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NTTの光回線を代理販売するソフトバンク母屋乗っ取り作戦(COLUMN)
この7月より、ソフトバンクは、全国的にNTTの「フレッツ光」(高速大容量のブロードバンド回線)を代理販売し始めた。いまだに「なぜ?」の付く組み合わせだが、合点がいくシナリオもある。
これまで、ソフトバンクの狙いは、長年の宿敵であるNTTの軍門に下ることで、自社の固定通信(ADSL)の顧客流出を食い止めたり、販売手数料を稼いだりすることにあると目されてきた。
だが、彼らの真の狙いは、実用目前まで来ている技術改良中の「フェムトセル」(宅内に置く簡易型無線基地局)を家庭内に置かせてもらうための“足回り”を、今から整えておくことにあるという推測のほうが納得度は高い。
中長期的に見れば、日本の固定ブロードバンド回線はNTTのNGN(フレッツ光ネクスト)に収斂する流れにあるが、本格的な普及にはまだ時間がかかる。そこで代理店として、その手伝いを買って出た。普及した暁には、その上で自前のモバイル新サービスを展開しようというシナリオだ。
ソフトバンクは現在、年間数千億円かけて基地局を造っているが、NTTのNGNが整備されて借りることができれば、設備投資を大幅に浮かすことができる。特に、高速大容量で設備に負担がかかるiPhoneのトラフィックを、NTTに肩代わりしてもらえるとしたら大助かりだ。
NTT東日本の技術系幹部は、「確かに、そのようなリスクはあるが、彼らは光回線を売ってくれる」と代理店施策はビジネス上の判断だったと強調する。一方で、ソフトバンクモバイルの弓削哲也・常務執行役員は「そこまでカチッとした絵を描いていないが、否定はしない」と含みを持たせる。
自らは画期的な新サービスを生み出せないNTTと、設備投資をしたがらないソフトバンクの“呉越同舟”は、利害が一致している。だが、気を引き締めていかないと、NTTは「(ソフトバンクに)軒を貸して母屋を取られる」可能性がある。
コンビニ、3社に1社「メーカー品値下げ増やす」 日経調査
コンビニエンスストアの価格競争が本格化しそうだ。コンビニの3社に1社が、2009年度中にメーカー商品(NB)の値下げを増やす計画であることが、日本経済新聞社の調査でわかった。1年前の3%から大幅に増えた。「タスポ効果」がはがれ落ちたコンビニは、6月の既存店売上高が1年2カ月ぶりに前年割れ。市場飽和と消費不振に向き合わざるを得なくなり、定価販売で成長してきた事業モデルの見直しを迫られている。
国内でコンビニチェーンを展開する74社を対象に5~7月に実施した「第30回コンビニエンスストア調査」で47社から有効回答を得た。
上場企業への罰則使い分け 東証が方針、8月めど
東京証券取引所は8月をめどに、東証の規則に違反した上場企業への罰則の種類を増やす方針だ。同じ違反行為に対して複数の罰則を用意し、悪質さに応じて使い分けるようにする。上場企業に法令順守や情報開示への姿勢を強化するよう促し、投資しやすい環境整備に役立てる。
東証は7月27日の取締役会で上場規則の改正案をまとめる。金融庁の認可を受け8月に施行する見通しだ。東証幹部は「国内外の投資家が安心して参入できる市場にする」と説明している。
FRB議長、米経済「安定化の兆し」 議会証言
【ワシントン=米山雄介】米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は21日、下院金融サービス委員会で証言し、米経済の現状について「景気下降のペースは著しく緩やかになったようにみえる」と説明した。「最終需要や生産には一応の安定化の兆しがある」と景気判断をやや前進させた。ただ、雇用の悪化や住宅価格の下落に懸念も示し、「金融政策は引き続き景気回復を促すことに重点を置く」と述べ、現在の積極的な金融緩和を当面継続する考えを示した。
今回の議会証言はFRB議長が半年ごとに金融政策運営を包括的に説明する報告。議長は「われわれは必要に応じて市場金利を引き上げる手立てを持っている」と強調した。将来のインフレ回避に向け、政策運営を危機モードから平時に戻す「出口戦略」に自信を示した。
米印関係、実利主導で強化 温暖化対策や安保では進展なく
クリントン米国務長官は21日までのインド滞在中に、同国のシン首相から原子力発電所の建設で米企業への発注を取り付けるなど、実利主導の2国間関係の強化を印象づけた。ただ、地球温暖化対策や核拡散防止といったグローバルな課題について具体的な進展はなかった。両国関係に「広がりと深化」(クリントン長官)を促すためには、多国間の利害調整が必要になりそうだ。
「クリントン長官は米印原子力協力協定の締結を強く支持した一人だ」(クリシュナ印外相)。昨年10月発効の協定は、米企業による原子力関連物資の対印輸出に道を開いた。原発の増設はインドの経済成長の足かせになっている電力不足の解消に不可欠だ。
シン首相が米側へ表明した原発建設の発注には、協定支持の“見返り”という意味合いも浮かぶ。東芝傘下の米ウエスチングハウス(WH)と、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と日立製作所の合弁会社の受注が有力視され、総額100億ドル(9400億円)の大型案件になりうる。
ロシア、旧ソ連圏で巻き返し 危機対策基金や駐留基地
【モスクワ=金子夏樹】ロシアが中央アジアの旧ソ連諸国で影響力の回復を目指して外交攻勢を活発化している。金融危機で打撃を受けた各国経済を支援するため、ロシアが資金の大半を拠出して危機対策基金を創設。キルギスでは新たなロシア軍駐留基地を設ける方針だ。
危機対策基金は総額100億ドル(9400億円)で、ロシアが75億ドルを拠出する。カザフスタンとキルギス、ベラルーシ、タジキスタン、アルメニアの旧ソ連5カ国が対象。ロシアが主導して経済回復を促す。
衆院解散、海外メディアも詳報 「歴史的な政権交代の可能性」
日本の衆院解散・総選挙のニュースは海外でも反響が大きく、主要メディアが詳しく取り上げた。各国メディアは自民党や麻生太郎首相の支持率が低下していた背景を伝え、「総選挙は歴史的な政権交代をもたらす可能性がある」(ロイター通信)などと解説した。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は1990年代以降の自民党政権が「高齢化や国民の生活水準の維持など根源的な問題を解決できなかった」と分析。民主党については「米国との対等な外交関係を提唱している」とした。
中国国営の新華社は「麻生内閣の支持率が低迷し、自民党の支持率も民主党に大きく引き離され、自民党内は『麻生降ろし』の動きで混乱した」と報じた。その上で「世論は自民党の選挙情勢が厳しいとみている」と自民党の劣勢を伝えた。
衆院解散 政策本位で政権選択を問え(7月22日付・読売社説)
衆院が21日、解散された。衆院選の日程は、8月18日公示、30日投開票だ。自民、公明両党の現政権の継続か、民主党を中心とする新政権の誕生か。これが最大の焦点になる。
しかし、単に政権の争奪だけに目を奪われてはなるまい。
「政権交代」の是非の前に、各政党が掲げる主要政策とその実行能力が問われている。
投開票までは40日間という長丁場だ。有権者はその間、各党の政策を十分吟味してもらいたい。
◆政治の安定をどう築く◆
衆院選を前にした各種世論調査では、民主党の支持率が自民党を上回るなど、民主党優位が伝えられている。
民主党の鳩山代表は「第1党で政権交代」を目標に掲げている。民主党は、衆院で過半数を制しても、参院で単独過半数を確保していないため、社民党や国民新党と連立政権を組むという。
これで安定した政治を行うことができるのかどうか。
一方、自民、公明の与党はこれまで、衆院の3分の2以上の多数による再可決で、「ねじれ国会」をしのいできた。今回の選挙で、これだけの議席を確保することは不可能だろう。
いずれにしても、衆参両院による意思決定をいかに円滑に進めるかという難題が、政治に突きつけられることになる。
◆明確な国家像を示せ◆
今、多くの国民は、不況に苦しみ、少子高齢化社会への不安を募らせている。対外的には、軍事大国化する中国や核武装を急ぐ北朝鮮など、我が国周辺の安全保障環境の悪化を懸念している。
各党は、国民の不安解消に向けた処方箋(せん)を示す必要がある。
今回も、政権公約(マニフェスト)が注目されている。
確かに、政権公約で政策の達成期限や数値目標を示すのはいい。だが、より重要なのは、日本をどのような国にしていくのかという「国家像」の提示である。
鳩山代表は、21日の両院議員総会で、「明治維新以来の官僚主導政治」からの転換を強調した。
だが、「政治主導」を実践するといっても、官僚を説得して動かすだけの政治力が伴わなければ、混乱するだけだろう。
民主党は、政権公約に「子ども手当」やガソリン税などの暫定税率廃止、高速道路の原則無料化などの政策を盛るとしている。
◆政策に財源の裏付けを◆
だが、無駄遣いの排除などで、これらの財源を捻出(ねんしゅつ)できるのか、はなはだ疑問だ。
岡田幹事長は「財源なくして政策なし」と語っている。民主党は、財源を明示し、国民の合点が行く政権公約を作り上げるべきだ。
政権公約は、各党とも有権者の歓心を買うものになりがちだ。だが、そのツケはいずれ有権者に回る。大衆迎合的な公約を競うことは、避けなければならない。
民主党は、インド洋での海上自衛隊による給油活動など国際平和協力活動に反対姿勢を示してきた。ただ、最近になって、鳩山代表は、給油活動を当面、継続する考えを表明した。
政権交代を視野に入れ、外交の継続性から現実的方向に政策転換するのは当然のことだ。
だが、社民党の福島党首は反発した。基本政策で隔たりがある社民党との連立政権は、極めて難しい運営を迫られるだろう。
一方、自民党は、政権公約作りが遅れている。党内の混乱と政策上の路線対立からだ。一部に、独自の公約を掲げて選挙を戦う動きもくすぶっている。
麻生首相は、21日の両院議員懇談会で、自らの失言や政策をめぐる発言のぶれについて、反省の意を表明し、東京都議選など地方選の連敗についても、陳謝した。
遅すぎる。政策のぶれに関して謝るべき相手は、誰よりも国民であることを忘れてはなるまい。
自民党にとっても、肝心なのは政策だ。世界同時不況の下で、政府・与党が打ち出した矢継ぎ早の経済対策の検証が重要である。
首相は、衆院解散を決定した閣議で、「安心で活力ある社会を実現しなければならない」と決意を表明した。
◆「責任政党」が試される◆
「責任政党」を標榜(ひょうぼう)するなら、消費税率引き上げなどについて、明確な方針を打ち出すことが必要だ。「4年間は消費増税しない」としている民主党との対立軸の一つになるだろう。
各党は、事実上の選挙戦に入った。年金、医療など社会保障や、新たな日米関係をはじめ、対北朝鮮など安全保障問題についても、政策論を戦わせてほしい。
自民、民主両党のどちらに「政権担当能力」があるかは、そこから自(おの)ずと見えてくるはずだ。
この7月より、ソフトバンクは、全国的にNTTの「フレッツ光」(高速大容量のブロードバンド回線)を代理販売し始めた。いまだに「なぜ?」の付く組み合わせだが、合点がいくシナリオもある。
これまで、ソフトバンクの狙いは、長年の宿敵であるNTTの軍門に下ることで、自社の固定通信(ADSL)の顧客流出を食い止めたり、販売手数料を稼いだりすることにあると目されてきた。
だが、彼らの真の狙いは、実用目前まで来ている技術改良中の「フェムトセル」(宅内に置く簡易型無線基地局)を家庭内に置かせてもらうための“足回り”を、今から整えておくことにあるという推測のほうが納得度は高い。
中長期的に見れば、日本の固定ブロードバンド回線はNTTのNGN(フレッツ光ネクスト)に収斂する流れにあるが、本格的な普及にはまだ時間がかかる。そこで代理店として、その手伝いを買って出た。普及した暁には、その上で自前のモバイル新サービスを展開しようというシナリオだ。
ソフトバンクは現在、年間数千億円かけて基地局を造っているが、NTTのNGNが整備されて借りることができれば、設備投資を大幅に浮かすことができる。特に、高速大容量で設備に負担がかかるiPhoneのトラフィックを、NTTに肩代わりしてもらえるとしたら大助かりだ。
NTT東日本の技術系幹部は、「確かに、そのようなリスクはあるが、彼らは光回線を売ってくれる」と代理店施策はビジネス上の判断だったと強調する。一方で、ソフトバンクモバイルの弓削哲也・常務執行役員は「そこまでカチッとした絵を描いていないが、否定はしない」と含みを持たせる。
自らは画期的な新サービスを生み出せないNTTと、設備投資をしたがらないソフトバンクの“呉越同舟”は、利害が一致している。だが、気を引き締めていかないと、NTTは「(ソフトバンクに)軒を貸して母屋を取られる」可能性がある。
コンビニ、3社に1社「メーカー品値下げ増やす」 日経調査
コンビニエンスストアの価格競争が本格化しそうだ。コンビニの3社に1社が、2009年度中にメーカー商品(NB)の値下げを増やす計画であることが、日本経済新聞社の調査でわかった。1年前の3%から大幅に増えた。「タスポ効果」がはがれ落ちたコンビニは、6月の既存店売上高が1年2カ月ぶりに前年割れ。市場飽和と消費不振に向き合わざるを得なくなり、定価販売で成長してきた事業モデルの見直しを迫られている。
国内でコンビニチェーンを展開する74社を対象に5~7月に実施した「第30回コンビニエンスストア調査」で47社から有効回答を得た。
上場企業への罰則使い分け 東証が方針、8月めど
東京証券取引所は8月をめどに、東証の規則に違反した上場企業への罰則の種類を増やす方針だ。同じ違反行為に対して複数の罰則を用意し、悪質さに応じて使い分けるようにする。上場企業に法令順守や情報開示への姿勢を強化するよう促し、投資しやすい環境整備に役立てる。
東証は7月27日の取締役会で上場規則の改正案をまとめる。金融庁の認可を受け8月に施行する見通しだ。東証幹部は「国内外の投資家が安心して参入できる市場にする」と説明している。
FRB議長、米経済「安定化の兆し」 議会証言
【ワシントン=米山雄介】米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は21日、下院金融サービス委員会で証言し、米経済の現状について「景気下降のペースは著しく緩やかになったようにみえる」と説明した。「最終需要や生産には一応の安定化の兆しがある」と景気判断をやや前進させた。ただ、雇用の悪化や住宅価格の下落に懸念も示し、「金融政策は引き続き景気回復を促すことに重点を置く」と述べ、現在の積極的な金融緩和を当面継続する考えを示した。
今回の議会証言はFRB議長が半年ごとに金融政策運営を包括的に説明する報告。議長は「われわれは必要に応じて市場金利を引き上げる手立てを持っている」と強調した。将来のインフレ回避に向け、政策運営を危機モードから平時に戻す「出口戦略」に自信を示した。
米印関係、実利主導で強化 温暖化対策や安保では進展なく
クリントン米国務長官は21日までのインド滞在中に、同国のシン首相から原子力発電所の建設で米企業への発注を取り付けるなど、実利主導の2国間関係の強化を印象づけた。ただ、地球温暖化対策や核拡散防止といったグローバルな課題について具体的な進展はなかった。両国関係に「広がりと深化」(クリントン長官)を促すためには、多国間の利害調整が必要になりそうだ。
「クリントン長官は米印原子力協力協定の締結を強く支持した一人だ」(クリシュナ印外相)。昨年10月発効の協定は、米企業による原子力関連物資の対印輸出に道を開いた。原発の増設はインドの経済成長の足かせになっている電力不足の解消に不可欠だ。
シン首相が米側へ表明した原発建設の発注には、協定支持の“見返り”という意味合いも浮かぶ。東芝傘下の米ウエスチングハウス(WH)と、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と日立製作所の合弁会社の受注が有力視され、総額100億ドル(9400億円)の大型案件になりうる。
ロシア、旧ソ連圏で巻き返し 危機対策基金や駐留基地
【モスクワ=金子夏樹】ロシアが中央アジアの旧ソ連諸国で影響力の回復を目指して外交攻勢を活発化している。金融危機で打撃を受けた各国経済を支援するため、ロシアが資金の大半を拠出して危機対策基金を創設。キルギスでは新たなロシア軍駐留基地を設ける方針だ。
危機対策基金は総額100億ドル(9400億円)で、ロシアが75億ドルを拠出する。カザフスタンとキルギス、ベラルーシ、タジキスタン、アルメニアの旧ソ連5カ国が対象。ロシアが主導して経済回復を促す。
衆院解散、海外メディアも詳報 「歴史的な政権交代の可能性」
日本の衆院解散・総選挙のニュースは海外でも反響が大きく、主要メディアが詳しく取り上げた。各国メディアは自民党や麻生太郎首相の支持率が低下していた背景を伝え、「総選挙は歴史的な政権交代をもたらす可能性がある」(ロイター通信)などと解説した。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は1990年代以降の自民党政権が「高齢化や国民の生活水準の維持など根源的な問題を解決できなかった」と分析。民主党については「米国との対等な外交関係を提唱している」とした。
中国国営の新華社は「麻生内閣の支持率が低迷し、自民党の支持率も民主党に大きく引き離され、自民党内は『麻生降ろし』の動きで混乱した」と報じた。その上で「世論は自民党の選挙情勢が厳しいとみている」と自民党の劣勢を伝えた。
衆院解散 政策本位で政権選択を問え(7月22日付・読売社説)
衆院が21日、解散された。衆院選の日程は、8月18日公示、30日投開票だ。自民、公明両党の現政権の継続か、民主党を中心とする新政権の誕生か。これが最大の焦点になる。
しかし、単に政権の争奪だけに目を奪われてはなるまい。
「政権交代」の是非の前に、各政党が掲げる主要政策とその実行能力が問われている。
投開票までは40日間という長丁場だ。有権者はその間、各党の政策を十分吟味してもらいたい。
◆政治の安定をどう築く◆
衆院選を前にした各種世論調査では、民主党の支持率が自民党を上回るなど、民主党優位が伝えられている。
民主党の鳩山代表は「第1党で政権交代」を目標に掲げている。民主党は、衆院で過半数を制しても、参院で単独過半数を確保していないため、社民党や国民新党と連立政権を組むという。
これで安定した政治を行うことができるのかどうか。
一方、自民、公明の与党はこれまで、衆院の3分の2以上の多数による再可決で、「ねじれ国会」をしのいできた。今回の選挙で、これだけの議席を確保することは不可能だろう。
いずれにしても、衆参両院による意思決定をいかに円滑に進めるかという難題が、政治に突きつけられることになる。
◆明確な国家像を示せ◆
今、多くの国民は、不況に苦しみ、少子高齢化社会への不安を募らせている。対外的には、軍事大国化する中国や核武装を急ぐ北朝鮮など、我が国周辺の安全保障環境の悪化を懸念している。
各党は、国民の不安解消に向けた処方箋(せん)を示す必要がある。
今回も、政権公約(マニフェスト)が注目されている。
確かに、政権公約で政策の達成期限や数値目標を示すのはいい。だが、より重要なのは、日本をどのような国にしていくのかという「国家像」の提示である。
鳩山代表は、21日の両院議員総会で、「明治維新以来の官僚主導政治」からの転換を強調した。
だが、「政治主導」を実践するといっても、官僚を説得して動かすだけの政治力が伴わなければ、混乱するだけだろう。
民主党は、政権公約に「子ども手当」やガソリン税などの暫定税率廃止、高速道路の原則無料化などの政策を盛るとしている。
◆政策に財源の裏付けを◆
だが、無駄遣いの排除などで、これらの財源を捻出(ねんしゅつ)できるのか、はなはだ疑問だ。
岡田幹事長は「財源なくして政策なし」と語っている。民主党は、財源を明示し、国民の合点が行く政権公約を作り上げるべきだ。
政権公約は、各党とも有権者の歓心を買うものになりがちだ。だが、そのツケはいずれ有権者に回る。大衆迎合的な公約を競うことは、避けなければならない。
民主党は、インド洋での海上自衛隊による給油活動など国際平和協力活動に反対姿勢を示してきた。ただ、最近になって、鳩山代表は、給油活動を当面、継続する考えを表明した。
政権交代を視野に入れ、外交の継続性から現実的方向に政策転換するのは当然のことだ。
だが、社民党の福島党首は反発した。基本政策で隔たりがある社民党との連立政権は、極めて難しい運営を迫られるだろう。
一方、自民党は、政権公約作りが遅れている。党内の混乱と政策上の路線対立からだ。一部に、独自の公約を掲げて選挙を戦う動きもくすぶっている。
麻生首相は、21日の両院議員懇談会で、自らの失言や政策をめぐる発言のぶれについて、反省の意を表明し、東京都議選など地方選の連敗についても、陳謝した。
遅すぎる。政策のぶれに関して謝るべき相手は、誰よりも国民であることを忘れてはなるまい。
自民党にとっても、肝心なのは政策だ。世界同時不況の下で、政府・与党が打ち出した矢継ぎ早の経済対策の検証が重要である。
首相は、衆院解散を決定した閣議で、「安心で活力ある社会を実現しなければならない」と決意を表明した。
◆「責任政党」が試される◆
「責任政党」を標榜(ひょうぼう)するなら、消費税率引き上げなどについて、明確な方針を打ち出すことが必要だ。「4年間は消費増税しない」としている民主党との対立軸の一つになるだろう。
各党は、事実上の選挙戦に入った。年金、医療など社会保障や、新たな日米関係をはじめ、対北朝鮮など安全保障問題についても、政策論を戦わせてほしい。
自民、民主両党のどちらに「政権担当能力」があるかは、そこから自(おの)ずと見えてくるはずだ。
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将来戦略乏しい自民と民主、所得保障に行き過ぎ批判も(COLUMN)
21日の衆院解散を受け、近く総選挙に向けて各党のマニフェストが公表されるが、民間エコノミストからは政権交代の可能性が高まっているとはいえ、自民党と民主党のどちらが政権をとっても将来戦略に乏しい、ばらまき型の政策になりそうだとの見方が強まっている。
中長期的な視点に立った日本経済の構造改革や経済活性化について政策内容面で期待しにくいとの声が多い。
<両党とも社会福祉に軸足、投資戦落が欠落>
「政権交代があってもなくても政策に期待はもてない」──民間エコノミストの間では、東京都議会議員選挙の結果を受けた政権交代の可能性の高まりを背景に各党の政策内容に焦点が集まっている。しかし、総選挙で自民党・民主党どちらが政権をとっても、日本経済の将来に期待が持てる政策は打ち出すことはできないとの見方が強まっている。自民党では小泉政権の改革路線の後退が骨太方針の変質からも明白となり、民主党の政策も短期的視点でのばらまき型政策ばかりが目立つためだ。
マネックス証券チーフエコノミスト・村上尚己氏は「民主党が掲げる経済政策は、家計や農家に対する幅広い補助金などのメニューが多く、人気取りの色合いが濃い」と指摘。自民党についても「民主党ほどばらまき度合いは強くないが、生活者重視という方針に基づく政策は似た部分が多い」と見ている。
金融市場では小泉政権に対する期待が高かったが、その背景は官から民へのシフトという姿勢が貫かれていたため。しかし現在ではその弊害が浮き彫りになり、格差社会の是正が問題となっており、改革の反動的色彩が濃い政策に偏ることは仕方がない面もある。
クレディスイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏は「格差是正と成長戦略の両立は難しい」と指摘。現在は社会的安定に軸足を置かざるえないというのが社会全体の流れだとみている。
一方、経済活動の視点からは、「今後の人口減少社会で人的資源に制約が強まるなか、日本経済が成長する力は資本ストックの蓄積しかなく、そのための投資プロジェクトの類の政策が必要」と主張。こうした視点から見た場合、特に民主党の政策において不十分と指摘する。
<所得保障は消費にプラスも、行き過ぎの声>
格差是正や家計への配慮自体は必要だとしても、その具体的な政策内容には批判も多い。特に民主党が目玉としている子供手当てや高速道路料金の無料化などは行き過ぎとの意見が相次いでいる。
第一生命経済研究所主席エコノミストの熊野英生氏の試算によると、民主党がマニフェストに盛り込もうとしている月額2万6千円もの子供手当てについて、一般家計がこれを教育支出に充てるとした場合、これほどの金額を教育に支出しているのは月収53万円以上の高所得層だけだ。
同氏は、そうした家庭では子供手当ての支給額分を貯蓄ではなく高級消費に回す可能性が高いため、個人消費の押し上げ効果が期待できる一方で、一律の配分は行き過ぎの面もあるとみている。教育費のコスト低下は、民間経済にも影響を及ぼす可能性があり、必要なら所得制限を設けてばらまきにならないようにすべきだと指摘している。
村上氏も「短期的には消費を0.3%程度押し上げる効果があるかもしれないが、すでに行われている政策をこれ以上追加する必要性がどの程度あるのか」と指摘。どこまでも財政赤字を拡大するわけにはいかない以上、「財政規律に配慮できるのかという疑念が一段と高まるリスクがある」と見ている。
民主党の所得保障政策に対する財源問題は以前から指摘されてきたが、「中長期的に政権を運営していこうというなら財源問題に責任を持つべき」(熊野氏)との意見は根強い。現在の債券市場では、国債増発懸念がすぐに長期金利上昇につながるとの見方は少ないようだが、「いつまでも財政拡大できるわけではなく、長期金利も気がついたときには手遅れになるかもしれない」(同氏)という。
<党内まとまらず、政界再編の必要性も>
自民・民主両党ともに将来像を描けないことについて「党内で政策に関する意見があちらこちらを向いている」(熊野氏)とみられており、「リーダーシップが発揮されているとは言いがたい」(村上氏)との声が多い。自民党も民主党も、党内に異なる意見が存在し、かつ党の枠を超えて共通した意見を持つ政治家がいる以上、今回のような党内不一致の状況が続けば、政界再編が必要との見方も浮上している。
ソニー、来月にゲーム事業に関する大規模な発表会を予定
ソニーが来月ヨーロッパで行われるゲーム業界の見本市で大規模な発表を行う予定であることが明らかになった。
6月にアメリカのロサンゼルスで行われた「E3(Electronic Entertainment Expo)」では、史上最大規模の発表が行われると事前予告されていたように、UMDスロットを廃止して大容量メモリを搭載した新型PSP「PSP Go」をはじめとして、グランツーリスモやバイオハザード、小島監督が手がけたメタルギアシリーズの最新作といったPSP向けの有力タイトルが次々と発表され、さらにコンシューマがPS3独占となる「ファイナルファンタジーXIV(FF14)」の発表まで行われた。
毎年ドイツのライプチヒで開催されていたヨーロッパ最大規模を誇るゲーム業界の見本市「Games Convention」に代わって今年から開催される「GamesCom」において、ソニーは大規模な記者発表会を行う。
発表時間は現地時間の8月18日18:00から21:00までの3時間におよぶとのこと。
インド、米企業に原発発注 シン首相と米国務長官会談
【ニューデリー=長沢倫一郎】インドのシン首相は20日にクリントン米国務長官と会談し、インド国内の2つの原子力発電所の建設を米国企業に発注すると伝えた。総工費は合計100億ドル(約9400億円)程度。東芝傘下のウエスチングハウス(WH)と、ゼネラル・エレクトリック(GE)と日立製作所の合弁会社がそれぞれ受注する見込みだ。
印PTI通信などによると、シン首相が発注を表明した原発は南部アンドラプラデシュ州と西部グジャラート州が有力な建設候補地。発注が正式に決まれば昨年10月の米印原子力協力協定の発効後、両国間の初の具体的な協力案件となる。
全国百貨店売上高、1~6月は11%減少
日本百貨店協会が21日発表した2009年1~6月の全国百貨店売上高は、前年同期比11.0%減(既存店ベース)の3兆2133億円だった。衣料品や高額品の不振が響いた。1~6月としては過去最大の落ち込みとなった。
ただ同時に発表した6月の売上高は前年同月比8.8%減の5319億円と、下落幅は5カ月ぶりに1ケタ台に回復。例年は7月に開催していたバーゲンセールを前倒しで実施したことが奏功している。
6月のコンビニ売上高、2.3%減 1年2カ月ぶり前年割れ
日本フランチャイズチェーン協会が21日発表した、6月のコンビニエンスストア(既存店ベース)の売上高は前年同月比2.3%減の6059億円だった。既存店売上高が前年同月を下回ったのは1年2カ月ぶり。たばこ自動販売機用成人識別カード「タスポ」導入に伴う売上高押し上げ効果が弱まったことに加え、消費不況で買い控えが広がったことが響いた。
ソフトバンク、CATV向けIP電話で「ホワイトコール24」
ソフトバンクテレコムとソフトバンクモバイルは、CATV事業者向け固定IP電話サービス「ケーブルライン」で、通話料割引サービス「ホワイトコール24」を7月31日より提供する。
「ホワイトコール24」は、ソフトバンクの3G携帯電話との国内通話料が24時間無料になるサービス。今回、「ケーブルライン」で提供されるようになったことで、「ケーブルライン」とソフトバンクモバイルの通話も無料対象に加わることになった。「ケーブルライン」ユーザーか家族がソフトバンクモバイルのホワイトプランに加入していれば、ケーブルラインやソフトバンクBBのIP電話「BBフォン」との通話料が24時間無料になる。
「ホワイトコール24」は無料で利用できるが、「ケーブルライン」「ホワイトプラン」の月額利用料が必要となる。
「私の発言で支持率低下」首相が陳謝 自民が公開で両院議員懇
麻生太郎首相は21日午前の自民党両院議員懇談会で「私の発言やぶれたといわれる言葉が国民に政治への不安と不信を与え、結果として自民党の支持率の低下につながった。深く反省している」と釈明。東京都議選など地方選連敗は「私に対する評価、党の結束の乱れが良くない影響を与えたことは否めない。党内をまとめきれなかった私の力不足について申し訳なく思っている」と陳謝した。
そのうえで「経済対策一本でやってきた私にとっては景気対策が確かなものになるまで首相、総裁の職務を投げ出すわけにはいかない」と強調。「いったん結論が出た後は一致団結して外と戦ってきたのが自民党の長い伝統。とてつもない自民党の底力をみなさんと共に発揮してこの国難、この難しい局面をみなさんの先頭に立って立ち向かう。必ず戦い抜いてみせる」と呼びかけた。
衆院解散、総選挙へ 「自公」継続か政権交代か
衆院は21日午後の本会議で解散された。政府はこの後の臨時閣議で「8月18日公示、30日投開票」とする衆院選の日程を決定。選挙戦が事実上、始まる。自民、公明両党による連立政権の継続か、民主党中心の政権に交代するのかが最大の焦点になる。有権者による「政権選択」の結果は、今後の日本の政治を大きく方向付ける。
衆院選は郵政民営化を争点に自民党が大勝した2005年9月以来。9月10日の衆院議員任期切れを控え、任期満了選挙に近い形となる。
麻生太郎首相は21日午前8時からの定例閣議で、景気対策としての4度の予算編成や海賊対策などの実績に触れたうえで「経済は明るい兆しが見え始めているものの、なお危機を脱したとはいえず、国際情勢も北朝鮮の問題など予断を許さない状況にある。未来に向かって安心と活力ある社会を責任を持って実現しないといけない」と指摘。「国民のさらなる理解と協力が必要だ。このため解散を断行し国民の信を問う」と表明した。
21日の衆院解散を受け、近く総選挙に向けて各党のマニフェストが公表されるが、民間エコノミストからは政権交代の可能性が高まっているとはいえ、自民党と民主党のどちらが政権をとっても将来戦略に乏しい、ばらまき型の政策になりそうだとの見方が強まっている。
中長期的な視点に立った日本経済の構造改革や経済活性化について政策内容面で期待しにくいとの声が多い。
<両党とも社会福祉に軸足、投資戦落が欠落>
「政権交代があってもなくても政策に期待はもてない」──民間エコノミストの間では、東京都議会議員選挙の結果を受けた政権交代の可能性の高まりを背景に各党の政策内容に焦点が集まっている。しかし、総選挙で自民党・民主党どちらが政権をとっても、日本経済の将来に期待が持てる政策は打ち出すことはできないとの見方が強まっている。自民党では小泉政権の改革路線の後退が骨太方針の変質からも明白となり、民主党の政策も短期的視点でのばらまき型政策ばかりが目立つためだ。
マネックス証券チーフエコノミスト・村上尚己氏は「民主党が掲げる経済政策は、家計や農家に対する幅広い補助金などのメニューが多く、人気取りの色合いが濃い」と指摘。自民党についても「民主党ほどばらまき度合いは強くないが、生活者重視という方針に基づく政策は似た部分が多い」と見ている。
金融市場では小泉政権に対する期待が高かったが、その背景は官から民へのシフトという姿勢が貫かれていたため。しかし現在ではその弊害が浮き彫りになり、格差社会の是正が問題となっており、改革の反動的色彩が濃い政策に偏ることは仕方がない面もある。
クレディスイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏は「格差是正と成長戦略の両立は難しい」と指摘。現在は社会的安定に軸足を置かざるえないというのが社会全体の流れだとみている。
一方、経済活動の視点からは、「今後の人口減少社会で人的資源に制約が強まるなか、日本経済が成長する力は資本ストックの蓄積しかなく、そのための投資プロジェクトの類の政策が必要」と主張。こうした視点から見た場合、特に民主党の政策において不十分と指摘する。
<所得保障は消費にプラスも、行き過ぎの声>
格差是正や家計への配慮自体は必要だとしても、その具体的な政策内容には批判も多い。特に民主党が目玉としている子供手当てや高速道路料金の無料化などは行き過ぎとの意見が相次いでいる。
第一生命経済研究所主席エコノミストの熊野英生氏の試算によると、民主党がマニフェストに盛り込もうとしている月額2万6千円もの子供手当てについて、一般家計がこれを教育支出に充てるとした場合、これほどの金額を教育に支出しているのは月収53万円以上の高所得層だけだ。
同氏は、そうした家庭では子供手当ての支給額分を貯蓄ではなく高級消費に回す可能性が高いため、個人消費の押し上げ効果が期待できる一方で、一律の配分は行き過ぎの面もあるとみている。教育費のコスト低下は、民間経済にも影響を及ぼす可能性があり、必要なら所得制限を設けてばらまきにならないようにすべきだと指摘している。
村上氏も「短期的には消費を0.3%程度押し上げる効果があるかもしれないが、すでに行われている政策をこれ以上追加する必要性がどの程度あるのか」と指摘。どこまでも財政赤字を拡大するわけにはいかない以上、「財政規律に配慮できるのかという疑念が一段と高まるリスクがある」と見ている。
民主党の所得保障政策に対する財源問題は以前から指摘されてきたが、「中長期的に政権を運営していこうというなら財源問題に責任を持つべき」(熊野氏)との意見は根強い。現在の債券市場では、国債増発懸念がすぐに長期金利上昇につながるとの見方は少ないようだが、「いつまでも財政拡大できるわけではなく、長期金利も気がついたときには手遅れになるかもしれない」(同氏)という。
<党内まとまらず、政界再編の必要性も>
自民・民主両党ともに将来像を描けないことについて「党内で政策に関する意見があちらこちらを向いている」(熊野氏)とみられており、「リーダーシップが発揮されているとは言いがたい」(村上氏)との声が多い。自民党も民主党も、党内に異なる意見が存在し、かつ党の枠を超えて共通した意見を持つ政治家がいる以上、今回のような党内不一致の状況が続けば、政界再編が必要との見方も浮上している。
ソニー、来月にゲーム事業に関する大規模な発表会を予定
ソニーが来月ヨーロッパで行われるゲーム業界の見本市で大規模な発表を行う予定であることが明らかになった。
6月にアメリカのロサンゼルスで行われた「E3(Electronic Entertainment Expo)」では、史上最大規模の発表が行われると事前予告されていたように、UMDスロットを廃止して大容量メモリを搭載した新型PSP「PSP Go」をはじめとして、グランツーリスモやバイオハザード、小島監督が手がけたメタルギアシリーズの最新作といったPSP向けの有力タイトルが次々と発表され、さらにコンシューマがPS3独占となる「ファイナルファンタジーXIV(FF14)」の発表まで行われた。
毎年ドイツのライプチヒで開催されていたヨーロッパ最大規模を誇るゲーム業界の見本市「Games Convention」に代わって今年から開催される「GamesCom」において、ソニーは大規模な記者発表会を行う。
発表時間は現地時間の8月18日18:00から21:00までの3時間におよぶとのこと。
インド、米企業に原発発注 シン首相と米国務長官会談
【ニューデリー=長沢倫一郎】インドのシン首相は20日にクリントン米国務長官と会談し、インド国内の2つの原子力発電所の建設を米国企業に発注すると伝えた。総工費は合計100億ドル(約9400億円)程度。東芝傘下のウエスチングハウス(WH)と、ゼネラル・エレクトリック(GE)と日立製作所の合弁会社がそれぞれ受注する見込みだ。
印PTI通信などによると、シン首相が発注を表明した原発は南部アンドラプラデシュ州と西部グジャラート州が有力な建設候補地。発注が正式に決まれば昨年10月の米印原子力協力協定の発効後、両国間の初の具体的な協力案件となる。
全国百貨店売上高、1~6月は11%減少
日本百貨店協会が21日発表した2009年1~6月の全国百貨店売上高は、前年同期比11.0%減(既存店ベース)の3兆2133億円だった。衣料品や高額品の不振が響いた。1~6月としては過去最大の落ち込みとなった。
ただ同時に発表した6月の売上高は前年同月比8.8%減の5319億円と、下落幅は5カ月ぶりに1ケタ台に回復。例年は7月に開催していたバーゲンセールを前倒しで実施したことが奏功している。
6月のコンビニ売上高、2.3%減 1年2カ月ぶり前年割れ
日本フランチャイズチェーン協会が21日発表した、6月のコンビニエンスストア(既存店ベース)の売上高は前年同月比2.3%減の6059億円だった。既存店売上高が前年同月を下回ったのは1年2カ月ぶり。たばこ自動販売機用成人識別カード「タスポ」導入に伴う売上高押し上げ効果が弱まったことに加え、消費不況で買い控えが広がったことが響いた。
ソフトバンク、CATV向けIP電話で「ホワイトコール24」
ソフトバンクテレコムとソフトバンクモバイルは、CATV事業者向け固定IP電話サービス「ケーブルライン」で、通話料割引サービス「ホワイトコール24」を7月31日より提供する。
「ホワイトコール24」は、ソフトバンクの3G携帯電話との国内通話料が24時間無料になるサービス。今回、「ケーブルライン」で提供されるようになったことで、「ケーブルライン」とソフトバンクモバイルの通話も無料対象に加わることになった。「ケーブルライン」ユーザーか家族がソフトバンクモバイルのホワイトプランに加入していれば、ケーブルラインやソフトバンクBBのIP電話「BBフォン」との通話料が24時間無料になる。
「ホワイトコール24」は無料で利用できるが、「ケーブルライン」「ホワイトプラン」の月額利用料が必要となる。
「私の発言で支持率低下」首相が陳謝 自民が公開で両院議員懇
麻生太郎首相は21日午前の自民党両院議員懇談会で「私の発言やぶれたといわれる言葉が国民に政治への不安と不信を与え、結果として自民党の支持率の低下につながった。深く反省している」と釈明。東京都議選など地方選連敗は「私に対する評価、党の結束の乱れが良くない影響を与えたことは否めない。党内をまとめきれなかった私の力不足について申し訳なく思っている」と陳謝した。
そのうえで「経済対策一本でやってきた私にとっては景気対策が確かなものになるまで首相、総裁の職務を投げ出すわけにはいかない」と強調。「いったん結論が出た後は一致団結して外と戦ってきたのが自民党の長い伝統。とてつもない自民党の底力をみなさんと共に発揮してこの国難、この難しい局面をみなさんの先頭に立って立ち向かう。必ず戦い抜いてみせる」と呼びかけた。
衆院解散、総選挙へ 「自公」継続か政権交代か
衆院は21日午後の本会議で解散された。政府はこの後の臨時閣議で「8月18日公示、30日投開票」とする衆院選の日程を決定。選挙戦が事実上、始まる。自民、公明両党による連立政権の継続か、民主党中心の政権に交代するのかが最大の焦点になる。有権者による「政権選択」の結果は、今後の日本の政治を大きく方向付ける。
衆院選は郵政民営化を争点に自民党が大勝した2005年9月以来。9月10日の衆院議員任期切れを控え、任期満了選挙に近い形となる。
麻生太郎首相は21日午前8時からの定例閣議で、景気対策としての4度の予算編成や海賊対策などの実績に触れたうえで「経済は明るい兆しが見え始めているものの、なお危機を脱したとはいえず、国際情勢も北朝鮮の問題など予断を許さない状況にある。未来に向かって安心と活力ある社会を責任を持って実現しないといけない」と指摘。「国民のさらなる理解と協力が必要だ。このため解散を断行し国民の信を問う」と表明した。
グーグルが「Google Wave」で描く戦略 米国クラウド最前線(COLUMN)
「現在のコンピューターは制約だらけ。私はインターネットを使ったプログラミングの世界を20年に渡って待ち望んできた。いよいよ、その新しい一歩を踏み出そうとしている。この会議で皆さんは最新のウェブ技術に出会うことができるでしょう」──。5月27日、グーグルの開発者会議「Google I/O」の冒頭で、エリック・シュミットCEOはこう語った。
グーグルは近未来のコンピューター時代をしっかりと見据えているが、その一方で「グーグルのビジネスモデルはクラウド業界の中では特殊」と指摘する専門家も多い。広告によってアプリケーションの無料化を狙うグーグルの戦略の本質を追う。
■クラウドブームに沸く米国
米国のIT業界を見渡すと、クラウド・コンピューティング、クラウド・アプリケーション、クラウド・データセンター、クローン・クラウド、インター・クラウドなどの用語が氾濫している。これはソフトウエア、ハードウエア、各種サービスベンダーが雪崩を打ってクラウド事業に参入しているためだ。クラウドは米国のIT業界を席巻している。用語やキャッチフレーズは違っても中身は似たようなクラウドビジネスを各社が提唱し、玉石入り混じったような状況だ。
そうしたなかで、異彩を放つのがグーグルのビジネスモデルだろう。同社の目的を一言で述べるなら「SaaS(Software as a Service)のPPT(Personal Productivity Tool)分野における覇権」となる。
SaaSは、インターネット経由で機能だけを利用するソフトウエアやアプリケーションのことを指す。そもそもクラウドの語源にあたる「難しいセットアップやメンテナンスなどは雲(クラウド)の向こうに任せ、ユーザーはパソコンで仕事に専念する」という概念は、大雑把に言えば「SaaSの世界」に集約できる。
とはいえ、SaaSにも様々な分野がある。セールスフォース・ドットコムが得意とする顧客管理ソフト(CRM)や、Aria Systemsが提供する請求・課金ソフト、MarketBrightの営業管理ソフトなど、その用途と種類は急速に増えている。グーグルの面白さは、SaaSのなかでもPPTと呼ばれる個人の生産性管理ツールに開発を集中させている点だ。
■PPTトップをめざすクラウド戦略
現在、PPTのトップ企業として君臨しているのはマイクロソフトである。ワープロ、表計算、プレゼンテーション、スケジュール管理、電子メール、チャット、ホームページ作成など、パソコンになくてはならない優れたツールを有料で販売し、圧倒的なシェアを誇っている。
これに対抗し、グーグルはPPTアプリケーションをインターネット経由で、しかも無料で提供している。もちろん、グーグルがPPTに集中するのは広告で賄える数少ない分野だからだ。数あるSaaSの中でもPPTは「一般消費者の目に触れる」「一般消費者の情報を取り扱える」という特徴を持つ。
つまり、同社の戦略は「SaaS+PPT+広告=クラウド」という式で表すことができるだろう。
グーグルは何億人、何十億人の一般ユーザーが毎日のように利用する検索やスケジュール管理、電子メールといったPPTソフトをインターネットで提供するために、世界中にデータセンターを建設している。また、PPTのトップになるため、マップなどのマッシュアップやプログラミング環境「Google App Engine」を強化しているともいえる。
しかし、その巨大なクラウド・データセンターを個人や法人ユーザーに貸すことで儲けるつもりはない。将来のソフトウエアベンダーは、電力会社やガス会社と同じように設備産業になるとグーグルは信じている。ここに同社のビジネスモデルが特殊だと指摘される1つの理由がある。
■PPTの最先端「Google Wave」登場
開発者会議の2日目、グーグルは満を持して「Google Wave」(ベータ版)を公開した。その説明だけで基調講演のすべてを費やす異例の発表だった。この新しいコミュニケーションツールはインターネットを使った情報のやり取りや仕事の進め方に新しい可能性を開くことになるだろう。
Google Waveでまず目につく特徴は、インスタント・メッセージング(IM)に即時性と拡張性を加えたことだ。従来のIMでは、話したい相手を選び、メッセージを打ち込んで、送受信を繰り返す。これは一種の電子伝言板と考えればよい。
一方、Google Waveでは、自分が打ち込んだメッセージはリアルタイムで相手のパソコン上に表示される。それだけでなく、相手が入力中のメッセージに自分の意見を付け加えたり、削除や修正をしたりもできる。しかも、10人でも50人でも同時に利用でき、メッセージのやり取りから追加・修正・削除まですべてをビデオ録画のように記録することができる。
相手が不在の場合は電子メールの代わりになる。また、文書や写真、ビデオだけでなくアプリケーションも共有できる。デモンストレーションでは、チェスゲームを共有する場面が紹介された。
Google Waveを使えば、電話会議やビデオ会議の様子は大きく変わるだろう。電子メールに書類を添付し、上司に決裁を求めるといった業務もGoogle Waveで格段に効率がよくなる。将来的にはUCT(ユニバーサル・コミュニケーション・ツール)の方向性を変えることになるはずだ。
しかし、Google Waveが高い評価を得ているのは、そうした技術的革新性だけが理由ではない。このツールがクラウド時代の本質を突いているからだ。
■今日の情報社会が抱える問題
1970~80年代に発展したパソコンは、紙と電話が中心だった社会を大きく変えた。それまでは知識を紙に記録し、知識を伝達するには印刷やコピーで大量に複製し、手紙や書籍、新聞や雑誌として物理的に運ぶ必要があった。つまり、知識の蓄積と伝搬に大きな費用と人的資源が必要な世界だったのである。
しかし、パソコンの登場で知識の蓄積コストは数万分の一というレベルに下がった。今、私たちの身の回りを見ると、仕事にせよプライベートにせよ、様々な情報がパソコンやサーバーに電子的に蓄積されている。パソコン時代を通じて人々は、紙から電子媒体へと知識を蓄積し直してきた。
そして90年代にインターネットが登場する。これにより知識の伝搬コストも数万分の一へと下がっていった。現在までの約15年、私たちは知識をインターネットという「パソコンとサーバーと通信網の集合体」に移していった。このインターネットの姿をウェブ2.0と呼ぶ人もいるし、クラウドと指摘する人もいる。これが今日の情報社会だ。
しかし、ここで困ったことが起きた。底知れない情報が蓄積されたインターネットを自由自在に使いこなすツールがないのだ。
いま、私たちの手にあるのは「検索」というたった1つの手段だけである。巨大な情報の宝庫を前にしながら、私たちはキーワードを打ち込み、ディスプレーに羅列されたリンク情報を一つひとつクリックして確かめるしか、知識を利用する方法がない。これではコストは下がっても、紙の世界と不自由さは変わらない。
このインターネットにおける不便さを心底から実感しているのがグーグルにほかならない。Google Waveは、無数の人が1つの文章を同時に作成・修正・加工することでコミュニケーションしながら、しかも文書や動画、アプリケーションをプログラムレベルで共有・消費する。
従来のPPTは、紙の時代をベースにしてきたが、Google Waveはインターネットを相手にしたPPTの世界を構築しようとしている。それはインターネットという雲のなかで、知識が作成され、蓄積され、消費されるという今の状況をまさに反映したものだ。同社が切り開こうとしているクラウド時代をGoogle Waveは垣間見せてくれる。
◇ ◇ ◇
グーグルの狙いは、クラウド時代におけるSaaS-PPTのトップ企業だ。それは知識の宝庫となったクラウドを個人が自由自在に使いこなすツールを提供することにある。しかも、広告という収入源によって、無料あるいは廉価に提供しようとしている。ここにグーグルの戦略のユニークさと異質さが潜んでいる。
自由闊達だが欠点も多いベンチャー時代は遠のき、時に「ずる賢く」、時に「力づく」で現状を乗り切る大企業へと変身したグーグルは、今後様々な面で課題を抱えることにもなるだろう。ネット広告を独占する同社は、米国で独禁問題にさらされようとしている。また、新市場を開拓するために既存の大企業と衝突し、政治的な摩擦も激しくなっている。
それでも、インターネットをより進化させるという点において他の追随を許さない戦略を展開していくかぎり、同社はクラウドビジネスの鍵を握るプレーヤーであり続けるだろう。
大統領支持率、6割切る=米紙調査
【ワシントン20日時事】20日付の米紙ワシントン・ポストが公表したABCテレビとの合同世論調査によると、オバマ大統領への支持率は59%となり、前月から6ポイント低下、同紙調査で初めて60%を下回った。また、正念場に差し掛かっている医療保険制度改革をめぐる支持率は49%で半数を割った。
医療保険制度改革に関し、4月の調査でオバマ大統領は57%の支持を得ていた。不支持は29%だったが、今回の調査では44%に上昇している。また、大統領の景気対策に対する支持は52%で、前月から4ポイント低下した。
調査は15~18日にかけ、全米の成人1001人に対し、電話で行われた。
軍事協力拡大で合意 米印外相会談
【ニューデリー=長沢倫一郎】インドを訪問中のクリントン米国務長官は20日、首都ニューデリーでクリシュナ外相と会談し、両国間の軍事協力を拡大することで一致した。具体的には、米国の軍事技術の第三国への移転が行われていないことを検証する枠組みで合意した。米議会は検証の枠組みで合意していない国への最新兵器の輸出を認めていない。これまでインド政府は米国による検証に反発していたが、軍の装備近代化には米国からの最新兵器の調達が欠かせなくなっていることから歩み寄ったとみられる。
また、クリントン米国務長官は会見で、インド政府が米企業に2つの原子力発電所の建設を発注する方針であることを明らかにした。シン印首相が同日の同長官との会談で伝えたという。インドのメディア報道によると、印政府は南部アンドラプラデシュ州と西部グジャラート州で計画している原発建設を米企業に発注する意向。契約額は合わせて100億ドルに上るとみられている。
人民元21%上昇、外貨準備3倍…中国通貨改革4年
【香港=寺村暁人】2005年7月に中国の通貨・人民元の為替制度が改革されてから、21日で4年を迎える。
この間、元は中国経済の発展とともに価値も増し、1ドル=8・2765元から、6・8310元(17日)へとドル基準で21%上昇した。7月からは、一部の国・地域との貿易決済にも使用が解禁され、元の国際化に向けた動きも進んでいる。
1990年代後半のアジア通貨危機以降、中国政府は人民元のレートをドルに対して事実上固定させてきたが、元安を背景にした巨額の貿易黒字に国際的な批判が高まったことなどから、05年7月21日、「管理された変動相場制」への移行を発表、翌日から実施した。新制度ではドルだけでなく、円やユーロなどの通貨バスケットに連動し、小幅ながら、為替変動を認めた。
中国政府は小刻みに為替を元高に誘導し、輸出も好調だったため、外貨準備高は4年間で約3倍に膨張、2兆ドルを超えた。莫大(ばくだい)な資金は、国際社会での中国の地位を大幅に強化した。
「現在のコンピューターは制約だらけ。私はインターネットを使ったプログラミングの世界を20年に渡って待ち望んできた。いよいよ、その新しい一歩を踏み出そうとしている。この会議で皆さんは最新のウェブ技術に出会うことができるでしょう」──。5月27日、グーグルの開発者会議「Google I/O」の冒頭で、エリック・シュミットCEOはこう語った。
グーグルは近未来のコンピューター時代をしっかりと見据えているが、その一方で「グーグルのビジネスモデルはクラウド業界の中では特殊」と指摘する専門家も多い。広告によってアプリケーションの無料化を狙うグーグルの戦略の本質を追う。
■クラウドブームに沸く米国
米国のIT業界を見渡すと、クラウド・コンピューティング、クラウド・アプリケーション、クラウド・データセンター、クローン・クラウド、インター・クラウドなどの用語が氾濫している。これはソフトウエア、ハードウエア、各種サービスベンダーが雪崩を打ってクラウド事業に参入しているためだ。クラウドは米国のIT業界を席巻している。用語やキャッチフレーズは違っても中身は似たようなクラウドビジネスを各社が提唱し、玉石入り混じったような状況だ。
そうしたなかで、異彩を放つのがグーグルのビジネスモデルだろう。同社の目的を一言で述べるなら「SaaS(Software as a Service)のPPT(Personal Productivity Tool)分野における覇権」となる。
SaaSは、インターネット経由で機能だけを利用するソフトウエアやアプリケーションのことを指す。そもそもクラウドの語源にあたる「難しいセットアップやメンテナンスなどは雲(クラウド)の向こうに任せ、ユーザーはパソコンで仕事に専念する」という概念は、大雑把に言えば「SaaSの世界」に集約できる。
とはいえ、SaaSにも様々な分野がある。セールスフォース・ドットコムが得意とする顧客管理ソフト(CRM)や、Aria Systemsが提供する請求・課金ソフト、MarketBrightの営業管理ソフトなど、その用途と種類は急速に増えている。グーグルの面白さは、SaaSのなかでもPPTと呼ばれる個人の生産性管理ツールに開発を集中させている点だ。
■PPTトップをめざすクラウド戦略
現在、PPTのトップ企業として君臨しているのはマイクロソフトである。ワープロ、表計算、プレゼンテーション、スケジュール管理、電子メール、チャット、ホームページ作成など、パソコンになくてはならない優れたツールを有料で販売し、圧倒的なシェアを誇っている。
これに対抗し、グーグルはPPTアプリケーションをインターネット経由で、しかも無料で提供している。もちろん、グーグルがPPTに集中するのは広告で賄える数少ない分野だからだ。数あるSaaSの中でもPPTは「一般消費者の目に触れる」「一般消費者の情報を取り扱える」という特徴を持つ。
つまり、同社の戦略は「SaaS+PPT+広告=クラウド」という式で表すことができるだろう。
グーグルは何億人、何十億人の一般ユーザーが毎日のように利用する検索やスケジュール管理、電子メールといったPPTソフトをインターネットで提供するために、世界中にデータセンターを建設している。また、PPTのトップになるため、マップなどのマッシュアップやプログラミング環境「Google App Engine」を強化しているともいえる。
しかし、その巨大なクラウド・データセンターを個人や法人ユーザーに貸すことで儲けるつもりはない。将来のソフトウエアベンダーは、電力会社やガス会社と同じように設備産業になるとグーグルは信じている。ここに同社のビジネスモデルが特殊だと指摘される1つの理由がある。
■PPTの最先端「Google Wave」登場
開発者会議の2日目、グーグルは満を持して「Google Wave」(ベータ版)を公開した。その説明だけで基調講演のすべてを費やす異例の発表だった。この新しいコミュニケーションツールはインターネットを使った情報のやり取りや仕事の進め方に新しい可能性を開くことになるだろう。
Google Waveでまず目につく特徴は、インスタント・メッセージング(IM)に即時性と拡張性を加えたことだ。従来のIMでは、話したい相手を選び、メッセージを打ち込んで、送受信を繰り返す。これは一種の電子伝言板と考えればよい。
一方、Google Waveでは、自分が打ち込んだメッセージはリアルタイムで相手のパソコン上に表示される。それだけでなく、相手が入力中のメッセージに自分の意見を付け加えたり、削除や修正をしたりもできる。しかも、10人でも50人でも同時に利用でき、メッセージのやり取りから追加・修正・削除まですべてをビデオ録画のように記録することができる。
相手が不在の場合は電子メールの代わりになる。また、文書や写真、ビデオだけでなくアプリケーションも共有できる。デモンストレーションでは、チェスゲームを共有する場面が紹介された。
Google Waveを使えば、電話会議やビデオ会議の様子は大きく変わるだろう。電子メールに書類を添付し、上司に決裁を求めるといった業務もGoogle Waveで格段に効率がよくなる。将来的にはUCT(ユニバーサル・コミュニケーション・ツール)の方向性を変えることになるはずだ。
しかし、Google Waveが高い評価を得ているのは、そうした技術的革新性だけが理由ではない。このツールがクラウド時代の本質を突いているからだ。
■今日の情報社会が抱える問題
1970~80年代に発展したパソコンは、紙と電話が中心だった社会を大きく変えた。それまでは知識を紙に記録し、知識を伝達するには印刷やコピーで大量に複製し、手紙や書籍、新聞や雑誌として物理的に運ぶ必要があった。つまり、知識の蓄積と伝搬に大きな費用と人的資源が必要な世界だったのである。
しかし、パソコンの登場で知識の蓄積コストは数万分の一というレベルに下がった。今、私たちの身の回りを見ると、仕事にせよプライベートにせよ、様々な情報がパソコンやサーバーに電子的に蓄積されている。パソコン時代を通じて人々は、紙から電子媒体へと知識を蓄積し直してきた。
そして90年代にインターネットが登場する。これにより知識の伝搬コストも数万分の一へと下がっていった。現在までの約15年、私たちは知識をインターネットという「パソコンとサーバーと通信網の集合体」に移していった。このインターネットの姿をウェブ2.0と呼ぶ人もいるし、クラウドと指摘する人もいる。これが今日の情報社会だ。
しかし、ここで困ったことが起きた。底知れない情報が蓄積されたインターネットを自由自在に使いこなすツールがないのだ。
いま、私たちの手にあるのは「検索」というたった1つの手段だけである。巨大な情報の宝庫を前にしながら、私たちはキーワードを打ち込み、ディスプレーに羅列されたリンク情報を一つひとつクリックして確かめるしか、知識を利用する方法がない。これではコストは下がっても、紙の世界と不自由さは変わらない。
このインターネットにおける不便さを心底から実感しているのがグーグルにほかならない。Google Waveは、無数の人が1つの文章を同時に作成・修正・加工することでコミュニケーションしながら、しかも文書や動画、アプリケーションをプログラムレベルで共有・消費する。
従来のPPTは、紙の時代をベースにしてきたが、Google Waveはインターネットを相手にしたPPTの世界を構築しようとしている。それはインターネットという雲のなかで、知識が作成され、蓄積され、消費されるという今の状況をまさに反映したものだ。同社が切り開こうとしているクラウド時代をGoogle Waveは垣間見せてくれる。
◇ ◇ ◇
グーグルの狙いは、クラウド時代におけるSaaS-PPTのトップ企業だ。それは知識の宝庫となったクラウドを個人が自由自在に使いこなすツールを提供することにある。しかも、広告という収入源によって、無料あるいは廉価に提供しようとしている。ここにグーグルの戦略のユニークさと異質さが潜んでいる。
自由闊達だが欠点も多いベンチャー時代は遠のき、時に「ずる賢く」、時に「力づく」で現状を乗り切る大企業へと変身したグーグルは、今後様々な面で課題を抱えることにもなるだろう。ネット広告を独占する同社は、米国で独禁問題にさらされようとしている。また、新市場を開拓するために既存の大企業と衝突し、政治的な摩擦も激しくなっている。
それでも、インターネットをより進化させるという点において他の追随を許さない戦略を展開していくかぎり、同社はクラウドビジネスの鍵を握るプレーヤーであり続けるだろう。
大統領支持率、6割切る=米紙調査
【ワシントン20日時事】20日付の米紙ワシントン・ポストが公表したABCテレビとの合同世論調査によると、オバマ大統領への支持率は59%となり、前月から6ポイント低下、同紙調査で初めて60%を下回った。また、正念場に差し掛かっている医療保険制度改革をめぐる支持率は49%で半数を割った。
医療保険制度改革に関し、4月の調査でオバマ大統領は57%の支持を得ていた。不支持は29%だったが、今回の調査では44%に上昇している。また、大統領の景気対策に対する支持は52%で、前月から4ポイント低下した。
調査は15~18日にかけ、全米の成人1001人に対し、電話で行われた。
軍事協力拡大で合意 米印外相会談
【ニューデリー=長沢倫一郎】インドを訪問中のクリントン米国務長官は20日、首都ニューデリーでクリシュナ外相と会談し、両国間の軍事協力を拡大することで一致した。具体的には、米国の軍事技術の第三国への移転が行われていないことを検証する枠組みで合意した。米議会は検証の枠組みで合意していない国への最新兵器の輸出を認めていない。これまでインド政府は米国による検証に反発していたが、軍の装備近代化には米国からの最新兵器の調達が欠かせなくなっていることから歩み寄ったとみられる。
また、クリントン米国務長官は会見で、インド政府が米企業に2つの原子力発電所の建設を発注する方針であることを明らかにした。シン印首相が同日の同長官との会談で伝えたという。インドのメディア報道によると、印政府は南部アンドラプラデシュ州と西部グジャラート州で計画している原発建設を米企業に発注する意向。契約額は合わせて100億ドルに上るとみられている。
人民元21%上昇、外貨準備3倍…中国通貨改革4年
【香港=寺村暁人】2005年7月に中国の通貨・人民元の為替制度が改革されてから、21日で4年を迎える。
この間、元は中国経済の発展とともに価値も増し、1ドル=8・2765元から、6・8310元(17日)へとドル基準で21%上昇した。7月からは、一部の国・地域との貿易決済にも使用が解禁され、元の国際化に向けた動きも進んでいる。
1990年代後半のアジア通貨危機以降、中国政府は人民元のレートをドルに対して事実上固定させてきたが、元安を背景にした巨額の貿易黒字に国際的な批判が高まったことなどから、05年7月21日、「管理された変動相場制」への移行を発表、翌日から実施した。新制度ではドルだけでなく、円やユーロなどの通貨バスケットに連動し、小幅ながら、為替変動を認めた。
中国政府は小刻みに為替を元高に誘導し、輸出も好調だったため、外貨準備高は4年間で約3倍に膨張、2兆ドルを超えた。莫大(ばくだい)な資金は、国際社会での中国の地位を大幅に強化した。
狙われる著名人 Twitterで「なりすまし」相次ぐ
人気のミニブログサービス「Twitter」のなりすまし事件が相次いでいる。海外だけでなく、日本でもサイバーエージェントの藤田晋社長がなりすまし騒動に巻き込まれた。
Twitterのユーザーは世界中に広がっており、著名人の利用も目立つようになっている。米国では、オバマ大統領を始め、多くの政治家がTwitterを利用している。公務中にTwitterへ「つぶやき」を書き込んだ政治家もいて、物議を醸したほどだ。
一方で、著名人を騙るなりすましも起きるようになっている。2月には、ダライ・ラマ14世を騙ったアカウントが作成された。また、メジャーリーグのセントルイス・カージナルスのトニー・ラルーサ監督も、なりすましの被害に遭っている。ラルーサ監督のなりすましについては、Twitterの運営会社を相手にした訴訟にまで発展した。
サイバーエージェントの藤田社長を騙るアカウントが登場したのは6月だった。同じ時期にTwitterを始めたばかりの堀江貴文・元ライブドア社長も、藤田社長のニセモノであることに気付かなかったようだ。自身のブログに「twitterでまんまとだまされちまったよ」と記している。
藤田社長本人のブログによれば、社員から「社長、最近twitterやってますよね?」と言われて、なりすましの存在に気付いたという。藤田社長のブログに日ごろ書きこまれていたことを元に、ニセモノがTwitterへ「つぶやき」を書き込んでいたため、身近にいる社員もニセモノとは思わなかったようだ。
その後、このなりすましをしたのは自分であると名乗り出るブロガーが現れた。本人確認ができないTwitterの危うさを指摘するために、「『サイバー藤田』を演じることで、周りにTwitter上での『なりすまし』の危険性を教えたかった」と、このブロガーは記している。ただし、「このエントリ自体がなりすましである可能性があります」という注意書きもあり、本当にこのブロガーがなりすましたかどうかは定かではない。
20代、海外旅行離れ 余裕のない暮らし反映か JTB
20代の海外旅行者数がこの10年で4割近く減ったことが、旅行大手JTBの調べで分かった。安定した職に就けない若者が増える一方、正社員も収入や休暇が減っている。就職氷河期を経験した「ロストジェネレーション」の余裕のない暮らしぶりが海外旅行需要にも表れている。
JTBが法務省の出入国管理統計などをもとに観光、出張などで海外へ出かけた人数の推移をまとめたところ、98年には414万人だった20代が、08年は262万人と37%減。この間の20代の人口減少率22%を大きく超える落ち込みぶりだ。特に20代女性の98年の海外旅行者数は261万人と、男女・年代別で最も多かったが、08年は160万人に激減。出張が多い30~50代男性に海外旅行の「主役」の座を譲った形だ。
中国の株式時価総額、景気刺激策で急増 東証と再び並ぶ
【上海=戸田敬久】中国の株式市場の規模が急速に拡大し、時価総額で再び東京市場に肩を並べた。大規模な景気対策で個人投資家らの資金が流入し、大型株の多い上海株が年初から約7割上昇したため。中国政府は6月末から新規株式公開(IPO)を再開しており、新規上場などに支えられ、中国市場の時価総額が東京市場を大きく上回る可能性がある。
米通信社によると、上海と深センの証券市場を合わせた時価総額は約3兆2000億ドル(約300兆円)に達した。15日の取引時間中には時価総額が約3兆2100億ドルになり、東京証券取引所の約3兆2000億ドルを一時上回った。
議員立法97本、衆院解散で廃案へ 今国会成立は19本
衆院が21日に解散することで、与野党が議員立法で衆参両院に提出している97法案が廃案になる。与党と民主党の修正協議が進んでいた児童買春・児童ポルノ禁止法改正案や、患者の要望が多い肝炎対策基本法案なども次期衆院選後に先送りとなる。成立したのは改正日本政策投資銀行法や改正臓器移植法、水俣病未認定患者救済法など19本。
今国会に新たに議員立法で提出した法案は与党が39本、野党が45本だった。前国会から継続となっている法案も与野党合わせて47本あった。衆院解散の場合、慣例で参院でも提出済みの法案の継続審議手続きをとらないため、すでに廃案となったり、撤回したりした法案を除く97本が21日に廃案となる。
<児童ポルノ禁止法>改正案の課題 与党と民主、異なる「単純所持」定義
18歳未満を被写体にした写真などの「児童ポルノ」の規制を強化する「児童買春・児童ポルノ禁止法」(99年11月施行)の改正案が衆院解散に伴って審議未了のまま廃案になる見通しだ。今秋以降、再提出されるとみられる。国会審議などで浮かび上がった改正案の課題は何か。
■今秋以降、再提出へ
衆院に提出された児童ポルノ禁止法の改正案は、自民党と公明党の与党案と、民主党案の2案。いずれも、児童ポルノの所持や取得行為を新たに禁止することが大きな柱だ。改正の背景には、主要8カ国(G8)で単純所持罪がないのは日本とロシアだけとの批判が高まり、国際社会から新設を求められていることがある。
与党案は、正当な理由なく所持することを禁止するとともに、「自己の性的好奇心を満たす目的」での所持には「1年以下の懲役か100万円以下の罰金」の罰則を付けた。捜査や国会図書館での所蔵などは対象にならない。
民主党案は、購入したり、繰り返し取得する行為を禁止。違反すると「3年以下の懲役か300万円以下の罰金」が科せられる。両法案とも先月26日の衆院法務委員会で審議入りした。
大きく異なるのは、与党案が現行の定義規定のままで単純所持罪を追加するのに対して、民主党案は、定義を明確化した点だ。インターネットの普及で児童ポルノ画像を添付したスパムメールが自分のパソコンの中に勝手に入っていたり、児童ポルノと知らないでうっかりクリックして画像をホームページなどからダウンロードしてしまう可能性があるからだ。ネットの実情を踏まえ、「有償」や「反復」など取得の意思が明確なことを要件とし、処罰範囲が安易に広がらないよう条文上、配慮したという。
与党案は付則で、政府に対して漫画やアニメーション、CG(コンピューターグラフィックス)といった実在しない18歳未満を描いた作品も規制すべきかどうかの調査研究を求めた。これに対して、民主党案には同様な条項はない。ただし、民主党案は、盗撮する行為も加えて児童ポルノの製造罪の処罰範囲を拡大したほか、提供罪を「5年以下の懲役か500万円以下の罰金」(現行は「3年以下の懲役か300万円以下の罰金」)に引き上げた。
与党と民主党は今月に入り、今国会中の成立を目指して協議を始めたが、衆院解散で合意には至らなかった。枝野幸男議員(民主)は「取得という言葉を『所持するに至る』などと言い換える譲歩はしたが何も合意はしていない。改正案は再提出することになるが、法案の内容や与野党協議については総選挙の結果を見て考える」と話す。
■女優写真集もダメ?
与党案に最も危機感を募らせた関係団体の一つが出版界だ。日本雑誌協会の山了吉・編集倫理委員長(小学館取締役)は「現行の定義のまま単純所持罪を盛り込んだ与党案では、18歳未満の芸能人やモデルが被写体となった芸術性の高い写真集も児童ポルノと拡大解釈される恐れがある」と懸念を示す。
例えば、小学館が83年に出版した写真集「写楽館」に収められた女優の川上麻衣子さんのヌードは17歳の時だ。他にも、浅野温子さんや関根(高橋)恵子さん、小林聡美さんら著名な女優が18歳未満の時にヌードになった映画や写真は少なくない。山さんは「出版文化の一翼を担った作品が犯罪の対象となっていいのか。定義を厳密にすべきだ」と批判する。日本雑誌協会では与党案が成立した事態に備えて緊急声明の発表を準備したという。
◇過剰反応防止へ厳密な規定を--甲南大法科大学院教授(刑法)園田寿氏
児童ポルノの特徴は、その置かれ方によって、違法となったり適法となったりすることだ。現行法にある一般人を基準とした「性欲を興奮させまたは刺激するもの」という定義に従えば、浜辺で遊ぶ裸の子供の写真は家族アルバムにはられていれば児童ポルノに当たらないかもしれないが、同じ写真がポルノ雑誌に掲載されると、児童ポルノに当たる可能性がある。
そういう解釈ができる余地のある規定だけに、罰則を設けるのであれば厳密に定義しないと、個人情報保護法のように恣意的な運用を可能にしたり、写真集やビデオが全国の図書館から撤去されるなど社会全体が過剰に反応する恐れもある。
実在する児童を虐待した記録としての児童ポルノは、被害救済のために規制するのは当然だ。しかし、水着姿のグラビアアイドルの写真のような虐待の記録とは言えないケースもある。子どもの権利条約は、性的自己決定権も尊重しており、そうした権利との調整を図る必要もあるだろう。
民主党案にも問題がある。盗撮による児童ポルノを、他人への提供を目的としない児童ポルノの製造罪に追加した。しかし、規定内容が厳密ではないために、例えばインターネットから知らずにパソコン内にダウンロードされた画像を後で別の記録媒体にコピーしたようなケースも「製造」だと解釈される余地を残してしまった。取得罪とほぼ同じ行為にもかかわらず量刑が「5年以下の懲役か500万円以下の罰金」と重くなるのはおかしい。盗撮は、児童だけの問題ではないから、この法律とは切り離して、刑法に新たな処罰規定を設けるべきだ。いずれの法案ももう少し根本的に見直したらどうか。
人気のミニブログサービス「Twitter」のなりすまし事件が相次いでいる。海外だけでなく、日本でもサイバーエージェントの藤田晋社長がなりすまし騒動に巻き込まれた。
Twitterのユーザーは世界中に広がっており、著名人の利用も目立つようになっている。米国では、オバマ大統領を始め、多くの政治家がTwitterを利用している。公務中にTwitterへ「つぶやき」を書き込んだ政治家もいて、物議を醸したほどだ。
一方で、著名人を騙るなりすましも起きるようになっている。2月には、ダライ・ラマ14世を騙ったアカウントが作成された。また、メジャーリーグのセントルイス・カージナルスのトニー・ラルーサ監督も、なりすましの被害に遭っている。ラルーサ監督のなりすましについては、Twitterの運営会社を相手にした訴訟にまで発展した。
サイバーエージェントの藤田社長を騙るアカウントが登場したのは6月だった。同じ時期にTwitterを始めたばかりの堀江貴文・元ライブドア社長も、藤田社長のニセモノであることに気付かなかったようだ。自身のブログに「twitterでまんまとだまされちまったよ」と記している。
藤田社長本人のブログによれば、社員から「社長、最近twitterやってますよね?」と言われて、なりすましの存在に気付いたという。藤田社長のブログに日ごろ書きこまれていたことを元に、ニセモノがTwitterへ「つぶやき」を書き込んでいたため、身近にいる社員もニセモノとは思わなかったようだ。
その後、このなりすましをしたのは自分であると名乗り出るブロガーが現れた。本人確認ができないTwitterの危うさを指摘するために、「『サイバー藤田』を演じることで、周りにTwitter上での『なりすまし』の危険性を教えたかった」と、このブロガーは記している。ただし、「このエントリ自体がなりすましである可能性があります」という注意書きもあり、本当にこのブロガーがなりすましたかどうかは定かではない。
20代、海外旅行離れ 余裕のない暮らし反映か JTB
20代の海外旅行者数がこの10年で4割近く減ったことが、旅行大手JTBの調べで分かった。安定した職に就けない若者が増える一方、正社員も収入や休暇が減っている。就職氷河期を経験した「ロストジェネレーション」の余裕のない暮らしぶりが海外旅行需要にも表れている。
JTBが法務省の出入国管理統計などをもとに観光、出張などで海外へ出かけた人数の推移をまとめたところ、98年には414万人だった20代が、08年は262万人と37%減。この間の20代の人口減少率22%を大きく超える落ち込みぶりだ。特に20代女性の98年の海外旅行者数は261万人と、男女・年代別で最も多かったが、08年は160万人に激減。出張が多い30~50代男性に海外旅行の「主役」の座を譲った形だ。
中国の株式時価総額、景気刺激策で急増 東証と再び並ぶ
【上海=戸田敬久】中国の株式市場の規模が急速に拡大し、時価総額で再び東京市場に肩を並べた。大規模な景気対策で個人投資家らの資金が流入し、大型株の多い上海株が年初から約7割上昇したため。中国政府は6月末から新規株式公開(IPO)を再開しており、新規上場などに支えられ、中国市場の時価総額が東京市場を大きく上回る可能性がある。
米通信社によると、上海と深センの証券市場を合わせた時価総額は約3兆2000億ドル(約300兆円)に達した。15日の取引時間中には時価総額が約3兆2100億ドルになり、東京証券取引所の約3兆2000億ドルを一時上回った。
議員立法97本、衆院解散で廃案へ 今国会成立は19本
衆院が21日に解散することで、与野党が議員立法で衆参両院に提出している97法案が廃案になる。与党と民主党の修正協議が進んでいた児童買春・児童ポルノ禁止法改正案や、患者の要望が多い肝炎対策基本法案なども次期衆院選後に先送りとなる。成立したのは改正日本政策投資銀行法や改正臓器移植法、水俣病未認定患者救済法など19本。
今国会に新たに議員立法で提出した法案は与党が39本、野党が45本だった。前国会から継続となっている法案も与野党合わせて47本あった。衆院解散の場合、慣例で参院でも提出済みの法案の継続審議手続きをとらないため、すでに廃案となったり、撤回したりした法案を除く97本が21日に廃案となる。
<児童ポルノ禁止法>改正案の課題 与党と民主、異なる「単純所持」定義
18歳未満を被写体にした写真などの「児童ポルノ」の規制を強化する「児童買春・児童ポルノ禁止法」(99年11月施行)の改正案が衆院解散に伴って審議未了のまま廃案になる見通しだ。今秋以降、再提出されるとみられる。国会審議などで浮かび上がった改正案の課題は何か。
■今秋以降、再提出へ
衆院に提出された児童ポルノ禁止法の改正案は、自民党と公明党の与党案と、民主党案の2案。いずれも、児童ポルノの所持や取得行為を新たに禁止することが大きな柱だ。改正の背景には、主要8カ国(G8)で単純所持罪がないのは日本とロシアだけとの批判が高まり、国際社会から新設を求められていることがある。
与党案は、正当な理由なく所持することを禁止するとともに、「自己の性的好奇心を満たす目的」での所持には「1年以下の懲役か100万円以下の罰金」の罰則を付けた。捜査や国会図書館での所蔵などは対象にならない。
民主党案は、購入したり、繰り返し取得する行為を禁止。違反すると「3年以下の懲役か300万円以下の罰金」が科せられる。両法案とも先月26日の衆院法務委員会で審議入りした。
大きく異なるのは、与党案が現行の定義規定のままで単純所持罪を追加するのに対して、民主党案は、定義を明確化した点だ。インターネットの普及で児童ポルノ画像を添付したスパムメールが自分のパソコンの中に勝手に入っていたり、児童ポルノと知らないでうっかりクリックして画像をホームページなどからダウンロードしてしまう可能性があるからだ。ネットの実情を踏まえ、「有償」や「反復」など取得の意思が明確なことを要件とし、処罰範囲が安易に広がらないよう条文上、配慮したという。
与党案は付則で、政府に対して漫画やアニメーション、CG(コンピューターグラフィックス)といった実在しない18歳未満を描いた作品も規制すべきかどうかの調査研究を求めた。これに対して、民主党案には同様な条項はない。ただし、民主党案は、盗撮する行為も加えて児童ポルノの製造罪の処罰範囲を拡大したほか、提供罪を「5年以下の懲役か500万円以下の罰金」(現行は「3年以下の懲役か300万円以下の罰金」)に引き上げた。
与党と民主党は今月に入り、今国会中の成立を目指して協議を始めたが、衆院解散で合意には至らなかった。枝野幸男議員(民主)は「取得という言葉を『所持するに至る』などと言い換える譲歩はしたが何も合意はしていない。改正案は再提出することになるが、法案の内容や与野党協議については総選挙の結果を見て考える」と話す。
■女優写真集もダメ?
与党案に最も危機感を募らせた関係団体の一つが出版界だ。日本雑誌協会の山了吉・編集倫理委員長(小学館取締役)は「現行の定義のまま単純所持罪を盛り込んだ与党案では、18歳未満の芸能人やモデルが被写体となった芸術性の高い写真集も児童ポルノと拡大解釈される恐れがある」と懸念を示す。
例えば、小学館が83年に出版した写真集「写楽館」に収められた女優の川上麻衣子さんのヌードは17歳の時だ。他にも、浅野温子さんや関根(高橋)恵子さん、小林聡美さんら著名な女優が18歳未満の時にヌードになった映画や写真は少なくない。山さんは「出版文化の一翼を担った作品が犯罪の対象となっていいのか。定義を厳密にすべきだ」と批判する。日本雑誌協会では与党案が成立した事態に備えて緊急声明の発表を準備したという。
◇過剰反応防止へ厳密な規定を--甲南大法科大学院教授(刑法)園田寿氏
児童ポルノの特徴は、その置かれ方によって、違法となったり適法となったりすることだ。現行法にある一般人を基準とした「性欲を興奮させまたは刺激するもの」という定義に従えば、浜辺で遊ぶ裸の子供の写真は家族アルバムにはられていれば児童ポルノに当たらないかもしれないが、同じ写真がポルノ雑誌に掲載されると、児童ポルノに当たる可能性がある。
そういう解釈ができる余地のある規定だけに、罰則を設けるのであれば厳密に定義しないと、個人情報保護法のように恣意的な運用を可能にしたり、写真集やビデオが全国の図書館から撤去されるなど社会全体が過剰に反応する恐れもある。
実在する児童を虐待した記録としての児童ポルノは、被害救済のために規制するのは当然だ。しかし、水着姿のグラビアアイドルの写真のような虐待の記録とは言えないケースもある。子どもの権利条約は、性的自己決定権も尊重しており、そうした権利との調整を図る必要もあるだろう。
民主党案にも問題がある。盗撮による児童ポルノを、他人への提供を目的としない児童ポルノの製造罪に追加した。しかし、規定内容が厳密ではないために、例えばインターネットから知らずにパソコン内にダウンロードされた画像を後で別の記録媒体にコピーしたようなケースも「製造」だと解釈される余地を残してしまった。取得罪とほぼ同じ行為にもかかわらず量刑が「5年以下の懲役か500万円以下の罰金」と重くなるのはおかしい。盗撮は、児童だけの問題ではないから、この法律とは切り離して、刑法に新たな処罰規定を設けるべきだ。いずれの法案ももう少し根本的に見直したらどうか。
携帯簡易メール、各社間やり取り可能に
国内の携帯電話4社は、同じ会社の利用者なら電話番号をアドレス代わりにして送ることができる簡易版のメール=「ショートメッセージ」について、来年度以降ほかの会社の携帯電話ともやり取りできるようサービスを拡充する。
携帯電話のメールには、インターネットに接続してやり取りする電子メールと、電話番号をアドレス代わりに短い文章をやり取りする簡易版メール=「ショートメッセージ」の2種類があります。このうちショートメッセージは、電話番号さえ知っていればやり取りできるのが利点ですが、会社が異なる携帯電話とはやり取りができず、利用者から不満が出ていた。
このため「NTTドコモ」、auの「KDDI」、「ソフトバンクモバイル」、それに「イー・モバイル」の4社は、ほかの会社の携帯電話ともやり取りができるよう設備を改良することにしたもので、来年度以降の実現に向けて準備を進める。携帯電話の利用者が契約する会社を換えたい場合、電話番号はそのまま移行できるが、メールのアドレスは移行できないため、各社は今回、ショートメッセージでメールの互換性を出すことで、消費者が携帯電話会社を換えることへの抵抗感を和らげ、顧客獲得につなげたいというねらいもある。
個人マネー生活防衛色、定期預金7年ぶり高水準 消費より貯蓄に
個人マネーが生活防衛の動きを強めている。定期預金残高は5月末時点で前年比5%近く増え、約7年ぶりの高水準になった。雇用や賃金への先行き不安から、個人が元本割れリスクのない預金などの安全資産を積み上げているためだ。定期預金はこのところ月間1兆円近いペースで増えており、年内にも過去最大だった2001年1月末の201兆円を上回る可能性がある。
日銀によると、5月末の個人の定期預金残高(国内銀行)は195兆円と前年同月比4.9%増えた。貯蓄志向を示す定期預金の伸びが顕著なのに対し、主に生活費に充てられる普通預金はここ数年、160兆円前後の横ばいが続いている。
電炉・海外勢、高炉に対抗 車・家電向け鋼板で
国内の高炉メーカーがほぼ独占してきた自動車や家電向け鋼板で、電炉メーカーや海外鉄鋼大手が攻勢をかけている。電炉最大手の東京製鉄は高炉品並みの強度を持つ鋼板を開発、2012年をめどに製品化する。韓国のポスコはトヨタ自動車、ソニーとの取引を大幅に拡大する。自動車、電機大手は消費不振への対応や新興国市場での事業拡大に向け、鋼材の調達価格引き下げが急務になっている。調達先の拡大で高炉大手との価格交渉を有利に進める狙いもありそうだ。
東鉄は現行の自動車向け電炉鋼板よりさらに強度を5割ほど高めた鋼板を開発する。今秋に稼働する田原工場(愛知県田原市)内に設ける技術拠点で開発する。
低所得者融資の条件緩和 10月から、離職者自立を後押し
雇用保険制度と生活保護制度の間をつなぐ「新たな安全網」が10月から本格的に動き出す。厚生労働省が低所得者らを対象とする「生活福祉資金貸付制度」の融資条件を緩和し、連帯保証人がいなくても借りられるように改めるためだ。原則年3%の貸付金利は連帯保証人がいれば無利子、保証人がいなくても年1.5%に下がる。住まいを失った離職者らの生活立て直しを支援する枠組みの整備が一段と進む。
融資条件の見直しは政府が2009年度補正予算に盛った施策の一環。このほか、雇用保険の失業給付を受けられない長期失業者らに職業訓練を条件に生活費を支給する事業が7月に始まった。職と住居を失った失業者に住宅手当を支給する緊急措置も10月に始まる。
政府はこれらの施策を連動させ、職を失った人が生活保護に頼る前に自立するための手助けをする「新たな安全網」の構築をめざしている。
EU、加盟国にガス相互供給義務付け ロシア産停止にらむ
【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)の欧州委員会はロシア産のガス供給が再び停止する事態に備え、安定供給を確保するための規制案をまとめた。EU域外からのガス輸入量が一定以上減った場合、加盟27カ国にガス融通を義務付けるのが柱。さらに調達先の多様化などで2014年3月末までに厳冬期の60日分のガスを確保するよう各国に求める。
バローゾ欧州委員長は1月に起きたロシア産ガスの供給停止を念頭に「最悪の事態に備える」と表明。加盟国と欧州議会に今年中の規制案の承認を求めた。
ASEAN外相会議開幕、「人権機構」設置へミャンマー問題協議
【プーケット=三河正久】東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が19日の非公式夕食会から事実上開幕した。夕食会では、ミャンマーの人権・民主化問題を集中的に話し合った。ミャンマー問題は主要議題となる人権機構の設置にとって最大の障害。外相らは本会議後の共同声明でミャンマー民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏を含む全政治犯の解放を求める意向だ。
ASEAN各国の外相らは夕食会でミャンマーのニャン・ウィン外相に政治犯の解放について見解を求めた。域内の人権侵害を解消するための人権機構については大筋で合意。「人権に関する政府間委員会」という名称で今年10月の発足を目指す。外相らは世界的な経済危機への対応策や食料・エネルギー安全保障についても討議した。
ASEANは20日の外相会議に続き、ASEANプラス3(日中韓)外相会議やASEAN地域フォーラム(ARF)を開催する。
森元首相、「再編仲人役」へ意欲ほのめかす
21日の衆院解散を前に、与野党はすでに「選挙モード」に入り、論戦も熱を帯びている。「真夏の決戦」に向けた熱く、長い戦いがいよいよ本格的に始まる。
「政権交代して民主党主導になった時に危惧(きぐ)がある。バラ色のことも言っているが、疑問だ」
自民党の細田幹事長は19日のフジテレビの番組で、民主党の安全保障政策などを厳しく批判した。
一方、民主党の鳩山代表は19日、沖縄県沖縄市で開かれた同党の立候補予定者の決起集会で、「無駄遣いの多い現在の政権のあり方を根本的に改めない限り、国は変わらない」と政権交代の必要性を訴えた。
麻生内閣の支持率が低迷する中、民主党は勢いづき、与党は守勢に回っている。選挙後に政界再編の動きが出ると予想する向きもある。
自民党の森元首相は19日のテレビ朝日の番組で、「政局が大混乱になった時に政界再編をどうするのか。私はいろいろ経験もしているし、多くの人間関係もある。安定させる努力をしなければいけない」と述べた。元首相が選挙前から政治情勢の混乱を見据え、再編の「仲人役」を担う意欲を示した異例の発言だ。
この日は、麻生首相を支える津島派の津島雄二会長(79)(衆院青森1区、当選11回)が突然、衆院選不出馬、政界引退を表明した。
青森市で記者会見した津島氏は、「高齢多選への批判、何となく『チェンジしてもらいたい』という流れがある」と党と自身が置かれた情勢の厳しさを吐露した。「自民党は解党的な出直しをしなければいけない。新しい、若い人が次の時代を開く政治の必要性を強く感じた」とも指摘した。
津島氏の発言は、首相への「交代勧告」か、それとも「激励」か。当の首相はこの日、日課である公邸周辺の散歩や約3週間おきの散髪などをしたほかは、首相公邸から動かなかった。
日経社説 チェンジ!少子化 公立校の魅力高め教育不安をぬぐえ(7/20)
子どもの教育にはたいへんなお金がかかる。こう思わない人はいないだろう。そうした不安が少子化の一因になっているのは間違いない。
国立人口問題研の出生動向基本調査(2005年)によると、夫婦が理想とする子どもの数は平均2.48人だが予定しているのは2.11人。実際にはもちろんさらに少ない。理想の数に達しない理由を聞くと、66%が「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」と答えている。
私立校や塾の負担重く
この背景には学力や「いじめ」問題などをめぐる公教育への不信がある。公教育が心もとないから早い時期から私学へ入れたり塾通いをさせたりせざるを得ない、しかしそのための出費が大きすぎて心配、という意識だ。それなら負担の小さい公立校の魅力を高め、不安をぬぐう方策を考えなければならない。
文部科学省の調査では、小学校から大学までに必要な教育費はすべて公立・国立なら約800万円だが、中学校から私立だと2倍にはね上がる。私立の中高一貫校は6年間で約700万円は必要だ。公立中学に通っていても学習塾の負担は重く、夏季講習なども含めると年間30万円以上もかかるケースが珍しくない。
それでも首都圏では中高一貫校に進む小学生が3割ほどに上り、東京では6割にも達する小学校がある。公立中学生で塾に通っているのは約7割、小学生も中学受験を目指す場合は大半の子どもが通塾する。
多くの親がこうした負担に耐えながらなお「脱・公教育」を目指すのは、それに見合う成果が期待できるからだ。たとえば東京大学合格者のうち6割ほどは中高一貫校の出身者が占める。こんな傾向が呼び水になってさらに私学に生徒が流れ、公立校は地盤沈下する。大都市圏を中心に、ふつうの公立高から有名大学に進みにくくなって久しい。
これでは所得が低い家庭の子どもは進学の道を制約され、意欲も失うことになる。東大大学院の調査では年収1000万円以上の家庭の子どもは大学進学率が6割を超えるのに400万円以下だと3割ほどだ。東大生の半数以上の家庭が年収950万円以上というデータもある。
こうした現実を踏まえれば、公教育の再生が少子化対策の重要な柱になるのは確かだろう。
そのひとつの方策はもちろん、教育への十分な公的支出によって教育条件を整え、教育環境の改善も進めることだ。少人数学級の実現から高校などの授業料減免、パソコンや電子黒板の配備まで財政措置が伴わなければ始まらない課題は多い。
経済協力開発機構(OECD)の調査では、国内総生産(GDP)に対する教育費の公的支出の比率は日本は主要28カ国中で最下位の3.4%だ。公私の負担割合も日本は家計の比重が大きい。厳しい財政事情の下とはいえ、こうした現状を放置しておくわけにはいくまい。
しかし肝心なのは教育の中身だ。公立校がそれぞれ魅力のある授業や課外活動を編み出していくことである。そのためには中央集権的な教育行政の見直しが必要となる。
戦後の教育行政は文科省が学習指導要領で細かなカリキュラムを定めて学校現場を拘束し、教科書検定を通してそれを補強し、教員の養成や登用も免許制度によって一元的に進めるといったやり方が続いてきた。地方の教育委員会は文科省の出先機関とも化している。
統制緩め現場に裁量を
こうしたシステムが均質な教育を保証してきた面はあるが、一方で地域や学校の創意工夫の余地を狭め、本来の魅力を奪っている。もっと地域や学校現場に裁量を与えたり、教員を積極的に外部から招いたりして風通しのよい公教育に転換する時期だ。受験学力一辺倒では困るが、私学や塾に見習う点も多いだろう。
地方ではすでに、中高だけでなく公立小中学校の一貫教育や公立高のテコ入れなど独自の試みも始まっている。公立校が教育環境と教育内容の両面で頼りがいのある存在に生まれ変われば、子どもの教育に余計な出費をする場面が少なくなり、教育不安はずっと小さくなるだろう。
もっとも、公教育離れの底流には「どんなに無理をしてでも有名大学へ」というブランド志向もある。それを支えているのは、企業などが人材採用にあたって出身校にばかり目を向ける現実にほかならない。
親の経済力によって子どもの将来が左右され、それが次の世代でも繰り返されていくとすれば社会は活力を失う。そんな傾向を断ち切るためにも企業は人材登用の尺度を見直していくべきだろう。それはまた、遠回りでも少子化を乗り越えるためのひとつの手立てとなるはずだ。
国内の携帯電話4社は、同じ会社の利用者なら電話番号をアドレス代わりにして送ることができる簡易版のメール=「ショートメッセージ」について、来年度以降ほかの会社の携帯電話ともやり取りできるようサービスを拡充する。
携帯電話のメールには、インターネットに接続してやり取りする電子メールと、電話番号をアドレス代わりに短い文章をやり取りする簡易版メール=「ショートメッセージ」の2種類があります。このうちショートメッセージは、電話番号さえ知っていればやり取りできるのが利点ですが、会社が異なる携帯電話とはやり取りができず、利用者から不満が出ていた。
このため「NTTドコモ」、auの「KDDI」、「ソフトバンクモバイル」、それに「イー・モバイル」の4社は、ほかの会社の携帯電話ともやり取りができるよう設備を改良することにしたもので、来年度以降の実現に向けて準備を進める。携帯電話の利用者が契約する会社を換えたい場合、電話番号はそのまま移行できるが、メールのアドレスは移行できないため、各社は今回、ショートメッセージでメールの互換性を出すことで、消費者が携帯電話会社を換えることへの抵抗感を和らげ、顧客獲得につなげたいというねらいもある。
個人マネー生活防衛色、定期預金7年ぶり高水準 消費より貯蓄に
個人マネーが生活防衛の動きを強めている。定期預金残高は5月末時点で前年比5%近く増え、約7年ぶりの高水準になった。雇用や賃金への先行き不安から、個人が元本割れリスクのない預金などの安全資産を積み上げているためだ。定期預金はこのところ月間1兆円近いペースで増えており、年内にも過去最大だった2001年1月末の201兆円を上回る可能性がある。
日銀によると、5月末の個人の定期預金残高(国内銀行)は195兆円と前年同月比4.9%増えた。貯蓄志向を示す定期預金の伸びが顕著なのに対し、主に生活費に充てられる普通預金はここ数年、160兆円前後の横ばいが続いている。
電炉・海外勢、高炉に対抗 車・家電向け鋼板で
国内の高炉メーカーがほぼ独占してきた自動車や家電向け鋼板で、電炉メーカーや海外鉄鋼大手が攻勢をかけている。電炉最大手の東京製鉄は高炉品並みの強度を持つ鋼板を開発、2012年をめどに製品化する。韓国のポスコはトヨタ自動車、ソニーとの取引を大幅に拡大する。自動車、電機大手は消費不振への対応や新興国市場での事業拡大に向け、鋼材の調達価格引き下げが急務になっている。調達先の拡大で高炉大手との価格交渉を有利に進める狙いもありそうだ。
東鉄は現行の自動車向け電炉鋼板よりさらに強度を5割ほど高めた鋼板を開発する。今秋に稼働する田原工場(愛知県田原市)内に設ける技術拠点で開発する。
低所得者融資の条件緩和 10月から、離職者自立を後押し
雇用保険制度と生活保護制度の間をつなぐ「新たな安全網」が10月から本格的に動き出す。厚生労働省が低所得者らを対象とする「生活福祉資金貸付制度」の融資条件を緩和し、連帯保証人がいなくても借りられるように改めるためだ。原則年3%の貸付金利は連帯保証人がいれば無利子、保証人がいなくても年1.5%に下がる。住まいを失った離職者らの生活立て直しを支援する枠組みの整備が一段と進む。
融資条件の見直しは政府が2009年度補正予算に盛った施策の一環。このほか、雇用保険の失業給付を受けられない長期失業者らに職業訓練を条件に生活費を支給する事業が7月に始まった。職と住居を失った失業者に住宅手当を支給する緊急措置も10月に始まる。
政府はこれらの施策を連動させ、職を失った人が生活保護に頼る前に自立するための手助けをする「新たな安全網」の構築をめざしている。
EU、加盟国にガス相互供給義務付け ロシア産停止にらむ
【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)の欧州委員会はロシア産のガス供給が再び停止する事態に備え、安定供給を確保するための規制案をまとめた。EU域外からのガス輸入量が一定以上減った場合、加盟27カ国にガス融通を義務付けるのが柱。さらに調達先の多様化などで2014年3月末までに厳冬期の60日分のガスを確保するよう各国に求める。
バローゾ欧州委員長は1月に起きたロシア産ガスの供給停止を念頭に「最悪の事態に備える」と表明。加盟国と欧州議会に今年中の規制案の承認を求めた。
ASEAN外相会議開幕、「人権機構」設置へミャンマー問題協議
【プーケット=三河正久】東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が19日の非公式夕食会から事実上開幕した。夕食会では、ミャンマーの人権・民主化問題を集中的に話し合った。ミャンマー問題は主要議題となる人権機構の設置にとって最大の障害。外相らは本会議後の共同声明でミャンマー民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏を含む全政治犯の解放を求める意向だ。
ASEAN各国の外相らは夕食会でミャンマーのニャン・ウィン外相に政治犯の解放について見解を求めた。域内の人権侵害を解消するための人権機構については大筋で合意。「人権に関する政府間委員会」という名称で今年10月の発足を目指す。外相らは世界的な経済危機への対応策や食料・エネルギー安全保障についても討議した。
ASEANは20日の外相会議に続き、ASEANプラス3(日中韓)外相会議やASEAN地域フォーラム(ARF)を開催する。
森元首相、「再編仲人役」へ意欲ほのめかす
21日の衆院解散を前に、与野党はすでに「選挙モード」に入り、論戦も熱を帯びている。「真夏の決戦」に向けた熱く、長い戦いがいよいよ本格的に始まる。
「政権交代して民主党主導になった時に危惧(きぐ)がある。バラ色のことも言っているが、疑問だ」
自民党の細田幹事長は19日のフジテレビの番組で、民主党の安全保障政策などを厳しく批判した。
一方、民主党の鳩山代表は19日、沖縄県沖縄市で開かれた同党の立候補予定者の決起集会で、「無駄遣いの多い現在の政権のあり方を根本的に改めない限り、国は変わらない」と政権交代の必要性を訴えた。
麻生内閣の支持率が低迷する中、民主党は勢いづき、与党は守勢に回っている。選挙後に政界再編の動きが出ると予想する向きもある。
自民党の森元首相は19日のテレビ朝日の番組で、「政局が大混乱になった時に政界再編をどうするのか。私はいろいろ経験もしているし、多くの人間関係もある。安定させる努力をしなければいけない」と述べた。元首相が選挙前から政治情勢の混乱を見据え、再編の「仲人役」を担う意欲を示した異例の発言だ。
この日は、麻生首相を支える津島派の津島雄二会長(79)(衆院青森1区、当選11回)が突然、衆院選不出馬、政界引退を表明した。
青森市で記者会見した津島氏は、「高齢多選への批判、何となく『チェンジしてもらいたい』という流れがある」と党と自身が置かれた情勢の厳しさを吐露した。「自民党は解党的な出直しをしなければいけない。新しい、若い人が次の時代を開く政治の必要性を強く感じた」とも指摘した。
津島氏の発言は、首相への「交代勧告」か、それとも「激励」か。当の首相はこの日、日課である公邸周辺の散歩や約3週間おきの散髪などをしたほかは、首相公邸から動かなかった。
日経社説 チェンジ!少子化 公立校の魅力高め教育不安をぬぐえ(7/20)
子どもの教育にはたいへんなお金がかかる。こう思わない人はいないだろう。そうした不安が少子化の一因になっているのは間違いない。
国立人口問題研の出生動向基本調査(2005年)によると、夫婦が理想とする子どもの数は平均2.48人だが予定しているのは2.11人。実際にはもちろんさらに少ない。理想の数に達しない理由を聞くと、66%が「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」と答えている。
私立校や塾の負担重く
この背景には学力や「いじめ」問題などをめぐる公教育への不信がある。公教育が心もとないから早い時期から私学へ入れたり塾通いをさせたりせざるを得ない、しかしそのための出費が大きすぎて心配、という意識だ。それなら負担の小さい公立校の魅力を高め、不安をぬぐう方策を考えなければならない。
文部科学省の調査では、小学校から大学までに必要な教育費はすべて公立・国立なら約800万円だが、中学校から私立だと2倍にはね上がる。私立の中高一貫校は6年間で約700万円は必要だ。公立中学に通っていても学習塾の負担は重く、夏季講習なども含めると年間30万円以上もかかるケースが珍しくない。
それでも首都圏では中高一貫校に進む小学生が3割ほどに上り、東京では6割にも達する小学校がある。公立中学生で塾に通っているのは約7割、小学生も中学受験を目指す場合は大半の子どもが通塾する。
多くの親がこうした負担に耐えながらなお「脱・公教育」を目指すのは、それに見合う成果が期待できるからだ。たとえば東京大学合格者のうち6割ほどは中高一貫校の出身者が占める。こんな傾向が呼び水になってさらに私学に生徒が流れ、公立校は地盤沈下する。大都市圏を中心に、ふつうの公立高から有名大学に進みにくくなって久しい。
これでは所得が低い家庭の子どもは進学の道を制約され、意欲も失うことになる。東大大学院の調査では年収1000万円以上の家庭の子どもは大学進学率が6割を超えるのに400万円以下だと3割ほどだ。東大生の半数以上の家庭が年収950万円以上というデータもある。
こうした現実を踏まえれば、公教育の再生が少子化対策の重要な柱になるのは確かだろう。
そのひとつの方策はもちろん、教育への十分な公的支出によって教育条件を整え、教育環境の改善も進めることだ。少人数学級の実現から高校などの授業料減免、パソコンや電子黒板の配備まで財政措置が伴わなければ始まらない課題は多い。
経済協力開発機構(OECD)の調査では、国内総生産(GDP)に対する教育費の公的支出の比率は日本は主要28カ国中で最下位の3.4%だ。公私の負担割合も日本は家計の比重が大きい。厳しい財政事情の下とはいえ、こうした現状を放置しておくわけにはいくまい。
しかし肝心なのは教育の中身だ。公立校がそれぞれ魅力のある授業や課外活動を編み出していくことである。そのためには中央集権的な教育行政の見直しが必要となる。
戦後の教育行政は文科省が学習指導要領で細かなカリキュラムを定めて学校現場を拘束し、教科書検定を通してそれを補強し、教員の養成や登用も免許制度によって一元的に進めるといったやり方が続いてきた。地方の教育委員会は文科省の出先機関とも化している。
統制緩め現場に裁量を
こうしたシステムが均質な教育を保証してきた面はあるが、一方で地域や学校の創意工夫の余地を狭め、本来の魅力を奪っている。もっと地域や学校現場に裁量を与えたり、教員を積極的に外部から招いたりして風通しのよい公教育に転換する時期だ。受験学力一辺倒では困るが、私学や塾に見習う点も多いだろう。
地方ではすでに、中高だけでなく公立小中学校の一貫教育や公立高のテコ入れなど独自の試みも始まっている。公立校が教育環境と教育内容の両面で頼りがいのある存在に生まれ変われば、子どもの教育に余計な出費をする場面が少なくなり、教育不安はずっと小さくなるだろう。
もっとも、公教育離れの底流には「どんなに無理をしてでも有名大学へ」というブランド志向もある。それを支えているのは、企業などが人材採用にあたって出身校にばかり目を向ける現実にほかならない。
親の経済力によって子どもの将来が左右され、それが次の世代でも繰り返されていくとすれば社会は活力を失う。そんな傾向を断ち切るためにも企業は人材登用の尺度を見直していくべきだろう。それはまた、遠回りでも少子化を乗り越えるためのひとつの手立てとなるはずだ。