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スペック追求をやめたソニー・エリクソンの新戦略(COLUMN)
 2月15~18日の日程でスペイン・バルセロナで開催されるモバイル業界の国際会議「Mobile World Congress 2010(MWC 2010)」。その開幕に先駆けて、14日に韓国サムスン電子とソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズが新製品発表会を開いた。
■MWC前夜にサムスンとの選択を迫られる
 報道機関に知らされた発表会の開始時刻はサムスン電子が14日日曜日の18時で、ソニー・エリクソンが同じく14日の18時開場、19時開演だった。会場はそれぞれ独自の場所を設定しており、タクシーでの移動にも時間がかかる。この段階で報道機関は「サムスンかソニー・エリクソンか」という選択を迫られることになった。
 ただし、海外のこの手のイベントは定刻時刻どおりに始まることはほとんどない。09年のソニー・エリクソンの発表会も開始までかなり待たされた記憶があるので「まずはサムスン電子を1時間ほど見てからソニー・エリクソンに移動すればいいか」と安易に考えていた。
 ところが18時前にサムスン電子の会場に行ってみると、受付は長蛇の列。すぐに説明会が始まるようにも見えない。時間つぶしに「Twitter」をチェックしていたらソニー・エリクソンのつぶやきとして「ソニー会長兼社長のハワード・ストリンガー氏が参加する」と書いてある。サプライズゲストによる大きな発表があるに違いないと、サムスン電子の発表を早々に諦めて、慌ててタクシーに飛び乗った。
■需要が根強いQWERTYキーボード搭載機を投入
 19時過ぎに始まったソニー・エリクソンの発表会では、グーグルの携帯向けOS「Android(アンドロイド)」を搭載したスマートフォン「Xperia」のシリーズ展開に驚かされた。第1弾の「Xperia X10」(日本での名称は「Xperia」)がまだ発売されていないにもかかわらず、超コンパクト設計の「Xperia X10 mini」、同じ画面サイズで「QWERTY」キーボードを搭載した「Xperia X10 mini pro」を発表した。
 ソニー・エリクソンはXperia X10の発表後、Symbian(シンビアン)OS搭載で薄型ながらハイビジョン撮影が可能な端末「Vivaz」を発表している。この2機種はどちらもフルタッチパネルの操作体系となっている。
 今回はQWERTY配列のキーボード搭載機の成長率が250%以上という09年の調査データを踏まえて、VivazにもQWERTYキーボード版を追加。Xperia mini proと合わせて2モデルのQWERTYキーボード端末を用意した。
 世界を見渡すとXperiaと同じくAndroidを搭載する米モトローラ製の「Droid」が大ヒットするなど、QWERTYキーボードには根強い需要がある。「北米市場などでは特にQWERTYキーボードを搭載する機種を出さないのか、と聞かれることが多い」(ソニー・エリクソンの坂口立考エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼チーフ・クリエーション・オフィサー)。アップルの「iPhone」はフルタッチパネル一本だが、Xperiaはミニ版、QWERTYキーボード版とファミリーで勝負をしていくようだ。
■「グーグルと掛け合った商品」に見える気合い
 Xperia miniは、坂口氏が「我々がグーグルと掛け合って実現した商品」と言うように、ソニー・エリクソンの気合いがうかがえる。もともとAndroidは解像度が高いディスプレーを想定して設計されていて、Xperia miniが搭載するQVGA解像度の小型ディスプレーには対応していなかった。ソニー・エリクソンはXperia X10 miniと同mini proのディスプレーをQVGAにすることで、端末価格を引き下げた。さらにXperiaが搭載する米クアルコムの高速チップ「Snapdragon」を使わなくても快適に動く操作性を実現した。
 Xperia X10は4インチの大型ディスプレーを備えるため、ユーザーは自然に両手で操作することになる。X10 mini proもQWERTYキーボードのためやはり両手操作となるが、X10 miniは片手で扱えることが売りとなる。端末の形状1つとっても、選択肢が広がる。
 今回のソニー・エリクソンの発表は09年以上に会社としてのメッセージが明確に伝わってきた。09年は、カメラの画素数にフォーカスするなど、スペック重視の傾向があった。Xperia X10を皮切りに、ソニー・エリクソンはOSの種類やハード性能優先の製品開発ではなく、サービスやアプリケーションを表現力豊かな操作性で使うことをめざす開発思想に軸足を移している。「短期間に実現できたものではなく、3年以上かけて準備してきたもの」(坂口氏)がようやく実を結んだ格好だ。
 ソニー・エリクソンとしても、実現したいものを明確に描けてきたようだ。例えばグーグルが自社ブランドの端末「Nexus One」でAndroidOSのバージョンを2.1に上げたが、反応は冷静だ。「バージョンアップしても機能的な違いはこれから小さくなっていく。まずは実現したいことを優先させている」(坂口氏)といい、OSのバージョンアップには対応していくものの、ソニー・エリクソンとしてのロードマップを重視する姿勢を示した。
■ソニーとのコンテンツ連携にも期待
 業界トップであるフィンランドのノキアは、新品でも30ドル程度で購入できる安価な端末を新興国で大量に販売してシェアを確保している。しかし、ソニー・エリクソンは「新興国市場に向けた製品も投入していくが、メーンにはならない」(坂口氏)と一線を画す。
 今回のソニー・エリクソンの説明会には、最後にソニーのストリンガー会長兼社長がゲストとして発言したが、その内容は「ソニーとして携帯電話事業との連携を強化していく」というものにとどまった。とはいえ、ソニーは、「プレイステーション3」向けの映像配信サービスをテレビやブルーレイ・ディスク(BD)機器向けに拡大すると今年1月の「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES) 2010」で発表したばかり。今後は携帯電話機とこれらの製品分野でのコンテンツ連携も期待できそうだ。



ウィルコム支援、週内にも決定…再生機構
 企業再生支援機構が、経営再建中の簡易型携帯電話(PHS)大手ウィルコムへの支援を週内にも決定する方向で最終調整に入ったことが16日、分かった。
 ウィルコムは支援決定を受けて会社更生法の適用を申請し、機構の下で事業を継続しながら再建を目指す。機構の支援決定は日本航空に次いで2社目となる。
 ウィルコムの株主である米系ファンドのカーライル、京セラ、KDDIの3社が保有する株式は100%減資し、新たに機構、ソフトバンクが出資する方向だ。取引先の金融機関には数百億円規模の債権放棄を求める。ウィルコムを現行PHSと次世代PHSの2社に分割し、現行PHS会社に機構が、次世代PHS会社にソフトバンクが出資する再建案が有力だ。
 ウィルコムは他の携帯電話会社への契約者流出が続いているが、機構は同社の技術力を評価し、再建可能と判断した。



米、原発新設へ政府保証 30年ぶり、2基に7200億円
 【ワシントン=御調昌邦】オバマ米大統領は16日、米国内での原子力発電所の新設再開に向け、米電力大手が建設を計画している2基の原発に約80億ドル(約7200億円)の政府保証を供与すると発表した。政府保証は1979年のスリーマイル島での事故以降、約30年間で初めて。具体的な政府支援の表明を受け、米国で原発新設の動きが本格化する可能性が出てきた。東芝や日立製作所など日本の原発メーカーの商機にもつながりそうだ。
 オバマ大統領は同日、メリーランド州で「米国内に安全でクリーンな次世代の原子力発電所を建設しなければならない」と改めて強調。今回の政府保証は「単なる始まりに過ぎない」とも述べ、今後原発建設に向けた金融支援などを加速する姿勢を表明した。



新興企業、3期ぶり増益 10年3月期見通し、経常益41%増
 新興3市場に上場する企業の2010年3月期の経常利益は前期比41%増と、3期ぶりに増加する見通しだ。コスト削減や景気刺激策の効果で小売りやサービスの改善が目立つ。特徴ある技術やサービスに強みを持ち、高いシェアを握る新興企業をけん引役に、増益率は新興企業を除く上場企業の12%を上回る。ただ、利益水準は直近のピークだった07年3月期の6割弱にとどまる。
 集計はジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレスに上場する3月期決算企業が対象。決算期を変更した企業や重複上場企業、金融業は除く。リストラ費用など特別損失が減少することもあり、最終損益は2期ぶりの黒字に転換する見通しだ。



家庭紙大手、ティッシュなど値上げ要請 原燃料コスト増
 大王製紙や日本製紙クレシア(東京・千代田)、王子ネピア(東京・中央)など大手家庭紙メーカーは、ティッシュペーパーやトイレットペーパーの出荷価格を3月下旬以降、1~2割引き上げると卸各社に表明した。パルプや重油など原燃料コストの上昇を転嫁する。ただ消費低迷によるデフレ圧力で小売り側の反発は強い。値上げ交渉は難航も予想される。
 大王製紙や日本製紙クレシアが3月21日出荷分から、王子ネピアが4月1日出荷分からの値上げを目指し、卸各社に要請を始めた。ティッシュペーパー5箱やトイレットペーパー12ロール入りで、値上げ幅は20~40円程度。卸各社と小売り側の交渉が決着すれば、値上げは1年半ぶり。家庭紙各社は昨年10月にも値上げを打ち出したが、ほとんど受け入れられず、卸価格は逆に下落した。量販店やドラッグストアでの店頭価格の引き下げ競争が卸値に逆流した格好だ。



米国債保有、日本が再び世界一に 09年末、中国を抜く
 米財務省が16日発表した2009年12月末の国際資本統計によると、日本の官民が保有する米国債残高が7688億ドル(約69兆円)となり、7554億ドルだった中国を抜いて再び世界一となった。中国は08年9月末以降、日本を抜いて世界一の保有国となっていた。中国が米国債の保有をやや減らした一方、日本の民間金融機関が購入を増やしたことが背景だ。
 中国は09年5月に8015億ドルまで保有量を増やしたが、その後はやや減らしている。中国は人民元相場を低く抑えるために外為市場で元売り介入を実施しており、外貨準備自体は増加している。外貨準備でのドルの比率を落として、他通貨や金などの保有を増やしている可能性が高い。
 一方、日本では民間の機関投資家が運用難を背景に米国債の購入を続けている。米国内の信用リスクの高い金融商品から国債に乗り換えている可能性もある。ただ、ドル安の懸念もあり、米国債への集中投資にはリスクも伴う。日本の「世界一」が今後も続くかどうかは不透明だ。



英EMI、「アビイ・ロード・スタジオ」売却へ
 英音楽大手のEMIグループが、ビートルズのアルバム名で知られ数々の名曲を生み出したロンドン市内の音楽スタジオ「アビイ・ロード・スタジオ」を売却する方向であることが16日明らかになった。英紙フィナンシャル・タイムズが、事情に詳しい関係者の話として報じた。既に入札の募集を始めたという。
 同紙によると、EMIを2007年に買収した英投資会社テラ・ファーマは米金融大手シティグループから33億ポンド(約4650億円)を借り入れており、6月までに1億2000万ポンドの資金調達が必要という。EMIなどはコメントを控えている。
 価値が高い「アビイ・ロード」のブランド名も含めて売却するかどうかは不明。売却が成立すれば数千万ポンド(数十億円)に上る可能性がある。
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携帯アプリの共通プラットフォームを目指す団体が発足--アップルの「App Store」に対抗
 バルセロナ発--世界の大手移動体通信事業者24社が、モバイルアプリケーションの需要に応えるべく、「オープンな国際アプリケーションプラットフォーム」の構築へ向けて団結しようとしている。
 スペインのバルセロナで開催中の見本市およびカンファレンス2010 Mobile World Congress (MWC)において、携帯電話事業者24社が現地時間2月15日、「Wholesale Applications Community」(WAC)の発足を発表した。WACは、モバイルアプリケーションストア開設用プラットフォームの構築を目指す取り組みで、構築されたプラットフォームは、アプリケーション開発者のための共通の入り口として機能するという。なお、WACにはVerizon Wireless、AT&T、NTTドコモ、SoftBank、Deutsche Telekom、China Mobile、Vodafone Groupなどが参加している。
 今回の取り組みには、モバイルアプリストアの分散化を抑制する狙いがある。当初は、ソフトバンクモバイルらによって設立された合弁企業のJIL(Joint Innovation Lab)が推進する携帯向けウィジェットプラットフォームの仕様や、携帯向けプラットフォームの技術を検討するOMTP(Open Mobile Terminal Platform)が進める「BONDI」の仕様を採用する。今後12カ月間で、共通基準を展開できるようにする。
 市場には現在、すでに30を超えるアプリストアが存在する。最大の人気を誇るのは、Appleが「iPhone」、「iPod touch」、および先ごろ発表となった「iPad」向けに開設している「App Store」で、14万本以上のアプリケーションを扱っている。
 それ以外の携帯電話およびモバイルOS各社は、独自のアプリストアを開設している。Nokiaのアプリストア「Ovi Store」は、同社によると1日のダウンロード件数が100万件を超えるという。そのほか、「BlackBerry」端末メーカーのResearch In Motion(RIM)も独自のアプリストアを提供している。また、モバイルOSで競合するGoogleとMicrosoftも、それぞれ「Android」と「Windows Mobile」向けにアプリストアを開設している。さらには、GetJarなどの独立系アプリストアも存在する。GetJarのアプリストアは、Sprint Nextelが米国時間2月10日、一部の同社製携帯電話において同ストアを利用可能にすると発表し、支持を拡大したばかりだ。
 しかし、こうしたアプリストアの一部が勢いを増しているとはいえ、いまだAppleのApp Storeに匹敵する成功を収めたところはない。
 WACには、移動体通信事業者24社が参加しているほか、業界団体のGSM Association(GSMA)、および携帯電話メーカー3社(LG電子、サムスン電子、Sony Ericsson)も支持を表明している。各社を合わせたサービス加入者数は、全世界で30億人を超える。
 この大規模な取り組みで問題になるのは、完成したアプリストアが、あまりに多くの通信事業者や端末にまたがって機能することになる点だ。App Storeは、アプリケーションが基本的に限られた数の端末向けに開発されていて、なおかつ、それら端末上のソフトウェアに一貫性があり、Appleによって管理されている点が優れている。
 一方で、今回の取り組みがもたらし得るメリットの1つは、開発者が自らのアプリケーションを利益に変えやすくなることだ。開発者が自身のアプリケーションに課金できるようにするには、通信事業者の料金請求システムを通じてアプリケーションの料金も請求できることが非常に重要だ。この点でも、AppleのApp Storeは人気の高い既存のEコマースサイト「iTunes」と連動することで成功を収めている。



携帯電話、今年中には全世界で50億に
 【ジュネーブ=平本秀樹】国連機関の一つである国際電気通信連合(ITU)は15日、全世界の携帯電話の契約件数が2009年末で約46億件にのぼり、10年中には50億件に達するとの予測を発表した。
 ITUのハマドゥーン・トゥーレ事務総局長は、声明で、「より多くの人が携帯電話でインターネットを利用するようになり、今年も普及が続く」と指摘した。
 ITUは、携帯電話を利用したブロードバンドサービスについても、09年末で全世界6億件に達した契約件数が、10年中に10億件を突破するとの見通しも示した。



グーグル、リアルタイム検索を提供--Twitter投稿が検索画面で自動スクロール
 グーグルは2月16日、都内で記者説明会を開催し、新たな検索サービス「リアルタイム検索」を発表した。リアルタイム検索は「いま何が起きているか」を検索可能にする。
 ウェブ検索結果にニュースやインターネットユーザーのマイクロブログの発信情報を表示する。リアルタイム検索の部分は自動でスクロールし、常に最新情報を確認できるようになっている。検索対象となるマイクロブログはTwitterとGoogle Buzz。いずれはFacebookのコンテンツも追加される予定だ。



Twitterは1月から収益に寄与、年内1000万ユーザー目指す--デジタルガレージ2Q決算
 デジタルガレージの2010年6月期第2四半期(7~12月)決算は、本業のもうけを示す営業損益が4億4300万円の赤字(前年同期は6億9100万円の黒字)となった。
 代表取締役の林郁氏が、注目を集めているTwitter事業について、「2010年1月から売り上げが立ち始めた」とコメント。さらに「年内に(国内)ユーザー数を1000万人にまで増やす」との目標を掲げた。
 1月以降はTwitter関連の売り上げが立ってきたという。林氏は「2月のインプレッションはモバイルなどを含めて月間9億~10億(ページビュー)とみている。グループのCGMマーケティングが取り扱う広告について言えば、4~6月は在庫がすべて出る(売れる)という手ごたえだ。企業向けのマーケティング支援ツールの売り上げも効いてくる」などと話し、中長期の収益成長に自信を見せていた。
 「年内ユーザー数1000万人」の根拠となる現在のユーザー数については明言しなかったが、「世間で言われているのは500万人ほど」(林氏)としており、この数字から大きく外れていないことを示唆した。



日テレでTwitter活用の視聴者参加型番組、民放キー局では日本初
 日本テレビで「Twitter」を活用したバラエティー番組「クチコミ戦隊つぶやくんジャー」が放送される。デジタルガレージや電通などが出資するCGMマーケティングが日本テレビと共同で企画した。お笑いコンビのバナナマンがMCを担当し、Twitterを通じて寄せられた視聴者の疑問や依頼を解決するという。
 番組ではTwitterアカウント「@tsubuyakuNTV」を開設し、制作会議の様子の中継などもリアルタイムに伝える。番組専用のハッシュタグ「#tsuburen」を設定しているほか、Twitter公式ナビゲーションサイト「ツイナビ」に特設ページも設置した。
 番組は2月19日、3月5日、12日、19日の深夜に生放送される。CGMマーケティングによれば、日本の民放キー局が、Twitterを全面的に活用した番組を制作するのは今回が初めてとしている。


テレビ番組のネット無断配信、規制条約の交渉再開へ
 【ジュネーブ=藤田剛】世界知的所有権機関(WIPO)のガリ事務局長は15日、日本経済新聞などとのインタビューで、テレビで放送した映像を他者がインターネット上で再配信する行為を規制する新条約の締結交渉を再開する方針を明らかにした。条約づくりはブラジルやインドの反対で2007年にいったん頓挫したが、両国が賛成に転じ、意見集約できると判断した。
 新条約はテレビ番組の著作権を持たない第三者が放送局の電波信号を傍受し、無断で番組をネットで流す行為を違法と位置付ける見通し。動画共有サイト「ユーチューブ」も規制対象になる可能性がある。一方、番組の著作権を持つ放送局が自ら運営する動画配信サイトは対象外となる方向だ。
 日本ではテレビ番組のネットでの無断配信には一定の国内規制が存在するが、発展途上国などでは全く国内規制がないところもある。WIPOは新条約で規制の網を世界に広げ、テレビ番組などの著作権保護を強化することを狙う。



米でトヨタ訴訟急増、賠償要求も活発化
 【ロサンゼルス=飯田達人】トヨタ自動車の大規模リコール(回収・無償修理)問題を受け、米国でトヨタを相手取った訴訟が急増し、14日現在で60件近くに上っている。
 事故による死者の遺族だけでなく、リコール対象車を買った人が「車の価値が下がった」と賠償を求める動きも活発化。
 訴訟大国・米国では巨額の賠償命令が下されることも珍しくなく、トヨタにとって脅威になる恐れもある。
 スタンフォード大法科大学院のロバート・ラビン教授は「トヨタが問題を把握しながら先送りしたり、隠蔽(いんぺい)したりしていたことが判明したら、懲罰的賠償金も科され大きな打撃になる」と指摘する。今月下旬の米下院公聴会は、電子制御システムの問題を追及する方針で、裁判に影響を与える可能性もある。TMS広報担当者は「訴訟に関することはコメントできない」としている。



昭和シェルが川崎の工場閉鎖 精製能力23%削減
 昭和シェル石油は16日、石油精製子会社の東亜石油の京浜製油所扇町工場(川崎市)を閉鎖すると発表した。国内の精製能力の約23%を削減することになる。石油需要の減少に歯止めがかからない中、余剰精製能力の削減でコストダウンを進める。
 扇町工場の原油処理能力は日量12万バレル。平成23年9月に実施予定の定期修理までに原油処理を停止し、その後施設を閉鎖する。



毎日社説:職場の喫煙対策 全面禁煙の道筋示せ
 職場での受動喫煙防止を議論してきた厚生労働省の有識者検討会が15日、従業員の健康を守る観点から企業や飲食店などの経営者がとるべき対応策の骨子をまとめた。
 事務所や工場などは禁煙とし、やむを得ない場合は喫煙室を設置する▽禁煙化が経営上の問題となる飲食店や旅館などは換気の徹底などの対策をとる--といった内容だ。4月に最終的にとりまとめる報告書を基に、労働安全衛生法改正を前提にした審議会の議論が進む。
 健康増進法による「努力義務」にすぎなかった職場の対策が、労働基準監督署の検査や指導なども可能な法規制に組み込まれるのは一つの前進と言える。受動喫煙を防ぐ効果がそがれかねない「分煙」ではなく、「禁煙」を基本線としている点も評価できるだろう。
 07年の厚労省による労働者健康状況調査では、対策に取り組んでいる事業所は75%に達するものの、非喫煙者の4割近くは受動喫煙で不快や不調を感じている。新たな法規制で、あらゆる事業所が対策をとらねばならず、対応策もより厳格なものにしなくてはならなくなる。
 問題は飲食店や旅館などサービス業の扱いだ。接客する従業員の受動喫煙を防ぐには客席や客室を全面禁煙にする必要がある。だが、営業上の障害になったり設備投資の負担が増えたりするため、換気の徹底などに対策を緩める方向のようだ。
 4月施行の神奈川県の受動喫煙防止条例も、業界の反対で飲食店の7割以上、宿泊施設の約半数などを対象からはずし、規制対象でも分煙も容認したが、同様の緩和措置がとられることになりそうだ。
 海外では、多くの国が公共の場での喫煙を厳しく規制している。
 07年施行の英国・イングランドの禁煙法はパブやバーなども完全禁煙とし違反者への罰金を設けた。喫煙率が高かったイタリアでも、05年の禁煙法で喫煙を見逃した店主らにも罰金を科した。
 米国では90年代から禁煙化が進み、全米50州のうち37州で飲食店が禁煙だ。タイでもエアコン設置の建物内が禁煙になり、日本のように喫煙できるホテルの客室は極めて少ない。
 当面は飲食店など小規模経営への配慮も必要だろうし、欧米のような罰則導入は性急だとの意見もある。しかし、飲食店も含めた段階的な全面禁煙へのスケジュールくらいは示してもらいたい。
 05年発効の「たばこ規制枠組み条約」は、屋内の職場と屋内の公共的施設の全面禁煙を日本を含む批准国に求めている。海外の動きを見ても、日本の対応は遅いうえ、このままでは内容も腰が引けている。
有機ELテレビ、3月で日本撤退 ソニー「需要が一巡」
 ソニーは、2007年12月に世界で初めて市場投入し、国内で1社だけ販売している「有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビ」の国内出荷を、3月いっぱいで終える。すでに生産は終了しており、ネットでの販売もとりやめた。ソニーの撤退で、日本市場から有機ELテレビが消えることになる。
 ソニーは撤退する直接の理由を「昨年4月施行の有害サイト規制法に基づき、有害サイトの閲覧制限機能のないデジタル家電は今年4月以降出荷できなくなる。有機ELテレビには、その機能を付けていない」と説明している。閲覧制限機能を取り付けることも可能だが、「有機ELテレビは発売から2年がたち、需要は一巡した」(広報担当者)と判断。今後は手持ちの在庫分だけの販売となる。
 ソニーは有機ELテレビを次世代の薄型テレビの「本命」と位置づけ、07年12月に他社に先駆けて11型を発売。最薄部が約3ミリという画面の薄さと映像の美しさが話題となった。だが、11型で約20万円という価格は、同社の最新機種の40型液晶テレビが買えるほど割高。米調査会社によると、世界累計販売台数は1万台以下という。事業の採算が合わなかったことも、国内撤退を後押ししたもようだ。
 ただ、有機ELテレビは「他社がまねできない、ソニーらしさの象徴」(ソニー幹部)。北米や欧州、中南米など海外市場では販売を続け、研究開発も進める。



ソフトバンクがボーダフォンらと設立したJIL、ウィジェットAPI仕様をW3Cに提供
 ソフトバンク、China Mobile、Verizon Wireless、Vodafone Groupが設立した合弁会社、ジョイント・イノベーション・ラボ(JIL)は2月15日、策定したウィジェットAPIの仕様をほかの移動体通信事業者に公開するとともに、World Wide Web Consortium(W3C)に提供すると発表した。
 多くの移動体通信事業者や携帯電話機メーカーにJILの仕様を採用してもらい、対応ウィジェットを増やすのが狙い。JILはW3Cのウィジェット仕様をサポートしている。
 JILの仕様はこれまでLGエレクトロニクス、Research In Motion(RIM)、サムスン電子、シャープが採用を表明していたが、同日、新たにHTC、Huawei Device、レノボ、ZTEの4社も、JILが提供するウィジェットに対応した携帯電話機を開発することが明らかになっている。



世界の携帯大手、「高機能」に軸足 欧州で大型見本市
 【バルセロナ=白石武志】世界最大の携帯電話見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」がスペイン・バルセロナで15日に開幕した。韓国サムスン電子や英ソニー・エリクソンなど端末大手はインターネットの操作性を高めた高機能携帯電話(スマートフォン)の新機種を発表。市場全体が伸び悩むなか、高成長の高機能分野が主戦場となり、日本勢も対応を迫られそうだ。
 2009年の出荷台数が前年比15.6%増と好調を続ける世界シェア2位(約20%)のサムスン電子は、10年を「スマートフォン時代の幕開け」と位置付ける。MWCの開幕に先立って開いた記者会見では、3.3インチのタッチパネル画面を備えサムスン独自のソフト配信サービスに対応する最上位機種「ウエーブ」を発表した。年内に世界各国で順次発売する。
 サムスン電子は普及価格帯の機種が強みだが、スマートフォン分野ではシェア5位と出遅れている。そこで今年はウエーブなど新製品の投入によってスマートフォンの出荷台数を前年比3倍の1800万台に増やす計画だ。



イー・モバイル、ノートPCとセット購入で月額基本料割引
 イー・モバイルは15日、2年の継続利用を前提にノートパソコンなどとのセット購入金額を最大6万9600円割り引く新料金プランを追加すると発表した。従来も同様の料金プランを提供していたが、対象は2段階の定額制メニューに限られていた。月額固定のメニューを加えて春商戦の目玉の一つにする考え。
 19日に追加する新料金プランは「データプラン(にねんMAX)」と「データプラン21(にねんMAX)」の2つ。2年の利用を前提に6万9600円の長期契約割引を受けられ、月額基本料は前者が6480円、後者が7480円の固定となる。5月31日までに両料金プランに契約した顧客を対象に、月額基本料を最大25カ月間、毎月500円を割り引く販促策も始める。



道路・発電所の整備から運営まで、ベトナムで一括受注 Jパワーなど
 日本の企業と政府が一体となってアジアなど新興国でインフラ整備や運営、維持事業に乗り出す。第1弾としてJパワーや中日本高速道路などがベトナムで上水道や高速道路、発電所の受注を目指しており、3月にも正式に決まる見通し。政府は政府開発援助(ODA)や貿易保険などで中長期に後押しする。新興国のインフラ整備需要は今後も拡大が見込まれ、先進国の企業と政府が連携した国際受注競争は激しさを増している。
 ベトナムでの事業は(1)日本ガイシと富士電機ホールディングス系の水処理大手、メタウォーター(東京・港)がハノイ全域の上水道システムを整備する(2)中日本高速道路がハノイとホーチミンで高速道路に高度道路交通システム(ITS)を導入する(3)Jパワーがホーチミン郊外でもみ殻発電を展開する――の3つを計画している。いずれもベトナム政府が発注元になる。



セブン銀が最高益更新 4~12月、ネット専業4行が最終黒字
 2000年以降に開業した新規参入銀行7行の09年4~12月期決算が15日、出そろった。ATM事業が柱のセブン銀行は手数料収入が増え、4~12月期の最高益を更新した。インターネット専業5行のうち、じぶん銀行以外の4行は最終黒字を確保。有価証券関連の損失が減り、収益基盤は回復しつつある。
 セブン銀の4~12月期の最終利益は前年同期比6%増の144億円。10~12月期のATM利用が堅調だったため、09年9月中間期の発表時点で最終減益としていた10年3月期通期の業績予想を2%増益に上方修正した。
 ネット専業銀行では、住信SBIネット銀行の最終損益が17億円の黒字。預金残高は昨年12月末時点で9125億円と1年間で65%伸び、急速に規模を拡大している。



自販機最大手の富士電機系、生産能力4割縮小 飲料向け
 富士電機ホールディングス(HD)傘下の事業会社、富士電機リテイルシステムズ(FRS、東京・千代田)は飲料向け自動販売機の生産能力を約4割削減する。同社は自販機の国内シェアが約4割の最大手。少子化で、自販機の需要が減少すると判断。生産効率を高めた新ラインの導入を機に規模を縮小し、工場の人員も少なくして生き残りを目指す。
 今秋をメドに、自販機を生産する三重工場(三重県四日市市)内に新棟を建設する。投資額は約40億円。現在は年間で最大16万台の生産能力があるが、新棟の生産ラインは10万台程度まで削減する。稼働中の一部の設備は新棟へ移管する。



「25%削減」行程表、策定作業が難航
 温室効果ガスの25%削減(2020年までに1990年比)実現に向けた具体策を盛り込む政府のロードマップ(行程表)策定作業が難航している。
 当初、15日の関係省庁の副大臣による会合終了後、行程表の原案が公表される見通しだったが、意見対立を理由に先送りされた。会合の事務局長を務める小沢環境相は、週内に関係閣僚会合を開き、調整をはかりたい考え。
 政府は3月上旬に地球温暖化対策基本法(仮称)を今国会に提出し、ガス削減の具体策を盛り込んだ行程表を3月中にとりまとめる予定。外務、経済産業、環境など関係省庁の副大臣からなる会合などで、今月初旬から議論を開始していた。
 これまでの政府内の議論では、行程表に「25%削減のうち、どのくらいを国内削減で達成するかを国民に明らかにすべきだ」という意見と、「国内削減分を明らかにすることは国際交渉で手の内をさらすことになりかねない」という意見とが対立。環境省が関係省庁に示した行程表の原案にも、「対策の効果や実現可能性があいまい」との反発が出ている。
 また、企業間で温室効果ガスの排出枠を売買する国内排出量取引制度を、法案にどう位置づけるかで意見の対立も生じているという。



先進国失業率、09年は最悪の8.3% OECD調べ
 先進国で雇用情勢の悪化が進んでいる。経済協力開発機構(OECD)が加盟30カ国を対象にまとめた2009年の平均失業率は1988年の統計公表開始以来、過去最悪の8.3%に達した。前年に比べると2.2ポイント上昇。スペインなど欧州諸国の悪化が深刻で、4カ国で10%を超えた。米国は3.5ポイント高い9.3%に急上昇。欧米を中心に上昇傾向は昨年後半から今年にかけて続き、各国が力を入れる雇用対策の効果が問われる。
 加盟国の失業率の上昇は2年連続。最大の上昇幅を示したスペインは加盟国の中で最悪の18.1%だった。このほか10%を超えたのはハンガリー、アイルランド、スロバキア。一方、輸出が持ち直してきたドイツは0.2ポイント上昇の7.5%で、日本は前年を1.1ポイント上回る5.1%だった。
 OECDは昨年11月時点で、加盟国全体の10年の失業率を9%まで悪化すると予測した。アイスランドと韓国を除いて、各国の雇用情勢は軒並み冷え込むとみている。11年は8.8%とやや下がる見通しとしている。



日経社説 民主党政権は野党との税・年金協議を(2/16)
 消費税率の引き上げや法人税のあり方を含めた税制改革について、菅直人副総理・財務相が3月から政府税制調査会で検討を始める考えを示した。政府内の無駄減らしを終えないと議論に入らないとの持論を半歩、転換させたものと評価したい。
 もっとも、税制改革は年金制度の立て直しをはじめとする社会保障の財源確保、先進国で最悪の中央・地方政府の財政再建、経済成長の促進など国の基本政策と密接にからむ。二大政党の時代の幕を開けた民主党政権だからこそ、自民党を交えた超党派協議の場を設けるべきである。
 財務相は14日、フジテレビの番組で「所得税、法人税や消費税、環境税など本格的な税制の議論を3月に始める」と述べた。15日は「大きな税制改革をするときは国民に信を問う必要がある」と国会で答弁し、衆院解散・総選挙でその是非を問う考えを示した。
 自民党は昨年夏の衆院選で、社会保障財源としての消費税増税の必要性に言及していた。
 選挙で政策を競うのは当然だが、年金改革など基本政策が政権交代のたびに転換すると、困るのは年金の受給者や加入者だ。また、これら長期の政策課題について国民に負担を求める改革を先送りさせないためにも、超党派での合意が重要になる。
 菅氏が税制論議を始める考えに変わったきっかけは、効率的な増収策を早めに考えないと、2011年度の予算編成が行き詰まる心配が出てきたためとみられる。
 子ども手当、高校無償化など10年度予算案に盛り込んだ家計支援の財源は、民主党が当初もくろんだ無駄減らしで十分に出せなかった。
 官僚の天下り解消や国会改革は推し進めるべきだ。多くの有権者もそれをなし遂げるのを期待して政権を託した。しかし、その改革でひねり出したお金だけで社会保障などの財源をまかなうのは無理がある。
 大赤字の政府に対し、企業と家計はお金をため込み設備投資や消費を増やすのをためらっている。企業負担や年金の将来不安をやわらげ、これらのお金を投資や消費に向かわせる成長戦略との合わせ技の税制改革こそが必要だ。
 だが税調の専門家委員会は成長を促す税制に不熱心な学者が目立つ。それも、自民党を巻き込んだ、より広い協議の舞台がいる理由だ。
 とりわけ、政策通として政権を担う枝野幸男行政刷新相、古川元久内閣府副大臣、大串博志財務省政務官らは税制・年金の超党派協議の大切さがよくわかっているはずである。
ソニーエリクソン、新型スマートフォン発表 「iPhone」に雪辱戦
 ソニー・エリクソンは14日、スペインのバルセロナで、高機能携帯電話(スマートフォン)「Xperia(エクスペリア)X10ミニ」を開発したと発表した。基本ソフト(OS)には、米検索大手グーグルの「アンドロイド」を搭載。ライバルの米アップル「iPhone(アイフォーン)」よりも35%程度軽量化しタッチパネルを使って片手で操作しやすくした。
 15日からバルセロナで開催される世界最大級の携帯電話の見本市「モバイルワールドコングレス」に先立ち発表された。
 今年4月以降に世界で発売する計画。日本での販売については未定としている。本体のサイズは83ミリ×50ミリ×16ミリ、重さ88グラム。約2.6インチを液晶を搭載している。アンドロイド対応により、グーグルが提供している電子メールサービスなどを利用できる。
 ソニー・エリクソンの坂口立考(りっこう)エグゼクティブバイスプレジデントは同日の会見で、「これまでのスマートフォンにはなかった操作感で、利用を促したい」と述べた。
 これらの端末の根底に流れるのが、「UXP」と呼ばれるソニー・エリクソンの開発思想。統合されたサービスや、TimescapeやMediascapeなどのシグネチャーアプリ、リッチなユーザーインターフェイス(UI)などが特徴で、「OSやミドルウェアなどはあくまで部品の1つでしかない」(坂口氏)という考え方だ。坂口氏は「ソニー・エリクソンでは、OSの種類ではなく、UXPが重要だと認識している」(坂口氏)と語った。また、デザインには「ヒューマンセントリック(人間を中心とする発想)」が取り入れられ、滑らかな曲線が手になじむ。その上で、ソニー・エリクソンは「全てのコミュニケーションを1つの画面に集約できる」(坂口氏)ことを目指しているという。Android端末を投入する他社との違いもここに集約される。



09年GDP、世界2位を維持 中国との差はわずか16兆円
 2009年は、かろうじて世界2位の経済大国を維持。内閣府は15日、09年の国内総生産(GDP)速報値の発表を受け、日中のGDP比較を試算した。それによると、09年の平均為替レートでドル換算した名目GDPは、日本が5兆849億ドル(474兆9240億円)に対し、中国は4兆9090億ドル(33兆5353億元)で、日本が1759億ドル差で上回った。
 平均為替レートは1ドル=93・53ドル。日中の差は、日本円で約16・5兆円まで肉薄された。2010年は中国が日本を抜くことが確実視されている。
 09年は、中国が10~12月期に前年同期比10・7%増の2けたのプラス成長を記録するなど、世界同時不況からいち早く立ち直る一方、日本は、二番底の懸念がくすぶるなど、回復に手間取り、差が縮まった。
 10年の高成長が続く中国の逆転は確実。国際通貨基金(IMF)は、名目成長率について、日本が0・9%、中国は10・3%と予測。経済協力開発機構(OECD)も、0・1%対10・0%と予測している。
 日本は、1968年にドイツを抜いて以来、守ってきた米国に次ぐ世界2位から3位に転落する見通しだ。



デフレがむしばむ日本経済 GDP回復も「名」「実」逆転続く
 内閣府が15日発表した2009年10―12月期の国内総生産(GDP)統計は、日本経済をむしばむデフレ圧力が再び勢いづいていることを浮き彫りにした。物価全体の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比マイナス3.0%で、一期前の7―9月期(マイナス0.6%)から下落率を5倍に拡大。物価下落のすそ野も国内需要から、海外との貿易取引を通じた需要全体に広がった。
 マイナス3.0%というGDPデフレーターの下落幅は過去最大だ。09年7―9月期までは、08年央の原油高の反動安が統計的にはGDPデフレーターを押し上げる方向に働いていたが、10―12月期以降は反動安の効果が薄らぎ、つっかい棒を失ったGDPデフレーターは一気に下落幅を拡大した。
 昨年10―12月期の日本のGDP増加率は名目値が0.2%増と3四半期ぶりのプラスに戻った。だが「(名目成長が実質を下回る)名実逆転を解消しない限り、中長期の安定成長は望めない」(みずほ総合研究所の中島厚志チーフエコノミスト)。言い換えれば、デフレ脱却なくして成長の土台は築けない。



菅経財相、二番底懸念「少し薄らいだ」 GDP
 経済財政相を兼務する菅直人副総理・財務相は15日、2009年10~12月期の国内総生産(GDP)統計の発表を受けて「景気の二番底懸念は少し薄らいできたかなと思う」と述べた。ただ「雇用情勢や外国の下振れ懸念も含め、楽観できるところまではいっていない」と指摘。「警戒を緩めず、来年度予算案をできるだけ早く成立させてもらい、切れ目ない財政出動で対応していきたい」と語った。
 国会内で記者団に語った。菅氏は「雲の間から多少明るさが見えてきたけれども、まだ油断はできないという感じだ」と強調。09年暦年の実質成長率が戦後最悪のマイナスになったことについて「厳しい時期は09年でひとつの区切りをつけたい」と語った。
 中国の名目GDPが近く日本を上回り、世界2位に浮上するとの見方にも触れ「来年以降は変わるかもしれない」と述べた。そのうえで「今年は日本がもう一度元気を取り戻すことができるという再スタートの元年にしたい」と強調した。



講談社・小学館など、女性誌のサイズ統一 印刷コスト圧縮
 講談社や小学館など大手出版社が女性誌のサイズを統一する。現在は編集部のこだわりなどから寸法が1~2ミリずつ異なっている。雑誌全体の販売金額が2009年にピーク時の7割弱の水準まで落ち込むなか、女性誌の売れ行きも低迷。サイズ統一で紙の調達や印刷、輸送といった各段階でコストを圧縮する。
 サイズ統一の対象は講談社が「ViVi」など5誌、光文社が「JJ」など7誌、小学館が「CanCam」など9誌、主婦の友社が「Ray」など9誌。大手出版社が雑誌の寸法を共通化するのは初めて。



Verizon Wireless、「Skype」を複数の携帯電話に搭載か--Bloomberg報道
 Bloombergは米国時間2月13日、Verizon Wirelessが複数の携帯電話にSkypeのインターネット電話ソフトウェアを搭載する予定であると、この件に詳しい人物の話として報じた。同報道によると、ユーザーはVerizonの3GデータネットワークでSkypeの通話サービスを利用できるようになる予定だという。Verizonは12日、スペインのバルセロナで開催中の2010 Mobile World Congressで16日にSkypeと共同で記者会見を行うことを発表している。Verizonは記者会見の詳細を明らかにしていない。



<バンクーバー五輪>開会式視聴率最高31.1% 上村愛子モーグル決勝は最高24.1%
 第21回冬季五輪バンクーバー大会の開会式が12日(日本時間13日)行われ、平均視聴率が25.4%、最高が31.1%だったことが、ビデオリサーチの調べ(関東地区)で分かった。第2日の13日(日本時間14日)、4度目の五輪に臨んだ上村愛子(北野建設)が出場し、4位に終わったフリースタイルスキー女子モーグル決勝は平均17.3%、最高24.1%だった。



日経社説 対岸の火事でない南欧諸国の財政危機(2/15)
 日本の「ギリシャ化」を防げるだろうか。
 欧州連合(EU)は財政危機のギリシャを支援する方針を決めた。しかし同国のほかスペイン、ポルトガルなど南欧諸国の財政問題に解決のめどはついていない。「国が対外的に支払い不能となる恐れ」(ソブリンリスク)が世界の投資家に強く意識され、金融・資本市場に波紋を広げている。
不安抱える日本国債
 日本はこれらの諸国と違い国債消化を外国に頼っていないこともあり国債市場は落ち着いている。とはいえ財政の実態は南欧諸国よりも悪い。多額の国債発行の継続や貯蓄率の低下などから、国債市場をめぐる環境は悪化していくのが必至である。ユーロ圏の財政危機は決して対岸の火事ではない。
 内閣府は国と地方の財政が著しく悪化している事実を示す推計をまとめた。借金に頼らずに、過去の借金の元利払い以外の支出をまかなえるかどうかを示す基礎的財政収支が2009年度は40兆6000億円の赤字と、赤字幅が前年の2.5倍に膨らみ過去最悪になる。
 この基礎的収支が黒字になって名目経済成長率が国債金利より高い状態が続けば財政は健全化に向かう。小泉内閣は11年度の黒字化を目指していたが、今や、その実現ははるかかなたに遠のいた。
 国と地方の公的債務残高の国内総生産(GDP)に対する比率(経済協力開発機構の推計)は昨年末に189%となったもよう。これはギリシャ(115%)、スペイン(59%)を大きく上回る。
 こうした情勢から、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズは1月下旬、日本国債の格付け見通しを「安定的」から「引き下げ方向」に変更した。
 日本国債の93%は国内で保有されている。このため外国の投資家が資金を引き揚げたギリシャのような混乱は起きないという見方が多い。しかしデリバティブ(金融派生商品)の普及で、国債の現物を持たない外国人投資家が国債の先物売りを仕掛ける例も出ている。
 少し長い目でみると、国債を国内で消化しきれなくなる懸念も強い。個人金融資産は個人の負債を除くと約1065兆円。この金額は、貯蓄を取り崩す高齢者の増加であまり増えない。一方、国と地方の長期債務残高は今年度末に825兆円となり今後も増える。個人金融資産をすべてつぎ込んでも国債、地方債を消化できない日がやがて来る。
 財務省は外国人投資家への国債の販売を増やす方針。だが、外国の投資家は必ずしも安定的な保有者ではないうえ、外国に頼ると日本の国債利回り(10年物で年率1.3%台)が米国債(同3%台後半)などに影響されて上昇する恐れもある。
 もし国債消化に支障を来せば、政府は日本銀行に市場を通じた国債の買い取り(今は月1兆8000億円)を増やして金利上昇を抑えるよう望むだろう。だが日銀がそれに応じても結果がどう出るかは読めない。「財政規律が緩むという見方が広がって国債金利はさらに上がる」と予想するエコノミストもいる。
 国債金利の上昇は住宅ローン金利を含む長期金利全体を押し上げて経済に打撃を与える。そうした事態を避けるには、財政を健全にする政策を示して債券市場に安心感を与えることが肝心だ。税収拡大につながる名目経済成長率の引き上げ、歳出削減そして増税が柱になる。
成長戦略と再建策早く
 名目成長率を高めるため、短期的には財政による需要創出が必要としても、中長期的には民間の潜在力を生かして、産業の構造を時代に合うものに変える政策が要る。
 政府は環境、健康、観光を中心とする成長戦略を検討中だ。方向は正しいが、関係者の抵抗にひるまず、大胆な具体策を示してほしい。医療、農業、電力、運輸などの分野での規制改革は重要だ。建設業のように供給過剰が続く産業で働く人を成長分野にどう移すかの政策も問われる。財政再建と一見、矛盾するが、企業の投資意欲を引き出すには法人税軽減も進めたい。
 歳出の削減について、枝野幸男行政刷新相は(1)事業仕分けを通じて政策目的に沿わないような支出を減らす(2)その上で優先順位の低い政策を見直す――という順序で進める考えだ。この方針に沿って大幅な削減を早く実施してほしい。
 歳出削減と並行して増税も検討すべきだ。消費税のほか、相続税も見直してよいのではないか。高齢者の年金・医療に多額の財政資金をかけるのに、高齢者が残した資産を相続する人の4%強しか課税の対象にならないのは公平さを欠く。
 政府は夏に財政健全化の枠組みを決める。成長戦略の具体策とともに信頼性の高い政策を求めたい。
ケータイ春商戦で「学割」しかけるKDDIの弱点(COLUMN)
 携帯電話業界は年間で最も新規契約数を稼げる春商戦に突入する。最近、料金面で攻めの姿勢を見せるのがKDDIだ。昨年から続く「ガンガン」シリーズに「学割」をキャンペーンとして追加するなど、今期は学生を狙った戦略を前面に押し出している。
 ここ数年「元気がない」と言われ続けているKDDI。こうした指摘に対して昨年は、3件までの通話が24時間無料になる「ガンガントーク(指定通話定額)」や、メール通信料が無料になる「ガンガンメール」を投入してきた。
 KDDIの湯浅英雄・執行役員コンシューマ営業統括本部長は「ガンガントークは最初の1カ月で100万件を超える契約があった。減収に働くが、一方で他社からのモバイルナンバーポータビリティー(MNP)による加入率が高くなったなどプラス効果も多い。新規契約者の75%がガンガントーク、ガンガンメール、またはパケット定額制が390円から始まる『ダブル定額スーパーライト』のいずれかを契約している」と語る。立て続けに導入した料金戦略はおおむね成功しているようだ。
■元祖「ガク割」をキャンペーンで復活
 そんなKDDIが今春、学生をターゲットに据えたキャンペーンとして展開するのが「ガンガン学割」だ。期間中に申し込むと3年間、基本料金が390円になる。さらにインターネットサービス「EZ WINコース」を申し込むと、メール通信料も無料だ。
 「春商戦は1年の中でも携帯電話が最も売れる時期。高校生、大学生の新規契約は、1年間のうち約3割がこの3月に集中する。かつては夏や年末も盛り上がっていたが(販売方式の変更があって)商戦期とはいえなくなった」(湯浅氏)
 ここ数年、学生向けキャンペーンではソフトバンクモバイルが先行してきたイメージが強い。しかし振り返ってみれば、2000年に学生専用プランとして「ガク割」を始めたのはKDDIだった。
 「初めてガク割を作ったのはKDDI。しかし、学生向けのイメージはもう他社に移ってしまった。CDMA 1x専用のプランだったという背景や、その後『誰でも割』などが登場したという事情で役割を終えたが、改めて考えてみると、(イメージ継続のために)続けておけばよかったかもしれない」(湯浅氏)
 学生向けに基本料金を大幅に値下げすると、減収に直結しかねない。KDDIが00年にガク割を導入した当時は、社内外のデザイナーとのプロジェクト「au design project」が始まってはおらず、パケット定額制や音楽配信サービスも導入していなかった。「iモード」で契約者数を増やすNTTドコモなどと比べると端末の機種数やサービス面で見劣りがしており、当時は減収覚悟の苦し紛れで、「ガク割」を導入したはずだ。
 湯浅氏は「減収が大きく、賛否両論があった。しかし使ってもらってすそ野を広げられた」というが、「ガク割」はKDDIにとってあまりいい思い出があるとはいえない。
 こうした背景から、ガンガン学割は通常の料金プランではなく、期間限定のキャンペーンで実施する。また、学生だけでなく家族も同時に加入すれば基本料金を月額390円にして、家族連れでの新規契約を狙おうとしている。
■他社の追随は「想定済み」
 KDDIが学生向けの料金キャンペーンを発表した6日後に、NTTドコモは「タイプシンプル学割」を発表、15日後にはソフトバンクモバイルが「ホワイト学割with家族2010」を投入して追随してきた。
 「他社が追ってくるのは想定済みだ。NTTドコモはあらかじめ用意していたからこそ、すぐに発表できたと思う。ただ、以前導入した『メール無料』の時もそうだったが、あまり熱心に展開してこないのではないか。ソフトバンクモバイルはここ数年そうだったように、やってくると思っていた。iPhone向けのキャンペーンが1月31日までだったので、発表するのはその後だとにらんでいたら、その通りになった」(湯浅氏)
 KDDIはNTTドコモには、指定した3人まで音声通話が無料になるガンガントークで対抗する。基本料金を無料とするソフトバンクモバイルには、ガンガントークの時間制限なしで24時間無料というメリットで勝負していく。
■子供向けや低価格機種を用意
 一方、学生と家族を狙ううえで料金に以外に重要になるのが端末だ。KDDIでは「mamorino(マモリーノ)」という小学生低学年向けの製品を用意している。
 「mamorinoは子どもの安心・安全に特化している。昨今、いくつかの都道府県が子どものケータイ利用を制限する条例などを検討しているが、ネットに接続できないといった点で条件をクリアできる。GPS(全地球測位システム)を搭載しメールの送受信相手を限定する機能を備えるので、家族でKDDIを持ってもらえるようになる」(湯浅氏)
 このほかには、安価ながらワンセグ機能や非接触ICチップ「フェリカ」を搭載して防水機能も備える「SH005」を7色展開。冬商戦向けに発売した8メガピクセルのカメラ機能を持つ「EXILIMケータイ CA004」や「SH004」といったモデルも値が下がっており、学生でも手が届きやすくなっている。
■Android端末は春商戦に間に合わず
 しかし、今のKDDIの端末構成は、スマートフォンがないに等しいのが大きな弱点となっている。ソフトバンクモバイルがアップルの「iPhone」、NTTドコモが4月発売の「Xperia」(ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製)といった主力を持つなか、小野寺正社長兼会長が「出遅れているのは事実」と認めざるを得ない状況だ。KDDIがグーグルの携帯向けOS「Android(アンドロイド)」を搭載した携帯電話を投入できるのは4月以降と見られており、春商戦には間に合いそうにない。
 もっとも、日本のスマートフォン市場はiPhoneだけが突出して売れていて、他の機種は決して順調ではない。NTTドコモのAndroid端末「HT-03A」が相当数の在庫となったことを考えると、今のKDDIにスマートフォンがなくても、すぐに悪影響が及ぶものではない。
 中途半端なスマートフォンを投入したところで売れずに“討ち死に”するのは目に見えている。学生の新規加入が多い春商戦は、安価なデジカメケータイを用意すればそれなりの数は稼げるというKDDIの判断は間違っていないだろう。
 しかし、かつてKDDIにいいイメージを抱いていたユーザーほど、スマートフォンのないKDDIに対する評価は厳しい。売れるか売れないかは別にして「他社にはない、KDDIらしいスマートフォン」の登場を待ちわびているユーザーに対し、将来に向けた「ケータイの新しい世界」を語っていく必要はあるだろう。
■データ通信端末でも出遅れ
 KDDIはデータ通信の分野でも、他社からの遅れが目立っている。イー・モバイルやNTTドコモがネットブックとの組み合わせにより通信端末を売って契約者数を稼いでいるのに対し、KDDIにはそもそもUSBデータ通信端末が存在しない。
 KDDIが出資するUQコミュニケーションズも、日本初の「モバイルWiMAX」方式で高速通信を売りとするはずが、開始初期の「エリアが狭い」というイメージを引きずってしまっている。しかもモバイルWiMAXとKDDIの「CDMA2000 1X EV-DO」方式の両方を使えるデータ通信端末を09年9月に発表したが、いまだに発売できていない。
 料金面では「安い」というイメージを復活させつつあるKDDIだが、端末やデータ通信で攻めの姿勢を打ち出すには、もうしばらく時間がかかるのかもしれない。



三菱重工、米で風力装置 新工場海外シフト、貿易摩擦を回避
 風力発電機で国内最大手の三菱重工業は2011年初め、米国に風力発電機で使う風車の工場を建設する。米ゼネラル・エレクトリック(GE)が三菱重工を特許侵害で提訴しており、貿易摩擦を回避する狙いもある。新エネルギー分野では三菱電機も太陽光発電システムの海外生産を検討している。同分野ではこれまで技術流出を防ぐため国内生産が主流だったが、各社はコスト競争力を高めつつ貿易摩擦を避けるため現地生産を拡大する。
 三菱重工は米アーカンソー州フォートスミスに、主力製品である出力2400キロワット風車のうち、発電機と増速機で構成するナセル(本体部分)の工場を建設する。生産能力は日本の半分に相当する60万キロワット。ブレード(翼)はメキシコ工場から米国に輸出する。



09年世界の潜在競争力、日本は14位に後退 日本経済研究センター
 日本経済研究センターは2009年の世界50カ国・地域の潜在競争力ランキングをまとめた。日本の順位は08年の前回調査から2つ下げ14位だった。トップは5年連続で香港。金融危機の震源地である米国は金融分野での競争力を大きく落としたが、科学技術や教育が評価され、総合では前年と同じ3位を保った。
 潜在競争力は今後10年間にどれだけ1人当たり国内総生産(GDP)を増加させる素地があるかを測った指数。科学技術、IT(情報技術)など8つの側面から評価する。



小売大手、ネット急拡大 専業に対抗
 大手小売業がインターネットを利用した販売を拡大する。店舗を生かした販売手法が特徴で、イオンは店舗商品を自宅に届けるネットスーパーの実施店舗を2011年2月期に2倍に増やす。セブン&アイ・ホールディングスはネットスーパーの拡充や通販の強化で1千億円超に年商を伸ばす計画。店舗販売が縮小する一方、ネット販売は2ケタの成長が続く。国内店舗に依存した小売りの競争も様変わりしそうだ。
 ネットスーパーは通常のネット通販と違い、注文すると即日に近隣の店舗から食品などが届く仕組み。イオンは総合スーパーの「ジャスコ」などが展開するネットスーパーの実施店を11年2月期に現在の約60店から約120店に倍増する。同事業の売上高は11年2月期に今期比約2倍の約100億円になる見込みだ。新規参入も増えており、首都圏地盤の中堅スーパーのオーケー(東京・大田)は今春にもネットスーパーを始める。



ブラジル、素材各社が事業拡大 買収や能力増強
 【リオデジャネイロ=檀上誠】ブラジルの素材各社が事業拡大を加速している。国内資本3社はポルトガルのセメント大手シンポールを巡って買収合戦を展開。鉄鋼各社は2016年までに粗鋼生産能力を8割以上引き上げ、年間7700万トンとする計画を打ち出した。サッカーワールドカップ(W杯)や五輪開催計画に加え、政府が推進する住宅などのインフラ投資が素材需要を押し上げるとみている。
 世界10位前後のシンポールを巡っては、セメント事業参入を狙うブラジル鉄鋼大手のナショナル製鉄が買収の意向を表明。1月に株式公開買い付けを始めた。これに対しブラジルのセメント首位、ボトランチン・セメントが大株主からの株式取得などでシンポールの27%の議決権を確保。同4位のカマルゴ・コレアも10億ユーロ(約1220億円)を投じて22%分を取得した。事業拡大に向けた買収合戦が熱を帯びている。



中国の地方企業、債券発行額3倍 09年3兆円、景気対策で急増
 【北京=高橋哲史】中国の地方企業による起債が急増している。2009年の人民元建て債券の発行額は2223億元(約3兆円)と前年の3倍強に膨らんだ。地方政府が公共事業などを実施するために設立した企業の起債増加が背景。景気対策に名を借り、調達資金を採算の見込めない事業に投じる例も多いとみられる。将来のデフォルト(債務不履行)を警戒する中国政府は、地方政府系企業の資金調達の抑制に乗り出した。
 起債を増やしているのは中国語で「地方融資平台(資金調達のためのプラットフォーム)」と呼ばれる地方政府出資の企業。公共事業を実施する際、銀行借り入れや債券発行などを通じて民間資金を取り込む窓口になる。中央政府が地方政府に公共事業の拡大を奨励した09年に急増した。中国メディアによると、全国で前年の倍以上の8000社を超えたもようだ。
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