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携帯などの「組み込みソフト」、開発費の49%に 経産省調べ
自動車や携帯電話機に製造段階で搭載される「組み込みソフトウエア」の開発費が、2009年に機器全体の開発費の49.0%に達する見込みであることが経済産業省の調べでわかった。04年の調査に比べ、開発費全体に占める比率は12.7ポイント上昇した。機器の高度化に伴い、企業のソフト開発の負担が加速度的に増えている。
自動車、電機メーカーやソフト開発会社など約300社を対象に09年1~2月に調査した。組み込みソフトの開発費の絶対額の合計も4兆2100億円と04年の2倍近くに増加。自動車のエンジン制御の電子化などで、機器に搭載される組み込みソフトの開発費が膨らんでいる。
新作「1Q84」オウム裁判が出発点…村上春樹さん語る
7年ぶりに新作長編「1Q84」を発表、話題を呼んでいる作家の村上春樹氏(60)が今月上旬、読売新聞の取材に東京都内で応じ、「オウム裁判の傍聴に10年以上通い、死刑囚になった元信者の心境を想像し続けた。
それが作品の出発点になった」などの思いを明かした。今回の小説を刊行後、村上氏がインタビューに答えたのは初めて。
オウム事件について村上氏は、「現代社会における『倫理』とは何かという、大きな問題をわれわれに突きつけた」とし、この事件にかかわることは、犯罪の被害者と加害者という「両サイドの視点から現代の状況を洗い直すことでもあった」と語った。また、「僕らの世代が1960年代後半以降、どのような道をたどってきたか。同時代の精神史を書き残す意図もあった」と述べた。
こうした社会的な問題意識を背景とする本作は、長い年月、互いに思い続ける30歳の男女を軸にした大胆なストーリー展開で読者を引きつけ、1巻が62万部、2巻が54万部の計116万部(15日現在)。版元の新潮社によると、購買者は30代以下が過半数を占める。
村上氏は、「大事なのは売れる数でなく、届き方だ」と強調し、「作家の役割とは、原理主義やある種の神話性に対抗する物語を立ち上げていくことだと考えている」「インターネットで『意見』があふれ返っている時代だからこそ、『物語』は余計に力を持たなくてはならない」などと持論を述べた。1・2巻で描かれるのは「1Q84」年の半年分。続編を期待する声が早くも上がるが、「この後どうするかということは、ゆっくり考えていきたい」と答えた。
「ノルウェイの森」などの小説が英語や中国語、ロシア語など40言語以上に翻訳されている村上氏は「今後、欧米と東アジア間の差は縮まり、文化的なやりとりは一層盛んになる」として、「僕が日本から発信できるメッセージは必ずあると思う」と力強く語った。
社債発行、11年ぶり高水準 09年上期は6兆円、金融不安が後退
企業の資金調達手段の柱の一つである普通社債の発行が急増している。トヨタ自動車、ホンダ、ソニーなど大企業の起債が相次ぎ、2009年上期(1~6月)の国内発行額の合計は6兆円超と、半期ベースでは11年ぶりの高水準となる見通しだ。金融不安の後退で機関投資家の社債購入意欲が回復した。主要各国が財政支出を伴う景気対策に乗り出し、長期金利の上昇懸念が台頭する中で、調達コストが有利なうちに長期資金を前倒しで確保する動きが広がっている。
昨年9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻でまひしていた資本市場の機能がリスクマネーの回帰で正常化に近づいた。日本企業は景気回復後も見据え、成長のための資金手当てに乗り出している。
株主総会、業績悪化に厳しい視線 企業は事前説明に奔走
3月期決算企業の株主総会が6月末にかけて開かれる。上場企業の2009年3月期決算は7年ぶりの最終赤字に陥った。金融危機の余波でいわゆる「もの言う株主」の外資系投資ファンドの退潮が鮮明だが、国内の個人株主や機関投資家の視線はむしろ厳しくなってきた。業績悪化や減配を背景に、役員選任議案などで反対票が膨らむ可能性もあり、会社側の緊張感は高まっている。
「役員選任の賛否を決める際に、どんな業績基準をお持ちですか」。NECは22日の総会を前に、国内の主要機関投資家を個別に訪問し、議案内容について議決権行使の担当者と意見交換し始めた。前期は2966億円の最終赤字で6期ぶりの無配転落となった。業績が悪化した企業は反対票が増えるのではと危機感を募らせる。
中国の閲覧規制ソフト義務付け、ネット掲示板に批判殺到
【北京=寺村暁人】中国政府が7月から、国内で販売するパソコンに特定のサイトの閲覧を規制するソフト搭載を義務づけることに対し、中国の国内から批判の声が高まっている。
中国のインターネット掲示板では「人権侵害だ」「導入の経緯が不透明だ」などといった書き込みが殺到している。批判的な意見はすぐに削除されるが、新たな書き込みは減っていない。
共産党機関紙・人民日報のサイトが実施しているネットアンケートでも、15日夕方までに参加した636万人のうち76・0%が反対している。政府が閲覧規制ソフトのメーカーに4170万元(約6億円)を支払うことにも、98・5%が「高すぎ。必ず腐敗がある」との回答を選択している。
また、閲覧規制ソフトについては、15日付の中国紙・北京日報が「欠陥があり、搭載したパソコンはハッカーによる攻撃を受ける可能性がある」と、ソフトの使用をやめるよう呼びかける記事を掲載。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)などは、米国のソフト会社が自社製のソフトを盗用したものと主張し、パソコンメーカーに出荷差し止めを請求する考えを示していると報じている。
低所得・子育て世帯に給付金と減税を…政府安心会議が報告書
政府の安心社会実現会議(座長・成田豊電通最高顧問)は15日、首相官邸で会合を開き、「安心と活力の日本へ」と題した報告書を麻生首相に提出した。
2011年までに実施する緊急政策として、低所得世帯や子育て世帯を給付金と減税で支援する「給付付き税額控除」など10項目を提言。安心社会実現の財源について討議する与野党の「円卓会議」設置を提唱した。
首相は会合で、「報告書を基にして(政策を)実行に移していかなければならない。野党とも合意を作っていくことが必要だ」と述べた。首相は報告書の内容を、23日に決定する政府の「経済財政改革の基本方針(骨太の方針)2009」や、自民党の次期衆院選マニフェスト(政権公約)に反映させたい考えだ。
報告書では、高齢者支援中心の社会保障を、働く低所得世帯や子育て世代の支援にも拡充し、「切れ目のない安心保障」の構築を目指すとし、「雇用」「子育て」「教育」「医療」「介護」の5分野の連携が必要だとした。緊急施策10項目には給付付き税額控除の創設のほか、非正規労働者への社会保険・労働保健の適用拡大、社会保障番号と納税者番号の役割を合わせた「安心保障番号・カード」の導入などを挙げた。また、「改革に取り組むための行政組織の再編・人的資源の再配分」も盛り込んだ。首相は一時、厚生労働省の分割の検討を指示した経緯があるが、政府・与党内からの反発に配慮し、こうした表現にとどまった。
総務省が放送業務も審査? 民放連からは「内容に行政が関与」懸念も
通信・放送関連の法体系の見直しを審議している総務省の検討委員会(座長・長谷部恭男東大教授)は15日、地上波の民間テレビ局などに放送免許を交付したり更新したりする際に、放送会社の財務基盤など放送業務を審査する「認定制」の導入を求めた答申案をまとめた。
これまでは放送設備を中心とする審査だったが、設備と放送業務をそれぞれ審査する仕組みに変更する。衛星放送などには適用されている。民放連などは「放送の内容について行政の関与が強まる可能性がある」と懸念を表明しており、通信と放送の融合をめぐる争点になりそうだ。
総務省は電波法に基づき、5年ごとに民間テレビ局の放送免許を更新している。検討委はテレビ、ラジオなど事業別になっている通信、放送関連の法律の枠組みを見直すために設置された。答申案に対する意見を公募し、総務省の情報通信審議会に報告する。
米景気「回復後も低成長」 市場で見方、住宅・消費重しに
【ニューヨーク=財満大介】米市場関係者の間で、米景気が年内に底入れするとしてもV字型の急回復は見込めず、かなり緩慢な回復になるのではないかとの見方が広がってきた。住宅バブルの崩壊や過剰消費の見直しなどの構造問題の調整に時間を要するためだ。米景気の悪化ペースは緩やかになってきたが、先行きには日本が1990年代以降に経験したような低成長が続く懸念もある。
オバマ政権は2010年度の予算教書で、成長率が09年後半にプラスに転じ、同年末までに年率3.5%成長に回復すると予測。この堅調な成長ペースが翌年に年間を通して続くとする強気の見通しを公表している。
米映画週末の興行ランキング 1位は「ザ・ハングオーバー」
【ニューヨーク=西邨紘子】米調査会社ボックス・オフィス・モジョが発表した先週末(6月12~14日)の米映画興行ランキング1位は、米ワーナー・ブラザーズのコメディー「ザ・ハングオーバー」だった。同期間の興行収入(推定)は3300万ドル。米ディズニー傘下ブエナビスタ・ピクチャーズの3Dアニメ「アップ(邦題・カールじいさんの空飛ぶ家)」(同約3000万ドル)が2週連続の2位。
3位はニューヨーク地下鉄ハイジャックをテーマとしたソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントの「ザ・トーキング・オブ・ペルハム123(邦題・サブウェイ123激突)」(同約2500万ドル)。
【産経主張】厚労省局長逮捕 全体像の解明に力尽くせ
障害者団体の定期刊行物に適用される郵便料金割引制度が悪用された事件で、大阪地検特捜部は厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の村木厚子容疑者を逮捕した。
違法ダイレクトメールが端緒となったこの事件では、不正を黙認した日本郵便支店長らが逮捕された(略式起訴済み)。また、実体のない障害者団体が割引制度を利用するのに必要な証明書類を偽造した疑いで、厚労省係長が逮捕されている。村木容疑者は課長時代に、この係長に対して証明書偽造を指示した疑いが持たれている。
日本郵政グループ、厚労省と次々に拡大している不正の舞台は、今後の捜査次第では、さらに発展する可能性もある。村木容疑者も当時の部長(退職)の指示を受けたとされており、この部長には、問題の障害者団体発起人と関係のある国会議員の口利きがあったという。
この障害者団体の証明書は省内では「政治案件」として扱われていたという。政治家の口利きがあると、官僚は手続きを迅速にしたり、経過を頻繁に報告したりすることになる。だが、そうした配慮に違法行為まで含まれているとなると、浮かんでくるのは、政と官のゆがんだ関係である。
捜査当局は全体の構図を国民に明らかにするとともに、病巣をすべて摘出してほしい。
今回の事件は郵便という国民生活に直接かかわる身近な仕組みが舞台となっている。不正に割り引かれた料金分を負担させられるのは、ほかの利用者だ。この事実を忘れてはなるまい。
加えて、障害者福祉という弱者救済のための制度を悪用したことは許し難い。その障害者福祉の根幹を担う厚労省が組織的にかかわっていた。
同省は国民、とりわけ障害者に対する二重の背信行為であることを胸に刻み、自らの手で事件の構造を明らかにする責任がある。
しかし最も重要なのは、政治がどのような姿勢で臨むかだ。国会では、公務員制度改革が盛んに論議され、次期衆院選で政権交代をめざす民主党は、官僚主導政治からの脱却を掲げている。
国会議員と官庁の間の不健全な関係をどのようにして是正してゆくか。癒着の構図を放置していては、国民の不信は募る一方だ。事件の全容解明に政治も意思を示さなければならない。
自動車や携帯電話機に製造段階で搭載される「組み込みソフトウエア」の開発費が、2009年に機器全体の開発費の49.0%に達する見込みであることが経済産業省の調べでわかった。04年の調査に比べ、開発費全体に占める比率は12.7ポイント上昇した。機器の高度化に伴い、企業のソフト開発の負担が加速度的に増えている。
自動車、電機メーカーやソフト開発会社など約300社を対象に09年1~2月に調査した。組み込みソフトの開発費の絶対額の合計も4兆2100億円と04年の2倍近くに増加。自動車のエンジン制御の電子化などで、機器に搭載される組み込みソフトの開発費が膨らんでいる。
新作「1Q84」オウム裁判が出発点…村上春樹さん語る
7年ぶりに新作長編「1Q84」を発表、話題を呼んでいる作家の村上春樹氏(60)が今月上旬、読売新聞の取材に東京都内で応じ、「オウム裁判の傍聴に10年以上通い、死刑囚になった元信者の心境を想像し続けた。
それが作品の出発点になった」などの思いを明かした。今回の小説を刊行後、村上氏がインタビューに答えたのは初めて。
オウム事件について村上氏は、「現代社会における『倫理』とは何かという、大きな問題をわれわれに突きつけた」とし、この事件にかかわることは、犯罪の被害者と加害者という「両サイドの視点から現代の状況を洗い直すことでもあった」と語った。また、「僕らの世代が1960年代後半以降、どのような道をたどってきたか。同時代の精神史を書き残す意図もあった」と述べた。
こうした社会的な問題意識を背景とする本作は、長い年月、互いに思い続ける30歳の男女を軸にした大胆なストーリー展開で読者を引きつけ、1巻が62万部、2巻が54万部の計116万部(15日現在)。版元の新潮社によると、購買者は30代以下が過半数を占める。
村上氏は、「大事なのは売れる数でなく、届き方だ」と強調し、「作家の役割とは、原理主義やある種の神話性に対抗する物語を立ち上げていくことだと考えている」「インターネットで『意見』があふれ返っている時代だからこそ、『物語』は余計に力を持たなくてはならない」などと持論を述べた。1・2巻で描かれるのは「1Q84」年の半年分。続編を期待する声が早くも上がるが、「この後どうするかということは、ゆっくり考えていきたい」と答えた。
「ノルウェイの森」などの小説が英語や中国語、ロシア語など40言語以上に翻訳されている村上氏は「今後、欧米と東アジア間の差は縮まり、文化的なやりとりは一層盛んになる」として、「僕が日本から発信できるメッセージは必ずあると思う」と力強く語った。
社債発行、11年ぶり高水準 09年上期は6兆円、金融不安が後退
企業の資金調達手段の柱の一つである普通社債の発行が急増している。トヨタ自動車、ホンダ、ソニーなど大企業の起債が相次ぎ、2009年上期(1~6月)の国内発行額の合計は6兆円超と、半期ベースでは11年ぶりの高水準となる見通しだ。金融不安の後退で機関投資家の社債購入意欲が回復した。主要各国が財政支出を伴う景気対策に乗り出し、長期金利の上昇懸念が台頭する中で、調達コストが有利なうちに長期資金を前倒しで確保する動きが広がっている。
昨年9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻でまひしていた資本市場の機能がリスクマネーの回帰で正常化に近づいた。日本企業は景気回復後も見据え、成長のための資金手当てに乗り出している。
株主総会、業績悪化に厳しい視線 企業は事前説明に奔走
3月期決算企業の株主総会が6月末にかけて開かれる。上場企業の2009年3月期決算は7年ぶりの最終赤字に陥った。金融危機の余波でいわゆる「もの言う株主」の外資系投資ファンドの退潮が鮮明だが、国内の個人株主や機関投資家の視線はむしろ厳しくなってきた。業績悪化や減配を背景に、役員選任議案などで反対票が膨らむ可能性もあり、会社側の緊張感は高まっている。
「役員選任の賛否を決める際に、どんな業績基準をお持ちですか」。NECは22日の総会を前に、国内の主要機関投資家を個別に訪問し、議案内容について議決権行使の担当者と意見交換し始めた。前期は2966億円の最終赤字で6期ぶりの無配転落となった。業績が悪化した企業は反対票が増えるのではと危機感を募らせる。
中国の閲覧規制ソフト義務付け、ネット掲示板に批判殺到
【北京=寺村暁人】中国政府が7月から、国内で販売するパソコンに特定のサイトの閲覧を規制するソフト搭載を義務づけることに対し、中国の国内から批判の声が高まっている。
中国のインターネット掲示板では「人権侵害だ」「導入の経緯が不透明だ」などといった書き込みが殺到している。批判的な意見はすぐに削除されるが、新たな書き込みは減っていない。
共産党機関紙・人民日報のサイトが実施しているネットアンケートでも、15日夕方までに参加した636万人のうち76・0%が反対している。政府が閲覧規制ソフトのメーカーに4170万元(約6億円)を支払うことにも、98・5%が「高すぎ。必ず腐敗がある」との回答を選択している。
また、閲覧規制ソフトについては、15日付の中国紙・北京日報が「欠陥があり、搭載したパソコンはハッカーによる攻撃を受ける可能性がある」と、ソフトの使用をやめるよう呼びかける記事を掲載。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)などは、米国のソフト会社が自社製のソフトを盗用したものと主張し、パソコンメーカーに出荷差し止めを請求する考えを示していると報じている。
低所得・子育て世帯に給付金と減税を…政府安心会議が報告書
政府の安心社会実現会議(座長・成田豊電通最高顧問)は15日、首相官邸で会合を開き、「安心と活力の日本へ」と題した報告書を麻生首相に提出した。
2011年までに実施する緊急政策として、低所得世帯や子育て世帯を給付金と減税で支援する「給付付き税額控除」など10項目を提言。安心社会実現の財源について討議する与野党の「円卓会議」設置を提唱した。
首相は会合で、「報告書を基にして(政策を)実行に移していかなければならない。野党とも合意を作っていくことが必要だ」と述べた。首相は報告書の内容を、23日に決定する政府の「経済財政改革の基本方針(骨太の方針)2009」や、自民党の次期衆院選マニフェスト(政権公約)に反映させたい考えだ。
報告書では、高齢者支援中心の社会保障を、働く低所得世帯や子育て世代の支援にも拡充し、「切れ目のない安心保障」の構築を目指すとし、「雇用」「子育て」「教育」「医療」「介護」の5分野の連携が必要だとした。緊急施策10項目には給付付き税額控除の創設のほか、非正規労働者への社会保険・労働保健の適用拡大、社会保障番号と納税者番号の役割を合わせた「安心保障番号・カード」の導入などを挙げた。また、「改革に取り組むための行政組織の再編・人的資源の再配分」も盛り込んだ。首相は一時、厚生労働省の分割の検討を指示した経緯があるが、政府・与党内からの反発に配慮し、こうした表現にとどまった。
総務省が放送業務も審査? 民放連からは「内容に行政が関与」懸念も
通信・放送関連の法体系の見直しを審議している総務省の検討委員会(座長・長谷部恭男東大教授)は15日、地上波の民間テレビ局などに放送免許を交付したり更新したりする際に、放送会社の財務基盤など放送業務を審査する「認定制」の導入を求めた答申案をまとめた。
これまでは放送設備を中心とする審査だったが、設備と放送業務をそれぞれ審査する仕組みに変更する。衛星放送などには適用されている。民放連などは「放送の内容について行政の関与が強まる可能性がある」と懸念を表明しており、通信と放送の融合をめぐる争点になりそうだ。
総務省は電波法に基づき、5年ごとに民間テレビ局の放送免許を更新している。検討委はテレビ、ラジオなど事業別になっている通信、放送関連の法律の枠組みを見直すために設置された。答申案に対する意見を公募し、総務省の情報通信審議会に報告する。
米景気「回復後も低成長」 市場で見方、住宅・消費重しに
【ニューヨーク=財満大介】米市場関係者の間で、米景気が年内に底入れするとしてもV字型の急回復は見込めず、かなり緩慢な回復になるのではないかとの見方が広がってきた。住宅バブルの崩壊や過剰消費の見直しなどの構造問題の調整に時間を要するためだ。米景気の悪化ペースは緩やかになってきたが、先行きには日本が1990年代以降に経験したような低成長が続く懸念もある。
オバマ政権は2010年度の予算教書で、成長率が09年後半にプラスに転じ、同年末までに年率3.5%成長に回復すると予測。この堅調な成長ペースが翌年に年間を通して続くとする強気の見通しを公表している。
米映画週末の興行ランキング 1位は「ザ・ハングオーバー」
【ニューヨーク=西邨紘子】米調査会社ボックス・オフィス・モジョが発表した先週末(6月12~14日)の米映画興行ランキング1位は、米ワーナー・ブラザーズのコメディー「ザ・ハングオーバー」だった。同期間の興行収入(推定)は3300万ドル。米ディズニー傘下ブエナビスタ・ピクチャーズの3Dアニメ「アップ(邦題・カールじいさんの空飛ぶ家)」(同約3000万ドル)が2週連続の2位。
3位はニューヨーク地下鉄ハイジャックをテーマとしたソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントの「ザ・トーキング・オブ・ペルハム123(邦題・サブウェイ123激突)」(同約2500万ドル)。
【産経主張】厚労省局長逮捕 全体像の解明に力尽くせ
障害者団体の定期刊行物に適用される郵便料金割引制度が悪用された事件で、大阪地検特捜部は厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の村木厚子容疑者を逮捕した。
違法ダイレクトメールが端緒となったこの事件では、不正を黙認した日本郵便支店長らが逮捕された(略式起訴済み)。また、実体のない障害者団体が割引制度を利用するのに必要な証明書類を偽造した疑いで、厚労省係長が逮捕されている。村木容疑者は課長時代に、この係長に対して証明書偽造を指示した疑いが持たれている。
日本郵政グループ、厚労省と次々に拡大している不正の舞台は、今後の捜査次第では、さらに発展する可能性もある。村木容疑者も当時の部長(退職)の指示を受けたとされており、この部長には、問題の障害者団体発起人と関係のある国会議員の口利きがあったという。
この障害者団体の証明書は省内では「政治案件」として扱われていたという。政治家の口利きがあると、官僚は手続きを迅速にしたり、経過を頻繁に報告したりすることになる。だが、そうした配慮に違法行為まで含まれているとなると、浮かんでくるのは、政と官のゆがんだ関係である。
捜査当局は全体の構図を国民に明らかにするとともに、病巣をすべて摘出してほしい。
今回の事件は郵便という国民生活に直接かかわる身近な仕組みが舞台となっている。不正に割り引かれた料金分を負担させられるのは、ほかの利用者だ。この事実を忘れてはなるまい。
加えて、障害者福祉という弱者救済のための制度を悪用したことは許し難い。その障害者福祉の根幹を担う厚労省が組織的にかかわっていた。
同省は国民、とりわけ障害者に対する二重の背信行為であることを胸に刻み、自らの手で事件の構造を明らかにする責任がある。
しかし最も重要なのは、政治がどのような姿勢で臨むかだ。国会では、公務員制度改革が盛んに論議され、次期衆院選で政権交代をめざす民主党は、官僚主導政治からの脱却を掲げている。
国会議員と官庁の間の不健全な関係をどのようにして是正してゆくか。癒着の構図を放置していては、国民の不信は募る一方だ。事件の全容解明に政治も意思を示さなければならない。
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ドコモのFOMA、5000万契約を突破
NTTドコモは、FOMAサービスの契約数が6月11日付けで5000万契約を突破したと発表した。商用サービス開始から約7年9カ月での達成となった。
第1世代のアナログ携帯電話、第2世代のデジタル(PDC方式)携帯電話の「ムーバ(mova)」に続き、第3世代携帯電話(W-CDMA方式)「FOMA」は、2001年10月1日より商用サービスがスタートした。開始から1年後の2002年度には目標販売数を下方修正するなど、当初は契約数が伸び悩んでいたものの、エリア拡充やムーバより安価なパケット料金などによって、徐々に利用が進み、2003年9月30日付けで100万契約を突破した。
その後、900シリーズなどが登場し、2005年2月21日に1000万契約、2005年12月29日に2000万契約、2006年11月4日に3000万契約、2007年9月29日に4000万契約に達した。2006年6月18日には、ドコモ契約数のうち半数がFOMAという状況になった。現在では、FOMAの契約数が全体の91%を占めている。
初音ミク:営業「痛車」が誕生 セガ、ゲームPRでアキバに投入
セガは秋葉原を中心に東京都内を走る営業車に、音楽ソフト「初音ミク」を描いた「営業痛車」を投入することを決めた。11日、埼玉県狭山市で製作現場が公開された。
「営業痛車」は、PSP用ゲーム「初音ミク プロジェクト ディーヴァ」のプロモーションの一環で開発や営業からの希望で製作が決まった。「トヨタ・カローラフィールダー」のフロント部にゲームのパッケージイラストをあしらい、サイドに、初音ミクのデフォルメキャラクター「はちゅねミク」や「SEGA」のロゴが描かれた。早ければ15日ごろから東京・秋葉原を中心に実際の営業で使用される。
ゲームは、キャラクターの「初音ミク」がさまざまな楽曲に合わせて踊る音楽ゲーム。一定条件を満たすとミクの衣装が手に入るなどの機能もある。7月2日、6090円で発売される予定。
鳩山氏更迭「適切ではない」56% 世論調査、内閣支持率も低下
日本経済新聞社とテレビ東京が13、14両日に共同で実施した世論調査で、麻生内閣の支持率は5月の前回調査を5ポイント下回る25%となった。不支持率は65%で3ポイント上昇した。日本郵政の西川善文社長の再任問題を巡って麻生太郎首相が鳩山邦夫前総務相を更迭した判断に関しては「適切ではなかった」が56%となり、「適切だった」の24%を大きく上回った。
内閣支持率は3月以来、3カ月ぶりに30%を割り込み、再び政権維持の危険水準とされる領域に入った。内閣を支持しない理由(複数回答)は「指導力がない」が18ポイント上昇し、62%で最も多かった。鳩山前総務相を巡る混乱などが影響したとみられる。次いで「政策が悪い」が46%、「安定感がない」が45%だった。支持する理由(同)は「自民党の内閣だから」が49%でトップ、「国際感覚がある」が22%だった。
大学合併を国が支援、少子化に対応…中教審1次報告案
中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の大学分科会が、中長期的な大学政策のあり方についてまとめた第1次報告案が明らかになった。
少子化の進展を受け、合併などで経営効率化を目指す大学に対する国の支援充実などを盛り込んだのが特徴だ。
報告案は日本の大学の現状について、〈1〉37・1%が単年度の授業料収入で経常支出をまかなえない〈2〉私大の47・1%が定員割れしている――と指摘したうえで、〈1〉大学の取り組みへの支援〈2〉適正な規模の検討〈3〉大学間の連携促進――を中心に、今後の大学政策の具体策を提起した。
「大学支援」に関しては、合併時の準備経費などへの国の補助制度や定員調整を行う大学への支援制度の創設を提言した。一方で、定員割れしている大学に対しては、学部設置の認可を厳格化するよう求めた。
「適正規模」に関しては、日本の大学入学者に占める25歳以上の割合が約2%にとどまり、経済協力開発機構(OECD)諸国平均(20・7%)を大幅に下回っている点を強調。社会人や高齢者などの就学策の充実を求めた。
米レジャー産業、不振鮮明 テーマパーク大手が破綻
【ニューヨーク=杉本晶子】米国でレジャー産業の不振が際だってきた。米テーマパーク大手シックス・フラッグスは連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻。米ウォルト・ディズニーもテーマパークの客数が伸び悩んでいる。夏休みシーズン本格化を控えるなか、失業率上昇などで消費者心理は冷え込んでおり、旅行などレジャーにも手控えムードが高まっている。
米国やメキシコ、カナダに20カ所の遊園地を展開するシックス・フラッグスは、13日付で連邦破産法11条の適用を申請した。負債総額は約34億ドル(約3340億円)。2009年1~3月期には入場者数が前年同期比2%減ったうえ、1人あたり単価も2%減少。新型インフルエンザの流行でメキシコのテーマパークを一時閉鎖したことも打撃となった。
温暖化ガス削減、日本の目標は不十分 中国政府
【北京=高橋哲史】北京を訪れた斉藤鉄夫環境相は、中国政府で地球温暖化問題を担当する国家発展改革委員会の解振華副主任と会談し、2020年までに温暖化ガスを05年比で15%削減するとした日本政府の中期目標を説明した。これに対し解副主任は14日、「より高い目標を求めたい」と述べ、日本の目標が不十分との認識を表明した。
斉藤環境相は「日本の目標は外国からの排出権購入などを含まない国内削減分だけの『真水』である」と指摘し、2013年以降の地球温暖化対策の国際的枠組み(ポスト京都議定書)に中国も参加するよう求めた。解副主任は「先進国がより高い目標を掲げれば、中国もより一層努力する」とし、先進国の対応次第との認識を示した。
中国政府は先進国に1990年比で40%以上の温暖化ガス削減を求めており、日本の目標との隔たりは大きい。
液晶向け新工場7月稼働 中国需要で富士フイルム
富士フイルムは15日、子会社「富士フイルムオプトマテリアルズ」(静岡県吉田町)内に建設した液晶画面向けフィルムの新工場を7月上旬に稼働させると発表した。当初4月としていた稼働時期を景気悪化により延期していたが、中国などで液晶テレビの需要が増えているため供給を始める。
生産するのは液晶画面の視野角を拡大する「ワイドビューフィルム」と呼ばれる材料。工場は62億円を投じて建設し、1年間に2500万平方メートルのフィルムを供給する能力がある。
映像や文書「1000年保存できる」方法 慶大やシャープなど
慶応義塾大学の黒田忠広教授らとシャープ、京都大学は映像や文書を半永久的に保存できる方法を考案し基礎実験に成功した。半導体チップに記録し無線技術で高速に読み出せた。DVDなど最新の記録装置は寿命が最長約30年で、映画や古文書を残すには定期的な複写が必要となり膨大な費用がかかる。「1000年保存」を目指し10年内に実用化したいという。
データを半永久的に保存するには、装置の記録媒体を化学的に安定した物質で完全密封し水分などを排除すれば理論的には可能。だがデータを読み出す配線が必要で完全密封は困難だ。
Appleの「Safari 4」、3日間で1100万ダウンロードを達成
米Appleは12日、同社が8日(米国時間)にリリースしたWebブラウザ「Safari 4」のダウンロード数が、1100万件を突破したと発表した。このうち600万ダウンロードはWindows版だったとしている。
この好調な滑り出しについて、同社ワールドワイドプロダクトマーケティング担当上級副社長のPhilip Schiller氏は、「Safari 4はMacとWindowsにおいて、最初の3日間で1100万を超えるダウンロードを記録し、驚くべき成功を達成した」とコメントしている。
「末期症状だ」次期衆院選へ与党に危機感…千葉市長選敗北
千葉市長選で自民、公明両党の推薦候補が敗北し、政府・与党では次期衆院選への危機感を強めている。
河村官房長官は15日午前の記者会見で、「与党推薦候補が負けたことは残念」としながらも、「(国政に)直接影響はない」と述べた。
自民党の菅義偉選挙対策副委員長は横浜市内で記者団に「当初から非常に厳しい選挙だったので、(敗北は)ある程度は織り込んでいた」と強調。静岡県知事選、東京都議選を挙げ「極めて大事な選挙だ。全力で勝利したい」と語った。
ただ、自民党の中堅・若手には動揺が広がっている。
町村派の中堅議員は「自民党への逆風がすごく吹いている」と危機感をあらわにした。ある閣僚経験者は「末期症状だ。若手から『このままではダメだ。戦えない』と悲鳴が寄せられている。看板(首相)を替えてもらわないと衆院選を戦えない」と語った。
公明党の高木陽介選挙対策委員長も今回の敗北について、「衆院選に影響はあるかもしれない。次の戦いへ引き締めていかなければならない」と懸念を示した。
民主党は衆院選への弾みになると歓迎しており、衆院解散要求を強める構えだ。鳩山代表は15日午前、都内で記者団に「名古屋、さいたま、千葉で政権交代が起きた。国政での政権交代への期待感の表れでもある」と語った。
直嶋政調会長も「変化を期待する意識は千葉に限らず、全国に広がりを見せつつある」と手応えを強調しており、この勢いを都議選、衆院選につなげたい考えだ。
財政再建新目標 消費税引き上げから逃げるな(6月14日付・読売社説)
日本が抱える財政赤字の深刻さが、改めて浮き彫りになった形だ。
政府の経済財政運営の指針となる「骨太の方針2009」原案に、財政再建に関する新しい目標が盛り込まれた。
財政の健全度を示す国と地方の基礎的財政収支を、19年度に黒字化するのが新目標の柱である。
これまでは11年度での実現を目指していた。だが、度重なる財政出動などで、基礎的財政収支の赤字が09年度末で40兆円近くに膨らむ見通しとなり、一気に8年後へ先送りせざるを得なくなった。
しかも黒字化は、年1~2%の経済成長や従来の歳出削減努力だけでは不可能で、消費税率を11年度から毎年1%ずつ合計7%引き上げて、12%にする必要があるとの試算が公表された。
税率を5%引き上げて10%にするだけでは、黒字化は21年度にずれ込んでしまうという。
試算とはいえ、これだけ厳しい現実が明らかになった以上、消費税率の引き上げから、与野党とも逃げるわけにはいくまい。
将来的に重い負担を国民に求めざるを得ない背景には、危機的なわが国の財政事情がある。
09年度の国の予算は、補正を合わせ44兆円もの国債を発行する計画だ。年間税収に匹敵する規模である。09年度末の国債残高は600兆円に近づく。
国と地方を合わせた債務残高の国内総生産(GDP)比は約170%に及ぶ。欧米の主要国が60~80%にとどまっているのに比べ、際だって高い。
この状況を放置すれば、国債の暴落と金利上昇を招き、経済的な大混乱を引き起こしかねない。新しい目標を立て、財政再建に向けて努力するのは当然のことだ。
政府・与党は、景気の動向を注視しながら、景気が回復すればすぐ消費税率の引き上げに取りかかれるよう、今から準備を進める必要がある。
民主党も、政権奪取を標榜(ひょうぼう)する以上、財政の厳しさを再認識し、消費税率引き上げに、正面から向き合うべきではないか。
消費税に焦点が当たるのは、財政再建のためばかりではない。少子高齢化の進展で膨らみ続ける社会保障費を賄う財源として欠かせないからだ。
財政再建と社会保障充実という二つの問題を同時に解くカギは、消費税が握っている。税率の引き上げが、むしろ生活の安定につながることを、国民は頭に入れておく必要があろう。
NTTドコモは、FOMAサービスの契約数が6月11日付けで5000万契約を突破したと発表した。商用サービス開始から約7年9カ月での達成となった。
第1世代のアナログ携帯電話、第2世代のデジタル(PDC方式)携帯電話の「ムーバ(mova)」に続き、第3世代携帯電話(W-CDMA方式)「FOMA」は、2001年10月1日より商用サービスがスタートした。開始から1年後の2002年度には目標販売数を下方修正するなど、当初は契約数が伸び悩んでいたものの、エリア拡充やムーバより安価なパケット料金などによって、徐々に利用が進み、2003年9月30日付けで100万契約を突破した。
その後、900シリーズなどが登場し、2005年2月21日に1000万契約、2005年12月29日に2000万契約、2006年11月4日に3000万契約、2007年9月29日に4000万契約に達した。2006年6月18日には、ドコモ契約数のうち半数がFOMAという状況になった。現在では、FOMAの契約数が全体の91%を占めている。
初音ミク:営業「痛車」が誕生 セガ、ゲームPRでアキバに投入
セガは秋葉原を中心に東京都内を走る営業車に、音楽ソフト「初音ミク」を描いた「営業痛車」を投入することを決めた。11日、埼玉県狭山市で製作現場が公開された。
「営業痛車」は、PSP用ゲーム「初音ミク プロジェクト ディーヴァ」のプロモーションの一環で開発や営業からの希望で製作が決まった。「トヨタ・カローラフィールダー」のフロント部にゲームのパッケージイラストをあしらい、サイドに、初音ミクのデフォルメキャラクター「はちゅねミク」や「SEGA」のロゴが描かれた。早ければ15日ごろから東京・秋葉原を中心に実際の営業で使用される。
ゲームは、キャラクターの「初音ミク」がさまざまな楽曲に合わせて踊る音楽ゲーム。一定条件を満たすとミクの衣装が手に入るなどの機能もある。7月2日、6090円で発売される予定。
鳩山氏更迭「適切ではない」56% 世論調査、内閣支持率も低下
日本経済新聞社とテレビ東京が13、14両日に共同で実施した世論調査で、麻生内閣の支持率は5月の前回調査を5ポイント下回る25%となった。不支持率は65%で3ポイント上昇した。日本郵政の西川善文社長の再任問題を巡って麻生太郎首相が鳩山邦夫前総務相を更迭した判断に関しては「適切ではなかった」が56%となり、「適切だった」の24%を大きく上回った。
内閣支持率は3月以来、3カ月ぶりに30%を割り込み、再び政権維持の危険水準とされる領域に入った。内閣を支持しない理由(複数回答)は「指導力がない」が18ポイント上昇し、62%で最も多かった。鳩山前総務相を巡る混乱などが影響したとみられる。次いで「政策が悪い」が46%、「安定感がない」が45%だった。支持する理由(同)は「自民党の内閣だから」が49%でトップ、「国際感覚がある」が22%だった。
大学合併を国が支援、少子化に対応…中教審1次報告案
中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の大学分科会が、中長期的な大学政策のあり方についてまとめた第1次報告案が明らかになった。
少子化の進展を受け、合併などで経営効率化を目指す大学に対する国の支援充実などを盛り込んだのが特徴だ。
報告案は日本の大学の現状について、〈1〉37・1%が単年度の授業料収入で経常支出をまかなえない〈2〉私大の47・1%が定員割れしている――と指摘したうえで、〈1〉大学の取り組みへの支援〈2〉適正な規模の検討〈3〉大学間の連携促進――を中心に、今後の大学政策の具体策を提起した。
「大学支援」に関しては、合併時の準備経費などへの国の補助制度や定員調整を行う大学への支援制度の創設を提言した。一方で、定員割れしている大学に対しては、学部設置の認可を厳格化するよう求めた。
「適正規模」に関しては、日本の大学入学者に占める25歳以上の割合が約2%にとどまり、経済協力開発機構(OECD)諸国平均(20・7%)を大幅に下回っている点を強調。社会人や高齢者などの就学策の充実を求めた。
米レジャー産業、不振鮮明 テーマパーク大手が破綻
【ニューヨーク=杉本晶子】米国でレジャー産業の不振が際だってきた。米テーマパーク大手シックス・フラッグスは連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻。米ウォルト・ディズニーもテーマパークの客数が伸び悩んでいる。夏休みシーズン本格化を控えるなか、失業率上昇などで消費者心理は冷え込んでおり、旅行などレジャーにも手控えムードが高まっている。
米国やメキシコ、カナダに20カ所の遊園地を展開するシックス・フラッグスは、13日付で連邦破産法11条の適用を申請した。負債総額は約34億ドル(約3340億円)。2009年1~3月期には入場者数が前年同期比2%減ったうえ、1人あたり単価も2%減少。新型インフルエンザの流行でメキシコのテーマパークを一時閉鎖したことも打撃となった。
温暖化ガス削減、日本の目標は不十分 中国政府
【北京=高橋哲史】北京を訪れた斉藤鉄夫環境相は、中国政府で地球温暖化問題を担当する国家発展改革委員会の解振華副主任と会談し、2020年までに温暖化ガスを05年比で15%削減するとした日本政府の中期目標を説明した。これに対し解副主任は14日、「より高い目標を求めたい」と述べ、日本の目標が不十分との認識を表明した。
斉藤環境相は「日本の目標は外国からの排出権購入などを含まない国内削減分だけの『真水』である」と指摘し、2013年以降の地球温暖化対策の国際的枠組み(ポスト京都議定書)に中国も参加するよう求めた。解副主任は「先進国がより高い目標を掲げれば、中国もより一層努力する」とし、先進国の対応次第との認識を示した。
中国政府は先進国に1990年比で40%以上の温暖化ガス削減を求めており、日本の目標との隔たりは大きい。
液晶向け新工場7月稼働 中国需要で富士フイルム
富士フイルムは15日、子会社「富士フイルムオプトマテリアルズ」(静岡県吉田町)内に建設した液晶画面向けフィルムの新工場を7月上旬に稼働させると発表した。当初4月としていた稼働時期を景気悪化により延期していたが、中国などで液晶テレビの需要が増えているため供給を始める。
生産するのは液晶画面の視野角を拡大する「ワイドビューフィルム」と呼ばれる材料。工場は62億円を投じて建設し、1年間に2500万平方メートルのフィルムを供給する能力がある。
映像や文書「1000年保存できる」方法 慶大やシャープなど
慶応義塾大学の黒田忠広教授らとシャープ、京都大学は映像や文書を半永久的に保存できる方法を考案し基礎実験に成功した。半導体チップに記録し無線技術で高速に読み出せた。DVDなど最新の記録装置は寿命が最長約30年で、映画や古文書を残すには定期的な複写が必要となり膨大な費用がかかる。「1000年保存」を目指し10年内に実用化したいという。
データを半永久的に保存するには、装置の記録媒体を化学的に安定した物質で完全密封し水分などを排除すれば理論的には可能。だがデータを読み出す配線が必要で完全密封は困難だ。
Appleの「Safari 4」、3日間で1100万ダウンロードを達成
米Appleは12日、同社が8日(米国時間)にリリースしたWebブラウザ「Safari 4」のダウンロード数が、1100万件を突破したと発表した。このうち600万ダウンロードはWindows版だったとしている。
この好調な滑り出しについて、同社ワールドワイドプロダクトマーケティング担当上級副社長のPhilip Schiller氏は、「Safari 4はMacとWindowsにおいて、最初の3日間で1100万を超えるダウンロードを記録し、驚くべき成功を達成した」とコメントしている。
「末期症状だ」次期衆院選へ与党に危機感…千葉市長選敗北
千葉市長選で自民、公明両党の推薦候補が敗北し、政府・与党では次期衆院選への危機感を強めている。
河村官房長官は15日午前の記者会見で、「与党推薦候補が負けたことは残念」としながらも、「(国政に)直接影響はない」と述べた。
自民党の菅義偉選挙対策副委員長は横浜市内で記者団に「当初から非常に厳しい選挙だったので、(敗北は)ある程度は織り込んでいた」と強調。静岡県知事選、東京都議選を挙げ「極めて大事な選挙だ。全力で勝利したい」と語った。
ただ、自民党の中堅・若手には動揺が広がっている。
町村派の中堅議員は「自民党への逆風がすごく吹いている」と危機感をあらわにした。ある閣僚経験者は「末期症状だ。若手から『このままではダメだ。戦えない』と悲鳴が寄せられている。看板(首相)を替えてもらわないと衆院選を戦えない」と語った。
公明党の高木陽介選挙対策委員長も今回の敗北について、「衆院選に影響はあるかもしれない。次の戦いへ引き締めていかなければならない」と懸念を示した。
民主党は衆院選への弾みになると歓迎しており、衆院解散要求を強める構えだ。鳩山代表は15日午前、都内で記者団に「名古屋、さいたま、千葉で政権交代が起きた。国政での政権交代への期待感の表れでもある」と語った。
直嶋政調会長も「変化を期待する意識は千葉に限らず、全国に広がりを見せつつある」と手応えを強調しており、この勢いを都議選、衆院選につなげたい考えだ。
財政再建新目標 消費税引き上げから逃げるな(6月14日付・読売社説)
日本が抱える財政赤字の深刻さが、改めて浮き彫りになった形だ。
政府の経済財政運営の指針となる「骨太の方針2009」原案に、財政再建に関する新しい目標が盛り込まれた。
財政の健全度を示す国と地方の基礎的財政収支を、19年度に黒字化するのが新目標の柱である。
これまでは11年度での実現を目指していた。だが、度重なる財政出動などで、基礎的財政収支の赤字が09年度末で40兆円近くに膨らむ見通しとなり、一気に8年後へ先送りせざるを得なくなった。
しかも黒字化は、年1~2%の経済成長や従来の歳出削減努力だけでは不可能で、消費税率を11年度から毎年1%ずつ合計7%引き上げて、12%にする必要があるとの試算が公表された。
税率を5%引き上げて10%にするだけでは、黒字化は21年度にずれ込んでしまうという。
試算とはいえ、これだけ厳しい現実が明らかになった以上、消費税率の引き上げから、与野党とも逃げるわけにはいくまい。
将来的に重い負担を国民に求めざるを得ない背景には、危機的なわが国の財政事情がある。
09年度の国の予算は、補正を合わせ44兆円もの国債を発行する計画だ。年間税収に匹敵する規模である。09年度末の国債残高は600兆円に近づく。
国と地方を合わせた債務残高の国内総生産(GDP)比は約170%に及ぶ。欧米の主要国が60~80%にとどまっているのに比べ、際だって高い。
この状況を放置すれば、国債の暴落と金利上昇を招き、経済的な大混乱を引き起こしかねない。新しい目標を立て、財政再建に向けて努力するのは当然のことだ。
政府・与党は、景気の動向を注視しながら、景気が回復すればすぐ消費税率の引き上げに取りかかれるよう、今から準備を進める必要がある。
民主党も、政権奪取を標榜(ひょうぼう)する以上、財政の厳しさを再認識し、消費税率引き上げに、正面から向き合うべきではないか。
消費税に焦点が当たるのは、財政再建のためばかりではない。少子高齢化の進展で膨らみ続ける社会保障費を賄う財源として欠かせないからだ。
財政再建と社会保障充実という二つの問題を同時に解くカギは、消費税が握っている。税率の引き上げが、むしろ生活の安定につながることを、国民は頭に入れておく必要があろう。
「性暴力を奨励」か「表現の自由」か 凌辱系ゲーム“外圧”で制作禁止に波紋 (COLUMN1)
18歳以上を対象とした日本製のとあるパソコンゲームソフトが、国際人権団体から集中砲火を浴びた。ソフトの名前は「レイプレイ」。女性3人に調教などをしていくストーリーだ。人権団体は「性暴力を助長する」とメーカーだけでなく日本政府へも抗議文を送るよう呼びかけた。作品は国内で販売するための審査を通っていたが、こうした“外圧”が国内にも広がり、メーカーは販売を中止した。業界の自主規制につながるほどの騒動を起こした「レイプレイ」の中身とは…。
痴漢チクッた女性らを徹底的に…
ソフトの筋書きはこうだ。主人公にあたる男はある日、電車内で痴漢していたところを、たまたま近くにいた女性に見つかり、駅長室へ突き出される。この時は不問に付されたが、恨みに思った男が女性の家族関係を調べ、「徹底的な」復讐(ふくしゅう)を計画する-。
登場人物は痴漢を見つけた女性と、その妹と母親、そして男の4人。画像はコンピューターグラフィックスで表現されており、プレーヤーはパソコンのマウスなどを使って男を操作することになる。
最初の場面は電車内だ。画面上には男の手が表示されるため、プレーヤーはこれを自由に動かし、乗車中の女性の妹の体を触ることができる。妹も触られた部位などに応じて声を出したり、手で隠したりする。この疑似体験の「痴漢行為」を続け、画面横に表示されたメーターが規定値までたまるとステージが変わり、次は公衆トイレ内で「レイプ行為」に及ぶことになる。
この後、同様の「痴漢、レイプ行為」を母親と姉にも繰り返す。やがて部屋や公園、トイレなどで3人を「調教」することも可能になる。
作中で姉はセーラー服を着用しており妹はさらに低年齢ということになるが、ゲーム開始時には、「このゲームの登場人物はすべて18歳以上です」という注意書きが表示される。
注意書きはいくつかあるが、その1つにはこうも書かれている。
「このゲームの内容はあくまで創作物でありゲームです。このゲームの内容と同じことを現実に行うと法律によって処罰されるときがあります。ゲームの内容は芝居でありフィクションですので、絶対にゲームのマネをしたり実際にやったりしないで下さい」
相次ぐ“外圧”が国内に
ソフトが問題となったのは、今年2月。英国の議会で「英国の映像審査団体の審査を受けていないにもかかわらず、国内で流通している」として、取り上げられたためだ。
日本国内では、審査機関である一般社団法人「コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)」の審査を通り、「18歳未満への販売禁止ソフト」として、平成18年4月から販売が開始された。当初から国内向けに販売されたものだったが、英国内でもネット販売大手の「アマゾン」などで入手可能になっていたという。
5月には、国際人権団体「イクオリティ・ナウ」(本部・米ニューヨーク)が、ソフトの制作・販売に抗議する声明文を発表した。声明文では、ソフトの内容を詳細に紹介した上で、日本の児童買春・児童ポルノ禁止法(児ポ法)がアニメやゲームなどのいわゆる「仮想的作品」の制作・販売を禁止していないことにも言及。こうしたソフトの販売が許されていること自体が「女性への性暴力を助長する」として、ソフトを制作したメーカーやアマゾン社に加え、麻生太郎首相、森英介法相、小渕優子少子化担当相、野田聖子消費者行政担当相へも抗議文を送るよう、ホームページ(HP)などで呼びかけた。
この動きが日本国内で報道されたことなどを受け、自民党内でも「性暴力ゲームの規制に関する勉強会」が発足し、規制策の検討が始まった。
しかし、「レイプレイ」はそもそも国内向けに作っていたソフトで、販売の「お墨付き」を与えたソフ倫も、国内での販売を前提にした審査を行っている。つまり、業界としては「予想外」に海外へ流通し、“外圧”が国内に伝播した形となったが、結局、対応に追われることとなった。
まず、ソフトを制作した横浜市のメーカーが、5月中旬に販売自粛を決めた。HP上には「海外の皆様へ」と題して「残念ながら、弊社製品は自主規制により、日本国内在住の18歳以上の方にのみ販売しており、国外での販売、およびサポートはしておりません」という説明を掲載した。
また、審査を担当したソフ倫も、5月下旬に加盟するパソコン用ゲームメーカー約230社に「凌辱系ソフト」の制作・販売の自粛を要請。6月上旬には、「凌辱系ソフト」の制作禁止を正式決定し、全ソフトへ「Japan Sales Only」の表記を徹底するよう通達した。
自主規制は「社会の理解を得るため」
業界側の自主規制などを受け、ネット上では人権団体への反論も相次いだ。
《ポルノは全部悪だっていうのか? 被害者がいないもんを抗議するなよ。拡大解釈し過ぎ》
《表現の自由の侵害だ》
《日本国内でどう売ろうがそれは勝手だし、いやなら自分の国で厳しい法規制をして所持してたら厳罰にすりゃいいんだろ》
また、「外国からも、殺人など過激な描写の多いゲームソフトが日本へ流入している」という指摘もある。
メーカーはこの件に関して「一切、取材を受けない」と沈黙しているが、ソフ倫側にも言い分はある。たとえば、憲法が保障する「表現の自由」との兼ね合いだ。
ソフ倫によれば、年間に審査するゲームソフトは約950作品。このうち、「凌辱系」と分類されるソフトのタイトル数は約10%。売り上げで見ると、全体の7%弱にあたる。ただし、レイプレイに比べ「緩やかな表現のものも含まれている」という。性暴力を想像させるタイトルを謳っていなくても、ストーリー展開の中に性暴力が取り入れられている場合もあり、担当者は「表現の自由も考えれば、物語作りという面もある」と規制の難しさを話す。
ソフ倫は審査基準を公表していないが、「児ポ法はもちろん、青少年育成条例など国内の規定に触れないように配慮した独自の厳しい基準で審査している」(担当者)としている。
ただ、「審査した作品の外国への流通を止めたいが、それも難しい」とも。そのような事情がありながらも自主規制に踏み切った背景については、「表現の自由は堅持しつつも、私たちも社会の理解を得なければならない」と説明した。
「規制を」「表現は多様にあり得る」…分かれる評価
業界の自主規制にまでつながった「レイプレイ騒動」を、識者はどう見るのか。
日本ユニセフ協会の広報担当者は「(日本の児ポ法が規制対象としていない)バーチャルな作品であっても、子供を性の対象のように扱うことを社会が認めているというメッセージになりかねない」とした上で、「世界的な趨勢(すうせい)としては、ネット上のものについても何らかの規制が必要だ、という声が出つつある」と話す。
「表現の自由」への影響を危惧する声もある。
上智大学文学部の田島泰彦教授(メディア法)は「人権団体からの意見はきちんと受け止めるべきだが、規制は自由な余地を狭めてしまうものでもある。製造自体をやめるのではなく、フィルタリングシステムを導入するなど、表現の自由をできる限り追求することが大切」と指摘した。
獨協大学法科大学院の右崎正博教授(憲法)も「強姦を疑似体験させるようなゲームは倫理的には許されないものがあるかもしれず、そのまま放置すれば法的な規制が拡大しかねないため、その前に作り手側が自主的に対応することは大切。ただ、表現は多様にあり得るわけだし、ある種のジャンルを一切禁止するのは、少々乱暴ではないか。ジャンルそのものでなく、作品ごとに個別に対応できるような方法を考えるべきではないか」と話す。
MSの新検索エンジン「Bing」はGoogleを追撃できるか(COLUMN2)
米Microsoft(マイクロソフト)は、次世代の検索サービスおよびそのブランド「Bing」(日本語読み:ビング)を発表、6月3日より全世界で提供を開始した。
「Bing」は、昨年より「Kumo」(日本語の雲、蜘蛛に由来)のコードネームで開発されていたもので、「Live Search」の後継となる次世代検索サービスとなる。
オンライン検索市場において、マイクロソフトは、シェア第3位。グーグル、ヤフーの2社に大きく離されており、厳しい戦いを強いられている。新検索エンジンの開発は、この状況を打開する唯一無二の切り札として、多額の開発費なども大きな話題となっていた。
では、いよいよお目見えした「Bing」、どんなものなのか。マイクロソフトでは、同エンジンを、「decision engine(意思決定エンジン)」と位置づけている。すなわち、単に検索機能を進化させたのではなく、「検索後」に着目したエンジンであると考えればいいだろう。
具体的には、今までの検索エンジンは、原則的に検索語との関連性の順に検索結果が並んでいたが、「Bing」では、検索語ごとに推測されるユーザーの意図別に検索結果を分類して表示される。たとえば、ある企業名を入力して検索したとすると、「Product(商品)」「Online Services」といったカテゴリーが、検索ページ左に表示される。ユーザーは、自身の意図に沿ったカテゴリー、たとえば、「Job」をクリックすると、その企業の求人に関連するサイトのみが表示されるというわけだ
また、ユーザーの検索行為のリサーチから、「オンライン上で商品を購入する」「旅行を手配する」「健康に関わる情報を参照する」「地域の会社や店舗に関する情報を調べる」という4つの領域に着目、購買やサービス選択といった際の意思決定に役立つ情報を選別して提供する。さらに、パートナー企業との連携による同エンジンから商品を購入したり、チケットなどを手配したりすれば、割引などが受けられるサービスもある。
マイクロソフトがオンライン市場での巻き返しを賭けて投入した「Bing」は、果たしてグーグル追撃の切り札となるのであろうか。この点については、米国の調査会社、識者の評価は概ね厳しく、「現状を劇的に変えるとは言えない」という意見が多いようだ。
マイクロソフト自体の戦略としても、スティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)の「当社のシェアを大幅に伸ばすには、すべての人の興味をかきたてる必要はないが、一部を魅了しなければならない」という言葉からも窺えるように、多数派を一気に鞍替えさせる、というようなものではなく、ファン層をじわじわと拡大し、そのニーズによって、さらなる進化を図る、といったものだと推察される。いわば、「Bing」のリリースは、“最終兵器の投入”ではなく、“宣戦布告”といったところだろう。
もうひとつ気になるのが、日本語版。北米版のサービス開始にあわせて、日本語版も「bing.jp」にてベータ版として提供された。検索した場合、左側にカテゴリーは表示されるが、機能的には、当面は、「Live Search」と同じ機能のみでの提供。新機能は随時追加の予定で、正式版への移行の時期も未定だ。北米版のパートナー企業と連携した機能も、日本版での実装は未定。その代わり、といっては何だが、日本独自の機能を追加する計画である。
多少不満が残るところだが、考えてみると、同エンジンが、「検索後」のユーザーの行動・嗜好に着目したエンジンである以上、その行動・嗜好は、地域によって大きく異なる。日本で暮らす我々にとっては、「日本オリジナル」に期待すべきだとも言えるだろう。
18歳以上を対象とした日本製のとあるパソコンゲームソフトが、国際人権団体から集中砲火を浴びた。ソフトの名前は「レイプレイ」。女性3人に調教などをしていくストーリーだ。人権団体は「性暴力を助長する」とメーカーだけでなく日本政府へも抗議文を送るよう呼びかけた。作品は国内で販売するための審査を通っていたが、こうした“外圧”が国内にも広がり、メーカーは販売を中止した。業界の自主規制につながるほどの騒動を起こした「レイプレイ」の中身とは…。
痴漢チクッた女性らを徹底的に…
ソフトの筋書きはこうだ。主人公にあたる男はある日、電車内で痴漢していたところを、たまたま近くにいた女性に見つかり、駅長室へ突き出される。この時は不問に付されたが、恨みに思った男が女性の家族関係を調べ、「徹底的な」復讐(ふくしゅう)を計画する-。
登場人物は痴漢を見つけた女性と、その妹と母親、そして男の4人。画像はコンピューターグラフィックスで表現されており、プレーヤーはパソコンのマウスなどを使って男を操作することになる。
最初の場面は電車内だ。画面上には男の手が表示されるため、プレーヤーはこれを自由に動かし、乗車中の女性の妹の体を触ることができる。妹も触られた部位などに応じて声を出したり、手で隠したりする。この疑似体験の「痴漢行為」を続け、画面横に表示されたメーターが規定値までたまるとステージが変わり、次は公衆トイレ内で「レイプ行為」に及ぶことになる。
この後、同様の「痴漢、レイプ行為」を母親と姉にも繰り返す。やがて部屋や公園、トイレなどで3人を「調教」することも可能になる。
作中で姉はセーラー服を着用しており妹はさらに低年齢ということになるが、ゲーム開始時には、「このゲームの登場人物はすべて18歳以上です」という注意書きが表示される。
注意書きはいくつかあるが、その1つにはこうも書かれている。
「このゲームの内容はあくまで創作物でありゲームです。このゲームの内容と同じことを現実に行うと法律によって処罰されるときがあります。ゲームの内容は芝居でありフィクションですので、絶対にゲームのマネをしたり実際にやったりしないで下さい」
相次ぐ“外圧”が国内に
ソフトが問題となったのは、今年2月。英国の議会で「英国の映像審査団体の審査を受けていないにもかかわらず、国内で流通している」として、取り上げられたためだ。
日本国内では、審査機関である一般社団法人「コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)」の審査を通り、「18歳未満への販売禁止ソフト」として、平成18年4月から販売が開始された。当初から国内向けに販売されたものだったが、英国内でもネット販売大手の「アマゾン」などで入手可能になっていたという。
5月には、国際人権団体「イクオリティ・ナウ」(本部・米ニューヨーク)が、ソフトの制作・販売に抗議する声明文を発表した。声明文では、ソフトの内容を詳細に紹介した上で、日本の児童買春・児童ポルノ禁止法(児ポ法)がアニメやゲームなどのいわゆる「仮想的作品」の制作・販売を禁止していないことにも言及。こうしたソフトの販売が許されていること自体が「女性への性暴力を助長する」として、ソフトを制作したメーカーやアマゾン社に加え、麻生太郎首相、森英介法相、小渕優子少子化担当相、野田聖子消費者行政担当相へも抗議文を送るよう、ホームページ(HP)などで呼びかけた。
この動きが日本国内で報道されたことなどを受け、自民党内でも「性暴力ゲームの規制に関する勉強会」が発足し、規制策の検討が始まった。
しかし、「レイプレイ」はそもそも国内向けに作っていたソフトで、販売の「お墨付き」を与えたソフ倫も、国内での販売を前提にした審査を行っている。つまり、業界としては「予想外」に海外へ流通し、“外圧”が国内に伝播した形となったが、結局、対応に追われることとなった。
まず、ソフトを制作した横浜市のメーカーが、5月中旬に販売自粛を決めた。HP上には「海外の皆様へ」と題して「残念ながら、弊社製品は自主規制により、日本国内在住の18歳以上の方にのみ販売しており、国外での販売、およびサポートはしておりません」という説明を掲載した。
また、審査を担当したソフ倫も、5月下旬に加盟するパソコン用ゲームメーカー約230社に「凌辱系ソフト」の制作・販売の自粛を要請。6月上旬には、「凌辱系ソフト」の制作禁止を正式決定し、全ソフトへ「Japan Sales Only」の表記を徹底するよう通達した。
自主規制は「社会の理解を得るため」
業界側の自主規制などを受け、ネット上では人権団体への反論も相次いだ。
《ポルノは全部悪だっていうのか? 被害者がいないもんを抗議するなよ。拡大解釈し過ぎ》
《表現の自由の侵害だ》
《日本国内でどう売ろうがそれは勝手だし、いやなら自分の国で厳しい法規制をして所持してたら厳罰にすりゃいいんだろ》
また、「外国からも、殺人など過激な描写の多いゲームソフトが日本へ流入している」という指摘もある。
メーカーはこの件に関して「一切、取材を受けない」と沈黙しているが、ソフ倫側にも言い分はある。たとえば、憲法が保障する「表現の自由」との兼ね合いだ。
ソフ倫によれば、年間に審査するゲームソフトは約950作品。このうち、「凌辱系」と分類されるソフトのタイトル数は約10%。売り上げで見ると、全体の7%弱にあたる。ただし、レイプレイに比べ「緩やかな表現のものも含まれている」という。性暴力を想像させるタイトルを謳っていなくても、ストーリー展開の中に性暴力が取り入れられている場合もあり、担当者は「表現の自由も考えれば、物語作りという面もある」と規制の難しさを話す。
ソフ倫は審査基準を公表していないが、「児ポ法はもちろん、青少年育成条例など国内の規定に触れないように配慮した独自の厳しい基準で審査している」(担当者)としている。
ただ、「審査した作品の外国への流通を止めたいが、それも難しい」とも。そのような事情がありながらも自主規制に踏み切った背景については、「表現の自由は堅持しつつも、私たちも社会の理解を得なければならない」と説明した。
「規制を」「表現は多様にあり得る」…分かれる評価
業界の自主規制にまでつながった「レイプレイ騒動」を、識者はどう見るのか。
日本ユニセフ協会の広報担当者は「(日本の児ポ法が規制対象としていない)バーチャルな作品であっても、子供を性の対象のように扱うことを社会が認めているというメッセージになりかねない」とした上で、「世界的な趨勢(すうせい)としては、ネット上のものについても何らかの規制が必要だ、という声が出つつある」と話す。
「表現の自由」への影響を危惧する声もある。
上智大学文学部の田島泰彦教授(メディア法)は「人権団体からの意見はきちんと受け止めるべきだが、規制は自由な余地を狭めてしまうものでもある。製造自体をやめるのではなく、フィルタリングシステムを導入するなど、表現の自由をできる限り追求することが大切」と指摘した。
獨協大学法科大学院の右崎正博教授(憲法)も「強姦を疑似体験させるようなゲームは倫理的には許されないものがあるかもしれず、そのまま放置すれば法的な規制が拡大しかねないため、その前に作り手側が自主的に対応することは大切。ただ、表現は多様にあり得るわけだし、ある種のジャンルを一切禁止するのは、少々乱暴ではないか。ジャンルそのものでなく、作品ごとに個別に対応できるような方法を考えるべきではないか」と話す。
MSの新検索エンジン「Bing」はGoogleを追撃できるか(COLUMN2)
米Microsoft(マイクロソフト)は、次世代の検索サービスおよびそのブランド「Bing」(日本語読み:ビング)を発表、6月3日より全世界で提供を開始した。
「Bing」は、昨年より「Kumo」(日本語の雲、蜘蛛に由来)のコードネームで開発されていたもので、「Live Search」の後継となる次世代検索サービスとなる。
オンライン検索市場において、マイクロソフトは、シェア第3位。グーグル、ヤフーの2社に大きく離されており、厳しい戦いを強いられている。新検索エンジンの開発は、この状況を打開する唯一無二の切り札として、多額の開発費なども大きな話題となっていた。
では、いよいよお目見えした「Bing」、どんなものなのか。マイクロソフトでは、同エンジンを、「decision engine(意思決定エンジン)」と位置づけている。すなわち、単に検索機能を進化させたのではなく、「検索後」に着目したエンジンであると考えればいいだろう。
具体的には、今までの検索エンジンは、原則的に検索語との関連性の順に検索結果が並んでいたが、「Bing」では、検索語ごとに推測されるユーザーの意図別に検索結果を分類して表示される。たとえば、ある企業名を入力して検索したとすると、「Product(商品)」「Online Services」といったカテゴリーが、検索ページ左に表示される。ユーザーは、自身の意図に沿ったカテゴリー、たとえば、「Job」をクリックすると、その企業の求人に関連するサイトのみが表示されるというわけだ
また、ユーザーの検索行為のリサーチから、「オンライン上で商品を購入する」「旅行を手配する」「健康に関わる情報を参照する」「地域の会社や店舗に関する情報を調べる」という4つの領域に着目、購買やサービス選択といった際の意思決定に役立つ情報を選別して提供する。さらに、パートナー企業との連携による同エンジンから商品を購入したり、チケットなどを手配したりすれば、割引などが受けられるサービスもある。
マイクロソフトがオンライン市場での巻き返しを賭けて投入した「Bing」は、果たしてグーグル追撃の切り札となるのであろうか。この点については、米国の調査会社、識者の評価は概ね厳しく、「現状を劇的に変えるとは言えない」という意見が多いようだ。
マイクロソフト自体の戦略としても、スティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)の「当社のシェアを大幅に伸ばすには、すべての人の興味をかきたてる必要はないが、一部を魅了しなければならない」という言葉からも窺えるように、多数派を一気に鞍替えさせる、というようなものではなく、ファン層をじわじわと拡大し、そのニーズによって、さらなる進化を図る、といったものだと推察される。いわば、「Bing」のリリースは、“最終兵器の投入”ではなく、“宣戦布告”といったところだろう。
もうひとつ気になるのが、日本語版。北米版のサービス開始にあわせて、日本語版も「bing.jp」にてベータ版として提供された。検索した場合、左側にカテゴリーは表示されるが、機能的には、当面は、「Live Search」と同じ機能のみでの提供。新機能は随時追加の予定で、正式版への移行の時期も未定だ。北米版のパートナー企業と連携した機能も、日本版での実装は未定。その代わり、といっては何だが、日本独自の機能を追加する計画である。
多少不満が残るところだが、考えてみると、同エンジンが、「検索後」のユーザーの行動・嗜好に着目したエンジンである以上、その行動・嗜好は、地域によって大きく異なる。日本で暮らす我々にとっては、「日本オリジナル」に期待すべきだとも言えるだろう。
ひろゆき&夏野コンビが語る「日本のITよ、自信を持て」
「日本のITは、アメリカに負けていない。自信を持って海外に出て行ってほしい」――ネットワーク関連イベント「Interop Tokyo 2009」で6月12日、ニワンゴ取締役の西村博之(ひろゆき)氏とドワンゴ取締役の夏野剛氏が基調講演し、IT業界関係者にこう呼び掛けた。
テーマは「インターネットの未来像:ポストインターネット」。2人は、ニコニコ動画などで起きているできごとの紹介を織り交ぜながら、ネットと政治や、テレビとネットの関係、日本のITやコンテンツについて語り合った。話は時に大きく脱線していたが、2人の息の合った掛け合いに、2000人近い聴衆は笑いながら聴き入っていた。
夏野 最近ね、ITとかインターネットとかつまんないよね、特に携帯がつまら……(自主規制)
ひろゆき 一応、iモード作ってやめた夏野さんと、2ちゃんねる作ってやめた西村博之の基調講演という。
夏野 2ちゃんねるやめたの?
ひろゆき 一応そういう体(てい)になってるんですけど。
まぁでも、「インターネットの未来」っていわれてもねぇ。
夏野 これはすみません、お題作りは僕も関わってなくて、与えられたものです。
●オバマ大統領とTwitter 政治家とネット
夏野 インターネットと政治の話題をしましょう。バラク・オバマさんは、インターネットの力で大統領になったの?
ひろゆき 支持母体がほとんどない状態で出てきて、別のニーズをつかんで上ったということなので。
夏野 これは恐ろしいことが起きたということ。政治の潮流ががらっと変わったと僕は思ってる。
ひろゆき 韓国も盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領がネットで大統領になったと言われていましたよね。先進国でも、インターネットを選挙に使うのは結構当たり前になってきているのでは。
夏野 面白いのは、日本の政治家がネットをすごく使っていること。政治家先生本人は忙しくてネットはほとんど触ったことがないけれど、ブログやWebサイトはみんな持っている。ニコ動にも積極的に出演していただいている。一体どうなってるんでしょう。
オバマ大統領の場合、メールとかWebサイトを使っていたということは報道でよく知られているでしょうが、そういう“普通の”インターネットだけでなく、Twitterも使ってるんです。Twitterを政治家が使うのはけっこう難度が高いと思う。
●名の売れた政治家は、ほとんどニコ動で生放送をしている
夏野 あと、ちょっと名前の売れた日本の政治家さんは、ほとんどニコ動で生放送やってらっしゃるんです。この状況は、日本の産業界にきちんと理解してもらいたいなと思う。政治ってITに最も疎い、最も遅れているはずなのに、日本の大企業のトップの人よりは政治家の方がよっぽど進んでいるという状況なんです。
ひろゆき 多分、分からな過ぎたのが良かったんでしょうね。多少分かっていたら、炎上がどうこうという話になるじゃないですか。恐さを知らないから。「オバマが使ったインターネット、あ、俺も使う」みたいな。
夏野 炎上しても多分、政治家本人は気付かないしね。
ひろゆき 見てもいないですよ。
夏野 ただ、みんなが名を知っているようなある政治家さんがおっしゃってたんですけど、選挙区に帰るといろんな人に会って寝る間を惜しんで握手してるのに、よく考えると若者はあまりそこにいなかった。自分としては精一杯だったのに若者には届いてなかったのを、ニコ動で埋められたと。
その方、最初はニコ動のコメントにかなり怒っていたんですけど、そのうちコメントがないと寂しがるようになっちゃった。その方は元首相で、漢字1文字の。
ひろゆき “イット”じゃない、と。
夏野 一方で大企業の社長さんは、例えば孫さん(ソフトバンクの孫正義社長)は、携帯電話の端末発表会をニコ動に生中継していて、コメントがガンガン入ってくるのを見て「この端末やべぇ」と言っているらしいんですが、僕の古巣(NTTドコモ)は絶対にやらないね。原稿あるからね。「原稿読むなよ」と思うけど。
●紙と本、テレビとネット
夏野 大変なことが最近、起きていると思っていて。紙媒体の市場規模が減っている。新聞は06年から2%ずつ減っているし、出版も市場が3%ずつ減ってる。
夏野 出版業界も、ネット生かさないと、縮小していっちゃうんだよね。テレビ業界の営業収入もあんまり変わってないけど、広告収入だけピックアップすると年5%くらい減ってます。ローカル局はほとんど赤字状態。
ひろゆき 新聞はもともと、最新の情報が来るものだったじゃないですか。でも今は1日遅れだったりするわけで。テレビもあまり生放送とかやってなくて、本当にリアルタイムの情報を知りたい人はネットに来ちゃってる。
リアルタイムの情報に人は集まりがちなのかなという気が、最近しているんですけど。リアルタイムじゃない雑誌や新聞の売り上げが下がってて、テレビも売り上げが下がっているし。
夏野 テレビはこれからどうなるのかな。
ひろゆき 予算もないし、生放送ばっかりやってればいいんじゃないすか。
夏野 でもTBSが4月から番組改編して、60%を生放送番組にしたら、視聴率が激落ちだったって。
ひろゆき びっくりしますよね。TBSがある日、1日の番組の中で一番視聴率が高かったのが、再放送の水戸黄門。えーっていう。
●生放送という「逆説的な」流れ
夏野 最近のものすごく楽しい流れとして生放送があるんですけど。ニコニコ生放送を見たことある人? ……3分の1ぐらいが挙がりましたね。
ひろゆき へー。
夏野 ニコニコ動画でまさに生放送がブレイクしている。宣伝するわけじゃないんですが、100万人以上が視聴していて、政治家の方がガンガンやってます。
日本共産党の志位さん(志位和夫委員長)が、ニコ動でブレイクしまして。ニートの国会答弁がすごい若者の支持を受けて、入党者にいきなり若者が増えたそうです。
ひろゆき 思った以上にユルいですよね、政治家の方々。新聞とかテレビとかだと偉い人が対応を考えちゃうんですけど、ネットだと対応するのが若手だったりするので、面白い企画がそのまま通っちゃう。
夏野 野球中継も。ソフトバンク対オリックスっていうのを生放送したんですが、カードとしては最高に面白くない消化試合だったのが、ものすごい盛り上がった。
何が面白かったというと、広島球場のようなヤジがコメントとして流れる。「ピッチャー替えろ」とか「何やってんだ監督」とか。まるで球場にいるみたいな雰囲気で。言葉はわりときれいですよ。書き文字だから。「おんどりゃー」書けないから。
ひろゆき 夏野さん、会議中に見てましたよねぇ。今日は夏野さん静かだなーと思ったら野球見てて。何やってんすか。
夏野 俺、コメント打ち込んでたんだよ。そのうち解説する人が出てきて、投げた瞬間に「スライダー!」とか書いてくるの。すげー。
ちなみに公式生番組は、1番組当たり8万ぐらいのコメントが付いてて、1万3500人ぐらいが同時に見るんです。
昔インターネットはオンデマンドで、都合の良い時間にバラバラに見るもので、テレビ放送が生というイメージがあったんですが、ここに来て逆になっている。日本はブロードバンドが進んでいるので、動画が流しやすいというのと、ネットワーク的に1万人同時に見るのができるようになってきたという。
夏野 さらに一般ユーザーが、素人が投稿するという新しい潮流が。昔だとWeb 2.0とかブログで起きていたことの動画版が、今すごいんです。ニコ動の「ユーザー生放送」では、素人が月間41万番組、生放送しているんです。放送者は1万人ぐらいなので、1人当たり40本やってる。
ひろゆき ユーザー生放送って、ユーザーが外に行って、イーモバイルやFOMAを使って、それをそのまま1000人に伝えることができちゃうんで、民主党の小沢一郎代表の秘書が逮捕される時に、マンションの下でずっと、「マスコミの○○社来ました」と生放送している人がいたり、香取慎吾さんが捕まったときの……
夏野 ちがうよ慎吾くんじゃないよ、草なぎくんだよ!
ひろゆき 草なぎくんがつかまった時、公園とか警察署にユーザーが生放送しに行ってということが起きてたりするんですよね。
夏野 インターネットで個人が情報発信すると既存メディアがいらなくなるんじゃないか、と昔から言われていたのを、地で行ってますね。
●日本はIT先進国 「日本ダメだ論」を超えて
夏野 日本のプレゼンスを上げよう。
“日本ダメだ論”がすごいんですよね。「日本がダメだ」と言いたい人がすごく多いんですよね、日本って。
ひろゆき 日本をダメって言うのが好きですからね、日本人が。
夏野 日本がダメだとすごくうれしそうにする日本人、いっぱいいるよね。普通はうれしくないと思うんですけど、「やっぱ日本ダメだ、だから俺もダメなんだ」という感じだよね。自分の会社がダメだとうれしい人がいるよね。なんでだろう。
でも日本はITに関して言うと、大先進国なんですよね。海外に出張すると、海外の状況がすごく遅れているというのが分かるんです。光回線がこんなに普通に引かれている国はないし、ブロードバンドもこんなにない。アメリカではいまだに1Mbpsをブロードバンドと言ってますから。
携帯でネットにアクセスするというのも。Googleケータイのどこが何が新しいかさっぱり分からない。全部ほとんど日本の携帯でできることですから。
ひろゆき 世界中でiPhoneすげーと言ってたとき、いまの携帯でだいたいできるよね、と日本だけ冷めてたってのもありましたよね。
夏野 ところが「日本は遅れてる遅れてる、ガラパゴス」と言われるんだよね。
ひろゆき 独自進化をしやすいので、日本は。
夏野 そんなこと言ったらWiiは独自進化じゃない。プリウスなんかめちゃめちゃ独自進化。日本メーカーしか作ってないのに。
ひろゆき 海外にちゃんと受ける形で、文化に合わせた形でフォーマットやコンセプト変えて出すと、結構受けたりするんですよね、日本で流行ってるものって。
夏野 日本語のブログって、世界最大規模らしいよ。英語になると、ブログではなくてFacebookとかSNS系で代替していくんだけど、日本のネットユーザーの方が、よりきちんと主張を出したいとか、そういう意識があるらしいんです。捨てたもんじゃないよね。
●シリコンバレーにゃ負けないぞ
夏野 ネット系のものっていうと、アメリカでまずできて、それが世界に広がって、その1つが日本というような、タイムマシンとおっしゃっている人もいましたが、日本からのものもたくさんあるし、みなさんがやってること自体が、世界競争力を秘めているのに、日本はダメだと思っていたら、そのうちほかの国がやり始めた、とかいうことがこれからもたくさんあると思うんですよね。
シリコンバレーからいっぱい人が来て探りに来るような、そういう場にしてほしいよね。
ひろゆき ネット自体はツールなわけじゃないですか。ネット使ってモノが売れたらいいよね、というのは誰もが思い付くわけじゃないですか。それを大規模にやれば世界中で売れますよね、じゃあ検索必要だよね、というのを、誰でも思い付くものを資本の規模でやるというのが、Amazonとか。
それはインフラとしてはありだと思うんですが、その上に来るのは結局コンテンツになると思うんですよね。コンテンツのセンス勝負。そうなると、日本ってゲームとかアニメとか、ハリウッド的な映画以外のコンテンツを作る能力は世界的に高いと思うんです。ネット上のコンテンツでもそれが出せていると思うんですが、それを世界に持っていくという方向をあまりやらないせいで、ガラパゴス的なコンテンツを作り続けている。
夏野 特にITに関しては自動車以上に日本は向いているし、潜在競争力もあると思うので、ここにいらっしゃるみなさんは、ネットの未来をこんなアホ2人に聞くんじゃなくて……
ひろゆき こんなの聞いたって、未来は明るくならないわけですから。
夏野 インターネットの未来を、まず日本から作るというくらいの気概で、ぜひですねぇ。
ひろゆき でも、メインカルチャーじゃないと評価しないっていう文化圏の問題もあると思うんですよね。
夏野 それを言っちゃおしまいだ! 今、締めに入ってるのに!
ひろゆき そうやって外貨を稼いでいる日本人はそれなりにいるんですよ。でもそこってメインカルチャーではないし、マスメディアも「すごい」と評価しない。ずっと裏の方でやっているという感じになって、たまに取り上げられると陵辱モノのアダルトゲームだったというような話になっちゃって。
表の人たちが「これはすごい」と言えないようなものでも細々とやってる人たちがいて、そういう人たちを支援することで全体の底上げをする手はあると思うんです。
夏野 それもいいし、大きな仕掛けをやってる人たちも、もっと自信を持ってほしいなぁと思うね。シリコンバレー行くとね、うまいもんもないし、一生懸命働いている雰囲気もしないし、金曜日の午後3時とかになると誰もいませんよ。
あんなんに負けたらしょうがないがな。みなさん、頑張りましょう。
「日本のITは、アメリカに負けていない。自信を持って海外に出て行ってほしい」――ネットワーク関連イベント「Interop Tokyo 2009」で6月12日、ニワンゴ取締役の西村博之(ひろゆき)氏とドワンゴ取締役の夏野剛氏が基調講演し、IT業界関係者にこう呼び掛けた。
テーマは「インターネットの未来像:ポストインターネット」。2人は、ニコニコ動画などで起きているできごとの紹介を織り交ぜながら、ネットと政治や、テレビとネットの関係、日本のITやコンテンツについて語り合った。話は時に大きく脱線していたが、2人の息の合った掛け合いに、2000人近い聴衆は笑いながら聴き入っていた。
夏野 最近ね、ITとかインターネットとかつまんないよね、特に携帯がつまら……(自主規制)
ひろゆき 一応、iモード作ってやめた夏野さんと、2ちゃんねる作ってやめた西村博之の基調講演という。
夏野 2ちゃんねるやめたの?
ひろゆき 一応そういう体(てい)になってるんですけど。
まぁでも、「インターネットの未来」っていわれてもねぇ。
夏野 これはすみません、お題作りは僕も関わってなくて、与えられたものです。
●オバマ大統領とTwitter 政治家とネット
夏野 インターネットと政治の話題をしましょう。バラク・オバマさんは、インターネットの力で大統領になったの?
ひろゆき 支持母体がほとんどない状態で出てきて、別のニーズをつかんで上ったということなので。
夏野 これは恐ろしいことが起きたということ。政治の潮流ががらっと変わったと僕は思ってる。
ひろゆき 韓国も盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領がネットで大統領になったと言われていましたよね。先進国でも、インターネットを選挙に使うのは結構当たり前になってきているのでは。
夏野 面白いのは、日本の政治家がネットをすごく使っていること。政治家先生本人は忙しくてネットはほとんど触ったことがないけれど、ブログやWebサイトはみんな持っている。ニコ動にも積極的に出演していただいている。一体どうなってるんでしょう。
オバマ大統領の場合、メールとかWebサイトを使っていたということは報道でよく知られているでしょうが、そういう“普通の”インターネットだけでなく、Twitterも使ってるんです。Twitterを政治家が使うのはけっこう難度が高いと思う。
●名の売れた政治家は、ほとんどニコ動で生放送をしている
夏野 あと、ちょっと名前の売れた日本の政治家さんは、ほとんどニコ動で生放送やってらっしゃるんです。この状況は、日本の産業界にきちんと理解してもらいたいなと思う。政治ってITに最も疎い、最も遅れているはずなのに、日本の大企業のトップの人よりは政治家の方がよっぽど進んでいるという状況なんです。
ひろゆき 多分、分からな過ぎたのが良かったんでしょうね。多少分かっていたら、炎上がどうこうという話になるじゃないですか。恐さを知らないから。「オバマが使ったインターネット、あ、俺も使う」みたいな。
夏野 炎上しても多分、政治家本人は気付かないしね。
ひろゆき 見てもいないですよ。
夏野 ただ、みんなが名を知っているようなある政治家さんがおっしゃってたんですけど、選挙区に帰るといろんな人に会って寝る間を惜しんで握手してるのに、よく考えると若者はあまりそこにいなかった。自分としては精一杯だったのに若者には届いてなかったのを、ニコ動で埋められたと。
その方、最初はニコ動のコメントにかなり怒っていたんですけど、そのうちコメントがないと寂しがるようになっちゃった。その方は元首相で、漢字1文字の。
ひろゆき “イット”じゃない、と。
夏野 一方で大企業の社長さんは、例えば孫さん(ソフトバンクの孫正義社長)は、携帯電話の端末発表会をニコ動に生中継していて、コメントがガンガン入ってくるのを見て「この端末やべぇ」と言っているらしいんですが、僕の古巣(NTTドコモ)は絶対にやらないね。原稿あるからね。「原稿読むなよ」と思うけど。
●紙と本、テレビとネット
夏野 大変なことが最近、起きていると思っていて。紙媒体の市場規模が減っている。新聞は06年から2%ずつ減っているし、出版も市場が3%ずつ減ってる。
夏野 出版業界も、ネット生かさないと、縮小していっちゃうんだよね。テレビ業界の営業収入もあんまり変わってないけど、広告収入だけピックアップすると年5%くらい減ってます。ローカル局はほとんど赤字状態。
ひろゆき 新聞はもともと、最新の情報が来るものだったじゃないですか。でも今は1日遅れだったりするわけで。テレビもあまり生放送とかやってなくて、本当にリアルタイムの情報を知りたい人はネットに来ちゃってる。
リアルタイムの情報に人は集まりがちなのかなという気が、最近しているんですけど。リアルタイムじゃない雑誌や新聞の売り上げが下がってて、テレビも売り上げが下がっているし。
夏野 テレビはこれからどうなるのかな。
ひろゆき 予算もないし、生放送ばっかりやってればいいんじゃないすか。
夏野 でもTBSが4月から番組改編して、60%を生放送番組にしたら、視聴率が激落ちだったって。
ひろゆき びっくりしますよね。TBSがある日、1日の番組の中で一番視聴率が高かったのが、再放送の水戸黄門。えーっていう。
●生放送という「逆説的な」流れ
夏野 最近のものすごく楽しい流れとして生放送があるんですけど。ニコニコ生放送を見たことある人? ……3分の1ぐらいが挙がりましたね。
ひろゆき へー。
夏野 ニコニコ動画でまさに生放送がブレイクしている。宣伝するわけじゃないんですが、100万人以上が視聴していて、政治家の方がガンガンやってます。
日本共産党の志位さん(志位和夫委員長)が、ニコ動でブレイクしまして。ニートの国会答弁がすごい若者の支持を受けて、入党者にいきなり若者が増えたそうです。
ひろゆき 思った以上にユルいですよね、政治家の方々。新聞とかテレビとかだと偉い人が対応を考えちゃうんですけど、ネットだと対応するのが若手だったりするので、面白い企画がそのまま通っちゃう。
夏野 野球中継も。ソフトバンク対オリックスっていうのを生放送したんですが、カードとしては最高に面白くない消化試合だったのが、ものすごい盛り上がった。
何が面白かったというと、広島球場のようなヤジがコメントとして流れる。「ピッチャー替えろ」とか「何やってんだ監督」とか。まるで球場にいるみたいな雰囲気で。言葉はわりときれいですよ。書き文字だから。「おんどりゃー」書けないから。
ひろゆき 夏野さん、会議中に見てましたよねぇ。今日は夏野さん静かだなーと思ったら野球見てて。何やってんすか。
夏野 俺、コメント打ち込んでたんだよ。そのうち解説する人が出てきて、投げた瞬間に「スライダー!」とか書いてくるの。すげー。
ちなみに公式生番組は、1番組当たり8万ぐらいのコメントが付いてて、1万3500人ぐらいが同時に見るんです。
昔インターネットはオンデマンドで、都合の良い時間にバラバラに見るもので、テレビ放送が生というイメージがあったんですが、ここに来て逆になっている。日本はブロードバンドが進んでいるので、動画が流しやすいというのと、ネットワーク的に1万人同時に見るのができるようになってきたという。
夏野 さらに一般ユーザーが、素人が投稿するという新しい潮流が。昔だとWeb 2.0とかブログで起きていたことの動画版が、今すごいんです。ニコ動の「ユーザー生放送」では、素人が月間41万番組、生放送しているんです。放送者は1万人ぐらいなので、1人当たり40本やってる。
ひろゆき ユーザー生放送って、ユーザーが外に行って、イーモバイルやFOMAを使って、それをそのまま1000人に伝えることができちゃうんで、民主党の小沢一郎代表の秘書が逮捕される時に、マンションの下でずっと、「マスコミの○○社来ました」と生放送している人がいたり、香取慎吾さんが捕まったときの……
夏野 ちがうよ慎吾くんじゃないよ、草なぎくんだよ!
ひろゆき 草なぎくんがつかまった時、公園とか警察署にユーザーが生放送しに行ってということが起きてたりするんですよね。
夏野 インターネットで個人が情報発信すると既存メディアがいらなくなるんじゃないか、と昔から言われていたのを、地で行ってますね。
●日本はIT先進国 「日本ダメだ論」を超えて
夏野 日本のプレゼンスを上げよう。
“日本ダメだ論”がすごいんですよね。「日本がダメだ」と言いたい人がすごく多いんですよね、日本って。
ひろゆき 日本をダメって言うのが好きですからね、日本人が。
夏野 日本がダメだとすごくうれしそうにする日本人、いっぱいいるよね。普通はうれしくないと思うんですけど、「やっぱ日本ダメだ、だから俺もダメなんだ」という感じだよね。自分の会社がダメだとうれしい人がいるよね。なんでだろう。
でも日本はITに関して言うと、大先進国なんですよね。海外に出張すると、海外の状況がすごく遅れているというのが分かるんです。光回線がこんなに普通に引かれている国はないし、ブロードバンドもこんなにない。アメリカではいまだに1Mbpsをブロードバンドと言ってますから。
携帯でネットにアクセスするというのも。Googleケータイのどこが何が新しいかさっぱり分からない。全部ほとんど日本の携帯でできることですから。
ひろゆき 世界中でiPhoneすげーと言ってたとき、いまの携帯でだいたいできるよね、と日本だけ冷めてたってのもありましたよね。
夏野 ところが「日本は遅れてる遅れてる、ガラパゴス」と言われるんだよね。
ひろゆき 独自進化をしやすいので、日本は。
夏野 そんなこと言ったらWiiは独自進化じゃない。プリウスなんかめちゃめちゃ独自進化。日本メーカーしか作ってないのに。
ひろゆき 海外にちゃんと受ける形で、文化に合わせた形でフォーマットやコンセプト変えて出すと、結構受けたりするんですよね、日本で流行ってるものって。
夏野 日本語のブログって、世界最大規模らしいよ。英語になると、ブログではなくてFacebookとかSNS系で代替していくんだけど、日本のネットユーザーの方が、よりきちんと主張を出したいとか、そういう意識があるらしいんです。捨てたもんじゃないよね。
●シリコンバレーにゃ負けないぞ
夏野 ネット系のものっていうと、アメリカでまずできて、それが世界に広がって、その1つが日本というような、タイムマシンとおっしゃっている人もいましたが、日本からのものもたくさんあるし、みなさんがやってること自体が、世界競争力を秘めているのに、日本はダメだと思っていたら、そのうちほかの国がやり始めた、とかいうことがこれからもたくさんあると思うんですよね。
シリコンバレーからいっぱい人が来て探りに来るような、そういう場にしてほしいよね。
ひろゆき ネット自体はツールなわけじゃないですか。ネット使ってモノが売れたらいいよね、というのは誰もが思い付くわけじゃないですか。それを大規模にやれば世界中で売れますよね、じゃあ検索必要だよね、というのを、誰でも思い付くものを資本の規模でやるというのが、Amazonとか。
それはインフラとしてはありだと思うんですが、その上に来るのは結局コンテンツになると思うんですよね。コンテンツのセンス勝負。そうなると、日本ってゲームとかアニメとか、ハリウッド的な映画以外のコンテンツを作る能力は世界的に高いと思うんです。ネット上のコンテンツでもそれが出せていると思うんですが、それを世界に持っていくという方向をあまりやらないせいで、ガラパゴス的なコンテンツを作り続けている。
夏野 特にITに関しては自動車以上に日本は向いているし、潜在競争力もあると思うので、ここにいらっしゃるみなさんは、ネットの未来をこんなアホ2人に聞くんじゃなくて……
ひろゆき こんなの聞いたって、未来は明るくならないわけですから。
夏野 インターネットの未来を、まず日本から作るというくらいの気概で、ぜひですねぇ。
ひろゆき でも、メインカルチャーじゃないと評価しないっていう文化圏の問題もあると思うんですよね。
夏野 それを言っちゃおしまいだ! 今、締めに入ってるのに!
ひろゆき そうやって外貨を稼いでいる日本人はそれなりにいるんですよ。でもそこってメインカルチャーではないし、マスメディアも「すごい」と評価しない。ずっと裏の方でやっているという感じになって、たまに取り上げられると陵辱モノのアダルトゲームだったというような話になっちゃって。
表の人たちが「これはすごい」と言えないようなものでも細々とやってる人たちがいて、そういう人たちを支援することで全体の底上げをする手はあると思うんです。
夏野 それもいいし、大きな仕掛けをやってる人たちも、もっと自信を持ってほしいなぁと思うね。シリコンバレー行くとね、うまいもんもないし、一生懸命働いている雰囲気もしないし、金曜日の午後3時とかになると誰もいませんよ。
あんなんに負けたらしょうがないがな。みなさん、頑張りましょう。
「私が眠ると、みんな死んじゃう」 「ネトゲ廃人」その悲惨な実態(COLUMN)
ネットゲームにはまり過ぎて、リアル(現実)での生活が破綻してしまった人たちのことを「ネトゲ廃人」という。韓国や中国、ロシアでは2000年代初頭から、ネトゲを連続でプレイしすぎて死者が出るなどすでに社会問題化していたが、09年5月に発売された『ネトゲ廃人』(リーダーズノート発行)によると近年日本でも問題になりつつあるという。
一度始めるとやめられない
この本で、著者のジャーナリスト芦崎治氏は、全国25名のネットゲーマーに綿密な聞き取り取材を実施。ネトゲで、「友達。おしゃれする心。出かける探求心」を失ったという若い女性や、「1日12時間交代でゲームに没頭。マンションで2人暮らしする高校生兄弟」「ゲームのし過ぎで倒れ、運ばれた病院で医者に呆れられた女子高生」など、常人には理解しがたい数々の悲惨な例も登場する。が、彼らの多くに共通するのは、ゲームが楽しくてやり過ぎてしまうのではなく、義務感や強迫観念からやってしまっていることだった。
例えば、ネットゲーマーの中で一時絶大な人気を持った「ファイナルファンタジーXI」は、6人1組での行動が原則なのだという。1人でも抜けるとパーティが全滅しそうになるくらい不利になるので、「私が眠ると、みんな死んじゃう」と、なかなか中断できない。
また、多くのネットゲームでは、経験値稼ぎやレアアイテムの入手など、より長時間プレイしたプレイヤーが有利になる仕組みになっているので、「他のプレイヤーより強くなるには、引きこもるしかない」というワケだ。当然リアルの生活にも影響があり、会社を遅刻したり、それでクビになったケースもあるという。一度やり始めるとやめられない。ネトゲ廃人経験者たちの「自分が親だったら、子どもには、やらせない」という言葉が印象的だ。
芦崎氏が取材した韓国では、ネトゲ廃人の未成年を対象にした寄宿型治療施設の運営などを政府が主導して行っているというが、日本ではこれといった対策がまだなされていない。そんな中、これまであまり注目のされることのなかったネトゲ廃人の書籍が登場したことは意義あることと言えるだろう。実際に、発売後1か月で5刷りとなっている。版元には、親、教育者だけでなく、ゲーマーからも「自分も廃人だった。よく書いてくれた」といった感想が寄せられているとのことだ。
「マイルド」「ライト」表示禁止 米たばこ規制法案可決
【ワシントン=渡辺浩生】米上下両院で13日までに、たばこの製造・販売・広告に対する大幅な規制権限を食品医薬品局(FDA)に付与するたばこ規制法案が可決された。オバマ大統領が近く署名し成立する。健康被害が指摘されて以来、数十年にわたり、政府による強力な規制は業界の反対に遭ってきたが、今回の規制法案成立により、米社会におけるたばこの地位が決定的に変わるのは間違いなさそうだ。
法案は上院で11日に賛成79、反対17で通過した。12日には下院で賛成307、反対97の圧倒的多数で可決された。
新規制はメーカーと喫煙者に変化を迫る。たばこの表示に「マイルド」や「ライト」、「低タール」といった健康被害が軽減されるような表現が禁止され、名称が変わるたばこもでてくる。
FDAは、たばこの常習性を減退させて、禁煙をしやすくする水準までニコチンの含有量を減らす権限を持つようになる。若者を喫煙に引き付けるような風味の添加も禁じられ、たばこの風味は変わる。メントールの添加は健康への影響を調査した後判断する。
また、パッケージの50%は健康被害を警告する表示で覆われ、メーカーがFDAに支払う手数料の転嫁でたばこの価格は値上がりする。主な読者が18歳未満の雑誌への広告を制限、学校や遊び場周辺での屋外広告も禁止する。
米国では成人の喫煙率が約2割で、年間40万人がガンなど喫煙が関連した病気で死亡している。議会予算局(CBO)は今回の規制導入により、今後10年間で若者の喫煙を11%、成人を2%減らすと試算する。
自らは禁煙に苦闘しているオバマ大統領だが、法案の可決を「われわれの子供を喫煙から守り、公衆衛生を改善する」と歓迎、近く署名する考えを示した。
米国では1964年、公衆衛生局長官が、喫煙とがんの関連性を報告書で初めて指摘。71年にテレビとラジオのたばこ広告が法律で禁止され、88年には旅客機内の喫煙に関する規制が導入された。しかし、業界は強力なロビー活動で規制強化に抵抗を続けてきた。
今回の法案について、大手メーカーの中で唯一、最大手フィリップモリスの親会社アルトリア・グループが支持を表明している。「新製品を出すことがほぼ不可能になる」と業界関係者が見る中、規制に適合することで市場を独占できると判断したとみられる。
G8閉幕 危機克服との両立が課題
日米欧、ロシアの主要8カ国(G8)財務相会合は13日、世界経済に安定化の兆しが出ているとの見解を盛り込んだ共同声明を採択し、閉幕した。
声明は世界同時不況の「非常事態」を受けて各国が実施した政策協調の効果をアピールする内容となったが、欧州では金融不安が懸念がくすぶり、本格的な回復にはなお、不安材料は多い。「平時」の経済財政運営に戻す出口戦略は、鮮明さに欠ける形になった。
昨年秋以降の米国発の金融危機と実体経済への悪影響の拡大を食い止めるため、各国は積極的な財政政策で協調してきた。
そうした対策で日本経済は東京株式市場の平均株価が今月11日、約8カ月ぶりとなる一時、1万円の大台を回復。「ようやく最悪期を脱した」( 与謝野財務・金融・経済財政担当相」の見方が広がり、震源地の米国でも、金融部門が落ち着きを取り戻してきた。共同声明はそんな世界経済の底打ち感を反映したものだ。だが、世界経済全体は09年で戦後初のマイナス成長が見込まれ、依然として厳しい状況にあるのが現実だ。
景気対策に伴う大量の国債発行で、財政悪化や長期金利の上昇懸念が強まる中、出口戦略が長期的な回復の課題と位置付けられた声明には「二番底」の可能性が否定できない世界経済の先行きをうかがわせた。
一方で、G8会合に先立ち、与謝野財務相とガイトナー米財務長官は、北朝鮮への制裁強化に向けた連携の継続を確認した。外貨獲得の機会に乏しい北朝鮮にとって、金融市場からの締め出しが最も痛手となる。
特に貿易などの決済に必要となるドル資金の調達を難しくすることが重要だ。
今後制裁の実効性を上げるために、中国が日米と足並みをそろえるかがカギになる。制裁で金融分野を柱に据えているのは、物資の取引に不可欠な資金を絞って、“兵糧攻め”にする狙いがあるからだ。
米国はすでに中国の金融機関や企業が北朝鮮との取引を制限するよう中国当局に働きかけているが、中国がどこまで協力するかは不透明だ。具体策について、来月の「米中戦略・経済対話」が焦点となりそうだ。
ネット口座が1500万突破 金融危機下でもシニアが“支える”
金融危機でもシニアの個人投資家が活発に「参戦」-。インターネットを通じた証券取引に関するそんな実態が日本証券業協会の調査から明らかになった。取引口座数も初めて1500万を突破、高年齢層の押し上げ効果が大きかったとみられる。
日証協会員の証券会社321社を対象に、平成20年10月から21年3月までのネット取引の状況を調べた。
口座数は21年3月末時点で1501万口座に達し、昨年9月末から87万増えた。この時期は、米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻に伴う株式市場の低迷とちょうど重なる。ネット取引口座の増減は株価の上下に沿って推移する傾向がみられたが、今回は逆の結果となった形だ。
残高が1円以上の口座の前回調査(半年前)時点との比較の内訳を年代別に見ると、60歳代が34.0%増加とトップで、40歳代の21.7%、70歳以上の19.3%、50歳代の15.9%と、シニア層の増加が目立つ。
第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「株価下落で、団塊世代など高年齢の投資家が新しく口座を設ける動きが増えたのだろう」と指摘する。
ただ、現金取引と信用取引のこの半年間の合計売買代金は73兆1268億円で、前回調査から21.8%減少。とくに50~歳代は3割近くまで減った。
熊野氏は「若年層は株価の急落局面でも機敏に損切りを行い、次の取引へと向かうが、50歳以上の長期投資家は損切りが間に合わず、取引の停滞を余儀なくされた」とみている。
独VW、日本でカーシェア参入 アウディ車を用意
独フォルクスワーゲン(VW)グループは住友不動産と組み、車を複数の会員が共同利用する「カーシェアリング」事業に参入する。住友不動産の都心部の高級マンションに住む人などが、VW傘下の高級車メーカー、アウディの車を利用できるようにする。景気低迷で富裕層にも高級輸入車を買い控える動きが広がっている。都心に住んだり勤めたりする外国人などの需要を開拓する。
金融関連事業を手がける独フォルクスワーゲンファイナンシャルサービスの日本法人が、アウディジャパン(東京・世田谷)から車を調達して始める。外資系自動車メーカーのカーシェア事業参入は初めて。
【産経主張】イラン大統領選 米国との対話に舵を切れ
30年を迎えたイラン・イスラム革命の進路を占うイラン大統領選で、強硬保守派の現職、アフマディネジャド大統領が改革派のムサビ元首相ら対立候補を引き離し、再選された。
予想外の圧勝だが、欧米との協調外交を唱えるムサビ氏との白熱したテレビ討論など前例のない盛り上がりを見せた選挙戦からは、多くのイラン国民が「変化」を求めていることも読み取れる。アフマディネジャド大統領には現実を見据えた対話路線への転換を強く求めたい。
イランでは国家元首の最高指導者が国政全般にわたる最終決定権をもつ。しかし、国民の直接選挙で選ばれる大統領の対外的な影響力は小さくない。その意味で、再選されたアフマディネジャド大統領は国際世論にもっと耳を傾けねばなるまい。
ホロコースト(ナチス・ドイツによるユダヤ人大虐殺)否定や「イスラエルは地図から抹消されなければならない」といった大統領の過激な発言は、欧米との無用の軋轢(あつれき)を生んだだけだった。国内的にも知識層を中心に「イランの国際的威信を傷つけた」(ムサビ氏)とする批判が少なくない。
アフマディネジャド大統領が打ち出す2期目の外交方針のうち、最も注目されるのは、核兵器開発疑惑への対応だ。「平和目的の原子力開発の権利」を盾に、ウラン濃縮の停止を求める国連安全保障理事会の決議を拒んだりするこれまでの方針を続けては、国際的孤立は深まるだろう。
イラン国内に目を向けると、対外強硬路線が行き詰まりを見せていることがわかる。原油の高値にあぐらをかいた「ばらまき政策」の結果、昨年には30%もの物価高騰をみたインフレが依然続き、失業率も上昇中という。
原油、天然ガスとも確認埋蔵量が世界2位という豊富な資源を生かすには外国企業が安心して投資できる環境が必要だ。そのためにも孤立は解消する必要がある。
オバマ米大統領は今月4日にカイロでイスラム世界に向けておこなった演説で、イランの核武装は拒否しつつも「核拡散防止条約の義務を順守すれば、イランを含むすべての国に原子力平和利用の権利がある」と明言した。
イランがこれに呼応する対話路線に舵(かじ)を切るかどうか。機会を逃せば、北朝鮮と同様の立場に追い込まれかねない。
ネットゲームにはまり過ぎて、リアル(現実)での生活が破綻してしまった人たちのことを「ネトゲ廃人」という。韓国や中国、ロシアでは2000年代初頭から、ネトゲを連続でプレイしすぎて死者が出るなどすでに社会問題化していたが、09年5月に発売された『ネトゲ廃人』(リーダーズノート発行)によると近年日本でも問題になりつつあるという。
一度始めるとやめられない
この本で、著者のジャーナリスト芦崎治氏は、全国25名のネットゲーマーに綿密な聞き取り取材を実施。ネトゲで、「友達。おしゃれする心。出かける探求心」を失ったという若い女性や、「1日12時間交代でゲームに没頭。マンションで2人暮らしする高校生兄弟」「ゲームのし過ぎで倒れ、運ばれた病院で医者に呆れられた女子高生」など、常人には理解しがたい数々の悲惨な例も登場する。が、彼らの多くに共通するのは、ゲームが楽しくてやり過ぎてしまうのではなく、義務感や強迫観念からやってしまっていることだった。
例えば、ネットゲーマーの中で一時絶大な人気を持った「ファイナルファンタジーXI」は、6人1組での行動が原則なのだという。1人でも抜けるとパーティが全滅しそうになるくらい不利になるので、「私が眠ると、みんな死んじゃう」と、なかなか中断できない。
また、多くのネットゲームでは、経験値稼ぎやレアアイテムの入手など、より長時間プレイしたプレイヤーが有利になる仕組みになっているので、「他のプレイヤーより強くなるには、引きこもるしかない」というワケだ。当然リアルの生活にも影響があり、会社を遅刻したり、それでクビになったケースもあるという。一度やり始めるとやめられない。ネトゲ廃人経験者たちの「自分が親だったら、子どもには、やらせない」という言葉が印象的だ。
芦崎氏が取材した韓国では、ネトゲ廃人の未成年を対象にした寄宿型治療施設の運営などを政府が主導して行っているというが、日本ではこれといった対策がまだなされていない。そんな中、これまであまり注目のされることのなかったネトゲ廃人の書籍が登場したことは意義あることと言えるだろう。実際に、発売後1か月で5刷りとなっている。版元には、親、教育者だけでなく、ゲーマーからも「自分も廃人だった。よく書いてくれた」といった感想が寄せられているとのことだ。
「マイルド」「ライト」表示禁止 米たばこ規制法案可決
【ワシントン=渡辺浩生】米上下両院で13日までに、たばこの製造・販売・広告に対する大幅な規制権限を食品医薬品局(FDA)に付与するたばこ規制法案が可決された。オバマ大統領が近く署名し成立する。健康被害が指摘されて以来、数十年にわたり、政府による強力な規制は業界の反対に遭ってきたが、今回の規制法案成立により、米社会におけるたばこの地位が決定的に変わるのは間違いなさそうだ。
法案は上院で11日に賛成79、反対17で通過した。12日には下院で賛成307、反対97の圧倒的多数で可決された。
新規制はメーカーと喫煙者に変化を迫る。たばこの表示に「マイルド」や「ライト」、「低タール」といった健康被害が軽減されるような表現が禁止され、名称が変わるたばこもでてくる。
FDAは、たばこの常習性を減退させて、禁煙をしやすくする水準までニコチンの含有量を減らす権限を持つようになる。若者を喫煙に引き付けるような風味の添加も禁じられ、たばこの風味は変わる。メントールの添加は健康への影響を調査した後判断する。
また、パッケージの50%は健康被害を警告する表示で覆われ、メーカーがFDAに支払う手数料の転嫁でたばこの価格は値上がりする。主な読者が18歳未満の雑誌への広告を制限、学校や遊び場周辺での屋外広告も禁止する。
米国では成人の喫煙率が約2割で、年間40万人がガンなど喫煙が関連した病気で死亡している。議会予算局(CBO)は今回の規制導入により、今後10年間で若者の喫煙を11%、成人を2%減らすと試算する。
自らは禁煙に苦闘しているオバマ大統領だが、法案の可決を「われわれの子供を喫煙から守り、公衆衛生を改善する」と歓迎、近く署名する考えを示した。
米国では1964年、公衆衛生局長官が、喫煙とがんの関連性を報告書で初めて指摘。71年にテレビとラジオのたばこ広告が法律で禁止され、88年には旅客機内の喫煙に関する規制が導入された。しかし、業界は強力なロビー活動で規制強化に抵抗を続けてきた。
今回の法案について、大手メーカーの中で唯一、最大手フィリップモリスの親会社アルトリア・グループが支持を表明している。「新製品を出すことがほぼ不可能になる」と業界関係者が見る中、規制に適合することで市場を独占できると判断したとみられる。
G8閉幕 危機克服との両立が課題
日米欧、ロシアの主要8カ国(G8)財務相会合は13日、世界経済に安定化の兆しが出ているとの見解を盛り込んだ共同声明を採択し、閉幕した。
声明は世界同時不況の「非常事態」を受けて各国が実施した政策協調の効果をアピールする内容となったが、欧州では金融不安が懸念がくすぶり、本格的な回復にはなお、不安材料は多い。「平時」の経済財政運営に戻す出口戦略は、鮮明さに欠ける形になった。
昨年秋以降の米国発の金融危機と実体経済への悪影響の拡大を食い止めるため、各国は積極的な財政政策で協調してきた。
そうした対策で日本経済は東京株式市場の平均株価が今月11日、約8カ月ぶりとなる一時、1万円の大台を回復。「ようやく最悪期を脱した」( 与謝野財務・金融・経済財政担当相」の見方が広がり、震源地の米国でも、金融部門が落ち着きを取り戻してきた。共同声明はそんな世界経済の底打ち感を反映したものだ。だが、世界経済全体は09年で戦後初のマイナス成長が見込まれ、依然として厳しい状況にあるのが現実だ。
景気対策に伴う大量の国債発行で、財政悪化や長期金利の上昇懸念が強まる中、出口戦略が長期的な回復の課題と位置付けられた声明には「二番底」の可能性が否定できない世界経済の先行きをうかがわせた。
一方で、G8会合に先立ち、与謝野財務相とガイトナー米財務長官は、北朝鮮への制裁強化に向けた連携の継続を確認した。外貨獲得の機会に乏しい北朝鮮にとって、金融市場からの締め出しが最も痛手となる。
特に貿易などの決済に必要となるドル資金の調達を難しくすることが重要だ。
今後制裁の実効性を上げるために、中国が日米と足並みをそろえるかがカギになる。制裁で金融分野を柱に据えているのは、物資の取引に不可欠な資金を絞って、“兵糧攻め”にする狙いがあるからだ。
米国はすでに中国の金融機関や企業が北朝鮮との取引を制限するよう中国当局に働きかけているが、中国がどこまで協力するかは不透明だ。具体策について、来月の「米中戦略・経済対話」が焦点となりそうだ。
ネット口座が1500万突破 金融危機下でもシニアが“支える”
金融危機でもシニアの個人投資家が活発に「参戦」-。インターネットを通じた証券取引に関するそんな実態が日本証券業協会の調査から明らかになった。取引口座数も初めて1500万を突破、高年齢層の押し上げ効果が大きかったとみられる。
日証協会員の証券会社321社を対象に、平成20年10月から21年3月までのネット取引の状況を調べた。
口座数は21年3月末時点で1501万口座に達し、昨年9月末から87万増えた。この時期は、米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻に伴う株式市場の低迷とちょうど重なる。ネット取引口座の増減は株価の上下に沿って推移する傾向がみられたが、今回は逆の結果となった形だ。
残高が1円以上の口座の前回調査(半年前)時点との比較の内訳を年代別に見ると、60歳代が34.0%増加とトップで、40歳代の21.7%、70歳以上の19.3%、50歳代の15.9%と、シニア層の増加が目立つ。
第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「株価下落で、団塊世代など高年齢の投資家が新しく口座を設ける動きが増えたのだろう」と指摘する。
ただ、現金取引と信用取引のこの半年間の合計売買代金は73兆1268億円で、前回調査から21.8%減少。とくに50~歳代は3割近くまで減った。
熊野氏は「若年層は株価の急落局面でも機敏に損切りを行い、次の取引へと向かうが、50歳以上の長期投資家は損切りが間に合わず、取引の停滞を余儀なくされた」とみている。
独VW、日本でカーシェア参入 アウディ車を用意
独フォルクスワーゲン(VW)グループは住友不動産と組み、車を複数の会員が共同利用する「カーシェアリング」事業に参入する。住友不動産の都心部の高級マンションに住む人などが、VW傘下の高級車メーカー、アウディの車を利用できるようにする。景気低迷で富裕層にも高級輸入車を買い控える動きが広がっている。都心に住んだり勤めたりする外国人などの需要を開拓する。
金融関連事業を手がける独フォルクスワーゲンファイナンシャルサービスの日本法人が、アウディジャパン(東京・世田谷)から車を調達して始める。外資系自動車メーカーのカーシェア事業参入は初めて。
【産経主張】イラン大統領選 米国との対話に舵を切れ
30年を迎えたイラン・イスラム革命の進路を占うイラン大統領選で、強硬保守派の現職、アフマディネジャド大統領が改革派のムサビ元首相ら対立候補を引き離し、再選された。
予想外の圧勝だが、欧米との協調外交を唱えるムサビ氏との白熱したテレビ討論など前例のない盛り上がりを見せた選挙戦からは、多くのイラン国民が「変化」を求めていることも読み取れる。アフマディネジャド大統領には現実を見据えた対話路線への転換を強く求めたい。
イランでは国家元首の最高指導者が国政全般にわたる最終決定権をもつ。しかし、国民の直接選挙で選ばれる大統領の対外的な影響力は小さくない。その意味で、再選されたアフマディネジャド大統領は国際世論にもっと耳を傾けねばなるまい。
ホロコースト(ナチス・ドイツによるユダヤ人大虐殺)否定や「イスラエルは地図から抹消されなければならない」といった大統領の過激な発言は、欧米との無用の軋轢(あつれき)を生んだだけだった。国内的にも知識層を中心に「イランの国際的威信を傷つけた」(ムサビ氏)とする批判が少なくない。
アフマディネジャド大統領が打ち出す2期目の外交方針のうち、最も注目されるのは、核兵器開発疑惑への対応だ。「平和目的の原子力開発の権利」を盾に、ウラン濃縮の停止を求める国連安全保障理事会の決議を拒んだりするこれまでの方針を続けては、国際的孤立は深まるだろう。
イラン国内に目を向けると、対外強硬路線が行き詰まりを見せていることがわかる。原油の高値にあぐらをかいた「ばらまき政策」の結果、昨年には30%もの物価高騰をみたインフレが依然続き、失業率も上昇中という。
原油、天然ガスとも確認埋蔵量が世界2位という豊富な資源を生かすには外国企業が安心して投資できる環境が必要だ。そのためにも孤立は解消する必要がある。
オバマ米大統領は今月4日にカイロでイスラム世界に向けておこなった演説で、イランの核武装は拒否しつつも「核拡散防止条約の義務を順守すれば、イランを含むすべての国に原子力平和利用の権利がある」と明言した。
イランがこれに呼応する対話路線に舵(かじ)を切るかどうか。機会を逃せば、北朝鮮と同様の立場に追い込まれかねない。