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「情熱大陸」がTwitterでつぶやくソーシャルテレビの可能性(COLUMN) 
 メディアとしてのテレビの有効な生き残り策は、リアルタイム性による「共有感の醸成」にある。かつてお茶の間で果たしたその役割を今は失いつつあるが、テレビが「ソーシャルメディア」化することで再び取り戻すことができるはずである。
■「ソーシャルテレビ」とは何か
 ソーシャルメディアとはユーザー側が情報を発信するメディアのことである。とはいえユーザー側からしか情報発信しないという意味ではなく、従来型マスメディアへのユーザー参加であってもかまわない。そしてテレビがソーシャル化していけば「ソーシャルテレビ」になる。テレビ屋的に言うと視聴者参加型番組だが、従来のそれとはちょっと意味合いが異なる。
■はじまりは2ちゃんねる
 日本では掲示板「2ちゃんねる」の実況板がその先駆的存在だった。テレビをネタにする雑談はオンラインでもオフラインでも楽しく、時に便利でもある。家族間で感想を話し合うのもいいが、他人の思いもよらないコメントに大笑いしたり、妙に納得したりすることが少なくない。
 毎日放送(MBS)制作のドキュメンタリー番組「情熱大陸」がミニブログ「Twitter(ツイッター)」を9月初めから使いはじめた。Twitterがいかなるものであるかについて本稿では触れないが、多くの人が指摘しているように、やってみないとわからないのでぜひお試しいただきたい。
 これまでもテレビ局がTwitterの公式アカウントを持つ例はあったが、どちらかといえば番組宣伝や制作裏話を一方的に発信する内容が目立った。しかし情熱大陸では、それに加えて番組放送中のライブチャット的な使い方も試みている。制作者や出演者とリアルタイムでコミュニケーションするのも、制作者不在でユーザーが勝手に盛り上がるのも、どちらもいい使い方だと思う。
■テレビ局側から見た利用価値
 情熱大陸は、テレビ番組の質の低下が叫ばれるなかで質の高い番組として評判が高い。Twitterとの連携は参加者側の意識も高いものにしていくはずだ。私自身もかつてテレビ番組を制作する側にいた時、視聴者の意見や声を聞いてみたいという思いが常にあった。視聴率は確かに一つの物差しではあるが、もっと生の声を聞きたかった。
 しかし、電話やはがきやファクスが届くのはごくまれなケースだった。逆にいえば今、メールもケータイもTwitterも何でも利用できるこの時代になって、番組制作者がこれらのツールを利用しないことの方が不思議だ。
 テレビ局が視聴者とインタラクティブなコミュニケーションをとろうとする場合、必要以上に気を遣うのが「荒らし」や不適切な書き込みへの対策である。Twitterは匿名でも参加は可能だが、自分のアカウントを継続的に利用しようとするとブロック機能によってシャットアウトされないように気を配るため、結果的に自浄作用が働くといえる。
 おそらく現状では、テレビ局関係者のTwitter利用はごくごく一部に限られていると思うので、まずはお試しをお勧めしよう。
■リアルタイム性をどう生かすか
 テレビとTwitterの連携のポイントは、なんといってもリアルタイム性にある。動画共有サイト「YouTube」などに公式に番組をアップロードしたとしても、視聴形態がタイムシフト型であればコミュニケーションもリアルタイムにならない。
 テレビ東京が「ニコニコ動画(ββ)」に新番組「俺たちは天使だ!NO ANGEL NO LUCK」の配信をはじめた。番組を配信後14日間無料で視聴できるという試みだが、そこに書き込まれるコメントもストック型であり、テレビが元々持っているリアルタイムの一斉同報機能が十分生かされるわけではない。インターネットを利用して一斉同報的に同じコンテンツを視聴してもらうにはまだまだ技術的に課題がないわけではなく、既存の放送波が圧倒的に有利である。
■ユーザーを取り込むカギはケータイ
 Twitterでは、テレビといった共通のネタ以外にも、スポーツ観戦中やリアルのイベントなどの様子をテキストだけで実況中継的につぶやく例が多く見られる。ポイントだけを端的に知るためなら、書き手側も読み手側もテキストで必要十分だろう。
 しかしTwitterのユーザーはまだまだ少数であり、かつ限定された層である。本来、ツッコミを入れたい、コミュニケーションを図りたいと考える層はワンセグを見ていたり、あるいは家族とリビングで大画面のテレビを見ながら個別にリアルな友人とケータイメールをチャット的に使っているのが現状だろう。
 こうした層をソーシャル化したテレビが取り込んでいく働きかけは今後増えていくに違いない。そこでカギを握るのは、パソコンでも「iPhone」でもTwitterでもなく、ケータイという道具ではないかと思う。



持続成長へ世界経済の不均衡是正を、米がG20で新提案へ
 【ニューヨーク=大隅隆】24日からピッツバーグで開く20カ国・地域(G20)首脳会議で、米政府が世界経済の不均衡の是正に向け新たな提案を準備していることが21日明らかになった。米国が過剰な消費を是正する一方で、中国などの経常黒字国が内需を拡大し、均衡のとれた世界経済をめざす枠組み。ただ具体策で不透明な点が多くG20首脳会議で合意できるかは不透明だ。
 21日付の米ウォールストリート・ジャーナルによると、米提案では米国が貯蓄率を引き上げ財政赤字を減らす一方で、中国などの経常黒字国には輸出依存の経済構造の転換を促す。進ちょく状況は国際通貨基金(IMF)で検証する。
 米オバマ大統領は、米家計の過剰消費に依存する世界経済の是正を訴えてきた。世界各国の内需拡大によって米国からの輸出を増やすことも狙っている。



M&A、独禁法対応で遅れ 海外審査に時間
 海外の独占禁止法への対応が日本企業のM&A(合併・買収)のハードルとなるケースが相次いでいる。大型再編が加速し、海外当局に届け出を義務付けられる案件が増加。三菱レイヨンや東芝によるM&Aなど、海外当局の審査に時間がかかってしまい成立が遅れるケースが目立つ。独禁法対策がグローバルな事業展開の重要課題として浮上してきた。
 ここへきて大型再編のハードルが高くなっている背景には、昨年8月に独禁法を施行した中国の存在がある。三菱レイヨンによる英化学大手ルーサイト・インターナショナル買収では、当初計画より成立がほぼ4カ月遅れた。中国当局が買収後にアクリル樹脂原料の中国シェアが6割を超えると指摘し、審査が長引いたためだ。今年4月下旬に認められたが今後5年間、現地生産した製品の半分は原価と管理費だけを反映した価格で売るように義務付けられた。



記録装置「SSD」、東芝が小型品を量産 体積7分の1に
 東芝はフラッシュメモリーを使う記録装置「ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)」の新製品を10月から量産する。小型の新規格に対応したのが特徴。主流の2.5インチ型に比べて体積を7分の1に減らした。軽量・小型のノートパソコンや持ち運び型IT(情報技術)機器向けの販売拡大を狙う。
 米インテルなどと策定した小型デバイス向けの「mSATA」と呼ぶ規格に対応している。これまでも小型のSSDはあったが、外形寸法や接続端子を規格化することで普及に弾みを付ける。
 記録容量は62ギガ(ギガは10億)バイトと30ギガバイトの2種類。2.5インチ型ハードディスク駆動装置(HDD)の最大容量640ギガバイトに比べると小さいが、様々なスペースに実装できる点を訴求する。サンプル価格は62ギガバイトが2万円、30ギガバイトが1万円。「ハーフスリム」と呼ぶ別の小型新規格に合わせた製品も用意する。



中国の人口、33年にピーク 15億人前後に
 中国国家人口・計画出産委員会の李斌主任は21日までに、中国の総人口が2033年ごろに15億人前後となり、ピークを迎えるという見通しを示した。一人っ子政策の影響で人口の高齢化も急速に進むが「50年まで15~64歳の労働力人口は8億人以上の状態が続き、就職問題は依然として厳しい」と指摘し、人口抑制策の継続を訴えた。
 国営新華社のインタビューに答えた。中国は1980年から一人っ子政策を本格的に始め、2008年末の総人口は13億2800万人だった。李主任は「一人っ子政策を導入していなければ17億人を超えていた」とし、08年に初めて3000ドルを突破した1人当たり国内総生産(GDP)も2200ドル程度にとどまっていたとの試算を示した。一人っ子政策の影響で現在約9億5000万人とされる中国の労働力人口は15年ごろに減少に転じる。



北朝鮮、経済再建運動を年末まで延長 新たに「100日戦闘」
 【ソウル=尾島島雄】北朝鮮の労働党中央委員会は21日に朝鮮中央放送を通じて、住民を総動員して4月に始めた経済再建運動「150日戦闘」が16日に終わり、新たに「100日戦闘」を始めたと発表した。ラヂオプレスなどが伝えた。経済運動の延長は年末までとなる。150日戦闘について北朝鮮は「勝利のうちに締めくくられた」と強調しているが、韓国では原材料が不足するなかで労働力の強制的な動員による成果を疑問視する見方が強い。
 「報道文」によると、150日戦闘は金正日総書記が指示。「近年にない大革新、大飛躍を遂げた」としたほか「工業部門で計画を112%で超過遂行」したなどと強調した。さらに延長する経済運動については「今年を偉大な転変の年として輝かせるための最後の突撃戦」と指摘した。
 150日戦闘は故金日成主席生誕100年にあたる2012年に強大な経済力を持つ「強盛大国」を建設するための経済再建運動。重化学工業など基幹分野に労働力を重点配分したが、韓国では「目標を達成できなかった」(玄仁沢=ヒョン・インテク=統一相)との見方が大勢だ。



「基軸通貨の見直し必要」 国連の金融改革検討委が報告書
 【ニューヨーク=財満大介】国際通貨・金融体制の改革を検討している国連の専門家委員会は21日、米ドルに代わる基軸通貨体制の構築などを盛り込んだ最終報告書をまとめた。新興国も含めた国際社会全体で、長期的な課題として議論を進めるよう促す。
 同委は、一国の通貨であるドルが世界の準備通貨として機能する現体制では「ドルの価値の変動によって世界経済全体が不安定化する」と分析。ドルに代わる「国際準備制度」の検討を進めるよう求めた。
 また、過去に国際通貨基金(IMF)が新興国に外貨準備の積み増しを求めたことが、国際的な資本の偏りの一因になったと指摘。先進国中心の運営を改め、新興国の立場を十分に考慮すべきだとして、国際機関の改革の必要も訴えた。



日航の新旧分離要請へ、政投銀など主力行 実質債務超過の恐れ
 経営が悪化している日本航空の再建問題で、日本政策投資銀行など主力金融機関が政府に対し同社の「新旧分離」を含む抜本策を求める意向であることが21日、明らかになった。財務安定へ向け、公的資金投入を可能にする特別立法を要請することも視野に入れる。政投銀などは日航が2009年度末に実質的な債務超過に陥るとの見方を強めており、日航が要請中の追加融資は困難な情勢。早期立て直しに政府の強力な関与が必要と判断した。
 複数の関係者が明らかにした。前原誠司国土交通相は24日に日航首脳や主力金融機関幹部から再建方針を聞く予定。銀行団は国交相に抜本策をテコにした再建を強く求める構えで、政府、日航との調整を本格化させたい考えだ。
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ケータイが若いデザイナーを育てる!au「iida」ブランドの新たな試みとは?(COLUMN)
 去る2009年9月9日、KDDIはauが展開する「iida」ブランドの新製品やコンセプトモデルを発表した。発表会では「PLY」「PRISMOID」などの新しい音声端末に注目が集まったが、iidaブランドの今後を考える上で重要なのはむしろそれ以外の部分ではないかと感じている。
au自体にもプラスの影響を与えつつあるiidaブランド
 iidaは「お客様のライフスタイルを創造する」というテーマの下、外部のデザイナーなどとコラボレートして新しい製品を生み出すブランドである。「au design project」を引き継ぎ、コラボレーションの対象を携帯電話端末に限らず、周辺機器などにまで広げているのが大きな特徴だ。
 KDDIがiidaブランドを立ち上げたのは今年の4月。現在、音声端末では「G9」や「misora」、そして前衛芸術家の草間彌生氏が手がけたモデルなどが提供されている。また周辺機器としても、ACアダプターやストラップ、プロジェクターなどいくつかの機器が提供されており、観葉植物をイメージした「AC Adapter MIDORI」は発売後一週間で売り切れる程の人気となった。
 デザイン性を全面的に打ち出し、インパクトの強い音声端末を多く投入したau design projectと比べると、ブランドに対する印象は薄いように感じる。だがその影響は確実に広まっているようだ。発表会においても、KDDIのコンシューマ商品統括本部長である高橋誠氏が、iidaの立ち上げによってユーザーがauへの関心が高まったり、活力を感じるようになったりしたことを示すデータを提示していた。
 筆者自身も、iidaブランドの立ち上げによる影響が、auにプラスの影響を与えている機会が増えているように感じている。一例を挙げると、携帯電話に対する関心が高い女子中高生向けのあるファッション誌において、「次に買いたい携帯電話」のランキングのトップにmisoraがランクしていたのだ。
新端末「PLY」「PRISMOID」とコンセプトモデルを発表
 そのiidaブランドの第2弾として発表されたのは、2つの音声端末とコンセプトモデル、そして周辺機器などである。
 まずは音声端末だが、「PLY」「PRISMOID」という2つのモデルを発表している。PLYはプロダクトデザイナー/アートディレクターである神原秀夫氏がデザインを手がけており、コンセプトモデルとして発表されていた端末がベースとなっている。5つの異なる色の層による“積み重なる色”を表現しており、右側に手帳のインデックスのようなキーを配置しているのが特徴だ。コンセプトモデルではゲーム機型、プロジェクター内蔵型などあらゆる形状が提示されていたが、製品化されたものは上の2層をスライドさせるという、比較的オーソドックスなスタイル。
 また、PRISMOIDは、INFOBARなどを手がけたプロダクトデザイナーの深澤直人氏によるもので、“未来的な未来”がテーマ。昔の人が思い描いた未来のイメージを込めたモデルだ。四角錐台を2つ重ね合わせたようなデザインと、側面に配置されたサブディスプレイが大きな特徴といえるだろう。
 ちなみにPLYは東芝、PRISMOIDは京セラが開発しており、前者はKCP+、後者はKCPのプラットフォームを採用している。ただし、機能的充実度はやや落ちるようで、特にPLYはG9と比べた場合、Book Readerなど新しい機能は搭載されているものの、Bluetoothが搭載されていない、ワンセグのアンテナが内蔵されておらず、視聴にはイヤホンアンテナの接続が必要となる(かつてau design projectで投入されたMEDIA SKINも、同様の問題を抱えていた)などの弱点を抱えている。デザイン優先で機能面がやや犠牲になっている感が否めないというのは、残念なところだ。
 またiidaブランドとしては初のコンセプトモデルとして、「Polaris」も発表された。これはロボットメーカーであるフラワー・ロボティクス社の松井龍哉氏と炭本直彦氏がデザインを手がけたもので、携帯電話と学習機能を持つロボットを組み合わせたプロダクトである。携帯電話がユーザーのさまざまな情報を記録していき、それをロボットに載せると、分析してアドバイスをくれるライフログツールとなっている。また、ロボット自身がソニーの音楽プレーヤー「Rolly」のように音や光を発しながら自立して動作するなどユニークな特徴も備えている。
 携帯電話事業者のライフログ活用については、プライバシーの問題に加え、数社で1億以上のライフログを独占できてしまうことなどから、総務省が携帯電話会社による個人情報活用に一定の規制を設ける動きを見せている。そうしたこともあってかPolarisでは、ライフログをどのように活用するかなど、具体的な部分は未定となっている。だがライフログの活用は最も注目を集めている分野の1つだけに、どのような回答を見せてくるかは楽しみなところだ。
大幅に増加した周辺機器やデジタルコンテンツ
 だが、今回の発表において、iidaブランドにとってより重要になっていくであろうと感じたのは、音声端末よりむしろ周辺機器やデジタルコンテンツなどである。
 iidaブランドの周辺機器を示すLIFE STYLE PRODUCTSは、先にも触れたAC Adapter MIDORIなどがすでに投入されている。だが今回は一気に23ものアイテムを発表しており、バリエーションを大きく増やしている。
 LIFE STYLE PRODUCTSとして提示された機器は、PLY用木製置き台や和紙を使ったPRISMOIDのケースといった、今回発表された音声端末専用の周辺機器だけではない。充電ケーブル、携帯電話ホルダーやトレイ、机に置いた時にバイブ音を軽減するストラップ、ACアダプターやイヤホンのケーブルを巻き付ける機器など非常に多種多様な機器が、さまざまなデザイナーの手によって手がけられているのである。
 周辺機器だけでなく、iidaの携帯サイト上で新たに展開されるという「iida Digital Contents Gallery」も面白い存在だ。これは国内外のさまざまなクリエイターが、待ち受け画像などの毎月4本のデジタルコンテンツを発表するというもの。無料でダウンロードできるようだ。
ケータイが新たなデザイナーを育てる可能性
 LIFE STYLE PRODUCTSやiida Digital Contents Galleryが重要だと感じる理由は、音声端末と比べ開発にかかるコストが安いからだ。音声端末は開発に相当なコストがかかり、その分ビジネスにおいてもリスクが大きくなる。それゆえ、これまでいわゆる「デザイン端末」と呼ばれる機種を手がけてきたのは、他の分野ですでに有名なプロダクトデザイナーが中心であった。
 だが、周辺機器やデジタルコンテンツであれば、音声端末と比べ開発にかかるコストが安く、必然的に抱えるリスクも小さくなる。それゆえ、より多くのデザイナーに商品開発のチャンスが与えられることとなり、携帯電話業界自身でデザイナーを育てる機会が生まれることにもなる。実際、発表会場ではLIFE STYLE PRODUCTSの開発にかかわったデザイナーたちが直接商品の内容説明をしていたが、その多くが比較的若いデザイナーで占められていたのが印象的だった。
 また、KDDIは国内外の大学生や大学院生を対象に、「iida AWARD 2010」を開催するという。これはiidaブランドのLIFE STYLE PRODUCTSの製品化を視野に入れたデザインコンペで、オランダのデザイン・アカデミー・アイントホーフェンや米国のパーソンズ・スクール・オブ・デザイン、日本のバンタンデザイン研究所などが特別招待校として指定されている。
 もし音声端末中心のau design projectを継続していたなら、若手デザイナーにチャンスが与えられることなく、他の分野からデザイナーを招聘することに終始していたかもしれない。だが、iidaブランドの立ち上げによって対象範囲を大きく広げたことで、多くのデザイナーに対し携帯電話への興味を持たせ、チャンスを与え、さらに育てるという機会を生み出したといえる。今後のiidaブランド、ひいては携帯電話業界全体を考える上でも、「ケータイがデザイナーを育てる」という土壌を整えてきたというのは、実は非常に大きな出来事といえるかもしれないのだ。



ニコニコ動画、プレミアム会員50万人突破 - 生放送人気も後押し
 「ニコニコ動画(ββ)」を運営するニワンゴによると、同サービスの有料プレミアム会員数が19日、50万人を突破した。「ニコニコ生放送」人気が利用者の増加ペースを押し上げた。ニコニコ動画のID登録者数は現在約1,410万人。
 プレミアム会員は、専用回線の提供や生放送の優先視聴などの特典が受けられる月額525円の有料会員サービス。2007年6月に開始以来、2009年3月に30万人、同7月に40万人を突破、今年8月には携帯電話キャリアでは最後となるNTTドコモが月額課金に対応し、入会環境が整備された。早いペースでの50万人突破について同社は、ニコニコ生放送の利用者増加が要因としている。



朝日社説
通信と放送―行政も法律も一新のとき (2009年9月21日)
通信・放送分野の行政にも、政権の交代によって変革の兆しが出てきた。
原口一博総務相は記者会見で、言論と表現の自由を重く見る姿勢を強調し、通信・放送行政については、総務省から独立した行政委員会をつくり、そこにゆだねる方針を示した。
放送などへの政治介入をなくしていくには、米国の連邦通信委員会(FCC)や欧州主要国の機関のように、独立性や中立性が高い組織をつくって監督を任せることが重要になる。
民主党は日本版FCCの設置を政策集に掲げている。その方針に沿って改革を進める意欲を総務相が示したわけだ。関連する法案を早期にまとめ、ぜひ実現させてもらいたい。
それと並行して取り組むべき別の課題もある。通信・放送の法体系の見直しだ。昔の技術体系を引きずったまま九つもの法律が現在あるが、日進月歩の技術革新に対応できていない。
たとえば、放送局が電話サービスをしたり、電話局がインターネットでテレビ中継をしたりすることが技術的には可能になっているのに、実現させるには現行法の整理が不可欠だ。
総務省の情報通信審議会が先月出した答申も、時代に合った法体系づくりを求めた。
答申では、電話局や放送局を「伝送設備」、通信・放送サービスの送り手を「伝送サービス」、番組やネットのホームページなどの作り手を「コンテンツ」と、役割によって分ける案を示した。電波利用の弾力化が進み、地域や時間帯ごとにきめ細かな放送や電話サービスが生まれる可能性がある。
審議の過程で論議を呼んだのは「コンテンツ」分野の規制だった。放送とネットをひとくくりにして、社会的影響力が大きいメディアを政府が規制する案がいったんは浮上した。これには反対意見が噴出し、結局は立ち消えになった。当然のことだ。
結果的に答申は、コンテンツ規制のうち放送に当たる分野はいまの放送法を踏襲して、(1)規制が最も厳しい地上波放送と衛星放送の一部(2)規制の緩い衛星放送(3)ネット放送、という3段階に分ける内容となった。
他のコンテンツ規制では、有害サイト削除を規定した「プロバイダー責任制限法」と、有害サイトへのアクセスを制限する「青少年インターネット環境整備法」の現行法で対応できる。
新しい法体系ができれば、放送局は設備会社と番組会社に分けることができる。経営の苦しい地方局が設備を共有するといった再編も容易になる。
ただ今回の見直しでは、NTT、NHKという通信・電波の「巨人」が枠外に置かれた。両者が現状のままで果たして業界の枠を超えた情報通信産業の発展が促されるのか。見極めが必要だし、課題もまだまだ多い。
ケータイでウケる動画とは? ソフトバンク「S-1バトル」の舞台裏(COLUMN)
 携帯キャリアが主導して動画を配信するサービスが増えてきた。なかでも今年3月にソフトバンクモバイルが始めたお笑い動画コンテンツ「S-1バトル」は総額2億2000万円という賞金が話題となっている。S-1バトルにはどのような狙いがあるのか担当者に話を聞いた。
 S-1バトルは毎日、2組の芸人が登場し、ユーザーは面白いと感じた方に投票する。毎月チャンピオンを決め、優勝者には1000万円を贈呈する。1年後に12カ月それぞれの月間チャンピオンが、さらに1億円の賞金を目指して競うという企画だ。
■「お笑い」で幅広い層狙う
 そもそも、ソフトバンクモバイルがS-1バトルを手がけた出発点には「ユーザーに動画コンテンツを楽しんでもらうにはどうすればいいか」という問題意識があった。
 「昨年に孫正義社長が『モバイルインターネットマシン元年』といい、今年は『インターネットコンテンツ元年』と宣言した。コンテンツといえば、やはり動画や音楽に行き着く。しかし、キャリアとして幅広いユーザー層を想定すると、いかに簡単に見られるかが重要になってくる。そこで動画を探すのが難しいと思うような人にもすぐ視聴できるスキーム作りを考えた」(蓮実一隆マーケティング本部副本部長)
 現在、ソフトバンクモバイルが力を入れているのが「選べるかんたん動画」というメニューだ。プロ野球やサッカー、芸能ニュースなどの動画タイトルがメール経由で配信され、クリック1つで見ることができる。S-1バトルも選べるかんたん動画の1つのメニューとして提供されている。
 「選べるかんたん動画のメニューで最初に始めたのがS-1バトルだった。やはり『お笑い』というコンテンツは幅広い年齢層が気軽に見られるという意味で、とても優れている」(蓮実氏)
■投票が公平になるための工夫
 これまでも、お笑い動画をケータイで視聴できるサービスはあった。しかし、キャリアがここまで大規模にやるのは珍しい。しかも、動画のリンク先がメールで届くだけでなく、投票できる仕組みも備え、ユーザー参加型のコンテンツに仕上がっている。
 ソフトバンクモバイルでは、投票が公平になるようにと、ある工夫をしている。実はユーザーに毎日配信される動画コンテンツは全員同じものではないのだ。毎日、2組の芸人の動画が配信されるが、ユーザーごとに組み合わせはバラバラで、1カ月単位でそろうようになっている。
 これは週末など配信された日によって、視聴される回数が少ない芸人が出てしまうのを避けるための措置という。こうすることで、対戦相手や配信日に左右されず、公平なかたちでお笑いのバトルが繰り広げられるようになっている。
■芸人がウケる傾向を模索
 すでにサービス開始から半年が経過するが、蓮実氏は「キャリアとして新しい試みだったが、全体としてはユーザーに支持され着実に伸びている」と振り返る。しかし、「学びながらやっている部分もある」という。
 特に参加している芸人たちは、ユーザーにウケようと着実に学習しているという。彼らはギャラなしの手弁当でS-1バトルに参加している。半年が経過し、ユーザーにウケるコンテンツの傾向が見えてくると、自ずと作品のクオリティーも上がってくるようになった。
 「正直、開始当初は我々も芸人も、どんなものがウケるのが見えず、何をしたらいいかわからなかった。しかし、日を追うごとに面白くなってきている。『人を笑わせる』というのは最高に難しいコンテンツ。画面が小さいとなるとなおさらだ。しかし、これからは、ケータイというメディアで笑わせる時代が来るのだと、芸人の意識が変わり、コンテンツを作る努力をするようになった。試行錯誤の途上ではあるが、そういう土壌ができることはキャリアにとってはありがたい」(蓮実氏)
■トータルテンボスはなぜ強い?
 8月までにすでに6回チャンピオンが誕生しているが、強いのはケータイで視聴していることを意識して作り込んでいるネタだ。小さい画面なので、漫才などは引いた画ではなく、顔のアップだけで構成するといった撮影手法のほうがユーザーに伝わりやすい。また、3月と5月に優勝したトータルテンボスは「どっきりネタ」で圧倒的なユーザーの支持を集めた。
 「トータルテンボスが優勝したのは、音がなくても成立するコンテンツだったから。最近、テレビ番組で『どっきり』をやっていないというのも背景にあると思う」(蓮実氏)
 ケータイで動画を見るとなると、自宅ではスピーカーで音声を流せるが、出先ではイヤホンが必要だ。とはいえ、イヤホンを取り出して付けるにはひと手間かかるし、いつも持ち歩いているとも限らない。ケータイ向けでは、音がなくても面白さが伝わるコンテンツが有利なのだ。
 トータルテンボスのネタは、本当にくだらない。正直なところ、「これで1000万円ももらえるの?」とも思う。しかし、テレビの世界ではここ数年、自主規制もあってどっきり番組がめっきり減っており、ユーザーは「新鮮で面白い」と感じるようだ。
■テレビで味わえないことを
 NTTドコモとエイベックスが手がける「BeeTV」はどちらかというと「テレビの世界観をケータイに持ち込む」という考えに近いように感じる。しかし、ソフトバンクモバイルの「選べるかんたん動画」は「テレビで味わえないことをケータイでやる」というコンセプトだ。
 例えば、プロ野球の番組であれば、ひいきのチームが勝った試合の翌日だけ、ゲームのダイジェスト映像のメニューが配信されるようになっている。
 「今はユーザーの価値観が多様化しているが、地上波テレビのニュース番組ですべての競技やチームを平等に取り上げるのは難しい。特にプロ野球は地元密着でパーソナライズが強いコンテンツといえる。(このような配信システムは)ケータイだからこそ実現できるスキーム。ケータイ向けでは独占権を持っているので、価値があるし、面白いと思ってもらえる。実際、テレビでは試合中継もなく、ニュース番組では10秒も取り上げられないような下位球団のファンほど、ダウンロード率も高く満足度も高い」(蓮実氏)
■「芸能ニュース」もテレビとは違い
 選べるかんたん動画には、プロ野球を筆頭に国内・海外サッカーや格闘技、大相撲など男性受けするコンテンツが多いが、そんななか女性に人気なのが「芸能ニュース」だ。これも実はテレビでは見られない要素が含まれている。
 「最近、テレビで『芸能ニュース』を見かけなくなりつつある。ほとんどは実際には『エンタメニュース』だが、やはり芸能とエンタメはちょっと違う。選べるかんたん動画の芸能ニュースはケータイのためだけにつくっており、利用頻度も上がっている」(蓮実氏)
 配信する芸能ニュースはTBSが制作しているため、クオリティーは高い。昨今何かと芸能人のニュースが豊富だが、「エンタメ」ニュースでは満足できない人たちが本物の「芸能」ニュースを求めてやってきているようだ。
 選べるかんたん動画では、今後は女性ユーザーを意識し、教育や趣味の映像コンテンツも検討している。 今後、ラインアップも増えていきそうだが、「メールで登録して簡単に楽しめるというのがサービスの基本。力を入れると難しいところにいってしまいがちなので、そこは慎重にやっていきたい」(蓮実氏)という。



政府、10年度から複数年度予算導入 10月に提示
 政府は2010年度予算から予算編成の方法を抜本的に見直し、事実上の複数年度予算を導入する方針を固めた。年度内に予算を使い切る慣例をやめて無駄な歳出を減らす狙いで、具体的には残った予算を翌年度に回す基金設定や法改正を想定している。概算要求基準(シーリング)も廃止し、国家戦略室(後に局に格上げ)が予算の優先順位付けをする方式に改める。来年度予算の全体像も含め、10月に政府方針として提示する。
 菅直人副総理・国家戦略担当相は20日のNHK番組で、予算編成について「日本は単年度会計で使い切りだから、年度末になると道路に穴を掘っている」と公共事業などでの無駄を批判した。同時に「英国は3年ぐらいのメドを立てて、その中で最終的に単年度に落とす複数年度予算だ。こういう基本的な枠組みをどうするか」と表明した。



女性の4人に1人が65歳以上 高齢者人口、80万人増え2898万人
 総務省が「敬老の日」に合わせてまとめた9月15日時点の推計人口によると、65歳以上の高齢者人口は前年より80万人増えて2898万人となり過去最高を更新した。女性の高齢者割合は初めて25%を突破。女性の4人に1人、男性の5人に1人を高齢者が占める。15~64歳人口は8156万人と前年に比べて76万人減った。
 同省統計局が国勢調査を基に推計した。総人口は前年より12万人少ない1億2756万人。このうち65歳以上の割合は前年より0.6ポイント増え22.7%となった。男女別の高齢者割合は男性が19.9%、女性が25.4%。総人口に占める高齢者割合は比較可能な1950年(4.9%)から一貫して上昇している。
 2008年の住宅・土地統計調査によると、高齢者がいる世帯数は1821万世帯で、5年前に比べて180万世帯増えた。このうち高齢者が単身で住む世帯は414万世帯を数える。



「破綻懸念」は21市町村 日経調査、年度内に健全化計画
 全国の自治体のうち、北海道由仁町、大阪府泉佐野市など21市町村が、財政破綻の懸念から歳出削減などの計画を求められる「早期健全化団体」になることが、日本経済新聞の調べで明らかになった。破綻で国の管理下に入る「財政再生団体」は夕張市のみ。半世紀ぶりに全面改定した地方財政の再建制度に基づくもので、今回が第1号となる。
 総務省が月内をメドに公表する。9月にまとまった2008年度決算により、21市町村は今年度中に財政健全化計画を作成しなければならない。



音楽配信、適正利用を レコード協会、10月から啓発活動
 日本レコード協会(東京・港)は10月から、全国の中高生を対象に配信楽曲の無許可ダウンロードを防止するための啓発活動を始める。改正著作権法で「違法」になる点を周知し、配信サービスの適正利用を促すキャッチコピーなどを生徒から募集する。
 全国の中高校の掲示板に改正著作権法の内容を示すポスターなどを張るほか、生徒からはキャッチコピーやポスターを募る。改正著作権法が施行される来年1月に、優秀作などを発表する。



オリンパス、ベトナムで医療機器 デジカメ工場内に生産棟
 オリンパスはベトナムで医療機器の生産を始めた。デジタルカメラの工場内で内視鏡に使う部品などを製造する。日本を含む世界で販売する。今後は部材も現地調達に切り替えて一段のコスト削減を目指す。医療機器は従来、ほぼ全量を国内で生産してきたが、海外生産で製造コストを低減する。
 2008年末に完成したベトナム工場(ドンナン省)に新たに医療機器用の生産棟を建てた。当初は日本から部材を輸出し、内視鏡に使う洗浄ブラシなど汎用品数種類を組み立てる。費用は日本で生産するのに比べて1~2割程度減る見込み。
ケータイから始まる出版革命、アメリカの先を行く日本の電子書籍(COLUMN)
 「キンドル」の大ヒットにより米国の電子書籍コンテンツ市場が急成長中だ。だが、現時点では日本のほうがはるかに先を行っている。全米出版社協会の調査によれば、2008年の米国の電子書籍市場規模はわずか1億1300万ドルにすぎない。それに対し、同じ年の日本の市場規模は464億円(インプレスR&D調べ)。日本のほうが、4倍も市場規模が大きい。
 さらにいえば、この数字は有料電子書籍の売り上げの合計であり、『恋空』をはじめとしたケータイ小説を世に送り出した「魔法のiらんど」などの無料サイトは、いくら閲覧されても市場規模に含まれない。そう考えると、日本の電子書籍市場は実は数字以上に規模が大きいのだ。
 日本の電子書籍市場は02年にはわずか10億円にすぎなかった。当時はパソコン向けのみだったが、03年に携帯電話に定額パケット料金を導入されたことを契機に、ケータイ向けの電子書籍が急速に売れ始めた。今やほとんど横ばい状態のパソコン向けを横目に、電子書籍といえばケータイ向けというのが日本の状況だ。
 では、どんなコンテンツが読まれているのか。08年の市場規模の内訳を見ると、パソコン向けではコミックス33%、文芸書39%、写真集28%とほぼ同じ割合になっているのに対して、ケータイはコミックスが82%と大半を占める。電子書籍市場の大半がケータイであることを考えると、日本の電子書籍市場を支えているのが、実はケータイコミックであることは間違いない。
 一言でコミックスといっても、そのジャンルはスポーツ、恋愛など多岐にわたるが、ケータイで人気のジャンルは単行本とはやや異なる。インターネットメディア総合研究所客員研究員の高木利弘氏によれば、ケータイコミックの人気ジャンルは「ボーイズラブ(BL)、ティーンズラブ(TL)といった特定ジャンルが多い」という。
 BLとは美少年同士の同性愛を題材にした漫画、TLとは性的表現の多い少女漫画のことであり、どちらも女性が主要な読者層とみられる。携帯端末という利便性を生かして、「夜寝る前に布団の中で読む」(高木氏)といった読まれ方がされているようだ。
 電子書籍市場がBL、TL人気に支えられている状況に保守的な考え方の持ち主は眉をひそめるかもしれないが、「ビデオもゲームもパソコンも最初はアダルトが牽引して、その後市場が広がった。この流れは電子書籍も同じ」と高木氏は予想する。
描き下ろし作品も紙ではなく電子書店で
 電子コミックの現状について、売り手である電子書店側はどう見ているのだろうか。
 「ビジネス開始当初は少年漫画主体の品ぞろえだった。BL、TLがここまで人気になるとは、正直言って想定外」と、「Handyコミック」を運営するビットウェイの淡野正取締役が当時を振り返る。
 同社はケータイコミックを配信する電子書店のパイオニア的存在である。画面が大きいパソコン向けコミックでは、紙の漫画を見開きにしたのと同じ状態で読めるが、ケータイ向けでは難しい。そこで、ひとコマずつ切り取って、小さい画面でコマ送りして見せている。中にはセリフの文字を大きくしたり、カラー化したりすることもある。BL、TLでは露骨な性描写はトリミングするなどして「成人向け」にならないような工夫を施しているという。
 一方で、ケータイのコマ割りを是とせず、あくまで紙の本と同じ体裁にこだわる企業もある。イーブックイニシアティブジャパンは00年の設立以来、一貫してパソコンでの配信にこだわる。「漫画をコマごとにバラバラにしたら本ではなくなる。社名のとおりあくまでブックにこだわる」と鈴木雄介社長は言い切る。
 同社も売れ筋の9割はコミックスだが、人気ランキング上位を占めるのは『頭文字(イニシャル)D』『三国志』といった名作が中心だ。BL、TLも散見されるがケータイほどではない。「市場の売れ筋を伸ばそうという方針は取らない。私たちが絶対読んでほしいと思う本をどんどん電子化していく」と鈴木社長は言う。
 ケータイ、パソコンの両方を手掛けるパピレスは12万冊のラインナップを誇る電子書籍の最大手。市場のトレンドに合わせてコミックスのラインナップも増やしているが、「タイトル数では小説・実用書などの“文字モノ”が多い」(松井康子副社長)。NHK語学テキストなども人気で、英文音声再生や辞書機能など、デジタルならではの機能が支持されているという。
 ではコンテンツの作り手は電子書籍とどう向き合っているのか。
 『サラリーマン金太郎』をはじめ多数のヒット作を生み出した本宮ひろ志氏は、早くから電子メディアの可能性に着目し、CD‐ROMでのコミックス化などさまざまな試みをしてきた。ケータイ、パソコンを問わず、本宮氏の作品は多くの電子書店で読むことができる。
 「映像や音楽は新しいメディアが登場するたびに商機を広げてきたのに、漫画は本で稼ぐしかなかった。電子メディアの登場は漫画にとって大きなチャンスだと思った」と、本宮氏の作品の版権管理などを行うサード・ラインの天満重宏社長は言う。
 本宮氏は過去の作品の電子書籍化にとどまらず、05年には『サラリーマン金太郎』の描き下ろしを楽天のインターネットサイトで無料配信するという意欲的な試みを行っている。音が出るようにしたり、コマ配置も単純化するなどの工夫も施したが、残念ながら「せっかくのコンテンツを有効に使ってもらえず、狭い範囲での利用にとどまってしまった」(天満氏)。その後の『金太郎』の連載はネットではなく、紙の雑誌に戻ってしまった。
 ただし、ネットで新作を発表する流れは続いている。イーブックでは望月三起也氏が描き下ろし『W7』を発表している。同社の鈴木社長は「全ページがフルカラー。しかも望月先生は予定のページ数を15ページもオーバーした。こんなことが可能なのも電子コミックだから。紙ではこうはいかない」と自信を見せる。
 ケータイでも藤子不二雄Aや永井豪といった巨匠からBL、TLの人気作家まで、新作を発表する動きが相次いでいる。
整備が必要な二次使用のルール
 もう一つ、電子書籍で見過ごせないのが二次使用権の問題である。通常は出版社と著者間の取り決めは紙の媒体に限られ、電子書籍化など作品の二次使用の許諾権は著者が持っている。ただ、自前で版権管理ができる大物作家ならともかく、普通の作家は創作活動が手いっぱいで版権管理まで気が回らず、結果的に出版社任せにしてしまいがちだ。
 電子書店側でも「著者と直接交渉するのが筋だが、出版社でないと連絡先がわからない著者もいて、大量に仕入れようと思ったら出版社経由にするほうが楽」(イーブックの鈴木社長)と言う。
 鈴木氏は「電子化や配信のコストは当社が負担しているのに出版社は売り上げの3割を取ってしまう。その何%が著者に支払われているかというと、印税と同じでせいぜい10%程度にすぎない。当社が著者と直接契約するときは通常24%支払っている」と不満気だ。
 講談社の漫画雑誌『モーニング・ツー』は今年5月から雑誌発売と同時にネットでも同じ漫画が読めるサービスを始めた。これに対して著者に使用料は払われていない。
 むろん出版社側にも言い分はある。「ウェブ公開は無料なので、あらためて掲載料を支払うことはしない。ちなみにアイフォーン版は有料販売だが、今までの漫画コンテンツの販売実績からいって、ごくわずかの売り上げしか見込めず、そこから利益が上がると考えることは現段階では非現実的。利益と呼びうるほどのものが発生したら、その時点で作家さんとの利益配分を考える」(『モーニング・ツー』の島田英二郎編集長)。
 新たな市場の創出時に混乱が生じるのは仕方がない面は確かにある。だが、電子コミック市場がこのまま拡大していけば、二次使用問題の整備は避けて通れないだろう。
 電子書籍時代の到来を迎え、携帯キャリアにも新たな動きが出てきた。KDDIは今年6月、電子書籍を楽しむことを前提にした携帯電話「ビブリオ」を発売。端末は本を読む雰囲気に近い横スライド方式。小さい字でも読みやすいように画面も3・5インチと大型化した。
 携帯電話が活字離れを招いたという見方に反発して、「活字離れをケータイで何とかしたかった」(開発を担当したプロダクト企画部の繁田光平氏)。「ケータイで読む夏の感動100冊」というイベントも行う。「ぜひ文芸書を読んでもらいたい」と、意欲的だ。
愛書家の間で大人気 絶版本の復刊サイト
 ここまで電子書籍の動きについてみてきた。しかし、もちろん出版界の進化が電子化一辺倒で進んでいるわけではない。ネット時代に合わせた紙メディアの新しい動きもある。
 電子メディア全盛の時代でも、紙の書籍の愛好家は多い。愛書家は紙の本を手元に置くことに大きな満足感を持つものだ。そこで人気を博しているのが、「復刊ドットコム」というサイトだ。
 絶版で手に入らなくなった本をネット上での投票で復活させようというのがコンセプト。100票以上集まったら出版社と交渉を開始する。「現在5000点が交渉中。うち500点が復刊した」(同サイトを運営するブッキングの左田野渉社長)。版元が許可しなかったため著者と交渉して、自社で出版した『藤子不二雄Aランド』(全149巻)という例もある。
 ただ、「絶版本には、売れなかった、内容に問題があったなど、絶版になる理由があり、復刊するのもひと苦労だ。しかし、やりがいがある」(左田野社長)と言う。
 電子も紙も結局のところ、作品を世に送り出したいという人間の熱意が欠かせないのである。



邦画、「3D」に本格進出 10年にかけ新作、若者ら掘り起こし
 日本の映画業界が、映像が立体的に見える3D(3次元)に力を入れ始めた。アスミック・エースエンタテインメント(東京・港)や東北新社が来年にかけて新作を投入。一部海外にも配給するほか、東映も新たな作品を制作する意向だ。国内映画市場が減速気味の中、子どもや若い層などを中心に新たな観客を掘り起こす考えだ。
 アスミックは10月中旬に、スリラー映画「戦慄(せんりつ)迷宮3D」を公開する。監督は「呪怨(じゅおん)」で知られる清水崇氏で、2010年春以降には3D邦画として初めて海外に配給する。海外企業に上映権を売り、北米やアジアなど50カ国での公開を目指す。



エコポイント制度、10年度も継続 小沢環境相が意向
 小沢鋭仁環境相は20日、日本経済新聞などとの会見で、省エネ家電の普及を促すエコポイント制度について「環境面から考えても経済対策から考えても必要」と述べ、来年度以降も継続する意向を明らかにした。2009年度補正予算の見直しの対象から同制度を外す考えも示した。
 エコポイント制度について環境相は「前政権からの政策だが、国民にとって、環境にとって良い影響を与えている」と評価。「現況の経済状況をやや心配している」との認識を示し、年度内の執行継続を示唆すると共に「来年度の予算に関しても、私としては継続でまとめていきたい」と語った。
 新政権が掲げた2020年までに国内の温暖化ガス排出量を1990年比25%削減するとの目標については「先進国の先頭を切ったという意味で大きな役割を果たしている」と強調。13年以降の温暖化対策の国際枠組み(ポスト京都議定書)づくりに向け「(交渉を)多いに後押しする」と自信を見せた。
Take the right direction toward change

Prime Minister Yukio Hatoyama's new administration got up and running Wednesday, though public sentiment seems split between expectation and anxiety over the nation's political future.
The launch of the new administration marks a historic shift in power. However, the Hatoyama Cabinet cannot afford to allow itself to feel any exhilaration as a result thereof.
The new government faces a host of challenges to be taken on, including the task of bailing this nation out of the ongoing global recession, drawing up a new blueprint for the social security system and devise a new diplomatic strategy. The Hatoyama administration must strive to carry out these urgent tasks and produce tangible results while also trying to avoid any confusion that could ensue with the change of government.
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Be flexible over manifesto vows
The public's hopes for the new government can be attributed to its desire to end the Liberal Democratic Party-led government as it had reached an apparent stalemate. The outcome of the latest House of Representatives election is a clear manifestation of the public sentiment.
It is no less obvious, however, that people fear that drastic changes could create turmoil. The new Cabinet should be prudent enough to maintain the fundamental policies adhered to by successive governments in the past, given that these policies can set a chart for this nation's future.
Meanwhile, the Democratic Party of Japan should not cling too tenaciously to the pledges it made for the lower house election. People who voted the DPJ into power do not necessarily support all of these promises.
There also are some public doubts over whether financial resources can be secured for many of the DPJ manifesto pledges, and whether some of these pledges are really feasible, including a child-allowance system, toll-free expressways and targets for cutting the nation's greenhouse gas emissions. According to opinion polls, more people oppose many of these election vows than support them.
The DPJ apparently is keen to avoid criticism for breaking its promises. However, it would be even worse for the DPJ to fall into an election-pledge trap of its own making, which could cause irreversible damage. It is vital for the party to have the courage to reexamine its pledges and revise those in need of improvement.
In the new Cabinet, DPJ Acting President Naoto Kan became deputy prime minister and national strategy minister, and former DPJ Secretary General Katsuya Okada assumed the post of foreign minister.
Hirohisa Fujii, the party's top adviser, was appointed finance minister, while former DPJ President Seiji Maehara was named construction and transport minister.
Hatoyama apparently has taken the power balance of intraparty groups into consideration and placed people who have proven themselves in the past in important posts.
Though the makeup of the new Cabinet seems solid, it seems to lack a certain freshness.
At a press conference held in the evening, Hatoyama underscored his intention to end the practice of excessive government dependence on bureaucrats with regard to policymaking.
Key to his success will be the national strategy bureau and the administrative renewal council, to be administered by Kan and Administrative Renewal Minister Yoshito Sengoku, respectively.
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Politician-led politics
The national strategy bureau--for now--will take on the jobs of recompiling the fiscal 2009 supplementary budget and setting out policies for compiling the budget for the next fiscal year.
Putting the economy firmly on the path to recovery is the top priority of all economic policies, and finding financial sources to fund new initiatives that come with huge price tags is of crucial importance. Hatoyama, therefore, must ensure his new administration juggles these two difficult goals.
There are concerns over possible friction between the national strategy bureau and ministries and agencies, as the extent of the national strategy bureau's authority has yet to be established. Kan should work in close consultation with Fujii on budgetary matters.
The administrative renewal council is charged with a "zero-based review" of the work done by ministries, agencies and independent administrative institutions. Powerful political leadership that can weed out resistance by bureaucrats and relevant organizations is indispensable in terms of plunging the scalpel into the vested interests of each government entity and effecting the large-scale transfer of work performed by the central government to local governments and the private sector.
Labor unions that support the DPJ could be a stumbling block to reform. In addition to Sengoku, Hatoyama himself must exercise leadership in this endeavor.
To enable politicians to assume leadership in policymaking, it is essential to have a robust Cabinet lineup, with key ministers keeping their posts until this Cabinet resigns--a departure from the LDP's practice of constantly reshuffling the cabinet.
Health, Labor and Welfare Minister Akira Nagatsuma stepped into the limelight two years ago, when he grilled the government over its sloppy pension-record-keeping. Nagatsuma is now tasked with directing the ministry instead of leveling a barrage of criticism against it. He will be tested on whether he has the ability to make bureaucrats dance to his tune.
Social Democratic Party leader Mizuho Fukushima was appointed as state minister in charge of consumer affairs and the declining birthrate. Her appointment likely is aimed at reflecting the viewpoint of women and consumers in general with regard to the government's policies. We hope Fukushima will try to implement a well-balanced administration that does not express views that largely differ from the government line in order to make her party's presence felt.
Meanwhile, People's New Party leader Shizuka Kamei was named state minister in charge of financial services and postal reform.
While it is necessary to revamp the somewhat flawed Japan Post Holdings Co. led by Yoshifumi Nishikawa and review the privatization of postal services by taking end-users' convenience into consideration, Kamei should not digress from the original purpose of the privatization, and should refrain from any attempt to revive the huge financial institution at the government's initiative.
Hatoyama should not easily be pushed into agreeing to policies put forward by the DPJ's coalition partners--the SDP and the PNP.
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Tests lie ahead
In terms of foreign policy, Hatoyama's first real test will come next week during a visit to the United States.
Concerning the Maritime Self-Defense Force's refueling mission in the Indian Ocean, Hatoyama says the mission will not automatically be extended beyond its mid-January expiration. If this is the case, the prime minister should strive to find another way to continue the mission rather than by "the automatic extension of the expiration."
The realignment of U.S. forces in Japan, including the relocation of U.S. Marine Corps' Futenma Air Station in Okinawa Prefecture, also is an important issue. We believe steady implementation of the agreement between Japan and the United States is the fastest way to reduce the burden on local governments in the prefecture.
With regard to North Korean nuclear issues, Washington recently has shown its readiness to hold direct talks with Pyongyang. In order to get North Korea back around the six-party table and obtain concessions from Pyongyang, the Japanese government needs to steadily implement a U.N. Security Council sanction resolution and continue to put pressure on North Korea.
Hatoyama also should reaffirm Japan's close cooperation with China, South Korea, Russian and the United States and try to pass into law as quickly as possible a bill to permit inspections of cargo carried by North Korean ships and aircraft.
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