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3D普及のカギ握る「360度ソリューション」(COLUMN)
米ラスベガスで7~10日、家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)2010」が開催された。私は開幕2日前の5日午前、全米家電協会(CEA)会長のゲリー・シャピロ氏のオフィスを訪ね、今年のCESでの注目点は何かと尋ねた。
「3D(3次元)テレビの登場が最大の注目ポイントです」とシャピロ氏は言った。「すでに米国では映画館で3D作品が大ヒットしています。家庭に必ず入ると思います。ただ問題点が1つある。それがメガネです。10年前に登場したHD(ハイビジョン)テレビは大画面、高画質で、だれでも見ただけですぐ、その素晴らしさを実感できました。3Dはメガネを掛けないと、効果がわかりません。でも掛けて見れば素晴らしい。米国人は映画、スポーツが大好きですから、3D市場は大きく立ち上がると見ています。ゲームも有望です」
■コンテンツ・流通・デバイス
7日、CESが始まり、展示会場ではパナソニック、ソニー、韓国サムスン電子、LG電子などが大々的に3Dを展示した。昨年のCESでも展示はあったが、今回は昨年を遙かに圧倒する規模だった。3D表示のハードが溢れていたということだけでなく、その背後で、新しい動き――日本のハードメーカーがこれまで無縁だったビジネスモデル――が進行していることに、私は気付いた。
それが「360度ソリューション」だ。この言葉は、08年のCES開幕前に主催者のCEAがジャーナリストを対象に開いた恒例のメディアブリーフィング「State of the Industry」で初めて提案された概念だ。コンテンツ、サービス・ディストリビューション(流通)、デバイスの3つがちょうどトライアングルのように互いに密接な関係を持つことで、新規分野を立ち上げるという意味である。
3Dはまさに360度ソリューションでないと立ち上がらない典型分野だ。だから、戦略はそれを指向する。その代表例がソニーだ。ソニーがCESで発表した事項は多いが、360度ソリューションの観点で仕分けしてみると、次のようになる。
(1)コンテンツでは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(第一弾は「くもりときどきミートボール」)、ソニー・ミュージックエンタテインメント(第一弾は「ウッドストック」)が3D作品をリリースする。
(2)サービス・ディストリビューションでは、米ディカバリー・コミュニケーションズ、カナダIMAXと共同で3D映像を放送するテレビネットワークを立ち上げる。スポーツ局のESPNと共同で3D番組をプロデュースする。
(3)デバイスでは3D対応の液晶テレビ「ブラビア」、ブルーレイ・ディスク(BD)プレーヤーを今夏から順次発売する。
ソニーの3D戦略全般を統括する3D&BDプロジェクトマネジメント部門部門長の島津彰氏はこう語る。
「3Dエンターテインメントを立ち上げるには、様々なコンテンツを家庭や映画館に届ける仕組みをつくらなければなりません。コンテンツ、サービス・ディストリビューション、デバイスをどう緊密に連携して開拓するか、それらがどうハーモニーするかが極めて重要です。だから私はいつも頭の中に、映画、ゲーム、スポーツ・コンサートというコンテンツ分野を縦軸に、コンテンツ、サービス・ディストリビューション、デバイスを横軸に書いた図を描き、仕事を進めています」
この3つの要素を整理すると次のようになる。
(1)のコンテンツは、3D映画、3Dゲーム、3Dコンサートや3Dスポーツ中継など。(2)のサービス・ディストリビューションは3Dシネマ、3D放送、3D・BDソフトなど。(3)のデバイスはディスプレーとしての3D映画館や家庭用3Dテレビである。
実際には、これらが入り組んで、複雑だが効果的な「360度ソリューション」となる。日本メーカーが「コンテンツ→ディストリビューション→ディスプレー」というトータルな流れを、ここまでプロデュースした例は初めてだろう。
■「鶏と卵」の関係をどう解いていくか
360度ソリューションがなぜ強いのかといえば、3つがマトリックスのように縦横で複合的な効果を発揮するからだ。
映画スタジオの立場からこの流れを見ると、「3D映画→3Dデジタルシネマ→3D映画館」という映画館ビジネスが基本となる。さらに、そこで制作された3D映画は「3D映画→3D・BDソフト→3Dテレビ」というパッケージメディアのチャンネルで家庭に流れる。
「3D・BDソフト→3Dテレビ」の道には3Dゲームも流れる。また、3Dコンサートや3Dスポーツ中継は「3Dデジタルシネマ→3D映画館」というかたちでも公開されるが、家庭にはパッケージによる「3D・BDソフト→3Dテレビ」と、放送による「3D放送→3Dテレビ」の2つの流れで届く。
ただし、これらは非常に緊密な「鶏と卵」である。家庭での3Dの普及を牽引・加速させるには、コンテンツ整備、ディストリビューション整備が絶対に必要である。まず上流で、3D中継の撮影ノウハウを確立しなければ、消費者が満足する作品をつくれない。ソニーはそのために、疲れない3D映像をどうやってつくるかを研究、実践する3D映像開発拠点「ソニー3Dテクノロジーセンター」をソニー・ピクチャーズ内に設立した。
3Dの発想はもともとBDソフトの市場をいかに伸ばすかという目的から生まれたわけだが、当初はタイトルが非常に少ない。「だから放送は普及にとって極めて重要です。放送で3Dが楽しめる環境をできるだけ早くつくる。そのために放送局との提携を積極的に進めています」とソニーの島津氏は語る。
放送局に制作機器を使ってもらい、制作ノウハウを与え、コンテンツを豊富に作ってもらい、放送網を通じて家庭まで流してもらうことで、3Dをテレビで楽しむ世界を早急につくる作戦である。放送が豊富にないと消費者は3Dテレビを買ってくれないから、放送会社とのアライアンス、3Dのプロモーションも大切だ。その放送を成り立たせるためには下流の3Dテレビを普及させなければならない。これらは確かに「鶏と卵」だが、360度ソリューションを徹底した時、3Dは爆発的に普及する。
米20世紀フォックスによると、3D映画「アバター」の出口調査で、7割の人がDVDではなく3D・BDソフトを買いたい、借りたいと答えたという。ハイビジョンに比べて3Dは「消費者がそれが何であるかを知っているため、普及速度はかなり速い」と、米ソニー・エレクトロニクスでAV機器ビジネスを統括する河野弘・ホームディビジョン・シニアバイスプレジデントは語る。
冒頭のゲリー・シャピロ氏は「CEAの調査では13年に販売されるテレビの26%が3Dになる見ています」と言った。360度ソリューションによる3Dだからこそ、期待を持てるのである。
【ウォールストリートジャーナル社説】ギリシャとユーロの関係は正念場
歴史を紐解くと2600年前、硬貨を世界で最初に作ったのはギリシャのリディア王国だ。それ以来現在に至るまで、紙幣の発行を担う者は貨幣価値の切り下げへの誘惑に抗いきれずにきた。いま、そのギリシャは貨幣の使途についての教訓をはからずも世界に示すことになった。
ギリシャ国債保証コストは過去最高に達したが、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は14日、ギリシャのユーロ圏脱退の可能性を否定した。ギリシャのほかにポルトガルやアイルランドなどでも財政危機が相次ぐなかで、16カ国から成るユーロ圏の崩壊や参加国再編の可能性が取りざたされている。ギリシャの財政破綻懸念から、ギリシャ国債の対ドイツ国債スプレッドは2.77%ポイントに拡大した。加盟国間の国債スプレッドがこれほど拡大したことは11年のユーロの歴史で前例がない。ドイツではメルケル首相が「ユーロの前途は多難」であると憂慮している。
ギリシャが窮地に陥っていることは疑う余地がない。公表されている財政赤字の国内総生産(GDP)比は12.7%と高いが、欧州連合(EU)は実際の数値はもっと高いとみている。ギリシャの経済政策はECBの管理下にあり、昨年米国や英国が行ったような事実上の「財政マネタイズ」(中央銀行が財政赤字を国債引き受けなどでファイナンスする)を実施できる立場にはない。
だがギリシャは本当に独立して国の運営ができるのだろうか。1980年代を通してギリシャのインフレ率は年20%前後で、金利もそれに見合って高かった。それに比べるとギリシャ国債利回りの6%はそれほど高いとはいえないかもしれない。ユーロに加盟していなかったら、自発的であろうとなかろうと、ギリシャが通貨切り下げを行っていたことはほぼ確実だろう。
切り下げをしていれば、ギリシャ政府の財政負担は軽減されたかもしれない。だがその過程で国全体が貧困化し、金利はユーロ導入以前の水準に迫る急騰が見込まれる。つまりユーロはギリシャの財政難の元凶ではなく、ギリシャの政権がそれを招いたのだ。
昨日、ギリシャのパパンドレウ首相は財政赤字のGDP比を2012年までに3%以下にすると約束した。だがこれはそう簡単に実現できるものではない。首相率いる社会主義政権はまず、今後切り捨てるとした公務員労組を説得せねばならないだろう。
だがギリシャに残された他の選択肢はさらに悪い。それは結局、ドラクマかユーロかを選ぶことだ。ユーロがギリシャ政府の足かせになっているという見方は間違いではない。だがギリシャ政府がユーロ導入前にいかに無謀な経済政策を行っていたかを忘れてはならない。ドラクマの歴史はインフレと切り下げにまみれていたが、ユーロが導入された現在のギリシャはそうした歴史からは解放されている。
そもそもユーロはヨーロッパの経済問題の一切を解決するものでは決してなかった。ユーロはいくつかの例外を除き、恒常的な財政赤字を抱える国に為替の安定と通貨価値の維持を可能にするという実績を残している。
これまで自国の経済統計を改ざんしてきたギリシャには、統一通貨に参加することに伴う義務を要求してしかるべきだ。ギリシャの公的債務はGDP比100%を優に超え、今後も増え続けるとみられる。これはユーロ加盟国の基準である60%をはるかに上回る数字だ。これは2001年にギリシャがユーロ圏に参加した時から分かっていたが、正常化に向かっているとの前提で容赦されていた。だがそれも間違っていたということだ。
2008年の金融危機でほぼすべてのヨーロッパの国々は財政赤字のGDP比が急増した。だがギリシャは金融危機発生時の状況が他国よりすでに悪かった。しかも経済統計が改ざんされていたため、実態はもっと悪かったといえる。
20世紀の各国政府は、放漫財政のツケもあり、不換紙幣への依存度を高めた。ユーロの矛盾は、理論上、大半の国の不換紙幣より脆弱な基盤の上に成り立っていることだ。だが実際は、リラやペセタ、ドラクマより利便性が高い。
現在のギリシャにとって、これまで繰り返されてきた貨幣価値の低下を避け、ユーロ圏に残るという選択も可能だ。だがクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)や金利スプレッドの状況は、ギリシャ政府に合理的な財政運営能力があることの証明を求めている。
米ラスベガスで7~10日、家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)2010」が開催された。私は開幕2日前の5日午前、全米家電協会(CEA)会長のゲリー・シャピロ氏のオフィスを訪ね、今年のCESでの注目点は何かと尋ねた。
「3D(3次元)テレビの登場が最大の注目ポイントです」とシャピロ氏は言った。「すでに米国では映画館で3D作品が大ヒットしています。家庭に必ず入ると思います。ただ問題点が1つある。それがメガネです。10年前に登場したHD(ハイビジョン)テレビは大画面、高画質で、だれでも見ただけですぐ、その素晴らしさを実感できました。3Dはメガネを掛けないと、効果がわかりません。でも掛けて見れば素晴らしい。米国人は映画、スポーツが大好きですから、3D市場は大きく立ち上がると見ています。ゲームも有望です」
■コンテンツ・流通・デバイス
7日、CESが始まり、展示会場ではパナソニック、ソニー、韓国サムスン電子、LG電子などが大々的に3Dを展示した。昨年のCESでも展示はあったが、今回は昨年を遙かに圧倒する規模だった。3D表示のハードが溢れていたということだけでなく、その背後で、新しい動き――日本のハードメーカーがこれまで無縁だったビジネスモデル――が進行していることに、私は気付いた。
それが「360度ソリューション」だ。この言葉は、08年のCES開幕前に主催者のCEAがジャーナリストを対象に開いた恒例のメディアブリーフィング「State of the Industry」で初めて提案された概念だ。コンテンツ、サービス・ディストリビューション(流通)、デバイスの3つがちょうどトライアングルのように互いに密接な関係を持つことで、新規分野を立ち上げるという意味である。
3Dはまさに360度ソリューションでないと立ち上がらない典型分野だ。だから、戦略はそれを指向する。その代表例がソニーだ。ソニーがCESで発表した事項は多いが、360度ソリューションの観点で仕分けしてみると、次のようになる。
(1)コンテンツでは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(第一弾は「くもりときどきミートボール」)、ソニー・ミュージックエンタテインメント(第一弾は「ウッドストック」)が3D作品をリリースする。
(2)サービス・ディストリビューションでは、米ディカバリー・コミュニケーションズ、カナダIMAXと共同で3D映像を放送するテレビネットワークを立ち上げる。スポーツ局のESPNと共同で3D番組をプロデュースする。
(3)デバイスでは3D対応の液晶テレビ「ブラビア」、ブルーレイ・ディスク(BD)プレーヤーを今夏から順次発売する。
ソニーの3D戦略全般を統括する3D&BDプロジェクトマネジメント部門部門長の島津彰氏はこう語る。
「3Dエンターテインメントを立ち上げるには、様々なコンテンツを家庭や映画館に届ける仕組みをつくらなければなりません。コンテンツ、サービス・ディストリビューション、デバイスをどう緊密に連携して開拓するか、それらがどうハーモニーするかが極めて重要です。だから私はいつも頭の中に、映画、ゲーム、スポーツ・コンサートというコンテンツ分野を縦軸に、コンテンツ、サービス・ディストリビューション、デバイスを横軸に書いた図を描き、仕事を進めています」
この3つの要素を整理すると次のようになる。
(1)のコンテンツは、3D映画、3Dゲーム、3Dコンサートや3Dスポーツ中継など。(2)のサービス・ディストリビューションは3Dシネマ、3D放送、3D・BDソフトなど。(3)のデバイスはディスプレーとしての3D映画館や家庭用3Dテレビである。
実際には、これらが入り組んで、複雑だが効果的な「360度ソリューション」となる。日本メーカーが「コンテンツ→ディストリビューション→ディスプレー」というトータルな流れを、ここまでプロデュースした例は初めてだろう。
■「鶏と卵」の関係をどう解いていくか
360度ソリューションがなぜ強いのかといえば、3つがマトリックスのように縦横で複合的な効果を発揮するからだ。
映画スタジオの立場からこの流れを見ると、「3D映画→3Dデジタルシネマ→3D映画館」という映画館ビジネスが基本となる。さらに、そこで制作された3D映画は「3D映画→3D・BDソフト→3Dテレビ」というパッケージメディアのチャンネルで家庭に流れる。
「3D・BDソフト→3Dテレビ」の道には3Dゲームも流れる。また、3Dコンサートや3Dスポーツ中継は「3Dデジタルシネマ→3D映画館」というかたちでも公開されるが、家庭にはパッケージによる「3D・BDソフト→3Dテレビ」と、放送による「3D放送→3Dテレビ」の2つの流れで届く。
ただし、これらは非常に緊密な「鶏と卵」である。家庭での3Dの普及を牽引・加速させるには、コンテンツ整備、ディストリビューション整備が絶対に必要である。まず上流で、3D中継の撮影ノウハウを確立しなければ、消費者が満足する作品をつくれない。ソニーはそのために、疲れない3D映像をどうやってつくるかを研究、実践する3D映像開発拠点「ソニー3Dテクノロジーセンター」をソニー・ピクチャーズ内に設立した。
3Dの発想はもともとBDソフトの市場をいかに伸ばすかという目的から生まれたわけだが、当初はタイトルが非常に少ない。「だから放送は普及にとって極めて重要です。放送で3Dが楽しめる環境をできるだけ早くつくる。そのために放送局との提携を積極的に進めています」とソニーの島津氏は語る。
放送局に制作機器を使ってもらい、制作ノウハウを与え、コンテンツを豊富に作ってもらい、放送網を通じて家庭まで流してもらうことで、3Dをテレビで楽しむ世界を早急につくる作戦である。放送が豊富にないと消費者は3Dテレビを買ってくれないから、放送会社とのアライアンス、3Dのプロモーションも大切だ。その放送を成り立たせるためには下流の3Dテレビを普及させなければならない。これらは確かに「鶏と卵」だが、360度ソリューションを徹底した時、3Dは爆発的に普及する。
米20世紀フォックスによると、3D映画「アバター」の出口調査で、7割の人がDVDではなく3D・BDソフトを買いたい、借りたいと答えたという。ハイビジョンに比べて3Dは「消費者がそれが何であるかを知っているため、普及速度はかなり速い」と、米ソニー・エレクトロニクスでAV機器ビジネスを統括する河野弘・ホームディビジョン・シニアバイスプレジデントは語る。
冒頭のゲリー・シャピロ氏は「CEAの調査では13年に販売されるテレビの26%が3Dになる見ています」と言った。360度ソリューションによる3Dだからこそ、期待を持てるのである。
【ウォールストリートジャーナル社説】ギリシャとユーロの関係は正念場
歴史を紐解くと2600年前、硬貨を世界で最初に作ったのはギリシャのリディア王国だ。それ以来現在に至るまで、紙幣の発行を担う者は貨幣価値の切り下げへの誘惑に抗いきれずにきた。いま、そのギリシャは貨幣の使途についての教訓をはからずも世界に示すことになった。
ギリシャ国債保証コストは過去最高に達したが、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は14日、ギリシャのユーロ圏脱退の可能性を否定した。ギリシャのほかにポルトガルやアイルランドなどでも財政危機が相次ぐなかで、16カ国から成るユーロ圏の崩壊や参加国再編の可能性が取りざたされている。ギリシャの財政破綻懸念から、ギリシャ国債の対ドイツ国債スプレッドは2.77%ポイントに拡大した。加盟国間の国債スプレッドがこれほど拡大したことは11年のユーロの歴史で前例がない。ドイツではメルケル首相が「ユーロの前途は多難」であると憂慮している。
ギリシャが窮地に陥っていることは疑う余地がない。公表されている財政赤字の国内総生産(GDP)比は12.7%と高いが、欧州連合(EU)は実際の数値はもっと高いとみている。ギリシャの経済政策はECBの管理下にあり、昨年米国や英国が行ったような事実上の「財政マネタイズ」(中央銀行が財政赤字を国債引き受けなどでファイナンスする)を実施できる立場にはない。
だがギリシャは本当に独立して国の運営ができるのだろうか。1980年代を通してギリシャのインフレ率は年20%前後で、金利もそれに見合って高かった。それに比べるとギリシャ国債利回りの6%はそれほど高いとはいえないかもしれない。ユーロに加盟していなかったら、自発的であろうとなかろうと、ギリシャが通貨切り下げを行っていたことはほぼ確実だろう。
切り下げをしていれば、ギリシャ政府の財政負担は軽減されたかもしれない。だがその過程で国全体が貧困化し、金利はユーロ導入以前の水準に迫る急騰が見込まれる。つまりユーロはギリシャの財政難の元凶ではなく、ギリシャの政権がそれを招いたのだ。
昨日、ギリシャのパパンドレウ首相は財政赤字のGDP比を2012年までに3%以下にすると約束した。だがこれはそう簡単に実現できるものではない。首相率いる社会主義政権はまず、今後切り捨てるとした公務員労組を説得せねばならないだろう。
だがギリシャに残された他の選択肢はさらに悪い。それは結局、ドラクマかユーロかを選ぶことだ。ユーロがギリシャ政府の足かせになっているという見方は間違いではない。だがギリシャ政府がユーロ導入前にいかに無謀な経済政策を行っていたかを忘れてはならない。ドラクマの歴史はインフレと切り下げにまみれていたが、ユーロが導入された現在のギリシャはそうした歴史からは解放されている。
そもそもユーロはヨーロッパの経済問題の一切を解決するものでは決してなかった。ユーロはいくつかの例外を除き、恒常的な財政赤字を抱える国に為替の安定と通貨価値の維持を可能にするという実績を残している。
これまで自国の経済統計を改ざんしてきたギリシャには、統一通貨に参加することに伴う義務を要求してしかるべきだ。ギリシャの公的債務はGDP比100%を優に超え、今後も増え続けるとみられる。これはユーロ加盟国の基準である60%をはるかに上回る数字だ。これは2001年にギリシャがユーロ圏に参加した時から分かっていたが、正常化に向かっているとの前提で容赦されていた。だがそれも間違っていたということだ。
2008年の金融危機でほぼすべてのヨーロッパの国々は財政赤字のGDP比が急増した。だがギリシャは金融危機発生時の状況が他国よりすでに悪かった。しかも経済統計が改ざんされていたため、実態はもっと悪かったといえる。
20世紀の各国政府は、放漫財政のツケもあり、不換紙幣への依存度を高めた。ユーロの矛盾は、理論上、大半の国の不換紙幣より脆弱な基盤の上に成り立っていることだ。だが実際は、リラやペセタ、ドラクマより利便性が高い。
現在のギリシャにとって、これまで繰り返されてきた貨幣価値の低下を避け、ユーロ圏に残るという選択も可能だ。だがクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)や金利スプレッドの状況は、ギリシャ政府に合理的な財政運営能力があることの証明を求めている。
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China's intolerable Net interference
A fierce battle of words has erupted between China and the United States over freedom of speech and the safety of information on the Internet.
Google Inc., a major U.S. search engine that had made inroads in China, has announced that it has stopped part of its "self-imposed" censorship of results on its Chinese search engine, as the Chinese government had required it to do.
In addition, Google said it intends to hold talks with the Chinese government in the coming weeks regarding the matter and could shut down its operations in China, depending on how the talks progress.
U.S. Secretary of State Hillary Clinton was quick to express "serious concerns and questions" about China's Internet regulations. Clinton has shown her intention to support Google in the spat.
Immediately after Google's announcement, it became possible to browse through photos of the Tiananmen Square Incident, a crackdown on the pro-democracy movement in 1989, and related materials after a continued ban on access to such data.
===
Google draws the line
For years, the Chinese authorities have imposed restrictions on Net access to information and other data concerning figures and events they do not want to be made known to the public, including the Falun Gong group and the Dalai Lama, the supreme leader of the Tibetan government-in-exile.
Google started business in China four years ago. The Internet search corporation has since abided by what China called a self-imposed restraint on displaying search results, despite the move being, in effect, a ban placed by the Chinese authorities.
In December, however, Google came under a cyber-attack originating in China. Also, Gmail accounts of Chinese pro-democracy activists were hacked.
Damage caused by the cyber-attack in question is said to have affected more than 20 U.S. companies other than Google.
In commenting on the cyber-attack, a Google executive has said his company wants to trigger a worldwide debate over the freedom of speech.
Behind the U.S. government's backing of Google is the fact that China has previously stolen information on the United States' cutting-edge technology--including military technology.
===
Lucrative market
Overseas companies are scrambling to enter China despite regulations on Internet searches because it is home to more than 300 million Web users--the largest number of Internet users in the world. Furthermore, such businesses are unable to ignore lucrative sales that come from online advertisements.
The Chinese government has objected to criticism concerning cyber-attacks reportedly launched from that country, insisting that it controls such practices in line with the law. At the same time, Beijing expressed its intention to continue self-imposed censorship, saying that China welcomes international Internet enterprises that "conduct business in China according to the law."
However, it has been pointed out that Chinese authorities may be involved in cyber-attacks originating in the country.
China should carefully listen to international calls for allowing greater freedom of speech and pursue ways to disclose more information. We believe this would be behavior appropriate for the country set to become the world's second-largest economy.
A fierce battle of words has erupted between China and the United States over freedom of speech and the safety of information on the Internet.
Google Inc., a major U.S. search engine that had made inroads in China, has announced that it has stopped part of its "self-imposed" censorship of results on its Chinese search engine, as the Chinese government had required it to do.
In addition, Google said it intends to hold talks with the Chinese government in the coming weeks regarding the matter and could shut down its operations in China, depending on how the talks progress.
U.S. Secretary of State Hillary Clinton was quick to express "serious concerns and questions" about China's Internet regulations. Clinton has shown her intention to support Google in the spat.
Immediately after Google's announcement, it became possible to browse through photos of the Tiananmen Square Incident, a crackdown on the pro-democracy movement in 1989, and related materials after a continued ban on access to such data.
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Google draws the line
For years, the Chinese authorities have imposed restrictions on Net access to information and other data concerning figures and events they do not want to be made known to the public, including the Falun Gong group and the Dalai Lama, the supreme leader of the Tibetan government-in-exile.
Google started business in China four years ago. The Internet search corporation has since abided by what China called a self-imposed restraint on displaying search results, despite the move being, in effect, a ban placed by the Chinese authorities.
In December, however, Google came under a cyber-attack originating in China. Also, Gmail accounts of Chinese pro-democracy activists were hacked.
Damage caused by the cyber-attack in question is said to have affected more than 20 U.S. companies other than Google.
In commenting on the cyber-attack, a Google executive has said his company wants to trigger a worldwide debate over the freedom of speech.
Behind the U.S. government's backing of Google is the fact that China has previously stolen information on the United States' cutting-edge technology--including military technology.
===
Lucrative market
Overseas companies are scrambling to enter China despite regulations on Internet searches because it is home to more than 300 million Web users--the largest number of Internet users in the world. Furthermore, such businesses are unable to ignore lucrative sales that come from online advertisements.
The Chinese government has objected to criticism concerning cyber-attacks reportedly launched from that country, insisting that it controls such practices in line with the law. At the same time, Beijing expressed its intention to continue self-imposed censorship, saying that China welcomes international Internet enterprises that "conduct business in China according to the law."
However, it has been pointed out that Chinese authorities may be involved in cyber-attacks originating in the country.
China should carefully listen to international calls for allowing greater freedom of speech and pursue ways to disclose more information. We believe this would be behavior appropriate for the country set to become the world's second-largest economy.
ツイッターのニセ鳩山首相騒動で考える「ソーシャルメディア」の近未来(COLUMN)
「我々のことは放っておいてくれ」と世界の政府に告げた詩人バーロウの「サイバースペース独立宣言」から14年。リアルとネットを区別する考え(あるいはリアル嫌い)は、長くネットユーザーの根底に流れていた「思想」といってもいい。昨年末に起きた鳩山由紀夫首相の「ニセツイッター」騒動をきっかけに、リアル化が進行するソーシャルメディアの近未来を考えてみた。
■ニセ鳩山首相を1万人がフォロー
情報発信が有名人、そして政治家に広がるにつれ、ネットのリアル性が増している。ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、ミニブログのツイッターといったソーシャルメディアの利用が政治家に広がり、首相もツイッターを始めるというニュース記事が出ていたタイミングで、鳩山由紀夫を名乗る偽のアカウント(@nihonwokaeyou)がツイッター上に登場した。
ツイッターユーザーである民主党の藤末健三参議院議員が官邸に確認したことで偽者であることが明確になり、ニュースサイトなども報じて騒動はすぐに収束したが、1万人以上にフォローされることになった。愉快犯的なもので、大きな問題とはならなかったが、偽者による「本物かどうかという疑問が多く寄せられていますね。こういうのは初めてなので証明するのが難しいですけど、本物です」というつぶやきは、ネットにおける課題を言い表している。
■「本人認証」が広がる可能性も
ネットでの情報発信が大きく広がった理由の1つに手軽さがある。
多くのサービスは、メールアドレスを登録する程度の簡単な手続きで利用できる(掲示板ならメールアドレスも必要ない)。氏名や住所の登録を求めるサービスもあるが、そこに登録した情報が「正しい」ものであるか、確認を求められることはほとんどない。それが情報発信のハードルを下げる一方、ニセ鳩山首相のようななりすましや誹謗中傷、爆破予告といったトラブルを生む要因とされてきた。
それは時に、「実名vs.匿名論争」となり、身分証明の義務化といった規制強化の声となってネット上で論争を巻き起こしてきた。いまだにネットユーザーの「実在証明」は義務付けられていないが、一国の首相の偽者が登場するというリスクが顕在化したことは大きな転換点になるかもしれない。
「本物」の鳩山首相は認証済みアカウントでツイッターをスタートした。認証済みアカウントとは、ツイッター側が本人確認を行っていることを証明するものだ。米国で、なりすまし被害にあったメジャーリーグ監督から訴訟を起こされたことで、昨年夏から試験的にスタートしている。オバマ米大統領、ホワイトハウス、米航空宇宙局(NASA)などが「認証済み」となっている。
民主党は、ネット選挙解禁の検討を進めており、今年は参院選が行われる選挙イヤーでもある。なりすまし防止のために、首相以外の政治家のアカウントも認証化が進み、ツイッター以外のブログやSNSでも実在証明の導入が広がる可能性がある。
■リアル化に抵抗がない世代
リアルとネットがイコールで結ばれる。そのほうがトラブルも少ない――。この一見当たり前のような考えがネットに広がるのだとすれば大きな変化だ。リアル化はネットユーザーの一部から激しい反発を受けてきた。2004年には「はてな」がユーザーの住所登録を義務化する方針を打ち出したが、反発にあって撤回している。
しかしながら、反体制的、アンダーグラウンドなネットカルチャーを知らない新たな世代の登場や口コミマーケティングの盛り上がりで(ブロガー向けの体験イベントへの参加やサンプル品受け取りのため)、ユーザー側から情報を開示する動きが出ている。日々の書き込みや写真だけでなく、GPS(全地球測位システム)による位置情報までがユーザーのリアルな情報と組み合わされて、サイバースペースへ蓄積されるようになってきた。ネットショッピングで何を買ったか、どこを移動しているかといった、人の情報を残す「ライフログ」と呼ばれる考えは、新たなビジネスチャンスやサービスを生むと、ここ数年注目されている。
■思わぬ悲劇から逃れるすべはあるか
このようなリアル化によって便利さだけが実現するとは限らない。トラブルや課題も残る。分かりやすいのは、ネットに残した過去の書き込みや写真が後日問題となるケースだ。政治家や芸能人が時々「問題発言」でマスメディアをにぎわせるが、それが一般人にまで及び始めている。「炎上」のように目に見える被害もあるが、就職活動や転職といった際に、ブログやツイッターを検索されて考え方を確認され、本人はそのことに気付かない場合もあるだろう。
発言が流れて見えなくなるツイッターや仲間や身内しかいないような気分になるSNSでは、つい気軽に情報発信してしまうが、検索される際などには、前後の文脈が切り離されたコンテンツとして一人歩きすることで、思わぬ読まれ方や誤解が生まれ広がっていく。むろん、書いた責任がある、と言われればそれまでだが、過去についてどこまで責任を取ればいいのだろうか。
人は間違え、失敗する生き物だ。うっかり、思わず、といった発言もある程度は許容されるべきではないか。そうしなければ誰も口を開かなくなってしまう。
自分はネットで情報発信していないから無関係という人もいるかもしれない。アニメ「東のエデン」には、画像認識とタグ付けを組み合わせた検索サービスが登場する。これはフィクションだが、すでに現実にも「セカイカメラ」のように、リアルな構造物に「エアタグ」と呼ばれる文字や画像情報などを重ねて表示する仕組みは整っている、これが人に広がれば本人が情報発信していなくてもログがウェブに残されていく。検索されない自由や権利という主張も出てきそうだが、法制度や社会の仕組みは周回遅れだ。今後起き得るソーシャルメディアの悲劇の主人公になりたくなければ、そろそろサイバースペースからの「独立」を考えておいたほうがいいのかもしれない。
日航、営業経費25%削減 3年後、今期最終赤字1.2兆円
企業再生支援機構の支援で経営再建を目指す日本航空は、今後3年かけて人件費などの営業コストを25%減らす事業計画をまとめた。2010年3月期には2600億円を超す営業赤字を見込んでいるが、19日に会社更生法の適用を申請して大幅なリストラを進め、11年度に黒字転換を目指す。
すでに判明している事業再生計画の最終案には子会社の削減や路線撤退といった具体的な方針を盛り込んだ。これに対し、今回明らかになった「将来事業計画」は機構の支援を前提に、再生に向けた数値目標を明記している。
マツダ、フォードとの中国合弁解消 現地企業と折半出資へ
マツダは米フォード・モーターとの中国での乗用車の合弁生産を2012年までに解消する。独自判断で増産などが可能な体制を整え、世界最大の自動車市場に成長した中国の事業を強化する。フォードは08年にマツダ株を一部売却しており、両社の提携関係は一段と薄れる。トヨタ自動車とスズキも米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁を解消した。新興国戦略の重要性が増すなか、日米の自動車提携を見直す動きが加速してきた。
マツダは06年から中国の合弁会社「長安フォードマツダ汽車」(重慶市)でマツダ車を生産。合弁会社には中国メーカーの長安汽車が50%、フォードが35%、マツダが15%を出資し、重慶市と南京市に計2工場を持つ。
関係者によると、3社は生産体制の分割で大筋合意した。南京工場を分社し、マツダと長安汽車の2社の折半出資による合弁に切り替える見通し。フォードは重慶工場を長安汽車と2社で運営し、実質的にマツダとフォードで中国生産を分割する案を軸に調整中だ。
生産拠点の国外移転中止を 仏大統領、ルノーCEOに要請
【パリ=古谷茂久】フランス政府と仏ルノーが生産拠点の国外移転を巡り対立している。ルノーが主力車種の生産をトルコに移転する計画を示したところ政府が強硬に反対。16日にはサルコジ大統領がカルロス・ゴーン会長兼最高経営責任者(CEO)と会い、移転計画を中止するよう要請した。一方で欧州連合(EU)は仏政府の介入には問題があるとの立場を表明している。
ルノーは今年に入り、売れ筋の小型車「クリオ」の新モデルの生産をトルコの工場に全面移管する構想を発表した。これについて地元自治体などから雇用の縮小を心配する声が相次ぎ、関係閣僚も相次いでルノーを非難。16日には大統領がゴーンCEOに対し、国内生産を続けるよう求めたもようだ。
仏政府はルノーの株式の15%を保有しており、経営への関与は可能だ。
【産経主張】小沢幹事長 続投は受け入れられない
資金管理団体「陸山会」の土地購入事件で側近3人が逮捕された民主党の小沢一郎幹事長が「自分は法令に違反していない」と、幹事長続投の意向を表明した。
土地取引をめぐる複雑な資金操作に対する小沢氏本人の関与が疑惑の核心だ。会計責任者らの逮捕は、政治的かつ道義的責任が明白であり重大であることを示している。
それをまったく認めようとせず、開き直る姿勢は受け入れられない。政治的生命を失うと判断したためなのだろうが、情けないとしかいいようがない。
小沢氏は16日の党大会のあいさつで、「この日に合わせたかのような逮捕が行われた。到底このようなやり方を容認できない」と、検察当局と全面対決する考えを表明した。政権党の幹事長ともあろう人物が自らに嫌疑をかけられたことに対し、検察を真っ向から批判した例はないのではないか。
鳩山由紀夫首相も小沢氏との会談で「(検察と)どうぞ戦ってください」と理解を示した。行政府のトップである首相が、検察と対決する小沢氏を激励するかのような姿勢はきわめて異常である。
小沢氏はこの日も「裏献金をもらったり隠したり、ウソの報告は一切していない」と記者団に語った。これに対し、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕された石川知裕衆院議員は、土地購入に充てた資金について「わざと記載しなかった」と犯意を認めていることが報じられている。
これは小沢氏の説明が虚偽であることを示しているのではないか。検察当局は自らの存在をかけて今回の土地疑惑を徹底して解明しなければならない。
党大会で、小沢氏の続投方針に反対意見が出なかったのもきわめて残念だ。政治責任を不問に付していることは、党が自浄能力を欠くばかりか、政権運営に当たっての健全かつ正常な判断力を失っていることをさらけ出している。
渡部恒三元衆院副議長は「国民のために身を引く判断もあるだろう」と述べた。首相も党大会で小沢氏の説明責任に言及したが、形ばかりの感をぬぐえない。
事件を受けて小沢氏が幹事長の職務を輿石東参院議員会長に代行させる考えを示しているのも不可解だ。これまで同様、影響力を行使しようという考えのようだが、国民の反発を甘くみているとしかいいようがない。
「我々のことは放っておいてくれ」と世界の政府に告げた詩人バーロウの「サイバースペース独立宣言」から14年。リアルとネットを区別する考え(あるいはリアル嫌い)は、長くネットユーザーの根底に流れていた「思想」といってもいい。昨年末に起きた鳩山由紀夫首相の「ニセツイッター」騒動をきっかけに、リアル化が進行するソーシャルメディアの近未来を考えてみた。
■ニセ鳩山首相を1万人がフォロー
情報発信が有名人、そして政治家に広がるにつれ、ネットのリアル性が増している。ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、ミニブログのツイッターといったソーシャルメディアの利用が政治家に広がり、首相もツイッターを始めるというニュース記事が出ていたタイミングで、鳩山由紀夫を名乗る偽のアカウント(@nihonwokaeyou)がツイッター上に登場した。
ツイッターユーザーである民主党の藤末健三参議院議員が官邸に確認したことで偽者であることが明確になり、ニュースサイトなども報じて騒動はすぐに収束したが、1万人以上にフォローされることになった。愉快犯的なもので、大きな問題とはならなかったが、偽者による「本物かどうかという疑問が多く寄せられていますね。こういうのは初めてなので証明するのが難しいですけど、本物です」というつぶやきは、ネットにおける課題を言い表している。
■「本人認証」が広がる可能性も
ネットでの情報発信が大きく広がった理由の1つに手軽さがある。
多くのサービスは、メールアドレスを登録する程度の簡単な手続きで利用できる(掲示板ならメールアドレスも必要ない)。氏名や住所の登録を求めるサービスもあるが、そこに登録した情報が「正しい」ものであるか、確認を求められることはほとんどない。それが情報発信のハードルを下げる一方、ニセ鳩山首相のようななりすましや誹謗中傷、爆破予告といったトラブルを生む要因とされてきた。
それは時に、「実名vs.匿名論争」となり、身分証明の義務化といった規制強化の声となってネット上で論争を巻き起こしてきた。いまだにネットユーザーの「実在証明」は義務付けられていないが、一国の首相の偽者が登場するというリスクが顕在化したことは大きな転換点になるかもしれない。
「本物」の鳩山首相は認証済みアカウントでツイッターをスタートした。認証済みアカウントとは、ツイッター側が本人確認を行っていることを証明するものだ。米国で、なりすまし被害にあったメジャーリーグ監督から訴訟を起こされたことで、昨年夏から試験的にスタートしている。オバマ米大統領、ホワイトハウス、米航空宇宙局(NASA)などが「認証済み」となっている。
民主党は、ネット選挙解禁の検討を進めており、今年は参院選が行われる選挙イヤーでもある。なりすまし防止のために、首相以外の政治家のアカウントも認証化が進み、ツイッター以外のブログやSNSでも実在証明の導入が広がる可能性がある。
■リアル化に抵抗がない世代
リアルとネットがイコールで結ばれる。そのほうがトラブルも少ない――。この一見当たり前のような考えがネットに広がるのだとすれば大きな変化だ。リアル化はネットユーザーの一部から激しい反発を受けてきた。2004年には「はてな」がユーザーの住所登録を義務化する方針を打ち出したが、反発にあって撤回している。
しかしながら、反体制的、アンダーグラウンドなネットカルチャーを知らない新たな世代の登場や口コミマーケティングの盛り上がりで(ブロガー向けの体験イベントへの参加やサンプル品受け取りのため)、ユーザー側から情報を開示する動きが出ている。日々の書き込みや写真だけでなく、GPS(全地球測位システム)による位置情報までがユーザーのリアルな情報と組み合わされて、サイバースペースへ蓄積されるようになってきた。ネットショッピングで何を買ったか、どこを移動しているかといった、人の情報を残す「ライフログ」と呼ばれる考えは、新たなビジネスチャンスやサービスを生むと、ここ数年注目されている。
■思わぬ悲劇から逃れるすべはあるか
このようなリアル化によって便利さだけが実現するとは限らない。トラブルや課題も残る。分かりやすいのは、ネットに残した過去の書き込みや写真が後日問題となるケースだ。政治家や芸能人が時々「問題発言」でマスメディアをにぎわせるが、それが一般人にまで及び始めている。「炎上」のように目に見える被害もあるが、就職活動や転職といった際に、ブログやツイッターを検索されて考え方を確認され、本人はそのことに気付かない場合もあるだろう。
発言が流れて見えなくなるツイッターや仲間や身内しかいないような気分になるSNSでは、つい気軽に情報発信してしまうが、検索される際などには、前後の文脈が切り離されたコンテンツとして一人歩きすることで、思わぬ読まれ方や誤解が生まれ広がっていく。むろん、書いた責任がある、と言われればそれまでだが、過去についてどこまで責任を取ればいいのだろうか。
人は間違え、失敗する生き物だ。うっかり、思わず、といった発言もある程度は許容されるべきではないか。そうしなければ誰も口を開かなくなってしまう。
自分はネットで情報発信していないから無関係という人もいるかもしれない。アニメ「東のエデン」には、画像認識とタグ付けを組み合わせた検索サービスが登場する。これはフィクションだが、すでに現実にも「セカイカメラ」のように、リアルな構造物に「エアタグ」と呼ばれる文字や画像情報などを重ねて表示する仕組みは整っている、これが人に広がれば本人が情報発信していなくてもログがウェブに残されていく。検索されない自由や権利という主張も出てきそうだが、法制度や社会の仕組みは周回遅れだ。今後起き得るソーシャルメディアの悲劇の主人公になりたくなければ、そろそろサイバースペースからの「独立」を考えておいたほうがいいのかもしれない。
日航、営業経費25%削減 3年後、今期最終赤字1.2兆円
企業再生支援機構の支援で経営再建を目指す日本航空は、今後3年かけて人件費などの営業コストを25%減らす事業計画をまとめた。2010年3月期には2600億円を超す営業赤字を見込んでいるが、19日に会社更生法の適用を申請して大幅なリストラを進め、11年度に黒字転換を目指す。
すでに判明している事業再生計画の最終案には子会社の削減や路線撤退といった具体的な方針を盛り込んだ。これに対し、今回明らかになった「将来事業計画」は機構の支援を前提に、再生に向けた数値目標を明記している。
マツダ、フォードとの中国合弁解消 現地企業と折半出資へ
マツダは米フォード・モーターとの中国での乗用車の合弁生産を2012年までに解消する。独自判断で増産などが可能な体制を整え、世界最大の自動車市場に成長した中国の事業を強化する。フォードは08年にマツダ株を一部売却しており、両社の提携関係は一段と薄れる。トヨタ自動車とスズキも米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁を解消した。新興国戦略の重要性が増すなか、日米の自動車提携を見直す動きが加速してきた。
マツダは06年から中国の合弁会社「長安フォードマツダ汽車」(重慶市)でマツダ車を生産。合弁会社には中国メーカーの長安汽車が50%、フォードが35%、マツダが15%を出資し、重慶市と南京市に計2工場を持つ。
関係者によると、3社は生産体制の分割で大筋合意した。南京工場を分社し、マツダと長安汽車の2社の折半出資による合弁に切り替える見通し。フォードは重慶工場を長安汽車と2社で運営し、実質的にマツダとフォードで中国生産を分割する案を軸に調整中だ。
生産拠点の国外移転中止を 仏大統領、ルノーCEOに要請
【パリ=古谷茂久】フランス政府と仏ルノーが生産拠点の国外移転を巡り対立している。ルノーが主力車種の生産をトルコに移転する計画を示したところ政府が強硬に反対。16日にはサルコジ大統領がカルロス・ゴーン会長兼最高経営責任者(CEO)と会い、移転計画を中止するよう要請した。一方で欧州連合(EU)は仏政府の介入には問題があるとの立場を表明している。
ルノーは今年に入り、売れ筋の小型車「クリオ」の新モデルの生産をトルコの工場に全面移管する構想を発表した。これについて地元自治体などから雇用の縮小を心配する声が相次ぎ、関係閣僚も相次いでルノーを非難。16日には大統領がゴーンCEOに対し、国内生産を続けるよう求めたもようだ。
仏政府はルノーの株式の15%を保有しており、経営への関与は可能だ。
【産経主張】小沢幹事長 続投は受け入れられない
資金管理団体「陸山会」の土地購入事件で側近3人が逮捕された民主党の小沢一郎幹事長が「自分は法令に違反していない」と、幹事長続投の意向を表明した。
土地取引をめぐる複雑な資金操作に対する小沢氏本人の関与が疑惑の核心だ。会計責任者らの逮捕は、政治的かつ道義的責任が明白であり重大であることを示している。
それをまったく認めようとせず、開き直る姿勢は受け入れられない。政治的生命を失うと判断したためなのだろうが、情けないとしかいいようがない。
小沢氏は16日の党大会のあいさつで、「この日に合わせたかのような逮捕が行われた。到底このようなやり方を容認できない」と、検察当局と全面対決する考えを表明した。政権党の幹事長ともあろう人物が自らに嫌疑をかけられたことに対し、検察を真っ向から批判した例はないのではないか。
鳩山由紀夫首相も小沢氏との会談で「(検察と)どうぞ戦ってください」と理解を示した。行政府のトップである首相が、検察と対決する小沢氏を激励するかのような姿勢はきわめて異常である。
小沢氏はこの日も「裏献金をもらったり隠したり、ウソの報告は一切していない」と記者団に語った。これに対し、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕された石川知裕衆院議員は、土地購入に充てた資金について「わざと記載しなかった」と犯意を認めていることが報じられている。
これは小沢氏の説明が虚偽であることを示しているのではないか。検察当局は自らの存在をかけて今回の土地疑惑を徹底して解明しなければならない。
党大会で、小沢氏の続投方針に反対意見が出なかったのもきわめて残念だ。政治責任を不問に付していることは、党が自浄能力を欠くばかりか、政権運営に当たっての健全かつ正常な判断力を失っていることをさらけ出している。
渡部恒三元衆院副議長は「国民のために身を引く判断もあるだろう」と述べた。首相も党大会で小沢氏の説明責任に言及したが、形ばかりの感をぬぐえない。
事件を受けて小沢氏が幹事長の職務を輿石東参院議員会長に代行させる考えを示しているのも不可解だ。これまで同様、影響力を行使しようという考えのようだが、国民の反発を甘くみているとしかいいようがない。
孫 正義が情報通信の未来図を語る「私の心にいつも竜馬がいた」
世の中に閉塞感が増してくると、幕末~明治維新のヒーローたちに注目が集まる。日本全体が沈みつつあるなかで、今も熱っぽく坂本竜馬の生き様を語るソフトバンクの孫正義社長に話を聞いた。
──これまで、正論の直球勝負で世間の喝采を浴びながらも、その反対に誤解されたこともあると思います。ご自身で振り返って、どう考えていますか?
そうですね。今から7~8年前だったと思いますが、仕事で台湾を訪れた際に、現地の新聞の一面に私のことがデカデカと取り上げられていました。
その見出しには、「投資冒険家、孫正義」と書いてあったのです。「なるほど。漢字で書くと、そうなるのか!」と、自分でも笑ってしまいました。今でも、鮮明に覚えています。
確かに、過去に存在しなかった “新しい事業機会”の芽を世界中に追い求めてきたという意味では、冒険しているように見えるのかもしれませんね。
実際、ソフトバンクの行く手には、どんな落とし穴が待っているかわからないし、いきなり猛獣が襲いかかってくるかもしれません。言うなれば、ジャングルの“道なき道”を進むわけですから、そのこと自体が不思議でもあり、危険な道だと思います。
でも、だからこそ、やりがいがあります。単に、「冒険が好き」というだけでは、続けられません。
──なぜ、孫さんは、そのような“道なき道”を歩むことができたのですか?
常に、高い志を持って、目標に立ち向かっていく。ひと言でいえば、「志高く」になります。志を持ち続けることが大切なのです。事業における私の信条は、「志のない事業は成功しない」です。
もちろん、高い志を持って不断の努力を続けていても、現実は厳しいもので、心が折れてくじけてしまうこともあります。運転資金が足りなくなったり、たくさんの社員が辞めてしまったり、ということもあります。
これら以外にも、事業を続けていくうえでは、さまざまな困難があります。ですが、次から次へと降りかかってくる障害を乗り越えてでも、「頑張り抜こう」と思わせる動機たりうるのもまた、高い志なのです。
たとえば、2001年にYahoo!BBで始めたADSL(非対称デジタル加入者線)ブロードバンドサービスは、より速く大量の情報を送受信できる新しい通信手段を提供することで、豊かな社会をつくろうという志からでした。
「事を成す」とは何か
──高い志の“原体験”は、幕末を駆け抜けた坂本竜馬と聞いています。孫さんは、どうして竜馬を知ることになったのですか?
15歳のときに司馬遼太郎(しば・りょうたろう)さんの『竜馬がゆく』に出会ったことです。地元の高校を中退し、故郷の佐賀県を離れて米国に留学する前の年でした。
渡米準備中の半年間だけ、勉強を見てもらっていた家庭教師から薦められたのがキッカケでした。
ある日、家庭教師から「キミは小説を読むのか?」と聞かれて、たまたま知っていた『車輪の下』(ヘルマン・ヘッセ)を挙げたのです。
以前、5ページほど読んで挫折していたこともあり、すぐに題名が浮かんだのでしょう。
すると、彼は笑いながら「キミは男なのだから、もっと雄大な小説を読まなくてはいかん。魂を奮い立たせるような物語がよい」と教えてくれたのが、『竜馬がゆく』でした。
ハードカバーの単行本でしたが、おもしろくて、おもしろくて、一気に読破しました。それはもう、脳天に激震が走るくらいの衝撃でしたね。なんと男らしく、清々しい生き様なのだろうか、と。本当に勇気づけられましたね。
──以後、人生の転機には、必ず『竜馬がゆく』を読み返したそうですね。
あの本に出会わなければ、在日韓国人として生まれたこともあり、日銭を稼げる商売として焼き肉店やパチンコ店の経営に携わっていたかもしれません。
私は、同じ本を二度読むことはほとんどありませんが、『竜馬がゆく』だけは、これまでに5回読みました。(1)渡米するとき、(2)起業したとき、(3)その2年後の1983年に慢性肝炎で入院したとき、(4)94年に株式上場したとき、(5)その直後に、数百億円を投じて米国でコンピュータ関連の展示会会社「コムデックス」や、専門出版社「ジフデービス」を買収しようと勝負をかけていたときです。
そうそう、『竜馬がゆく』には、「世に生を得るは事を成すにあり」という言葉が出てきます。この「事を成す」とは、どうすれば自分の人生を前向きに生きることができるか、そして世の中に前向きな影響を与えられるか、ということではないかと思っています。
世の中に対して、身の上の不幸を嘆いたり、批判したりすることはできます。でも、それでは前進がありません。私は、1人でもよいから、前を向いて挑戦する人が増えてほしい。一歩でもよいから、前に踏み出してほしい。それがいずれは大きな“うねり”となり、改革の原動力になっていきます。
じつは三〇年間変わらず
──確かに、ソフトバンクには、「挑戦する会社」であることに魅力を感じた人ばかりが集まっているという印象があります。
企業のカルチャーというものは、なんとなく出来上がってくるものだし、そのカルチャーに魅力を感じる人が自然に集まってくるのではないでしょうか。
以前、人事部が意識調査のアンケートを行なったところ、こと“挑戦”ということに関しては「この会社の社員は、他の会社に比べて、著しく際立っている」という結果が出たそうです。
いまや、ソフトバンクグループも、連結売上高が2兆6000億円を超えて、社員も約2万人まで増えています。それでも、私はまだまだベンチャー企業だと思っていますし、社員もそう考えているでしょう。常に挑戦し続けるからこそ、ソフトバンクなのです。
たとえば、幕末~明治維新の激動期には、名もなき多くの若い志士たちが死んでいきました。彼ら1人ひとりの価値は、同じ志を共有していたということで、後世に名が残る英傑と同等です。同様に“デジタル情報革命”も、ソフトバンクだけのものではなく、全国各地に同志がいるのです。
──現在のソフトバンクは、どのような高い志を持って事業に挑戦しているのでしょうか?
ICT(Information and communication technologies)の技術力で、21世紀の人びとのライフスタイルをより豊かなものにしていきたいと考えています。
過去には、うまくいった事業もあれば、いかなかった事業もあります。しかし、81年の創業初日からの「デジタル情報革命を通じて、人々が知恵と知識を共有することを促進し、企業価値の最大化を実現するとともに人類と社会に貢献してゆくことを目指す」という精神は変わりません。
──2010年6月の株主総会で発表されるという「次の30年ビジョン」とは、どのようなものになるのでしょうか?
まだ、考えに考え抜いて、中身を詰めている段階なので、詳しくは話せません。
ですが、たとえば、将来、次の30年に、現在ICTといわれている技術はどれだけ進むのか、それは人びとのライフスタイルにどのような変化を及ぼすのか、そしてその技術の進化に対して、私たちはどのように取り組んでいくのか──。そのような観点から、30年後を洞察します。
30年前にも、同じことをしました。当時、まだ生まれたばかりのマイクロコンピュータが、その後どれだけ能力を上げるのか未知数の段階で、産業構造がどのように変わるのか、創業前に一年半かけて考え抜きました。ですから、現在のソフトバンクは偶然の産物ではないのです。
電力事業はやりません
──最近、官民を挙げて、ICTを成長産業としてとらえる動きが活発化しています。珍しく、ソフトバンクは、総務省やNTTとも歩調を合わせていますね。
それは、日本の産業界にとって、ICTの技術が、今後も成長が見込めるドライバーだからです。
たとえば、国民の多くが望んでいる社会保障の構造改革、景気対策、高齢社会対策、雇用・労働問題などでは、ICTが解決のカギを握っています。産業別の純利益で見ても、トップの「情報・通信」にリソースを集中すべきです。
社会構造は、農耕社会から工業社会へと移り、情報社会を迎えています。そして、次世代型の産業では、「製造業×ICT」「農業×ICT」「漁業×ICT」「電力×ICT」など、ICTが不可欠な技術になっていくはずです。
──電力というのは、発電事業という意味ですか? 孫さんの目には、閉鎖的な日本の電力業界は“最後の未開拓インフラ”として映るのでしょうか?
いやいや。ソフトバンクとして、電力事業そのものに乗り出すことは考えていませんよ。
あくまでも、インターネット上のビジネス(サービス)に軸足を置いていますので、たとえばスマートグリッド(通信の技術を使って電力の需要と供給を効率化させようという考え方)のようなものであれば、なにかできるかもしれませんが。
2010年は、これまでと同様に、“デジタル情報革命”の実現に向けて、走り続けますよ。
小沢氏、検察と「戦っていく」 幹事長職は続投の意向
民主党の小沢一郎幹事長は16日午後の党大会で、自身の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る政治資金規正法違反容疑で元秘書の石川知裕衆院議員らが逮捕されたことに関し、自身の進退について「与えられた職責を全力で果たしていく」と述べ、続投する意向を示した。東京地検特捜部の対応については「到底容認できない。断固としてき然として自らの信念を通して戦っていく」と強調した。
その後、党大会の会場である日比谷公会堂で記者団に対し、石川知裕議員の逮捕について「非常に残念だ。このような事態になったことを国民におわびする」と述べた。ただ検察の捜査手法に関しては「到底納得できない。民主主義国家としてまかりとおるべきではない」と批判した。
小沢氏は今月初めに検察当局から土地購入資金の問い合わせがあり、弁護士を通じて銀行と支店の名前を伝え、後に検察側から帳簿を入手したとの回答があったと説明。小沢氏は「捜査に協力しないなんてことはなく、捜査に協力してきたし、協力したいと思うが、是非公平、公正な捜査をお願いしたい」と語った。
加速する若者の二輪車離れ、09年は38万台 ピーク時の9分の1に
日本自動車工業会(自工会)が15日まとめた2009年の二輪車の国内出荷台数は08年比27.1%減の38万777台だった。統計開始以降最低の水準で、ピークだった1982年のおよそ9分の1まで落ち込んだ。若者のバイク離れや都市部での駐車場不足などの問題に加え、消費低迷の余波で中大型車の低迷が目立った。
排気量別には50cc以下の「原付き一種」が13.6%減と、減少幅が比較的小さかった。一方で51cc以上では44.7%減少した。08年も前の年から2割以上落ち込んでおり、実質的な二輪車の国内販売台数を示す出荷台数の減少には歯止めがかかっていない状況だ。
米ヤフーにもサイバー攻撃か 通信社報道
【シリコンバレー=田中暁人】インターネット大手の米ヤフーが、中国からとされるサイバー攻撃を受けていたことが15日明らかになった。ロイター通信が関係者の話として報じた。ネット検索最大手のグーグルに対するサイバー攻撃と同様のものとみられ、ヤフーはグーグルが発表する前に同社と情報交換したとされる。
ヤフーは同日までに、グーグルへのサイバー攻撃について「事態を深く憂慮する」などとの声明を発表。ただ自社のネットワークがサイバー攻撃を受けたかどうかは明らかにしていなかった。
グーグルは12日、自社以外に「最低20社」の大手企業がサイバー攻撃の対象になったと発表。これまでに米ソフト大手のアドビシステムズなどが同様の攻撃を受けたことを明らかにしている。
世の中に閉塞感が増してくると、幕末~明治維新のヒーローたちに注目が集まる。日本全体が沈みつつあるなかで、今も熱っぽく坂本竜馬の生き様を語るソフトバンクの孫正義社長に話を聞いた。
──これまで、正論の直球勝負で世間の喝采を浴びながらも、その反対に誤解されたこともあると思います。ご自身で振り返って、どう考えていますか?
そうですね。今から7~8年前だったと思いますが、仕事で台湾を訪れた際に、現地の新聞の一面に私のことがデカデカと取り上げられていました。
その見出しには、「投資冒険家、孫正義」と書いてあったのです。「なるほど。漢字で書くと、そうなるのか!」と、自分でも笑ってしまいました。今でも、鮮明に覚えています。
確かに、過去に存在しなかった “新しい事業機会”の芽を世界中に追い求めてきたという意味では、冒険しているように見えるのかもしれませんね。
実際、ソフトバンクの行く手には、どんな落とし穴が待っているかわからないし、いきなり猛獣が襲いかかってくるかもしれません。言うなれば、ジャングルの“道なき道”を進むわけですから、そのこと自体が不思議でもあり、危険な道だと思います。
でも、だからこそ、やりがいがあります。単に、「冒険が好き」というだけでは、続けられません。
──なぜ、孫さんは、そのような“道なき道”を歩むことができたのですか?
常に、高い志を持って、目標に立ち向かっていく。ひと言でいえば、「志高く」になります。志を持ち続けることが大切なのです。事業における私の信条は、「志のない事業は成功しない」です。
もちろん、高い志を持って不断の努力を続けていても、現実は厳しいもので、心が折れてくじけてしまうこともあります。運転資金が足りなくなったり、たくさんの社員が辞めてしまったり、ということもあります。
これら以外にも、事業を続けていくうえでは、さまざまな困難があります。ですが、次から次へと降りかかってくる障害を乗り越えてでも、「頑張り抜こう」と思わせる動機たりうるのもまた、高い志なのです。
たとえば、2001年にYahoo!BBで始めたADSL(非対称デジタル加入者線)ブロードバンドサービスは、より速く大量の情報を送受信できる新しい通信手段を提供することで、豊かな社会をつくろうという志からでした。
「事を成す」とは何か
──高い志の“原体験”は、幕末を駆け抜けた坂本竜馬と聞いています。孫さんは、どうして竜馬を知ることになったのですか?
15歳のときに司馬遼太郎(しば・りょうたろう)さんの『竜馬がゆく』に出会ったことです。地元の高校を中退し、故郷の佐賀県を離れて米国に留学する前の年でした。
渡米準備中の半年間だけ、勉強を見てもらっていた家庭教師から薦められたのがキッカケでした。
ある日、家庭教師から「キミは小説を読むのか?」と聞かれて、たまたま知っていた『車輪の下』(ヘルマン・ヘッセ)を挙げたのです。
以前、5ページほど読んで挫折していたこともあり、すぐに題名が浮かんだのでしょう。
すると、彼は笑いながら「キミは男なのだから、もっと雄大な小説を読まなくてはいかん。魂を奮い立たせるような物語がよい」と教えてくれたのが、『竜馬がゆく』でした。
ハードカバーの単行本でしたが、おもしろくて、おもしろくて、一気に読破しました。それはもう、脳天に激震が走るくらいの衝撃でしたね。なんと男らしく、清々しい生き様なのだろうか、と。本当に勇気づけられましたね。
──以後、人生の転機には、必ず『竜馬がゆく』を読み返したそうですね。
あの本に出会わなければ、在日韓国人として生まれたこともあり、日銭を稼げる商売として焼き肉店やパチンコ店の経営に携わっていたかもしれません。
私は、同じ本を二度読むことはほとんどありませんが、『竜馬がゆく』だけは、これまでに5回読みました。(1)渡米するとき、(2)起業したとき、(3)その2年後の1983年に慢性肝炎で入院したとき、(4)94年に株式上場したとき、(5)その直後に、数百億円を投じて米国でコンピュータ関連の展示会会社「コムデックス」や、専門出版社「ジフデービス」を買収しようと勝負をかけていたときです。
そうそう、『竜馬がゆく』には、「世に生を得るは事を成すにあり」という言葉が出てきます。この「事を成す」とは、どうすれば自分の人生を前向きに生きることができるか、そして世の中に前向きな影響を与えられるか、ということではないかと思っています。
世の中に対して、身の上の不幸を嘆いたり、批判したりすることはできます。でも、それでは前進がありません。私は、1人でもよいから、前を向いて挑戦する人が増えてほしい。一歩でもよいから、前に踏み出してほしい。それがいずれは大きな“うねり”となり、改革の原動力になっていきます。
じつは三〇年間変わらず
──確かに、ソフトバンクには、「挑戦する会社」であることに魅力を感じた人ばかりが集まっているという印象があります。
企業のカルチャーというものは、なんとなく出来上がってくるものだし、そのカルチャーに魅力を感じる人が自然に集まってくるのではないでしょうか。
以前、人事部が意識調査のアンケートを行なったところ、こと“挑戦”ということに関しては「この会社の社員は、他の会社に比べて、著しく際立っている」という結果が出たそうです。
いまや、ソフトバンクグループも、連結売上高が2兆6000億円を超えて、社員も約2万人まで増えています。それでも、私はまだまだベンチャー企業だと思っていますし、社員もそう考えているでしょう。常に挑戦し続けるからこそ、ソフトバンクなのです。
たとえば、幕末~明治維新の激動期には、名もなき多くの若い志士たちが死んでいきました。彼ら1人ひとりの価値は、同じ志を共有していたということで、後世に名が残る英傑と同等です。同様に“デジタル情報革命”も、ソフトバンクだけのものではなく、全国各地に同志がいるのです。
──現在のソフトバンクは、どのような高い志を持って事業に挑戦しているのでしょうか?
ICT(Information and communication technologies)の技術力で、21世紀の人びとのライフスタイルをより豊かなものにしていきたいと考えています。
過去には、うまくいった事業もあれば、いかなかった事業もあります。しかし、81年の創業初日からの「デジタル情報革命を通じて、人々が知恵と知識を共有することを促進し、企業価値の最大化を実現するとともに人類と社会に貢献してゆくことを目指す」という精神は変わりません。
──2010年6月の株主総会で発表されるという「次の30年ビジョン」とは、どのようなものになるのでしょうか?
まだ、考えに考え抜いて、中身を詰めている段階なので、詳しくは話せません。
ですが、たとえば、将来、次の30年に、現在ICTといわれている技術はどれだけ進むのか、それは人びとのライフスタイルにどのような変化を及ぼすのか、そしてその技術の進化に対して、私たちはどのように取り組んでいくのか──。そのような観点から、30年後を洞察します。
30年前にも、同じことをしました。当時、まだ生まれたばかりのマイクロコンピュータが、その後どれだけ能力を上げるのか未知数の段階で、産業構造がどのように変わるのか、創業前に一年半かけて考え抜きました。ですから、現在のソフトバンクは偶然の産物ではないのです。
電力事業はやりません
──最近、官民を挙げて、ICTを成長産業としてとらえる動きが活発化しています。珍しく、ソフトバンクは、総務省やNTTとも歩調を合わせていますね。
それは、日本の産業界にとって、ICTの技術が、今後も成長が見込めるドライバーだからです。
たとえば、国民の多くが望んでいる社会保障の構造改革、景気対策、高齢社会対策、雇用・労働問題などでは、ICTが解決のカギを握っています。産業別の純利益で見ても、トップの「情報・通信」にリソースを集中すべきです。
社会構造は、農耕社会から工業社会へと移り、情報社会を迎えています。そして、次世代型の産業では、「製造業×ICT」「農業×ICT」「漁業×ICT」「電力×ICT」など、ICTが不可欠な技術になっていくはずです。
──電力というのは、発電事業という意味ですか? 孫さんの目には、閉鎖的な日本の電力業界は“最後の未開拓インフラ”として映るのでしょうか?
いやいや。ソフトバンクとして、電力事業そのものに乗り出すことは考えていませんよ。
あくまでも、インターネット上のビジネス(サービス)に軸足を置いていますので、たとえばスマートグリッド(通信の技術を使って電力の需要と供給を効率化させようという考え方)のようなものであれば、なにかできるかもしれませんが。
2010年は、これまでと同様に、“デジタル情報革命”の実現に向けて、走り続けますよ。
小沢氏、検察と「戦っていく」 幹事長職は続投の意向
民主党の小沢一郎幹事長は16日午後の党大会で、自身の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る政治資金規正法違反容疑で元秘書の石川知裕衆院議員らが逮捕されたことに関し、自身の進退について「与えられた職責を全力で果たしていく」と述べ、続投する意向を示した。東京地検特捜部の対応については「到底容認できない。断固としてき然として自らの信念を通して戦っていく」と強調した。
その後、党大会の会場である日比谷公会堂で記者団に対し、石川知裕議員の逮捕について「非常に残念だ。このような事態になったことを国民におわびする」と述べた。ただ検察の捜査手法に関しては「到底納得できない。民主主義国家としてまかりとおるべきではない」と批判した。
小沢氏は今月初めに検察当局から土地購入資金の問い合わせがあり、弁護士を通じて銀行と支店の名前を伝え、後に検察側から帳簿を入手したとの回答があったと説明。小沢氏は「捜査に協力しないなんてことはなく、捜査に協力してきたし、協力したいと思うが、是非公平、公正な捜査をお願いしたい」と語った。
加速する若者の二輪車離れ、09年は38万台 ピーク時の9分の1に
日本自動車工業会(自工会)が15日まとめた2009年の二輪車の国内出荷台数は08年比27.1%減の38万777台だった。統計開始以降最低の水準で、ピークだった1982年のおよそ9分の1まで落ち込んだ。若者のバイク離れや都市部での駐車場不足などの問題に加え、消費低迷の余波で中大型車の低迷が目立った。
排気量別には50cc以下の「原付き一種」が13.6%減と、減少幅が比較的小さかった。一方で51cc以上では44.7%減少した。08年も前の年から2割以上落ち込んでおり、実質的な二輪車の国内販売台数を示す出荷台数の減少には歯止めがかかっていない状況だ。
米ヤフーにもサイバー攻撃か 通信社報道
【シリコンバレー=田中暁人】インターネット大手の米ヤフーが、中国からとされるサイバー攻撃を受けていたことが15日明らかになった。ロイター通信が関係者の話として報じた。ネット検索最大手のグーグルに対するサイバー攻撃と同様のものとみられ、ヤフーはグーグルが発表する前に同社と情報交換したとされる。
ヤフーは同日までに、グーグルへのサイバー攻撃について「事態を深く憂慮する」などとの声明を発表。ただ自社のネットワークがサイバー攻撃を受けたかどうかは明らかにしていなかった。
グーグルは12日、自社以外に「最低20社」の大手企業がサイバー攻撃の対象になったと発表。これまでに米ソフト大手のアドビシステムズなどが同様の攻撃を受けたことを明らかにしている。
ネット販売モデルを再構築せよ 日本ゲーム産業の進路(COLUMN)
現在のゲーム産業のパッケージ型販売モデルは、大きく2つに分かれようとしている。既存のパッケージ型モデルか、アップルの「App Store」のような低価格を武器にしたネット販売モデルだ。ただ、前者はすでに壁に行き当たり、後者も超供給過剰な状態に陥っている。
この2つのうち、App Store型のネット販売モデルにシフトしていくのは時代の流れだが、ゲーム業界は収益化の糸口をまったく見出せていない。その理由を考えるには、「プラットフォーム」が歴史的にどのようにつくられ、どのような盛衰をたどってきたかを理解しておく必要がある。
■19世紀末の「コカ・コーラ」
歴史的に、米国でつくられた事業プラットフォームには1つの特徴がある。土台ができた後は、それで収益が上がる限り、上にどのようなものが乗っても構わないという考え方だ。その過程で様々なトラブルやイノベーションを生み出しながら、商品の性格が一定の方向へと収れんしていく。
この伝統的パターンは19世紀末にまでさかのぼることができる。代表例として「コカ・コーラ」を挙げたい。
米国で当時誕生したばかりのコカ・コーラは、原液を薬局に卸して利益を得ていた。薬局が店頭で炭酸水で薄めて、滋養強壮剤として販売する。それをビンに詰めて売れば、より安定した収益が得られることを、当時のコカ・コーラ経営陣は予見できなかったという(「コカ・コーラ帝国の興亡」徳間書店)。
そのため1899年には、ビンに詰めて販売する権利をある業者に1ガロン1ドルで売り、全米での販売権をほぼ無制限に認める契約を結んでしまう。その業者を親として、ビン詰めの権利が別の企業に独占的に提供され、コカ・コーラの意志に関係なく、全米に数百社ものボトラーが出現した。
それは商品の急速な普及と市場の成長をもたらしたが、ビンの形状も量もバラバラな類似品が何百種類も乱立し、トラブルも多発した。例えば、ビンが爆発する事故やナメクジや虫などの異物が混入するといった問題で、裁判沙汰になるケースもあったようだ。
そこで500あまりのボトラーは、1913年にコカ・コーラボトラーズ協会を設立した。現在まで残る独特のフォルムのビンや筆記体のロゴマークといった標準デザインは1915年に決まったものだ。
その後コカ・コーラは、数百万ドルを支払ってビン詰め権の一部を買い戻すが、原液の価格をめぐってボトラーと裁判を繰り返す。最終的に、主要なボトラーを買収してコカ・コーラ本社がすべて統括するのに1930年代末までかかったという。
将来の発展形態やイノベーションを予測できず、母屋を失いかねないような事態が起きるコカ・コーラのようなタイプは、「米国型プラットフォーム」と呼んでもいいだろう。後のIBMとマイクロソフトの関係、マイクロソフトとグーグルの関係ともよく似ている。
■アタリの失敗と日本型プラットフォーム
家庭用ゲーム機というプラットフォームも、最初は「米国型」の伝統をたどった。本格的に大ヒットした初の家庭用ゲーム機は米アタリが70年代に発売した「Atari 2600」で、ハードウエアは2000万台以上売れ、1400種類ものゲームソフトが流通した。しかし、82年のクリスマス商戦から83年にかけて「アタリショック」と呼ばれる販売の落ち込みを招く。
Atari 2600はハードウエアとパッケージを別々に販売する現在のパッケージ型モデルを基本とした。しかし、ゲーム会社に仕様を公開して、自由にソフトを製造販売できるようにしていたため粗製濫造を招き、ユーザー離れが一気に起きたとされている。
ここで着目すべきは、後発で同じパッケージ戦略を取った任天堂が、「ファミリーコンピュータ」以来、1社で販売できるソフトの種類を「制限する」という戦略を採った点である。
数を制限すれば、ゲーム各社が1つのタイトルに多くの資金を投入し、ゲームそのものの品質も高まるという考え方だ。当時の山内博社長は、「この業界は一強皆弱の体制でないと成り立っていかない」と公言していた。実際、多くのライセンス企業の反発を受けつつも、94年にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が「プレイステーション(PS)」で参入するまで、その体制は維持された。
PS以降は、3Dグラフィックス全盛の時代に移って開発コストが上昇し、プラットフォームに新規参入するのが段々と難しくなっていった。ゲーム業界の主な企業は、経営資源をブランド力のある自社タイトルに集中するようになっていった。
つまり、日本の家庭用ゲーム機メーカーは、自社のプラットフォームに意識的に参入障壁を設けることで成功してきた。それにより全体の「質」を保証し、ユーザーにお金を払う価値があると納得させるプラットフォームにデザインした。
これを「日本型プラットフォーム」と呼んでもいいだろう。NTTドコモの「iモード」が「公式サイト」という概念を持っているのも、同様の志向からきていると考えていい。
この質の保証が結果として、日本のゲーム機が世界市場で成功した要因にもなった。大手ゲーム会社は、そのプラットフォーム上で高コストな大型タイトルを開発することに集中できたともいえる。
■既存パッケージの「暗黙の了解」
既存のパッケージ型ゲームでは、ユーザーはそのゲームが提供してくれる「時間の価値」を漠然と想像できる。ロールプレイングゲームであれば、「1本で10~20時間はたっぷり遊べるだろう」といった予想だ。
こうしたことはパッケージに明記されているわけではないが、ゲーム会社とユーザーの間に「暗黙の了解」がある。その時間価値に対して、ユーザーはお金を払ってきた。
例えば「コールオブデューティ モダンウォーフェアー2」(アクティビジョン)の場合なら、以下のようなイメージだ。米国での販売価格は59ドルで、そのうち1人用プレイモードが10ドル分ぐらい、残りの50ドルはマルチプレーヤーモードで、月10ドル程度で合計6カ月は遊べる。つまり、ユーザーは約半年分のゲームプレー料金を前払いして、質の高いゲーム体験を買うというわけだ。
■市場任せのネット販売モデル
ところが、App Storeのようなネット流通の世界では、その暗黙の前提が成り立たない。開発会社が情報を好きなような形で組み合わせて、自由な価格設定で販売できるからだ。パッケージの時代にあった「相場」が消滅し、価格の基準をどこにおけばいいのか分からなくなりつつある。
アップルはApp Storeというプラットフォームをつくるにあたり、自ら価値基準を決めるのではなく、市場に任せる方法を取った。しかし、このプラットフォームでは、コンテンツの価値と価格との連動性がきわめて低く、価格による需給バランスの調整が効きにくい。いったん供給過剰に陥っても、その状態が容易には解消されず、App Storeではゲームだけで2万3000本のタイトルがひしめいている。中身は玉石混交で、大型タイトルは生まれにくく、ユーザーがゲームの価値を見極めることもますます難しくなりつつある。
この状況は、コカ・コーラでいえば様々なビンが出回っていた20世紀初頭、アタリでいえばクリスマスシーズン前に相応するといえるだろう。
■3000円前後で売れる新プラットフォームが必要
逆に考えると、今の供給過剰状態はいずれ行き詰まり、今後はユーザーから「価値の保証」を期待される段階に移行し始めると予測できる。その際は、再びハードウエアを中心とした新しい主導権争いが起きるだろう。
ゲーム市場にとって必要なのは、3000円前後の価格帯の新たなプラットフォームを構築することである。完全なネット流通に移行して、小売店のマージンがなくなると考えれば、この価格帯でも有力タイトルの展開が可能になるからだ。
もちろん、こうしたプラットフォームが立ち上がるまでには、多くの既存事業に痛みを伴う激変や障害をもたらすだろう。それを、任天堂やSCEといった日本の企業が牽引していくのか、それとも別の日本企業や海外企業が現れるのかは、現在では明瞭でない。
しかし今、市場が大きな移行期にあるのは確かであり、多くの企業が知恵を必要としている時期であることも間違いない。そして、知恵は過去のパターンに潜んでいると述べておきたい。
政権運営に打撃、小沢氏の進退焦点 石川議員ら逮捕
政府・与党では15日、民主党の小沢一郎幹事長の元秘書、石川知裕衆院議員らの逮捕で、今後の政権運営や夏の参院選への影響は避けられないとの懸念が広がってきた。民主党は代表の鳩山由紀夫首相にも偽装献金問題があり、党のトップ2人が「政治とカネ」の問題を抱える事態となった。18日召集の通常国会で野党は追及を強める方針で、小沢氏の進退問題が浮上する公算もある。
小沢氏は16日に都内で開く党大会の冒頭、地方代議員を前にあいさつする予定だ。
実態解明へ方針一転 石川議員逮捕 検察、供述に不信感
小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入問題で、東京地検特捜部は15日夜、同氏の元秘書、石川知裕衆院議員(36)=北海道11区=らの逮捕に踏み切った。事情聴取に非協力的であいまいな供述を繰り返し、任意捜査のままでは不透明な資金移動の実態を解明するのは困難と判断。急転直下、在宅起訴の方針を翻し、強制捜査による徹底的な追及に乗り出した。
「真相解明の邪魔をしている周辺関係者から石川議員を引き離すしかなかった」。検察幹部は小沢氏側への強い不信感を隠さない。石川議員は昨年末の最初の事情聴取の後、2度目の聴取になかなか応じず、あいまいな供述を繰り返していた。
特捜部は小沢氏側の関係先を一斉に家宅捜索した13日と翌14日、石川議員から連日聴取。しかし、15日の聴取は体調不良を理由に弁護士が拒否したため、夜になって本人に直接連絡を取って出頭を求めた。そのうえで、従来と供述態度が変わらないため、一気に逮捕の決断に至った。
定額給付金、消費支出増は6300億円 内閣府「効果は限定的」
内閣府は15日、麻生政権が実施した定額給付金に関するアンケート調査の結果を発表した。定額給付金によって増えた消費支出は約6300億円で、名目国内総生産(GDP、2008年度確報)に占める割合は0.13%だった。前政権は8000億円の消費支出増を見込んでいたが、想定を下回った。内閣府の津村啓介政務官は「給付金の経済効果は限定的だった」と述べた。
09年4~9月末に全国1万5000世帯を対象に調査した。有効回収率は61.3%。支給された定額給付金のうち64.5%が消費、35.5%が消費以外の貯蓄や税、社会保険料の支払いなどに回った。給付金がなければ購入しなかったものが支給額全体の29%、給付金によって増加した支出額は3.8%で、合計32.8%が給付金によって増加した消費支出額だった。
給付金の使い道はテレビや旅行代など「教養娯楽」が最も多く、37.6%。外食を含む食料が11.7%、家具・家事用品が10%で続いた。
現在のゲーム産業のパッケージ型販売モデルは、大きく2つに分かれようとしている。既存のパッケージ型モデルか、アップルの「App Store」のような低価格を武器にしたネット販売モデルだ。ただ、前者はすでに壁に行き当たり、後者も超供給過剰な状態に陥っている。
この2つのうち、App Store型のネット販売モデルにシフトしていくのは時代の流れだが、ゲーム業界は収益化の糸口をまったく見出せていない。その理由を考えるには、「プラットフォーム」が歴史的にどのようにつくられ、どのような盛衰をたどってきたかを理解しておく必要がある。
■19世紀末の「コカ・コーラ」
歴史的に、米国でつくられた事業プラットフォームには1つの特徴がある。土台ができた後は、それで収益が上がる限り、上にどのようなものが乗っても構わないという考え方だ。その過程で様々なトラブルやイノベーションを生み出しながら、商品の性格が一定の方向へと収れんしていく。
この伝統的パターンは19世紀末にまでさかのぼることができる。代表例として「コカ・コーラ」を挙げたい。
米国で当時誕生したばかりのコカ・コーラは、原液を薬局に卸して利益を得ていた。薬局が店頭で炭酸水で薄めて、滋養強壮剤として販売する。それをビンに詰めて売れば、より安定した収益が得られることを、当時のコカ・コーラ経営陣は予見できなかったという(「コカ・コーラ帝国の興亡」徳間書店)。
そのため1899年には、ビンに詰めて販売する権利をある業者に1ガロン1ドルで売り、全米での販売権をほぼ無制限に認める契約を結んでしまう。その業者を親として、ビン詰めの権利が別の企業に独占的に提供され、コカ・コーラの意志に関係なく、全米に数百社ものボトラーが出現した。
それは商品の急速な普及と市場の成長をもたらしたが、ビンの形状も量もバラバラな類似品が何百種類も乱立し、トラブルも多発した。例えば、ビンが爆発する事故やナメクジや虫などの異物が混入するといった問題で、裁判沙汰になるケースもあったようだ。
そこで500あまりのボトラーは、1913年にコカ・コーラボトラーズ協会を設立した。現在まで残る独特のフォルムのビンや筆記体のロゴマークといった標準デザインは1915年に決まったものだ。
その後コカ・コーラは、数百万ドルを支払ってビン詰め権の一部を買い戻すが、原液の価格をめぐってボトラーと裁判を繰り返す。最終的に、主要なボトラーを買収してコカ・コーラ本社がすべて統括するのに1930年代末までかかったという。
将来の発展形態やイノベーションを予測できず、母屋を失いかねないような事態が起きるコカ・コーラのようなタイプは、「米国型プラットフォーム」と呼んでもいいだろう。後のIBMとマイクロソフトの関係、マイクロソフトとグーグルの関係ともよく似ている。
■アタリの失敗と日本型プラットフォーム
家庭用ゲーム機というプラットフォームも、最初は「米国型」の伝統をたどった。本格的に大ヒットした初の家庭用ゲーム機は米アタリが70年代に発売した「Atari 2600」で、ハードウエアは2000万台以上売れ、1400種類ものゲームソフトが流通した。しかし、82年のクリスマス商戦から83年にかけて「アタリショック」と呼ばれる販売の落ち込みを招く。
Atari 2600はハードウエアとパッケージを別々に販売する現在のパッケージ型モデルを基本とした。しかし、ゲーム会社に仕様を公開して、自由にソフトを製造販売できるようにしていたため粗製濫造を招き、ユーザー離れが一気に起きたとされている。
ここで着目すべきは、後発で同じパッケージ戦略を取った任天堂が、「ファミリーコンピュータ」以来、1社で販売できるソフトの種類を「制限する」という戦略を採った点である。
数を制限すれば、ゲーム各社が1つのタイトルに多くの資金を投入し、ゲームそのものの品質も高まるという考え方だ。当時の山内博社長は、「この業界は一強皆弱の体制でないと成り立っていかない」と公言していた。実際、多くのライセンス企業の反発を受けつつも、94年にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が「プレイステーション(PS)」で参入するまで、その体制は維持された。
PS以降は、3Dグラフィックス全盛の時代に移って開発コストが上昇し、プラットフォームに新規参入するのが段々と難しくなっていった。ゲーム業界の主な企業は、経営資源をブランド力のある自社タイトルに集中するようになっていった。
つまり、日本の家庭用ゲーム機メーカーは、自社のプラットフォームに意識的に参入障壁を設けることで成功してきた。それにより全体の「質」を保証し、ユーザーにお金を払う価値があると納得させるプラットフォームにデザインした。
これを「日本型プラットフォーム」と呼んでもいいだろう。NTTドコモの「iモード」が「公式サイト」という概念を持っているのも、同様の志向からきていると考えていい。
この質の保証が結果として、日本のゲーム機が世界市場で成功した要因にもなった。大手ゲーム会社は、そのプラットフォーム上で高コストな大型タイトルを開発することに集中できたともいえる。
■既存パッケージの「暗黙の了解」
既存のパッケージ型ゲームでは、ユーザーはそのゲームが提供してくれる「時間の価値」を漠然と想像できる。ロールプレイングゲームであれば、「1本で10~20時間はたっぷり遊べるだろう」といった予想だ。
こうしたことはパッケージに明記されているわけではないが、ゲーム会社とユーザーの間に「暗黙の了解」がある。その時間価値に対して、ユーザーはお金を払ってきた。
例えば「コールオブデューティ モダンウォーフェアー2」(アクティビジョン)の場合なら、以下のようなイメージだ。米国での販売価格は59ドルで、そのうち1人用プレイモードが10ドル分ぐらい、残りの50ドルはマルチプレーヤーモードで、月10ドル程度で合計6カ月は遊べる。つまり、ユーザーは約半年分のゲームプレー料金を前払いして、質の高いゲーム体験を買うというわけだ。
■市場任せのネット販売モデル
ところが、App Storeのようなネット流通の世界では、その暗黙の前提が成り立たない。開発会社が情報を好きなような形で組み合わせて、自由な価格設定で販売できるからだ。パッケージの時代にあった「相場」が消滅し、価格の基準をどこにおけばいいのか分からなくなりつつある。
アップルはApp Storeというプラットフォームをつくるにあたり、自ら価値基準を決めるのではなく、市場に任せる方法を取った。しかし、このプラットフォームでは、コンテンツの価値と価格との連動性がきわめて低く、価格による需給バランスの調整が効きにくい。いったん供給過剰に陥っても、その状態が容易には解消されず、App Storeではゲームだけで2万3000本のタイトルがひしめいている。中身は玉石混交で、大型タイトルは生まれにくく、ユーザーがゲームの価値を見極めることもますます難しくなりつつある。
この状況は、コカ・コーラでいえば様々なビンが出回っていた20世紀初頭、アタリでいえばクリスマスシーズン前に相応するといえるだろう。
■3000円前後で売れる新プラットフォームが必要
逆に考えると、今の供給過剰状態はいずれ行き詰まり、今後はユーザーから「価値の保証」を期待される段階に移行し始めると予測できる。その際は、再びハードウエアを中心とした新しい主導権争いが起きるだろう。
ゲーム市場にとって必要なのは、3000円前後の価格帯の新たなプラットフォームを構築することである。完全なネット流通に移行して、小売店のマージンがなくなると考えれば、この価格帯でも有力タイトルの展開が可能になるからだ。
もちろん、こうしたプラットフォームが立ち上がるまでには、多くの既存事業に痛みを伴う激変や障害をもたらすだろう。それを、任天堂やSCEといった日本の企業が牽引していくのか、それとも別の日本企業や海外企業が現れるのかは、現在では明瞭でない。
しかし今、市場が大きな移行期にあるのは確かであり、多くの企業が知恵を必要としている時期であることも間違いない。そして、知恵は過去のパターンに潜んでいると述べておきたい。
政権運営に打撃、小沢氏の進退焦点 石川議員ら逮捕
政府・与党では15日、民主党の小沢一郎幹事長の元秘書、石川知裕衆院議員らの逮捕で、今後の政権運営や夏の参院選への影響は避けられないとの懸念が広がってきた。民主党は代表の鳩山由紀夫首相にも偽装献金問題があり、党のトップ2人が「政治とカネ」の問題を抱える事態となった。18日召集の通常国会で野党は追及を強める方針で、小沢氏の進退問題が浮上する公算もある。
小沢氏は16日に都内で開く党大会の冒頭、地方代議員を前にあいさつする予定だ。
実態解明へ方針一転 石川議員逮捕 検察、供述に不信感
小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入問題で、東京地検特捜部は15日夜、同氏の元秘書、石川知裕衆院議員(36)=北海道11区=らの逮捕に踏み切った。事情聴取に非協力的であいまいな供述を繰り返し、任意捜査のままでは不透明な資金移動の実態を解明するのは困難と判断。急転直下、在宅起訴の方針を翻し、強制捜査による徹底的な追及に乗り出した。
「真相解明の邪魔をしている周辺関係者から石川議員を引き離すしかなかった」。検察幹部は小沢氏側への強い不信感を隠さない。石川議員は昨年末の最初の事情聴取の後、2度目の聴取になかなか応じず、あいまいな供述を繰り返していた。
特捜部は小沢氏側の関係先を一斉に家宅捜索した13日と翌14日、石川議員から連日聴取。しかし、15日の聴取は体調不良を理由に弁護士が拒否したため、夜になって本人に直接連絡を取って出頭を求めた。そのうえで、従来と供述態度が変わらないため、一気に逮捕の決断に至った。
定額給付金、消費支出増は6300億円 内閣府「効果は限定的」
内閣府は15日、麻生政権が実施した定額給付金に関するアンケート調査の結果を発表した。定額給付金によって増えた消費支出は約6300億円で、名目国内総生産(GDP、2008年度確報)に占める割合は0.13%だった。前政権は8000億円の消費支出増を見込んでいたが、想定を下回った。内閣府の津村啓介政務官は「給付金の経済効果は限定的だった」と述べた。
09年4~9月末に全国1万5000世帯を対象に調査した。有効回収率は61.3%。支給された定額給付金のうち64.5%が消費、35.5%が消費以外の貯蓄や税、社会保険料の支払いなどに回った。給付金がなければ購入しなかったものが支給額全体の29%、給付金によって増加した支出額は3.8%で、合計32.8%が給付金によって増加した消費支出額だった。
給付金の使い道はテレビや旅行代など「教養娯楽」が最も多く、37.6%。外食を含む食料が11.7%、家具・家事用品が10%で続いた。