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ハドソンなどゲーム大手、高機能携帯向け配信拡大
 ハドソンなどゲーム大手がスマートフォン(高機能携帯電話)へのソフト配信を相次ぎ拡大する。ソフトの開発体制を整備し、タッチパネル式の画面などを生かした臨場感の高いゲームを増やす。スマートフォンはNTTドコモの新機種投入などで普及が加速しつつある。端末を使って楽しむソフトが充実すれば、端末自体の販売にも弾みがつきそうだ。
 ハドソンはスマートフォン向けのゲームを年内に現在より4割多い約50種類に増やす。マージャンやパズルを新たに投入。指で画面にタッチして操作する方式で、実際にカードなどを動かしているようにして臨場感を高める。価格は600~1000円程度の予定。
 ゲーム機用では機種別にソフトを作ってきたが、スマートフォンでは同じソフトを米アップルのiPhoneやグーグルの基本ソフト搭載端末など複数の機種に展開し、開発を効率化する。
 バンダイナムコゲームスはiPhone向けだけで年内に10タイトルを新たに発売し、ソフトを計60種類に増やす。4月には専門部署を新設し開発体制も強化する。携帯より高精細で大きな画面を生かし、今後はゲーム機用の人気作品の転用を進める。
 カプコンは日米欧の地域別にソフトを開発・配信していた体制を改め、各拠点で開発したソフトを世界で販売する。マイクロソフトが年内にも投入を予定している新型基本ソフトを搭載した端末への配信も始める計画。クイズ、パズルなどで簡単な操作を売り物にしたソフトの種類を増やす。
 スマートフォンはiPhoneのヒットでネットやゲームを利用する「2台目の携帯」として需要が急拡大。NTTドコモが英ソニー・エリクソン製の端末を1日に発売するなど、相次ぐ新機種投入で市場はさらに広がりつつある。ミック経済研究所(東京・港)によると国内販売台数は2014年度に09年度見込みの2.6倍の797万台に増える見通しだ。
 スマートフォン用のゲームは販売がネット経由のダウンロード方式のため、海外でも手軽に販売できるのが特徴。開発費も1作あたり数千万円で、数十億円かかるゲーム機用に比べ失敗した際のリスクも少ない。ゲーム会社の売上高に占める比率はまだわずかだが、ゲーム機用が伸び悩むなか、各社とも今後の成長市場として強化を急ぐ。



「クラウド」普及へ特区
総務省、建設規制緩和でデータセンター誘致
 総務省はネットワーク経由でソフトや情報サービスを利用する「クラウドコンピューティングの普及に向け、2011年春にも北海道か東北に特区を創設する。国内最大級のデータセンターの構築を目指し、建築基準法や消防法の適用除外などで設置コストを軽減する。投資額は最大で500億円程度を想定している。国内への情報関連投資を増やす狙いに加え、機密保持の観点からも国内でのデータセンター構築が重要だと判断した。
 日本企業は情報を集中管理するデータセンターへの投資競争で米国勢に後れを取った。米グーグルや米マイクロソフトは建造費や電力代を抑えられるサーバーを格納したコンテナを並べる方式をいち早く採用し、米欧やアジアに次々とデータセンターを建設した。
 一方、NECや富士通など日本企業のデータセンターは国内中心だが、コストがかかり、低価格サービスを打ち出しづらかった。日本ではコンテナ型サーバーが建築基準法の対象になり、消防設備などが必要だ。データセンターの構築・運営費用は米国の2倍に上るとの試算もある。
 総務省はこうした規制を緩和する必要があるとみて、特区創設の方針を固めた。巨大な施設になるため、冷却に必要なエネルギーを節約できる北海道か東北を候補地にする。国内外の事業者を誘致し、最大でサーバー約10万台分のデータセンター構築を想定。将来的に特区に政府や自治体の情報システムを格納することも検討する。
 通信機器などを更新しやすくするため、11年度の税制改正でサーバーや通信機器の法定耐用年数の短縮も要望する。現在はサーバーなどが5年、通信機器などは10年程度で、3年程度の実利用年数とかけ離れている。法定耐用年数が短くなれば企業が減価償却で損金算入できる金額が増える。
 総務省の調査では日本のネット経由の通信量の半分近くが海外のデータセンターを使っている。調査会社のIDCジャパンによると、08年の国内のデータセンターの利用額は7612億円。これに匹敵する利用額が海外に流出した計算になる。
 日本の企業や官公庁の間では「機密データは日本のデータセンターに置きたい」とのニーズが強い。海外で情報漏れなどの問題が起きた場合は外国法が適用されるなど、対処に時間や手間がかかる可能性がある。「クラウド特区」で構築コストが下がれば、国内の投資に勢いがつき、低価格サービスを実現できる可能性がある。



ブルーレイ旧作ソフト値下げ 店頭で2千円割れも
 映像ソフト大手のワーナー・ホーム・ビデオ(東京・港)とソニー・ピクチャーズエンタテインメント(同、SPE)は月内にブルーレイ・ディスク(BD)ソフトを値下げする。人気映画ソフトなどの希望小売価格をほぼ半額の2500円に設定。このため家電量販店などでは2千円割れの商品も出てくる見通しで、普及に弾みがつきそうだ。
 対象となるのは発売から6カ月以上経過する旧作のBDソフト。SPEは16日から「ターミネーター4」など全作品の約45%に当たる85作品で、ワーナーは21日から年末にかけて「ハリー・ポッター」など約200作品の価格を引き下げる。今後、対象作品を段階的に広げていく考えだ。
 現在のBDソフトは希望小売価格が4980円で、店頭価格は新作で4980円、旧作で3千円前後。今回値下げするソフトは店頭価格で「2千円を下回ることになる」(東京都内の大手家電量販店)見通しで、他社商品の値下げ圧力になりそうだ。
 BDソフトは通常のDVDより割高だが、画質の面で優れている。映像ソフト市場自体は縮んでいるが、2009年のBDソフト市場は来年7月の地上デジタル放送の完全移行やエコポイント効果に伴う大型テレビの販売増を受け、約240億円と前年の2.5倍に拡大した。
 消費者の高画質志向が強まる中、ソフト各社が低価格化を進めることでさらに購入しやすくなると判断した。



郵政改革法案「日本経済はがけっぷちに」 元郵政公社総裁が批判
 日本郵政公社の初代総裁として民営化の準備に取り組んだ生田正治・商船三井最高顧問(75)は9日、産経新聞のインタビューにこたえ、20日にも閣議決定される見通しの郵政改革法案について、「ものすごい民業圧迫につながる。日本経済は深刻ながけっぷちに立たされる」と強く批判した。また、郵政事業の規模縮小を主張していた民主党の豹変(ひょうへん)に対して、「責任感を欠いた姿勢」だと断じた。
 鳩山政権の郵政民営化見直しは、「小泉政権と逆のことをやる」(亀井静香郵政改革担当相)という言葉が示すように、民営化政策自体を検証することなく見直し政策に突き進んだ経緯がある。生田氏は「政策論議を避けた情緒論」だけで政策転換したことを問題視した。
 また、郵便貯金や簡易保険の限度額引き上げによって巨額の資金が政府に還流することで、実質的な財政投融資が復活すると指摘。日本郵政に運用ノウハウが少ないことから、「国民の虎の子を使うべきではない」とくぎを刺した。



経団連「消費税、最低10%に」 民主への提言案、法人税下げも訴え
 民主党が6月に「新成長戦略」の具体策をまとめるのに合わせ日本経団連が作成した提言案が9日、明らかになった。財政健全化に向け歳出・歳入の一体改革が必要と指摘。安定財源を確保するため消費税率を2011年度以降、段階的に最低10%まで引き上げるべきだとした。成長戦略では「環境・エネルギー」など6分野で、国際競争力の強化策を盛り込んだ。
 12日の正副会長会議で正式決定する。小泉政権時代に掲げられた基礎的財政収支の黒字化目標が重要とし、「歳出歳入改革法」(仮称)の制定を提案。社会保障給付の増加に備え、消費税率を2%ずつ引き上げるなどで最終的には10%台後半にすることも視野に入れるべきだとした。税率引き上げの際には逆進性の緩和で低所得層に配慮することも必要とした。
 一方、法人税は実効税率を現行の約40%から国際水準の30%まで引き下げる必要があるとした。



大阪の消費者金融利用者、半数が「総量規制」対象
 消費者金融などへの規制を強化する改正貸金業法の完全施行を6月に控え、大阪府が利用者500人を対象に調査したところ、ほぼ半数が、貸し付け総額を年収で制限する「総量規制」の対象になる借入額に達していることが9日、わかった。
 全体の7人に1人は「ヤミ金融の利用は仕方がない」と答えており、府は消費者金融で借りられなくなる人がヤミ金に流れるケースが増えないよう市町村と連携して相談窓口の充実などを図る。
 調査は昨年12月~今年3月、消費者金融を利用したことがある府民500人を対象にインターネットを通じて実施した。
 平均の借入額は1人あたり82万7000円、毎月の返済額は2万9200円。借り入れの理由は生活費の補てん(47%)が最も多く、次いで物品購入(41%)、旅行(20%)、医療費(13%)、ギャンブル(8%)。
 改正貸金業法では、借り手の年収の3分の1を超える新規融資を原則禁じる「総量規制」を導入する。アンケート調査では、利用者の65%が総量規制を含む改正貸金業法の内容を「知らない」と回答しており、今後、登録業者から融資を断られた利用者の中から、新たにヤミ金融に手を出す人が増える恐れもある。



日経社説
〈「元気な経済」考〉 負けない税制で企業の活躍を引き出せ  鉛の上着を羽織ってライバルと競わなければならない。税制を見る限り、日本企業はそんな境遇にある。
 「コストだけを考えれば、バンコクに脱出したい」。自動車メーカーの経営者から経済官庁幹部はこう告げられた。タイでは一定の条件を満たした環境対応車を生産する工場で当初8年間は法人税が免税になる。日本で地方法人税の一部が損金に算入されるのも考慮した法人実効税率は、主要国で最高水準の40.69%(東京都の場合)。差は明らかだ。
法人税率を早く下げよ
 国際競争が激烈な外航海運。欧州や韓国は船の大きさに応じた課税を全面適用し、一般の法人所得課税より税負担は大幅に低くなる傾向がある。日本でこの方式の対象となる船は5%程度に限られ、大半の所得には約40%の税率がかかる。日本郵船の宮原耕治会長は「本社を日本に置けなくなる」という。
 スイスの製薬大手ノバルティスは日本の研究所を閉鎖して上海に新薬の開発拠点を移した。損失を次の期以降に繰り越して税負担を抑えられる期間が7年に限られるなど、海外に比べ窮屈な制度が一因という。
 欧州やアジアは法人実効税率の下げを競う。今や中国、韓国はざっと25%、香港は16.5%。38%台だったドイツも2008年に税率を約9%近く下げ、30%を割った。
 税率が高く、不利な競争条件が続けば、国内企業が日本から逃げ出すばかりでなく、外国企業も日本で活動しようとしなくなる。海外からの直接投資残高の国内総生産(GDP)比は、08年末時点で4%弱どまり。英国の47%はいうに及ばず、韓国の10%さえ下回る。
 世界に通用する技術や経営資源を得て、雇用を創出する。そんな元気な経済を築くうえで、外国からの投資は欠かせないが、実際には日本を素通りしているのだ。「富」がやって来なければ税収も増えない。
 「税と社会保険料の合計で比べれば、日本の企業負担はそれほど高くない」との指摘は政府内にもある。確かに欧州は社会保険料の企業負担が重い。ただ日本は世界で最も急速に高齢化が進みつつあることを忘れてはならない。今後は高齢化の結果、保険料負担が上昇しかねない。
 財政悪化が著しい中で大幅な税率引き下げは容易ではないという主張はあろう。国の法人税収は企業業績の悪化で、10年度予算では6兆円弱と1970年代以来の低水準に落ち込む。だが国際競争で圧倒的に不利な現状を放置しては元も子もない。
 実際の税負担率は10.5%対36.4%。経済産業省が、08年12月期の韓国・サムスン電子と08年3月期のシャープを比較した数字だ。税負担の軽いサムスンには、シャープ亀山第2工場の投資額を上回る1600億円の余裕資金が生じる計算だ。
 アジアの近隣国・地域や欧州などに比べて「負けない税制」を一刻も早く整える必要がある。国税の法人税と法人事業税、法人住民税など地方課税を並行して見直すべきだ。「法人実効税率を10%低い30%前後まで下げる」といった道筋を極力早く示し、実行に移してほしい。
 法人税率の1%分は、現時点では2000億円程度。5%下げなら1兆円に相当する。財政が苦しいなか減収幅を抑えるには、税に対する特例である租税特別措置を整理・統合するなどの工夫が求められる。
税収は長い目で伸ばせ
 企業向けの租税特別措置は合計1兆1000億円近い。企業が投資した際に研究開発費の一部を法人税から差し引く研究開発減税や、中小企業向けの軽減税率などがある。これらの中から優先順位の低い特別措置はやめ、仕分けして重要度が高いものは恒久化すべきだろう。
 減価償却制度も見直しの候補となりうる。工場を建て機械を備えた段階で大幅な損金算入が可能な仕組みは、大型の設備が必要な重厚長大型の産業には有利に働いている。
 租税特別措置や減価償却制度を洗い直し、効果が薄れたような従来型産業向けの優遇策を圧縮していって税率下げの余地をつくる。そうすることでサービスやソフトなどの新産業や、外国から参入する企業の活躍も後押ししたい。
 歳出の工夫で財源を出すことも必要だろう。所得水準に関係なく配る子ども手当の増額や高校無償化などといった予定した政策を後回ししてでも、税率下げを急いだ方がいい。
 グローバル化の中でどう企業の競争力を高めるか。国全体が所得と富を増やし、税収を拡大する観点が欠かせない。
 民主党政権からも法人税率の引き下げに前向きな声が聞かれだした。歓迎したいが、中途半端な改革に終わらせないでほしい。
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全携帯と通話無料 ウィルコム沖縄
 ウィルコム沖縄(那覇市、仲本栄章社長)は、国内携帯電話、一般電話、IP電話への通話が無料となる通信業界初の新サービス「だれとでも定額」を始めると発表した。月々980円のオプション料金だけで、1通話10分以内なら無料となる。沖縄限定のサービスで、ウィルコム本体とは別に同社が独自のサービスを提供するのは初めて。
 受け付けは9日から5月31日まで。「新ウィルコム定額プラン」と「新ウィルコム定額プランS」の料金コースが対象となる。新規契約と同時加入は初回月額料が無料。
 これまで22歳以下と、23歳以上の学生が対象だった「新ウィルコム定額プランS」も全年齢に拡大する。問い合わせは専用番号(電話)070(5400)1055。



「電波再編成を」 総務相が検討指示
 原口一博総務相は9日の閣議後の記者会見で、電波の再編成を検討する意向を明らかにした。総務省は2011年7月に地上デジタル放送に移行するのに合わせ、アナログ放送に使う周波数帯域の跡地利用の検討を進めている。このほか細切れに使っている周波数帯を整理し、有効活用できないかを模索する。総務相は「世界標準とずれると競争の基盤を損なう」と述べ、海外の利用実態も踏まえて見直したい考えだ。



原口総務相がユーストリームで「会見」 広報室「聞いてない」
 原口一博総務相は9日、インターネットの動画配信サービス「ユーストリーム」を使い、総務省の政策について生中継で視聴者に説明する「会見」を初めて行った。同省の広報室などには事前には知らされず、告知も約2時間前に原口氏のツイッターで行っただけだったが、約30分の会見を約1200人が視聴した。
 「本日3時からのユーストリーム会見のテストを行うことにしています」。原口総務相は9日午後、ツイッターでこう書き込み、時間通りに大臣室から1人で会見を行った。テーマは郵政民営化や夕張市視察についてなど。「郵政民営化により何が悪くなったのか」というフリップを掲げるなどして熱弁をふるった。
 会見の理由については、告知の中で「情報発信の新しいあり方について議論しています。様々な可能性に挑戦したいと考えています」と説明した。
 ユーストリームの視聴者が寄せたコメントでは、「大臣室から! すごい」「マスコミを通じない形がいい」「今後もこのダイレクトコミュニケーションを続けて」といった歓迎の声がほとんど。中には「これは会見ではなく広報では」という指摘もあった。
 原口総務相は会見を終えた後、しばらくして中継を再開して視聴者のコメントに一部答え、「次は事業仕分けと地域主権改革についてお話をしたい」と次回開催を約束した。
 突然の会見について、同省広報室は「うちは今回、絡んでいない。情報が入ってきていない」と当惑顔。大臣秘書室は「今後については分からない。とりあえず今日、やってみて、どうしようかなという状況だ」と説明している。



ポケモン、「ポケットモンスター」完全新作
 株式会社ポケモンは「ポケットモンスター」シリーズ(開発:株式会社ゲームフリーク/販売:任天堂株式会社)の最新作の正式タイトルを発表した。ニンテンドーDS用RPG「ポケットモンスターブラック」と「ポケットモンスターホワイト」)で、2010年秋に発売する予定。
 「ポケットモンスターブラック・ホワイト」は、全世界で1,715万本以上(国内580万本以上)の販売本数を誇る「ポケットモンスターダイヤモンド・パール」から4年ぶりの完全新作となる。
 また、この「ポケットモンスターブラック・ホワイト」の登場により、ゲームはもちろん、すべてのポケモンコンテンツがバージョンアップすることになるという。すでに新ポケモンとして、「ゾロア」と「ゾロアーク」が紹介されている。
 なお、オフィシャルサイトでは、4月15日に新たな情報が公開されると予告されている。



Apple、iPadの小型バージョンを2011年に投入か
 Appleは2011年に現行モデルよりも小さなiPadをリリースする計画で、部品ベンダーが準備を進めていると台湾メディアが伝えている。
 現行のiPadは9.7インチディスプレイを搭載し、価格は499ドルからだが、来年登場のバージョンはそれよりも小さくて、400ドルを切る価格という。現在のスマートフォンではうまく対応できていないと思われる「携帯性の非常に高いモバイルデバイス市場」がターゲットのようだ。



【産経主張】自動車再編 日本の技術を国際標準に
 自動車業界の大型提携が相次いでいる。日産自動車と仏ルノー連合も独ダイムラーと包括的な資本・業務提携を行うと発表した。
 リーマン・ショック後の世界同時不況で自動車市場が縮小し、業界の生き残りが厳しい。新興国メーカーの新規参入も相次ぎ、日本のメーカーも安閑としてはいられない。
 再編の潮流の中で主要な位置を占めるためにも、日本の技術を国際標準にする戦略が必要だ。なにより、自社技術が国際標準になれば、世界との競争で圧倒的優位に立てる。常に標準化を意識することで他国の動きに素早く対応し、自社にとって不利にならないよう対策を講ずることも可能だ。
 今回の3社連合はダイムラーがルノーの小型車技術に注目して協議が始まった。日産のエコカー技術、ダイムラーのディーゼルエンジン技術を持ち寄れば、それぞれ補完関係を築けると判断した。
 技術開発には多大な投資が必要だ。それだけに今後もこうした提携によって開発費用を負担し合う流れは止まらないだろう。
 問題はそうした再編のうねりに日本メーカーが埋没せず、いかに存在感を発揮していくかだ。すでに実用化されているとはいえ、ハイブリッド車(HV)も電気自動車(EV)も進化はこれからである。小型化や軽量化は日本のお家芸であり、エコカーの基幹部品である電池の技術をリードしているのも日本だという事実を忘れてはなるまい。
 特にEVはガソリンエンジンと異なり、構造が比較的簡単だ。高機能の蓄電池さえあれば、一気に競争力を高めることができる。小型で長時間持つハイパワー蓄電池開発が最重要課題だ。
 ただ、高い技術力があっても売れなければ宝の持ち腐れでしかない。日本企業はこれまで、技術や製品仕様を世界に広げる国際標準化の努力を怠ったために世界市場で敗退した例が少なくない。高機能でも国内でしか通用しない携帯電話などが典型的な例だ。
 先月、トヨタや日産などがEVの充電方式の標準化をめざす団体を立ち上げたのはこれまでの教訓を生かした動きといえる。
 業務提携は標準化を進める上での仲間づくりに活用できる。日本メーカーは国際標準化機構(ISO)など公的機関の場を通じ、提携相手とともに自社技術のさらなる標準化を目指してほしい。



ツイッターを未体験者に美しく勧める方法(COLUMN)
 あれよあれよという間に、ネットの中でメジャーな存在になったツイッター。便利で画期的なツールですが、使い方や付き合い方を間違えると、思わぬ落とし穴にはまり込んでしまいます。
 けっこう使っている自分が、ツイッターをよく知らない人に対して「やってみると面白いよ」と勧める場合に、どんな危険が待ち構えているのか。
 知らないうちに反感を買ったり、相手の中の小さな地雷を踏んだりしないように、ツイッターを勧める場面での大人のマナーを考えてみましょう。
なぜか無闇に熱く語られがちなツール
 目新しいツールだからか、たくさんの著名人がその「スゴサ」をあちこちで賞賛しているからか、ツイッターは使う人に過大な期待を持たれがちです。
「世の中の“今”を体感できる」
「既存のメディアでは報じられない“真実”に触れることができる」
「自分のつぶやきが世界に広がる」
 などなど、ツイッターを語る口調は無闇に力が入っていて、いちいち大げさです。
 そんな感じで幅広い人と「ゆるくつながることができる」のが、ツイッターの特徴であり、一部の人がことさらに信奉するポイントです。「気をつかわなくていい」という点も特徴とされていますが、それなりに使ってみた上で本気でそう思っているとしたら、根っから鈍感かモノを考えるのが苦手か、そのどちらかだと言っていいでしょう。
「啓蒙」しようとするのは大きなお世話
 話がそれまくってすいません。ツイッターを未体験者にどう勧めるかという話でした。
 ツイッターにはまっている人の一部には、画期的なツールを使いこなしている嬉しさや誇らしさが暴走するあまり、まだツイッターの素晴らしさを知らない“無知で気の毒な人たち”を見ると、
「自分が救いの手を差し伸べなければ!」
 と張り切って、大きなお世話な啓蒙活動をしようとするタイプがいらっしゃいます。
「自分は違う」と思っていても、ツイッターの面白さを熱っぽく語ってしまったら、聞かされる側からは同類に見えるでしょう。
 なんせ、ツイッターを使っていない人や、ツイッターのことをよく知らない人は、「もしかしたら自分は乗り遅れているのかも……」という不安を打ち消すために、ツイッターという言葉が出ると反射的に身構え、警戒心をあらわにして攻撃モードに入ります。
 たまたまツイッターを使っているぐらいで自分が偉くなったみたいに勘違いするほうもするほうだし、勝手に被害妄想を抱くほうも抱くほうです。でもまあ、人間のプライドというのは所詮そんなふうにチンケでセコイものなので仕方ありません。
 たとえば、部下の自分はツイッターを使えるけど、上司はまだ使ったことがないし、どういうものかもよくわかっていないとしましょう。最初から対立する宿命にある相手に、話の流れでツイッターという単語が出た瞬間に、急に目の色を変えて、
「アレは面白いですよ! 課長も、絶対にやったほうがいいですよ!」
 と自信たっぷりに勧めたり、
「はっきり言って、ツイッターをはじめると人生が変わりますね」
 なんて、悟りを開いて別の世界を見ているかのような言い方をしたりするのは、極めて無謀だし大人としてあまりに迂闊です。
「わかった、わかった」と冷たく流されるぐらいならまだマシで、心の中で「こいつも、流行のものに飛びついて、それの威を借りて自分を大きく見せたがるようなヤツだったか」と見切りを付けられてしまうかもしれません。それが、必ずしも言いがかりではない場合も多々ありますが。
気のない素振りが食いつかせるコツ
 かといって、ツイッターの話題をことさら避けようとするのも危険。それはそれで、相手はバカにされているように感じてしまいます。ツイッターなんてべつに興味なくて敵対心しか抱いていないくせに、物分りのよさを示したいのか、上司のほうから、
「キミはツイッターに詳しいんだってね。アレは、なかなか面白そうじゃないか」
 なんて言ってくるケースもあります。ここで“深い関係”を否定しても仕方ありません。そうなった場合は、地雷を避けながらどうにか興味を抱かせて、自分の中の“勧めたい欲”を満たすことを目指しましょう。
 まずは、どうでもよさそうな口調で、
「面白いといえば面白いんですけど、まだ、なんかまだよくわからなくて」
 と一定の距離を置いているフリをして、敵側ではないと安心させます。その上で、
「いろんな人がいろんなことを書いてて、のぞいているとヒマつぶしにはなりますね。たまに芸能人の裏情報とかもあったりして」
 そんな漠然とした言い方でヤジ馬根性を刺激しつつ、
「まあ、はまると時間食っちゃいそうだし、とくに何に役に立つってもんでもないから、そのうち廃れるんじゃないでしょうか」
 などとネガティブに評しておくのが有効。そうすることで、相手が警戒心を解いて「ちょっとやってみてもいいかな」という気を起こしやすくなるでしょう。相手が同僚や後輩でも、同じ流れで大丈夫です。
 そりゃまあ、べつに誰かにツイッターを勧めたところで何のメリットもありません。しかし、反発をかわしつつ興味を持たせて誘い込むという難しい課題を達成できたら、深い満足感や「しめしめ」という、してやったり感を覚えられるはず。大人の醍醐味を求めて、常にチャンスを探りつつ、頭の固そうな上司などにさりげなく勧めてみましょう。
 
Appleが「iPhone OS 4.0」発表 マルチタスクに対応
 米Appleは4月8日、「iPhone OS 4.0」を発表した。リリースは今夏の予定で、秋にはiPad向けにも提供する。また開発者向けに同OSのソフト開発キットのβ版をリリースした。
 同バージョンでは、サードパーティーアプリを複数同時に実行できるマルチタスク機能、フォルダでアプリを整理できる機能、iPhone向けiBooks、モバイル機能プラットフォーム「iAd」などの新機能が盛り込まれている。
 iAdは、アプリ内からフルスクリーンのインタラクティブ広告を表示できるというもの。現行のiPhone OSでは、ユーザーがアプリ内で広告をクリックするとWebブラウザが立ち上がって広告ページが表示され、広告を見終わった後でアプリに戻って来ないといけないが、iAdではアプリから離れずに広告を閲覧できる。Appleが広告枠を販売し、アプリ開発者は広告収入の60%を受け取る。
 このほか新版には、企業向けのセキュリティ機能、ゲームのソーシャル機能をサポートする「Game Center」なども搭載されている。
 ただし、iPhoneの既存機種すべてでバージョン4.0の機能ができるわけではないという。例えば、マルチタスクはiPhone 3GSまたは第3世代iPod touchでのみサポートする。
 Appleは今夏、iPhone OS 4.0を搭載した新型iPhoneをリリースするとみられている。



iPad部品、日本製の影薄く 韓台勢が台頭
 米アップルが米国で3日発売した新端末「iPad(アイパッド)」の売れ行きが好調だ。ゲームや音楽、電子書籍などが楽しめる多機能が人気で、世界では年間500万台以上の販売が期待される。その新端末に搭載された電子部品は大半が韓国や台湾製など。国際競争力が高いとされてきた日本メーカーの部品はわずかしか採用されていないことが判明した。
 米調査会社のアイサプライがiPadを分解したリポートを発表した。液晶ディスプレーやデータを保存するフラッシュメモリーなど主要な14部材のうち、日本企業では唯一、TDKの子会社、アンプレックステクノロジー(香港)製のバッテリーが採用されていた。
 iPadのような電子機器の場合、主要部材は複数のメーカーから調達するのが一般的。分解した製品のフラッシュメモリーは韓国サムスン電子製だったが、米アップルは東芝からもメモリーを調達している。同様に液晶ディスプレーは韓国LGディスプレー製だったが、セイコーエプソンからも少量ながら調達している。
 ただ、今回の分析結果では日本企業が技術で優位に立っていた分野で、新興勢力が受注したケースが目立つ。たとえば指でなぞって操作するタッチパネルの部品は、勝華科技という台湾メーカーの製品が採用された。
 調査会社ディスプレイサーチの氷室英利ディレクターによると、アップルの携帯電話「iPhone(アイフォーン)」では2007年の発売当初、タッチパネル部品の9割以上が日本製だったという。日本企業の製品比率が大幅に低下したのは間違いない。
 アイサプライは、iPad(16ギガバイトモデル)の部品の原価合計は250ドルと、小売価格(499ドル)の半分と分析する。「500ドルを切る価格設定には驚いたが、よく見るとごく普通の電子部品で固めており納得できる」。バークレイズ・キャピタル証券の越田優アナリストがこう指摘するように、最先端の部品は多くない。
 商談の決め手は「低価格と、ジェットコースターのように上下する需要に対応できる供給能力」(氷室氏)だ。
 東芝はアップルから約500億円の前金を受け取って、iPad向けにフラッシュメモリーの供給を開始した。東芝の室町正志副社長は「数量効果は絶大だ」と受注のメリットを強調する。昨年末から四日市工場(三重県四日市市)の生産能力を増強している。
 アップルは製品の普及に合わせて段階的に価格を引き下げるため、部品メーカーへの値下げ要求が厳しい。大量の受注を獲得できる点は魅力だが、「価格もどんどん下がるため十分に利益が出ない」との声もある。「薄利多売」に耐えられる部品メーカーだけが、アップルの調達先となり得る。
 電子情報技術産業協会(JEITA)によると、09年の電子部品の世界市場規模(見込み)は15兆2142億円。このうち日本企業のシェアは合計40%。減少傾向が続いており、07年から3ポイント減少した。新興国企業が実力をつけてくる中でコスト競争に必要な規模をどう維持するか、戦略が問われている。



超党派のカジノ議連、14日に発足 秋の臨時国会にも法案提出へ
 カジノ合法化を目指す超党派の「国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)」が14日に設立されることが8日、分かった。民主党がまとめた原案も明らかになった。議連では原案をたたき台に法案を作り、早ければ秋の臨時国会に議員立法で提出、成立を目指す方針。
 議連には民主、自民、公明、国民新、みんなの各党議員が名を連ね、100人を上回る見通し。社民党にも参加を呼びかけている。設立総会では、会長に民主党の古賀一成、会長代行に自民党の岩屋毅、幹事長に民主党の牧義夫の各氏が選出される運びとなっている。
 民主党案はカジノが賭博を禁じる刑法に抵触しないように立法措置を講じる内容。地方公共団体などが施行主体となり、申請を受けて国の主務大臣(国土交通相など)が指定。施行主体はカジノの建設、維持管理、運営などを公募で選んだ民間事業者に委託する。
 カジノ合法化には、共産党や社民党の一部を除き、厳格な運営が確保されれば各党議員の多くが賛成するとみられ、法案が提出されれば成立する公算が大きい。すでにカジノの設立先として東京、北海道、沖縄などが挙がっている。



車持たない世帯、4分の1に=不況で手放す-自工会調査
 日本自動車工業会が8日まとめた2009年度の市場動向調査結果によると、全国で乗用車を保有する世帯の割合は75.8%となり、前回の07年度調査に比べ3.4ポイント低下した。1995年度以来、14年ぶりの低水準。09年度の新車販売台数は4年ぶりにプラスに転じたが、不況下で所得が伸び悩む中、車を手放す世帯が急速に増えている。
 保有率の低下は年収200万~500万円の世帯で顕著だった。車を手放した理由について、「維持費などの経済的理由」を挙げた世帯が11.2ポイント増の33.2%と最多だった。



世界最大級の上海港、日本のITで物流効率化
 日本郵船、NTT、三井物産は中国最大の港湾運営会社、上海国際港務(情報技術)で国際貨物の状況を常時把握できるシステムを開発する。ICタグ(荷札)を使ってすべての貨物の位置をインターネットで把握し、配送管理や荷主への対応、通関業務などを大幅に効率化できる。世界最大級の上海港が採用することで国際的な普及が見込める。日中政府とともに各国企業にも導入を働き掛け、日中発の技術で国際標準を狙う。
 2012年をめどに郵船やSIPGが採用する。現在、物流各社は独自の輸送管理システムを採用しており、陸・海運などで複数企業がかかわると配送中の状況把握が難しい。コンテナに記載した文字と数字で位置情報などを管理している企業が多く、データ入力や通関業務に人手と時間がかかる欠点もあった。
 新システムは無線で情報をやり取りできるICタグを使う。タグには35けたのID番号を割り振ったうえで、コンテナ貨物に取り付ける。荷主、物流会社などは工場、倉庫、港湾施設などに読み取り装置を設置しておき、貨物が到着すると自動的に配送記録が更新されていく。
 業者間で貨物情報が共有でき、リアルタイムで位置確認などが可能になる。貨物の状況把握にかかっていた時間や人手の削減につながる。配送期間の短縮により、荷主は在庫量も減らせる。



JVC・ケンウッド、マレーシアで600人削減 ビデオカメラ工場対象
 JVC・ケンウッド・ホールディングスはマレーシアにあるビデオカメラ工場で全体の3割にあたる600人の人員を削減した。ビデオカメラはデジタル化が進み、組み立て作業が簡素化しているためで、年間300万台弱の生産規模を維持しつつ固定費を圧縮する。欧州で販売会社の人員削減も進め、収益源と位置付けるビデオカメラ事業で早期黒字化を目指す。
 子会社の日本ビクターでビデオカメラのほぼ全量を生産するマレーシア工場が、3月末までに1900人の人員を1300人に減らした。記録媒体にテープを使う旧型品を作るのには多くの人手が必要だったが、フラッシュメモリーなどの普及で作業が簡素になったことに対応する。
 欧州では、各国にある販売会社の合計人員を3月末までに900人から500人に減らした。原材料費の抑制も進めて採算の改善を図る。
 ビデオカメラはJVCケンウッドの主力事業の1つで、世界シェアはソニーに次ぐ2位。今年2月以降は損益が改善傾向にあるが、激しい価格競争で赤字が続いている。



流通2強苦戦 前期、値下げ競争激しく セブン&アイ、純利益51%減る イオン、売上高初の減少
 総合小売り2強が消費不振の中で苦戦している。セブン&アイ・ホールディングスが8日発表した2010年2月期連結決算は純利益が前の期から半減、05年の持ち株会社設立後の最低水準に落ち込んだ。イオンは連結売上高が前期、初めて減った。幅広い商品が値下げに追い込まれたためで、消費者の節約志向が直撃した。
 「生活必需品を中心に価格下落が顕著だった」(セブン&アイの村田紀敏社長)。同社の10年2月期の純利益は前の期比51%減の448億円。不振が目立つのが総合スーパーや百貨店。傘下のイトーヨーカ堂は営業利益が82%減の17億円と過去最低に落ち込んだ。百貨店のそごう・西武も76%減の56億円に沈んだ。
 イオンも中核の総合スーパー子会社の既存店売上高が5.3%減少。客数は増えたが、客単価が6.5%下落した。前期の連結売上高は3%減ったもようだ。
 イトーヨーカ堂は購入額の一部返金キャンペーンを展開。イオンも08年秋以降、商品の値下げを積極化した。規模のメリットを生かし仕入れコストを削減するなどして値下げ原資としたが、効果は限定的となった。
 多様な業態を手掛けているが、下支え役に欠ける。セブン&アイは稼ぎ頭のコンビニエンスストアもスーパーなどとの価格競争に巻き込まれ前期は減益となった。イオンは専門店や金融などに事業を広げてきたが、規制強化などが響いている。
 拡大路線をとってきた両社はリストラを本格化している。イオンは前の期に最終赤字となる要因だった米衣料子会社、タルボットを売却。この結果、前期の最終損益を311億円の黒字(前の期は27億円の赤字)と、従来予想から76億円上方修正した。前期は営業増益も確保。「グループの重複機能を再編しコスト削減を徹底する」(イオン幹部)
 セブン&アイも不採算だった西武有楽町店の閉鎖を決めた。今期のヨーカ堂の閉鎖店舗数も計画より拡大する。
 足元ではリーマン・ショック以降の売り上げの大幅減少が一巡し、業績に改善の兆しも見える。セブン&アイは11年2月期の純利益を前期比2.2倍の1000億円と4期ぶりの増加を見込む。イオンは今期も営業増益となる見通しだ。ただ、消費回復の見通しは依然不透明。投資絞り込みやグループ再編などによるコスト削減が不可欠だ。



日経社説
富士通は投資家に説明せよ
 富士通元社長の野副州旦氏が昨年9月に無理やり辞任させられたとして、その取り消しを求めている問題は、野副氏が株主代表訴訟の準備に入るという事態に発展した。
 野副氏は3月29日付で会社に対し役員2人に50億円の損害賠償請求をするよう求める文書を送った。社長辞任によって、野副氏が考えていたニフティの再編が頓挫し、会社にそれだけの損害が出たとしている。
 株主代表訴訟の規定にもとづき60日以内に会社が提訴しないとき、野副氏は一株主として、会社に代わり訴えを起こすという。元社長と経営陣が法廷で争う心配が生まれ、富士通の混迷は深まるばかりだ。
 富士通は昨年9月、「病気療養のため」野副氏が社長を辞任したと発表したが、今年3月初め、辞任の理由を「野副氏が好ましくない企業との関係を続けていたため」と訂正。その直後に同社の株価は急落した。
 この不可解な訂正について会社は書面で発表しただけで、経営陣が記者会見などで説明したことはない。
野副氏から「そうした事実はない」と反論されても沈黙している。
 なぜ野副氏が辞めることになったのか、富士通で何が起こっているのか。株主も取引先も顧客も社員もわからず、不安が募っている。経営陣はただちに野副氏退任が決まった経緯を詳しく語るべきだ。
 上場企業としての自覚も問われる。企業の役員人事は経営戦略に影響するため、証券取引所が迅速で正確な情報開示を求めている。しかも今回はトップ人事だ。社長辞任の理由を当初、偽ったこと自体、経営陣は厳しく責められて当然だ。
 東京証券取引所は富士通に口頭で厳重注意し、斉藤惇東証社長は「事情が説明されると期待している」と富士通の自主的な対応を求めた。経営陣はそれに応える責務がある。
 富士通は発行済み株式数の35%を外国人が持ち国際的に注目度が高い。今回の問題で英国の経済誌は「日本の経営者たちの奇妙な立場を映している」と不透明さを指摘した。
 日本企業全体の信頼にかかわる問題でもあることを富士通の経営陣は認識してほしい。説明責任を一刻も早く果たす必要がある。
「強制でないなら」 孫社長、SIMロック解除を条件付き容認
 ソフトバンクの孫正義社長は8日、携帯電話端末を特定の通信事業者でしか使えないようする「SIMロック」の解除について、「強制でなくて選択ということであれば、いいのでは」と述べ、条件付きで受け入れる考えを示唆した。
 政府の成長戦略会議に関連して前原誠司国交相らと会談した後、同省内で記者団の質問に答えた。
 SIMロック解除をめぐっては、総務省が2日に同社などの通信事業者に解除を要請する方針を決めた直後、孫社長がミニブログ・ツイッターで、「端末代が4万円値上げになる。解除を強制すると、またしても総務省が原因で端末が売れなくなる」などと反発。
 これに対し、原口一博総務相がツイッター上で「総務省がビジネス・モデルを強制することは、ありません」と応酬するなど、論戦に発展していた。



メタルギアソリッドの小島監督、“ゲーム機のない未来”を予言
 世界的に有名なゲームクリエイターの1人、小島秀夫氏(46)によると、デジタルエンターテインメントの未来はゲーム機の――あらゆるゲーム機の――枠を超える見通しという。
 小島氏は、シリーズ累計2700万本以上を売り上げた人気ゲームタイトル「メタルギアソリッド」シリーズの生みの親。同氏によると、ゲームの未来はネットワーク上にあり、プレイヤーはいずれ、同氏の長年のパートナーであるソニーのような企業が提供するゲーム機から解放されることになるという。
 1987年に誕生して以来、進化を続けるメタルギアソリッドシリーズの最新作の発表の場で、小島氏は次のように語った。「近い将来、どのプラットフォームにも依存しないゲームが登場することになるだろう」
 「プレイヤーは自宅の居間や外出先、旅行中など、いつでもどこでも好きなときにゲームを楽しめるようになるだろう。同じゲームソフトをいつでも同じ環境で楽しめるということだ」とさらに同氏は続けた。
 これは、先ごろ東京で開かれた、シリーズ最新作「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」の完成披露発表会での発言だ。同タイトルはソニーのプレイステーションポータブル(PSP)用のソフトで、小島氏が開発と監督を担当、コナミが販売する。発売は4月下旬の予定だ。
 クリエイターとしての独自性だけでなく、ビジネスのやり手としても知られる小島氏が「ゲーム機なしの未来」を予言したことは、この発表会に同席していたソニー幹部にも動揺を与えたにちがいない。
 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の河野弘社長は少し慌てた様子でほほ笑みながら、「非常に大胆な予言だ」と記者団に語り、次のように続けた。「われわれは小島氏がプラットフォーム向けの開発を続けてくれるよう希望しているが、同氏のチャレンジ精神はわれわれも大いに尊敬している」



ソニーが消した「PS3でLinux」機能、「復活できる」とハッカーが主張

 ソニーがプレイステーション 3(PS3)にLinuxなどほかのOSをインストールする機能を無効化したが、ハッカーがこの機能を復活させる方法を見出したようだ。ソニーは「脆弱性に対応し、PS3コンテンツの著作権を保護するため」、4月1日のファームウェアアップデート(バージョン3.21)でこの機能を削除したが、早くもiPhoneのハッキングで有名なハッカーのジョージ・ホッツ氏が、その回避策を開発したと主張している。同氏によると、バージョン3.15よりも前のファームウェアにカスタムファームウェアをインストールすることで、バージョン3.21のファームウェアを使いながらも、ほかのOSをインストールする機能を残せるという。



<スーパーマリオ>最新作「ギャラクシー2」がWiiで5月発売 ヨッシーも復活
 任天堂の人気アクションゲームの最新作「スーパーマリオギャラクシー2」(Wii)が5月27日、発売されることが明らかになった。価格は5800円。
 「スーパーマリオギャラクシー2」は、07年11月に発売された「スーパーマリオギャラクシー」(Wii)の続編となる3Dアクションゲーム。主人公マリオが、「パワースター」を探して、複雑な仕掛けや強敵が待ち受けるさまざまな惑星を冒険する。「スーパマリオブラザーズ」シリーズでマリオの相棒としておなじみの「ヨッシー」も復活。マリオを乗せて、長い舌で敵や果物を飲み込んだり、ジャンプの飛距離を伸ばせる「ふんばりジャンプ」などに加え、新しいアクションも登場するという。



「まだ日本から学ぶこと多い」と韓国サムスン電子の李会長
 【ソウル=水沼啓子】8日付の韓国紙、朝鮮日報は、サムスン電子の李健煕会長が「まだ日本企業から学ばなければならないことが多い」と発言したことを紹介した。
 李会長は6日、日本経済団体連合会の次期会長に内定している米倉弘昌・住友化学会長と面会した席でこう発言したという。この日、サムスン電子は2010年1~3月期の営業利益が過去最高になるとの見通しを発表していた。
 朝鮮日報はこの発言について「(李会長は)業績に浮かれず、もっと学んで頑張らなければならないことを強調した」とし、「サムスン全体に危機意識を促したとみられる」と報じた。
 朝鮮日報によると、李会長はトヨタ自動車のリコール騒動の際、「世界最高のグローバル企業が倒れつつある。サムスンもどうなるか分からない」と危機感を募らせたという。



吉野家、3月も20%の大幅減 顧客離れで13カ月連続マイナス
 牛丼チェーン「吉野家」を運営する吉野家ホールディングスが8日発表した3月の既存店売上高は前年同月比20・6%減の大幅なマイナスとなり、13カ月連続で前年実績を割り込んだ。2けたの減少は昨年12月以降、4カ月連続。ライバルチェーンの相次ぐ値下げで、顧客離れが続いている。
 7日から牛丼並を通常の380円から業界最安値の270円に値引きする1週間限定のキャンペーンを始めたが、すき家が9日から、松屋も12日から250円に値引きするキャンペーンを実施。“吉野家包囲網”を敷いており、浮揚効果が限定的にとどまる可能性もあり、苦戦を強いられそうだ。



2009年の米電子書籍販売2・8倍  キンドルなど普及で
 米出版社協会(AAP)が7日発表した2009年の米国での書籍売上高(推計)によると、電子書籍の売上高が前年に比べて約2・8倍の約3億1300万ドル(約290億円)に達した。
 インターネット小売り大手アマゾン・コムの電子書籍端末「キンドル」やソニーの「リーダー」の普及が急増の理由。ソニーが米国で端末を投入した06年比では、売上高が約5・8倍となった。
 米電子機器大手アップルが3日に投入した新マルチメディア端末「iPad(アイパッド)」も人気が高く、AAPは「まだ具体的な予測をしていないが上昇傾向が続くのは確実だ」としており、今年も大幅増となるとの見方を示した。
 09年の書籍全体の売上高は、景気低迷の影響を受けて前年比1・8%減の約238億5600万ドルだった。



カード決済、個人情報なしで本人確認 NECが新たな認証技術
 NECはクレジットカードや社員証の正しい所有者かどうかを瞬時に判定できる新たな認証技術を開発した。氏名のような個人情報は暗号化して直接使わず、正規のカード会員や社員であるかだけを確認する。実用的な高速処理チップを完成させた。個人情報の不正利用の防止に有効とみて、2~3年内にクレジットカードや決済機能を持つ携帯電話などへの搭載を目指す。
 開発した技術は「匿名認証」と呼ばれ、個人情報を直接使わず認証する。この技術を組み込んだ実用的な大規模集積回路(LSI)の試作に成功した。
 現在のクレジットカードなどは氏名やカード番号のような個人情報を使って認証している。小売店でカードを提示すると、こうした個人を特定できる情報がカード会社との間でやりとりされる。外部に漏れた場合に情報の悪用の危険などが指摘されており、より安全な技術が求められていた。
 匿名認証では個人情報を直接使わず、「□□カードの会員」「○○会社の社員」「○○会社の△△部員」など所属グループの情報だけをやりとりして正規の利用者か見分ける。店頭でカード番号のような個人情報を入力する必要はない。匿名認証は複雑に暗号化するので、個人情報を使う現状に比べ確認に必要な計算量が10倍以上となり、実用化が難しかったが、NECのLSIをカードなどに組み込めばわずか0.1秒で照合できる。
 匿名認証の開発は米インテルやIBM、マイクロソフトなども急いでいる。いち早く開発に成功したNECは自社のLSIを普及させ、今後の国際標準規格づくりをけん引したい考え。



iPadがやってくる ドコモ、回線提供へ意欲(COLUMN)
 米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」の売れ行きに大きな影響力を持ちそうなのが携帯電話事業者。iPadは標準で無線LAN(構内情報通信網)機能を搭載するが、携帯回線の通信機能を搭載したモデルもある。販売奨励金を組み合わせて安価に販売されるようになれば広く浸透する可能性がある。携帯電話事業者も好調の「iPhone(アイフォーン)」に続けと、水面下でアップルとの交渉を進める。
 いち早くラブコールを送ったのはNTTドコモ。山田隆持社長は1月29日の決算会見で「大変興味を持っている。ぜひ前向きに取り組んでいきたい」と回線提供に意欲を示した。アップルは米国ではiPadに、携帯回線を特定事業者に限定しない「SIMフリー」を採用。通信方式や使用する周波数が対応すれば様々な携帯電話事業者が回線を提供できる。これを想定した発言だ。
ソフトバンクもアップルと交渉か
 同じくiPadの通信方式と周波数に対応しているソフトバンクモバイルの孫正義社長は「すばらしい製品だと心から思っている」とするだけで、回線提供にはノーコメント。ただ裏ではiPhone同様、国内で独占的に販売する権利を狙って交渉しているとみられる。アップルは日本でもSIMフリーで販売するとは明言していない。日本におけるiPhoneの販売実績を評価してソフトバンクに独占的に提供する可能性もある。
 アップルにも携帯電話事業者と組むメリットは大きい。iPadは端末やサービスで新たな魅力を提案したとはいえ、位置付けは小型・低価格パソコンの「ネットブック」と同じ。携帯通信端末とのセット販売でネットブックがヒットしたように、携帯電話事業者が販売奨励金を投入して本気で売れば、強力な推進力となる。
 iPadの売れ行きについて三菱UFJ証券の森行眞司シニアアナリストは「最初はアップルのファン層に確実に売れるが、キラーコンテンツが登場しない限り、頭打ちになるだろう」とみる。
 実はiPhoneもそうだった。発売後のブームが過ぎると販売が落ち込んだが、ソフトバンクが実質負担0円の販売キャンペーンなどで販促を強化したため、現在では国内累計出荷が200万台にも迫るヒットにつながった。アップルが携帯電話事業者と組んで日本でどのような販売を展開してくるのか――iPadの成否を占ううえで重要なカギとなりそうだ。
もろ刃の剣
 ただ、iPadは携帯電話事業者にとってもろ刃の剣でもある。iPadは通話を想定していないので携帯電話とは別の契約となり、動画の視聴などで通信量が増えれば契約当たり月間平均収入(ARPU)の底上げを期待できる。一方で、多機能携帯端末はスマートフォン(高機能携帯電話)と同様、端末から通信、付加サービスやコンテンツの料金回収までをまとめて手がける携帯電話事業者のビジネスモデルを崩していく。
 iPadではiPhone同様、ソフトやコンテンツの配信基盤をアップルが自ら手がけるため、iモードに代表される独自の付加サービスを携帯電話事業者が提供する余地はほとんどない。携帯電話事業者は回線を提供する「土管屋」にすぎなくなる。
 端末やソフト、コンテンツを誰もが自由に提供できる「オープン化」が徐々に進むなか、「携帯とパソコンの間」に登場するiPadは、携帯電話事業者に持続的な成長に向けた構造転換を迫る存在になる。
「強制でないなら」 孫社長、SIMロック解除を条件付き容認
 ソフトバンクの孫正義社長は8日、携帯電話端末を特定の通信事業者でしか使えないようする「SIMロック」の解除について、「強制でなくて選択ということであれば、いいのでは」と述べ、条件付きで受け入れる考えを示唆した。
 政府の成長戦略会議に関連して前原誠司国交相らと会談した後、同省内で記者団の質問に答えた。
 SIMロック解除をめぐっては、総務省が2日に同社などの通信事業者に解除を要請する方針を決めた直後、孫社長がミニブログ・ツイッターで、「端末代が4万円値上げになる。解除を強制すると、またしても総務省が原因で端末が売れなくなる」などと反発。
 これに対し、原口一博総務相がツイッター上で「総務省がビジネス・モデルを強制することは、ありません」と応酬するなど、論戦に発展していた。



メタルギアソリッドの小島監督、“ゲーム機のない未来”を予言
 世界的に有名なゲームクリエイターの1人、小島秀夫氏(46)によると、デジタルエンターテインメントの未来はゲーム機の――あらゆるゲーム機の――枠を超える見通しという。
 小島氏は、シリーズ累計2700万本以上を売り上げた人気ゲームタイトル「メタルギアソリッド」シリーズの生みの親。同氏によると、ゲームの未来はネットワーク上にあり、プレイヤーはいずれ、同氏の長年のパートナーであるソニーのような企業が提供するゲーム機から解放されることになるという。
 1987年に誕生して以来、進化を続けるメタルギアソリッドシリーズの最新作の発表の場で、小島氏は次のように語った。「近い将来、どのプラットフォームにも依存しないゲームが登場することになるだろう」
 「プレイヤーは自宅の居間や外出先、旅行中など、いつでもどこでも好きなときにゲームを楽しめるようになるだろう。同じゲームソフトをいつでも同じ環境で楽しめるということだ」とさらに同氏は続けた。
 これは、先ごろ東京で開かれた、シリーズ最新作「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」の完成披露発表会での発言だ。同タイトルはソニーのプレイステーションポータブル(PSP)用のソフトで、小島氏が開発と監督を担当、コナミが販売する。発売は4月下旬の予定だ。
 クリエイターとしての独自性だけでなく、ビジネスのやり手としても知られる小島氏が「ゲーム機なしの未来」を予言したことは、この発表会に同席していたソニー幹部にも動揺を与えたにちがいない。
 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の河野弘社長は少し慌てた様子でほほ笑みながら、「非常に大胆な予言だ」と記者団に語り、次のように続けた。「われわれは小島氏がプラットフォーム向けの開発を続けてくれるよう希望しているが、同氏のチャレンジ精神はわれわれも大いに尊敬している」



ソニーが消した「PS3でLinux」機能、「復活できる」とハッカーが主張

 ソニーがプレイステーション 3(PS3)にLinuxなどほかのOSをインストールする機能を無効化したが、ハッカーがこの機能を復活させる方法を見出したようだ。ソニーは「脆弱性に対応し、PS3コンテンツの著作権を保護するため」、4月1日のファームウェアアップデート(バージョン3.21)でこの機能を削除したが、早くもiPhoneのハッキングで有名なハッカーのジョージ・ホッツ氏が、その回避策を開発したと主張している。同氏によると、バージョン3.15よりも前のファームウェアにカスタムファームウェアをインストールすることで、バージョン3.21のファームウェアを使いながらも、ほかのOSをインストールする機能を残せるという。



<スーパーマリオ>最新作「ギャラクシー2」がWiiで5月発売 ヨッシーも復活
 任天堂の人気アクションゲームの最新作「スーパーマリオギャラクシー2」(Wii)が5月27日、発売されることが明らかになった。価格は5800円。
 「スーパーマリオギャラクシー2」は、07年11月に発売された「スーパーマリオギャラクシー」(Wii)の続編となる3Dアクションゲーム。主人公マリオが、「パワースター」を探して、複雑な仕掛けや強敵が待ち受けるさまざまな惑星を冒険する。「スーパマリオブラザーズ」シリーズでマリオの相棒としておなじみの「ヨッシー」も復活。マリオを乗せて、長い舌で敵や果物を飲み込んだり、ジャンプの飛距離を伸ばせる「ふんばりジャンプ」などに加え、新しいアクションも登場するという。



「まだ日本から学ぶこと多い」と韓国サムスン電子の李会長
 【ソウル=水沼啓子】8日付の韓国紙、朝鮮日報は、サムスン電子の李健煕会長が「まだ日本企業から学ばなければならないことが多い」と発言したことを紹介した。
 李会長は6日、日本経済団体連合会の次期会長に内定している米倉弘昌・住友化学会長と面会した席でこう発言したという。この日、サムスン電子は2010年1~3月期の営業利益が過去最高になるとの見通しを発表していた。
 朝鮮日報はこの発言について「(李会長は)業績に浮かれず、もっと学んで頑張らなければならないことを強調した」とし、「サムスン全体に危機意識を促したとみられる」と報じた。
 朝鮮日報によると、李会長はトヨタ自動車のリコール騒動の際、「世界最高のグローバル企業が倒れつつある。サムスンもどうなるか分からない」と危機感を募らせたという。



吉野家、3月も20%の大幅減 顧客離れで13カ月連続マイナス
 牛丼チェーン「吉野家」を運営する吉野家ホールディングスが8日発表した3月の既存店売上高は前年同月比20・6%減の大幅なマイナスとなり、13カ月連続で前年実績を割り込んだ。2けたの減少は昨年12月以降、4カ月連続。ライバルチェーンの相次ぐ値下げで、顧客離れが続いている。
 7日から牛丼並を通常の380円から業界最安値の270円に値引きする1週間限定のキャンペーンを始めたが、すき家が9日から、松屋も12日から250円に値引きするキャンペーンを実施。“吉野家包囲網”を敷いており、浮揚効果が限定的にとどまる可能性もあり、苦戦を強いられそうだ。



2009年の米電子書籍販売2・8倍  キンドルなど普及で
 米出版社協会(AAP)が7日発表した2009年の米国での書籍売上高(推計)によると、電子書籍の売上高が前年に比べて約2・8倍の約3億1300万ドル(約290億円)に達した。
 インターネット小売り大手アマゾン・コムの電子書籍端末「キンドル」やソニーの「リーダー」の普及が急増の理由。ソニーが米国で端末を投入した06年比では、売上高が約5・8倍となった。
 米電子機器大手アップルが3日に投入した新マルチメディア端末「iPad(アイパッド)」も人気が高く、AAPは「まだ具体的な予測をしていないが上昇傾向が続くのは確実だ」としており、今年も大幅増となるとの見方を示した。
 09年の書籍全体の売上高は、景気低迷の影響を受けて前年比1・8%減の約238億5600万ドルだった。



カード決済、個人情報なしで本人確認 NECが新たな認証技術
 NECはクレジットカードや社員証の正しい所有者かどうかを瞬時に判定できる新たな認証技術を開発した。氏名のような個人情報は暗号化して直接使わず、正規のカード会員や社員であるかだけを確認する。実用的な高速処理チップを完成させた。個人情報の不正利用の防止に有効とみて、2~3年内にクレジットカードや決済機能を持つ携帯電話などへの搭載を目指す。
 開発した技術は「匿名認証」と呼ばれ、個人情報を直接使わず認証する。この技術を組み込んだ実用的な大規模集積回路(LSI)の試作に成功した。
 現在のクレジットカードなどは氏名やカード番号のような個人情報を使って認証している。小売店でカードを提示すると、こうした個人を特定できる情報がカード会社との間でやりとりされる。外部に漏れた場合に情報の悪用の危険などが指摘されており、より安全な技術が求められていた。
 匿名認証では個人情報を直接使わず、「□□カードの会員」「○○会社の社員」「○○会社の△△部員」など所属グループの情報だけをやりとりして正規の利用者か見分ける。店頭でカード番号のような個人情報を入力する必要はない。匿名認証は複雑に暗号化するので、個人情報を使う現状に比べ確認に必要な計算量が10倍以上となり、実用化が難しかったが、NECのLSIをカードなどに組み込めばわずか0.1秒で照合できる。
 匿名認証の開発は米インテルやIBM、マイクロソフトなども急いでいる。いち早く開発に成功したNECは自社のLSIを普及させ、今後の国際標準規格づくりをけん引したい考え。



iPadがやってくる ドコモ、回線提供へ意欲(COLUMN)
 米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」の売れ行きに大きな影響力を持ちそうなのが携帯電話事業者。iPadは標準で無線LAN(構内情報通信網)機能を搭載するが、携帯回線の通信機能を搭載したモデルもある。販売奨励金を組み合わせて安価に販売されるようになれば広く浸透する可能性がある。携帯電話事業者も好調の「iPhone(アイフォーン)」に続けと、水面下でアップルとの交渉を進める。
 いち早くラブコールを送ったのはNTTドコモ。山田隆持社長は1月29日の決算会見で「大変興味を持っている。ぜひ前向きに取り組んでいきたい」と回線提供に意欲を示した。アップルは米国ではiPadに、携帯回線を特定事業者に限定しない「SIMフリー」を採用。通信方式や使用する周波数が対応すれば様々な携帯電話事業者が回線を提供できる。これを想定した発言だ。
ソフトバンクもアップルと交渉か
 同じくiPadの通信方式と周波数に対応しているソフトバンクモバイルの孫正義社長は「すばらしい製品だと心から思っている」とするだけで、回線提供にはノーコメント。ただ裏ではiPhone同様、国内で独占的に販売する権利を狙って交渉しているとみられる。アップルは日本でもSIMフリーで販売するとは明言していない。日本におけるiPhoneの販売実績を評価してソフトバンクに独占的に提供する可能性もある。
 アップルにも携帯電話事業者と組むメリットは大きい。iPadは端末やサービスで新たな魅力を提案したとはいえ、位置付けは小型・低価格パソコンの「ネットブック」と同じ。携帯通信端末とのセット販売でネットブックがヒットしたように、携帯電話事業者が販売奨励金を投入して本気で売れば、強力な推進力となる。
 iPadの売れ行きについて三菱UFJ証券の森行眞司シニアアナリストは「最初はアップルのファン層に確実に売れるが、キラーコンテンツが登場しない限り、頭打ちになるだろう」とみる。
 実はiPhoneもそうだった。発売後のブームが過ぎると販売が落ち込んだが、ソフトバンクが実質負担0円の販売キャンペーンなどで販促を強化したため、現在では国内累計出荷が200万台にも迫るヒットにつながった。アップルが携帯電話事業者と組んで日本でどのような販売を展開してくるのか――iPadの成否を占ううえで重要なカギとなりそうだ。
もろ刃の剣
 ただ、iPadは携帯電話事業者にとってもろ刃の剣でもある。iPadは通話を想定していないので携帯電話とは別の契約となり、動画の視聴などで通信量が増えれば契約当たり月間平均収入(ARPU)の底上げを期待できる。一方で、多機能携帯端末はスマートフォン(高機能携帯電話)と同様、端末から通信、付加サービスやコンテンツの料金回収までをまとめて手がける携帯電話事業者のビジネスモデルを崩していく。
 iPadではiPhone同様、ソフトやコンテンツの配信基盤をアップルが自ら手がけるため、iモードに代表される独自の付加サービスを携帯電話事業者が提供する余地はほとんどない。携帯電話事業者は回線を提供する「土管屋」にすぎなくなる。
 端末やソフト、コンテンツを誰もが自由に提供できる「オープン化」が徐々に進むなか、「携帯とパソコンの間」に登場するiPadは、携帯電話事業者に持続的な成長に向けた構造転換を迫る存在になる。
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