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ドコモがソフトバンクに肉薄――6月契約数
 電気通信事業者協会(TCA)は7月7日、2009年6月の携帯電話・PHS契約数を発表した。。
 今回もトップはソフトバンクモバイルで、26カ月連続の首位を維持した。6月26日に発売された「iPhone 3GS」が好影響を与えたのは明白だろう。「番号ポータビリティや買い増しで新規契約をする方も多い」(ソフトバンクモバイル広報部)ようだ。
 NTTドコモは11万2400の純増数を獲得し、ソフトバンクに500差と迫った。ドコモ広報部は「夏モデルが出そろったことに加え、解約率が過去最低水準に達したこと」が今回の結果につながったと分析している。
 9万1600の純増数を獲得したイー・モバイルは、6月には新機種は発売しなかったものの、「個人と法人向け端末が堅調に推移していることと、Netbookとのセット販売も好評」(イー・モバイル広報部)であることから、好調を維持したようだ。
 KDDIは5月下旬から6月にかけて夏モデルを投入したが、ドコモやソフトバンクほど数字に結びつかず、5月よりも少ない4万3800の純増に留まった。KDDI広報部は「6月は春商戦期に比べて落ち着く時期。新規獲得は難しいが、長期的な視点でこれからの動きに期待したい」とコメントした。
 番号ポータビリティの利用状況は、ドコモが-1万500、KDDIが-900、イー・モバイルが-100と3社が転出超過となった一方で、ソフトバンクは+1万500の転入超過となった。純増数と同じく、こちらもiPhone 3GSの影響が大きいといえる。
 ウィルコムは、WILLCOM CORE 3Gが1万4100の純増を記録したものの、PHSが2万3600の純減となったため、全体では9500の純減となった。同社は「WILLCOM CORE 3Gの新規獲得は堅調に推移しているが、音声セグメントでキャンペーン終了に伴う一時的な獲得鈍化の影響があった」と分析。今後は「WILLCOM CORE 3Gを販売強化することで、個人・法人の各セグメントでバランスの取れた顧客基盤の拡大を目指す」とした。



TBS、視聴率低迷で異例の7月改編
 視聴率の低迷に苦しむTBSテレビが今月、異例の番組改編を行う。かつてない規模の4月改編が成果を上げられず、わずか4カ月で見直すことにした。 4月改編の目玉だった約4時間の生放送番組「ひるおび!」は3時間に縮小。韓流ドラマを放送し、「水戸黄門」の再放送枠を移し中高年層を強く意識した改編だ。「TBSは追い込まれている。非常に厳しい」。5月下旬に着任した菅井龍夫・TBSテレビ編成部長はこう話す。 編成部長は2度目の登板。06年1月初めまでの部長時代は「みのもんたの朝ズバッ!」を定着させた実績を持つ。営業部門に転じていたが、視聴率低迷で異例の再起用が決まった。
 TBSの今年4~6月の平均視聴率(関東地区、ビデオリサーチ調べ)は、ゴールデンタイム(午後7時~10時)が9.8%、プライムタイム(同7時~11時)が9.9%、全日(午前6時~翌午前0時)が6.4%。NHKと在京キー局の中でいずれも5位。3帯ともそろって5位になるのは初めての事態だという。
 一部を除いて春のドラマが低迷した上に、新番組「ひるおび!」は視聴率が3%台。平日夕のニュース番組「総力報道!THE NEWS」も平均が前半4.9%、後半6.5%と振るわなかった。「視聴者のニーズに応えられていない面もある」と石原俊爾社長も認める。



ビデオカメラ付きiPod、年内登場か?
 AppleのiPodの将来版には、静止画像と動画を撮影できるカメラが搭載され、機能性がさらに高まるかもしれない。
 TechCrunchはアジアの情報筋の発言として、Appleが10ドルのカメラモジュールを大量に発注したと伝えた。Macrumorsは同日、「カメラを取り付けるための穴が開いた」iPod touchの筐体デザインの画像を掲載した。
 TechCrunchの情報筋は、カメラモジュールの発注規模から見て、「shuffle以外のすべてのiPodに間もなくカメラが搭載されるかもしれない」と示唆した。
 このうわさが本当なら、カメラ付きiPodは、比較的安価な小型ビデオカメラの市場を築いているFlipのような携帯デジタルビデオカメラにとって当面、明確な脅威となるかもしれない。



ドコモ、宅内にも設置できるフェムトセル基地局を開発
 NTTドコモは、通信速度を向上させPlug&Play機能などに対応し、ユーザーの個人宅にも設置できる小型の「フェムトセル基地局装置」を開発した。7月22日より開催される展示会「WIRELESS JAPAN 2009」に出展される。
 フェムトセルとは、きわめて狭い携帯電話のサービスエリアや、そのサービスエリアを実現するための小型基地局を示す用語。どの程度のエリア面積であれば「フェムトセル」と呼ぶか、きちんとした定義はなされていないが、“1000兆分の1”という意味の接頭語「フェムト」を使うことで、個人の宅内など“非常に小さなエリア”とされる。
 ドコモでは2009年秋口にも、一般住居でも設置できるような形でのフェムトセル導入を検討している。ただし、基地局装置の提供形態が販売になるかレンタルになるのか、あるいは価格帯がどうなるのかについては、今後検討していくという。



Nokia、「Androidスマートフォン開発」報道を否定
 世界最大の携帯電話メーカーNokiaは7月6日、同社はGoogleのAndroid OSを搭載した携帯電話を開発していないと語った。
 英国の日刊紙Guardianは同日、NokiaがAndroid搭載のスマートフォンを開発しており、9月に投入予定だと聞いたという業界関係者の発言を報じた。
 「この報道は真実ではない」とNokiaの広報担当者は語った。
 GoogleのAndroidはNokiaのSymbian OSのライバルだ。
 「Symbianが当社の高機能携帯デバイスの優先プラットフォームであることは皆知っている」と広報担当者は述べた。
 Androidは携帯電話業界で弾みを付けており、多数のベンダーが同ソフト搭載の携帯電話を計画しているが、今のところは数モデルしか発売されていない。



「ウィンドウズ7」国内も10月22日に発売 マイクロソフト
 マイクロソフト(MS)日本法人は7日、パソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7(セブン)」を米国と同じ10月22日に国内で発売すると発表した。現行の「ビスタ」の後継で、パソコンのメモリー容量が比較的小さくても起動が速く、動作も軽くなるのが特徴という。
 価格は一般消費者向け「ホームプレミアム」が2万4800円で、ビスタや「XP」など従来のウィンドウズのユーザーが乗り換える場合はこれよりも安くなる。全般にビスタよりは価格を抑えている。



09年の世界広告市場、ネット拡大 前年比10.1%増
 【シリコンバレー=村山恵一】世界の広告市場でインターネットの比重が一段と高まってきた。英社が6日発表した2009年の広告費予測によると、ネット広告費は前年比10.1%増の567億9700万ドルとなる一方、テレビや新聞など他媒体はすべて前年割れとなる。景気低迷が長引くなか、効率的な広告が可能とされるネットに需要が集まる傾向が鮮明になっている。
 予測は英ゼニスオプティメディアがまとめた。09年の世界広告費は前年比8.5%減の4564億7900万ドル。ネット広告の占める割合は12.6%と前年より2.1ポイント上昇する。世界の広告市場はIT(情報技術)バブル崩壊以降、拡大基調を続けてきたが、急激な需要構造の変化はメディア各社の経営戦略にも影響を与えそうだ。
 ゼニス社は7種類の媒体別に広告費を予測。09年はネットをのぞく6媒体が前年実績を割り込むとした。主要媒体ではテレビが7.1%減の1736億2500万ドル、新聞が14.7%減の1055億3300万ドルなどとなる。08年はテレビやネットなど4媒体が前年比プラスだった。



自動車保険一斉値上げ、基準料率5.7%アップ 10年度
 損害保険各社が2010年度に、任意の自動車保険の保険料を一斉に引き上げる見通しになった。損害保険料率算出機構が保険料決定の基準となる「参考純率」を平均5.7%上げるのを受け、各社が自社の上げ幅を独自に判断する。自動車保険の支払保険金が増えているためで、参考純率のアップは9年ぶり。特に事故が多い高齢者の上げ幅が大きくなりそうだ。
 同機構は加盟各社の最新の事故データを分析し、参考純率を計算する。損保の多くはこれをベースに、自社の保険料を決める。保険料の実際の負担増は年2千~3千円程度になるとみられる。



LG電子、メキシコで生産拠点を再編 テレビ集約、携帯から撤退
 【ソウル=尾島島雄】韓国のLG電子は7日、メキシコにある生産拠点を再編すると公表した。現在2カ所に分散している薄型テレビ工場を今年9月までに1カ所に集約する一方、6月末までに携帯電話の現地生産から撤退した。集約した工場では中大型の高級タイプの液晶テレビを手掛け、北米と中南米に輸出する生産拠点に育てる。
 まずメキシコ北西部のメキシカリ工場で手掛ける携帯電話の生産を中止し、同国市場への供給は韓国内で生産した携帯を輸出して代替する。同工場の液晶テレビ部門はメキシコ湾に近いレイノサ工場に集約する。
 メキシコにはこのほかに冷蔵庫とオーブンレンジを手掛ける工場がある。LGは今後、メキシコに残った2工場に3年間で1億ドル(約95億円)程度を投資して生産能力を拡大。大半をテレビ生産に振り向けるとみられる。レイノサ工場はプラズマテレビも手掛けており、現在2280人いる従業員をさらに約1200人増員する計画だ。



【東京新聞社説】
中国新疆暴動 流血の民族抗争避けよ
2009年7月7日
 中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで起きた暴動で百人以上が死亡した。漢民族へのウイグル族の反発が原因という。中国政府は自制した対応で報復の応酬が広がるのを防がなければならない。
 五日夜、市内の広場や商店街、道路などで少数民族のウイグル族がデモを始め、警察の規制に反撃して暴動に発展したようだ。
 死者の多くは漢民族とされるが、ウイグル族も警察の取り締まりで死亡したとの情報もある。
 六月下旬に広東省の玩具工場で、ウイグル族労働者が女性を暴行したという疑いが広がり、漢民族がウイグル族を襲い二人が死亡する事件が起きた。
 同自治区当局者は「独立派が広東の事件を利用し、破壊行為を呼び掛けた」と非難している。
 中国北西部の同自治区はイスラム教徒がほとんどを占めるトルコ系のウイグル族が数多く住む。
 十八世紀に清朝の版図に入ったが、二十世紀に「東トルキスタン」建国を目指す独立運動が盛んになった。共産党政権の下でも、独立や自治拡大を目指す複数の組織が国内外で活動を続けている。
 一部の過激派は、中国だけでなく米国も国際テロ組織アルカイダとつながりがあるとみている。
 これまでも同自治区では独立派によるとされるテロや爆弾事件が、たびたび起きている。
 北京五輪直前の昨年八月、カシュガルでウイグル族の男二人が警察部隊にダンプで突っ込み十七人を殺害した事件は記憶に新しい。
 同自治区当局は「生きるか死ぬかの命懸けの闘争」(王楽泉党書記)と徹底した対決姿勢で臨んでいる。今年四月には、カシュガルの襲撃犯二人を処刑した。
 昨年一年だけで「国家の分裂や政権転覆を図った」二百六十八の事件に有罪判決を下した(同自治区高級人民法院)という。
 過酷な取り締まりはウイグル族の漢民族に対する民族的反発を強めているようだ。昨年八月、同自治区クチャでウイグル族の武装グループが公安施設などを手製爆弾で襲い、十二人が死亡した事件では十五歳の少女まで襲撃に加わった。
 ウイグル族には政治、経済の実権を握る漢民族が独自の宗教や文化、生活様式をないがしろにしているとの不信感が強い。強硬姿勢はかえって過激派の温床を培っているのではないか。
 同自治区最大の都市で漢民族も多いウルムチで起きた暴動は少数民族統治に再考を迫っている。
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戦略核弾頭を大幅削減 米ロ首脳会談、上限1500~1675で合意
 【モスクワ=大石格、坂井光】オバマ米大統領は6日、就任後初めてロシアを訪れ、クレムリン宮殿でメドベージェフ大統領と会談した。12月に失効する第1次戦略兵器削減条約(START1)に代わる条約締結に向け、両国が保有する戦略核の弾頭数を現状の2500前後から、1500~1675の上限数へと削減することで合意。弾道ミサイルや爆撃機など核弾頭の運搬手段でも上限を定めた。両首脳はこれらを明記した共同文書に署名した。ブッシュ前米政権下で滞っていた核軍縮の流れが再び動き出す。
 両首脳の顔合わせは、新条約の年内締結で原則合意した4月のロンドン会談以来、2回目。
 核弾頭数を巡り、米ロは2002年のモスクワ条約で12年の配備数を1700~2200と定めた。今回の会談ではこれをさらに削減し、上限を1500~1675と定めた。4月にオバマ氏が表明した「核なき世界」への前進をアピールした。



米ロ、核不拡散へ歩み寄り 弾頭削減、抑止力と両立難問
 【モスクワ=大石格】オバマ米大統領が提唱した「核のない世界」は実現するのか――。6日の米ロ首脳会談は保有する核弾頭などの大幅削減で合意。核の二大保有国が軍縮に向け、最初の一歩を踏み出した。北朝鮮が核実験を繰り返すなど核拡散の危機が高まっているなか、理想と現実をどう調和させるのか。具体的な道筋はまだ不透明だ。
 「マンデラとガンジーだ」。オバマ氏は5日、ロシア・メディアのインタビューで尊敬する人を聞かれ、南アフリカ民主化とインド独立を勝ち得た2人を挙げた。「人々の心に訴えることで変革を実現した指導者に関心を抱いてきた」。自らもその方向を目指す。



インド、成長回復へ内需刺激 09年度予算案、減税やインフラ投資
 【ニューデリー=長沢倫一郎】インドのムカジー財務相は6日、2009年度の国家予算案を議会に提出した。金融危機や貧困の克服に必要とされる9%の経済成長を狙って、インフラ投資など内需刺激策に重点を置いた。歳出規模は10兆2083億ルピー(約21兆円)と前年度予算案に比べて36%の増加。減税や公共投資を軸に景気テコ入れを進めるが、規制緩和では具体策を見送った。
 インド経済は07年度まで3年連続で9%成長を達成したが、08年度は6.7%に減速した。インドが貧困を根本的に減らすためには「9%成長が不可欠」(OECD=経済協力開発機構)とされる。印政府も9%成長を目標に掲げるが、09年度について印準備銀行は6%、世界銀行は4%成長を見込んでいる。
 印政府は内需の刺激で9%成長への早期回復を目指す方針。だが大幅な歳出増や減税で財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は前年度の6.2%から6.8%に拡大するとみられ、インドの財政収支は一段の悪化が避けられない。



「.日本」を公式ドメインに 情通審部会が一致
 総務省は6日の情報通信政策審議会(総務相の諮問機関)の部会で、インターネット上のホームページの住所を示す「ドメイン」に日本語を使う際の体制づくりについて議論した。「.日本」を国の公式ドメインにすべきだとの意見で一致。新たに導入する「.東京」や「.大阪」といった自治体名のドメインを適切に管理するため、管理事業者の選び方を自治体に助言する協議会を設置することでも合意した。
 自治体名のドメインを使えば「着物.京都」や「おみやげ.大阪」などインターネット版「ご当地ナンバー」が可能になる。日本語や自治体名のドメインは2010年初めにも使えるようになる見通しだ。



韓国、15年までに自動車燃費5割向上 温暖化対策を発表
 【ソウル=島谷英明】韓国青瓦台(大統領府)は6日、自動車の燃費規制などを盛った温暖化対策を発表した。2015年までに燃費基準をガソリン1リットル当たり平均17キロメートル以上にするか、温暖化ガス排出量を1キロメートル走行当たり平均140グラム以内にするかを自動車メーカーに求める。日欧に近い環境規制といえ、自動車各社の環境技術を向上させる狙いとみられる。
 今回の措置によって自動車の燃費水準は07年の平均値に比べて5割強の向上、温暖化ガスの排出量は小型乗用車のケースで約3割の削減となる見込みだ。



ベトナム、外銀の融資額を抑制へ 邦銀など一斉反発
 ベトナム政府は国内で活動する外資系銀行への規制を強化する方針だ。銀行法を改正し、外資の貸出額を大幅に抑制する。資金の供給量を減らしインフレ抑制を狙う。法改正が実現すれば貸出業務に影響が出ることは必至で、邦銀を含む外資各行は一斉に反発。同国に進出した外資系企業の業務に支障が出る可能性も指摘されている。
 政府部門の一組織であるベトナム国家銀行(中央銀行)が銀行法の見直しを検討しており、今秋の国会に改正案のたたき台を提出する予定。融資先1社当たりの貸出限度額を現行の「本社の資本金の15%」から「支店の資本金の15%」に引き下げる案が有力だ。2010年に正式に国会で法案を審議、11年の施行を目指す。



自民の政権公約素案、消費税上げは景気回復後に検討
 自民党は6日、次期衆院選マニフェスト(政権公約)の素案を固めた。焦点の将来の消費税増税については「景気回復後に検討」として、税率や引き上げ時期は明記しない方針。国直轄事業の地方負担金廃止など地方分権改革や国会議員の世襲制限を盛り込む。今週中に内容をまとめるが、公表は衆院解散まで控えるという。
 「経済対策の効果をしっかり書いてくれ」。麻生太郎首相は6日、自民党本部で細田博之幹事長らに経済危機下での政権担当能力をアピールするよう指示した。首相は「若者向けの対策もやってほしい」とも発言。誰でも大学進学が可能になるような奨学金制度や、幼児教育の無償化を明記する方針を決めた。中学卒業まで月額2万6000円支給する「子ども手当」創設を打ち出した民主党に対抗する狙いもある。



財界、政策実現の具体的計画を求める 衆院選マニフェストで
 日本経団連は6日、与野党各党に対し、次期総選挙に向けて作成中の政権公約(マニフェスト)に、成長力強化策や道州制など10項目の政策実現に向けた具体的な計画(工程表)を盛り込むよう求める意見書を提出した。経団連がマニフェストに具体的な注文を出したのは初めて。経済同友会も同様の提言をしており、次期総選挙では両団体が一致して、政策本位の選挙を求めた形だ。
 経団連が各党に求めたのは、1月に発表した「当面の優先政策」とほぼ同じ内容で、規制改革や教育改革などを盛り込んだ。特に道州制については、平成27年の道州制導入に向けて「道州制推進基本法」の制定を求めた。
 御手洗冨士夫会長は同日の会見で「経済を成長軌道に回帰させるため、従来以上に政策本位のものとする必要がある」と指摘した。
 一方、経済同友会は6月下旬に、各党に社会保障制度や安全保障などの工程表をマニフェストに盛り込むよう求めた。マニフェストの形式などにも踏み込んだ同友会として初めての提言で、政権選択選挙の様相が強い今回の総選挙で国民にわかりやすい政策論争を求めた形だ。


東芝、画像センサーを最先端設備で生産 価格競争力を強化
 東芝は2009年度上期中にも、携帯電話やデジタルカメラなどに使う中核部品の撮像素子、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーの生産を最先端設備に切り替える。これまでより大型のシリコンウエハー用の設備を使い、ウエハー1枚から取れるチップ個数を従来の2.25倍に増やす。製造費用を大幅に引き下げ、価格競争力を強める。
 システムLSI(大規模集積回路)の主力製造拠点の大分工場(大分市)で、直径300ミリのウエハーを使ったCMOSセンサーの生産技術を確立した。需要の回復度合いを見ながら量産を開始する。300ミリラインは現在、主にゲーム機向けの高性能半導体を生産しているが、CMOSセンサーを生産品目に加え、稼働率を安定させる。



楽天トラベル、台湾・香港・韓国の旅行代理店22社と提携
 宿泊予約サイト運営の楽天トラベル(東京・品川)は6日、台湾や香港、韓国のオンライン旅行代理店など22社と日本国内の宿泊商品の販売委託で提携したと発表した。楽天トラベルに参加する2万3000軒のホテルや旅館のうち、外国人の受け入れに積極的な3800軒について現地旅行客向けに販売する。また年内に北京、香港、台湾、ハワイに拠点を新設し、営業強化を図る。



ヤマハ、ピアノ生産を中国で拡大 能力7割増強
 ヤマハは中国でピアノ生産を拡大する。生産子会社の杭州ヤマハ楽器(杭州市)を増強、10月に設備を稼働させる。昨年度の生産実績を7割弱上回る年間5万台の生産能力を確保する。日本の生産台数は3万台弱とみられるため、中国が同社最大のピアノ生産拠点となる。堅調な現地需要に応え、現在10%のシェアを高める。
 新たに2階建て、延べ床面積2万5000平方メートルの建屋を建設する。杭州ヤマハ近くにある別の生産子会社から鍵盤などピアノ部品を移管・集約する。投資額は建物、設備合わせて16億円となる見通し。部品からの一貫生産体制を整え、品質向上およびコスト削減につなげる。ピアノ部品を生産していた子会社は管楽器の生産に集中する。



【産経主張】博士課程削減 精鋭送り出す教育環境に

 文部科学省が国立大学の大学院博士課程の定員削減などを求める通知を出した。博士号を取得しても定職に就けない高学歴者の就職難が背景にある。私立大にも共通する課題だ。
 文科省は平成3年に審議会答申を受け、大学院生倍増の目標を打ち出すなど大学院重視の政策を進めてきた。
 大学院を国際的に通用する研究者や優れた技術者らを育成する拠点として整備する狙いで、大学院への予算も厚くなった。
 これに伴い私立を含め大学院が増えた。国立大の博士課程の入学定員をみると、平成3年度の約7500人から15年度に1万4000人を超え、ほぼ倍増した。
 一方、文科省の調査では、国公私立合わせた博士課程修了者約1万6000人の進路で、就職していない者や不明などが5000人近い。大学教員や常勤の研究職への就職は限られ、非常勤の薄給で研究を続ける人も多い。
 大学院修士課程2年、博士課程3年を通じ、学費負担も大きい。苦学しても定職に就けない状態では、優秀な人材の博士課程離れが進む。このままでは、先駆的な研究が先細りしかねない。
 今回の文科省の方針は、法人化した国立大の6年ごとの中期目標の策定期にあたり、大学の組織運営見直しの一つとして改革を求めたものだ。
 大学院は増えすぎて質に懸念が出ており、この方針は遅すぎたといえる。ただ、定員削減によって教育・研究環境の悪化を招くことがあってはならない。博士課程は基礎研究を担い、科学立国を支える研究者育成の重要な拠点だ。
 各大学の特徴を生かし、他大学と博士課程を連携、統合するなど教育・研究の充実につながる再編を積極的に進めてほしい。
 旧態依然の大学院教育は変えねばならない。民間企業からは博士課程に対し「専門にこだわり融通がきかない」などと採用を敬遠する雰囲気が依然としてある。
 これに対し、分野の違う複数のテーマの研究を院生に義務づける大学もある。大学側には院生の高い研究能力を生かして育て、PRする工夫がさらに必要だ。
 日本の大学も改革を進めてきたが、厳しい競争におかれる米国の大学に比べ、若手研究者を鍛え、登用する面でまだ課題が多い。今回の見直しを新たな改革の契機として精鋭を育ててもらいたい。
携帯電話、海外販売に再進出 NECは高機能機を年100万台
 国内携帯電話機メーカーが海外市場に再進出する。NECとパナソニックは2010年度にカメラや音楽再生機能などを付けた端末で海外販売を再開するほか、中国に進出したシャープも海外事業を拡大する。第3世代携帯電話の採用が欧米や中国などで進み、日本勢が得意とするパソコン並みの機能を持つ端末の需要が増えてきたため。国内市場が縮小する中、生き残りをかけて海外市場の開拓を急ぐ。
 NECは10年後半に欧州を最有力候補として海外に再進出する。国内で生産した高機能端末を、現地の通信事業者ブランドで販売する。価格は200~300ドル以上を想定し、初年度100万台超の出荷を目指す。同社の海外進出は06年度の完全撤退以来4年ぶり。



ゲームの苦手場面、飛ばして先へ 任天堂が「スキップ機能」
 任天堂はゲームソフトに初心者向けの「スキップ機能」を採り入れる。ゲームの途中で難局にぶつかり前に進めなくなった際に、その場面だけを飛ばして先へ行ける。何度も途中であきらめているうちにゲームから遠ざかってしまう消費者がいるのに配慮した。今秋発売のソフトから順次導入する計画だ。
 第1弾は今秋発売予定の人気シリーズ「New スーパーマリオブラザーズ Wii」となる見通し。スピード感のあるアクションゲームを中心に、据え置き型・携帯型のゲーム機双方で対応ソフトを増やす。
 ビデオゲームの登場から約30年。ゲームの中身が複雑になって初心者には対処できない場面も増えている。スキップ機能があれば攻略本などで調べなくても苦手な場面をクリアでき、少なくとも「先に進む楽しさ」を味わえる。



ヱヴァンゲリヲン新劇場版:「序」のテレビ初放送 視聴率12.7%
 7月3日に「金曜ロードショー」(日本テレビ系)で放送された劇場版アニメ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」の視聴率が12.7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことが明らかになった。
 現在公開中の「破」も2日間で約35万5000人を動員、興行収入5億1000万円を超えるヒットを記録している。



ドコモ、動画再生ソフトのパケットビデオと提携を強化
 NTTドコモとパケットビデオは、業務・資本提携について合意し、提携関係の強化を発表した。同時にドコモがパケットビデオの発行済株式35%を約43.7億円で取得し、ドコモの関連会社となった。
 ドコモはこれまでもパケットビデオの「CORE Player」を音楽・動画再生ソフトとして採用しており、2003年より、90機種以上のFOMA端末に搭載している。今回の提携の強化により、共同開発の推進や開発効率化、製品の供給安定化などを図り、両社の市場競争力の強化を目指すとしている。



サムスン電子、収益急回復 4~6月見通し、営業益1650億円以上
 【ソウル=尾島島雄】韓国のサムスン電子は6日、2009年4~6月期の連結営業利益が2兆2000億ウォン(約1650億円)から2兆6000億ウォンになる見通しだと発表した。電子部品の価格回復が収益環境の改善に直結しており、前の期の4700億ウォンから急回復する。改善が遅れている日本の電機大手の低迷が一層鮮明になってきた。
 営業利益は前年同期(2兆4000億ウォン)と比べても横ばいまで回復する見通し。売上高は31兆ウォンから33兆ウォンになるとしており、前年同期(29兆1000億ウォン)を上回る。液晶パネル部門が黒字転換するほか、NAND型フラッシュメモリーの需給が引き締まったことで半導体部門の利益も改善しているとみられる。通貨ウォンが依然安値圏にあることも収益を押し上げた。
 従来サムスンは業績発表前に見通しを公表していない。08年10~12月期の赤字転落からの業績回復が著しく市場の関心が高まっており、証券アナリストらの業績見通しの公表が相次いでいる。混乱を避けるため株式市場へ告示する形で正式発表前の事前公表に踏み切った。



6月の新車販売、プリウスが「軽」抜き首位 ハイブリッドで初
 自動車業界団体が6日まとめた6月の新車販売ランキング(軽自動車を含む)は、トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」が前年同月比3.6倍の2万2292台と、前月の3位から首位になった。ハイブリッド車の首位は初めて。4月から始まった「エコカー減税」や環境意識の高まりが追い風となり、スズキの「ワゴンR」など売れ筋の軽自動車を抑えた。
 ホンダのハイブリッド車「インサイト」は販売台数を8782台と伸ばして7位だった。ハイブリッド車の販売台数は他の車種も合わせると合計3万4152台。新車販売台数に占める比率は軽を除いて14.0%、軽を含めても8.9%に達した。



「親子上場」2年連続減 08年度末、グループ再編で
 親会社と連結子会社がともに上場している「親子上場」の減少に拍車がかかっている。2008年度末の上場子会社数は1年前より14社少ない398社と、2年連続して減った。経営環境の悪化で、親会社が企業価値の向上のために上場子会社の全株式を取得し上場廃止にするなど、グループを再編する例が増えている。
 野村証券が全上場企業を対象に調査した。08年度末までに親子上場を解消した子会社数は45社と、M&A(合併・買収)などで新たに親子関係になった31社を上回った。解消した事例のうち、事業強化や経営再建を目的に親会社が上場子会社を完全子会社にしたのは30社と最も多かった。



6月の輸入車販売18%減、17年ぶりの低水準
 日本自動車輸入組合(JAIA)が6日まとめた6月の輸入車販売台数(速報値)は、前年同月比18.7%減の1万8698台だった。6月の販売台数としては1992年以来17年ぶりの低水準。前年割れも14カ月連続となった。ただ、減少幅は前月の20.6%より縮小した。JAIAは「『エコカー減税』に対抗する形で輸入車販売会社が始めた値引きキャンペーンなどの効果が出たのではないか」としている。
 乗用車をブランド別にみると、首位のフォルクスワーゲンが3761台と前年同月より9.8%減った。2位のBMWは19.3%減の3456台、3位のメルセデス・ベンツは32.8%減の2804台だった。



百貨店系スーパー、食材「脱高級」 安売り進出やPB商品強化
 百貨店各社が系列スーパーの低価格戦略を強化している。大丸と松坂屋を傘下に置くJ・フロントリテイリングはディスカウントストア(DS)に進出、三越伊勢丹ホールディングス系は低価格のプライベートブランド(PB=自主企画)商品の扱いを拡大する。百貨店系スーパーは高級食材を武器に量販型のスーパーと一線を画してきたが、強まる消費者の節約志向に対応した価格戦略を打ち出し収益確保に動く。
 J・フロントリテイリング系のピーコックストアはコストを抑えて安売りするDS型の1号店「ピーマート」を大阪府吹田市に開いた。配送ケースのまま陳列したり品目を半減したりして経費を抑制。48円の豆腐や298円の弁当を毎日並べ、直接仕入れなどにより野菜や鮮魚の中心価格帯を以前より約3割下げた。



景気「下げ止まりつつある」 日銀地域経済報告、判断引き上げ
 日銀は6日、全国支店長会議でまとめた7月の地域経済報告(さくらリポート)を発表した。景気の総括判断について、「悪化ペースが鈍化しており、下げ止まりつつあるものの、引き続き厳しい状況にある」との認識を示した。前回4月の「大幅に悪化している」から総括判断を引き上げた。総括判断を引き上げたのは2006年10月以来、2年9カ月ぶり。地域別では、全9地域が判断を引き上げた。全9地域が総括判断を引き上げたのは、06年1月以来、3年半ぶり。
 地域別では、関東甲信越が、前回の「大幅に悪化している」との認識から、「大幅に悪化したあと、下げ止まりつつある」に引き上げた。東海地方も前回の「急速に下降している」から、今回は「輸出と生産の持ち直し等から、下げ止まりつつある」とした。一方、北海道は、「低迷している」と判断。前回の「厳しさを増しており、低迷している」から「厳しさを増しており」との表現を外したものの、引き続き厳しい認識を示した。東北、北陸、近畿も判断を引き上げながらも「厳しい状況」と表現した。



与謝野財務相「都議選後に党・内閣が何をすべきか1人で考える」
 与謝野馨財務・金融相は6日午前の閣議後記者会見で、静岡県知事選の結果について「内閣にも自民党にも大変厳しい結果」と感想を述べた。その上で「東京都議選が終わった12日夜の段階で自民党や内閣がどういうことをすべきか、静かに考えたい」と語った。都議選はあくまで地方選との声もあるが、との質問には「東京選出議員だから我が運命に大きな影響を与える」と答えた上で「静かに1人で考えたい」と繰り返した。
 一方、民主党のマニフェスト(政権公約)が「埋蔵金」を主要財源にしていることには「空想、幻想の遊びは楽しいが、国民生活が保証されるかのような錯覚を与えるのは犯罪に近い」と批判した。



幻の世界新 水着に翻弄されない戦いを(7月6日付・読売社説)
 水着をめぐって競泳界が大きく揺れた。今後、選手が競技に集中できる環境作りが重要だ。
 国際水泳連盟(FINA)は、200メートル背泳ぎで入江陵介選手がマークした1分52秒86を世界記録として公認しなかった。水着が基準に合致していないというのが、その理由だ。
 世界記録を1秒08も上回っていただけに、残念な結果である。
 昨年、英国スピード社の「レーザーレーサー」(LZR)を着用した選手が好記録を連発した。LZRの登場は、水着が競泳で勝つための重要な武器であることを広く認識させたといえる。
 後塵(こうじん)を拝した日本のメーカーも今年にかけて巻き返した。4月の日本選手権で、国産水着で臨んだ選手が次々と日本記録を塗り替えた。入江選手が5月の日豪対抗で“世界新”を出した際の水着も、デサント社製だった。
 短期間で高速水着を開発した日本の技術力は高く評価されるべきだろう。
 問題はFINAの対応である。開発競争に一定の歯止めをかけるため、3月、水着の基準を策定し、各社の水着を審査した。
 公平・公正な条件で競技を実施するため、水着の材質や構造に規定を設けることは必要だ。
 だが、審査結果の公表が、今季の開幕に間に合わなかった。入江選手の水着が「不合格」とされたのは、日豪対抗の後だ。シーズンオフに認可水着が明らかになっていれば、混乱は防げたろう。
 FINAは来年、水着の基準を策定し直すという。今回のような混乱が生じないよう十分に留意してもらいたい。
 日本水泳連盟の対応も混乱に拍車をかけたといえる。入江選手のタイムを日本記録として公認したからだ。他の選手がFINAの非認可水着で出した記録も公認した。日本水連の基準には合致していたことを理由に挙げている。
 だが、世界で認められない記録を日本記録としても、正当に評価されまい。FINAに問題があるにせよ、日本記録としての扱いを再検討すべきではないか。
 日本水連は、今後については、FINAの認可水着による記録のみを日本記録として公認するという。こうしたドタバタに翻弄(ほんろう)されるのは選手たちだ。
 「おかしいと思う。日本新記録とは思っていない」。入江選手は日本記録が世界記録を上回っている現状について、こう語っている。今月の世界選手権では、正真正銘の世界新記録を期待したい。
“Vista”不人気の反動で大ヒットか? 先行予約で見えた「Windows 7」の期待度(COLUMN)
 最近、あらゆる場所で、さまざまな人に「Windows 7はどうですか?」と尋ねられる。もちろん、こんな質問をくれるのは、僕の仕事をなんとなく理解している知人である。
 彼らの多くが、業界関係者やPCマニアではなく、どちらかというとIT関連の情報には疎い人だ。それでも、Windows 7はどうかと聞いて来るのだ。PCの普及度合いを、改めて感心せずにはいられない。
 コンシューマにPCが普及する契機になった「Windows 95」が登場したときには、初めて大々的な深夜の発売イベントが行なわれ、アキバには徹夜の人々が右往左往していた。
 あの頃の方々が、新OSに期待する思いは間違いなく熱かった。だが、やはり一部の人たちだけのマニアなツールだったのだ。何しろ、企業でもようやくPCを1人1台にしようという機運が盛り上がり始めたタイミングだったのである。
 ところが今や、PCは「誰もが使う普通の道具」になった。持っていない人や会社を探す方が、大変なほどだ。
 インターネットも普及し、あらゆる情報が一気に伝播するようになっている。だから、テレビのニュースなどでは、ほとんど報道されていないWindows 7に関心を抱く人が、想像以上に多いのだ。どう考えても、インターネットから情報を得ているとしか思えないのである。
 それを象徴する出来事が、先日起こった。
 マイクロソフトが、6月下旬から「Windows 7の割安な先行予約キャンペーン」を実施したのだ。
 これがすさまじい内容で、マイクロソフトが実施するとは思えない、まるで“ゲリラ”のようなキャンペーンだった。
 6月26日~7月5日までの期間限定のキャンペーンで、「Windows 7 Home Premium」へのアップグレード版が7777円と、語呂合わせの価格である。
 ちなみに、いわゆる参考価格は1万6590円とされているので、ユーザーにとっては、なんと“半額以下”で買えるチャンスだったのだ。
 こんなすさまじい予約キャンペーンを、CMなどの宣伝抜きで実施し、なんとたったの2日間で「予定数に達した」として完了している。恐るべきはネットの伝播力だ。
 僕の元にも、販売店数社からキャンペーンのメールが届いたので、早速申し込んだ。
 それにしても、驚くべきはWindows 7に関する情報がまだほとんど開示されていないにもかかわらず、相当数のユーザーが申し込みをしていることだ。マイクロソフトの予想をはるかに上回る応募だったのは、おそらく間違いないだろう。
「Windows Vista」と比べて軽い!
ユーザーの期待は高まるばかりか
 この人気の背景には、いったい何があるのだろうか?
 実は、これまでのWindows Vistaは、あまり評判が芳しくないOSだった。登場当初のPCでは、動きが重くて乗り換えを後悔したユーザーが多かったのだ。ユーザーの声はネット中心に広がり、“ダメなOS”というレッテルを貼られてしまったのである。
 最近の高性能PCならほとんど重いと感じることはないのに、いまだに人気は復活しない。ユーザーの声がネガティブな方向に働き、むしろ一世代前の「Windows XP」のほうが人気だった。
 Windows Vistaが「重すぎる」という悪評が蔓延したことを受けて、マイクロソフトはWindows 7を徹底的にレスポンスよく仕上げた。もちろん、新しい機能もたくさん追加されているが、今回は徹底的に「軽さ」をアピールしている。
 事実、テスト版を使っている業界関係者やユーザーは、「確かに軽い」と評価しており、各種の記事やブログにも書き込んでいる。Windows Vistaが重かったからこそ期待が大きく膨らんでおり、インストール直後の軽さには多くの人が感動すらしそうだ。
 「軽い」という口コミは、Windows 7登場後に爆発的に広がって行くだろう。価格は若干高く感じるが、PCを買い換えてしまえば特に気にならないだろう。
 僕は、「Windows 7が高く評価され、確実にヒットする」と確信を持っている。ある意味で、Windows Vistaが不評だったからこそ、より多くの人気を呼びそうだ。
 不況下でPCの売れ行きが落ちているなか、業界関係者の期待が裏切られることは、まずないと思われる。



「借金」が「税収」を上回る 10年度当初予算見込み、戦後初
 景気低迷で国の税収が落ち込み、2010年度予算は戦後初めて、当初段階から国債発行収入が税収を上回る可能性が出てきた。09年度から2年続けて国の主要財源が「借金」という厳しい財政運営が続く。国債の大量発行は長期金利の上昇要因となり、景気回復の足かせとなりかねない。
 金融危機の影響で08年度に44兆円まで減った税収は09年度に一段と落ち込む。財務省は秋以降に編成する第2次補正予算で税収見通しを46兆円から下方修正する見通し。一方、景気対策のために09年度の新規国債発行額はすでに44兆円に膨らんでいる。税収が下振れし、国債を増発すれば年間で国債収入が税収を上回る。



首相の求心力、低下一段と 静岡知事選で民主系候補勝利
 5日投開票の静岡県知事選で、民主党の擁立候補が勝利した。与野党各党は12日投開票の東京都議選とともに次期衆院選の前哨戦と位置づけていただけに、与党内では麻生太郎首相の一層の求心力低下が避けられない。首相は都議選に命運を賭ける格好となり、結果次第では「麻生降ろし」に拍車がかかりそうだ。
 首相の盟友、菅義偉選挙対策副委員長は記者団に「地方選の一つにすぎず衆院解散戦略に全く影響しない。内閣の信任と関係ない」と首相をかばった。河村建夫官房長官とともに首相側近は「地方選と国政選挙は別」との論理でかわす構えだ。



都議選「民主に」29%、自・公は計22%…読売調査
 都議選の世論調査は、民主党候補に投票するとした人は29・4%で、16・9%の自民党を大幅に上回った。
 公明党は5・1%で、「石原知事与党」の自民、公明を合わせても22・0%にとどまった。ただ、4割以上がまだ投票先を決めておらず、情勢はなお流動的だ。
 前回都議選(2005年)の同時期の調査は、自民21・9%、民主14・3%で、選挙結果は自民48議席、民主35議席だった。今回、民主への投票を考えている人の割合は15・1ポイント増え、自民は5・0ポイント減った。公明も前回(6・7%)から1・6ポイント減。共産党は4・5%で、0・3ポイント下回った。
 都議選への関心は「大いにある」「多少はある」の合計が81%で、前回(68%)より大幅に上昇した。
 次期衆院比例選の投票先でも民主39・8%、自民20・8%となり、都民は自民に厳しい見方をしていることがうかがえる。麻生内閣の支持率は18・3%、不支持率は72・0%だった。



コンテンツ市場1兆円に迫る 音楽や映像、ネット経由増える
 インターネットや携帯電話で配信されるコンテンツの市場規模が、2007年に9772億円と1兆円に迫る水準に拡大したことが総務省の調べで分かった。前年比では11.5%増え、コンテンツ市場全体に占める割合は8.6%と約1ポイント上昇した。コンテンツ市場全体がほぼ横ばいで推移するなかで、音楽や映像をネット経由で楽しむ人が増えたことを映している。
 映画やテレビ番組、書籍や雑誌といったコンテンツ全体の市場規模は07年は11兆4110億円で、前年比で0.3%減少した。テレビドラマのDVD化など2次利用は進んだが、全体では伸び悩んでいる。



「ヱヴァ:破」はや盗撮 動画が中国サイトに流出
 先月27日に封切られたばかりの人気アニメ映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(庵野秀明総監督)の上映中に盗撮されたとみられる映像の一部が、中国の動画投稿サイトにアップロードされていることが分かった。
 「ヱヴァ」は公開2日間で35万人を動員、興行収入5億円を超えた話題作。2007年にもシリーズ第1作「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」が韓国プレミア上演会の直前、全編ネットに流出した。最近ではデジタルカメラや携帯電話でも映画1本分、ハイビジョン画質で2時間の記録を可能なだけに、劇場の混雑を隠れ蓑にした盗撮と、取り締まりの緩い中国サイトでの“上映”が相次ぐことも予想される。
 今回、流出した動画には、「ヱヴァ-新劇場版」四部作の後半を左右する重要なシーンも盛り込まれている。人目を気にして盗撮したためか、上映スクリーンの真正面をとらえきれず少し斜め上を向いた動画となっており、記録時間も短い。
 映画の盗撮行為に関しては、前作「ヱヴァ-新劇場版:序」公開直前の2007年8月30日施行の「映画の盗撮の防止に関する法律」に基づき、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科せられる。



イオン、最終赤字20億円 3~5月期、衣料品など苦戦
 イオンの2009年3~5月期の連結最終損益は約20億円の赤字(前年同期は92億円の赤字)になったもようだ。主力の総合スーパーで衣料品や生活用品が落ち込み、傘下の米衣料品専門店のリストラ費用も響いた。消費者の節約志向が強まる中で総合スーパーは苦戦が続いている。
 売上高は前年同期に比べ3%減の1兆2400億円程度、営業利益は62%減の85億円前後になったようだ。商業施設の開発などは堅調だったが、総合スーパーや衣料品専門店、金融関連の不振を吸収できなかった。



日経社説 静岡知事選の敗北で首相は一層窮地に(7/6)
 静岡県知事選で、民主党などが推薦した川勝平太氏が与党の推す坂本由紀子氏らをおさえて勝利した。与野党は12日投開票の東京都議選とあわせ、静岡の知事選を次期衆院選の前哨戦と位置づけてきた。自民党への逆風の強さを印象づける選挙結果は、衆院解散の戦略を練る麻生太郎首相にとって大きな打撃となる。
 静岡知事選は4期16年にわたり県政を担った石川嘉延前知事の辞職を受け、新人4氏が争った。与野党は幹部や知名度の高い国会議員を次々と応援に投入し、国政選挙並みの総力戦を展開した。
 民主党は当初、元参院議員の海野徹氏の出馬による票の分散を警戒した。川勝氏は出馬表明が告示の約2週間前と出遅れたが、社民、国民新の両党の推薦や、無党派層の支持も得て、小差の勝利にこぎ着けた。
 民主党は名古屋、さいたま、千葉の3政令市長選で支援候補が相次いで勝利し、大型地方選での連勝を続けている。
 静岡知事選の告示後の6月末には鳩山由紀夫代表が資金管理団体の報告書に多数の献金の虚偽記載があった事実を認め、記者会見で謝罪した。与党は真相を徹底究明する構えを見せており、今回の選挙戦にどう影響するかも注目されていた。
 自民党内では静岡知事選と都議選の結果を見極めて、執行部に党総裁選の前倒しを求める動きが表面化している。都議選でも勝敗ラインの与党過半数に届かなければ、「麻生降ろし」が一気に強まり、首相は窮地に立たされる可能性が大きい。
 日本経済新聞社とテレビ東京が3、4の両日に実施した緊急世論調査によると、麻生内閣への支持率は6月の調査から4ポイント下がって21%となった。自民党内の反対で党役員人事を断念し、2閣僚の補充にとどめた判断についても「適切ではなかった」が52%に達し、麻生首相への厳しい評価が目立った。
 首相は8日からイタリアで開かれる主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)で成果をあげ、都議選直後の衆院解散・総選挙を模索しているとみられる。だが、求心力の低下が著しいなか、態勢を立て直して首相が自らの手で解散に打って出るのは容易ではなくなりつつある。
 自民党内では、衆院選のマニフェスト(政権公約)づくりの詰めの作業がようやく本格化する見通しだ。衆院選を少しでも有利に戦うために「選挙の顔」をどうするかの議論ばかりでなく、重点政策をきちんと示した上で国民の信を問うことが望ましい。
有料ゲーム危機の時代 iPhoneアプリは「ゼロ化」の法則に立ち向かえるか <COLUMN>
 米Wired誌編集長のクリス・アンダーソン氏が近著「Free: The Future of a Radical Price(フリー:極端な価格の未来)」について語った6月15日の講演が話題を呼んでいる。アンダーソン氏はWeb2.0の重要なキーワードである「ロングテール」を提唱したことで知られるが、今回のキーワードは「ゼロ」である。
■デジタル化できるモノはすべて無料になる
 アンダーソン氏の講演内容を要約すると、(1)競争が激しい市場では価格は限界ぎりぎりまで落ちていく、(2)インターネットの世界では流通にかかるコストを限りなく「ゼロ」にできる、(3)そのため、価格の限界点は「ゼロ」になる――ということになる。
 これにより、「デジタル化できるすべてのものは、無料の競合商品に直面することになるだろう。競争のなかでは、競合相手が行う前に無料にしなければならなくなる」とショッキングな未来像を述べている。
 前回の本コラム「PSPに迫る勢い iPhoneが変えるゲーム市場のルール」では、「iPhone」の「App Store」でアプリやコンテンツの価格を高く維持し収益を上げることが、いかに難しいかを解説した。しかし、アンダーソン氏の考えに立てば、見方はまったく逆になる。App Storeのアプリはデジタルな商品にもかかわらず、「ゼロ」にまで落ちることなく平均価格1.39ドルを維持できているのだ。
 インターネット上には無料で公開されているゲームがすでに膨大にある。それが実際にどのくらいあり、現在のコンシューマー向けゲームの売り上げにどの程度影響しているのかを示すデータはいまのところない。しかし、影響を与えていることは間違いない。
 例えば、ユーザーが自由に投稿できるパソコン向けFlashゲームサイト「Kongregate」は2006年6月にスタートし、登録ゲームが1万3840本に達している。調査会社Competeによると、Kongregateの現在のユーザー数は76万人で、昨年5月時点の32万人から1年で倍増している。無料ゲームで遊んでいるユーザーがそれだけいるということだ。
 こうしたサイトは広告モデルで運用されており、個々のゲームの開発者には基本的に収入は分配されない。人気が出てコンシューマー機やパソコン向けタイトルに移植されれば、開発者も収益を得られるだろうがその可能性は低い。それでも多数のゲームが無料でインターネット上に公開されるのは、もちろん、お金が目的の人ばかりではないからだ。
 インターネット上に無料公開されるゲームは、今後さらに増えていくだろう。有料のゲームで利益を得る従来の市場はそれに伴って狭くなっていくと考えざるを得ない。
■App Storeがゼロ化に対抗できる理由
 では、なぜApp Storeがゼロ化を免れているかといえば、iPhoneがタッチパネル式の独自デバイスであることが大きい。通常のパソコンとはハード仕様が異なり、それが参入障壁になっていると考えることができる。
 実際、App Storeで人気が出るのは「iPhone特有のハードやインターフェースを利用したゲーム」といわれる。他のハードとの差異化が、ゼロ化の流れに対抗する要素になっている。
 これは、任天堂の「ニンテンドーDS」にもいえることで、DS独自の2画面やタッチデバイスといったハード仕様に合わせて開発したゲームは、他のハードに展開するのが難しい。ゲーム会社にとっては扱いにくい困ったハードだが、インターネット上の無料ゲームへの対抗手段にもなっている。
 今後、携帯型ゲーム機(携帯電話も含む)には、様々な独自デバイスが搭載されていくことになるだろう。そうしたデバイス間であえて互換性を持たせない戦略を採るケースも増加すると予想される。そうしなければ、インターネットからのゼロ化の津波に飲み込まれてしまうからだ。パソコン上で無料で体験できるようなアプリにお金を払ってもらうのは難しい。
 App Storeは、ゼロ化の圧力に対抗するためのさらなる手段を導入した。6月に公開した「iPhone」の最新版OSで使えるようになった「In-App Purchase」(アプリ内課金)である。これはApp Storeで販売したアプリをメジャーアップデートした際に追加課金したり、アイテム課金をしたりするための仕組みだ。App Storeで決済するので、少額課金がしやすい。
■アンダーソン氏が提唱する5つのルール
 アンダーソン氏は、ゼロ化への対抗策として5つのルールを提案している。
1.最善のモデルは有料コンテンツと無料コンテンツをミックスすること
2.よそでも真似できるようなものを、有料限定にしてお金を取ることはできない
3.サイトの中で最も人気のあるコンテンツで料金を取ってはいけない
4.有料コンテンツはニッチに訴求しなければならない
5.ニッチは狭ければ狭いほどよい
 この5つの条件を満たし示唆に富むケースとして、韓国ネクソンの大規模ロールプレイングゲーム「メイプルストーリー」のアイテム課金モデルを紹介している。
 メイプルストーリーは、05年時点で北米で350万人もの登録ユーザーを集めている。ユーザーのプレー料金は基本的には無料で、ゲーム内の様々なアイテムを有料で提供している。プリペイドカードをコンビニで販売して決済を簡単にしたことで、10代に人気が出た。北米でゲーム内のアイテム課金を本格的に成功させた初のケースといわれている。
 アンダーソン氏はユーザー行動の観察から、ユーザーは「心理的に自由(フリー)」になるために、次のようなことにお金を払うと述べている。
1.時間を節約するために、お金を払う
2.リスクを減らすために、お金を払う
3.愛着を感じるもののために、お金を払う
4.ステイタスを得るために、お金を払う
5.何かを作るために、お金を払う
 これらから得られる教訓は比較的はっきりしている。仮に小さなゲームアプリであれ、ユーザーのニッチな要望を満たすような要素を組み合わせて入れ込んでおくべき、ということである。
 また、プラットフォーム化を目指せる余地を戦略的に持たせるべきでもある。何をもってプラットフォームというかは定義が難しいが、今までのようにハードウエアベンダーだけがプラットフォームホルダーなのではない。ソフト単体でも十分にプラットフォームになる。
 多様な動機を持ったユーザーが、特定のアプリを通じてコミュニケーションし、コミュニティーを形成していく仕掛けはすべてプラットフォームといえる。上記の3~5は、まさに他のユーザーを意識することで行われる行動である。
 プラットフォームになる条件は明白だ。人数を集め、多くの人が継続的に使い続けてくれるかどうかにかかっている。ゲーム的なおもしろさは、自分と他人との相対的な比較によって生まれることが多く、それが人を熱中させる。そのためには参加してくれる人が多ければ多いほどいい。
 韓国のアイテム課金ゲームの場合でも、実際にお金を支払うユーザーは全体の10%以下で、5%程度まで下がる場合もある。しかし、5%が払うそのニッチ性こそが、ゼロ化の流れが及ばない領域であると考えることができる。
■プラットフォーム化を狙うiPhoneアプリの登場
 そうした戦略を取ろうとしているベンチャーがすでに現れている。
 例えば、米スタンフォード大学のゲエ・ワン博士が設立した米SonicMuleだ。昨年、iPhoneアプリの「Ocarina」が日本でも話題になった。オカリナの音をネット上にアップロードしたり、世界のどこかで吹かれた演奏データを世界地図上に表示したりできる音楽アプリだ。
 これをよりソーシャルにしてiPhoneの最新版OS向けに開発したのが、「Leaf Trombone: World Stage」だ。トロンボーンを題材にした音楽ゲームだが、ソーシャルネットワークの仕組みを強く意識している。世界のどこかの誰かと一緒にセッションしたり、人の演奏を評価したりするシステムが組み込まれている。
 現在、Leaf Trombone: World Stageは115円で販売されている。今後、同社の他のアプリと連動させることで、ソーシャルメディアとしての性質を高め、全体で収益を上げていく計画と考えられる。
 iPhone向けゲームのアイテム課金で成功したケースはまだないが、プラットフォーム化を狙うゲームはすぐに出てくるだろう。パソコンのオンラインゲームで成功したアイテム課金モデルには参考にできる点がたくさんある。そこに、iPhoneならではの「何か」をどう組み合わせるかで、ゼロ化に立ち向かうのである。



【東京新聞社説】
週のはじめに考える 冷戦終結20年と日本
 冷戦が終わって二十年。「戦争の世紀」といわれた二十世紀に代わり「平和の配当」が期待された時期もありました。今また一条の光が見えますが-。
 ふた昔前のこと。ベルリンの壁の跡地で東ドイツの少年たちが色とりどりの壁の破片を観光客に売っていました。大が三ドル、小が二ドル。そんな光景を眺めながら「何が壁を突き崩したのだろう」と考えました。その疑問にずばり答えてくれたのが当時の東独大使・新井弘一氏でした。「東ドイツ国民はマルクス主義を捨ててマルク主義に走っているのです」。西独の通貨マルクの魅力がイデオロギーに勝った結果だというのです。
◆期待外れ「平和の配当」
 四十年余にわたる冷戦構造が崩れたとき私たちは「平和の配当」に胸を膨らませました。当時、日本はバブル経済の絶頂期で、一九八九年末の株価は三万八九一五円と史上最高値。年が明ければ「四万円相場」到来と市場関係者は色めき立ちました。誕生直後の連合は賃上げ要求とともに政治改革を掲げました。
 だが日本人の夢は、すぐに砕かれます。翌九〇年には株価が二万円台に落ち、九一年には湾岸戦争勃発(ぼっぱつ)です。「平和の配当」どころか、欧米からは日本が湾岸戦争への資金援助だけでなく、「ショー・ザ・フラッグ」(日の丸を見せろ)、つまり憲法で禁止されてきた自衛隊の海外派遣を求める声が高まりました。
 戦後長いこと、わが国の防衛の基本をなしてきた日米安保体制は冷戦終結後の九六年、大きな転機を迎えます。同年四月の橋本龍太郎首相とクリントン米大統領との間で取り交わされた「日米安全保障共同宣言」では「アジア太平洋地域」という表現が十二カ所も登場します。この時点から日米安保は「アジア太平洋安保」に拡大したといってもいいでしょう。
 九一年、旧ソ連邦の解体でイデオロギー上の「自由主義」対「社会主義」、政治上の「議会制民主主義」対「プロレタリア独裁」、経済的な「市場経済」対「計画経済」、軍事上の「北大西洋条約機構」対「ワルシャワ条約機構」といった対立の構図が消え、西側先進国のシステムが優位に立ちました。だが米国では〇一年のブッシュ政権後、北朝鮮、イラン、イラクを「悪の枢軸」と決めつけ、十字軍を気取ったネオコン(新保守主義)主導で新冷戦状況をつくり出したのです。
 オバマ米大統領は、こうしたエスノセントリズム(自国中心主義)とは決別した国際協調路線を掲げています。なかでも四月のプラハ演説は「核兵器を使った唯一の国として行動する道義的責任がある」「米国は核兵器のない世界を目指す」と核廃絶への決意を披歴し、世界の注目を集めました。広島、長崎の被爆者は「一筋の光が差した」と、二十年前に冷戦が終結したときに抱いたのと同様な「平和の配当」に対する期待感を表明しています。
 冷戦政策の設計者といわれる故ジョージ・ケナン氏(米外交官、政治学者)が旧ソ連対策として進言したキーワードは「封じ込め」でした。ハンガリーとオーストリアとの国境につくられた鉄条網(鉄のカーテン)も、ドイツを東西に切り裂いたベルリンの壁も、まさしく「封じ込め」でした。
◆「冷戦後」の設計図を
 「封じ込め」の反対は「開放」であり、「交流」であり、「協調」です。日本は、その方向でポスト冷戦の外交・安保政策を確立し、平和構築への強いメッセージを世界に発すべきです。
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