイトルに注目
カプコンは、中期目標として「売り上げ10%成長、営業利益率15%」を掲げているが、その実現には規模の拡大を追求せざるを得ない。ソフト開発では、200万本以上のダブルミリオンタイトルを、毎年3~4本リリースし続ける必要があるだろう。
08年度の場合は、バイオハザード5、ストリートファイター4、「モンスターハンターポータブル2ndG」(日本のみ220万本)の3タイトルがダブルミリオンを記録した。これだけでカプコンのゲームの販売本数の53%を占めるが、今後の成長には、さらに1~2シリーズの大型タイトルを育てなければならない。
今期に発売を予定する主要タイトルは、「ロストプラネット2」(販売計画270万本、Xbox360ほか)、「モンスターハンター3」(販売計画200万本、Wii)、「Dark Void」(販売計画200万本、Xbox360、PS3、PC)、「モンスターハンターポータブル2ndG(海外版)」(販売計画90万本、プレイステーションポータブル)がある。
特に着目すべきは、米Airtight Gameとの提携で開発するアクションゲームのDark Voidで、200万本を販売するという計画だ。すべての開発を自社内に抱え込むのは、コスト面でのリスクが高い。海外スタジオとの提携で開発するケースは今後さらに増えるだろう。
カプコンは、日本を土台にしながら、パブリッシャーとして世界企業に変わろうとしている。提携タイトルをヒットさせることができるかどうかが問われる今期に、その実力が試されるだろう。
ある経営コンサルタントが集計・推計したデータが手元にある。昨今の世界的な金融危機のあおりを受け、新興の不動産開発会社(デベロッパー)を中心に不動産関連企業が大量に淘汰されているのはご存知の通り。しかし、不況のどん底にある不動産よりも一層深刻な業界がある。
この業界こそ、駅前商店街や郊外商業地に必ず1軒や2軒は存在する庶民の娯楽、パチンコホールなのだ。ホールの経営破綻が主要メディアをにぎわす機会は極端に少ない。ただ、店舗数の多さ、利用者の裾野の広さは無視できないものがある。まして、これが地銀を中心とした中堅中小の金融機関の足かせになっているとしたら、なおさらだ。
逆風と大津波、負のスパイラルが直撃
2007年から2008年にかけてパチンコホールの数が激減した背景には、主に2つの要因がある。
1つは、射幸性が高く、莫大な利益を業界にもたらしたパチスロ機(通称「4号機」)への規制が全国各地の公安委員会の下で強化されたこと。俗に言う「4号機バブル」が弾けたことで、業界は震撼した。
もう1つは、貸金業法改正に伴い、消費者金融業界のホール利用者向け貸し出し姿勢が厳格化したことがある。
4号機バブル崩壊後、パチンコホールは射幸性を抑えた5号機を導入せざるを得なくなり、「総入れ替えによる設備費急増が経営を圧迫した」(コンサルタント筋)という。5号機への移行で客足が遠のいたことも売り上げ急減につながり、「業界全体への逆風となった」(同)という構図だ。
もう1つは、「ギャンブル中毒の主婦層や若者層の急増が社会問題化し、貸金業法が改正されたことが響いた。換言すれば、今まで借金してまでパチンコホールに足を運んでくれた客がいなくなった」(別のコンサルタント)というのだ。「4号機バブル崩壊という逆風に加えて、貸金業法改正という大津波が業界を襲った」(同)。2つのネガティブな要素が、過去に例を見ないほどの店舗数激減に直結したのだ。
また2007年4月、業界6位の福島県の大手ホールが民事再生法の適用を申請して事実上倒産。「この1件が銀行のパチンコホール不信につながった」(大手銀行筋)とされ、業界を取り巻く負のスパイラルが短期間のうちに顕在化した恰好だ。
パチンコ業界は今や中小金融機関の頭痛の種
今春以降、都内で常時満員となる経営セミナーがある。テーマはずばり、「パチンコ業界の再編・再生」。
セミナー会場には、全国各地から参加者が集まる。出席者の約9割は地銀、第二地銀、信金、信組の中堅中小金融機関の融資担当者、あるいは企画担当者が占める。
セミナーに来場した関係者に話を聞くと、「各種の業界リポートでパチンコ人口の減少が伝えられているうえに、扱いの業者がバタバタと倒れたので今後の方策を練りにきた」(地銀筋)という向きが大半。パチンコホールは、全国津々浦々に店を構えている。娯楽の少ない地方では、存在自体が必要不可欠と言える地域も少なくない。
金融機関側にとっても、地方経済が年々疲弊する中にあってパチンコ業界は数少ない安定的な貸出先だったのは明白。
が、昨年から状況は一変した。「射幸性の高い機種で高い利益率を稼ぎ出していた優良顧客」 (信組筋)だったパチンコ業界。それが「現在は不良債権予備軍、あるいは不良債権に化け、経営上頭痛の種になっている」(同)というわけだ。
まして、現在は首都圏や大都市圏の不動産バブルが弾けたばかり。にわかバブルに便乗した地方ゼネコンのいくつかが倒れ、それぞれの地元経済界に暗い影を投げかけている最中だ。今後、地方経済の冷え込みが一段と厳しくなることが確実視される中、「パチンコホールの客足が落ちるのは確実」(同)。そのため、セミナー受講者の表情は真剣そのもの。言い換えれば、冒頭に記したコンサルタント筋の「2009年 ・・・8000店」という予測数値が、今後さらに低下する公算があるわけだ。
パチンコ業界のメーンバンクである中堅中小金融機関の経営体力、すなわち貸し出し余力が日増しに低下しているのは明白。かつて庶民の娯楽の王様とも言われたパチンコ。業界全体の浮沈は、今後1~2年で決しようとしている。
危機から復活を遂げたカプコンは世界企業に変われるか(COLUMN2)
日本のゲームソフト大手6社の2009年3月期決算が出そろった。増収増益を達成したカプコンは、売上高が前の期比10.6%増の918億円、営業利益が同11.4%増の146億円だった。世界的にソフト会社の業績が悪化するなかで、ひとり気を吐いている。
■かつて直面した危機
大きく業績を伸ばしている企業は、必ずその要因が何年か前に仕込まれているものである。カプコンの場合、経営悪化に直面した03年3月期がそれだった。
03年3月期決算でカプコンは、195億円の最終赤字を計上した。開発中だった18タイトルを中止して50億円の特別損失を出し、株価も大きく下落した。市場には米エレクトロニック・アーツよる買収交渉が行われているという情報が流れ、結局カプコン側がアーケード部門を残すことにこだわり決裂したといわれている。
当時のカプコンは「マルチプラットフォーム戦略」を採っていた。ただそれは、1つのタイトルをゲーム機やパソコンなど様々なハードに展開していくという意味ではない。プラットフォームごとに独占タイトルとして提供し、プラットフォームホルダーから特別の配慮を得ようというもので、ユーザー本位とは決して言えない戦略だった。
特に大きな失敗は「プレイステーション2(PS2)」が普及期に向かう最中の01年に、「バイオハザード」シリーズを任天堂の「ゲームキューブ」の完全独占タイトルにすると宣言したことだ。
これが有力ブランドタイトルに傷を付ける結果になった。このころはまだPS2向けのゲーム開発が技術的に困難で、現場の反発が大きな理由だった。しかし、ゲームキューブはPS2とのハード競争に敗れ、カプコンは看板タイトルでの収益機会をみすみす逃すことになる。
しかもゲームキューブ向け第一弾となる「バイオハザード4」は発売が05年1月と大きく遅れ、その直前になってカプコンはPS2への移植版もリリースすると突然発表した。これがユーザーの不興を買い、経営の混乱という印象も与えた。
当時の様子から、今のような好業績企業の姿を想像するのは難しい。危機を乗り切ったことで、カプコンは強いソフト会社へと生まれ変わった。
■「対義語の組み合わせが成功を生む」という思考法
では、カプコン内部でどのような変化が起きたのだろうか。最も大きいのは、経営と開発が協力しあう体制が築かれたことだろう。開発と営業との関係も強くなった。
その象徴的な存在が、開発トップを務める稲船敬二氏だ。
稲船氏は「ゲーム開発者会議2007」で講演した際、カプコンの経営陣を「ゾンビ」と呼んで話題になった。開発部門の考えを理解しようとせず、ただ売れるかどうかしか考えない経営者の姿を皮肉ったのだ。
しかし、昨年9月の「CESA」では逆に、経営を理解しようとしない開発者を「甘えている」と言い切った。「いいものを作るために制作期間を延ばして何が悪い。ユーザーが喜べばいいじゃないか」という姿勢はダメだという。作り手側も収益や株価を無視せず、市場でどう評価されるかを考えなければ「ヒットが出せない」と稲船氏は述べている。
ゲーム業界に限らず、「経営」と「開発」は水と油ほどの対立関係にある。この対立を解くことで企業が成長するように、対義語をうまく組み合わせることで成功のチャンスは生まれるという。
■ハイエンド機と海外市場へのシフトに成功
カプコンはこの3年あまりの間、欧米市場へのシフトとハイエンド市場へのシフトという2つの移行を同時にやってのけた。前世代のプラットフォームでは移行に失敗して苦しんだが、現行世代の「Xbox360」と「プレイステーション3(PS3)」では最も移行に成功した日本企業となっている。
マイクロソフトの初代「Xbox」は日本でまったく販売結果を残せず、多くの日本企業は04年当時、「Xbox360のゲーム市場には可能性がない」と判断していた。また、海外市場向けタイトルの開発も、「嗜好が異なる日本人には難しい」という考え方が業界内では支配的で、本腰を入れる企業は少なかった。
ところが、稲船氏はこれを対義語と捉えて、あえて取り組んだ。無謀な挑戦にも見えるが、それをどのように戦略的に解決するかという方法論がカプコンの新しい強みを作り出すと考えた。
その結果としてカプコンは、マルチプラットフォーム対応の自社製ゲームエンジンである「MTフレームワーク」を05年後半に開発した。そして、それを使って開発した「デッドライジング」や「ロストプラネット」が欧米地域でヒットし、日本のゲーム会社のなかではハイエンドゲーム機市場で最も成功した1社となっている。
■苦しいなかで進めた北米でのマーケティング
欧米市場では、販売チャネルやマーケティング手法もゼロから作り直した。
カプコンが苦境にあったときに手を打って成功したのが、04年1月に米ラスベガスで開いたプレス向けのカンファレンスである。主要な欧米のゲームメディアを自社負担でラスベガスに集め、新作タイトルを発表した。そもそも「バイオハザード4」の発表のために企画したものだったが、現在では毎年定例になっている。
当時、ゲーム展示会「E3」の会期に合わせたプレスカンファレンスは各社が行っていたものの、ソフト会社が単独で開催するという習慣は欧米企業にもあまりなかった。
今年は4月29日に米モンテカルロで「Captive09」という名称で開催し、「デッドライジング2」「ロストプラネット2」といった今年の目玉タイトルの最新ムービーを発表している。E3は6月に開催されるが、それを約1カ月先行するかたちでプロモーションし、効果を高めようとしている。最近は、欧米企業もカプコンに追随して似たようなプレスカンファレンスを開くようになってきた。
「ストリートファイター4」の250万本(日本25万本、北米140万本、欧州85万本)、「バイオハザード5」の440万本(日本75万本、北米195万本、欧州170万本)という大ヒットは、これらの積み重ねによって成り立っている。
■海外企業との提携タイトルに注目
カプコンは、中期目標として「売り上げ10%成長、営業利益率15%」を掲げているが、その実現には規模の拡大を追求せざるを得ない。ソフト開発では、200万本以上のダブルミリオンタイトルを、毎年3~4本リリースし続ける必要があるだろう。
08年度の場合は、バイオハザード5、ストリートファイター4、「モンスターハンターポータブル2ndG」(日本のみ220万本)の3タイトルがダブルミリオンを記録した。これだけでカプコンのゲームの販売本数の53%を占めるが、今後の成長には、さらに1~2シリーズの大型タイトルを育てなければならない。
今期に発売を予定する主要タイトルは、「ロストプラネット2」(販売計画270万本、Xbox360ほか)、「モンスターハンター3」(販売計画200万本、Wii)、「Dark Void」(販売計画200万本、Xbox360、PS3、PC)、「モンスターハンターポータブル2ndG(海外版)」(販売計画90万本、プレイステーションポータブル)がある。
特に着目すべきは、米Airtight Gameとの提携で開発するアクションゲームのDark Voidで、200万本を販売するという計画だ。すべての開発を自社内に抱え込むのは、コスト面でのリスクが高い。海外スタジオとの提携で開発するケースは今後さらに増えるだろう。
カプコンは、日本を土台にしながら、パブリッシャーとして世界企業に変わろうとしている。提携タイトルをヒットさせることができるかどうかが問われる今期に、その実力が試されるだろう。
PR
携帯業界“大激変”の契機となるか、オープンOS採用のドコモ新型スマートフォン(COLUMN)
長年、ガラパゴスと揶揄されてきた日本の携帯電話市場の特殊性や、携帯電話メーカーの「内弁慶」体質が変わるきっかけになるだろうか。
NTTドコモは19日、注目のスマートフォン2機種の今夏投入を発表した。グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した台湾メーカーHTC社製の「HT-03A」と、マイクロソフトのOS「ウィンドウズ・モバイル6.1」を搭載した東芝製「T-01A」の2機種が、それである。
この2機種の可能性は計り知れない。まず、あのiモードの誕生以来、10年間、一貫してクローズドの垂直統合型ビジネスモデルを追求してきた、ドコモなど国内の携帯電話会社が戦略を大きく転換するきっかけになる可能性がある。
加えて、鎖国状態の国内携帯市場の扉を開き、内外のメーカーが国境を超えて相互参入する余地を生む。そして、かつてパソコンでマイクロソフトとアップルが繰り広げたように、米OS大手3社の覇権争いが激化するのも確実と言える。
どれも、消費者にとっては、歓迎すべきである。端末とアプリケーションの多様化や低廉化といった恩恵を享受することも期待できそうなのだ。
オープンOSでユーザーは自由にアプリをインストール可能
「HT-03A」と「T-01A」の投入発表は、19日のドコモの2009夏モデルの発表の一環として行われた。
一見すると、流行りのタッチパネルを採用し、キーボードを持っていないことが目立つぐらい。外見はこれまでのスマートフォンと大差ない。しかし、この2機種は、オープンOSという画期的な特色を持っている。
このおかげでユーザーは自由に、自分の好きなアプリケーションをインストールしたり、不要になったアプリケーションを消去することができるようになるからである。
今年、誕生から10年を迎えたNTTドコモのiモードにせよ、前身の会社が追随して開始したauのez-webなどにしろ、それらのデータ通信サービスの特色は、クローズドの垂直統合モデルだったこと。つまり、認証・課金から始まり、着メロ・着うたやゲームといったアプリケーションなどがすべてiモード専用、ez-web専用といった具合に、それぞれ専用の仕様に分かれていた。
ところが、今回の2機種が搭載したオープンOSの場合、日本語か英語かといった言語の問題を除けば、一度開発したアプリケーションは、同じオープンOSを採用している世界中の携帯電話会社の端末で利用できるようになる。アプリケーションを提供している企業にとって、低コスト化と市場規模拡大というメリットの大きさは計り知れない。
一方、NTTドコモやauは、これまで支配してきた課金・認証の仕組みまでOS提供企業に奪われかねないリスクがあっても、オープンOSを採用せざるを得ない時代がやってきた。かつてのように、携帯電話と言えば、右肩上がりの成長が当たり前で、メーカーと開発費負担を分担していくようなことができない時代になったからである。
ただ、ドコモに関する限り、簡単に課金・認証などの機能を手放す気はなさそうだ。むしろ、早期にOSメーカーと組むことによって、そうした強みが失われることを予防する意図があるらしい。その点は、auのKDDIも、よく似た戦略と言われる。
とはいえ、この2社は例外的な存在だ。他の国内携帯電話3社は、この2社と対照的に、PHSのウィルコムも含めて、そこまでの体力に乏しく、そういう周辺分野の開発コストを負うよりも、OSの機能を活用してコストを抑えたいというムードが強いとされる。
一方で、今回、ドコモが内外メーカーの中で、台湾のHTCと日本の東芝からそれぞれ1機種を採用したことは、市場の今後の展開を予測するうえで、興味深いかもしれない。
というのは、HTCの場合、グーグルのアンドロイドというオープンOSを得たからこそ、日本市場に参入することができたからだ。これまで日本の携帯電話会社への納入は、携帯電話会社ごとに、あるいは、個別の機種ごとに独自の機能を作りこむ要求が多く、独特の敷居の高さがあるとされてきた。オープンOSによって、そういう要求を容易に乗り越えて、日本市場への参入を果たすことができたというわけだ。
オープンOSで世界進出に道を開いた東芝の戦略
この業界では、すでに韓国のLGエレクトロニクスの名前が2番手として取り沙汰されており、今後、続々と日本市場に上陸する海外メーカーが登場するとみられている。
対する日本メーカーにとっても、このオープンOSは格好の商機である。そして、積極的にビジネス展開をしようとした一番手が、今回、ドコモの「T-01A」採用を勝ち取った東芝だ。
あまり知られていないが、実は、東芝は今年2月、欧州で、「T-01A」の欧州バージョン「TG-01」の投入を発表していた。近く正式に、スペインの巨大通信ドミナントのテレフォニカ向けの供給を公式に発表する見通しだ。さらに、英国、フランス、ドイツの各キャリアへの供給を計画しており、2009年度に「200万台程度」(東芝広報室)の出荷を見込んでいるという。ドコモへの「T-01A」の供給が当初計画で「10万台~20万台」(業界関係者)とされていることを勘案すれば、オープンOSの採用によって、東芝がいかに大きなチャンスを獲得したか明らかだろう。そして、このことは、携帯のガラパゴス島・日本から、日本メーカーが外へ打って出る道を開くものでもある。
日本メーカーで、オープンOSをひっさげての海外進出で、東芝に続くのは、どうやらシャープのようだ。同社は、すでに中国へのアクオス携帯の投入方針を表明しており、早くから海外進出に強い意欲をみせていた。
グーグル、MS、アップル携帯OSの覇権を握るのは?
こうした中でもうひとつ見逃せないのが、「アンドロイド」(グーグル)、「ウィンドウズ・モバイル」(マイクロソフト)、「iPhone」(アップル)のOS覇権を巡る戦いだ。
3社は、3様のユニークな戦略を採っている。
まず、グーグルだが、ここは他のビジネスモデルと同様、OSでも「広告モデル」を採用し、OSと検索、マップなどのアプリケーションを利用者に無料で提供する一方で、その画面に広告を掲載して、スポンサーから広告収入を得る手法を推し進めようとしている。PCのソフトウェア業界の専門家の中には、このビジネスモデルを「20年前のマイクロソフト。市場を総取りしかねない」と見る向きもあるほど大きな可能性を秘めている。
また、「アンドロイド」は、PCとの親和性などのためソフトウェアとして大きく重くなりがちな「ウィンドウズ・モバイル」と比べて、動作をより速くすることが容易という。
対するマイクロソフトは、パソコンと同じように、OSや関連アプリケーションから得るライセンス収入を収益源とするビジネスモデルだ。広告モデルと対抗するため、OSやアプリケーションの事実上の値下げを進める一方で、有料モデルらしくバグ取りのギャランティを明確に公約するだけでなく、パソコンとの親和性を強調し、キャリア、メーカーに対し端末への搭載サポートなども積極的に行い、スタンダードの地位を得ようとしている模様だ。
東芝広報室に確認したところ、同社は今回、「現時点で、信頼性が最も高いと判断して採用に踏み切った。今後も採用していく予定だ」と明かした。
これら2社に対して、アップルはこれまでのところ、OSを他社に供給せず、自社の「iPhone」にだけ搭載することで独自性を出していく戦略を採ってきた。
ドコモと同じ19日、ソフトバンクが発表した夏モデルには含まれていなかったが、毎年恒例のアップルの6月の新製品発表の席では、ニューモデルを公表する可能性も大きいらしい。というのは、現行モデルが「0円端末」化しており、たたき売り状態になっているため、そうした見方が勢いを増しているのが実情だ。
現在のところ、オープンOSの搭載は、スマートフォンに限定された動きに過ぎない。しかし、その信頼性が一段と向上し、価格も低廉化してくれば、オープンOSが「もしもし」の通話主体の普通の携帯電話機に搭載される時代が到来しても不思議はない。そうなれば、ケータイ市場は、劇的な変化を遂げるはずである。ケータイは、世界を巻き込む、新たな戦国時代を迎えようとしている。
NECが携帯で海外再進出 来年中めどに
NECは22日、携帯電話端末事業で海外市場に再参入する方針を明らかにした。平成22年中にLTEと呼ばれる携帯電話向け高速通信サービスが始まるのに合わせて進出する。進出先は欧米が有力。インターネットに高速で接続できる高機能端末を現地の通信会社に供給し、海外大手メーカーに対抗する。同社が携帯電話端末事業で海外進出するのは、18年に中国から撤退して以来。
NECは、かつて中国や欧州などに端末を供給していたが、ここ数年は供給先を国内のNTTドコモとソフトバンクモバイルに絞ってコスト削減を進め、収益改善を最優先してきた。しかし、中長期的な事業拡大のためには海外進出による販売台数の増加が欠かせないと判断。強みとする通信関連技術を生かし、反転攻勢に打って出る。
スマートフォン、世界販売12.7%増 1―3月、アップルなど好調
スマートフォンと呼ぶ高機能携帯電話の市場が拡大している。調査会社の米ガートナーによると、2009年1―3月期の世界販売台数は前年同期比12.7%増の3640万台だった。低価格品を含めた携帯電話全体の販売は同じ時期に8.6%減っており、パソコンに代わる手軽なIT(情報技術)機器としてスマートフォンの存在感が増してきた。
スマートフォン市場でのシェア争いではフィンランドのノキアが首位を守ったものの、シェアは41.2%と前年同期比3.9ポイント低下。2位は19.9%のリサーチ・イン・モーション(RIM、カナダ)、3位は10.8%の米アップルと好調組が続いた。RIMは「ブラックベリー」で企業に加え個人の顧客も獲得して販売台数が7割増えた。「iPhone(アイフォーン)」が各国でヒットしたアップルは販売台数が倍増した。
タッチパネル操作型が市場拡大をけん引したが、ガートナーは「端末単体ではなく、応用ソフトやネットサービスを充実させることが成功のカギ」と指摘している。
太陽光発電、大量導入へ実証実験 電力10社、全国規模で
太陽光発電の大量導入に備え、電力10社は太陽光発電が送電網に与える影響を調べる全国規模の実証実験に乗り出す。2030年までに現在の40倍の太陽光発電導入を目指す政府目標を達成するには、送電網の技術革新が必要とされる。天候変化による太陽光発電の出力変動、送電網への負荷などを検証し、再生可能エネルギーと共存可能な電力系統の開発につなげる。
実証実験は3年間で総額14億円。国が半額を補助する。各電力会社の営業所などに設置した太陽光発電施設111カ所(出力合計1500キロワット)をつないで出力を1秒単位で計測。システム全体の出力がどう変動するかを調査する。
国民健康保険の保険料未納率1割超す 08年度最悪に
国民健康保険の保険料未納率が2008年度に1割を超え、過去最高の水準に悪化する見通しとなった。景気後退で低所得世帯を中心に保険料の滞納が増えているのが原因。後期高齢者医療制度の導入に伴い、他の年齢層より納付率が高かった75歳以上の加入者が脱退したことも響いた。厚生労働省は徴収を強化して保険財政の悪化を抑える考え。保険料を支払えないために保険証を回収される「無保険者」の増加を防ぐために、低所得者向けの保険料の軽減措置拡充も検討する。
昨年度(08年4月―09年3月)の未納率(金額ベース)は9.51%だった07年度より「1―2ポイント程度上がる見通し」(厚労省国民健康保険課)。未納率は4年ぶりに上昇して初めて1割を超え、過去最高だった04年度の9.91%を上回る公算が大きい。
長年、ガラパゴスと揶揄されてきた日本の携帯電話市場の特殊性や、携帯電話メーカーの「内弁慶」体質が変わるきっかけになるだろうか。
NTTドコモは19日、注目のスマートフォン2機種の今夏投入を発表した。グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した台湾メーカーHTC社製の「HT-03A」と、マイクロソフトのOS「ウィンドウズ・モバイル6.1」を搭載した東芝製「T-01A」の2機種が、それである。
この2機種の可能性は計り知れない。まず、あのiモードの誕生以来、10年間、一貫してクローズドの垂直統合型ビジネスモデルを追求してきた、ドコモなど国内の携帯電話会社が戦略を大きく転換するきっかけになる可能性がある。
加えて、鎖国状態の国内携帯市場の扉を開き、内外のメーカーが国境を超えて相互参入する余地を生む。そして、かつてパソコンでマイクロソフトとアップルが繰り広げたように、米OS大手3社の覇権争いが激化するのも確実と言える。
どれも、消費者にとっては、歓迎すべきである。端末とアプリケーションの多様化や低廉化といった恩恵を享受することも期待できそうなのだ。
オープンOSでユーザーは自由にアプリをインストール可能
「HT-03A」と「T-01A」の投入発表は、19日のドコモの2009夏モデルの発表の一環として行われた。
一見すると、流行りのタッチパネルを採用し、キーボードを持っていないことが目立つぐらい。外見はこれまでのスマートフォンと大差ない。しかし、この2機種は、オープンOSという画期的な特色を持っている。
このおかげでユーザーは自由に、自分の好きなアプリケーションをインストールしたり、不要になったアプリケーションを消去することができるようになるからである。
今年、誕生から10年を迎えたNTTドコモのiモードにせよ、前身の会社が追随して開始したauのez-webなどにしろ、それらのデータ通信サービスの特色は、クローズドの垂直統合モデルだったこと。つまり、認証・課金から始まり、着メロ・着うたやゲームといったアプリケーションなどがすべてiモード専用、ez-web専用といった具合に、それぞれ専用の仕様に分かれていた。
ところが、今回の2機種が搭載したオープンOSの場合、日本語か英語かといった言語の問題を除けば、一度開発したアプリケーションは、同じオープンOSを採用している世界中の携帯電話会社の端末で利用できるようになる。アプリケーションを提供している企業にとって、低コスト化と市場規模拡大というメリットの大きさは計り知れない。
一方、NTTドコモやauは、これまで支配してきた課金・認証の仕組みまでOS提供企業に奪われかねないリスクがあっても、オープンOSを採用せざるを得ない時代がやってきた。かつてのように、携帯電話と言えば、右肩上がりの成長が当たり前で、メーカーと開発費負担を分担していくようなことができない時代になったからである。
ただ、ドコモに関する限り、簡単に課金・認証などの機能を手放す気はなさそうだ。むしろ、早期にOSメーカーと組むことによって、そうした強みが失われることを予防する意図があるらしい。その点は、auのKDDIも、よく似た戦略と言われる。
とはいえ、この2社は例外的な存在だ。他の国内携帯電話3社は、この2社と対照的に、PHSのウィルコムも含めて、そこまでの体力に乏しく、そういう周辺分野の開発コストを負うよりも、OSの機能を活用してコストを抑えたいというムードが強いとされる。
一方で、今回、ドコモが内外メーカーの中で、台湾のHTCと日本の東芝からそれぞれ1機種を採用したことは、市場の今後の展開を予測するうえで、興味深いかもしれない。
というのは、HTCの場合、グーグルのアンドロイドというオープンOSを得たからこそ、日本市場に参入することができたからだ。これまで日本の携帯電話会社への納入は、携帯電話会社ごとに、あるいは、個別の機種ごとに独自の機能を作りこむ要求が多く、独特の敷居の高さがあるとされてきた。オープンOSによって、そういう要求を容易に乗り越えて、日本市場への参入を果たすことができたというわけだ。
オープンOSで世界進出に道を開いた東芝の戦略
この業界では、すでに韓国のLGエレクトロニクスの名前が2番手として取り沙汰されており、今後、続々と日本市場に上陸する海外メーカーが登場するとみられている。
対する日本メーカーにとっても、このオープンOSは格好の商機である。そして、積極的にビジネス展開をしようとした一番手が、今回、ドコモの「T-01A」採用を勝ち取った東芝だ。
あまり知られていないが、実は、東芝は今年2月、欧州で、「T-01A」の欧州バージョン「TG-01」の投入を発表していた。近く正式に、スペインの巨大通信ドミナントのテレフォニカ向けの供給を公式に発表する見通しだ。さらに、英国、フランス、ドイツの各キャリアへの供給を計画しており、2009年度に「200万台程度」(東芝広報室)の出荷を見込んでいるという。ドコモへの「T-01A」の供給が当初計画で「10万台~20万台」(業界関係者)とされていることを勘案すれば、オープンOSの採用によって、東芝がいかに大きなチャンスを獲得したか明らかだろう。そして、このことは、携帯のガラパゴス島・日本から、日本メーカーが外へ打って出る道を開くものでもある。
日本メーカーで、オープンOSをひっさげての海外進出で、東芝に続くのは、どうやらシャープのようだ。同社は、すでに中国へのアクオス携帯の投入方針を表明しており、早くから海外進出に強い意欲をみせていた。
グーグル、MS、アップル携帯OSの覇権を握るのは?
こうした中でもうひとつ見逃せないのが、「アンドロイド」(グーグル)、「ウィンドウズ・モバイル」(マイクロソフト)、「iPhone」(アップル)のOS覇権を巡る戦いだ。
3社は、3様のユニークな戦略を採っている。
まず、グーグルだが、ここは他のビジネスモデルと同様、OSでも「広告モデル」を採用し、OSと検索、マップなどのアプリケーションを利用者に無料で提供する一方で、その画面に広告を掲載して、スポンサーから広告収入を得る手法を推し進めようとしている。PCのソフトウェア業界の専門家の中には、このビジネスモデルを「20年前のマイクロソフト。市場を総取りしかねない」と見る向きもあるほど大きな可能性を秘めている。
また、「アンドロイド」は、PCとの親和性などのためソフトウェアとして大きく重くなりがちな「ウィンドウズ・モバイル」と比べて、動作をより速くすることが容易という。
対するマイクロソフトは、パソコンと同じように、OSや関連アプリケーションから得るライセンス収入を収益源とするビジネスモデルだ。広告モデルと対抗するため、OSやアプリケーションの事実上の値下げを進める一方で、有料モデルらしくバグ取りのギャランティを明確に公約するだけでなく、パソコンとの親和性を強調し、キャリア、メーカーに対し端末への搭載サポートなども積極的に行い、スタンダードの地位を得ようとしている模様だ。
東芝広報室に確認したところ、同社は今回、「現時点で、信頼性が最も高いと判断して採用に踏み切った。今後も採用していく予定だ」と明かした。
これら2社に対して、アップルはこれまでのところ、OSを他社に供給せず、自社の「iPhone」にだけ搭載することで独自性を出していく戦略を採ってきた。
ドコモと同じ19日、ソフトバンクが発表した夏モデルには含まれていなかったが、毎年恒例のアップルの6月の新製品発表の席では、ニューモデルを公表する可能性も大きいらしい。というのは、現行モデルが「0円端末」化しており、たたき売り状態になっているため、そうした見方が勢いを増しているのが実情だ。
現在のところ、オープンOSの搭載は、スマートフォンに限定された動きに過ぎない。しかし、その信頼性が一段と向上し、価格も低廉化してくれば、オープンOSが「もしもし」の通話主体の普通の携帯電話機に搭載される時代が到来しても不思議はない。そうなれば、ケータイ市場は、劇的な変化を遂げるはずである。ケータイは、世界を巻き込む、新たな戦国時代を迎えようとしている。
NECが携帯で海外再進出 来年中めどに
NECは22日、携帯電話端末事業で海外市場に再参入する方針を明らかにした。平成22年中にLTEと呼ばれる携帯電話向け高速通信サービスが始まるのに合わせて進出する。進出先は欧米が有力。インターネットに高速で接続できる高機能端末を現地の通信会社に供給し、海外大手メーカーに対抗する。同社が携帯電話端末事業で海外進出するのは、18年に中国から撤退して以来。
NECは、かつて中国や欧州などに端末を供給していたが、ここ数年は供給先を国内のNTTドコモとソフトバンクモバイルに絞ってコスト削減を進め、収益改善を最優先してきた。しかし、中長期的な事業拡大のためには海外進出による販売台数の増加が欠かせないと判断。強みとする通信関連技術を生かし、反転攻勢に打って出る。
スマートフォン、世界販売12.7%増 1―3月、アップルなど好調
スマートフォンと呼ぶ高機能携帯電話の市場が拡大している。調査会社の米ガートナーによると、2009年1―3月期の世界販売台数は前年同期比12.7%増の3640万台だった。低価格品を含めた携帯電話全体の販売は同じ時期に8.6%減っており、パソコンに代わる手軽なIT(情報技術)機器としてスマートフォンの存在感が増してきた。
スマートフォン市場でのシェア争いではフィンランドのノキアが首位を守ったものの、シェアは41.2%と前年同期比3.9ポイント低下。2位は19.9%のリサーチ・イン・モーション(RIM、カナダ)、3位は10.8%の米アップルと好調組が続いた。RIMは「ブラックベリー」で企業に加え個人の顧客も獲得して販売台数が7割増えた。「iPhone(アイフォーン)」が各国でヒットしたアップルは販売台数が倍増した。
タッチパネル操作型が市場拡大をけん引したが、ガートナーは「端末単体ではなく、応用ソフトやネットサービスを充実させることが成功のカギ」と指摘している。
太陽光発電、大量導入へ実証実験 電力10社、全国規模で
太陽光発電の大量導入に備え、電力10社は太陽光発電が送電網に与える影響を調べる全国規模の実証実験に乗り出す。2030年までに現在の40倍の太陽光発電導入を目指す政府目標を達成するには、送電網の技術革新が必要とされる。天候変化による太陽光発電の出力変動、送電網への負荷などを検証し、再生可能エネルギーと共存可能な電力系統の開発につなげる。
実証実験は3年間で総額14億円。国が半額を補助する。各電力会社の営業所などに設置した太陽光発電施設111カ所(出力合計1500キロワット)をつないで出力を1秒単位で計測。システム全体の出力がどう変動するかを調査する。
国民健康保険の保険料未納率1割超す 08年度最悪に
国民健康保険の保険料未納率が2008年度に1割を超え、過去最高の水準に悪化する見通しとなった。景気後退で低所得世帯を中心に保険料の滞納が増えているのが原因。後期高齢者医療制度の導入に伴い、他の年齢層より納付率が高かった75歳以上の加入者が脱退したことも響いた。厚生労働省は徴収を強化して保険財政の悪化を抑える考え。保険料を支払えないために保険証を回収される「無保険者」の増加を防ぐために、低所得者向けの保険料の軽減措置拡充も検討する。
昨年度(08年4月―09年3月)の未納率(金額ベース)は9.51%だった07年度より「1―2ポイント程度上がる見通し」(厚労省国民健康保険課)。未納率は4年ぶりに上昇して初めて1割を超え、過去最高だった04年度の9.91%を上回る公算が大きい。
ソニー、PSP向けの音楽ダウンロードサービスを検討中か--情報筋が明らかに
音楽業界の複数の情報筋は、ソニーが大手レコード会社の一部と、PlayStation Portable(PSP)向けの楽曲提供について協議したと話した。
情報筋によれば、この協議は事前段階に過ぎず、契約が締結されたわけではないという。しかし、どうやらソニーは、同社のマルチプレイヤーゲームプラットフォーム兼デジタルダウンロードサービスであるPlayStation Network(PSN)で楽曲を提供することを検討しているようだ。この動きは、PSPを他の多目的音楽プレーヤー、特に「iPhone」などと直接的な競争関係に置くことになる可能性がある。
ソニーや大手レコード会社の広報担当者は、この話題に関するコメントを拒否している。
PSPはゲームができ、動画も音楽も再生できる携帯デバイスだが、これまでその潜在力を最大限に生かせたことはないと言う人は多い。より大きな画面と優れたゲームがあれば、PSPはiPodの対抗馬になり得たかもしれない。PSPの発展が阻害された原因の一部は、ダウンロード可能なデジタルコンテンツを提供していないことにある。
その代わり、初期にはソニーはコンテンツを囲い込むというアプローチを取った。PSPでの動画視聴について、同社は物理メディアにこだわり、PSPでしか再生できない小さなDVDであるUniversal Media Disc(UMD)を顧客に購入させた。UMDは人気を得ることができず、その理由の1つは、ソニーが当初、UMDをテレビで見る手段を提供しなかったことにあった。これは、UMDの映画を買ったPSPユーザーも、それをテレビで視聴したいと思ったら再度DVDを購入しなくてはならないということを意味していた。
ゲーム業界でここ数カ月出回っているうわさを信じれば、ソニーが完全に刷新したPSPの発売を計画していることになる。一部の記事では、このデバイスは「PSP 3000」より大画面で、操作ボタンはスライド式になり、そしてUMDはなくなるとされている。ソニーがPSPでの音楽再生に関心を持っているという話を聞き、金融サービス企業Wedbush Morgan SecuritiesのアナリストMichael Pachter氏は、このアイデアを支持した。
「ソニーがこのデバイスにコンテンツを用意しようとしているのは、完全に筋が通っている。もしソニーが賢ければ、iTunesと同じ方法を用い、デバイスに非依存にするだろう。ソニーのサイトで入手したものは、iPodでも再生できるべきだ」とPachter氏は述べた。
「(ソニーは)それを望むだろうが、現在はPSPのゲームをiPod touchにダウンロードすることはできない。これはオペレーティングシステムがそれを許さないからだ」とPachter氏は付け加えた。「私は、iTunesの音楽をPSPに移せるようにできることを知っているが、1つ疑問がある。ソニーがPSPをiTunesと互換性がないようにするのではないかということだ。ソニーは音楽のための自前の専用フォーマットを作り、MP3ファイルは再生できないようにするかもしれない」(Pachter氏)
現在一般に好まれている音楽ファイルのフォーマットはMP3であるため、その動きは間違いなく、音楽業界の流れに反することになる。現在のPSPは(著作権)保護されていないMP3ファイルを再生でき、Appleやその他主要なダウンロードサービスは、提供している曲からデジタル著作権管理(DRM)の仕組みを外している。
GMに破産法適用申請、来週中に…米紙報道
【ニューヨーク=池松洋】米ワシントン・ポスト紙(電子版)は21日、米政府が米ゼネラル・モーターズ(GM)に対して、来週中に米連邦破産法11章(日本の民事再生法に相当)の適用申請をさせる準備を進めていると報じた。
米政府は6月1日までにGMに再建計画の再提出を求めていたが、巨額の負債などGMの「負の遺産」を早期に一掃するためには、クライスラーと同様に破産法を申請させた方が効率的と判断したという。
破産法申請に伴い、米政府は300億ドル(約2兆8500億円)の追加のつなぎ融資をGMに行う。
この結果、米政府のGMへの出資比率は5割を超え、9人の取締役のうち4人を政府が指名するなど、GMは政府の管理下に入るという。
グーグル、ブラウザー最新版「クローム2.0」を公開
グーグルは22日、昨年無償配布を始めたブラウザーの最新版「google chrome(グーグル・クローム)2.0」を公開したと発表した。よく利用するサイトの一覧画面を編集できるようにしたほか、対応する言語を増やした。ウェブサイトの表示速度や不正なアクセスに対する安全性も強化している。
クロームは新しく「タブ」を開く際、よく使うサイトの名称とサムネイルを大きく表示する。クローム2.0では画面下にある「サムネイルを削除」ボタンを使い、特定のサイトを表示対象から外せる。他人に知られたくない趣味のサイトなどを隠すのに役立つという。
クローム2.0はグーグルのサイトからダウンロードできる。すでにクロームを利用している場合は数日内に2.0に自動的に変更される。グーグルはクロームの正式版を2008年12月に公開。クローム2.0については1月に開発版、3月にベータ版を公開し安全性や不具合の有無を確認していた。
ホンダ、二輪車部品の調達先を集約 コスト2割減へ
ホンダはスクーターなど小型二輪車の主要部品について、部品ごとに世界で10社前後ある調達先を今後3―4年で3社程度に集約する。新興国の需要が大きい二輪車は同社の収益を支えているが、世界景気の見通しが不透明な中で一層の体質強化が必要と判断。二輪車の調達コストを1―2割削減することを目指す。
ホンダは1960年代に二輪車の海外生産に乗り出し、現在タイやインド、中国、ブラジルなど22カ国32拠点で、年間約1400万台の二輪車を生産する。エンジンや変速機周辺、ヘッドライトなど1台当たり数千点に及ぶ部品は、拠点ごとに近隣に進出する日本メーカーや現地企業から調達している。このため各国で部品の形状や性能など仕様が異なり、製造コストがかさんでいた。
日本製「性暴力ゲーム」を批判 自民女性局長「規制を検討」
自民党の山谷えり子女性局長(参院議員)は22日、国会内で記者会見し、日本の業者が開発、販売している「性暴力ゲーム」を批判し、実態を調査するとともに規制策を検討していくことを明らかにした。
日本製のゲームソフトをめぐっては、少女をレイプして中絶させるといった内容のパソコンゲームソフトが今年2月、英国の国会で問題視され、欧米各国で販売中止となっている。また、この種のゲームを野放しにしている日本政府に対して、海外の人権諸団体から抗議の声が上がっている。
山谷氏は「党の女性局として、このような現状を調査し、有識者とも意見交換して(規制策の)提言をまとめたい」と述べた。山谷氏は、与党が検討中の児童ポルノ規制法の改正内容にも反映させていく考えを示した。
月刊「モーニング・ツー」ネットで無料公開、発売と同時に
講談社は21日、月刊漫画誌「モーニング・ツー」をきょう22日発売号から3号連続で、発売と同時に1か月間、ネットで無料公開すると発表した。
同誌は昨年、1か月前に出た号のネット公開を試みている。島田英二郎編集長は「部数5万部では雑誌が地方まで行き渡らない。ネット上で立ち読みし、本誌と本誌から生まれる単行本をもっと読んでほしい」と話している。
首都圏の高齢者人口、15年に1000万人超 08年度首都圏白書
国土交通省が22日まとめた2008年度の「首都圏白書」は、関東8都県の65歳以上の高齢者人口が15年には1000万人を超えるとの見通しを示した。05年からの伸び率は42%と全国平均より11ポイントも高い。高度成長期に首都圏郊外の新興住宅地などに居住した「団塊の世代」の高齢化が本格化する。
金子一義国土交通相が同日の閣議に提出した白書は、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の市町村別将来推計人口」を基に、05年に761万人だった8都県(東京、神奈川、埼玉、千葉、山梨、群馬、栃木、茨城)の高齢者人口が15年に1078万人に達すると推計した。
この結果、15年の8都県の推計人口(4286万人)の4人に1人が高齢者となる。
米テロ政策「無謀」 前副大統領、異例の政権批判
【ワシントン=丸谷浩史】チェイニー前米副大統領は21日、ワシントン市内のシンクタンクで講演し、キューバのグアンタナモ米海軍基地のテロ容疑者収容施設の閉鎖などのオバマ政権の政策を「無謀で、米国民の安全を低下させる」と強く非難し、ブッシュ前政権の対テロ政策の正当性を訴えた。前職の副大統領が現職の大統領を公式の場で批判するのは極めて異例だ。
チェイニー氏は国際テロ組織アルカイダの容疑者への「水責め」などの過酷な方法での尋問について「3人のテロリストに実行した」と説明するとともに「拷問は決して許されない。尋問手法は決定前に、法的に注意深く検討された」と語り、問題はなかったとの考えを示した。
オバマ中東外交 和平への突破口となるか(5月22日付・読売社説)
オバマ米政権の中東外交が、一気に加速している。停滞する中東和平に突破口を切り開くことが出来るかどうか、目を離せない動きである。
オバマ大統領は、ネタニヤフ・イスラエル首相と会談したのに続き、来週には、アッバス・パレスチナ自治政府議長とも会談する。来月4日には、訪問先のカイロで、アラブ・イスラム世界へ向けた演説を行う予定だ。
ネタニヤフ首相との会談で、オバマ大統領は、イスラエルとパレスチナの「2国家併存」原則の受け入れを求めた。しかし首相は、これまで通り明言を避けた。
オバマ大統領が説得に失敗した格好だが、従来、ネタニヤフ首相が拒んできた原則を率直に要求したことには大きな意義がある。
ブッシュ前政権はともすると、イスラエル寄りの姿勢で臨み、和平仲介者としての資格に疑義を招いた。だが、オバマ大統領は、イスラエルに対しても主張すべき点は主張するという、公平な立場を貫く構えを示した。
オバマ政権は、「2国家併存」による和平実現を、米国の国益ととらえている。和平への動きが滞ればイスラム過激派の一層の伸長を招き、核疑惑が消えないイランの地域における影響力もますます増大する、との認識からだ。
ネタニヤフ首相に方針転換をのませることが困難を伴うにせよ、オバマ政権が中東和平への関与を放棄することはないだろう。むしろ、ユダヤ人入植地建設の凍結を求めるなど、イスラエルに譲歩を迫るものと見られる。
ネタニヤフ政権が、最大の友好国である米国の要請をどこまで拒めるか。対米関係が冷え込めば、国際社会における孤立を覚悟しなければなるまい。
長い目で見れば、和平実現を契機に、アラブ諸国との関係正常化を目指す方が、安全保障の観点からも理にかなっていないか。
パレスチナ側は、何より、ファタハとハマスの対立解消を急ぐべきだ。ヨルダン川西岸とガザ地区の統治者が異なるという現状が続けば、国家樹立など絵に描いた餅に過ぎない。
オバマ大統領はカイロでの演説で、新しい中東政策を明らかにすると見られている。アラブ・イスラム社会との融和も呼びかけるだろう。傷ついた米国像の回復もまた、米政権の大きな課題だ。
オバマ大統領は、中東和平でも国際社会との協調を重視する構えだ。過大な期待は禁物だが、この姿勢は共感を呼ぶのではないか。
音楽業界の複数の情報筋は、ソニーが大手レコード会社の一部と、PlayStation Portable(PSP)向けの楽曲提供について協議したと話した。
情報筋によれば、この協議は事前段階に過ぎず、契約が締結されたわけではないという。しかし、どうやらソニーは、同社のマルチプレイヤーゲームプラットフォーム兼デジタルダウンロードサービスであるPlayStation Network(PSN)で楽曲を提供することを検討しているようだ。この動きは、PSPを他の多目的音楽プレーヤー、特に「iPhone」などと直接的な競争関係に置くことになる可能性がある。
ソニーや大手レコード会社の広報担当者は、この話題に関するコメントを拒否している。
PSPはゲームができ、動画も音楽も再生できる携帯デバイスだが、これまでその潜在力を最大限に生かせたことはないと言う人は多い。より大きな画面と優れたゲームがあれば、PSPはiPodの対抗馬になり得たかもしれない。PSPの発展が阻害された原因の一部は、ダウンロード可能なデジタルコンテンツを提供していないことにある。
その代わり、初期にはソニーはコンテンツを囲い込むというアプローチを取った。PSPでの動画視聴について、同社は物理メディアにこだわり、PSPでしか再生できない小さなDVDであるUniversal Media Disc(UMD)を顧客に購入させた。UMDは人気を得ることができず、その理由の1つは、ソニーが当初、UMDをテレビで見る手段を提供しなかったことにあった。これは、UMDの映画を買ったPSPユーザーも、それをテレビで視聴したいと思ったら再度DVDを購入しなくてはならないということを意味していた。
ゲーム業界でここ数カ月出回っているうわさを信じれば、ソニーが完全に刷新したPSPの発売を計画していることになる。一部の記事では、このデバイスは「PSP 3000」より大画面で、操作ボタンはスライド式になり、そしてUMDはなくなるとされている。ソニーがPSPでの音楽再生に関心を持っているという話を聞き、金融サービス企業Wedbush Morgan SecuritiesのアナリストMichael Pachter氏は、このアイデアを支持した。
「ソニーがこのデバイスにコンテンツを用意しようとしているのは、完全に筋が通っている。もしソニーが賢ければ、iTunesと同じ方法を用い、デバイスに非依存にするだろう。ソニーのサイトで入手したものは、iPodでも再生できるべきだ」とPachter氏は述べた。
「(ソニーは)それを望むだろうが、現在はPSPのゲームをiPod touchにダウンロードすることはできない。これはオペレーティングシステムがそれを許さないからだ」とPachter氏は付け加えた。「私は、iTunesの音楽をPSPに移せるようにできることを知っているが、1つ疑問がある。ソニーがPSPをiTunesと互換性がないようにするのではないかということだ。ソニーは音楽のための自前の専用フォーマットを作り、MP3ファイルは再生できないようにするかもしれない」(Pachter氏)
現在一般に好まれている音楽ファイルのフォーマットはMP3であるため、その動きは間違いなく、音楽業界の流れに反することになる。現在のPSPは(著作権)保護されていないMP3ファイルを再生でき、Appleやその他主要なダウンロードサービスは、提供している曲からデジタル著作権管理(DRM)の仕組みを外している。
GMに破産法適用申請、来週中に…米紙報道
【ニューヨーク=池松洋】米ワシントン・ポスト紙(電子版)は21日、米政府が米ゼネラル・モーターズ(GM)に対して、来週中に米連邦破産法11章(日本の民事再生法に相当)の適用申請をさせる準備を進めていると報じた。
米政府は6月1日までにGMに再建計画の再提出を求めていたが、巨額の負債などGMの「負の遺産」を早期に一掃するためには、クライスラーと同様に破産法を申請させた方が効率的と判断したという。
破産法申請に伴い、米政府は300億ドル(約2兆8500億円)の追加のつなぎ融資をGMに行う。
この結果、米政府のGMへの出資比率は5割を超え、9人の取締役のうち4人を政府が指名するなど、GMは政府の管理下に入るという。
グーグル、ブラウザー最新版「クローム2.0」を公開
グーグルは22日、昨年無償配布を始めたブラウザーの最新版「google chrome(グーグル・クローム)2.0」を公開したと発表した。よく利用するサイトの一覧画面を編集できるようにしたほか、対応する言語を増やした。ウェブサイトの表示速度や不正なアクセスに対する安全性も強化している。
クロームは新しく「タブ」を開く際、よく使うサイトの名称とサムネイルを大きく表示する。クローム2.0では画面下にある「サムネイルを削除」ボタンを使い、特定のサイトを表示対象から外せる。他人に知られたくない趣味のサイトなどを隠すのに役立つという。
クローム2.0はグーグルのサイトからダウンロードできる。すでにクロームを利用している場合は数日内に2.0に自動的に変更される。グーグルはクロームの正式版を2008年12月に公開。クローム2.0については1月に開発版、3月にベータ版を公開し安全性や不具合の有無を確認していた。
ホンダ、二輪車部品の調達先を集約 コスト2割減へ
ホンダはスクーターなど小型二輪車の主要部品について、部品ごとに世界で10社前後ある調達先を今後3―4年で3社程度に集約する。新興国の需要が大きい二輪車は同社の収益を支えているが、世界景気の見通しが不透明な中で一層の体質強化が必要と判断。二輪車の調達コストを1―2割削減することを目指す。
ホンダは1960年代に二輪車の海外生産に乗り出し、現在タイやインド、中国、ブラジルなど22カ国32拠点で、年間約1400万台の二輪車を生産する。エンジンや変速機周辺、ヘッドライトなど1台当たり数千点に及ぶ部品は、拠点ごとに近隣に進出する日本メーカーや現地企業から調達している。このため各国で部品の形状や性能など仕様が異なり、製造コストがかさんでいた。
日本製「性暴力ゲーム」を批判 自民女性局長「規制を検討」
自民党の山谷えり子女性局長(参院議員)は22日、国会内で記者会見し、日本の業者が開発、販売している「性暴力ゲーム」を批判し、実態を調査するとともに規制策を検討していくことを明らかにした。
日本製のゲームソフトをめぐっては、少女をレイプして中絶させるといった内容のパソコンゲームソフトが今年2月、英国の国会で問題視され、欧米各国で販売中止となっている。また、この種のゲームを野放しにしている日本政府に対して、海外の人権諸団体から抗議の声が上がっている。
山谷氏は「党の女性局として、このような現状を調査し、有識者とも意見交換して(規制策の)提言をまとめたい」と述べた。山谷氏は、与党が検討中の児童ポルノ規制法の改正内容にも反映させていく考えを示した。
月刊「モーニング・ツー」ネットで無料公開、発売と同時に
講談社は21日、月刊漫画誌「モーニング・ツー」をきょう22日発売号から3号連続で、発売と同時に1か月間、ネットで無料公開すると発表した。
同誌は昨年、1か月前に出た号のネット公開を試みている。島田英二郎編集長は「部数5万部では雑誌が地方まで行き渡らない。ネット上で立ち読みし、本誌と本誌から生まれる単行本をもっと読んでほしい」と話している。
首都圏の高齢者人口、15年に1000万人超 08年度首都圏白書
国土交通省が22日まとめた2008年度の「首都圏白書」は、関東8都県の65歳以上の高齢者人口が15年には1000万人を超えるとの見通しを示した。05年からの伸び率は42%と全国平均より11ポイントも高い。高度成長期に首都圏郊外の新興住宅地などに居住した「団塊の世代」の高齢化が本格化する。
金子一義国土交通相が同日の閣議に提出した白書は、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の市町村別将来推計人口」を基に、05年に761万人だった8都県(東京、神奈川、埼玉、千葉、山梨、群馬、栃木、茨城)の高齢者人口が15年に1078万人に達すると推計した。
この結果、15年の8都県の推計人口(4286万人)の4人に1人が高齢者となる。
米テロ政策「無謀」 前副大統領、異例の政権批判
【ワシントン=丸谷浩史】チェイニー前米副大統領は21日、ワシントン市内のシンクタンクで講演し、キューバのグアンタナモ米海軍基地のテロ容疑者収容施設の閉鎖などのオバマ政権の政策を「無謀で、米国民の安全を低下させる」と強く非難し、ブッシュ前政権の対テロ政策の正当性を訴えた。前職の副大統領が現職の大統領を公式の場で批判するのは極めて異例だ。
チェイニー氏は国際テロ組織アルカイダの容疑者への「水責め」などの過酷な方法での尋問について「3人のテロリストに実行した」と説明するとともに「拷問は決して許されない。尋問手法は決定前に、法的に注意深く検討された」と語り、問題はなかったとの考えを示した。
オバマ中東外交 和平への突破口となるか(5月22日付・読売社説)
オバマ米政権の中東外交が、一気に加速している。停滞する中東和平に突破口を切り開くことが出来るかどうか、目を離せない動きである。
オバマ大統領は、ネタニヤフ・イスラエル首相と会談したのに続き、来週には、アッバス・パレスチナ自治政府議長とも会談する。来月4日には、訪問先のカイロで、アラブ・イスラム世界へ向けた演説を行う予定だ。
ネタニヤフ首相との会談で、オバマ大統領は、イスラエルとパレスチナの「2国家併存」原則の受け入れを求めた。しかし首相は、これまで通り明言を避けた。
オバマ大統領が説得に失敗した格好だが、従来、ネタニヤフ首相が拒んできた原則を率直に要求したことには大きな意義がある。
ブッシュ前政権はともすると、イスラエル寄りの姿勢で臨み、和平仲介者としての資格に疑義を招いた。だが、オバマ大統領は、イスラエルに対しても主張すべき点は主張するという、公平な立場を貫く構えを示した。
オバマ政権は、「2国家併存」による和平実現を、米国の国益ととらえている。和平への動きが滞ればイスラム過激派の一層の伸長を招き、核疑惑が消えないイランの地域における影響力もますます増大する、との認識からだ。
ネタニヤフ首相に方針転換をのませることが困難を伴うにせよ、オバマ政権が中東和平への関与を放棄することはないだろう。むしろ、ユダヤ人入植地建設の凍結を求めるなど、イスラエルに譲歩を迫るものと見られる。
ネタニヤフ政権が、最大の友好国である米国の要請をどこまで拒めるか。対米関係が冷え込めば、国際社会における孤立を覚悟しなければなるまい。
長い目で見れば、和平実現を契機に、アラブ諸国との関係正常化を目指す方が、安全保障の観点からも理にかなっていないか。
パレスチナ側は、何より、ファタハとハマスの対立解消を急ぐべきだ。ヨルダン川西岸とガザ地区の統治者が異なるという現状が続けば、国家樹立など絵に描いた餅に過ぎない。
オバマ大統領はカイロでの演説で、新しい中東政策を明らかにすると見られている。アラブ・イスラム社会との融和も呼びかけるだろう。傷ついた米国像の回復もまた、米政権の大きな課題だ。
オバマ大統領は、中東和平でも国際社会との協調を重視する構えだ。過大な期待は禁物だが、この姿勢は共感を呼ぶのではないか。
iモードブラウザー進化のインパクト 携帯夏商戦NTTドコモ編(COLUMN)
NTTドコモが19日に発表した夏商戦モデルとなる4シリーズ18機種。注目はやはりグーグルが主導して開発した携帯プラットフォーム「Android(アンドロイド)」を搭載する「HT-03A」(台湾HTC製)の日本初上陸だ。
NTTドコモが今回発表した18機種は、業界トップらしく幅広いユーザーを対象とし、あらゆるニーズに応える製品をそろえている。
■話題は日本初上陸のグーグル携帯
多くのメディアの話題を集めたのは、日本初上陸となるアンドロイド搭載の「HT-03A」だ。昨年発売されたソフトバンクモバイルの「iPhone 3G」(アップル製)のライバル機種として、じっくりと取材するメディアが目についた。
残念ながらHT-03Aの陰に隠れてしまったのが、東芝製の「T-01A」だった。東芝がNTTドコモに端末を供給するのは、2002年9月の「T2101V」以来というから、実に6年半ぶりの復活である。4.1インチの大画面液晶、米クアルコム製チップ「スナップドラゴン」(駆動周波数1GHz)を搭載した高速処理を売りとする意欲的な製品だけに、東芝としてはこれから宣伝活動に力を入れ、なんとか巻き返しを図りたいところだろう。
■印象は「マイナーバージョンアップ」だが・・・
国内主要メーカーのラインアップを俯瞰すると、第一印象としては「マイナーバージョンアップ」という感が否めない。しかし、各社はそれぞれ、他社にはない独自の機能や技術を盛り込んでおり、そのあたりが商品選びのポイントになってきそうだ。
シャープは「SH-06A」に1000万画素CCDカメラを搭載し、「SH-07A」では同社のブルーレイ・ディスク(BD)レコーダーで録画した番組を簡単にコピーして持ち運べるようにした。つまり、カメラと家電との連携が売りである。
NECの「N-06A」は無線LAN対応が特徴。無線LANスポットへの接続だけでなく、N-06A自体が無線LANスポットとなり、周辺の機器をネットワークに接続できるようにしている。
既存の筐体を強化させたのが、パナソニックモバイルコミュニケーションズだ。「P-07A」は背面に2インチのカラー液晶を搭載し、本体を閉じた状態でもカメラを撮影できるスタイルにした。
富士通は従来のイメージとは異なり、液晶を横向きに90度回転させる機構を持つ「F-09A」を投入してきた。ただ、富士通は今回は計2モデルしかなく、どちらかと言えば、「らくらくホン」に注力している感がある。
シャープ、パナソニック、富士通はそれぞれ防水対応機種を投入しており、一方、NECは防水よりも薄型をとったようだ。
■海外メーカー初のおサイフケータイ
韓国LG電子は「PRIME」「STYLE」の2シリーズ向けに新製品を用意した。しかも、海外メーカーとしては初めて、おサイフケータイへの対応を実現している。日本独自のサービスであるおサイフケータイを使えるようにしたということは、それだけ日本市場に本気で取り組んでいる証拠だ。
昨年「プラダフォン」を発表したときに、LG関係者は「おサイフケータイ対応の準備を進めている」と話していたが、いよいよ夏商戦から製品を投入できるようになったわけだ。
ちなみに5月20日掲載の「上位モデルも低価格機も充実しているが・・・携帯夏商戦ソフトバンク編」では、ソフトバンクモバイルが他社をキャッチアップしていると書いたが、NTTドコモも他社を相当意識したラインアップになっているように思える。
例えば、「エヴァンゲリヲンケータイ」は、ソフトバンクモバイル「シャア専用ケータイ」に感化されたとしてもおかしくない。
■iモードブラウザーの進化に注目
実は今回、最も関心があるポイントは、端末ではなくiモードブラウザーの機能強化だ。iモードブラウザーの操作性が向上し、スペックも大きく進化したのだ。
まずiモードボタンを押すだけで、すぐにキャッシュされたiメニュー画面が出るようになった。トップ画面には「マイニュース機能」として、RSSリーダーが加わった。
これまでは上下キーのみでしか操作できなかったが、今回からは左右キーも使えるようになる。これにより、少ない手数で目的のページに行けるだけでなく、Flashベースのゲームなどもテンキーを使わず十字キーで操作できるようになる。
また、ページサイズを100KBから500KBまで拡大したことで、より表現力のあるコンテンツを閲覧できるようになった。さらに、ページ内でそのまま動画を再生することができ、JavaScriptにも対応する。
フルブラウザー並みの機能が搭載されているが、現状はまだiモードブラウザーとは別にフルブラウザーが搭載されている。料金体系も当然異なり、iモードブラウザーのみであれば上限は4410円、フルブラウザーを使えば上限5985円である。
ユーザーの立場からすれば、iモードの可能性がさらに広がり、上限5985円のフルブラウザーを使わなくてもリッチなコンテンツを楽しめるようになるのは歓迎すべき進歩だ。
今後は優れた課金プラットフォームと、表現力の高いブラウザーが組み合わさることで、PCの世界では実現できなかったコンテンツの世界がiモード上に参入してくることも考えられるだろう。新たなiモードコンテンツ市場が創出されることに期待したい。
■コンテンツへの動線が重要
音声通話収入が落ち込むなか、2010年に導入される次世代規格LTEを目前にして、携帯各社はコンテンツの拡充に全力を挙げている。
例えば、NTTドコモであれば、エイベックスと手を組んだ「BEE TV」であり、ソフトバンクモバイルであれば、「S-1バトル」や「選べるかんたん動画」である。
ただし、いくら優れたコンテンツを用意しても、そこまでの動線が使いやすく分かりやすいものでなければ、視聴してもらえない。今回、ソフトバンクモバイルはユーザーを誘導するのに「メール」に目をつけ、NTTドコモはブラウザーを進化させてきた。
iPhoneを使っていて「快適」だと感じてネットに頻繁にアクセスするのは、「Safari」というブラウザーが使いやすいからだ。そういった意味でもiモードブラウザーの進化は注目に値する。
■端末の拡販がドコモの使命
ただ気がかりなのは、端末の買い換え需要が冷え込み、新しいブラウザーを搭載したモデルが急速には普及しそうにない点だ。コンテンツプロバイダー関係者の多くが「機能が強化されても、普及するのに2年以上かかる。ビジネスが立ち上がるまで我慢が必要」と実情を語る。
数年前であれば、一気に端末が売れて、新しいコンテンツが大量に流通する状況を期待できた。しかし、最近は端末の売れ行きが落ちたことで、コンテンツ市場の活性化にもブレーキがかかっている。
端末が売れないのは、メーカーだけに関わる問題ではない。コンテンツプロバイダーにとっても厳しい時代になってしまったのだ。
今後、新たなコンテンツが盛り上がっていくかどうかは、新iモードブラウザーの普及具合がカギを握る。そういった意味でも、ドコモはできるだけ多くの新製品を早期に売りまくらなくてはならないのだ。
1世帯あたり平均所得556.2万円 07年、19年ぶり低水準に
厚生労働省が21日発表した国民生活基礎調査によると、2007年の1世帯あたりの平均所得額は前年比1.9%減の556万2000円と1988年以来19年ぶりの低水準となった。コスト削減を目的に企業が非正規社員の比重を増やしたことで所得水準が低下。高齢者などの単身世帯の増加も世帯あたりの平均値を押し下げた。
調査は無作為抽出した全国の世帯を対象に、08年6月と7月に実施した。08年は秋に生じた金融危機以降、世界的に景気後退が鮮明となり、雇用情勢が悪化。世帯の平均所得はさらに落ち込んでいる可能性が高い。
1世帯あたりの平均所得は1994年の664万円がピーク。これ以降はほぼ減少傾向にあり、07年までに16%減った。企業のコスト意識を反映し、賃金水準が相対的に低い非正規社員の割合は足元で労働者全体の3割を突破。働く人1人あたりの所得は07年に313万2000円と過去最低となった。
政府・政投銀、4兆円の緊急融資枠 官民折半、資金繰り支援
政府と日本政策投資銀行は6月にも、中堅・大企業向けに民間金融機関と貸出額を原則折半する新たな緊急融資制度を導入する方針を固めた。政投銀との協調で民間金融機関が融資を手掛けやすくする一方、公的融資にリスクが過度に集中することを避ける狙い。政投銀が追加経済対策で決まった危機対応融資枠15兆円の中から2兆円、民間が2兆円の最大4兆円規模の資金枠を想定する。企業の資金繰りは引き続き楽観しにくい状況にあり、政府は企業金融支援に万全を期す。
企業倒産の増加などで銀行の不良債権は高水準で推移しており、民間金融機関の融資姿勢は慎重さが目立つ。政府は融資額の原則半分を政投銀が負担することで民間の貸し出し意欲を引き出し、企業にお金を円滑に回す必要があると判断した。
日経社説 「アジア内需」に日本はどう貢献するか(5/22)
世界的な経済危機の克服に当たって、21世紀の成長センターといわれるアジアの存在は大きい。麻生太郎首相は21日の演説で「アジア内需」の拡大を訴えたが、日本は主導的役割を果たせるのか。突きつけられている課題と責任は重い。
首相は「経済危機を超え、再び飛躍するアジアへ」と題し、これまで輸出主導型だったアジア経済を内需主導型へと変えていくべきだと強調した。これにはアジア各国・地域も異論はないだろう。
首相は先月、東アジア地域の経済規模を2020年までに現在より倍増する「アジア経済倍増構想」を発表している。池田勇人元首相が1960年代に提唱した「国民所得倍増計画」のいわばアジア版だ。実現には自国の内需だけでなく、輸出先も含めたアジア域内全体の内需拡大が欠かせない。
首相は演説で「各国が内需拡大に足並みをそろえることが極めて大切だ」と述べた。まず日本が率先垂範することが求められる。
15兆円を超す過去最大規模の追加経済対策を受けた2009年度補正予算案は参院で審議中だ。財政出動は必要だが、ばらまきにつながりかねない歳出は日本の成長力強化には寄与しない。規制緩和など構造改革も並行して進める必要がある。
一方、アジア各国・地域から輸入に加え人材も受け入れなければなるまい。農産物の市場開放などには痛みも伴うが、避けては通れない。
首相はアジア金融市場の安定・発展に関連して「危機の際に、各国に『円』を融通できるようにする」と表明した。日本政府が外貨不足に陥った国に日本円を緊急に貸し出すものだが、「円の国際化」を意識した発言ともいえる。
アジアでは中国が東南アジア諸国連合(ASEAN)など近隣国・地域との貿易取引について人民元建てでの決済を促している。「人民元通貨圏」を視野に入れた動きだ。
中国は国内総生産(GDP)で米国、日本に次ぐ世界3位の経済大国だ。1、2年内には日本を抜く公算が大きい。だが、人民元の国際化は日本円以上にハードルが高い。
首相はタイ、ベトナムなどメコン川流域5カ国の首脳を招き、年内に初めての「日メコン首脳会議」を開催することも明らかにした。中国と国境を接するメコン川流域諸国は地政学的にも重要である。
日本はアジア各国・地域との連携や信頼を強め、アジア内需拡大への構想力を示すことが大事だ。それが日本経済の再生にもつながる。
NTTドコモが19日に発表した夏商戦モデルとなる4シリーズ18機種。注目はやはりグーグルが主導して開発した携帯プラットフォーム「Android(アンドロイド)」を搭載する「HT-03A」(台湾HTC製)の日本初上陸だ。
NTTドコモが今回発表した18機種は、業界トップらしく幅広いユーザーを対象とし、あらゆるニーズに応える製品をそろえている。
■話題は日本初上陸のグーグル携帯
多くのメディアの話題を集めたのは、日本初上陸となるアンドロイド搭載の「HT-03A」だ。昨年発売されたソフトバンクモバイルの「iPhone 3G」(アップル製)のライバル機種として、じっくりと取材するメディアが目についた。
残念ながらHT-03Aの陰に隠れてしまったのが、東芝製の「T-01A」だった。東芝がNTTドコモに端末を供給するのは、2002年9月の「T2101V」以来というから、実に6年半ぶりの復活である。4.1インチの大画面液晶、米クアルコム製チップ「スナップドラゴン」(駆動周波数1GHz)を搭載した高速処理を売りとする意欲的な製品だけに、東芝としてはこれから宣伝活動に力を入れ、なんとか巻き返しを図りたいところだろう。
■印象は「マイナーバージョンアップ」だが・・・
国内主要メーカーのラインアップを俯瞰すると、第一印象としては「マイナーバージョンアップ」という感が否めない。しかし、各社はそれぞれ、他社にはない独自の機能や技術を盛り込んでおり、そのあたりが商品選びのポイントになってきそうだ。
シャープは「SH-06A」に1000万画素CCDカメラを搭載し、「SH-07A」では同社のブルーレイ・ディスク(BD)レコーダーで録画した番組を簡単にコピーして持ち運べるようにした。つまり、カメラと家電との連携が売りである。
NECの「N-06A」は無線LAN対応が特徴。無線LANスポットへの接続だけでなく、N-06A自体が無線LANスポットとなり、周辺の機器をネットワークに接続できるようにしている。
既存の筐体を強化させたのが、パナソニックモバイルコミュニケーションズだ。「P-07A」は背面に2インチのカラー液晶を搭載し、本体を閉じた状態でもカメラを撮影できるスタイルにした。
富士通は従来のイメージとは異なり、液晶を横向きに90度回転させる機構を持つ「F-09A」を投入してきた。ただ、富士通は今回は計2モデルしかなく、どちらかと言えば、「らくらくホン」に注力している感がある。
シャープ、パナソニック、富士通はそれぞれ防水対応機種を投入しており、一方、NECは防水よりも薄型をとったようだ。
■海外メーカー初のおサイフケータイ
韓国LG電子は「PRIME」「STYLE」の2シリーズ向けに新製品を用意した。しかも、海外メーカーとしては初めて、おサイフケータイへの対応を実現している。日本独自のサービスであるおサイフケータイを使えるようにしたということは、それだけ日本市場に本気で取り組んでいる証拠だ。
昨年「プラダフォン」を発表したときに、LG関係者は「おサイフケータイ対応の準備を進めている」と話していたが、いよいよ夏商戦から製品を投入できるようになったわけだ。
ちなみに5月20日掲載の「上位モデルも低価格機も充実しているが・・・携帯夏商戦ソフトバンク編」では、ソフトバンクモバイルが他社をキャッチアップしていると書いたが、NTTドコモも他社を相当意識したラインアップになっているように思える。
例えば、「エヴァンゲリヲンケータイ」は、ソフトバンクモバイル「シャア専用ケータイ」に感化されたとしてもおかしくない。
■iモードブラウザーの進化に注目
実は今回、最も関心があるポイントは、端末ではなくiモードブラウザーの機能強化だ。iモードブラウザーの操作性が向上し、スペックも大きく進化したのだ。
まずiモードボタンを押すだけで、すぐにキャッシュされたiメニュー画面が出るようになった。トップ画面には「マイニュース機能」として、RSSリーダーが加わった。
これまでは上下キーのみでしか操作できなかったが、今回からは左右キーも使えるようになる。これにより、少ない手数で目的のページに行けるだけでなく、Flashベースのゲームなどもテンキーを使わず十字キーで操作できるようになる。
また、ページサイズを100KBから500KBまで拡大したことで、より表現力のあるコンテンツを閲覧できるようになった。さらに、ページ内でそのまま動画を再生することができ、JavaScriptにも対応する。
フルブラウザー並みの機能が搭載されているが、現状はまだiモードブラウザーとは別にフルブラウザーが搭載されている。料金体系も当然異なり、iモードブラウザーのみであれば上限は4410円、フルブラウザーを使えば上限5985円である。
ユーザーの立場からすれば、iモードの可能性がさらに広がり、上限5985円のフルブラウザーを使わなくてもリッチなコンテンツを楽しめるようになるのは歓迎すべき進歩だ。
今後は優れた課金プラットフォームと、表現力の高いブラウザーが組み合わさることで、PCの世界では実現できなかったコンテンツの世界がiモード上に参入してくることも考えられるだろう。新たなiモードコンテンツ市場が創出されることに期待したい。
■コンテンツへの動線が重要
音声通話収入が落ち込むなか、2010年に導入される次世代規格LTEを目前にして、携帯各社はコンテンツの拡充に全力を挙げている。
例えば、NTTドコモであれば、エイベックスと手を組んだ「BEE TV」であり、ソフトバンクモバイルであれば、「S-1バトル」や「選べるかんたん動画」である。
ただし、いくら優れたコンテンツを用意しても、そこまでの動線が使いやすく分かりやすいものでなければ、視聴してもらえない。今回、ソフトバンクモバイルはユーザーを誘導するのに「メール」に目をつけ、NTTドコモはブラウザーを進化させてきた。
iPhoneを使っていて「快適」だと感じてネットに頻繁にアクセスするのは、「Safari」というブラウザーが使いやすいからだ。そういった意味でもiモードブラウザーの進化は注目に値する。
■端末の拡販がドコモの使命
ただ気がかりなのは、端末の買い換え需要が冷え込み、新しいブラウザーを搭載したモデルが急速には普及しそうにない点だ。コンテンツプロバイダー関係者の多くが「機能が強化されても、普及するのに2年以上かかる。ビジネスが立ち上がるまで我慢が必要」と実情を語る。
数年前であれば、一気に端末が売れて、新しいコンテンツが大量に流通する状況を期待できた。しかし、最近は端末の売れ行きが落ちたことで、コンテンツ市場の活性化にもブレーキがかかっている。
端末が売れないのは、メーカーだけに関わる問題ではない。コンテンツプロバイダーにとっても厳しい時代になってしまったのだ。
今後、新たなコンテンツが盛り上がっていくかどうかは、新iモードブラウザーの普及具合がカギを握る。そういった意味でも、ドコモはできるだけ多くの新製品を早期に売りまくらなくてはならないのだ。
1世帯あたり平均所得556.2万円 07年、19年ぶり低水準に
厚生労働省が21日発表した国民生活基礎調査によると、2007年の1世帯あたりの平均所得額は前年比1.9%減の556万2000円と1988年以来19年ぶりの低水準となった。コスト削減を目的に企業が非正規社員の比重を増やしたことで所得水準が低下。高齢者などの単身世帯の増加も世帯あたりの平均値を押し下げた。
調査は無作為抽出した全国の世帯を対象に、08年6月と7月に実施した。08年は秋に生じた金融危機以降、世界的に景気後退が鮮明となり、雇用情勢が悪化。世帯の平均所得はさらに落ち込んでいる可能性が高い。
1世帯あたりの平均所得は1994年の664万円がピーク。これ以降はほぼ減少傾向にあり、07年までに16%減った。企業のコスト意識を反映し、賃金水準が相対的に低い非正規社員の割合は足元で労働者全体の3割を突破。働く人1人あたりの所得は07年に313万2000円と過去最低となった。
政府・政投銀、4兆円の緊急融資枠 官民折半、資金繰り支援
政府と日本政策投資銀行は6月にも、中堅・大企業向けに民間金融機関と貸出額を原則折半する新たな緊急融資制度を導入する方針を固めた。政投銀との協調で民間金融機関が融資を手掛けやすくする一方、公的融資にリスクが過度に集中することを避ける狙い。政投銀が追加経済対策で決まった危機対応融資枠15兆円の中から2兆円、民間が2兆円の最大4兆円規模の資金枠を想定する。企業の資金繰りは引き続き楽観しにくい状況にあり、政府は企業金融支援に万全を期す。
企業倒産の増加などで銀行の不良債権は高水準で推移しており、民間金融機関の融資姿勢は慎重さが目立つ。政府は融資額の原則半分を政投銀が負担することで民間の貸し出し意欲を引き出し、企業にお金を円滑に回す必要があると判断した。
日経社説 「アジア内需」に日本はどう貢献するか(5/22)
世界的な経済危機の克服に当たって、21世紀の成長センターといわれるアジアの存在は大きい。麻生太郎首相は21日の演説で「アジア内需」の拡大を訴えたが、日本は主導的役割を果たせるのか。突きつけられている課題と責任は重い。
首相は「経済危機を超え、再び飛躍するアジアへ」と題し、これまで輸出主導型だったアジア経済を内需主導型へと変えていくべきだと強調した。これにはアジア各国・地域も異論はないだろう。
首相は先月、東アジア地域の経済規模を2020年までに現在より倍増する「アジア経済倍増構想」を発表している。池田勇人元首相が1960年代に提唱した「国民所得倍増計画」のいわばアジア版だ。実現には自国の内需だけでなく、輸出先も含めたアジア域内全体の内需拡大が欠かせない。
首相は演説で「各国が内需拡大に足並みをそろえることが極めて大切だ」と述べた。まず日本が率先垂範することが求められる。
15兆円を超す過去最大規模の追加経済対策を受けた2009年度補正予算案は参院で審議中だ。財政出動は必要だが、ばらまきにつながりかねない歳出は日本の成長力強化には寄与しない。規制緩和など構造改革も並行して進める必要がある。
一方、アジア各国・地域から輸入に加え人材も受け入れなければなるまい。農産物の市場開放などには痛みも伴うが、避けては通れない。
首相はアジア金融市場の安定・発展に関連して「危機の際に、各国に『円』を融通できるようにする」と表明した。日本政府が外貨不足に陥った国に日本円を緊急に貸し出すものだが、「円の国際化」を意識した発言ともいえる。
アジアでは中国が東南アジア諸国連合(ASEAN)など近隣国・地域との貿易取引について人民元建てでの決済を促している。「人民元通貨圏」を視野に入れた動きだ。
中国は国内総生産(GDP)で米国、日本に次ぐ世界3位の経済大国だ。1、2年内には日本を抜く公算が大きい。だが、人民元の国際化は日本円以上にハードルが高い。
首相はタイ、ベトナムなどメコン川流域5カ国の首脳を招き、年内に初めての「日メコン首脳会議」を開催することも明らかにした。中国と国境を接するメコン川流域諸国は地政学的にも重要である。
日本はアジア各国・地域との連携や信頼を強め、アジア内需拡大への構想力を示すことが大事だ。それが日本経済の再生にもつながる。
パナソニックモバイル、KDDIへの夏商戦向け携帯電話端末の供給中止
日刊工業新聞社の報道によると、パナソニックの携帯電話部門であるパナソニックモバイルがKDDI対して2009年夏商戦向けのau携帯電話端末を供給しないことを明らかにした。
これは同じ通信規格を採用しているNTTドコモやソフトバンクモバイルに対して、KDDIの採用する通信規格は独自性が強いため、端末メーカーにとって開発費用が別途必要になり、高付加価値の製品を提案するのが難しくなっている背景があるためで、夏商戦向けの端末を提案したものの採用は見送りになったとのこと。
なお、秋冬商戦に向けての提案活動は続ける方針であるほか、先日NTTドコモが日本で初めて対応端末を発売することを発表したGoogleの携帯電話OS「Android」を採用した携帯電話端末の 開発を行っているとしてる。
ちなみにパナソニックモバイルのau向け端末のソフトウェアは長らくカシオ日立モバイルコミュニケーションズからのOEM供給を受けており、今年2月に発売された「P001」からソフトウェア、ハードウェアともに自社開発を行っている。
ソニー、部品・素材の調達先を半減 2500社を1200社に
ソニーは20日、部品や素材の調達先を2010年末までに現在の約2500社から1200社に減らす方針を明らかにした。薄型テレビや家庭用ゲーム機などグループごとに分散していた調達機能を一本化。調達先絞り込みで1社当たりの取引量を増やして価格を引き下げ、10年3月期は調達コストを5000億円以上圧縮する。日本の電機各社は景気後退による需要減や低価格化、円高で収益が悪化している。ソニーは調達の効率化で収益回復を急ぐ。
ソニーは4月に新設した調達本部が事業部や子会社に分散していた調達機能を集約し、部品ごとにまとめて発注する体制に切り替える。独立色が強かったゲーム子会社のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の調達機能も集約し、デジタル家電との部品共通化を加速する。
新iPhoneは7月17日発売? ネットにうわさ飛び交う
米Appleは6月のWWDCで新型iPhoneを発表するとみられており、ネットでは新モデルについてさまざまなうわさが飛び交っている。
最新のうわさでは、新iPhoneは7月17日に発売されるという。この情報を伝えたAppleファンサイトappadvice.comは、「Appleと密接な関係がある情報筋」からの情報として、新型iPhoneには有機ELディスプレイが搭載されるとも伝えている。
同サイトが5月19日に伝えたところによれば、新モデルのストレージは32Gバイトと16Gバイト。価格は299ドルと199ドルで変わらず。320万画素カメラを搭載し、動画の撮影・編集機能を備える。そのほかFMラジオ、コンパス機能も付いている。バッテリー駆動時間は1.5倍に、RAMとCPU処理能力は2倍になる。本体の縁の金属バンドをやめ、背面にはゴムを使用して握りやすくし、また背面のAppleロゴが光るという。カメラとGPS、コンパス、Google Mapsが連動するようにもなると同サイトは伝えている。
さらに20日には、有名なApple系うわさサイトAppleInsiderが、新モデルには旭化成の方位センサーを使ったコンパス機能が搭載されるという記事を掲載した。
4月のeWEEKの記事では、新iPhoneは動画撮影に対応し、802.11nをサポートすると伝えられている。ハイエンド版と、動画機能のないローエンド版が登場するとも言われている。
じぶん銀行が外貨預金サービス、携帯で開設可能に
じぶん銀行は、5月21日より外貨預金サービスの提供を開始した。普通預金口座があれば、携帯電話からすぐに外貨預金口座を開設できる。
今回のサービスが利用できるのは、じぶん銀行の円普通預金口座を持つ20歳以上のユーザー。手数料は、米ドルやユーロの場合は1回25銭、豪ドルは1回50銭となる。取扱時間は月曜7時~土曜7時(米国東海岸がサマータイムの時期は土曜6時まで)。あらかじめ、指定した為替レートになると通知してくれる「ターゲットメール」機能も用意され、通知を受けてそのまま携帯電話で外貨取引することもできる。金融商品取引法で求められる説明は、ユーザーに書面で通知される。
KDDIと三菱東京UFJ銀行によって設立されたじぶん銀行は、個人向け金融サービスを提供しており、既に50万口座が開設されている。auユーザー同士であれば、電話番号を宛先として送金できる機能が利用できるほか、ローンサービス(じぶんローン)なども提供されている。同行では、「携帯電話で完結する外貨預金サービスは、当行が初めて」としており、他の金融機関にはないサービスとしている。
北米の少女漫画誌を休刊=小学館・集英社の共同出資会社
【ロサンゼルス20日時事】小学館と集英社が共同出資している漫画出版社ビズメディア(本社サンフランシスコ)は20日までに、北米向け少女漫画月刊誌「Shojo Beat(少女ビート)」を来月16日発売号で休刊すると発表した。米景気低迷に伴う広告減収が響き、今後はインターネット有料配信やアニメ制作などに経営資源を振り向けるとしている。
少女ビートは北米初の本格派少女漫画誌の触れ込みで2005年に創刊。「NANA(ナナ)」「ハチミツとクローバー」など日本の人気作を英語版で連載し、発行部数は5万部前後で推移していたが、出版コスト上昇に伴い、「認知されていなかった少女向け市場開拓に一定の役割を果たした」(関係者)と判断した。
pixiv、90万会員突破 増加ペース加速
ピクシブは5月20日付けで、イラストSNS「pixiv」の会員数が90万人を突破したと発表した。今年3月に70万会員を突破後、約40日で80万会員に到達。さらに約20日で10万人増えるなど増加ペースは加速しており、100万人の大台突破も近そうだ。
同社の片桐孝憲社長によると、特にここ1週間の会員数の伸びが大きく、従来の約3~5割増しだったという。pixivは10代のユーザーも多く、「もしかしたら新型インフルエンザで休校中の学生が使い始めたからかもしれない」と片桐社長は推測している。
月間ページビューは約6億9000万、投稿されたイラスト総数は約430万枚、1日当たりの投稿数は約1万3000枚となっている。
アナログTVでの視聴続行も明記、地デジ移行で答申案
2011年7月の地上デジタル放送(地デジ)の完全移行に向けた情報通信審議会(総務相の諮問機関)の答申案が20日、明らかになった。
完全移行後も、アナログ方式に変換した地デジをケーブルテレビ(CATV)で届け、アナログテレビでの視聴を続けることができる「デジアナ変換」の導入を促進し、国が支援することを初めて明記した。悪質商法を防止する観点から、アンテナ工事のあっせん制度を検討することも盛り込まれた。25日に決定する。
答申案は、デジアナ変換について、完全移行後もアナログテレビを捨てずに、使い続けたいという視聴者の要望に対応できることなどから、「緊急避難措置として導入を促進することが適当」と提言した。導入の最終的な判断は各CATV事業者に委ねるが、実施期間や終了時期については政府が定めることとした。
ゴールドカード「格安」相次ぐ 特典抑え年会費2000―3000円
年会費を従来の3分の1以下に抑えた格安ゴールドカードが相次ぎ登場している。三菱UFJニコスが年2000円のカードを発行したのを機に、オリエントコーポレーションなどが追随。ジェーシービー(JCB)も今年夏に年3000円程度のカードを発行する計画だ。年会費を抑えたい消費者と顧客を増やしたいカード会社の思惑が一致したことが背景にある。
通常のゴールドカードは年1万円以上が標準。これに対し、格安ゴールドは旅行保険や空港の専用ラウンジ利用などのサービスの一部を制限して会費を抑えた。買い物などの利用限度額も通常よりも低い月100万―200万円程度が中心だ。
米経済、安定成長に5―6年 4月のFOMC議事録
【ワシントン=米山雄介】米連邦準備理事会(FRB)が20日公表した議事録によると、金融緩和策の現状維持を決めた4月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、住宅市場の底入れの兆しなど景気悪化ペースの鈍化を指摘する声が目立った。だが長期的には、米経済の安定成長回帰に5、6年かかるとの慎重論がむしろ大勢。FRBは国債購入の増額など追加金融緩和も視野に、柔軟に政策運営する構えだ。
FRBは4月のFOMCで、事実上のゼロ金利を維持。長期国債や住宅ローン担保証券(MBS)を合計1兆7500億ドル買い上げる資金供給策も拡大を見送った。
ただ議事録によると、複数の委員から「景気回復を加速するため、どこかの時点で(国債などの)購入額の増額が必要になるかもしれない」との意見が浮上。最終的に「資産購入の規模やタイミングの調整は、政策効果を見極めてから判断する」ことで一致した。
大日本印刷は出版業界の救世主? 「主婦の友」救済に「ブックオフ」出資(COLUMN)
印刷業界2強の一つ、大日本印刷が出版業界への投資を加速している。書店大手の丸善、図書館流通センター、ジュンク堂書店を2008年相次いで子会社化したのに続き、2009年5月には女性雑誌の老舗、主婦の友の株式約39%を取得し筆頭株主に。さらに、古書販売チェーンの「ブックオフ」を展開するブックオフコーポレーションに講談社、集英社、小学館の出版大手3社を巻き込んで出資することも決めた。
創業の原点を自らテコ入れ
大日本印刷の幹部は次のように説明する。
「今のままでは出版印刷は縮小の一途。ここは大日本の創業の原点。そこを自らテコ入れし、電子出版などの新ビジネスも着実に獲得していく」
1876年創立の大日本は出版や紙幣などの紙印刷を主体に成長してきた。しかし、90年代以降、インターネットの普及にともなう出版市場の地盤沈下が続き、「携帯小説」や「電子辞書」に代表される電子出版への対応を強化した。液晶パネル部材などにも力を入れ、大手電機メーカー、シャープなどとの取引を増やしてきた。ところが08年後半以降、電子事業が急速に失速。09年3月期の連結決算は、同部門の製造設備の減損処理が重荷になり、上場以来の最終赤字の可能性も指摘される。
そこで取りざたされるのが、出版という原点への回帰だ。
08年の書籍と雑誌を合わせた出版物全体の販売額は前年比3.2%減の約2兆177億円(出版科学研究所調べ)。09年1~3月期は前年同期比4.0%減に落ち込んでおり、3月は書籍返品率も32.6%と、前年より1.8ポイント増。高い返品率が出版社の収益悪化の要因となっていることが分かる。
ブックオフは全国に約1000店舗を展開する。著作権の扱いがあいまいな中古本の大規模な取り継ぎ業務のほか、出版社が売れ残った新書の再販価格指定を解いて市場に流す「自由価格本」の取り扱いで業容を拡大してきた。再販価格の守りたい講談社など出版界の正統派にとっては「目の上のこぶ」のような存在だった。
異端児ブックオフを容認する
今回、大日本の呼び掛けで、出版大手3社がそろって出資することを決めたのは、出版業界が異端児を容認する姿勢に転換したことを意味する。中古本販売の際に著作権料を著作権者に支払わず、「タダ乗り」と糾弾してきたブックオフを、逆に中古本や自由価格本をめぐる著作権料支払いの新たな制度づくりの土俵に乗せ、出版業界全体の底上げにつなげたほうがいいのではないか――。大日本はそこに目をつけ、出版大手を説得したということだ。
主婦の友への出資では、すでに同社の婦人向け雑誌の企画・編集ノウハウを活用した電子端末向けソフトの開発に取り組む方向を示唆。大手書店の丸善、ジュンク堂などの店頭では、ICタグを使った在庫管理の徹底なども進めている。丸善の一部店舗では大型のタッチパネルを設置し、新刊や人気書籍ランキング、関連映画などの情報を動画で紹介するサービスも始めた。潤沢な資金で出版業界に新風を吹き込む大日本の戦略は、出版業界の「救世主」になるのか。
日刊工業新聞社の報道によると、パナソニックの携帯電話部門であるパナソニックモバイルがKDDI対して2009年夏商戦向けのau携帯電話端末を供給しないことを明らかにした。
これは同じ通信規格を採用しているNTTドコモやソフトバンクモバイルに対して、KDDIの採用する通信規格は独自性が強いため、端末メーカーにとって開発費用が別途必要になり、高付加価値の製品を提案するのが難しくなっている背景があるためで、夏商戦向けの端末を提案したものの採用は見送りになったとのこと。
なお、秋冬商戦に向けての提案活動は続ける方針であるほか、先日NTTドコモが日本で初めて対応端末を発売することを発表したGoogleの携帯電話OS「Android」を採用した携帯電話端末の 開発を行っているとしてる。
ちなみにパナソニックモバイルのau向け端末のソフトウェアは長らくカシオ日立モバイルコミュニケーションズからのOEM供給を受けており、今年2月に発売された「P001」からソフトウェア、ハードウェアともに自社開発を行っている。
ソニー、部品・素材の調達先を半減 2500社を1200社に
ソニーは20日、部品や素材の調達先を2010年末までに現在の約2500社から1200社に減らす方針を明らかにした。薄型テレビや家庭用ゲーム機などグループごとに分散していた調達機能を一本化。調達先絞り込みで1社当たりの取引量を増やして価格を引き下げ、10年3月期は調達コストを5000億円以上圧縮する。日本の電機各社は景気後退による需要減や低価格化、円高で収益が悪化している。ソニーは調達の効率化で収益回復を急ぐ。
ソニーは4月に新設した調達本部が事業部や子会社に分散していた調達機能を集約し、部品ごとにまとめて発注する体制に切り替える。独立色が強かったゲーム子会社のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の調達機能も集約し、デジタル家電との部品共通化を加速する。
新iPhoneは7月17日発売? ネットにうわさ飛び交う
米Appleは6月のWWDCで新型iPhoneを発表するとみられており、ネットでは新モデルについてさまざまなうわさが飛び交っている。
最新のうわさでは、新iPhoneは7月17日に発売されるという。この情報を伝えたAppleファンサイトappadvice.comは、「Appleと密接な関係がある情報筋」からの情報として、新型iPhoneには有機ELディスプレイが搭載されるとも伝えている。
同サイトが5月19日に伝えたところによれば、新モデルのストレージは32Gバイトと16Gバイト。価格は299ドルと199ドルで変わらず。320万画素カメラを搭載し、動画の撮影・編集機能を備える。そのほかFMラジオ、コンパス機能も付いている。バッテリー駆動時間は1.5倍に、RAMとCPU処理能力は2倍になる。本体の縁の金属バンドをやめ、背面にはゴムを使用して握りやすくし、また背面のAppleロゴが光るという。カメラとGPS、コンパス、Google Mapsが連動するようにもなると同サイトは伝えている。
さらに20日には、有名なApple系うわさサイトAppleInsiderが、新モデルには旭化成の方位センサーを使ったコンパス機能が搭載されるという記事を掲載した。
4月のeWEEKの記事では、新iPhoneは動画撮影に対応し、802.11nをサポートすると伝えられている。ハイエンド版と、動画機能のないローエンド版が登場するとも言われている。
じぶん銀行が外貨預金サービス、携帯で開設可能に
じぶん銀行は、5月21日より外貨預金サービスの提供を開始した。普通預金口座があれば、携帯電話からすぐに外貨預金口座を開設できる。
今回のサービスが利用できるのは、じぶん銀行の円普通預金口座を持つ20歳以上のユーザー。手数料は、米ドルやユーロの場合は1回25銭、豪ドルは1回50銭となる。取扱時間は月曜7時~土曜7時(米国東海岸がサマータイムの時期は土曜6時まで)。あらかじめ、指定した為替レートになると通知してくれる「ターゲットメール」機能も用意され、通知を受けてそのまま携帯電話で外貨取引することもできる。金融商品取引法で求められる説明は、ユーザーに書面で通知される。
KDDIと三菱東京UFJ銀行によって設立されたじぶん銀行は、個人向け金融サービスを提供しており、既に50万口座が開設されている。auユーザー同士であれば、電話番号を宛先として送金できる機能が利用できるほか、ローンサービス(じぶんローン)なども提供されている。同行では、「携帯電話で完結する外貨預金サービスは、当行が初めて」としており、他の金融機関にはないサービスとしている。
北米の少女漫画誌を休刊=小学館・集英社の共同出資会社
【ロサンゼルス20日時事】小学館と集英社が共同出資している漫画出版社ビズメディア(本社サンフランシスコ)は20日までに、北米向け少女漫画月刊誌「Shojo Beat(少女ビート)」を来月16日発売号で休刊すると発表した。米景気低迷に伴う広告減収が響き、今後はインターネット有料配信やアニメ制作などに経営資源を振り向けるとしている。
少女ビートは北米初の本格派少女漫画誌の触れ込みで2005年に創刊。「NANA(ナナ)」「ハチミツとクローバー」など日本の人気作を英語版で連載し、発行部数は5万部前後で推移していたが、出版コスト上昇に伴い、「認知されていなかった少女向け市場開拓に一定の役割を果たした」(関係者)と判断した。
pixiv、90万会員突破 増加ペース加速
ピクシブは5月20日付けで、イラストSNS「pixiv」の会員数が90万人を突破したと発表した。今年3月に70万会員を突破後、約40日で80万会員に到達。さらに約20日で10万人増えるなど増加ペースは加速しており、100万人の大台突破も近そうだ。
同社の片桐孝憲社長によると、特にここ1週間の会員数の伸びが大きく、従来の約3~5割増しだったという。pixivは10代のユーザーも多く、「もしかしたら新型インフルエンザで休校中の学生が使い始めたからかもしれない」と片桐社長は推測している。
月間ページビューは約6億9000万、投稿されたイラスト総数は約430万枚、1日当たりの投稿数は約1万3000枚となっている。
アナログTVでの視聴続行も明記、地デジ移行で答申案
2011年7月の地上デジタル放送(地デジ)の完全移行に向けた情報通信審議会(総務相の諮問機関)の答申案が20日、明らかになった。
完全移行後も、アナログ方式に変換した地デジをケーブルテレビ(CATV)で届け、アナログテレビでの視聴を続けることができる「デジアナ変換」の導入を促進し、国が支援することを初めて明記した。悪質商法を防止する観点から、アンテナ工事のあっせん制度を検討することも盛り込まれた。25日に決定する。
答申案は、デジアナ変換について、完全移行後もアナログテレビを捨てずに、使い続けたいという視聴者の要望に対応できることなどから、「緊急避難措置として導入を促進することが適当」と提言した。導入の最終的な判断は各CATV事業者に委ねるが、実施期間や終了時期については政府が定めることとした。
ゴールドカード「格安」相次ぐ 特典抑え年会費2000―3000円
年会費を従来の3分の1以下に抑えた格安ゴールドカードが相次ぎ登場している。三菱UFJニコスが年2000円のカードを発行したのを機に、オリエントコーポレーションなどが追随。ジェーシービー(JCB)も今年夏に年3000円程度のカードを発行する計画だ。年会費を抑えたい消費者と顧客を増やしたいカード会社の思惑が一致したことが背景にある。
通常のゴールドカードは年1万円以上が標準。これに対し、格安ゴールドは旅行保険や空港の専用ラウンジ利用などのサービスの一部を制限して会費を抑えた。買い物などの利用限度額も通常よりも低い月100万―200万円程度が中心だ。
米経済、安定成長に5―6年 4月のFOMC議事録
【ワシントン=米山雄介】米連邦準備理事会(FRB)が20日公表した議事録によると、金融緩和策の現状維持を決めた4月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、住宅市場の底入れの兆しなど景気悪化ペースの鈍化を指摘する声が目立った。だが長期的には、米経済の安定成長回帰に5、6年かかるとの慎重論がむしろ大勢。FRBは国債購入の増額など追加金融緩和も視野に、柔軟に政策運営する構えだ。
FRBは4月のFOMCで、事実上のゼロ金利を維持。長期国債や住宅ローン担保証券(MBS)を合計1兆7500億ドル買い上げる資金供給策も拡大を見送った。
ただ議事録によると、複数の委員から「景気回復を加速するため、どこかの時点で(国債などの)購入額の増額が必要になるかもしれない」との意見が浮上。最終的に「資産購入の規模やタイミングの調整は、政策効果を見極めてから判断する」ことで一致した。
大日本印刷は出版業界の救世主? 「主婦の友」救済に「ブックオフ」出資(COLUMN)
印刷業界2強の一つ、大日本印刷が出版業界への投資を加速している。書店大手の丸善、図書館流通センター、ジュンク堂書店を2008年相次いで子会社化したのに続き、2009年5月には女性雑誌の老舗、主婦の友の株式約39%を取得し筆頭株主に。さらに、古書販売チェーンの「ブックオフ」を展開するブックオフコーポレーションに講談社、集英社、小学館の出版大手3社を巻き込んで出資することも決めた。
創業の原点を自らテコ入れ
大日本印刷の幹部は次のように説明する。
「今のままでは出版印刷は縮小の一途。ここは大日本の創業の原点。そこを自らテコ入れし、電子出版などの新ビジネスも着実に獲得していく」
1876年創立の大日本は出版や紙幣などの紙印刷を主体に成長してきた。しかし、90年代以降、インターネットの普及にともなう出版市場の地盤沈下が続き、「携帯小説」や「電子辞書」に代表される電子出版への対応を強化した。液晶パネル部材などにも力を入れ、大手電機メーカー、シャープなどとの取引を増やしてきた。ところが08年後半以降、電子事業が急速に失速。09年3月期の連結決算は、同部門の製造設備の減損処理が重荷になり、上場以来の最終赤字の可能性も指摘される。
そこで取りざたされるのが、出版という原点への回帰だ。
08年の書籍と雑誌を合わせた出版物全体の販売額は前年比3.2%減の約2兆177億円(出版科学研究所調べ)。09年1~3月期は前年同期比4.0%減に落ち込んでおり、3月は書籍返品率も32.6%と、前年より1.8ポイント増。高い返品率が出版社の収益悪化の要因となっていることが分かる。
ブックオフは全国に約1000店舗を展開する。著作権の扱いがあいまいな中古本の大規模な取り継ぎ業務のほか、出版社が売れ残った新書の再販価格指定を解いて市場に流す「自由価格本」の取り扱いで業容を拡大してきた。再販価格の守りたい講談社など出版界の正統派にとっては「目の上のこぶ」のような存在だった。
異端児ブックオフを容認する
今回、大日本の呼び掛けで、出版大手3社がそろって出資することを決めたのは、出版業界が異端児を容認する姿勢に転換したことを意味する。中古本販売の際に著作権料を著作権者に支払わず、「タダ乗り」と糾弾してきたブックオフを、逆に中古本や自由価格本をめぐる著作権料支払いの新たな制度づくりの土俵に乗せ、出版業界全体の底上げにつなげたほうがいいのではないか――。大日本はそこに目をつけ、出版大手を説得したということだ。
主婦の友への出資では、すでに同社の婦人向け雑誌の企画・編集ノウハウを活用した電子端末向けソフトの開発に取り組む方向を示唆。大手書店の丸善、ジュンク堂などの店頭では、ICタグを使った在庫管理の徹底なども進めている。丸善の一部店舗では大型のタッチパネルを設置し、新刊や人気書籍ランキング、関連映画などの情報を動画で紹介するサービスも始めた。潤沢な資金で出版業界に新風を吹き込む大日本の戦略は、出版業界の「救世主」になるのか。