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ドコモの新機種、苦手の若い女性ユーザー層にもリーチ(COLUMN)
2年前に「905iシリーズ」が大ヒットしたNTTドコモ。当時導入された割賦販売制度によってユーザーの多くは2年間の分割払いに縛られてきたが、その「2年縛り明け」が近い。今冬から来春にかけてNTTドコモはどのような商品戦略で臨もうとしているのか。
NTTドコモは10日、2009年度冬春モデル19機種と新サービスを発表した。新機種のなかでも、とりわけ脚光を浴びたのが富士通製端末だ。
■新たな使い方提案するセパレートケータイ
プライムシリーズの「F-04B」は、昨年の展示会で参考出展したセパレート型のコンセプトモデルを見事に製品化したものだ。
タッチパネルを備えるディスプレー部分とキーボード部分がワンタッチで分離され、画面を操作しながら通話したり、画面を机の上に置いて手元でフルキーボードを使って文字を打ったりと、様々な使い方が考えられる。カメラは12メガピクセル。ワンセグやおサイフケータイなどあらゆる機能を詰め込み、スペック的に妥協がない点も評価できる。
もちろん2つの筐体を重ね合わせれば、通常のスライド端末としても使える。「昨年参考出展したモデルはマグネットで2つの筐体をつなげていたが、磁気が本体に影響を与える問題があった。それでは製品化が困難なため、スイッチ式の接合部を設けた」(富士通開発担当者)という。
ディスプレー部側にアンテナ、ワンセグ受信部、SIMカードスロット、おサイフケータイ、バッテリーなどすべての機能を納めている。そのためキーボード部分よりもかなり重く、スライド端末として使うと若干バランスが悪い。それぞれの筐体にバッテリーを備え、全体としてやや重い点も気になるが(片方のバッテリーが消耗したら、もう一方から補完充電できる機能がある)、新たな使い方を提案しているだけに、かなり人気が出そうだ。
富士通の他の3機種はいずれも防水機能を備える。「F-01B」は12メガカメラとタッチパネル、「F-02B」は香水をつけられる機構を搭載する。「F-03B」は13.9ミリと薄型で高級感を訴求するなど、それぞれターゲットをしっかりと絞り込んでいる。
■「難関」企画を実現したシャープ
一方、「SH-01B」で12メガカメラ、「SH-03B」でQWERTY配列のキーボードを搭載するなどハイスペック路線を維持しながら、若い女性向けにも力を入れたのがシャープだ。
「SH-04B」では、背面が溶け出したチョコレートそっくりという大胆なデザインを採用した。底面部分もチョコレートの包み紙をモチーフにしたデザインになっており、世界観の徹底ぶりは半端ではない。
「SH-05B」では、雑誌「セブンティーン」の人気モデルとコラボレーションし、3色用意した本体カラーがいずれもピンクという常識外れの商品展開を実現させた。
NTTドコモのデザイン担当者は「SH-05Bのピンク3色はスタイルシリーズの特徴を象徴的に示したという意味もある。NTTドコモは若い女性層へのアプローチが苦手ということもあり、逆に製品化にゴーサインが出やすかった」という。
チョコレートデザインのSH-04Bは限定1万3000台と携帯電話の生産ロット数としてはあり得ないほどの少量生産だ。また、ピンク3色というカラー展開は、他のメーカーやキャリアでも一度は「企画書」として上がるが、開発担当者に確信があっても上層部のOKが出ずに断念する定番アイデアでもある。
そんな難題であっても、いまのNTTドコモとシャープという最強の組み合わせであれば、多少の障害はものともせずに製品化にこぎつけられるようだ。
■初のサムスン端末は高スペック志向
今回の発表では、韓国サムスン電子が初めてNTTドコモ向けに端末を投入することも注目された。
「SC-01B」はマイクロソフトの最新OS「Windows Mobile6.5」を搭載するQWERTYキーボードのスマートフォンだ。ソフトバンクモバイル向けにも似たようなデザインのスマートフォンを供給するが、NTTドコモ向けは画面部分がタッチパネルになっている。
また、搭載するWindows Mobile6.5のエディションも「プロフェッショナル」である(ソフトバンクモバイル向けは「スタンダード」)。「ドコモのユーザーは、スマートフォンに高いスペックを求める傾向が強い」(サムスン関係者)というスタンスが、供給する端末のバージョンの違いに表れているのだろう。
■GPS連携で「iコンシェル」改善
一方、新サービスでは、移動中に5分間隔で位置情報を自動的に取得してネットワークに送信する「オートGPS」機能が面白そうだ。情報提供サービスの「iコンシェル」と連携し、居場所に合わせて電車の運行状況や天気、観光・グルメ情報などを適切にユーザーに通知できるようになるという。
NTTドコモの山田隆持社長は、昨年の就任当初から携帯電話による「行動支援サービス」に力を入れると語っていた。「アラジンの魔法のランプ」のようにユーザーの願いを叶えてくれる存在、というわけだ。
これまでのiコンシェルは住所や興味のあることなどを登録しておくと、関連する情報が降ってくるという単純な仕組みだった。実際に使ってみると、例えば登録した電車の路線で遅延が発生すれば、路線の近くにいなくても立て続けに遅延情報を送ってくる。あまりのうるささに、「ひつじのしつじ」という画面上のキャラクターがコンシェルジュというより「電車の時刻表マニア」に思えてしまうほどだ。
だが、オートGPS機能の採用により、今後はより最適な情報を配信できるようになるだろう。終電アラームや局地的な降雨をカバーする気象情報なども配信するという。
■フェムトセルはまだ様子見でいい?
NTTドコモのもう1つの目玉が、「マイエリア」だ。ついにフェムトセル基地局が実用化され、自宅に基地局を設置できるようになる。
ただし、そのメリットは今のところ、「自宅で高速パケット通信ができる」「家族が自宅にいることを確認できる『イマスカ機能』が使える」という2つしかない。今後は自宅内の家電を操作するといったことができるようになるだろうが、現状では月額980円(「ファミ割MAX50」などを組み合わせると半額)を支払うまでのサービスには至っていないように感じる。
しかも、フェムトセルは法律上「基地局」として取り扱われ、申し込みから利用開始まで約6週間かかるという。申し込み後、ドコモの調査員が自宅に来て電波の環境を確認した後、総務省に手続きを行い、再度、自宅に作業員が来て、基地局を設置するという流れ。実際にユーザーがやる作業はほとんどないのだが、設置に伴う手続きに4週間の期間が必要なため、これだけの時間がかかってしまう。
また、基地局であるため、ユーザーが引っ越しする際もフェムトセルを新居に勝手に持って行くことができない。移転する際は同じく、手続きが必要になるとされている。導入に時間がかかる割にはメリットが少ない「マイエリア」は、サービス内容がより拡充されるまで様子見でもいいかもしれない。
■3キャリアの勝負はどうなる
NTTドコモの発表により、主要3キャリアの冬から春にかけてのラインアップが出そろった。
NTTドコモに関しては、やはり幅広いユーザー層をしっかりと網羅しているように思える。セパレートタイプのF-04Bは、かつて90Xシリーズを好んで買っていた機能やスペック重視のユーザーに響く商品に仕上がっているし、シャープの若い女性向け商品は、ドコモがこれまで不得意としてきたユーザー層を振り向かせるだけの魅力がある。
2年前に「P905i」が大ヒットした経験から抜け出せないパナソニックモバイルコミュニケーションズは今回も「P-01B」で同じようなWオープンスタイルを出してきた。
ユーザーは保守的で同じスタイルや操作性を選ぶ傾向が強いと言われる。P-01Bはヒンジ部分がスッキリとし、テンキー部分がタッチパッドになるなど着実に進化している。ただ、パナソニックの場合、もう少し攻めの姿勢が出てもいいのではないかとも感じる。折りたたみを主力とするNECも同様だ。
その点、富士通は薄型でも防水にし、デザイン面でも力を入れるなど、パナソニックやNECのユーザー層の興味を引く商品となっている。さらなるシェア変動があってもおかしくない状況だろう。
NTTドコモと同じ10日に発表したソフトバンクモバイルは、「無線LAN」という独自の戦略に打って出たが、ネットワークのトラフィックを回避させる意味合いが強く、料金的なメリットも少ない。ユーザーがどこまで魅力を感じるかは未知数だ。無線LAN対応の高スペックモデルよりも、パナソニックやシャープが手がける低価格モデルの方が間違いなく売れるはずであり、今後も「iPhone」と低価格モデルという2極化が進んでいきそうだ。
すでに商品が店頭に並んでいるKDDI(au)は、カシオ計算機とシャープ製が主力で、そこに京セラやソニー・エリクソンがどれだけ食い込んでくるかが見どころだろう。他の2社と比べると、新規顧客を獲りにいくという姿勢が相対的に薄く、既存のauユーザーに機種変更したいと思わせる「守り」に重きを置いた商品群といえるだろう。
■他社から顧客を奪える強力モデルは一握り
端末メーカーのマルチキャリア展開が一般的になるなか、他キャリアからユーザーを獲ってこられるほど強力で個性的モデルは、全体を見渡しても富士通のF-04B、アップルの「iPhone 3GS」くらいだろう。
KDDIに限らず各キャリアとも、かつてのように「他社から顧客を奪う」ラインアップを組むのではなく、「いかに既存顧客を他社に逃さないようにするか」を優先した端末作りに傾斜しているように感じる。
2年前に「905iシリーズ」が大ヒットしたNTTドコモ。当時導入された割賦販売制度によってユーザーの多くは2年間の分割払いに縛られてきたが、その「2年縛り明け」が近い。今冬から来春にかけてNTTドコモはどのような商品戦略で臨もうとしているのか。
NTTドコモは10日、2009年度冬春モデル19機種と新サービスを発表した。新機種のなかでも、とりわけ脚光を浴びたのが富士通製端末だ。
■新たな使い方提案するセパレートケータイ
プライムシリーズの「F-04B」は、昨年の展示会で参考出展したセパレート型のコンセプトモデルを見事に製品化したものだ。
タッチパネルを備えるディスプレー部分とキーボード部分がワンタッチで分離され、画面を操作しながら通話したり、画面を机の上に置いて手元でフルキーボードを使って文字を打ったりと、様々な使い方が考えられる。カメラは12メガピクセル。ワンセグやおサイフケータイなどあらゆる機能を詰め込み、スペック的に妥協がない点も評価できる。
もちろん2つの筐体を重ね合わせれば、通常のスライド端末としても使える。「昨年参考出展したモデルはマグネットで2つの筐体をつなげていたが、磁気が本体に影響を与える問題があった。それでは製品化が困難なため、スイッチ式の接合部を設けた」(富士通開発担当者)という。
ディスプレー部側にアンテナ、ワンセグ受信部、SIMカードスロット、おサイフケータイ、バッテリーなどすべての機能を納めている。そのためキーボード部分よりもかなり重く、スライド端末として使うと若干バランスが悪い。それぞれの筐体にバッテリーを備え、全体としてやや重い点も気になるが(片方のバッテリーが消耗したら、もう一方から補完充電できる機能がある)、新たな使い方を提案しているだけに、かなり人気が出そうだ。
富士通の他の3機種はいずれも防水機能を備える。「F-01B」は12メガカメラとタッチパネル、「F-02B」は香水をつけられる機構を搭載する。「F-03B」は13.9ミリと薄型で高級感を訴求するなど、それぞれターゲットをしっかりと絞り込んでいる。
■「難関」企画を実現したシャープ
一方、「SH-01B」で12メガカメラ、「SH-03B」でQWERTY配列のキーボードを搭載するなどハイスペック路線を維持しながら、若い女性向けにも力を入れたのがシャープだ。
「SH-04B」では、背面が溶け出したチョコレートそっくりという大胆なデザインを採用した。底面部分もチョコレートの包み紙をモチーフにしたデザインになっており、世界観の徹底ぶりは半端ではない。
「SH-05B」では、雑誌「セブンティーン」の人気モデルとコラボレーションし、3色用意した本体カラーがいずれもピンクという常識外れの商品展開を実現させた。
NTTドコモのデザイン担当者は「SH-05Bのピンク3色はスタイルシリーズの特徴を象徴的に示したという意味もある。NTTドコモは若い女性層へのアプローチが苦手ということもあり、逆に製品化にゴーサインが出やすかった」という。
チョコレートデザインのSH-04Bは限定1万3000台と携帯電話の生産ロット数としてはあり得ないほどの少量生産だ。また、ピンク3色というカラー展開は、他のメーカーやキャリアでも一度は「企画書」として上がるが、開発担当者に確信があっても上層部のOKが出ずに断念する定番アイデアでもある。
そんな難題であっても、いまのNTTドコモとシャープという最強の組み合わせであれば、多少の障害はものともせずに製品化にこぎつけられるようだ。
■初のサムスン端末は高スペック志向
今回の発表では、韓国サムスン電子が初めてNTTドコモ向けに端末を投入することも注目された。
「SC-01B」はマイクロソフトの最新OS「Windows Mobile6.5」を搭載するQWERTYキーボードのスマートフォンだ。ソフトバンクモバイル向けにも似たようなデザインのスマートフォンを供給するが、NTTドコモ向けは画面部分がタッチパネルになっている。
また、搭載するWindows Mobile6.5のエディションも「プロフェッショナル」である(ソフトバンクモバイル向けは「スタンダード」)。「ドコモのユーザーは、スマートフォンに高いスペックを求める傾向が強い」(サムスン関係者)というスタンスが、供給する端末のバージョンの違いに表れているのだろう。
■GPS連携で「iコンシェル」改善
一方、新サービスでは、移動中に5分間隔で位置情報を自動的に取得してネットワークに送信する「オートGPS」機能が面白そうだ。情報提供サービスの「iコンシェル」と連携し、居場所に合わせて電車の運行状況や天気、観光・グルメ情報などを適切にユーザーに通知できるようになるという。
NTTドコモの山田隆持社長は、昨年の就任当初から携帯電話による「行動支援サービス」に力を入れると語っていた。「アラジンの魔法のランプ」のようにユーザーの願いを叶えてくれる存在、というわけだ。
これまでのiコンシェルは住所や興味のあることなどを登録しておくと、関連する情報が降ってくるという単純な仕組みだった。実際に使ってみると、例えば登録した電車の路線で遅延が発生すれば、路線の近くにいなくても立て続けに遅延情報を送ってくる。あまりのうるささに、「ひつじのしつじ」という画面上のキャラクターがコンシェルジュというより「電車の時刻表マニア」に思えてしまうほどだ。
だが、オートGPS機能の採用により、今後はより最適な情報を配信できるようになるだろう。終電アラームや局地的な降雨をカバーする気象情報なども配信するという。
■フェムトセルはまだ様子見でいい?
NTTドコモのもう1つの目玉が、「マイエリア」だ。ついにフェムトセル基地局が実用化され、自宅に基地局を設置できるようになる。
ただし、そのメリットは今のところ、「自宅で高速パケット通信ができる」「家族が自宅にいることを確認できる『イマスカ機能』が使える」という2つしかない。今後は自宅内の家電を操作するといったことができるようになるだろうが、現状では月額980円(「ファミ割MAX50」などを組み合わせると半額)を支払うまでのサービスには至っていないように感じる。
しかも、フェムトセルは法律上「基地局」として取り扱われ、申し込みから利用開始まで約6週間かかるという。申し込み後、ドコモの調査員が自宅に来て電波の環境を確認した後、総務省に手続きを行い、再度、自宅に作業員が来て、基地局を設置するという流れ。実際にユーザーがやる作業はほとんどないのだが、設置に伴う手続きに4週間の期間が必要なため、これだけの時間がかかってしまう。
また、基地局であるため、ユーザーが引っ越しする際もフェムトセルを新居に勝手に持って行くことができない。移転する際は同じく、手続きが必要になるとされている。導入に時間がかかる割にはメリットが少ない「マイエリア」は、サービス内容がより拡充されるまで様子見でもいいかもしれない。
■3キャリアの勝負はどうなる
NTTドコモの発表により、主要3キャリアの冬から春にかけてのラインアップが出そろった。
NTTドコモに関しては、やはり幅広いユーザー層をしっかりと網羅しているように思える。セパレートタイプのF-04Bは、かつて90Xシリーズを好んで買っていた機能やスペック重視のユーザーに響く商品に仕上がっているし、シャープの若い女性向け商品は、ドコモがこれまで不得意としてきたユーザー層を振り向かせるだけの魅力がある。
2年前に「P905i」が大ヒットした経験から抜け出せないパナソニックモバイルコミュニケーションズは今回も「P-01B」で同じようなWオープンスタイルを出してきた。
ユーザーは保守的で同じスタイルや操作性を選ぶ傾向が強いと言われる。P-01Bはヒンジ部分がスッキリとし、テンキー部分がタッチパッドになるなど着実に進化している。ただ、パナソニックの場合、もう少し攻めの姿勢が出てもいいのではないかとも感じる。折りたたみを主力とするNECも同様だ。
その点、富士通は薄型でも防水にし、デザイン面でも力を入れるなど、パナソニックやNECのユーザー層の興味を引く商品となっている。さらなるシェア変動があってもおかしくない状況だろう。
NTTドコモと同じ10日に発表したソフトバンクモバイルは、「無線LAN」という独自の戦略に打って出たが、ネットワークのトラフィックを回避させる意味合いが強く、料金的なメリットも少ない。ユーザーがどこまで魅力を感じるかは未知数だ。無線LAN対応の高スペックモデルよりも、パナソニックやシャープが手がける低価格モデルの方が間違いなく売れるはずであり、今後も「iPhone」と低価格モデルという2極化が進んでいきそうだ。
すでに商品が店頭に並んでいるKDDI(au)は、カシオ計算機とシャープ製が主力で、そこに京セラやソニー・エリクソンがどれだけ食い込んでくるかが見どころだろう。他の2社と比べると、新規顧客を獲りにいくという姿勢が相対的に薄く、既存のauユーザーに機種変更したいと思わせる「守り」に重きを置いた商品群といえるだろう。
■他社から顧客を奪える強力モデルは一握り
端末メーカーのマルチキャリア展開が一般的になるなか、他キャリアからユーザーを獲ってこられるほど強力で個性的モデルは、全体を見渡しても富士通のF-04B、アップルの「iPhone 3GS」くらいだろう。
KDDIに限らず各キャリアとも、かつてのように「他社から顧客を奪う」ラインアップを組むのではなく、「いかに既存顧客を他社に逃さないようにするか」を優先した端末作りに傾斜しているように感じる。
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ソーシャルゲームが促すゲーム業界の1つの時代の終焉(COLUMN)
11月9日、世界のゲーム産業の行方に大きな影響を与えるだろう2つの企業買収が発表された。その1つが、「Facebook」に代表されるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)向けにソーシャルゲームを展開する英Playfishを、ゲーム業界大手の米エレクトロニックアーツ(EA)が3億ドルで買収したという発表だ。
もう1つは、「iPhone」などのスマートフォンを中心とする携帯電話向け広告サービスで急成長している米AdMobを、米グーグルが7億5000万ドルで買収するという発表である。
何よりも驚かされるのは、新市場の拡大とともに企業が成長する速度感だ。Playfishの設立は07年、AdMobは06年。どちらも、設立3年以下にも関わらず、買収額は驚くほど高額だ。
両企業とも、日本市場との関わりがまだあまりないため、その意味がわかりにくい。今回は、Playfish買収の背景と影響を考える。
■Facebookのアプリ戦略で急成長
Facebookは04年のサービス開始からわずか5年で、3億人ものアクティブユーザーを持つまでの規模に拡大した。Playfishは、07年にFacebookがオープンソーシャルアプリ化戦略を開始した際に、いち早くゲームを展開して成功を収めた1社である。
Playfishのゲームコンテンツは、アドビシステムズのFlashをベースにウェブのみで完結するため、Flashに対応するプラットフォームが登場するたびにアプリ提供の市場が広がった。最近では「MySpace」などのSNSのほか、iPhoneや米グーグルの携帯プラットフォーム「Android(アンドロイド)」など携帯向けにも進出している。
ゲームメディアInside Social Gamesによると、Playfishのタイトルは12日現在で5980万人のユーザーが遊んでおり、ここ2カ月間だけで1000万人以上の新規ユーザーを獲得した。1位のZyngaの1億8700万人には大きく水をあけられているが、Facebookにアプリを展開しているゲーム会社の中では2位に付ける。
現在は10タイトルのゲームがあり、いずれも数百万人規模で遊ばれている。最も人気があるのは、2165万人のユーザーを集める「Pet Society」だ。ペットを育てるゲームで、基本的なプレーは無料。キャラクターのアイテムなどを販売するアイテム課金方式で収益を上げている。
■チープなゲームが人気を集める理由
Playfishのゲームは決して質が高いとはいえない。ゲームに目の肥えたユーザーから見ると、何でこんな大したことのないゲームが、6000万人近い数のユーザーに遊ばれているのかと、首をかしげたくなるようなゲームだらけだ。チープなグラフィック、できることの制限の多さ、ゲームとしての完成度の低さなど、あげつらえばきりがない。
しかし鍵となるのは、FacebookというSNSとひも付けされて、自分の友だちを巻き込めば巻き込むほど、キャラクターのポイントが増えるなどのメリットが得られる「ネズミ講」的な性質にある。
ユーザーはゲームのなかで他のプレーヤーに対し、自分のペットと会ってくれるようにお願いしたり、アイテムをプレゼントしてお返しに何かをもらったりという形で遊ぶ。ゲームを通じて他のユーザーとコミュニケーションすることが前提のシステムとなっている。
これらのゲームは一人で遊んでも、あまり面白いものではない。既存の家庭用ゲーム機で一般的なゲーム文法とは異なり、大規模オンラインRPGのようなタイプとも違っている。既存の方法論で作られたゲームは、Facebookではそれほどヒットしない。
しかし、チープなゲームであっても急成長するこの分野に着目して買収に踏み切ったのが、業績面で苦しみ始めたEAだったというわけだ。
これは、かなり皮肉めいている。Playfishのクリスチアン・セゲルストレールCEOは巨大化した家庭用ゲーム機向け市場には将来性がないと断言しており、昨年11月にロンドンで行われたセミナーでは「EAは死にかけた恐竜だ」とまで言っていたからだ。
■家庭用ゲーム機向けから軸足移すEA
9日の買収発表と同時に発表されたEAの09年7~9月期決算は、純損失3億9100万ドルと振るわなかった。ジョン・リッチェルトCEOは、決算発表のなかで「パッケージソフトの年間販売は、北米で12%、欧州で13%減少する」と厳しく予想している。
一方で、携帯電話、アイテム課金型、月額課金型、広告型といった新たなデジタルビジネスについては、今後数年間は年率20%かそれ以上で成長するとの予測を示し、「EAとしてのあり方を明快にしなければならない」と語った。 これらの新規市場が世界のゲーム産業に占める割合は、「5年前には10%以下だと考えていたが、現在は35%と見積もっている」とも述べた。EAはこうした市場の変化を受け、大型タイトルを除くゲームの開発を事実上凍結し、来年3月末までに世界で1500人のスタッフを削減するという。これにより年間1億ドルの経費を削減する。
この大規模なリストラを通じて「企業を変換させる」(リッチェルトCEO)ために、目玉として打ち出したのがPlayfish買収だったようだ。
■3億ドルの買収金額は高いか安いか
EAは、もともとM&Aを通じて大きくなってきた企業だ。
過去には世界初の大規模オンラインRPG「ウルティマオンライン」を開発したOriginや、「シムシティ」を持つMaxisを買収している。最近も、07年には「バトルフィールド」シリーズを持つD.I.C.E.を2300万ドル、北米のRPGのトップ企業Biowareを8億6000万ドルで買収した。08年には「グランドセプトオート」シリーズを持つTake-Two Interactive Softwareを、20億ドルをかけて株式公開買い付けで買収しようと試みて、断念している。
その一方、買収したがその後に収益が上がらないスタジオは、即解散させてしまうという側面があることも知られている。EAは今回の決定で、中小型のタイトル開発を100本規模で中止するつもりと考えてよい。
では、Playfishはそれを補う以上の戦力となりうるのか。高成長が期待できるとはいえ3億ドルという買収金額は高すぎる気もするが、逆に安いと指摘するアナリストもいる。
Game Briefのニコラス・ロベル氏は、「Playfishが今年7500万ドルの売上高を上げる」との最新の噂を引用しつつこう分析している。
7500万ドルをプレーヤー(5000万人で計算)一人あたりに換算すると年1.5ドルになる。仮に料金を払うユーザーがもっと少なく全体の5%だと見積もると、一人あたりで年30ドル、月間では2.5ドル。これだけで7500万ドルに到達する。この計算は妥当といえないか?
約6000万人というユーザー数はそれほどの価値を持つのだ。3億ドルを投資しても十分回収できると、EAは皮算用しているのだろう。
■ゲーム業界の1つの時代が終わる
EAは企業戦略を決定的に変えた。パッケージ型の家庭用ゲーム機向けの急回復は短期的にはないと見切り、ネットワークサービスを中心とした事業を収益の柱にすべく事業構造をシフトさせると決断したのだ。
これは、家庭用ゲーム機市場に大きなインパクトを与えるだろう。EAのラインアップは今後、多様性がなくなり続編ものへのさらなる依存が進むと予想される。それは家庭用ゲーム機市場の魅力をさらに薄れさせ、新規ユーザーの流入を減らす結果を引き起こすはずだ。
ゲーム業界が1つの時代から別の時代に変わろうとする動きが決定的な形で表に出始めた。
10月の米ゲーム関連売り上げは19%減 ゲーム機値下げの効果薄
10月の米国のビデオゲーム機器・ソフトの売り上げは19%減少して10億7000万ドルとなった。業界が1年で最も重要な商戦に向かう中で、悩ましい数字だ。調査会社NPDが11月12日に報告した。
ビデオゲームはかつて不況の影響を受けにくいと考えられていたが、この1年は厳しい状況にある。以前好調だった音楽ゲーム分野は衰退し、支出を切り詰める消費者にお金を出させるような人気作はほとんど出ていない。
10月の米ゲーム機売り上げが23%減少したことから分かるように、家庭用ゲーム機の値下げもほとんど影響しなかった。
「消費者がまだ戻ってきていないのは明らかだ」と投資会社Wedbush Morganのアナリスト、マイケル・パッチャー氏は語る。「ゲームソフトは良かったが、ハードの売れ行きは驚くほど低調だ」
月間販売台数では、任天堂のWiiが1位に返り咲いた。先月はソニーのプレイステーション 3(PS3)が1位に急浮上した。
Wiiの10月の米国での販売台数は50万7000台で、それにPS3(販売台数32万1000台)、MicrosoftのXbox 360(25万台)が続く。ソニーは、前年比で伸びているゲーム機はPS3だけだと主張している。
それでもビデオゲーム業界には明るい材料もある。Activision Blizzardは12日、「Call of Duty:Modern Warfare 2」が発売初日に記録的な売り上げを達成したと発表した。
5歳と7歳の声で音声読み上げ 「VOICEROID 月読アイ」「ショウタ」
ソフトウェアの開発などを行うAHS(東京都台東区)は、5歳の少女の声でテキストを読み上げる音声合成ソフト「VOICEROID 月読アイ」と、7歳の少年の声の「VOICEROID 月読ショウタ」を12月4日に発売する。各9800円。2本セットの「VOICEROID 月読ショウタ 妹パック(アイちゃん付き)」は1万7800円。
エーアイが開発した音声合成エンジン「AI Talk」を活用。子どもの声をベースにした合成音声で「驚くほど自然に話す」という。
ソフトバンクが電報参入 「115番」利用、NTTに対抗
ソフトバンクが電報事業に参入する。総務省の認可が下り次第、早ければ2010年早々にサービスを始める。新サービスは同社電話サービスの利用者が「115番」に電話をかけるだけで使える点が特徴。NTT以外の事業者で115番を使った電報サービスを提供するのはソフトバンクが初めて。安価な料金を打ち出してNTT独占の現状に風穴を開ける。
電報サービスの市場規模は現在、約520億円。ピーク時に比べて大幅に減少したが、企業を中心に慶弔用などで底堅い需要がある。03年4月の信書便法施行により、現在はNTT以外にもKDDI子会社など12社の事業者が電報サービスを提供しているが、NTTが依然として9割強のシェアを握る。
ソニー、データ拠点集約 15年メド、世界2大センターに
ソニーは社内情報システムの運用拠点を集約する。現在は世界の約60拠点で生産管理や製品の受発注などに関連したデータを管理している。2015年をメドにアジアと欧米で大規模なデータセンターを1つずつ整備し、各地の機能を統合する。インターネット経由で必要なソフトを活用する「クラウドコンピューティング」の登場を機に、社内情報システムを再構築する動きが今後広がりそうだ。
アジアではシンガポールに開設した大規模データセンターを活用して域内の拠点に分散している機能を集約する。日本では東京都と愛知県の拠点を12年3月までに閉鎖して機能を移管。中国、インド、東南アジアなどの機能も段階的に移し、現在は約40カ所あるデータセンターやサーバールームを10年代半ばまでに原則1カ所に減らす。
11月9日、世界のゲーム産業の行方に大きな影響を与えるだろう2つの企業買収が発表された。その1つが、「Facebook」に代表されるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)向けにソーシャルゲームを展開する英Playfishを、ゲーム業界大手の米エレクトロニックアーツ(EA)が3億ドルで買収したという発表だ。
もう1つは、「iPhone」などのスマートフォンを中心とする携帯電話向け広告サービスで急成長している米AdMobを、米グーグルが7億5000万ドルで買収するという発表である。
何よりも驚かされるのは、新市場の拡大とともに企業が成長する速度感だ。Playfishの設立は07年、AdMobは06年。どちらも、設立3年以下にも関わらず、買収額は驚くほど高額だ。
両企業とも、日本市場との関わりがまだあまりないため、その意味がわかりにくい。今回は、Playfish買収の背景と影響を考える。
■Facebookのアプリ戦略で急成長
Facebookは04年のサービス開始からわずか5年で、3億人ものアクティブユーザーを持つまでの規模に拡大した。Playfishは、07年にFacebookがオープンソーシャルアプリ化戦略を開始した際に、いち早くゲームを展開して成功を収めた1社である。
Playfishのゲームコンテンツは、アドビシステムズのFlashをベースにウェブのみで完結するため、Flashに対応するプラットフォームが登場するたびにアプリ提供の市場が広がった。最近では「MySpace」などのSNSのほか、iPhoneや米グーグルの携帯プラットフォーム「Android(アンドロイド)」など携帯向けにも進出している。
ゲームメディアInside Social Gamesによると、Playfishのタイトルは12日現在で5980万人のユーザーが遊んでおり、ここ2カ月間だけで1000万人以上の新規ユーザーを獲得した。1位のZyngaの1億8700万人には大きく水をあけられているが、Facebookにアプリを展開しているゲーム会社の中では2位に付ける。
現在は10タイトルのゲームがあり、いずれも数百万人規模で遊ばれている。最も人気があるのは、2165万人のユーザーを集める「Pet Society」だ。ペットを育てるゲームで、基本的なプレーは無料。キャラクターのアイテムなどを販売するアイテム課金方式で収益を上げている。
■チープなゲームが人気を集める理由
Playfishのゲームは決して質が高いとはいえない。ゲームに目の肥えたユーザーから見ると、何でこんな大したことのないゲームが、6000万人近い数のユーザーに遊ばれているのかと、首をかしげたくなるようなゲームだらけだ。チープなグラフィック、できることの制限の多さ、ゲームとしての完成度の低さなど、あげつらえばきりがない。
しかし鍵となるのは、FacebookというSNSとひも付けされて、自分の友だちを巻き込めば巻き込むほど、キャラクターのポイントが増えるなどのメリットが得られる「ネズミ講」的な性質にある。
ユーザーはゲームのなかで他のプレーヤーに対し、自分のペットと会ってくれるようにお願いしたり、アイテムをプレゼントしてお返しに何かをもらったりという形で遊ぶ。ゲームを通じて他のユーザーとコミュニケーションすることが前提のシステムとなっている。
これらのゲームは一人で遊んでも、あまり面白いものではない。既存の家庭用ゲーム機で一般的なゲーム文法とは異なり、大規模オンラインRPGのようなタイプとも違っている。既存の方法論で作られたゲームは、Facebookではそれほどヒットしない。
しかし、チープなゲームであっても急成長するこの分野に着目して買収に踏み切ったのが、業績面で苦しみ始めたEAだったというわけだ。
これは、かなり皮肉めいている。Playfishのクリスチアン・セゲルストレールCEOは巨大化した家庭用ゲーム機向け市場には将来性がないと断言しており、昨年11月にロンドンで行われたセミナーでは「EAは死にかけた恐竜だ」とまで言っていたからだ。
■家庭用ゲーム機向けから軸足移すEA
9日の買収発表と同時に発表されたEAの09年7~9月期決算は、純損失3億9100万ドルと振るわなかった。ジョン・リッチェルトCEOは、決算発表のなかで「パッケージソフトの年間販売は、北米で12%、欧州で13%減少する」と厳しく予想している。
一方で、携帯電話、アイテム課金型、月額課金型、広告型といった新たなデジタルビジネスについては、今後数年間は年率20%かそれ以上で成長するとの予測を示し、「EAとしてのあり方を明快にしなければならない」と語った。 これらの新規市場が世界のゲーム産業に占める割合は、「5年前には10%以下だと考えていたが、現在は35%と見積もっている」とも述べた。EAはこうした市場の変化を受け、大型タイトルを除くゲームの開発を事実上凍結し、来年3月末までに世界で1500人のスタッフを削減するという。これにより年間1億ドルの経費を削減する。
この大規模なリストラを通じて「企業を変換させる」(リッチェルトCEO)ために、目玉として打ち出したのがPlayfish買収だったようだ。
■3億ドルの買収金額は高いか安いか
EAは、もともとM&Aを通じて大きくなってきた企業だ。
過去には世界初の大規模オンラインRPG「ウルティマオンライン」を開発したOriginや、「シムシティ」を持つMaxisを買収している。最近も、07年には「バトルフィールド」シリーズを持つD.I.C.E.を2300万ドル、北米のRPGのトップ企業Biowareを8億6000万ドルで買収した。08年には「グランドセプトオート」シリーズを持つTake-Two Interactive Softwareを、20億ドルをかけて株式公開買い付けで買収しようと試みて、断念している。
その一方、買収したがその後に収益が上がらないスタジオは、即解散させてしまうという側面があることも知られている。EAは今回の決定で、中小型のタイトル開発を100本規模で中止するつもりと考えてよい。
では、Playfishはそれを補う以上の戦力となりうるのか。高成長が期待できるとはいえ3億ドルという買収金額は高すぎる気もするが、逆に安いと指摘するアナリストもいる。
Game Briefのニコラス・ロベル氏は、「Playfishが今年7500万ドルの売上高を上げる」との最新の噂を引用しつつこう分析している。
7500万ドルをプレーヤー(5000万人で計算)一人あたりに換算すると年1.5ドルになる。仮に料金を払うユーザーがもっと少なく全体の5%だと見積もると、一人あたりで年30ドル、月間では2.5ドル。これだけで7500万ドルに到達する。この計算は妥当といえないか?
約6000万人というユーザー数はそれほどの価値を持つのだ。3億ドルを投資しても十分回収できると、EAは皮算用しているのだろう。
■ゲーム業界の1つの時代が終わる
EAは企業戦略を決定的に変えた。パッケージ型の家庭用ゲーム機向けの急回復は短期的にはないと見切り、ネットワークサービスを中心とした事業を収益の柱にすべく事業構造をシフトさせると決断したのだ。
これは、家庭用ゲーム機市場に大きなインパクトを与えるだろう。EAのラインアップは今後、多様性がなくなり続編ものへのさらなる依存が進むと予想される。それは家庭用ゲーム機市場の魅力をさらに薄れさせ、新規ユーザーの流入を減らす結果を引き起こすはずだ。
ゲーム業界が1つの時代から別の時代に変わろうとする動きが決定的な形で表に出始めた。
10月の米ゲーム関連売り上げは19%減 ゲーム機値下げの効果薄
10月の米国のビデオゲーム機器・ソフトの売り上げは19%減少して10億7000万ドルとなった。業界が1年で最も重要な商戦に向かう中で、悩ましい数字だ。調査会社NPDが11月12日に報告した。
ビデオゲームはかつて不況の影響を受けにくいと考えられていたが、この1年は厳しい状況にある。以前好調だった音楽ゲーム分野は衰退し、支出を切り詰める消費者にお金を出させるような人気作はほとんど出ていない。
10月の米ゲーム機売り上げが23%減少したことから分かるように、家庭用ゲーム機の値下げもほとんど影響しなかった。
「消費者がまだ戻ってきていないのは明らかだ」と投資会社Wedbush Morganのアナリスト、マイケル・パッチャー氏は語る。「ゲームソフトは良かったが、ハードの売れ行きは驚くほど低調だ」
月間販売台数では、任天堂のWiiが1位に返り咲いた。先月はソニーのプレイステーション 3(PS3)が1位に急浮上した。
Wiiの10月の米国での販売台数は50万7000台で、それにPS3(販売台数32万1000台)、MicrosoftのXbox 360(25万台)が続く。ソニーは、前年比で伸びているゲーム機はPS3だけだと主張している。
それでもビデオゲーム業界には明るい材料もある。Activision Blizzardは12日、「Call of Duty:Modern Warfare 2」が発売初日に記録的な売り上げを達成したと発表した。
5歳と7歳の声で音声読み上げ 「VOICEROID 月読アイ」「ショウタ」
ソフトウェアの開発などを行うAHS(東京都台東区)は、5歳の少女の声でテキストを読み上げる音声合成ソフト「VOICEROID 月読アイ」と、7歳の少年の声の「VOICEROID 月読ショウタ」を12月4日に発売する。各9800円。2本セットの「VOICEROID 月読ショウタ 妹パック(アイちゃん付き)」は1万7800円。
エーアイが開発した音声合成エンジン「AI Talk」を活用。子どもの声をベースにした合成音声で「驚くほど自然に話す」という。
ソフトバンクが電報参入 「115番」利用、NTTに対抗
ソフトバンクが電報事業に参入する。総務省の認可が下り次第、早ければ2010年早々にサービスを始める。新サービスは同社電話サービスの利用者が「115番」に電話をかけるだけで使える点が特徴。NTT以外の事業者で115番を使った電報サービスを提供するのはソフトバンクが初めて。安価な料金を打ち出してNTT独占の現状に風穴を開ける。
電報サービスの市場規模は現在、約520億円。ピーク時に比べて大幅に減少したが、企業を中心に慶弔用などで底堅い需要がある。03年4月の信書便法施行により、現在はNTT以外にもKDDI子会社など12社の事業者が電報サービスを提供しているが、NTTが依然として9割強のシェアを握る。
ソニー、データ拠点集約 15年メド、世界2大センターに
ソニーは社内情報システムの運用拠点を集約する。現在は世界の約60拠点で生産管理や製品の受発注などに関連したデータを管理している。2015年をメドにアジアと欧米で大規模なデータセンターを1つずつ整備し、各地の機能を統合する。インターネット経由で必要なソフトを活用する「クラウドコンピューティング」の登場を機に、社内情報システムを再構築する動きが今後広がりそうだ。
アジアではシンガポールに開設した大規模データセンターを活用して域内の拠点に分散している機能を集約する。日本では東京都と愛知県の拠点を12年3月までに閉鎖して機能を移管。中国、インド、東南アジアなどの機能も段階的に移し、現在は約40カ所あるデータセンターやサーバールームを10年代半ばまでに原則1カ所に減らす。
マイクロソフトがスマートフォン向けにゲームなど配信開始
マイクロソフト(MS)日本法人は12日、高機能携帯電話「スマートフォン」向けOS(基本ソフト)事業を強化すると発表した。MS製のOSを搭載したスマートフォン向けに、ゲームなどのコンテンツ(情報の内容)配信サービスを12月から開始する。MSのOSを搭載したスマートフォンはビジネス向けが中心だったが、新サービスをテコに一般消費者を取り込む。スマートフォン向けOSで急成長する米アップルや、米検索大手のグーグルなどに対抗する考えだ。
コンテンツ配信サービスをめぐり、MSは出版大手の集英社と提携したほか、ゲームソフト大手のカプコンなど30社がコンテンツの提供を決めている。いずれもパソコンを使わずにゲームや漫画などを有償または無償で直接ダウンロードできるサービスだ。
MS日本法人の堂山昌司副社長はこの日の会見で「今回のサービスをきっかけに一般消費者の利用を促したい」と意気込んだ。
国内携帯電話市場が飽和状態で停滞する中、パソコンに近い機能性と持ち運びやすさを併せ持つスマートフォンは数少ない成長分野だ。IT調査会社のMM総研によると、国内携帯電話市場でのスマートフォン比率は平成20年度の3・1%から22年度には7・7%と2倍強に達する見通しだ。
ただ、成長分野だけに競争も激化している。アップルの「iPhone(アイフォーン)」のほか、グーグルもスマートフォン向けOS「アンドロイド」を開発し、日本でも搭載機が7月から発売されている。とりわけアイフォーンは急成長を続けており、日本国内のスマートフォンのうち5割超のシェアを占める。
MSは、本業のパソコン向けOSでは9割超と圧倒的なシェアを占めるが、スマートフォン向けでは「出遅れ」(携帯メーカー幹部)ている状態だ。コンテンツ配信サービスで一般消費者を取り込んで巻き返す考えだが、先行するアップルは同様のコンテンツ配信サービスで既に8万5千本超のコンテンツを有する。MSは「量ではなく質で勝負する」(堂山副社長)と強調するが、追撃は容易ではなさそうだ。
グーグルの携帯OS「アンドロイド」、NTT東やKDDIが採用
NTT東日本は12日、米グーグルの携帯電話向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」を使った小型インターネット端末を2010年度上期に発売すると発表した。KDDIも同OSを使ったネットテレビの受信機を開発中。アンドロイドは無償で利用でき、デジタル家電のコスト低減に役立つため、携帯電話以外の市場でも急速に存在感を高めている。
NTT東が開発したネット端末「光iフレーム」(仮称)は画面に指を触れて操作する7インチのタッチパネルディスプレーを搭載。「デジタル写真立て」として使い、必要な時にネット閲覧に利用する。無線LAN(構内情報通信網)の通信機能を備え、宅内で持ち運んで利用できる。
KDDIは研究開発子会社を通じ、アンドロイドを使ったネットテレビの受信機を試作した。現在は動作検証などを進めており、10年度中に発売する計画。KDDIはアンドロイドを使うことで、開発コストを最大6割削減できるとみている。同社はアンドロイドを採用したスマートフォン(高機能携帯電話)を10年度に投入すると表明している。
「プリウス」のワゴン、2010年末にも発売へ
トヨタ自動車は12日、ハイブリッド車(HV)「プリウス」のワゴンタイプを2010年末にも発売することを明らかにした。
HV市場で先行するプリウスの車種を増やし、ホンダなどライバルを引き離す狙いがある。
ワゴンタイプのプリウスには、トヨタの量産HVとしては初めて、現在使われているニッケル水素電池より充電容量が大きいリチウムイオン電池を搭載する。さらに、小型化することで車内空間を広く使えるようにする。
価格は200万円台を想定し、燃費はガソリン1リットルあたり30キロ・メートル台を見込む。セダンタイプと同様にトヨタの全販売店(約4900店)で取り扱う予定。
トヨタは11年には、ガソリン1リットルで40キロ・メートル走る小型HVも発売する計画だ。
HVはモーターや制御用コンピューターなど高額部品が必要でガソリン車より利幅は小さいため、トヨタは、車種の増加をテコに販売台数を伸ばし、量産効果を引き出したい考えだ。
KDDI、バングラデシュのネット接続最大手に出資
KDDIは12日、バングラデシュのインターネット接続(ISP)最大手ブラックネットに資本参加すると発表した。出資額は約8億円で出資比率は50%。日本を上回る1億6000万人の人口を持ちながら、ネット普及率が2%で成長性が高いと判断した。発展途上国における通信事業のノウハウを吸収する狙いもある。
ブラックネットが実施する第三者割当増資を全額引き受ける。手続き完了は来年1月の見込みで、ブラックネットはKDDIの持ち分法適用会社となる。KDDIは8人で構成するブラックネットの取締役会に4人を派遣する。
ブラックネットは米投資ファンドとバングラデシュの非政府組織(NGO)が1996年に設立。無線通信技術「WiMAX(ワイマックス)」を活用した通信網を構築し、有料でネットが利用できる店舗を110店運営している。
日本の通信会社では、NTTドコモも08年にバングラデシュの携帯大手に約400億円出資している。
鳩山首相「日本が経済力で中国に抜かれるのは当然」
鳩山由紀夫首相は12日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催されるシンガポールの新聞社などのインタビューに応じ、「(日本が)中国に経済力で抜かれることは人口のサイズから言っても当然だ。体のサイズに合った形の経済の展開をすればいい」と述べた。
首相は「将来を悲観するつもりはまったくない。自分は日本の将来を楽観視している」と説明。その上で、環境や社会保障、教育などの分野を中心に内需を拡大し、中国の経済力を取り込むことにより、経済成長を目指す考えを示した。
日中両国の経済規模をめぐっては、今年6月の閣議で報告された通商白書が、国際通貨基金(IMF)の見通しを踏まえ「世界2位の経済大国としての地位も残りわずか」と言及。年内にも日本の国内総生産(GDP)が中国に抜かれるとの観測が高まっている。
温暖化ガス、50年までに80%削減で共同文書 13日日米首脳会談
鳩山由紀夫首相は13日、首相官邸でオバマ米大統領との首脳会談に臨む。両首脳は2050年までに温暖化ガスの排出量の80%削減を目指すことや、「核のない世界」の実現を目指す共同文書を発表する。最大の懸案である沖縄県の米軍普天間基地の移設問題については主要議題とせず、来週前半にも作業グループの会合を開いて協議する方針だ。
首相は自らが提唱する「東アジア共同体」構想について、米国のアジアへの関与は不可欠であり、歓迎すると表明する見通しだ。米側の不安を解消する狙いがある。
インテル、AMDとの訴訟で和解 市場独占巡り
【シリコンバレー=田中暁人】半導体最大手の米インテルと、同業のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は12日、市場独占を巡る訴訟などで和解したと発表した。AMDはインテルがMPU(超小型演算処理装置)販売で独占的な地位の乱用を繰り返しているなどとして、インテルを日米の裁判所に提訴していた。インテルがAMDに12億5000万ドル(1100億円)の和解金を支払うことで両社間のすべての訴訟を取り下げる。
両社は特許などの相互利用でも合意した。インテルは和解金の支払いに加え、「商慣行上の取り決め」にも従うとしている。インテルに対しては欧州連合(EU)の欧州委員会が独禁法違反と判定して巨額の制裁金支払いを命じたほか、ニューヨーク州も提訴しており、今後は当局との法廷闘争が本格化する。最大の焦点となっているAMDとの関係修復で、裁判を優位に進める狙いもありそうだ。
新興国の消費、米企業収益支える 食品・日用品大手
中国やインドなど新興国の消費が米企業の収益を支える傾向がより鮮明になってきた。飲料大手コカ・コーラや日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の7~9月期決算によると、中国やインドなどで販売が急回復。世界規模での市場開拓が成果を上げつつある。地盤の米国ではなお苦戦が続いているが、新興国などでの需要にけん引されて業績が改善している。
コカ・コーラでは7~9月期の出荷数量が、中国やインドなどで前年実績を大幅に上回った。「新興国市場で消費者心理と個人消費の明確な反転が見られた」(ムーター・ケント最高経営責任者=CEO)。米国や欧州は不振が続いたが、新興国での需要がこれを補い、純利益は前年同期比0.3%増となった。
事業仕分け 狙いは分かるが手法が問題だ(11月13日付・読売社説)
政府の行政刷新会議が事業仕分けを開始し、来年度予算の概算要求から無駄を洗い出す作業を本格化させている。
国会議員と民間有識者らによる「仕分け人」が、予算を要求した各府省の担当者らと議論し、その事業が必要か否か、地方に移管すべきか、などの判断をその場で出していく。
長年にわたって硬直化した予算配分に、メリハリをつけようとする意図は理解できる。
初日と2日目の作業で廃止が決まったのは、農林水産省の農道整備事業などだ。厚生労働省所管の財団法人は、基金311億円の返納を求められた。国土交通省の下水道事業は地方移管とされた。
こうした判定は、鳩山首相の了承を経て、財務省の予算査定に反映される見通しだ。95兆円と水膨れした概算要求のスリム化につながることが期待されよう。
だが、事業仕分けの対象である447事業に、在日米軍基地に関する防衛省の「思いやり予算」などが含まれたのは解せない。
日米安保体制にも影響する政治的な予算である。「まず防衛省が米軍と話をする。いきなり刷新会議が入ってきて削るというのは乱暴」と北沢防衛相が反発するのも当然だろう。簡単な議論で結論を出すような問題ではあるまい。
義務教育費の国庫負担や、地方交付税など、国の在り方にかかわる大きな案件も、こうした場で取りあげるのは適当ではない。
むしろ、子ども手当や高速道路の原則無料化など、巨額な費用がかかるのに政策効果が不透明な案件こそ、対象として取りあげるべきであろう。
公開された事業仕分けで、仕分け人たちが、府省の担当者を一方的にやりこめるような場面が相次いでいるのはいただけない。
「傍聴者とネット中継を意識したパフォーマンスが過ぎる」との批判が出るのもやむを得まい。
1案件当たりの割り当てもわずか1時間である。これでは、まともな議論は不可能だ。対象事業数を減らすなどして、時間をもっとかける工夫が欠かせない。
国の個別予算の当否に、民間人や外国人が直接かかわることを疑問視する声もある。仕分け人としての正式辞令は交付されていないという。事業仕分けの正当性が問われかねない。
スタートしたばかりの事業仕分けだが、早くも課題が浮き彫りになった。鳩山内閣は、手法と効果を検証しながら、あと7日間の日程を慎重に進める必要がある。
マイクロソフト(MS)日本法人は12日、高機能携帯電話「スマートフォン」向けOS(基本ソフト)事業を強化すると発表した。MS製のOSを搭載したスマートフォン向けに、ゲームなどのコンテンツ(情報の内容)配信サービスを12月から開始する。MSのOSを搭載したスマートフォンはビジネス向けが中心だったが、新サービスをテコに一般消費者を取り込む。スマートフォン向けOSで急成長する米アップルや、米検索大手のグーグルなどに対抗する考えだ。
コンテンツ配信サービスをめぐり、MSは出版大手の集英社と提携したほか、ゲームソフト大手のカプコンなど30社がコンテンツの提供を決めている。いずれもパソコンを使わずにゲームや漫画などを有償または無償で直接ダウンロードできるサービスだ。
MS日本法人の堂山昌司副社長はこの日の会見で「今回のサービスをきっかけに一般消費者の利用を促したい」と意気込んだ。
国内携帯電話市場が飽和状態で停滞する中、パソコンに近い機能性と持ち運びやすさを併せ持つスマートフォンは数少ない成長分野だ。IT調査会社のMM総研によると、国内携帯電話市場でのスマートフォン比率は平成20年度の3・1%から22年度には7・7%と2倍強に達する見通しだ。
ただ、成長分野だけに競争も激化している。アップルの「iPhone(アイフォーン)」のほか、グーグルもスマートフォン向けOS「アンドロイド」を開発し、日本でも搭載機が7月から発売されている。とりわけアイフォーンは急成長を続けており、日本国内のスマートフォンのうち5割超のシェアを占める。
MSは、本業のパソコン向けOSでは9割超と圧倒的なシェアを占めるが、スマートフォン向けでは「出遅れ」(携帯メーカー幹部)ている状態だ。コンテンツ配信サービスで一般消費者を取り込んで巻き返す考えだが、先行するアップルは同様のコンテンツ配信サービスで既に8万5千本超のコンテンツを有する。MSは「量ではなく質で勝負する」(堂山副社長)と強調するが、追撃は容易ではなさそうだ。
グーグルの携帯OS「アンドロイド」、NTT東やKDDIが採用
NTT東日本は12日、米グーグルの携帯電話向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」を使った小型インターネット端末を2010年度上期に発売すると発表した。KDDIも同OSを使ったネットテレビの受信機を開発中。アンドロイドは無償で利用でき、デジタル家電のコスト低減に役立つため、携帯電話以外の市場でも急速に存在感を高めている。
NTT東が開発したネット端末「光iフレーム」(仮称)は画面に指を触れて操作する7インチのタッチパネルディスプレーを搭載。「デジタル写真立て」として使い、必要な時にネット閲覧に利用する。無線LAN(構内情報通信網)の通信機能を備え、宅内で持ち運んで利用できる。
KDDIは研究開発子会社を通じ、アンドロイドを使ったネットテレビの受信機を試作した。現在は動作検証などを進めており、10年度中に発売する計画。KDDIはアンドロイドを使うことで、開発コストを最大6割削減できるとみている。同社はアンドロイドを採用したスマートフォン(高機能携帯電話)を10年度に投入すると表明している。
「プリウス」のワゴン、2010年末にも発売へ
トヨタ自動車は12日、ハイブリッド車(HV)「プリウス」のワゴンタイプを2010年末にも発売することを明らかにした。
HV市場で先行するプリウスの車種を増やし、ホンダなどライバルを引き離す狙いがある。
ワゴンタイプのプリウスには、トヨタの量産HVとしては初めて、現在使われているニッケル水素電池より充電容量が大きいリチウムイオン電池を搭載する。さらに、小型化することで車内空間を広く使えるようにする。
価格は200万円台を想定し、燃費はガソリン1リットルあたり30キロ・メートル台を見込む。セダンタイプと同様にトヨタの全販売店(約4900店)で取り扱う予定。
トヨタは11年には、ガソリン1リットルで40キロ・メートル走る小型HVも発売する計画だ。
HVはモーターや制御用コンピューターなど高額部品が必要でガソリン車より利幅は小さいため、トヨタは、車種の増加をテコに販売台数を伸ばし、量産効果を引き出したい考えだ。
KDDI、バングラデシュのネット接続最大手に出資
KDDIは12日、バングラデシュのインターネット接続(ISP)最大手ブラックネットに資本参加すると発表した。出資額は約8億円で出資比率は50%。日本を上回る1億6000万人の人口を持ちながら、ネット普及率が2%で成長性が高いと判断した。発展途上国における通信事業のノウハウを吸収する狙いもある。
ブラックネットが実施する第三者割当増資を全額引き受ける。手続き完了は来年1月の見込みで、ブラックネットはKDDIの持ち分法適用会社となる。KDDIは8人で構成するブラックネットの取締役会に4人を派遣する。
ブラックネットは米投資ファンドとバングラデシュの非政府組織(NGO)が1996年に設立。無線通信技術「WiMAX(ワイマックス)」を活用した通信網を構築し、有料でネットが利用できる店舗を110店運営している。
日本の通信会社では、NTTドコモも08年にバングラデシュの携帯大手に約400億円出資している。
鳩山首相「日本が経済力で中国に抜かれるのは当然」
鳩山由紀夫首相は12日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催されるシンガポールの新聞社などのインタビューに応じ、「(日本が)中国に経済力で抜かれることは人口のサイズから言っても当然だ。体のサイズに合った形の経済の展開をすればいい」と述べた。
首相は「将来を悲観するつもりはまったくない。自分は日本の将来を楽観視している」と説明。その上で、環境や社会保障、教育などの分野を中心に内需を拡大し、中国の経済力を取り込むことにより、経済成長を目指す考えを示した。
日中両国の経済規模をめぐっては、今年6月の閣議で報告された通商白書が、国際通貨基金(IMF)の見通しを踏まえ「世界2位の経済大国としての地位も残りわずか」と言及。年内にも日本の国内総生産(GDP)が中国に抜かれるとの観測が高まっている。
温暖化ガス、50年までに80%削減で共同文書 13日日米首脳会談
鳩山由紀夫首相は13日、首相官邸でオバマ米大統領との首脳会談に臨む。両首脳は2050年までに温暖化ガスの排出量の80%削減を目指すことや、「核のない世界」の実現を目指す共同文書を発表する。最大の懸案である沖縄県の米軍普天間基地の移設問題については主要議題とせず、来週前半にも作業グループの会合を開いて協議する方針だ。
首相は自らが提唱する「東アジア共同体」構想について、米国のアジアへの関与は不可欠であり、歓迎すると表明する見通しだ。米側の不安を解消する狙いがある。
インテル、AMDとの訴訟で和解 市場独占巡り
【シリコンバレー=田中暁人】半導体最大手の米インテルと、同業のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は12日、市場独占を巡る訴訟などで和解したと発表した。AMDはインテルがMPU(超小型演算処理装置)販売で独占的な地位の乱用を繰り返しているなどとして、インテルを日米の裁判所に提訴していた。インテルがAMDに12億5000万ドル(1100億円)の和解金を支払うことで両社間のすべての訴訟を取り下げる。
両社は特許などの相互利用でも合意した。インテルは和解金の支払いに加え、「商慣行上の取り決め」にも従うとしている。インテルに対しては欧州連合(EU)の欧州委員会が独禁法違反と判定して巨額の制裁金支払いを命じたほか、ニューヨーク州も提訴しており、今後は当局との法廷闘争が本格化する。最大の焦点となっているAMDとの関係修復で、裁判を優位に進める狙いもありそうだ。
新興国の消費、米企業収益支える 食品・日用品大手
中国やインドなど新興国の消費が米企業の収益を支える傾向がより鮮明になってきた。飲料大手コカ・コーラや日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の7~9月期決算によると、中国やインドなどで販売が急回復。世界規模での市場開拓が成果を上げつつある。地盤の米国ではなお苦戦が続いているが、新興国などでの需要にけん引されて業績が改善している。
コカ・コーラでは7~9月期の出荷数量が、中国やインドなどで前年実績を大幅に上回った。「新興国市場で消費者心理と個人消費の明確な反転が見られた」(ムーター・ケント最高経営責任者=CEO)。米国や欧州は不振が続いたが、新興国での需要がこれを補い、純利益は前年同期比0.3%増となった。
事業仕分け 狙いは分かるが手法が問題だ(11月13日付・読売社説)
政府の行政刷新会議が事業仕分けを開始し、来年度予算の概算要求から無駄を洗い出す作業を本格化させている。
国会議員と民間有識者らによる「仕分け人」が、予算を要求した各府省の担当者らと議論し、その事業が必要か否か、地方に移管すべきか、などの判断をその場で出していく。
長年にわたって硬直化した予算配分に、メリハリをつけようとする意図は理解できる。
初日と2日目の作業で廃止が決まったのは、農林水産省の農道整備事業などだ。厚生労働省所管の財団法人は、基金311億円の返納を求められた。国土交通省の下水道事業は地方移管とされた。
こうした判定は、鳩山首相の了承を経て、財務省の予算査定に反映される見通しだ。95兆円と水膨れした概算要求のスリム化につながることが期待されよう。
だが、事業仕分けの対象である447事業に、在日米軍基地に関する防衛省の「思いやり予算」などが含まれたのは解せない。
日米安保体制にも影響する政治的な予算である。「まず防衛省が米軍と話をする。いきなり刷新会議が入ってきて削るというのは乱暴」と北沢防衛相が反発するのも当然だろう。簡単な議論で結論を出すような問題ではあるまい。
義務教育費の国庫負担や、地方交付税など、国の在り方にかかわる大きな案件も、こうした場で取りあげるのは適当ではない。
むしろ、子ども手当や高速道路の原則無料化など、巨額な費用がかかるのに政策効果が不透明な案件こそ、対象として取りあげるべきであろう。
公開された事業仕分けで、仕分け人たちが、府省の担当者を一方的にやりこめるような場面が相次いでいるのはいただけない。
「傍聴者とネット中継を意識したパフォーマンスが過ぎる」との批判が出るのもやむを得まい。
1案件当たりの割り当てもわずか1時間である。これでは、まともな議論は不可能だ。対象事業数を減らすなどして、時間をもっとかける工夫が欠かせない。
国の個別予算の当否に、民間人や外国人が直接かかわることを疑問視する声もある。仕分け人としての正式辞令は交付されていないという。事業仕分けの正当性が問われかねない。
スタートしたばかりの事業仕分けだが、早くも課題が浮き彫りになった。鳩山内閣は、手法と効果を検証しながら、あと7日間の日程を慎重に進める必要がある。
iPhoneに続け? ソフトバンク孫社長がWi-Fi携帯を売り込む事情(COLUMN)
ソフトバンクモバイルは10日、2009年冬から10年春にかけての新製品を発表した。発表会で孫正義社長がキーワードとして連呼したのが「Wi-Fi」だ。
ソフトバンクモバイルは当初、前日である9日に記者会見を予定していた。しかし、有名女優裁判の判決日と重なることが明らかとなったため、テレビメディアへの露出を優先して急きょ翌10日に変更した。10日午後にはNTTドコモが新製品発表会を設定していたが、ぶつかることを承知の上で午前9時半から開催した。ソフトバンクモバイルにとって今回の発表会はそれほど気合いの入ったものだった。
■公衆無線LANと連携
前面に打ち出したのは、携帯の3Gネットワークだけでなく、無線LAN経由でインターネットに接続する「Wi-Fi」通信への本格的な対応だ。新製品では、来春に発売するという「Android」端末を含めて8モデルがWi-Fi接続に対応する。孫社長は3Gに比べて高速でネットにアクセスできるWi-Fiを新たな売りにしてきた。
ソフトバンクは、グループ会社を通じて「BBモバイルポイント」の名称で公衆無線LANを展開し、駅や空港、ファストフード店などでサービスを提供している。ボーダフォン買収当初から、無線LANスポットとの連携は視野に入れていたようだが、対応製品を揃えたことでそれが本格化する。今後は「ソフトバンクWi-Fiモバイルポイント」としてエリアを拡大していく計画だ。
■逼迫する3Gネットワーク
ソフトバンクモバイルにとって、無線LANとの連携は逼迫する3Gトラフィックを逃がすという意味でも重要な戦略になるだろう。月額基本料980円の「ホワイトプラン」による音声通話の増大、さらには「iPhone」を投入したことで、ネットワークは常に混雑した状態にある。
一時期は設備投資を増強して、3G基地局をNTTドコモを上回るペースで設置していた。しかし、最近は投資を控え、フリーキャッシュフロー増大に経営が向いている。
ネットワーク混雑の解消策としては、新たに1.5GHz帯の周波数が割り当てられている。今回の新製品でも「940P」「943SH」を1.5GHz周波数に対応させているが、ネットワーク整備はこれからであり、すぐに混雑解消には役立たない。
そこで、引っ張り出したのがWi-Fiというわけだ。これならすでに街中には無線LANスポットが点在し、若年層ユーザーの利用が多いといわれる自宅でのトラフィックも3Gから逃がすことができる。
今回、孫社長は「携帯電話の通信が鼻からの呼吸だとすれば、Wi-Fiは口。息苦しさを感じることなく呼吸ができるようになる」と自慢げに語った。確かに、ソフトバンクモバイルのネットワークは他社と比べて脆弱で「鼻づまり」の状態にある。鼻をかみ、スッキリするにはティッシュが必要だが、まずはその前に口を開けてみた、ということなのだろう。
■「収入は逃さない」料金プラン
ソフトバンクモバイルの今回のプランで巧みなのは、端末を無線LAN対応にしても収益には響かないように料金面で対策を施している点だ。ユーザーがいくら無線LANを中心に使っても、通信費を安く抑えることはできないようになっている。
無線LANだからといって「自宅での接続は一切通信費がかからない」と思ったら間違い。ソフトバンクのプランでは、月額利用料490円(10年末までに申し込めば永年無料)のほかに、専用パケット定額サービスの月額4410円を支払う必要がある。つまり、無線LANでインターネットに高速接続して大容量のコンテンツを楽しむにはパケット定額制の上限分を支払わなくてはならないのだ。
一律定額のプランを今回採用した理由について、孫社長は「iPhoneユーザーは自宅に無線LAN環境があっても、パケット通信料が上限に達している人が9割以上。段階制の定額プランは有名無実となっている」と述べた。
ちなみに他社の無線LAN接続サービスを見ると、KDDI(au)は月額使用料が525円だが11年6月末までは無料キャンペーン中で、無線LAN接続時のパケット料金は無料。NTTドコモ「ホームU」も月額使用料は490円だが、通信料は無料となっている。
まさにソフトバンクは「トラフィックは逃がすが、収入は逃がさない」戦略なのだ。
ただし、ソフトバンクモバイルの新製品のなかには裏技的な使い方ができる端末も存在する。無線LANに対応したシャープ製の「941SH」「940SH」には、複数のブラウザーが搭載されている。このうち、「ダイレクトブラウザ」と呼ばれるものを使うと、無線LAN経由でネット接続してもPC向けサイトはパケット料金や月額使用料が不要となる。
■ワンセグなし、2メガカメラの注目端末
無線LANに対応するのは主に上位機種だが、ソフトバンクモバイルが今回発表した新モデルのなかで、もう一つ重要な役目を担うのが、「840P」(パナソニックモバイルコミュニケーションズ製)と「840SH」(シャープ製)の2モデルだ。いずれも多色展開を売りとする商品だが、重要なのはその「価格」である。
いま、ソフトバンクモバイルではiPhoneとともに、「830P」の流れをくむシリーズが売れ筋と言われている。このシリーズは端末価格が圧倒的に安く、契約者増の起爆剤となっている。
830Pは製造ラインを見直すなどして低コスト化を実現したが、今回の840Pでは、パナソニックケータイの象徴的な機能である「ワンプッシュボタン」を廃止。カメラは2メガピクセル、おサイフケータイはもちろんワンセグにも非対応という徹底した低コスト化を進めた。
その低価格のラインに今回からシャープが加わった。ハイスペックを売りとするシャープだが、840SHではパナソニックと同じくワンセグ、おサイフケータイに非対応。カメラも2メガだ。
ソフトバンクモバイルは、10年3月末に2G(PDC方式)のサービスを停波させる。10月末現在でも98万人のPDCユーザーを抱えているだけに、これらの安価な端末で3Gへの移行を促進させたいという狙いも大きいのだろう。
■Android端末はどのメーカー製か
さて、今回の孫社長の会見で注目されたもう1つの話題がAndroid端末の導入だ。来年春の発売予定というが、メーカー名は明らかにされず、米クアルコム社製の「スナップドラゴン」という駆動周波数1GHzのCPU、3.7インチの有機ELディスプレーを採用する、という程度の紹介にとどまった。「世界最先端の機種を投入する」というポリシーの下、開発を進めているという。
ソフトバンクモバイルへの過去の納入実績や3.7インチの有機ELということから、メーカーはいまのところ韓国サムスン電子が有力だ。同社はすでにAndroid端末を開発、販売した実績も持つ。しかし、一方では「台湾メーカーではないか」(関係者)という話もあり、真相はやぶの中だ。
ただ、同じ関係者は「ソフトバンクモバイルがAndroidを出すといっても当面は1機種だけ。アップルに気を使って積極的には展開しないと聞いている」と語っており、あくまでiPhoneの重視の路線を貫くとの見方が強い。
■iPhone独占はいつまで
そんなiPhoneだが、世界を見渡すと独占販売をしている国が減り、複数のキャリアから発売される状況が広がりつつある。欧米では当初、1社に対して独占販売権を与えていたが、すでにフランス、英国、カナダなどでは複数キャリアから販売されるようになった。米AT&Tも10年夏には独占販売できなくなるといわれており、アジアでもシンガポールは複数キャリアからの発売となる。
果たして、日本はどうなるのか。ソフトバンクモバイルにとってみれば、iPhoneによって契約者も増え、ARPU(1人あたり月額利用料)も上がり、それによって増収増益を達成している状態。まさに「iPhoneあってのソフトバンクモバイル」ともいえる。
孫社長は「相手があることだから、我々は何も言えない」としつつも、「我々は頑張っている。精神論では通じず、数を売っていかなくてはいけない。サービスや料金、営業ノウハウなど地道に努力し、世界のキャリアのなかで我々が一番情熱を持ってiPhoneを売っているのは間違いない」と語る。
ソフトバンクモバイルの場合、独占販売権は「はじめから持っていない」(孫社長)が、いまの独占販売状態が保たれているのは、アップルとの信頼関係が基本にあるのだろう。もしかすると、この良好な関係を悪くさせないためにも、Androidは導入するが注力はできない事情があるのかもしれない。
■弱みを強みに変える
ソフトバンクモバイルは最近、各メーカーからNTTドコモ向け商品の「おさがり」を供給されている印象が強かった。今冬から来春に発売する新製品も見た目はNTTドコモ向けと近いものが多いのは事実だが、ここにWi-Fiという独自機能、さらに独自のコンテンツサービスを乗せてきた。逼迫した3GネットワークをWi-Fiでカバーするという弱みを強みに変える戦略もソフトバンクモバイルらしいといえるだろう。
iPhone人気のなか、リッチコンテンツやインターネットを楽しみたいというユーザーがどれだけiPhoneではないWi-Fi対応モデルを購入するかは未知数だが、「口呼吸」がどの程度広がりを持つかは、今後のユーザー動向を占ううえでも注目に値するだろう。
太陽電池、米市場に照準 三洋や独大手が新工場
【シリコンバレー=田中暁人】世界の太陽電池大手が米国市場の開拓を本格化する。再生可能エネルギー普及を後押しするオバマ政権の「グリーン・ニューディール」政策で発電所向けなどの需要が拡大する見込みのためで、各社は工場建設や営業拠点の拡充など投資を加速する。欧州で先行拡大した太陽電池市場だが、米市場が本格的に立ち上がれば業界勢力図に影響する可能性もある。
独大手のショットソーラーは、米ニューメキシコ州に1億ドル以上を投じて太陽電池工場を新設した。太陽電池のほか太陽熱発電システムの生産も手掛け「米国内の発電所需要を狙う」(同社)。9月には、カリフォルニア州とニューヨーク州に営業拠点を新設すると表明した。日本勢では、三洋電機がオレゴン州セーラム市で太陽電池の材料に使うシリコンウエハー工場をこのほど稼働。同州ヒルズボロ市では、独ソーラーワールドがウエハーからパネルまで一貫生産できる太陽電池工場の拡張工事を進めている。
動画配信サービス「GyaO!」で動画再生時の画面拡大が可能に
ヤフーとGyaOが運営する無料の動画配信サービス「GyaO! Presented by Yahoo! JAPAN」は12日、動画再生プレイヤーの画面拡大機能を追加した。
今回の画面拡大機能では、動画再生プレイヤーの右下に「大画面ボタン」を用意。本編映像を再生している間に「大画面ボタン」をクリックすると、通常の縦338×横600ピクセルから、縦535×横950ピクセルに画面サイズが拡大する。
楽天、純利益3.5倍の474億円 1~9月、電子商取引の拡大追い風
楽天が12日発表した2009年1~9月期の連結決算は、純利益が前期比約3.5倍の474億円と、1~9月期としては過去最高となった。携帯電話も含めたインターネット経由の電子商取引(EC)の拡大を背景に、取扱高を伸ばしたことが寄与した。保有していたTBSホールディングス株の買い取り請求権行使で、繰り延べ税金資産を計上したことも、純利益の増加要因になった。
売上高は18%増の2170億円、営業利益は25%増の386億円だった。TBSHD株について前期に発生した評価損について繰り延べ税金資産を計上し、法人税等調整額216億円が発生。純利益を押し上げた。
ソフトバンクモバイルは10日、2009年冬から10年春にかけての新製品を発表した。発表会で孫正義社長がキーワードとして連呼したのが「Wi-Fi」だ。
ソフトバンクモバイルは当初、前日である9日に記者会見を予定していた。しかし、有名女優裁判の判決日と重なることが明らかとなったため、テレビメディアへの露出を優先して急きょ翌10日に変更した。10日午後にはNTTドコモが新製品発表会を設定していたが、ぶつかることを承知の上で午前9時半から開催した。ソフトバンクモバイルにとって今回の発表会はそれほど気合いの入ったものだった。
■公衆無線LANと連携
前面に打ち出したのは、携帯の3Gネットワークだけでなく、無線LAN経由でインターネットに接続する「Wi-Fi」通信への本格的な対応だ。新製品では、来春に発売するという「Android」端末を含めて8モデルがWi-Fi接続に対応する。孫社長は3Gに比べて高速でネットにアクセスできるWi-Fiを新たな売りにしてきた。
ソフトバンクは、グループ会社を通じて「BBモバイルポイント」の名称で公衆無線LANを展開し、駅や空港、ファストフード店などでサービスを提供している。ボーダフォン買収当初から、無線LANスポットとの連携は視野に入れていたようだが、対応製品を揃えたことでそれが本格化する。今後は「ソフトバンクWi-Fiモバイルポイント」としてエリアを拡大していく計画だ。
■逼迫する3Gネットワーク
ソフトバンクモバイルにとって、無線LANとの連携は逼迫する3Gトラフィックを逃がすという意味でも重要な戦略になるだろう。月額基本料980円の「ホワイトプラン」による音声通話の増大、さらには「iPhone」を投入したことで、ネットワークは常に混雑した状態にある。
一時期は設備投資を増強して、3G基地局をNTTドコモを上回るペースで設置していた。しかし、最近は投資を控え、フリーキャッシュフロー増大に経営が向いている。
ネットワーク混雑の解消策としては、新たに1.5GHz帯の周波数が割り当てられている。今回の新製品でも「940P」「943SH」を1.5GHz周波数に対応させているが、ネットワーク整備はこれからであり、すぐに混雑解消には役立たない。
そこで、引っ張り出したのがWi-Fiというわけだ。これならすでに街中には無線LANスポットが点在し、若年層ユーザーの利用が多いといわれる自宅でのトラフィックも3Gから逃がすことができる。
今回、孫社長は「携帯電話の通信が鼻からの呼吸だとすれば、Wi-Fiは口。息苦しさを感じることなく呼吸ができるようになる」と自慢げに語った。確かに、ソフトバンクモバイルのネットワークは他社と比べて脆弱で「鼻づまり」の状態にある。鼻をかみ、スッキリするにはティッシュが必要だが、まずはその前に口を開けてみた、ということなのだろう。
■「収入は逃さない」料金プラン
ソフトバンクモバイルの今回のプランで巧みなのは、端末を無線LAN対応にしても収益には響かないように料金面で対策を施している点だ。ユーザーがいくら無線LANを中心に使っても、通信費を安く抑えることはできないようになっている。
無線LANだからといって「自宅での接続は一切通信費がかからない」と思ったら間違い。ソフトバンクのプランでは、月額利用料490円(10年末までに申し込めば永年無料)のほかに、専用パケット定額サービスの月額4410円を支払う必要がある。つまり、無線LANでインターネットに高速接続して大容量のコンテンツを楽しむにはパケット定額制の上限分を支払わなくてはならないのだ。
一律定額のプランを今回採用した理由について、孫社長は「iPhoneユーザーは自宅に無線LAN環境があっても、パケット通信料が上限に達している人が9割以上。段階制の定額プランは有名無実となっている」と述べた。
ちなみに他社の無線LAN接続サービスを見ると、KDDI(au)は月額使用料が525円だが11年6月末までは無料キャンペーン中で、無線LAN接続時のパケット料金は無料。NTTドコモ「ホームU」も月額使用料は490円だが、通信料は無料となっている。
まさにソフトバンクは「トラフィックは逃がすが、収入は逃がさない」戦略なのだ。
ただし、ソフトバンクモバイルの新製品のなかには裏技的な使い方ができる端末も存在する。無線LANに対応したシャープ製の「941SH」「940SH」には、複数のブラウザーが搭載されている。このうち、「ダイレクトブラウザ」と呼ばれるものを使うと、無線LAN経由でネット接続してもPC向けサイトはパケット料金や月額使用料が不要となる。
■ワンセグなし、2メガカメラの注目端末
無線LANに対応するのは主に上位機種だが、ソフトバンクモバイルが今回発表した新モデルのなかで、もう一つ重要な役目を担うのが、「840P」(パナソニックモバイルコミュニケーションズ製)と「840SH」(シャープ製)の2モデルだ。いずれも多色展開を売りとする商品だが、重要なのはその「価格」である。
いま、ソフトバンクモバイルではiPhoneとともに、「830P」の流れをくむシリーズが売れ筋と言われている。このシリーズは端末価格が圧倒的に安く、契約者増の起爆剤となっている。
830Pは製造ラインを見直すなどして低コスト化を実現したが、今回の840Pでは、パナソニックケータイの象徴的な機能である「ワンプッシュボタン」を廃止。カメラは2メガピクセル、おサイフケータイはもちろんワンセグにも非対応という徹底した低コスト化を進めた。
その低価格のラインに今回からシャープが加わった。ハイスペックを売りとするシャープだが、840SHではパナソニックと同じくワンセグ、おサイフケータイに非対応。カメラも2メガだ。
ソフトバンクモバイルは、10年3月末に2G(PDC方式)のサービスを停波させる。10月末現在でも98万人のPDCユーザーを抱えているだけに、これらの安価な端末で3Gへの移行を促進させたいという狙いも大きいのだろう。
■Android端末はどのメーカー製か
さて、今回の孫社長の会見で注目されたもう1つの話題がAndroid端末の導入だ。来年春の発売予定というが、メーカー名は明らかにされず、米クアルコム社製の「スナップドラゴン」という駆動周波数1GHzのCPU、3.7インチの有機ELディスプレーを採用する、という程度の紹介にとどまった。「世界最先端の機種を投入する」というポリシーの下、開発を進めているという。
ソフトバンクモバイルへの過去の納入実績や3.7インチの有機ELということから、メーカーはいまのところ韓国サムスン電子が有力だ。同社はすでにAndroid端末を開発、販売した実績も持つ。しかし、一方では「台湾メーカーではないか」(関係者)という話もあり、真相はやぶの中だ。
ただ、同じ関係者は「ソフトバンクモバイルがAndroidを出すといっても当面は1機種だけ。アップルに気を使って積極的には展開しないと聞いている」と語っており、あくまでiPhoneの重視の路線を貫くとの見方が強い。
■iPhone独占はいつまで
そんなiPhoneだが、世界を見渡すと独占販売をしている国が減り、複数のキャリアから発売される状況が広がりつつある。欧米では当初、1社に対して独占販売権を与えていたが、すでにフランス、英国、カナダなどでは複数キャリアから販売されるようになった。米AT&Tも10年夏には独占販売できなくなるといわれており、アジアでもシンガポールは複数キャリアからの発売となる。
果たして、日本はどうなるのか。ソフトバンクモバイルにとってみれば、iPhoneによって契約者も増え、ARPU(1人あたり月額利用料)も上がり、それによって増収増益を達成している状態。まさに「iPhoneあってのソフトバンクモバイル」ともいえる。
孫社長は「相手があることだから、我々は何も言えない」としつつも、「我々は頑張っている。精神論では通じず、数を売っていかなくてはいけない。サービスや料金、営業ノウハウなど地道に努力し、世界のキャリアのなかで我々が一番情熱を持ってiPhoneを売っているのは間違いない」と語る。
ソフトバンクモバイルの場合、独占販売権は「はじめから持っていない」(孫社長)が、いまの独占販売状態が保たれているのは、アップルとの信頼関係が基本にあるのだろう。もしかすると、この良好な関係を悪くさせないためにも、Androidは導入するが注力はできない事情があるのかもしれない。
■弱みを強みに変える
ソフトバンクモバイルは最近、各メーカーからNTTドコモ向け商品の「おさがり」を供給されている印象が強かった。今冬から来春に発売する新製品も見た目はNTTドコモ向けと近いものが多いのは事実だが、ここにWi-Fiという独自機能、さらに独自のコンテンツサービスを乗せてきた。逼迫した3GネットワークをWi-Fiでカバーするという弱みを強みに変える戦略もソフトバンクモバイルらしいといえるだろう。
iPhone人気のなか、リッチコンテンツやインターネットを楽しみたいというユーザーがどれだけiPhoneではないWi-Fi対応モデルを購入するかは未知数だが、「口呼吸」がどの程度広がりを持つかは、今後のユーザー動向を占ううえでも注目に値するだろう。
太陽電池、米市場に照準 三洋や独大手が新工場
【シリコンバレー=田中暁人】世界の太陽電池大手が米国市場の開拓を本格化する。再生可能エネルギー普及を後押しするオバマ政権の「グリーン・ニューディール」政策で発電所向けなどの需要が拡大する見込みのためで、各社は工場建設や営業拠点の拡充など投資を加速する。欧州で先行拡大した太陽電池市場だが、米市場が本格的に立ち上がれば業界勢力図に影響する可能性もある。
独大手のショットソーラーは、米ニューメキシコ州に1億ドル以上を投じて太陽電池工場を新設した。太陽電池のほか太陽熱発電システムの生産も手掛け「米国内の発電所需要を狙う」(同社)。9月には、カリフォルニア州とニューヨーク州に営業拠点を新設すると表明した。日本勢では、三洋電機がオレゴン州セーラム市で太陽電池の材料に使うシリコンウエハー工場をこのほど稼働。同州ヒルズボロ市では、独ソーラーワールドがウエハーからパネルまで一貫生産できる太陽電池工場の拡張工事を進めている。
動画配信サービス「GyaO!」で動画再生時の画面拡大が可能に
ヤフーとGyaOが運営する無料の動画配信サービス「GyaO! Presented by Yahoo! JAPAN」は12日、動画再生プレイヤーの画面拡大機能を追加した。
今回の画面拡大機能では、動画再生プレイヤーの右下に「大画面ボタン」を用意。本編映像を再生している間に「大画面ボタン」をクリックすると、通常の縦338×横600ピクセルから、縦535×横950ピクセルに画面サイズが拡大する。
楽天、純利益3.5倍の474億円 1~9月、電子商取引の拡大追い風
楽天が12日発表した2009年1~9月期の連結決算は、純利益が前期比約3.5倍の474億円と、1~9月期としては過去最高となった。携帯電話も含めたインターネット経由の電子商取引(EC)の拡大を背景に、取扱高を伸ばしたことが寄与した。保有していたTBSホールディングス株の買い取り請求権行使で、繰り延べ税金資産を計上したことも、純利益の増加要因になった。
売上高は18%増の2170億円、営業利益は25%増の386億円だった。TBSHD株について前期に発生した評価損について繰り延べ税金資産を計上し、法人税等調整額216億円が発生。純利益を押し上げた。
Facebookが日本法人設立へ 実名SNSでmixi追撃
世界最大のSNS「Facebook」を運営する米Facebookは、来年1月にも東京都内に日本法人を設立し、日本市場に本格参入する。日本向けサービスの開発拠点として、PC版・携帯版を改良し、ユーザー数を拡大する計画だ。Facebookが米国外に開発拠点を置くのは初。
Facebookは実名での利用を推奨しているSNS。電話番号や住所、出身校などプライベートな情報を登録でき、情報の公開範囲を細かく指定できる。
2004年に大学生向け限定でスタート。06年には学生以外にも利用を開放、07年には他SNSに先駆けてAPIを公開し、外部開発者がアプリを開発できるようにするなどしてユーザー数が急拡大。MySpaceを抜き、世界最大のSNSとなった。
現在、世界のアクティブユーザー(直近30日間に1度でもアクセスした人)は3億人で、うち半数は毎日アクセスしているという。海外展開も積極的に行っており、08年に70カ国語に対応。米国のほかドイツやスペイン、英国、トルコ、マレーシアなどさまざまな国で、最大のSNSになっているという。
日本語版も08年5月にスタートし、現在は100万ユーザーが利用しているという。「まだ数は少ないが、加速度的に増えている」と同社で国際戦略を統括するハビエル・オリバン氏は話す。
ただ日本市場は、言語をローカライズしただけでは攻略しづらい「特殊な市場」という認識も持っている。携帯電話からのネット利用が活発で、さまざまな仕様のWebブラウザを載せた端末があることや、日本のユーザーが実名コミュニケーションに抵抗が強いことなどがその理由だ。
日本法人は、来年第1四半期(1~3月)中に設立する予定。日本の携帯電話で使いやすい携帯版を開発するほか、PC・携帯版向けに日本限定の機能もリリースする考えで、「日本のユーザーにも広告主にも使いやすくしたい」という。
米国本社から技術者を招くほか、日本人技術者やマネージャーも採用する計画だ。
日本のSNSは、PC向けではmixiが約1800万人のユーザーを集めており、携帯電話では「GREE」や「モバゲータウン」が人気だ。mixiやモバゲータウンはAPIを公開、GREEは10月のリニューアルでFacebookに似たユーザーインタフェースに変えるなど、国内SNSがFacebookの成功の軌跡を追うような動きも見える。
Facebookには負けない自信があるという。米国や英国では、先行していたMySpaceやFrendsterを抜いて1位に。ドイツやスペイン、トルコなどでも先行SNSを抜き、トップシェアになったという。「人とつながりたいというニーズは世界共通。身近な知り合いとつながり、オープンで世界に開けたコミュニケーションを提供していきたい」とオリバン氏は話す。
実名を名乗り、リアルな社会関係でつながるFacebookは、匿名利用も多い日本のSNSとは一線を画す。「世界のネットの流れを見ると、以前は珍しかった実名コミュニケーションが今では当たり前になっている。日本にもその流れは来る。ネットを使う全員が使うサービスにし、世界中の人をつなげたい」
Twitter、携帯電話から新規ユーザー登録可能に
デジタルガレージと米Twitterは11日、ミニブログサービス「Twitter」の携帯電話対応版において、新規ユーザー登録機能を追加した。これにより、携帯電話でTwitterのユーザー登録、更新、プロフィール情報の編集が可能となった。
携帯電話向けのTwitter日本版公式サイトは10月15日に公開されたが、その時点では投稿のほか、名前や場所、自己紹介、アイコン画像などユーザー情報の編集だけ対応し、新規登録はPCで行うかたちだった。
今回、「いますぐ登録(無料)」ページから空メールを送信し、返信されたメールに記載してあるURLからアクセスできるページにてユーザー登録が行えるようになった。Twitter日本版公式ブログでは、「これからは友だちや同僚にTwitterを勧めるときに、携帯電話さえあれば、その場で手軽に登録してもらえる」としている。
出版50社100誌、デジタル雑誌実証実験 11年めど有料配信
講談社や集英社など出版社50社は2010年1月、雑誌のデジタル化の実証実験を始める。11日までにKDDIやシャープ、ソニー、パナソニック、楽天など44社の「パートナー企業」も参加を表明。11年をめどに携帯電話やパソコン、テレビなどへ電子雑誌を有料配信する体制を整える。独自の電子書籍端末の開発や、日本の雑誌が人気のアジアなど海外への配信も目指す。
同日、都内で「雑誌コンテンツデジタル推進コンソーシアム」の総会を開き、実験の名称は「parara(パララ)」とした。出版社が提供する雑誌コンテンツは「週刊現代」(講談社)や「MORE」(集英社)など12分野の100誌。
1月にパソコンサイトを開設する。雑誌の購買に使えるポイントをモニター数千人に付与し、1カ月間、PDF形式などで表示する雑誌記事を閲覧してもらう。キーワードで横断的に雑誌を検索できるようにする。すでに約3600人の読者がモニター登録した。
am/pm、ファミリーマートが買収へ 伊藤忠と共同
コンビニエンスストア3位のファミリーマートとその筆頭株主である伊藤忠商事は共同で、7位のエーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)を買収する方向で最終調整に入った。am/pmの親会社であるレックス・ホールディングスから全株式を買い取る。買収額は100億円前後とみられる。実現すれば店舗数は2位ローソンに迫り、首位セブン―イレブン・ジャパンの追撃体制も整う。消費不振でコンビニも飽和感が強まるなか、再び業界再編が動き出した。
買収後の店名はファミリーマートに一本化する方向だ。買収はファミマ主導で進めるが、ファミマに31%出資している伊藤忠と今後、資金負担割合や買収方法などを詰める。
<ブランドムック>初版100万部の「イヴ・サンローラン」 発売2日で約11万部 オリコン
12日発表されたオリコン本ランキング(16日付、2~8日に集計)によると、7日に発売されたブランドムック「イヴ・サンローラン 唯一無二の革新的コスメティック」(宝島社)が、10万6278部を売り上げ、1位となった。ブランドムック「イヴ・サンローラン」の付録は、化粧品ブランド「イヴ・サンローラン・ボーテ」のイヴ・サンローラン・ロゴ刺しゅうトート。初版100万部発行と発表されていた。
ブランドムックは、デザイナーや新商品などブランドの情報を伝えるムックに、付録としてバッグや傘などブランドのロゴつきのアイテムが付く刊行物。価格は1000~3000円台で、書店のほかコンビニエンスストアでも販売される。8月に発売された、若い女性を中心に人気のブランド「Cher」のムックの第3弾は70万部を1カ月でほぼ完売した。同社のブランドムックで、初週10万部突破は「Cher09-10 AUTUMN/WINTER COLLECTION」(09年8月)「Cath Kidston“THANK YOU!”BOX」(09年9月)に続き3作目。
9月の携帯出荷、1年3カ月ぶり前年上回る 4.5%増242万台
電子情報技術産業協会(JEITA)が11日発表した9月の携帯電話・PHS端末メーカーの出荷台数は、前年同月比4.5%増の242万2000台だった。2008年6月以来1年3カ月ぶりに前年を上回った。スマートフォン(高機能携帯電話)を中心に、消費者の需要に応えた端末の品ぞろえ強化が買い替えを促したようだ。
内訳は携帯電話が5.6%増の235万9000台。地上デジタル放送を受信できるワンセグ携帯は32.8%増の189万2000台でワンセグ搭載率は80.2%になった。ただ、携帯電話の出荷台数は依然として低い水準。JEITAは、「市場の飽和状態に変化はなく、今後も各社の買い替え促進策が重要になるだろう」とみている。
PHSは24.3%減の6万2000台で15カ月連続で前年を下回った。
太平洋セメント、国内生産能力を3割削減 10年度末までに
太平洋セメントは11日、国内生産能力を削減する方針を明らかにした。国内需要の落ち込みで2010年度には、生産能力の約3割にあたる「約800万トンの設備が余剰になる見通し」(村田博人取締役常務執行役員)としており、具体的な計画を10年3月末までに決める。「設備廃棄や工場閉鎖も視野に入れる」(村田氏)という。
太平洋セメントは国内にグループ工場や生産委託先など12工場を展開しており、生産能力は2363万トン。08年度の国内出荷シェアは34.5%で首位。
同社は今年度の国内セメント需要を前年度比約15%減の4260万トンと推定している。10年度は鳩山政権が打ち出している公共事業削減の影響で需要がさらに減り、4000万トン前後に落ち込む可能性が高いとみている。
インド新車販売、10月も最多を更新 33%増の16万8043台
インド自動車工業会(SIAM)は11日、10月の国内新車販売台数(乗用車、メーカー出荷ベース)が前年同月比33%増の16万8043台になったと発表した。月次ベースの販売台数は2カ月連続で過去最多を更新。世界同時不況後に落ち込んだ個人の消費意欲が持ち直してきており、販売急増につながっている。
2ケタ増は4カ月連続で、4~10月累計の販売台数は105万2161台。年間で過去最多となった2008年度(08年4月~09年3月)の同時期を16%上回る。10月はヒンズー教などの宗教行事と重なり、各地の消費者が高額品の購入を増やす時期にあたる。これも販売増の追い風となった。
天皇在位20年 敬愛される皇室像が定着した(11月12日付・読売社説)
天皇陛下の在位20年を記念する政府主催の式典がきょう12日、東京・国立劇場で開かれる。
陛下は1989年1月7日に即位されたが、その翌年、国の儀式として行われた「即位の礼」と同じ日に合わせての開催となる。
陛下は在位10年、あるいは15年に当たり、昭和天皇の10年、15年とを比較し、平成の時代が「困難や課題を抱えつつも、平穏に過ぎたことを幸せに思います」などと語られてきた。
世界不況が国民生活に影響を与えている。課題は多いものの、昭和の最初の20年と比べて「平穏に過ぎた」という感慨は、多くの国民に共通のものだろう。
陛下は、現行憲法の下で、象徴天皇として即位した。常々「象徴であるという憲法の規定を念頭に置きながら国や国民のために尽くすことが、国民の期待にこたえる道であると思っています」と話されている。
皇后さまとお二人で、「国民と心を共にする」という姿勢を貫かれてきた。親しみやすく、敬愛される皇室像が国民の間に浸透していった20年でもある。
陛下には様々な公務があり、多忙な毎日だ。
国体や全国植樹祭など地方訪問の機会が多い。各地の福祉施設を訪ねて入所者に声をかけられ、災害現場に足を運び被災者を励まされてきた。海外を訪問して国際親善にも貢献されている。
勲章受章者や外国の賓客にお会いになる回数も多い。天皇に受け継がれてきた宮中祭祀(さいし)もある。
陛下ご自身、こうした公務や宮中祭祀を心から大切にされているが、来月には76歳を迎える。健康面に不安がないわけではない。
宮内庁は今年初め、公務の負担軽減策を発表した。皇后さまともども、お体にさわらないよう、今後とも、日程などには十分な配慮をしてほしい。
秋篠宮ご夫妻に悠仁さまが誕生してから、皇位継承問題の論議は沈静化している。新政権もこの問題に特に言及していない。
先月、岡田外相が国会開会式での陛下のお言葉について、「陛下の思いが少しは入ったお言葉をいただく工夫ができないか」と発言した。与野党から「お言葉を政治的にあれこれ言うのは不適切だ」などと批判が相次いだ。
皇室の政治的な利用につながりかねないという観点からの批判であり、当然の反応だ。政治家、ことに閣僚は、皇室についての発言は慎重にしてもらいたい。
世界最大のSNS「Facebook」を運営する米Facebookは、来年1月にも東京都内に日本法人を設立し、日本市場に本格参入する。日本向けサービスの開発拠点として、PC版・携帯版を改良し、ユーザー数を拡大する計画だ。Facebookが米国外に開発拠点を置くのは初。
Facebookは実名での利用を推奨しているSNS。電話番号や住所、出身校などプライベートな情報を登録でき、情報の公開範囲を細かく指定できる。
2004年に大学生向け限定でスタート。06年には学生以外にも利用を開放、07年には他SNSに先駆けてAPIを公開し、外部開発者がアプリを開発できるようにするなどしてユーザー数が急拡大。MySpaceを抜き、世界最大のSNSとなった。
現在、世界のアクティブユーザー(直近30日間に1度でもアクセスした人)は3億人で、うち半数は毎日アクセスしているという。海外展開も積極的に行っており、08年に70カ国語に対応。米国のほかドイツやスペイン、英国、トルコ、マレーシアなどさまざまな国で、最大のSNSになっているという。
日本語版も08年5月にスタートし、現在は100万ユーザーが利用しているという。「まだ数は少ないが、加速度的に増えている」と同社で国際戦略を統括するハビエル・オリバン氏は話す。
ただ日本市場は、言語をローカライズしただけでは攻略しづらい「特殊な市場」という認識も持っている。携帯電話からのネット利用が活発で、さまざまな仕様のWebブラウザを載せた端末があることや、日本のユーザーが実名コミュニケーションに抵抗が強いことなどがその理由だ。
日本法人は、来年第1四半期(1~3月)中に設立する予定。日本の携帯電話で使いやすい携帯版を開発するほか、PC・携帯版向けに日本限定の機能もリリースする考えで、「日本のユーザーにも広告主にも使いやすくしたい」という。
米国本社から技術者を招くほか、日本人技術者やマネージャーも採用する計画だ。
日本のSNSは、PC向けではmixiが約1800万人のユーザーを集めており、携帯電話では「GREE」や「モバゲータウン」が人気だ。mixiやモバゲータウンはAPIを公開、GREEは10月のリニューアルでFacebookに似たユーザーインタフェースに変えるなど、国内SNSがFacebookの成功の軌跡を追うような動きも見える。
Facebookには負けない自信があるという。米国や英国では、先行していたMySpaceやFrendsterを抜いて1位に。ドイツやスペイン、トルコなどでも先行SNSを抜き、トップシェアになったという。「人とつながりたいというニーズは世界共通。身近な知り合いとつながり、オープンで世界に開けたコミュニケーションを提供していきたい」とオリバン氏は話す。
実名を名乗り、リアルな社会関係でつながるFacebookは、匿名利用も多い日本のSNSとは一線を画す。「世界のネットの流れを見ると、以前は珍しかった実名コミュニケーションが今では当たり前になっている。日本にもその流れは来る。ネットを使う全員が使うサービスにし、世界中の人をつなげたい」
Twitter、携帯電話から新規ユーザー登録可能に
デジタルガレージと米Twitterは11日、ミニブログサービス「Twitter」の携帯電話対応版において、新規ユーザー登録機能を追加した。これにより、携帯電話でTwitterのユーザー登録、更新、プロフィール情報の編集が可能となった。
携帯電話向けのTwitter日本版公式サイトは10月15日に公開されたが、その時点では投稿のほか、名前や場所、自己紹介、アイコン画像などユーザー情報の編集だけ対応し、新規登録はPCで行うかたちだった。
今回、「いますぐ登録(無料)」ページから空メールを送信し、返信されたメールに記載してあるURLからアクセスできるページにてユーザー登録が行えるようになった。Twitter日本版公式ブログでは、「これからは友だちや同僚にTwitterを勧めるときに、携帯電話さえあれば、その場で手軽に登録してもらえる」としている。
出版50社100誌、デジタル雑誌実証実験 11年めど有料配信
講談社や集英社など出版社50社は2010年1月、雑誌のデジタル化の実証実験を始める。11日までにKDDIやシャープ、ソニー、パナソニック、楽天など44社の「パートナー企業」も参加を表明。11年をめどに携帯電話やパソコン、テレビなどへ電子雑誌を有料配信する体制を整える。独自の電子書籍端末の開発や、日本の雑誌が人気のアジアなど海外への配信も目指す。
同日、都内で「雑誌コンテンツデジタル推進コンソーシアム」の総会を開き、実験の名称は「parara(パララ)」とした。出版社が提供する雑誌コンテンツは「週刊現代」(講談社)や「MORE」(集英社)など12分野の100誌。
1月にパソコンサイトを開設する。雑誌の購買に使えるポイントをモニター数千人に付与し、1カ月間、PDF形式などで表示する雑誌記事を閲覧してもらう。キーワードで横断的に雑誌を検索できるようにする。すでに約3600人の読者がモニター登録した。
am/pm、ファミリーマートが買収へ 伊藤忠と共同
コンビニエンスストア3位のファミリーマートとその筆頭株主である伊藤忠商事は共同で、7位のエーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)を買収する方向で最終調整に入った。am/pmの親会社であるレックス・ホールディングスから全株式を買い取る。買収額は100億円前後とみられる。実現すれば店舗数は2位ローソンに迫り、首位セブン―イレブン・ジャパンの追撃体制も整う。消費不振でコンビニも飽和感が強まるなか、再び業界再編が動き出した。
買収後の店名はファミリーマートに一本化する方向だ。買収はファミマ主導で進めるが、ファミマに31%出資している伊藤忠と今後、資金負担割合や買収方法などを詰める。
<ブランドムック>初版100万部の「イヴ・サンローラン」 発売2日で約11万部 オリコン
12日発表されたオリコン本ランキング(16日付、2~8日に集計)によると、7日に発売されたブランドムック「イヴ・サンローラン 唯一無二の革新的コスメティック」(宝島社)が、10万6278部を売り上げ、1位となった。ブランドムック「イヴ・サンローラン」の付録は、化粧品ブランド「イヴ・サンローラン・ボーテ」のイヴ・サンローラン・ロゴ刺しゅうトート。初版100万部発行と発表されていた。
ブランドムックは、デザイナーや新商品などブランドの情報を伝えるムックに、付録としてバッグや傘などブランドのロゴつきのアイテムが付く刊行物。価格は1000~3000円台で、書店のほかコンビニエンスストアでも販売される。8月に発売された、若い女性を中心に人気のブランド「Cher」のムックの第3弾は70万部を1カ月でほぼ完売した。同社のブランドムックで、初週10万部突破は「Cher09-10 AUTUMN/WINTER COLLECTION」(09年8月)「Cath Kidston“THANK YOU!”BOX」(09年9月)に続き3作目。
9月の携帯出荷、1年3カ月ぶり前年上回る 4.5%増242万台
電子情報技術産業協会(JEITA)が11日発表した9月の携帯電話・PHS端末メーカーの出荷台数は、前年同月比4.5%増の242万2000台だった。2008年6月以来1年3カ月ぶりに前年を上回った。スマートフォン(高機能携帯電話)を中心に、消費者の需要に応えた端末の品ぞろえ強化が買い替えを促したようだ。
内訳は携帯電話が5.6%増の235万9000台。地上デジタル放送を受信できるワンセグ携帯は32.8%増の189万2000台でワンセグ搭載率は80.2%になった。ただ、携帯電話の出荷台数は依然として低い水準。JEITAは、「市場の飽和状態に変化はなく、今後も各社の買い替え促進策が重要になるだろう」とみている。
PHSは24.3%減の6万2000台で15カ月連続で前年を下回った。
太平洋セメント、国内生産能力を3割削減 10年度末までに
太平洋セメントは11日、国内生産能力を削減する方針を明らかにした。国内需要の落ち込みで2010年度には、生産能力の約3割にあたる「約800万トンの設備が余剰になる見通し」(村田博人取締役常務執行役員)としており、具体的な計画を10年3月末までに決める。「設備廃棄や工場閉鎖も視野に入れる」(村田氏)という。
太平洋セメントは国内にグループ工場や生産委託先など12工場を展開しており、生産能力は2363万トン。08年度の国内出荷シェアは34.5%で首位。
同社は今年度の国内セメント需要を前年度比約15%減の4260万トンと推定している。10年度は鳩山政権が打ち出している公共事業削減の影響で需要がさらに減り、4000万トン前後に落ち込む可能性が高いとみている。
インド新車販売、10月も最多を更新 33%増の16万8043台
インド自動車工業会(SIAM)は11日、10月の国内新車販売台数(乗用車、メーカー出荷ベース)が前年同月比33%増の16万8043台になったと発表した。月次ベースの販売台数は2カ月連続で過去最多を更新。世界同時不況後に落ち込んだ個人の消費意欲が持ち直してきており、販売急増につながっている。
2ケタ増は4カ月連続で、4~10月累計の販売台数は105万2161台。年間で過去最多となった2008年度(08年4月~09年3月)の同時期を16%上回る。10月はヒンズー教などの宗教行事と重なり、各地の消費者が高額品の購入を増やす時期にあたる。これも販売増の追い風となった。
天皇在位20年 敬愛される皇室像が定着した(11月12日付・読売社説)
天皇陛下の在位20年を記念する政府主催の式典がきょう12日、東京・国立劇場で開かれる。
陛下は1989年1月7日に即位されたが、その翌年、国の儀式として行われた「即位の礼」と同じ日に合わせての開催となる。
陛下は在位10年、あるいは15年に当たり、昭和天皇の10年、15年とを比較し、平成の時代が「困難や課題を抱えつつも、平穏に過ぎたことを幸せに思います」などと語られてきた。
世界不況が国民生活に影響を与えている。課題は多いものの、昭和の最初の20年と比べて「平穏に過ぎた」という感慨は、多くの国民に共通のものだろう。
陛下は、現行憲法の下で、象徴天皇として即位した。常々「象徴であるという憲法の規定を念頭に置きながら国や国民のために尽くすことが、国民の期待にこたえる道であると思っています」と話されている。
皇后さまとお二人で、「国民と心を共にする」という姿勢を貫かれてきた。親しみやすく、敬愛される皇室像が国民の間に浸透していった20年でもある。
陛下には様々な公務があり、多忙な毎日だ。
国体や全国植樹祭など地方訪問の機会が多い。各地の福祉施設を訪ねて入所者に声をかけられ、災害現場に足を運び被災者を励まされてきた。海外を訪問して国際親善にも貢献されている。
勲章受章者や外国の賓客にお会いになる回数も多い。天皇に受け継がれてきた宮中祭祀(さいし)もある。
陛下ご自身、こうした公務や宮中祭祀を心から大切にされているが、来月には76歳を迎える。健康面に不安がないわけではない。
宮内庁は今年初め、公務の負担軽減策を発表した。皇后さまともども、お体にさわらないよう、今後とも、日程などには十分な配慮をしてほしい。
秋篠宮ご夫妻に悠仁さまが誕生してから、皇位継承問題の論議は沈静化している。新政権もこの問題に特に言及していない。
先月、岡田外相が国会開会式での陛下のお言葉について、「陛下の思いが少しは入ったお言葉をいただく工夫ができないか」と発言した。与野党から「お言葉を政治的にあれこれ言うのは不適切だ」などと批判が相次いだ。
皇室の政治的な利用につながりかねないという観点からの批判であり、当然の反応だ。政治家、ことに閣僚は、皇室についての発言は慎重にしてもらいたい。