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加速する若者のスキー離れ ゲレンデの主役は中高年(COLUMN)
 国内のスキー人口はピーク時の3分の1近くまで減り、スキー場の数も約2割減少。当時、ゲレンデの主役は若者だったが、近年はめっきり減り、中高年の姿が目立つようになった。
 「新しくスキーを始める若者がいなくなり、この10年でゲレンデの雰囲気ががらっと変わった」。スキー歴35年の大阪府高槻市スキー連盟理事、尾口良八さん(58)の実感だ。
 同連盟は年3、4回、長野県などでスキー教室を開いており、バブル期には同市からバス3台を連ねたが、「最近の参加者は約20人。60~70歳代が中心」という。
 ◆五十の手習いも◆
 子育てが一段落したり、定年退職したりした友達に誘われ、58歳でスキーを始めたという同市西町の田口京子さん(67)。年5、6回、長野県や北海道などのスキー場に出かける。「他のスポーツに比べて体力がいらないから、中高年でも始められる。旅行気分も味わえるし。平日、スキー場で周囲を見ると、ほとんどが中高年」と話す。神戸市灘区の六甲山人工スキー場でも中高年が増えており、今シーズンのシニア向けスキー教室を昨シーズンの2倍にあたる6日間にした。
 若者にとってネックになっているとみられるのが費用。2008年のレジャー白書によると、スキーに行った回数や費用の平均は年3・8回で計8万9000円。1回当たり約2万3000円と、ゴルフの約2倍かかる計算だ。
 ◆割高感もネック◆
 こうした負担が若者には重いようだ。関西外大1年の鬼束悠さん(19)は「関西からスキー場までは遠く、交通費も高い。スキー板などにかけるお金も、暇もない」と話す。
 大学のスキーサークルも低調で、立命館大の公認団体は5サークル約130人。同大学学生部は「かつて夏はテニス、冬はスキーというサークルが数えきれないほどあったが、最近は大幅に減っている」という。
 高校生にもウケがあまりよくない。95年度、近畿の公立高校の修学旅行は72%がスキー合宿だったが、08年度は30%に低下。日本修学旅行協会は「スキー漬けが生徒に敬遠されるようになり、旅行先は海外や沖縄などに変わった」とする。
 割高感を打ち消そうと、スキー場側も対策に乗り出している。鳥取県の大山スキー場では、今シーズンから1日リフト券を平日は900円割り引き、3900円にした。担当者は「割引をPRしてもっと若者を呼び込みたい」と話す。
 橋爪紳也・大阪府立大観光産業戦略研究所長の話「最近の若者は一人で自由な時間を過ごすのを好み、グループ旅行を嫌う傾向がある。金銭面の問題に加え、グループで行くことが多く、時間のかかるスキーは、若者のセンスに合わないのだろう」
 ◆スノボも頭打ちに◆
 財団法人日本生産性本部によると、国内のスキー人口は1993年の1860万人をピークに、2008年は690万人まで激減。若者に人気のスノーボードも02年の540万人を最高に、減少傾向に転じた。スキー場の数は02年の673か所から、08年は547か所になった。



全国最大規模の大型古書店閉店へ 神戸 
 神戸・三宮の再開発ビル「サンパル」内で、古書店としては全国でも最大級の売り場面積を誇る大型古書店「万陽書房」が、近く閉店することを決めた。
 2001年開店。930平方メートルの売り場で約300万冊を販売し、1日平均500~1000人が利用した。しかし、活字離れや不況などが影響。同社の楠井正徳社長(62)は「三宮で古書文化を担ってきた自負もあり、残念」と話している。
 ビル所有者との退店交渉などもあり、閉店日は未定。書籍の大半を30円にするセールを開催中。「商品搬出の手間と費用を減らすとともに、地域貢献のため」(同社長)という。



衆院選で消費税上げ提起を 仙谷氏「財政持たない」
 仙谷由人行政刷新担当相は27日のNHK番組で、次期衆院選で消費税率の引き上げを提起すべきとの認識を示した。「議論を始め、3年後か4年後か分からないが、選挙のときにお願いすべきはお願いするという立場じゃないと(財政が)持たない」と述べた。
 同時に「産業構造が転換し、所得が10年で100万円も下がる時代には財源をどう調達するか、財政規律をどう守るかという展望が必要だ。部分を議論しても太刀打ちできない」と指摘。消費税の税率引き上げを含め税制全体の抜本改革に向けた議論を急ぐべきだと強調した。



財源・具体策見えず 政府の成長戦略基本方針
 鳩山由紀夫政権が初めてまとめる経済成長戦略の基本方針が判明した。400万人強の雇用創出など、2020年に向けた経済成長の姿を描くが、環境や医療・介護分野のてこ入れは自民党政権の方針と同じで、目新しさに欠ける。財源をどう確保するのか、規制緩和への抵抗にどう対処するかなど具体策づくりもこれからで、政権の実行力が問われる。
 成長戦略の柱は医療・介護分野での雇用創出。もともと治療やサービスを受けたいという利用者は多く、課題は供給力のアップだ。ただそれには抜本的は規制緩和が欠かせず、業界団体などの抵抗も予想される。



高速料金上限制の採用を表明 国交相、車種別に設定
 前原誠司国土交通相は27日午前、2010年度予算案に盛り込まれた高速道路無料化に向けた社会実験の実施に合わせて、走行距離が長くなっても料金が同じになる上限料金制を採用する意向を明らかにした。
 テレビ番組出演後、記者団に答えた。
 地域や曜日を限定せず、普通車、軽自動車、トラックなど車種別に上限を設定して、来年6月をめどに実施する考え。ただ、首都高速と阪神高速については、上限制の対象外とする方針。
 また前原氏は、羽田空港の利便性向上に向けて新幹線を乗り入れる構想に言及したが、JR東海はダイヤの混雑状況などを理由に検討の申し入れを断ったという。



「FF13」の衣装、仮想空間で販売 SCE、PS3向け
 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)3」向けの仮想空間サービスを拡充する。スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジー(FF)13」など人気ゲームに登場する衣装などを販売。アバター(ネット上の分身)に身に着けることができるようにし、利用者数の拡大につなげる。
 仮想空間「プレイステーション ホーム」ではテレビ画面でアバターを動かし、知らない人とゲームや会話を楽しめる。新サービスは、ゲーム内の場面をモチーフにしたスペースを仮想空間内に設置できるほか、キャラクターの衣装などのアイテムを100~600円程度で販売する。来年1月7日までに20アイテムを配信する。



アップル、2010年1月2日より7店舗のアップルストアで限定福袋「Lucky Bag」発売
 アップルは、アップルストアの初売りを2010年1月2日より全国7店舗で開催することを明らかにした。目玉となるのは、毎年即完売の福袋「Lucky Bag」だ。価格は3万5000円。
 昨年はiPodやMacBook Proが入っているものもあったという。2010年はオンラインのアップルストアでは販売ぜず、初めてのアップルストアのみの限定発売となる。
 なお、名古屋と心斎橋、福岡天神のアップルストアのみ1月2日9時よりスタートで、その他の店舗は8時より販売する。



富士通、IT機器・ソフト一体提供 「クラウド」活用
 富士通はオフィスで使うIT(情報技術)機器と必要なソフトウエアを一体で提供する新サービスを2010年1月に始める。ネットワーク経由でソフトや情報サービスを利用する「クラウドコンピューティング」を応用、顧客企業側は月決め料金を払えば機器、ソフトなどを自前で確保する必要はないという。機器の運用コストを約2割削減できるとしており、ITサービスの中核事業に育てる考えだ。
 パソコンや複合機のほか、プリンター、サーバー、スマートフォン(高機能携帯電話)などネットワーク化が可能なIT機器全般が対象。パソコンは記憶機能を持たないシンクライアント端末に置き換えるほか、要望に応じて他社製の機器も組み込む。



有馬記念、ドリームジャーニーが制覇
 第54回有馬記念(27日・中山10R2500メートル芝16頭、G1)2番人気のドリームジャーニー(池添謙一騎乗)が2分30秒0で勝ち、ことしの宝塚記念に続くG13勝目を挙げるとともに、1着賞金1億8千万円を獲得した。
 2着は1番人気の3歳牝馬ブエナビスタ、3着には11番人気のエアシェイディが入った。



神戸新聞社説
世界人口白書/女性を苦しめる気候変動 
 国連人口基金が発表した2009年版の世界人口白書は、地球温暖化などの気候変動に初めて焦点を当てた。とりわけ途上国の女性が、気候変動の深刻な影響を受けている実態を明らかにしている。
 貧困や男女間の格差、不十分な医療・保健サービスに加え、気候変動によって女性をますます苦しめることがあってはならない。白書は、そう指摘する。
 増え続ける世界の人口は、今年、68億2940万人になった。このうち先進国に住む人は2割にも満たない。残る56億の人々は、途上国や開発が遅れる後発開発途上国で暮らしている。気候変動は、途上国で干ばつや海面上昇などをもたらすことが多いだけに、十分な対策が必要だ。
 コペンハーゲンで開かれた気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)は、京都議定書以降の枠組みづくりに合意できなかった。温室効果ガスの削減とそのコストの責任分担を明確にし、対策の実行を急がなければならない。加えて、温暖化によって途上国の人々がどんな影響を受け、被害を抑えるために何が必要か、多角的に検討していくことが重要だろう。
 貧しい女性が気候変動の直撃を受けるのは、多くの国で農作業に就き、家計のきりもりや家族の世話を担っているのが女性だからだ。干ばつなどに見舞われれば、食料や水の確保のために一層の重労働を強いられる。少女たちも手伝いのために学校に行けなくなるケースが増える。そうした悪循環が続けば、男女間の不平等が増幅され、気候変動への対処はますます難しくなる。
 白書は、南米ボリビアの山地に住む女性の例を挙げている。彼女は遠く離れた谷間へ何時間もかけて水くみに行かなければならない。温暖化で氷河が急速に減少し、近くにあった小川が枯れたのだ。
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、十分な対策を講じなければ今世紀末には気温が最大で6・4度上昇すると予測する。そうなれば、海面の上昇や干ばつ、洪水などが深刻になり、被災や食料不足の問題はさらに厳しさを増す。
 途上国の女性を、気候変動によってさらに困難な状況に追いやらないためには、経済や社会の持続的な発展を促し、女性の能力を高める教育が欠かせない。
 日本をはじめとする先進国は、地球温暖化に大きな責任がある。途上国の人々が気候変動と向き合い、自らの力で困難を克服できるよう支援を強めていきたい。
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NTT加入電話契約、初の4000万件割れ
 総務省が発表した固定電話などに関する調査によると、NTTの加入電話の契約数は9月末時点で3977万件となり、1993年度の調査開始以来、初めて4000万件を下回った。
 前回調査(6月末時点)よりも2・2%減少した。NTTの加入電話の契約数はピーク時の約6200万件から、4割近く減少した。
 一方、インターネットを使ったIP(インターネット・プロトコル)電話の契約数は3・2%増の2158万件となり、加入電話からIP電話への移行が進んでいることを改めて示した。



世界の株価26%上昇 09年は10年ぶり高い伸び、政策協調を好感
 世界の株価が急回復している。全世界の動向を示す株価指数の年初からの上昇率は先週末で約26%に達し、IT(情報技術)バブルに沸いた1999年以来、10年ぶりの高い伸びになった。昨年秋の金融危機に対して各国が協調して財政・金融政策に乗り出し、景気や企業収益が上向くとの期待が高まった。ただ、先行き不透明感は残っており、主要20市場の中で日米欧など約半数は昨秋の危機直前の株価を下回ったままだ。
 株価の上昇基調は足元で鮮明で、先週は米、英、仏、台湾など年初来高値を更新する市場が相次いだ。年初来の上昇率は米欧が2割前後、ブラジル、インド、中国・上海は7割を超す。



LEDで動画通信 NEC、病院など需要開拓
 NECは発光ダイオード(LED)の照明を人間にはわからないほど高速に点滅させてデータを送る「可視光通信技術」を使い、動画を送受信する実験に成功した。これまで静止画しか送れなかった。電波による無線通信が難しい病院や工場などで病状や作業手順を示す動画を流したり、映画を上映したりできる新タイプのシステムとして需要開拓を目指す。
 室内照明用の白色LEDを毎秒500万回点滅させてデータを送信し、光検出装置で受け取る仕組み。実験では広告用動画を送信し、受信側で正確に再生できた。受信部をLED照明から1.5メートル以内に設置したが、技術的には数メートル離しても可能という。



防衛省「サイバー空間防衛隊」11年度設置 機密情報保護を強化
 防衛省はインターネットを通じた攻撃から機密情報を守る「サイバー空間防衛隊」を2011年度に発足させる。ネットでハッカーが政府機関の情報網へ侵入し機密情報を盗んだり、ネットワークを破壊したりする事例が多発しており、機密の保護強化策が不可欠と判断した。10年度に企画調整官が統括する準備室を設置する。
 サイバー空間防衛隊は自衛隊の指揮通信システム隊の下に設置し、60人規模を想定している。来年度予算案に約70億円を計上しており、コンピューターウイルスへの対処方法の研究や専門知識を持った隊員の育成などを進める。



「コピペ」見破るソフトを開発 金沢工大など、年内に発売
 金沢工業大学とソフト開発のアンク(東京・新宿)は、インターネット上の文書を複写して別のファイルに張り付けるいわゆる「コピペ」を見破るソフトを共同開発した。大学など教育機関向けに年内に発売する。
 学生らがネット上の他人の文書を丸写ししてリポートを作成する行為が横行、教育関係者を悩ましている。開発したソフトは判定したい文書を読み込み、コピー元の文献などをネット上で検索し表示する。



中国、カラオケ検閲を本格導入 「違法な歌」を自動遮断
 【北京=共同】中国中央テレビは26日、文化省が昨年から進めてきたカラオケ検閲システムの導入が本格的に始まり、これまでに全国で約3千カ所のカラオケ店に配備されたと伝えた。同システムの「ブラックリスト」に登録されている「違法な歌」を客が注文すると、自動的に遮断、削除されるという。
 インターネットや携帯電話を対象とした中国当局の情報統制強化の一環とみられる。どのような歌が削除対象になるか不明だが、共産党批判につながったり、性的な内容の歌詞がリストに登録されている可能性が高い。
 中国メディアによると、システムはインターネットを使ったカラオケに接続。当初は重慶市などで試験的に導入し、今年になって各地で配備を推進してきた。



テロ未遂の容疑者「米本土上空での爆破試みた」 対策の不備露呈
 【ワシントン=御調昌邦、弟子丸幸子】米ミシガン州デトロイトの空港に着陸しようとした米デルタ航空機でテロ未遂事件が25日発生し、2001年の同時多発テロを経て強化したはずの米国の安全対策にもろさがあることを露呈した。米本土へのテロが再発する懸念から米国内では衝撃が広がっている。オバマ大統領は休暇先のハワイから対応を指示。米政府は容疑者が滞在していたという英国など関係国との情報交換も急いで全容の解明に乗り出す構えだ。
 事件を起こしたのはナイジェリア国籍の男で、アブドルムタラブ容疑者(23)。AP通信は容疑者が使用した爆発物は粉末と液体の混合物と伝えた。威力は不明だが、事実だとすれば、機内への持ち込みが厳しく禁じられている火薬などが空港のセキュリティーチェックを通過したことになる。
 米メディアによると、捜査当局に拘束された男は「米本土の上空で航空機を爆破することを試みた」と供述し「アルカイダの元工作員」と自称。米国の本土での爆破は「アルカイダの指示」と主張しているとの情報もある。



インドのインフラ整備、日本は環境技術を支援 首相訪問時に覚書
 日本、インド両政府はインドの首都ニューデリーと西部の商業都市ムンバイの間でインフラ整備と産業集積を進める「産業大動脈構想」について、日本の環境技術を導入し、温暖化ガスの排出を抑えた開発を目指すことで合意した。日本は支援をテコにインドとの経済関係の強化を狙う。27日からの鳩山由紀夫首相の訪印時に政府間で覚書に署名する。
 計画ではまず、産業大動脈構想の対象地域に「モデル地区」を設定。電力需要を太陽光や風力、バイオ燃料など再生可能なエネルギーで賄う仕組みを導入する。廃棄物の再利用や水資源の有効活用、都市交通のシステムを日本から持ち込み、一部の費用に円借款を充てることも検討する。自治体や企業向けの「環境ガイドライン」もつくり、温暖化ガスの排出などで新基準を採用する。



核搭載の米空母、母港停泊認める密約 事前協議の対象外
 1973年に米軍の空母ミッドウェーが横須賀港を母港とする際、同空母が核兵器を搭載して入港・停泊する場合にも、日米安全保障条約の事前協議の対象外とする密約を日米両国が交わしていたことが26日、明らかになった。密約問題に関する外務省の内部調査で記録文書が見つかった。核持ち込みは本来、同協議の対象になるが、秘密裏に日本への停泊が認められていた格好だ。
 核搭載艦船の寄港・領海通過については、同様の密約が同じ内部調査で確認されている。日本を母港とし、停泊する米空母の核持ち込みを認める密約の存在が、日本側文書によって確認されたのは初めて。



09回顧・日本 越年となる政権迷走と不況(12月27日付・読売社説)
 年末恒例の、読者が選んだ本紙の「日本10大ニュース」の1位は「衆院選で民主308議席の圧勝、歴史的政権交代で鳩山内閣発足」だった。
 新政権は連日、様々な話題をお茶の間に提供した。だが、変革を旗印に政権が発足して3か月余、当初の期待感も薄れ、連立内閣への危うさや不安を感じ始めた国民も多いのではないか。
 ◆政治ドラマに高い関心◆
 民主党が政権公約として掲げた子ども手当、暫定税率廃止、高校無償化などの行方に関心が集中した。年の瀬も押し迫り、同党の小沢幹事長が公約の大幅修正を政府に求めるなど、ドラマを見るような展開をたどった。
 予算の無駄を見直す行政刷新会議の事業仕分けは、華々しさに比して削減額は少なかった。米軍普天間飛行場移設問題では、鳩山首相が結論を先送りし、日米関係は危機的な状況に陥っている。
 政治資金収支報告書の虚偽記入事件で鳩山首相の元秘書2人がそれぞれ在宅起訴、略式起訴され、小沢氏の秘書の公判も始まった。「政治とカネ」をめぐる問題が再燃した年でもあった。
 7位には「高速道『上限1000円』スタート」が入った。車を運転する人などには、それだけ関心事なのだろう。
 前の麻生内閣の施策だが、新政権はさらに進めて無料化を打ち出した。地方の公共交通の足が奪われると懸念されている。
 「天皇陛下即位20年」が6位である。「国民と苦楽を共にする」という考えを貫かれ、「象徴として望ましい天皇の在り方」を求め続けられた20年だった。
 天皇、皇后両陛下のご成婚50年の年でもあり、即位20年と併せて様々な祝賀行事が行われた。
 そんな中で、鳩山内閣が、天皇陛下と中国の習近平国家副主席との会見を特別に設定したことの是非が論議を呼んだ。
 2位に入ったのは「日本でも新型インフルエンザ流行」だ。春にメキシコから火の手が上がった感染拡大の波は日本にも押し寄せ、いまも沈静化していない。マスク姿が目立つのも社会現象だ。
 ◆国民が決める刑の重さ◆
 続いて3位には、「『裁判員制度』スタート」が入った。国民が刑事裁判に参加し、裁判官とともに、有罪か無罪か、さらに有罪の場合の刑の重さを決定する。
 「参加したくない」という声もある中で始まった。課題が浮かび上がれば、柔軟に運用方法を見直していく必要があるだろう。
 検察・警察は、裁判員裁判で被告の自白が強制されたものでないことを立証するため、取り調べの一部録音・録画を始めたが、全面可視化を求める声も多い。
 それというのも、10位に入った「『足利事件』の菅家さん釈放 DNA鑑定に誤り」など、冤罪(えんざい)事件が絶えないからだ。
 足利事件では、最新技術を使ったDNAの再鑑定で、精度が低かった捜査段階での鑑定が否定される結果となった。今月に入り、茨城県で42年前に起きた布川事件の再審開始も決まった。
 検察・警察は、これら事件の問題点を検証するとともに、適正捜査を徹底しなければならない。
 5位は「酒井法子容疑者、覚せい剤所持で逮捕」だった。人気女優の逮捕は、テレビのワイドショーなどの格好の題材となった。芸能界の薬物汚染、若者の大麻汚染などが懸念されている。
 1年を通して「不況」の文字が社会を覆った。経済関連は「トヨタが71年ぶり営業赤字 自動車、電機など大手赤字相次ぐ」が16位、「『円』急騰、約14年ぶり1ドル=84円台」が19位、「失業率5・7%、求人倍率0・42倍 過去最悪を更新」が20位だ。
 就職先が決まらない来春卒業予定の高校生や大学生も多い。「就職氷河期」の再来である。
 「デフレ危機」や「ボーナスカット」の言葉も飛び交い、「二番底」の到来が心配されている。産業界などには、政府の成長戦略のなさに対する批判も強い。
 ◆感動を与え続けた野球◆
 上位10位までに野球関連が3本も入った。4位に「日本がWBC連覇」、8位に「イチロー選手が大リーグ史上初の9年連続200安打」、そして「巨人が7年ぶり21度目日本一」が9位だ。
 「ヤンキース松井選手、日本人初のWシリーズMVP」も14位に入っている。野球が国民的スポーツであることの証しでもある。
 暮らしの先が見えない時代にあって、WBCの「侍ジャパン」の活躍などから勇気や感動をもらった人も多かったことだろう。
 問題は新政権である。再ブームとなっている司馬遼太郎の「坂の上の雲」ではないが、この国と国民に、坂の上の雲を目指すような活力を蘇(よみがえ)らせることこそ、来年の課題ではないか。
「プラットフォーム」一人勝ちへの反撃(COLUMN)
 米国のコンテンツ企業がネットビジネスで相次ぎ新機軸を打ち出している。それらを整理すると、単純かつ重要な事実が明確となる。ネット上ではプラットフォーム・レイヤーが一番儲かる。コンテンツ企業がそこに自ら進出するか、既存のプラットフォーム企業との取引条件を適正化しない限り、儲けは上げられない、ということである。
■音楽・雑誌・テレビ業界の取り組み
 米国ではこの2週間、媒体の異なるコンテンツ企業が同じようなネット戦略を立て続けに発表している。
 1つは音楽業界である。米メジャーレーベル4社のうち3社(ユニバーサル・ミュージック・グループ、ソニー・ミュージックエンタテインメント、EMIミュージック)が共同でミュージックビデオを配信する公式サイト「Vevo」を、動画サイト「YouTube(ユーチューブ)」の支援を受けて始めた。広告モデルによりネット上で無料でミュージックビデオを提供し、最初から月間4億ビューを目指すという。
 もう1つは出版業界である。米国の大手出版社4社(タイム、コンデナスト、ハースト、メレディス)と大手新聞社ニューズ・コーポレーションが共同で、雑誌や新聞を魅力的な形でネット配信するための共通フォーマットの開発を始めると発表した。プロジェクトの名称は決まっていないが、「デジタル・ニューススタンド」や「雑誌版iTunes」などと呼ばれている。
 これらの動きは、2年前にスタートしたテレビ業界の取り組みと基本的に同じである。米国のネットワーク局4局中3局(NBC、Fox、ABC)が参加したテレビ番組の配信サイト「Hulu」である。
 共通点は、テレビ、音楽、雑誌というそれぞれのコンテンツ業界大手が共同して、ネット上のコンテンツ・レイヤーからプラットフォーム・レイヤーに進出しようとしているところにある。
 現在のネットで情報やコンテンツの流通を担い、大規模なユーザー数を誇っているのは、検索やポータルといったプラットフォーム・レイヤーのサービスである。コンテンツ・レイヤーに留まっている限りユーザーの拡大には限界があり、広告モデル、課金モデルのいずれを取るにしても収益を大きくは増やせない。
 実際、Huluは今や月間8億5000万ビューを集め、YouTubeに次ぐ全米第2位の動画サイトに成長した。Vevoのオープニングパーティーでユニバーサル・ミュージックのCEOが、「これで我々もプラットフォームを持った。これは我々のプラットフォームなんだ」と発言しているのは、そうした理由があってのことだ。
■プラットフォームとの取引条件の適正化
 一方、前回取り上げたニューズ・コーポレーションによるグーグルへの敵対的アクションは、コンテンツ・レイヤーの企業がプラットフォーム・レイヤーの企業に対して取引条件を適正化しようとする動きと捉えられる。それは例えるなら、全国チェーンの大手スーパーに対して商品を納入しているメーカーが取引条件の改善を要求するのと似たような構図だろう。
 そして、本コラム「ジャーナリズム維持に動き出したドイツ 」で説明したドイツ政府の取り組みは、ニューズ・コーポレーションが自力で達成しようとしていることを、政府が制度の変更によって政策的に実現しようとすることに他ならない。言い換えれば、政府によるコンテンツ・レイヤーとプラットフォーム・レイヤーの取引条件の適正化である。
■「一人勝ち」の修正へ攻防激化
 これらの様々な動きを総合して見ると、ネット上で一部のプラットフォーム・レイヤー企業が「一人勝ち」している状況の修正が始まったと言えるのではないだろうか。
 情報・コンテンツのビジネスで流通を独占した者が一番儲かるのは、リアルでもネットでも同じである。だからこそ、マスメディアや大手コンテンツ企業は、ネットが普及する前はリアルの世界で大儲けしてきた。しかし、ネットの普及で情報・コンテンツ流通の主役の座を奪われた結果、マスメディアや大手コンテンツ企業の収益は急速に悪化している。
 ネット上では一部のプラットフォーム企業が情報・コンテンツの流通独占を成し遂げた。例えばドイツでは、ネットの検索市場でグーグルが8割のシェアを占めている。こうしたプラットフォーム企業が高収益を記録する一方、コンテンツ・レイヤーに留まっているマスメディアやコンテンツ企業は収益を改善することができなかったのである。
 コンテンツ・レイヤーの企業が、自らプラットフォーム・レイヤーに進出したり、プラットフォーム・レイヤーの独占的企業との取引条件を改善しようとしたりするのは、こうした状況を打開するためである。
 ネット上で散発的に始まったパラダイムシフトへの動きが、大きな潮流となるのか、それともネットという大海にさざ波を立てるだけで終わるのかは、まだ誰にもわからない。
 しかし、いずれにしても来年はプラットフォーム・レイヤーを巡る攻防が一層激化するのは確実だ。今回説明したような観点から世界の動向に注目するとともに、日本のマスメディアやコンテンツ企業も独自のアクションを考えるべきではないだろうか。



成長へ環境など6分野 政府戦略素案「輝きのある日本へ」
 政府の成長戦略策定会議(議長・鳩山由紀夫首相)が30日にまとめる新しい経済成長戦略の素案が26日明らかになった。柱として環境、健康など6分野を打ち出し、成長戦略の表題は「輝きのある日本へ」とする方向。30日に首相自身が発表し、「鳩山内閣には経済成長戦略がない」「経済政策の司令塔が不在だ」といった経済界などからの批判の払拭(ふっしょく)に努める構えだ。
 素案によると、日本の企業や大学などが他国に比べて優位に立つ分野では「強みの発揮」をテーマに「環境」「健康(医療・介護)」の2つを重点的に伸ばす方向性を打ち出す。今後の需要拡大が見込まれる新規分野では「フロンティアの開拓」をテーマとし、「アジア」「観光・地域活性化」の2つを強化する。それぞれを下支えする要素として「科学技術」「人材」の2項目も重点分野に掲げている。



仙谷行刷相、高齢者資産に課税の検討を
 仙谷由人行政刷新相は26日、読売テレビ番組で「相続税を相続税という名前でなく、残した財産に(税金が)かかることも考えないといけない」と述べ、高齢者資産に課税する仕組みを検討すべきだとの認識を示した。25日に閣議決定した2010年度予算案での歳入確保に特別会計の剰余金などの「霞が関埋蔵金」に依存したことについては「もう逆さまに振っても出てこない感じになっているのではないか」と指摘した。
 埋蔵金での歳入確保が難しくなった場合には「(国民の)皆さん方に負担をお願いしなければ仕方ないのではないか」と言及。「消費税だけでなく、その他の税目も議論をしたほうがいい」と強調した。行刷相は現役世代の負担のもとに高齢者の生活が支えられている問題点を示したうえで「高齢者がどうやって社会にお返しをしていくか考えてもいい」と語り、資産への課税を検討すべきだとの考えを明らかにした。



【産経主張】鳩山政権の初予算 破綻が現実化する不安 正直に財政再建目標を示せ
 鳩山由紀夫政権が初の来年度予算案を閣議決定した。92・3兆円に上る一般会計の規模、44・3兆円の国債発行額とも過去最大である。財源の裏付けなき公約と財政規律なき政策決定プロセスの混乱が生み出した結果といえる。
 予算編成は初めから終わりまで迷走の連続だった。それは政策決定の司令塔として創設された国家戦略室が、自民党の編成手法を否定するために概算要求基準を廃止し、それに代わる基本方針を示せなかったことから始まった。
 子ども手当に象徴される政権公約はもちろん、その他の歳出も抑えられず、概算要求は95兆円に膨らんだ。これを行政刷新会議の事業仕分けなどで削減しようとしたが、目標に遠く及ばなかった。
 すると今度は歳入面で政権公約の見直しに入った。国債発行を前政権の44兆円以内にとどめるとの基本的枠組みが崩れるためで、その代表例が揮発油税などの暫定税率の維持である。
 民主党は昨春、福田康夫政権の暫定税率維持法案に反対して一時的にガソリン価格を引き下げさせ、今夏の総選挙でも廃止が目玉公約だった。それを鳩山政権は小沢一郎党幹事長の要望を受け入れる形で放棄したのである。
 ◆問われる政権能力
 政権発足時から指摘されていたこととはいえ、これは鳩山政権の土台である政策決定の内閣一元化と財源なき政権公約の崩壊を意味する。これだけでも財政規律と政権運営能力が問われるが、それは既存の歳出分野でも顕著だ。
 例えば医師不足解消を理由に、医師の人件費に当たる診療報酬を引き上げたのがそれだ。引き上げ幅は1・55%だが、物価や民間給与が下がっている中で診療報酬だけを上げることに国民の理解が得られるとは思えない。
 優遇されすぎている開業医の報酬を大幅に削り、それを勤務医や不足する診療科に配分すれば、引き上げずに済んだはずだ。これから行われる配分見直し作業が小手先であってはならない。
 地方交付税もばらまきと言ってよい。国税5税の税収減に伴って減少する分を補填(ほてん)しただけでなく、さらに1兆円を加算し17・5兆円に膨らんだ。地方よりはるかに財政が悪化している国が支援するのは逆さまである。
 地方向けでは農家の戸別所得補償や高速道路無料化などの政権公約に加え、整備新幹線の財源まで手当てされた。高校無償化の公約実施も考えると、来夏の参院選対策と見られても仕方あるまい。
 一方で来年度予算に最も求められる景気対策はほとんど見られない。子ども手当や農家の戸別補償に消費刺激効果はまず期待できないし、緊急経済対策と称した今年度第2次補正予算も雇用対策と地方支援が柱だ。これらは経済対策というより社会政策であり、成長と税収には結びつかない。
 ◆埋蔵金は来年度限り
 その来年度税収見込みは37・4兆円と25年前の水準に落ち込む。国債発行額がこれを上回るのは、戦後の混乱期を除けば初の事態である。しかも、これだけ国債を大量発行しても10兆円以上の財源が不足し、特別会計の積立金などいわゆる“埋蔵金”で埋めた。
 だが、これらは埋蔵金ではない。例えば財政投融資特別会計の積立金も財投債の安定償還のためだ。しかも、恒久財源ではなく1回使えばなくなってしまう。子ども手当にしろ来年度は半額実施だが、もはや再来年度以降の公約実施財源はない。
 来年度の国債残高は国内総生産(GDP)比134%の637兆円と、先進国では例のない水準まで悪化する。いよいよ国債の消化不安が頭をもたげかねず、成長を決定的に阻害する金利急騰の危険性と隣り合わせになる。
 鳩山政権にはその危機感がないのではないか。今回の予算案もそうだが、前政権が策定した中長期の財政再建目標を白紙にしながら、新目標の策定を来年前半まで先送りしたことが、何よりもそれを物語る。
 先進各国とも同時不況の出口戦略として目標を示している。鳩山政権が目標に背を向けるのは、任期の4年間、消費税を封印しているからにほかならない。来夏の参院選を控え、まともな新目標が策定できるかも疑わしい。
 消費税を封印したまま税収に結びつく成長戦略もなく、無理な政権公約で歳出だけを膨らませるなら財政は破綻(はたん)するしかない。この国民の最大の不安を鳩山政権は認識せねばならない。
「ファイナルファンタジーXIII」に感じるちぐはぐさ(COLUMN)
 12月17日発売の「ファイナルファンタジーXIII(FF13)」を楽しんでいる。グラフィックは圧倒されるほど美しく現世代では最高といっていい水準だ。ただ、遊んでいて、ちぐはぐさも感じる。ゲームシステムが「プレイステーション」時代の「FF7」(1997年)のころとほとんど変わっていなく、グラフィックが豪華なだけかえってバランスが取れていない印象がするためだ。
■日本的RPGの作法
 FF13は、日本製ロールプレイングゲームの典型ともいうべき作られ方をしている。決められたストーリー展開で進むイベントシーン、決められたルートでの移動、そして戦闘の繰り返しという構成だ。その方法論は、ほとんど「お作法」のように受け継がれ、しかも極限まで拡大されている。
 12月16日に横浜で開催されたCG関連の展示会「SIGGAPH ASIA」の講演で、FF13のキャラクターたちがリアルタイムの映像で会話するイベントシーンについての解説があったが、開発量は膨大であり徹底した分業体制をとったという。
 こうした開発方法は、全体設計を最初に決めると、途中で問題が発生しても変更が難しい面がある。FF13のような大規模なソフトウエアはこうでもしないと開発できなくなっているのだが、極めて危険な作り方でもある。
 FFシリーズは必ずヒットして利益を回収できるという暗黙の前提があるからこそ、150人以上の開発チームで3年以上の開発期間というコストをかけられる。FF13は海外販売も収益に織り込んでおり、来年3月の欧米発売もヒットが絶対条件になっている。
 だが、その前提が何らかの理由で崩れてしまえば、リスクは巨大になる。例えるなら、体のサイズが極大になるまで進化してしまった恐竜のようなものだ。
■欧米での大ヒットは難しい?
 もちろんFF13は、欧米では「プレイステーション3(PS3)」と「Xbox360」のマルチプラットフォームで展開し、市場規模が日本の4倍以上もある。北米、欧州でそれぞれ100万本以上の販売は確実だろう。しかし、「コールオブデューティモダンウォーフェアー2」の1000万本といった世界的大ヒットは難しいかもしれない。
 スクウェア・エニックスは企業理念として「最高の『物語』を提供することで、世界中の人々の幸福に貢献する」という目標を掲げる。FF13も、「物語」を強い売りにしており、この理念の延長線上にある。しかし、こうしたアプローチは、今の欧米圏では理解されにくくなっている可能性があるからだ。
ナウプロダクションの大信英次氏
■ナウプロダクション大信氏の指摘
 12月23日、筆者も運営に関係している「IGDA日本」の主催で、海外へのゲーム事業展開をテーマとしたセミナーを開催した。このなかで以前のコラムでも取り上げた中堅ゲーム会社ナウプロダクション(大阪市)の大信英次・企画室室長が「欧米パブリッシャーとのビジネス」というタイトルで講演した。
 大信氏は今年120日も海外に出張し、世界の商談会で大小様々な海外パブリッシャーから最新動向を収集している。その経験から大信氏は、「もう日本市場向けのゲームコンセプトが、そのまま海外で通常することはない」と断言する。
 ナウプロダクションは、受託開発事業の70%が海外からの発注で、今年は米アクティビジョンから発売された「Bakugan Battle Brawlers」が北米市場だけで年内100万本を達成する見込みという。このゲームは元々、セガトイズが発売した「爆丸」というオモチャを基にしているが、最初から北米向けに開発し、日本市場での販売は考えなかった。
■「物語」より「ゲーム性」を重視
 大信氏によると、北米のパブリッシャーが企画案の段階で最も重視するのはストーリーではなく、「ゲームメカニクス」と呼ばれるゲーム性の部分だ。企画のプレゼンテーションやそれに続くプロトタイプ開発でも、ゲーム性が独創的かどうか、そのゲーム性のおもしろさを簡潔に一行で説明できるかどうかを徹底して精査するという。
 大信氏は、日本の開発者には「『物語』がないと、ゲームの開発はできないという思いこみに近いものがある」と、自社の実状も踏まえて指摘する。ところが、欧米企業にとって物語の独創性は重要ではない。むしろ、物語はゲームメカニクスのおもしろさを崩さないように乗せるという考え方が制作時に一般的になっている。
 これは、日本の開発者がもっとも抵抗する部分だ。ところが、開発途中で実際にユーザーを集めてマーケティングテストをすると、「ユーザーが物語ではなくゲーム性を求めていることが明確なデータとして嫌というほど表れる」と大信氏はいう。
■ユーザーインターフェースを徹底検証
 日本と欧米の手法の違いは、開発プロセスにも出ているようだ。欧米企業は、開発の初期段階であるプロトタイピングでゲームメカニクスを確立し、一通りゲームの内容をまとめた「アルファ版」と最終段階に近い「ベータ版」で、マーケティングテストを通じたチェックを行う。
 そこで厳しく検証するのは、ユーザーがストレスを感じることなく遊べるかどうかだという。特に、ユーザーインターフェースの部分は、少しでもストレスを感じるようなつくりになっていると、全面差し替えに近い大規模な修正が入る。ナウプロダクションの場合も、これには開発現場の抵抗が大きいが、マーケティング評価を基に修正した方が、結果は必ずよくなるという。
 大信氏は、「日本のゲーム産業は続編を作り続けることに慣れすぎてしまい、新ジャンルの開拓やインターフェースの改善といった欧米圏で起きているイノベーションに付いていけなくなっているのではないか」と指摘していた。
■FF13の混乱ぶり
 もちろん、大信氏の話をそのまま、FF13のような巨大プロジェクトに当てはめるのは、妥当ではないかもしれない。ただ、私があまりにも不思議に思うのは、FF13のインターフェースの混乱ぶりである。ゲームをプレイし始めて数時間は、それぞれの表示が何を意味しているのか、よくわからなかった。今だにアイテムについてはよくわからない。
 これは、過去のFFシリーズの遺産を相続するような形で、各機能をバラバラに開発しているためと思われる。しかし、こなれたインターフェースを持つゲームが常識となっている今の欧米市場では、評価を落とす理由になるだろう。
 繰り返しておくが、私自身は十分にFF13を楽しんでいる。豪華な映像表現には、関わったスタッフの並々ならぬ努力が随所に感じられ、頭の下がる思いがする。そうであるために、物語とゲームメカニクスのバランスの取れてない点が、ますます際だって見えるのである。



公約・財源、両立難しく 10年度予算案、歳出削減手詰まり
 政権交代後初めてとなる来年度予算案には民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)の主な事項が盛り込まれた。子ども手当や高校授業料の無償化、医師不足解消のための診療報酬引き上げなど「生活第一」の政策が実行段階に入る。ガソリン税の暫定税率の水準維持、高速道路無料化の圧縮など公約に反して歳出を抑える努力も見せたが、2011年度以降も続けるには財源面での不安が根強い。
 迷走続きの10年度予算編成が浮き彫りにしたのは、鳩山政権のマニフェスト(政権公約)と財政規律を両立させるのはほぼ不可能という厳しい現実だ。勢い込んだ歳出削減は掛け声倒れで、税収を上回る巨額の国債発行と「埋蔵金」でつじつまを合わせた。社会保障分野を中心とした歳出と歳入の一体改革で痛みを分かち合わないと、将来世代に膨大なツケを回し続けることになる。



景気への影響、見方割れる 10年度予算案、エコノミストの評価
 政府が25日に決定した2010年度予算案を巡り、経済の押し上げ効果に対する民間エコノミストの見方が割れている。「子ども手当」などによる家計支援が個人消費に一定の押し上げ効果を見込めるとの指摘がある一方、公共事業の大幅減で実質的には緊縮型との声も少なくない。物価が持続的に下がるデフレへの対処は踏み込み不足とし、「投資や消費意欲を高める強力な成長戦略が必要」との声も上がる。
 エコノミスト10人に、予算案が来年度の実質経済成長率をどのくらい押し上げるかを聞いたところ、最大は0.4%、最小はマイナス0.3%。押し上げ効果があると指摘したのは4人で、効果を0%とみたのが3人、経済にマイナスとしたのも3人。平均はちょうど0%だった。10年度の実質成長率は平均で1.2%と、政府が経済見通しで示した1.4%を下回るとの予想だ。



ゲームソフト販売:ドラクエ9が1位 3位までDS向け
 アスキー総合研究所が25日まとめた09年のゲームソフト国内販売ランキングは、7月発売の「ドラゴンクエスト9 星空の守り人」(スクウェア・エニックス社、ニンテンドーDS向け)が408万本でトップとなった。2位は330万本を売った「ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー」(ポケモン社、DS向け)、3位は205万本の「トモダチコレクション」(任天堂、DS向け)で、ベスト3をDS向け商品が独占した。
 09年のゲーム市場は、景気低迷を背景にゲーム機が16.3%減の986万台、ソフトが4.3%減の6505万本とともに縮小した。
 一方、スクエニがソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション3(PS3)」向けに今月17日発売した人気シリーズ最新作「ファイナルファンタジー13」は20日までに146万本を売り上げ、PS3ソフトで初めて100万本の大台を突破した。



【五輪招致】広島が単独立候補を検討へ 長崎でも一部開催目指す
 広島市の秋葉忠利市長は25日、長崎市との共催を目指していた2020年夏季五輪の招致に関して、単独立候補を模索する考えを明らかにした。
 同市長は東京都内での指定都市市長会議で「広島が開催都市として手を挙げ、長崎が協力する形になるかもしれない」と発言。一方、長崎市の田上富久市長は「長崎の単独開催は無理だが、競技を開催する可能性がゼロになったとは考えていない」としており、広島が立候補し、長崎で一部競技を実施する方向で調整に入る見通しとなった。
 両市長は同日、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長らと非公開で会談。五輪憲章がうたう「1都市開催」の原則に抵触するため共催は認めないと通告されていた。竹田会長は今月上旬に複数の国際オリンピック委員会(IOC)幹部と接触、「20年五輪は複合都市開催が認められない」との見解を示されたと説明したという。
 JOCの通告で、妥当な方向へ舵を切った形。「(長崎とは)被爆体験という意味で一体化している。理念をどう生かすかも含めて検討したい」と秋葉市長は話した。



近鉄百貨店400人規模の早期退職募集、来年2月に
 近鉄百貨店は25日、来年2月に400人規模の希望退職を募集すると発表した。35歳以上の正社員が対象で、全従業員(約3600人)の9人に1人を削減する形となる。近鉄百は旗艦店の阿倍野店の建て替えに伴う売り場縮小などから、平成22年2月期が最終赤字となる見通し。今年2月にも124人の希望退職を実施しており、固定費減に向けた人員削減は2年連続となる。
孫正義社長がTwitterでつぶやき開始――Twittelatorで
 ソフトバンクグループの代表取締役社長、孫正義氏がTwitterのアカウント(@masason)を開設した。つぶやき始めたのは12月24日の深夜とみられる。
 最新のつぶやきには、「来年は、我が社の創業30年。今年の株主総会で宣言しました。来年の6月の株主総会で次の30年分のビジョンを示す事を。21世紀の人々のライフスタイルをもっと豊で楽しいものにしたいと思います。志を共有する多くの皆さんの意見を取り入れたいのでつぶやいてみてください。 孫正義」とあり、ソフトバンクグループ内外から広く意見を募り、議論するために積極的に活用していくつもりのようだ。
 16時30分の時点ですでに2500人以上がフォローしており、急速にフォロワーが増えている。Twitterへの投稿には、iPhoneアプリ「Twittelator」を利用している。



米アップル株が最高値 新ネット端末に期待
 24日の米ナスダック市場でアップル株が一時7.25ドル高の209.35ドルまで買われ、上場来高値を更新した。来春発売とされる新型の携帯型インターネット端末に期待感が高まり、終値も209.04ドルと前日比3%強上昇した。同社の株価はスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)の病気療養が分かった今年1月、一時78.20ドルまで下落したが、11カ月で約2.7倍に急騰した。
 アップルは多機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」より大きく、パソコンよりも小さな端末を開発中とされる。小型ノート型パソコンや電子書籍端末の勢力図を塗り替える可能性があるともみられている。
 24日の株価上昇は新型端末の発表を念頭に、英紙フィナンシャル・タイムズがブログで「アップルが来年1月下旬、サンフランシスコの展示場を予約した」と伝えたのが手掛かり。発売時期や商品性などを巡る憶測が乱れ飛んでいる。



adingo、mixiアプリ内に掲載できるクリック課金型の広告配信システムを公開
 adingoはクリック課金型広告の自動配信システム「Beagle」を開発し、mixiアプリ事業者に対して無償提供を開始した。
 このシステムは、タグを貼り付けることでクリック課金型広告を自動的に自社メディアに掲載できるというもの。フェザンレーヴがmixiアプリ「TraBest JAPAN」にて採用しているほか、あたまソフトの「ファイナルクエスチョン」やテトリスオンライン・ジャパンの「テトリスオンライン」にも導入される予定。2010年12月までに、mixiアプリ内の100サービスで採用されることを目指している。
 今後は、adingoがウェブ検索機能やリスティング広告の支援をしている200社以上の提携メディアに対してもBeagleを提供していく予定だ。



ソニー、電子書籍端末は国内生産 海外委託と「仕分け」
 ソニーは電子書籍端末を国内で生産し、米国に輸出する。無線通信機能を搭載した新製品を岐阜県の自社工場で生産、月内に出荷を始める。同社はコスト低減のため液晶テレビなどで海外への生産委託を拡大しており、電子書籍もこれまでは中国生産だった。パソコンやリチウムイオン電池などでも先端機能を盛り込んだ競争力の強いものは自社生産が有利と判断。生産体制の「仕分け」を急ぐ。
 月内に米国で発売する電子書籍端末「ソニー・リーダー・デイリー・エディション」を生産子会社ソニーイーエムシーエスの美濃加茂サイト(岐阜県美濃加茂市)で生産する。ソニーは手触りを重視して電子書籍端末の外装にアルミを使用。新製品は電波を妨げやすいアルミに無線機能を組み込むため、携帯電話などの生産実績がある美濃加茂サイトの技術を使う。



毎日新聞、中間決算が2年連続の赤字
 毎日新聞社が24日に関東財務局に提出した半期報告書によると、2009年9月中間連結決算は税引き後利益が12億3400万円の赤字だった。
 中間決算としては2年連続の赤字。前年同期より3億8500万円改善したが、08年度通期の赤字額を上回っている。
 売上高は前年同期比4・6%減の1316億円。広告収入の減少が響いた。
 毎日新聞社は、10年4月から共同通信に再加盟するなど経営改革を進める姿勢を明らかにしている。



グリー、PC版「GREE」でFlashゲームの提供を開始
 グリーは25日、PC版「GREE」にて、Flashゲーム9種類の提供を開始した。利用は無料。
 グリーは、モバイル版「GREE」で2006年11月よりFlashゲームコーナー「グリゲー」を配信済み。11月に実施したPC版の正式リニューアルでは、FlashゲームをPC版にも実装することを「検討中」として発表していた。
 PC版「GREE」で実装されたFlashゲームは、「脳力ゲーム 早押し計算」や「リバーシ」、「ソリティア クロンダイク」などのミニゲームを中心に9種類を公開。モバイル版で提供しているFlashゲームとは連動せず、独立したコンテンツとして提供する。


11月の外食売上高、過去最大のマイナス “値下げ戦争”で単価激減  
 日本フードサービス協会が25日発表した11月の外食売上高(新規店含む全店ベース)は、前年同月比5.8%減となり、比較可能な1999年6月以降で過去最大の下落幅を記録した。マイナスは2カ月ぶり。客数は0.2%減と、ほぼ前年並みを維持したが、客単価が5.5%減と大幅に落ち込んでおり、相次ぐ牛丼の値下げに象徴される“外食デフレ”が加速していることが鮮明になった。
 1~11月の累計でも大きく、前年を割り込んでおり、今年の外食産業の売上高が2003年以来6年ぶりにマイナスとなることが確実になった。 
 11月は、値下げ合戦の激化に加え、前年同期に比べて土曜日が1日少なく、曇りや雨が多く日照時間が少ないことも影響した。
 業態別の売上高は、ファストフードは2.7%減、ファミリーレストランが8.3%減、居酒屋が10.7%と軒並み落ち込んだ。
 消費者の節約志向の高まりから、牛丼チェーンの「すき家」が業界最安値の280円に値下げするなど、デフレが加速しており、外食産業の縮小はさらに続きそうだ。




11月の全国消費者物価、1.7%下落 デフレ状況続く
 総務省が25日発表した11月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は変動の大きい生鮮食品を除くベースで99.9となり、前年同月比で1.7%低下した。低下は9カ月連続。下落率は前の月より縮小したが、前年に急騰したガソリン価格の反動による面が大きい。衣服や食料など身近なモノの値段が下がっており、日本経済は依然としてデフレ状況にある。
 需要低迷を背景に、身近な商品の値下げ競争が続いている。生鮮食品を除いた食料価格は前年同月比1.2%低下した。食用油やチーズ、マヨネーズなどの値段が下がったほか、大手チェーンなどがキャンペーン値下げした影響で、外食の牛丼の価格が3.8%低下した。価格競争が激しい衣料品も、男子ズボンや婦人スラックスの値段が低下した。



インドの携帯電話が5億回線に迫る、中国に次ぎ世界第2位
 インド通信情報技術省は24日、2009年におけるインドの通信業界についての調査概要を公表した。10月末時点でインドの電話ネットワークは5億2600万回線あり、そのうち4億8800万回線が携帯回線だった。これにより、インドの携帯ネットワークは中国に次ぎ世界第2位の規模となった。
 このように、インドにおいて電話回線は圧倒的に携帯電話が主流であり、2004年以来、年間60%の成長を続けている。1999年には通信回線に占める携帯電話のシェアはわずか5.26%だったが、2009年10月には92.91%を占めるまでになった。
 インドではブロードバンドも推進している。2005年に18万回線だったが、2009年4月には620万回線に、さらに10月には720万回線へと着実に増えている。なお、インドでは、ブロードバンド回線を256kbps以上の常時接続回線と定義している。



ベネズエラ大統領「トヨタ工場を厳しく調査」
 【サンパウロ=檀上誠】ベネズエラのチャベス大統領は23日夜の演説で、同国内のトヨタ自動車工場について「四輪駆動車を政府からの割当枠通りに生産しているかどうか、厳しく調査するように指示した」と述べた。生産枠が満たされていない場合「対価を払って収容する。中国メーカーをすぐに呼んでくる」とも語った。ベネズエラの国営通信社が伝えた。
 外貨が統制されているベネズエラでは部品や完成車の輸入が滞りがちで、自動車の供給が不足。中古車の価格が新車を上回る現象も生じている。トヨタに関する大統領の発言はこうした事態への不満を表明したものだが、実際に現地工場の収容などの強硬手段に出るかどうかは不透明だ。
 大統領は米ゼネラル・モーターズやイタリアのフィアットなどもやり玉に挙げ「この50年、何の技術移転もされていない。関心が無いなら出ていけばいい」と述べた。



飲み過ぎ注意、乳がんリスク ビール大瓶1日1本で1.7倍
 過度の飲酒は女性が乳がんになるリスクを高めるという大規模疫学調査の結果を、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)がまとめ、25日発表した。1週間にビール大瓶7本を超える量を飲む人は、全く酒を飲まない人と比べ、乳がんリスクが1.75倍に高まるという。
 研究班の岩崎基・国立がんセンター室長らが、岩手、秋田など9府県の40~69歳の女性約5万人を平均約13年間追跡し、飲酒量と乳がん発症リスクとの関連を調べた。追跡期間中に572人が乳がんを発症した。



北海道新聞社説
診療報酬 医療再生への第一歩に(12月25日)
 公的保険から医療機関に支払われる診療報酬が、来年度から全体で0・19%引き上げられることが決まった。
 厚生労働省は0・36%の増額を求めていたが、財源不足を理由に財務省に押し戻された。
 医師不足などで地域医療の崩壊の危機が指摘される中、小幅ではあるが、10年ぶりの増額改定はある程度評価できるだろう。
 過酷な労働に対し収入が見合わないとされる病院勤務医の待遇改善に、しっかりと反映してもらいたい。
 診療報酬はおおむね2年に1度のペースで改定されている。小泉政権時代の2002年度に、構造改革路線の一環として初めて引き下げられてから、08年度まで4回続けて減額改定されてきた。
 その結果、病院の収入が減り、医師や看護師をはじめとする医療従事者を十分に確保できないところが増えてきた。
 とりわけ、産科や小児科、救急医療など、急患が多い診療科の勤務医は過酷な勤務を強いられ、開業に転じる医師が相次いでいる。これらの診療科を志望する医学生も減り、医師不足に拍車をかけた。
 そのため、休日や夜間などの診療態勢が手薄となり、急患の受け入れ拒否が目立つようになった。
 産科医不足で分娩(ぶんべん)を中止する病院も増え、出産のために遠くの病院に入院しなければならないケースが相次ぐなど、地域医療への影響は大きい。
 この悪循環を断ち切る手段の一つとして、診療報酬引き上げの必要性が各方面から指摘されてきた。
 ただ、報酬が上げられても、増額分が勤務医に行き渡らないと意味はない。
 病院経営が厳しさを増していることは十分に分かるが、設備投資などに充てるだけでは、勤務医の意欲を高めることにならず、医師不足の解消にはつながらない。そのことを病院経営者は理解してほしい。
 診療報酬の大枠が決まり、今後は厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会で細かな配分を決めることになる。焦点となるのは、勤務医と開業医の所得格差の是正だ。
 従来の改定では、開業医の意向が大きな影響力を持った。厚労省の調査では、開業医の08年の平均年収は2522万円で、勤務医の1・7倍になっている。
 もちろん、開業医の中にも、過疎地などで昼夜問わずに奮闘している人がいる。そうした医師には報酬でしっかりと報いたい。一方で、勤務医でも診療科によって労働実態は大きく異なる。
 メリハリのある配分が不可欠だ。
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