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ミクシィ、差別化戦略が花開く日は(COLUMN)
 交流サイトを運営するミクシィ株の戻りが遅い。外部企業が「mixi」上にクイズやゲームを提供できる「オープン化」を昨年から開始し、それに対応するための先行投資が膨らんでいるためだ。足元では4日続伸してはいるが、昨年12月に付けた高値(86万5000円)からは約3割安い水準。競合のディー・エヌ・エーが同じ期間で43%、グリーは28%上昇しているのとは対照的だ。ゲームが主力のサイトとは一線を画そうとするミクシィの動きが、市場では逆に評価されづらくなっている。
 クレヨンを使って茶色い犬の絵を一心不乱に描く男の子。お父さんがその絵を交流サイト上に載せると、日記を見ていた会社の後輩が子犬をプレゼントした。男の子の笑顔がはじける。「パパありがとう」――。
 ミクシィは3月8日からテレビCMを始めた。テーマは、サイトを通じた人と人とのつながり。「mixiってるから。」という文字が画面に映ると「つながってるから」という音声がかぶさるように入る。
 笠原健治社長はここ最近、外部での講演で「実際の友人や知人と交流できるんです。見ず知らずの関係で成り立っているサイトではありません」と強調している。ネット上の知り合いとやり取りするディーエヌエの「モバゲータウン」やグリーの「GREE」との違いについて話す機会も増えてきた。「どちらも大きな市場がある。ただ、当社はグリー、モバゲーとは明らかに違う市場を狙っている」(笠原社長)。このため、テレビCMで打ち出すのもこうした人間関係だ。他の2社が釣り、怪盗といったゲームの内容に焦点を当てたCMを放映しているのとは異なる。
 こうした差別化戦略が、逆に直近の業績の重荷となり、低迷する株価の要因にもつながっている。2009年10~12月期の連結純利益は3億2000万円と、7~9月期に比べ33%減った。mixiにゲームやクイズなどのアプリケーション(アプリ)を提供する外部企業に支払っている、実質的な「開発支援費用」が利益を圧迫した。サイトの閲覧数拡大などで、サーバーの賃貸料も増えた。
 一方で、ディーエヌエの連結純利益は74%増、グリーの単独税引き利益は51%増だった。ゲームをより楽しむための釣りざおや武器などのアイテム販売から得る、ゲームの利用料収入が大幅に拡大した。
 通期についても、ミクシィは10年3月期の連結純利益を前期比35%減の12億円に下方修正。一方、ディーエヌエとグリーは業績を上方修正した。それだけに市場では「笠原さんには、市場に対して約束した数字を達成しようというがむしゃらさがない」(国内証券アナリスト)という厳しい指摘も出る。
 ただ、オープン化戦略が失敗と結論づけるのは早計だ。昨年12月のサイト閲覧数は276億回と、夏場までの150億回前後から急上昇した。夏場までは横ばい圏内で推移していた月間の利用者(ログインユーザー)数も、昨年10月以降は上昇基調に転じている。アプリを提供している外部企業も「既に月1億円の利用料収入を得る企業も出ている」(笠原社長)という。
 「ゲームの競争で稼ぐのではなく、もともとある人間関係の感情を刺激するようなサイトにしたい」。笠原社長は将来像をこう描く。今期は将来の果実を得るための我慢の時期になる。



テレ東など3社が経営統合、10月に放送持ち株会社
 テレビ東京とBSジャパン、テレビ東京ブロードバンド(TXBB)の3社は26日、経営統合すると発表した。10月1日付で放送法上の認定放送持ち株会社を設立し、3社が100%子会社として傘下に入る。2011年7月の放送の完全デジタル化など経営環境の変化に備え、統合で経営基盤を強化。地上波、BS、CS、ネットを通じて複合的にコンテンツを提供する総合メディアグループを目指す。
 3社は株主総会での承認と総務大臣の認定を経て新会社を発足させる。名称は「テレビ東京ホールディングス(仮称)」。社長には島田昌幸テレビ東京社長が就く。テレビ東京、BSジャパン、TXBBの各1株に対し、それぞれ持ち株会社の株式を1株、11株、45株割り当てる。資本金は100億円で、日本経済新聞社が30%超を出資する筆頭株主になる。
 テレビ東京とTXBBは9月28日に上場廃止となり、持ち株会社が10月1日に上場する。
 経営と戦略立案は持ち株会社、業務執行は放送子会社が担い、責任の明確化や意思決定の迅速化を目指す。連結納税制度の導入で、資金の有効活用などを見込むほか、地上、BS、CSの3波でコンテンツの共同利用を促進。統合効果を早期に引き出し、時価総額を拡大する。
 テレビ東京の強みである経済報道を強化するため、CSで経済専門チャンネルを展開する日経CNBCとの連携強化も進める方針。今後、持ち株会社の持ち分法適用会社とする方向で、日経と協議に入る。



携帯電話でネット通販、「移動中に」が36% 民間調べ
 NTTドコモの100%子会社、ドコモ・ドットコム(東京・千代田)は26日、インターネット通販の利用動向調査を発表した。機器別に商品を購入する状況について複数回答で尋ねたところ、携帯電話では「電車などの移動中」が36.3%を占め、「自宅でくつろいでいる時」の57.8%に次いで多かった。パソコンでは「自宅で」が92.9%に上っており、利用状況に違いがでた。
 携帯電話からの商品購入について男女別にみると、男性では「自宅で」が47.7%で最も高かったが、「移動中」「職場・学校などでの休憩時間中」もそれぞれ4割を超え、ちょっとした空き時間を使う傾向がみられた。一方、女性は「自宅で」が67.5%なのに対し「移動中」「休憩時間中」は3割を切っている。

 同社は「一般的に、ネット通販では、女性は化粧品や衣料品をじっくり選びながら、男性はゲームの新製品などあらかじめ買うと決めたものを購入する傾向がある。それが利用動向にも影響しているのでは」としている。調査は2009年9月3~10日にNTTドコモのユーザーを対象に実施。2194人から回答を得た。



消費者物価12カ月下落2月1.2%、6年半ぶり長期の下げ
 総務省が26日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は変動の大きい生鮮食品を除くベースで99.2となり、前年同月比で1.2%低下した。マイナスは12カ月連続。1年間以上継続して物価が下がり続けるのは03年9月以来6年5カ月ぶりとなる。1月に比べ低下率は小さくなったが、家電から衣料品まで幅広いモノの値段が下がっており、物価の下落が続く「デフレ」が長期化しつつある。(関連記事総合ビジネス面に)

 菅直人副総理・財務相は同日午前の閣議後の記者会見で、物価が12カ月連続でマイナスとなったことについて「デフレ脱却へさらなる努力が必要だ」と強調した。



ギリシャ支援策合意ユーロ圏、IMFと協調融資
 【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)は25日夜(日本時間26日未明)、ユーロ圏16カ国による首脳会議を開き、緊急時のギリシャ向け資金繰り支援策で合意した。ユーロ導入各国と国際通貨基金(IMF)が協調融資する枠組みで、ギリシャの信用不安の沈静化と単一通貨ユーロの防衛を狙った。ユーロ導入国がIMFから支援を受ければ、1999年の通貨ユーロ創設以来初めてとなる。異例の危機対応の枠組みで通貨同盟は新たな段階を迎える。
 巨額の財政赤字を抱えるギリシャは4~5月に約200億ユーロ(約2兆5000億円)の国債償還期限を控える。支援策はギリシャが国際金融市場から資金を調達できなくなった場合に限って発動されるセーフティーネット(安全網)となる。ネット(安全網)となる。全体の融資枠は不明だが、最大で200億ユーロを上回るとみられる。

 支援策はユーロ導入各国によるギリシャ向けの2国間融資と、IMFの緊急融資を併用し、融資の過半をユーロ圏が担う仕組み。サルコジ仏大統領は協調融資の3分の2をユーロ圏、3分の1をIMFがそれぞれ実行する方針を明らかにした。



Gmailに「なりすまし検出機能」、怪しいログインを警告
 米グーグルは2010年3月24日、同社のWebメールサービス「Gmail」に、疑わしいログインを警告する機能を追加した。ログイン元のIPアドレスからユーザーの所在地(国や地域)を特定し、いつもとは異なる場所からログインされた場合には、不正利用の疑いがあるとして警告メッセージを表示する。
 Gmailには、利用しているユーザーアカウントのログイン状況などを表示する「アカウントアクティビティ」機能がある。2008年7月に実装されたこの機能では、そのアカウントにログインした日時やIPアドレス、IPアドレスから特定したユーザーの所在地(国や地域)を一覧表示する。



日系百貨店、NY撤退続く
三越は事務所閉鎖
 世界有数の商業都市、米ニューヨーク(NY)市から日本の百貨店が相次ぎ撤退する。高島屋が今年6月でNY店の閉店を決めたのに続き、三越は25日、米子会社のNY本社事務所を3月末で閉鎖すると発表した。米国は金融危機後の景気後退からの「病み上がり」途上にあり、百貨店など高級小売りの競争が一段と厳しくなっている。三越の米子会社の本社機能はフロリダ州オーランドのオフィスに移管する。オーランドにある店舗はこれまで通り営業する。

 高島屋はマンハッタン中心部にある店舗の閉鎖を発表。高級店が軒を連ねる目抜き通り、5番街に面した自社ビルは売却する方針で、早くも買い手に関心が集まっている。



3Dテレビ、LG電子発売 日韓勢の競争激しく
 【ソウル=尾島島雄】韓国のLG電子は25日、立体的な映像を楽しめる47型と55型の3D(3次元)テレビを韓国で発売した。来月から米欧など世界市場に投入する。3Dテレビはサムスン電子とパナソニックが既に販売しているほかソニーも6月に発売。LGの参入により、日韓が争う構図が鮮明になってきた。
 液晶を背面から照らすバックライトに発光ダイオード(LED)を搭載。コントラスト(明暗比)を1000万対1と業界最高の水準に引き上げた。厚さは22.3ミリメートルに抑えた。42型、60型、72型に順次、製品群を拡充してフルライン展開。3Dに対応するプラズマテレビも開発している。

 47型の価格は専用メガネ2個付きで470万ウォン(約38万円)程度。LGは今年の3Dテレビの世界市場規模を380万台と見ており、そのうちの25%の獲得を目指す。
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iPhoneソフト、大量削除の波紋(COLUMN)
 米アップルが、iPhone用ソフト「アプリ」の配信を大量に停止し、波紋が。娯楽や地図情報アプリも含まれており、アプリの提携先にまで影響が広がる。同様の問題は他の配信業者にもあり、情報プラットフォームの公共性が問われる。
 スマートフォンの「iPhone(アイフォーン)」や音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」が絶好調。期待の新型コンピューター端末「iPad(アイパッド)」の発売も控える米アップルは、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。ところがここにきて、アップルに対する批判の声がにわかに高まっている。
 きっかけはアップルが2月中旬から3月上旬にかけて、同社の配信サービス「アップストア」から、iPhoneなどで使う「アプリ」と呼ぶ専用ソフトを次々に削除したこと。「アプリ」には写真共有や住所管理、ゲームなど様々なものがあるが、アップルが削除したアプリの数は数千に及ぶとされる。
 2月末に配信停止になったアプリには性的表現を含んだものが多く、業界内でもそれほどの驚きはなかった。だが、3月4日に状況が一変する。
 同日、配信が停止されたアプリ「セカイカメラ」は街中の映像に様々な情報を重ねて表示する人気ソフト。例えば、iPhoneのデジタルカメラで繁華街を映すと、そこにあるビル名や飲食店などを「付箋」を張るように映像に重ねて表示する。各種情報がリアルタイムで分かると、海外でも話題になるほどだった。
リクルートやぐるなびにも波及
 影響を大きくしたのは、アプリの提携先にまで被害が及んだためだ。セカイカメラを提供する頓智ドットは同日、リクルートやぐるなび、東急ハンズなどと提携を発表したばかりだったのだ。
 この提携で、セカイカメラを起動してiPhoneを街中でかざせば、そこにある飲食店やメニューを画面上に表示できるようになった。ビルにカメラを向ければ物件情報なども確認できる。
 ところが提携発表と時を同じくして削除された。提携を知った利用者が、セカイカメラをダウンロードしようとしても、iPhoneの画面に「条件に一致する項目がありません」というそっけないメッセージが出る事態に陥った。セカイカメラや提携先は、でばなをくじかれた格好だ。
 セカイカメラ配信停止の原因は意外なところにある。内蔵するクウジット製の位置検索ソフト「プレースエンジン」が問題とされたのだ。
 アップルは「プレースエンジン」を社内審査で不適格として、それに伴いセカイカメラが配信停止となった。ほかにもYahoo!地図や、相田みつを美術館の館内紹介などプレースエンジンを使う6アプリの配信が止まった。
 プレースエンジンは、各施設が持つ無線LAN(構内情報通信網)の電波から、その位置を特定するソフト。これまでは問題なくアップルの審査に通っていた。最近、ソフト内容を変更したわけでもない。それなのに突然認められなくなったのは、アップルが審査基準を変えたためだ。
 アプリを開発するソフト会社にとって、アップストアに掲載されるかどうかはビジネスの生命線。だが、アップルは基準変更の詳細についてほとんど説明していない。
 「性的」としてアプリを削除された企業の担当者は「問題がある内容ではなかったと思うが残念だ」と困惑を隠せない。「何の説明もなく配信停止されるようでは、安心してビジネスができない」との声も上がる。
 クウジットは「プレースエンジンを搭載していたアプリから、それを除いてもらって、アップルに再審査をしてもらうように、関係者と調整している」と打ち明ける。実際、頓智ドットはセカイカメラからプレースエンジンを取り除くなどの修正を施して、同13日にアップストアでの再配信を果たした。
 国内出荷だけで推定200万台を突破したiPhoneは、既に日常生活に欠かせない情報端末になっている。アップストアからのアプリのダウンロード回数は今年1月に30億を突破するなど勢いは増すばかりだ。
 そうした中、米非営利団体の「電子フロンティア財団(EFF)」は、アップルとアプリ業者が一般的に交わしている契約書を独自に入手し、インターネット上で公開した。契約書には「アップルがいつでもアプリの承認を取り消し無効化できる」「開発者に対して50ドル以下の賠償しか行わない」といったアップルの強気姿勢を示す条項が並ぶ。EFFは「あまりに一方的」と独占状態の弊害を指摘する。
 米国では、アップルが、米グーグル製の電話ソフト「ボイス」をアプリとして認めないため、米連邦通信委員会(FCC)が調査に乗り出す事態も起きている。
 その一方で、アプリ開発者の姿勢も問われる。
 かつて米バーガーキングは、「フェースブックの友達を10人削除すれば、ハンバーガーを無料でプレゼント」という販促策を展開した。米大手SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のフェースブックは、これをガイドラインに反すると主張。販促策は10日間で中止された。
ミクシィも“ルール”を変更
 独り勝ちゆえにアップルの動向に注目が集まるが、実はこうした事例は日本でもほかにある。
 国内最大の会員を抱えるSNS「mixi」を運営するミクシィでも試行錯誤が続く。同社は2月19日、開始から半年が経ったmixi向けのアプリについてガイドラインを突然変更した。これによってアプリを開発する業者に動揺が広がった。
 一例は、サポートコミュニティーに関するガイドラインの変更だ。ゲーム目的だけで交流するユーザーがあまりにも増えたため、ミクシィは危機感を覚えて、ゲーム上での友達募集に制限を加えた。mixi向けにゲームアプリを提供する企業は困惑するが、ミクシィは「規約変更後に不適切になったアプリには個別に修正を依頼する。それで対応しなかった場合は排除する」と意に介さない。
 ミクシィはアプリ内の広告表示についても、広告料金や条件などを3回変更している。取引先からは「変更のたびにビジネスモデルを練り直さなければならない」という困惑も漏れる。
 アップルにしろ、ミクシィにしろ自社の情報プラットフォームの基準なのだから、自社がルールを自由に決められるとの思想があるのかもしれない。
 ただ重要なのは、そのネットワークは、そこに多くのアプリを提供する取引先と利用者に支えられているということ。そこには当然、公共性が伴う。
 スマートフォンを巡っては、グーグル、米マイクロソフト、フィンランドのノキアなどがアプリ配信を本格化する姿勢を見せ、SNS分野ではミクシィやディー・エヌ・エーに続き、グリーもアプリ配信に舵を切っている。
 様々な配信業者とアプリ開発者が増えて、情報プラットフォーム間の競争が一層激化すれば、企業もまたインフラを選べるようになる。その時には公共性を意識した透明性のある運用を心がけたプラットフォーム運営者にこそ、軍配が上がるはずだ。



日産・ダイムラー相互出資へ ルノー含め3社連合
 日産自動車が独ダイムラーと相互出資する方向で最終調整に入った。出資比率は5%未満とみられる。日産と資本提携している仏ルノーはすでにダイムラーと資本を含めた提携交渉に入っており、実現すれば日仏独の自動車大手が株式を持ち合う3社連合となる。3社は部品の共通化によるコスト削減のほか、電気自動車など多額の開発資金が必要な環境技術で協力する。再編で生き残りを目指す動きが、自動車業界で加速してきた。
 ルノーの会長を兼務する日産のカルロス・ゴーン社長は25日、横浜市内の本社で経営会議を開き、日産の首脳陣にルノー主導で進めてきたダイムラーとの提携交渉の経緯や狙いを説明した。関係者によれば、日産を含む3社で資本面を含めた幅広い提携関係の構築を目指しているという。
 日産幹部は同日夜、ダイムラーとの株式持ち合いについて「いろいろ議論はしている」と述べ、従来の業務提携交渉に加えて、株式の一部持ち合いを検討していることを明らかにした。出資比率は1~2%程度が有力とみられる。
 ルノーは日産に44.3%、日産はルノーに15%出資している。ルノーとダイムラーはすでに3%程度の相互出資を含む提携交渉に入っているが、日産とダイムラーも数%ずつ株式を持ち合う提携交渉を進める。3社で最終調整したうえで、4月上旬にも合意に達する可能性がある。
 3社は株式を持ち合ったうえで、部品や車台の共通化や、環境技術の開発で協力する見通し。排ガス中の有害物質が少ないディーゼル技術などに強いダイムラーと、小型車の開発力に優れるルノー、電気自動車や電池技術に強い日産が協力することで、多額の開発費負担を軽減できる。
 技術情報を開示し合うためには、相互に出資する必要があると判断した。日産とダイムラーが仮に2%ずつ相互出資する場合、それぞれ8億~9億ドル程度の資金が必要。このため、ルノーを含めて株式交換など資金需要が発生しにくい手法を検討しているもようだ。



百貨店、続く収縮 大型再編、ハードルは高く
 高島屋とH2Oの経営統合が破談になった背景には、2008年末以降の急速な経営環境の悪化がある。
 ピーク時の1991年に約10兆円あった全国百貨店の売上高は、バブル経済の崩壊とともに年々縮小。リーマン・ショック以降、収縮に拍車がかかった。09年は前年比1割減の約6兆5000億円まで落ち込んだが、今年に入っても売り上げ減に歯止めがかからない。高島屋、H2Oともにまずは目先の売り上げ減少に歯止めをかける対策に追われているのが実情だ。
 先行して経営統合した2社も現時点では十分な成果をあげられずにいる。三越伊勢丹ホールディングス、J・フロントリテイリングともに、店舗閉鎖や人員削減などリストラを優先せざるを得ず、商品力の向上といった本来期待される相乗効果が十分に出ているとは言い難い。
 百貨店は地域によって品ぞろえが異なるうえ、高価な非量産品を販売の中心に据えており、スーパーやメーカーに比べて大量仕入れなどによる規模のメリットが生まれにくい面もある。
 それでも百貨店業界の再編機運がしぼんだわけではない。特に地域経済が疲弊する地方百貨店は業績が厳しさを増している。比較的体力のある大手との連携を模索する中堅・地方の百貨店は今後も増えそうだ。
 産業界では最近、キリンホールディングスとサントリーホールディングスなど統合や提携交渉が破談になるケースが相次ぎ、大型再編のハードルの高さが浮き彫りになっている。
 ただ製造業と比較してみた場合、内需型産業の典型である百貨店の経営環境の悪化は顕著。「近い将来、市場が5兆円台に縮む」(鈴木弘治・高島屋社長)という見通しが現実味を帯び始めるなか、生き残り戦略の選択肢も少なくなりつつある。



日航、貨物事業から10月末めどに撤退
 会社更生手続き中の日本航空は25日、貨物専用機による貨物事業から10月末をめどに撤退すると発表した。
 貨物事業は2009年3月期に約240億円の赤字に陥るなど不振が続いており、今後は、旅客機の下部を利用した貨物事業に絞り、12年3月期の黒字転換を目指す。
 日航の貨物事業の事業規模は約25%縮小することになる。保有している10機の貨物専用機は、売却やリース会社への返却を進めるほか、貨物事業にかかわる社員約3000人も配置転換などを進める。



日経社説
イスラエルは入植凍結を
 中東和平交渉を再開する機運が一気にしぼんだ。イスラエルが入植計画を相次ぎ承認したからだ。パレスチナ自治政府は猛反発し、仲介役の米オバマ政権もイスラエルのネタニヤフ政権への不信感を強めている。
 事態を打開し、交渉再開の政治環境を整えるために、まずイスラエルが入植計画を凍結すべきだ。
 オバマ大統領は中東和平を外交の優先課題とし、イスラエルに入植活動の全面凍結を求めてきた。さらにミッチェル米特使がイスラエル、パレスチナ双方を説得し、米国が仲介する間接交渉を始めると8日に発表したばかりである。
 ところが9日にイスラエル側は東エルサレムでの入植計画を承認し、23日には別の入植計画を承認したことも明らかになった。9日はバイデン米副大統領がイスラエルを訪問してネタニヤフ首相と会談した日、23日は訪米した同首相がオバマ大統領と首脳会談をした日だ。
 バイデン副大統領は「イスラエルの決定を非難する」と不快感を示し、オバマ大統領は首脳会談を非公開にして会談後の記者会見も開かなかった。両国の関係は過去数十年間で最悪の状態に陥ったといわれる。
 このままでは、始まるはずだった間接交渉の見通しも立たない。
 近年のイスラエルの「入植」の多くは団地の建設だ。占領地に団地が相次ぎ建設されパレスチナ人居住地域の分断が進むと、将来の2国家共存に向けての線引きがさらに複雑になる。今後の交渉の妨げになる一方的な既成事実化は自制すべきだ。
 ネタニヤフ首相は米国のユダヤ系ロビー団体の総会で「エルサレムはわれわれの首都」とあらためて主張し、入植凍結に応じない姿勢を見せた。だが、その主張は国際社会に認められてはいない。潘基文国連事務総長は、国際法に反する入植をやめなければならないと強調する。
 国連人権理事会では24日、イスラム諸国が提出した入植非難決議を欧州諸国や日本も支持して採択した。非難決議に唯一反対したのは米国だった。秋の中間選挙を控えた米議会などはイスラエル支持に傾きがちだが、オバマ政権は和平交渉再開を目指して公平かつ粘り強く外交の主導力を発揮してほしい。
第2、第3の「App Store」が登場する 迫るAndroidビッグバン(COLUMN)
 今後,米グーグルの携帯機器用OS「Android」を搭載した端末の台頭と並行して,端末を販売する企業の多くが,米アップルの「iPhone+App Store」と同様のサービス提供を目指す。2009年末時点で約10万本とアプリ配信数で先行するiPhoneを猛追する。
 Android端末ではプレーヤが多様化,配信用の基盤や端末を自由に組み合わせてサービスを提供できるようになる。多くのプレーヤが重視するのが,配信用基盤となる課金プラットフォームだ。
 Android端末の提供と並行して,今後,活気付きそうなのが,Androidプラットフォームに向けたアプリケーション・マーケットである。端末を販売する事業者の多くが,米アップルの「iPhone+App Store」と同様のサービス提供を目指している。
 例えばNTTドコモは,4月のソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製端末「Xperia」の発売時期に合わせて,「ドコモマーケット」を立ち上げる。当初はアプリの紹介にとどまるものの,2010年内には有料アプリの販売も始める。アプリケーションの代金は,携帯電話の利用料と合わせて徴収する。KDDI,NECビッグローブ,NTT東日本も,同様の課金・回収代行を含むアプリの配信サービスを開始する。
 このほか,Androidを使った組み込み機器の開発を推進する業界団体のOESF(Open Embedded Software Foundation)も,メーカーが個別運営でアプリ配信できるようにするソフトウエアの開発を進めている。
利便性を高めてユーザーを引き寄せる
 Android向けのアプリケーション・マーケットとしては,米グーグルが運営する「Android Market」がある。にもかかわらず各社がアプリ配信サービスを手掛ける理由は,「オープン化されたAndroidでは,端末の機能による差異化は,いずれ難しくなっていく。そうなれば通信事業者としては,違うレイヤーでどう勝負するかを考えざるを得ない」(KDDIコンシューマ商品統括本部の重野卓オープンプラットフォーム部長)という思いがあるためだ。
 それぞれ自前のマーケットを立ち上げ,スマートフォンの使い勝手を改善すると同時に,アプリ開発者を呼び込む。これにより最終的にはユーザーの利用頻度を高め,顧客離れを防ぐ。
 ドコモの山田隆持社長は,「グーグルのAndroid Marketには世界から数多くのアプリが集まっている。ただ,説明文に英語が混ざっているなど,日本人にはなじみにくい部分がある」とする。そこでドコモマーケットでは,Androidを利用するうえで便利な定番アプリを抽出し,初心者にも分かりやすく紹介する。さらに「日常生活の中で利用する頻度が高いスマートフォン向けのWebサイトも紹介していく」(山下哲也スマートフォン事業推進室アプリケーション企画担当部長)。アプリとWebサービスの両輪で“Android版iモード”というべきサービス配信の基盤を作り上げようというわけだ。
収益性が高いアプリ販売モデルを模索
 アプリ開発者に十分な収益をもたらす土壌を作り上げようという思いもある。Androidの普及拡大を目指すには,魅力的なアプリを豊富にそろえることが不可欠だからだ。
 アプリ配信で先行するiPhoneが世界で2009年末の時点で約10万本であるのに対して,Androidは約2万本と数の上ではまだ少ない。しかも,Android向けアプリは有料アプリよりも無料アプリの比率が高い。「iPhone向けアプリは約7割が有料で約3割が無料と言われるが,Android向けアプリでは,その比率が逆になる」(日本Androidの会 会長を務める早稲田大学大学院の丸山不二夫客員教授)。普及している端末の数がまだ少ないことから「Android向けアプリの開発者は個人プログラマがほとんどで,企業の参入が進んでいなかった」(ソフト販売コンサルタント)ことが理由の一つである。
 一方,有料アプリの収益性はiPhone向けでさえ高くない。アプリの価格競争が進んでいるほか,ほとんどが購入時にだけ代金を支払う売り切り型で定期的な収益を獲得しづらいからだ。アプリ内課金という仕組みを使えば定期的に利用料を得ることも可能だが,ユーザー管理のために自前でサーバーを運用する必要があるなど,開発者にとって負担が大きかった。そこで,事業者が独自のマーケットを立ち上げ,Android Marketとは違った方法でアプリやサービスの料金をユーザーから回収する。従来のiモードやEZwebのように「月額課金の設定も考えていく」(KDDIの重野部長)。
………………………………………………………………………………
重野卓 KDDI コンシューマ商品統括本部 オープンプラットフォーム部長
 我々の調査で,日本では携帯電話を持ちながら,スマートフォンを2台目の端末として使っている比率が高いことが分かった。それは,従来のスマートフォンの機能に不足を感じているからにほかならない。しかも2台の端末を所有できるユーザーは限られる。
 そこでどんな機能を追加すれば1台目として使ってもらえるかを考え,社会インフラ的に使われている機能が必要だという結論に達した。初夏に投入する端末では,その機能を実装する。ただし,機能の詳細はまだ公開できない。
 社内では,Android端末を他社に先駆けて出すべきかどうかという議論もした。海外メーカーの製品をそのまま持ってくれば,すぐに出すことはできたが,ユーザーが求める端末を出すことを優先すべきと判断した。コンシューマ向けの製品だが,企業ユーザーの利用も期待している。
オープン化で端末の差異化は困難に
 オープン・プラットフォームであるAndroidが浸透すれば,いずれは端末だけでは差異化できなくなるだろう。それに備えて通信事業者は発想を柔軟にするべきだ。何も,通信機能だけを提供すればいいというわけではない。一部をオープンにして外部企業に任せつつ,通信事業者が持つ各種サービスや課金システムをどう生かすかを考える必要がある。
 その取り組みの一環として,KDDIでは「KDDIマーケット」(仮称)を立ち上げる。Android Marketよりも日本のユーザーが使いやすい形でアプリを紹介したい。開発者が参入しやすいように,将来はKDDIマーケットにアプリを一度登録すればAndroid Marketでも同時に配信できる仕組みを整える。月額課金など,ソフトウエア開発者が利用しやすい課金体系を導入する必要もあるだろう。
 音楽配信サービスの「LISMO」など,既存の携帯電話に提供しているサービスで,ユーザーに受け入れられるものは提供していきたい。 



ニコ生がTwitterに対応、生放送を見ながらのツイートが可能に
 ニワンゴは、「ニコニコ動画(9)」のライブ配信サービス「ニコニコ生放送」で、Twitterとの連携サービスを開始した。
 連携サービスは、ニコニコ生放送を視聴しながら、その番組に関するTwitterの書き込みの閲覧や、Twitterへの書き込みが行えるもの。ニコニコ生放送の視聴画面から、「t」タブを選択することで、番組ID(#lvXXXXXXXX)または放送者が設定したハッシュタグが付いたTwitterの書き込みが閲覧できる。
 書き込みは、「t」タブ内の「Twitter認証」ボタンを押すことで、Twitter側の認証ページに移行。放送視聴画面のコメント欄横のボタンで、ニコニコ生放送への書き込みとTwitterへの書き込みを切り替えられる。
 また、ニコニコ生放送では、これまでコミュニティレベルによって同時視聴者数に制限があったが、25日からはコミュニティレベルに関わらず1000人まで同時視聴が可能となった。



音楽誌「アドリブ」5月号で休刊
 国内外のミュージシャンの情報を扱う音楽月刊誌「アドリブ」が来月19日発売の5月号で休刊し、約37年の歴史に幕を下ろすことが分かった。
 発売中の4月号で告知した。発行元のスイングジャーナル社(東京)のアドリブ編集部によると、同誌は昭和48(1973)年9月に創刊し、最盛期の1980年代後半から90年代前半には20万部近くの売り上げを誇ったが、一昨年秋のリーマン・ショック後の大不況による広告収入の激減とネットの普及により、ここ数年、部数が低迷していた。



DS国内3000万台突破
 エンターブレインの調査によると、「ニンテンドーDS」シリーズの国内累計販売台数が、3月21日までに3000万台を突破した。2004年12月2日の発売以来5年と3カ月半で達成した。
 DS向けソフトの累計販売本数トップ3は、「Newスーパーマリオブラザーズ」(577万本)、「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」(577万本)、「おいでよ どうぶつの森」(513万本)とすべて任天堂製。



中国の携帯端末で“グーグル外し” 通信大手「中国の法律を順守する企業と仕事をしたい」 
 中国の通信大手、中国聯通(チャイナユニコム)は25日までに、新たに開発した携帯電話から米インターネット検索大手グーグルの検索機能を外す方針を明らかにした。同日付の英紙フィナンシャル・タイムズが伝えた。
 グーグルが中国本土のネット検索事業から撤退したことを受け、最大のネット利用者を抱える中国で、グーグルの事業展開に支障が出始めた。
 同紙によると、中国聯通は、新型の端末で、グーグルの携帯向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」をベースにした検索機能の提供を見送る。
 中国聯通は「われわれは中国の法律を順守する企業と仕事をしたい。グーグルとは当面、かかわりを持たない」としている。



中国検閲で米グーグル「WTOルールに抵触も」
 【ワシントン=岡田章裕】米議会上下両院の中国問題特別委員会は24日、インターネット検索世界大手の米グーグルが中国本土での検索事業から撤退した問題について公聴会を開いた。
 グーグルを代表して公共政策部門の責任者であるアラン・デビッドソン氏が証言し、「外国政府が、自国企業に有利な形の検閲政策を行えば、内外無差別という基本的な通商ルールに反する」と批判、中国の検閲政策がWTO(世界貿易機関)ルールに抵触する可能性があるとの見方を示した。今後、米中の通商摩擦に発展する可能性もある。
 また、デビッドソン氏は「40以上の国が検閲を導入している。ネットの検閲は一企業、一産業だけで対応出来る問題ではない。新しい貿易障壁に対処するために、政府は新たな通商ルールを作り上げる必要がある」と指摘し、国際的なルール作りが必要との考えも表明した。
 一方、検閲問題が解消されれば、中国市場に復帰する意向を示したが、「困難な道が広がっている」とも述べた。



中国の「.cn」提供停止、米ドメイン会社
 【ワシントン=岡田章裕】インターネット上の住所に当たるドメイン名の提供サービスで世界大手の米ゴーダディー・ドットコムは24日、米議会公聴会で、中国のドメイン名として使われている「.cn」の新たな提供を停止すると発表した。
 中国当局が昨年暮れから、新規の利用者が登録する際にカラーの顔写真、署名などの個人情報の提供を求める規制強化を行い、利用者のプライバシーに懸念が出たためとしている。
 証言した同社のクリスティーン・ジョーンズ上席副社長によると、同社は中国で2005年からサービスを始め、「.cn」は約2万7000件の登録がある。ジョーンズ副社長は、治安維持などに情報が流用されることへの懸念を示した。



ネット中毒防止に時間制限ソフト導入も…韓国
 【ソウル=前田泰広】世界トップクラスのインターネット普及率を誇る韓国で、過度のネット利用により日常生活に支障をきたす「ネット中毒」が社会問題化している。
 これに対し韓国政府は、「中毒者」に対する相談や治療、1000万人を対象にした予防教育など、中毒防止に力を入れる方針を打ち出した。
 韓国では3月初め、ネットゲームに熱中した夫婦が生後3か月の娘を放置し、餓死させたとして逮捕された。ネットにのめりこんで学校、会社に通学、通勤しない若者も多いとされ、2007年5月には、男子中学生がゲームをやめさせようとした祖母を殺害する悲劇も起きた。
 「最近1か月以内に1度以上インターネットに触れた事がある人」を基準にしたネット利用率は約77%と、2000年に比べて1・72倍に増加している。一方、行政安全省によると、「ネット中毒者」は200万人に達し、社会的な損失は約10兆1000億ウォン(約8300億円)にもなる。
 これを問題視した韓国政府は、7省庁合同の「中毒者」減少策に乗り出した。主な対応は、30万人を対象にしたカウンセリング(今後3年間)、病院治療のほか、ネット利用時間を制限するソフトの導入も検討中だ。



ソフトバンク、無料のルート案内サービス「タダナビ」
 ソフトバンクモバイルは、GPSなどの位置情報を活用して目的地までのルートを地図上に表示する「タダナビ」を3月26日より提供する。利用料は無料で、S!ベーシックパック(月額315円)に加入して利用する。
 「タダナビ」は、目的地までの徒歩ルートを地図上に表示するWebサービス。ソフトバンクの3G端末で利用できる。住所や電話番号から目的地を検索し、利用する交通機関の経路検索とともに、地図上に徒歩ルートを表示する。乗換案内機能のほかに、交通渋滞が予想される区間とその時間帯などもチェックできる。
 なお、サービス開始時点では、Web型地図サービスにルート案内機能が付加された形となる。ソフトバンクモバイルでは、7月以降に徒歩ナビゲーションを実現したアプリを提供する予定だ。
 「タダナビ」はエムティーアイの協力によって提供される。サイトにはYahoo!ケータイの「交通・グルメ・旅行」からアクセスできる。



HMVの事業を取得へ カルチュア・コンビニエンス・クラブ
 カルチュア・コンビニエンス・クラブ「TSUTAYA」などを全国展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は25日、音楽CDなどの販売を手掛けるHMVジャパン(東京都港区)の事業取得に向けて交渉を開始することで同社と基本合意した、と発表した。
 CCCは、HMVと同社株主の大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツとの間で、独占的交渉権を得る基本合意書を25日に締結した。4月に事業取得の具体的な協議を開始し、6月末に最終契約を締結する計画。原則、HMVの全事業を取得する方針だ。
 HMVは音楽、映像系ソフトの専門小売業者としてのノウハウを持ち、特にインターネット通販で強みがある。CCCはこうした事業を取得することでビジネス基盤の強化をはかる。



高島屋とエイチ・ツー・オー、経営統合断念を発表
 高島屋とエイチ・ツー・オーリテイリングは25日、経営統合交渉を中止することを決めたと発表した。両社は2008年に11年までの経営統合で基本合意、協議を進めてきたが断念する。共通開発商品の展開などの業務提携は続ける。
構成企業統合
時期三越伊勢丹
ホールディングス三越、伊勢丹08年
4月J・フロント
リテイリング大丸、松坂屋07年
9月そごう・西武そごう、西武百貨店03年
6月高島屋+阪急
阪神百貨店高島屋、阪急阪神百貨店断念
 統合中止の理由について両社は「異なる経営戦略のすり合わせに多大なエネルギーを投入するよりも、それぞれで新しい事業モデルを再構築することを優先すべきだと考えた」としている。
 相互に派遣していた非常勤取締役は同日付で辞任する。両社がそれぞれ持ち合う10%の株式については「現時点で譲渡などの予定はない」という。
外資主導の電子化 大手「中抜き」恐れ連携
 出版業界が電子化の波に揺れている。来月には米アップルが新端末「iPad」を日本で発売し、米アマゾン・ドット・コムも電子書籍端末「キンドル」の日本語版投入を検討中。端末の進化が書籍の電子化を加速させ、出版社は事業モデルの再考を迫られる。不況にあえぐ業界は本格的な電子時代を生き抜けるか。
有力作品囲う
 「御社のコンテンツを提供してほしい」。今月上旬、米アマゾンの販売担当の上級副社長が来日し、複数の大手出版社のトップを訪ねた。狙いはキンドルで配信する書籍の確保。アマゾンは1月末にも出版社を対象にキンドルの説明会を開いている。出版社に働き掛け、有力な作品を早期に囲い込む戦略という。
 その一方で同社は1月、作家に販売価格の最大7割の報酬を支払う新たな契約モデルを米国で発表。アマゾンジャパンは「日本では出版社を通り越して作家と直接取引しない」(渡部一文メディア事業部門長)とするが、日本で出版社が作家に支払う印税は販売価格の8~10%。大手出版幹部は「日本で導入されれば有力作家が流れる」と不安を募らせる。
 外資主導で進む書籍の電子化。出版社が恐れているのが作家と配信会社が直接契約する「中抜き」だ。現在の法律にこれを防ぐ手立てはない。レコード会社や放送局は「著作隣接権」と呼ぶ権利を持ち、ネット配信などを拒否したり、対価を請求したりできる。出版社にそうした権利はなく、交渉で決めるしかない。
 「日本の出版事情に合う電子書籍市場を構築したい」。24日、日本電子書籍出版社協会が発足し、代表理事に就任した講談社の野間省伸副社長は力を込めた。設立総会には主要出版社31社の代表らが集結。他社との連携に消極的だった大手が重い腰を上げたのも中抜きへの危機感からだ。
 17日には総務省、文部科学省、経済産業省で電子書籍の統一規格を定める懇談会も発足。「日本主導で国内のルールづくりを進める」(内藤正光総務副大臣)という。
 だが事態はすでに進行している。電子書籍の8割を占める携帯コミック。デジタルマンガ協会(東京・豊島)の立野康一事務局長によると「出版社を通さず配信される作品が昨年ごろから急増した」。古い作品だけでなく、里中満智子氏などはネット用の書き下ろし作品も手掛ける。
 「コブラ」で知られる寺沢武一氏もフランスやアジアなど国内外で作品を配信。同氏の著作権管理会社エイガアルライツ(東京・世田谷)の古瀬学氏は「キンドルやiPadで直接販売できるのは大きな進歩」と話す。
契約は配信前提
 小説や実用書も実力のある作家ほど直接配信に傾く可能性は高い。こうしたなか一部の中小出版社は電子化で事業機会を広げようと動き出した。
 PHP研究所(東京・千代田)は25日、4月7日発売の本の一部をウェブで無料公開し本の販売に生かす。主婦の友社(同)は4月から作家との執筆契約時に電子配信を前提とした条項を追加。「書籍やムックの半分以上をiPadなどで配信する」(同社)という。
 09年11月期に57億円の最終赤字だった講談社をはじめ、不況でどの出版社も業績は厳しい。電子書籍への対応は各社の経営の行方を大きく左右する。いや応なく進む変化をどう生かすか。出版社の体力が落ちれば、作家を発掘して育てる機能まで損なわれてしまう。



TBS・テレ朝など5社 GyaOに3~7%出資
 東京放送(TBS)ホールディングスなど民放キー局3社と電通など広告大手2社は今春をメドに、ヤフー子会社でインターネット動画配信のGyaO(東京・港)にそれぞれ3~7%出資する。民放各社は動画配信用の番組を提供し、広告2社はネット広告事業を強化する。テレビ広告の収入が落ち込むなか、各社はGyaOとの連携を通じ、新たな収益の柱に育成する。
 民放はTBSとテレビ朝日が7%ずつ、テレビ東京が4%を出資する。すでにGyaOには日本テレビ放送網とフジテレビジョンが7%ずつ出資しており、在京民放キー局5社がそろって資本参加することになる。広告大手は電通が7%、博報堂DYメディアパートナーズが3%を出資。各社ともヤフーからGyaO株を取得する。取得額は各社合計で7億円弱とみられる。ヤフーのGyaOへの出資比率は79%から51%に低下する。
 動画は過去に放送したドラマやアニメなどのテレビ番組を無料・有料でGyaOのサイトに提供。新作ドラマなどを1話だけ放送前に一部利用者にGyaOで公開するといった手法も視野に入れる。広告は従来より大型で利用者の印象に残りやすいものなどを投入し、広告収入を拡大する。広告や番組課金の収入は民放などとGyaOが分け合う。
 ネット視聴率調査のネットレイティングス(東京・渋谷)によると、動画配信の主要9サイトの月間利用者数は2月時点で延べ約5687万人(重複含む)と前年同月比20%増えた。GyaOの月間利用者数は2月時点で1040万人超とユーチューブに次ぐ規模で、2009年12月に単月黒字を達成した。
 GyaOの親会社で国内最大のポータル(玄関)サイトを持つヤフーは、トップページからGyaOの動画サイトへ利用者を誘導することで今後の事業連携を支援する。GyaOと民放各社などは動画配信する番組を充実させれば、さらに収益を拡大できるとみて資本提携に踏み切ることにした。



<SIMロック>日本の携帯“脱孤立”を 総務省が解除検討
 総務省は、携帯電話端末が特定の通信会社の回線しか使えないようにする「SIM(シム)ロック」の将来的な解除の検討を始める。米アップルが4月に発売する新型端末「iPad(アイパッド)」など、複数の通信会社のカードを差し替えて利用できる製品の登場に対応するため。日本の携帯だけが世界で孤立した「ガラパゴス状態」のあだ名を返上し、国際競争力強化を図るのが狙い。
 来月2日に通信会社や携帯メーカーからヒアリングを実施し、今後の課題を整理する。
 携帯端末は電話番号の情報などが記録されたSIMカードを差し込んで使う。海外ではカードを差し替えるだけで、複数の通信会社の携帯端末が使える。総務省は07年にもシムロック解除を検討したが、「iモード」などネット閲覧ソフトが通信会社で異なっており、他社のカードに差し替えるとネットが閲覧できなくなるため、結論が先送りされていた。
 しかし、米アップルの「アイフォーン」など基本ソフト(OS)が世界共通のスマートフォン(多機能携帯電話)の普及で通信会社の垣根を越えて使えるようになってきている。NTTドコモもアイパッド用カードの販売に前向きで、シムロック見直しの機運は高まりつつある。
 ただ通信業界には慎重な声が強い。



(グローバル)サムスン、李会長が復帰 中国勢台頭に危機感「主力事業ほぼ奪われる」
 韓国・サムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)前会長(68)が24日、会長職に復帰し、再び経営の陣頭に立った。社員に向けた第一声は「今後10年以内にサムスンを代表する製品は大部分が無くなる」。世界シェア首位のメモリーや液晶パネルでも中国などの追撃を受けるとの危機感を強める一方、成長の原動力となる新事業育成に全力を傾ける意思表示でもある。背中を追う日本の電機大手にとっても強烈なメッセージとなりそうだ。
 不正資金事件の責任をとり2008年4月に辞任した李氏は24日、グループ社長団会議の要請を受ける形で会長職に復帰した。直後にミニブログのツイッターを通じ「今が本当の危機だ。改めてスタートしなければならない」と社員に訴えた。
 サムスン電子は09年に連結の営業利益率が8%と日本の電機大手と比べ圧倒的な収益を達成。半導体だけでなくかつては不安定だった薄型テレビも利益率が上昇し、事業部門のバランスが良くなった。
 ただ既に薄型テレビでは大市場である中国でTCL集団や創維集団(スカイワース)など現地企業が伸長。液晶パネルも中国メーカーが先端品の生産を目指し技術導入を急いでいる。サムスン内部では「半導体も含め、いずれ中国に負ける」(グループ幹部)との危機感が強まっている。
 李氏はツイッターで「サムスンもいつどうなるか分からない。ためらう時間はない。前だけを見ていこう」と指摘した。李氏は足元の価格が高止まりしている半導体メモリーや液晶パネルで効果を最大限に引き出す大型投資の時機を探る方針。いずれもこの2年間「司令塔不在」が指摘され、思い切った投資判断が見られなかった。
 世界シェア首位と2位の現在の看板品目をできる限り維持しながら、成長事業は2段階に分けて育成する方針。まず白物家電やパソコン、プリンターなど世界市場で実績がある事業での首位奪取を目指す。4月にはデジタルカメラを手掛けるサムスンデジタルイメージングを吸収合併。薄型テレビなどと連動したマーケティングでキヤノンやソニー、ニコンを急追したい考えだ。
 一方で新規事業にも着手する。パネルや半導体の技術を生かせる太陽電池のほかバイオ事業などを模索する。李氏は人材の育成が追いつかなければ外部からの獲得にも強い意欲を持つ。「10年」と区切った以上、新事業創出に向けて、あらゆる手を尽くして取り組む可能性が高そうだ。



アスキー創業者の西氏 電子書籍VB設立、経済書など配信
 アスキー創業者でマイクロソフト幹部もつとめた西和彦氏が電子書籍ベンチャーを設立し、4月に配信サービスを始める。米アップルの新型端末「iPad」などのネット機器で読める。主に経済書やビジネス書をそろえ、配信料金は当初一冊数百円ほどが主体の見込み。大手出版社だけでなく新興勢も交えて市場開拓の動きが本格化する。
 西氏は経済学者の池田信夫氏らと新会社アゴラブックス(東京・千代田)を設立済み。ネットを通じてソフトなどを提供する「クラウドコンピューティング」の手法を使って書籍データを配信する。決済ではポータルサイト運営のライブドアが協力する。
 まず西、池田両氏や前衆院議員、片山さつき氏の書き下ろし作品のほか、PHP研究所と連携し松下幸之助氏の著作などを配信する。30~40作品で始め、無料作品もそろえる。価格は原則著者が決め売上高を著者とアゴラ、ライブドアなどで分け合う。既存の出版社を通さず有望な書き手を発掘して作品にすることも検討する。
 西氏は2001年にアスキーの経営から退き、技術コンサルティングや研究活動に注力してきた。iPad発売などで新たなデジタル市場が広がるとみており、電子書籍にも注目する。



NTTドコモ、金庫株約15万株を消却へ NTTの持ち株比率63%に
 NTTドコモは3月末に保有する自社株(金庫株)のうち約15万株を消却する見通しだ。金庫株については発行済み株式の5%を超える部分を期末にまとめて消却しており、今期もその方針を変えないようだ。今期は自社株買いが少なく、消却株数は前期より8割以上少ないが、親会社であるNTTの持ち株比率は消却により63%強に上昇する。
 NTTドコモが今期、新たに買い入れた自社株は15万4065株。今期は「直接のリターンとして増配を求める株主の声が強まっている」(山田隆持社長)ことを受け、年配当を400円増やし5200円とする一方、自社株買いを減らす方針を打ち出していた。このため、今期末に消却する株式数は、消却前の発行済み株式数の0.3%程度にとどまりそう。



インテル、家電・車向け開拓 省電力MPU、日本3社と販売提携
 米インテルは日本でデジタル家電や自動車など、主力のパソコン、サーバー向け以外の市場を開拓する。家電や自動車向けに適した小型で低消費電力のMPU(超小型演算処理装置)「アトム」の販売で、半導体商社のバイテックやイノテック、東京エレクトロンデバイスの3社と提携。家電や自動車の有力市場である日本で、2015年にはアトムの販売金額を現在の約10倍の2000億円に増やす考えだ。
 アトムは通常のパソコン向けMPUに比べ、小型で消費電力が少なく、安価な戦略商品。08年に発売し、ネットブックなどへの採用が進んでいる。インテルは家電や自動車などでもネットへの接続など高度な情報処理が増え、MPUの需要が拡大すると見ている。大容量の動画をすばやく取り込んだり、カーナビで複数画面の画像をなめらかに表示するのに向いている。
 3月末までにバイテックやイノテック、東京エレクトロンデバイス3社との販売代理店契約を結ぶ。インテルは国内ではパソコン用の高機能MPUが主力で営業や顧客サポートの技術者もパソコン向けが中心。家電や自動車など向けの販売機能は手薄だった。



今どき大量採用に踏み切るDPE業界最大手の裏事情
 DPE(写真の現像・焼き付けサービス)の業界最大手、プラザクリエイトの新卒募集が就職難の時代に話題を集めそうだ。来春までに大卒、短大卒、第2新卒合計200人を予定。全社員数450人のじつに半分近い人員増強だ。
 DPEチェーンの店舗数はピーク時の3万店弱から実質的に7000~8000店にまで減少している。デジタルカメラの普及によって、大手・中堅の経営破綻や上場廃止が相次ぎ、いまや生き残っている大手チェーンはプラザクリエイトとキタムラの2社しかない。この厳しい時代、店舗数1200を抱える最大手とはいえ、プラザクリエイトが大量採用に踏み切れる環境にあるとはいえない。
 DPEチェーンの現場では、フィルムの現像・焼き付けは1997年ピーク時の15分の1以下に減っている。ここまで市場が縮小したら残存者利益すら見込めないため、DPEに代わる写真サービス開発が不可欠なのだ。
 欧米で市場が急速に伸びているフォトブック(本の形で写真をプリントするサービス)がその一つで、今後もデジタルカメラ、携帯電話の高機能化に伴う新サービス開発は欠かせない。「将来のデジタル技術を見込んだ新サービスの事業化にはメドが立っている」(大島康広社長)のだが、ネックが人だ。これまでの店頭パートやアルバイトでは、そうした新サービスに対応できない懸念がある。
 そこで今回の大量採用。「年1000人以上入れ替わるパート採用・教育コスト削減、および業務効率化による収益性改善で、人件費増は賄える」と同社は説明するが、市場激変の窮地を乗り切ることができるかどうか。今年、来年が正念場だ。



日経社説
民の活力奪い郵政を肥大させる誤り
 270兆円の資産を抱える巨大な「官製金融」がさらに膨らみ、民間の活力を阻害しないか心配だ。
 亀井静香郵政・金融担当相と原口一博総務相は郵便貯金の1人当たり預入限度額を現在の2倍の2000万円、簡易保険の加入限度額を2倍弱の2500万円に上げる点で合意した。一連の郵政改革法案は4月中に国会に提出される運びだ。
 日本郵政の経営体制は、郵便事業、郵便局も営む親会社と、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の2子会社の3社に再編する。親会社に政府が3分の1超を出資し、金融2社には親会社が3分の1超を出資する。
 民間の銀行や信用金庫の預金は元本1000万円と利子しか保護されない。政府の後ろ盾があるゆうちょ銀の場合、2000万円まで安心と誰もが考えよう。預金者は便利かもしれないが、お金の流れをゆがませ結果的に経済にマイナスだ。
 金融システム全体のなかで郵貯をどう位置付けるかの視点が欠けている。何より「暗黙の政府保証」を背負う郵貯や簡保が、民間資金を吸い上げる懸念がある。経営基盤の弱い信金や信用組合など中小金融機関からの資金流出が加速しかねない。
 ゆうちょ、かんぽの金融2社の完全民営化を撤回する一方で、業務は大幅に自由化される。住宅ローンやがん保険の販売を想定している。
 業務の制約をなくすのは、政府が全国一律の郵便・金融サービスを郵政会社に義務付け、郵政グループの非正規社員のうち約10万人を正社員に切り替えることの「見返り」だ。
 預金や保険の残高を伸ばし、経費増を吸収させるもくろみである。郵政グループ内の取引の消費税を免除し、負担を軽減する構想さえある。
 官業を優遇し民間との競争条件が不平等になるのは、国内の問題にとどまらない。米欧は足並みをそろえ懸念を日本側に伝えている。不公正な扱いを世界貿易機関(WTOなどの場に訴えられる可能性さえある。業務を自由化するなら、少なくとも金融2社への政府の出資をゼロにしなくてはなるまい。
 「官から民へ」と資金の流れを変える改革が中断すれば経済の活力も鈍る。政府関与が続く限り郵政が「政府の財布」として使われ、不採算の融資や国債の購入を強いられることになりかねない。それは財政規律をさらに緩ませるリスクをはらむ。
 小政党を率いる亀井氏が特定郵便局に有利な制度変更に走る構図である。鳩山由紀夫首相は法案修正の可能性に触れたが、その決意はあるのか。見識と実行が問われる。
ニンテンドー3DS(仮)は6月にプレイアブル。シャープの視差バリア液晶&3Dスティック搭載?
 「2011年3月末まで」というかなり広い発売時期で突如発表された「ニンテンドー3DS」(仮) について、発表リリースにはなかった続報や任天堂広報コメントが出ている。発表pdfで触れられていたのは裸眼で3D映像が楽しめること、DS / DSi の上位互換機であること、2011年3月末までに発売すること、6月15日からのE3で詳しく発表すること。
 まず朝日の第一報では公式発表の情報に加えて、「シャープが開発した裸眼3D液晶パネルを採用すると見られ」の一文と3D液晶の概説が加わっている。ここで触れられているのは携帯電話でたまに採用されている視差バリア式3D液晶。光の進行方向を制御することで左右の目に異なる映像を届け立体にみせる技術。メガネが要らない一方で目までの距離 (角度)が一定しない大画面には向かず、携帯電話やゲーム機など使う距離がある程度固定されている機器に向くのが特徴。シャープでは視差バリアにもう一枚の「スイッチ液晶」を用いることで視差式3Dと高精細2Dの切り替えができるパネルを販売している。
 また、やや遅れて掲載された日経の記事では、任天堂発表にない非公式情報を詰め込み気味に多数掲載している。いわく、「3次元的な操作ができるスティック」や「攻撃や衝突の動きをプレーヤーに振動で伝える部品」を採用。「3次元的な操作」の「的」からしてよく分からないが、これは単に押し込みができるアナログ2軸スティックなのか、あるいはさらに新しい入力部品かもしれない。振動についてもどんな振動子を採用するのか、たとえばタッチ画面下においてフィードバックなのか否かも不明。任天堂はこれらの操作方式について昨年末に特許を取得したとされている。
 日経の未確認情報はこのほか「画面は4インチ以下になる」見込み、「加速度センサー」は検討中、「通信速度や電池寿命も大幅に向上させる」見通し、など。面白いことに、3D表示方式やディスプレイについては情報がない。さらにNYTの記事では、E3での発表では概要だけでなく実機をプレイアブル状態で用意するという任天堂広報のコメントを引いている。妙な時期の妙な発表の理由はいろいろと深読みができそうだが、6月にプレイアブルならば秋か年末にはまた争奪戦が楽しめることになりそうだ。



【3DS発表】「ゲームプレイでの革新がライバルからの模倣対策に重要」アナリストMichael Pachter氏
 「ニンテンドー3DS」の発表について、ゲームアナリストとして著名なWedbush MorganのMichael Pachter氏は「単なる3Dディスプレイだけではなく、ゲームプレイでのブレークスルーが必要だ」とコメントしる。
 Pachter氏はまず裸眼で3D映像を楽しめるという点について「3Dメガネを使わない立体視ディスプレイがどのような技術なのかちょっと私には理解できません。もしそれが簡単に実現できるのならば、なぜサムスンはメガネが必要なHDTVを発売するのでしょうか。任天堂が素晴らしい技術を開発したのか、何かしらのギミック的なものを利用するのか、ちょっと見てみないと分かりませんね」とコメント。
 そして続けて「任天堂が非常に大胆な戦略を取ってくるというのは非常に興味深いことです。しかし携帯機での立体視は、それを実現するのが容易であっても、それがもし本当に革新的であれば尚更、Appleのような企業が真似をしてくるのは間違いありません。DSのような本当の意味でのゲームプレイの革新がなければ既存のDSを置き換えるという以上の意味を持たせることはできないでしょう」としています。
 どのようなハードであっても、それを活かすゲームが大事というのは今回のラウンドでも変わらない。



【3DS発表】任天堂が3D立体視ゲームの引き金に…EEDARアナリスト
 昨日発表された新型DS、EEDARのJesse Divichアナリストは、DS市場に新たな息を吹き込み、iPhoneやPSPなどのライバルの携帯機との差別化という意味で大きなアドバンテージを獲得するものになると話している。
「どんなハードでもそうですが、特に任天堂のデザインする新しいハードはサードパーティコミュニティにとって刺激的なものです。3D立体視はまだ新しく、標準的な存在とはなっておらず、その面でのリスクは確かにありますが、任天堂はいつも上手くやってきました。3D立体視だけでなく、性能が向上することも大きなニュースです」
「任天堂は3D立体視のゲームが普及する大きなきっかけとなるでしょう。任天堂がこの分野を認めたことで、3D立体視のゲームは流行になるでしょう。”流行”という言葉はネガティブな要素も含まれますが、私はそうではないと思います。Wiiを単なる”流行”と言った人も沢山いますが、任天堂はそれによって莫大な利益を得ました。そしてそれは5年も継続しました。今回もそうなる可能性はあるでしょうね」
 また新しい技術は海賊版を防ぐ意味合いも大きいと言う。「海賊版はいわゆる”イタチごっこ”です。このゲームをリセットするには新しいアーキテクチャの新しいハードを導入する以外にありません。物理的なカートリッジを採用する以上、このゲームに終わりはありません。が、最初の数年の間は被害を軽減することくらいはできます」



ニコ動、Webラジオ「ニコラジ」開始 携帯からも聴取可能
 ニワンゴは、「ニコニコ動画(9)」のライブ配信サービス「ニコニコ生放送」で、4月5日からWebラジオ番組「ニコラジ」の無料配信を開始する。毎週月曜日~金曜日の22時から1時間の帯番組として配信する。
 「ニコラジ」は、「みんながニコニコする、画も楽しめちゃうラジオ」がキャッチコピー。ニワンゴによれば、「ニコニコ『動画』でありながら『ラジオ』のスタイルを取り入れ、曜日別のテーマで音声中心に番組をお送りする」という。
 視聴画面にはスタジオ風景やFlashアニメなどの1枚絵を表示。また、番組中には出演者のトークに合わせた画像、コーナーの合間にはアーティストのプロモーションビデオなども挿入される。ただし、番組自体は「音声のみでも十分楽しめる内容」としている。
 このほか、視聴画面上部の運営コメント欄を通じて、ユーザーのコメント投稿やユーザー同士のコミュニティ化も促す。番組への投稿は、コメントに加えて、メールによる募集も実施する。
 PC版の視聴にはFlash Playerを使用。事前に予約すれば配信終了後でも番組を再生できる「タイムシフト機能」も利用できる。このほか、「ニコ生モバイル(仮)」に対応した携帯電話からも番組を聴取できる。



米スプリント、今夏「WiMAX」携帯発売
 【ラスベガス=清水石珠実】米通信3位のスプリント・ネクステルは23日、次世代無線技術「WiMAX」に対応した高機能携帯端末を今夏に発売すると発表した。米国で次世代無線向けの端末が発売されるのは、今回が初めて。同社は、米アップルの「アイフォーン(iPhone)」を独占販売する業界上位のAT&Tなどに顧客を奪われており、次世代の通信速度に対応した端末の投入で対抗する。
 台湾の携帯メーカー、HTCが製造した新機種の名前は「HTC EVO(イーボ) 4G」。スプリントによると、通信速度は現在の第3世代(3G)方式より最大で約10倍速く、動画やゲームなどをより効率良く楽しめる。WiMAX通信網が確立していない地域では、自動的に3G方式に切り替わる。
 携帯用OSは、米グーグルの「アンドロイド」を搭載。画面を指でなぞるタッチスクリーン方式で操作する。価格は未定。



「TOKYO1週間」「KANSAI1週間」休刊、講談社 ネットなどで逆風
 講談社は24日、隔週で発行しているエンターテインメント情報誌「TOKYO1週間」と「KANSAI1週間」を6月8日発売号で休刊すると発表した。インターネットによる情報収集に押され、部数が落ち込んでいた。
 「TOKYO」は平成9年11月、「KANSAI」は11年3月にそれぞれ創刊し、主に首都圏、関西圏の若者に行楽やグルメ情報を提供してきた。創刊当初はそれぞれ33万、35万部を発行していたが、最近は7万8000部、8万部と低迷していた。
 同社広報室は「インターネットなどメディア環境の激変と、読者のライフスタイルの変化により、やむなく休刊を決めた」と話している。



ソニー、電子書籍リーダーを値下げ iPad対抗か
 米ソニーが4月3日から、電子書籍リーダーの一部モデルの価格を引き下げる。同日に発売されるiPadへの対抗策とみられる。
 値下げの対象となるのは最も安価な「Pocket Edition」。199.99ドルから169.99ドルへと30ドル値下げされる。
 Pocket Editionは5インチディスプレイを搭載したポケットサイズで、片手で操作できる。タッチスクリーンは搭載されていない。



サンディスク、32GバイトのmicroSDHCカードを出荷開始--日本での発売は追って発表
 サンディスクコーポレーションは、32Gバイトの携帯電話向け「サンディスク microSDHCカード」を米国および欧州のeコマースサイトで出荷を開始したと発表した。
 世界最大容量のmicroSDHCカードとなる。希望小売価格は199.99ドル。日本での発売や価格は未定で、決まり次第発表するとしている。



米タイムワーナー、MGM買収に名乗り 欧米メディア
 【ニューヨーク=米州総局】経営難に陥っている米名門映画会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)の買収に米メディア大手タイムワーナー(TW)が最大の買い手として名乗りを上げたことが明らかになった。欧米メディアが23日、関係筋の話として報じた。MGMは37億ドル(約3300億円)の負債を抱え、業績低迷が続いていることから身売りを検討していた。
 TWのほか、カナダ発祥の独立系映画・テレビ番組制作会社ライオンズ・ゲート・エンターテインメント、ロシア生まれの資産家が率いる投資会社アクセス・インダストリーズも買収を検討。応札価格は12億~15億ドルで、TWが最大の15億ドルで買収を狙っているもようだ。



【東京新聞社説】
オバマ医療改革 悩める超大国の『変革』
2010年3月24日
 国民皆保険に道を開く医療改革法案が米下院を通過し、オバマ大統領最大の公約が実現する。払った代償は大きいが、「国のかたち」をも問う歴史的一歩を踏み出した成果を評価したい。
 「これはアメリカ国民にとっての勝利だ」-。医療改革法案の下院可決後、オバマ大統領が述べた言葉に、歴史的達成感がにじむ。
 先進国の中で、国内総生産(GDP)比16%という最高の医療費を費やしながら、国民の六人に一人が無保険者という数字が米国の医療事情を象徴する。医療機関、製薬、保険会社が提供する高価な医療サービスと、その負担に耐えられず無保険化していく低中所得者層、その医療現場の悲惨な実態は、映画などでも紹介され国際的波紋を広げた。
 今回の医療改革法案の軸は、既存の低所得者向け公的医療扶助制度(メディケイド)の適用対象を拡大する一方、低中所得者層を中心に保険加入を可能にする補助金、税額控除を導入する点だ。四千六百万人とされる無保険者の三千二百万人を救済できるとされる。
 国家建設の理念を個人の自由と責任に置く米国では、保守勢力から「社会主義的」と批判されがちな国民皆保険制度は終始不評だった。クリントン元政権時代の挫折は現政権のトラウマでもあった。
 共和党勢力との交渉は熾烈(しれつ)を極めた。当初の目標だった公的保険導入は早々と消え、代わって「保険取引所」を新設し、民間保険会社の競争を通じて安価な保険提供を図る実験的な方法に止(とど)まった。
 四年後の本格実施から十年間で九千四百億ドル(約八十五兆円)とされる財源は、高額保険商品や高額所得者に対する増税、無駄の削減で賄うとされるが、現実的な裏付けが十分とはいえない。
 今後最大の懸念は、土壇場でオバマ氏が自ら演じた力ずくの政治手法だ。「米国の融和」とは裏腹の強引な議会戦術は、共和党との溝を決定的にした。秋の中間選挙を控え残されたしこりは大きい。
 高い代償を払いつつも、オバマ政権は歴代政権が実現できなかった国民皆保険制度の実現に道を開いた。複雑なテーマを平明に語る説明能力と、一貫した高い理念があってこその成果だ。
 国際社会で、黒白が単純に割り切れるテーマは稀(まれ)だ。核軍縮やイスラムとの対話もしかりだ。米国が内政で示した変革が、国際社会の変革でも通じるか、真価が問われるのはこれからだ。

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