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日経「電子版」創刊「特ダネ」無料は100字だけ(COLUMN)
新聞業界の注目を集めた日本経済新聞の電子版が2010年3月23日、ついに創刊された。創刊当日の朝にはサイトが重くなるなど、ネット上での注目度は高い。もっとも、登録せずに無料で読めるのは紙面のうちのごくわずか。それも「特ダネ」は100字だけ。記者発表時に強調された「良質なコンテンツはダダではない」という方針が、早くも具体化された形だ。
日経電子版をめぐっては、「成功すれば他紙も追随するのでは」との観測も根強く、創刊前日の3月22日夜にNHKで放送された「放送記念日特集 激震 マスメディア ~テレビ・新聞の未来~」の中でも、販売部数・広告収入が落ち込む新聞業界の取り組みのひとつとして大きく紹介されるなど、業界内の注目度は高い。
だが、業界内で一様に指摘されてきたのが、その割高感だ。4月末までは無料で利用できるとはいえ、購読料は紙媒体と併読の場合で月5383円(セット版)、電子版のみの場合は4000円だ。一方、有料化で先行するウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)日本版の場合だと、1年購読契約で月あたり1380円。最も割高な1か月ごとの契約の場合でも、1月あたり1980円だ。なお、米国のWSJの場合だと、ウェブのみの契約だと1週間1.99ドル(180円)。仮に1か月を5週間で計算したとしても、9.95ドル(900円)だ。先行事例と比べても、日経はかなり強気な価格設定だ。
日経新聞社の経営企画室広報グループによると、創刊時点での有料購読の申込数や、無料登録数は非公表。だが、経済月刊誌「ザ・ファクタ」10年4月号によると、3月1日の購読受け付け開始から1週間で、全体の申し込み数は1万5600人を突破したという。3月中旬に法人契約について問い合わせた時も、「問い合わせが多く、実際にサイトが見られるようになるまでには時間がかかる」との答えだった。「こんな価格では誰も契約しない」という下馬評よりは、状況は良い様子だ。
2月24日の記者発表会では、喜多恒雄社長は、
「『良質なコンテンツはタダじゃない』というのが我々の考え方。『ネット上の情報は無料』というこれまでの観念とは違う考え方で取り組んでいきたい」
と、「良い記事は有料」との方針を強調。創刊号の記事でも、この方針は鮮明に反映された。
有料購読者には、朝刊全内容を早朝4時に更新
3月23日の日経新聞の紙媒体の1面トップは、「ゲイツ氏、東芝と次世代原発」。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が東芝と組んで、核燃料を交換せずに100年間以上も運転できる次世代原発の開発の乗り出す、という日経の特ダネだ。電子版の有料購読者には、朝刊の全内容を早朝4時、夕刊は15時半に更新することが「売り」の一つだ。この記事自体は電子版にも3月23日午前2時の段階で掲載されたものの、登録をしない無料読者が読めるのはこの記事の冒頭100文字だけだ。リード文すら全てを読むことはできない状態で、リニューアル前の「NIKKEI NET」よりも、無料で読める範囲は事実上狭まった形だ。
日経側は購読に必要な「日経ID」の目標数について
「早期に50万IDを達成し、早めに100万台に乗せたい」
としており、今後どの程度有料購読者数が伸びるのか、引き続き業界内の注目を集めそうだ。
米ベライゾン、無料ネット通話「スカイプ」と提携強化
【ラスベガス=清水石珠実】米携帯通信大手ベライゾン・ワイヤレスは23日、一部の高機能携帯端末(スマートフォン)で無料ネット通話「スカイプ」のサービスを利用できるようにすると発表した。開始は25日からで、スカイプ利用者間なら追加料金なしで無制限に通話できるようになるほか、国際電話も格安料金で利用できる。
米ラスベガスで開催中の世界最大級の無線業界見本市「CTIA」で、ベライゾン、スカイプ両社が明らかにした。対象となるのは、加リサーチ・イン・モーション(RIM)製「ブラックベリー」や米グーグルの携帯用OS(基本ソフト)を搭載した高機能携帯など9機種。利用者は、データ通信用の無制限プラン(月約30ドル)に契約している必要がある。
従来、通話料金収入の下落につながる可能性があるとして、大手通信会社はスカイプの普及に後ろ向きとみられてきた。今回、ベライゾンが異例の提携強化に踏み切った背景には、スカイプ利用者を囲い込むことで、米国内で米アップルの人気端末「アイフォーン(iPhone)」を独占販売するライバルのAT&Tに対抗する狙いがある。
台湾、親日ぶり際だつ 窓口機関調査、52%が「最も好きな国」 日本の対台湾窓口機関、交流協会は23日、「台湾における対日世論調査」の実施結果を発表した。「最も好きな国は?」との質問に52%が「日本」と回答し、2位の「米国」(8%)、3位の「中国」(5%)を大きく引き離した。台湾住民の際立った親日ぶりがあらためて裏付けられた。一方で、「今後最も親しくすべき国は?」との問いには、33%が「中国」を選び、31%の「日本」、16%の「米国」を上回った。
交流協会の調査は、昨年12月から今年1月にかけて20~80歳の約千人を対象に行われた。
海・空軍強化へ兵器輸入急増 中国など領有権争い絡む
【北京=佐藤賢】アジア各国が軍備の拡張を加速し、軍拡競争の様相を呈しつつある。中国の軍備増強や北朝鮮の核開発が、周辺国の装備ハイテク化を誘発。資源が絡む海洋の領有権争いを背景に、特に海・空軍力の増強が目立つ。経済発展で各国が軒並み国防費を増やしている。安全保障を巡りアジア諸国・地域間で信頼醸成の努力が続けられているが、軍拡防止の糸口はつかめていない。
スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)はこのほど、世界での軍拡競争に警鐘を鳴らす報告書を発表した。特に東南アジアでは、2005~09年の5年間の通常兵器の輸入が04年までの5年間に比べ、マレーシアで8倍以上、シンガポールで2倍以上、インドネシアで84%増になったことを明らかにした。
東南アジアが輸入して増強する装備は海・空軍が中心だ。航続距離の長い新型戦闘機の調達は各国とも熱心で、ベトナム、インドネシア、マレーシアがロシア製のスホイ30を導入。シンガポールは米国との間でF15の購入契約を結んだ。潜水艦を保有していなかったマレーシアでは、フランスとスペインが共同開発した潜水艦が就役。インドネシアやベトナムはロシア製のキロ級潜水艦を配備する計画だ。
東南アジアの海軍力増強からは、沿岸警備型から外洋型の海軍への脱皮を目指す意図が浮かび上がる。念頭にあるのはテロ・海賊対策に加え、中国の存在だ。
中国が4日公表した10年度(1~12月)予算の国防費は前年度実績比7.5%増の約5321億元(約6兆9千億円)。21年連続で2けたを示してきた伸び率は1けたに減速したが、10年前と比べても4倍以上。内訳が依然として不透明で、周辺国の警戒感を増幅させている。
インドは依存度を下げつつあったロシアとの軍事協力を再び軌道に乗せる。ロシアは空母ゴルシコフ(4万4500トン)を12年末までにインド側に引き渡すことで合意。インドがミグ29戦闘機29機を約15億ドルで購入することでも合意した。
韓国は12年までに空中警戒管制機(AWACS)4機の導入を計画。米国も西太平洋への展開能力を強化し、米太平洋空軍は空軍最新鋭の大型無人偵察機「グローバルホーク」を8~9月にグアムに常駐させる方針という。
アジア域内では、中国をはじめとして2国間や多国間の共同軍事訓練が活発になっている。ただ、南シナ海の南沙(英語名・スプラトリー)諸島などの領有権を巡る対立は解決せず、不信感はぬぐえない。
軍拡競争を防ぐため、信頼醸成の拡大に向けた一段の取り組みが課題になっている。
禁煙・分煙化の波が押し寄せ
頭を抱える居酒屋チェーン
外食業界に、禁煙・分煙化の波が押し寄せている。
第1波は、神奈川県の「受動喫煙防止条例」。公共的空間や施設での喫煙規制で、この4月1日に施行される。知事の認定を受けた会員制バーなどは規制除外。キャバレーなど風営法に掲げる施設や、調理場面積を除いた床面積が100平方メートル以下の飲食店などは努力義務にとどまった。しかしその他は禁煙・分煙化が必須。従わなければ飲食店の場合、来年4月から罰則が適用される。
この条例に対応し、日本マクドナルドは3月1日時点で、全面禁煙店舗を神奈川県内、全298店に拡大。顧客の反応を見て分煙店舗の導入も考えるほか、他県での同様の展開も検討していくという。
ロイヤルホールディングスも同日、神奈川県内、グループ全59店舗の全席禁煙化を終えた。そのうち、傘下のロイヤルホスト16店舗は全面改装などに伴い、3月末までに喫煙ルームを設置する。全面改装は2011年12月末までに県内外175店舗で実施予定だ。
一方、喫煙ニーズが高い居酒屋チェーンでは、そう簡単に事は進まない。白木屋などを展開するモンテローザなど大手は11年3月末までに、神奈川県内の店舗を条例に則して分煙対応していく考えだ。
居酒屋チェーンは、05年にワタミが出した全面禁煙居酒屋が1年で撤退を余儀なくされるなど、禁煙店舗の多くは存続自体が難しいとされる。分煙対応したとしても、条例に則した禁煙面積を設けると「実験では売り上げは3割ほど落ち込む」(居酒屋チェーン関係者)というから、ただ事ではない。
しかもこの条例における分煙への設備投資は、多額のコストがかかる。居酒屋チェーンの多くはビルのテナントとして出店するが、その形態では「平均して500万円超、多いところでは1000万円近くかかってしまう」(同)。
禁煙・分煙化の第2波はいつ来てもおかしくない。厚生労働省は今年2月25日、「原則として全面禁煙」を求める通知を出した。当通知はあくまでも努力義務だ。しかし、2月に飲食店の受動喫煙防止に一律の規制を敷くのは現実的でないと検討会で結論が出た東京都ですら「通知は重く受け止めている」という。
通知への対応のあり方は、各地方自治体に委ねられている状態。せっかく従っても、神奈川県の規制が標準規格になるとは限らない。それどころか、「下手に分煙設備に投資しないほうがいい。世界の流れからいけば、いずれ分煙も認められなくなる」(政府関係者)との声も上がる。流れを読み違えれば、波にのまれることになるだろう。
グーグル撤退 中国ネット検閲は行き過ぎだ(3月24日付・読売社説)
インターネット検索で世界最大手の米グーグルが、自主的な検閲の実施を要求する中国政府に、ノーを突き付けた。
中国本土のネット検索事業から撤退すると、グーグルが22日、発表した。
2006年に本格進出して以来、中国政府の要請に沿って、反政府活動家などの情報を削除してきたが、方針を転換した。
グーグルは、サイバー攻撃を中国から受けたことなどをきっかけに、今年1月から自主検閲なしでの検索サービスの提供を求め、中国と交渉してきた。
しかし、ネットへの監視を強める中国と、自由な情報検索を売り物にするグーグルは、結局、折り合うことが出来なかった。交渉決裂は、残念な結果である。
利用者が約4億人に上る中国は世界最大のネット市場で、今後も成長が見込まれる。
その中国の検索市場では、国内資本で最大手の「百度(バイドゥ)」がシェアの6割を占め、3割のグーグルとの差は大きい。
グーグルは、事業を維持・拡大したかったはずだが、自主検閲をやめ、ネット利用者の信頼獲得を優先したのだろう。
クリントン米国務長官は、中国の検閲を「世界人権宣言に違反する行為」と批判していた。こうした米国政府の厳しい姿勢も、グーグルの決断を促した形だ。
グーグルは次善の策として、中国本土からの検索アクセスを香港のサイトに自動的に転送し、利用できるようにした。中国での研究開発や営業拠点も維持する。
中国市場の将来性を考えて、全面撤退は避け、足がかりを残したい思惑がうかがえる。
中国の姿勢は強硬だ。グーグルの決定に反発しており、香港での検索についても、「天安門事件」などの一部情報が検索できない状況が生じている。
グーグルは当初、香港経由ならば、検閲を受けずにサービスの提供が可能だと判断したようだ。
だが、中国では、海外と国内をつなぐインターネットの基幹網を政府が事実上管理しており、中国本土の利用者が自由に検索サイトに接続できないよう、現在も制限している可能性がある。
懸念されるのは、米中間の軋轢(あつれき)が強まることだ。米政府は、米企業への不公正な扱いとして、この問題を世界貿易機関(WTO)に提訴する方針を示唆している。
中国は、事態の深刻化を避けるためにも、ネット検閲をやめるべきである。
新聞業界の注目を集めた日本経済新聞の電子版が2010年3月23日、ついに創刊された。創刊当日の朝にはサイトが重くなるなど、ネット上での注目度は高い。もっとも、登録せずに無料で読めるのは紙面のうちのごくわずか。それも「特ダネ」は100字だけ。記者発表時に強調された「良質なコンテンツはダダではない」という方針が、早くも具体化された形だ。
日経電子版をめぐっては、「成功すれば他紙も追随するのでは」との観測も根強く、創刊前日の3月22日夜にNHKで放送された「放送記念日特集 激震 マスメディア ~テレビ・新聞の未来~」の中でも、販売部数・広告収入が落ち込む新聞業界の取り組みのひとつとして大きく紹介されるなど、業界内の注目度は高い。
だが、業界内で一様に指摘されてきたのが、その割高感だ。4月末までは無料で利用できるとはいえ、購読料は紙媒体と併読の場合で月5383円(セット版)、電子版のみの場合は4000円だ。一方、有料化で先行するウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)日本版の場合だと、1年購読契約で月あたり1380円。最も割高な1か月ごとの契約の場合でも、1月あたり1980円だ。なお、米国のWSJの場合だと、ウェブのみの契約だと1週間1.99ドル(180円)。仮に1か月を5週間で計算したとしても、9.95ドル(900円)だ。先行事例と比べても、日経はかなり強気な価格設定だ。
日経新聞社の経営企画室広報グループによると、創刊時点での有料購読の申込数や、無料登録数は非公表。だが、経済月刊誌「ザ・ファクタ」10年4月号によると、3月1日の購読受け付け開始から1週間で、全体の申し込み数は1万5600人を突破したという。3月中旬に法人契約について問い合わせた時も、「問い合わせが多く、実際にサイトが見られるようになるまでには時間がかかる」との答えだった。「こんな価格では誰も契約しない」という下馬評よりは、状況は良い様子だ。
2月24日の記者発表会では、喜多恒雄社長は、
「『良質なコンテンツはタダじゃない』というのが我々の考え方。『ネット上の情報は無料』というこれまでの観念とは違う考え方で取り組んでいきたい」
と、「良い記事は有料」との方針を強調。創刊号の記事でも、この方針は鮮明に反映された。
有料購読者には、朝刊全内容を早朝4時に更新
3月23日の日経新聞の紙媒体の1面トップは、「ゲイツ氏、東芝と次世代原発」。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が東芝と組んで、核燃料を交換せずに100年間以上も運転できる次世代原発の開発の乗り出す、という日経の特ダネだ。電子版の有料購読者には、朝刊の全内容を早朝4時、夕刊は15時半に更新することが「売り」の一つだ。この記事自体は電子版にも3月23日午前2時の段階で掲載されたものの、登録をしない無料読者が読めるのはこの記事の冒頭100文字だけだ。リード文すら全てを読むことはできない状態で、リニューアル前の「NIKKEI NET」よりも、無料で読める範囲は事実上狭まった形だ。
日経側は購読に必要な「日経ID」の目標数について
「早期に50万IDを達成し、早めに100万台に乗せたい」
としており、今後どの程度有料購読者数が伸びるのか、引き続き業界内の注目を集めそうだ。
米ベライゾン、無料ネット通話「スカイプ」と提携強化
【ラスベガス=清水石珠実】米携帯通信大手ベライゾン・ワイヤレスは23日、一部の高機能携帯端末(スマートフォン)で無料ネット通話「スカイプ」のサービスを利用できるようにすると発表した。開始は25日からで、スカイプ利用者間なら追加料金なしで無制限に通話できるようになるほか、国際電話も格安料金で利用できる。
米ラスベガスで開催中の世界最大級の無線業界見本市「CTIA」で、ベライゾン、スカイプ両社が明らかにした。対象となるのは、加リサーチ・イン・モーション(RIM)製「ブラックベリー」や米グーグルの携帯用OS(基本ソフト)を搭載した高機能携帯など9機種。利用者は、データ通信用の無制限プラン(月約30ドル)に契約している必要がある。
従来、通話料金収入の下落につながる可能性があるとして、大手通信会社はスカイプの普及に後ろ向きとみられてきた。今回、ベライゾンが異例の提携強化に踏み切った背景には、スカイプ利用者を囲い込むことで、米国内で米アップルの人気端末「アイフォーン(iPhone)」を独占販売するライバルのAT&Tに対抗する狙いがある。
台湾、親日ぶり際だつ 窓口機関調査、52%が「最も好きな国」 日本の対台湾窓口機関、交流協会は23日、「台湾における対日世論調査」の実施結果を発表した。「最も好きな国は?」との質問に52%が「日本」と回答し、2位の「米国」(8%)、3位の「中国」(5%)を大きく引き離した。台湾住民の際立った親日ぶりがあらためて裏付けられた。一方で、「今後最も親しくすべき国は?」との問いには、33%が「中国」を選び、31%の「日本」、16%の「米国」を上回った。
交流協会の調査は、昨年12月から今年1月にかけて20~80歳の約千人を対象に行われた。
海・空軍強化へ兵器輸入急増 中国など領有権争い絡む
【北京=佐藤賢】アジア各国が軍備の拡張を加速し、軍拡競争の様相を呈しつつある。中国の軍備増強や北朝鮮の核開発が、周辺国の装備ハイテク化を誘発。資源が絡む海洋の領有権争いを背景に、特に海・空軍力の増強が目立つ。経済発展で各国が軒並み国防費を増やしている。安全保障を巡りアジア諸国・地域間で信頼醸成の努力が続けられているが、軍拡防止の糸口はつかめていない。
スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)はこのほど、世界での軍拡競争に警鐘を鳴らす報告書を発表した。特に東南アジアでは、2005~09年の5年間の通常兵器の輸入が04年までの5年間に比べ、マレーシアで8倍以上、シンガポールで2倍以上、インドネシアで84%増になったことを明らかにした。
東南アジアが輸入して増強する装備は海・空軍が中心だ。航続距離の長い新型戦闘機の調達は各国とも熱心で、ベトナム、インドネシア、マレーシアがロシア製のスホイ30を導入。シンガポールは米国との間でF15の購入契約を結んだ。潜水艦を保有していなかったマレーシアでは、フランスとスペインが共同開発した潜水艦が就役。インドネシアやベトナムはロシア製のキロ級潜水艦を配備する計画だ。
東南アジアの海軍力増強からは、沿岸警備型から外洋型の海軍への脱皮を目指す意図が浮かび上がる。念頭にあるのはテロ・海賊対策に加え、中国の存在だ。
中国が4日公表した10年度(1~12月)予算の国防費は前年度実績比7.5%増の約5321億元(約6兆9千億円)。21年連続で2けたを示してきた伸び率は1けたに減速したが、10年前と比べても4倍以上。内訳が依然として不透明で、周辺国の警戒感を増幅させている。
インドは依存度を下げつつあったロシアとの軍事協力を再び軌道に乗せる。ロシアは空母ゴルシコフ(4万4500トン)を12年末までにインド側に引き渡すことで合意。インドがミグ29戦闘機29機を約15億ドルで購入することでも合意した。
韓国は12年までに空中警戒管制機(AWACS)4機の導入を計画。米国も西太平洋への展開能力を強化し、米太平洋空軍は空軍最新鋭の大型無人偵察機「グローバルホーク」を8~9月にグアムに常駐させる方針という。
アジア域内では、中国をはじめとして2国間や多国間の共同軍事訓練が活発になっている。ただ、南シナ海の南沙(英語名・スプラトリー)諸島などの領有権を巡る対立は解決せず、不信感はぬぐえない。
軍拡競争を防ぐため、信頼醸成の拡大に向けた一段の取り組みが課題になっている。
禁煙・分煙化の波が押し寄せ
頭を抱える居酒屋チェーン
外食業界に、禁煙・分煙化の波が押し寄せている。
第1波は、神奈川県の「受動喫煙防止条例」。公共的空間や施設での喫煙規制で、この4月1日に施行される。知事の認定を受けた会員制バーなどは規制除外。キャバレーなど風営法に掲げる施設や、調理場面積を除いた床面積が100平方メートル以下の飲食店などは努力義務にとどまった。しかしその他は禁煙・分煙化が必須。従わなければ飲食店の場合、来年4月から罰則が適用される。
この条例に対応し、日本マクドナルドは3月1日時点で、全面禁煙店舗を神奈川県内、全298店に拡大。顧客の反応を見て分煙店舗の導入も考えるほか、他県での同様の展開も検討していくという。
ロイヤルホールディングスも同日、神奈川県内、グループ全59店舗の全席禁煙化を終えた。そのうち、傘下のロイヤルホスト16店舗は全面改装などに伴い、3月末までに喫煙ルームを設置する。全面改装は2011年12月末までに県内外175店舗で実施予定だ。
一方、喫煙ニーズが高い居酒屋チェーンでは、そう簡単に事は進まない。白木屋などを展開するモンテローザなど大手は11年3月末までに、神奈川県内の店舗を条例に則して分煙対応していく考えだ。
居酒屋チェーンは、05年にワタミが出した全面禁煙居酒屋が1年で撤退を余儀なくされるなど、禁煙店舗の多くは存続自体が難しいとされる。分煙対応したとしても、条例に則した禁煙面積を設けると「実験では売り上げは3割ほど落ち込む」(居酒屋チェーン関係者)というから、ただ事ではない。
しかもこの条例における分煙への設備投資は、多額のコストがかかる。居酒屋チェーンの多くはビルのテナントとして出店するが、その形態では「平均して500万円超、多いところでは1000万円近くかかってしまう」(同)。
禁煙・分煙化の第2波はいつ来てもおかしくない。厚生労働省は今年2月25日、「原則として全面禁煙」を求める通知を出した。当通知はあくまでも努力義務だ。しかし、2月に飲食店の受動喫煙防止に一律の規制を敷くのは現実的でないと検討会で結論が出た東京都ですら「通知は重く受け止めている」という。
通知への対応のあり方は、各地方自治体に委ねられている状態。せっかく従っても、神奈川県の規制が標準規格になるとは限らない。それどころか、「下手に分煙設備に投資しないほうがいい。世界の流れからいけば、いずれ分煙も認められなくなる」(政府関係者)との声も上がる。流れを読み違えれば、波にのまれることになるだろう。
グーグル撤退 中国ネット検閲は行き過ぎだ(3月24日付・読売社説)
インターネット検索で世界最大手の米グーグルが、自主的な検閲の実施を要求する中国政府に、ノーを突き付けた。
中国本土のネット検索事業から撤退すると、グーグルが22日、発表した。
2006年に本格進出して以来、中国政府の要請に沿って、反政府活動家などの情報を削除してきたが、方針を転換した。
グーグルは、サイバー攻撃を中国から受けたことなどをきっかけに、今年1月から自主検閲なしでの検索サービスの提供を求め、中国と交渉してきた。
しかし、ネットへの監視を強める中国と、自由な情報検索を売り物にするグーグルは、結局、折り合うことが出来なかった。交渉決裂は、残念な結果である。
利用者が約4億人に上る中国は世界最大のネット市場で、今後も成長が見込まれる。
その中国の検索市場では、国内資本で最大手の「百度(バイドゥ)」がシェアの6割を占め、3割のグーグルとの差は大きい。
グーグルは、事業を維持・拡大したかったはずだが、自主検閲をやめ、ネット利用者の信頼獲得を優先したのだろう。
クリントン米国務長官は、中国の検閲を「世界人権宣言に違反する行為」と批判していた。こうした米国政府の厳しい姿勢も、グーグルの決断を促した形だ。
グーグルは次善の策として、中国本土からの検索アクセスを香港のサイトに自動的に転送し、利用できるようにした。中国での研究開発や営業拠点も維持する。
中国市場の将来性を考えて、全面撤退は避け、足がかりを残したい思惑がうかがえる。
中国の姿勢は強硬だ。グーグルの決定に反発しており、香港での検索についても、「天安門事件」などの一部情報が検索できない状況が生じている。
グーグルは当初、香港経由ならば、検閲を受けずにサービスの提供が可能だと判断したようだ。
だが、中国では、海外と国内をつなぐインターネットの基幹網を政府が事実上管理しており、中国本土の利用者が自由に検索サイトに接続できないよう、現在も制限している可能性がある。
懸念されるのは、米中間の軋轢(あつれき)が強まることだ。米政府は、米企業への不公正な扱いとして、この問題を世界貿易機関(WTO)に提訴する方針を示唆している。
中国は、事態の深刻化を避けるためにも、ネット検閲をやめるべきである。
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任天堂、新型DS発表「ニンテンドー3DS」(仮)、裸眼で3D映像に対応
任天堂が携帯ゲーム機の新型を発表した。仮称は「ニンテンドー3DS」。プレスリリースによれば3D立体視に対応しており、裸眼で3D映像が楽しめる製品。また「DS」の名が含まれているように、世界累計販売台数が1億2500万台に上る(任天堂) DSプラットフォームの後継機として、DSiを含む従来ソフトが動く上位互換性を備えるとされている。発売時期は2011年3月期。リリースには正式名称はおろか画像も上記以外の仕様・価格の言及もなく、6月のE3での詳細発表を予告するに留まっている。
3D・CG 世界へ「飛び出す」アニメ 東映アニメなど市場を開拓 先端映像で活路
アニメ制作各社が海外市場の開拓に力を入れ始めた。東映アニメーションが2012年にもCG作品を欧米などで劇場公開するほか、プロダクション・アイジー(東京都国分寺市)もシンガポール企業との共同制作作品をアジアで公開する。国内ではアニメブームの一服でテレビ放映数が減少、DVD出荷額も落ち込んでいる。海外展開に活路を求める動きが広がりそうだ。
東映アニメは11年にも3D(3次元)を含むCGアニメを2作品作る。一つはロボットアニメ「大空魔竜ガイキング」で、もう一つは漫画家、松本零士氏原作の「宇宙海賊キャプテンハーロック」。制作費はそれぞれ数十億円規模で、複数の企業から出資を募る方式で賄う計画。12年以降に欧米やアジアなどで劇場公開する考えだ。
「海外は高い映像技術を駆使したアニメが人気」(企画営業本部)とみて、現在約20%の海外売上高比率を引き上げていく方針だ。
電通総研の「情報メディア白書」によると、劇場公開やDVD販売などを合算したアニメ市場は09年、3年連続で前年割れし2000億円を割り込んだもよう。日本製アニメのテレビ放映作品数も減少傾向だ。海外展開で生き残りをかけるアニメ各社の動きが加速しそうだ。
日経Web刊スタート アクセス殺到でエラーも
日本経済新聞社は3月23日、無料・有料コンテンツを組み合わせた本格的なネット新聞「日本経済新聞 電子版」(愛称:Web刊)を創刊した。朝からアクセスが集中したようで、記事などが表示できないエラーも出ている。
「NIKKEI NET」をリニューアルする形でスタート。日経本紙の全記事と、グループ会社のコンテンツなどを提供し、一部の記事は無料で読める。有料会員になれば全記事を読めるほか、記事のおすすめ機能やクリップ機能を備えた「My日経」を利用でき、携帯電話からも使える。
料金は、本紙(全日版3568円、朝・夕刊セット4383円)を購読していればプラス月額1000円、Web刊だけなら月額4000円。4月末までは無料で利用できる。
ソフトバンク、選べるかんたん動画に「映画」を追加
ソフトバンクモバイルは、携帯電話向けにオリジナル編集の動画を配信する「選べるかんたん動画」に「映画」コースを追加し、3月25日より申し込みの受付けを開始する。
今回提供が開始されるのは、「選べるかんたん動画」で映画関連の動画や情報を配信する「映画」コース。劇場公開前の映画の予告編やインタビュー動画、最新の映画情報、おすすめDVDなどが紹介される予定で、毎週木曜日にメールで情報が配信される。レンタルサービス「ぽすれん」と連携してDVDレンタルサービスを利用することもできる。
今回の「映画」コースの追加により、選べるかんたん動画では12ジャンル、41コースがランナップされる。
KDDI、「EZニュースEX」でメール速報を開始
KDDI、沖縄セルラー、テレビ朝日、朝日新聞社の4社は、共同で運営するau携帯電話向け情報配信サービス「EZ ニュースEX」において、注目度の高いニュースを速報としてメールで配信する「超速報ニュースメール」を3月19日に開始した。プロ野球全試合のイニングスコアを速報で配信する「プロ野球速報」も3月20日から提供している。
「超速報ニュースメール」
「プロ野球速報」
超速報ニュースメールは、待受画面にテロップを流すアプリ版の「超速報」のウェブ版という位置付けで、速報をメールで知らせる。全国規模のニュースを配信する「号外」と、県やブロック単位で配信する「地域」の2種類がある。
プロ野球速報では、全球団の試合のスコア、バッテリー、ホームランといった情報をイニング単位で配信する。対象になるのは、セリーグ、パリーグのペナントレース、クライマックスシリーズ、日本シリーズを含むプロ野球全試合。また、球団ごとのページや個人成績などの情報も掲載する。
EZニュースEXの利用料は月額262円で、登録初月は無料だ。
東芝、半導体の新工場 7月に四日市で着工 携帯電話向け増産
東芝は23日、携帯電話やデジタルカメラの記憶媒体に使う半導体、NAND型フラッシュメモリーの生産能力を増強するため、四日市工場(三重県四日市市)内に7月から新工場を建設すると発表した。2011年春の竣工を目指す。具体的な投資内容や生産能力、生産計画などについては、市場動向を踏まえ、今後順次決定すると説明している。投資額は数千億円規模とみられる。
NAND型フラッシュメモリーを生産する四日市工場では現在、第4製造棟まで稼動している。2008年秋の世界的な金融危機の影響で需要が低迷し建設を凍結していた。足元ではスマートフォン(多機能型携帯電話)など向けを中心に需要が増加傾向にあること、中長期的にも市場拡大が見込まれることから、建設再開を決めた。
香港経由のグーグル接続、中国政府が制限も
米グーグルは香港のサーバー経由で検閲無しの検索サービスを続ける計画だが、中国政府が同サービスへのアクセスを認めるかは不透明だ。香港は中国本土と異なり、情報の自由な流通が認められている。中国政府に批判的な記事も検索できるため、中国政府の情報統制が機能しなくなるためだ。
上海のある利用者は23日、香港版サイトで「天安門事件」など「政治的に敏感な言葉」を検索してみたが、検索結果が表示されるのに時間がかかるうえ、中国の官製メディアの報道しか表示されなかった。香港の新聞の検索では見出しは表示されるものの、ニュース本文を読むことはできなかったという。
現時点でも香港のサイトへの接続は制限されている。中国政府系の香港紙を除き、多くのメディアのサイトへの接続は自動的に遮断される。ビジネス関連サイトへの制限は緩いが、接続を認めるかどうかの根拠は不透明で、中国政府の裁量次第の側面が強い。
財政健全化目標、法制化も 菅財務相、超党派で議論
菅直人財務相は23日の参院財政金融委員会で、「財政健全化の道筋を法律という形で国会で議論するのも一つの道」と述べ、6月に策定する「中期財政フレーム」などで示す財政健全化目標の法制化を検討する考えを示した。
財務相は「経済を発展させながら一方で財政の健全化を図るのは大変難しい道筋。一党一派でできる道ではなく、超党派の取り組みが必要だ」と強調。国会での論戦を通じて健全化目標を固めることも選択肢だとした。
政府は2011年度から3年間の歳出と歳入を示す中期財政フレームと、10年間にわたる「財政運営戦略」を6月に発表する予定。10年度予算案が近く国会で成立次第、本格的な議論に入る。
公明党の荒木清寛氏の質問に答えた。
2月の全国スーパー売上高、前年同月比2・4%減 15ヶ月連続前年割れ
日本チェーンストア協会が23日発表した2月の全国スーパー売上高は前年同月比2.4%減(既存店ベース)の9333億円と、15カ月連続の前年割れとなった。減少幅は1月より2.5ポイント改善した。しかし雇用や所得不安に伴う消費者の低価格志向は依然として強く、単価ダウンに来店客数の減少も重なり、客単価が上がらない苦戦は続いている。
商品別では売り上げの6割超を占める食料品が同2.8%減と13カ月連続のマイナスだった。衣料品は同2.0%減、日用雑貨などの住居関連用品は同1.9%減で、それぞれ50カ月、24カ月連続の前年割れだった。
2月は食料品では相場高の野菜、衣料品では2月後半の気温上昇を受けた春物衣料などの販売が堅調で、減少幅の縮小に貢献した。 しかし平成21年2月は、閏年だった20年の翌年で1日少なかった反動に加えて、「衣料品が2ケタ減となるなど、全体でも売上高が悪すぎた」(日本チェーンストア協会)として慎重な姿勢を崩さない。
温暖化ガス削減 100兆円追加必要
環境省は23日までに、温室効果ガス排出量の削減目標を国内だけで達成するのに、最大100兆円の追加投資額が必要になるとの試算を明らかにした。
電気自動車など次世代車の新車販売台数を約6万台から約250万台に増やし、住宅用太陽光発電の導入量を114万キロワットから最大で21倍の2440万キロワットに拡大するなど、踏み込んだ対策を総動員することを前提に試算した。
温暖化対策の展開方法を調査する環境省の専門家研究会「中長期ロードマップ検討会」の全体会合が開かれ、そこで環境省所管の国立環境研究所が試算を公開した。100兆円の追加投資は、エネルギー費用の節約で2020年までに半額を、30年までに全額を回収できるとしている。
【産経主張】漫画児童ポルノ 子供に見せないのは当然
東京都が定例議会に提出した「青少年健全育成条例」の改正案が継続審議となり、6月議会に先送りされた。
漫画で子供の性行為などを描いた児童ポルノを規制対象と明記する案に対して、漫画家や出版業界などから「創作活動が萎縮(いしゅく)する」などの反対が起きたためだ。
しかし、対象となるのは教室での少女強姦(ごうかん)や恋愛と称して近親相姦を描くなど、社会規範に著しく反した内容の漫画やゲームソフトだ。18歳未満の小中高校生らに見せないようにするのは当然ではないのか。改正案は妥当である。
過激な性表現や暴力場面を含む図書類を規制する条例は、大半の都道府県が制定している。出版社に自主規制を求め、悪質なものは有害図書に指定し、18歳未満への販売や閲覧を禁止する内容だ。
「成人漫画」「18禁」などと表示し、販売コーナーを一般書と分けるなど出版社や書店の自主規制が進んではいるが、販売時に年齢を確認しない例が多い。都小学校PTA協議会の会長によると「子供が持っていたかわいい表紙の漫画を開いてみたら児童ポルノだった」などの保護者からの苦情が後を絶たないという。
都の改正案は、服装や場面から明らかに18歳未満と分かる漫画の登場人物を「非実在青少年」として条文に加え、規制対象であることを明確にするものだ。
改正案への批判には誤解や曲解も目立つ。漫画を新たに規制対象とするかのようなとらえ方があるが、現行条例でも漫画は規制対象だ。しかも、最近の指定有害図書の多くは漫画だという。「指定の基準があいまい」との批判もあるが、有識者らの審議会を経て慎重に行われている。有害図書に指定されるのは月数冊程度だ。
「表現の自由」を持ち出した批判は論点をすり替えていないか。改正案は「子供に見せない」という常識的な内容だ。反社会的な行為の助長は許されない。
大阪府の橋下徹知事も、実態を把握した上で規制を検討する意向を示し、「表現の自由は絶対的ではない。子供たちを守るのが大人の責務」と述べた。東京都とともに工夫して取り組んでほしい。
任天堂が携帯ゲーム機の新型を発表した。仮称は「ニンテンドー3DS」。プレスリリースによれば3D立体視に対応しており、裸眼で3D映像が楽しめる製品。また「DS」の名が含まれているように、世界累計販売台数が1億2500万台に上る(任天堂) DSプラットフォームの後継機として、DSiを含む従来ソフトが動く上位互換性を備えるとされている。発売時期は2011年3月期。リリースには正式名称はおろか画像も上記以外の仕様・価格の言及もなく、6月のE3での詳細発表を予告するに留まっている。
3D・CG 世界へ「飛び出す」アニメ 東映アニメなど市場を開拓 先端映像で活路
アニメ制作各社が海外市場の開拓に力を入れ始めた。東映アニメーションが2012年にもCG作品を欧米などで劇場公開するほか、プロダクション・アイジー(東京都国分寺市)もシンガポール企業との共同制作作品をアジアで公開する。国内ではアニメブームの一服でテレビ放映数が減少、DVD出荷額も落ち込んでいる。海外展開に活路を求める動きが広がりそうだ。
東映アニメは11年にも3D(3次元)を含むCGアニメを2作品作る。一つはロボットアニメ「大空魔竜ガイキング」で、もう一つは漫画家、松本零士氏原作の「宇宙海賊キャプテンハーロック」。制作費はそれぞれ数十億円規模で、複数の企業から出資を募る方式で賄う計画。12年以降に欧米やアジアなどで劇場公開する考えだ。
「海外は高い映像技術を駆使したアニメが人気」(企画営業本部)とみて、現在約20%の海外売上高比率を引き上げていく方針だ。
電通総研の「情報メディア白書」によると、劇場公開やDVD販売などを合算したアニメ市場は09年、3年連続で前年割れし2000億円を割り込んだもよう。日本製アニメのテレビ放映作品数も減少傾向だ。海外展開で生き残りをかけるアニメ各社の動きが加速しそうだ。
日経Web刊スタート アクセス殺到でエラーも
日本経済新聞社は3月23日、無料・有料コンテンツを組み合わせた本格的なネット新聞「日本経済新聞 電子版」(愛称:Web刊)を創刊した。朝からアクセスが集中したようで、記事などが表示できないエラーも出ている。
「NIKKEI NET」をリニューアルする形でスタート。日経本紙の全記事と、グループ会社のコンテンツなどを提供し、一部の記事は無料で読める。有料会員になれば全記事を読めるほか、記事のおすすめ機能やクリップ機能を備えた「My日経」を利用でき、携帯電話からも使える。
料金は、本紙(全日版3568円、朝・夕刊セット4383円)を購読していればプラス月額1000円、Web刊だけなら月額4000円。4月末までは無料で利用できる。
ソフトバンク、選べるかんたん動画に「映画」を追加
ソフトバンクモバイルは、携帯電話向けにオリジナル編集の動画を配信する「選べるかんたん動画」に「映画」コースを追加し、3月25日より申し込みの受付けを開始する。
今回提供が開始されるのは、「選べるかんたん動画」で映画関連の動画や情報を配信する「映画」コース。劇場公開前の映画の予告編やインタビュー動画、最新の映画情報、おすすめDVDなどが紹介される予定で、毎週木曜日にメールで情報が配信される。レンタルサービス「ぽすれん」と連携してDVDレンタルサービスを利用することもできる。
今回の「映画」コースの追加により、選べるかんたん動画では12ジャンル、41コースがランナップされる。
KDDI、「EZニュースEX」でメール速報を開始
KDDI、沖縄セルラー、テレビ朝日、朝日新聞社の4社は、共同で運営するau携帯電話向け情報配信サービス「EZ ニュースEX」において、注目度の高いニュースを速報としてメールで配信する「超速報ニュースメール」を3月19日に開始した。プロ野球全試合のイニングスコアを速報で配信する「プロ野球速報」も3月20日から提供している。
「超速報ニュースメール」
「プロ野球速報」
超速報ニュースメールは、待受画面にテロップを流すアプリ版の「超速報」のウェブ版という位置付けで、速報をメールで知らせる。全国規模のニュースを配信する「号外」と、県やブロック単位で配信する「地域」の2種類がある。
プロ野球速報では、全球団の試合のスコア、バッテリー、ホームランといった情報をイニング単位で配信する。対象になるのは、セリーグ、パリーグのペナントレース、クライマックスシリーズ、日本シリーズを含むプロ野球全試合。また、球団ごとのページや個人成績などの情報も掲載する。
EZニュースEXの利用料は月額262円で、登録初月は無料だ。
東芝、半導体の新工場 7月に四日市で着工 携帯電話向け増産
東芝は23日、携帯電話やデジタルカメラの記憶媒体に使う半導体、NAND型フラッシュメモリーの生産能力を増強するため、四日市工場(三重県四日市市)内に7月から新工場を建設すると発表した。2011年春の竣工を目指す。具体的な投資内容や生産能力、生産計画などについては、市場動向を踏まえ、今後順次決定すると説明している。投資額は数千億円規模とみられる。
NAND型フラッシュメモリーを生産する四日市工場では現在、第4製造棟まで稼動している。2008年秋の世界的な金融危機の影響で需要が低迷し建設を凍結していた。足元ではスマートフォン(多機能型携帯電話)など向けを中心に需要が増加傾向にあること、中長期的にも市場拡大が見込まれることから、建設再開を決めた。
香港経由のグーグル接続、中国政府が制限も
米グーグルは香港のサーバー経由で検閲無しの検索サービスを続ける計画だが、中国政府が同サービスへのアクセスを認めるかは不透明だ。香港は中国本土と異なり、情報の自由な流通が認められている。中国政府に批判的な記事も検索できるため、中国政府の情報統制が機能しなくなるためだ。
上海のある利用者は23日、香港版サイトで「天安門事件」など「政治的に敏感な言葉」を検索してみたが、検索結果が表示されるのに時間がかかるうえ、中国の官製メディアの報道しか表示されなかった。香港の新聞の検索では見出しは表示されるものの、ニュース本文を読むことはできなかったという。
現時点でも香港のサイトへの接続は制限されている。中国政府系の香港紙を除き、多くのメディアのサイトへの接続は自動的に遮断される。ビジネス関連サイトへの制限は緩いが、接続を認めるかどうかの根拠は不透明で、中国政府の裁量次第の側面が強い。
財政健全化目標、法制化も 菅財務相、超党派で議論
菅直人財務相は23日の参院財政金融委員会で、「財政健全化の道筋を法律という形で国会で議論するのも一つの道」と述べ、6月に策定する「中期財政フレーム」などで示す財政健全化目標の法制化を検討する考えを示した。
財務相は「経済を発展させながら一方で財政の健全化を図るのは大変難しい道筋。一党一派でできる道ではなく、超党派の取り組みが必要だ」と強調。国会での論戦を通じて健全化目標を固めることも選択肢だとした。
政府は2011年度から3年間の歳出と歳入を示す中期財政フレームと、10年間にわたる「財政運営戦略」を6月に発表する予定。10年度予算案が近く国会で成立次第、本格的な議論に入る。
公明党の荒木清寛氏の質問に答えた。
2月の全国スーパー売上高、前年同月比2・4%減 15ヶ月連続前年割れ
日本チェーンストア協会が23日発表した2月の全国スーパー売上高は前年同月比2.4%減(既存店ベース)の9333億円と、15カ月連続の前年割れとなった。減少幅は1月より2.5ポイント改善した。しかし雇用や所得不安に伴う消費者の低価格志向は依然として強く、単価ダウンに来店客数の減少も重なり、客単価が上がらない苦戦は続いている。
商品別では売り上げの6割超を占める食料品が同2.8%減と13カ月連続のマイナスだった。衣料品は同2.0%減、日用雑貨などの住居関連用品は同1.9%減で、それぞれ50カ月、24カ月連続の前年割れだった。
2月は食料品では相場高の野菜、衣料品では2月後半の気温上昇を受けた春物衣料などの販売が堅調で、減少幅の縮小に貢献した。 しかし平成21年2月は、閏年だった20年の翌年で1日少なかった反動に加えて、「衣料品が2ケタ減となるなど、全体でも売上高が悪すぎた」(日本チェーンストア協会)として慎重な姿勢を崩さない。
温暖化ガス削減 100兆円追加必要
環境省は23日までに、温室効果ガス排出量の削減目標を国内だけで達成するのに、最大100兆円の追加投資額が必要になるとの試算を明らかにした。
電気自動車など次世代車の新車販売台数を約6万台から約250万台に増やし、住宅用太陽光発電の導入量を114万キロワットから最大で21倍の2440万キロワットに拡大するなど、踏み込んだ対策を総動員することを前提に試算した。
温暖化対策の展開方法を調査する環境省の専門家研究会「中長期ロードマップ検討会」の全体会合が開かれ、そこで環境省所管の国立環境研究所が試算を公開した。100兆円の追加投資は、エネルギー費用の節約で2020年までに半額を、30年までに全額を回収できるとしている。
【産経主張】漫画児童ポルノ 子供に見せないのは当然
東京都が定例議会に提出した「青少年健全育成条例」の改正案が継続審議となり、6月議会に先送りされた。
漫画で子供の性行為などを描いた児童ポルノを規制対象と明記する案に対して、漫画家や出版業界などから「創作活動が萎縮(いしゅく)する」などの反対が起きたためだ。
しかし、対象となるのは教室での少女強姦(ごうかん)や恋愛と称して近親相姦を描くなど、社会規範に著しく反した内容の漫画やゲームソフトだ。18歳未満の小中高校生らに見せないようにするのは当然ではないのか。改正案は妥当である。
過激な性表現や暴力場面を含む図書類を規制する条例は、大半の都道府県が制定している。出版社に自主規制を求め、悪質なものは有害図書に指定し、18歳未満への販売や閲覧を禁止する内容だ。
「成人漫画」「18禁」などと表示し、販売コーナーを一般書と分けるなど出版社や書店の自主規制が進んではいるが、販売時に年齢を確認しない例が多い。都小学校PTA協議会の会長によると「子供が持っていたかわいい表紙の漫画を開いてみたら児童ポルノだった」などの保護者からの苦情が後を絶たないという。
都の改正案は、服装や場面から明らかに18歳未満と分かる漫画の登場人物を「非実在青少年」として条文に加え、規制対象であることを明確にするものだ。
改正案への批判には誤解や曲解も目立つ。漫画を新たに規制対象とするかのようなとらえ方があるが、現行条例でも漫画は規制対象だ。しかも、最近の指定有害図書の多くは漫画だという。「指定の基準があいまい」との批判もあるが、有識者らの審議会を経て慎重に行われている。有害図書に指定されるのは月数冊程度だ。
「表現の自由」を持ち出した批判は論点をすり替えていないか。改正案は「子供に見せない」という常識的な内容だ。反社会的な行為の助長は許されない。
大阪府の橋下徹知事も、実態を把握した上で規制を検討する意向を示し、「表現の自由は絶対的ではない。子供たちを守るのが大人の責務」と述べた。東京都とともに工夫して取り組んでほしい。
ゲイツ氏、東芝と次世代原発を 米マイクロソフト創業者で会長のビル・ゲイツ氏は東芝と組み、次世代原子炉の開発に乗り出す。同氏が資金支援する米原子力ベンチャーが開発中の新型炉に東芝の技術を融合、核燃料を交換せずに最長100年間の連続運転を実現できるという。同氏は実用化に向け私財を投じる考えで、その額は数千億円規模に膨らむ可能性がある。温暖化防止のために原発建設の機運が世界的に高まるなか、新たな連合の誕生は業界勢力図に影響を与えそうだ。
共同開発するのは「TWR」と呼ばれる次世代原子炉で、ゲイツ氏が経営に関与する原子力ベンチャーのテラパワー(ワシントン州)が基本設計を進めている。途中で燃料を補給せずに長期間の発電が可能だ。現行の軽水炉は数年ごとに核燃料交換の必要がある。
日経電子版をスマートフォンでも閲覧
日本経済新聞 電子版(Web刊)はパソコンや携帯電話だけでなく、他のモバイル端末でも読める。米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や今後普及が進むといわれる「アンドロイド携帯」といったスマートフォン(高機能携帯電話)の場合、搭載されているブラウザー(閲覧ソフト)でパソコン向けサービスが閲覧できる。
紙面イメージをそのまま表示する「紙面ビューアー」など一部の機能は利用できないが、My日経の「おすすめ」「自動記事収集」など様々な機能が使える。
米グーグル、中国での自主検閲撤廃 検索サービス、本土を停止 香港経由に
検索最大手の米グーグルは22日、中国向けに展開する検索などネットサービスの自主検閲を取り払ったと表明した。これまで中国当局の要請に従ってきたが、同国からのサイバー攻撃や「発言の自由」の制限に抗議し、自主検閲を受け入れてきた中国語版検索サービス「Google.cn」を事実上停止した。
中国国内のネット利用者は、グーグルが香港で展開するサーバー経由で検閲無しのサービスを利用できる。グーグルの最高法務責任者のデビッド・ドラモンド氏が同日、正式発表した。
米グーグル、中国からの利用状況を毎日公開
【シリコンバレー=田中暁人】インターネット検索最大手の米グーグルは22日、検索など同社が展開するネットサービスの中国からの利用状況を一般に公開する専用サイトを設立した。グーグルは同日、中国向けネットサービスの自主検閲を撤廃すると発表した。ただ、中国当局が各種サービスを妨害する可能性も示唆しており、当局の介入を世界のネット利用者が“監視”できることになる。
利用状況は1日単位で毎日更新する。21日時点でウェブ検索、画像検索、ニュース検索などに問題は出ていない。ただ、グーグル傘下の動画共有サイト最大手「ユーチューブ」や、ブログサービス「ブロガー」などは遮断されている。
民放5社が共通サイト ネット通じ番組配信
在京の民放大手5社などは23日、インターネットを通じ番組動画を配信する共通サイトを立ち上げる。5社が自社サイトなどで配信する約7000本のドラマやバラエティーを集約する。5社がネットで配信するほぼすべての動画をそろえ、選びやすくしたサイトは初めて。テレビの広告収入が落ち込むなか、新事業として期待する動画配信を協力して盛り上げる。
日本テレビ放送網、TBSテレビ、フジテレビジョン、テレビ朝日、テレビ東京の民放5社のグループと電通など広告4社が共同出資する動画配信会社のプレゼントキャスト(東京・港)を通じて配信。同日正午に始める。同社の番組情報サイト「テレビドガッチ」を刷新。5社の有料動画や広告付き無料動画を視聴できるようにする。
トップ画面に各社が視聴を勧める動画を並べるほか、番組名や出演者名による検索で動画を探すことができる。放送局名を思い出せない番組動画も視聴しやすくなる。有料動画の料金は各社の従来のサービスと同じ。ドラマの場合、1話315円のケースが多い。
今後、在京5社以外の全国のテレビ局の番組動画も追加する。在京局以外は自社番組を全国で放送できる機会が乏しく、ネットを通じた動画配信への期待は大きい。
民放大手各社は人気番組など豊富な動画コンテンツを大量に持つが、各社の売上高は年数億~10億円規模にとどまっている。動画の無料投稿サイトに成長を抑えられているほか、音楽団体や芸能事務所など著作権法の権利者の許可を取るのに手間がかかる事情がある。
ただ、最近は視聴者の増加や権利者側の理解が進み、各社の採算は改善傾向にある。TBSは2009年度に国内テレビ局で初めてという営業黒字を見込み、日テレも10年度の黒字転換を予想。各社は今回のサイト立ち上げなどを機に攻勢を強めたい考えだ。
各局はそれぞれヤフーの「GyaO!」やグーグルの「ユーチューブ」などネット各社の動画サイトにもコンテンツを提供している。各局はネット利用者との接点を増やし、動画視聴者を増やしていく戦略だが、動画サイト間の視聴者獲得競争も激しくなりそうだ。
セブン&アイ、ヤフーと商品開発 売れ筋を店舗で、相乗効果狙う
セブン&アイ・ホールディングスと共同で商品開発を始める。ヤフーのインターネットNX通販で人気の食品を対象にセブン&アイの店舗とヤフーのサイトの両面から顧客の声や販売実績などの情報を集約して売れ筋を厳選。大量販売できる商品に仕上げ、来年からコンビニエンスストアなどで売る。店舗販売が苦戦するなか、ネットでの売れ筋を商品開発に本格的にいかす。
両社はそれぞれのネット通販の集客策などで連携してきたが、コンビニなど約1万4000店での販売面でも協力する形だ。ネットと店舗の相乗効果を目指して、それぞれの分野の大手企業が組むのは珍しい。
ヤフーのネット通販サイトには食品関連だけで3000業者以上が出店しており、同社はネットでの販売動向を把握している。こうした情報をもとに、まず3月中にセブン&アイ系の西武池袋本店(東京・豊島)内に常設コーナーを設置し、ヤフーのサイトで人気の洋菓子などを順次発売。一方、ヤフーは人気の食品1000品目を選び、顧客に投票してもらうなどで優秀製品を絞り込む。
集合住宅8割超 光回線導入へ NTT東
NTT東日本は集合住宅に同社の光ファイバー通信回線を引き込む取り組みを強化する。集合住宅の管理組合やオーナーと光回線の導入に向けた協議を進めやすいように、電源が不要で設置面積が少なくて済む通信設備を採用。2010年度末までに同社の営業エリアにある集合住宅の8割以上で光回線を使えるようにする。
なぜ日本の経済報道の質は低いのか日経は電子新聞、NHKは深夜に新番組だが・・・(COLUMN)
2010年3月23日、日本経済新聞社が有料の電子新聞(4月末まで無料)を創刊する。また、NHKは夜11時台に経済とスポーツに特化した新番組「Bizスポ」を29日スタートする。表面的にはメディア界では経済報道の強化が進むように見えるが、こうした動きが「特ダネ」偏重という我が国独特の報道傾向をますます強める懸念もある。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が先行した新聞の有料・電子化が、日本でも本格的に始まった。米国の新聞経営はその収入を7割近くも広告に依存すると言われ、企業広告のウェブへの移行に加え、リーマン・ショック後の広告急減が経営の根幹を揺るがせている。2009年にWSJ幹部と面談する機会を得たが、米国の新聞社は経営の維持を図るために、電子化や有料化の是非を問う余裕はない旨述べていた。
日本の新聞社の経営構造はこれとは多少異なる。まず新聞の値段がやや高めに設定されており、その収入は広告と販売で半々だという。そして家庭での宅配購読者が多い点も、街頭売り中心の米国とは対照的だ。
こうした中で有料電子新聞を発行する日経の戦略は、深刻な広告不況と若年層の新聞離れに対応するため、「経済記事」という特殊性で読者を囲い込むのが目的だと見られる。一方、大手一般紙はインターネットの速報性に打ちのめされているが、記事の特殊性では読者を囲い込みにくい。だから、有料電子化に追随するのは難しいとも言われる。
これに対してNHKのBizスポは、同時間帯で就寝前のサラリーマン層を独占中のワールドビジネスサテライト(テレビ東京)に対抗する新番組であり、米国に強い美人経済記者のキャスター登用が話題をさらっている。
しかしなぜ今、経済・スポーツ番組なのか。ある大手紙の編集局幹部はその理由を「日経の電子新聞が午前4時に出るから」と解説する。
現在、テレビにおける経済報道は朝の時間帯に集中し、その内容はワイドショー形式で大手紙の朝刊をなぞるだけ。それは経済報道メディアとしてのテレビの弱体化を示すものだが、経営的には「視聴率が取れず、広告が取れない経済ニュースなど自前で取材するな」ということになる。
新聞業界には印刷・宅配の都合から記事の「降版時間」という取り決めがあり、東京本社の朝刊最終版は通常午前1時半だという。そのペースで報道が行われる限り、テレビにとって夜中の取材にコストをかける必要性は低い。もちろん全ての新聞社がこれで一息つけるし、後は夕刊(午後1時半降版)の勝負に持ち込めばよい。
ところが、日経電子新聞から午前4時に新しい報道が出されてしまうと、取材もままならず、朝のワイドショー形式のニュースでは追いつけない。よって、深夜のうちに確実でなくとも流れを報道できる枠を確保したいというのがNHKの本音――。先の大手紙幹部はこう指摘するのだ。新聞各紙も対抗上、無料のインターネット版を深夜~早朝に更新できる態勢を強化するという。しかしそれは「消耗戦」の始まりであり、それ故に日経の姿勢に対して厳しい見方をするマスコミ関係者が多い。
こうした話を聞くと、読者・視聴者としては何か矛盾を感じてしまう。つまり記事内容で読者を囲い込もうとする戦略が、いつしか報道時間の問題にすり替わっているのだ。読者・視聴者が期待する経済報道とはライバルを少しでも出し抜く「特ダネ」であると、メディア側が勝手に信じ込んでいる証左である。
日本のマスコミ界では、経済報道として評価されるのは事情通向けの特ダネ。しかしそんな事件は滅多に起こらないし、一般読者には「どうでもいい」ニュースであることが多い。勢い、読者が面白がるような編集者の主観に基づく観測記事が増える。
新聞社の主観で経済政策を誘導してやろうと、市場や世間を扇動するものも少なくない。こうした記事に神経を尖らすのは企業の経営者や霞が関などの政策当局者、またそれぞれの広報担当であり、厳しい表現になるがブラックジャーナリズムに中傷記事が載ることを警戒しているのと変わりない。
しかし多くのサラリーマンや経営者にとって、そのような情報に用はない。欲しいのは多面的な見方や分析に基づいた着眼点の高い記事である。それが日々の仕事のヒントになるからこそ、新聞を購読し、経済番組を見る。例えば、速報性や特ダネの面では優れているとは思えないが、その質の高い情報と論説に定評のある英誌エコノミストが根強い購読者を抱えるのは、こうしたニーズを的確に捉えているからだろう。
今回の電子新聞や新番組に対しては色々な見方が出ている。「日本の新聞社の経営問題は記者の余剰であり、電子新聞もその対策にすぎない」「午前4時の電子新聞発行は、日経の支持層である大企業幹部が年寄りで早起きだから。彼らは高級マンション住まいで、部屋に宅配が届かないと不満を漏らしている」「NHKの新番組も所詮ワイドショーであり、だからスポーツと一緒なのだ」・・・
こうしたことがマスコミ関係者の間でもっともらしく語られるところに、日本の経済報道の弱さがある。読者や視聴者は「本物」を求めているのに、テレビを中心に面白おかしく脚色しやすい政治・社会報道が増え、やや思考を要する経済報道はその枠さえも減ってきている。もう一度読者・視聴者ニーズに立ち返り、今春の各メディアの取り組みの動きを何とか経済報道の質を高める方向に結び付けてもらいたい。
共同開発するのは「TWR」と呼ばれる次世代原子炉で、ゲイツ氏が経営に関与する原子力ベンチャーのテラパワー(ワシントン州)が基本設計を進めている。途中で燃料を補給せずに長期間の発電が可能だ。現行の軽水炉は数年ごとに核燃料交換の必要がある。
日経電子版をスマートフォンでも閲覧
日本経済新聞 電子版(Web刊)はパソコンや携帯電話だけでなく、他のモバイル端末でも読める。米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や今後普及が進むといわれる「アンドロイド携帯」といったスマートフォン(高機能携帯電話)の場合、搭載されているブラウザー(閲覧ソフト)でパソコン向けサービスが閲覧できる。
紙面イメージをそのまま表示する「紙面ビューアー」など一部の機能は利用できないが、My日経の「おすすめ」「自動記事収集」など様々な機能が使える。
米グーグル、中国での自主検閲撤廃 検索サービス、本土を停止 香港経由に
検索最大手の米グーグルは22日、中国向けに展開する検索などネットサービスの自主検閲を取り払ったと表明した。これまで中国当局の要請に従ってきたが、同国からのサイバー攻撃や「発言の自由」の制限に抗議し、自主検閲を受け入れてきた中国語版検索サービス「Google.cn」を事実上停止した。
中国国内のネット利用者は、グーグルが香港で展開するサーバー経由で検閲無しのサービスを利用できる。グーグルの最高法務責任者のデビッド・ドラモンド氏が同日、正式発表した。
米グーグル、中国からの利用状況を毎日公開
【シリコンバレー=田中暁人】インターネット検索最大手の米グーグルは22日、検索など同社が展開するネットサービスの中国からの利用状況を一般に公開する専用サイトを設立した。グーグルは同日、中国向けネットサービスの自主検閲を撤廃すると発表した。ただ、中国当局が各種サービスを妨害する可能性も示唆しており、当局の介入を世界のネット利用者が“監視”できることになる。
利用状況は1日単位で毎日更新する。21日時点でウェブ検索、画像検索、ニュース検索などに問題は出ていない。ただ、グーグル傘下の動画共有サイト最大手「ユーチューブ」や、ブログサービス「ブロガー」などは遮断されている。
民放5社が共通サイト ネット通じ番組配信
在京の民放大手5社などは23日、インターネットを通じ番組動画を配信する共通サイトを立ち上げる。5社が自社サイトなどで配信する約7000本のドラマやバラエティーを集約する。5社がネットで配信するほぼすべての動画をそろえ、選びやすくしたサイトは初めて。テレビの広告収入が落ち込むなか、新事業として期待する動画配信を協力して盛り上げる。
日本テレビ放送網、TBSテレビ、フジテレビジョン、テレビ朝日、テレビ東京の民放5社のグループと電通など広告4社が共同出資する動画配信会社のプレゼントキャスト(東京・港)を通じて配信。同日正午に始める。同社の番組情報サイト「テレビドガッチ」を刷新。5社の有料動画や広告付き無料動画を視聴できるようにする。
トップ画面に各社が視聴を勧める動画を並べるほか、番組名や出演者名による検索で動画を探すことができる。放送局名を思い出せない番組動画も視聴しやすくなる。有料動画の料金は各社の従来のサービスと同じ。ドラマの場合、1話315円のケースが多い。
今後、在京5社以外の全国のテレビ局の番組動画も追加する。在京局以外は自社番組を全国で放送できる機会が乏しく、ネットを通じた動画配信への期待は大きい。
民放大手各社は人気番組など豊富な動画コンテンツを大量に持つが、各社の売上高は年数億~10億円規模にとどまっている。動画の無料投稿サイトに成長を抑えられているほか、音楽団体や芸能事務所など著作権法の権利者の許可を取るのに手間がかかる事情がある。
ただ、最近は視聴者の増加や権利者側の理解が進み、各社の採算は改善傾向にある。TBSは2009年度に国内テレビ局で初めてという営業黒字を見込み、日テレも10年度の黒字転換を予想。各社は今回のサイト立ち上げなどを機に攻勢を強めたい考えだ。
各局はそれぞれヤフーの「GyaO!」やグーグルの「ユーチューブ」などネット各社の動画サイトにもコンテンツを提供している。各局はネット利用者との接点を増やし、動画視聴者を増やしていく戦略だが、動画サイト間の視聴者獲得競争も激しくなりそうだ。
セブン&アイ、ヤフーと商品開発 売れ筋を店舗で、相乗効果狙う
セブン&アイ・ホールディングスと共同で商品開発を始める。ヤフーのインターネットNX通販で人気の食品を対象にセブン&アイの店舗とヤフーのサイトの両面から顧客の声や販売実績などの情報を集約して売れ筋を厳選。大量販売できる商品に仕上げ、来年からコンビニエンスストアなどで売る。店舗販売が苦戦するなか、ネットでの売れ筋を商品開発に本格的にいかす。
両社はそれぞれのネット通販の集客策などで連携してきたが、コンビニなど約1万4000店での販売面でも協力する形だ。ネットと店舗の相乗効果を目指して、それぞれの分野の大手企業が組むのは珍しい。
ヤフーのネット通販サイトには食品関連だけで3000業者以上が出店しており、同社はネットでの販売動向を把握している。こうした情報をもとに、まず3月中にセブン&アイ系の西武池袋本店(東京・豊島)内に常設コーナーを設置し、ヤフーのサイトで人気の洋菓子などを順次発売。一方、ヤフーは人気の食品1000品目を選び、顧客に投票してもらうなどで優秀製品を絞り込む。
集合住宅8割超 光回線導入へ NTT東
NTT東日本は集合住宅に同社の光ファイバー通信回線を引き込む取り組みを強化する。集合住宅の管理組合やオーナーと光回線の導入に向けた協議を進めやすいように、電源が不要で設置面積が少なくて済む通信設備を採用。2010年度末までに同社の営業エリアにある集合住宅の8割以上で光回線を使えるようにする。
なぜ日本の経済報道の質は低いのか日経は電子新聞、NHKは深夜に新番組だが・・・(COLUMN)
2010年3月23日、日本経済新聞社が有料の電子新聞(4月末まで無料)を創刊する。また、NHKは夜11時台に経済とスポーツに特化した新番組「Bizスポ」を29日スタートする。表面的にはメディア界では経済報道の強化が進むように見えるが、こうした動きが「特ダネ」偏重という我が国独特の報道傾向をますます強める懸念もある。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が先行した新聞の有料・電子化が、日本でも本格的に始まった。米国の新聞経営はその収入を7割近くも広告に依存すると言われ、企業広告のウェブへの移行に加え、リーマン・ショック後の広告急減が経営の根幹を揺るがせている。2009年にWSJ幹部と面談する機会を得たが、米国の新聞社は経営の維持を図るために、電子化や有料化の是非を問う余裕はない旨述べていた。
日本の新聞社の経営構造はこれとは多少異なる。まず新聞の値段がやや高めに設定されており、その収入は広告と販売で半々だという。そして家庭での宅配購読者が多い点も、街頭売り中心の米国とは対照的だ。
こうした中で有料電子新聞を発行する日経の戦略は、深刻な広告不況と若年層の新聞離れに対応するため、「経済記事」という特殊性で読者を囲い込むのが目的だと見られる。一方、大手一般紙はインターネットの速報性に打ちのめされているが、記事の特殊性では読者を囲い込みにくい。だから、有料電子化に追随するのは難しいとも言われる。
これに対してNHKのBizスポは、同時間帯で就寝前のサラリーマン層を独占中のワールドビジネスサテライト(テレビ東京)に対抗する新番組であり、米国に強い美人経済記者のキャスター登用が話題をさらっている。
しかしなぜ今、経済・スポーツ番組なのか。ある大手紙の編集局幹部はその理由を「日経の電子新聞が午前4時に出るから」と解説する。
現在、テレビにおける経済報道は朝の時間帯に集中し、その内容はワイドショー形式で大手紙の朝刊をなぞるだけ。それは経済報道メディアとしてのテレビの弱体化を示すものだが、経営的には「視聴率が取れず、広告が取れない経済ニュースなど自前で取材するな」ということになる。
新聞業界には印刷・宅配の都合から記事の「降版時間」という取り決めがあり、東京本社の朝刊最終版は通常午前1時半だという。そのペースで報道が行われる限り、テレビにとって夜中の取材にコストをかける必要性は低い。もちろん全ての新聞社がこれで一息つけるし、後は夕刊(午後1時半降版)の勝負に持ち込めばよい。
ところが、日経電子新聞から午前4時に新しい報道が出されてしまうと、取材もままならず、朝のワイドショー形式のニュースでは追いつけない。よって、深夜のうちに確実でなくとも流れを報道できる枠を確保したいというのがNHKの本音――。先の大手紙幹部はこう指摘するのだ。新聞各紙も対抗上、無料のインターネット版を深夜~早朝に更新できる態勢を強化するという。しかしそれは「消耗戦」の始まりであり、それ故に日経の姿勢に対して厳しい見方をするマスコミ関係者が多い。
こうした話を聞くと、読者・視聴者としては何か矛盾を感じてしまう。つまり記事内容で読者を囲い込もうとする戦略が、いつしか報道時間の問題にすり替わっているのだ。読者・視聴者が期待する経済報道とはライバルを少しでも出し抜く「特ダネ」であると、メディア側が勝手に信じ込んでいる証左である。
日本のマスコミ界では、経済報道として評価されるのは事情通向けの特ダネ。しかしそんな事件は滅多に起こらないし、一般読者には「どうでもいい」ニュースであることが多い。勢い、読者が面白がるような編集者の主観に基づく観測記事が増える。
新聞社の主観で経済政策を誘導してやろうと、市場や世間を扇動するものも少なくない。こうした記事に神経を尖らすのは企業の経営者や霞が関などの政策当局者、またそれぞれの広報担当であり、厳しい表現になるがブラックジャーナリズムに中傷記事が載ることを警戒しているのと変わりない。
しかし多くのサラリーマンや経営者にとって、そのような情報に用はない。欲しいのは多面的な見方や分析に基づいた着眼点の高い記事である。それが日々の仕事のヒントになるからこそ、新聞を購読し、経済番組を見る。例えば、速報性や特ダネの面では優れているとは思えないが、その質の高い情報と論説に定評のある英誌エコノミストが根強い購読者を抱えるのは、こうしたニーズを的確に捉えているからだろう。
今回の電子新聞や新番組に対しては色々な見方が出ている。「日本の新聞社の経営問題は記者の余剰であり、電子新聞もその対策にすぎない」「午前4時の電子新聞発行は、日経の支持層である大企業幹部が年寄りで早起きだから。彼らは高級マンション住まいで、部屋に宅配が届かないと不満を漏らしている」「NHKの新番組も所詮ワイドショーであり、だからスポーツと一緒なのだ」・・・
こうしたことがマスコミ関係者の間でもっともらしく語られるところに、日本の経済報道の弱さがある。読者や視聴者は「本物」を求めているのに、テレビを中心に面白おかしく脚色しやすい政治・社会報道が増え、やや思考を要する経済報道はその枠さえも減ってきている。もう一度読者・視聴者ニーズに立ち返り、今春の各メディアの取り組みの動きを何とか経済報道の質を高める方向に結び付けてもらいたい。
アップルとグーグルの微妙なきずな(COLUMN)
アップルが4月に発売する新型携帯マルチメディア端末「iPad」。多彩な機能を搭載した魅力的な端末だが、技術的に最も注目されているのが、米アドビの動画技術「フラッシュ」に対応しない点だ。その代わりにアップルは次世代ウェブ標準の「HTML5」の進化・普及に賭ける姿勢を鮮明にしている。「HTML5」はフラッシュとともにインターネットのコンテンツ(情報の内容)の表現力を高める技術だが、現在はフラッシュが圧倒的に優勢だ。これに対し、携帯端末市場で激しく競合するアップルとグーグルの2社は、近く実用化されるHTML5を推しており、メディア産業などは動画表示の業界標準の座を巡る競争を注視している。
フラッシュは世界のウェブ上の動画コンテンツの7~8割、動画を含む広告の9割が使っているといわれる。今のところウェブ上の動画のデファクト・スタンダード(事実上の標準)技術といってよい。ところがアップルは世界的な大ヒットとなったiPhoneでもフラッシュ対応を避け、動画対応では国際標準規格の1つである「H.264」と呼ばれる技術に限って対応してきた。同社はこの路線を、映画やビデオ映像など動画の利用がより多くなるとiPadでも維持するという。一見、アップルがしばしば見せる唯我独尊の一例にも映るが、iPadの人気次第では次世代技術「HTML5」の普及を一気に加速させる効果が出る可能性がある。
「フラッシュはバグ(プログラム上の欠陥)が多過ぎる。そのうち誰も使わなくなる。世界はHTML5に向かって進んでいる」――。1月下旬、iPad発表後にアップル本社で開いた社員集会でスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)はこう発言したといわれる。そしてグーグルの戦略にも触れ、「我々はネット検索市場に参入しなかったが、彼ら(グーグル)は携帯端末市場に入ってきた。彼らはiPhoneを打ち負かしたいようだが、そんなことは絶対させない」と語ったという。
ジョブズ氏が敵対心をむき出しにしたグーグル。実は同社もHTML5を最も強力に広めようとしているもう一つの勢力だ。グーグルは汎用ブラウザーであらゆる情報処理をこなせるようにウェブ技術、クラウド技術を進化させようとしている。そのキーとなる技術にHTML5を選んだのだ。携帯端末市場では完全にライバル関係になったアップルとグーグルだが、皮肉なことにHTML5の開発と普及では強固にタッグを組んでいる構図が成り立つ。
HTML5はウェブページの中身を記述する規格であるHTMLの次世代バージョン。世界中のIT関連企業が加盟するウェブの技術標準管理団体であるW3Cの中の作業部会が草案を検討している。動画再生やウェブ上のソフトウエア操作など今はブラウザーに「プラグイン」と呼ばれるツールを取り込まないと実行できない。しかし次世代版ではそうした機能を、ウェブページ側にもブラウザー側にも標準装備させる方向で検討されている。今の草案では、HTML5が普及すると、ウェブページ上の表示物をマウスでドラッグ・アンド・ドロップしたり、ウェブページの状態を端末のブラウザー内のメモリーに記憶させておき、ネット接続がない状態でも閲覧したりといったことが可能になる。
HTML5は動画処理機能も含むため、同規格に準拠したウェブページとブラウザーを組み合わせれば、フラッシュという特定企業の技術を使わないで動画が再生できるようになるはずだ。今のHTML5の草案に盛られている動画技術は、まだ未成熟なため、すぐにフラッシュに取って代わることはなさそうだが、グーグルなどの関係者は今後3~5年後には広まっていくとみているようだ。
HTML5普及への最大の障害は、パソコン用ブラウザーで最大のシェアを握るマイクロソフトが開発協力に後ろ向きなことだった。だが2009年夏以降、同社も規格策定に積極的に関与するようになった。3月内にも概要を発表する「インターネット・エクスプローラー(IE)」の次期バージョンでも、HTML5準拠を前面に打ち出すとみられている。
時代の風はどうやらジョブズ氏の見立て通り、HTML5普及に勢いがつく方向に吹きつつあるようだ。とはいえ今のところ、世界中の企業がフラッシュを組み込んだウェブサイト作りを進め、広告業界も同じくフラッシュ活用型の動画を盛り込んだ広告を増やしている。あまりフラッシュ依存を強めると、気がつくと時代遅れになっている恐れがある。右手で握手をしながら左手で殴りあうのはIT業界の常。愛憎相半ばする関係であるアップルとグーグルの動きを注視していく必要がありそうだ。
ソフトバンク、DVD宅配レンタルでゲオ子会社と連携
ソフトバンクモバイルはゲオ子会社のぽすれん(東京・豊島)と連携し、携帯電話の利用者向けにDVDソフトの宅配レンタルを25日から始める。レンタル料金を毎月の電話料金と一緒に請求し、利便性を高め顧客の拡大につなげる。
昨年5月に始めた映像配信サービスの付加機能として導入する。最新の映画などの情報をメールで送り、利用者が携帯電話でソフトの宅配レンタルを申し込めるようにする。劇場公開前の映画の予告や出演者へのインタビュー映像なども配信する。
レンタル料は1枚当たり100~600円で、枚数に関係なく一律300円の送料が必要。クレジットカードによる支払いも受け付ける。
米大統領「国民の願い反映」 下院が医療保険法案可決
【ワシントン=御調昌邦】米下院は21日夜(日本時間22日午前)の本会議で、上院が可決済みの医療保険改革法案を賛成多数で可決した。オバマ大統領が署名し、成立する見通しとなった。医療保険に加入できない無保険者を減らすとともに、急上昇している医療費の伸びを抑制することなどが柱。大統領が内政の最重要課題として掲げてきた医療保険改革が実現することになったが、米国内には反対の声も根強く、政権浮揚につながるかは不透明だ。
下院本会議での採決は賛成219票に対し、反対は212票だった。一部の民主党議員は反対に回った。オバマ大統領はホワイトハウスで「採決は現在の医療保険を何とかして欲しいと思っている米国民の願いに応えるものだ」と述べ、法案採決の意義を強調した。
下院は法案を可決した直後、さらに同法案の修正条項を可決した。修正を加えた法案は、今後10年間で米国内の無保険者を3200万人減らし、保険加入率を83%から95%に引き上げる内容。
10年間の総費用は9400億ドル(約85兆円)と見込まれている。ただ高額の保険への課税や、高齢者向け公的保険の効率化などによって、財政赤字を1380億ドル削減できるという。修正条項は、上院でも近く可決される見通しだ。
法案では保険会社が既往症を理由に加入を拒否することを禁止。低所得者向け公的保険の拡大や、簡単に医療保険を購入できる制度の創設なども盛り込まれている。
【産経FNN世論調査】鳩山内閣支持率急落、初の30%
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が20、21両日に実施した合同世論調査で、鳩山内閣の支持率は前回調査(2月6、7両日)より12.3%ポイント減少し、30.5%に急落した。内閣支持率は3割を切ると、政権運営がきわめて不安定となる「危険水域」とされており、鳩山由紀夫首相は正念場を迎えたと言えそうだ。
不支持率は7.8%ポイント増の53.9%。鳩山政権の支持率3割台と不支持率5割台はいずれも初めて。
驚異の注目度! ICONIQ、表紙12誌
丸刈り風の“ベイビーショートヘア”で注目を集める新人女性歌手、ICONIQ(25)が、デビュー3カ月にしてファッション誌「JJ」「ViVi」、メーク誌「VoCE」など12誌の表紙に起用されたことが21日、分かった。
表紙は売り上げを左右するだけに新人を起用するのは極めて異例で、12誌中7誌が初起用。所属するエイベックスでも新人最多記録となった。
今月9日から大手企業7社のCMに同時出演したり、10日発売の初アルバム「CHANGE MYSELF」もオリコン週間アルバムランキングに初登場3位で登場するなど絶好調のICONIQ。歌唱力に加え、端正な顔立ちやファッションセンスに出版業界がいち早く注目し、「とんでもないアーティストが出る噂を聞いた」(GINGER)などと次々にタイアップが決まった。
現在も取材の依頼が殺到中で、ICONIQは「音楽だけでなくファッションを通じて変わることへの一歩を踏み出す勇気を共感して頂けたら」と話している。
【東京新聞社説】
『障がい』表記 呼ばれる側の立場から
2010年3月22日
「障害者」という表記を「障がい者」などに改める動きが広がっている。「害」には否定的な意味、印象が強いといわれるためで、国の論議も始まった。呼ばれる側の立場から考えたい。
「障がい」表記の基になっているのは、戦前に使われていた「障碍(がい)」。「害」が「損なう」「災い」の意味なのに対し、「碍」は「妨げる」の意で、否定的な意味合いが比較的弱いとされることから言い換えに使う人もいる。自治体などでは「障がい」を使うところが増えている。
内閣府によると、二〇〇八年度末で都道府県と政令指定都市のうち、岐阜、三重両県、浜松市など十道府県と五市が「障がい者」「障がいのある人(方)」という言い方に変更している。東京都多摩市や愛知県豊田市、石川県加賀市など、市町村でも改めたところがある。
英語圏でも「ハンディキャップド」があまり使われなくなった。「キャップ・イン・ハンド(手に帽子)」が物ごいを連想させるからだともいう。最近は「パーソン・ウィズ・ディスアビリティー(障害のある人)」が一般的で、バンクーバー・パラリンピックでもこの表記を使用した。
国の法令は今もすべて「障害」だが、鳩山政権は見直しに積極的だ。障害者政策を提言するために新たに発足した「障がい者制度改革推進会議」は、政府の会議では初めて名称に「がい」を使用。正式に法令上の表記も検討する。
ただ、変更については、障害者の意見もさまざま。「『害』をなくしても、障害者への偏見が変わるとは思えない」と消極的な人もいる。その思いも考えたい。精神分裂病を統合失調症、痴呆(ちほう)症を認知症と表記を変えたのは言葉の正確さだけでなく、呼ばれる側の痛みの反映でもあった。
鳩山首相は一月の施政方針演説で、障害者を「努力を必要とする人」という意味の英語「チャレンジド」と呼んだ。首相なりの発議だったのだろう。
「推進会議」は、障害そのものの定義の見直しをすることにもなっている。国際的な障害の定義では、障害者の社会参加を阻む社会の側の対応が重視されるようになった。
問われているのは社会でもある。会議の委員二十四人のうち十四人が障害者やその家族だ。当事者ならではの議論を通じ、新しい社会・社会参加像を見いだし、新しい表記も見つけてほしい。
アップルが4月に発売する新型携帯マルチメディア端末「iPad」。多彩な機能を搭載した魅力的な端末だが、技術的に最も注目されているのが、米アドビの動画技術「フラッシュ」に対応しない点だ。その代わりにアップルは次世代ウェブ標準の「HTML5」の進化・普及に賭ける姿勢を鮮明にしている。「HTML5」はフラッシュとともにインターネットのコンテンツ(情報の内容)の表現力を高める技術だが、現在はフラッシュが圧倒的に優勢だ。これに対し、携帯端末市場で激しく競合するアップルとグーグルの2社は、近く実用化されるHTML5を推しており、メディア産業などは動画表示の業界標準の座を巡る競争を注視している。
フラッシュは世界のウェブ上の動画コンテンツの7~8割、動画を含む広告の9割が使っているといわれる。今のところウェブ上の動画のデファクト・スタンダード(事実上の標準)技術といってよい。ところがアップルは世界的な大ヒットとなったiPhoneでもフラッシュ対応を避け、動画対応では国際標準規格の1つである「H.264」と呼ばれる技術に限って対応してきた。同社はこの路線を、映画やビデオ映像など動画の利用がより多くなるとiPadでも維持するという。一見、アップルがしばしば見せる唯我独尊の一例にも映るが、iPadの人気次第では次世代技術「HTML5」の普及を一気に加速させる効果が出る可能性がある。
「フラッシュはバグ(プログラム上の欠陥)が多過ぎる。そのうち誰も使わなくなる。世界はHTML5に向かって進んでいる」――。1月下旬、iPad発表後にアップル本社で開いた社員集会でスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)はこう発言したといわれる。そしてグーグルの戦略にも触れ、「我々はネット検索市場に参入しなかったが、彼ら(グーグル)は携帯端末市場に入ってきた。彼らはiPhoneを打ち負かしたいようだが、そんなことは絶対させない」と語ったという。
ジョブズ氏が敵対心をむき出しにしたグーグル。実は同社もHTML5を最も強力に広めようとしているもう一つの勢力だ。グーグルは汎用ブラウザーであらゆる情報処理をこなせるようにウェブ技術、クラウド技術を進化させようとしている。そのキーとなる技術にHTML5を選んだのだ。携帯端末市場では完全にライバル関係になったアップルとグーグルだが、皮肉なことにHTML5の開発と普及では強固にタッグを組んでいる構図が成り立つ。
HTML5はウェブページの中身を記述する規格であるHTMLの次世代バージョン。世界中のIT関連企業が加盟するウェブの技術標準管理団体であるW3Cの中の作業部会が草案を検討している。動画再生やウェブ上のソフトウエア操作など今はブラウザーに「プラグイン」と呼ばれるツールを取り込まないと実行できない。しかし次世代版ではそうした機能を、ウェブページ側にもブラウザー側にも標準装備させる方向で検討されている。今の草案では、HTML5が普及すると、ウェブページ上の表示物をマウスでドラッグ・アンド・ドロップしたり、ウェブページの状態を端末のブラウザー内のメモリーに記憶させておき、ネット接続がない状態でも閲覧したりといったことが可能になる。
HTML5は動画処理機能も含むため、同規格に準拠したウェブページとブラウザーを組み合わせれば、フラッシュという特定企業の技術を使わないで動画が再生できるようになるはずだ。今のHTML5の草案に盛られている動画技術は、まだ未成熟なため、すぐにフラッシュに取って代わることはなさそうだが、グーグルなどの関係者は今後3~5年後には広まっていくとみているようだ。
HTML5普及への最大の障害は、パソコン用ブラウザーで最大のシェアを握るマイクロソフトが開発協力に後ろ向きなことだった。だが2009年夏以降、同社も規格策定に積極的に関与するようになった。3月内にも概要を発表する「インターネット・エクスプローラー(IE)」の次期バージョンでも、HTML5準拠を前面に打ち出すとみられている。
時代の風はどうやらジョブズ氏の見立て通り、HTML5普及に勢いがつく方向に吹きつつあるようだ。とはいえ今のところ、世界中の企業がフラッシュを組み込んだウェブサイト作りを進め、広告業界も同じくフラッシュ活用型の動画を盛り込んだ広告を増やしている。あまりフラッシュ依存を強めると、気がつくと時代遅れになっている恐れがある。右手で握手をしながら左手で殴りあうのはIT業界の常。愛憎相半ばする関係であるアップルとグーグルの動きを注視していく必要がありそうだ。
ソフトバンク、DVD宅配レンタルでゲオ子会社と連携
ソフトバンクモバイルはゲオ子会社のぽすれん(東京・豊島)と連携し、携帯電話の利用者向けにDVDソフトの宅配レンタルを25日から始める。レンタル料金を毎月の電話料金と一緒に請求し、利便性を高め顧客の拡大につなげる。
昨年5月に始めた映像配信サービスの付加機能として導入する。最新の映画などの情報をメールで送り、利用者が携帯電話でソフトの宅配レンタルを申し込めるようにする。劇場公開前の映画の予告や出演者へのインタビュー映像なども配信する。
レンタル料は1枚当たり100~600円で、枚数に関係なく一律300円の送料が必要。クレジットカードによる支払いも受け付ける。
米大統領「国民の願い反映」 下院が医療保険法案可決
【ワシントン=御調昌邦】米下院は21日夜(日本時間22日午前)の本会議で、上院が可決済みの医療保険改革法案を賛成多数で可決した。オバマ大統領が署名し、成立する見通しとなった。医療保険に加入できない無保険者を減らすとともに、急上昇している医療費の伸びを抑制することなどが柱。大統領が内政の最重要課題として掲げてきた医療保険改革が実現することになったが、米国内には反対の声も根強く、政権浮揚につながるかは不透明だ。
下院本会議での採決は賛成219票に対し、反対は212票だった。一部の民主党議員は反対に回った。オバマ大統領はホワイトハウスで「採決は現在の医療保険を何とかして欲しいと思っている米国民の願いに応えるものだ」と述べ、法案採決の意義を強調した。
下院は法案を可決した直後、さらに同法案の修正条項を可決した。修正を加えた法案は、今後10年間で米国内の無保険者を3200万人減らし、保険加入率を83%から95%に引き上げる内容。
10年間の総費用は9400億ドル(約85兆円)と見込まれている。ただ高額の保険への課税や、高齢者向け公的保険の効率化などによって、財政赤字を1380億ドル削減できるという。修正条項は、上院でも近く可決される見通しだ。
法案では保険会社が既往症を理由に加入を拒否することを禁止。低所得者向け公的保険の拡大や、簡単に医療保険を購入できる制度の創設なども盛り込まれている。
【産経FNN世論調査】鳩山内閣支持率急落、初の30%
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が20、21両日に実施した合同世論調査で、鳩山内閣の支持率は前回調査(2月6、7両日)より12.3%ポイント減少し、30.5%に急落した。内閣支持率は3割を切ると、政権運営がきわめて不安定となる「危険水域」とされており、鳩山由紀夫首相は正念場を迎えたと言えそうだ。
不支持率は7.8%ポイント増の53.9%。鳩山政権の支持率3割台と不支持率5割台はいずれも初めて。
驚異の注目度! ICONIQ、表紙12誌
丸刈り風の“ベイビーショートヘア”で注目を集める新人女性歌手、ICONIQ(25)が、デビュー3カ月にしてファッション誌「JJ」「ViVi」、メーク誌「VoCE」など12誌の表紙に起用されたことが21日、分かった。
表紙は売り上げを左右するだけに新人を起用するのは極めて異例で、12誌中7誌が初起用。所属するエイベックスでも新人最多記録となった。
今月9日から大手企業7社のCMに同時出演したり、10日発売の初アルバム「CHANGE MYSELF」もオリコン週間アルバムランキングに初登場3位で登場するなど絶好調のICONIQ。歌唱力に加え、端正な顔立ちやファッションセンスに出版業界がいち早く注目し、「とんでもないアーティストが出る噂を聞いた」(GINGER)などと次々にタイアップが決まった。
現在も取材の依頼が殺到中で、ICONIQは「音楽だけでなくファッションを通じて変わることへの一歩を踏み出す勇気を共感して頂けたら」と話している。
【東京新聞社説】
『障がい』表記 呼ばれる側の立場から
2010年3月22日
「障害者」という表記を「障がい者」などに改める動きが広がっている。「害」には否定的な意味、印象が強いといわれるためで、国の論議も始まった。呼ばれる側の立場から考えたい。
「障がい」表記の基になっているのは、戦前に使われていた「障碍(がい)」。「害」が「損なう」「災い」の意味なのに対し、「碍」は「妨げる」の意で、否定的な意味合いが比較的弱いとされることから言い換えに使う人もいる。自治体などでは「障がい」を使うところが増えている。
内閣府によると、二〇〇八年度末で都道府県と政令指定都市のうち、岐阜、三重両県、浜松市など十道府県と五市が「障がい者」「障がいのある人(方)」という言い方に変更している。東京都多摩市や愛知県豊田市、石川県加賀市など、市町村でも改めたところがある。
英語圏でも「ハンディキャップド」があまり使われなくなった。「キャップ・イン・ハンド(手に帽子)」が物ごいを連想させるからだともいう。最近は「パーソン・ウィズ・ディスアビリティー(障害のある人)」が一般的で、バンクーバー・パラリンピックでもこの表記を使用した。
国の法令は今もすべて「障害」だが、鳩山政権は見直しに積極的だ。障害者政策を提言するために新たに発足した「障がい者制度改革推進会議」は、政府の会議では初めて名称に「がい」を使用。正式に法令上の表記も検討する。
ただ、変更については、障害者の意見もさまざま。「『害』をなくしても、障害者への偏見が変わるとは思えない」と消極的な人もいる。その思いも考えたい。精神分裂病を統合失調症、痴呆(ちほう)症を認知症と表記を変えたのは言葉の正確さだけでなく、呼ばれる側の痛みの反映でもあった。
鳩山首相は一月の施政方針演説で、障害者を「努力を必要とする人」という意味の英語「チャレンジド」と呼んだ。首相なりの発議だったのだろう。
「推進会議」は、障害そのものの定義の見直しをすることにもなっている。国際的な障害の定義では、障害者の社会参加を阻む社会の側の対応が重視されるようになった。
問われているのは社会でもある。会議の委員二十四人のうち十四人が障害者やその家族だ。当事者ならではの議論を通じ、新しい社会・社会参加像を見いだし、新しい表記も見つけてほしい。
電子書籍の規格統一へ政府が意欲、出版業界の代表らを集めて懇談会を開催
総務省、文部科学省、経済産業省の3省が電子書籍の規格統一に乗り出した。共同で「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」を開催。出版業界の代表者らを集め、電子書籍をめぐる問題について意見を聞いた。今後も議論を続け、6月までに意見を取りまとめたい考えだ。
米国ではAmazon.comのKindleやAppleのiPadなどの発売で、電子書籍に対する注目度が高まっている。文部科学省の中川正春副大臣は「このままでは、日本の出版界は海外からの波にさらわれてしまうという危機感がある。日本としての落とし所を探るための場を設けた」と説明。総務省副大臣の内藤正光氏は、「AmazonやAppleの取り組みを否定するつもりはないが、資本力を持った人だけが電子書籍市場を独占してしまうというのは好ましくない。国立国会図書館を巻き込みながら、国として規格を統一したい」と意欲を示した。
構成員には作家や出版社、新聞社、印刷会社、書店、図書館、通信事業者、家電メーカーの代表者らが名を連ねた。ただし取次については「寡占化しており、書店や出版社の代表者が構成員に入っていることで取次の思いは反映されると認識している」(経済産業省の近藤洋介 大臣政務官)としてメンバーには入っていない。なお、座長は東京工業大学名誉教授で国立情報学研究所顧問の末松安晴氏が務める。
才能を発掘、育成する仕組み作りを
構成員からは電子書籍ビジネスの今後を考える上でのさまざまな課題が挙げられた。
講談社副社長の野間省伸氏は、デジタル化における出版社の権利について議論が必要だと話す。出版社がこれまで、作家や漫画家といった才能の「卵」を見つけ出して成長に投資し、時間をかけて回収しながら次の卵に再投資してきたことで、小説や漫画などが日本の文化として発展してきたと指摘。電子書籍という新たな市場を発展させるためにも、出版社の存在が重要だと強調した。
これには作家の楡周平氏も同調。「作家というのは、怪物の鮭のようなもの。普通、鮭は1度産卵したら死んでしまうが、たまに何回も産卵する鮭がいる。作家も新人賞を取ったらほとんどが消えてしまうが、たまにいるモンスターのような作家に投資し、育てているのが出版社だ」としたうえで、「次々と作品をつくり出す人を生み出す環境作り、人材を育てる部分にもフォーカスして欲しい」(楡氏)と訴えた。
作家の阿刀田高氏も「デジタル化により、より良い出版物が未来に向けて継続的に作れることが最も重要だ」と話し、持続的なエコシステムを作り上げる必要があるとした。
図書館の存在をどう位置付けるか
漫画家の里中満智子氏は「デジタル化そのものは新しい時代の到来だと思うが、図書館問題が置き去りにされたままだ」と苦言を呈す。図書館の書籍は基本的に無料で貸し出され、著者に印税は発生しないなどの権利制限が課せられている。通常手に入りにくい書籍が図書館で貸し出されるのは良いことだが、ベストセラーなどでも図書館が大量に揃えて貸し出してしまうため、結果として本が売れず、著者の収入につながっていないという問題提起だ。
「デジタル化を進めるときに、図書館への納品制度は続くのか。書く側が疲れ果てて倒れないような仕組みをお願いしたい。国の姿勢として、『本はタダで読めるもの』というのをずっと続けて行くのか。タダは文化を育てる力に結びつくのか。本気で話し合える場にして欲しい」(里中氏)
このほか、日本書店商業組合連合会 副会長の柴崎繁氏は「書店の商売を考えると、図書館の存在は厳しい。デジタル化が進むことで図書館に行かなくても本が借りられるようになれば、おそらく本屋に行くことがほとんどなくなるだろう。地方ではすでに絶滅的に本屋がなくなっており、たとえば青森や島根では(日本書店商業組合連合会の)組合員数は数十店しかない。こういう状態の中で、今後本屋との共生をどうするかについても議論して欲しい」と訴えた。
国立国会図書館長の長尾真氏は、現在国会図書館が古い蔵書のデジタル化を進めていることについて触れ、電子書籍の配信だけでなく、「貸し出し」という概念についても議論を求めた。また、国会図書館がデジタル化した書籍データを有料で提供し、出版業界に利益を還元するというアイデアを紹介した。ただしこれには、近藤大臣政務官から「長尾氏個人の意見であり、国の方針というわけではない」との注釈も入った。
デジタルだからこそできることを
米国Sony Electronics上級副社長の野口不二夫氏は、米国で実際に電子書籍事業を担当している立場から、「Kindleが喜ばれている理由の1つは、お年寄りの人が使う際に簡単に文字が大きくなるから。視覚に障害のある人でも音声読み上げで本が読めるなど、デジタル化することで生まれるメリットがたくさんある」と紹介。さらに「映画の歴史は100年程度、音楽も数百年程度だが、テキストは人類創世以来の長い歴史を持つ文化遺産だ。これをきちんと後世に伝えなければ、我々は後世に恨まれる」として、電子書籍についての深い議論を求めた。
野口氏はまた、デジタル化により著作権は守りやすくなる面もあると話す。「米国で公共図書館と一緒に書籍のデジタル化をしているが、そこでは紙とデジタルデータをそれぞれ貸し出しており、どちらも2冊ずつまでしか1度に借りられないようにしている。デジタルデータは貸し出しから1週間経つと読めなくなり、次の人が借りられる仕組みだ」(野口氏)と実例を挙げ、デジタルにより厳密にルールの管理ができるとした。
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科委員長 兼 環境情報学部教授の徳田英幸氏も、デジタル化により生まれる新たな可能性に注目する。「著者へのコメントやフィードバックをリアルタイムにできたり、新たな形の広告を埋め込んだり、マーケティングに活用したりといったように、新しい需要を起こせる創発型の出版物の可能性を議論したい」(徳田氏)
シャープ代表取締役副社長の安達俊雄氏は、「日本のものづくりのパラダイムシフトが起きていると感じている。過去、日本のものづくりはすり合わせ型と言われてきたが、今までの部品レベルのすり合わせだけでは対応できない。これからはハードとコンテンツ、ソフトといった、知的なすり合わせが必要になる」とし、端末メーカーと出版界との協業が今後の産業発展には必要との考えを示した。
KDDI取締役執行役員常務の高橋誠氏は、auで着うたなどのモバイルコンテンツ市場を作り上げてきた経験を踏まえ、「ネットというと『コンテンツがすべて無料になる』と恐れを抱く人もいるだろうが、我々は作品の価値をきちんとユーザーに届け、対価を得て著作者に還元することを大切にしてきた。これがうまくいったのがモバイルコンテンツ業界であり、世界に誇れるモデルだと考えている。モバイルコンテンツをきっかけに書籍やCDが売れることもよくある。デジタルとリアルが共存して、全体としてプラスになるようなビジネスモデルを作れればいい」とした。
懇談会は今後、技術に関するワーキングチームと、出版物の利活用のあり方に関するワーキングチームの2班に分かれて議論が進められる。それぞれ月に2回ほど会合を開き、最終的に懇談会での議論を経て6月をめどにとりまとめをする計画だ。
法人税下げ、公約に 大塚副大臣「30%切る水準で」
内閣府の大塚耕平副大臣は21日のテレビ朝日番組で、法人税率の引き下げについて「参院選のマニフェスト(政権公約)で、何らかの方向感を出した方がいい」と強調した。具体的には法人税の実効税率(現在約40%)の水準に関して「少なくとも30%を切るところまで持っていきたい」と、大幅な税率引き下げが必要との考えを示した。
法人税率引き下げは先に鳩山由紀夫首相も実現に意欲を示している。
一方で消費税の税率は、次期衆院選までに議論をすべきだと区別した。引き上げる場合には「10%台の半ばのどこかで決めないといけない」との考えを示した。
自衛隊機を民間転用 次期哨戒機を旅客用に輸出、政府方針
政府は自衛隊が使う輸送機などの民間転用を進める方針を固めた。第1弾は哨戒機や輸送機などの国産3機種で、4月にも関係省庁による検討会を発足させる。民間機と仕様が変わらないため、武器や武器技術の海外輸出を禁じる「武器輸出三原則」には抵触しないと政府は判断した。財政事情などで防衛費は減少しており、輸出の実現で防衛産業の活性化と技術レベル維持を狙う。
3機種のうち、次期哨戒機XP1と次期輸送機XC2は川崎重工業が防衛省と開発し、飛行実験を進めている。救難飛行艇US2は新明和工業が製造し、海上自衛隊で実際の運用を始めている。
日経社説 「元気な経済」考 稼げる産業をいくつも育てよう(3/22)
もはや「世界第2の経済大国」という心地よい言葉と決別しなければならない。中国など新興経済の台頭で、世界における日本の存在は埋没しかけている。強かったはずの製造業でも、トヨタ自動車のリコール問題などほころびがみえる。
日本は今後も豊かさを持続できるのだろうか。現状は厳しい。
このままではじり貧
名目国内総生産(GDP)で今年中国に抜かれるのがほぼ確実だ。経済産業省の調査では日本の立地競争力は過去2年で大幅に低下。工場、研究所などあらゆる項目で、外国企業は日本より中国を優先して考えている実態が明らかになった。
じり貧から抜け出すカギは企業の活性化しかない。民主党政権の志向する大きな政府路線では分配の問題には対応できても、成長は置き去りになる。良質の雇用を創出しつつ、経済の潜在成長力を引き上げるのは企業や産業の役割である。
この視点から日本経済を眺めると、高度成長時代に形成された産業社会の骨格が今もそれほど変わっていないことに驚かされる。
組み立て型の製造業がけん引役となり、主に先進国市場への輸出や現地生産で稼ぐ体制だ。2000年から07年まで日本の輸出額は約30兆円伸びたが、「グローバル製造4業種」と呼ばれる輸送機械、電気機械、一般機械、鉄の4業種がうち20兆円を占めた。
むろん製造業の強さは維持する必要があるが、それだけでは弱い。特定業種への依存が強まり、金融危機など外的な変化に影響を受けやすい体質になった。これらの分野では韓国や中国企業も手ごわい存在に育ち、日本勢の独壇場ではない。
産業構造の刷新に踏み出す時期である。カギは「活躍する企業の多様化」「市場の多様化」ではないか。佐川グローバルロジスティクスは03年から上海で宅配便事業を始め、今では一日1万2千個の荷をさばく。テレビ通販が上海の中間層に人気だが、それを裏側から支えるのは日本流の細やかな配送サービスだ。
これはほんの一例だ。近隣のアジアに巨大市場が形成されることで、これまで内需中心だったサービス業や生活関連企業にも海外展開の機会が広がる。ユニ・チャームの紙おむつやTOTOの便器はアジアで人気だ。日本産の果物や高級米を買ってくれる人も増えるだろう。
目立たない存在だった素材産業にも脚光が当たる。環境対応の決め手である電池は、米韓勢との競争が激化しているが、電解液など電池素材を一手に供給するのは三菱化学や旭化成などの日本企業だ。
アジアだけで今後10年間に8兆ドル(約720兆円)と見込まれる社会基盤整備(インフラ)商戦も、産業構造転換のテコになる。巨大インフラを受注するには、機器をつくるメーカー単独の取り組みでは十分ではない。全体の設計や運営を熟知する公益系サービス会社、つまり鉄道であればJR各社、原子力発電なら電力会社などの参画が不可欠だ。
国内に閉じてきたこうした企業も、外に目を向け始めた。JR東海は葛西敬之会長が先頭に立ち、米国に新幹線を売り込もうとしている。東京都や大阪市の水道局はベトナムなどに水道運営のノウハウ供与に乗り出した。「漏水率が低い」「浄化技術に優れる」。高度な蓄積を生かした「官業」の挑戦に注目したい。
民を励ます仕組みを
伸びる市場で大きな存在感を確保することが、日本にとっての優先課題である。それができれば、輸出拡大や研究開発拠点の充実など国内の雇用の確保につながる。現地法人から配当などの形で、事業の果実を還流させることも可能になる。
同時に高齢化社会の到来を見据えて、新規の事業参入を通じ、医療や介護を雇用吸収力の大きな産業に育てることも大切だ。
政府の仕事は企業の挑戦を促す環境整備である。規制や税制の改革は不可欠だ。人材を育てるための教育の重要性は言うまでもない。海外インフラの受注に関しては、官民一体の取り組みも必要だろう。
政府がかつて強調していた対日投資促進は、最近すっかり忘れられた。新しいビジネスを外から呼び込むことも、日本経済を活性化するために欠かせない。
歴史を振り返ると、日本の産業構造は世界経済に連動して変身してきた。戦前は巨大な中国市場を舞台に繊維が基幹産業だった。戦後は購買力豊かな米国市場に支えられて、自動車が産業の頂点に立った。
再び世界の基軸は変わる。新興国の比重が増すなか、それに連動して新たな産業の主役を生み出せるか。それが日本の成長力を決する。
総務省、文部科学省、経済産業省の3省が電子書籍の規格統一に乗り出した。共同で「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」を開催。出版業界の代表者らを集め、電子書籍をめぐる問題について意見を聞いた。今後も議論を続け、6月までに意見を取りまとめたい考えだ。
米国ではAmazon.comのKindleやAppleのiPadなどの発売で、電子書籍に対する注目度が高まっている。文部科学省の中川正春副大臣は「このままでは、日本の出版界は海外からの波にさらわれてしまうという危機感がある。日本としての落とし所を探るための場を設けた」と説明。総務省副大臣の内藤正光氏は、「AmazonやAppleの取り組みを否定するつもりはないが、資本力を持った人だけが電子書籍市場を独占してしまうというのは好ましくない。国立国会図書館を巻き込みながら、国として規格を統一したい」と意欲を示した。
構成員には作家や出版社、新聞社、印刷会社、書店、図書館、通信事業者、家電メーカーの代表者らが名を連ねた。ただし取次については「寡占化しており、書店や出版社の代表者が構成員に入っていることで取次の思いは反映されると認識している」(経済産業省の近藤洋介 大臣政務官)としてメンバーには入っていない。なお、座長は東京工業大学名誉教授で国立情報学研究所顧問の末松安晴氏が務める。
才能を発掘、育成する仕組み作りを
構成員からは電子書籍ビジネスの今後を考える上でのさまざまな課題が挙げられた。
講談社副社長の野間省伸氏は、デジタル化における出版社の権利について議論が必要だと話す。出版社がこれまで、作家や漫画家といった才能の「卵」を見つけ出して成長に投資し、時間をかけて回収しながら次の卵に再投資してきたことで、小説や漫画などが日本の文化として発展してきたと指摘。電子書籍という新たな市場を発展させるためにも、出版社の存在が重要だと強調した。
これには作家の楡周平氏も同調。「作家というのは、怪物の鮭のようなもの。普通、鮭は1度産卵したら死んでしまうが、たまに何回も産卵する鮭がいる。作家も新人賞を取ったらほとんどが消えてしまうが、たまにいるモンスターのような作家に投資し、育てているのが出版社だ」としたうえで、「次々と作品をつくり出す人を生み出す環境作り、人材を育てる部分にもフォーカスして欲しい」(楡氏)と訴えた。
作家の阿刀田高氏も「デジタル化により、より良い出版物が未来に向けて継続的に作れることが最も重要だ」と話し、持続的なエコシステムを作り上げる必要があるとした。
図書館の存在をどう位置付けるか
漫画家の里中満智子氏は「デジタル化そのものは新しい時代の到来だと思うが、図書館問題が置き去りにされたままだ」と苦言を呈す。図書館の書籍は基本的に無料で貸し出され、著者に印税は発生しないなどの権利制限が課せられている。通常手に入りにくい書籍が図書館で貸し出されるのは良いことだが、ベストセラーなどでも図書館が大量に揃えて貸し出してしまうため、結果として本が売れず、著者の収入につながっていないという問題提起だ。
「デジタル化を進めるときに、図書館への納品制度は続くのか。書く側が疲れ果てて倒れないような仕組みをお願いしたい。国の姿勢として、『本はタダで読めるもの』というのをずっと続けて行くのか。タダは文化を育てる力に結びつくのか。本気で話し合える場にして欲しい」(里中氏)
このほか、日本書店商業組合連合会 副会長の柴崎繁氏は「書店の商売を考えると、図書館の存在は厳しい。デジタル化が進むことで図書館に行かなくても本が借りられるようになれば、おそらく本屋に行くことがほとんどなくなるだろう。地方ではすでに絶滅的に本屋がなくなっており、たとえば青森や島根では(日本書店商業組合連合会の)組合員数は数十店しかない。こういう状態の中で、今後本屋との共生をどうするかについても議論して欲しい」と訴えた。
国立国会図書館長の長尾真氏は、現在国会図書館が古い蔵書のデジタル化を進めていることについて触れ、電子書籍の配信だけでなく、「貸し出し」という概念についても議論を求めた。また、国会図書館がデジタル化した書籍データを有料で提供し、出版業界に利益を還元するというアイデアを紹介した。ただしこれには、近藤大臣政務官から「長尾氏個人の意見であり、国の方針というわけではない」との注釈も入った。
デジタルだからこそできることを
米国Sony Electronics上級副社長の野口不二夫氏は、米国で実際に電子書籍事業を担当している立場から、「Kindleが喜ばれている理由の1つは、お年寄りの人が使う際に簡単に文字が大きくなるから。視覚に障害のある人でも音声読み上げで本が読めるなど、デジタル化することで生まれるメリットがたくさんある」と紹介。さらに「映画の歴史は100年程度、音楽も数百年程度だが、テキストは人類創世以来の長い歴史を持つ文化遺産だ。これをきちんと後世に伝えなければ、我々は後世に恨まれる」として、電子書籍についての深い議論を求めた。
野口氏はまた、デジタル化により著作権は守りやすくなる面もあると話す。「米国で公共図書館と一緒に書籍のデジタル化をしているが、そこでは紙とデジタルデータをそれぞれ貸し出しており、どちらも2冊ずつまでしか1度に借りられないようにしている。デジタルデータは貸し出しから1週間経つと読めなくなり、次の人が借りられる仕組みだ」(野口氏)と実例を挙げ、デジタルにより厳密にルールの管理ができるとした。
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科委員長 兼 環境情報学部教授の徳田英幸氏も、デジタル化により生まれる新たな可能性に注目する。「著者へのコメントやフィードバックをリアルタイムにできたり、新たな形の広告を埋め込んだり、マーケティングに活用したりといったように、新しい需要を起こせる創発型の出版物の可能性を議論したい」(徳田氏)
シャープ代表取締役副社長の安達俊雄氏は、「日本のものづくりのパラダイムシフトが起きていると感じている。過去、日本のものづくりはすり合わせ型と言われてきたが、今までの部品レベルのすり合わせだけでは対応できない。これからはハードとコンテンツ、ソフトといった、知的なすり合わせが必要になる」とし、端末メーカーと出版界との協業が今後の産業発展には必要との考えを示した。
KDDI取締役執行役員常務の高橋誠氏は、auで着うたなどのモバイルコンテンツ市場を作り上げてきた経験を踏まえ、「ネットというと『コンテンツがすべて無料になる』と恐れを抱く人もいるだろうが、我々は作品の価値をきちんとユーザーに届け、対価を得て著作者に還元することを大切にしてきた。これがうまくいったのがモバイルコンテンツ業界であり、世界に誇れるモデルだと考えている。モバイルコンテンツをきっかけに書籍やCDが売れることもよくある。デジタルとリアルが共存して、全体としてプラスになるようなビジネスモデルを作れればいい」とした。
懇談会は今後、技術に関するワーキングチームと、出版物の利活用のあり方に関するワーキングチームの2班に分かれて議論が進められる。それぞれ月に2回ほど会合を開き、最終的に懇談会での議論を経て6月をめどにとりまとめをする計画だ。
法人税下げ、公約に 大塚副大臣「30%切る水準で」
内閣府の大塚耕平副大臣は21日のテレビ朝日番組で、法人税率の引き下げについて「参院選のマニフェスト(政権公約)で、何らかの方向感を出した方がいい」と強調した。具体的には法人税の実効税率(現在約40%)の水準に関して「少なくとも30%を切るところまで持っていきたい」と、大幅な税率引き下げが必要との考えを示した。
法人税率引き下げは先に鳩山由紀夫首相も実現に意欲を示している。
一方で消費税の税率は、次期衆院選までに議論をすべきだと区別した。引き上げる場合には「10%台の半ばのどこかで決めないといけない」との考えを示した。
自衛隊機を民間転用 次期哨戒機を旅客用に輸出、政府方針
政府は自衛隊が使う輸送機などの民間転用を進める方針を固めた。第1弾は哨戒機や輸送機などの国産3機種で、4月にも関係省庁による検討会を発足させる。民間機と仕様が変わらないため、武器や武器技術の海外輸出を禁じる「武器輸出三原則」には抵触しないと政府は判断した。財政事情などで防衛費は減少しており、輸出の実現で防衛産業の活性化と技術レベル維持を狙う。
3機種のうち、次期哨戒機XP1と次期輸送機XC2は川崎重工業が防衛省と開発し、飛行実験を進めている。救難飛行艇US2は新明和工業が製造し、海上自衛隊で実際の運用を始めている。
日経社説 「元気な経済」考 稼げる産業をいくつも育てよう(3/22)
もはや「世界第2の経済大国」という心地よい言葉と決別しなければならない。中国など新興経済の台頭で、世界における日本の存在は埋没しかけている。強かったはずの製造業でも、トヨタ自動車のリコール問題などほころびがみえる。
日本は今後も豊かさを持続できるのだろうか。現状は厳しい。
このままではじり貧
名目国内総生産(GDP)で今年中国に抜かれるのがほぼ確実だ。経済産業省の調査では日本の立地競争力は過去2年で大幅に低下。工場、研究所などあらゆる項目で、外国企業は日本より中国を優先して考えている実態が明らかになった。
じり貧から抜け出すカギは企業の活性化しかない。民主党政権の志向する大きな政府路線では分配の問題には対応できても、成長は置き去りになる。良質の雇用を創出しつつ、経済の潜在成長力を引き上げるのは企業や産業の役割である。
この視点から日本経済を眺めると、高度成長時代に形成された産業社会の骨格が今もそれほど変わっていないことに驚かされる。
組み立て型の製造業がけん引役となり、主に先進国市場への輸出や現地生産で稼ぐ体制だ。2000年から07年まで日本の輸出額は約30兆円伸びたが、「グローバル製造4業種」と呼ばれる輸送機械、電気機械、一般機械、鉄の4業種がうち20兆円を占めた。
むろん製造業の強さは維持する必要があるが、それだけでは弱い。特定業種への依存が強まり、金融危機など外的な変化に影響を受けやすい体質になった。これらの分野では韓国や中国企業も手ごわい存在に育ち、日本勢の独壇場ではない。
産業構造の刷新に踏み出す時期である。カギは「活躍する企業の多様化」「市場の多様化」ではないか。佐川グローバルロジスティクスは03年から上海で宅配便事業を始め、今では一日1万2千個の荷をさばく。テレビ通販が上海の中間層に人気だが、それを裏側から支えるのは日本流の細やかな配送サービスだ。
これはほんの一例だ。近隣のアジアに巨大市場が形成されることで、これまで内需中心だったサービス業や生活関連企業にも海外展開の機会が広がる。ユニ・チャームの紙おむつやTOTOの便器はアジアで人気だ。日本産の果物や高級米を買ってくれる人も増えるだろう。
目立たない存在だった素材産業にも脚光が当たる。環境対応の決め手である電池は、米韓勢との競争が激化しているが、電解液など電池素材を一手に供給するのは三菱化学や旭化成などの日本企業だ。
アジアだけで今後10年間に8兆ドル(約720兆円)と見込まれる社会基盤整備(インフラ)商戦も、産業構造転換のテコになる。巨大インフラを受注するには、機器をつくるメーカー単独の取り組みでは十分ではない。全体の設計や運営を熟知する公益系サービス会社、つまり鉄道であればJR各社、原子力発電なら電力会社などの参画が不可欠だ。
国内に閉じてきたこうした企業も、外に目を向け始めた。JR東海は葛西敬之会長が先頭に立ち、米国に新幹線を売り込もうとしている。東京都や大阪市の水道局はベトナムなどに水道運営のノウハウ供与に乗り出した。「漏水率が低い」「浄化技術に優れる」。高度な蓄積を生かした「官業」の挑戦に注目したい。
民を励ます仕組みを
伸びる市場で大きな存在感を確保することが、日本にとっての優先課題である。それができれば、輸出拡大や研究開発拠点の充実など国内の雇用の確保につながる。現地法人から配当などの形で、事業の果実を還流させることも可能になる。
同時に高齢化社会の到来を見据えて、新規の事業参入を通じ、医療や介護を雇用吸収力の大きな産業に育てることも大切だ。
政府の仕事は企業の挑戦を促す環境整備である。規制や税制の改革は不可欠だ。人材を育てるための教育の重要性は言うまでもない。海外インフラの受注に関しては、官民一体の取り組みも必要だろう。
政府がかつて強調していた対日投資促進は、最近すっかり忘れられた。新しいビジネスを外から呼び込むことも、日本経済を活性化するために欠かせない。
歴史を振り返ると、日本の産業構造は世界経済に連動して変身してきた。戦前は巨大な中国市場を舞台に繊維が基幹産業だった。戦後は購買力豊かな米国市場に支えられて、自動車が産業の頂点に立った。
再び世界の基軸は変わる。新興国の比重が増すなか、それに連動して新たな産業の主役を生み出せるか。それが日本の成長力を決する。