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「純増数」の深読みから見えてくる携帯市場の裏側(COLUMN)
 毎月発表されている携帯電話の契約数増減、いわゆる“純増数”。携帯電話キャリアの好不調をはかる指標の1つとなっているが、単純に各社の総純増数だけを見ても、実態は部分的にしか見えてこない。より細かくチェックすると、各キャリアや携帯電話市場のさまざまな現状が見えてくる。
キャリアの好不調をはかるバロメーターだが……
 2010年2月5日、電気通信事業者協会(TCA)が、2010年1月の事業者別契約数を発表した。これによると、携帯電話キャリア各社の契約数は、NTTドコモが10万8200、auが5万2900、ソフトバンクモバイルが18万5000、イー・モバイルが6万3300。PHSではウィルコムがマイナス5万8500。
 この契約数は、各社の新規契約者と解約者を合計したもので、一般に“純増数”と呼ばれる。TCAはこの数値を毎月発表している(UQコミュニケーションズなど新興キャリアは四半期に1度)が、各社の契約数が数値となって表れることから、移動体通信事業者の好不調を表す指標として注目を集めている。
 今回、携帯電話事業ではソフトバンクモバイルが18万契約以上を集め、6カ月連続で純増数首位をキープ。以下NTTドコモ、イー・モバイル、auと続いている。ソフトバンクモバイルは、先日発表された2009年度第3四半期決算では最高益を更新。一方、大幅な純減となっているウィルコムは、再建交渉が難航。「法的整理も視野に入れた再建を検討」と報道されるなど危機的状況にある。こうした現状を見ると、確かに純増が各キャリアの好不調を示しているように見えなくもない。
 だが現在、移動体通信は、音声端末だけでなくさまざまな機器に広がるなど多様化が進んでいる。それゆえ単純に純増数の合計だけを見ていると、実態を見誤る可能性がある。
地方ではソフトバンクモバイルの支持が低い?
 TCAのWebサイトに公開されている事業者別契約数には単なる総数だけでなく、より詳細な数値も公開されている。これらを見ていくと、単なる純増数には表れない各社の傾向を見てとることができる。
 まずは地域による差だ。イー・モバイルとUQコミュニケーションズを除く各社は、地域毎の純増数を発表している。これを見ていくと、地域によって各キャリアの支持率が大きく異なっていることが分かる。
 そこで、ここ1年(2009年2月~2010年1月)の、携帯電話主要3社の地域別純増数を比較してみた。結果、人口の多い関東・関西では総合での純増数同様、ソフトバンクモバイルが強く、総純増数を押し上げる要因となっている。だが、東海ではNTTドコモが8万4300、ソフトバンクモバイルが8万5100と、NTTドコモと拮抗しているほか、それ以外の地域では、逆に下位となっている。また、北海道のように、NTTドコモが3万9700、auが4万4400、ソフトバンクモバイルが2万700と、総数では低迷しているauが、最も純増数が多いというケースも見られる。
 こうしたことから、ソフトバンクモバイルは、iPhoneなどの先進性によって人口の多い都市部ではユーザーを獲得しているものの、地方ではインフラ面の弱さなどから支持が低いということが読み取れる。必ずしも全国一律に支持を得ているわけではないのである。
フォトフレームが加入者数に影響?
 次に見ておきたいのが、通常の携帯電話以外の契約数がどれくらいあるかである。最近は、一概に“携帯電話”といっても、必ずしも通常の音声端末とは限らない。実際の契約数の内訳が、TCAの資料で分かる。
 まずは「プリペイド契約」。これはプリペイド(前払い)タイプの契約数で、通常のポストペイ(後払い)契約とは異なる。過去、プリペイドの音声端末を安価に販売して純増数を大幅に増やし、あとで問題になるというケースがいくつかあったが、最近は純増数も小幅のマイナスであることが多く、純増数に与える影響は大きくないことが分かる。
 次に確認したいのが「通信モジュール」。これは、主に自動販売機などの“機械”に組み込まれる通信モジュールの契約数。最近注目されるようになった3G通信機能付きフォトフレームの契約数などはここに分類される。
 これを見ると、NTTドコモとauの純増数が共に1万前後程度であるのに対し、ソフトバンクモバイルの純増数は約6万と、突出しているのが分かる。これは、同社がCMなどでフォトフレーム「フォトビジョン」を積極的にアピールしているほか、最近、販売店が、音声端末の新規契約者などにフォトビジョンを無料や安価で提供していることなどが要因として考えられる。今やデータ通信端末だけでなくフォトフレームも純増数に大きく寄与してきているのだ。
データ通信端末の純増数にはMVNOも
 もう1つ、「携帯IP接続サービス」も注意する必要がある。これは、iモードをはじめとする携帯電話向けインターネット接続サービスの契約数だ。端末の新規契約数とは必ずしも一致しないものの、「音声端末の契約数がどれくらい増えているか」を見るための指標になる。
 これを見ると、ソフトバンクモバイルやauが純増であるのに対し、NTTドコモとイー・モバイルは純減。この値が純減しているキャリアは、「iモードなどを契約する必要のないデータ通信端末が純増数を支えている」と読み取ることができる。
 データ通信端末については、MVNOの存在を忘れてはならない。特にNTTドコモとイー・モバイルはデータ通信端末を中心に多くのMVNO事業者に回線をレンタルしているが、データ通信端末に関する加入数はすべて、回線を貸す側の純増数に反映されるのである。
 例えばウィルコムは、先に触れた通り、PHSで5万8500の純減となっているが、ウィルコムのWebサイトを見てみると、MVNOとしてNTTドコモの回線を借りて提供しているWILLCOM CORE 3Gは5000の純増。実はトータルで5万3500の純減なのである。しかし、WILLCOM CORE 3Gの純増数はNTTドコモの純増数に含まれ、TCA側ではウィルコムの純増数としては記録されていない。
サービス終了を迎えるPDC方式の契約も多数
 最後にもう1つ、“システム別”の純増数や累計契約数もチェックしておこう。これは各社の通信方式別、つまり2G、3Gごとの契約数を知ることができるというものだ。
 特に注目したいのは、NTTドコモとソフトバンクモバイルにおける、2G(PDC)の契約数だ。というのも、各社とも、旧来のPDC方式に関しては終了する方針を打ち出しており、すでに新規契約は終了。NTTドコモは2012年3月31日に、ソフトバンクモバイルは2010年3月31日にサービスを終了する予定だ。
 サービス終了に伴い、PDC方式の携帯電話の契約者はすべて“解約”となるため、その分の契約数が減ることになる。ちなみに両社のPDC方式契約者数は、NTTドコモが317万3600、ソフトバンクモバイルが66万8900だ。もちろん、各社とも、PDC方式契約者を現在の3G契約へ移行する取り組みを進めており、現在の全契約がすべて解約になるというわけではない。だが、サービス終了が近いソフトバンクモバイルでも、すべてのユーザーを移行させるのは難しいと考えられることから、一時的に大幅な純減となる可能性が高い。
 こうした数字を見てもわかる通り、一般に発表されている携帯電話全体の純増数からは見えない要素が、実は多数存在するのである。こと多様化が進む現在の携帯電話市場においては、総純増数だけが絶対的な指標ではなく、実態を見極めるには、さまざまな角度から見ていく必要があるということを頭に入れておきたい。



「おやあり」って何?
 「おやあり」「おはあり」「おつあり」――こんな言葉が、一部のTwitterユーザーの間で使われている。
 おやありは「おやすみ」と「ありがとう」を組み合わせた言葉。寝る前などに「おやすみ」とリプライをくれたフォロワーに対して、「おやすみのリプライをありがとう」といった意味でつぶやく。
 おはありは、「おはよう」+「ありがとう」、おつありは「お疲れ様」+「ありがとう」の意味。おやありと同様、「おはよう」「お疲れ様」のリプライへのお礼として使う。
 それぞれ、あいさつのやりとりの多いユーザー同士が、できるだけ短いテキストで感謝を示すために使っているようだ。



トヨタ社長、1日に北京で会見=品質問題、中国でも直接説明
 【北京時事】トヨタ自動車の豊田章男社長は3月1日午後6時(日本時間同7時)から、北京市内で最近の品質問題について記者会見する。トヨタは中国でも、アクセルペダルの不具合を理由にスポーツ用多目的車(SUV)「RAV4」約7万5000台のリコール(回収・無償修理)を発表し、品質への懸念が強まっている。世界最大の市場で「消費者の理解を得るため、じかに社長のメッセージを伝える」(広報)のが狙いだ。 



【産経主張】全面禁煙 理解求め着実に進めたい
 病院や百貨店、飲食店、ホテルなど多くの人々が利用する公共的場所は原則、「全面禁煙」にすることを求める通知を、厚生労働省が全国の自治体に出した。
 罰則はなく努力目標の意味合いも強いが、他人のたばこの煙を吸う「受動喫煙」の害を減らす有効な策と評価したい。
 日本は平成15年、受動喫煙防止を掲げた「健康増進法」を施行し、翌年には世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組条約を批准した。19年には、「100%禁煙以外の措置は不完全」との指針も採択している。
 公共的な場所での全面喫煙禁止は、学校や官公庁、病院、金融機関などではかなり進んでいる。問題はたばこを吸う人が多く訪れるレストランや居酒屋、パチンコ店などでの対応だ。
 今回の通知でも罰則は盛り込まれておらず、全面禁煙への対応はそれぞれの施設に委ねられている。しかし趣旨としては、これまで禁煙フロアや禁煙ルームを設けて「分煙」を進めてきた施設にもさらに進んで、「全面禁煙」への取り組みが求められる。
 だが、居酒屋やパチンコ店などでは「客が来なくなる」と反発も大きい。通知もこの点を配慮し、「当面の間、喫煙可能区域を設定する」と猶予期間を設けた。
 こうした猶予を利用しつつも、施設側はポスター掲示など客に協力を呼びかける努力を積極的に行ってゆくべきだ。喫煙者も最低限のマナーとして、多くの人が集まる場では全面禁煙もやむを得ないことを理解し、協力しなければならない。
 4月から全国に先駆けて受動喫煙防止条例が施行される神奈川県内では、一部の店舗で全面禁煙に踏み切る大手外食チェーンも現れているという。全面禁煙は実現不可能な話ではないのである。
 そして将来的には、罰則の導入も視野に入れなくてはならない。分煙を容認している健康増進法を改正し、罰則を設ける検討も必要になるだろう。職場環境でも、労働者を保護する観点から労働安全衛生法を改正し、事業主に受動喫煙防止対策を義務付ける議論も進めていきたい。
 厚労省によると、喫煙率は年々減っているものの、男性36・8%(20年)とまだ高い。喫煙が健康に及ぼす害についての教育にも力を注ぎ、若い世代の喫煙者を減らしていくことも大切である。
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活路見えるか?携帯キャリアの海外戦略(COLUMN)
 国内の携帯電話市場が飽和に向かう中、注目されるのは海外市場への進出だ。最近では端末メーカーだけでなく、主要携帯電話キャリア3社も海外市場進出に積極的な姿勢を見せているが、その取り組みには大きな違いがあるようだ。最近の投資状況から各社の海外戦略を振り返ってみよう。
キャリアの海外進出も苦難の歴史
 日本メーカーの携帯電話端末の海外進出は苦難の歴史であり、いまだに苦戦を強いられているのはご存じの通り。実はこれと同様、携帯電話キャリアの海外進出もまた苦難の歴史であった。
 それを象徴しているのがNTTドコモだ。NTTドコモは全世界で3Gのライセンスが供給される1999年ごろから、同社が推進するW-CDMAの普及を目指し米国のAT&Tワイヤレス、香港のハチソン・ワイヤレス、オランダのKPNモバイル、台湾のKGテレコムなどいくつかの通信事業者に出資してきた。だが直後に通信バブルの崩壊などもあり、多額の損失を出して売却・撤退。最も規模の大きなAT&Tワイヤレスの場合、1兆2000億円近い出資をしながら、約6950億円で売却。多額の損失を生んだことで話題となった。
 その後は欧州を中心にiモードのライセンス提供などを行ってきた。だがあくまでライセンスのみの提供であったことや、専用の端末を用意する必要があり、端末そのものの魅力に欠けたことなどから、ほとんどの地域では成功をおさめたとは言えない。オーストラリアのように、すでにサービスを終了している国もある。
 携帯電話事業は、その国の“電波”という公共資産を利用する事業であり、その国の状況に根ざした展開をする必要がある。それゆえ、海外に事業者が参入するというのは、ある意味、端末メーカーが参入するよりもハードルが高い。かつてボーダフォンが日本に進出したものの成功したとはいえない状況であったという事実がそれを物語っている。
 とはいえ、日本国内の携帯電話市場が飽和に向かっている今、海外に活路を求めなければ大きな成長が望めないというのも事実だ。では日本のキャリア各社は、どのような形で海外へ活路を広げようとしているのだろうか。
キャリアへの投資でアジアに積極進出するNTTドコモ
 海外事業で辛酸をなめたNTTドコモだが、現在は方針を改めている。インフラ事業に関しては、かつての欧米を中心とした展開から成長が見込めるアジアへと矛先を切り替えている。
 2005年に韓国のKTFへ出資したのを皮切りに、2006年にフィリピンのPLDT社に出資、さらにグアムのグアムセルラー、グアムパシフィックの両社を買収し、2008年には「DOCOMO PACIFIC」へと名称を変更している。同じく2008年にはバングラデシュのTMIB社にも出資している。
 また2006年には、アジア・太平洋の携帯電話事業者で「Conexus Mobile Alliance」というアライアンスを結成。国際ローミングなどでアジアの携帯電話事業者11社と協力関係を結んでいる。
 そして最近のトピックとして大きいのが、インドの携帯電話事業者であるTata Teleservices Limited(TTSL)社に出資し、中国に並ぶ巨大な成長市場への足がかりを作ったことである。これにより、TTSL社は「TATA DOCOMO(タタ・ドコモ)」という共同ブランドを展開。通話料を秒単位で課金する料金プランを導入し現地での評判を得たことから注目を集めている。
 国内キャリアでは最も豊富な資金力を持つNTTドコモ。かつての反省を踏まえながらも、現地事業者に直接資金を投資するという手法で、キャリアとして再び海外進出を推し進めているようだ。
MVNOで移民向けビジネスに力を入れるKDDI
 では、より資金力が弱い他の2社は、どのような戦略で海外事業に取り組んでいるのだろうか。
 まずKDDIの出資事例を見ると、2009年9月に、バングラデシュのISPであるbracNetに出資し、固定WiMAX事業の展開を進める方針を示している。だがこれはどちらかというと、途上国向けに固定回線の代わりにWiMAXのサービスを提供するという意味合いが強い。
 携帯電話事業としては、むしろ2月9日に発表された、米国のLocus Telecommunications, Inc.とTotal Call International, Inc.への投資が大きい。これら2社はいずれもMVNOとして携帯電話事業を運営しており、そのターゲットは“移民”だ。
 米国は移民が多い国であり、移民の多くは母国の言語や習慣を維持したコミュニティを形成して生活しているという。Locus社はメキシコ・韓国系、Total社はグアテマラ・フィリピン系の移民に強い事業者。どちらも銀行口座などが持てない低所得層が主な顧客となるため、プリペイド携帯電話を中心とした事業展開をしている。
 KDDIはすでに在米の日本人向けに、MVNOで「KDDI Mobile」という携帯電話事業を展開しているが、これも移民向け携帯電話ビジネスの一種といえる。自社で回線を持たず、投資コストが小さいMVNOに力を入れ(2社への投資額は約37億円。ちなみにNTTドコモがTTSL社に出資したのは約2640億円)、かつ“移民”という独特のビジネスノウハウが必要なジャンルに挑戦することで、海外への活路を見いだそうとしている。
インターネット事業者に投資するソフトバンクモバイル
 ではソフトバンクモバイル、ひいてはソフトバンクグループの海外戦略はどのようなものだろうか。同社は他の2社とは異なり、通信事業者ではなくインターネット上でプラットフォームやコンテンツを提供する事業者への投資に力を入れているようだ。
 携帯電話に直接関係のある投資としては、2008年にボーダフォンや中国移動と結成し(のちにベライゾン・ワイヤレスが加入)、アプリケーションプラットフォームの開発を進めているJIL(Joint Innovation Lab)がある。それ以外にも、最近の投資状況を見ると面白い傾向が見られる。
 代表的な事例としては、中国でSNSサービス「人人(レンレン)」を運営するOak Pacific Interactiveや、SNS向けにソーシャルアプリケーションを提供する米国のRockYou, Inc.、さらにライブ動画配信サービスを提供する米Ustream, Inc.などへの出資だ。SNSとそれによるソーシャルアプリケーションは、日本でも「mixiアプリ」などの形で急速に注目を集めている上、Ustreamやニワンゴの「ニコニコ生放送」などを使ったライブ配信もネットユーザーから大きな注目を集め、存在感を高めてきている。
 一見これらは、PC向けのサービス事業者が中心で、携帯電話とは無関係のようにも見える。だが日本のSNSはすでに携帯電話からの利用が中心。今後は、釣りゲームなどでグリーが人気を博したように、ソーシャルアプリケーションも携帯電話が中心になっていくと考えられる。またUstreamについても、すでにiPhoneによる中継が可能となっていることから、これを用いたライブ中継が話題となるケースも増えてきている。こうしたことから、PCだけでなくモバイルインターネットでの利用を見越した投資と見ることができる。
 このように、日本の主要携帯電話キャリアの海外戦略はその規模や方針によってまさに“三者三様”。各社の海外戦略が今後のビジネスにどう影響してくるのかに注目したい。



NTT、光回線販売15%減計画 10年度210万件に
 NTTは光回線を使った高速通信サービス「フレッツ光」について、2010年度の販売計画を09年度計画値よりも約15%低い210万件程度に引き下げる。01年にサービスを始めたフレッツ光の累計加入者数は10年1月末時点で1294万件に達したが、純増数は頭打ちになっている。国内のブロードバンド(高速大容量)普及を20年までに100%にする政府の計画にも影響を与えそうだ。
 販売計画は10年度の事業計画に盛り込む。3月1日に総務省に申請、認可を受ける予定だ。10年度販売計画の内訳はNTT東日本が125万件程度、NTT西日本が85万件程度の合計210万件。2期連続で前年度の計画値を下回る。



ウィルコム再建案大詰め 支援巡り意見対立、機構に慎重論も
 会社更生法の適用を申請して経営再建を目指すPHS最大手ウィルコムの再建案づくりが大詰めの段階に入った。ただ、出資を予定するソフトバンクと投資ファンド、アドバンテッジパートナーズ(AP)は資金拠出の方法などを巡って調整が難航。事業資金の融資を検討する企業再生支援機構にも慎重論が強まっており、再建計画の始動が遅れる可能性もある。
 ウィルコムは18日に東京地裁に更生法の適用を申請。25日には支援機構が正式に支援を決定し、ソフトバンクやAPの出資を受けて事業再生に乗り出す方針だった。ところが更生法の適用申請後にソフトバンクとAPが出資金の規模など計画の細部を巡って意見が対立。早期の支援決定が困難になった。



交通網整備に民間資金 政府検討、東京外環道は事業費の3割
 政府は27日、民間資金を活用した社会資本整備(PFI)を交通インフラに広げる方針を固めた。これまでは国の庁舎や病院など「ハコモノ」中心だったが、今後は東京外郭環状道路など高速道路や整備新幹線、港湾などに重点を置く。PFI推進に向けた数値目標や法改正も検討する。公共事業費を削るなかで、民間の資金と知恵を頼りにインフラを整える。
 内閣府と国土交通省が具体策の検討に着手した。政府が6月にまとめる成長戦略の一つの柱として盛り込む方向だ。



ベルリン映画祭 日本の作品の魅力を世界へ(2月28日付・読売社説)
 「久しぶりに体に電気が走ったというか、これをやらなきゃいけないという感覚があった」
 若松孝二監督の「キャタピラー」の脚本との運命的な出会いをこのように語る女優の寺島しのぶさんは、手足を失って戦場から帰還した夫を迎える妻という難しい役を見事に演じきった。
 その演技が高く評価されて、ベルリン国際映画祭の最優秀女優賞を受賞した。
 ベルリン、カンヌ、ベネチアの3大国際映画祭公式コンペの俳優部門では、過去4人の日本人が受賞していたに過ぎなかった。ベルリンでの最優秀女優賞受賞は1975年の田中絹代さん以来で、35年ぶりの快挙である。
 3大国際映画祭で日本人の演技はなかなか理解されないとも言われるが、若松監督の個性的な作品で見せた寺島さんの迫真の演技は文化の違いを超えて訴えるものがあったということだろう。
 昨年の米アカデミー賞でも、滝田洋二郎監督の「おくりびと」が外国語映画賞を、また加藤久仁生監督の「つみきのいえ」が短編アニメ映画賞を受賞した。
 韓国映画や中国映画の勢いに一時は押され気味の感もあったが、日本映画も健闘している。
 昨年の邦画の国内興行収入は1173億円で、2000年に統計が発表されるようになって以来、最高を記録した。また国内興行収入に占める邦画の比率は57%に上る。アメリカ映画が世界を席巻する中で、この比率はとても高いと言える。
 しかし、今後の日本映画界が抱える課題も少なくない。
 昨年、興行成績の上位を占めた作品の多くは、テレビの人気番組を映画化したものなど主として国内向けの内容だった。日本映画の輸出額は年間約60億円で、輸入額の10分の1程度に過ぎない。
 昨年末に公開された米国映画の「アバター」が世界的に大ヒットし、立体映像の3D映画が注目を集めているが、この分野での今後の対応も問われている。
 一部の日本映画が国際映画祭で高い評価を得ている一方で、世界の映画市場ではその魅力がまだまだ十分に知られていない。
 政府は昨年末に策定した新成長戦略に基づき、映画などのコンテンツ産業の海外展開に向けての工程表の検討を始めている。
 人材育成や映画祭の拡充などを通じて、世界に通用する質の高い日本映画を育てていかなければならない。
ツイッターがヤフーと提携、「つぶやき」会員6億人に 急拡大を続けるが、その収益モデルは謎のまま(COLUMN1)
 ミニブログサービスの米ツイッターと米ヤフーは両社が提携して、ヤフーのサービスでツイッターの投稿情報を利用できるようにすると発表した。
 これによりユーザーはヤフーのポータル内で、自分がフォロー(追跡)しているほかのユーザーの「つぶやき」を読んだり、自分の発言を投稿したりできるようになる。
 ヤフーは米国で人気のあるSNS「フェイスブック」とも提携しており、それぞれのコンテンツを互いのサイトから利用できるようにしている。
 ユーザーの滞在時間を延ばし、広告収入の増大につなげたい考えだ。ツイッターとの提携もその一環で、ヤフーは様々なサービスのネットサービスを1カ所で利用できるようにするネットワークのハブ化を目指している。
MSやグーグルよりも広範な提携
 実は、米グーグルや米マイクロソフトもツイッターと提携している。両社はそれぞれの検索サービスで、ツイッターのつぶやきをリアルタイムで検索できるようにしている。
 ヤフーとの提携はそれをさらに推し進めたものとなる。ヤフーは、ポータルのトップページや、メールサービス、スポーツ情報ページといった様々なページでツイッターのつぶやきを閲覧できるようにする。
 またグーグルやマイクロソフトと同様につぶやきのリアルタイム検索も提供する。これまでヤフーはツイッターが一般公開しているアクセス手段を使ってつぶやきを表示していたが、その方法では、数分から数時間遅れた情報が表示されていた。
 新たな提携では、ヤフーがツイッターからつぶやき情報の供給を受ける。これにより数秒前に投稿されたつぶやきを順次表示できるようになる。
 こうした秒単位で検索結果が反映されるリアルタイム検索に新たな需要があると見込み、グーグルやマイクロソフトは数カ月前から取り組んでいた。ヤフーもようやくこの分野に進出したというわけだ。
ツイッターの収益モデルはいまだ謎
 ツイッターのユーザー数は5500万人とも言われ、日本でも政治家や芸能人の参加が進むなど、活況を呈している。しかしそのサービスは無料で提供しており、ツイッターは広告料も取っていない。
 つまり同社にはまだ確固たる収益源がない。ただ同社には将来性があると見られており、多額の投資を受け、運転資金も潤沢にある。そうした中、その収益モデルを巡って様々な憶測が流れている。
 2009年の終わりに、ツイッターの企業向け有料サービスが始まるといったうわさが流れメディアをにぎわしたが、結局その話は否定されたということがあった。
 同社共同設立者でエンジニアのビズ・ストーン氏はたびたびメディアの取材に答えて、サービスの有料化について否定し、広告モデルにも懐疑的な見解を示していた。ただ同氏は「黒字化できるかは分からないが2010年は収穫の年になる」と述べるなど、収益化について示唆している。
 ヤフーとの今回の提携について両社は取引内容の詳細を明らかにしていない。英フィナンシャル・タイムズなどの海外メディアは、「ヤフーに供給する情報の対価をツイッターが受け取る」というアナリストの観測を伝えているが、それが事実かは定かでない。ツイッターの収益モデルを巡ってはいまだ謎のままだ。
 広報、マーケティング、顧客サポート、あるいはメディアとしての活用など、今や様々な場面で利用されているツイッター。連携するサービスやアプリケーションは無数に登場し、その広がりはますます拡大しそうだ。
 ヤフーの全世界における登録ユーザーは6億人。140文字の瞬時情報ネットワークはこれまで以上の広がりを見せるのかもしれない。ビズ・ストーン氏は「ツイッターの情報ネットワークは拡大すればするほど、その価値は高まる」と述べている。果たしてその価値をどのようにビジネスに結びつけるのだろうか。



広告も140文字以内に=Twitter広告の概要明らかに
 Twitterが始めるという新しい広告の概要が少しずつ明らかになってきた。Wall Street JournalのブログAll Thins Digitalは関係者の話として、Twitterが開発中の広告プラットフォームはGoogleの広告に似た形になると報じた。それによると、広告はTwitter上で検索した際に表示され、通常のTwitterの「つぶやき」同様に文字数は140字以内に制限されるという。
 
 Googleは検索キーワードに関連する広告を検索結果のページに表示するが、Twitterも同様に検索の結果にのみ広告を表示する考えのようだ。タイムライン(TL)と呼ばれる友人の「つぶやき」だけを表示する情報の流れの中には広告は表示されないもよう。
 また広告は140文字に制限されるという。バナー広告や派手な広告でユーザーの注意を引くという方法ではなく、自然な形で他の「つぶやき」に混ざって表示されるようになるようだ。



ゲームで勉強、親も容認 IT世代「思考力身につく」
 ゲーム機を使った学習について、ほとんどの保護者が抵抗感を持っていないことが旺文社のアンケート調査で分かった。効果を認める保護者は半数を超え、否定派は1割未満。自分自身がゲームに慣れ親しんだ世代であることに加え、学校の授業などで使用される機会が増えたことで、学習教材として市民権を得ているようだ。
 調査は2009年8月に行い、3~12歳の子どもを持つ保護者669人が回答した。調査結果によると、「子どもにゲーム機で学習させたいと思う」と考える保護者は全体で約50%。「思わない」の同7%を大幅に上回った。「どちらともいえない」は同43%だった。
 「脳トレーニング」をうたったソフトなどを含め、自分自身がゲーム機での学習経験があるのは父親が43.6%、母親は58.4%。実体験がある保護者の方が、子どものゲーム機での学習を肯定的に考える割合が多かった。ゲーム機で身につく能力としては、間違い探しなどによる「関係性」を91.0%が挙げたほか、「思考性」(1けたの足し算など)、「論理性」(なぞなぞなど)を挙げる保護者が多かった。



国内全店で全面禁煙 グローバルダイニング、3月から
 日本料理店「権八」などを運営するグローバルダイニングは3月1日から、ほぼ全店を全面禁煙にする。厚生労働省が25日、全国の自治体に対し、飲食店を含む公共的な施設で全面禁煙を求める通知を出したのを受けた。英国風パブ「HUB」などを約60店運営するハブも順次、全面禁煙に切り替える。酒類を提供する店では極めて珍しく、喫煙対策が求められている飲食店で同じ動きが広がる可能性がある。
 グローバルダイニングは都内のバー1店を除く国内の全62店で実施する。店外テラスの客席は通知の対象外のため、喫煙席を引き続き設置する。同社は2002年、ブッシュ米大統領(当時)が権八の店を訪れたことで知られる。



AP、アップル「iPad」にニュース配信 加盟新聞社情報も
 【シリコンバレー=岡田信行】AP通信は26日、米アップルが3月に発売する多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」を含む様々な端末向けにニュース配信を始めると発表した。APだけでなく、APに加盟する新聞社などのコンテンツ(情報の内容)も配信する。新設する「APゲートウェイ」部門で料金体系など具体的なサービス内容を詰める。
 iPad向けには、アップルが1月に開いた製品発表会で米紙ニューヨーク・タイムズがコンテンツ配信を始めると表明したほか、電子書籍配信サービスを通じてペンギン・グループなど大手出版社5社がiPad向けの電子書籍を発売する方針を発表している。



バットマン、スーパーマンを超えた 39年米コミックス落札価格
 米国の競売会社ヘリテージ・オークションズは26日、米を代表するヒーローのバットマンがデビューした1939年5月の「ディテクティブ・コミックス」27号が25日に競売に掛けられ、107万5500ドル(約9600万円)で落札されたことを明らかにした。アメリカンコミックスとしては史上最高額。
 今月22日には、バットマンと人気を二分するヒーロー、スーパーマンが初登場した米コミック誌がネットオークションで100万ドルで落札されたばかり。わずか3日での記録更新となった。



ペット販売「8週齢規制」の行方(COLUMN2)
 生体を扱うペットコーナーを導入するHCもいまでは珍しくはなくなったが、このペット販売にも規制がかけられる可能性が浮上してきた。その規制とは、動物愛護管理法改正による幼齢のペット販売の禁止だ。現在、最も売れるといわれているペットは生後30~40日だが、規制が始まると「売れ筋」の幼齢ペットを販売できなくなり、ペットビジネスへの影響は避けられない。
 幼齢動物の販売は、すでに欧米先進国の多くで禁止されている。米国では連邦規制で、生後8週間以上の離乳済みの犬猫でなければ販売できないし、英国でも生後8週間に達していない犬の販売は禁止されている。このほか、ドイツ、スウェーデン、オーストラリアなどでも離乳以前の幼齢動物の販売が禁止されている。
 この規制は、動物の成長における社会化期にあたる生後8週間以前の販売を禁止しているため、「8週齢規制」と呼ばれることもある。犬の場合、社会化期以前に親から引き離すと、成犬になってからも、必要以上に臆病になったり、ほえたりかみつくことが多くなるなど、健全な成長の妨げとなることがある。このため生後8週間は親とともに育て、健全に成長させ、その後にペットとして販売するのが望ましいとされる。
 現在、わが国のペットショップでは、犬の場合、生後4週間程度で販売され、生後30~40日くらいの幼齢犬がよく売れる。小さな子犬の方が可愛らしく、より高い価格で販売されており、成犬に近づくのに伴い、価格は安くなる傾向にある。
 こうした販売事情を抱えるわが国に8週齢規制が導入されれば、ペットショップの販売への影響は避けられない。生後8週間以後から販売するのであれば、成犬になるまでの期間も短く、短期間で販売する必要がある。しかも成犬に近づけば価格を下げなければ売れない。動物愛護の観点から規制される幼齢動物の販売だが、ペットショップの営業面への影響は避けられない。商品とはいえ、扱うのは命ある動物である。他の商品と同様に扱えない問題である。
 幼齢動物の販売を規制する動物愛護管理法は、改正後5年をメドに見直される。前回の法改正は平成17年度(施行は平成18年6月)で、このときの法改正時期にも8週齢規制については、環境省の動物愛護部会で議論された。動物愛護団体から出された提案について検討されたが、ペットショップから「収入の低下が避けられない」など、強い反対意見が出された。議論の結果、このときは「8週齢には科学的根拠がない」という理由で、法規制は見送られた。
 動物愛護管理法を所管する環境省の動物愛護管理室では、動物愛護に関する調査を年に1回実施しており、平成22年度の調査結果が出された後に、次回の法改正のための検討に入る。そして、その検討の中で幼齢動物の販売規制が検討対象になるのは、確実な情勢だ。
 すでに、一部のペットショップの業界団体が「生後45日以下の動物は販売しない」という自主規制を始めているほか、ペットショップの現場では、ペットが殺処分されるのを見て、ショックを受けた店員が辞めるケースも出始めている。売上重視で動物への配慮のない店舗運営をすれば、ペットショップの現場にもさまざまな形で、その影響が及ぶのも現実である。ペットショップの売上減につながる規制だが、ペットショップの現場でも規制の必要性が徐々に高まっているようにみえる。
 環境への配慮が従来以上に問われるようになった昨今だが、動物愛護への配慮のないペット販売も問題視される社会的風潮は強まっている。規制される、されないにかかわらず、ペットの取り扱いには愛情がなければならない。購入者(飼い主)側の問題も浮上するなかで、ペット販売を取り巻く状況も変わってきている。
Govt, central bank must defang deflation
Although some positive signs about the nation's economy have emerged, deflation's grip on the economy is becoming ever tighter.
The nationwide core consumer price index fell 1.3 percent in January from a year earlier for the 11th consecutive month of decline. The index has dropped to its lowest level since March 1993.
Prices have largely fallen following the decline of high crude oil prices last summer. The rate of drop shrank for four consecutive months recently, but has, worryingly, once again started to expand.
Expectations that deflation will be defeated anytime soon have faded. As it stands, the nation's economy could be plagued by serious deflation for a long time, a situation that has shades of the financial recession of about 10 years ago.
A policy of the administration of Prime Minister Yukio Hatoyama to provide benefits to households will only have a limited effect in the fight against deflation. We think the administration should instead place greater priority on measures that will boost the economy and end deflation.
Prices dropped for all manner of goods, ranging from consumer durable goods, including home electrical appliances, to food and other daily necessities.
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Common goal
When prices continue to drop, company sales shrink and their profits decrease. The ensuing corporate belt-tightening often crimps wages and hamstrings household income. This stokes public reluctance to invest and buy goods. As a result, the prospect of a full-scale economic recovery decreases.
The government and the Bank of Japan have acknowledged that deflation must be overcome. Both want to see price growth "of about 1 percent."
However, they have not been in tune when it comes to taking concerted action to defeat deflation.
The government expects the central bank will implement additional monetary easing steps. Government officials, who attended the Bank of Japan's policy meetings, have urged the central bank to overcome deflation with flexible monetary policies.
Meanwhile, the central bank believes that weak domestic demand has been the primary cause of deflation. The bank wants the government to fight deflation such as by implementing fiscal measures.
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All hands needed on deck
Although the common goal of overcoming deflation is quite evident, the government and the central bank each give the impression that they would prefer to let the other lead the fight. Under such circumstances, even if Hatoyama and Bank of Japan Gov. Masaaki Shirakawa talk tough about beating deflation, their comments might lack conviction to the ears of the public.
The government and the central bank must swiftly deepen discussions on policy coordination and devise effective measures against deflation.
The government should not only continue to stimulate the economy by implementing fiscal measures, but also quickly flesh out growth strategies to strengthen corporate vitality. It also will be essential to secure a stable financial resource to meet social security costs--which will help alleviate people's anxiety about the future--and map out measures that will encourage households to unlock their savings and spend their cash.
However, there is a fear that long-term interest rates could rise if the additional issuance of government bonds continues to gnaw at the state's financial health. The central bank should consider further quantitative monetary easing, such as purchasing more government bonds.
iPhoneアプリの売れ行きを左右するすごいブログ(COLUMN)
 アップルのスマートフォン「iPhone」向けアプリケーションを紹介する「AppBank」というブログメディアがある。一般にはそれほど知られていないが、AppBankで取り上げられたことで無名のアプリが急に販売を伸ばす例も出ており、iPhoneユーザーやアプリ開発者に大きな影響力を発揮し始めている。
 AppBankのメディアとしての実力を物語るのが、2月22日に東京のアップルストア銀座店で開催されたゲーム開発者向けセミナーだ。筆者も運営に関係している国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)が主催したものだが、AppBankの運営者である村井智建氏を講師に招いたところ、80席の会場は開始前に満席となり、立ち見でいっぱいに。最終的には入場制限がかかるほどだった。
■数万本のアプリを売るパワー
 AppBankがこれほど注目されているのは、iPhone向けアプリを実際に万単位で売るパワーを持っているためだ。AppBankがアプリを取り上げるかどうかが販売実績にリアルに連動するという意味で、アプリ開発者にはすでに無視することができない存在となっている。
 AppBankは08年6月に、「iPhoneアプリをおすすめするAppBank」というサイト名でスタートした。その名のとおり、有名無名のiPhoneアプリのレビュー記事で構成されたサイトである。昨年2月時点ではまだ月間100万ページビュー程度だったが、昨年10月にiPhone用の専用ビューワーアプリをリリースすると、一気に1312万ビューに跳ね上がった。ページビューはiPhoneの普及に連動する形で上昇を続けているようで、今年1月は1700万ビューを稼いでいる。
 村井氏によると、「AppBankを始めたのはそもそも、自分もiPhone向けアプリのソフトウエア会社として儲けるためだった」という。メディアを持っていた方がアプリの販売時に有利と考えたわけだが、そうとは思えないほど内容は充実している。
■アプリの低価格化でユーザーに起きた変化
 iPhone向けアプリは超供給過剰で、成功している企業は一握りに過ぎない。米情報サイト148Apps.bizによると、総アプリ数は18万本を超え、毎日平均702本増えているという。ゲームだけでも約2万4000本あり、1日に80本ずつ増えている。しかも、そのうち25%は無料アプリで、有料アプリでも約6割は販売単価が1~3ドルと低い。これがアプリ開発者の大きな悩みとなっている。
 この低価格化問題について村井氏は、ユーザー側の視点から別の見方を示す。「コンテンツの消費スピードが加速する」という新たな消費スタイルを生んでいるというのだ。
 村井氏がイメージするAppBankのユーザー像は、「何もすることがないとき、暇つぶしにAppBankを見る。そこで何となくおもしろそうなアプリがあればダウンロードして、おもしろくなければ、すぐに消してしまう。何となく遊んで、何となく消すの繰り返し」と語る。アプリ価格が極端に安いので、ユーザーは「捨てることに対して抵抗感がまったくない」という。1日にアプリを10本ダウンロードしているユーザーも少なくないようだ。
 AppBankを経由したアプリ販売が特に伸びる時間帯がある。毎日昼前に掲載している「セールアプリ情報」の記事の直後だ。アプリ開発者はよく有料ソフトを値下げしたり一時的に無料にしたりして、ユーザーを増やそうとする。そのお買い得情報は通常ユーザーが自力で探すしかないのだが、AppBankは毎日1時間半あまりをかけてアプリ販売ストア「AppStore」を丹念に調べて、セール情報を記事にまとめている。この記事だけで、1日のアクセス数の8%を占めるほどの人気ニュースだ。
 村井氏は、「ユーザーはセールという言葉が本当に好き」と話す。セールのタイミングをうまく仕掛けることで、何万本もの売り上げにつなげているソフトはいくつもあるという。ユーザーにとって、AppStoreは「無料だし、安いし、毎日セール」の世界であり、それに合わせたアプリの販売手法はまだいろいろとあるのかもしれない。
■AppBankの収益源はアフィリエイト
 AppBankは現在、専任スタッフ2人を含め8~9人で運営している。どこで収益を上げているかといえば、アフィリエイト収入だ。アップルはリンクシェアという企業を通じて、AppStoreで販売するアプリ用のアフィリエイトプログラムを提供している。AppBankのリンク経由でAppStoreの売り上げにつながった場合、アプリ販売収入の4%がAppBank側に入る。
 AppBankはこのアフィリエイト収入だけで運営費をまかなっている。つまり、アフィリエイトという単価の極端に低い商売でもスタッフを養えるほど、AppBank経由のアプリ販売は多いということだ。村井氏自身も「AppBankの最大のライバルはAppStore」と語っているが、類似のサイトは日本はもちろん海外にも見当たらない。
■村井氏が開発したiPhone向けアプリとは
 その村井氏がAppBankで得た利益をすべてつぎこんで開発したというiPhone向けアプリが2月26日、配信開始になった。トランプゲーム「ポケットベガス」だ。最初のバージョンは「ソリティア」で基本料は無料、ネットワーク対戦が有料となっている。
 AppBankの経験でiPhone向けアプリを肌感覚として知るだけに、ポケットベガスはアプリ販売を有利に展開するための工夫が随所に盛り込まれている。
 まず、誰でも知っているトランプゲームの「プラットフォーム」アプリである点だ。これは、ルールのプログラムさえ変えれば、いくらでもゲームのバリエーションを増やせる利点がある。また、他のユーザーとのネットワーク対戦を前提に開発しており、「ソーシャルゲーム」の機能も持たせた。ネットワーク対戦用に何らかの形で「ポイント課金」を導入することも想定しているようだ。
 村井氏は、「AppBankはポケットベガスで成功するための壮大な仕込み」と言い切る。AppBankの影響力をポケットベガス普及のために貪欲に活用していくようだ。
 既存のゲームメディアやゲーム誌は、ゲーム会社の広告に依存するため、編集の自由度を確保するのに苦労する。AppBankはアフィリエイトという別の収益源を見つけたことが、他のゲームメディアとの決定的な違いといってもいい。
 AppBankは海外からの要望が高いこともあり、年内に英語版を立ち上げる予定という。iPhone向けアプリ市場は収益確保や持続的な成長が極めて難しいと考えられているなかで、日本で確立した「しくみ」を世界に広げることができるか。楽しみな挑戦になりそうだ。



工作機械生産額、日本27年ぶり首位転落 09年、トップ中国の半分
 日本の工作機械の生産額が世界首位から27年ぶりに陥落した。日本の生産額は2009年に08年比57%減の58億ドル(約5200億円)に落ち込み、9%増の109億ドルに伸ばした中国に一気に抜かれた。その差はすでに2倍近くに開いており、首位の座を取り戻すのは容易ではない。金属を様々な形に加工する工作機械で、世界のものづくりを支えてきた日本の製造業が、大きな転機を迎えている。
 データは米調査会社のガードナーと日本工作機械工業会(東京・港)が作成。日本は1982年に米国を抜いて以降、ずっと首位を守ってきたが、09年にはドイツも下回り3位に転落した。ドイツの生産額は35%減の78億ドル。ユーロ安で輸出競争力が向上し、減少率が日本より小さかった。



ジョブズ・アップルCEO、株主総会復帰 財務の安定「不可欠」
 米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は25日、2年ぶりに同社の株主総会に出席、「世界中の人が欲しがる製品を作り続ける」と訴えた。「挑戦し続けるには財務の安定が不可欠」と強調。好業績で約400億ドルに積み上がった余資を株主還元や大型企業買収ではなく、次の技術に投資して企業価値向上で期待に応えるとした。
 ジョブズ氏は2009年1月に病気療養を発表し、昨年の総会を欠席。その後、肝臓移植を受けたことを明らかにした。同氏の体調がアップルの株価下落要因にもなっただけに、ややふっくらした姿での登壇に株主から大きな拍手が寄せられた。
 総会は米カリフォルニア州クパチーノ市の本社で約1時間半にわたり開催。環境対策をめぐる質問が相次ぎ、社外取締役で環境保護活動に熱心なアル・ゴア元副大統領の評価をめぐる議論が交わされた。



安さ・エコで新興国開拓 日用品でライオンやユニ・チャーム
 日用品大手が環境対応型の低価格製品を新興国、アジアで生産販売する。ライオンは海外で珍しい植物系成分の洗剤を今秋からタイなどで投入、マレーシアに約100億円で専用工場を建設する。ユニ・チャームは中国で薄型の紙おむつ生産を始め、現地品並みに価格を抑えて原料使用量も減らした。海外生産による低コストと独自の環境技術で、現地メーカーや欧米大手に対抗。消費をけん引する中間層を狙った新興国攻略が自動車や家電以外の生活関連企業に広がってきた。
 ライオンは植物系の洗浄成分を使った衣料向け粉末洗剤をタイ、マレーシアと韓国で販売する。通常は石油系のため、環境に配慮した植物系「トップ」(商品名)はすでに国内では売れ筋。今回が初の海外生産となる。



中国高級車製造を買収 吉利、「ボルボ」取得に備え
 【北京=多部田俊輔】中国民営自動車大手の浙江吉利控股集団は26日、高級車や商用車を手掛ける浙江中誉汽車を買収すると発表した。吉利は低価格の小型車を得意とするが、米フォード・モーターから同社傘下の高級車ブランド「ボルボ」(スウェーデン)を買収する交渉を進めている。今回の買収によって高級車事業の体制を整備し、ボルボ買収に備える狙いだ。
 吉利はコングロマリット(複合企業)の浙江中誉集団から中誉汽車の全株式を取得する。買収金額は公表していないが、自社株との交換で取得するという。年産能力2万5000台の浙江省杭州市の工場のほか、研究開発部門や販売網なども取得する。
 吉利は中誉買収にあわせて3億5000万元(約45億円)を投じ、杭州市に技術開発センターを建設する。衝突安全性の試験を手掛ける計画で、ボルボ買収後に同ブランド車の国内開発拠点などとして活用するとみられる。



インド成長回復鮮明 09年度GDP7.2%増見込む
 【ニューデリー=長沢倫一郎】インド政府は26日、2009年10~12月期の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比6.0%だったと発表した。干ばつで農業生産が落ち込み個人消費も一時的に鈍化したが、ムカジー財務相は09年度(09年4月~10年3月)の成長率を7%超と予想。製造業がけん引する形で成長軌道への回帰を鮮明にした。政府は景気対策を縮小して財政健全化にかじを切る10年度予算案を議会に提出し、印経済は金融危機対応から「出口」へ本格的に動き出した。
 「経済は1年前に比べてはるかに良い状態にある」「今年度の成長率は7.2%かそれ以上になる」――。26日、議会で演説したムカジー財務相はこう言明した。
 この成長率見通しは、10年1~3月に8.8%の高成長に戻ることを意味する。「6%」は09年4~6月の6.1%とほぼ同水準で、同年7~9月の7.9%からは鈍化したものの、1~3月の5.8%以後は底入れしている。09年1~12月の通年でみた成長率は6.4%。
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