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LTE導入機運、世界の情勢は? NECの宮原主席技師長に聞く
 2月15日にスペイン・バルセロナで始まったモバイル業界の国際会議「Mobile World Congress 2010(MWC 2010)」の目玉の1つは、次世代携帯規格「LTE」関連の展示だ。日本でもNTTドコモが2010年内にサービスを始めるが、日本はかつて第3世代携帯電話(3G)規格の「W-CDMA」が出始めたとき、突出して導入を進めたために世界と歩調がずれたという苦い経験がある。LTEの世界での導入状況はどうなっているのか。NECの宮原景一モバイルネットワーク事業本部主席技師長に話を聞いた。
■欧州は2グループに分かれる
――W-CDMAでは日本と世界で開始時期にかなりの差があった。LTEではどうか。
 海外では、W-CDMAのとき以上に温度差が広がっているかもしれない。理由はいくつかある。
 まず、海外では3Gでのデータ通信サービスが普及しきっていない。日本ではNTTドコモやKDDIが率先してネットワークを整備したこともあり、データ通信が日常的に使われている。ところが海外ではデータ通信のトラフィックのうち、6~7割はまだテキストベースのSMS(ショート・メッセージ・サービス)だ。残りは主にパソコンでのモバイル通信に使われている。最近は北米を中心に「iPhone」のようなブローバンド通信を前提とした機器が増えているが、欧州ではまだようやく広がり始めた程度に過ぎない。
 そのため、LTEの導入を「投資に見合うだけのリターンはあるのか」と不安視している通信事業者が多い。欧州では2012~13年の段階で、いち早くLTEを導入する事業者と、3Gを使い続ける事業者という2グループに分かれそうだ。
――ほかにも理由があるのか。
 日本にも言えることだが、LTEの利用に有効な周波数帯が空いていないという事情がある。ある程度の周波数帯域幅を使えば100Mbpsの速度を出せるというが、すぐに使える周波数帯がある国は限られている。仮に空き帯域があっても、周波数オークションで落札するには多額の投資が必要になる。その投資に見合う回収ができるのかと躊躇する通信事業者が少なくない。
――日本でもLTEに割り当てられた周波数帯域はかなり狭く、このままではLTEの実力を引き出せそうにない。LTEの技術仕様を生かすだけの周波数帯域の確保は世界的にもかなり難しいのか。
 日本も難しいことは変わりないが、今後は(第2世代の)PDC方式で使っている帯域が空いてくるので状況は改善する。しかし、欧米ではこの先10年、GSM方式のサービスが終了することは考えにくく、周波数帯域を別に確保しなくてはならない。最近はWiMAXが使っている2.5GHz帯や3.5GHz帯をLTEに活用するシナリオを検討している。このほか700MHz帯や400MHz帯なども候補になっているようだ。
■先頭集団はNTTドコモなど3社
――LTEではなく、HSDPAからHSPA+へとW-CDMAを高速化する路線を進める通信事業者も一部にはいる。
 既存の設備を拡張していくシナリオ、つまり、「W-CDMAからHSDPA、さらにHSPA+という進化は効率がいい」と通信事業者を説得する機器メーカーが多い。しかし投資額をトータルで見れば、LTEに一気に進む方が安くなるはずだ。欧米企業は四半期ベースの収益を気にするので、(一度に多額の投資が必要ない)HSPA+を選択する事業者が多くなる。
――NTTドコモは3G導入時の反省を踏まえ「先頭集団の中でLTEを推進する」と話している。機器メーカーから見て、今はどの通信事業者が先頭集団を走っているのか。
 10~11年の時点では、NTTドコモ、米ベライゾン、KDDIといった顔ぶれではないか。商用サービスとなるとこの3社になる(KDDIは12年にLTEのサービスを開始する予定)。ほかの通信事業者はトライアルとしていくつかの都市で導入しているが、その後にきっちりと商用化してくるかは見えてこない。
 3Gを早く導入したからといってLTEもいち早く開始するとは限らない。実際、英ボーダフォンは世界で早期に3Gを展開したが、LTEでは足踏みをし始めた。
――海外ではベライゾンを中心にLTEに音声通話を載せる「one voice」という仕組みが検討され始めている。この動きをどう見ているか。
 欧州はGSM網を持っていて、3G網にも投資している。しかし、音声通話ではGSMであろうと3GやIP電話であろうと音質はあまり変わらない。このためLTEにまで同じように音声サービスを搭載しても意味がない、と否定的なキャリアが多い。
 しかし、既存のネットワークが逼迫しているためLTEに本格移行したいと考える通信事業者もいる。彼らはいずれLTEをデータ通信にも音声通話にも使うという考えを持っているようだ。欧州や中国では、当初はLTEをデータ通信に特化させ、普及が進めば音声通話もLTEに移して既存のネットワークを巻き取るという戦略もあり得る。
■中国メーカーが脅威な理由
――中国では「TD-LTE」という規格の準備が進んでいる。
 チャイナモバイル(中国移動)の動きには注目している。TD-LTEでサービスを提供するというが、中国でユーザーが増え設備投資が進んでいくと、劇的にコストが下がる可能性がある。中国は3Gでは独自仕様だが、LTEではその状況が変わってくる恐れがある。
――TD-LTEと既存のLTEに技術的にどれくらいの差があるのか。
 無線の世界から見ると、極端な差異はない。FDD(周波数分割複信)方式のLTEを作れば、8割ぐらいTDD(周波数時分割複信)方式のLTEを作ったのと同じことになる。
――ファーウェイやZTEなど中国の機器メーカーの台頭をどう見ているか。
 MWCの「ホール8」(世界の大手企業が集う主要会場)の奧はかつてはエリクソンやノーテル、ノキア、シーメンス、アルカテルといった欧米大手のGSM陣営が軒を連ねた一等地だった。しかし、今年は様子が違っている。彼らが一等地からいなくなり、韓国サムスン電子やZTE、ファーウェイが陣取っている。
 特にファーウェイはかなり前から様々なビジネスを展開している。10年前は横目で見ていたが、最近は着々とユーザーを増やし、多くの国に市場を広げている。同じやり方を真似はできないが脅威に感じている。
――同じ機器メーカーとして彼らの凄さはどこにあるのか。
 技術力で、日本メーカーは負けていない。最も大きく違うのは財力と政治力だろう。機器を通信事業者に納入したあとは数カ月後に支払いを受けるのが一般的だが、ファーウェイは全額ではなく何年かの分割で受け取るようにしている。メーカーが通信事業者に融資している格好になる。中国企業の背後に政府系銀行がついていて、そういった融資をしているようだ。それをやられるとなかなか対抗するのは難しい。
――LTE時代に向けて、NECは世界でどうやって存在感を示していくのか。
 3Gの時は、NTTドコモ向けに機器を投入したという先行優位性を海外展開に生かしてきた。しかし、LTEは導入がゆっくりになるという前提に立つと、先行優位性だけでは勝負できない。インフラだけでなく、通信事業者がLTEを活用するために、パートナーとしてソリューションを提供していく。
 NTTドコモやKDDIは自分たちですべてを開発できるリソースがある。しかし、海外通信事業者のほとんどは技術陣が少なく、自社ではサービスを開発できない。NECとしては、通信事業者がLTEでクラウドコンピューティングやクラウドサービスを導入できるよう手伝う考えだ。LTEやWiMAXなどのインフラにITとソリューションを組み合わせて海外展開を進めていくつもりだ。



DVDバブルが崩壊、頭を抱える映像ソフト業界――音楽・映像ソフト業界が陥る負のスパイラル(COLUMN)
 販売用DVDも売り上げは減り続けている。日本映像ソフト協会によると、2009年は1568億円(速報値)と05年のピーク時から4割減少した。
 市場が縮小している最大の理由は洋画の不振にある。DVDの売り上げは劇場での興行収入とほぼ連動するが、劇場での洋画離れは深刻。
 日本映画製作者連盟によると、洋画の興行収入は02年の1434億円をピークに減少。09年は887億円まで落ち込んで、それと歩調を合わせるように新作DVDの販売減が続いている。
 「03~05年はバブル的な雰囲気があった」(日本映像ソフト協会の上田直子管理部次長)という指摘もある。その引き金となった要因の1つが、過去の作品(旧作)の廉価版の存在だ。
 02年ごろからワーナー・ホーム・ビデオなど米ハリウッド系のビデオ会社が「期間限定」で旧作を大幅に値下げするキャンペーンを多発。1本500円で買える作品が登場するなど各社が価格競争を繰り広げ、それに消費者も食いついた。
 ところが、旧作の購入が一巡すると値段を下げても売れなくなり、バブルはあっけなく崩壊。新作の低迷も重なって、洋画は冬の時代に突入したのだ。
深夜アニメ制作減少の打撃
 日本を代表するコンテンツであるアニメ産業も、DVDの苦戦に頭を抱えている。特に厳しいのが、深夜に放送される一般向けアニメのDVD作品。
 アニメ放映の5割超(制作時間ベース)は深夜帯が占めている。「不況で財布のひもは固い。2~3年前は萌え系、ロボット系ならどんな作品でも売れていたが、今はお客さんが作品を選別するようになった」(アニメ制作会社幹部)。動画投稿サイトなどを使った違法配信の問題もあり、事業環境は悪化する一方だ。
 実は、深夜アニメは収益の大半をDVDに依存している。ビデオ会社はテレビ局におカネを払って作品を放送。知名度や人気を高めたうえでDVDを販売し、投資を回収する仕組みだ。つまりDVDが売れないと、大きな損失を被ることになる。
 加えて厄介なのは「作品制作そのものが難しくなる」(同)こと。
 アニメの制作費は1話30分で1000万~1300万円といわれ、放送枠の購入費用も上乗せになる。そこで、リスク分散すべく「制作委員会」方式が使われる。出版社や制作会社、映像ソフト販売会社、玩具メーカーなど広く出資者を募って制作費に充て、出資比率に応じて収益を分配する方式だ。
 だが、深夜アニメはことのほかニッチな市場。収益が期待しづらいとなれば、たとえヒットの可能性がある作品でも、出資者が集まらない。
 「持ち込まれる企画の数が数年前の半分近くに減った」と、あるテレビ局の幹部は渋い顔で話す。
 巡り巡って、深夜アニメDVDの販売低迷はテレビ局をも苦境にさらす。視聴者の少ない深夜帯に、制作費をかけずスポンサー収入が得られる実入りのよい商売なのだ。企画の持ち込みが減らないように、放送枠を値下げするなど対策を打った局もあるが、その効果は不透明だ。
ブルーレイへの期待は大きいが…
 DVDの縮小が続く中、業界関係者はブルーレイ(BD)の普及に期待をかける。09年の売り上げは前年比2.5倍増の227億円と、ようやく市場が立ち上がりつつある。
 その一方で、「(画質やメディアのサイズの小ささなど)VHSからDVDに変わったときほどのインパクトはない。単にDVDがBDに置き換わるだけで、市場が再び盛り上がるのかは疑問」(前出のアニメ制作会社幹部)という冷ややかな声が聞こえてくる。
 違法配信の対策もメドは立っておらず、映像ソフト産業の先行きは依然として厳しそうだ。
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Public-private approach key to winning intl deals
What steps can Japanese companies take to improve their chances of winning contracts for infrastructure development projects in other Asian countries, and that could also be used to grow Japan's economy?
To secure orders amid tough international competition, cooperation between the public and private sectors is indispensable.
At the end of last year, South Korean companies won contracts to build nuclear power plants in the United Arab Emirates, beating a consortium of Japanese and U.S. companies that included Hitachi, Ltd. In addition, a Russian firm is believed to have won contracts to construct nuclear plants in Vietnam.
For Japanese firms, these two defeats were stinging. In the competition for the UAE projects, South Korea's strategy was noticeably adroit.
South Korean President Lee Myung Bak led national government moves to fully back the consortium of South Korean firms.
In addition to offering drastically low prices, the South Korean consortium proposed it not only construct the nuclear plants but also implement a package of other services, such as operating and maintaining the plants, and training specialists for the plant.
South Korea formulated an export strategy last month in which it set out a plan to secure orders to build a total of 80 nuclear power plants around the world by 2030. The plan aims to use foreign demand as a way of growing South Korea's economy.
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Growing infrastructure market
The global infrastructure development market is expected to grow rapidly. Worldwide demand for infrastructure construction, including power-generation facilities, roads, and air and sea ports, is estimated to total 40 trillion dollars (3.7 yen quadrillion) from now until 2030.
For instance, U.S. President Barack Obama has announced a project to develop a high-speed train system in the United States, as has the Brazilian government in its country. Such moves put the construction of railroads firmly under the spotlight.
Since Japan's population is decreasing, it can no longer rely on domestic demand alone to keep its economy growing. It therefore needs to fight more aggressively to win infrastructure development contracts abroad and beat South Korea and other nations. Having won such contracts, Japan should then capitalize on them to bolster its economic vitality.
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No plan for winning projects
The government provided a basic outline of its growth strategy at the end of last year, but made no reference to measures aimed at winning infrastructure development project orders abroad. The government should hammer out such measures--which should surely be superior to those of Japan's rivals--when the details of the strategy are decided this summer.
This nation, however, already has model projects of its own. It is giving official development assistance to India for the construction of a freight railway line connecting Delhi and Mumbai and the development of related infrastructure, including an industrial complex, by Japanese companies. The Japan Bank for International Cooperation has decided to provide a loan for the project.
Another Japan-led development project is taking place in Indonesia.
Both examples show the importance of building a cooperative framework between the public and private sectors.
In that sense, the Comprehensive Asian Development Plan advocated by Prime Minister Yukio Hatoyama last autumn is of great significance. The prime minister proposed a system under which Japan will offer infrastructure development advice to its Asian neighbors beginning at the planning phase. This approach will greatly enhance Japanese firms' chances of winning project orders.
The government also needs to work on developing the financial market's capabilities to attract funds in the Asian region so that the huge sums of money needed to fund the construction of infrastructure can be raised.
ウィルコムが会社更生法を申請、XGPと現行PHS再建の可能性は?(COLUMN)
 ウィルコムは2010年2月18日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。負債総額は2009年末の時点で2060億円。記者会見では昨年8月に社長へ就任した久保田幸雄氏が説明を行った。
 久保田氏は破綻の要因として、主に高速モバイルデータ通信「WILLCOM CORE XGP」への投資負担が重かったことを挙げた。当初は現行PHSサービスのキャッシュフローや既存株主からの追加出資をXGPへの投資に充てる予定だったが、通信市場の競争激化や世界的な金融危機よりこれらの目論見が外れた。このほか、既存借入金のリファイナンスを行えないなど、資金繰りの悪化により営業やマーケティング資金が枯渇した点も要因とのことだ。
 今後、ウィルコムの現経営陣は辞任し、株主責任を明確にするため100%減資も実施する見込み。企業再生支援機構のほかソフトバンク、アドバンテッジパートナーズといった企業の支援を受けての再生を目指す。ウィルコムのサービスに関しては今後も継続して提供されるほか取引先との債権についても支払われる。
 会見で久保田社長は現行PHSサービスによるナローバンド市場で定額通話サービスが好調なほか、機器間通信や医療機関に市場拡大の可能性があると発言。NTTドコモのMVNOとして提供している3Gデータ通信サービスやスマートフォンの投入は今後も行っていきたいとの姿勢を示した。
 今回、ウィルコムが会社更生法の適用の申請に至った背景として、高速モバイルデータ通信「WILLCOM CORE XGP」への投資が挙げられた。一方、久保田社長からはナローバンドを重要視した発言を行っており、ウィルコムの再建計画に関してはXGPと現行PHS事業の分離も、憶測として報道されている。ウィルコムが持つこれからのXGPとこれまでの現行PHS、それぞれにはどのような市場特性があるのだろうか。
 XGPが対象とする市場は定額での高速モバイルデータ通信だ。定額モバイルデータ通信はもともとウィルコムが切り開いた市場だが、2007年にイー・モバイルが3.6Mbpsでの高速モバイルデータ通信サービスを提供したことを皮切りに、NTTドコモやUQコミュニケーションズも参入。通信速度で劣るウィルコムは、後発ながらXGPへの投資で巻き返しを目指していた。
 だが、現在の高速モバイルデータ通信市場は市場が小さい割に競争が激しく、簡単に市場を切り崩せる状況ではない。比較的好調なイー・モバイルも2009年度末にようやく黒字化が見えたところであり、今後は1800億の有利子負債を返済しつつ、投資の継続とネットブックに代わる市場の掘り起こしが必要だ。
 XGPに一歩先んじて2009年7月にサービスを開始したUQコミュニケーションズも、エリア展開の遅れなどから契約数が伸び悩んでいる。巻き返しの策として、当初2012年度末を予定していた1400億円の投資を2010年度末までに前倒しし、早期に全国エリアカバー率93%を達成することで加入者増に繋げたい考えだ。
 2011年度以降、NTTドコモやKDDIは次世代通信方式である「LTE」の整備を開始する。そうなれば、モバイルデータ通信市場の更なる競争激化は必至だ。
 こういった状況の中、これからエリア展開を始めるウィルコムのXGP事業に将来性があるのかというと、やや疑問だ。ウィルコム自身はXGPの特徴としてマイクロセルや上り速度の速さ、現行PHS設備の流用をアピールする。だが、HSPAやLTE、WiMAXなど世界的な標準規格も低コストかつ小セルでの展開へシフトしており、なおかつ将来のさらなる高速化も見据える。ウィルコムがXGPに将来性を見いだすなら、早期のエリア拡大を行えるだけの投資額の調達と、自社規格であることを活かしたサービス提案が必要となるだろう。
 一方、現行のPHS事業に限ってみてみると、定額通話サービスが若年層や企業向けで比較的好調だ。すでに全国エリアが提供されていることもあり、収益の柱となっている。今回、ウィルコムは多額の負債のうえ、XGPへの投資を含めた資金繰りの悪化で破綻したわけだが、近年の決算が黒字に転換しているのは、音声の定額通話サービスによるところが大きい。
 久保田社長の言う現行PHSでのナローバンド通信についても、機器間通信に可能性があるほか、対人のインターネットについてもメールやTwitterのように、重要性の高いサービスでありながら、あまり広帯域を必要としないものは多い。近年の現行PHSを利用したデータ通信サービスはXGPの展開計画に引っ張られていた感があるが、現行PHSをベースに、地に足の付いた新規サービスを提案することで、少ないトラフィックで効率的に収益を得ることも可能ではないだろうか。
 ウィルコムの今後は再建計画に関わる企業次第ではあるが、全国に約430万人の利用者を抱えるうえ、2.5GHz帯の高速モバイルデータ通信サービスの可能性や現行PHSという低消費電力、低電磁波の全国インフラにはまだまだ可能性もある。再建計画の今後を見守りたい。



大容量の次世代メモリー、日米韓が一斉生産へ 東芝やサムスン
 日米韓の半導体大手が今春以降、記憶容量の大きい次世代メモリーの生産を一斉に始める。携帯電話などに使われるフラッシュメモリーで、世界1、2位の韓国サムスン電子や東芝が最先端の微細化技術を使った新製品を投入する。市況回復を受け、下位メーカーもほぼ同時に生産を始める。激しいシェア競争を通じメモリーのコストが下がるのは確実で、携帯情報端末の小型・高機能化や新製品の開発を後押ししそうだ。
 主要各社が春以降に生産するのは、半導体回路の線幅が20ナノ(ナノは10億分の1)メートル台のNAND型フラッシュメモリー。現在の最先端品は30ナノメートル台。一般に回路の微細化が1世代進むと、メモリーチップの記憶容量は2倍になり、生産コストは半減する。



トヨタ批判、米社会問題に 公聴会控え収束見えず
 品質問題を巡るトヨタ自動車への追及の火の手が収まらない。米議会の公聴会が3回設定され、豊田章男社長が2回目の2月24日に出席することになった。事態は当初の技術・品質の枠組みを超え、社会・政治問題へとエスカレート。米国の政治情勢も絡んでおり、収束のタイミングは見えにくい。
 「今年の順位はどうなる」。米株式市場では今、米フォーチュン誌が毎春発表する『最も尊敬される会社』でのトヨタの扱いが話題になっている。常連の同社は昨年、グーグルやマイクロソフトをしのぐ3位だった。



経産省、競争力強化へ官民協力 新興国インフラ受注など5分野重点
 経済産業省は日本の産業競争力を強めるため、原子力発電など新興国のインフラ需要の開拓や次世代エネルギー技術の開発など5分野を重点的に支援することを決めた。日本企業が海外の大型受注案件で競り負けたり、世界シェアを急速に落としたりする例が相次いでいることを踏まえ、官民が協力して取り組むことが欠かせないと判断した。
 25日に産業構造審議会(経産相の諮問機関)に専門の部会を設け、日本企業の収益力強化に向けて官民が取り組むべき具体策を示す「産業構造ビジョン」の検討を始める。政府が6月にもまとめる成長戦略に反映させ、他の省庁と連携して支援に乗り出す方針。
 経産省はこの部会で(1)新興国のインフラ需要の開拓(2)次世代エネルギーの開発(3)医療や介護などの社会課題解決サービス(4)コンテンツやファッションなどの文化産業(5)宇宙などの先端分野――を戦略分野として示す。



政府研究投資、GDP比1%に上げ 科技基本計画素案
 政府が主に2011~15年度の5年間に取り組む科学技術政策を示す「科学技術基本計画(第4期)」の素案が20日、判明した。昨年末に発表した「新成長戦略」を踏まえ、政府による研究開発投資を名目国内総生産(GDP)比で08年度の0.67%から20年度までに1%に引き上げる目標を明記。特に「グリーン」(環境・エネルギー)と「ライフ」(健康)の2分野での技術革新を重点に掲げ、潜在成長力を高める方針を打ち出す。
 23日に開く総合科学技術会議(議長・鳩山由紀夫首相)の専門調査会に提示する。計画は今後約1年かけて政府や学識者らが検討。同会議の了承を経て、11年初めに閣議決定する予定だ。


希望退職に応募殺到 百貨店、今年閉鎖は10店に
 不振が長引き、収益力が落ち込んでいる百貨店業界で、不採算店の閉鎖と社員の希望退職募集が広がっている。各社が2010年に閉めると表明した店は、すでに閉店した分を含めて10店に達した。希望退職に応募が殺到するケースも多く、百貨店の厳しい経営環境を映し出している。
 3月14日に店を閉じる伊勢丹吉祥寺店(東京都武蔵野市)は、閉店セールにあわせた「アウトレットセール」のまっただ中だ。平日午後でも食器や靴売り場は客でにぎわい、高級品の時計も30%引きで売られている。60代の女性客は「私は『伊勢丹育ち』。若者と違って、買い物をする場所がなくなる」と話す。



日経社説 施設整備だけではハブ港湾になれない(2/21)
 国土交通省は国際物流拠点として重点的に整備する「国際コンテナ戦略港湾」を新たに指定する。全国の主要港から提案を募り、6月をめどに1、2カ所を選ぶ方針だ。
 日本の港湾は国際競争力の低下が著しい。世界の港湾のコンテナ取扱量みると、かつては上位20位のなかに神戸、横浜、東京の3港が入っていた。2007年では最も順位が高い東京港ですら24位だ。
 北米航路など基幹航路で運ばれる貨物のうち、日本を発着地とする割合も低下している。北米からアジアに向かう貨物では00年には30%程度が日本に直接寄港していたが、07年には約15%まで減った。
 アジアでは韓国の釜山港や中国の上海港などの重要度が高まり、日本を素通りするようになってきた。
 鳩山政権は10年度の港湾予算を前年度に比べて25%削減した。そうしたなかで、投資の「選択と集中」に乗り出す点は評価できる。
 だが、日本の港が抱える課題は多く、国際的なハブ(拠点)港湾の地位回復は簡単ではない。まず、入港料や施設使用料などが高い。例えば、釜山港を利用するコストは日本より4割程度安く、後背地にある物流拠点などの賃貸料なども含めると差はさらに大きくなるという。
 広い地域から貨物を集めて積み替える仕組みも十分ではなく、港湾使用の24時間化も進んでいない。港湾の管理者が乱立し、民間の港湾運送業者などの資本力も弱い。内外の船会社や荷主に対し効果的に営業する体制すら整っていないのだから、日本の港が軽視されるのも当然だ。
 国交省の今回の選定基準にも疑問がある。現時点で最大級のコンテナ船でも寄港できるように水深18メートル級のターミナルの整備を条件にあげているが、大きな施設を造っても、実際に利用する需要があるのか、海運関係者から疑問の声が出ている。戦略港湾に指定した後、国が何をするのかもよくわからない。
 同省はこれまでも国内の3地域・6港を「スーパー中枢港湾」に指定し、施設を優先的に整備してきた。京浜地域の3港を管理する東京都、横浜市、川崎市が広域連携に乗り出すなど新たな動きも出ている。それでも競争力低下に歯止めがかからない現状を直視すべきだ。
 施設整備だけを重視するような政策では効果は限られる。香港やシンガポールなどでは大規模な民間会社がターミナルを運営している。日本でも民間の力を生かし、行政から独立して各地域の港を一元的に管理する組織をつくることが不可欠だ。
「加速するデフレ、パッケージ市場崩壊、ソーシャルアプリもiPhoneアプリももうからない」ゲームメーカーが生き残るには(COLUMN)
 ゲーム業界が激変の時代を迎えている。家庭用ゲームの市場規模は2007年をピークに縮小を続け、ゲームメーカーの人員削減も珍しい話ではなくなってきた。iPhoneアプリやソーシャルゲームと呼ばれる新しい市場がぼっ興しているが、すでに過当競争に陥っている。
 「コンテンツはあふれかえり、ものすごい勢いでデフレが起きている」――ゲームジャーナリストの新清士さんは2月17日、都内で開かれたゲーム開発者向けイベント「OGC 2010」の講演でこう指摘。新興のプラットフォームも米国企業が握っており、日本のメーカーの不利な状況は今後も続くと予想する。
 だが、まだまだチャンスはあるという。
 昨年の今ごろまでは、ゲームの新市場として期待されていたiPhoneアプリやFacebookアプリなどのソーシャルアプリだが、その状況はこの1年で劇的に変わった。「iPhoneアプリはもうからないと分かってきた」と新さんは言う。
 iPhoneアプリやソーシャルアプリは開発や流通のハードルがパッケージゲームより低く参入が容易なため、「ものすごい勢いでコンテンツのデフレが起きている。とにかく大量のコンテンツを用意し、いかに自分のところに引き付けて集中させるかが重要になっている」。
 米国のiPhoneアプリニュースサイト「148Apps.biz」によると、App Storeの総アプリ数は17万5000で、1日約700アプリずつ増えているという。ゲームアプリもすでに2万4000ある。
 ソーシャルアプリも大量に流通しており、昨年始まったばかりのmixiアプリも、PC向けで約800、携帯で約300ものアプリが稼働している。このような市場では、1番になったものがすべてを得る、“Winner Takes All”が働きやすいという。「サンシャイン牧場を越える農場アプリは、少なくともmixi上ではもう現れないだろう」
iPhoneアプリが崩したもの
 iPhoneアプリの価格を見てみると、無料が25%、1~3ドルが59%と、全体の8割が3ドル以下の値付けだ。一方でパッケージゲームは、数千円(数十ドル)~1万円(100ドル)程度が相場。「iPhoneは、ゲームの価格と価値のバランス、相場観をひっくり返してしまった。数百円のゲームに慣れたiPhoneアプリユーザーは、7000円のゲームは高いと思うだろう。このギャップはとてもじゃないが埋められない」
 ギャップに「ゲーム会社が困っている」という。従来のパッケージゲームは億単位の予算と年単位の時間をかけて開発してきたが、「iPhoneアプリは1本当たり100万円、200万円のコストで作らなくてはならない」。パッケージゲーム開発のコスト構造でiPhoneをアプリ開発して利益を出すのは「無理」なのだ。
新さんによると、昨年は世界のゲーム会社合わせて1万4000人以上の人員削減が行われたという
 旧来のゲーム会社のコスト構造を支えていたのは、ハードとパッケージを切り離し、パッケージを高額で販売するという、「任天堂のファミリコンピューターが確立した」ビジネスモデルだ。加えて、1人でプレイする際、プレイヤーの相手をするAIの開発ハードルの高さも参入障壁となっていた。
 だがiPhoneアプリやFacebookなどソーシャルゲームは、有料ゲームの売り上げの一部を、AppleやFacebookといったプラットフォーム事業者が徴収するモデル。ネット経由で友人同士でプレイすればAIも不要だ。「“土管”を通過する時にお金を取るビジネスモデルに切り替わった」
 同じ変化はゲームだけでなく、コンテンツ産業全体で起きているという。「世界のコンテンツ産業が、どこまでシュリンクするか、どこで収益をあげればいいか分からない状況になっている」
 勝者になるには、グローバルなプラットフォームを作り、無料や安価でコンテンツを提供してくれる“クラウドワーカー”(例えば、ニコニコ動画の“職人”や、ユーザーがステージを制作できるゲームで、魅力的なステージを作ってくれる人など)を集めるしかない。この傾向は2005年以降、変わっていないとう。
Kindle日本参入前から分かっている「日本メーカーのハンデ」
 iPhoneやKindle、Facebookなど、急成長しているプラットフォームの持ち主は、AppleやAmazon、Facebookといった米国企業だ。これが日本のゲームメーカーを窮地に追いやるという。
 「2000年代前半まで日本のゲーム会社が強かった最大の理由は、ゲームのハードベンダーが日本にあり、そこから最新の情報をもらっていたから。だがiPhone市場はAppleという米国企業に振り回される」
 「Appleからの情報は、米国企業の方が早く手に入る。iPadに関する事前情報の開示も、日本のゲームメーカーにはなかったようだ。1~2年後に日本に上陸するといわれているKindleも、日本国内にプラットフォーマーがいないという点で、非常に厳しいハンデを負っている」
ポイント課金のiPhoneアプリの可能性は
 日本のゲームメーカーも手をこまねいているわけではない。iPhoneプラットフォーム上に、新し課金プラットフォームを重ね、収益を得ようという日本メーカーの取り組みもある。
 例えばハドソンは、オンライン対戦麻雀ゲームネットジャン狂をApp Storeに申請。1人プレイは無料だが、1日2回以上対戦する場合や有料で、独自のポイント「JP」で支払う。
 だがこのアプリは「昨年12月に出すつもりでApp Storeに申請したが、2カ月経った今もまだ通っていない」状況。理由は不明だが、「Appleはポイント制にはセンシティブに反応しているようだ」。ポイントをいったん認めてしまうと、さまざまな企業が独自のポイントを流通させ、App Store上に新たな課金プラットフォームが生まれることをAppleが恐れているのでは、と新さんはみる。
もうかるソーシャルゲームの“罪”
 新さんは、「もうかるソーシャルゲーム」の課題も指摘する。「人間の欲望をいかに掘り起こし、ユーザーがかかえているコンプレックスを徹底的に商品化しようという方向に世界が進んでいる」という。
 例えば、米国のあるソーシャルゲームメーカーは、ゲーム内のアイテム課金は「7つの大罪」(傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲)を刺激することでうまく回ると話していたという。
 「クリス・アンダーソンの『FREE』で説かれているのも、人の心の中の一番柔らかいところに入り込み、いやらしい感じでわしづかみにしないとお金が取れなくなっているという実情だ。最近一般的になってきた行動経済学も、人間心理をたくみに利用してお金を取ろうというもの。だが本当にそれでいいのか」
情報過多が生み出す弱さ
 このまま情報過多が続くと、自分にとって都合のいい情報だけで生きる人が生み出されてくるとみる。例えばWikipediaでは嘘の情報が大量に書き込まれ、ユーザーの検証能力も低下。政治家が、自国に都合のいい嘘情報を政治的に利用する――という例も出ているという。
 だがその状況にも揺り戻しが来ると予想する。「人間は最高の高揚まで行くと燃え尽きる。“ネトゲ廃人”のようなものが顕在化してくるだろう。それをネガティブにとらえるかポジティブにとらえるかは難しいところだが」
「チャンスは必ず来る」
 パッケージゲームのビジネスモデルが崩れ、コンテンツデフレが起き、プラットフォームが米国企業に握られている。日本のゲームメーカーには絶望的な状況にも映るが、「チャンスは必ず来る」という。ハードの進化に伴うプラットフォームの変化が、新たなコンテンツにチャンスをもたらすという。
 例えば、1999年にPC向けに発売されたファーストパーソンシューティングゲーム「Quake III Arena」。プレイするには、当時20万円ほどするゲーミングPCが必要だったが、今ならiPhoneにそのまま移植できるという。
 「単純比較は難しいが、今のDELLの最新PCは、10年前のゲーミングPCの70倍の性能がある。モバイルにもハイスペックな環境がどんどん移植されていく」
 ハードウェアスペックの進化に合わせてプラットフォームも変化し、それに合うコンテンツも変化していく。例えばTwiterは、iPhoneが普及し、3G環境が一般的になった今だからこそ爆発的に普及した。Second Lifeがヒットしなかったのは、話題になった当時のハードスペック足りなかったためだ。
 現行のプラットフォームで“敗退”したメーカーも、次世代プラットフォーム向けコンテンツを開発すれば、いくらでも逆転チャンスがあるとみる。「PCのコンピューティングパワーは余っているし、携帯電話のCPUも放っておいても進化する。コンピューティングパワーが上がったときにどういうサービスをオーバーラップするかが1つの戦略だ」
 「5年前に何が流行ったか考えてほしい」とも。現在の状況の前兆は、5年前からあったという。「パッケージゲーム崩壊の予兆は5年前から韓国のMMORPGですでにあった。5年前、すでに中高生女子はゲームをやっておらず、携帯でプロフをやっていた。今躍進しているWeb企業は、10年前から種をまいていた」
「未来のイメージ戦争」
 今のコンテンツや社会は、「ユーザーにどう物語(ストーリー)を提供するか」の勝負になっているという。
 「コンテンツ単体で提供しても、ユーザーは持続して関心を持ってくれない。何らかのストーリーを提供することが重要。優れた物語がその人の人生の一部になると、お客さんはお金を払い続けてくれる。好きになってくれる物語を供給したり、メタ化された物語を持つ製品を戦略的に作れるかどうかが今の時代の製品開発に求められている」
 例えばAmebaブログは、「(ブログを書いている)芸能人がストーリーを持っているからうまくいく」。iPadが発表前からネット上で盛り上がったのは、「メタ化したAppleという物語を、事前の情報リークという形で意図的にAppleが提供しているから」と新さんはみる。「KindleとiPad、どちらが勝つか」――こんな論争も、それぞれが物語性を帯びているからこそ盛り上がる。「Kindle対iPadは、巨人対阪神のようなものだ」
 今行われているのは、「未来のイメージの戦争」という。未来を感じさせる商品やサービスを提示することで、それを購入したり、それについてブログに書いたりすることが、「未来の自分に投資している気分にさせる」というのだ。「未来や将来を感じさせる商品やサービスの期待値に対してお金を払わせるスキームだ」
 コンテンツでも同じことが起きているという。例えば「涼宮ハルヒの憂鬱」は、ネット上でユーザーによってさまざまな派生コンテンツが作られ、ヒットした。主人公のハルヒならこうするという行動の指針が「ハルヒ憲法(憲章)」として文庫に書かれており、それをベースにユーザーがストーリーを作って広げ、ムーブメントを拡大したという見方もある。
未来は分からない、だからやるしかない
 激変する時代にビジネスの種をつかむには、新しいサービスやコンテンツ、プラットフォームに「とにかく手を出してみるしかない」という。「昨年の今ごろ、mixiアプリが大ヒットしているとは誰も予想が付かなかった。イノベーションは予測できない。変化の先端に自分がいるかどうかは理解しておくことが重要」
 キーとなるのは「物語」だ。「価格と価値のバランスは壊れっぱなしで戻ってこない。それを止める役割として物語を使う。プラットフォームを設計し、価格、サービス体系を設計し、ユーザーに提供するしかない」
 チャンスはたくさんあるという。「種は転がっている。それらの種がどこで芽吹くかだ。いまマーケットに存在しているものの中で、何をひも付けると収益をあげられるか考えるべき。周辺が砂のように崩れ、さまざまなプラットフォームが乱立する中、崩れないものは何かを問うしかない」
 例えば「代替現実ゲーム」と呼ばれる、虚構が現実を浸食するゲームは、iPhoneと組み合わせれば大きな可能性があると新さんはみている。
 「ハードの性能は上がり、あふれるものや変化によって乗り換えるものが次から次に出てきて、そのたびに富のチャンスは変わる。社会的批判を受けることもあるかもしれないが、チャンスを探してもらえば」




ようやく参入 KDDIが描く日本人向けスマートフォン
 KDDIの小野寺正社長はこれまでスマートフォンの導入について「時期尚早」と語っていたが、スペイン・バルセロナで2月15~18日に開催された携帯電話関連の国際会議「Mobile World Congress 2010」(MWC2010)で、ついに本格参入することを明らかにした。発売は今年6月以降と「後発組」になるKDDIは、どのような戦略を描いているのか。重野卓コンシューマ商品統括本部オープンプラットフォーム部長に話を聞いた。
■「ようやく答えがでた」
――スマートフォンに慎重な姿勢を見せていたが、6月以降にグーグルの「Android(アンドロイド)」OSを採用した端末とマイクロソフトの「Windows Phone」を発売すると発表した。後発としてどのように攻めていくのか。
 KDDIのスマートフォンへの取り組みがなぜこんなにも遅れたかといえば、いくつかの理由がある。
 まずスマートフォンは日本ではアップルの「iPhone」をのぞき、まったく売れていなかった。理由を分析してきたが、やはり「1台目」としてのニーズを満たしていないという結論になった。iPhoneもWindows Mobileも、普通の携帯電話を所有したうえで「2台目」として購入するパターンがほとんどだ。
 それではユーザーに広く受け入れられないし販売数が稼げない。その結果、メーカーも苦労することになる。その課題を乗り越えられるものができるまで待つ必要があった。「なぜ売れていないのか」を研究し、「何があれば買ってくれるか」を追究した。ユーザーの求める機能をどうやったら搭載できるかを検証してきたが、ようやく答えがでた。
――日本のユーザーが普段使っている様々な機能が搭載されたスマートフォンと考えていいのか。
 詳しくはいえない。しかし分析すると、ユーザーがほしいとされる機能やサービスはいくつかに限定される。3つとか4つ程度だ。それ以上の機能を載せた特別のものを作ろうとは思わない。必要最低限の機能を載せ、それ以外の部分は世界標準と同じものにしていく。
――auは「LISMO」などのコンテンツ関連サービスが強い。これらも「必要最低限の機能」として対応するのか。
 そうだ。「これがないと買わない」という機能に加え、キャリア兼サービスプロバイダーとして、提供しなくてはいけない価値もある。
――画面上にLISMOやEZウェブメールのアプリアイコンが並んでいるというイメージか。
 まさにそうだ。(そのなかで)ユーザーが「いらない」と思う機能であればアイコンを消してもらえばいい。
■最初は日本メーカー製
――AndroidとWindows Phoneの2機種を出す予定だが、2つのプラットフォームにはどんな期待をしているのか。
 Androidは個人ユーザーの1台目としてのニーズを満たすものだ。Windows Phoneは2台持ちでいいから、ビジネス用途を満たすものとして投入する。KDDIはWindows Mobileをすでに1機種販売しているが、あまり売れていない。しかし、他キャリアが出している東芝製などは完成度が高く、消費者が購入してくれるスペック、デザインに仕上がっている。いい製品が出てきているので、導入を検討していきたい。
――他キャリアのように海外メーカー製を持ち込むのではなく、日本メーカー製が中心になるのか。
 はじめは日本市場のユーザーに合わせた製品を作らなくてはいけないので、日本メーカーとやっていくことになる。スマートフォン市場はまだ形成されたばかりなので、ユーザーに自然に受け入れてもらうには、日本メーカーによる質感やデザイン、使い勝手のほうが望ましい。スマートフォン市場が本格的になってきたら、海外メーカー製のものも導入していければと思っている。
――米国では、KDDIと同じCDMAネットワークを使うベライゾン・ワイヤレスが魅力的なスマートフォンを続々と投入している。そのまま導入するのは周波数の使い方が異なるため難しいのか。
 確かに周波数の問題はある。ネットワーク部分で日本仕様が残っており、そこを解消する必要がある。だが、それはたいしたハードルではない。やはり、質感、デザイン、品質などプロダクトマーケティング的な視点から、まだ日本市場は海外メーカーのものをそのまま受け入れられる土壌になっていないと判断した。
――今後、採用するプラットフォームを増やしていく可能性はあるか。カナダRIMの「BlackBerry」はCDMA版があるし、iPhoneもCDMA版が出るという噂が絶えない。
 さすがにそこまではわからない。Androidは1台目需要で通常の携帯電話に置き換わるもの、Windows Phoneはビジネス用途という位置づけがあるなかで、追加して導入する意味があれば検討する。



松坂屋、名古屋駅店を8月に閉鎖
 J・フロントリテイリング傘下の松坂屋は名古屋駅店(名古屋市)を8月に閉鎖する。同店が入居しているビルは再開発で建て替えられるが、2016年度の完成後も再出店を原則見送る方針だ。百貨店市場が縮小するなか、西武有楽町店(東京・千代田)などに続き、都心店の閉鎖が加速してきた。
 月内にも発表する。名古屋駅店はJR名古屋駅に隣接する好立地にあるが、長引く高額品の販売不振に加え重い賃料負担が響いた。ビルを所有する東海旅客鉄道(JR東海)と再開発後の出店に向け賃料などで交渉を進めてきたが、折り合いがつかなかったもよう。



大手銀、株売却を加速 4~12月、3メガ2.5倍の4000億円
 保有している取引先の株式の売却を大手銀行が加速している。3メガバンクは2009年4~12月に、貸借対照表に記載されている帳簿価格で前年同期の約2.5倍にあたる合計4千億円程度の株式を売却した。株価下落に伴う含み損の拡大で自己資本が目減りするのを避けるのが狙い。業績の好不調にかかわらず安定的に株式を保有してきた銀行が株式を手放すことで、企業には業績向上を求める市場からの圧力が強まりそうだ。
 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は09年、中堅医薬品メーカーの保有比率を5%弱から2%強に減らすなど、4~12月で前年同期の4倍近い約1500億円の株式を売却した。12月末の保有株式残高(簿価)は4兆1千億円程度と、3月末から約5%減った。今年に入ってからも大手百貨店の株式などを一部売却した。



中国、春節の小売売上高17%増の4.5兆円
 【北京=尾崎実】中国商務省は19日、13日から同日までの春節(旧正月)に伴う大型連休中、全国の小売売上高が前年同期比17.2%増の3400億元(約4兆5000億円)に達したと発表した。春節連休の小売総額が3000億元を突破したのは初めてで、中国の消費の好調ぶりを示している。
 商務省によると、各地の小売店や飲食店が、年越し商品の展示会や美食祭など、様々な販促活動を積極的に展開したことが消費の拡大につながったという。
 上海、広州、杭州の百貨店などが営業時間を延長したほか、北京や河北省の小売店は、春節とバレンタインデーを合わせた販促イベントを実施。東北部の吉林省では、約3000カ所で10万種類以上の商品をそろえた展示会を開いた。雲南省では主要小売業者の売上高が前年同期比34.5%増を記録。飲食業も好調で、安徽省の主なレストランでは売り上げが48.3%伸びたという。



米グーグル、電力取引の認可を取得 コスト削減狙う
 【ニューヨーク=田中暁人】インターネット検索最大手の米グーグルが、電力取引に必要な認可を米連邦エネルギー規制委員会(FERC)から取得したことが18日分かった。電力調達先の多様化などで再生エネルギーの活用を進めるほか、電力コスト削減などにつなげる狙いがある。
 FERCが同日公開した資料によると、グーグルは100%出資子会社を通じて認可を得た。電力会社や発電事業者などから購入した電力を他社にも転売できるが、自社での利用が目的とみられる。
 グーグルは膨大な電力を消費する大規模データセンターを米各地で展開しており、エネルギーコストの削減が課題になっている。同認可を取得して電力調達の効率化を進める手法は、米小売り大手なども採用している。



グーグルへのサイバー攻撃、中国の教育機関が発信源 米紙報道
 【ニューヨーク=米州総局】19日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、米インターネット検索大手グーグルが中国から電子メールへの不正侵入などのサイバー攻撃を受けた問題で、中国の2つの教育機関が攻撃の発信源だと報じた。
 同紙が関係者の話として伝えた発信源のひとつは、中国の名門校である上海交通大学。もう1校は山東省の職業訓練校で、中国軍部に多くの人材を輩出しているという。
 グーグルが中国でサイバー攻撃を受け始めたのは昨年4月初旬とされる。中国の人権活動家の電子メールアドレスやパスワードなどを不正に入手することを目的にしていたという。グーグル側は強く反発し、中国撤退も視野に検閲撤廃を当局に要求。米中間の外交問題にも発展している。



【産経主張】外国人参政権 付与の法的根拠が崩れた
 永住外国人への地方参政権(選挙権)付与をめぐり、「憲法上、禁止されていない」との判断を示した最高裁の元判事、園部逸夫氏が「(在日韓国・朝鮮人を)なだめる意味があった。政治的配慮があった」と本紙に明言した。
 これにより外国人参政権の立法化の大きな根拠が崩れたといえる。鳩山由紀夫政権は法案提出を断念すべきだ。
 問題の最高裁判決は平成7年2月に出された。本論で外国人参政権を否定しながら、主文と関係のない傍論部分で「国の立法政策に委ねられている」と暗に立法化を促した。これを機に、在日韓国人ら永住外国人に地方参政権を与えようという動きが強まった。
 傍論に判例拘束力はないが、その判断に政治的配慮が働いたとあっては、信頼性も損なわれたのではないか。厳正な中立性を求められる判決の中でも、特に最高裁判決は時々の政治的配慮に左右されてはならないからだ。
 園部氏は政治的配慮の中身について「韓国や朝鮮から(日本が)強制連行してきた人たちの恨みつらみが非常にきつい時代ではあった」と語っている。この認識にも問題があるように思われる。
 いわゆる「朝鮮人強制連行」は戦時下に多くの朝鮮人労働者が日本内地へ渡ってきたことを指す戦後の造語である。だが、最近の実証的な研究や外務省の公式文書などにより、大半は自由意思に基づく渡航で、そうでない場合も国民徴用令に基づく合法的な渡航だったことが分かってきている。
 最高裁は一方的な歴史観に基づいて傍論の判断を示したことになりはしないか。
 また外国人に地方参政権を付与できるとする参政権の「部分的許容説」を日本で最初に紹介した長尾一紘・中央大教授(憲法学)も最近、自説に疑義を抱き始めたことを本紙に打ち明けている。昨年2月、韓国で在外選挙法が成立して在日韓国人が本国で国政参政権を行使できるようになり、状況が変わったことなどが理由だ。
 長尾氏は政府が今国会提出を検討中の参政権付与法案に対し「明らかに違憲。国家解体に向かう危険な法案だ」とも警告している。判例だけでなく、学説面からも法案の根拠が揺らいでいる。
 本紙の国会議員アンケートでは与党民主党からも法案を疑問視する声が上がっている。首相はただちに方針転換を決断すべきだ。
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