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エリア整備の先が見えてきたUQ WiMAXの今後(COLUMN1)
 トライアルサービスを開始してから1年が経過したUQコミュニケーションズのモバイルWiMAX事業「UQ WiMAX」。この1年はカバーエリアの問題で苦しんだが、徐々に解消の兆しも見えつつある。そこで2010年2月26日に開催された報道関係者向け説明会から、UQ WiMAXの現状と今後について展望してみる。
エリア、端末共に充実が進む
 2月26日、UQコミュニケーションズは報道関係者向けの説明会「UQコミュニケーションサロン」を開催。この1年間の取り組みと今後についての説明を行った。
 まず、長い間課題とされているエリアについては、2月末で5985局、3月末で7000局の開局を見込んでおり、地域も47都道府県、417市区町村にまで広げているという。
 UQコミュニケーションズの田中孝司社長は、「1年前は繋がると速いが、切れたら繋がらない『天国と地獄』と言われた。しかし最近ではエリアについてのクレームは少なくなってきている」と述べた。
 また、端末については、従来のデータカードだけでなくモバイルWiMAXのモジュールを内蔵したパソコンが8メーカー27機種にまで増加。今後も搭載機種は増加するとのことで、モジュール不要で利用できる環境も整えてきている。
 さらにMVNOも、家電量販店を中心に36社にまで拡大。こうした環境整備によって、加入者の伸びも加速しているといい、一部量販店の店舗ではシェア1位になることもあるとのことだ。
基地局整備にモバイルWiMAXならではのメリット
 これだけ急速に、基地局整備が実施されたのには、3Gとは異なるモバイルWiMAXならではのメリットがあるという。
 通常、基地局の設置で最も時間がかかるのは、エリアを選定して設置するビルのオーナーとの交渉や契約をするところだ。3Gの場合、それが解決したあとも、基地局設置の工事をして、電波を発射するまでに数カ月はかかるという。だがモバイルWiMAXであれば、工事から電波発射までが、1、2週間と短期間で済むという。これが、急速に基地局設置を進められる理由になっているというのだ。
 インターフェースや各種機能がオープン化されていることも、基地局整備にとってメリットとなっているようだ。
 基地局はすべて1つのメーカーのものを採用するのが一般的だが、UQ WiMAXでは、従来採用していたサムスン製に加え、新たにNEC製の基地局も採用し、併用している。こうした試みは世界初。複数メーカーを採用することで、リスクヘッジにもつながる。
 今後はより小型の屋内用基地局を導入したり、レピーターを導入したりすることで、屋内の対策も進めていく方針だ。また都市部では、基地局の電波を3分割して発射する「3セクタ方式」、地方では1つの電波を発射する「オムニ方式」を採用するなど、密集度の違いに応じて電波の発射方法も変えているという。
速度・容量面でのメリットとは
 もう1つの重要な要素である速度はどうだろうか。
 田中社長は、通信速度の理論値は周波数帯域、変調方式、MIMO(複数のアンテナで同時通信することで高速化する技術)の3つで、実際の通信速度は電波の強さとクリアさで決まると説明した。
 理論値については、モバイルWiMAXが下り最大40Mbps、NTTドコモなどが今年導入するとされている次世代の通信規格「LTE」が下り最大100Mbps。だが、田中社長は、「LTEでも周波数帯域が5MHz×2、変調方式が64QAM、MIMOが2×2という環境であれば、現行のモバイルWiMAXと大きな速度差はない」と話した。
 また実際の速度について、UQ WiMAXは電波の強さを示すRSSIの値を、-85dBと通常より厳しい基準にすることで、速度品質を維持しているとのこと。
 さらに現在は、システムのチューニングによる速度の向上にも取り組んでおり、最大速度が従来下り約15Mbps、上り約3Mbpsであったのが、下り約20Mbps、上り約5Mbpsになるようチューニングが進められている。
 そしてもう1つ、速度に大きな影響を与えるのが通信容量だ。UQ WiMAXは元々10MHzと、3Gよりも大きな帯域幅が割り当てられている。加えてデータ通信のみのサービスであり、交換機を経由せず光ファイバーを直接基地局に繋いでいることから、3Gよりもボトルネックが少なくなっているという。田中社長は、iPhoneがソフトバンクモバイルのネットワークに影響を与えているという例を挙げ、今後は通信容量が事業者の評価につながっていくのではないかと述べた。
それでもエリアは重要課題
 今後の取り組みについては、先に触れた小型基地局やレピーターによる屋内エリアの拡大、かねてから触れられていた国際ローミング、次世代規格の「IEEE802.16m」の商用化、法人チャネルを中心とした販路の拡大などが挙げられた。
 UQ WiMAXは、需要の多い都市部のエリア整備にある程度、目処が立ってきたことで、エリアの話に終始していた昨年と比べ、ようやく“その先”の展開を見せられるようになってきた。
 従来のようなエリア状況では、敷居が低く拡販につながるUQ Stepの提供や販路拡大への取り組みは逆効果になりかねなかった。それだけに、今回の変化は大きい。
 同説明会では新しいテレビCMが紹介されるなど、CM展開に再び力が入れられている様子も見ることができた。こうした所からも、本格的な規模の拡大につなげたいという意欲を見ることができる。
 だが、新しいCMの一部で「すでに全国区」とうたっているものの、多くの県では県庁所在地しかカバーされておらず、実用性では疑問符を付けざるを得ない状況だ。少々“背伸び”をしているのではないかと感じてしまうのも正直なところであった。
 これまでエリアで苦しんだ同社だけに、エリアカバーの重要性は重々承知しているはず。携帯電話キャリアのように、自社で上位レイヤーのサービスを提供しない“土管屋”になると言い切っているのだから、足下を固める努力を徹底して進めてもらいたい。



韓国ではキム・ヨナ選手が火を付けたTwitterブーム(COLUMN2)
 世界で利用が急増し、つぶやきで情報が駆け巡るミニブログ「Twitter(ツイッター)」現象は韓国でも例外ではない。2月9日午後6時に首都圏で起きた震度3の地震も、テレビやネットのニュースより先にTwitterで情報が広がった。
 地震観測が始まった1978年以降、ソウルを中心とする韓国首都圏で揺れが感知されたのは3度しかない。震度3は初めてのことで、「これは本当に地震なのか?寝ぼけているのか?」といったTwitterの書き込みが約10分間で2000件ほどに達した。その後テレビのニュース速報で地震が報道された。
 日本でもニセ首相が登場したように、韓国でもTwitter上にニセ大統領が出現した。韓国企業が運営するウェブサイトは住民登録番号の入力が必要でなりすましは罰金刑になるが、Twitterは海外サービスであるため処罰の対象にならない。ニセ大統領もハプニングとして終わった。ネット実名制の枠外でコミュニケーションができるのもTwitter人気の一つの側面である。
 韓国でTwitterが知られるようになったのは、フィギュアスケートのキム・ヨナ選手が使い始めた2009年5月だった。09年1月にはまだ1万人ほどだったユーザー数が、5月には58万人に増えたほどだ。頻繁に更新しているわけではないが、キム・ヨナ選手のフォロワーになるため加入が急増し、10年2月下旬時点で9万3279人のフォロワーが登録されている。ファンたちは彼女が残す「この週末は食べ過ぎてしまった~~」といった日常の一言に熱狂したり大騒ぎしたりしている。
 2月24日、バンクーバー冬季五輪フィギュア女子ショートプログラム(SP)の競技中は、芸能人や国会議員までが「演技に感動」「泣いた」といった感想をつぶやき、実況中継のようににぎわった。
■「海外サービスの墓場」で異例の成長
 韓国では「Cyworld」というソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)がもっとも人気だったが、04年を境に衰退していった。写真を載せてアバターをドレスアップし、友人に毎日挨拶しなくてはならないといった付き合いに疲れてしまったからだ。
 米国などのSNSも流行っていない。韓国は「海外ネットサービスの墓場」と言われるほど、国内ネット企業が強い。GoogleもMyspaceもFacebookも利用が伸びず、Myspaceは結局韓国から撤退した。ところが、Twitterだけは特別で、韓国向けに特別なサービスをしているわけでもないのに、ユーザーは増え続けている。
 通信事業者をはじめ企業も広報活動の一つとしてTwitterでユーザーの不満や質問を受け付けている。企業にもTwitterは特別という意識があるようで、通常のコールセンターや窓口では相手にされないような些細なことでも、Twitterに書き込めば素早く対応してくれると好評だ。
■選挙への利用で論戦
 韓国では今年6月に地方選挙が行われる。政治家にとってもTwitterはブログと並ぶ必須アイテムで、日ごろからネットユーザーを味方につけようと必死になっている。ところが、選挙管理委員会は、Twitterを選挙の事前活動に利用してはならないとの告知を出した。Twitterは電子メールと同様、書き込んだ内容がフォロワーに送信されるため事前選挙運動に当たるという理由で、「候補者として登録した者であり、選挙運動期間中であれば自由にTwitterに書き込んでフォロワーに送信できるが、フォロワーはそれを他のユーザーに再送信してはならない」という。
 選挙管理委員会の判断は電子的手段を使った事前選挙運動全般に当てはまるもので、「Twitterだからダメ」というものではない。しかし、Twitterに熱心な野党議員らは反発し、「Twitter自由法」というものを主張し始めた。野党側は、07年の大統領選で動画投稿サイトを使った選挙運動が規制されたことなども引き合いに出し、「選挙管理委員会は社会の流れを理解していない」と主張している。
 韓国でも地方選は投票率が低迷する傾向にある。「若い世代の選挙への関心を高めるのにTwitterは有効」という野党の意見にも一理はあるが、Twitterだけを特別扱いするのは難しい。そもそも「ネットだから特別」「過去にないサービスだから特別」といった考えがもう古いのではないか。表現の自由や選挙の公正といった原点に返って、冷静な議論を望みたい。
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Can Beijing grow at 8% and prick housing bubble?
The Chinese government faces a difficult balancing act this year as it aims to pursue continued fast growth without overheating the economy.
At the annual meeting of the National People's Congress--China's parliament--which opened Friday, the country's leaders said they will target growth of 8 percent in this year's gross domestic product.
Beijing also said it will create more than 9 million jobs to hold unemployment at under 4.6 percent while pegging consumer price rises at about 3 percent. These figures apparently are considered necessary to maintain social stability across the nation.
To achieve these targets, China is planning to continue with a large-scale public spending package this year and to maintain a relaxed monetary policy in principle.
China achieved high economic growth of 8.7 percent last year while all of the developed economies were badly hit by the global economic crisis that began in autumn 2008.
Beijing probably will be able to achieve its goal of 8 percent growth this year by continuing its aggressive economic stimulus measures.
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Property bubble growing
China looks set to replace Japan sometime this year as the world's second-largest economy after the United States, based on total GDP. Beijing should take heed of that and manage its economy in an appropriate manner.
However, the Achilles' heel of the powerful Chinese economy is a property bubble covering the entire country. So-called "hot money"--speculative funds from Chinese living overseas--is greatly inflating house prices.
In big cities such as Beijing and Shanghai, prices of condominiums and other real estate have soared to a level ordinary citizens will never be able to afford. Unwilling to give up on their dreams of owning their own house, they have grown deeply frustrated with the situation.
To deflate the bubble economy, it is necessary to squeeze credit to a certain extent and restrict speculative purchasing of property. However, if such measures are applied too strictly, the economy might contract. It is very difficult to achieve growth while pricking the property bubble.
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Rural poor must be assisted
Redressing the economic disparity between urban residents and rural farmers remains a significant task to be addressed.
China said at the legislature meeting it will spend more than 800 billion yuan on developing agricultural infrastructure to improve the situations across the agricultural sector and in farming villages, and of farmers.
This move also is apparently aimed at improving the nation's agricultural production capacity and increasing the incomes of farmers.
Meanwhile, it should be noted that before the opening of the congress meeting, 13 newspapers around the country carried a joint editorial calling for the reform of the nation's household registration system. They said the government should introduce reforms to tackle discriminatory residency rules that give farmers who come to cities seeking work fewer rights than the original residents of such cities.
Because each citizen's residency status is strictly tied to their hometown, the system has resulted in more than 100 million migrant workers and their families from farming regions being treated in unfair ways, including being denied social welfare coverage in their adopted cities. Beijing must tackle this problem head on to ensure stability across the nation.
骨抜きで終わらせてはならない ラジオのネット同時放送解禁(COLUMN)
 AM、FM、短波の民放ラジオ局13社が3月中旬から、地上波と同じ放送内容をインターネットでもサイマル(同時)放送する。一見すると業界全体で「放送と通信の融合」に踏み切る英断のようだが、実は大事な点が欠けている。
■ネット配信だが聴取エリアを限定
 ネットでの同時放送を開始するのは、関東のTBSラジオ、文化放送、ニッポン放送、ラジオNIKKEI、InterFM、TOKYO FM、J-WAVEと、関西の朝日放送、毎日放送、ラジオ大阪、FM COCOLO、FM802、FM OSAKAの合計13局である。3月15日に開始し、8月31日までの試験期間を経て実用化するという。
 今回の最大の問題は、配信対象地域がこれまでの地上波の聴取エリアに限定されるということだ。つまり大阪の人が東京のTBSラジオを聞くことはできないし、東京の人が大阪の朝日放送を聞くこともできないのである。
 なぜこうした中途半端なことが起きるのか。それは元々の放送免許がエリア限定で与えられており、ネット配信もそれを超えないようにするという理由のようだ。しかし、せっかくインターネットを利用するのであれば、電波行政や地域独占の既得権に拘束されることなく、すべてのラジオ局が番組内容で適切な競争をすればいい。実際、他地域の放送を聞きたいというリスナーは少なからず存在しているし、それを拡大させる努力をすればいいだけではないか。
■ラジオ局がネット解禁に踏み切る理由
 今回の試みを推進しているIPサイマルラジオ協議会(https://www.radiko.jp/)のリリースには、「近年、都市部を中心に 高層建築、モーターなどの雑音源の増加などによりラジオの聴取環境は著しく悪化しています。こうした難聴取を解消していくと同時に、より魅力ある音声メディアの姿を追求していきます」とある。つまり難聴取対策が目的のように書いてあるが、それだけでは決してない。
 ラジオ局がネット配信に踏み出す最大の理由は、広告費の急速な落ち込みにある。先ごろ電通が発表したデータによると、2009年のラジオ広告費は前年比11.6%減の1370億円で、ピークだったバブル期から比べると4割近く減少した。こうした落ち込みをカバーするための試みの1つが今回のネット配信だ。全国配信には技術的な課題や契約面での問題も多いが、それを乗り越えずして新たな広告収入を得ることはできない。
■CM、権利処理など課題は多いが・・・
 全国配信するにあたっての課題の一つはCMだろう。広告主や出演者、制作者側はその利用範囲(放送範囲)を限定してくることが多い。広告主としては顧客がいないところにCMを流しても意味がないし、出演者側も露出が増加することによるタレントの商品価値の低減や、競合する広告主のCMに出演する機会が減るといった問題があるためだ。
 仮に、広告主や出演者が全国配信を許諾したとしても、すぐに広告費に換算してCM料金を引き上げることは難しいだろう。ラジオ局側としては当面はサービスとしてエリア外にCMを流すことになるが、通販などを組み合わせて売り上げを伸ばすといった手はある。
 今回のネット放送はIPアドレスから地域を割り出して配信を限定するようだが、それが可能であれば、逆にエリア外の聴取者にはその地域向けのCMに差し替えることも技術的には可能である。もちろん現実には各局のCMを管理しているシステムを相互接続する必要があり簡単な話ではないが、それで立ち止まっていては意味がない。
 著作権の問題も当然出てくるが、これも関係者が努力するしかない。インターネットの時代には損失以上のメリットを広告主、出演者、権利者、制作者がそれぞれ理解する必要がある。まずはオープンにして、具現化した損失を公正に補償すればいいのではないだろうか。
■地域性を維持しながら全国展開を
 ネット放送の利便性は非常に高い。協議会がいうように、都市部ではラジオの受信環境は確実に悪化している。たとえばTOKYO FMは「iPhone」のアプリケーションを経由してすでにネット放送を実施しているが、移動中の電車の中や地下街などでは、放送電波よりも受信状態が良好なケースがかなり多い。逆に、ネット放送では遅延が発生するため時報が流せないとか、緊急地震速報が間に合わないといった危惧すべき点があることは聴取者も含めて周知しておく必要はある。
 ラジオ局にはエリア撤廃で完全競争に突入することに対する危機感が強いが、それを克服するにはラジオの持つ地域性を維持しながら聴取者を全国に拡大することしかない。コミュニティーFM局である湘南ビーチFM(http://www.beachfm.co.jp/)は、湘南という地域ブランドをうまく活用しながら、スタジオから見える江ノ島や富士山の映像をネット経由で放送して全国から聴取者を得ている。街の声、街の音、街の風景としてのラジオは、ネットにこそふさわしいメディアであるはずだ。
 今回のようにエリア限定という骨抜きのネット放送で終わらせるようでは、ラジオの将来は暗い。試験期間中にインターネットという配信経路の有効性と利便性が明らかになり、それがラジオ局の収益増に貢献することが確認されることを期待したい。
 電通の調査では、09年のテレビ広告費は1兆7139億円で前年比10.2%減。過去10年間で2割近く減少している。ラジオの置かれた状況は対岸の火事ではなく、テレビの問題でもある。



米グーグル、中国での検索事業から撤退か 英紙報道
 【シリコンバレー=田中暁人】英紙フィナンシャル・タイムズは13日、インターネット検索最大手の米グーグルが、中国でのネット検索サービスを閉鎖する計画だと報じた。検閲無しでのネット検索サービス運営を中国政府に求めていたが、交渉が行き詰まっているため。関係者によると「99.9%」の確率で同国の検索サービスを閉鎖するという。同問題を巡っては米政府も中国を批判しており、グーグルがサービスを閉鎖すれば波紋が広がりそうだ。
 同紙によると、中国で展開する中国版検索サービスの「Google.cn」を閉鎖する。
 ただし、研究開発など検索以外の業務は継続する可能性が大きく、上海や北京などの拠点や、中国内の従業員らは維持するとみられる。



米大統領のアジア歴訪延期、「ツイッター発表」で波紋
 オバマ米大統領のアジア歴訪の延期をホワイトハウスのギブズ報道官がミニブログのツイッターで明らかにしたことを、野党やメディアが「誤報につながる」「相手国に失礼」と批判した。ギブズ氏は12日の記者会見で「ツイッターは手軽。もっと頻繁に使う」と反論。情報伝達のあり方を巡る論議に発展しそうだ。
 オバマ氏の側近にはツイッターの常連が多いが、問題は重要事項の発表に使うかどうか。ツイッターにはギブズ氏と同姓同名の登録者が多数いて、あやしげな政界情報を書き込む例もある。支持率低下を受け、論評されることなく有権者に言い分を伝える方法にホワイトハウスが傾斜したと米メディアはみる。
 オバマ氏の記者会見は支持率が下がり始めた昨年7月を最後に開かれていない。イラク戦争の是非を問われ、マスコミ嫌いになったブッシュ前大統領の記者会見なし記録は最長214日。オバマ氏は12日で233日になった。


銀行の国債保有最高 1月末126兆円、資金需要が低迷
 国内銀行の国債保有が過去最高を更新している。今年1月末の残高は126兆4千億円と、2008年秋の金融危機から1年余りで1.5倍に膨らんだ。企業の資金需要が低迷し、預金で集めたお金を貸し出しではなく、国債に振り向ける傾向が強まっている。国債相場の安定にはつながっているものの、銀行本来の役割を果たせていないとの指摘もある。一部の地方銀行では国債保有が増え、金融庁の「金利リスク基準」を超えたもようだ。
 日銀の統計によると、リーマン・ショック直後の08年9月末の銀行の国債保有残高は83兆4千億円だったが、その後は増加傾向が鮮明になっている。保有残高は大手銀、地銀ともに、毎月のように過去最高を更新している。



企業資金、投資に回らず 滞留26兆円最大に、10~12月年換算
 国内企業が手元にお金をためておく傾向が強まっている。営業活動で稼いだお金から、投資に使った費用などを差し引いた「純現金収支(フリーキャッシュフロー)」は2009年10~12月期に、年換算で26兆円と過去最大に膨らんだ。企業の収益力が回復してきたのは好ましいとの見方もできるが、景気の先行きへの不透明感などから新規の投資には慎重になっている姿も浮かび上がる。
 国内企業が商品やサービスの売り上げなどで稼いだ金額を示す営業キャッシュフロー(CF)は、09年10~12月期に59兆円になった。財務省が公表している法人企業統計をもとに伊藤忠商事が算出したもので、09年1~3月期は47兆円まで落ち込んでいた。多くの企業が過去最高益を更新していた07年1~3月期(73兆円)に比べると、水準はまだ低いものの、回復基調にある。



「デジタルフォトフレーム」100万台突破 市場急拡大
 デジタルカメラなどで撮影した画像を表示できる写真立て「デジタルフォトフレーム」の2009年の国内販売数が前年比4.2倍の約110万台に達し、初めて100万台を突破した。
 調査会社Gfkジャパンが推計した。07年は約2.9万台だったが、08年にソニーが再参入し、09年には富士フイルムも新たに加わり、わずか2年間で市場が急拡大した。



海外美術品の所有権保護、政府・民主が法案検討
 政府・民主党は日本の美術館などが海外から借りた作品をほかの国に差し押さえられないようにする「海外美術品等公開促進法案」を今国会にも提出する方向で検討に入った。日本での展示中に美術品を貸した国とは別の国が所有権を主張して取り戻そうとする動きを封じ、海外の美術館が安心して日本に作品を貸し出せるようにする。
 戦時中の混乱などで所有権が不明確になった海外の美術品の場合、展覧会での展示を機に元の所有者が作品を取り戻そうとすることがある。台湾の故宮博物院が中国による所有権の主張を懸念して収蔵品の日本への貸し出しに難色を示すなど、国際文化交流の妨げとなるケースもみられる。



日経社説 資源高による景気失速に警戒を怠るな(3/14)
 原油、鉄鉱石など幅広い資源が値上がりしている。要因は投資資金だけではない。各国が危機対策として供給した資金は中国などの新興国に流入し、資源の過剰な買い付けにつながった。原燃料高は日本の企業収益を圧迫し、回復途上の景気を失速させる恐れがある。
 米原油先物は1バレル80ドルを上回り、前年同期と比べ7割高い。2008年夏に記録した147ドル台の最高値から見れば安いが、リーマン・ショック前との景気実態の違いや、産油国が大幅な減産を継続しても在庫が減らない需給の緩みからは乖離(かいり)した高値といえる。
 価格上昇には第一に、年金やヘッジファンド、個人投資家が原油など国際商品への投資を増やし、欧米の商品先物市場に資金が流入した要因がある。米原油先物でファンドの買い越しは1月に13万5千枚(1枚は1千バレル)と過去最高に拡大し、直近でも10万枚を超す。
 証券取引所で売買する上場投資信託(ETF)を通じた資金流入も目立つ。金やプラチナ、原油などの価格に連動するETFの運用残高は世界で7兆円を超え、東京や大阪の証券取引所に上場する商品ETFの数も今月中に11から25に増える。
 投資家にとって、株式や債券以外に運用対象が増えることは分散投資に役立つ。ただ商品市場への急激な資金流入が価格の乱高下や実体経済への悪影響につながらないように、政府は各国当局と協力して監視する必要がある。
 資源や食糧の消費で世界の3~5割を占める中国の影響は大きい。そこに米国など先進国で余った資金が流入し、需要を刺激する構図にも注意すべきだ。
 非鉄金属市場で銅が最高値圏の1トン8千ドル台に迫るのは、中国の景気刺激策や備蓄増強とともに、投機的な買い付けが影響している。中国の昨年の輸入量は銅が08年の2倍、亜鉛が4倍に急増した。
 現物市場で売買する鉄鉱石の価格は、今年度の国内鉄鋼各社の契約価格より9割高い。鉄鋼大手と豪州資源大手が55%の値上げで合意した原料石炭に続き、4月以降の価格引き上げは避けられない情勢だ。
 製紙原料パルプの輸入価格は主産国チリの地震被害も加わり、昨年初めに比べて4割以上上がった。
 新興国経済の強さは日本の輸出を増やし、景気を下支えしている。しかし製品価格に下げ圧力が強い中で原燃料高が続けば、やがて企業収益とともに景気を下押しする可能性に警戒は怠れない。
ソニー復権への道--熱烈なファンの期待に応えることはできるか(COLUMN)
 ソニーはいつからか、家電業界のChicago Cubsとでもいうべき存在になった。つまり、才能ある選手をそろえながら、ワールドシリーズにつながらない道を歩んでしまうチームという意味でだ。
 20年前であればもちろん、そのように例える人はほとんどいなかっただろう。しかしその後、数多くの期待はずれが続いた。世界的に見れば、かつて携帯音楽プレーヤーの王者だった「WALKMAN」は、「iPod」にその座を明け渡した。「Reader」は、Amazonの電子書籍端末「Kindle」より前に登場したが、すぐにKindleに追い越された。同社の大ヒットゲーム機「PlayStation 2」の後継機種である「PlayStation 3(PS3)」は、発売当初から振るわなかった。PS3が最初に出荷されたのは2006年終盤だが、その売り上げは2009年9月まで、Microsoftの「Xbox 360」にも任天堂の「Wii」にも勝てなかった。果てはテレビ市場でも、サムスンにお株を奪われつつある。
 ガジェット市場での影響力が衰え始めてから数年がたった今、ソニーはかつての優位を取り戻すきっかけとなる可能性を秘めた新しいデバイスを携えて勝負に出ようとしている、という報道が現れてきた。ソニーは、一部のPlayStationゲームをプレイできるスマートフォン(待望の「プレイステーション・ポータブル(PSP)携帯電話」かもしれない)と、間もなく立ち上げ予定の、ゲーム、映画、テレビ番組を販売するオンラインメディアプラットフォームに接続できるタブレット型デバイスの両方を準備しているようだ。
 飽き飽きしたソニーファンは、今のところほとんどよろこんでいない。「とても良いものかもしれないし、そうでないかもしれない。失敗する運命の独自規格と閉じられたプラットフォームがまた1つ新たに発表されるのを、とても楽しみに待っている(ソニーよ、1度でいいから、わたしが間違っていると証明してほしい)」。Gizmodoで「AreWeThereYet?」と名乗る読者はこうコメントしている。また別の「R.O.A.C.H.」と名乗る読者は、「この基本的なアイデアはいいと思う。問題は、おそらく『iPhone』に輪をかけて閉鎖的なものになるだろうということだ」と書いている。
 Sony Insiderブログの編集者Christopher McManus氏はメールインタビューの中で、近年ソニーが出だしで失敗するケースが相次いでいることにファンがうんざりしているのには十分な理由があると語った。ソニーが独自規格を採用し、本当の意味での統合ガジェット(つまりソニーが自由に使える豊富なコンテンツとテクノロジを活用するデバイス)を生み出せなかったことに、熱烈なファンたちは長い間いらだってきた。
 「ソニーは、自社の技術革新がやがて軌道に乗り、主流となることを願って、その技術革新で大きな賭けをする。大まかな印象では、ソニーが以前、特に1990年代から2000年代初頭に製品をリリースしたときには、製品は大いに成功する可能性があったが、大体において、いくつかの主要機能が欠けており、また大体において、ほかのソニー製品だけと組み合わせた環境でよりうまくいくようなものだった」(McManus氏)
 この言葉は、一部の製品が不完全なものであり、ほかのソニー製品と組み合わせて機能するように作られていたことを、うまく言い表している。そのような製品の最近の例は多い。PSPでしかプレイできないUMD形式のゲームや映画がそうであり、WALKMANとSony Ericsson製携帯電話に「Memory Stick」を採用したこともそうだ。そしてより最近のものとして、「Roku」や「Apple TV」のソニー版である「BRAVIA Internet Video Link」は、お察しのとおり、ソニーの「BRAVIA」でしか動作しない。
 このような近年の失策の結果、「熱烈な悲観主義」とでもいうべきファンのグループが生まれた。ゲームブログKotakuにおける「Agreeable_Panda」と名乗るユーザーのコメントが、次のようにまとめている。「まじめな話として、わたしはソニーのことが大好きだが、しかしそれと同時に大嫌いだ。ソニーは非常に多くのことがとても上手で、非常に多くのことがとても下手だ。ソニーは巨大なパラドックスだ」
 ソニーがもはや良いアイデアを持っていないというわけではないし、そのことを顧客もファンもはっきりと認識している。同社はデジタル写真分野では主導的な地位にあるし、Blu-ray Disc規格の隆盛は同社の功績であり、映画制作スタジオが使う3Dカメラからその映画を視聴するための新世代テレビに至る3Dエコシステムの拡大についてもそうだ。問題になっているのは、いくつかの分野での近年のアイデアの具現化だ。
 ゲームブログJoystiqの編集者Andrew Yoon氏は、PSPは、ソニーがすばらしいアイデアを利用するのに失敗し、ファンを失望させたことの最も良い例だと述べている。
 「5年前に、ソニーは、音楽や動画を再生し、比類ないグラフィック品質のゲームをプレイできる、すばらしい統合デバイスをリリースした。このデバイスは、ソニーがずっと模索してきた、WALKMANを継ぐ存在になっていたかもしれない。しかしソニーは、デバイスをアプリデベロッパーに開放するのも、成功しそうなメディアストアを開設するのも遅すぎた。その間にAppleがiPodとiPhoneをリリースしてしまった」(Yoon氏)
 同じことが、リニューアルされた携帯ゲーム機「PSP Go」のリリースでも起こった。「ハードウェアとしてはすばらしいものだが、ソニーは愚かにも、人々が見て取る価値を大幅に上回る値段を設定してしまった。PS3のリリースで、コンシューマーは製品が高すぎて手が出ないと、むしろそのブランドを嫌いになるということが証明されたはずだ」(Yoon氏)
 ソニーがすべての顧客にとって納得のいく形でアイデアを具現化しないというおそれは、今に始まったことではない。何年も前から、ソニーのファンたちは、同社が独自のソフトウェアと規格にこだわることに対して不満を表明してきた。最近になってようやくソニーは、同社の独自ストレージ規格であるMemory Stickに頼る代わりに、同社製品に使えるSDカードを販売することを選択して、譲歩する用意があるというシグナルを出した。
 Appleが「iTunes」ポータルを通じてコンテンツを販売するために音楽レーベルや音楽制作スタジオとの調整を始めるだいぶ前から、ソニーは傘下の音楽レーベル(Sony BMG)と映画制作スタジオ(Sony Pictures)を自由に使える立場にあった。しかしソニーは、3月になってようやく、同社製ノートPCとゲーム機、そしておそらく今後発売されるスマートフォンとタブレットのユーザーがコンテンツにアクセスできるメディアプラットフォームの立ち上げを計画し始めた。そのようなプラットフォームがなければ、ユーザーはコンテンツを手に入れるためにiTunesなどのサービスに頼るだろう。
 ガジェットについては、ソニーがトレンドに乗り遅れないスピードでアイデアを製品化するのに苦労していることを、同社幹部は認めている。タブレットが良い例だ。ソニーはようやく2月になってから、参入が遅れたことを認めながらも、タブレットの製造に関心があることを表明した。
 しかし、ソニーが少なくとも正しい方向で考えていることを示す兆候はある。同社は2010 International Consumer Electronics Show(CES)で、パーソナルインターネットビューア「dash」を披露した。これは現時点では、インターネットアクセス機能の付いたおしゃれな目覚まし時計だ。しかしソニーは、ソフトウェア開発者を引き入れて、TwitterやFacebookといったソニー以外のコンテンツにプラットフォームを開放する方法を探っており、また特にテクノロジにさほど明るくないユーザーをターゲットにしようとしている。このことは、コンシューマーの利益のために同社製品の連携を高めることの重要性を同社が理解しているという兆候でもある、とNPD Groupで家電業界を担当するアナリストRoss Rubin氏は述べている。
 「スマートフォンとノートPCとの間には、無数の種類のデバイスがあり得る。そのうちどれを同社が製品化するのかを予測するのは難しい。dashは、既存のカテゴリから発展させてリリースできる、統合可能製品というタイプの、興味深い先触れだ」(Rubin氏)
 もちろん、iPhoneや「iPad」と対等に競争する製品を作ることが、古いファンを呼び戻し新しいファンを獲得する唯一の方法というわけではないが、始めの1歩としては良いだろう。JoystiqのYoon氏が指摘しているように、ソニーが、ゲーム中心であり、必ずしもオールインワン型メディアデバイスでないヒット製品を持てる余地は、まだ大いに残っている。そしてファンたちは、ソニーが次に出すものがAppleとの競争に資するかどうかには、期待しすぎない方が良いだろう。
 「iPhoneがゲーム中心の統合デバイスの最終形だとは思わない。良いゲームはたくさんあるが、熱心なゲーマーは、そもそもiPhoneをPSPや『DS』と同じ観点から見ていない。iPhoneのゲームエクスペリエンスには明らかに改良の余地があり、ソニーから発売されるといわれるデバイスが動いているところを実際に見るまでは、急いで結論を出すことはできない」(Yoon氏)



アジアの対米コンテナ輸出、日本が3位に後退 09年、2位韓国
 2009年の米国向け海上コンテナ船輸出で、韓国が初めて日本を抜いてアジア地域で中国に次ぐ2位になった。3位の日本は金融危機後の自動車関連輸出の減少幅が大きかった。韓国は家電製品の輸出拡大が寄与した。アジアから欧米への輸出では日本の存在感が年々低下。日本の港湾機能の悪化や製品の輸出競争力に影響を及ぼす可能性がある。
 日本海事センター(東京・千代田)がまとめたアジア18カ国・地域から米国へのコンテナ輸送実績によると、日本が前年比30.7%減の51万5248TEU(TEUは20フィートコンテナ換算)。3年連続で減少した。09年のアジア18カ国・地域全体の減少率(14.8%)より落ち込んだのは自動車部品やタイヤといった主力品目が09年前半に大幅に減ったためだ。



「欠陥隠し」トヨタを民事提訴 米の郡検察、制裁金を求める
 【ニューヨーク=小高航】トヨタ自動車の米国でのリコール(回収・無償修理)問題に関連し、米カリフォルニア州南部オレンジ郡の検察当局は12日、トヨタが欠陥を知りながら車を販売したとして、トヨタ自動車本体や米販売子会社を同郡上級裁判所に民事提訴したと発表した。一連の問題で検察当局がトヨタを提訴するのは初めてとみられる。裁判の行方は他の集団訴訟や販売動向に影響を与えそうだ。
 訴状によると、トヨタはトヨタ車が意図せず急発進する欠陥を抱えることを故意に隠して販売を続け、加州の消費者に被害を与えたとしている。検察当局は裁判所に対し、トヨタが違法で不公正な商習慣を是正すると同時に、法律違反1件につき2500ドル(約23万円)の制裁金支払いを命じるよう求めた。
 販売子会社、米国トヨタ自動車販売(TMS)は12日、「訴状を受け取っておらずコメントできない」としている。検察当局関係者は日本経済新聞の取材に対し「裁判の時期は未定だが、近く開かれるだろう」と述べた。



米ABC、映像不適切編集を認める トヨタ報道で「誤り」
 【ニューヨーク=共同】米ABCテレビは12日までに、電子制御システムの異常でトヨタ自動車の車に急加速が発生する実験を放送したニュースで、映像を不適切に編集した「誤り」があったことを認めた。米メディアが伝えた。
 ABCは2月22日、電子制御システムの欠陥がトヨタ車のエンジン回転の急上昇を招く恐れがあるとする、南イリノイ大の准教授による実験の様子を放映。急加速するトヨタ車の映像と同時にエンジン回転数の急上昇を示すタコメーターの映像を盛り込んだ。
 しかしタコメーターの映像は実際には停止状態のトヨタ車のもので、急加速するトヨタ車とは無関係だった。



中国「米はネット覇権主義」 人権報告書に反論
 【北京=共同】中国国務院(政府)新聞弁公室は12日、「2009年米国の人権記録」と題した報告書を発表した。米国が「中国はインターネットの監視を強化している」とした人権報告書を公表したことに反論し、「米国は“ネットの自由”を旗印に、覇権主義を進めている」と非難した。新華社電が伝えた。
 中国側の報告書は、米報告書がチベットと新疆ウイグル両自治区の少数民族の人権問題に触れたことに対しても「人種差別は米国社会の持病だ。米中枢同時テロ以降、イスラム教徒への差別も激化した」と反論。
 米国は世界最大の武器輸出国で、軍事費も世界一だと指摘し「米国は強大な軍事力で他国の主権を粗暴に侵犯し、人権も踏みにじっている」と強く批判した。中国は毎年、米国の人権報告書に対抗して報告書を発表している。
「市民メディア」の失敗をマスメディアは教訓にできるか(COLUMN)
 「市民の市民による市民のためのメディア」を掲げたインターネット新聞「JanJan」が3月末で休刊する。「オーマイニュース日本版」「ツカサネット新聞」に続き、「市民メディア」の閉鎖が相次ぐ一方、ブログや「Twitter(ツイッター)」といったソーシャルメディアは存在感を増している。なぜ、「市民メディア」は失敗に終わったのか、既存マスメディアにも無関係ではない。
■「上から目線」「一方通行」の呪縛
 JanJanは、元朝日新聞編集委員で鎌倉市長時代に記者クラブを開放して「広報メディアセンター」を開設したことでも知られる竹内謙氏が中心となり2003年に創刊した老舗「市民メディア」だ。
 韓国のオーマイニュースを手本にし、ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などに先駆けた取り組みとして約8000人が市民記者に登録した。アドバイザーには、前宮城県知事の浅野史郎氏、作家の堺屋太一氏、ジャーナリストの嶌信彦氏ら著名人が名を連ねている。単に投稿された記事を掲載するだけでなく、データベース化にも力を入れ、政治家の活動やマニフェストが確認できる「ザ・選挙」や政治資金収支報告書を紹介する「政治資金データベース」は評価も高かった。
 ホームページに掲載された「休刊のお知らせ」(http://www.janjannews.jp/archives/2744447.html)によると要因は、(1)広告収入の低下、(2)ウェブサイトのシステムが技術的に時代遅れとなった、(3)所期の目的がひとまず達成されたため、の3点だ。3番目の理由には、「…官情報頼り、上から目線、一方通行型の既成のマスコミに刺激を与えるため、ごく普通の市民が記者になって ニュースを書くというインターネット時代にふさわしい市民メディアの創造に挑戦しましたが……」(一部抜粋)とある。
 ここに書かれている「上から目線」「一方通行」はネットでマスメディアが批判される際の典型的なフレーズだが、JanJanにも同様の批判が向けられている。例えば、「Wikipedia」の項目には、「記事の主観的意見だけが尊重され反論投稿の意見が抹殺される状態になる」との記述がある。一部ユーザーの声かもしれないが、コメント欄や休刊に言及したブログでも、記事の偏りや目線の高さが指摘されている。これは、既存のマスメディア出身者らが中心となったオーマイニュースも同様だった。
 新たなメディアを目指したはずが、なぜこのような事態になってしまうのだろうか。メディア環境の変化によって、「ニュース」や「ジャーナリズム」が変化したことが見逃せない。
■「市民メディア」とは何か
 休刊をきっかけに「市民メディア」の相次ぐ閉鎖を特集した3月9日付の朝日新聞は『「既成メディアが伝えないニュースを」という志は、採算性という現実をうちやぶれなかった』と書いているが、うちやぶれなかったのは自らの思い込み、常識だったのではないか。
 まず、気になるのが「市民メディア」という言葉の使い方だ。市民メディアの定義に確固としたものはないが、マスメディア(プロ)ではない人々が情報発信するとするならば、ブログやツイッターといったソーシャルメディアも含まれるはずだが、朝日の記事では含まれていない。
 ブログやツイッターといったソーシャルメディアは、市民メディアではないのだろうか。情報発信しているのは市民ではないのだろうか(新聞社やテレビ局の記者は市民ではないのか、という疑問もあるが……)。このシンプルな問いは、「市民メディア」関係者だけでなく、既存マスメディアや一部の研究者に通じないことがある。
 「市民メディア」は、既存マスメディアの対抗的な概念として位置づけられることが多い。「本来は既存マスメディアが伝えるべきであったニュースを伝える」と言ってしまったとたん、ニュースは既存マスメディアのものさしで測られることになる。
 だが、ソーシャルメディアの登場は、軽々とそのものさしを無効にしてしまった。ブログの登場時には、食べ歩き、本や映画の感想といった日記的なものはニュースではないと批判されていたが、それも誰かにとってはニュースかもしれない(新聞にだって書評や映画評はある)。
 最近では、研究者や医者、弁護士などの専門家やフリージャーナリストにブログの担い手が広がり、コンテンツの厚みが増している。評論や批判だけでなく、公開されている情報を利用した政策や経済状況の分析もネットで見られるようになっている。既存マスメディアが考えるものではないニュースに触れた読者に対して、「ニュース」を押し付けても意味はない。ニュースとは何か、ジャーナリズムとは何か、は読者が決める時代になったということだ。
 これは案外根深い問題だ。「自分たちは価値ある情報を持っている」「自分たちの情報には多くの人が関心を持っているはずだ」との思い込みがあるのは「市民メディア」だけではない。多様なニュースを知っている読者を満足させるだけの中身を見つめなおさなければ、有料化どころか、「市民メディア」同様に退場することになりかねない。



中国、送電網に50兆円 風力や太陽光、日米企業に商機
 【北京=多部田俊輔】中国政府は2020年までに、IT(情報技術)を使って電力を効率的に供給する次世代送電網「スマートグリッド」を活用した電力供給体制の整備に4兆元(約50兆円)規模を投ずる方向で検討を始めた。中国では電力需要増への対応と温暖化ガス削減の両立が課題。ITの活用で風力など新エネルギーの利用を増やす。中国は先進技術を求めており、日本や欧米企業にも商機が広がりそうだ。
 温家宝首相は開会中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の政府活動報告で初めて「智能電網(スマートグリッド)」に言及。「整備を強化する」と宣言した。



ノーベル平和賞候補に「ウェブ」発明者ら推薦 伊のIT雑誌
 IT(情報技術)関連雑誌・サイト「WIRED」のイタリア語版編集局は11日、共同通信に対し「インターネットは平和の道具」になったとして、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を発明した英科学者ティモシー・バーナーズリー氏らネットの発展に貢献した3人を、今年のノーベル平和賞候補としてノルウェーのノーベル賞委員会に推薦したことを明らかにした。
 同編集局は当初、ネットそのものを推薦しようとしたが、平和賞の授賞対象は個人か団体と決まっているため、3人を推薦したという。
 イタリアのフィーニ下院議長も11日、授賞に向けた運動を推進すると言明。世界的ファッションデザイナーのジョルジオ・アルマーニ氏も支持を表明したという。



世界の映画興収、4年連続増 09年7.6%増、3D作品増加
 米映画協会は11日までに、2009年に世界で公開された米映画の興行収入(興収)は前年より7.6%多い299億ドル(約2兆7千億円)だったと発表、興収は4年連続で増加した。「アバター」など3次元立体(3D)映像を使った作品が増え、けん引役になっている。
 08年に北米で公開された3D映画は8本だったのに対し、09年は20本になり、興収も5倍弱に拡大。それ以外の映画も含めた合計の興収に占める割合は2%から11%に急上昇した。世界では3D対応のスクリーンを備えた映画館が前年の3倍になった。
 今年に入り世界興収記録を塗り替えた「アバター」のほか、ルイス・キャロルのファンタジー小説を基にした「アリス・イン・ワンダーランド」(日本で4月公開)など話題作が登場しており、3D映画の好調が続きそうだ。



電子書籍端末の出荷台数、5年間で7.6倍に 民間予測
 調査会社の富士キメラ総研(東京・中央)は12日、モバイル端末の市場調査結果をまとめた。電子化された新聞や雑誌を閲覧する電子書籍端末の世界出荷台数は、2010年に09年比2.9倍の950万台となり、14年には同7.6倍の2500万台に増える見通しだ。
 09年の実績は330万台で、08年と比べても約3倍に増えたという。同総研によると、09年に米アマゾンが「キンドル」の新機種を投入したのに続き、10年は米アップルの「iPad(アイパッド)」など約20社が新たに端末を投入する見込み。今後はインターネットに接続できたり、カラー画面の高機能端末も増える一方、機能を絞った安価な製品も出て「価格の二極化が進むのではないか」(第一研究開発部門)とみている。出荷金額の予測は出していないが、拡大するとしている。



自殺報道、総務省が民放テレビに質問メール
 今年2月、東京都清瀬市の市立中学2年の女子生徒(14)が自殺した問題で、総務省が在京の民放テレビ局5社に対し、報道の内容や取材手法を問い合わせるメールを送っていたことが12日、分かった。
 放送免許を与える権限を持つ総務省が、放送局に個別の報道内容の詳細を照会するのは異例だといい、「報道への介入だ」との批判も出ている。
 メールは今月5日、情報流通行政局地上放送課の課長補佐が送付した。自殺予防のため、「自殺をセンセーショナルに扱わない」などと求める世界保健機関(WHO)の手引について、原口総務相がツイッター(簡易投稿サイト)に書き込んだのを読み、自身の判断で出したという。
 読売新聞が入手したメールの文面では、報道に際し〈1〉現場映像を使ったか〈2〉遺影や生前写真を使ったか〈3〉遺書を読み上げたか〈4〉遺書の映像を使ったか――について質問。これらの報道に、遺族の承諾を得たかなどについても回答を求めた。
 メール送信後に課長補佐が上司に報告したところ、上司から番組内容への踏み込み過ぎなどを指摘されたといい、9日に電話やメールで質問を撤回した。読売新聞の取材に、複数のテレビ局は「取材方法や報道内容を質問されることは異例だ」などと指摘している。
 原口総務相は3日、ツイッターで、「著名人の自殺などが大々的に報道されたような場合には群発自殺が拡大する危険が高まる」などとし、WHOの手引に関する書き込みをしていた。今回のメール送付について、原口総務相は読売新聞の取材に、「知らない」と答えた。



中国、ネット検閲撤廃否定 グーグル撤退「たいした影響ない」
 【北京=高橋哲史】中国でインターネット行政を所管する李毅中・工業情報化相は12日記者会見し、ネット検索最大手の米グーグルが中国政府にネット検閲の撤廃を求めている問題について「法に基づくネットの管理は世界中のあらゆる国が実施しており、グーグルが中国の法律を順守するよう希望する」と述べた。ネット検閲を撤廃する考えがないことを強調した発言だ。
 李氏は「もし中国の法律を守れないのであれば、それは非友好的で無責任な態度だ」とし、中国からの撤退をちらつかせるグーグルに強い不快感を表明した。そのうえで「もし中国から出て行くのであれば、我々は法律に基づいて処理するだけだ。中国のネット市場はこれまで通り急速に発展し、たいした影響は受けない」などと強気の発言を繰り返した。
 グーグルのシュミット最高経営責任者(CEO)は10日、検閲問題について「中国政府と活発に交渉している」と説明、「近く何かが起こる」と述べていた。



中国、チベット支援倍増 統治強化へ5年で3.9兆円
 【北京=尾崎実】中国政府がチベット自治区の安定統治に向け、今後5年間の自治区への財政支援を3千億元(約3兆9千億円)に倍増する。教育予算も拡大し、民族間格差の是正をうたうが、本音は中国共産党に忠実な人材の育成だ。チベット騒乱から2年となる14日を前に、国内外でチベット人活動家の摘発に向けた動きも加速。力ずくの統治に少数民族の反発が再び強まりそうだ。
 チベット自治区のバイマ・チリン主席は、北京で開幕中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の期間中、自治区の分科会やメディアの取材で「農業・牧畜地域や辺境地域への公共サービス投資を一層拡大し、社会発展の格差を縮小する」と繰り返し強調した。



日経社説 これは低炭素社会への第一歩にはなる(3/13)
 温暖化ガスの排出をどう抑えるか。政府は基本法案を閣議決定し、国会に提出した。米中など主要国が加わった「意欲的な目標の国際的合意」という前提で、国内排出量を2020年までに1990年比で25%減らす目標を明記した。
 「温暖化ガスの積極的な抑制が産業の国際競争力を確保し、持続的な成長を実現する」という理念のもと、化石燃料の消費への課税(環境税)や排出量取引制度の導入、原子力発電の推進などを盛り込んだ。低炭素社会をめざして政策を一応はすべて並べた形だ。
 温暖化ガスをほとんど出さない原発は低炭素化の要である。この扱いについて「脱原発」を掲げる社民党を説得し「推進」と明記した。
 日本では原発の稼働率は60%と低迷している。老朽化した原発が増えるなか、安全性を保って稼働率を欧米並みの80%以上にどう高め、いかに新増設を進めるか。国会審議ではその処方せんを議論してほしい。
 大工場などに排出量の上限(排出枠)を設け、余分に減らせた分や不足分を売り買いする排出量取引では「法律施行後、1年以内に成案を得る」と明示した。これまでは導入の時期が明らかではなかった。
 排出量取引は温暖化ガスに値段をつけ、コストを明確にして企業の省エネを促す制度である。法案では、工場などに総排出量の上限を課す総量規制を基本とし、生産量当たりの排出量を減らす方式も「検討する」とした。
 排出を確実に減らすには、総量規制が望ましい。生産量当たりの方式は、太陽光による発電装置や蓄電池など、これから成長が見込まれるような産業に限るべきだ。
 太陽光など自然エネルギーの割合を20年までに10%に増やす目標や、自然エネルギーを決まった価格で電力会社が買い取る制度も盛り込んだ。目標達成に向け、政府は買い取りの対象や価格を詰め、肉付けを急ぐ必要がある。
 法案づくりは環境、経済産業などの副大臣級チームが主導したため、経済団体などには「透明性に欠く」と不満もある。政府は国会審議で、政策の効果と経済的負担についてデータを公表し、国民や企業の理解を得るべきだ。
 京都議定書に続く温暖化防止の新たな国際枠組みづくりは難航し、合意の見通しが立っていない。米中などの本格的な参加が前提となるのはもちろんだが、国際合意がないからといって、日本は低炭素化への挑戦を足踏みさせてはならない。
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