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ソフトバンク新料金、4/15より「パケットし放題フラット」を開始か
ソフトバンクモバイルが新たなオプションプランとして「パケットし放題フラット」を近日中に導入する可能性があることが明らかになった。
同社が今まで展開してきた「パケットし放題」などのパケット料金に関するオプションプランの一環であると思われるが、なんと機種の価格と連動するとのこと。
ソフトバンクモバイルがわずか2クリックでオプションプランに加入させる施策の導入を検討していたことや、新スーパーボーナスの改定で利用料金の実質値上げに踏み切る予定であることなどをいち早く取り上げた、携帯電話関連の情報を扱っているサイト「MOBILEDATABANK」によると、ソフトバンクモバイルは新たなオプションプランとして「パケットし放題フラット」を導入することを検討しているとのこと。
同プランは4月15日(木)に開始されるのではないかとされているが、パケット定額プランの加入状況に応じて機種の価格表が3タイプになる可能性があるとのこと。ちなみに、ソフトバンクモバイル公式サイトのサイトマップに一時的に「パケットし放題フラット」という項目が表示されていたそうです。
なお、ソフトバンクモバイルがパケット定額プランに力を入れる理由だが、ユーザー同士の通話が1~21時まで無料になる「ホワイトプラン」の導入などで音声通話料収入が伸び悩む中、ARPU(加入者1人あたりの月間売上高)を引き上げるには、ユーザーに積極的にパケット通信を利用させてデータ通信料収入を伸ばす必要があるからではないかと考えられる。
また、ユーザーに積極的にパケット通信を利用させるための施策の一環として、すでに昨年3月からプロの芸人が笑いの映像で真剣勝負する携帯電話向けコンテンツ「S-1バトル」が実施されている。
それはそうと、「パケット定額プランの加入状況に応じて機種の価格表が3タイプになる」というのは、パケット通信を常に定額の上限までガンガン利用するユーザーは携帯電話端末が安価になり、上限と下限を行ったり来たりするようなユーザーは従来通り、そしてほとんど利用しないユーザーは逆に高価になるということなのか。
ドコモ、新衛星電話サービスを開始 データ通信を高速化
NTTドコモは5日、衛星を使った新たな電話サービスを12日から提供すると発表した。音声の品質向上を実現したほか、データ通信の最大受信速度を従来の6倍となる毎秒384キロビットに高速化し、利便性を高める。利用には専用端末が必要になる。
電波塔ではなく衛星経由で電波を送受信するため、山中や海上、災害時などの通信に有効という。2014年までに5万件の契約を目指す。
5月には最大200の受信者に対して一斉に音声通話やメール、FAXなどができるサービスも始める予定。
au、CDMA 1XやCDMA 1X WIN一部機種向けサービスを終了へ
KDDIと沖縄セルラーは、auの「CDMA 1X」サービスや「CDMA 1X WIN」の一部機種向けのサービスを終了すると発表した。具体的なサービス終了時期は示されていないが、2012年7月までにサービス終了日が定められ、その日以降、該当機種が利用できなくなる見込み。
今回のサービス終了方針は、総務省が6年半前の2003年10月にに示した、周波数再編方針の影響によるもの。携帯電話や放送など、さまざまなサービスが電波を使っているが、電波そのものが限りある資源のため、国が長期的視点で電波の用途について一定の方針を掲げている。2003年10月の周波数再編方針発表後も、定期的に見直しが行われているが、800MHz帯を用いる携帯電話サービスが利用できるのは2012年7月24日までとなっており、auでも昨年5月、CDMA 1Xの新規受付などを終了している。
カプコン、iPadに向け「バイオハザード 4」を米国で配信開始
株式会社カプコンは4月3日(米国時間)、iPadの発売に合わせゲームアプリ「バイオハザード 4 iPad edition」の配信を開始した。価格は12.99ドル。
「バイオハザード 4 iPad edition」は、ホラーアクション「バイオハザード 4」のiPhone/iPod touch版。同社独自の技術「ビジュアルパッド」を採用しており、直感的に簡単に遊ぶことができるとしている。「iPad edition」ではiPadの高解像度に合わせグラフィックスを再構築し、iPadの性能を最大限に利用。iPadの大画面で臨場感溢れる映像が楽しめる。
「iPad edition」は日本においても配信予定で、iPadの日本での発売に合わせ、同時の4月末の配信を予定している。価格は1,200円。
すき家、業界最安値250円に 吉野家つぶし“仁義なき牛丼戦争”
牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーは5日、全国の繁華街や都市部の店舗百数十店で、牛丼並盛りを通常より30円安い250円に値引きするキャンペーンを4月9日~21日まで実施すると発表した。
すき家は、昨年の値下げで、大手チェーンでは最安値の定価280円を実現。しかし、吉野家が7日~13日まで通常より110円安の270円で販売することから、さらに下回る緊急キャンペーンで対抗することにした。
この結果、吉野家の業界最安値は2日間だけとなる。消費者の節約志向で外食デフレに拍車がかかる中、業界最安値を争う“仁義なき牛丼戦争”が幕を開けた形だが、消費者にとって“朗報”となりそうだ。
「2ちゃん」の被害者へ関連本印税から賠償金
インターネット掲示板「2ちゃんねる」の書き込みをめぐる名誉棄損訴訟で、掲示板の管理人が損害賠償金の支払いに応じなかったため、被害者が、書き込みの内容を基にした書籍の印税を差し押さえ債権とみなして出版社を提訴、和解金の形で賠償金を受け取っていたことが5日、分かった。
原告代理人斎藤裕弁護士(新潟市)は「2ちゃんねるの元管理人西村博之氏はこれまで同様の訴訟での損害賠償金支払い命令に応じていないとされ、画期的」としている。
斎藤弁護士によると、西村氏が損害賠償金支払い命令に応じないため、書き込みに基づいた書籍の印税に着目。2ちゃんねる関連の書籍を平成20年6月に出版した新潮社を相手に、西村氏への印税を名誉棄損の被害者に支払うよう求め、東京地裁に提訴した。
デイリーヤマザキ、今秋から電子マネー「Edy」全店導入へ
株式会社デイリーヤマザキ(以下、デイリーヤマザキ)は5日、ビットワレット株式会社(以下 ビットワレット)が運営するプリペイド型電子マネー「Edy(エディ)」を、2010年4月7日(水)から全国の「デイリーヤマザキ店」へ順次導入を開始すると発表した。
デイリーヤマザキは、代金決済時の消費者の利便性の向上をはかるため、複数の電子マネーに対応可能なマルチ・サービス・リーダライタの店舗設置を進め、決済手段の多様化を推進する。同社は、発行枚数の多いEdyを導入することで、消費者の来店数増加を狙う。
ビットワレットは、「デイリーヤマザキ店」へEdyを導入することで、Edyが使えるコンビニエンスストアを全国4万店以上に拡大する。これにより、コンビニエンスストアでの支払い時における消費者の利便性を向上させ、“日常生活のなかで愛される電子マネー”として、Edyのより一層の普及を期待する。
電子書籍関連に人気集中 3D画像や電子決済にも
新興市場で電子書籍関連銘柄が人気を集めている。米アップルが1月末に電子書籍を楽しめる多機能端末「iPad(アイパッド)」を発表したのがきっかけ。ネット関連銘柄の物色の矛先は、この分野に強みを持つ銘柄に向かっている。
値上がりが目立つのが、アニメなどを電子書籍向けに編集・配信しているインフォコム。事業の将来性への期待感から、直近1カ月で株価は2倍強に上昇した。同じ期間で日経ジャスダック平均株価の上昇率は5%にとどまる。
電子書籍の注目度を高めたのは「iPad」。米国では今月3日に発売したほか、日本政府が普及に向け環境整備すると伝わったことも材料視されたようだ。
商いの中心は個人投資家とみられる。日経平均株価が1年半ぶりに1万1000円台を回復したことで「中小型株に資金を振り向ける余裕ができたようだ」(大手証券)。
この流れは3次元(3D)画像や電子決済の関連銘柄などにも広がっている。3D画像を携帯電話で見ることができるソフトを手掛けるエイチアイの株価もここ1カ月で約2倍。電子マネーを運営するウェブマネーは株価の上昇とともに、売買高も3月中旬以降急増。1日数十株だったのが、2日は5000株を超えた。活発な商いは、短期的な値幅取りの盛り上がりをうかがわせる。
ただ、こうした銘柄が今後も一本調子で上昇するかどうかは不透明だ。いちよし証券投資情報部の宇田川克己課長は「電子書籍関連などは期待先行で買われている面があり、業績の裏付けがないと物色は持続しない」と話す。
27年間も世界一を守り続けた産業の転換期(COLUMN)
この週末,ニュースで大きく報道されていたのが,「iPad」の米国での発売開始。見方によっては,電子書籍リーダーとも小型パソコンともゲーム機ともとれるこの端末を手に入れるべく,多くの人が店舗の前で行列をなした。
なぜ,iPadのような製品を日本メーカーが開発できないかという議論はさておき,気になるのがiPadに搭載されている電子部品に日本製が少ないということ。日本経済新聞によれば,フラッシュ・メモリーや携帯向け高周波部品,水晶振動子などには日本メーカーの部品が採用されているようだが,全体的な部品に占める日本メーカーの割合はごくわずか。そのほかは,日本以外の部品で,特にバッテリやタッチパネル,バックライトなど台湾・中国製のものが目を引く。
もちろん,この例だけで日本の電子部品メーカーの競争力が弱まっているとは簡単にはいえない。iPadに搭載されている部品は,すべてが最先端のものではなく,どちらかというと高付加価値化にまい進している日本の電子部品メーカーが,その実力を発揮できる土俵ではないかもしれない。ただし,BRICs(ブラジル,ロシア,インド,中国)やそれに続くVISTA(ベトナム,インドネシア,南アフリカ共和国,トルコ,アルゼンチン)では,今後中流階級の人たちが急速に増え,そして彼らをターゲットとしたいわゆるローエンド機の需要が急拡大するはずである。日本メーカーが,ハイテク機向けの電子部品の市場は独占していると言っても,グローバルに広がるローエンド機の市場を今後は無視できないばかりか,積極的に狙っていかなくてはならない。多くの製品を支える日本の電子部品産業は,今大きな転換点を迎えていると言えるだろう。
同様に,あまり表舞台には出てこないが,今まさに大きな転換点を迎えているのが工作機械産業だ。工作機械というと,その受注高は景気の先行指標とも言われているので,新聞などを読む中で耳にした人も多いかもしれない。あまり知らない人のために簡単に説明すると,金属を削ったり,穴を開けたり,磨いたりするのが工作機械。機械を作る機械だから,「マザーマシン」とも言われる。
工作機械の生産額は,ずっと日本が一番だった。1982年に米国に代わって1位になって以来,景気のあおりを受けて金額に浮き沈みはあったものの,27年間その座を守り続けた。しかし2009年,1位になったのは中国。日本はドイツにも抜かれて3位だった。
米Gardner Publication社の調査によれば,2009年の日本の工作機械生産額は前年比56.5%減の58億9000万ドル。一方,中国は同8.9%増の109億5000万ドル。抜かれるどころか,約2倍にまで差を付けられた格好となった。
ここまで2009年に差が付けられたのは,世界同時不況の後で中国がいち早く立ち直り,日本の回復が遅れたという特殊事情がある。両者の技術力を見ればまだ差があり,高い加工精度を実現する機械や,大きな材料が加工できる機械などが造れるメーカーは,中国にはほとんど存在しない。それでも,中国の生産額が1位になったのは,普通の加工ができる安い機械を必要とするユーザーが中国内には多くいたから。そして,それらのユーザーのニーズを満たせる機械であれば,日本メーカーだけでなく中国メーカーにも造れる。
今後も技術力という点では,しばらくは日本の優位性は変わらないだろう。しかし,今後グローバルなマーケットを考えたとき,「そこそこの工作機械」の市場は格段と増える。このボリュームゾーンを積極的に狙っていかなくてはならないのは,電子部品産業と同様だろう。
さらには「技術力もあっという間に抜かれてしまうかもしれませんよ」と言う向きもいる。ある大手工作機械メーカーの技術者は,「中国では一流大学を卒業した優秀な人材が工作機械メーカーに就職してくる。残念ながら日本ではそのような学生は,自動車メーカーや大手家電メーカーに目がいっている」。今ある差など,すぐにキャッチアップされてしまうというのだ。
世界の先端を走ってきた日本の電子部品産業や工作機械産業が,そう簡単に後進国に抜かれるとは思えない。ただし,そのためには若い血が不可欠。是非学生の方々には,こういった産業のことをよく知ってほしい。
ソフトバンクモバイルが新たなオプションプランとして「パケットし放題フラット」を近日中に導入する可能性があることが明らかになった。
同社が今まで展開してきた「パケットし放題」などのパケット料金に関するオプションプランの一環であると思われるが、なんと機種の価格と連動するとのこと。
ソフトバンクモバイルがわずか2クリックでオプションプランに加入させる施策の導入を検討していたことや、新スーパーボーナスの改定で利用料金の実質値上げに踏み切る予定であることなどをいち早く取り上げた、携帯電話関連の情報を扱っているサイト「MOBILEDATABANK」によると、ソフトバンクモバイルは新たなオプションプランとして「パケットし放題フラット」を導入することを検討しているとのこと。
同プランは4月15日(木)に開始されるのではないかとされているが、パケット定額プランの加入状況に応じて機種の価格表が3タイプになる可能性があるとのこと。ちなみに、ソフトバンクモバイル公式サイトのサイトマップに一時的に「パケットし放題フラット」という項目が表示されていたそうです。
なお、ソフトバンクモバイルがパケット定額プランに力を入れる理由だが、ユーザー同士の通話が1~21時まで無料になる「ホワイトプラン」の導入などで音声通話料収入が伸び悩む中、ARPU(加入者1人あたりの月間売上高)を引き上げるには、ユーザーに積極的にパケット通信を利用させてデータ通信料収入を伸ばす必要があるからではないかと考えられる。
また、ユーザーに積極的にパケット通信を利用させるための施策の一環として、すでに昨年3月からプロの芸人が笑いの映像で真剣勝負する携帯電話向けコンテンツ「S-1バトル」が実施されている。
それはそうと、「パケット定額プランの加入状況に応じて機種の価格表が3タイプになる」というのは、パケット通信を常に定額の上限までガンガン利用するユーザーは携帯電話端末が安価になり、上限と下限を行ったり来たりするようなユーザーは従来通り、そしてほとんど利用しないユーザーは逆に高価になるということなのか。
ドコモ、新衛星電話サービスを開始 データ通信を高速化
NTTドコモは5日、衛星を使った新たな電話サービスを12日から提供すると発表した。音声の品質向上を実現したほか、データ通信の最大受信速度を従来の6倍となる毎秒384キロビットに高速化し、利便性を高める。利用には専用端末が必要になる。
電波塔ではなく衛星経由で電波を送受信するため、山中や海上、災害時などの通信に有効という。2014年までに5万件の契約を目指す。
5月には最大200の受信者に対して一斉に音声通話やメール、FAXなどができるサービスも始める予定。
au、CDMA 1XやCDMA 1X WIN一部機種向けサービスを終了へ
KDDIと沖縄セルラーは、auの「CDMA 1X」サービスや「CDMA 1X WIN」の一部機種向けのサービスを終了すると発表した。具体的なサービス終了時期は示されていないが、2012年7月までにサービス終了日が定められ、その日以降、該当機種が利用できなくなる見込み。
今回のサービス終了方針は、総務省が6年半前の2003年10月にに示した、周波数再編方針の影響によるもの。携帯電話や放送など、さまざまなサービスが電波を使っているが、電波そのものが限りある資源のため、国が長期的視点で電波の用途について一定の方針を掲げている。2003年10月の周波数再編方針発表後も、定期的に見直しが行われているが、800MHz帯を用いる携帯電話サービスが利用できるのは2012年7月24日までとなっており、auでも昨年5月、CDMA 1Xの新規受付などを終了している。
カプコン、iPadに向け「バイオハザード 4」を米国で配信開始
株式会社カプコンは4月3日(米国時間)、iPadの発売に合わせゲームアプリ「バイオハザード 4 iPad edition」の配信を開始した。価格は12.99ドル。
「バイオハザード 4 iPad edition」は、ホラーアクション「バイオハザード 4」のiPhone/iPod touch版。同社独自の技術「ビジュアルパッド」を採用しており、直感的に簡単に遊ぶことができるとしている。「iPad edition」ではiPadの高解像度に合わせグラフィックスを再構築し、iPadの性能を最大限に利用。iPadの大画面で臨場感溢れる映像が楽しめる。
「iPad edition」は日本においても配信予定で、iPadの日本での発売に合わせ、同時の4月末の配信を予定している。価格は1,200円。
すき家、業界最安値250円に 吉野家つぶし“仁義なき牛丼戦争”
牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーは5日、全国の繁華街や都市部の店舗百数十店で、牛丼並盛りを通常より30円安い250円に値引きするキャンペーンを4月9日~21日まで実施すると発表した。
すき家は、昨年の値下げで、大手チェーンでは最安値の定価280円を実現。しかし、吉野家が7日~13日まで通常より110円安の270円で販売することから、さらに下回る緊急キャンペーンで対抗することにした。
この結果、吉野家の業界最安値は2日間だけとなる。消費者の節約志向で外食デフレに拍車がかかる中、業界最安値を争う“仁義なき牛丼戦争”が幕を開けた形だが、消費者にとって“朗報”となりそうだ。
「2ちゃん」の被害者へ関連本印税から賠償金
インターネット掲示板「2ちゃんねる」の書き込みをめぐる名誉棄損訴訟で、掲示板の管理人が損害賠償金の支払いに応じなかったため、被害者が、書き込みの内容を基にした書籍の印税を差し押さえ債権とみなして出版社を提訴、和解金の形で賠償金を受け取っていたことが5日、分かった。
原告代理人斎藤裕弁護士(新潟市)は「2ちゃんねるの元管理人西村博之氏はこれまで同様の訴訟での損害賠償金支払い命令に応じていないとされ、画期的」としている。
斎藤弁護士によると、西村氏が損害賠償金支払い命令に応じないため、書き込みに基づいた書籍の印税に着目。2ちゃんねる関連の書籍を平成20年6月に出版した新潮社を相手に、西村氏への印税を名誉棄損の被害者に支払うよう求め、東京地裁に提訴した。
デイリーヤマザキ、今秋から電子マネー「Edy」全店導入へ
株式会社デイリーヤマザキ(以下、デイリーヤマザキ)は5日、ビットワレット株式会社(以下 ビットワレット)が運営するプリペイド型電子マネー「Edy(エディ)」を、2010年4月7日(水)から全国の「デイリーヤマザキ店」へ順次導入を開始すると発表した。
デイリーヤマザキは、代金決済時の消費者の利便性の向上をはかるため、複数の電子マネーに対応可能なマルチ・サービス・リーダライタの店舗設置を進め、決済手段の多様化を推進する。同社は、発行枚数の多いEdyを導入することで、消費者の来店数増加を狙う。
ビットワレットは、「デイリーヤマザキ店」へEdyを導入することで、Edyが使えるコンビニエンスストアを全国4万店以上に拡大する。これにより、コンビニエンスストアでの支払い時における消費者の利便性を向上させ、“日常生活のなかで愛される電子マネー”として、Edyのより一層の普及を期待する。
電子書籍関連に人気集中 3D画像や電子決済にも
新興市場で電子書籍関連銘柄が人気を集めている。米アップルが1月末に電子書籍を楽しめる多機能端末「iPad(アイパッド)」を発表したのがきっかけ。ネット関連銘柄の物色の矛先は、この分野に強みを持つ銘柄に向かっている。
値上がりが目立つのが、アニメなどを電子書籍向けに編集・配信しているインフォコム。事業の将来性への期待感から、直近1カ月で株価は2倍強に上昇した。同じ期間で日経ジャスダック平均株価の上昇率は5%にとどまる。
電子書籍の注目度を高めたのは「iPad」。米国では今月3日に発売したほか、日本政府が普及に向け環境整備すると伝わったことも材料視されたようだ。
商いの中心は個人投資家とみられる。日経平均株価が1年半ぶりに1万1000円台を回復したことで「中小型株に資金を振り向ける余裕ができたようだ」(大手証券)。
この流れは3次元(3D)画像や電子決済の関連銘柄などにも広がっている。3D画像を携帯電話で見ることができるソフトを手掛けるエイチアイの株価もここ1カ月で約2倍。電子マネーを運営するウェブマネーは株価の上昇とともに、売買高も3月中旬以降急増。1日数十株だったのが、2日は5000株を超えた。活発な商いは、短期的な値幅取りの盛り上がりをうかがわせる。
ただ、こうした銘柄が今後も一本調子で上昇するかどうかは不透明だ。いちよし証券投資情報部の宇田川克己課長は「電子書籍関連などは期待先行で買われている面があり、業績の裏付けがないと物色は持続しない」と話す。
27年間も世界一を守り続けた産業の転換期(COLUMN)
この週末,ニュースで大きく報道されていたのが,「iPad」の米国での発売開始。見方によっては,電子書籍リーダーとも小型パソコンともゲーム機ともとれるこの端末を手に入れるべく,多くの人が店舗の前で行列をなした。
なぜ,iPadのような製品を日本メーカーが開発できないかという議論はさておき,気になるのがiPadに搭載されている電子部品に日本製が少ないということ。日本経済新聞によれば,フラッシュ・メモリーや携帯向け高周波部品,水晶振動子などには日本メーカーの部品が採用されているようだが,全体的な部品に占める日本メーカーの割合はごくわずか。そのほかは,日本以外の部品で,特にバッテリやタッチパネル,バックライトなど台湾・中国製のものが目を引く。
もちろん,この例だけで日本の電子部品メーカーの競争力が弱まっているとは簡単にはいえない。iPadに搭載されている部品は,すべてが最先端のものではなく,どちらかというと高付加価値化にまい進している日本の電子部品メーカーが,その実力を発揮できる土俵ではないかもしれない。ただし,BRICs(ブラジル,ロシア,インド,中国)やそれに続くVISTA(ベトナム,インドネシア,南アフリカ共和国,トルコ,アルゼンチン)では,今後中流階級の人たちが急速に増え,そして彼らをターゲットとしたいわゆるローエンド機の需要が急拡大するはずである。日本メーカーが,ハイテク機向けの電子部品の市場は独占していると言っても,グローバルに広がるローエンド機の市場を今後は無視できないばかりか,積極的に狙っていかなくてはならない。多くの製品を支える日本の電子部品産業は,今大きな転換点を迎えていると言えるだろう。
同様に,あまり表舞台には出てこないが,今まさに大きな転換点を迎えているのが工作機械産業だ。工作機械というと,その受注高は景気の先行指標とも言われているので,新聞などを読む中で耳にした人も多いかもしれない。あまり知らない人のために簡単に説明すると,金属を削ったり,穴を開けたり,磨いたりするのが工作機械。機械を作る機械だから,「マザーマシン」とも言われる。
工作機械の生産額は,ずっと日本が一番だった。1982年に米国に代わって1位になって以来,景気のあおりを受けて金額に浮き沈みはあったものの,27年間その座を守り続けた。しかし2009年,1位になったのは中国。日本はドイツにも抜かれて3位だった。
米Gardner Publication社の調査によれば,2009年の日本の工作機械生産額は前年比56.5%減の58億9000万ドル。一方,中国は同8.9%増の109億5000万ドル。抜かれるどころか,約2倍にまで差を付けられた格好となった。
ここまで2009年に差が付けられたのは,世界同時不況の後で中国がいち早く立ち直り,日本の回復が遅れたという特殊事情がある。両者の技術力を見ればまだ差があり,高い加工精度を実現する機械や,大きな材料が加工できる機械などが造れるメーカーは,中国にはほとんど存在しない。それでも,中国の生産額が1位になったのは,普通の加工ができる安い機械を必要とするユーザーが中国内には多くいたから。そして,それらのユーザーのニーズを満たせる機械であれば,日本メーカーだけでなく中国メーカーにも造れる。
今後も技術力という点では,しばらくは日本の優位性は変わらないだろう。しかし,今後グローバルなマーケットを考えたとき,「そこそこの工作機械」の市場は格段と増える。このボリュームゾーンを積極的に狙っていかなくてはならないのは,電子部品産業と同様だろう。
さらには「技術力もあっという間に抜かれてしまうかもしれませんよ」と言う向きもいる。ある大手工作機械メーカーの技術者は,「中国では一流大学を卒業した優秀な人材が工作機械メーカーに就職してくる。残念ながら日本ではそのような学生は,自動車メーカーや大手家電メーカーに目がいっている」。今ある差など,すぐにキャッチアップされてしまうというのだ。
世界の先端を走ってきた日本の電子部品産業や工作機械産業が,そう簡単に後進国に抜かれるとは思えない。ただし,そのためには若い血が不可欠。是非学生の方々には,こういった産業のことをよく知ってほしい。
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買った触った! iPad購入ハワイ弾丸ツアー(COLUMN)
米国時間4月3日、アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」が発売になった。9.7インチの大型ディスプレーを搭載し、電子書籍の閲覧など幅広い用途に使えるという触れ込みだが、実際の使い心地はどうなのか。4月下旬という日本発売を待てず、米国版を買いにハワイ・ホノルルへ飛んだ。
今回のiPad発売は、スマートフォン「iPhone」の発売時とは違い、購入予約をすでに3月12日から受け付けている。予約者は発売日である4月3日午前9時から店頭で受け取ることができる。オンラインのアップルストアでも事前注文を受け付けており、3日には宅配で届く。そのためiPhoneの時のようなフィーバーはなく、現地でもそれほど盛り上がらないのではという気もした。
しかし、アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が手がけた最新の自信作とあっては、一刻も早く触れてみたい。新たに始まる電子書籍販売サービスはどんな内容なのか、iPhoneと併用する意味はあるのかなど興味は尽きない。iPadの購入予約と航空券の手配を済ませ、4月1日から2泊4日のiPad購入弾丸ツアーへと旅立った。
3日午前6時に最初の行列
成田空港発の航空機(JO74便)でハワイに着いたのが1日朝。さっそく1日、2日と現地のアップルストアを訪ねてみたが、いつもの様子とほとんど変わらない。唯一、「4月3日に発売」というパネルが1枚ある程度。なんだか拍子抜けしてしまった。とりあえず、iPadが発売されたときに「iTunes Store」でアプリケーションソフトをダウンロード購入するための「iTunes ギフトカード」を60ドル分購入してホテルに帰る(iPad発売直後は米国のiTunes Storeでしか対応アプリを販売しない。日本のアカウントでは購入できないが、米国のギフトカードがあれば購入可能)。
4月2日の閉店後、店内が見えないように黒幕が張られた
2日22時過ぎ、発売前日の営業を終えたアップルストアに行ってみる。するとショーウィンドーに黒幕が張られ、店内が見えないように隠されてしまった。いよいよ準備が始まろうとしているようだ。しかし、店の前には誰一人として並んでいない。ニューヨークなどでは徹夜組もいたそうだが、やはりハワイはのんびりしている。
3日午前6時。再びアップルストアに行くと、ようやく開店待ちの客が並び始めていた。列は2つあり、「予約済み」と「予約なし」で区分けされていた。予約済みは5人、予約なしは10人といったところだ。予約していれば3日には確実に手に入るのだが、朝から並んでいる。はやる気持ちを抑えられないのはわかる気がする(なにしろ日本から買いにきたくらいだから)。ちなみに予約なしの列の先頭の客は「朝5時から並んでいるよ」とのことだった。
3日午前8時30分、行列は一気に長くなった。予約ありは30人、予約なしは80人程度に延びている。朝8時台といっても、ハワイの日差しは強い。アップルストアが日傘を貸し出してくれ、さらにはスターバックスのアイスティーを配ってくれた。こうした粋な配慮はアップルらしい。
発売20分前になると、行列の後方から歓声が上がり始めた。振り返ると、アップルストアの店員が数十人、行列客とハイタッチをしながら走ってくる。意味はよくわからないが、発売に向けて行列客の気分は盛り上がっていく。
いよいよ開店、まずは周辺機器
午前9時、カウントダウンとともに開店。入口で姓を聞かれ、予約客であるかどうかを確認された後に店内に入る。すかさずダニエル君という店員が握手を求めてきて、買い物を付きっきりでサポートするという。
まず連れて行かれたのはケース売り場。iPhone同様、「本体にキズをつけたくない」という心配もあって、迷わず純正ケース(39ドル)を手にとってしまう。つぎにダニエル君が連れて行ったのは周辺機器売り場。いまは「(充電用の)ドックとVGAケーブルがあるよ」とのこと。本来はキーボードもあるはずだが、まだ入荷されていないようだ。
とりあえず、ドック(29ドル)と、プレゼンテーションのとき映像出力に使えるVGAケーブル(29ドル)を購入。さらにダニエル君から「日本から来たのか? 大丈夫。世界中で対応している」といわれ、製品保証サービスも99ドルで付けることにした。
ここでようやくお目にかかることができたのがiPad本体。1人2台まで予約できるということで、64ギガバイト(GB)モデルと16GBモデルの2台を購入した。しめて1500ドル以上の買い出しツアーとなってしまった。
帰ろうとすると「ここでアクティベーション(認証手続き)をしていくかい?」とダニエル君。以前、ハワイでiPhoneを購入したときは、米国に住所がないため米AT&Tの回線開通作業ができなかったという苦い思い出がある。今回のiPadは無線LAN版なので通信会社への手続きは必要ないが、どんなサポートをしてくれるのか興味深かったので、早速お願いすることにした。
iPadのアクティベーションを担当したのはダニエル君ではなく別の店員。まず本体は自分で開けさせてくれ、すぐに店内にあるMacに接続して使えるようにしてくれた。アクティベーションはあっという間に完了し、あとは担当者がiPadの機能や使い方、ボタン操作などを教えてくれる。メールなどもここで設定し、すぐに自分のメールを受信できるようになった。
周辺を見渡すと、多くの人が店員からレクチャーを受けている。日本の携帯電話ショップや家電量販店では、購入した機器はすぐに持ち帰るだけだが、アップルストアはこうした顧客対応が充実している。
一通り使えるようになりホテルに直帰。部屋で1時間ほど触った後、チェックアウトして3日13時5分発のJO71便で帰国した。
iPadを実際に使ってまず感じたのが、「ソフトウエアキーボードでの文字入力が意外とスムーズ」という点だ。画面の小さいiPhoneではいつも苦労させられるせいか、iPadではとても入力しやすいという印象がある。反応速度もiPhoneよりよく、使っていてストレスを感じない。まだ少し触っただけだが、ちょっとした外出ならノートパソコン不要で、仕事もこなせそうな気がする。
ここ2~3年、画面10インチ前後で5万円を切る安価な「ネットブック」がブームになったが、アップルは頑なに参入を否定してきた。そのときはアップルの意図がはっきり理解できなかったが、iPadに触ってみて「ネットブックを打ち負かすだけの使い勝手」と実感した。この自信があったからこそ、アップルはネットブック市場に目もくれなかったのだと納得できた気がした。
こうなると日本での発売が待ち遠しくなる。ネットブックを販売しているメーカー各社もおちおちしていられないだろう
「ネット選挙運動」解禁へ
まずブログやツイッター
民主党が「ネット選挙」の一部解禁に向けた具体案づくりに着手する。選挙運動期間中にホームページ(HP)の更新を可能にするほか、利用者が増えているブログやツイッターも活用できるようにする。夏の参院選での解禁を視野に入れており、今国会に議員立法で公職選挙法改正案を提出することを検討する。
鳩山由紀夫首相のほか、多くの国会議員がツイッターで情報を発信している
現行法は選挙期間中に配布できる文書図画を規定のはがきとビラに限定している。「公平な選挙」を実現する狙いで、はがきなどの枚数にも規定がある。インターネット選挙が禁じられているのは、HPやブログ、電子メールなどがこの文書図画に当たるため。候補者や政党が選挙期間中にHPを更新したり、メールを送信することを禁じている。
民主党はネットの普及に伴い禁止する意味合いが薄れてきたと判断。候補者による政策アピールや有権者の情報収集にはむしろメリットが大きいとみている。近く党政治改革推進本部(本部長・小沢一郎幹事長)の役員会を開き、公選法改正案の提出へ調整を始める。
具体的には、HPのほか電子日記のブログや、140字以内でコメントを書き込むツイッターの選挙期間中の更新を解禁する。選挙当日の更新はできないが、当日も削除は不要とする。候補者や政党には氏名や名称、電子メールアドレスの表示義務を課し、不正利用を防ぐ。
電子メールを利用した選挙運動の解禁は見送る方向。「なりすまし」を防ぐ有効な手段がないうえ、罰則規定を設ける検討も時間的に間に合わないためだ。
民主党の政治改革推進本部は「5月中旬までに公選法改正案が成立すれば、夏の参院選に間に合う」(幹部)とみて、法案提出を急ぐ方針。ただ、選挙に関する法改正は与野党の幅広い合意が望ましい。参院選を前に与野党の対決色が強まれば、法案審議の行方が不透明になる可能性がある。
資源獲得へ産出国支援 政府、基盤整備や産業振興
政府はエコカーの生産などに必要な希少金属(レアメタル)の権益を確保するため、産出国に包括的な経済支援を実施する。第1弾として南米のボリビアを選び、日本がリチウムを得るのを前提に、5~6月から地熱発電所の建設などを援助する検討に入った。アフリカやアジアの需要調査にも乗り出す。資源の獲得を目的に、直接関係のない事業も含めた支援に踏み切るのは初めて。産出国のインフラ整備や産業振興に資金を投じ、国際的な資源争奪の動きに対抗する。(希少金属は経済面「きょうのことば」参照)
ボリビア政府は同国南西部のラグナ・コロラダ地域で、100メガ(メガは100万)ワット級の地熱発電所の建設を計画している。日本政府は5~6月をめどに、この事業に数百億円の円借款を供与する。日本の電力会社なども発電所の運営や人材の育成を支える。
このほかラパス市内の病院に太陽光パネルを設置するため、4億4000万円の無償資金協力を実施。アルパカなどの獣毛を利用した繊維産業の育成や、地上デジタルテレビ放送の導入推進にも協力する。リチウムの産業利用に向けた科学技術協力など、資源関連の支援も継続する方針だ。
ボリビア西部のウユニ塩湖には、世界のリチウム埋蔵量の半分が眠るといわれる。そのほとんどが未開発で、日本やフランス、ブラジルなどが激しい争奪戦を展開している。今年前半にも開発企業を決めるとの情報があり、日本政府も包括的な経済支援に踏み込む。
日本が資源の獲得を狙った経済支援を進める場合、直接関係のない事業にも対象を広げるケースはなかった。支援の対象が恣意(しい)的になり、支援額も膨らむとの懸念が強かったためだ。
日経社説
電子書籍市場への備え急げ
米アップルが新しい携帯情報端末の「iPad(アイパッド)」を米国で発売した。音楽や映像の視聴に加え、電子書籍端末としても期待が高まっている。今月末には日本でも発売する計画で、出版業界としてもインターネットによる電子出版への迅速な対応が求められている。
電子書籍端末は米アマゾン・ドット・コムが発売した「キンドル」が先行した。アップルの新製品は高機能携帯電話の「iPhone(アイフォーン)」と同じ技術を使い、ネットから様々なソフトや情報を入手できる。カラー液晶を搭載し、雑誌などの閲覧手段としても使える。
キンドルの登場により、米国では出版社などがネットによる電子出版に力を入れている。書店大手のバーンズ&ノーブルも独自に端末を開発した。音楽配信で成功したアップルの参入は、出版物のネット配信を大きく促すことになるだろう。
問題はネット配信に対する日本の出版業界の遅れだ。出版社は中小企業が多く、紙への愛着が強い。音楽業界はCD販売に固執しているうちにネット配信事業をアップルにさらわれてしまった。このまま行けば出版業界も二の舞いとなりかねない。
出版には言論や表現の自由を守り、民主主義を担うという役割がある。ネットを使えば、世界に向けて情報を発信することができるが、その流通ルートを一部の外国企業が独占してしまうのは困る。
電子書籍市場を日本で健全に育成するには、ネット配信に必要な共通技術を確立する必要がある。3月に出版社31社が「日本電子書籍出版社協会」を新設したのは評価できる。総務省、文部科学省、経済産業省も合同で懇談会を設けたが、もっと早く取り組むべきだった。
国立国会図書館の役割も重要だ。米グーグルの書籍検索サービスに対し、同図書館も納本制度に基づく電子保存や、電子納本の仕組み作りを急いでいる。図書館は無償だが、そこで確立した技術を有償のネット配信基盤として使うことも一案だ。
音楽配信や電子出版は実は日本が先行したが、規格が乱立し普及しなかった。日本としての標準技術を確立したうえで、海外のサービスにも情報提供できるようにすべきだ。
米国時間4月3日、アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」が発売になった。9.7インチの大型ディスプレーを搭載し、電子書籍の閲覧など幅広い用途に使えるという触れ込みだが、実際の使い心地はどうなのか。4月下旬という日本発売を待てず、米国版を買いにハワイ・ホノルルへ飛んだ。
今回のiPad発売は、スマートフォン「iPhone」の発売時とは違い、購入予約をすでに3月12日から受け付けている。予約者は発売日である4月3日午前9時から店頭で受け取ることができる。オンラインのアップルストアでも事前注文を受け付けており、3日には宅配で届く。そのためiPhoneの時のようなフィーバーはなく、現地でもそれほど盛り上がらないのではという気もした。
しかし、アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が手がけた最新の自信作とあっては、一刻も早く触れてみたい。新たに始まる電子書籍販売サービスはどんな内容なのか、iPhoneと併用する意味はあるのかなど興味は尽きない。iPadの購入予約と航空券の手配を済ませ、4月1日から2泊4日のiPad購入弾丸ツアーへと旅立った。
3日午前6時に最初の行列
成田空港発の航空機(JO74便)でハワイに着いたのが1日朝。さっそく1日、2日と現地のアップルストアを訪ねてみたが、いつもの様子とほとんど変わらない。唯一、「4月3日に発売」というパネルが1枚ある程度。なんだか拍子抜けしてしまった。とりあえず、iPadが発売されたときに「iTunes Store」でアプリケーションソフトをダウンロード購入するための「iTunes ギフトカード」を60ドル分購入してホテルに帰る(iPad発売直後は米国のiTunes Storeでしか対応アプリを販売しない。日本のアカウントでは購入できないが、米国のギフトカードがあれば購入可能)。
4月2日の閉店後、店内が見えないように黒幕が張られた
2日22時過ぎ、発売前日の営業を終えたアップルストアに行ってみる。するとショーウィンドーに黒幕が張られ、店内が見えないように隠されてしまった。いよいよ準備が始まろうとしているようだ。しかし、店の前には誰一人として並んでいない。ニューヨークなどでは徹夜組もいたそうだが、やはりハワイはのんびりしている。
3日午前6時。再びアップルストアに行くと、ようやく開店待ちの客が並び始めていた。列は2つあり、「予約済み」と「予約なし」で区分けされていた。予約済みは5人、予約なしは10人といったところだ。予約していれば3日には確実に手に入るのだが、朝から並んでいる。はやる気持ちを抑えられないのはわかる気がする(なにしろ日本から買いにきたくらいだから)。ちなみに予約なしの列の先頭の客は「朝5時から並んでいるよ」とのことだった。
3日午前8時30分、行列は一気に長くなった。予約ありは30人、予約なしは80人程度に延びている。朝8時台といっても、ハワイの日差しは強い。アップルストアが日傘を貸し出してくれ、さらにはスターバックスのアイスティーを配ってくれた。こうした粋な配慮はアップルらしい。
発売20分前になると、行列の後方から歓声が上がり始めた。振り返ると、アップルストアの店員が数十人、行列客とハイタッチをしながら走ってくる。意味はよくわからないが、発売に向けて行列客の気分は盛り上がっていく。
いよいよ開店、まずは周辺機器
午前9時、カウントダウンとともに開店。入口で姓を聞かれ、予約客であるかどうかを確認された後に店内に入る。すかさずダニエル君という店員が握手を求めてきて、買い物を付きっきりでサポートするという。
まず連れて行かれたのはケース売り場。iPhone同様、「本体にキズをつけたくない」という心配もあって、迷わず純正ケース(39ドル)を手にとってしまう。つぎにダニエル君が連れて行ったのは周辺機器売り場。いまは「(充電用の)ドックとVGAケーブルがあるよ」とのこと。本来はキーボードもあるはずだが、まだ入荷されていないようだ。
とりあえず、ドック(29ドル)と、プレゼンテーションのとき映像出力に使えるVGAケーブル(29ドル)を購入。さらにダニエル君から「日本から来たのか? 大丈夫。世界中で対応している」といわれ、製品保証サービスも99ドルで付けることにした。
ここでようやくお目にかかることができたのがiPad本体。1人2台まで予約できるということで、64ギガバイト(GB)モデルと16GBモデルの2台を購入した。しめて1500ドル以上の買い出しツアーとなってしまった。
帰ろうとすると「ここでアクティベーション(認証手続き)をしていくかい?」とダニエル君。以前、ハワイでiPhoneを購入したときは、米国に住所がないため米AT&Tの回線開通作業ができなかったという苦い思い出がある。今回のiPadは無線LAN版なので通信会社への手続きは必要ないが、どんなサポートをしてくれるのか興味深かったので、早速お願いすることにした。
iPadのアクティベーションを担当したのはダニエル君ではなく別の店員。まず本体は自分で開けさせてくれ、すぐに店内にあるMacに接続して使えるようにしてくれた。アクティベーションはあっという間に完了し、あとは担当者がiPadの機能や使い方、ボタン操作などを教えてくれる。メールなどもここで設定し、すぐに自分のメールを受信できるようになった。
周辺を見渡すと、多くの人が店員からレクチャーを受けている。日本の携帯電話ショップや家電量販店では、購入した機器はすぐに持ち帰るだけだが、アップルストアはこうした顧客対応が充実している。
一通り使えるようになりホテルに直帰。部屋で1時間ほど触った後、チェックアウトして3日13時5分発のJO71便で帰国した。
iPadを実際に使ってまず感じたのが、「ソフトウエアキーボードでの文字入力が意外とスムーズ」という点だ。画面の小さいiPhoneではいつも苦労させられるせいか、iPadではとても入力しやすいという印象がある。反応速度もiPhoneよりよく、使っていてストレスを感じない。まだ少し触っただけだが、ちょっとした外出ならノートパソコン不要で、仕事もこなせそうな気がする。
ここ2~3年、画面10インチ前後で5万円を切る安価な「ネットブック」がブームになったが、アップルは頑なに参入を否定してきた。そのときはアップルの意図がはっきり理解できなかったが、iPadに触ってみて「ネットブックを打ち負かすだけの使い勝手」と実感した。この自信があったからこそ、アップルはネットブック市場に目もくれなかったのだと納得できた気がした。
こうなると日本での発売が待ち遠しくなる。ネットブックを販売しているメーカー各社もおちおちしていられないだろう
「ネット選挙運動」解禁へ
まずブログやツイッター
民主党が「ネット選挙」の一部解禁に向けた具体案づくりに着手する。選挙運動期間中にホームページ(HP)の更新を可能にするほか、利用者が増えているブログやツイッターも活用できるようにする。夏の参院選での解禁を視野に入れており、今国会に議員立法で公職選挙法改正案を提出することを検討する。
鳩山由紀夫首相のほか、多くの国会議員がツイッターで情報を発信している
現行法は選挙期間中に配布できる文書図画を規定のはがきとビラに限定している。「公平な選挙」を実現する狙いで、はがきなどの枚数にも規定がある。インターネット選挙が禁じられているのは、HPやブログ、電子メールなどがこの文書図画に当たるため。候補者や政党が選挙期間中にHPを更新したり、メールを送信することを禁じている。
民主党はネットの普及に伴い禁止する意味合いが薄れてきたと判断。候補者による政策アピールや有権者の情報収集にはむしろメリットが大きいとみている。近く党政治改革推進本部(本部長・小沢一郎幹事長)の役員会を開き、公選法改正案の提出へ調整を始める。
具体的には、HPのほか電子日記のブログや、140字以内でコメントを書き込むツイッターの選挙期間中の更新を解禁する。選挙当日の更新はできないが、当日も削除は不要とする。候補者や政党には氏名や名称、電子メールアドレスの表示義務を課し、不正利用を防ぐ。
電子メールを利用した選挙運動の解禁は見送る方向。「なりすまし」を防ぐ有効な手段がないうえ、罰則規定を設ける検討も時間的に間に合わないためだ。
民主党の政治改革推進本部は「5月中旬までに公選法改正案が成立すれば、夏の参院選に間に合う」(幹部)とみて、法案提出を急ぐ方針。ただ、選挙に関する法改正は与野党の幅広い合意が望ましい。参院選を前に与野党の対決色が強まれば、法案審議の行方が不透明になる可能性がある。
資源獲得へ産出国支援 政府、基盤整備や産業振興
政府はエコカーの生産などに必要な希少金属(レアメタル)の権益を確保するため、産出国に包括的な経済支援を実施する。第1弾として南米のボリビアを選び、日本がリチウムを得るのを前提に、5~6月から地熱発電所の建設などを援助する検討に入った。アフリカやアジアの需要調査にも乗り出す。資源の獲得を目的に、直接関係のない事業も含めた支援に踏み切るのは初めて。産出国のインフラ整備や産業振興に資金を投じ、国際的な資源争奪の動きに対抗する。(希少金属は経済面「きょうのことば」参照)
ボリビア政府は同国南西部のラグナ・コロラダ地域で、100メガ(メガは100万)ワット級の地熱発電所の建設を計画している。日本政府は5~6月をめどに、この事業に数百億円の円借款を供与する。日本の電力会社なども発電所の運営や人材の育成を支える。
このほかラパス市内の病院に太陽光パネルを設置するため、4億4000万円の無償資金協力を実施。アルパカなどの獣毛を利用した繊維産業の育成や、地上デジタルテレビ放送の導入推進にも協力する。リチウムの産業利用に向けた科学技術協力など、資源関連の支援も継続する方針だ。
ボリビア西部のウユニ塩湖には、世界のリチウム埋蔵量の半分が眠るといわれる。そのほとんどが未開発で、日本やフランス、ブラジルなどが激しい争奪戦を展開している。今年前半にも開発企業を決めるとの情報があり、日本政府も包括的な経済支援に踏み込む。
日本が資源の獲得を狙った経済支援を進める場合、直接関係のない事業にも対象を広げるケースはなかった。支援の対象が恣意(しい)的になり、支援額も膨らむとの懸念が強かったためだ。
日経社説
電子書籍市場への備え急げ
米アップルが新しい携帯情報端末の「iPad(アイパッド)」を米国で発売した。音楽や映像の視聴に加え、電子書籍端末としても期待が高まっている。今月末には日本でも発売する計画で、出版業界としてもインターネットによる電子出版への迅速な対応が求められている。
電子書籍端末は米アマゾン・ドット・コムが発売した「キンドル」が先行した。アップルの新製品は高機能携帯電話の「iPhone(アイフォーン)」と同じ技術を使い、ネットから様々なソフトや情報を入手できる。カラー液晶を搭載し、雑誌などの閲覧手段としても使える。
キンドルの登場により、米国では出版社などがネットによる電子出版に力を入れている。書店大手のバーンズ&ノーブルも独自に端末を開発した。音楽配信で成功したアップルの参入は、出版物のネット配信を大きく促すことになるだろう。
問題はネット配信に対する日本の出版業界の遅れだ。出版社は中小企業が多く、紙への愛着が強い。音楽業界はCD販売に固執しているうちにネット配信事業をアップルにさらわれてしまった。このまま行けば出版業界も二の舞いとなりかねない。
出版には言論や表現の自由を守り、民主主義を担うという役割がある。ネットを使えば、世界に向けて情報を発信することができるが、その流通ルートを一部の外国企業が独占してしまうのは困る。
電子書籍市場を日本で健全に育成するには、ネット配信に必要な共通技術を確立する必要がある。3月に出版社31社が「日本電子書籍出版社協会」を新設したのは評価できる。総務省、文部科学省、経済産業省も合同で懇談会を設けたが、もっと早く取り組むべきだった。
国立国会図書館の役割も重要だ。米グーグルの書籍検索サービスに対し、同図書館も納本制度に基づく電子保存や、電子納本の仕組み作りを急いでいる。図書館は無償だが、そこで確立した技術を有償のネット配信基盤として使うことも一案だ。
音楽配信や電子出版は実は日本が先行したが、規格が乱立し普及しなかった。日本としての標準技術を確立したうえで、海外のサービスにも情報提供できるようにすべきだ。
日本のゲーム開発者が知らない米Facebookの下克上(COLUMN1)
世界最大のゲーム開発者会議「Game Developers Conference 2010(GDC 2010)」が3月9~13日に米サンフランシスコで開催された。ゲーム市場の世界的低迷の影響で参加者数は減少すると思われていたが、ふたを開けてみると1万8500人と昨年を1500人上回った。その理由の一つが、米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「Facebook」を中心に人気を集めるソーシャルゲーム関連の講演の充実にあったことは間違いない。
09年のGDCでソーシャルゲームはここまで重要なテーマではなかった。日本で想像していたよりはるかに速く、ゲーム産業の再編が進んでいることを実感した。
Facebookのプラットフォームマネジャーであるガレス・デイビス氏は、基調講演でサービスの全体像を紹介しながら、自らの強みである「数」の論理をアピールした。デイビス氏によると、Facebookの中核は「オンライン上の現実のアイデンティティー(Your real identity online)」にあるという。現在、Facebookには4億人がユーザー登録し、友人とオンライン上でつながる関係性を持っている。そのうち2億人は毎日アクセスするアクティブユーザーで1人当たりの平均アクセス時間は55分に及ぶ。ゲームを日常的に遊んでいるユーザーも2億人に上る。
Facebookの優位性は、ユーザーのデータのすべてをインターネット上の自社サーバーに置く「クラウド型」のサービスである点にある。ユーザーにとって最も大切なのは、自分がサーバーに預けたデータ、つまり「アイデンティティー」である。自分自身のデータをサービスに預ければ預けるほど、そのサービスを別のサービスで代替することは難しくなる。
ゲームでも、自分のプレー結果が反映されたデータには値段に代えられない価値がある。そのデータをクラウド側が直接押さえているのである。しかも、ユーザーがどのようにゲームを遊んでいるのかを100%把握している。強いのは当然だ。
クラウド型サービスは、特定の物理メディアに依存せず、ユーザーに供給するデータの内容を好きに決めることができる。そのデータを有料化することも、無料で提供することも自由だ。ゲーム産業は昨年まで、Facebookは「無料で利用できる有効な口コミマーケティングツール」ととらえていた。今年は違う。プラットフォームとして、既存の家庭用ゲーム機などのハードウエアを凌駕するほどの影響力を持ち始めたのである。
ハードウエア優位時代の終わり
Facebookは、外部の企業がサービスを自由に連携できるAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)を「Facebook Connect」という形で提供している。これを利用すると、カジュアルゲームと呼ばれるパソコン向けのダウンロード販売型のゲームの結果をFacebookのデータと連動させることができる。米アップルの「iPhone」向けゲームアプリでも、この機能を使うことができる。
任天堂も09年7月から、携帯型ゲーム機「ニンテンドーDSi」でカメラ撮影した写真を、このAPIを利用してFacebookにアップロードできるようにした。米マイクロソフトも09年11月に家庭用ゲーム機「Xbox360」をFacebookと連携し、ソニー・コンピュータエンタテインメントも「プレイステーション3(PS3)」で獲得したトロフィーや購入したゲームの情報を投稿できる機能を追加した。
この状況をデイビス氏は、「マルチデバイス・プラットフォーム」と呼んだ。ある人はパソコンから、ある人は携帯電話から、ある人はゲーム機からアクセスする。提供される機能は共通しているわけではないが、中核にユーザーのアイデンティティーを統合する存在であるFacebookがある。
もちろん、デイビス氏は、ハードウエア会社より自社の方が上位にあると発言したわけではない。しかし、「ハードウエアが優位であった時代は終わる」という事実を言外に突きつけているのは明らかだ。ネットに接続できるハードウエアが、超巨大化したFacebookに関わらずにいることはもはや難しくなっている。
市場が急拡大、アップルとの競合も
Facebookの進撃は止まらない。米Many-eyes.comが世界のSNSの勢力図をまとめたデータによると、Facebookは全世界の大半を押さえている。米調査会社Inside Networkのジャスティン・スミス氏の講演によると、10年3月1日現在のFacebookユーザーの内訳は、北米が1億4000万人で36%、欧州が1億3000万人で34%だが、インド、インドネシアなどのアジア地域も7000万人と18%を占めている。
その影響力は課金システムで発揮されようとしている。Facebookは、独自の仮想通貨「Facebook Credit」を順次拡張していくことを明らかにしている。有料アプリやコンテンツの販売額の3割をFacebook側が取るオンライン決済の仕組みだ。ゲームのアイテム課金に向いたシステムで、8300万人のユーザーを集める人気農場育成ゲーム「FarmVille」がまず対応した。
しかし、これはアップルにとってやっかいな仕組みとなるだろう。Facebookに対応したアプリを無料でiPhone向けに配信し、課金はFacebook Creditを使うといったケースが出てくれば、直接競合する関係になるからだ。他の家庭用ゲーム機なども同じ問題に直面することになる。
日本人参加者が実感した「津波」
Facebook関連の講演を聴いていて痛感したのは、日本企業の存在感のなさだ。そもそもFacebookが日本では人気がなく、大きく広がりそうな気配もないので当然ではある。Facebookで収益を上げている欧米ゲーム企業も日本市場を気にかけていない。なぜなら、日本以外の地域でユーザー数が増加し続けているからだ。
スミス氏によると、北米のアイテム課金市場は08年が5億ドル、09年が10億ドル、さらに10年は16億ドルにまで拡大するという。日本の家庭用ゲーム機のソフト市場は約3300億円であり、その半分の規模まで急成長する計算だ。
ソーシャルゲームのトップパブリッシャーである米Zyngaは、新しいゲームを公開してから7日間で1000万人のユーザーを集めるだけのパワーを持っている。例えば、前述のゲームFarmVilleは11人の技術者が5週間で開発し、人海戦術でアップデートしてコンテンツを充実させている。ユーザー行動を分析して、有料アイテムを的確に提供するという繰り返しで、新しいゲームを順次リリースしていく。スミス氏は、Zyngaを巨大戦艦にたとえ、「他の企業が対抗するのは難しい」と豪語していた。
Facebookをはじめとするゲームのプラットフォームと新しい市場が、日本のゲーム産業と関係ないところで出現し、世界のゲーム産業の様相を変えようとしている。富を生む場所がシフトし、日本は後追いになりつつある。
GDCに参加した日本の中堅ゲーム開発会社の経営者は、「スピード感と規模感が違いすぎる。帰国後、これまで会わなかった投資会社と積極的に話している」と述べていた。変わらなければ、いずれ津波に飲み込まれる。今回のGDCで、津波を実感したという日本の開発者は多かった。
マスメディア崩壊という共同幻想(COLUMN2)
3月22日に生放送されたNHKスペシャルの『激震マスメディア』に出演した。この番組については多くの人が多くのことを語っていて、今さらその内容について私が付け加えることはほとんどない。ただひとつだけ言っておくと、会話がかみ合わないことは事前から十分に予想できたことで、そもそも企画したNHKのスタッフだって「かみ合った議論」を期待していたわけじゃないと思う。そうでなければ新聞協会会長、民放連顧問なんていう巨塔を出演者としてぶつけてくるわけがない。
それをNHKが狙っていたのかどうかは別にして、あの討論に意味があったとすれば、新聞やテレビという亡びていく巨象にわかりやすい「顔」を与えたことだった。新聞にしろテレビにしろ、一部の有名記者やコメンテーター、タレントを除けば、どのような人たちがそうした組織を維持し、世論を作り出しているのかという生身の姿はほとんど見えない。新聞のコラム(たとえば『よみうり寸評』)がTwitterについてどんなに的外れなことを書こうが、それがいったいどのような人たちによってどのような表情で語られているのかは見えてこなかったということだ。
『激震マスメディア』では、新聞協会会長と民放連顧問という業界を代表するお二人が、その「顔の見えない巨象」についにきちんと顔とことばを与えた。多くの視聴者に対して「ああ、このような人たちがマスメディアを体現しているのか」「この人たちはこんなことを考えていたのか」という認識を実体として提供することができたということだ。つまりはマスメディアを象徴するアバター(仮想分身)である。
マスメディア崩壊という共同幻想
いずれにせよ、あのような討論の有無には関係なく事態は粛々と進行している。昨年初めごろまでは「本当にマスメディアは崩壊するのか?」というような疑念を持っていた人はネット業界においても少なくなかった。しかしいまやその崩壊は確実に進行しつつある事実認識として、徐々に人々の間に共有されつつある――もちろん、マスメディアの中の人たちにも。
これは必ずしも、企業体としての新聞社や放送局がみんな破綻して消えてなくなるという意味ではない。昨年上梓した『2011年新聞・テレビ消滅』という本でも書いたが、新聞やテレビが全国民と接続される「マスのメディア」としての機能は間もなく失われ、今後は多様なメディア空間が展開されてくる。そしてそのメディア空間の出現を、多くの人が実感として認識するようになるということだ。
もともとマスメディアなどというのは、しょせんは幻想の共同体にすぎなかった。しかしその幻想をマスメディア自身が構築し、国民にその幻想を放射することによって、マスメディア企業はマスメディアとして巨大化していった。それがこの戦後65年間の間に起きてきたことだ。
いまはまだマスメディアの崩壊という認識は、インターネットの論壇界隈に接点を持っている一部の人たちに共有されているにすぎない。しかしその認識は、週刊東洋経済や週刊ダイヤモンド、SAPIOといった週刊誌・月刊誌がさかんに組む特集によって増幅され、さらには今回のNHKスペシャルによってさらに広範囲の視聴者にも送り込まれている。
こうした情報配信が繰り返されることによって、「新聞やテレビはもう終わりなんだ」というイメージは徐々に浸透していく。つまりはかつてマスメディアが自身を幻想化して巨大化していったのと同じように、いまやマスメディアの側がみずからの崩壊イメージを構築しはじめているのだ。「これから新聞とテレビはなくなりますよ!」というイメージを、マスメディアの側が再生産しはじめているのである。
マスメディア崩壊をマスメディアが後押しする
そしてそのイメージは、まさにマスメディアがマスメディアであるゆえんによって補強されていく。幻想を産み出すマスメディアが流すからこそ、「マスメディアの崩壊」は自明の理として認識されるようになるという何とも逆説的な現象が起きはじめている。
その事態の進行はかなり興味深い。今回NHKがマスメディアの崩壊を取り上げたように、朝日新聞は「苦境・新聞業界」「社員、リストラに不安も」と毎日新聞の共同通信再加盟を大きく報じ、週刊東洋経済は「新聞・テレビ陥落」「新聞・テレビ断末魔」と大特集し、週刊ダイヤモンドは「新聞・テレビ複合不況」とぶち上げた。だが自分のところがどれだけ危機的状況にあるのかは、どの企業もほとんど報じていない。そのあたりの「他人事」感覚は、週刊ダイヤモンドが予定していた電子書籍特集を、直前になって経営陣の鶴の一声でつぶしてしまった事件に象徴されている。
だがこれは過渡期でしかない。間もなく新聞もテレビも総合週刊誌もみずからの崩壊を語り、論じなければならない時期がやってくる。それが記事の体裁をとるのか社告や識者座談会のような形式になるのかはまだわからないが、いずれにしてもそれはビッグバンからビッグクランチへと転じるマスメディア幻想の最後の号砲となるはずだ。
いまやマスメディアの崩壊は、議論の前提である。そういう段階に差し掛かっているのだ。そうであればこれからメディアの世界で考えていかなければならないのは、その先にいったい何が待っているのかというビジョンだ。これについては、別のエントリーを立てよう。
世界最大のゲーム開発者会議「Game Developers Conference 2010(GDC 2010)」が3月9~13日に米サンフランシスコで開催された。ゲーム市場の世界的低迷の影響で参加者数は減少すると思われていたが、ふたを開けてみると1万8500人と昨年を1500人上回った。その理由の一つが、米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「Facebook」を中心に人気を集めるソーシャルゲーム関連の講演の充実にあったことは間違いない。
09年のGDCでソーシャルゲームはここまで重要なテーマではなかった。日本で想像していたよりはるかに速く、ゲーム産業の再編が進んでいることを実感した。
Facebookのプラットフォームマネジャーであるガレス・デイビス氏は、基調講演でサービスの全体像を紹介しながら、自らの強みである「数」の論理をアピールした。デイビス氏によると、Facebookの中核は「オンライン上の現実のアイデンティティー(Your real identity online)」にあるという。現在、Facebookには4億人がユーザー登録し、友人とオンライン上でつながる関係性を持っている。そのうち2億人は毎日アクセスするアクティブユーザーで1人当たりの平均アクセス時間は55分に及ぶ。ゲームを日常的に遊んでいるユーザーも2億人に上る。
Facebookの優位性は、ユーザーのデータのすべてをインターネット上の自社サーバーに置く「クラウド型」のサービスである点にある。ユーザーにとって最も大切なのは、自分がサーバーに預けたデータ、つまり「アイデンティティー」である。自分自身のデータをサービスに預ければ預けるほど、そのサービスを別のサービスで代替することは難しくなる。
ゲームでも、自分のプレー結果が反映されたデータには値段に代えられない価値がある。そのデータをクラウド側が直接押さえているのである。しかも、ユーザーがどのようにゲームを遊んでいるのかを100%把握している。強いのは当然だ。
クラウド型サービスは、特定の物理メディアに依存せず、ユーザーに供給するデータの内容を好きに決めることができる。そのデータを有料化することも、無料で提供することも自由だ。ゲーム産業は昨年まで、Facebookは「無料で利用できる有効な口コミマーケティングツール」ととらえていた。今年は違う。プラットフォームとして、既存の家庭用ゲーム機などのハードウエアを凌駕するほどの影響力を持ち始めたのである。
ハードウエア優位時代の終わり
Facebookは、外部の企業がサービスを自由に連携できるAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)を「Facebook Connect」という形で提供している。これを利用すると、カジュアルゲームと呼ばれるパソコン向けのダウンロード販売型のゲームの結果をFacebookのデータと連動させることができる。米アップルの「iPhone」向けゲームアプリでも、この機能を使うことができる。
任天堂も09年7月から、携帯型ゲーム機「ニンテンドーDSi」でカメラ撮影した写真を、このAPIを利用してFacebookにアップロードできるようにした。米マイクロソフトも09年11月に家庭用ゲーム機「Xbox360」をFacebookと連携し、ソニー・コンピュータエンタテインメントも「プレイステーション3(PS3)」で獲得したトロフィーや購入したゲームの情報を投稿できる機能を追加した。
この状況をデイビス氏は、「マルチデバイス・プラットフォーム」と呼んだ。ある人はパソコンから、ある人は携帯電話から、ある人はゲーム機からアクセスする。提供される機能は共通しているわけではないが、中核にユーザーのアイデンティティーを統合する存在であるFacebookがある。
もちろん、デイビス氏は、ハードウエア会社より自社の方が上位にあると発言したわけではない。しかし、「ハードウエアが優位であった時代は終わる」という事実を言外に突きつけているのは明らかだ。ネットに接続できるハードウエアが、超巨大化したFacebookに関わらずにいることはもはや難しくなっている。
市場が急拡大、アップルとの競合も
Facebookの進撃は止まらない。米Many-eyes.comが世界のSNSの勢力図をまとめたデータによると、Facebookは全世界の大半を押さえている。米調査会社Inside Networkのジャスティン・スミス氏の講演によると、10年3月1日現在のFacebookユーザーの内訳は、北米が1億4000万人で36%、欧州が1億3000万人で34%だが、インド、インドネシアなどのアジア地域も7000万人と18%を占めている。
その影響力は課金システムで発揮されようとしている。Facebookは、独自の仮想通貨「Facebook Credit」を順次拡張していくことを明らかにしている。有料アプリやコンテンツの販売額の3割をFacebook側が取るオンライン決済の仕組みだ。ゲームのアイテム課金に向いたシステムで、8300万人のユーザーを集める人気農場育成ゲーム「FarmVille」がまず対応した。
しかし、これはアップルにとってやっかいな仕組みとなるだろう。Facebookに対応したアプリを無料でiPhone向けに配信し、課金はFacebook Creditを使うといったケースが出てくれば、直接競合する関係になるからだ。他の家庭用ゲーム機なども同じ問題に直面することになる。
日本人参加者が実感した「津波」
Facebook関連の講演を聴いていて痛感したのは、日本企業の存在感のなさだ。そもそもFacebookが日本では人気がなく、大きく広がりそうな気配もないので当然ではある。Facebookで収益を上げている欧米ゲーム企業も日本市場を気にかけていない。なぜなら、日本以外の地域でユーザー数が増加し続けているからだ。
スミス氏によると、北米のアイテム課金市場は08年が5億ドル、09年が10億ドル、さらに10年は16億ドルにまで拡大するという。日本の家庭用ゲーム機のソフト市場は約3300億円であり、その半分の規模まで急成長する計算だ。
ソーシャルゲームのトップパブリッシャーである米Zyngaは、新しいゲームを公開してから7日間で1000万人のユーザーを集めるだけのパワーを持っている。例えば、前述のゲームFarmVilleは11人の技術者が5週間で開発し、人海戦術でアップデートしてコンテンツを充実させている。ユーザー行動を分析して、有料アイテムを的確に提供するという繰り返しで、新しいゲームを順次リリースしていく。スミス氏は、Zyngaを巨大戦艦にたとえ、「他の企業が対抗するのは難しい」と豪語していた。
Facebookをはじめとするゲームのプラットフォームと新しい市場が、日本のゲーム産業と関係ないところで出現し、世界のゲーム産業の様相を変えようとしている。富を生む場所がシフトし、日本は後追いになりつつある。
GDCに参加した日本の中堅ゲーム開発会社の経営者は、「スピード感と規模感が違いすぎる。帰国後、これまで会わなかった投資会社と積極的に話している」と述べていた。変わらなければ、いずれ津波に飲み込まれる。今回のGDCで、津波を実感したという日本の開発者は多かった。
マスメディア崩壊という共同幻想(COLUMN2)
3月22日に生放送されたNHKスペシャルの『激震マスメディア』に出演した。この番組については多くの人が多くのことを語っていて、今さらその内容について私が付け加えることはほとんどない。ただひとつだけ言っておくと、会話がかみ合わないことは事前から十分に予想できたことで、そもそも企画したNHKのスタッフだって「かみ合った議論」を期待していたわけじゃないと思う。そうでなければ新聞協会会長、民放連顧問なんていう巨塔を出演者としてぶつけてくるわけがない。
それをNHKが狙っていたのかどうかは別にして、あの討論に意味があったとすれば、新聞やテレビという亡びていく巨象にわかりやすい「顔」を与えたことだった。新聞にしろテレビにしろ、一部の有名記者やコメンテーター、タレントを除けば、どのような人たちがそうした組織を維持し、世論を作り出しているのかという生身の姿はほとんど見えない。新聞のコラム(たとえば『よみうり寸評』)がTwitterについてどんなに的外れなことを書こうが、それがいったいどのような人たちによってどのような表情で語られているのかは見えてこなかったということだ。
『激震マスメディア』では、新聞協会会長と民放連顧問という業界を代表するお二人が、その「顔の見えない巨象」についにきちんと顔とことばを与えた。多くの視聴者に対して「ああ、このような人たちがマスメディアを体現しているのか」「この人たちはこんなことを考えていたのか」という認識を実体として提供することができたということだ。つまりはマスメディアを象徴するアバター(仮想分身)である。
マスメディア崩壊という共同幻想
いずれにせよ、あのような討論の有無には関係なく事態は粛々と進行している。昨年初めごろまでは「本当にマスメディアは崩壊するのか?」というような疑念を持っていた人はネット業界においても少なくなかった。しかしいまやその崩壊は確実に進行しつつある事実認識として、徐々に人々の間に共有されつつある――もちろん、マスメディアの中の人たちにも。
これは必ずしも、企業体としての新聞社や放送局がみんな破綻して消えてなくなるという意味ではない。昨年上梓した『2011年新聞・テレビ消滅』という本でも書いたが、新聞やテレビが全国民と接続される「マスのメディア」としての機能は間もなく失われ、今後は多様なメディア空間が展開されてくる。そしてそのメディア空間の出現を、多くの人が実感として認識するようになるということだ。
もともとマスメディアなどというのは、しょせんは幻想の共同体にすぎなかった。しかしその幻想をマスメディア自身が構築し、国民にその幻想を放射することによって、マスメディア企業はマスメディアとして巨大化していった。それがこの戦後65年間の間に起きてきたことだ。
いまはまだマスメディアの崩壊という認識は、インターネットの論壇界隈に接点を持っている一部の人たちに共有されているにすぎない。しかしその認識は、週刊東洋経済や週刊ダイヤモンド、SAPIOといった週刊誌・月刊誌がさかんに組む特集によって増幅され、さらには今回のNHKスペシャルによってさらに広範囲の視聴者にも送り込まれている。
こうした情報配信が繰り返されることによって、「新聞やテレビはもう終わりなんだ」というイメージは徐々に浸透していく。つまりはかつてマスメディアが自身を幻想化して巨大化していったのと同じように、いまやマスメディアの側がみずからの崩壊イメージを構築しはじめているのだ。「これから新聞とテレビはなくなりますよ!」というイメージを、マスメディアの側が再生産しはじめているのである。
マスメディア崩壊をマスメディアが後押しする
そしてそのイメージは、まさにマスメディアがマスメディアであるゆえんによって補強されていく。幻想を産み出すマスメディアが流すからこそ、「マスメディアの崩壊」は自明の理として認識されるようになるという何とも逆説的な現象が起きはじめている。
その事態の進行はかなり興味深い。今回NHKがマスメディアの崩壊を取り上げたように、朝日新聞は「苦境・新聞業界」「社員、リストラに不安も」と毎日新聞の共同通信再加盟を大きく報じ、週刊東洋経済は「新聞・テレビ陥落」「新聞・テレビ断末魔」と大特集し、週刊ダイヤモンドは「新聞・テレビ複合不況」とぶち上げた。だが自分のところがどれだけ危機的状況にあるのかは、どの企業もほとんど報じていない。そのあたりの「他人事」感覚は、週刊ダイヤモンドが予定していた電子書籍特集を、直前になって経営陣の鶴の一声でつぶしてしまった事件に象徴されている。
だがこれは過渡期でしかない。間もなく新聞もテレビも総合週刊誌もみずからの崩壊を語り、論じなければならない時期がやってくる。それが記事の体裁をとるのか社告や識者座談会のような形式になるのかはまだわからないが、いずれにしてもそれはビッグバンからビッグクランチへと転じるマスメディア幻想の最後の号砲となるはずだ。
いまやマスメディアの崩壊は、議論の前提である。そういう段階に差し掛かっているのだ。そうであればこれからメディアの世界で考えていかなければならないのは、その先にいったい何が待っているのかというビジョンだ。これについては、別のエントリーを立てよう。
iPad使ってみました 予想以上に滑らか
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルが3日、米国内で発売した多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」。カリフォルニア州パロアルト市のアップル直営店で販売されたばかりの「iPad」を記者も借りて触ってみた。
今回発売されたiPadは無線LAN対応モデル。記者が購入予約したのは第三世代携帯電話網に対応した上位機種で、手元に届くのは月末までお預けだ。
大きさ・重さ、気にならず
まず、大きいと感じた。週刊誌大の大きさ。当然、ポケットには入らない。しかし、薄い。ノート型パソコンを持ち歩くビジネスパーソンには全く気にならない大きさだ。
重いという指摘もある。確かに携帯電話に比べれば重たいが、この大きさの端末は片手に持って使うことは考えにくい。ひざや机の上に置いて使うことを考えれば重さもあまり気にならないのではないか。
電源を含めた操作ボタンは世界的にヒットしているアップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」や携帯音楽プレーヤー「iPodタッチ」とほぼ同じレイアウト。iPhoneやiPodタッチに慣れ親しんだユーザーなら、取扱説明書はまず必要ないだろう。
起動はパソコンよりも早い。9.7型の高精細なカラー液晶画面の下部に、ネット閲覧ソフト「サファリ」やメールなどのアイコンが浮かび上がる。指で触って次の画面に進んだり、拡大・縮小したりするマルチタッチ操作は、iPhoneでおなじみ。iPadの大きな画面でも予想以上に滑らかだ。
あらかじめ搭載した機能以外のソフトを使う場合は、iPhone同様にアップルIDが必要だ。配信サービス「iチューンズ・ストア」にパソコンで接続してダウンロードするか、iPadでネット接続して直接取りこむ。
ここまで見ると、iPhoneやiPodタッチの大型版という印象だが、既存端末と大きく違うのは電子書籍機能「iブックス」だ。まず、iチューンズ・ストアで対応ソフトを取りこみ、電子書籍配信サービス「iブック・ストア」に接続すれば電子書籍を購入・閲覧できる。
iブックスの電子書籍はiPad専用で、iPhoneやパソコンでは読めない。一方、電子書籍端末「キンドル」を展開するアマゾン・ドット・コムはiPad向けソフト「キンドル・フォー・iPad」を配布。このソフトを使えば、iPadでキンドル用の電子書籍を読むことができる。
アップルにとっては45万冊に達したキンドル向け電子書籍をiPadユーザーに提供できる。アマゾンにとっては電子書籍専用端末の普及台数を早期に上回るとみられるiPad向けに、電子書籍の販路を確保する狙いがある。ライバル同士の奇妙な共存関係ともいえる。
ユーザー「ゲームや映画楽しむ」
初日にiPadを購入した客の大半は「ゲームや映画を楽しみたい」と口々に語った。iPodやiPhoneで培った1億2500万人のソフト配信基盤をそのまま活用するiPad。iPadならではの魅力的なソフトやコンテンツを、どこまで幅広くそろえられるかが今後の課題となりそうだ。
iPad、新市場開くか アップル、米で発売 ジョブズ氏の挑戦再び
米アップルが多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」を3日、米国で発売した。スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は多機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」などで新市場を開拓、新たなビジネスモデルを構築してきた。従来のパソコンや電子書籍端末の枠組みに当てはまらないiPadでもその再現ができるのかが注視されている。
アップルの歩みは全く新しい市場の創造の歴史だ。1980年代にコンピューターを一般個人が日常で使える状態にしたのが「マッキントッシュ(マック)」。携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」と音楽配信ストアの「iチューンズ・ミュージックストア」の組み合わせは電子データの形で購入し、何千曲でも持ち歩くという新たな音楽の消費・保存形態を広めた。
高精細の動画
iPhoneも携帯電話の新タイプではなく、タッチパネルや重力センサーなどを備えたポケットに入るコンピューターだ。無数の第三者がソフト開発という形で新たな用途を考える技術プラットフォームでもある。
iPadは一見、iPhoneの相似形にすぎないように見える。だがその大きさゆえ、得意なことが違う。パソコンに近い大きさだがキーボードがない。どこでもネット接続できるが、重さと大きさゆえ常に携帯するには難がある。
例えば電子書籍端末という用途。米アマゾン・ドット・コムの「キンドル」やソニーの「リーダー」など既存の電子書籍端末に比べると重い。これまで電子書籍端末で標準だった電子ペーパーではなく液晶画面を採用したため、長時間の読書は目につらい。
一方で高精細の画面は静止画像や動画がきれいに映るので、写真や動画部分が多い雑誌の表示には向いているかもしれない。テレビ番組や映画を好きな場所で楽しむ用途にも向いていそうだ。
タッチパネルを採用した汎用情報端末は、今世紀初頭に米マイクロソフトと多くのパソコンメーカーが協力して世に出した「タブレットPC」など幾つかの先例がある。だが多数の企業や家庭に普及するほど成功した例が最近までなかった。
汎用タッチパネル機で世界的に普及したのは、ポケットに入る多機能携帯端末であるiPhoneが初めて。ソフト配信インフラ「アップ・ストア」が成功の原動力となった。同ストアで販売するソフトは10万種類以上に達しており、この仕組みはiPadでも強い味方となる。
業務用にも
日本でも米国でも、iPadの企業向け用途を開発して新ビジネスにしようという動きも出ている。会議資料のペーパーレス化や、外回り営業職用のソフトなどアイデアはいろいろある。
ジョブズ氏は再び、新しい市場の開拓に挑戦し始めた。iPadが多様なユーザーやソフト開発者にとって魅力的なプラットフォームになり、新たな製品カテゴリーを打ちたてられるか。ジョブズ氏の成功神話が続くかのカギとなる。
ソフトバンク孫社長、ツイッターで反論 SIMロック解除で
ソフトバンクの孫正義社長は、総務省が携帯電話を特定の通信会社でしか使えないようにする「SIMロック」の解除を求める方針を打ち出したことに対し、2日夜から3日にかけて自身のミニブログツイッターで反論した。
SIMロックを解除した状態で携帯電話を販売すると販促費を投入できなくなるため、孫社長は「端末代が4万円値上げになる」と主張。「強制すると、またしても総務省が原因で端末が売れなくなる」などと総務省の方針をけん制した。
さらに、ロックを解除してもKDDI(au)は通信方式が異なるので使えなかったり、端末が大量に海外に流出して被害を受けたりするなどと反論を重ねた。
総務省は2007年にも携帯電話の価格と通信料金の内訳を明確にした料金プランの導入を携帯各社に要請。通信料は安くなったが携帯電話の価格が上昇し、08年度に国内出荷台数が約3割減少した経緯もある。
一方、原口一博総務相もツイッター上でこれに応じ「総務省がビジネス・モデルを強制することは、ありません」などと発言。その後、孫社長は「総務省からの強制でなければ、我々もSIMロック解除をいくつかの機種で試してみることは可能」と歩み寄りの姿勢も示した。
橋下発言に抗議メール400件 わいせつ漫画規制で
18歳未満の登場人物のわいせつ描写がある漫画やアニメの販売などを規制する東京都の青少年健全育成条例改正案を受け、大阪府の橋下徹知事も府内の実態把握に乗り出すことを表明したのに対し、「表現の自由を侵害する」などとする抗議メールが400件近く府に寄せられていることが3日、分かった。府は4月中にも実態調査を始めるが、事前の反響ぶりに「規制すると決まったわけではない」と説明している。
東京都の青少年健全育成条例改正案について、橋下知事は「表現の自由は絶対ではない。失われる利益が大きいなら規制もある。子供を守るのが大人の責務で、表現の自由だけで議論を封鎖するのはおかしな話だ」と指摘。担当部署が実態把握に乗り出す。
大阪府では現在でも、わいせつ描写のページが一定数を超えると有害図書として規制する全国的にも厳しい条例があり、さらなる規制には反発も根強いという。
実態把握の調査では、書店やゲーム店などの漫画本やDVDなどの内容や販売状況を分析。学識経験者や業界関係者などでつくる青少年健全育成審議会で規制の必要性を検討していく。
こうした動きに対し、3月末までに届いた抗議メールは約390通に達した。ほとんどが府の規制強化を危惧(きぐ)する内容で、東京都など府外からも寄せられた。
「規制は将来漫画家になりたい少年の夢を奪う」「アニメなどで不健全な描写が青少年の健全な育成に悪影響を与えたり犯罪を誘因したりするとの考えがあるが、違うのでは」といった抗議や、「漫画など被害者がいない創作物を規制するより児童買春を規制すべき」などの反論もあるという。
こうした抗議メールについて、府青少年・地域安全室は「まだ実態把握の段階で、規制すると決めたわけではない」と冷静に受け止めている。
日経社説
〈「元気な経済」考〉 世界に使われる技術で付加価値を
日本の付加価値の源泉だった技術がいま危うい。例えば、インターネットの利用で世界に先行したはずの携帯電話。世界最大手のフィンランドのノキアが日本の研究開発拠点を静かに閉じた。
パソコンに近い携帯端末の登場を機に、日本から学ぶものがなくなったと考えたからだ。もはや拠点を置く意味がなくなったという。
欠かせぬ標準化の戦略
日本製の携帯電話には様々な機能があるが、作りが独特なので海外では売れない。対照的に、音楽再生やパソコンの機能を持つ携帯端末で世界的に成功したのが、米アップルだ。端末そのものの性能もさることながら、ネットと一体化させ付加価値を創造した。
日本企業はインターネットの普及に伴う事業モデルの変化を見抜けなかった。単品よりネットワーク型の製品が売れ、高い収益を生む。そんな時代に求められる戦略は何か。
まずは情報端末や家電製品などを互いにつなぐための技術で、国際標準づくりに参加することだ。日本の技術が世界に取り入れられるようになれば、新たな需要も生まれる。
電話の時代は国際電気通信連合(ITU)など国際機関が技術規格を決めた。これに対し、実際の使い勝手がモノをいうネットの時代は、世界中の技術者同士の非公式な集まりや、ネット上での情報交換で新しい規格の方向が定まる。
もはや、よいモノをつくれば、世界中で売れるという保証はない。企業は技術者だけでなく、国際標準を獲得する交渉の担い手を育てる必要がある。標準化は陣営づくりのゲームだ。これまで以上に海外企業との人的交流を強化するときだ。
政府の役割も大きい。地上デジタル放送の技術では、ブラジルなど南米5カ国が日本方式を採用した。ところがテレビの商談は韓国企業にさらわれた。新興市場での技術規格とビジネスの両方の獲得には、官民が戦略的に取り組まねばならない。
もうけの源泉になる中核技術をなるべく守りつつ、周辺部分は外部とつながりやすくし、市場を広める。そんな戦略も欠かせない。
アップルは端末技術は非公開にしている。一方で、ソフトをその上で動かすのに必要な情報を公開することで国際標準を獲得した。米インテルも半導体の心臓部の技術は守りながら、パソコンへの搭載に必要な情報を公開する戦略で成功した。
今や製造業が製品をモノとしてでなく、システムやサービスと一緒に提供する時代だ。収益力を高め、新たな雇用をつくるには、IT(情報技術)を有効に活用するほかない。
素材大手のセーレンは自動車のシート生地などを3次元(3D)技術でデザインし、国内外の自動車大手とネットを通じてやりとりする。立体画像を共有することで、開発や製造の速度を上げている。
コマツは世界約60カ国で稼働する16万台の建設機械に全地球測位システム(GPS)を搭載している。作業場所や稼働状況を即時に把握し、ユーザー側と共有している。建機を効率的に配置し、新規の需要予測にも役立てている。
主力の自動車産業の優位を失わないためには、ITと自動車技術の融合が重要な課題だ。車を安全に誘導するITS(高度道路交通システムや電気自動車の実用化にも役立つ。メーカー間で通信やセンサーなど、共通化できる技術は一緒にし、日本発の国際標準を育てたい。
金融・サービス業でも
個々の技術ばかりでなく、システムとして付加価値を上げる手法は、水道や電力、鉄道など社会インフラ事業でも欠かせない。地方自治体の持つ水道運営に企業の技術を結びつけ、水処理事業として提供する仕組みが求められる。
製造業に比べ生産性が低い金融やサービス業にも、付加価値向上の余地は大いにある。日本では金融機関以外の送金事業も可能になった。電子マネーを店舗での買い物だけでなく、ネット上の代金支払いにも使えるようになった。決済を効率化し、ネット通販を広める力ともなる。
ネットを使った「スマートグリッドと呼ばれる次世代送電網技術が広まれば、総合的な公共サービスが可能になる。ネット経由でソフトや情報を提供する「クラウドコンピューティングも、顧客管理などで企業のシステム負担を軽減できる。技術を生かすには、規制や業界の既得権を取り除くことこそ必要だ。
システム開発のカギは人材だ。実戦で使える新卒の技術者は年間1万人に満たない。ソフト開発の専門教育機関は不可欠だ。海外から優秀な技術者を招き、能力に応じて登用することも一案だろう。
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルが3日、米国内で発売した多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」。カリフォルニア州パロアルト市のアップル直営店で販売されたばかりの「iPad」を記者も借りて触ってみた。
今回発売されたiPadは無線LAN対応モデル。記者が購入予約したのは第三世代携帯電話網に対応した上位機種で、手元に届くのは月末までお預けだ。
大きさ・重さ、気にならず
まず、大きいと感じた。週刊誌大の大きさ。当然、ポケットには入らない。しかし、薄い。ノート型パソコンを持ち歩くビジネスパーソンには全く気にならない大きさだ。
重いという指摘もある。確かに携帯電話に比べれば重たいが、この大きさの端末は片手に持って使うことは考えにくい。ひざや机の上に置いて使うことを考えれば重さもあまり気にならないのではないか。
電源を含めた操作ボタンは世界的にヒットしているアップルの高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」や携帯音楽プレーヤー「iPodタッチ」とほぼ同じレイアウト。iPhoneやiPodタッチに慣れ親しんだユーザーなら、取扱説明書はまず必要ないだろう。
起動はパソコンよりも早い。9.7型の高精細なカラー液晶画面の下部に、ネット閲覧ソフト「サファリ」やメールなどのアイコンが浮かび上がる。指で触って次の画面に進んだり、拡大・縮小したりするマルチタッチ操作は、iPhoneでおなじみ。iPadの大きな画面でも予想以上に滑らかだ。
あらかじめ搭載した機能以外のソフトを使う場合は、iPhone同様にアップルIDが必要だ。配信サービス「iチューンズ・ストア」にパソコンで接続してダウンロードするか、iPadでネット接続して直接取りこむ。
ここまで見ると、iPhoneやiPodタッチの大型版という印象だが、既存端末と大きく違うのは電子書籍機能「iブックス」だ。まず、iチューンズ・ストアで対応ソフトを取りこみ、電子書籍配信サービス「iブック・ストア」に接続すれば電子書籍を購入・閲覧できる。
iブックスの電子書籍はiPad専用で、iPhoneやパソコンでは読めない。一方、電子書籍端末「キンドル」を展開するアマゾン・ドット・コムはiPad向けソフト「キンドル・フォー・iPad」を配布。このソフトを使えば、iPadでキンドル用の電子書籍を読むことができる。
アップルにとっては45万冊に達したキンドル向け電子書籍をiPadユーザーに提供できる。アマゾンにとっては電子書籍専用端末の普及台数を早期に上回るとみられるiPad向けに、電子書籍の販路を確保する狙いがある。ライバル同士の奇妙な共存関係ともいえる。
ユーザー「ゲームや映画楽しむ」
初日にiPadを購入した客の大半は「ゲームや映画を楽しみたい」と口々に語った。iPodやiPhoneで培った1億2500万人のソフト配信基盤をそのまま活用するiPad。iPadならではの魅力的なソフトやコンテンツを、どこまで幅広くそろえられるかが今後の課題となりそうだ。
iPad、新市場開くか アップル、米で発売 ジョブズ氏の挑戦再び
米アップルが多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」を3日、米国で発売した。スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は多機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」などで新市場を開拓、新たなビジネスモデルを構築してきた。従来のパソコンや電子書籍端末の枠組みに当てはまらないiPadでもその再現ができるのかが注視されている。
アップルの歩みは全く新しい市場の創造の歴史だ。1980年代にコンピューターを一般個人が日常で使える状態にしたのが「マッキントッシュ(マック)」。携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」と音楽配信ストアの「iチューンズ・ミュージックストア」の組み合わせは電子データの形で購入し、何千曲でも持ち歩くという新たな音楽の消費・保存形態を広めた。
高精細の動画
iPhoneも携帯電話の新タイプではなく、タッチパネルや重力センサーなどを備えたポケットに入るコンピューターだ。無数の第三者がソフト開発という形で新たな用途を考える技術プラットフォームでもある。
iPadは一見、iPhoneの相似形にすぎないように見える。だがその大きさゆえ、得意なことが違う。パソコンに近い大きさだがキーボードがない。どこでもネット接続できるが、重さと大きさゆえ常に携帯するには難がある。
例えば電子書籍端末という用途。米アマゾン・ドット・コムの「キンドル」やソニーの「リーダー」など既存の電子書籍端末に比べると重い。これまで電子書籍端末で標準だった電子ペーパーではなく液晶画面を採用したため、長時間の読書は目につらい。
一方で高精細の画面は静止画像や動画がきれいに映るので、写真や動画部分が多い雑誌の表示には向いているかもしれない。テレビ番組や映画を好きな場所で楽しむ用途にも向いていそうだ。
タッチパネルを採用した汎用情報端末は、今世紀初頭に米マイクロソフトと多くのパソコンメーカーが協力して世に出した「タブレットPC」など幾つかの先例がある。だが多数の企業や家庭に普及するほど成功した例が最近までなかった。
汎用タッチパネル機で世界的に普及したのは、ポケットに入る多機能携帯端末であるiPhoneが初めて。ソフト配信インフラ「アップ・ストア」が成功の原動力となった。同ストアで販売するソフトは10万種類以上に達しており、この仕組みはiPadでも強い味方となる。
業務用にも
日本でも米国でも、iPadの企業向け用途を開発して新ビジネスにしようという動きも出ている。会議資料のペーパーレス化や、外回り営業職用のソフトなどアイデアはいろいろある。
ジョブズ氏は再び、新しい市場の開拓に挑戦し始めた。iPadが多様なユーザーやソフト開発者にとって魅力的なプラットフォームになり、新たな製品カテゴリーを打ちたてられるか。ジョブズ氏の成功神話が続くかのカギとなる。
ソフトバンク孫社長、ツイッターで反論 SIMロック解除で
ソフトバンクの孫正義社長は、総務省が携帯電話を特定の通信会社でしか使えないようにする「SIMロック」の解除を求める方針を打ち出したことに対し、2日夜から3日にかけて自身のミニブログツイッターで反論した。
SIMロックを解除した状態で携帯電話を販売すると販促費を投入できなくなるため、孫社長は「端末代が4万円値上げになる」と主張。「強制すると、またしても総務省が原因で端末が売れなくなる」などと総務省の方針をけん制した。
さらに、ロックを解除してもKDDI(au)は通信方式が異なるので使えなかったり、端末が大量に海外に流出して被害を受けたりするなどと反論を重ねた。
総務省は2007年にも携帯電話の価格と通信料金の内訳を明確にした料金プランの導入を携帯各社に要請。通信料は安くなったが携帯電話の価格が上昇し、08年度に国内出荷台数が約3割減少した経緯もある。
一方、原口一博総務相もツイッター上でこれに応じ「総務省がビジネス・モデルを強制することは、ありません」などと発言。その後、孫社長は「総務省からの強制でなければ、我々もSIMロック解除をいくつかの機種で試してみることは可能」と歩み寄りの姿勢も示した。
橋下発言に抗議メール400件 わいせつ漫画規制で
18歳未満の登場人物のわいせつ描写がある漫画やアニメの販売などを規制する東京都の青少年健全育成条例改正案を受け、大阪府の橋下徹知事も府内の実態把握に乗り出すことを表明したのに対し、「表現の自由を侵害する」などとする抗議メールが400件近く府に寄せられていることが3日、分かった。府は4月中にも実態調査を始めるが、事前の反響ぶりに「規制すると決まったわけではない」と説明している。
東京都の青少年健全育成条例改正案について、橋下知事は「表現の自由は絶対ではない。失われる利益が大きいなら規制もある。子供を守るのが大人の責務で、表現の自由だけで議論を封鎖するのはおかしな話だ」と指摘。担当部署が実態把握に乗り出す。
大阪府では現在でも、わいせつ描写のページが一定数を超えると有害図書として規制する全国的にも厳しい条例があり、さらなる規制には反発も根強いという。
実態把握の調査では、書店やゲーム店などの漫画本やDVDなどの内容や販売状況を分析。学識経験者や業界関係者などでつくる青少年健全育成審議会で規制の必要性を検討していく。
こうした動きに対し、3月末までに届いた抗議メールは約390通に達した。ほとんどが府の規制強化を危惧(きぐ)する内容で、東京都など府外からも寄せられた。
「規制は将来漫画家になりたい少年の夢を奪う」「アニメなどで不健全な描写が青少年の健全な育成に悪影響を与えたり犯罪を誘因したりするとの考えがあるが、違うのでは」といった抗議や、「漫画など被害者がいない創作物を規制するより児童買春を規制すべき」などの反論もあるという。
こうした抗議メールについて、府青少年・地域安全室は「まだ実態把握の段階で、規制すると決めたわけではない」と冷静に受け止めている。
日経社説
〈「元気な経済」考〉 世界に使われる技術で付加価値を
日本の付加価値の源泉だった技術がいま危うい。例えば、インターネットの利用で世界に先行したはずの携帯電話。世界最大手のフィンランドのノキアが日本の研究開発拠点を静かに閉じた。
パソコンに近い携帯端末の登場を機に、日本から学ぶものがなくなったと考えたからだ。もはや拠点を置く意味がなくなったという。
欠かせぬ標準化の戦略
日本製の携帯電話には様々な機能があるが、作りが独特なので海外では売れない。対照的に、音楽再生やパソコンの機能を持つ携帯端末で世界的に成功したのが、米アップルだ。端末そのものの性能もさることながら、ネットと一体化させ付加価値を創造した。
日本企業はインターネットの普及に伴う事業モデルの変化を見抜けなかった。単品よりネットワーク型の製品が売れ、高い収益を生む。そんな時代に求められる戦略は何か。
まずは情報端末や家電製品などを互いにつなぐための技術で、国際標準づくりに参加することだ。日本の技術が世界に取り入れられるようになれば、新たな需要も生まれる。
電話の時代は国際電気通信連合(ITU)など国際機関が技術規格を決めた。これに対し、実際の使い勝手がモノをいうネットの時代は、世界中の技術者同士の非公式な集まりや、ネット上での情報交換で新しい規格の方向が定まる。
もはや、よいモノをつくれば、世界中で売れるという保証はない。企業は技術者だけでなく、国際標準を獲得する交渉の担い手を育てる必要がある。標準化は陣営づくりのゲームだ。これまで以上に海外企業との人的交流を強化するときだ。
政府の役割も大きい。地上デジタル放送の技術では、ブラジルなど南米5カ国が日本方式を採用した。ところがテレビの商談は韓国企業にさらわれた。新興市場での技術規格とビジネスの両方の獲得には、官民が戦略的に取り組まねばならない。
もうけの源泉になる中核技術をなるべく守りつつ、周辺部分は外部とつながりやすくし、市場を広める。そんな戦略も欠かせない。
アップルは端末技術は非公開にしている。一方で、ソフトをその上で動かすのに必要な情報を公開することで国際標準を獲得した。米インテルも半導体の心臓部の技術は守りながら、パソコンへの搭載に必要な情報を公開する戦略で成功した。
今や製造業が製品をモノとしてでなく、システムやサービスと一緒に提供する時代だ。収益力を高め、新たな雇用をつくるには、IT(情報技術)を有効に活用するほかない。
素材大手のセーレンは自動車のシート生地などを3次元(3D)技術でデザインし、国内外の自動車大手とネットを通じてやりとりする。立体画像を共有することで、開発や製造の速度を上げている。
コマツは世界約60カ国で稼働する16万台の建設機械に全地球測位システム(GPS)を搭載している。作業場所や稼働状況を即時に把握し、ユーザー側と共有している。建機を効率的に配置し、新規の需要予測にも役立てている。
主力の自動車産業の優位を失わないためには、ITと自動車技術の融合が重要な課題だ。車を安全に誘導するITS(高度道路交通システムや電気自動車の実用化にも役立つ。メーカー間で通信やセンサーなど、共通化できる技術は一緒にし、日本発の国際標準を育てたい。
金融・サービス業でも
個々の技術ばかりでなく、システムとして付加価値を上げる手法は、水道や電力、鉄道など社会インフラ事業でも欠かせない。地方自治体の持つ水道運営に企業の技術を結びつけ、水処理事業として提供する仕組みが求められる。
製造業に比べ生産性が低い金融やサービス業にも、付加価値向上の余地は大いにある。日本では金融機関以外の送金事業も可能になった。電子マネーを店舗での買い物だけでなく、ネット上の代金支払いにも使えるようになった。決済を効率化し、ネット通販を広める力ともなる。
ネットを使った「スマートグリッドと呼ばれる次世代送電網技術が広まれば、総合的な公共サービスが可能になる。ネット経由でソフトや情報を提供する「クラウドコンピューティングも、顧客管理などで企業のシステム負担を軽減できる。技術を生かすには、規制や業界の既得権を取り除くことこそ必要だ。
システム開発のカギは人材だ。実戦で使える新卒の技術者は年間1万人に満たない。ソフト開発の専門教育機関は不可欠だ。海外から優秀な技術者を招き、能力に応じて登用することも一案だろう。
「ニンテンドー3DS」は3Gネットワークをサポートするか(COLUMN)
任天堂は、2011年3月期に、裸眼立体視ディスプレイを備えたニンテンドーDSを発売するとアナウンスした。「ニンテンドー3DS(スリーディーエス)」と仮称されたこのマシンは、3D液晶という点はセンセーショナルだ。しかし、任天堂はそれ以外の概要を、まだ明らかにしていない。特に、今後のポータブルゲーム機にとってもっとも重要である、「コンテンツをどうやって提供するのか」という点について触れられていない。
実は、任天堂の“次期DS”については、しばらく前から、コンテンツ配信モデルについての情報が流れていた。複数の業界関係者が、任天堂は3G携帯電話ネットワークを使ったコンテンツ配信を、開発中の「DS2」で計画していると伝えていた。
現段階では、任天堂が3DSとして明かした製品が、3Gネットワークを採用すると言われた次期DS2と同一かどうかは、わかっていない。DS2が延期になり、中継ぎで3DSが差し込まれた可能性も考えられる。しかし、3DSの発売時期はDS2について言われていた時期とほぼ一致する。
●ゲームコンテンツを3Gネットワークで配信
事前に流れていた情報は、次のようなものだ。
任天堂は、DS2に3Gネットワーク機能を内蔵し、ゲームなどのコンテンツを3Gネットワークを通じて配信する。そのため、携帯電話事業者や通信モジュールメーカーと接触を取っている。ただし、3Gネットワークを使っても、エンドユーザーにはネットワーク事業者との契約は必要がないようにする。
3Gネットワークの利用料金は、コンテンツ自体の料金に上乗せされ、課金はエンドユーザーから見えない形で行なわれる。また、コンテンツの提供方法としては、3Gネットワーク以外の道も並行して残されるらしい。おそらく、これはコンテンツのデータサイズに寄るものだと推定される。また、DS2自体には携帯電話機能はなく、通話などに3Gネットワークを使うことはできないという。
これらの情報が示唆していたのは、任天堂がDSの弱点がコンテンツの提供モデルにあり、そこを打破しないと、次の世代の携帯ゲーム機は成り立たないと考えている、ということだった。これは、携帯ゲーム機というもののあり方に関わる、根本的な改革だ。そのため、もし任天堂が次期マシンでのこのコンテンツ配信モデルの採用を見送るなら、それは根本的な戦略の変更ということになる。
携帯ゲーム機への3Gネットワークの採用は、もちろん携帯電話系のデバイスに対抗するためだ。
任天堂は、DSの拡張版である「DSi」から「DSiウェア」と呼ぶダウンロードコンテンツを提供し始めた。しかし、DSiのネットワークはWi-Fi無線LANであり、設定やアクセスポイントなどの手間が必要となる。そのため、DSiのラインナップの充実は今ひとつスローペースで、DSiウェアには勢いがないと言われる。
●課金と設定を隠蔽する配信モデル?
DSiウェアが明らかにしたのは、ネットワーク経由のコンテンツ配信は、デフォルトでネットワークに接続されており、誰でも簡単に使えるものでなければならないと言うことだ。裏を返せば、携帯電話系デバイスの強味はこの点にある。常時ネットワークに接続されており、コンテンツをいつでもどこでもダウンロードできる携帯電話は、その手軽さでアプリケーションを栄えさせつつある。そして、iPhone以降は、より本格的なゲームがスマートフォン上で繁栄する可能性が出てきた。
しかし、ゲーム機の場合は、ネットワークの利用が主目的の携帯電話のように、広域ネットワークの利用料金を課金することは難しい。その点、情報のDS2のネットワークモデルは合理的だ。いつでもどこでもの、携帯電話型ネットワークの利便性を提供しながら、課金はコンテンツ側に含めるなら、携帯ゲーム機とマッチする。もちろん、すでに似たようなモデルは存在しており、「Kindle」などデジタルブックリーダーが採用している。
任天堂が、Kindleに似たような3Gネットワークを使うコンテンツ配信を考えているとしたら、それは、任天堂がDS以降ターゲットにしている、より広い層へゲームを届かせるという戦略ともマッチする。現在のDSの難点は、DSタイトルをショップなどで買うという手間が必要である点。カジュアル化を目指すなら、コンテンツはより手軽にダウンロードで手に入れたい。それも、WiFiの設定や携帯電話事業者との契約などをしなくても、できるようにするのが理想だ。
現在の段階では、任天堂が3DSへのコンテンツ配信をどうするのか、全く見えていない。しかし、任天堂が3Gネットワークによる配信モデルを取るなら、対スマートフォンという点では、それなりの効果を挙げる可能性がある。もちろん、それに見合うだけのハードウェア全体の進化が必要だが。また、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のPSP2が、デフォルトのダウンロードはWiFi経由だけだとしたら、明瞭に棲み分けることができるだろう。
●スマートフォンは本当にゲーム機の脅威なのか
次世代のポータブルゲーム機について語る場合は、対スマートフォンを語らずに済ませることができない。しかし、スマートフォンは本当にゲーム機にとって脅威なのだろうか。日本だけを見ていると、スマートフォンが携帯ゲーム機を本格的に脅かしているようには、まだ見えない。
日本でも、昨年(2009年)にはiPhoneゲームの波が来て、話題となった。独立系や個人が小タイトルを開発する他、大手ゲーム会社も様子を見ながら試験的なタイトルを投入した。しかし、今の段階では、大いに盛り上がっているとは言い難い。それどころか、昨年後半以降は、iPhoneではゲームがビジネスとして成り立たない、という見方が、どんどん強まって来た。
では、米国ではどうかというと、状況に似通ったところがあるものの、異なった部分も多い。例えば、ゲームデベロッパ向けのカンファレンス「GDC(Game Developers Conference)」では、昨年はiPhone向けゲーム開発に関連したセッションに聴衆が押しかけ大盛況だった。ところが、今年のGDCではiPhoneゲームでどうやって儲けることができたのか、といった内容のセッションが目を引いた。ビジネスにする部分で苦労していることが浮き彫りになっている点は日本と同じだ
その一方で、GDCでは、iPhone以外のスマートフォンプラットフォーム、つまり、GoogleのAndroid、RIMのBlackberry、QualcommのBrew、MicrosoftのWindows Phoneなどが、それぞれデベロッパ向けのセッションなどを行なった。また、携帯系でのクロスプラットフォームコンテンツ開発や、iPhone向けのUnreal Engine 3ゲームエンジン(実際にはOpenGL ES 2.0上への移植でクロスプラットフォームが容易)のようなミドルウェアのセッションもあった。
●スマートフォンに対する日米の温度差
大まかな流れで言うと、米国でもiPhoneゲームで儲けることは難しいものの、スマートフォン市場への期待は、それなりに強い。まず、iPhoneゲームでも、ビジネスになっていると見られるゲーム会社が、数は少ないもののいくつかある(とされている)。また、分厚いホリデープログラマー層(アマチュアあるいは副業プログラマー)の中には、iPhoneアプリである程度の収入を得ている人たちがいる。iPhoneはワールドワイドでの出荷台数が多く、アクティブユーザーが多いため、販売単価が低くてもそれなりの金額になる場合がある。
さらに、iPhoneに牽引されて、コンシューマ向けスマートフォン全体がブームになったため、まだまだプラットフォーム自体が広がり発展する可能性が高い。加えて、今年のGDCで大きくクローズアップされた「ソーシャルゲーミング」(ソーシャルネットワークなどをベースにしたオンラインゲーム)も、スマートフォンにフィットすると見られている。こうした事情のため、昨年のような夢多き状況ではないものの、まだチャンスは色々あると見られている。
つまり、ポータブルゲーム機にとっては、対スマートフォンの状況は相変わらず厳しい。スマートフォン上のゲーム市場は、以前として脅威だ。
そのため、ゲーム機が生き残るためには、戦略が必要となる。スマートフォンの利点は取り入れ、しかし、ゲーム機としての利点は維持する。問題は舵取りで、あまりスマートフォンに寄りすぎると差別化が難しく、かといって、従来のゲーム機のままでは、いつかスマートフォンにひっくり返される可能性がある。任天堂が、6月のE3で、どういう戦略を打ち出して来るのかが注目される。
日航、50路線廃止を検討 リストラ強化へ
会社更生手続き中の日本航空が、今年10月以降に国内線と国際線で計50路線程度を廃止する方向で検討に入ったことが3日分かった。当初、日航は約30の路線を廃止する案を示していたが、業績の回復が思うように進まず、大幅な上積みが必要と判断した。路線数の大幅な削減に加え、機材や人員の削減追加も検討。来週にも主要取引銀行に更生計画の中間案として提示し、早期の再建に向けてリストラを強化する姿勢を示す。
国際線では、米ニューヨークを経由する日航の最長路線の成田-ブラジル・サンパウロ線の廃止や成田-ローマ便、関空-ロンドン便の廃止などが盛り込まれている。国内でも名古屋(小牧)空港からの撤退を検討しているもようだ。
これに伴い、日航は特別早期退職2700人の募集をさらに5000人上積みすることも検討。平成24年度末までのグループ社員の削減数は2万人規模に膨らむ見通しだ。ただ、日航内部には追加的なリストラに消極的な意見もあり、6月末に策定する更生計画のとりまとめに向けて主要取引銀行などと調整する。
激安ジーンズに揺れる老舗ブランド あの手この手で対抗策
1000円以下の“激安ジーンズ”に圧され、老舗デニムブランドが苦戦している。売り上げが大幅に落ち込み、ジーンズ事業から撤退するメーカーも。低価格志向を強める顧客をどう取り戻していくのか。アンテナショップを共同で出店したり、大手紳士服チェーンと提携したり、メーカー側の模索が続いている。
若者が集まる大阪・ミナミのアメリカ村。昨年9月、「デニム研究所」というジーンズ店がオープンした。国産ジーンズ発祥の地、岡山県倉敷市児島地区のメーカー5社でつくる児島デニム協同組合が開いた店で、裾縫いなどの作業を見ることもできる。
オープンから半年。田坂茂樹店長は「児島ジーンズの良さを知ってもらおうと始めたが、手応えを感じている」と胸を張る。
ジーンズの価格破壊が進んだきっかけは、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング傘下のカジュアル衣料店、ジーユーが昨春発売した「990円ジーンズ」。これに対抗してイオンとダイエーが880円、西友が850円の商品を相次ぎ投入した。
この影響をモロに受けたのが1万円~2万円の価格帯が中心の老舗ブランドだ。
人気ブランド「リーバイス」を展開するリーバイ・ストラウスジャパン(東京都渋谷区)の平成21年11月期の売上高(単体)は、前期比27%減の171億円と大幅ダウン。「ボブソン」ブランドで知られたボブソン(岡山市)は昨年11月にジーンズ事業を企業再生会社に譲渡した。
リーバイ・ストラウスジャパンが今年1月に20~30代の男性250人を対象に行った調査によると、35・6%が「低価格ジーンズを持っている」と答えた。「当たり前のことが起こっただけ」と指摘するのは、アパレルファッション業界の経営コンサルティング会社、リーダーズ代表取締役CEO(最高経営責任者)の井上和則さんだ。ジーンズはもともと素材やデザインで差別化が難しい。激安品の登場でジーンズはブランド重視のファッション衣料から実用衣料になりつつあり、「老舗ブランドの需要減は避けられない」という。
任天堂は、2011年3月期に、裸眼立体視ディスプレイを備えたニンテンドーDSを発売するとアナウンスした。「ニンテンドー3DS(スリーディーエス)」と仮称されたこのマシンは、3D液晶という点はセンセーショナルだ。しかし、任天堂はそれ以外の概要を、まだ明らかにしていない。特に、今後のポータブルゲーム機にとってもっとも重要である、「コンテンツをどうやって提供するのか」という点について触れられていない。
実は、任天堂の“次期DS”については、しばらく前から、コンテンツ配信モデルについての情報が流れていた。複数の業界関係者が、任天堂は3G携帯電話ネットワークを使ったコンテンツ配信を、開発中の「DS2」で計画していると伝えていた。
現段階では、任天堂が3DSとして明かした製品が、3Gネットワークを採用すると言われた次期DS2と同一かどうかは、わかっていない。DS2が延期になり、中継ぎで3DSが差し込まれた可能性も考えられる。しかし、3DSの発売時期はDS2について言われていた時期とほぼ一致する。
●ゲームコンテンツを3Gネットワークで配信
事前に流れていた情報は、次のようなものだ。
任天堂は、DS2に3Gネットワーク機能を内蔵し、ゲームなどのコンテンツを3Gネットワークを通じて配信する。そのため、携帯電話事業者や通信モジュールメーカーと接触を取っている。ただし、3Gネットワークを使っても、エンドユーザーにはネットワーク事業者との契約は必要がないようにする。
3Gネットワークの利用料金は、コンテンツ自体の料金に上乗せされ、課金はエンドユーザーから見えない形で行なわれる。また、コンテンツの提供方法としては、3Gネットワーク以外の道も並行して残されるらしい。おそらく、これはコンテンツのデータサイズに寄るものだと推定される。また、DS2自体には携帯電話機能はなく、通話などに3Gネットワークを使うことはできないという。
これらの情報が示唆していたのは、任天堂がDSの弱点がコンテンツの提供モデルにあり、そこを打破しないと、次の世代の携帯ゲーム機は成り立たないと考えている、ということだった。これは、携帯ゲーム機というもののあり方に関わる、根本的な改革だ。そのため、もし任天堂が次期マシンでのこのコンテンツ配信モデルの採用を見送るなら、それは根本的な戦略の変更ということになる。
携帯ゲーム機への3Gネットワークの採用は、もちろん携帯電話系のデバイスに対抗するためだ。
任天堂は、DSの拡張版である「DSi」から「DSiウェア」と呼ぶダウンロードコンテンツを提供し始めた。しかし、DSiのネットワークはWi-Fi無線LANであり、設定やアクセスポイントなどの手間が必要となる。そのため、DSiのラインナップの充実は今ひとつスローペースで、DSiウェアには勢いがないと言われる。
●課金と設定を隠蔽する配信モデル?
DSiウェアが明らかにしたのは、ネットワーク経由のコンテンツ配信は、デフォルトでネットワークに接続されており、誰でも簡単に使えるものでなければならないと言うことだ。裏を返せば、携帯電話系デバイスの強味はこの点にある。常時ネットワークに接続されており、コンテンツをいつでもどこでもダウンロードできる携帯電話は、その手軽さでアプリケーションを栄えさせつつある。そして、iPhone以降は、より本格的なゲームがスマートフォン上で繁栄する可能性が出てきた。
しかし、ゲーム機の場合は、ネットワークの利用が主目的の携帯電話のように、広域ネットワークの利用料金を課金することは難しい。その点、情報のDS2のネットワークモデルは合理的だ。いつでもどこでもの、携帯電話型ネットワークの利便性を提供しながら、課金はコンテンツ側に含めるなら、携帯ゲーム機とマッチする。もちろん、すでに似たようなモデルは存在しており、「Kindle」などデジタルブックリーダーが採用している。
任天堂が、Kindleに似たような3Gネットワークを使うコンテンツ配信を考えているとしたら、それは、任天堂がDS以降ターゲットにしている、より広い層へゲームを届かせるという戦略ともマッチする。現在のDSの難点は、DSタイトルをショップなどで買うという手間が必要である点。カジュアル化を目指すなら、コンテンツはより手軽にダウンロードで手に入れたい。それも、WiFiの設定や携帯電話事業者との契約などをしなくても、できるようにするのが理想だ。
現在の段階では、任天堂が3DSへのコンテンツ配信をどうするのか、全く見えていない。しかし、任天堂が3Gネットワークによる配信モデルを取るなら、対スマートフォンという点では、それなりの効果を挙げる可能性がある。もちろん、それに見合うだけのハードウェア全体の進化が必要だが。また、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のPSP2が、デフォルトのダウンロードはWiFi経由だけだとしたら、明瞭に棲み分けることができるだろう。
●スマートフォンは本当にゲーム機の脅威なのか
次世代のポータブルゲーム機について語る場合は、対スマートフォンを語らずに済ませることができない。しかし、スマートフォンは本当にゲーム機にとって脅威なのだろうか。日本だけを見ていると、スマートフォンが携帯ゲーム機を本格的に脅かしているようには、まだ見えない。
日本でも、昨年(2009年)にはiPhoneゲームの波が来て、話題となった。独立系や個人が小タイトルを開発する他、大手ゲーム会社も様子を見ながら試験的なタイトルを投入した。しかし、今の段階では、大いに盛り上がっているとは言い難い。それどころか、昨年後半以降は、iPhoneではゲームがビジネスとして成り立たない、という見方が、どんどん強まって来た。
では、米国ではどうかというと、状況に似通ったところがあるものの、異なった部分も多い。例えば、ゲームデベロッパ向けのカンファレンス「GDC(Game Developers Conference)」では、昨年はiPhone向けゲーム開発に関連したセッションに聴衆が押しかけ大盛況だった。ところが、今年のGDCではiPhoneゲームでどうやって儲けることができたのか、といった内容のセッションが目を引いた。ビジネスにする部分で苦労していることが浮き彫りになっている点は日本と同じだ
その一方で、GDCでは、iPhone以外のスマートフォンプラットフォーム、つまり、GoogleのAndroid、RIMのBlackberry、QualcommのBrew、MicrosoftのWindows Phoneなどが、それぞれデベロッパ向けのセッションなどを行なった。また、携帯系でのクロスプラットフォームコンテンツ開発や、iPhone向けのUnreal Engine 3ゲームエンジン(実際にはOpenGL ES 2.0上への移植でクロスプラットフォームが容易)のようなミドルウェアのセッションもあった。
●スマートフォンに対する日米の温度差
大まかな流れで言うと、米国でもiPhoneゲームで儲けることは難しいものの、スマートフォン市場への期待は、それなりに強い。まず、iPhoneゲームでも、ビジネスになっていると見られるゲーム会社が、数は少ないもののいくつかある(とされている)。また、分厚いホリデープログラマー層(アマチュアあるいは副業プログラマー)の中には、iPhoneアプリである程度の収入を得ている人たちがいる。iPhoneはワールドワイドでの出荷台数が多く、アクティブユーザーが多いため、販売単価が低くてもそれなりの金額になる場合がある。
さらに、iPhoneに牽引されて、コンシューマ向けスマートフォン全体がブームになったため、まだまだプラットフォーム自体が広がり発展する可能性が高い。加えて、今年のGDCで大きくクローズアップされた「ソーシャルゲーミング」(ソーシャルネットワークなどをベースにしたオンラインゲーム)も、スマートフォンにフィットすると見られている。こうした事情のため、昨年のような夢多き状況ではないものの、まだチャンスは色々あると見られている。
つまり、ポータブルゲーム機にとっては、対スマートフォンの状況は相変わらず厳しい。スマートフォン上のゲーム市場は、以前として脅威だ。
そのため、ゲーム機が生き残るためには、戦略が必要となる。スマートフォンの利点は取り入れ、しかし、ゲーム機としての利点は維持する。問題は舵取りで、あまりスマートフォンに寄りすぎると差別化が難しく、かといって、従来のゲーム機のままでは、いつかスマートフォンにひっくり返される可能性がある。任天堂が、6月のE3で、どういう戦略を打ち出して来るのかが注目される。
日航、50路線廃止を検討 リストラ強化へ
会社更生手続き中の日本航空が、今年10月以降に国内線と国際線で計50路線程度を廃止する方向で検討に入ったことが3日分かった。当初、日航は約30の路線を廃止する案を示していたが、業績の回復が思うように進まず、大幅な上積みが必要と判断した。路線数の大幅な削減に加え、機材や人員の削減追加も検討。来週にも主要取引銀行に更生計画の中間案として提示し、早期の再建に向けてリストラを強化する姿勢を示す。
国際線では、米ニューヨークを経由する日航の最長路線の成田-ブラジル・サンパウロ線の廃止や成田-ローマ便、関空-ロンドン便の廃止などが盛り込まれている。国内でも名古屋(小牧)空港からの撤退を検討しているもようだ。
これに伴い、日航は特別早期退職2700人の募集をさらに5000人上積みすることも検討。平成24年度末までのグループ社員の削減数は2万人規模に膨らむ見通しだ。ただ、日航内部には追加的なリストラに消極的な意見もあり、6月末に策定する更生計画のとりまとめに向けて主要取引銀行などと調整する。
激安ジーンズに揺れる老舗ブランド あの手この手で対抗策
1000円以下の“激安ジーンズ”に圧され、老舗デニムブランドが苦戦している。売り上げが大幅に落ち込み、ジーンズ事業から撤退するメーカーも。低価格志向を強める顧客をどう取り戻していくのか。アンテナショップを共同で出店したり、大手紳士服チェーンと提携したり、メーカー側の模索が続いている。
若者が集まる大阪・ミナミのアメリカ村。昨年9月、「デニム研究所」というジーンズ店がオープンした。国産ジーンズ発祥の地、岡山県倉敷市児島地区のメーカー5社でつくる児島デニム協同組合が開いた店で、裾縫いなどの作業を見ることもできる。
オープンから半年。田坂茂樹店長は「児島ジーンズの良さを知ってもらおうと始めたが、手応えを感じている」と胸を張る。
ジーンズの価格破壊が進んだきっかけは、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング傘下のカジュアル衣料店、ジーユーが昨春発売した「990円ジーンズ」。これに対抗してイオンとダイエーが880円、西友が850円の商品を相次ぎ投入した。
この影響をモロに受けたのが1万円~2万円の価格帯が中心の老舗ブランドだ。
人気ブランド「リーバイス」を展開するリーバイ・ストラウスジャパン(東京都渋谷区)の平成21年11月期の売上高(単体)は、前期比27%減の171億円と大幅ダウン。「ボブソン」ブランドで知られたボブソン(岡山市)は昨年11月にジーンズ事業を企業再生会社に譲渡した。
リーバイ・ストラウスジャパンが今年1月に20~30代の男性250人を対象に行った調査によると、35・6%が「低価格ジーンズを持っている」と答えた。「当たり前のことが起こっただけ」と指摘するのは、アパレルファッション業界の経営コンサルティング会社、リーダーズ代表取締役CEO(最高経営責任者)の井上和則さんだ。ジーンズはもともと素材やデザインで差別化が難しい。激安品の登場でジーンズはブランド重視のファッション衣料から実用衣料になりつつあり、「老舗ブランドの需要減は避けられない」という。