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シャープが「アンドロイド」で狙うソフトウエア戦略(COLUMN)
 シャープが日本メーカーでは初めて、米グーグルの携帯電話向けOS(基本ソフト)「Android(アンドロイド)」を搭載したスマートフォン「IS01」をKDDI向けに開発した。国内携帯電話機メーカー首位のシャープはアンドロイドOSで何を狙おうとしているのか。
アンドロイド採用に4つのメリット
 スマートフォン向けに登場したアンドロイドは、カーナビゲーションシステムなど携帯電話以外の分野にも広がりを見せつつある。さらに英ソニー・エリクソンや韓国サムスン電子、LG電子、米モトローラなど世界の主要メーカーが続々と機器開発に採用し、普及ペースが速まってきた。
 そこにシャープもIS01で加わることになる。情報システム事業本部パーソナル通信第3事業部の山下晃司事業部長は、メーカーから見たアンドロイド採用のメリットとして「商品性」「拡張性」「スピード感」「将来性」の4つを挙げる。
 商品性は、OSとしての完成度の高さやネットサービスとの連携のしやすさ、拡張性は設計情報を公開したオープンソースならではの特徴を指している。さらに、グーグルや採用メーカーの開発力で進化のスピードが速く、将来は他の製品分野にも応用できる可能性がある。携帯電話のほかに多くの情報家電製品を抱えるシャープにとって、アンドロイドは戦略上大きな意味を持つといえるだろう。
開発者を囲い込む環境を最重要視
 シャープの意気込みを示すのが、IS01の開発に合わせて開設したソフト開発者向けサイト「SH Developers Square」だ。シャープが独自開発した赤外線通信やサブカメラなどとのAPIを公開し、開発者がそれらを活用したアプリケーションを開発できる環境を整える。「他のメーカーでも採用できるようなものを可能な限り公開して、開発者の意欲を高めていきたい」(シャープ)。
 モバイルユーザーに最近人気の新サービスは、ミニブログの「Twitter(ツイッター」や動画中継サービスの「Ustream(ユーストリーム)」など、インターネット発のものが多い。かつては通信事業者が携帯向けサービスを先導していたが、主役はネットベンチャーへと変わりつつある。こうした新しい技術やサービスをいち早く取り込むには、世界のどこかにいる開発者にアプリケーションをつくってもらうのが近道。これからはメーカーが外部の開発者を囲い込む環境づくりが重要になる。
 シャープは市販用のIS01とは別に、開発者向けの専用端末「JN-DK01」も発売する計画。この端末はKDDIのネットワークには接続できないが、無線LAN経由でインターネットにつながる。OSの書き換えも可能で、アプリの評価や分析が簡単になる。アンドロイドの開発者が集う「日本Androidの会」にはすでに6000人を超える会員が参加しており、開発用端末の供給で彼らをいち早く味方につけようとしている。
メーカーがコンテンツ事業者に依頼
 国内の携帯電話市場はこれまで、大手通信事業者がそれぞれ異なるプラットフォームを採用し、メーカーが各社の仕様に合わせて製品を別々に開発してきた。アンドロイドというオープンプラットフォームの登場は、その構造にも変化を起こし始めている。
 一例がIS01に搭載された「Yahoo!」や「mixi」などのサイトにアクセスするミニアプリ「ウィジェット」だ。これらはKDDIが先導して集めたのではなく、シャープが声をかけてコンテンツ事業者に開発してもらったという。IS01の発売後は、これらのウィジェットを提供する環境をシャープが立ち上げて運用する。
 シャープは、アンドロイド端末をKDDI向けに限定するわけではない。いずれNTTドコモ向けやソフトバンクモバイル向けも投入するだろう。従来は通信事業者ごとに異なるプラットフォームだったが、アンドロイドならプラットフォームは共通で、通信事業者の独自仕様にはアプリで対応するという道が開ける。ソフト開発会社もそれぞれのプラットフォームに合わせて開発する煩わしさから解放される。アンドロイド上で開発したソフトをNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3社向けにそのまま提供できる環境がいずれくるかもしれない。
 シャープが今回開発したIS01は2台目需要を狙った製品だが、フルタッチパネルを搭載した1台目の端末として使えるスマートフォンの開発も進んでいるもよう。デバイスの競争力で携帯電話機メーカーとしてのブランドを確立したシャープが、ソフトウエア戦略でも新たな顔を見せようとしている。











韓国製テレビのマネを始めた日本メーカー(COLUMN2)
 一昨年のリーマン・ショック、その後の世界的な大不況の中、内外の電機メーカーは大幅な在庫・生産調整を強いられた。その後、緩やかなピッチではあるが、世界の個人消費は持ち直し、現在は中国など新興国市場の急成長に牽引される形で、各メーカーの生産は回復している。
 こうした中で、我が国の主要産業の1つ、電機の現状はどうなのか。身近な主力製品である薄型テレビを通して分析してみた。
世界シェア1位、2位を韓国勢が独占
 2009年11月、本サイトで「日本から『メイド・イン・ジャパン』が消える日」と題するコラムを掲載した。デフレ経済が長期化し、日本の消費者がそこそこの機能、そこそこのブランドで満足する傾向が強まるとともに、「かゆい所まで手が届く」フル装備の日本製品を買わなくなるのでは、と私見を交えてリポートした。
 同記事を掲載した直後、米国在住の旧知の金融関係者からこんなコメントをいただいた。「低価格の製品はもちろんだが、高機能な高級品でも日本製は既にシェアを落としている」
 この関係者によれば、米国の家電市場、特に薄型テレビの分野では「韓国のサムスン電子がトップブランドで、日本メーカーよりも商品の訴求力が強い」とのこと。日本の家電量販店の様子しか知らない筆者にとって、にわかには信じ難い話だが、これは紛れもない事実なのだ。
 米調査会社ディスプレイリサーチによれば、2009年の全世界ベースでのテレビ出荷実績(液晶・プラズマ・LEDの合計)は、サムスンが23%でダントツの首位。次いで同国のLG電子が13%。韓国勢2社で全体の30%を超えるシェアを占めた。
 日本勢を見ると、ソニーが3位で11%。4位のパナソニックが8%、5位のシャープが6%、6位の東芝が4%。上位4社を合計しても韓国勢2社に対抗できない状態となっている。
 この中には、もちろん値段の安い製品群も含まれているが、「高価格の大画面製品でも、韓国メーカーが日本メーカーを上回っている」(国内系証券会社のアナリスト)という。
日本のトップメーカーが韓国製品のマネを始めた
 こうした現状について、「韓国メーカーの実績は、ウォン安という追い風によって嵩(かさ)上げされたもの」(証券会社のディーラー)と見ることもできる。また、「韓国メーカーは中国市場の急成長を日本企業よりも一歩先にとらえただけ。サムスンは無理としても、LGからのシェア奪還は可能」(別のディーラー)と見る向きもある。
 だが、その見方は楽観的すぎるようだ。
 過日、日本のある有力部品メーカーのトップと会う機会があった。内外の大手電機メーカーと長年の取引実績があり、各社の注文に応じて精緻なオーダー部品を作る優良企業だ。
 ちょうど本稿の準備を進めていた筆者は、件の薄型テレビのシェアについて訊ねた。当初、筆者は先のディーラーのような考えを抱いていたのだが、期待を込めた思いは即座に打ち砕かれた。
 このトップはこう言い放ったのだ。「ここ1年程度の間に、X社が韓国製部品を徹底的に調べ上げ、ウチに注文を出してくるようになった」。X社とは誰もが知る日本のトップメーカーの1つである。
 技術革新のテンポが速い薄型テレビだけに、ライバル社の隅々まで調べるのは企業の開発姿勢としては当然だろう。が、このトップによれば、「従来、X社はオリジナルの設計にこだわり、他社の真似をすることがほとんどなかった。それなのに、最近はなりふり構わずという印象を受ける」と言うのだ。
 そのトップは、そう語りながら表情を著しく曇らせた。記者上がりの経験で言えば、トップの言葉にウソはないと見る。こうした生産現場の動向が先の調査結果に如実に表れた、と指摘したら言い過ぎだろうか。
高付加価値製品でも後塵を拝する日本メーカー
 現在、中国では、液晶を主体とする薄型テレビの好調が続いている。農村部では、「初めてテレビを買い求める農民層が、30インチ超の液晶を当たり前のように購入している」(外資系証券アナリスト)という。
 また、都市部では60インチ超の大型テレビが爆発的に売れ始めている。「都市部の住宅環境改善を背景に、一握りの富裕層だけでなく、公務員などの中流層にまで高額品を買い求める動きが広がりつつある」(同)ためだ。
 また、映画「アバター」の大ヒットが起爆剤となり、3D対応製品も市場に投入され始めた。ただし、超大型テレビ、3Dともに、開発で先行したのは韓国勢である。「日本企業はリストラや販路の整備などに時間を取られた」(別の外資アナリスト)ため、後塵を拝している。
 ここ数年で薄型テレビのコモディティー化が一気に進み、川下の価格競争が熾烈さを増しているのは周知の通り。「付加価値の高い製品を生み出さなければ、日本製品の地位が一層低下する」(同)ことは明らかだ。
 だが、日本のお家芸だった高付加価値製品についても、今や韓国勢が先を走っているのが実状。ある専門家は、「日本勢は部品・部材の調達、国際的な販売体制など、あらゆる面でガラガラポンのリセットが必要」(米系コンサルタント筋)との見方を示す。だが、その道のりは極めて厳しいと言わざるを得ない。
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ソーシャルゲーム、ブームの次に起きること(COLUMN1)
 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や携帯サイトで手軽に遊べるソーシャルゲームが世界的に急成長している。ソーシャルゲームをいち早く展開して成功した企業や開発者は、ソーシャルゲームが成功した理由やブームの今後をどのようにみているのだろうか。
 今年3月に米サンフランシスコで開催された世界最大のゲーム開発者向けカンファレンス「ゲーム開発者会議(GDC)2010」。米大手ゲーム会社エレクトロニックアーツ(EA)のゼネラルマネジャーであるベン・コーシンズ氏は、歴史的なイノベーション(革新)のパターンから、ソーシャルゲームがなぜ市場に受け入れられたかを分析した。
的中したゲーム産業についての予測
 コーシンズ氏は、07年にゲーム産業の未来について、いくつかの予測を公表している。そのうち、「任天堂のWiiが大失敗する」との予測はまったくはずれたが、それ以外はすべて現実になっているという。主な予測とは、次のようなものである。
・「ユーザー生成コンテンツ」が一般化する。
・ユーザーのローカルな機器ではなく、インターネット上のクラウド・コンピューティング環境にユーザーのデータを置くことが普通になる。
・シンプルなインターフェースが求められるようになる。
・これまでのゲーマー以外の大衆市場に広がりが生まれる。
・SNSが重要になる。
・ハイパーリンクの手法が多様化する(つまり、ブラウザーゲームが重要になる)。
・低スペックのパソコンで動くことが前提になる。
 これらの要素をすべて満たす代表例が、6000万人以上のユーザーを集める米ソーシャルゲーム大手Zyngaの農場系ゲーム「FarmVille」だという。コーシンズ氏の予測は、いまやソーシャルゲームの定義そのものといっていいほどだ。一方、家庭用ゲーム機向けゲームでは、これらの条件は一部しか実現されていない。
ウォルマートの歴史とゲームの関係
 では、なぜソーシャルゲームがこれほどユーザーの支持を集めているのか。コーシンズ氏は、米小売り最大手ウォルマート・ストアーズの成長を例に、今のソーシャルゲームブームを歴史的な必然だと説明した。
 自動車が普及する前の20世紀初頭の米国では、移動は徒歩や馬車であり、小麦や砂糖などを扱う商店では、店員と顧客が話しながら一品一品、量り売りで販売するのが一般的だった。それが1930年代になって大きく変わり始める。自動車の登場とともに1920年代には平らな道路が整備され、1940年代になると舗装が一般化する。1916年に今の「スーパーマーケット」に続く業態がテネシー州メンフィスに出現し、より多くの品揃えと巨大な駐車場を持つウォルマートや現代のショッピングモール方式へと発展していく。
 一方、街の小さな小売店は対面サービスの質は高いが、価格競争についていけず年々減少していった。この歴史のパターンは、「既存の家庭用ゲームと台頭するソーシャルゲームにそのまま当てはめることができる」とコーシンズ氏は指摘する。ゲーム業界にとっての自動車は安価なコンピューター環境であり、道路はブロードバンド回線というわけだ。
 既存の家庭用ゲームは質が高いが、ゲーム機を店舗で購入したり新作ゲームの情報を集めたりといった手間がかかる。一方、ソーシャルゲームという新しいジャンルは質では劣るが、価格が安いため気軽に始められる。「質が高いが不便」から「安くて便利」へ。ソーシャルゲームは誕生からまだ3年程度だが、すでに家庭用ゲームを上回る膨大な品揃えを整えつつある。
iPhone用ゲームの顔ぶれに変化
 昨年11月にEAに買収された「Facebook」向けソーシャルゲーム大手の英Playfish。共同設立者のクリスチャン・セーゲルストローレ氏は、別の観点からソーシャルゲームの将来を予測する。
 セーゲルストローレ氏は、ソーシャルゲームが誕生から約2年間で2億人のユーザーを集めるようになった現象を、動画サイト「YouTube」がオンライン動画の市場を創出した例になぞらえ、「YouTube効果」と呼んだ。そのうえで、これによって何が起きたかに着目する。
 YouTubeが出現しても「ヤフーのようなポータルサイトはなくなっていない」、家庭用ゲームも「モダン・ウォーフェア2」のような「高額な予算を投じた大ヒットタイトルは死んでいない」、無料ゲームが中心となったからといって「(ゲーム産業全体の)利益が消し飛んだわけでもない」――。つまり、新興ベンチャーと既存のゲーム企業との共存・競争がソーシャルゲームにも起きると、セーゲルストローレ氏は指摘する。
 実際、先行するアップル「iPhone」向けゲーム市場では、その現象が起こり始めている。08年にアップルのアプリケーション販売サービス「App Store」がスタートした直後は、ビールを飲む「iBeer」のようなアイデア一発のアプリが大ヒットした。
 ところが現在、ランキング上位にいるのは「ロックバンド」「グランドセプトオート」「シムズ3」「Madden NFL 10」「アサシンクリード2」などで、上位10位のうち8タイトルは家庭用ゲーム機向けなどでブランドが確立されたタイトルだ。
 この傾向は、「ソーシャルゲームにも広がるだろう」とセーゲルストローレ氏は予測する。今後、多くの企業が既存タイトルをベースとしたソーシャルゲームを強化していくだろう。ソーシャルゲーム市場は一見多様な選択肢があるようだが、すでに最初の混沌期を終え、次の競争段階に入ろうとしている。



注目の新サービス「エバーノート」はここが便利(COLUMN2)
 モバイルパソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)を駆使するビジネスパーソンが増えているが、仕事に必要な書類や資料を社外からチェックするのは意外に難しい。そんなニーズに応えようと、あらゆる形式のデジタルデータを様々な端末から閲覧・更新できるようにしたのが、米国発のオンラインサービス「Evernote(エバーノート)」だ。日本でも先進ユーザーの間では知られていたが、今年3月に日本語版が始まり、多くの人にとって使いやすくなった。
 会社のパソコンに保存した文書や表計算、画像などのファイルを自宅や外出先、通勤途中で見るには、USBメモリーにコピーして持ち歩いたりメールで送ったりする必要がある。しかし、すべてをコピーしている暇はないし、そもそも携帯電話やスマートフォンなどでは、表示するのが難しい形式のファイルもある。
 エバーノートは、こうした異なる形式の電子データをネット上で一元的に管理して、パソコンやモバイル機器で共有できるようにするサービスだ。2006年8月設立の米エバーノート(カリフォルニア州)が08年6月に一般向けのベータ版サービスを開始し、09年11月時点で約200万人が利用しているという。
 エバーノートには、アップロードできるデータ上限が月間40メガバイト(MB)までの無料版、月額5ドル(または年間45ドル)で上限が500MBまでの有料版の2種類があり、どちらも日本から登録できる。近く日本法人を設立し、日本語への対応などを強化していく予定という。
一般的な「ネットストレージ」とどこが違う?
 エバーノートの基本的な仕組みは、パソコンに取り込んだ専用ソフトを使ってテキストや画像の電子ファイルをインターネット上のサーバーに送り、自動保存するというもの。外出先などでは、同じく専用ソフトを載せたノートパソコンやスマートフォンをネット接続すれば、保存したファイルをいつでもどこでも閲覧したり編集したりすることができる。
 こうした機能を持つ「ネットストレージ」のサービスはすでに数多くあり、各種ファイルを保存したり、パソコン上のデータと同期させたりすることができる。エバーノートがこれらと違うのは、保存したファイルをほぼ自動できめ細かく分類管理し、検索できるようにする機能を豊富に備える点にある。ネットストレージがファイルの保管を目的としたサービスであるのに対し、エバーノートはさまざまなデータを系統立てて整理するデータベース的サービスと考えるとわかりやすいだろう。
左のウインドウ(赤で囲んだ部分)に並ぶ属性情報をクリックすると、その属性にマッチしたデータを中央のウインドウに表示する
 エバーノートでは日付や更新日はもちろん、画像やテキストなどファイルの種類、データを作成した機器といった属性情報を細かく把握し、それを基にファイルを自動で分類して、整理している。また、ユーザー自身が「タグ」という整理用のキーワードを付けることもできる。緊急で素早く処理しなければならない案件を記したファイルに「至急」というタグを付けて保存すれば、「至急」と検索窓に入力するだけで探し出せるようになる。
 もう一つの特徴が、画像データをOCR(光学式文字読み取り装置)にかけ、画像内の文字をテキストデータとして管理する機能だ。このテキストデータは検索に使用する。例えば保存した画像を「調理」というキーワードで検索すると、「調理」という文字を含む画像ファイルとともに、「調理」の文字を強調した画像を表示する。名刺を交換したらすぐにスマートフォンのデジタルカメラ機能で撮影し、エバーノートに保存して検索できるようにしておく、というビジネスユーザーも多いという。
 使い方は簡単だ。エバーノートのサイトで無料会員または有料会員の登録をしたうえで、専用ソフトをパソコンにダウンロードしてインストールする。米アップルの「iPhone」やグーグルの携帯電話向けOS「Android(アンドロイド)」を搭載するスマートフォンで使う場合は、それぞれのアプリケーション配信サービスからダウンロードする。専用ソフトはいずれも無料だ。
 なお、専用ソフトを使わずにエバーノートのサイトにログインするだけでも、専用ソフトと同じ機能を利用することができる。フルブラウザーが使える携帯電話なら、専用ソフトが用意されていない機種でもエバーノートの機能を使える可能性がある。
 無料版の「スタンダード」アカウントで扱えるのは、各種画像ファイルやテキストファイル、PDFファイル、音声ファイルなど。有料版の「プレミアム」アカウントでは、マイクロソフト「オフィス」の「ワード」や「エクセル」をはじめ、すべてのファイル形式に対応する。検索の範囲も広がる。
 画像に写った名刺などの文字の読み取りは、斜めになっていたり手書き文字でない限りは、精度が高い。保存できる容量がひと月あたり40MBの無料登録では、画像1枚の容量を大きくできないが、解像度を800×600ドット、色数を256色まで落とした名刺のデータ(224キロバイト)でも、住所や名前、電話番号などをほぼ間違いなく認識できた。
 ウェブページを保存する「Webクリップ」という機能もある。ただ、フレームやプルダウンメニューを使用するウェブサイトは、取り込んでも表示が崩れてしまうことが多かった。便利な機能ではあるが、インターネットエクスプローラーやファイアフォックスなどのブラウザーで利用できる同じような追加ツールの方が、表示は正確だ。
ソフトを標準搭載する機器も登場
 3月3日に日本語サービスが始まり、パソコンでは「ウィンドウズ」と「マックOS X」、スマートフォン向けでは、iPhoneやアンドロイド携帯、Windows Mobile搭載端末などの日本語版専用ソフトが公開された。ソニーのパソコン「VAIO」シリーズ、NTTドコモが4月1日に発売したアンドロイド携帯「エクスペリア」など、エバーノートの専用ソフトを標準搭載する機器も増え始めている。まずは無料登録で主な機能を試してみるといいだろう。
New auto alliance result of fuel efficiency needs
The worldwide reorganization of the automobile industry based on green technology is continuing with the creation of yet another large-scale alliance.
The Nissan Motor Co.-Renault SA alliance and Germany's Daimler AG have announced that they plan to form a capital and business tie-up.
Under the deal, the Nissan-Renault alliance and Daimler would hold a stake of about 3 percent in each other and cooperate broadly in various areas, including the development of small and compact cars and environmental technology.
This alliance indicates that even the world's leading automaker may not be able to survive on its own if it lags behind in the development of green technology and eco-friendly vehicles. Similar reorganizations are expected in the months ahead.
We hope Japanese automakers manage to steer along this bumpy road by improving their development capability and technological prowess.
Renault and Daimler, which vied with each other over forming a capital tie-up with Nissan 11 years ago, have long been rivals. The reason these two European automakers united is to grapple with increasingly tighter fuel efficiency requirements to help tackle global warming on a worldwide scale.
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Tough European regulations
In Europe, the world's toughest fuel efficiency requirements will be introduced in stages, starting in 2012. To meet these requirements, automakers will have to improve the average gas mileage of new vehicles by about 20 percent from current levels.
Daimler, which makes Mercedes-Benz and other large luxury cars as its core products, needs to increase the sales ratio of its fuel-efficient small and compact cars as quickly as possible.
On the other hand, Renault, which relies mainly on small cars, had been studying the possibility of supplying small cars to other automakers to offset sluggish sales in the wake of the worldwide economic recession.
The latest alliance has been realized in a form of an alliance between Renault and Daimler in the small and compact car segment, with Nissan joining in.
Nissan is reportedly interested in Daimler's diesel engine technology and cost-cutting effects through the standardization of chassis and parts with the German firm.
The combined global sales of the three automakers last year exceeded 7 million units, following sales of the Suzuki-Volkswagen alliance and those of Toyota Motor Corp.
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Complementing weaknesses
However, the primary aim of the latest alliance lies in complementing each other's weaknesses, rather than expanding their scale.
Under the Suzuki-Volkswagen alliance, which was formed late last year centering around the development of small and compact cars, the cross-holding ratio of the two automakers is less than 20 percent.
The PSA Peugeot Citroen Group, which had been studying the possibility of taking a stake in Mitsubishi Motors Corp., has ultimately opted for a business tie-up with MMC in electric vehicles.
The automobile industry is entering a transitional period characterized by an accelerating trend to depend less on gasoline as a means of operating automobiles, the fast-growing automobile market of emerging economies, and the decline of the U.S. Big Three automakers.
The latest alliance, whereby automakers will join hands in their respective fields of expertise, while respecting each other's corporate management independence, seems to be aimed at flexibly responding to these changes as well.
If the expected results do not emerge, however, the partnership will not last long. The three automakers' management capabilities will be tested by how they make use of their respective strengths and what sort of strategies they work out.
携帯電話事業者には敵か味方か 無線LANの逆襲(COLUMN)
 携帯電話業界の2010年度は、スマートフォン(高機能携帯電話)で幕を開けた。NTTドコモが4月1日に英ソニー・エリクソン製の「Xperia」を発売し、ソフトバンクモバイルが台湾HTC製の「HTC Desire」、KDDIがシャープ製の「IS01」と東芝製の「IS02」で追いかける。これらの機種にはすべて、無線LAN機能が搭載されている。
ユーザーが3Gと無線LANを使い分け
 ネット接続を前提としたスマートフォンは、音楽、画像、動画などを扱うアプリケーションを内蔵する。アプリを後からダウンロードして追加する仕組みも備える。大容量のデータを使う頻度が多いため、第3世代携帯電話(3G)のデータ通信網よりも安価で高速な無線LANは必須の機能となる。
 実際、スマートフォンユーザーには、無線LANの活用が浸透しているようだ。NTTドコモで無線LAN事業を担当する後藤義徳ユビキタスサービス部サービス運用担当部長は、「公衆無線LANサービスに接続するアクセス数の3分の1は、スマートフォンとその関連機器」という。
 米アップルの「iPhone」のヒットを受け、日本でもスマートフォン市場への期待が急速に高まり始めた。NTTドコモの山田隆持社長は「スマートフォンは09年度は200万台程度売れたようだ。まだ全携帯電話の1割にも満たないが、米国のように2割程度売れる時代が日本にもそう遅くなく来る」と期待する。携帯各社の力の入れ方から見てもスマートフォンが今年のトレンドとなるのは間違いないだろう。
「無線LANに逃がさないと3G網がパンク」
 携帯電話事業者の中でもソフトバンクモバイルは、特に無線LANの活用に積極的だ。09年11月の発表会で無線LAN機能搭載の携帯電話を8機種発表。孫正義社長は「Wi-Fiのついていない携帯電話は携帯電話ではないといわれる時代が来るだろう」と述べ、以後も携帯電話機に無線LANの搭載を広げていく方針を示した。
 今年3月には、無線LAN基地局(アクセスポイント)の開設を希望する企業や店舗に無線LANルーターを無償で提供すると発表。ブロードバンド回線を持たない場合には専用のADSLサービスも無料で提供するという。これは携帯電話機が無線LAN経由で接続する経路を増やす後方支援策だ。
 ソフトバンクモバイルがここまで無線LANに傾倒する裏には「トラフィックを無線LANに逃がさないと携帯のネットワークがパンクする」(松本徹三副社長)という事情がある。割り当てられた周波数帯域がNTTドコモやKDDIに比べて狭く、一部のユーザーからつながりにくいと指摘されることが多い同社は、「無線LANを(トラフィックの)緩衝地帯として使い、3Gと合わせて全体としてバランスを取る」(松本副社長)という考えだ。
ドコモもKDDIもまだ様子見
 一方、NTTドコモとKDDIはここまで積極的な姿勢を見せていない。
スマートフォン2機種を発表するKDDIの高橋誠執行役員常務
 スマートフォンではない携帯電話では、NTTドコモは3機種、KDDIは2機種に無線LAN機能を搭載する。さらにNTTドコモは「ホームU」、KDDIは「Wi-Fi WIN」と呼ぶ携帯電話機から無線LAN回線経由でインターネットへの接続や大容量データのダウンロードなどができるサービスを展開している。それでも無線LAN機能を搭載する端末の拡大については「ユーザーの様子を見ながら検討する」と口をそろえる。
 無線LAN事業に詳しい関係者は「携帯電話事業者はネットワークに負荷がかからない程度にトラフィックを逃がしたいが、トラフィックの大半が無線LANに流れるのは困るのだろう」とその理由を推測する。携帯電話網で上げる収益とネットワークにかかる負荷のバランスを取りながら、無線LANの扱いを見極める考えのようだ。
 移動体通信事業者としては後発のイー・モバイルとUQコミュニケーションズは、前の3社とは考えがやや異なる。イー・モバイル経営戦略本部商品企画部移動機グループの加藤一郎課長は「無線LANインフラがエリア面や速度面で当社の3Gサービスを補完する存在となる」と期待する。
 UQコミュニケーションズは、現在の無線LAN機能と同じようにモバイルWiMAX機能がノートパソコンに標準搭載される状況を待つ。現時点ではWiMAXのモジュールが高価なため、標準搭載には至っていないが、「いずれモジュールは無線LANと一体化する」(田中孝司社長)。現在はWiMAXの契約者に無線LANサービスを無料オプションとして提供し、WiMAXで届かないエリアを無線LANで補いながら、WiMAXのエリア拡大を進めている。
モバイル・トラフィックは毎年2倍増に
 スマートフォンの普及や大容量データを扱うサービスの増加に伴い、携帯電話網のトラフィックが今後さらに伸びることは間違いない。スウェーデンのエリクソンは今年3月、「世界のモバイルデータのトラフィックは過去2年間に年率280%の勢いで増加しており、今後5年間は毎年2倍のペースで伸びる」との予測を公開した。
 こうした事態に備え、携帯電話事業者は新規周波数帯の獲得や次世代技術「LTE(long term evolution)」の導入を急ぐが、トラフィックの伸びに対応できるかは予測がつかない。ソフトバンクモバイルは現時点では極端な例かもしれないが、トラフィックの変化次第では他の事業者もなんらかの対策を迫られる可能性がある。
端末と通信サービスの分離が始まった
 アップルが3G機能を搭載しない多機能端末「iPadを発売したように、携帯電話事業者から端末を引き離す動きが広がり始めた。この状況に対して、携帯電話のMVNO(仮想移動体通信事業者)である日本通信の福田尚久専務・最高執行責任者(COO)は「サービスと通信のハードウエアの分離が始まった」と表現する。
 端末メーカーからすると、クラウドとデータをやり取りする通信を絡めたサービスでも、携帯電話ネットワークは必須のものではなくなったという意味だ。通信事業者を特定し端末に制約をかけるのではなく、ユーザーに通信事業者を選ばせるというモデルが現実のものになっている。そして端末と端末から分離した通信事業者のハードウエアをつなぐのが無線LANである。イー・モバイルの「PocketWifi」はこのモデルを小型の専用端末で実現したことが受け、ヒットにつながった。
 総務省は、携帯電話端末を特定の通信会社でしか使えないようにする「SIMロック」の解除についてガイドラインを6月末にもまとめる。これも携帯電話機と通信事業者の回線を分離する施策にほかならない。
 端末やそれと連動するネットワーク上のクラウドサービスの魅力が高まるなか、両者をつなぐ通信サービスでユーザーの選択肢が広がってきた。この新しいエコシステムを形成する上で、無線LANがひっそりとしかし着実にその地位を確保しつつある。



ブロードバンド網「全家庭に毎秒100メガ回線を」 原口総務相
 原口一博総務相は10日に福岡市で記者会見し、2015年にすべての家庭でブロードバンドサービスを利用できるようにする構想に関し「(毎秒)100メガビット以上の回線を敷きたい」との意向を語った。現在でも光回線を使った毎秒100メガビット以上のサービスはあるが、全家庭で実際に使う速度としては高いハードルといえそうだ。
 ブロードバンドサービスを巡っては、米オバマ政権が20年までに毎秒100メガビットのサービスを利用できるようにする目標を打ち出している。



生活関連企業、中東・中南米を開拓
バンダイナムコや良品計画、成長市場へ布石
 生活関連の大手企業が中東・アフリカや中南米市場を開拓する。玩具大手のバンダイナムコホールディングスはメキシコに販売会社を設立、「無印良品」の良品計画は年内からイスラエルで出店を始める。ユニ・チャームは2012年度、エジプトにアフリカ初の紙おむつ工場を稼働させる。内需型企業は海外戦略の中核にアジアを据えてきたが、同じ成長市場の中南米や中東にも布石を打ち、将来の柱に育てる。
 バンダイナムコはこのほどメキシコ市に販社を設立。キャラクター玩具といった男児向け製品を生産地の中国などから中南米に輸出する。海外事業の大半は欧米とアジアだが、3年後に中南米で売上高20億円を計画。玩具メーカーの中南米への本格進出は初めて。
 良品計画はテルアビブに家具や文具の店を開業し、イスラエルで当面5店に増やす。製品は主に中国で生産する。欧州・アジアを中心に海外118店を運営するが、中東は初めて。日本の小売りの中東進出は珍しい。
 国際通貨基金(IMFによると、10年の経済成長率見通しは日本や米国が2%前後にとどまる一方、アフリカは4.3%、中東は4.5%。ブラジルは4.7%、メキシコも4.0%で、東南アジア諸国連合主要5カ国地域とほぼ同じ高い伸び。人口が増加するこれら地域は生活関連産業にとり有望市場だけに、生産拠点整備も本格化している。
 紙おむつ世界3位のユニ・チャームは数十億円かけてエジプト工場を建設し、アフリカ・中東に低価格品を供給する。今回で海外12カ国・地域での世界生産体制が整う。



政府、企業の水ビジネス一括受注を支援
新興国市場に照準、25年までに1.8兆円めざす
 政府は民間のプラントや化学、商社などの企業と連携し、海外で水関連ビジネスの獲得に力を入れる。政策金融を拡充して官民連携を促進し、上下水道の整備などで設備設計から部品調達、運営・管理まで一括して日本企業が受注できる体制を整える。フランス企業などに比べて出遅れている水ビジネスで巻き返し、日本勢の獲得額を2025年までに現在の10倍以上に増やすことを目指す。
 経済産業省の「水ビジネス国際展開研究会」(座長・伊丹敬之東京理科大大学院教授)が12日に報告書をまとめる。研究会には三井物産や日東電工、東レなど水ビジネスを展開する民間企業も参加している。研究会は報告書で国際的な大型受注を獲得する具体策を打ち出し、政府が6月にも決める新成長戦略の重点項目に盛り込む。
 報告書は上下水道の整備や海水の淡水化などの分野で、世界の水ビジネスの市場規模が急拡大すると予測。現在、年間で1千数百億円にとどまる日本勢の獲得額を、25年までに1兆8千億円に増やすという目標を掲げる。



たちあがれ日本 政界再編の種火になれるか(4月11日付・読売社説)
 民主、自民の2大政党が招いた政治の閉塞(へいそく)感に対する危機意識を、前面に打ち出した新党だ。
 平沼赳夫・元経済産業相や与謝野馨・元財務相らが、新党「たちあがれ日本」を結成した。
 結党の「使命」として、「打倒民主党」「日本復活」「政界再編」の三つの柱を掲げた。
 平沼代表と与謝野共同代表は記者会見で、民主党に政権を任せていれば、「日本が没落する」と批判した。同時に、政権奪還の気迫に欠けると、自民党にも不満を表明し、「反民主・非自民」の立場で活動する考えを強調した。
 当面は、今夏の参院選での与党過半数獲得阻止に全力を挙げるとし、比例選のほか、東京など改選数3以上の選挙区選に候補者を擁立する方針という。
 基本政策では、税制抜本改革を筆頭に挙げた。与謝野氏は月刊誌の論文で、消費税率の引き上げに取り組むとしている。あえて国民に負担を求める増税に言及したのは、責任ある態度といえる。
 民主党は、子ども手当の支給をはじめ、恒久財源なき恒久政策を進めている。社会保障分野の財源確保や財政再建のための方途について、民主党との間で議論を戦わせてもらいたい。
 超党派による自主憲法制定や、外国人への参政権付与反対なども掲げた。民主党内は、いずれの問題も推進論と慎重論が混在している。こうした国の基本にかかわる諸問題についても、論争を深めていく必要があろう。
 一方、山田宏・東京都杉並区長ら自治体の首長や首長経験者が、「コスト意識のない民主党の政治を傍観できない」として、近く新しい党を結成する予定だ。
 「反民主」の姿勢で共通する新党の相次ぐ旗揚げは、参院選での民主批判票を分散させ、民主党を利するだけではないか、という見方も出ている。
 自民党の若手・中堅議員が、谷垣総裁ら現執行部への批判では与謝野氏らに同調しながら、新党参加を見送ったのは、こうした懸念もあったものとみられる。
 ベテラン議員だけのスタートとなったが、与謝野氏らは、今回の新党結成を政界再編に向けた「最後のご奉公」としている。
 政界再編の端緒をひらくことができるか。
 そのためには、再編の対立軸となり得る国家ビジョンや、それを実現するための具体的な政策を提示して、論戦をリードすることが求められる。
バンダイナムコは子会社社長を降格、SCEは実質解 惨状を極めるゲーム業界の未来を考える(COLUMN)
 昨年末にゲーム業界をじわじわと覆い続けた暗雲は、今年2月激震となって業界を襲った。
あのSCEが実質的な解体
ひとつの時代が終わった
 その第1弾が、業界大手バンダイナムコゲームスの利益下方修正発表。200人におよぶリストラ特損の計上で、持ち株会社であるバンダイナムコホールディングスが、10年3月期の当期利益予想を85億円の黒字から310億円の赤字に修正した。同時に、ゲームスの鵜之澤伸社長が4月1日に副社長降格になる人事も発表されるなど、”和をもって尊しと為す”企業文化がモットーのバンダイナムコらしからぬ状況に業界中が震撼させられた 。
 第2弾は、ソニー。「プレイステーション(PS)シリーズ」を擁する子会社、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の実質上の解体だ。
 親会社のソニーはSCEをまず「SNEプラットフォーム」という名称に変更、ゲーム機やソフトの開発、販売部門を新SCEに引き継いだ後、残ったネットワーク部門を吸収合併するという。
 この残ったネットワーク部門は、ハワード・ストリンガー会長が目指していたコンテンツビジネスを担う。たとえば、同社のテレビ「3D対応ブラビア」や「PS3」などの端末を使った、「ソニーオンラインサービス」を展開する予定だという。
 実は今回の目的については、業界関係者の間でも判断が分かれており、「事実上の会社整理」、「会計上のテクニックの問題」という声もある。だが、プレイステーション3以降の赤字は、東芝に売却したセル工場の売却損4000億円を含めると、9000億円にも達している。「もはやこれ以上、親会社もSCEを放置できなかったのでは。今後は状況によっては解散も選択肢に入っているでしょう」というのが大勢だ。
 SCEといえば、”ソニー”グループの一員でありながら、「反ソニー」精神を掲げてきたことで知られている。その旗手が、”プレイステーションの父”として知られる、久夛良木(くたらぎ)健同社名誉会長だった。
 PS2が発売された1999年、不振にあえぐ本社の方針によって、SCEはソニーの完全子会社となったが、その時の久夛良木氏の「アルツハイマーの親(本社)を子(SCE)が面倒見ることになりました」という台詞(せりふ)が象徴的だった。当時を知るソニー関係者はこのSCEの顛末について複雑な思いでいるに違いない。
 だが、昨年秋には久夛良木氏自身をのぞいて、社内では久夛良木色も一掃された。現在は親会社の副社長でもある平井一夫氏が、SCE社長も兼任する完全な平井体制であり、今回のSCEの出来事は、ひとつの時代が終わったことを告げているのかもしれない。
中小のソフトハウスがバタバタ倒産
今のゲーム業界は最悪の状況 
 大手が悲惨なら、中小も当然無事では済まない。事実、福岡のソフトハウス、シングは3月1日、負債総額2億5600万円で破産手続きに入っている。シングは、任天堂発売「アナザーコード:記憶の扉」(ニンテンドーDS用) などの開発元として知られ、業界内でも”勝ち組ソフトハウス”と見られていた。それだけに、「あのシングまでが」と絶句した業界人は少なくない。 
この倒産は、カプコンの常務執行役員・稲船敬二氏によると、氷山の一角でしかないようだ。「今のゲーム業界は最悪な状態。年があけてから、中小のソフトハウスがバタバタと倒産している。私も最近よく泣きつかれますよ。カプコンさん、なんとかしてくださいよって」。
 この発言は、3月6日に福岡市で開催された「第2回ゲームフロンティアin福岡」(主催・福岡ゲーム産業振興機構)での基調講演のもの。人材育成を目的としたイベントでは、それなりに夢に包まれた話が語られるものだが、語られた内容といえば、「今のゲーム業界は最悪の状況」という言葉に象徴される悲惨な話ばかりだった。
 現在のゲーム業界の悲惨な状況の原因について、不景気を挙げる人は多い。確かに、現在の不況は、100年に1度の不景気の影響も受けてはいる。だが、今回の場合もそれは結局のところ外部要因でしかない。主要因はゲーム業界特有の構造にある。
 ゲーム業界の景気と、家庭用ゲーム機、いわゆるハードの盛衰には密接な関係がある。程度の差こそあれ、ハードの盛衰とともに、 業界は栄え そして不景気になった。この状況を、任天堂が1983年に「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」を発売して以降、ゲーム業界はずっと繰り返してきたといっていい。
 業界の不景気をニューディール(新規巻き直し)するかのように、ファミコンに続いて次々と新ハードは発売されてきた。任天堂のスーパーファミコン、ソニーのプレイステーションシリーズ、そして現在はニンテンドーDSと、それぞれの大ヒットとともに業界は潤い、そして衰退した。その繰り返しを業界の歴史としてとらえることは、あながち間違ってはいないだろう。
 なぜ、ハードメーカーだけが業界の景気をニューディールできたのか。そのヒントを旧大蔵省の金融業界に対する護送船団方式から得ることができる。
かつての日本の金融界と同じ
ゲーム業界の護送船団方式が崩壊
 日本の金融業界は1996年の金融ビッグバンを迎えるまで、旧大蔵省による護送船団方式の下に置かれていた。つまり、旧大蔵省によって金融機関は破たんから守られていたわけだが、旧大蔵省をハードメーカー、金融機関をソフトメーカーと置き換えると、そのままゲーム業界の話になる。
 ハードメーカーは市場拡大を目指すために、有力ソフトメーカーに自分たちのハード用にソフトを作ってもらうようお願いする。だが、一方のソフトメーカーはハードに参入する際、ロイヤリティーを支払わねばならないため、様々な見返りを要求する。すると結果的に、ハードメーカーがソフトメーカーを守る護送船団が誕生する。
この護送船団方式の好例が、ソニーのPS、PS2期(1997年~2004年)で、この時期にソニーとともに業績を飛躍的に伸ばした日本のソフトメーカー、ソフトハウスは多い。いわば、”プレイステーション”というエコシステムの下で業界各社は潤っていた。そのため、PS2の後継機「PS3」でも、同じようなビジネスモデルを望んだソフトメーカーは多かったのだが、残念ながらそれはうまくはいかなかった。
 それでは、任天堂の家庭用ゲーム機「Wii」でがんばればいいかというと、話はそう簡単ではない。Wiiで儲かっている日本のソフトメーカーの話は聞こえてこないからだ。
 たとえば「モンスターハンター3」を投入したカプコンですら、実質売上が100万枚も超えていない。この状態は、PS3の護送船団が壊滅状況のソフトメーカーからすれば、死活問題である。
 一方、任天堂は 10年3月期決算内で、全世界で1000万枚級のヒットを3本飛ばしている。その3本とは「Wii Sports Resort」(1358万本)、「Wii Fit Plus」(1016万本)、「New スーパーマリオブラザーズ Wii」(1055万本)だ。
 任天堂はもはや自社ハードにおける護送船団を形成する必要がなく、最悪、任天堂1社になってもやっていける状況だ。もちろん、有力ソフトメーカーとはケース・バイ・ケースで付き合ってはいくだろうが、業界全体を抱え込むような、コストのかかる護送船団方式はもはやとらないだろう。
 それだけに、SCEに対する期待は高まっている。今秋SCEは、任天堂のwiiリモコンと同じように、振って遊ぶモーションコントローラ「プレイステーション ムーブ」を発売予定だが、それに伴って「夢よもう一度」ということで、SCEによるPS3護送船団の復活を望む声は強い。今後のSCEの行方を、業界全体が見守っている。
「ゲームのハリウッドを目指す」
新勢力「福岡」興隆の秘密
 だが、ハードメーカーによる護送船団方式の復活は、本当に現在のゲーム業界の不況を救う手段になるのだろうか。たしかに、それは対症療法にはなるだろうが、抜本的な解決策にはなり得ないだろう。
 それを実感させるのが、現在の福岡の状況だ。たしかに、シングの倒産という悲劇的な出来事はあったものの、福岡には「レベルファイブ」を筆頭に、「サイバーコネクトツー」、「ガンバリオン」といったソフトハウス、および関連企業が10社以上集積している。
 特にレベルファイブの成長は著しい。起業10年あまりで、ソフトハウスからパブリッシャーにまで成長し、ナゾときアドベンチャーゲーム「レイトン教授」シリーズは全世界で900万本 以上の売上を達成している。この売上はコーエーなどパブリッシャーと呼ばれる大手ソフト メーカーも顔負けの数字だ。
 それだけではない。レベルファイブは地元のサッカークラブJ2「アビスパ福岡」のホームグラウンドのネーミングライツも購入するなど、地元貢献度も高い。
 レベルファイブを始めとする、ゲーム関連企業が福岡で成功している理由のひとつに、官(福岡市)と学(九州大学)の強力なバックアップが挙げられる。
 福岡市は2006年、経済振興局産業制作部に福岡ゲーム産業振興機構を設置した。経済振興局産業制作部の関係者は、「レベルファイブがネーミングライツを購入し、地元に貢献できるほど成功してくれたことは、支援サイドとしては本当にうれしい」と喜びを隠さない。
  「福岡は昔から新しい文化に寛容な土地のためか、ゲーム文化もすんなりと受け入れられている。ゲーム脳なんていうマイナスなイメージは全くない。ゲーム系企業が福岡の経済に寄与してくれるよう、市長も議会も、そして我々も前向きに支援してきたが、成功した一番の理由はゲーム業界人自身の熱意があったから。我々官は支援は出来るが、ゼロから何かを生み出すのは彼らの仕事。その熱意があったことが一番大きかった」(福岡市経済振興局)。
 筆者は、大手でなくてもがんばり次第で中小のソフトハウスも成り上がれるのが、ゲーム業界の一番いいところだと考えている。つまり、階層が固定しない可塑性の高さこそがゲーム業界を活性化させるのだ。現在の福岡の状況は、その業界の可塑性の高さを証明していると言えるだろう。不況の影響で業界関係者は足がすくんでいる状況になっているようだが、この福岡の状況から学べることは多いはずだ。
苦境にあえぐゲーム業界
復活に向けた未来への処方箋
 以上のまとめとして、ソフトメーカー、およびソフトハウスのための未来への処方箋を考えてみたい。
◆処方箋その1:大ヒットハードに依存しすぎない。
 どんなにあるハードが大ヒットしていても、ひとつのハードに依存しすぎるのは大変危険だ。ハードメーカーによる護送船団に慣れきってしまうと、ハードのエコシステムが消滅したときに経営体力が持たない。
 バンダイナムコホールディングスの石川祝男社長は、以前ゲームスの社長だった時に「儲かるのであれば、どんなハードとでも組む」と話しており、実際マイクロソフトの家庭用ゲーム機「Xbox360」で「アイドルマスター」をヒットさせている実績がある。それぞれのハードが持つ市場の特徴を捉えて、ハードメーカーと付き合う能力が求められる。そのためには、日々の研さんを積み、オンリーワンの開発力向上にいそしむことが不可欠だ。
◆処方箋その2:儲かっているときこそ内部留保の充実を
 会社経営にも、開発力アップにも欠かせないのが、お金だ。任天堂は毎年経営戦略説明会で内部留保の多さを指摘されるが、昨今の大不況でもびくともしない現在の任天堂の状況が、その方針の正しさを証明している。
 ゲームビジネスはいつもうまくいくとは限らず、近年のような不景気に襲われることもある。さすがの任天堂も不景気の影響を受けて、10年3月期末決算は下方修正に追い込まれたが、それでも純利益で2300億円という高水準を維持できているのは、潤沢な内部留保が企業活動を支えている結果と言えるだろう。
 また、資金調達ルートを持つソフトメーカー(パブリッシャー)はともかく、中小のソフトハウスは特に経営体力をつけることを第1に考えた方がよい。ある関係者の話によれば「あるハードメーカーは、ソフトハウスにはスキルと同じくらい、経営能力を求めている。いくら腕がよくても、お金の使い方が甘い会社とは付き合いたくないと話していた」という。シングの倒産から、ソフトハウスが得る教訓は多いはずだ。
◆処方箋その3:ニッチ産業としての誇りを持つ
「最近10年のゲーム産業は変な期待を背負いすぎ」と指摘するのは、小山友介芝浦工業大准教授だ。ゲーム業界はハイテク、マルチメディア、IT、ネットベンチャーなどの旗手として世の中が寄せる期待を、受け止めすぎているという。確かに、業界に対する今までの世間のイメージが悪すぎたので、なんとかイメージアップを図ろうと背伸びしていたのは事実だ。
 小山准教授は「ゲーム産業はもともとニッチ産業だった。ニッチでいいじゃないですか」と語る。オールマイティな能力ではなく、ひとつだけは誰よりも上手にできる。そのような能力形成が求められている時代なのだろう。
 そのためには、福岡の関係者が目指してきた「自立と共存」が不可欠だ。それぞれが自立しつつ、共存できるような関係性の構築を目指していくべきだと考えられる。
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