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ゲーム会員を店に誘導 DeNAなど新型広告
 携帯電話向け交流サイト(SNS)運営のディー・エヌ・エー(DeNA)とソニー系のフェリカネットワークス(東京・品川)は、携帯電話やパソコンのサイトで、店舗への来店を促す広告サービスを始める。サイトで広告を出し、店舗に設置した非接触IC技術端末に携帯電話をかざすとポイントなどの特典が付与される。ネット利用者の購買動向を把握し広告効果を高めたい店舗の需要に応える。
 DeNAは交流型ゲームサイト「モバゲータウン」上で、東急ハンズ、タワーレコードなど6企業の広告を掲載する。
 広告を見た会員が実際に店舗に足を運び、設置された非接触IC「フェリカ」の端末に携帯をかざすと、サイト内で使用できる特典が付与される。店舗は来店数などに応じて成果報酬型で広告料金を支払う。
 フェリカネットワークスによると、フェリカ技術が搭載された携帯の普及台数は約6400万台。モバゲータウンは若者を中心に会員数が拡大しており、新たな広告手法として育成する。



パソナやリクルート、未就職の大卒を支援
青学大は留年の学費軽減
 大学を卒業しても就職先が決まらない若者を支援する動きが産学で始まった。人材サービス大手のパソナグループは今春、就職できなかった約2000人の大卒者を一時的に雇用し他社への就職を支援する。青山学院大学はもう1年、就職活動をするために留年する学生の学費を半額にした。企業の採用絞り込みで就職内定率が「就職氷河期」と呼ばれた2000年前後を上回る厳しさを見せる中、若年雇用のセーフティーネット整備を急ぐ。 厚生労働省と文部科学省によると、2月1日時点の大卒予定者の就職内定率は80.0%。就職氷河期といわれた00年の81.6%を下回り、比較可能な1999年度以降で最悪になった。両省によると内定を得られなかった大学生は、去年の同じ時期より約2万6000人多い約8万人だった。
 パソナはこうした大卒者2000人を今夏までに契約社員として採用する。契約期間は最長2年間。同社で月に数日働いたり研修を受けたりしながら別の会社への転職活動に取り組んでもらう。
 電話応対などの基礎的な研修は無料。貿易業務などの専門的な研修は有料とする方針。同制度に賛同する企業に割安で派遣し、実務経験を積みながら正社員を目指すコースも設定した。
 リクルートは日本商工会議所からの受託事業として、未就職の大卒者などに中小企業の求人情報を提供するインターネット上のサイトを7月に開設する。USEN子会社のインテリジェンス(東京・千代田)も広島県や仙台市などから未就職の大卒者などの職探しを支援する事業を受託した。
 人材各社は大企業の採用抑制で就職難に陥った大卒者と、慢性的な人手不足状態にある中小企業をつなぐことで潜在的な求人需要を掘り起こす。
 大学では青山学院大学が今春から、就職活動を続けるために留年する学生の授業料を4年次の授業料の半分程度にする。湘南工科大学も通常の学費の約5分の1で在籍できる制度を導入。卒業後も未就職の学生に対しては法政大学が郵送、日本大学は電子メールで就職関連の情報を提供する。
 厚労省は未就職の大卒者を試験的に雇用する企業に、後で正社員として受け入れる前提で、大卒者1人あたり月8万円を支給する。



アイスランド噴火、日本企業にも影響広がる
 アイスランドの火山噴火で欧州の空港閉鎖が相次ぐ中、日本企業の経済活動にも懸念が広がっている。近畿日本ツーリストは、23日までに日本を出発するロンドンやパリなどの欧州向けツアーの中止を決め、約500人に影響が出た。欧州ツアーは1人当たり20万~30万円と単価が高く、担当者は「ようやく欧州向けが回復してきたところなのに…。これ以上、尾を引かないでほしい」と嘆く。
 日本航空と全日本空輸は15~18日の4日間で計50便を運航停止。19日も計12便を欠航させる。「欧州路線の搭乗率は平均7割前後と回復基調にあっただけに収益への影響は大きい」(全日空)という。
 現地生産を進めるメーカーは「航空貨物を利用するのは一部」(日立製作所)と冷静だが、船便への転換で海上輸送が混雑する恐れを指摘する声もある。ロンドン出張中の社員が足止めを食った富士通など、日欧を行き来するビジネスマンへの影響も大きい。
 国際会議にも余波が出ている。スペインのアジア欧州会議(ASEM)財務相会合は野田佳彦財務副大臣が欠席。23日には米国で20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議、その直前に先進7カ国(G7)の非公式会合もあるが、混乱が長引けば、日程や議事に影響が及ぶ懸念もある。



「世界に良い影響」日本2位…BBC・読売調査
 読売新聞社と英BBC放送が共同実施した33か国対象の世論調査によると、「日本は世界に良い影響を与えている」という評価は53%で、「悪い影響を与えている」の21%を上回った。
 国際社会に影響を及ぼす17か国・国際機関についての評価を聞き、「良い影響」は、ドイツの59%が最も高く、日本は欧州連合(EU)と並んで2番目だった。
 日本は約1年前の前回調査ではドイツ、英国、カナダに続く4番目の56%で、引き続き高く評価された。
 「悪い影響」はイラン56%、パキスタン51%、イスラエル50%――などの順だった。北朝鮮は「悪い影響」48%が「良い影響」17%を大きく上回った。
 米国の評価は「良い影響46%―悪い影響34%」だった。「良い影響」はブッシュ前政権からオバマ政権への移行期に当たった前回の40%から改善され、初めて「悪い影響」を上回った。中国は「良い影響」41%と「悪い影響」38%が拮抗(きっこう)した。



上海万博PRソング、盗作疑惑で使用停止
岡本真夜さんのヒット曲に似る
 【上海=共同】5月1日に開幕する上海万博のPRソングが、日本のシンガー・ソングライター、岡本真夜さんのヒット曲「そのままの君でいて」の盗作ではないかとされる疑惑で、中国上海市の上海万博事務局は17日「PRソングの使用を暫定的に停止することを決定した」と公式ウェブサイトで明らかにした。
 事務局は「著作権上の争いがあることに関心を寄せている」としており、著作権侵害に当たるかどうか調査しているとみられる。
 盗作疑惑は最近、中国のインターネット上で浮上。2つの曲のメロディーが最初から最後まで酷似していると指摘され、掲示板には「万博は世界に中国をアピールする場なのに、恥ずかしいことだ」などと非難する書き込みが相次いだ。
 岡本さん側が公式ウェブサイトで近く対応を明らかにする考えを示すなど波紋が広がったことから、事務局は早期に使用を差し止める判断をしたとみられる。中国では盗作疑惑はほとんど報道されていない。



フォーエバー21、郊外SCに初出店 客層の多様化狙う
 米衣料専門店大手フォーエバー21は5月末、千葉県船橋市のショッピングセンター(SC)「ららぽーと TOKYO―BAY」に出店する。フォーエバー21にとっては日本初の郊外店。出店立地を多様化し、客層の一段の拡大を狙う戦略とみられる。
 船橋店の売り場面積は約1750平方メートルと大型になる見込み。
 最新の流行衣料を割安に売る「ファストファッション」の代表格であるフォーエバー21は2009年4月、東京・原宿に1号店を開業。10年4月には2店舗目を松坂屋銀座店(東京・中央)に出店するなど、従来は都心での店舗展開を優先してきた。
 同じく海外発のファストファッション大手で08年に日本へ先行して進出したスウェーデンのヘネス&モーリッツ(H&M)はすでに都心だけでなく、郊外にも進出している。
 ファストファッションは最新の流行をいち早く取り入れた低価格品を短期間で売り切る衣料品専門店。服だけでなく、雑貨やアクセサリーなどもそろえている。都心部で若者の人気を集めており、郊外進出で購買層を拡大する。



クルマ離れを防げ、自動車雑誌が東京・台場で合同イベント 水着姿のファッションショーも
 クルマ離れを防ごうと、「ベストカー」や「CARトップ」などの自動車雑誌6誌は18日、イベント「MEGA WEBフェスタ」を東京・お台場のトヨタ自動車の複合施設「メガウェブ」で開催した。女性でつくるカートレーシングチームのファッションショーなどが行われ、若者や家族連れでにぎわった。
 イベントは若い世代の自動車ファンを増やす目的で、普段はライバルである自動車雑誌各誌が合同で企画。17日から2日間にわたって開催した。会場には、レーシングカーなどを展示。モータージャーナリストのトークショーや子供カート教室なども行われた。
 ファッションショーでは、レーシングドライバーの塚本奈々美さんが部長を務め、女性モデルらが参加するカートレーシングチーム「塚本奈々美with女子カート部」が登場、水着やスポーツウエアを身にまとい、会場を盛り上げた。



台湾勢、対中「解禁」で攻勢 液晶パネルや半導体
 【台北=新居耕治】液晶パネルや半導体といったハイテク産業で、台湾企業の中国投資が加速してきた。大型パネル工場の建設や中国の半導体企業への出資など、台湾当局の規制緩和を受けたもので、米韓の競合企業に対する競争力を維持するのが狙い。電子機器の組み立てなど労働集約型産業が中心だった台湾企業の対中投資が大きく変わり始めた。
 液晶パネル大手の友達光電(AUO)は3月中旬、同社としては中国で初のパネル工場を江蘇省昆山に建設すると表明した。投資額は30億ドル(約2800億円)で、「第7.5世代」と呼ばれる大型ガラス基板を材料に使う。2011年の量産を目指す。



内閣支持率3割切る 新報道2001調査
 18日放送のフジテレビ番組「新報道2001」の世論調査で、鳩山内閣を「支持する」と答えたのは28・6%(前週比1・8ポイント減)となり、政権発足後初めて3割台を割り込んだ。昨年9月の発足当初は7割を超えた内閣支持率は急速に落下した。
 「支持しない」も62・4%(同0・2ポイント増)と高い水準が続いている。
 鳩山内閣の支持率は、今月に入り時事通信の調査で23・7%(前月比7・2ポイント減)、日本テレビが28・6%(同7・6ポイント減)など、軒並み20%台に低迷している。
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題での首相の迷走や、値上げ区間が目立つ高速道路の新料金体系の発表などが影響しているとみられる。



海外美術品展示 国家補償制度は検討に値する(4月19日付・読売社説)
 週末ともなれば、各地の美術館は、その規模の大小を問わず入場者でにぎわいを見せる。大型連休には、美術館巡りを楽しみにしている人も多いことだろう。
 日頃接することの出来ない海外の名作を集めた企画展にも人気が集まる。昨年、国立西洋美術館などで開かれたルーヴル美術館展の入場者は147万人を数えた。
 優れた海外の作品が広く国民に紹介されることで、豊かな文化環境も育まれるに違いない。
 しかし、作品を所蔵する外国の美術館に対してねばり強く交渉を重ね、貸し出しの同意をとりつけるのは大変な作業だ。
 日本の美術館には、交換条件として貸し出せるような、相手国にとって魅力のある作品は少ない。欧米から地理的に遠いことも弱点となっている。
 運営資金や職員数で欧米に劣る日本の美術館が、単独で海外の作品を一堂に集めて紹介する美術展を開くのは、簡単ではない。公共性があり、交渉ルートも持っている新聞社やテレビ局との共催事業として行われる例が多い。
 こうした共催事業は、実績と信用を積み重ねてきた。
 しかし、事故や盗難にあった場合の国家補償を約束するのであれば、国宝級の作品などを借りる交渉の上でも大きな支えとなる。
 高額な保険金が作品を借りる上での障害にもなっていたが、その問題も解消される。
 国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)が1978年に採択した文化財保護のための勧告の中で、美術品の国家補償制度の重要性に言及したのも、こうした意義を踏まえてのことだろう。
 文化庁も、この国家補償制度の導入を検討している。
 主要8か国(G8)の中で、国家補償制度を導入していないのは日本とロシアだけだ。
 例えば米国では、75年に制度を導入して以来、年間約40件の展覧会を国家補償の対象として認定してきた。最近までに補償された事例は2件で、合わせて約1000万円相当が支払われたという。
 無論、作品を借り入れるに当たって、美術展の主催者が一義的にリスクを負担するのは、当然だろう。国家補償の対象となる事業は厳選されなければならない。補償限度額も設けるべきだ。
 貸出先に安心を与える国家補償制度の導入は、国民が海外の質の高い美術作品に触れる機会を増やすことになるだろう。それは新しい文化振興策にもなる。
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アップルの規約変更に戸惑うゲーム開発会社(COLUMN)
 米アップルがスマートフォン「iPhone」用OSの最新版「iPhone OS 4」の発表に合わせて4月8日にリリースしたソフトウエア開発キット「iPhone OS 4 SDK(ベータ版)」が開発者の間で波紋を広げている。iPhone用アプリケーション開発の根幹にかかわる規約変更が含まれていたためだ。
 議論となっているのは規約のうちの2点。1つは、iPhone用アプリがアップル独自のプログラム言語環境で書かれている必要があるという内容。もう1つは、何らかのツールなどを使って他のサービスのAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)と連携するアプリは承認しないというものだ。
 これを厳密に解釈すれば、サードパーティー製のツールをiPhone用にコンパイルする形で開発したアプリは、条件を満たせないことになる。アップルとの対立が取りざたされる米アドビ・システムズはフラッシュのアプリをiPhoneで動作させるツールを販売しており、それを認めないように狙い打ちにしたのではとも言われている。
 しかし、アドビに限らず、iPhone用アプリにはゲームエンジンなどさまざまなツールが使われている。アップルがどこまで本気でこの規約を適用するかは明らかでないが、今回の規約変更に振り回されかねない企業は少なくない。
注目されていた欧州系ゲームエンジン開発会社
 Unity Technologiesというスウェーデン系の3Dゲームエンジン開発ベンチャーもその1つだ。iPhone用アプリ市場の急拡大に乗る形で成長したが、今回の変更で存続を揺るがしかねない問題に直面した。
 この会社は元々、「Mac」用ゲームエンジンの開発でスタートしたという意味で珍しく、さらに米国製が大半を占めるゲームエンジン市場では数少ない欧州勢として注目されていた。
 現行製品の「Unity for iPhone」は、ハードウエア1台あたりわずか300ドルで販売されており、フルバージョンの「Pro版」でも1200ドルと同水準のゲームエンジンに比べ格段に安い。同社サイトからのダウンロード数は、無料版も含めると10万件を超え、3Dゲームを開発する独立系企業のうち半数はUnity for iPhoneを使用しているとの推計もあるという。
 大手ゲーム会社の採用例も多く、米エレクトロニックアーツ(EA)は、ゴルフゲーム「TIGER WOODS PGA TOUR」のiPhone版でUnityを利用している。EAはこのシリーズをブラウザー上で動く「TIGER WOODS PGA TOUR Online」としても展開しており、こちらもUnityを使っている。
最新版をリリースする矢先に・・・
 Unity Technologiesは、今年3月に米サンフランシスコで開催されたゲーム開発者会議「Game Developers Conference 2010(GDC 2010)」で、今夏公開予定のゲームエンジン「Unity 3」を発表した。この最新版の最大の特徴は、パソコンだけでなく「プレイステーション3(PS3)」や「Xbox360」「Wii」といったマルチプラットフォームにボタン1つで完全対応する点だ。つまり、1つのゲームを家庭用ゲーム機からブラウザーゲーム中心のソーシャルゲームまで幅広く展開することが可能になるわけである。
 これはいまのようにゲームのプラットフォーム競争が混沌としている時期には、特に大きな意味を持つ。ゲーム会社は複数のプラットフォームに対応させることでリスクを分散したいと考えており、Unity 3は大ヒット製品に育つと見込まれていた。ところが、今回の規約改定が厳密に適用されれば、iPhoneではUnity 3を使ったアプリを展開できないことになってしまう。
 iPhone OS 4が発表された直後の4月10日、Unity Technologiesのデイビット・ヘルガソン最高経営責任者(CEO)は公式ブログで困惑気味に書いている。「iPhoneのエコシステムに大きな価値を加えてきたものをシャットダウンするのを、アップルは望むことはできないだろう」
 公式サイトにはこのトピックについて1400以上の投稿が寄せられ、議論が白熱している。14日には「今後アップルと協議する」「新しい情報が入り次第伝える」との趣旨の書き込みがあるが、先行きはまだ見えない。
DNAの出資先も同じ問題に直面
 同じような問題は、iPhone向けのソーシャルゲームに「Open Feint」というシステムを提供している米Aurora Feint(カリフォルニア州)も直面している。
 この企業には「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DNA)が出資しており、ハドソン、タイトー、バンダイナムコなど日本のゲーム会社での採用例が多い。ところが、アップルは今回のiPhone OS 4に合わせ、「Game Center」というほぼ同じ内容のサービスを提供すると発表した。「友達を誘う」「ランキング(リーダーボード)」「実績」といった機能は完全にOpen Feintと重なっている
 Open Feintは独自のAPIを様々なゲームに組み込む形で使用されている。そのため、アップルが規約を厳密に適用すれば違反となるだろう。場合によっては、全面的に使用できなくなる可能性もある。
 同社は公式サイトで、「Open Feintの機能を使い続ける意味があると、(ユーザーに)保証したいと望んでいます」と述べるにとどまり、今後の具体的なメドはたっていない。
「ひも付きデバイス」時代の新たな競争
 アップルがどのような態度に出るにせよ、今回の騒動は「ひも付き」デバイス時代を象徴する出来事といえる。iPhoneをはじめとするインターネット接続型のハードウエアは、ユーザーに販売された後もコンテンツ配信という仕組みでメーカーのひも付きになる。iPhoneというエコシステムの一翼を担ってきた企業でさえ、アップルのさじ加減一つで簡単に切り捨てられるリスクがあるのだ。
 一方、ユーザーもソフトウエアの継続的なアップデートを受けられるメリットの代償として、アプリの採否の決定権をアップルに委ねざるを得ない。アップルがあるコンテンツをオンライン配信サービスの「App Store」から排除すると決めれば、ユーザーは手に入れることができなくなる。
 アップルは、米グーグルの携帯向けOS「Android(アンドロイド)」や米ソーシャル・ネットワーキング・サービス「Facebook」など、オープンなプラットフォームと競わなければならない。こうした厳しい規約を提示することで、開発会社を自社プラットフォーム内に囲い込む戦略に出ざるを得ないということだろう。デバイスのひも付き化が進むにつれ新しい競争原理が働き始めており、今後同じようなことが起きたとしても不思議ではなくなっている。



(そこが知りたい)書籍電子化 出版社どう対応? 角川グループHD会長兼CEO 角川歴彦氏に聞く 知的サービス業に脱皮を  米アマゾン・ドット・コムの読書端末「キンドル」に続いて米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」が日本でも発売される。角川グループホールディングスの角川歴彦会長兼CEOは新型端末の普及により、出版業界のビジネスモデルが一変すると説く。書籍の電子化の本質と可能性を聞いた。
 ――なぜ、電子化は出版界の危機なのか。
 「グーテンベルクが印刷技術を発明してから500年続いたビジネスモデルが、キンドルの登場で変わってしまったからだ。出版業は読者に書店で本を買ってもらう製造・流通モデルから、インターネット時代には知的サービス業になる。この変化を日本の出版界は頭で理解しても、行動をためらっている」
 「iPadに対し国内の出版界は受け身の姿勢が目立つ。悲観論さえ出ているが、リスクをチャンスに変えたい。日本は音楽配信で世界に通用するビジネスモデルを作れなかった。出版市場は6兆円と音楽の3倍あり、これを拡大しないといけない。官民挙げて日本型のコンテンツ配信プラットフォームを作ろうと提言している」
 ――角川では電子書籍にどう対応する。
 「iPadやキンドルにコンテンツを提供する。端末の普及で読者や出版市場は拡大するからだ。ただしアマゾンなどとの話し合いが前提だ。出版社に値決めする権利はないというアマゾンの立場に対し、出版社には著作者を守る義務と権利があると主張したい。電子では著作者の意に反して作品が容易に変容する懸念もある。出版社の役割を著者や読者に了解してもらったうえで、電子書籍のビジネスモデルを構築したい」
 「米国ではアップルやアマゾンと並び、出版のハースト社や書店のバーンズ&ノーブルも電子書籍サービスを展開している。ITの発達で出版系でもネットサービスが可能になった。電子書籍市場でアップルとアマゾンとグーグルが三つどもえの争奪戦をしているが、日本の出版社もビジネスモデルを提案すべきだ。電機メーカーや通信事業者も一緒に考えていいはず。米IT企業の情報植民地になってはいけない」
 ――出版は電子一辺倒になるのか。
 「日本の消費者はキンドルのような外国で生まれた知的サービスが好きだ。電子書籍を抵抗感なく受け入れる新しい読者に発信していける出版社だけが残っていく。変化を正面から受け止めれば紙の本の価値も見えてくるはず。電子か紙かではなく、電子も紙も、でいくことになる」



(日経春秋)
 「ゲームは、ないと生きていけないわけではない。需要が増え続けるとは限らない」。家庭用ゲーム機の生みの親といわれる任天堂の山内溥相談役は2002年までの社長在任中、こう語っていた。どんなに販売が好調でも冷めていた。
▼娯楽がなくても生活はできるし、任天堂の製品はどうしても必要なものではない。だから、ゲーム機もソフトもよほど面白くなければ買ってもらえない――。そう心得て開発に入念に取り組むのが山内流だった。画面を2つにし、遊べるソフトの幅を広げた携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」なども、その産物だ。
▼電車などが足代わりになる人は、自動車を持たなくても不便ではない。今の時代にはわざわざ百貨店に行かなくても、たいていのものは買うことができる。09年度の国内の新車販売台数は、ピークの90年度の6割強。百貨店の売上高も09年は91年の7割弱に落ちた。数字の変化は、必要の度合いも映しだしている。
▼任天堂は09年度に人気ソフトを思うように出せず、据え置き型ゲーム機「Wii(ウィー)」の販売が鈍って減益になったようだ。なくても生きていける商品やサービスで、どうやって収益をあげるのか。山内流にならえば、はっきり特色を出して、消費者に新鮮な驚きや面白さを与え続けていくことが欠かせないのだろう。



日本経済新聞電子版(Web刊) 有料会員6万人突破 総会員数は30万人超す
 日本経済新聞社が3月23日に創刊した「電子版(Web刊)」の有料登録会員数が17日、6万人に達した。無料会員を加えた総会員数は30万人を超えた。
 総会員の2割が電子版のすべての記事や機能を利用できる有料会員として登録しており、世界の有料電子版の中でも高い比率になっている。
 有料登録会員のうち、7割強が企業や官公庁などに勤務。約4割が部長以上の経営幹部だった。20~30歳代の読者も3割強を占め、若い世代の登録も目立つ。
 電子版の有料会員は日経新聞の朝・夕刊のほぼすべての記事や電子版独自の解説記事やコラムをパソコンで読むことができる。携帯電話からの閲覧や登録したキーワードで記事を自動収集する機能も有料会員限定のサービスとなる。



4年後には10%に 消費税で民主・玄葉氏
 民主党の玄葉光一郎衆院財務金融委員長は18日のフジテレビ番組で、消費税率の引き上げについて「4年後ぐらいには確実に上がっている姿にしなければならない。10%はひとつの(目安となる)数字だ」との認識を示した。
 同時に「次期衆院選までは引き上げない。ここ1、2年で年金も含めた制度設計を行う」と強調。「基礎年金をすべて(全額税方式で)やるとなると、4%ぐらい必要だ。最終的には10%を超えざるを得ない」と述べた。



京都新聞社説
私鉄100年  地域と共に歩み続けよ
 京阪電気鉄道が、1910年に五条(現清水五条)-天満橋間の営業運転を開始してから、15日で100年となった。
 すでに阪急電鉄が先月10日に100周年を迎えたほか、近畿日本鉄道が9月16日に創業100年となるなど、今年は関西私鉄の節目の年に当たる。
 関西は私鉄王国といわれる。その延伸に伴い、人々の交流が盛んになったのみならず、沿線にまちが開けた。また、テーマパークや百貨店、劇場、球場などの文化と娯楽の拠点が、次々と設けられていった。
 いまや地域の大動脈であり、暮らしに欠かせぬ都市基盤である。節目の年を、これまでの歩みと現状、今後のあり方について、あらためて考える機会としてみてはどうか。
 100年前に開業が相次いだのは、偶然ではない。明治末期のこのころ、工業化や職住分離の進展で、単に市内を走るだけでなく、大都市間を高速で結ぶ鉄道の必要性が増していた。
 この中で、日本の資本主義の父と呼ばれた渋沢栄一らが創立した京阪も、早くから特急を運転。54年には関西初のテレビカーを導入した。
 その後も、淀屋橋への延伸、鴨東線(三条-出町柳間)敷設、京都市営地下鉄東西線への乗り入れ、そして一昨年の中之島線開業を果たし、発展を続けている。
 社風は、物事に進んで取り組む「進取」という。少女歌劇を創設した阪急、甲子園球場を野球の聖地とした阪神などとともに、創業時の開拓者精神を忘れないでもらいたい。
 とはいうものの、少子高齢化の波が乗降客の減少というかたちで鉄道事業にも及んでいる。年間輸送人員は91年度に京阪が約4億2千万人、阪急が約8億1千万人を記録したのがピーク。現在は、その7割前後に落ち込んでいる。未来は決して明るくない。
 こうした状況を受け、阪急は京都線で特急停車駅を増やしたり、2003年に洛西口(京都市西京区)、先月14日に摂津市(大阪府摂津市)の2駅を新設した。並行するJRとのスピード競争を避け、地道に沿線の利便性を向上させる作戦とみられる。
 一方、京阪は観光による路線の再活性化を図っている。若い女性を案内役にした京都観光のキャンペーンはよく知られるが、それだけではなく、JRと接続する東福寺駅を東山観光の乗換駅として定着させたほか、四条を祇園四条とするなど駅名を観光地がイメージできるよう改称した。
 地域密着は沿線住民の望むところであり、観光振興は京都とその周辺にとって、なくてはならぬ戦略である。
 関西の私鉄は、地域との共生・協働を、より一層追求する時代に入った。そういえそうだ。
Hatoyama must join consumption tax debate

Leading members of Prime Minister Yukio Hatoyama's Cabinet have recently spoken in favor of increasing the consumption tax rate. The Hatoyama administration should not let their remarks simply be gestures to attract voters' attention for the upcoming House of Councillors election in summer; it must lead the way toward full-scale debate aimed at actually increasing the tax.
It was Finance Minister Naoto Kan who first spoke on the issue.
"As long as there are no problems with the way we use the increased revenue from a tax rate increase, the economy will improve," Kan said.
National Policy Minister Yoshito Sengoku made similar comments later.
"It'd be an insult to voters if we went into an election ignoring budget revenue reform," Sengoku stressed.
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'Nation will go broke'
There is a subtle difference between Kan and Sengoku's arguments for a tax hike: Kan's top priority is fiscal action to help get this country out of its deflationary spiral, while Sengoku sees fiscal rehabilitation as his key concern.
They share a sense of crisis, however: If the situation is left as it is, the economy will not recover and the nation's finances will starve to death, as it were. It was rather late in the day for Kan and Sengoku to take the bold step of arguing for drastic reform of tax revenues, including reform of the consumption tax system, but it was a natural action for ministers tasked with guarding the economy.
In contrast, Hatoyama simply repeated he would not raise the consumption tax rate for four years while he heads the government during his current term as a member of the House of Representatives. The dominant opinion within Hatoyama's Democratic Party of Japan also is wishy-washy about a tax hike; the party feels the consumption tax rate should not be raised as it was not in the party's manifesto for the lower house election last year.
However, the government cannot get round an increase in the consumption tax rate if it wants to cover social security spending, which is increasing by 1 trillion yen annually, and rehabilitate the nation's finances at the same time.
Much of the public is coming to accept this, as clearly shown by the results of a March opinion poll by The Yomiuri Shimbun. In the survey, 66 percent of respondents said they approved of the government's decision to study the possibility of raising the consumption tax rate, well above the 28 percent who did not approve.
Economic organizations have also proposed a major increase in the consumption tax rate.
===
Don't evade discussion
Given this country's fiscal situation, it will be very difficult to suppress discussion of consumption tax reform. In the fiscal 2010 budget, tax revenue accounts for only 40 percent of the total expenditures of 92 trillion yen. The situation is truly critical.
The combined public debt of the central and local governments is estimated to be 862 trillion yen at the end of fiscal 2010, or 181 percent of the estimated gross domestic product. This is in stark contrast to other major nations, whose percentages of public debts account for between 60 and 70 percent of their GDPs.
The Hatoyama Cabinet is scheduled to come up with new policies on various economic issues by the end of June, including midterm fiscal targets, pension system reform and details of its new growth strategy. Whether these policies prove trustworthy will depend on whether the government can secure stable revenue sources. It has no hope of doing so without a consumption tax hike.
The government's Tax Commission has begun studying how to reform the consumption tax but has not yet started discussing whether the tax rate should be raised. It has just been waiting for politicians to decide what to do.
Opposition parties have criticized the Hatoyama Cabinet for "taking fiscal policy too lightly." Thus it is inevitable that the consumption tax issue will become a focal issue in the upper house election.
We hope Hatoyama will not look away from the consumption tax issue, but join in the debate openly and boldly.
携帯電波割り当て「世界標準に」 総務相発言で今後起きる革命(COLUMN)
携帯電話の電波割り当てについて、原口一博総務相は会見で、「日本独自」のものから「世界標準」のものに再編したい考えを明らかにした。もし実現すれば、新規事業者の参入や国際的な競争が進み、サービス向上、料金値下げなどが期待できる。しかし、既存の携帯電話会社にとっては脅威のようだ。
テレビのアナログ放送が終わり、2011年7月24日に完全デジタル化になると、電波の周波数割り当てに「空き」が出る。周波数の近いチャンネル同士の混信が少なくなるなどで、テレビの周波数割り当てを整理でき、電波の効率的な活用ができるからだ。
既存のテレビ局や携帯キャリア大手には脅威
「政治主導」の中身は?
しかし、既存のテレビ局や携帯キャリア大手にとっては、ライバルが増える脅威に晒されることになる。
そんな中で、原口一博総務相が2010年4月9日の会見で明らかにした「電波の再編成」はインパクトがあったようだ。このままでは国際的な競争に遅れてしまうなどとして、「世界標準」に合わせたい考えを示したものだ。
原口総務相は会見で「例えて言うと、高速道路の中に自転車道が何本もあるのではないか。その結果、世界標準とずれるということになれば、正に日本はまた、競争の基盤を失う、あるいは損なう」と訴えた。
「高速道路の中に自転車道」とは、どういうことなのか。
総務省の電波政策課によると、携帯電話などではこれまで、音声の情報が中心だったため、周波数を細切れで使っていた。ところが、画像やデータなど大容量パケット通信の情報が級数的に増えてくると、自転車道でなく、幅の広い本来の高速道路として周波数を使う必要が出てきたという。
そして、細切れの「自転車道」として、世界標準の周波数や通話方式に合わせていなかったため、国際的な競争に遅れる可能性が出てきたというのだ。
原口総務相は、政府内で問題提起をして議論しているとして、この日の会見で具体的な世界標準への再編策については言及していない。とはいえ、通信政策に詳しい経済学者の間では、それがどんなものなのか話題になっている。
「電波開国」でIT産業はよみがえる?
電波の「自転車道」について、総務省は、携帯電話の既存の周波数を「高速道路化」する作業はすでに進めている。さらに、テレビのアナログ放送終了後に残った跡地に当たる一部周波数について、2011年度以降に携帯用「高速道路」の一部として利用する考えだ。
この周波数割り当てについて、阪大の鬼木甫名誉教授(情報経済論)は、次のように指摘する。
「これは、日本独自のやり方です。世界標準とは違います。既存の携帯キャリア大手に電波を配るため、旧政権時代からの路線でやっていることですよ」
原口一博総務相の狙いは、この日本独自のやり方から転換し、世界標準に合わせることだと鬼木氏はみる。
「携帯の新規事業者から反対が出たのが大臣にも聞こえて、『それはまずい。検討し直せ』と気づいてくれたのでは。既存キャリア大手は、国際的な競争に巻き込まれて困りますが、第4世代(4G)の携帯電話が控えており、世界標準にしないと日本がますます孤立してしまいますからね」
携帯の通話方式が海外と違い、日本が取り残されてしまった過去の失敗がある。それだけに、また出遅れれば致命的な失敗になるということだ。
具体的な「世界標準化」として、原口総務相は、テレビ局が現在もマラソン中継に使っている周波数などの帯域を携帯電話用にも割り当てることを考えている模様だ。10年4月13日の会見で、この周波数帯が世界標準からずれている可能性を示唆した。
著名なブロガーで経済学者の池田信夫氏は、自らのブログで2010年4月9日、原口総務相の会見は政治主導で行われたもので、「『電波開国』でIT産業はよみがえる」と評価した。この周波数帯が使えれば、「ノキア・フアウェイなどの大手メーカーの端末が日本で使え、逆に日本の端末も世界に輸出できる」というのだ。
ただ、この周波数帯について、総務省の電波政策課では、「テレビ局などが受信設備を変えるのには、コストがかかります。それに、適切な周波数への移行先がないと、短期間で交通整理するのは難しい」と言う。
原口総務相がこうした課題をどう解決するのか。今後その「政治主導」の中身が問われそうだ。



世銀など経済安定へ大型増資 日本2.5兆円負担
 世界銀行など国際開発金融機関が相次いで増資に乗り出す。日米欧をはじめ加盟各国の合意を踏まえ、世銀は21年ぶりに大規模な一般増資で出資額を現在から約3割増やす。欧州復興開発銀行、アフリカ開発銀行も出資額を大幅に増額する。世界経済は2008年秋以降の金融危機、景気後退から脱しつつあるが、不安定さは消えず、国際的な支援の枠組みを強化する。途上国などの成長を促して先進国が外需を取り込みやすくする狙いもある。
 世銀と各地域の開発金融機関の増資額は合計で25兆円を超える見通し。日本はすでに増資を決めているアジア開発銀行なども含め2兆5000億円程度を追加出資することになる。金融危機に多額の財政出動で対応した主要国の政府には新たな資金負担となる。
 世銀は早ければ25日の世銀・国際通貨基金(IMF)開発委員会で増資を決める方向。各国の世銀への出資額は現在約1900億ドルだが、2500億ドル(約23兆円)程度に引き上げる。世銀は最貧国への対応で出資国を募る場合もあるが、今回のように加盟国に幅広く資金拠出を求める増資は1989年以来。日本は40億~50億ドル程度を負担する見通しで、出資比率は従来の約8%からわずかに低下するとみられる。中国の比率引き上げなど各国による出資額は調整が続いている。
 金融危機に伴う景気後退を背景に、世銀の新規融資の承認額は過去最高に膨らんでいる。世銀は途上国支援の資金枠を拡大して、財政難に陥る途上国や最貧国に長期資金を供給する方針だ。
 欧州復興開発銀も出資額を現在の5割増の300億ユーロ(約3兆7500億円)程度に増額することで加盟国がほぼ合意。5月半ばの年次総会で決定する見通しで、日本は7億ユーロ超を拠出する。ギリシャの信用不安などを背景に融資額が膨らむことに対応する。
 アフリカ開発銀も5月の年次総会で、出資額を2~3倍にする方向で調整している。米州開発銀行も約1000億ドルの出資額を7割増やし、貸出枠を倍増。アジア開発銀も出資額を3倍の約1650億ドルに増やし、2~3年の間に新規融資を100億ドル増やす方針だ。
 少子・高齢化といった構造問題に直面する先進各国は、今後の経済成長の源を新興、途上国に求める構え。開発金融機関の支援強化で、世界経済の回復や需要創出につなげたい考えだ。
 財政悪化に直面する日本政府は、一連の増資で大きな負担を求められる。資金拠出の大部分は、必要に応じて各開発機関が各国に要請する方式で、当面必要なのは1000億~2000億円程度とみられる。資金拠出には国会の議論を踏まえる必要がある。



NTTドコモ、出資先通じ印の第3世代携帯免許に入札
 NTTドコモはインドで現地の出資先会社を通じ第3世代(3G)携帯電話サービス免許に入札した。ドコモが26%を出資するインドの携帯大手タタ・テレサービシズ(TTSL)がインド政府の入札に応募し、免許取得を目指す。
 3G免許は複数の地域に分けて交付され、免許の枠は各地域ごとに3~4社となる見込み。インドでは外資系企業が出資する携帯電話会社などが10社以上ある。入札額などに応じて免許を取得する企業が近く、絞り込まれる見通し。
 3Gの携帯電話サービスは日本でドコモは「FOMA」として2001年にスタートした。海外ではまだ第2世代(2G)の方式が主流で、今後次世代への移行が見込まれている。ドコモが出資するTTSLはインド市場で「タタ・ドコモ」ブランドで携帯電話サービスを手掛けている。



(活字の海で)本以外の「モノ」売る出版社 目新しさで購買喚起
 出版社が本以外の「モノ」の販売に力を入れ始めた。有名ブランドのグッズを付録にした宝島社の「ブランドムック」は出版不況の近年にあって数少ないヒット商品。各社が参入し、書店の店頭は「何でもあり」になってきた。
 「付録付きムックもここまで来ました!」といううたい文句で、講談社が3月26日に刊行した「本」が、『我が家でミニ野菜をつくる1 ミニトマト』だ。梱包を解くと、「ここまで」のニュアンスがよくわかる。重量比で大半を占めるのは土。講談社が書店で土を売るようなものだ。
 種苗大手のサカタのタネと共同開発したもので、培養土、ミニトマトの種、錠剤状の肥料、折り畳まれた栽培ポット入りの栽培キットが付く。冊子は20ページと薄く、むしろこちらが付録にみえる。
 3月中旬、書店の店頭に一見パウンドケーキのような箱が積み上がった。これも本。世界文化社の『Paris発、パウンド型で50のケーク』だ。昨年末に初版2万部で刊行したが、想定以上の反響で完売書店が続出。増刷分がようやく店頭に並んだのだ。
 パッケージを開けると、ハードカバーのレシピ本、シリコン製のケーキ型と木製のスプーンが現れる。高価なものが多いシリコン型付きで1800円という値ごろ感がヒットにつながった。「意外に男性にも受けている」と編集を担当した別冊家庭画報編集部の伊藤尚子編集長は話す。
 100万部を完売した『イヴ・サンローラン』など、ブランドムックで気を吐く宝島社は、CDとブランドグッズを組み合わせた商品など品ぞろえを拡充している。昨秋刊行し、「増刷」を重ねる『禁煙・減煙キット』は、電子タバコ一式のほかには冊子すら付かない割り切りようだ。
 本以外を扱うには、独特なノウハウもいる。たとえば、講談社の栽培キットの場合、流通過程で土がこぼれないようにするなどの工夫が必要で、開発に2年費やした。世界文化社の『ケーク』は海外生産ということもあり、機動的に増刷対応ができない。
 それでも「集客力を高めるため、書店からは目新しい商品を求められる」と講談社雑誌第一販売部の大槻嘉嗣氏はいう。電子書籍が話題になるなか、対抗上リアルならではの「モノ」を書店が求めるのも道理だ。双方への目配りの中で、「出版」という概念が更新を迫られている。



(日経社説)若い企業と伸びる事業にもっとお金を
 日本という国から、企業がゆっくりと消えている。2004年から06年にかけて年平均で全企業の6.2%が廃業した。開業した企業の比率は廃業率を下回る5.1%。1983年には東京都大田区に9000あった工場が、08年は4000と半分以下になった。
 東京証券取引所の上場企業数は、最も多かった06年末の2416社から3年連続で減り、09年末には2334社になった。
米では年金が後押し
 新顔の企業が現れないと、経済は元気にならず、雇用の場も広がらない。
 会社の設立を助け、経営の面倒も見て上場へと導く。そんな金融の機能が向上すれば、新しい企業も生まれやすくなるのではないか。
 米国ではベンチャーキャピタルという投資会社が、起業から上場までの道のりで大きな役割を果たす。投資先の企業は雇用者全体の約1割に当たる1200万人の職を創出し、経済全体を押し上げている。
 リーマン・ショックで米国型金融は機能しなくなったという指摘もあるが、成長分野へのお金の流れは脈々と続いている。昨年9月にはベンチャーキャピタル会社がカリフォルニア州職員退職年金基金などから資金を集め、金融危機後では最大級の10億ドルの環境技術向け投資ファンドを設立した。
 米国では長期の運用成果を求める年金がお金の出し手であるため、創業間もない企業にも投資できる。単に投資するばかりでなく事業戦略を経営陣と練り、会社の成長を促す。企業は銀行借り入れと違って返済義務がない株式で長期資金を調達し、思い切って事業を広げられる。投資家も上場時の株式値上がり益という形で成長の果実を得ることができる。成長と成功の仕掛けだ。
 これに対し日本のベンチャー投資額は09年度には前年度に比べ半減し、約700億円に落ち込んだもようだ。米国は円換算で約1兆6000億円と日本の20倍以上で、IT(情報技術)分野への投資も多い。
 日本のベンチャーキャピタルの多くは、銀行や証券会社の傘下にある。親会社が四半期決算を意識せざるを得ないので、長期運用をしにくいという問題がある。こうした制約のない長期資金の出し手はないのか。
 東大は研究成果を事業化するために、自前のベンチャーキャピタルを04年に設立した。5年間の運用からは4社の上場企業が誕生した。また、インターネット企業のグリーを支援して、上場させたベンチャーキャピタルも金融機関の系列ではない。
 独立した技術評価と運用の専門家を育て、年金などのお金を引きつける。その流れが大きくなれば、リスクを避け債券などに滞っているマネーを解凍させ、ベンチャー企業育成による経済の活性化も実現できる。
 個人のお金が若い企業に直接回るためのパイプも太くしたい。
 上場株式の譲渡益や配当への税率を10%に軽減する今の証券税制は、12年から20%の本則に戻る予定だが、移行は慎重に考えるべきだ。仮に本則税率に戻すにせよ、金融商品の間で損益を通算できる金融所得一体課税の範囲をできるだけ大きく広げるなど、個人が投資のリスクを取りやすくなるような配慮が必要だ。
眠る技術を掘り起こせ
 未公開のベンチャー企業への投資は、08年度の税制改正で投資額を所得からも控除できるようになり、その分だけ税の負担は軽くなった。この制度を利用して資金繰りの苦しさを乗り切り、上場する企業も出始めた。「設立3年未満の企業への投資に限る」といった制限を緩めればお金はさらに流れ、上場を目指す企業が増えるのではないか。
 大企業が生かしきれない技術は、外のお金や経営ノウハウを使って伸ばす仕組みも考えたい。
 NTTグループは90年代に開発した検索事業「goo」を自前で育てる方針をとってきたが、世界シェアの6割強を握ったグーグルとの差は大きい。将来が不確実な事業を投資会社が評価し買い取るようなシステムがあれば、事情は違ったはずだ。
 その意味で東芝が検討する、米原子炉開発ベンチャーのテラパワーとの技術協力に注目したい。
 東芝には安くて安全な小型原子炉をつくる技術がある。テラパワーを設立した米国の投資ファンドには資金がある。新興国向けに需要が伸びそうな小型原子力発電の事業に備え、東芝がファンドと組む格好だ。
 電子部品大手アルプス電気は、政府が9割出資する産業革新機構と環境対応部品の新会社をつくる。大学との研究成果を生かすのが狙いだ。
 企業も政府も眠れる技術を発掘し生かす動きに弾みをつけるときだ。
「ツイッター信者」にその素晴らしさを熱く語られたときの平和で適当なかわし方(COLUMN)
 ツイッターほど、はまっている人と興味がない人との温度差が激しいツールはないと言えるでしょう。
 前回でも触れましたが、はまっている人の中には、「ツイッターの素晴らしさをもっと広く伝えなければ!」という使命感を抱いて、ことあるごとに啓蒙活動に励もうとする“信者”が少なくありません。
 その博愛の気持ちは尊いといえば尊いのですが、勧められる側がさほどツイッターに興味がない場合は、どう対処していいのか困ります。今日も全国各地で、ツイッター信者の熱い勧誘を受けて、勧められる側が苦笑いを浮かべているという構図が繰り広げられていることでしょう。
 ツイッターをやっていない側のあなたが、そういう災難にあったときはどう対処すればいいのか。信者の勧誘に対する平和で適当なかわし方を考えてみましょう。
「ツイッター様」を否定するのは危険
 程度の差こそあれ、ツイッターを熱く勧めたがる信者のみなさんは、「ツイッターによってもたらされる新たな可能性」を信じ、そんなツイッターと人より早く仲を深めていることに、ちょっぴり優越感を抱いていると言えるでしょう。どう見ても熱が入りすぎている人の中には、ツイッターに過大な望みを託して、いまいち不本意な現状から自分を救い出してくれる救世主のように見ているように思えるケースもあります。
 いや、あくまで極端な例をあげているだけなので、「俺は違う!」とムキにならないでください。もちろん、私の周囲のツイッター好きのみなさんに対して、私がそういう目を向けているわけでもありません。
 今後の人間関係を考慮した言い訳で話がそれましたが、ツイッターを熱く勧めてくる人にとって、ツイッターにはまっていることが誇りであることは確か。何はさておき、そこを見逃さないようにしましょう。
 たとえば、最近ツイッターにはまっている同僚に、「お前もやったほうがいいよ」と熱心に勧められたとします。楽しさを説かれても、いまいちピンと来ないからといって、
「うーん、よくわかんないなあ。みんなが勝手につぶやき合ってるなんて、なんか気持ち悪い世界のようにも思えるけど」
「そのフォローっていうのをされてても、自分のつぶやきを読んでもらえる保証はないし、知り合いのつぶやきを見逃す可能性も高いわけでしょ。なんか失礼だよね」
 などと、偉大なる「ツイッター様」の仕組みを否定する言い方をしてしまうのは危険すぎます。
 ムキになってさらに熱く語ってくるぐらいならまだしも、「ハァ~」と深いため息をつきながら、救いがたい愚か者を見るような目を向けてくるかもしれません。
 まあ、わかり合えなくてもべつにいいといえばいいんですけど、お互い、相手に悪い感情を抱くきっかけになるのは避けたいところです。向こうだって、今の時期たまたまツイッターにはまっているだけで、けっして悪気があるわけじゃないし、人間として何かを失ってしまったわけでもありません。
 一生懸命にツイッターの魅力を語ってくれたら、たとえピンと来なくても、
「なるほど、そういうふうにゆるくつながるっていうのも、ユニークな考え方だね」
 と、独自性に衝撃を受けたかのような反応をしておくのが、大人の包容力であり相手をそれなりに満足させるマナーです。
 そういうふうに言えば喜ぶのはわかっていても、まるでその相手までホメるみたいで抵抗がある場合は、質問に逃げましょう。
「ミクシィとかとはどう違うの?」
 と、ライバルの名前を持ち出してきて、ツイッターの優位性をさらに語らせるもよし、
「なんか書くたびに、いちいち『なう』って言わなきゃいけないんでしょ?」
 そんな歪んだ先入観丸出しの誤解をわざとぶつけて、ひとしきり説明させるもよし。
 いずれにせよ、どうでもいいと思っている気持ちを覆い隠したまま、相手にそれなりの満足を覚えてもらうことができます。
はまりっぷりを批判するのはもっと危険
 まったくツイッターをやったことがないわけではなく、ちょっと前にアカウントを取得してやってみたけど、はまれなくて放置してあるケースも、けっこう多そうです。
 そういう状態にあるあなたに、はまっている同僚が例によって熱い口調で、
「まずは、いろんな人を探して100人フォローしてみると、面白さがわかるよ」
「何でもいいからどんどんつぶやくと、そのうち反応が返ってきて楽しくなるよ」
 とツイッター教、じゃなかった、ツイッター界における定番の説得フレーズを説いてきたとします。「ほお、そういうもんなんだ。今度やってみるよ」と適当に納得しておくのはいいとして、つい勢いで、
「しかし、ずっぽりはまってるねー。ツイッターの話をするときは生き生きしてるし」
 などと冷やかしてしまわないように気をつけましょう。はまっている人は、誇らしさの裏側に、多くは無自覚にですけど、
「自信がなくてツイッターにすがっているように見えるんじゃないか」
「根の深い寂しさをツイッターで紛らわそうとしているように見えるんじゃないか」
 といった不安を抱えています。何気ない冷やかしが引き金になって、心の奥の地雷を踏んでしまいかねません。
 そこまでややこしい話じゃなくても、はまりっぷりを感心するセリフの裏側に、
「よっぽどヒマなんだな」
「その分、もっと仕事しろよ」
 というつぶやきの気配を勝手に察知してしまいがち。
 なんせ日頃からつぶやき慣れているだけに、相手の心のつぶやきに対してもきっと敏感です。仮にカケラも思っていなかったとしても(カケラも思っていないケースは稀ですが)、相手はそう受け取るでしょう。
 はまりっぷりに対しては、ひたすら、
「オレも早くはまりたいなあ」
 とうらやましがるのが無難であり、相手に対する大人のやさしさ。単なるおためごかしではなく、そのセリフを聞いたときの相手の満足そうな表情を見ることで、大人としての深い喜びも味わえるでしょう。
ツイッターをきっかけに
相手と仲良くなる方法
 仮に、ツイッターの話題をきっかけに相手との距離を縮めたいなら、その場の口先だけではなく、次に顔を合わせたときに、
「あれから、あの人とかあの人とか、50人ぐらいフォローしてみたよ」
 と具体的な実績を話せばバッチリです。
 熱く勧めてきた相手が、上司だったり仲良くなりたい異性だったりした場合は、とりあえず勧められたとおりにやってみて、ツイッターの魔力に魅せられたフリをしましょう。
「やってみると面白いですねー。勧めてもらってよかったです」
 とまで言っておけば、さらに完璧。たとえ動機が不純でも、それをきっかけにはまってくれればこっちのものだし、信者としてはこの上ない喜びを……おっと、最後に本音が出てしまいました。
 曖昧な立場で書いてきましたが、私も何を隠そう、そこそこ熱心にツイッターを楽しんでいる信者のひとりです(ちなみに、アカウントは「otonaryoku」です)。
 この記事は、熱く勧めがちな己への自戒をこめたり、自己防衛の伏線を貼ったりしながら書かせていただきました。そんなことを踏まえつつ、それぞれのニーズや好みに応じてお役立ていただければ幸いです。



米証取委、詐欺容疑でゴールドマンを提訴
 【ニューヨーク=小谷野太郎】米証券取引委員会(SEC)は16日、低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」関連の金融商品の販売で、米金融大手ゴールドマン・サックスが投資家に誤った情報を提供して巨額の損失を負わせたとして、ニューヨークの米連邦地裁に証券詐欺で提訴したと発表した。
 利益返還や罰金の支払いを求めている。
 SECによると、ゴールドマンは2007年に販売したサブプライム関連の金融商品に関し、同商品に組み入れる有価証券の選定を、顧客の大手ヘッジファンドに行わせて投資家などに販売。ヘッジファンドは金融商品の価格が下落すれば利益を得ることができる取引を行い、巨額の利益を得た疑いがある。ゴールドマンもファンドから手数料を得ていた。
 SECは電話会見で、「金融商品に関する調査を継続する」と他の金融機関にも調査を広げる構え。これに対し、ゴールドマンは「提訴は事実無根。社の名誉にかけて争う」との談話を発表した。



大阪府の「BL規制」検討で腐女子の皆様ご立腹
 東京都がマンガやアニメにおける18歳未満のキャラクターに対する性的表現を規制する条例案を都議会に提出し話題になったばかりだが、今度は大阪府が青少年を性的対象として扱う図書類に対する実態調査を行うことを発表した。
 現時点では条例案も作成されておらず、あくまでも調査を始めることを発表しただけ。しかし、調査実施を発表した声明文に「ボーイズラブの規制検討」という文言が入っていたために、「東京がロリコンを規制するなら、大阪は腐女子を規制か!」と、ネット上では大きな騒ぎとなっている。
 2ちゃんねるに立てられたこのニュースに関するスレッドを覗くと、
「男色、しかも女性向けのものを規制する必要なんてあんのか」
「てかさー18歳未満にエロ本売ったら販売資格取消にすれば済む話じゃね?」
などの議論がある一方で、ボーイズラブを愛する腐女子たちの反応を気にかける書き込みも目立っている。しかし、そのほとんどが、
「ロリコン規制で反発食らったから反発が少なさそうな方から…って考えなんだろうか。その考えだと甘いぞ…」
「あーあ、腐女子の目が攻撃色になったら誰にも止められないというのに。大阪は腐海に沈む」
「腐女子に喧嘩売るとか終わったな」
といった腐女子を恐れるような意見ばかりで、さらには、
「もうだめだ…かけ合わされるぞ大阪…」
「府議会本とか出ても知らねーぞ」
と、規制する側がそのままボーイズラブの素材にされることを心配するネット住民まで登場。ボーイズラブの規制に関するニュースだったというのに、期せずして腐女子と呼ばれる人々がいかにネット住民から恐れられているかが浮き彫りになるという事態になっているのだ。
 大阪府がこの声明を出したその直後、400通ほどの抗議メールが殺到したという。それらのメールの送り主が誰かはわからないが、もしかしたらこれが腐女子の底力ということなのかもしれない。



【中日社説】
1Q84 ブーム超える本の力を
2010年4月17日
 作家村上春樹さんの小説「1Q84」の第三巻が発売され、書店に行列ができる人気を呼んでいる。活字離れの中、誕生したベストセラー。単なる話題性にとどまらない、本の力を感じさせる。
 「1Q84」は昨年五月、書き下ろしで新潮社から一、二巻が発売され、二冊合わせて二百四十四万部が売れた。第三巻も既に八十万部の出版が決定しており、日本の小説としては二〇〇一年の「世界の中心で、愛をさけぶ」(片山恭一著)以来の三百万部を突破することが確実だ。
 物語は、小学校時代に同級だった男女「天吾」と「青豆」を主人公に進む。一九八四年の東京が、空に月が二つある「1Q84年」に変わってしまったという超現実的な設定の中、二人の人生が交互に語られていく。鍵を握るのは、異世界の存在で、妖精のような「リトル・ピープル」。彼らは、ある宗教団体を通じて現れた。天吾と青豆はそれぞれ別の形で宗教団体にかかわる。それはリトル・ピープルの意に反する行動で、二人に追及の手が迫るというのが二巻目までの粗筋だ。
 サスペンス小説風だが、随所に村上さんらしい幻想的なイメージがあふれる。村上さんが強い関心を抱いてきたオウム真理教事件が物語の背景になっており、事件の意味を考えさせる小説でもある。
 社会現象になるまでに売れた理由としては、近年ノーベル文学賞受賞への期待が高まる村上さんが五年ぶりに発表した長編小説だったことが一番だ。加えて、出版社側が事前に内容を明らかにせず、話題性を演出したこともあろう。
 しかし、今回のベストセラーは一過性のブームではないだろう。村上さんはアメリカ文学やジャズなどに造詣が深い。それを単なる知識ではなく血肉となして語るので言葉は生き、しかも豊かだ。比喩(ひゆ)はしゃれており、幻想的な物語を作り出してきた。従来の日本文学とは異質の世界共通性が、村上文学なのだろう。中国、韓国、ロシア、欧州での翻訳も多い。
 読書離れが進む。文化庁の二〇〇八年度調査では、雑誌や漫画を除いて、一カ月に一冊も本を読まないと答えた人が46・1%。〇二年度に比べて8・5ポイントも増えた。危機感を持つ国会は、今年を国民読書年と定めた。そんな中、これだけ多くの人が、決して易しくはない本を手に取ったことは大きい。これを機に、いろいろな本に手を伸ばし、本の力を感じてほしい。
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