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モバイルWiMAX、日本ならではのキラーサービスに期待(COLUMN)
 高速無線データ通信「モバイルWiMAX」の商用サービスが日本でも7月1日に始まった。一足早く商用化した韓国と同様、「速くて低料金」がうたい文句のようだが、それだけでユーザーを振り向かせることができるのだろうか。
 WiMAXは時速120キロメートル以上で移動しながら、下り最大40Mbps以上の高速データ通信が可能なモバイルブロードバンドの新規格だ。日本では、KDDI系のUQコミュニケーションズがサービスを開始し、パソコンメーカー各社が対応端末を準備している。
■WiMAXならではの役割は?
 しかし、日本は世界のケータイ先進国であり、いまではパソコンより携帯電話からインターネットにアクセスするユーザーの方が多いほど、モバイルインターネットが普及している。携帯電話のパケット定額料金も安く、全国どこでも使えるほどカバー率も高い。これほどモバイル環境の整った国でわざわざWiMAXにまで加入するどれだけの理由があるのだろうか。
 モバイルでネットを使う目的は、せいぜいメールやちょっとした検索、それに漫画や動画を見るぐらいというユーザーが大半だろう。WiMAXだけで用が足りるならともかく、パケット定額や有線ブロードバンドも使うとなれば料金もかさむ。結局、WiMAXならではの役割は何なのか、という疑問に行き着いてしまう。
 韓国版モバイルWiMAXである「Wibro」の普及が遅れているのも、そこを間違えたからかもしれない。サービス開始の際、「インターネットが使える」というところにフォーカスを当てすぎ、逆にWibroの価値が埋もれてしまった。
■なぜ韓国で普及しないのか
 韓国では、通信大手のKTが2006年にWibroを商用化した。しかし、加入者は08年末時点でまだ20万件。予測よりも普及ペースが上がらなかったことで設備投資が滞り、カバー率が低いからユーザーが増えないというジレンマに陥っている。加入者が伸びなかったのは、Wibroがなくてもだれもそれほど困らなかったからだ。
 韓国は1998年からxDSLが一気に普及し、パソコン中心のインターネット環境が定着した。携帯ではeメールではなくショートメッセージ(SMS)を使うのが一般的で、ウェブメールのチェックやちょっとした検索なら、全国の郵便局や市役所、区役所、地下鉄駅構内にある無料パソコンを利用する。携帯電話キャリアの売上高を見ても、音声通話とSMSが85~95%を占めるほどで、モバイルインターネットの文化が育たなかった。
 当時の韓国のモバイルインターネットは、「高速道路を走る人力車」などと表現されたものだ。インフラは整っているのに、使う人はいない。使えるコンテンツやサービスもあまりなかったからだ。それを解消するために登場したのがWibroのはずだった。
 価格も安く設定され、当初のキャンペーン料金は日本円で月1000円程度。09年7月現在は月額約2300円で、さらにKTのバンドル割引を利用すれば、毎月約3500円で有線ブロードバンド(VDSL)、Wibro、無線LANの3つのネットワークが使い放題になる。Wibroは家族3人まで同時に使える。
 しかし、普及は思うようにいかなかった。そもそもモバイルインターネットを利用しなくても何の不便もない韓国のユーザーにとっては、パケット定額すら無駄な出費だった。「速くて安い」だけのWibroでは受け入れられず、KTはWibro専用のコンテンツやサービスを提供したり、動画投稿型オーディションを開催したりと、試行錯誤を繰り返した。
■百聞は一見に如かず
 ようやくWibroにスポットが当ったのは、08年5月に米牛肉の輸入反対運動が反政府デモへと広がったときだった。インターネット新聞の市民記者やブロガー記者らは、集会の現場を生中継したり、街中の様子を動画で撮って次々と配信したりした。
 彼らが使っていたのがWibroだった。ソウルで取材をする記者は3~4年ほど前から、経費節約のため1人で取材から写真、動画までをこなしており、現場からできるだけ早く送信するためにWibroを活用している。それをみたネットユーザーが、「Wibroはこんなことができるんだ!」と驚いた。いままではいくら「高速で移動しながらブロードバンドが使えます」と宣伝してもピンとこなかったネットユーザーだが、百聞は一見に如かずということだろうか。
 もちろん、それだけでユーザーが急に増えることにはなっていないが、Wibroへの注目度は再び高まろうとしている。韓国政府は今年に入り、Wibroをデータ通信の補助手段ではなく第4世代携帯(4G)として位置づけ、Wibroを使ったモバイルVoIPを導入する方針を打ち出した。
 Wibroが使える携帯端末に電話番号を与えて音声通話をできるようにするというもので、09年末か10年初めにはKTがWibroのモバイルVoIP端末を発売する見通しだ。Wibro端末から電話、インターネット、IPTVなどあらゆるインターネットサービスを利用できて、バンドル割引で費用も安くなる。モバイルVoIPは携帯電話の音声通話の3分の1ほどの料金を目安にしている。
■課題はインフラ投資
 韓国の携帯電話市場はキャリア3社でシェアが固定しており、韓国政府にはWibro音声通話という「第4のキャリア」で競争を活性化させようという狙いもある。さらにモバイル電子政府や大都市を中心にしたユビキタス都市設計のインフラとしてWibroを活用する計画も動き出した。
 ただ、こうした計画の実現には当然、膨大なインフラ投資が必要になる。KTは08年までにWibroの基地局整備のために約2000億円以上を投資したが、売上高はとてもそれに追いつかない。全国をカバーするためにはまだ約1700億円以上の投資が必要とされ、つい先ごろは政府に対してインフラ投資の肩代わりを求める提案をしたほどだ。
 KTやSKテレコムは次世代携帯としてWibroとの競合が予想されるLTEの導入を発表している。どちらの技術が主流になっても大丈夫なように保険をかける狙いではあるが、1社が2つの次世代ネットワークを全国でサービスするなど、とても投資が続かないだろう。
 Wibroは韓国が国際規格の策定で主導的役割を果たした「韓国産世界標準」である。できれば、Wibro普及を一刻も早く実現して世界のベンチマークとなりたいところだが、まだその道筋ははっきり見えてこない。
 だからこそなおさら、日本がWiMAXでどのような市場をつくろうとしているのか、WiMAXの何に期待しているのかが気になる。期待がなければ普及はしない。モバイル先進国の日本らしいアイデアで、WiMAXへの期待をもっと高めてくれるといいのだが。



小銭使わなくなった? 硬貨流通6月0.8%減、電子マネー台頭
 硬貨の流通枚数が大幅に減っている。2008年に入ったころから減少傾向が強まり、今年6月は前年同月比で0.88%減となった。「五円」や「十円」などの金額が小さい硬貨は特に落ち込みが大きく、減少幅が1%を超えた。消費低迷に電子マネーの普及が重なり、買い物で小銭を使う機会が減ったようだ。
 日銀が公表している「通貨流通高」をもとに、市中に出回っている硬貨ごとの金額を額面で割って枚数を求めた。6月の減少幅は「五円」が1.69%、「五十円」が1.21%、「十円」が1.03%の順番に大きい。「五百円」だけは0.77%の増加だが、伸び率は小さくなってきている。



インド、中国製品の輸入規制強化 アルミなどに高率関税
 【ムンバイ=小谷洋司】インド政府が中国製品の輸入規制を強めている。輸入急増で国内企業が被害を受けているとして、一部のアルミ製品に最高30%の関税を導入。鉄鋼製品やタイヤの輸入規制も検討している。対中貿易赤字の急増や国内景気の減速が背景で、二大新興国の間で貿易摩擦が高まりかねない情勢だ。
 インド政府は6月、建設資材や各種容器などに使うアルミ鋼板とアルミ箔(はく)を対象に、特別セーフガード(緊急輸入制限)措置として最大30%の関税を課した。「国内産業に混乱をもたらしている」(財務省)と判断した。期間は2011年3月まで。国内アルミ最大手などが規制を求めていた。



高知新聞社説【時効廃止】強まる被害者重視の流れ 07月19日
 法務省の勉強会が殺人罪など法定刑の重い罪について、時効を廃止すべきだとする最終報告書をまとめた。
 遺族の訴えと世論を強く意識した内容だ。実現すれば日本の刑事司法制度の大転換となる。
 たたき台の段階であり、詳細な検討はこれからだ。その上で刑事訴訟法など関連法の改正を法制審議会に諮問することになる。
 今後の政治情勢の影響など、不透明な要素もあるが、関係者には責任ある議論を尽くしてもらいたい。
 犯罪行為が終わってから一定期間を経過すると公訴の提起を認めない公訴時効制度は「時間の経過で証拠が散逸し、犯罪の証明が困難になる」「被害者側の処罰感情も薄れる」などの理由から設けられている。
 しかし、DNA鑑定など科学捜査の進歩で証拠の長期保全は可能となった。被害者団体などの訴えを通じ、「被害者や遺族の苦しみには時効がない」という現実は広く認識されるようにもなった。
 事件の当事者の男が時効後に殺害を告白した東京の女性教諭殺害事件も、現制度を理不尽とする被害者側への共感を広げたといえる。
 今回の公訴時効制度の見直しは、こうした被害者重視の流れが強まっていることを印象づける。この流れを後押ししたのが国民の声だ。一般から募集した意見では全体の7割までを時効廃止を求める声が占めた。
 「悪いことをしたら必ず罰せられるという共通認識が犯罪を抑止し、治安維持につながる」「(時効制度は)逃げ得を助長している」といった声は、国民調査などから浮かぶ「体感治安」の悪化と無関係ではないだろう。
 少数とはいえ、「証拠が散逸して冤罪(えんざい)の危険が増す」「現在の事件に振り分けられる(捜査)資源が相対的に少なくなる」など見直しには反対意見もある。それぞれの思いを今後の政策に反映させる必要がある。
 報告書では、時効見直しは既に時効が成立した事件には適用しないものの、時効が進行中の事件に遡及(そきゅう)して適用する可能性が浮上している。憲法39条が禁じる「遡及処罰」に当たるとする学説もある。今後の議論の焦点として注目される。
 刑事司法制度の大きな転換となる見直しだ。冤罪防止策を含め、どこまでも慎重な検討を求めたい。
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東芝、年内にもブルーレイ参入
 高画質DVDの規格争いで、「ブルーレイディスク」(BD)に敗れた東芝が、BD市場に参入することが18日、明らかになった。
 年内にもBD対応機を発売する。東芝はBDの次の世代での巻き返しを目指していたが、BD市場が急成長しているため参入を決めた。東芝の参入で、大手電機メーカーがそろってBDを手がけることになり、BD対応機の品ぞろえとソフトの充実が期待される。
 東芝が発売するのは、現行DVDとBDに対応する再生専用機だ。海外ではテレビ番組のインターネット配信が進んでおり、日本で主流の録画再生機の需要増大が見込めないためだ。参入後の需要を見て、録画再生機生産も検討する。高画質DVDの規格争いで、東芝は「HD DVD」規格を提唱したが、ソニーやパナソニック、海外の映画大手がBDを支持、業界標準を握れず、2008年3月に「HD DVD」事業から撤退した。



LED照明、米欧へ輸出 三菱化学が新規参入、東芝まず仏で販売
 省エネ型の次世代照明として期待される発光ダイオード(LED)照明で日本企業が海外に進出する。三菱化学は2010年にLED照明に参入し米欧に輸出する。東芝は9月に欧州で販売を始める。約10兆円とされる世界の照明市場では米欧の三大メーカーが過半のシェアを持つが、半導体の一種であるLEDでは日本メーカーのデジタル素材技術が生かせる。白熱電球や蛍光灯からLED照明への世代交代を海外市場開拓の好機とみて投資を加速する。
 LED照明は消費電力が白熱電球の8分の1以下で寿命は40倍。環境政策の一環として日米欧で白熱電球の使用を制限する動きがある。6月に家庭用LED照明への参入を発表したシャープは、12年度のLED照明の世界市場は照明全体の2割強に当たる2兆3400億円に達すると予測している。



有価証券を2分類に 国際会計審が素案、邦銀は反発
 【ロンドン=石井一乗】ロンドンに本部をおく国際会計基準審議会(IASB)は企業が保有する株式や債券の区分を簡素化する素案を公開した。年内に最終案をまとめる。日本の金融機関の決算への影響も大きく、反発の声が出ている。
 IASBは14日に素案を発表した。有価証券の分類を「時価評価して決算で損益計上するもの」と「しないもの」の2種類のみに分類。これまでの「満期保有投資」や「売却可能金融資産」といった複雑な分類を大幅に簡素化する。
 4月にロンドンで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)で、金融危機対応として複雑な会計基準を見直し、外部からわかりやすくするよう求められたことに対応した。



自治体のシステム統一 総務省方針、ネットでソフト共有
 総務省は地方自治体が使うシステムを共通化する。今は住民票の管理や税務などのソフトが市町村ごとに違い、経費がかさみやすい。統一することで無駄な費用が省け、情報のやりとりもしやすくなる。年度内にも共通化に向けた実証実験を始め、2015年度をめどにすべての自治体が導入できるようにする。
 市町村が事務を電子化する際、今は別々にソフトをIT(情報技術)メーカーに発注することが多い。規格が統一されず、割高な価格で契約する例もある。小さい町や村は自治体業務の電子化に取り残されやすいという問題もあった。



中国、粗鋼生産が最高に 1~6月1.2%増、過剰在庫に懸念も
 【上海=下原口徹】中国の粗鋼生産が再び増加に転じている。中国国家統計局によると、2009年6月の生産量は前月比6.4%増の4942万トンと、月ベースでは過去最高。1~6月も前年同期比1.2%増の2億6658万トンと、上半期として過去最高だった。政府の景気刺激策で国内の鋼材需要が高まったことが背景。ただ増産競争で在庫が過剰になる懸念もあり、政府の減産圧力が強まる可能性がある。
 中国の粗鋼生産は08年9月の金融危機をきっかけに国内外の需要が減少し、11月まで前月比でマイナスが続いた。政府が11月に発表した4兆元(約57兆円)の景気刺激策を受けて12月はプラスに浮上したが、輸出低迷などから09年4月は再びマイナスに陥った。



民主の子ども手当…子供なし夫婦は負担増も
 民主党が次期衆院選の政権公約(マニフェスト)で掲げる「子ども手当」の制度の詳細が、明らかになった。
 ◆手当財源、配偶者控除などの見直しで◆
 子ども1人当たり月額2万6000円を支給する手当の財源として配偶者控除などを見直す。子どものいない夫婦2人の世帯では、負担増となるケースもあるが、少子化対策のため国民に理解を求めるとしている。
 「子ども手当」は民主党の目玉政策で、支給対象となる子どもは0歳から中学卒業まで。現行の児童手当とは異なり、親の所得制限は設けない。生まれた順番に関係なく、1人当たり月額2万6000円を支給する。政権獲得後、2010~11年度は半額の月1万3000円にとどめ、12年度から完全実施する。
 完全実施には年間5兆3000億円の財源が必要で、予算全体の組み替えに加え、所得税の扶養控除や配偶者控除を見直すことで確保するとしている。
 ◆子供なしで配偶者が無職→負担増◆
 所得控除の見直しに伴い、「65歳未満で子どもがおらず、配偶者が無職の場合」は負担増となり、年収500万円なら年間約3万8000円の新たな負担が生じる。
 ただ、年金受給世帯は、配偶者控除を廃止しても、公的年金等控除の拡大や老年者控除(65歳以上)の復活により、差し引きで負担は軽減されるとしている。
 民主党は、衆院選立候補者に「(一部世帯では)負担増となるが、子どもは『未来の担い手』であり、将来の社会保障は子どもたちにかかっている」と理解を求めるための文書を配布し、有権者にアピールしていく方針だ。



自民公約づくりは非公開…「反麻生」結集恐れ?
 自民党が次期衆院選の政権公約(マニフェスト)の骨子を明らかにしないまま、21日の衆院解散を迎えようとしている。
 作成過程も非公開で、麻生首相に批判的な中堅・若手議員は秘密主義だとして執行部への反発を強めている。しびれを切らして党とは別の独自の公約を掲げようとする議員の動きもあり、党内の不協和音はますます大きくなっている。
 自民党のマニフェストは、公約作成プロジェクトチーム(PT)座長で首相に近い菅義偉選挙対策副委員長のほか、園田博之政調会長代理、石原伸晃幹事長代理ら「インナー」と呼ばれる5人が、6月中旬から秘密裏に会合を重ねて原案の作成を進めてきた。
 17日にPTと公約作成委員会(委員長・細田幹事長)の合同会議が初めて開かれ70項目の政策を盛り込んだ原案が提示されたが、批判が続出。「検討」「調整」「原則」などの文字が並び、財源や政策実現までの工程表も示されていなかったためだ。
 笹川総務会長は「『検討』とか『原則』などの言葉は使うな。やるならやると書け」、尾辻参院議員会長も「役所言葉ばかりで、とてもマニフェストとは言えない。もっと強い表現で書いた方がいい」と厳しく注文をつけた。
 菅氏は幹部一任を取りつけようとしたが、尾辻氏らは頑として認めなかった。 執行部がマニフェストの公開に及び腰なのは「麻生降ろし」が沈静化する前に内容を示せば、「あれが足りない、これを入れろと批判が続出し、党内のドタバタに、火に油を注ぐ」(幹部)と考えているためだ。解散後の24日にも政調審議会、総務会で党内の了承手続きを行ったうえで、内容を公表する予定だが、これが「最初で最後の平場の議論になる」(中堅)と見られている。「反麻生」勢力がマニフェスト反対で結集しないよう、解散後の日程を組み立てたと見る向きもある。
 「反麻生」の急先鋒(せんぽう)、中川秀直・元幹事長も18日のテレビ番組で、党のマニフェストが未公表であることに懸念を示したうえで「我々の意見がマニフェストに入らず、その主張を降ろすようでは、政治家ではない」と強調。党のマニフェストが意にそぐわなければ独自の公約を掲げる可能性を示唆した。
 小池百合子・元防衛相ら東京都選出の有志議員、首相と距離を置く鳩山邦夫・前総務相らも、独自の公約を作成する構えを見せている。
 こうした自民党の混乱ぶりに対し、野党側からは「政党の姿をなしていない」(鳩山民主党代表)と厳しい批判の声が上がっている。



日経社説 米金融機関の業績回復に安心は禁物だ(7/19)
 米金融機関の業績が回復している。4~6月期決算では、シティグループが2四半期連続で最終黒字を確保し、ゴールドマン・サックスは過去最高益だった。昨年9月のリーマン・ショックを受けて、両社は昨年末まで大幅な赤字だった。
 世界同時不況の震源といえる米金融界の経営改善は好ましい。しかし、決算の内容を見ると各社が安定的に収益を上げる体質になったとはいえず、安心は禁物だ。
 業績回復の原動力は証券業務である。証券に特化するゴールドマンの場合、純営業収益の8割弱を株式や債券の売買関連で稼いだ。総合金融のJPモルガン・チェースは最終利益が前年同期比で4割近く伸びたが、けん引役は証券業務だった。
 融資に代表される商業銀行業務に比べ、市場変動の影響を大きく受ける証券業務の収益は短期的な振れが激しい。4~6月は萎縮していた投資家心理が和らいだ時期にあたる。投資家はリスクの高い株や債券への投資を再開し、売買を仲介する証券業務の収益機会は広がった。
 だが、7月に入ると景気回復期待の後退で世界の株式相場がもたつく局面もあった。ゴールドマンの幹部は「リスクはなおまん延している」と楽観論をけん制している。
 決算で目立ったのはむしろ、景気の悪化で各社の資産の劣化が止まらない点だ。シティグループは貸倒引当金の繰り入れが前年同期に比べて8割も膨らんだ。証券子会社の売却に伴う一時的な利益を除けば実質的には赤字決算である。バンク・オブ・アメリカの貸倒引当金への計上も2倍以上に拡大した。
 米国の企業破綻は今年、昨年の2倍を超えるペースで膨らんでいる。失業率も10%の大台に近づいた。家計が保有する住宅に加えて商業用不動産の価格も下落しており、個人、企業向けともに融資が焦げ付いている。バンカメのルイス社長は、「融資先の信用低下が来年にかけて収益を圧迫するだろう」と指摘した。
 世界景気は最悪の時期こそ脱したとの見方が強い。だが、各国政府による景気刺激策という応急措置の効果が大きく、最終的な需要が持ち直して持続的な景気回復につながるかどうかはなお不透明だ。
 融資の焦げ付きはすでに、米大手ノンバンクCITの経営危機という形で市場の動揺を招いている。破綻に至らなくても、金融機関の資産が劣化すれば貸し渋りが長びく懸念も強まる。業績が一時的に回復したからといって金融システムへの脅威がなくなったと見るのは早計だ。
LDP must stop bickering and craft viable policies

We feel the Liberal Democratic Party's latest turmoil is too much to tolerate. A key factor behind the LDP's confusion is Prime Minister Taro Aso's insufficient leadership, demonstrated by the ruling party's massive defeat in the recent Tokyo Metropolitan Assembly election as a result thereof. This was combined with the unease felt by LDP members, who think their party faces an uphill battle in the forthcoming House of Representative election.
But now is not the time for the party to wage an internal power struggle.
The lower house is set to be dissolved on Tuesday, with an ensuing general election scheduled for Aug. 30. The LDP is certain to be aggressively attacked by the leading opposition Democratic Party of Japan in the lower house race.
Given this, it is obvious what the LDP should do now. The party must hurriedly craft responsible policies that can be studied by voters in deciding which party they will support in the lower house election.
On Thursday, former LDP Secretary General Hidenao Nakagawa and other lawmakers seeking Aso's resignation met the party's top cadre to demand the convening of a formal session of the Joint Plenary Meeting of Party Members of Both Houses in the Diet. They submitted a list of signatures collected from party members for their cause, saying, "[The LDP] will be unable to fight the lower house election under Prime Minister Aso."
But the party leadership rejected their demand, and, instead, decided to hold an informal meeting of LDP legislators from both chambers of the Diet as a nonvoting session. The LDP top echelon defended its decision, saying the collected signatures were short of the number required for holding the former meeting and that convening such a session would only add to the party's intramural turmoil.
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Aso authored confusion
Aso has made hard-to-swallow claims that the metropolitan assembly election was not directly linked to national politics. However, there is no getting around the fact that severe criticism of the Aso Cabinet has led to consecutive defeats for the ruling camp in recent regional elections.
One of the causes of the current confusion is that Aso announced the dissolution of the lower house and a snap general election without holding proper consultations with other LDP members and without giving a general overview of his party's defeat in the Tokyo election.
Without verifying the causes for its repeated losses in regional elections, the LDP cannot draw up a blueprint on how to fight the lower house election campaign.
LDP lawmakers will not accept Aso's stance on the lower house election unless he sincerely apologizes for the defeat suffered in the Tokyo election and demonstrates his resolve to win the upcoming election during Tuesday's meeting.
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'Rebellion' was stillborn
We also have misgivings over moves by anti-Aso lawmakers.
Were they demanding that a party presidential election be held before the lower house election? Or were they demanding an inquest into their party's recent losses in regional elections? It is undeniable that gathering signatures without specifying the purpose of doing so invited further commotion within the LDP.
Moreover, it was hardly surprising that calls for the LDP presidential election to be brought forward were becoming muted given that no lawmaker has thrown his hat into the ring in a bid to succeed Aso, and there are no major contenders to replace him.
LDP Election Strategy Council Chairman Makoto Koga expressed his intention to step down from the post to take responsibility for the Tokyo assembly election defeat.
Finance Minister Kaoru Yosano, who plays a pivotal role in managing economic policies in the Aso Cabinet, reportedly voiced objections to the prime minister's decisions over the lower house dissolution and the general election.
Some party members are said to be planning to campaign for the lower house election under anti-Aso banners and with their own manifestoes.
But such moves will only end up puzzling voters. We urge the prime minister to bring the confusion under control and have LDP members work on their party's election pledges as soon as possible.
DeNA、中国へ本格進出、巨大市場攻略の勝算(COLUMN)
 携帯電話向けゲーム・交流サービス(SNS)の大手「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エーが、中国市場攻略に本格的に乗り出した。7月3日、中国の携帯SNS「天下網」を買収すると発表。天下網は日記やコミュニケーションを主力とする携帯SNSで、会員数は約900万人。携帯専業では中国最大手級だ。買収額は公表していないが、数億円程度とみられる。
 実はディー・エヌ・エーは、2007年2月から北京の現地法人を通じて独自の携帯SNS「加加城」を運営している。だが会員数は数十万人にとどまっており、6億8000万人ともいわれる中国の携帯電話市場からすれば微々たる規模に甘んじている。
 M&Aなどを担当する五嶋一人シニア・ストラテジック・マネージャーは「文化や言葉の壁はやはり大きいと感じている。現地で実績のあるサービスを買収することでこの壁を乗り越えたい」と今回の買収の意図を説明する。
 基本的には国内のモバゲーと同じビジネスモデルを導入する方針で、SNS上で自分の分身とし利用するキャラクター(アバター)や、ミニゲームなどを販売する計画だ。
 中国事業に本腰を入れる背景には、国内市場の成熟がある。モバゲーの会員数は1448万人にも達し、これまでのペースで利用者数を伸ばしていくのは困難だ。
 その点、中国はモバゲー発展の基盤となった第3世代携帯電話(3G)・データ通信定額サービスが今春から始まったばかり。
 「普及のペースはともかく、いずれ世代交代は進む。市場の潜在力は非常に大きく、参入しない理由はない。天下網の会員数はこの1年で約2倍に増えており、モバゲーを抜くのもそう遠くない」と五嶋氏は言う。そこへ日本並みのリッチコンテンツを投入すれば、大バケも夢ではないというわけだ。
 ただ中国の携帯サービス市場は、これまで数多くの日本企業が進出してほとんどが痛い目に遭っている。目まぐるしく変わる当局の規制や携帯文化の違い、現地経営陣との調整などに苦しんだ。
 これらのハードルはもちろんディー・エヌ・エーも認識する。「同業の先行事例も研究しスキームを作った。いっぺんに巨額投資するといったリスクも取らない」(五嶋氏)とするが、成否はいかに。



ホワイトハウス、大統領会見予定を「ツイッター」で発表
 【ワシントン=丸谷浩史】米ホワイトハウスは17日、オバマ大統領が22日に記者会見することをミニブログの「ツイッター」で発表した。即時性に優れているツイッターは米国で急速に広がっており、既にホワイトハウスは6月のカイロでの大統領演説の内容を演説と同時にツイッターで伝えた。今回は記者会見を開くとの一報を、ホームページなどより早くツイッターに掲載。AP通信などもツイッターを引用する形で報道した。
 大統領の会見はテレビ視聴者が多いプライムタイムの夜9時から。最重要課題に位置づける医療制度改革などの懸案に関する方針を説明するとみられる。



衣料、フライパン、眼鏡…下取りセール広がる 新たな購入呼ぶ
 家庭内の不用品を引き取り、割引券などと交換する下取りセールが広がっている。百貨店や専門店などで手掛ける企業が増え、対象商品も衣料品から台所用品、眼鏡などに多様化。消費者に「家庭内在庫」を吐き出してもらい、新たな購買意欲を刺激することを狙う。持ち込まれた商品はリサイクルや途上国などへの寄付に回る。エコ意識もくすぐるため、景気低迷下でも消費者には好評。今後も実施する企業が増えそうだ。
 そごうと西武百貨店は全国の25店で、フライパンややかんなどの調理器具の下取りを始めた。1点につき、インテリア売り場で使える1050円の割引券と交換する。集めた調理器具はザンビアへ送るほか、傷んでいるものは専門業者が溶解し、金属製品の原料に再生する。



ゲーム市場、ヒット作待ち 6月売上高 9年ぶり大幅減
 世界最大の米ビデオゲーム市場の6月の売上高は4カ月連続で減少した。ゲームソフトの新たなヒット商品がないことに加え、任天堂の家庭用ゲーム機「Wii(ウィー)」の需要落ち込みが響いた。
 米市場調査会社NPDグループが16日発表したビデオゲームのハードウエアやソフトウエアの6月の米売上高は月間ベースで2000年9月以来ほぼ9年ぶりの大幅な落ち込みを記録した。減少は4カ月連続だった。
 ソニーと任天堂の販売落ち込みがきつかった。景気悪化の影響や新たな人気タイトルに恵まれなかったことも要因だ。
 NPDの発表によると、ゲームのハードウエアやソフトウエア、付属品の6月の売上高は前年同月比31%減の11億7000万ドル(約1097億円)。
 内訳はハードが同38%減の3億8260万ドル。ソフトが29%減の6億2580万ドル。
 6月のゲーム機販売台数は、ソニーの「プレイステーション3(PS3)」が59%減の16万4700台。任天堂のWiiが46%減の36万1700台。一方、マイクロソフトの「Xbox360」は9.5%増の24万600台だった。



中国の米国債保有額、再び急増 5月末、初の8000億ドル台
 米財務省によると、5月末の中国の米国債保有残高は前月末に比べ380億ドル増の8015億ドルとなり、初めて8000億ドル台を突破した。増加額は昨年10月の659億ドル以来、7カ月ぶりの大きさとなった。外貨準備が2兆ドルを超えたのを機に、中国が再び米国債の積極購入に動き出したとの見方が出ている。
 中国は今年に入って米国債の購入を絞り込み始めたもようで、保有残高の増加ペースは徐々に鈍化。4月末には昨年6月以来、10カ月ぶりに減少に転じた。金融危機でドルの信認が揺らぐ中、中国はドルに偏った外貨準備運用の多様化を探っており、運用先を米国債以外に振り向け始めたとの観測も浮上していた。



企業の農業参入加速 イオン、3年で10農場
 企業の農業参入が加速してきた。イオンは茨城県を手始めに3年間で全国十数カ所の農場を運営し、1~3割安いプライべートブランド(PB=自主企画)野菜を販売する。食の安全意識の高まりに加え、参入を促す規制緩和をテコに、ワタミやカゴメなどがすでに始め、セブン&アイ・ホールディングスも全国展開を計画中だ。小売りや食品関連の大手が履歴の明確な野菜を低コストで自社生産する動きが広がることにより、農業活性化にもつながりそうだ。
 イオンは企業が自治体から農地を借りる「農地リース方式」を使い、茨城県牛久市の2.6ヘクタールの土地で小松菜や水菜、キャベツなどを9月から生産する。参入のための新会社を10日付で設立した。生産した野菜は青果市場を通さず自社の物流網活用などでコストを削減し、店頭価格を抑える。初年度は約300トンを収穫し、茨城県や千葉県などの「ジャスコ」15店でPBとして販売する。



USスチール、カナダ政府が提訴 買収先工場停止で
 【シカゴ=毛利靖子】カナダ政府は17日、米製鉄最大手USスチールをカナダの連邦裁判所に提訴した。USスチールが買収した加製鉄大手ステルコの工場を停止したのは、地元の雇用を守るという買収時の認可条件に抵触するというのが理由だ。国境を越えた企業再編が活発になるなか、リストラなどの経営判断について買収先企業が本拠を置く国の制裁を受けるリスクが浮き彫りになり、グローバル企業が警戒を強めている。
 クレメント加産業相は加投資法違反を理由に、加連邦裁に対し雇用維持を含めた約束の順守をUSスチールに命じるよう求めた。地元メディアによると、USスチールには1日あたり1万カナダドル(約84万円)の罰金が科される可能性があるという。米加両国の間では米景気対策に盛り込まれたバイアメリカン条項(自国製品優先購入)を巡って緊張が高まっており、新たな摩擦に発展する懸念がありそうだ。



解散控え早くも衆院選モード 3連休、地元張り付き
 21日の衆院解散に備え、政権をかけて激突する自民、民主の衆院選立候補予定者が18日からの3連休で支持拡大に弾みをつけようと、早くも本番モードで地元を駆け回っている。自民の現職は両院議員総会を巡って悪化した党のイメージの払拭(ふっしょく)に努めるなど、逆風を食い止めようと必死。一方、民主は鳩山由紀夫代表(62)が街頭演説に駆け付けるなど、追い風に乗ろうとしている。
 「いよいよ来週、解散です。皆さまの声を受け止める政治にならなくてはいけない」。マイクを握った菅原一秀議員(47)は18日朝、練馬区の地下鉄駅前で訴えていた。「反麻生勢力」の自民議員が総裁選前倒しにもつながる両院議員総会の開催を目指し、署名集めに奔走。総会は「懇談会」として開くことに落ち着いたが、自らも署名した菅原議員は「(自民党の)すべてをオープンにすべきだと思ったから」と力説した。



【東京新聞社説】
ユドヨノ新体制 アジア安定に貢献を
2009年7月18日
 再選されたインドネシアのユドヨノ大統領の二期目が始まる。早々にテロとみられる爆発事件があったが、同国を復活させた手腕は信任を得た。新興大国としてアジア安定への貢献も期待したい。
 同国の人口は二億三千万人で中国、インド、米国に次ぎ世界で四番目。九割がイスラム教徒で世界最大の「イスラムの国」だ。
 この国で、有権者が直接投票する大統領選は五年前に続き二回目だった。民主主義をいかに進めるかがなお課題のイスラム世界の現状を見れば、混乱なく実施されたこの大統領選の意義が分かる。
 ユドヨノ大統領は軍人出身だ。国民に支持された背景には、権力者層にはびこる汚職に親族さえ逮捕して撲滅に乗り出したクリーンさと、堅実な経済運営がある。
 一九九七年のアジア金融危機で通貨ルピアが大暴落し経済は破綻(はたん)状態となった。三十年以上権力の座にいたスハルト大統領は身を引き、その後短命政権が続いた。
 大統領は、この国の「失われた十年」といわれる時代を終わらせ、年6%前後の経済成長を続け、今は主要二十カ国・地域(G20)の首脳会合(金融サミット)に加わるほどである。
 だが経済成長の陰で、国民の四割が一日二ドル以下で暮らす現実は残っている。格差と不安を浮き彫りにしたのが、首都ジャカルタ市内の二つの米国系ホテルで多数が死傷した今回の連続爆発事件だ。
 二〇〇二年のバリ島爆弾テロなどを起こしたイスラム過激派ジェマ・イスラミア(JI)は、徹底した取り締まりで鳴りを潜めていた。今回の事件の背景は分からぬが、こうした過激派の温床となる貧困対策は急務である。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)は今、国内問題で精いっぱいの政権が多い。タイは現政権派とタクシン元首相派との対立が続く。まとめ役はインドネシアしか見当たらない。国際社会の期待もより高まろう。米国はオバマ政権発足早々、クリントン国務長官が訪れユドヨノ大統領と会談するなど重視の姿勢だ。
 日本は、天然ガスなど資源が豊富なインドネシアの最大の貿易相手かつ援助国だ。経済連携協定(EPA)を結び、看護師・介護福祉士候補を受け入れている。
 しかし、日本が国連の常任理事国入りに手を挙げてもユドヨノ大統領から支持を得られなかった苦い教訓がある。経済だけでなく、より幅広い信頼関係を築く時だ。
米メディアも“押し紙”を報道 新聞部数の水増しに海外も注目
 実際の購読者数より水増しした部数を販売店に押し売りするのが“押し紙”。媒体の価値が実態以上にかさ上げされ、広告営業の面でも有利になるため、新聞業界で長く続いてきた悪習だ。
 当の新聞社が実数を公表していないため、販売店や関係者の証言に頼るしかないが、大手新聞では地域によって少なくとも1~5割の押し紙があるといわれている。
 押し紙の存在は長くタブー視されてきたが、近年、耐えかねた販売店側が新聞社を相手に訴訟を次々と起こし、徐々に認知度も上がってきている。
 そしてここにきて、海外の有力メディアも注目し始めた。
 米国の有力メディア「クリスチャンサイエンスモニター」が押し紙問題を報道すべく、販売店店主らへの取材を進めているのだ。取材を受けた販売店店主によれば、記者は特に、「日本企業に投資する海外の投資家が押し紙を知らないことを問題視していた」という。
 日本の新聞の広告料金は、水増しされた部数を参考に決められている。海外の投資家がそんな事実を知ったら、自らが投資する日本企業に、新聞社に対して抗議するように促す事態も考えられる。外国人投資家に、もの言う株主が多いのは言うまでもない。
 また、「英語圏での報道をギネスブックの関係者が目にすると困るのは読売新聞」(読売と係争中の販売店店主)との声も。同紙はギネスで、「世界最大の部数」と認定されており、取り消しでもされれば恥をかくからだ。
 さらに、一部の国内テレビ局も取材に動き始めているし、今年の株主総会で押し紙問題について質問した日本人株主もいる。
 これまで知らぬ存ぜぬを通してきた新聞社だが、徐々に外堀が埋められつつあるのだ。



携帯ビジネス市場、08年は17%増の1兆3500億円
 総務省は17日、2008年の携帯ビジネス市場が前年比17%増の1兆3524億円になったと発表した。着うたやゲームなどのコンテンツ利用が伸びたほか、チケット予約や証券取引なども拡大した。手軽さや利用人口の伸びが成長を後押しし、百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングスの09年3月期売上高(1兆4266億円)に迫る規模に発展した。
 携帯電話事業者からの情報提供や関連団体などへの聞き取りによって市場規模を算出した。広告は対象外としている。
 通販や証券取引などの「モバイルコマース市場」は前年比19%増の8689億円。このうち航空券や宿泊予約などサービス関連は25%伸びた。「モバイルコンテンツ市場」は13%増の4835億円。電子書籍が79%増えたほか、交流サイトで使うキャラクター「アバター」関連の売り上げが162%増と急成長した。



ガソリンスタンド、過去最多の1967カ所減少 08年度
 ガソリンスタンドの減少に拍車がかかってきた。資源エネルギー庁によると2008年度末(今年3月末)時点の全国のスタンド総数は4万2090カ所となり、前年度末に比べ1967カ所(4.5%)減った。14年連続のマイナスで減少数は過去最大。昨年前半の原油価格の高騰などで経営環境が悪化し、倒産や廃業、閉店が相次いだ。
 スタンド数は最も多かった1994年度に比べ3割減った。過当競争による安値販売に加え、原油高による消費者の買い控えが経営を圧迫した。昨年4月のガソリン暫定税率の失効時に、割高な在庫を安値で放出したことも痛手となった。
 残ったスタンドも半数以上は赤字経営といわれる。今春以降も景気低迷でガソリン販売の不振が続いているうえ、低燃費車の普及などで経営環境は厳しさを増している。「淘汰は今後も続く」(石油元売り大手)との見方が多い。



zoome、JASRAC楽曲の演奏動画の投稿が可能に
 動画投稿サービス「zoome」を運営するzoomeはこのほど、日本音楽著作件協会(JASRAC)と、JASRAC管理楽曲を利用できる包括契約を締結したと発表した。
 ユーザーがJASRAC管理楽曲を演奏したり、歌ったりした動画をzoomeに投稿できる。CD音源やプロモーションビデオをそのまま投稿することはできない。
 JASRACが示す利用許諾条件に合意した。zoomeは収入の一部をJASRACに支払う。
 JASRACはこれまでに、「ニコニコ動画」を運営するニワンゴやYouTubeなどと同様の契約を結んでいる。



バラエティー番組全般、BPO審議入りへ
 放送界の第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の放送倫理検証委員会は17日、放送倫理を逸脱している可能性があるバラエティー番組について、審議入りすることを決めた。
 9月の定例会で意見書をまとめ、国内の全放送局に通知し、対応を促す。個別番組ではなく、バラエティー番組全般について審議入りするのは初めて。
 検証委は性的表現や事実をゆがめた表現など具体的に問題視したケースを数件挙げて審議し、共通する制作体制の問題点をまとめる。
 また、TBSテレビが4月11日放送の情報番組で事実と異なる映像を流した問題では、検証委が結論を出す前にTBSを行政指導した総務省の対応を批判する川端和治委員長談話を発表した。



医療費、過去最高の34兆1千億円 08年度、高齢化で押し上げ
 厚生労働省は17日、2008年度の概算の医療費が前年度比1.9%増の34兆1千億円と、過去最高を更新したと発表した。高齢者が増えたり医療技術が進歩したりしたことが費用を押し上げた。08年がうるう年で1日多かった影響などを調整すると2.2%増。厚労省は「08年度に診療報酬改定率がマイナス0.82%だったことも考慮すると、医療費の伸び率は従来と同水準の3%台」としている。
 概算医療費は国民医療費から全額自己負担の医療や労災医療費などを除いた額で、国民医療費の98%程度とされる。国民医療費より1年以上早く発表され、医療費の速報値として使われる。
 08年度は前年度に比べて6千億円増加。延べ患者数は同1.3%減と減少傾向にあるものの、医療の単価を示す1日あたりの医療費は3.2%増えた。



インド、中国を抜き初の首位 日本企業のアジア投資
 日本企業のアジア向け直接投資で、2008年度はインドが中国を初めて抜いて最大の投資先になったことが明らかになった。人口増に伴う内需拡大への期待からインドへの進出が加速しているのに対し、外資誘致で先行した中国は大型投資が一巡しているためだ。インド経済は金融危機にもかかわらず国内の需要が底堅く、インフラ不足などの課題を解決できれば投資はさらに勢いづくとの見方もある。
 日本の財務省の国際収支統計によると、08年度の直接投資額はインド向けが8090億円の純増で、中国向けの6793億円を上回った。07年度は中国の7015億円に対してインドは1890億円にとどまっていた。



北朝鮮経済は苦境に 韓国系政府機関が分析
 【ソウル=島谷英明】韓国の政府系シンクタンク、韓国開発研究院(KDI)は「2009年上半期の北朝鮮経済動向報告書」で、北朝鮮経済が核開発問題と金日成主席死亡の重なった1994年当時に匹敵する苦境にあると分析した。国際社会の経済制裁や韓国との南北貿易減少が打撃となり、今後さらに悪化する可能性があると予測した。
 報告書は北朝鮮が金正日総書記の健康悪化説や後継者問題を背景に、住民の統制を強めようとしていることが経済の足を引っ張っているとも指摘。北朝鮮には経済制裁の原因である核問題を解決する姿勢がみえないため、短期間での苦境克服は難しいとした。
 経済低迷のしわ寄せを受ける住民は購買力が低下し、穀物などの市場価格が下がる現象が起きているという。経済力強化を目指した「150日戦闘」では平壌の市街地開発など建設・農業分野へ労働力を集中的に動員したが、「事実上、経済効果はなかった」と指摘した。



インドのタタ自動車、超低価格車「ナノ」納車を開始
 【ムンバイ=小谷洋司】インド財閥傘下のタタ自動車は17日、自主開発した超低価格車「ナノ」の購入者への納車を始めた。ムンバイ市内の販売店で開いた式典では、ナノ開発の旗を振ったタタグループのラタン・タタ会長が最初の顧客となったアショック・ビチャーレさんにキーを手渡し、ナノの門出を祝った。
 ナノは排気量624ccの4人乗り小型車で、価格は約11万ルピー(約21万円)から。生産能力が限られるため初回は10万台の数量限定販売で、抽選で購入客を決めた。ビチャーレさんは妻や娘を連れて来店し、一家にとって初めての自動車となるシルバーのナノを受け取った。同社は「2010年10~12月期までの早い時期に納車を完了させる」方針だ。



与謝野氏、同意の公算 石破氏も
 衆院が21日午後に解散されることが17日決まった。麻生太郎首相と閣僚は21日午前の閣議で解散を決定。午後の本会議で河野洋平衆院議長が解散詔書を読み上げる。次期衆院選は「8月18日公示―30日投開票」の日程となる。早期解散に慎重だった与謝野馨財務・金融相と石破茂農相も解散に反対せず、解散決定に同意する公算だ。
 昨年9月末に発足した麻生政権は景気対策などの実績を掲げ、逆風の下での衆院選に臨む。民主党にとっては政権交代をかけた選挙となる。



自民党混乱 内紛より政策を固める時だ(7月18日付・読売社説)
 自民党の迷走ぶりは目に余る。東京都議選大敗に至るまでの麻生首相の指導力不足と、これでは衆院選も苦戦必至と浮足立つ議員心理が、その要因といえる。
 しかし、今は党内抗争をしている時ではあるまい。
 21日に衆院は解散され、来月30日投開票の衆院選で、自民党は民主党の攻勢にさらされる。
 とすれば、なすべきことは明らかだろう。衆院選に向けて、有権者に信を問う、責任ある政策を早急に固めることである。
 「麻生首相の下で、衆院選は戦えない」と、首相退陣を求める中川秀直・元幹事長らが、署名簿を添えて、両院議員総会の開会を要求した。
 これに対し、党執行部は、署名が必要な数に達していないうえ、総会の開催は党内の混乱に拍車をかけるとして、議決権のない「両院議員懇談会」を21日に開催することを決めた。
 首相はこれまで「国政と地方選は直接関連しない」と強弁してきた。だが、麻生内閣への厳しい評価が、最近の地方選挙の敗戦につながったことは事実だ。
 首相が都議選惨敗の総括もせずに、独断気味に解散・総選挙を予告したことも、混迷の一因だ。
 地方選連敗の原因を検証しなくては、今後、衆院選をいかに戦うか、の指針を示すこともできないのではないか。
 首相が懇談会で、都議選大敗に対する率直な反省と、衆院選への決意を示さなければ、自民党議員は納得しないだろう。
 「反麻生」の議員たちの行動にも疑問がある。
 「総裁選の前倒し」を要求しているのか、地方選の総括を求めているのか。そこをあいまいにした署名集めが、自民党内に更なる混乱を招いたことは否めない。
 まして「ポスト麻生」に誰も手を挙げず、有力候補不在の状態では、「総裁選前倒し」要求が失速するのは当然だろう。
 自民党内では、古賀選挙対策委員長が、地方選敗北の責任をとって辞意を表明している。
 麻生内閣の経済運営の要である与謝野財務相も、首相の解散・総選挙をめぐる判断に異を唱えたとされる。
 自民党内では、「反麻生」を唱えたり、独自の政権公約(マニフェスト)を掲げたりして、衆院選を戦う動きもあるという。
 これでは有権者が戸惑う。首相は混乱を収拾し、自民党に公約作りを急がせるべきだ。
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