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米AT&TのiPhoneネット電話解禁は「パンドラの箱」を開けたか(COLUMN)
 米AT&Tは米国時間6日、独占販売権を持つアップル「iPhone」を使ったインターネット電話(VoIP)を全面解禁すると発表した。携帯電話のデータ通信網を使うVoIPは、携帯キャリアの音声通話サービスと競合するため、これまでほとんど認められていなかった。今回のAT&Tの発表は、携帯業界にとって歴史的なアナウンスとなるだろう。
■無線LAN接続に限定されていた携帯VoIP
 まず、AT&Tの発表内容を解説しておこう。
 現在の携帯電話はウェブサイトや電子メールを利用するためにデータ通信機能が付いている。私たちが第3世代(3G)携帯などと呼んでいるのは、主にこのデータ通信機能の世代を指している。この通信ネットワークはインターネットと同じ通信手順、つまりインターネットプロトコル(IP)を利用しているため、理論的にはパソコンと同じように携帯でもVoIPは可能だ。
 ただ、大手の携帯キャリアで自社の端末にVoIPアプリケーションを搭載しているところは皆無といえる。携帯電話事業の柱である音声通話収入に悪影響が出る懸念があるためだ。
 しかし、iPhoneの登場により、企業や個人の開発者は自由にiPhone用アプリを開発し、アップルのアプリ販売サイト「App Store」を通じて販売できるようになった。ユーザーはiPhone用のVoIPアプリをダウンロードすれば、携帯キャリアの音声サービスを使わずにVoIPで通話できることになる。ただし、アップルはこれまでVoIPアプリを無線LAN(Wi-Fi)接続に限定し、携帯キャリアの通信ネットワークを使うアプリを承認してこなかった。
 AT&Tは今回、アップルにWi-Fiだけでなく3GネットワークでもVoIPアプリの使用を認める通知を出すとともに、米連邦通信委員会(FCC)にも報告した。iPhone向けにはすでにインターネット電話のスカイプや8x8社などがVoIPアプリを提供しているが、アクセスはWi-Fiに限られている。今後は、3Gネットワークを使ったiPhone同士あるいはiPhoneとパソコンでの無料通話が実現することになるだろう。
■音声契約への影響は大きいか、小さいか
 iPhoneは、初代が2007年6月末に発売されてから2年3カ月が経つ。累積出荷台数は世界で2637万8000台(09年9月末)に達する。AT&Tは7月にiPhoneユーザー数を約900万と発表しており、現在は1000万を超えたと推定されている。スマートフォン市場で躍進を続けるiPhoneでVoIPが解禁されれば、他社の端末でもVoIPアプリが急速に普及していくのは確実だ。
 では、携帯でVoIPを使った場合、ユーザーが支払う料金はどのくらい安くなるのだろうか。以下、スカイプがパソコン向けに提供しているサービスと同じ料金体系をiPhoneにも適用するという前提で計算してみたい。
 スカイプ同士は、世界中どこでも無料で通話できるが、米国からiPhoneとスカイプを組み合わせて日本の携帯電話にかけた場合、日米間で1分当たり15.4セント(約14円)かかる。一方、AT&Tの正規国際通話(携帯→携帯)は、約20倍の1分3ドル64セント(約320円)である。
 ただ、実際には正規料金で使うユーザーは少なく、比較対象としてはAT&Tの国際割引サービス(基本料金月額約400円)の1分24セント(約21円)が適切だろう。この場合、スカイプとの差は1分当たり7円程度でしかない。また、iPhoneスカイプで日本の固定電話にかけた場合は1分2.3セント(約2円)、AT&Tの割引レートは9セント(約8円)で、差が6円となる。つまり、携帯電話でもスカイプ同士で利用しなければ、本当に通話料金を減らすことはできない。
■長期的には収益構造に大きく影響
 また、iPhoneに限らず携帯電話は、音声契約に必ず加入しなければならない。AT&Tの場合、最低のプランは月額39ドル99セントとなっている。米国内の通話でVoIPをフル活用したとしても、これだけの料金が発生することになる。
 そう考えると、iPhoneのVoIPがAT&Tの音声通話サービスに影響するのは、全米かけ放題の月額99ドル99セントプラン(Nation Unlimited)といった高額プランのユーザーに限られるといっていいだろう。AT&Tはプラン別の加入者数を発表していないので何とも言えないが、彼らが安いプランに移行した場合1人当たり最大60ドル程度の収入減少となる。ただ、AT&TはiPhone加入者に30ドルのデータ通信料を適用していることも、考慮する必要がある。
 こうした条件を総合すると、iPhoneでVoIPを認めても短期的に大きな収入減少に結びつく可能性は低い。とはいえ、固定電話では無料あるいは廉価なインターネット電話が登場して以来、着実に音声通話収入が減り、解約も増えた。長期的にみれば、携帯におけるVoIP解禁という今回の決定が、携帯電話事業者の収益や事業構造に様々な影響を与えることは間違いない。
■携帯端末メーカーに迫る脅威
 もう1つ中長期的に見ると、今回の解禁は各種モバイル端末と携帯電話の垣根を取り除くことになるだろう。たとえばインテルは、低消費電力プロセッサー「Atom」を搭載するミニノートパソコンなどに向けてモバイルOS「Moblin」を提供し、手のひらパソコンや携帯電話への参入を狙っている。現在、手のひらパソコンではWi-Fiを使ったVoIPが主流だが、今後は携帯キャリアのネットワークを使った通話サービスが増えることになる。
 これはフィンランドのノキアや韓国サムスン電子、米モトローラといった携帯端末メーカーにとっては、大きな脅威となる。大手チップメーカーからモバイル用チップを購入して、適当なモバイルOSを搭載すれば、携帯通話も可能なモバイル端末を簡単に製造販売できるようになるからだ。
 現在ミニノートパソコンなどを製造販売しているディスカウントメーカーが、今回の解禁をてこにスマートフォン市場にも参入する。そうなれば既存の作り込み型携帯端末はコスト的に極めて厳しい競争を強いられることになる。
◇ ◇ ◇
 今回のAT&Tの決定は、「ネット中立性」の適用拡大を公言していたジュリアス・ゲナコウスキー新FCC委員長の大きな功績となる。同氏はかねてから、スカイプのアプリがWi-Fiに限定されていることやグーグルの通話管理ソフト「Google Voice」のiPhoneアプリをアップルがなかなか認めないことについて憂慮していた。
 こうした携帯業界の商習慣に対して、FCCはネット中立性をたてに本格的な調査に踏み切る姿勢を見せている。今回の解禁発表はFCCと争うことを嫌ったAT&T側が先に折れた格好だが、その結果、携帯業界にとっての“パンドラの箱”が開いたことになるかもしれない。



エコポイント、10年度も継続 環境相、対象商品の拡大検討
 小沢鋭仁環境相は9日の閣議後の記者会見で、15日に提出する来年度予算の概算要求に、省エネ家電の普及を促す「エコポイント制度」の継続を盛り込む考えを表明した。現行は地上デジタル放送対応テレビ、エアコン、冷蔵庫の3品目となっている対象商品の拡大も「ぜひ検討してみたい」とした。
 エコポイント制度は環境、経済産業、総務の3省が2009年度の補正予算で今年5月から始めた。環境相は来年度について「(予算要求に盛り込むことに)なると思う」と述べた。拡大する対象商品については「具体的な品目というのはまだ(決めていない)」として今後詰める考えを示した。
 具体的な予算規模や新たに対象とする商品は他省庁などと調整する。政府内では来年度の予算要求について09年度当初予算からの減額を求める方針が示されており、財源の確保などで実現が難航する可能性もある。



東芝がNetbookシェア1位に 国内メーカー初

 BCNの調査によると、Netbookのメーカー別販売台数シェアで、国内メーカーとして初めて東芝が首位に立った。
 9月28~10月4日の販売台数シェアは、東芝が前週比1.6ポイント増の16.7%、台湾ASUSTek Computerが同0.4ポイント増の15.9%、日本エイサーが同3.3ポイント減の13.7%だった。
 東芝が4月に発売したNetbook「PAUX23JNL」の売れ行きが好調な一方、ASUSやエイサーの売り上げが鈍化。「日本メーカーはNetbook市場に遅れて参入したが、徐々に上位に食い込み始め、日本エイサーやASUSのシェアを圧迫している」という。
 Netbookの機種別販売台数シェアは、東芝の「PAUX23JNL」がトップ(12.6%)で、ソニーの「VPCW119XJ」(6.7%)、富士通の「FMVLMD15」(6.4%)と、国内メーカーの製品がトップ3を占めた。



「R25」が隔週刊行に
 リクルートは、無料週刊誌「R25」を、月2回の発行に変更した。
 「R25」は、これまで毎週木曜刊行となっていたが、媒体資料では、第1、第3木曜日の隔週刊行に変更されている。駅や店舗での配布を毎週楽しみにしていた人は、これからは少しさびしくなりそうだ。



三越、小型店11カ所の閉鎖を発表
 三越伊勢丹ホールディングスは9日、傘下の三越が全国53カ所に展開する小型店のうち、11店を来春までに閉鎖すると発表した。景気低迷で売り上げの落ち込みが深刻なことから閉鎖に踏み切る。
 閉鎖対象の店舗はニューヨークランウェイ神戸三田プレミアムアウトレット店(神戸市)、小田原店(神奈川県小田原市)、柏崎店(新潟県柏崎市)、君津店(千葉県君津市)、銚子店(同銚子市)、四街道店(同四街道市)、成田空港第2ビル売店(同成田市)、秋田店(秋田市)、苫小牧店(北海道苫小牧市)、伊予三島店(愛媛県四国中央市)、宇和島店(同宇和島市)。
 このほか、新潟県長岡市と愛媛県大洲市の出張所も営業を終える。



国直轄の48ダム、09年度内の事業凍結 国交相表明
 前原誠司国土交通相は9日の閣議後の記者会見で、計画・着工中の全143ダムのうち国と水資源機構が事業主体である48ダムについて「今年度内に用地買収や本体工事などの新たな段階に入らない」と述べ、事実上凍結する方針を明らかにした。都道府県が事業主体の87ダムに関しても、国の補助金を交付しない可能性に言及した。
 国交相はすでに八ツ場ダム(群馬県)と川辺川ダム(熊本県)の中止を表明。143ダムすべてを見直す意向も明らかにしている。国交相が今年度中のダム事業を事実上凍結する方針を示したのは、見直し作業を進める最中になし崩し的に工事が進むのを防ぐねらいとみられる。



ヨウジヤマモト、民事再生法を申請 負債総額60億円
 パリコレクションなどにも参加する山本耀司氏がデザイナーを務めるヨウジヤマモト(東京・品川、大塚昌平社長)は9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請することを決めた。負債総額は約60億円。欧米での出店など過大投資が重荷となり、資金繰りに行き詰まった。投資会社のインテグラル(東京・千代田)が支援先となり、再生に乗り出す。
 ヨウジヤマモトは「ヨウジヤマモト」などのブランドを持ち、国内では百貨店内に約100カ所の売り場があるほかパリ、ニューヨークなどにも店舗がある。3年ほど前からパリに大型店を出すなど欧米で事業を拡大してきたが、昨秋以降の景気低迷で販売不振に陥った。2009年8月期の売上高推計は75億円とピーク時から約4割減った。



灯油在庫、異例の低水準 減産や暖冬予測が影響
 灯油の在庫が異例の低水準で推移している。石油元売り各社は11月から始まる需要期に向けて夏場から灯油の在庫を積み増すが、今年は景気低迷で原油処理の削減(減産)を実施。そのあおりで「この時期としては灯油在庫は過去最低水準」との指摘もある。暖冬予測やエアコンの普及も積み増しの動きを鈍らせているが、寒波が到来すれば灯油価格高騰のリスクもある。
 石油連盟のまとめによると、9月第5週(9月27日~10月3日)時点で元売り各社合計の灯油在庫は326万3千キロリットル。前年の同じ時期と比べて14.5%少ない。
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Twitter風ミニブログ「mixiボイス」で巻き返しを図るmixi(COLUMN)
 9月に公開されたmixiの新サービス「mixiボイス」。150字までの“つぶやき”を投稿するTwitter風のミニブログである。もともと「みんなのエコー」という名称で試験運用されていた機能だ。
 ただし、「みんなのエコー」は、お世辞にも活況を呈していたとはいえなかった。インディーズ機能という位置づけだったため、使いたいユーザーだけが選択する仕組みになっていたからである。Twitterのブレイク前であったこと、もともとmixiは日記を中心としたコミュニティであったことなどから、二の足を踏むユーザーが多かったものと思われる。
 そうした事情もあって、当初は「今さら……」「Twitterの二番煎じ」といった声も囁かれた「mixiボイス」であるが、サービス開始から半月余りを経た段階で見る限り、案外とユーザーには受け入れられている模様だ。
 その理由のひとつには、正式サービスに格上げされたことによって、全ユーザーに提供されるようになったことが挙げられる。突然トップ画面に現れた「mixiボイス」に戸惑ったユーザーも多かったようだが、「マイミクたちが発言しあっているのを見て、自分も書き込んでみた」というケースは多いようだ。また、公開レベルも「友人まで」といった制限を掛けられるので、安心して投稿できるようになったことも大きい。
 主な話題に目を転じてみると、先行サービスとしてスタートした「mixiアプリ」の感想や進捗状況などを「mixiボイス」でつぶやきあっているユーザーが目につく。「mixiアプリ」とは、同サイトで提供されているミニゲームやチャットなどのアプリケーションのことで、現在100種類以上が公開されている。現時点では玉石混淆の感が否めない「mixiアプリ」を、「mixiボイス」がうまい具合にフォローしているかたちだ。
 このような“ゆるい”コミュニケーションは、日記を通じての交流がメインだったこれまでのmixiにはなかったものである。ただし一方で、自分の書いた日記一覧がトップページに表示されなくなり、「使いにくくなった」と感じているユーザーがいることも事実。「mixiボイス」は、新たな方向へと舵を切ろうとしているmixiの試金石としての役割を担っているといえそうだ。
 日記から、つぶやきやゲームなどの、より“感覚的な”コミュニケーションに特化しつつあるmixi。その背景には、ユーザー数の伸びが頭打ちにあることと、ライバルである「GREE(グリー)」が、ゲームを足掛かりにして猛追してきたという現実がある。今後、「つぶやき」と「アプリ」を両輪として、巻き返しを図ることができるのか注目したいところだ。



プロミス社長、創業家退く 三井住友銀出身、久保氏が昇格へ
 消費者金融大手のプロミスは8日、創業一族の神内博喜社長(55)が会長に退き、筆頭株主である三井住友銀行から迎えた久保健副社長(55)を11月に社長に昇格させる人事を固めた。経営再建に向け、同行との連携を強化する狙い。一方、9月に私的整理手続きに移行した独立系のアイフルは同日、最初の債権者集会を開き、融資銀行団に返済猶予の金融支援を要請。消費者金融各社の経営不振は深刻で、金融機関はより踏み込んだ支援を迫られつつある。
 神内氏は創業者のおいで、1999年から社長を務めていた。会長就任後、代表権はなくなる。久保氏は三井住友銀で個人部門を中心に担当し、2007年にプロミス副社長に就任した。



返済猶予、最長3年 政府原案、一律義務付けはせず
 政府は中小・零細企業や個人を対象にした債務の返済猶予制度について元利金の支払いを最長で3年間猶予することを柱にした原案をまとめた。金融機関に返済猶予を一律的に義務付けない代わりに、猶予件数などの開示を求める。今月下旬にも召集する臨時国会に同制度を盛り込んだ時限立法の「貸し渋り・貸しはがし対策法案」(仮称)を提出する方針で、9日にも発表する。
 大塚耕平金融担当副大臣と与党の政策責任者が8日、原案について大筋合意した。亀井静香金融担当相が原案を踏まえて最終案を決定する。



空港特会、建設に使わず 国交相検討、着陸料引き下げも
 前原誠司国土交通相は8日、空港の整備などを手掛ける特別会計について、空港の運営や管理に役割を限定する方向で検討に入った。航空会社が支払う着陸料などが空港整備に回らない仕組みをつくる。他の特会の改革と併せて2011年度にも実現したい考え。10年度予算編成では特会の支出を圧縮し、着陸料の値下げを検討する。
 国交相が見直すのは社会資本整備事業特別会計の空港整備勘定。航空会社が払う着陸料などの空港使用料、財政投融資からの借り入れ、一般財源などを原資に空港の整備や運営に充てる。09年度の予算規模は5280億円。国交相は就任直後に「特会があることで採算の合わない空港が造られてきた」と抜本見直しの方針を示していた。



原口総務相、NTTの“機能別”再編に言及
 原口一博総務相は8日、産経新聞社などのインタビューに応じ、NTTグループの再編問題に関連して、インフラ部門や通信サービス部門など各社を機能別に分轄し、それぞれを統合し直すことも検討材料の一つとの見解を示した。
 NTTは現在、NTT東日本・西日本や、NTTドコモなど、業態ごとに会社が分かれ、それぞれ自前でインフラやサービスなどを垂直的に保有している。各社を機能別に再編すれば、グループ全体でインフラ投資などのコストを低減したり、経営効率が高められるなどの効果が期待される。
 原口総務相は「NTTの中身の再編論議については踏み込まない」と述べつつ、10月中旬に立ち上げられるNTTの再編問題などを検討するチームではさらに(NTTを)再分割するという考え方もあるし、(各社の機能で分けて)レイヤー(階層)ごとにまとめて世界で競争力を持てるようにすべきだという人もいる」などと指摘した。
 NTTの再編問題をめぐっては、自公政権では同社の独占性が高いとして、グループをより細分化する方向で検討される予定だったが、原口総務相は見直す方針を示している。



日本雑誌協会、エニグモにネット雑誌閲覧サービスの中止要請
 日本雑誌協会(東京・千代田)は8日、ネットサービスのエニグモ(東京・渋谷)がオンラインで一般の雑誌を購入・閲覧できる新サービスを始めたことに対し、「出版社の許諾なしに雑誌誌面をスキャンして複製することで成立しており、明らかな著作権侵害行為だ」とし同社にサービスの即時中止を求めた。
 エニグモが7日に始めたサービス「コルシカ」は、専用サイト上で雑誌を購入した人がオンラインで雑誌の複製を閲覧できる。内容をパソコンに保存したり印刷したりはできない。「購入者が雑誌を私的利用の範囲で閲覧する形なので、著作権上の問題はない」(同社)と考えサービスを始めた。
 雑誌協会は「消費者の依頼を受けて複製するのでなく、あらかじめ複製しているので、私的利用とは言えない」と指摘。「著作物をどのような形態で読者に対しサービスしていくのかを決められるのは権利者の出版社だけ」と主張した。



<ゲーム機販売>価格競争はPS3に軍配 Wii、PSP値下げで売り上げ3倍に アスキー総研
 1日に値下げされたソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の携帯ゲーム機「PSP」と任天堂の家庭用ゲーム機「Wii」の週間売り上げ(9月28日~10月4日)が、ともに前週の約3倍になったことが、アスキー総合研究所の調べで明らかになった。9月以降では、1万円安い新型機が9月3日に発売されたSCEの家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)3」が週間14万台を販売、値下げが相次いだゲーム機の中で最も効果が高かったという。
 PSPは3000円値下げの1万6800円、Wiiは5000円値下げの2万円で、実施週の売り上げは、PSPが約4万9000台、Wiiが約3万2000台と、前週より3万4000台、2万2000台の増加となった。
 本体の値下げに合わせて、Wiiには累計340万本以上を売り上げた健康ソフトの強化版「Wiiフィットプラス」が発売され、33万8000本を売り上げ、PSPは人気レースゲーム「グランツーリスモ」のPSP版が登場し、14万本を販売したが、流通関係者は「本体のけん引効果は限定的」と分析している。



ファストリ連結最高益 柳井社長「大型店戦略、世界中で進める」
 カジュアル衣料品「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングは8日、2010年8月期の連結純利益が前期比25%増の620億円になる見通しだと発表した。過去最高益を更新する。年間配当は200円と前期比40円増やす。主力のユニクロ事業で国内外そろって2ケタ増収を見込み、営業利益ベースでも最高益を更新する。
 同社の柳井正会長兼社長は同日の記者会見で、2009年8月期の連結営業利益について「日本発のグローバルブランドとしての認知と地位を確立できた」と総括し、国内に加え海外部門の収益貢献が「本格的に始まった」との見方を示した。



朝日社説
ウィニー無罪―開発者の尊重は妥当だ (2009年10月9日)
新技術のソフトウエアが開発された。だが、それを悪用する著作権侵害事件が起こった。このとき、開発者にまで刑事責任が及ぶのかどうか。
ファイル交換ソフトの「ウィニー」をつくって公開したことで著作権法違反幇助(ほうじょ)の罪に問われた元東京大助手に対し、大阪高裁は一審の有罪判決を破棄、逆転無罪を言い渡した。妥当な判決だ。
ウィニーを使うと映画や音楽をインターネットを通じてやりとりできる。数多くのパソコンを経由してバケツリレーのように情報が伝わっていく。
ソフト開発では利用者に意見を寄せてもらい、改良していく方法も広まっている。元助手はウィニーの開発を02年春にネット上で宣言し、自らのホームページで無料公開した。効率よくファイルを検索できる独自の技術は評判を呼んだ。
元助手が問われた罪は、そのソフトを使って男性2人が無許可で映画などをネット上に流した著作権法違反を手助けしたというものだ。裁判では開発者に刑事責任が及ぶ範囲が大きな争点になった。
一審の京都地裁判決はソフト公開の時点で不特定多数の人々に悪用されるという認識があれば「有罪」とした。
これに対し、高裁判決は、幇助罪に問えるのは「開発者がネット上で違法行為を勧めてソフトを提供した場合」とする基準を示した。そのうえでソフト公開にあたって、元助手が違法なファイルのやりとりをしないように注意を繰り返していたことなどを挙げて、無罪とした。
違法行為に加担した事実がなければ刑事責任は問えないという判断だ。一審のようなあいまいな基準で処罰すれば、技術者の開発意欲は萎縮(いしゅく)してしまう。幇助の範囲を限定的にとらえ、開発者を尊重した判断ともいえる。
見逃せないのは、ウィニーを「著作権侵害の技術」と断定し、元助手を摘発した捜査機関の対応だ。高裁判決は一審の判断を踏まえて「ウィニーにはさまざまな用途があり、価値中立的なソフト」と指摘した。悪用の恐れもあるが、賢明な使い方もあるということだ。捜査機関は、この判断を重く受け止め、技術開発をめぐる捜査には慎重でなければならない。
ただ、こうしたソフトに著作権侵害の危険性がつきまとうのも事実だ。ネット上の著作権保護の新法づくりを一つの選択肢として、悪用を防ぎながらネットの長所を生かす道を探りたい。
深刻なのは、ウィニーを狙ったウイルスによってパソコンから個人情報の流出が続いていることだ。元助手が摘発されたことでソフトの改良ができなくなり、ウイルス対策もとまっている。無罪判決をきっかけに、この対策も考えるべきではないか。
ウィニー開発者に逆転無罪…「著作権侵害の意図なし」
 ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」を開発、インターネットで公開し、ゲームソフトなどの違法コピーを手助けしたとして、著作権法違反(公衆送信権の侵害)のほう助罪に問われた元東京大大学院助手・金子勇被告(39)の控訴審判決が8日、大阪高裁であった。
 小倉正三裁判長は「被告は著作権侵害をする者が出る可能性を認識していた」としながら、「著作権侵害の目的に使うようネット上で勧めてウィニーを提供したという積極的な意図は認められず、ほう助罪は適用できない」と述べ、罰金150万円(求刑・懲役1年)とした1審・京都地裁判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。
 2006年12月の1審判決はほう助罪成立の判断基準について、「ウィニーの利用状況と、それに対する金子被告の認識、さらにウィニーを提供する際の主観的態様」の3点を示したうえ、「利用状況では、大半が違法ファイルをやりとりしており、金子被告もその現状を知りながら、開発・改良を重ねた」としてほう助罪の成立を認めた。
 しかし、小倉裁判長はウィニーを「有用であり、また著作権侵害にも用いられる価値中立のソフト」と位置づけ、「ウィニーの現実の利用状況を把握するのは困難で、どの程度の利用状況があればほう助犯が成立するのか判然としない」などと指摘。さらに、「著作権侵害行為に使われることを認識しているだけでは足りず、侵害行為をするようネット上で勧めてソフトを提供する場合に成立する」との新しい基準を示した。
 この基準に照らし、金子被告がウィニーを開発・公開した際に「違法なファイルをやり取りしないようお願いします」と記していたことなどを挙げ、「著作権侵害のみに使用させるようネット上で勧めて、ウィニーを提供したとは認められない」と判断した。
 太田茂・大阪高検次席検事の話「無罪判決は意外であり、極めて遺憾。判決内容を精査し、適切に対応したい」
 ◆ウィニー=不特定多数のパソコン利用者間で音楽や映像のファイルを共有するソフト。サーバーを介さずにパソコン同士でやり取りする技術を使用する。ファイルは無数のパソコンを経由して転送されるため、送信元が特定しにくい匿名性があるとされる。



「ウィニー無罪」賛否…著作権侵害絶えぬ中
 ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」を開発し、インターネット上で公開した元東京大大学院助手・金子勇被告(39)を逆転無罪とした8日の大阪高裁判決。小倉正三裁判長は、金子被告が「著作権侵害をする者が出る可能性を認識していた」としながらも、侵害を積極的に勧めたわけではないと、ほう助罪の適用を否定した。
 ウィニーなどファイル共有ソフトによる著作権侵害が横行し、個人情報の流出など様々な弊害が出ている中、今回の無罪判決は関係者に波紋を広げている。
 この日の判決を受け、金子被告は弁護士と記者会見し、「よかったと思う。正当な判断だ」と述べた。これまで「有罪は開発者を萎縮(いしゅく)させる」と主張した金子被告は、「今回の判決は他の技術者にもいい影響があるのではないか」と話した。
 一方、ソフトウエア開発会社などで作る社団法人「コンピュータソフトウェア著作権協会」(東京、ACCS)は、「今回の判決は意外。詳細は検討するが、判決にかかわらず、被告には社会的・道義的な責任が生じていると考える」と判決内容に疑問を投げかけた。
 ウィニーを巡っては、公開前の映画やゲームソフト、音楽などがネット上に流される著作権侵害事件は今も後を絶たない。
 同協会は、「著作権の配慮がないままに、ファイル共有ソフトの技術を現状のような形で実現すれば、著作権侵害行為が蔓延(まんえん)することは火を見るより明らか」と主張した。
 ネット問題に詳しい岡村久道弁護士(大阪弁護士会)は「1審と判決内容が百八十度変わり、今後、司法や著作権、情報分野などで混乱が起きることも考えられる。ファイル共有ソフトと著作権との関係について、法整備などで基準を明確化することが望ましい」と話した。



デル、高機能携帯に参入 米紙報道、グーグルのOS搭載
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は7日、パソコン世界2位の米デルが、スマートフォン(高機能携帯電話)を米国向けに来年にも販売すると報じた。インターネット検索最大手のグーグルが無償提供する携帯向けOS(基本ソフト)「アンドロイド」を搭載し、タッチパネルを備えるという。デルが参入すれば、スマートフォン市場の競争激化につながりそうだ。
 報道によると、デルは米通信大手AT&T向けに端末を投入する。AT&Tに関してはアップルが人気スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」を展開中。AT&Tにとって初の「アンドロイド」搭載端末になる可能性がある。
 デルは中国向けにもスマートフォンの投入を検討中。同社はパソコン世界最大手のヒューレット・パッカード(HP)などに押されて業績低迷が続いている。



ソニー、最薄の「VAIO」などパソコン秋モデル
 ソニーは8日、パソコンの「VAIO」2009年秋モデルを発表した。11シリーズ19機種にウィンドウズ7を搭載。新たなノートパソコン「Xシリーズ」は厚さ約1.4センチメートルとこれまでのソニー製パソコンの中で最も薄い。10月22日から順次発売する。
 「Xシリーズ」の店頭想定価格は11万円前後から。カーボン素材に特殊なシートを挟み込み、重さ約655グラムと10型以上の液晶を搭載するパソコンの中では最も軽くした。新たに開発した薄型のリチウムイオン電池を搭載しており、10時間駆動する。別売の電池を入れ替えるとバッテリーの持続時間を最長約20時間に延ばせる。



チャップリン映画、格安DVD販売の差し止め確定 最高裁
 格安DVD販売をめぐり、喜劇王チャップリン(1977年死去)の映画「独裁者」など9作品の著作権の保護期間が継続しているかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は8日、「保護期間が継続している」との判断を示し、DVD制作会社の上告を棄却した。DVDの販売差し止めと約1000万円の損害賠償を命じた二審・知的財産高裁判決が確定した。
 9作品は1919~52年に公表された「独裁者」「モダン・タイムス」「街の灯」など。71年改正までの旧著作権法では、著作者が個人の場合は死後38年、団体の場合は作品公表後33年と規定され、訴訟ではチャップリンが映画の著作者かが争われていた。
 同小法廷は判決理由で、「旧著作権法上、映画の著作者は、全体的な映画作りに創作的に寄与したのは誰かを基準に判断すべき」との初判断を示した。



ドコモ、データ通信関連ソフトをWindows 7対応に
 NTTドコモは、マイクロソフトからパソコン向けOS「Windows 7」が発売されることにあわせ、Windows 7対応のデータ通信用アプリケーションを提供する。
 同社Webサイトによれば、Windows 7対応アプリは、ドライバーソフトやユーティリティソフトなど。「Windows 7」が発売される10月22日時点では、通信用ユーティリティソフト「ドコモコネクションマネージャ」や、「SH-01A」など一部の携帯電話用ドライバーソフトが用意される。データ通信端末の多くは10月下旬にドライバーソフトが提供される予定だが、「A2502 HIGH-SPEED」は2009年11月中旬に提供が開始される予定。機種によっては来春の提供になるものもあるが、最近発売された機種は年内に登場する見込み。



米エクソン、時価総額の世界首位奪回 中国石油から
 国際石油資本(メジャー)の米エクソンモービルは中国の同業最大手ペトロチャイナ(中国石油)を時価総額で約4カ月ぶりに上回り、再び世界一の座を確保した。原油価格の上昇ペースに中国の価格統制が後れを取っていることが背景にある。
 ペトロチャイナの上海市場上場株は、中国政府が最後にガソリンとディーゼル油の国内価格を引き上げた9月2日以降、2.2%下落した。エクソンモービルは同期間に0.7%上昇し時価総額は3300億ドル(約29兆3600億円)に達した。ペトロチャイナの時価総額は3254億ドル。
 ガソリンなど石油系燃料の需要に回復の兆しが広がるなか、ニューヨーク原油先物相場は年初以降59%上昇しており、今年は過去10年で最大の上昇を記録する勢いを見せている。一方、中国が今年給油所に認めた値上げは、ガソリン価格が19%、ディーゼル油で18%にとどまる。



米財政赤字、最悪の124兆円に 09年度見通し、歳入など低迷
 【ワシントン=御調昌邦】米議会予算局(CBO)は7日、米政府の2009年会計年度(08年10月~09年9月)の財政赤字が1兆4090億ドル(約124兆6000億円)になったとの試算を発表した。過去最悪だった08年会計年度に比べて赤字額が約9500億ドル増え、3倍以上に膨らんだとみられる。米政府が7800億ドル規模の景気対策を実施中のほか、景気低迷で歳入が低迷したことも響いた。
 今回はCBOの見積額で、米政府は近く09年会計年度の財政収支を正式に発表する見込みだ。米財務省が9月に発表した8月までの11カ月間の累計財政赤字は約1兆3784億ドルだった。
 CBOによると、財政赤字の規模は国内総生産(GDP)比で9.9%だった。これは第2次世界大戦が終結した1945年以降で最大の赤字幅という。



【産経主張】亀井担当相発言 首相はなぜ撤回求めない
 亀井静香金融・郵政改革担当相の「家族間の殺人が増えている責任は大企業にある」という発言が波紋を広げている。
 小泉政権下での構造改革路線が行き過ぎた市場原理主義を呼び、社会崩壊につながったというのが亀井氏の持論だ。そうした指摘にも耳を傾けたいが、家族間殺人が企業責任という趣旨の発言が重要閣僚から提起されることは極めて不穏当としか言いようがない。
 亀井氏は6日の閣議後の記者会見でも「取り消す気は全然ない」と強調したが、残念だ。
 鳩山由紀夫首相は「言葉が過ぎた部分があり、ていねいさを欠いているかもしれない」と論評しているが、内閣の一員の問題発言について鈍感すぎないか。発言の撤回や修正を指示するのが任命者の責任である。
 亀井氏は5日の講演で、以前、日本経団連の御手洗冨士夫会長と会談したことなどに触れ、「昔の経営者は景気の良いときに中小企業に(資金を)分け与えたが、今は内部留保としてため込んでリストラしている」と、派遣契約解除などの雇用問題を取り上げた。
 御手洗氏が「私どもの責任ですか」と答えると、亀井氏は「責任を感じないとだめだ」と指摘し、「日本で家族間の殺人事件が増えているのは(企業が)人間を人間として扱わなくなったためだ」と述べたという。
 景気後退、雇用悪化などの経済状況が、多くの凄惨(せいさん)な事件の背景にあることは間違いない。だが、社会の荒廃はそれだけに起因するものではない。教育、地域社会など複合的な要因があることは、亀井氏もご承知のことだろう。
 「派遣切り」が問題化したのを契機に、自民党政権下でも大企業の雇用に対する姿勢には厳しい視線が向けられた。政府と企業側との協力がなければ雇用政策も進展しない。鳩山政権と経団連との初の政策懇談会が開かれ、協力関係の模索が始まったところだ。
 民主党の公約には、温室効果ガスを1990年比で25%削減するなど企業に大きな負担を課すものが少なくない。外国から「アンチビジネス(反企業)」と指摘されたこともある。一方的な大企業悪玉論を展開するようでは、民間に対して恫喝(どうかつ)的な姿勢を隠さない強権的な政権だと受け取られかねない。首相は「亀井さんらしいといえばそうかも」などと、のんきに構えている場合ではない。
「東京ゲームショウ」からは見えない、ケータイゲームの新潮流(COLUMN)
 今年も開催された「東京ゲームショウ2009」。NTTドコモがブースを構えるなどケータイゲームもいくつか展示がなされていたが、ケータイゲームの真の姿はゲームショウからは見ることはできない。そこでケータイゲームの最近の流れについて解説しておこう。
ゲームショウの光景とは異なるケータイゲームの人気
 今年も9月24~27日にかけて、「東京ゲームショウ2009」が開催された。ブースの数は昨年と比べ減少したものの、熱心なゲームファンを中心に多くの人が会場を訪れ、例年通りの熱気に包まれていた。
 筆者もケータイゲームを中心に毎年ゲームショウを取材しているが、今年は昨年まで出展していたKDDIも出展を控え、キャリア関連の出展がNTTドコモのみであった。それゆえ残念ながら、昨年よりも会場でケータイゲームを見かける機会は減少していた。
 だがそうした要因とは別に、毎年感じていることが1つある。ゲームショウで注目されるケータイゲームと、実際にケータイの世界で人気を集めているゲームとの間にはかなりギャップがあり、展示を見ただけでは実態をつかみにくいということだ。ゲームショウに集まるのは既存のゲームが好きな人が多いだけに、ケータイゲームも彼らの注目を集める本格的なゲームを多く展示する傾向がある。だが実際のケータイの世界では、そうしたゲームを楽しんでいるユーザーが多いわけではない。
 以前からケータイの世界では、ミニゲームやパズル、ボードゲームなど、ライトなゲームが人気を集める傾向があった。とはいえゲームショウでそうしたゲームを中心に展示しても、来場者から注目を集めるのは難しいだろう。それが実態と大きなギャップを感じさせる要因となっており、潮流をつかみにくくしているといえる。
人気のケータイゲームは“釣り”に“乙女”?
 では現在、ケータイゲームの世界はどうなっているのだろうか? 近年ではモバゲータウンなどのゲーム&SNSというスタイルが人気を博したことが記憶に新しいが、ケータイゲームの世界も流れが速い。最近では新たな動きも見られるようになっている。
 1つは“ソーシャルゲーム”の台頭である。SNS大手の一角であるグリーの台頭、と言った方が分かりやすいだろうか。グリーは積極的な宣伝攻勢の効果もあって、今年9月には会員数1500万を達成。ケータイSNS最大手のモバゲータウンに並ぶ規模に急成長している。
 その躍進を支えているのが、釣りゲームの「釣り★スタ」やペットゲームの「グリノッペ」などゲームとコミュニティをより密接に連動させたソーシャルゲームである。例えば、「釣り★スタ」の場合の場合、釣った魚を日記で自慢したり、友達と釣りの成果を競ったりできるし、「グリノッペ」の場合、自分のペットの成長をSNSの日記に記したり、友達のペットと交流させたりすることができる。ゲーム単体で遊ぶのではなく、コミュニティと結びつけることで競争や協調などを生み出し、継続して楽しめる点が好評を得ているのだ。
 もう1つは、ケータイで楽しめる女性向け恋愛ゲーム、いわゆる“乙女ゲーム”の急増である。ここ2年ほどでケータイ乙女ゲームは高い人気を集めるようになっており、コンテンツ数も劇的に増加している。事実、この記事を執筆している最中に筆者が確認したところ、iモードの“ゲーム”ジャンルの1つに“恋愛ゲーム”というカテゴリが存在しており、その上位トップ10を乙女ゲームが占めていた。「ラブプラス」などの男性向け恋愛ゲームが人気を博している家庭用ゲーム機の現状からすると、乙女ゲームが男性向け恋愛ゲームを圧倒しているケータイの現状は特異に映るかもしれない。
 ほかにもオンラインRPGを中心に基本料無料でアイテム課金を主軸としたゲームが急増するなど、いくつかの変化を見ることができる。ケータイの世界では、既存のゲーム機と大きく異なるジャンルや要素が人気を博し、急成長するケースが多く見られるのだ。
ゲーム機とは大きく異なるユーザー層を獲得
 ケータイゲームがなぜ既存のゲーム機と傾向が大きく異なるのかというと、やはり携帯電話はゲームが楽しめる機器でありながら、既存のコンシューマーゲーム機のゲームに積極的なユーザーとは異なる層を獲得しているからということが大きい。
 9月1日に開催されたゲーム開発者向けイベント「CEDEC 2009」において、グリー代表取締役社長である田中良和氏が講演するセッションがあった。その中で田中氏は、幅広い年齢・性別に受け入れられ、シンプルに楽しめるようようなゲームデザインを心がけているとし、より多くのユーザーに使ってもらうため、ゲームを有料だけでなく、無料でも楽しめるようにしていると話していた。特定のターゲットやファンに絞るのではなく、全ての世代を対象とした普遍性が、ユーザーの偏りを生むことなく、全国くまなく、かつ若年層に偏らない幅広い会員獲得に繋がっているというのだ。
 乙女ゲームでも同じことが言える。こちらは対象が女性と絞られているが、その広告展開を見ているとゲーム誌などではなく、ゲームとは縁の薄い女性向けファッション誌が対象となっていることが多い。またゲームの内容も、最近では“歴史モノ”など、ややゲーム好きな女性を意識したものが増えてきているが、基本的にファンタジー要素は薄く、“修学旅行”“渋谷”“部活”など現実的なテーマを題材にしたものが多くを占めている。
 もう1つ象徴的な事象として、先のCEDECで開催されていた、スパイシーソフトのセッションを挙げておこう。スパイシーソフトとは、主にアマチュアクリエイターが開発したゲームを配信するポータルサイト「アプリ★ゲット」などを展開している企業だが、現在ここから年収1000万円をかせぐクリエイターが何人か輩出されているという。しかもそのクリエイターが開発したゲームは、ワンキーで操作できる非常にシンプルな内容のものが多く、しかも女子中高生向けファッション誌など、ケータイ・ネイティブ層に向けたメディアを中心に頻繁に取り上げられているというのだ。
調査によって市場規模が10倍も違う?
 ケータイゲームは既存のゲーム機と人気コンテンツの傾向も大きく異なるがゆえ、それを手がける企業もかなり異なっている。ケータイゲームを専門に手がける大手のジー・モードなどはその代表例といえるだろうし、先の例でいえばグリーや、モバゲータウンを展開するDeNAもそもそもゲーム会社ではない。また乙女ゲームもボルテージやザッパラスなど、携帯コンテンツを手がける企業が仕掛けたものだ。
 だがそうした状況ゆえ、既存のゲーム会社との交流機会も薄く、ケータイゲームの存在や動向自体が認知されにくい傾向があるのも事実だ。それを象徴する面白い調査結果を見つけたので、紹介しておこう。
 携帯コンテンツの団体であるモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)発表資料によると、公式サイトで展開している「モバイルゲーム市場」は、2008年で869億円となっている。また、ゲームを提供するSNSサイトなどが展開している「アバター/アイテム販売(SNS等)」を見ると、2008年で157億円となっている。これを単純に合計すると1026億円となり、ケータイゲームの市場はおよそ1000億円と見ることができる。
 しかし一方で、コンシューマーゲーム機の団体であるコンピュータエンターテインメント協会(CESA)が発刊した「2009CESAゲーム白書」によると、2008年の有料携帯電話ゲームコンテンツ市場規模は131億円と推測されている。MCFが発表している数字と比べ10倍、アバター/アイテム販売の額を差し引いても8倍近い開きがあるのだ。
 これだけ大きな違いが生じるのは、それぞれの調査方法の違いが影響しているようだ。両者に確認をとったところ、MCFはキャリアや関連企業などへのヒアリングと、一般的に出回っているデータなどを元に算出しているとのことであった。一方CESAは、ゲーム関連企業からのデータと、ユーザーなどの利用実態などから算出した参考数字であるという。しかしそれぞれの資料を参照する企業は異なってくるため、認識に大きな違いが生まれる可能性は考えられるだろう。
 CEDECの各種講演や、東京ゲームショウにおける動向を見ていると、コンシューマーゲーム機の開発者やユーザーと、ケータイゲームのそれとは依然として大きく乖離していると感じた。コンシューマーゲームの開発者は、ケータイゲームというとiPhoneに熱い視線を注ぐ傾向が強いようだが、それ以前にまだ開拓しきっていない層や市場があるという事実に目を向けてほしいと感じている。
“プリクラ”ってどうなってるの?
 最後にやや余談となるが、ケータイゲーム同様普段なかなか見えにくいが、ケータイ文化と密接な繋がりがあるプリントシール機、いわゆる“プリクラ”についても触れておこう。9月17日から開催されていた「第47回アミューズメントマシンショー」にてプリクラを手がけている企業がいくつか展示していたので、話を聞いてみた。
 筆者は男性である上に、それほど若くないということもあり、残念ながらプリクラ事情について決して明るくはない。それゆえ驚いたのだが、プリクラ市場において大手のアミューズメント機器メーカーの存在感は薄く(プリクラの“元祖”であるアトラスも今年2月に撤退している)、フリューやメイクソフトウェアなど、プリクラを中心に手がける企業が高いシェアを占めているというのだ。しかも東京だけでなく大阪の企業も多いようで、ケータイゲーム同様かなり独自性の強い市場を形成しているといえる。
 プリクラはターゲットとなるのが若い女性であるがゆえ、目を大きく見せる、美白にする、髪にツヤを出すなど、美しく見せる加工を施すのが一般的となっているという。その効果も“抑えめ”“派手め”といったように、メーカーによって個性があるのだそうだ。さらに写真のフレームや、写真の上に押すスタンプなどを見ても、そのセンスはデコメールなど携帯コンテンツの世界に近いものを感じさせる。
 また現在ではシールだけでなく、撮影した写真を携帯電話に送信する仕組みが必須となっており、写真を赤外線やメールで交換したり、ブログに載せたりして活用するケースが多いのだという。機器によっては専用の携帯コンテンツを用意しているケースもあるようで、有料会員登録することでより多くの写真をダウンロードできるようになるなど、コンテンツに誘導して収益を上げるというビジネスも形成されつつあるようだ。
 とはいえ、カメラの性能や加工技術など、技術面は各社ともある程度のレベルに達しており、差別化は難しくなってきているという。それゆえ、人気のあるモデルをキャラクターとして起用したり、“つけまつげ”をおまけに付けたりするなど、ソフト面での差別化が中心となりつつあるようだ。



「給付付き税額控除」検討 首相指示、新政府税調に
 鳩山由紀夫首相は8日発足する新政府税制調査会に出席し、所得税の減税と給付金を組み合わせた「給付付き税額控除」の検討を諮問する。納税者の所得を把握する「納税者番号制度」と一体で将来的な導入を目指す。揮発油税の暫定税率廃止や租税特別措置の見直しなどは2010年度から実施したい考え。10年度の税制改正案は12月中旬にまとめる。民主党が掲げたマニフェスト(政権公約)の具体化が税制面でも動き出す。
 首相官邸で開く初会合では「納税者の視点」に立ち、「公平・透明・納得」の原則を重視する方針を確認。鳩山首相の諮問を受け、短期と中長期の税制論議を始める。(1)法人税関係の租税特別措置の見直し(2)揮発油税の暫定税率の廃止(3)中小企業に適用する法人税の軽減税率引き下げ(18%から11%に)――については、10年度税制改正で実施する方針だ。
“2年縛り解け”ユーザーの獲得で明暗――9月契約数
 電気通信事業者協会(TCA)が10月7日、2009年9月末の携帯・PHS契約数を発表した。携帯電話の累計契約数は1億963万3800。9月はドコモとauが導入した新販売方式の“2年縛り”が最初に解けるタイミングと重なり、これが純増や番号ポータビリティの利用状況にも影響した。
 各キャリアごとの純増数では、10万8000の純増を獲得したソフトバンクモバイルがトップを獲得。同社では、「iPhone 3GSの販売が変わらず好調であることや、ホワイトプランの基本料が最大10カ月無料になる『のりかえ割』が好評」(ソフトバンクモバイル広報)なことから、純増トップを獲得できたと見ている。
 2位は純増10万2300と、ソフトバンクモバイルに肉薄したKDDIが獲得。夏モデルが出そろったことや、月額390円で指定した3件までのauケータイへの国内通話料が24時間無料になる「指定通話定額」が好調に推移し、純増数を伸ばしたという。
 “2年縛り解け”で大きな影響を受けたのがドコモだ。同社は2年前の8月22日に新販売方式を導入し、この9月が契約更新月のタイミングと重なった。「契約更新時期がちょうど今のタイミング。解約が増加して純増数が伸び悩んだ」(NTTドコモ広報)。
 ただ、契約更新時期を迎えるユーザーの数は今をピークに減っていくことから、今後は影響も少なくなると見ている。また、9月中旬から開始した、端末全機種について最大1万5000円を割り引く「チェンジ割」などの施策で巻き返しを図るとしている。
 なお9月には、モバイルWiMAX事業を展開するUQコミュニケーションズが初めて契約数を発表。9月末時点の契約数は2万1700となっている。同社は四半期ごとに契約数を発表する予定で、次回の発表は12月末になる。
 番号ポータビリティの利用状況は、KDDIが1万9600、ソフトバンクモバイルが2万1500件の転入超過で、ドコモが4万1000、イーモバイルが200の転出超過となった。
PHSは4万2200の純減
 データ通信分野で厳しい競争が続いているウィルコムは、PHSが4万2200の純減。WILLCOM CORE 3Gは6900の純増だが、PHSの純減分を補いきれなかった。
 同社は紹介キャンペーンの延長や、高校生を対象とする「新ウィルコム定額プランS」のアピールなどで巻き返したいとしている。



米アマゾン、電子書籍を世界販売 日本含む100カ国以上で
 米アマゾン・ドット・コムは日本を含む世界100カ国以上で電子書籍端末「キンドル」を販売する。価格は279ドル(約2万4800円)で7日から予約を受け付け、19日から出荷する。当初は既に米国で展開している英語の書籍データを配信するが「将来は日本語データも扱いたい」(ジェフ・ベゾス最高経営責任者=CEO)意向。日本の出版社と組んだサービスにも乗り出す考えだ。
 ベゾスCEOが6日、カリフォルニア州で日本経済新聞の取材に答えて明らかにした。販売を始めるのは日本のほかアジアや南米、アフリカなど。予約はアマゾンの米国版通販サイトでできる。



AT&T、iPhoneでネット電話ソフト解禁
 【ニューヨーク=武類雅典】米通信大手AT&Tは6日、米アップルの携帯電話端末「iPhone(アイフォーン)」利用者を対象に、ネット電話ソフトの使用を全面解禁したと発表した。格安のネット電話が広がれば、通話料収入の減少が予想され、利用を制限していた。ただ、米規制当局が問題視したことなどから、従来方針を撤回した。固定に続き、携帯でもネット電話が普及する可能性が出てきた。
 アイフォーンは高機能携帯電話端末「スマートフォン」の代表格。利用者が「スカイプ」などネット電話ソフトを使えば、通常の電話網ではなく、定額のデータ通信網を使って通話時間を気にせず電話できる。その分、通信会社にとっては通常の通話料収入が減少することになる。ネット電話ソフトは無線LAN環境でしか使えなかった。



花王の「エコナ」特保、一時停止も 消費者庁、再審査を検討
 消費者庁は7日、発がん性物質に変化する恐れがある成分が検出された特定保健用食品(特保)の花王の「エコナ」シリーズについて、特保表示の許可を再審査する検討に入った。許可を一定期間、停止することも視野に週内に結論を出す。健康志向の高まりで特保は飲料や食品で急速に広がっているが、再審査の対象になれば初めてのケースとなる。
 特保は体によく、安全性にも問題がないと認められた飲料や食品を国が認定する制度。花王が販売する食用油「エコナクッキングオイル」は1998年に旧厚生省が同省審議会や食品安全委員会の意見を踏まえ、特保表示を許可した。関連商品10品が特保許可を受け販売されている。



特許侵害の訴え、トヨタHV調査へ…米貿易委
 【ニューヨーク=池松洋】米国際貿易委員会(ITC)は6日、トヨタ自動車のハイブリッド車が特許侵害にあたるとして輸入と米国内販売の差し止めを求めた米企業の訴えを受けて、調査を始めると発表した。
 45日以内に判断の期日を決める。ITCの判断次第では、ハイブリッド車に力を入れるトヨタの事業戦略に影響が出る可能性もある。
 ハイブリッド車の技術開発を手掛けるペイス社(フロリダ州)が9月上旬、トヨタが関税法に違反していると訴えていた。
 トヨタはITCの発表を受け、「ペイスがテキサス州の連邦地裁で起こした同様の訴えは退けられている。トヨタはハイブリッド技術について数多くの特許を持っており、ペイス社の申し立てには抗弁できる」とのコメントを発表した。



東方神起、シングル&DVD作品がオリコンダブル週間1位
 目下勢いの止むことがない東方神起。今度はオリコンのウィークリーCDランキングとDVDランキングの同時第1位を達成した。
 まず、9月30日発売のDVD『4th LIVE TOUR 2009 ~The Secret Code~ FINAL in TOKYO DOME』は、17.1万枚を売り上げて10月12日付オリコンウィークリー総合DVDランキングで1位を獲得。この記録は日本を除くアジア出身のアーティストとしては史上初となる。7月に行なわれた<東京ドーム2DAYS>の余韻が、3ヵ月経った今もファンの間では続いているという状況の現れだろう。
 また、同日発売となった、東方神起メンバーのジェジュンとユチョンのスペシャル企画ユニット、JEJUNG & YUCHUN (from 東方神起)名義のシングル「COLORS ~Melody and Harmony~ / Shelter」も、オリコンウィークリーシングルランキングで1位を獲得。DVDとシングルのダブル1位という、東方神起史上最高の滑り出しとなっている。



Microsoftの「Windows Phone」、搭載端末が世界各地で発売
 米Microsoftは6日、Windows Mobileを搭載したスマートフォンの新ブランドとして「Windows Phone」を正式発表し、搭載端末が世界各地で発売された。
 「Windows Phone」には、「My Phone」と「Windows Marketplace for Mobile」という2つの主要な新機能がある。
 「My Phone」は、無料サービスと有料サービスに分かれる。無料サービスでは、アドレス帳や写真、文書などを、パスワードで保護されたインターネット上のストレージにバックアップできる。また、Windows Live、Facebook、MySpace、Flickrに直接写真を投稿することも可能。
 「Windows Marketplace for Mobile」は、Windows Mobile対応アプリケーションを無料・有料でダウンロードするためのマーケットプレイスだ。6日の発表時点で246のアプリケーションが登録されており、さらに753のベンダーがアプリケーションを開発中だという。すべての有料アプリケーションはMicrosoftによって動作認定を受けており、指定手続きを経て返品も可能だ。
 Microsoftでは、「Windows Phone」を発売するキャリアの一覧を公開している。以前の発表では日本国内のキャリアも掲載されていたが、今回の発表文の中では、特に日本国内の具体的な発売予定は明らかにされていない。ただし、国名・キャリア名を挙げずに“オープンマーケット”で販売される端末として紹介されているものもあり、アジアではHTCやSamsung、LGなどの製品が掲載されている。



西日本初の物流拠点開設 書店業界はアマゾンに戦々恐々(COLUMN)
インターネット通販のアマゾンジャパンが、日本国内の物流拠点としては3カ所目、西日本としては初めての物流センターを大阪府堺市に開設した。従来のアマゾンの国内物流拠点は千葉県の市川市と八千代市の2カ所だけだったが、新たに関西国際空港に近い堺市に物流センターが生まれた効果は、近畿はじめ西日本のユーザーにとって決して小さくない。
当日中に届くサービスが近畿6府県でもスタート
午前中にネットで注文し、在庫がある商品ならば当日中に届く「当日お急ぎ便」と呼ばれるサービスが、大阪、京都、兵庫など近畿6府県でもスタートしたからだ。これまで同サービスは東京、神奈川、埼玉など1都6県に限られていた。ネットユーザーの利便性が高まる一方で、大阪府を始めとする近畿の書店業界などは、アマゾンの西日本進出に脅威を感じているようだ。
アマゾンは書籍を中心に、その在庫の多さと低価格、ネットで全国から24時間注文できる利便性を武器に、2000年11月の日本上陸以来、飛躍的に売り上げを伸ばしてきた。扱う商品もこの9年間で順次拡大し、現在は書籍やCD、DVD、ゲームソフトなどメディア商品のほか、家電製品、食品・飲料、衣料品、化粧品など20のストア(専用サイト)を開設。「1700万点を超える豊富な品揃え」をアピールしている。アマゾンはライバルと目される日本国内最大のネットショップ、楽天市場と異なり、自社で在庫を抱え、注文を受けた商品を倉庫から宅配するビジネスモデルを採用している。そのアマゾンの豊富な在庫を支え、消費者に迅速に商品を発送する拠点が、2009年8月、西日本にも完成したというわけだ。
アマゾンは現在、米国、英国、ドイツ、フランス、日本、カナダ、中国の7カ国でネットショップを展開しており、この7カ国のサイトから200カ国以上のユーザーに商品を宅配している。アマゾンは1995年の米国での創業後、右肩上がりで売上高が伸び続け、08年度の世界全体の売上高は192億ドル(1兆7000億円)。世界に約9400万人以上のユーザーを抱えている。
「近畿の『町の本屋』は廃業に追い込まれる」
今回、成田空港に近い千葉県の2カ所に加え、関空に近い堺市に物流拠点を構えたのは、近畿圏など大消費地のユーザーに迅速に商品を供給することだけが目的ではない。「アジアなど日本人が多い地域では様々な商品の需要が見込まれるため、関空からの輸出も積極的に行いたい」(アマゾンジャパン幹部)という戦略もあるという。海外の商品を国内に輸入し、ユーザーの様々な嗜好に応える幅広い商品を揃える意味ももちろん大きい。
今回の物流拠点の稼働は、ネットユーザーにとっては朗報だが、大阪府を始めとする近畿の書店にとっては脅威のようだ。アマゾンは早稲田大学の学生やOBが「早稲田カード」を利用して書籍を購入した場合、代金を8%割り引くサービスを行っているが、中小出版業界や書店業界が「アマゾンの割引を容認していると、書籍の値引き販売がなし崩し的に広がりかねない」「本をインターネットで買えば10%引きなどという事態になれば、誰も書店で本を買う人はいなくなる」などと、懸念を表明している。
今回、アマゾンの物流センターが堺市で稼働したことについても、「アマゾンが近畿でも即日配送などの攻勢をかければ、大阪はじめ、近畿の『町の本屋』は廃業に追い込まれる」との警戒感が書店関係者の間では根強い。今後、書店業界などが何かしらのアクションを起こすことも予想され、事態の推移が注目される。
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